したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

カオスロワ避難所スレ

1 ◆nkOrxPVn9c:2011/10/28(金) 01:14:02
話は本スレかこちらに投下してください

860見上げた、末原:2013/02/26(火) 18:01:35 ID:qYcHHvsI0
 
「なんだ、と――嘘だ。嘘だ嘘だどんどこどーん」

 ティガニキは自信を喪失し、地面に崩れ落ちた。
 急激に魂が吸い取られたかのようにやせ細っていきしなびた大根のようになって、死んだ。
 末原は目をぱちくりし、横のうぐいすを見る。
 うぐいすは末原の方を流し目で見て、語った。

「人を殺しちゃいけねーのなんて、当たり前だよな、末原先輩」
「……あ、ああ?」
「だってよ。誰にだって大切な人がいて、その人に死んでほしくないと思ってる。
 やから、その人を守るために法律とかできて、死なないように願っとんジャン?
 俺はバカだけど、そういう気持ちは分かる。だからムカついとんのや。殺し合いなんて始めたあの総理にな」
「うぐいす君」
「俺は野田総理に野球勝負を挑んで、今みたいに打ち倒すつもりや」

 末原の方に向かって、うぐいすは手を伸ばす。

「なんつーか、巻き込む形になっちまって申し訳ねーけど。協力してくれるか、先輩」

 末原ははうぐいすを見上げた。突然現れ、嵐のように自分を巻き込み、
 でもとりあえずなんとなく頼れる存在であることは分かった同行者を見上げた。
 野球で総理に勝負を挑む。ふざけた目標だと思う。
 しかし、全てがふざけてしまったこの世界で、逆にその目標は正しい気がしてきた。

「はっ。お断りや」

 だから末原は、うぐいすが差し出した手をパシリと叩いて、

「私、野球はできへんからな――野田総理は私が、麻雀で倒したる。協力やのーて、同盟や」

 精いっぱいに不遜に宣言した。二人はこうして、仲間になった。


【一日目・7時13分/日本・渋谷109前】


【千石うぐいす@泣くようぐいす】
【状態】健康かつ健全
【装備】トレパンダ、金属バット
【道具】支給品一式、野田総理の自宅から持ってきた金1億円ほど
【思考】基本;首輪外して、野田総理を野球で倒す
1:末原先輩と行動する
2:ガチャピンの無敗神話を破る


【末原恭子@咲 -Saki-】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:首輪外して、野田総理を麻雀で倒す
0:姫松高校のチームメイトや善野監督を探す
1:うぐいす君と行動する


【先導エミ@カードファイト!ヴァンガード 死亡確認】
【ティガニキ@く○のプーさんのホームランダービー 死亡確認】

861名無しさん:2013/02/26(火) 18:10:48 ID:qYcHHvsI0
あっ、×一級勝負→○一球勝負 だった。wiki収録時になおそう
ティガニキは(某ネズミファミリー的な意味で)出しても良かったのかどうか気になるところ……いいよね?

862THE Trumptower Two:2013/02/26(火) 19:04:48 ID:qYcHHvsI0
 

青森県のとある平原で、変態と思わしきヒソカが一人で悦に浸っていた。
その前には高々と積み上げられたトランプ兵があった。
トランプ兵の塔。
いわゆるトランプタワーである。

トランプ兵は不思議の国で女王を守っていたのだが、
不思議の国の消滅に伴い日本へやってきた。そこでヒソカに捕まり、
今こうして運動会の組体操めいてトランプタワーの材料にされているのだ。

ヒソカはトランプ兵の最後の二枚をたくましい二の腕筋肉をいからせながら持ち上げている。
さすがに重いのか、若干震えている。しかしその表情は笑顔のままだ。
トランプ兵はとにかく恐怖している。こころなしかその体が冷や汗で湿ってふやけているようだ。

と、次の瞬間!
おさかなくわえたドラ猫が巨大化したものがヒソカの横方から飛び出てくる!

が!
ヒソカはトランプ兵の一人を横薙ぎにして巨大ドラ猫を一刀のもとに葬り去った。

……草むらから海馬瀬人と怪盗キッドが現れて、ヒソカのトランプさばきにただ拍手した。
そしてヒソカの後ろに座り込んで、遊戯王を楽しみ始めた。

ヒソカはトランプタワー製作を再開した。
特に何も起こらず数分が経過した。
見極める――――見極める――そしてついにヒソカは――トランプ兵を投げる!

きゅる!

ひゅる!

トランプ兵はきれいな放物線を描いてトランプの山の頂上へと着地!
そのまま倒れることなくトランプタワーの頂上で△を形作った!

ヒソカはほっと溜息をついて己の繊細かつ細やかな腕に感動した。


次の瞬間、
 空から九州が落ちてきてトランプタワーは潰れた。


「ちょっ! え〜っ!?
 え、え! え!? 嘘ー! ナニコレェーッ!!」
「九州が落ちてきて……このザマか」
「九州じゃ仕方ないね」
「ひどいよ! せっかく頑張ってここまで作ったのに!」

863THE Trumptower Two:2013/02/26(火) 19:05:49 ID:qYcHHvsI0
 
九州ロボの中では興奮しすぎて心停止したとみられる光祐一郎が晴れやかな顔で眠っていた。
何か不可解なものを感じたが、
ヒソカ・海馬瀬人・怪盗キッドのトランプ組はとくに気にしなかった。

「仕方ない、飲みにでも行くか」
「そうだぜ! 辛いことは呑んでわすれよう、な、ヒソカ」
「うん……そうだねッ……(悔し泣き)」




* *  * *  * *



「まったく、この天才科学者め……!
 ただでさえ領土が少ないから殺し合いしてんのに、
 その領土をロボットに変える者があるか! ばかもの!
 仕方ないのでこの九州は主催の本拠地として利用させてもらう」

ヒソカ達が去った後、草むらから現れたのは野田総理だった。
そう、祐一郎は主催の本拠地を特定しようと躍起になっていたが、
実はまだ主催は本拠地を構えてすらいなかったのだ! 放送は簡易ラジオで行った。

というわけで、
野田総理は九州に乗り込むとそれを再び浮遊させ、日本海の方向へと飛び去って行った。


【お魚くわえたドラ猫@サザエさん 死亡確認】
【トランプ兵×いっぱい@不思議の国のアリス 死亡確認】
【光祐一郎@ロックマンエグゼ 心停止】


※九州ロボは主催の本拠地になりました。日本海上空に浮いています。


【一日目・7時40分/日本・青森】


【ヒソカ@ハンターハンター】
【状態】健康
【装備】トランプ柄の服、【アルカナ】デッキ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:飲み屋で自分を慰める

【海馬瀬人@遊☆戯☆王】
【状態】健康
【装備】襟の立ったスーツ
【道具】支給品一式、【青眼の白龍】デッキ
【思考】
基本:フン!

【怪盗キッド@まじっく快斗】
【状態】健康
【装備】キザな白マントにモノクル
【道具】支給品一式、【盗賊】デッキ
【思考】
基本:怪盗も探偵も……人を暴くって点では同じだぜ

864大 炎 上:2013/02/26(火) 22:14:57 ID:qYcHHvsI0
 

*キラーーーーン!!


「ふふふ……成功であります!」

東京スカイツリーの頂上!
ケロロ軍曹はみごとゾディアーツスイッチとの適合に成功し、カエルゾディアーツとなった。
見た目は変わっていないが確かにゾディアーツ的なつよい力を得たのだ!

「くくっ、はっはーでありますッ」

ひょーいとスカイツリーから飛び降りるケロロ軍曹。
ゾディアーツになればものすごい高いタワーから地面に一気に飛び降りてもへいきだ!
猫のようにしなやかに、しかしカエルゾディアーツは着地する。
それを待っていたかのようにスカイツリーの影から人が現れる。
赤い髪、あごひげ、赤い服の一見悪い組織のしたっぱみたいな男だった。

「どうやらゾディアーツスイッチには適合したようだな、軍曹!」
「当たり前でありましょう、■■――いいや、ヒノケン殿!」

眼から炎を燃やして熱く語るケロロに、同じくその男は目から炎を出して答える。

「よっし! それじゃあやるぜ、世界征服!」
「オウッやるぜ! 燃えてきたぜ――――オレも“変身”するしかねえかな!」

そして懐から、赤いスイッチを取り出し……懐の宇宙めいた変身ベルトへと挿す!


*……宇宙? いや! WWW(ワールドスリー)! キター!!!!


―――ここまでが放送前の話である。



◇◆◇◆◇◆



放送後、都内某所の病院――。

「ムラタさん……タムラさん……うわあああああ!!」

ホッシーは今だ村田と田村の死に嘆いていた。
放送で名前を呼ばれたことで、蘇生展開も厳しくなったがゆえにさらにだ。

「うわあああ」

「うわあああああ」

「うわああああああああああ!!」「わーわーうるせぇんだよお前はよぉ」

ゴウッ

――――――炎の一陣。ホッシーの体が突如豪火に包まれた。
数秒の後そこにはホッシーだったものの黒焦げになった墨があった。
やったのはもちろん、
ファイアースイッチによって仮面ライダーフォーゼ・ファイアーステイツへと変身したヒノケンである。

865大 炎 上:2013/02/26(火) 22:16:14 ID:qYcHHvsI0
 
「おお! カッコいいでありますね〜」
「オレ自身身体能力が人並み外れてるわけじゃねえから、操作は慣れねぇけどな。
 そのへんはベルトにプラグインしたファイアマンに補助してもらってる。
 このロケットみたいな頭はシャクだが、非常事態だ、少しでも身を守れる力がねえといけねえぜ」

フォーゼの流線型アンドゴツ装備なフォルムに若干の美的センスのちがいを感じながらも、
ヒノケン――火野研一はケロロ軍曹を従え、病院をさらに奥へと進んでいく。
途中で出会うドクターやナースを次々と火だるまに変えつつ、携帯を取り出しネットに接続。

「“カオスロワちゃんねる”のタレコミはホントなんだろうな、ファイアマンよォ」
「――間違いない。この病院の505号室だ」
「5階かよ。今3階だぜ、外したな。じゃあ――いっちょぶち抜くか」

ヒノケンは右手を高く上げ、ベルト内のファイアマンにプログラムを指示する。
バトルチップ・マグマキャノンをネットワーク上のファイアマンがインストールすると、
現実世界のフォーゼの右腕にマグマキャノンが出現する。

「オラァ!!」

ドゴン!燃え盛るマグマの弾が天井を貫いて、
フォーゼが通れるほどの穴を5階どころか屋上まで開けた。
ケロロについてくるよう促し、ヒノケンは5階へといっきに跳躍する。
カエルゾディアーツのジャンプ力によってケロロもその後をついていく。

505号室の扉を開けると……白い印象を与える綺麗な女性がベッドの上で座っていた。

「……末原恭子の尊敬している人。善野監督とはアンタだな?」
「でありますね〜?」

ヒノケンとケロロは悪役的なゲス笑みを浮かべてその女性を見る。
女性は唇を真一文字に結んで抗う表情を見せるも、
病院内にわーわーと発生している悲鳴の渦にすべてをさとったのか、ホールドアップのポーズを取った。


そして。
ケロロが懐から宇宙的ふしぎアイテムのキャプチャーネットを取り出し、善野監督を捕獲した。
網に入った監督はヒノケンの背中に抱えられ、病院から二人は去る。
彼らはこの監督を人質として、千石うぐいすと末原恭子の二人を捕まえるつもりなのだ。
さらに、彼女らを野田のもとへ献上すると見せかけて――野田を抹殺し、世界を支配するつもりだ!





「やべぇよ……やべぇよ……」

そして、病院の隣の休憩室で身をかくしつつ休憩していた野獣先輩は、
一連の一部始終を見てこわくなって病院から立ち去った。


【ホッシー@横浜ベイスターズ 死亡確認】
【ドクター中松@現実 死亡確認】
【お注射天使リリー@遊戯王OCG 死亡確認】



【一日目・00時15分/日本・東京・病院】


【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】健康、意気高揚、カエルゾディアーツ
【装備】ゾディアーツスイッチ@仮面ライダーフォーゼ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:バトルロワイアルを支配する
1:ノダの抹殺
2:ヒノケン殿に尽くす
3:人質作戦で末原をノダのとこに連れて行き、
 ……末原ごとノダを抹殺! であります! 完璧な作戦!

866大 炎 上:2013/02/26(火) 22:17:17 ID:qYcHHvsI0

【火野ケンイチ@ロックマンエグゼ】
【状態】健康、ファイアーステイツ@仮面ライダーフォーゼ
【装備】フォーゼドライバー
【道具】支給品一式
【思考】
基本:バトルロワイアルを支配する
1:ノダの抹殺
2:ケロロ軍曹を従える
3:人質作戦で末原たちをノダの所に連れて行き、火祭りだぜ!

【ファイアマン@ロックマンエグゼ】
【状態】フォーゼドライバーの内部プログラム補助
【装備】火のバトルチップ一式
【道具】なし
【思考】
基本:ヒノケン様に尽くす
1:燃やしたい……!

【善野監督@咲 -Saki-】
【状態】気絶
【装備】患者服
【道具】なし
【思考】
基本:……。
1:恭子……。


【田所(野獣先輩)@真夏の夜の淫夢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、アイスティー、睡眠薬、不明支給品
【思考】
基本:バトロワの破壊
1:遠野や迫真空手部員との合流
2:やべぇよ……やべぇよ……。

867名無しさん:2013/02/26(火) 22:20:58 ID:qYcHHvsI0
あ、×00時15分→○7時15分 でお願いします

868行き先は未定!:2013/02/27(水) 02:26:52 ID:T7j4Ot3U0

「そんな、ママにジャイアンたちにジャイアンのママさん……あとスネ夫」

 青いネコ型ロボット……ドラえもんが地面に両腕を付く。
 所謂、『orz』。……こんな状態だ。

「ドラちゃんのお友達?」
「そうだよ……玄ちゃん」

 その隣の黒髪の少女が宥める。
 彼女の名は『松実玄』。通称『阿智賀のドラゴンロード』である。
 なお、ドラえもんは支給品である。彼女が最初に引き当てたのだ。

「のび太君は無事だろうか……」
「そののび太君ってのは……さっき言ってた男?」
「うん……きっとジャイアンたちが死んで悲しんでると思うよ……」
「ドラちゃん……」 

 このドラえもん、どうやらのび太のことが心配のようだ。

「どら焼きあげるから一緒に食べようよ、ね?」
「玄ちゃん……うん、ありがとう」

 どら焼きを分けてもらい、少し元気を出そうとするドラえもん。
 出会ったばかりだが、自分のことをこんなに心配してくれてるのだ。
 そんな少女の好意を無駄にするわけにはいかなかった。

「玄ちゃん、どら焼きを食べたら、ここを出よう」
「うん、みんなを……のび太君を探すのね」
「玄ちゃんのお姉さんや友達も心配だから……」

 二人は一つずつどら焼きを食べ、歩き出した。
 行くあても定まらないままに。

【一日目・7時30分/日本・愛知県】
【松実玄@咲 -Saki-阿智賀編】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式、大量のどら焼き
【思考】
基本:殺し合いには乗らない
 1:おねーちゃん(松実宥)や阿智賀の麻雀部のみんなに会いたい
 2:ドラちゃんのお友達も探してあげたい

【ドラえもん@ドラえもん】
【状態】ジャイアンたちが死んでショック
【装備】なし
【道具】大量のどら焼き
【思考】
基本:のび太が心配
 0:玄に付いていく
 1:〜100:のび太がとても心配
 101:玄ちゃんの友達を探してあげたい
【備考】
※支給品なので首輪は付いてません。
※秘密度具は全て没収されています。

869行き先は未定!:2013/02/27(水) 02:27:23 ID:T7j4Ot3U0



 ◆ ◇ ◆



 ちなみにそののび太は今……



「待て、少年!! 私は人間だ!!」
「俺は……アドラー……えもん」
「私はドラゴン紫龍」
「だから、誰なんですか!?」

 妙な男たち二人に絡まれていた。

【一日目・7時30分/日本・香川】

【野比のび太@ドラえもん】
【状態】動揺
【装備】なし
【道具】支給品一式、ボーリングの玉@現実、龍星座の紫龍@聖闘士星矢
【思考】
基本:生き残る
0:死人が出るぞぉ!!
1:ドラえもんを探す

【ダイアー@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】割と健康
【装備】イカ墨とパスタ@現実
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:主催を倒す
0:目の前の少年からディオと主催者の居場所を聞く
1:ディオとかいう奴も倒す
2:アドラーと行動する。

【アドラー@エヌアイン完全世界】
【状態】それなりに健康
【装備】電光機関@エヌアイン完全世界、四次元ポケット@ドラえもん
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:ダイアーと行動する
0:俺は……アドラー……えもん
1:…と考えているとでも思ったか? 残念、実はアドラーだっ!

870名無しさん:2013/02/27(水) 02:32:54 ID:T7j4Ot3U0
訂正
×※秘密度具は全て没収されています。
     ↓
○※ひみつ道具は全て没収されています。

871ヘイ、タクシー!:2013/03/02(土) 05:23:27 ID:QsiHsw/U0
 
 KAITOとミクは新潟駅に居た。
 東京へ向かう彼らは、上越新幹線の始発に乗っていこうと思い立ち、
 素性がバレないようにサングラスなどで変装してこうして駅に来たのだが……。

「兄さん」
「うん」
「さすがにこの混乱では新幹線なんて動いてませんでしたね」
「そうだね、ミク」

 当然ながら殺し合い状況下でまともに新幹線が動いているわけがなく、
 日本中の新幹線は全線運転見合わせ状態となっていた。
 そもそもこれは、先にPCなどで調べれば分かることなのだが、
 機械音痴の二人は直接来ることでしか新幹線が動いてるかどうかを確認できなかったのだ。

「せっかく列車の中でもスパンキングできるように、
 ミクには大きめの帽子とコートしか着せなかったんだけどな」
「実はちょっとすーすーします。
 このままだと露出プレイに目覚めてしまいそうで怖いですっ、兄さん」
「なに、だとしても僕がミクを愛してることは変わらないよ、心配しなくてもいいさ」
「に、兄さん……! 大好きですぅ……!」

 腕を組んですりすりとほっぺたを肩に擦り付け、
 帽子にコート一枚のミクはKAITOに愛情表現をする。
 わりと冷静なKAITOはその感触を心地よいと感じながらも頭を巡らせていた。
 ミクのおしりを軽くタッチすると「ふあっ」「あっ……」と色っぽい吐息が返ってくる。
 興奮して頭の回転も速くなるというものだ。
 船も飛行機もダメ、地下鉄もない。自転車やバイクなんてもってのほか……。
 となると、必然的に選択肢自体も限られてくる。

「タクシーだ」

 KAITOがその答えにたどり着いたのは、
 お尻をタッチされたミクがだいたい三回くらい絶頂に至った後であった。

「ふぇ……た……くしぃ……?」
「ミク、後でまたいっぱい叩いてあげるから早く正気に戻りなさい。
 新幹線が使えず、車にも自力では乗れない以上、僕たちはタクシーを使うしかない。
 お金ならあるからね、たくさん積めばこの非常事態でも動いてくれるはずさ」
「たくしぃなら、とうきょうに……いけるんですね、にぃさん?」
「そうだよ、ミク」
「やった! じゃあ早くタクシー乗り場に行きましょう!」

 ぱっと明るく笑顔を作ってミクは外へと駆けだしていく。
 そんなミクを見ながらKAITOは思う。
 かわいい。
 ああ――本当にミクは可愛い!
 純真無垢でドMで従順でちょっとアホの子だけど明るくて綺麗で、
 歌もうまいしベッドの上だと可愛いしリアル妹でもあり。そして自分を愛している。
 ミクと入籍することはミクが強く願っていることだが、
 KAITOだってミクと結婚したい気持ちが弱いわけではない。
 その証拠に、
 二人は結婚するまでスパンキング行為以外のSMだけでなく、
 いわゆるセクロスも禁じている。ホテルに行ってもスパンキング「しか」せずに出る。
 きちんと籍を入れるまではきちんとした交際を。それが二人の間の暗黙の了解なのだ。
 え? スパンキングしてる時点でけっこう不純な気がするって?
 そういわれたらそういうきもするけどきっとちがうんじゃないかなあ。

872ヘイ、タクシー!:2013/03/02(土) 05:24:46 ID:QsiHsw/U0
 
「タクシー乗り場に付きました!」

 前線の影響か、淡い雪景色となっている新潟県、
 新潟駅前のタクシー乗り場も白いカーペットを敷いたようになっているが、
 タクシーの姿はちらほら見受けられる。
 どうやら新潟には個人経営のタクシーが多いらしく、
 それぞれ別の車種、別の会社だ。。

「ふむ……プラシドタクシー……コンボイタクシー……それにカーズタクシーか。
 どれに乗るのが一番早いのかな・……」

 バイクだけど早そうなプラシドタクシー、
 トラックだけど適当な作戦を立てそうなコンボイタクシー、
 そして究極生命体カーズタクシー。
 KAITOははしゃぐミクを見ながらどのタクシーに乗るのか考え始めた。


【一日目・8時00分/新潟県新潟市】


【KAITO@VOCALOID】
【状態】健康
【装備】青いマフラー、似合わないサングラス
【道具】支給品一式、日本地図
【思考】
基本:殺し合いというチャンスを利用してミクと入籍する
 1:ミクの尻を叩く
 2:東京に行き、放送局を占拠して歌を流す
 3:どのタクシーに乗って東京に向かうか……
※機械オンチで、自分たちが標的にされていることを知りません


【初音ミク@VOCALOID】
【状態】健康、裸コート
【装備】大きい帽子、赤いマフラー
【道具】支給品一式 その他不明
【思考】
基本:殺し合いというチャンスを利用してKAITOと入籍する
 1:KAITOに尻を叩かれる
 2:東京に行き、放送局を占拠して歌を流す
※機械オンチで、自分たちが標的にされていることを知りません
※基本的に歌と兄とスパンキングのこと以外は考えられません


【プラシド@遊戯王5D's】
【状態】健康、バイクと合体中
【装備】なし
【道具】支給品一式、【ガジェット】デッキ
【思考】
基本:俺が究極のタクシーだ!
※ルチアーノとホセに見捨てられた結果、タクシー業に転職したプラシドです。


【コンボイ司令官@トランスフォーマー(初代)】
【状態】健康、車モード
【装備】なし
【道具】支給品一式、トランスフォーマーのおもちゃ
【思考】
基本:私にいい考えがある! 乗れ!
※殺伐とした世界でみんなの役に立とうと、タクシー業に転職したコンボイです。


【カーズ@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康、究極生命体
【装備】なし
【道具】支給品一式、映画「カーズ」のDVD
【思考】
基本:乗ればよかろうなのだァァァァッ!!
※そのうち考えるのをやめた結果、なんとなくタクシー業に転職したカーズ様です。

873へ?大丈夫かな???:2013/03/03(日) 00:54:25 ID:az6Iik0I0

「うぬ……来週号のテラフォーマーズが気になる、
 ……平等院、何か他に気になる漫画はあるか?」
「黒子のバスケだ」
「ほう、この拳王もバスケは得意だ」
「しかし、軽音部の皆さんが無事でよかったですね」

 ラオウと平等院が少年ジャンプやらヤンジャンを読みつつ。談笑する。
 それをタクアンを丸かじりながら、眺める。
 そんな中、MEIKOは一人複雑な表情を浮かべる。
 何故ならば、三人と違い知り合いが……家族の名前が呼ばれてしまったからだ。

(まぁ。どうせ死ぬとは思ってたけど、こんなに早く死ぬなんてね……
 ……寂しい? いや、そんな気分じゃないわね……よし、さっさとミクとKAITOを殺すか)

 とりあえず、ミクとKAITOは殺す。
 そう固く決心した。

「しかし、呼ばれた二人はどうする?」
「……斎藤がいれば、一晩あれば探索できたんですがねえ……」
「放っておいていいんじゃない? 野田総理の居場所分からないし」
「一理あるな」

 とりあえず、放送で呼ばれた二人はスルー。
 場所分からないのに、どうやって送り届けるんだ、馬鹿野郎!
 これがMEIKOが出した結論であった。

「おい! そこの人たち!」

 妙な男たちに声を掛けられた。

 ◆ 

「ほう、野田総理に野球で勝負を挑むか……」
「ああ、アンタらみたいな長距離バッターがウチのチームに必要なんだ」
「クロえもん君、無茶でやんすよ……」
「頼む、アンタらがいれば……」
「この拳王の配下になるならばいいだろう!」
「本当か!?」
「私は……運動は苦手ですからパスです。金はありますけど」
「なら、オーナーをやるずら」
「そうですね」
(イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん……)

 クロえもんと名乗った謎の黒猫。
 矢部明雄と名乗ったメガネの男。
 猪狩進と名乗った好青年風の男。
 殿馬一人と名乗った小柄な男。
 テラカオスバトルロワイアルに巻き込まれた川崎宗則。

 以上が拳王の配下になった。
 MEIKOは彼らをググったのだが、彼らの素性は分からなかったのでとりあえず保留。
 
 しかし、これで野球のメンバーは八人。
 あと野球をするにはあと一人必要だ。

874へ?大丈夫かな???:2013/03/03(日) 00:55:01 ID:az6Iik0I0


「では、彼をスカウトしましょう」
「は?」

 ムギさんが見つけたのは……バットを振う一匹の熊だった。

「アレはプニキ!?」
「知っているのか……MEIKOよ!?」
「アイツは危険よ……!」

 MEIKOはプニキのことを知っていた。
 “恵体剛打”と称される孤高の最強スラッガーだからだ。

「大丈夫です(ニッコリ)」

 しかし、それでもムギさんは止まらない
 次の瞬間、この場の全員が軽音部の誇る最強の交渉人・ムギさんの片鱗を垣間見た。

「嬢ちゃん、俺の年棒は……ハチミツ一年分だ……それ以外はいらない」
「最高級ハチミツを用意します(天使の微笑み)」
「一生ついていく」

 交渉成功。
 こうして、九人の野球戦士が暫定的に集まった。

 1番 キャッチャー 猪狩進
 2番 セカンド 殿馬一人
 3番 ファースト ラオウ
 4番 レフト プニキ
 5番 サード クロえもん
 6番 ライト 平等院鳳凰
 7番 ショート 川崎宗則
 8番 センター 矢部明雄
 9番 ピッチャー MEIKO

 監督兼マネージャー兼オーナー兼スカウト部部長、琴吹紬(19)

「勝てる。勝てるんだ!」

 そう熱弁を振うクロえもん。その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった……。
 そして、なんやかんやで再び吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。

【一日目・8時/日本・長野】
【MEIKO@VOCALOID】
【状態】健康
【装備】アルティメットアーマー@ロックマンXシリーズ
【道具】支給品一式、ノートパソコン@現実
【思考】
基本:殺し合いに乗った者達を殺す
 1:ミクとKAITOを殺す
 2:ラオウ達に協力してもらう
※今までとは別人です。

【琴吹紬@けいおん!】
【状態】精神的にぶっ飛んでる
【装備】核ミサイル、現金1兆円ほどが入った特注ジュラルミンケース
【道具】支給品一式、たくあん@現実、その他不明
【思考】
基本:生き残ることを最優先
1:拳王とやらの配下になる
※今までとは別人に決まってんだろ!!いい加減にしろ!!

【ラオウ@北斗の拳】
【状態】健康
【装備】炭酸水
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
基本:野田総理を倒す
0:東京に向かうぞ!!
1:そして、拳王が新たな時代を作る
2:死兆星から使者の小娘を配下にしたぞ!
3:トキ似の男を配下にしたぞ!
4:強そうな鎧の女を配下にしたぞ!
5:謎の黒猫たちを配下にしたぞ!
5:ミクとKAITOを倒すぞ!

【平等院鳳凰@新テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】テニスラケット、テニスボール×∞、諭吉一枚
【道具】支給品一式、少年ジャンプとヤンジャン、その他不明
【思考】基本:主催者達を滅ぼす
1;マーダーも滅ぼす
2:ラオウたちと行動する
3:テニスがしたいが、野球をする

【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】
【状態】健康、全ステータスMAX
【装備】木の棒
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:ムギさんからハチミツを貰うために野田を野球で潰す
1;ホームランを打つ

875名無しさん:2013/03/03(日) 00:55:42 ID:az6Iik0I0

【川崎宗則@現実?】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式
【思考】基本:イチローを倒してでも、マリナーズに連れ戻す
1:戦力を集める
2:イチローがいるだろう、東京に向かいたい

【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式
【思考】基本:野田総理に野球で挑んで勝つ!
1:最低でも四国アイランドリーグが出来るくらいの仲間を集める
2:イチロー選手を仲間に引き入れたい

【矢部明雄@パワプロシリーズ】
【状態】健康、真矢部状態
【装備】なし
【道具】不明
【思考】基本:生き残るでやんす
0:もうどうにでもなれでやんす!

