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第二次二次キャラ聖杯戦争 part4
81
:
発覚
◆/D9m1nBjFU
:2019/06/22(土) 06:53:02 ID:qhlV.xww0
―――全くもって情けないことに。
―――俺という人間はこうなる事態を毛ほども想像していなかったらしい。
◆ ◆ ◆
チクタクチクタク、と時計が秒針を刻む音が聞こえてくる。
朝陽が昇りはじめ、誰もが今日の仕事の、学生であれば登校の準備をしはじめてもおかしくない時間帯だ。
もっともテンカワ・アキトにとってはそういった喧騒は指名手配となった今もそれ以前も関係のないことだった。
NPC時代は食堂を休業にしていたし、犯罪者として追われる身となった今は言うまでもない。
そしてこれからは過去の思い出に浸るようなこともない。
そのために方舟におけるアキトの過去の象徴とも言える少女、東風谷早苗を殺す。
そうして初めて己は失うもののない一匹の修羅として聖杯戦争を勝ち抜く資格を得る。言わば通過儀礼だ。
アキトを保護している同盟者、HALの情報網を通じて早苗の居場所は既に掴んでいる。
コンディションには些かの不安もあるが、テロリストであるアキトは常に万全の態勢でのみ臨めるほど戦争というものが甘くないことを知っている。
武装。もとよりヤクザの事務所から盗んできた銃があったがここにきてHALから予想外の武器の供給があった。
サブマシンガン・MAC10にアサルトライフル・AK47がそれぞれ予備弾倉つきで一丁ずつ、それに手榴弾が三つ。配下と思われるNPCを介して届けられていた。
HALにメールで尋ねると、どうやら奴は予選の頃から来るべき時に備えて銃火器の密輸を配下にさせていたらしく、アキトがヤクザから盗んだ銃も元々はHALが仕入れたものだった。
手付金のつもりかは知らないが寄越すというのなら有難く使わせてもらうまでの話だ。
―――と、ここまで来たところで極めて現実的な問題がアキトの前に立ち塞がっていた。
『続いてのニュースです。昨夜未明、B-9で美遊・エーデルフェルトさんと思われる十歳の女の子が銃撃された事件について、警視庁はテンカワ・アキト容疑者を指名手配とする方針を明らかにしました。
テンカワ容疑者は現在も逃走を続けており、警察が今も厳戒態勢を敷いて捜査にあたると同時に、近隣住民へ不用意な外出を控えるよう呼び掛けております』
テレビから流れるニュース番組では新都エリアを厳重に捜査する刑事たちの雄姿が映されている。
これこそがアキトの障害として在る警察NPCという存在だった。
HALの調べでは早苗は現在C-9にあるマンション、つまり彼女の自宅にいるという。住人の中にマンションに戻る早苗を目撃したHALの配下がいたのだ。
マンションというだけでも即座に突入するのは躊躇われる場所だが問題はそれだけに留まらない。
C-9と言えば事件の起きたB-9にほど近いエリアであり、それ故警察NPCたちが多数動員され血眼になってアキトの行方を追っている。
アキトの現在地は新都中心部の喧騒からやや離れたD-8、物理的な距離はさほどでもないがやはり指名手配という身分が大幅に動きを制限してくる。
はっきりと言って警察が大勢いる状況を何とかしない限り早苗に接近するのはおよそ不可能に近い。
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