したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

第二次二次キャラ聖杯戦争 part4

1 名無しさん :2019/01/06(日) 16:25:18 ID:w3v7G4MM0

ここは様々な作品のキャラクターをマスター及びサーヴァントとして聖杯戦争に参加させるリレー小説企画です。
本編には殺人、流血、暴力、性的表現といった過激な描写や鬱展開が含まれています。閲覧の際は十分にご注意ください。

まとめwiki
ttp://www63.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/

したらば
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/16771/

前スレ
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1420916017/


【参加者名簿】

No.01:言峰綺礼@Fate/zero&セイバー:オルステッド@LIVE A LIVE
No.02:真玉橋孝一@健全ロボ ダイミダラー&セイバー:神裂火織@とある魔術の禁書目録
No.03:聖白蓮@東方Project&セイバー:勇者ロト@DRAGON QUESTⅢ〜そして伝説へ〜
No.04:シャア・アズナブル@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア&アーチャー:雷@艦これ〜艦隊これくしょん
No.05:東風谷早苗@東方Project&アーチャー:アシタカ@もののけ姫
No.06:シオン・エルトナム・アトラシア@MELTY BLOOD&アーチャー:ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険
No.07:ジョンス・リー@エアマスター&アーチャー:アーカード@HELLSING
No.08:衛宮切嗣@Fate/zero&アーチャー:エミヤシロウ@Fate/stay night
No.09:アレクサンド・アンデルセン@HELLSING&ランサー:ヴラド三世@Fate/apocrypha
No.10:岸波白野@Fate/extra CCC&ランサー:エリザベート・バートリー@Fate/extra CCC
No.11:遠坂凛@Fate/zero&ランサー:クー・フーリン@Fate/stay night
No.12:ミカサ・アッカーマン@進撃の巨人&ランサー:セルベリア・ブレス@戦場のヴァルキュリア
No.13:寒河江春紀@悪魔のリドル&ランサー:佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ
No.14:ホシノ・ルリ@劇場版 機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-&ライダー:キリコ・キュービィー@装甲騎兵ボトムズ
No.15:本多・正純@境界線上のホライゾン&ライダー:少佐@HELLSING
No.16:狭間偉出夫@真・女神転生if...&ライダー:鏡子@戦闘破壊学園ダンゲロス
No.17:暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ&キャスター:暁美ほむら(叛逆の物語)@漫画版魔法少女まどか☆マギカ-叛逆の物語-
No.18:間桐桜@Fate/stay night&キャスター:シアン・シンジョーネ@パワプロクンポケット12
No.19:ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/zero&キャスター:ヴォルデモート@ハリーポッターシリーズ
No.20:足立透@ペルソナ4&キャスター:大魔王バーン@ダイの大冒険
No.21:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん&アサシン:ニンジャスレイヤー@ニンジャスレイヤー
No.22:宮内れんげ@のんのんびより&アサシン:ベルク・カッツェ@ガッチャマンクラウズ
No.23:ジナコ・カリギリ@Fate/extra CCC&アサシン:ゴルゴ13@ゴルゴ13
No.24:電人HAL@魔人探偵脳噛ネウロ&アサシン:甲賀弦之介@バジリスク〜甲賀忍法帖〜
No.25:武智乙哉@悪魔のリドル&アサシン:吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険
No.26:美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ&バーサーカー:黒崎一護@BLEACH
No.27:ウェイバー・ベルベット@Fate/zero&バーサーカー:デッドプール@X-MEN
No.28:テンカワ・アキト@劇場版 機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-&バーサーカー:ガッツ@ベルセルク

28 ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:31:27 ID:mzedvCtc0
投下乙です。孤独じゃないとしても、ひとりぼっちはこういう時さびしいな……
聖杯バックアップ説、魔力のないマスターが運用できる理由付けにもなっていいと思います

それではこちらも投下の準備をします

29 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:35:16 ID:mzedvCtc0



「うわっさぶっ」

正門を出たところで、思わぬ北風に身を強張らせる。
山の方は寒くなるとはいうが、この私服で早朝だとやや薄着だったかもしれない。
そういや、今は何月だったか。聖杯戦争の時の為の舞台でも季節は巡るのだろうか。
肌着のみでは寒いが厚着するほどでもない、オシャレのしやすい気候だとするとだいたい春ぐらいだろうか。
などと、どうでもいいことを乙哉は考えてみる。

「お〜お日さまきれーい!」

地平線から覗く曙光に目を細める。
手を広げて全身で受け止めると体も暖まってきた。
日の出とはいかないが中々の景色である。これを見れただけでも寺に来た価値はまあまああったかもしれない。
もちろん本命の目的も忘れてはいない。寺にいるとされるマスターとの接触、それが第一。
珍しい精進料理を食べて、ちょっと豪華なお風呂に入って、畳の上の敷布団で眠って。
総評して、いい気分転換になった。我慢が多く溜まっていたストレスの解消も出来た。
結果は上々。乙哉は階段前で振り返って、見送りに来てくれた尼僧に軽くお辞儀をした。

「それじゃあ、泊めてくれてありがとうございました、白蓮さんっ」

紫と亜麻の鮮やかなグラデーションヘアの住職は柔らかに微笑む。

「こちらこそ。お話を聞かせてくれてありがとう乙哉ちゃん」

僧が髪を染めてもいいのだろうかと疑問を抱かないでもない乙哉だが、楚々とした所作は驚くほど寺に馴染んでいて、そういった違和感を霧散させている。

「えー?学校の話なんて退屈じゃないですかー」
「いいえ。とても充実しましたよ。あまりお寺から出る事もないので、若い子お話を聞くのはとても新鮮ですもの」
「あはは、白蓮さんだって全然若いですよ。制服とか着ても意外とイケますって、きっと!」
「あらやだ、おばあちゃまをからかうものじゃありません」

一夜泊まっただけの短い間とは思えない、慣れ親しんだ会話。
乙哉も社交性は高い方だし、白蓮も柔和な性格だ。夜の会話は予想外に弾み距離はすぐさま縮まった。


乙哉から見ても、白蓮という女性は不思議だった。
妙齢には違いないのだが、ごく普通の仕草や佇まいが時折、青春の色を帯びる少女のようにも見せる。
いま言ったように服装と、肌にぴったりと纏った徳ともいうべき雰囲気さえ取り払えば、大人びた十代にも映るだろう。
―――残念な事に、想像してみても乙哉の性癖に反応はしないが。
乙哉としてはもっと無垢で、世の穢れなど知りもしない幼気な少女性が欲しいのだ。


「ところで……これから学校、へ向かうのですか?」

白蓮からかけられた言葉に、顔を出しかけた本性を引っ込めた。
今はまだ、欲望を曝け出す時じゃない。

「そうですよ。結局休講の知らせ来てないし」
「休む……というわけには、いかないのでしょうか」

うつむき加減での白蓮の言葉は、乙哉の身の上からするとあまりにも魅力的に聴こえた。

30 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:36:46 ID:mzedvCtc0

「やっぱそう思いますよねー!爆発事故とかあって、ガラスとか割れて危ないんだし休んじゃえばいいのに!」

乙哉は割と本音混じりで食いついて同意した。
元々勉学は億劫だ。
ひとつのそう大きくもない部屋に何十人も詰め込めて、座った席から離れることも許さずに。
その上こちらの睡魔を誘う言葉ばかりを五十分間延々と聞かせ続けた挙句、眠ってしまえば怒られる。
これはもう、ひとつの拷問だ。監獄での囚人生活となんら変わりない。

「でも行かなきゃなんですよね。単位ちょっと危ないし、先生達もうるさいし」

それになにより寒河江春紀がいる。
彼女がいるだろう生徒のマスターに、自分の情報を流している可能性を思えば行きたいと思えるはずもない。
しかし行かなければ本当にマスターだと確定してしまう。苦渋の決断だ。
この寺に来たのも、その時の為の保険の一環。

「……そうですか。勉学は大事、ええ、その通りです」

そうして話をした聖白蓮というマスターは、やはり『良い人』だった。
善人。聖職者。そういう想像通りの人。
乙哉が殺人鬼だと言われても疑わず庇ってくれる存在。
自分がマスターだとバレてしまっても、猶予の時ぐらいは与えてくれる関係。
いざという時のセーフティは、あればあるだけあった方がいい。
最悪の可能性が実現した場合には、ここは頼れる駆け込み寺になってくれるだろう。寺だけに。

だが大前提に、マスター同士は殺し合うのがルールだ。
白蓮も最終的には他人を排し聖杯を目指す競争相手。
弱みは、見せないに越したことはない。

「改めて、ありがとうございますっ。今度お礼しますから、また来てもいいですか?」
「お気持ちだけ有り難く戴きます。僧たるもの子供からお布施を受け取るわけにも生きません。
 遊びたいざかりなのもわかるけれど、羽目を外しすぎないようにね?」
「はーい、行ってきまーす!一成君にもありがとうって伝えておいてくださーい!」

まるで家で見送る母親に返事する子供のようなやり取りで。
手を振って階段を足早に降りていく乙哉の姿が、境内から完全に見えなくなるまで遠ざかったところで、白蓮は漸く送る手を降ろした。

肝試しに妙蓮寺に来た少女、武智乙哉。
明るい性格で、魔力妖力の気配も感じない、変哲のない少女。
学校の話。友達の話。
用意させた食事の折に、他愛のない世間話を幾つも聞いた。
どれも平凡であり、愛すべき平穏と暖かさな日常の欠片だった。
だからこそ、そこに紛れた『不純』は拭いきれない異物感となって現実に染みを残す。


「学校……ですか」

夕方に起きた爆発事故。
突如現れた蟲の大群。
行方不明になってる生徒。
明らかな異常事態には、サーヴァントによる戦いが見え隠れしている。
白蓮の、そしてセイバーの知られざる苦悩をよそにして、聖杯戦争は進行している。

月海原学園の様相は、唯一握っている聖杯戦争絡みの情報だ。
いつまでものらりくらりと茶をしばいてる猶予はない。かといって、まさか住職の身で学園の門を叩くわけにもいくまい。
寺での教えと学び舎の教えの種類が違う事くらいは、世に疎い白蓮にもわかっている。
だがもし、あの場で再び戦火が起ころうとした時は。
そこに無辜の生徒、何も知らぬ子供が巻き込まれようというのであれば。
社会の戒律に反してでも、峠を超えねばならなくなるのかもしれない。

31 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:38:20 ID:mzedvCtc0


勇者と魔王の相克。
ロトを尖端にして永遠に回り続ける螺旋を解く答えは未だ見えていない。
白蓮との問答で示された『ロトの勇気』が、どのような道を指すのか定かではない。
だが見えざる運命の糸は蒼穹の勇者の意思に関わらず、魔王の『器』が集う舞台へと誘い、巻き取ろうとしている。

英霊の本懐。
民衆の誰もが希望を灯し、心躍らせる神話の御伽噺の『再現』。
勇者と魔王の物語。
少しずつ、開戦のシナリオはお膳立てされつつある事を、白蓮もロトもまだ知らない。






下界と山門を繋ぐ長い階段の最後に足を着け、念の為に敷地から完全に出たところで、乙哉は潜み続けていたサーヴァントに声をかけた。

「アサシーン、もう出てきていいよー」

肉声で伝えた実体化の許可は、しかし返事は帰ってこなかった。

「あれ?」

怪訝に周りを見渡しても、やはり誰もいない。
早朝で人通りは殆どないとはいえ、ひとり虚空に向かって喋っているのを万が一見られるのは怪しまれる。そうでなくとも恥ずかしい。

『ここにいるさ、マスター』
「わっと」

アサシンの念話が突如として耳元、どころか脳味噌に直に入ってきた。
あまり慣れない念話でのやり取りに切り替える。

『まだ実体化しないの?もうあっちからは見えないと思うけど』
『それの心配もある…………が、今の問題はそういうんじゃないんだ。
 サーヴァントの実体化とはようするに生前の肉体の再構成だ。そうすると当然、霊体の時には感じない『生の実感』というのが戻ってくる。
 食事も睡眠も本来必要ないが、しておかないとなんとなく落ち着かなくなってしまう』
『……うん?』

アサシンからの説明は、今一要領の得られないもので、聞いている乙哉の頭に疑問符がつく。
まるで乙哉にではなく、アサシン自身に向けて言い聞かせているようだった。
それは、乙哉にも身に覚えのある感覚だ。
ちょうど昨日の夕方乙哉がミカサ・アッカーマンと別れた時のそれと相似していて、つまり、


『フフ………………ああ、やはりいい『手』だったな………………白蓮さん…………。
 あの綺麗な手と一緒にドライブしたり指輪を嵌めたり食事を楽しんだりしてみたい。いやあの美しさに余計な装飾はいらないなありのままの美しさこそが一番彼女の』


まあ、こういう状態だ。
念話で他人(マスター以外)に聞かれる心配がないのをいいことに、タガが外れたアサシンの『手』への感想は止まらない。
同業者(シリアルキラー)としてとびっきりの獲物に興奮するのは理解出来るが、聞かされる身からするとたまったものではない。

32 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:39:49 ID:mzedvCtc0


『この目で直接見れなかったのが残念でならないよ。だがそうすれば彼女に私の正体がバレてしまっていた。それはダメだ』
『そうだね、時々アサシンのいる方向見てたりしてたもんね白蓮さん。やっぱお坊さんだとそういうの感づきやすいのかな』

適当に相槌で流して会話には一応乗っておく。他人の性癖に茶々を入れるほど彼女も野暮ではない。
趣味は人それぞれだ。同業者(アサシン)たるもの一定のラインにまで踏み込まない線引きが重要だ。

『私のアサシンとしてのスキルが無ければ危うかったかもしれない。
 『暗殺』はしなくて成功だった。もっと準備が、時と場所を選ぶ事が必要となる』

吐き出すだけ吐き出してクールダウンしたか、幾らか落ち着いた調子で軌道修正するアサシン。

『こんな状態で実体化してしまえば、あまりのストレスに『彼女』に頬ずりしなければ耐えられそうもない。家に戻るまではこのままでいさせてもらうよ』
「あはは、それは見たくないかなー。ん、了解。作戦会議は後にしよっか」

マスターである白蓮が食いつくであろう種は蒔いた。後は芽が出るのを待つとする。
早朝のバス(時刻は携帯で検索した)に乗って自宅に帰り支度をして、再び外に出て学校に行く。
準備はたくさんある。細かい計画は落ち着いた後にしよう。


それに、ここまで捻れた『手』への執着ぶりには我がサーヴァントながら、ちょっと引きたい気分だった。
―――『同じ穴の狢』という格言を、乙哉が思い浮かぶことはなかった。




【B-1-C-1/命蓮寺/二日目 早朝】

【武智乙哉@悪魔のリドル】
[状態]:健康
[令呪]:残り3画
[装備]:私服、指ぬきグローブ
[道具]:ハサミ一本、携帯電話
[所持金]:普通の学生程度(少なくとも通学には困らない)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を勝ち取って「シリアルキラー保険」を獲得する。
0.家に帰ってから学園に向かう。
2.黒髪の女の子(ミカサ)を殺すのはまだ……
3.他のマスターに怪しまれるのを避ける為、いつも通り月海原学園に通う。
4.寒河江春紀を警戒。 最悪の場合は白蓮に頼る。
5.有事の際にはアサシンと念話で連絡を取る。
6.可憐な女性を切り刻みたい。
[備考]
※B-6南西の小さなマンションの1階で一人暮らしをしています。ハサミ用の腰ポーチは家に置いています。
※バイトと仕送りによって生計を立てています。
※月海原学園への通学手段としてバスを利用しています。
※トオサカトキオミ(衛宮切嗣)の刺客を把握。アサシンが交戦したことも把握。
※暁美ほむらと連絡先を交換しています。
※寒河江春紀をマスターであると認識しました。
※ミカサ・アッカーマンをマスターと確信しました。


