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パラレルワールド・バトルロワイアル part2

1 ◆rNn3lLuznA:2011/09/23(金) 01:17:06 ID:hUjGYcYM
『バトル・ロワイアル』パロディリレーSS企画『パラレルワールド・バトルロワイアル』のスレッドです。
企画上、グロテスクな表現、版権キャラクターの死亡などの要素が含まれております。
これらの要素が苦手な方は、くれぐれもご注意ください。

前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14757/1309963600/

【外部サイト】
パラレルワールド・バトルロワイアルまとめwiki
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143 ◆qbc1IKAIXA:2011/11/14(月) 20:07:21 ID:kC.ZYZwQ
N、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト、海堂直也を投下します

144「Narrow」 ◆qbc1IKAIXA:2011/11/14(月) 20:08:14 ID:kC.ZYZwQ

「放送か」
「ええ、そのようですわね」
 はあ、と仰向けの二人はため息をついた。
 正直場所は悪い。草原には障害物がなく、見晴らしがいい。しかもルヴィアはいまだ海堂に担がれている。
 敵意あるものから見れば都合のいい標的だ。
 ルヴィアは遠坂凛を死人と告げる声を受けながら、場を離れる指示を出す。
 胃の奥がムカムカしていた。どこか冷静な部分で禁止領域の場所を記憶しながら、予想以上に腹立っている自分を自覚する。
 遠坂凛が死んだ。
 わかっていたはずだ。聞いていたはずだ。
 魔術師は何より感情を制御しなければならない。名門の出である自分にとっては義務ですらある。
 なのに、抑えられない感情があるのはどういうことか。
 もし誰かに遠坂凜をどうしたかったのかと聞かれたら、答えは決まっている。

 あのメス豚をいつかこの手で屈服させたかった。

 最初にあったのは家の因縁だ。
 言葉を交わし、拳を交わし、ガントを撃ちあってもなお消えない敵愾心。
 何度たたきつぶしても台所に現れる黒いGのごとく復活するしぶとさ。
 小狡く、小賢しく、あきらめ悪く、最後の瞬間まで手を尽くす、遠坂凛が大嫌いだ。
 だからこそ、あの女がこんなにも早く死ぬことが信じられなかったし、信じたくなかった。
 長く生き残る卑怯さを、この自分が認めているというのに、足元に這いつくばる前に死んでしまうなど。
「最後まで気に食わない相手でしたわ……遠坂凛」
 思わず声に出すほど、不快な出来事だった。
「なあ、ちゅーかもしかしたらだけどよ」
 目だけで「なに?」と尋ねる。話すのも億劫だ。
「あの、ですのーと、ってやつだっけか? あれのせいで、なんだ。えーと……」
 言いたいことはわかるが、イライラした物言いだ。
 海堂が優柔不断と言うより、単に言葉が思いつかないだけだろう。
 無視してもいいが、遠坂凛のことは苛立つのでここで話を終わりにしておく。
「まったく関係はありませんわ」
「インチキだっていうのか?」
「いえ、おそらく本物でしょう。あの時あなたに名前を書かれたとき、わたくしは焦ったでしょう?
どれほどの力があるか不明ですけれど、呪いの用途においては効果のある本物だと感じ取れましたわ。
説明を鵜呑みにするなら、儀式も魔力も必要ないのに、因果を操るほどの存在。おそらく創りあげたのは人ではないでしょう。
わたくしたちの世界における宝具、もしくは魔法に通じるなにかを持っているのではないか、と推察しますわ」
「じゃあ、俺様が紙で遠坂凛ってのを殺したことになるんじゃないか?」
 言い淀まないあたり、もしそうなら制裁を覚悟しているのだろう。
 軽薄で頼りなく、間抜けな同行者だが、卑しいものがない精神だけは認めてもいい。
「ありえませんわ。あのノートで死ぬ場合の死因は心臓麻痺。対し、あの遠坂凛の妹が告げていた死因は――――」
「あっ」
 海堂が合点が言ったらしく、ポンと手のひらを叩く。

『頭を割られてあっけなく、惨めに死んでいました』

 ルヴィアはこの言葉を刻み込んでいた。
 忘れたくても、忘れられない言葉でもあるのだが。
「よって、遠坂凛はあなたにも、わたくしにも殺されていませんわ。幸いなのは、あの紙を悪用される前に処分できたことでしょう。
それで、あなたの知り合いはどうでしたの?」
 自分がしゃべるのは飽きた。次は海堂の番だ。
 海堂は一瞬だけ遠い目をして、顔を歪めた。
「ああ、死んだよ。たくっ、あの野郎……」
「その方もオルフェノクでしたの?」
「いや、ただの馬鹿な人間だよ。自分ら人間が追い詰められてるっちゅーに、オルフェノクの俺様たちを信じてよ。
だからあいつは生き残れないと思ってはいたよ。いたけど……なんで俺様が駆けつけるまで、頑張ってくれねーんだよ」
 舌打ちが一回聞こえる。それ以来、ムスッとしたまま黙り込んだ。
 はぁ、とルヴィアはため息を吐く。幸いといっていいかどうかわからないが、美遊もイリヤも生きている。
 カレイドステッキたちも彼女らの元にいるのだろう。
 美遊はともかく、イリヤが生き延びたならその可能性は高い。
 ちゃんと脳内地図に禁止領域を重ねながら、現在位置が安全であることを確かめた。

145「Narrow」 ◆qbc1IKAIXA:2011/11/14(月) 20:08:59 ID:kC.ZYZwQ
 おそらく自分を担ぐ海堂は、禁止領域のことなんて忘れているだろうから。
 一息ついたら、海堂にも注意しなければならないだろう。なんだかんだ言って、貴重な戦力だ。
 そう思考を続けていたルヴィアは、澄んだ声に出迎えられる。
「ああ、よかった。ふたりとも無事だったんだね」



 身を潜めるために森へと移動したルヴィアは違和感に気づく。
 とはいえ干渉する気はないので、同じく気づいた海堂が反応した。
「おい、ピカチューどうしたんだ? なんかさっきよりも落ち込んでんぞ」
「うん、さっきの放送でちょっとね」
 Nがそっと抱いているピカチュウの頭を撫でた。ピカチュウの顔は悲しみが絶望に変わっている。
 遠坂凛の妹を引き離すときは、まだ怒りに燃える気概があったはずだが。
「放送のおかげでサトシくん以外にもトモダチを亡くしたのを知ったんだ。彼の心は悲しみで満ちている。
ピカチュウ、どうすれば君は心が癒えるんだい? どうすれば君の力になれるんだい?」
 ピカチュウは答えない。顔を伏せ、歯を食いしばるだけだ。
 なるほど、放送は自分たちだけじゃなく、小さな獣にも影響を与えたようだ。
 海堂は口を尖らせたまま、クシャッとピカチュウの頭を乱暴に撫でる。
 気休めにもならないとはやった本人も知っているだろう。
 おそらく、同じく仲間を喪った傷の舐め合いに近い行為だ。
 自分がやるのはゴメンだが、彼らがやるのは口出す気はない。
 ルヴィアは体力と魔力を回復させるのに務めた。
 と言っても、体を休めているだけなのだが。必要事項はもちろん伝えている。
 海堂はともかく、Nは禁止領域について把握していた。賢い子どもだ。
「それで、今後どう動きたいですの?」
 ルヴィアとしてはしばらく動きたくないが、休憩するにも行動するにも指針は必要である。
 さしあたって自分よりは二人の意見を優先したほうがいいだろう。
 仲間に関しては、遠坂凛の妹以外どこにいるのか検討もつかないのだ。
「あー……あの女をとっちめたい。結花がどうなったか聞きてーしな」
「カイドウさん、その途中にフレンドリィショップに寄れないかな?」
「フレンドリィショップ? ああ、俺様たちがいたあの店か。なんでまた?」
「リザードンの治療をしたいんだ。あのときは詳しく探せれなかったけど、もしかしたらポケモンを回復させる“げんきのかけら”があるかもしれない。
今傷ついたまま放置しておくのは、とてもつらいんだ」
 わかってくれるよね、とNは言葉を続けそうな雰囲気があった。
 むしろわかって当然、配慮して当然という態度である。
 ポケモンを優先するのはN個人として勝手だが、場合によってはこちらが同じように動くわけにも行かない。
「なあ、あの女が向かった方向は……」
「そのフレンドリィショップと方向が一緒ですわ。追いかける途中でよっても構わないと思いますわよ。
わたくしやあなたの治療に有用な道具があるかも知れませんし」
 方針が定まったとき、海堂はうっし、と気合を入れた。
 瞬間、体が浮き上がる。
「じゃあさっさといくべ! お前らついてこ……あべしっ!」
「レディに断りもなく、いきなり担ぎ上げないでくださいまし。しかもまた荷物のように……」
「うっせー! 肘はよせ肘はよー! だいたい、人を殴れるくらいなら、自分の足で歩きやがれ!」
「ホーホッホッホッホ! 残念でしたわね。わたくしはまだ歩けるほど体力が回復していませんのよ!」
「いばるな!」
 実際よけいなことに使う体力はない。
 担がれるままにしていると、カサっと茂みの動く音が聞こえた。
 海堂とNも警戒して音の方向を見つめている。
「おい、そこに隠れている奴。出てこい」

146「Narrow」 ◆qbc1IKAIXA:2011/11/14(月) 20:09:40 ID:kC.ZYZwQ
 海堂が代表して告げるが、相手は沈黙を返す。
 自分を担いだまま近寄ると、人影が飛び出してきた。
 Nと海堂の中間に立った相手はこちらを睨みつける。
「ゆ、結花……? うわっ!」
 結花と呼ばれた女は爪を振るってきた。
 上体を倒してかわした海堂の髪が数本ちぎれる。
「お、おい! なにすんだよ、結花!」
 海堂が呼び止めるが、彼女は方向転換してNへと走った。
 このままでは彼が餌食になるだろう。ルヴィアには宝石もガントを撃つ魔力もない。
 しかし、黙っていないのは人間たちだけじゃなかった。
「ピ〜カ〜……」
 バリッ、と宙に火花が散る。帯電を終え、Nの腕から跳んだピカチュウが結花を睨んでいた。
「おい、ピカチュー! そいつは俺の仲間だから手加減を……」

「チュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ!!」

 海堂が言い終わる前に、ピカチュウは放電を終える。
 電撃が朝のさわやかな空気を切り裂いて、一人の少女へと向かった。
 だが、少女はその場から跳躍して、電撃の落ちる場所から離れた。
 そのまま樹の枝に着地して、狼のような唸り声をあげる。
「……ずいぶんと野生的なお仲間ですのね」
「い、いやぁ……んなことする奴じゃないんだけど」
 頬を引きつらせながら、海堂が戸惑っている。
 ルヴィアも相手がオルフェノクであると想定して、皆にどう対応させるか頭を働かせた。
 ただ一人、Nだけが別の動きを見せる。
「大丈夫だよ、ゾロアーク。彼らは味方だから」



「誰かに化けれるポケモンねぇ〜」
 海堂の感心する言葉に思わず共感する。
 ピカチュウの電撃といい、ポケモンはなかなか優れた生物である。
「とはいえっても、ある程度近くの相手にしか化けれないよ。
だからカイドウさんの仲間……ユカさんだったかな。会ったと思う」
「んだと! お前、本当に結花にあったのか!」
 海堂が問い詰めようと近づくと、黒い人狼の外見を持つポケモン、ゾロアークは唸って威嚇した。
 思わず手を引っ込める海堂に変わって、ルヴィアがNに問い直す。
「それで、ソロアークは結花というお方と出会っていますの?」
「うん、聞いてみるから少し待って。ゾロアーク、君が化けた人とどうして会ったの?」
 ゾロアークは少し黙っていたが、しばらくしてNに話しているように耳に口を近づけた。
 相槌をうつ少年を横目に、いいかげん担がれている体勢はキツイと文句をつける。
 海堂がおぶる形に変える途中で、Nとゾロアークの会話は終わった。
「うん、会ったことがあるって」
「なんだと! おい、どこで会ったか……」
「その前にひとつ確かめさせなさい。もしかしてゾロアークは結花さんを襲いました?」
「んなっ!」
 驚く海堂を視界に入れたまま、Nは静かに頷いた。
「ルヴィアさんの言う通りだよ。ゾロアークは心ない人間に支給されて、ユカさんを襲ったんだ」

「ふざけんなよ、てめえ!!」

 海堂が感情のまま吠え、ゾロアークを睨みつける。
 対する黒いポケモンも臨戦態勢だ。
「あいつを……」
「カイドウさん、どうして怒鳴るのかな?」
「仲間が襲われたんだぞ! 怒らないほうがおかしいだろ!」
「だってゾロアークは心ない人間に使われていたんだ。ピカチュウから察するに、モンスターボールの強制力が強化されている。
だったら、その操った人間に対して怒るのが筋じゃないかな?」
 Nの言葉に海堂を責める意図はない。
 単純に疑問を持った子どもが、大人に答えを求める。その程度の意味合いしかないだろう。
 ルヴィアは黙って見届けるつもりだが、Nとはここで別れるかも知れないと思った。
 Nはポケモンの気持ちがわかると言っていたが、人の気持ちをわからなすぎる。
 人と会話したことが極端に乏しいのだろうか。相手の気持を察せず、ただ正論をぶつける。
 相手によっては、一番残酷な仕打ちだというのに。
「それとも、ゾロアークがポケモンだから怒ったのかな?」
 おそらく、Nが一番聞きたい部分だろう。海堂はどう答えるのか、ルヴィアは待った。
「アホか」

147「Narrow」 ◆qbc1IKAIXA:2011/11/14(月) 20:09:59 ID:kC.ZYZwQ
 海堂は怒りと共に息を吐き出すように告げた。

「お前さんの友だちだから切れるだけで済ませたんだ。これが赤の他人、しかも男だったら問答無用でぶん殴るっちゅーの!
あ、女子どもはお尻ペンペンのお仕置きな。これだからガキは嫌いなんだ」

 むくれる海堂のほうが子どもっぽいが、Nは面食らっている。
「トモダチを怒鳴るの?」
「あーん? だって悪いことしただろう」
「でも悪いのは命令した人じゃないかな?」
「命令されたとしても、悪いことした奴じたいに腹立つだろ、普通。んで、悪いことした奴はダチでも怒ってやるべきじゃねーのか。
俺様なんか木場の野郎にしょっちゅう説教食らったぞ」
「カイドウさんはトモダチに怒られたの?」
「木場の野郎はと、友だちちゃうわ! いや、ちげーちげー。たしかにあいつはと、と、と……」
「照れてないでちゃんといえばいいじゃありませんか。似合いませんわよ?」
「うるせえ! まあ、そーいうこっちゃだから怒ったわけよ。だいたい、ダチ相手に腹たたないなんておかしいだろ。
喧嘩だってしょっちゅーだってのに」
「おかしい……そうなのかな? ピカチュウはよく喧嘩したのかい?」
「……ピカピー、ピカピカチュ。ピカピカッチュー」
「そっか……君はサトシくんとよく喧嘩したのか。そうか……」
 Nは大発見したかのように、小さくつぶやいた。
 ゆっくりとゾロアークに穏やかな顔を向ける。
「ゾロアーク、これからは悪い人の言うことは聞いちゃダメだよ」
 ゾロアークはグル、と一言鳴いてNにモンスターボールを渡した。
「カイドウさん、これでいいのかな?」
「あー、まー……」
「よろしいのでは? 別にわたくしたちが口出すことでも、尾を引かせることでもないでしょう」
「しゃあねえ! 特別に俺様が許してやる」
「なに偉そうに」
 ルヴィアのツッコミを無視したまま、海堂は偉そうに胸を逸らしていた。
 その横をピカチュウを抱えたNとゾロアークが通りすぎる。
「おい、なに無視してんだよ」
「え? まずはフレンドリィショップに行くんじゃなかったかな?」
「いや、そうだけどこう、なんか俺様を称える言葉の一つや二つは……」
「なくていいですわ。N、店に着きましたら、ゾロアークが出会った人間の特徴とプラズマ団について詳しく教えなさい」
「かまわないよ」
「おい、俺様は微妙に無視されてね?」
「はいはい、さっさと進みなさい。ゴー!」
「お前もう体力回復しているだろ! 降りろ!」
「うるさいですわね。レディなんだから丁重に扱いなさい」
「誰がレディだ!」
 海堂とあーだこーだ言い合いながら、Nと共に目的の店へと進んだ。
 もちろん、ルヴィアは見逃していない。自分と海堂を見るゾロアークの瞳が、警戒心に満ちていること。
 それを感じたピカチュウが、実は牽制していることを。
 これからはフレンドリィショップのあと、ゾロアークの案内で海堂の仲間のもとに向かうだろう。
 それまでにトラブルが起きなければいいが。
 ルヴィアは静かに、周囲の状況に気を配った。

148「Narrow」 ◆qbc1IKAIXA:2011/11/14(月) 20:10:20 ID:kC.ZYZwQ


【C-4/森林 北西/一日目 朝】

【海堂直也@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:怪人態、体力消耗
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:人間を守る。オルフェノクも人間に危害を加えない限り殺さない
1:とりあえずフレンドリィショップに。その後ゾロアークの案内で結花の元へ。
2:パラロス世界での仲間と合流する(草加含む人間解放軍、オルフェノク二人)
3:プラズマ団の言葉が心の底でほんの少し引っかかってる
4:村上とはなるべく会いたくない
5:あの女(桜)から色々事情を聞きたい
6:結花……!
[備考]
※草加死亡後〜巧登場前の参戦です
※並行世界の認識をしたが、たぶん『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』の世界説明は忘れている。
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました……がプラズマ団の以外はどこまで覚えているか不明。
※桜の名前を把握していません


【ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:魔力消耗(大)
[装備]:澤田亜希のマッチ@仮面ライダー555、クラスカード(ライダー)@プリズマ☆イリヤ、
[道具]:基本支給品、ゼロの装飾剣@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
0:あの女(桜)…次は見てなさい…
1:フレンドリィショップに向かう。ついでにゾロアークの出会った人物、プラズマ団について聞きだす。
2:元の世界の仲間と合流する。特にシェロ(士郎)との合流は最優先!
3:プラズマ団の言葉が少し引っかかってる
4:オルフェノクには気をつける
5:あの女(桜)から色々事情を聞きたい
6:海堂に礼を言いたいが…まあそのうち
7:遠坂凛の死に複雑な気分
[備考]
※参戦時期はツヴァイ三巻
※並行世界の認識。 『パラダイス・ロスト』の世界観を把握。
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※桜の名前を把握していません



【N@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:サトシのピカチュウ(体力:満タン、精神不安定、ゾロアークを牽制)サトシのリザードン(戦闘不能、深い悲しみ)
    ゾロアーク(体力:7割、海堂とルヴィアを警戒)
[道具]:基本支給品、カイザポインター@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:アカギに捕らわれてるポケモンを救い出し、トモダチになる
1:ピカチュウを慰めつつフレンドリィショップに向かう。途中ルヴィアに説明。
2:やはり人とポケモンは共にあるべきでは無いのかな。
3:世界の秘密を解くための仲間を集める
4:人を傷付けはしない。なるべくポケモンを戦わせたくはない。しかし、殺人者の女はどうするか
5:ミュウツーとは出来ればまた会いたい。
6:シロナ、サカキとは会って話がしてみたいな。
7:ちょっとカイドウさんが面白い。
[備考]
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※並行世界の認識をしたが、他の世界の話は知らない。

149 ◆qbc1IKAIXA:2011/11/14(月) 20:10:42 ID:kC.ZYZwQ
投下終了します。
何らかのミスがありましたら、指摘をお願いします。

150名無しさん:2011/11/14(月) 22:58:17 ID:xMSueVZw
投下乙っした。
戦力的にはかなり充実してる反面ポケモン関係において不穏な齟齬が。
そろそろNは人間の方も見ておいて…無理か

151名無しさん:2011/11/14(月) 22:59:13 ID:fap2JI7U
投下乙です
気さくなあんちゃんって感じで子どもと相性がいいな、海堂さんは
やっぱ海堂さんだなぁ

152名無しさん:2011/11/14(月) 23:39:50 ID:ptemAUaQ
投下乙です

海堂さんは頼もしいなあ
でも、不穏な影もあるんだよなあ…
Nの歪みをどうこうする事が出来るのだろうか?
海堂さんが頼みの綱だぞ

153名無しさん:2011/11/15(火) 00:29:58 ID:O72cI9VQ
投下乙です。うーん、やっぱり海堂さんは安心できるなぁw
とりあえずNはもっと人を見ようか、いくらポケモン第一だろうと自分も人間なんだしさ。

154名無しさん:2011/11/15(火) 22:08:32 ID:1.Sauat.
>>149
投下乙ですー。
いきなり結花が現れたからビックリしたらゾロアークだったかーw
Nは難しいけど海堂さんには期待できそうですなー。

