やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです【10輌目】 - 1506511204

100： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:32:46 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「京都市民の動揺は激しかった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一千年の王都の地として、帝が身近な場所におわすということが

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　京都市民にとっては当然のことだった」

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「遷都とこそいわれないものの、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再び京都から東京へ東幸した帝の姿が、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　京の地から帝を失うのであるということを強烈に感じさせた」

.
101： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:32:59 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「また帝や皇室は、
　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､　　　　　　　　　　　　　　　京にとっての精神的支柱であったのみならず、
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　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `　　　　　　　　　　　　　　同時に物質的なささえでもあった」
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102： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:33:20 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「京には多くの『特権産業』が存在したためだ」

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　　　　　　　　「天皇家をはじめ、公家、諸藩、寺社などに用達の衣類調度はいうまでもなく、

　　　　　　　　　　及んでは検校の盲人用杖にいたるまで、全て京都でなければ調達できないということになっていた」

.
103： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:33:37 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「国家により定められていたそうした産業の特権は、

　　　　　　　　玉体が京都から東京に移ることで、消滅してしまう。

　　　　　　　　　　　　そういう意味で帝を失うことは精神物質両面において京の人々にとって致命傷になる」

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　　　　　　　　　　　　　　「事実、明治天皇が東京に玉体を移してから、京都の人口は激減した。

　　　　　　　　　　　　　　　　かつては三十五万人と言われた人口が、二十五万人にまで推移することになった」

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　　　　　,　　　｜　　　 |　 |　　八　　　　|　　　 |　　 i|　　　　　 ,　　 }
　　　　 ,　　 i|　　　　 |　 |　　　　, 　　 i|　　　 |　　 i|　　　　　,　　　,
　　　　　　　 {　　　　 |　丁￣￣　，　　 ! ￣￣丁¨^　,　　　　　′
　　　　　，　　 ,　　　　{　,x笊云ミ　，　 |　 ,ィfぅ笊ﾐ　}　　　　 /　　 ,
　　　　　　,　　　 ,　　　〈　)//沁　　,　　l　　 )//沁〉　　　 /　　　ﾊ
　　　　　　　　　，　　 ∧乂^)少　　 ',　 |　　乂^)少　 /　　 /　　　 ,　,　　　　　　　　　「確かに致命傷であります」
　　　　　'，　　'，　　 ∧　　　　　　ヽ |　　　　　/ ／　　 ,　　　　, 　，
.　　　　　 '，　　 ,　　　八　　　　　　,　｀　　　　ノイ　　　 //　　 /
　　　　　　　　{ヽ　八　　　 {　　　　　 _　　　　　／　　　/{ﾊ　　 /　　 ∧
　　　　　　　　|　‘， {‘，　八　　　　　　　　ィ　/　　／ |{/77 /　　 / ∧
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　　　　　　　 ,　　　}/| 　ヽ　 ∧　　)ニ≧≦ニニ|　／|　　　|ﾏィ/,∧ 　　 /　 ,
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　　　　　　　　　　 | 　 |　　＼‐廴　/{{ }},∨　 /ニﾆ|　　　|　∨,/　　　　　 ∧
　　　　 /　 ‐=ﾆ二| 　 |二二二二ニ乂ﾉ二二ニﾆﾆ|　　　|二二二ﾆ=‐　　 / ∧
　　　　 ,/ニニニニ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二二ニニﾆﾆﾊ　 / ∧
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104： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:33:57 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　「京都市内には空き家が目立つようになり、産業も振るわない」

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（rﾊｆ/人ﾐ）S ;:::　　い::　　　::::　 :.,　　 : :ｿ　　,.;;illlllllllll::il//ﾊllヾilll,,ゞi::, ::::::::　ノ／ヽﾘl リ::"=・=:::　i　ｊﾊﾚ'l //i ｿl
'"''"''　 ;'ﾉノ;, ）　　　し:::　　　"'--'' 　　　;ｆ'　 ,;iilllllll:ﾙ／llll;/ヽiiiiﾊllllllliiilll;:, :::'ﾆ二／／ﾊゝ;::　　 :::::　.、 ' jﾊﾚ/ヽﾍ;
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　　　　　　　　　　「西陣の機織職人などが先頭になり、

　　　　　　　　　　　　　むしろ旗をたて天皇が京都の地に戻ってくるようにとの大行進を日々行った」

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105： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:34:16 ID:Yp41p5.k: 　　　「その規模や勢いは日を追って増大し、もはやデモ、暴動の一歩寸前というところまで来た。

　　　　　御所の留守を預かる長官は兵部省に依頼しこれを鎮圧するという有様だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
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　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　　　　「時代の流れといってしまえばそれまでですけど……」
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
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.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
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.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/　　　　　　　　　　　　　「やっぱりどこかに影響はでるんですよねえ」
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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106： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:34:30 ID:Yp41p5.k: 　　　　「その群集の行進の勢いを鎮めたのは、大嘗祭を京都の地で行うという、新政府から京都府知事への書状だった」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
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　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
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　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
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　　　　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
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　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　｀　　　　　　｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{　　　　　　　　　　「大嘗祭はたしかEP48に出てきたわね」
　　　　　　　　ﾊ　 'iヽ　　　　　　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　　　　　　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|
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　　　　　　　　 /／／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
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　　　　　　　／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
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　　　　　　　　　　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　　　　　　ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ノ. . . . . . . . . >. . .

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107： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:34:52 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「明治三年の三月になれば、帝が京都に戻り、大嘗祭が行われる

　　　　　　　　――それは京都市民にとってのほとんど最後の、といってもいい希望になった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
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く　　／｢￣￣｀ヽ　{￣　　　　　⌒i 　 rｰ､　　　ﾊｲ: : 乂
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　　 i　j　 i:　　　　/｀丶V⌒7／|　/|　 Ξ　／´￣　　　　 ⌒ヽ
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　　.!　i:　　.;　　 ,:　　　　 Vﾑ〈　}ｎ´￣〉ｘ≦三三ﾆ　 =ﾆニニ
　　￤ :!:　 :′　.:{:　　　　　 }/}くノЦ､__}__{三三ニﾆ__ =ニニニ
　　_|　:|:.　:i　　 .:{:　　 .斗-┴へ＼⌒＼ー--　､　 =ﾆ≧ｘニニ
／ニ　 ::　|　　: : : :／／ﾆニニﾆ}:ﾆ＼二＼二二＼　=ﾆニ＼ﾆ
ニニi　 i:.　: .　 : : /　.ﾆﾆ／ /二ﾉﾊ二＼二＼＼二＼ =ニニヽ
＼ニ:,　 :.　　: :.／ ,/ﾆ／／/ニ　/ニニニ＼ニ＼＼二＼=ニニ
ニニﾆ､　 i:　 / /ﾆ|／／　/- ／ニニ、ニニヽニiニニｉ∧=ﾆﾆ
､ニニﾆヽ i::. :{ :{ニニニｉ ,/／ﾆニニニ＼＼二}ニ|ニ|ニ|/,ﾊニ
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ニニニﾆﾊ　　 } ニニニニニニ//三三三三/二, ニ!- ﾆニ| |ニ
ニ}ﾆﾆ／　 '┬┘ニニニニニ／/三三三三/二/ﾆニ/ニ/-| |ニ
ニ},／　　　 }　=ニニニニニ／二二ニﾆﾆ/二/ﾆニ/ニ/ニ| |ニ
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　　　　　　　　　丁三三三二二二二Vﾊ≧=チ≧==-=ﾆ/　 ,!ﾆ
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「最後の？」

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108： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:35:10 ID:Yp41p5.k: 　　　　「大嘗祭が京都で行われるということは、

　　　　　　　　　帝の定め給うた都は未だ京都であるという意味を持っていたからな」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

『来年になれば天子様がお戻りになり、大嘗祭を催される、そのときこそ京都は都としてのかつての賑わいを取り戻すのだ』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧
　　　　　　　　　,,､､､,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ≦:≧
＿＿＿_____､‐''゛: : : :｀`丶､､､--ー………ー-'`⌒丶､､､､､、、、..＿,,､-ｰｰ'''''"""＾^~^＾''ー‐''"´￣￣丶,≦i:i:≧ ''"```｀"｀''‐‐--‐''"
ﾛﾛﾛﾛ |ＺＺＺＺXTニTーTニＴニＬ_ＴﾆＴﾆＴ癶へ∠二癶二癶／／＼: : : : : : : : : _:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:≦i:i:i:≧: : : : : : : : : : : : : : : :
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ﾆﾆﾆﾆ7´/////////≧s｡.,|｀′._／::::::::::::￣¨癶:::::::::: 癶ｰ-|三三∧¨¨¨¨¨¨¨∨=ｒｆ'" ,､─-=.._/　',＿／＼T冖￢=イ∠_ 　　＼:::::::::::::
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三三三三三i7∧_ﾆ-.:｀i:i:i:i:i:i:i:i＼~^'ー-xへ、［］　 |─‐‐‐| ｲﾛ V//////∧　|　|:| |￣”¨T「口　ｲ　＼＿＿_／::::::::::::::::::::::::::／:::::／
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うぅィ刈}h｡///////// ＼'' ミﾞ///////////////,≧s｡ |　|　|　 i|ililililil㌢:::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ィ㌻i:i:i:i:寸}h｡///////// ＼〕トﾐ/////////////////≧s｡.　 i|ililililｉ|}トﾐ:::::::::/:::xX爻Xx:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「京都市民はそう信じていた」

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109： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:35:48 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　「また、新政府の為政者たちも頭を悩ませていた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_
　　　　　　　　　　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀－.,.、
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　｀'.ヽ、
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼　　　　　　　　『京都人の屈折した頑迷さは異常』
　　　　　　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　　　　　　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　　　　　 ,―-　!:lﾞ
　　　　　　　　ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,′
　　　　　　ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､
.　　　　　　　 ,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌﾞl.
.　　　　　　　 lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ　
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |　　　　　　　　　　【伊藤　博文】
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、
.　　　 ,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ｀　　　　　 `-、
."　　　　　　　 ,lﾞ　　.lﾞ ',!､,_lﾞ;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;:|　　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　ヽ.

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「彼らは、近代国家になるべく新時代を迎えた日本の都は『京都ではなく東京であらねばならない』ということを、

　　　　　　　　　　　　先日までの都人たちに理解させ、納得させるすべを、持ち合わせていなかった」

.
110： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:36:11 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「京の人々以外の者が理解していることがわからない……それはもはや感情の問題で、だとすれば説得はまず不可能だ。

　　　　　　　新政府と市民に挟まれた京都府にしてみれば、大嘗祭は必ず行ってもらわなければならなかった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　'"´　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛.『お願いしますよほんと』.....｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ` ､　　　　　　　　　　　　／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,-―――-､,,_　　　　　　　　￣.　　　 |::::::::::|::::::::::::::::::　　　　 .........::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　 ,,,-ｯ=''"｀　　　　　　　　｀－.,.、　　　　　　　　　 |::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　 ,／ﾞ,／　　　　　　　　　　　　　　｀'.ヽ、　　　　　　　「二二工二二二二二二二ニニニニｺ
　　　　　　　　　 ,i´;;;;;;:ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　｀､＼　　　　　　/:::::l__ノ　　ゝ､_　ヽ:::::::::::::l|::::::l:::::::::::::l
　　　　　　 /: ;;;;;;;;;;:,!　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ....　　　/:::::::l　　　　　　｀ﾞ　!:::::: :::ｌ|::::::l:::::::::::::l
　　　　　　 |: ;;;;;;;::;;│　　　　　　　　　　　　　 ,―-　!:lﾞ...　　　l:::::::::l　0　　　 0　　ｌ:::::::::::l|::::∧:::::::::∧
　　　　　　　　ﾞl.: : ;;;;:丿 ,,､---､、　　　　 'i､,　　　 ,,/　ﾞ、 .|.,′...　　|::::::::l　　　　　　　ヽ)　|:::::::::::|l::::|｀ヽ:::::::::∧
　　　　　　ｒ'"''-、/　　　.lﾞ　｀ '-､,,_　　,!（ .,,,／　　 .|　ﾘ`i､.　　　|::::::::|　　　　　　　　　 l:::::::::::|.!:::|o丿:::::::::::∧
.　　　　　　　 ,!－､.ヽlﾞ　　　.|　　　　　〈`|"　 l、lﾞ　　　 ,i´ Ｌﾞl　　　 |::::l:::l　　　r─-､　　 l:::::l::::| l:::「::::::',::::::::::::∧
.　　　　　　　 lﾞ　 ,i´‐!　　　 "　　　　　ﾞ'"　 __｀"｀　　　′｀lﾞ.lﾞ..　　　lｲ:l::::ﾍ.　　l　　　）　　 !::::ｌ:::|, l::ﾄ､::::::＼::::::::::∧　　　　【京都府】
　　　　　　　　ヽ　'．,　　　　　　　､.――ｯ″｀ｯｰ-､、　　　 |.　　　　l l::l::::|:::＼　￣　　　　ｌ::::l:::|斗:!‐＼:::::::＼:::::::::',
　　　　　　　　　｀､､lﾞ　　　　　　,､'";;;;;;;;;;;;;;;｀''''";;;;;;;;;;｀'-、　　|-．...　　|::l::::ﾄ､::::l::＞　＿　斗┼:ｌ:::|　l::|　　＼::::::＼::::::',
　　　　　　　 _,／ﾞ/.|　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　,|. ｀'-､,、..::l::::|　ヽ:斗イ＼／　 |:::l:::|　l::|　　　　＼::::::ヽ::::',
.　　　 ,,,､.‐'"゛　 ,lﾞ .ヽ　　　 ./｀;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ｖ-''ﾞ,｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ 'i､　　 `ﾞ'‐､、ﾞ「ﾆ二二二二二二l::l:::|ﾆ|::l二二二二＼::::l::::',
: _,.-''″　　　　 .lﾞ　 .ﾞ,i､　　.,i´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lﾞ''"＾ﾞl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ｀　　　　　 `-、....　　/ 　　　 |::ｌ::l　|::l　　　　　　／＼::::::',

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　'"´　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛..　　　　『おう、考えといてやるよ』...　　　｝
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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111： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:36:43 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「そして、京都府はそれに合わせて都としての特権であった地子銭の免除の継続、

　　　　　　　　　　五十万石の救窮米の給付を新政府に申請した。

　　　　　　　　　　　精神的支柱の欠乏はいかんともし難いが、ならばせめて物質の穴は埋めようということだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　　　　　　　　!::::::::::::::"､_　 _,:"::::::::::＼
.　　　　　　　i:::::::::::::::::::::::::::::_,.-‐ｰ─ヽ
.　　　　　　　i :::::::::::::_,.-‐'ﾞ_,.-‐‐ﾞ,.＼＼､
　　　　　　　 i:::::::::::::_,.-"ﾞ　､　ｯf丁ゝ＼＼､　　　　　　　　　　『せめてそんくらいはしてくれないと
　　　　　　　　! !! i! i!!i!ﾆﾐヾﾞ ::. 　 ´　＼＼＼
.　　　　　　　 i i!i i!! i! !｀"´　　, ､　　　i! i＼＼＼､　　　　　　　　　　　ガチで暴動起きるってヴァ！！』
　　　　　　　 i! i!!i仆i! ,.､　,.､　 ,..-､　　!i! i!! i!＼＼＼､
　　　　　　　.i! i!ii/‐/ﾞ|___|"_,ｌ,_|_____ﾞ､　/i! i!i i! i!ii　＼　＼ヽ､
.　　　　　　 i!i:,‐'" ヽ彡ﾆﾆ;;;;;ﾆﾆﾂ=" /i!i i!i i i!i i!　　　＼　　＼
　　　　　　 !i!,| ﾞ､i彡　／／-<-､._,.ノ､_i! i!　!i! i i!i　　　　＼　　＼
.　　　　　 /.i" ヽ､"'''ヾ" :::,.---' ____,,,,,,|....=--‐‐‐i i!､　　　＼
　　　　　// |､.　ヾ､　ヽ-"ｌ|~~(ﾌ)__,,,.....----､---=‐-...,,_　　＼
　　　　//ｌ　ﾄ､ヽ.　ヾ､ヽ:::::|ヾ､:::i　　丶　､　ヽ　　　　　ﾞﾞ'''‐､　　　　　　　　『帝いなくなってどれだけ無職増えたと思ってんですか！』
　　／　ｌｼ､､　.|:::::ヽ､ヽヽ.ヽ:::|　ヾ:::!　　　　　　丶ヽ､_　　ヽ.､　|
. ／　　〉ヽ､　ヽ　　ﾞ'''|　ﾞ":::|　　ヾ　　　　　　　　　　 i""　ヾ | ヽ
..| !　　 / ヽ　　　ヽ　　.|:::::;:::::|　　　ヽ　　　　　　　　　　!　　 i,|　ヽ
　|　　/　　ヽ　　. ヽ　.ﾉ:::::;:::::::|.　　　 i.　　　　　　　　　 i　　　ｌ　　ヽ
./　　/　　　ヽ　　　ｙ";::::;:::;;:::/　　　　;;,　　　　　　　　　i　　　 |　　: ヽ
/i　ヾ　　　i　　　　ヽ;;::::::::;;;//　　　　;;;,　　　　　　　　　i　　　; i　 :　ヽ
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ヽ丶　　　　!　　　　　　ヽ::|　 |　　　 ;;;;;;　　　　　　　　　丶　 ;　 ! .:　　　ヽ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【地子銭】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　土地に関わる税です。畑地子銭、屋敷地子銭など様々な分野から徴収されました
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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112： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:37:52 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「その申請についての新政府の返答はない

　　　　　　　　それどころか明治三年の二月、京都市民の希望は新政府の通達によって打ち砕かれる」

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　　　　　　　　　　　　│　..三月に行われる予定であった大嘗祭を延期する.　　 │
　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　└───────────────────────┘

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::::::ハ-ェ__　　　''- ､　 ''- ,,_:::::::::::;'
;ﾊ:!＼ヽ. ヒフﾐ､　　　　　　　 ___.::::.
　ﾊ　＼`'''"''　　　　　　　 ___,,.:::::.::.
/　ヽ　　ヽ　　　　　　　/"ﾕﾌﾐ::::::::.::.:.　　　　　　　　　　　『　オ　ワ　タ　』
　　　ヽ　　＼　　　　　　ﾞﾞ　.::::::::::::.:: :::..
　　　　ヽ　　＼　　　　:　 .::::::::::::::::.::: :: :: ....
　　　　　＼　　　＼　　:　.:::::::::::::::::::.::.:: :: :. '' ::: :: .. .
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:.　　　､_　　　　　　.::::::::::::::::::::::::::::::::.:::.::: :: ::: :..
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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113： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:38:23 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「その通達と引き換えのように、地子銭の免除は当面受け入れられた。

　　　　　　　　だが、救窮米については、東北地方の凶作などの原因で支給の見通しが立たないとされた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　 l :::::::::::::::::::::|
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　　　　　　　　　　　　｛／￣ﾞ＼＼|
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　　　　　　　　　　 / ......................ﾚ;|
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　　　　　　　　　 /......................../ ﾉ..|
　　　　　　 _/......................../‐-ミ|
　　　　　　／/..........................|　　　｀>､　　　　　　　　　　　（さすがに凶作なんか知るか、米よこせとはいえない）
　　　　　 /|ﾚ' ............................|　　／／、
　　　　　j / ................................|　　{ /　　 `
　　　　 / | ..................................| 　ﾚ|
　　　　,ﾞ　| ..................................|　 /｜＼　 |
　　　　|　 i, ...............................ﾉ　 |　|　　＼ﾄ､__
　　　　|　 |ヽ.......................／　　 |　|　　　　　ｿ＼__　　　　　　　　　　　　（いいたいけど言えない）
　　　　ﾚ'⌒＼......／⌒ヽ　　　 /　l　　　／　　｝ト､
　　　　＼｣__ノ[[入＿_,ノ　　 /　｀　　／　　　 // /＼
　　　　 ∧ V......|_,,.　.,,,＿　　{ ヽ　　　　　　　　　〈/／＼＼
　　　　 |　ﾌ|.......|丁￣￣￣ ∧　＼　　ｧ‐--‐ ´　　　＼_〕
　　　　 |　| |.......| |　　　　 { ∧　　＼／￣￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣|
　　　／|　| |...刈　　　　　　 { ∧　　　　＼　　　　　　　　　 |　　　 |
　　二ﾆ＝―=ﾆ二´￣￣＼　 { ∧　　　　　|＿＿＿＿＿＿＿|＿＿＿|
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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114： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:38:46 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「しかしそれでも、閣議の結果、

　　　　　　　　　　　　　特例として京都に十万円の特別金が下賜されることになったとの報も同時に告げられる」

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.　　　　　　　　 /::::::::/::`''t'|| |::::::::|　　ー‐'　,ｲ'l:::::|　　　　　　　　　　『一円一両と考えれば十万両です』
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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115： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:39:07 ID:Yp41p5.k: 　　　　「結果的に言えばこの十万円の特別金――京都府民が言うところの『お土産金』――の下賜は行われたが、

　　　　　懐具合が厳しいことに定評がある明治政府のことであるので、様々なゴタゴタの末、ようやく支払われた形になった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　『金の成る木があるじゃなし』
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　　　 ,．ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　リ i//_,､_,.．ｲ i二ﾆi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-ｬ‐ ､ {ツ　ノ　レ/ }
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【お土産金】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　将軍や大名が京都への滞在を引き揚げるときには、多額のお金を京都に対して贈る習わしがありました。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　京都のみなさんはこれを『お土産金』と呼んでいたということです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
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. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
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116： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:39:41 ID:Yp41p5.k: 　　「京都府の為政者は、この政府の対応が市民に受け入れられるか危惧したが、反動は少なかった。

　　　　　　　　大嘗祭が行われないのはただの『延期』であるということだからだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　『よかった……』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }:::..　 !　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::　　　　 ::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::|::::::::::::::::::　　　　 .........::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　「二二工二二二二二二二ニニニニｺ　　　　　　　『納得はしてくれてないけど
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::l__ノ　　ゝ､_　ヽ:::::::::::::l|::::::l:::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::l　　　　　　｀ﾞ　!:::::: :::ｌ|::::::l:::::::::::::l　　　　　　　　　　暴動にならなくて本当によかった』
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::::::l　0　　　 0　　ｌ:::::::::::l|::::∧:::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::l　　　　　　　ヽ)　|:::::::::::|l::::|｀ヽ:::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::|　　　　　　　　　 l:::::::::::|.!:::|o丿:::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::l:::l　　　r─-､　　 l:::::l::::| l:::「::::::',::::::::::::∧　　　　　　　　　『ぶっちゃけ実質中止ですよね』
　　　　　　　　　　　　　　　　 lｲ:l::::ﾍ.　　l　　　）　　 !::::ｌ:::|, l::ﾄ､::::::＼::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l l::l::::|:::＼　￣　　　　ｌ::::l:::|斗:!‐＼:::::::＼:::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::l::::ﾄ､::::l::＞　＿　斗┼:ｌ:::|　l::|　　＼::::::＼::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::l::::|　ヽ:斗イ＼／　 |:::l:::|　l::|　　　　＼::::::ヽ::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::l::/「ﾆ二二二二二二l::l:::|ﾆ|::l二二二二＼::::l::::',
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　　　　　　　　　　　　　　　 ,.イ|　　　　　　 /　　　　　 |::ｌ::l　|::l　　　　／　　　＼:::',

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「さらに京都府に特別に下賜される十万円という恩賜金に、

　　　　　　　　　　　　　　『天子様は京をお見捨てになっていないのだ』と、感激した」

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【明治天皇の大嘗祭】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
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.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　　　結局明治四年に『山梨県で』執り行われています（汗）
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117： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:40:06 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　『そこんとこよろしく』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┐
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　　　　　　　　　〉弋7´￣厂´厂￣￣厂｀ヽ、　　　　　　　　 |::::-‐-::､::::::|
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　　　　　　　　｛ぃﾍ::::f　　 {　 γVヽ　 } |∧　v─‐ ､...　　　/...................＼｝
　　　　　　　／ﾍ.　∨　　　ヽ ,. -rュ- ､　K. i ├─＜....　　/ ......................ﾚ;|
　 ,　-‐=￢´:::::::::｀Ｔ　､　　 / 　 ,ﾊ　　∨::::Y :{二ﾆ、}.　　/ ......................八{|　　　　　　　『厳しい注文ですが残当』
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ.　/下王}{王了:::::::::::ﾄ=≠‐':::＼.　　　　　　 |　　　｀>､
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「余談ではあるがこの恩賜金、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『特別金なので窮民の一時救済金には当てないように』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　という注文が明治政府からついていた」

.
118： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:40:32 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「そして結果として、この十万円という恩賜金は京都産業の振興にあてられ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やがてその利益を含め四十万円以上になり、琵琶湖疏水の財源となった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
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119： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:41:25 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　「さて、当時の京の情勢と人々の心情はそんなもんだったと思ってくれ。

　　　　　　　　　　　　　　　さて、ここから琵琶湖疏水の話に移るぞ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
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　　　　　　　　／l　　i'´~よ＿,.ｨ'´ ヽ　/ヽ/ 　 _, -‐＼
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　　　　　 |　　| 　　　　　 | |　| 　// ／　　　　　 l
　　　　　　 |　　 !　　　　　　　| |　|　 ! l/　　　　　　 /!　　　　【槙村　正直】
　　　　　　 |　　 l　　　　　 | l　| 　ｌ/ 　　　　　 / l
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「こうしたタイミングで、槙村正直という長州藩出身の人物が二代目京都府知事となった」

.
120： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:41:53 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「槙村はさっき話した恩賜金、お土産金を以て京都に様々な殖産を興し、

　　　　　　　　　　京都の旧弊を改め、近代国家における大都市にふさわしい姿にすることに情熱を注いだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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121： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:42:09 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　「やり方としては、官営の製紙工場などを建て、

　　　　　　　　　　　　　後にそれを民間に払い下げるなどで利益を上げていく。といったようなものだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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122： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:42:32 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　「また、この槙村という人物は『京都博覧会』を開催させたことでも知られる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　『だから都をどりとかは俺のおかげで出来たようなもんじゃ』

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「為政者としては、強引で、ワンマンタイプの人物で敵も多かったが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　京の振興にかける熱意は並のものではなかった」

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123： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:42:52 ID:Yp41p5.k: 　　「その業績の中でも、槙村の功績の最大のものとして、教育面での拡充を計ったことを挙げることが出来るだろう」

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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　「全国に先駆けて、女子にもまた教育を受ける権利とその機会を開いた」

.
124： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:43:13 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　 |　{　＿_}　 ∧　い
_）＼＿ , イ　　　　　　ﾚ'´::::::::::｀Y　 j　｝r──-　､
　　　　　て,.　-──ｰ|:::::::::::::::::::|─'-:＜｝　ブ　｛
　ブ　お　（:::::::::::::::::::::__|::::::::::::::::::j::::::::::::::::}　　ラ　　}
　ラ　お　 (::::::::::x──:｝:,xく⌒刈ミx:::::::::i　　ボ　　{
　ボ　：　 f⌒V:::::::::::::::{/:::::(⌒)::}　Yiヾx:}　　｜　　}
　｜　　　｛.　 V⌒Yi⌒{::,ｨ'⌒'＜　ﾉﾉ　ｿ　！　 /
　 ! !　　ﾄv'　　ヽ、}｛　｛仏　　　＼　　）　　　　ノ
- ､　　 Nヽ　　､　｀ヽ辷_!. `　　　＼　⌒Y´￣
　ハ/⌒　　＼　￣ﾆ＝‐-ぅ　＼＼ヽヽ　 }
. {:::::::::::{　,ｨ〒｀ｰ-=ﾆ二ﾆつ.､　ヽ. ヽヾ､∨
ハ:::::::::::V　　{　　ﾉ:::..　　｝　Vハ　{,ﾊ. ｉｉ V、　　　　　　　　　　　　　　　【福沢　諭吉】
. ∧:::::::::::＼__}.　｛::.:. , '⌒ヽ、Ｖ:{__j　Ｌ.}_}_j::::',
｛　＼::::::::::::::ﾊ　 ∨{. /二ﾊ V仆､`'く::::::::::::::ﾊ　　 ,ﾍ
｀￣丁≧＜_:::::{　,ｲ } ﾚ'二ﾆ} ヽ,ﾊ　ヽ.::::::::::::}　／:::::}
. 「｀Ｖ=::::彳￣｀V/!/　　 ,ﾊﾄ､　Vi　　 Vﾆ:::::ﾄく:::::::::ﾉ
　ヽ::ゞ=::::|　　　从{ 　　｛: :{ t七ｱﾊ　　 V=彡::::::／
　　｝::::::::::i　匕ﾉ Vﾍ rセｱ个､　　}ﾊ　　 V::::::r'´
　　`ｰ─'　　　　　 }八　　 .:i:.　｝　｝lﾊ.　　 `ｰ'
　　　　　　　　　 lj川ﾍ.　　ﾊ.　ﾉ川ﾊ
　　　　　　　　　 V川介rr'　 Vl川川ﾊ
　　　　　　　　　 V{川川{　　}}川川j'
　　　　　　　　　　ヾll}川 ll{　 }j川}'
　　　　　　　　　　　　　　 ' ' ' ″'′''″

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　「なにごとにつけ一言なかるべからずの福沢諭吉などもこの一事に関しては絶賛を惜しんでいない」

.
125： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:43:39 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「槙村の京都振興への原動力、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それはほんの数年前、槙村の出身地である長州が引き起こした

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　蛤御門の変などに対する一種の懺悔でもあったという」
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
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　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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126： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:43:54 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　 ,,,,
　　　　　　／　 `t'''''' ‐- ､､,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､-‐‐‐‐- ､､,,
　　　　／　　　　 |　　　'''';;;;,,"‐ ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,, -‐‐'''''　　　　　　　ヽ､
　　,, ‐"　　　　　ﾉ　';,　　 '';;;;;;;;;;;;,,,＼　　　　　　　　　　　　　　　　∠,　　　　　　　　　　　　　　' ､l'､
　 ,'　　　　,,-'""'','　 ;;;;,　　 '';;;;;;;;;;;;;;;;;,,`､　　　　　　　　　　　　　　 ,,-"　　　　　　　　　　　　　　　　 )
　 '､　　,,-"　　　|丿 ;;;;;;　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,ヽ　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　 /',　　　　　　　 '‐､
　　/　　　　　,,- |　 ;;;;;;;;　　 '';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;, !　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 ,, -,､､ヽ,　　　　　　　　',
　 /　　　,, -''　　!　 ;;;;;;;;;建白書'';;;;;;;;;;;;;　l　　　　　　　　　 z'''　　____,,,,, - ''7, -".／_　　 ',　　　　　　　 {
　 '、_　　　　　　l　　;;;;;;;;;　　　 '';;;;;;;;;;;;;;;　',　　　　　　　　　 `､　 ,' ,r'',ヽ,___　__／,'´　ヽ,　 ' ､_　　　　　　',
　　 /　　　,, - ''''l　 ''';;;;;;;;　　　　;;;;;;;;;;;;;;　,'　　　　　　　　　　 '､　',　　,ｰ､､,', `'''"0　　　)　　 ,'　r'''ヽ　　　l
　　 i　　 '"　　　 '､　 '';;;;;;;,　　　 ';;;;;;;;;;;;　,'- ､､,,_　　　　　　　　' ,　'､ i　　0　　　　,,, ､-"　　 l　 l/,　l　　 ,'
　　 `i　　　　　 ,,､､,''-,,'';;;;;;;,　　　';;;;;;;;;; .,'　　　　 '' - ,,　　　　　　' ,,,i '､,,, -　　　　　　,, ､､､　'、 lｿ /　　/
　　　'、　　 ,,-i" l　 ',‐'''ヽ;;;;;;,,　　 ;;;;;;;;,/　　　　　　　　"-,,　　　　　l　　　 <　　　,, -"　 r' `,　'､'ｰ'　／
　　　　''''>''　/　 '　ヽ　　 `;;;;;;,　　;;;;;''{.　　　　　　　　　　ヽ,.　　　l　　　,､､､,,,.-"　　r''"　　',　 >　ﾉ
　　　／;　 /　　 ',　 '､-‐､,_ヽ;;;　　;;;' ,'　　　　　　　　　　　　 '.､　　'､　　 '、,,,,,r''''''''"゛　___ .ﾉ／ .／
　　／,,;;''　/　　　 ,　　ヽ　　`';;;;　 ,;;' ,'　　　　　　　　　　　　　　''-,,　ヽ,　　ヽ　　 ,､、r'",, -"l,,,,,ﾉ
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　ヽ;;;;ヽ　　 ' 、　　　　/　　　l　　 i 　　　　　　　　　　　　　 "-,,　　　　 i　　　　　 l　　　＼,,,_　　,丿　　',　.l
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　「その槙村が京都興隆のために提出した一つの建白書、

　　　　　　　　　　　　　　それが琵琶湖と京都を結ぶ疎水の開削についての建白書だ」

.
127： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:44:16 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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/////∧///////////イ{＾}ｈ､、「Ｔｰ　...__／　　＼／　＼| ,∧7777777∧二|　|:|／:::::::::::::／＼ | ,X冖冖冖冖 :／:::::::::￣”¨“" xへ
三三三三三i7∧_ﾆ-.:｀i:i:i:i:i:i:i:i＼~^'ー-xへ、［］　 |─‐‐‐| ｲﾛ V//////∧　|　|:| |￣”¨T「口　ｲ　＼＿＿_／::::::::::::::::::::::::::／:::::／
///////////∧》,i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i＼／////うぅc｡.|¨¨¨／^''ｰ-／'ﾏ¨¨¨¨¨¨¨二¨¨＼　　 |i|ＴＴＴＴ|　　　|ＴＴT「|”¨“　‐-　..／::::／~^''=-
////////////∧》,i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／////////////うぅc｡.,__イ口 ∨_:_:_: ／::/￣￣￣￣￣￣￣￣＼ |､─ L|_　|￣|:::|　|:::／::::::::::::::
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///////////////////二ﾆ┐|　　　 :|　~^'　ミ///////////////,ｨ(i:i:)h､|／:: :{: : : : : : : : : : : : xﾍ77777777777777777ﾑ=ﾆ.,|~^
刀刀刀刀刀＾＼¨¨|¨¨¨|¨¨¨／≧s｡.,　 |　　　　｀` トミ////////,ｨ(i:i:i:i:i:i:i:i:ミｈ｡_{_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:／　 ∨/////////////// ∧　 |~^
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うぅィ刈}h｡///////// ＼'' ミﾞ///////////////,≧s｡ |　|　|　 i|ililililil㌢:::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ィ㌻i:i:i:i:寸}h｡///////// ＼〕トﾐ/////////////////≧s｡.　 i|ililililｉ|}トﾐ:::::::::/:::xX爻Xx:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「古来、京は日本の文化経済産業の中心だ、

　　　　　　　　　　　それは万民の認めるところだったが、いざ立地という点で京を見た場合、

　　　　　　　　　　　　　様々な利を得られる、という条件では決して無い」

.
128： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:44:33 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　「地理的に言えば、なによりも内陸の奥まった地方に存在し、海がない。

　　　　　　　　　　　　　海がないということはこの日本という国土においては様々な不便につながる」

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　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

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.　　　　ｌ　　　i|　　　　 | 　　　 ,　　　 i|　　　ｌ　　 i|　　　　　 ,　＼
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　　　　 ,　　 i|　　　　 |　 |　　　　, 　　 i|　　　 |　　 i|　　　　　,　　　,
　　　　　　　 {　　　　 |　丁￣￣　，　　 ! ￣￣丁¨^　,　　　　　′
　　　　　，　　 ,　　　　{　,x笊云ミ　，　 |　 ,ィfぅ笊ﾐ　}　　　　 /　　 ,
　　　　　　,　　　 ,　　　〈　)//沁　　,　　l　　 )//沁〉　　　 /　　　ﾊ
　　　　　　　　　，　　 ∧乂^)少　　 ',　 |　　乂^)少　 /　　 /　　　 ,　,
　　　　　'，　　'，　　 ∧　　　　　　ヽ |　　　　　/ ／　　 ,　　　　, 　，
.　　　　　 '，　　 ,　　　八　　　　　　,　｀　　　　ノイ　　　 //　　 /　　　　　　　　　「そのへんの感覚は
　　　　　　　　{ヽ　八　　　 {　　　　　 _　　　　　／　　　/{ﾊ　　 /　　 ∧
　　　　　　　　|　‘， {‘，　八　　　　　　　　ィ　/　　／ |{/77 /　　 / ∧　　　　　　　　　こっちとそちらでは違うでありますな」
.　　　　　　　　 ', l　 , 　 ∧　　〕ト　　　ィi〔=| /　／　i|///∧ 　　 / ∧
　　　　　　　 ,　　　}/| 　ヽ　 ∧　　)ニ≧≦ニニ|　／|　　　|ﾏィ/,∧ 　　 /　 ,
　　　　　　　　　　 | 　 | ＼　}　 /　　/^∨　　 }∧　!　　 | ∨///
　　　　　　　　　　 | 　 |　　＼‐廴　/{{ }},∨　 /ニﾆ|　　　|　∨,/　　　　　 ∧
　　　　 /　 ‐=ﾆ二| 　 |二二二二ニ乂ﾉ二二ニﾆﾆ|　　　|二二二ﾆ=‐　　 / ∧
　　　　 ,/ニニニニ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二二ニニﾆﾆﾊ　 / ∧
.　　　　 /{二ニニﾆﾆ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二ニニニニニ} 　 / ∧

.
129： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:45:06 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「なかでも水運に関しての不利ははかりしれず、

　　　　　　　　　　　　　　　実際京の都の日常生活は水に関するデメリットが山積みだった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　　　ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!

　　　　　　　　　　　　　「また、産業の輸送、人品の往来に関しても海路を得られず不便は免れない。

　　　　　　　　　　　　　　　　それはコストという形で、最終的には価格面で大きな影響を与える」

　　　　　　＿＿__
　　　　／　　　　＼
.　　　／　　　　　＼　　　　　　　　　　　　「前に話があった角倉了以も、だから舟の
.　　／　　　 ―　　ー　＼
　　|　　　　（●）　（●）　|　　　　　　　　　　　　　　　　　行き来ができるようにしたくらいだお」
.　　＼　　　　（__人__）　／
.　　　ノ　　　　｀ ⌒´ 　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

.
130： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:45:21 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　「そして、住民生活の要になる水を供給する水源は限られており、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その多くは鴨川の流れを頼みにする他にはない」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,.,:;:;＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l;:;:;:;:;:;＼　　　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |' ＼;:;:;:;:＼　　　　　|　　　さいたま─！　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｋ　/;:;:;:;:;:;:;`i　　　ム＿＿＿＿＿＿＿＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ィ--,.､--i-ヘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//`　 ,,､l|;;;ﾄ､;;;;;;ヽ--　､　　　　 ,､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|;;}'`,　 _, l|;;|/`丶､;;;;;;;;;;;;;＼,/`"　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l|;ﾄ,､ヽ_ﾉ/ﾆﾆ= ､　＼;;;;;;;;;;;;ヽ ,ﾍ　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `};;／￣￣＼　 '`-,､＼;;;;;;;;;;`i/`i 　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,､ --''''" `''''─一　　　　　 `i /＼;;;;;;ﾉ_/──v'
│￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽヽ､　　　　　　　　　　　　　　 |' ,/_, ￣＼;;;;;;;;;;;ヽ￣￣￣￣￣￣|
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　　　　　　　　　「日照りが続くと京都の人々の生活用水までが不足し、御所においてさえそれは同じだった」

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131： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:45:38 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「御所の中には京都市中の防火用水としてためてある水溜めがあるが、

　　　　　　　　　　　　　鴨川の流れが涸れてしまっては、それも用をなさない」

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;ﾊ:!＼ヽ. ヒフﾐ､　　　　　　　 ___.::::.　　　　　　　　　　　『日照り続きで涙も出ねえよ』
　ﾊ　＼`'''"''　　　　　　　 ___,,.:::::.::.
/　ヽ　　ヽ　　　　　　　/"ﾕﾌﾐ::::::::.::.:.
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132： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:46:02 ID:Yp41p5.k: 　　「防火用水どころか飲水にさえ不足するような日照りのときに市中に火が起きるのは最悪の極みであり、

　　　　　　　その最も顕著な礼が天明の大火だ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

∨　　 l　 `'Λ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ｌ　　　　　　　　　│　　│　　　　　　　　 i′
　　　　.l　　　ﾞ'レ　　　 |.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ l　　　　　　　 lr'ﾞ｝ ._.!　　　　　　　　.il|
　　　　 !　　　｀　　　　从　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ,!　　　　　　　　　　　 ! .|ﾘ　　　 /!　 ./ |
＿＿__..!　　　　　　　　 l　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ　　　　　　　　　　　,ﾄ　|　　　　　l |しｲ　{
/////ﾍ.,　　 |.ｌ　　　　 .!　.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 |　　　　 !　　／
////　!ﾍ　　ﾞl　ｌ　　 .、│ . ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　l　　　　 l　　/
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_二.|..|..二..　,..|..|二　｀Y´（ i/￣'.　￣'l.,/　　　く、　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣￣
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.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【天明の大火】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　天明八年（1788）に京都市中を焼き払った大火事です。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　幕府の公式記録によれば三万七千近くの家屋が焼け、六万五千世帯が焼け出され、
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　焼けた寺院が二百に神社が三十七、死者は百五十名（一説によれば千八百人）という、
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　大変な大火となりました。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　京都の町の2/3が焼け、御所も大部分が焼け落ちてしまったということです。
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
133： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:46:25 ID:Yp41p5.k: 　　　　「いつの時代も京都の為政者にとって『水』の問題は常に頭の痛いところで、その対応に苦慮していた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「二二工二二二二二二二ニニニニｺ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::l__ノ　　ゝ､_　ヽ:::::::::::::l|::::::l:::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::l　　　　　　｀ﾞ　!:::::: :::ｌ|::::::l:::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::l　0　　　 0　　ｌ:::::::::::l|::::∧:::::::::∧　　　　　　　　『み……水……』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::l　　　　　　　ヽ)　|:::::::::::|l::::|｀ヽ:::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　　　 l:::::::::::|.!:::|o丿:::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::l:::l　　　r─-､　　 l:::::l::::| l:::「::::::',::::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　lｲ:l::::ﾍ.　　l　　　）　　 !::::ｌ:::|, l::ﾄ､::::::＼::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l l::l::::|:::＼　￣　　　　ｌ::::l:::|斗:!‐＼:::::::＼:::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::l::::ﾄ､::::l::＞　＿　斗┼:ｌ:::|　l::|　　＼::::::＼::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::l::::|　ヽ:斗イ＼／　 |:::l:::|　l::|　　　　＼::::::ヽ::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::l::/「ﾆ二二二二二二l::l:::|ﾆ|::l二二二二＼::::l::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 / 　　　 |::ｌ::l　|::l　　　　　　／＼::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.イ|　　　　　　 /　　　　　 |::ｌ::l　|::l　　　　／　　　＼:::',
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　「ただし雨が降りすぎても鴨川があっさり氾濫して水害になるクソゲーだお」

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134： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:46:47 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　「しかし頭をめぐらせば、その京都からほんの近みには、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本で最大の湖である琵琶湖がある……その水量は天下の水瓶と呼ばれるにふさわしいものだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　,;爻;j/　i{i;,　　}i;,
,;)∧∨,/_,乂i_;jﾉ;仆-ｧ゜　_/ 　　 _,ﾉ
,;爻ﾍ∨/ 　｀Yiノﾉノ　　 ,/　　 ,.'´ ,{_,ノ
.. :. :∧〈___,,_jl::|,;'´ 　　 _,ﾞ　／___,ノ
-‐=＝弌渋ﾐil;|=‐-=ﾆ..,厶ィ^ｰ‐
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个ﾄi仆iﾄiﾄiｲiﾄi;,〉_厶;__,;i个ﾄi仆iﾄiﾄ､_,,__,;_　`'＜,___,ノiﾄ､_
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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135： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:47:07 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「京の多くの人間は例外なく

　　　　　　　　　　　『あの琵琶湖の水を京都に引ければ』と思うものであり、それは一つの悲願であった」

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　　　　　　　　　　　　　　　　/　i　　_,.-‐''´　　　 i　,/〈　　　　　　　　　『琵琶湖いいなぁ……
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　　　　　　　　　　　　 _,-'　ヽ､i　　i　　　　　　　 // /｀'i　　　　　　　　　　　　　水くれないかなぁ……』
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136： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:47:34 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　「平清盛、太閤秀吉などもその『野望』を抱いていたものの、ついになし得なかった」

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　　　　　, ＜￣ﾐﾞミ ‐- 　､ ----　、
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.　ヽ ,ｒ'"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |./....　/:::::::::::廴三/::::::／三三,ｨ/／i/:::::::::::::::::::/ 　ﾘ
　" /　　　　.,.. -ｰ..二ｰ､　　　　　　　　　　　　l'.　　 |::::::::::::/＼: 入/ 孑ｧt-､_／ノ7,刀〉::::::::/
　|/　　,,,-'.´.;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ＼　　　　　　　　　 |...　　　|::/!::::::i〈ゞfｿ　 /　　 {:ｿ/／,.彳 / l ::::／
　" . '"　￣￣￣￣￣'''ｰ ..,,.;:ゝ_／　　_, - ‐ 、.!...　　　ｿ从_ ﾍ .リ U. 廴　＿/::::::〈＿,ｨ　i／
　　　　 : ` ￣t-Ｗr＝　､　 .｀´　　 ∠::::::,,_:;;;.!./.　　　　＿才ノ｀ー',::::::　￣　　　／ /
　　　　　｀''-一''"￣　　　　　　,::,,､　　 `./.　_　-‐/´ イ　　　　＼ u　　　＿　／､
　　　　　　　　　　　　　　　 lﾞヾ._..ア/"..　´　　 ∧: :.:∨　　　　;;;;;｀ヽ､＿_／　ヽ　　　　　　　【豊臣　秀吉】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ::　　 ./.　　　　　ﾍ : : ',　　　　 ;;;;;／.i l　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　 | :::　 ./　　　　　　　　　', : :ヽ　＿　　　 ,ｨ |: |　　　　　ﾍ
　　　　 , -　　　　　　　　　　　 ,! ::: ／....　ﾍ､　　　　　　ヽ : :.:＼　ヽ　＿,ｲﾉ　　　　　∧
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　　　　　　　トｰ-　,,,_　　＼.　.,!　　　　　　　 i　　　　　　　　｀ー-‐' ´　　　　　　　/　　＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「槙村府知事は、その琵琶湖と京都の水運を開こうとしたわけだ」

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137： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:47:55 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「実は、琵琶湖と京都を結ぶための計画は、それまでも何度か公式の場に持ち上がってきてはいたが

　　　　　　　　　　　 ……日本の土木技術では到底不可能という結論がその度に立ちふさがり、悉く消えていってた」

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　　　　　　　　　　　　　「しかし、時代は変わった、世は開けた。槙村は、

　　　　　　　　　　　　　　　　西洋の技術者が日本に来ることが出来る明治の世においてならば、それが可能であると考えた」

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138： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:48:12 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「事実、後年のことではあるが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本人だけでは到底なし得なかったであろうと言われる安積疎水が

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　オランダの技術者、ファン・ドールソンの指揮の下、明治十五年に竣工した」
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
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　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
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　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【安積疎水】
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.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　猪苗代湖の水を、東にある安積（あさか）に灌漑用水として引くために作られた疎水です。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　明治十二年（1879）着工、明治十五（1882）年に竣工した、日本三大疎水の一つです。
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139： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:48:31 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「槙村はその持ち前の強引さと手腕で琵琶湖と京を結ぶ河川開削の建白書を強力に推し進めた」

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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　「だがやがて、槙村はその強引さにより、

　　　　　　　　　　　　　　　　市民の声望を失い、失脚する。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　そしてその過程には女絡みのトラブルがあったとされる」

.
140： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:48:50 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ことのなりゆきによっては、
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_　　　　　　　　　　この琵琶湖疏水についてのプロジェクトは
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）　　　　　　　　　　　　再び日の目を見ることなく、頓挫していたかもしれない」
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

　　　　　　　　　 /　　/＞''”　 /　　　　　　　　　　　|　　 ', 　 ≧s｡.,_
　　　　　　 /　/￣　　　 ,′　　　　　　　　　　｜　　 ,　　　＼　≧=‐,
　　　　　　　　/　 i{　　　　　/　 |　　　　　　　　　　 |　　　，　　　 }　　　，
　　　　　　　 ,　 /7　　　　　ｌ　　|　　　 |　　　　　 i|　　　 ,　　　 i|
　　　　　　　　 // l　　　　　|　　|　　　 |　　　　从　　ｉ|　　　　 |　　 l
　　　　　　　f / 〈｜　　　 |　　|＿＿_｜_　　　　/＿_　　 }　　　　 |　　 |
　　　　　〃　＼　　　　 |　´i|　　　 |　　　 /　　　｀　, 　　　 |　　 |
　　　　　　 /　　　　＼　　　|　,x笊云ミｔ､　　　 / ,斗笊ﾐ　,　　　　从　ｉ|
　　　　　〈　　　　ｌﾊ　　 ,〈　ぃ//(　 |　　　/ 　h//(　〉,　　　　/
　　　　　〈　　　　/,'ﾊ　　，　乂^)少｜　／　　乂)少 /　　　 /　　　 ,　　　　　　　「幸いそうならなかった、と」
.　　　　　 / ∨　　〈//∧ 　，　　　　 |／　　　　　 / 　　 /　　　 /
　　　　　 /　　∨　〉///,}　　　　　　　　　　　　　　从　　 /　　　 /
　　　　　　　／＼///＞'　　∧　　　　　　 _ ｀　　　人　　 /　　　 /
　　　　 /　　{　／77| ＼　　 ∧､　　　　　　　ィ /　　 /　　　 /
　　　 ,　　ア7////!|　　＼　　∧≧s。　　　　　　 ,　　／} 　　／
. 　　/ 　〈/////／i|　　　ヽ　∧二ニ≧=≦　　 / ／　｜／|
　　 /　　　 ,//,／　ｉ|　　　 |　＼ ∧　　}ﾆf^ﾊ　　 ,／　　 |‰　|
. 　/　　　ゝ'　　　 i|　　　 |　/, ＼ｉ}　ｉ}笊, ∧　　　|　　 |　　 |
　/　　　　　　　 |　　　 |イ二ﾆ=‐＜ {{}}乂_＼　i|　　 |　　 |
.　　　　　　 ‐=ﾆ二|　　　 |二ニニニニ乂二ニニﾆ|　　 |＿_｜
/　　　　　 /ニニニﾆ|　　　 |二二ニニニ｀_´ニニﾆﾆ|　　 |ニﾆﾆ,ヽ
　　　　 ,二二二二|　　　 |二二二ニニニニニニﾆ|　　 |二ニニ,}
.　　　　　 {二二二二|　　　|ﾆﾆ,／⌒Y　　　 Y　　 |　　 |二ニニ,|

.
141： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:49:14 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　N '　/i　 f (　 ,　　　ヽ i ﾉ　 |ﾉ　　ﾄ,
　　　　　　　　　　　　　　〉､ヽｌヽ il　V l _ 　ﾉ lｼ／/ﾉ, 　 'ﾘ
　　　　　　　　　　　　　/_　ヾｰ-ヾ､　〉´ ｀V /／／-ﾄ　-‐'ハ
　　　　　　　　　　　　　'´ﾘ　ｰ--/￣,'/ i ,'_N ／´　　 k'´-‐'_ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　 l/　彡 l　| l l　l i　　/ i!　|!　l r一' ノヽ
　　　　　　　　　　　　ｰ'ノ　´／ l､ i!i! VNヽ　l i! i! i!　'､-'　￣｀ヽ'
　　　　　　　　　　　　 'ﾝ r‐､＿/ ﾉヾ､_＼N l ﾚ'シｨ三 .l　,'｀lミ　｀ヽ_ｨ
　　　　　　　　　　　　　)/／',　ﾊ〈 =＝ｭ､ﾉi }､-＝''､t　l ,'　lヽ｀　 ‐=-　-　､　　　　　　　　【北垣　国道】
　　　　　　　　　　　　ｰ/　　 l　 ', /r　/f/( | l　〉 fi l ヾﾚ /l ＼　-一'＝､ヽ　l
　　　　　　　　　　　　ﾉノ　ﾉ｀i､ ', i!f fi!　〉l '〈　i!tヾ　,' /　ト-　一‐ /´ ｀ヽト-一-､
　　　　　　　　､-‐'´彡´　/＞| ヽﾍ　i!　,,'ﾞｰ ' ヽヾ　/´　　∧ヽ　 /　　　 ,'､　　　　ヽ
　　　　　　　r´　￣　＞´　　 l　　ヽ　　__,ｨｰ‐､_ _　 /　　　　 V　 /　　　 , '／二＞_ヽ'´
　　　　　　/＿ _ ＞´　　／　 ,l　l　　ヽ　｀￣ ´　 /　　　　／　/　ｰ- r' ／　　／
　　　／∠_-‐'　　　　ノ　／ l　|　　　＼　　　　 /　　　　 /　 /　　　ﾉ´ ／／
一─ー-　-ﾕヽ　　　　 /　　ﾘ　l　　　　ヽ＿ノ　/　　　/　ノ　､ _　/　/　/＞'　´￣￣
　　　　　　／ヽ ∨　　 /　／ﾉ　 l　　　　　　　　 /　　　/-'´　　　　ﾉ- ' '´　　　､
　　　　／　　ヽ∨　 / ／　　　 l　　　　　　　 /　　　/　　　　＿,〈 i　　　　､_　-｀一‐ '

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　「あぁ三代目京都府知事となった北垣　国道は、槙村のこのプロジェクトを継承することを決めた」

.
142： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:49:29 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　＿彡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽミ／／r,ﾂﾘﾉ／´´　　三　＿ﾉ >
　　　　　　　　／　　_,,-‐''゛゛￣゛ '''' ‐- ,,,,　　＼. 　　ヽ､　} i!l　(　( ｀´　 i!　i!i　　ミ　　　ﾉ-,_
　　　　　　　　　　／　　／　.､ -‐ ''''゛゛゛゛゛ ''‐-,,｀＼　ﾞｉ　　　(li　 | i!＼ヽ l　　ﾉi! i!i!　　　ミ　　ンノ
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　　　　　　　　 |　 //　／:::::/ ､‐'゛ﾞ,,=,,゛'‐- ,,_　゛'';;)　〉　　 _ツ |-,rzェｭ,　｀ｰ＝=ェｭ´､　ミ彡､　ノ
　　　　　　　 'く|i´／:::::::::::l 　'　i´　　l｀゛;ゝ'､ｪ_　　'〈.　　　｀ ) |∥《ヾi;　　　ヾi!i!'ヾi! ﾞﾐｔ　| ｲ　;　ヽ
　　　　　　　　 ,,r'､ﾆ' ,:::::::::i 　　｀‐・ゝ,　` 　l,-゛,ﾄ-｀＼　　ﾚ､l《　il i〈　 _　　ヾ《　ヾt ﾞﾐi!ﾚ'　ﾄ､　(
　　　　　　　　　 l..{::`:::':::..''ﾞ　　　　　　　　　　'・ l l　　｀´ 　　 V fi ﾘ｀ｰ '　　ヾミt ヾtﾂ; _／　ヽ｀ー
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　　　　　　　　　　　　「明治十五年の一日、北垣は、

　　　　　　　　　　　　　　この琵琶湖疏水のプロジェクトリーダーとして、当時工部大学校の学生であった田辺朔郎を見出す」

.
143： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:49:44 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「北垣の旧友である大鳥圭介は工部大学校の学長であり、

　　　　　　　朔郎が琵琶湖疏水の工事計画を卒業論文として研究していることを耳にしていた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

三三三三三=／ r'てﾐ孑三＼＿＿＿,___、
三三三三／　　ヽソ三二{￣　　　　　　＼
三三二／　　／三三二三￣￣ミ｀ヽ孑'　へ
三三／　　／三三ﾆ――ﾆ⌒ヽ　　ｿ　／￣￣ヾ
三／　　／~三三彡: : : : ヾソ＼＼/.　(　,,;ー―ヽ
＿／三=='"ノ―‐、 / 　ーヽ .} 　{l 　 //
:::::;;二　　'ヽ゜　ノ　　　 /.　|　 {l　 /　　厶　　　　　　　　　　　　　　 _　-―
､＿.　　　　　￣　,, 　　／,,　 |ヽ、|　 {__／ノ　　　　　　　　　　　 _　-‐
┤_ ＞一ー―――-　､＿_　　　　　 , ---―- ､　　　　 _ ..　-‐
￣　　　　　　　　　　　　 }　　_ -‐ｯ'　　　　　　 `ー--､}
　　　　　　　　　　　　　　　「￣　　「　　 ,.-､　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　＿彡
　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 } 　 /　　＼　　　　　　､　　　　　　　ヽミ／／r,ﾂﾘﾉ／´´　　三　＿ﾉ >
　　　　　　　　　　　　　 i　　　ｊﾉノ　　　　｀丶、　　　　ヽ　　　　　ヽ､　} i!l　(　( ｀´　 i!　i!i　　ミ　　　ﾉ-,_
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「大鳥圭介を介して北垣は田辺と出会い琵琶湖疏水実現の立役者がここに結びついたんだ」

.
144： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:50:07 ID:Yp41p5.k: 　　　　「もちろん、この疏水計画には反対派も存在していた」

　　　　　　　　　「当時の日本は、大規模な河川工事において

　　　　　　　　　　　必ずイギリスやオランダからの技術者を中心人物にすえていた」

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.:.:.:.lミt､　ヽ　　　　　　　　　´　　｀￣　 ,'::::::::::::l.:.:.:.:.:.:.:l　　　　　　　　　　【品川　弥次郎】
.:.:.:.l三ミt､　＼　　　　　　　　　 ´￣　 /:::::::::::::∧.:.:.:.:.:.:l
.:.:.:ﾉ三三ミｔ､　｀　､　　　　　　　　　 ,'::::::::i:::::::::∧.:.:.:.:.:.l

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　　　　　　　　　　　　　　　「そうした情勢の中では、外国人技術者の声は大きな影響力があり、

　　　　　　　　　　　　　　　　　オランダの土木技術者デ・ケーレがこの琵琶湖疎水工事への否定的な意見を述べると、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　内務省書記官であった品川弥次郎などはこの言に飛びついた」

.
145： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:50:25 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　「政府の、少なくとも一勢力の中では、

　　　　　　　　　　　琵琶湖疏水などに国力を傾ける必要性はないという意見が強力に存在していたんだ」

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从:.:.:.:＞´￣｀丶＼´　｝｛／＞ー―- ､j:.:.:.:.:.',　　　『何のために
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 У⌒ ｰ＜￣＞ｰ､　｀　;　´ , -＜￣:｀ヽ　＼:.:.:.:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛　　 ⌒ヽﾉ　{ ＠ }　　 i　　{ ＠ }　,:.: /´￣￣∨　　　　　目ぇつけてんだーーっ！！』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ　　ヽ､.　〉ﾊ　ー ′　 |　　ー ′,:.:〈. 「二二　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ｒ‐､ Уー　つ　　　､;　　　と⌒ヽ_〉L!　ｒｭ,　 ',
　　　　　　 _＿＿　　　　　　　 /　　厄_/ ,.-‐ﾍ.　　/ニニニﾍ　 /｀ヽ. 　└--｝　　ヽ、__＿ ..... イ´￣｀ヽ.
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　　　　　　　　　　　　「京都人の感傷になど付き合っている暇があれば、

　　　　　　　　　　　　　　東京を中心とした富国強兵政策を少しでも推し進めなければならないという意見だな」

.
146： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:50:46 ID:Yp41p5.k: 　　「当時の清國の有様や西欧諸国の植民地政策を見ていると、

　　　　　　　その意見にも十分な理はあるんだよな」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|　　　　　　　　　　　　「そして、この時代に一貫として存在する大きな病弊
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____　　　　　　　　　　　　『藩閥』も、疎水計画にブレーキをかける」
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
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147： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:51:36 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　　　　　　　　　l:::::::::l　0　　　 0　　ｌ:::::::::::l|::::∧:::::::::∧　　　　　　　　『ビリケンもひこにゃんもやめーや』
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　　　　　　　 l l::l::::|:::＼　￣　　　　ｌ::::l:::|斗:!‐＼:::::::＼:::::::::',
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　　　　　　　　　　　「さらには疏水計画反対の火の手は京都と隣接する二つの府県、

　　　　　　　　　　　　　　すなわち滋賀県と大阪府からもあがった」

.
148： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:51:55 ID:Yp41p5.k: 　　「北垣は明治十六年（1883）に両府県に対してあらかじめ疎水計画について文書による通達を行っている」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　/"ﾚ　　　 i(（ﾚ（（ヽ､､　）'",r,,,, ｿ彡''"　　｀i,
　　　　　　　　　　　　　　　　,r（（（　（（（ヽ｀｀＼) |Y|彡>/r""''"彡ニ＝-､､）
　　　　　　　　　　　　　　　､|(（入（（ヽヽヽ"r"）ソﾘヽ,ヽ,〉ヽヽ　ミ　　ヽ ~'-､
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ~ZY'」（⌒ﾊﾊ　i　　　ヽ 7}ヽ }} 〉　ミ　 ''ｰ-'"）)　　　　　い　ま　わ
　始　激　お　光　う　わ　 t"ヽ,| 〉iヽ､,（（t　| ,,,　::::｀| { t | ﾘt　三　　　　ミ'-､　　　 .な　ち　た
　め　.し　ま　.よ　し　た　　t彡,|〈〈 {〈ヽ､ヽ, t:::"::　〉 t､|ト{ヽﾐ三 ~'＝'"　））ﾘ　　　か　が　し
　た　.く　え　.り　な　し　　､t,ｼti yY'i乙~' ､ヽ;;;（t'､W''';;;;ニ二~ヽ~'ヨ三ヽ　ｿ､,,　　　っ　っ　は
.　! !　光　は　も　っ　が　　(ﾆﾂi {i>ヽ;;;''';;;;;;zi''''"'''tiマ"""~~~'''ヽ　 i　'ヲ､= ）ヽヽ　　た　て
　　　り　.強　　　.た　　　　　（iii|ヽ >ｰ''"~ ﾗﾘ　　~" "''iﾆ,i~', {''ｰ､~'|　rﾉ||,ii ｀|iiﾘ
　　　　　　く　　　　　　　　　　　{{Yti'々r'ﾏ（,ﾘ'"'　　 ,,,, ヽ ,} 〉ヽt__::{ /ﾆ'リi||　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　~'i,,i|〉〉〉|-（,ヽ､-ｰ､,i"　ﾄ､''-'､ｰ､ﾘ､ ,／||ii　､､,t
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ti〉,| ﾉﾉ"::::~'､~ノ　　　　~'ｰ|iﾐ,,,|::~||iij'　|||　ｿﾘ
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149： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:52:12 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　　　　　　　　　　「ところが、大阪府側が近隣住民への打診も連絡も何一つ行わなかったことで問題は複雑化した」

.
150： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:52:35 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「大阪においては『疏水の水が淀川に流入することによって淀川が氾濫し、

　　　　　　　　　　付近の村々へ水害をあたえるのではないか』という危惧が、住民を反対運動に起こさせた」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「琵琶湖疏水口から淀川河口までは７４ｋｍに及ぶ長さがあり、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　実際に淀川水系へ与える影響はほとんどないという計算は行われていたが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　住民としてはろくな説明も行われていないということもあって、不信感が強かった」

.
151： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:52:54 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　、　　　　　　 __ ノ/⌒ヾ　三ニニニニニニニニニニニニニﾆ
　　)　　　　　 }=彡'　　　　三ニニニニニニニニニニニニﾆﾆ}
　 (___乂⌒ヽ　 |　　　 ___　　　三ニニニニニﾆ==ミニニニニﾆﾆ}　　　　　　　　　　【五代　才助】
　| 　　　　 : ﾉ　　 }Ｙ　　　　　￣￣　`寸ﾆ//⌒ヾニニニニニノ￣｀
　|　　　　　 | ＼__r_ｼ‐=ﾃ _ﾆ=-‐　　　　 У{ 乂　 }ニ=-‐　 "´
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　　　　　　＼_　　弍__,.ｨi{¨¨ヾ==‐-　、＞'"
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　　「また、大阪の豪商五代才助は、琵琶湖疏水が完成することで自らの商売である水運の既得権益を侵されることを嫌がり、

　　　　　　住民の反対運動をあおり、大阪、滋賀の政治家を動かした」

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【五代　才助さん】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　薩摩藩出身の大阪の実業家さんです。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　幕府瓦解によっておこった商都大阪の混乱と衰退を防ぎ、盛り立てたとされる方です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　大阪証券取引所の前進である大阪商法会議所の初代会頭です。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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152： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:53:10 ID:Yp41p5.k: 　　　「また、滋賀県においては、近畿地方の水がめである琵琶湖の、疎水による水量の減少が危惧されていた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　 i　ﾄ､._　,ぇ　ﾉ
　　.　）　､.__,,..彡'　　　　　　　　　　　 __ ..　.._
　　. ｒ'　　／　　　　　　　　　　　 _,.ィ"´　　　　｀ﾞヽ、
　　. {　　,',.,　　　　　　　　／､　　 ,,. --　､　　　 V
　　　ヽ　!　＼　　　　　　 , '.,,_　｀／___　　　）　　 ',
　　 ,.ｨ　　　ﾘ }.　　　　　 /__　ｒ' " ´　　｀丶.'　　　　 i　　　　　　　　　『やぁみなさん、またお会いしましたね』
　　i　ゝ、_彡'　　　　　／　八..,,__　＿__ 　 ',　　 ,ｒ-ﾄ､
　 /　三ｉ´　　　　　　ｌ　 ,.ｨﾗ‐ i＝ミヽ._弋ﾀｩ　,.,./ /ﾊ i
　.ｉ　　ノﾞヽ、　　　　　ヽ三´!　i_,,.　ヾ､ニ彡　i　　,'Vﾘ,'
　｀ヾ-ｖ、ｌト､.　　　　　 i　,/l_,,.ﾉ-.）　　　　､ﾞ　ｒ‐'ノヽ￣¨＞､
　　　　　ﾋ　　ハ　　　 ∨｀ヽ- '" ｀｀＾ﾞヽヾ　　　i¨　　 l..、　　　＼
　　　　　　｀ヽ　　ヽ　　　 i _ﾑ-_..ﾆ.__､　　）ｊ　ﾐ　ﾐ　　//ヽ::::｀::...ヽ
　　　.　　　　(　　ﾘ　　 /::::／-- ､_,,.　　 ´ iヽﾐ　 /　　ノ＼::::::::}
　　　　　　　ｒ┴‐┴‐.､ /::::/　,.,　　　　　ノﾉﾐ　ｼ　/　　　　 ,フ´
　　　　　　　ｉ-------ｌ,':::::;'i　ｉ.l i　　_,.　｀ﾞ　/／／　／ ,,. '"´　／
　　　　　　 ⊥、:::::::::::::l::::::i　ヽ: : : : : : : : :／" ／　／／　,.z=ﾐ、
　　　　／ヽ ) }::::::::::::::l::::/　／｀Ｔ ¨"￣: :. ／　／／　〃:::.. .:i !／　　　　　　　　【籠手田　安定】
　.　　〈　　,∠、::::::::::::／／i ( ﾉﾉ＾ヽ: : : : : :. .　／＿__,.ｌｉ::::::::::ﾉ/
　　　　 }‐"　 ,-ヽ-‐'"／,ｒ｀丁´i￣｀Y⌒/¨ﾞY´￣ /　　人ﾆﾆｨ'
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「滋賀県における疏水反対派のトップは、滋賀県知事である籠手田　安定だった」

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153： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:53:24 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「ただこちらも杞憂に属する話だ。

　　　　　　　　　　琵琶湖を源泉とする河川は十一あり、疎水による流入が行われる河川はそのうちで瀬田川一本きりだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
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　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|　　　　　　「全く影響がないとは言わないけれど、
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'　　　　　　　　　　それほど心配する感じじゃなさそうね」
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

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154： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:53:52 ID:Yp41p5.k: 　　　　「また、この当時の統計で天明年間より百年程度の期間のうち、

　　　　　　　　滋賀県地域において旱魃が記録されたことは三度ある」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
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　　　　　　　　　　「逆に水害は四十四回、水が減ることによる危機感よりも

　　　　　　　　　　　　むしろ水が『あふれる』危険性のほうが、

　　　　　　　　　　　　　　　住民にとってはるかに身近であるといえるだろう」

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155： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:54:34 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　「大阪からは水害の懸念を理由に反対を受け、

　　　　　　　　　　　　　　滋賀からは旱魃の懸念を理由に反対を受けるという頭の痛い事態となっていたわけだが」

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;ﾊ:!＼ヽ. ヒフﾐ､　　　　　　　 ___.::::.
　ﾊ　＼`'''"''　　　　　　　 ___,,.:::::.::.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　好き勝手言いやがって……』
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　　　　　　　　　　　「これは工事計画における住民説明の重要性を示す一例といえるだろう」

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156： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:54:47 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　　　　 .j二￣|L＿　　　　　　　　　　／　　　起工伺　　　　＼
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　　　 l二￣＿jー-　　　＿　／　¨¨ ￣　　　　 l　　　　　　　　_　 -‐　¨￣|
　　 _l＿　　-‐|＿　　　　　／　　　　　　　　　　 l　　　_　 -‐　¨　　　　　　　ﾄ､
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　ｌ二￣.　　 |＝‐-::／＿　　-‐iﾏﾐｰ'ﾉ￣　　　　, -―､==＝=‐＜　　　　　　＞､＼
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　二￣￣　　 |ニ＝─--　　　..＿＿　　　｀'＜.＿.斗く　　　ﾍﾍ　 |l　 l イ
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ニ二￣　＿|ニ二二三三￣￣　　--――　　T　￣￣　　　　　 l　　ｆﾞ|
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　　　　　「内憂外患の中で苦慮しつつも北垣知事は明治十七年（1884）五月五日、政府に対し正式に起工伺を提出した」

.
157： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:55:04 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　　N '　/i　 f (　 ,　　　ヽ i ﾉ　 |ﾉ　　ﾄ,
　　　　　　　　　　　　　　〉､ヽｌヽ il　V l _ 　ﾉ lｼ／/ﾉ, 　 'ﾘ
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　　　　　　　　　　　　　'´ﾘ　ｰ--/￣,'/ i ,'_N ／´　　 k'´-‐'_ ﾊ
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　　　　　　　　　　　　ｰ'ノ　´／ l､ i!i! VNヽ　l i! i! i!　'､-'　￣｀ヽ'
　　　　　　　　　　　　 'ﾝ r‐､＿/ ﾉヾ､_＼N l ﾚ'シｨ三 .l　,'｀lミ　｀ヽ_ｨ
　　　　　　　　　　　　　)/／',　ﾊ〈 =＝ｭ､ﾉi }､-＝''､t　l ,'　lヽ｀　 ‐=-　-　､
　　　　　　　　　　　　ｰ/　　 l　 ', /r　/f/( | l　〉 fi l ヾﾚ /l ＼　-一'＝､ヽ　l
　　　　　　　　　　　　ﾉノ　ﾉ｀i､ ', i!f fi!　〉l '〈　i!tヾ　,' /　ト-　一‐ /´ ｀ヽト-一-､
　　　　　　　　､-‐'´彡´　/＞| ヽﾍ　i!　,,'ﾞｰ ' ヽヾ　/´　　∧ヽ　 /　　　 ,'､　　　　ヽ
　　　　　　　r´　￣　＞´　　 l　　ヽ　　__,ｨｰ‐､_ _　 /　　　　 V　 /　　　 , '／二＞_ヽ'´
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一─ー-　-ﾕヽ　　　　 /　　ﾘ　l　　　　ヽ＿ノ　/　　　/　ノ　､ _　/　/　/＞'　´￣￣
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　「この起工伺で北垣は京都が日本国内のみならず

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いまや諸外国からも多く観光客が訪れる都市であることを強調し、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その繁栄のためには琵琶湖疏水の実現が不可欠であることを説いた」

.
158： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:55:36 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　「その上で次の条件によって着工に対する政府への許可を求めることとした」

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１：琵琶湖水を京都に疎通する工事を起こし、その水利を上京区下京区の共用とすること

２：川床および堤防敷地ならびに付属地など官有にかかわるものは無借地料貸し渡しのこと

３同民有地にかかわるもの買い上げのときは公用土地買上規則に準ずること

４：川床および堤防敷地に属す土地は国税免除のこと

５：この工事経費予算六十万円のうち、半額三十万円は上・下京区の負担としほかの半額三十万円のうち
　　十五万円はさる十四年勧業基立金として借り入れた国庫金を流用、
　　残り十五万円は景勝地永久維持援助として三年間国庫より補助願いたいこと

６：府庁内に疎水事務所を設置し、専門技官を配置、一切を府の事業とする。但し監督官庁の指示を得た上で。

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.
159： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:56:11 ID:Yp41p5.k: 　　　　「その上で琵琶湖疏水は京都の殖産、工業にも大きな役割を持てるとも主張した」

　　　　　　　　　　　　「明治十九年の日本の工業を統計的に見た場合、

　　　　　　　　　　　　　　全国の工業会社数千九社、資本金千三百七十一万円、

　　　　　　　　　　　　　　　蒸気気鑵数四百二十四で馬力数にして三千六百三十三馬力、

　　　　　　　　　　　　　　　　水車数五百三十九で馬力数にして九百九十馬力合計馬力四千六百二十三馬力、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　石炭年産高百三十万トンとなっている」

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　　　　　　　　　「これに比して、琵琶湖疏水工事竣工後に予定されている水車馬力は六百馬力で、

　　　　　　　　　　　　全国の水車を合わせた馬力に迫るほどのものになると考えられていた」

.
160： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:56:26 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　　　　从从ト､l､　ヽ　　　　　ｒ　r　/ /　　　　　/　　　《三≡彡'”　　　　　 | ' ´
　　　　ﾆ三三三ミ､ヽ　　　ﾚ´＜ノ'　　　　 ∨　　　　　　　　　　､　 l
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　　　　三三三三三三∧ノ_ﾉﾘ　　　　　　　　＼　　　　　　　　｀¨>‐'
　　　　三三三三三三∧||ﾍ　　　　　　　　　　＼　　　　　　＞'
　　　　三三三三三三∧||ﾊ　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　{
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　　　　　三三三三三三三||||llﾊ　　　　　　　　／　　　ー - '
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　　　　　　「北垣と朔郎の期待に反して、起工伺に対する政府の回答は『特許』ではなく『修正案』であった」

.
161： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:56:52 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　「内務卿山県有朋の名で正式に通達されてきたその修正案は、

　　　　　　　　　　　　経費にこだわらず、現在提出しうる完全な計画を改めて作り上げるようにという話であった」

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　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三三三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ﾖ＞‐‐‐‐‐‐‐‐N',‐‐‐‐‐‐--､三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i-‐'"""""""/yヾ""''''‐‐‐-- ､_,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　jィｮョ三三三三三三＞----- ､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /三三三三三三ヨ(＿ , -- ､, -‐
　　　　　　　　　　　　　　　　----- ､三三三三三三＞-,'"ヽ　　,..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　', i　i___ﾟ`ヽ､/:::i,:､--7-｡､-‐'"￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',i: : : : ￣: :.j: : : : :.ヽ--､ヽ-､-‐‐'"
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　　　　　　　　「難所となるのが予想される小関越の第一隧道や南禅寺隧道の地質についての京都市案の楽観視や、

　　　　　　　　　　　　　　水流に対する両岸川底の補強についての土木局の意見が強く押し出されていた」

.
162： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:57:13 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「それらの諸条件をクリアするための修正案と、

　　　　　　　　　　当然増額になるであろう予算の新たなる計上が京都側から提出されない限り

　　　　　　　　　　　　『かかる如き懸念ある以上は決して工事に着手せしむべからず』と釘を差された」

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　　　　　　　　「皮肉なことに、土木局が示した修正案の土台となっているのは、

　　　　　　　　　　　田辺朔郎の現地調査の結果であったので、文句の言いようもない」

.
163： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:57:28 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　「土木局の修正案を元に改善策を施した場合の予想経費は

　　　　　　　　　百二十五万六千七百三十五円となり、

　　　　　　　　　　　起工伺に記した予算の六十万円の倍以上、六十五万六千七百三十五円の増加となった」

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164： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:58:00 ID:Yp41p5.k: 　　　「不幸中の幸いは、上・下京区の住民たちの代表は、

　　　　ここにいたって琵琶湖疏水の起廃を迫ることはなく、倍増した経費の捻出と徴収のみを問題としてくれたことだ」

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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「可決された案の倍の予算がかかるという事になってしまえば、

　　　　　　　　　　住民から計画自体の廃止を求める声が起きても決しておかしくはない、

　　　　　　　　　　　　だが北垣や朔郎は当然のことながら、住民たちもこの疎水に関して『初志貫徹』の胆を決めたんだ」

.
165： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:58:14 ID:Yp41p5.k: 　　　　「当然区会は紛糾するが、結局のところは初志貫徹の方針の下、内務省より示された議案をすべて可決した」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　_,,
　　　　　　　　　　　／ _ノ　　　　.＼　　　ｌ;ｌ
　　　　　　　　　　　 |　（ ●）　（●） |　　＿,_,|,|_,
　　　　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）　 |　ト-=y 　丶
　　　　　　　　　　　 |　　　｀ ⌒´　　|,...ヽ `ｉ,￣‐^ｌ
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 }..　　ヾ~　`　ｉ,
　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　/._　　　ヽ、　　 ;ｉ,
　　　　　　　　　　　　 ,＿,ﾄ　___　ｲ,ｿﾄ,,__　　ヽ、　　 ;ｉ,
　　　　　　　　　　　　　 ,/r-'"j　　／／　ｉｉ, 　`ヽ､-x,,゜r　 ;ｉ
　　　　　　　　 ,／'/__.L、　　　　／ヾ、"ｉ　　　`ヽ　`;ｉ　　ｉ,
　　　　　　　／　 /_ｉｰﾍ,ヽ､ , ／ｉ"　ヽ、ｉ　　　　 `、'ｉ　　ｉヽ、
　　　　　　　　_,）ヽ　"　　　ﾈﾒ、_ｉｉ"~　　　　　　　　＿Yrｉ　　　ｌ, ヽ、
　　　　　　 ,,,>t 、ヾ、　　　　ゞ;;/　　　　　　　　　／　 ,￢　　　 V⌒ｌ
　　　　　 ,y`;,,__　　 ,ｉ　　　　 /ｉｉ'　　　　　　　　　／　r-／|　　　　ｌ　ｌ
　　　_／^,,,　　ヘ　　ｌ　　　 /ｉｉｌ　　　　　　　　／　ｌ"v'　ｙ　　　　 }　ｌ
v=4⌒ヽ、　j　　--,,,ｉf　　　/ｉｉｉ|　　　　　　　,,　　〈-ﾍ_,、 <、　　　 /　ｉ|

　　　　　　　　　　　　　　　　　「その予算の中には、大阪府への『水害予防工事費』と

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　滋賀県への『堰止工事費』も含まれている、それらは京都府が負担することになっている」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ま、そのへんが落としどころでありますか」

　　　　　　　 .:　　　〃　　 ′　　.:　　　 .:| |　|　　　 .: 　　 |　　　 :　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　″　　ｉ　　　:　　　　/´| |　|　　 .:　　　 |　　　 :　　　　　 |
　　　　　　　 | 　 -‐十￢冖木ぅ　　　　　 | ｌ丁￣厂广'冖=-　　　:　　 .:　　　 |
　　　 :　　　 i| 　　｜|: |　{､L_　　 : 　　 i　 | :　}＿_/}/＿_|　 |　　　 .:　　.::　　／
　　　　　　 :i| 　　｜| ≫乍式ヽ　　　 |　∧{ １ｧ弐垪契ミヽｌ　　　.:　　.: 　／
　　　 : 　　 :ｉ　　 :.　|〈ｬ￢ｉ|//:: ﾟ｡　:.　　 | .′ ヽ}ｱ^|i|//:::::ﾟoﾄ》　　.: 　　 .ｨ'′
　　　　　 :　　ﾄ､| ｛　ｉ圦/::: ; }　 :. 　 |.′ 　 ´　i圦/:::::: ; }/' 　 /　　／/| fｊ
　　　　　　　　　　 |ｉＹ∧八〝ｰ久　 :.　 ′　　　八〝ー久; i}　/　}　ｉ///|＿_／
　　　　 :　　　: 　人 i}{ ｛⌒¨”¨⌒ ＼　 .:　　　　　 ⌒¨”¨⌒７ '　′　　|//////|　fj
:.　　　　:. 　　　　 }八ﾄ丶　　　　　＼{　　　　　　　 //}　i　/　 :|//////ﾄ､_
i::.　　　　::.　　　　　 |::. ｀＼　　'　　　　　　　　　　 /ｲ ;　:ﾚ　　 |////////,
ｌ ::.　　　 :. 　ｉ　　　 :. |∧　　　　　　　　　　　　　　／　,ｨ　 .:　　 / ー‐ｧ=ﾆ二
ｌ　　、　　 :.　 i 　　 :. |　 :.､　　　　　t 、　　　　　　　　／7　 .:　　 /　　　′＼
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166： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:58:36 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　「とはいえ、明治政府も京都の疏水計画に対しての援護も行っている」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　 i　ﾄ､._　,ぇ　ﾉ
　　.　）　､.__,,..彡'　　　　　　　　　　　 __ ..　.._
　　. ｒ'　　／　　　　　　　　　　　 _,.ィ"´　　　　｀ﾞヽ、
　　. {　　,',.,　　　　　　　　／､　　 ,,. --　､　　　 V
　　　ヽ　!　＼　　　　　　 , '.,,_　｀／___　　　） u. 　 ',
　　 ,.ｨ　　　ﾘ }.　　　　　 /__　ｒ' " ´　　｀丶.'　　　　 i
　　i　ゝ、_彡'　　　　　／　八..,,__　＿__ 　 ',　　 ,ｒ-ﾄ､
　 /　三ｉ´　　　　　　ｌ　 ,.ｨﾗ‐ i＝ミヽ._弋ﾀｩ　,.,./ /ﾊ i
　.ｉ　　ノﾞヽ、　　　　　ヽ三´!　i_,,.　ヾ､ニ彡　i　　,'Vﾘ,'
　｀ヾ-ｖ、ｌト､.　　　　　 i　,/l_,,.ﾉ-.）　　　　､ﾞ　ｒ‐'ノヽ￣¨＞､
　　　　　ﾋ　　ハ　　　 ∨｀ヽ- '" ｀｀＾ﾞヽヾ　　　i¨　　 l..、　　　＼
　　　　　　｀ヽ　　ヽ　　　 i _ﾑ-_..ﾆ.__､　　）ｊ　ﾐ　ﾐ　　//ヽ::::｀::...ヽ
　　　.　　　　(　　ﾘ　　 /::::／-- ､_,,.　　 ´ iヽﾐ　 /　　ノ＼::::::::}
　　　　　　　ｒ┴‐┴‐.､ /::::/　,.,　　　　　ノﾉﾐ　ｼ　/　　　　 ,フ´
　　　　　　　ｉ-------ｌ,':::::;'i　ｉ.l i　　_,.　｀ﾞ　/／／　／ ,,. '"´　／
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　.　　〈　　,∠、::::::::::::／／i ( ﾉﾉ＾ヽ: : : : : :. .　／＿__,.ｌｉ::::::::::ﾉ/
　　　　 }‐"　 ,-ヽ-‐'"／,ｒ｀丁´i￣｀Y⌒/¨ﾞY´￣ /　　人ﾆﾆｨ'

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「滋賀県における疏水反対派の筆頭である籠手田安定県知事が

　　　　　　　　　　　政府の命により元老院の議官として知事職を離れることとなった」

.
167： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:58:52 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

川川川川川〃　　〃川ミミﾐヽ川川
彡　〃〃　　〃川川川　　ヽ川川ﾘ
　　〃川川　〃川川/ /　　川人ヾ
彡　彡彡〃〃彡彡/〃　　///ヾﾐﾐ
彡／彡彡彡彡／／/　　/／＿,,,,,
二,,_‐-彡彡_　／／/::::: ,,-‐二-‐'''´）
　_,,..;;;;;;;;;;;ｯ-､二__＼::::∠ィ;;;;;;;ﾌ''テ/
　＞｀'ニ'´-‐'´:::::￣ヽ l::.｀｀ﾆ´‐´　川
　　　　::::::::::::::::::　　　i　l　:.　　 ;　 |川
　　　:::::::　　　:::　　　 i　l　 :　　;　|川|
　　　::　　　　　　　　　!　|　　　;　|川ﾘ
　　　::　　　　　　r ＜￣ﾌ　　 ;　/〃　　　　川川
　　　　　　　　　ヽ--ﾆ'_　　 ,　/〃　〃川川川ﾘ
＼　　　　　　r=＝ﾆ二ラ　　;' /川川　　　川〃/
　＼　　　　　 ::::::::::::::::::::: 　;: /川川川　〃川//
　　＼　　　　 .:::::　　　　　' /＿,,,,　------- ､_　　　　　【中井　弘】
＼ ,,＿＼　　　:::::　　　　 /＿＿＿＿＿__,/　　）
　　　　￣￣￣￣￣￣￣　――――　　　　　/
――　　　　　　　　　　　￣￣――――　　イ
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　「滋賀県知事の後任として政府が送り込んできたのは疏水推進派である工部省大書記官中井　弘だった」

.
168： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:59:38 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　「琵琶湖疏水反対派として、知事である篭手田の吸引力は強烈であり、

　　　　　　　　　　　　本人も心形刀流および一刀正伝無刀流の免許皆伝を受けるほどの武人でもある。

　　　　　　　　　　　　　　　　その気性は激しく一本気だったようだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

.　　　　　　　　　 ,. ‐…　‐- ､　ヽヽ　　　　　　　　　　　 /´l{　 l、　　ﾉ
　　　　　 //　／　　　　　＼　,ｨ'二:::ヽ.　　　　　　ｆｿ　　ｌｉ､ヽ-ﾁ
　　　　　　　/ 　 _,,.　..、　ｒ-- ､i_し'　　ヽ:ﾊ　　　 ,ｒｧ､}　ヾｪト-ン´
　　　　　 ,'　／　　___,ﾉLu____　　ヽ.! i　 |::::'.　　（_ ､_iﾄ､_｀ﾞｰｒ‐'　　 ├　　フ　 i　　　　　　　,ノ
.　　　　　ｉ. ヽｨ戈ﾌ__,.ｨｆ⌒!ﾄﾞ'_,ﾝｒｒ' ｊﾉ　 !:::::i　＿ﾉ_} ｀´　￣　　　(ﾆﾅヽ　'´_)　!__ﾉ　￣￣　＼゜゜゜゜゜゜
　　　　ｒ┴､　｀_ｰ_ヲ ,i　 } ﾐﾆﾌ 'h 　　 l::::/三三ミi ＿
　　　　　ｌﾊ.　＼,ｒ‐ヘ（ｹTｿ＼_ ,ﾉ,!　　　.!::i/´::::::／ヽ　｀ト､
　　　　　ヽV} 〃l 　　 ,. ｀二、　 l　|｀ヽ　 ';::';::::::::ヽー'ﾉ_,ノ　＼
　　　　　　｀T 〃!/ 　こﾆニ´　ヽ〈ｉヽ　＼ﾄ､::::::::::::丁／i￣￣｀ｿ
　　　　　　 /l ///〃　 -'⌒ﾞ¨　　ｿi　＼　ヽ　｀¨ﾌ'¨/　　ヽ＿ｊ
　　　　　 /　ヽl' "'〃　l 川 l |　　 i. l　　 i　ﾊ　　　!、／￣　　{
　　　　 ,ｲ　　/i｀ヾｌi l ,!川川ﾉﾚﾉｿ　l.　　 l　 ∧　　/ 〈＿,,..∟ ﾉ
.　　　_/ i__　ｉ　',　＼/_ﾘリリﾂノ　i/　　 /__/⌒ヽi´　 {　　　　）
　／/ / ｒ.ミ､　＼　＼￣ ´　__/__,,..ィ´　ﾄ､.__,八＿_＞-‐,／

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　「そのその人物が『中央に置き去り』にされ、

　　　　　　　　　推進派の人物が知事となることで、滋賀県側からの圧力はだいぶ減ったろうな」

.
169： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 22:59:58 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「また、滋賀県を動かそうとする五代の水面下での協力の要請も中井が一蹴し、

　　　　　　　　　　　　　ともかく状況は好転し始めたわけだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽ＼ヽ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 /　｀ヽ,.ィi{:::::_彡､
　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　　　彡'::::::=ﾆ三!
　　　　　　　　　　　　　　　〈ｨ_.ﾉ｀　｀ヾ;::;-､::::::::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　|! ¨ﾞ　,仁　 i⌒ﾉ:::::/
　　　　　　　　　　　　　从_､ヾ　　　 r':::::∠
　　　　　　　　　　　　　 ,.rー､　乂__ｰi _,.　＜二ﾌ--､
　　　　　　　　　　　　 /　ｰ-'､===<｀ﾉﾄ､　 /　 _＿___ |!
　　　　　　　　　　 r=/〈　 ==、　　 _｀)｢　)_/　 /＿____八
　　　　　　　 _八!　ゝ --ﾉ　 /　／　　　　´￣￣　 /
　　　　　　　　　 ∨∧ｰ-〈　　 ,/／　-=冖ﾆ二ﾆ=- }-- ＼
　　　　　　　　　　l//∧　〉　|￣　　--=≦　　　／__＿　 }
　　　　　　　　　　|//　　 У! !　　　　　／　,.　＜￣￣｀ヽ/
　／⌒ヽ　　　　人　　　　ノ.'-――――――――――――――――
／　　　　＼　　　　ヽ　／　 |
　　　　　　　＼　　　　ゝ|　　 |　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　I!　　　　丶　　/ .|　　 |　 |
　　 j从__　　　　＼{　.!　　 !　 !
　／　　　二ﾆ冖=-ヽ!　　 !　 !