【アサシン(吉良吉影)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、聖の手への性的興奮、『手』、霊体化
[装備]:なし
[道具]:レジから盗んだ金の残り(残りごく僅か)
[思考・状況]
基本行動方針:平穏な生活を取り戻すべく、聖杯を勝ち取る。
0.興奮を抑えたいので暫く霊体化。
1.白蓮さん……また会いたいな……
2.B-4への干渉は避ける。
3.女性の美しい手を切り取りたい。
[備考]
※魂喰い実行済み(NPC数名)です。無作為に魂喰いした為『手』は収穫していません。
※保有スキル「隠蔽」の効果によって実体化中でもNPC程度の魔力しか感知されません。
※B-6のスーパーのレジから少額ですが現金を抜き取りました。
※スーパーで配送依頼した食品を受け取っています。日持ちする食品を選んだようですが、中身はお任せします。
※切嗣がNPCに暗示をかけ月海原学園に向かわせているのを目撃し、暗示の内容を盗み聞きました。
 そのため切嗣のことをトオサカトキオミという魔術師だと思っています。
※衛宮切嗣&アーチャーと交戦、干将・莫邪の外観及び投影による複数使用を視認しました。
 切嗣は戦闘に参加しなかったため、ひょっとするとまだ正体秘匿スキルは切嗣に機能するかもしれません。
※B-10で発生した『ジナコ=カリギリ』の事件は変装したサーヴァントによる社会的攻撃と推測しました。
 本物のジナコ=カリギリが存在しており、アーカードはそのサーヴァントではないかと予想しています。
※聖白蓮の手に狙いを定めました。
※サーヴァントなので爪が伸びることはありませんが、いつか『手』への欲求が我慢できなくなるかもしれません。
 ですが、今はまだ大丈夫なようです。
※寒河江春紀をマスターであると認識しました。
※アーチャー(アシタカ)が“視る”ことに長けたサーヴァントであることを知りました。
 また早苗がマスターであることも把握しています。

33 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:42:21 ID:mzedvCtc0



【聖白蓮@東方Project】
[状態]全身打撲
[令呪]残り三画
[装備]魔人経巻、独鈷
[道具]聖書
[所持金] 富豪並(ただし本人の生活は質素)
[思考・状況]
基本行動方針:人も妖怪も平等に生きられる世界の実現。
1.学園に対して動くべきか思案。
2.サーベルや弾幕がどれくらい使えるのかを確認。できるだけ人目につかないように。
3.来る者は拒まず。まずは話し合いで相互の理解を。ただし戦う時は>ガンガンいこうぜ。
4.言峰神父とは、また話がしたい。
5.ジナコ(カッツェ)の言葉が気になる。
6.聖杯にどのような神が関係しているのか興味がある。
[備考]
※設定された役割は『命蓮寺の住職』。
※セイバー(オルステッド)、アーチャー(アーカード)のパラメーターを確認済み。
※ジョンス・リーの八極拳を確認。
※言峰陣営と同盟を結びました。内容は今の所、休戦協定と情報の共有のみです。
※一日目・未明に発生した事件を把握しました。
※ジナコがマスター、アーカードはそのサーヴァントであると判断しています。
※吉良に目をつけられましたが、気づいていません。
※セイバー(ロト)が願いを叶えるために『勇者にあるまじき行い』を行ったことをなんとなく察しています。
 ただし、その行いの内容やそれに関連したセイバー(ロト)の思考は一切把握していません。
※乙哉から学園での事故について聞きました(一般人が知る範囲)


【セイバー(勇者ロト)@DRAGON QUESTⅢ 〜そして伝説へ〜】
[状態]健康
[装備]王者の剣(ソード・オブ・ロト)
[道具]寺院内で物色した品(エッチな本他)
[思考・状況]
基本行動方針:永劫に続く“勇者と魔王”の物語を終結させる。
0.>夜間哨戒。白蓮から指示があればそちらを優先、
1.>白蓮の指示に従う。戦う時は>ガンガンいこうぜ。
2.>「勇者であり魔王である者」のセイバー(オルステッド)に強い興味。
3.>言峰綺礼には若干の警戒。
4.>ジナコ(カッツェ)は対話可能な相手ではないと警戒。
5.>アーチャー(アーカード)とはいずれ再戦を行う。
6.>少なくとも勇者があるかぎり、勇者と魔王の物語は終わらないとするなら……?
[備考]
※命蓮寺内の棚や壺をつい物色してなんらかの品を入手しています。
 怪しい場所を見ると衝動的に手が出てしまうようだ。
※全ての勇者の始祖としての出自から、オルステッドの正体をほぼ把握しました。
※アーカードの名を知りました。
※吉良を目視しましたが、NPCと思っています。 吉良に目をつけられましたが、気づいていません。
※鬼眼王に気づいているのは間違いないようです。
※白蓮からの更なる指示があるまですぐに駆けつけられる範囲で哨戒を行います。
※いくらロトが勇者として恥ずべき行為を行っても、『勇者』のスキルが外れることはまずありません。
 また、セイバーが『勇者ロト』である以上令呪でも外すことは不可能であると考えられます。











 ■

一方、新都街。
B-9地区、一等マンションのリビングにて。

鏡に映るのは、生まれた時からお馴染みの顔。
銀の髪、金の瞳。わたしがわたしを見つめている。
髪を櫛で梳かしてふたつにまとめ、制服に袖を通す。
扉の向こうからは音。テレビから流れる朝のニュース。
開いた隙間からは匂い。淹れたてでくゆるコーヒーの香り。

「おはようございます」 

リビングに出た先は、緩やかに流れる日常の風景。
初めて来たのに、ずっと住んでいた跡だけは残っている奇妙な感覚。
あてがわれた役割(ロール)のルリの家で、新しい同居人に朝の挨拶をする。

34 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:42:47 ID:mzedvCtc0


「おはようございます、ルリ」

先に起きていたシオンは綺麗な姿勢で椅子に座ってコーヒーを口につけていた。
後ろでは「おぅ」と実体化していたアーチャーが焼いたトーストを咥えている。
少し離れた先で、ライダーも実体化していた。恐らくは警戒だろう。


黎明に知り合い、『向かってくる外敵の排除。聖杯戦争に関わる情報の収集。方舟からの脱出の手段の模索』
を目的に協力体制を取ることに同意した二組は、そのままの足でルリの自室になだれ込んだ。
少なからず消耗もあったが、そこからもすぐ休む暇もない。
置かれた状況を説明し、情報の整理、目標の到達点の設定、やることは多かった。
ようやく寝入れる時間になったのは空が白み始める早朝になりかけていた。

とはいえその甲斐はあった―――彼女の世界にある魔術の知識、アークセルとそれに関わるムーンセルの知識。
シオンからは多くのことを教えてもらった。予め準備してきたというのは伊達ではない。
巻き込まれてほぼ着の身着の儘でいたルリにとっては、今後に役立つ情報ばかりだ。概要を知れたというだけでも十分大きい。

「眠れましたか?枕が変わると寝付けなくなるってありますけど」
「問題なく、二時間ほど休息は取れました」
「それだけですか?」
「思考のうち体温管理と危険察知に割く分の負担は減らせましたから。脳の休息には十分です」
「なるほど。便利ですね」

他愛もない会話を続けながら、ルリもポットに残ったコーヒーをカップに注ぐ。
……一人暮らしの設定である以上、用意されていた蓄えも当然一人分の相応でしかない。
加えて仕事柄家を空けている場合も多い。つまりは、食料はあまり入ってない。
金銭が不足してるわけでもないので食い扶持が増える分には構わないが、後で買い込みに行かなければならないだろうか。

「あ、ライダーさんも飲みますか?」
「……もらおうか」

何の気なしに勧めたが、意外にもライダーはカップを受け取って黒い液体を口に含む。
そういえば、昨日の朝も同じく一緒に食事していたのを思い出す。
あの時の相手はルーラーだった。倉庫で騒ぎを察知した監督役と出会い、軽食がてら少しだけ話をした。
彼女はいまどうしてるだろう。この戦争の調停者として街中を駆け回っているだろうか。
食事をしている時の姿は、英霊という大層な肩書には似つかわしくない、普通の少女のようだった。
ほんの少しこの方舟のルールに躊躇いを持ち、けれどそれを振り払える気丈さがあった。
この先きっと、彼女とまた会う機会が訪れる。
出来うる事なら、昨日と同じように穏やかな出会いであって欲しい。そうルリは思った。

二人の性格は不破なく融和している。能力の相性も悪くない。
互いの目的は近似で一致していて、補完し合えば双方が目的を達成させられる可能性が高まる。
いっそ理想的ですらある組み合わせだが、そこですぐに関係を深めることを、二人とも提案しようとはしなかった。
あくまでも寝床と情報の提供。利害の一致。一時の協力。そんなもの。
シオンとルリは冷静にそこを受け止めている。大切なものを尊重するからこそ線引きを作っている。
傷つけ合わないよう程よい距離を取る。優しくて、少しズルい大人の付き合い方だった。

35 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:43:27 ID:mzedvCtc0



「それじゃあ、今日の方針ですけど」

全員食事も終え、一息ついたところでルリが切り出す。
日は昇り、街も本格的に目覚めだす時分だ。ルリも警察署に顔を出さねばならない。
その前の確認作業を済ませる。

「シオンさんは月海原学園に向かい、私とは別行動ということでいいんですか?」

シオンは学園の生徒だ。
ルリよりも年上―――というよりルリの年齢で公職に就いてる方が色々特例なのだが、とにかく生徒である。

「はい。学園へは私一人が向かいます」

予定の通りとシオンは迷いなくはっきりと答える。

「敵がいるって、聞きましたけど」

学園の騒ぎはルリも知っている。
放課後に起きた爆発事故。直接向かってはないが、サーヴァントの戦闘の被害なのは疑うべくもない。
そしてシオンから知らされた様相は、予想より大きく混沌とし、戦慄する状況でいた。
最低でも五人のサーヴァントが睨み合う状況。
二騎揃っただけでも区画が破壊される規模の戦闘が起きる。それが五騎も揃うとなれば、既にあの学園は火の点いた火薬庫も同然だ。

「だからこそ、だぜ。あの場所は危ういバランスで成り立っている。
 誰かが足並みをずらせば、それだけで土台から崩れて全部ぶっ壊れるぐらいギリギリにな」

疑問に答えたのはソファにもたれかかっていたアーチャーだ。

「俺達は上手くそこをコントロールしたい。うちのマスターは学園いまや注目のマトだ。
 なんで逆に利用して美味しいとこだけせしめてやりたいのさ。
 けどそこに外からのマスターなんて計算外がやってきたら、計算が狂って慌てちまうだろ?」

ぶらぶらとだらけた姿勢であるが、その眼は悪戯を思い浮かぶ子供のように煌めきに満ちている。
あるいは巧妙に姿を隠しながら糸を巡らす、神算謀士の眼か。

「そうなりゃ迂闊に暴れる連中も出るかもしれねえ。暴れるにしてもなるべく俺らの想定内で動いてもらわなくっちゃあ困るのよ。
 あれ以上、あそこに戦力が集中するのは俺達にとって逆に不利になる。徒に被害が拡大するかもしれねえしな」

ルリははじめ、てっきり学園の対処を頼りに接触を図ってきたのかと思った。
しかしそうではなかった。彼らは二人だけで、魔窟の攻略を目論んでいる。
引こうと考えたり、臆すれば真っ逆さまに墜落する綱渡り。
踏破に必要なのは進むこと。蛮勇に思えるほど大胆な勇み足こそが活路を開くのだと理解している。

「これは、はじめから私達で対処するつもりの案件です。
 あなたの助力はこの先必要になりますが、外の繋がりが欲しかったのが理由でそれとは別問題。
 敵はひとつではなく、目的にはほど遠い。先は長いのですから。
 私は私の為に、貴方は貴方の為に。
 そうすることが、今は互いに最善になります」

36 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:44:01 ID:mzedvCtc0


補足するシオン。その視点は既に先を見据えていた。
潜む脅威も、まだ見ぬ闇も進むべき道の障害であり、通過点に過ぎないと。
計算機らしく目の前の問題に対処しつつ、目的への最短の出力先を誤らない。

「魔術師っていうのは、みんなシオンさんみたいな人なんですか?」
「どういう人種を想像したのかは気になるところですが、今は留めておきましょう。
 多くの魔術師は求道者です。神秘に触れ、根源を求め、過去に逆行するもの。
 アトラスの錬金術師はやや特殊です。未来の運営と破滅の回避が我らの命題。
 その為に心血を注ぎ、未来にも破滅にも捧ぐ血が足りなくなり、いつか気が狂う。
 ……まあ、今の私はそのどれでもない中途半端なのですが」

そこで、ほんの少しだけ気まずそうに、あるいは気恥ずかしそうに。
頬をかいた緩めた表情を見せたシオンからは、合理的で計算主義の顔で言った目的に隠れた、本当の理由が見えた気がした。

「わかりました。それじゃあそちらはお任せします。
 何かあれば連絡してくださいね。便利な立場ですので、切欠があれば突入できちゃいますし」
「おっ『礼状だッ!』てやつか。いいねえソレ」

そろそろ時間だ。やることが明確になった分大忙しになる。
手早く食器を片付けて、シオン達が先に玄関に向かう。

「じやーなライダー。んなしかめっ面してないで今度は酒でも飲もーぜ」
「俺は酒は飲めん」
「ケッ暗い奴だぜ」
「性分だ。諦めろ」

事あるごとにアーチャーに話を振られるライダーだが、険悪な雰囲気ではない。
因果が死ぬことを許さず、孤独を彷徨う運命にあるキリコだが、理由はどうあれ、傍らに仲間がいた時間はそう短いものではない。
宇宙さえ支配に置ける素質が求めるものは、安らげるただひとつの温もりなのだから。

「ではお先に失礼しまう。放課後にまた連絡を。無事を祈ります」
「シオンさんも。気をつけて行ってください」

畏まった台詞もなく、軽い挨拶を交わしてシオン達は外に出ていった。
扉が閉まって残るのはルリとライダーの二人。

「それじゃあ私達も行きましょうか」

ルリも出立するべく、机の封筒に入った資料を手に取った。
シオンの協力で冬木市各地で起きた事件事故の被害規模をまとめ、ファイリングしたものだ。
活用すれば、警察の役割に縛られていてもスムーズに対処出来るだろう。
それは情報漏洩というやつなのかもしれないがこの際気にしない事にした。
ただ、署に行くのは後回しだ。先に優先する、マスターの立場で動くべき件。

孤児院で見失って以来、ずっとルリが気にしていた宮内れんげの所在。
方舟の秘密に繋がるかも知れない経緯を持った希少なマスターであり……なによりも彼女は子供だ。やはり安否が気になる。
シオンによれば、黎明の頃南東の森で、鎧姿の少女と一緒に歩いていた目撃情報があるという。
ルーラー。裁定者のサーヴァント。何らかの理由があってれんげを保護したのか。それとも彼女のイレギュラーな経緯に気づいて連行したのか。
ならば自ずと向かう先も想定できる。聖杯戦争の監督役が留まる拠点は、ルーラー自身から教えられている。
そこは運営に対し質問も受け付けている場所。ちょうどいい都合だ。

「冬木教会―――お仕事の前に済ましちゃいましょう」

37 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:44:54 ID:mzedvCtc0



[B-9/マンション(ルリ宅)/二日目 朝]

【ホシノ・ルリ@機動戦艦ナデシコ〜The prince of darkness】
[状態]:魔力消費(中)、消耗
[令呪]:残り三画
[装備]:警官の制服
[道具]:ペイカード、地図、ゼリー食料・栄養ドリンクを複数、携帯電話、カッツェ・アーカード・ジョンスの人物画コピー 、捜査資料
[所持金]:富豪レベル(カード払いのみ)
[思考・状況]
基本行動方針:『方舟』の調査。
0.教会に向かい、れんげの安否を確かめる。
1.アキトを探す
2.カッツェたちに起こった状況を知りたい
3.『方舟』から外へ情報を発する方法が無いかを調査
4.シオンと放課後に合流。状況によっては短縮して向かう
5.優勝以外で脱出する方法の調査
6.聖杯戦争の調査
7.B-4にはできるだけ近づかないでおく
[備考]
※ランサー(佐倉杏子)のパラメーターを確認済。寒河江春紀をマスターだと認識しました。
※NPC時代の職は警察官でした。階級は警視。
※ジナコ・カリギリ(ベルク・カッツェの変装)の容姿を確認済み。ただしカッツェの変装を疑っています。
※美遊陣営の容姿、バーサーカーのパラメータを確認し、危険人物と認識しました。
※宮内れんげをマスターだと認識しました。カッツェの変身能力をある程度把握しました。
※寒河江春紀の携帯電話番号を交換しました。
※ジョンス・アーカード・カッツェの外見を宮内れんげの絵によって確認しています。
※アンデルセン・ランサー組と情報交換した上で休戦しました。早苗やアキトのこともある程度聞いています。
※警視としての職務に戻った為、警察からの不信感が和らぎましたが
 再度、不信な行動を取った場合、ルリの警視としての立場が危うくなるかもしれません。
 →評価が少し修正されました。よほど無茶をしない限りは不信が増すことはないでしょう。
※シオンからTYPE-MOON世界の基礎的な魔術の知識、アークセルとそれに関わるムーンセルの知識を聞きました。
 それ以外にも色々聞いているかもしれません。
※シオンと携帯電話番号を交換しました。