155 ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:06:57 ID:vsbmJ37I
微調整も終わったので投下いきます

156REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:08:12 ID:vsbmJ37I
ゼロの言葉を信じ、政庁で待つことを決めたユーフェミア。
距離自体はそこまで離れてはいなかった。故にそこにたどり着いたのはゼロと離れて数分後のことだった。
そこは自分の知っている政庁とは何の違いもない建物であった。
自分や姉の執務室もあり、その部屋の中にあるものもユーフェミア自身の知っているものと全く同じだったように思う。

しかし本来あるはずのものの中にはないものもあった。
政庁の基地内を見て回ったが、格納庫にはナイトメアフレームは一機も配置されていなかった。
つまりKMFはこの会場には配置されていないということなのだろうか。

他にも武器の保管庫にも行ってみたが、当然のことながら鍵が掛かっていた。
いくら政庁で勤める皇族といっても流石に武器庫の鍵の場所までは分からない。
ありそうな場所くらいは想像がつくが自分が持っても使えるものではないだろう。

そうして一通り政庁内を見回った後、己の執務室にユーフェミアはいた。
ふとゼロから渡されたものを取り出す。ユーフェミアの身を守り得る物として渡されたものだ。確認しておく必要がある。
赤と白のボール。真ん中のボタンを押すことで使用するらしい。
ボタンを押すユーフェミア。
するとボールが開き、中から光が飛び出し――

「ポッチャマ〜〜〜!!」

水色の小さなペンギンが現れた。

「ポチャ?ポチャ!ポチャポチャー!!」

どうも状況が飲み込めていないらしい。
というかユーフェミアにとっても予想外であった。
身を守る武器というのがまさかこのような可愛らしい生き物だったとは。

「…えっと、私の言葉、分かる?」
「ポチャ…?ポチャ!」

水色のペンギンは頷く。何を言っているかは分からないがどうやら意思疎通は可能のようだ。

「あなた、ポッチャマという名前でよろしいのかしら?」
「ポチャ」

肯定のようだった。だがどうも警戒されている気がする。
もしかして今どのような状況に置かれているのか把握できていないのだろうか。
そうならまず警戒を解く必要がある。

「もしかしてあなたの飼い主って、ヒカリという名前ではないかしら?」
「ポチャチャ?ポーチャ、ポチャ!」

ヒカリという名前はこのポッチャマのボールと共に渡された説明書に書いてあった名だ。
その名を出すと、ポッチャマは大きく反応した。
だがユーフェミアとしてはその後の説明はできればしたくはなかった。
それでも言わないわけにはいかない。

157REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:09:28 ID:vsbmJ37I
「あのね、今私達がおかれている環境なんだけど…」

そうして全てを説明した。
ここが殺し合いの会場であること。
それにヒカリも巻き込まれていること。
話していく度にその青い顔がますます青ざめている様子なのが分かった。

「ポ…ポチャ…」
「正直こんなことを言うのも厚かましいのかもしれないけど…、それでもあなたにお願いしたいの。
 あなたは絶対にヒカリさんの元に返すわ。だから、それまでの間でいい。
 あなたの力を私に貸して欲しいの」

ユーフェミアの中には自分の意思を持ち、人の持ち物であるポッチャマを使役するということに抵抗があった
しかし、だからといって迷っているわけにはいかない。こうしている間にも、きっとルルーシュやスザク、ナナリー達やあのゼロも戦っているのだ。
自分には戦う力がない。だからこそこの生き物に力を貸して欲しいと、そう思ったのだ。

「ポチャ…」

ユーフェミアは知らないことだが、もしこれが命令など強制力のあるものであったらポッチャマは逆らえなかっただろう。
しかしこれは命令ではなく懇願。ゆえにポッチャマにも選択の余地があった。

「ポチャー…、……、ポチャ!」

どうやら頷いてくれたようだった。

「ありがとう!私はユーフェミア、多分短い間だと思うけどよろしくね!」」

短い間。そう、ポッチャマはヒカリの元に届けるまで力を貸してくれるに過ぎないのだ。
ポッチャマもユーフェミアの真摯な言葉を信じることにした。

だが彼らは知らない。
その飼い主がもうこの世にはいないということを。
それを知ることになる放送の時間は、もうすぐそこまで迫っていた。




魔女と罵られる。
体を串刺しにされる。
全身を焼かれる。

魔女となって一体どれだけの罵倒を、処刑を受けただろうか。
だがそれでも死ねない。
私の生きている意味はなんだろう?
今更生きていて何になるのか。
そもそも、なぜ今更生きたいなどと思ってしまったのか―――


『最期くらい笑って死ね! 必ず俺が笑わせてやる!だから――』

『俺は知っているぞ!お前のギアスを、本当の願いを!!』

そんな声が聞こえた気がした。
あれは確か誰の声だっただろうか。

ああ、そうだ。ルルーシュ、お前だったか。

158REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:10:53 ID:vsbmJ37I


「目が覚めたようだな」
「…ここは、政庁か」

C.C.が目を覚ましたとき、そこは机と椅子の並んだ会議室のような場所だった。
それがどこなのか一瞬分からなかったが、アッシュフォード学園から近くにあった場所といえば政庁しか思い当たらなかった。
ちなみにアッシュフォード学園という選択肢はない。C.C.はこれでもあの学園にはある程度は詳しいのだ。

「…ニャースはどこだ?」
「そこで眠っている」

そこ、といって指されたのはC.C.のすぐ傍。ニャースは丸くなって静かに寝息を立てていた。その表情はあまり安らかとは言い難い。
無理もないのかもしれない。敵だったとはいえ自分に近かった存在の死。ゲーチスの説法。さらに突然の襲撃から仮面の男から連れ去られたのだ。
緊張が解けたところで一気に精神的にきたのだろう。

「警戒が解けるまで随分と時間が掛かったぞ」
「ふん、突然現れた仮面の男に拉致されれば当然だろう、スザク」
「…ここでその名を呼ぶのは遠慮してもらいたい」
「あの名簿に書いてあった一人のゼロとはまさかお前の事ではあるまい」
「心当たりならある。私の同行者が教えてくれた」

そう話すスザクはずっとゼロの仮面を被ったままだ。いくらC.C.とて気になってしょうがない。
どういうつもりなのかを問おうとしたところで先に問いかけてきた。

「それにしてもなぜ君はあの時動かなかった?この猫を除くあの場の全員が何もしなかったのはおそらくそれが原因だぞ」
「なぜ、か。さあな。私にも分からん」
「……」
「正直あんなに面と向かってはっきりと魔女などど言われたのは久しぶりでな。どうも昔を思い出してしまったよ。
 あいつが言っていた人を誑かす魔女。ああ、間違ってはいないな」
「だが君は生きようと思ったのではないのか?」
「確かにその通りだ。だがもしかしたら、今までの生き方のように、どこかで贖罪を求めていたのかもしれんな」

多くの人間を誑かし、人の気持ちを弄んで、それで己の願いを叶えようとした自分への罰。
それからは結局逃げられなかったのだろうか。

「ふん、それにしても何が悲しくてお前とこんな話をしなければならんのだ」
「確かにな。本来その役目は私には役者不足だ」
「今度はこっちの質問に答えてもらうぞ。
 その格好は何だ?今からそんな格好をしているとは随分気が早いと言いたいところだが、この場でその格好をする意味が分かっているのか?」
「?何を言っているんだ?ゼロレクイエムは……、ん?まさか…」
「一人で納得したかのような反応をされても困るんだが」
「名簿のゼロのことについてはちゃんとその都度説明している。そして今はこれを外すわけにはいかない」
「なぜだ?」

159REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:12:59 ID:vsbmJ37I

そう問いかけ、スザクがマスクの中で口を開こうとしたとき。

「ポチャ?ポチャ!!」

会議室の扉が開き水色のペンギンと、

「あ、ゼロ。戻られていたのですか」

ユーフェミア・リ・ブリタニアが姿を見せた。



「ここは確か…、D-2、じゃあこれが政庁…」

C.C.を攫った仮面の男を追うさやかはようやく政庁についたところだった。
仮面の男は人一人と猫(?)一匹を抱えているとは思えないスピードであったことと、ゲーチスという同行人を連れていたことがかなりの遅れを誘発していた。
最も同行人のゲーチスに対しては、

「はぁ、はぁ、さやかさん、もう少し、速さを落としてくれたらよかったんですが…」
「ご、ごめんなさい…。大丈夫ですか?」

あまり配慮できていなかったが。
最低限の速さで走ったのだとしても魔法少女と人間なのだ。
置いて行ってしまわないように手を繋いでいたのだが、さやか自身もアッシュフォード学園での出来事が頭の中を占めており同行者への配慮まではあまり気が回せなかった。
ゲーチスも流石に魔法少女の身体能力に合わせるのはきつかった様子で、息を切らせていた。

「はぁ、さやかさん、私は少しここで休んでから中に入りますので先に行っていてください」
「でもそれじゃゲーチスさんが…」
「大丈夫ですよ。落ち着いたらすぐに追いますから。何か思うところがあってあの仮面の人を追ったのでしょう?ならばあなたは早く彼に追いつくべきです」
「……。分かりました。じゃあなるべく早いうちに来てください」

そう言ってさやかは政庁の中へと入っていった。

………


「…行きましたか」

やがて一人になったゲーチス。
走ったことへの疲労があったことは事実だが、それだけが理由で一人になったわけではない。
ここは政庁らしい。つまりあと数時間もすればシロナがやって来るであろう場所だ。
なればこそここからは早いうちに出発しなければまずい。
だがせっかくだ。少し不安要素を減らしておくのもよいだろう。

「出なさい、サザンドラ」

160REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:14:31 ID:vsbmJ37I


(なるほどな、それがこの仮面の理由か)

ユーフェミアと会話するスザクを見ながらさっきまでの疑問を解消するC.C.。
曰くこのユーフェミアは自分達の知るユーフェミアとは別の存在なのだという。
もしそれが本当なら様々な疑問に説明がつくかもしれない。

「えっと、C.C.さん、でいいのかしら?ユーフェミア・リ・ブリタニアです」
「ああ、知っている。お前とは違うユーフェミアだったがな」

確かに彼女相手であればスザクは顔を隠さざるを得ないだろう。
目や言葉の端々には意志の強さが見て取れる。

「時にお前は枢木スザクという男を知っているか?」
「あなたはスザクをご存知なのですか?彼は私の騎士ですが」
「やっぱりな。どんなやつだったか知りたくないか?」
「雑談はそれまでにしておけ。そろそろ時間のようだ」



そんなやり取りの一方でポッチャマはニャースに対して突っかかっていた。

「ポチャ!ポチャポチャ!ポッチャ!」
「おみゃーまでいたのかニャ…。
 あのにゃー、そんな訳ないニャ。あと今はあんまり話しかけないでほしいニャ…」

安眠とは言いがたいものの眠っていたニャースはポッチャマの登場で目が覚めた。
この状況をあまりくわしく把握できていないポッチャマはこの状況がロケット団が関係したものではないかと思い、ニャースに責め立てていた。
だがニャースは憂鬱であった。ポッチャマに旅の仲間が死んだという事実をどう伝えればいいのか。それを改めて説明するとなると気が重かった。

「…あのニャ、落ち着いて聞いて欲しいニャ」
「ポチャ?」
「………ジャリボーイが―」
『06:00、定刻通り死亡者、並びに禁止領域の発表を始めよう』

その時だった。アカギの声がどこからともなく響いてきたのは。

161REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:16:22 ID:vsbmJ37I


ドン ドン

放送が終了したとき、苛立ち混じりにさやかは壁を殴りつけた。
その行為は主催者に対する怒りからの行動ではない。

死亡者の名前が読み上げられているとき、ドキドキしていた。まどかやマミさんの名が呼ばれるのではないか、と。
だが呼ばれた参加者の中には自分の友や先輩はいなかった。気にかけるわけではないが佐倉杏子や暁美ほむらの名もなかった。
つまり知り合いは皆今はまだ生き延びているということになる。
その事実にほっとして、

(何で安心してるのよあたしは…!)

直後にその事実に安心してしまった自分の存在に気付いてしまったのだった。
マミさんのような正義の味方として生きるのではなかったのか。なぜその自分が知り合いが死ななかったというだけで安心などしているのか。
10人死んだのだ。その中にはC.C.やクロの仲間の名もあったではないか。
アッシュフォード学園でのあのポケモン達の悲しんでいる顔が頭の中をよぎる。
そんな者達の思いを無視してまどかやマミさんが死ななくてよかったなど――

「…あたしって最低だ」

Nやゲーチスに言われていたことを思い出す。
さやかにはポケモンがどうとかといったことは出会ったばかりということもありよく分からない。
だが、その中にあった言葉がさやかの心に残り続ける。
結局自分には己に近い物しか見ることはできないのではないかと。


「待つニャーー!」

ふと声が聞こえた。確かその声はニャースのものだ。
その方向を見ると、廊下の向こうを水色の小さな何かが横切り、それを追っているニャースがいた。
ニャースは何か慌てている様子に見えた。あのペンギンは何なのだろうか。ニャースの知り合いだろうか。

あっちから出てきたということはあの仮面やC.C.は向こうにいるということであろうか。
一刻も早くこの自己嫌悪を忘れたかった。だからニャースを追うことよりC.C.と話すことを優先した。


ガチャッ

「何だ。追ってきたのか」

巨大な机にその周りに規則的に並んだ椅子。会議室のようだった。
黒い仮面にマントの男と桃色の髪の女性、そしてC.C.がいた。
C.C.は座り込んで俯いており、女性は何か信じられない物を聞いたかのような顔をしている。仮面の男は分からない。
空気が明らかに暗いのだが今のさやかにはそこまで気が回せなかった。

162REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:17:44 ID:vsbmJ37I
「…何をしにきた?」
「あ、あの白い仮面が言っていたこと!あんたが人を惑わす魔女って…」
「ああ、その話か。――――本当だ」
「…え?」
「聞こえなかったのか?私は魔女だと言ったんだ。
 まあグリーフシードは落とさないがな」

できれば嘘だと言って欲しかった。
もしそれが本当なら、

「ああ、正義の味方であるお前の敵ということになるんじゃないか?」



「どこへ行ったニャ…」

ニャースはポッチャマを探していた。
ポッチャマが走り出していったのはあの放送の直後だ。それも当然だろう。
問題はあの放送で呼ばれた名前だ。

(まさかヂャリガールまで死んでたニャンて…)

サトシに続き、ヒカリの名まで呼ばれてしまったのだ。
さすがにこれまでは想定していなかった。
だが自分ですらそれなりの衝撃があったのだ。主を失ったポッチャマのショックはニャースには計り知れない。
だからこそ早く見つけ出さなくてはいけない。

ふとゲーチスの言葉が脳裏をよぎる。

「あいつの言葉、やっぱりおかしいニャ…」

彼は人とポケモンは異なる場所に生きるべきだと言った。だが主を失ったポケモンは一体どうなるというのだろうか。
別れてよかったと思う者もいるかもしれない。だがあのポッチャマの様子を見て、それでも離すのが正解などとは考えられなかった。

「おや、あなたは…」
「ゲーチス…」

そうしてポッチャマを探すうちにその張本人とバッタリ出会った。

163REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:19:39 ID:vsbmJ37I


「ちょっとやめ――、ゼロ?!」

声をあげて駆け寄ろうとしたユーフェミアをゼロが止める。

「……」
「どうした、殺さないのか?」

さやかはすでに剣を取り出していた。が、まだそれは構えられてはいない。

「お前の仕事は人を惑わす魔女を倒してきたのだろう?なら今更何を躊躇うことがある?」

C.C.は何を考えているのかさやかに自分を殺すようにけしかけているかのような言動を繰り返す。
ユーフェミアにはその行動の意味が分からなかったが、スザクは何を考えているのかは分かっているのか静観を続けている。

「殺せばいいだろう。そうでなければおそらくこの場にいる多くの者を傷つけるだろうな。もしかしたらお前の友達を死なせるかもしれんな」
「…っ!」
「それともお前は他の人間を傷つけるような者であっても殺す覚悟もないのか?甘ちゃんだな。
 お前のようなやつはそうやって戦う事自体が間違っているんじゃないのか」

その言葉を言い終えた瞬間に限界を迎えたのだろう。
さやかは手に持つ剣を振り上げ、そのまま勢いよく振り下ろした。

ガァァァァァァッ

C.C.に向けられたその剣はC.C.の目の前で軌跡を変え、C.C.のすぐ横の壁を切り裂いた。

「…私はあんたと話をしに来たって言ったでしょ…!勝手に殺させようとしないでよ…!」
「お前と何を話せと?」
「何で魔女って呼ばれるようになったのかってことよ…。あんたが悪人かどうかはこっちで決めるわ」
「聞いてどうなる?倒すべきかもしれない敵のことなど知るだけ無駄だろう」
「それでも、相手のこと分かってから、その上であんたのことをどうするか決めたいの」

さやかの中で佐倉杏子という魔法少女のことが思い出される。彼女も初めは敵としかなりえない存在と思っていたのだ。
しかしあの教会で杏子が話した己の過去を聞いて、彼女はそれを背負って生きていることを知った。
目の前の少女が敵なのだとしても、ちゃんと自分で理解しておきたかった。
それはゲーチスやNとのやり取り、あの放送で己に感じた自己嫌悪がさやかの中で持たせた考えだ。

「……。いいだろう。おいス――ゼロ、ユーフェミアを外に連れ出しておけ。
「分かった。ユーフェミア、一端部屋から出よう」
「彼女は、大丈夫なのですか?」
「それはC.C.自身が決めることだ」
「…分かりました」

ユーフェミアはゼロに連れられて会議室から出て行った。


「まあこっちもお前から色々と聞かせてもらったからな。少しぐらいは話すのもいいだろう」
「………」
「そうだな、あれは今から―――」

164REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:21:52 ID:vsbmJ37I


「…それにしても、あなたはお知り合いの方が亡くなられたというのに冷静なのですね」
「彼女とはあくまで仕事上の関係ほどしかなかったからな」

それは嘘というわけではないが本当のことでもない。篠崎咲世子とはナナリーを通じてそれなりに関係もあった上、最後までルルーシュに仕えてくれた一人でもある。
ただ、彼女が死んだと言われてもスザクには実感が沸かなかった。あまりスザクには重要な存在ではなかったのだろうか。

ルルーシュが死んだと聞いたときもそこまで思うことはなかった。スザク自身まだルルーシュを刺したときの感覚を思い出すことができる。
ただ、この場でルルーシュはどう生き、どう死んだのだろうか。
あのビルの爆破がルルーシュの物であったのなら何かと戦っていたのかもしれない。
あるいはゼロレクイエムを成し遂げたことで己の生を否定して死んだのだろうか。
それはもう今となっては分からない。

「君こそ大丈夫なのか?ルルーシュという人は君の知り合いだったのだろう?」
「ええ、私にとって大切な人でした…。彼が生きていたという事実がとても嬉しかった。それなのに…!」
「……」

泣き崩れるユーフェミアを見るスザク。
それは慰めにはならないだろう。むしろ禁忌とも言うべき言葉かもしれない。それは自分にも分かった。
だがスザクはあえて、その問いを投げかけた。

「もしここにいるルルーシュが、君の知っているルルーシュでなければ」
「…え?」
「ここから抜け出すことができれば君の世界のルルーシュに会うことは可能なのではないか?」



「おみゃーが何でここにいるニャ?」
「さやかさんがあなた達を追ってこられましてね。
 用事が済めばすぐに出発しますよ」

ニャースとしてはゲーチスに気を抜くことはできなかった。
ガブリアスの忠告もあったがそれ以上にアッシュフォード学園でのあの言葉がニャースの警戒を煽っていた。
だがあまり警戒心を見せるのも逆に不自然。あえて自然に、普通に振舞う。

「こっちにポッチャマが来なかったかニャ?」
「ポッチャマですか?いいえ、見ていませんね」

こちらに話しかけるゲーチスはあくまでにこやかだ。
ゆえに何を考えているのか読みづらい。
おかしなことをする様子がない以上普通に接するべきだろう。

「何かあったのですか?」
「さっきの放送で知り合いが呼ばれてニャ…」
「それは…、何と言葉をかけたらよいか…」

今はポッチャマを見つけなければいけない。主を失ったポケモンがどういう行動に出るのか、想像するのも嫌だ。
だがその前にゲーチスには聞いておかねばならないこともある。

165REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:23:54 ID:vsbmJ37I
「ニャー、おみゃーはポケモンを解放するためにあんな事言って回っているニャ?
 ポケモンと人間は別々にするのはポケモンのためになると思っているみたいニャが」
「ええ、その通りですね」
「何で人間のおみゃーがポケモンを代表するかの事言ってるのニャ?
 ニャーはポケモンの立場として言わせて貰うにゃが、本当に一緒に過ごすことを嫌がってるポケモンにゃんて極一部にゃ」