;;;;;;;;;;;;;;:::;;;;;;;::'''',,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::'''';;;;;;／
:::'''''',,,;;;;;,,,,;;　 ''';;;;;;;;;;;;;;;;;|　ヽ;;;;;;;;;;;;;;/　容　　こ
　　'';;;;;;;;;;;;;;,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　 |;;;人 '',;|　赦　　の
;;;;;;;;;;;／;;;;;'',,,;;;;;;'''';;／;;/　　ﾉ;;/ ヽ;;;;;|　せ　　中
_,,／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／::::/　　彡　＿,,,,,,|　ん　　井
二,,_‐-彡彡_／彡彡　　,,-‐二-‐'''´）　！
　_,-i‐丈‐ｩ- 二＿＼ ∠ィ丈¨ﾌケ〈　　　　　弘
　＞｀'三ﾆ-‐'´:::::￣ヽ l::.｀｀ﾆ´‐´　.|;|
　　　　::::::::::::::::::　　　i　l　:.　　 ;　 |;;|
　　　:::::::　　　:::　　　 i　l　 :　　;　|;;;;|
　　　::　　　　　　　　　!　|　　　;　|;;;;;|＿＿＿＿＿
　　　::　　　　　　r ＜￣ﾌ　　 ;　/;;''''''''''''''　,,,;;;;;;;|
　　　　　　　　　ヽ--ﾆ'_　　 ,　/;;;　　''';;;;;;;;;;;;;;;;;|
＼　　　　　　r=ﾆ二三＞　 ,;' /;;;;;;;;;;;;;,,, ''''';;;;;;;/
　＼　　　　　 :::::::::::::::::::　　; /;;;;;;;;;;;;;;;;'　,;;;;;;;;/
　　＼　　　　 .:::::　　　　　' /＿,,,,　------- ､_
＼ ,,＿＼　　　:::::　　　　 /＿＿＿＿＿__,/　　）
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
170： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:00:31 ID:Yp41p5.k: 　　　「こうしたさまざまな紆余曲折を経て、疎水工事の起工の許可が下りたのが明治十八年、一月二十九日。

　　　　　　起工式は六月二日、三日の両日明治天皇の臨席が予定されていたものの帝ご病気で臨席中止となった」

　 /　　　､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　　　　　 /:::::｀ヽヽ　　　　　ヽ、
. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,
. l _,,.-' -.､　ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　　　　　　　 i
. l. /:::::ヽ .l　　　　　｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　「京都府民がっかり案件」
　l ヽ::::ノ　　　　　　　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /
　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　　､　　／　　　　　　／
　　i　 l　　　 l-―‐''´　　　 ',.　　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　　／',　　　ヽ-‐''"　　　　　　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　 .ヽ　　,.--..,,_　　　／　　',　　　　　 ,.-''"￣ヽ　 ./　　　／
　　　＼｀ヽ　　ヽ__／　　／ヽ.　　　　｀ヽ　　　｀ｰ'　　　 {
　　　　　＼ヽ　　　　　　　ヽ　　｀　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

本日此式場ニ臨ミ疎水起工ノ盛儀ヲ観テ恭ク天皇陛下ノ万歳ヲ祝シ奉リ
併テ京都府知事及ビ諸官員諸有志輩ノ励精尽力能ク其ノ前途ノ目的ヲ達シ
府下人民ノ為ニ永世庇益ヲ与エンコトヲ企望ス

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山階宮晃親王
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
171： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:01:02 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |　　　　　　　　　「この起工式を、京都市民は打ち上げ花火なども上げ、熱狂的に祝ったという」
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

家々の軒には国旗が掲げられ祭提灯に火が入れられた
八坂神社石段下から縄手の辻にかけてはさまざまな興行が打たれていた
（中略）
京都建築三組共同で作った「疎水トンネル」の模型を市民は群がって通行した
祇園からは二十人余りの芸妓が太夫の道中を模擬して八坂神社へ参詣した
夜になると四条西橋詰の難波亭の楼上が船形に作られて祇園囃子が賑やかに奏でられた
そしてこの日の一大ページェントは、八坂神社背後の将軍塚の中腹に描かれた「水」の字形だった
これは祇園の芸妓が紅提灯を持って描いた人文字であった　　　～京都インクライン物語

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　ひらけゆく　みよのしるしは　にほのうみの
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みずもかよはん　かものかはせに　　　　　　山階宮
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【にほのうみ】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　琵琶湖のことです
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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172： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:01:18 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　「余談ではあるがこの年の七月、降雨量が多い年だったせいで大阪は

　　　　　　　　　　　　枚方の堤防が決壊して大阪が広範囲な洪水に見舞われた」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、　　　　　　　　　「これの原因をすべて疏水工事に求める声が、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､　　　　　　　　　　　大阪において少なからず起こったらしいが……
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|　　　　　　　　　　　　まぁ日本には水害はつきものだから
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|　　　　　　　　　　　　　できていない疏水のせいにばかりされたわけじゃないんで」
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　「治水工事が進んでる現代でさえ水害はつきものだお。
　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　ましてその時代なんか推して知るべしだお」
　　／. 　　　―― 、　　　, 、―― 　　　＼
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ..|.　　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　　　 |
　　|.　　　　 ´"''",　　　　　"''"´ 　　　　 l
.　　＼. 　　　　（　　　 j　　　）　　　　　／
　　　　＼　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
173： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:01:33 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「ともかくも疎水工事は開始された」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 x=ミ、
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　　　　　　　　　　　　　　　 , '　　　／
　　　　　　　　　　　　　　, '.　　　／
　　　　　　　　　　 , '　　＞' ´
　　　　　　　　／＞'´
.　　　　　　　 -＜
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　「予想通りの、いや、予想を遥かに超える難事業ではあったが、田辺朔郎指揮のもと、着実に成果を上げていく」

.
174： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:01:45 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|　　　　　　　　「この計画にとって最も厄介な相手は湧き水だったという」
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.　-‐　‐- . . 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : :＼: : :.＼　　　　　　　　「湧き水？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/: ://⌒|:ﾄ、: ヽ: : : ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i/: :// 　　l:l　＼: :V: : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: ∧!≧ 　ﾘ ≦ ヾ:ﾘ:i: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ∧代ﾉ　　　代ﾉ　}ﾉ:/:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　'　　　　　 7 ）:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　「_ﾉ　　 , イ:/:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ヽ　_, ィ /: /: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: :| レ-=l :{ |: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐|: /天|／l: | ￣ミ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「　　ﾚ　/　　　ﾘ　　　ﾅ⌒ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i |/＿　〃　┌―‐┐/　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　l' ⌒ 'l　　　|/┬┤{{　　「￢￢∨　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　|-―-|　　　{ｌ　|　」 ||　　 |　|　|」ヽ　　　|ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　,ゝ- ｲ　　　|ヽ￣_　 || ヽ _￣　_　 i　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　{ ニミ、　 l　ﾍ　　　||　　　　　　∧　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ'ｴ`　ト、|　　|　　-||―　　　　/　| i　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ //　|Tヽ/　　 ||　　　　ｲ、　|}　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　　/〃/-┐　||　　　┌―{　ｌ　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒V　 /―/ 　 ll　　　　ト┬Ⅵ　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣// /　　 ||　　　　|　|　ﾘ＿＿ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// ./　　　||　　　　L⊥ 」l　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「￣　　　ﾊ|　　　　　　　｜　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　/:::||　　　　　　　｜　　 |

.
175： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:02:04 ID:Yp41p5.k: 　　「ことに、第一トンネルの開通作業の一環としてシャフト工事に当たったときは、

　　　　　　　　　　この湧き水に作業員も測量員も朔郎も皆泣かされた」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　　　 .｡＜/＜二≧s。_
　　　　　　　　　　　　　／ゝ＜　　　　 }＜ﾆ＼
.　　　　　　　＿__／　 /　ｌ　　　　 ,　＼　＞｡.
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　　,　　　　八　　}　　　}_
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　八　　 ,　 }　ｉ|　　　| |
　　　　　　　　　|　 |　　 i|,　‐ ∧　/ -/ミｔ､,　　　,
.　　　　　　　　 ,　 ,　　 ,x芹笊 ∨　 ,ｨぅ笊}　　 ,　}
　　　　　　　　　，　，　ゝ乂ソ　　　乂ソ/ 　 /
　　　　　　　　　　', 八　　 ,^¨^　　,　　^¨^ ,　　/ 　 }　　　　　　　　　　　「シャフトってなんでしょう？」
　　　　　　　　　ﾄ　　､分　　　。　　　/　ｨ∧77,
　　　　　　　　　　 V‘，＼{　　　　　　　/ ／ !/∧〈 ,
　　　　　　　　　 /　〈ﾍ {　 |　　{≧=≦},／|　 {∨,/
　　　　　　　 /　　 ^　　|　}/　/ ∨∧　　 i|　^　 ∧
　　　　　　 ,　　 ‐=ﾆ二,　/=‐‐{_}‐=≦ﾊ　 {≧=‐　　,
　　　　　　　 /　/二二二/ /二二二二二∧ ∨二二ﾊ
　　　　　 /　 {ニ二二/ /´ 　 ) {　　/ 7　∨ ,二ニﾆ,}　,
.　　　　　　　　ﾏ二二/ /‐=/爪(廴　～‐=∧ ∨二ニ,　，
　　　　　 /　　　_∨^ 〃 ‐‐,/⌒^ﾏ}r＜　　　　ヽ‘＜ﾆ/
　　　　 ,　　／／{　 /ィi　　{　　 /　　ヽ　　　 ∨〈　　〉　 ‘，
　　　　　 __) /　　' /{　廴ゝ　 ,　　　　〉　　　 }　∨/ ^ヽ　 ,

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　　　　　　　「アニメ会社かお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
176： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:02:25 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「シャフトってのは、『立坑』のことを言う英語で、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田辺朔郎がその著書『とんねる』で定義するところに拠れば

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『地盤より竪にトンネルまで穿った坑道で、地勢の具合では
　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼　　　　　　　斜坑の方が容易に其の目的を達し得られることもある』としてある」
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　, ; '::::￣:::::::ー‐-γｰ､
　　　　　　　／:::::::::::ノ:::::::::::⌒∨,へヽ＼
　　　　　　/:::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::,ﾍ Ⅵ .i::::＼
　　　　　 ;':::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::/　i∧_|::|:::::::`;
　　　　　i:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/￣￣￣|::Ⅳ:::::::i
　　　　　|:::::::/:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　 |::i::::|:::::::i
　　　　　|:::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　ﾚ:::::i:::::::|
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　　　　　|::::|::::i::::::::::::::::::::ｙr=＝､　　　 i i｡jヾi:::::j
　　　　　|::::i::::i::::::::::::::::::.《 i　oj 　　　ヽ_ｿi:::::/　　　　　　　　　　　「つまり『地表からトンネルめがけて掘った縦穴』ね～」
　　　　　|::::Y ∧:::::::::::ヽ |　ｰ　　　　　 | /
　　　　　|::/:::::::::＼:::::::ト |　　　　　　 `'　　ｉ/
　　　　　|/:::::::＼::::＼::::＼　　　　ー　'　／i
　　　　　ﾙ:::::::::::::::＼::::＼::::＞､　　　／:人|
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::|＼::::F‐--- イト／:::::|
　　　　 i::::::::::::::::::::::::::|／⌒i　|　|　/ /　i:::::i|
.　　　　i:::::::::::::::::::::::/／ ⌒ 　＼＼＼＼.i:::::|

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【シャフトの役割】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　１：地質の試験をするため
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　２：地盤が近いときに限り、トンネル内に外部から光線を採り入れるため
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　３：通風のため
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　４：両口と竪坑口から掘削して施工期間の短縮を図るため
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　５：掘削費の低下を図るため
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　　　　などといった効果、利点が期待できます
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
177： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:02:46 ID:Yp41p5.k: 　　　「疏水工事にあたっては、このシャフトが第一隧道、

　　　　　　つまり大津町の第一隧道東口から、藤尾村の第一隧道西口に至る２４３６ｍの距離、

　　　　　　　　　　　　　　その三分の一程度の地点付近に穿たれる計画だった」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「琵琶湖疏水の工事に関する図面などがこちらになります」

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|　　　　　　　　　　http://file.gazouup.syoyu.net/94caccc8.jpeg
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/　　　　　　　　　　http://file.gazouup.syoyu.net/ad813e2f.jpeg
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

.
178： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:03:15 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「このシャフト工事が進むに連れ、つまり地面を掘り進めるに連れ、湧水は次第に激しさを増していく」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l＼　　　　　　　,┌:,　　　　,!'|　　 `　.oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　| !ヽ. ,、.　|＼_|｜　o　j　 i! i　　 ,-､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! .| l l.｜ﾞi .｜｢｀ヽ`i　　 {　｜|　 /　　/oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　| l_|！ l └′/,/:、 ,ｨl!　l! {’,/　 ;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! ヽ､　｀''　　oﾟ｀　 Yl!|:　 | |./　 /oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　r 二ｺ　　.j|　、ﾞﾘN: ;　!li└ヽ/ ／ﾞ:、oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　　}'′　　　　i　 ;}|!　／　 ,丿oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`'　　　oﾟ｡ﾞ!　　, 　 ''′ ,. !／ _,,.-''oﾟ｡ﾞ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　（''゛ j! ..:;;:=＝-:、　ﾞ''"ｨi {ヘ!,l　.oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃’ :; {`' ,ｨ゛ '′.　）　jj｣li|liY､勹oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　О j∨il!ｨ' ｛’　　　　　へヾ;;イ oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞハ！　;. ﾞ:、　　　 j| 　 '/'}′　o
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　oﾟ｡ﾞχ' ,j､l!　/ ､　　 .,-＝=,il{ ,ﾞ!j!;|oﾟ｡ﾞ。ﾟ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫o ﾟ {`' ,ｨ゛ '′.　 (　jj｣li|liY､○oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　jγil!0' О　　　　　へヾ;;イoﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ’　○' ,j､l!　/ ､　　　　　., ,il{ ,ﾞ!j!;|oﾟ｡ﾞ：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞハ！　;. ﾞ:、　　　 j| 　 '/'}′oﾟ｡ﾞ，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しﾞ:、 i,'　ﾞ:、 ,,., 　 ′彳ﾚ／oﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丶､v{　ﾋ!　　　i!||il.　　 , 八Ｚoﾟ｡ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __　　 _,ゝ､;_　　　゛:|!　　ﾞ ,rｶ　￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　￣｀ζ｣'(´ ヽ　　j!　゛　,ィ彡′_.. -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆﾞて∠rιｸ_;.,､_,ｰ-'＾- =ﾆ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆ = 二ニ = ﾆ二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー一
　　　/　　　　　　　／＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾ヽ　　ﾞi
　　/　　　　　∪ /　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi　　　ﾞi
　/　　 |　　　 /　_....r-ー'―-‐‐‐‐‐‐‐--ｰ--ﾞi　　　ﾞi
/　　　 |　　　/ ,'ｒj―'''`''‐‐ ､ _.|..| （､,,,-‐''´｀ヽ_ﾞi,.　　ﾞi
|　　　　|　　/ | 　 ,‐'ﾞﾞﾞﾞﾞヽ　　 / / ﾉ ./´￣｀i　.|ｌ　ﾞi　　|
|　　　　|　 /　|　〈　　・　〉　　　　　〈　..・　） |ｌ'、ﾞi　　|
|　　　 |　/ﾄ　| 　 `-..,,..-′　　　　　 `-....-′|ｌ'、,,'ﾞi　|
|　　　　!/ i ﾄ│　　　　　　　　　　　　　　　　.|ｌ'、､ﾞi　|
|　　　　く | ﾄ　|　　　　　　　　　　　　　　　　 |ｌ'、ｌ ' 　|
ｲ＼　　＼ﾞ＼ｌ　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ'、ﾊﾞi
　　＼　　　＼<ﾞ‐‐ｰ、　　　　　　　　　..ｨ´´　　　〉 /
＼　　＼（⌒）　ヽゝ｀ゝ‐‐‐､､_____,,-‐''´、　　ﾍゝソ丿
　　｀''-､ﾞﾞ"＼＼　＼　　　　　　　　　　　　-`ｰ､　／ `
　　　　ヽ＼　｀''-､＼＼　　　　　　　 ´ﾞゝ､　／
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　「滲み出す水、吹き出す水、噴出する水……水脈を掘り当ててしまえば土砂を吹き飛ばすほどの勢いで放出する」

.
179： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:03:30 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「こうなると、水を汲み出さなければならないわけだが、

　　　　　　　その汲み出す作業の労力は当然ながら現場作業員に求められる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ__　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',　　￣　Y: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ　　　　　　　　　　　　　「まさか手作業？」
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
180： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:03:49 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　「一応道具はある……が、排水設備と呼べるものじゃない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　　　　　　「一時間に五十トンもの量で湧き出してくるその水を掻き出すのは、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ただ水桶と人力のみが頼りだった」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　「ヒエッ」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
181： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:04:10 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「何十人もの坑夫が組み上げ道具であるつるべ式の一石水桶……

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『マイタマイタ』と呼ばれる設備で手作業で汲み上げを行うんだ」
　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

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　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　 l ´｜￣ | ￣八｀　　　　　　 ´i| ￣￣　 7ミ　 ,
　 ,　　　　 il　 i|　　 |　　　　，　　　　　　 /　　　 /　　　,
　，　　　　　ｉl　 i|　―|　――　,　　　　　　　/　―― / ―　 ,　　　　　　 /
　　，　　　　 ,ィ笊芋芋云ミｔ､，　　　　 ,　,ｨ爪芋芋笊ミ､　　　　　　　 //
.　　，　　　　〈(　h {////(　　　　，　　　 /　　h {////(　　)〉　　　　 ,///
　　 ∨　　　　＼乂⌒^)Z少　　　　､　　 ,　　乂⌒^)Z少／　　　　　　/〈//　　　　　「マイタマイタ？」
　　　 ∨ 　　 ∧　^¨¨¨¨^´　　　　　＼　/　　　｀^¨¨¨¨^ /　　　　　　 /　∨/
　　　　 ,　　　　∧　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　 ,　　　　　 ,　　ﾏ/
､　　　，　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　 /
　，　　 |　，　　入　　　　　　　　　 '　　　　　　　　 /　　　　 /￣',
　〉　　i|　　，　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 ,　∧ ∧
. /　〉　i|　　，　　|　　　　　　　　　 ´ ｀　　　　　　　 /　　　　／　 |!∧ ∧
/　/,/，|　　　ヽ　ｉ|　　　〕ト　　　　　　　ィｉ　　/　　　 ,　　　 |/,∧_∧
/7///Ⅵ　　　＼,　　　　 |二＞　　　　　＜二|i　/　　　／　　　 |//////
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////,/ i|i　　　　　 |/　　　　 ,/　/二二ﾆ∨∧　／　｜　　　　　　 |i ∨//

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182： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:05:40 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　 ,,..-――-..,,_
　　　　　 .,,-''´　　　　　　　｀ヽ
　　　　　／　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　,'　　　　　　　　　　　　 ',　　　　　　　　　「人力で一石水桶を上げ下ろしするためには
. 　　　 l　　　　　　　　　　　　　 ',
.　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　作業に当たる坑夫全員の息があっていなければいけない」
.　　　　 l 、　　./　　　　　　　　　 |
　　　　　{__ヽ　〈　　　　　　　　　 |
.　　　　ヽ｀tj、ヽ‐イひ"７　　　　　 |
　　　　　 l ｀´）　　｀￣　　　　　　　　 ',
　　　　　　 ',　/　　　　　、　　　　　　 ',￣ヽ
　　　　　　 .ヽ{　ヽ、　　　l　　　　　 |　　　.', 　 ',-.､
　　　　　　＼-' ｀"''‐''′　　　　 l　　　　l　　',　ヽ
　　　　 .,.-''　 }ヽ-‐　　　　　　　/　　　 /　　 .}　　＼
　　　　..／　　　 |　　　　　　 /　　　 /　　 ./　　　　｀''-..,,_
　　　 l´　　　　　l　　　　　／　　　 /　　 ,'　　　　　　　　　｀''-､
　　 ./　　　　　/ ヽ.__l＿＿／　 _,,-''"´　　　.l
. 　 /　　　　/__　　　｀ヽ、　　 <-､　　　　.l　　　　　　　　　　　 __
　 /　　　　　 |　＼　　 /ヽ、　ヽ＼　　　.l　　　　　　　　／
. /　　＼　 |　／＼　.,'　　 ',　　',　.l＼　　 |　　　　　　　　　 /
　　　　＼レ'　　　.〉 l｀ヽ、 l　,.-| .|　＼　|　　　　　　 /
|　　　　　　 | 　　／　.|　　ヽ_ノ /　l　　　ヽl　　　　|
|　　　　　　 |　　　ヽ　　l　　./ ／　.l　　　　　　 |
.|　　　　　 |　　　　＼ヽ　/.<　　　.|　　　　　　　 |

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【一石】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　百升が一石です。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　一升が1800mlで水にすればおよそ1.8ｋｇですので一石水桶の中にはおよそ180kgが入ることになります。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　これに桶の自重や綱などの重さが加われば200kgは軽く超えたものと思われます。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　　　当然水をこぼしてはいけませんから、力と精神力の両方の負担は大きいでしょうね。
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
183： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:06:11 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「音頭取りが声を張り上げて『苦心の涙雨と降る　汲めば汲むほど湧いてくる』と歌えば」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(●.) (● )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |　　　　　　　　　　「桶を引き上げる坑夫たちが
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　『ヨーイと巻いた　ヨヤ巻いた』と声を合わせて応じ、
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、　　　　　　　　　　　　合力し水桶を釣り上げる、故にマイタマイタだ」
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ‐､
　　　　　　　　　　　　　,ィ　／ﾍ::::iﾆ`=､　_
　　　　　　　　　　　／　／／　.|::::|::`Y::::ヽ:::::ヽ
　　　　　　　　　／:::::.//:::::::ヘ|::::|::::::::::::::::＼::::＼　　　　　　　　　　　「とても大変そうですねぇ」
　　　　　　　　/:::::::::.//／ヾミ∨彡∨:::::::::::∧:::::::
　　　　　　.　 /:::::::::::/　　　　　　　　 .∨:::::::::::::∧:::i
　　　　　　　/:::::::::./　　　　　　　　　　.∨:::::::::::::∧::l
　　　　　 .i:::::::::::ト‐-- '　　　　　　　　.∨:::::::::::::::|:.}
　　　　　　 |:::::::::.| ｒtｪs､　　　　､.　　　　}::::::::::::::::::|il
　　　　　　 l:::::::::.l. 　辷　　　　　　￣`ヽ |::::::::::::::::::||
　　　　　　 ∨::::.|　　　　　　　　'´气ミ､│::::::::::::::::il
　　　　　　 /:::::::l.　　　　　　　　ヾノ仆.::::::::::::::::/
　　　　 /:::::::::ﾍ　　　`　　　　　　　/::::::::::::::::::ｲ
　　　　　/:::::::::::::.∧　 ´` ‐-､　　　 /::::::::::::／::::.|
　　　.　/::::::::::::::::::.ｒヽ　　　　　　　,ｨ'::::::::.／:::::::::::|
　　　　:::::::::::::::::::::.`Y　＞-　＜　 /::::::イ::::::::::::::::::|
　　　 i::::::::::::::::::::::::|　|　|　|　|　彡Y‐-､::_ __::::::::::|
　　　　|,　ｨ=　￣イ　/　|　|　 |　| 　　/´ 　　　ヽ::|
　　 /　　/　/ 　/　/　.|　|　　| 　| 　.{　　　　　　＼
　 /　　./／　 /　 /　 /　 |　　|　| 　.|　　　　　　　＼
. /　 .／　/　/　 /　　/　　|　　|　 |　|　＼　　　　　　＼

.
184： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:06:32 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「第一隧道に穿たれようとするシャフトの位置は小関越のやや南あたり。

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　このあたりはもと渓谷の間にある田んぼだった。
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |　　　　　しかも渓流が横たわっている」
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://　　　　　　　　　　「この印近辺だと思ってくださいね」
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／　　　　　　　　　　　　　　http://file.gazouup.syoyu.net/2f52860d.jpeg
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185： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:07:01 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「昼夜となく途切れることなく続く坑夫たちの『マイタマイタ』の歌。

　　　　　　　　　　　　　汲み出すとも汲み出すとも湧き出る水はそれを凌駕する」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　i三三三三三三三三三三三三三三三三三三ヨ7
　　　　∨三三三三三三三三三三三三三三三三三三|
　　　 |>､三三三三三三三三三三三三三三三＞'"　.i
　　　　 i　､`＞ミ三三三三三三三三三三三彡'￣　　7
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　　　　 _',､三≧ｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮｮ≦三ﾖ,',--､
　　　 7 -',::::ﾍ三三三三三三三三三三三三三三:／,', -､ﾊ
　　　 i,　ヾ',::::::＼三三三三三三三三三三三三／: 7　 ,'./
　　 ,==', -､',:::::::::／__ﾉ',三三三三三三三三＞'::::　 7　//ヽ
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「もはやシャフト工事は事実上中断され、水との戦いに専念せざるを得ない。

　　　　　　　　　　　　朔郎は迷いと絶望と後悔に引きずられそうになる。

　　　　　　　　　　　　　　疎水ルートを誤ったのではないか。シャフト工事を諦めるべきではないか」

.
186： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:07:20 ID:Yp41p5.k: 　　　　「この時期の朔郎は、幼少の頃、追い立てられるように逃げたあの幸手への道行きを夢に見たという」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　 |:::,,--─────‐,=、─────-､j::ﾄ､
　　　　　　　　　　　／::{＿＿,-────廴ﾒ───--､＿__}::|::::＼
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.　　　　　　　　　／::::::::: | ﾄ,弌T卞千‐t 气圭圭圭≧ミ=ｧrtZ/://! }:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　r'´:::::::::::::: { ヾ} |::! :ﾄ､＼豸爿圭圭圭圭/ｲ::｀i::ｲfチj:::::::::::::::ﾉ::
　　　　　　　　　　|:::::::::::＼::::ﾄ､弌|::i　}´＼,乂く圭圭圭ｦイ／ぐ　!::ﾋ´,ｲ::::::::::／:::::
　　　　　　　　r‐ぐ::::::::::::::::＼:::ゝ_j::|　'､。｀j:≧三圭≦匕。_ノ　ト-':::::＞＜:::::::: :
　　　　_r＜´::::::::〈⌒　⌒ｰ＼::::: } u ￣￣::::::'´　ﾄ｀:::::..　　U　j::r‐'´::::::::::::::::::::::
　　　／::::::::/⌒　人　　　 ; )＼人　　U　　　 r‐j　　　 u　 /ｲ::::::::::::::::::::::: ／
　　／::::::::: ｲ　　 ,' 　 ' .　　　 ⌒ﾒ＼＼　　　　ゝ′　　 u ／:::::::::::::::::::::::::／::: :
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　　　　　　　「むしろ旗や竹槍を振りかざした野盗の一群が大地を蹴り、官軍だぁッとわめきまわっている。

　　　　　　　　　野盗共は衝立のかげに身をひそめている幕臣の子をめがけて襲い掛かってくる――そんな夢だ」

.
187： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:07:45 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「だが朔郎は、右手に握りしめた短刀の柄の感触や、

　　　　　　　　　　　　その後、かつての召使の下で下女のように働く母の姿から学んだ忍従、

　　　　　　　　　　　　　そして北垣からの信頼を支えに、折れることなくこの工事に当たっていく」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　『田辺をして担当の主と定むるに　さらに懸念するところなきなり』

　　　　　　　　　　　　　　　　　/"ﾚ　　　 i(（ﾚ（（ヽ､､　）'",r,,,, ｿ彡''"　　｀i,
　　　　　　　　　　　　　　　　,r（（（　（（（ヽ｀｀＼) |Y|彡>/r""''"彡ニ＝-､､）
　　　　　　　　　　　　　　　､|(（入（（ヽヽヽ"r"）ソﾘヽ,ヽ,〉ヽヽ　ミ　　ヽ ~'-､
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ~ZY'」（⌒ﾊﾊ　i　　　ヽ 7}ヽ }} 〉　ミ　 ''ｰ-'"）)
　　　　　　　　　　　　 t"ヽ,| 〉iヽ､,（（t　| ,,,　::::｀| { t | ﾘt　三　　　　ミ'-､
　　　　　　　　　　　　 t彡,|〈〈 {〈ヽ､ヽ, t:::"::　〉 t､|ト{ヽﾐ三 ~'＝'"　））ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　､t,ｼti yY'i乙~' ､ヽ;;;（t'､W''';;;;ニ二~ヽ~'ヨ三ヽ　ｿ､,,
　　　　　　　　　　　　　 (ﾆﾂi {i>ヽ;;;''';;;;;;zi''''"'''tiマ"""~~~'''ヽ　 i　'ヲ､= ）ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　（iii|ヽ >ｰ''"~ ﾗﾘ　　~" "''iﾆ,i~', {''ｰ､~'|　rﾉ||,ii ｀|iiﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　 {{Yti'々r'ﾏ（,ﾘ'"'　　 ,,,, ヽ ,} 〉ヽt__::{ /ﾆ'リi||　ヽ､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ,　 t::ヽ　　ヽ;;,,,　　　　／::: :::::　　//| i | ／tヽヽ　 t ヽ
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
188： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:08:08 ID:Yp41p5.k: 　　　　「その朔郎に、遠く九州の地の同志より知らせが来た。

　　　　　　　　　　手紙の主は三池鉱山勝立炭鉱主任である團　琢磨という人物だ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　＿＿　　　　　　　　　　　　　　 |ｰ＜　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : :／　　　　　審　こ　俺
　　　　／　l l　　　ニﾆ!　 |　　　　　　 | ／　　. : : : : : : : : : : : : : : : : : : :く　　　　　　査　の　達
.　　　（　　　　　 └‐┐　|　　　　　 ,.イ　　 .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼　　　に　レ　は
　　　　｀　　　　　　亅　| 　　＜　　　 .:: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼　　は　 .ベ　・
　　　ｰ┼‐ｧヽ　　　　　　つ　　　}￣´. . . .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :）　　　・　ル　・
　　　　ﾉ　ﾉ　　　　ｰ┼‐ｧヽ　　ゝ＿　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :）　　・　　の　・
　　　　　　　　　　　ﾉ　ﾉ　　　「　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼　・
　　　　ﾚ　）　　　　ｰ┼‐ｧヽ　　ヽ＿　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/! i : : : : : : :.＼＿＿__　＿＿_／
　　　ｰ┼‐　　　　　ﾉ　ﾉ　　　　.ト＜　　 : : : : : : ／/:／/: : :/: :／ :.イ八j: : : : : : : : : : : : : イ／
　　　／|´　　　　　　 i＿ヽ　　　ヽ　 : : : : : : : ハ≧ｭx厶イﾉ≦斗＞r戈: : : : : : : : : : : : : 彡
　　　ムヒ　　　　　　）　　　　｀＝‐ : : : : : : ﾄ炊 rﾊ　Vー＜ゝ彡ｲ: : : : : : : : : : : :＜
　　　月ヒ　　　　ー'　　　　　　　ﾄ､＿: : : : : :乂　｀¨ﾉ　　　　　　ヽ: : : : : : : : : :弋￣
　　　ナ､　　　　　　ナ､　　　　　　 |　　く: : : : : : .个く　　　　　く＿ /: : : :_戈／
　　　　 d､　　　　　 d､　　　　　 }　　ヽ彡イ圦　ヽ　　　　　　　　/ ｀￣´!
　　　　 / 　　　　　ﾚ　）　　　　　　　　　　＜:_∧ 　ｰ=＝―' 　　 /　　　 |
　　　 /＾し　　　　　千口　　　　　 |　　　　　　　　　＼　｀￣　　／　　　 |
　　　ナこﾞ　　　　ﾉ|ヽ王　　　　　:l　　　　　　　　ヽ＿　＜　　　　　　 |　　　　　　　【團　琢磨】
　　　 ├　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　 |
　　　　C!､　　　　　　　　　　　　　　 l／/　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 |＿
.　　　　「}　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　＿r‐| 　　　　　　　　 |.:.:ﾉ＼
　　　　 i」　　　　　　　　　　　／　　　　 x≪イ＿ﾝ! 　　　　　　 _,,.x≪.:.:.:.:.:.:.＞､＿
　　　　ﾛ　　　　　　　　　　　　　　 /　　,...　 r＜.:.:.{.:.:.:.:| ＿ノ　　　　 ,..､　x≪.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾞ:..､

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「この人物、官営三池炭鉱で新しく掘り進められる坑道の責任者となった男だ」

.
189： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:08:29 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　「三池炭鉱では、明治十二年来、坑内の湧き水がにわかに増加し、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　多いときには一分間に二百八十リットルにもその水量は達していた」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ__　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',　　￣　Y: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　「第一シャフトの三倍以上……。
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ　　　　　　　　　　　　　マイタマイタがいくつあっても足りないわね」
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
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. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
190： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:08:58 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　「旧来の排水設備ではとても追いつかず、蒸気ポンプを使用するが、

　　　　　　　　　　　　　その湧水量は排水ポンプの性能を凌駕し、ポンプは水没し、何台も壊れていった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　 __rz[[l　　　　 |　　　　 __「L_[[l
　 __「L_[[l　　　　　　　└ｚｫ」　　　　　 |　　　　l__　 _　|　　　　　　　　　 __rz[[l
　l__　 _　|　　　！　　　 [[l/〉　　　-‐=＝　　　　 L| ｌ_j　　「ｌ　[[l　　 └ｚｫ」
　　 L| ｌ_j　　　､人 /’　　〈/　　r─ -r──ﾐ　　　[[l/〉 |￣　￣ｉ　　　　　[[l/〉
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　　　　　　　　　　　　　　　　　／///.ィi〔/ｲ///ﾄ }:!､ﾉ
　　　　　　　　　　　　　／　{////＞ ’/////:ﾄ }:!′
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　￣￣　　 {///厶ﾍハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　！廴
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚヘ.ｿ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　「幾度も幾度も同じことが繰り返された。朔郎のように團もまた、湧水との戦いに疲れていた」

.
191： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:09:29 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「同じ敵を持つ團と朔郎は幾度かの手紙のやりとりを経て、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　朔郎が指揮する長等山のシャフトで相まみえ、励ましあった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
三＞‐'''￣￣￣￣￣¨‐＜三
　_　 -──────‐-ミ
　　 _　-‐─────- ミ
/≦三才二三三∧　V三三
;:≦／ゝ､ミゝ三三ヽヽ三三
:;:;∧彳´　＞＜ﾆ三/_ }三三
:;/　　　.∠ -‐・ﾌ　i }　￣7
　　彡　ヽ -‐ '　／　　 {､
　　　二　　´ 　#　　　　　ヾ
　　　　　　Ｕ　　-‐ 　　＿_
　　　　　　　　　　　／　／
　　　　　　　　　　　｀¨´　:;
　　　　 ∠二ニ≡＝一- ./
ー-------- ､　　　　　 /ｨ
ヽ＼ヽ　{ V }‐ ＼　　「´j i/
///≧ >ｰ- ト､ヽ ', ./ }.／-
　ヾヾ////≧､.＼ Y:≦ヽｲ/
　　　　ゝ＜////＞、}／ }//
　　　　　ヾ　｀Ｔ＜/////;ｲ

　　　　　　　　　　　　　　　 }￣´. . . .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/! i : : :
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　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 : : : : : : : ハ≧ｭx厶イﾉ≦斗＞r戈: : : : : : : : : : : : : 彡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＝‐ : : : : : : ﾄ炊 rﾊ　Vー＜ゝ彡ｲ: : : : : : : : : : : :＜
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

「田辺くん、君もかなり弱気になっていますね」

「團さんでさえなにか手がかりを得ようとこうしてここまで出かけてこられるくらいですから、
　未経験の私など実際自信をなくしてしまいます」

「あなたが自信を失くしちゃいけない。トンネル掘りに湧水との戦いは必定だ」　　　　　　～京都インクライン物語～

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

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192： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:09:47 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　＿＿　　　　　　　　　　　　　　 |ｰ＜　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : :／　　　　　審　こ　俺
　　　　／　l l　　　ニﾆ!　 |　　　　　　 | ／　　. : : : : : : : : : : : : : : : : : : :く　　　　　　査　の　達
.　　　（　　　　　 └‐┐　|　　　　　 ,.イ　　 .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼　　　に　レ　は
　　　　｀　　　　　　亅　| 　　＜　　　 .:: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼　　は　 .ベ　・
　　　ｰ┼‐ｧヽ　　　　　　つ　　　}￣´. . . .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :）　　　・　ル　・
　　　　ﾉ　ﾉ　　　　ｰ┼‐ｧヽ　　ゝ＿　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :）　　・　　の　・
　　　　　　　　　　　ﾉ　ﾉ　　　「　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼　・
　　　　ﾚ　）　　　　ｰ┼‐ｧヽ　　ヽ＿　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/! i : : : : : : :.＼＿＿__　＿＿_／
　　　ｰ┼‐　　　　　ﾉ　ﾉ　　　　.ト＜　　 : : : : : : ／/:／/: : :/: :／ :.イ八j: : : : : : : : : : : : : イ／
　　　／|´　　　　　　 i＿ヽ　　　ヽ　 : : : : : : : ハ≧ｭx厶イﾉ≦斗＞r戈: : : : : : : : : : : : : 彡
　　　ムヒ　　　　　　）　　　　｀＝‐ : : : : : : ﾄ炊 rﾊ　Vー＜ゝ彡ｲ: : : : : : : : : : : :＜
　　　月ヒ　　　　ー'　　　　　　　ﾄ､＿: : : : : :乂　｀¨ﾉ　　　　　　ヽ: : : : : : : : : :弋￣
　　　ナ､　　　　　　ナ､　　　　　　 |　　く: : : : : : .个く　　　　　く＿ /: : : :_戈／
　　　　 d､　　　　　 d､　　　　　 }　　ヽ彡イ圦　ヽ　　　　　　　　/ ｀￣´!
　　　　 / 　　　　　ﾚ　）　　　　　　　　　　＜:_∧ 　ｰ=＝―' 　　 /　　　 |
　　　 /＾し　　　　　千口　　　　　 |　　　　　　　　　＼　｀￣　　／　　　 |
　　　ナこﾞ　　　　ﾉ|ヽ王　　　　　:l　　　　　　　　ヽ＿　＜　　　　　　 |
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　　　　C!､　　　　　　　　　　　　　　 l／/　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 |＿
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　　　　ﾛ　　　　　　　　　　　　　　 /　　,...　 r＜.:.:.{.:.:.:.:| ＿ノ　　　　 ,..､　x≪.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾞ:..､

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「その後、團はますます水量を増す湧水に対処するべく、排水について米国に学びに飛んだという」

.
193： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:10:17 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「その後、團から使用感や運用における注意点を学んでおいたイギリスから新式の蒸気式排水ポンプを獲得し、

　　　　　　　　　　　なんとか朔郎指揮のもと、シャフトの排水は目処がたった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

三三三≧､
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　　　　＼三ﾖ|
三ョｮ-､　ﾍ三i
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､_　　＼　　ﾍ 7 ∠ ／='"＿　ﾍ,　',i,
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「この排水ポンプは『スペシャルポンプ』と呼ばれるもので、期待通りの性能を示してくれた。ようやく光が、さした」

.
194： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:10:38 ID:Yp41p5.k: 　　「こうして地表五十メートルの深さのシャフトは穿たれ、

　　　　　そのシャフトを起点として、作業が進められている第一隧道東口、西口へむけてトンネルを掘り始める」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -=テ` ‐--ｪ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, イ　　　　　　　ﾍ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ-　__　i/y　　　　　〉　 _, ィニﾆ.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾔ√’ィヽ､ヽ､　　　　 ≧´...＿＿　　ヽ -　-　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ',ィﾆヽⅥ>-/　　　　　　　　　　｀`ヽ､　　　　ﾔ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅵ_,ｪﾂf　./／　,　　　　　　＼　＼　　ﾔ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ-ﾍﾉ //　／　　　　　　　 ∧､　＞,＞､　　　　＿＿＿＿＿_
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　　　　　　　　　　　　 ,i i, ヽ､j　ﾍ,　　　　　　　,ｲ_'"￣￣　`　　　` ー ------- ､｀　　　　ﾊ　　　　　　　　　　　　　ﾊ
　　　　　　　　　　　　ヾ､　　 ,ｨﾆニi＿＿_, -‐≠-､＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　ｷ__>　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 /　　　　　　ヽ＿　　　　 ∧＼　　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣`ヽ′／　ヽ､　　　　　` - ′　　　　＞'"､　　　　　　＼　　　　＼　.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　_, -‐テ￣`　　　 ',　　　　　　`　　　　　　 ≠
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　/　　　　　　　￣ﾍ￣　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　/',
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ≠７　　＞､　　　　　　　　　＞､　　　￣　 ≧ｪ　､｀＞--　　　　　　 7 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : i≠',　　i　　＞---＜　　　　　　＞､　　　　　　ﾍ　　　　　　　　ノ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : :i　 .∨ﾍi　　　　　　　＞=-テ´　＼　.Ⅵ　　　　　 |　　　　　＞'"　　j
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　　　　　　　　　　　　　　　　＞､ :＞､: ／　　　　　　 Ⅶ　　　　 /　　　／__/　 jヽｪ､_＞---- '　　 ∨　　　　_, ／./ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ヽノ　　　　　　　　＞----'" ＞　､/　　　ﾍノ　 j　ﾊ　　　　　　　　ﾔイ￣ﾍ - 彡,'ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ_,／　ﾉ　　　　　　　　　　　　　＼//i∧__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_/　　　,ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ==ヲヽ､
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「その後第一シャフトで得た経験を踏まえ、第二シャフトが穿たれることとなる」

.
195： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:10:58 ID:Yp41p5.k: 　　　「琵琶湖疏水の最初の難作業、第一隧道のうち、

　　　　　　第一シャフトと西口が貫通したのは結局明治十九年七月九日、午後七時のことだった」

　 /　　　､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　　　　　 /:::::｀ヽヽ　　　　　ヽ、
. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,
. l _,,.-' -.､　ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　　　　　　　 i
. l. /:::::ヽ .l　　　　　｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 |
　l ヽ::::ノ　　　　　　　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /　　　　　　　　「マイクラでもあるまいしよく繋がったもんだお」
　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　　､　　／　　　　　　／
　　i　 l　　　 l-―‐''´　　　 ',.　　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　　／',　　　ヽ-‐''"　　　　　　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　 .ヽ　　,.--..,,_　　　／　　',　　　　　 ,.-''"￣ヽ　 ./　　　／
　　　＼｀ヽ　　ヽ__／　　／ヽ.　　　　｀ヽ　　　｀ｰ'　　　 {
　　　　　＼ヽ　　　　　　　ヽ　　｀　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ

.
196： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:11:19 ID:Yp41p5.k: 　　　「西口と第一シャフトから掘削を始めた穴が、

　　　　　　　　　ほとんど狂いもなく繋がったことは、田辺朔郎や測量員たちの苦心の賜物だった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　 ,.. -‐‐ 7777777‐-.､
　　　　　　　　　　　　　　/////////////////ヽ
　　　　　　　　　　　　　 <//-‐‐ ..＿//////////ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ｨ{￣ｲﾋ._─ -- ｀¨二ﾕﾄ､/へ、
　　　　　　　　　　　_..ィ//{三二ニ二三＞ﾆｺ ,.-､////＞､
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　　　　　　　 .////////ゝ∧・_i｀¨ﾍ．｀<´ .ヾ_ ィ////////ヽ
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　////}//////////////｀＞、　 }　　　ヾ///>'///////ヾ　　 }::}i/
　ゞ////＞ ´￣￣ 77///＞´ .＞i　　　 ///ｲ////////´ 　ヾ i::} i
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197： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:12:12 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「実測の結果、第一シャフトからの中心線が西口のからのものより１３．５mm北にずれ、

　　　　　　　　　　　　高低の誤差は６mmあった。いや『それしか誤差がなかった』というべきだろうな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
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　　　　　　　　　　　　「七百メートルも離れた場所から別々に掘り始めた穴が、

　　　　　　　　　　　　　　ある日、山の中で出会うなんて、そんなばかな、と。

　　　　　　　　　　　　　　　　そんなことができるものか、と、多くのものが疑っていた。」

.
198： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:12:52 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「京都市民にしたところでその疑念は持っていた。

　　　　　　　　結局のところ巨大な無駄金を使うだけではないかと、思ったことがないものはいなかっただろう」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　久　r≦八　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':.:.＞＜￣＞:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　乂.><´　　｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i／／＾＼　　　＼:.:.:｝
　　　　　　　　　　　　　　　　＿〔　ｭ　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／｀　　⌒＼　　 .ﾏ'
　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒｀ヽ |　　｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　符　　符　l　　|.｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　ヽ　　　　　　　　、　 _　　　　　　　 |ﾘ　ｌ　　　 l　　|.｜
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　　　　　　/三三三三＼.　　　　　 |　　　　　　 ’-彡元<・><・>ｈ≧=-⌒　　　 |　　　ー　　，　-≦　＿＿＿＿　≧-
　　　　　／＾　　　　　 V≧=-　　　　　、　　　　　　　，⌒ヽ〈　　 |ﾉ￣.　　　　　 |　　　 |　　 |　/　／―――――＼　ヽ
　　　ァ´ | 近　　近　　Vﾊ Z　　　　　-ｧ、　　　　　 |　　　l　ﾜ　/| ⌒ヽ_　　　　 |　|-〈　　　 | ,’ィ　,　　　　/　　　　ヽ/
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　　　　斗　　、＿_　　 ,　 '　　　　　　|　　　　　　/ 乂＿＿乂_ ＿＿　　　　 '　-≦　　　　　 .|　 | ｀´　　　｀´　　∨、　｀ヽ
　　＼　 ≧ｓ　＿ｓ≦　'　　　 |　　 |　　　　　,　　--::::::::::::::::::::::::::::く　　　　　　　　　 /　　／　|　　 "　- ┐　　/ 人　　ハ
／￣／　、　　　　　　,　　　　 | 　　　　／　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼_　　'　　　　 .人　 '. 　人　　ヽ⌒ ﾉ　　ー　　　　リ
⌒Y　　　　 ,　　　　　　'　　　　　,　　　　／|　｀⌒:::::::::::::::::/＼:::::::::::::::::〈　　|　　　　　 '　　ヽレ　　　＼　 ¨　　／　　レレ／
／〉ﾑ　　　　 ,―― '　,　　　　|　　、.　　　　|　　l::::::::::⌒::/　 ⌒、ヽ:::::::::'　　、　　／ ----　｀　　、　　　―　　　、　　|
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　「だが、西口―シャフト間が文字通り『寸分の狂いもなく』貫通したことを知らされた京都市民は驚き、再び熱狂した。

　　　　　　　　これならば疏水工事は必ず成るだろうと信じるようになった」

.
199： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:13:08 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
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　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　「その後も、多くの苦労や困難、
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　　　そして人命の犠牲を払いつつも第一隧道での作業は進められ、
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　　　明治二十二年二月二十七日、ついに第一隧道は繋がった」
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

午後十一時二十分、最後のダイナマイトが炸裂した。
東と西から、坑夫たちが一斉に、土煙をあげる中央の穴へ駈け寄った。
朔郎も駈けた。向こうから島田が駈けてくる。
見交わす互いの目に、涙の玉が浮き上がっている。
言葉はいらなかった。　　　　　　　　　　　　　～京都インクライン物語

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
200： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:13:31 ID:Yp41p5.k: 　　　　「こうして第一シャフトに着手した明治十八年八月八日より三年六ヶ月と十九日。

　　　　　　　　　　二千四百三十六メートル、当時日本で一番長いトンネルが開通した」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,)´　　　　　，

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　 '　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ ´，

〃'　　　　　　　　　　,'｀´　　　　　　／ﾆﾆﾆ==-.　　　　　　　　･，
　`　　　　　　,〃"　λ､　　　　　 ,ｲﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=-..　　　　　'
　　　　　彡"　　　　　{　　　　　 ,'ﾆﾆﾆ/｀ヽﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}　ﾞ`　　　　)!
．　　　ﾒ　　　　　　｀ﾞ.　　　 _,,,'ﾆﾆニﾑ___ﾉ───≪ﾆﾘﾄ､. 　　〃
　　ﾉ"　　　　　　　　　。s≦ﾆ{ﾆﾆ≫'"　田＿,,,,,,,,,,o}アﾆﾆヽ.　 ´､
.　〃　　　　　　　　　　 {ﾆ〈ﾆﾆﾆﾏ{　_,,z＝─''''''ﾞ¨¨フ｀Yﾆﾆア===--､
　l|´　　　　　　　　＿,ィﾆﾏﾆヾﾆﾆﾑイ　　　　　　,ｨ｡ﾉl}}ﾉ=／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆヽ
　i　　　　　　　　　／ニニニミﾄ､ﾆヾﾆﾆﾆ=-─=≦｀¨´　 }／=／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
､,ヽ　　　　　　 ,ｨﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ}ﾆ(/)ﾆﾆﾆ/､_,,　　／ﾆﾏﾆﾆﾆイ三三三
　　　　　　 {ニｱ=====ﾆﾆﾆﾆﾆ|=(/)ﾆﾆｱ,‐-　‐､　{=／ﾆﾆイ三ﾆﾆﾆﾆﾆ
.　　　　　　　 ,..ﾞﾏﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.../"ﾚ　　　 i(（ﾚ（（ヽ､､　）'",r,,,, ｿ彡''"　　｀i,ﾞﾆ
　　　　　　　'´ . 〈ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.ﾞ,r（（（　（（（ヽ｀｀＼) |Y|彡>/r""''"彡ニ＝-､､）
　　　　　　　ﾏﾆﾆアﾆﾞ､|(（入（（ヽヽヽ"r"）ソﾘヽ,ヽ,〉ヽヽ　ミ　　ヽ ~'-､
　　　　　　　　ﾑアﾆﾆ....ヽ~ZY'」（⌒ﾊﾊ　i　　　ヽ 7}ヽ }} 〉　ミ　 ''ｰ-'"）)
　,｡、　　　　　 }ｱﾆﾆﾆ　t"ヽ,| 〉iヽ､,（（t　| ,,,　::::｀| { t | ﾘt　三　　　　ミ'-､
くﾆﾆ≫ｘ.　　　　　ﾑﾆﾆﾆﾆﾆ t彡,|〈〈 {〈ヽ､ヽ, t:::"::　〉 t､|ト{ヽﾐ三 ~'＝'"　））ﾘ
ニニニニ≫x　　　寸ﾆﾆﾆﾆ.､t,ｼti yY'i乙~' ､ヽ;;;（t'､W''';;;;ニ二~ヽ~'ヨ三ヽ　ｿ､,,
ニニニニニﾆ≫x.　　寸ﾆﾆ...(ﾆﾂi {i>ヽ;;;''';;;;;;zi''''"'''tiマ"""~~~'''ヽ　 i　'ヲ､= ）ヽヽ
ニニニニニニニ≫x　__}三..　（iii|ヽ >ｰ''"~ ﾗﾘ　　~" "''iﾆ,i~', {''ｰ､~'|　rﾉ||,ii ｀|iiﾘ
ニニニニニニニニニ≫､ﾆﾆﾆ. {{Yti'々r'ﾏ（,ﾘ'"'　　 ,,,, ヽ ,} 〉ヽt__::{ /ﾆ'リi||　ヽ､
ニニ=-＜ﾆ＞-=ニニニニ≫=..ﾞ~'i,,i|〉〉〉|-（,ヽ､-ｰ､,i"　ﾄ､''-'､ｰ､ﾘ､ ,／||ii　､､,t
ニ＜三三三三三＞ニニニニﾆア.i ti〉,| ﾉﾉ"::::~'､~ノ　　　　~'ｰ|iﾐ,,,|::~||iij'　|||　ｿﾘ
三三三三三三三三三＞ニニニ...ヽヽ)|）X　　_,,,,,,;;;､､=＝ｧ　　 i|　i:::::ﾘ　　 iii||　(,,
三三三三三三三三三三三＞く三.ﾘ 'ヽ,（ヽ｀'ヽﾆ＝ '''"　　　　　ﾘ:::::|||ii　 |iiit　　~' ､
三三三三三三三三三ヾ三ﾏ三ﾆ..（（( :iヽ　|　　,,,;;;;;;;;;''""　　　　 /:::::: tii　ﾘ　　　 ''"ﾘ
三三三/三三三三三三ﾏ三',三三ﾞヽ　 i:ヽ　　''"　　　　　　　／:::::::　　ﾘﾉｿﾘ　i)）ﾉ, ~'ｰ､
三三／三三三三三三三ﾏニ}三三ﾞﾘ,　 t::ヽ　　ヽ;;,,,　　　　／::: :::::　　//| i | ／tヽヽ　 t ヽ
三／三ア///¨''‐=ﾆ三三三〉三＝　（((　 t:::ヽ　　"'"　　,／:::::　:::::　　 (（ヽ,Y　|:::）ヽヽ, tｿﾘ
三三ﾆｱ/////////////＞´ -‐''´== ﾘ/　t:::::~'ｰ ''''''''''''":::::　　 :ﾘ　　　　　 /　ﾘ:/::::ﾘﾘ　ｿ(
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ﾆ',三三:',//////////..,,､､ - ｰ-''",ノ"::;;r''" '|　　　　　:::::::　　　ｿ::　　　／:/／;;､-':::/::::::::::::::::::::／::::::::::::::::
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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201： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:13:59 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「そしてその一年二ヶ月後の明治二十三年四月九日、琵琶湖疏水は完成し、通水式が行われた。

　　　　　　　　　第一隧道がどれだけの難工事だったのか、この一事でも見て取れる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　 _r～ー乂ノ´`～ｰ=ミx
　　　　　　＿,.ノ.: : : :.｝⌒.: : : :. :.ー=ﾐ　}/(ﾊ＿,ﾉ)
　　　　　｛: : : :￣ミｘ: : : :ー==ミ : : : : ヽ{: :,ﾉ´イ〔＿
　　　　ノ{.: : : :.／∠: : : : : : : : : : : :ヽﾐ｛ /: : ,ﾉﾊ : : ミ
　　 ,.乂: :ゝ--==彡'⌒.: : : : : : : :. :.／: :): : :.／ﾉ: : 乂
　　｛: :γ´￣￣ミx: : :.＿_彡イ)乂(: :ﾉ´~`｝｛: : : :≦彡
　　｛: : : : : :.-=彡: : ｛／＾寸≧ｘ.,_)´　　ﾉﾊゝ.: : : :.ヽ
　　〉: : : : : :.＿彡: :/ 　　弌ソ^寸ヽ　ィ劣7.: : : :. :.｝
　　{.: : : :. :.人＼(ヽﾉ　　　　　　　/ 　　仗} / 人ノ⌒′　　　　　　　　～勅語
　γ.: : : : : :./ ＼_｝　　　　　　 :　　_i_,|　/ﾉ´
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　　　＼:ｉ:ｉ:i:i:i:i:i:＼:ｉ:ｉ:i:i:..＼　　　　　ヽ　　 : : . ／.::ｉ:ｉ:i:i:i:i:｝　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　『疏水ノ工事竣ルヲ告ク。吏民協力ノ功洵ニ嘉ス可シ。従来我邦美術工芸ノ盛ナル此土ヲ最トス。

　　　　　　　　　　　　　　　　　今日ヨリ此水利ニ藉リテ人工ヲ助ケ益精良ヲ加ヘ他日ノ殷富ヲ期セヨ』

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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202： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:14:48 ID:Yp41p5.k: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

明治二十三年四月九日疏水工事成功を告げ、通水の式を行う。
不肖朔郎、職技師にあり専らこのこと与りしを以って

工事成蹟使用物量は左の如し
起工より成功に至る操業四年八ヶ月
大小六隧道延長二千百間
インクライン一カ所長三百二十間
橋梁十七ヵ所
桟橋一ヵ所長五十間
幹支線水路延長一万六百二十間
掘削土石十二万五千立方坪　　　　　　　　　　　　／´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : }}: : : : :｀:ヽ､
築立土石四万五千立方坪　　　　　　　　　　　ﾍ||: : : : : : : , :r ,=_'_‐_´_ ｀ '‐= JL: : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: ||:||, - , = r´': /　,-, フ　｀ '_r‐>-､= -､: : : : : : }
使用物件　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ: >/竺ヽ}: : : r　//:|´　r‐'´／　　　ヽ: : ヽ: : : /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ{ !焦ﾝﾉ二 }　ﾉﾆﾉ .ﾉ　人　／_ノ　＼: :ﾍ:/
人夫四百万人　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {｀'‐'-´ ‐::´:｀´ﾉ人､ヽ　ﾍ　´ﾉ　　､　　ヽ-‐,ヘ､
土地買上八十町六反歩　　　　　　　　　　　　　 {／::´::::::::::::／{　・ヽ, ノ､‐｀/　｀i　　　　　/　　｀＼
煉瓦千四百五十万個　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::, r ' ´ 　ﾍ　ノ　　　ヽ＿,,､ !､　　　/　　　　　　｀　､
木材五百万本　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,::: r'i´ﾟﾉ　　　　｀　　　　　　　|　＼_　ノ　　　　　　　　　ﾍ: :＼
石材二万六千平坪　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '´　 | ｀r　_ - ､　　　　　　 |　　／　　　　　　　　　　／: : : :
雷管二十八万発　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　'ヽ　ﾜ '　　　　　　　　　 | ／　　　　　　　　　／ｸ: : : :
火薬七千貫目　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　｀　　 _ , -― ' ‐ ､　　ヽ､　　　　　_ , - ‐ ': : : : : : : :
導火五十七万尺　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　r '´　　　　　　　　　　 r｀ヽ､＜: : : : : : : : : : : : : :
粘土六千立坪　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　ノ　　ヽ＼: : : : : : : : : : : : : :
セメント二万五千樽　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　　　　　,　‐　´´ ￣￣ >==≧: : : : : : : : : : : :
軽便鉄道十哩　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' - -, ､r = ´ _, - ‐_, '''''／: : : : : : : ＼: : : : : : : : :
蒸気釜七個　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /‐=｀|　 r'´r―ﾂ ´ ~: : : : : : : :
石炭五百五十万斤　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {-‐i　.|, -'―': : : : : ○: : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rﾉ´=´ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
右謹んで申告す　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , r'r,´=＝´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
明治二十三年四月九日京都府四等技師田辺朔郎

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　「余談だが、北垣・田辺のコンビは後に北海道鉄道の敷設に尽力することになる」

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203： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:15:05 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　「こうして完成した現在も琵琶湖疏水は京都市民の上下水道に大きく貢献しており、

　　　　　　　　　　　　　　　　市民生活には欠くべからざる存在であるといえる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
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　　　　　　　　　　　 /:::ノ　り }|::::::::::::::::::: : :　　　　　　　　　「水は大切ですもんねぇ」
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　　　　　　　　　　　　 V　　ﾉｌ |　　　　人 ::::::
　　　　　　　　　　　　　り j　　　　　ヽ::::
　　　　　　　　　　　　　　　 / /＞―‐ｒ―‐ ヽ
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　　　　　　　　　　　　　〃./　　／７
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204： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:15:29 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　「京都の水道は明治四十五年に蹴上浄水場よりの給水を開始し、

　　　　　　　　　　　　　　現在では同浄水場から一日最大九十五万立方メートルもの給水が可能となっている」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
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　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「蹴上浄水場からの給水が始まる以前の最大給水量が

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三万立方メートルであることを考えると、京都市民の生活を大きく支えていることがわかる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i　　　　　　　　「様々な技術の向上を考えるにしろ、
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|　　　　　　　　　　　その役割が大きいというのは変わらないわね」
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
205： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:15:42 ID:Yp41p5.k: 　　　　「滋賀県民と京都府民が喧嘩をした時『琵琶湖の水を止めるぞ』

　　　　　　　という脅しだか冗談だかよくわからない言葉が出るのが定番になっているという風聞もあるが」

　 /　　　､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　　　　　 /:::::｀ヽヽ　　　　　ヽ、
. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,
. l _,,.-' -.､　ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　　　　　　　 i
. l. /:::::ヽ .l　　　　　｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 |
　l ヽ::::ノ　　　　　　　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /　　　　　　　「聞いたこと無いけど本当に言うのかお」
　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　　､　　／　　　　　　／
　　i　 l　　　 l-―‐''´　　　 ',.　　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　　／',　　　ヽ-‐''"　　　　　　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　 .ヽ　　,.--..,,_　　　／　　',　　　　　 ,.-''"￣ヽ　 ./　　　／
　　　＼｀ヽ　　ヽ__／　　／ヽ.　　　　｀ヽ　　　｀ｰ'　　　 {
　　　　　＼ヽ　　　　　　　ヽ　　｀　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ

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206： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:15:52 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　「さて、そして最後にインクラインの話をしようか」
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　 ⌒　　　　　⌒　＼　　　　　　　　　　　「おう、後ひと頑張りたのむお」
　　　　　　　　　　／　　　　　／　｀ヽ　　 /´　｀ヽ＼
　　　　　　　　／　　　　（　　 ● l　　 l　　 ● |　ヽ
　　　　　　 |　　　　　　　ヽ_ 　_ノ　　ヽ_ 　 _ノ　　 |
　　　　　　 |　　　　　　 ´￣｀（　　 i　　） ´￣｀　 |
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　ー‐ ＾ー　　　　　／
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　ｰ一　　　／
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

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207： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:16:09 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　「インクラインというのは、この琵琶湖疏水の第三隧道の西口、

　　　　　　　　　　　　　日ノ岡山の中腹に設けられた蹴上船溜と、南禅寺船溜を結ぶ傾斜鉄道だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
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　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
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http://file.gazouup.syoyu.net/94caccc8.jpeg　　　（左ページ下段）

http://file.gazouup.syoyu.net/ad813e2f.jpeg　　　　（真ん中あたり）

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　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |　　　　　　　　「もう一度、出しておきますねこれ」
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
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　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
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208： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:16:25 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「両船溜の高低差は三十六メートル、距離は五百八十二メートル。十五分の一の勾配で鉄道が敷設されている」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
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　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
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　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
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209： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:16:48 ID:Yp41p5.k: 　　　　　「この鉄道の上を五十石船を積載した運送車が行き来していた。

　　　　　　　その動力として、琵琶湖疏水での水力発電所が使われていたんだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
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　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　　　　　　, .　, _
　　　　　　　　　,r ,､　,. r ´: : : : : : : :｀: : ..､　　 ,. ‐ﾞ"7
　　　　　　　　　! ,' > ヽ: : : : : : : : , : : : : : : >く　´'ﾌ/
　　　　　　　　　},/　　ヽ>: : : :/: /"'ﾍ:ﾄ: : : :ﾍ ',　,〃
　　　　　　　　 ∧　　/ｲ: : :./: /　　,ﾊ:ﾊ: : : : ヽｸ
　　　　　　　　 i': :',', /: ｨ: : ,ｲ:/　　　 ',ﾄ､: : : : :',
　　　　　　　　 |: : : y:ｲ': :/」ﾑ __ 　　 , ﾄｰ,A: : ﾄﾊ
　　　　　　　　 ',: : /':/´:7　i'__　　　 -」ﾄ､ﾍﾙ:ﾘ',ﾘ
　　　　　　　 ',: :!/:i: /ィてﾊ｀　　　 'ﾋ::ﾘ ' 〉ﾙ| '　　　　　　　　　「あ、それって」
　　　　　　　　　∨r´|/　'弋り　　　　　｀´　,ﾘ　'!
　　　　　　　　　 ',ﾊ, !､　　　　　　　　'　　　,'
　　　　　　　　　∨:iｰ.-. ､　　　　ｰ ' 　,､ｲ
　　　　　　　　　 ',:'ﾍ: : : :i＞ ., 　 _,.ィﾍ､'ｰ--､
　　　　　　　　　　　∨ﾑ : : ﾋ､　｀〔ﾊ: :r_´ソヽ　＼
　　　　　　　　 /. . .7.｀.ヽ:.､≧ハ≧ﾍ‐､｀' 　　ヽ
　　　　　　　　　　/. . ./. . . . .＼｀: ｰ-､. . '.､: ー,　　 !
　　　　　　　　　ｲ. . . . . . . . . ,_ ＼: :ヽゝ. .∨7＼　ﾄｰ,､
　　　　　　　／,人. . .',. . . . . . .￣￣ﾊk. ヽ. y. . . ＞Lヽﾍ
　　　　／ｨr: : :ﾊ. . .､＼. . . . . . . . . .＼.∨. . . . . . . ｀ハ
　　 ,＿／'´／: : ｨ:∧. . ー.＼. . . . . . . . ,､y'. . . . . . .／
　　　　 /: :／: ＞'ﾍ. . .ﾊ. . .＞. ､. . . .ｲ.｀＝＝=イヽ.,_
　　　　 ,./ｨ:_:,.　´　　　' ,. .ﾊ. . . . . . ＼. . . . . . ´,'ｪﾆ-　 }
　　｀ー7: /　　　　　ヽ. .',. . . . . . . . ＞.､. .r'―‐-‐' ﾉ
　　　　{:./　　　　　　　　　',. ﾊ. . . . . . . . . . .Y. 7ヽ三_/
　　　　｀ｰ-　　　　　　　　 ∨r. . . . . . . . . ...|=.{. . ./

.
210： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:17:06 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　「そう、さっき見てもらった関西電力のプレスリリースに出ていた、蹴上発電所の働きだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かつてインクラインを動かしていた発電所は、現在も現役だというわけだ」

.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　ノ　　＼＼
　　　　　|　（●）（●）.　|
　　　　.　|　　（__人__） /ヽ　　 ./´}
　　　　　 |　　｀ ⌒´　{ 　{ 　 /　/
　　　　.　ヽ　　　　　ﾊ　 L/　/
　　　＿＿ヽ　　　　 /__.〉　　　ん-､
　／ :　　: :介.〈::::〉.介.〃＿_　 /　, ヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀{::::}　!　{　＿__）{_ /　,ﾊ
　 | : : : : : /: |　{::::}　!: :l :＼__, -､. ￣_/:ヽ
　 | : : :　〈: :│ {::::l　|: : 〉 : :ヾヽ　Ｚﾝ: : : :｝

.　　　　　　　　　　　　　／..........／::::::::::::::::::;:　'",....'...丶...｀丶、｛
　　　　　　　　　　　 /.......广７::::::／＞'" .....'′ ..........l................≧=‐- ､
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　　　　　　　　　　　　......./::_彡'′..../／.., . .....{..................| . ....l..............l.......|
　　　　　　　　　　 l......f′ ........... ′ ../.........｛ ................| .......| . .........| .....|
　　　　　　　　　 | ../} .................ｌ7.../............ハ .............| . .....|.............| ...！　　　　　　　「伏線回収であります」
　　　　　　　　 |./ ｛ .................|ｉ....|........l....}.....} ..,........|..ﾊ.._.| ...........l.......;
　　　　　　　　　 i|{ 　{i..................|ｉ....|........l....}.../../........仄｢}./.............;...}...{
　　　　　　　　八　 ':.................ｌi _｣､ .._厂}/}./........ｘｬｆ折^; ..............ﾊ..{
　　　　　　　　　／;::'ﾍ　　､.............＼抖ｬｆ折^ ﾊ......./ん'ﾝ//...........//　 .;
　　　　　　　　 `'く__;:xﾍ,　　`＼.........≪ｆてﾉﾉ　　 }／　¨´ 仏:′...// 　 }.}
　　　　　　　　 }√::::::､＼__l::|ｉ............{ ¨´　　　′ 、　 /../...... ':〈　　 .:′
　　　　　　　 /′:::::::::＼l＿|ﾄ..........｛`　　　　　,. 　／../...／.xくﾍ, //
　　　　　　　　　/..|:::::::::::::::::::}...川::＼.....个:　 _　　／|..../／八.{::::::::>く
.　　　　　　　　/.....| :::::::::::::::::}/..八::::::＼｛:::([l):::ﾏ´l／|./....../::::､_;／:::::::::.,
　　　　　　　 /.......ｉ|::::::::::r ､:/../ ::::::::::::::::＼::::::::::¨´ ::！.......{::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　..........八..........> '..√V^　、::::::::::::::::::::::::::::八.......ｌ::/:::::::::::::::::::::|;
　　　　　／......ｆ⌒' }=‐-‐ｧ./＼ {　　　＼ｒ…‐-　__::::::::::; ....|」:::::::::::::::::::::::ｌi
　　　／..........ﾉ　　｝‐=ｧ'./　　＾'ｰ-　 _{{　　　　／￣＾∧..l,ﾊ:::::::::::::::::::::八
.　　,.../.........（_　　　ヘ（{..;′　　　　　　　⌒ ｰ 'く _＿,,厶ﾊ.ｉ| | ::::::::::::::::::′...、
　 / /.............｛⌒'く　　Ｖ{　　　　　　　　　　　　　　　　　 l..| |::::::::::::::::/〉.........＼

.
211： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:17:26 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「歌詞の前半に『疏水の工事は南禅寺』というフレーズがあるが」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
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::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
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:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
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　　　　　　　　　　　　「この疏水工事に関して、南禅寺は実際驚くほどに全面的な協力を行った」

.
212： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:17:46 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　「疏水の一部が南禅寺の境内の一角を突っ切らなければならない計画だったが

　　　　　　　　　　　これにも反対せず、計画のままにさせた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::i,,
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ﾞﾞ″................ェェ　l;;;;:::::::::::::::::::l、
　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::／""""";;;..､:｀',,,,,,,,,,,,,,,〔　　〕,,,,,`ヽx,:::::::::::::l､
　　　　　　　　　　/,:::::::::::::::::::::::::／""";..､ヽ.,,,,i:::::::::::::::::::::::::::::::. . . . ゝ,,ヽﾞヽ::::::::::::l:
　　　　　　　　　;ｌ,::::::::::::::::::::／".,､"____,,,,,iii::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. . . !::::::::::、ﾞi::::::::lﾞ｀
　　　　　　　　　;ｌ::::::::::::::::/　...:'′i　o___＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞ. . . . . . . ::::::::::::::lﾞ｀
　　　　　　　　　;'ｌ::::::::::/" ,,'",l　lﾞ′lﾞ°;,r･´´￣｀ヽﾞｹ‐｀｀ﾟ;°ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞヽ、:::::::::::::::::l、
　　　　　　　　　　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞl〆.,,,,i:;:;:;:;:;:;:;lﾞ　　　　.ヽ　　ο　ﾉヽ　　　　彳_｀_'_､,::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　,iﾘ,,,,ﾞﾞﾞ!:;:;:;:;:;l″　　　　丶｀“““｀:;:''″　　l　〈ο　　〉”i“'''"""　　　　　　『水路を通すだけというのも
　　　　　　　　　　　j"i,ll'ﾞ,lli,,;ﾞ!:;:;ｹ;　　　　　　　　_,r',i､　　　　　　ヽ、－´　l~'i､
　　　　　　　　　　　|　、l|ﾞllll!;;'l;′　　　　_,､‐｀｀゛｀;　",ﾄ　　　　　　〉　　　| ｢ｌ　　　　　　　　　　　　　芸がないか……』
　　　　　　　　,,,,,,,,,,,lly,!,乂ﾞﾞl,,;;°　　　,r"｀　　i､　､ﾞ,r'"　　　..､｀`''冫　　　l　,!ｌ
　　　　　　　,,ｉ匸ン‐'''''今|,,l[ﾞl,,i,,,,、　l｀;;､､.iた､,-"　　.._,.､.'Ｙ',ン'"　　、:、,!‐"
　　　　　　,l,∠",,,.,,,;.､､.;､、;;~ﾞﾞﾞl,,｀”'!jl°;;、,!.`‐ﾞ‐''"｀""丶　　｀`''丶､、::,ト'-i､
　　　　,､-ﾞ'"｀‘｀、;、;,,,,,｡,,..｀'丶;;ﾞﾞ%,ｨｿ;;'_∴　　　丶　｀:　　　　　:'、　:`rl゜ヽ.ﾞl､
　　:wｖllll,,,i,,,,．;;;;.ｧ｀｀､,,,'t,,;＾''r,,、;,ilﾞ;｀．｀｀;　　　　｀　　`""'''''､ﾞ-ｉﾞl.lﾞ:、　,."　､゜:《::
　,,iiilllll,l!ﾞﾞ`''llﾗヽ,;;llle,,,,,.;;~''从,,,,,ﾞll″,.ﾞ、　　､;ヽ､丶;::、　　　　　　:"､｀:｀ﾞ、::、::::,　‐:ﾞヽ:
lﾞﾞﾞ',,,,l∠｀　　　.l._ﾞl;　ﾞﾟﾞﾞllle･ﾞﾆｔ,｢;;.,'-｀;;丶;:｀　　､丶、‐丶::､､,.,,,､.::,!,､､_"　':　i,!°:　　ﾞi､
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''｀;~ﾟ,,,．､、　　｀丶;;｀''┤;　　ﾞl'"|;;;.ソ｀　　｀"｀:　　　　　　　　　　:,‐,::．丶､;‐'゜　　　,,,,.-｀.#,,、:
　flﾞ″　　＾''　,-‐'''ﾞ,ll｀;　　;ｿ;;l、;ﾞく　　　　　_,-－::、:､.､-　、！,lﾞ　_:-′::,,､‐'''ﾞﾞﾞ″:､',":;ﾞﾞlli,,:
　　ﾞﾞ";,.,,_.,／｀;_,,,,i　l、　　｀;｀ﾟﾞl,;<、　　　　:｀　丶　｀　　　　./‐ﾞ,､ｰ´:.,,,ｔ广:　､..｀｀　　ﾞ/b、;;ﾞｉﾞ'll,、
　　　　;.／｀;;;.;,il,,i　　、:　　　｀;　'!,,│;　　　、:　　､,　､,,--r､-'ﾞ,／｀　,／ﾞ,_.｀:-"′　　j"'x,ﾞi､　ヽﾞ|%:
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「だが、朔郎もこの古刹の風景には何らかの配慮がなければならないと考え、

　　　　　　　　　　　南禅寺をとおるルートに現在にもその姿を残す水路閣を作った」

.
213： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:18:06 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　「全長九十二メートル、高さ十メートル、

　　　　　　　　　　　　　　　　　アーチ状の橋脚は十三ある花崗岩とレンガ造りだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　このいかにも西洋建築物然とした姿は当時多くの批難を浴びた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　,イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／ /
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　　　　　　　　　　　　　／　　 |/　／　／　　　　_／＿／
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　厂´＾^"""￣￣￣｢￣￣＼
　　　　　　　　　　　 //　　　　／　　　　　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　 | { 　　／　　　　　　　　　 j￣￣＼
　　　　　　　　　　　　个x　／　／　　　　　　　　　　ﾉ二　　　＼　　＼／
　　　　　　　　　 / 人圦ｉ{r一'⌒y―　　　　　　　 ,ｨニ　　　＼　＼／
.　　　　　　　　　　　　j ／　ﾌ＾ﾄ､＿＿　　　　　／　 ,ｨニ　　＼　ヽ／
.　　　　　　　　　 / i__／／＼ノ＼　　　　 {　ｆ三￣￣＼　＼／
.　　　　　　　　　 /　｛__／　　　j} ＼込ｩ､ｰ=彡 j二　　　＼＼／
　　　　　　　　 _/ 　 l|二う　／　　 ^ー‐く　　}三ア⌒i 　／
.　　　　　　／/　 }ﾄ､＿_　　　　　　　　　　　　ミ=ｒ' __,ィ |／
　　　　　／　/　ノ＼　＼　　　　　　　　__／　　く{ j ﾉ {　　　　　　　ﾉ
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.　　　　/　　 /　ﾄ､＼＼＿__,ノ　　／　　　 (＿__ィi〔￣　＼　＼__,ノ
　　　 ′ ／　,ノ　＼￣￣　　／　　　／　　 /j| | ＼　＼＼　＼
. 　　 i 　＼　　　　　￣￣　／　　 _ ィ　　　　/ / l|　ｌ|　　 l＼＼　＼
. 　　 |／　　＼　　　 _ 　-‐ｧ￣　　　　　 / ∧ l|　ｌ|　│|　 } l|＼ }i
　　 /|　　＼　〕ト- ≦　　　/　 /￣￣ヽ　　|ｌ |　∨　 l|　 | |＼| l|　 } l|
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　 / {　　　　│　|　　　　　 i　　 | ￣￣ |　　　ﾊ　 ∧　|　 }ﾉ　 | l| ヽ∨
.　|　＼　　 │　|　　　　　 |　　ﾄ-　ｰｧ'　　　 }ｰ'⌒ヽ|／　　,ﾊﾉ　'⌒ヽ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「福沢諭吉はこの水路閣について激しい批判をしている」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
日本国中に絶倫のみならず、世界稀有の遊園として誇るべきその遊園の装飾物を敗壊に附し去り、

永遠に一府繁盛の利を空しゅうするは今の府民が後世子孫に対し義務を尽くさざるものなれば

如何ようにも方法を設けて継承維持のことに着手せんこと吾輩のあくまでも勧告する所なり　～時事新報

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
214： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:18:23 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「だが、一世紀以上の時間を閲した今日、

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　この水路閣は現在もその姿を残しており、
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |　　　　　　　　　むしろ古都の景勝の一つとしてあげられるようなっている」
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|　　　　　　　「なんというか、疑いようもなく西洋建築なんですけど
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|　　　　　　　　　　　……同時にとても日本的な風景に思えますね」
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
215： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:18:40 ID:Yp41p5.k: ..　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼　　　　　　　　　　　　　「日本的な風景に『なった』ってことなのかもしれないお」
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|
.　　＼　　　　　　　　　／
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　／　‐=ﾆ二二二ﾆ=‐　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／　＜‐======＜二二≧s。　　　､
　　　　　　　　　／　　／　/＞｡.　　　　｀＜＞＜ヽ
　　　 _,.｡s≦_ア　　 /　　,　　　＼　　　　　∧　＼二ﾆ=‐　 ,
　　　 }　　 /　　　　　,　　 ,　　　　ヽ　　　 ∧ 　＼二ﾆ}
　　　 }　　 f　　　　　 ,　　，　　　　　 /　　　　　　　　　＼ﾆ|　 }
　　　 }　　 ,　　　　　　　　　　　 /　　　　＼　　　　ヽﾊ｜
　　　 }　　 l　　　　 l　　｜　　　　 / 　　　　 }　　　　　 } ｉ}
　　　 }　　 | 　　　 _|　　ｌ　　　 /　　ｌ　　　　ｌ　　　　 ,　} ｌ
　　　 }　　 |　　　　　i|≧s｡,　　　 /　　 i|　　　　,　　　　 /　,
　　　 }　　 |　　　㌢笊ミｔ､　　/ ￢-ミi| 　| 　 ,　　　　　∧　}　,　　　　　　　　　「古い、ということは一つの強烈な価値観であります」
.　　八　八　　　ゝ以シﾊ　, } 　/ 　 i|ミ |　 ,　　　　　//　 }
　　　　，　 , 　　 ∧　^¨　 Ⅵi|／/笊外≧　, 　　　 ,'/　　,　 l
　　　　，　ﾊ　　八　　　　　　　 v^)少　/　　　 /,　　 /〈
　　　　　 ',　{　ﾟ。　　込　　　　　　　　　　〈,/　　　 //　　///　{
　　　　　　＼,ﾆ,ﾍ　　　 {,ヘ　｀　　　 .｡＜/　　　／/　　///　　,
　　　　　　 {二二}＼　 }二{＞‐=≦/　{　 /　　／ /{ｧｧ /⌒
　　　　　＿|二ﾆ/ 　ヽ ,二ﾊ　 /f^}_{　　 /　／　 /={/,/＞､　　　，
　　ィi〔　 i}二,/　　 /二二二ニ{｜二=/ ／|　　 l二ニニﾆﾆ＼　　,
　/　　{　　 }=,/　　 /二ニニニﾆゞ'ニﾆ／ニ,|　　 |二二ニニニﾊ　　,
　}　　　　 i|,/　　 /二二ニニニニニニニニ|　　 |二ニニニニﾆ}　　，

.
216： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:18:55 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「よく言われることですが、壊すのは一瞬だけど、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　作って、そしてその風景に馴染むには長い時間がかかるものなのよねぇ」
.　　　　　　／⌒＼
　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､_ 　　＼　　　　　　　「例えばこの水路閣が古くなったからと言って壊してしまえば、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　今みたいに馴染むのに、やはり百年以上かかるのかもな」
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　　　　ヽ／　/　/ /'Y:ｿ　　　 }.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : !

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217： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:19:14 ID:Yp41p5.k: 　　　「さて、それじゃ、当時の疏水の発電所の周辺の光景を記したこの文章と

　　　　　　　　　当時の写真を上げて、今回は終了しようか」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
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　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
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　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
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＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

http://file.gazouup.syoyu.net/51c8d776.jpeg

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

水力電気を発するの機械の工場あり今は電灯会社その他の工場に分かちてなかなかに盛んなり
インクラインより加茂川に達する間凡そ一千間のところは両岸に柳桜などを植えて頗る風景に富み
観花納涼の客賞楓観雪の士遊船を浮かべて豪遊を縦にし頗る盛んなり
岸には料理や飲食店など多く連なれりこの川岸に繭糸紡績社藤井紡績社などあり
水力電気を利用して工事を営む又水車多くしていづれもこの水を引き精米を盛んにす

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
218： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:19:47 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.- 、 ,.-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　|　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|― | .ヽ―|　 /ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l＿ | 　|＿|　 |.、|
　　　　　　　　／　￣￣￣￣,丶 ― 、　 |.　 |　/　 |　/　/
　　　　　　／　　　　　　/　　　　＼|＿∨ 　 .し｀/
　　　　　／　 ―― 、）　　l ⌒/￣ヽ._., 　　　￣　　｀,'　　　　　　　　　「じゃ、まただお」
　　　　／　　　　　　　　　　|＿ﾉ　　　＼　　　　　_,'
　　／. 　　　（　-- ）　ﾉヽﾉ　ヽ（●　）.|､‐─―――|
　　|　　　　　 ´"''"　　　,　|　　　、　....ﾉ　｀ヽ､　　　 |――――
　 ..|.　　　　　　.（　　　 j　＼　/￣　　　 l　　　　/　　　　　　　　　　＼
　　|.　　　　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐＼　　　　　　|　　,,.-'´　　　　　　　　　　　｜
.　　＼.　　　　　　　｀ ⌒ ´　　｀ー――.´"'' 、
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　｀ヽ､
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ￣￣　－－→
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´

　　　　　　　　　　＿
　　　　　　,ｨ三三三三三＞　､
　　　　／三三三三三三三三三＼
　　　/三ｒ'´⌒:::::::::::ｰ‐-─ ､三三ミヾ
　　厶_／:::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::::...＞､彡
　 /::ｨ::::`ヽ::::,ｨｧ､ヾ､:::::ヽ:::::::::ヽ:::::::::::::::}
.　{./.{:::::::::ｨｫ'´ ⌒〉､Y＞､ヾ:::::::ヽ:::::::人i
.　|i　i:::::::ﾚ'　　　 ´　Y弋癶:::::､::::::Y:::ﾘ::ﾊ
　 |　|:::::.ﾊ　 _.　　　ﾉ　ゞ-ﾘ::::|:::::::i::::|::八‐ ､
..　　{::::::::::∨　,- _　　　　　　|::iヾ::::}::::/ }　ヽ　＞､
　　 |i､:::::::::::ヽ i 辷ｿ　　　／ﾘ　 Y:Y.　/　 }`Y ./....〉‐､　　　　　　　　　　「それではみなさん、またお会いしましょう」
　　 i 弋:::::::::::Yi ｧ7 　 ` ､ﾏノ　 /|::i　/ 　/　ﾚ..../ 　ハ
　　 |　　ヽ::::八y〈 .ゝ　_＿　　ィ　|ﾘ /　 /　　/..../　　/　＼
　　　　　＼:::::ヽ`⌒　Y`i T {.　　 /　./　　/..../　　 {　　ハ
　　　　　　　〉:::::: ⌒i　　.| .艾_ _ノ　 /　　/..../　　　ﾉ　　　　ヽ
.　　　　　　 /::::::::::::::::|.　　ﾄｒ､　　　／.　::/...ノ　　ヽ､ i　 } 　ハ
　　　　　　 {::::::::::::::::_|　　.| i　ゝ‐´.　 ::::/.,ｲ´　　　　::乂,　ｲ　　ヽ
　　　　　　 |::::::::::／./　　 i八　　　 ::::ノ..{::::: 　　　 :::::人/ 　　　. }
.　　　　　　 |::::::/ .Y　　　.ﾄ､ゝ､_:::::イ....人::::....　　::ノｨ`Y　　　 -〈
　　　　　　 |. 《　八＿ノ .ﾚ' ;ﾍ__∧,仏. .≧;;;;; イ ::./.　 |　　　彳}
.　　　　　　 | ∧　　　　`､ﾘ /:::::/;;;;;`ヾ　　　　　　ノ　　.i ､,ｨ '´　ﾉ
　　　　　　 |.` ､＞　　ｲ/:::::/i;;;;;;;;;;;;;` ､＿　　　　,ｲ∧ ＿ _,ｨ'´
　　　　　　人::::.`ｰ‐-'´　{:::::::{ |;;;;;;;;;;;;;≫ｖ彡;;￣;;￣/　.　　}= ﾄ､
　　　　　　　　ヽ::::::::::::::::::::ヾ__ﾚﾉ;;;;;;;;;;;;;;;;i |;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　. i　　ヽ
　　　　　　　　　从:::::∧:::::::::::::/|;;;;;;;;;;;;;;;.//;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　リヽ　ヾi
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219： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:20:12 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　　　　　 -------　＿
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　　　　|　　　　＼_///}　 :{　　　　　 l／　　 ∧　　/
　　　　|　　ィi〔{///ｱ〈　　i　　　　　　 ---〈　　,′
　　　　|　〈__／l　　 ∨ 　ｌ　　　　 /　　　　 fﾆ/)
　　　　}/////} :　　 l∨　:|{≧s。　∨　　　 f二〈
　　　 / ゝ＜ //}　　｜∨ :!　/ﾆﾆ爪∨　　　ゝ--气}
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　 /　ィi〔ニﾆﾆ:ﾍ　　: ﾍ////}i:i:i:i:i/＼　　　　　　/ //
　,′/二ニニﾆﾆ∧　 {　￣ /≧= {ニニ:ﾆﾆﾆ＞｡.=//
./　/ニニニニﾆﾆ∧　l/ ア　　　 /ニニ:＞ﾆﾆ＞＜〈
　　{二二二ニニﾆ∧ :}　　　　　/ニニ:/ｉ:ｉ/ｉ:ｉ}　｀＜＼
　　:二ニニニニﾆﾆ∧:!　　　 ,'ニニ:〈ｉ:ｉ/ｉ:ｉ/　　　　ヽヽ
　　 ∨ニﾆ二:〈　　 ∧　　　:/二ニニ7ヽ^　　　　　　ﾏﾍ
　/　 ∨=:〈ﾍ二∨　　∧　　 /二ニニ:/　 ',　　　　　 /}_∧
./　　　∨/　ﾍ二∨＿__}:　 /二ニニ:/　　 :.　　　　ィi〔/{=:∧
　　　 |=＼　〉二二二ニ/二ニニ:/　　　　｡s≦//////ﾆ=∧
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　　　 |ニﾆ二＼ニニニニﾆﾆ二////////////＞´{二ニﾆﾆi

　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿　　　　　　　　　EP：51　アイマスとかいうコンテンツ看取り人　　　　　　　　　＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　後編　おしまい～

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220： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:20:28 ID:Yp41p5.k: 　　　　「今回の投下はこれで終了ね、

　　　　　　　　このスレはエネルギーとエレクトロニクスのやる夫エッセンシャル様と

　　　　　　　　　　　だっておｗｗｗキャンセル様にまとめていただいてます」

　　　 . : : : |　　|ili|: : : : :.....ilil/　 /
　　／ : : : : |　　ﾘ'´: : : :/: : : ＼/
　 .: : : : : : : : :,　/: : : : :/: : : : : : !:＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /｀ヽ　　　／ヽ
　 : : : : : : : : : :/: : :|: : ' : : /: ／||ヽ;.:＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　}　　 / 　,/
　 : : : : : : : : : ! : : :.!: :| : :/／　ﾘ　|: :ミ｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　 /　 .,　　/
　 .: : : : : : : :.:」_: : :ﾊ: |:./　__＼/　 |:＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 / _／　 , '　　　_
　 : : : : : : : :i ヘヾ! |: /|　　ヽ{kヽ./: :ミﾞヽ　　　　　　　　　　　　　　　　i ｀ヽ _ノ´　　／　 _／　 }
　 : : : :|: : :八　{ (　 j/|::!　　弋!　!＼ﾞ、　　　　　　　　　　　　　　　 /´ﾞ　　!　　＼｀ヽ' ´　　／
　 : : : :|: : : : :＼　　ﾍ!　　　　　丶、＼　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　ノ┬　、　　ｰ─　¨
　 : |: : !: : : : : :/￣'　　　　　　　　　 '　　　　　　　　　　　　　 /|　 '´　　!　　ヽ、＼　｀ヽ、
　ヽ!: : V/,: : : {　　　　　　　 '⌒ ; /　　　　　　　　　　　　　　　 /;∧　　　ﾉ　　　　`Xヽ ..＿)
　　|: : : V/,: : ::.　　　　　 `　ノ /`: :- .、　　　　　　　　　　　/;';';';∧ー　　　　　／:::::ヽ
　　|: : :.:ﾉV/,: : ＼　　 /: :t-..__／￣￣｀ヽ!　　　　　　　　　　/;';';';';';';';＼_ . -ー::´:::::::::::::!
　ム＜;＼＼: : : :.＼/ﾄ;_:_|＿＿　　　　ﾉ　　　　　　　　　 /＼;';';';';';';';';'＼:::::::::::::::::::::::/
　　三三＼!　＼: : : :.＼;';';'弋三|⌒ヽ　＿　　　　　　　　 _/;';';';'＼;';';';';';';';';';＼::::::::::::::/
　 ';＼三三＼　ﾞ＞ｰ─ヽ;';';';ヽ;';';';';';';/;';';'｀;────-/|;';';';';';';';';＼;';';';';';';';';';＼:_／
　 ';';';';＼三三＼/＼／＼|;';';';';∧;';';'/;';';';';';';';';';';';';';';';';/;';|;';';';';';';';';';';';＼;';'_':'-' '´
　 ';';';';';';';＼三三＼　O　|;';';';';';∧ノ;';';';';';';';';';';';';';';';';/;';';'|;';';';';';';';';';';';／

　　　　　【やる夫エッセンシャル様ＴＯＰ】ttp://copymatome.blog108.fc2.com/

　　　　　【やるやらあずさ目次ページ】ttp://copymatome.blog108.fc2.com/blog-entry-3886.html

　　　　　【だっておｗｗｗキャンセル様ＴＯＰ】ttp://inzainewtown.blog.fc2.com/

　　　　　【やるやらあずさ目次ページ】ttp://inzainewtown.blog.fc2.com/blog-category-83.html

.
221： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 23:27:24 ID:Yp41p5.k: というわけでお付き合いありがとうございました

なんか疲れた
222：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2017/09/27(水) 23:30:43 ID:iDt7JCHU: 乙でした
お疲れさまです
前スレ結構残ってますけどどうします？
223：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2017/09/27(水) 23:33:32 ID:p2XyZh6M: 乙ー
224：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2017/09/27(水) 23:54:14 ID:jF2rQfNc: 乙でした
まさにプロジェクトXですなあ

ところで>>144
>オランダの土木技術者デ・ケーレが
デ・レーケかと
225：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2017/09/28(木) 22:29:53 ID:vJbD/ZnA: 遅ればせですが乙でした（同道できんかったデス）
色んな出来事は、今に繋がってるんだと思うこと多いのですが、時々滋賀の方が
申される
「何やったら、琵琶湖の水止めたろか！」
という啖呵
滋賀は水没したいのかと思うことしきりです
226：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2017/09/28(木) 22:57:34 ID:rF.gjdcg: 乙
227：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2017/12/09(土) 08:58:10 ID:X.B54lN.: そういやここの板は今新スレ立てられないみたいですが
移転先はどうしましょ？
228：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2017/12/26(火) 01:13:15 ID:9O1yB3J.: とりあえず、戌の年が来る前に大事なスレなのでサルベージ！
229： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/18(日) 18:19:50 ID:xjQbiLGY: いやね、もう軽く流そうと思ってたんですよこれ以降は。
ただ手を付けてみるとそう簡単にいかないところがガシガシ出てきてですね。
ともかくそろそろ更新しますよ、ええ。

もうここまで遅れたのでどうせなら2つの時代にまたがって投下するというめったに出来ないことをやってみようかなと。
ということで3/31の夜に投下予定です
進捗はお察しですが、まぁなんとか。

　　　　　　　　　　,ィ'"ィ'"´: : : : : : : : : : : ｀ﾞｰ-｀ﾞ＜
　　　　　　　　　/,/i:n､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＜
　　　　　　　　 //i:i:i:i:i:i:i:k､: : : : : : : : ~ﾞ气､: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　 .//i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:z:x:x:x:x:x:i:i:i:i:i:i:i:x､: : : : : : : : : :|
　　　　　　 φi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ア"= ､.　￣￣￣￣ヽ: : : : : : :　′
　　　　　　 φi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ア´ , -､｀; Y　　　,　 ----､＼: : : :. ′
　　　　　.φi:i:i:i/i:i:i:i:iｱ./'| ( ○.)ﾉノ''''"´,s≦i:i:アﾊ＞-- ､.′
　　　　 .ﾉ/i:i:i:||i:i:i:i7　.{　ヽ'ァ ,ィi:i:i:i:i:i:i:i:i:iア／_ ィ∧ミ　｀ﾞ＜
　　　　　 //i:i:i:i:||i:i:i7 　ヽァ.,ィi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ア..,ィ≠气　､ヽ.　＼＼
　　　 .φi:i:i:i:i:i||ｉ:ｉ:|　　／ィi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ア´|.《（０）,! i､ヽ　ヽ　　}
　　　　　{.|i:i:i:i:i:∧V|　././i:i:i:i:＞",__<i:i:ﾉﾘﾉ　｀¨´　|ﾉﾉノ　ﾄﾉ　　ﾉ､　　　　　　←は大阪入ったら出てくる予定。
　　　　　ヽ`守i:i:i∧| / /｡s≦ .xァ=x､ﾘノ "　　　　.　ィ　| ,ﾉ".}　/ 八
　　　　　　　`守i:i:i∧{.八　　i.《（０）,　　｀　　,,,´xfji;!　′　ﾉ / /ヽﾊ
　　　　　　　　　｀ﾞ¨¨ア .ﾊ　　ヽ｀¨´´　　／xi:i:i:i:i:ァ' ! /　／,ｨヽ|i:iﾊi:i}
.　　　　　　　　､__ ／　/　＼　寸､　　　< _(i:i:i:r''　／ /iイ".{i:i:i:i:i7　ﾘ
　　　　　　　　　｀ァ　ｲ　　}　＞､. ＞､　　｀ﾞ''''´‐ ´　,′ !i:i:i:i7{i:/
　　　　　　　　　{　/ |　　ﾊ　ヽヽ｀i:i气三アﾆi:i:i:i:i:ｱ　,斗i:i从'ﾘ
　　　　　　　　　 |./ノ.! ｉ　{心　.ア￣｀¨＼'"/=-¨ Y-|´-=|ﾘ
　　　　　　　　　/ 　 ! ﾄ､ Vi＞´,ィi:i:ix　i ｀〈==-7/{O},|-=|
　　　　　　　　　　｀ .乂　／ィi:i:i:i:i:i:i:i:7, !　　ヽ､|/j- i|　＜＼＿,r-=､-､
　　　　　　　　　　　　 .／ｲi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/i∧　　ヽ{'" o｀'}　'"´ヽ---"¨´ ﾊ
　　　　　　　　　　　r-'ｲi:i:i:i:i://i:i:i:i:i:i:i:i:i:}　　　ヽ".}　{"　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　ノ'" ィi:i:ア/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:7　　　　Y ￣　　　　　　　　　　 !
230：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/19(月) 00:05:44 ID:5sSHflT6: 歴史ロマンシリーズの最新作、お待ちしておりました
また時間作って、新橋からお浚いせねば
231：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/19(月) 20:57:47 ID:qBZX4zFU: お待ちしております
ヒロインたちの行く末も気になってますう
232： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/25(日) 21:31:44 ID:JAMDHGZc: パソコンのレジストリがぶっ壊れたりキーボードが死亡したけれど私は元気です
予定通りに行けるはず。きっと。

やよい軒で最後尾の看板出るのは流石に草
233：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/26(月) 22:25:56 ID:YthdJSzk: 乙。強く生きて下さい

ああ、今日はやよいちゃんパニックの日だったのか
234：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/27(火) 00:39:17 ID:d32D5zAc: どうか1様にご多幸ありますように
なにより今回の「やるやらあずさ」も無事開演いたしますように
235： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 08:20:59 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　 --
.　　　　　　　 :´: : : : : : : : : : : : :ミ:
　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀
.　　　　 : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ　　　　　　　　　　　　「22：00ごろから開始します。
.　　　/. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,　　　　　　　　　　　　　まだ物語部分ができてませんが
.　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:　　　　　　　　　　　　　　　　たぶん何とかなるでしょう」
　　　: : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
..　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
..　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
..　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
..　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,
..　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ.　 ≧ｭ. _ .イ　　　　　　　　　　　　　　　　「大丈夫、頭の中にはあるから、
　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙ..{ｫ=ミ､. _
　　　,' .: //rﾆ∨/ /∧　　　 {　V/, ヽﾆ≧x　　　　　　　　　　　　　　　　できたも同然だから」
.　　/.:.:. }ｲﾆﾆ=丶 / / 丶　 ` 　V/　}ニﾊニ
　　′.:ｲニニニニ≧ｭ　　＼ _　　V/ }､ニ{ﾆﾆ
...　i .:/ニニニニニニﾆ= ､　＞ｭ._}ｉ_ノ　Vﾊﾆﾆ
...　|. {ニニニﾆiニニニﾆ∧ ¨¨¨ヾo{　　　Vニﾆ
...　}...}≧=ﾆニﾆ､ニニニﾆ∧　　　 ‘，　　Vﾆﾆ
...　|:..{ニﾆ≧=ニﾊニニニニミ､　　　Vﾊ　 Vニ
　　 :{{ニニニ≧=i{ニニニニニﾟ｡　　 Vﾊ　 ∨i}
　八ﾞ}ニニニﾆ≧}ニニニニニﾆ}　　　 V{ 　 V}
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　　　 i{ニニニﾆﾆ}ニﾆ≠ニニﾆ : : . . 　 } } 　 }| ＼　　　　　　　　／　　　　／
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{ニ{ニ≠ニニニニﾆ　　　 . 　´　　　　　　　　　　　　　＞　　　＼
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ﾞニニニニニニﾆ　イ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞丶
.=⌒ヾ≧==ミ､≦_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　´”ミ､ _
.　　　　￣ヾ{　　＞　.. _　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 :.≧x
　　　　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　:}　¨ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　.　　　　　　　　　　　　　 /::.　　 ::.　　　 {　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　.　　　　　　　　　　　 '_¨_}　　 : : :.　　.:{　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　 /´　 ,　　　　: :.　　,:　　　:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 .ｲ　　 :　　　　　　 :　　　 :
236：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 11:33:16 ID:n.c7dCi.: りょ
237：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 16:36:05 ID:hyIngTU2: 締め切りギリギリの人は皆そう言うんだ（実体験）
238：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 16:45:55 ID:tRr9uTrg: 承知
アレですね「設計図が奪われてしまった？ハッハッハ、あれは偽物、本物は以下Rya
239： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:01:13 ID:Y56IqXDA: ではそろそろ始めます。投下間隔はまちまち。

途中で止まったら寝落ちしてると思ってください（小声
240： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:01:36 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ

　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：52　自分の嘘を自分で信じるようになる末期症状.　　　　　　　＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　前編～　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾉ　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |⌒´　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　/
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 |

.
241： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:02:56 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　,　　＝ヽ
　　　　　／　　　　　＼-　- ､　─
　　　　　　 /　　　 ,ィ　'"´: : : : : ＼: : : : : : : : ヽ
.　　　　　 / 　　　/: : : : : : : : : : : : ヾ: : : : : : : : : ＼
..　　　　　|i　　　/::{Yミ､: : : : : : : : : : : Y: : : : : : : : : ヽ
　　　　　 |i　　　′i´　 .∨: : : : : : : : : :: : : : : : : : : : : :
　　　　　 |i　　　':::::.|　　　∨: : : : : : : : : }: : : : : : : : : : : :　　　　　　　　　「今回はもう少し早くやれる予定だったんですが」
　　　　　 |　　　|::::::i_　　, =i: : : : : : : : : :.|: : : : : : : : : : : : :}
　　　　　　　　 {:::::::.,`　　ｨ.}: : : : : : : : : :i⌒ヽ: : : : : : : : : l
　　　　　　　　 | :::::::ｶ　　ﾋi: i｝ : : : : : : :} 　 /: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 |: : ／　　リ }: : : : : : : ﾘ／: : : : : : : : : : .i
　　　　　　　　　}::::`､　　　 ´ .i: : : : : :/　| : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　 i: :　　 _　_　 |: : : : :/ 　 |: : : : : : : : : : : : |
　　　　　　　 {: : : ヽ　　　ﾘWﾙ'´　　.{: : : : : : : : : : : .: |
　　　　　　　　　ﾘﾊﾊ: :＼____ ィ.　　　　 |: : : : : : : : : : : : .|
　　　　　　　　　　　　{: : : : : : i 　　　人: : : : : : : : : : : ..|
　　　　　　　　　　　　|: : : : : : ｝　　　 ' 　.＼: : : : : : : : : ..|
　　　　　　　　　 _ _r‐=＝ｧ ' ´　　　　　　　　X⌒ｱ‐-ｧ=-､
　　　　　　　, イ　ｲ{ 　　｛　　　　　　　　　／.　_丿／　　　　ｰ､
　　　　　　/´ 　　.}i　　八　　　　　　__／　　ﾏ　/　　　　　　　〉
　　　　 ′　　./ ヽ　　　＞r‐fﾆ二　　　　　｝　{　　　　　　　八
　　　　　 {　　　 Y´　＼　 /　　{　　　　ノ⌒´ 　i ﾉ　　　　　　ﾑ
.　　　　八　　/　　　　冖　　　`ｰ'´`ｰ´　　　　t'　/　　　　　　}
　　　　｛　　V　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y　　　　　　　ｿ
.　　　　 i　　/　　　　　　　.:;´　　　　　　　　　　.}　　　　　 f´
　　　　　{ 　{　　　　　　　.::::i　　　　　　　　　　　ｿ　　　　　 {

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／〉 _ノ　ヽ､_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／' （ ―）（― ）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/／〉　（__人__）　│
　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　 ´ イ| 　｀⌒ ´　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　ｉY 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　「>>1が殊の外服飾や織物、
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ﾊ !　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　染め物について知らないことがおおすぎた為、
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　／　　.〉-r:::┬〈、
　　　　　　　　　　　 __「ー‐1 　.／Λ 〉.:〈 7//＼　　　　　　　　　　　　　　色々と遠回りしてしまった」
　　　　　　　　　　　ｉ//7777|／////V::::::V/////＼
　　　　　　　　　　　 |//////|//////∧::://///////}
　　　　　　　　　　　 |//////| ///////∨/////////{

.
242： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:03:22 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　　　「骨董市で久しぶりに古裂とか買ってしまってたお」
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　／　_ノ　ヽ_　＼
　　　　　　 | 　（●）（●） |
　　　　　 |　　（__人__）　|
　　　　　 |　　｀⌒´　　|
　　　　　　 |　　　　　　　}　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、それでは始めようか。
　　　　　　ヽ　　　　　　.}
　　　　　 __,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､　　　　　　　　　　　　　　　　まずはあずさ、いつも通り歌詞を」
　　　　ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
.　|| | ﾉ:::: 　 }:::::::＼|;;;ﾚ'ｰ'' ⌒.:::: ヽ |　||
.　|| | {,,;;;; .:::: ヽｰ---ｹﾄ､, へ､:::: 　 |　||
―──.::::::::::::ノ.:::/　/　　　彡}――─────
　　　　 "￣｀ﾞﾞ ''ｰ-､'ー----'

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ　　　　　　　　「は～い。
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ　　　　　　　　　こちらが五十二番の歌詞になります」
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!...　　┌─────────────────────┐
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/....　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/...　　　│　..神社佛閣山水の　外に京都の物産は　　　　 │
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ. 　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |　　　　　 │　　　　..西陣織の綾錦　　友禪染の花もみぢ │
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|　　　　　　 └─────────────────────┘
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

.
243： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:03:35 ID:Y56IqXDA: 　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　　　　　　　　　　　　　　「見てもらえればわかるように、今回の主眼は『西陣織』と『友禅染』になる」
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|　　　　　　　　　　「『ニシジンオリ』も『ユウゼンゾメ』も、
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　キモノに使われる布のことよね？」
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
244： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:03:57 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　「そうだな。勿論その用途は着物に限らないがな」
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　.　　　　　　／⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
　　　　　　　　　　　　.　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　「帯や袋ものにもよく使われますよ～」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　.　　　　　　{: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
　　　　　　　　　　　　. 　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　.　　　　　_{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
　　　　　　　　　　　　.　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
　　　　　　　　　　　　.　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

.
245： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:04:11 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　「そもそも一口に『着物』といっても、　　　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　用途などによって色々な種類があるからな」　　　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　「そのあたりはあずさに解説してもらおう」　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊｰｒ―-､ヽ　＿＿
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::!:::',　　ヽ〉　　 (
: : : : : : : : : : : : :´厂｀|:::::',　　　　　て
:::::::::::|:::::::::::::::::::::/,ｚ､│::::l
::::::::: l:::::::::::::::::::/〃∥|::::::|
:::::::::::!::::::::::::::::/ ∥ j! !::l:::|　　　　　　　　　　　　　「えっ、聞いてないわよそんなの～」
:::::::::::|:::::::::::: /　ヾ=' ∨: |
:::::::::∧l::::::::/ 　　　 /:::::|
:::::::/:/ﾘ､::|:{　　（ゝ／;ｲ::/
::::::::/＿.ヽN＿_／|:::/ |/
::://: : : :￣ｽ　　 |/
／ヾ: : ＿/: :＼＿
ヽ: : : : : : : : : : ヾﾘ＼

.
246： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:04:36 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |　　　　　　　　　　　　「いいじゃん、俺よりは詳しいだろ」
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

.　　　　　　　　 ,.へ.　　＿__
.　　　　　　／　 __＼/.: : : : : .､
　　　　　　　 {　／: :厂∨へ、: : :＼
　　　　　　　 ×: : :/＞┴''¨¨ヽ: : : :.ヽ.
　　　　　 /: : : :,'´　　　　　ヽ : : : ヽ
. 　　　　 l: : : :.:l　＿_　　ｚ=＝ヽ: : : :':,　　　　　　　　　　「もう、お兄ちゃんったら……」
　　　　　　ｌ: : : :.:|'´￣｀　　　彡ﾆ､}: : : :.:',
　　　　　　 |: : : :.:ｌ. ,ｲ崇　　　　佖j 〉:i : : : !
　　　　　　 |: : : : :.〈弋ﾘ　　　　`¨´ ^!: : : :ﾄ､
.　　　　　 !: : : : :ヽ　　　' 　　　 |/!: : l:∧
.　　　　　 |: : : : : ﾄゝ　　　,.-- ､　　 /|: : :!/∧
.　　　　　　 |: : : : : ﾄ､.　　ｈ　r┴､ //|: :/://∧　　　　　　　　　　「えーっと、それじゃ、
　　　　　 |: : ∧ :Ｖ:＞r､ | !-//〉.∨/!://///∧
　　　　　　 |: //∧: Ｖ:/! リ |//∧ヽVﾄ＜⌒ヽ/∧　　　　　　　　　　簡単に今の時代の着物の種類と用途をお伝えしますね」
　　　　　　　|/:ｲ￣＼＞l　　　　{／ﾉｌｊ　　　 ∨∧
　　　　　　ｊ//!　､　　/　　　　／　 | 　　 j　 ∨∧
　　　　　　 ///l　　ヽ/　　　／l　　 |―‐ :く　　 !/∧
　　　　　 |//∧　　,ｲ＿＿ｲﾐ=ゝ、　厂）.: :.:ヽ.　|/ﾄﾍ!
　　　　　　 |/l/∧　 { |'⌒ヽﾄ､:.∠ｊ／／} : : : :.i　|/|　ｊ
　　　　　ｊ! ∨∧.　`!､＿ﾉ !ﾉ: :>z彡　人: : : ﾉ　|/|
　　　　　　　Ｖ∧ 　`「￣¨ｌ: :.:.＼__／　ヽｒ'　　j/ｊ
.　　　　　　　　 V∧　 |　　 |: . : ::::::＼　　ヽ

.
247： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:05:09 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「こうして見ていただければおわかりいただけると思いますが、

　　　　　　　場面や用途、それに実際に着る方のお年などにもより様々な種類があります」

　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│　　　　　「そのほかにも素材、柄、布の織方、帯の選び方、配色と色合わせなど、
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!　　　　　　　　　　様々な要素が絡んできますね」
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼
┌───────────────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..打掛：礼装、本振袖の上に羽織る　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..本振袖：礼装や花嫁衣装　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..中振袖：結婚式の色直し衣装、パーティーなどで身に着ける.　　　　 │
│　　　..小振袖：用途は中振袖と同じ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..訪問着：訪問、遊行、お祝いなどに。　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..コート：礼装の上に着る、または防寒、防雨など　　　　　　　　　　　　　│
│　　　..着尺：普段着、おしゃれ着などにも　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..羽尺：一般的な羽織　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..長襦袢：下着　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　..四つ身：正月、祭などによく着る。子供の着物、七五三詣りなど.　　　 │
│　　　..一つ身：赤ちゃんが羽織る着物　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
└───────────────────────────────┘

　　　　　　　　　　/7 //:　/　/　 /　　 !　　　ヽ
　　　　　　　　　./《　《:::: /　/　 /　　　|　　　　　＼
　　　　　　　　 /　:V　ヽ/　.;　.＿:|__|　 /　　:/　　 /
.　　　　　　　 /　, 　V/ﾑ　　 .ﾊ| |乂ﾌ| 　 /:|　 .Λ　　　　　　　　　　　「『ユカタ』が入ってないでありますが」
　　　　　　　/ 　 . ／ﾏ彡!　　抃7スV |　./ト|　 |　| ）
.　　　　　　/　　ｒ--z　　|　　ﾊ |`¨　 .人/r≠ミ　.ノ
　　　　　　　　　ﾑﾏiii}　　| 　 | .i|.　　　 '　炊ﾂ　ﾊ |
　　　／　　〃　ﾏ//　:乂　.人__　 , -、　イﾚ^!.ノ
　／　　　./　　　　〈7八 -ﾉ^⌒　 `　　 ,ｲ:|.　.; |
　　／　乂　　　:/ /ﾉﾆ =ミｚｚ.込..__　＜ | | ノ| |
フ'　　　　　　　 :( /ノ//廴三{　}三.}　|　| .|　　.リ
　／　　／　r==ﾆ⌒ミ////ヽ////へ　:! :!: : :＼
／　　／　　 {////　　/ヽ　////////V人＼: :　＼
　　／　　　　}/////　/^V}/＼.//////V＜)-＼:.　＼
フ　　　　　　 V///ノ^! VこV　フ////Λ　＼:.:＼: . ＼
　 /　　　/　　.V/Λ_ノ////Λ　ﾉ/////: V　　): : :＼:.　＼
. /　　　　（~⌒V////＞-=ﾆ{丁ミ>///　/〉　/ヽ: : : 　　＼＼

.
248： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:05:29 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/　　　　　　　　　「浴衣は、あれはお湯上がりにお湯や汗を拭うためのものですから
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､　　　　　　　　　　　　 ……西洋のほうに置き換えればバスローブになるのかしら？」
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　浴衣ハ浴シタル後ニ身ヲ拭ク布ニテ製シタル衣ナリ　　是ヲ着テ正シキ所ニ行クハ失礼ナリ

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　　「和服の一形態であることは間違いないが……。
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　　　ここでいう着物と浴衣は別物だと思ってたほうがいいかもなぁ」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
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　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

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249： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:05:51 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　><￣￣ヽ
　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＼　　　＼
　　　　　 /　　　　　　　　　　. : : : : : : : : : . 　／　　　　　＼　　　＼
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.　　　　 '　　　　　 . : ／:＞: : : : : : : : ／ヽ: /: : : : : : : : :',. 　　 }
　　　　 ' 　　　 . : : : ／: : : : : : : : :∠:ｚ､ｚ､{／Z､ヽ: : : : :',　　 /
　　　　i　　　　 . : : ／:/: : : : : : : : /　　　　　　　ヽl : : : : ',.　/、　　　　　　　　　「宮中の単とか烏帽子直垂もやっぱり
　　　 |　　　 . : : :/: :/: : : : : : : : / ＿_　　　　　　　 |: : : : : ∨､:|
　　　　l　　 . : : :./: :/ : : : : l:/: :/´￣￣｀　　　　　＿| : : : : : :',　＼　　　　　　　　　　『着物』と呼ぶのはちょっと違う気がしますし……」
.　　　 '.　　: : :./: : : : : : : : l : /　　　、　　　　　　 |: : : : : :│　　＼
.　　　　ヽ　: : :|: : :|/: : : : : l:/,彡五ヽ　　　　 'ニ　|: : : : : : |: .　／
　　　　　｀ー┤: :j: : : : : : :|/　心jﾘ　　　　　　糸＾ヽ|: : : : : : |: : く
.　　　　　　 ∨/:_j : : : : :ト　込ｸ　　　　　んﾘ　ﾉ}:ﾄ!: : : : ﾊ　. :こ＞､
　　　　　　　 /:/:/ |: : : : : |　　　　　　　　｀¨　 ,ｲ:|:|: : : /l |: : : : : ／
.　　　　　　 /:/:/7ｲ: : : : : |　　　　　　　　 ' 　　 / ! N:.: :/ :リ: : : ／
　　　　　　　/:.:{:ハ/|: : : : : :|､　　　　　　　　 /: :|/ |: /＼: : :／
.　　　　　　/: : : : //|.: : : : : l l＼　　　ｒ'ｱ　　　／_:_:_∠|/　　}／
.　　　　 /: : /: :{/ :|ﾊ: : : : | | 　＼　　　　.ｨ:くｒ'ﾞ::::::::::::／
　　　　 /: : /: : : : :./∧ﾄ. : |￣￣≧辷イ:::ﾉ:::::}:::::::::／
.　　　 /: : /＞-―<≧::ｌ::ヽｊ＼::::::::::::::::::ｰ'ﾞ::::::八ｰ'ﾞ＼
.　　／ : ／　　　ヽ＼::::::::::＼::::::::::::::::::::ノ::::::>､　　＼
.　／: :.イ　　　　　　　ヽ　＼::::::::::＞―-::::::::::::::::／＼
./: : : : : !　　　　　　ｌ　 l＼::::::::::::::::::::::／￣ヽ　ヽ
: : : : : : :|　　　　　　 | 　 l　｀￣￣￣´　　　）　 }

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「綿入れとかちゃんちゃんことかも？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..-''"´ 　　　　　｀''-,,　　　　　　　　　　　でもまー、そのへんは個人の感覚じゃねーかお？」
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 /　　＿＿＿　　　　　＿＿＿＿　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　,'　　＿＿＿_　　　　＿＿＿_　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 l ●　　 l　　　　 .l ●　　 l　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　l　　ヽ､＿ノ　　　　　　ヽ､＿ノ　　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　 ',　　　　　（＿_人＿＿）　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　└――┘　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　 _｀''-..,,_　　　￣￣　　　 _,,..-''"_
　　　　　　　　　　 ,..-''"´　　　　　　　　　　　　　　　　｀"''-..、

.
250： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:06:14 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣　　　　　　　　　　　「ただ、浴衣で外を出歩く人を見かけることも夏場は少なくないからなぁ。
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿　　　　　　　　　　　　ま、ともかく話を進めていこうか」
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　/: : : ｲ:i: : ヽ: : : : :ヽ: : : : : : : ＼　!:ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧/: : : :ｲ: |｀ヽ: :ハ : : : ＼: : : : : : : ｀: : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : : / i: |　　｀ ,: ﾊ: : : : :.＼: : : : : : : : : ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i: /: : :ﾚ':: |: |　　　ヽ:ﾍ: : : :ﾊ: ﾊ: : : : : : : : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　 !ﾘ: : : ｲ :: ',; !　　　　 ' ,: :,: : :ハ: ',: : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'ﾙ : : ﾊ _L 'L_　　　　_ ヽﾊヽ: :ﾊ:ﾍ: : : : : : :ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｲ: : :ﾘ　 '　ゝ　　　　　｀ﾍ:卜t､ ',: :ヽ: ,. -v'　　　　　　　「そうしてもらおうかしら」
　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: : : ﾚ==rミ　　　　　ﾆ=ﾔｪ_ ヽ: ∨ rヽ .i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',: ﾊkぅ:::ﾊ　　　　　　´ぅ::::::ﾊ气∨ {　v /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',:∧ ｀ ´　　　　　　　 'ー-'　 ´ !ﾍ/ ,ｨ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,. . ﾑ-ハ-. .,　　 ,　　　　　　　　 ,r.-.‐.´.|
　　　　　　　　　　　　　　,.　＜´. . . . . . . . . . . . . ｀＞ ..,　　　　　 , ｲ.: : : .: .:|
　　　　　　　　　　 ,r ＞, ､. . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ　　 , イ: : :./-‐-､|　　　　　　　　　　「浴衣AAがあったので使ってみたわ」
　　　　　　　 ,.､へ,　 ,.ﾑ　　　＞､. . . . . . r-'^ク . . . . . ﾉ,. ＜／: ｨ '　　　ヽ
　　　　　　_,ﾍ　 k＞‐'　´へ､　　　ヽ. . . . . 7 ,､≧. ,.＞'　,.才ｫr´　　　　　　 ',
　　　　ハヽ ∨,.＜r´　　　　｀　ー- '-ｯー‐フ:7＝'　／,. イ/'　　　　,. -―‐-､
　　　 / rﾍ /ノ　　/　　　　　　　　　　/ 　／,ｨ/　 ,ィｨ ´　 '{　　 ,. ＜.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
.　　 /　　｀　　ノ　　　　　　　 /　／ｨ ´ ﾘ　/´　　　　,. ＜.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'､
　　 {　＿　r‐'´　　　　　　　　　　 /　 ´　　　　　　　　,. ＜.:.:.:.:.:.:.
　　,ｨ　　　ﾊ　　　　　　　　　 ,. -'―'　,.　　　　　 ,. ＜.:.:.:.:.:
　　/.|　　　 |ｲヽ　　　　　 ,ｫ ´　　　,. ´　　　 ,. ＜.:.:.:.:..:.:.:.:,..:＜
.　/.:.:| 　　ﾚ'.ﾉ　 ,. ＜.:.ｱ　　　 /　　,. ＜.:.:.:.:.:.:.:.:.:,..:＜.:.:.:.:.:./
. /.:.:.:| 　／.:.:{ ／.:.:.:.:.:.:ﾊ　　　　,'. ＜.:.:.:.:.:..:.:.:.:,..:＜
/.:.:.:.:.|,／.:.:.:.:.:ﾊ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
.:.:.:.:.:.:´.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:'y'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:／

.
251： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:06:42 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |　　　　　　　　　　　　「西陣織と友禅染は、
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　いずれも京都の織物の代表格で、
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、　　　　　　　　　　　　　　共に並び称されることも少なくない」
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　　 /　　/＞''”　 /　　　　　　　　　　　|　　 ', 　 ≧s｡.,_
　　　　　　 /　/￣　　　 ,′　　　　　　　　　　｜　　 ,　　　＼　≧=‐,
　　　　　　　　/　 i{　　　　　/　 |　　　　　　　　　　 |　　　，　　　 }　　　，
　　　　　　　 ,　 /7　　　　　ｌ　　|　　　 |　　　　　 i|　　　 ,　　　 i|
　　　　　　　　 // l　　　　　|　　|　　　 |　　　　从　　ｉ|　　　　 |　　 l
　　　　　　　f / 〈｜　　　 |　　|＿＿_｜_　　　　/＿_　　 }　　　　 |　　 |
　　　　　〃　＼　　　　 |　´i|　　　 |　　　 /　　　｀　, 　　　 |　　 |
　　　　　　 /　　　　＼　　　|　,x笊云ミｔ､　　　 / ,斗笊ﾐ　,　　　　从　ｉ|
　　　　　〈　　　　ｌﾊ　　 ,〈　ぃ//(　 |　　　/ 　h//(　〉,　　　　/
　　　　　〈　　　　/,'ﾊ　　，　乂^)少｜　／　　乂)少 /　　　 /　　　 ,
.　　　　　 / ∨　　〈//∧ 　，　　　　 |／　　　　　 / 　　 /　　　 /
　　　　　 /　　∨　〉///,}　　　　　　　　　　　　　　从　　 /　　　 /
　　　　　　　／＼///＞'　　∧　　　　　　 _ ｀　　　人　　 /　　　 /
　　　　 /　　{　／77| ＼　　 ∧､　　　　　　　ィ /　　 /　　　 /
　　　 ,　　ア7////!|　　＼　　∧≧s。　　　　　　 ,　　／} 　　／　　　　　　　　「その2つの違いはなんでありますか」
. 　　/ 　〈/////／i|　　　ヽ　∧二ニ≧=≦　　 / ／　｜／|
　　 /　　　 ,//,／　ｉ|　　　 |　＼ ∧　　}ﾆf^ﾊ　　 ,／　　 |‰　|
. 　/　　　ゝ'　　　 i|　　　 |　/, ＼ｉ}　ｉ}笊, ∧　　　|　　 |　　 |
　/　　　　　　　 |　　　 |イ二ﾆ=‐＜ {{}}乂_＼　i|　　 |　　 |
.　　　　　　 ‐=ﾆ二|　　　 |二ニニニニ乂二ニニﾆ|　　 |＿_｜
/　　　　　 /ニニニﾆ|　　　 |二二ニニニ｀_´ニニﾆﾆ|　　 |ニﾆﾆ,ヽ
　　　　 ,二二二二|　　　 |二二二ニニニニニニﾆ|　　 |二ニニ,}
.　　　　　 {二二二二|　　　|ﾆﾆ,／⌒Y　　　 Y　　 |　　 |二ニニ,|

.
252： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:07:08 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）　　　　　　　　「最大の違いは西陣織は『先染』であり、
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|　　　　　　　　　　　友禅染は『後染』だということだな」
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【先染、後染】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　織物を織る際に、糸などの繊維を先に着色しておいて、その糸を使って織物をするのが『先染』
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　着色していない無地の糸を使って織物をして、その織り上がったもの染めるのが『後染』です。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
253： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:07:42 ID:Y56IqXDA: 　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ　　　　　　　　　　　「歴史としてはどちらが古いのかしら」
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

　　　　　　　　　　　　　-――-　　　　　　　　　　　　　　　　　　「後で説明をするけど、西陣織のほうが古い。
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,　　　　　　　　　　　　　　　　　その大本は律令制の織部司にあるものだからな。
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　| 　＿＿ノ　　　）　　　　　　　　　　　　　　　　　さらに突き詰めれば何度か出てきた
　　　　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿　　　　　　　　　　律令以前の秦氏にもぶつかることになる」
　／///////,ｲ/∧　　　　ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<　　　　　　　「比べて友禅染の本邦での源流は天平の三纈になる」
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
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IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

『西陣織と友禅染とは京都の代表的物産で、京都といへば直ぐこれ等の名を思ひ浮かべる程であります。

殊に西陣織は古い歴史を持っていて、時代の移り変わりに伴うて栄枯盛衰はまぬがれませんでしたが

ニシジンの盛衰はやがて京都の盛衰であり京都の盛衰はまたニシジンの盛衰であったのです』（京をたずねて）

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

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254： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:08:06 ID:Y56IqXDA: 　　　　「とりあえずは先に西陣織の解説をしていくが」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　「まずは西陣織というのは『どういう技術や製法で作られた織物か』
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　という形で定義づけられるわけではなく
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　　　　　　　　　　　　　　『京都の西陣で織られた多種多様な織物の総称』
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼　　　　　　　　　　だということを了解してもらいたい」
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　.｡＜／　　　　　/　＜　　　　｀＜///＼＿＿＼
　r――　　.｡＜　　　 /　　 :　　　　＼　　　　　＼//／＼/}　ヽ
　|　　　 f　　　　　　 /　　 }　　　　　＼　　　　　　　　ﾏﾟ.　ﾟ。
　|　　　 |　　　　 /　　　 {　　　　　　　/　　　　　　 }　　　ﾏ}　　.
　|　　　 |:　　　　 /　　　　i　　　　　　 /　　　　　　 :i　　　 ∧　　}
　|　　　 |　　　　 :.　{:.　　|　　　　 /　　　　　　 |　　 / ∧　 !
　|　　　 |　　　　 {:　 i　　　|　　　　　/}: 　　｜　　　 :.　　　 / ∧　}
　|　　　 |　　　　i＿_|　　 !　　　　:/ :ｉ　　:|　　　 } l　　　　 /　＼!
　|　　　 {　　　　 |　/| ≧o｡　　　:/　 {　　 :　　　 :i {　　　　　　 /ﾟ.　　　　　　　　　　「産地が重要なのでありますか」
　{ 　　 :.　　　　{㌣芹ミｔ､{　　　/　　i ≧=‐‐=ミｔ:/ :　　　　　 /　 }
　:.　　　ﾟ。　　　 i:ゝう//刈　　 /　　　％笊ミｔ､　,'　}　　　　　://}
　ﾟ。　　ﾟ.　　　 {:　乂こシ{ 　 ′ 　 / __）///云　/　　　　 ///　 l
　　 . 　　 : 　/　∧{ ｀¨¨´　!: /　　　　乂こシﾘ/　′ 　　 :/// 　 :}
　　　:.　/　 ∨ / :∧ヽ　　　ﾚ′　　　　｀冖冖"/ / 　　　:///　　:{
　　　 ∨ /:　∨ /: 人　　　　 ,　　　　　　 / /　　　　 ///　　　/ヽ
.　　　 ∨　　 ∨　 {/ﾍ　　　ｒ　,　　　　　〈 /　　　 ///{　/ :///
　　　　ヘ　　 {∨　i//!＼　　　　　　　　　イ／　　　／///// :/ゝ〈
　　　/ﾆﾆｌ∨ //:＼:!//／ヽ　　　　.｡＜/／　　　／|　辷辷辷,'　　|
　　 f二=!　}//////／/　{//爪/////／　　　／　 }////　　　　　|
　　　}二=! //////　／i:i:i:ｉ＼///{__／　　 .｡＜　　　:i///　　　　　 :|
　　　i二=| ∨///{　{i:i:i:i:i:i:i:ｉ｡o≦ /　｡o≦/}　　　　 |//　　　　　 |
　　　|ニ=|　∨ニ／:iｉ:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:￣/////:! 　　　 |二＼　　　　 |
　　　|ニ=|　 /／　　∨i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i://////|　　　　 |二二＼　　　 |
　　　|ニ=L＜　　　　 ∨i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{//////|　　　　 |二二二＼　　|
.　／　　　　　　　〉――=≦　乂////:|　　　　 |二二二二＼｜
　/　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　ゝ‐≦:! 　　　 |二二二二二}:!