【ライダー(キリコ・キュービィー)@装甲騎兵ボトムズ】
[状態]:負傷回復済
[装備]:アーマーマグナム
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:フィアナと再会したいが、基本的にはホシノ・ルリの命令に従う。
1.ホシノ・ルリの護衛。
2.子供、か。
[備考]
※無し。

[共通備考]
※一日目・午後以降に発生した事件をある程度把握しました。
※B-3で発生した事件にはアーチャーのサーヴァントが関与していると推測しています。
※B-4で発生した暴動の渦中にいる野原一家が聖杯戦争に関係あると見て注目しています。
※図書館周辺でサーヴァントによる戦闘が行われたことを把握しました。
※行方不明とされている足立がマスターではないかと推測しています。警察に足立の情報を依頼しています。
※刑事たちを襲撃したのはジナコのサーヴァントであると推測しています。
※ルリの自宅はB-9方目のマンションです。
※電子ドラッグの存在を把握しました。

38 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:45:17 ID:mzedvCtc0



【シオン・エルトナム・アトラシア@MELTY BLOOD】
[状態]アーチャーとエーテライトで接続。色替えエーテライトで令呪を隠蔽
[令呪]残り三画
[装備]エーテライト、バレルレプリカ
[道具]ボストンバッグ(学園制服、日用必需品、防災用具)
[所持金]豊富(ただし研究費で大分浪費中)カードと現金で所持
[思考・状況]
基本行動方針:方舟の調査。その可能性/危険性を見極める。並行して吸血鬼化の治療法を模索する。
1.登校し、学園のサーヴァントを打倒する
2.ルリ陣営と協力。情報を提供する。
3.情報整理を継続。コードキャストを完成させる。
4.方舟の内部調査。中枢系との接触手段を探す。
5.街に潜む洗脳能力を持った敵を警戒。
6.学園に潜むサーヴァントたちを警戒。銀"のランサーと"蟲"のキャスター、アンノウンを要警戒。
[備考]
※月見原学園ではエジプトからの留学生という設定。
※アーチャーの単独行動スキルを使用中でも、エーテライトで繋がっていれば情報のやり取りは可能です。
※マップ外は「無限の距離」による概念防壁(404光年)が敷かれています。通常の手段での脱出はまず不可能でしょう。
 シオンは優勝者にのみ許される中枢に通じる通路があると予測しています。
※「サティポロジァビートルの腸三万匹分」を仕入れました。研究目的ということで一応は怪しまれてないようです。
※セイバー(オルステッド)及びキャスター(シアン)、ランサー(セルべリア)、ランサー(杏子)、ライダー(鏡子)のステータスを確認しました。
※キャスター(シアン)に差し込んだエーテライトが気付かれていないことを知りました。
※「サティポロジァビートルの腸」に至り得る情報を可能な限り抹消しました。
※黒髪の若い教師(NPC、ヴォルデモートが洗脳済み)の連絡先を入手しました。現時点ではマスターだと考えています。
 これに伴いケイネスへの疑心が僅かながら低下しています。
※キャスター(シアン)とランサー(セルベリア)が同盟を組んでいる可能性が高いと推測しています。
※分割思考を使用し、キャスター(ヴォルデモート)が『真名を秘匿するスキル、ないし宝具』を持っていると知りました。
 それ以上の考察をしようとすると、分割思考に多大な負荷がかかります。
※狭間についての情報は学園での伝聞程度です。
※電子ドラッグの存在を把握しました。


【アーチャー(ジョセフ・ジョースター)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]シオンとエーテライトに接続。
[装備]現代風の服、シオンからのお小遣い
[道具]
[思考・状況]
基本行動方針:「シオンは守る」「方舟を調査する」、「両方」やらなくっちゃあならないってのが「サーヴァント」のつらいところだぜ。
1.学園、行くかねぇ
2.裏で動く連中の牽制に、学園では表だって動く。
3.夜の新都で情報収集。でもちょっとぐらいハメ外しちゃってもイイよね?
4.エーテライトはもう勘弁しちくり〜!
[備考]
※予選日から街中を遊び歩いています。NPC達とも直に交流し情報を得ているようです。
※暁美ほむら(名前は知らない)が校門をくぐる際の不審な動きを目撃しました。
※黒髪の若い教師(NPC、ヴォルデモートが洗脳済み)を確認。現時点ではマスターだと考えています。

39 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:46:17 ID:mzedvCtc0






 ■

「おはようございます、ケイネス教諭」
「……ああ、おはよう」

廊下ですれ違ったシオンからの挨拶を、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは憮然に返した。
なるべく普段どおりを意識していたつもりだが、表情に僅かな強張りが出たのは否めない。
目礼してそのまま階段を昇っていくシオンの後ろ姿を見る。
一見すれば、たまたま担任と顔を合わせたので挨拶したというだけの、ただの礼儀正しい優等生という風でしかない。

『主よ、これは』
『うむ』

従僕からの念話にすぐさま応じるキャスターはヴォルデモートだ。今は校内で作業の工程にありケイネスから一時離れている。

『こちらに連絡を寄越さずに登校か……顔に似合わず豪胆だな。無視する気か、あるいは別の陣営についたか』
『おのれ没落貴族の分際で、我が君になんと無礼な……!』

持ち前の気性と服従の術の相乗によって主君の侮辱に激昂しかけるケイネスを、ヴォルデモートは冷静に宥めた。

『逸るな、ケイネス。まだ奴は俺様達に明確な害意を示したわけではない。
 それに貴様がマスターである事は誰にも割れていないのだ。今のはただの探りに過ぎん』

魔法界一とも謳われる開心術でも、杖と実体がなければシオンの思考は読み切れない。
後に改めて協力を受ける可能性もある。血筋に恵まれ、能力も優れた魔術師をヴォルデモートは拒まない。
その優秀さは昨日の邂逅で証明されている。綺礼も含め、軍門に降ればよき参謀として役立ってくれるだろう。
だが狡智と陰謀に長けるヴォルデモートはきな臭いものを感じている。昨夜連絡のなかったのは熟考の末ととれなくもない。
ならば懸念の的は、やはりあのアーチャー。
愛を語り正義を信奉する、かつての宿敵達を彷彿とさせる軽薄な男。
召喚されるサーヴァントは似通った性質を持ったマスターに引き寄せられる場合が多いという。
であればシオンも、同じ性質を宿してる確率は捨てきれない。
予想が的中していた場合、あれらはこちらに傅く姿勢は断じて取れまい。早めに始末する対象に切り替えるべきだ。

『ともかく放課後だな。その時再び図書室に呼び出して、意思を確認させる。答えによっては排除もあり得る。念の為キレイにも声をかけておくか。
 いいなケイネス、それまでくれぐれも迂闊な挑発に乗るなよ』
『ははっ』

念話が途切れて、ケイネスは教職としての業務に戻る。
凡俗に享受する退屈極まりない職務だが、主君が念を押したとあればどのような命令も忠実にこなさねばならない。
これも我が君への奉仕だ。綿密に積み上げられる主の策謀の内に、既にケイネスは当てはめられている。
我が君の軍団を建造し確実な勝利を手にする為の布石だ。ここで無様を晒すわけにはいかない。
だがたとえ戦闘に陥ったとしても自身に負けはない。そうケイネスは自負している。
根拠なき盲信などではない。それはロード・エルメロイの名に相応しい、秘術の粋を凝らした完璧な魔術工房を作成した事からの自信だ。
既にこの校舎は一晩かけて、単なる施設から恐るべき城壁へと改装を施されているのだ。

人通りが少ない通路、職員しか入らないような部屋を中心に、多種多様な結界を数十層。
猟犬代わりの悪霊、魍魎の群れ。空き教室の一部は異界化すらさせている。
更にこれはキャスターとの共同作業だ。構築された術式は製作の時間から精度に至るまで、ケイネス個人が施したものを凌駕している。
結界の強さは遥かに洗練され、召喚術においても同様。失われし幻創種……かつて師が従えし巨人種、狼人間、吸魂鬼すらもが麾下にある。
ただでさえ生まれ持った天禀を遺憾なく発揮したケイネスの備えに、魔術師の英霊直々の薫陶が加わっているのだ。
たとえ対魔力のある三騎士クラスといえど、容易に踏破できるものではないほどだ。

40 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:47:01 ID:mzedvCtc0


偉大なる英霊の闇の魔術の深淵に触れ、その作業に自身の手も加える事を許された。
神秘を尊ぶ魔術師としてこれほどに名誉な事があろうか。
優れた家系と血筋に生まれ、破竹の勢いで昇進を続けてきても、ケイネスは達成感ややりがいを求めた事はない。
全ては当然の結果。自分の才能と成果が他者を遥かに凌いで余りあるというだけでしかない。
約束された成功というレールを走っていたケイネスの人生に、突如として芽生えた感動。遅咲きにやってきた『誰かに尽くす』熱意。
この情動を呼び起こしてくれた主には、財も地位も、命すら、全てを懸けて奉仕する他にない。
まさに我が世の春、今のケイネスはこの上ない絶頂期にあると確信して疑わなかった。
今のケイネスにとって聖杯戦争は、聖杯そのものの入手より、我が主君の威光を知らしめる事こそが至上となっていた。



……それほどまでに敬い、尊ぶ英霊に対し。
陶酔の極みに至るケイネスは、ただの一度としてその真名を教えられてない事への疑問は露程も浮かばないでいた。






ヴォルデモートからの情報はすぐさま綺礼のもとへと伝わった。
忍ばせていた通信手帳の新しい追記には、放課後のシオン・エルトナムへの接触と、排除の可能性。
手を貸せという記述はされてないが、これでは言外に要請しているようなもの。
敵に回るなら討つのに躊躇もないが、顎で使われるのは癪ではある。
あのキャスターが勢力を拡大させるのに、一抹の不安がないでもない。
いずれ敵に回す相手を手がつけられなくなるまで強くしてしまっては元も子もない。
あるいはそれは待ち受ける混沌の期待であるかもしれなかったが、綺礼が気づく事はない。

エルトナムの動向は、今後の趨勢を変える一石になるかもしれない。一人のマスターとしても見過ごしていい話ではなかった。
サーヴァントはアーチャー。姿を見たのはセイバーとキャスターなのでステータスは不明。
遠距離攻撃に長けてる事が多いクラスであり、狙撃などされては厄介だ。
校舎内であれば地の利も働く。セイバーが先に肉薄するのが速いか。

―――いずれにせよ放課後だ。今は先に、済ませておく些事がある。

戦闘に至った場合の構想を練りながら、パンが詰まったダンボールを三箱軽々と抱えて購買部に運んでいく。
綺礼はいま、方舟での役割である月海原学園の購買店員の仕事の最中であった。
代行者であり神に仕える自分が、いったいどういう流れでパンやシャーペンを売る事になったのか。
アークセルの判断はつくづく理解に苦しむ。

だがそんな立場―――学園の内側だからこそ得られた接触があった。
遠坂時臣を騙る人物に魔術的な暗示がかけられていた、食料搬入の業者達。
彼らは特に変わりなく、前日と同じように暗示下にあって行動していた。
綺礼がかけた暗示が解かれているか確認すべきかと思ったが、やめておいた。
そこまで不用意に使うべきではないし、何か仕込まれてる可能性もある。
自分の暗示が破られてる事にも気づかない愚鈍である可能性は捨てている。現にここまで相手につながる手がかりひとつ残していない。
ある意味エルトナムよりも仮想敵としては厄介だ。常に暗殺の危機が忍び寄る。
姿の見えない敵からの驚異は、異端を狩る代行者の時代から理解している。
そちらについてはあのキャスターに任せればいい。神秘はより濃い神秘に倒される。魔術師には魔術師の英霊をぶつけるのが正攻法かつ上策。
暗示下の状況をより詳細に炙り出し、情報を手に入れられるだろう。

41 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:49:36 ID:mzedvCtc0



―――運び終えた売り物を品出しに外に出しているとき、段ボールの中に奇妙な紙片を見つけた。
拾い上げて見れば、どこにでもあるメモの切れ端に、数字の羅列だけが簡素に記されていた。
暗号や謎掛けの類でもない限りは、それは携帯の番号にしか見えはしない。

単なる梱包の不手際だと済ませるほど呑気ではいられる綺礼ではない。これが姿見えぬ何者からの誘いと見るのは明らかだった。
十中八九、綺礼の暗示を見破り接触を図ってきたマスターだが……かといって迂闊にかけるのは憚られる。
まず番号がそのまま本人のものの確証はない。携帯は街中いたる所で住人が使っているし新しく購入するのも楽だ。偽装など幾らでもできる。
聖堂教会の隠蔽スタッフならともかく、綺礼は個人情報を盗めるような専門的な技術を収めていない。
顔も見えぬ相手に声を届ける、というだけの行為にも、直接刃を交わすのと同じだけの緊張感を要求するのだ。

ならばキャスターに持ちかけ、少しでも情報を拾うのが安全かつ確実な手段だ。機械音痴とはいえ綺礼よりは何らかの手がかりは見いだせるはず。
魔術による探知も可能かもしれない。空振りに終わっても浪費にもならない手間でしかない。
……そんな事はわかっているのに、綺礼はどうしてもあの魔術師に教える気になれなかった。

単に信用しきれない相手に頼るのを嫌うというだけではない。
あの蛇の視線に晒されて、心の奥底の虚無を暴かれる恐懼とも違う、言い難い感覚。
この小さな紙切れのどこにそんな引力があるのか、綺礼は食い入るように見続けた。その意味合いの深さと重さを、彼自身自覚しないまま。






[C-3/月海原学園/二日目 朝]

【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]健康、ただし〈服従の呪文〉にかかっている
[令呪]残り3画
[装備]月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)、盾の指輪
[道具]地図、自動筆記四色ボールペン
[所持金]教師としての収入、クラス担任のため他の教師よりは気持ち多め?
[思考・状況]
基本行動方針:我が君の御心のままに
1.他のマスターに疑われるのを防ぐため、引き続き教師として振る舞う
3.教師としての立場を利用し、多くの生徒や教師と接触、情報収集や〈服従の呪文〉による支配を行う
[備考]
※〈服従の呪文〉による洗脳が解ける様子はまだありません。
※C-3、月海原学園歩いて5分ほどの一軒家に住んでいることになっていますが、拠点はD-3の館にするつもりです。変化がないように見せるため登下校先はこの家にするつもりです。
※シオンのクラスを担当しています。
※ジナコ(カッツェ)が起こした暴行事件を把握しました。
※B-4近辺の中華料理店に麻婆豆腐を注文しました。
→配達してきた店員の記憶を覗き、ルーラーがB-4で調査をしていたのを確認。改めて〈服従の呪文〉をかけ、B-4に戻しています。
※マスター候補の個人情報をいくつかメモしました。少なくともジナコ、シオン、美遊のものは写してあります。
※校舎の一部を魔術工房に改造しています。主導はケイネスですが所々ヴォルデモートの手が加わっており大幅に効果が上昇しています。