たとえトレーナーから酷い扱いを受けているとしてもポケモンがトレーナーを嫌っているとは限らない。
あのシンジという少年にひどい扱いを受けていたヒコザルでもシンジに好かれようと必死だったのだ。
なのになぜそんなポケモンの思いを無視するかのようなことをしようとするのか。
ニャースにはそれが疑問だった。

「なるほど、あなたはやはりポケモンの立場として意見を言うことができる者のようですね」
「だったらニャンにゃ」
「いえ、何でもありませんよ。今はあまり話しているときではないのでしょう?
 長くなりそうですのでまた次の機会にでもゆっくり話しませんか?」
「…確かにそうだったニャ。じゃあニャ、そっちも気をつけるニャ」

そう言ってニャースは走り去っていった。



その後ろに飛ぶ黒い影に気付かぬまま。



「…」
「満足したか?」

知りたいというから全て聞かせてやったのだぞとでも言いたげな顔で言う。
なぜこんなことをしたのだろうか?自分でも何か自棄になっているようにC.C.は感じた。

C.C.の話した内容はさやかには思いもよらぬ話だった。
目の前の自分と少し年上にしか見えない少女が数百年生きているなどどうして思えようか。
あの白い生き物と似たような行為をしていたことなどどうして想像できようか。


「それで、こんな話を聞いた上でお前はどうするのかな?」
「そんな話信じろっていうの?」
「信じられないのも仕方ないことではあるがな。
 だがお前も人のことが言える存在でもないんじゃないのか?魔法少女の美樹さやか」
「…あんたは、それで寂しくなかったの?」
「さあな。ただひたすらに死にたいと願った。ただそれだけだった。
 そんな私のことなど理解してくれた者などいなかった。いや、一人だけいたな。他の者が知りえなかった所までやつが」

あそこまでC.C.に踏み込んできた存在は後にも先にもおそらく奴だけだろう。
ただ利用するだけだったはずの男がこうも自分の中で大きな存在となっていた。
彼と関わったことでそれまでの自分とは大きく変わってしまったことは認めざるをえない。
だがそれほどの男も――

「さっき名前を呼ばれたよ。この私に笑わせてやるとまで言ったあいつも。
 きっと私はこのまま今までのようにまた魔女として生きるしかない。だがお前はそんなことは許せないだろう?」
「…っ!ふざけないでよ!そんな顔をしたあんたを殺すことが正義だって言うの!?」

美樹さやかの正義は人間を傷つける存在を倒すはずのこと。断じて目の前の、今にも死にかねない少女を殺すことではない。


「正義など人それぞれだ。力こそが正義と言った男もいれば父親を殺せば国を救えるとか考えた男なんかもいたな。結果は散々なものだったが。
 そういえばあいつもあいつで悪逆の限りを尽くして人々からの憎しみを自分一人で負うことで世界から争いを取り除こうなどと考えていたな。
 …ではお前の正義とは何だ?」

166REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:26:12 ID:vsbmJ37I
だが目の前の少女に問われてさやかは改めて考えざるをえなかった。そう、自分の中の正義をだ。
それは憧れたあの人のように皆を救うのだというものだったはずだ。

では誰と戦うのだ?
決まっている。魔女のような人を傷つける存在だ。

ならばこの場において魔女となるのは誰だ?人を傷つけるのは誰だ?
それは――

『殺してしまえばいい』
『誰かがそういってました、あなたたちを騙そうとしてた、悪い人だって』


「もういいだろう?お前の答えを聞かせろ」
「……」

さやかはしばらく黙り込んだあと、意を決したように話しかけた。

「クロちゃん…」
「?」
「さっきの学校に、クロちゃんの仲間だっていうルヴィアさんがいたわ」
「ああ、確かあの金髪ドリルだったか?」
「私はもうすぐここから出てまどかの家に向かうわ。
 もう少しでここにクロちゃんが来るんでしょ?あんたにそれを伝えて欲しいの」
「…それを頼むということは私を生かしておくということか?」
「…」
「……くくく」
「…何よ」
「いや、逃げの口実がこんなものだというのがおかしくてな。
 いいだろう。伝えておこう」

それを聞いてさやかは会議室を出て行った。

最後にその背に向かってC.C.は、

「次に会うことがあれば答えを聞かせてもらいたいものだな」

と言った。




167REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:28:31 ID:vsbmJ37I

「もしそうだとしても、ここにいたのはルルーシュなのでしょう?」

ユーフェミアの言葉に迷いはなかった。

「あなたのいた世界に、ブリタニアはあったのですか?」
「ああ、そうでなければ私が存在することはないだろうな」
「そうならきっと、あなたの世界のルルーシュもきっと私が想像しているように戦っていたのでしょう。
 ならば彼が死んだことには変わりないでしょう…」

はっきりとそう言った。

やはり仮面は外せないなとスザクは思う。
もしこの仮面の中の顔を見たとき、彼女はどういう反応をするのだろうか。
きっとこんな自分であっても枢木スザクとして見てくれるのだろう。
この血と裏切りで穢れた自分であっても。それにはきっと耐えられないだろう。

「君を試すようなことを聞いてすまなかった」

だが質問の意味はあっただろう。

「…」

C.C.は何を話しているのだろうか。
物音が聞こえないところから判断してまだそれが起こっているわけではないはずだ。

ガチャッ

やがて扉が開き、青い髪の少女はこちらに目をくれることもなく去っていった。




「全く何をやっているんだろうな。あんな小娘相手に…」

美樹さやかにそこまで思い入れなどないはずなのにこうまで構ってしまった。
冷静になってみればやはりおかしな話だ。
ルルーシュが死んだという事実がそこまでショックだったのだろうか。

「どうやら終わったようだな」
「結局死に損ねたようだがな」

さやかが出て行ってまもなくゼロはユーフェミアを伴って部屋へと入ってきた。

「そういえば聞いてなかったな。ゼロ、お前はこの殺し合いでどう動く気だ?」
「決まっている。私はこの儀式を止めるために動く。君はどうなんだ?」
「私か…。さあ、どうだったかな。当面は預かった伝言を伝えなければならんしな。
 そうそう、確か政庁には9時にここで出会ったやつと集合するという約束をしていたんだった」
「信用できるのか?」
「少なくとも約束した二人に関しては問題あるまい」

9時といえばまだ時間がある。だが来るのがユーフェミアを任せられる者が来るというならば待つのもいいかもしれない。
と、ふと窓の外で黒い煙が上がっているのが見えた。

168REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:30:08 ID:vsbmJ37I

「C.C.、彼女を頼む」
「行かれるのですね」
「何、すぐ戻ってくる」
「どうか気をつけてください。それと…、もし見かけられればあの…水色のペンギンのことをお願いしたいのですが」
「了解した」


そう言って窓から飛び降りた。
ここは何階だっただろうか…?

「あの、C.C.さん…でしたか?」
「ああ」
「あなたはルルーシュのことを知っているのですか?」
「ああ」
「もしよければ…、ルルーシュのことを教えてもらえませんか?
 彼がどのような人間だったのか…」

ルルーシュの死を知りながらもそれを聞くのか、と関心するC.C.。

「まあいいだろう。待っている間の暇つぶしにはなりそうだ」

あいつが死んだ今、生きる意味を見つけることができるだろうか。
見つけられなかったらどうするのだろうか。
それを考えつつユーフェミアの知らないルルーシュのことを話し始めた。

【D-2/政庁内/一日目 早朝】

【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:魔力減少(中)、精神的ショック
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、病院で集めた道具
[思考・状況]
基本:これからどうしたいのかを考える
1:知り合いとの合流
2:ユーフェミアと話す
3:さやかの答えを聞きたいが、また会えることに期待はしない
4:プラズマ団に興味は無い。
5:ミュウツーは見た目に反して子供と認識。
6:9時まで政庁で待つ
[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※ニャースの知り合い、ポケモン世界の世界観を大まかに把握しました
※ディアルガ、パルキアというポケモンの存在を把握しました
※桜とマオ以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)

【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:防犯ブザー
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル1本)、シグザウエルP226(16/15+1)、スタンガン、モンスターボール(空)(ヒカリのポッチャマ)@ポケットモンスター(アニメ)
[思考・状況]
基本:この『儀式』を止める
1:C.C.と話す
2:スザク(@ナイトメア・オブ・ナナリー)と合流したい
3:他の参加者と接触し、状況打開のための協力を取り付けたい
4:細マッチョのゼロ(スザク)は警戒しなくてもいい……?
5:ルルーシュ……
[備考]
※CODE19『魔女の系譜�①櫂魁璽疋丯▲后檗戮妊璽蹐陵霪類靴神鐓譴ǂ薀蹈ぅ匹墨△譴蕕貳鯑颪靴燭茲蠅盡紊ǂ蕕了伽�
※名簿に書かれた『枢木スザク』が自分の知るスザクではない可能性を指摘されました
※『凶悪犯罪者連続殺人事件 被害者リスト』を見ました

169REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:33:03 ID:vsbmJ37I


さやかの中では色々なことが一杯一杯だった。問いに対する答えなど出すどころではない。
結局また先延ばしにしたのだ。だが自分でどうにかできるようなことではなかった。

「マミさんなら…、何て言うんだろう…」

あの人ならもしかしたらこれに対して何かしらの解答を持っているだろうか。
もう一度、魔法少女として同じ立場となった今だからこそもう一度話をしたいと、そう考えるさやか。

「待たせてしまってすみません……、ってゲーチスさん?」


入るときに待っているように頼んだ場所にゲーチスはいなかった。
辺りを見回すと、裏手辺りで黒い煙が上がっているのが見えた。

「ゲーチスさん!!」

向かった先には、ボロボロになって倒れたニャースと腕に火傷を負ったゲーチス、そしてあの黒い仮面の男が立っていた。

「っ!!あんた――」
「私ではない。ここへ来たときにはすでに襲撃者は逃げていったようだ」
「そいつはどっちに行ったの!?」
「…向こうの方に逃げていきました」
「分かりました!ゲーチスさん、付いてきてもらっていいですか?」

問いかけたことへの答えを聞く間も惜しいと言うかのように示された方へ走り出すさやか。

「すみません、では彼をお願いしても大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。後のことは私に任せてくれ」
「ゲーチスさん、早く!!」
「では失礼します」




そうして残されたスザク。
ニャースを確かめると意識はないがまだ生きているようだった。
まだ息があったことに少し安心する。もしこのまま死なれてはC.C.に何と言われるか分からない。
だがニャースの処置も大事だがまだ問題は残っている。
さっき見た黒い煙は周囲に生えていた木を燃やしていた。
そこまで多くの木が生えているわけではないので燃え広がる可能性は薄い。
だが放置すると煙につられて危険人物が寄ってくる可能性もある。迅速に消火しなければならない。

「っ…、何処かに消火に使えるものは…!」

170REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:35:51 ID:vsbmJ37I

【D-2/政庁付近/一日目 早朝】

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:細マッチョのゼロ、「生きろ」ギアス継続中、疲労(小)
[装備]:バスタードソード、ゼロの仮面と衣装@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル3本)、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本:アカギを捜し出し、『儀式』を止めさせる
1:迅速に消火してニャースの手当てをする
2:なるべく早くユーフェミアと同行してくれる協力者を捜し、政庁に行ってもらいたい
3:「生きろ」ギアスのことがあるのでなるべく集団での行動は避けたい
4:9時に来る者を見極めてからその後の行動を決める
[備考]
※TURN25『Re;』でルルーシュを殺害したよりも後からの参戦
※ゼロがユーフェミアの世界のゼロである可能性を考えています
※学園にいたメンバーの事は顔しかわかっていません。


【ニャース@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:瀕死(ポケモン的な意味で)、ダメージ(大)、気絶中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)
[思考・状況]
基本:サカキ様と共にこの会場を脱出
0:気絶中
1:????
[備考]
※参戦時期はギンガ団との決着以降のどこかです
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)




さやかと別れた後、ゲーチスはサザンドラを放った。合図があったときに攻撃を仕掛けるように。
サザンドラの存在は隠さなければならない。
が、一人になった今であればボールからは出して自分と離れた場所から付いてくるようにしておいたほうが都合がよかった。

とはいえすぐに行動に起こすとは限らなかったのだが、政庁の周りを歩いていたときに遭遇したのはニャースだった。
あの短いやり取りの中でやはり邪魔な存在と確信したゲーチスは、ニャースをここで消しておくためになるべく姿を見せないようにして始末しろと支持を出したのだ。
ニャースはサザンドラのことを知らないとはいえ姿を見られた上で逃げられた場合、シロナ経由でばれる可能性もあるのだ。
万一のことを考え、自分の支持ではなくサザンドラの判断に任せて行動させておいた。
自分は離れた場所で隠れて見ているだけだったが、ニャース程度ならそれでも十分だろうと、戦闘が始まるまではそう思っていた。

171REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:37:16 ID:vsbmJ37I
だがニャースには予想以上に粘られてしまった。
ゲーチスは知らないことだが、ニャースが未進化であるのは戦闘経験が不足しているためではなく言語能力の代償なのだ。
普段は機械に頼りきりとはいえ経験自体は並以上にはある。
それでも素の能力の差には埋めがたいものがあるのも事実。
問題は全ての判断をサザンドラに一任していたということだ。もしゲーチスの的確な指示の元で動いていれば違っただろう。
結果としてサザンドラは少ないながらも乱れ引っかきによるダメージを受け、ニャースは瀕死にこそなっているが未だに命は残っている。
だがそれだけならばまだいい。想定していなかったわけでもないのだ。
ダメージは病院から持ってきた物を使えばどうにかなるはずだ。仕留め損ねたことに関しては自分の手で止めを刺すこともできる。さやかから貰った拳銃が手にあるのだ。
事はなるべく静かに済ませるつもりだったのだがサザンドラの大文字が小火を起こしてしまったのが大きな誤算だった。
確かにその煙がニャースの目くらましになったことでサザンドラの姿はまともに視認できてはいなかった様子に見えた。
だがもし仮面の男が窓から飛び降りてくるタイミングがもう少し早ければサザンドラをボールに戻すところを、遅ければニャースを殺すところを見られていただろう。
あえて自分で申し訳程度に腕に火傷を作っていたのが幸いだった。
正直今回のことでトレーナーのいないポケモンの限界を垣間見た気がする。

美樹さやかに呼ばれた以上、付いて行かなければ不自然だろう。
仕留めそこなった以上、今回は諦めるしかない。せめて小火で集まってくるかもしれない者に殺されてくれれば御の字だ。

あとは美樹さやかのことが問題である。
想定外のことが重なりすぎたことでどうも彼女への対応も疎かになってしまった気がする。
どうにか彼女を有用な手駒として持っていきたい身としてはこの先でどうにか挽回していかなければならない。



さやかの迷いは果たして己に答えを与えるのか、あるいは絶望を与えゲーチスの駒とさせるのか、また、それがこの先にあるのかは彼女次第になるだろう。
そのどちらに向かうことになるのかは、今はこの二人にも分からない。

【D-2/市街地/一日目 早朝】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、精神的に疲弊。
[装備]:魔法少女服、ソウルジェム(濁り小)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)、グリーフシード
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:襲撃者を追う
2:ゲーチスさんと一緒に行動する
3:鹿目家や見滝原中学にも行ってみたい。
4:まどか、マミさんと合流したい
5:マミさんと話がしたい
※第7話、杏子の過去を聞いた後からの参戦
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※どの方向に向かったかは後続の書き手さんにお任せします

172REINCARNATION ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:39:05 ID:vsbmJ37I
【ゲーチス@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:左腕に軽度の火傷
[装備]:普段着、きんのたま@ポケットモンスター(ゲーム)、ベレッタM92F@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、モンスターボール(サザンドラ(ダメージ小))@ポケットモンスター(ゲーム)、病院で集めた道具
[思考・状況]
基本:組織の再建の為、優勝を狙う
1:表向きは「善良な人間」として行動する
2:理屈は知らないがNが手駒と確信。
3:切り札(サザンドラ)の存在は出来るだけ隠蔽する
4:美樹さやかが絶望する瞬間が楽しみ
5:政庁からはなるべく離れる
※本編終了後からの参戦
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました
※「まどか☆マギカ」の世界の情報を、美樹さやかの知っている範囲でさらに詳しく聞きだしました。
(ただし、魔法少女の魂がソウルジェムにされていることなど、さやかが話したくないと思ったことは聞かされていません)
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※どの方向に向かったかは後続の書き手さんにお任せします



放送を聞いたポッチャマはそれが嘘であると信じたかった。
サトシが、それ以上にヒカリが死んだなどという事実を。
だが放送の主、アカギが嘘を言うとも思えなかった。
信じたくないという思いと信じるしかない現実から逃げるようにポッチャマは走った。
ユーファミアとの約束など忘れ、一人でヒカリを探しに行こうともしたのだがその途端体が動かなくなった。
その事実を受け入れることが怖かった。
もうどうしたらよいかなど全く分からなかった。

主を失ったポッチャマは彷徨う。かつて決意として持ったかわらずの石ももはや虚しさしか表さない。


※ポッチャマは政庁内、もしくは周辺にいます。おそらく政庁からそこまで離れることはないでしょう。

※D-2、政庁付近で小火が発生しました。同エリア内であれば煙を視認できる可能性があります。

173 ◆Z9iNYeY9a2:2011/11/17(木) 22:41:42 ID:vsbmJ37I
投下終了です
そしてまたもや文字化け
wiki収録の際に直しておきます

174名無しさん:2011/11/17(木) 23:49:13 ID:T.v5bP.Q
投下乙っでしたあ
ニャースが危ない!しかしサザンドラ相手に粘った方か…
ギアス勢3人集合か。スザクの方は決着ついてたが2人には辛いかもな
ところでここのC.C.はゼロレクイエムについては知らないのだろうか?反応的にそんな感じがしたが

175名無しさん:2011/11/18(金) 01:40:45 ID:Rwm8/O1E
投下乙です。正直リアルチート仕様なサザンドラ相手にニャースオワタかと思いきや、黒いG並みのしぶとさは伊達や酔狂じゃなかったか・・・しかしこれでガブリアスの警告もあるし晴れてゲーチスは敵認定かな?
そんなゲス親父は相変わらず安定のさやかあちゃんを抱えたままなのが吉と出るか凶と出るか・・・後者な気しかしないのがさやかあちゃんクオリティw

176名無しさん:2011/11/18(金) 11:29:34 ID:j15yjXCk
投下乙です

ニャースは俺も死んだと思ったがしぶといなあw
本当にしぶとい
ギアス組は案の定ショック受けてるがまだ余裕あるのかな? 少なくともさやかちゃんよりはまだ大丈夫かもなw

177 ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:47:00 ID:h8iqk6xU
こんな遅い時間ですが完成しましたので投下します

178Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:49:40 ID:h8iqk6xU
「何?それは本当なのか!?」

夜神総一郎とメロ、佐倉杏子は移動中であった。
理由は簡単。あのスマートブレイン跡地から爆発音のようなものが響いてきたからだ。
あの戦いの後であそこに向かった誰かがゼロと戦っているのだろう。
今余波が向かってきても戦うことはできない。そう思い、そこから離れるために移動を開始したのだった。
当然時間は無駄にはできない。その最中にも情報交換をしておくのだった。

最初は佐倉杏子だった。
ここに来るまでの杏子のことなどこの場では本人にしか分からないため判断は難しかった。
だが、これまで魔法少女として基本的に一人で生きてきた佐倉杏子にはゆまという少女を助けた記憶など、増してや連れて行ったことなどないという。
そこはあえて保留にしておいた。
そして先ほどの声はメロと総一郎の互いの情報を明らかにしたときに総一郎があげた驚きの声だった。

「ああ、本当だ。まさかそんなことがあったとは…」

パラレルワールド、平行世界。
まさかそんなものを目の当たりにするとはメロも思っていなかった。
総一郎の世界ではLとキラ、月の戦いはLの勝利となったという。
一方メロの世界ではLは敗北し、キラが正義となりつつある世界が広がっていったという。
お互いの知り合いについての情報を開示しているところで気付いた事実だった。

(道理で夜神月がキラだったことを知っているわけだな)

メロにはLがキラに勝ったのだということを聞いて、複雑な気分になった。
Lが勝ったのは良かっただろうが、もしそうなっていたら自分がニアを超える機会など到底来なかっただろう。
その為にワイミーズハウスを抜け出したのだから。
一方で夜神総一郎はやはりショックを受けていたようだ。
息子が道を誤ったまま世界がそれを認めてしまったという事実に。
彼の脳裏には息子のあの叫びが蘇っていた。


「…それで、君は月を止めるために戦っていたというのか?」
「ああ、死神のノートの存在も知っている」

大体のことは話したものの、夜神粧裕にしたことは伏せておいた。
メロとしてもあれには若干の負い目もある。そしてそれ以上に今変な感情を持たせることはマイナスにしかならない。