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255： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:08:26 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そういうことだ。

　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　とある本において、日本にある四十七種類の織物が紹介されていたが、
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |　　　　　　　その多くが西陣で織られたものだという話もあってだな」
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
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　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

.　　　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　ﾟ｡. .、
　　　　　　. .＼　　　　 .　 -‐━‐-ミﾟ. . ＼
　　　　　　 . . . ＼ .......................................｝. . . .　　　　　　　　　　　「そうすると、その四十七種類とされた織物の大方が
　　　　　　　. . ／..........................................＼__ﾉ....＼
　　　　　　　.......................ﾄ､.........＼...................................　　　　　　　　　『西陣織』ということになるのかしら」
.　　　　 /................/l....|　　...........ﾟ｡ ................................
　　　　 /................/　....|　　＼.......ﾟ...........＼ ................
　　　　　′..../.......′ |...|　　　__丶 ................ ﾟ｡..............|
.　　　 ......../........___　|...|　 ´ 　　＼{、..... |..................|
　　　　 ....../.....´｛　　､{　　　 ≫=ミ＼...|＼〉..........|
　　　　 |.. ′.... ｛ｘ=ミ　＼　　″ト{:::心. }ハ |^ ........|
　　　　 |..｛l......... 《ト{:ﾊ　　　　　　Ｖこﾂﾉ′....|ぅ｝......|
　　　　 |..八 ... ハ　vツ　　　　　　 , , , ,　　｝..|ノ........
　　　　 |′　..｛........　' '　 ′　　　　　　　 . ｝..|......... ′
　　　　　　　　И..人　　　　 _　　　　ｲ. ｝..|.........
　　　　　　　　　　个...　　 ´　　　／｛. ｝.ﾉ.......｛
　　　　　　　　　　　 |.......＞　 _ .　　　__」................｛
　　　　　　　　　　　 |.....|.........r‐L.　 ´　　＼ ....... ｛
　　　　　　　　　　　 |...∧....ノハ　　　／::::::::::.........｛
　　　　　　　　　　　 |/ ／x介ｘ.ﾟ｡_／:::／⌒⌒ヽ..｛
　　　　　　　　　　　 | ｛　《_ﾊ_}}　/:::::/　　　　　 .｛

.
256： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:08:55 ID:Y56IqXDA: 　　　　「西陣織であるという分類をすることもできる、ってところかね。

　　　　　　　その製法で定義づけられる織物もあることだしな」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{　　　　　　　　　　　　　　　「その為、一口に西陣織と言っても、
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ　　　　　　　　　　　　　　　そのその品種は多岐に別れている。
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,　　　　　　　　　　　　　どういう種類があるかは西陣織工業組合の
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i　　　　　　　　　　　　　　　公式サイトなどを見てもらったほうが早いだろう」
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　　.f　　　　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　＼/
´ . 　　　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|
.　　　　　　|　　| 　　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |
.　　　　　　|　./|　　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　「丸投げでありますか？」
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |
.　　　　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　　　 .|　　　ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　｀　|　　ﾆ=-　　＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　　ﾏ/∧

.
257：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 22:08:57 ID:tRr9uTrg: 京都で「着倒れ」てる人って見たことないよなぁ
（大阪は､､､まぁ）
258： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:09:29 ID:Y56IqXDA: 　　　「ホラ子の言うことももっともだがな、このスレでは紹介する範疇を決めておかないと、いろいろありすぎるんだよ」

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、　　　　　　　　　「具体的には様々にある『西陣織』の中から
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/　　　　　　　　　　　　　以下の十二種類を紹介することにする」
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ　　　　　　　　　　　　「あずさ、フリップを頼む」
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　「は～い」
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ| ──────────────┐
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /...　●綴（つづれおり）　　　　　　 │
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|.　　　●経錦（たてにしき）.　　　　　 │
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j　　　 ●緯錦（ぬきにしき）　　　　　　　│
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/.　　　 ●緞子（どんす）　　　　　　　　　 │
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://.ﾞ│　　..●朱珍（しゅちん）　　　　　　　　 │
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'. 　 │　　..●紹巴（しょうは）　　　　　　　 │
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／　　 │　　..●風通（ふうつう）.　　　　　　　 │
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／.　　　 │　　..●綟織（もじりおり）.　　　　　　 │
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !　　　　　　 │　　..●本しぼ織（ほんしぼおり）....　　│
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l.　　　　　 │　　..●天鵞絨（ビロード）.　　　　　 │
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l. 　　　　 │　　..●絣織（かすりおり）.　　　　　 │
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ.　　　　　 │　　..●紬（つむぎ）　　　　　　　　　 │
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ..　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ　　　　　 └───────────────┘

.
259： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:09:59 ID:Y56IqXDA: 　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼　　　　　　　　　　「この十二種は国から指定されている『伝統工芸品』にあたっていて、
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　　　　　　　　　　西陣織の中でも伝統工芸品と名乗っていいのはこの十二種だけになる」
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
.　　　　 / : :/: : : /.:/ : : : : : : ／: /　　　　 //　　　　　 }: : : : : : ∧
　　　　　　.: : ;: : : :/.:/: : : : : :／_/_/_　　　　// 　　　　 {: : : : : : :.∧
　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ
.　　　　 : : :{　 /:./V　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｰ' / //　.}: : / 　 |
.　　　　　 : : :|　{.: .ヽ|　　　　　　　　　　　　　｀¨ 　 ,　　.|: /.　ﾍ|
.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
　　　　　　｝: : : ｀ー= 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
.　　　　　　｝:.Ｖ: : :∧::::Y:..､　　　　γ⌒　ーy 　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　「伝統工芸品に指定されているっていうのはどういうこと？
　　　　　　　｝: :Ｖ.: :.∧:::|. . ＼　　｀　　一 ′　　イ
.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ　　　　　　　ニシジンオリ全体が伝統的な工芸品なんでしょう？」
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
　　　　　　　　＼　 ∨ : ∧　　　: : :/ }: : : : /∧ : ∧￣|　　|　/　　/￣￣）

.
260： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:10:29 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「jud、ミーナの言う通り、ずっと昔っから作ってるものでは？」

　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　 l ´｜￣ | ￣八｀　　　　　　 ´i| ￣￣　 7ミ　 ,
　 ,　　　　 il　 i|　　 |　　　　，　　　　　　 /　　　 /　　　,
　，　　　　　ｉl　 i|　―|　――　,　　　　　　　/　―― / ―　 ,　　　　　　 /
　　，　　　　 ,ィ笊芋芋云ミｔ､，　　　　 ,　,ｨ爪芋芋笊ミ､　　　　　　　 //
.　　，　　　　〈(　h {////(　　　　，　　　 /　　h {////(　　)〉　　　　 ,///
　　 ∨　　　　＼乂⌒^)Z少　　　　､　　 ,　　乂⌒^)Z少／　　　　　　/〈//
　　　 ∨ 　　 ∧　^¨¨¨¨^´　　　　　＼　/　　　｀^¨¨¨¨^ /　　　　　　 /　∨/
　　　　 ,　　　　∧　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　 ,　　　　　 ,　　ﾏ/
､　　　，　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　 /
　，　　 |　，　　入　　　　　　　　　 '　　　　　　　　 /　　　　 /￣',
　〉　　i|　　，　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 ,　∧ ∧
. /　〉　i|　　，　　|　　　　　　　　　 ´ ｀　　　　　　　 /　　　　／　 |!∧ ∧
/　/,/，|　　　ヽ　ｉ|　　　〕ト　　　　　　　ィｉ　　/　　　 ,　　　 |/,∧_∧
/7///Ⅵ　　　＼,　　　　 |二＞　　　　　＜二|i　/　　　／　　　 |//////
//////,|i　　　　　 |　　　　/‐=ﾆ二≧=≦二ﾆ=‐',　　　／　　　　　 |//////
/////,/|i　　　　　 |　ィi〔/　　 /　/ニﾆ,∨∧　/ 　／|　　　　　　　|∨////

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　「OK、じゃぁそこから説明していくか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)　　　　　　　　　　一応お二人の解釈でも一般的には構わないと思うが、
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　ここで言う『伝統工芸品』というのは
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　　　　　　　　昭和四十九年に公布ならびに施行された
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼　　　　　　　　　　　　　　　　『伝統的工芸品産業の振興に関する法律』に基づいて
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶　　　　　　　　　　　　　　　　定められた基準で認可をうけた工芸品の事をさす」
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

第一条　この法律は、一定の地域で主として伝統的な技術又は技法等を用いて製造される伝統的工芸品が、

民衆の生活の中ではぐくまれ受け継がれてきたこと及び将来もそれが存在し続ける基盤があることにかんがみ、

このような伝統的工芸品の産業の振興を図り、もつて国民の生活に豊かさと潤いを与えるとともに地域経済の発展に寄与し、

国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
261： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:10:47 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　| 　（●）（●） |　　　　　　　　　　「この伝統的工芸品産業の振興に関する法律は、
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　|　　｀ ⌒´ 　 |　　　　　　　　　　　　通常『伝産法』と略される。
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､　　　　　　　　　　　このスレでも今後はそういう風に呼ぶのでよろしく」
　　　　　　　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　　　　「ウィース」
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　 _,.｡s≦　　　 /　　　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　＼
　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､　　　　　　　　　　「チョリーッス」
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

.
262： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:11:04 ID:Y56IqXDA: 　　　　「えーっと、文章を読む限り、その地域に昔から伝わってきて、

　　　　　　　日々の暮らしに関わりのある工芸品、ということ？」

　　　　　　　　　　　　　,. .- ‐ -. . .,
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「大まかな捉え方としては間違ってない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いくつか条件が加わるけどな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.
263： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:11:31 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　_
　　　　　　　／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::
　　　　　　　ﾘ/:::::|　　'´　　￣`　.＼::::::::::::::::::＼､
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　　　　　　＼::::::::::::::::::}:::､　　　　　　　「じゃ、お兄ちゃん、そのへんのこと教えてちょうだい」
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　　　　　　 ∨::::::::::::::::::::ｉ
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|:::.:l
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　　辷 j １::/:.::::::::::|::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　 N:::::::::::::::|:::::::ﾊ
　　　　　　八:::::∧　　　　丶　　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　＼:::∧　　　 v　　　ｱ　　レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ ー　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　〉/　ｯ　i `i-､　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　 i　　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　|　　　∨ '´/i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　　|　　　　　/ :i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　_ ｲ　　　　ノi : :i : : :i : : :i : : :` ‐ - ､::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／　　　　/ : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i: :| ヽ､::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　/ 　　 }　　　{: : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i : i　　ヽ:::::::::::::::::::i
　　　　　　　　{　　　　　　　|: :/ : :| : : :| : : :| : : :| : :` ､ `　　 }:::::::::::::::::::|
　　　　　　　ハ　　　　　　 | :i: : : :i : : :i : : :i : : :ヽ : : :ヽ:ﾉ　　|::::::::::::::::::|
　　　　　　.　　|　　　　　　.| :|: : : :.| : : ::| : : :ヽ : : :ヽ : : :ヽ.　 |::::::::::::::::|
　　　　　　　　 |　　|　　　　| ::| : : : : :| : : :| : : : :} : : : :} : :ハ. 　|:::::::::::::ﾘ
　　　　　　　.　|　　　　　　| : :| : : : : ::| : : :| : : : i :. : : :i: : : :｝　 |::::::::::/
　　　　　　　　|　　　　　　 | : : |: : : : : :| : : :| : : :| : : : :| : : :/.　　|::::::/
　　　　　　　　| 　i　　　　 |:: : :| : : : : :/ : :/: : : :/ : ::/: ::／.　　 |:::/
　　　　　　　　|　.|　　　　 ! : :/ : : : :/ : :/: : : :/ : : :/ : /　　　　|:/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|　　　　　　　　　　「あいよ」
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

.
264： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:11:56 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「細かいことをばっさりカットして言えば、この『伝産法の目的達成のために、

　　　　　　　定められた一定の基準を満たしたと経済産業省が認めた工芸品』のことだな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-─ ｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ イ 7/
　　　　　　　　　　　　　　　　／:::／　　//
　　　　　　　　　　　　.:.:.:.:.://／　　　〃
　　　　　　　　　　　´ :.:.:.:.:.j/´￣￣￣:.:.:.:`　､
　　　　　　　　／ :.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._＿:.:.:.:.:｀ー───‐-ｧ
.　　　　　 / :.:.:.:.:.:./:.:.:／:.:.:.::.:.:.:イ￣ヾ､ -､:.:ヽ´￣￣｀ア
　　　　　　　,' :.:.:.:.:.:./:.:.:/:.:.:.:.:.:.／ /　　 //⌒',:.:.:',_,,..= "
.　　　　　　 ' :.:.:.:.:／:.:.:/:.:./:.／─‐- ､〃　　 !:.:.:ﾊ
　　　　　　 | :.:.／イ⌒i:.:./j/ｨf笊≧ミ　{:!　　　}:.:.:.:.}
　　　　　　 | :.:.:.:.:.:{ { ^|/　　弋ぅソヾ　ﾘ　　r-!:.:.:.:,
　　　　　　 | :.:.:.:i.:.ヾ､　　　　　　　　　　ｨ斧ﾐ/:.://　　　　　　　　　　「なるほど、ちゃんと基準があるのね」
　　　　　　 | :.:.八:.:.:.:.:.　　　　　　　　　　ﾋﾂ厶イ/
　　　　　　 | :.:.:.:.:ヽ:.:.:.:ヘ　　　　　　　　'　 /:/ j/
　　　　　　 | :.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.:ゝ. 　　｀　　'　　ｲ/
　　　　　　/ :.}:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:＞,,─-＜　　'
. 　　　 / :.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト-‐〃　　　　ヽ
　　　　 / :.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}　 {　　　　　　 ,
　　　／:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　,　　　　　　 }
　　/:.:/:.:/{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　 } /　　　＼ヽ､
.　/:.:/:.:/　!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:|　　 j'　　　　　ヽ} ヽ
. /／{:.:{　 {V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:|　　/　　_＿＿_ 　}　 ',
　´　 j/{ ｀.i ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:|　　{　,,..::::::::::::::::::>'　　}
　　　　ﾊ　ヽ＼:.:.:.:.:.:.:ﾄﾉ　　ゝV´￣￣｀!ヽ.　/　__
　　　　{ｿ　　＼ヽ:.:.:./　　　　　|　　　　｜ }ノ､r'´､)
. 　　　V　　　　V　｀〈　　　　　｜　　　　 | ｿ{_　　　〉
　　　　 }｀ー─‐ﾑ　　ヽ　　　 |　　　　|'´　　ヽ　}
　　　　｀r‐──{ﾊ　　　＼　　　| 　　　 |　　　 }ノ

.
265： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:12:45 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「そらそうよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　「で、その基準というのを示したのが以下になる」　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

一　主として日常生活の用に供されるものであること。

二　その製造過程の主要部分が手工業的であること。

三　伝統的な技術又は技法により製造されるものであること。

四　伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること。

五　一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものであること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
266： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:15:36 ID:Y56IqXDA: 　　　「この原則に基づいて、その工芸品ごとに原料、製法などが個別に指定され、

　　　　　その指定されるところに従って工芸品を作り上げなければならないわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　「昭和四十九年に制定されたこの伝産法だが、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　年月が経つに連れて伝統的工芸品産業を　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　取り巻く環境は急速に厳しくなっていく」　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　／　 ―― 、　　　, 、――　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　／. 　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　＼
　　|　　　　　 ´"''"　　　, 　　 "''"´　　　　 l
　 ..|.　　　　　　.（　　　 j　　　）　　　　　　 .|　　　　　　　「あっ（察し）」
　　|.　　　　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　　　 l
.　　＼.　　　　　　　｀ ⌒ ´　　　　　　／
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
267： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:16:48 ID:Y56IqXDA: 　　　「生活へのゆとりを求める国民が増える一方で、

　　　　　　　伝統的工芸品産業に従事する人口の高齢化と減少がどんどん進んでいく」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　「そして今もそれの流れは加速しており、
　　　　　　　　 |　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　後継者問題はかつてないほど深刻になっている」
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、、___　　　|
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

　　　　　　　　　　　　　　 // ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　| i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 |:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 |i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ　　　　　　　　「そうねぇ、それはもう、伝統工芸だけじゃなく日本全体で
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y　　　　　　　　　　　起きている現象なのよねぇ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　　　　　　　　　　 |//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 |///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨//∧`ｰ'　　､　　　　u.　　|////N//∧
　　　　　　　　　　　　　　　 ∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
268： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:17:16 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「一言では良し悪し言えない部分でありますな。

　　　　　　　　　豊かな暮らしと収入は強く結びつくものでありますし」

　　　　 f¨¨¨ア　　　/　　　 |　　　　　　/　　　＼　　＼
　　　　　　 l　　　 ′　　　|　　　　 /　　　　　}　　　　､
　　　　ｌ　　｜　　 ,　　　　｜　　　 ,　　　　　 |　　　　　＼
　　　　|　　｜　　 ,　 /　　　,　　　　/　　　　　　,　　　　　　 /
　　　　|　　｜　　 {斗ｬ允― ,　　　/ ＿＿　　/　　　　　　/{
　　　　|　　｜　　 | ｉ|　　/　八　 /　}　　/ ミｔ､　　　　 /　,
　　　 ,　　i|　　　|　,x笊示ﾐ　,　,'　　イ云笊x　　　　 / 　i}
　　　 { 　 i|　　　|i〈 hr (　　　V 　　ぃし(　 )〉　　　　／　 ,
　　　　 , 　 ,　　　{　ゞ= '　　　　　　ゞ==ｼ /　　　／　　 /
　　　　，　,　　叭　　　　 ,　　　　　　　　/　　　//{　　 /{
　　　　　， ‘，　八　　　　　　　　 /　　　 {///7 /　,
　　　　　　 ,　　,　　　　　　　｀　　　　 /　　／i{///ア
　　　　　　 ‘，八　 {　l　.　　　　　　　 / 　／　∧⌒',　　　,
　　　　　　　＼{∧ l　|　＼　　　ィi〔=,/ ／/　 //∧　〉　　，
　　　　　　〈// } ＼i!　　 /爪ニﾊ,　/ｨ　 ,　　{∨//7∧
　　　　　　/ 　^　,　　/ﾆﾆ〈 ,//笊ﾆ{／　 /! 　 |i ∨///∧
　　　　　 //二ﾆ/　 /ニニﾆﾆ{ {} }ﾆ≧≦ﾆ|　　|≧s。/,／　　　‘，
.　　　　 {二=/　 /ニニニニニニニニニ|　　|二ﾆﾆ≧s。
　　　　/　 |二/　 /⌒⌒TT⌒‐=ﾆニニﾆﾆ|　　|二ニニﾆﾆｉ　　　＼
　　　 /　　|〉/　 /{　　　 | ｌ　　　 /i　　　 i|　　|二ニニﾆﾆ|　　　　＼
　　 ,　　　{/ ,／― ＜　i! !　　 /　! ＿___ i|　　| /＼二二_|　　　　　　＼

　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '　　　　　　　　　　　　　「うちの国だって他人事じゃないわよ、
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　経済の発展と文化の継承のジレンマは
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　どこにでもあるのね」
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

.
269： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:17:42 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /　　　　　　「jud、おそらく世界共通のことでありましょうな」
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__
　　　　　　　　　　 {二ニﾆﾆｧ　　/　 i＿_γ　⌒　　ヽ廴
　　　　　　 /　　　　　∨ニニﾆ}　　,.ィi〔　　　　　　　　　ﾊ　(_
.　　　　　　/　　　　　 /∨ニニｧ　 / 　　　　　　　　 }/　}
　　　　　　　　　 /　 ∨／ } 　 {　　　　　　　　　　 ‰　ゝ,

　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ　　　　　　　　　　　　「そうした背景を受けて、通商産業大臣は平成三年、
　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢　　　　　　　　　　　　　通産省の管轄下にある伝統的工芸品産業審議会に
／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l　　　　　　　　　　　　『新たな伝統的工芸品のあり方』についての諮問を行った」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l
.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【通商産業大臣】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　昭和二十四年（1949）にそれまでの商工省を再編・改称して通商産業省を置き、
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　商工大臣を廃止してあらたに定められた大臣さんでした。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　平成十三年（2001）の改変で通商産業省が廃止されて経済産業省が誕生し、
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　それを受けて通商産業大臣さんも経済産業大臣さんになり、もう今はないポストです。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{　　　　　ちなみに平成三年時（1991）の通産大臣は福島県出身の渡部恒三さんです。
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
270： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:18:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　「その諮問を受けた審査会は、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　伝統工芸品産業の重要性を次のように説き、　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　法改正を含めた新たな振興施策の　　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　必要性を提言する」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

1：ゆとりと豊かさに充ちた国民生活実現に貢献する生活文化産業

2：21世紀に向けた新たな産業展開のシーズを提言する産業

3：特色ある地域づくりや地域活性化に貢献する産業

4：我が国産業の顔として我が国産業文化を印象づける産業

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
271： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:18:43 ID:Y56IqXDA: 　　　「こうした審議会の答申を受けて、政府は法律改正を行い、

　　　　　平成四年五月六日、伝産法が改正された」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まぁそれ以降、民間の旅行会社と協力したりなんだりして
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伝統工芸品を地方の観光資源として活用する取り組みは
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐　　　　　　　　　現在も続けられているわけだ」
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　　「とはいえ、伝統工芸品として作られてるものの代用品が、
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ　　　　　　　　　　　　　　今はいくらでもあるし、なかなかしんどそうだお」
　　　　　　　　　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'
　　　　　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／　　　　　　　　　　「クオリティは比べ物にならなくても
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　安いほうがいいってのも選択肢としてはありだお」

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　　　「ある意味『贅沢品』だものね」
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
272： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:18:56 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　「現在、伝統工芸品としての審査を受けることが出来る産業は
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　　　　　概ね百年くらい続いてなければならない。
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　そしてその上で規定を満たして審査に通ることで、
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|　　　　　　　　　　　　　はじめて通産省認定の伝統工芸品を名乗れるわけだ」
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 ,.へ.　　＿__
　　　　　　　　　　　.　　　　　　／　 __＼/.: : : : : .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　／: :厂∨へ、: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ×: : :/＞┴''¨¨ヽ: : : :.ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : :,'´　　　　　ヽ : : : ヽ
　　　　　　　　　　　. 　　　　 l: : : :.:l　＿_　　ｚ=＝ヽ: : : :':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ: : : :.:|'´￣｀　　　彡ﾆ､}: : : :.:',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : :.:ｌ. ,ｲ崇　　　　佖j 〉:i : : : !　　　　　　　　　　　「それ以外のお土産物とかは、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : :.〈弋ﾘ　　　　`¨´ ^!: : : :ﾄ､
　　　　　　　　　　　.　　　　　 !: : : : :ヽ　　　' 　　　 |/!: : l:∧　　　　　　　　　　　　伝統工芸品と名乗っちゃダメなの？」
　　　　　　　　　　　.　　　　　 |: : : : : ﾄゝ　　　,.-- ､　　 /|: : :!/∧
　　　　　　　　　　　.　　　　　　 |: : : : : ﾄ､.　　ｈ　r┴､ //|: :/://∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : ∧ :Ｖ:＞r､ | !-//〉.∨/!://///∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: //∧: Ｖ:/! リ |//∧ヽVﾄ＜⌒ヽ/∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/:ｲ￣＼＞l　　　　{／ﾉｌｊ　　　 ∨∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ//!　､　　/　　　　／　 | 　　 j　 ∨∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ///l　　ヽ/　　　／l　　 |―‐ :く　　 !/∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//∧　　,ｲ＿＿ｲﾐ=ゝ、　厂）.: :.:ヽ.　|/ﾄﾍ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/l/∧　 { |'⌒ヽﾄ､:.∠ｊ／／} : : : :.i　|/|　ｊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ! ∨∧.　`!､＿ﾉ !ﾉ: :>z彡　人: : : ﾉ　|/|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ∧ 　`「￣¨ｌ: :.:.＼__／　ヽｒ'　　j/ｊ
　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 V∧　 |　　 |: . : ::::::＼　　ヽ

.
273： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:20:39 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　「実際にそういう品があるのかどうかしらんが、あるなら当然アウトなんだろう、

　　　　　　　　　　ただ、なにかのペナルティがあるかはわからない」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ　　　　　　　　　　「ただ、伝統工芸品としての認可を受けている品々は、
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /　　　　　　　　　　　　少なくともきちんとしたクオリティを保持していると考えていいから、
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼　　　　　　　　　その認可自体が価値観の基準の一つにはなるだろ」
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

.
274： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:21:04 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .　　　　　　　　　　「少なくとも粗悪品をつかまされることはないということね」
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:　　　　　　　　　「規定された原材料を使用して、
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!　　　　　　　　　　規定された範囲内の技術での製造が
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /　　　　　　　　　　　　　　　行われなければならないんだから、
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　ある意味当然だけれど」
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　　　ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　　　　　　「先ほど、西陣で織られた織物はすべて西陣織だと言ったが、
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　そういう理由で西陣織のすべてが
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７　　　　　　伝統工芸品ということではないということだな」
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

.
275： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:21:31 ID:Y56IqXDA: 　　　　「伝統工芸品の認定は原則的に個人として認定を受けるんじゃなくて、

　　　　　　組合などを組織して許可を得るものだから、ある程度のネットワークはあるだろうし、

　　　　　　　　そのネットワークの管理下なら『伝統工芸品』に偽装する詐欺も難しいとは思うぞ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ　　)　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {-'￣　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}｀｀　　 __/_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ : :／;;;/＞´ : : : : : : : ／ : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ :ﾚ:/;;;／ : : : : : : : : : :|:/ : : :, - :｀{
　　　　　　　　　　,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
　　　　　　　　／ : : : : : : :＼/ : : : :i :./ : : : : : : : : : : : : : : : .:.(, ‐'´. : : : :j
　　　　　　／ : : : : : : : : : : :＼､ : :|./ : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.} : : : : : : !
　　　　　,-'´,' : : : : : : : ､ : : : : :＼､fZ二--- :､_:_:_:_: :`－､ : :.:.ヽ.:_,､ : : : !
　　　／ : : : : : : : : : : :)ヽ h : : : :｀キ-- : : : : : : : : `＝-､ヽ.:.:.f-‐‐‐＝ :i
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
伝産法第二条第三項

事業協同組合等（事業協同組合、協同組合連合会、
商工組合その他の団体（政令で定める基準に従つた定款又は規約を有しているものに限る。）をいう。以下同じ。）で
工芸品を製造する事業者を直接又は間接の構成員（以下単に「構成員」という。）とするものであつて、
当該工芸品の製造される地域において当該工芸品を製造する事業者を代表するものとして（以下略）

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　／三三三三三≧ｭ､　　:/　/　　　 l
　　　　　　　　　 /,ｨ三＞''´ 　 ,ィ ⌒＜三:/　/　　　　｜
　　　　　　　　／　}三{ 　　 ‰　　ィ示ﾐ /　/ﾆ≧、　 :|　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 /∧} 　〃　／////}/ イ＼(K　　 |　　　　　　　　　 /|
　　　　 l　　　 // ∧ 　ff: 　////// ∠_/　　　　　　|:　　　　　　＿＿/ :|
　　　　 |:　　　{j　　　 {{　八/////(＿　　　　　　 :|　　　　　／　　 /　 }　　　　　　　　　「我々はすでに代理店に詐欺られたであります」
　　　　 |　　　 |　　　　乂　　^¨¨´　Ⅳ　　　　　 |　　　　　　ｘ==ミ/　 /
　　　　 |　　　 |　　　≧ｭ､｀＜zzzz少　　　　　　　　|　　　　 γ }笊ﾍ　/
　　　　 |　　　 |　　　　｀''＜≧ｭ､　　　　　　　　　　|　　　　　んノ刋 }}
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　^¨¨｀　　　　　　　 :|　　／た/(_　/
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　／　φ/Ⅳ /
　　　　 {　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　　　ゞ-ｨ /
.　　　　八　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^¨¨´ /
　　　 |　∨　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /
　　　 |　 ∨　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‰　／
　　　 |　　∨　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／

.
276： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:22:13 ID:Y56IqXDA: 　　　「さて、次に先程紹介した伝統工芸品西陣織十二種類が

　　　　それぞれどのような織物であるのかを紹介する前に……

　　　　　またちょっと脱線して、基本的な織物の構造などを解説することにするだろ」

.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　ノ　　＼＼
　　　　　|　（●）（●）.　|
　　　　.　|　　（__人__） /ヽ　　 ./´}
　　　　　 |　　｀ ⌒´　{ 　{ 　 /　/
　　　　.　ヽ　　　　　ﾊ　 L/　/
　　　＿＿ヽ　　　　 /__.〉　　　ん-､　　　　　　　　　　　　　　　「あずさが」
　／ :　　: :介.〈::::〉.介.〃＿_　 /　, ヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀{::::}　!　{　＿__）{_ /　,ﾊ
　 | : : : : : /: |　{::::}　!: :l :＼__, -､. ￣_/:ヽ
　 | : : :　〈: :│ {::::l　|: : 〉 : :ヾヽ　Ｚﾝ: : : :｝

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊｰｒ―-､ヽ　＿＿
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::!:::',　　ヽ〉　　 (
: : : : : : : : : : : : :´厂｀|:::::',　　　　　て
:::::::::::|:::::::::::::::::::::/,ｚ､│::::l
::::::::: l:::::::::::::::::::/〃∥|::::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「また？」
:::::::::::!::::::::::::::::/ ∥ j! !::l:::|
:::::::::::|:::::::::::: /　ヾ=' ∨: |
:::::::::∧l::::::::/ 　　　 /:::::|
:::::::/:/ﾘ､::|:{　　（ゝ／;ｲ::/
::::::::/＿.ヽN＿_／|:::/ |/
::://: : : :￣ｽ　　 |/
／ヾ: : ＿/: :＼＿
ヽ: : : : : : : : : : ヾﾘ＼

.
277： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:22:30 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　＿＿__
　　　　／　　　　＼
.　　　／　　　　　＼　　　　　　　　　　「最近無茶振りが多くなってきたお」
.　　／　　　 ―　　ー　＼
　　|　　　　（●）　（●）　|
.　　＼　　　　（__人__）　／
.　　　ノ　　　　｀ ⌒´ 　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦}
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.｡s≦　　　　 |--r ,
　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　 /　　　l 　　 |　 | ＼＿＿
　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　ｌ　　　 |　　　i|　 |　　ヽ　　l
　　　　　　　　　　　 /| 　　 |　　　 |　　八 i|　　 |
　　　　　　　　　　 .//|　　　ｉ|　― ┼　 ,/――　　 |　 ,
　　　　　　　　　　　　〈　ヽ　　　,x笊示ﾊ　/ ,ｨ笊ﾐ　　 ,　 ′
　　　　　　　　　　　 ∨ }ﾊ　　ゝVツ　 V 　Vツ/　 /　/
　　　　　　　　　　　　 , ＼/,〉　 l　　　　 '　　　 }　 ,　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　＼　八　　 r ,　　ｨ　/　/{
　　　　　　　　　　　　 /　／/＼　＞　　　　　　/／　/　,　　　　　　「解説してくれるならだれでも構わんであります」
　　　　　　　　　 /　 ∨//|i ＼〉{ﾆ≧=≦ ／　| /} 　，
　　　　　　　　　　　/　　　ゝ /　　 /＿_|笊∧　　｜〈
　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ,'　　 /＞＜≧=‐‘，　ﾏミｔ､　‘，
.　　　　　　　 /　　 fﾆ=!/ 　 ,/_}_　　 }}　　 }i∨　∨ﾆ,}
　　　　　　　　　　　 |二/　　ィi〔　　≧=‐‐=≦＞｡.∨=! 　 ,
　　　　　　　　 / 　　 i|ニ{　/　　　　　　　　　　　　　ﾏ,/　　，
　　　　　　　　　　_　ィi〔 i|　{　　　　　　　　　　　　　　}　ヽ
　　　　　　 /　／　〈　　 ,　八　　　　　　　　　　　　　八 /＜　 ,

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　　　　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i　　　　　　　　「ホライゾン！
　　　　　　　　　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　　　　　　　　　　{:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i　　　　　　　　　　　えっとそれじゃ、あずささんお願いします」
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　　　　　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　　　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　　　　　　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　　　　　　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　　　　　　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　　　　　　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　　　　　　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

.
278： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:22:46 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　_　ｒ､
　　　.　　　,ｨ'´:::::::|i'⌒:::::::::､
　　　.　　/:::::::::::::::|i::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/.:::::::::::∠|i`Y´ ＼:::::::ヽ　　　　　　　　　　「もう、お兄ちゃんたら」
　　　　,':::::::::::::/ 　|　　　　∨:::::::',
　　　　.|:::::::::::/　　　　　　　 ∨:::::|
　　　　 i.:::::::::ﾄ- ‐'　　　` ﾆ ‐i:::::::|
　　　　ﾄ､.:::::|〈ﾓテ　　´ﾓﾃ〉i::::ﾉ:|
　　　　 |::::::::ﾊ　　　　　　　　 i:/::::|
　　　　 |＼::::N　　　　`　　　/::::::::|
　　　　 |:::::＼::::ゝ　　'⌒' ／､.::::::::|
　　　　i:::::::::::::::ゝ i`　‐イ　 /:::::::::|
　　.　　|:::::::::::::ノ|　|　|　|　| .ヽ､:::::|
　　.　　|::::,ィ'´／　/　i　i　ヽ　　`ﾄ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼　　　　　　　「ほら、俺織物とかは実際にやったことはないからさ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i　　　　　　　　　　「あずさのほうが詳しいだろたぶん」
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

.
279： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:23:05 ID:Y56IqXDA: 　　　「しょうがないですね～、それじゃあ何からお話しようかしら」

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/　　　-3
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　「三原組織からでいいんじゃないか？」
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

.
280： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:23:20 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'　　　　　　　　　　「そうですね。
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／　　　　　　　　　　　　　　それでは織物の構造を示す
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　『三原組織』からお話しますね」
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　「オッスオッス」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　／　r─--⊃、　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

.
281： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:23:41 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「織物の構造は基本的には、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　縦方向に並んでいる『経糸（たていと）』の間に、
　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_　　　　　　　　　横方向に通る『緯糸（ぬきいと）』を通して
.　　　　　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ　　　　　　　　打ち込むことで出来ています」
. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
.　　　　　| !　i:::::l　　　　ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ＿ノ
.　　　　　　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈
.　　　　　　 l::::::::l　ﾉ　　　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　　　　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　　 l:::::::///::::::::::: !:|
.　　　　　　　ヽ:::!:::i. 、　　ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|　　　　　　　　　　　　　「このことはご存知の方も多いかと思います」
　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
.　　　　　　　　　　　 l::i:::::!　　 /:::::::／:!::/:::l
　　　　　　　　　　 _,.r-j/:::/　　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',
　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l
.　　　　　　〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|
.　　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|
.　　　　　ヽ:.:〉ー――ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.:: l::.::.::.::.::.::l:::::::::i
　　　　　　 lヽヽ.ﾟ:｡:+ﾟ:*:|::.::.::.::.::.::.::.: l::.::.::.::.::.::l:::::::::j
.　　　　　　j::ヽヽ_*ﾟ_+｡ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.::l::.::.::.::.::.::l::::::::/
.　　　　　　/::.::.}::}+｡:*ﾟ:+|::.::.::.::.::.::.::.:l.::.::.::.::.::.:|::::::/
. 　　　　　,'::.::.::.|::|｡:*ﾟ:+｡|::.::.::.::.::.::.::,'::.::.::.::.::.::.!:::/
　　　　　 i::.::.::.::|::ト-'^ｰ-!::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.:ﾄ（
　　　　　│:::.::.::|:l.+｡:*ﾟ:+|::.::.::.: ／::.::.::.::.::.::.::∧
.　　　　　 l::.::.::.::|:!ﾟ｡+｡:*ﾟ|::.::.／::.::.::.::.::.::.::.／::.:ヽ

.
282： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:24:09 ID:Y56IqXDA: .　　　　　　／⌒＼
　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
.　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ
.　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,　　　　　　　　　　　「経糸は経度、緯糸は緯度と考えていただければ
　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,
　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',　　　　　　　　　　　　　イメージがつかみやすいですかね？」
.　　　　　　{: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
. 　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
.　　　　　_{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
.　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
.　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　 /:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

　　　　　　　　　／´.: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ、
　　　　　　　　／:.: : : : : : :.:.／´: : : : : : ,.=､_r､: : ﾍ
.　　　　　　　 /: : : :.:/: : .:／: : : : :.:／／　　ﾘ　! : : :',
　　　　　 ,': : :.: :/: :／／: : :.:／／　　　 l!　 !: : : :',
　　　　　　　l: : : :.:/ :/ :/ : : :／／　　　〃　 l: : : : ',
　　　　　　 l: :!: : l :/ :/: :;/7ｰ/―-､　　 /　　　!: : .:i l
　　　　　　 l: :! : :l/ :/ : ://∠＿　　　ノ　　-ｰト!: :.l :!　　　　　　　　　「そのあたりはなんとなく想像できるから大丈夫よ」
.　　　　　　 ', ! :/j ７: : / l!T ﾊ l｀`　　　　 r≠-ﾄ!: :ﾊ!l
　　　　　　　 l l （　(l :／　弋_ソ　　　　　 lじｿ /l :/　l
　　　　　　　 l ',: :ヽj/>　　　　　　　　　　ゞ' 　/j/
.　　　　　 l: :V: : ｀ｰ､　　　　　　　　 ,　　 /
　　　　　　 !: : V: : : :.:ト､r-､　　　、_　　　 /
　　　　　　　　!: : :.V: : : :L_.ﾍ　ヽ　　　　　イ
　　　　　　　　l: : : :i;: : : :.V｀ﾍ　 V　_ イ: :.!
　　　　　　　｜: : :.! 》､: : ',　/ﾊ　∀.γ7: :L＿
　　　　　　　｜: ;／.O >、 Vァ'ヽ､ V　/: :├―'^ヽ
　　　　　　　x≦´　／　ヽｒ'　-、　l.　{ヽ: :.! 　 i　! l
　　　　　 r'｀＝- ＜　　　 /　-､　!　l　ﾄ､ヽl　　V　.!
　　　　　 l　　　　　｀ヽ　 l　r、 ! L_|.　 V　ヽ　 i::　l
　　　　　 l　　　　　　　i　ﾍ　｀ｰ'　　　/　　　　ヽ､!

.
283： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:24:36 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　-─-
　　　　　　　　　　／: : : : : : : -‐､ ‐ｖ⌒
　　　　　　　　　/: : ／: : : : : : : : ﾍ: :} : : : ヽ
　　　　　　　　/: , ': : : : : : : : : : : : :} |, -､ : : ヽ
. 　　　　　　.': : /: : : : : : : : : :／⌒| |　　ヽ: : : ヽ
　　　　　　　|: : ′: : : : : : :／　⌒　i | ⌒　'.: : : : :i
.　　　　　　 i: : i: : : : : : : :/　　　　　||　　　 '..: : : :|　　　　　　　　　「機織りのイメージで思い浮かべると思うパタンパタンというあの音は、
　　　　　　 |: : |:: : : : : : /　　　　　　 |　　　　}:: : : :|
.　　　　　　|: : {:: : : : : /-‐＝‐-　　　　'´￣` |:: : : :|　　　　　　　　　　　経糸に緯糸を打ち込む音です。
. 　　　　　|: 八: : : : : {　　＿　　　　　, -=‐､ |: : ::/
　　　　　　i: : : ヽ: : : : i '´ ⌒`　　　　　　　　 |:: :/　　　　　　　　　　　　　しっかり打ち込まなければいけませんから、実際は大きな音ですよ」
　　　　　　: : : : : : {: : :ﾄ､　　　　　　::..　　　i:::'
　　　　　 ′: : : :ヽ: : :{.. 　　　　　´　　　, ':ｲ
　　　　　.': : : : : : : : : :i:::.. 　　　ｒ　　v　　..:: : :|
. 　　　 ,: : : : : : : ﾉ＼ﾘ　 :::... 　　ﾆ　／ / : : |
　　　　 /: ,　-─'八.　＼　　　　ｰイヽ / : : : :|
.　　　/／⌒≧'´;;;;;ﾍ　ｲ〉　　　　 i　Ｙ⌒ト､: :|
　　　'´;;;;;//;;;;;Ｙ;;;;;;;;;}　/{　　　　　}　　|;;;;;;;;;;;;Ｙ
　　/;;;;;;;//;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;ﾚ';;;;|　　　　 |/ヽi;;;;;;;;;;;;;;;|
. 　/;;;;;;;;;{ {;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i 　　　　i 　 i;;;;;;;;;;;;;;:|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿___
　　　　　　　　　　　　____〃　　-‐…‐-　　丶ヽ
　　　　　　　　　／　／　　　　　　　　　＼＼
　　　　　　／　./.　　 /　 /　　　　　　　　＼＼
.　　　　　　〃　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　「打ち込む強さでも織物の出来は違ってくるでありますか」
　　　　　　　/（／/ ′....　|　 |...　　　| .　　/　　 ! 　 >）ヽ
　　　　　 {辷〉｀ヽ{..　　　|　 |　|　　 | l　/|　　　 |　/　〈 /
　　　　　丶〉　〉　　　|,ﾊ,|　|　　| |/__|　　　|　＼／
　　　　　　　　＼／　∨..　代フ. N∨ |弋フ　　 /　|＼､
　　　　　　 xく／ :|.　　ﾄ　　　　　　　　ｲ　 /..|＼　＼〕
　　　　　　　 <／.　人ﾊ从､　　　　　　／∧/.　| i|¨¨¨´
　　　　　　　　　　ｰ/ |　　　 |, ＼　‐　／}} |　　　 |八
　　　　　　　　　 /　 |　　　| ヽ___　　xく〈 |　　　 |‐-ミ
.　　　　　　　　 /, ¨¨|　　　 |,//　》《　　》....|....　|　　ヽ
　　　　　　　　 / {....　|　　　 | 《／|:i:|＼_/:|　|....　| 　　|＼
　　　　　／/　{. 　 |　　　| 　　 V.　　　|　|､　 |　　 /　　＼
　　　　　　|　 | . ‘，　|　　　 |.　　　　　 |　|　ヽ| 　 /　　　　|
　　　　　　|　 |　/∧ 从人,ノ　　ヽ/..　　丶|.　　一　＼　　|､
...　　　／ :|　 |/ /　 ,.　　‘,　　　　 }{　　　　 }　　 }　〈　　|　 /　丶
　　　/　　＼ヽ/ 　 ‘,. 　 ‘,　　　　 }{　　　　／　　ｿ　ﾉ ./
　　 |　　　| .＼　　　〕ノ　 ⌒¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨´ ＿／／／.　　　 |
　　 |　　　 |/　／｀¨¨‘, 　／〕　　　　　　　　／　 /　　」　＼|　　　 |
　　 |　　　 |　 {{　　　　／ヽノ　⌒ｰ‐‐‐─　　　 /　／　　　|　　　 |
　　 |　　　 |　　ｰ-=彡　〉　　　　　　　　　　⌒/　/　　　 /　　　/

.
284： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:25:07 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　／: : ＼:|: :／: : : : : : : :ヽ.
　　　　　／ : : : ;.へｊ:へ : : : : : ヽ: : : ヽ　　　　　　　　　「はい、打ち込み方一つで、頑丈さや風合いなどが全然違ってきますね。
　　　　　　/ : : : : /―'^^ーヽ : : : : : ヽ: : : ',
　　　　 ,' : : : : /　　　　　ヽ : : : : : ',: : : ',　　　　　　　　　ですから、一つの織物での打ち込みの力は均一でないといけません」
.　　　　 ,': : : : :/==-､　　　＿_ ',: : : : : :i: : : :i
.　　　 !: : : :./ ＿、　　 ´ ￣｀i : : : : : !: : : ｌ
　　　　ｌ : : : ﾚ价芯　　　徐ﾐ|: : : : : :| : : :|
　　　 | : : : l`弋ｊり　　　　ﾋ心!: : : : : ｊ〉: :.:|
　　　　 |: : : :ゝ　　　 ,　　　｀¨´|: : : : :ハ: : :|
　　　 j: : : :l、　　＿＿＿　　 |: : : :/: : : : :|
　　　 /:| j. : 「ヽ、　マ￣￣ﾉ　 |: : :/〉、: : : !
.　　 /:/ﾚヽ: |::::/::> .　　　　　／|: ://::::ﾄ､: : ヽ
　　/: {::::::::ヽl::/:/､　＼ __ . : : : :|://:::::::!::::＼: :＼
　　 : : : : :::::::::{::{　ヽﾟ｡ }: : : :。ﾟ j'/:::::::/:::::::::::＼: :＼
　　　: : : : :::::::::| 　　ﾟ｡｡ﾟ　./:::::::/:::::::::::::::::::ヽ
　　　: : : : : :::::｢ヽ　　〈ｊ｝　　/:::::::/:::::::::::::::::::::⌒〉

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【風合い】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　織物や紙などの手触りや肌ざわり、着心地など、人がものに触れた時に感じる材質感のことです。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　タオルや肌着の評価などでよく見かける言葉ですね。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　コシ、はり、ぬめり、ふくらみ、しゃり、きしみ、しなやかさ、ソフトさ、などの要素が規格化されています。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
285： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:25:42 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼　　　　　　　　　　「それでですね。三原組織というのは
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ　　　　　　　　　　経糸と緯糸の組織割合と構成によって
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',　　　　　　　　　三種類の組織に分けられる、という考え方です」
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
.　　　　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
.　　　　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
.　　　　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
.　　　　　 /／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／―　―　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／（●）　（●）＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（__人__）　　＼　　　　　　　　「友情努力勝利みたいなもんかお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　・　　　　・　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　　　　　 /　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 |　　　　　 /　 / |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　　　　 /　 / 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (YYYヾ　　Y　(YYYヽ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_＿＿ノ-'-（'＿＿_）_ﾉ

.
286： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:26:02 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ'´ 　ﾌﾉ　　　　　　　　　　　　　　　「まずは『平織り』ですが、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ'´彡/:::::::`Y 厶
　　　　　　　　　　　　　　　 .／彡:::::::::::,イ´⌒Y彡ヽ　　　　　　　　　　　　　　　これは経糸と緯糸が交互に組み合わさった
　　　　　　　　　　　　　　／/:::::::::::／/-､　　　　 y::::`;
　　　　　　　　　　　　／ /彳:::::ノ:::/.-､　　　 __　ﾘ:::::::i　　　　　　　　　　　　　　　最も基本的な織り方です」
　　　　　　　　　　　　　. /ｨ´:::::/ ::/'⌒`　　　､`Y:::::::|
　　　　　　　　　　.　.　 /:,ｲ:::::/ｲ:/　　　　,　 ‐=､.ﾉ::::::::}
　　　　　　　　　　.　　/::ｲ;;::::/;;i| 　　＿　　　　ノ;;;:::::/.　　.　,-ｒ､
　　　　　　　　　　　/:::::::::::::{;;;八　「　ヾ〉　／;;;::::ｲ　　/Y i. ﾄ'i´}
　　　　　　　　　　.　{:::::::::Y:;;;;;;;;;;;;〉､　ｰ '　　´イノ::::ﾉ　　i.└`'しiノ
　　　　　　　　　　　.|:::::::::;;;;;;ヾ八ﾉ .＞-　ｒ'´;;丿‐Y､　.　. ヽ　　ﾏ）
　　　　　　　　　　　.|:::::_＿　ﾑ /　　,イ丁/　/⌒`Y　　　.　＼　　}
　　　　　　　　　　　 |,ｲ　　/" ミ三彡'´{ {　〈　　　 ∨　　　　ﾉ　|
　　　　　　　　　　　 | |　//'´　　 __ｒ'´￣ミﾐ}}}ﾄ､.　　､　　　.　　　 i
　　_,ｨ_⌒ i　　　　　 | ,ｲ彡⌒iﾚ'//i　　　　　　:::ヽ　　ヽ.　　 /　　.|
　.八 `i ヾ|　　　.　　ﾚ　　　::{////{　　　　 :::::::::｝　　ヽ　/　　　|
　` .{ ｿﾚ　|　　　　 {　　::::::::::∨//ﾉ　　::::::::::::::::∧　　　 Y　　　　|
　　ゝ　八　　　　八;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾイ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.,イ　＼　八　　／/
　　　ヽ　　.ヽ　　　　`Y` ､_＿人ｒ-‐'´ ￣-‐{　　.　＼　.`ｰ'´Y'

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

□　→　経糸
■　→　緯糸

■□■□■□■□■□
□■□■□■□■□■
■□■□■□■□■□
□■□■□■□■□■
■□■□■□■□■□
□■□■□■□■□■
■□■□■□■□■□
□■□■□■□■□■

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、　　　　　　　　　　　　　　　「こんな感じでチェスのゲーム盤の白黒のように
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼　　　　　　　　　　　　　　経糸と緯糸が組み合わさってると考えればわかりやすいだろ。
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',　　　　　　　　　　　　　常識的に考えて」
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

.
287： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:26:26 ID:Y56IqXDA: 　　　　「経糸と緯糸が交差しているところを『組織点』と呼びますが、

　　　　　　基本的にこの組織点が多ければ多いほど織物が頑丈になります」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィ斗　,ィ : : : : 丶ｒ: : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／: : : : : : : : : : : : : : :: : : : : : : ＼
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′　 , '　　　イ州ミ:.:彡卅ミ､: : : : : : :ヽ : :､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '　　　./　　　　　　　　寸}: : : : : : :. ;: : :
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : :/　　　　　　　　　　 |: : : : : :. : i: : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : 斗─-､　　　　_＿_　|: : : : : :. : |: : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;: : : : : /:|　,zミ　　　　'´　　　丶: : : : :. : :| : :|
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.,'!: : :/:.:.i《! i心　　　 ,ｨﾆﾃミx､|: : : : : : : :! : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l |: : i|:.:.:.!　ヒﾘ　　　　　{lt 心 !: : : : : : :,': : !
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:li |: :.i|:.:..:|　　　 ,　　　　弋ン .从: : : : :/ : :,'
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:! |: : |:.:.八　　　　　　　　　　 /: : : : :, ' | : /
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : ヽ､{:.:.:.:..ヽ　 `　　-　　　　/: : : ／:.:.:.|:.:.|
.　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : ＼:.ヽ＼　　　　　_　/: :.／:.:.:.:.:/|.:.:.!
.　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : ／: : : : , ':.:...／ヽィ升`ｒ-‐＜　/:／:.:.:.:.:..:./　!.:.:.!
.　　　　　　　　　_ ＿＿__., .': : : : : ／: : : : , ':.:.:.:./　／　 {￣`=‐--‐=ﾆソ:.:.:.:./　 ,'.:..,'
　　　　　　 , '´.: : : : :／: : : : : ／: : : : , ':.:.:.:.:../　, '　, '　 ' ,'　　　!　　ﾉ　≧t/_　/.:.:/
.　　　　　／ : :＿:.:／: : : : : ／: : : : :, ':.:.:.:.:.::./ィ'´ ／　　／　　　/　 ,′　 /　＞､/
　　　　／ : : '´　／: : : 彡／ : : : : , ':.:.:.:.:.::／　.／　　／　　 .／　 /　　 ,'／　　　ヽ
.　　 , ' : :／　.／: :,ィ'´.／ : : : : :, ':.:.:.:.:.::..//　 .,'　　　/　　　, '　　 /　　 /　　　　　 ;
　　/:..／　.／: : .'　／: : : : : :, ':.:.:.:.:.::.:.:/ i　　.i　　　,'　　　, '　　　/　　 ./　　　　　　 !
.　/:./　　/: :., '　.／: : : : : : , ':.:.:.:.:.::.:.:.:.:! .i　　.i　　　i　　 ./　　　　;　　　|　　　　　　　!
　i:./　　/.:.:/　., ': : : : : : :., ':.:.:.:.:.::.:.:., ':.∧i　　.i　　 .i　　 .i　　　　,'　　　 |　　　　　　 .i
　|:! 　 ,':.:./　 /: : : : : : :, ':.:.:.:.:.::.:.:／/.:/　ゝ、 i　　 i　　 .i　　　 /　　　八　　　　　　.|
　|!　　|.:./　 /: : : : : : :,':.:.:.:.:.::.:., '　/: /　　　i㍉ヽ　.i　　.i　　　/　　　 /　 |　　　　　　|
.　!　　i.:.!　./: : : : : : :,':.:.:.:.:.::.:./　 /.:/　　　 .|　　.i　.i　　i　　./　　　 /　 ./|　　　　　　|

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　　「んーと、この平織のやり方は
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ　　　　　　　　　　　　その組織点ってのが多そうだから、頑丈な織り方なのかお？」
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

.
288： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:27:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「はい、そうなりますね。

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､　　　　　　　　　　　ですが、織り方による紋様付けなどができません。
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、　　　　　　　　　　ですから比較的シンプルな仕上がりになります」
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　　「それに、組織を詰めすぎると風合いが悪くなることもあるから
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|　　　　　　　　　　　　　　用途に合わせてその辺はきちんと織り上げていかなきゃ
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,　　　　　　　　　　　　　　いけないんだよな」
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

.
289： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:27:50 ID:Y56IqXDA: IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

□　→　経糸
■　→　緯糸
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '"´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
■□■■□　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′...　　　次に『斜文織（しゃもんおり）』です。.　　　　ヾ
□■■□■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
■■□■■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　この斜文織りは、経糸あるいは緯糸を　　　　　}
■□■■□　　　　　（緯糸多いバージョン）　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
□■■□■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　このような感じで『斜めに』　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
□□■□□　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丶...　　　織っていく織り方ですね　　　　　　　　　　　　／
□■□□■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ─　───　　--　-　----　　──────
■□□■□　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　）/　
□□■□□　　　　　（経糸多いバージョン）　　　　　　　　　　　　　　　 -───＜_　　｀ヽ　'
□■□□■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　´　　　　　　　　＼　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　　／三｀Y三＼　＼
【三枚斜文織（さんまいしゃもんおり）】　　　　　　　　　　　　　 ,'　 ′ 　/／´ 　　｀ヾ|　ヽ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 , 　　 |'＿_,ノ　　`ｰ┤　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 | 　　 | 　＿- 　 ,ﾆ､{ |　| |
□□■■□□■■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　| 　｜ﾚ'´　｀　　　,,V　ﾊ|
□■■□□■■□　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　',　 Ν''　　＿_　　ﾉ /
■■□□■■□□　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　＼|_`ﾆ=r ｀ﾆ´ｒ＜_V|
■□□■■□□■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　/´ |　ﾚﾍ　　/V |　ヽ|
□□■■□□■■
□■■□□■■□
■■□□■■□□

【四枚斜文織（よんまいしゃもんおり）】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
290： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:28:32 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ　　　　　　　　　「経糸と緯糸は規則的に並んでいますが、
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',　　　　　　　　　この並び方のパターンを一つを
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i　　　　　　　　経緯併せて三本の糸で構成している場合『三枚斜文織』、
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│　　　　　　　　　四本で構成している場合『四枚斜文織』と呼びます」
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____　　　　　　　　　　　　　「糸の合計が奇数の場合、
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ　　　　　　　　　当然経糸か緯糸のどちらかが多く表面に出てくるぞ」
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

.
291： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:29:00 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　 . -―-､＿　＿.／⌒＼
.　　　　　　　　　　 .　: : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}
　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
. 　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V　　　　　　　　　　　　「はい、それで、この斜文織り、
　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',　　　　　　　　　　　　　次に紹介する繻子という織り方とともに
　　　　　; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i　　　　　　　　　　　　　　『畝（うね）』が出やすいです」
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
. 　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
.　　 /: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
.　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
.／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |

　　　　　 |=|　　　　　　/　　　　　　|　　　　　　　/　　 |　　　　　|　　 |
　　　　　 |=|　　　　 f　　　　　　 |　　　　　　 /　　　 |　　　　　|　　 |
　　　　ｧ {　　　　　 |　　　　　　 |　　　　 /　　　 :.　　　　　}　　 }
　　　　ｧ　 {　　　　 |　　　　　　 |　　　　,'　　 | 　 |　　　　　,
　　　　,　　ﾊ　　　斗ｬ==‐―一ｉ| 　　　ｱ￢--ミ., |　　　　从　 }
　　　 ,　　 {　,　　　　　|　　　　　　 |　　　 /}　/　l 　 i|ヽ　　　/　　 /
.　　　,　　＼　　　　㌢笊云ミｔ､!　　／ ,イ芹笊ﾐ i|　　　 /　　 /
.　　 {　　　　＼,　　　ゝ hr/(　　ｉ　／　　 hr/( 　〉　　 /　　 /
　　　 ∨　　　　},} 　　从　乂)少　 ,／　　　　乂)少　}　　 ,/　　 /ﾊ　　　　　　　　「うね？」
　　　 /∨ 　 ___},}　　　∧　　　　　　　　　　　　　　　 %　　/　　 ///
.　　 /　 ∨　}//!|i　　　∧　　　　　　　 '　　　　　　从　,　　　///
　　/　　 ∨‐//,|ﾍ　　 ∧　　　　　　r ｭ　　　　　ｨ　　/　　 ,///
　 /　　　 /≧=‐ｨ ∧　　　∧　　　　　　　　　　　　/　 /　　,/≦
. /　　　ｱ‐≦　 |i　∧　　　 , 〕iト　　　　イ　 /　 /　　,/{　|
/　　／//////|i　　＼　 ∧|二=≧=‐=≦ﾆ|　/　／　　 //ﾊ |
.　　　∨////／ｉ|i　　　　＼ ∧=/ }ニﾆﾆ{∧=| /／ {　　////〉!
　　　　∨/／　ｉ|　　　　　| ＼ﾊ{　|ニ笊_{ 　 ,／　 |＼　∨//
　　　　　^　　　ｉ|　　　　　|＿＿__/=,{ {} }}＿__/＼｜　＼{^^　 |

.
292： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:30:12 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|　　　　　　　　　　「経糸と緯糸の構成により発生する、
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{　　　　　　　　　　　　縦方向もしくは横方向への高低差だな。
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ　　　　　　　　　　　　畑の畝の連想から来た用語だと言われている」
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|　　　　　　　　「構成する糸の割合や太さが違うと
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|　　　　　　　　　　　ボコッとしてるように見えるってことね？」
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
293： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:30:36 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　_
　　　　　　　／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::
　　　　　　　ﾘ/:::::|　　'´　　￣`　.＼::::::::::::::::::＼､　　　　　　　　　　　　「そういうことですね。
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　　　　　　＼::::::::::::::::::}:::､
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　　　　　　 ∨::::::::::::::::::::ｉ　　　　　　　　　　　　勿論使う糸を選んだり、打ち込み方を変えることで
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|:::.:l　　　　　　　　　　　　　畝を抑えることも出来ますけど、
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　　辷 j １::/:.::::::::::|::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　 N:::::::::::::::|:::::::ﾊ　　　　　　　　　　　　　この畝も織物の美しさを構成する要因でもあるんです」
　　　　　　八:::::∧　　　　丶　　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　＼:::∧　　　 v　　　ｱ　　レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ ー　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　〉/　ｯ　i `i-､　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　 i　　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　|　　　∨ '´/i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　　|　　　　　/ :i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　_ ｲ　　　　ノi : :i : : :i : : :i : : :` ‐ - ､::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／　　　　/ : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i: :| ヽ､::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　/ 　　 }　　　{: : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i : i　　ヽ:::::::::::::::::::i
　　　　　　　　{　　　　　　　|: :/ : :| : : :| : : :| : : :| : :` ､ `　　 }:::::::::::::::::::|
　　　　　　　ハ　　　　　　 | :i: : : :i : : :i : : :i : : :ヽ : : :ヽ:ﾉ　　|::::::::::::::::::|

　　　　　　　　　　　　 /　　　　／　　　　　　￣￣￣／　　　　 | ⌒＼
　　　　　　　　　　 /　　　　 /　　　　　　　,　　　　 {　　　　　　|　　　＼
　　　　　　　　 /　　　　ｲ　　　　　　 /／　　　 :.　　　　　　|　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　／ }　　　　　　 //　　　　　l　　　　　　:.　 }:　　　＼＼
　　　　　　　　 /　　／　　i　　　　　　//　　　|　　:|　　　　　　{　ｉ　　　　 }
　　　　　　　　　　　／　　 / !　　　　　 :./ |　　 :|　　:|　　　　　 :.　 }　　　　.:　　 }
　　　　　　　　 / 　　 / :}　　　　 :/　:　　 |　　:|　　　　　/　　:.　　　 /　　 /
　　　　　　　　/　　{　　　∧ :i　　　　　/ 　:l　　 |　　:|　　　　 /　　 :.　　 /　　 /
　　　　　　　　 i　　 / ∧:. 　　　 {＿__!＿__:|　　:|:　　　 /　　 /　　 /　　 /
　　　　　　 /　　/:｜　　 / ∧ 　　　ｉ　八　　 !　　: 　　ム斗 /　　:/　　 /
　　　　 r‐=≦乂_|:　　　/　}　　　 ::. /　＼　|　八　　:/　/　/　　/　　　/
　　　　　 {//////,'|:　　　　//　 /　　:l /ミZZZｧ ! / 　ヽ／__/／/　　/　　　/
　　　　　 i≧=‐‐=≦　　{///　∨ /　 {,′　　　　i/　／ ¨¨/　 /　　/　　　/
　　　　 /　/　　　 ///＞｡.〉:　 ∨ / :i　　　　 /　　　　ｲ: ／　 /　　　/　　　　　　　　「jud、ない方がいいとか
.　　　　/　/　　　////{///:|:　　 ∨ /: 　　　　　　'　　／　　:/　　　/
. 　　 /　/　　　///／≧o.:|　　　 ∨ {/＼　　　　｀＜　 {　　　/ !　　/　　　　　　　　　　　　そういう単純な問題でもないのでありますね」
　　　/　/　 ‐=ﾆ二二＞｡.　!　　　　∨!＼/＞＜/ﾐ　|　　:i　　 /　{　 /
　　‐=ﾆ二二二二二二二ヽｌ　　　　 Ⅵi:i:ｉ＼/////} !　　 :!　　/ 　 i :/
/二二二二二二二二二ﾆﾆ|　　　　　{:i:i:i:i:i:ｉ:＼///｜　　:i　 /　　ｌ:/

.
294： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:30:53 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「あぁ、紬の美しさはこの畝にもおおきくかかってるからな」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -― …… ―-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐‐‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　 i　　　？　　}
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　　　　　　　　　　　､　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　　　　　　　　　　　　‐---‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　- = ﾆ　_ ￣￣￣￣￣￣　　　　　　‐-　　　　　＿__　　　　　　　　　　 }
　　／　　　　　　　　 ‐-　　　__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣　_ 二ﾆ = -
　　　　　　　　　　　 /　　　/＞i 　 ‐-　　　 __　　_　　　　　__　　　 -ｒ‐ 　「　　　　　　　　　｀ヽ
　 {　　　　　　　　　　　　　 ′　　.′　}ﾉ＼　ｉ　_　＼　}「　￣￣ !　　　　　 i　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　ｉ　　　　　ヽ「ｘ=ミﾒ､Ｙ |　　　　｜　　/　　　　　｜　　　　　　　　　　　 }
　　、　　　　　　　　 i　｜　 i yfミ､　　　)' {いﾊ　i〉}｜　　　　| 　 /　　 .′　 ∧
　　　＼　　　　　　　 |　　　　V{ い!　　　　ｊ辷ｿ　' ﾉ小　　　ｌヽ　　　 .′　　　ﾊ　　　　　　　　　　　 /
　　　　　＼　　　　　　　　　　＼　ゝゞ′　　　｀＾¨´ 　　ﾉｉ　　　　ｌ　}　　　　　 |　　､　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　、　ヽ＼、　　　 ´ ´´´´ 　　|　　　 | / 　　 i　　 |　i
　　　　　　　　　｀　　.._　　　＼　　i{　　　　　　　　　　　 |　　　 {　　　　 |　　　八　ヽ-―　　´
　　　　　　　　　　　　　　　 ‐- ＼八　　ｰ　' 　　　　　　 |　　　　　　　 i|　　　Ｙ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀| ＼　　　　　　　 ´　　　ヽ.　　 i| 　　 {　　ヽ　　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　!｀　､＿_　　 ´　　,|　　　　　＼　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 !　 rく￣ヽ　　／｜　 }　　　　 Y　　　　 ’　　 }　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /!　 |　　　　〉 /⌒V 　　　　　 }　　　　　 ’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 / ′ 　　 } 　/_/　　/　　/　　　　 / ヽ　　　　　∨　　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　/_/　 /　_ｒー ´/　　　／　　　　　　｀ｰ-　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 / /　 /イ　|　　/　／／　　　　／　　　　　　　　｀ヽ　＼/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .　　/ .ﾉ　ﾉ　　／／　　　　　／　　　　　　　　　　 }　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　 {　/{/　 /／／　 /／　　　　／／　　　　　　　　　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ{/　 //　/　　 /　　　　　／／　　　　　　　　 /　　　　　　ヽ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　「特にかかわりのない賛美がムギちゃんを襲うお」

.
295： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:31:12 ID:Y56IqXDA: 　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ　　　　　　　　　　　　「……」
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧　　　　　　　　「そして、三原組織の３つめが
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧　　　　　　　　　『繻子（しゅす）』と呼ばれる織り方です」
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　（あ、あずささんがちょっと不機嫌になった）
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
296： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:31:53 ID:Y56IqXDA: .　　　　　　／⌒＼
　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
.　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ
.　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　　「繻子は、組織点が連続しないで、
　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
.　　　　　　{: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',　　　　　　　　　　　　　一定間隔に分布する織り方になります」
　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
. 　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!　　　　　　　　　　　　　　　「繻子は、別称を『朱子』ともいいます。
　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　この場合、読み方は『あかね』になります」
.　　　　　_{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
.　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
.　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　 /:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

□　→　経糸
■　→　緯糸

■■□■■■■□■■■■□
■■■■□■■■■□■■■
■□■■■■□■■■■□■
■■■□■■■■□■■■■
□■■■■□■■■■□■■
■■□■■■■□■■■■□
■■■■□■■■■□■■■
■□■■■■□■■■■□■
■■■□■■■■□■■■■
□■■■■□■■■■□■■

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　　　　　　　　＿　　 ,__　　　ィi〔∧
　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆﾆ/ ア　　 ⌒　　　 ∧￣￣￣}
　　　　　　　　　ィi〔　}ニﾆ/ ´ 　　 / 　　　/ ∧　　　 ,
　　　　　　　　/　　　/ﾆﾆ/　　　　　{　　､　　　i}　　　 l
　　　　　　　 ,　　　 /　　,　　　　 |　　　，　　　　　 i|
　　　　　 ,　　　 ,　　 /　l　　　　 i|　 |　　,　　ｌ　　　 i|
　　　　　　　 ,　　 {　 i|　　　 i|　 |　　|_　　,　　　　,　　　　　　　　　　　「組織点が連続しない、というのがミソでありますな」
　　　　　　l　　　 ,　　ゝ｜　　　 ,斗ｬ＜,　 /
　　　　　　| 　　 {　　　　≧s。__　　i{　 ,ィ爪} /　　　　 }
　　　　　　|　　　＼　　　　　}//}　　,　ゝ乂（/＼　　　 ,
　　　　　　|　　　　　＼　　　///{　 ∧　{i 　　　〉}　　,
　　　　　　|　　　　／＼__〈///|　　∧､{　　　_,　}　 /
　　　　　　|　　　 /　／///_| ￣，　　∧＼　　 /　}　,
　　　　　　|　　ア7////／|　　＼　 ∧＿＿/　 } /
　　　　　　|　／////!／　　　 |ﾆ＼ ∧ {　i|　 //
　　　　　　,　＼//,／　　 /|　　 |}二=＼{ ,　i|　,
　　　　　　　　　 ^^　　／ﾆ|　　 |}ニニ,∨ , ｉ| /
　　　　　 ,　　　　　／ﾆ=,∧　　ｉ|ニﾆﾆ,∧ ‘，
　　　　　　　　　　〃ニニニ∧　ｉ|ニニニ∧　 ,
　　　　 /　　　　 f二ニニニﾆﾊ　ｉ|二ィi〔⌒',^{　､
　　　　　　　 |二二ニニﾆ∧ i|/　＼　　ゝ≧s。
　　　 ,　　　　　　|二ニニニﾆﾆﾊ |､　＞￣　　　　ミｔ､
　　　　　　　 |二二二ニﾆ/　,Ⅳ　　　　　　　　ヽ
　　 ,　　　　　 / }/ {二{ }ニ,/＜ ,　,　　　　　　　　 ‘，
　　　　　　　　 } fｱ i|二| {⌒{　)__|　|　　　　　　　　　　　 }
　 ,　　　　　√　{　ｉ|二l　　 }__(/,!　!　　　　　　　　　　 ,
　　　　　 |　　{＿ｉ|二l　　 | 　 }|　|　　　　　　　　　/　 /

.
297： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:32:23 ID:Y56IqXDA: 　　　　ｆ` ｒ-‐─‐ ‐....､
　　　 ,ｨヽヾ:::::..＿.::::::::....ヽ
　　 /..::::::∧∨,　-‐ ヽ.:::::::...＼
　 /....::::::::レ}ﾉ　　　　　ヽ:::::::.....
　i.....::::::::::|　　　　　　,. -‐ Y:::..ヽ
　|....:::::::::::|　　　　　　　　___､∨::...}　　　　　　　　　　「そうですね、そして繻子には、
　| ...::::::::::i　, '´　　　　'´　゛ ∨::.|
　::....::::::::::Y´　, =､　　　　　　∨..ﾄ､　　　　　　　　　　　飛び数が規則正しい『規則繻子組織』と、
　 .∨...:::::∧. ´　　　　　'　　　 }::::|..ヽ
　　 ∨..:::::::::ヽ　　　　.__ 　'　　/N.......∧　　　　　　　　　　　規則的ではない『不規則繻子組織』の二種類があります」
　　　`Y......:::::::::ゝ.　　　　　　ム-､::::....∧
　　　　|..::ヾ..:::::::::＞‐----ィ__ﾉ. {:::::::::...∧
　　 .　 |..:::::::::::＞ {` i￣i￣i￣i　i Ｌ＿,､_∧
　　　 |.:::::::::::::::::_,}　i　 i　 i　 i　ヽ　　ﾄ､`ヽ
　　　　 |...::::::::::,イ´_　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ
　　　 .|...::::::/　　 `Y　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ八　＼
　　　　 .|...::::i　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　＼
　　　　 |....八　　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ.　＼

　　　　　　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　「飛び数？」
　　　　　　　／. 　　　 ´￣` 、　　　, 、＿＿　　　＼
　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　　　　　　 ..|.　　　　（　 ●）　ﾉヽ　　（　● ）　　　　　|
　　　　　　　|.　　　　 ´"''",　　　　　"''"´ 　　　　 l
　　　　　.　　＼. 　　　　（　　　 j　　　）　　　　　／
　　　　　　　　　＼　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　／
　　　　　　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　　　　　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
298： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:33:04 ID:Y56IqXDA: 　　「えーっと飛び数というのは…。

　　　　　　隣り合う経糸のそれぞれの組織点が

　　　　　　　　緯糸何本分離れているかということを示す数ですね」

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

　　　　　　　　　　/7 //:　/　/　 /　　 !　　　ヽ
　　　　　　　　　./《　《:::: /　/　 /　　　|　　　　　＼
　　　　　　　　 /　:V　ヽ/　.;　.＿:|__|　 /　　:/　　 /
.　　　　　　　 /　, 　V/ﾑ　　 .ﾊ| |乂ﾌ| 　 /:|　 .Λ
　　　　　　　/ 　 . ／ﾏ彡!　　抃7スV |　./ト|　 |　| ）
.　　　　　　/　　ｒ--z　　|　　ﾊ |`¨　 .人/r≠ミ　.ノ
　　　　　　　　　ﾑﾏiii}　　| 　 | .i|.　　　 '　炊ﾂ　ﾊ |
　　　／　　〃　ﾏ//　:乂　.人__　 , -、　イﾚ^!.ノ
　／　　　./　　　　〈7八 -ﾉ^⌒　 `　　 ,ｲ:|.　.; |
　　／　乂　　　:/ /ﾉﾆ =ミｚｚ.込..__　＜ | | ノ| |
フ'　　　　　　　 :( /ノ//廴三{　}三.}　|　| .|　　.リ
　／　　／　r==ﾆ⌒ミ////ヽ////へ　:! :!: : :＼
／　　／　　 {////　　/ヽ　////////V人＼: :　＼
　　／　　　　}/////　/^V}/＼.//////V＜)-＼:.　＼　　　　　　　　「？」
フ　　　　　　 V///ノ^! VこV　フ////Λ　＼:.:＼: . ＼
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.
299： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:33:42 ID:Y56IqXDA: 　　　「言葉で説明すると少しややこしいですけど、こんなふうに図で見ていただければわかってもらえるんじゃないかしら？」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

□　→　経糸　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　図2
■　→　緯糸
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 □　→　組織点
図1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　壱弐
□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□　　　　　　　　 □■
■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■　　　　　　　　 ■■
■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■　　　　　　　　 ■■
■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■　　　　　　　　 ■□
■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■　　　　　　　　 ■■
□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□　　　　　　　　 □■
■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■　　　　　　　　 ■■
■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■　　　　　　　　 ■■
■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■　　　　　　　　 ■□
■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■　　　　　　　　 ■■
□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□　　　　　　　　 □■
■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■　　　　　　　　 ■■
■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■　　　　　　　　 ■■
■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■　　　　　　　　 ■□
■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■　　　　　　　　 ■■

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　「図1は五枚繻子織の組織図の一例で、図2は図1の左端二列を抜き出したものです」

.
300： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:34:20 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「図2の壱の列の組織点と弐の列の組織点を見てください」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

□　→　組織点

壱弐
□■
■■1
■■2
■□3
■■
□■
■■1
■■2
■□3
■■
□■
■■1
■■2
■□3　　※飛び数3

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　「壱の列の組織点を基準として弐の列に次に現れる組織点との糸目の数、これが飛び数です。

　　　　　　　　　　この場合、飛び数3、ということになります」

.
301： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:34:50 ID:Y56IqXDA: 　　　「図3は同じような形式で飛び数2の五枚繻子の組織図をあらわしたものになります」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

図3
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　壱弐
□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■　　　　　　　 □■
■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■　　　　　　　 ■■1
■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■　　　　　　　 ■□2
■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□　　　　　　　 ■■
■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■　　　　　　　 ■■
□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■　　　　　　　 □■
■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■　　　　　　　 ■■1
■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■　　　　　　　 ■□2
■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□　　　　　　　 ■■
■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■　　　　　　　 ■■
□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■　　　　　　　 □■
■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■　　　　　　　 ■■1
■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■　　　　　　　 ■□2
■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□　　　　　　　 ■■　　　※飛び数2
■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■　　　　　　　 ■■

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　「この飛び数が規則的な『規則繻子組織』と

　　　　　　　　　　　　　　不規則な『不規則繻子組織』がありますよ、というお話なんですね」

.
302： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:35:20 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「あー、なるほどね完全に理解した」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＼＿＿／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　＿[＿＿]＿　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／　　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 /|　　　 |＼　　　 _
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　　　　　　　　　　　.|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　　　ノ　　　ヽ__　　.|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　　( ● )　( ● ) 　.|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　　　 (_人_）　　　 |　　|
　　　　　　　　＿＿／￣￣￣￣￣＼＿＿　　　　　　　　ｌ⌒ｌ　 |　　|　　　　　　　　　　 |　　|
　　　　　　／人／　　／　　　＼　　＼人＼　　　　　　 |　 |　 |　　|　　　　　　　　　　 |　　|ｌ⌒l
　　　　ｌ⌒l (_/　　　 .　　　　　　　　　　＼)ｌ⌒l　　　　　　 |　 |　 |　　|　　　　　　　　　　 |　　||　 |
　　　／|　 | /　　／|／＼＿／＼|＼|　　 ||　 |＼　　　　 |　 |　 |　　〕　　　　　　　〔　　||　 |
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　　/〈　〈　〉　　　|　　　　　　　　　|　　　〔　　〉　|　　＼　　　　　　/　　＼＿＿]＿＿_人　　｝　｛　 |　 )
.　 {　　　}　 {　　　/＞―┬―┬― ∨　　｝　｛　 |　　　＼＿＿__/|　　　　　 └ウ |　　　＼　　　　／
　　＼　　　　　　/　＼　　＼／　　／∨　　　　　 /　　　　＼＿／　　　　　〈＿| 　　　 |＼＿＿/
　　　＼＿＿__/|　　＼＿]＿_／　　|＼＿＿__/　　　　　　　└――|　　　　　　　　　＼＿＿|
　　　　＼＿_／ | 　　 └ウ |　　　　＼＿＿／　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　|――┘
　　　　 └――|　　　　〈＿|　　　　 |――┘　　　　　　　　　＿_／￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼＿
　　　　　　　＿_／￣￣￣￣￣￣￣￣＼＿　　　　　　　　 (　　　／　　|　　　　　　|　　＼　　　)
　　　　　　 (　　　／　　|　　　　　|　　＼　　 )　　　　　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／
　　　　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　　　　　　　 |　 |
　　　　　　　　　　_|―|　　　　　　 |―|_　　　　　　　　　　　　　　　 _|￣|　　　　　　　 |￣|_
　　　　　　　 └―┘　　　　 └─┘　　　　　　　　　　　　　　 └―┘　　　　　 └─┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あの糞アニメがやるやらに似てるとか時々言われるよな」

.
303： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:35:44 ID:Y56IqXDA: 　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i　　　　　　　　「私もそう思うけどそれは今は横においておいてね」
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　/　　　　　　ヽ
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　　　　　　　　　　　｀ヽ_ｨ≦.:.:-.:.:.:.:.┴、
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　　　　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 〉
　　　　　　　　　　　| .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀
　　　　　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:r {　　　　　　　　　　　「ごめん」
　　　　　　　　　　 i .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:|
　　　　　　　　　　　 i .:.:￣＼.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:|
　　　　　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:＼. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:i
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304： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:36:19 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　, ; '::::￣:::::::ー‐-γｰ､
　　　　　　　／:::::::::::ノ:::::::::::⌒∨,へヽ＼
　　　　　　/:::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::,ﾍ Ⅵ .i::::＼
　　　　　 ;':::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::/　i∧_|::|:::::::`;
　　　　　i:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/￣￣￣|::Ⅳ:::::::i
　　　　　|:::::::/:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　 |::i::::|:::::::i
　　　　　|:::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　ﾚ:::::i:::::::|
　　　　　|::::i::::i::::::::::::::::::::::/-＝-　　　　≦.ﾌ:::::::|　　　　　　　　　　「いま説明をしてきた『平織』『斜文織』『繻子』の三種が
　　　　　|::::|::::i::::::::::::::::::::ｙr=＝､　　　 i i｡jヾi:::::j
　　　　　|::::i::::i::::::::::::::::::.《 i　oj 　　　ヽ_ｿi:::::/　　　　　　　　　　　『三原組織』と呼ばれていて、
　　　　　|::::Y ∧:::::::::::ヽ |　ｰ　　　　　 | /
　　　　　|::/:::::::::＼:::::::ト |　　　　　　 `'　　ｉ/　　　　　　　　　　　　　　その他の織物の織り方はすべて
　　　　　|/:::::::＼::::＼::::＼　　　　ー　'　／i
　　　　　ﾙ:::::::::::::::＼::::＼::::＞､　　　／:人|　　　　　　　　　　　　　　この三原組織のバリエーションと言われています」
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::|＼::::F‐--- イト／:::::|
　　　　 i::::::::::::::::::::::::::|／⌒i　|　|　/ /　i:::::i|
.　　　　i:::::::::::::::::::::::/／ ⌒ 　＼＼＼＼.i:::::|

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'　　　　　　　　　　　「ちなみに繻子はもともと斜文織の
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　バリエーションと言われてたので、
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣　　　　　　　　　　　　　　　　　更に突き詰めれば平織と斜文織の二種が
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿　　　　　　　　　　　　　　　　　　織物の基本構成だと言っていいかもしれんな」
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

.
305： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:36:44 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「なんとなくサラブレッドの三大始祖を思い出したわ」

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　―　＼
　　　　　　／　　(● )　　ﾍ＼
　　　　　　　　|　　　（⌒ 　 (● ) ｜
　　　　　　　ﾍ　　　￣｀､__）　　｜
　　　　　　　ヽ　　　　　　　｜
　　　　　　　　　, へ、　　　＿／
　　　　　　 |　　　　　＾ヽ
　　　　　　 |　　　　　　１　 |

￣￣　l　　　　　　/　　　　 |　　　　| 　　　　＼　　　　　＼
　　　 |　　　　 /　　　　　|　　　　| 　　　　　∧　　　　　 }
　　　 |　　　　 f　 |　　　 |　　　　| 　　　 /　}　　　　　 l__
　　　 |　　　　　|　 |　　　 |　　　　| 　　 |　　 l　　　　　 l　ヽ
　　　 |　　　　　|　 | 　　｜　　　| 　　 |　　 |　　　　 |　 l
　　　 |　　　　　|　 |＿_　　{　　　　| ＿＿|＿　 |　　　　 }　 l
|　　　｜　　　　 |　　　　ミ八　　 :| 　　 |　　 |　　　　 }　 |
{　　　｜　　　　 |㌢芯云丐ﾐ＼　 :|　/芯云丐ミ　　　 ,′ }l
‘，　 :|　　　　　|ゝｈr//刋　　ヽ　: 　ｈr//刋 /　　　　/　 /{{　　　　　　　　　　「わかるであります」
　　　　{　　　　　{　{乂)こ少　　　＼{:　乂)こ少　　　　 ∧__　ⅱ
　　∨八　　　 ', i　　　　　　　　　　　　　　//　　　 ∧////
.　　 ∨　＼　　八＼　　　　　 ,　　　　　　//} 　　 /∨,/＜　∧
　　　 ∨ / ヽ　　　＼}　　　　　　　　　〈//　　　/　 }/＼} / ∧
　　　　∨　　〉､　 ∧　.　　　　 -　　　　　 /　　／　 /}///ﾍ / ∧
.　　　　∨　//∧/ ∧　　　　　　　　ィi /　／　　　//}////ﾍ / ∧
　　　　　 ∨///∧/　:}　＿　ヘ _ ｡＜ﾆﾆ/／/ 　　 /_∨＼///ﾍ/ ∧
.　　　　　　〉////∧　:!/　　／{ニニニ／　/ 　　 /　　≧s。,// / ∧
　　　　　 /////// ＼|　　 /＿:}　　　　/　/　　　 /　　 /　　　}￣　/ ∧
.　　　　 ////＞/　　/　　//ｉ:ｉ{ﾆ＞＜:/　/　　　 /＿__/＿_ 　 }　　　/ ∧
.　　　 ,' ￣ア /　　/7777/ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:ｉ:{　/　　　 ///////////ﾍ___ 　 / ∧
　　　 /　イ__/　　/=:∨,/i／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:∨ 　　 ///≧=‐ニニﾆﾆ二:ミｔ､/ ∧
.　　/　 {二:/　　/ﾆ/／＼i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:／/ 　　 /二二二ニニニニニﾆニ',/ ∧

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【サラブレッドの三大始祖】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　　現存するサラブレッドの父系を辿っていけば最終的に必ずたどり着く三頭のお馬さんのことです。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　バイアリーターク、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアンというのがそのお名前です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
306： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:37:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／:::::ｨ::::::::::::: : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::／│:::::::::::::: : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/⌒ヽ:::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/ ﾈﾐ､|::::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::ノ　り }|::::::::::::::::::: : :
　　　　　　「それじゃ、三軒組織のお話が終わったので、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::| 　　　 !::::::::::::::::j:::: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::: ! _　,　　 j::::::::::::::,ｲ :::::
　　　　　　　　次は十二種類の織物を簡単に説明してみますね」　　　　　　　　　　　　 //!::::i　　　 //!::::::::/ﾉ ::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l/ l:::::|　　　 l/ .l::::::/　!::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::≧r:::ｒ-､　 !:::/ｰｲ :::::::
　　　　　　　　　「まずは『綴織（つづれおり）』ですね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　';:::::::∧ﾉｒr√l:/　　!:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',:::/　　 { l　 /　　 j ::::::::
　　　　　　　　　　三原組織で言えば『平織』になります」　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　ﾉｌ |　　　　人 ::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　り j　　　　　ヽ::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /＞―‐ｒ―‐ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃./　　／７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　/ .:::/

.
307： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:37:57 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、　　　　　　　　　「太めの経糸を比較的粗く揃えて強く張ります。
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼　　　　　　　そして逆に緯糸は弛めに張って、強く打ち込みます。
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l　　　　　　こうすることで経糸は緯糸に完全に覆われ、
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|　　　　　　　　　縦に畝が出てきます」
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |　　　　　　　　　　　　「ちなみに伝産法で定められてる綴の製法は以下のようになるぞ」
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

綴にあっては、次の技術又は技法により製織されたつづれ織物とすること。

（1）先染めの平織りとすること。

（2）よこ糸（模様部分を除く。）は、「手投杼」を用いて筬に対し斜めに打ち込み、筬打ちをすること。

（3）模様の有るものにあっては、模様部分のよこ糸は、「小杼」を用いて筬に対し斜めに打ち込みをした後、
　　爪先又は「筋立」を用いて筬に対し平行に掻き寄せること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
308： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:38:26 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「次に『経錦（たてにしき）』です。

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ　　　　　　　　複数の色糸を一組として一本の糸のように使用し、
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',　　　　　　　　必要とする色の糸を表面に浮かせて紋様を表す
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',　　　　　　　　　絹織物の技法を『錦』と呼びます」
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「一説には錦の語源は『丹』『白』『黄』の色名から
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　来ているともいわれてるな」
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

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309： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:38:58 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　「経錦は、経糸で地と紋様を織りだした錦の織物ですね。

　　　　　　　　　西陣織では通常は三色三本の経糸を使って『三重経』として織りますが、

　　　　　　　　　　　五重経六重経の織物もあります」

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

　　　　　　　　　　　　　　「三本一揃いなのでそのまま織ってしまうと表面にいろんな色が出てきてしまいます、

　　　　　　　　　　　　　　　　それを防ぐために表面に出すべき色糸を出すための『母緯（おもぬき）』という緯糸と、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その他のいるを沈めるための『影緯（かげぬき）』という糸を一段ずつ、交互に交わします」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

錦にあっては、次のいずれかによること。

（1）経錦にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

イ
「ジャカード機」を用いる先染めの平織り又は綾織りとすること。

ロ
たて糸は、３色以上とし、３本以上の男巻から引き出し一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。

ハ
よこ糸は、「かげぬき」と「地よこ糸」とを交互に打ち込むこと。
この場合において、よこ糸の密度は、１センチメートル間40本以上とすること。

ニ
紋は、たて糸で表わすこと。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

..　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼　　　　　　　　　「さらっと鬼畜な糸密度を要求してやがるお」
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|
.　　＼　　　　　　　　　／
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

.
310： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:39:25 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　 . -―-､＿　＿.／⌒＼
.　　　　　　　　　　 .　: : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}
　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
. 　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V
　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',
　　　　　; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i　　　　　　　「『緯錦（ぬきにしき）は、緯糸を使った錦です。
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l　　　　　　　　　　　経錦との違いは、緯糸を使うために経錦よりも
. 　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ　　　　　　　　　　　　遥かに自由な表現を行うことが出来ることです」
　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
.　　 /: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
.　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
.／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼
　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　 |　　　　　　　　　　　　　「ｋｗｓｋ」
　　　　　　　　　./　　　　 ∩ノ ⊃　　／
　　　　　　　　　(　＼　／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　　.＼　“　　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／

.
311： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:40:07 ID:Y56IqXDA: 　　　　「えっと、織物の作り方として、経糸は基本的に織り始めたあとで数や配置を取り替えることが出来ないんです」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　こいつらが経糸
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
┣┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┫　←経糸の束
│││││││││││││
│││││││││││││
│││││││││││││
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤　←綜絖
│││││││││││││
│││││││││││││
│││││││││││││
│││││││││││││

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　「経糸の配置はごく単純に示せばこうなっているからな。

　　　　　　　　　　経糸の数が変われば織物の幅が変わってしまうので、このへんは変更が効かない」

.
312： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:40:44 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「この経糸の間を緯糸を通らせて打ち込むことで織物が織り上がっていきます。