42 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:49:58 ID:mzedvCtc0


【キャスター(ヴォルデモート)@ハリーポッターシリーズ】
[状態]健康
[装備]イチイの木に不死鳥の尾羽の芯の杖
[道具]盾の指輪(破損)、箒、変幻自在手帳
[所持金]ケイネスの所持金に準拠
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯をとる
1.綺礼と協力し、アーカードに対処する。
2.綺礼を通じてカレンを利用できないか考える。
3.シオンからの連絡に期待はするが、アーチャーには警戒。
4.〈服従の呪文〉により手駒を増やし勝利を狙う
5.ケイネスの近くにつき、状況に応じて様々な術を行使する。
6.ただし積極的な戦闘をするつもりはなくいざとなったら〈姿くらまし〉で主従共々館に逃げ込む
7.戦況が進んできたら工房に手を加え、もっと排他的なものにしたい
[備考]
※D-3にリドルの館@ハリーポッターシリーズがあり、そこを工房(未完成)にしました。一晩かけて捜査した結果魔術的なアイテムは一切ないことが分かっています。
 また防衛呪文の効果により夕方の時点で何者か(早苗およびアシタカ)が接近したことを把握、警戒しています。
※教会、錯刃大学、病院、図書館、学園内に使い魔の蛇を向かわせました。検索施設は重点的に見張っています。
 この使い魔を通じて錯刃大学での鏡子の行為を視認しました。
 また教会を早苗が訪れたこと、彼女が厭戦的であることを把握しました。
 病院、大学、学園図書室の使い魔は殺されました。そのことを把握しています。
 使い魔との感覚共有可能な距離は月海原学園から大学のあたりまでです。
→現在学園と教会とルーラーの近くに監視を残し、他は図書館と暴動の起きているところを探らせ、アーカードとついでに搬入業者を探しています。
※ジナコ(カッツェ)が起こした暴行事件を把握しました。
※洗脳した教師にここ数日欠席した生徒や職員の情報提供をさせています。
→小当部の出欠状況を把握(美遊、凛含む)、加えてジナコ、白野、狭間の欠席を確認。学園は忙しく、これ以上の情報提供は別の手段を講じる必要があるでしょう。
→新たに真玉橋、間桐桜について調べさせています。上記の欠席者の個人情報も入ってくるでしょう。
※資料室にある生徒名簿を確認、何者かがシオンなどの情報を調べたと推察しています。
※生徒名簿のシオン、および適当に他の数名の個人情報を焼印で焦がし解読不能にしました。
※NPCの教師に〈服従の呪文〉をかけ、さらにスキル:変化により憑りつくことでマスターに見せかけていました。
 この教師がシオンから連絡を受けた場合、他の洗脳しているNPC数人にも連絡がいきヴォルデモートに伝わるようにしています。
※シオンの姿、ジョセフの姿を確認。〈開心術〉により願いとクラスも確認。
※ミカサの姿、セルベリアの姿を確認。〈開心術〉によりクラスとミカサが非魔法族であることも確認。
 ケイネスの名を知っていたこと、暁美ほむらの名に反応を見せたことから蟲(シアン)の協力者と判断。
※言峰の姿、オルステッドの姿を確認。〈開心術〉によりクラスと言峰の本性も確認。
※魔王、山を往く(ブライオン)の外観と効果の一部を確認。スキル:芸術審美により真名看破には至らないが、オルステッドが勇者であると確信。
※ケイネスに真名を教えていません。
※カレンはヴォルデモートの真名を知らないと推察しています。
※図書館に放った蛇を通じてロトとアーカードの戦闘を目撃しました。
 それとジナコの暴行事件から得た情報によりほぼ真名を確信しています。
※言峰陣営と同盟を結びました。
 アーカードへの対処を優先事項とし、マスターやサーヴァントについての情報を共有しています。
 それによりいったん勇者ロトへの対処は後回しにするつもりです

43 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:50:20 ID:mzedvCtc0


【言峰綺礼@Fate/zero】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]黒鍵
[道具]変幻自在手帳、携帯端末機、???の番号が書かれたメモ
[所持金]質素
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
0.???
1.キャスター(ヴォルデモート)を利用し、死徒アーカードに対処する。
2.黒衣の男とそのバーサーカーには近づかない。
3.検索施設を使って、サーヴァントの情報を得る。
4.トオサカトキオミと接触する手段を考える。
5.真玉橋やシオンの住所を突き止め、可能なら夜襲するが、無理はしない。
6.この聖杯戦争に自分が招かれた意味とは、何か―――?
7.憎悪の蟲に対しては慎重に対応。
[備考]
※設定された役割は『月海原学園内の購買部の店員』。
※バーサーカー(ガッツ)、セイバー(ロト)のパラメーターを確認済み。宝具『ドラゴンころし』『狂戦士の甲冑』を目視済み。
※『月を望む聖杯戦争』が『冬木の聖杯戦争』を何らかの参考にした可能性を考えています。
※聖陣営と同盟を結びました。内容は今の所、休戦協定と情報の共有のみです。
 聖側からは霊地や戦力の提供も提示されてるが突っぱねてます。
※学園の校門に設置された蟲がサーヴァントであるという推論を聞きました。
 彼自身は蟲を目視していません。
※トオサカトキオミが暗示を掛けた男達の携帯電話の番号を入手しています。
→彼らに中等部で爆発事故が起こったこと、中等部が休講になったこと、真玉橋という男子生徒が騒ぎの前後に見えなくなったことを伝えました。
※真玉橋がマスターだと認識しました。
※寺の地下に大空洞がある可能性とそこに蟲の主(シアン)がいる可能性を考えています。
※キャスター(ヴォルデモート)陣営と同盟を結びました。
 アーカードへの対処を優先事項とし、マスターやサーヴァントについての情報を共有しています。
※トオサカトキオミ(切嗣)が暗示をかけた運送業者の荷物にまぎれていた電話番号を見つけました。
 意図的に仕込まれたものですが、切嗣に直接連絡が取れる保障はありません。



【セイバー(オルステッド)@LIVEALIVE】
[状態]通常戦闘に支障なし
[装備]『魔王、山を往く(ブライオン)』
[道具]特になし。
[所持金]無し。
[思考・状況]
基本行動方針:綺礼の指示に従い、綺礼が己の中の魔王に打ち勝てるか見届ける。
1.綺礼の指示に従う。
2.「勇者の典型であり極地の者」のセイバー(ロト)に強い興味。
3.憎悪を抱く蟲(シアン)に強い興味。
[備考]
※半径300m以内に存在する『憎悪』を宝具『憎悪の名を持つ魔王(オディオ)』にて感知している。
※アキト、シアンの『憎悪』を特定済み。
※勇者にして魔王という出自から、ロトの正体をほぼ把握しています。
※生前に起きた出来事、自身が行った行為は、自身の中で全て決着を付けています。その為、『過去を改修する』『アリシア姫の汚名を雪ぐ』『真実を探求する』『ルクレチアの民を蘇らせる』などの願いを聖杯に望む気はありません。
※B-4におけるルール違反の犯人はキャスターかアサシンだと予想しています。が、単なる予想なので他のクラスの可能性も十分に考えています。
※真玉橋の救われぬ乳への『悲しみ』を感知しました。
※ヴォルデモートの悪意を認識しました。ただし気配遮断している場合捉えるのは難しいです。

44 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:51:02 ID:mzedvCtc0








微睡みから覚めていく中で、今まで見ていたものは夢だったと気づく。
肢と羽の音が耳の中に入り込んでくるのも、体をよくわからないものが這い回るのも、目を覚ませば消えるものだとわかってる。

……ある意味で、あの光景が自分にとって、現実の象徴のようなものだった。
これは悪いユメだ、目を覚ませば姉と一緒に眠る場所に戻ってくるんだって、初めの頃は何度も何度も願い続けた。
そうして目覚めて、当たり前にそっちがユメだと念入りに、刻みつけるように思い知らされてきた。
馴染みきった光景は、もう見たところでどうとも思わない。
痛む箇所はとっくに擦り切れて、今さら騒ぎ立てる事もなくなってしまった。

そういう日々が日常だったから、つい期待してしまったのだ。
あの後起きたら自分は部屋で眠っていて、朝早くに屋敷へ向かって、土蔵で眠りこけてる人を起こして、朝ごはんの準備をする。


唯一価値のある時間。
嘘だけで造られたガラスの幸福。


いつも通りの、待ち遠しい日が待ってるんじゃないかって。




「おはよう、桜」

そんなだから、案の定バチが当たったんだろう。

蟲の羽音が重なり合って出来たような声。
不快ではないが、気分がいいわけでもなかった。
悪意はなくとも、その意志が込められた声を聞くと否応なしに現実に引き戻されてしまうから。
そもそも自分を起こす声なんて、ここ十年ろくに聞いた事もないのだ。

「……おはようございます」

身を起こして、蟲の英霊に挨拶する。
シアン・シンジョーネは―――正確にはシアンの一部は静かに桜を見ていた。
そこに何の非難も込められてないのはわかるが、聖杯戦争を忘れて現実逃避しかけていたのを、咎められてるような気がして居心地が悪かった。

「報告をしよう。昨夜の戦果を伝える」

早速とばかりに集めた情報を開示する。
接触したサーヴァント、夜の学園の交戦、同盟相手との状況……次々と知らされる。
どれも自分たちにとって重要なものだと思うが、街から離れて隠れ住んでいた桜にはいまいちピンと来ない。
シアン自身、戦略的な助言を桜に求める訳ではないのだろう。
ただサーヴァントの義務としてマスターである桜に伝えている。そんな気がした。

45 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:51:34 ID:mzedvCtc0


「まずは一日、生き延びた。
 同盟相手を得て、さしたる損害もないまま一騎を仕留められた。
 強壮とは言い難く、長期戦でこそ戦いになる我々にとっては良い経過だといえるだろう」

自虐的だが、間違ってもいない。
時間をかければかけるだけシアンという群体は数を広げ勢いを増していく。
数が不足すれば魔力が補い再び元の数に増殖する。やがて時間をかけて操作した地脈の魔力を集め、切り札の使用の段階に入る。
桜が目を逸らしてる間にも時は進んでいた。隠遁も戦法の一種だが、こういう面にはどうしても弱くなる。
なんて、皮肉。
関わらないでいる事が、一番の生き残れる手段なんて。



「今日の昼、学校に攻め入る」


小指に棘が刺さったような、痛みがした。
そうした慎重さと打って変わっての大胆な方針に、流石に僅かばかり心臓が早打った。
縋る光のない場所。友人も思い出も生まれなかった伽藍の堂。
ただ通っているというだけの校舎であっても、思うところはあったのか。
溜め込むばかりで、吐き出す先を知らないまま育った身だ。
どうでもいいが、消してしまいたいとは思ってない。
無関心まではいられても、直接牙を立てるとなると抵抗心が疼いた。

「難敵がいるからな。少し、派手にやる予定だ。桜にも協力してもらう事になるだろう」

協力。
手の甲に浮かぶ膨大な魔力に意識を向ける。
桜が魔力の供給以外にシアンに、手助け出来る事などひとつしかない。

「心配しなくていい。指示は私が出す。難しいものじゃないし、ここから動かずに出来る事だ。
 NPCへの被害も極力避ける。ルーラーに目をつけられてはたまらないからな。
 フジムラタイガという教師にも、手出しはしないと約束しよう」

それが、シアンなりの誠意の形。
サーヴァントとしての線引きの境界線。目的の為に、マスターと不要な軋轢を生まない手段。

「――――――はい」

桜は頷く。
学校への襲撃を容認する。

NPCの藤村大河は、桜と親しいわけじゃない。
弓道部の顧問であり部員として話す機会はあり、話せば記憶と同じ反応を返してくれるが、
それは彼女が誰にでもそうしてくれる人物であるというだけ。
『予選』からマスターに目覚めたのはあの空白が一番の転機だったけど。
違和感を覚えたのは、彼女との会話がどこか白々しく、芝居じみて感じたのが最初だと思う。

あの屋敷という接点がないだけで、あれだけ親身にしてくれたひとも、自分の特別じゃなくなっている。
恨んでるわけじゃない。そもそも根本的に自分の知る彼女とは別人で、偽の複製だなんて事は理解してる。
むしろそれを自覚しているのが桜しかいないのが、自分で哀れに見えるだけ。

46 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:53:34 ID:mzedvCtc0


だから本当は、あの藤村大河が■■だとしても困る事はない。
求める地獄(ひび)に帰れば待っていてくれる、本当の大事な人に会えればいい。
こんなのは我儘で、錯覚で、地面を這い回る蟲のようにみっともない感傷でしかない。


それを、この女(ひと)は守ってくれると言うのだから。
後はもう、何を望むでもない。それ以外は譲ってあげよう。
街に蟲(あく)を解き放ち、世界を影で覆ってしまっても、構わない。


黴臭い毛布を下げて蜘蛛の巣の張った窓を見上げた。
整備もされていない部屋の隙間からは、陽が差し込んでる。
なんて、眩しい――――――外の光。
輝きに目が眩んで、誘われるまま羽ばたいても、蟲では一生かけても届かない。

ああ。せめて、蟲などではなく。
せめて、この身が小鳥であったのなら――――――もう少しはあそこに近いて羽ばたけるのだろうか。

47 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:54:03 ID:mzedvCtc0






意識の覚醒と共に、ミカサはすばやく身を起こして体の調子を確かめる。
閉じた瞼を開いても、眼の前に広がるのは同じ闇。
地上に降り注ぐ暖かな日は、深い岩盤に遮られて一寸先すら見通せない。
常人なら恐怖で自我も保てない環境で、ミカサは臆さず入念に柔軟をして体をほぐしていく。
闇に溶け込んだ眼光は、獲物が決定的な隙を晒すまでただ待ち伏せる豹の如き鋭さだ。



ミカサがいるのは洞窟だ。
鍾乳洞という、石灰石が雨水の侵食で出来た空洞、らしい。
誰の手も借りず、何の意思もなく、時間と自然だけでこれほど大きな穴が出来る。これもまた、自然の美しさ。
家を捨てたミカサに蟲のキャスターが提供した、隠れ家になりそうな場所。同時に調査の対象でもある場所。
霊脈、と呼ばれる位置に最も近いらしく、ランサーの回復にも適してるという。
敵の奇襲もなく、体調に支障が出なければ何処でもよかったのだが、それで自分に有利が働くなら断る理由もない。

この上に建つ妙蓮寺という施設にはセイバーと思しきサーヴァントとマスターが陣取ってるらしい。
そこで一戦交える気か、と一瞬危惧したが、今は攻める気はないという。
敵もここには気づいておらず、下手に藪蛇をつつく事もないと。
洞窟の調査も今は後回し。目下の標的は学園の闇、ということだ。

寺……宗教の為の施設。
神や仏、世界や生物を産み出したモノを奉り、祈りを込めるという。
宗教は知っている。人類の生存圏を築いている『壁』を崇める一団。
実際見た機会はないので判然とはしない。
それは確かに感謝すべきなのかもしれない。縋りたくなる気持ちも、哀れだとは思わない。
だが神というモノが巨人を産み落とし、人を無慈悲に食らう世界の機構を良しとしているのなら……。

『マスター』

時間だ、というランサーの念話が響く。
無駄に力みが入った思考を戒める意味もあったのかもしれない。届きもしない矛先を振る余裕は、ない。


これから、学校を襲う。
蟲のキャスターと共に、ミカサが過ごしてきた、この街の『日常』を蹂躙する。


校舎はサーヴァントという超常の戦いの舞台となり、生徒は吹き飛ばされる路傍の石と化す。
もしくは、もっと効率的で、残酷に。蟲が蟲を喰らうように。人が鳥を狩るように。
大人と規則と法律の砦に守られた生徒達は、何も知らぬまま巻き込まれる事になる。
まるで、『壁』が壊された街で巨人に喰われるように。
違いはない。サーヴァントとそれを従えるマスターは、人々にとって巨人のように驚異でしかない。
圧倒的な力の差。
死と恐怖の具現。
絶望の象徴。
故に、巨人だ。

48 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:54:29 ID:mzedvCtc0

希望の標となった少年がいた。
エレン・イェーガー。ミカサの光。ミカサの生きる希望。
人のままにエレンが巨人となったあの日、巨人の反攻作戦が成功し、人類は初めて巨人に対して進撃を成し遂げた。
希望となったエレンとは対称に、希望を持ち帰ろうとするミカサは、この街では大勢の巨人のうち一匹に過ぎない。

知性の欠片も見当たらないあの醜悪な顔と、自分が同類だと思うと、途端に怖気が走った。
あまりに屈辱で、恐ろしくて、否定したくて喚きたくなる。
だが違いはない。違いはないのだ。
この世界を壊し、人を殺す。
そう決めてから


霊体化したランサーに先行させ哨戒をさせる。脇道から出られるのを見られては言い訳がきかない。
周囲に人がいないか確認してから外に出る。陰から出た瞬間、思わぬ光量に目を覆った。
今まで暗闇にいたせいか急な光に慣れなかった。迂闊だ。戦場で同じ事が起きれば命取りになる。


「……――――――」

日常を捨てても平等に誰もを照らす光を見て、一瞬、何かを言いかけた。
朝にいつも言う言葉が、喉元までせり上がってきたのをギリギリで止めた。

おはようと言える相手は、日常にいた中では意外なほどにいた。
家で父と母。学校の生徒。道行く通りすがりに声をかけられた事もある。
偽りでも、嘘でも。
ミカサにとって悪趣味に他ならず苦痛をもたらすものであっても。
それはミカサが『日常』に受け入れられていた証だった。

だが日常はもうない。
ミカサがミカサ自身の意思で切り捨てた。
喪ったものは違う形でまた手に入っても、捨てたものは二度と還ってこない。
家族。クラスメイト。全てを捨て身軽になる。
仮初の住人という、街に溶け込む為の装飾を剥がし、本当のミカサ・アッカーマンのみが残る。

『ランサー』
『何だ』

呼びかけに応じる声。
孤独ではない。傍には常にランサーがいる。
負担を抑えようと霊体化してるが、有事になれば何よりも頼もしいミカサの盾となり、槍となる。
ランサー自身が『兵器』として扱うよう望んだように、ミカサも彼女を兵器として扱う他ない。