「あー、それで、一体どういう事だっていうんだ?もちっと分かりやすく言って欲しいんだけど」

そんな中、二人の会話についていけなくなった様子の杏子は支給品に入っていた羊羹を齧っていた。
総一郎はなるべく分かりやすいように杏子に説明する。といっても総一郎自身もよくは分かっていないのだが。

179Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:51:02 ID:h8iqk6xU

「う〜ん、よく分かんないけど、要するにさっき言ってたゆまって奴があたしのこと言ってたっていうのは…」
「佐倉杏子と千歳ゆまが共に過ごしていた世界があったということだろうな」

そう言うメロもあまりに突拍子のない事実に若干困惑していた。
それならば今までのことに説明がつくとはいえ、簡単に受け入れられる事実ではなかった。

「…そういえば、今は何時だ?」
「そろそろ六時に近いけど、それがどうかしたのか?」
「どうやら時間のようだな」




「クロちゃん、大丈夫?」
「…別にそこまで気にしてないわ」

シロナとクロエは向かった先で拾った少女、巴マミを連れて救急車を走らせていた。
その少女は未だ目を覚まさず、後ろで眠り続けている。
そしてスマートブレイン社へと向かおうとしたところで放送が始まったのだった。

「正直殺しても死にそうな人じゃなかったんだけどね」

遠坂凛。イリヤとカレイドルビーの出会いのきっかけとなった人物。おそらく彼女がイリヤと出会わなければ自分が誕生することもなかっただろう。
いつもルヴィアと喧嘩しては騒ぎを巻き起こすトラブルメーカーだった。
死んだからといってそこまでショックだったわけではない。魔術師とは常に死とは隣り合わせなのだから。イリヤはともかく、クロエはそれを弁えている。
ただ、あのルヴィアとのやり取りが、騒がしいあの声がもう聞けないのだと。
そう思うと何だか寂しいものがあった。

「ねえ、シロナさんはアカギって男のこと知ってるんだよね?」
「ええ」
「少しはニャースから聞いてるけど、詳しく教えて欲しい」

その問いかけは果たして失ったものへの悲しみを紛らわせるためか、あるいは放送者への怒りからか。

「そうね。ちゃんと言っておかないといけないわね」

さっきは己の行動の遅れでゲーチスに遅れを取るようなことになってしまった。
アカギのこともちゃんと話しておかねばならないだろう。




「そんな物が…」
「信じられないかもしれないけど、本当よ。それに本来ならあのディアルガとパルキアは神話の存在なの。
それをアカギは手に入れる方法を発見したの」

説明を受けたが、クロエには信じられるものではなかった。
シロナの連れているガブリアスのような存在の中に、時間と空間を司るような存在がいることなど。
そんなものがあるとすればもはや魔法の領域にいるようなものではないのか。

180Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:52:35 ID:h8iqk6xU
「でもそれって本物なの?その…、力を借りた模倣品とかじゃないの?じゃなきゃ神話の存在なんて…」

聖杯が呼び出すサーヴァントのような存在ではないのかと、むしろそうであったほうが納得ができるという思いを込めてクロエは問いかける。

「いえ、私はこの目で本物を見たことがあるの。アカギがどうやってあの二匹の力を再び手に入れたのかは分からないわ。彼が何を考えてこんなことを始めたのかも、ね」

彼の野望とこの状況にどんな繋がりがあるのか、それを考えるにはまだ情報が足りなかった。
そういえば、野望といえば言っておかなければならないことが一つあった。

「あと、一つ言っておかなければいけないことがあるの」
「あ、ちょっと待って。前に人がいるわ」



「松田…!バカ野郎…」

総一郎が部下の死に悲しむ一方でメロと杏子は優先する人物の名前が呼ばれなかったことに安堵していた。
L、ニア、美樹さやかに鹿目まどかといった者たちはまだ生きているようだった。
夜神月の駒が一つ減ったという事実もいい知らせなのだろうか。
最もメロとしては手放して喜べるわけでもなかったが。

「なあ、お前」
「メロだ」
「その千歳ゆまって、どんなやつだったんだ?」

放送で呼ばれた、知る中でおそらく唯一であろう魔法少女。佐倉杏子を慕っていたという子供。
今この場で唯一それを知っているメロにその少女についてを問いかける。

「…そうだな、最初に会ったときはコンビニから食い物と金を持ち出していたな。
ガキにしてはよくやると関心したもんだ」

それを聞いてやはりその少女をその世界で連れていたのが自分なのだなということを考える杏子。
それもそうだ。もし目の前に人のいないコンビニがあれば、自分も同じことをしただろう。
別の自分が面倒を見ていたという魔法少女。これほど近くにいながら出会うことはなく死んでいった。
果たして自分はどんな思いで千歳ゆまと過ごしていたのだろうか。
もう捨て去った過去、あの巴マミと過ごした記憶が脳裏をよぎり、

「―って巴マミ?」

杏子のソウルジェムが巴マミの魔力の反応を捉えた。つまり巴マミがこちらに向かってきているということだ。

「む?あれは、救急車か?」

見ると救急車がこちらに向かってきていた。あれに巴マミが乗っているということなのだろう。
マミが乗っているのならばあれに殺し合いに乗った人間は乗っていないだろう。乾巧は大丈夫だったのかも気になる。
止めようとして前に出ると、向こうから止まってきた。
そして目の前で金髪の女性と肌が黒い少女が降りてきた。

「あなた達は…」
「そんなに警戒しなくても殺し合いに乗ってねえよ」

181Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:53:43 ID:h8iqk6xU
こちらに向かってくるのにも慎重な動きをしていた二人にそう言って警戒を解かせる。

「そっちに巴マミはいんのか?」
「何で知って…――ってあれ?あんた、もしかして佐倉杏子?」
「へぇ、知ってるのか。なら大丈夫だな。
乾巧ってやつは一緒なのか?」
「?いいえ、私達二人とその巴マミって子だけよ」
(なんだ?マミのやつ失敗したのか?)

乾巧の連れ戻しに失敗したのなら出てこないのも無理はないのだろうか、と自分を納得させる。
顔を見せることができないというなら無理に出す必要もない。

「もしかしてあなた達あのビルが崩れる現場にいた?」
「ああ、あそこで化け物みたいなやつと戦っていたよ
行くならやめとけ。さっきまでまだ戦ってるやつがいるみたいだしもうすぐ禁止エリアになるんだろ?」
「そうね…。じゃああそこで何があったのか教えて。こっちも出しうる限りは情報を出すから」
「そういえば名乗ってなかったわね。わたしはクロエ・フォン・アインツベルンよ、クロでいいわ。こっちはシロナさん」
「あたしの名前は知ってるんだよな。こっちは―」
「いい、自分で名乗る。メロだ」
「夜神総一郎、警察の者だ」

二人が自分で名乗ったのはやはり住んでいた世界ゆえだろう。
顔と名前を知られることが死につながる敵と戦っていたことで名前を他人の口から言われることに抵抗があった。

「メロ…、それに夜神、ね」
「クロちゃん?どうかしたの?」
「ねえ、ソウイチロウ、あなた夜神月って人の家族?」
「何?!」
「月に会ったのか?!!」

夜神月、という名前を出したとき二人は大きな反応を示した。どうやら夜神総一郎は夜神月の父親らしい。
サヤカの聞いていたことが正しければこのメロという人物は危険人物ということになる。
だがそれが正しいという保障もない。それにメロは聞いていた印象とは違う気がする。
ならば先にするべきなのは――

「その前におじさんに聞きたいんだけど、夜神月ってどういう人物なの?」

無論父親とて知らないこともありえる。だがもしその彼が警戒する人物ならばまず間違いはないはずだ。

「それは夜神月に何か言われたという事か?ちょっと詳しく聞かせろ」

その問いかけにいの一番に反応したのは最も頭の回転が早いメロだった。
もし夜神月について何か手がかりがあるというならばそれを逃がすわけにはいかない。

「あーうん、言っていいのかな?…ま、いっか」

どうも様子もおかしいし言ってしまったことは仕方がない。そう考えて全部を話してしまうクロエ。
当然警戒していなかったわけではない。
しかし直接月から聞いたさやかに対して、クロエが聞いたのはそのさやかから又聞きしたものであった。
そのためキラという存在の脅威性や悪質さなどの部分までははっきり分かっておらず、漠然としたものとしか分かっていなかったのだ。

182Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:55:42 ID:h8iqk6xU
「俺とニア、L、松田桃太に美空ナオミがキラの手先の危険人物だと?それは夜神月が言ったのか?」
「正確には美樹さやかって子からそれを伝えられたんだけどね」
「さやか?おい、お前、さやかに会ったのか?!!」
「え?ああ、うん。会ったよ。会ったけど――」
「どうして先に言わねぇんだよ!」
「いや、だってサヤカからはそんな仲よさそうな印象なかったから…」
「佐倉くん、落ち着くんだ」

興奮する杏子を窘めたのは総一郎だった。だがそんな彼も突然現れた息子の情報に対する驚きを抑えているのが分かる。

「そのさやかって子から月とどこで会ったかは聞いているかい?」
「確か、来てすぐのところでD-4の間桐って家で会ったって言ってたような」
「そうか、意外と近くにいたんだな…」
「まあその後どっちに行ったかまでは聞いてないけど
シロナ?どうかしたの?」
「え、あ、いえ。何でもないわ」

何か考え込んでいる様子であったシロナに声をかけたクロエ。
シロナは月が嘘をついていると言われたとき、ふと思った。もしかしたら美樹さやかという子はかなり危ない状況なのではないかと。
その月という人物の嘘を真に受け、さらにはあのゲーチスとも共に行動することになっていたのだから。
ゲーチスにその誤解を利用されて良からぬことを起こされるのではないか、とふと心配になったのだ。

「でさ、そろそろそっちで何があったのか聞かせて欲しいんだけど」
「あれ?マミのやつから聞いてないのか?」
「それがあの子見つけた時にはかなりの怪我を負ってて気絶していたの。
まだ目を覚ましていないのよね…」
「そうなのか」

色々なことに納得しつつ、まだ未説明のメロと総一郎にもあのビルであったことを話す杏子。
化け物としか言いようのない仮面の男、ゼロとそれと戦っていた乾巧というオルフェノクの男。
乾巧と自分とさらに戻ってきた巴マミ、さらにその場に現れた村上というオルフェノクとおそらく一時的な協力をしてゼロを撤退へと追いやったこと。
そして乾巧を裏切ったらしい木場勇治というオルフェノク。巴マミはゼロと戦う前にその男と戦っていたらしい。
さらに彼に殺されたという乾巧の仲間、菊池啓太郎と魔法少女の千歳ゆま。
仲間の死にショックを受けて去っていった乾巧と彼を追っていった巴マミ。
ここまでが杏子があそこで見た全てだった。
と、話を終えて気付くとシロナとクロエ二人の顔が心なしか青いような気がする。

「何だ?どうかしたのか?」
「…もしかしてあなたの言う乾巧って人、全身から刃みたいなものが突き出た狼みたいなオルフェノクだった?」
「え、まあそんな感じだったとは思うけど、何で知って―ってまさか」

183Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:56:44 ID:h8iqk6xU
シロナは頭を抱えたくなった。その後何があったのかは分からないが味方となり得た者に攻撃をしてしまったということは確かだ。
話を聞く限りでは、仲間を失ってショックを受けていたのを立ち直らせた少女を連れて逃げていたところを攻撃してしまった、ということになるのだろうか。

「シ、シロナは悪くないわ。最初に攻撃しかけたの私だし…」
「クロちゃん、いいのよ…。
あの、どちらか車を運転できる方はおられますか?」
「運転なら私はできるが…」
「この先の政庁という場所に仲間との集合を約束しています。もしよければ向かってもらえますか?」
「構わないが、君は大丈夫なのか?」
「ええ、私は大丈夫です。ガブリアス、お願い」

そう言って白と赤のボールを投げ、ガブリアスを呼び出すシロナ。
視線の先は巴マミを発見した場所に向いている。どうやら乾巧を探しにいくようだ。

「クロちゃん、先に戻っていて。もし移動することになっても私に気を使う必要はないわ」
「え、ならわたしも一緒に―」
「駄目よ。これは私の失敗なの。自分でけじめをつけさせて。
それにあなたまで付いてきたらあの子が起きたときに説明できないわ」
「……」
「ああ、そういえば一つ言い忘れていたわね。
クロちゃん、ゲーチスには気をつけて。あの男は危険よ」
「え…?」

その言葉を最後にシロナは飛び立つガブリアスに乗って去っていった。

「おい、あれは何だ?」
「えーっと、なんかポケモンっていう生き物らしいわ。詳しく聞きたかったら移動しながらでいいなら話すけど?」
「分かった。確か政庁だったな。佐倉くんも行くか?」
「…おい、さやかはどっちに行ったって言った?」
「アッシュフォード学園ってとこに行ったあとで友達の家に向かうって言ってたわ」
「そうかい。じゃあしばらくは大丈夫だな。あたしもそこに連れてけ。マミのことも気になるしな」
「メロ君はどうするんだ?」
「…悪いが俺はここで抜けさせてもらう」
「おい、何でだよ?夜神月ってやつ探すんだろ?おっさんと行ったほうがいいんじゃねえのか?」
「こっちにも色々あるんだよ」

メロとしては仲間がいらないというわけではない。一人で行動するデメリットはよく分かっている。
だが、それを差し引いても夜神総一郎と共に行動するのは気が進まなかった。
夜神総一郎の人格は分かっているし、敵対していないのであれば同行するのも吝かではない。だがもし月を見つけた時のことを考えると共に探すのは止めておきたかった。

184Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 02:57:54 ID:h8iqk6xU

「分かった。なら私に止めることはできないな。気をつけて行くんだぞ」
「最後に一つ聞きたい。
夜神月はたぶんあんたの知ってる夜神月じゃない。俺の知ってる方の夜神月だろう。
それでもあんたはやつを探すのか?」
「ああ」
「そうか。そっちもせいぜい気をつけろよ」

そう言い残して一人バイクを走らせて行った。



「それにしてもマミのやつ、ボロボロじゃねえか…」

救急車の処置室に寝かされているマミは自分が最後に見たときよりボロボロになっているように見えた。
魔法少女としての力が肉体を修復しているため、傷自体はそれほど残っていない。
それでも体や服についた汚れからある程度の判断はできる。特に胸の辺りには明らかに何者かに撃たれたかのような血痕が見える。

(そういや、マミのやつあの事知らないんだよな…)

きっと巴マミはソウルジェムの秘密は知らないはずだ。
だからさやかのように変な気負いをすることなく戦うことができる。

さやかはまどかの家に向かっているといった。なら今のところは親友を気にかけるくらいは可能な精神状態なのだろう。
あの時のように自暴自棄な行動はしない――と思いたい。ともあれこっちが片付いたら追いかけよう。
とりあえず今は、今だけは巴マミの方を優先したかった。
かつて共に戦ったもののあれの後にその下を離れ、その後も一人で戦い続け、そして気がついたら死んでいた存在。
そんな思いなどとうの昔に捨てたはずだったのに、千歳ゆまという少女の話を聞いて思い出してしまった。

(…たく、あたしもヤキが回ったもんだよな。早く起きろよバカ)

眠り続けるかつての師ともいえる存在の傍で、杏子は羊羹を齧りながら目覚めを待った。





(ゲーチスは危ないって言ってたけど…、サヤカってそいつとずっと一緒にいたんじゃなかったっけ?)

美樹さやかはここに来てからずっとゲーチスと共に行動しており、これからの予定も一緒に行動するというものだったような気がする。
彼が病院ではずっとシロナと会話していたこともあり、クロエにはゲーチスがどんな人物なのかイマイチ掴めていない。だからさやかからの話のなかでそれを想像するしかなかった。
もしやばいのならば杏子には説明しておくべきだろうか?
さやかから聞く限りは殺し合いに乗るかどうかは微妙なところと言っていたが、杏子のほうはどうもかなりさやかに入れ込んでいるような印象だった。
などと考えているとふと気になったことがあった。

「ねえ、あんたは息子を追わなくていいの?」

185Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 03:00:19 ID:h8iqk6xU

隣の運転席で操縦している夜神総一郎に問いかける。
これまでの会話から彼が息子を探しているということは想像できた。そしてその息子を探しているらしいもう一人の男は一人で探しに出て行った。
なら彼も追いたいはずなのではないか?

「息子が他の人に迷惑をかけるようなことをしているのなら、それを放置することは私にはできない」

夜神総一郎にはLやキラと戦う皆が悪人として扱われることは我慢できなかった。もしそのまま誤解が広がればよからぬことが起きるのは目に見えている。
息子の不始末は父親である自分がつけねばならないと、そう考えていた。例えそれが己の知る月とは別の月であっても。
総一郎はこの場にその別世界の月がいるというのは何かの運命かもしれないと思っていた。
Lに勝ったことで道を外し続けている息子の道を正すこと。それがこの場に呼ばれた自分の役割なのかもしれないと。
一つ不安なことがあるとすれば、約束の時間までに流星塾に間に合うかどうかということだが。
まあ行く先に草加雅人の探している少女がいる可能性も否定はできない。
ともあれ自分の都合だけを優先するわけにはいかなかった。

「ふ〜ん、そんなものなのかな?」
「君にもお父さんはいるだろう?父親とはそんなものだ」
「お父さん…かぁ」

クロエには父親のことを言われてもイマイチピンとこなかった。
何はともあれさやかのことだ。今はそんな空気には見えないが言うべきだろうか。

考えている間に4人を乗せた救急車は確実に政庁に近付いていた。



勢いに任せて出てきたものの、正直はっきりとした行き先は特になかった。
やはり早急だっただろうかとメロはふと思う。

「それにしても何を焦っている…?夜神月」

一人になったメロはクロエから聞いた夜神月の情報を考えていた。
彼らとの情報交換はメロにとって大きな進歩であった。何しろ夜神月の動きも把握することができたのだから。
だが、だからこそ腑におちないことがある。

メロ自身は夜神月がキラであることはほぼ確信に近いものだったのだ。しかし夜神月自身は決して尻尾を握らせようとはしなかったはずだ。
それほどまでに慎重に動いていたはずの月が、なぜここにきてこのような行動に出たというのか?
この場ではキラの知名度は低く悪評としては有効ではあるが、それは月=キラと考えている人間に確信を抱かせるリスクも合わせている。
それにニア、自分、松田桃太、美空ナオミ、Lの5人全てというのはいくらなんでも多い。さらに松田桃太までというのはどういうことなのだろう。
正直今までのキラらしくない。

そもそもこういったものはうまい具合に作用すればいいが、今回のようにいかないことだってあり得るのだ。
騙され易く正義感の強い者ならともかく注意深く慎重な者はそうすぐに行動に出るものではない。

(今の夜神月は何かおかしい…。それは何だ?)