【殿馬一人@ドカベンシリーズ】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式、グランドピアノ@現実
【思考】基本:生き残る
1:イチローと合流したい

【猪狩進@パワプロシリーズ】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、ミット
【道具】支給品一式、野球マスクのマスク@パワポケ
【思考】基本:殺し合いを止める
0:兄(猪狩守)が心配
1:知り合いとの合流


【吉村@内川コピペ 死亡確認】
【村田@内川コピペ 死亡確認】
死因;様式美

876影薄潮流:2013/03/03(日) 05:18:03 ID:lEdao4Cs0
小町と影薄な仲間たちを載せた舟は、某ズガン師の魔の手から逃れるべく大阪府の沿岸まで移動していた。
その間に暇つぶしとしてそれぞれの情報交換を行なった。
出自のこと、知り合いのこと、幻想郷のこと、バスケのこと、麻雀のこと、チートだらけな生徒が多い学園のこと、主人公のことetc。
……ただでも影の薄い連中だらけなので小町には話の半分も聞けてなかった気がするが、影薄たちは十分な情報を得ることができたようだ。

「幻想郷にもバスケはありますかね?」
「麻雀できる人はいないっすか?」
「幻想郷でバスケは聞いたことないね、将棋打てる奴なら心当たりあるけど麻雀はどうなんだろ……」
「ウチの学校みたいに反則級な力をもった妖怪がごろごろいるらしいな」
「殺しても死ななかったり、人の心を読んだり……色々いるが、たぶん能力者の質と量はそっちと同じ程度じゃないのかい」
「あかりはね、あかりはね!」

あかりが小町に質問しようとした、ちょうどその時、最初の定時放送が流れた。
死者の発表・禁止エリアの追加・野田からの捜索依頼が流され、やがて放送が終わると小町はホッと胸をなでおろす。

(とりあえずあたいの知り合いはいないみたいだね、一先ず安心だが……)

チラリと同行者である影薄たちを見る。
今の放送で大切な友人や家族の喪失を知ったのかもしれないのだ。
もしそうならば精神的に支える必要があるだろう、自棄になってそいつが目の前で自殺したり他者を殺したりするのは目覚めが悪いからだ。
だが小町の心配を他所に、影薄たちに暗い雰囲気は一切なかった。

「あかりの知り合いは大丈夫みたいだけど、みんなはどう?」
「私の知り合いはみんな無事のようっすね、末原さんが盗み働いて指名手配はされてたけど」
「僕もです」
「俺はいたが、元より気まぐれで死んでは生き返るような奴らだし、たぶん問題ねぇな」
「全然大丈夫そうだね、あんたら」

日本の各地は今でも殺し合いが続いてるというのに、この一行は暢気なものだった。
影は薄いが船旅の仲間としては悪くない連中との気ままな現状に彼女は声を漏らす。

「このままずっと、こんな時間が続けば良いんだがねぇ〜」

仕事嫌いな死神の囁かな願いであった。

「……?」

そんな願い事をした後、ふと海上に目をこらすと何者かがいた。
何者かは歌いながらこっちに向かってきている。

「なんだいありゃ?」
「まさか、あのズガン師が追ってきたんすか!?」
「……いや、体格がまるっきり違うし別人だな」
「よく見ると海の上歩いてませんか?」
「何を歌ってるんだろう?」

近づいてくる者の歌に皆が耳を傾けてみると……


「チーチッチ おっぱーい ボインボイーン」

その奇妙奇天烈な歌に小町はズッコケた。 日之影は腹を抱えて笑っている。 黒子は無反応。 桃子はドン引き。 あかりはリアクションに困っている。

「まーた変なのが現れたね、まったく」
「こちらに害意はなさそうだし、いいじゃないっすか小町さん」

例の者は、顔色と姿がわかるくらい一行に接近していた。
その少女は真顔で頭の悪そうな歌を口ずさんでいることはともかくとして、その様子から敵意や殺意は伺えず、それらを隠している様子もなかった。


……敵意や殺意がない故に、一行の油断を招いた。

「優しくもげ!」
「……え?」

わずか一瞬の隙に、少女――長門はとてつもない速さで船に乗り込み、手始めに桃子の乳房をもごうとし。

「危ない!」

いち早く反応できた黒子が、バスケ由来のインターセプト技術で桃子と長門の間に割り込むことで、長門の乳簒奪行動は未遂に終わる。
――代わりに、黒子は顔面の皮をベリベリと「もぎ」とられてしまった。

「がはッ」
「く、黒子君……いやああああああ!!!」

元々タフな部類ではない黒子はダメージによって失神し倒れた。
桃子は目の前で起きた惨状にパニックに陥る。

「東横、黒子!? このアマなにしやがんだい!!」
「こまっちゃん、こいつは俺がやる。 アンタは他のみんなを守ってくれ!」

仲間のガードは小町に任せ、日之影は突然の襲来者である長門に応戦しようとする。
そして日之影は小町の視界から消えた。

「き、消えた……!?」

存在感を徹底的に薄くする異常性能力『知られざる英雄』の発動。
これにより、敵はおろか味方すらも日之影の存在を感じ取れなくなった。

(人間の皮をもぎとるような奴を人間とは思わん、全力で叩き込む)

日之影はただ空気なだけではなく、地の戦闘力も高いため、大抵の敵はねじ伏せられる。
油断も容赦もする気もなく、長門の顔面に右拳による男女平等パンチを叩きこみ、一撃で決着をつけるつもりだ。

877影薄潮流:2013/03/03(日) 05:20:46 ID:lEdao4Cs0

「な、なに?!」

日之影は驚愕した。
彼の渾身の一撃は、長門のか細い腕一本によって軽々と受け止められていた。
これは長門が見た目によらず、日之影以上のパワーとスピードを持っている証であり、そしてそのパワー以上驚くべき点は――

(こいつ、俺が……俺たちが見えているのか!?)

よく考えてみれば、普通はほぼ背景に近い空気キャラによりも存在感のある小町を狙ってくるはずだが、あろうことに目の前の少女は空気キャラを最初に狙ってきた。
これはつまり、長門にはどんなに影の薄いキャラでもしっかり見えていることになる。
長門は情報統合思念体に送られた端末、その目的は大まかに言えば情報収集、ゆえに高い索敵能力をもっているのか。
はたまた、チート能力である情報操作能力の力によって、空気キャラが見えるようにしたのかは日之影は知る由もない。
彼がわかるのは、いま相手にしている女は黒髪めだかと同じかそれ以上のスペックを持ち、なおかつ空気化能力が意味を成さない相手だということ。
それを理解した時には、右腕が彼女の素手で既に「もぎ」取られていた。

「ぐわあああああああああッ!!」
「いきなりもげ!」
「日之影ええェェェェェ!!!」

小町が日之影の存在を再度認識できるようになった時には、彼が右腕の付け根からおびただしい血を流し、本来あるべき右腕は長門の手の中にあった。

「くそッ……」

一般人なら倒れてもおかしくないダメージだが、先代生徒会長の意地により日之影はこらえる。
だが、長門に関して勝てる見込みがないのも悟っていた。
奇怪な歌はもうすぐ天に召されるかもしれない五人に贈る鎮魂歌のつもりか。
小町とは違う意味での「死神」は、興味なさげに黒子の皮膚と日之影の右腕を海に捨てる。

「チーチッチ おっぱーい」
「今度はあたいが相手だよ!」

日之影は片腕を失い、まともな戦闘ができる者は自分だけになってしまった小町。
相手がどんなに高い実力をもっていたとしても、舟の上であるために逃げることも助けを呼ぶこともできない。
どんなに苦しくても戦うしか道はないのである。
弾幕は狭い舟の上では味方に当たる。 デスノートは相手の名前がわからないために使えない。
できるのは白兵戦しかないと小町は意を決して長門に刀を向けた。

「射殺せッ 神鎗ッ!!」

伸びる程度の能力を持つ斬魄刀・神鎗により小町は仕掛ける。
されど、己の喉元まで伸びるよりも早く長門は刃をかわし、持ち前の機動力で小町との距離を一気に詰めた。

「早ッ……」

驚く小町を尻目に、長門はすぐさま背後へと回り込み、そして――

「きゃん!?」

――両手でふくよかな乳房を鷲掴みにした。
思わず、顔を赤くしてしまう小町だったが、それはすぐに青ざめた。

「動けない!?」(金縛りの術でも使われたのか?
それにこいつの手の力はヤバい、乳どころか奥にある骨や心臓までもってかれそうだ!
もし、そいつで死んじまったら…本気で…笑い話にもならないよ……)

相手が抵抗しないように長門は小町の体に情報操作能力をかけたのだ。
加えて鷲掴みされた乳房からはミシミシメキメキと嫌な音にともない激痛が走っている。

「くッ! 今助けるぞ!」

小町の異常に気づいた日之影は、己の負傷に構わず長門を引きはがしにかかるも、空いている足によるカウンターキックによりあっさりと蹴り飛ばされてしまう。

「ぐおッ!」
「日之影さん!!」

桃子が急いで日之影を助け起こすが、致命傷こそ免れたものの多大なるダメージの蓄積によって即座な戦闘続行は不可能であった。
彼が立ち上がる前に、小町の命がもぎ取られる方が先であろう。
そして、その瞬間はもう目前だった。

(もうダメだ! ここまでか……)

体内ではいくつかの胸部筋肉の断裂と内出血が始まっており、限界を迎えていた。
長門は影薄たちには手に余る相手であり、勝ち目などなかったのかもしれない。
小町を助ける手段がなく、小町が死ねば次は自分たちだと、誰しもが生きることを諦めかけていた。






――『主人公』を除いては。

878影薄潮流:2013/03/03(日) 05:24:01 ID:lEdao4Cs0


「あかりん、主人公パワー全開!!」

あかりが突如、ディパックから「何か」を取り出し、勢い良く投げつけた!

「あかり、あたいを助け……はぶッ?!」
ベチッ

何かは小町の顔面に直撃した……
なぜ長門ではなく味方にぶつけたのか、その答えはすぐに出た。

「チチ?」

小町の体が煙に包まれ、手足のない青い猫か狸に似た小さな魔物『マムル』へと姿を変えていた。
元の体より小さくなったため長門は小町を取りこぼしてしまう。

「今だ!」

何が起こったのかわからないと戸惑う長門へと畳み掛けるように、再起した黒子が何か布らしき物を投げつける。
布で視界を妨げて攻撃か、はたまた布に何か細工でもしてあるのか?
前者なら五人では長門相手に打撃力不足、後者なら情報操作能力で無効化できる。
どちらにせよチートの塊である彼女には通用しないだろう。
長門は布に覆われかけ、その布を払おうとし――いずこへと消えた。



@@@@@

数分後、マムルと化していた小町が再び煙に包まれ、元の少女の姿に戻った。
長門が消えたためか、情報操作能力による金縛りも解けたようだ。

「貸しができちまったね、あかり」
「えへへへ、主人公として当然の事をしたまでだよ」

あかりは空気であることがアイデンティティではない(本人が認めてない)。
空気化を最大の武器にしている他の三人とは違い、能力を破られてもショックでもなんでもなかった。
そして、焦りは主人公の死亡フラグだと思い、彼女は危機化においても冷静だった。
ただ、冷静だとしても戦闘力は五人の中では下から数えた方が早いだろうし、長門に真正面から勝てる道理はなかった。
長門を退けるには僅かな隙を突く奇策しかなく、奇策を生むために彼女は支給品の力に頼ることにしたのだ。

あかりの支給品は食べると貧弱小型モンスター・マムルになってしまう肉である。
これを長門にぶつけてマムルにして弱体化させる……のはおそらく無理だろう。
長門に投げつけても、あの身のこなしの速さで口に入れさせるのは至難の技だろうし、変身は本人が念じればすぐ解けてしまう仕様でもあった。
ならば、捕まっている小町の方に食べさせて救出させた方が良いだろうと判断した。
しかし、これだけでは強敵・長門自体はそのままであり、一時しのぎの延命策にしかならない。

そこで活躍するのは黒子の支給品、『死出の羽衣』である。
これは覆った相手をどこかへとワープさせる魔道具だ。
あかりたちはあらかじめ情報交換を行なっていたため、黒子がこの支給品を持っていたことを知っていた。
戦いの中であかりは黒子が気絶から醒め、この羽衣を使うタイミングを伺っていたのにも気づいていた。
が、小町が長門に捕まっている以上は二人まとめてワープさせてしまい、仲間を見捨てる羽目になってしまう。
そこを見通したあかりは、助け舟としてマムルの肉を小町に投げたのである。
目論見どおり、小町は長門の魔の手から逃れ、長門を退けることにも成功する。

死出の羽衣によってワープした先は使用者にもわからない。
脱出不可能な亜空間かもしれないし、1kmも離れてない場所かもしれない。
ただ、しばらく経ってから再び襲ってこない様子からしてそれなりに離れた距離へワープしたようだ。
小町と影薄たちは一つの苦難を乗り切った、だがこちらの損害も少なくなかった。

「大丈夫っすか、二人とも」
「セルフで止血したからいきなりポックリ逝きはしないから安心しな、ハハハ」
「辛うじて足と手は残っているからバスケを続けられそうです…痛ッ」

黒子は顔の皮を剥がれ、日之影は右腕を無くしている。
本人たちは暢気な口調で話しているが明らかに重傷だ。
その様子を見ていた小町も胸が痛かった。 怪我的な意味で。

「こりゃあ、治療のために陸に上がって病院を探した方が良さそうだね」
「迷惑かけて悪いな、こまっちゃん」
「いいさ、日之影。 あたしゃ(死神の)仕事をサボリたい気分なのさ。
とりあえずみんな、これから上陸するよ、いいね?」

小町の決定に異を唱える者はいなかった。
舟は進路を大阪の取り、上陸を目指す。
そんな中、小町はため息混じりにつぶやいた。

「はあ〜、海の上でもまともにサボれはできそうにないね。
陸地のどこかにもっとゆっくりできる場所はないもんかねえ〜」

879影薄潮流:2013/03/03(日) 05:25:34 ID:lEdao4Cs0



【一日目・7時00分/大阪府・沿岸】

【小町と影薄な仲間たち】
【小野塚小町@東方Project】
【状態】ダメージ(中)
【装備】斬魄刀『神鎗』@BLEACH、デスノート@DEATHNOTE、舟
【道具】不明
【思考】
基本:バトロワに乗じて仕事をサボる
1:黒子と日之影を治療するため、いったん上陸する
2:どっかに安住の地はないもんかねぇ

【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【状態】顔の皮膚喪失
【装備】なし
【道具】死出の羽衣@ 幽々白書
【思考】
基本:友人たちと生き残る
1:顔が痛いです、死ぬかと思いました

【東横桃子@咲-Saki-】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】不明
【思考】
基本:加治木先輩や友人たちと生き残る
1:乳もぎ魔こえーっす

【赤座あかり@ゆるゆり】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】マムルの肉×2@風来のシレン
【思考】
基本:主人公らしく活躍する
1:今のは主人公的に活躍できたよね? ね?

【日之影空洞@めだかボックス】
【状態】ダメージ(大)、右腕欠損(止血済)
【装備】不明
【道具】不明
【思考】
基本:主催者を倒す
1:仲間を守る
2:↑の両方やらなくちゃあならないのが先代生徒会長の辛いとこだな。
3:空気化能力の効かない奴がいるのか、厄介だな


@@@@@

同時刻、近畿地方上空。
空気ガンダムマイスターのアレルヤの搭乗するコアファイターが、唐突な強い衝撃により機体を揺らす。

「なんだ!? 攻撃? 故障? それとも――」

言葉が最後まで紡がれるより早く、アレルヤは首を「もぎ」取られて死んだ。
コアファイターの上には乳もぎ魔・長門が男の首をもって立っていた。
彼女は死出の羽衣によって上空にワープさせられたが、たまたま真下に戦闘機が飛んでいたため、飛び乗ったのだ。
次にアレルヤが彼女の存在を認識するより早くコクピットガラスを素手でぶち破り、頭と体を泣き別れにさせたのである。

そして、長門はアレルヤの首とコクピットに残っていた体を空へと放り投げて、コクピットの中に入り込む。
血が乾ききっていないシートに座り、操縦桿を握って長門はこの戦闘機の新たな主となった。
戦闘機を手に入れて足が大幅に長くなった最凶の乳もぎ魔は次の獲物を求め、歌いながら空から地上を見下ろす。

「チーチッチ おっぱーい ボインボイーン」



【一日目・7時00分/近畿地方上空】

【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】ナイン
【装備】コアファイター@機動戦士ガンダム
【道具】支給品一式 、朝倉涼子のおっぱい(右)×2、朝倉涼子のおっぱい(左)×2

【思考】
基本:チチをもぐ
1:朝比奈みくるのチチをもぐ
2:涼宮ハルヒのチチをもぐ
3:とにかくチチをもぐ
4:邪魔者はもぐ

【アレルヤ・ハプティズム@機動戦士ガンダム00 死亡確認】

880手っ手っ手ー手っ手っ手手ー:2013/03/07(木) 19:51:24 ID:CqYOZd7k0
 

日本中の新幹線や電車などが次々と運転を見合わせていく中、
東京の「山手線」だけは、
今だ粛々とダイヤを乱さず正常に動き続けている。
放送前にリンちゃんが轢かれそうになったのも山手線だ。
そもそも、山手線が止まるときこそは日本の終焉のときなのだと民明書房の本にも書いてある。

「はぁ……電車動いててよかったなの……」

たくさんの人が乗り降りする山手線の車両のひとつ。
吊り革につかまって、
仕事先のスタジオからホームである765プロへと戻ろうとしているアイドルがいた。
眩しいイエローの髪はきらきらと星のように。
生来のアイドルオーラを感じさせるその少女の名前は星井美希。
今を駆け抜けるスーパーアイドルだ。

「殺し合いなんて……ひどいなって思う。
 しかも、響と伊織はもう……ミキ、みんなが心配なの……」

珍しくうつむいて、美希はずいぶんと落ち込んだトーンで声を出した。
それもそのはずである、さっき行われた野田総理による放送で、
彼女の仲間である我那覇響と水瀬伊織の名前が呼ばれてしまったのだ。
のんきにおにぎりのCMの撮影なんかしてる場合じゃなかったと思う。

「ハニーも……無事だといいけど……」

急いでスタジオから飛び出して電車に乗ったが、765プロの最寄駅までにはまだまだ遠い。
美希は仲間や、大切なプロデューサーのことを考えながら、
はがゆい気持ちで電車に揺られていた――――。

と。

不意にお尻に、違和感を感じる。

(?)

感触は泥。
ぬばっとしたへんなかんじ。
美希は直感で思う……もしかして、痴漢?

「ちょっと……やめて、なの!」

即座に後ろを振り向く。そして叫んだ。
もっとおしとやかというか抱え込むタイプの女子ならここで黙ってしまうものだが、
あいにく美希はそういうタイプとは違って言いたいことは言うタイプだった。

だから彼女は誰も居ない空間に向かって叫んだ。

(――え?)

そう、美希が振り向いたとき、そこには誰もいなかった。
触られたと気付いてから二秒もなかったはずなのに、どこへ?
いや、考えてみれば普通じゃない。
さっきまでこの車両には「自分しか乗っていなかった」はずだからだ。
どういうことなの?
少し怖さを覚えながらも美希が思考しようとすると――。

ぬばっ

また、お尻に不快な感触。

「や、」

しかも今度はさっきよりより強い。もう隠すこともないほどに揉んでくる。
ことここに至って美希は驚きや怒りより恐怖のほうが上回る。
遠慮もなにもないその堂々さが異常に思えたのだ。

(いったい、誰。なの……?)

美希はもう一度後ろを振り向いた。
今度こそ不届きものの姿を確認できると信じて。



そこには、たくさんの「手」があった。


手    手     手    手   手

  手    手  手    手       手

手   手    手   手    手 手
 
 手    手    手   手        手。


「……きゃあああああ!?」



=================



『2番線に電車が参ります……』


「あっ、来たよ真ちゃん。山手線」
「あんまりこの格好で電車なんて乗りたくないんだけど……」

881手っ手っ手ー手っ手っ手手ー:2013/03/07(木) 19:52:20 ID:CqYOZd7k0
 
上野駅のホーム。
千葉県から東京まで歩いてきたものの、
765プロまでにはやはり山手線を使ったほうがいいということで、
二人のアイドルは電車を待っていた。
萩原雪歩は菊地真のたくましい緑色の腕にしがみつくようにして寄りかかっており、
菊地真のほうは困った顔で異形の触角をぽりぽりと掻いている。

『菊地真改造計画』。
765プロ所属の人気アイドル菊地真が、同じく765プロ所属の萩原雪歩の手でさまざまなファッションに身を包む、
毎週日曜日に好評放送中『生っすか!?サンデー』内の(主に女性視聴者に)大人気コーナーである。

そのコーナーで真は、緑の皮膚に赤い目、
うさみちゃんみたいに牙と歯茎が覗いた口、そして触角。。。。という、
怪人めいた仮面ライダーである仮面ライダーシンにガチ改造されてしまった。
男の子っぽいとか女の子らしい格好とかそういうの飛び越した異形の姿。
ものすごく落ち込んだのだが、以外にもパートナーである雪歩からの評判は悪くなかった。

「でも真ちゃんかっこいいと思う……」
「ええっ……?」

こんな感じだったので、真としても改造を決めたスポンサーに抗議するわけにもいかず、
なぁなぁでそのまま収録現場から立ち去るしかなかったというわけだ。

(どうすればいいんだろう。
 でも、殺し合いって状況で仮面ライダーの力が手に入ったんだからメリットはあるのかな?)

せいいっぱいポジティブに考えようと努めて、
真は雪歩とともにホームに滑り込んできた電車のドアが開くのを待った。

そしてドアが開いてみると――。


手    手     手    手   手

  手    手  手    手       手

           美希

手   手    手   手    手 手
 
 手    手    手   手        手。


「……ふえぇ!?」
「み、美希!?」


「あ……真くん……雪歩……はぁん♪」


そこにいたのは大量のブラッドハンドとマドハンド、
あとマスターハンドとクレイジーハンドにいろいろなところをアレされている星井美希の姿だった。


【一日目・7時55分/日本・上野駅ホーム】


【菊地真@アイドルマスター】
【状態】仮面ライダーシンに改造済み
【装備】
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:どうしようこれ
2:どうしたのこれ!?

【萩原雪歩@アイドルマスター】
【状態】健康
【装備】
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:真ちゃんはかっこいいなあ
2:美希!?

【星井美希@アイドルマスター】
【状態】上気
【装備】
【道具】支給品一式、おにぎり
【思考】
1:手……手……手……♪

882手っ手っ手ー手っ手っ手手ー:2013/03/07(木) 19:52:54 ID:CqYOZd7k0
 
【マドハンド×いっぱい@ドラゴンクエスト】
【状態】健康、なかまをよぶモード
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:マドハンド は なかまをよんだ!
2:マドハンド は おっぱいやおしりをもんだ!

【ブラッドハンド×いっぱい@ドラゴンクエスト】
【状態】健康、なかまをよぶモード
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:ブラッドハンド は なかまをよんだ!
2:ブラッドハンド は おっぱいやおしりをもんだ!

【マスターハンド@スマブラ】
【状態】健康
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:ハッハッハッハッハ(不敵な笑い声)

【クレイジーハンド@スマブラ】
【状態】健康
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:ハハッハハッハッハ(不敵な笑い声)

883ふかふかベッドを探して:2013/03/07(木) 21:51:40 ID:CqYOZd7k0
 

吸血鬼というものは背中に羽根が生えている。
ので、寝るときが大変だったりする。
だってベッドが硬いと仰向けに寝たときに羽根が邪魔になってうざいし、
横向きに寝るにしたって羽根のせいで寝返りがうてない。うつ伏せで寝るのは論外。
そんな理由で昨日もお気に入りのベッドをいたずらに破壊してしまった。

「――さて咲夜。今回こそ最上の“獲物”を探すわよ」
「ええ、お嬢様」

よって誇り高き吸血鬼レミリア・スカーレットとその従者十六夜咲夜は、
名古屋のニトリへとベッドを探しに繰り出したのだった。

「初めて来たけど河童みたいな名前の店ね」
「あの河童のように腕が確かならいいのですが」

意気揚々と店内に入った二人……。
数分後、レミリアは体験マッサージチェアでくつろぐこととなった。



【一日目・8時12分/愛知・名古屋・ニトリ店内】

【レミリア・スカーレット@東方project】
【状態】健康、くつろぎ
【装備】マッサージチェアに座っている
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:人間風情がいいものを作るじゃない……
2:眠くなってきたわ

【十六夜咲夜@東方project】
【状態】健康
【装備】十徳ナイフ
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:レミリア様のくつろぎ顔!

884消えたメガネとジャンケン大戦:2013/03/08(金) 00:14:54 ID:jXiSXV/k0
 

「じゃんけんぽん!」

ズドーン

「じゃんけんぽん!ウフフフフフゥ!」

ズドーン

「「じゃんけん……ポォオォォォオオオオン!!!!」」

ズドドーン


千葉と茨城の県境付近、ここでは放送は聞こえていなかった。
キュアピースとフグ田サザエが行い始めたじゃんけんバトル――。
その掛け声とともに行われる強力なエネルギーの爆散が辺りに飽和しているために、
放送の音がかき消されてしまったのだ。

電柱がチョキリと折れて、
屋根がはじけ飛びパーンと音を立て、
ググゥと地面が持ち上がって、
それでも衝撃の余波による破壊は止まらない。
渦中の主婦はプラカードを剣のようにして黄色の少女の電撃を切り捨てる、
少女はそれを見て悔し涙を流しながらVの字にした手を振りかざす、
瞬時、雷雲無しに放たれる亜高速。
10万ボルトの殺害雷光を、チョキのプラカードで主婦は相殺(あいこ)する。
近くにあったお地蔵様がはじけ飛んで墨になった。
両者はにらみ合い、「次の手」を繰り出す――。

「相手を粉にするまで(あいこで)」
「――殺し合いましょう(しょ)!!!!」
 
このじゃんけんバトルの発端は、
サザエが家族と合流するために急加速させていたオープンカーだ。
それはバトルロワイアル開始直後にいきなり何人もの人を跳ね飛ばして殺した。
が、サザエはそれについて「まぁ、いいか」と言ってスルーした。
キュアピースはこれを目撃していた。
正義感の強いプリキュアである彼女はサザエのこのカオスロワ的態度に義憤して後を追い、
キュアピースサンダーで彼女の車に乗っていたやらない夫を殺害。宣戦布告をしたのだ。

少女はサザエをやっつけるつもりでじゃんけんを仕掛け、サザエはプラカードで応戦。
結果、現在にいたるまで467回連続でのあいこ。
いまだ勝負はついていない。
衝撃の余波で、千葉と茨城の境界線はもうどこが道路だったのか分からなくなってきた。
辺りが更地になるほうがもしかしたら早いかもしれないくらいだ。

「ああもう――何でじゃんけんでこんな、衝撃波とか出てんのォオオ!?」
「しょうげきは〜!」
「メイちゃん! 起き上がっちゃ危ないって!」

すでに乗っていたオープンカーはやらない夫の死体と共に消し飛んだので、
サザエと一緒に車に乗っていた志村新八とメイは辛うじて残っているブロック塀の影に隠れている。
じゃんけんによる衝撃派フィールドが四方に展開しているがために、
逃げようとその場を動くことさえ敵わなくなっているのだ。
実際にキュアピースとサザエは縦横無尽に辺りにクレーターを作りながらじゃんけんを繰り広げており、
一般人では目視するのも難しく、
剣術に多少優れた新八がどうにか攻撃発生位置を予測して避けれている現状だ。

885消えたメガネとジャンケン大戦:2013/03/08(金) 00:15:52 ID:jXiSXV/k0
 
今も不可視のソニックウェーブが新八とメイの眼前一センチ先を通過し、
地面に突き刺さって爆音を立てた。

「……あぶなっ」
「あはははは〜! ぼ〜ん! おもしろいね、メガネ!」
「メガネって言うなって言ってるだろメイちゃん!? いくらジ○リのキャラだからって怒るよ!?」

ツッコミも心なしか焦ったものになるメガネ。どうにもいつものキレがない。

「というか実際焦ってんだよ!!!! このままじゃ死ぬでしょーが!」
「「――プリキュア・ピース・サンダー!!!」」
「ああもう!」

地の文にツッコミを入れつつ、コンマ数秒の判断でメイの首根っこを掴みジャンプする新八。
メガネを落とした。
すると彼らが居た場所に落雷が落ちて、黒焦げの跡を残す。
メガネは跡形もなく消滅した。

「あ――――あァアアアアアアアアアア!!!???」


【新八のメガネ@銀魂 消滅】


◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎


「じゃんけんぽん!」

ズドーン

「じゃんけんぽん!ウフフフフフゥ!」

ズドーン

「「じゃんけん……ポォオォォォオオオオン!!!!」」

ズドドーン


十分後――なおもつづく戦場爆音のオンパレードの中、メイを横に立たせ、
地面に這いつくばって新八は泣いていた。
その涙が地面に落ちるのを遮るメガネはもう、今の彼には存在しない。
ただ涙は地面に落ちて濃い色のシミをつくるだけだった。
志村新八にとって、メガネとは命である。
キャラ付けのためとかトレードマークとかそういうのを超えて、なければならないものなのだ。
そのメガネが、消された。
だから泣いている。それ以外に、なんの理由がある?