『行こう。そして勝とう』
『無論だ』


偽りを捨てた本当のミカサには、けれどおはようと言える相手すら残っていなかった。

49 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:54:52 ID:mzedvCtc0


【C-1 山小屋/2日目 朝】

【間桐桜@Fate/stay night】
[状態]:健康
[令呪]:残り三角
[装備]:学生服
[道具]:懐中電灯、筆記用具、メモ用紙など各種小物、緊急災害用グッズ(食料、水、ラジオ、ライト、ろうそく、マッチなど)
[所持金]:持ち出せる範囲内での全財産(現金、カード問わず)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る。
0. ――――――――。
1. キャスターに任せる。NPCの魂食いに抵抗はない。
2. 直接的な戦いでないのならばキャスターを手伝う。
3. キャスターの誠意には、ある程度答えたいと思っている。
4. 遠坂凛の事は、もう関係ない――――。
[備考]
※間桐家の財産が彼女の所持金として再現されているかは不明です。
※キャスターから強い聖杯への執着と、目的のために手段を選ばない覚悟を感じています。そして、その為に桜に誠意を尽くそうとしていることも理解しました。
 その上で、大切な人について、キャスターにどの程度話すか、もしくは話さないかを検討中です。子細は次の書き手に任せます。
※学校を休んでいますが、一応学校へ連絡しています。
※命蓮寺が霊脈にあること、その地下に洞窟があることを聞きました。
※キャスター(シアン)の蟲を、許可があれば使い魔のようにすることが出来ます。ただし、キャスターの制御可能範囲から離れるほど制御が難しくなります。
※遠坂凛の死に対し、違和感のようなものを覚えていますが、その事を考えないようにしています。


【キャスター(シアン・シンジョーネ)@パワプロクンポケット12】
[状態]:健康
[装備]:橙衣
[道具]:学生服
[思考・状況]
基本行動方針:マナラインの掌握及び宝具の完成。
0.学園に攻め込む準備。
1.学園を中心に暗躍する。
2.桜に対して誠意ある行動を取り、優勝の妨げにならないよう信頼関係を築く。
3.黄金のセイバー(オルステッド)を警戒。
4.発見した洞窟の状態次第では、浮遊城の作成は洞窟内部の霊脈で行う。
5.洞窟を使うのに必要であれば、白蓮と交渉する。
[備考]
※工房をC-1に作成しました。用途は魔力を集めるだけです。
※工房にある程度魔力が溜まったため、蟲の制御可能範囲が広がりました。
※『方舟』の『行き止まり』を確認しました。
※命蓮寺に偵察用の蟲を放ちました。現在は発見した洞窟を調査中です。
 →聖白蓮らが命蓮寺に帰ってきたため、調査を中止しています。不在の機会を伺うか、交渉も視野に入れています。
※命蓮寺周辺の山中に、地下へと通じる洞窟を発見しました。
※学園のマスターとして、ほむら、ミカサ、シオン、ケイネスの情報を得ました。
 また関係するサーヴァントとして、アーチャー?(悪魔ほむら)、ランサー(セルベリア)、シオンのサーヴァント(ジョセフ)、セイバー(オルステッド)、キャスター(ヴォルデモート)を確認しました。
※ミカサとランサー(セルベリア)と同盟を結びました。
※ランサー(セルべリア)の戦いを監視していました。
※アーチャー(雷)とリップヴァーンの戦闘を監視していました。
※間桐桜から、教会に訪れたマスター達の事を聞きました。
※小屋周辺の蟲の一匹に、シオンのエーテライトが刺さっています。その事にシアンは気付いていません。
※【D-5】教会に監視用の蟲が配置されました。
※C-3の学園に潜伏していた十万の蟲の内、九万匹は焼かれ、残りの一万匹は学園から一先ず撤退しています。
 →撤退した蟲はC-1の小屋で合流しました。

50 グッドモーニングFUYUKI ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:55:10 ID:mzedvCtc0



[B1〜C1/大空洞/二日目 朝]

【ミカサ・アッカーマン@進撃の巨人】
[状態]:片腕に銃痕(応急処置済み)
[令呪]:残り三画
[装備]:魔法の聖水
[道具]:シャアのハンカチ身体に仕込んだナイフ
    立体起動装置、スナップブレード、予備のガスボンベ(複数)
[所持金]:普通の学生程度
[思考・状況]
基本行動方針:いかなる方法を使っても願いを叶える。
0.学園に向かう。
1.日常は切り捨てた。
2.額の広い教師(ケイネス)にも接触する。
3.シャアに対する動揺。調査をしたい。
4.蟲のキャスターと組みつつも警戒。
5.――――
[備考]
※シャア・アズナブルをマスターであると認識しました。
※中等部に在籍しています。
※校門の蟲の一方に気付きました。
※キャスター(シアン)のパラメーターを確認済み。
※蟲のキャスター(シアン)と同盟を結びました。
※シオンの姿、およびジョセフの姿とパラメータを確認。
※杏子の姿とパラメータを確認。
※黒髪の若い教師(NPC、ヴォルデモートが洗脳済み)を確認。現時点ではマスターだと考えています。


【ランサー(セルベリア・ブレス)@戦場のヴァルキュリア】
[状態]:魔力充填
[装備]:Ruhm
[道具]:ヴァルキュリアの盾、ヴァルキュリアの槍
[思考・状況]
基本行動方針:『物』としてマスターに扱われる。
1.ミカサ・アッカーマンの護衛。
[備考]
※暁美ほむらを魂喰いしました。短時間ならば問題なくヴァルキュリア人として覚醒できます。
※黒髪の若い教師(NPC、ヴォルデモートが洗脳済み)を確認。現時点ではマスターだと考えています。

51 ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:56:14 ID:mzedvCtc0
以上で投下を終了します
伝え忘れましたが、正純組を予約から消していたのをここで報告します。申し訳ありません

52 ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:13:58 ID:KEpQfa860
期限に遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。
投下を開始します。

53 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:15:28 ID:KEpQfa860


【0】





 我々がある人間を憎む場合、我々はただ彼の姿を借りて、我々の内部にある何者かを憎んでいるのである。


 自分自身の中にないものなんか、我々を興奮させはしないものだ。



                              ――――ヘルマン・ヘッセ

54 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:16:29 ID:KEpQfa860
【1】


 「お前は私じゃないんだ」と。
 狭間は叫んだその途端、空間が水を打ったように静まり返る。
 すすり泣く少年の嗚咽すら聞こえない、彼自身が急に泣き止んだからだ。

「僕を、認めないんだね」

 狭間と同じ格好をした少年が、ぽつりと呟いた。
 それはまるで、狭間の言葉を待っていたかのようで。
 あるいは、彼がそう叫ぶのを知っていたかのようで。

「それなら僕も、みんなと同じ様に君を否定しよう」

 ゆらりと、その少年が立ち上がる。
 泣きはらした彼の顔は、服装と同様に狭間と瓜二つであった。
 けれども、そこには魔神皇の威厳などまるで感じられない。

 少年の表情が体現するのは、「陰鬱」の二文字だ。
 己の未来をひたすらに悲観し、周囲全てを恐れ続ける子供の顔。
 世界の悪意のただ泣きじゃくる事しかできなかった、醜い弱者の姿。
 狭間の心臓が早鐘を打つ。全知全能の魔神皇の額に、焦燥を示す脂汗が滲む。

「我は、影……真なる、我……」

 涙で濡れた頬が、ニィと釣り上がって。
 直後、何者か――"影(シャドウ)"の姿が一変した。
 ただのちっぽけな人間の姿から、見上げる程に巨大な胎児へと変異する。
 胎児の額からは、あのひ弱な"影"がチョウチンアンコウの触手の様に生えていた。 

 マヨナカテレビを訪れた者の前に現れるもう一人の自分、それが"影"。
 歪な怪物へと変貌するそれの正体は、ひた隠しにしてきた本性の具現化だ。

「神様気取りの弱虫を聖杯は求めない。さあ、仮面を捨ててお家に帰る時間だ」

 サーヴァントの霊基ではないものの、"影"の魔力量はそれに匹敵していた。
 ただの魔物の類と一蹴するには、目前の怪物はあまりに強力すぎる。
 本能的に驚異を感じ取ったライダーが、手鏡片手に臨戦態勢へ移行する。

 だがその一方で、マスターである狭間は何をする訳でもなかった。
 先の焦りは何処に行ったのか、小さな笑いを口から漏らすばかりである。
 一体どうしたのと、ライダーが彼に問いかけようとすると、

「は、はは……は、ははははははッ!!
 何かと思えば、とんだこけおどしじゃないかッ!!」

 先程までの焦りは何処へやら、狭間は勢いよく破顔した。
 彼は顔に手をやりながら、未だ見せた事のない程の大声で笑ってみせた。
 それはまるで、焦燥していた先程の自分をも嗤っている様にも見える。
 自分そっくりの影に怯え、不覚にも狼狽した自分の醜態を。

「……大丈夫なの?さっきは随分焦ってたみたいだけど」
「焦った?この私がか?何を馬鹿な。所詮ただの悪魔一匹、慄く方が馬鹿げている」

 事実として、狭間から見ればどんな存在だろうと弱者同然だった。
 なにしろ彼は、かつて奪い取った神霊の力をその身に秘めているのだから。
 ゾロアスター教の最高神"ズルワーン"、サーヴァント如きが何千騎挑もうが返り討ちにできる神霊そのもの。
 今の狭間はその力をセーブしている状態ではあるが、それでも戦うには十分すぎる。
 少なくとも、並みのサーヴァント数騎と互角以上に張り合う程度は容易いだろう。

55 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:18:29 ID:KEpQfa860

 神を取り込んで手にした力を以てして、狭間は"影"を抹殺せんとする。
 例え相手がどれだけの力を持っていようと、難無く滅ぼせる絶対的な自信が彼にはあるからだ。
 皮膚が粟立つような不快感を抱えながら、魔神皇は同じ顔の怪物を排除しにかかる。

「丁度いい。この魔神皇の絶対たる力、その目に焼き付けて置くといい」

 そう言って、狭間は右手の掌を前に翳した。
 そういえばライダーは、まだ魔神皇の力のほんの一端にしか触れていなかった。
 せっかくの機会だ、此処でサーヴァントをも超越する神の脅威を見せてやるとしよう。
 一撃で敵を屠る様を見せつければ、彼女も自分への認識を改めざるを得ない筈だ。

「『マハラギダイン』」

 そのたった一言で、霧まみれの世界が炎の色に染まった。
 狭間の掌から放たれた灼熱が、校庭いっぱいに拡散したからだ。
 標的にされた胎児は、為す術なく火炎の濁流に巻き込まれる。
 焔が過ぎ去った後には、消し炭すら残っていなかった。

 火炎を放射するアギ系呪文、その最上位に位置するマハラギダイン。
 魔神皇の膨大な魔力が合わされば、校庭を火の海にするなど造作もない。
 無論その直撃を受けてしまえば、例えサーヴァントだろうが灰燼に帰す運命だろう。

 「凄いわね」と感嘆するライダーを尻目に、狭間は踵を返す。
 所詮は低俗な悪魔の一匹、取るに足らない相手でしかなかった。
 不愉快な虫けらを滅ぼした以上、此処に居座っても意味がない。
 いや、意味があるどころか不愉快だ。こんな忌々しい場所で屯する必要など――。

「どうして過去を拒絶するんだい?そんな炎じゃ、アルバムは燃やせても記憶は燃やせないよ」

 歩き出そうとしていた狭間の脚が、止まった。
 弾かれた様に振り返ってみれば、そこにはあの胎児がいるではないか。
 外傷らしい外傷はどこにも見当たらない。何らかの呪文を使った形跡さえ見られない。

 「馬鹿な」という困惑した声が、狭間の口から漏れ出た。
 "真なる影"を名乗る不愉快な悪魔は、マハラギダインの火炎で跡形もなく消滅した筈だ。
 奴が業火に喰われて蒸発していく様を、この目ではっきり見たというのに。
 にも関わらず、どうして奴が五体満足で視界に映っている!?

「鏡を見れば鏡像が写る。日の下に出れば影ができる。
 同じことさ。僕は君だったんだから、抱える力も同じもの。その程度の呪文で斃れるわけがないだろう?」
「貴様……ッ」

 胎児の言葉に含まれていた感情は、もう一人の自分に対する憐憫であった。
 その一句一句を耳に入れること自体が、狭間にとってあまりにも不愉快かつ屈辱的で。
 憤怒を孕んだ声色で「メギド」と叫んだのは、半ば反射的な行動だった。

 魔力で形成された核熱の炎が、一斉に胎児を襲う。
 それに対して、彼は動じることなく「マカラカーン」と一言口にする。
 胎児の前方に魔力を反射するバリアが発生し、殺到する魔力を残らず撃ち返した。
 魔神皇が産んだメギドの炎が、勢いを緩めることなく主へ牙を剥く。
 狭間は咄嗟にもう一度メギドを放つ事で、見事それを相殺した。

56 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:20:38 ID:KEpQfa860

「他人から奪った力を、上っ面だけの力を振るうのは楽しいかい?
 どれだけ強い呪文を使えたって、心の脆さだけは変えられないのに」
「知った様な口を……私を魔神皇と知っての狼藉か!?」
「知ってるさ。僕は君の何もかもを知っている。
 君が歩んだ物語を、君が歪んだ過去を、君が欲しかったものだって―――」
「黙れェッ!」

 狭間が叫んだ途端、彼の足元から地面に罅が入った。
 周囲の空間が歪み、近くにいたライダーが危うく転びかける。
 暴力的な量の魔力が滲み出て、周囲に影響を与え始めているのだ。
 常人が彼の身体に触れようとすれば、魔力によって指が千切れ飛んでしまいかねない。
 それ故、性技以外は一般人同然のライダーでは、今の狭間に接触すら叶わなかった。

「どうして君は聖杯を獲りに来た?今の君なら、何だって思い通りだろうに」
「私を侮辱した連中への完璧な復讐を遂行する為だ!それ以上に何があるッ!?」
「違うね。君は力ではどうにもならない物が欲しいんだ。例えば――――」

 その言葉を遮るかの様に、狭間は呪文を乱発した。
 火炎が、電撃が、吹雪が、真空波が、核熱が、一斉に胎児を襲う。
 どれだけ強大なサーヴァントであろうと、直撃すれば死に直結する魔力量だ。
 襲い掛かる魔術の群れに嬲られ、再び胎児の肉体は四散した。

「もう一度言うよ。僕は、"狭間偉出雄"はその程度では滅びない。
 人よりずっと頭が良いのに気付けないなんて、よほど動揺しているんだね」

 けれども、その攻撃さえ徒労に過ぎなかった。
 狭間が瞬き一つした頃には、胎児の肉体はすっかり修復されていたからだ。
 傷など最初から受けていなかったと言わんばかりに、彼はその場に居座っている。
 一方の狭間はというと、こめかみに血管が怒張する程に憤怒を露わにしていた。

「く、下らん戯言をほざくなッ!貴様が、貴様が私な訳がないだろうッ!?」

 天才と謳われた少年らしからぬ、貧相な語彙の罵倒だった。
 目に見えて動揺している証拠であり、狭間は今や目の前の"影"で頭がいっぱいな状態にある。
 ライダーが何度も落ち着くように促すが、それを気に留める素振りすら見せない有様だ。
 傍らにいるライダーの匂いはおろか声さえも届かない程、狭間は乱心しているのだった。

「またそうやって自分を騙すんだ。それなら、僕にも考えがある」

 瞬間、目の前の赤子が急激にその姿を変えていく。
 ごぽごぽと肉を増やしていき、その身体を更なる異形に変えていく。
 今にも砕けそうな張りぼての翼を付けた、宙に浮かぶ芋虫であった。
 けれども、顔だけは泣きはらす人間の赤ん坊そのもので、それが余計に悍ましさを演出していた。

「ふざけるな……こんな醜い芋虫が、私だとでも言うのか……ッ!」

 僕は立派な蝶なんだと、成虫なんだと必死に主張する幼虫。
 自分を嘲笑うかの様な"影"の変化は、狭間の憤怒をより燃え上がらせるガソリンも同然だった。
 近づけないライダーが言葉で何度も呼びかけるが、今の彼にはまるで聞こえていない。

「教えてあげるよ。虚飾の剣では、這い寄る影には打ち勝てない事をね」

 刹那、胎児から影が放射状に広がり、驚くほどの速度で世界を黒色に塗り潰す。
 瞬き一つした瞬間には視界が埋め尽くされる程の勢いだ、呪文を唱える余裕すらない。
 マカラカーンを詠唱するより早く、影は狭間とライダーを飲み込んだ。