　　　　　　　緯糸はくぐらせる都度、色や糸の太さなどを変更することが出来るので、

　　　　　　　　代えの効かない経糸で錦を作るよりも幅ができるということです」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : ￣: : : : : : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : _ _＼
　　　　　　　　　　　　　　　 /: :／: : : : : ヽ: : : ／: : : : `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　/:〃: : : : : : : : : `Ｙヽ: : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　 ,': :/: : : : : : : : /ミ {　i }‐､ﾄ､: : : : : :ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　,: :〃: : : : : : : /⌒` ´ | |‐ i |ﾐヽ: : : : : :}
　　　　　　　　　　　 ,: :': : : : : : : i: :{　　　　 | i　ﾘ　Ｙ: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　 {: :{: : : : : : : |: :i 　　　|:i　　　　'.: : : : ::|
　　　　　　　　　　　　　　 i: :i: : : : : : : :|i-‐＝　　/　 ‐=‐-､}: : : : ::i　　　　　　　　　「こういう三つ編みも、織物の原理と
　　　　　　　　　　 i: : : : : : : :'´|i, =　､　　　　　　　　i: : |i.:ｿ
　　　　　　　　　　　　　 '.: : : /{: : : 〈夊ｿ `　　　　ｰ = '　|: :i.ﾘ　　　　　　　　　　　同じなんですよね」
　　　　　　　　　　　　　　 '.: : ゝi: : : {`゛" 　　　　　　ｒi: :/
　　　　　　　　　　　　　　 '.: : : ﾐ､:: :i　　　　　 '　　　　　ﾉ |从
　　　　　　　　　　　　　　　　Ｘヾヽ＼:ﾄ､　　ー　' 　　／ /.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　{ﾞミ...:..X : 丶...　　　, イ　　/
　　　　　　　　　　　　　　 , - ' ミ: :..X : : : : }:::::::::: {　　　　〈　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　 /　　｛: : :X.: : 彡'´　　　`Ｙ__＿∧ｰ＝二　ﾉ`ヽ
　　　　　　　　　　　　 ∧　　/:ﾞミ.　: : : 丿　　_　　｛　　　　〉　　　 /　　　〉
　　　　　　　　　　　 /　ﾏ　　〉: :..X : 彡i￣〉　| ￣　ﾏ,　彡　ヽ／/　　　/i
　　　　　　　　　　　ﾉ　　 i 　ミ..:.X: : : :/ ./　　} 　　.i 　　　　》　i　　／/ }
　　　　　　　　　　 /　　　| 　{: :..X : イ　ﾑ　　`_､　.|　　　　Ｖ　/　　　|
　　　　　　　　　《　　　 i / i: :X.: : ノ　/.....`ｰ彡⌒ヽ|　　　　　Ｖ　　 ,イ
　　　　　　　　　/　　　　/　〉:ik.: /. 　 {...........................}　　　　　　'.　　 /　|
　　　　　　　 /'i　＼　　{　{: :ik.: }　　 |...........................|l　　　　　　Ｙ　　　ﾉ
　　　　　　　〈　ヾ　　ヽ　Ｙゝik..ｲ　　 |...........................|.|　　　　　 /i､　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（ー）　（ー）＼
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´　　／　　　　　　　　　　　　「なるほど。ホラちゃん、理解できたかお？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ヽノ　　⌒＼＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　|　　　　　　＼_＿＿）⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣＼　＼　　　　 -''' ⌒(＿__)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　／＼　＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　` ―─―─´　　　ヽ＿__）

.
313： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:41:10 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「jud。ってなんでホライゾンに振るのですか。

　　　　　　ホライゾンは理解しておりましたし、ええ、理解しておりました」

　|　　　:|　　　　　'　　　 |　　　　　 |　　 |　　 l　 |　　　　　　 | ∨/∧　.
　|　　　:|　　　　 f　　　　 :|　　　　　 |　　 |　　 l　 |　　　　　　 |　∨/∧　',
　| ｌ　｜　　　　|　　　　八　　　 :|　　 |　　 l　 |　　　　　　 |:　 ∨/∧
　{ l　　｜　　　　|　　 |　　∧　　　斗ｔ允ﾅ￣/ ミ:|　　　　　　 |　　 ∨　,　 .
　{ l　　｜　　　　|― 十―{　＼　　 |　ィて芯笊ミ !　　　　　 |　　　} 　 , ∧
　{ ｌ　　 |　　　　｜　,x==ミi　　ヽ　　/ ん///}刋ﾏ}　　　　　 :| 　　〉　 ,
　} l　　｜　　　　|: ㌢ん:刋　　　＼ |　K乂/ﾉⅣ /　　　　 ___|ィi〔　　　　,　 {
　} l　　｜　　　　|: ゝ hしリ　　　　＼乂 )こ少　} |　　　 ///　　　　　 : 　，
　}八　 !　　　　 |　ﾊ_ゞ= ' 　　　　　｀^¨¨^´　:| |:　　///　　　　　　 ∧
. /　 ', 八　　　八: ∧　　　 ,　　　　　　　　　 } }　　///　　　　　　／　∧
　　　ﾟ，ﾟ，　　　＼∧　　　　　　　　　　　　　　 | |　 //〈___　　　　　／　　/ ∧
. 　　　　∨　　　　^∧　　　　　　　　　　　　　　 !/　∨////　　　／　　　 / ∧
.　　　 ∨　＼　　　从　　　こ　　　　　　　 /　　｀''＜≧s ／　∧　　　 / ∧
　　　　　 ',　　个､　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　 /⌒ ///＞〈　　　　 / ∧
　　　　　 }　　:}　＼　　　＼　　　　　ィi〔/ 　　　／　 //////∧ 　　　 / ∧
　　　　　 l　　/　　 ∧　　　　＼__　｡s≦　　/:　　　／　　 / ∨////∧　　　　 / ∧
　　　　　 |:　/　　 //∧ 　　　 / 　 }ニ=〈^:/　　　／/　　 / 　 ∨////∧　　　　 / ∧
　　　　　 | /　　　{/// ﾟ。　　　/　　 }}ニﾆ∨　　／ :/　　　/ 　　 ∨///／　　　　　 / ∧

　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ　　　　　　　　　　　「なにムキになってるのよ」
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

緯錦にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

イ
｢ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの綾織り又は平織りの変化織りとすること。

ロ
製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、６枚以上の「伏せ綜絖」又は「引箔装置」を用いること。

ハ
紋は、よこ糸で表わすこと。この場合において、八丁以上の杼を用いて製織するものは、「縫取り紋」をすること。
.
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
314： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:41:39 ID:Y56IqXDA: 　　　　「『緞子』ですが、これは繻子織の地に、

　　　　　　絵緯糸を多重に織り込んで紋様をあらわした織物です」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「先練先染の糸を用い、緯糸には金糸や銀糸、箔などを使う、

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､.　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　豪華で美しい織物だ。
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼.　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、　　　　 |　　　( ●) (●）　　　　　　緞子の名前は童謡『花嫁人形』の歌詞にも出てくるぞ」
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|.　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l.　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /　　}､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j.ﾞ_／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/.ﾞ: : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://..: : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'ﾞ:, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／: :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／ﾞ/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 ! . /: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

【緞子表】
http://file.gazouup.syoyu.net/be0bf5a7.jpeg

【緞子裏】

http://file.gazouup.syoyu.net/52b558d9.jpeg

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【地と絵緯糸】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　紋織物の基盤になる織物組織が『地』です。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　絵緯糸は紋織物の紋の部分を織り成すために用いる緯糸です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　　それと、画像は一枚の織物の裏と表の画像です。
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　　　　　解像度が低くてあまりきちんと表現できてません、すみません。
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

緞子にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

（1）
｢ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの朱子織りとすること。

（2）
製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、10枚以上の「伏せ綜絖」又は「引箔装置」を用いること。

（3）
紋は、「地上げ紋」及び「縫取り紋」とすること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
315： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:42:31 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　 /´　＼　-─-
　　　　　　　　　　　{ .　イ: : ＼ : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　ｲ: : : : __: i|: :: : : : :ヾ: :ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : .／　 Y⌒ヽ: : : : :ヽ: ヽ　　　　　　　　「次は『朱珍』です。
　　　　　　　　　　/: : : ./　　⌒⌒ 　Y: : : : : : : i
　　　　　　　 ,: : : : /　　　　　　　゛,: : : : i: :}　　　　　　　　　　繻珍とも書きます。
　　　　　　　　　': : i : i -‐_‐　　　　‐- ､}: : : .|: :|
　　　　　　　　i: : i : | f ﾄﾑ　　　ｨftry i : : :i : |　　　　　　　　　　繻子織りの経糸を地として、
　　　　　　　　　{: : i : l　゛　　　　ゞｯ　} : : i : .|
　　　　　　　　　N : i :ﾘ　　　､　　　ノ}.: /: : .|　　　　　　　　　　　二種類以上の絵緯糸を使って紋様を著します」
　　　　　　　　　 |: ﾘ: ﾍ　　v　ｧ　　　〃ｲ: : : :|
　　　　　　　　　　i: : : : , -_‐--､　　イ:.: : : : : : ::|
　　　　　　　　　　|: : : /-‐ ￣` .Y　 iｬ､.: : : : : : |
　　　　　　　　　　|: : ::i`⌒Y　　|.　／__＼_ : : : |
　　　　　　　　　ｨ ≦´.i　　.i　　 i／_____／￣≧-､
　　　　　　　,′　　　　} 　 {　　 |.____／　　　＿　ヽ
.　　　　　　 '　　ヾ　 , '´　∧　　ﾏ／　　 `Y´　　　 }
.　　　　　　 |.　　　V 　　/__ﾑ　　ヽ　　　/　　　　/
　　　　　　} 　　 /.　　 ,'_____∧　　　ﾞ､∥　　　〃
　　　　　 |　,z/　　　'_____/　 ',　　_ _ 〆⌒ヽ / ヽ
.　　　　　 i. /､＞､　./.____/　　'y'´　　ハ　 .Y　　}
　　　　　　|/　　ヾ､`.'〈___ム_＿/　　　　　 }　　{　　|
　　　　　｛'　　　　 `ｰ ∨777∥　　　　　 i 　八　i

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　　　　　「絵緯糸の組織構成により
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　　　　『裏吹き朱珍』『縫取朱珍』『地上朱珍』『別搦朱珍』
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、　　　　　　　　　　　　　　　　　といった種類があるぞ」
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

朱珍にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

（1）
｢ジャカード機」を用いる先染めの朱子織りとすること。

（2）
製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、６枚以上の「伏せ綜絖」、又は「引箔装置」を用いること。

（3）
紋は、よこ糸で表すこと。この場合において、「八丁以上の杼」を用いて製織するものは、「縫取り紋」をすること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
316： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:43:16 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　「紹巴は、二種類の経糸を使って、一方を『芯経』として使い、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　もう一方を芯経に絡めるように用いて、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平織で表裏の緯糸を閉じた『複様平緯錦様』の組織です」

　　　　　　　　　　　　　　　　,　､__
　　　　　　　　　　　　　　,イ,ヽ::::::::::-､::::`::､
　　　　　　　　　　　／::|ｆ´ | |:,‐､::::::::＼::::::::
　　　　　　　　　　　　:::::::|i⌒∨彡ヽ:::::::::::ヽ:::i
　　　　　　　　　　.i:::::::::/ ! 　　　　　 .}:::::::::::::::|
　　　　　　　　　.　|::::: ｲ´`､　　　　　|::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ﾚ:从ﾓﾒ)　　 _‐-.､|:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〉:::i　　　　　ﾓﾃ.)|:::::::::::::ｲ
　　　　　　　　　./:::　　　丶　　　　/:::::::::::/:i　　　　　　　　　　　　　　「その複様平緯錦様の中で、
　　　　　　　　　/:::::::∧ 　`_　-　　/:::::::::／::::|
　　　　　　　　./:::::::::::::ｒ＼___ ,　ィ/::::／:::::::::::|　　　　　　　　　　　　　　　比較的色使いの少ないものが紹巴と呼ばれます。
　　　　　　　 /::::::::::::::::}i　i　i　i　イ, ｒ､___:::::::::|
　　　　　　 ./::,::::-/⌒/　|　|　|　 | ｲ　　　＼:|　　　　　　　　　　　　　　　　　また、この組織のこと自体も紹巴と呼ばれます」
　　　　　　　/　 /　丿　/　i　| 　|　.|　　　　　＼
　　　　　 /　　i ／　 /　 |　 |　 |　.| ヽ　　　　＼
　　　　／　　丿/　　/　　| 　|　　|　i　＼　　
　　／　　　,´ {　　 i　　　i　 |　　|　入_/:::＼
　／　　　／ {　 i　　 i　　　i　i　　i　/　/::::/　.＼, 　　＼
/　　　／　　 ` ､`　　`　　 |　|　 ´　|. /::::/　　／　　　　}
　　　　＼　　　 i　|　　|　　|　|　　ｌ　ｌ/:::/.　／　　　　／
　＼　　　＼　.　|　|　　|　　|　|　 | 　|ノ　　　　　　／
　　＼　　　　　|　|　　|　　|　|　|　ｙ ´　　　　イ
　　　　＼　　　|　|　　|　　|　|　|　i　　ィ ´
　　　　　＼　丿 i　　i　　 i　i　i　 `､　　i

.
317： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:43:43 ID:Y56IqXDA: 　　　　「もともとは蜀巴という名前でしたが、

　　　　　　　　　桃山時代の連歌師、里村紹巴さんが蜀巴の名物裂を愛蔵していたことから名前が混同してしまい、

　　　　　　　　　　　現在のように紹巴と呼ばれるようになったのではないかと言われています」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿/⌒辷爻- 、}_
　　　　　　　　　　　 , . :'"´: :」　乂::::(rう:}＼) (_
　　　　　　　／: ｀: ＜: 〉_　{　入厶斗く｀ヾ /　　　　　　【明智　光秀】
　　　　　　/⌒ヽく: ＜: : : : :｀ヽ卞/i:{ ∧∨　ﾏﾑ＞
　　　　　　{　　 .′｀ー-=ミ-＝ﾐ⌒ヾ{　}i}　　ﾏﾑ :ﾊ
　　　　　　ヽ　 ' _　　　　　　　 __ ＼: :乂i:!｀爪/ﾏﾑ: : ,
　　　　　　　ﾏ´⌒　　　　　 / 斧沁xﾏﾉ':冖´: : : : : :
　　　　　　　　　孑ミ　　　　　 i心り}i》ﾏ:／⌒V: : : ::｜
　　　　　　　　 ' f ftハ　　　込:乂／　 /r　 , : : : : '
　　　　　　　　ﾊ　込ﾘ ,　　　　　　 '　　　ｿ　 .゛: : : :/.　　　　　　＼:.:ー:.:─:.:─:ミr<⌒ヽ
　　　　　　　　孑j　　　｀　　 ,　　　{　　,. :r-イ.: : : : :'　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:／{:.､:.:.:.:.:＼ヽ:.:.＼
　　　　　　　/　圦　　　ゝ　´　　　ヽ /: :__: ﾉ: : : : : i.　　　　　 ∠:_:.;ｨ:ﾑ厶　ヾ＼:.:.:.:.:ヾ:}:.:.:.:ﾄ､
　　　　　　 |　　}: ＞ .　　　　　 , -＝ミ´　　｀ヽ: ::｜.　　　　　 /:.:.:厶ｲ＞ r‐ _＜　tﾐ:.:.:.:||:.:.:.:j
　　　　　　　ゝ　乂: : : : ≧=-／ﾆﾆﾆﾆﾘ　　　　 V八.　　　　 /:／　 /￣r─‐ﾍ￣　､:.:Ｖﾘヾソ　　　　『光秀マジプリティ！』
　　　　　　　　　　｀ヽ: :_/ヽ/ﾆﾆﾆﾆ彡ﾞﾊ　　　　　V : ＼　　　　　 { 　 | ⌒⌒|　　∧:.＼
　　　　　　　　　　　　/ ′ {二ﾆ＜＞´ 　　　　 V: : : ヽ.　　　　　　ゝ　| 　　 |　__ ノ＼:.:＼
　　　　　　　　　r＜ .′　　´ {斗＜-ミ　　　　　　｝:｀ヽ: ﾊ　　　　　　《￣￣￣》　　　＼:/
　　　　　　　　　} -ミi　＿/＼ハ }　ー=ﾐ、　　　　ｲ. : : :}/八　　　 /⌒{￣{￣｀i7⌒ヽ
　　　　　　トくﾉー-j/　　＞ "´∨　　　x介x＜.:::人: :乂: : : :)　　　　|　ﾉ　 { 　 f /　　i
　　　　　　　}/(　＿{＞ ´　　　　＼　//　{iハイ　 }: ; : : :ﾘｲ　　　ﾄ./　　八　ヾ.　　|
　　　　　　　|｀ヾ{／　　　　　　　　　　辷匕_り: :|=彡ｲノ´. 　　　 /ｼ　　 /:::::.　　ﾐ:У　　　　　【里村　紹巴】
　　　　　　　|　　＼　　　　　　　　　　∨ | |i{从:(´　 ((.　　　　　　 {::{＿ノ:::::::::＼_ノｼ＼
　　　　　　　|　　　　＼　　　　　　ﾉ　! !i{　　｀　　｀　　　　　　/¨//::::::::::::::::::::::::く. 　＼
　　　　　　　ゝ、　　／＞　_　　　　イ　　ﾚ'リ　　　　＼. 　　　 / .//::::::::::::::::::::::::::::::＼.　　＼
　　　　　　　　/　　廴_ﾉ￣　└z└-ミ　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　 /　　厂乂　　　　　ゝ宀辷＞-
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「紹巴はたぶんまた今度出てくるだろうなぁ」

.
318： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:44:25 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「あと、蕉芭と表記されたり、漢字がでませんが

　　　　　　　　（糸へんに肖）（糸へんに巴）や、諸（糸へんに巴）と書かれていた時代もあります」

　　　　　　　　　　 . -―-､＿　＿.／⌒＼
.　　　　　　　　　　 .　: : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}
　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
. 　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V
　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',
　　　　　; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
. 　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ　　　　　　　　　「漢字がでないと困りますよねぇ」
　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
.　　 /: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
.　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
.／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【糸肖　糸巴】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　　　　　　どちらの字も『絹糸や絹布』を表す字です。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

紹巴にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

（1）
｢ジャカード機」を用いる先染めの綾織り、朱子織り又は平織りの変化織りとすること。

（2）
製織には、「手投杼」、「引杼」又は「両松葉杼」を用いること。

（3）
紋は、「地上げ紋」とすること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
319： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:44:57 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／:::::ｨ::::::::::::: : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::／│:::::::::::::: : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/⌒ヽ:::::::::::::::::: : :
　　　　「風通は、経糸緯糸にそれぞれ二色以上の糸を使います。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/ ﾈﾐ､|::::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::ノ　り }|::::::::::::::::::: : :
　　　　　　その糸が二重構造になるように織り、裏表を異なる色に織り上げます」　　　　　　　　　 /:::| 　　　 !::::::::::::::::j:::: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::: ! _　,　　 j::::::::::::::,ｲ :::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //!::::i　　　 //!::::::::/ﾉ ::::::
　　　　　　「柄に応じて裏表を交換することで紋様を表現することが出来ます」　　　　　　　　　 l/ l:::::|　　　 l/ .l::::::/　!::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::≧r:::ｒ-､　 !:::/ｰｲ :::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　';:::::::∧ﾉｒr√l:/　　!:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',:::/　　 { l　 /　　 j ::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　ﾉｌ |　　　　人 ::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　り j　　　　　ヽ::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /＞―‐ｒ―‐ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ/ /

http://file.gazouup.syoyu.net/7e94bf89.jpeg
【風通表】

http://file.gazouup.syoyu.net/a48cb42d.jpeg
【風通裏】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

風通にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

（1）
｢ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの二重織りとすること。

（2）
製織は、織物の表裏が転換するように２色以上のたて糸及び２色以上のよこ糸を用いて経緯二重織りをすること。

（3）
｢縫取り紋」をすること。

（4）
たて糸の密度は１センチメートル間120本以上とし、よこ糸の密度は１センチメートル間40本以上とすること。
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　「経糸の密度ぇ……」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
320： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:45:42 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／　　　　　　　「次に、綟織は二本一組、
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !　　　　　　　　　　　　あるいは三本一組の経糸によじりを作り、
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l　　　　　　　　　　　　　そのよじりの隙間の間に緯糸を通す織り方です」
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__　　　　　　　　　「当然構造上、緯糸の打ち込みに隙間ができるが、
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |　　　　　　　　　よじった箇所の組織点が強固になるおかげで、
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､　　　　　　　　　　織目は粗くても糸目が動いたりはしない。
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧　　　　　　　　　綟織は通気性がいいことが特長だ」
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

綟り織にあっては、次の技術又は技法により製織された搦み織物とすること。

（1）
｢ジャカード機」を用いる搦み織りとすること。

（2）
製織には、「手投杼」若しくは「引杼」、「紋振い」又は「変り筬」を用いること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
321： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:46:34 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　/⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　,ｨ: : : : : : : : : : : ＞‐- ､　＼
　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : 〉　ヽ
　　　　　　　　　　/: : : ::::::::／: : : : : : : : : :／ }/"ﾊ＼
　　　　　　　　　/: : : : ::::::/ : : : ::::::::: : ::／⌒´⌒V: : :.
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　　　　　　　　i: : : : :.:::::::l : : : ::::::::: : ./　　　　　　　|: : }
　　　　　　　　|: : : : :::: : i : : : ::::::::i : {二￣　　, -‐y: : |
　　　　　　　　|: : : : :::: : : : i : ::::::::i : |ｵﾂ`　　' ｸY '.: :ﾉ
　　　　　　　　|: : : : :::: : : : i : ::::::::ﾄ､:ヾ' 　　　ﾋ} ': : {
　　　　　　　　|: : : : :::: : : : i : ::::::::|　ヽ　　　ヽ　i: : .|
.　　　　　　 |: : : : :::: : : : i : ::::::::{　　､_　　　 .八ﾚ　
.　　　　　　 |: : : : :::: : : : :ﾄ､: : : |　　　￣　ｲ: : |
　　　　　　　　|: : : : l : : : : :|　＼N::::...　　／:::l : : |
　　　　　　 |: : : : l : : :＿|＿　　　　i￣:::::::::::i : : |
.　　　　　　 |: : : : l : : :|￣￣`ミ` ､　ﾄ､:::::::::::i : : :|　　　　　　　　「次の本しぼ織は『お召し』とも呼ばれています。
.　　　　　 |: : : : l : ,ィ⌒≧-‐､＼＼ﾏ: : : : : : |
　　　　　　　 |: : : : :./　　　　　　 `ｰ`､ .＞‐､: : : ::|　　　　　　　　　　先練先染で、緯糸には『御召緯』と呼ばれる糸が使われます」
.　　　　　 |: : : :/＿　　　　　　　　　　　.＼＼: |
.　　　　　　 |: : : }´ 　￣`ヾ　ﾉ　　　　　　　Y ＼
　　　　　　 |: : :,!　　　　　 ∨　　　　　　　　|　　}` ､
　　　　　　　 |: ::i′　　　　　 }:::.　　　　　　　　i　　| 　 Y
.. 　　　　　　　|: ﾉ　　　　　　.Y:: :.　　　　　 |　　|　　;
　　　　　　　　ﾚ'　　　　　　　 .|: : : :. 　　　　　/ 　/　丿
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.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【御召緯】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　生糸を数本引き揃え、甘い下撚りをかけて精錬・染色を行います。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　その後で糊付けをして、その糊が乾かないうちに撚糸機で強く撚りをかけた糸です。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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322： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:47:03 ID:Y56IqXDA: .　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ　　　　　　　　「右撚り左撚りの御召緯を二本ずつ交互に織り込んで、
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ　　　　　　　　　織り終わったあと、湯通しをして糊を落として
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',　　　　　　　　『しぼ』を出します。」
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【湯通し】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　温湯にひたして手で強く揉み、糊を落とすことです。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
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.
323： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:47:23 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　　　「徳川第十一代将軍の家斉が
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　　納戸地に細かい格子柄の先染縮緬を愛用したため、
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、　　　　　　　　　　　　　　　　この種の織物を将軍のお召し物という意味で
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼　　　　　　　　　　　　『御召』『御召縮緬』と呼ばれるようになったとも伝えられている」
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :,

　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　 ⌒　　　　　⌒　＼
　　　　　　　　　　／　　　　　／　｀ヽ　　 /´　｀ヽ＼
　　　　　　　　／　　　　（　　 ● l　　 l　　 ● |　ヽ
　　　　　　 |　　　　　　　ヽ_ 　_ノ　　ヽ_ 　 _ノ　　 |　　　　　　　　　　　「『しぼ』っていうのはなんのことだお」
　　　　　　 |　　　　　　 ´￣｀（　　 i　　） ´￣｀　 |
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　ー‐ ＾ー　　　　　／
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　ｰ一　　　／
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ'

.
324： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:47:47 ID:Y56IqXDA: 　　　　「織物に生じる細かいシワのことだな。

　　　　　　　『糸芻』と書くが例のごとく表示がされないのでひらがなになってる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　　　ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

本しぼ織にあっては、次の技術又は技法により製織されたしぼ出し織物とすること。

（1）
先染め又は先練りの平織り又は二重織りとすること。

（2）
お召糸に使用する糸は、下よりをした後、米のりその他の植物性糊料を手作業によりもみ込むこと。

（3）
お召糸のねん糸には、八丁式ねん糸機を用いること。

（4）
しぼ出しは、「湯もみ」によること。

（5）
たて糸の密度は、１センチメートル間100本以上とすること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
325： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:48:07 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それでは、次は天鵞絨です。
　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::／ ∧::::／::i ト､
　　　　　　　　　　　,.､/:::::::::::::::／⌒丶､,イ⌒i::|::::ハ　　　　　室町時代にポルトガルやスペインから伝来してきた、
　　　　　　　　　ノ /':::::::::::::::/　　　　　　　 /人:::::::::i
　　　　　　　　ｲ　く/:::::::::::::::iト‐- ､　　　　 /　　i:::::::::i　　　　　　本邦における最初の登場がはっきりしているという
　　　　　　　　ヽ　 `､i:::::::::::::ﾄ==ヽ `　　　-‐､　i:::::::::i|
　　　　　　　　　〉＝ |:::::::::::::|fｪj）　　　　ィ=-､`.|:::::::::.|i　　　　　　珍しいタイプの織物です」
. 　　　　　　　　7￣.i| ﾄ:::::i::::|`　　　　　　iｪ）〉 /:::::::::::i
　　　　　　　　/: : : ﾙ､::::.ﾄ､i　　　　､　　`　' /:::::::::i .|
　　　　　　　/: : : : : : ＼::::＼　､　　　　　　 /／/ ﾊﾉ
　　　　　　/: : : : : : : : : ∧ﾍ.i　　　　'　　／彡/ /／.::＼
　　　　／: : : : : : : ,　人/　＼　　　_ イ '":::::／.::::::::::::::::＼
　　　　/: : : : : : : ／i| `i⌒ヽ､　￣i:::::::::::::::ﾙ.::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　./: : : : : : : /_ ∧.ﾉ　　　＼　/i|:::::::::::.'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　i: : : : : : : /　⌒`ヘ _ _ 　　∨ i|.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　|: : : : : ./　　ヽ､　　　￣＞　　辷─‐-､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　i: : : : .ノ　　　　＼　　／へｲ: : : : : ＜い:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　ト‐--　___＿　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : ト､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　ヽ　　イ: : : : : : : : : : : : : : : : : : .　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,　　　　　　　「他のは織物の歴史の中で進歩、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/　　　　　　　　　　変化していったものだから
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{　　　　　　　　　　『この時期に誕生した織り方』というのが
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i　　　　　　　　　明確になってないんだよな」
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.
326： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:48:35 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　 . -―-､＿　＿.／⌒＼
.　　　　　　　　　　 .　: : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}
　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
. 　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V　　　　　　　　「この天鵞絨の織り方には二通りありますので、順番に説明します。
　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',　　　　　　　　　1つ目は経糸に、地経糸と、パイル経糸の二種類を使い、
　　　　　; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i　　　　　　　　　これにパイル用の針金を緯糸一本、あるいは三本ごとに折り込みます」
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
. 　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
.　　 /: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
.　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
.／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |
.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【パイル】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　　短い羽毛のことです。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　　　パイルを用いた様式の布で代表的なものはベルベットです。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
327： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:49:33 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'　　　　　　　　　　　　「針金ごと緯糸を織り込んだあとに、
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／　　　　　　　　　　　　　　　　針金上のパイル経糸を切って毛羽を立てるか、
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　針金を引き抜いて輪奈を残す、というやり方です」
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ
.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【輪奈】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　　針金を引き抜くことで出来るループ状の毛羽です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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328： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:49:51 ID:Y56IqXDA: 　　　　 .___　　,　―- ､_＿__
　　　　／'⌒ヽ/.: : : : : : ＼: : ＼
　　　　　../⌒＾:.,ﾉ,ﾊ、: : : : : : : : ＼
　　　　 .′ '＞'^′ ＼__: : :|: : : .　ヽ
　　　　..j : : |　　　　 '⌒ヽ: .:|: : :ｉ:. ..　'.
　　　　{...: :.j／　　　　,, ==､|: : :|ヽ:. .. :.　　　　　　　　　　　　「もう一つのやり方は、上下二枚の織物をパイル経糸で接合して織り込み、
　　　　 Y.∨ｉ　,.ﾆ、　″ ,,　|: : :|　}!:.　:.
.　　　八 |.:|〃　　,.　　　 |: : :爪{:.:.　:.　　　　　　　　　　　　　その糸を織り前で切り、二枚の天鵞絨を同時に作る方法です」
.　　　　i|.:|:.ヽ″ ,.　　￣} |: : ﾙ八:.:.　:.
.　　　　 |人_人　`　　ノ' j:ｉ: :|,′jL.、:.'.
　　　　　人.:.＼⌒'ー､. イ}ﾉ,ノ／　　',:..'.
　　　　　ヽ{⌒Ｙ⌒＼｝r≦//.　　　 i:'.:'.
　　　　　　　　　（八__）/　　// 　　　　'.:.:...、
　　　　　　　　 /￣｀V./⌒; ′　＼　　　＼:..＼
.　　　　　　/￣￣`ｰv￢_,ノﾉ_＿＿__＼　　　＼:..＼
.　　　　　し'7＾iﾝ' / ,ノ＾Y　　　 ][j,ノ-―‐-　＼:..丶
　　　　　　 /　 }`〈__{　r人‐v'⌒Ｔ~　　　　　　　　〉:.:. :.
.　　　　　　,:__,ノ　　､ `′　}￤　 j　　　　　　 . イ: : : : :,
　　　　 .(´_＿,ノ￢{≧==ﾉ,ﾉ　 .ﾊﾆニ7T : ´ : : :| ＼: :..|
　　　　　　{ 　＼＿, ＼⌒´｀ﾆ´　　 _,ﾉ j: : : : : : |: : :i＼|
　　　　　＼___/: :＼_｢`ｰ――　　⌒Ｖ. : : : : : :|: : :|
.　　　　　　　｢: ,: : : :':.　　　　　　　　＼ : : : :,ﾉ: : :|
.　　　　　 ,ノイ: : : : :.'.　　　　　　　　　　＼: : : :ﾊ: |
　　　　　　　　　｝ |: :、:..ｉ　　　　　　　　　　　ヽ./　}ﾉ
　　　　　　ハ|: :|＼|　ヽ　　　　　　　　　ﾊ}ヽ
　　　　　　　 |: :|　八　 }　　　　　　　／ ,ﾉ　|
　　　　　　　　 .､:{　|　/⌒ヽ　 ---‐=≦≠´　　,ﾊ
　　　　　　　　＼ }{.| 　 ;￤　　　　　　／　}
　　　　　　　　　 j八､_ﾉﾘ=‐　　 ---‐=≦　　,ﾉ}
　　　　　　　　　　／／＾ニ＾二:... 　　／（厂￣ }ﾉ}
　　　　　　　　　く／　､_＿　　　／　 /_＿___}ノ}
　　　　　　　　　　　/:│　　　　　　　　　（/_＿____j.ノ}
　　　　　　　　　〈　 |　　　　　　　 .'__＿＿_; 　j
　　　　　　　　　 i⌒≧=‐-=ﾆ二三弖/_＿__　_,　 /

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【織り前】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　織りかけの部位のことをさします。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　　また、織機の織手さんの近くのことも織り前と呼びます。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
329： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:50:12 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　「伝来してきたこの天鵞絨を、織田信長などが非常に気に入っていたと宣教師の記録にもある」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　：　　　　|
　　　　：　　　　|　　　　　　　ニ　コ　ッ
　　　　：　　　　|三＞―- ､
　　　　：　　　　|彡彡彡ィ::::｀` ー- 、
　　　　：　　　//,ｲ´ｼ'´ィ彡彡'´ィミﾐ丶
　　　　　　　 ///／／／／／／ｨｼ、ヽヽ
＼＿＿　／///／,イ//ｨノノ／´ﾐ{fヽミ',ヽ
彡彡彡∨ｲノィf////ィ彡ｨ／　　　|li|トiＮlil|
彡彡イ/,イﾉノﾘ//,メ､!,'／　　　　　}ihl|lﾄh!li
イﾝﾉ/ｲf//ｨ彡'//==x'<_::::........　　// !{l}jj｝l|
彳ｿｨ彡'ﾉﾉ彡ｲiﾘ／卞'ｼ"i:.! ,:::::://　li|liﾘ'ili|
ﾉイ彡彡彡イ!lil|/　 /　　 !/､=ﾐf､ﾝ´/lf{ jli|
彡彡イjiｼ'´,ﾉﾘﾘ　 /　　　 ':!.:｀丁/ﾉｲﾊヾj|ﾘ
ィﾘ/ｨﾒｲli,ィ彡" ／　　　 | 　 !ｲﾉﾉﾊlヾYi
//'´7Zｨ'彡'´^メ､_　　'ー--' ／{ｲ//ﾙ'ﾉ,ｲ!
/　,ｲ彡7ｨ',　/ 、　｀ ‐ ､_, ／//lV/ﾘｲr'iﾘ |
　/;ﾂ'´ｲﾙイｨ, ,､ﾝ;-､_,　,ｲｨﾉノﾊliW/小'ﾉ ,!
､jl/　 ,ｨｼｲ彡ｼﾉﾉﾙ､,.ｨ'frｼﾉﾉ//ﾊliliﾘ|｝{{ （
/ヽ、fr' '7ｼ'ｿ/ﾊﾂﾉﾉ八{lili/'ﾉﾉ/ 川{ l八!　',　　　　　　　　【織田　信長】
　　ﾒ､ /　 '"ﾝ'ヾﾂﾉノﾉﾘ',/// /ﾉﾊ!(　ヽ ,!
　／　了　　 |　f{! ／ｿﾉﾉｲ／,ｲﾉﾘﾘ} ヽ.　ソ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

ビロードにあっては、次の技術又は技法により製織されたパイル織物とすること。

（1）
先染め又は先練りのたてパイル織りとすること。

（2）
パイルは、「パイル用針金」を手作業により筬に対し平行にさし入れて形成すること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
330： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:50:42 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「次は絣織です。

　　　　　　　これは基本的に糸を数本束ねて部分的に防染した絣糸で

　　　　　　　　　織り上がりの紋様を作る織物です」

　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_
.　　　　　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ
. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
.　　　　　| !　i:::::l　　　　ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ＿ノ
.　　　　　　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈
.　　　　　　 l::::::::l　ﾉ　　　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　　　　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　　 l:::::::///::::::::::: !:|
.　　　　　　　ヽ:::!:::i. 、　　ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|
　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
.　　　　　　　　　　　 l::i:::::!　　 /:::::::／:!::/:::l
　　　　　　　　　　 _,.r-j/:::/　　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',　　　　　　　　「絣糸を経糸のみに使用する『経絣織』、
　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l　　　　　　　　　緯糸だけに使用する『緯絣織』、
.　　　　　　〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|　　　　　　　　　　経糸緯糸療法に使う『縦貫絣織』などの種類があります」
.　　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|
.　　　　　ヽ:.:〉ー――ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.:: l::.::.::.::.::.::l:::::::::i
　　　　　　 lヽヽ.ﾟ:｡:+ﾟ:*:|::.::.::.::.::.::.::.: l::.::.::.::.::.::l:::::::::j
.　　　　　　j::ヽヽ_*ﾟ_+｡ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.::l::.::.::.::.::.::l::::::::/
.　　　　　　/::.::.}::}+｡:*ﾟ:+|::.::.::.::.::.::.::.:l.::.::.::.::.::.:|::::::/
. 　　　　　,'::.::.::.|::|｡:*ﾟ:+｡|::.::.::.::.::.::.::,'::.::.::.::.::.::.!:::/
　　　　　 i::.::.::.::|::ト-'^ｰ-!::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.:ﾄ（
　　　　　│:::.::.::|:l.+｡:*ﾟ:+|::.::.::.: ／::.::.::.::.::.::.::∧
.　　　　　 l::.::.::.::|:!ﾟ｡+｡:*ﾟ|::.::.／::.::.::.::.::.::.::.／::.:ヽ

.
331： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:51:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　　　　　「古くは三原組織の平織だけで織られてたけど、
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {　　　　　　　　　　　　最近では繻子織の絣もあるようだな」
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i
.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【絣糸】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　　織り込むことで柄が現れるように予め染色してある糸です。経糸にも緯糸にも用います。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　糸の染め方……あるいは防染と呼ばれる
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　　『部分的に染めない部分を作り出す』手法によっていくつかの種類に分かれます。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

絣織にあっては、次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。

（1）
先染めの平織り又は朱子織りとすること。

（2）
かすり糸は、たて糸又はたて糸及びよこ糸に使用すること。

（3）
たてがすりにあっては、男巻から送り出されるかすり糸のかすり模様を手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。

（4）
たてよこがすりにあっては、たて糸のかすりとよこ糸のかすりとを手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。

（5）
かすり糸の染色法は、「手くくり」、「手摺り込み」又は「板締め」によること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
332： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:51:37 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　_
　　　　　　　／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::　　　　　　　　　「最後に紬ですが……
　　　　　　　ﾘ/:::::|　　'´　　￣`　.＼::::::::::::::::::＼､
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　　　　　　＼::::::::::::::::::}:::､　　　　　　　これは先にちょっと糸のお話が必要になりますね」
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　　　　　　 ∨::::::::::::::::::::ｉ
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|:::.:l
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　　辷 j １::/::::.:::::::|::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　 N:::::::::.:::::|:::::::ﾊ
　　　　　　八:::::∧　　　　丶　　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　＼:::∧　　　　.，　､　　　　レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ 　　　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　〉/　ｯ　i `i-､　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　 i　　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　|　　　∨ '´/i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　　|　　　　　/ :i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　_ ｲ　　　　ノi : :i : : :i : : :i : : :` ‐ - ､::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／　　　　/ : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i: :| ヽ､::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　/ 　　 }　　　{: : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i : i　　ヽ:::::::::::::::::::i
　　　　　　　　{　　　　　　　|: :/ : :| : : :| : : :| : : :| : :` ､ `　　 }:::::::::::::::::::|
　　　　　　　ハ　　　　　　 | :i: : : :i : : :i : : :i : : :ヽ : : :ヽ:ﾉ　　|::::::::::::::::::|
　　　　　　.　　|　　　　　　.| :|: : : :.| : : ::| : : :ヽ : : :ヽ : : :ヽ.　 |::::::::::::::::|
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　　　　　 /|!　　　　　　|　/　 |　　|　　　　　　|　｀ヽ　　　.! ￣ヽ
　　　　　/Y　　　　　　 ! .!　　|　　|　　　　　　 !　　.|　　　 |　　　!
　　　　/　,|　　　　　　 | ﾊ　 ,|.|　 |ヽ/ /　　　 ,! |　i |　　　 |　　　 !
　　　 /　/|　　　　　　 ||__!＿|_ヽ__!_ | /　　　/　|　| |　　　 | 　　 .!
　　　/　〈,.|　　　　　　 | |,.ヽ=r=ヾ|　!ｲ　　 ./|__/i　!.|　　　 | 　 |　|
　　 ,'　　　＼､__　　　/ィi////cﾐヽ　 |　　/-_|ﾒ_|,A |　　　 .!　 ,!　|
　　,'　､　　　ヽ::ヽ　　 !| 弋辻り　　　|　/ ,.ｲ///ヽ!|　　　 .!　/|　|
　 ,'　　｀ヽ､ヽﾉ::::､ | ヾ |｀￣￣｀　　 | /　弋りc'| |　　　 ,!　,! | .!
　 ! ｀ヾ､　 _ 「:::::::::::::!! | i|　　　　　　　´ 　,　ゞ＝! !/.!　　/　/　| .!　　　　　　　　　「jud」
　 |　　|ヾ､-'´::::::::／ヽ! |'､　　　　　　　　　　　　//i |　 /　/ 　! .|
　,!　　|:.:.:/ T-イ　　　　 | ヽ　　　　　--　　　　//　!　 /　/　　| .|
../　　/.:/　 /i　ヽ　　　　|ヽ　　　　　　　　　 ,ｲ/ 　　./　/　　 !/
'　　 !:.:|'ノ/iii|　　ヽ　　　､＼　　　　　　／ /　　 /　/
'　　//iiii/iiiiii,|　　　ヽ　　　ミミヽ､　　イ　　/ 　　 /　/
　　/iiii/iiiiiiiii|!　　　　,}､　　ヾ|三ミi｀ i　|　 /　　ｲ　/
　/iiiii/iiiiiiｲ /　　　　/ ＼　　ヾ三ﾐ|!　|　! /　　/ !|　|
,/　ヾﾐiイ //　　　　/￣￣ヽ　ヾ三|!　|　V　／　 !ヽ!
' 　　　 / //　　　 / !　!　!　!＼ヾﾐ!　 | /／　　 !|

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333： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:51:57 ID:Y56IqXDA: 　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　　　　　　　　　　「生糸は、上質の繭が原料になるんですが、
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧　　　　　　　　　生糸に出来ないような出殻繭、玉繭、汚染繭などは、
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧　　　　　　　　　精錬した後に水中でひと粒ずつ手で引き伸ばします」
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) (.⌒)
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　　|
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「精錬についてはまたあとで解説が入るぞ」
　　　　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　　　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　　　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |

.
334： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:52:17 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「その引き伸ばした繭を木枠の上に広げて

　　　　　　　　　　　何枚かか重ねて乾燥させたものが『真綿』になります」

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'　　　　　　　　　　「首を絞めるやつだお」
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　ノ　ヽ､＼
　　　　　　　. |　　（●）（●）|
　　　　　　　. |　　　（＿人_）│　　　　　　　　　　「あずさの中の人は『真綿を首に詰める』とか言ってたな。
　　　　　　　　| 　　｀ ⌒´　 |
　　　　　　　　 | 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　拷問かよ」
　　　　　　　.　ヽ　　　　　　/
　　　　　　　　　ヽ　　　　/
　　　　　　　　　　.> 　　　<
　　　　　　　　　　|　　　　 |
　　　　　　　　　　|　　　　 |

.
335： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:52:43 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　 /´　＼　-─-
　　　　　　　　　　　{ .　イ: : ＼ : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　ｲ: : : : __: i|: :: : : : :ヾ: :ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : .／　 Y⌒ヽ: : : : :ヽ: ヽ
　　　　　　　　　　/: : : ./　　⌒⌒ 　Y: : : : : : : i
　　　　　　　 ,: : : : /　　　　　　　゛,: : : : i: :}
　　　　　　　　　': : i : i -‐_‐　　　　‐- ､}: : : .|: :|　　　　　　　　「紬糸はこの真綿を手で紡いだ糸のことになります。
　　　　　　　　i: : i : | f ﾄﾑ　　　ｨftry i : : :i : |
　　　　　　　　　{: : i : l　゛　　　　ゞｯ　} : : i : .|　　　　　　　　　紬糸を用いた織物は、いくつもの不揃いな糸の集まりであるために
　　　　　　　　　N : i :ﾘ　　　､　　　ノ}.: /: : .|
　　　　　　　　　 |: ﾘ: ﾍ　　v　ｧ　　　〃ｲ: : : :|　　　　　　　　　　平らな表面にはなりません」
　　　　　　　　　　i: : : : , -_‐--､　　イ:.: : : : : : ::|
　　　　　　　　　　|: : : /-‐ ￣` .Y　 iｬ､.: : : : : : |
　　　　　　　　　　|: : ::i`⌒Y　　|.　／__＼_ : : : |
　　　　　　　　　ｨ ≦´.i　　.i　　 i／_____／￣≧-､
　　　　　　　,′　　　　} 　 {　　 |.____／　　　＿　ヽ
.　　　　　　 '　　ヾ　 , '´　∧　　ﾏ／　　 `Y´　　　 }
.　　　　　　 |.　　　V 　　/__ﾑ　　ヽ　　　/　　　　/
　　　　　　} 　　 /.　　 ,'_____∧　　　ﾞ､∥　　　〃
　　　　　 |　,z/　　　'_____/　 ',　　_ _ 〆⌒ヽ / ヽ
.　　　　　 i. /､＞､　./.____/　　'y'´　　ハ　 .Y　　}
　　　　　　|/　　ヾ､`.'〈___ム_＿/　　　　　 }　　{　　|
　　　　　｛'　　　　 `ｰ ∨777∥　　　　　 i 　八　i
　　　　　|　　　　　　　::.∨///　　　: : : : : :　　　ヽ |
　　　　　 |　　　　　 :.:..V//　　　: : : : : : :　　　} |
.　　　　　 }:.:.:.:.　　　　　:.:.:.:.Y　　　　　　　　ﾉ |
　　　　　 {:.:.:.:.　　　　　:.:.:.:.{　　　　　　　　　..:.:.:.:.:　.}
　　　　　　|:.:.:.:.:.　　　　:.:.:.:.|　　　　　　　　.:.:.:.:.:.:.:　 |
. 　　　　　|:.:.:.:.:.:.:.　　　.:.:.:.|　　　　　　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.　 |
　　　　　　 |:.:.:.:.:.:.:.　　　 :.:.:.|　　　　　　　.:.:.:.:.:.:.:.:.:　.|
　　　　　　 i:.:.:.:.:.:.:.　　　　.　|　　　　　　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:　|

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　　　　「そういうことを知っちまうと、ムギちゃんの名前って
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'　　　　　　　　　　　　　　けっこうつけた親の趣味よくねーとおもうお」
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　「わかっててつけた名前だったら闇深すぎ」

.
336： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:53:26 ID:Y56IqXDA: .　　　　　　／⌒＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　「でも、紬のその所々に節がある外観は野趣に富んでいて、
　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
.　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ　　　　　　　　　　　　それに、丈夫で型くずれがしにくいので
.　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　　日本各地で親しまれていますし」
　　　　　 ,': : : :.;' 　　 u. 　ヽ : : : : ',
.　　　　　　{: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l　　　　　　　　　　　　　　「いいところもいっぱいあるんですから」
. 　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
.　　　　　_{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
.　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
.　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　 /:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　「大島紬、結城紬なんてのも高級品だものな」
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そういう話はともかく、紬というのは、
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　　　　　　　　　　　　　　　この紬糸を経糸緯糸に使用し、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼　　　　　　　　　　　　無地、絣、縞などに織り上げた
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ　　　　　　　　　　　先練の織物のこと、ということになる」
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

紬にあっては、次の技術又は技法により製織された無地織物、紋織物又はしま織物若しくはこれに類する織物とすること。

（1）
先染めの平織りとすること。

（2）
よこ糸の打ち込みには、「手投杼」又は「引杼」を用いること。

（3）
たて糸に使用する糸は生糸又は真綿のつむぎ糸とし、よこ糸に使用する糸は玉糸又は真綿のつむぎ糸とすること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
337： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:54:27 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　「まぁ、こうして解説してみても、織物の製法については

　　　　　　　　　　　　見た目じゃわからないことが多いと思うけどな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　　　ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　「それを言っちゃあおしめえだお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
338： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:54:47 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　／: : ＼:|: :／: : : : : : : :ヽ.
　　　　　／ : : : ;.へｊ:へ : : : : : ヽ: : : ヽ
　　　　　　/ : : : : /―'^^ーヽ : : : : : ヽ: : : ',
　　　　 ,' : : : : /　　　　　ヽ : : : : : ',: : : ',
.　　　　 ,': : : : :/==-､　　　＿_ ',: : : : : :i: : : :i　　　　　　　「でも、熟練した職人さんはずっと昔の布であっても、
.　　　 !: : : :./ ＿、　　 ´ ￣｀i : : : : : !: : : ｌ
　　　　ｌ : : : ﾚ价芯　　　徐ﾐ|: : : : : :| : : :|　　　　　　　　　見ただけでどういう技法が使われてるか
　　　 | : : : l`弋ｊり　　　　ﾋ心!: : : : : ｊ〉: :.:|
　　　　 |: : : :ゝ　　　 ,　　　｀¨´|: : : : :ハ: : :|　　　　　　　　　　わかるそうですし」
　　　 j: : : :l、　　＿＿＿　　 |: : : :/: : : : :|
　　　 /:| j. : 「ヽ、　マ￣￣ﾉ　 |: : :/〉、: : : !
.　　 /:/ﾚヽ: |::::/::> .　　　　　／|: ://::::ﾄ､: : ヽ
　　/: {::::::::ヽl::/:/､　＼ __ . : : : :|://:::::::!::::＼: :＼
　　 : : : : :::::::::{::{　ヽﾟ｡ }: : : :。ﾟ j'/:::::::/:::::::::::＼: :＼
　　　: : : : :::::::::| 　　ﾟ｡｡ﾟ　./:::::::/:::::::::::::::::::ヽ
　　　: : : : : :::::｢ヽ　　〈ｊ｝　　/:::::::/:::::::::::::::::::::⌒〉

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/　　　　　　　　　「そのへんは経験値が必要なんでしょうね」
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
339： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:55:12 ID:Y56IqXDA: 　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　　　　　　　　　　　「なんにせよ、今挙げた十二品目の中でも、
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　　　　　審議会からの告示の要項をみたした品だけが
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　　　　　　　伝統工芸品となのれるわけだ」
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　　　　「同じ『西陣織の綴』であっても、
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／⌒　　 ⌒　　＼　　　　　　　　　　　伝統工芸品を名乗れるとは限らないということかお」
　　　　　　　　　　　　／（● ）　（● ）　　　＼
　　　　　　　　　　　　 |　⌒（__人__）⌒　　　 |
　　　　　　　　　　　　　＼　｀⌒ ´　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　/　＿　　　　　　　　/　　|
　　　　　　　　　　　　　'、＿＿ヽ　（　￣￣　＿/
　　　　　　　　　　　　　/　　　＼　　/￣￣ヽ　 .|
　　　　　　　　　　　　　|　　　、　　　|　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　、　　　＼＿_|　　　　|　/
　　　　　　　　　　　　　　＼＿　 |　　| ＿ /～´
　　　　　　　　　　　　　　（＿＿/　（＿＿）

.
340： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:55:27 ID:Y56IqXDA: 　　　　「ところで、要項の文章の中にも

　　　　　　　またわからない言葉がちらほらとあったんでありますが」

l　　　　|　　　　　 |　　|　　　　　|　　　　| 　 i|　　　 /　　　 |　　　　　　l　　 |
，　　　 ,　　　　 |　　|　　　　　|　　　　|　 /| ＿__∧　　　 ,　　　　　 ,　　｜
‘，　　　　　　　 |　´i| ￣￣￣ﾊ　　 i|　,　!　　/￣,　冖 ,　　　　　　/　　 i|
　 ,　　　, 　　　 i|　　|　　　　/　 ,　　 | /　　 ,′　}　　 /　　　　 ,/l　　 i|
　{ ,　　　，　　　｜㌢笊芋示ミ　 , 　 i|,'　　} /示芋笊㍉　　　　　 //!　　 ,
　l ，　　 ,　　　　ゝぃ///( 　　＼ i|　　 И ぃ///(　/ 　　　 /l/,|
　|　 ,　　　,　　　　，　乂^)少　　　　｀　　　　乂^)少 ,　　　　 / i|/,{　 ,/l
　,　　, 　　，　　　∧　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　 / ∨//77/|
　∨7∧　　，　　　∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 /∧ ∨///
l　 ∨/} ，　，　　　人　　　　　　 , 　　　　　 ,　　　 ////77∨/　|
|　　∨,/ﾊ　　　,　　　　　　　　　　　　r　.,　　　　　　/　　　 ‰//////∧　 |
|　　ア//∧　　l ､　　ｌ　　　　　　　　　　　　 /　　／　l∨/////,∧
|　　〈///,'∧　il　＼　｜　 i|＞　　　　　　＜|ｉ/　／　　 ,　Ⅵ//////〉 |
|　　　∨/// ∨{　　ヽ　!　　 i}＜=＞　_　＜=＞{　／　　　 ,　　∨////,/
|i　　　 ∨/　　V　　　＼　 ,/　　　 /ﾆﾆ∨　　∧´　　　 /　　 ∨/,／　　|

　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／）＼
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　 l　/ ／／ _､,,.ノ　|　　　　　　　　　　「悪い、さすがに解説するときりがないので割愛させてもらう。
　　　　　　　　　　r　　　　　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |　　　　　　　　　　　一応だいたいは調べてるので、質問があれば答えるけど」
　　　　　　　　　/　　　　ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

.
341： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:55:45 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　「質問があれば（すぐに答えるとは言ってない）」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　─＼　　　　　「うるせーばか、ともかく次に行くか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　（●）（●）|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_. .|　　（__人__）　|　　　　　　あずさおつかれさん、こっからは俺がやるよ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼　　　　　　.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（__人__）　　 |　　　ノ.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 ∩ノ ⊃　　／∩ノ ⊃|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (　＼　／＿ノ　|　 |／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　“　　／＿＿|　 |　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／／＿＿＿／

.
342： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:56:00 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ　　　　　　　　　「はーい、それじゃ、お兄ちゃんお願いしますね～」
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´　　　　　　「おぅ、ありがとうな」
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　「もどして」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
343： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:56:27 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　「お前なあ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）　　　　　　　　　　　「まぁ、ともかくだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　u.　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　西陣織に限らず、織物というのはとても手間暇のかかるものでな。
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／　　　　　　　　　　　　　　　織物と言ったらどうしても機織りでパッタンパッタンやってるのを
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ　　　　　　　　　　　　　思い浮かべてしまうが、そこに至るまでに
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |　　　　　　　　　　多くの段階を踏まなければならない」
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼　　　　　　「絢爛豪華な柄で知られる先染の西陣織はその代表格で

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　織に至るまでに必要な工程を簡単に紹介するぞ」

.
344： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:57:08 ID:Y56IqXDA: IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
【企画製紋工程】

図案・・・規模の大きい機屋は独自に意匠企画を行う部署を持ち、図案を作っている。
　　　　　　しかし殆どの機屋はフリーの図案氏と契約し、図案一枚一枚を購入している。

紋意匠図・・・図案に基づいて経糸緯糸の組織を専用の掛紙にひとコマずつ分解彩色していく。指図とも呼ばれる。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　「まずは企画段階だ」
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|　　　　　　　　　　「ここまでがすんで初めて糸の準備を始めることができる」
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　,. .- ‐ -. . .,
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ　　　　　　　「なるほど、図案がなければどういう糸をどれだけ使うかわからないものね」
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./

.
345： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:57:58 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「余談だが、昔はこの紋意匠図をみて専用の短冊状の用紙に
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_　　　　　　　　　　経糸の上下指示を行うためのパンチ穴をあける
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）　　　　　　　　　　『紋型』と呼ばれる工程があった」
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　／三三三三三≧ｭ､　　:/　/　　　 l
　　　　　　　　　 /,ｨ三＞''´ 　 ,ィ ⌒＜三:/　/　　　　｜
　　　　　　　　／　}三{ 　　 ‰　　ィ示ﾐ /　/ﾆ≧、　 :|　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 /∧} 　〃　／////}/ イ＼(K　　 |　　　　　　　　　 /|
　　　　 l　　　 // ∧ 　ff: 　////// ∠_/　　　　　　|:　　　　　　＿＿/ :|
　　　　 |:　　　{j　　　 {{　八/////(＿　　　　　　 :|　　　　　／　　 /　 }
　　　　 |　　　 |　　　　乂　　^¨¨´　Ⅳ　　　　　 |　　　　　　ｘ==ミ/　 /
　　　　 |　　　 |　　　≧ｭ､｀＜zzzz少　　　　　　　　|　　　　 γ }笊ﾍ　/
　　　　 |　　　 |　　　　｀''＜≧ｭ､　　　　　　　　　　|　　　　　んノ刋 }}　　　　　　　　　　「パンチ穴？」
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　^¨¨｀　　　　　　　 :|　　／た/(_　/
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　／　φ/Ⅳ /
　　　　 {　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　　　ゞ-ｨ /
.　　　　八　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^¨¨´ /
　　　 |　∨　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /
　　　 |　 ∨　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‰　／
　　　 |　　∨　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／

.
346： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:58:34 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「あぁ、経糸の上下を行うための『ジャカード織機』という機械に

　　　　　　　セットすることで、指図のとおりに経糸を上げ下げすることが出来るわけだ」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　「戦前戦中のコンピュータかお」
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
347： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:58:54 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「まさにそれそのものだよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さらに、この紋型を専用のミシンで
　　　　　　　　　　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　すだれ状につなげる『紋編み』という工程もあった。
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　帯一本につき、簡単なもので八千枚、
　　　　　　　　　　| 　＿＿ノ　　　）
　　　　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー､　　　　　　　　　　大掛かりなものになると二万枚の紋紙が使われたそうだ」
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　　ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

.
348： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:59:16 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　／　.u　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　「うぉっ、紙二万枚となると相当だお」
　　　　　　／(（○）) (（○）)＼
/⌒)⌒)⌒).::::　（__人__）　l_j :::＼　　　 /⌒)⌒)⌒)
|　/　/　/　　　　 |r┬-|　　　　　|　(⌒)/　/ / /／
|　:::::::::::(⌒)　U　.|　|　 |　　　／　ゝ　　:::::::::::/
|　　　　　ノ　　　|　|　 |　　　＼　　/　　）　　/
ヽ　　　　/　　　 └ー.┘　　　　ヽ /　　　　／

　　　|　　 |　　　 | 　　　 |　　　　　　 /　　　　　l　　　 l
　　　|　　 |　　　 | 　　　 |　　　　 /　　　　 i|　　　　 ,
　　　|　　 |　　　 | 　　　 |i 　　　 /|　　 |　　 i|　　　　, ‘，
　　　|　　 |　　　 | 　　　 |　　　 / i|　　 |　　 i|　　　 ,　　,
　　　|　　 |　　　 |　＿＿_八　　　 ,　_|＿_,ハ　　 }　　　，　 }
　　　,　　 {　　　　 |´　　　 ∧　　/　 i|　 /￣} - ,　　　 ,
　　　，　　,　　　　i| ,x笊云ミ　‘，/　　i|,ｨぅ云笊､′　　 ,　　　ｌ
　　　，　八　　　 ,ゝ　)/,刋　　V　　 /　 )/,刋/　　　 /,}　 l　|　　　　　　「しかも絶対薄い上質紙とかじゃないであります」
　　　ﾊ　　 ‘，　 ∧ 乂^少　　　　　　乂^少/　　　/{,'|　ｌ　!
　　　 {,∧　　 ,　　 ∧　　　　　　　　　 /　　　/ ﾊ,ﾍ,∧/
　　　 {//‘，　 ‘，　分　　　　 '　　　　　 /　　　/ /　∨//
　　　 V　　 ,　　ヽ　　　＼　　　,　　　　 ,　　／ /ゝ-〈ヽﾊ
.　　　　　　〈ﾍ　　　＼　 {　,　　　　　　ィi〔/　／　 ////,'∧　，
　　　　　　〈,ﾍ　　{/=ヽ｜f ﾏ≧=≦＞　/／/ 　 /∨///,∧　，
　　　　 γ二/＼ |ニﾆ,＼　　/ﾆ〈　　／　/　　/　 ∨///,/　　，
. 　　　 /ﾆﾆ/ 　 /ニニニ∧/笊∧　　　 ,'　　/≧s。＼／　　＼
　　　　　{二,/ 　 /二ニニニﾆ/77,∧_＞=/ 　 /二二二ﾆ=‐ 　　　＼
　　　　　|=,/　　/ニニニニニ乂ﾉニニﾆ,/　　/二二ニニニニ＼　　　＼

.
349： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:59:34 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!　　　　　「まぁ機械にかけて
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/　　　　　　パンチ穴を読ませるくらいだから
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/　　　　　　　　　それなりの強度になるわよねぇ」
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼　　　　　　　　　「今の時代は大体がこの紋型と紋編みの工程は
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　コンピュータでの作業に移行したそうだ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.
350： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 22:59:50 ID:Y56IqXDA: ..　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　「残当」
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|
.　　＼　　　　　　　　　／
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「帯一本、反物一枚につき馬鹿にならない量の紋紙が出て来るので、

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　この紋紙の保管場所も結構悩みどころだったらしい。
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |　　　　コンピュータならROM一枚で事足りるので、そのあたりは助かってるだろうな」
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

.
351： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:00:06 ID:Y56IqXDA: 　　　「そりゃそうだお」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　＿＿_　　　　　　　　　　 /　ｰ､_ 　　　＼
　　　　　　　　／　　　＼　　　　　　　　　l, （● ）　　　 |
　　　　　　　／　 ⌒　　 ⌒＼　　　　　 i,!､＿）　　　　 .|
　　　　　　／　（ ●）　（＜）ヽ　　　　　 1⌒　　　　　　 l
　　　 , ―-､ l 　　 ⌒（__人__）⌒　|　　　　　 l　　　　　 /　　　　　「ま、場所をとる心配はなくなったが
　　　 |　-⊂)＼　　　　｀ ⌒´ 　／　　　　　　　ヽ　　　　　 /
　　　 |　　|_ ／　　　　　､　＼　　　　　　　　 .ﾉ　　　 .く　　　　　　　　今度心配されるのは保管されてるデータのほうなんだけどな」
　　　ヽ　　｀　,.|　　　　　　　 |　　|　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　｀－ ´ |　　　　　　　 .| 　 |　　　　　　 |　　　　 |
.　　　　　　　　 |　　　　　　（t 　）　　　　　　 |　　　　 |

.
352： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:00:28 ID:Y56IqXDA: .　　　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　ﾟ｡. .、
　　　　　　. .＼　　　　 .　 -‐━‐-ミﾟ. . ＼
　　　　　　 . . . ＼ .......................................｝. . . .
　　　　　　　. . ／..........................................＼__ﾉ....＼
　　　　　　　.......................ﾄ､.........＼...................................
.　　　　 /................/l....|　　...........ﾟ｡ ................................
　　　　 /................/　....|　　＼.......ﾟ...........＼ ................
　　　　　′..../.......′ |...|　　　__丶 ................ ﾟ｡..............|
.　　　 ......../........___　|...|　 ´ 　　＼{、..... |..................|
　　　　 ....../.....´｛　　､{　　　 ≫=ミ＼...|＼〉..........|
　　　　 |.. ′.... ｛ｘ=ミ　＼　　″ト{:::心. }ハ |^ ........|
　　　　 |..｛l......... 《ト{:ﾊ　　　　　　Ｖこﾂﾉ′....|ぅ｝......|
　　　　 |..八 ... ハ　vツ　　　　　　 , , , ,　　｝..|ノ........　　　　　　　「というと？」
　　　　 |′　..｛........　' '　 ′　　　　　　　 . ｝..|......... ′
　　　　　　　　И..人　　　　 _　　　　ｲ. ｝..|.........
　　　　　　　　　　个...　　 ´　　　／｛. ｝.ﾉ.......｛
　　　　　　　　　　　 |.......＞　 _ .　　　__」................｛
　　　　　　　　　　　 |.....|.........r‐L.　 ´　　＼ ....... ｛
　　　　　　　　　　　 |...∧....ノハ　　　／::::::::::.........｛
　　　　　　　　　　　 |/ ／x介ｘ.ﾟ｡_／:::／⌒⌒ヽ..｛
　　　　　　　　　　　 | ｛　《_ﾊ_}}　/:::::/　　　　　 .｛

　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',　　　　　　　　　　　「現代におけるコンピュータの
　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ　　　　　　　　　　　記憶媒体の寿命ってどれだけよ、ってことだな」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

今ではフロッピーディスクにデジタル記録するようになっています。

このお陰で穴を開けた紋紙の束がいらなくなりました。

今のところ保管場所もいらず便利ですが、百年も保つはずはありませんから、

いつまで保存できるか問題です　　～西陣織屋のおぼえ書き～

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
353： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:01:21 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　　　「デジタル記憶の媒体と紙と、
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　　どちらがより長期間保存できるか……
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、　　　　　　　　　　　　　　　考えるまでもなく紙だからな」
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : 　 .、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : :ト、へ : : : : : : .　イ. . :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　 i: |￣ヾ＼: ::i : : :|: : |: : :.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ:|: : |: |　　ﾘ　＼:| : : ﾄ: ::l: : :l　　　　　　　　「うーん、それは確かに」
　　　　　　　　　　　　　　　　　|:|: : !:イ´_　　'￣___ヾ !ヾ:^l : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　|:ﾊ: l: :代ｿ　　　'てｿ7:| ｆﾘﾉ: :|
　　　　　　　　　　　　　　 !:!:∧// ,　　/／/ ﾘ-ｲ:|: :ｌ
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ' 　＼　　 _　　／ヽ|:ﾄ、| ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `r「「l、イ　　 l:i　　　／ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「 !　`　i/　　　ｌl:l 　／　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　　/　＿/|:!／ /　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |∧　　 ∨　　|／i { /　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ |∧ 　　',　　 | ||　/　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　 l　/　∧　 ∨　/| ll∠　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　 L/　{l　ﾍ　 ∨ ,| |/　＼　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　ト、ﾍ　　＼/　　　∧/i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　ヽ ` ﾍ　　　ヽ　 /　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　丶　ﾄ-ｲ∧　　　 } /　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　 |　!ｲ　i＼　　/　　　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　!　||　∥ i`‐'　　＼　〉

.
354： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:01:46 ID:Y56IqXDA: 　　　　「たかだか五十年程度保存しておけばいいんですよって

　　　　　　　話じゃないからな。意匠図なんかは織屋の財産だ」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
　　　　　　　　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
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　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣｀-ｰ‐'"

　　　　　　　　　　　　　　　　「ネットの海に流すにはセキュリティが気になるし、

　　　　　　　　　　　　　　　　　スタンドアローンであれば機器の寿命が気にかかる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まぁ今後の課題だろうな」

.
355： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:02:30 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　| 　（●）（●） |　　　　　　　　　　「ともかく、次が材料の準備工程だ」
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　|　　｀ ⌒´ 　 |
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
【材料準備工程】

精錬・・・生糸を蒸気で蒸して生糸のゼラチン質、雑物を落とし、糸に柔軟性を与える。

撚糸・・・何本かの細糸を合わせて一本の糸を作る。また、撚りをかける場合もある。
　　　　　西陣織に使われる一本の糸は多いものになると四十八本もの細糸を撚り合わせて作られるものもある。
　　　　　殆どは機械化されているが、現代でも人力で行っているところもある。

糸染め・・・撚糸によって出来上がった糸を色見本に合わせ染色する。
　　　　　　こちらもほとんどが染色機で行っているが、釜に染料を煮立てて色染めしている機屋もある。

糸繰り・・・糸染めで染め上がった糸を色別に区分し、糸枠に巻き取る作業。
　　　　　　五光という竹製の糸車を使い、手動あるいは動力を用いて行う。

整経・・・経糸を糸枠から取り出し、千切（ちきり）巻きつけていく工程。
　　　　　経糸を機にかける前の準備段階であり、経糸は織物によって三千本から七、八千本ほども使われる。
　　　　　経糸が巻かれた千切を『男巻』という

緯巻・・・糸巻きから、緯糸を杼の中央の管に巻きつけていく工程。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【千切（ちきり）】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　　　　　　経糸を巻く『整経』のための道具で、木製の円筒か、軸棒を用います
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
356： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:03:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　「さて、ここではじめて糸が姿をあらわしたわけだが、

　　　　　　　　　　　　　　　伝産法により原料も指定を受けている以上、

　　　／￣￣＼　　　　　　　この糸も何の糸であっても良いということじゃない」
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　「日本の織物で使われる糸は、主に以下のようになる。
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　　　　　　　　西陣織以外でも、織物染め物の伝統工芸品は
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　そのほとんどがこれらの糸を使用している」
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

絹糸：蚕の繭をほどいて数本を合わせて繰糸したもの。いわゆる生糸。

真綿紡ぎ糸：繭糸にふくまれるセリシンを溶かす精錬をして四角や袋状に引き伸ばした真綿を作る。それをほぐしながら紡いだ糸

玉糸：二匹以上の蚕が共同で作った玉繭から繰糸した糸。日本以上の独立した生糸が絡み合っているので糸にするのが難しい。

綿糸：綿花を原料とする糸。日本で綿が一般的に栽培され始めたのは十六世紀ごろから。

苧麻糸：麻の一種で、苧麻という植物から得られる繊維。苧麻は別名青苧とも呼ばれている。古代より愛用されていた。

芭蕉糸：主に沖縄で生産されている糸芭蕉の茎の部分の繊維から取った糸。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
357： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:03:25 ID:Y56IqXDA: 　　　「伝統工芸品としての西陣織で用いられるのはこの中の

　　　　　生糸、玉糸、真綿紡ぎ糸、もしくは同等の材質をもつ絹糸、金糸、銀糸だ」

　　／￣￣＼
　／　　　 _ノ＼
　|　　　　（ ●））
　|　　　　　（__ﾉ_）　　　　　　　　　＿＿＿_
.　|　　　　　　｀⌒ﾉ　　　　　　　　　　／　　　　　＼　　　　　　　「確かに西陣織って堂々と言われてる織物に
　 |　　　　　　　　}　　　　　　　　　　　⌒　　⌒　　　 .＼
　ヽ　　　　　 }　　　　　　　　　（●）　（●）　　　　　＼　　　　　麻糸とか使ってるのはみたことねーお」
　　ヽ　　　　ノ　　　　　　　　 |（__人＿）　　　　　　　|
　　　　>　　　 <　　　　 ∩／)　　　　　＼ヽ＿ノ　　　　／
　　　 /.　　　ヽ　　 /　　く　　　　　　/　ー‐　　　　　　　ヽ
　　　 |　　　ヽ　　＼／　 _ ノ　　　　　/　　　　　　　　　　　｀
　　　 |　　　ヽ　　　／

.
358： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:03:43 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／　＼　　＼
　　　　　　　　　　　 .（●）（● ）　u.　|　　　　　　　　　「まぁ一時期は西陣でも化繊を織ってたことがあるらしいんだが」
　　　　　　　　　　　　（__人__）　u　　|
　　　　　　　　　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　 { 　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　{ 　　　　u.　/
.　　　　　　　　＿＿＼　　　　 /ﾘ厂`'‐- .._
　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
　　　　　　　　 | : : : : ::〈　｢｀乂/ 　/ 丿: : : : : : : |
　　　　　　　　　| : : : : : /: |　{::::}　/ `7: : : : : : : :│
.　　　　　　　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :/. : : : : : : : : |

　　　　　　　　　　　 ‐=――ﾆ=‐
　　　　　　　　　　ィi〔//{　　　＞｡./ ＼__
　　　　　　　　／//}＞'i　　　　 l　ヽ／＜ヽ
　　　　　 r‐=≦/　 {　　|　　　 |　　　　＼
　　　　　 |　 {　　　ｉ　　|　　　 |　　　 l　　ヽ
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　 |　　　 |　　　〈
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　八　　 !　　 / /ヽ　　　　　　「が？」
　　　　　 |　 {　　丁￣{　　　 /￣￣　}　　/ /　/
　　　　　 { { ‘，　　,x笊うﾐ　 /,ｨ斧丐/　 / /　/
　　　　　 {{ ',　，　ゝVツ　ヽ/ 　 Vツ/　:/ /　/
　　　　　 }}　ﾟ。＼_＼　　　　　　〈/ / /　/|
　　　　　 l!　　＼ {　＼　　 '　　　／ /　乂ｨ｜
　　　　　 |　　 //|　 |　へ　 ^　,ィ /／　}//ﾍ :|
　　　　　 |:　　{/,'|　 |//{ﾆ≧≦ﾆ}77{ 　:|///} |
　　　　　 |　ィi〔｜　{///ヽﾆ／ ///{　 :|///} |
　　　　　 |/ニﾆﾆ|　 i ⌒＼ｉ:ｉ／ゝ< i　 :|=:＞｡!
　　　　　 {ニニﾆ:|　/　　　 T　　　　:l　 :|ニニ:}
　　　　　 iニﾆﾆ:／　　　　 |　　　　　＼|ニニ:ｉ
　　　　　{::ニ::/ 　　　　 :|　　　　　ﾏﾆﾆ:}
　　　　　 Ⅵ /――――――=‐　＿＿ ∨=:〈
　　　　 :=:{///////////}//////////77/ /
.　　　　　 l}八//////////,'i//////////,'八,′
.　　　　　 |Ⅵﾍ/////////人////////イ__/ |
.　　　　　 | ﾏ=:∧≧=‐‐=≦≧=‐‐=≦ニ=:,'　|
.　　　　　 |: Ⅵ=:∧￣T¨¨　lゝ‐=≦//ﾆ二:.　 |
.　　　　　 |　∨二:∨/}　　 :.　　 {/:/二二/　｜
.　　　　　 |:　 ∨二∧i　　 l　　ｉ /ニニ:/ 　 :|
.　　　　　 |　　 ∨ニ∧　　　　 /ニニ:/__　　|

.
359： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:04:08 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　（⊃￣￣＼
　　　　　（⊃　　 _ノ　　＼　　　　　　「あっという間に廃れたらしい」
　　　　（⊃　　（ ●）（●）
　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　|　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　　　　|　　　　　　　 }::＼
　　　　／ヽ　　　　　　 }:::::::＼
　　　／:::::::::ヽ､＿＿__ノ::::::::::::::）
　／::::::::::::::::.ﾍ.:.ﾔ､:::>７|:::＿::/
　|:::::::::::::::::::::::::::ゞ／￣￣（＿)
　＼:::::::::::＼　／|　ＪＪＪ　（
　　　＼:::::::／:::::ヾ､／⊂＿）
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西陣というところは、新しいもんは生まれん土地柄でおますな。
何か目先の変わったことやってもうまく行かず、結局伝統に戻りついて安堵するというところがおます。

中略

西陣は伝統的に絹織物をやってます、ところが一時期、化合繊も織り始めたことがあるんどす。
しかし、あきまへんね。線香花火みたいなもんどした。
一時期パッと流行って、後はおしまいどす。長続きしまへん。　　　～西陣織　伝承の技

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..　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼　　　　　　　　「なんとなんと」
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|
.　　＼　　　　　　　　　／
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　　　　　　　　　　「たぶん、化繊の、糸としての品質にも
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧　　　　　　　　　　　思うところがあったんでしょうね～」
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
360： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:04:24 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　＜￣: :｀: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　 /: : : :/: :rｰ弋､: : : : :'; :.ﾊ
　　　　　　　　　　　 /: : : : !: :/　　ヽ＼: : : :' ; :!
　　　　　　　　　　　 ! / : : ! /　　　　 l!　ヽ '; :.! :l　　　　　　　　　「ともかく、これで西陣織を織れるのね」
　　　　　　　　　　　 V: : /ﾊl-－　　　T ￣ヽ! !: :!
　　　　　　　　　 l: : i l´.j ＿　　　 ,＝= .人 :l
　　　, -－-､_　　　　l: ;ｲ:l　'"⌒`　　　 ::::::: レﾉl
　　r'´ﾉ､　　l !　　　 jﾊl lﾍ ::::::::　　 '　　　 /'´ l
　　（'ノ7 _ .r　l　　　　　｀Tヽ、　　ｰ　'　／ : : !
　　 Y￣) ７　/　　　　　　 l : : ＞-,　_ イ/ : : ノ＿
　　　ヽ、　　 L_ 　　　　　 !: : /-,! イ´./ ;イ_ イ　ヽ
　　　　ヽ　／　!　　　　　/l: :/に大ﾆ}/:/　 /　　　 !
　　　　 / ﾝ　　 !　　　ﾉ7// -' ノl!_V:/ l　/　　　 /
　　　　 !'　　　　 l 　／/ j/　／ / __!/フ /　　　 /
　　　　ヽ、　　 ! /　 !　|　l! 　 l　! j!　!./　　　 /
　　　　　　ヽ_ ／ﾉ´　　',_ﾘ .l!c　ヽ!__lノ./ 　　 /
　　　　　　　V_ノ　　　　|　　l!.　　　　 /　　　 /
　　　　　　　ヽ　　　　ハ　 l!　　　　 /　／　 !
　　　　　　ヽ　　 /　 l　 l!c　　　/／　　 l
　　　　　　　ヽ　./　　 !　l!　　　ノ　　　ﾉl

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／　＼　　＼
　　　　　　　　　　　 .（●）（● ）　u.　|
　　　　　　　　　　　　（__人__）　u　　|　　　　　　　　　　「いやいやまだまだ」
　　　　　　　　　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　 { 　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　{ 　　　　u.　/
.　　　　　　　　＿＿＼　　　　 /ﾘ厂`'‐- .._
　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
　　　　　　　　 | : : : : ::〈　｢｀乂/ 　/ 丿: : : : : : : |
　　　　　　　　　| : : : : : /: |　{::::}　/ `7: : : : : : : :│
.　　　　　　　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :/. : : : : : : : : |

.
361： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:04:47 ID:Y56IqXDA: 　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
.　　　　 / : :/: : : /.:/ : : : : : : ／: /　　　　 //　　　　　 }: : : : : : ∧　　　　　　　「えー」
　　　　　　.: : ;: : : :/.:/: : : : : :／_/_/_　　　　// 　　　　 {: : : : : : :.∧
　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ
.　　　　 : : :{　 /:./V　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｰ' / //　.}: : / 　 |
.　　　　　 : : :|　{.: .ヽ|　　　　　　　　　　　　　｀¨ 　 ,　　.|: /.　ﾍ|
.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
　　　　　　｝: : : ｀ー= 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
.　　　　　　｝:.Ｖ: : :∧::::Y:..､　　　　γ⌒　ーy 　　　ﾉ
　　　　　　　｝: :Ｖ.: :.∧:::|. . ＼　　｀　　一 ′　　イ
.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
　　　　　　　　＼　 ∨ : ∧　　　: : :/ }: : : : /∧ : ∧￣|　　|　/　　/￣￣）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|　　　　　　　　　「次にやらなきゃならないのが機のほうの準備だ」
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

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362： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:06:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　「筬（おさ）や綜絖（そうこう）に糸を仕掛けたり、ジャカードに意匠図にあったデータを突っ込んだり」

　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　／〉 _ノ　ヽ､_ ＼
　　　　／／' （ ―）（― ）　|
　　　 ./　/／〉　（__人__）　│
　　　 .ｌ　 ´ イ| 　｀⌒ ´　　|
　　　 .ｌ　　ｉY 　　　　　 |
　　　./　　ﾊ !　　　　　　　/
　　 ./　　/　 ' ヽ　　　　 /
　　ｌ　　　／　　.〉-r:::┬〈、
　__「ー‐1 　.／Λ 〉.:〈 7//＼
　ｉ//7777|／////V::::::V/////＼
　|//////|//////∧::://///////}
　|//////| ///////∨/////////{

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「筬とはなんでありますか」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　/7 //:　/　/　 /　　 !　　　ヽ.　　　 , ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　 /《　《:::: /　/　 /　　　|　　　　　＼...／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　　　 /　:V　ヽ/　.;　.＿:|__|　 /　　:/　　 /.ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
.　　　　　　　 /　, 　V/ﾑ　　 .ﾊ| |乂ﾌ| 　 /:|　 .Λ ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|　　　　　「綜絖って何」
　　　　　　　/ 　 . ／ﾏ彡!　　抃7スV |　./ト|　 |　| ）/:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
.　　　　　　/　　ｒ--z　　|　　ﾊ |`¨　 .人/r≠ミ　.ノ.ﾞAﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　　　　　ﾑﾏiii}　　| 　 | .i|.　　　 '　炊ﾂ　ﾊ | {:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　／　　〃　ﾏ//　:乂　.人__　 , -、　イﾚ^!.ノ..ﾞ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　／　　　./　　　　〈7八 -ﾉ^⌒　 `　　 ,ｲ:|.　.; |..　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　／　乂　　　:/ /ﾉﾆ =ミｚｚ.込..__　＜ | | ノ| |....　　|: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
フ'　　　　　　　 :( /ノ//廴三{　}三.}　|　| .|　　.リ....　　|: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　／　　／　r==ﾆ⌒ミ////ヽ////へ　:! :!: : :＼.　　　|: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
／　　／　　 {////　　/ヽ　////////V人＼: :　＼.___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　／　　　　}/////　/^V}/＼.//////V＜)-＼:.　＼ |: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
フ　　　　　　 V///ノ^! VこV　フ////Λ　＼:.:＼: . ＼.　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　 /　　　/　　.V/Λ_ノ////Λ　ﾉ/////: V　　): : :＼:.　＼...　　|l　o　　　　 ∨　 l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　　　「ジャカードってなんだお
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　　　　　　　さっきも出てきたけど
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　　　　　　　　もう少し詳しく聞かせろお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
363： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:06:32 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　「いっぺんに聞かれたが、まぁしょうがねえよな」

　　　　　　　　　　　／￣￣　ヽ
　　　　　　　 /　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　j　　　　　　　　/
　　　　　　 _,.-＜ﾞ_‐-､ i　　　　 /
　　　　 _／　　　 ,.-｀''｀ヾ. 　　/
　　　／/　　　 ,/　／￣ヽ_ ノ
　　/　/　　　（　|　　/　|　|
　/　 /　　　　ヾ|／　　 ∨　　　　　　　「筬も綜絖も、男巻からの経糸を通して織幅を保つための仕掛けだが、
　|　 l　　　　　 /　/　　　〉!
　　　　　　　 ::/ /　　/'´〉::|　　　　　　　　当然違いはある。筬は織り幅を保つのが主目的となる」
　　　　　　　 //　　　　/:::/
　　　　　　　//　　　　/::/
　　　　　　　/ 　　 __/:/
　　　　　　　| 　　彡l､!

　　　　ｆ` ｒ-‐─‐ ‐....､
　　　 ,ｨヽヾ:::::..＿.::::::::....ヽ
　　 /..::::::∧∨,　-‐ ヽ.:::::::...＼
　 /....::::::::レ}ﾉ　　　　　ヽ:::::::.....
　i.....::::::::::|　　　　　　,. -‐ Y:::..ヽ　　　　　　　　　　　　　「綜絖には経糸を通して、
　|....:::::::::::|　　　　　　　　___､∨::...}
　| ...::::::::::i　, '´　　　　'´　゛ ∨::.|　　　　　　　　　　　　　　やっぱり織幅を保つ働きがありますが、
　::....::::::::::Y´　, =､　　　　　　∨..ﾄ､
　 .∨...:::::∧. ´　　　　　'　　　 }::::|..ヽ　　　　　　　　　　　　　　あともう一つ、一言で言えば『糸を持ち上げる』役目があるんです」
　　 ∨..:::::::::ヽ　　　　.__ 　'　　/N.......∧
　　　`Y......:::::::::ゝ.　　　　　　ム-､::::....∧
　　　　|..::ヾ..:::::::::＞‐----ィ__ﾉ. {:::::::::...∧
　　 .　 |..:::::::::::＞ {` i￣i￣i￣i　i Ｌ＿,､_∧
　　　 |.:::::::::::::::::_,}　i　 i　 i　 i　ヽ　　ﾄ､`ヽ
　　　　 |...::::::::::,イ´_　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ
　　　 .|...::::::/　　 `Y　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ八　＼
　　　　 .|...::::i　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　＼
　　　　 |....八　　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ.　＼
　　　　　|...::::::ヽ.　　　　　＼　;;:　 i　　i　　i　 i:::;} 　　＼
　　　　 .|.....::::::::| ＼　　　　　＼::::ﾉ:::::ﾉ:::::ﾉ:::::ﾉＸ　　　　＼
　　　　 |....:::::::::ヽ　＼　　　　　＼.....i.......i.....i...{ 　＼.　　　　＼
　　　　　 |......::::::::::::ヽ　＼　　　　　＼i　　i　 i |　　丶　　　　ヽ
　　　　 .|......::::::::::::::::ヾ i ＼　　　　　＼　i　i |　　　　ゝ　　　　＼
　　　　 |.......::::::::::::::::::.} i　i ＼　　　　　＼ i |　　.　　　＼　　　　＼
　　　　　　|.......:::::::::::::::::ﾉ i　i　i ＼.　　　　　`Y　　.　　　　　＼　　　　＼

.
364： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:07:00 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　　 ―
　　　　　　／　　　（ ●）　（●）'　　　　　　　　「糸を持ち上げる、かお？」
　　　　　　|　　　　　（__人__）　 |
　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´　／
　　　　　　／　　　　　　　ー‐　 '

　　　　　　　　　／´.: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ、
　　　　　　　　／:.: : : : : : :.:.／´: : : : : : ,.=､_r､: : ﾍ
.　　　　　　　 /: : : :.:/: : .:／: : : : :.:／／　　ﾘ　! : : :',
　　　　　 ,': : :.: :/: :／／: : :.:／／　　　 l!　 !: : : :',
　　　　　　　l: : : :.:/ :/ :/ : : :／／　　　〃　 l: : : : ',
　　　　　　 l: :!: : l :/ :/: :;/7ｰ/―-､　　 /　　　!: : .:i l
　　　　　　 l: :! : :l/ :/ : ://∠＿　　　ノ　　-ｰト!: :.l :!
.　　　　　　 ', ! :/j ７: : / l!T ﾊ l｀`　　　　 r≠-ﾄ!: :ﾊ!l
　　　　　　　 l l （　(l :／　弋_ソ　　　　　 lじｿ /l :/　l
　　　　　　　 l ',: :ヽj/>　　　　　　　　　　ゞ' 　/j/
.　　　　　 l: :V: : ｀ｰ､　　　　　　　　 ,　　 /
　　　　　　 !: : V: : : :.:ト､r-､　　　、_　　　 /　　　　　　　　　「あぁ、織物の柄を作るには
　　　　　　　　!: : :.V: : : :L_.ﾍ　ヽ　　　　　イ
　　　　　　　　l: : : :i;: : : :.V｀ﾍ　 V　_ イ: :.!　　　　　　　　　　　　経糸に緯糸を通すべき箇所と通すべきでない箇所が
　　　　　　　｜: : :.! 》､: : ',　/ﾊ　∀.γ7: :L＿
　　　　　　　｜: ;／.O >、 Vァ'ヽ､ V　/: :├―'^ヽ　　　　　　　　　出てくるから？」
　　　　　　　x≦´　／　ヽｒ'　-、　l.　{ヽ: :.! 　 i　! l
　　　　　 r'｀＝- ＜　　　 /　-､　!　l　ﾄ､ヽl　　V　.!
　　　　　 l　　　　　｀ヽ　 l　r、 ! L_|.　 V　ヽ　 i::　l
　　　　　 l　　　　　　　i　ﾍ　｀ｰ'　　　/　　　　ヽ､!

.
365： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:07:28 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「つまり、必要な場所に緯糸を通すための仕掛けが、

　　　　　　　　綜絖、ということでありますな」

　 |　　　l　　　　ｌ　　ｌ　　　　　　　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　',
　 |　　　|　　　 |　　|　　 {　　　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |
　 |　　　|　　　 |　　|　　 ∨ 　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　 ‘，
　 |　　　|　　　 |　　|: 　　 ∨　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |
　 |　　　|　　　 |　丁￣￣　∨　　　｜￣￣丁 =‐}　　　　　 //}　:　　}
　 {　　 {　　　{　㌢芯云ミ ‘，　　 | /芹芋丐ﾐ､|　　　　ィi〔／　 }　　 :
　八　　 ',　/　　:　ゝ比//(　　＼　　|　 K{//}Ⅳ/:　　　//
.　　∨　 ∨ /　 ',　:{ 乂)こｼ　　　＼｜ :乂)こ少　|:　　//　　　/　}　　　‘，
　　　∨　 ∨ /　ヽｉ　｀¨¨^´ 　　　＼　｀^¨¨¨´　!　　}/廴__／　 /
.　　　 ∨　 ∨ /　八　　　　 ,　　　　　　　 |　　{////　　 /　　　　　∧
　　　　＼　∨:/　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　 | ∨ ｀''＜zzz/^}　　　 / ∧
　　　　　　＼ ∨　　　＼　　　　-　　　　　　　　　 |　∨　　　　///ヽ　　　　/ ∧
　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　　　　　　／｡s≦|　　　　 //////〉　　　 / ∧
　　　　　　　　　^ ＼　　　　ｌ　 .　　　　ィi〔二ニﾆ:|　　　　　/ ＼//,/　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　 | ＼　　 ! 　 ≧≦ﾆﾆrﾏ二二二|　　　　 /　　ゝ '
　　　　　　　　　　 |　　ヽ　:|　　ィi}二ﾆ:|　　　　　 |　　　 ,′
　　　　　　　　　‐= |　　　＼ニニ:/ニニ|　　　　　 |: 　　/＼
　　　　　　 /二ニﾆ|　　 /二二二ニニニゝ≦ニニ:|　　 /　　 ≧=‐　､
　　　　 /二二二| 　 /=:≧=‐ニニ:r -----ニニ:|: 　/二二ニニニﾆヽ

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :.. : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|　　　　　　　　　　「そう、そのとおりだ」
　　　　　|::::;;;（　 ⌒）ﾉヽ（　⌒ ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

.
366：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 23:07:56 ID:tRr9uTrg: 伝統を後世につないでゆくのにどれほどの『努力』が必要なのやら
367： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:08:04 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「そしてその綜絖の挙動を制御するのが『ジャカード』だ。

　　　　　　　 1801年にフランスのジョセフ・マリー・ジャカールが発明した」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|　　　　　　　　　　　「日本に導入されたのは維新後。
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　西洋の技術を吸収するために京都府から派遣された西陣の職人、
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ　　　　　　　　　　　　　吉田忠七・井上伊兵衛・佐倉常七の三人によって持ち込まれた」
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　　　　/"',　　　　　 , r,'
　　　　　　　　　 / ∧;　　　　／,〃
　　　　　　　　　 ,. -y ./　',!￣　‐'‐-ﾑ
　　　　　／: : : {　i'　 ,y: : : : : : : : ＞,
　　　　 ,ｲ: : : : : :i　{／: : :／: : : : :/:ﾍ:､:ヽ
　　　　　/: : : : : : : 'v': : :/:/: : : : : : ｲ:'ハ:':,:ﾍ
　　　　 ,': : : : : : : : /: :.:/:/: : :./: : :,ｲ:/　'i: :i:.ﾊ
　　　 |: : : : : : i: /: :.:/:/: : :./:/'メ-i/ 　 |从: :,
　　　 |: : : : : : |i:|: :./:ｲ: : :./://　,」 ≧' ,ﾘﾊ: :,'
　　　　 |: :i: : : :.:||!:‐ｲﾄ{: : :ｲ:// 'ﾍﾊﾋ　　ﾉ　ﾙ'
　　　 ∨|: : : : |{ r'　},|: / i/'　　　｀'　　'､　'
　　　　ﾊ:.|: : : : ト､ヽ､ |/　'　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　「それまでは、綜絖はどんな風に操っていたの？」
　　　　　,∨i: : : |: :<┬ 人　　　　 ,､7 /
　　　　　 |i:ﾘ: : : !: :.∨　　｀､　　　ｰ' /
　　　　　 |: i: : : ﾊ: :く＞. ､　　r｀=‐ - _/
　　　　　 |:/: : : : ﾄ: : ヽ. .,_二｀^i
　　　　ﾚ: : : :r'｀>､: : :∨＿|ii..|
　　　　　/: : : /. . /∧: : : ヽ. . .rﾍ､,
　　　 /: : : /. . //　 >､: : :ハｰ'､i<
.　　　 /: : : /. . . : :＞ｰ . ヽ: :∧. |||ﾊ
　　　/: ｲ: :i. . . .＜. . . .ﾄ. . ..ヽ: ﾍ.|||!!､
.　　/:/: : : |. /. . . . . . ..|ﾍ. . . .∨}. . ..ﾍ
　　i:,ｲ: : : :|/. . . . . . . . |. ﾄ. . . ﾊ,'. . . . .>r､
　　ﾚ|: : : : '. . . . . . . . ...|. ∧. /. !. . . ／. ｡. >
　　' |: : : : {'. . . . . . . . ..!. . .∨. . /／. . .／ﾊヽ
　　 '|: : : : V. . . . . . . . . . . . |. ../　ヽ.／ヽ. . . .!