平行世界のことを聞いたが、それでもこの夜神月がキラであり、それも自分の世界の月であることは間違いがない。
だがまだ何かが欠けている。まだピースが足りない。

186Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 03:01:46 ID:h8iqk6xU

(ニアなら何て言うのか…。いや、これは俺一人ですることだ)

おそらくLやニアならば何かしらの仮説くらいは立てているだろうが。
答えを導き出すには夜神月を見つけることができれば一番手っ取り早い。だがやはり一人で行動するにはカードが足りない。
さっきのような怪獣や杏子の言ったゼロとかいう怪人などを相手にするには拳銃と呪術入りらしい宝石一つでは逃げられるかどうかも怪しい。
それに加えて月自身が広めている悪評のこともある。やはり夜神月を先に探すべきだろうか。
あるいはいっそのことシロナとかいう女を追ってみるのもありだろうか。

(一人…か)

ふとバッグをまさぐると出てきたのはあのコンビニで今は亡き少女が持ち出した一枚のチョコ。
それを無造作に食べきると、メロは考察のために止めていたバイクを再び走らせた。

【D-3/東部/一日目 朝】

【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康、魔力減少(小)、罪悪感
[装備]:モンスターボール(ガブリアス)@ポケットモンスター(ゲーム) 救急車、
[道具]:基本支給品、ピーピーリカバー×1、病院で集めた道具
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
1:乾巧を探す
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:N、サカキを警戒 ゲーチスはいずれ必ず倒す
4:間に合うなら9時に政庁に集合する
[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です
※ニャースの事はロケット団の手持ちで自分のことをどこかで見たと理解しています
[情報]

「まどか☆マギカ」の世界の情報(ソウルジェムの真実まで)
「ポケットモンスター(アニメ)」の世界の情報(ニャース談)
「プリズマ☆イリヤ」の世界の情報(サーヴァントについても少々)
「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界の情報
バーサーカー、ボサボサ髪の少年(北崎)は危険人物

【D-3/西部/一日目 朝】

【クロエ・フォン・アインツベルン @Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、グリーフシード×1(濁り:満タン)@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:みんなと共に殺し合いの脱出
1:みんなを探す。お兄ちゃん優先
2:お兄ちゃんに危害を及ぼす可能性のある者は倒しておきたい
3:どうしてサーヴァントが?
4:崩壊したビルに向かう
5:9時に政庁に集合する
[備考]
※3巻以降からの参戦です
※通常時の魔力消費は減っていますが投影などの魔術による消耗は激しくなっています(消耗率は宝具の強さに比例)
※C.C.に対して畏敬の念を抱いています
[情報]
「まどか☆マギカ」の世界の情報(ソウルジェムの真実まで)
「ポケットモンスター(アニメ)」の世界の情報(ニャース談)
「プリズマ☆イリヤ」の世界の情報(サーヴァントについても少々)
「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界の情報
バーサーカー、ボサボサ髪の少年(北崎)は危険人物

187Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 03:03:46 ID:h8iqk6xU

【夜神総一郎@DEATH NOTE(映画)】
[状態]:健康
[装備]:救急車(運転中)、羊羹(2/3)羊羹切り
[道具]:天保十二年のシェイクスピア [DVD]、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:休んでいる暇はない。警察官として行動する。
1:政庁に行き、月の嘘についてを説明する。
2:警察官として民間人の保護。
3:真理を見つけ、保護する。
4:約束の時間に草加たちと合流する。
5:月には犯罪者として対処する。だができればもう一度きちんと話したい。
6:佐倉杏子から、事のなりゆきを聞きたい。
[備考]
※参戦時期は後編終了後です
※平行世界についてある程度把握、夜神月がメロの世界の夜神月で間違いないだろうと考えています。

【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)、ソウルジェム(汚染率:小)、ストレス少々
[装備]:羊羹(1/4)印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入
[道具]:印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入×4、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:今はマミの様子を見つつ休む
1:とりあえず今だけはマミの面倒を見る
2:その後鹿目邸に向かっているらしいさやかを探す
3:真理を見つけたら草加たちのことを一応伝える
4:いずれ巧への借りは返す
5:夜神月は気に入らない
[備考]
※参戦時期は9話終了後です
※夜神月についての情報を得ました

【D-3/???/一日目 朝】

【メロ@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]ワルサーP38(8/8)@現実、原付自転車
[道具]基本支給品一式、呪術入りの宝石(死痛の隷属)
[思考]基本・元世界に戻り、ニアとの決着をつける。
1:今は夜神月を優先して探す。シロナは追うか?
2:死者(特に初代L)が蘇生している可能性も視野に入れる。
3:必要に応じて他の参加者と手を組むが、慣れ合うつもりはない。(特に夜神月を始めとした日本捜査本部の面々とは協力したくない)
4:可能ならばおりこに接触したい。
5:夜神月の行動に違和感。
[備考]
※参戦時期は12巻、高田清美を誘拐してから、ノートの切れ端に名前を書かれるまでの間です。
※協力するのにやぶさかでない度合いは、初代L(いれば)>>ニア>>日本捜査本部の面々>>>夜神月
※ゆまから『魔法少女』、『魔女』、『キュゥベぇ』についての情報を得ました。(魔法少女の存在に一定の懐疑を抱いています)
※平行世界についてある程度把握、夜神月が自分の世界の夜神月で間違いないだろうと考えています。

188Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 03:05:12 ID:h8iqk6xU




気がつくと巴マミは真っ暗な闇の中にいた。

ここはどこなの?どうしてこんなところにいるの?
確か私はたっくんと一緒に行動していたはず…。

『マミお姉ちゃん』

ふと声が聞こえる。それはもう聞くことのないはずの声。あのとき木場勇治に殺されたはずなのだから。

「ゆまちゃん?」

闇のなかで少女が立っているのが見える。声をかけながら駆け寄る。

「ゆまちゃん!大丈夫だった――」
『どうしてゆまをみすてたの?』

触れた瞬間そう言って振り返り、同時にゆまの首が落ちた。

「っ!?!?」

ショックで腰を抜かすマミ。そしてゆまの姿は消える。
すると遠くに見覚えのある二人の少女が見える。佐倉杏子と暁美ほむらだ。

「あ、暁美さん、佐倉さん!」

必死で呼びかける。しかし、

『こんなやつと一緒に行けないね』
『私達に触らないで』

返ってきた言葉は強い拒絶だった。

「そ、そんな…、どうして…?」
『それはお前がよく知っているのではないか?』

声が聞こえて振り返ると、後ろにはあの仮面の男、ゼロがいた。

「…っ!あなた…!」
『いいのか?そこで人が殺されそうになっているぞ』

ゼロが指をさした方には、ルルーシュと名乗った人が金髪の女に銃を向けられていた。
腰を抜かしている場合ではない。襲われたからといって死んでいいなどとは思っていない。それに金髪の女も捕らえなければ。
そう思って立ち上がって走り寄るが、間に合わずルルーシュは撃たれてしまった。

「あ、あなたどうしてこんなこと……え?」

189Signum malum ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 03:05:58 ID:h8iqk6xU
撃った人間を見据える。そこに立っていたのは、紛れもなく自分、巴マミだった。

「私が、ルルーシュさんを…?」
『逃げる背後を容赦なく撃ち抜くか。中々の覚悟だな』
『綺麗事を並べていても所詮は人間か。つくづく失望させてくれる』
「ち、ちが……、私は…」

気がつくと、そんな言葉を投げかけたゼロも木場勇治もいなくなっている。
自分と同じ姿をした何かとルルーシュもどこにもいない。
そしてしばらく先に、茶髪の男性がこちらに背を向け歩いている。

「た、たっくん!!」

それは自分が人を見捨てそうになったときのことを任せた男、乾巧だった。

「待ってたっくん!たっく…、巧…さん?」

近付く度に何かがおかしいことに気付く。そして彼は、

『もう、俺に関わるな』

振り返ることなくそう言って消えていった。

再び一人きりとなったマミ。

ああ、そうなんだ…。全部私のせいなんだ…。
ゆまちゃんが死んだのも、ルルーシュが死んだのも、たっくんが傷ついたのも。
こんな私が誰かと一緒にいるなど…―――――




無論そんな光景は現実のものではない。巴マミはまだ眠り続けている。
だがそんな彼女のソウルジェムが、グリーフシードを使ったばかりにも関わらず、回復に魔力を使ったにしては多い濁りを持っていることは紛れもない現実だった。


【D-3/西部/一日目 朝】

【巴マミ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:ソウルジェム(汚染率:小)、絶対遵守のギアス発動中(命令:生きろ) 、気絶中
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、遠坂凛の魔術宝石×10@Fate/stay night、ランダム支給品0〜2(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:魔法少女として戦い、他人を守る
0:……
1:????
[備考]
※参加時期は第4話終了時
※ロロのヴィンセントに攻撃されてから以降の記憶がかなり曖昧です
※見ていたものはあくまで夢です。目が覚めたとき内容をどこまで覚えているかは不明です 
[情報]
※ロロ・ヴィ・ブリタニアをルルーシュ・ランペルージと認識
※金色のロボット=ロロとは認識していない

190 ◆bbcIbvVI2g:2011/12/02(金) 03:07:16 ID:h8iqk6xU
投下終了です
おかしなところがあれば指摘お願いします

191名無しさん:2011/12/02(金) 15:29:53 ID:YpMPBbZU
投下乙です
このロワでのキラの空回りっぷりは凄いなw

192名無しさん:2011/12/02(金) 18:06:56 ID:Z5WKd0io
投下乙です。あれ、十話よろしく発狂したマミさんがあんこを射殺する光景が(ry
安定のさやかちゃんも大概だけど、マミさんもある意味でブレないなぁw
つーかシロナさん、もう少し詳しい事言わないと逆にクロがゲーチスに丸め込まれる理由作るだけだろうw

193名無しさん:2011/12/02(金) 21:24:44 ID:GhDkm2rk
投下乙。なんだかいろんなところでややこしくなってる…w
シロナメロは別行動、残りは政庁行きか。
…………あれ、また大混雑する?西部地方はホントカオスやわぁ…。
しかしシロ(ナ)やクロ(エ)やメロとか似た語感なキャラが多いw

194名無しさん:2011/12/02(金) 21:44:35 ID:tFXvPiT2
投下乙

ルルーシュ死んでもメンタルボロボロでもギアス発動中なのがマミさんの辛いところだな…
そして集団の中にいる内になんだか丸くなってる杏子ちゃんが可愛い
しかしシロナさん、戻る方向にはロロもキリカもいるぞ、またうっかりが発動しなきゃいいんだが

>「それは夜神月に何か言われたという事か?ちょっと詳しく聞かせろ」

しかし、この時↑の対応次第ではシロナのうっかりが再発してたかと思うと、地味に今回のメロと総一郎は良い仕事したと思う

195名無しさん:2011/12/04(日) 19:19:15 ID:GCUHMouE
投下乙です

あんこちゃんはなあ、群れるタイプじゃないから暴発する可能性もあったけど丸くなってよかったと思うよw
でもあんこちゃん以外にも火種になりそうなのがちらほらと…
シロナ、お前はその説明で十分だと思ってるのか?

196 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:53:21 ID:CpJKJ9Y2
皆様お久しぶりですー。

>>173
投下乙ですー。
ニャース何とか生き延びたかー。 これでどうなるか、ゲーチスへの一手となるか?
ギアス勢もさやかあちゃんもあんまり余裕無く、何よりポッチャマ……

>>190
投下乙ですー。
上手く接触したかなー、とか思ったら色々と問題だらけだなーw
別れたことで各所でもっと不安なことになる未来しか見えない……

予約入っていないようなので、今更ですがL、北崎、バーサーカー、投下しますー。

197 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:53:58 ID:CpJKJ9Y2
「最強の敵」


同行者の歩みに合わせ、のんびりと南西に向かっていた歩みを、止める。
ようやく日が差し始めた中、Lはたった今流れたばかりの放送の中身を思考する。

(松田に美空ナオミ、それと弥海砂……)

頼りになるというよりは足を引っ張られる事の方が多かった相手だが、それでも数少ない協力者、正義感を持った警察官。
キラ事件の渦中に一度浮上しながら、Lと会う前に姿を消した、かつての協力者。 少なくともその時は信頼出来る能力の持ち主だった。
そして第二のキラ。 死神の目なるものを持つキラの協力者、いや信奉者というべきか。 キラ特定の際に色々と状況をかき混ぜた、犯罪者。

いずれも、死んだ。
Lと何ら関わりの無い所で、Lが何らかの意図を抱くことすら出来ぬままに、死んだ。

(それに、ルルーシュ・ランペルージ)

今わの際の篠崎咲世子との約束は、半ば果たせなかったということになる。
まだ片割れが残っている、などという思考はLに無い。 信じられ、託された約束を果たせなかったという思いのみを抱く。
だが、そういった諸々の感情を表に出す事などない。 人間嫌いにすら見える外見と異なりLは熱いものを心の底に秘めているが、それは後回し。

「熱心だねぇ」

名簿と地図に印を付け、同時に知る限りの死者の情報、性格など何でもいいので思いついた情報を記す。 
Lならば一々印を付けずとも記憶する事は容易いが、彼はそのような過信とは無縁な男だ。
あらゆる情報を、あらゆる側面から集め、整理し、解を導き出す。 それが彼を世界最高の探偵たらしめている要素だ。
そういう行動をしているLに至極のんきそうな声が掛けられる。

「あなたはメモしなくてもいいんですか?」
「うーん、したほうがいいのかなぁ?」

シャルロッテ印なるお菓子をポリポリと食べながらも作業するLとは正反対に、何もしていない北崎。
誰もが行うはずの行為を、必要なのかと論じるほどの、不遜。

「……私があなたに忠告するのもおかしいですが、言うまでもないことです」
「そーお? じゃあさ、僕の分も書いておいてよ」

言いながら、己のディパックをしゃがみこんでいるLに手渡す北崎。
北崎を打倒することを公言しているLに対して、己の支給品全てを渡すという、非常識な行為。
いやそれどころか、誤った情報を書き込まれれば、それが死につながるかもしれないというのに、この余裕。

「……私もそんな面倒は御免なのですがね。 というかいいのですか? 間違えた情報を書き込むかもしれませんよ?」
「へーきへーき、3つくらい覚えられるし、何より君はそんな事はしないよねぇ」

確かに、禁止エリアが二桁もあるのであれば一つ二つ偽ることも可能だろうが、3つとなるとそうもいかない。
そして何より、そのような方法で北崎を討ったとしても、意味がない。
Lは、世界一の探偵である。 それは数多の犯罪者を罪に服させてきたということだ。
犯罪者に対しては卑怯な事でも法に触れることでも何でもするが、それは犯人逮捕の為。 その後に犯した罪に相応しい刑に服させる為だ。
仮に北崎が死刑に相当するとしても、ただ騙まし討ちで殺したのでは、何の罰にもなっていない。
あくまでも、己の手で倒す。 自分が犯した罪の重さを自覚させる。 そうすることで初めて、Lは北崎に勝利したと言えるだろう。

198 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:55:07 ID:CpJKJ9Y2
「ああ、面倒くさい」

そう言いながらも、Lはデイパックを受け取る。
もともと雑事は全てワタリに任せているだけに、Lはこういう作業は好きではない。
だがそれでも、何らかの新情報を得れるかもしれないチャンスを見過ごすなどということはない。
北崎の性格からすると何らかの悪ふざけくらいは仕掛けられている可能性も考慮して中身を探るが、どうやら杞憂だったようだ。
Lのものと同じ支給品の数々と、虎を模したの飾りの付いた竹刀が一本、それだけ。
それは無視しつつ、綺麗とも汚いとも言いがたい文字で禁止エリアを塗りつぶし、死亡者の名に印を付ける。
Lの菓子を勝手に食べながら横目で見ていた北崎が、その中に含まれている施設を見て村上なる人物が可哀相に、と言っていたが後回しだ。
反応からすれば、死者の中に北崎の知り合いは存在しないようだが、そのときについでに聞けばいい。

「ヒカリ、千歳ゆまと。 これで全てですね」
「ご苦労さま、まあ茸しかないけどたんとお食べよ。 茸派とか無いよねぇ」

たんとお食べとは言うがそれは先ほどまでLが食べていたお菓子に他ならない。
お菓子を取られた事と筍派という事実で、Lは北崎はやはり許されざる敵であるという認識を新たにした。

「ところで、平然としておられますが、貴方の知り合いの名は呼ばれなかったのですか?」
「うん、知らない人ばかりだよ」
「そうですか」

仮に親や恋人が死んだとして北崎がどのような態度を取るのか想像も付かないが、少なくともこうも平然としてはいまい。
死んでいたとしても顔見知り程度だろうと考えていたが、どうやらその通りのようだ。

「そういえば、あなたにはどのような知り合いがいるのですか?」
「ん〜、僕の知り合い? そうだねぇ」

僅かに、北崎が考え込み、そして何かを思いついたように笑みを浮かべる。

「聞きたい?」
「ええ、教えて頂けるのでしたら」
「うん、じゃあ、教えてあげなぁい」

返事には、悪ふざけの成分が多大に含まれていた。
その笑顔は、策略とか嫌がらせとかそういう意図ではなく単純にからかっているのだと雄弁に語っていた。

「…………」
「あ、怒った? ウソだよ、ちゃんと教えてあげるよぉ」

ちょっと待ってね、とLより渡された名簿を持ち上げる。
その様子からすれば、さほど真剣に名簿を読んでは居なかったのだろう。 いかにも北崎らしい。
見た目からしてLよりもいくらか若い少年であるが、中身の方も外見相応というところだろう。

「うん、やっぱり僕が知ってるのは村上さんだけだよ。 琢磨くんは死んじゃったし、冴子さんもいないし。
 もしかしたら向こうが僕を知ってるかもしれないけど、それって知り合いとはいわないよねぇ」
「そうですね、それはその通りです」

村上さん、というのは村上峡児という人物で間違いないだろう。 
琢磨くんというのはあの時死んだ男で、冴子さんというのが何者かは知らないが、北崎とはそれなりに親しい位置にいたのであろう、女性。
この場合問題になるのは、琢磨という男がくん付けなのに対して、村上はさん付けで呼ばれている。 それはつまり北崎から何らかの敬意を勝ち取れている存在ということになる。

199 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:55:54 ID:CpJKJ9Y2
「あ〜、そういえばこの木場勇治と乾巧って人も知ってるかな?」

その辺りの人間関係も出来れば把握しておきたいと考えていたLだが、北崎は他の何かを思い出したようだ。

「木場勇治、木場勇治……とその一味。 間違いないね、琢磨くんがよく失敗してベソかいてたよ」
「失敗、ですか?」

琢磨という男の失敗でも思い起こしたのだろう、意地の悪い笑みを浮かべる北崎に、問う。

「うん、オルフェノクなのに人間を殺すのが嫌な人は処分されちゃう事に村上さんが決めたんだけど、彼は何度か琢磨くんが襲って、そのたびに生き延びてたんだよねぇ」
「一味、ですか。 他の何人かもこの場にいるのですか?」
「さぁ、知らないなぁ。 何度か顔を見たような気もするけど一味としか覚えてないし」
「そうですか……」

これは朗報、ということになるのだろうか。
オルフェノクの中にも、人間に友好的な存在があり、それもこの場にいるということだ。
無論、実際に本人に会うまでは何とも言えないが、それでも北崎らを相手に何度か戦ったのは事実なようだ。

「で、この乾巧っていうのは、確かJの代わりに村上さんが連れてきた、僕たちラッキークローバーの新しい仲間なんだけど……」

その事についてさらに問おうとするLであったが、北崎は続けてもう一人の説明に入ろうとする。
進んで解説してくれるなら文句はない、後で細かい点を補足してもらえばいいか、などとLは考え話に意識を戻したのだが、

「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!」

それは、突如として響いた怖気の走るような咆哮によって、中断された。

「………………は?」

一瞬の、自失。
それが何かの声であることすら、Lは咄嗟に理解できなかった。
ただ、半ば呆然と振り向いた先に、家々を破壊しながら進む人型の物体があったことで、それが声であったのだとかろうじて理解出来た。
その物体は、Lに一瞬死神の仲間かと感じさせたほど、Lの常識からはかけ離れた存在であった。
2メートルの半ばを越す長身と、その肉体の全ての箇所を覆う灰褐色の筋肉。
巨人を象って彫られた石像と呼ぶほうがしっくりくる、まさに岩の塊のような、紛れも無い「人体」
それを何か得体の知れない赤黒いもので表面をコーティングし、よりいっそう非生物的な外観を作り出しながらも、それは紛れも無く生物として駆動していた。

「うわぁ……おっきいねぇ」

本能的な嫌悪感と恐怖感で咄嗟に声も出せなかったLを尻目に、北崎は暢気に述べる。
非人間的な造詣ならばオルフェノクで見慣れているし、巨体ならば仮面ライダー・カイザの駆るサイドバッシャーのほうが大きかった。
流石に密度という面で見ればここまでの代物は北崎にも初めてではあるが、それでも恐れとは無縁だ。

「いっくよー」

走り寄る巨体に向かい走り出しながら、オルフェノクへと変身を遂げる。
巨人の目的は完全に不明だが、少なくとも友好的な存在には到底見えない。
最も、北崎は相手が友好的かなどは元より気にしてはいない。 ただ、向かって来ているのが戦って面白そうな相手と認識しただけだ。

「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!」

敵意を剥き出しにして、咆哮をあげながら迫り来る巨人など、これほど面白そうなオモチャが存在しようか。
先だって倒した咲世子という女性も中々楽しめた相手だったが、こっちは見た目からしてワクワクする。
北崎の胴ほどもありそうな腕に、Lの腕よりも太い指という、当たれば唯ではすまないかもしれない凶器のスリル。
それがハンマー、いやむしろロードローラーと呼ぶべき勢いで、叩き付けられる。

200 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:56:33 ID:CpJKJ9Y2
「おっと」

流石の北崎でもこれは後ろに避け、後ろにあった家の外壁が砕け散る。
本気出せば受け止めても大丈夫だとは思っているが、それでも万一ということはある。
叩き付けた威力で、離れたところで見てたLの身体が僅かに跳ねるが、巨人も北崎も気にしない。
巨人はただ振り下ろした右手を支点にして左手を振り回し、北崎はまた後ろに下がりそれを避ける。
そこに向かい今度は右手が振り回される。 下がるのがそこまで好きでない北崎は横に逃げる。
だが巨人の正面側故に左手が間髪居れず叩き付けられ、再び後退する。

右手、    叩き付ける
左手、   振り回す 
左手、  叩き付ける
右手、 振り回す
左手、振り回す
右手叩き付ける


「ちょ、ちょっと、ずるいよぉ?」

北崎とて相手のリーチが上な以上はある程度の防戦という形は覚悟していた。
だがこの速度、まるで黒い渦のように止まらずに迫り続けるというのは予想外に過ぎた。
力で劣るなどとは微塵も考えていないが、あの密度では一度や二度止めた所で弾き飛ばされてしまいそうだ。