「メガネ……」
「メイちゃん……僕はもうメガネじゃないんだ。
 メガネはね、死んでしまったんだよ。もう戻ってはこないんだ。
 あの輝かしい時間は終わって、僕たちは喪失感と向き合うべきなんだ」
「も、元メガネ……?」

さすがのメイちゃんも元気いっぱいにちょっかいを出すのをやめてしんみりする。
新八は過労で死にそうな営業マンが見せるような笑みをメイに見せつつ、デイパックを開く。
そこには召還魔法陣が書かれていた。コンビニで買った魔法陣である。

「だからねメイちゃん。メガネがない世界と向き合うために、まずはここを静かにしようか」

新八はその魔法陣を石でコンと叩いた。
すると新八が望む「争いを収めるための魔術式」が発動して――魔法陣から戦士が召還された!
四人のジャンケン戦士である!

886消えたメガネとジャンケン大戦:2013/03/08(金) 00:16:39 ID:jXiSXV/k0
 

「余のジャポニカジャンケンでこの争いを治めてくれよう」
  あれは――――ジャポニカジャンケンの使い手、ジャポニカ王子だ!!!

「ハァイ、コニーだよ! すごい雷! じゃんけんで治めなきゃ!」
  あれは――――ジャカジャカジャンケンの使い手、コニーちゃんだ!!!

「あれー? さっきまでメシ食ってたんだけどな……まあいいか」
  あれは――――子供のころはジャン拳で戦っていた! 孫悟空だ!!!

「……T H I S  W A Y?」
  あれは――――ゴ、ゴンさんだ……!


四人の戦士は新八とメイちゃんを守るようにして四方に出現した。
そのじゃんけんオーラのようなものは場にもれ出して、
戦闘中のフグ田サザエとキュアピースの直観に響きわたった。
一瞬戦場が止まる。雷の鳴り響く音や、プラカードが空気を切り裂く音も消え、音が止む。
空気も止まる。ぴりぴりと張り詰めた弓のように、膨張だけを続けていく。

「……。」×6。

そして流れた沈黙の間に六人のジャンケン使いは場の状況を理解した。
うつろな目で新八が命じる。

「じゃんけんを、してください」

と。


◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎



「「「「「「じゃんけん―――――ポン!!」」」」」」


ゴンさんがまずは仕掛ける。
そのマッチョな体に見合わぬ音速に近い動きでキュアピースの懐へもぐりこみ、
必殺のグーを幼いボディに叩き込まんとす。
キュアピースのピースサンダーは亜光速であったがその剛腕にはかなわない。
しかしゴンさんのグーは防がれる。

サザエのプラカード。
主婦は決闘にちゃちな邪魔が入るのをよしとしなかったのだ。
その背後から孫悟空がジャン拳のチョキを繰り出すが、
ゴンさんのグーがフィールドに及ぼす影響力が強すぎて弾かれてしまう。

しかしジャポニカ王子は、
サザエ、ゴンさん、悟空の隙をついてさらにキュアピースに近づき、
学習帳にペンで淫語を書きこむときのような手つきでピースの顔にグーパンを仕掛ける。
だが偶然にもコニーちゃんが繰り出していた愛の平手打ちにそのグーは包まれてしまう。
統率のとれていない遊撃戦法の弱点が露呈した形だ。
サザエが嗤い、プラカードを振り下ろした。

さて、ピースサンダーが雷鳴をあげてパーを出したコニーちゃんを黒コゲにしようとする。
しかしその前にゴンさんがグーを、
だけどサザエがパーを。
しかし悟空がチョキを、あれ、でもジャポニカ王子はグーを出しているし、コニーちゃんはパーで。
世界は循環するエネルギーの渦にのみこまれるようにしてブラックホール的なにかを発生させた。

「あっ」
「えっ」
「……」
「あー」
「これは」
「Oh……」   

そして。
六人がハニカム状に並び、最後に行われたジャンケンは――茨城を更地へと変えた。

887消えたメガネとジャンケン大戦:2013/03/08(金) 00:18:15 ID:jXiSXV/k0
 
ゴンさんとジャポニカ王子がグーを出し、
サザエとコニーちゃんがパーを出し、
孫悟空とキュアピースがチョキを出した、

その結果今までの三倍、
いや三乗規模の相殺(あいこ)が発生し……エネルギーの濁流がすべてを呑み込んだのだ。
すべてが消えてしまった土地で、一人立つのは少女、草壁メイのみであった。

「元メガネ……」

自暴自棄になって召還したジャンケン四闘士とサザエ、キュアピースの化学反応が起きる直前に、
志村新八はメイちゃんを庇うようにして少女の体を抱いたのだった。
それはメガネが無いことに向き合おうとした青年のせいいっぱいの強がりだったのか、
あるいはただの偶然なのか、それを知る者はもういなくなってしまった。

「……おねえちゃんを、探すんだっ」

メイはそう決意すると自分の足で群馬に向けて歩き出した。
しかし、ふらふらと頼りなく歩く少女は、すぐに倒れて、そしてぴくりと音を立てたあと、動かなくなった。
その背中にはサザエさんのプラカードが無残にも刺さってしまっていた。
ああ、
それはあるいは、
人を轢いた車に乗っていながら無邪気に笑っていた少女に襲い来た因果応報なのか。
あるいはやはり、ただの偶然なのか。それを知るのはじゃんけんの結果を事前に予知するくらい不可能なことだ。
ともかくこれで、全員あいこ。



【草壁メイ@となりのトトロ 死亡確認】――殺害者、フグ田サザエ
【フグ田サザエ@サザエさん 死亡確認】 ――殺害者、孫悟空
【志村新八@銀魂 死亡確認】――――殺害者、キュアピース
【キュアピース@スマイルプリキュア! 死亡確認】――殺害者、ゴンさん
【孫悟空@ドラゴンボール 死亡確認】――――殺害者、ジャポニカ王子
【ジャポニカ王子@ジャポニカ学習帳 死亡確認】――――殺害者、コニーちゃん
【コニーちゃん@ポンキッキーズ 死亡確認】――――殺害者、キュアピース
【ゴンさん@ハンターハンター 死亡確認】――――殺害者、フグ田サザエ


【一日目・7時40分/千葉と茨城の県境 全滅】

888こいつらおまわりさんです:2013/03/09(土) 23:57:19 ID:4On476u.0

「こ……こんな馬鹿な……お、俺の『真・ネガタロス軍団(仮)』が、こうもあっさりと……」


黒づくめの鬼のような怪人・ネガタロスは、目の前で起こった惨状が理解できず混乱していた。
このバトルロワイアルに乗じて参加者の一部を勧誘し新たに作り上げた自身の悪の軍団。
先の第一放送までに集めた決して弱くない精鋭達が、本格的に動き出そうとしたその矢先に
『全滅』したのだ。
それもたった二人の手によって。
自分の目の前には先ほどまで部下だった者達の無残な死体が大量に横たわっていた。
(死体と言っても大多数は爆☆殺されて五体四散したものなのだが)


【ヒトデヒットラー@仮面ライダーX 死亡確認】
【コマサンダー@仮面ライダースーパー1 死亡確認】
【サイ怪人@仮面ライダーBLACK 死亡確認】
【ピンクラビットイマジン@仮面ライダー電王 死亡確認】
【シュバリアン@仮面ライダーディケイド 死亡確認】
【親子丼ドーパント@仮面ライダーW 死亡確認】
【イカジャガーヤミー@仮面ライダーオーズ 死亡確認】
【野球仮面@秘密戦隊ゴレンジャー 死亡確認】
【リザードダブラー@宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE 死亡確認】
【ショッカー戦闘員×大量@仮面ライダー 死亡確認】


「貴様ら……一体何者だぁ!?」
怒りに震える声で叫ぶネガタロスの前に白煙の中からゆっくりと姿を現したのは―――

「警視庁秘密捜査官警視正、機動刑事ジバン!!」
「新米婦警、音無キルコです!!」
ヘビーメタルな装甲に身を包んだロボットと、トンファーブレイドを構えた眼帯の女だった。


「刑事に婦警だと……貴様ら警察の連中か!」
「対バイオロン法第1条、機動刑事ジバンは、いかなる場合でも令状なしに犯人を逮捕する事が出来るッ!」
「あァ!?」
ネガタロスの質問も意に反さず、ジバンは腹部から出した電子手帳を構えて妙な法律を読み上げ始めた。

「第2条、機動刑事ジバンは、相手がバイオロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰する事が出来るッ!」
「おい、誰がバイオロンだ! 俺はイマジンだ!!」
部下達を殺された怒りと苛立ちを抑えきれず、ネガタロスは大剣ネガタロスォードをジバンに振りかざす。

「はァッ!」
「ぬぅっ!?」
だが振り下ろされた剣はジバンの寸前でキルコのトンファーブレイドに受け止められた。
「(こ、この女俺の剣を軽々と……人間なのかこいつ!?)」
「第2条補足、場合によっては抹殺する事も許されるッ!!」
「ぐはぁっ!」
それを合図に条文を読み上げ、ジバンは困惑するネガタロスの顔面に拳を繰り出した。


「貴様っ、そんな訳のわからん法律があるか! 本当に刑事なのか!?」
「失礼ですねぇ、さっきのはれっきとした日本の法律ですよ? ですよねジバンさん?」
「無論だ!」
「嘘だッ!!」
もっともな疑問をぶつけるものの、目の前の二人はけんもほろろな回答をぶつけてきた。
内容はさておき、対バイオロン法は国家上層部によって取り決められた法律なのは確かである。
当の本人はバイオロンでも何でもないのだが、ジバン本人がバイオロン認定してしまったので手遅れである。


「さて――――それでは悪の組織のボスを『成敗』です!!」
「おいこらちょっと待て、お前ら警察だろ、逮捕じゃないのk」
「くらえぇ―――――――――――ッ!!」

ツッコミも言い終わらぬうちにトンファーブレイドを叩き付けられ、ネガタロスは地面をえぐるレベルの
衝撃を身に纏いながら華麗に宙を舞った。
だがまだ終わらない。

「エネルギーチャージ! オートデリンガーファイナルキャノン!!」
「……ッ!!」
ジバンの装備した大型火器からの砲撃をも食らい、オーバーキルと言わざるを得ないダメージを受けつつ
そこでネガタロスの意識は潰えたのだった。


ちょうど背後にあった東京タワーをも巻き込みながら。


【ネガタロス@仮面ライダー電王&キバ 死亡確認】

889こいつらおまわりさんです:2013/03/10(日) 00:00:16 ID:MCGIEH560

「罪もない人々を殺し合わせるだけでなく、新たな悪をも生み出すとは……恐るべしバイオロン!」
「ジバンさん、最初に会った時も言ってましたけど、そのバイオロンっていうのが殺し合いの首謀者
 なんですか?」
「おそらくそうだろう。あの野田総理もきっとバイオロンがすり替えた偽物に違いない。そもそもこの
 殺し合いが行われる原因となった日本以外の大陸の沈没も、もしかしたらバイオロンが関わっている
 可能性が捨てきれない。それを確かめるためにも僕達は野田総理の元へと向かわなければ!」
「もちろんです! 私も精一杯お手伝いしますから!!」

機動刑事ジバンこと田村直人も、本来なら警視庁所属の公務員、野田総理に従う身である。
だが彼がこの殺し合いに乗らなかったのは、実は悪法と名高い対バイオロン法のおかげでもある。

第3条 機動刑事ジバンは、人間の生命を最優先とし、これを顧みないあらゆる命令を排除することができる。

これは野田総理のバトルロワイアルに相反する条文である。
さらにジバンはこの殺し合いが始まった当初よりその開幕までの事態の不自然な部分に違和感を覚えており、
早々にバイオロンが関与している可能性を視野に入れていた為に開始から反旗を翻したのだ。

ちなみにキルコはというと、この殺し合いで最初に役職上上司であるジバンに出会っていた事もあり、
今まで彼と共に周囲の悪党もろもろを叩き潰しながら野田総理や知り合いの行方を捜していたのである。


「……で、これからどうしましょう? これ以上当てもなく探し回るのもアレですし」
「ああ。できれば先ほど放送で名前が呼ばれた二人を保護する事も考えたいが―――」

コンッ

と、その時である。
ジバンのボディーに上空から飛んできた何かがぶつかったのは。

「これは……」
「野球のボールですね、どう見ても」

ジバンファイバー製のボディーは野球のボール程度で傷つく事はない。
問題はなぜボールが飛んできたかである。

ジバンとキルコは知る由もなかったが、これは今からしばし前に渋谷109前で行われた千石うぐいすと
ティガニキの投球勝負の末にうぐいすの打った特大ホームランの球である。
あの時打たれたボールが、巡り巡ってここまで飛んできたのだ。

「このボールは渋谷の方角から飛んできた……まるで僕達を呼んでいるかのようだ」
ボールを握りしめ、ジバンはキルコに向き直る。
「キルコ君、このボールの飛んできた方角に行ってみよう。何か手がかりが掴めるかもしれない」
「分かりました、行きましょうジバンさん!」


かくして、情け無用の機動刑事と元傭兵の新米婦警は一路渋谷へと歩を進めるのだった。
この不毛な殺し合いを止める為に。


二人の後ろには、根元から叩き折られた東京タワーが朝日を浴びながら悲しそうに佇んでいた。



【一日目・7時30分/東京・東京タワー前】

【情け無用の警官コンビ】
【田村直人@機動刑事ジバン】
【状態】健康、強い決意、機動刑事ジバンに変身中
【装備】マクシミリアン、電子手帳、パワーブレイカー、ニードリッカー、オートデリンガー
【道具】支給品一式、ダイダロス
【思考】
基本:バイオロンを倒して殺し合いを止める
1:まゆみちゃんは無事だろうか……
2:渋谷方面へ向かう
3:おのれバイオロン!
※この殺し合いはバイオロンの仕組んだものだと思っています。
※野田総理はバイオロンがすり替えた偽物だと思っています。

【音無キルコ@新米婦警キルコさん】
【状態】健康、テンション高い
【装備】トンファーブレイド
【道具】支給品一式
【思考】
基本:野田総理を成敗して殺し合いを止める
1:ジバンさんと協力して悪党を成敗する
2:大活躍しちゃいますよー!
3:渋谷方面へ向かう
4:ハル先輩達、無事かなぁ?



※東京タワーが倒壊しました。

890天魔王降臨:2013/03/10(日) 13:26:13 ID:Vvh4r7EI0
「どうしてこうなった」

天魔王の忠実な下僕、悪魔神官アントリアはそう呟かずにはいられなかった。
最近までは、十数年ぶりの復活に心躍らせていたというのに。
時を経てのリメイク、それは大抵の場合悪役に強化補正がかかるものである。

「どうして……」

自慢じゃないが、自分は序盤の壁になっていると確信していた。
高威力の閃熱呪文べギラマ、強靭な肉体から繰り出される火炎斬り。
防御を貫通し、場合によっては一撃で敵対者を棺桶送りにする念じボール。
そして、自身の弱点さえも克服してしまえるマジックバリア。
隙のない、磐石の構え。これに補正がかかったら、一体自分はどれほど強くなってしまうのだろうか?
その強化された自分を見た人間達の絶望する姿を想像したら、笑いが止まらなくなった。

悲しい現実を見るまでは。

「どうして、私じゃなくて幼女の方に補正がかかったんだー!」
「邪悪なる魔物よ、また人間同士の殺し合いを企てるなど、許せません!
 今一度滅びるといいであります!」
「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」

嘆き悲しみながら、アントリアは異常な威力の会心の一撃をぶちかます幼女の前に完全敗北した。

【悪魔神官アントリア@ドラクエ7】 死亡確認

【一日目・7時30分/日本・池袋】
【フォズ大神官@ドラクエ7】
【状態】健康
【装備】賢者の杖
【道具】支給品一式
【思考】
基本:魔物が化けているであろう偽の総理を倒す
1:邪悪そうな魔物は倒す
2:仲間がいれば探したい




「……えげつないわねぇ」

そんな様子を、影からこっそりと覗いている男がいた。
長い前髪をファサァと優美にかき上げながら覗いている男が。

「まったくもう! 美しい私たちを微妙に弱体化させたのも許せないけど……
 誰なのよ日本以外の大陸潰した奴は!? それに主催者のノダもどこよ!?
 世界に一つだけ島国残して後は制圧済みって、この私とキャラが被ってるじゃない!
 生かすも殺すも自由自在、支配者となるべき者も万物の王たる私以外にありえないでしょう!?」

かなり激昂した様子で、しかし要所要所で無意味にポーズをとったりしている男が。
この男こそ、先程殺害されたアントリアが崇める天魔王、オルゴ・デミーラ。
公式が認めるビジュアル系の魔王である。

891天魔王降臨:2013/03/10(日) 13:27:10 ID:Vvh4r7EI0
かつて神を葬ったり、大陸を細かくわけて封印したり、封印後も優秀な部下を送り込んで人間を絶望のどん底に落としたりと、
やりたい放題なこの男、自身を万物の王にして天地を束ねる者と称する程に傲慢、かつそれだけの力を持っていた。
そんなデミーラであるが、何があったのか支配予定の国は全て潰されて残った国は日本のみ、
その日本でもノダという男が主催者、つまりは今の日本における頂点に君臨しているというのだから、黙ってはいられなかった。
バトルロワイアル開始直後から、まずは色々事情を知っているであろうノダを始末しようと動き回っていたのだが……
これが見つからない。
仕方がないので、かつての優秀な部下たちを回収して回ろうと思えば……
今さっき目の前で部下がぼこぼこにされて殺された。
何をやっても思うように事が運ばない。これはよろしくない。

「この私としたことが、なんて美しくない無様な体たらく……
 あってはならないこんなこと! 私の美しさは不滅! あらゆる面において美を教えるべき存在なのよぉ!」

再び髪をなびかせつつ、無駄な回転を加えながら、
美にはうるさい魔王が再び空を舞う。


【一日目・7時30分/日本・池袋上空】

【オルゴ・デミーラ@ドラクエ7】
【状態】健康、美しい人間形態
【装備】不明
【道具】支給品一式、香水、口紅
【思考】
基本:主催者を美しく皆殺しにして自分が支配者となる
1:美しく早く主催者本部を見つける
2:かつての部下を美しく回収する
3:部下にふさわしい参加者がいれば、新しい魔王軍として美しくスカウトする
4:日本以外を潰した首謀者がいるなら、そいつも美しく殺す
5:できれば醜い本気形態にはなりたくない
※美の感じ方は人それぞれです

892重量感あったよな!:2013/03/12(火) 01:35:04 ID:V4wy8img0

 岩手県盛岡市。
 パズーと親方はいつも通り作業をしていた。
 そして、今日。予定通りなら空から女の子が降ってくるはずである。

「親方、空から女の子が! ……よし!」
「ばっちりじゃねぇか!」
「へへっ、この日のために準備してからな!」

 前の日より寝ずに女の子を待っていたパズー。
 だって、彼女が空から降ってくる。こんなジブリチックなことなど一生に一度あるかないか微妙である。

「……そろそろ、本番だな!」
「はい!」

 そして、ついに本番。

(よし、行くぞ!)

 気合十分のパズーは走り出した。
 
(ここだッ!)

「親方、空から女の子が!」

 パズーは叫んだ! そして……




                           |!        i| :
                            |!       i| i
                             |!         ∨|
                              |!            i!
 ┌─────┐                 i  |!           i|
 │          │                 i! |!         i|
 │          │                 |∨             i!
 │          │┌─| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   i|!            i|
 │          ││  |_____|   |!              i|
 │          │└────‐┘    |!              i|
 │          │               |!            i|
 │          └────┐      |!                i|
 │                    │       |!              i|       ┌──| ̄ ̄ ̄|┌───┐
 │                    │       |!             i|        │    |___|│      │
 │                    │    i! |!                i|         └──‐┘    │      │
 │                    │    |i |!              i| i                 |      │
 │          ┌────┘     i|∨             ∨|                  |       ,ノ
 │          │            |l                  l|                  |___/
 │          │             |l                l|  !
 │          │             |l                     l| i!
 │          │   、          |l                ∨|          /
 └─────┘    \         |l           :            l|
                         |l          i           l|     /
                  \ _ノ,'      _  |!         l|     /
.          く>         ヾ<       /Υ 〉 !|   _  |]    ー '´/
                        }l       〈_::」/  :!:i:  〈/    __   l {      /
.               \、    /,    __     .:|.:|: .     _ノ::::\\  、ヽ. __/
                   \ー '    「::::://    . :.:|:.:.v!: .    \::::://    ー   (       /
                    ) )     〈::::://   . . : ::!:.: .:|: : .      ̄      i      ー '/
.          \ 、    // l7    ̄  . : :|: :: :!: :. :|: : : . . .      l>   il     フ∠/
.           \ー '    i!       . . .: : :|!: : |..: . :l : く]: . i. .        !:l      //
               \\   il 、〈〉  i . . : <>!|: :,' .:: .: | : : !: : !:. . .    ノ::l    // l7
                 ):.:\ 八:.\_ 人 )、 : : ノ.:V.: : .::.: :!: :人 八,、 ノl / : ノ,、 /: (
.         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

893名無しさん:2013/03/12(火) 01:35:38 ID:V4wy8img0

 ガチで堕ちてきた。
 だってこの娘、あの五十嵐まゆみちゃんだぜ? 重量感あるからな!
 空から降ってきたら、マジでこうなるわな。

 なお、岩手県自体はまゆみちゃんの落下の衝撃で粉微塵になってしまった。
 岩手にいた奴らはそのまゆみちゃんの衝撃で死んだ。

【パズー@天空の城ラピュタ 死亡確認】
【ダッフィー@天空の城ラピュタ 死亡確認】
【ドクター・ギバ@機動刑事ジバン 死亡確認】
【無敵将軍@忍者戦隊カクレンジャー 死亡確認】
【ラディッツ@ドラゴンボールZ 死亡確認】
【ギロロ@ケロロ軍曹 死亡確認】
【ジョン・ランボー@ランボー 死亡確認】
【秋山澪@けいおん! 死亡確認】
【キャプテントンボーグ@ビーロボカブタック 死亡確認】
【ジョウカエン@トミカヒーロー レスキューファイアー 死亡確認】
【その他岩手県民 死亡確認】

【一日目・8時30分/岩手県だった所】

【五十嵐まゆみ@機動刑事ジバン】
【状態】健康、爆睡中
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】基本:ジバン探す
1:眠いから寝る、明日になったら本気出す。
※岩手県を震源とした大地震が発生しました


「明日のパンツが無かったら即死だった……」
「いや、俺のパンツにそんな効果ないからね!?」

 一方、数時間前まで岩手に居たポコと映司はすでに宮城県に移動していたので特に被害はなかった。 

【一日目・8時30分/宮城県】
【ポコ@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】映司のパンツ@仮面ライダーオーズ
【道具】支給品一式、種籾@北斗の拳
【思考】
1:あしたって今さッ!
2:流石、兄ちゃんのパンツだッ!


【火野映司@仮面ライダーオーズ】
【状態】健康、パンツはいてない
【装備】オーズドライバー、メダジャリバー、メダガブリュー
【道具】基本支給品一式、各種コアメダル、小銭
【思考】
基本:殺し合いを止める
0:今の衝撃は一体……?
1:俺のパンツ……

894ラピュタパン:2013/03/15(金) 01:19:29 ID:3NH.L4PY0
 

「おい、ヴィヴィオ、えーっと……食パン食うかい?」
「いりません」
「目玉焼き乗ってるから。ラピュタパンだから、ほら食べなって」
「……すいません、いりません」

 時計はすでに9時を差していた。つまりロワ開始から9時間が経ったことになる。
 だがまあ、カオスロワにおける時間の進みなんてそう整合性を取るものでもないので、
 「始まってからけっこう経って、あと放送が終わって少し経ったくらい」くらいの認識で問題はない。
 大切なのはそろそろお腹が空いてくる時間だということだけ。
 ぐぅー。
 とお腹で虫が鳴き声を上げる時間だということだけである。

「っほら、またお腹鳴ってんじゃねえか。お腹が空いちゃ、何もできねーぞ。食べろって……」
「いりませんっ! ……ごめんなさい。今は、なにもしたくないんです……」
「……」

 千葉のホテル近辺でショッキングな事件に遭遇し、
 そこから逃げ出した魔法少女・佐倉杏子と高町ヴィヴィオは、
 現在市内の民家で休息を取っていた。
 というのも、ホテルで出会ってしまった高町なのは――ヴィヴィオの母親だという――が、
 何故かボンテージを来て少年と野外前後行為に及んでいたというショックがヴィヴィオを襲ったからだ。
 あれからすっかりテンションをガタ落ちさせたヴィヴィオは、
 杏子が創ったラピュタパンの美味しそうな匂いにも反応を見せずに部屋の隅でうずくまっている。
 無理やり食べさせようとしても跳ね除けられる。
 当然と言うか、やはりショックで塞ぎこんでしまったようだ。

(うー、なんとか元気出してもらいて―けど……。
 “親が豹変してた”ってのは、やっぱ堪えるよなぁ……あたしも、そうだったしな)

 親の豹変を見てしまった子供の気持ちを杏子は知らないわけではない。
 なにしろ自分自身がその経験があるからだ。
 今からすれば昔の話。杏子は父を自らの手で狂わせてしまった。
 ……その経過と顛末については、おそらく他に詳しく語られているロワがあるので割愛するが、
 結果として杏子の父は杏子の家族と共に死んでしまった。
 そのことについて杏子は酷く後悔している。
 もう二度とあんな悲劇を繰り返すまいと思うくらいには。
 だから、なんとかしてヴィヴィオを元気づけ、そして高町なのはも正気に戻して、
 二人でこの殺し合いを生き残ってほしい……そう杏子は考えていた。

(でも……どうすりゃいいってんだよ……)

 溜息をつく。
 時間ばかりが過ぎていき、これでは高町なのはが無事なのかどうかさえ分からないままだ。
 放送では名前を呼ばれなかったため、まだ生きているとは思われるが……。
 ぐるぐる回る思考の渦、
 出ない答え、
 過ぎていく時間、
 焦りに焦り、
 ついに杏子はしびれを切らした。

「――だーっ! ごちゃごちゃ考えててもしかたねぇ! ヴィヴィオ、口開けろ!」
「はいっ? ――もごぉっ!?」
「辛いときは! おいしいごはんを食べろ! 
 部屋の隅でうずくまって、それで辛さに打ち勝てるか?
 寝てれば治るか? ちがうだろ! 心がボロボロなときはパワーが足りねぇんだ!
 お腹いっぱい食べて、魔力蓄えて、それから心の中の魔女を倒せ! だから、食べろ」
「もがっ、も、ちょ……ん……」

895ラピュタパン:2013/03/15(金) 01:20:42 ID:3NH.L4PY0
 
 ヴィヴィオの口に無理やり押し込んだラピュタパンは、
 少し涙目になりつつも、ヴィヴィオに咀嚼されて彼女の胃へと少しずつ消えていく。
 すでにやってしまった後だが、分の悪い賭けだったと杏子は思った。
 無理やり奮い立たせるようなやり方が、人の心を動かすことは少ないからだ。
 だが……。
 恐る恐る聞く。

「どうだい。不味いかい」

 ごくり、とパンを飲み込む音がしたあと、
 まだ少し薄暗い表情ながらもヴィヴィオは杏子の問いに答えた。 

「…………い、いえ。おいしかったです。その……ありがとう、ございます」

 流石は半熟目玉焼きとパンの完成された調和、
 シンプルイズベストの組み合わせによるハーモニーが話題のラピュタパンだ!
 ヴィヴィオは少しだけ精神を回復させた。


【一日目・9時00分/日本・千葉県】


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】健康、満腹
【装備】ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:マミの仇を取る為にも、殺し合いを止める。
1:ヴィヴィオとなのはをもう一度引き合わせ、生き残らせる
2;なのはを正気にもどす
〔備考〕
※最終回で世界が改変された後からの参戦なので、鹿目まどかの存在を知りません。
※なのははパニックで奇行をしてたのだと思っています


【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid】
【状態】健康、激しいショック(若干回復)
【装備】セイクリッドハート@魔法少女リリカルなのはVivid
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いには乗らず、みんなを助ける
1:ママ……何で、あんなことを……
2:もう一度会って確かめないと!