57 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:22:50 ID:KEpQfa860
【2】


 視界が開けた時、狭間は人気のない廊下で立ち尽くしていた。
 傍らにライダーの姿はなく、どうやらこの空間に居るのは自分独りだけらしい。
 今自分の身に何が起こったか、聡明な狭間はすぐに察知する事ができた。
 如何なる方法を用いたかは知る由もないが、幻影に引きずり込まれたようだ。

 マヨナカテレビに出現した"影"の中には、相手に幻影を見せる個体もあった。
 例えば、とある少年は「仲間との絆を失う」という幻影を見せられ窮地に陥った事がある。
 狭間と対峙する"影"も、そういった能力を有していたのだった。 

「目を逸らす罪には、相応の罰を与えないといけない」

 どこかからか、あの"影"の声が聞こえてきた。
 自身は姿を見せる事無く、幻影だけで自分を苦しめる魂胆らしい。

「な、何かと思えば、低俗な幻覚で私を陥れるつもりか?」

 そう挑発する様に言い放つ狭間であったが、内心は穏やかでない。
 何しろ、今自分が立っている廊下には、良い思い出が全くと言っていいほど無かったからだ。

 知らない筈がない、記憶に焼き付くほどに目にし続けた光景だ。
 この場所は、忌々しいあの高校の――軽子坂高校の廊下そのものなのだから。

 全身の肌という肌が粟立ち、胃液が喉までこみ上げてくる。
 どうしてこの化物は、自分の忌々しい過去を知っているのか。
 まさか本当に、あれこそが"もう一人の自分"だとでも言いたいのか。
 在り得ない――あんな醜い芋虫が、魔界を統べる魔神皇の分身であっていい訳がない。

『……おい、聞いたか……』

 そんな時、背中越しに聞き覚えのある男の声が耳に入り込んできた。
 あのせせら笑う様な声色を、忘れたことなど一度としてあるものか。
 心臓を掴まれたような息苦しさを伴いながら、ゆっくりと振り返ってみれば、

『ハザマの奴、実は……だってよ』
『……ええっ、ホント!?』
『バカッ、聞こえるじゃねえかよ』

 身の覚えのない噂を囁き合うクラスメイト達の姿が、そこにはあった。
 張本人が近くにいるのも関わらず、彼等は侮蔑同然の噂話を止めようとはしない。
 それどころか、狭間にも聞こえるかのように声量を上げている節すらあった。

『……だとは思ってたけど……まさか……だとはね……』
『……いや、俺は……じゃないかと思ってたよ……』

 時折こちらの様子を伺いながら、陰口を叩き続ける少年たち。
 狭間に向けられる瞳の中にあるのは、おおよそ人に向けるべきではない嘲笑ばかりであった。
 彼等は分かっているのだ。例え大っぴらに暴言を吐いた所で、あの根暗は反撃などしない事に。
 だから少年達は、あの高校に通う生徒達は、狭間という弱者を嘲笑い続けて――――。

「――――――ッ!!」

 狭間が衝動的に放ったのは、マハラギダインの業火だった。
 少年達は消し炭さえ残さず消え去ったが、廊下には傷ひとつ付いていない。
 牢獄も同然だった軽井坂高校は、変わらず狭間を軟禁し続けていた。

「こ、こんな、こんなものを見せて、動揺を誘う気か……ッ?」

 狭間の顔色には先ほど以上に蒼白であり、呼吸もより荒くなっっている。
 さも気にしていないような言葉を吐いているが、冷静を装えてはいないのは明らかだった。

58 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:25:45 ID:KEpQfa860

「辛いわけがないよね?過去は捨てたんだろう?」
「衆愚の営みなど、わっ、私には悉く汚物に等しいッ!」

 虚空から聞こえてきた"影"の声に、感情的になって言い返す。
 程度の低い罵倒を受けた彼は何に落胆したのか、深いため息をついた。
 案の定憐憫がたっぷり籠った吐息に、狭間のこめかみに静脈が青く浮き出る。

『――――やったじゃんアキコ!』

 背後から聞こえた女性の声に思わず振り返り、そして深く後悔した。
 狭間の視線の先にいたのは、辛苦ばかりの記憶の中で最も深く突き刺さった痛み。
 かつての彼が憧れていた女生徒が、明確に自分を拒絶した瞬間だった。

『ラブレターなんて、やるぅ』
『冗談じゃないわよ。ネクラなハザマの手紙なんて読むわけないじゃない』

 ちっぽけな勇気を振り絞って、意中の人に震えながら渡したラブレター。
 きっと想いが伝わる筈だと信じていた。嗤われる筈がないと思い込んでいた。
 けれど、手紙の形をした願いの結晶は、にやつきながら破り捨てられて、

『あーっ、ヒッドーイ!何も破り捨てなくったっていいじゃ――――』

 言い終わる前に、少女たちはマハラギダインの炎に呑まれていた。
 手書きのラブレター諸共、過去の痛みが灰燼に帰していく。
 狭間は燃え尽きるのを確認すらせずに踵を返し、そのまま逃げるように走り出した。

「人の世界に未練があった、だから神になれなかった。
 それなのに"皇"を名乗って王様気取り、虚しくならないのかい?」

 延々と続く廊下を走り続ける最中も、"影"は語り掛けるのを止めなかった。
 心の底から忌々しいが、彼の言っている事は間違っていない。
 無限の塔に鎮座するズルワーンを打ち倒し、神にも等しい力を得たまでは良かった。
 しかし、人への未練を理由に神に至る事が出来ず、神より劣る"皇"を名乗ったのである。

「人の世界に取り残しがあった。だけど背伸びしたって手に届かなかった。
 だから世界を滅ぼすなんて短絡的な思想に走るし、必要のない聖杯まで求め始めた」
「違うッ!私の未練は怨念だ、復讐を完遂してようやく人間と決別を――――」
「"独りで有る者に非ず"と言われたじゃないか。天才の癖にその意味がまだ解らないのかい?
 ……いや、違うんだろうね。解っていても認めたくないんだ、その言葉が何を指しているのかを」
「下らん事を……それなら貴様が答えてみればいいッ!」

 ズルワーンの力を取り込んだ時、内なる声は自分に「"独りで有る者に非ず"」と忠告した。
 あの頃は馬鹿げた言葉だと鼻で嗤いたい気分だった――この身が他人を必要としているものか、と。
 頂点は常に一人なのだ、そこに他者が介入する余地などある訳がない。

59 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:27:35 ID:KEpQfa860

「いいよ、君の言葉通りにしてあげよう。ほら、君の目の前に、欲しかったものがあるよ」

 瞬間、空間がぐにゃりと捻じ曲がる。
 出口の見えない廊下から、かつて幾度も通った保健室に。
 これから何が起こるのか、聡明な狭間にはものの数秒で理解できてしまった。

『先生、僕は、僕は……もうだめだ……誰も僕なんか愛してくれないんだ……』

 保健室に居たのは、保険医の女性に情けなく縋り付く狭間その人だった。
 情けなく泣きじゃくる少年を、保険医は母親の様に宥めているではないか。
 狭間が小さく「やめろ」と零すが、彼は女性の寛大さに甘えるのを止めなかった。

『せっ、先生!僕を……抱いてくれよ!慰めてくれよ!お願いだ!』
『やっ、やめなさい!!ハザマ君やめて!!』

 そして少年は、狭間が見ているにも関わらず保険医に抱きかかった。
 唯一の理解者だった香山先生なら、自分を受け入れてくれるのではないかと信じて。
 だから自棄を起こしたように彼女に迫って、しかし拒絶されたのである。

『……聞いて、ハザマ君。あなたは生徒、私は教師よ。こんな事しちゃいけないわ……』

 生徒と教師という関係、たったそれだけの理由で、最初で最後の理解者に拒まれた。
 この人ならきっと自分を■してくれると思いこんで、けれどもそれは思い違いでしかなくて。
 欲しかった■にはもう手が届かない事に、そこでようやく気付いてしまって。

「あ――――あぁ――――!!」

 嗚咽しながら再演された過去へ手を翳し、しかし唇は呪文を紡ぐ事が出来ず。
 先程の様に焼き払う事もしないで、狭間はすぐさま保健室を飛び出した。
 けれども、この世界は"影"の作り出した裁きの世界。逃げた先に安息などありはしない。

『……貴方が恐れたのは、私の力ではない』

 保健室を抜けた廊下で待っていたのは、かつて契約していた「アモン」という悪魔だった。
 絶大な力が手に入るという「無限の塔」を訪れた狭間が、最初に出会った存在。
 ズルワーンを倒し神に等しい力を得た後、用済みとして封印していたのだ。

『私が貴方の心を知ってしまった事に怯えているのだ。私が貴方を哀れんだことに』
「お、思い上がるな!貴様らが、あ、足手まといだから、私は、お前たちを……!!」

 言い切る前に、狭間は衝動的に『ザンマ』の呪文でアモンの五体を引き裂いた。
 バラバラになった肉体が血液と共に廊下中に散らばるが、唇は動くのを止めようとしない。

『心を開かなければ、求める物が手に入る事はない……それさえ知らないとは、なんと哀れな……』

 その言葉を最後に、アモンの肉片は消滅する。
 狭間の顔はこれまで以上に蒼白になり、その色は今や死人めいていた。

60 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:30:02 ID:KEpQfa860

「パトラ!パトラッ!パトラッ!!パトラッ!!!パトラッッ!!!!
 ……何故だッ!!何故消えない、こんな状態異常ひとつ、打ち消せない筈が……ッ!?」

 状態異常を治癒する「パトラ」の呪文を唱えても、世界は何も変わりはしない。
 そもそもこの幻覚は"影"の力であり、狭間は現在も健康体そのものだ。
 普段の彼であれば気付ける簡単な事実であるが、動揺しきった今の状態ではそれも叶わない。

「そんな事したって無駄さ。自分の力なら何でも出来ると驕っているのかい?」
「何が……何がしたいんだ……貴様は……ッ!?」
「まだしらばっくれるのかい?正直に言えばいいじゃないか」

 その時、顔は見えないというのに、"影は"ニヤリと嗤った気がした。


「きみはただ、"愛"が欲しいだけなんだろ?」


 "愛"が欲しいと、影は嘯いて。
 その瞬間、狭間の脳裏に覚えのある情景が映し出される。


――――……僕は、この世に一人……。


 フラッシュバックしたのは、自分自身の過去だった。
 人間だった頃の忌まわしい思い出が、蓋をしていた筈の記憶がまざまざと蘇る。
 惨めだった自分、教室で独りぼっちの自分、ただ泣いてばかりいた自分。
 捨て去った日々の残滓が、否応なしに再生される。


――――僕はいつも一人だ……誰も僕を愛さない……僕は誰も愛さない……。


 違う、こんなものは魔神皇ハザマが持つべきものではない。
 こんな記憶はあり得ない、こんな過去はあってはいけない。
 思い出すな、蘇るな、現れるな消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ――――。

「違う――――違う違う違う違う違うッッ!!
 こんなものを私に見せるなッ!魔神皇に、こんな穢れがあるものかッ!」

 怒り狂った狭間が、我武者羅に呪文を乱打する。 
 最早彼自身ですら、どんな術を使っているのか分かっていない有様だった。
 魔神皇が持つあらゆる呪文が、虚像の世界を破壊せんとする。
 けれど、それでも校舎の窓は割れないし、廊下は罅割れすらしない。
 魔法の様な力を手にしたって、現実(せかい)は変わりはしなかった。

61 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:33:13 ID:KEpQfa860

「僕は孤独だった、誰も僕を理解しないどころか、いつも僕を否定していた。
 どう他人に接すれば分からなかったんだ。どうすれば僕は愛されるんだろうって」
「奴等は私を理解しない馬鹿共だったッ!取るに足らない屑共だッ!」

 マハラギダインは最上級の火炎呪文。
 それにより生み出される業火は、あらゆる生命を灰に帰す。
 けれど、そんな力では過去を焼き切る事は出来なくて。

「香山先生は僕を受け入れてくれると信じていた。でもあの人は僕を拒絶した。
 当然だよね、教え子の僕とセックスしてくれなんて、到底受け入れられるものじゃない。
 見栄を張らずにいい子いい子してもらえれば、それだけで十分だったのに」
「これ以上口を開くなッ!貴様如きが、私を知り尽くした様な口を利くなッ!」

 マハブフダインは最上級の凍結呪文。
 それにより生み出される冷気は、あらゆる生命を停止させる。
 けれど、そんな力では過去を凍らせる事は出来なくて。

「お母さんがいれば、僕を愛してくれる人がいれば、僕はそれだけでよかったんだ。
 神様の力があればそれが叶うと信じたかい?そんな都合のいい話があるとでも?
 悪魔達は"魔神皇"の力にひれ伏しただけで、狭間偉出雄になんて見向きもしていないさ」
「愛など不要だッ!神聖なるこの身に、私という真理に!そんなものが必要あるものかッ!」

 ジオダインは上級の電撃呪文。
 それにより生み出される電流は、あらゆる生命を黒焦げにする。
 けれど、そんな力では過去を消し炭にする事は出来なくて。

「君のやるべき事は復讐なんかじゃない。ましてや聖杯なんて無用の長物だ。
 愛に飢えた君は、母に抱かれて眠るべきだったんだ」
「貴様に……貴様に私の何が分かる!?全能たる魔神皇が、そんな子供の様な……ッ!」
「事実子供じゃないか、君は」

 ハマオンは上級の破魔呪文。
 それにより生み出される極光は、あらゆる生命を天に帰す。
 けれど、そんな力では過去を清算する事は出来なくて。

「愛など必要ないッ!!貴様が私である訳がないッ!!」
「ならどうして、君はあのライダーを召喚したんだい?」
「そんなもの私が知るかッ!アークセルの嫌がらせに決まっている!」
「違うよ。君が望んだから彼女は来たんだ。君が彼女を求めたんだ」

 メギドは核熱呪文。
 それにより生み出される灼熱は、あらゆる生命を消滅させる。
 けれど、そんな力では過去を無かった事にすら出来なくて。

「彼女のセックスは正真正銘愛の象徴だ。自分も相手も快楽に溺れる交わり、それを愛と呼ばずに何と言うんだい?」
「都合よく解釈するなッ!あんな誰彼構わず、せ、セックスする女などッ!」
「それなら香山先生に"抱いてくれ"なんて懇願しなければ良かったのに。
 セックスが愛に由来する行為だって、そう知ってたからあんな事言ったんじゃないのかい?」

 どれだけ呪文を撃ち続けたところで、"影"は姿を見せる事はない。
 勿論、廊下の様子も一切変わることはない。全ては徒労に終わっていた。
 魔神皇ハザマの暴力では、精神を揺さぶる"影"にまるで太刀打ちできなかった。

「もういいじゃないのか。駄々をこねた所で何も変わらないよ」
「黙れ……私は……わたしは…………――――」

 その時だった、狭間の付近の虚空から、少女のものと思しき腕が出現したのは。
 腕は狭間の股間にまっすぐ伸びていき、か細い指がズボン越しに男性器へ触れる。
 すると、彼は素っ頓狂な声を挙げて痙攣し、へなへなと跪いたではないか。
 真っ白なズボンは白濁液で濡れている。端的に言うと、射精したのである。

62 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:34:21 ID:KEpQfa860
【3】


 糸の切れた人形めいた状態の狭間に、ライダーが駆け寄ってくる。
 言うまでもなく、彼が射精したのは彼女の仕業である。
 宝具である「ぴちぴちビッチ」で右手を股間に転移させ、一瞬の隙を突いて指で触れる。
 卓越しすぎた性技を持つライダーであれば、それだけで男を絶頂させる事が出来た。

「…………ライダー…………」
「大丈夫……とは流石に言えないわね」

 狭間の表情は、素人目でも一目で判断できる程に憔悴していた。
 ライダーの手で射精されたというのに、嫌悪がまるで見られない。
 そういった感情すら出せない位、彼の精神は損傷しているのだった。

 通常、ライダーによって絶頂した者には「賢者モードver鏡子」という宝具が発動する。
 この宝具の影響を受ければ、脳の処理能力が上がるなどの恩恵を長時間受けられるのだ。
 しかし、それでもなお狭間の意識は混濁したままである。要はそれほどのダメージなのだろう。

「ごめんなさいマスター、もっと早く見つけるべきだったのに……」

 ライダーはへたり込む狭間に肩を貸し、どうにか彼を立ち上がらせる。
 性技ひとつで英霊に至ったこの英霊は、性欲を調整するのも思いのままだ。
 そのため、今は肌を密着させてはいるものの、狭間が絶頂する事はなかった。

――――ごめんね、イデオ。あなた1人、寂しい思いさせて……。

 放心状態の狭間の脳裏に、ライダーのものとは異なる女性の声が響き渡る。
 確か以前にも、同じような言葉を掛けられた覚えがあった筈なのだが。
 それを思い出そうとする暇もなく、"影"による攻撃は再開される。

『ごめんね、イデオ……』

 狭間とライダーの目の前に、またしても幻影が現れた。
 母親と思しき女性が赤子を抱えながら、まだ十歳にも満たないであろう小さな子供を置いていく光景だ。
 少年は泣き叫びながら母の名を呼ぶが、当の母親は振り返りもせずに歩き去っていく。

『かあさん!行っちゃやだ!!なんで、ぼくをおいてくの!!行っちゃやだ!!』

 まだ小さな子供ではあるが、声色や容姿からして幼少期の狭間である事は明らかだった。
 そして、母を追い求めるその光景が何を意味しているのか、ライダーにだって理解できた。
 狭間が幼い頃に母親と別離し、

「マスター、あなた……」

 何かを悟ったライダーが、こちらに視線を向けている。
 彼女はあの泣きじゃくる子供から、自分のマスターが抱える心の傷を知ったのだ。
 それ故に、彼女の瞳には強い同情の念が浮かんでいて、

63 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:35:41 ID:KEpQfa860
.