.
368： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:08:32 ID:Y56IqXDA: 　　　「空引機、といってな、

　　　　綜絖を引き揚げる人力の機械を使って、こんな風に織手とは別にもう一人が操作していたらしい」

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
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　　　　　　　　　　　　　　　 .｡＜　{　　≧o｡、//＞｡. _
　　　　　　　　　　　　　　／ゝ／　i　　　　　 }⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　／　 ,　　 |　　　　 i　　　　　　＼
　　　　　　　　　.｡＜　　　　{　　　:|　　　　 |　　　|　　　　ヽ
　　　　　　　 {　 l　　　　 i 　　 |　　　　 |　l 　:|　　　　 }
　　　　　　　 i　 |　　　　　|　　 :|　　　　 |　|　 :.　　　　ﾄ
　　　　　　　　 :　 :　　　　　|　　 :|　　　　 }: 八　}　　　　 :.∧
　　　　　　　　　 ∨ 　　 :|￣￣ヽ　　　 7云ミｔ､!　　　 /　　}
　　　　　　　{{ 　∨　　㌣芹斧　＼　 /´斧笊ｱ　　 :/　　/
　　　　　　　i ﾟ。 :∨　　 { 込シ　　　＼　込シ }　　　/　　∧
　　　　　　　　　{ .:　　Ⅵ 　 !＼　　　　　　　　　 /:i　　 /////
　　　　　　　　 ∧/ﾟ　　ヽ　 :{＼〉　　　 '　　　〈/　　/{ ∨/　　}　　　　　　　　「これ上の人ストレスで死ぬやつですやん」
　　　　　　　 /　 Ⅵ　　} ＼　＼　　　‐　　　:／:　 / :i___〉　　∧
　　　　　　 /　　 /∧ /　　＼{: ＼　　　／/　イ　 }/∧　 / ∧
.　　　　　　 /　　〈///}　　 |＿ｉ　 {/＞ー＜/|/ /_:|　 :iﾏ//〉　 / ∧
　　　　　　/　　　　〈//i　　 |/八 /＼////／ヽ|//:| 　:|∧/　　 / ∧
　　　　 /　　　　　 |　　 {二}i:i:i:i:i:iヽ／i:i:i:ｉ:ｉ:{二:}　 ::.　　　　 / ∧
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　　/　　　　　 :{///:‰　　　　　　　 |　　　　　　　　マ////∧　　 / ∧
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.
369： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:09:31 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そもそも経糸の数は二千本から五六千本と一反一反違ってくる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　筬も綜絖だって、当然織るべきものに対応した幅のものを
　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼　　　　　　　　用意しなければならない」
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼　　　　　　　　　　　　　「さらにその織物に適した杼を用意し、
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',　　　　　　　　　　　　筬や綜絖に経糸を通し、織り上げるのに必要なものを
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i　　　　　　　　　　　　　諸々揃えてようやく織の作業に入れる」
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずさポート【杼】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　『ひ』と読みます。経糸の間を通って緯糸を通すための道具です。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　織手さんがギッタンバッタンの前にシャーって投げたりしてるやつです。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　織物の種類や用途によって多種多様な杼があります。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　英語では『Shuttle（シャトル）』と呼び、シャトルバス、スペースシャトルの語源でもあります。
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　行ったり来たりするってことですね。
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
370： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:10:07 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'　　　　　　　「これらの作業はほとんどが分業になっていて、
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／　　　　　　　　　　　　それぞれ違う専門の職人さんがいらっしゃるんですよ」
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::─三三─＼
　　　　　　　　　　　／:::::::: （　）三（　）＼　　　　　　　　「はえー」
　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::（__人__）:::: 　|
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: 　|
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: 　|
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: 　|
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: 　|　　　　　　　　　　　「そりゃ末端価格がえらいことになるわけだお」
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: 　|
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::　　|r┬-| 　,／
　　　　　　　　　　　　ノ::::::::　　　`ー'´　　＼

.
371： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:10:27 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ　　　　　　　　　　　　「西陣織の主だった織物の裏地も見ると、
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、　　　　　　　　　　気が遠くなるくらい細やかで地道な作業の
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､　　　　　　　　　　積み重ねだってことがひしひしと伝わってくるぞ」
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

【錦表】
http://file.gazouup.syoyu.net/3b6ba867.jpeg

【錦裏】
http://file.gazouup.syoyu.net/7f7bddcd.jpeg

　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼.
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ　　　　　　　　　　　　「錦とかの裏は金糸銀糸や色糸が浮いてるんですけど、
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',　　　　　　　　　　　それもまたきちんと始末がついてて綺麗なんですよねぇ」
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

.
372： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:11:11 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そうだな、機械織りだと緯糸を最後まで通してしまうから
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　どうしても無駄な浮き糸が多くなるんだが、
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|　　　　　　　　　　　　　　手織りなら、緯糸を必要な分だけ走らせて
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　そこで折り返すこともできる」
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣

　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::／ ∧::::／::i ト､
　　　　　　　　　　　,.､/:::::::::::::::／⌒丶､,イ⌒i::|::::ハ
　　　　　　　　　ノ /':::::::::::::::/　　　　　　　 /人:::::::::i
　　　　　　　　ｲ　く/:::::::::::::::iト‐- ､　　　　 /　　i:::::::::i
　　　　　　　　ヽ　 `､i:::::::::::::ﾄ==ヽ `　　　-‐､　i:::::::::i|
　　　　　　　　　〉＝ |:::::::::::::|fｪj）　　　　ィ=-､`.|:::::::::.|i　　　　　　　　　　　「そうすることで裏地もきれいになりますし、
. 　　　　　　　　7￣.i| ﾄ:::::i::::|`　　　　　　iｪ）〉 /:::::::::::i
　　　　　　　　/: : : ﾙ､::::.ﾄ､i　　　　､　　`　' /:::::::::i .|　　　　　　　　　　　　　余分な糸がなくなるぶん、織物が軽くなります。
　　　　　　　/: : : : : : ＼::::＼　､　　　　　　 /／/ ﾊﾉ
　　　　　　/: : : : : : : : : ∧ﾍ.i　　　　'　　／彡/ /／.::＼　　　　　　　　　　　　ですから『手織りは軽い』と言われたりもしますよ～」
　　　　／: : : : : : : ,　人/　＼　　　_ イ '":::::／.::::::::::::::::＼
　　　　/: : : : : : : ／i| `i⌒ヽ､　￣i:::::::::::::::ﾙ.::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　./: : : : : : : /_ ∧.ﾉ　　　＼　/i|:::::::::::.'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　i: : : : : : : /　⌒`ヘ _ _ 　　∨ i|.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　|: : : : : ./　　ヽ､　　　￣＞　　辷─‐-､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　i: : : : .ノ　　　　＼　　／へｲ: : : : : ＜い:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　ト‐--　___＿　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : ト､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　ヽ　　イ: : : : : : : : : : : : : : : : : : .　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|i

.
373： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:11:41 ID:Y56IqXDA: 　　　　「それじゃ、十分とは言えないが、

　　　　　そろそろ西陣の織物そのもののほうの話は切り上げて、

　　　　　　　日本の織物と西陣の歴史について簡単に話するか」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　､　　　　　 .ｲヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ__　 ---ｰ ´ ＞´　>、 _　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'V 　_ ＞´　　／. : :/ : : : : : : : .｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　「У...ヽ　　／ : : : : : : : : : :/: : : : .｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　／{::::::::∧　/ : rｰ､ : : : : : : : :_: : : : : . ',
　　　　　　　　　　　　　 __,∠ : :.}⌒〈　У : Λ　V : : : r':/　{ : : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : /:::::::ｉ　/r⌒、ﾊ,　∨ : ,' :}　 } : : : : : :、'.,
　　　　　　　　　　　　　,' : : r._:_:_:_:.{:::::::::ｉ/: (＼　＼:､　＼」.ﾉ　 { :／: : : : .ヽ_
　　　　　　　　　　　　 Λ:／　 __＿ノ::::::,' : :(＼＼　'＼　 ¨　　 Y: : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　/／__∠Z　）ｉ::::::::,': : : :＼＼＼ヽ、　　　　}.:.:__ : : : : : .',
　　　　　　　　　　ﾉ{ /" _____ ｀} ｉ::::::::ｌ : : : : : .＼ヽ､_　　　　　トﾏ、`＜__: : !
　　　　　　　　　　 / ::!　 ¨_￣Ｙ. :ｉ:::::::ｌ: : : : : : : : :＼　　　ヽ　 :} } : : : ヽ＼'.,
　　　　　　　 /: : :!　　　｀､_j : ｉ::::::ｌ: : : : : : : : : : : :＞.、　　　　ﾉ.ﾉ. : : : : : : : }
　　　　　　　　　/ : : : :} 　　 r　｝ : :.',::::ｌ : : : : : : : : : : : : : : .｀ヽ､_／／. : : : : : : : ,'
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　　　　　　 / ///!　　　　 {__廴_:/__　|:　　　 /　　:.　　　　　}　　 :i
　　　　 / /　/{　　　　 i,x芹ミｔ､ /: 　　 /　 l　}　　　　　ｉ
.　　　　 / f　 / ｉ:　　　　　㌣にじ(_　 :}　　 /云ミｔ､i　　　　 .: 　　 {
　　　　/　:{　＞｡.　　　　 { | 乂こｼ　 :　　/ んう㍉　　　　 /　　 /
　　　 / 　ｉ　　　 ∧　　　:i｜｀¨¨´　　} ／　乂ｼ /:　　　　/　　 /
.　　　/　　 {　＼　/∧　　 { :!:　　　／　'　｀¨^/　　　　 /　　 /
.　　 /　　　＼　 7//:〉　ｉﾟ。　　　　　　 ∧　　　 /　　　/
　　/　　　　　＼:/／ﾟ. 　 :|＼＼　　　こ　　 // 　　 /　　　/　　　　　　　　　　「簡潔に、わかりやすくお願いするであります」
.　/　　　　／　} ¨　　＼｜　　　　　　　／/　　　 /　　　/
　′　　　〉/77/　　　 / { ＼　　　　　　／　/　　／|　　　/
/　　　〈////　　　 /　}////ｧｧ＞＜　__ /　／　 :　　 /
　　　　　∨//　　　/　/≧o｡、//___}　／//}:／　　　} 　 /
　　　　　　 /　　　/ ／i:i:i:i:i／i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:＼///i 　　　 i ／
　　r====:/　　　/ } ＼ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ}￣:|　　 |　　　|
　 /二二/　　　//　　　｀＜i:i:i:i:i＞'"´　ﾏ {　　 |二ミｔ､
. /二二/　　　//　　　　　　　￣}　　　　　マ　　｜二二
/二二/　　／　　　　　　｀ Y ´　　　　￣ミｔ､二二ﾟ。

.
374： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:12:19 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　「善処しよう。

　　　　　　　　　　　西陣という地域名の由来は、応仁の乱の時の西軍の本拠があったあたりだからだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

　　　　　　　　　　　　　,. .- ‐ -. . .,
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|　　　　　　　　　　　「十年続いたあの戦争ね」
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【西陣という『地域』】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　　お兄ちゃんがこういう言い方をしたのは、理由があって、実は西陣という地名は
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　行政区の地域区分上存在したことがないからです。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　ですので、ここからここまでが西陣だということは、厳密には不可能なんです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　現在では北は北大路通り、南は丸太町通り、
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　　　東は烏丸通り、西は西大路通り、に囲まれた地域をさすことが多いです
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
375： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:12:48 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　「が、現在では東軍のほうの本拠地が　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　あったあたりまでその地域が広がってたりして」　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ　　　　　　　　　　「これもうわかんねえな」
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【西陣本陣】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　山名宗全さんの屋敷があったところで、現在でも石碑が立っています。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　西陣織会館がある堀川今出川の角から少し上った上立売の西陣小学校の南あたりになります
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　大宮通りと今出川通りの交差点の付近が西陣織の中心地で、
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{　　　　　一日に千両ものお金が動くので『千両ヶ辻』と呼ばれていました。
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
376： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:13:18 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　「さて、日本における織物となると、

　　　　　　　　　　　　　その祖神として出てくるのは麻続（おみ）と服部の両機殿ということになる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) (●）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【両機殿】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　三重県松阪市にある神服織機殿神社（かんはとりはたどのじんじゃ）と
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　神麻続機殿神社（かんおみはたどのじんじゃ）をあわせてこう呼びます。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　かつては同じ神社だったらしいですが、今は二社に分かれています。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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377： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:13:52 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　「この両機殿では、かつて高天原の斎機殿で

　　　　　　　　　　　　　　　　　　裁縫が初めて行われたことに感謝して、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　毎年旧暦の四月・九月の八日より天照大神の衣を織り、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　十四日に内宮に奉納するという『神御衣（かんみそさい）』が現在でも続いている」
　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　|　　　（ ●）（●）
　　　　　　　.　|　　　　（__人__）＿＿__
　　　　　　　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ─　　ー＼
　　　　　　　.　 |　　　　　　　} ●）　（●）＼
　　　　　　　.　ヽ　　　　　　　}⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　／　　　　　　　　　　「旧暦の四月と九月ということは今の五月と十月ってことかお」
　　　　　　　　　　/　　`ーー/⌒^)(⌒^ ー　)
　　　　　　　　　　|　　､＿　　__,,/ヽ　　　／＼

.
378：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 23:14:34 ID:A2FzI2Cs: 京都の人曰く、戦争とは太平洋戦争じゃなくて応仁の乱のことを指すんだっけ
379： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:15:00 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　「太古の頃の織物の俗称は『絹羅布』

　　　　　　　　　　　　　　　ならびに『多閉』、あるいは『波多』であったとされている」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |　　　　　　　　　　　　「この呼び方は織物の総称であり、
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　　　　これらの織物の中の最上級のものを
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、　　　　　　　　　宇都多閉、阿加留多閉、天留多閉と呼んだ。
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､　　　　　　　　　これらが絹織物のことだったんだろうな」
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
　　　　　　　／　　　（ ●）　（ ●）＼
　　　　　　 | 　　　⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／　　　　　　　　　　　　　　　「百人一首の二番で
　　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　| 　ヽ＿＿　　　　　＿　',　　　　　　　　　　　　　　　持統天皇が読んだ歌にある
　　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿
　　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　『しろたへ』は『多閉』ということかお」
　　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　　 ∧　|　　　 |＿_／　　 /
　　　　　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　（＿＿）　､＿＿）

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【百人一首の二番】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　　　はるすぎて　なつきにけらし　しろたへの
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　　　　　　ころもほすてふ　あまのかぐやま
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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380： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:15:31 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「神話的に見れば日本の機織りの歴史は高天原から始まるが、
　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒　　　　　　　　史料的に見れば、日本の織物事情の最古の情報は
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　いわゆる魏志倭人伝に拠るところになるな」
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∩＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈〈〈　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　〈⊃　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒　　⌒＼　　 |　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　／（ ●）　（●）＼　 !　　 !　　　　　　　　「おお、魏志倭人伝」
　　　　　　　　　　　　　　／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼|　　 l
　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　|r┬-| 　　　 | 　／
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀ー'´ 　　／／
　　　　　　　　　　　　　　 /　＿＿　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　 (＿＿＿）　　　　　　/

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【魏志倭人伝】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　三国志正史のうち『魏書』の中で、倭国について記された箇所です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　正式には烏丸鮮卑東夷伝倭人条といいます。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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381： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:15:57 ID:Y56IqXDA: 　　　　「中学生の時
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　吉川三国志とセットで読んで　　　　　　　　　　／　─　　─＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　（●）（●）|
　　　　　　妄想が止まらんかったお」　　　　＿＿＿_. .|　　（__人__）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼　　　　　　.}　　　　　　　　「あるあるww」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　 |　　　ノ.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 ∩ノ ⊃　　／∩ノ ⊃|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　＼　／＿ノ　|　 |／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼　“　　／＿＿|　 |　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／／＿＿＿／

　　　　　 /|!　　　　　　|　/　 |　　|　　　　　　|　｀ヽ　　　.! ￣ヽ
　　　　　/Y　　　　　　 ! .!　　|　　|　　　　　　 !　　.|　　　 |　　　!
　　　　/　,|　　　　　　 | ﾊ　 ,|.|　 |ヽ/ /　　　 ,! |　i |　　　 |　　　 !
　　　 /　/|　　　　　　 ||__!＿|_ヽ__!_ | /　　　/　|　| |　　　 | 　　 .!
　　　/　〈,.|　　　　　　 | |,.ヽ=r=ヾ|　!ｲ　　 ./|__/i　!.|　　　 | 　 |　|
　　 ,'　　　＼､__　　　/ィi////cﾐヽ　 |　　/-_|ﾒ_|,A |　　　 .!　 ,!　|
　　,'　､　　　ヽ::ヽ　　 !| 弋辻り　　　|　/ ,.ｲ///ヽ!|　　　 .!　/|　|　　　　　　　（だめだこいつら
　 ,'　　｀ヽ､ヽﾉ::::､ | ヾ |｀￣￣｀　　 | /　弋りc'| |　　　 ,!　,! | .!
　 ! ｀ヾ､　 _ 「:::::::::::::!! | i|　　　　　　　´ 　,　ゞ＝! !/.!　　/　/　| .!　　　　　　　　　　　　早く何とかしないとであります）
　 |　　|ヾ､-'´::::::::／ヽ! |'､　　　　　　　　　　　　//i |　 /　/ 　! .|
　,!　　|:.:.:/ T-イ　　　　 | ヽ　　　　　--　　　　//　!　 /　/　　| .|
../　　/.:/　 /i　ヽ　　　　|ヽ　　　　　　　　　 ,ｲ/ 　　./　/　　 !/
'　　 !:.:|'ノ/iii|　　ヽ　　　､＼　　　　　　／ /　　 /　/
'　　//iiii/iiiiii,|　　　ヽ　　　ミミヽ､　　イ　　/ 　　 /　/
　　/iiii/iiiiiiiii|!　　　　,}､　　ヾ|三ミi｀ i　|　 /　　ｲ　/
　/iiiii/iiiiiiｲ /　　　　/ ＼　　ヾ三ﾐ|!　|　! /　　/ !|　|
,/　ヾﾐiイ //　　　　/￣￣ヽ　ヾ三|!　|　V　／　 !ヽ!
' 　　　 / //　　　 / !　!　!　!＼ヾﾐ!　 | /／　　 !|

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382： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:16:27 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　「魏志倭人伝の文章そのものはネットで簡単に見つかるので、とりあえず省略。

　　　　　　　　　　　　布や被服、その原料などについて触れている部分を抜き出して訳してみる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　　　　　　 √..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　　　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

「木緜を頭にかけ、その衣は横に広い布を結びあわせただけで、ほとんど縫うことがない」

「作った衣は、単被(ひとえ)のようである。その中央を穿ち頭をつらぬいてこれを衣る」

「稲やカラムシを栽培し、養蚕する。紡いで目の細かいカラムシの布やカトリ絹、絹綿を生産している」

「帯方太守、劉夏が使者を派遣し、汝の大夫、難升米と次使、
都市牛利を送り汝の献上した男の生口四人、女の生口六人、班布二匹二丈をささげて到着した」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【生口】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　いわゆる奴隷の方のことです。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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383： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:17:09 ID:Y56IqXDA: IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

「今、絳地交龍錦五匹、絳地スウ粟ケイ十張、セイ絳五十匹、紺青五十匹を以って、汝の献じた貢物の労に答える。
又、特に汝に紺地句文錦三匹、白絹五十匹、金八兩、五尺刀二口、銅鏡百枚、真珠鉛丹各五十斤を賜い、
皆、装封して難升米、牛利にもたせるものとする」

「倭王はまた大夫伊聲耆、掖邪狗等八人を派遣し、生口や倭の錦、
赤、青の目の細かい絹、綿の着物、白い布、丹、木の握りの付いた短い弓、矢を献上した」

「男女の生口三十人を献上し、白珠五千孔、青大句珠二枚、模様の異なる雑錦二十匹を貢いだ」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　「と、だいたいこんなところだな。

　　　　　　　　　　　これらをそれぞれ見ていくとまた手間を食うのでとりあえず要点だけ押さえれば」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
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384： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:18:10 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　「養蚕が行われ、絹織物が織られていたが、

　　　　　　　　　　倭国で織られる絹は魏、つまり大陸で織られている絹よりも

　　　　　　　　　　粗悪で単純なものだった。ってことだな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
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　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
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:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　「当然のように絹は大変な貴重品であり、支配者階層の独占物だった。

　　　　　　　　　　普通の人々は木緜……とあるが、なにかの樹木の繊維だろうな……や

　　　　　　　　　　　苧麻で作られた服を着てたんだろう」

.
385： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:18:40 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「木綿じゃないのかお」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　／ノ　　､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　／￣　　　　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　/　三三　　　三三 ',
　　　　　　　　　　　 /::::::⌒　（__人__）　⌒::::',
　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　|　　 |　　　　ｊ
　　　　　　　　　　　　　　＼　　＿｀ー ´＿　__ノ
　　　　　　　　　　　　ｒ＜>＝=/7//≧≦///7=＝<＞,
　　　　　　　　　　　　!//ヾ三三シ´　ヾ三三三シ´//!
　　　　　　　　　　 l////≧''´　　　　　｀＝=!´/////!
　　　　　　　　 l/////　　　　　　　　　　∨////ｊ
　　　　　　　　　　 l////　　　　　　　　　　　 !////iｊ
　　　　　　　　　　　　!///{ 　　　　　　　　　　　 !////
　　　　　　　　　　　　∨//i　　　　　　　　　　　}///
　　　　　　　　　　　　　ヾ/∧　　　　　　　　 _ﾉ//
　　　　　　　　　　　　　　｀7　／ｰーー-‐ヽヾ=´
　　　　　　　　　　　　　　 !／￣￣￣￣￣＼!

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 -｀　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ´ 　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜　　　　　　　　　　　　　「日本で木綿が普通に着られるようになったのは江戸時代からだ。
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 8世紀に一度日本に渡ってきたが栽培に成功せず、
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ　　　　　　　　　　　　　ずっと高級品だったからな。考えにくい」
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

.
386： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:19:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　「まぁ、魏の方にしてみれば貢物として粗末な絹を持ってこられて苦笑したかもしれんな。

　　　　　　　　　比べ物にならない質の布を何倍もその返礼として返してやってるってのは

　　　　　　　　　示威行動とはいえ面白みのある話だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒)（⌒ ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　　　「魏志倭人伝の次は、時代は下がって第十五代天皇応神天皇の頃になる」

.
387： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:19:27 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　＿　　 ,__　　　ィi〔∧
　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆﾆ/ ア　　 ⌒　　　 ∧￣￣￣}
　　　　　　　　　ィi〔　}ニﾆ/ ´ 　　 / 　　　/ ∧　　　 ,
　　　　　　　　/　　　/ﾆﾆ/　　　　　{　　､　　　i}　　　 l
　　　　　　　 ,　　　 /　　,　　　　 |　　　，　　　　　 i|
　　　　　 ,　　　 ,　　 /　l　　　　 i|　 |　　,　　ｌ　　　 i|
　　　　　　　 ,　　 {　 i|　　　 i|　 |　　|_　　,　　　　,
　　　　　　l　　　 ,　　ゝ｜　　　 ,斗ｬ＜,　 /
　　　　　　| 　　 {　　　　≧s。__　　i{　 ,ィ爪} /　　　　 }
　　　　　　|　　　＼　　　　　}//}　　,　ゝ乂（/＼　　　 ,
　　　　　　|　　　　　＼　　　///{　 ∧　{i 　　　〉}　　,
　　　　　　|　　　　／＼__〈///|　　∧､{　　　_,　}　 /
　　　　　　|　　　 /　／///_| ￣，　　∧＼　　 /　}　,
　　　　　　|　　ア7////／|　　＼　 ∧＿＿/　 } /　　　　　　　　　「下がって何世紀の話でありますか」
　　　　　　|　／////!／　　　 |ﾆ＼ ∧ {　i|　 //
　　　　　　,　＼//,／　　 /|　　 |}二=＼{ ,　i|　,
　　　　　　　　　 ^^　　／ﾆ|　　 |}ニニ,∨ , ｉ| /
　　　　　 ,　　　　　／ﾆ=,∧　　ｉ|ニﾆﾆ,∧ ‘，
　　　　　　　　　　〃ニニニ∧　ｉ|ニニニ∧　 ,
　　　　 /　　　　 f二ニニニﾆﾊ　ｉ|二ィi〔⌒',^{　､
　　　　　　　 |二二ニニﾆ∧ i|/　＼　　ゝ≧s。
　　　 ,　　　　　　|二ニニニﾆﾆﾊ |､　＞￣　　　　ミｔ､
　　　　　　　 |二二二ニﾆ/　,Ⅳ　　　　　　　　ヽ
　　 ,　　　　　 / }/ {二{ }ニ,/＜ ,　,　　　　　　　　 ‘，
　　　　　　　　 } fｱ i|二| {⌒{　)__|　|　　　　　　　　　　　 }
　 ,　　　　　√　{　ｉ|二l　　 }__(/,!　!　　　　　　　　　　 ,
　　　　　 |　　{＿ｉ|二l　　 | 　 }|　|　　　　　　　　　/　 /
　　　　　　　ゝ＿{二二二ニ/　 /|　ｌ　　　　　　　 /＜
/　　　　　　 }　　　 Y⌒　　 } ,/,'|　|ゝ　＿＿　＜ }
　　　　　　　‘，　　　|　　　　|///!　!　　　　　　 |

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　「五世紀かなー。
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　まぁだいたいそのくらいの時代に、
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐　　　　大陸から融通王という人物が
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /　　　　　百二十七県の人々を率いて渡来し、日本に帰化した」
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

.
388： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:20:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　「このとき絹や財宝を応神天皇に献じたため、帝は喜び、

　　　　　　　　　　　　　　大和から津に至る地域を与えて安住させた。これが秦氏の起こりだな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ノ　 '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　 (⌒ ) (⌒ ).i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__） i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　ﾉ
　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　　 |
　　_. }　}　　 r 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　 ∧､　　　　　　|
　 iハi　i　　 {　'､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. . . . . .｀ -.. _,. イﾄ､ヽ､, ____,__ ノ
　 }　}-､i、　ゝ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　＼、　___〈
　.ヽ/ .ﾊ,_￣{、　　｀､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　　ｨ´:::.V、
　　 i　ﾘ　)　ｉヽ,　　i､、____　　　　　　　　　　　　　　／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,√〉:.;〈 r .ヽ＿,.
　　ヽ,}　{-､　ﾆ-、　ヾヽ .: :｀ﾆ=-- 、＿　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧}::::::',} : : : : : .`､
　　　　｀ -､_　　　　ﾉ｀} } : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ=-､＜ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧:::::::', : : : : : : .ヽ
　　　　　　　　｀＜､__ﾉﾉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ : : : : : : : : : :＞、: : : : : : : : : : : : : : : : ∧:::::',: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　｀ﾆ彡" : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧:::', : : : : : : :.r
　　　　　　　　　　　　¨ｰ=ﾆ二､_ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :Λ::} : : : : : : :.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨｀-- 、＿ : : : : : : : ＞' ´　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　ー　´　　　　　　　　} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i

　　　　　　　　　　　　　　　　「余談だが、古語拾遺には、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　絹が人の肌を温めることから秦の読みが『はた』とされたという話が書いてある」

.
389： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:20:50 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「その少しあと、百済の照古王も絹織物の技術に長けた工人を献上してきて、

　　　　　　　　これらの人々が全国に散らばり、養蚕を行い、絹織物が大きく広がった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　　　　　　　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　「更に三十年ほどすぎた仁徳天皇の時代、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かつて融通王が率いてきた秦からの帰化人を諸国に分置して、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　養蚕を行う地域をさらに広げ、絹を織らせ、献上させることになる」

.
390： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:21:17 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　「つづいて允恭天皇は麻羅宿禰に

　　　　　　　　　　　　　　服部連の姓を与えて、絹を織る職工を束ねさせた」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　「それから更に時代が下って雄略天皇は
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、　　　　　　　　　　　　　　仁徳天皇が各地に赴かせた秦の民たちを招集し、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、　　　　　　　　　　　『禹豆満佐（うずまさ）』の姓を与え、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　　大いに織産を奨励した」
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |　　　　　　　　「現在は映画村で名高い太秦の名前は
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/　　　　　　　　　　ここからきてるんですよね～」
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

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391： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:21:42 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　「さて、それから色々あって律令制時代に突入していくと、

　　　　　　　　　　　大化元年、孝徳天皇は服部連と禹豆満佐の率いる

　　　　　　　　　　　　職工たちを集め『織部司』の所轄とした」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |　　　　　　　　　　　　「細かい成り立ちや変遷は省くが、
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　　この織部司と縫殿寮が、帝や皇族の公私に亘る
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,　　　　　　　　　　　　　衣服製造の中心となる」
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

.
392：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 23:21:47 ID:tRr9uTrg: >神服織機殿神社
忍者とF1と松阪牛の国に住んでると、思いもよらないところで
名前を耳にさせていただくなぁ
393： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:22:15 ID:Y56IqXDA: 　　　「そして、平安遷都に伴ってこの織部司と縫殿寮の機関もかつて葛野と呼ばれていた地域に移ることになる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:'.　　/／／ // // iｌ　　ｌ::::ｌ::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:'　　／／　/l|| ///i l 　 ,'::::i.i:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　 /　/　 ,ｿi |. i i ! l i　/:ｌlンｉ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　　　　　　; .l ｌ　ｌ !iｌl　!i　 i:/ ﾒ､ｌ::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　 ,: 　　/| ｉｌ　ｌ. iｌｌ.　i　 !　,i　l:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　　 / 　　/ l　　ｌ. il|ｉ　ｌ　　∧ﾒ !::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　 ,' 　 .　,'ｉ lﾊ ',　i. iｌｌ　　　 X ',､::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'f　,' ,'　　i　i i! ! ｉ l　 i ｉl　i 　 i l.l! iヽ::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　li'}　ﾊ:　,'i i､! ', ' ヾi　 i i 　ｉｌ　l l ! i:::::::r^
　　　　　　　　　　　　　　　　i!.i　ｿ il　ir !ﾐ、､ i　 !､ ', !　',l　ｉ ', ',',::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　l i　,' ﾊ i !! 廴ﾂ､ヾ　 ':､　i　i　 i !ヽゝ::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　!.li!.l|!| リ　` ｪ､..ヾヾ､ヽ:､ i ! ﾊ､!ｌヾ､::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! !从　　　"""ヽﾞ:､ヽﾞ: ､弌itｰマ､:ヽi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　′ i　　　　　　　　 .::　ヽ　ｰ`=.公､`:i
､､＿　　　　　　　　　　　　　　 _,r:::i　　　　　rｰ-‐　'''' ー　‐ --:: ､:ヽ::i
　　　`''''"'''ｰ- ､､、､､､､､､ -‐ー''''''' /:::'.　　　　　｀`¨':':‐:::::::-::::::::､_　　ヽ:;::l
　　　　　　　　　　　　 '" 　　　 ./"　ﾞ:,　ﾞ､　ヽ､,..:::::::::::::::／ ,　` ､　　`
　　　　　　　　　　　　　　　　__, 　　　　',::､　ﾞヽ､:_:::::::::::r ;´ '　ヽ､　　` -､
　　　　　　　　 `;;=--‐‐''''"" 　　　　　',:::､　 `'':::::::::::::;: ' 　 i　　　ヽ､,
　　　　　　　　i´　　　　　　　　　, 　　　 ',::ヽ　　 ::::;::i　 _ -t^ヽ､_　　　ﾞ`
　　　　　　l　　　　　　　　　 i 　　　　ヽ::`:ー ':::::i　.ﾉ:i　ﾉ:::::::: 〉
　　　　　　　　 ' 　　　　　　　　il　　　　　　,.ゞ＝ｰ'"ﾒ /::::ﾚ:::::::::::/
　　　　　　　 i　　　　　　il　　 _ ,ｨﾆ´ ﾆヽ　　ｰヽ:::::::::::::::/
　　　　　　　　　i 　　　　　 ill　,イ:::::iニニニｿ､　　ヽ::::::::::/
　　　　　　　 i　　　　　　　illl ´ 　　lﾆニﾆ/　ヽ. 　　　',::::::::i　　　　　　　　　　　　　【桓武天皇】
　　　　　　　 i 　　　　　illl 　　／ﾆヽﾝ　　ヽ　　/::::::::!
　　　　　　　　　　i.　　　　　 illll　 , ' ＼＼ i 　　　　ヽ , ':::::::::::i

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　「かくて平安京においても織部司は日本の織物文化の中心であり続けたが、

　　　　　　　　　　　　　　　平安中期にはその地位が揺らぎだした」

.
394： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:23:18 ID:Y56IqXDA: 　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　「織手たちが私的に織機を設け、錦、綾、羅などを織り始める風潮が現れ始めた」
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　　　　　　　「その風潮はだんだんと強くなり、織部司の職分は大いに侵害された」
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
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　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|　　　　　　　　「あらら」
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ
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.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
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.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
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.
395： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:23:52 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　「永承三年（1048）には私織を禁止する令が出るほどに、

　　　　　　　　　　　　　　　多くの織手が自己の職分を大いに逸脱し、

　　　　　　　　　　　　　　　　私的に機織を行っていたようだ」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ　　　　　　　　　　　　　　「こうした事態に陥ったのは、
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,　　　　　　　　　　　　朝廷の臣たちの財政難が大きな理由と見られており、
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i　　　　　　　　　　　言い換えれば朝廷の権威と実力の衰微の
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |　　　　　　　　　　　一つの象徴と言えるだろう」
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　「お役目だけじゃ食えねえってことかお」
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

.
396： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:24:12 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「ことに保元・平治の乱の後の官制の頽廃と衰弱は著しく、

　　　　　　　　織部司などもほぼ有名無実化、壊滅状態と言える有様だった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　_　‐　´￣＼￣　＼` ヽ
　　　　／　　￣　二　‐　_ ＼　　＼　ヽ`､
　　 /　￣二二　＝ -　_　`　､＼　ヽ　 l　lヽ
　　 l　　　　　　二　ﾆ　‐ `　､　ヾヽ　l　i　ｌ､ヽ
　　.l二　ニ　＝　──　-　≧＼ヽ i/ / 'ノ　ハ
　　l　　-　￣　　-‐　／Ｚ／"‐＝ヾ/＝､‐' ノ
　　.l´　／　／　／　　/'　　　　　　　　　ﾞヾ､ｰ l
　　 l／　／　／　　 /　　　　　　　　　　　ﾞi､ヽl
　　 l　／　/　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　 l､'l
　／l/l'`','l　　　　　　＿　　　　　　　　 _ 　 l il
.／　l l'ｌ　l'l　　_ ／//////ﾊ　' ,　　　 ///ヽ,l l
'　　 l l､　ﾞi　￣　ﾞ ‐､/////ﾍ　',　　//// ヽ/､　＿
　　 lヽ!　l　　‐､-　_　　`ﾞ‐＜l'i i;　/／_ ｨ/ ／　　- `
　　　lヽl　l　´"‐ -｀｀''´ﾆ≦ ヾ;i　 /／'‐'/　 ,　‐　￣　　　　　　　　　　　　　【平清盛】
　　　l ヽ ,l　　　　　　￣￣ ` /'　 l´　　/ ／　‐　￣ヽ
　　　.l　｀ヽ　　　　　　　　　/　　,l　　/　／／　￣ヽ
;　　　'､　 :;:;ヽ　　　　　 '　　　l ／／／　,　- ‐ ､
;　　　､　 :;:;:;ヽ　く＿＿＿ヽ　 l/ /／　／
,;　　　､　　:;:;:;:ヽ　　＿｀ ´, '/ｰ'　　／
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　i　　　　､　　 ':;:;:;:;:;:ゝ　＿ノ　　/'　/　／/
　 ,　　　　､＼　 ‐',　-　‐ /　　/　ィ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「そうした時代が訪れてしまうと、京における機業の発展は、

　　　　　　　　　　　　必然的に民間により果たされるより他になくなる」

.
397： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:24:39 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「かつて織部司で機を織っていた職人たちは大舎人町あたりに集まり、民業として機織を行い始めた」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
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.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【大舎人町】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　現在で言う京都府京都市上京区菊屋町のあたりと思われます。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
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.
398： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:25:41 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　「この大舎人町における民業としての機業は大いに発展し、

　　　　　　　　　　　　　　　　鎌倉時代には『大舎人の綾』と呼ばれ、『大宮の絹』と並び名を高めた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. -‐　￣　￣`ヽL_
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　',
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　　　　　　　　　　　ｉ　　ノ　　　′ 　｀ヽ、　　　　|
.　　　　　　　　　　　　ｌ　 /,- ､　　､､,.‐‐ヾ　ゝ、　　　!
　　　　　　　　　　ヽ　!　ｲ;ｉ　　　ｉ;jヽ　　}/｀ｉ　　　!
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　　　　　　　　　　　　　　〉!　　〈　　　　　､　_,/　　,. -‐' ⌒ヾ >
　　　　　　　　　　　　　,r 冫丶　 _ 　　　ヽゞ　／　　　　　　ｌヽ
　　　　　　　　,,.... ､､ｒ' -r‐一 ''´_,. ゝ-一丶<、ｒ‐'--､　　　　　　ｉ　､
　　　　　　　／　　　　／　　　／　　　　　　、ヽ- ､　　　　　　　ｌ　',
　　　　　／　　　　／　　　　{　　　　　　ヽ、｀､ｌヽ｀　　　　　!　　',
　　　　／　＿＿_ |_　　　　　ヽ　 _　　　ヽ　､　､}　　　　　　　/ 　　',
　　　ヽ　／　　　,r‐-ヽ-―一'⌒´　｀￣ヽ､_＼　r'　　　　　／　　　　ｉ
―――ヾ――――――‐┬ｒ‐- ､_　　　　　´ ﾞ´ 　　　 _／_,　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　｀　… ､_　　　　_,. -'"／｛, _）　　　　　　　　　　　　　　　【日野　富子】
　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　　　　　　　`ー<´ 　／　.／
　　　　　　　　　　　　　 | | 　　　　　　　　＼Ｙ　／
　　　銭函　　　　　　　| | 　　　　　　　　ヽｰｒ
　　　　　　　　　　　| |　　　　　　　　　　　　　＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　| |　　　　　　　　　　　　　　　＼ｉ
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.　ニ二二二二二二二二] [ ｀…-　　、_ 　　　　　　　　　　ヽ＿＿,ノ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　「さて、大舎人町での機業は盛んになるものの、やがて京の町の多くを灰燼と帰す、応仁の乱が起こる」

.
399： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:26:03 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「機織業も当然のように大打撃を受け、

　　　　　　　　　　　ほとんどの職人は京を逃げ出し、堺を筆頭に各地に散らばった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　　　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 / / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　 !/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「京にしてみれば災難極まりないが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こうした経緯で都における様々な知識や技術、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人材が地方に伝播した一面もあるだろうな」

.
400： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:26:26 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「戦を逃れるべく離散した彼らであるが、

　　　　　　　十年続いた応仁の乱が終わってみると

　　　　　　　　そこはやはり都の職人である織手たちのこと。

　　　　　　　　　　　ごく自然に京に立ち戻ってきた」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
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　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
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　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　‐‐‐＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＞_ィi〔　}　＼　　　　　　　　　　　　「田舎よりは都会」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,〈　 /　　　ｉ|　 l ≧s
　　　　　　　　　　　　　　　　　 f　,　{　|　　 ,　 i|　 |　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ,　,笊{i　/笊i|　/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　‘，{vﾘノ　vﾘ, / /　　　　　　　　　　　「まぁそういうもんでありますか」
　　　　　　　　　　　　　　　　　入_ﾉ　込　 '　ｨ / /{
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 }八/≧≦ {,'V　 ,
　　　　　　　　　　　　　 /　 fﾆ/ /二二ﾆﾊ {ﾆﾐ　,
　　　　　　　　　　　　 ,　　|_/ /⌒T⌒Y∧∨}　 ,
　　　　　　　　　　　　　　 /　　ィi〔//⌒　^^ ⌒ ＼ )_　,
　　　　　　　　　　　　 /　/〈／/二ﾆ=‐ ____ ,‐=ﾆニ)　，
　　　　　　　　　　　　　　 /／　 {　　　　 }/}　　　 |ゝ)
　　　　　　　　　　　　/　/)　廴_i|＿　　　 }/}　　　 |/　　∧
　　　　　　　　　　　 , 　/^　ノ　/≧='　　　}/}　　 rィﾊ)　,′,
　　　　　　　　 /　/(＿f　 /ﾆﾆ＞'　　 }/}　　 )‐=} )　r―┐
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　　　　　 {二二二ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニﾆ}
　　　　￣￣|_|ニニ,|　 {　　 /::::::::{￣￣￣ }:::::〈￣} }￣￣ }　|二|ニﾆﾆ,| ￣￣
　　　　　　 |_|ニニ,|≧=‐＜::::::::::辷辷Y辷／::::〈～　　　 ,　|二|ニﾆﾆ,|
　　　　　　 |_|ニニ,|　　　f/二二二ﾆﾊ/二二二∧　　　 ,　｜ﾆ|ニﾆﾆ,|
　　　　　　 |_|ニニ,|　　　{二二二二=∧二二二ﾆ}　　 ,　　|二|ニﾆﾆ,|
　　　　　　 |_|ニニ,|　　 /＼二ニニニﾆ}二二ニﾆ}＿__/____i|二|ニﾆﾆ,|
　　　　　　 |_|ニニ,|￣ゝ‐=≦=======ゝ‐==ﾆ二'i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ|二|ニﾆﾆ,|
　　　　　　 |_|ニニ,|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ|二|ニﾆﾆ,|
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401： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:27:14 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「応仁の乱の後、東軍本陣跡の白雲村では練貫座(ねりぬきざ)が、

　　　　　　西軍本陣跡の大宮あたりでは大舎人座が組織され、この2つの座は対立しながら、京の機業をリードしていた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　　　ｉ　　{＼_ 　 ∨ヽ/ 斤心ヽ从{: : ＼　　　　＼　＼　＼　＼｜|　l|｜
　　　 | 　　{'´ ＼＿{　　　弋タ　|　^}: 、: : ＼　　　　＼　＼,. ｨ-r‐ ｧ‐､ l|｜
　　　 |ｌ　　ゝ斤心　　　　　 | ノ: :ヾヽ {⌒＼　　　　 ∨ {　|　!　l!　∧|｜
. 　　从　｀{ 弋タ　　'　　　　　i{ : : : : : : {　　　＼　　　　∨r―,ゝ‐し′|j L.,_
　　　　＼　＼　　　　r　ﾌ　八: : : : 「「ヾ､　トトﾐ､　　｛. `く＿　＿,ノ}',　｜　　　　　　　【練貫座】
　　　　　　｀⌒个　　　　　　／ /ヾーく| |＼|__￣￣＼　　 ,{ 　 ';.:.`ー:.:'":.:| 　|
.　　　　　　　｜|: :´":┬＜_／　 |.:.:.:.:| |＿|.:.:＼＿＿＼/　　ト､＿_,,.、ｲ　 |＿＿
.　　　　(＼{＼__丿,:ﾍ､_,ノ|　/＾＼　 |.:.／＼＿].:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀`ｰ=ニj`－―一|　├― ┘
　　　　＼　　　,ｨ| 「{　　|/(十)　`7.:.＼.:.:.:.:.':,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. {`ーr┬‐ |　├― ┐

　　　　　　　　　　　　　　　 ___
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　　　　　　　　　　／　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　 ',　　/ /　 /　　　　　　　　 ,
　　　 _ . . =-‐: : :/ /　 / /　 /{　　/ / ｲ､　　　 ,
. ／´: : : : : : : : :/ / 　 ! ∧__.| {　 / /} } { ヽ　}
/: : : :‐-: .、 : : :i　i　　 ! |´ ヽ{｀'　{ / -‐- ､ ∨=i !
∨: : : : : : :＼r‐l　l {　 { ｨ＝=x　＼{ ﾉｲ　ゞ{　'　| |
　＼: : : : : : : ＼ゞ{ {ﾏﾑ . : : : . 　　＝=x､ ./ヽ.! !
　　＼: : : : : : : :｀ヽﾉ＼〉　　　 ' 　. : : : : ./　ﾉ /
　　　＼: : : : _ :／　/.､＼ f　　 ‐- ,　　,/¨´// !
　　　　 >' ´　　／: : : ,ri,> ., __, ‐'　≦|　.//　l
.　　　／　　／´: : :}: :/ .|　｀><¨ ´{ ＿,!　 ,' 　 ∨
　　　 {　{ 　/ ｀ヽ : /: 〈　 |,イフヽ,/:ヽ　!　 !｀ヽ　∨
　　　 ∨{　.! 　 ∧/r‐{ フ　〔ﾆ〕∨: : : } .!　 !: : :',　＼
　　　　　ゝ_{　./ ,/: !__{ 〉　/　ヽ { -‐=':│　!: : : !　　ヽ　　　　　　　【大舎人座】
.　　　　　／／{: : : : :ゝ-{＿_}､{:_フ￣iﾍ　{: : : }　　ヽ ∨
.　　　　　 /　/ 　 ,: : : : : :＼/__／: ￣｀: ∧∨.:/　ヽ　 } }

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【白雲村と大宮】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　白雲村は現在の新町通今出川上る附近の地域で、織手のみなさんはこの在所で再び機を織り始めました。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　白く美しい絹を織りだすこと、近くの『村雲』という地名が由来になって『白雲村』という名前になったそうです。
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.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　大宮は、現在の上京区今出川通大宮東入付近です。
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402： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:29:30 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　「競い合っていた練貫座と大舎人座だったが、

　　　　　　　　　　　　永正十一年（1514）に、練貫座に対し、綾織物の製造を停止する旨の令がだされた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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403： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:30:31 ID:Y56IqXDA: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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　　　　　　　　　　　　人＿＿ .ノ.　　　 /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ liﾆﾆﾆ　　　 /Yﾍ　　-=彡: : ::/ﾆﾆ／ﾆﾆﾆﾆﾆ=
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ liﾆﾆﾆﾆ　　 /;;;;;;;;,,　　/: : : : :/ﾆﾆ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　「さらに大舎人座が将軍家直属の織物所に指定されることで、

　　　　　　　　　　　　　　　二つの座の争いの趨勢は大舎人座に大きく傾く」

.
404： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:31:33 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　「また元亀二年(1571)には，大舎人座三十一家と呼ばれる織手の一族のうち

　　　　　　　　　　　六家が宮廷装束を製織する御寮織物司(ごりょうおりものつかさ)に任じられた。

　　　　　　　　　　　この六家、『西陣の六人衆』を中心として西陣の機業は発展していくことになる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿__ ＿＿＿＿,.　''.::::::::::::::::..ヽ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,// ／　　ヽ　　　　 /.:::::::::::::::::::::::::::::::::.. ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ∨／ゝUU⌒＾/ /≦､　 ∥:::::::::::::::::＞‐くヽ::::::::.|　　　　　　　　　 / .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　ソ´::::::::::::::::::::::::し':::::: ＜ｉ :::::::＞''ヽ{　　　',∨:r‐ﾄ､　　　　　　　　　￣トｧ‐､ヽ:::::::::::::::::::::::::.く
　　　　　　　　　　　　　7 .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽレくｆ{　　　',　r‐､ } ヾ　ｲ }　　　　　　　　　　　|ｆ　　', Τ}:::::::::::::::::::::: ',
　　　　　＿＿＿__ { :::::::::::r‐ｧ──r─‐rr‐ゝｒゝ'､　⌒ ｒ　　,.　イ　_丿　　　　　　　　　ｒ‐ｿ!・　ｊ　　{::;--､:::::::::::: }
　　　　　,　'.:::::::::::::::::::::.＞､‐∨　レ-‐・ｊ-─･}|　　弋ｨ　`　　,,　γヽ:/　!　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　ｨ　}:::::::::::/
　　　 ∨.::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　｀　　　つ　ヽ　　　'､　r''´::（｀ _ノ '　/ヽ　　　　　　　　 {ト──‐イ　　　　/::::::／
　　⌒/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ハ　､＿＿,,. -─' }＼　　＞｀ー‐''＿,. イ⌒ヽ　　　　　　　,　'´￣￣￣｀丶､ノ￣､:／､
　　/´.::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｒシ!弋　（＼　　　　,ノ､／￣￣￣￣:丶　　　　　 |　　　　　／.:::::::::::::::::::::::::::::::::.. ヽ__レ　）
　　! :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j i‘| ﾉ⌒`　 }─‐彡イ´.::::::::::::::::::::::::::::::::..＼　　　 |　　　　 /＿＿::::::::::::::::::::::::::::::::::. }＿＿)
　　| :::::::::::::::::::::::::::::::/⌒) L ﾌ　　　ﾉ＼ / .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ハー　 '､　　　　　 | ヽ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::. ヽ　|
　　乂 :::::::::::::::::::::::::::{　/　　　',ｰ＜: : : : f .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　ｉ　　ヽ　　　 |’ }∨;-､ ::::::::::::::::::::::::::: }　|
　　　＼::::::::::::::／　　　　 __ /: : : :＼: : :{ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Г　　　　　)　　ｆ｀　ﾉ　　 ∨ ::::::::::::::::::::: ﾘ　|
　　　　　＞‐＜　　＿___´ノ＿／⌒ ＼ ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ､　／⌒ヽｲ､　 /　　　　ｲ　}::::::::::::::::::::::::/　/!
　　　　ｆ＼///＼　＼//く : : {　　　　　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｆ斗'"　　　　 }∧_|＿　　　　ｰく:::::::::::::::::::／　/人　　　　　【西陣の六人衆】
　　　　 |//ヽ////＼ハ７/ヽ: {　　　　　　　＼:::::::::::::::::::::::::::ｒ‐'´　　　　　　　　}:::::::::::::::＞　　　　丶:::::::／

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【西陣の六人衆】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　「井関氏」「和久田氏」「井関氏（もと小島氏）」「中西氏」「階取氏」「久松氏」の六家になります。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
405： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:32:09 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　「現在まで続く西陣織の原型がこれでできあがったことになる。
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、　　　　　　　　　　　　　これ以降は何度も被災や浮沈を繰り返しながらも、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、　　　　　　　　　　皇室や時の権力者にもその業を認められ、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　保護を受けること度々だった」
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_
.　　　　　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ
. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
.　　　　　| !　i:::::l　　　　ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ＿ノ
.　　　　　　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈
.　　　　　　 l::::::::l　ﾉ　　　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　　　　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　　 l:::::::///::::::::::: !:|
.　　　　　　　ヽ:::!:::i. 、　　ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|　　　　　　　　「前回の話に、明治維新の後、
　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
.　　　　　　　　　　　 l::i:::::!　　 /:::::::／:!::/:::l　　　　　　　　　　帝が東京に座を遷したことに対する嘆願活動の先頭に
　　　　　　　　　　 _,.r-j/:::/　　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',　　　　　　　　　西陣織の職人さんの姿があったという話がありましたね」
　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l
.　　　　　　〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|
.　　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|
.　　　　　ヽ:.:〉ー――ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.:: l::.::.::.::.::.::l:::::::::i
　　　　　　 lヽヽ.ﾟ:｡:+ﾟ:*:|::.::.::.::.::.::.::.: l::.::.::.::.::.::l:::::::::j
.　　　　　　j::ヽヽ_*ﾟ_+｡ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.::l::.::.::.::.::.::l::::::::/
.　　　　　　/::.::.}::}+｡:*ﾟ:+|::.::.::.::.::.::.::.:l.::.::.::.::.::.:|::::::/
. 　　　　　,'::.::.::.|::|｡:*ﾟ:+｡|::.::.::.::.::.::.::,'::.::.::.::.::.::.!:::/
　　　　　 i::.::.::.::|::ト-'^ｰ-!::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.:ﾄ（
　　　　　│:::.::.::|:l.+｡:*ﾟ:+|::.::.::.: ／::.::.::.::.::.::.::∧
.　　　　　 l::.::.::.::|:!ﾟ｡+｡:*ﾟ|::.::.／::.::.::.::.::.::.::.／::.:ヽ

.
406： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:32:37 ID:Y56IqXDA: .　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　ノ　　＼＼
　　　　　|　（●）（●）.　|
　　　　.　|　　（__人__） /ヽ　　 ./´}　　　　　　　　　　　　「と、まぁ色々すっ飛ばして甚だ簡単になってしまったが、
　　　　　 |　　｀ ⌒´　{ 　{ 　 /　/
　　　　.　ヽ　　　　　ﾊ　 L/　/　　　　　　　　　　　　　　　解説編の前半、西陣織についてはこのへんで終了しておく」
　　　＿＿ヽ　　　　 /__.〉　　　ん-､
　／ :　　: :介.〈::::〉.介.〃＿_　 /　, ヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀{::::}　!　{　＿__）{_ /　,ﾊ
　 | : : : : : /: |　{::::}　!: :l :＼__, -､. ￣_/:ヽ
　 | : : :　〈: :│ {::::l　|: : 〉 : :ヾヽ　Ｚﾝ: : : :｝

　　　　　　　　|　　　　　　　　|　　　　　　　 |　　　　　　/　　　　　　　　|
　　　　　　　　|　　　　　　　　|i　　　＿　‐┼‐　　　　/　　　　　　 |
　　　　　　　　|　　　　　　　　‐=≦　　　　 |i　　　 /　　　　　　　　 |
≧s｡.,_　　　　i|　　　　　　　　|　　 ≫ｧ==ｬミ　　　 /　　　　　　　　 i|
　　　　二ﾆ=‐　　　　　　 i|　〈(　　,)/刋 |　　　,/ 　　　　　　　 |
　　　　　　}ﾆﾆ∧　　　　　　 i|　　|　　ぃ/爿 ,　　 ′　　　　　　　 }
　　　　　　}二ﾆ∧　　　　　 i|　　|　　乂i少｜　 /
.　　　　／ニﾆﾆ∧　　　　从　｜　　 ^¨¨｀!　,/ ＼　　　　　　　　 ,
　　　 /二ニニﾆ,∧　　　　　|∧ |i　　　　　 |／　　ーｧ　　/|　　　　/
　　　　∨二ニニﾆ∧　　　　 |　＼　　　　　　　　　　 /　　/ 　　　　/
　　　　〉ニニニニ/　　　 i|　　　　　　　　　　 /　　/　}　　　/　　　　　　　　「既に結構な容量食ってるでありますがそれは」
‐= 　_／二ニﾆﾆ,／　　　　　i|　　　　　　　　　 ‐　/　　/　｜　 /
｀''＜ニニニニ／　　　　　 |　　　　　　　　／　　/ 　 i| 　 /
　　　￣￣￣　|　　　　　 |　　　　　　　　 /　　　/　　ｉ|　 ,′
　　　　　　　 |　　　　　 |　　　　　　　 /　　 /　　　 |　,
　　　　　　　 |　　　　　 | {i⌒^ ‐=　　＿ '　　　 ′　　 | /
　　　　　　　 |　　　　　 | |　　　　　 /　　　 ,/　　　　 /

.
407： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:32:52 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「うるさい、それじゃ、前半はこれまで。
　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　後半に続くぞ」
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |　　　　　　　　　　　「はいはい」
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z.

.
408： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:33:13 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ
　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：52　自分の嘘を自分で信じるようになる末期症状.　　　　　　　＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　前編　おしまい～

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　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　 |i　　　　 ,　　　　　　i|　　　 l　　　i|　　　　　　 | 　､
　　　　　　　　　　 |　　　　　ｌ　　　　　|i 　　　，　　　　 i|　　　 |　　 i|　　　　　　 ,　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　|ｉ　|　　　 ,　　　　ﾊ　　 |　　 i|　　　　　　, 　 /　}
　　　　　　　　　　　，　　　 ,　　　　　|ｉ　|＿_＿_‘，　　 / _}＿_｜＿　,　　　　　　,　　　　|
　　　　　　　　　　　 ,　　　　,　　　　 i|ｉ　|　　　　八　　　, 　ｉ|　　 |　　 ,　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　，　　　，　　　｜ｨ笊云ミｔ､　，　 /　 ,ィぅ云笊ﾐ ,　　　　 /}　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　，　　　　　　　〈( ぃ///(　　，　　　ぃ///(　)〉　　　　 ,//,
　　　　　　　　　　　　　 ,　　　 ,　　　　　乂^)少　　　/　　　乂^)少 /　　　　 ///　　 ,　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　∧　　　　　　　　　　　　　 / 　　　 ///　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　‘，　　叭　　　　　　'　　　　　　　 ,　　　　 ∧∧__/{%
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '，　　，　　　込　　　　　　,　　　　　 /　　　　　∧,∨//‰　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　　　　 /　　　　‰ |/,廴〉ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　＼　　　　　　　　　　　　ィi〔/　　　／　 i|///∧ 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　 ',　　 i|_＞　＜ﾆﾆ|　　／|　　　 |////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　＼　{ 　 /　 /爪}　　　i} ／　｜　　 |∨///∧ 　 |

.
409： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:33:30 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　＜￣: :｀: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　 /: : : :/: :rｰ弋､: : : : :'; :.ﾊ
　　　　　　　　　　　 /: : : : !: :/　　ヽ＼: : : :' ; :!
　　　　　　　　　　　 ! / : : ! /　　　　 l!　ヽ '; :.! :l
　　　　　　　　　　　 V: : /ﾊl-－　　　T ￣ヽ! !: :!
　　　　　　　　　 l: : i l´.j ＿　　　 ,＝= .人 :l
　　　, -－-､_　　　　l: ;ｲ:l　'"⌒`　　　 ::::::: レﾉl
　　r'´ﾉ､　　l !　　　 jﾊl lﾍ ::::::::　　 '　　　 /'´ l
　　（'ノ7 _ .r　l　　　　　｀Tヽ、　　ｰ　'　／ : : !
　　 Y￣) ７　/　　　　　　 l : : ＞-,　_ イ/ : : ノ＿
　　　ヽ、　　 L_ 　　　　　 !: : /-,! イ´./ ;イ_ イ　ヽ
　　　　ヽ　／　!　　　　　/l: :/に大ﾆ}/:/　 /　　　 !
　　　　 / ﾝ　　 !　　　ﾉ7// -' ノl!_V:/ l　/　　　 /
　　　　 !'　　　　 l 　／/ j/　／ / __!/フ /　　　 /
　　　　ヽ、　　 ! /　 !　|　l! 　 l　! j!　!./　　　 /
　　　　　　ヽ_ ／ﾉ´　　',_ﾘ .l!c　ヽ!__lノ./ 　　 /
　　　　　　　V_ノ　　　　|　　l!.　　　　 /　　　 /
　　　　　　　ヽ　　　　ハ　 l!　　　　 /　／　 !
　　　　　　ヽ　　 /　 l　 l!c　　　/／　　 l
　　　　　　　ヽ　./　　 !　l!　　　ノ　　　ﾉl
　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
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　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：52　自分の嘘を自分で信じるようになる末期症状.　　　　　　　＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

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　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
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　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
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: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
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: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

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410： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:33:48 ID:Y56IqXDA: ┼┤│　 ││;;;||-|-|-|-|-|-|-|-|-||:::: ::: ::::::::::::::::||-|-|-|-|-|-|-|-|-|││
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┳┥│　 ││;;［田田田田］［田田田田］［田田田田］［田田田田］ |..│
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　ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ
ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣
￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣ﾉ￣
==@==@==@==@==@==ｒ─ー─‐-──ー┐@==@==@==@==@==@==
─────────‐| 　完敗の宿　 │─────────
:: : :|　|;;| :::: :::: :＿＿＿＿｀ー─-─-‐ー─┘＿＿＿___ :::::::::::: :|　|;;| :
　　|　|;;|￣￣ ||三三三|￣￣|￣￣|￣￣|￣￣|三三三||:　　　　|　|;;|
　　|　|;;|　歓 ||三三三|千＿|客_,,ﾉ万__,ﾉ吊__,,|三三三||:　　　　|　|;;|
　　|　|;;|　迎 ||三三三三||:::::: ::: :: :::: :::∧__||三三三三||:　　　　|　|;;|
　　|　|／| ま .||三三三三||:::::: ::::::ﾗｯｾ（ﾟ∀ﾟ||三三三／:: :::::::::::::|　|;;|:::::
|￣￣|　 | .く ..||三三 ∧∧:::::::::::: :: :::::::（　　||三三三||￣|￣￣|￣￣|￣
|　　 |　 | り ..||三:　/⌒ヽ)::::::::::::::: ::: ::｜　|||三三三||　 |　　 |　　 |
|　　 |　 | 様 .||三::/三. U||::::: :::::::: :: : （＿（||三三三||　 |　　 |　　 |
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　　　　　　　　　　三三
　　　　　　　　　三三

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411： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:34:06 ID:Y56IqXDA: 　　／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼　　　　　　　　「それじゃ、今日も一日お疲れっした―」
. |　　（●）（●）|
. |　　　（＿人_）│
　| 　　｀ ⌒´　 |
　 | 　　　　　 |
.　ヽ　　　　　　/
　　ヽ　　　　/
　　　.> 　　　<
　　　|　　　　 |
　　 |　　　　 |

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　「乙―」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　, ; '::::￣:::::::ー‐-γｰ､
　　　　　　　／:::::::::::ノ:::::::::::⌒∨,へヽ＼
　　　　　　/:::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::,ﾍ Ⅵ .i::::＼
　　　　　 ;':::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::/　i∧_|::|:::::::`;
　　　　　i:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/￣￣￣|::Ⅳ:::::::i
　　　　　|:::::::/:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　 |::i::::|:::::::i
　　　　　|:::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　ﾚ:::::i:::::::|
　　　　　|::::i::::i::::::::::::::::::::::/-＝-　　　　≦.ﾌ:::::::|　　　　　　　　「お疲れさまでした」
　　　　　|::::|::::i::::::::::::::::::::ｙr=＝､　　　 i i｡jヾi:::::j
　　　　　|::::i::::i::::::::::::::::::.《 i　oj 　　　ヽ_ｿi:::::/
　　　　　|::::Y ∧:::::::::::ヽ |　ｰ　　　　　 | /
　　　　　|::/:::::::::＼:::::::ト |　　　　　　 `'　　ｉ/
　　　　　|/:::::::＼::::＼::::＼　　　　ー　'　／i
　　　　　ﾙ:::::::::::::::＼::::＼::::＞､　　　／:人|
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::|＼::::F‐--- イト／:::::|
　　　　 i::::::::::::::::::::::::::|／⌒i　|　|　/ /　i:::::i|
.　　　　i:::::::::::::::::::::::/／ ⌒ 　＼＼＼＼.i:::::|

.
412： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:34:23 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|　　　　　　　　　「今日もガイド、ありがとうございました。
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!　　　　　　　　　　　　　おかげで助かってます」
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　（ ●）（●）　　　　　　　　　　「役に立ってんだったらいいけどさ。
　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　いいガイド書いてくれよ」
　　　　　　　　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

.
413： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:34:39 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　「みなさんは翌朝には京都を出発する予定でありましたか」

　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　 l ´｜￣ | ￣八｀　　　　　　 ´i| ￣￣　 7ミ　 ,
　 ,　　　　 il　 i|　　 |　　　　，　　　　　　 /　　　 /　　　,
　，　　　　　ｉl　 i|　―|　――　,　　　　　　　/　―― / ―　 ,　　　　　　 /
　　，　　　　 ,ィ笊芋芋云ミｔ､，　　　　 ,　,ｨ爪芋芋笊ミ､　　　　　　　 //
.　　，　　　　〈(　h {////(　　　　，　　　 /　　h {////(　　)〉　　　　 ,///
　　 ∨　　　　＼乂⌒^)Z少　　　　､　　 ,　　乂⌒^)Z少／　　　　　　/〈//
　　　 ∨ 　　 ∧　^¨¨¨¨^´　　　　　＼　/　　　｀^¨¨¨¨^ /　　　　　　 /　∨/
　　　　 ,　　　　∧　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　 ,　　　　　 ,　　ﾏ/
､　　　，　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　 /
　，　　 |　，　　入　　　　　　　　　 '　　　　　　　　 /　　　　 /￣',
　〉　　i|　　，　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 ,　∧ ∧
. /　〉　i|　　，　　|　　　　　　　　　 ´ ｀　　　　　　　 /　　　　／　 |!∧ ∧
/　/,/，|　　　ヽ　ｉ|　　　〕ト　　　　　　　ィｉ　　/　　　 ,　　　 |/,∧_∧
/7///Ⅵ　　　＼,　　　　 |二＞　　　　　＜二|i　/　　　／　　　 |//////
//////,|i　　　　　 |　　　　/‐=ﾆ二≧=≦二ﾆ=‐',　　　／　　　　　 |//////
/////,/|i　　　　　 |　ィi〔/　　 /　/ニﾆ,∨∧　/ 　／|　　　　　　　|∨////
////,/ i|i　　　　　 |/　　　　 ,/　/二二ﾆ∨∧　／　｜　　　　　　 |i ∨//

　　　　　　　　　　 -―─-　、
　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　′ 　─　　 ─ 　　,
　　　　　　　 i　　（ ●）　（● ）　ｉ
　　　　　　　 |　　　 (__人__)　　　|　　　　　　　　　　「その通りだお。
　　　　　　　　､　　　　　　　　　ノ
　　　 ⊂⌒ヽ　＞　　　　　　＜_/⌒つ　　　　　　　　　　　まるで何年もいたような気もするけど、
　　　　　＼　丶′　　　　　　　　 7
　　　　　　　＼ノ　　　　　　　ﾄ､_/　　　　　　　　　　　　　いよいよお別れだお」
.　　　　　　　 ′　　　　　　 |
.　　　　　　　　 i　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　乂　　　　　　　　ｲ
　　　　　　　　　 |　/ー―一、　|
　　　　　　　　　　し′　　　　　､_ｊ

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）
　 |　u.　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「おい馬鹿やめろ」
.　ヽ　　　　　　 }
　　ヽ　　　　　ノ
　　　/:::.ﾍﾔ::ﾌ<
　　 |:::::::.ヽi:::.ｿ|
　　 |::::::::::::.｀´.:|

.
414： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:34:56 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　＜￣: :｀: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　 /: : : :/: :rｰ弋､: : : : :'; :.ﾊ
　　　　　　　　　　　 /: : : : !: :/　　ヽ＼: : : :' ; :!
　　　　　　　　　　　 ! / : : ! /　　　　 l!　ヽ '; :.! :l
　　　　　　　　　　　 V: : /ﾊl-－　　　T ￣ヽ! !: :!
　　　　　　　　　 l: : i l´.j ＿　　　 ,＝= .人 :l
　　　, -－-､_　　　　l: ;ｲ:l　'"⌒`　　　 ::::::: レﾉl　　　　　　　　　「それでは、今夜は全員でお食事はいかがですか？
　　r'´ﾉ､　　l !　　　 jﾊl lﾍ ::::::::　　 '　　　 /'´ l
　　（'ノ7 _ .r　l　　　　　｀Tヽ、　　ｰ　'　／ : : !　　　　　　　　　　　　もちろん私たちが負担しますので」
　　 Y￣) ７　/　　　　　　 l : : ＞-,　_ イ/ : : ノ＿
　　　ヽ、　　 L_ 　　　　　 !: : /-,! イ´./ ;イ_ イ　ヽ
　　　　ヽ　／　!　　　　　/l: :/に大ﾆ}/:/　 /　　　 !
　　　　 / ﾝ　　 !　　　ﾉ7// -' ノl!_V:/ l　/　　　 /
　　　　 !'　　　　 l 　／/ j/　／ / __!/フ /　　　 /
　　　　ヽ、　　 ! /　 !　|　l! 　 l　! j!　!./　　　 /
　　　　　　ヽ_ ／ﾉ´　　',_ﾘ .l!c　ヽ!__lノ./ 　　 /
　　　　　　　V_ノ　　　　|　　l!.　　　　 /　　　 /
　　　　　　　ヽ　　　　ハ　 l!　　　　 /　／　 !
　　　　　　ヽ　　 /　 l　 l!c　　　/／　　 l
　　　　　　　ヽ　./　　 !　l!　　　ノ　　　ﾉl

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　─　　 ─＼
／　　（●）　（●）＼　　　　　　　　　　　　　　　「そういえば昨日はやらない夫がいなかったんだお」
|　　　　（__人__）　　 |
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／
(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼／＿＿＿／

.
415： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:35:13 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　-─-.....､
　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::＿≧､
　　　　　　　　　　　　/:::::::,ｨ'´::::::::::::::::::::::ヽ/⌒＼
　　　　　　　　　　　/:::::::/::::::::::::::::::::,彡'´ｿﾊ::::ヽ
　　　　　　　　　　/:::::/::::::::::::::::::::／　　　`Y::::}
　　　　　　　 /:::::/::::::::::::::::::仏､ヽ　　　 }::::i
　　　　　　　　　/:::::::ﾙ::::::::::::::::/､.ﾉ`　　ﾍ /:::/
　　　　　　 /:::::::::::::i::::::::::::/　　　　./ﾂｿ::::/
　　　　　　　/::::::::::::::::|:::::::ﾙi　　　　ゞ /／
.　　　　　　 /::::::::::::::::::::N/ :..　　　こi　ｲ'　　　　　　　　　　　　　「えーっと、いいのかしら？お兄ちゃん」
　　　　　　/:::::::::::::::::｛　ヽ　　 ,‐- ィ
.　　　　　/:::::::::::::::::::/ヽ　　`ｰ‐=､
　　　　/:::::::::::::::::::/__　`ｰ　　　ヽ
　　　.:::::::::::::::::::::/ ￣＼　　　　　　＼
　　　{::::::::::::::::::,'　　　　ヾ　　　　　　　' ,
　　　 |::::::::::::::::::i　　　　　 } 　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　「いいんじゃないか？
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　　　　　　それであちらの気が済むのなら」
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

.
416： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:35:36 ID:Y56IqXDA: 　　 _,.｡s≦　　　 /　　　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　＼
　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜　　　　　　　　「じゃあ、準備ができた人から
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜　　　　　　　　　　　　ホテルのロビーに集合ということで
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，　　　　　　　　　　　　　よろしいでありますか」
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ　　　　　　　　　　　　　　「了解した」
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

.
417： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:35:50 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　／⌒　　⌒＼　　　　　　　　　　　「やる夫も了解だお」
　　　　　／（ ―）　（―）＼
　　　／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
　　　 |　　　　　　　　　　　　　 |
＿＿（　⌒-ｨ⌒ヽ、　 /⌒` '⌒　）＿＿
　　　　 `ー-ゝィｿﾉー‐ヾy＿ﾉー"

　　　　　　　　　　　　／　／:::::ｨ::::::::::::: : : : :
　　　　　　　　　　 /::::／│:::::::::::::: : : :
　　　　　　　　　　　　 /::::/⌒ヽ:::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　　 /::::/ ﾈﾐ､|::::::::::::::::::: : :　　　　　　　　　　　「私もそれで大丈夫です」
　　　　　　　　　　　 /:::ノ　り }|::::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　 /:::| 　　　 !::::::::::::::::j:::: :
　　　　　　　　　　 /:::: ! _　,　　 j::::::::::::::,ｲ :::::
　　　　　　　 //!::::i　　　 //!::::::::/ﾉ ::::::
　　　　　　　　　　l/ l:::::|　　　 l/ .l::::::/　!::::::::
.　　　　　　　　 l:::::≧r:::ｒ-､　 !:::/ｰｲ :::::::　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃお兄ちゃん、行きましょ」
.　　　　　　　　　 ';:::::::∧ﾉｒr√l:/　　!:::::::::
　　　　　　　　　　　　',:::/　　 { l　 /　　 j ::::::::
　　　　　　　　　　　　 V　　ﾉｌ |　　　　人 ::::::
　　　　　　　　　　　　　り j　　　　　ヽ::::
　　　　　　　　　　　　　　　 / /＞―‐ｒ―‐ ヽ
　　　　　　　　　　　ｒ/ /
　　　　　　　　　　　　　〃./　　／７
　　　　　　　　　　　 / /　　/ .:::/

.
418： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:36:01 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /　　　　　　　「え？」
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__

　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　ｨ　⌒＞': : : : : : : : ミ　　　　　　　 /　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　「ほらあずさ、こっちだ」
　　　　 /　　,イ: : : : : : : : : : : : : : ﾑ.　　　　　 |　　　　　　｜
.　　　 /　／: : : : : : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`　　　　　|　　　　　　　｜
　　　　 /: : : : : ;;;;;: : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ﾊ　　　 |　　　　　　　｜
　　　　{: ;;;;;: : : ;;;; : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}.　　　 !　　　 ,. -ｰ┴ 、
　　　　}: :;;;;: : ,ｨ: : : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∥　　　　｀ヽ_ｨ≦.:.:-.:.:.:.:.┴、　　　　　　　　　　　　「はーい」
　　　　|: i : : （ i: : : : : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;　　　　　 ,ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..＼
　　　　{: i : : ﾑi: : : : : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:{.　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　∨i: : : ﾄ: : : : : : : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:i.　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 〉
　　　　　ヽ: : |　∨: : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|..　　　　| .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀
　　　　　　ヾ i __∧: : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|.　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:r {
　　　　　　　从 ⌒i: : : : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; } 　　　 i .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:|
　　　　　　　,イ'´ヽ |: : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;八　　　　 i .:.:￣＼.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:|
　　　　　　/　　　　Y: : : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`.　　　 | .:.:.:.:.:.:.:＼. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:i
　　　　　 i..: 　　　.i: : : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`...　　| .:.:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:i
　　　　　 /　　　::::/:|: : : : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;ヽ..ﾞ| .:.:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:i
　　　　 /　　　::::/三{: : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽﾞ:.:.:.:.:.:.: ﾉ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:i
.　　　 /　　　::::/三ﾆi: : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;:;;;;;;;;;;:;;;;､.:.:.:ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|ﾉ
　　　/　　　::::/三三|: : : :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;` /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|

.
419： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:36:22 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿___
　　　　　　　　　　　　____〃　　-‐…‐-　　丶ヽ
　　　　　　　　　／　／　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　　「実に自然に手をつないでありますが」
　　　　　　／　./.　　 /　 /　　　　　　　　＼＼
.　　　　　　〃　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/（／/ ′....　|　 |...　　　| .　　/　　 ! 　 >）ヽ
　　　　　 {辷〉｀ヽ{..　　　|　 |　|　　 | l　/|　　　 |　/　〈 /
　　　　　丶〉　〉　　　|,ﾊ,|　|　　| |/__|　　　|　＼／
　　　　　　　　＼／　∨..　代フ. N∨ |弋フ　　 /　|＼､
　　　　　　 xく／ :|.　　ﾄ　　　　　　　　ｲ　 /..|＼　＼〕
　　　　　　　 <／.　人ﾊ从､　　　　　　／∧/.　| i|¨¨¨´
　　　　　　　　　　ｰ/ |　　　 |, ＼　‐　／}} |　　　 |八
　　　　　　　　　 /　 |　　　| ヽ___　　xく〈 |　　　 |‐-ミ
.　　　　　　　　 /, ¨¨|　　　 |,//　》《　　》....|....　|　　ヽ
　　　　　　　　 / {....　|　　　 | 《／|:i:|＼_/:|　|....　| 　　|＼
　　　　　／/　{. 　 |　　　| 　　 V.　　　|　|､　 |　　 /　　＼
　　　　　　|　 | . ‘，　|　　　 |.　　　　　 |　|　ヽ| 　 /　　　　|
　　　　　　|　 |　/∧ 从人,ノ　　ヽ/..　　丶|.　　一　＼　　|､
...　　　／ :|　 |/ /　 ,.　　‘,　　　　 }{　　　　 }　　 }　〈　　|　 /　丶
─────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -／`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 _／,　　　ｰ' ⌒＞― 、
　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　 ′ 　　　　人|　　　　　　　　　　　　　　_,.　　-‐..::::´
　　　　　　　　　　　　　　　　〈_,./　　　　 ,　――＜　｀丶、　　　＿＿　　-r　へ:::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　/　| 　　／_,ノ　＿　　　　　丶.ヘ、　　＼::::::ヽ　　ヽ:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　 `て}　　　ヽ--‐'´ 　 }ヽ、　　　　　｀~ヽ、　　ヽ:::::::',　　 ,:::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　〈|　　　　　　　　　八:::＼_　　　　　 ',　　　 ',::::::',　　':::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　　　　　　 /　　　　　　　　 l　　　　':::::::!　　!::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　／丶.. _　　　　　_,,.　--|　　　 |::::::|　　|::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　 ,　　´　　　　　　ﾉ´　　　　￣￣　　　V/,|　　　 |::::::| __,ﾉ_;;:::　-‐
　　／｀丶、_,,.　　　´　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　ヽ.|　　　ﾉ_／´
￣￣´　　　　＼　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣
｀ヽ、　　　　　　ヽ　　　　　　　　／
　　＼　　　 il　　 }　　　　／

─────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　／＼:::::::::／＼.　　　　　　　　　　　　　　「あーもうほんと爆発しねえもんかお、
　　　　　　　　　　　／:::<◎>:::<◎>:::＼
　　　　　　　　　／::::::::⌒（__人__）⌒::::::＼　　　　　　　　　　　　　やらない夫だけ！」
　　　　　　　　　 |　　　　　｀ー'´　　u 　　|
　　　　　　　　　＼　　u 　　:::::　　　　　／
　　　　　　　　　／　　　　:::::::::::::::::::　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼　〈〈〈　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（〈⊃　　} }

.
420： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:36:37 ID:Y56IqXDA: 　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ　　　　　　　　　「二人とも睨まないの」
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ　　　　　　　　「仲が良くて結構じゃないの。
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　u.　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'　　　　　　　　　　　　　それじゃ、私たちも部屋に行くわよ、ホライゾン」
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
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／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
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　　　　　　　　　　　　　／　‐=ﾆ二二二ﾆ=‐　　　　　＼
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　　　 _,.｡s≦_ア　　 /　　,　　　＼　　　　　∧　＼二ﾆ=‐　 ,
　　　 }　　 /　　　　　,　　 ,　　　　ヽ　　　 ∧ 　＼二ﾆ}
　　　 }　　 f　　　　　 ,　　，　　　　　 /　　　　　　　　　＼ﾆ|　 }
　　　 }　　 ,　　　　　　　　　　　 /　　　　＼　　　　ヽﾊ｜
　　　 }　　 l　　　　 l　　｜　　　　 / 　　　　 }　　　　　 } ｉ}　　　　　　　　「jud」
　　　 }　　 | 　　　 _|　　ｌ　　　 /　　ｌ　　　　ｌ　　　　 ,　} ｌ
　　　 }　　 |　　　　　i|≧s｡,　　　 /　　 i|　　　　,　　　　 /　,
　　　 }　　 |　　　㌢笊ミｔ､　　/ ￢-ミi| 　| 　 ,　　　　　∧　}　,
.　　八　八　　　ゝ以シﾊ　, } 　/ 　 i|ミ |　 ,　　　　　//　 }
　　　　，　 , 　　 ∧　^¨　 Ⅵi|／/笊外≧　, 　　　 ,'/　　,　 l
　　　　，　ﾊ　　八　　　　　　　 v^)少　/　　　 /,　　 /〈
　　　　　 ',　{　ﾟ。　　込　　　　　　　　　　〈,/　　　 //　　///　{
　　　　　　＼,ﾆ,ﾍ　　　 {,ヘ　｀　　　 .｡＜/　　　／/　　///　　,
　　　　　　 {二二}＼　 }二{＞‐=≦/　{　 /　　／ /{ｧｧ /⌒
　　　　　＿|二ﾆ/ 　ヽ ,二ﾊ　 /f^}_{　　 /　／　 /={/,/＞､　　　，
　　ィi〔　 i}二,/　　 /二二二ニ{｜二=/ ／|　　 l二ニニﾆﾆ＼　　,
　/　　{　　 }=,/　　 /二ニニニﾆゞ'ニﾆ／ニ,|　　 |二二ニニニﾊ　　,
　}　　　　 i|,/　　 /二二ニニニニニニニニ|　　 |二ニニニニﾆ}　　，

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421： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:36:56 ID:Y56IqXDA: 　　　～ミーナ・ホライゾン組客室～

　　　　　　　　　　　　　　　　　「”ミーナ、ボスがSkypeの通話を交替しろと”」

　　　　 | |　　 |: 　　　　 |　　 |　　　;:　　　　　:;.ﾞ/　　　　　 /　　　 |　　　　　|　　　　 ≧o｡.＿＿
　　　　 | |　　 |: 　　　　 |　　 |　　　;:　　　　　:;/　　　　　 /　　　　　|　　　　　|　　ヽ　　　　　　　 }
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　　　　ヽ.　　,, -‐=‐ 、,　　 |　　 |　　　;:.　　　 :　!　　　　　 | 　:ｉ　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |..〒~〒
　　　　 ∧／　　　　ヽ..　　|　　 |　　　;:. 　　 //:{　　　　　 : 　 |　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |. {-=ﾆ
＝＝＝＝ゝ　　 ,／｀｀ヽ∨_＿＿＿_ ＿;;:＿＿.〉 /!　　　　 {:　丁￣￣:!　　　　 /￣｀ヽ:|　　　　:|　　 |. {ﾆ=-
　 }: :: :{l　| |　,／、′ノ（ : : : : : : : : : : : : : : : :ﾞ/ 〈 :l　　　　　 i: x斧芋苅ﾐ　　　ｲ斧芋ミ}　　　　 }　　 !.ﾞ{-=ﾆ
　 {: :: :}l　|／,(⌒ヽ／ノ : : : : : : : : : : : : : : : /　　＼　　　　 |〈に{//}( ｜　　/:　い//( /　　　 ,′　 :....{ﾆ=-
　 }:.:.:.:{|　|ニニニニ { : : : : : : : : : : ──..　,'　　　　:＼　　 |:　Vこ)ツ :}:　　/　　V^)ツ }　　　/　　　:.　{-=ﾆ
匕＿__,,ゝ￣／|　　 ,,）: : : : : : : : : : : : : : : :.ﾞⅥ　　　　ﾍ　　 {　＼　　 i　／　､　　　　 i:　　/　　　/.....{ﾆ=-
≧、=‐、_／　｜　 { : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ﾞⅥ　　　　　}　　ﾟ。　〉　　／　　　　　　　八　 /}　　 /}.　 {-=ﾆ
　　ヽ、ヽ-= ≦￣￣￣iﾞi、⌒ ⌒ ⌒ ⌒⌒ ⌒ﾞト　　 //:i: 　　＼¨　　　　 ‐‐　　　　ｲ　　://i:　 / ,′i!{ﾆ=-
　　　ヾ　　　　　＿＿!.! }　　　　　　　　　　　{ ＼__//∧　　　 l＼　　　　　　　 . 　 }　　// }　/ /.　　{-=ﾆ
＼＿ _,.ﾞ=-=ﾆ二´　　　iﾞi }.　　　　　　　　　 i　　 {￣|　＼　　　{rｧ＞　　　　 ∠z　 :i　 ///,' /イ　　　{ﾆ=-
　 `-=ﾆﾆ二"´　　　 ,,,|.|,!　　　　　　　　 :　 /77 {　　 l＼　ﾟ。////≧ ≦///{　 :　/: : /:/≧o｡、　{-=ﾆ
　　　　　　　　　　 ,|.|　　　　　　　　　 /　////:ｉ　　 |//＼ ‘，/　{r― 〈―‐ｉ　{: /: :.:〈/: : : : : : ミﾞ{ﾆ=-
　　　　　　　　　　 ,|.|　　　　　　　　 /　∨///}　　 }/// ∧ i{ ／　　　∨　{　:./: : : : : : : : : : : : : :ﾟ。
　　　　　　　　　　 ,|.|.　　　　　　　　 ′　 ∨/ i　　 i　　 /:　／　　／　ゝ‐:　　{: : : : : : : : : : : : : : :.ﾟ，
　　　　　　　　　　　　 ,,|.|　　　　　　　　 /　　 {_/:.:.l　　 :-:／＼＿_／　　　　∨!　 i: : : : : : : : : : : : : : :.:_＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /: : : / 　 /　　　 /　　　　　　　　　|　 |: : : : : : : : : : : : : ／　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /: : : /　　/　　　 /　　　　　　　　 :|　 |: : : : : : : : : : : :./:　　　　　／:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : /　／　　　　､　／　　　　　 |　 |　＼ : : : : : : :./　　　　／: : : :
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422： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:37:17 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　 , .　, _
.　　　　　 ,r ,､　,. r ´: : : : : : : :｀: : ..､　　 ,. ‐ﾞ"7
.　　　　　 ! ,' > ヽ: : : : : : : : , : : : : : : >く　´'ﾌ/
.　　　　　 },/　　ヽ>: : : :/: /"'ﾍ:ﾄ: : : :ﾍ ',　,〃
　　　　　　　 ∧　　/ｲ: : :./: /　　,ﾊ:ﾊ: : : : ヽｸ
　　　　　　　i': :',', /: ｨ: : ,ｲ:/　　　 ',ﾄ､: : : : :',
　　　　　　　|: : : y:ｲ': :/」ﾑ __,　　 , ﾄｰ,A: : ﾄﾊ
.　　　　　　/',: : /':/´:7　i'__　　　 -」ﾄ､ﾍﾙ:ﾘ',ﾘ
　　　　　 { {.',: :!/:i: /ィてﾊ｀　　　 'ﾋ::ﾘ ' 〉ﾙ| '
　　　　　ﾊ. ∨r´|/　'弋り　　　　　｀´　,ﾘ　'!
　　　　　　 |. ',ﾊ, !､　　　　　　　　'　　　,'
　　　　　　 | . ∨:iｰ.-. ､　　　　ｃ　　,､ｲ
　　　　　 ′....',:'ﾍ: : : :i＞ ., 　.: _,.ィ....厶ミ
　　　　　　/　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_,}　　　／　　　ヽ
　　　　　 /　　/⌒ヽ-ｧ(/´　　　　}ぅ　　　　 }　　　　　　　　　「”えぇ？
.　　　 /　　 , 　　 /X 　　／　 }ぅ ,　　　 |
.　　　　　　 ::　　j〃　　ヽ　′　　}ぅ{　　　　;　　　　　　　　　　　　　ようやくシャワーを浴びられると思ったのに”」
.　　 /　　　 ::　 r厶..　　　　　　／ソヾ.　　　:
　　/　　　　 ;:r(:/　　　 v′／ソ´　 : :.　　,'
　　　　　　 /:入＼　　　　 /.:ソ　　　. :.:}　 ,
　{　　　　 /〃:. 乙＼　 :{　':ソ . : . : .:.:.:.:|　.ｉ
　　､__　イ.,':::.:.: . 　乙＼j/ソ:.:.:.::::::::::::::::ﾉ ;=!
　　　　　 {:::::::.:.:.:.:.:.:.:.:::ヾ{:::::::::::::::::,　 ´　'　|
..　　　　　人::::::::::::::::::::::ｲ介トｰ=イ　　 ′|
.　　　　　｀ｰ--r '´ {J}{J}　　j　　　 {　 {
　　　　　　　　ヽ　 {{ }}　　　　　　 }　 ∨
　　　　　　　　 ∧ 　　　 | 　　 ,ﾞ　　 ∨
　　　　　　　　　　　　 }　　　　｜　　 j　　　∨
　　　　　　　　　 ;　　　　|　　　|　　　　　､
　　　　　　　　　　　 /　　　　 j}|　　 |　　　　　ヽ
　　　　　　　　 /　　　　　 |　　 |　　　　　ｒｭ≪＼
　　　　　　　　　〃＾≫ｘ　　　　 |　　 |　　 ,.ｘ≪〃　｀ヾ＼

　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　 _／ィ//{　　｀＜/≧s。､ __
　　　　　　　　　　 ///＜＞　,　　　　 | ｀＜/ヘ/∧
　　　　　　　　＿ /,ノ　, 　　ｌ　　　 |　　　　　ﾏ/∧
　　　　　　　 f 　 f/　　, 　　ｉ|　　　 |　　　　ｌ　　￣ }
.　　　　　 | 　 |ｉ　　{　　　八　　　 |　　　　|　　　ﾊ　　　　　　　　　　「”苦情はボスにいうであります”」
.　　　　　 | 　 |　　　,　　　　'，　　｜　　　 |　　　 , ‘，
.　　　　　 | 　 |　　　l　　　　，　 |　　　　|　　　,}　i}}
.　　　　　 | |　 ,　　　, ――‐　ﾊ　　|―― ‐,　　 /}　 }}
.　　　　　 | |∨ ，　 ,,x芹芥从 ‘， |/芹笊ﾐ　 /!,} 　}
.　　　　　ｌ !i ∨　, 　ゝvi少　　 ∨　vi少/　 ,　|!|}　} ,
　　　　　　　 { }/,∧　 ,　　∧ 　　　　　ﾉ ,　 //} ,/77　,
　　　　　 ,V∨/}‘，ヽ　込〉　　 '　　〈ｨ　 ,∨ﾊ///
.　　　　　 /　　V/ [ﾊ l ＼ﾊ〕ト　　　　ィ〔/,／ |∨,〉^　　 ,
　　　　　 /　　　 //ﾊ} 　|＼i{ﾆ≧=≦ﾆ}／| 　i|//∧
　　　　　　　　　〈///,!　i|　/ 　 /{ }∨ ∧ |　 i|∨/∧　　　，
　　　　 ,　　　　　　￣ｉ|　ｉ|‐=ﾆ二二二ﾆ=‐i|　 i|　￣
.　　　　　　　 ‐=ﾆ二二|　/二ニニニニﾆﾆ∧　i|二二ﾆ=‐
　　　　,′　 f二二二二{ /＜⌒{　　 } [　＜∧ i!二ニニニ}　　,

.
423： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:37:39 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　「”しょうがないわねぇ”」

　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
.　　　　 / : :/: : : /.:/ : : : : : : ／: /　　　　 //　　　　　 }: : : : : : ∧
　　　　　　.: : ;: : : :/.:/: : : : : :／_/_/_　　　　// 　　　　 {: : : : : : :.∧
　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ　　　　　　「”もしもし、ミーナよ。
.　　　　 : : :{　 /:./V　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｰ' / //　.}: : / 　 |
.　　　　　 : : :|　{.: .ヽ|　　　　　　　　　　　　　｀¨ 　 ,　　.|: /.　ﾍ|　　　　　　　　　　　どうかしたの？ミオ”」
.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
　　　　　　｝: : : ｀ー= 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
.　　　　　　｝:.Ｖ: : :∧::::Y:..､　　　　γ⌒　ーy 　　　ﾉ
　　　　　　　｝: :Ｖ.: :.∧:::|. . ＼　　｀　　一 ′　　イ
.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
　　　　　　　　＼　 ∨ : ∧　　　: : :/ }: : : : /∧ : ∧￣|　　|　/　　/￣￣）
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　,.． ----　．,
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、　　丶､/
　　　　　　 ,.'::::::::::::::::::::､::::::::ﾍ:::::＼＼　　./ヽ／
　　　　　　 /::::::::ﾄ;:::::｀､:::::＼::::::〉､::::::ゝ　　　／ﾍ_, ．
　　　　　 |::::／:|ﾍ;;;_,＞三'／　／∨　　　　　"´i
　　　　　 i:/-‐┤￣r´/:::/ ｝　ﾒ气
　　　　　人;::::: :|　　∨::/,ノ　　ヽ　ヽ｀ヽ
　　　　　　 {:: : ｛￣ヽ､ /'￣　┌―‐┐　}
　　　　　　 |::: : ヽミ'_,./｀ヽ､　 ‘､___,ノ　/
　　　　　　 |::::::: :| ｀￣ﾞﾞ''‐ﾍ, ｰ―┬‐‐'　　　　　　　　　　　　　　『”なに、異国の地で奮闘する部下を激励しようと思ってな”』
　　　　　　 |::::::: :| 　./＝＝i￣￣ゝﾊ===ﾍ
　　　　　　 |::::::: :|　/　ヽ.　　　　　　＼o　丶
　　　　　　 |::::::: :|./　　ﾍ　　　　　｀､　　ヽ
　　　　　　 |::::::: :/　　　 ∧　　　　　　｝　　ﾉ
　　　　　　 |从,'/　　　 ∧　　　　　　　 /o 　∧
　　　　　　　 ./ 　　 .,ｲ　∨　　　　　　i　　　i .ﾍ.
　　　　　　　＼　'´ ＞．.Ｖ　　　　　　',.　　ﾊ,,∧
　　　　　　　　　　＼　　　｀〉､.　　　　 ',o 　 ∨}　　　　　　　　　　　　　　『”どうだ、やるやらは役に立っているか？”』
　　　　　　　　＼＿／　｝=＝　　 ', 　 =ﾍ!
　　　　　　　　　　 {《ﾍ}_／　　　　　 ',.o　 ∧
　　　　　　　　　　　　｀￣/ 　　　　　 /! 　　 |
　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　　 //| 　　 |
　　　　　　　　　　　　/￣￣￣￣￣Ⅵ//￣￣i´

.
424： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:37:56 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:　　　　　　　　　『”ええ、とても助かってるわ。
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!　　　　　　　　　　　　　ああいう人物たちに行き会えたのは
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　非常に幸運だったと思うわ”』
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　----
　　　　　　　　　　　　　 ,　 ´ :::::::::::::::::::::::::: ｀丶
　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　 / : :::/::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::ﾍ／｀､
.　　　　　　　　　 /:::::::/:// :i ::::: i :::: |::ｉｉ:i::::::i::::ﾊ:::::::i
　　　　　　　　　 i:::::::/|::|:| :::|::::::::|ｉ:::: |::||:|:::: |::::: i:::::::!
　　　　　　　　　 |:::::/ |::|:| :::|::::::::||:::: |::||:|:::: |::::: |ﾍ:::|
　　　　　　　　 | :::{ ,,|;;|;;___|::::::::||:::: |::||:|:::: |:::::::! ゞ:!
　　　　　　　　　 }-､!r――‐｀ﾐ／　 ,.斗‐┴＜ﾐ:::}　　　　　　　　　『”それはなによりだ。
　　　　　　　　　｛ﾍ|| 　／:::／｝　　イ示}ﾞﾞｱ　j!ﾍ
　　　　　　　ヽ. ||!／:::／　,ﾉ　　弋;;ｿ ′/|!. ｝　　　　　　　　　　　　あの二人、いつまで捕まえておける？”』
　　　　　　　　 |::ﾞ|!'!`ｰ一 '"　　　　　　　 / .lﾚ′
.　　　　　　　　　　 |:: | ﾍ　　　　　 '　　　　　 /- '|
　　　　　　　　|:: |::: |ゝ　　ｰ　一　　ｲ　　|
　　　　　　　　 |:::::::: | 　 i　､　　．＜
　　　　　　　　 |:::::::: lr＜l　　｀¨´ |i
　　　　　　　　 |::::::::ノ　　｀ｰ┐ ｒ'´|
　　　　　　　　 ,．＜. 　ヽ､　　∨　/ ｀ﾍ≧z ､
　　　　　　 ,．＜　＞'ﾞ´　　　　　くо　　　　　　|
　　　　　／二二´　　　　　　　　｀､　　　 / !
　　　　 |´ 　　｀ヽ　i　　　　　　､　　　 Ⅵ
　　　　 |　　　ﾍ　∨　　　　　　　　　｀､　　　＼
　　　　 |　　　　､ !: .　　　　　　　｀､　　　､
　　　　 |　　　　　 |: :.　　　　　　　　　　　' о　　｝
　　　　 |:.　　　　 | : : .　　　　　　　　　　 } 　　 /
　　　　 |:.　　　　::.　| : : : : : . 　　　　　 /　　／

.
425： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:38:29 ID:Y56IqXDA: .　　　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　ﾟ｡. .、
　　　　　　. .＼　　　　 .　 -‐━‐-ミﾟ. . ＼
　　　　　　 . . . ＼ .......................................｝. . . .
　　　　　　　. . ／..........................................＼__ﾉ....＼
　　　　　　　.......................ﾄ､.........＼...................................
.　　　　 /................/l....|　　...........ﾟ｡ ................................
　　　　 /................/　....|　　＼.......ﾟ...........＼ ................　　　　　　　　「”いつまでって、仕事のお邪魔できるのは今日までよ。
　　　　　′..../.......′ |...|　　　__丶 ................ ﾟ｡..............|
.　　　 ......../........___　|...|　 ´ 　　＼{、..... |..................|　　　　　　　　　　　　明日の朝には彼らは京都を離れるわ”』
　　　　 ....../.....´｛　　､{　　　 ≫=ミ＼...|＼〉..........|
　　　　 |.. ′.... ｛ｘ=ミ　＼　　″ト{:::心. }ハ |^ ........|
　　　　 |..｛l......... 《ト{:ﾊ　　　　　　Ｖこﾂﾉ′....|ぅ｝......|
　　　　 |..八 ... ハ　vツ　　　　　　 , , , ,　　｝..|ノ........
　　　　 |′　..｛........　' '　 ′　　　　　　　 . ｝..|......... ′
　　　　　　　　И..人　　　　 _　　　　ｲ. ｝..|.........
　　　　　　　　　　个...　　 ´　　　／｛. ｝.ﾉ.......｛
　　　　　　　　　　　 |.......＞　 _ .　　　__」................｛
　　　　　　　　　　　 |.....|.........r‐L.　 ´　　＼ ....... ｛
　　　　　　　　　　　 |...∧....ノハ　　　／::::::::::.........｛
　　　　　　　　　　　 |/ ／x介ｘ.ﾟ｡_／:::／⌒⌒ヽ..｛
　　　　　　　　　　　 | ｛　《_ﾊ_}}　/:::::/　　　　　 .｛
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
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　　　　　　　　 , '::::::::::::／/:::/::::::::/::::::::::|::::::::|i:::::::::ﾍ:::ヽ
　　　　　　　　　　 /: : ::::::〃 /:::/::::::::/::::::: :/|:: : ::||:::::: : ﾊ :::::.
　　　　　　　ｉ: :::::::::::/　　,..ニニﾆニ､／｀ﾞﾞ'-!!:::::::::::::｝:::::i
　　　　　　　 |::::::::::::::i　 /　　／::／　i　　　　-‐-､ }ヽ、:!
　　　　　　　 |: :::::::::::|.　|　／::／　　/　　　 ___,,,_　,::::::::/
　　　　　　　 /´ ｀＼::!　乂 ::／　／　　　 ´|::i{|`ﾘ'"´
　　　　　　　　　 {　/ﾍ.　ﾍ.／　｀''‐‐''´ 　　　　 {_ｿ '/
　　　　　　　＼　ゝ_ ∧　　　　　　　　　　　ヽ　　 !　　　　　　　　　　　『”京都を離れる？なぜだ”』
　　　　　　　　　 |::＼ノ＼.｝　　　　　　　　　　　　　　}､
　　　　　　　　　 |::::: :＼::ﾍ　　　　　　　　(￣} 　　丿｝
　　　　　　　　　 |:::::::: |　ヽ}　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　|:::::::: |. ／| 　　．,　　　　　／
　　　　　　　　　 |::::::::::|　　|　　　　 i` ''‐- ´
　　　　　　　　　 |::::::::::|　,. |　 ,‐‐-　 i,_
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　　　　　　　　　 |::::::::::i／ ∨ 　　-‐‐＝≠ﾆニ≡≡=-､
　　　　　　　　　　．＜´''　r'´　　　　　　　　　　　 /　　ﾊ
　　　　　 ,＜＞'ﾞ´　　 |О　　　　　　　　　　 / 　　　　｝
　　　　　　　i　{ﾍ　　　 /　　　　　　　　　　　 ,'.:. 　　　|
　　　　　　　| ／　　　 , '　　　　　　　　　 /: :. 　　　|
.　　　　　／　　　　 ,.'　　　　　　　　／i : :. 　　　 |
.　　　　 , '　　　　　 ,.'　　　　　　　　　　　 ,.'　,'　: :. 　　　 |

.
426： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:38:52 ID:Y56IqXDA: 　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|　　　　　　　「”なぜって……彼らにも仕事があるんだもの、
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/　　　　　　　　　　　　当り前じゃない”」
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
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／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
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　　　〃i::/ 七卞l!:::::::l!ヒﾆi}:::|;;;;;|
　　　　 |:;へY´ /::/'Y´　下丁! L:i
　　　　 |:|δﾍ,/::/_ノ　､　凹i.´ | 〕　　　　　　　　　　　　　『”ふむ、そう言われればそういうものかもしれんな。
　　　　 | '-' }､￣　　　　　 /V
　　　　|:::::| | ＼　 ,　､　　／　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし、あの二人、特に美筆のほうは手放したくないものだ”』
　　　　|:::::| |　　＞;―,へ'´　　　j
　　　　 |:::::| _,,,....{´Ⅴ〈/´＼
　　　　 |:::厂、　「o´ {彡　|≧‐､
　　　　 ∨　y　　/　　ル-'ﾍ.／ |
　　　 / i /　　/o 　 ∧　　 ∨ .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　『”あれほどガイドが適任な男はちょっと見つかるまい”』
　　　/　 i{　　 {　　　 ∨ 　ﾊ .|
　　〈　｀∧ 　 ', o　　　＼　 ' /
　　　 ∨ ´ヽ| 　 |　　　　厂´

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427： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:39:13 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　 _,.　．．． ,_
　　　　　　　　　　　ィ::´: : : : : : : : : :｀ : .、
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.　　　　　 /: ::/|: : ://　　　　　_|-──＼: : : :'i:i
.　　　　　{: ::/::|:-:7Τ￣　　　　　ィャュ,_＼: : ::|　　　　　　　　　「”それには同意するけど、どうしようもないじゃない”」
　　　　　|:::/|: |: :/ィ{:下ヽ　　　　弋::::ｿﾉ　 N: :|
　　　　　|/　|::|::∧弋:ｿ　　　　　　　｀´　　 //ハ|
　　　　　{:　ﾊ|:|ﾍ,|　　　　　、　　　　　　 /イ::/ :!
　　　　　　　　{:|: :ﾍ　　　　　　　　　　　 /: :|::/
　　　　　　　　　|i : |＼　　 `ー ´　　／|: ::|:,'
.　　　　　　　　　|:| ::|:::::::iy 、　　ィi::::::| ::|,'
　　　　　　　　　 |:|: :|:::::/入　￣　 | |;:::|: :|
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　　　　　　　　_,ｒ┴i: |::::＼/::::::i介i::＼/:| :|
　　　　,...ィ二二／::|::|＼::::::iミミi=iミミ!:::| :|二ヽ、_
　　　 /::::::::::::::::::::::: |::|:::::＼／:iﾐ!||iﾐ!:＼||::|::::::＼__i:┐
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.　　　　　　　 /:::::::::: //:::ｉ:::::::::::::ﾊｉ::::::ｉ::|､::ｉ::::::∨:::ﾊ
　　　　　　　 ':::::::::::: |:||::::|::::::::::: | |:|::::::|::|.|::| ::::::ﾊ:V :!
　　　　　　　　|::::::::::::/|:||::::|::::::::::: | |:|::::::|::|'|::| ::::::: ||:Ⅵ
　　　　　　　　|:::::::::〃-‐=＝＝=┘ｰ,―‐ >‐…‐ ､|: }:!
　　　　　　　　l::::::: 〃 /'　　/:::/　 Y　　 .イﾃ〒'>/:/　　　　　　　　　『”ミーナも高評価を出すか。
　　　　　　　 >―┤ {　　/:::/　　 |　　　 |ｉ: ｄ 'λi'
　　　　　　　　{　(.　|　‘､./:::/ 　／　　　　｀¨´　ﾊV　　　　　　　　　　　　　　それならどうだミーナ、やるやらの二人、
　　　　　　＼ヽ.|)　 /'‐--‐'　　　 ,　　　　 !ノ.｝
　　　　　　　　　　T:|:ｰ〈.　　　　　　　　　　 /　/　　　　　　　　　　　　　　　　　こっちに引っ張ってこられないか”』
　　　　　　　　 | ::::::::i＼　　　　ｏ　　　ｲ
　　　　　　　　 | ::::::::| 　丶、
　　　　　　　　 | ::::::::| ＿.| 　＞-＜
　　　　　　　　 | ::::::::||　　＼　　　 ,!＞
　　　　　x≦三三三三　ヽ.　　￣l　/ 　 |＿＿＿＿_
　　　　/　｀､　　　　　　　　＞ .　 ∨　／ﾍ三三三三ヽ
.　　 /　　　 ',　　　　　　　　　　　くО　　　　　　　　ﾊ
　　 /　　　　 i　　　　　　　　　　　　',　　　　　　＼ /　!
　厂￣´　　　|　/　　　　　　　　 ',　　　　　　　　＼｜

.
428： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:39:32 ID:Y56IqXDA: 　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ　　　　　　　　「”はぁ？”」
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
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　　　　　／ : :::::::::::::::::ｉ:ｉＶ::ﾍ::､::::::::::＼
.　　　 /:::: / : :ｉ::::::::::::|:|::∨:ﾊ:ﾍ::二ニﾍ
　　　　/:::: //:::::|::::::::::::|:|::::| ::::|:::∨ｰ=ﾆﾊ
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　　　 |:::::::|:|:::::::|:::::::;::::ｌ:ｌ.斗-┼‐' ゞ:::: : :|
　　　 | :::＞―　.／　 '´,ｨﾁ乞了　｝::＿/　　　　　　　　　　『”ガイドだけではなく、ほかにもいろいろとものの役に立つ奴らだ。
　　　　 ∨ /　ﾍ　　 V ツ　 / ,ﾊ. ﾊ
.　　　　 {∨　　ﾉ　　　　　　　 { ﾉノ/:::|　　　　　　　　　　　　　　引っ張ってきて手元に置くに限るだろう”』
　　　　　 ∧ﾊｰ　　 '　　　　　　 _,ノ::::::|
　　　　　 {.　人　　　- 　'　　　 .ｲ | : ::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　'| 　 !::::::::::|
　　　　　　　　＞‐＜.＿｣|　 | : ::::::|
　　　　　　　　　 |｀Y´　　ﾉヽ !::::::::::|
.　　　　　 .　＜＞ヽ.|　　／　 '＜＞ :!
　　　 r＜＞　´　　 /ｏ　　　　　｀＜＞‐┐
　　　 |ﾍ　 /　　　 /　　　　　　　　　　　　　ハ
　　　 | ﾊ／　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　 |.:/　　　 /ｏ　　　　　　　　　　|　　/　　|

.
429： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:39:50 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　「”冗談はよしなさいよ”」

　　　　　　　　　／　　　　　＼: : :|　!: 、　　｀ー‐ ..:.:.　　＼:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : :
　　　　　　　／　　　　　　⌒ヽヾ:.i　i:.:.:＼＞'⌒ヽ:.:.｀ヽ: : : : ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞'´
.　　　　　　／　　／　　　／　　＼{　{＞》''`ー‐‐-＼:.:.:.＼: :..: :.｀ ‐ : :.:.:.:.:. :イ.:.:.:.:...＜
.　　　　　 { 　　（　　／／￣入ヽ V/　　　　　　ｒ‐-.....､｀ヽ:.ｰ‐-＜´: : . . . ..＿
.　　　　　 |　ヾ:::::ﾐ）　 .:{　　 ,ニ、 i　 lX　　　　　　　　 Y,ヘﾔミ.､ヽ::.､　　｀ー‐ｒ― ７⌒
　　　　　　 !:　 ::::::/　　::|　　/::　ゝ'　 !　＼　　　　　　　!!　 {{:::!!:ヾｖ/ﾊ　　　　 !ヽ :（
　　　　　　　|　::::::/　　八　ヽ　（　　　　　　＼　　　　　　　　ｒ'::ﾘ::::ハヾ:::.. 　　 !:.:.:.: :＼
　　　　　　　|　:::/　　　　＼＼ﾉ　　　　　　　ヽ　　　　　　＼::_/　　ヽ.ノ　　|:.:.: : : : :＼
　　　　　　　| ::/　　i　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:i:.:. : : : : :＼
　　　　　　　|/　,:::　ﾍ　　　　　　＼　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　　　　 _＿ｊ:人: : : : : : : :
　　　　　／:.ノ:人　ヽ.　　　　　　 Y⌒ヽ　. ´　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　ｒ≪´/:.:.:.:.＼: : : : : :
　　　,.. : :´: :く　　　｀　　ミﾐ、　　　　　／､　　　　　　　　　　　　　　　　 {ﾟ/.》'_:_:_:.:.:.:. ＼: : : :
.　　（: : : : : : : : . . .　　　　　`＜　　／´ 　＼　　　　　　　　　　　　　　 ∨´　　｀ヽ:.:.:.:＼
.ー一｀ミ: :_: : : : : : ..、　　　　　｀　＜:.:ヽ＿　　ヽ　　　　　　　　　　　　ノ＿ __
::::::::::::::::::::::＼＞ﾄ､: : : : : ..　　　　　　　｀ヘ:.:.｀＞---: : : : : : : : : :ニﾆ=ー-　,′　　｀ヽ
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.　　　　　　|::::::/ .|: :::::|: ::i|:|::::::::::::::||: :::||: :::::|　ゞ::::|
.　　　　　　　 i:::::/二ニ＝= .,,,／　 ,.．‐'''"´　　ヾ::::}　　　　　　『”なにをいう、私は本気だ”』
　　　　　　　　!:::::{　　／::::／ i　　　 ,.イ弐i}ﾞ"ｱ　}::::i
　　　　　　　　〉ﾍ}i.／ ::／　 /　　　弋;;;ｿ .´　/||ﾍ
　　　　　　 { ヽ||ゝ．',,,..．'　　　　　　　　　　 ,'ﾊ||/
　　　　　　　　ヽ､||:ﾊ　　　　ヽ　　　　　　 ,'〆||
　　　　　　　 |i'‐ﾍ　　　 ┌‐―┐　　　 ∧|　i|
　　　　　　　　 i|　　＼　　ヽ __,ノ　　 .／ : :|　|!
　　　　　　　　　　|　　　　丶,　　　　 ,．i´: ::::::::|　|
　　　　　　　　　　　　　 |. ＞-＜ |__.!: : :::::::|
　　　　　　　　　　　　　　|￣￣ﾍ　/´　｀| : :::::|
　　　　　　　　　 ,,..．-i´ﾞ`丶、　 |　i　, 　'"〉‐- ．
　　　　∧¨ﾍﾞ´,.．-‐'''"　　　　　／　　　　~"''‐ ．｀"''- ．_

.
430： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:40:11 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　『”うちの出版社もこれからどんどん変化していかざるを得ないからな。

