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パラレルワールド・バトルロワイアル part2

243私の光が全てを照らすわ ◆Vj6e1anjAc:2011/12/24(土) 20:28:33 ID:ifjirkO6
「………」
 返ってきたものは、沈黙と静止だ。
 地図を胸の高さから下ろした織莉子は、しかし彼の声に応えず、静かにその場に立ち尽くしていた。
「どうした?」
 問いかけるも、返らず。
 南東の方をじっと見つめ、少女は微動だにせず沈黙する。
 そこからアクションを起こしたのは、数瞬の間を置いた後だ。
「!」
 刹那、発光。
 織莉子の身体が閃光を放ち、サカキの視界を白一色に染める。
 光輝の粒子を振りまいて、顕現したのは魔術師の姿だ。
 魔法少女への変身――学生服を掻き消して、純白のドレスが織莉子を包んだ。
 右の腕をしなやかに振り上げ、白魚の指先で虚空を指す。
 素早い腕の動作に合わせ、ぎゅん、と空を割く音が響いた。
 背後に出現した数個の宝珠が、ビルの影目掛けて発射されたのだ。
 きん、と。
 闇より響くのは金属音。
 時間差で2個目、3個目と飛来し、またそれに合わせて音が鳴る。おまけにその音量は、繰り返す度にボリュームを増していた。
「――ッ」
 埒が開かないと判断したのか、次いで具現化した数は、8つ。
 合計8個の球体を、一点に密集させて円形に並べる。
 ビルの合間から何かが飛び出し、サカキの視界に映った瞬間。
 スクラムを組んだ宝石群が、左手を突き出す動作に合わせて発射された。
 接近。
 反応。
 激突。
 炸裂。
 轟――と音を伴い爆発。
 燃え盛る爆炎と吹き荒れる爆煙が、市街地の風景を覆い隠す。
「来ます! そこから離れて!」
 ようやく織莉子の口が開いた頃には、サカキも状況を把握していた。
 無言でそれに頷くと、オートバジンのエンジンを再始動させる。
 熱を伴う加速の開始と、襲撃者の殺到は同時だった。
 灰色の煙を引き裂いて、鈍く輝く剣が迫る。
 爆音を立てる銀色の車体が、その場を離れてそれをかわす。
 回避に成功したと見るや、ブレーキをかけ車体を止め、バイクを降りてその姿を見た。
「………」
 サカキの前に現れたのは、漆黒のドレスをまとった少女だった。
 織莉子のそれとは大きく異なり、黒の中に赤が混ざっている。煌々と脈動するラインは、まるで人体の血管のようだ。
 線は細く、背も低い。戦闘向きの体躯とは思えない。
 しかし、手にした黄金の剣の壮観さが、その印象を覆す。見た目通りの相手ではないと、サカキの考えを改めさせる。
 恐らくは美国織莉子同様、単純な身体スペックに頼らぬ超能力の使い手――彼女の言葉を借りるならば、
「彼女も、魔法少女というやつか?」
「いえ……あのような邪悪な魔力を発する者は、今までに見たことがありません」
 同行者から発せられた一言を、織莉子はにべもなく否定する。
 あの暗黒の鎧甲から発せられる、刺々しいまでに暗いオーラは、むしろ瘴気とでも呼ぶべき代物だ。
 どちらかと言えば、魔法少女の成れの果て――魔女に近い力と呼べるだろう。
 しかし魔女と同一視するには、あれは人型を保ち過ぎている。あの異形の怪物とは、明らかに印象を異にしている。
 であれば、サカキのポケモン同様、織莉子にとっては未知の人種だ。


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