――――■■■とは久しぶりよね。そうよ、あなたの妹の■■■よ。






 だから、ライダーの瞳が重なった。






――――ずいぶん久しぶりだから、すっかり見違えたでしょう?
――――……■■■、さあ、兄さんに挨拶なさい。






 母との記憶の中にあった、あの少女の瞳が。







「や、やめろ」

 知っている瞳だった。

「そんな目で、私を見るな!」

 いつか見た瞳、子供の頃に目にしたあの瞳。
 母親の隣にいた少女の瞳が、まじまじと自分を見つめる様で。
 その視線が痛くて、辛くて、嫌で、たまらなく怖くて。

「こんなもの違う!私は、魔神皇たる私が、こんな……!!」

 瞬間、狭間は両の腕でライダーを突き飛ばす。
 腕に込められた力はあんまりに非力で、魔神皇とは思えぬほど貧弱だった。
 ただの女子高生程度の筋力しかないライダーとの距離は、ほんの僅かしか開かない。
 だから、彼女の■■■そっくりの瞳はこちらを見つめたままで。

「ちょ、待ってマスター!落ち着いて――――」
「う、うるさいッ!黙れ黙れ黙れッ!」

 狂乱状態の狭間により、二画目の令呪が発動する。
 「黙れ」という命令を強制され、ライダーは閉口せざるを得なくなる。
 それだけでは終わらず、狭間の所持していた最後の令呪が紅い輝きを見せると、

「私の、私のッ!目の前から、消えろォォォォッ!」

 その命令が意味するのは、明確な拒絶の意志であった。
 想定外の言葉に衝撃を受けたライダーが、狭間に向けて手を伸ばす。
 「そんなつもりじゃなかった」と弁明しようにも、口を開く事は出来ず。
 だから今は、彼の手を掴んで意志を伝える事しか方法が無くて。

「――――――触るなッ!」

 その伸ばした手を、狭間は腕を払って弾き飛ばした。
 怯えと恐怖が入り混じった、今にも泣き出しそうな表情をライダーに見せながら。
 彼女の想いを、彼女の優しさを、彼女の愛を、再度拒絶したのだった。

 狭間が最後の命令は正しく行使され、ライダーの姿がその場から掻き消える。
 令呪の強制力により、彼女はこの空間から無理やり弾き飛ばされたのだった。

64 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:37:48 ID:KEpQfa860

 ライダーが行方を晦まし、再現された軽子坂高校には狭間一人だけが残る。
 それを好機と見たのだろうか、荒い呼吸音を立てる彼の前方の空間が歪み始める。
 その歪みから這い出てきたのは、狭間を陥れたあの芋虫、もとい"影"だった。

「どうして拒むんだい?彼女ならきっと、君を受け入れてくれたのに」
「……セックスに耽る女など、此方から願い下げだ」
「そうか。君にはそうとしか見えなかったんだね」

 やはり憐れむ様な口ぶりだったが、もう狭間は何の反応も示さなかった。
 視線を下に向けて座り込む彼は、黙り込んだままで口を開こうともしない。
 ほんの少し前であれば、ムキになって反論していた筈だというのに。

「でも構わない。僕は君を赦してあげる」

 弱り切った狭間を尻目に、"影"の顔つきが変異する。
 まるで粘土を捏ねたみたいに、顔がぐにゃぐにゃと歪んでいき、

「貴方はただ愛してほしかっただけ。抱きしめてほしかっただけなのよ」

 不細工な赤ん坊だった"影"の顔は、顔立ちの整った美人になっていた。
 声色さえ変わってしまっている。当初は狭間と同じだったのに、今では女性のそれだ。
 顔を上げてそれを目にした狭間の瞳が、大きく見開かれる。
 彼が見紛う事はない、その美人の顔とは、保険医の香山そのものだったのだから。

「だからね、イデオ君。もう全てやめてしまいましょう?
 あの時は駄目だったけど、今ならいいわ。貴方を抱いてあげる」

 唯一の理解者と同じ顔と声で、"影"は狭間に諦観を促す。
 疲弊しきった彼を、快楽の道へと引きずり込まんとする。
 きっとこれこそが、"影"の最終目的だったのだろう。
 精神を徹底的に凌辱した末に、抱擁という形でトドメを刺すつもりでいたのだ。

 狭間はしばらくの間、彼女を見つめて。
 そして、小さく口を開いた。

「もういい」

 狭間の口から出てきたのは、先程とは打って変わって底冷えするような声だった。
 この世の一切に対する興味を失ったような、どこか空虚さすら感じさせる声色。
 その声に色を付けるのだとしたら、きっと今の彼の瞳と同じ、光をも飲み込むような黒色なのだろう。

「お前が、私の影を名乗るなら。"狭間偉出雄"の影を名乗るのなら」

 立ち上がった狭間は、虚ろな瞳で再度"影"を見据える。
 じっくりと目の前の怪物を観察していき、やがて彼は一つの結論を出す。
 やはり、あり得ない。こんな醜い姿が本来の自分などと。
 あんなものは所詮、自分を陥れる為に作られた虚偽の産物でしかないのだ。

 ならば証明してやろう。あの芋虫などではなく、"魔神皇"こそが真の自分だという事実を。

「そんな幻想は、この"魔神皇"が破壊する」

 狭間の肉体が変容する。痩せこけた少年から、刺々しい冠を被った聖者の如き姿へと。
 信心無きならず者でさえ畏怖すら覚えるこの姿こそが、本来の魔神皇である。
 ズルワーンの力を解放した、まさしく神の如き権能を振るう形態であった。
 この形態であれば、この聖杯戦争に存在する全てのサーヴァントを相手取る事さえ出来るだろう。
 無論、脆弱な"影"の攻撃如きでは、皇の玉体が傷つく筈もない。

 そうとも知らず、"影"は幾つもの大魔術を敵に向けて撃ち込み始めた。
 それら最上級クラスの魔術の一切を、魔神皇は躱す素振りすらせず受け止めていく。
 無論、脆弱な"影"の攻撃如きでは、皇の玉体が傷つく筈もなかった。
 いや、例え神が造り上げた兵器だろうと、彼に痛みを与えるのは難しいに違いない。

65 if - a king of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:40:08 ID:KEpQfa860

 魔神皇はゆっくりと"影"に向けて歩き出す。
 彼にとっては、わざわざ歩まずとも「メギド」と一言唱えれば即死する様な雑魚である。
 しかし、あの敵だけはこの手で直接始末しなければならないと、本能が訴えていたのだ。
 その意志を抱いた理由からは、今もなお目を背け続けながら。

「どうして否定し続けるの?」

 答えない。

「愛されたいと望むのは、悪い事なんかじゃないのよ?」

 答えない。

「聖杯なんかいらないの。独りは嫌だって、そう言ってくれるだけでいいのよ?」

 答えない。

「神様の力なんて捨てて、私とひとつに――――」

 問いかけは、頭部を両手で鷲掴みにされた事で中断される。
 最後まで口を開かないまま、魔神皇は"影"の元に辿り着いたのだった。
 "影"は香山と同じ顔を保ったまま、微笑みながら相手を見つめている。
 魔神皇は眉一つ動かさない。そもそも動かすような部位がない。

「消えろ」

 魔神皇は躊躇う事無く、香山の顔を果実の様に握り潰した。


【3】


 "影"を滅ぼした瞬間、景色は最初の校庭に戻っていた。
 魔神皇の肉体も、本来のものから少年のそれへと戻っている。
 焼け焦げた跡さえ見当たらない校舎を見て、魔神皇は全てを理解した。

「……なるほど、全てが幻影だったという訳か」

 恐らくは、"狭間の影"が最初に変異した時点で幻覚に取り込まれていたのだろう。
 だからこそ、どれだけ攻撃を受けてもすぐさま再生する事が出来たのだ。
 冷静さを失っていたせいでそれに気付けないとは、とんだ失態だと自嘲せざるを得ない。

「悲しいね」

 自分の傍らに"狭間の影"が立っているのに、そこでようやく気付いた。
 ほんの少し前であれば顔を顰めただろうが、今の魔神皇はもう何の反応も示さない。
 顔が同じだけの別人が何を言おうが、単に不愉快なだけでしかなかった。

「貴様がどれだけ何を吐こうと、あんなものは私ではない」

 魔神皇は魔界を統べる皇。下賤な愛を求める理由などあるものか。
 魔界を意のままに支配する神の如き力の前では、愛など所詮塵芥も同然なのだから。
 だから、魔神皇たる今の自分が、そんな感情を欲している訳がなくて。

「お前が、私である訳がない」

 その一言は、まるで自分に言い聞かせるようだった。

「それが君の選択なんだね、"魔神皇"」

 それでもなお、"狭間の影"は相変わらず憐憫を止めなかった。
 魔神皇はやはり答えない。これ以上会話を続ける意味を感じなかった。
 断じて、自分の答えが揺らぐのを恐れている訳ではない。

「だけど、この聖杯戦争は"つがい"を求める闘争だ。
 アークセルは独りで戦う君を決して望まないし、求めもしない」

 魔神皇が"狭間の影"に向けて掌を翳す。
 未だ存在し続ける"影"の息の根を、今度こそ止めるために。
 幻覚の中ではものの数秒で蘇生されてしまったが、現実世界なら話は別だ。
 たった一言呪文を唱えるだけで、狭間そっくりな男はこの世界から消え失せる。

「さようなら孤独の皇。君はもう、永遠に独りだ」

 刹那、"狭間の影"を『マハラギダイン』の火炎が包み込む。
 英霊すら焼き焦がす業火に喰われ、影は痕跡すら残さず消滅した。
 まるで最初からそんなもの存在しなかったかの様に、何一つ残りはしなかった。

 全てが終わり、魔神皇はふと校舎の方へと目を向けた。
 学校に備え付けられた窓に、自分の顔がうっすらと映っている。
 目も鼻も口もあるのに、何故だかのっぺらぼうみたいに見えた。

66 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:45:16 ID:KEpQfa860
【4】


 どうやら、令呪の影響でマヨナカテレビの外へ飛ばされてしまったらしい。
 禍津冬木市とは対照的な風景に囲まれ、ライダーは溜息をついた。

「困ったわね」

 早く狭間の元に戻りたい所だが、生憎ライダーの身体能力は極めて低い。
 それこそ一般人同然である彼女の脚力では、移動には相当な時間がかかるだろう。
 第一、ライダー単独では電脳世界に転移することすらままならない。
 出来ることがあるとすれば、自宅でマスターの帰りを待つ事くらいだ。

 とはいえ、ライダーは特に焦燥感を抱いている訳でもなかった。
 マスターがサーヴァント並みの能力を所有している事は、これまでで十分解らされている。
 よほどのハプニングが起こらない限り、彼が斃れる事はないだろう。

 しかし、問題は彼が元の世界に帰還した後である。
 怪物と対峙していた時のマスターは、見るからに多大な精神ダメージを受けていた。
 あの様子から察するに、戦闘後もしばらく引き摺るのは間違いないだろう。
 それこそ、今後の立ち回りに影響を及ぼすおそれさえある。

(……悪い事しちゃったわね、拒むのも無理ないわ)

 狭間がどうしてセックスを拒んでいたのか、今のライダーには理解できた。
 あの反応からして、自分の前に現れた子供は過去の彼自身で間違いないのだろう。
 幼少期に母親と別離したという経験から、彼は心のどこかで愛情に飢えていたのだ。

 実を言うと、狭間を探している最中に目撃してしまったのだ。
 彼が"影"の見せる幻影に怯える姿を、「ぴちぴちビッチ」越しに見つけてしまったのだ。
 勿論、彼の過去も知ってしまったし、愛を嫌悪する理由も概ね察しがついた。

 狭間がそれを知ったら、烈火の如く怒り狂うのは容易に想像できる。
 最悪の場合狂乱した彼に殺されかねないし、恐らくそうなるだろう。
 だから、この事実はライダーの胸中に秘蔵されてそれっきりだ。

 けれども、ライダーは解っている。
 狭間偉出雄は、深層心理では愛を求めている。
 愛を求め、愛に裏切られ、愛を憎み、愛を嫌悪し。
 だがそれでも、今もなお心の何処かで愛を欲しているのだ。

 そうと決まれば、今後の立ち振る舞いも考えなければならない。
 狭間は恐ろしく強いのだから、自分が下手を打たない限り敗退はあり得ないだろう。
 時間はたっぷりあるのだ。ゆっくり手間暇かけて彼の心を氷解させればいい。
 セックスは本番だけが重要ではない。しっかり濡らす為の前戯だって同じ位大切なのだから。

67 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:45:57 ID:KEpQfa860

「それじゃ、早く帰らないと……」

 そういえば、この街並みは「ぴちぴちビッチ」越しに見た事があったか。
 錯刃大学――以前ライダーは、この大学の生徒を何人か絶頂に導いた事がある。
 あの大学の付近が現在位置という事は、マスターの住居とそれほど離れていないだろう。
 この程度の距離なら移動にさして時間はかからないだろうと、ライダーは家の方向に振り返って、












 そこでライダーは、はっきりと視た。
 こちらを見据える、暗殺者の英霊を。











 咄嗟に手鏡を手にして、自分の力を行使する。
 「ぴちぴちビッチ」を介した性技の前では、大抵の英霊は無力だ。
 なにせケルトの大英雄すら屈する程なのだから、こと性に関してライダーは無敵だろう。
 性技それ自体を無力化する力を持つ――そのたった1つのケースを除けば。

 手鏡に触れようとした瞬間、ライダーは自分の性欲がかつてなく昂ぶるのを感じた。
 覚えのある感覚だった。最初に行動を起こした時、大学で感じたものと同一のもの。
 つまりそれは、自分の性技自体が反射されているということであり。

「――――ッ!?」

 全てを悟った瞬間、手鏡を持つ腕が宙を舞った。
 こちらへ肉薄したアサシンに、忍者刀で腕を刎ねられたのである。
 残された片腕でどうにか相手に触れようとするが、彼の刃はそれより速い。
 ライダーの胸に一文字の傷が走り、血飛沫が吹き上がった。

 地面に立つ力を喪い、ライダーは膝から崩れ落ちる。
 白む空に血しぶきが上がり、自分の身体はおろか刺客の服すら赤く濡らしていく。
 致死量の血液が流れ出ているのは、誰の目から見ても明らかだった。

「見事な性技、だからこそ生かす訳にはいかぬ」

 血濡れの刺客が、再度忍者刀を構える。
 次の一太刀を以て、ライダーの首を撥ね飛ばす気でいるのだ。
 目下の脅威を決して仕損じる事なく、確実に息の根を止めるために。

 死が確定したこの瞬間になって、ライダーは思い出す。
 あらゆる技を反射するあの魔眼は、以前自分を撃退したアサシンのものではないか。
 彼のスキルか宝具の影響だろう。この瞬間に至るまで、その能力はおろか外見すら忘却してしまっていた。

 『ピロートークもせずに本番だけで帰っていく謎めいた男』。
 以前アサシンをそう評したが、こうして直接対峙すると言い得て妙だと自画自賛したくなる。
 己を殺し、常に影の中に潜む忍者の様であり、嗚呼、こういう男は本当に――――。