　　　　　　　　　　　　できるやつは一人でも多くほしい”』

　　　　　　　　　　　　　 . : :´::￣￣￣￣::`丶、
　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　 .:::::::: /;:::::;::;:::::::::::::::::::::::::∧::::::::ﾍ
　　　　　　　 /::::::::://:::/'/::::::::::λ:V∧:::∧:／:ﾊ
　　　　　　　　　｜＼:// :: ||:| ::::::::: | |:::lVﾊ:::::∧:／:|
　　　　　　　　　｜ヽ/!:!::::: ||:| ::::::::: | |:::l:|::::|::::::::|ゞ: :|
.　　　　　　　 |ﾍ::| |:|:::::::||:| ::::::::: | |:::l:|::::|::::::::|ヾ::ｌ|　　　　　　『”条件面のことは、私の権限が許す限り
.　　　　　　　 ∨:{ ｀≧ｭ､、‐─┘.斗ヒT二丁}::/
　　　　　　　　冫| /　／:／Ｙ´　　 '"i兀i}ア/-{　　　　　　　　　最大限考慮する。
　　　　　　　　　　{ﾍ|.{／:／　ﾉ　　　　弋ツ　,'|∨
　　　　　　　　　ヽ.| ﾍｰ--‐ '　　　　　　　　 /!|/　　　　　　　　　　　今の彼らの暮らしむきはどうか知らんが、
　　　　　　　　　 |. ∧　　　　　'　　　　　　/‐'|
　　　　　　　　　 | 　丶　　ー一　　 .ｲ|.　|　　　　　　　　　　　　　　それよりいい思いはさせてやれるはずだ”』
　　　　　　　　　　　　　＞　　　　　イ::: l:|
　　　　　　　　　　　　　　 ,⊥≧≦ ⊥! :: l:|
　　　　　　　　　　　　　　｣　　 |/　　 |:::::l:|
　　　　　　　　 ,.　-=≦/　　｀　｢O　　　　ﾍ≧ｭ.､、 _
　　　　　　 r＜＞　' ´　　　　　 | 　　　　　｀　' ＜＞┐
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　i: : : : : : : : ／:' : : : : : : : :.:/:.:/| | | | | | | | | | | | |!:.:!| | |ヽ: : : : : : : : : : : : ';; : : : : : : !
.　 i: : : : : : :, ',:': : : : : : : : :., '/:./| | | | | | | | | | | | | | !:.i| | | | |ヽ: : :ヽ: : : : : : : ﾍ: : : : : :.ｌ
.　 !: : : :.:., ',.': : : : :, ': : :., '|.|/:/| | | | | | | | | 八| | |__| !:ｌ | | | | | |ヽ: : ヽ: : : : : : :.ﾍ: : : : :ｌ
　ｌ: : : :.//: : : : :, ': : :, 'u| |,':,' | | |_,..-' | | | | | |ヽ ´ ｀ !:ト=...___| | | |ヽ: :ヽ: : : : : : ',',: : : :.!
.　 !: : //: : : : :,.': : :./-===!ム=≦---、| | | | | | | | | ||:ｌ‐‐＝__｀二¨¨ヽ: :ヽ: : : : : :',:',: : :ｌ
.　ｌ: //: : : :.,.'/: : /__x=‐十‐-≧、| | | | | | | | | | | | | i:! |／¨_____¨ﾞﾞﾞ＞x; :ﾍ: : : : : :i:.',: :ｌ
.　 V/': : : :/:/: : //'　　 r'¨¨㍉㍉| | | | | | | | | | | | |!'/　 /!´　｀ヽ　　’i〉; :',.,: : : : :!,:,:.i　　　　　　『”なんで私がヘッドハンティングしなきゃ
.　/ Y: : :./:./: :∧i!　　　i!　::::::　i!　 !| | | | | | | | | | | | | !　 i!　::;;::　’　　 i!'ﾍ: ',〉: : : :.!','!
　　ｌ:.:.:./,-/: /| | i　　　i!　:::i!:　,,　 ! | | | | | | | | | | | | |!　 i!　:::i!:　,,　　 ,'∪',: !'ﾍ: : : i∧　　　　　　　　　いけないのよっ！”』
.　　|: :/ { .,':./u.　＼　 ‘．弋'' ,,’ /　　　　　　　　　 ‘.　i!　ゞ'　/　 , '　　.∧',　'; : :|'　ｌ
. 　 |:∧ ∨:.ハ　　　｀　 _ヾ =ノ／　　　　　　　　　　＼ヽ-_彡　´　u　/　',| .∧: |
. 　 |/　ヽ|:/ 〈 !　　　　　￣　　　　　　　　 u　　　　　　　　　　 /}　／ ∧:|
. 　ｌ　　 'ｌ:ト、ヽ!　 o　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　u　　　　/ﾉ／／: /'ｌ
.　　　　　|',: :.ヽ ',　　　　　　　　　　　　｀　　　　　　　　　 j 　 ,'´_.ィ:´: : ,'
　　　　　　‘; : : ヽ　　　　 u　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i‐': : : : : :,'
　　　　　　 ’: : :ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : : : :,'

.
431： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:40:29 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　 . 　---- 　.
　　　　　　　　 .　 ´: : : : : : : : : : : : ｀　 .
　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
.　　　　 /ー==ニ二:/: :./: :/: : : :ｉ: :Ｖ∧V:｀
　　　　　 /二ニﾆ==-/: :./: :/: : :.:.:.|: : |V∧V ﾍ　　　　'
. 　　　 ,:ｰ==ニ二ﾞ;ｲ!: :.|: : ||: : : : ;|: : |:| : :|:|: : :.　　　　‐
　　　　 ';';:;::. ｀':＜/ ||＿|＿||: : : :/|: : |:|＿|:|: : :|　　　ヽ
　　　　∧;';';';:;:;: : /　´-―‐-｀`／　　'´ ＿_ 7一
　　　 i:: ∨;';';';';' | / 　／:::／ }　　 ,.イﾌﾘ/
　　　 |::::: Y´￣ﾍ!‘.,／:::／　 /　　　じ'∧
　　　 |:::::::ﾍ（〈 |　 >∠.. 　 ´ 　　　　 |｜　　　　　　　　　　『”いや、ミーナは割と二人に割と好感触を持っているようじゃないか。
　　　 |::::::::: ｉ:､＿| ./　　　　　　　　'　　　ﾉ｜
　　　 |::::::::: |;'| 　| ＼　　　　　　　_ 　 .　　 |　　　　　　　　　　　　　あの二人だって全く知らない人間よりも、この数日だけでも
　　　 |::::::::: |;'| 　　ﾊ.　 .　　 ´　／
　　　 |::::::::: |;'|rﾍ三二', 　＞　ィ／L..　　　　　　　　　　　　　　　　　　一緒に過ごした者からのほうがうなずきやすくなるだろう”』
　　　 |::::::::: |//´￣￣∧　　　／　/／＼
　　　 |:::::::: /｜,　　　ﾍ|/´￣　／　＼　丶.
　　　　|::::: /　li/　　　　.｣　　　 ´　　　 `'＜二＞-､
.　　　 !:: /　 /　　　　 |О　　　　　　　　　／　.
.　　　 |:/　 /　　　　 /　　　　　　　　　　ｉ　/　　 |
.　　　 /　 / 　　　 ′　　　　　　　　 /　/　　　|
　　　 /　ｲ　　　　 /　　　　　　　　　　　 |／　　　｜
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/　　　　　　　　　　「”ミオのいうこともわかるけど、
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '　　　　　　　　　　　　　　　　　　私は御免被るわ”」
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

.
432： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:40:41 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　 /≧=‐ｧｧｧｧｧｧｧ==s。
　　　　　　　　　　　ィi〔{　　　　　　　　｀''＜∧',
　　　　　　　　ィi〔　　/　　　｜　　　}　　 ∨∧ ,
　　　　　　 /　}　　　/ {　　　　 |　　　｜　　ﾏ/∧,　　　　　　　　　　「”ボス”」
　　　　　　 }　 !　　 {八　　　 :|　　　｜　　　∨,∧.
　　　　　 }　ｌ　　　ｌ　＼　　 :|　　　｜　　　〉 ∧ﾟ。
　　　　　 {　 |　　　| ―　＼　:|　才云} 　　 /　　 }
　　　　　　 l　 |　　　{ ,x笊ミ＼! /hj刋ｱ　％　/　/　 ‘，
　　　　　　 l　 |　　　} ゝ∨ﾘ　　　ゞ-'/　/{/_　　 /　　　＼
　　　　　 {　 |　　/∧〉　　,　　　 / イ :}//＼∧
　　　　八　:　　 {/込　　ぃ　　　　^/}　¨ｱ:＼/　　　　　　〕iト
　　　　　　　ヽl　　:l^　/:　r 、　　　,ィi〔/　 /＼　＼　　　　　　　　　〕iト
　　　　　　　　　＼ﾍ / 　ｌ/}≧≦　　/} ∠＼/:＼_/
　　　　　　　　 /　　{/.｡＜　／／ニﾆﾆ:＼　　　　　　　　　　　　　　　　＞｡.
　　　　　　　　　　 /　ィi〔　　／　/二ニニﾆﾆ∧　　　＼　　　　　　　　　　　　　　〕iト
　　　　　　　　　ィi〔　　＞ｱ　／/二ニニニﾆﾆ∧　　　　＼
　　　　　　ィi〔　　＞''´ﾆ/　〉＜　 {二二二ニニニ∧　　　　　＼
　　　　／　　＞_´／ﾆ〃／‐=　　ﾏ二二ニニニﾆﾆﾍ　　　　＼
　　　/　　／ /=/／　／　　　　　＼二ニニﾆﾆ} ∨∧　　　　　　ヽ
　　 /　／　 /=/　　/　　　　　　　　　ヽニニ二:/　 ∨∧　　　　　＼
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.　　　　　_/｀ｰ- :::::::::::::::::::::::::::::::::||::|:|:::::||:::::::::ｉ:::ﾊ
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　　　　　|::::::::|}:: ﾍ:::::::::::／´￣ﾍ　　　| 　/::/}{　　　　　　　　　　　　『”どうしたホライゾン、割り込んできて”』
　　　　　|::::::::|'､::::::＼::::{　（　( ﾍ　　,ﾍ./::/ 八
　　　　　|::::::::|　＼::::::＼＼. ゝ'　 }／　　￣　　>
　　　　　|::::::::| 　　＼::::::｀ｰ一''"/　　　　　　 /
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433： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:41:26 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　.｡＜／　　　　　/　＜　　　　｀＜///＼＿＿＼
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　|　　　 f　　　　　　 /　　 }　　　　　＼　　　　　　　　ﾏﾟ.　ﾟ。
　|　　　 |　　　　 /　　　 {　　　　　　　/　　　　　　 }　　　ﾏ}　　.
　|　　　 |:　　　　 /　　　　i　　　　　　 /　　　　　　 :i　　　 ∧　　}
　|　　　 |　　　　 :.　{:.　　|　　　　 /　　　　　　 |　　 / ∧　 !
　|　　　 |　　　　 {:　 i　　　|　　　　　/}: 　　｜　　　 :.　　　 / ∧　}
　|　　　 |　　　　i＿_|　　 !　　　　:/ :ｉ　　:|　　　 } l　　　　 /　＼!
　|　　　 {　　　　 |　/| ≧o｡　　　:/　 {　　 :　　　 :i {　　　　　　 /ﾟ.　　　　　　　「”聞いた話では、やら氏のほうは
　{ 　　 :.　　　　{㌣芹ミｔ､{　　　/　　i ≧=‐‐=ミｔ:/ :　　　　　 /　 }
　:.　　　ﾟ。　　　 i:ゝう//刈　　 /　　　％笊ミｔ､　,'　}　　　　　://}　　　　　　　　　　　　ボスの昔の恋人であったそうですが”」
　ﾟ。　　ﾟ.　　　 {:　乂こシ{ 　 ′ 　 / __）///云　/　　　　 ///　 l
　　 . 　　 : 　/　∧{ ｀¨¨´　!: /　　　　乂こシﾘ/　′ 　　 :/// 　 :}
　　　:.　/　 ∨ / :∧ヽ　　　ﾚ′　　　　｀冖冖"/ / 　　　:///　　:{
　　　 ∨ /:　∨ /: 人　　　　 ,　　　　　　 / /　　　　 ///　　　/ヽ
.　　　 ∨　　 ∨　 {/ﾍ　　　ｒ　,　　　　　〈 /　　　 ///{　/ :///
　　　　ヘ　　 {∨　i//!＼　　　　　　　　　イ／　　　／///// :/ゝ〈
　　　/ﾆﾆｌ∨ //:＼:!//／ヽ　　　　.｡＜/／　　　／|　辷辷辷,'　　|
　　 f二=!　}//////／/　{//爪/////／　　　／　 }////　　　　　|
　　　}二=! //////　／i:i:i:ｉ＼///{__／　　 .｡＜　　　:i///　　　　　 :|
　　　i二=| ∨///{　{i:i:i:i:i:i:i:ｉ｡o≦ /　｡o≦/}　　　　 |//　　　　　 |
　　　|ニ=|　∨ニ／:iｉ:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:￣/////:! 　　　 |二＼　　　　 |
　　　|ニ=|　 /／　　∨i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i://////|　　　　 |二二＼　　　 |
　　　|ニ=L＜　　　　 ∨i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{//////|　　　　 |二二二＼　　|
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　/　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　ゝ‐≦:! 　　　 |二二二二二}:!
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,　-‐‐‐‐-　,,　　　人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::｀>､　　　て
　　　　　　　　　　　　　　　　 , ' :::::::::::::::::::::::::::::::ﾐ/::::::｀､　　〈
　　　　　　　　　　　.　　　　 /::::::::::::,':::::::i:::::::::::::|/ ＼::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 i: ::::i::::::i::::::::i|:::::::ii::::i／ヾ::::::ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　 |!;;;;;| ::::|: :::::|!'''／彡--ｨ i::::::,'
　　　　　　　　　　　　　　　 |;iﾍY'　/::/｀Y 　 ' 回　 ir'ヽi
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ /::/　丿　　***　∂ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣ミ￣´　｀　 u. 　 /イ::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ.　イ＼　∠二ヽ／　 |:::::|　　　　　　　　　『”なんだと！？そんな話まで聞いたのか？”』
　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧ / 　,.＞,--,. イ／＞.|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　/　V j'´＞'´ヽ i／　　＼＼!
　　　　　　　　　　　.　　　/　　 V .y　　「o　　　{　>　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　人/ 　　,'　　　　 ∨ /　.|
　　　　　　　　　　　.　　　i　　　/　{　　　 | o 　　　 }/　　|
　　　　　　　　　　　.　　　∨ ／,＞ﾍ　　 ',　　　　　/i　　 |

.
434： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:41:52 ID:Y56IqXDA: 　　　/: : /: : : : : : :l／: : i:ヽ
　　/: :彡L: : 」:.／:」L: : :」: :l
　　l :彳＿＿Ｖ　　ノ　　ﾐ::l
　　l: :l/　//　.i　　 ――　ﾐ:l　　　　　　　　　『”いやまぁ、確かに昔そういうこともあったが、
　　l::八 //　丿　　――　l::!
　　rヾ/￣￣　　 ′　　　ハ　　　　　　　　　　　　　別に、だからどうこうというわけではないぞ”』
　 .,ゝ/　 U　　　　　　　　lメ、
　 l: :| ゝ　　　＝　　　ノ　　)
　 l: :l　　　　ェ -　ェ　　　　　　　　　　　　　　　　　『”あの時あいつから手を出されなかったから、いまだに私はゴニョゴニョ”』
　 l: :l　　　丿　| /　 |
　 l: :l/ﾆ二l　「~　　二ﾆヽ
　 l: ハ　　　　| Ｏ　　　　ヽ|
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　,. .- ‐ -. . .,
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|　　　　　　　　　「”聞いてないからそんなこと”」
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./

.
435： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:42:10 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.． ----　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　,　':´::::::::::,:::::::::::::::::`丶、
　　　　　　　　　　　　　／ :::::::::::::::::,':::::::::::::i:::::::ﾍ;::＼
　　　　　　　　　　　　　　, ':/::/:/::::::::::;ｲ:::i::::::::::|:::i::::::ﾍ : ﾍ
　　　　　　　　　　　 /::/::/:/,'::::::::/ ｉ::::|:::::::: |:::|:::::::::i:::::::',
　　　　　　　　　 /::/::/{:i::i:::::::::{　|::::|:::::::: |:::|:::::::::|ﾍ;::::}　　　　　　　『”あのなぁ、重ねて言うが、美筆のやつに未練があるとか
　　　　　　　　　　　　 {:::i::ｲ__,,,..．＜´,／　　''‐ ．｀ﾞ'' ､!　}:: |
　　　　　　　　　　　　ヽ､::i／´／::／ }　　　､,__｀"''‐- .i:: }　　　　　　　　　　そういうことじゃないのだ。
　　　　　　　　　　　　〉{.／::／　 i　　　　　　　　 /:::/
　　　　　　　　　　　｛/ﾍ／　_,,／　　　ミ===ゝ /|!}'　　　　　　　　　　　　　お前らだって仕事を任せられる人材が
　　　　　　　　　　　　　　|!､ } ￣　　　ヽ　　　　　　 / .|/
　　　　　　　　　　　　　 | 　‘､　　　 , --　､　　u.　/_,} |　　　　　　　　　　　　　　　　ほしいだろう！？楽したいだろう！？”』
　　　　　　　　　　　　　 | 　　＼　　|/　　 }　　　ｲ:-‐'ﾞ|
　　　　　　　　　　　　　　　　＼. `ー‐‐'　,.イ::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.ヽ､．＜..|　|:::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　 /￣￣￣|　.|＼|:::::::::|
　　　　　　　　　　／i三三三三‐‐--．.,,　|　.|　 }:::::::::|
　　　　　　　　　/￣｀i　　　　　　　　　〉´　　ヽ＝≠‐-､
　　　　　　 /　　 |　　　　　　　　　ﾍ.О　　　　　　　iヽ､
.　　　　　 /　,,...-┤　　　　　　　　｀､　　　　　　i　｝　.}
　　　　 ,.．‐''ﾞ´　　ﾍ　　　　　　　　　　　｀､　　　　　＼,' .ﾍ
　　　 ,./　　　　　　　 ∧　,'　　　　　　　　　　｀､　　　　　　＼∧
　．＜　　　 _,..．-'''"∧,　　　　　　　　　｀､　　　　｀､
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ　　　　　　　　　　　「”その辺は否定しようがないわね”」
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

.
436：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 23:42:21 ID:tRr9uTrg: やらない夫の「仕事はできるけど、他は面倒ごとばかり」
って強星の元に生まれてきたことはどうにもならないようだな
437： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:42:32 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　「”ともかく私はヘッドハントはやりたくないわよ？

　　　　　　　　　　　　　　　　　　恋人同士を引き離して恨みを買いたくないもの”」

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
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　　　　　　　　 ,．'''""~~""'''‐--‐・,''´
　　　　　　　　／:::,'::/::::i::::',:::::ヽ::::"::':ヽ.　　人
　　　　　　 ,.' :::::::i:/ii:::::|::i::l!::',::iﾍ:::＼:::i＼　　　て
　　　　　　　/:::::／ |!､|!::::|::|::i!:::iナﾍ;::::::ヽ､　　　〈
　　　　　　 |::::彡,.．-‐>丈ｿ .∠__,,,,,,ト- '"´
　　　　　　　|:::::| !　　/::/　i　'"´　　　|-､
　　　　　　 /l⌒} ゝ_/::/_,.ノ､ -‐'''"~ ﾄi }
.　　　　　 /:::{δ|／　「｀丶、__,,．イ　 |メ､　　　　　　　　　　　　　『”恋人！？やるやらに恋人だと！？
　　　　　/::: /`‐Ｋ　/　　　　　　　|　/ 　 ',
　　　 /::: /　　ｊ　へ._　　　　　_|,.'　　ｊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　いや、やる夫はないな！なら美筆に恋人か！？”』
.　　　 /::: /　　　　 .＿i' ‐┬‐'i＿
　　　/:/i/　　　 ,.:＜.　 i''‐'7‐‐'i_　｀丶､
　　　|//　　.／ゝ,./￣　　',.o　　￣￣ ´＼
　　　| i 　／　　　/ 　　　 '.,　　　　 i 　　＼
　　　　／　　　　/ 　　　　 ',.o　　　 V.　　＼
　　　／　ヽ,　_,.イ　　　　　　 i 　　　　 }＼＿.　＼
　　　|　´￣ﾍi.　ヽ.　　　　　 /o　　　　/　　7｀ヽ　|
　　　|　　　 |　　　',　　　　 i　　　 i´　　 |　＼　|
　　　|　　　 |　　　 |　　　　　|.o　　　 |　　　 |　　　|
　　　|／￣｀ヽ､　 <　　　　.|　　　　 | 　　 |_,,.....,,_|
　　　/ヽ、＼へゝ /　　　　.| o 　　 | 　／,-､､､＼
　　　ヽ／￣　　 /　　　　　　 |､　　　　|. 　ﾍ/　 |,リリリ

.
438： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:43:10 ID:Y56IqXDA: 　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ　　　　　　「”ナチュラルにやる夫氏を貶めたわね”」
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
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／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
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＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
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　　　　　　 ,.　 ´￣￣｀　､
.　　　　　／::::::;ｲ:i:::::i:::::ﾍヽ::::ヽ
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　　　　　　{:::/!: : :| !ｉ|:: :||: :: ::|::| ﾍ:::}
　　　　　　i:::{ '"三`' ／　 "´｀ﾞヽ }::i
　　　　ﾍ;:i'´ /:::/ .｝　 z==ミ .｝/
　　　　　 { ﾍ./:::/ ノ　､　　　　 ,ﾞ~}　　　　　　　　　　　『”いやぁ、あいつは基本ロリコンだからな。
　　　　　ヽ,ﾊ￣　　　　　　"" i,Ｘ
　　　　　　　｛｀ﾍ.u　⊂ニつ　ｲ　｝　　　　　　　　　　　　　　恋人ができたとなれば通報案件だ”』
　　　　　　　＞．____,. イ::::|
　　　　　　　　 | ≧ ≦ |.|:::::|
　　　　　　　　 , ＜ヽ. ∨ ＜＞ i
.　　　　　 ,＜＞'ﾞ´　　i´o.　　｀ﾞ''＜＞､
　　　　　/　ﾍ.　　　 |　　　　　 /　　',　　　　　　　　　　　『”あれはあれで悪い男ではないんだが、恋人ということになるとなぁ”』
　　　　 | 　 /　　　 | o.　　　 ∨　 .!
　　　　 |　｛　　　 |. 　　　　｝　 .!

.
439： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:43:26 ID:Y56IqXDA: 　　　　　 /|!　　　　　　|　/　 |　　|　　　　　　|　｀ヽ　　　.! ￣ヽ
　　　　　/Y　　　　　　 ! .!　　|　　|　　　　　　 !　　.|　　　 |　　　!
　　　　/　,|　　　　　　 | ﾊ　 ,|.|　 |ヽ/ /　　　 ,! |　i |　　　 |　　　 !
　　　 /　/|　　　　　　 ||__!＿|_ヽ__!_ | /　　　/　|　| |　　　 | 　　 .!
　　　/　〈,.|　　　　　　 | |,.ヽ=r=ヾ|　!ｲ　　 ./|__/i　!.|　　　 | 　 |　|　　　　　　「”ミーナ、恋人とはあずささんのことでありますか”」
　　 ,'　　　＼､__　　　/ィi////cﾐヽ　 |　　/-_|ﾒ_|,A |　　　 .!　 ,!　|
　　,'　､　　　ヽ::ヽ　　 !| 弋辻り　　　|　/ ,.ｲ///ヽ!|　　　 .!　/|　|
　 ,'　　｀ヽ､ヽﾉ::::､ | ヾ |｀￣￣｀　　 | /　弋りc'| |　　　 ,!　,! | .!
　 ! ｀ヾ､　 _ 「:::::::::::::!! | i|　　　　　　　´ 　,　ゞ＝! !/.!　　/　/　| .!
　 |　　|ヾ､-'´::::::::／ヽ! |'､　　　　　　　　　　　　//i |　 /　/ 　! .|　　　　　　　　　「”ですが二人はまだ”」
　,!　　|:.:.:/ T-イ　　　　 | ヽ　　　　　--　　　　//　!　 /　/　　| .|
../　　/.:/　 /i　ヽ　　　　|ヽ　　　　　　　　　 ,ｲ/ 　　./　/　　 !/
'　　 !:.:|'ノ/iii|　　ヽ　　　､＼　　　　　　／ /　　 /　/
'　　//iiii/iiiiii,|　　　ヽ　　　ミミヽ､　　イ　　/ 　　 /　/
　　/iiii/iiiiiiiii|!　　　　,}､　　ヾ|三ミi｀ i　|　 /　　ｲ　/
　/iiiii/iiiiiiｲ /　　　　/ ＼　　ヾ三ﾐ|!　|　! /　　/ !|　|
,/　ヾﾐiイ //　　　　/￣￣ヽ　ヾ三|!　|　V　／　 !ヽ!
' 　　　 / //　　　 / !　!　!　!＼ヾﾐ!　 | /／　　 !|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　-‐-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : ..::::::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃: : : :..:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:l: ｌ: : .::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ﾊﾉ|: :::::::::ｌ::::::::::::|　　　　　　　　　　　「”恋人じゃないというのならもう少し自重してほしい”」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′.!|:::i::::::::l::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀!::|､::::::ｌ:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､.┴‐ ヽ:::ヽ::::::::|｀ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :ヽ: : : .:ヽ::::}:::::ﾊ:::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ｊ´....:::::i::::: .:::::::ヽ:ｉ::::l:::}:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　, -'イ: ::＼::|:/／::::::::从Vﾚ'::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　!: : ..::::::／ {´:::::::::::::::::::::::::l::::::::|　　　　　　　　　　　　　　　「”ひとり身がつらいのよ、あの二人見てると”」
　　　　　　　　　　　　　　　　　､_::::;.イ　　＼:::::::::::::::::::::::ｌ::::::′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 |　　　ヽ>::／::::::::::l::::::l
　　　　　　　　　　　　　　.　　　 ,'　 /! 　 ,ィ´,ｨ`:::::ー---:〉‐::〉
　　　　　　　　　　　　　　.　　　,'　 ,'　!　{::/〃::::::::::::::::::::::l::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　.rァ´(,ｨ=､_,〈 ! .l:::::{{::::::::::::::::::::::::l::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　..＼::::::::::::）:::）ヽ::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ¨¨￣　　 }:::::::::::::::::::::::::::/::::::::::ﾉ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ_二ニ＝―=ﾉ＼:::-‐ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｀ー-＝ゝ　｀ヽ'

.
440： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:44:02 ID:Y56IqXDA: ::::::||:::::::::|:::::::::::::::|| ::::::::::: |:|::|　|::|:|::::|::::::: |::| : |::::|::::|
::::::||:::::::::|:::::::::::::::|| ::::::::::: |:|::|　|::|:|::::|::::::: |::| : |::::|::::|　　　　　　　『”よくわからんが、そうか、そちらに恋人がいるのか……。
｀≧ｭ.､、|:::::::::::::::|| ::::::::::: |:|::|　|::|:|::::|::_,.斗:| : |::::|::::|
´￣￣￣／::／ヽ／　　　 _,. 斗ﾋ'"一 └i‐┴┴┘　　　　　　　　　　　うーむ、それでは難しいかもしれないな。
. 　　／::／　　｀.　　　／〃:::ヾ｀ヽ　 /
　　／::／　　　 i 　　　 {_）::::::l |　 '.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　恋人はドイツ人ということは”』
.／: ／　　　　　 /　　　　　Vﾍ:::ﾉﾉ　l! ′
:: ／　　　　　／　　　　 `ｰ‐'　　 λ　　　　　ぐぬぬ…
`ー―――　´　　　　丶　　 """" 　| '，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　ii
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　|!
＼　　　　　(二ニ==ニ)　　　　　　／　 ./
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　／: : :,: : : : : ﾍ: : : : : :ヽ: : ＼
　　　　　　 /: /／: : : :/ﾐﾍﾊへ: : : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　/: ／: : : : :/　　　 ';,　ヽ: : : : ﾊ: : ﾊ
　　　　　　 ,':/: :ｨ: : :.ｲ/　　　　 'i　　' ,: : : : ﾑハ
　　　　　　,7: : /: : : .ｲ　　　　　 |　　　' ,: : : :ﾊ : i
　　　　ﾑ: :ｲ: : :./_!'＿　　 ,」'-――ﾍ:ﾄ-: ∨,
　　　　　ｲ: /: :i-‐7'_」二｀　　　 '^≧示ｰ､ﾏﾍ : Y
　　　　　7:∧: |: :kｲぅﾊ｀　　　　　乂ﾟり　ハ∧: ',
　　　　 i:/　ﾚﾘ:ﾊ '弋ﾘ　　　　　　　｀´　　ハゝi　　　　　　　　　　　「”日本人よ。
　　　　　!'　　'ﾙﾊﾍ　　　､　　　　　 /／:ﾘ '!
　　　　　　　　ﾚ,:ﾍﾊ　　　　　　　　 /: : !/　　　　　　　　　　　　　　　　　というより、彼の従妹らしいわ”」
　　　　　　　　' ',: :ﾊ:ヽ　　　｀　 ´　　／/: ::ｲ
　　　　　　　　　ﾄ: :ヽ: :｀r　､　　 , ィ､: ｲ: : :|'
　　　　　　　　　 iﾍ: : ',: ハ　　｀　　ハ: i: : :.|
　　　　　　　 !: ゝ: <,へ＞､　 /..∧､!: :.:|
　　　　　　　　 , ≦ﾍ,: ﾊ／>> /iiﾍ. .ミﾊ,'; : !
　　　　rvrﾍ≦ =＝"ﾊ: ﾄ≦r三==三ミ. ﾊ: ト≧ ､_
　　　ﾊ. ﾍ' ´. . . . . . . 'ﾘ､>､ﾆｸ/iﾍﾊｰ'､∧:',. . .＜ハ
　　　,. . . .,. . . . . . . . . ﾚ' . . //∧ハﾐﾍ. . ',ﾊ. . .i. .i. .|
　　 /. . . i.∨. . . . . . . .ﾘ. . .ヽ/ . ﾊ.∨/ . . ゝ,. . ∨i. |
　　 i. . . . !. Y. . . . . . .,r‐ﾍ. . . . . . ﾍ0. . . .ﾄ. ､. . .､{. .|
　　 |. . . . | ｲ. r. ´. o. . _._ ｣. . . . . .i.|. . . . .'ﾄ､. . ≧､ |
　　 |. . . . .!.i. .レ. t. ‐7. . . | . . . . . |.| . . . . i. . ｀r=t.ﾍ
　　 |. . . . .i.',. .|. . {. . .i . . . ! . . . . . |.| . . . . |. . . }. . ﾊ｀

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441： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:44:23 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　,．: ' ""~~"" '　．
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::i＼:::::::ﾍ.
　　　　　　,'::::i::::::::::i::::::::::i:::::::::ﾊ／',:::::ﾊ　　　　　　『”ずいぶん血が近いな。
　　　　　 i:|:::| :::;;;;;|!:::::::::l :::::::i::|　 |:::::::}
　　　　　 |;ｌ::ｌY´ /:/｀Y´ 二二二 i:::::::|、　　　　　　　　　　　まぁ、一代くらいなら大丈夫なのか？”』
　　　　　 { 」. /:/　/　乂ジ '´　)r‐、i
　　　　　 ,ﾍ_|'ﾒ--‐' ,　　　,,,.　　i∂j:::|
　　　　　 ! _/ﾌ　　　　　 __　υ/┬´::::|
　　　　　　 i´,.'ヘ;､　「￣　丿／　.| : ::::|
　　　　　　 |　　 ,〕_＞┬┬''" ﾄ--､!;;;; ::|
　　　　　 ,.へ,　 |'"-‐''へii_,.-'"ヽ､＿/＼　　　　　　　　　　　『”しかし従妹か……、下手に他人よりも、
.　　　　 ∧　｀ﾞ7 /　　　i'o　　　　 / 　∧
　　　　 i　　 ∨/　　 / 　　　　 i/ 　 ∧　　　　　　　　　　　　　一方のしがらみが解ければもう一方も簡単にとけそうな気はするな”』
　　　　 |　　　 i {　　 ,'ο　　　　 }',.　　∧
　　　　 |　　　 |.ﾊ.　　 ',　　　　　　ﾊ　　　 ∧
.　　　＼__,.＞'´|　　 i.o　　　　 | ∨　　　 i
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
.　　　　 / : :/: : : /.:/ : : : : : : ／: /　　　　 //　　　　　 }: : : : : : ∧
　　　　　　.: : ;: : : :/.:/: : : : : :／_/_/_　　　　// 　　　　 {: : : : : : :.∧
　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|　　　　　　　　「”人のものほしがるのやめなさいよ”」
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ
.　　　　 : : :{　 /:./V　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｰ' / //　.}: : / 　 |
.　　　　　 : : :|　{.: .ヽ|　　　　　　　　　　　　　｀¨ 　 ,　　.|: /.　ﾍ|
.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
　　　　　　｝: : : ｀ー= 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
.　　　　　　｝:.Ｖ: : :∧::::Y:..､　　　　γ⌒　ーy 　　　ﾉ
　　　　　　　｝: :Ｖ.: :.∧:::|. . ＼　　｀　　一 ′　　イ
.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
　　　　　　　　＼　 ∨ : ∧　　　: : :/ }: : : : /∧ : ∧￣|　　|　/　　/￣￣）

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442： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:44:37 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿__
　　　　　　 , . :‐: :￣: : : : :.｀丶
　　　　　／: :./ : : l: :.ヽ:.ヽ : : : :ヽ
.　　　 /: : :./:l: : : |l.: :.ﾊ :ﾊヾ＿_ _ヽ
　　　〃: :./|l:|.: : :ﾊ: :: :ﾊ: :ﾊヾｰ--:ﾊ　　　　　　　　　『”……ところで、興味本位ですまないが、その従妹殿は美しいのか？”』
　　　ﾊ:.: :.ﾘ⊥ ￣／イ´￣｀　}ﾆ彡ﾉ:ヽ
.　　 {! L ﾊ　〃Y 　　　○　　､ Yr‐ ､:.:.ﾊ
　　　　　　}〃丿,　　　　　　〃.ぇ } }: :.:.l
　　　　　 ├‐'　　　　　　　　!　 __,ノ!: : : l
　　　　　ヽ　＿＿＿　　ィｸ＿　|ﾄ.: : l
　　　　　　　＞､　　　 ,　...::::|⌒ヽ.　|!ﾍ:.: l
　　　　　　　　　｀¨T:::: ＿,.ィﾞ!　　 l!　V::|
　　　　　　　　　　　｢V´　　 ,⊥-=＝ー戈{
　　　　　/ﾞﾞfニニｱﾞｲ｣ -‐ 彡'ﾞ¨￣／　　ﾊ
.　　　 / /　　　ヾﾉrぅ　　´　　　〃　ー---ﾊ
　　　r'ﾞ〃　　　／　　　　　　　〈　￣¨''ー--}
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　 _,.　．．． ,_
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　　　　　　 i::/: ::/: : : //　　　i|　＼:: : : :::ﾍ: ::!
.　　　　　　i/: ::/: : : // 　　　 :|　　＼: : : ::ﾊ:::!
.　　　　　 /: ::/|: : ://　　　　　_|-──＼: : : :'i:i
.　　　　　{: ::/::|:-:7Τ￣　　　　　ィャュ,_＼: : ::|　　　　　　　　「”ええ、きれいな人よ。
　　　　　|:::/|: |: :/ィ{:下ヽ　　　　弋::::ｿﾉ　 N: :|
　　　　　|/　|::|::∧弋:ｿ　　　　　　　｀´　　 //ハ|　　　　　　　　　　　きれいな黒髪と瞳をした人”』
　　　　　{:　ﾊ|:|ﾍ,|　　　　　、　　　　　　 /イ::/ :!
　　　　　　　　{:|: :ﾍ　　　　　　　　　　　 /: :|::/
　　　　　　　　　|i : |＼　　 `ー ´　　／|: ::|:,'
.　　　　　　　　　|:| ::|:::::::iy 、　　ィi::::::| ::|,'
　　　　　　　　　 |:|: :|:::::/入　￣　 | |;:::|: :|
.　　　　　　　　　 |:|; :|/:/＼ヘ.　　//ヘ;| :|
　　　　　　　　_,ｒ┴i: |::::＼/::::::i介i::＼/:| :|
　　　　,...ィ二二／::|::|＼::::::iミミi=iミミ!:::| :|二ヽ、_
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443： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:45:01 ID:Y56IqXDA: .　　　　　　／￣:/::::::／::::::::::::::::::::::/:::::/::::::::::|::|:|:::::::::: |:V::::∧::Vﾍ.
　　　　　 .'::::::::::/:::／:::::::::::::::::::::::::/:::::/::::::::::: |::|:|:::::::::: |::|V::::∧:∨ﾍ
　　　　 / ::::::: /／::::::::::::::::::::::::::::/|::::::||:::::::::::::|::|:|:::::::::: |::| | ::::: |Vﾍ:∧
　　　 |:::::::::: |::二ニ＝==一:::::/ |::::::||:::::::::::::|::|:|:::::::::: |::| | ::::: |:| :: Vﾊ
　　　 |:::::::::: |ヽー==＝ニ二〃　　＞＝＝=≧ｭ､::::::|::| | ::::: |:|:::::::|: |
　　　 |:::::::::: |∧＼:::::::::::::::::: /　　/　　　　/::::/　　Y´ 　 ,x≦丁:::::|: |　　　ｉ
　　　 |:::::::::: |:::::＼::>―く:: : {　　 {.　　　/::::/　　｜　　ｲ兀}`ｧ/｀ヽ|　　　 |
　　　 |::::::::::::V:::::::/ ,へ　ヾ::|　　 ‘､　　/::::/　　　丿　　 |li::ﾘ/厶イ　　　＿人＿
　　　 ∨ :::::: ∨:::| 　 .ノ）　| 　　 .へ/::::/ ..　　´　　　ゝ''　′　　　　　｀Y´
　　　　　∨ :::::: ∨ﾊ.　　（　｜　／　　　　　　　　　　 >　｜　　　　　　 |
.　　　　　 ∨ :::::: ∨ﾍ　､__）｜/　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　!
　　　　　　 ∨::::::::::＼:＼＿_／　　　　　　　　 _　　　　 /
.　　　　　 ∨ : ::::::::.｀ヽ、::::{＼　　　　　　　　￣　　ｲ
　　　　　　 ∨ ::::::::: ﾍ　＼ﾍ.　　　 .　　　　　　　　　／　|
　　　　　　　　 ∨ ::::::::::∧ 　ﾍ|　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　　　　　　　『”そうか、相変わらず面食いだなやつは”』
.　　　　　　　 ∨ ::::::::::∧ 　 !　　　　　　　 ≧‐く
　　　　　　　　 ∨:::::::::: ∧.__| 　　 ,.　-―┴―┐
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　　　　　　　　　 ∨::::::: |///∧/　　　　　　　 .|へ.
　　　　　　　　　　　　∨:厂＼l///　　--==＝ニ´　　≦三＞　.
　　　　　　　 .．＜＞////／　ノ　　　　　　　　　　　｀ ' ＜　＞　.
　　　　　　.．＜＞/´///////|　◯　　　　　　　　　　　　　｀　ｰ―一､
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　 ,.....:::::::::￣::::::::::::....,
　　　　　　　　　　　,..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　　　　　 /／::::／:::::ヘ::::::ﾍ:::i::::＼ヽ:::::::::,
　　　　　　　　　/:::::::::/:::::::/　　｀´　';::ﾄ::::::::ヾ!:::::::::,
.　　　　　　　　/::/::::/::::::/　　　　　　',::!' ;::::::::i::!:::::::i
.　　　　　　　 /:/::::/:::::/　　　　　　　　';:! ';:::::::i:::!::::::i
　　　　　　　 i::/:::::/:_/　　　　　　　　　',:!　',:_:::i!::!:::::!　　　　　　　　　　「”ほざきよる”」
　　　　　　　 !ｲ:::::!::::/￣ - __,　　､､_ -ｷ- ﾍ:::::i:!:!:::i
　　　　　　　 i!!::::ｲ::/　 _ニ=　　　　　_ニi!_..　',:::!:i!:ﾘ
　　　　　　　 ! !:::i!::!　´￣　｀　　　　 ´　 i! ｀　 ';!::i!/　
　　　　　　　　 i::i!:∧　　　　　　,　　　　　　　 ∧!:/
　　　　　　　　　i! !ﾍi　　　　 _＿＿__　┛┗ /ｲ:::/
　　　　　　　　　　 !::::ゝ　　　i　　　　.} ┓┏ｲ::::::/
　　　　　　　　　　 i:::::i!::::....、ゝ、 _ .ノ　...イ:::i!:::::!
　　　　　　　　　　　!:::i!:!::::i::_i｀　 -　´ﾄ､::::i!::!::::::i
　　　　　　　　　　　!::::i::!イ: :＼　　／: :ヽ:!::i:::::i
　　　　　　　　　 ,..-i::::!_ﾟ.ﾍ:.､ >: ∧: < /:/..ﾟ-i::::ト..､
　　　　　　　　　/ :-!:::!: : :ヽ／:介::> ./: : : : !:::!: : :,
　　　　　　　　 /: : : !:!: : : : : : : i!.||i!: : : : : : : :!::!: : : ;
　　　　　　　　{: : : : i!:_:_:_:_: : : :L!i!L!: : :_:_:_:_:_i::!: : : }

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444： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:45:45 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　 ,． '' " ￣ " ''　．
　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::',
.　　　　//::::::,'::/:::::::i:::::::::', ::::::ﾄ､:::::i
　　　　i::l!::::::il:::|::::::::|!:::::::::|i::::::|　V |　　　　　　　『”うーむ、そういうことなら涙を呑んでやらない夫のやつはあきらめるとして
　　　　|:il:::::::|i::i!::::::::i!:::::::::}|:::::|　 i:::|
　　　　　〈､Y'´/::/Y　__,,... ．-‐ ﾍ｀l　　　　　　　　　　　どうだミーナ、やる夫のほうだけでも”』
　　　　　人,i /::/,ノ　　=-‐‐'　夂,/
.　　　（　ﾍ￣　 ,　　 ""　 /|:::::|
　　 ι　 ,===ヽ、 ,　　､　 .イ====､
　　　　　i　ﾍ￣ヽ｀'ⅴ'' ´ ／￣￣ﾞi
　　　　　| 　 V　　「o 　´ 　 ∨ 　 |
　　　　　|　 /　　 /　　　　　　|　　|
　　　　　|.ﾍ{　　 i o　　　　　 }/　 .|
　　　　　|　∧　　', 　　　　 |　　 |
.　　　　 | 　∧ 　 io　　　　/　　 |
　　　　 |　　 |　　|　　　　 i 　　 |
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　＿＿__　_＿
　　　　　,　: : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　／: : : : : : : : : : : :ﾐ: : : ヽ: :＼
　　,: : : : : : : /: : : : : /゛゛"ﾍ: ﾄ; : : :＼
　/: : : : : : :./: : : : : /　　　　l:| '; : :＼:ヽ
　l: : : : : : :/: : : :l: :, 　　　　l:!　∨: :,＼:i
　!: : : : : :/: :l : : |: ;　＿.ノ　 l:ﾄ､_」: : l　.}!
　 :.: : : : ;: : :| :,斗:f´＿　　　}!,ｪ､ l:.ﾄ;|
　 l:: : : :.j: :,.ｲ: /ｨ:f 7ﾊ　　　　 ifi} l:ﾉj!
　 l:: : : :j: /､|:.;　ゞ弋ﾘ　　　　乂 {　　　　　　　　　　　　　「”あの二人を引き離すのだって
　 l:: : : :|:《ゝ|:l　　:::::::::　　　　　　:::
　 l:: : : :ﾚ:＼|:!　u　　　　, 　-､　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　相当難しそうなのわかってるでしょ、付き合い長いんでしょ？”」
　 l:: : : : : : : .;ﾄ､　　　　(　　ﾉ／
　　: : : : : l: : : :|　｀　　‐-　／:|
　/: : : : : :l: : : :ｌ＼　　　,: : : : :l
　ー- ､; :_,ﾍ.: : :, 　ﾊ　「￣ﾊ:.l
　　　　　＼ヾ: :.∨ | 　ゝ、| .l:ゝ-一　､
　　　ヽ　　＼>､:ヽL,　　 Y .」: :ヽ　　　ﾊ
　　　　　＼l　　　}: :l　.>　ハ　ヽ; :.　　〃{
　　　ー―-ヽ　　l: :l　,'　　　ヽ.　l: :l　　　l
　　　　　　　 >　ﾚ′l 　　　　}.　∨/ 　　L
　　　　　　　＼　　|.　　(　/.　　/　　 / ﾉ
　　　　　　　　　＼　l　　 ∨　　/　　　 /
　　　　　　　　　　＼,l　　/　　/ 　　 ./

.
445： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:46:20 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿__
　　　　　　 , . :‐: :￣: : : : :.｀丶
　　　　　／: :./ : : l: :.ヽ:.ヽ : : : :ヽ
.　　　 /: : :./:l: : : |l.: :.ﾊ :ﾊヾ＿_ _ヽ
　　　〃: :./|l:|.: : :ﾊ: :: :ﾊ: :ﾊヾｰ--:ﾊ
　　　ﾊ:.: :.ﾘ⊥ ￣／イ´￣｀　}ﾆ彡ﾉ:ヽ
.　　 {! L ﾊ　〃Y 　　　○　　､ Yr‐ ､:.:.ﾊ　　　　　　　　　『”そうなんだよなぁ……
　　　　　　}〃丿,　　　　　　〃.ぇ } }: :.:.l
　　　　　 ├‐'　　　　　　　　!　 __,ノ!: : : l　　　　　　　　　　　　　あきらめたくないなぁ……”』
　　　　　ヽ　＿＿＿　　ィｸ＿　|ﾄ.: : l
　　　　　　　＞､　　　 ,　...::::|⌒ヽ.　|!ﾍ:.: l
　　　　　　　　　｀¨T:::: ＿,.ィﾞ!　　 l!　V::|
　　　　　　　　　　　｢V´　　 ,⊥-=＝ー戈{　　　　　　　　　　　　　　　　　『”どうしようかなぁ……”』
　　　　　/ﾞﾞfニニｱﾞｲ｣ -‐ 彡'ﾞ¨￣／　　ﾊ
.　　　 / /　　　ヾﾉrぅ　　´　　　〃　ー---ﾊ
　　　r'ﾞ〃　　　／　　　　　　　〈　￣¨''ー--}
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　.｡＜}
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　　　　　　 / ///!　　　　 {__廴_:/__　|:　　　 /　　:.　　　　　}　　 :i
　　　　 / /　/{　　　　 i,x芹ミｔ､ /: 　　 /　 l　}　　　　　ｉ
.　　　　 / f　 / ｉ:　　　　　㌣にじ(_　 :}　　 /云ミｔ､i　　　　 .: 　　 {
　　　　/　:{　＞｡.　　　　 { | 乂こｼ　 :　　/ んう㍉　　　　 /　　 /
　　　 / 　ｉ　　　 ∧　　　:i｜｀¨¨´　　} ／　乂ｼ /:　　　　/　　 /
.　　　/　　 {　＼　/∧　　 { :!:　　　／　'　｀¨^/　　　　 /　　 /
.　　 /　　　＼　 7//:〉　ｉﾟ。　　　　　　 ∧　　　 /　　　/
　　/　　　　　＼:/／ﾟ. 　 :|＼＼　　　こ　　 // 　　 /　　　/
.　/　　　　／　} ¨　　＼｜　　　　　　　／/　　　 /　　　/
　′　　　〉/77/　　　 / { ＼　　　　　　／　/　　／|　　　/　　　　　　　　　「”ボス”」
/　　　〈////　　　 /　}////ｧｧ＞＜　__ /　／　 :　　 /
　　　　　∨//　　　/　/≧o｡、//___}　／//}:／　　　} 　 /
　　　　　　 /　　　/ ／i:i:i:i:i／i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:＼///i 　　　 i ／
　　r====:/　　　/ } ＼ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ}￣:|　　 |　　　|
　 /二二/　　　//　　　｀＜i:i:i:i:i＞'"´　ﾏ {　　 |二ミｔ､
. /二二/　　　//　　　　　　　￣}　　　　　マ　　｜二二
/二二/　　／　　　　　　｀ Y ´　　　　￣ミｔ､二二ﾟ。

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446： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:46:45 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　 ,． ':´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
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　　　／::::::::::::::::::i::::::::::i::::::ヽ,::::::::::::::ヽ､:＼＼::::::::::::::::::::::::｀､
　　., ' /: :/:/:::::i::::|: :::::',:',::::::::丶:::::::::::::::｀､::｀､｀､_,,..．-‐ : ''"',
　 /　,'::::/:/:::::::{: ::|',:::::::',:',＼::::::',ヽ,::::::::::::｀､::｀､::',: ::::::::::::::::::::',
　,'　,'::::/:/: : ::,'|:::::| ',:::::::',:'.,. ＼::',　＼: :::::::｀､::｀､',::::::::::::::::::::::|
　i　i:::::ii::i:::::::::i |; ;;;|　ヽ;;;ﾍ;;ゝ,-''"~~~ﾞ"''‐．;;;ゝ;;;〉i ::::::::::::::::::::|
　　.|::::||::|,-'"~ﾞ"''‐．　／　　　,-'" _,,,,,,,,,,,,_　　ﾍ;:::::::::::::::::::::::}
　　.|::::|i;ﾊ, ／￣/::::Ｘ´　　　　 /´/弐ヽ｀ﾞﾞiｯ;,_ ヾ::::／￣ヽ::|
　　ヽ;|!　i　　 /::::/　 ',　　　　　 Οiii;; }　ﾘ' 　ゞ/ ／ヽ. ',|　　　　　　　　　『”うむ、どうしたホライゾン”』
　　　　 ',.　/::::/　　 i　　　　　乂;;歹　 '　　／ r'⌒',　　},
　　　　　 ',/::::/　　 /　　　　　　　　　 ,.'　　ﾍ　　/::',
　　　　　 i:::/ 　.／　,　　　　　　　　　　　 /　　 r'´_,ノ／::::::',
　　　　　／|'''''"´　　〈　　　　　　　　　 ,' 　 (　　／ ::::::::::::',
.　　　　 / 　i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:7´!:::::::::::::::::::::',
　　　　 i. 　｀､　　　　 ,.-‐‐-､　　　　　　　／|/　 ',::::::::::::::::::::::',
　　　　 |　　　＼.　　　 {_＿　_,.)　　　　　／　 |`丶, ',::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　丶.　　　　　　　　　　,．´　　 |￣ハ '.,:::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　｀丶、　　　　,.　'´ 　　　ﾍ,/　.|. ｀､:::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　 /｀'- ＜　　　　　　 /　　|＼ヽ,: : :::::::::::',
　　　　　　　　 _,.．‐'/　　　ﾍ　　　　　／　　.|　/｀ヽヽ;::::::::::::',
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　/　　:|　　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　ヽ　≧o｡
　　　　　　 ,′　/｜　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　　{
　　　　　　:.　　/　:!　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　 ′
　　　　　　f　 /　/l　　　　 :|:　　　 |　　 |　　　　 /　　 :|　　　　 !　　/
　　　　　　|／　〈 :{:　　　　 | ――‐┼‐､｜　　　 :/＿_ 　 }　　　 /　 /
　　　　　 {{　　ﾍ!:　　　　　㌣斧芋羽ﾐ　/!　　　 xzzzx　 /　　　 /　 /
　　　　　 : Ⅶ　　ﾟ，　　　　:ゝにf//(_　　 :|:　　/ん//} //: 　　 /　 /　　　　　　「”先ほどミーナはやらない夫さんとあずささんを
　　　　　: 　Ⅷ　　　ﾟ。　　　 | 乂//ツ　　:|: 　/ に/(　 ,′　　 /　 /
　　　　 / 　 Ⅵ　　 } ﾟ，　　　:|　　　　　人／　｀¨¨~ / 　　 /　 /　　　　　　　　　　　　恋人だと言っていましたが、今はまだ
　　　 /　 / ∨{//// ﾟ。　　 :!:　　　　　　　 ,　　　 / 　　 /　 /
　　　 / ％77/‐=≦{ 　，　　ﾟ＼　　　　　　　　ｲ　　 /　 /　　　　　　　　　　　　　　恋人未満であります”」
　　　／//////／＿___ ﾟ，　　ﾟ，＼　　　　｀　　　 /　　　％　　′
　　　∨///＞f//////{　ﾟ。　ﾟ，/:＞　　　　＜ /　　　ｲ　　:/
　　 / ゝ‐≦　:{//////ｉ　　，　ﾟ，///:＞＜≧o/　　／ ! 　 /
　　,′　　　 ≧=‐ミｔ､!　　ﾟ，　ﾟ，//{――///　イ　 {　 /
　 /　‐=≦: : : : : : : : : : ﾟ。　　ﾟ。　:}:. ＼／ゝ-,′/ :!: 　ｉ: /
　f: : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾟ，　　ﾟ，ｉ:.:.:./:.:.:.:.:} 〈／　 :　　 {/
　{: : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧　　}ヾ:／:.:.:.:.:/￣|　　｜￣＼

.
447： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:47:05 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ................
　　　　　　　　　　　　　. 　 ´:::::::::::::::::::::::::::::`丶、
　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　 / :::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ.:ヽ.
　　　　　　　　 /:::::::::::::: /:::// ::: ｉｉ､ :::::::ｉ::::::ｉｉｉ::::ｉﾊ::∧
　　　　　　　　　'::::::::: ／/:::/|:|::::::::|| |::::::::|::::::|||::::|:::|:|::ﾊ
　　　　　　 |:::::::〃　||:::|::|:|::::::::|| |::::::::|::::::|||::::|:::|:|:::||
　　　　　　 |:::::::〃　||:::|::|:|::::::::|| |::::::::|::::::|||::::|:::|:|:::||
　　　　　　 |:::::: ﾍ　/￣/::７ヽ.／　　--――:Ｌ｣:|::｣|
　　　　　　　　　Y´ ﾞⅥl　 /:::/ 　 l 　　イテi'''ァ/
　　　　　　　　　ﾍ（ { |ヽ/:::/ 　ノ　　　弋ソ ' λ
　　　　　　　　 |:＼__|/ ￣￣´ 　　､　　　 / |　　　　　　　　　『”なんと、そうなのか？”』
　　　　　　　　 |:::::::: |ﾍ.　　　　　　　　　 / ./
　　　　　　　　 |:::::::: |｀＼　　 (⌒) 　　ｲ
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　　　　　 /　//{　　　　　　{　　　　　　　　　　　|　　　 |
　　　　　　 ///|　　　　　　|　　　　 l　　　　 }
　　　 f　,'　/｜　　　　　 |　　|　　　|　　　　八　　　 |
　　　　 | /: 〈　:}　　　　　 |　　|　　　|:　　　　/　}　　　|
　　　　 |f:　　＼　　　　　　|　　|＿　｜　　　ム　{　　　 }　　　　　　　「”ミーナのいうことも一理あるであります。
　　　　 ∨　　 :＼　　　　 |￣八　 /}　　 /　 / 　　 /
　　　　}　＼　　＼　　 | / 　＼{ :　　 /}　/ }:　　 /　　　　　　　　　　　　あの二人は傍から見てれば
　　　　|　　　＼　　/}} 　 !rzzzzｱ　 }　 ,'ゞ^´}/　　 /
　　　　|　　　　＼_///}　 :{　　　　　 l／　　 ∧　　/　　　　　　　　　　　　　　　恋人にしか見えませんから”」
　　　　|　　ィi〔{///ｱ〈　　i　　　　　　 ---〈　　,′
　　　　|　〈__／l　　 ∨ 　ｌ　　　　 /　　　　 fﾆ/)
　　　　}/////} :　　 l∨　:|{≧s。　∨　　　 f二〈
　　　 / ゝ＜ //}　　｜∨ :!　/ﾆﾆ爪∨　　　ゝ--气}
.　　/　　 ////,ｉ　　｜/ﾍ }_/ﾆ／i:i:i:ｉ:∨　　　　 }ﾆ}={
　　/ 　　{///{^ !　　 |///ヘ /i:i:i:i:ｉ:ｉ:/ ∨===ァ/ﾆ/={}
　 /　ィi〔ニﾆﾆ:ﾍ　　: ﾍ////}i:i:i:i:i/＼　　　　　　/ //
　,′/二ニニﾆﾆ∧　 {　￣ /≧= {ニニ:ﾆﾆﾆ＞｡.=//
./　/ニニニニﾆﾆ∧　l/ ア　　　 /ニニ:＞ﾆﾆ＞＜〈
　　{二二二ニニﾆ∧ :}　　　　　/ニニ:/ｉ:ｉ/ｉ:ｉ}　｀＜＼
　　:二ニニニニﾆﾆ∧:!　　　 ,'ニニ:〈ｉ:ｉ/ｉ:ｉ/　　　　ヽヽ
　　 ∨ニﾆ二:〈　　 ∧　　　:/二ニニ7ヽ^　　　　　　ﾏﾍ
　/　 ∨=:〈ﾍ二∨　　∧　　 /二ニニ:/　 ',　　　　　 /}_∧
./　　　∨/　ﾍ二∨＿__}:　 /二ニニ:/　　 :.　　　　ィi〔/{=:∧
　　　 |=＼　〉二二二ニ/二ニニ:/　　　　｡s≦//////ﾆ=∧
　　　 |ニﾆ＼二二ニニ/二ニニ:/｡s≦//////}///／ニﾆﾆ:}
　　　 |ニﾆ二＼ニニニニﾆﾆ二////////////＞´{二ニﾆﾆi

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448： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:47:27 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　///// 　　　　　 /　　　　　　　　　　 {_
　　　　　　　　　　 / ∨^{ 　　　　　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　　　　　　 /　/　｜　　　　　 f　　￢-ミ,　|　　　 /　　　　 }　,
.　　　　　　　　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。｜　　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　　　　 /　/　　　　　　∨ﾍ　　 |　|乂i少　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　　 /　 {＼　　　　 ∨ﾊ　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　　 }
.　　　　　 /　　＼＼　　　 //,∧　ｉ|　|　　　　　　 vﾘ}/,　,　　 /　　　　　　「”ですが、オフィシャルコメントでは現在お互いフリー。
　　　　　　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　　 __　　从/　　 /　　　　　　　　　恋人同士とはまだ言えないとホライゾンは判断します”」
.　　　　 /　　/　　／///|⌒∧^　　　ｉ|　　　　　ゝ '　 % ,/　　,/
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/　　　|二二ニニニニニﾆl　　　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼

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　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ　　　　　　　　　　　　「”ちょっと、ホライゾン”」
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

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449： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:47:45 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　 /::: /:/::::::/: //::/ ::::::::::::: | |:::|:::::|: :|::::::Vﾊ::::::::::::: ﾍ
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　　　　　　' ｉ::::::|:|| :::: |::::| |::||::::::::::::::::::| |:::|:::::|: :|:::::::|::|| }::::::::::::::::|
　　　　 |::|::::::|:||=-┼┼-=､　　　　　,.斗‐七ﾅ≠=‐| |二ﾆ=-::|
　　　　 |::|::::::l'"´-――-　.　　　　　　　＿＿_　　　ゞ=ﾆ二:/
　　　　 |::|::::::l´ 　／::::／　｀Y　　　／灯心｀ヽ,_ ヾ::::::: /
.　　　　　　　 λ ／::::／　　　.　　　　　　|l::::::}:|　 /　冫―〈
　　　　　　　 |.ﾊ::::／　　　　 /　　　　弋__ソ　'　 / ／｀）|　　　　　　　　　『”……そうか、フリーか”』
　　　　　　ﾍ Ⅳ　　　／　　　　　　　　 / く｀ヽ /
　　　　　　　　ﾞ| }￣￣´　　　､　　　 """"　　　|　ノ　. ′
　　　　　　　 l人　　　　　　　　　　　　　　　　　 |(__／
.　　　　　　　　　 |　＼　　　　　　　　　　　　　　／|:::|
　　　　　　　　　丶.　　　 ´｀　　　　　 .ｨ:::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　. 　　 || :::::::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ＞-＜　　　　|| :::::::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　/￣｀l　　/￣￣￣￣|:::::::::::|
　　　　 ,ｘ≦三二ﾆ=-､　/　　 |.　/　　　　　　 |:::::::::::|_,. -=ﾆ二三≧x､
.　　　　/　　　｀ '＜三／ヽ　　｜/　　　　　　／￣￣＼三＞'"´　　　｜
. 　　 /　　　　　i 　　　　　厂　　￣￣　　　　　 ,　　　　　　 |
　　　/ 　　　 |/　　　　　　　/ ◯　　　　　　　　　　 /　　　　　 |
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　イ⌒丶.　　　　　＼////ﾊ＼
　　　　　　　　　 /＾ヾ|　　　　　　　､　　｀マ//ﾄ､　ヽ
　　　　 _,.　-‐／　 / |　　　　　ｉ　　　ヽ　　｀Ｔ爪　 :.
.　　　「　く′　 :i|｜　　　　　ｉ}　 .:.　ﾊ　　　ｉ| :|/》　 ::.
　　　　　 i　　　:i|ⅰ　　　　. :{{　: :}: .　|　　ｉ| :|//》　 ::.
　　　　　',　　i　　　i|ⅱ 　　 : : :}､: :_ｊＬ {_|　　ｉ| :ｌ　 /》　:::　　　　　　　　「”そう考えるであります、色ボケ”」
　　　　　　 i　　　|八 _　　　: :爪 /i} ∧|　　ｉ|/　　 /》 :::
　　　　 }ｉ　　i　　才＾ヽﾄ　　　: :ｋ七Ｔ六ﾄ､　　ｉ|　/　//　::{
.　　　　　{{ i 　 ,　 ‘ｋ七圦ヽ.　: :|　V匕ﾉi}'/ 　ｉ|　　//　　:|
　　　　　 Wﾍ　 ',　　:.　Vヒi}　､: :{　 ‘冖1l:i　　ﾘｃ //,、　 :|
.　　　　　 }} 人　::.　　:. ､¨´　　＼, 　　川　 /_∠∧∧　 |
.　　　　 {{　　ヽ ::.　　',ゝ　′　　　／ﾘ'　 /　/、 ∧_}　 l
.　　　　　 }}　　　 ', ＼　V丶. ｀　　 ,.ｨ7　ｲ　 ′＼＼＼
　　　　八　　　 }　 }ト＼　＞　イフ／l |:　ﾄ（　　＼_〉∧
　　　　　　　＼　ﾉ／}} 　｀丶　　斗n升}｜　 l　∟Ｌ _　　丶
　　　　　　／´　 ″ .:|　 }と7　ﾑｌj　Ｌ|　　|　|　　　｀　 .　＼
　　　　　　　　 /,'　,.ｲ|　.:　.′、　　⌒|　　| ｜　　　　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　 //: / /:| :/ .′ 　　　 ,|　　|　|　　　　　 }: .　　＼
　　　　　　　 //:　ｉ./ .:|/_厶ﾍrﾋ'⌒TT^! 　ｌ＾i|７、　　　 } : : .　丶＼
　　　　　　　　　//: :　l'　 / //∧从　人{八　 Ⅶ'　} 　　　 i} : : : . 　＼＼

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450： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:48:04 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　 _＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　,． '"´　　　　　　｀`丶、
　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
.　　　　　　　 , ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　 /:::::::/: ::::::::::::::::i:::::::::::::::::i:::::::::::', ;::::::::,
　　　　　　　 ,'::::::,ｲ::i:::::::i: :::::::|:::::::|i: :::::|::::::::::::| ゞ／}　　　　　　　　　『”ふむ、恋人同士ではないというのなら
.　　　　　　 ;::::::,' |:::i:::::::|i: : :::|:::::::|.|: ::i:|',:::::::::i|／ ::::|
　　　　　　 {:::::/ .|:::|: ::::||::::::::|:::::::| |::::|:| i::::::::||　ヽ:::|　　　　　　　　　　　　　やらない夫のやつをヘッドハントする障害にはならないな”』
　　　　　 |:::::,'　||::|: : :||::::::::|:::::::| |::::|:| |: :::::||　ﾐ:::|
　　　　　　 i:::::{ 二ﾆ＝=‐:.､,．‐''" ,.．-‐'''"´　　}:=:!
　　　　　　 /ヽ|{　　／:::／　}　　　"´　　　　./||ﾍi
　　　　　　 { ﾍ||!.／:::／　 / 　　ヽ===＝'"/｀||'/
.　　　　　　＼||ﾍ／＿／　　　　　　　　　 ,'／||'
　　　　　　　 |!＞,　　　　　ヽ　　　　　　 /:T'´|!
　　　　　　　　 | 　∧　　　．　､　　　 /:::::|.　|
　　　　　　　　　　　　｀　、　　　　　 _．＜ ::::::|　　　　　　　　　　　　『”……あれ？いま私のことを色ボケとか言ったか？”』
　　　　　　　　　　　　　　r<|＞.．．＜,|ﾇ1|::::::::::|
　　　　　　　　　　　　,．-|　≧i.　 i≦ 　 |.|::::::::::!
　　　　　　　　,.．-‐ゞ　 .＼　.|.／　　／/｀ﾞﾞ"i''‐ ．_
　　　 _,．‐'",.．‐'"　　／￣三三ミヽ,　　　　｀ﾞ丶、`丶、
　　 /´.ヽ＜　　　　／　　　　_,.二ヽヾV 　　　　＞._/｀i
　　 i. ∧.　　　　／　　　_／　　　｀ﾞ'‐ﾍ　　　　　　　 / 　|
　　 |　.∧　　　／　　 _．'//´｀＞．＿.　　＼　　　　 / 　 .|
　　 |　　∧　ﾊ.　　／ {_//　　i. 　　＼　　＼.　　./　　 |
　　 |.　　 ∨　＼／i　　　　　 |. 　　　＼　／｀ヽ、　　 |
　　 |　　　/ 　　＼|　　　　 |Ο　　　　　∨ 　　　＼　 |
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　|　　　　　|　　　　　|　　　　|　∨　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　 /ヽ
　|　　　　　|　　　　　|i　　-┼‐ ∨　　　　　 /----＜　　 |　　　　　 /　 }
　|　　　　　|ｉ　　　斗＜　 i|　 | ∨　　　 /|　　　/　ミｔ､,　　　　　 /
　|　　　　　|　　　　　|　　　　|　 |　 ,　　　　, ｜　 /　　　 ,　　　　　/　　 l
　|　　　　　|　　　　　|i ,x笊芋芥ﾐ　∨　　 ,　 !/芥芋笊㍉　　　　　　　　 |
　　　　　 {　　　　　| ゝ　)//刋　　 ∨　/　　　 )//刋 /,　　　　 //　　 |
　l ，　　　 , 　　　 | 　乂^)少　　＼i 　　乂^)少　,　　　　/{/ｌ　　ｉ|
　| ‘，　　　，　　　　,　　　　　　　　　 , ＼　　　　　，　　 / il/ｌ　　ｉ|　　　　　　　　　　「”聞き間違いでありましょう”」
　|　 ∨　　　'，　　从　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　 {/廴　/|
　|V/∧　　　'，　　入　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　　ﾏ//,/｜
　Ⅵ// ‘，　　，　　　|　　　　　　　　 O　　　　　　 ,　　　 /,∧ 　 ∨,/
　 ∨'　　　，　八　　 |　　　　　　　　　　　　　 /　　　/∧∧　　ゝ'　 |
　　ｌ　　　＼ } /＼　ｉ|　　　　　　　　　　　　ィi〔,′ 　 /!/∧∧　　　　i|
　　|　　　　 {／//l ＼!　　　 |ﾆ＞　　　　＜ﾆ| /　　 ‰ |//≧〈　　　 |
　　|　　　　　/////| 　＼　　 i|￣/　≧≦∧^｜　／　　〈///∧ 　　 i|
　　|　　　　 /////,'|　　　　 i|＿＿/二,∨＿_| ／　　　i| ∨//∧

.
451： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:48:24 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　 .　 ´::::::::::::::::::｀
　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　/: : // :::://!:::: ｉ::ﾊ::::: V::: ∧
.　　　　　 ′://::::::::|:| |::::::|::| |:::::∧V : i　　　　　　　　　『”まぁ、ミーナとホライゾンの捉え方の差だろうからな。
　　　　　 |＼l|:|:|:::::::|:| |::::::|::| |:::::|:::|.|:イ!
　　　　　 |ヾ:||:二二ﾆ└―┘´￣￣|/ |　　　　　　　　　　　　どちらにしてもミーナとしてはヘッドハントには消極的なのだろう？”』
　　　　　 ∨｣'´￣／ﾊ　　イ弐!７ !ヽ!
　　　　　 | |ﾍ／／ﾉ　　　 Vソ　.ﾍ /
　　　　ﾍ| ﾊｰ一　　　　　　　　 'ｰ|'
.　　　　　　 |｀人　　　 '　　　ﾉ　|
　　　　　　　　　 |::....　　 -
　　　　　　　　　 | :::: ||＞-＜|
　　　　　　　　　 |:::::｢￣ ∨￣ |
.　　　　　　 .．≦´∧＿/　_,.ノ ≧ ．.
　　　 r＜＞　´　　　｢o 　　　｀＜＞､
　　　 / ｉ　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　/ ｜
.　　　|　∨/　　　　　 |　　　　　 ∨ / |
.　　 | 　 /　　　　　　　 | 　　　　　 V　 !
.　　 ! 　 !　　　　　　 |o　　　　　 |: 　|
　　｜　 l: .　　　　　　　|　　　　　　　. :|/ ｜
　　 |　　 ', : : . .　　　. : | : : . . .　　. : :./ 　 !
　　 l　　 ∧: : : : : : : : : | : : : : : : : : : /／　|
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/　　　　　　　　　　　　「”そうね、前言を翻す気はないわ”」
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
452：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 23:48:35 ID:Cicegkxk: こわいです、ボス
453： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:48:49 ID:Y56IqXDA: 　　　　　 ,.　' ""~~""'　．
　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　/:::/i::::i::::i:::::::i::::::::i:::::i ::ﾍ
　　　　|:::/ !:::|::::|i ::::|!::::::l!:::;i ::/i
　　　　|:::i こ二戈i::::::l!斗l!亠l ::}
　　　　メi´　/::/｀Y´ ￣它アr‐!.　　　　　　　　『”ならば仕方ないな、いけ！ホライゾン！
. 　　 {δｉ､/::/　丿, 　　しﾉ i∂}
　　　ヽ∧/￣＿＿＿_　　/ﾍ　　　　　　　　　　　　　　ヘッドハンティングだ！”』
　　　　 j　＼　‘、　 .ノ　, ':|　j
　　　　　　＞,.こ__,,. ィi ::::|
　　　　　　　 |｀ヽv- '´|::::::|
　　　　/ﾆﾆ二´＼_,||_, 　'二ﾆﾆ.ﾍ､
　　　 i'＼　　　　　「o 　　　./　.|
　　　 | 　.〉　　　/　　　　　 / 　 |
　　　 |　/　　　 / o　　　　 .}/ 　|
　　　 |. {　　　 |　　／ir／￣｀ヽ |
　　　　| i´￣ｉ´ﾞﾞ" ''' ‐　!.,,,__,-ヽ'~ |
　　　　| |　　| 　　　　　　｀ヽ |
　　　　|.へ-'‐- __．..,,__　　　　　 /
　　　　ヽ- i' "´ | o　　｀ﾞ" ''i‐‐´
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　------ 、　----,....　　,　: : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　/二二二二ﾆ=‐ィi〔　　　　　}､.／: : : : : : : : : : : :ﾐ: : : ヽ: :＼
　　　　　　　　　　　　／ゝ‐ ´　/　　　　　　　　　 }　、.ﾞ: : : /: : : : : /゛゛"ﾍ: ﾄ; : : :＼
　　　　　　　　／ l　　　 /　　　　　　　　　　　 }　　≧s｡.,_.: : : : /　　　　l:| '; : :＼:ヽ
　　　　　　　　　　 ,　 /｜　　,/　　/　 / 　 l　　　　从　　　　　 }: :, 　　　　l:!　∨: :,＼:i
　　　　　　　　 /　〉 /|　　　 {　　/　 /　　｜　　　　/　　,　　　　｜ ;　＿.ノ　 l:ﾄ､_」: : l　.}!
　　　　　　　　　 ,　　 //　　　 i| 　ｌ≧s｡.,_　ﾊ　　　 ,　　　}　　ｌ　｜.ﾞ´＿　　　}!,ｪ､ l:.ﾄ;|
.　　　　　　　 /　　＼＼　 i|　　,x笊ミｔ /､ }　　 /- ､　i} 　 |　　 |.:f 7ﾊ　　　　 ifi} l:ﾉj!
.　　　　　　〈　　　ヽ＼ i|　ゝぃ/(　　　　 /云　　, 　ｉ|　　 |...弋ﾘ　　　　乂 {　　　　　　　　　　　　「”jud”」
　　　　　　　　 /∨ 　　　 }/{ |　　{ 乂少　　| 　 /い( 〉 /　　从　,....:::::::::　　　　　　:::
.　　　　　　　 ,　　∨　　　ﾉ/ﾑ八 |　　　　 | ／　Vｼ〈/　　 /　　/.u　　　　, 　-､　/
　　　　　　　　 ∨　　///∧　',＼　　　／　 '　　　,　　 /　　/.､　　　　(　　ﾉ／
　　　　　　 ,　　／/＜///＞´　∧　　　　　　 _　　　八　/　　/...:|　｀　　‐-　／:|　　　　　　　　　　　　「”judじゃないでしょ！”」
　　　　　　　,　 /　////|　　|ヽ　　∧　　　　　　　／　 / 　 /: : :ｌ＼　　　,: : : : :l
　　　　　　 /　ｱ77/,!／|　　|　＼ ,∧ト　　　　　　　　|　 ,　／....: : :, 　ﾊ　「￣ﾊ:.l
　　　　 / ‰//,'／　 |　　|　 /ﾆ＼ﾏﾆ≧s。／　　／,／　＼ヾ: :.∨ | 　ゝ、| .l:ゝ-一　､
　　　　　　　＼_／　　　|　　|　,　　　＼7ﾆ{ 　 |　　 |　|／ﾞヽ　　＼>､:ヽL,　　 Y .」: :ヽ　　　ﾊ
　　　　 / 　　　　　 |　　| /　　　　 /ﾆ=|,　 |　　 |　| 　　＼l　　　}: :l　.>　ハ　ヽ; :.　　〃{
.　　　 /　　　　 ‐==ﾆ|　　|二二≧_/二{}ﾊ〉 i|　　 |　|.....ー―-ヽ　　l: :l　,'　　　ヽ.　l: :l　　　l
　　　 /　　　ィi〔二二ニ|　　|二二二ニニﾆ＞｡.　　｜ |　　　　 >　ﾚ′l 　　　　}.　∨/ 　　L
.　　 /　　/二ニニニﾆ,|　　|二ニﾆ,二ﾆ=‐‐=ﾆ二≧s。.　　　　　＼　　|.　　(　/.　　/　　 / ﾉ

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454： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:49:30 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　／/|　　　　　　　|　／　　　　 |　　　　　　/　‘，　　＼≧s｡.,_＿
.　　　　　　　　　 ,　l/,'|　　　　　　　|／　　　　　 |　　　　 /　　　,　　　ヽ　　　　 }
　　　　　　　　　　　 l/,'|　　　　　　　| 　 | 　 l　　 |i　　　　 /　　　｜　　　　}
　　　　　　　　　 ,′,/⌒!　　　　　 | 　 | 　 l　　 |　　　　/　　　　i|　　　　 ,　　　 ,
　　　　　　　 /　,/　　|　　　　　　 |＿_|＿_l_　　 | 　　 /　　 /　 i|　　　 ,　　　/
　　　　　　　　 ,′ ,'｜　　　　　 | 　 | 　 l　￣ |　　　′__ / 　｜　　 ,
　　　　　　　　,　 /　〈　!　　　　　 ,x笊云示ﾐ {｜　 /　}　 ≧s,　,　　　/　　 /
　　　　　　　　　/　　　 ≧s｡.,___　　　ゝぃ{//(　　V!　,　　 ,ｨ云ミｔ､/　　/　　 /
　　　　　　　 ,　,　　　　　　^⌒〉,　　｜乂^)少　　 ,ノ　　に/(　ｶ　　 /　　 ,
　　　　　　, 〈＼　　　　＿}ﾊ　　 i|　　　　　　　　　　込少/　　 /　　 /　　　　　　　「”ミーナ……ミーナには
　　　　　　　　＼＼　　　〈///∧ 　 |　　　　　　　　　　　　^宀　,　　,′ 　 ,′
　　　　　　　　　＼＼__＞////ﾉ　ｉ|　　　　　　　　 '　　　　/　 /　　 /　　　　　　　　　　ホライゾンの気持ちがわからないでありますか”」
　　　　　 /　　　　／＼///,＞''´　　ｉ|　　　　　　　､　　　　　八　′ 　 ,
　　　　　 ,　　　　/　／/|⌒∨　　　 i| ､　　　　　　　　　ィ　 /　　 /
　　　　 /　　　〉77////!　　∨ 　　 ,　＼　　　　　　　 /　　,′ 　 /
.　　　　,　　　／/////／|　　　＼　　∧ﾆﾆ＞　　　　　　　 /　　/{　　 ,
.　　　/　　　∨///／　｜　　　　＼　∧二ニニ≧=≦ 　 ,′　八',　 /
　　　/　　　 ∨／　　　　　　　　　＼,∧　|二二| |　　　/　／ | 八,/
　　 /　　　　　 ^　　　　 |　　　　　　|　＼l　|二二| | 　　/／　　|　 /
.　　　　　 ≧=――-=≦|　　　　　　|　　＼ニ笊,| | 　／　　　 i|
　/　　　 /二ニニニニニ|　　　　　　|――┘=,{{}},{ {廴__|　　　ｉ|
./　　　 /二二二二ニﾆﾆ|　　　　　　|ニニニニし'二二ﾆ|　　　ｉ|≧s。

　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
.　　　　 / : :/: : : /.:/ : : : : : : ／: /　　　　 //　　　　　 }: : : : : : ∧
　　　　　　.: : ;: : : :/.:/: : : : : :／_/_/_　　　　// 　　　　 {: : : : : : :.∧
　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|　　　　　　　　　「”な、なによ、ホライゾンの気持ちって”」
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ
.　　　　 : : :{　 /:./V　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｰ' / //　.}: : / 　 |
.　　　　　 : : :|　{.: .ヽ|　　　　　　　　　　　　　｀¨ 　 ,　　.|: /.　ﾍ|
.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
　　　　　　｝: : : ｀ー= 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
.　　　　　　｝:.Ｖ: : :∧::::Y:..､　　　　γ⌒　ーy 　　　ﾉ
　　　　　　　｝: :Ｖ.: :.∧:::|. . ＼　　｀　　一 ′　　イ
.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
　　　　　　　　＼　 ∨ : ∧　　　: : :/ }: : : : /∧ : ∧￣|　　|　/　　/￣￣）

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455： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:49:45 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＞ミ　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦二ﾆ=‐　　　　≧s。　｡s≦ 　 }
　　　　　　　　　　　ィi〔 |二ﾆ=‐　　　　 /　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　〃　　ｉ|=,! 　　　　 /　　　　　　　　　　　廴
　　　　　　　　　／　| 　　　　　 ,　　　　　 |　　　　　 /　}
　　　　　　　　/　　／　　| 　　　　　f　　　　　 i| 　　　 /　乂
　　　　　　　 /　　,/　　 /i|　　　　　｜　/　　｜　　　 /} 　 ∧ ＼
　　　　　　　　 /　　　＼　　　　　｜,/￢-ミ., | 　　 /　,　　 } 　 }
　　　　　　 /　　/　　　　　＼　　　 ,x笊芥ミｔ､}　　 ,/　 i}　　 ,
.　　　　　 /　　 ∨　　　　　　ﾊ　　　ゝ hr:(　　 |i　／ヽｉ} 　 /　 /
. 　　　 /　　　 ∨　　　　　 }}　　　|　乂少　　,／　笊ﾐ ,'　 /　 /
　　　　 /　　　　 ∨　　　 r/,}　　　l　　　　　　 h( /　 /　 /
　　　　　　　　　　　ｱ、____,{/,'|　　ｌ　　　　　　 vﾘ,　 ,′ /　　　　　　　「”ホライゾンは、あのやらない夫さんを
　　　/　　　　　　ィi〔　　|∧ ⌒　　　 |　　　　　　 ' 从 /　 /
　　 ,　　　　　　ア‐==≦| 　, 　　　 i| 　　　　､　 / { /　 ,′　　　　　　　　　　　ほしいであります”」
.　 /　　　｡s≦,'//////,'|　∧　　　 |　　　　　　 ‰ Ⅳ
　/　　　 ∨,'////,'＞''´i|　　＼　　 |i　　　　　 /　　/　/
./　　　　　∨＞''´　　　 |　　　il＼　 !二≧=―く /　　/　/
,　　　　　　 ^　＿___　　 |　　　i|　＼!}}ﾆ}　　i|　/,　／}／
　　　　　γ二ニニﾆﾆ,| 　　　i|≧s。 }=,}__　ｉ| ,' ／
.　　　　　　{二二ニニニ| 　　　i|二ニﾆﾆ,{{{}　／
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|＜ ⌒ミｔ､く廴|_
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|　　　　　 }}　　ミｔ､　_
　　　　　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|　　＿＿_,}}　　　　 Y　＼
　　　　　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|ィi〔　　　　　〕iト　　 i}　　)K
　　　　　〈∨{ ∧二ﾆ| 　　　i|　　　　　　　　　　〕iト　 /　ﾊ
　　　　　 ∨, __∧二!| 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　〕iト }
　　　　　　／　　　 | 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　　　＼

　　i: : : : : : : : ／:' : : : : : : : :.:/:.:/| | | | | | | | | | | | |!:.:!| | |ヽ: : : : : : : : : : : : ';; : : : : : : !
.　 i: : : : : : :, ',:': : : : : : : : :., '/:./| | | | | | | | | | | | | | !:.i| | | | |ヽ: : :ヽ: : : : : : : ﾍ: : : : : :.ｌ　　　　　　　　「”え、何言ってんのホライゾン”」
.　 !: : : :.:., ',.': : : : :, ': : :., '|.|/:/| | | | | | | | | 八| | |__| !:ｌ | | | | | |ヽ: : ヽ: : : : : : :.ﾍ: : : : :ｌ
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.　/ Y: : :./:./: :∧i!　　　i!　::::::　i!　 !| | | | | | | | | | | | | !　 i!　::;;::　’　　 i!'ﾍ: ',〉: : : :.!','!
　　ｌ:.:.:./,-/: /| | i　　　i!　:::i!:　,,　 ! | | | | | | | | | | | | |!　 i!　:::i!:　,,　　 ,'∪',: !'ﾍ: : : i∧
.　　|: :/ { .,':./u.　＼　 ‘．弋'' ,,’ /　　　　　　　　　 ‘.　i!　ゞ'　/　 , '　　.∧',　'; : :|'　ｌ
. 　 |:∧ ∨:.ハ　　　｀　 _ヾ =ノ／　　　　　　　　　　＼ヽ-_彡　´　u　/　',| .∧: |
. 　 |/　ヽ|:/ 〈 !　　　　　￣　　　　　　　　 u　　　　　　　　　　 /}　／ ∧:|
. 　ｌ　　 'ｌ:ト、ヽ!　 o　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　u　　　　/ﾉ／／: /'ｌ
.　　　　　|',: :.ヽ ',　　　　　　　　　　　　｀　　　　　　　　　 j 　 ,'´_.ィ:´: : ,'

.
456： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:50:00 ID:Y56IqXDA: 　　　　　 /|!　　　　　　|　/　 |　　|　　　　　　|　｀ヽ　　　.! ￣ヽ
　　　　　/Y　　　　　　 ! .!　　|　　|　　　　　　 !　　.|　　　 |　　　!
　　　　/　,|　　　　　　 | ﾊ　 ,|.|　 |ヽ/ /　　　 ,! |　i |　　　 |　　　 !
　　　 /　/|　　　　　　 ||__!＿|_ヽ__!_ | /　　　/　|　| |　　　 | 　　 .!
　　　/　〈,.|　　　　　　 | |,.ヽ=r=ヾ|　!ｲ　　 ./|__/i　!.|　　　 | 　 |　|
　　 ,'　　　＼､__　　　/ィi////cﾐヽ　 |　　/-_|ﾒ_|,A |　　　 .!　 ,!　|　　　　　　　　「”ホライゾンは、あの人がいれば”」
　　,'　､　　　ヽ::ヽ　　 !| 弋辻り　　　|　/ ,.ｲ///ヽ!|　　　 .!　/|　|
　 ,'　　｀ヽ､ヽﾉ::::､ | ヾ |｀￣￣｀　　 | /　弋りc'| |　　　 ,!　,! | .!
　 ! ｀ヾ､　 _ 「:::::::::::::!! | i|　　　　　　　´ 　,　ゞ＝! !/.!　　/　/　| .!
　 |　　|ヾ､-'´::::::::／ヽ! |'､　　　　　　　　　　　　//i |　 /　/ 　! .|
　,!　　|:.:.:/ T-イ　　　　 | ヽ　　　　　--　　　　//　!　 /　/　　| .|
../　　/.:/　 /i　ヽ　　　　|ヽ　　　　　　　　　 ,ｲ/ 　　./　/　　 !/
'　　 !:.:|'ノ/iii|　　ヽ　　　､＼　　　　　　／ /　　 /　/
'　　//iiii/iiiiii,|　　　ヽ　　　ミミヽ､　　イ　　/ 　　 /　/
　　/iiii/iiiiiiiii|!　　　　,}､　　ヾ|三ミi｀ i　|　 /　　ｲ　/
　/iiiii/iiiiiiｲ /　　　　/ ＼　　ヾ三ﾐ|!　|　! /　　/ !|　|
,/　ヾﾐiイ //　　　　/￣￣ヽ　ヾ三|!　|　V　／　 !ヽ!
' 　　　 / //　　　 / !　!　!　!＼ヾﾐ!　 | /／　　 !|

　　　　　　　　,　　-―-　―-　、
　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　 /: : : : : : : /: : : : : /: : : : :／1;l: : : :
　　　,:: : : : : : :./: ／: : /: : : ／　　　|:i: : :.ヽ
.　　 l: : : :l : : /: ｲ: : : /: :.／　　　　 l:.ﾄ; : l: :
.　　 l: : : l : ,:／:/: : ｨ:＞く、　　　 /;! l: :l: : l　　　　　　　　　　　「”待ちなさいよ！あんたホライゾンじゃないでしょ！
　　 ; : : ﾚ:': : :/:／:; :/　　｀ゝ" 　/;ムｨ: /:ｨ:!
　　　,:／l: : : /个:.j:/cｨ≠ミ　　／　　l;ｲ:/,ﾘ　　　　　　　　　　　　　　ガワだけ同じで中身入れ替わってるでしょ！？”」
　　　∨:.l: : ;ｲi{,|:从!　　　　　　´　ｨｪ,ｲ:,/　″
　　　 l: :.|: /:.ゝ |!　　　　　　　　　j　〃
　　　ﾉ: : l : :|_:」ゝ　　　, 　-､　　 j′
　　/:: : : :l: :.|V 　＞､　(　　ﾉ　／
.　/: : : : : l: :.| ＼　　 /≧ ､ｬ:1´
. /:ｨ: : : : ∧:.|　　｀7l /　,ﾍ,: :斗‐≠ヽ
/:/,: : ;＞'　'; l　　/｜l /　ヽ: :|　 /　' ,
: ; x ´.　　　 ;:|ヽ/　.|　＼「￣ヾ:､　　ﾊ
　　　ヽ　　ﾘ　　　 >　　ヽ、　 }:l　　　 l
　　　　　＼　　　　 {　　　　j 　 |ハ　　 L
　　　ー―-ヽ_　　　＼　　 ,　　　/　　　ﾉ
　　　　　　　　 >　　　 } ＼{　　〃　　　 {
　ゝ　　　　　　＼　　|　　|　 / 　　　　∧

.
457： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:50:30 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　「”ホライゾンはあの人に仕事を押し付けて楽して給料がもらえるであります”」

　　　　/　　/　 /　　　　　　　　/　　　　　　|　　　　　　　 /　}　　　＼＞｡.＿＿_
　　　 / 　 /:　/　　　　　　　　/　/　　 / 　 |:　　　　　　 /　 :i　　　　　 }　　　　　 }
　　 / 　 /　/　　　　　　 {: /　　 /　　 :!　　　　　　 /　　 :　　　　ｉ　　　　 {
.　　/　　/　/{　　　　　　　　ｉ/ ＿_/　　　 | 　　　　　 /　　　}　　　　 |　　　　 }
　 /　　/　 :{ i　　　　　　　 {　　/　＞｡. {:　　　　　/　　　 :.　　　　 {　　　　 }
　,′　,′　＼　　　　　　ｉ ,x斧芋芋ミｔ､　　　　 /＿　　 {　　　　 } 　　　 /
./　　/　　　　＼　　　　　 :ゝに///:刈　ｌ　　　:/　　 7 　:ｉ　　　　　:.　　　 /
　　 /　　　　　　　ﾍ　　　　 {　| V///:Ⅳ　｜　　 /芹笊ﾐ　　}　　　　 /　　　　/
. 　/　　＼　　　　 }/}　　　 :ｉ　| ｀¨冖＜　　{　／　Kじう/　/　　　　/　　　　/
　 ∨　　　＼　　 //{　　　 |　{　　　　　　 i／　　込ｼ :{: /　　　　/　　　　/
. 　 ∨　　　　ヽ f//:i　　　 |　ヽ　　　　　　　 ,　　　　∧　　　 /　　　　/
　　　＼　　　　 }//:/　/　　 {＼___〉　　　　　　　　 ∧　　　 :/　　　　/
　　／　＼＿ ∠:／ ∨　　　}　　　　　　　 f　 )　　　　八　　　　/　　　　/
　/　／//　　　　　　＼　　i　　　　　　　　　　　　　ｲ　　　 /　　　　/
. 〉＜//:/　　　　　　　 / |＼:|　　　　　　　　　　　　　{:　　　／　　　　/
/////:/　　　　　　　 /　:!ｧｧ＼　＞｡.　　　　／　ｌ　i　　／{　　　　 /
/////{　　　　　　 //} :|//////≧=‐ ＞＜　＿:|　}　／　ｉ:　　　/
//／/}:　　　　　 ///i ≧=‐{__|/////}　} .｡＜//}　／　　　:　　／
//／ :ｉ　　　　　 / ＼:|i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:＼//‐=≦ ＼//:ｉ　　　　　 {　／|

　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|　　　　　　　　　「”ごめん、確かにあんたはホライゾンだわ”」
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '　　　　　　ﾎｯ
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ　　　　　-3
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「”よかった、安心した”」
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

.
458： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:50:53 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　 ,.　'"´￣￣￣｀ﾞ '　．
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　 /:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::ﾍ; :',
　　　　 ,': :::::::::::,'::::,'::::::::i: :::::::::|:::::::::::',::::',::i
　　　　 !:::::::::::;ｲ: ::i: :::::::|:::::i: :::|!:::::::::::i:::::i::|　　　　　　　　『”よし！では行ってこいホライゾン！
　　　　 |:::::::::/ !:::::|:i: : ::|:::::|: : ||:::::::::::|:::::|::|
　　　　　!:::::::/ .ｌ: ;;;|;|:::::::|:::::|:: ::||::_,.．-'''::|:;'　　　　　　　　　　　必ずややるやらをドイツに連れ帰ってくるのだ”』
　　　　　〉‐､|　Y　 /:::/｀Y 　　イ式i''''ｧ//
.　　　　 { ,ﾍ||　 !. /:::/　.ﾉ　　弋iiｿ. '.ﾊi}
.　　　　ﾍヽ||∨'ヽ∠．'ﾞ　　　　　　　 i/||!
　　　　｀'|!‐'､.　　　＿＿'__ 　　 /"|!
　　　　　　 i:|: :::|ヽ､　 !　　ｿ　／　 |
　　　　　　 |: :::::|∧|＞．　　　,　'´
　　　_,.．-‐''"ゞ/　｀''‐．｀ '''i´,.}ヽi''‐- ．..,,＿
　 /´ﾍ_,.．‐''ﾞ´　ヽ､　ﾍ,　/´/　｀''‐- ．..,,_ﾊ
　 | ﾍ　　 i　　　　｀' ‐-∨'´　　　　　　　 / ,ﾊ
　 |.　ﾍ.　 |　　,.ｲ´ﾞi.,_　　| o　　　　　　i　/,.'　∧
　 |　　ﾍ　|　/ /　/　iヽ､　',.　　　　　 ∨.　 / ∧
　 |　　　ﾍi　{ '　 ,'　/ / }　 ',　　　　　 ∨ /. 　∧
　 |　　 ', |　i　　　´ '　/.　　',　　　　　　 V 　　ﾊ
　 |　　　::. /ヽ､　　／　　 i o　　　　　　 }　　　 ∧
　 |　　　::/　　＞:〈ヽ,　　　,'　　　　　 /　　　/　}
　 |　　 /　　　　｀/　　 ,'　　　　　　／　　 i 　 |
　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_...　　　＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　_＿＿_　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣.￣　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　------ 、　----,
　　　　　　　　　　　　　　　/二二二二ﾆ=‐ィi〔　　　　　}､
　　　　　　　　　　　　／ゝ‐ ´　/　　　　　　　　　 }　、
　　　　　　　　／ l　　　 /　　　　　　　　　　　 }　　≧s｡.,_
　　　　　　　　　　 ,　 /｜　　,/　　/　 / 　 l　　　　从　　　　　 }
　　　　　　　　 /　〉 /|　　　 {　　/　 /　　｜　　　　/　　,　　　　｜
　　　　　　　　　 ,　　 //　　　 i| 　ｌ≧s｡.,_　ﾊ　　　 ,　　　}　　ｌ　｜
.　　　　　　　 /　　＼＼　 i|　　,x笊ミｔ /､ }　　 /- ､　i} 　 |　　 |
.　　　　　　〈　　　ヽ＼ i|　ゝぃ/(　　　　 /云　　, 　ｉ|　　 |
　　　　　　　　 /∨ 　　　 }/{ |　　{ 乂少　　| 　 /い( 〉 /　　从　,
.　　　　　　　 ,　　∨　　　ﾉ/ﾑ八 |　　　　 | ／　Vｼ〈/　　 /　　/
　　　　　　　　 ∨　　///∧　',＼　　　／　 '　　　,　　 /　　/
　　　　　　 ,　　／/＜///＞´　∧　　　　　　 _　　　八　/　　/
　　　　　　　,　 /　////|　　|ヽ　　∧　　　　　　　／　 / 　 /　　　　　　　　　　「”お任せください。
　　　　　　 /　ｱ77/,!／|　　|　＼ ,∧ト　　　　　　　　|　 ,　／
　　　　 / ‰//,'／　 |　　|　 /ﾆ＼ﾏﾆ≧s。／　　／,／　　　　　　　　　　　　　　　成功したらボーナスを要求するであります”」
　　　　　　　＼_／　　　|　　|　,　　　＼7ﾆ{ 　 |　　 |　|／
　　　　 / 　　　　　 |　　| /　　　　 /ﾆ=|,　 |　　 |　|
.　　　/　　　　 ‐==ﾆ|　　|二二≧_/二{}ﾊ〉 i|　　 |　|
　　　 /　　　ィi〔二二ニ|　　|二二二ニニﾆ＞｡.　　｜ |
.　　/　　/二ニニニﾆ,|　　|二ニﾆ,二ﾆ=‐‐=ﾆ二≧s。
　　/　　　{ニニニニﾆﾆ|　　|二＞　^⌒〈　　　 {⌒^＼ﾆ＼
.　　　　　|ニニニニﾆﾆ|　　|/　　　　　〈　　　i|　　　ヽ二}
. /　　　　i|ニニニニﾆﾆ|　　|　＼　＞　￣￣￣　　＜ ∧_|

.
459： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:51:44 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　「”それではミーナ、さっそく下着姿でやらない夫さんを誘惑するであります”」

　　　　　　　　　／/|　　　　　　　|　／　　　　 |　　　　　　/　‘，　　＼≧s｡.,_＿
.　　　　　　　　　 ,　l/,'|　　　　　　　|／　　　　　 |　　　　 /　　　,　　　ヽ　　　　 }
　　　　　　　　　　　 l/,'|　　　　　　　| 　 | 　 l　　 |i　　　　 /　　　｜　　　　}
　　　　　　　　　 ,′,/⌒!　　　　　 | 　 | 　 l　　 |　　　　/　　　　i|　　　　 ,　　　 ,
　　　　　　　 /　,/　　|　　　　　　 |＿_|＿_l_　　 | 　　 /　　 /　 i|　　　 ,　　　/
　　　　　　　　 ,′ ,'｜　　　　　 | 　 | 　 l　￣ |　　　′__ / 　｜　　 ,
　　　　　　　　,　 /　〈　!　　　　　 ,x笊云示ﾐ {｜　 /　}　 ≧s,　,　　　/　　 /
　　　　　　　　　/　　　 ≧s｡.,___　　　ゝぃ{//(　　V!　,　　 ,ｨ云ミｔ､/　　/　　 /
　　　　　　　 ,　,　　　　　　^⌒〉,　　｜乂^)少　　 ,ノ　　に/(　ｶ　　 /　　 ,
　　　　　　, 〈＼　　　　＿}ﾊ　　 i|　　　　　　　　　　込少/　　 /　　 /
　　　　　　　　＼＼　　　〈///∧ 　 |　　　　　　　　　　　　^宀　,　　,′ 　 ,′
　　　　　　　　　＼＼__＞////ﾉ　ｉ|　　　　　　　　 '　　　　/　 /　　 /
　　　　　 /　　　　／＼///,＞''´　　ｉ|　　　　　　　､　　　　　八　′ 　 ,
　　　　　 ,　　　　/　／/|⌒∨　　　 i| ､　　　　　　　　　ィ　 /　　 /
　　　　 /　　　〉77////!　　∨ 　　 ,　＼　　　　　　　 /　　,′ 　 /
.　　　　,　　　／/////／|　　　＼　　∧ﾆﾆ＞　　　　　　　 /　　/{　　 ,
.　　　/　　　∨///／　｜　　　　＼　∧二ニニ≧=≦ 　 ,′　八',　 /
　　　/　　　 ∨／　　　　　　　　　＼,∧　|二二| |　　　/　／ | 八,/
　　 /　　　　　 ^　　　　 |　　　　　　|　＼l　|二二| | 　　/／　　|　 /

.　 !: : : :.:., ',.': : : : :, ': : :., '|.|/:/| | | | | | | | | 八| | |__| !:ｌ | | | | | |ヽ: : ヽ: : : : : : :.ﾍ: : : : :ｌ
　ｌ: : : :.//: : : : :, ': : :, 'u| |,':,' | | |_,..-' | | | | | |ヽ ´ ｀ !:ト=...___| | | |ヽ: :ヽ: : : : : : ',',: : : :.!
.　 !: : //: : : : :,.': : :./-===!ム=≦---、| | | | | | | | | ||:ｌ‐‐＝__｀二¨¨ヽ: :ヽ: : : : : :',:',: : :ｌ
.　ｌ: //: : : :.,.'/: : /__x=‐十‐-≧、| | | | | | | | | | | | | i:! |／¨_____¨ﾞﾞﾞ＞x; :ﾍ: : : : : :i:.',: :ｌ
.　 V/': : : :/:/: : //'　　 r'¨¨㍉㍉| | | | | | | | | | | | |!'/　 /!´　｀ヽ　　’i〉; :',.,: : : : :!,:,:.i
.　/ Y: : :./:./: :∧i!　　　i!　::::::　i!　 !| | | | | | | | | | | | | !　 i!　::;;::　’　　 i!'ﾍ: ',〉: : : :.!','!
　　ｌ:.:.:./,-/: /| | i　　　i!　:::i!:　,,　 ! | | | | | | | | | | | | |!　 i!　:::i!:　,,　　 ,'∪',: !'ﾍ: : : i∧
.　　|: :/ { .,':./u.　＼　 ‘．弋'' ,,’ /　　　　　　　　　 ‘.　i!　ゞ'　/　 , '　　.∧',　'; : :|'　ｌ　　　　　　「”いやよ！やるならあんたがやんなさいよ！”」
. 　 |:∧ ∨:.ハ　　　｀　 _ヾ =ノ／　　　　　　　　　　＼ヽ-_彡　´　u　/　',| .∧: |
. 　 |/　ヽ|:/ 〈 !　　　　　￣　　　　　　　　 u　　　　　　　　　　 /}　／ ∧:|
. 　ｌ　　 'ｌ:ト、ヽ!　 o　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　u　　　　/ﾉ／／: /'ｌ
.　　　　　|',: :.ヽ ',　　　　　　　　　　　　｀　　　　　　　　　 j 　 ,'´_.ィ:´: : ,'
　　　　　　‘; : : ヽ　　　　 u　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i‐': : : : : :,'
　　　　　　 ’: : :ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : : : :,'
　　　　　 ‘: : : :ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: : : : : : :,'
.　　　　　　 ’: : : : :＞　　　　　＿＿___ .. -‐‐‐v‐- 、　　 , イ: : : : : : :.,'
　　　　　　　 ‘: : : : : : | : ＞　　 /´　　　　　　　　　　　　ヽ　＜: : :| : : : : : : '
.　　　　　　　 ’: : : : : :i: : : :i: :｀' - _　　　　　　 _..　イ: : : : :i:!: |: : : : : : ,
.　　　　　　　　 ',: : : : : i : : : i: : : : i :.',＞　_　_　＜　　.!- 、: : i !:.ｌ: : : : : :.!