「攻撃しっぱなしっているのは反則取られるんだよぉ?」
「■■■■―――」

何のどういうルールかは不明な言葉をつぶやいた途端、状況が変わる。
巨人の正面方向から後退を続けるしか無かった北崎が、一瞬の間に巨人の後方へと回り込む。
その姿は先ほどまでの力に優れた魔人態ではなく、速度に優れたスリムな龍人態へと転じていた。

「■■■■■――――――!!」

姿が変わっていることには何の反応も示さずに、巨人は裏拳気味に右手を振り回す。
本来隙の生まれ易い動作ではあるが、巨人のそれには付け入るべき隙など殆ど見えず、巨人はこれまでの野生めいた態度には反して優れた技術を持っているようであった。

「あはは、こっちだよぉ」

だが、その攻撃が届く前に北崎は再びもと居た位置に戻る。
どれ程の威力のある攻撃だろうと、当たらなければ意味が無い。
再び巨人は両腕で暴渦を巻き起こすが、北崎は決してその範囲には入らない。

「今度はこっちだねぇ」

北崎本人とて言葉ほど余裕があるという訳ではない。
龍人態なら楽に回避できるとはいえ、その状態で万一にも喰らえば重傷は免れない。
かといって魔人態でも防ぎきれるという自信があるわけではなく、何より速さで巨人に劣る。

「反則したし、こっちもペナルティ行くよぉ?」

だから北崎は、早々に勝負に出る事にした。
叩き付け、振り回し、裏拳という今まで見た行動パターンから、最も隙の大きい裏拳を、誘う。
そしてその隙を突き、僅かに腕に触れる事を覚悟しつつ、龍人態の速度で懐に飛び込み、その臓腑を貫く。
本来、北崎は灰化能力を持つ故に相手の身体が触れるのはむしろ優位な行為であるが、これほどの質量差のある相手だと北崎自信もダメージを受けかねない。
それでもそうしたのは、北崎自信が巨人を相当の強敵と感じてたからだ。 無論、己の暇つぶし道具の範囲内としてではあるが。

「■■■■■■■■■――――――!?」

今まで後退一方であった相手の突然の突撃。
元より北崎の早さに付いていけていなかった巨人は、その動きに対応しきれない。
結果として、北崎はさしたるダメージもなく巨人の懐に飛び込むことに成功する。

201 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:57:30 ID:CpJKJ9Y2
「じゃあね、バイバイ」

念のため、と魔人態に変身しなおし、心臓目掛けて腕を振るう。
石像のような筋肉を持つと言っても、実際に石の硬度を持つ訳ではない。
北崎の両腕の竜頭より伸びた突角を持ってすれば確実に貫けるだろう。
肉が厚く上背もある為、内臓まで確実に届かすにはかなりの力を要するが、その程度はどうにでもなる。
多少の脅威であろうと、大きいだけの巨人では、最強のオルフェノクの前では敵足り得ない。
そうして、突角は鈍い金属音を上げながら、巨人の肉体に突き立てられた。





「…………」

Lには、言葉が無かった。
警察権力と世界的に繋がりがある以上、Lとて荒事には不慣れではない。
だが、Lの知る全ての経験のどれと比べても、目の前の光景は非現実過ぎた。
咲世子の動きもLからすれば未知の領域であったが、それでもそれは人間の範疇ではあった。

眼の前のこれは、違う。
これは、御伽噺の、神話の領域だ。
暴走するダンプよりも遥かに早く、遥かに効率的に家々を廃墟に変える巨人と、それに対峙する北崎。
無人の荒野を行くが如く、人類の築いた生息領域を蹂躙し、無に返すその姿は到底生物のようには見えない。
そして、それほどの存在を相手にしながらも、人類を超えた種の最強と名乗る北崎は、互角に戦い続けている。
それどころか、姿を変えた事で戦闘は一方的な物へと転じ、災厄としか思えない巨体すら、翻弄する。

「じゃあね、バイバイ」

北崎の動きが変わったことで、最早Lにはどちらが優勢なのかすら理解できない戦いは、そこで終わる。
いつの間にか巨人の腕の内側に飛び込んでいた北崎は、勝利宣言を上げながら巨人の胸に突角を突き立てる。
鈍い金属音が辺りに響き、そこで戦いは終わった。

「…………あれぇ?」

おかしい。
何かが、おかしい。
鈍い金属音が響くなどという事は、あり得ない。
鋼のような筋肉と称されることはあれど、それが人体として稼動している以上は、硬度を持つことなどあり得ない。
北崎の硬度が不明であるが、生物の肉体は生物の突角を前にしては、貫かれるのが摂理なのだ。
いや、前に見た能力からすれば、それが仮に本物の石像だったとしても、胴体から二つに砕かれるはずであろう。
それが、刺さらない。

「おかしいなぁ、手加減しちゃったのかなぁ?  ……よっと」

己の手に伝わる異様な感触……まるで人間の姿のまま巨大な金属の塊を殴ったかのような反動に、北崎は戸惑う。
思わず呆けたような声を上げてしまったが、戸惑いは一瞬の内に消し去り、逆の手で同じように突くが、結果は同じ。
まるで同等か、それ以上の硬度を持つ物質を相手にしているかのように、刺さってくれない。

「■■■■■■■■■――――――!!」
「わっ、ちょ、ちょとぉ!?」

起きた現実を信じられないように攻撃を続けようとする北崎だが、それ以上の行動は巨人が許さなかった。
捕まえることの出来無かった相手が、己の懐に飛び込んできたのだ、もう逃がす理由はない。

202 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:58:04 ID:CpJKJ9Y2
「は、離せ……よぉ」

片手のみでも容易く掴めるであろう北崎の肉体を、両の掌でしっかりと掴む。
いや、掴むのではなく、押しつぶす。

「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!」
「は、な…………」

力で抗し得るなどという北崎の自信など、過信に過ぎなかったのだろう。
力比べには圧倒的に不利な姿勢とはいえ、力に優れる魔人態でもまるで相手にならない。
Lからは北崎の表情は読み取れないが、その動きは明らかに苦悶にもがいていた。

「バーサーカー……」

不意に、そんな単語がLの口から漏れ出でた。
古い伝承に存在する、理性も意思も失い、ただ全ての者を破壊するだけの狂戦士。
名簿にあった名前の、一つ。
何の証拠も無いが、そうなのだろうと理解出来た。 させられてしまった。
推理も確認も反証も、LをLたらしめるありとあらゆる行為を、強制的に放棄させられる明確な存在感。

「…………」

血が出ても構わない、というほどに拳を握り締める。
バカバカしい。 何が数々の難事件を解決した世界最高の探偵だ。
この戦いのどこに、そんなものが入り込む余地がある?
最初から、己の仕業であると憚る事無く主張する圧倒的な暴力を前に、探偵ごときに何ができる?

北崎は、死ぬ。

これは確定事項だ。
Lの情報も策動も何も、全く関係ないところで死ぬ。

その後にLも……死ぬ。

「■■■■■――? ■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!」
「う、わーーーー!!??」

そして、その役立たずな探偵の考察は、ここでも外れる。
巨人――バーサーカーは、突如として北崎の肉体を放り捨てる。
飛ばされた北崎には目もくれず、己の掌を一瞬省みるような動作をした後、出鱈目に両手を振り回すだけだ。
それで、ようやく思い出す。 北崎には触れた物体を灰にするという能力があったことを。
突角は通じなかったが、灰化能力自体はどうやら効いたようだ。
だが、触れた部分を灰にするという小さな攻撃が、あの巨体を殺しきるまでにどれだけの時間を必要とするのか。
そして、もう一つLは気づく。

(目が、……見えていない?)

適当に放り捨てられた北崎を追うこともせず。
いや、追おうとしているのかもしれないが、ただ出鱈目に周囲を破壊しているだけだ。
呆然と眺めていたLの方にも、向かってこようともしない。

203 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:58:47 ID:CpJKJ9Y2
「…………」

充分に身を潜めてから、適当な小石を適当な方向に、投げつける。

「■■■■■■■■■――――!」

反応は、無い。
自分の咆哮で気づかなかったという可能性もあるが、聞こえていないのだろうか。

「…………」

今度は、あえてバーサーカーの視界を通るように小石を投げるが、やはり反応しない。
それどころか、バーサーカーは家々を破壊しながら、そのまま西の方に移動を開始する。

「■■■■■■■■■■■■―――――!」
「待て……よぉ」

その後姿に向かい、北崎が弱弱しく声を上げるが、それにも反応しない。
もしかしたら居場所を捜す為にわざと見えない振りをしているという可能性を考慮に入れながらも、Lは北崎の元に向かう。
そんな動きなど考慮の外とばかりに、周囲を破壊する暴風の姿は、徐々離れていった。


「…………」
「……何で、邪魔するのさぁ」

たっぷり、五百は数えただろうか。
北崎が動かないよう、デイパックごしに身体を押さえていたLは、立ち上がる。
ついで、北崎の不満そうな声。 そう言いながらも、彼は立ち上がる気配を見せない。

「もうちょっとだったのに……何で邪魔したのさぁ」
「もうちょっと、ですか。 ちゃんちゃら可笑しいですね……だってあなた、震えてるじゃないですか」
「…………っ!」

北崎は確かに最強を名乗るだけの能力を持ち合わせている。
人類を超越したオルフェノク種の中でも上の上の能力を持ち、触れた物を灰にするという能力に加えて、堅牢さと素早さに特化した二種類の形態までも使いこなす。
だが、その全ては彼がドラゴンオルフェノクとして再生した際に得たものであり、言ってみれば彼はその才能だけでオルフェノク種の頂点に立ったという事だ。
彼より強い者など誰もおらず、全ての他者は彼の退屈を満たすための玩具でしかない。 そんな認識の中で生きてきた16歳の少年。
北崎は、自身より強いものを知らない。 そんなものに出会うという想像すら、したことが無かった。

「や、やだなぁ、これはアレだよ、ほら、武者震いっていうヤツさ」
「そうですか、ならとりあえずアレを追うとしましょうか」
「追う……?」

その言葉に、北崎は動きを止める。
ああそうだ、Lが言うまでもなく北崎自身の本能が理解していた。

アレには、勝てない。

目にも止まらぬ速度で動ける? 
触れた物を灰にする能力を持つ? 
それが何だというのだ。

204 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 21:59:36 ID:CpJKJ9Y2
力。
ただ圧倒的なだけの、力
あんなものは唯の反則だ。
交渉の余地も何もない、ただの暴力機関。
最初から、これは戦いでも何でも無かった。
ただ、災害が通り過ぎたというだけの、事だった。

「そうです。 追うの、ですよ。
 恐らくは目も耳も機能していないような存在なんて、最強様には楽勝でしょう?」

そして、これからそれを追いかけなければならない。
追いかけて、そして打倒しなければならない。
そう、何の交渉も無いままに、ただ打倒する。
元より、目も耳も効かない相手に、どんな対話を行えるというのか。

(認めましょう)

逮捕でも屈服でもなく、ただ一方的に打倒しなければならない相手の存在を。
死神という超常の存在を認めたように、Lの知略など最初から眼中に無い暴力というものが存在するということを。

認めよう。
認めて、そしてそこから考えるのだ。
何が出来るのか。
何をするべきなのか。

だから、Lは北崎を止めた。
北崎は倒すべき敵ではあるが、アレは敵ですらない。
誓いも願いも、何もかも一切合財を無視しうる、黒い禍。

「では、行きますよ」

言葉に出して、Lの身体が震える。
あまりに強大すぎて、麻痺していた恐怖が今更ながらにLの身体に蘇る。
一度は捨てた命であるのに、それでも恐ろしさが拭いきれない。
だからと言って、諦めという事象は、Lには存在しない。

「……わかってるよぉ」

そう言いながら、北崎が立ち上がる。
その姿は、オルフェノクのものではなく、元に戻っている。

「キミの狙い。 アレと僕をぶつけて、共倒れを狙っているんだろぉ?」
「まあ、そんなところです」

正確に言えば、共倒れになるかすらわからない、という所か。
圧倒的な力だけでも脅威であるのに、それ以上に恐ろしいのがあの謎の防御力だ。
灰化能力だけはどうやら通じたようだが、あの巨体を殺しつくすのに、どれだけの時間が必要なのか。

「いいよぉ、キミの狙いに乗ってあげる。 僕は必ずアレを殺す、そしてソレをキミに見せてあげる。
 そういう約束の誓いを、握手を、しようよ」
 
言いながら、北崎は右手を差し出す。
その手を前に僅かに眉を動かしつつも、やがてLも手を出す。

「勇気があるねぇ、恐くないの?」
「別に、手が片方無くなろうと、最早関係ありません。
 それに、そんなことをしても貴方の最強とやらの証明にはなりません」
「ふーん、琢磨くんとは違うねぇ」

205 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 22:01:19 ID:CpJKJ9Y2
北崎の手を握り続ければ、いずれLの手は、腕は灰になるだろう。
事実、Lは掌に妙な感触を覚えつつある。 だが、かまわず握り続ける。
やがて、どちらともなく手を離し、無言でバーサーカーの後を追う。

最強の背中を、最強でありたいと願う存在と、最強になど興味のない存在は、追いかける。


【E-5/南西/一日目 朝】

【L@デスノート(映画)】
[状態]:右の掌の表面が灰化。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スペツナズナイフ@現実、クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ、ブローニングハイパワー(13/13)、
    予備弾倉(9mmパラベラム)?5、シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋。
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:北崎を用いて、バーサーカーを打倒する。
2:月がどんな状態であろうが組む。一時休戦
3:魔女の口付けについて、知っている人物を探す
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※北崎のフルネームを知りました。
※北崎から村上、木場、巧の名前を聞きました。


【北崎@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、使用済RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ、虎竹刀@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:バーサーカーを殺し、Lに見せ付けた後で優勝する
1:バーサーカーを追う。
2:バーサーカーには多少の恐怖を感じている。
3:村上と会ったときはその時の気分次第でどうするか決める
[備考]
※参戦時期は木場が社長に就任する以前のどこかです
※灰化能力はオルフェノク形態の時のみ発揮されます
 また、灰化発生にはある程度時間がかかります


【FN M1935 ブローニングハイパワー】
9mmパラベラム弾を13発装填可能なベルギーのハンドガン。
カナダ軍をはじめ、イギリス軍の空挺部隊や特殊部隊を中心に使用されている。




206 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 22:01:46 ID:CpJKJ9Y2
北崎には、運が無い。
例えばこれがこの島に居るもう一人のサーヴァント、セイバーを相手にしていたのであれば、不利でありつつも勝機は存在しただろう。
あるいは、仮に最強のサーヴァントと称されるギルガメッシュが相手であったとしても、勝算は限りなくゼロに近くなるというだけだ。

唯一

そう唯一、この存在こそ、勝利という事象のひとかけらも存在しない相手。
バーサーカー、英霊ヘラクレス。
神々より課せられた十二の試練を乗り越えた、ギリシャ最高の英雄。
その偉業は、そのまま彼の肉体に宝具という形で刻まれている。

即ち、加護と、蘇生。

彼の肉体傷付けるには最高の位階の攻撃を用いるしかなく、それとて一度乗り越えた後は無効とされる。
灰化能力で一度バーサーカーを殺したとしても、未だ彼には8つの命が残されている。
たとえ最強のオルフェノクが最善を賭しても、一人では一度しか殺し得ない。

そんな最悪の暴風は、進む。
元より理性は残っておらず、感覚を失い、今はもう主すらいない。
ただ、遥か遠くにある僅かな魔力を頼りに。
遠く、つかめない星空のようにきらめく、幾つかの魔力を目指し、進む。

その中に、己の目指すものがあると、どこかで理解しながら。

【D-5/南/一日目 朝】

【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:黒化、十二の試練(ゴッド・ハンド)残り9、両の掌の表面が灰化
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
0:■■■■■■
[備考]
※バーサーカーの五感は機能していません。直感および気配のみで他者を認識しています

207 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/05(月) 22:02:45 ID:CpJKJ9Y2
以上ですー。
誤字脱字天界におかしな点などございましたら指摘お願いしますー。

長々と申し訳ありませんでしたー。

208名無しさん:2011/12/05(月) 22:13:42 ID:JJeQBuJk
投下乙です。
とりあえず、まず>>207の展開が誤字ってますw

それにしても、バーサーカーは相変わらずの最狂ぶりですねw 北崎を相手にしてすらいないw
そしてLは、知略の通じない相手にどう立ち向かうのでしょうか。

209名無しさん:2011/12/05(月) 22:21:26 ID:FHfMu01Q
諦めていた予想外の投下が。
北崎でもきついよなぁ、バーサーカー。
せめてセイバーなら……投下乙です!

210名無しさん:2011/12/05(月) 22:29:57 ID:3GN/rlpA
投下乙です
バサカさん強えよなーやっぱり
てかL追うのかよ…。どうなることやら

そういや関係ないけど今セイバーって竜殺しの魔剣持ってたよね

211名無しさん:2011/12/07(水) 12:56:38 ID:JSG/qDFs
投下乙
バーサーカー強ぇな
Lと北崎の関係が良好になりそうだな


南空ナオミが出会うことなく消えたとありますが
映画だと電話で「今からキラを捕まえる」と連絡をしていますから出会うことなくはおかしいのでは?
一応Lも監視カメラごしではありますがナオミが自殺するところまで見届けてますし

212名無しさん:2011/12/07(水) 16:45:32 ID:IpYBXptg
投下乙です!
北崎の最大の弱点が裏目にでちゃったか・・・・・・
戦闘経験と呼べるものがろくにないから格上には手も足もでないんだよな
本編でもファイズブラスターやゴートオルフェノクに一方的にぼこられていたし
LはLで相手を殺すための戦略なんて考えたこともないだろうから、今のままじゃよくて北崎死亡ぐらいだし

それはそうとバーサーカー倒すには宝具以外じゃファイズブラスターやりゅうせいぐんや魔王ゼロぐらいじゃないときついかねぇ

213名無しさん:2011/12/07(水) 18:08:50 ID:QCCuJypo
>>212
ざっと考えてみた。
555ライダーズ:フォトンブラッドの毒性が効くか?とはいえバサカの耐性もあるから全ライダー掛かりでも殺せるのは一回限り。ブラスターやオーガの必殺技なら複数の命纏めて持って行けるかも?
ポケモンの大技:技のタイプが多いのは強みだが、いかんせん持ち主のスタンスが不安。使うと死ぬカイザ以外持ち主が危険人物ばっかなライダーもだけど。
ゼロ:魔王ですから。ナナナロロとナナリーも一応ナイトメア持ちだしやれなくも?やっぱり上二つに同じくスタンスが・・・

後はまどか☆イリヤの魔法少女勢も戦力候補だけど、ほむほむはバッシャー損傷してるから厳しいし、他は素の魔力耐性がキツイか?