896未来なんて変えなければよかった:2013/03/15(金) 02:45:55 ID:3NH.L4PY0
 

 そのころ、ヴィヴィオが落ち込む原因を作った当の高町なのはは。

「うっ。う”ぁ〜〜っ。あ”ぁ”……ひっく。えっぐ」
「な、なのは……いくらなんでも泣きすぎだよ。涙、枯れちゃうよ」

 さすが親子というべきか、
 ホテルの一室に戻ってヴィヴィオと同様に部屋の隅でうずくまっていた。
 ただしこっちはガチ泣きしている。
 さっきまで逆レイプの被害に遭っていたユーノ君が逆に心配するくらいのガチ泣きだった。

「だっで。だっでわだし、ヴィヴィオに嫌われだ〜!」
「とりあえずお、落ち着いて! なんでなのはがあんなことしたのかは分からないけど、
 今のなのはは僕の知ってるなのはに戻ってるから。
 もう一度きちんと話をすれば、その――ヴィヴィオちゃん? だって分かってくれるよ。
 ……いや、それにしてもなんで……あんなことを……僕、枯れちゃうかと思ったよ」
「ぞれは……こ、この千年タウクで―――――――」


       『済まないが死んでもらうぞ、少年少女』


「――――え?」
「……どうしたの、なのは?」


    『さてあとは少女、君だけだ。残念だが逃げ場はない』


「み、未来が」
「未来?」
「未来が、見えるの」


              『――さらばだ』


「か、変わったの。未来が」
「え」
「私とユーノくんは、こ……このままじゃ、殺されるっ――!!」

 いつのまにか、なのはが千年タウクで見た未来が、変わっていた。
 それもすごく近くの未来。
 二人はこのホテルの一室に居た。
 相対していたのは戦闘用らしき奇妙な全身スーツを来た男。
 その両手は紅い血に濡れていた。
 絶望に乾いたような声で男は二人に襲い掛かった。
 ユーノ・スクライアがなのはを庇い、その攻撃をどてっぱらに受けて死んだ。
 なのはは恐怖で動けていなかった。
 男はなのはの眼前で死体の尻を蹴り、すぐになのはの方に顔を向けた。

 そしてなのはを。
 殺した。

「――この千年タウクは未来が見えるの。未来の私はやつれてた、
 だから私、ユーノ君と既成事実を作って未来を変えようとした……」
「……既成事実は出来た。だから、未来は変わってしまった。
 なのはがヴィヴィオと出会って、落ち込んで――その間に殺人者が現れる」
「そして私を殺す未来に」

 未来は変わってしまった。
 試しにユーノ・スクライアが千年タウクを付けてみたが、予知結果は同様だった。
 DEAD END。
 二人はこのあと死ぬ未来を知らず知らずのうちに選択してしまっていた。

「私のせいだ。わ、私が自暴自棄になったから。私のせいでユーノ君まで――」
「落ち着いてなのは! ま、まだ死ぬと決まったわけじゃない。
 予知結果はホテルの中だったんだ。ホテルから出ればまた未来が変わるかも」
「無理よ。もうホテルからは出られないわ」
「!?」
「え?」

 緊迫した会話に差し込まれる声。
 ドアの方からだ。なのはとユーノがドアの方を向くと、
 そこにいたのは頭から血を流している紫髪ツインテの少女だった。

「あ……自己紹介、してないっけ。はじめまして、あたし、柊かがみ。
 ……覗かせてもらってたの。ごめ、んね」
「血――あ、頭から血が! どうしたの!? だ、だいじょうぶなの!?」
「ホテルから出られないって、どういうこと!?」
「窓、開けてみれば、分かる、わ」

897未来なんて変えなければよかった:2013/03/15(金) 02:47:58 ID:3NH.L4PY0
 
 人指し指で、プライバシー上曇りガラスになっている部屋の窓をかがみは指す。
 ダッと駆けだしてユーノが窓を開けようとする。
 鍵を開ける。押す、引く。スライドさせる。
 開かない。
 「まるで名状しがたき何かの力を受けているみたいに」。

「あなたたちがホテルに戻って――あたし、追いかけて。
 ホテルの中で、かわいい子供と大人の男のコンビに、出会ったわ。
 襲われて――逃げて……出口に言ったけど開かなくて――もう、あたしはダメみたい」

 そこまでひと息に言いきると、柊かがみはその場にバタリと倒れた。
 なのはが駆け寄る。虫の息だった。出血が明らかに多すぎるのだろう。
 応急処置を――回復魔法を――だめだ間に合わない――なんで、どうして――!?

「うぁあ……あああああああああああ!!!!!!」

 高町なのはは慟哭した。
 その腕の中で、柊かがみの命の火は次第に小さくなっていくのが分かった。


【柊かがみ@らき☆すた 死亡確認】


【一日目・9時00分/日本・千葉県 ホテル】


【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
【状態】思考暴走、25歳の身体、ボンテージを着ている、激しいショック
【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王、タイムふろしき@ドラえもん、ボンテ―ジ
【道具】基本支給品一式
【思考】
1:未来なんて変えなければよかった
【備考】
※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在を知っています。
※タイムふろしきを使ったので、25歳の肉体に成長しました。
※近い未来、仮面ライダーに殺害されます。

【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
【状態】ショック
【装備】なし
【道具】基本支給品一式
【思考】
1:どうすれば――――?
【備考】
※不明支給品はタイムふろしき@ドラえもんとボンテ―ジです
※近い未来、仮面ライダーに殺害されます。


「お”っ、げへぇっ。……は、ハルカ……ハルカは来なかった……」

 同時刻、ホテルの一室、
 胴体を仮面ライダーの鋭い手刀に貫かれながら、保阪は最後の言葉を吐いていた。
 無感動にその体から手刀を引き抜いて、
 海東大樹――仮面ライダーディエンドは動けない青年を抹殺した。

「ね、ねぇ。もうやめようよ、お兄ちゃん」
「なんで?」

 ディエンドの後ろでおどおどと彼に言葉をかけたのは、
 放送前に彼に助けてもらった少年にして、
 現在その古のハスターの力によってこのホテルの出入り口を封鎖している少年、ハス太だ。

898未来なんて変えなければよかった:2013/03/15(金) 02:49:36 ID:3NH.L4PY0
 
「だって、こんなことしても意味ないよっ。
 お、お兄ちゃんが好きだったって言うその人が、戻ってくるわけでも――」
「うるせーよ!!! 士が居ない世界なんてなんの意味もないんだよ僕にはッ!!!!
 こんな……こんな世界なんてめちゃくちゃにして次の世界に行くんだよっ。
 お前、僕が助けたんだからな。当然僕を助けてくれるだろ? なに口答えしてんの!!??」
「ひぃっ」

 ものすごい剣幕でハス太を怒鳴るディエンドは、
 放送で門矢士の名前が呼ばれたその瞬間からもうこの世界に興味を失くしていた。
 いや、ほぼ全世界に興味をなくしたと言ってもいい。
 それほどに彼の中で門矢士の存在は大きかったのだ。
 もう彼の頭の中にはこの世界を「破壊」して――さっさと「門矢士の生きている世界」に行くという事柄しかない。

「まずはこのホテルの中の命を全部! いただくよ。士への備えものだ。
 その次はこの糞みたいな殺し合いを開きやがったあの男だ。あれを殺して。世界を壊す」
「ひ、ひぃっ……」
「死にたくなければその邪神の力、僕のためにつかえよ」

 ハス太は(本来ならディエンド程度封殺できる力を持ちながら)ディエンドの剣幕に声も出ずただ頷く。
 もはや、
 仮面ライダーディエンドは、世界の破壊者になっていた。


【保阪@みなみけ 死亡確認】


【一日目・9時00分/日本・千葉県・ホテル】


【海東大樹@仮面ライダーディケイド】
【状態】健康、深い悲しみ、ディエンドに変身中
【装備】ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式
【思考】
1:士のいなくなったこの世界を「壊す」
2:まずはこのホテル内の命をいただく
3:そして総理を殺す

【ハス太@這いよれ!ニャル子さん】
【状態】健康、びびる
【装備】
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:ニャル子ちゃんたちは大丈夫かな
2:た、助けて……このお兄ちゃんこわいよ
※古の謎のパワーでホテルの出入り口を封鎖しています。外に出れません

899不撓不屈のクマ:2013/03/16(土) 17:27:01 ID:XeQ7Itq20
「うおおおおおおおお! さとりちゃんのパンツゥゥゥゥゥゥ!!!」
「あの、クマ吉さん? 流石に恥ずかしいので、絶叫はやめて欲しいのですけれど……」

拳を掲げ叫ぶ変態紳士と、顔を真っ赤にした少女――クマ吉とさとり――は琵琶湖の木陰にいた。

友達になる

それを条件に、クマ吉は念願のパンティを手に入れたのだ。
それも今回は本人の同意を得た、合法手段で。
彼のこれまでのあまりの所業からすれば、この結果は奇跡と言って差し支えないだろう。

(友達……)

そして奇跡は少女さとりの身にも起きた。
あらゆる種族から忌み嫌われる覚妖怪が、会って間もない人と友達になれたのだ。
如何に交換条件を出したとはいえ、これまでの経験ではこんなことはなかった。
そもそも、こういった人種と出会うこと事態がなかった。
自分が心を読む妖怪だと告げても全く動じないで、じゃあこれからは友達だよ!
などと手を差し伸べてくれた人種など。そして……

「でもさとりちゃん、よかったのかい? これじゃあ僕が一方的にお得じゃないか」
(でもさとりちゃん、よかったのかい? これじゃあ僕が一方的にお得じゃないか)
「うふふ、お礼を言うのは私の方ですよ」
「?」
(?)

こうも表裏のない、心を読んでも読まなくても変わらない真っ直ぐな人種も、初体験だ。
できればその真っ直ぐすぎる情熱を他の方向に持っていってほしいと思わないでもなかったが……
なんにせよ友達は友達である。
やっとできた友達、これがこんな殺し合いの最中の出来事でなければ、さとりはもっともっと喜べただろう。
そう、今は殺し合いど真ん中なのだ。

「ところでクマ吉さん、先程のお話ですけど……」
「よいしょ、と。ん? 僕の体質の話かい?」

憂いの表情で切り出すさとりに対し、クマ吉は貰いたての下着を頭に装備しご満悦の表情。
その表情に、嘘偽りはない。

(どうしてクマ吉さんはこんなに……)

目の前の、なんの悩みももっていなさそうな、この変わった友人。
しかしその裏で、深い悲しみと重過ぎる宿命を背負っているなど、誰に予想できようか。
本人の口から、心からそれを聞いて。あまりの壮絶さに絶句したというのに。

(こんなに……強い心を持っているの……?)

さとりは、クマ吉の生き様に感銘を受けた。

900不撓不屈のクマ:2013/03/16(土) 17:27:36 ID:XeQ7Itq20
――野比玉子症候群――
原因不明、何者にも解明叶わぬ混沌の病。
感染者は、無惨に殺される運命を決定付けられる。
感染者は、路傍の石以下の扱いで、あらゆる理不尽な災厄が降りかかる。
感染者は、死しては世界各地で強制的に蘇生させられ、再び死ぬことを強制される。
感染者は、極稀に健康な身体に戻ることがあるが、代わりに新たな人間が同じ症状になる。
感染者は、戻った後に再び発症する可能性もある。
感染者は、たとえ時空が異なったとしても症候群から逃げること叶わず。

クマ吉の体質、彼が患っている悪魔の病。
信じがたい話であるが、心を読んでもそれが事実であることしかわからなかった。
さとりはその過程で、知りたくない事実も知った。
この殺し合いが、理由に差異があれど幾度となく開かれてきており、クマ吉はその犠牲になり続けてきたということを。
「僕はまだマシだよ。それこそ玉子さんなんて、僕よりもずっと前からこの体質なんだから」
会話の中で、彼はこう軽く言ってのけた。
曰く彼は7番目の大規模な殺し合いの世界からこの体質になったそうだが、玉子という女性は始原の時よりこの体質だという。
確かにそれと比較した場合、マシととれなくもないが、それでも自分が死に続け、それを苦しんで自殺することも許されない、
時空をまたいでまで殺し合いを見せ続けられ、巻き込まれ続けるなど、普通の人間に耐え切れようはずがない。
だというのに、このクマ吉の心には、絶望の感情が一切ないのだ。

「確かに、僕はいつ死んでもおかしくない身体さ。だからこそ、今を精一杯生きる。
 死ぬその瞬間まで、僕は僕のやりたいことを貫き通す。たとえそれが、実を結ばなくても。
 眠りこけてる人妻に手を出そうとしたら最終兵器に焼かれたこともある、それでも諦めなかった。
 ショックで倒れてたアイドルにルパンダイブしようとしたらスキマダイブ、これでもめげなかった。
 友達になれた野菜と、緑の巨乳巫女さんを襲おうとして……教授のイチモツで男のプライドを砕かれたこともあったよ。
 他にも色々あるけど……僕は、絶対諦めない。きっとウサミちゃんも、それを望んでいるはずさ……」
「クマ吉さん……」

一瞬、クマ吉の顔から笑顔が消える。
彼の大切な友人だという少女は、この殺し合いで早くも命を落としてしまったらしい。
それでも、クマ吉は歩みを止めない。
幾度道を阻まれようとも、友を、そして自分を殺されようとも。
その歩みが、世間一般には受け入れられないものであったとしても。
鋼よりも、金剛石よりも更に強固な心、不屈の精神は称賛に値するだろう。

「さて、さとりちゃんのパンツで気も引き締まったことだし、そろそろ出発しようか」
「え? どこにですか?」
「そりゃ日本中さ。僕のやりたいことを実現するには、各地をまわる必要があるからね。
 さとりちゃんだって、妹のこいしちゃんが心配なんでしょ? なら動いて探さなきゃ!」
(こいしちゃんも、僕が友達になるだけでパンツを譲ってくれるかな!?)

再び差し出される、クマの手。
まごうことなき変態紳士の手であり、戦闘が得意といった感じではない。
しかし悪意のない、やる気に満ち溢れた、どこか頼りがいのある手であった。

「はい!」

気がつけば、さとりはその手を握り返していた。
彼ほどでなくてもいい、今の自分にできる精一杯を頑張ろうと決心して。

覚妖怪を受け入れたクマと、変態紳士を受け入れた少女。
嫌われ者だった二人は、どこへとなく一緒に歩いていくのであった。

901不撓不屈のクマ:2013/03/16(土) 17:28:28 ID:XeQ7Itq20
【一日目・08時15分/滋賀県・琵琶湖】

【古明地さとり@東方project】
【状態】健康、頭痛、はいてない、クマ吉に羨望の眼差し
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
基本:友達が欲しいです
1:クマ吉さんと友達になれてよかった
2:こいしを探す
3:日本以外の国が消滅した事件……一体誰が。

【クマ吉@ギャグマンガ日和】
【状態】健康
【装備】全裸、頭部にさとりのパンツ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:世の中のパンティ(およびスクール水着、ブルマー)を自分のものにする
1:さとりちゃんと一緒に行動
2:こいしちゃんからもパンツを頂戴する
3:当然他の女の子からも

902激おこ:2013/03/20(水) 17:36:09 ID:l/Fgn5zc0
激おこのカフェで二人のギャルが会話をしている。

「ちょーヤバイよねー」
「まじヤバイ。ヤバすぎてヤバイよー」
「ほんとヤバイよねー、ヤバヤバって感じ」
「分かるー!」

アイスコーヒーをストローでかき混ぜながらひたすらヤバイを連呼するギャル二名。
全く会話が成立しているようには見えないが、実は高度なギャル・ワードによる情報交換がおこなわれているのだという。
先ほどの会話だけでも、二人はこのバトルロワイアルに巻き込まれてしまったヤバさ、
生き残れる気がしないというヤバすぎるヤバさ、
ここなら安全なんてこともないというヤバヤバさの三つを使い分けて使用したのである。
ギャルたちの間ではこのように超越した文脈の読みとり能力が必要とされているのだ。

「ホント、激おこぷんぷん丸だよー」
「「!?」」

そんな二人のもとにもう一人ギャルが現れた。
にこやかな顔で激おこぷんぷん丸のギャル・ワードを呟きながら二人の座るテーブルに近づいてきた。
二人は身構える。
なぜなら激おこぷんぷん丸とはギャル・ワードにおける「怒り」の段階の「三段目」……。
こちらの言葉でいえばマジギレのさらに上、狂気的な怒りの状態を表す言葉だからである。

「はあ……ムカ着火ファイアーかも」
「「!!??」」

そして、火炎放射機を取り出しながらギャルCはギャルBとギャルAにさらなるギャル・ワードを放つ。
二人は驚いて……そして次の瞬間死を覚悟した。
なぜならムカ着火ファイアーとは激おこぷんぷん丸のさらに上位のワード……。
もはや一般的な言葉では測ることのできない怒りを現しているからである。

数秒後、
激おこぷんぷん丸のムカ着火ファイアーがギャル二人を焼き尽くした。

「やっぱりげきおこティックファイナリアリティぷんぷんドリームだったかな」

ギャルCはもはや計り知れない怒りを表す言葉よりさらに上位、
ファイナル・ギャル・ワードを呟くと池袋のカフェを後にした。
彼女……ギャルCはげきおこティックファイナリアリティぷんぷんドリーム状態であるが、
ここでは便宜上激おこぷんぷん丸と呼称させて頂こう。

激おこぷんぷん丸はバトルロワイアルに大して怒っていた……。
そしてその怒りで東京を、ひいては日本を焼き尽くさんとしているのだ

【ギャルA@現実 死亡確認】
【ギャルB@現実 死亡確認】

【一日目・8時25分/東京・池袋】

【激おこぷんぷん丸@現実】
【状態】げきおこティックファイナリアリティぷんぷんドリーム
【装備】火炎放射機@現実
【道具】支給品一式 その他不明
【思考】 基本:ムカ着火ファイアー at 東京
1:激おこぷんぷん丸だよー
※一般的なギャルの姿をしていますが、激おこぷんぷん丸です

903名無しさん:2013/03/20(水) 17:38:17 ID:l/Fgn5zc0
あれ「激おこのカフェ」ってなんだw「池袋のカフェ」だった
実際問題激おこぷんぷん丸なんて使ってるギャル居たのかなあ

904名無しさん:2013/03/20(水) 19:52:08 ID:CqjYEos20
激おこぷんぷん丸w

905イタチは犠牲になったのだ……:2013/03/21(木) 00:50:16 ID:gkGQymDQ0
「サスケェ!」
「いや、たしかに僕はサスケですけど……。どちら様ですか?」


【一日目・08時20分/三重県】

【うちはイタチ@NARUTO】
【状態】穢土転生
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
1:サスケェ!
※穢土転生が微妙に失敗したようで、頭のネジが外れています


【サスケ@ニニンがシノブ伝】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:この非常事態に乗じてかわいい女の子を助け、惚れてもらう
1:どうしよう、この人……

906PRECIOUS〜護るべきモノ〜:2013/03/23(土) 20:06:07 ID:3UsyLaS20
「ドコなんだよ・・・ココは・・・」

第一回放送後、俺(23)はカオスロワ10期の会場に召喚されていた。

【1日目・7時00分/埼玉県】

【俺@現実】
【状態】健康
【装備】バスターソード@FF6
【道具】支給品一式
【思考】
1:状況の把握
2:最終回に向けて行動する

907少年よ悪魔になれ:2013/03/31(日) 01:12:51 ID:r7RyqqVc0
放送は以上だッ!!!』

「クッ…こんなにも犠牲者が…!」

皆もご存知仮面ライダー1号こと本郷猛。
彼は殺し合いをとめるため、殺し合いに便乗して何かを企む者達を成敗するため、各地で奔走していた。
そして7時ごろの第一放送後、怒りに燃えていた。
殺し合いを開催した総理大臣と、呼ばれた犠牲者の命を救うことが出来なかった自分に対してだ。
血が滲むほどに拳を握り締める本郷だが、途中で同行者の様子がおかしいことに気づく。

「そんな…おじさん…」
「ひで君…?」

同行者の名前はひで。本郷がバトロワの途中で出会った小学生だ。
「ライダー助けて!」と殺し合いに怯えていたのを見つけたのだ。
いや、体付きはどうみても小学生ではないのだが、言動が小学生なので小学生ということでいいだろう。
そういう設定なのだろうし。
ただの力無き少年を放っておけるわけがなく、彼の言う「おじさん」を探すために共に行動していたのだが今回の放送で名前を呼ばれてしまったようだ。

「ライダー嘘だよね…おじさんが死ぬなんて嘘だよね…?」
「ひで君、それは…」
「あああああああああああもうやだあああああああああああああ!!!!」

ひではおじさんの名前を呼び、喚き散らしながら駄々っ子のように地面を叩き始めた。
その様子を見て本郷は何の言葉をかけることもできなかった。
親しい人であったであろうおじさんを失ったひでの心は癒されることは無いことを知っているからだ。
純真な少年だったはずのひではこれからも心に大きな穴を開けたまま生きていくのだろう。
そう思うと自分を責めていられずにはいられない。何のための仮面ライダーなのだと。

そのまま何十分過ぎただろうか。
ひでのじたばたが止んだ頃……

それは突然の覚醒だった。
本郷がひでの様子のおかしさに気づいたときはもう遅い。
肌色だったはずの肌はすっかり青色に変色し……頭からは角が生え……背中からは巨大な翼が生え……その手にはいつもまにか三又の槍が握られている。
それはまさに…悪魔。
ひでの突然の変貌に本郷は驚きを隠せない。

「ひで君、どうしたんだ!」
「大丈夫だよ本郷さん。とてもいい気持ちだよ。力が溢れてくるんだ」

ひではまるで誇らしげに語る。

「それじゃ。僕は行かなきゃ」
「行くって…何するつもりなんだ?」
「決まってるでしょ。僕の大切なおじさんを殺した仇を殺しに行くんだよ」
「なっ…!」

ひでの言葉を聞いた本郷はひでの前に立ちふさがるように立つ。

「止めるんだひで君!おじさんの仇を憎む気持ちは分かる!
けれども君は優しい少年なんだ。人殺しと同じにならないでくれ!」
「何でだよ。僕にとって大切なおじさんを殺した奴を殺すことの何が悪いの?」

本郷の説得に対し、ひでは反論する。

「そうか、本郷さんは僕の邪魔をするんだね。



じゃあ本郷さん死んぢくり〜^」

ひでは今まで見せたことのない邪悪な笑みを浮かべ、槍を突き出しながら本郷へ迫る。
こうなったらしたくはないが、力ずくで大人しくさせるしかない。
本郷はポーズを取って、仮面ライダー1号へと変身する。


悪魔と化したひでは1号に向かって槍を突き出す。
デビル化しただけあって突進の速さといい人間の域を超えたものだ。
だが彼の動きは素人過ぎる。数々の怪人を相手にした本郷の対処できないものではない。
ひでの槍を避けると、本郷は拳の一撃を与えようとする。
もちろん殺すための一撃ではなく、ひでを正気に戻すための一撃である。
だがそれが1号の命取りとなった。
1号の拳はひでによって易々と受け止められたのだ。

「なっ…」

1号は驚く。確かに手加減した一撃であった。だが…

(なんて力なんだ…!)

ひでに抑えられた腕が全く動かない。
今まで相手にした怪人とは比べ物にならないほどの力だった。
必死に振りほどこうとする1号だが、その時ひでの目が赤く光る。
ひでの目から放出された赤い閃光は仮面ライダー1号の、本郷猛の上半身をベルトごとこの世から消失させていた。
最期にひでを止めてくれという願いをこの世に残し…

「あ〜今回の殺し楽しかったな〜。早くおじさんの仇を見つけて殺さなきゃ」

仮面ライダーを殺し、正真正銘の悪魔と化した少年はおじさんこと虐待おじさんの仇を求めて飛び立つ。
だが虐待おじさんを殺した犯人は既に別の参加者により殺されている。
ひでの殺戮はすべての参加者を殺すまで止まらない。
そしてカオスロワは危険な領域へ……

908混沌な名無しさん:2013/03/31(日) 01:13:50 ID:r7RyqqVc0
【一日目・7時30分/日本・栃木県小山市】

【ひで@真夏の夜の淫夢】
【状態】デビルひで
【装備】三叉の槍
【道具】基本支給品一式×2
【思考】
1:虐待おじさんを殺した奴を殺す
※人殺しの快感に目覚めつつある…?

【本郷猛@仮面ライダー 死亡確認】

909光熱斗の奇妙な冒険:2013/04/01(月) 01:50:47 ID:LVy.wZO20


『 そ の 血 の 運 命 ( さ だ め )……ディーーーーーーーーーーーーーオ!!!!』


 訳の分からん子安ボイスの替え歌がカラオケボックスに流れた。
 勝つのはジョジョではない……このディオだってことなのか?
 イギリス人なのに思いっきり日本語だ……英語で聞こえないのはこの首輪のせいであろう。

「ディおじさん、歌うまいね」
「おじさんではない、このディオはまだ若いというか……ディおじさんって何だッ!?」
『ホントだよ、熱斗くん……』
「じゃあ、次デカオな」

 そう言って、バンダナの少年は自身のデイバックの口を開けた。
 すると、バンダナの少年のデイバックの中から、少年の首が出てきた。
 ……真顔であり、非常に神妙な面持ちだ……間違いなく修羅場を潜り抜けてる。
 ……私ほどではないがな。


「カラオケよりもネットバトルしろよ」


 ……ガチ勢だ。
 この顔だけ出てる少年……ネットバトルガチ勢だ。

「デカオ……そんなこと言ってもなぁ……」
『ディオさんってこんな時代なのにPETの一つも持っていないんだよ?』
「くっ……」

 あのネットナビ、天然煽り勢だ。
 だが、この私―――シグナムには分かる。
 あの二人(バンダナ少年とネットナビ)、裏ランカー一位だ。

 まぁ、なんやんかんやで久しぶりだな。シグナムだ。 
 一応、今までとは別人だが、記憶は持っている。

 九期の私は、跡部様とあのでっかいおっさんとよゐこの二人ともに、なんかのゲームに挑戦しているらしい。
 たしか『グリードアイランなんちゃら』とかいうゲームらしい。
 ……クリアすれば、一攫千金とかふざけんなよ、こっちは殺し合い中だっての。

 と、なんやかんやで私は都内のカラオケ店に潜伏中だ。
 勿論、この殺し合いを生き抜くためにステルスするためだった。
 だが、私視線の語りが入ったってことはお察しの通り、事件起こるよ。
 そりゃあ、めんどいが、事件起こるよ。


「俺は人間を辞めたぞォ!! 熱斗ォォッ!!!」
「!?」
「!?」
『!?』
「いや、そんなことよりもネットバトルしろよ」

    !?

 
 デイバックに入っていたはずの少年が変な仮面を持って現れた。
 これは確実に吸血鬼だな……。

「デカオ……お前、一体……」
『デカオ君、二回死んだんじゃ……?』
「俺はディカオ・ビッグマウンテンとして蘇った…この俺のことは『DHICAO』と呼べ」
「ディオ・ビッグマウンテン……だと……!?」
『熱斗君、ディオじゃなくてディカオだよ』
「ディオはこの僕だッ!!」
「五月蠅いぞ、イギリス人風情が……」


     ドッギャァァ―――――――――――――ン!!!!!!