.
460： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:52:13 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ| . ｒｆ7ハ || |｜　|!
　　　　　　　　　　　　　　＿_　　　i|　.{::::::::/ |! |｜　l!
　　　　　　　　　／{｀´. . . .／}ﾍ　il　 |:::::ｆ′l! |｜
　　　　　　　　　／｀Y´|. ../ / |. . } ‘， {⌒Yヽ　l! ! l　 ′
　　　　　　　　　＼　l. .|. .| /メ|. .ﾊ. .ﾊﾉ＼}　}、　 ′/
　　　　　　　　/. /ｰ . |. .|,ｒｯｧ|/ｒｧ/／　　 ∨ ヽ
　　　　　　　　 .f二7. . . ..|. .|　　　／　　　　　}ー }　　＿　＝
　　　　　　 .／. . . . ,ｒ―ｧ=ｧｰイ　　_　_ _ ＿}ー }ー=ｧ__-‐=
　　　　　　／. ／. . ..{ｒｆ彡ｰ'　　　　　 -=ﾆ二＾ー'-=ｧ{::::::::ミ ‐
　　　　／. ／. . . . . トｰｒ┬‐--=ﾆ　　　　　　　　八::::::ミ≠
　　／. . . . . . /. . .{二二アヽ=‐--=ﾆ　　　　　　 ≠‐-￣
　　/. . . . . .／/. ／ハ..}　ヽ.　　イ＿　ミ丶､　 ≠= ― -
　./. . . . ／　/. /　/. ..}/　　 ',　　{::っと}　｀ヾ ≠　-　―
　′. . ./　 ./ . ′　ｆ二二ア　',　 {ゞ=彡
. {. . . ./　　′{　 .／ヽ. 　 {. 　 ',_　ーｧ
八. . /　　 {. 八.〃:::::::廴__{　　ﾊ_ ｀Yﾐ
　　　　　 /　./.: .:::::::::::／ー-=ﾆ￣::..＼
　　　　　　 ./.: .::::::::／　　　　　｀ヽ::::::..ヽ
　　　　　　 /.: .:::::／　　　　　　　　ﾒ:::::::::.}
　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：52　自分の嘘を自分で信じるようになる末期症状.　　　　　　　＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　to be continued

　　　　　　　　　_＿_　_
　　　　 ,　'　　　　　　　｀丶、
　　　　, '　　　　　　　　　 ─ ＼
.　　　/　　　　 ─　ｕ　　(●) 　＼
　　 /　　　　　(●)　,　　ヽ ////　‘，
　　,'　　　　　////　'､_ノ-ｲ　　　｜
　　!　　u　　　　　　￣　　　 u　 .l
　　',　　 u　　　　　　　　　　 ./

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461： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:52:32 ID:Y56IqXDA: .　　　　　 ,.へ、　　　／⌒ ヽ.
　　　　　 /　　＼∠7: : : : : : :＼
.　　　　 /　／￣｀: : :／＼: : : : ＼
　　　　 {　/: : : ｢￣≧ﾚ√⌒ヽ: : : : :ヽ.
　　　　　∨: : : :.|:／　　　　　＼: : : : ヽ
　　　　　 ∧: : : :.|　　　　＿＿__,ヽ: : : : :',
　　　　　,':.: ヽ: : :|　　ﾉ　　｀￣￣　ヽ: : : : ',
　　　　 {: : : : : : |-≠'　　　　彡三ﾆミ: : : : ﾄ､
.　　　 ;l:: : : : : : ! yz三､　　　　　xxｘN : : : |: :',
.　　　 ,':!: : : : : : l {/　　　　 '　　　　　ﾚ|: : :|: : ',
　　　　; :!: : : : : : Ｎxxx　　　　　　ｧ　　 l: : :!､: :.',
　　　 i: ﾄ､ : : : :Ｎ } 　　　 {/ : : : :/　　 /ｌ: : |∧.:.:',
　　　 |: !: : : : : :! Vヽ.　　　｀　ー'　　,ｲ::l:./:|/∧: :',
　　　　Ｖ: :l: :l: : :ｌ　〉ー＞､　　　／::|:::l∧j.//∧: ',
.　　　　|: : lヽﾄ､: `r:､　　´￣⌒ヾ...:::::::::l ///////∧: ',
　　　 |: :.j､: : :＼|::::::＞=､＿＿ﾉ＿／ﾄ､///////∧: ',
　　　　 |: /: >=――‐| /ｊ rこﾊ　〉<ーｲ　＞＜////∧: ',
　　　　 |: :./　　　＼l {ﾉ｀¨¨ﾞ　{〉/　/ /　　　＜/∧: ',
　　　　 l: :{ 　　　　 ', V￣￣Yﾞ´　/ /_／　　　＼ﾊ: :',
　　　　 l: ∧　　､　　　Ｖ　　　 |ニ<_∧　　　 ,　　　 }ハ ',
　　　 l//∧　　＼　　/ 　　 .|＿__)　ﾄ､　　 /:　　　 ///j: :',
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　　　　　∨/∧ 　 / / 　　　 |　　　　　　ヽ: : .　{////!: : !
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　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
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　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：52　自分の嘘を自分で信じるようになる末期症状.　　　　　　　＿|┃
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　後編～

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　巛.4゛＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　⊂￣　ヽ,,
　　　　　　　　　　　　　　　O(((<ヽ　　 ~゛.-=ニニi
　　　　　　　　　　　　　　　.＼^（ .|_,,,,....,,,,_|　　 .|
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　　　　　　　　 .／y' 　> ／　　/　ノ　　　　!＼.　　|　　 Yコl二i
　　　　　　　　/」 / .／._（　　ノ　　　　　　　　　　 .|　　　! .　ヽ!
　　　　　　　 /　イ .i￣　＼、＿＿＿＿＿,,... -ー''　　　 |　＼i
　　／￣￣＼ |　ヽ、　　　　　,,,,.. ー-＜＿,,...　　　　　 |　　　|
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　　 {　,ー、　　　　ヽ　　　　　　　　　　 |　゛ヾ　　　　. |　　　|
　　（￣人￣）　　　　 }　　　　　　　　　 L,,_　　　　　 .|　　 .|
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　　　ヽ　　　　／　　　　　　　　　　　.!　　　　!~゛～　　. |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 !　　　　 .|

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462：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/03/31(土) 23:52:38 ID:tRr9uTrg: 職人さんの高い作成意識や手間暇を惜しまずに練り込まれた作品が「ブランド」として
同等の出来栄え、他より高価であっても選ばれてくるのにはちゃんと理由があるのに
安易に模倣する輩の多い事
中には国ぐるみで「ＧＩブランド」の偽物まで出回ってるとか
463： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:52:43 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://　　　　　　　　「では後半戦、はじまりますよ～」
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　｀ーﾞ　　丶__　-　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　( ⌒ )　　( ⌒ )　　|　　　　　　　　「後半で扱うのは勿論『友禅染の花紅葉』と
　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｗW　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 _,ﾉ　　|　　　　　　　　　　　　　歌われている友禅染だ」
　　　　　　　　　　　　　　　!　　ゝ__ゝ‐ ´　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　7￣｀> ‐―　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　ぃ　　　　 /　　/　　　　　｀T.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　〉ﾊ　　　人　V´ ￣￣　　 l.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　,. ｲ / ,.ｲ .i l/　／／ﾄ､/ ,　-─‐　　 l::::::::',
　　　　　　　　　　,.　. : : : : //／/ヽV ／／　l: : :〈　　　　　　 jﾄ､:.:.::',
　　　　　　　　 /: : : : : : ://: : :/　「￣`7　　l: : : :(´￣￣　　ﾉl　ヽ:.:ヽ

.
464： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:53:19 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r ´二ニフ、
　　　　　　　　　　　　　　　 _ 　　/　 '´,. 二ノ⌒
　　　　　　　　　＿＿_.-‐'´ `-i/　　γ_)⌒）（⌒)　　　　　　　　　「前半でも少し触れたが、
　　　　_,.＜￣￣　　 : : : : : : : : l　　 r/´（___人__）
　 _,.＜　　　　 : : : : : : : : : : : : :l l__ノ　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　西陣織は染色してある糸を織り紋様を描く『先染』だが、
　l,,　　　　 : : : : : : : : : : : : : : :ﾉﾉ　|　　　　　　　|
　l; : : : : : : : : : : :-─＜二二´　　ﾄ　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　友禅染は織を済ませた無地の布を染めて紋様を描く『後染』だ」
　＼ : : :￣`'''''´ノ : : : :l`-, : :`-＜ヽヽ,　-ｰｰr´
　　　＼ : : : : :'´ : : : : : l : :l :＼`-‐ヽ　ゝ--< lヽ、
　　　　　＼ : : : : : : : : : : : l : : :＜ : : :∨∧::〈ヽ: :､>＞、
　　　　　　　`‐,_ : : : : : : : :l : : : : :ヽ : : ∨ |:Λ | : :ヽ : : :ト-､
　　　　　　　　　 `-, : : : : :l : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::| l : : :/ : : : : : ,
　　　　　　　　　　　＼ : :ノ: : : : : : : : : ＼ : .､:::|,| : / : : : :l.: : {
　　　　　　　　　　　　 V: : : : : : : : : : : : : :ヽ: ',::ｌl: / : : : : :l : ∧
　　　　　　　　　　　　　V: : : : : : : : : : : : : : :ヽ:V : : : : : : :l : :.∧

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|　　　　　　　　　「ユウゼンゾメの語源は、発明した人物の名にちなんだと、
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|　　　　　　　　　　　私達が持ってきてるガイドブックには書いてあるけど」
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
465： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:53:50 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　「あぁ、『友禅斎』と呼ばれる人物が語源になってる、
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　というのは間違いないが、それ以外のところは不適当だな」
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　ﾏﾊ　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　ﾏﾊ　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　 ∨} 　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ | 　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　 | 　　 i|
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　 |　 /　 ,
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　/　/ 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　| l―┼‐ミ /　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　| ∧ ≫ｧミ　 /　　/
　　　　　　　　　　　　　　|　　ゝ )}}i　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　|　　 }} h}}i /　　/
　　　　　　　　　　　　　　|　＿}} {ﾘ /}i 　/
　　　　　　 |　　　　 |　{//,l　^＼　/　　　　　　　　　　　「えっ」
　　　　　　 |　　　　 |／/,/　　　〉
　　　　　　 |　　　　 |＞＜　　　/
　　　　　　 |　　　　 |　　|　_　/
　　　　　　 |　　　　 |　　| 　 /
　　　　　　 |　　　　 |　　 l　 /
　　　　　　 |　　　　 |＼　|＜
|　　　　　　　 |　　　　 |　＼
|　　　　　　　 |　　　　 |
|　　　　　　　 |　　　　 |
|　　　　　　　 |　　　　 |
|　　　　　　　 |　　　　 |二二ﾆ=‐
|　　　　　　　 |　　　　 |ニニニニニヽ
|　　　　　　　 |　　　　 |二二ニニﾆﾆﾊ
|　　　　　　　 |　　　　 |ニニニニニニ}

.
466： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:54:06 ID:Y56IqXDA: 　　／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　　.f　　　　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　＼/
´ . 　　　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|
.　　　　　　|　　| 　　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |
.　　　　　　|　./|　　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|　　　　　　　　　　　　　「どのへんが間違いでありますか」
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |
.　　　　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　　　 .|　　　ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　｀　|　　ﾆ=-　　＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　　ﾏ/∧

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　　「その辺も説明するから、待ってな」
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

.
467： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:54:16 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i　　　　　　　　「持ってるガイドブックに書かれてることを嘘と言われたら立つ瀬がないし」
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼　　　　　　　　　　「そりゃまぁ、わかるけどさ」
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

.
468： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:54:32 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__　　　　　　　　　　　「まぁまぁ今はとりあえず伝統工芸品として
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |　　　　　　　　　　　今日まで続く友禅染の解説からしていくよ」
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＞ミ　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦二ﾆ=‐　　　　≧s。　｡s≦ 　 }
　　　　　　　　　　　ィi〔 |二ﾆ=‐　　　　 /　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　〃　　ｉ|=,! 　　　　 /　　　　　　　　　　　廴
　　　　　　　　　／　| 　　　　　 ,　　　　　 |　　　　　 /　}
　　　　　　　　/　　／　　| 　　　　　f　　　　　 i| 　　　 /　乂
　　　　　　　 /　　,/　　 /i|　　　　　｜　/　　｜　　　 /} 　 ∧ ＼
　　　　　　　　 /　　　＼　　　　　｜,/￢-ミ., | 　　 /　,　　 } 　 }
　　　　　　 /　　/　　　　　＼　　　 ,x笊芥ミｔ､}　　 ,/　 i}　　 ,
.　　　　　 /　　 ∨　　　　　　ﾊ　　　ゝ hr:(　　 |i　／ヽｉ} 　 /　 /
. 　　　 /　　　 ∨　　　　　 }}　　　|　乂少　　,／　笊ﾐ ,'　 /　 /
　　　　 /　　　　 ∨　　　 r/,}　　　l　　　　　　 h( /　 /　 /
　　　　　　　　　　　ｱ、____,{/,'|　　ｌ　　　　　　 vﾘ,　 ,′ /
　　　/　　　　　　ィi〔　　|∧ ⌒　　　 |　　　　　　 ' 从 /　 /
　　 ,　　　　　　ア‐==≦| 　, 　　　 i| 　　　　､　 / { /　 ,′
.　 /　　　｡s≦,'//////,'|　∧　　　 |　　　　　　 ‰ Ⅳ
　/　　　 ∨,'////,'＞''´i|　　＼　　 |i　　　　　 /　　/　/
./　　　　　∨＞''´　　　 |　　　il＼　 !二≧=―く /　　/　/
,　　　　　　 ^　＿___　　 |　　　i|　＼!}}ﾆ}　　i|　/,　／}／　　　　　　　　　　「jud」
　　　　　γ二ニニﾆﾆ,| 　　　i|≧s。 }=,}__　ｉ| ,' ／
.　　　　　　{二二ニニニ| 　　　i|二ニﾆﾆ,{{{}　／
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|＜ ⌒ミｔ､く廴|_
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|　　　　　 }}　　ミｔ､　_
　　　　　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|　　＿＿_,}}　　　　 Y　＼
　　　　　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|ィi〔　　　　　〕iト　　 i}　　)K
　　　　　〈∨{ ∧二ﾆ| 　　　i|　　　　　　　　　　〕iト　 /　ﾊ
　　　　　 ∨, __∧二!| 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　〕iト }
　　　　　　／　　　 | 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
469： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:55:09 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「時代背景を軽く説明しておくと、

　　　　　　　友禅染が流行した時期ってのは元禄のころからの流れで、

　　　　　　　　　　いよいよ文化爛熟してきた、泰平の世といって差し支えない時期だ」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　 |　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、、___　　　|　　　　　　　　　　　「幕府の中央集権的封建制度のために、
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　ｲ::::ﾄlヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　江戸は政治の中心となり、江戸城を中心とした
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)　　　　　　　　　　　　大都市を作り上げた」
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

.
470： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:55:25 ID:Y56IqXDA: 　　　　　「だが、京には帝の座があり、

　　　　　　そのために京を中心とした工芸文化は

　　　　　　　　その地を離れることができなかった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　、__,ィ、　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 V　ﾍ _ノ-､　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､丿_ ,.　　　 /}　／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　　　　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､:
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._// : :
　ヽ}､ .i　 { r-､　　人ｭ､　　　　　　　 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'､: : : : 〉二ﾆ／ : : :
　　　⌒}､└i　'トィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
　　　　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :

　　　　　　　　　　　　　　「江戸の政治、京の文化、大阪の経済と

　　　　　　　　　　　　　　　　三大都市のそれぞれの特色が明確に成った形だな」

.
471： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:55:48 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　「ただ、これは幕府の治世の方針に悖るものではなく、

　　　　　　　　　　　京の文化の保護にも熱心だったが、

　　　　　　　　　　　　あくまでも幕府が掣肘できる範囲でのみそれをおこなってきたとも言える」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それでもともかく、三都共存の保護政策は、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　文化都市としての京都の発展を促し、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　当時人口五十万を数える大都市に成長したわけだ」

.
472： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:56:08 ID:Y56IqXDA: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　__＿__　　　　　　　　　　||　ヨ　||　ヨ　 ||
　 /.::.ヽハ　　　 ,r‐-っ　 ||　イ　||　イ　||
_c!::::(・)o(・)＿__ノ:::ﾉ`´　　||　ヤ ||　ヤ ||
::::::( `ー―' ）:::::::／　　　　||　サ ||　サ ||
::::゛＝=＝"::ﾉ￣　　　　　 ||　　　||　　　||
:::::;;;;;;;::::;;;;;ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r.、
＝＝==＝、　　　　　　　　　　　　　　　　))_.ノﾉ　　　　　　 ,.、
ii ii ii ii ii i iヽ　　　　　＿＿　　　　　　　ヽ)　/　　　　　　 ∧ヽ、
i ii ii ii,,ii,,ii,,ii ヽ　　　rﾆ二_　ヽ　　　　　　ﾉ　/　　　　　　　|l::::|lﾐヽ
'"''""＼:::::ヽ"`　　 ,.-　 -、ヾ|　　　　　 /　/　　　　　　　 .|l::::::|lミ|
　　　　＼::::＼　　l,.=　＝、|ﾘ__r‐y'ﾌ‐（　/　　　　　　　　 |l:::::::|lミ|
　　　　／.:::／　（　３　　小 /　 /＿_ノ　　　　　　　　　_|l::::::|lミl
　　　／.:::::く　　 ,.<` ー..くﾉ !/ ／　　　　　　　　　　　　）):::::::!ﾐ/
　　　`ー---'　/　ヽ（;;Ｙ;;;;>,.-‐-、　　　　　 ,.-‐‐- 、　　ヽ`Ｙノ
　　　　　　　／ヾ　ヘ___／人__ミ、　　　　/ ,.-‐‐-、、　 |　 l
　　　　　／　　　ヽ／Ｙ　 /_|　　f三y!　　 l./ ノ`　ﾍﾘ　　!ヾｖヽ
　　　　　＼＿＿ハ＼__ノノﾉ　　| ) ソ　　 !!　（・）（・）　 /　　 /
　　　　　　　/　　　◇Ｏ◇　）　　| ヽ　　　ヾ　　　ーo.∠　　 /
　　　　　 ∠＿＿__／ー‐＼_）　ト、|＼　_/ミ|＼ー‐'::.ﾐ/　　/
　　　　　/.:::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::ヽ　 |　`　Ｖミﾐ/＼/;;ﾉ'ヽ;;>ヽ /
　　　　 /.::::::::::::::::／ヽ.::::::::::::::::::)　|　　ﾉヾ　　　＼ヽリ　　|

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「そうした平和が長くなるに連れ、生活文化は豊かになっていき、風俗は奢侈に傾いていく」

.
473： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:56:38 ID:Y56IqXDA: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Π
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ｰｰ‐_‐_‐_‐_ｰｰ ´|￣|~´　｀`''ｰ‐ｎ‐‐---ｰｰｰ ┌┐,ｎ--｢|～‐｢|‐|￣|～| 　 |^`_|_,|_｀`^＾~｀`"＾二..|　 |ＴＴ_|ﾆ|===|¨|丁|丁￣ﾞl┬ｰi
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￣／| |￣|　 |　 |ニニ| ‐ ‐‐|　|==|三|_|==|ﾆ|=|¨|二]|/|三|￣|三||⊥ﾆTﾆﾆ|￣| 　乂| | :::|__ 　| | |ﾆ|_|く＿|＼:| ￣|　　:|＼￣ヽ|::::|￣
￣￣￣￣￣￣...／|ﾆ| ‐ ‐‐|　|￣|三|_|=|三|Ｔ|_,|口 | :|ｉ|=|　 |￣||⊥ﾆ∟ﾆ|￣￣|　　｀'| :::|＿__| | |xくTﾆト＼_ｋニ>＿|＼¨|＼＼|￣
＿＿＿＿____／／|ﾆ|/¨/ _|二ｱ＿／:|￣|/~~~ﾞ|口 |∠|=|　 |冂ｉ|　|== |Li| |三三l　 ,∧ :| |＿|_|_|＿|＼:､|＼,<>|_,< ＼＿￣＼|三￣
┐┌┐┌┐ |／　 |/|￣|=|/::::|ニﾆ|／|_／￣￣|冂 |鬥|/二/ﾆＴ|/￣「|二| |￣|二|　　∧| |｀|∨二二∧「|　 | |二| ＼/＿_|¨¨¨|TTT

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「経済……ことに貨幣経済が本格的に発達するにつれ、

　　　　　　　　　　　　商人の力が増し、町人の間にさえ華美の風が現れてくる。

　　　　　　　　　　　　　幕府はこうした風潮に難色を示し、庶民に対しては贅沢を戒める御触を出したりするわけだ」

.
474： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:56:56 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼　　　　　　「だが一方、大名勢力などに対しては
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜　　　　　　　むしろ華美贅沢を奨励する風があった」
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　　　「なん……だと？」
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　.｡＜}
　　　　　　　　　　　　　‐=≦　　/ ¨¨¨¨／　　　 i　__
　　　　　　　　　　.｡＜　　　　 /　　　 }　　　　　}　　＼
　　　　　　　　 ,《//　　　　　 :/　　　　:.　　　　ｉ　　　＞｡.
.　　　　　　 / //　　　　　 :/　 /　 / }　　　　 }　、　　＼ ≧=―‐
　　　　　　　/ //f　　　　　 :.　 /　 /　:.　　　　 /　 }　　　　ヽ　　　}
　　　　　　 / ///!　　　　 {__廴_:/__　|:　　　 /　　:.　　　　　}　　 :i
　　　　 / /　/{　　　　 i,x芹ミｔ､ /: 　　 /　 l　}　　　　　ｉ
.　　　　 / f　 / ｉ:　　　　　㌣にじ(_　 :}　　 /云ミｔ､i　　　　 .: 　　 {
　　　　/　:{　＞｡.　　　　 { | 乂こｼ　 :　　/ んう㍉　　　　 /　　 /　　　　　　　　　　「えらく不公平であります」
　　　 / 　ｉ　　　 ∧　　　:i｜｀¨¨´　　} ／　乂ｼ /:　　　　/　　 /
.　　　/　　 {　＼　/∧　　 { :!:　　　／　'　｀¨^/　　　　 /　　 /
.　　 /　　　＼　 7//:〉　ｉﾟ。　　　　　　 ∧　　　 /　　　/
　　/　　　　　＼:/／ﾟ. 　 :|＼＼　　　こ　　 // 　　 /　　　/
.　/　　　　／　} ¨　　＼｜　　　　　　　／/　　　 /　　　/
　′　　　〉/77/　　　 / { ＼　　　　　　／　/　　／|　　　/
/　　　〈////　　　 /　}////ｧｧ＞＜　__ /　／　 :　　 /
　　　　　∨//　　　/　/≧o｡、//___}　／//}:／　　　} 　 /
　　　　　　 /　　　/ ／i:i:i:i:i／i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:＼///i 　　　 i ／
　　r====:/　　　/ } ＼ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ}￣:|　　 |　　　|
　 /二二/　　　//　　　｀＜i:i:i:i:i＞'"´　ﾏ {　　 |二ミｔ､
. /二二/　　　//　　　　　　　￣}　　　　　マ　　｜二二
/二二/　　／　　　　　　｀ Y ´　　　　￣ミｔ､二二ﾟ。

.
475： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:57:15 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　「その狙いは大名が贅沢をすることでその藩の財政を悪化させ、

　　　　　　　　　　　　　力を削ぎ落とすことにあったわけだから、これは当然なんだよなぁ」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　「で、成功しちゃうんだよなこれが」
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　「汚いな幕府さすが汚い」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 ─　　　 ―
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　（ ●）　（●）'
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　ー‐　 '

.
476： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:57:41 ID:Y56IqXDA: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||{}i　　　　　　　　i{}||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||{}i　　　　　　　　i{}||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||{}i　　　　　　　　i{}||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||{}i　　　　　　　　i{}||　　　　　　　　 ,.　'"´￣￣｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||{}i　　　〃｀'''ヽ　i{}||　　　　　　　／.:.:.:./｀｀｀ﾊ.:. :. :.:. ｀`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||{}i　　 {{ ｀ ,'' }} . {}||　　　　　 ,.ｲ.:.:.:.ﾉﾉ　　 /ﾊﾊ.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||{}i　　 ,.ﾊ｀ﾆ' ﾉﾉ i{}||　　　　　jﾊ.:.:,ｨｲ　　　′　　ヾ.: . :.: .: .:ヽ
　　　　　　 ,.　'"´ ￣｀ヽ￣｀ヽ　　　　　 ||,r‐‐ '　li.:.:.:.:./ﾑ i{}||　　　　　　ヾ{ 二ヽ　ｰ='´__　　ヽ.: .:.lii.:.:.i
　　　　　／　　　　　　　＼　　＼　　　　　 /　　　　 VﾊﾊV　￣｀ヽ　　　　 /:,′ ¨7　｀` ￣｀`　　V.:lii.:.:.:l
　　　／　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽ　　　 /　　　,.ィつﾊﾊﾊ　　ﾘ　 '､　　　,'.:.{　　〈 .. .,､　　　　　　ﾊ:.:.:.:.:.ヽ
　　／／　　　　　　　　,r'ﾆミ彡ﾐヽヽ. 　 /　 _,ﾑ/　ｿll: ：::ll　　/　　 i　　　{.:.:.!　　,r=== ､_,　　　　ハl.: .: .: .:.ヽ
　/ ／　　　　　　　 ,.ｨ彡'　　　　 ',　 ',　 L　____ノ´　　ll::：:::ll,. イ　　　l　　　l.:.:.l　　ヽ ___ノ　　, '　 _ ノ.:.:.l.:l:.:l:.:l!
　.:/　　　　　　,.ｨｨ彡'′　　　　　 l l l l　 (　　()　　　/.:.:ﾊ.:/　Vﾉﾉイ　　　 ',.:.:.',　　　　　　　　／,.: .:. :l .:l :. :/
　/.:/.:/.:.:./ 乍彡'､､､,,_　　　　 ,,,,,iｿﾉﾉ　　　/.:.:.:.:｀V:.:.:.:.:./ﾊﾊ/.:.:.:.:.:! 　　　ヾ.:ヽ　　　　__ ／　 i.: l:l :l: :l: /
　VV/.:.:.:ヽU〈　　　=＝｀′ ,r==ｲjjjj!　　　 l.:.:.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　　　　　　ヾ「¨¨¨´　　　　　.: .: .l :／
　　`｀ヾ彡'ゝ1　　　　 "´　l!　　ﾉｿｿ　　　　ヽ.:.:.:.:.:ﾉ｀Y´YY ﾊ.:.:.:.:.:ﾉ　　　　　／ L　　　　,.　'´　　｀`く
　 , .ィ〈　　　{　　　　　 ,__」　 /　　　　　　　　l　　',.:.:ﾉ________/⌒7　＿ _,.. イ　／⌒ヽ"´　　　　　／｀``'''''
　.:.:.::l　ヽ　　ヽ　　　 r---ｧ/　　　　　　　　　l　　 l　　　　 ,.ィ　"´. :. :. :. :.: .:l／　　　　ヽ　　　　／　. :. :.: .: .: .
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「そういった諸大名や著名な寺社仏閣は競って京の呉服屋を召し抱え、

　　　　　　　　　　ここに西陣織や友禅染の発展を促す土壌が完成した」

.
477： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:58:20 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　「かくて『西陣織と京染でなければ身につけない』という者も珍しくない世相となり、

　　　　　　　　　　染色技術と織物の技術はますます成長し、発展していったわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|　　　　　　　　　「といったところで友禅染の説明に移るぞ」
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/　　　　　　　　　「は～い」
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

.
478： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:59:09 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）　　　　　　　　　　「友禅染は十七世紀後半に京において大流行した染め物だ。
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　　友禅染がはじめて文献に登場するのは
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　　貞享四年（1687）に刊行された『源氏ひいながた』であるとされる」
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　　　　　　　　　　【扇のみか小袖にもはやる友禅染】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【ひいながた】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　　　　現代で言えばスタイルブックやファッション雑誌のようなものです。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　　　　　ひいなかた、ともいいます。雛形という言葉は今でも使われてますね。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
479： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:59:30 ID:Y56IqXDA: 　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　─　　 ─＼
／　　（●）　（●）＼　　　　　　　　　　「扇のみかってのはどういうことだお？」
|　　　　（__人__）　　 |
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／
(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼／＿＿＿／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､｀⌒ ´　　U　|　　　　　　　　　「もともと友禅染に見られるような意匠が、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 {　　　　　　　　　　　もともとは扇の絵柄として用いられていたってことだろうな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=´　i､
　　　　　　　　　　　　　　　　 __,. ＜.ﾑヽ、､____／ヽ__　　　　　　　　　　　そのために友禅斎という人物の生業は
　　　　　　　　　　　　_, ､＜¨ : : : : :l : :.ヽ　 ∧::〈ヽi :、ヽ、
　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :|＿ : :∨　|:;Λ | : :､ : ＞、　　　　　　　　扇絵師であるとされることが多い」
　　　　　　　　　　丿 : : : : : :i: : : : : : :／ : ∧　|::Λ |＼> : : : ｀,
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :| : : : : : : ＼ : :.∧ |:::::| | : :ヽ : : : :,i
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :! : : : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::|| : :/ : : : :i :|
　　　　　　　　　/: : : : : : : : :| : : : : : : : : : : :＼ : '.,:::| : /: : : : :| :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : : :丿 : : : : : : : : : : : : ＼::V :/ : : : : :l : !
　　　　　　__/_: : : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : :ﾚ: : : : : : : i : |
　　　　／　　　｀ヽ,:_:_: : : :.Λ.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,' : !
　　　（__.ィ´ヽ,ム、〉、:ヽУ　V. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.i : : !
　　　 / ゝ/　/ 7-､Ｙ :,′　 ∨ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : |
　　　　ヽ／　/　/ /'Y:ｿ　　　 }.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : !

.
480： ◆zbB4e8kEV6：2018/03/31(土) 23:59:45 ID:Y56IqXDA: 　　　　　　　　　　　「違うのかお？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　─＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　（●）（●）|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_. .|　　（__人__）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼　　　　　　.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（__人__）　　 |　　　ノ.ヽ　　　　　　　　　「よくわかんねえんだよ、友禅斎という人物はさ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 ∩ノ ⊃　　／∩ノ ⊃|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (　＼　／＿ノ　|　 |／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　“　　／＿＿|　 |　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／／＿＿＿／

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481： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:00:09 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ちなみに、先ほど『友禅染が』文献に登場したのは

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　源治ひいながたが最初だといったが、
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |　　　　　　　　　　　　『友禅』の名前は扇絵師として好色一代男に登場しているぞ」
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【好色一代男】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　天和二年（1682）に刊行された、井原西鶴さんの処女作です。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　主人公世之介さんの生涯を通じてその時代の男性の願望などを書き表し、
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　世の中の男性をハートキャッチしました。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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482： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:00:33 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　「さて、現代における友禅染の捉え方だが。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :
　　　　　　　京都にある公益社団法人京都染色文化協会の　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　公式サイトによる友禅染の説明はこのようになっている」.　　 } r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

生地の上に糊を置いて防染する糸目糊置という方法を使うことで多彩な色彩が可能になり、
「友禅模様」と呼ばれる曲線的で簡略化された動植物、器物、風景などの模様を表現する日本独自の染色技法。

江戸・元禄時代の人気扇絵師・宮崎友禅斎の名前からこの名がつけられた。

京友禅は京都で染められた友禅を指す。多彩な色を使い、有職模様や琳派模様など
高度に様式化された文様を得意とし、刺繍や金箔を効果的に使った装飾を積極的に併用するのが特徴。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
483： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:00:52 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　　　「友禅染の源流にあるのは、
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　日本に古くから存在する染め物の技法、
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　『天平の三纈』という技法だ」
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　ﾞ,ヽ
　　　　　　　　 }ヽ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　　　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |　　　　　　　　　「テンピョウのサンケチ、
　　　　　　　　 ',　｀　　　　　　｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{
　　　　　　　　ﾊ　 'iヽ　　　　　　 '　7ﾉ: : : : : : : |　　　　　　　　　　　さっきも話に出てきたわね」
　　　　　　　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　､＿_　　､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　　　　'/ﾆ/　　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　　｀'　　　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　　　　　　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　　　　　　ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ノ. . . . . . . . . >. . .

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484： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:01:11 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　「天平文化華やかなりし頃、大陸から伝わってきた染め物文化だな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　、__,ィ、　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 V　ﾍ _ノ-､　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､丿_ ,.　　　 /}　／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　　　　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､:
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._// : :
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　　　⌒}､└i　'トィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
　　　　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :

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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【天平文化】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
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. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　奈良時代に入り、国家制度が整備され、経済活動が促進されるにつれ、
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　大陸からの刺激もあって生活や文化が急速に豪壮に、豪華になっていきました。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　その最盛期が聖武天皇の御世、天平年間にあるために天平文化と呼ばれています。
. 　　　　 |＿＿{
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485： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:01:51 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「臈纈（ろうけち）、纐纈（こうけち）、夾纈（きょうけち）の
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒　　　　　　　　　 3つの技法を総して三纈と称する。
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）　　　　　　　　　簡単に説明すると下のようになる」
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

臈纈→ろうけつ染め。熱で溶かした木蝋を筆や版木などを使って生地につけて模様を描き、
　　　　その後、記事全体に冷えた染料液に浸すか、あるいは刷毛で染料液を生地に塗りつけ染色する方法。
　　　　後の『型染め』の原型。現在伝わる臈纈は明治末期頃、インドネシアのパティク染の技術を取り入れて
　　　　鶴巻鶴一博士によって始められた技法が源流。奈良期に行われた臈纈とは直接の関わりはないとされる。

纐纈→絞り染め。布の一部を糸で括って模様を表現する染め方。
　　　　糸で縛った部分を水につけると、括った布の内部にまで水が浸透し、これにより染料液が浸透しづらくさせる。

夾纈→板締め染め。同じ形をした二枚の板の間に布を挟み、強くしめつける。
　　　　その布を長時間水につけると、板に挟まれた部分の布が強く締まる。そのしまりが染料液の浸透を防ぐ。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
486： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:02:26 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　「友禅染は三纈の中でも主に臈纈を源流として発達した染色技術だと見て間違いないだろう」

　　　　　　　　　　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,　　　　　　　　　　　　　　　　　　「で、だ。染色技術の面で見るのならば、
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　| 　＿＿ノ　　　）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　実は友禅染に真新しさはまったくない。
　　　　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　　ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶　　　　　　　　三纈を出発点として、技術的にはその時代には
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i　　　　　　　　すでに確立されていた染色技術だ。
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|　　　　　　　　　　さっきヴィルケさんが持ってるガイドブックが
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>　　　　　　　　　　不適当だと言ったのはそういう意味でだよ」
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

　　　　　　　　　　 . -―-､＿　＿.／⌒＼
.　　　　　　　　　　 .　: : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}
　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
. 　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V
　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',　　　　　　　　　　　　　「すくなくとも、友禅斎さんは技術面での
　　　　　; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i　　　　　　　　　　　　　　発明者ではないですからねぇ……」
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
. 　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
.　　 /: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
.　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
.／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |

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487： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:03:08 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「友禅染が流行る百年も前に技術的に相違がない

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　『茶屋染』が存在したし、『お国染め』『加賀染』などとも呼ばれる
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |　　　　　　　『色絵』も存在したからな」
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、友禅染はなんで流行したんだお？」
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

.
488： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:03:43 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それまでにない意匠と、その意匠を、
.　　　　　／￣￣＼
.　　　　／　,ノ　　＼ Y⌒i　　__　　　　　多くの既存の技術を駆使して実現させることができたからだ」
　　　　　|　（●）（●） | 　| 　./　.)
.　　　　　|　　（__人__） .|　 |　/　./
　　　　　 |　　｀ ⌒´　ﾘ　 i_/　./
.　　　　　ヽ　　　　／　　,｀弋ヽ
　　　＿＿ヽ　　- γ⌒ヽ　Ｙ´ ,｀ヽ
　／ :　　: :介〈　　`ｰ､く　〈::...ノＶヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ､　｀ヾ＿/　//:|
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あとは、それまでにあった茶屋染めなんかは

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒＼　　　　　　　　　　　　　　　　麻布を使った染め物だったんですけど、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　＿×￣￣｀ｰ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ　　　　　　　　　　友禅染はもっとたくさんの種類の
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　布地を使ったのも大きいですね」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ　　　　　　　　　「贅沢が好まれた時代ですから、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!　　　　　　　　　　　　　絹は大人気ですし」
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

.
489： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:04:48 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿　　　　　　　　　　　「紋様染も、友禅の時代には既にあった。
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .　　　　　　　　　様々な種類の染料も技術も研鑽もあった。
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝　　　　　　　　受け継がれてきた多くの構図、図案も存在した」
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/　　　　　　　　　　「また、琳派たちをはじめとした華やかな絵画、
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それまでの時代に生み出された様々な美術品もある。
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友禅斎はそれらを巧みに表現することに成功した」
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

.
490： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:05:22 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「友禅染の功というのはそうした、これまでの染色技術のすべての集大成として、
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼　　　　　　　　　絵画を基礎とした革命的な構図や色彩を生み出したことだな」
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　「枯れた技術の水平思考ってことかお」
　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　／. 　　　―― 、　　　, 、―― 　　　＼
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ..|.　　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　　　 |
　　|.　　　　 ´"''",　　　　　"''"´ 　　　　 l
.　　＼. 　　　　（　　　 j　　　）　　　　　／
　　　　＼　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【枯れた技術の水平思考】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
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.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　ゲームクリエイターの故・横井軍平さんの言葉です。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　すでに広く普及して安価になった技術（枯れた技術）を、
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　今まで使われてこなかった別のものに置き換えて使う（水平思考する）ことにより、
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　　新たな価値を創造するという考え方です。
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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491： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:05:49 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　「友禅染は、西陣織と同じくその作業工程の殆どが分業で行われてる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画期的な図案を考え出せたとしても、一人ではそれを具現化することはできない」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
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　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|　　　　　　　　　「染屋さんひとつとっても、
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!　　　　　　　　　　　茜屋、青屋、紺屋その他
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､　　　　　　　　　　　たくさんの種類に分化されてますもんね」
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

.
492： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:06:35 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そういうことだ、だから江戸時代後期とか明治期に書かれた友禅評でよくある

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『友禅は染物屋』ってのは、まぁ間違いだと思っていいだろう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本人からしてこれなんだ。

　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　海外のガイドブックが間違ってたからと言って罪は鳴らせないってことだな、
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ─) (●)　　　　　　　　　　了解してもらえたかな？」
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　u.　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
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　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
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　　　　　　　　　　　　　 /≧=‐ｧｧｧｧｧｧｧ==s。
　　　　　　　　　　　ィi〔{　　　　　　　　｀''＜∧',
　　　　　　　　ィi〔　　/　　　｜　　　}　　 ∨∧ ,
　　　　　　 /　}　　　/ {　　　　 |　　　｜　　ﾏ/∧,
　　　　　　 }　 !　　 {八　　　 :|　　　｜　　　∨,∧.　　　　　　　　　「jud」
　　　　　 }　ｌ　　　ｌ　＼　　 :|　　　｜　　　〉 ∧ﾟ。
　　　　　 {　 |　　　| ―　＼　:|　才云} 　　 /　　 }
　　　　　　 l　 |　　　{ ,x笊ミ＼! /hj刋ｱ　％　/　/　 ‘，
　　　　　　 l　 |　　　} ゝ∨ﾘ　　　ゞ-'/　/{/_　　 /　　　＼
　　　　　 {　 |　　/∧〉　　,　　　 / イ :}//＼∧
　　　　八　:　　 {/込　　ぃ　　　　^/}　¨ｱ:＼/　　　　　　〕iト
　　　　　　　ヽl　　:l^　/:　r 、　　　,ィi〔/　 /＼　＼　　　　　　　　　〕iト
　　　　　　　　　＼ﾍ / 　ｌ/}≧≦　　/} ∠＼/:＼_/
　　　　　　　　 /　　{/.｡＜　／／ニﾆﾆ:＼　　　　　　　　　　　　　　　　＞｡.
　　　　　　　　　　 /　ィi〔　　／　/二ニニﾆﾆ∧　　　＼　　　　　　　　　　　　　　〕iト
　　　　　　　　　ィi〔　　＞ｱ　／/二ニニニﾆﾆ∧　　　　＼
　　　　　　ィi〔　　＞''´ﾆ/　〉＜　 {二二二ニニニ∧　　　　　＼
　　　　／　　＞_´／ﾆ〃／‐=　　ﾏ二二ニニニﾆﾆﾍ　　　　＼
　　　/　　／ /=/／　／　　　　　＼二ニニﾆﾆ} ∨∧　　　　　　ヽ
　　 /　／　 /=/　　/　　　　　　　　　ヽニニ二:/　 ∨∧　　　　　＼

.
493： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:06:54 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　「それじゃ、次は友禅染の制作過程について見ていきたいが、

　　　　　　　　　　　　　　その前に、日本における『染色』のことを少し解説しておきたい」

　　　　／￣￣＼
　　　／ .ー　　ー＼
　　　|　（●）　（●） |　　　　　＿＿＿
　　　|　　（__人__）　|　　　／ー　ー＼
　　　|　　　｀i 　i´　 |　　. ／（●）　（●）ヽ、
　　　|　　　. `⌒ 　 }　 . /.　　　（__人__）　　ヽ
　　　ヽ　　　　　　　}　　|　　　　｀i 　i´　　　 .|
　　　　ヽ　　　　　ノ　　.＼＿.　 `⌒　　　／
　　　／　　　　　　ヽ　　　／　　　 ⌒　　　 `ヽ、　　　　　　　　　「おｋ」
　　/　　　　　　　　　ヽ, ./　　.　　　　,９ｍー　）
　 /　　/　　　　　　}　 | .|　　|　　　　　`ーー‐'ﾞ
　.|　　.{.　　　　　　.|　 |　ヽ、＼　　　　　　 |
　.|　　.|.　　　　　　.| 　|　　 |＼　ヽ　　　　 .ﾉ

.
494： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:07:23 ID:7AXrt/uY: 　　　　　「とはいえ、おそらく世界中の染色も基本的なものの考え方は同じだろうけどな。

　　　　　　当たり前のことだが『布に色を染め付ける』ことが染色の目的だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_,ﾉ　ヽ､,__ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| (●.) (● ) 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | （__人___）　U |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　√ヽｰｰ-　´/ i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　＼　､　　ﾉ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 , . ＜　　ﾊ　厂iヽ　　 }∧ }
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ∨ヽ::ヽ{-ﾆ/〉 V ＞.､
　　　　　　　　　　　　　 r ´　　　　　　　　　　｀∨::::::}/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　V　　　　　　　　　〉:::〈　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　　 i　　　　、　／　　　　　　 |::::::|　　　　　ｉﾉ r
　　　　　　　　　　　　／　　　 '　　　　　　　　|::::::|　　　　」　 |
　　　　　　　　　　 /　　　　　　 V　　　　　　　　|::::::|　　　　 l:　 i
　　　　　　　　　　　/　　　　　　ｲ　　　　　　　　 |::::::|　　　　 |　 |
　　　　　　　　 / 　＿／　　/　　　　　　　　 |::::::|　　　　 j　 i
　　　　　　　　　　}／　　　　 /i　＼　　　　　 |::::::| 　　　 .:　 !
　　　　　　　　　.′　　⌒丶 {　}　　`､　　　　　|::::::|　　　　i　 |
　　　　　　　　　　i 　　／￣｀i　i　　　〉　　　　 |::::::|　　／ {　 {
　　　　　　　　　　!　　　　　　　i　i　　/　　　　 |::::::|　/　　 ;.＼i
　　　　　　　　　　V　　　　　　 ', i　　　　　　　 |::::::|　　　 i　 |

. . . . . . . . . . . . . . .ヽ
. . . . . . . . . . . . 人'ヽﾍ
. . . .＿,. ｪ ― --ｧAﾍ,ム-‐-. .,
＞ ´／: : : : : :.／"ﾍ:ﾄ,:≧,ヽ: : : ヽ
: : :/: : : : : : ／　　　|:|　　ﾊﾄヽ: : : ﾄﾊ,
: :/: : : : : ,ｲ/　　　　|:|　　　',ﾄ:ﾊ: ヽ: :､ﾍ
:/: : : ::フ7ｲ―‐--　|:|　　＿i|ﾑ: ∨,: : ',ﾄ',
': : : :/'　'　＿,　　 i;'　　　 /￣ト,: :ﾄ: :ﾊﾘ
: : :≦ィ元ﾊ气｀　　 '　　　　=_　∨i: :∧:',
　∧､弋::::::ﾊ　｀　　　　仍ｶヽﾄ|: 'i　,:}　　　　　　　　　　　　「まぁそれはきっとそうね」
イ　　｀ー'　　　　　　　壮ﾘﾘ,'从:|　ﾘ
　　　　　　　　　　　　｀,´　i　ﾊﾘ　'
　　　　　　　　　　　　 '　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,
､　　　　　　　　　｀　　´　　/
: :i　､　　　　　　　　　　　　 /
ﾍ:| 　ヽ　　　　　　　　／
: ヽ　　　　｀　､　　　　　／
: : : ＼≦　　　　≧. ―,'
.´.｀.ヽ≧､三三三＝､: ﾍ
. . . . . . ｀ヽ: ≦三三ﾆﾊﾍヽ
. . . . . . . . . .ヽ:､＜三三,.ヽ＞､
. . . . . . . . . . .ﾊ: ヽ. .＞ｭ｣＞ｰ '＞､
. . . . . . . . . . ..ハ: ﾍ. . . . .｀. .ｰ. ､. . .＞ｰ､
. . . . . . . . . . . . . ﾄ: ﾊ . . . . . . . ⊂⊃｀. ヽ｀ー. -. .,_
. . . . . . . . . . . . . .ﾊ: :' , . . . . . . . . . . . . . .ﾊ. . . . . . .｀ヽ
. . . . . . . . . . . . . . . ハ:ﾍ. . . . . . . . . . . . . . ', . . . . . . . . ',
. . . . . . . . . . . . . . . .|.∧:}. . . . . . . . . . . . . .,'. . . . . . . . . .i
. . . . . . . . . . . . . . . .|. . i,'. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .'
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.
495： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:08:05 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ただ単純に染めるのではなく、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一枚の布を『染める部分』と『染めない部分』に区別し、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『染めない部分』に染料が染み込まないようにしながら『染める部分』に

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　着色をするというのが大事になってくるわけだ」
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

『家を建てる時に例えてわかりやすく説明しますと、
下絵は建築設計の図面にあたり、糊置は基礎工事や骨組の工事にあたります。

出来上がった時直接人の目に触れることはほとんどありませんが、基礎工事がしっかりしていないと
最後まで悪影響が残り、結果として不完全な建物になってしまいます。

同じように、糊置も地味な仕事ですが、その出来不出来が
後々の工程に影響してゆきますので大変重要な工程と言えます』

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
496： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:08:19 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　「この『染めない部分に染料が染み込まないようにする作業』を防染という」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　 . -―-､＿　＿.／⌒＼
.　　　　　　　　　　 .　: : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}
　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
. 　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V
　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',　　　　　　　　　「防染の手法もいくつかありますので、ご紹介しますね」
　　　　　; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
. 　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
.　　 /: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
.　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
.／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |

.
497： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:08:34 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　「まずは糊防染。これは糊を塗ることで防染を行う」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「平安時代後期に、デンプン系の物質を
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７　　　　　　原料とした防染糊が登場したと見られるが
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /　　　　　　　　　詳細な年代は不明だ」
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　_
　　　　　　　／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::
　　　　　　　ﾘ/:::::|　　'´　　￣`　.＼::::::::::::::::::＼､
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　　　　　　＼::::::::::::::::::}:::､
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　　　　　　 ∨::::::::::::::::::::ｉ　　　　　　　　　　　「現在では平安期の遺品がほとんど存在しないから、
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|:::.:l　　　　　　　　　　　　詳しいことはわからないのよねぇ」
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　　辷 j １::/::::.:::::::|::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　 N:::::::::.:::::|:::::::ﾊ
　　　　　　八:::::∧　　　　丶　　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　＼:::∧　　　　.，　､　　　　レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ 　　　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　〉/　ｯ　i `i-､　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　 i　　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　|　　　∨ '´/i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　　|　　　　　/ :i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　_ ｲ　　　　ノi : :i : : :i : : :i : : :` ‐ - ､::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／　　　　/ : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i: :| ヽ､::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　/ 　　 }　　　{: : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i : i　　ヽ:::::::::::::::::::i
　　　　　　　　{　　　　　　　|: :/ : :| : : :| : : :| : : :| : :` ､ `　　 }:::::::::::::::::::|
　　　　　　　ハ　　　　　　 | :i: : : :i : : :i : : :i : : :ヽ : : :ヽ:ﾉ　　|::::::::::::::::::|
　　　　　　.　　|　　　　　　.| :|: : : :.| : : ::| : : :ヽ : : :ヽ : : :ヽ.　 |::::::::::::::::|

.
498： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:09:00 ID:7AXrt/uY: 　　　　　「そのため、絵巻など、現存する資料に描かれている紋様などをみて推察することしか出来ない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣　￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ _,ノ　　ヽ､,_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　(● )　(● )　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　（___人____）　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i,　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　r- ､　　　　　　,.-‐　‐-､,,＿,,..-'"ﾄ　 _ , __ 　ｲﾍ､　　　　＿ . -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　＼　　　/::::::::::::::::::::::::::／::;;;;| ヽ､　 ,, ／　i;;;;;ヽ￣￣:::::::::::::::::::::　　　　　__
　　　　　　　　　　　{ ヽ!ﾞヽ. __､　-l｀ヽ ::::::::::::::::::::::::／:::::::::;i　 rゝ"､　　　 !;;::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::i　 __ 　|　.| r ‐j　
.　　　　　　　　　　　|　 |　 ll　 Y´ l　 !----､　 :::::::＼::::／! , '!::::::::∧ 　 /::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::: _´| f 　|__|　 |_|　 |__
.　　　　　　　　　　　ヽ､ﾞ､　||　 |　 |　 |　　‐- ヽ::::::::／:::::::|/　};:::::{　 .V/i:､::::＼::::〉:::::::::::::::::::: f　 |-|　 |　| 　|.|　 |___ )
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞヽ| 　``"ﾍ　ヽ　　　 !､:::ヽ::::::::::l　 i:::::::i 　 /:::::::::::::::::〉::::::::::::r'ﾞ￣ |　 | .j 　| ｿ　 .|'　 /￣
　　　　　　　　　　　　　　　 `ー'‐―､_　　　　 /)）ヽ､::::::::::i　|:::::::::|　/:::::::::::::::/::::::::::rr|　　 r'ﾞ　 |'´　 /´　／ ,／

　　　　　　　　「現存する最古の糊防染による染め物は、

　　　　　　　　　春日大社にある、源義経が使ったとされる籠手に施された『浅葱地藤丸文様』だ」

.
499： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:09:22 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／:::::ｨ::::::::::::: : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::／│:::::::::::::: : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/⌒ヽ:::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/ ﾈﾐ､|::::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::ノ　り }|::::::::::::::::::: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::| 　　　 !::::::::::::::::j:::: :
　　　　　　　　　　「次に型つけ染色法ですね」　　　　　　　　　　　　　/:::: ! _　,　　 j::::::::::::::,ｲ :::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //!::::i　　　 //!::::::::/ﾉ ::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l/ l:::::|　　　 l/ .l::::::/　!::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::≧r:::ｒ-､　 !:::/ｰｲ :::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:::::::∧ﾉｒr√l:/　　!:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',:::/　　 { l　 /　　 j ::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　ﾉｌ |　　　　人 ::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　り j　　　　　ヽ::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /＞―‐ｒ―‐ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃./　　／７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　/ .:::/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､｀⌒ ´　　U　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 {　　　　　　　　　「デンプン系の糊は強い粘りと嵩があるので、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=´　i､
　　　　　　　　　　　　　　　　 __,. ＜.ﾑヽ、､____／ヽ__　　　　　　　　　その特性を利用した、型紙を貼り付けて
　　　　　　　　　　　　_, ､＜¨ : : : : :l : :.ヽ　 ∧::〈ヽi :、ヽ、
　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :|＿ : :∨　|:;Λ | : :､ : ＞、　　　　　　模様の染め付けを行う『型染め』が誕生した」
　　　　　　　　　　丿 : : : : : :i: : : : : : :／ : ∧　|::Λ |＼> : : : ｀,
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :| : : : : : : ＼ : :.∧ |:::::| | : :ヽ : : : :,i
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :! : : : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::|| : :/ : : : :i :|
　　　　　　　　　/: : : : : : : : :| : : : : : : : : : : :＼ : '.,:::| : /: : : : :| :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : : :丿 : : : : : : : : : : : : ＼::V :/ : : : : :l : !
　　　　　　__/_: : : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : :ﾚ: : : : : : : i : |
　　　　／　　　｀ヽ,:_:_: : : :.Λ.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,' : !
　　　（__.ィ´ヽ,ム、〉、:ヽУ　V. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.i : : !
　　　 / ゝ/　/ 7-､Ｙ :,′　 ∨ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : |
　　　　ヽ／　/　/ /'Y:ｿ　　　 }.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : !

.
500： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:09:47 ID:7AXrt/uY: 　　　　「現在、生地に防染糊を型置きしてから

　　　　　　　生地を染料に浸す染め方を『型付け侵染法』と呼んでいる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　「模型作成のマスキングをイメージすればいいか？」
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　「おｋ、把握」
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　／_∩　　ー‐　　　　＼
　　　　　　　　（＿__＿）　　　　　　　|、　＼
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　 |/　／
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　⊂　／
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　し'
　　　　　　　　　　　＼　　､／　　／
　　　　　　　　　　　　＼／　　／
　　　　　　　　　　　＿／　　／｀`l
　　　　　　　　　　（＿_＿_／（＿/

.
501： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:10:09 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　「で、直接捺染だな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これは産業革命後に発明された化学染料と糊を混合した
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『色糊』を生地に印捺し、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　、__,ィ、　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 V　ﾍ _ノ-､　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　そのまま生地に固着させて染める方法」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､丿_ ,.　　　 /}　／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　　　　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､:
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._// : :
　ヽ}､ .i　 { r-､　　人ｭ､　　　　　　　 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'､: : : : 〉二ﾆ／ : : :
　　　⌒}､└i　'トィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
　　　　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　　「この後でてくる明治以降に主流となった
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|　　　　　　　『写し友禅』はこの直接捺染が原点になってるんですよね」
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／　　　　　　　　　　　　　　　　　「ちなみに捺染によらない、
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　生地全体の染色を行うことを『地染め』と言います」
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

.
502： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:10:34 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　　「あとはこういう防染方法もある」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

その他の防染の手段の種類

白防染：生地の紋様に白い部分が必要な場合、防染糊に染料を混ぜずに型置きすることがあり、これを白防染という。
糊は厚く型置きし、その他にもこの白防染では糊に還元剤を混合し、染料が糊の層を浸透、通過してもこの還元剤の働きで
生地が染まるのを防いでいる、などの手法が施されている。
この還元剤は友禅染で『末糊』と呼ばれ、その成分は亜鉛の粉末である。
この末糊は蒸熱により強い還元力を発揮し、生地に浸透してきた染料を還元分解する働きをする。

抜染法：既に地染めにより染色が施されている生地に末糊などに捺染し、これに熱処理を行う。
そうすると、捺染した部分の生地の部分は白抜きされたように脱色される。
また、この抜染法を施す時に、末糊などに『脱色されない』染料、つまり脱色剤に対して抵抗性を持つ染料を使うことで、
地色が抜けた後に新たに染色がされる。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
503： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:10:50 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ　　　　　　　　　　　「ではこれらの防染法を念頭において、友禅染の種類を見てみよう」
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /　　　　　　　　「jud」
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__
　　　　　　　　　　 {二ニﾆﾆｧ　　/　 i＿_γ　⌒　　ヽ廴
　　　　　　 /　　　　　∨ニニﾆ}　　,.ィi〔　　　　　　　　　ﾊ　(_
.　　　　　　/　　　　　 /∨ニニｧ　 / 　　　　　　　　 }/　}
　　　　　　　　　 /　 ∨／ } 　 {　　　　　　　　　　 ‰　ゝ,
　　　　　/　　　　 /　　　f　　|　　|　　　　　　　　　　ィi〔 |／　 }
　　　　　　　　 ,　　　__)k　i|　　ﾄ　　　　　ィi〔　　il　 i|＿__∧
　　　 /　　 /　　 ,　　 /　　ヽ|　　|/≧=‐=≦　 /　　 }　｜ / 　 }
　　　,　　　f　　　 i　　 i　　　 :.　　|　　　　＼ ,/　　 i|　 | 〈　　 |
　　 /　　 i|　　　 |　　∧ 　　 l　　|　　　　　 y　　　 |　 | ∧ 　i|
. 　/　　　 |　　　 |　　 l　T宀 i|　　|　　　　　 /　　　 |＿|　 ^ﾊ
　/　　　 i|　　　 |　　 |／^∨ｉ|　　|　　　　 {　　　　　　　　 },} }
./　　　　 |　　　 |　　 |　　ｉ} i|　　|　　　　　/　　　　　　　　 }＜

.
504： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:11:32 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)　　　　　　　　　「現在知られている友禅染は、
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　技法によりまず二種類に大別される。
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　　　　　手描友禅と型友禅だ」
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !　　　　　　　　　　　「手描き友禅にはこうした種類があります」
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

A：本友禅（糊糸目友禅、ゴム糸目友禅、後友禅、筒描友禅、挿伏友禅）
B:：手描堰出友禅
C：手描無線友禅
D：ろうけつ染め
E:：蒔糊友禅
F：点描友禅
G：糊うたし友禅
I：豆描友禅

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
505： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:11:50 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　「そして型友禅の種類はざっと見てこんな感じだな」
　　　　　　　　　　| 　＿＿ノ　　　）
　　　　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　　ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
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///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
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／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

A：写し友禅
B:：摺込友禅
C：堰出友禅

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

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506： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:12:22 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ　　　　　　　　　　「友禅染の中でも、伝統工芸品に指定されるには、
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、　　　　　　　　　　次の要項を満たす必要がある」
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

1.手描友禅にあっては、次の技術又は技法によること。
　1-1. 図柄は、友禅模様を基調とすること。
　1-2. 下絵は、青花等を用いて描くこと。
　1-3. 防染をする場合には、糸目のり、「堰出しのり」、伏せのり又はろう描きによること。
　1-4. 「挿し」、「彩色」及び描き染めには、筆又ははけを用いること。

２. 型友禅にあっては、次の技術又は技法によること。
　2-1. 型紙は、柿渋を用いて手漉和紙をはり合わせた地紙又はこれと同等の地紙に友禅模様を彫刻したものとすること。
　2-2. 型付けは、手作業により柄合わせすること。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【友禅模様】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　『曲線的で簡略化された動植物、器物、風景などの模様』という感じになるようです。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
507： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:12:32 ID:7AXrt/uY: 　　　　　「そして地布の材質は当然のように絹一択だ」

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）＿＿__
　 |　　　　　｀⌒´ﾉ─　　ー＼
.　 |　　　　　　　} ●）　（●）＼
.　ヽ　　　　　　　}⌒（__人__）⌒　|　　　　　　　　　　「知ってた」
　　ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　／
　　　/　　`ーー/⌒^)(⌒^ ー　)
　　　|　　､＿　　__,,/ヽ　　　／＼

.
508： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:13:58 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　「今回は、手描き友禅の中から本友禅の作業工程を見ていこうと思う。

　　　　　　　　　　　　　　　そのほかの種類の友禅染について興味があれば調べてみてほしい」

┌─────┐
│..絹織物.....　│
└─────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 __ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　 , =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 /　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　　 ,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　　 ,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　 / : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　「この絹織物とは、どのような下地を使うか、という選択だ。

　　　　　　　　　　　　　　　この下地にもいろいろな種類があるが、割愛するぞ」

.
509： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:14:15 ID:7AXrt/uY: 　　　　┌────┐
　　　　│..構想.....　│
　　　　└────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「着物屋をはじめとした顧客と、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今回の染はどのように行うか、
　　　　　　　　　　　￣　　､
　　　　　　 ´　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　図案や色見本を見ながら打ち合わせをしていく工程だ」
　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　「すでに買い手が決まっている反物であれば
　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その買い手の好みや年齢、用途なども考慮して
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　打ち合わせは行われる」
　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

.
510： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:14:39 ID:7AXrt/uY: ┌────┐
│　　　　 │
│　..精錬.....│
│　　　　 │
└────┘

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝　　　　　　　　　「精練は、白生地が染色に適するように行う作業で、
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）　　　　　　　　　　　　石鹸、タンパク質、アルカリ塩などの成分で構成される
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）　　　　　　　　　　　液体の中に白生地を浸す」
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿　　　　　　　　　　　　「これを精練浴といい、精練に使う液体の成分が重要になってくる」
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

.
511： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:15:03 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　「精練を行った白生地は、精練浴に用いた液体の残滓が付着しており、

　　　　　　　　　　その精練残滓が大気中の成分などと反応して生地の変質を引き起こすことがある」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |´＼　／｀　　 '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | (●) (● )　　 }-───── ヘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　(__人___)　　ﾑﾑ: : : : : : : : : : :.ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八　｀⌒´　　ﾑ|: ﾑ: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :∧　　　　　 ./　|: : ﾑ: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : :./∧　　　／　 .|: : : ﾑ: : : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : :: : : :': : :| ￣ﾆﾆ7＼ｲ: : : : :〉: : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (｀: : : : : : : : |: : :|ヽハﾆ7　　 |: : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(＼: :: : : : : ..|: : :|　　二.　　 |: : :＼: : : : : : : : :|｀ヽ: : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : : :> |　　ﾆﾆ　　 |: : : : :}: : : : : : : :.|　　＼: : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : /: : |　　.ﾆ二　　|: : : :/: : : : : : : : :|　　　＼: : : : : : : : : :)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : :八:.∧: : ! 　二二.　 |: : :/: : : : : : : : : :|　　　　　＼≦匕 : :./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : |V:∧: |　　二二|　.|: :/: : : : : : : : : : :|　　　　　/ : : : : : :./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : |　V:.寸　 {=== |　|:/: : : : : : : : : : : :|　　　　./ : : : : : :./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : | 　 Vﾑ　　|ﾆﾆﾆ|　|: : : : : : : : : : : : :.! 　　 /: : : : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : |　　 .Vﾑ.　|ﾆﾆﾆ|　|: : : : : : : : : : : : :|　　 ./: : : : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : :.＞'⌒￣￣￣￣￣￣/7ー‐㍉: : : : : : : :.! 　 /: : : : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : :／: : : : : : : : : : : : :／ /　　　　寸: : : : : :.|　./: : : : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : : : : : :/___/￣{　　　　＼: : : : :| <寸: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣

　　　　　　　　「こうした変化が進んでしまった場合、

　　　　　　　　　　その生地を用いる前に再び精練、湯通しを行い、染色性を回復する必要がある」

.
512： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:15:24 ID:7AXrt/uY: ┌───────┐
│　　　　　　　 │
│　..下湯のし.　　 │
│　　　　　　　 │
└───────┘

　　　　　　　　「湯のしとは生地に蒸気をあててしわを伸ばし、

　　　　　　　　　　　　　　　生地幅や長さを一定にそろえ、発色を促し、風合いをよくするために行う工程だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}　　　　　　　　　　　「染める前に行う湯のしを下湯のしという」
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::　　　　　　　「また、生地の丈がどれくらいとれるかを
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::　　　　　　　　　確認するための大事な工程でもある」
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::

.
513： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:15:54 ID:7AXrt/uY: ┌──────────┐
│　　　　　　　　　　 │
│　..墨打・下絵羽縫..　　　│
│　　　　　　　　　　 │
└──────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それが終われば墨打と羽縫だ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一枚の反物で一枚の着物を作る。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そのため襟、衽、身頃、袖に分けて仕立てられるので、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼　　　　　　　　　　　　生地に無駄が出ないように、
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/　　　　　　　　また、仕立てやすいように実寸にあわせて墨を打つ」
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ　　　　　　　　　「下絵羽縫は、着物として縫いあがったときに
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼　　　　　　　柄がバラバラにならないように、
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼　　　　　　　　　　　　　　　あらかじめ下絵を元に打たれた墨打に従って裁断し、
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼　　　　　　　　　　　　　縫い合わせる作業だ」
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣

.
514： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:16:56 ID:7AXrt/uY: ┌──────┐
│　　　　　　 │
│　..下絵.　　　　│
│　　　　　　 │
└──────┘

　　　　　　　　　「友禅染の柄の下絵は、青花の汁を和紙に染み込ませたものを

　　　　　　　　　　　スポンジのように用いて描く。

　　　　　　　　　　　青花の汁は水に触れると溶けて消えてしまうので下絵が残らない」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　「今までの工程を見てくればわかると思うが、
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、　　　　　　　　　　　　　　友禅染の作成には美術的な力量が相当に要求されるぞ」
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

￣￣　l　　　　　　/　　　　 |　　　　| 　　　　＼　　　　　＼
　　　 |　　　　 /　　　　　|　　　　| 　　　　　∧　　　　　 }
　　　 |　　　　 f　 |　　　 |　　　　| 　　　 /　}　　　　　 l__
　　　 |　　　　　|　 |　　　 |　　　　| 　　 |　　 l　　　　　 l　ヽ
　　　 |　　　　　|　 | 　　｜　　　| 　　 |　　 |　　　　 |　 l
　　　 |　　　　　|　 |＿_　　{　　　　| ＿＿|＿　 |　　　　 }　 l
|　　　｜　　　　 |　　　　ミ八　　 :| 　　 |　　 |　　　　 }　 |　　　　　　　　　　「それは悟れたであります」
{　　　｜　　　　 |㌢芯云丐ﾐ＼　 :|　/芯云丐ミ　　　 ,′ }l
‘，　 :|　　　　　|ゝｈr//刋　　ヽ　: 　ｈr//刋 /　　　　/　 /{{
　　　　{　　　　　{　{乂)こ少　　　＼{:　乂)こ少　　　　 ∧__　ⅱ
　　∨八　　　 ', i　　　　　　　　　　　　　　//　　　 ∧////
.　　 ∨　＼　　八＼　　　　　 ,　　　　　　//} 　　 /∨,/＜　∧
　　　 ∨ / ヽ　　　＼}　　　　　　　　　〈//　　　/　 }/＼} / ∧
　　　　∨　　〉､　 ∧　.　　　　 -　　　　　 /　　／　 /}///ﾍ / ∧
.　　　　∨　//∧/ ∧　　　　　　　　ィi /　／　　　//}////ﾍ / ∧
　　　　　 ∨///∧/　:}　＿　ヘ _ ｡＜ﾆﾆ/／/ 　　 /_∨＼///ﾍ/ ∧
.　　　　　　〉////∧　:!/　　／{ニニニ／　/ 　　 /　　≧s。,// / ∧
　　　　　 /////// ＼|　　 /＿:}　　　　/　/　　　 /　　 /　　　}￣　/ ∧
.　　　　 ////＞/　　/　　//ｉ:ｉ{ﾆ＞＜:/　/　　　 /＿__/＿_ 　 }　　　/ ∧
.　　　 ,' ￣ア /　　/7777/ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:ｉ:{　/　　　 ///////////ﾍ___ 　 / ∧
　　　 /　イ__/　　/=:∨,/i／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:∨ 　　 ///≧=‐ニニﾆﾆ二:ミｔ､/ ∧
.　　/　 {二:/　　/ﾆ/／＼i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:／/ 　　 /二二二ニニニニニﾆニ',/ ∧

.
515： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:17:16 ID:7AXrt/uY: ┌───────┐
│　　　　　　　 │
│　..紋糊置.　　　　│
│　　　　　　　 │
└───────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「下書きされた模様部分の、

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　染色しない箇所に糊を置いていく防染作業が『糊置き』だ。
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |　　　　　紋の部分で染色しないところに糊を置いていくのを紋糊置きという」
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

.
516： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:17:45 ID:7AXrt/uY: ┌───────┐
│　　　　　　　 │
│　..糸目糊置...　　│
│　　　　　　　 │
└───────┘

　　　　　　「青花による下書きを終えたあと、線の部分に防染糊を置いていく工程だ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　タ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ムﾋ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　月ﾋ
..　_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / じ
=　､｀ヽ＿
.　　´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　糸由　　　|／
　　　　　　　　　　｀　､　－､　　　　　　 |　|　　　〈_＿
　　　≧ー　､　　　　　　　　ヽr　､ヽ
　　　 f　ﾗ　　　　ー ―‐　∨ﾉノ　　　 ‐┼‐　　 |　ヽ
　i:ｊ　　｀¨　　　　　　　ｒ= ､　　　∨　　　　　　　┴ 　　ヽ　 '
　　　　　　　　　 ‘＝　　　 v
　　　　　　　ｆ￣ヽ　　　　　　　　　　十　''　　　ｰ
　　　　　　　ゝ┬　'　　　　　　 |　　　　　 j　こ　　￣）
　　　― ､＿ ,人　　　　　　　　｜
　　　 /　　　ヾﾆ≧ー ´　　　　｜　　　　 ├ 　　人ﾌ
　　　ｨ　　　　　ｖﾆ/　　　　　　　　　　　 ○ヽ　　／□　　　　　　　　　【これは間違い】
　　　――　　＜シ　　　　　　 /
　　　　　￣　≧　｀　　　　　　　　　　　　　　　┃┃　　, ┬ ､
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　。。　　l_ノ　ｊ
　　　　　　　　　　イ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　「伸子（しんし）と呼ばれる竹の道具を使って、生地をピンと貼ってから行い、

　　　　　　　　　　　　防染糊を裏側まで浸透させなければならない」

.
517： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:18:03 ID:7AXrt/uY: ┌───────┐
│　　　　　　　 │
│　..青花ちらし. 　 │
│　　　　　　　 │
└───────┘

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　　「糊置きが終わったら、霧吹きなどを使って水を吹きかける。
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　これによって青花で書かれた下絵が消えてしまうわけだ。
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　これを青花ちらしという」
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;　　　　　　　　　　　　　「さっき青花の汁は水に溶けてしまうって言ってたけど、
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼　　　　　　　　　　　　　霧吹きでおっけーなのね」
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
518： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:18:26 ID:7AXrt/uY: ┌────────┐
│　　　　　　　　 │
│　..糸目地入れ...　　│
│　　　　　　　　 │
└────────┘

　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 |　　　　　　　　「青花ちらしの次は『糸目地入れ』あるいは『地入れ』と呼ばれる工程に移る。
　　　　　　　　　　　　　　 |　｀ーﾞ　　丶__　-　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　( ⌒ )　　( ⌒ )　　|　　　　　　　　　　　　これは、豆汁（ごじる）を薄めたものに、
　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｗW　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 _,ﾉ　　|　　　　　　　　　　　　　　麩糊を混ぜた『地入れ液』を生地に塗る作業だ」
　　　　　　　　　　　　　　　!　　ゝ__ゝ‐ ´　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　7￣｀> ‐―　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　ぃ　　　　 /　　/　　　　　｀T.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　〉ﾊ　　　人　V´ ￣￣　　 l.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　,. ｲ / ,.ｲ .i l/　／／ﾄ､/ ,　-─‐　　 l::::::::',
　　　　　　　　　　,.　. : : : : //／/ヽV ／／　l: : :〈　　　　　　 jﾄ､:.:.::',
　　　　　　　　 /: : : : : : ://: : :/　「￣`7　　l: : : :(´￣￣　　ﾉl　ヽ:.:ヽ

　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　 ‐=ﾆ二二＞ ⌒{≧=､
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐ ／　　　｜　　＼
　　　　　　　　　　　　　/二二二γｱ　　　　　　　　 |　、　＼―――､
　　　　　　　　　 /　　{二二／　f　　　　　　　　 i|　　,　　　⌒}
　　　　　　　 /　　 ,ﾆ＞　　 |　　　　　　　　 i|　　 ,　　　｜　　 l
　　　　　　　　　 ,　　　/ { 　　　 i|　　|　　　　　 |　　ｌ　　　 |　　　|
　　　　　　　　　,′　 /　| 　　　 i|　　|　　　 |　　　 |　　 |　　　 |　　　|
　　　　　　　　　　　 /　/| 　　　 i|　　|　　八　　 l斗ｬ允　　 i|　　　|
　　　　　　　　 ,　　/　〈＼　　　　il　,斗ｬ允 ´ ‘，　ｘ==ミ, 　　 i|　　　|
　　　　　　　, 　〈　　＼＼　　 i|　x===ミk　　,　 /h/( /　　　从　　,
　　　　　　　　　　 ', 　　＼ヽ　　| 〈ぃ/( 　　 ,　/ 乂ｼ ,　　　/　　 ,
　　　　　　 ,　　　 ∨ 　　＼＼ ,　乂z少　　／　　 /　　 , 　　 /
　　　　　　　　　　　　入　　　　 }/,} ，　　　　　　　　,　　从　 /　　 /　　　　　　　　　「それを塗るとどうなるでありますか」
　　　　　　 /　　　／　＼　　rｧｧ,}　ヽ　　　　　　-　　 ||　 /{ 　　,
　　　　 /　　　/　／//!＼斗//} 　〕iト　　　　　　 ||i /　　 ,′
　　　　　,　　　 ,ゝ＜//／　|￣￣ｌ＼ ∨ﾆ≧s。_／　　｜/ |　{ /
　　　　 /　　　／///／　　　　　 | /≧s。}ﾆ={ﾊ |　　　 |/　|　,/
　　　 , 　　　∨/,／　　　 |　　 |/　　　 }ﾆﾆ|__!|　　　 |　 i|
　　　　　　　　ゝ'　　　　 i|　　 |≧==≦ﾆ笊=∧　　 |≧s。
　　 /　　　　　　　　　／|　　 |ニニニﾆ乂ﾉ=:∧ 　 i|ニニ,ヽ
.　　/　　　　 /　　　／二|　　 |二二ニニニﾆﾆ∧　｜ニﾆﾆ,}
.　　　　　　　/　　　　/ニﾆﾆ|　　 |二ニニﾆﾆ＞r＜∧　!ニニﾆ,|

.
519： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:18:42 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r ´二ニフ、
　　　　　　　　　　　　　　　 _ 　　/　 '´,. 二ノ⌒
　　　　　　　　　＿＿_.-‐'´ `-i/　　γ_)⌒）（⌒)
　　　　_,.＜￣￣　　 : : : : : : : : l　　 r/´（___人__）
　 _,.＜　　　　 : : : : : : : : : : : : :l l__ノ　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　「次の工程の挿友禅の時に、
　l,,　　　　 : : : : : : : : : : : : : : :ﾉﾉ　|　　　　　　　|
　l; : : : : : : : : : : :-─＜二二´　　ﾄ　　　　　　 |　　　　　　　　　　これを塗っておくと染料が生地に均一に染み込みやすくなる」
　＼ : : :￣`'''''´ノ : : : :l`-, : :`-＜ヽヽ,　-ｰｰr´
　　　＼ : : : : :'´ : : : : : l : :l :＼`-‐ヽ　ゝ--< lヽ、
　　　　　＼ : : : : : : : : : : : l : : :＜ : : :∨∧::〈ヽ: :､>＞、
　　　　　　　`‐,_ : : : : : : : :l : : : : :ヽ : : ∨ |:Λ | : :ヽ : : :ト-､
　　　　　　　　　 `-, : : : : :l : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::| l : : :/ : : : : : ,
　　　　　　　　　　　＼ : :ノ: : : : : : : : : ＼ : .､:::|,| : / : : : :l.: : {
　　　　　　　　　　　　 V: : : : : : : : : : : : : :ヽ: ',::ｌl: / : : : : :l : ∧
　　　　　　　　　　　　　V: : : : : : : : : : : : : : :ヽ:V : : : : : : :l : :.∧

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ------
　　　　　　　　　　　　　　　 .｡＜　{　　≧o｡、//＞｡. _
　　　　　　　　　　　　　　／ゝ／　i　　　　　 }⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　／　 ,　　 |　　　　 i　　　　　　＼
　　　　　　　　　.｡＜　　　　{　　　:|　　　　 |　　　|　　　　ヽ
　　　　　　　 {　 l　　　　 i 　　 |　　　　 |　l 　:|　　　　 }
　　　　　　　 i　 |　　　　　|　　 :|　　　　 |　|　 :.　　　　ﾄ
　　　　　　　　 :　 :　　　　　|　　 :|　　　　 }: 八　}　　　　 :.∧
　　　　　　　　　 ∨ 　　 :|￣￣ヽ　　　 7云ミｔ､!　　　 /　　}
　　　　　　　{{ 　∨　　㌣芹斧　＼　 /´斧笊ｱ　　 :/　　/
　　　　　　　i ﾟ。 :∨　　 { 込シ　　　＼　込シ }　　　/　　∧
　　　　　　　　　{ .:　　Ⅵ 　 !＼　　　　　　　　　 /:i　　 /////
　　　　　　　　 ∧/ﾟ　　ヽ　 :{＼〉　　　 '　　　〈/　　/{ ∨/　　}
　　　　　　　 /　 Ⅵ　　} ＼　＼　　　‐　　　:／:　 / :i___〉　　∧　　　　　　　　　　　「ほほう」
　　　　　　 /　　 /∧ /　　＼{: ＼　　　／/　イ　 }/∧　 / ∧
.　　　　　　 /　　〈///}　　 |＿ｉ　 {/＞ー＜/|/ /_:|　 :iﾏ//〉　 / ∧
　　　　　　/　　　　〈//i　　 |/八 /＼////／ヽ|//:| 　:|∧/　　 / ∧
　　　　 /　　　　　 |　　 {二}i:i:i:i:i:iヽ／i:i:i:ｉ:ｉ:{二:}　 ::.　　　　 / ∧
.　　　　 /　　　＞ｧｧ]　　/ 7　＼i:i:ｉ/i:i:i:i:i／　 T i　 }ｧｧｧ＜　　　/ ∧
　　　　/　　　　 /////]　 / /　　　￣ T￣　　　ﾟ |　 !////∧:　　 / ∧
　　　 / 　　　 {/////　/／　　　　　 }　　　　 :|　 }/////∧:　　/ ∧
　　　　　　　　　}////　＞　　　　　　　Y　　　　　　＼ﾏ/////∧:　　 / ∧
　　/　　　　　 :{///:‰　　　　　　　 |　　　　　　　　マ////∧　　 / ∧
　 /　　　　　　 ,'/// 　　　　　　　 |　　　　　　　　　　ﾏ////∧:　　/ ∧
. /　　　　　　 ///if　＞――――――{―――――＜　　}////:∧　　 / ∧
　　　　　 /7//{///////////////!}///////////////!////{ ∧　　 / ∧
　　　　　　 /　{:/∧///////////////!//////////////∧￣　　 ∧　　　/ ∧
　　　　 /　　　入/////////////人////////////:/　∨　　　 ∧　　　/ ∧

.
520： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:18:56 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |　　　　　　　　　「あと、置き終わっている糸目糊の外に
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |　　　　　　　　　　染料が染み出さないようにする働きもあるし、
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、　　　　　　　　　染料の色を引き立たせて染ムラが出にくくなったりする、重要な工程だぞ」
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　「ただなんか塗ってるだけに見えるけどそうでもなかったのかお」
　　　　　／　.,r'´｀、　　　, ´｀ヽ、　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　／. 　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　＼
　　|　　　　　 ´"''"　　　, 　　 "''"´　　　　 l
　 ..|.　　　　　"⌒（　　　 j　　　）⌒ﾞ　　　　 |
　　|.　　　　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　　　 l
.　　＼.　　　　　　　｀ ⌒ ´　　　　　　／
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

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521： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:19:15 ID:7AXrt/uY: 　　　　「何百年もかけて洗練されてきた作業内容に無駄があるわけないだろ常識的に考えて」

　　　　　　　　　　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　| 　＿＿ノ　　　）
　　　　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　　ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　「まずは生地の裏から、
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////　　　　　　　　　　　そして表に地入れ液を塗って地入れは完了だ」
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

.
522： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:19:36 ID:7AXrt/uY: ┌─────┐
│　　　　　 │
│　..挿し.　　 │
│　　　　　 │
└─────┘

　　　　　　　「そうすると、次は手描友禅の花形である『挿し』の作業だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ノ　 '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　 (⌒ ) (⌒ ).i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__） i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　ﾉ
　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　　 |
　　_. }　}　　 r 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　 ∧､　　　　　　|
　 iハi　i　　 {　'､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. . . . . .｀ -.. _,. イﾄ､ヽ､, ____,__ ノ
　 }　}-､i、　ゝ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　＼、　___〈
　.ヽ/ .ﾊ,_￣{、　　｀､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　　ｨ´:::.V、
　　 i　ﾘ　)　ｉヽ,　　i､、____　　　　　　　　　　　　　　／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,√〉:.;〈 r .ヽ＿,.
　　ヽ,}　{-､　ﾆ-、　ヾヽ .: :｀ﾆ=-- 、＿　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧}::::::',} : : : : : .`､
　　　　｀ -､_　　　　ﾉ｀} } : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ=-､＜ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧:::::::', : : : : : : .ヽ
　　　　　　　　｀＜､__ﾉﾉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ : : : : : : : : : :＞、: : : : : : : : : : : : : : : : ∧:::::',: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　｀ﾆ彡" : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧:::', : : : : : : :.r
　　　　　　　　　　　　¨ｰ=ﾆ二､_ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :Λ::} : : : : : : :.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨｀-- 、＿ : : : : : : : ＞' ´　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　ー　´　　　　　　　　} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まずは配色をイメージしながら染料や胡粉などで『色』をつくる」

.
523： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:19:59 ID:7AXrt/uY: 　　　　「下絵をもとに色見本を見ながら、一色一色作っていく。

　　　　　この時、気を付けることは色本の色を頭で合わせて、

　　　　　　染料の数を少なくして、多くの色を使わないようにすることだそうだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
　　　　　　　　　　　　／　　　（ ●）　（ ●）＼
　　　　　　　　　　　 | 　　　⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　　　　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　「あー、色をたくさん使うと色が濁って見えるからかお。
　　　　　　　　　　　　 | 　ヽ＿＿　　　　　＿　',
　　　　　　　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿　　　　　　　そのあたりはフィギアの塗装とかも同じだお」
　　　　　　　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　　　　　　　 ∧　|　　　 |＿_／　　 /
　　　　　　　　　　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　　　　　　（＿＿）　､＿＿）

.
524： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:20:20 ID:7AXrt/uY: 　　　　　「そうして用意した色を、用途に合わせた様々な筆で塗っていく。これが『挿し』の作業だ」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　「薄い色から濃い色へ、という風に塗りの作業を進めていくのが基本なんだが、

　　　　　　　　　　　これもさっきやる夫が言ってたフィギアとかの塗装に通じるものがあるな」

.
525： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:20:41 ID:7AXrt/uY: 　　　　　「で、この作業は、染料を塗る生地の下に熱源を置いて、

　　　　　　　染料を塗った部分を乾燥させながら手早く、正確に進めていく」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i　　　　　　　　「この『挿し』の作業の中で、ぼかしなんかも入れていくぞ」
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

.
526： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:21:02 ID:7AXrt/uY: ┌─────┐
│　　　　　 │
│　..蒸し.　　 │
│　　　　　 │
└─────┘

　　　　　　　　　　　￣　　､
　　　　　　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ　　　　　　　　　　「挿した色を蒸して染料を定着させる工程だな」
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　「この蒸しによって、
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´　　　　　　　　　　　　　　　　　挿し友禅された染料液を定着させるとともに、
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　染料の発色を促す」
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

.
527： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:21:23 ID:7AXrt/uY: ┌───────┐
│　　　　　　　 │
│　..伏糊置き　　　│
│　　　　　　　 │
└───────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　.:;. ~
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ　. .;
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 ,　　}.||＿　　　　　　　　　　　　　　　　「蒸しが終わったら再び糊置きだ。
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　__,.ノ　ｿ /.||_. .＼
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　（●　　/￣＼y .＼　　　　　　　　　　　　　　　今度の糊置きは伏せ糊置きという。
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 r　　ﾉ/.／￣　　　.ヽ
　　　　　　　　　　　　 |　　　　｀-ｰ´{/ﾐ／　　　　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　　地色を染める前に、模様部分に色が入ることを防ぐ目的で、
　　　　　　　　　　　 |　 } 　　　　 ´ ｛./　ﾍ　　　　ﾊ
　　　　　　　　　　 | 　 '丶　　　　　ヽ__).＼　　　　 _.ﾄ､__　　　　　　　　　　　　糸目の縁などに細かく糊を置いていく」
　　　　　　　　　 |　＼｀ - 、 __＿j丿　　　　ヽﾊ／＞ｰ弌┐
　　　　　　　　　　　　　r二ニ＝=- 、,__ _「　　　　　　　7／ : : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　/ : : : : : :＞、　λ::;;}＞- 、　　〈 : : : : : : : :.∧
　　　　　　　　　 /＿／.: : : : : .＼{ ヽ:::ヽ :.＼＞､_∨ : : : : : : :.∧
　　　　　　　　　／_____、: : : : : : : : . ＼ヽ:::::ヽ :.＼: :.:.∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : . ＼ヽ::::ヽ : :＼:..∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :＼ : : : : : : : :. ＼'､:::::. : : .∨∧ : : : : : : : :∧
　　　　　 / : :.:.:.:.:.: : : : : : : : .V: .:.:.: : : : : : . ｀､:::::::. : : V:∧ : : : : : .:.:.:.∧
　　　　　　У : : : : .:.:.:.: : : : .:.:.: : : :.:.:.:. : : : : : : ｀､::::::: : : ',::.∨ : : : : .:.:.: :∧
　　　　／´￣¨¨. : . .＼ : .:.:.:.:.:. ﾉ: :.:.:.:.:. : : : : : : ∧::::::i : :|:::ﾊ : : : : : :.:.:.:.:.: }
　　／ : : : : : : : : : : :.＼::.} .:.:.∠: : .:.:.:.:.:.:.:. : : : : : ∧::::} : :|.:::::.. : : : :.:.:.:.:.:. /
／ : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨八: : :.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : Λ::i : :|--＜.:.:.:.:.:.:. ／
: : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : __／.:.:.:＼:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : V : :|　　　￣¨¨
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: : : : : :.:.:.:.:...＼: : ／　＼ : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : |
: : : : : : : :.:.:.:.:...∨　　　 ∨ : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : |

.
528： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:21:42 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　　　　「糸目への伏せ糊が終わったら
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　次はすでに染色されている模様部分への糊置きだ」
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:　　　　　　　　「もう染まってるところに染料がしみ込んだら
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!　　　　　　　　　　　困るものね」
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　　　ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/

.
529： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:22:04 ID:7AXrt/uY: 　　　　「糊を塗り終えたら泡抜きだ。

　　　　　　　糊を塗った部分に空気が入って気泡にならないように、棕櫚の刷毛などで表面を撫でていく」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ――-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 .:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　＿＿　　 .::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ 　　ヽ ....:::/　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.､／:∠＿
　　＿＿_, - ､　　　　　　　　　　　　 __,. -――＜二二二＞≦――-,､　　　　　　　　　　　,. ‐'´::::ヽ:.:.:.:.:二ﾆヽ
　ﾞーｧ:.:.:|::::::::｀` ―- ､、　　　　_r:'Ti::､:::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::::::::/:ﾊ、　　　　　　　,. ‐'´:::::::::::::::::|‐--―一'
　／:_,:.:.,|::::::::::::::::::::::::::::｀`ｰ-‐'´:::::::ヾ', '、::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::://:ｨ::｀＞―‐-- ‐'´::::::::::::::::::,. - '
　'-´一'´`ー- ､、:::::::::::::::::::::::::::::::｀丶:ヾ}｝:::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::/:'ｼ':／::::::::::::::::::::::::::::::::,. ‐ '´
　　　　　　　　　｀` ‐- ､_::::::::::_,. -‐`｀^ヾ::::::::::::::::::::〈:::::::::::::::::::::::::fr‐ '＜-_::::::::::::::::::::_,. ‐'´
　　　　　　　　　　　　　　｀￣　　　　　 /:::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::〈　　　　 `'-一''"´

　　　　　　　　　　　「気泡ができてしまうと、そこに染料が入り込んで

　　　　　　　　　　　　染ムラの原因になったりするので、仕上がりの出来如何にかかわるぞ」

.
530： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:22:22 ID:7AXrt/uY: ┌─────┐
│　　　　　 │
│　..引染...　　│
│　　　　　 │
└─────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「次に.引染。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　生地に地色を染める工程だ。

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　広範囲を染めるので染はじめと染終わりで
　　　　　　　　　　　／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) (.⌒)　　　　　　　　　染料の濃度が変わる可能性がある」
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　　|
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜　　　　　　　　　　　「それによる故障を防ぐために、
　　　　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼　　　　　　　　　　仕立てる時に隣り合わせになる部分をあらかじめ縫い合わせて、
　　　　　　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　　　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',　　　　　　　　　　染料の濃度のギャップが仕立てに影響を与えないようにする。
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |

　　　　　　　　　　　　　　-
　　　　　　　／ : : :⌒ : : : : :＼
　　　　　 ' : ,-‐ ヽ : : : :／: : :`
　　　　　 .' :. / : : :./＼ : : : : : : :∨ヽ
　　　　　: : :/ : : : :||ﾐ` ∨彡'. : : :∨::}　　　　　　　　　　「隣り合った箇所の色に濃淡がついてたら
　　　　　i / : : : :/ |i 　　　　ヽ : : :∨:|
　　　　　| : : : : ::　 |　　　　　'. : :::.} :|　　　　　　　　　　　　ちょっと困りますものねぇ」
　　　　　| : : : : :i＿＿,　　ー-_‐ヾ: :.| :|
　　　　　| :i : : :ﾚrｪｯ　　　　ｲf ≧ : .:| :|
　　　　　|.八 : :{` ｰ´　　　　￣　.| :.|. :i
　　　　　i :::::. 　ﾄ､　　　 '　　　　 | : | ::|
　　　　　| : : :ﾊ＼　　 r　‐, 　／i: ::| ::|
　　　　　: : : : : :＼＞　￣　／＼| : :|: |
　　　　.' : : : : : : :,/ミ　　`　　彡 ∨ : : |
　　　 / : : :彡 '´|i＼　　`三'　　./ |i|　 ` 　､
.　　 / : : :{　　　|i| 　＼三三三/　 |i|　　　　 i
　　/: : : :.|　､.　 |i|　　　　　　　　　.|i| . /　　 .|
　 .' : : : : :|　ヽ/　＼＿＿＿＿／. ∨／　　|
　 { : : : : :.|　 /　 ○　￣￣￣￣　○ ＼ .　　|

.
531： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:22:40 ID:7AXrt/uY: ┌───────┐
│　　　　　　　 │
│　..蒸し・水元　　 │
│　　　　　　　 │
└───────┘

.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　,ノ　　＼ Y⌒i　　__
　　　　　|　（●）（●） | 　| 　./　.)
　　　　.　|　　（__人__） .|　 |　/　./　　　　　　　　　　「引染を終え、乾燥させた生地を再び蒸して、染料を定着させる。
　　　　　 |　　｀ ⌒´　ﾘ　 i_/　./
　　　　.　ヽ　　　　／　　,｀弋ヽ　　　　　　　　　　　　　100度前後の蒸しを二回ほど基本行うが、
　　　＿＿ヽ　　- γ⌒ヽ　Ｙ´ ,｀ヽ
　／ :　　: :介〈　　`ｰ､く　〈::...ノＶヽ　　　　　　　　　　　その品によって蒸しの回数や温度、時間などは調整を要する」
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ､　｀ヾ＿/　//:|
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j　　　　　「どの程度の蒸しが一番いいのか、
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!　　　　　　　　経験がものをいうみたいですね」
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

.
532： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:23:09 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そのあとは、水洗いを行う。これを『水元』という。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この水元が不十分であった場合、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒　　　　　　　　布の表面に不純物が付着したままの状態となり、
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i　　　　　　　風合いを損ねる」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/　　　　　　　「昔はこの水元の作業を鴨川の流れで行っていて、
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |　　　　　　　　　　　　色とりどりの友禅の反物が鴨川の流れに
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|　　　　　　　　　　　　　そよいでいる様子は、京の一つの風物詩だったんですよ」
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

.
533： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:23:25 ID:7AXrt/uY: ┌─────────┐
│　　　　　　　　　 │
│　..上張り・上ゆのし.....│
│　　　　　　　　　 │
└─────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「水元まで終わって生地が乾燥したら、再び湯のしを行う。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　前にやったのが『下湯のし』で、今回のが『上湯のし』だ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　　　　　　　ﾞ,ヽ
　　　　　　　　 }ヽ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　　　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　｀　　　　　　｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{　　　　　　　　　「湯のしを行う目的は下湯のしと同様、
　　　　　　　　ﾊ　 'iヽ　　　　　　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　　　　　　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|　　　　　　　　　　　　しわを伸ばし、幅や長さを整えるためなのね」
　　　　　　　　　　､＿_　　､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　　　　'/ﾆ/　　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　　｀'　　　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　　　　　　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　　　　　　ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ノ. . . . . . . . . >. . .