「相変わらず、クサい男ね」

 刃が振り下ろされ、舞台は鮮血に染まる。
 一瞬の果し合いは、こうして幕を閉じた。

68 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:49:28 ID:KEpQfa860

 ■ □ ■



 まさか、二度目の生でも首を刎ねられるとは思わなかった。
 忍者刀が振り下ろされるその瞬間、鏡子は過去を振り返って自嘲した。
 一度目の死の時は知覚する時間さえなかったのだから、それよりかはまだマシなのだろうが。

 「死の瞬間は周囲の景色がスローモーションになる」という噂を聞いたが、あれはどうやら本当らしい。
 事実として、自分の首元に迫る日本刀の速度が酷くゆっくりに感じられるのだ。
 最期にこれまでを振り返る位は許してやろうという、神様の傍迷惑な思いやりなのかもしれない。

 後悔があると言えば、それはもう山ほどある。
 何しろほとんどセックスをし足りないのだ、欲求不満が全く解消されていない。
 "本番"は最初のランサー戦だけで後は前戯だけとは。"魔人"の名も涙を流すというものだ。

 けれど、中でも一番の後悔は。
 狭間偉出雄という少年を、あの世界に独りにさせてしまう事だった。

 本当の彼は孤独を恐れていて、誰よりも愛を求めていて。
 それなのに、恐怖から愛を遠ざけてしまっていて、そのせいで誰も近寄る事ができなくて。
 追いすがる誰かがいないと、きっと彼は本当に独りになってしまう。
 この聖杯戦争の舞台で、それが出来るのはきっと自分だけだったのに。

(ごめんなさい、マスター――――)

 無意識の内に、残された方の腕を伸ばす。性を貪る為でなく、孤独の皇の手を掴むために。
 一人だけではセックスはできない。"つがい"でなければ不可能な愛の証明だ。
 だから、孤独なあの手を掴んであげたくて、愛してあげたくて、

(――――抱いて、あげたかったのに)

 首元に冷たい感触が刺さり、そこで視界は暗転する。
 宙に伸ばした腕は、空を切るだけに終わる。

69 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:50:22 ID:KEpQfa860
【5】


 首を刎ねられたライダーの消滅を確認し、アサシンは忍者刀を鞘へと収める。
 周囲に殺気は感じられず、どうやらこの場にいたのは彼女独りだけだったようだ。
 いや、そもそも人の気配を感じていれば、こんな大胆な行動には出ていない。

 マスターであるHALからの情報で、性技を扱うサーヴァントの特徴は把握していた。
 眼鏡を掛けた平凡な女子高生で、一見すれば性に卓越したとは到底思えぬ少女。
 だが実物を目にすると、瞬時に察知する事ができた。あれは紛れもなく毒婦であると。

 性に関する技――つまりは房中術の脅威を、アサシンは十分すぎる程に知っていた。
 彼が率いた甲賀の忍の中には、発情する事で猛毒を分泌する女忍者がいる位だ。
 人間の三大欲求に訴えかける戦術は決して侮れない。事実として、その女忍者が猛毒を以て敵を仕留めた場面もある。

 故に、卓越した性技を持つライダーは確実に始末しなければならなかった。
 しかし、彼女のマスターがサーヴァントを超える超人であるのが問題だった。
 あの魔神の如き力を持つ少年を相手にするのは、アサシンの魔眼を以てしても困難を極めただろう。
 だがどういう事情があってか、ライダーはマスターを伴わずアサシンの視界に姿を現した。
 周囲を注意深く確認したが、罠の気配もない。これを好機と見ずに何と言うのか。
 こうした判断の元、アサシンはライダーを襲撃し、呆気なく打ち取ったのであった。

 しばし周囲に気を配るが、それでもなおマスターが姿を見せようとしない。
 これは一体どういう事かと疑問が浮かぶが、程なくして理由を推測できた。
 恐らく彼女は、マスターに一方的に縁を切られてしまったのだろう。
 あの魔神の如き少年の事だ、複数のサーヴァントを従える魔力量を有していても不思議ではない。
 何らかの事情でライダーを不要と見なしたマスターは、彼女との縁を切って追放したのだ。

(哀れな)

 片手で合掌の形を取り、今しがた葬ったサーヴァントを弔う。
 偽善ではある事は承知の上だが、しかし憐れまずにはいられなかった。

 それにしても。
 あの女が最期に向けた腕は、果たして自分へと向けられたものだったのだろうか。
 何らかの攻撃ではないかと一瞬肝を冷やしたが、どうやらそういう訳でもないようだった。
 もしや、彼女の差し伸べた先には、そこにはいない何かの影があったのではないか。

「……いや、知る必要もあるまい」

 これ以上他者の感情に踏み入る事は、無意味というものだろう。
 第一、女を殺したのは他ならぬ自分なのだから、それを知ろうなどとはおこがましい話だ。

 ただ、ひとつだけ言える事があるとすれば。
 伸ばした手は、もう何も掴めはしないという事だ。


【アサシン(甲賀弦之介)@バジリスク 〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:忍者刀
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:勝利し、聖杯を得る。
 1.HALの戦略に従う。
 2.自分たちの脅威となる組は、ルーラーによる抑止が機能するうちに討ち取っておきたい。
 3.狂想のバーサーカー(デッドプール)への警戒。
 4.戦争を起こす者への嫌悪感と怒り。
 5.魔神皇には引き続き警戒。
[備考]
※紅のランサーたち(岸波白野、エリザベート)と赤黒のアサシンたち(足立透、ニンジャスレイヤー)の戦いの前半戦を確認しました。
※狂想のバーサーカー(デッドプール)と交戦し、その能力を確認しました。またそれにより、狂想のバーサーカーを自身の天敵であると判断しました。
※アーチャー(エミヤ)の外見、戦闘を確認済み。

70 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:52:43 ID:KEpQfa860
【6】


 比喩でもなんでもなく、全てが終わっていた。
 禍津冬木市の一角で、魔神皇はぼんやりと立ち尽くしていた。

 いつからは解らないが、ライダーとの魔力パスは既に消えていた。
 激情で正気を失っていた手前、その異変に気付けなかったのだ。
 この事実が何を意味していたかなど、最早説明する必要すらないだろう。

 手の甲に目を向けると、使用した令呪の痕跡が跡形もなく消えていくのが分かる。
 どうやら、令呪の所有数によって消滅までの速度が変わっていく仕組みになっているらしい。
 三画しっかり温存していればある程度の猶予があるだろうが、生憎自分は令呪を全て消費してしまっている。
 このままでは、ものの数分程度で自分の肉体は消滅してしまうだろう。

 他のサーヴァントと再契約するという選択肢もあったが、不可能だろうとすぐに切り捨てた。
 ほんの数分ではぐれサーヴァントを見つけるなど非現実的だし、第一令呪を全て失っているマスターに誰が従うというのか。
 別のマスターを殺すという手もあるが、これがより困難な道である事は言うまでもない。

 例え魔神皇であっても、聖杯戦争のルールには逆らえない。
 これまで脱落したマスター達と同じように電脳死するのは、確定事項だった。

(だから、なんだ)

 霧の世界を見つめるのは、どこまでも空虚な瞳。
 表情が削ぎ落された今の魔神皇の顔には、焦りも恐怖も示されなかった。

 自分でも驚く程に、何も感じなかった。
 まるで心臓にぽっかりと穴が開いたようで、そこからびゅうびゅう風が吹いているようだった。
 
(下らん。此処で消えようが消えまいが、最早どうでもいい話だ)

 未練こそあるが、今更悪あがきする気にもならない。
 元より、この世界の全てを消し去りたいと願っていたのだ。
 誰もいないこの電脳空間で消えるのは、望むところではあった。

 けれども、無言を貫いて消え失せるのはあまりに味気ない。
 例え消滅する運命だろうと、この身は神の力を宿した魔神皇である。
 この世界から消え去る間際、せめて何か一言遺しておくのも悪くない。

 そうだ、この聖杯戦争で戦い続けるマスター達にこう言い残そう。
 お前たちがどれだけ足掻こうが、この魔神皇の足元にも及ばないと。
 ここで消えるのを幸運に思うがいい――こんな台詞を、最期に尊大に吐き出そうとして、

71 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:53:54 ID:KEpQfa860

「………………嫌だ」

 吐き出して、嘲笑おうとした、筈だったのに。
 口から出てきたのは、魔神皇の意思とは正反対のひ弱な言葉。
 消え入りそうな程小さなそれは、まだ弱かった頃の自分の声色で。
 まだこんな感情が残っているのかと戦慄するのを尻目に、唇は勝手に動き始める。

「こんなの、嫌だ。独りぼっちで消えるなんて、嫌だ」

 どれだけ止まれと理性(まじんのう)が望もうとも、本心(はざまいでお)は唇を動かし続ける。
 現状への絶望を、迫る死への恐怖、孤独への嘆きを紡いで止まらない。
 瞳からは涙がとめどなく溢れ、鼻からは鼻水が垂れ流され続けている。

「こんなの望んでない。僕は、愛されたかっただけなのに」

 違う、こんな言葉は大嘘だ。そう叫ぶ"魔神皇"の言葉はもう届かない。
 恐怖する本心が拒絶する理性を圧し潰し、"狭間偉出雄"は独りで泣き叫ぶ。

 聖杯戦争からの脱落という事実は、狭間が纏っていた魔神皇の鎧に風穴を開けた。
 その穴から本来の弱い自分が溢れ出し、精神が決壊を起こしているのである。
 鎧を修復する術を持たない今の狭間は、ただ泣きはらす以外にやれる事など無かった。

 "真なる影"を決して認めるようとせず、力づくで拒絶したとしても意味がない。
 どこまで行っても"影"とはもう一人の自分であり、消え去る事などあり得ない。
 それは神の如き魔神皇とて同じこと。彼の中には、相も変わらず狭間偉出雄が生きていた。

「嫌だ……嫌だよぉ……!誰か、誰かいないの……!」

 辺りを駆けずり回っても、人間どころか生物の気配さえ感じない。
 今の禍津冬木市に生命など、狭間一人を除いて存在するものか。
 マヨナカテレビの世界で、彼は独りぼっちだった。

「誰か、だれか、だれか…………!!」

 走っていた最中に小石に躓き、無様に地面に倒れこむ。
 狭間は立ち上がろうともせず、そのまますすり泣きを始めた。
 そうしている間にも、死へのタイムリミットは迫ってきているというのに。

 神の力という強固な鎧を纏う事で、狭間はどうにか冬木の街を歩く事が出来た。
 それを取り上げられた以上、最早両の足で地面に立つ事さえままならない。
 鎧の中にいたのは、愛を求め、しかし愛に怯えて涙する赤ん坊だった。

72 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:57:23 ID:KEpQfa860

「みんなどうしていないの……どうしてぼくをおいていくんだよ……」

 肉体が崩壊していく、精神が霧散していく。
 たった独りの世界で、誰にも看取られる事なく消えていく。
 不気味がる者も、嘲笑する者も、罵倒する者も、呆れる者も存在しない。
 かつて拒絶した繋がりの外側で、鳥や虫にさえ気付かれずに生涯を終えようとしている。

「いやだ……いやだよぉ…………」

 誰でもいいから、自分の傍にいてほしい。
 そう願ったその途端、思い浮かべたのは自分が召喚した少女の面影で。
 そこに来てようやく気付いた。あの少女は、一度たりとも自分を否定しなかった事に。

「ぼくを…………あいしてよぉ……いやだ……ぼくを…………」

 消滅の間際、虚空に向けて右手を伸ばす。
 こうすれば、ライダーが自分の手を掴んでくれるんじゃないかと思えて。
 けれど、霧の中に伸ばした手は、なんにも掴めなくて――――。 





「ひとりに、しないで――――――――」




 霧の中で、少年の慟哭が木霊して、消えた。



【狭間偉出夫@真・女神転生if... 消去】
【ライダー(鏡子)@戦闘破壊学園ダンゲロス 消滅】
※サーヴァント消滅からマスター死亡までの時間は令呪の数に影響します。
 3画所有していた場合は1,2時間ほど猶予がありますが、全て使用済みの場合は即座に消滅が開始します。

73 if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:58:15 ID:KEpQfa860

【0】


 自分の名を呼ぶ少女の声で、少年は夢から醒める。

「大丈夫?すごく苦しそうだったけど……」

 彼女の言う通り、少年は寝ている間ずっとうなされていた。
 しかし、少女の柔らかな視線を受けた途端、彼はみるみるうちに落ち着きを取り戻したのである。
 寝汗で濡れた額を手で拭いながら、少年は恐る恐る口を開く。

「怖い夢を見たんだ。僕が何もかも拒んで、独りぼっちで消えていくんだ」

 その夢は、きっと少年がこれまで見た中でも一番の悪夢だった。
 自分の願いを知らないまま戦って、ありもしない尊大な人格を組み立てて。
 身に纏う鎧を護る為に全てを喪って、鎧の中で泣きじゃくりながら死んでいく。
 それはきっと、あり得たかもしれない少年の未来だった。

「ねえ、レイコは此処にいてくれるよね?僕を独りにしないよね?
 怖い、怖いよ。眠っている内に、またいなくなっちゃうかもしれないって……!」

 少年の声色はおろか、痩せた身体さえも小刻みに震えていた。
 彼の体格は高校生のそれだったが、これではまるで小学生の様である。
 しかし、少女は何を言うまでもなく、少年の背中に手を回して、

「……大丈夫、私はずっと此処にいるわ。貴方を独りになんてさせない」

 少女はそう言って、少年を優しく抱きしめた。
 何も知らない者がその光景を見れば、彼女を母親だと見紛うことだろう。
 少年を宥める少女の声と仕草は、それくらい温和で母性的だった。
 彼女の容貌は、それこそ抱きしめている少年とさほど変わらない位若々しいというのに。

「悪い夢だったのよ。そんなの、"もしも"の話でしかないわ」

 少女の愛を受け入れて、少年の震えが止まる。
 それから少しして、彼女の腕の中から小さな寝息が聞こえてきた。
 酷く疲れていたようで、再び眠り込んでしまったらしい。

「……おやすみなさい、イデオ」

 少女は眠りに就いた少年を、ずっと抱きしめていた。
 彼氏を抱きしめる恋人の様に、赤子を抱える母親の様に。

 "if(もしも)"なんてありえない、永久に変わらぬ殻の中。
 少年と少女の"つがい"は、今日も幸せな夢を見続ける。

74 ◆WRYYYsmO4Y :2019/06/11(火) 00:58:36 ID:KEpQfa860
投下終了です。

75 名無しさん :2019/06/11(火) 01:46:08 ID:2cbrWQ6E0
投下お疲れ様でした
脳がしびれる……。ああ、とか、うむ、とかしか言えない
孤独なりかな魔神皇。たとえ鎧を纏おうとも、心の弱さは隠せない
かつてないほど、二次二次聖杯だからこその、つがいというものに踏み込んでいて、だからこそ狭間も辛いし、鏡子さえも物悲しい
シリアスなんてしちまったから……。今で言えば人類悪を思わせるけど、紛れもなく愛だったんだな、お前は……
だからこそアモンの前振りからの知ってしまったからこその拒絶が当然であり、きつい
自分を受け入れられなかったからこそ最後に思い知ってしまった自分の本音
突きつけられた後の目覚め。if。おやすみ狭間偉出夫、せめて良い夢を

76 ◆/D9m1nBjFU :2019/06/11(火) 15:28:06 ID:cN.6/MQA0
お二人とも投下乙です!

◆HOMU.DM5Ns氏
一夜明け、再びそれぞれの戦いに身を投じていくマスターたち
火薬庫となった学園の導火線に火がつくのももう間もなく、というところでしょうか
二日目の学園にどれだけの主従が集まり、どれほどの戦禍が齎されるのか、先が気になります
それから感想を書くのが遅れてしまい申し訳ありませんでした

◆WRYYYsmO4Y氏
何というか、◆Ee.E0P6Y2U氏が投下された「うまくはいかない『聖杯戦争』」、「君の思い出に『さよなら』」に通じるようでいて決定的に趣の異なる力作であると感じました
鎧を纏っても心の弱さまでは守れないのは狭間も同じでしたが、アキトとの決定的な違いは天運のなさと最後まで自分の本音を認められなかったことでしょうか
もしかすると狭間と鏡子は方舟において最良のつがいになり得たかもしれない、そんなifをも考えさせられました

77 名無しさん :2019/06/11(火) 21:34:47 ID:9WBHGpkM0
投下乙です!
鏡子と狭間の最期は切なくて、互いに相手を思い出しながら消えていく光景がなんとも寂しかったです……


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

■ したらば のおすすめアイテム ■

ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です! [Blu-ray] - 水島努

ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ!

この欄のアイテムは掲示板管理メニューから自由に変更可能です。


掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板