「『ディおじさんーーーーーーーー!?』」

910光熱斗の奇妙な冒険:2013/04/01(月) 01:51:22 ID:LVy.wZO20

 ディおじさん、吹っ飛ばされたー!!!
 これは間違いなく、ヤバい奴だ。
 逃げるのは所ジョが得意なことだが、所ジョいねぇ……。
 その時であったか……

「ディカオ……お前は俺を怒らせた……ッ!!」

 バンダナ少年ブチ切れた!? 死人が出るぞォ!!
 怒りの沸点低すぎだろ……
 そして、少年はデイバックから銃みたいなものを取り出した。

「ふん、このディカオに銃など……無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ――ッ!!」

「これはッ!! お前のガッツマンのチップを入れてッ!!
 チップトレーダーSPを数百回ほど回してッ!!
 手に入れたガンデルソル3だッ!!!」

「え?」

 なんで実物が出てくるですかねぇ……?
 まぁいいか。

「くらぇッ!!」

                     |.l
                       l .|           /
         \             ! }       //
.、          \\        .,, / │   .,i / /
 ``.-=.、       \ \    i、 巛  !  , '/./  /
     ``.-=.、   \ `.-、 l`、|   !/ 〃 ,/
          ``.-=.、\ `'-.ゝ         ./ //
             ``.-=.、.           / /
                  ``.-=.、.          ̄'''―--z__
                       .       r────────
                  ,.r.'"´        ,,,,、 \
               ,.r.'7´          \¨''ーニ;;、、
            ,.r.'"´ /   .,      .゙!l>、.  \
         ,.r.'"´   ./.,v /!  .i'i.|.',  l `'-、. `'-,
      ,.r.'"´      .i./ |./ ,!  l゙ リ ヽ  l  .  `'-、\
   ,.r.'"´          〃  i}′|  l   ..ヽ |     `'''ゝ
,.r.'"´          ,i″     !  ,!    ヽ,|
             .l′    │ /      ヘ
                      |/
                      |′
                      ↑このへんにディカオ。

          
「ば……バカな、このDHICAOが……このDHICAOがァァァァ〜〜ッ!!」

 太陽の光に吸血鬼は弱い。
 ディカオ・ビッグマウンテンは最高にハイ……ではなく、灰になった。
 当然の結果だった。うん。
 というわけで……


【大山デカオ(ディカオ・ビッグマウンテン)@ロックマンエグゼ4 死亡確認】


「ディカオ……いや、デカオ……お前のことは忘れない。
 そして、こんなバトルロワイアルを開いた、野田総理を許さない!!」
『だったら、さっきの放送で呼ばれた千石うぐいすと末原恭子って人を探そう』
「どういうことだ、ロックマン?」
『その二人を捕まえて、野田総理に引き渡す、その時にネットバトルを野田総理に挑もうよ』
「確かにな、よし、そうしよう!! 行くぞ! ロックマン!!」

 その理屈はおかしいが、まぁいいや。
 そして、なにより面白そうだ。このシグナム、面白いことは大好きだ。
 というわけで、私はこの二人をこっそりストーキングすることにしたのであった。

911混沌な名無しさん:2013/04/01(月) 01:52:10 ID:LVy.wZO20

【一日目・7時30分/日本・日本橋】

【光熱斗@ロックマンエグゼ】
【状態】健康、激しい怒り
【装備】自分のPET(ロックマン入り)
【道具】支給品一式×2、大山デカオ@ロックマンエグゼ、大山デカオ@ロックマンエグゼ2、仙豆
    デカオ(ロックマンエグゼ3)が作ったおべんとう、チップトレーダー@ロックマンエグゼ、
    大量のガッツマンのチップとバグのかけら、ガンデルソル3(実物)、他不明
【思考】基本:野田総理にネットバトルを挑んで勝つ!
1:プリズムとフォレストボムのチップを探す
2:その為に色んな人にネットバトルを挑む
3:千石うぐいすと末原恭子を野田総理に引き渡す、その際にネットバトル挑む。


【ロックマン@ロックマンエグゼ】
【状態】HP満タン
【装備】ロックバスター
【道具】なし
【思考】基本;熱斗をサポートする
1:野田総理がネットバトルを受けてくれるか、心配。
2:あのお姉さんは一体何者なんだろう?
※PETの中にいます

【シグナム@リリカルなのはシリーズ】
【状態】健康、自称フリーター
【装備】レヴァンティン
【道具】支給品一式
【思考】基本:働かなくて済むように動く
1:二人をストーキングする
2:野田は倒す
※今までとは別人ですが記憶を受け継いでいます


 一方、新橋まで吹っ飛ばされたディおじさんは……

「念願のPETを手に入れたぞッ!!
 勝つのはジョジョではないッ!! やはり、このディオだッ!!」
『ディオだと? 私はデューオだ』

 さらに中にレアな奴が入っていた。
 このディおじさん、中々幸運である。

「これで熱斗とネットバトルが出来るッ!!」
『え…なにそれ(困惑)』


【一日目・7時30分/日本・新橋】
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】疲労、全身にダメージ
【装備】PSP(デューオ入り)
【道具】支給品一式×3
【思考】基本:ネットバトルを極める
1:ジョースター家を手に入れる
2:ジョジョより優越感を得る
3:熱斗にネットバトルを挑む
4:ディカオ・ビッグマウンテンには気を付ける

【デューオ@ロックマンエグゼ4】
【状態】HP満タン
【装備】不明
【道具】なし
【思考】基本;とりあえず、ディオを見守る
1:私、ネットバトル出来ないって……
※PSPの中にいます

914汝は修羅なりや?:2013/04/12(金) 10:39:53 ID:VqnF/6DQ0


「屍になるのはてめぇだ!!」

 散々、暴れ待っていた糞は死んだ。
 でも、仕方ないよな。

 妹の愛は重いから。


【フリッピー@HappyTreeFriends 死亡確認】
死因:ジャイ子の手刀

【一日目・7時00分/日本・熊岡県】
【剛田ジャイ子@ドラえもん】
【状態】情緒不安定、ブチ切れた
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
基本:家族を殺した奴を殺す
 1:お兄ちゃん達の仇は取ったよ 
 2:お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる
   お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる
   お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる
   お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる
   お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる
   お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる
   お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる
   お兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられるお兄ちゃん達にほめられる

915芋と肉:2013/05/08(水) 03:20:54 ID:Umsm.G6s0

日本唯一の砂漠地帯、鳥取砂丘に一人の少女がさ迷っていた。
お腹の虫を鳴らしながら。

「はひいい〜、いけどもいけども砂ばかり。
いいかげん空腹で限界です〜……」

彼女――サシャ・ブラウスは人類の敵である巨人と戦う兵士だった。
だが、未曾有の大災害により住んでいた壁の中の世界から外へと避難しなければならなくなった。
取り巻く状況はもはや巨人どころではなくなっており、仲間ともはぐれてしまった。
いつの間にやら砂丘に迷い込み、土地勘もないので完全に迷子になったようだ。
サシャは体力自慢ではあるのだが、慣れない砂漠では体力の消耗が非常に激しく、なけなしの食料もとうの昔に食べつくした。
砂漠では狩れる生き物も見当たらず、食料の自給は不可能だ。

「もう……ダメ……」

体力消耗と空腹が限界に達したサシャの肉体が限界を迎え、その場にドサリと倒れ込んでしまう。

(こんな食料もない不毛の地で死んでしまうのか……)

このまま砂漠にいれば餓死の運命が待っている。
しかし、今のサシャには自力で立ち上がることも叶わない。
大往生手前の万事休すである。

(もっと……色んなものを…食べたかった……)

やがて目を開けているのも億劫になってきたところで、サシャは気を失ってしまった。
哀れな彼女は何もできないまま、土に還ってしまうのか?


ズリッ……ズリッ……ズリッ……


そこへ、救いの神が手を差し伸べた。


* * *

「……こ、この匂いは……」

数十分後、何かの香りで鼻腔をくすぐられたサシャは気絶から醒めた。
目を開けると視界には少し緑がかった長髪をした小柄な少女がいた。
見た目の可愛さだけなら同僚のクリスタと同じかそれ以上だ。
その少女が膝枕をしてサシャの介抱をしていた。

「大丈夫? なかなか目を覚まさないから凄く心配だったんだよ」
「あなたはいったい……?
!! その手に持っているモノは!!」

起き上がったサシャの視点が少女から、少女の持っているモノ――骨付きの肉に移っていた。
肉は歯ごたえがありそうなほど引き締まっていて、さらに程よく脂がのっていて旨そうであった。
はしたないという気持ちも忘れてサシャは思わずヨダレを垂らし、グーグーと腹の虫を鳴かす。
そんなサシャを見て少女はニッコリと微笑み、肉を差し出した。

「これはさっきそこらで手に入れたお肉だけど……お腹が空いているんでしょ? 食べてもいいよ」
「ええ、いいんですか?!」
「いいのいいの、お肉はまだまだ沢山あるからジャンジャン食べてね」
「うう……神様はここにいたんだ……いただきまーす!」

餓え死にしかけた自分を見捨てずに助け、なおかつ食料まで恵んでくれる少女の優しさにサシャは感極まり涙する。
少女の優しさを無碍にもできないため、さっそく肉に齧り付く。

「〜〜〜!! んまーーーい!! ミィィィト!!」

砂漠のど真ん中でサシャはオーバー気味に叫んだ。
叫ぶに値する美味しさを持ち合わせていたからだ。
肉は難しい調理は施されていないにも関わらずジューシィで噛め噛むほど味が出る。
壁の中の世界でもこんなに美味しい肉は食べたことがなく、手と口の動きが止められなかった。
気が付けば、食べた肉の名残である骨が大量に積まれており、その頃には彼女のお腹は満たされていた。

「ぷは〜〜〜、ごちそうさまでした〜! あなたは命の恩人様、救いの神様です!」
「そう、あなたの口に合うようでよかった」

崇めるようにサシャは恩人に深々と頭を下げる。
一方で少女はサシャに懇願した。

「う〜ん、お肉を上げたギブアンドテイクということで、あなたに手伝ってもらいたいことがあるんだけどいいかな?」
「ハイ、なんでしょう?」
「私には例の大災害の時にはぐれちゃった大切な人がいるの。
郁紀って名前なんだけど、日本中を一人で捜すのは大変だと思うの。
だから、あなたに私の人捜しを手伝って欲しいけど……ダメかな?」

少女の願いにサシャは即答する。

「もちろんOKですよ、肉の恩はしっかり返さなきゃいけませんしね」
「ありがとう」

自分の呼び掛けにサシャが一切難色を示すことなく受け入れてくれたことに、少女は顔に笑みを浮かべた。

「そういえば、まだお互いの名前を聞いてなかったね。 私は沙耶。 あなたは?」
「私はサシャ・ブラウスです。 ……なんだか私たち、名前の響きが似てますね」
「そうだね、これからよろしくねサシャ」
「ええ、こちらこそ沙耶さん」

* * *

916芋と肉:2013/05/08(水) 03:21:31 ID:Umsm.G6s0

沙耶とサシャとは少し離れた地点には水野灌太という少年がいた。
砂漠で便利屋を営む、通称・砂漠の妖怪”砂ぼうず”だ。
殺し合いにおける現在のスタンスは対主催でもなくマーダーでもない生存優先型。
ついでに美人の女(特に巨乳)を確保して安全な場所でチョメチョメすることだ。
そんな灌太は砂漠の真ん中にいるサシャたちを少し前に発見し、遠巻きから観察を始めた。

「おお、美人発見! 胸は……あるほうだな」

彼が最初に目を付けたのは黒髪ポニーテールの美少女サシャ。
乳はボリュームが欲しいところだが年はまだ若そうだし、これからの成長を期待できるだろう。
若干、気品にかける芋臭さはあるが顔は美人でスタイルも良い。
確保対象にあるべき及第点はクリアしていた。

灌太はサシャと話している沙耶にも目を向ける。
しかし……

「ゲッ! なんじゃありゃ!?」

いやらしい目付きでサシャを見ていた灌太の表情が酷く強ばる。
まるでこの世のものとは思えないものを見たような顔だ。
……それもそのはず、灌太の目線の先には可憐な少女ではなく、醜くグロテスクな肉塊が蠢いているのだから。
そして、その肉塊こそが沙耶の正体でもあった。


Q,つまりどういうことだってばよ?
A,沙耶は人の脳みそを弄って、自分をあどけない少女の姿と認識させる能力がある。
サシャは気絶中に脳みそをいじられたため、沙耶が可愛い女の子に見えるようになっている。
逆に脳みそをいじられていない灌太のでは醜悪な肉塊の姿に見える。


「しかもアイツらが喰っているのは……人肉じゃねーか! 」

サシャが貪り喰っているのは、形状やサイズから人間をバラして作った肉であると灌太は見抜く。
人肉もごちそうに見えるようにまでサシャは脳を弄られているのだ。
ちなみに、沙耶も人肉を餌にしているのだが、サシャだけは餌にしなかった。
理由は、しばらくの食料となる人肉は既に必要分確保しており、これ以上採っておく意味がない。
また、恋人である郁紀を捜すにはやはり一人では大変なため、同行者として生きた人間が一人は必要であると考えた結果でもある。

「クソッ……どうするべきか……」

見る限り、サシャは肉塊に騙されてだけにも見える。
本来の灌太なら迷わず肉塊をぶっ殺して美少女を助けだし、恩を売ってチョメチョメを狙うのがパターンだが、今回ばかりは事情が違った。
名状しがたき肉塊を見ていると、どんどん正気を失っていく感じがするのだ。
灌太は基本的に呪いや迷信を信じない男だが、あの肉塊だけは触れてはならぬものと本能が警告している。
このままでは”SAN値! ピンチ!”状態になりかねない。
そして灌太は止まらない冷や汗をかきながら決断する。

「よし、アイツらは見なかったことにしよう。 どこかで他のボインちゃんが俺を呼んでるぜ!」

仕方なく諦めた。 サシャたちは忘れることにした。
さっさとその場から離れたい灌太は踵を返して、支給品である立体機動装置を使ってスイスイと砂漠を移動していった……



【一日目・9時00分/鳥取県 鳥取砂丘】

【サシャ・ブラウス@進撃の巨人】
【状態】満腹、脳みそいじられた
【装備】ロングボウ@現実
【道具】支給品一式(食料はない)
【思考】
基本:生き残り、旨いものを食べる
1:恩人である沙耶についていく
2:沙耶の知り合いを探す手伝いをする
3:肉うめぇww
※脳みそをいじられたため、沙耶(肉塊)が可憐な少女に、また人肉が旨そうに見えます

【沙耶@沙耶の唄】
【状態】健康
【装備】ブフーの包丁@風来のシレン
【道具】支給品一式、大量の人肉
【思考】
基本:郁紀を探す
1:サシャに郁紀を探す手伝いをさせる
2:とりあえず鳥取砂丘から出ようか


【水野灌太@砂ぼうず】
【状態】SAN値減少(中)
【装備】立体機動装置@進撃の巨人
【道具】支給品一式
【思考】
基本:生存優先、ボインちゃんは確保する
1:ボインちゃんを探す
2:沙耶とサシャの一件は一先ず見なかったことにする



【マルコ・ボット@進撃の巨人  死亡確認】
【ポックル@HUNTAR×HUNTAR   死亡確認】
【タケシ@ポケットモンスター  死亡確認】 死因:沙耶によっておいしいお肉になりました

917(なんだよこの展開……):2013/05/08(水) 22:59:08 ID:BjVzdKqY0
「うーん、ここら辺に落としたカバンどこ行ったんだろ……?」


沖縄県の浜辺にて、2mはある青色の巨大なヘラジカがカバンとやらを探していた。
そのカバンとは、多分ディパックの事だろう。
名前はランピーという。ついさっき斬首されたフリッピーや、そのフリッピーに殺されたカドルスの友人である。
ただこのヘラジカは優しいが、ものすごく頭が悪い。それはもう、気づかずに人を殺すレベルで。

説明すると、ランピーは、開始時に沖縄に飛ばされ、その後何も分からないまま沖縄県を一通り探索したあと、浜辺に着いたのだが、その間にいつのまにかディパックを落としてしまっていた。
そしてそれに気づき今に至るというわけだ。


「ウーン、ここじゃないのかな?
 ……じゃあこっちかな?」

ランピーは、首をかしげてまたディパックを探し始める。
ランピーは、下を見ていた。
だから前が見えずにぶつかった。


股 間 に 。



「キャァアッーーーー!」

いくらランピーが鈍感なヘラジカとはいえ♂は♂。
ランピーの股間には激痛が走り、その痛みでランピーは悶絶した。
その痛みは金属バットで股間を強打した時と同等のレベルであったとかなんとか……

「いっててて……どこ見て歩いてるんだよ……」



「それはこっちのセリフだ! ノロノロしてんじゃねぇ!」

「えっ?」

ランピーはどこからか声がするのに気がついた。
周りを見渡したが、誰もいない。
誰も居ないので進もうとしたその時――

バチン!

「痛てっ!」

ランピーは背中に痛みを感じたので、後ろを向いた。だが誰も居ない。

「ええっ! 透明ニンゲン!?」
「んなわけねーだろ! 下見ろ!」
「ゑ?」

ランピーが下を覗くとそこには黒猫がいた。ランピーに対してはかなり小さいサイズだった。
その猫は右手にパチンコを持っていた。ランピーはさっき背中に感じた痛みは、たぶんパチンコの玉が当たったのだろうと1分後ぐらいに理解した。

「オイ、テメー何モンだ? どう見ても人間じゃねーけども……」
「俺は、ランピー。キミは?」
「名前を訊いてんじゃねーよ! テメーは何モンなんだよって言ってんだ!」
「えっ、名前訊いたらダメなの!?」
「オメーの名前を訊いてるわけじゃねえっつったんだ! オイラの名前を訊いたらダメだって言ってるわけじゃねえ!」
「えっ、じゃあ訊いてもいいの? じゃあ訊くけど、君の名前は?」
「なんでそうなるんだよ! その前にオメーが何モンかって訊いてんだろ!」
「だから俺はランピーだって」
「だから違げーって!!」



こうして、約30分の時間が経った――



「ヘラジカだぁ?」
「うん。俺、ヘラジカのランピー。
 俺、仲間探してるんだけど見てない?」
「見てねーな。ってゆーか、殺し合い始まってからオイラが初めて会ったのお前だけだし」
「へぇー。偶然だね。俺も君が初めてなんだ」
「それにしても、ここ本当に誰もいねーな。
 誰かいないかと思って探してたけど、人っ子ひとり居やしねー。どうなってんだ?」

ランピーは確かにそう思った。
自分がここに来てから誰とも出会っていなかったのだ。
というか、何故今まで誰とも遭遇していない事に疑問を持っていなかったのかランピーは不思議に思った。だがそれは彼には一生分からないであろう。

「ねえねえ、殺し合いについてどう思ったの?
 俺は難しくてよくわかんなかったから適当に歩いてたけど」
「オイラだってわかんねーよ……よくわかんねーんじゃなくて、ワケわかんねーんだけどな。
 殺し合いとかソウリダイジンって奴は何を考えてんだ……」
「……それで、どうしよっか」
「……決まってんぜ。思いっきり暴れてやんのさ!
 こんなことになったんだ。タダじゃ終わらせねー。とことん暴れさせてもらうぜ!」
「じゃあ、俺もそうしよっかな。他に特にすることないしね」
「……オメー、分かってて言ってんのか?」
「わからないけど?」
「……あのなぁ。まあいいや。着いて来たいんなら着いて来い」

黒猫はそう言うと再び歩き出した。
ランピーも、それに合わせるように歩き始めた。

しかしまだ終わりではない。
まだ話には続きがある。

918(なんだよこの展開……):2013/05/08(水) 23:00:34 ID:BjVzdKqY0

二人(二匹?)が浜辺から沖縄の街中に移動して間もない頃に、二人がオッドアイの黒猫を見つけた事がその"続き"である。


「おや?」
「黒猫だな」
「え? 君も黒猫じゃないか」
「……オイラは猫じゃなくてサイボーグだ。猫なのは変わんねーけどな」
「ふーん、つまり君は猫のサイボーグってことなんだね」
「おう」
「……で、サイボーグって何?」
「…………」


「つまりお前はただの猫じゃあねえんだな?」


「あ?」
「黒猫サイボーグ君。さっきなんか言った?」
「……オイラじゃねー。そっちの黒猫のほうだよ。それにオイラの名前はクロってんだ」
「やっぱり黒猫サイボ……クロ君じゃないか」
「ちげーって! ……まあいいや。(めんどくせーし)
 おいオメー。オメーもタダの猫じゃねーだろ?」

クロはそう言うと、支給品のパチンコを取り出す。どうやら警戒しているようだ。
ランピーはそれを見てもただキョトンとするのみだった。
黒猫はそれに反応したのか、こちらの方を向き、流暢に人間の言葉を発し始めた。

919(なんだよこの展開……):2013/05/08(水) 23:01:05 ID:BjVzdKqY0

「『タダの猫じゃない』……か。厳密に言うと俺は猫ではない、って言った方が正しいな」

黒猫は何故か人間の言葉を話している。クロは警戒を強め、ランピーは相変わらずキョトンとしていた。

「わけわかんねーこと言ってんじゃねー! どっからどう見たって猫じゃねーか!」
「この身体はな。でも俺は猫じゃねえんだよ」
「つまりそれって、身体は猫だけど、中身は猫じゃないってことだよね?」
「その通りだ。
 俺は天の邪鬼。人間が俗に言う、妖怪ってヤツさ」
「妖怪……? それって……」
「オバケってこと?」
「オバケェ!?」

オバケ――
ランピーがその言葉を発した途端クロが明らかに動揺したのが分かった。

「へ、へー、なるほどな。で?
 その……オバ……天の邪鬼がなんだってんだ?」
「クロ君、大丈夫? なんかすごい様子が変だけど……」
「お前らに訊きたい事がある」
「え?」


「お前らも霊眠されたのか?」
「えっ」


「…………」
「…………」
「…………」



「(え? レーミンってなに?)」
「(オバケが猫の中に……どういうことなんだこれはよー!!)」
「(まさか、俺と同じようなヤツが二人もいるだと……詳しく知る必要があるかもしれねえな……)」

天の邪鬼のその言葉に、一気に空気が固まったのは言うまでもない。
こうして、ヘラジカとサイボーグ猫と黒猫の中に霊眠された天の邪鬼の、世にも奇妙な物語が始まった。



【一日目・8時47分/日本・沖縄県】
【ランピー@HappyTreeFriends】
【状態】健康、ちんぷんかんぷん
【装備】無し
【道具】無し(失くした)
【思考】
基本:クロ君に着いて行く
1:レーミンってなに? おいしいもの?
2:黒猫の中にオバケがいることもあるのかぁ
3:結局サイボーグってなんだったんだ?

【クロ@サイボーグクロちゃん】
【状態】健康、動揺
【装備】パチンコ
【道具】支給品一式、パチンコ(弾数99/100)
【思考】
基本:思う存分暴れる
1:オバケが猫の中にいるってどういうことだよ……!
2:逃げるなんてカッコ悪りーことできねーし、どうすれば……
3:ガトリングその他モロモロが無ぇ……
4:ジーサンとバーサンが気になる
5:剛やミーくんは……まああいつらなら大丈夫だろ
※クロの所持していた武装は全て没収されています

【天の邪鬼@学校の階段】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考】
基本:特になし。あるとすれば猫の身体から解放されることくらい
1:俺のような妖怪が他に居たってのか……?
※黒猫(カーヤ)の姿です。

920観光中:2013/05/12(日) 16:31:41 ID:C7/bj.eM0
「ふむ次はどこに行こうか」

そう言って浅草の観光マップを見ている人物がいる
彼の名はラインハルト・ハイドリヒという。
崩壊したドイツ出身である。
なぜ彼が浅草めぐりをしているかというとたまたま飛ばされた場所が浅草だったからである。

(バトルロワイヤルが始まっているが今は観光を優先しよう)
バトルロワイヤルより今は観光を楽しみたいらしい


「よしここに行くとしよう」
そういって次の名所を見に行くため彼は歩き出すのだった


【ラインハルト・ハイドリヒ@Dies irae】
【状態】健康
【装備】浅草観光マップ@現実 
【道具】支給品一式
【思考】
基本;マイペースにぶらぶらする
1:観光優先

921混沌な名無しさん:2013/05/12(日) 16:36:58 ID:C7/bj.eM0
やべえ入れ忘れた
>>920
【一日目・8時45分/日本・浅草】

922サービスシーン():2013/05/20(月) 08:54:28 ID:yR2D.HxI0
ここはとある山奥。そこに、滾々と湧く湯があった。
その湯の存在を知る者は……誰ひとりとしていなかった。
つい先程、この山奥に迷い込んだ者がそれを知るまでは。
そうして、疲れをいやすべく湯浴みを楽しむその者。
その肩の水滴は朝の光を浴び、キラキラと輝き
その顔は湯の温かさでほっこりとした表情を浮かべていた。
他には誰もいないようだ。
リラックスしたように、その腕を伸ばす。その腕は……太い。
もう一度言う。その腕は……太い。

「はぁ……まさかこんなところに温泉があるなんてなー☆」

そこにいたのはデブの小学生だった。

【一日目・8時57分/日本・富山県】
【エリック・カートマン@サウスパーク】
【状態】健康、リラックス
【装備】すっぽんぽん
【道具】支給品一式
【思考】
基本:世のヒッピーなどなどを殺す
1:今は温泉を楽しみたい


なお、物陰でサービスシーンを期待してピーピングしていたひとりの青年が
上記の出来事で、ショック死した。
サービスシーン(笑)

【タケシ@ポケットモンスター 死亡確認】
死因:ショック死

923不思議なこともあったもんだ:2013/05/22(水) 15:34:10 ID:mMIJMl0Y0

 あれから、どれくらいの時間がたっただろうか。
 氷漬けにされ、埼玉の道中に放置されていた二人。
 すっかり夜も明け、日が昇り始めていた。

(動けない……くそっ、この氷さえ溶ければ……! おのれゴルゴム!!)

 あの少女は確実にゴルゴムの手先に違いないと思う光太郎。

(これが冷たくなって発見されるという奴か……)

 皇帝は半ばあきらめていた。
 いくら最強を自負していようが、やられるときはやられる。
 なんだか、そういうセンチな気分になった。

 その時である。

「こんなところにあるなんて邪魔くさい雪像だね!!」

 一人の少女が構えていた。
 無論、この目の前にあるものをただぶっ壊したたかったから。

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!
 『地獄の人工太陽』ッッ!!!」

 激しい核の力が二人を包みこ―――― 
 
 その時、不思議なことが起こった!!
 人工(神工)の太陽光を光太郎の体内のキングストーンが吸収した!
 
「うおっ、まぶしっ!!」

 光太郎の身体が光り始め、氷が解けだした!
 そして―――光太郎の変身は完了していた。

 
「この身体は仮面ライダーBLACKじゃない……俺は生まれ変わったのか!」


 その姿は仮面ライダーBLACKではなかった。
 光太郎は太陽の光と核エネルギーで生まれ変わったのだ!

「俺は太陽の子!!  仮面ライダーBLACK RX!!!」
「そして、私がクライシス帝国の偉大なる皇帝の! クライシス皇帝!!!」

 完・全・復・活
 なお、クライシス皇帝はその余熱で氷を溶かした。

「君が助けてくれたのかい?」
「そう……でいいんだっけ? アレ?」
「中々の忠義心と火力だ。『ネオ・クライシス帝国』の一員にならないかい?」
「うん、入る!」

 こうして、光太郎たちは凍死の危機から逃れたのだった。
 だがゴルゴムとの戦いは、始まったばかりだ!
 戦え、南光太郎(と、クライシス皇帝)! 変身せよ、仮面ライダーBLACK、RX!!

