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番外企画スレ
3699
:
名無しさん
:2025/06/02(月) 22:43:05
>>3699
「これで終わり、ですね……」
ザンキたちの勝利を見届けた玉藻は重い足取りでその場を立ち去った。
行き先は当然夏油の元。ご主人様(マスター)に最後までが尽くすのが良妻賢狐の努めである。
魔力をほぼ使い果たし煙一つ出せない程の消耗で、夏油を援護どころか彼の元に行くまでに消滅しかねない有り様だったが確固たる意志で歩みは止めない。
一方で倒れ伏した紫の前には蓮子が立っていた。
紫が倒されたことを確認した蓮子は、彼女が消滅する前にどうしても聞きたいことがあったのだ。
「うふふ…私を笑いに来たのかしら…見ての通り…間もなく消えるわ…」
「その前に聞きたいことがある。貴方は一体何者で何がしたかったの?私のことを知っていた…?」
蓮子の質問に何が可笑しいのか薄く笑いながらポツリポツリと紫は答えた。
「私の真名は『八雲紫』、しがない土地の管理人に過ぎない」
息も絶え絶えになりながらも紫の笑顔は消えない。
今際においても真意を悟らせないつもりだろうかと蓮子は思った。
「正直目的なんてなかった。茅場と一緒に他の世界を観測するのが楽しかっただけ。
幻想郷はとっくに賢者たちの手を離れても機能するようになってたから、態々ムーンセルに頼るまでもなかったし、月の技術で幻想郷に介入するのも気に入らなかったもの」
でも、と紫はそこで言葉を区切る。
その顔に笑みはなく感情の読み取れない神妙な顔をしていた。
「茅場が聖杯戦争の参加者に貴女を選定した時、何となく気に入った。ただそれだけのことよ。
京都を舞台に選んだのも霊地が多くて色々と都合が良かっただけ。他意はないわ」
「……本当に?そもそも気に入ったって言うけど私と貴方は初対面じゃない」
「さて…正直に言って私自身も貴方への感情はよく分からないわ。
所詮サーヴァント(わたしたち)は英霊の座という分厚い書から一部のページを切り取った存在に過ぎない。私も厳密には『八雲紫』その人ではないの」
八雲紫の正体は依然として明らかになってはいない。
ムーンセルといえども観測していない事象を再現することは出来ないのだ。
だが"有力な説"をベースに情報を抽出することならできる。それは即ち──
「私に話せるのはここまで……それに世の中には語られない方が良いこともありますのよ」
「ならそれを解き明かすのが私たち秘封倶楽部よ。ムーンセルの力を借りなくたっていつか暴いてやるわ」
「ふふっ…それは楽しみね……」
一時の対話を終えた紫の姿が薄れていく。
そろそろ時間切れねと紫は静かに目を閉じた。
「さようなら蓮子。いつかの夜にまた逢いましょう」
「あっ……」
紫は最期にもう一度笑った。胡散臭い笑みではなく穏やかな表情で──
蓮子には不思議とその表情が親友であるマエリベリー・ハーンと重なって見えた。
不意に朝日が差し込む。夜が明けのだ。
ムーンセルにより再現された偽りの日の出とはいえ、その美しさは本物と何ら変わりない。
眩しさに蓮子が一瞬目を閉じ、次に目を開けた時には既に紫は消えていた。夜の闇が朝日に掻き消されるように。
その光景に蓮子から一筋の涙が零れる。
涙の理由は蓮子自身にも分からなかった。
【八雲紫@東方project 消滅】
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