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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第十章

538embers ◆5WH73DXszU:2025/09/02(火) 04:50:19
観念したかのように物陰から歩み出る――ジト目マホたん。
後ろ手でしっしとブレイブ一行を追い払う仕草。

『ケヒヒッ、お気に障りましたならどうかご容赦を。あんまりにも見事な舞だもんだから、つい……』

『なんだ、手前か。別にいいぜ。盗み見くらい気にすんなよ……それより、丁度いいや。そっちの調子はどうだ?』

『……調子、ですかい?一体何の――』

『どうせまた裏でセコセコやってんだろ?頼むぜ、今度は楽しませてくれよ』

『……へ、へへ、一体何の事だか。すいやせんが、あっしはそろそろお暇させて頂きやさあ』





『クキィ〜〜〜〜〜! ご、ご覧になりやしたか!?お聞きになったでしょう!あの憎ったらしい……!
 「そっちの調子はどうだ」「今度は楽しませてくれよ」ですってよ!
 男一人意のままにも出来やしねえ戦乙女がなーにを偉そうに!』

ブレイブ一行と合流するや否や、ジト目マホたんは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
そうして明神に縋り付く。

『あ、あっしは、あっしは悔しいんですよ!
 あの王様気取りの唐変木の顔を真っ赤にさせて泣きを見せてやらねえと気が済まねえんです!
 頼んます、頼んますよ旦那方!どうかあの傲慢な王を――ケチョンケチョンに負かしてやって下せえ!』

エンバースが気まずそうに頭を掻く。

「……まあ、とりあえず次のトレーニングに進むか?とは言え……
 俺からお前に教えてやれる事なんてあんまりないんだよな。
 ホラ、俺達って天才だしさ……テクニックなんて今更共有するまでも……」

エンバースは暫く考え込むと――

「……まあ、結局ゲームが上手くなる方法なんて決まってるんだよな」

そう呟いた。

『やっとその結論に辿り着いたのかい?僕はもう待ちくたびれたよ。ホラ、さっさと行こう』

ミハエルがやれやれと伸びをして歩き出す。

『ム……その、ミ……ミハエル……この先は……』

向かう先は――先ほどの練兵場。
思わず煌帝龍も難色を示す。

『君……ヘイローだっけ?いつも正午に勝負を挑んでるんだろ?
 ならレオたんも明日に響くようなハードトレーニングはしない。
 とっくにいなくなってるよ。それくらい分かるだろ?』

有無を言わせぬミハエル――練兵場に到着。
キングマホたんはいない。

『効率よく上達するには座学やコーチングも大事だけどさ。結局のところゲームが上手くなるには――』

エンバースが不意に煌帝龍の背中を蹴飛ばした。
体勢を崩した煌帝龍は何歩か前につんのめって、それから急速に振り返った。
その表情には流石に怒りが見える。

『何を――!』

だが次の瞬間には言葉を失った。
喉元にダインスレイヴが突きつけられていた。

「――ゲームをやり込まないとな。新しく覚えたテクニックは実戦で噛み砕いて自分のモノにしないと意味がないぞ!ってな」

エンバースはそう言って不敵に笑うとダインスレイヴを収める。身を翻す。

「まっ、まずは俺の一勝と。それじゃ、次は誰が相手する?
 ジョン?明神さん?一旦カザハに自信付けさせてもらってもいいぜ?」


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