924不思議なこともあったもんだ:2013/05/22(水) 15:34:40 ID:mMIJMl0Y0

【一日目・8時30分/日本・埼玉】

【南光太郎@仮面ライダーBLACK】
【状態】健康
【装備】キングストーン、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、カラオケマイク
【思考】
基本:この殺し合い、ゴルゴムの仕業だ!
1:クライシス皇帝と空、共に行動する
2:あの少女(歌愛ユキ)を追う
※RXに進化しました。ロボライダーとバイオライダーにはまだなれません。


【クライシス皇帝@仮面ライダーBLACKRX】
【状態】健康
【装備】サタンサーベル オーガギア@仮面ライダー555
【道具】基本支給品一式
【思考】基本:光太郎とともに主催者とゴルゴムを潰す
1:戦力を集めて、『ネオ・クライシス帝国』を建国する
2;一先ず、地球人類抹殺は置いておく。(総理を潰したら取り掛かる)
3:カラオケマイクを取り戻す
※参戦時期は仮面BLACKRX本編開始前です。

【霊烏路空@東方Project】
【状態】健康
【装備】制御棒
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:さとり様を探す
1:光太郎たちについていく

925不幸少年、群馬へ:2013/05/27(月) 12:20:09 ID:deo./7ig0
大好きという気持ちを抑えられないまま、最初に貫いたのは一人の姉だった。
憎しみや嫌悪感など一切なく、愛情と衝動をもって彼女の中に白い愛をぶちまけた。
しばらくすると、他の姉たちの肉体(からだ)にも手を出すようになった。
そこにも悪意などなく、ただただ愛さえあれば自分の『行為』は正しいと思っていた。

そしてあるきっかけにより、男にも目覚めるようになった。
さらに、死んでしまった肉体(ひと)にすら愛を振りまくようになる。
それからは心の赴くままに老若男女生物非生物生者死者全てを愛し、貫いていった。

――少年の愛はあまりにも独善的過ぎた、故に愛を振りまく度に他人を傷つけていたのだ。
彼が正しいと思っていたことをするほど周りは不幸になり、恨みは募り敵は増えていく。
自分も他人も省みない者は、『変態』という名の『紳士』ではなく『狂人』という名の『悪魔』なのだ。
だが、少年は周囲に構うものかと、己が暴走を止める気はなかった。
例え命を狙われようが、惨たらしく殺されようが……

気がつけば『レン』は人間を辞めていた。
人間を辞めてしまった怪物の頭にあるものは



犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯

EROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSEROSER

CINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKOCINKO



「やめろおおおぉぉぉおおおぉぉぉおおおぉぉぉおおおぉぉぉおおおぉぉぉ!!!!!!!!!!」


@ @ @ @ @




「はッ!」

少年・鏡音レンはどこかの山小屋のベットの上で覚醒した。
夢の世界からから逃げるように、バッと上半身を引き起こす。
寝ていたハズが、まるでマラソンでもしてきたかのようにレンはヒーコラと息を荒くし、体は汗でぐっしょりと濡れている。
呼吸が乱れたまま、少年はボソリと呟いた。

「ハァーッ、ハァーッ……またあの夢か……」
「ボーイ、大丈夫かい? だいぶうなされていたみたいだが……?」

目覚めたてのレンに最初に声をかけたのは、やたら濃い印象を持つ胡散臭そうな身なりの男だった。
まだ起きたばかりで些かぼやけている視界でレンは声をかけた男を見る。
時間が経つたびに視界と思考がすっきりしていく中で、男が自分の命を助けてくれた恩人であると思い出す。

「観音寺さん……そうだ、俺は観音寺さんに暴走した装甲車の中から助けてもらって、それから疲れて車の中で寝てしまって……」

記憶がはっきりしてきたところで、レンは周囲を見回す。
自分は観音寺の乗っていたスポーツカーで寝ていたハズだった。
眠っている間にどこかの家屋に身を移されていたことに気づく。
より詳しく状況を知るためにレンは観音寺に尋ねた。

「観音寺さん、ここはどこですか?」
「群馬県だ。 無人だったこの山小屋を拝借させてもらったのだ。
緊急時であるとはいえ家主には後で感謝をせねばなるまい、ボハハハハハーッ!」
「群馬県……あの群馬県か!」

レンの知っている限りでは、群馬県は他の県とは一線を画しているということ。
具体的には同じ日本とは思えないほど大自然に囲まれているだの。
先住民族(群馬県民)の文明レベルは狩猟がメインの時代で止まっているだの、中には呪術を使える者がいるだの。
何人もの手練の冒険者がここで命を落としているだの、そもそも領土権を持っているハズの日本政府ですら把握してないことが多いだの……
基本的に歌にしか興味のないレンには生涯で立ち入ることのない無縁の場所だと思っていたが、暴走車によって東京からここまで偶然運ばれてしまったらしい。

(なんだか意図せず凄い所に来ちゃったな)

思いがけない場所にたどり着いたことにレンは心の中で感想を漏らした。
すると突然、レンたちのいる部屋の扉をノックする音と、そのすぐ後に裏から声が聞こえた。

「観音寺さん、さっき岩手の方から強い揺れが来ていたけど、大丈夫?」
「ああ、我々は大丈夫だ。 それからレンのボーイも今しがたお目覚めだ、入ってきたまえ」
「……わかったわ」

扉の裏にいるのは知り合いなのか、観音寺は臆気もなく返事をする。
誰なのか、どんな人なのかとレンが考えていると、向こうから扉が開かれた。
そこにいた者は――

926不幸少年、群馬へ:2013/05/27(月) 12:21:14 ID:deo./7ig0


「ゲエエエーーーッ、ネル!?」
「叫べるぐらいには元気そうね。 まったく、もうちょい死にかけてたぐらいが憎たらしさもなかったのに」
「なんでおまえがここにいるんだよぉ!?」

レンぐらいの身長にサイドテールの黄色い髪が特徴的な少女、亞北ネルがそこにいた。
レンとネルは知り合い同士らしく感動の再開……とはいかず、再会した両者は苦虫を潰したような表情になっていた。
間を取りなすように観音寺が割り込む。

「おいおい、二人は幼馴染ではないのか? 喧嘩はよくないぞ」
「ええ、確かに観音寺さんとさっき会った時にはこいつとは幼馴染だと言いましたよ。 『仲の悪い』幼馴染だけどね!」

依然、レンとネルはにらみ合っている。

「ええい、ネルに会うぐらいなら東京で変な連中に追いかけまされた方がマシだったよ」
「まあ、生意気なお子様だこと」
「なんだと、誰がお子様だって!?」
「よさないか君たち!」

今にもビートアップしかねない二人の喧嘩。
このまま放っておくわけにもいかず、観音寺は喧嘩の仲裁に入る。
幸いにもレンは観音寺を信頼しており、その彼からの言葉は素直に聞いた。

「……観音寺さんに免じて、今は喧嘩を後回しにするよ」

渋々喧嘩を中断するレン、仕方がないので「べーッだ」と舌を出す程度で喧嘩を済ますネル、一人ホッと胸をなでおろす観音寺。

「それで、観音寺さん……俺は何時間寝てたんです? なんでネルがここにいるんですか!?」

状況が読めないレンは、観音寺に畳み掛けるように次々と質問をする。
観音寺は笑顔でかつ、若干テンション高めで答えた。

「落ち着きたまえボーイ。
この私がボーイの眠っている間に起きたこと説明してあげよう。 ボハハハハハーッ!」


@ @ @ @ @

亞北ネルはレンとは(仲は悪いが)幼馴染である。
幼い時からレンとは喧嘩をしていたらしく、周囲は二人を喧嘩友達だとしていた(本人らは否定)。
レンにとってのライバルと言っていいかもしれない。
レンが所属するVOCALOIDとは所属の違う歌手だが、彼女もレンと同じアイドルである。
持ち歌はまだ無いに等しく、アイドルとしての人気はVOCALOIDたちに大きく劣るが、いつかは実力でVOCALOIDを超えようとしている少女だ。
いちおうアイドルではあるので、観音寺とは多少は面識があり、レンの幼馴染ということもあって合流する際にはすんなり受け入れられた。

合流後は無人の山小屋を借り、未だに眠っていたレンを休ませ、ネルはその間に外の見張りを担当していた(本人曰くレンのためではなく、レンの介抱で手を焼いている観音寺のため)。

「それから君は2〜3時間ほど眠っていた」
「そうなんですか……あ! そういえば7時には定時放送があったハズ!
観音寺さん、リンや兄さんや姉さん達は無事ですか!?」

寝ている間に放送を聞き逃し、家族の安否の是非に焦るレン。
そんな彼に観音寺は優しく答えた。

「大丈夫だ、問題ない。 もうそろそろ北海道が禁止エリアになるが、そこに家族がいないことを信じよう」
「良かった……ハクさんに続いてリンやミク姉さん、KAITO兄さんにMAIKO姉さん、ルカ姉さんまで死んでしまってたらどうしようかと思ったよ……」
「……」

一先ず、中毒が祟って目の前で死んだハク以外は全員無事だと知り、安堵するレン。
だが、真実は違う。 放送では姉の一人である巡音ルカの名前が呼ばれていた。
観音寺はレンの精神状態を考慮して、あえてルカの死を隠したのだった。
ネルは彼女の死を知っていたが、事前の観音寺との打ち合わせでルカの死を、殺し合いが終わるまで黙秘することにした。
レンとは互いに仲の悪いネルだが、心身弱っている相手を絶望させてまで貶めたいとまでは思ってないらしい。
真実を知らずに喜ぶレンに何か言いたくとも、ここは無言を貫いた。
また、ルカと同じ理由から同僚でKAITOの友人である氷山キヨテルの死も隠蔽された。
全てはレンのためを思ってのことである。
本当のことを知らないことで幸福を得たレンは次の質問に移る。

927不幸少年、群馬へ:2013/05/27(月) 12:30:35 ID:deo./7ig0

「それでネルはどうしてこんな所にいるのさ? 群馬なんて全く興味なさそうだったのに」
「ガールはこれから、シャーマンに会いに行くそうだ」
「シャーマン?」
「ああ、群馬県の原住民のシャーマンは、おそらく私以上に強い霊能力を持っている。
同じ霊能力者でも私はバットスピリッツと戦うくらいしかできないが、群馬のシャーマンなら探し人の居場所を占ってくれるだろう。
彼女はその噂を聞きつけて、群馬にやってきたのだ」
「へえ〜、ネルは一体誰を探しているだ?」

霊能力者の観音寺が言うほど、シャーマンは凄い存在らしい。
そんな存在に頼ろうとまでネルが探そうとしている人物は誰なのか?

「アンタも良く知ってる人、重音テトよ」
「テトさんか……確か、ずっと前から行方不明だったな」

重音テトとはVOCALOIDとは違うグループである歌手である。
加えてネルの師であり、彼女とは家族のように仲が良かった。
……しかし、世界を襲った大災害より数日前から行方知れずになっている。
大災害が起きたことによるパニックで警察による捜索は困難になっていた。
そして、バトルロワイアルが始まって国家権力が当てにならなくなった時、ネルは行動に移ったのだ。

「今までは警察に頼ってたけど、殺し合いが始まってからはそれもできなくなった。
テトがどこをほっつき歩いているかわからないけど、いきなり殺し合いが始まって困ってるに違いないわ。
できるだけ早く見つけてあげたいのよ」
「そうだったのか……」
「これだけ広い日本で人探しをするには骨が折れ、時間もかかる。
ならば虱つぶしに練り歩くより、ガールは噂を信じて師匠を探せるシャーマンに会いに行く方が早いと考えたらしい」

話を聞く限り、理に適っているとレンは思った。
宛もなく探している内に家族が死んでしまったら元も子もない。
人探しにインターネットを使う手段もあるが悪戯による嘘の書き込みや、殺し合いに乗った者まで招き寄せる危険がある。
手っ取り早く人を探すにはシャーマンを頼った方が効率が良いのだろう。
そこまで考えたところでレンは閃いた。

「待てよ、俺の家族もそのシャーマンに頼れば早く見つけられるかもしれないな」

彼の中に一筋の希望が見えた。 シャーマンの力を借りて、いち早く家族を探せると。
特に機械音痴で携帯すらもってないKAITOとミクは連絡を取るのが非常に難しい。
まずネットの掲示板は見ないだろうし、本来なら幼馴染のネルと合流できただけでも本当なら奇跡に近いのに、リアルの掲示板に書き込んだ所でそれが見つけられる可能性は幾千分の1%程度だろう。
今のところ、凄い力をもってそうな霊能力者の力を信じる他に方法も思いつかず、これしかないと踏んだ。

「よし、俺もそのシャーマンに会いにいくよ」

ようやく家族を探すための足掛かりを手に入れたと、やや興奮気味で発言する。
ところが、そんなレンの願いを観音寺は制止する。

「待つんだボーイ、シャーマンに会うのはとても難しいのだよ?」
「えっ、でもここはもう群馬だしシャーマンは目と鼻の先じゃないですか! きっとすぐ会えますよ」

観音寺が自分を止める理由がわからず、不満を口にするレンにネルは横から小馬鹿にする。

「アハハハ。 ピクニックにでも行くつもり?
やっぱりお子様ね、アンタは群馬のことを何も分かってない」
「うるさいな、何が言いたいんだよ!」
「……アンタには口で言うより目で見てもらった方が良いわね」

よくわからないまま二人に否定され苛立っている少年に対し、少女の解答は部屋の窓を開けることだった。
レンが何気なく窓から外の風景を覗くと――


「なんじゃこりゃああああああああ!?」

928不幸少年、群馬へ:2013/05/27(月) 12:31:22 ID:deo./7ig0


驚嘆の声を上げざる負えなかった。
窓の先に見えるのはとても日本のものとは思えない広大なジャングルが広がっていた。
一見するとアマゾン地帯にも負けないくらいの大自然の庭である。
さらに耳を澄ませば野獣の雄叫びがところどころに聞こえ、目を凝らせば全長10m以上はあるだろう野生動物がそこらに闊歩し、本能で危険地帯だとわかった。
これにはレンも開いた口が塞がらなかった。
群馬が他の県とは一線を画してるとは聞いたが、ここまで凄いとは思わなかったのだ。
驚きを隠せないレンを尻目にネルは話を続ける。

「あのジャングルこそ、魔境『グンマー圏』。 あそこを突破しないと私たちはシャーマンの元へたどり着けない」
「グ、グンマー圏??」
「私たちが簡単に立ち寄れる『群馬県』はあくまで他県との緩衝地帯に過ぎないの。
そして日本でも正しい名前を知る人が少ない最も危険なジャングル『グンマー』。
別名・世界樹の迷宮とも言われる危険地帯で、奥地には原住民の集落があるけど、それまでに猛獣や大自然の猛威による被害で何人もの強者が命を落としているそうよ。
(ここまで民明書房の本の受け売りだけど)」

余談だが、ある男は数時間前に何気なく群馬のネットカフェにいた。
これは男がいたのはグンマーのようなジャングルではない緩衝地帯側であるからだ。
緩衝地帯には猛獣も存在せず、他県と同じくネットができる程度の環境はあるのである。

「シャーマンを探すにはあんなジャングルを越えなきゃいけないのか!?」

己が直にグンマーを目にしたことにより、シャーマン探しの多大なリスクをレンは理解し打ちひしがれる。
自分が大海……いや、群馬を知らない井の中の蛙であると納得せざるおえなかった。
レンは思わず、グンマーの大きさに呆気にとられて両膝を床につける。

(無理だ……戦いに不慣れな俺じゃ集落にたどり着く前に死ぬのが関の山だ)

そう思ったレン、そのまま床に手をつき、床と目を合わせる、すなわち群馬への敗北のポーズであった
そんなレンをネルはスタスタと横切る。

「わかった? シャーマンに会うのはピクニックに行く気軽さじゃ無理ってことよ。
――それじゃあ、陽はとっくに昇ったことだし、アタシはもう行くわ」
「……へ?」

ネルの言葉に耳を疑い、レンは一度、床に向いていた頭をネルの後ろ姿が見える正面へと向ける。

「ちょっと待て、一人であんな場所にいくつもりなのか?」
「そうよ、何か問題でも?」
「無茶だ、危険過ぎる! 本当に死ぬかもしれないぞ!?」

いくら仲が悪いとはいえ、死地に飛び込もうとする幼馴染をレンは放っておけなかった。
レンの言葉にネルは振り返らぬまま、答えた。

「覚悟の上よ、下手すりゃ死ぬかもしれないわね……でも、大切な人が死ぬのはもっとイヤ。
テトのために何もしないで、どこかの隅っこガタガタ震えているぐらいなら死んだほうが良いとアタシは思っている。
最悪でも、大切な人のために尽力して死んだとあらば、アタシは自分を誇れるからね」
「な……ッ!」

929不幸少年、群馬へ:2013/05/27(月) 12:32:13 ID:deo./7ig0

ネルの覚悟の強さにレンは絶句した。 彼女のテトを想う気持ちは本物なのだ。
グンマーの危険さを理解した上で、無茶を承知で死地に飛び込もうとしているのだ。
それに比べて自分は……グンマーの危険性に竦んでしまい、情けなく思えた。
勇気でネルに負けているというのが悔しくてたまらない。
だからこそ、家族を守りたい気持ちの強さを示すため、少年は強く決意した。

「……俺も行くよ」

背後からの静かながらも強い一声にネルは、今度は振り返った。
レンはいつの間にか立ち上がっていた。

「言っとくけど、同情ならいらないわ。 アタシが言うのも難だけど無理はしない方が身のためよ」
「そうじゃない! 一人で行くより二人以上で行く方が危険が減ってシャーマン探しも楽になるハズだ。
俺だって一秒でも早く家族に会いたいんだよ。 例え命を賭けてでもな!」

レンの眼には怯えは一切なく強い覚悟が浮かび上がっており、言葉には重みはあった。
それを見てネルは、いつものレンを馬鹿にする嘲笑ではない笑みを口につくり、返答する。

「良いわ、協力することでシャーマンと接触できる可能性が増えるかもしれない――アンタの言った事は一理あるし、行動を共にしてあげるわ。
ただ勘違いしないでよね、アタシもミクたちの安否が気になるから仕方なく協力するんだからね」
「あ、ああ。 こっちこそおまえはともかく、テトさんは気がかりだからな、仕方なく行動を共にするだけさ」

グンマーの奥へ向かい、集落でシャーマンを見つけ出し、家族・知り合いを探させる。
集落にたどり着くまでにどんなに辛く危険な障害があろうとも、乗り越えようとする覚悟はできた。
そんな方針が出来たところで、レンは観音寺に振り返る。
シャーマン探しはあくまで自分たちの都合であり、命の恩人である観音寺まで危ない橋までつき合せる必要はない……レンはここでお別れの言葉を言うつもりなのだ。

「観音寺さん、今までありが(ry」
「う、ううう、まだ幼いながらも、なんと勇気のある子供たちなのだ……う、ううう」
((お、男泣きッ!?))

ありったけの感謝を込めて礼と離別の言葉を贈るつもりが、観音寺は特徴的なサングラス越しに大粒の涙を流していた。
呆気に取られて、レンとネルは驚いていた。
やがて、ハンカチで涙を拭い鼻水をかむと、いつものテンションに戻った観音寺が少年少女に宣言した。

「ボハハハハハーッ!
驚かせてすまない、君たちの身を削ろうとする覚悟に感極まり涙してしまった。
その覚悟に敬意を表して、このドン・観音寺もシャーマン探しを手伝ってあげよう!」

なんと観音寺がシャーマン探しに手を貸すと言い出したのだ!
レンは不安を胸に抱いて観音寺に言った。

「でも観音寺さん、気持ちは嬉しいけどグンマーは危険そうですし、無理に付き合わなくても……」
「ノープロブレムさ、ボーイ。 ……それに、私にはある秘策がある」
「……秘策?」

@ @ @ @ @

930不幸少年、群馬へ:2013/05/27(月) 12:33:47 ID:deo./7ig0

必要な荷物をまとめ終え、山小屋を後にすることになった一行。
支給品を一通り確認して武器として使えるものは、レンのビームサーベルに似た剣、ネルの某ヒーローがもってそうな光線銃、観音寺の怪しいステッキのみ。
ちなみにスポーツカーでは流石にジャングルを通れないので山小屋近くに放置することにした。
これだけの装備でジャングルを越えていくのは難しいだろう。 しかし、観音寺には危険地帯を進んでいけるだけの考えがあった。

「私にはスピリッツたちの姿が見え、声も聞くことができる。
すなわち、このグンマーで亡くなった者たちの導きに従えば危険を最小限に減らせるというわけだ」

殺し合いが始まる以前からこのジャングルで命を落とした冒険者などがいる。
つまり、いまだに霊となってさ迷っている者もいるハズだ。
そこに目を付けた観音寺は己の霊感を活用し、道中で幽霊から情報を得ることで、冒険家のような知識を持たない三人でも密林突破の道が見えてくるだろう。

「それ、本当に信用できるの?」
「まあ、その辺は観音寺さんを信じようぜ」

霊感が無いため、いまいち観音寺の霊能力を信じられないネル。
同じく霊感はないが、観音寺が嘘をつく人間には見えないので、レンは彼の人柄の方を信じることにした。
そんなこんなで、霊が見える観音寺を筆頭にジャングルを進んでいく一行。
だが、進む途中でレンの足元が一瞬フラついた。
一行の後ろを歩いていたネルが心配とも罵声ともとれる言葉をレンに投げかけた。

「ちょっとアンタ、疲れがまだ取れてないんじゃない?
やっぱり山小屋で大人しくアタシや観音寺さんを待ってれば良かったんじゃないの?」
「むかるみに足を取られただけさ。 気にするなよ」

仲の悪い幼馴染に弱みを見せたくないレンは気丈に振舞う。
しかし、睡眠を取ったにも関わらず、疲れやダメージが体に残っているのも事実だった。

(全部あの夢のせいだな……アレのせいでろくに眠れやしない)

最近よく見る、自分が多くの者を性的な意味で襲う夢。
その夢のせいで寝不足であり、その夢を見たくないためにこれ以上睡眠を取ろうと思わなかったのだ。
生きてる以上は睡眠を取らねばならず、寝れば悪夢を見る、このままでは身も心も持たない。
そこでふと、レンは思いついた。

(シャーマンに頼めば悪夢について何かしらわかるかもしれないな。
家族のみんなを探すついでに聞いてみようか)

強い霊能力を持つ人間なら、自分が見る悪夢について何かわかるかもしれないと睨んだレン。
家族の行方が第一だが、できれば悪夢を見ずに済む方法や夢が何を暗示しているのかわかれば御の字と思い、仮にシャーマンと接触できたら聞いてみよう。
そう思ったレンはフラついていた足をシャンとさせ、観音寺の背を追いかける。

@ @ @ @ @

一方、ネルにはレンや観音寺には秘密にしていることがあった。
それは群馬のシャーマンを探し求めている理由である。
師である重音テトを探していることに嘘はない。
他者に隠しているのはもう一つの理由であり、それは――

(かく言うアタシも寝不足だわ……あの悪夢のせいで)

実はネルもレンと同じく、連日のように悪夢を見ているのである。
化粧でカモフラージュしているが、目の下にはクマが溜まっている。
ネルを眠らせないその夢の内容は凄まじいものだった。

(まったく、なんでアタシが黒光りしたガチムチになったり○○○ー中に殺されたりしなきゃならないのよ!
たかが夢とはいえ毎日のように見てたら気が変態……いや、気が変になりそうよ)

己が変態になる夢にネルは頭を痛めていた。 そして、前を歩いているレンの背中を見る。

(しかも、どのアタシもコイツが好きだったとか……勘弁してよ!
なんでこんなお子様を好きにならなきゃいけないわけ?)

現実ではネルはレンに恋愛感情を抱いておらず、男としても意識していない。
反対に夢の中ではどの自分も狂ったようにレンをなぜか愛していた。
このような悪夢が続いた結果、ネルは不眠症になってしまった。
このままではまずいと彼女は考える。
ストレスと寝不足はお肌に影響が出てくるだろうし、一介のアイドルとして美容を損なうのは致命的だ。
そこで彼女はシャーマンの噂を聞きつけたのである。

931不幸少年、群馬へ:2013/05/27(月) 12:34:56 ID:deo./7ig0
(もし運がよければネルを探させた後に悪夢について何かわかるかもしれないわね……そう信じて奥地を目指すわ)

ネルの捜索が第一なのは変わりないが、それと同時にシャーマンに悪夢の謎について聞くつもりのだ。
聞くときはレンや観音寺には知られぬよう秘密理に聞く予定である(なぜ秘密にしているのかは夢の内容からお察しください)。
しかし、彼女は知らなかった。
目の前にいるレンも似たような悪夢を見ていることに……


少年少女霊媒師……それぞれの思惑を胸にグンマーでの冒険が今、始まった……



【一日目・9時30分/群馬県(グンマー・入口)】
※『群馬県』の内部に危険なジャングル『グンマー』があるようです。


【鏡音レン@VOCALOID】
【状態】疲労(中)、精神疲労(中)、不眠症
【装備】ゼットセイバー@ロックマンX
【道具】支給品一式
【思考】
基本:生き延びて家族と再会する
1:いち早く家族を探すために仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
2:KAITOとミクとは優先的に合流する
3:できれば1のついでに悪夢の件もシャーマンに尋ねてみる


【ドン・観音寺@BLEACH】
【状態】健康
【装備】超スピリッツ・ステッキ @BLEACH
【道具】支給品一式
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:レンとネルを守る
2:他の家族も探し、守りたい
3:レンやネルたちの家族・知り合いを探すため、仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
※グンマーで亡くなった幽霊の導きに沿ってジャングルを進むため、危険を最小限に減らせます


【亞北ネル@VOCALOID派生】
【状態】不眠症
【装備】アルファガン@チャージマン研!
【道具】支給品一式
【思考】
基本:行方不明のテトを探す
1:テトを探すために仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
2:夢の件はレンたちには秘密にしておく
3:できれば1のついでに悪夢の件もシャーマンに尋ねてみる
※9期までとは別人です。 ただし、レンと似たように変態になる夢は見ている模様
※重音テトとは師弟関係があり、テトの弟子設定です

932不幸少年、群馬へ 修正:2013/05/28(火) 02:18:30 ID:TTmdbN0o0
>>931 よく見たらテトと書くべきところがネルになってた 修正

(もし運がよければテトを探させた後に悪夢について何かわかるかもしれないわね……そう信じて奥地を目指すわ)

テトの捜索が第一なのは変わりないが、それと同時にシャーマンに悪夢の謎について聞くつもりのだ。
聞くときはレンや観音寺には知られぬよう秘密理に聞く予定である(なぜ秘密にしているのかは夢の内容からお察しください)。
しかし、彼女は知らなかった。
目の前にいるレンも似たような悪夢を見ていることに……


少年少女霊媒師……それぞれの思惑を胸にグンマーでの冒険が今、始まった……



【一日目・9時30分/群馬県(グンマー・入口)】
※『群馬県』の内部に危険なジャングル『グンマー』があるようです。


【鏡音レン@VOCALOID】
【状態】疲労(中)、精神疲労(中)、不眠症
【装備】ゼットセイバー@ロックマンX
【道具】支給品一式
【思考】
基本:生き延びて家族と再会する
1:いち早く家族を探すために仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
2:KAITOとミクとは優先的に合流する
3:できれば1のついでに悪夢の件もシャーマンに尋ねてみる


【ドン・観音寺@BLEACH】
【状態】健康
【装備】超スピリッツ・ステッキ @BLEACH
【道具】支給品一式
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:レンとネルを守る
2:他の家族も探し、守りたい
3:レンやネルたちの家族・知り合いを探すため、仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
※グンマーで亡くなった幽霊の導きに沿ってジャングルを進むため、危険を最小限に減らせます


【亞北ネル@VOCALOID派生】
【状態】不眠症
【装備】アルファガン@チャージマン研!
【道具】支給品一式
【思考】
基本:行方不明のテトを探す
1:テトを探すために仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
2:夢の件はレンたちには秘密にしておく
3:できれば1のついでに悪夢の件もシャーマンに尋ねてみる
※9期までとは別人です。 ただし、レンと似たように変態になる夢は見ている模様
※重音テトとは師弟関係があり、テトの弟子設定です

933これが本当の血の池地獄:2013/06/11(火) 20:53:11 ID:kLtyHF220
「ぐげ……ぐげげげげっ……」
先程の出来事……入浴シーンを覗いたらデブがいた……でショック死したはずの某ジムリーダー。
しかし、彼はよみがえった。そう。彼も、かの症候群の罹患者。
死んでもしれっと生き返る、そんな体質の持ち主なのだ。
……だが、今回は様子が違う。L5状態よろしく、目をかっぴらいておかしな笑い声をあげている。
そう、発狂していた。

そんな発狂モードの奴さんは温泉ですっかり蕩け切ったデブガキの首根っこを……つかみあげた。
ぽっこりお腹の下にはポークビッツがぶらんぶらんぶら下がっている。
そんな状態で、デブガキは抗議した。

「おい、こら!いきなり何すんだサノバ」

デブガキの言葉は最後までつづられることは、なかった。
なんでかって?壮絶なまでのスピードで、ジムリーダーがデブガキを地面にたたきつけたから。

「ぐげえ!?」

ヒキガエルのようなうめき声をあげる、デブガキ。
それを無視するかのように、ジムリーダーはデブガキの足首(太い)をつかみあげたかと思うと
その辺にあった木に……打ちつけた。さらに上がる、唸り声。

「げげげげげげげ、うけけけけけけ!!!」

気が狂ったような哄笑をあげながら、ジムリーダーは何度もデブガキをスイングし木に殴りつける。
そうこうしている間にデブガキはうめき声を上げるのをやめた。
無理もない。デブガキはただの血に汚れた肉の塊と化してしまったのだから。

【エリック・カートマン@サウスパーク 死亡確認】
死因:虐殺

デブガキ「だった」それを温泉に投げ捨てるとデブガキの物「だった」リュックを手にとり、
狂った笑いをあげながら、ジムリーダーはこの場所から去った。
温泉はすっかり血の赤に染まっていた。

【一日目・9時03分/日本・富山県】

【タケシ@ポケットモンスター】
【状態】健康、発狂
【装備】普段着
【道具】支給品一式×2
【思考】
基本:おねえさん以外の存在を皆殺し。もちろん、野田総理も。
1:ぐげげげげげげげげ

934野球って恐ろしいからね?:2013/06/18(火) 01:45:41 ID:cW9DedA.0

 長野県の地方球場。
 ここで拳王軍は初試合を行っていた。
 対戦相手は日本政府。負けたら死亡と言う理不尽なルール元で行われた。

「あーイライラする、ミク型のサンドバックがほしい」

 ベンチで煙草を吸いながら、MEIKOはシャドーボクシングの真似事をする。
 先発し5回を投げて、四失点とピリッとしないピッチング。
 打撃の方も、15打数1安打7三振と大して活躍しなかった。

「うぬ……あの審判団はどう考えても野田の配下だな」

 ラオウは初回、一塁塁審をぶっ殺してしまい即退場。
 拳王に敵対してしまったから仕方ないのだ。
 罰金20万ほどはムギちゃんが支払い事なきは得た。

「まぁ、勝ったからいいじゃないですか(ニッコリ)」
「ハ、ハチミツ……」
「はい、ハチミツ」
(イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん
 イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん
 イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん
 イチローさんは一体、何処に……?)