214名無しさん:2011/12/07(水) 18:26:14 ID:MBwFJgXM
投下乙です

北崎でもバーサーカーはきついか。目と耳があれだけど普通では勝てんか
LはLで北崎もバーサーカーも放置できんとは思ってるだろうなあ。月どころではないか月は月で優勝しか考えてないし…
いや、月もバーサーカー見たらバランス考えろと憤慨するだろうなw

215 ◆vNS4zIhcRM:2011/12/07(水) 22:52:52 ID:ia6rSbo.
皆様感想ありがとうございますー。

>>211
おおう……えーと
>キラ事件の渦中に一度浮上しながら、Lと会う前に姿を消した、かつての協力者。 少なくともその時は信頼出来る能力の持ち主だった。

>とある事件で知り合い、婚約者の仇を取る為にキラ事件へと足を踏み入れ、命を落とした女性。

へと変更しますー。

216 ◆bbcIbvVI2g:2011/12/08(木) 22:28:21 ID:hyPGLGE6
セイバー投下します

217MEMORIA-黒き騎士の記憶 ◆bbcIbvVI2g:2011/12/08(木) 22:31:57 ID:hyPGLGE6
「…死んだか、遠坂凛」

それは衛宮邸へと向かう最中、放送が終わったときの話。
呼ばれた者の一人はかつてのアーチャーのマスター、遠坂凛であった。
セイバーの記憶の中にはそこまで重要な人物ではない。せいぜい士郎に聖杯戦争の何たるかの教授をしてもらった程度だ。
だが、彼女の妹である間桐桜にとっては重要な存在であったはずだ。そしてサーヴァントを失った士郎の数少ない味方でもあった。
そんな彼女もこんなにも早く死んだという。

「私の買いかぶりすぎだったようだな」

それでも遠坂凛について思ったことはこれだけである。
もし出会うことがあったとしても斬っていただけだろう。
今重要なのはマスターである間桐桜のことだけ。
セイバーの死者に対する反応は終わった。




そうして、目的とは違うものの誰とも出会うこともなく目的地である衛宮邸へと到着した、のだが――

「…、…??」

衛宮邸は和風建築の建物であった。
第四次聖杯戦争の折、衛宮切嗣が拠点とし、聖杯戦争後はそこが彼と士郎の家となった場所。
セイバーにはとても馴染み深い場所であり、間違えるはずがない。
そしてここはエリアF-7、ここにはそれがあるはずだ。
しかし目の前にある建物は、どう見てもごく一般的な家屋だ。
そこの表札がここが件の衛宮邸であることを証明している。

「………」

釈然としないがここまで来た以上このまま立ち去るのも何だ。
未知の家の扉を、セイバーは開いた。

218MEMORIA-黒き騎士の記憶 ◆bbcIbvVI2g:2011/12/08(木) 22:33:15 ID:hyPGLGE6

キッチンの棚の中にあったスナック菓子を齧りながら屋内を回る。
どうやら前にここに誰か来たような痕跡があるが気にすることはないだろう。
キッチンにあった椅子は七。一つは士郎のものだとしてあとは大河、桜、凛のものと仮定しても多い。
そして一階を見回ったが、魔術師としての道具、結界といえるものなどは全く見当たらなかった。
そうなると二階だろうか。
階段を上り、二階へと足を踏み入れる。

私室と思わしき部屋が四つあった。
一つ一つに足を踏み入れ、中を確かめる。
内二つは士郎、イリヤスフィールの部屋であることが分かった。
正直想像とはかなり違っており、名前の書かれた私物がなければセイバーとて士郎の部屋とは分からなかっただろう。
もう二つの、二人用の部屋については誰のものなのかはセイバーにも分からなかった。
しかしその片方にはアインツベルンのメイド服があったため、ここが使用人の部屋であることは予測できた。
問題はもう一つの部屋だ。
ここに住んでいた人物が分かれば疑問も解けるのだろうが。
そうしているうちにふと目についたある物。セイバーはそれを取り出した。



スナック菓子の袋はとうに空になっている。他に何かないかと探しにキッチンへと降りた。
元々それを確かめるのは食事の片手間でも大丈夫と考えていたが、いざそれを見ると手は止まっていた。

「やはりな。そういうことか」

彼女が見ていた物。それはアルバムであった。
一般家庭にならばおいてある物とはいえ、まさかこの会場にある家に置いてあるとは思わなかった。(アインツベルンの家を一般家庭と呼べるのかは分からないが)
そこに写っていたのは、ごく一般的な家庭の姿。
ホムンクルスの定めなどとは無関係な様子で育ち、遊ぶイリヤスフィールの姿。
母親の顔をしている、過去の聖杯戦争で器の役割を全うしたはずのアイリスフィール。
そして――

「…そうか、お前は安息を見つけたのだな。衛宮切継」

写っている枚数こそ少ないものの、魔術師の顔ではなく自分が今まで見たこともないような父親の顔をしたかつてのマスターの姿。
いや、あえていえばクルミ探しに興じていたあの時の顔に近いだろうか。どちらにしても自分には見せた事のない顔だった。

219MEMORIA-黒き騎士の記憶 ◆bbcIbvVI2g:2011/12/08(木) 22:35:47 ID:hyPGLGE6

それが何を意味するのか、セイバーは把握した。
つまりはこの家は平行世界の物なのだろう。おそらく切継とアイリスフィールが聖杯戦争に参加しなかったか、途中で全てを捨てて逃げたか。

「あのアカギとかいう男は第二魔法を使えるということか」

まあセイバーとしてはだからどうしたという話なのだが。
とりあえずあのイリヤスフィールはおそらくこちらの存在なのだろうという推測は立った。
あのイリヤスフィールがあの時のような激しい感情の起伏を表した声をあげたりはしないはずだ。
それにしても――

「……」

この顔を見ていると、自分がどれだけ衛宮切継という男に疎まれていたのかが分かるようだ。

切継がマスターであった日々は英霊の中でも特別な存在である自分には未だに記憶に新しい。
聖杯が何なのかということはあの泥に飲まれこの姿を与えられた時に知った。
だからあの時の切継の判断に今更とやかく思ったりしない。
ただ、もしあの時の切継のサーヴァントが理想を追うアルトリアではなく、全ての絶望を知った今の自分であったなら。
かつてのマスターの中の絶望を理解できたのだろうか?

「………」

これ以上は今の自分には何の関係もない話だ。そう頭を切り替え、もっと建設的なことを考えることにする。
あのイリヤスフィールがこのアルバムに載った彼女であったとしても、アインツベルンそのものが無いわけではないだろう。
それによく分からない魔術も使っていた。魔術の世界とは関わりをなくしたようでも本質は変わっていないはずだ。
一方で、アイリスフィールが己の娘を一般人として生きさせるのに聖杯の器の役割を残すとは思えない。
どうにかしてそれを封印したか、あるいは喪失させたか。どちらにしても何かしらの名残はあるはずだ。
それを探してページをめくっているうちに、気になる存在が現れた。
イリヤスフィールと同じ顔をしながらアーチャーを連想する肌の色をした少女。
友人というには似すぎており、家族というにはその存在が現れたのが唐突すぎる。
名簿を調べる。すると、そこにはアインツベルンの名を持つ者がイリヤスフィールの他にもう一人いた。
クロエ・フォン・アインツベルン。まさか黒いからクロエなどという単調な発想ではないだろうが。
シロウのこともある。イリヤスフィールのことは後回しにしてまずはこのクロエという少女を探すとしよう。

220MEMORIA-黒き騎士の記憶 ◆bbcIbvVI2g:2011/12/08(木) 22:37:24 ID:hyPGLGE6
そんなことを考えているうちにアルバムを読み終わったセイバー。
それを元あった場所へと戻し、今後の動き方を考える。
ここは衛宮邸。そうとしか書かれていない。
つまり、ここを本来(というのもおかしいが)の衛宮邸と勘違いした桜がやってくるかもしれない。
あるいはあのクロエと思しき少女が立ち寄ることもあるかもしれない。
しかしもし来なかったときは時間の無駄となるだろう。
ふと時計を見ると、どうもこの場でかなりの時間を使ってしまったようだ。
ここは早めに出発するべきだと判断する。
目的の人物に関しては周囲をうろついていれば案外見つかることもあるかもしれない。

出るならばどこへ向かうとしようか。
間桐邸に行っている可能性は低いだろう。ここは行かなくてもいいと考える。
柳洞寺。ここも正直気がかりだ。だが距離がある。立ち寄る暇があれば寄るくらいでもいいだろう。
そしてもう一つ気になる施設があった。
アヴァロン。すでに失われた己の聖剣の鞘の名を冠した施設。だがやはり遠く、柳洞寺とは別方向となっている。
ともあれどちらを選んでも北に向かうことには変わりない。それに北に行けばシロウとイリヤスフィールにしばらくは会うこともないだろう。

そうして方針を決めたセイバーは今の主を探すために、別世界の主とその家族の住んでいただろう家を出発した。
その中で感じた過去への思いを、もう思い出すことがないように心の奥に閉じ込めて。

【F-4/衛宮邸付近/一日目 午前】

【セイバー・オルタ@Fate/stay night】
[状態]:健康、黒化、魔力消費(微小)
[装備]:グラム@Fate/stay night
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本:間桐桜のサーヴァントとして、間桐桜を優勝させる
1:人の居そうな場所に向かう。まずは北上する
2:間桐桜を探して、安全を確保する
3:エクスカリバーを探す
4:間桐桜を除く参加者全員の殲滅
5:クロエ・フォン・アインツベルンを探す
6:もし士郎たちに合った時は、イリヤスフィールが聖杯の器かどうかをはっきり確かめる(積極的には探さない
[備考]
※間桐桜とのラインは途切れています
※プリズマ☆イリヤの世界の存在を知りました
 クロエ・フォン・アインツベルンという存在が聖杯の器に関わっていると推測しています

221名無しさん:2011/12/08(木) 22:38:36 ID:hyPGLGE6
投下終了です
「それはないだろ」とか「こんなの絶対おかしいよ!」というところがあれば指摘お願いします

222名無しさん:2011/12/08(木) 22:57:09 ID:sR0JC2io
投下乙です

そっちの士郎の家か
ああ、確かそっちのキリツグは幸せな家庭を築いてたっけ
セイバーから見たら色々と感慨深いよな…
なんかフラグが立った気もするが北は…

223名無しさん:2011/12/09(金) 15:45:21 ID:10nni.g.
投下乙です。
そうか聖杯の正体は知ってるんだなこのセイバーは。キリツグについては…複雑である
「こんなの絶対おかしいよ!」
正しくは衞宮切「嗣」です。間違えやすいので気を付けませう

224 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:31:29 ID:rA5XuZ82
投下します

225少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:32:05 ID:rA5XuZ82

 朝日は昇り、朝焼けから青空に移り変わる。
 森を抜け、平原にたどり着いたとき、時間はちょうど六時となった。
 車椅子の少女ナナリー、人類解放軍の象徴とも言える少女真理、ポケモンブリーダーを目指す少年タケシ。
 三人は時間までにポケモンセンターへと辿りつけなかったことを悔いながら、放送に耳を傾ける。
 内容は三人にとって、衝撃的なものだった。
「咲世子さん……? お兄……様……?」
 固まっている三人の中で、最初に反応したのはナナリーだった。
 声は震えて事実の認識を拒んでいた。
 ただ兄が死んだと聞かされただけ。受け入れるには死体がなく、確証などありはしない。
 だけど、アカギが誰かを殺したとき、肉の焼ける匂いを嗅ぎとった。
 それに、あのときもそうだった。兄が行方不明だと聞かされたときも死体と確証がなかった。
 またも理不尽に奪われる。母も、体の自由も、兄も。
 どうしてこんなに奪われてばかりなのか。優しい世界なんて存在しないのではないか。
『咲世子やお兄様を殺した奴が憎いか?』
(やめて!)
 ネモが問いかけ、ナナリーは歯を食いしばりながら抵抗する。
 彼女は自分の負の感情をもらいし者。漏れ出す殺意に身を任せそうになるのを、必至で堪える。
『なにを迷う。殺し合いはここのルールだ。殺す覚悟があるなら、殺される覚悟もあるということだ。
この二人に頼むか、あるいは置いていってお兄様たちの仇を探せばいい。誰にも非難される謂れはない』
(お願い……やめて……)
 シンジュクでは彼女と契約することになった。
 だが今は、悪魔のささやきにも聞こえるおのれの本心に自己嫌悪するだけだ。
 優しい世界を望みつつ、己の本性は優しさから遠い。何もかも投げ出したくなる。
 そんなとき、彼女の車椅子が押された。
「マリさん、ここに長居してもいいことはありません。ひとまずポケモンセンターに向かいましょう」
 冷静な声音でタケシが先を促す。
 真理は心ここにあらずといった様子だったが、呼びかけに答えた。
「う、うん。確かにボーッとしてるよりマシよね。けど、いいの?」
「放送のことですか? 俺はサトシもヒカリも、死んだなんて信じません。
判断材料はアカギさんの放送しかありません。自分達を騙してプラズマ団のボスだった男です。信じる要素がありません。
だからひとまず、放送で呼ばれた相手は死体を見つけるまで無視しておきましょう」
 さすがに禁止領域はそうもいきませんけど、とタケシは最後に付け足した。
 だがナナリーは車椅子を押す彼の腕が震えていることを感じ取り、地面に手のひらからの血が落ちるかすかな音を聞いた。
 きっとやせ我慢なのだろう。
 タケシという少年は聡い。この放送を楽観的な思考で嘘だと断じるような性格ではない。
 あえてそう言ったのは、きっと自分を、真理を気遣っての行動なのだ。
 兄が死んだ自分。啓太郎という仲間を喪った真理。
 彼だって、サトシとヒカリといった仲間を喪った直後なのに。
「さて、ナナリー、マリさん。そろそろ……」
 いきましょう、とタケシが続けようとしたときだ。
 放送に気を取られて、探知機を見る暇もなかったのが仇となる。
 川を飛び越え、三人の眼前に立つ存在があった。
「あれは……ファイズ? 違う……けど誰?!」
 真理が前に立ち、銃を向ける。ファイズに酷似したベルトの相手もブラスターモードの銃を向けた。
「人を殺すために撃とうとする……あなたは悪い人ですか?」
「あ、ごめん。あなた、女の子?」
 真理が銃を下げて謝罪をすると、相手も銃を収めて変身を解いた。
 つややかな長い髪の、理想的なスタイルをもつ、妖しい魅力がある女性だ。
「頭を怪我しているじゃない!」
 真理は頭部の怪我を発見すると、相手の返事も待たず腕を取る。
 フラっとしたためだろう、肩を貸し始めた。
「タケシ、ナナリーちゃんをお願い。私はこの娘に肩を貸すから」
「もちろんです」
 そのままポケモンセンターを目指そうとした一同に、謎の女性は声をかけた。
「私を助けるつもりなんですか……?」
「当たり前じゃない。そんなフラフラで強がんないの。怪我人は黙って助けられておく、いい?」
 いろいろ聞きたいことを抑えて、真理は相手の返事を待たず言い切る。
 ナナリーはサバサバした対応に感心しながら、ポケモンセンターに向かうままに任せた。
 ただ、ネモが苦虫を噛み潰したような顔をしていたのが気にかかった。



226少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:32:32 ID:rA5XuZ82
 ポケモンセンターの内部は病院を彷彿させた。
 受付のカウンターと、白い印象の部屋。受付に並ぶいくつもの椅子。奥には診察室があった。
 おまけに食堂、宿泊施設が存在しているらしい。
 タケシが言うには、『ポケモンの病院であり、ポケモントレーナーの支援施設』とのこと。
 ひとまず、治療道具は揃っていたため変身していた女性の手当をした。
「さて、これで楽になったはずです」
「ずいぶん慣れた手つきね。こういうことも得意なの?」
「ええ。ポケモンも人も、怪我を診ることはありましたから。それに、美しい方に傷を残すわけには行きません。
不肖、このタケシにできることがありましたら、なんでもおっしゃってください!」
 真理は見直した自分を殴りたくなった。
 しかし、前と違ってキレがなく、言葉も弱々しい。
 グレッグルがツッコミを入れないのがその証拠だ。
「怪我の治療をありがとうございます。私は間桐桜と申します。
あなた方にお尋ねしたいのですが……センパイ、衛宮士郎という男性にお会いしませんでしたか?」
 衛宮士郎という人物名に、思わずタケシと顔を見合わせる。
 ナナリーは首をひねっているが当然だ。
 衛宮士郎は二人が最初に出会った少女、美遊も探していたからだ。
 別れる際、巧たちの情報と交換したのだ。彼女が探している親友、イリヤの兄というため、話題に上がったのは当然の結果である。
「……先輩に会ったことあるんですか?」
「ごめん、私たちが会ったのは美遊って子なんだ。その子も探していたから……」
「美遊? 先輩の知り合いにそんな人は聞いた覚えがありませんが……」
 桜は顎に人差し指を当てて考え込んだ。頭部の痛みからか、集中できるように見えない。
 そこで、横からタケシが質問する。
「ところで気になっていたのですが、そのベルトは人間にも使えるんですか?」
「うーん、見たこないベルトだけど、基本的にオルフェノクしか変身できないし……あっ、もしかして!」
 真理は勢い良く桜の両肩を使んだ。
「あなた、オルフェノクに会わなかった? 最初の会場で燃やされた怪人みたいなの。
鶴か蛇、狼に似たオルフェノクなら、私たちの味方なんだけど……」
「おるふぇのく? 灰色で人の言葉をしゃべる怪物さんには会いました。けど、その前後はよく覚えていません」
 桜は『味方のオルフェノク』の部分を耳ざとく反応し、嘘を告げた。
 飢餓感があるものの多少マシになったため、手当をした相手を殺したくない、と良心が動いたのだ。
 頭部の怪我で戦闘意欲が薄れていたのと合わせて、誰にとってかわからないが幸いだった。
「うわ……」
「マリさん、どうかしましたか?」
 真理が手のひらを顔に当て、苦い表情を浮かべる。
 何を話そうか迷った末、ゆっくりと落ち着かせるように語り始めた。
「間桐さん、落ち着いて聞いて。あなたはオルフェノクになったかも知れない」
「えっ!? それはどういうことですか、マリさん!?」
 強く反応したのはタケシで、桜はおとなしく聞いていた。
「オルフェノクは自分たちの仲間を増やすことができるの。私の仲間以外の連中に出会ったら襲われるしかない。
だから、ベルトが使える。そう考えたほうがつじつまが合うし……」
「…………そうだったんですか」
 本当は桜は襲われていないし、変身できるのはデルタギアの特異性でしかない。
 彼女にとって都合のいい解釈でもあるため、話を合わせたことにしたのだ。
 そうとも知らず、おずおずといった様子でナナリーが真理に尋ねる。
「あの、オルフェノクになったなら人間に戻ることは……」
「そういう例はなかった。私の仲間も死ぬか、オルフェノクになるしかなかったから。
でも、オルフェノクになっても人とわかり合おうとした仲間だっているよ」
「大丈夫でよ。今のところ、オルフェノクになる様子もありませんし」
 桜がニッコリとしながら答えた。
 真理はどこか生気が感じられない笑顔だと思ったが、気のせいだと結論をつける。
「それじゃあ、少しポケモンセンターを探りましょう。基本、自分が知っているポケモンセンターと変わらないと思いますが、一応念には念を入れて」
「うん、積もる話は後回しにして、ちょっと回ろうか。ナナリーちゃんと間桐さんはここで待っててもらえるかな?」
 構わない、という返事を受けて、タケシを伴って施設を進んだ。
 桜の精神状態がいくぶんか落ち着いており、一行の平穏は少しの間だけ保証された。

227少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:32:55 ID:rA5XuZ82



 広い浴槽は音がよく響く。
 タイル貼りの床を、ナナリーを助けながら真理は中の広さに感心した。
 ちょっとした銭湯くらいの広さはある。トレーナーの宿泊施設も兼ねているというのは、伊達ではないということか。
 なぜ今風呂場に訪れているのかというと、理由は単純だった。
 施設の探索中に真理が風呂場を発見したのだ。なかなか広く、十人入ってもまだ余裕があるだろう。
 疲れを癒すにもちょうどいいだろう、と女性陣に提案したのだ。
 ちなみに、タケシがその話にピクピク反応していたのは見逃していない。
 覗きに来る度胸はないだろうし、万が一にはグレッグルがどうにかしてくれる。
 もっとも、別のことで気になることはあるのだが。
 ひとまず、ナナリーの体を洗うため、シャワーの前に座らせた。
「あの、真理さん。いろいろありがとうございます」
「ああ、いいよいいよ。さすがに脱がせたりお風呂に入れたりは、私じゃないとまずいしね」
 怪我人である桜もキツイだろうし、と明るく努めた。
「今までは……放送で呼ばれた咲世子さんがやってくれたのですが……」
「そっか」
 真理は白い背中にそっと手を当てた。
「我慢しなくていいよ」
「ッ!? いえ……真理さんだって、お友達を亡くしたそうじゃないですか。
私も……我慢……しない……と……」
 少しだけ口元が優しく緩む。
 腰まで届く亜麻色の髪の手入れは行き届き、肌は透けるように白い。
 佇まいから育ちの良さが感じられ、こんな荒事に向いていると思えない。
 歳相応の背は狭く、儚いものに見えたが、彼女は今二人の大切な人の死を背負っている。
 そう思った瞬間、啓太郎の温かい笑顔が浮かぶ。いつの間にか、真理は彼女を背中から抱きしめていた。
「あ、あの……」
「放送で死んだ啓太郎は空回りするし、空気は読めないし、すぐ騙される奴だったんだ」
 戸惑っているナナリーのつややかな髪を、施設内で見つけた櫛ですく。
「だけど、いい奴なんだ。今あいつがいたらさ、ナナリーちゃんをほうって置かなかった。
まあ、あいつの構い方はちょっとうざったいけど、でもなんか温かいんだ」
 目を細めて、昔を懐かしむ。まだ洗濯屋があり、巧たちと三人で奇妙な共同生活を送っていた頃を。
「今は無理かも知れないし、まだ実感わかないかも知れないけど、お兄さんやお世話になった人のために泣いてあげて。
私たちにはもう、そうすることしかできないから」
 言い終わる前から、真理もナナリーも声を押し殺して泣いていた。
 死んだものは帰ってこない。悲しいことに、この二人は過去にも実感と経験をしていた。
 だから、傷の舐め合いになろうとも、二人で泣き続けた。

