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変身ロワイアルその6

671変身─ファイナルミッション─(1) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:08:12 ID:GU7jrFVA0
 彼らに力を貸す事が出来るのは、この時、個々人の思想ではなく、共通の「エネルギー」だったのだ。
 それが最後のパーツとなって、エンジンは動いて行く。
 徐々にプロペラが回っていくように、アースラも再び飛び上がっていった。

『みんな、遂に辿り着けるんだ……! 世界中の人の祈りを背負って……僕達は!!』

 そして──そんなフィリップの声を聞いた後、彼らの意識はだんだんと曖昧になっていった。
 次に目覚めた時、彼らにとって、無数のヒーローの声が真実であったのか、夢であったのか、既にわからないほど、遠い記憶のような出来事に思えていた。
 変身エネルギーの概念を詳しく知らない彼らには些か、その原理がわかりかねる物であっただろう。
 だが、結局のところ、どちらであれ──彼らは、世界の節々で繰り広げられていた自分たちと同じ境遇の者たちの力を感じて、再び殺し合いの世界に突入する事になった事実は変わらない。



 ────そう、彼らの行き着いた先は、かつて殺し合いの舞台となった場所だった。


 そして、彼らがそれを変えようとする場所だ。







 ──変身ロワイアルの世界。
 加頭順が城の上から眺めていた空には、アースラの半身が浮かび始めていた。
 頭上に出来あがったブラックホールにその先端を突っ込もうとしている巨大な戦艦を眼に焼き付ける。
 粒子に消えながらこの世界に突入するアースラの最期は、今まで見たどんな満月や流星群よりも美しい光景だと、加頭は思った。
 いや、この言い方は妙か。……初めて「美しい」と思った光景だと言っていい。景色や世界の色使いに感動する気持ちが少しわかった気がする。
 散華の美、とでも言おうか。

 ──どうやら、彼らを妨害する事は出来なかったらしい。

 ……となれば、結局、やはり、直接、戦闘によって勝ち得るしかないわけだ。
 この手で敵と渡り合う。
 どの道、あのアースラは消えてなくなるのだ。今更、労力を割いてまで撃墜する必要はない。

 加頭はここで、彼らとの最後の戦いを待つだけだった。
 降り立った彼らを真正面から向かい打ち、そして勝てるだけの実力が今の自分にはある。卑怯な手は使わない。使う必要はどこにもないからだ。
 昨日までとは違う。新しい力が己に味方した以上、手負いの彼らくらいはきっと越えられる。──そんな自信があった。
 己の手に固く握ったユートピアのメモリを一瞥し、加頭は微笑んだ。

「……来い。貴様らの最後を見届けてやる」

 ああ、そして、彼らに──ガイアセイバーズに風が吹くのは、加頭にもわかっていた。
 そう、今は彼らに追い風が吹いている。外からの力がこちらへと戦士を誘ったのだと。

 しかし、この世界に立ち入ったからには、その風は突如、反対に吹いてもおかしくはないという事である。
 冴子と暮らす為のこの世界を守るのが、加頭の最後の役目だ。
 その役目の為にも、今度は逆風に変わってもらわなければ困る。
 いや、自分自身のこの手で変えるのだ。──それこそが、加頭順として証明する冴子への最大の愛であり、最も価値のある婚約指輪になるだろう。
 加頭は強く拳を握った。

「この世界から……排除する! ガイアセイバーズ!」

 ガイアドライバーに周囲の「闇」が吸収されていく。
 貯蓄された闇は更に加頭の感情を刺激し、彼の身体を強化し、NEVERに要される酵素に近い生命の延長を計った。
 ベリアルが彼に与えた力が覚醒し、新たな力が「起動」し始める。






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