 勝てば官軍なのだ。
 負ければ終わり、それがロワでのスポーツである。 
 ちなみにスコアは……


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃日┃4 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃拳┃6 ┃9 ┃1 ┃3 ┃5 ┃4 ┃2 ┃3 ┃×┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻

 4-33。

 進さん、殿馬、プニキ、クロえもん、平等院さん、そして、我らがムネリンが大活躍したのだ。
 日本政府相手言えど半数近くがプロ野球やらで活躍する連中では歯が立たないのも当然であった。
 プニキは途中リリーフに回り、好投球。
 その結果《ハチミツ》不足に陥ったが、ムギさんにハチミツをもらった。

「野球って面白いよな!」
「……そうかもしれないな」

 その時である。

935野球って恐ろしいからね?:2013/06/18(火) 01:46:15 ID:cW9DedA.0

「……ガハッ……でやんす」
 
 矢部君が倒れた。
 それはもうバッタリと。
 拳王軍の皆さん(特にクロえもん)はすぐさま矢部君に駆け寄った。
 
「矢部君、一体どうしたんだ!?」
「クロえもん君、オイラ……実は野球をやっちゃいけない身体だったでやんすよ……」
「な、なんだってー!? そんなの初耳だよ!!」
「パワプロ99開幕版や決定版の冥球島でも1/65の確率で起こるイベントでやんすよ……」
「矢部さん……そんな古いネタ誰も覚えていませんよ!!」
「しかも、メタ発言ね」
「うぬ……貴様、真矢部ではなかったのか?」
「気持ちだけは、真矢部だったでやんす……でも、最期にみんなと野球が出来てよかったでやんす。
 クロえもん君、必ず、この、殺し合いを打破するでやんす……」
「ああ、必ずやってやるさ」
「約束でやんす、よ、オイラの親友……ガクッ!」

「矢部くん……矢部くーーーーーーーーーん!!」


 矢部明雄、死す……於テラカオスバトルロワイアル。


「矢部、貴様もまた……野球に生きた男だったようだな……
 この拳王にも……まだ涙が残っていたようだ……」
「ラオウさん……貴方の出典は原作北斗の拳ですよね?」
「これが……野球……!」
「だが、矢部さんがいないセンターを誰が守るんですか?」
「……『千石うぐいす』……」
「プニキさん、それは先程、野田総理に呼ばれた……」
「奴は外野手……それもセンターとMEIKOが言っていた……」
「本当か、MEIKOよ!?」
「ググったからね……今、そいつらは東京にいる」
「なら、急ぎましょう!」
(イチローさんもきっと戦ってるに違いない、急がなければ)

 そして、拳王軍の皆さんは平等院さんの支給品だった『電車ごっこロープ』を使って東京に向かった。
 運転手はラオウ、車掌は平等院さんである。


【一日目・9時30分/日本・長野】
【MEIKO@VOCALOID】
【状態】健康
【装備】アルティメットアーマー@ロックマンXシリーズ
【道具】支給品一式、ノートパソコン@現実
【思考】
基本:殺し合いに乗った者達を殺す
 1:ミクとKAITOを殺す
 2:ラオウ達に協力してもらう
※今までとは別人です。

【琴吹紬@けいおん!】
【状態】精神的にぶっ飛んでる
【装備】核ミサイル、現金1兆円ほどが入った特注ジュラルミンケース
【道具】支給品一式、たくあん@現実、その他不明
【思考】
基本:生き残ることを最優先
1:拳王とやらの配下になる
※今までとは別人に決まってんだろ!!いい加減にしろ!!

【ラオウ@北斗の拳】
【状態】健康
【装備】炭酸水
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
基本:野田総理を倒す
0:東京に向かって、千石鶯とかいう奴を拳王軍に引き入れるぞ!!
1:そして、拳王が新たな時代を作る
2:死兆星から使者の小娘を配下にしたぞ!
3:トキ似の男を配下にしたぞ!
4:強そうな鎧の女を配下にしたぞ!
5:謎の黒猫たちを配下にしたぞ!
5:ミクとKAITOを倒すぞ!

【平等院鳳凰@新テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】テニスラケット、テニスボール×∞、諭吉一枚
【道具】支給品一式、少年ジャンプとヤンジャン、その他不明
【思考】基本:主催者達を滅ぼす
1;マーダーも滅ぼす
2:ラオウたちと行動する
3:テニスがしたいが、野球をする

936野球って恐ろしいからね?:2013/06/18(火) 01:46:49 ID:cW9DedA.0


【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】
【状態】健康、全ステータスMAX
【装備】木の棒
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:ムギさんからハチミツを貰うために野田を野球で潰す
1;ホームランを打つ

【川崎宗則@現実?】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式
【思考】基本:イチローを倒してでも、マリナーズに連れ戻す
1:戦力を集める
2:イチローがいるであろう、東京に向かいたい

【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式 電車ごっこロープ
【思考】基本:野田総理に野球で挑んで勝つ!
0:矢部君の意志を継ぎ、殺し合いを打破する
1:最低でも四国アイランドリーグが出来るくらいの仲間を集める
2:イチロー選手を仲間に引き入れたい

【殿馬一人@ドカベンシリーズ】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式、グランドピアノ@現実
【思考】基本:生き残る
1:イチローと合流したい

【猪狩進@パワプロシリーズ】
【状態】健康
【装備】バット、ボール、ミット
【道具】支給品一式、野球マスクのマスク@パワポケ
【思考】基本:殺し合いを止める
0:兄(猪狩守)が心配
1:知り合いとの合流



【日本政府軍 死亡確認】
死因:野球に負けた
【一塁塁審 死亡確認】
死因:ラオウの北斗剛掌波

937光熱斗の奇妙な冒険 Part2:2013/06/28(金) 16:52:37 ID:H7/sAQ/A0

「不幸だーっ!」

 もう何度目かツンツン頭の少年――上条当麻が叫んでいた。

 まずは開幕直後、デイバックを早々に開いた直後。
 基本支給品とランダムアイテムが入っていると思っていた。
 デイバックの中にエスパー伊東だけが入っていたのだ。
 そっとデイバックを閉じて、叫んだ。

 その後も、何度も何度も不幸な目にあった。
 だが、死ぬことがなかったという点で考えれば不幸ではなかったのかもしれない。

 第一回放送までで多くの人が死んだ。
 知り合いの名前が呼ばれなかったは幸か不幸か……

 第一回の放送も終わり「この殺し合いという、その幻想をぶち殺す」と、叫んだ直後だった。
 「お兄さん、千石うぐいすと末原恭子って二人を知らない?」
 と、尋ねられたバンダナの少年に話しかけられた。
 「知らないな」と、丁寧に返した。
 バンダナの少年が訪ねてきた。

「じゃあ、ネットバトル出来る?」

 バンダナの少年が「Aを押しながら←→→B」と言いながら、持っていた剣を振った。
 二つの斬撃が飛んできた。それもほぼ音速に近い速度で。

 それに対して上条さんは慌てず騒がず己の右手を眼前に差し出した。
 すると、斬撃は消えた。上条さんの幻想殺し《イマジンブレイカー》よって。

『熱斗君、いくらなんでもそれじゃあ無差別マーダーとやってることと同じだよ』
「だってさぁ……最近、ネットバトルしてないんだぜ、俺たち?」
「一理ある」
『シグナムも一理あるではない、光熱斗よ、少しは落ち着け』
「やはり、ネットバトルをすべきだな」

 少年が持っていた携帯機と近くにいた騎士風の女性の携帯機が少年の奇行を止めようとしていた。
 なお、騎士風の女性とデイバックから顔だけ出ている少年は妙に神妙な面持ちである。
 言っていることは完全にアレであるが……。

 その数分後。
 色々あり、完全に熱斗が悪いということでこの場は収まった。
 基本、熱斗は礼儀正しい少年なのだ。基本は。

「俺、上条当麻……」 
「上条……?」

 上条さんの名前を聞き、熱斗はピンときた。

「そうか、ディおじさんが言っていた『ジョジョ』ってのはお前のことだな!」
「………………………………………………………………………………………………は?」
『今度こそ全く持って訳が分からないよ、熱斗君』
「いや、世の中にはとある有名人を『ジョジョ』と呼んでいる輩もいる」
「あのう、言っている意味が分からないんですけど……」
「つまりさぁ、俺たちはディおじさんとジョジョさんを戦わせなければならない」
「確かにロワ内で原作の敵と決着をつけるというのは面白いかもしれないな」
『確かにシグナムさんが言うならそうかもしれないけど……カーネルもなんか言ってよ』
『ここはお前らに任せる』
「じゃあ……」
「そんなことより、ネットバトルしろよ」
「それだ! よし、じゃあ多数決だ! このデカオの意見に賛成の者は挙手!」

 熱斗とシグナムとデカオ×2とエスパー伊東が手を挙げた。

「反対の人、挙手!」

 上条さんはただ一人手を挙げた。
 しかし、結果は5対1なのだ。
 ディおじさんとは上条さんがネットバトルで決着をつけることに決まったのだ。

「ふ、不幸だぁぁぁぁぁーっ!」

 この結果を受けて、上条さんは再び叫んだのであった。

938光熱斗の奇妙な冒険 Part2:2013/06/28(金) 16:53:13 ID:H7/sAQ/A0
【一日目・8時30分/日本・日本橋】


【光熱斗@ロックマンエグゼ】
【状態】健康、激しい怒り
【装備】自分のPET(ロックマン入り)
【道具】支給品一式×2、大山デカオ@ロックマンエグゼ、大山デカオ@ロックマンエグゼ2、仙豆
    デカオ(ロックマンエグゼ3)が作ったおべんとう、チップトレーダー@ロックマンエグゼ、
    大量のガッツマンのチップとバグのかけら、ガンデルソル3(実物)ネオバリアブル(実物)、他不明
【思考】基本:野田総理にネットバトルを挑んで勝つ!
1:プリズムとフォレストボムのチップを探す
2:その為に色んな人にネットバトルを挑む
3:上条(ジョジョ)さんとディおじさんの決着をつけさせる
3:千石うぐいすと末原恭子を野田総理に引き渡す、その際にネットバトル挑む。


【ロックマン@ロックマンエグゼ】
【状態】HP満タン
【装備】ロックバスター
【道具】なし
【思考】基本;熱斗をサポートする
1:野田総理がネットバトルを受けてくれるか、心配。
※PETの中にいます


【シグナム@リリカルなのはシリーズ】
【状態】健康、自称フリーター
【装備】レヴァンティン
【道具】支給品一式、PET(カーネル入り)
【思考】基本:働かなくて済むように動く
1:二人についてくる
2:野田は倒す
3:上条(ジョジョ)か……一理ある
※今までとは別人ですが記憶を受け継いでいます

【カーネル@ロックマンエグゼ】
【状態】HP満タン
【装備】カーネルのブレード
【道具】なし
【思考】基本;ロワの破壊
1:今は(仕方ないので)シグナムに従う

【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【状態】健康、不幸
【装備】なし
【道具】エスパー伊東@現実
【思考】
基本:
                    いいぜ ヘ(^o^)ヘ
                            |∧
                            /
                野田総理が
             何でも思い通りに
             出来るってなら
                 /
             (^o^)/
           /( )
          / / >

      (^o^) 三
      (\\ 三
      < \ 三
..\
(/o^)
( / まずは
/く そのふざけた
   ロワをぶち殺す
1:ディおじさんというやつと戦わないといけないのか……

939混沌な名無しさん:2013/06/30(日) 22:02:48 ID:gN7LWgik0
ここは京都府。西本願寺をバックに幾人かの影が集結していた。
そして寺へと向かう影がまた一人。こうして影の数は十となった。
元いた影のうちの一人が口を開く。

「遅いぞ衝撃の。貴様で最後だ」
「すまん、最初に飛ばされたのが北の地だった故に遅れてしもうたわ」

眼帯をした『衝撃』と呼ばれた男は謝罪を述べつつ葉巻を銜える。
男の名前は衝撃のアルベルト。衝撃波を操る衝撃的な男である。
アルベルトに苦言を呈したのはアジアンチックな服装をした男。
彼は眩惑のセルバンテス。彼は物質を溶解させる力を持つが、彼の真骨頂は名のとおり幻術である。
噂によると平行世界を行き来することもできるらしい…。

「まぁ、こうして揃ったのだ。そこまででよかろう」
「うむ、激動のじいさまの言うとおり」
「なんせ状況が状況だ。我々とて集合が9時間かかるのもしょうがあるまい」

セルバンテスを諌める老人は超能力者、激動のカワラザキ。
カワラザキに便j…同調する男はテレパシー能力によりあらゆる蟲を操る暮れなずむ幽鬼。
最後に発言した奇天烈な帽子を被りキセルを口にする男は白昼の残月。
白煙を針に変えて打ち出す能力他様々な能力を持つ謎の男だ。

「それにしても本当に特別なことだ。我々十人がこうして集まるとは…」
「……」
「……」

次に口を開いたのは素晴らしきヒィッツカラルド。
指を弾くことによりあらゆる物を真っ二つに出来る。女子供にも容赦の無い危険な男である。
沈黙を保っているのは命の鐘の十常寺と直系の怒鬼。
かたやあらゆる生命を操る能力を持つ男。なお、作者は十常寺特有の台詞を再現できる腕がない模様。
かたや無口な連結棍を用いた武術の達人である。

「それよりもはやく本題に入ってほしいものだな。我々を集めたからには何かあるのだろう?樊瑞よ」

本題を急く赤い仮面の男は仮面の忍者赤影ことマスク・ザ・レッド。
忍術を扱う男で、忍者らしく冷酷で汚い忍者である。コワイ!
そしてそんな彼らを集めた人物は混世魔王・樊瑞。
彼らをまとめるリーダー格の男である。
そしてここに集いし住人の影は『十傑集』。表向きは世界制服を企むBF団の幹部で、前述したとおりスパロボもかくやの戦闘力を誇る集団だ。えらくマジで。


「うむ、どこにいるか分からぬ孔明からこのような指令が来た」

樊瑞は懐から折りたたまれた紙を取り出し開く。
そこに書いてあったものとは…?

「我々で野球チームを組み、参加者を駆逐せよ…だと?」
「おのれ孔明…ふざけたことを…!」
「私は構わんがね。ようするに野球で相手チームを真っ二つにすればよいのだろう?」

まさかの指令の内容に苦言を呈するカワラザキと残月。さしもの十傑集達にもざわめきが走る。
もっともヒィッツカラルドは大して気にしてないようだが彼はそういう男だ。
後半は別にかまわないが、問題は前半である。野球チームを組めと。そして文章はそれだけなのである。
策士孔明が何を考えてるのか分からないのは今始まったことではないが、こんなふざけた命令は初めてであった。

「そもそも分からんことが多すぎる…!日本を除いた全ての国の消滅にわけのわからぬ殺し合い…。
他のエージェントはともかく、あの孔明や我らがビックファイア様の行方も知れずじまいではないか。
その状態でこんな指令を出されてもどうにもならんわ…」

樊瑞の言うことに他に十傑集も頷く。
その時、衝撃のアルベルトが一人前に出た。

「ならば樊瑞よ。ワシに単独行動をさせてもらえぬか」
「衝撃の…」
「何、ワシ一人抜けたところで丁度九人。野球をするに支障はあるまい」
「うむ、孔明を探し知ってきていること全てを問いただしてくるがいい。野球の件は我々に任せろ!」
「承知した…われらがビックファイアのために!」

衝撃のアルベルトは一足先にこの場から一瞬にして立ち去った。
残った樊瑞ら九人はアルベルトを見送ると同じく本願寺から颯爽と影のように立ち去った。
そして誰もいなくなった。

940混沌な名無しさん:2013/06/30(日) 22:03:51 ID:gN7LWgik0

【一日目・9時/日本・京都府西本願寺】
【混世魔王・樊瑞@ジャイアントロボ】
【激動のカワラザキ@ジャイアントロボ】
【暮れなずむ幽鬼@ジャイアントロボ】
【白昼の残月@ジャイアントロボ】
【命の鐘の十常寺@ジャイアントロボ】
【眩惑のセルバンテス@ジャイアントロボ】
【素晴らしきヒィッツカラルド@ジャイアントロボ】
【マスク・ザ・レッド@ジャイアントロボ】
【直系の怒鬼@ジャイアントロボ】
【状態】十傑集走り中
【装備】いろいろ
【道具】いろいろ
【思考】
共通思考:野球で参加者を駆逐する
共通思考2:我らがビックファイアのために

【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ】
【状態】十傑集走り中
【装備】なし
【道具】支給品一式 、葉巻
【思考】
基本:単独行動する
1:カオスロワについていろいろと探る
2:孔明を探し、知っていることについて問いただす
3:自分から殺しはしないが邪魔な奴には容赦しない


タイトルは「結成、チーム十傑集」で

941rebirth:2013/07/04(木) 03:17:03 ID:7OGZAhuI0

「ファイナルターン!!」
「櫂さん、マナー違反ですよ!」
「それがどうした」
「……こ、これで終わりなのか?」
「それがどうした」

 全身をロックされた阿部に櫂は淡々と告げる。
 そう、ついに彼らのファイトも終局を迎えそうなのだ!

「……ブレイクライド・THE・ヴァンガード……!」
「あれは2013年7月6日発売の黒輪縛鎖のカードです!?」

 シャロは解説する。そら解説しないとみてる人分からないからね。
 その姿はまるで井崎君のようだった。
 というわけで、櫂君は発売したてのカード使ったよ。
 販促は基本だからね。某ボーグとは違うのだよ。

 その攻撃を受けて阿部さんは吹っ飛んだ。
 所謂、ヴァンガ魔法である。
 どういう原理か、はご想像にお任せします(イメージしろ!)。


「お前もリンクジョーカーの糧となれ、リバースしろ!」
「くっ、うがあああああああああああ!!」

 ファイトに負けた阿部さんは急に苦しみだした。
 それを尻目に櫂君とシャロは歩き出した。

「あのう、櫂さん、今いったい何を……」
「イメージしろ!」

【一日目・8時30分/日本・ヨコハマの公園】


【櫂トシキ@カードファイト!! ヴァンガード】
【状態】ヴァンガ脳
【装備】自分のデッキ
【道具】支給品一式
【思考】
1:強いファイターと戦う


【シャーロック・シェリンフォード@探偵オペラ ミルキィホームズ】
【状態】謎ミルキィ
【装備】かまぼこ
【道具】支給品一式
【思考】
1:(ちょっと怖いけど)櫂に着いて行く

「クク……ハハ……」

 そして、阿部も堕ちて……いや、リバースしてしまった。
 そら、カードファイトに負けたからね。

【阿部高和@くそみそテクニック】
【状態】健康、ヴァンガ脳感染
【装備】股間のジャッカル、自分のデッキ
【道具】支給品一式
【思考】
1:ヴアッー!ンガアッー!ドを極める

942もうパクリとは言わせない:2013/07/08(月) 05:39:52 ID:gNMV7LuU0
ズガン!

突如女性が空から落ちてきて…地面に直撃、死んだ。

----

【地獄】
「あの女と同じ面ってだけでむしゃくしゃする」
「よし復活させて目の前からいなくさせよう」

----

復活した彼女…「柊かがみ」は、当ても無く歩き出した。
「KAITO」という存在を殺そうとして。

【一日目・9時00分/千葉県・千葉市千葉大学跡地】

【柊かがみ(大学生?)@らき☆すた】
【状態】健康、記憶喪失
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】
1:「KAITO」を殺す
※第一回放送を聞いていません

【一日目・9時00分/地獄】

【閻魔大王@現実?】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】???
【思考】
1:あの面がうざい
2:あの面の奴らを追い返す

【千葉大学にいた人たち@現実?  死亡】
死因:激突の余波

943C(Chaos)ルートED:2013/07/08(月) 16:50:16 ID:gNMV7LuU0
「動かず戦わず自室に引き篭もっているだけか?
 何もせずに生き残れるほどカオスロワは甘くないのだよ!」
「しまっちゃうもんねー」
「ホワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
「マグニスさま、だ。豚が…」

その時!
ズガン、封印、ホワア、首コキャが化学反応を起こし、日本は沈没した!
【カオスロワ10期 死亡確認】
【カオスロワ10期の人たち全員 死亡確認】

(UFOEDみたいなノリ)

944--終了--からの--再開--:2013/07/10(水) 18:40:05 ID:Moi7V74w0
 「はぁー、なんだったんだろ」

『大宇宙の大いなる意思』の力により、先の出来事はリセットされた。
そんな太陽系第3惑星地球、の極東にある島国『日本』のどこか、1匹のヒツジが歩いていた。
彼女の名前はラミー。

「カドルズ、死んじゃったなー」

てくてくてく。

「これからどうしよっか、ミスターピクルス」
ラミーは手に持ったピクルスに話しかける。
何の変哲もない、ただのピクルス。
でも、彼女から見るとシルクハットをかぶり、くるりとカールしたヒゲがかわいいピクルスの紳士。
言ってみれば、ミスターピクルスはラミーの想像上の友達(イマジナリーフレンド)だった。
しばし、ピクルスを見つめるラミー。

「そっか……ひとまず他のみんなを探さなくちゃね……。
あ、あと殺しあいに乗っていない人達を探さないと!
そう言う人達を集めて、『ノダソーリ』って人にこんな残酷なことやめるように言おう!」

そうして、ラミーは歩きだす。
ほどなくして、4人の人影を見つけた。

「……人がいる!あ、あのすみません!あなた達は……」
4人に話しかけようとする、ラミー。
刹那、ラミーの手からミスターピクルスが離れた。

「どこ行くの、ミスターピクルス!まさか……だめー!!」

と、そんなこんなをしている間に……
4人の参加者達は道路標識の串刺しになって死んだ。

【安心院なじみ@めだかボックス 死亡確認】
【巨人小笠原@なんJ 死亡確認】
【アンドリューW.K.@現実? 死亡確認】
【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY 死亡確認】
死因:道路標識に串刺し

945--終了--からの--再開--:2013/07/10(水) 18:40:41 ID:Moi7V74w0
物言わぬ骸と化した、目の前の人達。

「ふえーん、これからどうしよおおおおおおおおおおお!」

そんな現状に、ラミーはただただ滂沱の涙を流すしかなかった。

【一日目・8時49分/福井県小浜市】

【ラミー@HappyTreeFriends】
【状態】健康、号泣
【装備】ふかふかの白いセーター、ミスターピクルス
【道具】支給品一式
【思考】基本:殺し合いには乗らない。
1:ふえーん!
2:殺し合いに乗っていない人達を探さなきゃ……


その頃、大宇宙の意思は大戸屋で飯などむさぼっていた。

【一日目・8時49分/福井県福井市にある大戸屋】

【大宇宙の大いなる意思@エクセル・サーガ(アニメ版)】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】???
【思考】
1:日本人はコメよね。

947ゴローちゃんとゴロちゃん:2013/07/19(金) 03:45:00 ID:3zWdrqDs0

(それにしても、腹が空いたな……)

 日本、本州の最北端、青森県大間。
 そこにゴローちゃんこと井之頭五郎はいた。
 北海道が禁止エリアと発表され、すぐさま移動したゴローちゃん。

(ひどいことしちゃったかな……いかんいかん、俺は腹が空いてるだけなんだ)

 一緒いた少女は置いてきた。
 移動の際に自分の邪魔をしてきたからだ。
 アームロックで動けなくしてやった。
 
(かわいそうにあの子もこの極限状態で気が狂ってしまったのだろう……)

 大体、ゴローちゃんが悪い。
 追ってきた僧侶も熊も軟体生物もアームロックで動けなくしてやった。
 そうでなきゃ自分も禁止エリアに巻き込まれるところだったのだ。
 これも大体、ゴローちゃんが悪い。
 まあ、ゴローちゃんが悪い。

 でも、そんなゴローちゃんにもピンチは訪れる。
 そらゴローちゃんが悪いことしたからね。しょうがない。

(うわー、アブラムシだよ……もうこんな時期か……)

 アブラムシ型のワーム。フィロキセラワームである。 
 もちろん、彼は無差別マーダーである。

 クロックアップしてゴローちゃんに襲い掛かる。
 それに対し、ゴローちゃんもクロックアップで対抗する。
 しかし、その時である。
 
『クロックアップ』
 ――CLOCK UP――

 第三者の声が響いた。
 ハチのライダー、仮面ライダーザビーである。
 
『ライダースティング』
 ――RIDER STHING――

 そして、すぐさま必殺技を放った。
 ワームはウンメイノーにされてしまった。必殺技だもの。

(すごい爆発だなぁ……)

 ゴローちゃんは素直に賞賛を送った。

 そして、その後その仮面ライダーザビーの正体が明らかになった。
 その正体は三島……ではなく、由良吾郎。通称『ゴロちゃん』である。
 彼は今……北岡先生を探していた。


「北岡先生を探してるんです」
「ああ、あの天才弁護士の……」

 昔、食い逃げした時の裁判で無罪にしてた恩もあったのでゴロちゃんの北岡先生を探すことに同意した。
 そして、二人の『ごろう』の旅は始まった。


【ヒ・ダリ@Delay Lama 死亡確認】
【くま@くまうた 死亡確認】
【メタモン@ポケットモンスターシリーズ 死亡確認】
【横井るみ@となりの関くん 死亡確認】
死因:禁止エリア(北海道)にいた

【フィロキセラワーム@仮面ライダーディケイド】
死因:ライダースティング

【茂野吾郎@MAJOR 死亡】
死因:車にはねられた

【一日目・9時15分/日本・青森県大間】
【井之頭五郎@孤独のグルメ】
【状態】普通
【装備】不明
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:北岡先生を探すのを手伝う
2:どこか食事ができる店は無いのか?

【由良吾郎@仮面ライダー龍騎】
【状態】健康
【装備】ザビーゼクター&ライダーブレス@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、高級外車
【思考】基本:北岡先生を探す
1:五郎と行動する

948四条貴音のラーメン探訪3:2013/07/19(金) 05:01:54 ID:hoXhptFs0
 
ホメガォ・・・


(┌┌┌┌┌┌;^q^)┐ホモォメガ・・・


いわゆる腐った淑女たちが集うと言われる池袋の乙女ロード。
鏡音レンを見失ったホモォ(オメガ融合済)が疲れからホモォ成分を求めにここに来るのは必然だったといえよう。
とりあえずタイバニか、黒バスか、あるいは新勢力Free!か。
同人誌の一冊二冊でもホモォ分を吸収しなければやってられない状態であった。


(┌┌┌┌┌┌;^q^)┐アマイノ・・・ベタアマナ、ホモォ・・・タベタイ・・・

()<ソンナノヨリ オレサマヲタベロ!!

(┌┌┌┌;^q^  )┐ ファッ!?