228少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:33:22 ID:rA5XuZ82



 風呂から上がり、ナナリーと自分の着替えを終えた真理は、桜に近寄った。
 声をかけてこちらを向くが、思わず息を呑む色香があった。
 頭を怪我しているため、風呂の中でも刺激しないようにタオルを巻いていた。
 おかげで白いうなじが露わになっているのだが、うっすらと汗が白い肌に浮かび、こちらを圧倒する。
 タレがちな目は遠くを見据えているようで、掴みどころがない。
 こちらの手のひらを余るだろう胸は、この施設で見つけたナース服(タケシいわく、ジョーイさんの衣装らしい)から確かに主張していた。
 ちなみに施設で見つけた服は、真理とナナリーはあっさり解決したものの、桜だけそうは行かなかった。
 主に胸の部分で合うサイズがなかったのだ。ゆえに今の格好である。
 同性なのにこのスペックの差は何だろうか。少し悲しくなるが、ナナリーのことを桜に頼んだ。
 やるべきことがあるのだ。
 彼女は快く引き受けたため、タケシの元へと向かう。
 自分たちが風呂にはいる前に、朝食の用意をすると宣言したきりだ。
 廊下を二回ほど曲がり、食堂らしき部屋の奥へ入ると、厨房でタケシが作り置きしていたスープを温めていた。
 そのついでに見つけた食材を調理したのだろう。焼きたての目玉焼きとハムが食卓に用意されている。
 感心していると、勘づいたのかグレッグルが真理の裾を引っ張った。
 グル〜、と低く鳴いて、あまり可愛くない顔をこちらに向けている。
 言葉は話せないが、何を頼みたいかは検討がついた。無言で頷き、タケシに声をかける。
「こっちのお風呂は終わったよ」
「……あっ! マリさん、こちらの準備も終わりました。自分は少し見まわってから入りますので、三人で先に食べていてください」
 努めて冷静に返答しているが、やはり平常ではないのだろう。
 少し間があった。ふぅ、とため息を内心ついて、どうするか迷った。
 やはり、ここでも啓太郎のことを思い出す。
 あいつはよく泣いた。だが、子どもの前だけはいつも笑顔でいるように、自分で律していた。
 自分の弱さを嘆いていたが、自分より弱い相手に配慮を欠かさない。あいつと、たぶん目の前のタケシはそういう善人なのだ。
 だから、基本は啓太郎に接するのと変らない。
 黙ってタケシの頬を撫でた。
「なっ! マ、マリさんっ!?」
「……やっぱり泣いていたんだ」
「……ッ!? いえ、じ、自分は…………」
「バーカ。無理しないの、年下のくせに」
 笑って優しく小突いた。タケシはしばしの間、呆然としていたものの、だんだん体を震わせていった。
「す、すみません……。自分が……しっかりしないといけないのに……ッ!」
「ううん。むしろいろいろさせちゃってごめんね。本当は私がしなくちゃいけなかったのに。
タケシが辛くないはずないってわかっていた。甘えちゃったね」
「いえ……自分が勝手にや、やったことです、から」
 震えは体だけではなく、声にまで及んだ。
 タケシは立っていられないのか、崩れ落ちる。
「本当はわかっているんです。あんなことをした奴が、アカギさんが、プラズマ団のボスが嘘をつく理由なんてないことを。
だけど、死体を見るまでは信じたくなかった。あの二人ともう会えないなんて思いたくなかった」
 タケシは顔を、火を止めた鍋へと向けた。
「だって、サトシはカントーからずっと一緒にいて、これからも旅を続けるんだと思っていました。
ポケモンマスターになりたいって、ピカチュウと一緒にいろんな強敵を倒して、どんなポケモンとも友だちになれる。
自分はそんなあいつが大好きで、アイツとバトルしてブリーダーの道を目指したのは間違いじゃないって、ちゃんと安心できていたんです。
自分の夢とあいつの夢、どっちが先に叶うかと一緒に語り合ったこともありました。
サトシは本当に強くて、いくつもの大会も上位まで勝ち抜いて、いつかは夢がかなうと思っていました」
 ギリッ、とタケシの奥歯が鳴る。

229少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:34:08 ID:rA5XuZ82
「ヒカリはポケモントレーナーになったばかりで、母と同じトップコーディネーターになるんだ、っていつも言っていたんです。
ポッチャマと一緒に演技を磨いて、ポケモンコンテストに頑張る姿に、自分もサトシも勇気づけられました。
パチリスや他のポケモンとだって、あんなに努力していたのに。リボンだって集まって、グランドフェスティバルに出れるかも知れなかったのに。
自分は……俺は、サトシやヒカリのママさんになんと詫びればいいんだ! ここでオーキド博士と会って、なんと言えばいいんだ!
カスミに、ハルカに、マサトに……うっ、ううぅぅ……」
 真理は顔を伏せたタケシの頭を、いつまでも撫で続けた。
 強がっても、男の子していても、やっぱり年下で、少しだけ責任感の強い子どもなのだ。
 彼女自身が元いた世界のように、人や夢が簡単に失われていく。
 そんな現実に腹が立ってしょうがない。
 だから巧に、ファイズにすべての闇を切り裂き、光をもたらせて欲しかった。


「すみません、みっともないところを見せてしまって……」
「タケシ」
 なんでしょう、と返事するタケシをおもいっきりひっぱたいた。
 タケシはこちらを見て細い目を瞬いている。
「友だちのために泣くことは、みっともなくないよ。違う?」
「マリ……さん……」
 頬についたもみじを見て、力を入れすぎたかと反省はする。
「でも強く殴りすぎたかな。そこはあやま……」

「いえ、ありがとうございます!!」

 タケシの大声に、真理は少しだけ腰が砕けた。
「ええ、自分はここで立ち止まれません。サトシも、ヒカリも、あの二人のことを覚えて、ちゃんと伝えられるのは自分とオーキド博士だけです。
絶対生き残って、こんな理不尽な真似を許しません。ですので、そのための気合を入れてくれて、ありがとうございました」
 今度はゆっくりと、落ち着いた様子で答えた。
 きっと完全には立ち直ることは、まだ無理だろう。
 嫌な話だが、真理は『慣れて』しまった。タケシは『まだ』慣れていない。
 だけど、一歩だけは進めた。だから大丈夫だ。
「じゃあ、私はナナリーちゃんたちを呼んでくるね」
「その前にマリさん……」
 なに、と答えを返すと、なぜか全身が輝いたタケシがそこにいた。
「マリさん。自分はあなたの励ましによってどうにか立ち直れました。この御恩、一生かけてお返しします!
ですので、遠慮なく自分をこき使ってください。そう、明日という希望へと脱出するた……へぶっ! し・び・れ・び・れ……」
 いつものパターンでグレッグルがどくづきを放っていた。
 真理は若干呆れつつ、いくらか調子が戻ったことに安心する。
 本当に一歩進んだ証明がこれなら、悪い気はしない。
 少しだけ口元が緩んだまま、ナナリーたちを迎えに行った。



【B-5/ポケモンセンター/一日目 朝】

【園田真理@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:疲労(少)、身体の数カ所に掠り傷
[装備]:Jの光線銃(4/5)@ポケットモンスター(アニメ)
[道具]:基本支給品一式、支給品0〜2(確認済み)、ファイズアクセル@仮面ライダー555、スマートバックル(失敗作)@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:巧とファイズギアを探す
1:とりあえず情報交換から。
2:タケシたちと同行。
3:怪物(バーサーカー)とはできれば二度と遭遇したくない
4:巧以外のオルフェノクと出会った時は……どうしよう?
5:名簿に載っていた『草加雅人』が気になる
6:イリヤと出会えたら美遊のことを伝える
7:並行世界?
[備考]
※参戦時期は巧がファイズブラスターフォームに変身する直前
※タケシと美遊、サファイアに『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、『木場勇治』の名前を教えましたが、誰がオルフェノクかまでは教えていません
 しかし機を見て話すつもりです   
※美遊とサファイアから並行世界の情報を手に入れましたが、よくわかっていません

230少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:34:51 ID:rA5XuZ82

【タケシ@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:疲労(少)、背中や脇腹に軽い打撲、身体の数カ所に掠り傷
[装備]:グレッグルのモンスターボール@ポケットモンスター(アニメ)
[道具]:カイザギア@仮面ライダー555、プロテクター@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:ピンプク、ウソッキーを探す
1:しっかりマリたち三人を守る。
2:ピンプクとウソッキーは何処にいるんだ?
3:イリヤと出会えたら美遊のことを伝える
4:『オルフェノク』って奴には気をつけよう
5:万が一の時は、俺がカイザに変身するしかない?
6:サトシ、ヒカリの死を元の世界に伝える。
7:並行世界?
[備考]
※参戦時期はDP編のいずれか。ピンプクがラッキーに進化する前
※真理から『パラダイス・ロスト』の世界とカイザギア、オルフェノクについての簡単な説明を受けました
※真理から『乾巧』、『長田結花』、『海堂直也』、『菊池啓太郎』、『木場勇治』の名前を教えてもらいましたが、誰がオルフェノクかまでは教えてもらっていません
※美遊とサファイアから並行世界の情報を手に入れましたが、よくわかっていません

※このあと桜をナンパするか、それともムサシやポケモンハンターJのようにスルーするかどうかは後続にお任せします。

「お兄さんがお亡くなりになったのですか?」
 ナナリーは二人っきりになった桜にそう尋ねられ、頷き返した。
 目は見えないものの、匂いや気配からは不審なものはない。
 血の匂いがするが、本人も怪我しているということだ。
 おかしいところなど、あるはずがなかった。
「私も、姉が死んでいました」
「えっ……それは……」
「だけど、それは放送前にわかってしまいましたよ。だって姉さんの死体を発見しちゃいましたし」
 なのに、どこかおかしいと感じていた。
 ネモが終始睨みつけているのも、警戒する原因だった。
「それは……悲しかったのですか?」
「悲しい。本当は悲しくないって言いたいんですが、どうでしょう?
姉の死体を見たときは泣きましたよ。だけど、安心の涙だって思っていました」
「安心? お姉さんが死んで安心って、どうして……」
「先輩を盗られることがないからです。もう私はなにも失わなくていい。ずっと縛っていた姉さんから解放されたんです。
なのに、わからなくなってしまいました。あなた達がお風呂で泣いているのを見ちゃってからずっと」
 ニッコリと、虚ろな笑顔を桜はナナリーに向けていた。
 見えるはずないのに、ナナリーは危険を感じた。
「ああ、安心してください。ナナリーちゃん。私はあなた達を殺したくないし、今は休みたいんです。
だから、悪い子にはならないでくださいね」
 くすくす、と無邪気に笑っていた。
 ネモは敵だと認識したのか、ナイトメアフレームを召喚しようとする。
 ナナリーは必死に、彼女を止めた。
 やがて桜は離れ、廊下に向かう。
「園田さんを呼んできますね。どうやら、私の手は借りたくないようですし」
 桜の目線はナナリーではなく、別の場所に向けられていた。
 そこでは、ネモが桜を睨めつけている。彼女が見えているのだろうか。
 だが、桜は何も言わず部屋を出て、ナナリーを一人にした。
『……タケシたちを助けたいなら、一刻も早くあいつとわかれるようにするべきだな』
 ネモが忠告するが、頭が回らない。
 いったいどうなってしまうのか。ナナリーに不安が残った。



 桜は廊下を歩きながら、ずっと頭になにかが引っかかっていた。
 デルタの力は素晴らしい。
 虐げられ続けていた桜が、逆の立場になり暴力を振るえる道具だ。
 真理の説明ではオルフェノクしか使えないとのことだが、実際は違うだろう。
 彼女はデルタと似たベルトしか知らない。このベルトについて知っているのは、今は自分だけだ。
 オルフェノクの新しい情報を聞いたのは運が良かった。そういえば、似たことを蛇のオルフェノクが言っていた気がする。
 危ないところだった。下手をすれば蛇のオルフェノクに奪われていただろう。
 これでこの力を持ち続けられる。
 そこまで考えて、ふと思う。なぜ自分は力を求めているのか。
「ああ、先輩」
 あの人を守るためか。はたして、それだけだったのだろうか。
 思い出しそうで、思い出せない。
 何かのピースがずっと、頭の片隅で引っかかっていた。

231少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:35:10 ID:rA5XuZ82

【B-5/ポケモンセンター/一日目 朝】

【ナナリー・ランペルージ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:呪術式探知機(バッテリー残量5割以上)、ネモ(憑依中)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:桜を警戒する。
2:とにかく情報を集める
3:人が多く集まりそうな場所へ行きたい
4:ルルーシュやスザク、アリスたちと合流したい
5:ロロ・ランペルージ(名前は知らない)ともう一度会い、できたら話をしてみたい
6:自分の情報をどこまで明かすか…?
[備考]
※参戦時期は、三巻のCODE13とCODE14の間(マオ戦後、ナリタ攻防戦前)
※ネモの姿と声はナナリーにしか認識できていませんが、参加者の中にはマオの様に例外的に認識できる者がいる可能性があります


【ネモ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康、ナナリーに憑依中
[思考・状況]
基本:ナナリーの意思に従い、この殺し合いを止める
1:桜を警戒する。
2:とにかく情報を集める
3:参加者名簿の内容に半信半疑。『ロロ・ランペルージ』という名前が気になる
4:ロロ・ランペルージ(名前は知らない)を警戒
5:マオを警戒
6:ポケモンとは何だ?
[備考]
※ロロ・ランペルージの顔は覚えましたが、名前は知りません
※参加者名簿で参加者の名前をを確認しましたが、ナナリーにはルルーシュら一部の者の名前しか教えていません

232少女地獄 序章 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:35:30 ID:rA5XuZ82


【間桐桜@Fate/stay night】
[状態]:黒化(小)、『デモンズスレート』の影響による凶暴化状態、溜めこんだ悪意の噴出、無自覚の喪失感と歓喜、強い饑餓(いずれも小康状態)
    ダメージ(頭部に集中、手当済み)、ジョーイさんの制服
[装備]:デルタギア@仮面ライダー555、コルト ポリスポジティブ(6/6)@DEATH NOTE(漫画)
[道具]:基本支給品×2、最高級シャンパン@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:先輩(衛宮士郎)の代わりに“悪い人”を皆殺し
0:先輩に会いたい
1:あの人(ルヴィア)を惨たらしく殺す
2:先輩(衛宮士郎)の所へ行く
3:先輩(衛宮士郎)を傷つけたり悲しませたりする人は、みんな殺す
4:あの人(ルヴィア)は―――絶対に許さない
5:ナナリーたちは今のところ殺す必要はない。
[備考]
※『デモンズスレート』の影響で、精神の平衡を失っています
※学園に居た人間と出来事は既に頭の隅に追いやられています。平静な時に顔を見れば思い出すかも?
※ルヴィアの名前を把握してません
※「黒い影」は桜の無意識(気絶状態)でのみ発現します。桜から離れた位置には移動できず、現界の時間も僅かです

※桜がネモを認識できたかどうかは後続にお任せします。

233 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/09(金) 20:35:49 ID:rA5XuZ82
投下終了。
何かありましたら指摘をお願いします。

234名無しさん:2011/12/09(金) 20:55:36 ID:10nni.g.
ナース服…だと……イイッ!
しかしあれだ、スタイルの差がひどい。嘘みたいだろ…こいつら同年齢なんだぜ…?
タケシ…両手に華の状態なのにまったく羨ましくない……生きろ!
このチーム先が怖すぎる……投下乙でした。

235名無しさん:2011/12/09(金) 21:29:43 ID:EYx4k93E
投下乙です。そうか、ヤンデルタは無差別じゃなくて奉仕タイプだから相手の出方によっては丸く・・・収まってなくないか?

236名無しさん:2011/12/09(金) 22:45:11 ID:jT3.cCUo
>>221
投下乙ですー。
あー、そういえばそっちのキリツグはかなり幸せそうな家庭でしたねーw
そりゃまあ複雑な気持ちにもなるかー。

>>233
投下乙ですー。
うーむ、桜はどこにどんな地雷が埋まっているか不明なだけで話そのものは出来るのだのぅ。
割と安定傾向かと思った集団がどう転ぶやら。

237名無しさん:2011/12/10(土) 00:41:31 ID:PcCcwRso
投下乙です
これは予想外、まさか普通に合流するとはw
だが桜がどう動くか…。タケシ生きろ!
一つ指摘が
アカギが組織していたのはプラズマ団ではなくギンガ団です

238 ◆qbc1IKAIXA:2011/12/10(土) 01:10:19 ID:DA0gjBdo
おっと、普通にうっかりしていました。
wiki収録時に直します

239名無しさん:2011/12/10(土) 15:32:55 ID:JqzMNjgE
乙でやんす

>「でも強く殴りすぎたかな。そこはあやま……」

>「いえ、ありがとうございます!!」
この台詞の後に「我々の業界ではご褒美ですから!」と続くと思った俺を誰か罵ってくれ

240名無しさん:2011/12/11(日) 13:54:06 ID:CSEbY7ic
投下乙です

俺も普通に合流するとは思わなかったよ
これ、爆発を先延ばししてるだけ、しかもタケシ組も危険人物に見られる可能性ありとかw

241 ◆Vj6e1anjAc:2011/12/24(土) 20:27:17 ID:ifjirkO6
美国織莉子、サカキ、セイバー分を投下します

242私の光が全てを照らすわ ◆Vj6e1anjAc:2011/12/24(土) 20:27:53 ID:ifjirkO6
「千歳ゆまが死んだ……か」
 ぽつり――と一言呟いて、名簿の名前を塗り潰す。
 ただそれだけのことでありながら、少女・美国織莉子の所作からは、隠しようのない気品が見て取れた。
「知り合いか?」
「いえ。ですが私にとって、意味のある存在ではありました」
 同行者サカキの問いに対し、答える。
 自らがかのキュゥべえに存在を示唆し、契約へと導いた千歳ゆま。
 元々は鹿目まどか捜索の時間を稼ぐため、撒き餌に利用した娘だ。
 少し前まではいざ知らず、既に契約を終えた彼女には、とりたてて用も役目もなかった。
 もっとも、自分の目的のために彼女を巻き込んだこと、そんな彼女を救えなかったという事実には、少し良心が痛んだが。
(残る魔法少女のうち、警戒すべき人間は2人……巴マミと、暁美ほむら)
 とはいえ、そこで思考を止めるわけにはいかない。
 再び名簿へ視点を落とし、記された名前を見定める。
 この中で問題とすべき相手は、心中で名前を挙げた2名だ。
 魔法少女狩りの犯人・呉キリカと、自分が協力関係にあることを知っている魔法少女、巴マミ。
 倒すべき最悪の魔法少女・まどかを保護している魔法少女、暁美ほむら。
 この2名と対峙することになれば、戦闘は免れないだろう。積極的に殺したいとは思えないが、障害となるのなら、消すしかない。
「ふむ……では、これからどうする? どうやら君の友人とやらは、まだここには来ていないようだが」
 ここ、とサカキが言ったのは、現在地である見滝原中学校だ。
 一通り探りを入れてはみたが、ここにはまだ人の気配がない。織莉子の未来視の力にも、キリカとの再会のビジョンは映らなかった。
「そうですね……それでは、これから私の家に行くとして、それからもう一度ここに戻ってくるというのはどうでしょう?」
「まぁいいだろう。君の力のおかげで、捜索にも時間はかからないわけだからな」
 織莉子の提案を、サカキが承諾する。
 人捜しといっても、実際にやるべきことは、ただ廊下を歩くだけのことだ。
 通りがかった部屋の中に、誰かがいたとするならば、それは織莉子の能力が察知する。
 これだけの余裕を持ったスケジュールも、その能力の賜物だ。
 もっとも実際にやるまでは、もう少し時間がかかるのでは、と思っていたのだが。
「ありがとうございます」
「では行くとするか。君の家の方には、何かあるかもしれんからな」
 言いながら、サカキは教室を後にした。
 織莉子も名簿をデイパックへしまい、彼に続いて廊下へと出る。
 ポケモン城という手掛かりを得たのは、収穫と言えば収穫だった。
 しかしながら、ここに至るまで、彼女はまだ誰とも会えていない。それ故に彼女の力は及ばず、多くの犠牲が出てしまった。
(人の命に、取り返しなんてものはつかないけれど……)
 出来ることなら、より多くの人を救いたい。
 犠牲を対価に得るものは、多いものであった方がいい。
 それを叶えるためにもと、改めて胸中の決意を固めた。



 校舎を出て、正門前。
 オートバジンを停めておいたこの場所に、織莉子とサカキの2人が現れる。
 既に陽の昇った今となっては、懐中電灯の類は不要だ。太陽の光は十分に地上へと行き渡り、手にした地図を明るく照らす。
「こちらは南側ですから、こう、ですね」
「少し回り込むことになるか」
 指先で地図をなぞりながら、我が家への道筋を織莉子が示した。
 このまま北上していけば、川に行き当たることになるはずだ。
 そうしたら後は目印として、橋を探していけばいい。その先は平原になっているから、家の位置も分かりやすいだろう。
「では、行くとしよう」
 言いながら、サカキが銀色の車体へと跨る。
 ここまで来たのと同じように、タンデムで走らせれば、すぐの場所だ。
 もし向こうに尋ね人がいなかったとしても、こちらに戻ってくる頃には、姿を現しているかもしれない。
 ひとまず善は急げということで、サカキはバイクのエンジンをかけたのだが、


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