鬼畜眼鏡も好きだが甘いラブメンテナンスなホモもおいしくいただけるホモォ。
しかしそんなホモォの前に現れたのは、ベタ甘な絡みではなく激辛な辛味だった。
東京池袋に、その日、火柱が上がったのだ。


【ホモォ@現実? 死亡】



「さて……町まで来ましたが……これは一体?」
「メェー?」「メェー」

ラーメン探索の旅を続けつつ少しずつ人外の域へと足を踏み入れている、
ミステリアス銀髪美女・765プロ所属アイドル 四条貴音。と付き人めいた黒ヤギ、白ヤギは、
比較的過疎地な東京郊外から歩きで池袋へと到着したところだった。
そこで貴音が見たのは、白いまんじゅうにゴキブリの手が生えたような謎の生き物の死体であった。

「興味深いですね」

明らかに死んでいると分かったのは、ピクリとも動かないのと、もう一つ。
お腹に穴が開いているからだ。
近づいてよく見ればこの生物、体内を内部からなんらかの炎で焼かれ死んでいる。

「……何かを食べさせられて……それが体内で爆発して、死んだのでしょうか」
「メェー」「メェー?」
「おや、どうしたのです、黒ヤギさんと白ヤギさん」

考察を始めた貴音のスカートのすそを山羊たちが食べつつひっぱる。
そちらを向くと、どうやら目の前の生物の血なのだろう、黒墨のような水たまりがあった。
さらにそこから伸びる足跡めいた不思議な形の血の跡。
……それは明らかに人の足跡ではない。かといって動物の足跡でもなかった。
不意にスパイシーな香りが鼻をくすぐったのが、さらに不可解を強める。
貴音はしばし思考し、そして結論に至った。

体内で爆発が起きたから腹が割かれているのではない。
体内から「何かが出てきた」から腹が割かれているのではないか。

949四条貴音のラーメン探訪3:2013/07/19(金) 05:03:19 ID:hoXhptFs0
 
「つまり。これをやったのは、“人を殺す食べ物”」

……じゅるりと貴音は涎をぬぐった。

「そんなものがあるのならば、是非。――頂いてみたいものですね」


◆ ◆ ◆

究極にして至高のラーメン

◆ ◆ ◆


足跡をたどり池袋駅に着いた四条貴音は、
とりあえず駅の立ち食いソバ屋を攻めて主人をソバにして食べるとホームへと向かった。

【蕎麦屋さん@日常 死亡】

「……これは」

そして、四条貴音は驚いた。
電車がホームに止まっている。山手線の電車が。
通常、山手線の電車が停止することはない。
電車の中でもとくに山手線は、人を運ぶためだけの装置と化している。
駅員と乗客は統制をとって素早く乗り降りをし、停止から三十秒以内に発車するのが普通だ。
そのへんはロット制で統率をとっているラーメン次郎となんの違いもない。シビアなのだ。
しかしその山手線が、止まっている。ドアを開け放したまま。
ドアに血をこびりつかせたまま。
明らかな人身事故だ――止まるのであればそれくらいしかないのも合わせ間違いない。
だがそれくらいではもはや四条貴音は驚かない。
彼女が驚いたのは、ドアの向こうで無残に死んでいるそれが、彼女のよく知る者だったからだ。

「――――美希!」

駆け寄り抱き上げるもすでに意識はなく。
なぜか裸に剥かれ、全身に泥をつけた金髪の少女がそこで死んでいた。
周りにはたくさんの泥の手やマグマのような色の手、手袋などの動かぬ死骸がある。
が、重要なのは美希……星井美希の死に方もまた、ホモォと同じ。
腹を裂かれた内部焼死体となっている点だった。

「美希! 美希なのですか!」
「……美希ちゃんだよ。それは、美希ちゃんの、死体……」
「!!」

後ろからのか細い声に振り向けばそこにも知り合いの姿。
美希と同じく765プロで働く貴音の同僚のひとり、雪歩であった。
電車の床に座り込んで俯いている彼女のそばにも、一体の死体がある。
こちらはなにがなんだか分からないが異形の化け物だ。さすがにこれが真だとは初見では分からない。
だがやはり、異形の化け物の死骸もまた腹が突き破られ焼け焦げていた。

950四条貴音のラーメン探訪3:2013/07/19(金) 05:04:29 ID:hoXhptFs0
 
「雪歩。いったい何があったのです」
「美希ちゃんは襲われてたの。泥の手とマグマの手と、手袋さんに。
 それは真ちゃんがやっつけたんだけど……そのあと……がやって来て……」
「何が。何がやってきたのですか」
「男爵が」
「……男爵?」
「そうよ……それで……、
 みんなこうやってね……こうやって!!!!!」

突然、雪歩は立ち上がった。

「ご う や っ で お 腹 の 中 が ら 火 を 噴 く の !」
「!!」

脈絡もない! 唐突な現象!
雪歩は口から火を吐いた。かえんほうしゃより紅い、血のような炎だった。
ごうっ! 電車の中吊り広告を消し墨へと変えたその炎は紛れもなく本物だ!
辛すぎるモノを食べた時に人が呟く慣用句がある。
「口から火を噴きそうだ」。
しかしそれが実際に目の前で起きて。
さらに、少女の胃を焦がしながら、「それ」がけだるそうに外へ出てきたとき、
さすがの四条貴音も驚愕と焦りと共に困惑せずにはいられなかった!

「……ア〜。やっぱり俺様を“食べれる”奴はなかなか居ねぇかァ」

舌を出しながらあきれ顔をする「それ」の後ろで、雪歩だった死体がぼとりと倒れた。
そして呆然とする貴音を前に「それ」は、くくくと笑いながら自己紹介を始める。

「オ、新たな挑戦者かァ? まあ逃げようが俺様は勝手にオマエの口に入るがな。
 俺様はハバネロ男爵。辛味の王だ。見たところオマエの胃は強そうだな。どうだ――戦ってみるか?」

彼はハバネロ男爵という。
その名を冠したお菓子が売られているほど辛味界では名の知れた存在だ。
あまりの辛さに死者が出る――そんなキャッチコピーのお菓子だったが、現物はこれほどとは!
四条貴音は。
その最凶の植物男爵を前に、その狂気とオーラを前に、若干失禁しながら歓喜に打ち震えた。
いままでのラーメン探訪は一方的なゲームであった。
貴音は逃げる食材を捕まえて強制的にラーメンへと変え、食べる。それだけだった。

「しかし……貴方様は違う。
 貴方は食材でありながら、食い手を殺す“凶食”……!」
「ククッ、そうだ。怖気づいたか?」
「いえ」

今回の食事は、戦いだ。
貴音は愛用の銀の端を取り出し、黒ヤギと白ヤギに手で下がっていなさいの合図をする。
毅然とした態度を保ったまま、ハバネロ男爵のヘタを箸でつまんで口のそばへ持っていった。

「貴方様を食べ殺すことで。わたくしのらぁめん探訪はまた、一段階上のすてーじへ行けるはず」
「そうこなくっちゃな。さあ、いただかれろ!」
「ええ。いざ尋常に――!」

951四条貴音のラーメン探訪3:2013/07/19(金) 05:05:58 ID:hoXhptFs0
 
いただきますの六文字が誰も居ない電車に響いた。
次の瞬間。
山手線にもまた、火柱が上がり。しかしてそれは、強い銀色をしていた。


【菊地真@アイドルマスター 死亡】【萩原雪歩@アイドルマスター 死亡】
【星井美希@アイドルマスター 死亡】
【ブラッドハンド×いっぱい@ドラクエ 死亡】【マドハンド×いっぱい@ドラクエ 死亡】
【マスターハンド@スマブラ 死亡】【クレイジーハンド@スマブラ 死亡】   


◆ ◆ ◆

究極にして至高のラーメン

◆ ◆ ◆



「――カム着火ファイアァーッ!」
「――マグマキャノン!!」

ところ変わって池袋の大きな道路の中央付近、ここでも火柱が上がっていた。
ひとつは激おこぷんぷん丸が放つ火炎放射器の火炎。
もうひとつは仮面ライダーフォーゼ、ファイアーステイツへと変身した火野ケンイチのバトルチップだ。
二つの火炎は中空で対消滅し火花のみを遺す。お互い熱と運動による疲労で息を切らしている。

「クソッ。なんだてめえ。何の恨みがあってこのヒノケン様を攻撃するんでい!」
「しらないっ! 今あたし激おこぷんぷん丸だから! ウザいから、焼き殺すし!」
「埒が明かねえな!」

どれだけの燃料を蓄えているのか、激おこぷんぷん丸の火炎放射器は一向に炎の勢いを弱めない。
無差別マーダーはこれだから……ヒノケンは何度目かも忘れた舌打ちをしながら炎を避ける。

「おいケロロ! 人質は無事だな!」
「はいであります! ちゃんとガムテで口も塞いでいるでありますよ!」
「ならいい! 少し下がれ! こいつはプログラムアドバンスで殺す」
「!! 使うのでありますか!」
「ああそうだ。だから下がれ!」

ケロロと人質を下がらせるとヒノケンは三枚のバトルチップを取り出す。
「ヘルズバーナー3 C」「ヘルズバーナー3 D」「ヘルズバーナー3 E」。
それらをフォーゼドライバーの4つのスイッチ差し込み口の残り3つに差し込めば、起こる。


「プログラムアドバンス――ワイドバーナー3!!!」


ファイアーステイツの右腕が凶悪な形をしたバーナーへと変化する。
激おこぷんぷん丸が異変を察知し慌てて防御姿勢をとるが……ネットバトルはコンマ一秒の世界だ。
その一瞬が命取りになる!
火ッ
火ッ火ッ火ッ火ッ
火ッ火ッ火ッ火ッ火ッ火ッ火ッ火ッ火ッ!!!
放射状に広がる、拡大版の悪夢の火炎(ヘルズバーナー)だ!

「死ね!」
「あ……あああッ! 激おこスティックファイナリティぷんぷんドリームゥ!」

952四条貴音のラーメン探訪3:2013/07/19(金) 05:07:04 ID:hoXhptFs0
 
瀬戸際で聞こえたのは最終奥義的な技名を震えながら叫ぶ、ぷんぷん丸の声のみ。
炎が吸い込まれるように消えたその後にはもう、何も残らず全てが炭化した墨だ……?

「炎が……」「吸い込まれた、でありますか……!?」





  




「その“炎”、おいしくいただきました」
「!!」

――火野ケンイチとケロロの前には、いつのまにか別の人物が立っていた。
それは銀色に赤のメッシュが入った髪を波立たせた、赤い目の妖艶な美女であった。
いや、よく見ればそばに、激おこぷんぷん丸もいた。
しかしそれはもう足首だけを残して、女学生の頭部や上半身は墨にもならず消えていた。
おそらくはそばに立つ魔人の腹の中へと。……ヒノケンとケロロは顔を見合わせる。

(おい、これはまさか)
(間違いないでありますよ。あの女――“炎を食べた”であります。つまりは)

二人の意見は一致した。
間違いなくあそこにいるのは、化け物である。

「お初にお目にかかります。わたくし、四条貴音と申します。至高にして究極のらぁめんを」
「「“エスケープ”!!」」
「……あら」

ヒノケンの行動は早かった。
バトルチップ「エスケープ」の能力で強制的に戦線を離脱したのだ。
四条貴音がお辞儀をしてから顔を上げるまでの三秒が、ヒノケンの命を救った。

「せっかちな殿方ですね」

消えたヒノケンとケロロに対し無感情に貴音は呟いた。そのお腹で炎が渦巻いている。
のどが渇いた。
血でも飲みたいなと思う。

「……ばんぱいあに、なりますか」

四条貴音は、牙を生やした。



【激おこぷんぷん丸@現実 死亡】
【ハバネロ男爵@現実? 死亡(四条貴音が捕食)】

953四条貴音のラーメン探訪3:2013/07/19(金) 05:08:46 ID:hoXhptFs0
 
【一日目・9時15分/日本・池袋】

【四条貴音@アイドルマスター】
【状態】空腹、炎耐性(強)、きゅんっバンパイア化
【装備】白ヤギさんと黒ヤギさん@やぎさんゆうびん
【道具】支給品一式、調理器具とか食器とかもろもろ
【思考】
1:食欲を満たす
2:のどが渇いた
※ヤギさんたちもお腹が空いています
※血とか吸えます



エスケープのバトルチップで飛ばされる先はランダムである。
だがどうやらケロロ軍曹たちは東京のどこかに着地したようだった。

「ここは……」


【一日目・9時15分/日本・東京のどこか】

【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】健康、意気高揚、カエルゾディアーツ
【装備】ゾディアーツスイッチ@仮面ライダーフォーゼ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:バトルロワイアルを支配する
1:ノダの抹殺
2:ヒノケン殿に尽くす
3:人質作戦で末原をノダのとこに連れて行き、
 ……末原ごとノダを抹殺! であります! 完璧な作戦!

【火野ケンイチ@ロックマンエグゼ】
【状態】健康、ファイアーステイツ@仮面ライダーフォーゼ
【装備】フォーゼドライバー
【道具】支給品一式
【思考】
基本:バトルロワイアルを支配する
1:ノダの抹殺
2:ケロロ軍曹を従える
3:人質作戦で末原たちをノダの所に連れて行き、火祭りだぜ!
4:あの化け物女(四条貴音)には気を付けよう

【ファイアマン@ロックマンエグゼ】
【状態】フォーゼドライバーの内部プログラム補助
【装備】火のバトルチップ一式
【道具】なし
【思考】
基本:ヒノケン様に尽くす
1:燃やしたい……!

【善野監督@咲 -Saki-】
【状態】気絶
【装備】患者服
【道具】なし
【思考】
基本:……。
1:恭子……。

954このような間違いは結構よくある。:2013/07/20(土) 01:41:19 ID:4QQumP0M0
「おい、そこのお前」
新潟県のある街。ちょび髭男はたまたまそこにいた、海賊のような格好をしたラッコに声をかけた。
「なんだ?」
「お前はこれを知っているか?」
ちょび髭は徐に左手の親指、人差し指、中指をまっすぐ伸ばした。
残りの薬指、小指は小さく曲げている。
そう、理科の授業でおなじみの『フレミングの左手』の法則をちょび髭はやってみせたのだ。
「……フレミングの左手の法則だったかな?」
「正解だ。では、それぞれの指がなにを表してるか、知っているか?」

沈黙。

「支点力点作用点?」

また沈黙。

「それ、てこの原理でしょうがァァァァァァッ!!!」
ブッ壊れたタイプライターのようなぱらららららという音を立て、マシンガンをぶっ放すちょび髭。
珍回答をやらかした海賊ラッコは見事にハチの巣になった。

【ラッセル@HappyTreeFriends 死亡確認】

「マッタク、なんでみんなちゃんと理解しないんだ……。
俺の素晴らしい功績をしらん奴は全員皆殺しだ……。
そう、例え『ノダ・ソーリ』であってもな!」

彼の名はジョン・フレミング。
ゆとり教育を許せぬ、物理学者のひとり……。


【一日目・9時19分/日本・新潟県長岡市】

【ジョン・フレミング@現実?】
【状態】健康
【装備】一〇〇式機関短銃
【道具】支給品一式
【思考】
基本:フレミングの左手の法則をきちんと知らん奴を皆殺し。(野田総理でも許さん)
1:ゆとり教育なんて嫌いだー!

955からくりドーム大正義戦!:2013/07/25(木) 01:04:25 ID:7Nhz2q7E0
 
野球というスポーツはエンターテイメントだ。
行われている試合内容だけでなく、それを見て野次を飛ばしたり歓声を上げる観客、
応援団のトランペットの甲高い音などが合わさって生まれる「熱気」も含めて「野球」なのだ。

「だから……いまわたしたちに出来るのは、応援することですっ!」
「ええ! 旗は私が降りますので、みなさんは踊りを!」
「うはwwwチアコスで踊ってみたってやつだなwwwww」

千本桜ミクが勝利の二文字を掲げた旗を振る。
そのリズムに合わせ、どこから持ってきたのかチアガールコスをした吉川ちなつがボンボンを高く挙げた。
さらにその後ろには同じくチアコスをしたニコ厨などの姿もある。
からくりドーム。
ハラサン率いる大正義巨人軍vsイチロー率いる素人野球チームのプレイボールは迫っていた。
イチロー側にいた24人のうち、3人は殺され、ポッチャマは人質となった。
残る20人(DAIGOの腕輪の中のウルトラマンゼロを除いたら19人)からイチローは熟慮の末スタメンを選んだ。

◇イチローチーム スターティングメンバー◇

1番 ショート      長友佑○
2番 ライト       ロイ@FE
3番 セカンド      DAIGO
4番 ピッチャー    イチロー
5番 サード       北島〇介
6番 レフト        美堂蛮
7番 ファースト      佐治
8番 センター       TDN
9番 キャッチャー   伊吹萃香

残りのメンバーはチアコスで応援団へと回った。
千本桜ミクを筆頭に、ちなつ、霊夢。
伊藤誠、平田真、万玖波海、ニコ厨。そしてダイゴ(チャンピオン)。

そして勇次郎。

「勇次郎のチアコスやばいな……」
「なんで素直にチアコスなんてして仁王立ちしてんのあの人」
「さっきから微動だにしてないし」「ちょっと怖いわね……」

チアコスするにしては男女比というか、明らかにチアコスしてはいけない生物が混じっていたものの、
ともかく応援団は客席右側、イチローサイドのベンチの上に陣取って試合を盛り上げる。
BGMが何なのかは各読者の脳内で違うだろうから言及しない方向で行く。

「――さて、ようやくスタメンが決まったようだね。それじゃあプレイボールといこうか」

対し、左側の相手サイド。
パチパチと拍手をし、大正義軍ユニフォームに着替えた雀ヶ森レンが開始の音頭をとった。
ベンチから出てくるのは闇オーラを纏った強者たちだ。

956からくりドーム大正義戦!:2013/07/25(木) 01:05:36 ID:7Nhz2q7E0
 
◇大正義巨人軍 スターティングメンバー◇

1番 サード      ナッパ様
2番 センター     武田観柳
3番 ファースト    雀ヶ森レン
4番 ピッチャー  ◆6/WWxs901s
5番 セカンド      闇DAIGO
6番 キャッチャー   ラミレス
7番 ショート      ハレクラニ
8番 ライト       中邑真輔
9番 レフト       真壁刀義


ベンチには監督のハラサン、そしてDCSでムキムキになった松本人志。
松本には人質であるポッチャマが抱えられている。イチローたちはポッチャマを救うため、
大正義巨人軍と野球勝負をし、相手を負かさなければならない。

「みんな、済まない。もっと僕に力があれば、穏便に済ませられたかもしれないが」

イチローは自らが選んだスタメンたちに、運命を背負わせたメンバーに、ただ頭を下げた。
もとはと言えばからくりドームに行こうと言ったのはイチロー。
この状況を作ってしまったのもイチローだと考えれば優しい彼がメンバーに謝るのは必然だ。

「別に気にしてませんよ、イチローさん」
「要は勝てばいいんだろ勝てば」
「そ。売られたケンカは買うだけさ。大丈夫、この萃香様があんたのタマ、受け止めたげるよ」

しかし頭を下げるイチローにメンバーはからっとした声をかけた。
イチローサイドにいるメンバーは多少の意識の違いこそあれ、基本的には殺し合い反対派。
いいやつの集まりだといっても過言ではない。
巻き込まれた形となるこの状況で、わざわざ仲間内で誰かを攻めるようなことをする奴はいないのだ。

「……ありがとう。それじゃあ、やれるだけやってみよう!」
「「「「「「「「おう!!!!」」」」」」」

そしてイチローたちはグラウンドへと出ていく。
からくりドームの白い照明がそんな彼らの姿を鮮やかに照らし出した。


大正義巨人軍

         vs

              イチローチーム


――――プレイボール!

957からくりドーム大正義戦!:2013/07/25(木) 01:06:40 ID:7Nhz2q7E0
 
【1回表 イチローチームの攻撃】


O『澄み渡る青空! は見えませんが、白熱した熱気が入道雲でも生み出しそうな勢いを見せています!
  東京・からくりドーム! 数々の激戦が行われてきたこの地にまた新たな歴史が刻まれようとしています
  実況は担当者がいないということでわたくし太田光が! 解説には偶然ドームの中にいた二人をお招きしました』
K『どうも、解説のKAT-TUN カメナシです』
H『解説の野球応援系アイドル、姫川です! ……というか、えっと、
  なんで今回いきなり野球なんかやってるんだっけ? いまロワじゃなかったっけ日本』
O『俺もよくわかんないんだけどね。
  ともかく、監督のハラサンは大正義巨人軍を優勝させたいと。
  そのほかにも年棒契約とか、目立ちたいとか、そんな理由で野球やりたい奴がそろってるみたいよ』
K『えーっと、試合形式は描写の都合上、2回裏までで終わる短縮ルールだそうです。
  先攻はイチローチーム。アウトカウントは普通に3OUT。全員に打順が回らないかもしれませんね』
H『っと、始まるみたい?』

実況席からマウンドへ視点を移すと、バッターボックスにはイチローチームの最初の打者、
インテル長友がしっかりとバットを構えて立っているところだった。

K『1番に長友さんか……俊足を生かした初手バントかな?』
H『とにかく塁に出て、大正義イチローに回さないとだもんね。
  何回アウト取られずにイチローに回せるかで勝敗が決まるといっても過言ではないと思うよ』
O『初心者でも運動神経良ければバントは出来るかもしれねえしなあ。考えたな』
K『でも……そう上手くいきますかね……』

実況席のカメナシが不安をあおる発言をする。
なにしろ、相手ピッチャーの6/からは鬼気迫るオーラが出ている。
いったいどんな練習を受けたのかはしらないが、プロの野球選手でもたじたじな気迫だ。

「だけど、僕だってスポーツマンのはしくれ。一般人の君から、バントもできないようではな」
「そういう妄言は俺の“球”を打ってから言うんだな」

怖気づかない長友に対し、挑発する様にピッチングフォームをとる6/。
振りかぶって――投げる!

「!!」

K『あれは!?』

その球は――――――――野球ボールではなかった!


            \ │ /
            / ̄\
   ゴゴゴ    ─( || )─  ゴゴゴ
            \_/
           / │ \


O『あれは……トゲのついた黒球! カービィに出てくる触れると死ぬ存在!』
H『ゴルドーじゃん!』


「ぐっ!!」
「――無駄だ! ゴルドーに触れるということが、どういうことか分かってないのか?」

どうにかバットをゴルドーに重ね合わせた長友だが、そのバットが音を立てて破壊される!
そしてゴルドーはキャッチャー・ラミレスのミットの中へと収まっていった。

958からくりドーム大正義戦!:2013/07/25(木) 01:07:57 ID:7Nhz2q7E0
 
「そんなボールありなのか!」
「ありだ。さあ、テンプレなリアクションをとっている暇があるならば、自分の身の心配をするんだな」

長友は振るバットを失い、次の球も見送るしかない!
しかし……6/の手から放たれた次の弾は、呆然としていた長友をさらに唖然とさせた。

H『あっ!』

それは今までの投球よりも速い!
しかし明らかなボール球、いや……これは!?

「カオスロワの野球が普通の野球だと思ったら大間違いだ。これは野球という名の、殺し合いなんだよ!」

ニヒルに笑いながら6/は宣言する。
ベンチのハラサンも満足そうに頷く。
――6/の放った内角大幅オーバーの明らかなデッドボールが、長友の腹部をえぐっていた。
応援団は言葉を失いBGMも止まる。イチローチームのメンバーも顔を青ざめさせる。

「が」

長友がバッターボックスに倒れこみ……そして息を引き取った。
ハラサンが拍手を送った。大正義巨人軍のチームメイトもみな6/に賞賛のことばをかけている。
どうやら。
相手チームは今のこれを、「野球だ」と言い張るつもりのようだ!
からくりドームに流れていた野球独特の土臭い空気が、どんどん血の匂いへと変わる!
それは野球の名を借りた殺戮ゲームの幕開けであった。


【長友祐○@現実 死亡】


K『……大変なことになりましたね。一気に雰囲気が変わりましたよ』
H『あたしもいろんな試合見てきたし、芸能界だと変則ルールの野球もやったりするけどさ。
  さすがにこれは……止められないの太田さん!?』
O『多分止めようとしたら俺らのほうにあの“球”が飛んでくるぜ……奴ら本気だ。
  それに人質もとられてるし、どうすりゃいいんだか……お!?』

長友の遺体はラミレスに担がれてイチロー側のベンチへと運ばれていった。
ベンチは当然のようにざわついている。だが一度受けた以上、試合を放棄することは許されない。
血まみれのバッターボックスには二番目の打者、FEのロイが進み出るしかないのだ。
しかし……実況席は見ていた。深刻な顔をしたイチローが、バッターボックスへと向かうロイになにやら耳打ちをしている。

O『どうやらイチローチーム、なにか策があるようです』

しばらくして勇ましい目をしたロイがしっかりとした足どりでベンチから出てくる。
彼の瞳には動揺も焦燥もないように見える。人が死んだのにどういうことなのか?

「何か策があると見たが――」
「悪いけど、その球打たせてもらうぞ」

策など無駄だぞ、と続けようとした6/の言葉を遮りながら、
ロイはバットを取りだ……いや。それは、バットではなかった。

959からくりドーム大正義戦!:2013/07/25(木) 01:09:45 ID:7Nhz2q7E0
 
「僕はこれを使う。ボールが球状ならなんでもいいんなら、バットも棒状なら何使ったって構わないよな?」
「!!」

ロイは――火を纏った剣を6/に向けて突き出すように構えた。
これは彼の愛用の剣、マスターソードである!

O『おおーっとぉ! ここでロイ選手が扱いなれた剣を取り出しました!』
K『なるほど。ルール無用なのを逆手にとって、自分の土俵に持ち込めば』
H『まだ勝機はあるかもしれないわけだねっ! でも、問題はここからだよ……』

「ふん、剣だろうとバットだろうと関係ない。
 俺のゴルドーボールはラミレスのミットとの間に移動プログラムを組んである。
 その進行線上のものはすべて破壊する! それがこのボールだ。俺のボールは無敵だ!」
「投げてみれば分かるさ」
「……減らず口だ!」

実際6/の言うとおりであった。
バットが剣に変わったところで、無敵の球に触れることはできないのは変わらないはずだ。
6/はこの球で度胆を抜くためにかなりの修業を重ねた。
一歩間違えれば自分がダメージを負いかねないゴルドーボールを、カオスロワで得た知識と忍耐力で身に着けるのに、
かかった時間は3時間。そうやすやすとブレイクされてはたまらない!
ピッチャー6/は不敵に投げる!
トゲの付いた黒い悪魔がおおよそ130km/hのスピードでロイを襲う――!

「よし。煽れば最初からデッドボール狙いで来る。イチローさんの言った通りだったな」

対してロイは構えを変えた!
身を屈め、剣を防御姿勢で構えて、集中したまま……一瞬を待つ体勢!
これはスマブラでFEキャラが使える専売特許とでもいうべき技! 無敵に対する無敵返し!
特に彼の場合は――タイミングがむずかしい代わりに、炎を纏いしその威力は1.5倍!

「うぉおおおおおおおおお!!!」
「――――!!」

O『か、カウンター、決まったァ!』

カウンターである! 200km/hオーバーとなったゴルドーが一直線に6/へと帰っていく!
速度が二倍されれば衝撃は二乗! つまり速度を1.5倍返しすれば衝撃はだいたい二倍!

「な……何だと!!?」
「何がなんだかわかんねえけど……目の前で一瞬でも仲間だったやつ殺されて、
 黙ってる僕じゃないんだ! あんたには文字通り、倍返しで受けてもらうぞ!」

圧倒的殺人的ピッチャー返しが6/を襲う――――――がしかし!

「……残念ですがあなたのその攻撃は、僕のPSIクオリアに映っていましたよ」

ぽす。と。
ファースト雀ヶ森レンがすっと伸ばしたグラブへと、その打球は吸い込まれていった。
雀ヶ森レン。彼の持つ特殊能力、
PSIクオリアにはデッキのカードから勝利の方程式を導き出す能力がある。
それは予知にも等しい絶対の力だ。
ゆえに野球でもバッターの動き、ピッチャーの投げた球から、ゲーム展開を予測することは容易い。

「バッターアウト。次のバッターに交代しなさい、ロイさん。
 そして……そうですね……こちらもピッチャーを交代します、6/氏」
「!? 何言ってるんだレン! 俺はまだ投げれる!」
「ダメですよ。貴方のその球は目立ちたがりの一発芸のようなもの。いずれ対策されます。
 予想より早かったですが一度下げて様子を見ましょう。まだあなたには本命の“クルミ”もあるでしょう?」
「……ちっ。わかったよ。カオスロワ流儀を教えることはできたしな」




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板