.
534： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:23:43 ID:7AXrt/uY: ┌────────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　..彩色・絞り加工・金加工・縫紋刺繍・色抜き・紋上絵 . 　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
└────────────────────────┘

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　「この辺りは、必要に応じて行う作業で必ずやるってことじゃない。
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　染め上がった生地に施す装飾だな」
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

.
535： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:24:04 ID:7AXrt/uY: ┌───────┐
│　　　　　　　 │
│　..上絵羽縫...　　│
│　　　　　　　 │
└───────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　「ここまでの作業で染色、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　装飾を終えた生地を、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　実際に着物の形に仕立ててみる工程だ」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_　　　　　　　／⌒＼
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）..　　　　　{ 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'.　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜.　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´.　　　　　　 {: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i　　　　　　「実際仕立て上げられたときに
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_...　　　|: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼. 　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ　　　　　　　　故障などがないか確認するんですよ～」
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }..　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',..ﾞｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,r. //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣. _{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　|　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､.　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : :/:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/　　　　　　　　　　　　「仕上がり一歩手前のチェックね」
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
536： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:24:37 ID:7AXrt/uY: ┌─────┐
│　　　　　 │
│　..補正...　　│
│　　　　　 │
└─────┘

　　　「ここまでの製作過程でもし故障が見つかった場合、

　　　　　補正を行うことになる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　　　 _ノ　ヽ
　　　　　　　　（（　 |　　　　　（ ●） |　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　|　　　　　（__人）.　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　　|　　　　　　　 ⌒ﾉ.　　／　　 ─　　 ─＼　　　　　　　　　「やっぱどっかへんなとことか
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　}　／　　（● ）　（● ）＼
　　　　　　　　＿　　 >　　　　　　 } 　 |　　　　　（__人__）　　|　　　　　　　　　　でてくるもんなのかお」
　　　　　　　　　￣￣`　　　､＿_ﾉ　　＼　　　　　｀ ⌒´　／
　　　　　　　　　　　　　　　　￣`'‐- 、　　 >　　　　　ー‐　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　/　　　　　／￣彡ﾐヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　　ヽ　/　　/　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　Ｙ　　/　　 |　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　入　　　ヽ　　　　　ノ　　　ヽノ

　　　　　　　　　　　 ‐=――ﾆ=‐
　　　　　　　　　　ィi〔//{　　　＞｡./ ＼__
　　　　　　　　／//}＞'i　　　　 l　ヽ／＜ヽ
　　　　　 r‐=≦/　 {　　|　　　 |　　　　＼
　　　　　 |　 {　　　ｉ　　|　　　 |　　　 l　　ヽ
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　 |　　　 |　　　〈
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　八　　 !　　 / /ヽ
　　　　　 |　 {　　丁￣{　　　 /￣￣　}　　/ /　/
　　　　　 { { ‘，　　,x笊うﾐ　 /,ｨ斧丐/　 / /　/
　　　　　 {{ ',　，　ゝVツ　ヽ/ 　 Vツ/　:/ /　/
　　　　　 }}　ﾟ。＼_＼　　　　　　〈/ / /　/|　　　　　　　　　　　　「まぁモノづくりしてればそういうのは避けられないであります」
　　　　　 l!　　＼ {　＼　　 '　　　／ /　乂ｨ｜
　　　　　 |　　 //|　 |　へ　 ^　,ィ /／　}//ﾍ :|
　　　　　 |:　　{/,'|　 |//{ﾆ≧≦ﾆ}77{ 　:|///} |
　　　　　 |　ィi〔｜　{///ヽﾆ／ ///{　 :|///} |
　　　　　 |/ニﾆﾆ|　 i ⌒＼ｉ:ｉ／ゝ< i　 :|=:＞｡!
　　　　　 {ニニﾆ:|　/　　　 T　　　　:l　 :|ニニ:}
　　　　　 iニﾆﾆ:／　　　　 |　　　　　＼|ニニ:ｉ
　　　　　{::ニ::/ 　　　　 :|　　　　　ﾏﾆﾆ:}
　　　　　 Ⅵ /――――――=‐　＿＿ ∨=:〈　　　　　　　　　　　　「昔作ったAAとかもう作り直したくてしょうがないらしいであります」
　　　　 :=:{///////////}//////////77/ /
.　　　　　 l}八//////////,'i//////////,'八,′
.　　　　　 |Ⅵﾍ/////////人////////イ__/ |
.　　　　　 | ﾏ=:∧≧=‐‐=≦≧=‐‐=≦ニ=:,'　|
.　　　　　 |: Ⅵ=:∧￣T¨¨　lゝ‐=≦//ﾆ二:.　 |　　　　　　　　　　　　「誤字脱字とかあっても仕方ないんだ」
.　　　　　 |　∨二:∨/}　　 :.　　 {/:/二二/　｜
.　　　　　 |:　 ∨二∧i　　 l　　ｉ /ニニ:/ 　 :|
.　　　　　 |　　 ∨ニ∧　　　　 /ニニ:/__　　|

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537： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:25:08 ID:7AXrt/uY: ┌─────┐
│　　　　　 │
│　..製品...　　│
│　　　　　 │
└─────┘

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　「補正をすませて、ようやく完成だ。お疲れさまでした」
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／　　　　　　　　　「お疲れさまでした。
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !　　　　　　　　　　　　　　　ここまで来るのにたくさんの職人さんたちが
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l　　　　　　　　　　　　　　　　かかわってるんですよね～」
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

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538： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:25:27 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　「以上が手描き友禅の大まかな作業工程だ。

　　　　　　　　　　　　　続いて型友禅だが、この型友禅というのは防染を型紙によって行うことで、

　　　　　　　　　　　　　　挿し友禅のような手間を短縮させることに成功した技法だな」

　　　　　　　　　　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　| 　＿＿ノ　　　）
　　　　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　　ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
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///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「マスキングテープ山盛りでフィキサチーフ吹きまくりってことかお」
　　　　　　　／.:￣￣￣￣￣ .＼
　　　　　／: : :　　　　　　　＼
　　　／: : : :　　　　　　　　　　　　＼　　　　　十
　　／: : : : : :　　　　　　　　　　　　＼.　　　　　 |　　　　*
　／ : : : : : : :.:.:.:.:　　_　　　　　　　　_ 　＼.　　　＿人＿
　|:::: : : : : : : : :.:.::.:.:´⌒＼,, ;、､､／⌒｀　　l　　　￣｀Y´￣
　|:: : : : : : : : :.:::::;;（　● ）　ﾉヽ　（　● ）;;:: | 　　　　 |
　|:: : :: : : : : : : : : : :´"''",　　　　　"''"´　 l
　＼ :.: : : : : : : : . . . . （　　　 j　　　）　　／　　　＋
　　＼:::: : : : : : ::.:.:.:.:.:.｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′／
　／´￣￣｀ﾞ'ー､:;:;:;:;:;:;:;_:_: : : : : : : :イ
　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ｀ヽﾉ

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539： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:26:18 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　「その成り立ちは比較的新しく、型友禅の中で最も有名な写し友禅は、

　　　　　　　　　　　　　明治時代の職人、広瀬治助が編み出した技法になる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ |､　,ﾊ　{　ｌ{　　,ｲ　 /　l| ,ィｆ___,ノ）
　　　　　　　　　　　／｢|　| ノ |　＼__ ＼| ｌ|,ノﾊ　ｊ/ /　　,ｨ／|
.　　　　　　　　　 j　　|　l|＼ｌ|　　￣ヽl| ﾘ /ｊ ∨ /　／ｌ|　ｌ|
　　　　　　　　　 ∧　 l{　lﾄ､ |r‐一'⌒ヽj/ /＿ﾉ /厂ｌ|　 { ,人
　　　　　　　〈　i{ |　Ｖ＾ﾞ'ヽ| ｌ　 /ﾄn /／ｌﾄ‐く/ 　ﾘ　）ｊ }
　　　　　　　　　　Ｖヽ|　ｒ'　__　＼ｌ{ |＾~　''"}ﾘ　}|　／　／／/
　　　　　　　　 __V |l｢,.ｨｆ芥ﾄn､＼{　　　厶--┴一ｧ' ／//
　　　　　　　 / __ ∨　＿　　ヾ　　　　　 _,ィｆｶ､　彡′／
　　　　　　　　　 i / ｊ｝ |　 rｰﾃ=ﾐ、　　　　 '"￣ヾ'　Ｙ´ /
　　　　　　　　人＼_,|　ヽ乂ｔｿﾝ　　　　,ｨﾃ=ﾐ_,　　ｊ／
.　　　　　　　　　＼__|　　　　　　 , -､　､乂ｔﾂﾉ　 'K^ 〉
　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　 /_ﾉ,ﾉ/
　　　　　　　　　　 '，　　　　　＿　　　　　　 /＿／
　　　　　　　 __.｡ -ｧ￣＼　　　く⌒ヽ　　　 , ′
　　　　　　／/　／　／//|/ヽ　　｀こ´　　／
　　　　／'// , ′ /////,|// ＼　　　イ/∧ ＼
.　　　 !// / / 　 /'////∧///〉｀７´/〉////∧　＼
.　　　 |//,|　　 ////////＼//// 〈/__/ ///∧　}　＼
. 　　人/ |│　///////////（__）￣//////// i　|　 l/!
　　〈///∧|　///////////////////////// | ｌ|　 |/|　　　　　　　【広瀬　治助】
..　　　}//// ∨///////////////////////// l ﾘ　 |'/
. 　　 |///// i/////////////////////////,/　　／
.　　　 |///// |//////////（__）////////// / /／

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　「明治のはじめに、化学染料が海外から輸入された。

　　　　　当時、染色業界では従来の植物性の染色剤よりも鮮明な色彩の化学染料に驚きはしたものの、

　　　　　　化学染料を用いた染色技術を全く持たなかった」

.
540： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:26:56 ID:7AXrt/uY: 　　　　「従来の方法で化学染料を用いてみると、化学染料は常温で簡単に染色が出来ることがわかった。

　　　　　　　　だが、その方法を用いて化学染料で染色を行った布の染色は不十分で、

　　　　　　　　　　　色落ちなどがひどく、非常に評判が悪かった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　『い、色落ちしているじゃないかっ！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　このままじゃ使い物にならないよぉ～ッ！』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／{⌒Y^Yﾂﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /{/{_人　ﾉ　/　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ ==ｧ（_f⌒}ノヽ/.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　//＼_　　r=ﾐ∨ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨〉〈_e_ U_e_〉u}く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {∧U　　 ^ 　 U }ﾘ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人∧u　(三_) u ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　ー' ／}_r── ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }≧F}ﾆﾉ≧ミ＼ヽ＼＿___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ二二ニニﾆﾆ＼ﾆﾆ}ニニ＼_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／-{二二ﾆx＜´￣￣＼l|ﾆﾆ／⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆニ{ニﾆ／ oニニニニﾆ}￣∨ニニ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 ∨ﾆﾆ{-／ニニ o二二ニﾆ}　　＼ﾆニ人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人ﾆﾆVニニニニニニニニ）　　　＼二 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆﾆ八ニニニニニニﾆﾆ｀＞　..,　〈｀¨´}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /ニニﾆﾉ　＼ニニニﾆoニニニニニ}　｀¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ニニ／　　　 }ニニニニニニニﾆﾆ.ノ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　「この化学染料による染色業の混乱は明治十年頃まで続く」

.
541： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:27:22 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　「前回出てきた槇原正直が、京都振興の一環として舎密局などを立ち上げて

　　　　　　　　　　　化学染料の使い方や性質などを研究したりもしてる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『第二代京都府知事だぜ』

　　　　　　　　　　　　　　　　/,ク::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::::::::
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　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::／/:／　　,::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　 _レ::::::::::::::::::::::／_￣´　 / ⌒ ヽヽ;::::::::
　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::::::::::/ﾚ/　｀　　　,　　　 , .＼:_
　　　　　　　　　　　　　　　＼::::::::::/　,　　　 l　　　.∩　　 i　　l::
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼::::ヽ　、　∩, ,、　　ー　 ´　　:|::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ二ヽ　　　　｀′　　＿＿　　 V　　　　　　　　　　【槇原　正直】
　　　　　　　　　　　　　 i^,　　　　　￣ l　　＿　 -　　　　　ヽ ./|
　　　　　　　　　　　　.　.l　l　　　　　　ゝ　、　　　＿.　-= .ﾉ,　|
　　　　　　　　　　　　、 .l　l　　　　　　　＼ヽ＿＿＿　＞'"＿__|
　　　　　　　　　　　　.ヽ」　ヽ＿　　　　　　｀＞　_　-　　 / l
　　　　　　　　　　　　＼_,,r-一 _⌒ヽ＿＿__/ヽ　.|　　　./　i!
　　　　　　　　　　　　　「_ ヽ￣ T　　l　　　/　ｨヽ !　　 /　 .i!
　　　　　　　　　　　　.f´　＼」　 !　　l　　./／　　.i!.＿/　　 |_／
　　　　　　　　　　　　. ヽー一′、　 l　　´　　　/　O
　　　　　　　　　　　　　 l＼　　　　　.」
　　　　　　　　　　　　　 l　＼　　　　j
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　「この混乱の中『紺屋』といわれる紺色の染め物の専業集団は、

　　　　　　　　　　化学染料を用いた型付染色法にたどり着き、現在の写し友禅の基礎を作った」

.
542： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:28:18 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　「この写し友禅を作った紺屋が、広瀬治助ということだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　／￣≧ｘ
　　　　　　　　　　　　　／　　　　￣}
　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣＼ |＿
.　　　　　　　　＼ｰ────==ミ　）＿＿,ノ＼
　　ﾄ　　　 |＼￣￣＼　　　＿＿　＼　　　　　　ヽ
　　 |ｌ＼　　 |＼￣￣￣￣￣￣＼ヽ.　 |￣｀ヽ　　　∧
　　_|　　＼__|　＼　ｰ-　一'⌒　 /{│　|＼　 }| ｊﾘ　 /
　　＼＼　ヽ!　　ｉ＼＿＿__　　 { l|│ 人　} ノ（　ｌ /
. 　　＼＼　 |　　＼＼＿_ ＼　　＼ヽ ''"｀＾￣＾⌒
　　 /￣ﾟ，＼＼　　＼＿___￣￣｀ヽ　　し　　　　ﾊ
.　 /／￣‘，　＼ヽ＿＿__,ｚ=-─一'　　　　　　　　,州n
　￣￣￣ ∨　}　　＼__／　 ,∠三　　　　　　　 rｆ汐^'ﾟ，
　　＼　　　 |　 l__　　　　　 /ｰ= 　　し　　　 }ﾘ/　 ,　　　　　　　　　　　『そうか、この化学染料と澱粉、それに
.　　 __＼＿＼＿＿＿＿_/￣ﾉ　　　　　　ﾉ}ノ　u　ｆ⌒´
　　‘｡　　/二二＼　 -‐==彡'　/王ニﾆ彡'　　J　　_込ｊハ　　　　　　　　　　　これを混ぜれば……っ！いけるぞ』
.　　＼/　　　　＼＿　 ,ｚ≠　 {ﾚ' 　 _xｨｆ⌒　　　 '⌒ヽ　ﾟ.
　　　 /'⌒ヽ　＼　￣_/　（　Ｕ　　ﾉ　　込ﾘ/　　　　　　　｡
　　　ﾉ＿_／＼　 r‐‐＜ﾆ彡　 }　ｌ　＼__／／　　 --､　！
　　'⌒ヽ　　-──|　r┬‐､￣　し'　　　　／　U 　/ｰ一ﾍ　 |
　　　　　＼__／了ﾊ. ｌ│（ト　　　　　　　　　 {　　〈 {　|　　 ,へ、　ｘ┬─‐､
　　　　　　　ﾉ /∧_ ＼＞─ ､　　　し　　　　　ﾄ----ク　| 　 /　　Ｙｰ{__l＿＿ﾘ
　　　　　　　　///////｀ー‐一'＾＼　　　　　　　ー一'__ﾉ |　　＼__,ノ　 / {　　 } ）
.　　　　　　　////////∧/////＼_≧‐-　　＿＿＿　　　／　　 /　　　 {__ﾉｰ一く
.　　　　　／//////////＼///// / 〉//////////＼￣　　　　＼　＿　{＿＿__}
　　　　∠////////////// ＼_//〈_/////////|////　　　　　 /7　　ｆ´　　ﾉ）
　　　//￣￣＼///////////////////＿__///|///　　　　　　 /〈　　 ‘ｰ─ｧ‐'
　　　＼//////＼///////////￣￣／　 /___/,|///〉　　　　　__/＼＼＿__／|
　　　//＼////// ヽ//////// 　／　　 /　　ヽ|///__　　/￣//＼　＼/////
　　　////＼//////∨/////　　　　　　　　ﾉ／ヽ///|￣}///////＼__￣￣{
　　　//////ヽ /////∨///　　　　　　　／　　　////,|/////////////￣//

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　　　「この写し友禅、当初は『紛い友禅』と呼ばれていたが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今日の友禅染の隆盛は写し友禅の開発によって可能になった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　量産によるところが大きいのは間違いない」

.
543： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:28:34 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、型友禅の大まかな作業工程を見ていくぞ」

┌────────┐
│　..構想・図案..　　　│ 　　　　　　 {.!
└────────┘.　　　　　　 /´´ h
┌──────┐　　　　　　　　　　{　　ﾉ. 　　　　 ,　-‐-
│　..下のし.　　 │.　　　　　　　ﾉ⌒ｙ'　　　 .　　 / 　　　　ヽ
└──────┘.　　　　　　　 ':.:.:.:.i:{.　　　　　 ′ 　　　　　 |
┌──────┐　　　　　　　　 ':.:.:.:.:|',　　　　　　|　　　　　　　|
│　..地張り.　　 │　　　　　　　　,:.:.:.:.: | }　　　　　　.{　　　　　　/　　　　　　　　　「とはいえ、一部の工程以外は
└──────┘.　　　　　　 ,:.:.:.:.:.人､､__　 /ﾆ=-ヽ　i　　　 {
┌──────┐　　　　　弋:.:.//:.:.:.:.:.:.⌒ヽ:.:.:.:.〕iト=ﾆ二二､　　　　　　　　　　　　手描き友禅とかなり似通っているんで、
│　..型紙彫刻.....│.　　　　　　　　 ≧s｡:.:.＼ヽ､}:.:.:.:.:.:.:.:.:.}￣￣ノ ≧s｡
└──────┘　　　　　　　　　〕ｈ､:.: ﾉ:.:.:.-=ﾆヽ!:.:.:./ﾆﾆ=-ヽ:.:.:.ヽ　　　　　　　　　　違ってるとこだけ触ってみることにする」
┌─────┐　　　　　　　　　　ヽ,∧＿ノ-=ﾆニﾆ〕ニニﾆ=-!:.:./:.}
│　..配色...　　│　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅵ-=ﾆニニニﾆ!ニニﾆ=-}ノ{:.:,
└─────┘　　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅵ-=ﾆニニニ !ニニﾆ=-!//:.:,
┌───────┐　　　　　　　　　　 )ﾉ-=ﾆニニニ〕ニﾆﾆ=-}//:.:.:,
│　..色合わせ...　　│　　　　　　　　　　　　　 /:.-=ﾆニニﾆﾆ!ﾆﾆﾆ=- !/,:.:.:.:.,
└───────┘　　　　　　　　　　　 ,:.:.:.:.-=ﾆニニニiニﾆﾆ=- !'/,:.:.:.:.,
┌──────┐ 　　　　　　　　　 /:.:.:.:.-=ﾆニニニiニニﾆ=-〕 '/,:.:.:.:,
│　..型置き　　　│　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.-=ﾆニニﾆﾆiニニﾆﾆ=-､.'/,:.:.:.i
└──────┘　　　　　　　　　　　　/:.:.:.／i-=ニニニﾆiニニニﾆ=-Ⅵ/,:.:.}
┌──────┐　　　　　　　　　　乂:///}-=ﾆニニニ!ニニﾆﾆﾆ=-',}/,:.:.:!
│　..地染め...　　│　　　　　　　　　　　￣〕-=ﾆニニﾆ!ニニニﾆ=-ノ}!/,:.:.}
└──────┘　　　　　　　　　　　　　　　　!///‐=ﾆ二!二ﾆﾆ=- ≦　７⌒ヽ
┌───────┐　　　　　　　　　　　 '///////∥//////// ,.八 /´ ヽ
│　..蒸し・水洗い....│　　　　　　　　　　　　　　　'///////, .∨/////// ヽヾ〈}リ
└───────┘　　　　　　　　　　　　　 '//////.,　 .∨///////, ∨::ﾉ
┌──────┐　　　　　　　　　　　　　　　 }/////.7　　 ' ///////,　Ⅵ
│　..上のし.　　 │　　　　　　　　　　　　　　　 }/////,　　　　 ∨///// ,　｀'
└──────┘　　　　　　　　　　　　　　　 }/////i　　　　　∨/////〕
┌─────┐　　　　　　　　　　　　　　　　 }/////}　　　　 '//////!
│　..補正...　　│　　　　　　　　　　　　　　　 '/////i　　　　 }//////}
└─────┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　'/////〕　　　　 '///// 7
┌─────┐　　　　　　　　　　　　　　　　 {/////〕　　　　　 !/////7
│　..加工...　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　'////.7　　　　 {////.7
└─────┘　　　　　　　　　　　　　　　　 '///.7　　　　　 !////,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }///.!　　　　　 }////i

.
544： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:28:58 ID:7AXrt/uY: 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「手描友禅との違いは、
　　　　　 |. 　＿＿
　　　　　 |. ／　　＼　　　　　　　　　　　　　　各種の糊置きの代わりに型紙を使用するために
　　　　　 |/　ノ　　　　
　　　　　 | 　 ┃　┃　}　　　　　　　　　　　　　　　型紙彫刻などが入っていることだな」
　　　　　 |⊂⊃　,　,⊂⊃
　　　　　 |　　｀⌒´　 }.　　 /^）
　　　　　 |　　　＿_/＿／ノ
　　　　　 |　　／　　　　　　＼
　　　　　 |｀　 / 　 ⌒　　　⌒　ヽ
　　　　　 |　 /　　 ┃ 　　 ┃
　　　　　 |　 { ⊂⊃（　　,　）⊂⊃}
　　　　　 |　＼　　｀¨⌒¨ 　　 /
　　　　　 |　／　　　　　　　＿／
　　　　　 | ´　　　　　 /　　　|
　　　　　 |ーイ.　　　　/　.／　}
　　　　　 |　/　　　（_／
　　　　　 |　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　「型紙ってのはさっきもいってたマスキングのことかお」
　　　　　 |　|　　　　　　　　　　|
　　　　　 |　|.　　　　　　　 !
　　　　　 |　}　　　　　＿＿　 /
　　　　　 | （_/￣￣｀¨　└∨＿
　　　　　 |、/////////////////）
　　　　　 |　￣￣￣￣￣￣￣￣
￣￣￣￣￣

.
545： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:29:16 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!　　　　　　　　　「順繰りにマスキングしていって染料を塗り付けるわけね」
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !　　　　　　　　　　　「手描き友禅に比べてみたら
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!　　　　　　　　　　　　　たしかにずいぶんと簡略化されてるわね」
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

　　　　 . ／⌒￣￣￣￣X⌒＼
　　　　　／　　　＿＿　/　＼　)
.　　　 /　　　__／:::::::::::::>ﾄｰ､　}
　　　 / 　 .／:/:::::::/:::∠ｌ/ヽ::::V
.　　 { 　 /:／!::::::┼チ　｀ヽl:::ト､
　　　 .＼{:/::: |::::::::|匁^ 　　^|:::|　Ｙ「￣￣￣￣⌒＼
　　／｢:/:／|::::::::l　　　ｆﾘﾊ:ﾊ　l |　　　　　　　 /
　 ∠／://::::::|:::::: |　　､_ '　ﾙ:厂⌒＞ｒｒ──＜ノ/
　　..〈///:/:::::|:::::::ト　　イ:::::厂￣く. |:|　　　　／
.　　　〈/:/:::∠!::::::Ｆ<チ＜〉ｨ〈. 　　　ヾ＼r＜｢
.　　　〈::＞'ﾞ　ヽ:::ﾄ､ヽ::r-{:::::〉〉､　　　 ∨::::::/
　　　../￣⌒　　リ　} l::>┤::{ { ＼> 　　＼/　　　　　　　「糊を伏せる手間とかがなくなってますし、
　　　..!　　　　　∨ ´￣￣ヽ:リ､　　　　　 | |
　　　..l　/ 　　 /　　　　 | |::|ヽ＼　　 | |　　　　　　　　　刷毛や筆で染料を塗りつけていくことができますからね」
　　　 ∨　　　 |/　　　　　 | |::| .ﾊ.　ヽ　 j j
　　／　　　 / 　　　　 | |::|/|:.|＿／V /
. 　 {. 　　　 /-──- ､　| |::l　|:ｊ＿／厂
　　＼＿＿└＜￣Ｔヽ＼| |::|　|:.:.:.:〉::::〉
　　　...ヾー-ミﾆﾆ＞┘　〉-┤|.　|:.:./:::::ﾉL、
　　　　}　　 .:.::|::/ 　ミ7＝=|::l=-ﾚヘ∨::::リ、
　　　| 　　 .:.j/ 　　V 　　.|::|　ト､::::＼::|/:ト､
　　　 i　　 .:./　　　〈. 　　 |::l　ヽ｀┬＜::::}:人
　　　..「´　 .:/　　　　ヽ　　 |::L､　 |　＼:::V:ﾉ/::!
　　　 |　　　|　　　　ヽ.　｀ｰ､ヽ !　　ゝV/:::ﾘ
　　　 |　　　|　　　　　　Ｙ＾ヽ　|::| |　　　ヽ=ｲ、
　　　ﾄ､＿ｲ!　　　　　　　|::::::|　|::| |　　　　　{::::リヽ
　　　..〉─‐{|.　　　　　　 |:::: l　|::| |　　　　　〉:::::::::〉
　　　 !　　i ||.　　　　　　 |:::::l　|::| | 　　　 //::::::/
.　　　ヽ､_､J| 　　　　　 |::: l　|::| |　　 (_ノ::::::::::{
　　　　　　 ..| 　　　　　 l:::/ /://　　　　ｲ:|:::::::::ﾄ､
.　　　　　 |　　　　i　　　｢´/:/ {　　　　 |::|::::l::::ヽ

.
546： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:29:45 ID:7AXrt/uY: 　　　「それでも型紙を切る手順は相当面倒臭そうであります」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＞ミ　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦二ﾆ=‐　　　　≧s。　｡s≦ 　 }
　　　　　　　　　　　ィi〔 |二ﾆ=‐　　　　 /　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　〃　　ｉ|=,! 　　　　 /　　　　　　　　　　　廴
　　　　　　　　　／　| 　　　　　 ,　　　　　 |　　　　　 /　}
　　　　　　　　/　　／　　| 　　　　　f　　　　　 i| 　　　 /　乂
　　　　　　　 /　　,/　　 /i|　　　　　｜　/　　｜　　　 /} 　 ∧ ＼
　　　　　　　　 /　　　＼　　　　　｜,/￢-ミ., | 　　 /　,　　 } 　 }
　　　　　　 /　　/　　　　　＼　　　 ,x笊芥ミｔ､}　　 ,/　 i}　　 ,
.　　　　　 /　　 ∨　　　　　　ﾊ　　　ゝ hr:(　　 |i　／ヽｉ} 　 /　 /
. 　　　 /　　　 ∨　　　　　 }}　　　|　乂少　　,／　笊ﾐ ,'　 /　 /
　　　　 /　　　　 ∨　　　 r/,}　　　l　　　　　　 h( /　 /　 /
　　　　　　　　　　　ｱ、____,{/,'|　　ｌ　　　　　　 vﾘ,　 ,′ /
　　　/　　　　　　ィi〔　　|∧ ⌒　　　 |　　　　　　 ' 从 /　 /
　　 ,　　　　　　ア‐==≦| 　, 　　　 i| 　　　　､　 / { /　 ,′
.　 /　　　｡s≦,'//////,'|　∧　　　 |　　　　　　 ‰ Ⅳ
　/　　　 ∨,'////,'＞''´i|　　＼　　 |i　　　　　 /　　/　/
./　　　　　∨＞''´　　　 |　　　il＼　 !二≧=―く /　　/　/
,　　　　　　 ^　＿___　　 |　　　i|　＼!}}ﾆ}　　i|　/,　／}／
　　　　　γ二ニニﾆﾆ,| 　　　i|≧s。 }=,}__　ｉ| ,' ／
.　　　　　　{二二ニニニ| 　　　i|二ニﾆﾆ,{{{}　／
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|＜ ⌒ミｔ､く廴|_
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|　　　　　 }}　　ミｔ､　_
　　　　　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|　　＿＿_,}}　　　　 Y　＼
　　　　　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|ィi〔　　　　　〕iト　　 i}　　)K
　　　　　〈∨{ ∧二ﾆ| 　　　i|　　　　　　　　　　〕iト　 /　ﾊ
　　　　　 ∨, __∧二!| 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　〕iト }
　　　　　　／　　　 | 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |　　　　　　　　　　　　「そりゃそうだけどな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　それでも型紙があれば同様の型友禅が
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i　　　　　　　　　　　　　　　　　作成できるという利点があるからな」
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }　　　　　　　「型友禅の種類の説明については
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j　　　　　　　　　こちらも時間の都合上割愛させてもらうぞ」
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

.
547： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:29:57 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、型友禅、手描き友禅。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いずれも多くの工程と専業職人がいる以上、
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　それをまとめる総責任者が必要になってくる」
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

. . . . . . . . . . . . . . .ヽ
. . . . . . . . . . . . 人'ヽﾍ
. . . .＿,. ｪ ― --ｧAﾍ,ム-‐-. .,
＞ ´／: : : : : :.／"ﾍ:ﾄ,:≧,ヽ: : : ヽ
: : :/: : : : : : ／　　　|:|　　ﾊﾄヽ: : : ﾄﾊ,
: :/: : : : : ,ｲ/　　　　|:|　　　',ﾄ:ﾊ: ヽ: :､ﾍ
:/: : : ::フ7ｲ―‐--　|:|　　＿i|ﾑ: ∨,: : ',ﾄ',
': : : :/'　'　＿,　　 i;'　　　 /￣ト,: :ﾄ: :ﾊﾘ
: : :≦ィ元ﾊ气｀　　 '　　　　=_　∨i: :∧:',
　∧､弋::::::ﾊ　｀　　　　仍ｶヽﾄ|: 'i　,:}
イ　　｀ー'　　　　　　　壮ﾘﾘ,'从:|　ﾘ
　　　　　　　　　　　　｀,´　i　ﾊﾘ　'
　　　　　　　　　　　　 '　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,
､　　　　　　　　　｀　　´　　/　　　　　　　　　　　　　「それはそうでしょうね」
: :i　､　　　　　　　　　　　　 /
ﾍ:| 　ヽ　　　　　　　　／
: ヽ　　　　｀　､　　　　　／
: : : ＼≦　　　　≧. ―,'
.´.｀.ヽ≧､三三三＝､: ﾍ
. . . . . . ｀ヽ: ≦三三ﾆﾊﾍヽ
. . . . . . . . . .ヽ:､＜三三,.ヽ＞､
. . . . . . . . . . .ﾊ: ヽ. .＞ｭ｣＞ｰ '＞､
. . . . . . . . . . ..ハ: ﾍ. . . . .｀. .ｰ. ､. . .＞ｰ､
. . . . . . . . . . . . . ﾄ: ﾊ . . . . . . . ⊂⊃｀. ヽ｀ー. -. .,_
. . . . . . . . . . . . . .ﾊ: :' , . . . . . . . . . . . . . .ﾊ. . . . . . .｀ヽ
. . . . . . . . . . . . . . . ハ:ﾍ. . . . . . . . . . . . . . ', . . . . . . . . ',
. . . . . . . . . . . . . . . .|.∧:}. . . . . . . . . . . . . .,'. . . . . . . . . .i
. . . . . . . . . . . . . . . .|. . i,'. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .'
. . . . . . . . . . . . . . . .|. . ﾘ. . . . . . . . . .○. . . . . . . . . . . /

.
548： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:30:29 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　「その作業のまとめ役、責任者は友禅の業界で『染匠』あるいは『悉皆』と呼ばれている」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　、__,ィ、　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 V　ﾍ _ノ-､　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､丿_ ,.　　　 /}　／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　　　　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､:
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._// : :
　ヽ}､ .i　 { r-､　　人ｭ､　　　　　　　 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'､: : : : 〉二ﾆ／ : : :
　　　⌒}､└i　'トィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
　　　　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :

　　　　　　　　　　「そして悉皆の役割は、それぞれの分野作業に卓越した技術者の力量を、

　　　　　　　　　　　　一枚の反物にいかんなく発揮させるための監督であるにとどまらない」

.
549： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:30:45 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「現代の悉皆は、染め物の商品企画ｌ、

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　マーケティング、関連業者への支払いなどの
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |　　　　　　　金融調節といった役割も担わなければならない」
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　ﾊ::.v ´: ; :ィ: : : : : : /: ／　　　〃　 i: :ﾄ: : : : ∨
　　　　　　　　　　　>:'ィ : : /: : : : : ,イ／　　　 '/　　,':.ﾊ: : : : : ',
　　　　　　　　　　/',ｲ: : : :,': : : : ム/, '　　　　　/　　,':'　 i: : : ﾄ,:.i
ｬ､　　　　　　　 ,ｨ': :,': : : :.i: : : ｲ'　/' ≧ｰ-　__/,,　､_/ﾑ -i: : :ハﾘ
　｀≧ ｰ - ‐ イ: : : i: : : :ｲ|: :/^'　ｨ ´て下｀v'　　　 7ｨ示､': : ,'　ﾘ
ﾆニ二:-:‐:‐:‐:-: : ﾑ: : : 'v:./ゝ　　゛ﾋ心' 　　　　仍从:./　 '
ァ: : : : : : : : : : :／: !: : : : |,ﾍ_　　　　 'ｰ'　　　　　　　'-' ﾘ:／
: : : : : : : : : :／: : : :i: : : : :' : ﾊﾍ　　　　　　　　　　,　　 /ｲ
: : : : , : : ≦:_:_:_:_,:rﾍ: : : : : :ﾊﾍ ' ､　　　　　＿　　　　　, '　　　　　　　　　　　「マネジメントの能力が要求されるのね」
＞:´: ,r‐≦ ､ヽ￣　 ∨:ﾍ: : : :',. '.､　 ,　　（＿_ｱ　　／ヽ
: : : /. . . . . . . . ＼ヽ　∨:',: : :.∧. .｀､＞. 、　 ,　＜',. . . .)
: : /. . . . . . . .ｬ. . ..＼｀ハﾍ: : : : ',iiiiiii^ﾍ三｀イ: : : : :.i. . ./
: i'. . ＞. .´. . . . . . . . .ヽ Vﾍ,: : : : ﾊ７ハ､ｰ-<ﾊ: : : : :'. r'
＞. ´. . . . . . . . . . . . . . ∨. ..∨: : : <. .|.iii,ﾊ ∨ﾍ: : : i. ハ
. . . . . . . . . . . . . . . . . . .ﾊ. . . ﾊ: : : |. . ﾘiii. ',. . /i: : :,'/. . {

.
550： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:31:13 ID:7AXrt/uY: 　　　　「その通りだ。しかし、ただ、マネジメントが出来ればそれで足るということではない。

　　　　　　友禅染に関するあらゆる知識と知恵、経験を持っていないと、

　　　　　　　　　専門家たちの調整役にはなりえない」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y　　　　　　　　　　　　「そりゃそうですよねぇ、本当に大変そうだわ」
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
551： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:31:27 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、それじゃここまでざっくりと友禅のことを見てきたわけだが。

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　不十分な箇所があるのは申し訳ないがここらで切り上げて、
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |　　　　　　続いて京以外の友禅を簡単に紹介しておこう」
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/　　　　　　　　　　　「あら、ほかにも種類があるの？」
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､
552： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:31:54 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　「いや、友禅と名乗ってはいるが別に友禅斎がかかわってたわけじゃない。

　　　　　　　　　友禅染の流行を受けて、各地でその様式の踏襲、もしくは模倣が行われたんだ」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「先ほどの京都染色文化協会さんに倣えば、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『曲線的で簡略化された動植物、器物、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　風景などの模様を表現する日本独自の染色技法』
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　><￣￣ヽ　　　　　　　　の類は友禅と呼べるということでしょうか」
.　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＼　　　＼
　　　　　 /　　　　　　　　　　. : : : : : : : : : . 　／　　　　　＼　　　＼
.　　　　 /　　　　　　 . . : : : : :-―＝＝―/､＿＿＿　　　＼　　　）
　　　　 .'　　　　　 . : ／:＞: : : : : : : : ／ヽ: /: : : : : : : : :',. 　　 }
.　　　 .' 　　　 . : : : ／: : : : : : : : :∠:ｚ､ｚ､{／Z､ヽ: : : : :',　　 /
　　　　i　　　　 . : : ／:/: : : : : : : : /　　　　　　　ヽl : : : : ',.　/、
　　　 |　　　 . : : :/: :/: : : : : : : : / ＿_　　　　　　　 |: : : : : ∨､:|
　　　　l　　 . : : :./: :/ : : : : l:/: :/´￣￣｀　　　　　＿| : : : : : :',　＼
.　　　 '.　　: : :./: : : : : : : : l : /　　　、　　　　　　 |: : : : : :│　　＼
.　　　　ヽ　: : :|: : :|/: : : : : l:/,彡五ヽ　　　　 'ニ　|: : : : : : |: .　／
　　　　　｀ー┤: :j: : : : : : :|/　心jﾘ　　　　　　糸＾ヽ|: : : : : : |: : く
.　　　　　　 ∨/:_j : : : : :ト　込ｸ　　　　　んﾘ　ﾉ}:ﾄ!: : : : ﾊ　. :こ＞､
　　　　　　　 /:/:/ |: : : : : |　　　　　　　　｀¨　 ,ｲ:|:|: : : /l |: : : : : ／
.　　　　　　 /:/:/7ｲ: : : : : |　　　　　　　　 ' 　　 / ! N:.: :/ :リ: : : ／
　　　　　　　/:.:{:ハ/|: : : : : :|､　　　　　　　　 /: :|/ |: /＼: : :／
.　　　　　　/: : : : //|.: : : : : l l＼　　　ｒ'ｱ　　　／_:_:_∠|/　　}／
.　　　　 /: : /: :{/ :|ﾊ: : : : | | 　＼　　　　.ｨ:くｒ'ﾞ::::::::::::／
　　　　 /: : /: : : : :./∧ﾄ. : |￣￣≧辷イ:::ﾉ:::::}:::::::::／
.　　　 /: : /＞-―<≧::ｌ::ヽｊ＼::::::::::::::::::ｰ'ﾞ::::::八ｰ'ﾞ＼
.　　／ : ／　　　ヽ＼::::::::::＼::::::::::::::::::::ノ::::::>､　　＼
.　／: :.イ　　　　　　　ヽ　＼::::::::::＞―-::::::::::::::::／＼
./: : : : : !　　　　　　ｌ　 l＼::::::::::::::::::::::／￣ヽ　ヽ
: : : : : : :|　　　　　　 | 　 l　｀￣￣￣´　　　）　 }

.
553： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:32:10 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　「まずは江戸における友禅。
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　京の友禅とは違って、作業工程のほとんどを一人の職人が行う」
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　　「それは大変そうだお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　　　　　　　　　 r､　　　　r､／　　　　　　　　　　ヘ
　　　　　　　　　　　ヽヾ　三　|:l1　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　＼>ヽ/ |｀｝　　　　　　　　　　　|　|
　　　　　　　　　　　　　ﾍ　lノ `'ｿ　　　　　　　　　　　|　|
　　　　　　　　　　　　　　 /´　 /　　　　　　　　　　　　 |.　|
　　　　　　　　　　　　　　＼. ｨ　　　　　　　　　　　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 | 　|

.
554： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:32:24 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「江戸の友禅は全体的に地味目で、

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_　　　　　　　　　　黒色が主体になった、落ち着いた図柄が特徴だ」
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-、
　　　　　　　　　　　　　　　＿__./.,. i
　　　　　　　　　　　　　,,;;''"::::::/:/‐ 'r‐- 、
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::i::/::i　..::::、.:`:、
　　　　　　　　　　／.::::::::::::／ i/`‐ｖ';;;;; i.::::::::ヽ.
　　　　　　　　　/.::::::::::::／　　　　　　　`i .:::::::::i
　　　　　　　　/.::::::::::./_＿_,　　　　　　　│.::::::::i　　　　　　　　「黒はその当時、江戸の人たちに人気があったんですよね～」
　　　　　　　　i.::::::::::::i '　　　　　　 _　　　 i .:::::::::i
　　　　　　　　│.:::::::::i-‐‐‐、　　　｀ヽ、i .:::::::::i
　　　　　　　　/i.::::i::::i.::::::::.　　　　 -‐-.、ﾉ ::::::::::i
　　　　　　　./::::i.:::i:::i　　　　 t　　 ::::::::. /.:::::::::/
　　　　　　 ./:::::::i::`:ヽ.　　 r‐--、　　 /::::::.／
　　　　　　/::::::::::ヽi:;;;_ヽ,.　`ー‐´　,,./;/;;／i
　　　　　./::::::::::::::::│i`ー`r‐=＝f、/／.::::: i
　　　　 /:::::::;;;;;＿丿 i _.,;ー---,/./´　.::::::: i
　　　 ,;'-‐‐'│ .i　　i,;´ ,;--‐´‐yヽ＿__.:::::: i
　　　/ 　　 i　 i　　i,´　,,;‐;'ニ二;　i　 i`ヽ:: i
　　 │　　 i　 i　 / i　　.'',-‐‐-y'　i　 i　　ヽ
　　 │ 　 .i　./　/ ./　　 /　　 /i　　i　i.　　│
　　 │　　i　/　 .i／　　 i　　　 i ヽ　 i　i　│
　　.│　　i　i　／　　　.ﾉ i 　　´ヽ　.i　 i　i │
　　│　　.ヽ／　　　／i .｀ヽ.　　＼i　i　.ﾉ │
　 .│　　／　　　／　.i 　 i ＼　　　＼/　 │
　 │ ／　　　.／i　　 i　 i　　i＼　　　＼. │
　　i/　　　　／i　i　　 i　 i　　i　i＼　　　＼i

.
555： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:32:50 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　「その成り立ちは文化文政のころだ。

　　　　　　　　　　　力をつけてきた商人をはじめとした町人好みにより、

　　　　　　　　　　　　　　『粋』と『渋み』が重視されている」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　「現在では東京友禅というが、
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　この名称は戦後、文化財保護委員会により
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　　　　つけられた名称だ」
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

.
556： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:33:19 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）　　　　　　　　　　「次は名古屋友禅。
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　こちらも江戸の友禅と同じく色数を少なく抑え、
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　落ち着いた調子の染め物となっている」
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　「名古屋でも作ってんのかお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　／─　　 ─　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／（●）　（●）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　|　　（__人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　 '､＿＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |＿＿＼　 “　／
　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿＼_／

.
557： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:33:34 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　「名古屋友禅の始まりは享保十五年（1730）で、

　　　　　　　　時の藩主徳川宗春の命で、殖産の振興のためにはじめられた」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) (●）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　「少ない色数ではあるが、単色をぼかしに用いて、色彩の変化をもたらしたり

　　　　　　　『トロ引黒染』や『三ッ引黒染』などの特徴的な黒色を用いるなど豪華な京の友禅とはまた違った味わいがある」

.
558： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:33:48 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　「名古屋友禅も江戸と同じく、ほとんどの工程を一人の職人が行ってるぞ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　//⌒ゝ＜ l　　　　　　　　}＜=＞ヽ∧
　　　　　　　　ノ/　　/　　｜　　　　　　　,　　　　　＼､
　 ‐====≦_.｡s≦　　/　　 i|　　　　　　　/　　　　　　　＼
　 }　　　　 { 　　　 /　　　 i|　　　　　 ,　　　　　 }　　　＞｡.
　 }　　　　 |　　　　 ,　　　　｜　　　　 ,　　　　　 |　　　　　 }
　 }　　　　 |　　　　,　 l　　　i|　　　　 /　　ｌ　　 i|　　　　　　,　　　　　　　「だから色数を抑える必要があるでありますか」
　　，　　　i|　　　 {　 |　　 i|　　　　　/|　　 |　　 i|　　　　　 }‘，
.　　　　　　|　　　 |　 |　　八　　　　/　　　 |　　 i|　　　　　 ,　 }
　　 ,　　　｜　　　ｉ|　 |------ ､　　 {　l----廴＿,　　　　 ,　 }
　　，　　,　　　 |´ i|　　　　|　ヽ　 |　|　　 /　　 } ｀　　　　 ,}
　　ﾊ　　　,　　　　㌢笊芋示　　＼! ｉ| ,ｨf芋笊ﾐx　　　　 /,}　 }
　　 {∧　　,　　　ゝぃ//(　　　　　　{/ ぃ//(　/ 　　　 ,′,　 }
　　　{,'∧ 　　　　 ,　乂)少　　　　　乂)少 ,　　　　 / }/}　 }
　　　{/li∧　　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　,′ 　　 /,} }/}　 !
　　　v { /ﾊ　 ‘，　　i{　　　　　 ,　　　　　　 ,　　　 ‰!} ∨ﾊ_}
　　　ﾏ,/　，　‘，　父　　　　　,　､　　　　　/　　　／ ∧}　∨,/
　　　　 7　　 ,　八　　 ,　　　　　　　　 /　　／l/∧__}　　V{
　　　　 ,　　　〈, }　＼　', 　 }＞　　　＜{ , 　／　 !///∧　　 l
　　　　　　 //}　　　ヽ , 　|二=≧≦=二|/ ／|　　 |∨//∧
　　　　l　　 ///!　　 !ｉ　＼/　 /r ,∨　　／､｜　 |i ∨//∧　　,
　　　　　　＼_|　　 |　｡s〈　 /_{{}}=∨　　　ｱ_|　　 |　 ∨_／
　　　 ,　　　 ____,|　　 |二ニニﾆ,乂}二ニニニニ|　　 |二ﾆ=‐
　　　/γニニニ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |ニニニﾆﾆヽ　，
　　 ,　 {二二ﾆﾆ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |二ニニニニ}　 ,
. 　/　 i|二二ﾆﾆ|　　 |　} {　　　　7/　　ヽ‐==,|　　 |二ニニニニ| 　 ,

.
559： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:34:06 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　「で、最後に加賀の友禅なんだが、これがちょっと問題でな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　　　「問題？」
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
560： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:34:24 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　「あぁ、加賀友禅の品質に問題があるわけじゃないぞ？

　　　　　　　　　　　　　　　　他の友禅染とは一線を画した武家好みと称され、評価も高い」、

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(●.) (● )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y　　　　　　　　　　　「個人的には加賀友禅は、女が着るなら
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i　　　　　　　　　　　　　ある程度お年を召した方でないと、
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧　　　　　　　　　　　　　　貫禄負けしてしまいそうな気がするんですよねえ」
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
561： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:34:47 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　「加賀友禅の特徴は、ほかの友禅染よりも写実性の高い柄だな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ノ　 '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　 (⌒ ) (⌒ ).i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__） i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　ﾉ
　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　　 |
　　_. }　}　　 r 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　 ∧､　　　　　　|
　 iハi　i　　 {　'､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. . . . . .｀ -.. _,. イﾄ､ヽ､, ____,__ ノ
　 }　}-､i、　ゝ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　＼、　___〈
　.ヽ/ .ﾊ,_￣{、　　｀､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　　ｨ´:::.V、
　　 i　ﾘ　)　ｉヽ,　　i､、____　　　　　　　　　　　　　　／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,√〉:.;〈 r .ヽ＿,.
　　ヽ,}　{-､　ﾆ-、　ヾヽ .: :｀ﾆ=-- 、＿　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧}::::::',} : : : : : .`､
　　　　｀ -､_　　　　ﾉ｀} } : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ=-､＜ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧:::::::', : : : : : : .ヽ
　　　　　　　　｀＜､__ﾉﾉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ : : : : : : : : : :＞、: : : : : : : : : : : : : : : : ∧:::::',: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　｀ﾆ彡" : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧:::', : : : : : : :.r
　　　　　　　　　　　　¨ｰ=ﾆ二､_ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :Λ::} : : : : : : :.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨｀-- 、＿ : : : : : : : ＞' ´　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　ー　´　　　　　　　　} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i

　　　　　　　　　「また本家の京の友禅の特徴である金糸銀糸や

　　　　　　　　　　　　　刺繍をもちいることはほとんどなく、派手さには重きを置かぬ質実の気品が見える」

.
562： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:35:10 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　「じゃあ、なにが問題か、というとだ」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　「京の友禅は言うまでもなく本家本元の友禅だ。
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　江戸と名古屋は各地でその友禅をもとにはじめられたにすぎないし、
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_　　　　　　　　　　それを自認してもいるだろう」
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　　／: : ｨ: ´ﾊ: : : ﾍ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　 /:/: :/　ヽ:.∧: : ﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　 /:/: :/　　　＼ﾍ: : :',: : : :i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}
　　　　　 /:/: :/　　_,_ 　　ヽ:∨: ﾏ: : |: : : : : i: : i: : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　 /:ｲ: : i　〃´　　　　 ∨ﾏ:',: : |: : : : : |: :.|: : : : : : : : : : : : :|
　　　　 ,'ｲ/: : :r"　 , ｲ≧､　　ヽﾄ:ﾊ: ﾘ: rヽ: /: :ｲ: : : : : : : : : : : : !
　　　　　 !ﾙｲ: : i 　 ,ｲﾘゎﾉ　　　 'ﾊﾙ:/:/ﾍﾊ: : ｲ: : : : : : : : : : : : :,'
　　　　　|'ﾚﾄ:.ﾄﾊ　　乂ﾉ　　　　　 'ハi:./ r,　|: :./: : : : : : : : : : : :./
　　　　　　' ! 'ﾍ: :.}　　　´　　　　　 'ﾚ　　/: :/: : : : : : : : : : : : ;'
　　　　　　　　　Y　　　　　　　　　　　　' r／: :,ｲ: : : : : : : : : : : : ;
　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　ﾜ: : :/|: : : : : : : : : : : : ,
　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　　　／: :ノﾉ |: : : : : : : : : : : :;'
　　　　　　　　　　ヽ　- ´　　　　／≦←―'|: : : : : : : : : : : ,
　　　　　　　　　ヽ　　　　r―‐'￣. . . ｀.､. {: : : : : : : : : : :.{
　　　　　　　　　　＼　ｲ. . .´. . . . . . . i.ﾊ: : : : : : : : : : :.!　　　　　「えぇ、今までの流れからそういうふうに解釈しているわ」
　　　　　　　　　　　｀_イｸ. . . . . . . . . . ;. ﾍ: : : : : : : : : :.|
　　　　　　　　　　　　　　　ｲ./. . . . . . . . . . . .i. . ',: : : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　r. /. . . . . . . . . . . . .'. . .i: : : : : : : : : ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'. . . . . . . . . . . . . .!. . . }: : : : : : : : : :',
　　　　　　　　　　　　　,ｲ. . . . . . . . . . . . . . .i. . . ..|: : : : : : : : : .ﾍ
　　　　　　　　　　　／/. . . . . . . . . . . . . . ,'.ｸ. . . |: : : : : : : : : : ﾊ
　　　　　　　　　　／: /. . . . . . . . . . . . . . /.'. . . . .|: : : : : : : : : : : i
　　　　　　　 /: : /. . . . . . . . . . . . . ／. . . . . ...|: : : : : : : : : : : ﾄ,
.　　　　　　　 /: ／. . . . . . . . . . . ..／. . . . . . . . ﾘ: : : : : : : : : : : ﾊ
　　　　　　　　/／. . . . . . . . . . . .／. . . . . . . . . . 'ｲ: : : :/: : : : : : :.ﾘ
　　　　　　　／. . . . . . . . . . . ..／. . . . . . . . . . . ./: : : :./|: : : : : ﾊ:,'

.
563： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:35:36 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　「ところが加賀友禅は多少スタンスが違っていてな」
　　　　　　　　 |　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、、___　　　|
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

いわゆる加賀御国染と呼ばれる兼房染や色絵・色絵紋の繊細な技法が確立されたことから、
加賀友禅は現在の道を歩み始めました。

正徳２年（1712）京都の町で人気の扇絵師であった「宮崎友禅斎」が金沢の御用紺屋棟取の「太郎田屋」に身を寄せ、
斬新なデザインの模様染を次々と創案。

その傑出した能力で友禅糊の技術を定着させるなど、加賀友禅の発展に大きく寄与しました。

【協同組合加賀染振興協会公式サイトより　】

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.
564： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:35:55 ID:7AXrt/uY: 　　「おや、加賀では友禅斎が加賀友禅を興したというスタンスでありますか」

　　　　　_{　　　　　　　ｌ　　　　ｌ　　　　　/　　　　 |　　　　　 |　　 |　 |
　　　　/ :ｉ　　　　　　　|　　|　　　 |　　　　 /　　　　　|　　　　　 |　　 |　 |
　　　　{　:.　　　　　　 |　　|＿＿｜　　 /＿＿___　 :|　　　　　 }　　 |　 |
　　　　i　 {　　　　　　 :|´　:| 　/ 八　　　/　　　 /　｀ :}　　　　　/　　　}　/
　　　 {　　:.　/　　　　:| ,x芹云ミｔ､ﾟ，　/　 /斧芋笊 ,′　　　 /　　　八,′
　　　 .　　 ∨ / 　　 :{ゝにじ(　　ヽ/:　　にじう /′　　　 /　　　/
　　　 ∨　 ∨ /　　 ∧: 乂^)シ　　　　　　乂)シ//　　　 .′ 　 /
　　　　 ∧　/ ∨　　:/ ∧＼　　　　　　　　　　　//}　　　　/　　 /
　　　 /　∨　　＼　 / ∧　〉　　　　, 　　　〈/ｨ　　／　　 /|
.　　　/　　 Ⅵ＿//ヽ　/ 　＼　　　　r ,　　　　　 / 　／{　　　 /｜
.　　 /　　　＼////∧　　　{_　.　　　　　　　 /　／　 :　　　　 |
　　　　　　　　/＜//　＼　 :i/}{二＞　 _ イ=|/7/／　　　|　／　 |
　 /　　　　　///// |　　＼ } {＜/7二=〈}二!__／ | 　　 |／　　 |
. /　　　　　　＼//　:　　　 | ヽ}i:i:ｉ＞｡. ィi〔i:i:i:i:i}ー:| 　　 |＿＿_　 |
,′　　　＿＿ ‐= | 　　 |　/i:i:i:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉi　 :| 　　 |二ﾆﾆヽ |
　　　　 /二二二ﾆﾆ| 　　 | /≧s。i:i:i:i:i:i:i:i:i:／＼| 　　 |ニニニl |
　　　 /二ニニニﾆ:| 　　 |,′　　＞｡.＞''´ 　　ﾏ　　 :|ニニニ| |
　　　 f二二ニニﾆﾆ|　　　/　　　　　　 |　　　　　　＼　｜二ﾆﾆ:| |
　　　｜二ニニニニ|　　 /　　　　　　　|　　　　　　　ヽ |ニニニ| |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=´　i､
　　　　　　　　　　　　　　　　 __,. ＜.ﾑヽ、､____／ヽ__　　　　　　　　　　　「あぁ、もろにそう言ってる」
　　　　　　　　　　　　_, ､＜¨ : : : : :l : :.ヽ　 ∧::〈ヽi :、ヽ、
　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :|＿ : :∨　|:;Λ | : :､ : ＞、
　　　　　　　　　　丿 : : : : : :i: : : : : : :／ : ∧　|::Λ |＼> : : : ｀,
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :| : : : : : : ＼ : :.∧ |:::::| | : :ヽ : : : :,i
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :! : : : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::|| : :/ : : : :i :|
　　　　　　　　　/: : : : : : : : :| : : : : : : : : : : :＼ : '.,:::| : /: : : : :| :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : : :丿 : : : : : : : : : : : : ＼::V :/ : : : : :l : !
　　　　　　__/_: : : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : :ﾚ: : : : : : : i : |
　　　　／　　　｀ヽ,:_:_: : : :.Λ.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,' : !
　　　（__.ィ´ヽ,ム、〉、:ヽУ　V. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.i : : !
　　　 / ゝ/　/ 7-､Ｙ :,′　 ∨ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : |
　　　　ヽ／　/　/ /'Y:ｿ　　　 }.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : !

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565： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:36:11 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　, .　, _
　　　　　　　　　,r ,､　,. r ´: : : : : : : :｀: : ..､　　 ,. ‐ﾞ"7
　　　　　　　　　! ,' > ヽ: : : : : : : : , : : : : : : >く　´'ﾌ/
　　　　　　　　　},/　　ヽ>: : : :/: /"'ﾍ:ﾄ: : : :ﾍ ',　,〃
　　　　　　　　 ∧　　/ｲ: : :./: /　　,ﾊ:ﾊ: : : : ヽｸ
　　　　　　　　 i': :',', /: ｨ: : ,ｲ:/　　　 ',ﾄ､: : : : :',
　　　　　　　　 |: : : y:ｲ': :/」ﾑ __ 　　 , ﾄｰ,A: : ﾄﾊ
　　　　　　　　 ',: : /':/´:7　i'__　　　 -」ﾄ､ﾍﾙ:ﾘ',ﾘ
　　　　　　　 ',: :!/:i: /ィてﾊ｀　　　 'ﾋ::ﾘ ' 〉ﾙ| '
　　　　　　　　　∨r´|/　'弋り　　　　　｀´　,ﾘ　'!　　　　　　　　　　「で、それは本当のことなの？」
　　　　　　　　　 ',ﾊ, !､　　　　　　　　'　　　,'
　　　　　　　　　∨:iｰ.-. ､　　　　-‐ '　,､ｲ
　　　　　　　　　 ',:'ﾍ: : : :i＞ ., 　 _,.ィﾍ､'ｰ--､
　　　　　　　　　　　∨ﾑ : : ﾋ､　｀〔ﾊ: :r_´ソヽ　＼
　　　　　　　　 /. . .7.｀.ヽ:.､≧ハ≧ﾍ‐､｀' 　　ヽ
　　　　　　　　　　/. . ./. . . . .＼｀: ｰ-､. . '.､: ー,　　 !
　　　　　　　　　ｲ. . . . . . . . . ,_ ＼: :ヽゝ. .∨7＼　ﾄｰ,､
　　　　　　　／,人. . .',. . . . . . .￣￣ﾊk. ヽ. y. . . ＞Lヽﾍ
　　　　／ｨr: : :ﾊ. . .､＼. . . . . . . . . .＼.∨. . . . . . . ｀ハ

　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／）＼　　　　　　　　　　　「あんまりこういうことは言いたくないが
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　l　/ ／／ _､,,.ノ　|.　　　　　　　　　　　限りなく黒に近い」
　　　　　　　　　　r　　　　　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |
　　　　　　　　　/　　　　ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

　　　　　　　　　　　　///// 　　　　　 /　　　　　　　　　　 {_
　　　　　　　　　　 / ∨^{ 　　　　　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　　　　　　 /　/　｜　　　　　 f　　￢-ミ,　|　　　 /　　　　 }　,
.　　　　　　　　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。｜　　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　　　　 /　/　　　　　　∨ﾍ　　 |　|乂i少　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　　 /　 {＼　　　　 ∨ﾊ　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　　 }　　　　　　　　　「おお……もう」
.　　　　　 /　　＼＼　　　 //,∧　ｉ|　|　　　　　　 vﾘ}/,　,　　 /
　　　　　　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　　 __　　从/　　 /
.　　　　 /　　/　　／///|⌒∧^　　　ｉ|　　　　　ゝ '　 % ,/　　,/
　　　　 /　　ア777///＞|　　∧　　　 | ＼　　　　　　　　　/　　,/
.　　　　/　／/////／　 i|　　 ,∧ 　　i|＿＼　　　　／}　/
. 　　 /　　∨///／　　　i|　　　 ∧　　 |//}＿ ≧=‐く　 } / 　 /
　　　/　　　≧=≦　　　 |　　　　∧ 　 |⌒}二_}　　　　 i}/ 　 /
　　 /,　γ=====―　　＿,|　　　　i|∧　i|￣}二{{　　　　 /{
　　,　　/二二ニニニニニl 　　　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　　　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　　　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
/　　　|二二ニニニニニﾆl　　　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼

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566： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:36:30 ID:7AXrt/uY: 　　　　「でっけー看板あげてるところがそれはまずいんじゃねーかお」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　ヽ、＼
　　　　　　　　　　　　　／（ ●）　（●）.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　（__人__）　　u. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　|ｎi 7　　｀ ⌒´　　　　.　|ｎ
　　　　　　　　　　 l^l | | ｌ ,/)　　　　　　U 　l^l.| | /）
　　　　　　　　　　 ', U ! ﾚ' /　　　　　　.　.　| U ﾚ'/／)
　　　　　　　　　　 {　　　〈　　　　　　　　　ﾉ　　　／
　　　　　　　　　　　 i,　　　."⊃　　　　ｒニ　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　 "'""⌒´　　　　　　　`''""''''

　　　　　　　　　　　　　　,　-‐―　‐- 、
.　　　　　　　　　　／　　　　u　　　ヽ
.　　　　　　　　＿'　　u　　　　　　　　i
　　　　　　　 < ＿　＼　　　　　　　　　 i　　　　　　　　「友禅斎の生涯の足跡が
　　　　　 <＿＿　＼　＼　　　　　u　 i
.　　　　　　<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/　　./　　　　　　　　　　　ほとんど詳らかになっていないことも
　　　　　　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|　　./
　　　　　　 /　　丶　　- 　　　〉／　　　　　　　　　　　　　一つの原因なんだけどな」
　　　　 ,.-／| 　　 ( ＼　　　u　　!
　　／ |　＼ヽ　　＼_ヽ　　　　　{
￣<　　 !　　`＼　　　、ﾍ　　　u　..> 、
＿＼　 !　　　 > ー-- イ＼　　.∠／ヽヘ
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　..＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　　ヾ、　／　　　＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　＼／＼(
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　＼

.
567：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 00:37:14 ID:VHNovTTQ: あかんやん……
568： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:38:25 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　「……さて、こっからがまたややこしい話になるんだが」

　　　　　　　　　　　　　　「加賀友禅サイドでは『まず加賀友禅があり京での友禅の活躍は

　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀友禅を下敷きにしている』という主張だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　ヽ　　　　　　「加賀の染屋で修業をした友禅が京都で
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　Ｕ　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　｜　　　　　　　　　　加賀友禅の技で成功した、って言ってる」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　 ,. -ｰ┴ 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ_ｨ≦.:.:-.:.:.:.:.┴、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:i
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|ﾉ
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.
569： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:38:51 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「で、先ほども言ったけど、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友禅染は技術自体には革新的なものはない。
　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　すべて友禅染誕生以前に存在した技術や技法だ」
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :u : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●）ﾉヽ（　● ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|　　　　　　　「ええ、確かに聞いたわ。
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|　　　　　　　　　ユウゼンサイはその技術や技法の集大成として、
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|　　　　　　　　　　　それまでにない大胆な構図の染め物を作ったのだと」
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
570： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:39:24 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　「当然、加賀においてもそれは当てはまる。
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　お国染、加賀染と呼ばれる染め物技術が既に存在してた」
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ　　　　　　　　　　「これは糸目糊置防染法、手描き友禅と同様の手法だな」
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

　　　　　　 ,, -‐‐‐‐‐‐‐-- ､
　　　　／　　　　　　　　　　＼
　　　／　　　　──　　　─‐　＼
　　/ 　　　　( ● )　　　(●)　　';　　　　　　　　　　「えーっとそれじゃ京と同じく、友禅斎が――
　/'　　　　　　　　／　　　＼　　　';
/ 　　　　　　（　　　人　　）　　i　　　　　　　　　　　　　ってのは図柄だけって意味じゃないかお？」
| 　　　　　　　　｀'''''ﾞ´ 　｀'ﾞ´　　　!
'、　　　　　　　　　　　　　　　／
　＼　　　　　　　　　　　　　　　<
　／￣ﾞﾞ'''‐‐‐-----　　　　　　　　＼

.
571： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:39:52 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　「それならば話はまだわかる、同時期に存在していた加賀染と友禅染を区別していればな」

|
|　　　　　　　　　　　　　　「ところが加賀さんサイドではそれまで存在した技法と『加賀友禅』の区別をしていない」
|￣￣＼
| _ノ　＼＼
|（●）（●)i
|.（__人__） i
| .｀ ⌒´　|.￣￣＼
|　.　.　　ﾉ_ノ　ヽ､.＼　　　　　　　　　　　　「もにょっとする話だお」
|.　.　　/　（●）（●）ヽ
|　　　ヽ　（__人__）'　　i
|　　　　 |　　｀⌒´　／
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

今はやる菅笠の袖も加賀染　うちより見事なは衣通姫のもよう　　　　　　【源氏ひいなかた】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

.
572： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:40:20 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「加賀がそうするのには、なにか根拠があるの？」

　　　　　　　　　　　　　,. .- ‐ -. . .,
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼　　　　　　　「あぁ、加賀のそもそもの主張は
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　 U　 |　　　　　　　　　　『友禅斎は加賀で生まれて加賀染を学んでから京で友禅染を興して、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　晩年生まれ故郷の金沢にもどってそこで没した』
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ　　　　　　　　　　　　　　　というものだ」
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

.
573： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:40:59 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　「友禅斎さんの生涯はほとんどわかってないんですよね？」

　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　 ,　＜////////＞､
　　　　　　　　　　////////　‐-　､////＞､
　　　　,ヘ　　/////////////////＼//// ＼
　　　 |　　＼///////////////////＼////ﾊ
　　　　|　 ////ヽ＼　{⌒＞‐- ､////////////∧
　　　　|　i//////,ヘﾚ´　　　　＞､./////////∧
　　　　ﾘ {//////レ´　　　　　/´　ﾆ≧､.///////∧
　　　　　|//////|　　　　　　　　ｲ弋ヾ＼//////∧
　　　　　|//////|　　, -　　　　　　　ヾノ　 .∨/////∧
　　　　八/////i　/　　ﾆ　　　　　　　　　　 ∨/////∧
　　　　.　 ∨////∨　/弋ヽ　　　　　　　　　ﾏ/////ハ
　　　　　　∨///ﾊ　ヾ `ｰ'　　　´ 　　　　　　 }//////∧
　　　　　　　∨////＞　　　　　　　　　　　　/ﾘ///|///∧
　　　　　　　八//////ゞ_ヽ　　　　　⌒　　　/　 |//ﾉ///ｒ‐=‐-ノ
　　　　　　　　∨ノ￣　　ｱヘ　＿　＿　／.　　N/　￣　７
　　　　　　　　　∨　　　 ´`ヘ///////＼　　　　　　　　/
　　　　　　　　　/　　　　　;,ｲ　} --‐=ｖ'´　 }　　　　　／/
　　　　　　　.　/　　　　　/　し　{ 　Y　　　　　　　／　/
　　　　　　　 /　　　　　/　　　　7　　＼　`ゝ　　　　／
　　　　　　　i　　　　ｿ／　　　ヽ彡　　＞　　　＜

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|　　　　　　　　　　　「うん。はっきりしているのは、
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,　　　　　　　　　　　扇絵師として知恩院近くに暮らしていたということ、
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|　　　　　　　　　　　　人生の、いずれかの時期に出家をしたということくらいだ」
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

.
574： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:41:17 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「幼名も本名も出身地も確定していない、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ただ名に関しては祇園社の絵馬の記録から
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼　　　　　　　日置徳右衛門清親ではないか、という説が有力だ」
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

.　　　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　ﾟ｡. .、
　　　　　　. .＼　　　　 .　 -‐━‐-ミﾟ. . ＼
　　　　　　 . . . ＼ .......................................｝. . . .
　　　　　　　. . ／..........................................＼__ﾉ....＼
　　　　　　　.......................ﾄ､.........＼...................................
.　　　　 /................/l....|　　...........ﾟ｡ ................................
　　　　 /................/　....|　　＼.......ﾟ...........＼ ................
　　　　　′..../.......′ |...|　　　__丶 ................ ﾟ｡..............|
.　　　 ......../........___　|...|　 ´ 　　＼{、..... |..................|
　　　　 ....../.....´｛　　､{　　　 ≫=ミ＼...|＼〉..........|　　　　　　　「え、それじゃ宮崎友禅斎というのは？」
　　　　 |.. ′.... ｛ｘ=ミ　＼　　″ト{:::心. }ハ |^ ........|
　　　　 |..｛l......... 《ト{:ﾊ　　　　　　Ｖこﾂﾉ′....|ぅ｝......|
　　　　 |..八 ... ハ　vツ　　　　　　 , , , ,　　｝..|ノ........
　　　　 |′　..｛........　' '　 ′　　　　　　　 . ｝..|......... ′
　　　　　　　　И..人　　　　 _　　　　ｲ. ｝..|.........
　　　　　　　　　　个...　　 ´　　　／｛. ｝.ﾉ.......｛
　　　　　　　　　　　 |.......＞　 _ .　　　__」................｛
　　　　　　　　　　　 |.....|.........r‐L.　 ´　　＼ ....... ｛
　　　　　　　　　　　 |...∧....ノハ　　　／::::::::::.........｛
　　　　　　　　　　　 |/ ／x介ｘ.ﾟ｡_／:::／⌒⌒ヽ..｛
　　　　　　　　　　　 | ｛　《_ﾊ_}}　/:::::/　　　　　 .｛

.
575： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:41:44 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　「創作上の仮名、ペンネームみたいなもんだろ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「友禅ひいながたに宮崎ってでてくるんだよ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　特に異説がないのでおおむねはそれに従ってる」

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

宮崎氏友禅といふ人有りて絵にたくみなる事いふ斗りなく
古風のいやしからぬをふくみて今様の香車なる物数奇にかなひ　　　【友禅ひいながた】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　/　　　　　 /　　　 |　　　　　|　　　　 ≧o｡.＿＿
　　　　　 /　　　　　 /　　　　　|　　　　　|　　ヽ　　　　　　　 }
　　　　　 /{　　　　　 f/　{　　　 :|　　　　　|　　　 i　　　 |　　 i
　　　　　:　!　　　　　 | 　:ｉ　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　 //:{　　　　　 : 　 |　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　〉 /!　　　　 {:　丁￣￣:!　　　　 /￣｀ヽ:|　　　　:|　　 |
.　　　/ 〈 :l　　　　　 i: x斧芋苅ﾐ　　　ｲ斧芋ミ}　　　　 }　　 !
　　　/　　＼　　　　 |〈に{//}( ｜　　/:　い//( /　　　 ,′　 :
　　 ,'　　　　:＼　　 |:　Vこ)ツ :}:　　/　　V^)ツ }　　　/　　　:
　　 Ⅵ　　　　ﾍ　　 {　＼　　 i　／　､　　　　 i:　　/　　　/　　　　　　　　　　　「jud」
　　　Ⅵ　　　　　}　　ﾟ。　〉　　／　　　　　　　八　 /}　　 /}
　　　ト　　 //:i: 　　＼¨　　　　 ‐‐　　　　ｲ　　://i:　 / ,′
　　　 { ＼__//∧　　　 l＼　　　　　　　 . 　 }　　// }　/ /
　　　　i　　 {￣|　＼　　　{rｧ＞　　　　 ∠z　 :i　 ///,' /イ
　　　　:　 /77 {　　 l＼　ﾟ。////≧ ≦///{　 :　/: : /:/≧o｡、
　　　 /　////:ｉ　　 |//＼ ‘，/　{r― 〈―‐ｉ　{: /: :.:〈/: : : : : : ミ
　　 /　∨///}　　 }/// ∧ i{ ／　　　∨　{　:./: : : : : : : : : : : : : :ﾟ。
　　.′　 ∨/ i　　 i　　 /:　／　　／　ゝ‐:　　{: : : : : : : : : : : : : : :.ﾟ，
　　/　　 {_/:.:.l　　 :-:／＼＿_／　　　　∨!　 i: : : : : : : : : : : : : : :.:_＼
　 /　　　 /: : :.}　　 /　　　 /　　　　　　 |　 : : : : : : : : : : : : : : : :{ 　＼
. /　　　 /: : : / 　 /　　　 /　　　　　　　　　|　 |: : : : : : : : : : : : : ／　　　＼

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576： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:42:06 ID:7AXrt/uY: 　　　　　「ウィキ先生のほうでは出身地は金沢って断定してるお？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　＿_＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ー　　ー　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | （ ●）　（●）|　　　　　　　　　「あー、それなぁ……」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣＼　　　　　 | 　（__人__）　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　 ─ ＼　　　　　　 | 　　｀⌒´　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼.　　　　　i 　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（__人__）　　　　|　　　　　! 　　　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀ ⌒´　　　　／　　　ヽ.＿　　 __.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　＼　　　　／　　ヽ,.ノ　　＼

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577： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:42:17 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　「その先生は時々平気でスカタンぶっこくからな……、ほれ、出典入ってないし」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'　　　　　　　　　「あら、ほんとうだわ～」
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

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578： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:42:49 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　「この件に限らず、ウィキペディアを鵜呑みにしてはいけない（戒め）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　いや、便利ではあるんで、使い方の問題なんだけどな。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　来歴不明とか冒頭で言ってるくせに金沢の生まれって断定してるのはさすがにどうかと思う」

　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
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.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
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　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !　　　　　　　　　　　　　「まぁよくあることよね。
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!　　　　　　　　　　　　　　　個人が無責任に編集できる特性からくる脆弱性」
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

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579： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:43:16 ID:7AXrt/uY: 　　　　「その辺の問題は野生の賢者たちにお任せして次にいくであります」

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　　　　　　 ,′　/｜　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　　{
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　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､__ 　＼　　　　　　　　　　　　　　「そうだな。とりあえず友禅斎がどこの出であるか、
　　　　　　　　　　　 (＝ ) (＝ )　　_,-|、
　　　　　　　　 ,'⌒　＿　（__人___）　　r' l ｜lヽ　　　　　　　　　　　　　というのは『わからない』としておくのが正しい姿勢だろうよ」
　　　　　　ヽ＿ノ　　 '､｀ ⌒´　　 }　}　l ﾚ }
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 j　|,｜l ﾉ__　_
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/　　　 /ｨ : : : : ヽ
　　　　　　　　　 _／:.`ｭ'ﾆニr´　　　／ : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　__ ,.＜ : : : :{/:::ﾊ人　　　rノ∨ : : ／: : : :',
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／ : : : : : : : : :＼ :i : : : : : |:/: : : : : : :.∧ : : : : : : : :ﾊ : : : :|

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580： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:43:49 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　「ちなみに大正九年（1920）に発見された『花の屑』という手記によれば、

　　　　　　　　　　　　　　　　友禅斎は元文元年（1736）六月十七日夜九時に金沢の木町鳥居キハで享年八十三歳で亡くなったとされるが、

　　　　　　　　　　　　　　　　やっぱりこれの信憑性も疑わしい」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ　　　　　　　　　　　　　「というと？」
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

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581： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:44:20 ID:7AXrt/uY: 　　　　「この『花の屑』は『方円日記』という手記を映し書きしたもので、

　　　　　　　　　その方円日記の筆者の桜井梅室は明和六年（1769）に生まれた人だ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_　　　　　　　　　　　「友禅斎の没年で元文元年説をとるとしても、
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、　　　　　　　　　　友禅斎没後三十三年に桜井梅室はようよう生まれてきたわけだ」
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　><￣￣ヽ
.　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＼　　　＼
　　　　　 /　　　　　　　　　　. : : : : : : : : : . 　／　　　　　＼　　　＼
.　　　　 /　　　　　　 . . : : : : :-―＝＝―/､＿＿＿　　　＼　　　）
　　　　 .'　　　　　 . : ／:＞: : : : : : : : ／ヽ: /: : : : : : : : :',. 　　 }
.　　　 .' 　　　 . : : : ／: : : : : : : : :∠:ｚ､ｚ､{／Z､ヽ: : : : :',　　 /
　　　　i　　　　 . : : ／:/: : : : : : : : /　　　　　　　ヽl : : : : ',.　/、
　　　 |　　　 . : : :/: :/: : : : : : : : / ＿_　　　　　　　 |: : : : : ∨､:|　　　　　　　　「直接の接点はないわけなんですね」
　　　　l　　 . : : :./: :/ : : : : l:/: :/´￣￣｀　　　　　＿| : : : : : :',　＼
.　　　 '.　　: : :./: : : : : : : : l : /　　　、　　　　　　 |: : : : : :│　　＼
.　　　　ヽ　: : :|: : :|/: : : : : l:/,彡五ヽ　　　　 'ニ　|: : : : : : |: .　／
　　　　　｀ー┤: :j: : : : : : :|/　心jﾘ　　　　　　糸＾ヽ|: : : : : : |: : く
.　　　　　　 ∨/:_j : : : : :ト　込ｸ　　　　　んﾘ　ﾉ}:ﾄ!: : : : ﾊ　. :こ＞､
　　　　　　　 /:/:/ |: : : : : |　　　　　　　　｀¨　 ,ｲ:|:|: : : /l |: : : : : ／
.　　　　　　 /:/:/7ｲ: : : : : |　　　　　　　　 ' 　　 / ! N:.: :/ :リ: : : ／
　　　　　　　/:.:{:ハ/|: : : : : :|､　　　　　　　　 /: :|/ |: /＼: : :／
.　　　　　　/: : : : //|.: : : : : l l＼　　　ｒ'ｱ　　　／_:_:_∠|/　　}／
.　　　　 /: : /: :{/ :|ﾊ: : : : | | 　＼　　　　.ｨ:くｒ'ﾞ::::::::::::／
　　　　 /: : /: : : : :./∧ﾄ. : |￣￣≧辷イ:::ﾉ:::::}:::::::::／
.　　　 /: : /＞-―<≧::ｌ::ヽｊ＼::::::::::::::::::ｰ'ﾞ::::::八ｰ'ﾞ＼
.　　／ : ／　　　ヽ＼::::::::::＼::::::::::::::::::::ノ::::::>､　　＼
.　／: :.イ　　　　　　　ヽ　＼::::::::::＞―-::::::::::::::::／＼
./: : : : : !　　　　　　ｌ　 l＼::::::::::::::::::::::／￣ヽ　ヽ
: : : : : : :|　　　　　　 | 　 l　｀￣￣￣´　　　）　 }

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582： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:44:46 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　「桜井梅室が友禅を知る人にその話を聞いた、と考えるべきだろうな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ　　)　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {-'￣　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }｀｀　　 __/_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ : :／;;;/＞´ : : : : : : : ／ : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _／ :ﾚ:/;;;／ : : : : : : : : : :|:/ : : :, - :｀{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : :＼/ : : : :i :./ : : : : : : : : : : : : : : : .:.(, ‐'´. : : : :j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : :＼､ : :|./ : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.} : : : : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-'´,' : : : : : : : ､ : : : : :＼､fZ二--- :､_:_:_:_: :`－､ : :.:.ヽ.:_,､ : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : :)ヽ h : : : :｀キ-- : : : : : : : : `＝-､ヽ.:.:.f-‐‐‐＝ :i

　　　　　　　　　「たとえば、友禅斎が生きていた時代に残されていた記事や記録をもとに書かれてるものだとして

　　　　　　　　　　その原典が明らかになれば信憑性は増すだろうが、現在のところそうしたものは存在しない」

.
583： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:45:07 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「結局のところは主に京出生説と金沢出生説があると、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そういう感じでとらえておくほうが公正な姿勢を保てると思う」

　　　　　　　　　　　￣　　､
　　　　　　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　「友禅斎の墓がソースって可能性もあるが
　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　 ……まぁそれは後で話をするか」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

.
584： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:46:20 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　「ともかく、加賀染は天和三年（1683）四月の『御染物直談帖』に見え、

　　　　　　　　　　　　　　　　友禅染はさっきも言ったがその四年後の貞享四年（1687）の

　　　　　　　　　　　　　　　　源氏ひいながたに見え始める」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　　「これを見ると、加賀染は友禅染よりも早い段階で
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　　　その技法が成立しており、加賀染＝加賀友禅であるという説を
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　　　否定する材料になる」
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

.
585： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:47:15 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「そもそも加賀染とは、加賀に古くから存在していた染絵染書のことを

　　　　　　　　他国の人間が呼ぶ時の呼称――加賀の人たちは『お国染』といった――であり、

　　　　　　　　のちには無地染めに模様を施したもののことごとくを加賀染というようになったんだ」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
　　　　　　　　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　　　　　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　　　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣｀-ｰ‐'"

　　　　　　　　　　　　　　　「だから加賀染＝加賀友禅であるという主張であれば

　　　　　　　　　　　　　　　　友禅斎が京において友禅染を確立する前に加賀において

　　　　　　　　　　　　　　　　　お国染を発明していなければならないはずだ」

.
586： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:47:51 ID:7AXrt/uY: 　　　　「もう一つ、加賀サイドでは『正徳二年に前田家に招かれて加賀に入った』と明記してるが

　　　　　　　　こちらも裏付けになる史料は明確にされてない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　「そのうえ、その年は大雪干害暴風大風などの災害が相次ぎ、

　　　　　　　　　　　　　秋を待つまでもなく凶作であることが以前から予測できていたというような年だった」

.
587： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:48:27 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「実際、その年は加賀藩領内には農民騒動が相次ぎ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天災が被害を後押ししていた。

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　この年起こった農民騒動の代表的な出来事が『大西村騒動』だ」
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

￣￣　l　　　　　　/　　　　 |　　　　| 　　　　＼　　　　　＼
　　　 |　　　　 /　　　　　|　　　　| 　　　　　∧　　　　　 }
　　　 |　　　　 f　 |　　　 |　　　　| 　　　 /　}　　　　　 l__
　　　 |　　　　　|　 |　　　 |　　　　| 　　 |　　 l　　　　　 l　ヽ
　　　 |　　　　　|　 | 　　｜　　　| 　　 |　　 |　　　　 |　 l　　　　　　　　　　「えらいことになってやがるであります」
　　　 |　　　　　|　 |＿_　　{　　　　| ＿＿|＿　 |　　　　 }　 l
|　　　｜　　　　 |　　　　ミ八　　 :| 　　 |　　 |　　　　 }　 |
{　　　｜　　　　 |㌢芯云丐ﾐ＼　 :|　/芯云丐ミ　　　 ,′ }l
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　　　　{　　　　　{　{乂)こ少　　　＼{:　乂)こ少　　　　 ∧__　ⅱ
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.　　 ∨　＼　　八＼　　　　　 ,　　　　　　//} 　　 /∨,/＜　∧
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　　　　　 /////// ＼|　　 /＿:}　　　　/　/　　　 /　　 /　　　}￣　/ ∧
.　　　　 ////＞/　　/　　//ｉ:ｉ{ﾆ＞＜:/　/　　　 /＿__/＿_ 　 }　　　/ ∧
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　　　 /　イ__/　　/=:∨,/i／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:∨ 　　 ///≧=‐ニニﾆﾆ二:ミｔ､/ ∧
.　　/　 {二:/　　/ﾆ/／＼i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:／/ 　　 /二二二ニニニニニﾆニ',/ ∧

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588： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:49:27 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　「藩への訴えを無視された農民たちが肝煎りの家を打ち壊した騒動で、

　　　　　　　　　　　　　　加賀藩の奉行まで出てきて鎮圧に当たった。

　　　　　　　　　　　　　　　この大西村騒動の話は加賀藩の池村家蔵の『無題雑記』や

　　　　　　　　　　　　　　　　佐伯家蔵の『古記抜書』などにその様子が記されている」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ　　　　　　　　　「こうした不安定な社会情勢の中で友禅斎が招かれたという主張されて、
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ　　　　　　　　　　　裏付けがないときたら信憑性はさらに低くなるだろ」
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､　　　　　　　　　「仮に事実だとしたら前田家の正気を疑うぞ」
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

.
589： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:49:58 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　／　　　　 {///‐≦ 　　　 |　　　　　　　　 }＿＿_
　　　　　　/　　　　　 ///{ 　　　　　 |　　　　　　　　ｉ　　 {
　　　　 /　　　　　 /　/ ｉ　　　　　　 :|　　　 :|　　　　 } 　　ｉ
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　　　　,'　　　　　 :/　/　 :ｉ　　　　　　 :|　　　 :|　　　 /　　　 {
　　　 :　　　　　 /:　〈　　|　　　　　　　 :|　　　 :|　　 /　　　　}
　　　ｌ　　　　　f　　　＞｡.　　　　　　 | --- ､}　　 ,′　　 /
　　　 |　　　　　{: 　　　　＞｡.　　　 |,x笊､ :　　/　　　　/
　　　 |　　　　　＼　　＼　　　}/ﾑ　　 :|ゝぅ}　:{ ／ /　　 ,′
　　　 |　　　　　　ヽ　　　＼ f///:}　　 |:　ﾏ{　〈　 /　　 /
　　　 |　　　　　　　〉＜　／//:/　　 :|　　　　ヽ/　　 /
　　　 |　　　　　／ |　　≧=‐=≦　　 |:　　　　/　　／
　　　 |　　　 .｡＜ゝ＜　　　 |　∨　　 :. 　　- /　／
　　　 |　｡＜///////|　　　:|＼:∨　　 {　　,ｨ　／
　　　 |　∨////＞＜! 　　 :|//}∧　　 i _/: ／
　　　 |　ゝ‐=≦///,'|　　　 :|///＞｡.　:{: ／
　　　 |　 {//　　￣￣|　　　 :|∨＼///ﾍ/　　　　　　　　　　　　　　　　「不作や打ちこわしをよそに
　　　／二二二二＞ :|　　　 :|ｉ:ｉ}i:i:ｉヽ///}
　　/二二ニニニニニ|　　　 :| /i:i:i:i:i}＼/＼　　　　　　　　　　　　　　　　京から有名な染職人呼んで藩主ニッコニコでありますか」
　 /二二二ニニニﾆﾆ|　　　 :|＼i:i:ｉ∧イ{ﾆﾆﾍ
　f二ニニニニニニニ|　　　 :|　　ヽ＼i二二}
　ｌ二二ニニニニニニ|　　　 :|　　　ﾟ，ﾏ二ﾆｉ
　|二二二二二二ニ/:|　　　 :|　　　　＜ﾏ＜!
　|二二二二ﾆﾆﾆﾆ//:! 　　 :|　　　　　　ミｔ､　＞｡.
　|二二二二ﾆﾆ／‐=｜　　 :|　　　　　　　　＼　　＼

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　　　　　　　 ′　　　ー―一　　　　ー―一　′
　　　　　 |:　　　 ━━━━i:!::!:i::!:━━━　:|
　　　　　 |　　　 :　　・　 .i:!::!:i::! 　　・　　:|　　　　　　　　　　「まぁ時代劇に出てくるような
　　　　　 |:　　　 `i:!￢冖:!´i:!::!:i::!:`!:i￢:!´　:}
　　　　　　　　　　 u　　（＿__人__ ）　　　　′　　　　　　　　　　　　　　絵にかいたようなバカ殿に近そうだお」
　　　　　　　　＼　　 u　　　（＿ﾉ　　　 ,／
　　　　　　　　　＞　　　＿＿＿_ 　　ｨく
　　　　　　　　　′　　　　　ー -一　　　　　ヽ
　　　　　　　/　　i　　　　　　　　　ｆ　：
　　　　　　　｛　　 |　　　　　　　　　 |:　 |

.
590： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:50:24 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「で、もうひとつ加賀サイドが友禅斎との関りを主張する根拠の一つとして『友禅斎の墓』とされるものがある」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!　　　　　　　　　　　　　「お墓？」
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　　　ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/

.
591： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:50:58 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、　　　　　　　　　　「あぁ、金沢市の曹洞宗の寺院、祥雲山龍国寺にあるぞ」
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ　　　　　　　　　　「お墓があるということは、
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y　　　　　　　　　　　　やっぱりご縁はあったんじゃないかしら？」
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
592： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:51:10 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「本物だったらな」

　　　　　　　　　　　　 /　　　､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　　　　　 /:::::｀ヽヽ　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,
　　　　　　　　　　　. l _,,.-' -.､　ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　　　　　　　 i　　　　　　　「なにそれこわい」
　　　　　　　　　　　. l. /:::::ヽ .l　　　　　｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　l ヽ::::ノ　　　　　　　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　　､　　／　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　i　 l　　　 l-―‐''´　　　 ',.　　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　　　　　　　　　　　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　　／',　　　ヽ-‐''"　　　　　　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　　,.--..,,_　　　／　　',　　　　　 ,.-''"￣ヽ　 ./　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ヽ　　ヽ__／　　／ヽ.　　　　｀ヽ　　　｀ｰ'　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　ヽ　　｀　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ

.
593： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:52:23 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そう言うということは、疑わしい事情があるわけね」
　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_,ﾉ　ヽ､,__ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| (●.) (● ) 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | （__人___）　U |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　、　　　. {　　　　　　　　「あぁ。この墓が発見されたのは明治期、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　√ヽｰｰ-　´/ i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　＼　､　　ﾉ∧　　　　　　　　友禅斎の墓であるとされたのが大正時代なんだが、
　　　　　　　　　　　　　　　　 , . ＜　　ﾊ　厂iヽ　　 }∧ }
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ∨ヽ::ヽ{-ﾆ/〉 V ＞.､　　　　　　　ほとんど無縁仏のようなありさまで発見されてる」
　　　　　　　　　　　　　 r ´　　　　　　　　　　｀∨::::::}/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　V　　　　　　　　　〉:::〈　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　　 i　　　　、　／　　　　　　 |::::::|　　　　　ｉﾉ r
　　　　　　　　　　　　／　　　 '　　　　　　　　|::::::|　　　　」　 |
　　　　　　　　　　 /　　　　　　 V　　　　　　　　|::::::|　　　　 l:　 i
　　　　　　　　　　　/　　　　　　ｲ　　　　　　　　 |::::::|　　　　 |　 |
　　　　　　　　 / 　＿／　　/　　　　　　　　 |::::::|　　　　 j　 i
　　　　　　　　　　}／　　　　 /i　＼　　　　　 |::::::| 　　　 .:　 !
　　　　　　　　　.′　　⌒丶 {　}　　`､　　　　　|::::::|　　　　i　 |
　　　　　　　　　　i 　　／￣｀i　i　　　〉　　　　 |::::::|　　／ {　 {
　　　　　　　　　　!　　　　　　　i　i　　/　　　　 |::::::|　/　　 ;.＼i
　　　　　　　　　　V　　　　　　 ', i　　　　　　　 |::::::|　　　 i　 |

.
594： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:53:08 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　「それに加え、墓が完成したのちに、何者かが手を加えた痕跡がみられる」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　　　　「さらに、その友禅斎の墓なる墓石の研究にあたった人物が
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´　　　　　　　　　　　　　　『墓に手を加えた人間を知っている』という
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_　　　　　　　　　　　地元民の証言を得たが、これはこれで具体的な名前が出てないから
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,　　　　　　　　　　　参考意見程度だな」
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　ヽ、＼
　　　　　　　　　　　　　／（ ●）　（●）.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　（__人__）　　u. ＼　　　　　　　　　　　「うわぁ」
　　　　　　　　　　　　　　　　|ｎi 7　　｀ ⌒´　　　　.　|ｎ
　　　　　　　　　　 l^l | | ｌ ,/)　　　　　　U 　l^l.| | /）
　　　　　　　　　　 ', U ! ﾚ' /　　　　　　.　.　| U ﾚ'/／)
　　　　　　　　　　 {　　　〈　　　　　　　　　ﾉ　　　／
　　　　　　　　　　　 i,　　　."⊃　　　　ｒニ　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　 "'""⌒´　　　　　　　`''""''''

.
595： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:53:48 ID:7AXrt/uY: 　　　「ともあれ、かなりの部分が破損、風化しているこの墓石に刻まれたことを

　　　　最大限尊重するとすればこの『友禅斎の墓』というのは

　　　　　　　宝暦八年（1758）に作られたものということになる」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「えーっと、ユウゼンサイが亡くなったとされるのが1736年だから……」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.: : :´: : : : : : : :｀: . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ: : : : : ; : : : : : : : : : : ｀ .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: ,: ィ: : ／/∧: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ｨ7: : : :／　/:ハ: :i: : : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' ´ ﾉｨ: : ; く　 /'　　i: :|: : : : : : : :: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　 ' /／,､　 ∨ 　　 |: |: : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　＿. . . ､-― . . ￣ . ト､　　,ｲ ! 込,　 ',　　　 |:.|: : :i: : : : : : : : : :,'
　　 ,. . .r. .´. . . . . . .i. . . . . . . . ..|　ﾍ　ﾘ　ｰﾟ'　　　　ヽ ∨i: :ﾘ: : : : : : : : :/
　　i. . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . . .ハ　 ∨ 　　　　　　≧､ヽﾑ: !: : : : : : : :/
　人. . . . . . . . . . .ノ＿＿＿__人　'　､ﾊ　　 ´ 　　　入ヽi: :|: : : : : : , '
／　ヽ､. . . . . ｰ. ´. . . . . ｀. .ー‐'―／: :ﾍ　､　　　　　'ｰﾟ´ }:ﾘﾚ´ﾌ: ／
　　　　　｀　＜. ., r‐.-. ､. . . /. . .／:／＞ >　 `　　　　　 _､_ﾚ_ ノ'´
　　　　　　　　/. . .ヽ.ー. --=＝.７._._._≧'ー｀＝r‐=‐ : : : ＞´
　　　　　　　 i. . . . . . . . . . . .≧´7/i_r/.r＞: ´,: :_:＞＜三､　 ,､
　　　　　　　 !. . . . . . .／.￣. . . . . - =＝＜. ´.-.-.-.-≧､三y三ム
　　　　　　／. . . . . ./. . . . .ヽ.ｰ. ´. . . . . . ,､. . . . . . . . . 7ﾆ,'三ﾆ/
ー-､　 ,／. . . . . .／.o. . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . ../三三ﾔ
､　　 >＜. . . . ／ . . . . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . .ﾌ三三/
ﾆ＼/. . . . ＼/o. . . . . . . . . . . . . . . ..／. . . . . . . . .／三三/
三ﾆ＼. . . . . .＼. . . . . . . . . . . . . ／. . . . . . . . ..／三三ｱ
三三ﾆ＼. . . . /. .＞. ､. . . . . ..／. . . . . . . . . ／三三／

.
596： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:54:54 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　「死んでから二十二年墓なしでほったらかしでありますか」

　　　　　　　　//二ﾆ=‐　　　　　　 |　　　　　　 |＜⌒＼
　　　　　　 {=‐　　　　＿　　　 i|　　　　　　 |　 ,　　 ≧s｡.,_
　　　　　　 / ィi〔　　　　 /　　　　　|　　　　　　 }　 ‘，　　　　}　}
　　　　　 / {　　　　　 /　　　　 i| 　　　　从　ﾊ　　　 |　|
.　　　　f/i{　　　　 {　　　l 　 |　　　　　 /　l　　ｉ　　　i|　|
　　　　　ｱ i|　　　　 |　　　l 　 |　　　　 , 　｜　ｉ|　　　i|　|
　　　　ｧ　( |　　　　 |　　　 l 　 |i　　　 /　　i|　　ｉ|　　　 i}　}
.　　　 /　 ∧　　　　　 li　―‐┼‐｜､　　,/　斗ぅ尤 ,　　　从,
　　　 {　　 ∧ 　　　 i|　 ≫ｧ==ｬミ　　 / }　 ≫ｧ=ｬ　　　 /　,
　　　 {i 　　 ∧　　　 |　〈 hr//(　| 　 /　} /h/(　 }　　　/　/
. 　　 ∨　　　∧　　　i|　　乂z少ｉ|　,/ 　 / 乂少/　　 /　/
　　　　∧　　__}/}　　　 |i 　{　　　　i|／　　　　　　/　　 /　/
　　　 / ∧　{//,'|　　　{ 　＼　　　　　　 '　　　/　　 /　/
.　　/　 /＜///,!　　　＼⌒^　　　　r　ｭ　　　〈ｨ　,/　/
　　/　 ‰//≧=‐＼　　　＼＞　　　　　　　／/　　′/
　 / ／//////〉　　＼　　　＼≧s。　　ィi〔　/　 ‰l /
. /　∨'///,'／|　　　　＼　　　ﾊ|ニﾆ爪　　 ,/ ／　 ,/
/　　 ∨/／　｜　　　　｜＼　　 }=笊 ∧ 　／　　　l
　　　　 ^　　　i| 　　　 i|　　＼　|={{}} 　ｱミｔ､　　 |

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／　＼　　＼
　　　　　　　　　　　 .（●）（● ）　u.　|　　　　　　　　　「あー、二人には要領を得ないと思うけど、
　　　　　　　　　　　　（__人__）　u　　|
　　　　　　　　　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　　　肯定的にとらえるなら、これについては二十三回忌の法要の時に
　　　　　　　　　　　　 { 　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　{ 　　　　u.　/　　　　　　　　　　　　　建立された可能性を考えるべきだな」
.　　　　　　　　＿＿＼　　　　 /ﾘ厂`'‐- .._
　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
　　　　　　　　 | : : : : ::〈　｢｀乂/ 　/ 丿: : : : : : : |
　　　　　　　　　| : : : : : /: |　{::::}　/ `7: : : : : : : :│
.　　　　　　　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :/. : : : : : : : : |

.
597： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:55:08 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　-───＜_　　｀ヽ
　　　　　　　　 ,　´　　　　　　　　＼　ﾉ
　　　　　　　　/　/　　／三｀Y三＼　＼　　　　　　　　　「ですね」
　　　　　　　 ,'　 ′ 　/／´ 　　｀ヾ|　ヽ|
　　　　　　 |　 , 　　 |'＿_,ノ　　`ｰ┤　| |
　　　　　 |　 | 　　 | 　＿- 　 ,ﾆ､{ |　| |
　　　　　　　 ',　| 　｜ﾚ'´　｀　　　,,V　ﾊ|
　　　　　　　 |　',　 Ν''　　＿_　　ﾉ /
　　　　　　　　|　＼|_`ﾆ=r ｀ﾆ´ｒ＜_V|
　　　　　　　 | 　/´ |　ﾚﾍ　　/V |　ヽ|

　　　　|　　|　　　|　　 ./　　　　　|.|　＼　＼　　　　ヾヽ.|
　　　　/　　|　　　|　　/　　　　　|.|　　　＼　＼　　　 |＼|
　　　　| 　 .|　　ﾊ　 /. 　　　　　|.!　　　　＼　＼　　 |入ヾ、
　　　　|　/ |　　|::|./ー―-、...........||:::::::´￣￣ V　ヽ　 |　 |　ヽ
　　　　|/|　|　　/:::|ｋｒ---ﾄ、:::::::::::::::::::::ィ----ハ　　| 　|　ﾉ
　　　　　 V　　,':::::!|ﾊヽ____,,!:::::::::::::::::::::::ゝ____ﾉ::: V　| 　|ノ
　　　　　　|　　|ヽ　:::::::::::::::　´　　　　｀::::::::::::::::::　|V,'　 |::|　　　　　　　「なにそれ」
　　　　 .|　　|.ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 .|::|
　　　　　　 ',　 |:　∧　　　　　　　!　　　　　　　／|　　 .|::|
　　　　　　　Vヾ　　|丶、　　　　　.　　　　　／:::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 | 　 |:::::::＞、　　　　　,　イ:::::::::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 |　　|::::::::::::::|　｀　-　´　　:lー＝ |　　 .|::|

　　／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　　.f　　　　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　＼/
´ . 　　　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|
.　　　　　　|　　| 　　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |
.　　　　　　|　./|　　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |　　　　　　　　　　　　　「わけわからんであります」
.　　　　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　　　 .|　　　ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　｀　|　　ﾆ=-　　＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　　ﾏ/∧

.
598： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:55:33 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　「でも、二十三回忌で墓石をたてるかお？普通」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　　 ⌒　　 ⌒＼
　　　　　　　　／　　　（ ●）　（ ●）ヽ
　　　　　　 l　　　 ⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　　　　　／　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　｜　　 ( ○) (○）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_　　　　　　　　　　「俺は本チャンの墓じゃなくて、記念碑的なもんだと思ってたんだが、
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|　　　　　　　　　　　　この寺の住職の話では『記念碑的なものではない』らしい。
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、　　　　　　　　　　　墓の形式が『僧侶用の墓石』のもので蓮辨型墓石というんだと」
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

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599： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:58:33 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　><￣￣ヽ
.　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＼　　　＼
　　　　　 /　　　　　　　　　　. : : : : : : : : : . 　／　　　　　＼　　　＼
.　　　　 /　　　　　　 . . : : : : :-―＝＝―/､＿＿＿　　　＼　　　）
　　　　 .'　　　　　 . : ／:＞: : : : : : : : ／ヽ: /: : : : : : : : :',. 　　 }
.　　　 .' 　　　 . : : : ／: : : : : : : : :∠:ｚ､ｚ､{／Z､ヽ: : : : :',　　 /
　　　　i　　　　 . : : ／:/: : : : : : : : /　　　　　　　ヽl : : : : ',.　/、　　　　　　　　　　「それじゃ、友禅斎さんは
　　　 |　　　 . : : :/: :/: : : : : : : : / ＿_　　　　　　　 |: : : : : ∨､:|
　　　　l　　 . : : :./: :/ : : : : l:/: :/´￣￣｀　　　　　＿| : : : : : :',　＼　　　　　　　　　　やっぱりこのお寺に葬られているということ、
.　　　 '.　　: : :./: : : : : : : : l : /　　　、　　　　　　 |: : : : : :│　　＼
.　　　　ヽ　: : :|: : :|/: : : : : l:/,彡五ヽ　　　　 'ニ　|: : : : : : |: .　／　　　　　　　　　　なのかしら？」
　　　　　｀ー┤: :j: : : : : : :|/　心jﾘ　　　　　　糸＾ヽ|: : : : : : |: : く
.　　　　　　 ∨/:_j : : : : :ト　込ｸ　　　　　んﾘ　ﾉ}:ﾄ!: : : : ﾊ　. :こ＞､
　　　　　　　 /:/:/ |: : : : : |　　　　　　　　｀¨　 ,ｲ:|:|: : : /l |: : : : : ／
.　　　　　　 /:/:/7ｲ: : : : : |　　　　　　　　 ' 　　 / ! N:.: :/ :リ: : : ／
　　　　　　　/:.:{:ハ/|: : : : : :|､　　　　　　　　 /: :|/ |: /＼: : :／
.　　　　　　/: : : : //|.: : : : : l l＼　　　ｒ'ｱ　　　／_:_:_∠|/　　}／
.　　　　 /: : /: :{/ :|ﾊ: : : : | | 　＼　　　　.ｨ:くｒ'ﾞ::::::::::::／
　　　　 /: : /: : : : :./∧ﾄ. : |￣￣≧辷イ:::ﾉ:::::}:::::::::／
.　　　 /: : /＞-―<≧::ｌ::ヽｊ＼::::::::::::::::::ｰ'ﾞ::::::八ｰ'ﾞ＼
.　　／ : ／　　　ヽ＼::::::::::＼::::::::::::::::::::ノ::::::>､　　＼
.　／: :.イ　　　　　　　ヽ　＼::::::::::＞―-::::::::::::::::／＼
./: : : : : !　　　　　　ｌ　 l＼::::::::::::::::::::::／￣ヽ　ヽ
: : : : : : :|　　　　　　 | 　 l　｀￣￣￣´　　　）　 }

　　　　　　　　　　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　「大正九年の『友禅の募蹟を確認した始末』では
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　『墓石簿には、戒名も墓主も不詳』とされてるようだな。
　　　　　　　　　　| 　＿＿ノ　　　）
　　　　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー､　　　　　　　　　　　　ただ、この龍国寺の過去帳には
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　　ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶　　　　　　『友禅斉自超上座　施主　太郎田屋　月牌』と記載があるそうだ」
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>　　　　　　　「ならじゃあ二十三回忌までは友禅の墓ってどこにあったの？
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　　　　建て替えたの？って話になってくるしなぁ」
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

.
600： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:59:02 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　「つまりどういうことだってばよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　　ヽ、　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　（●）（● ）　　 l
　　　　　　　　　　　　.　　　　　　／　　　　＼.　　　　　（__人＿）　　　 |　　　　　「少なくとも、この墓が間違いなく
　　　　　　　　　　　　.　　　　／　　 ―　　　―＼.　　　　　ヽ⌒ ´　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　（●）　（●）＼　　　　　　{　　　　　 /　　　　　　　友禅斎の墓であるとは断定できないが、
　　　　　　　　　　　　.　　　 |　　　　　　（__人__）　　　| 　　　　ヽ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼.　　　　　｀ ⌒´　　／.　　　　　 /　　　　｀ヽ　　　　　　　完全に否定されるだけの材料にも欠ける」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　>　　　　　　　　　 <.　　　　　　 /. <⌒ <)))＼ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　／(((> ⌒>　l　　　　　ヽ＿ヽ､_＿_ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　　　＿＿＿／＿ﾉ.　　　　　 , ─l.　　　　　 |- ､
　　　　　　　　　　　　.　　　　ｌ.　　　ー‐⌒ヽ⌒ヽ　　　　　　ｌ　／⌒￣￣￣　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､.　　　　　　 |＿ノ　　　　　　 `/ 　 , ─―──´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣`ー ′　　　　　　　　 `ー ′

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ちなみに太郎田屋というのは、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友禅と縁が深い『とされている』金沢の染物屋だ」

.
601： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:59:22 ID:7AXrt/uY: .　　　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　ﾟ｡. .、
　　　　　　. .＼　　　　 .　 -‐━‐-ミﾟ. . ＼
　　　　　　 . . . ＼ .......................................｝. . . .
　　　　　　　. . ／..........................................＼__ﾉ....＼
　　　　　　　.......................ﾄ､.........＼...................................
.　　　　 /................/l....|　　...........ﾟ｡ ................................
　　　　 /................/　....|　　＼.......ﾟ...........＼ ................
　　　　　′..../.......′ |...|　　　__丶 ................ ﾟ｡..............|
.　　　 ......../........___　|...|　 ´ 　　＼{、..... |..................|
　　　　 ....../.....´｛　　､{　　　 ≫=ミ＼...|＼〉..........|
　　　　 |.. ′.... ｛ｘ=ミ　＼　　″ト{:::心. }ハ |^ ........|
　　　　 |..｛l......... 《ト{:ﾊ　　　　　　Ｖこﾂﾉ′....|ぅ｝......|　　　　　　　　　「真相は闇の中か」
　　　　 |..八 ... ハ　vツ　　　　　　 , , , ,　　｝..|ノ........
　　　　 |′　..｛........　' '　 ′　　　　　　　 . ｝..|......... ′
　　　　　　　　И..人　　　　 _　　　　ｲ. ｝..|.........
　　　　　　　　　　个...　　 ´　　　／｛. ｝.ﾉ.......｛
　　　　　　　　　　　 |.......＞　 _ .　　　__」................｛
　　　　　　　　　　　 |.....|.........r‐L.　 ´　　＼ ....... ｛
　　　　　　　　　　　 |...∧....ノハ　　　／::::::::::.........｛
　　　　　　　　　　　 |/ ／x介ｘ.ﾟ｡_／:::／⌒⌒ヽ..｛
　　　　　　　　　　　 | ｛　《_ﾊ_}}　/:::::/　　　　　 .｛

.　　　　　　　／　　　　 {///／　.｡＜　　 }
　　　　　　　　 /　　　　　　／// ￣　　　　　　　――――.
　　　　　　 /　　　　　／　 /{　　　　　　　 /　　　　　　　 }
.　　　　　 /　　　　　/　　 / :.　　/　　　　/　　　　　　　 /､
　　　　　　 /　　　　 /　　 / {:　　/　　　 /　　 {:　　　 /　 }
　　　　　 /　　　　 /　　　ヽi 　 / 　　　/　　　 i: 　　 / 　 {
　　　　　　　　　　 /　　　　＼/　　　 /　　　 }　　　/　　 :
　　　　　 }　　　　　∨　　　　　＼　　 /　＼　　i　　 /　　 }
　　　　 }　　　　　　＼　　　　 }//}　　{　 /　＼ｌ:　 /　　:/
　　　　 /　　　　　‐= { ＼　　f///i　　:i 〈＼ :/　／　　 /
.　　　 / ___ ‐=≦＿__:! 　＼//＞´　　{/: ^ /〈／/　　 /
　　　 /　{/////////｜　　　}　　　　 {/　　　〉/　　　/
.　　/　　!//≧=‐‐=　|　　　 i∨　　　:ｉ:　r , ／/}　　／
　　/　　 /77///////:!　　　 | Ⅵ　　 :{　／: / :i ／　　　　　　　　　　　「じっちゃんはいつも一人であります」
.　/　　　{/// ≧=‐//:|　　　｜∧　　 :i／　 / ／
　′　.｡o≦二＞｡.　　:|　　　｜ ∧　　:} /／
/　 /二二二二二=ﾍ:｜　　　|　　}＼　i/
　 /二二二二二二二:|　　　｜ /___/二ヽ
　f二二二二二二二/:|　　　｜〈　∨ ∨=i
　i二二二ニニニニ/:｜　　　|　∨　ﾏ　＼
　}二二二二二ﾆﾆ/ /:|　　　｜　ミｔ､　＜　ﾟ，
　i二二二二ﾆﾆﾆ/／ :!　　　 |　　　　＼　＼
　|二二二二ﾆﾆ/777 :|　　　｜　　　　　＼　　ヽ

.
602： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:59:53 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　￣　　､　　　　　　　　　　「俺が加賀友禅＝加賀染に否定的な理由をもう一つ上げてみると」
　　　　　　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　「これまで見てきた
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　『江戸友禅』『名古屋友禅』『加賀友禅』といった呼称が、
　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／　　　　　　　　　　　　　　　『明治以降になってはじめて』登場するという点だな」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!　　　　　　　　　　　「えっ」
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
603： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:00:10 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　「メイジって西暦に直すと？」

　　　　　　　　　　　　 /　　　　／　　　　　　￣￣￣／　　　　 | ⌒＼
　　　　　　　　　　 /　　　　 /　　　　　　　,　　　　 {　　　　　　|　　　＼
　　　　　　　　 /　　　　ｲ　　　　　　 /／　　　 :.　　　　　　|　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　／ }　　　　　　 //　　　　　l　　　　　　:.　 }:　　　＼＼
　　　　　　　　 /　　／　　i　　　　　　//　　　|　　:|　　　　　　{　ｉ　　　　 }
　　　　　　　　　　　／　　 / !　　　　　 :./ |　　 :|　　:|　　　　　 :.　 }　　　　.:　　 }
　　　　　　　　 / 　　 / :}　　　　 :/　:　　 |　　:|　　　　　/　　:.　　　 /　　 /
　　　　　　　　/　　{　　　∧ :i　　　　　/ 　:l　　 |　　:|　　　　 /　　 :.　　 /　　 /
　　　　　　　　 i　　 / ∧:. 　　　 {＿__!＿__:|　　:|:　　　 /　　 /　　 /　　 /
　　　　　　 /　　/:｜　　 / ∧ 　　　ｉ　八　　 !　　: 　　ム斗 /　　:/　　 /
　　　　 r‐=≦乂_|:　　　/　}　　　 ::. /　＼　|　八　　:/　/　/　　/　　　/
　　　　　 {//////,'|:　　　　//　 /　　:l /ミZZZｧ ! / 　ヽ／__/／/　　/　　　/
　　　　　 i≧=‐‐=≦　　{///　∨ /　 {,′　　　　i/　／ ¨¨/　 /　　/　　　/
　　　　 /　/　　　 ///＞｡.〉:　 ∨ / :i　　　　 /　　　　ｲ: ／　 /　　　/
.　　　　/　/　　　////{///:|:　　 ∨ /: 　　　　　　'　　／　　:/　　　/
. 　　 /　/　　　///／≧o.:|　　　 ∨ {/＼　　　　｀＜　 {　　　/ !　　/
　　　/　/　 ‐=ﾆ二二＞｡.　!　　　　∨!＼/＞＜/ﾐ　|　　:i　　 /　{　 /
　　‐=ﾆ二二二二二二二ヽｌ　　　　 Ⅵi:i:ｉ＼/////} !　　 :!　　/ 　 i :/
/二二二二二二二二二ﾆﾆ|　　　　　{:i:i:i:i:i:ｉ:＼///｜　　:i　 /　　ｌ:/

　　　　　　　　　_＿_　_　
　　　　 ,　'　　　　　　　｀丶、
　　　　, '　　　　　　　　　 ─ ＼
.　　　/　　　　 ─　ｕ　　(●) 　＼　　　　　　　　　　　　　「1868年からの四十五年間だお」
　　 /　　　　　(●)　,　　ヽ ////　‘，
　　,'　　　　　////　'､_ノ-ｲ　　　｜
　　!　　u　　　　　　￣　　　 u　 .l
　　',　　 u　　　　　　　　　　 ./

.
604： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:00:23 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　「それまでは何て呼ばれてたの？」

　　　　　　　　ﾞ,ヽ
　　　　　　　　 }ヽ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　　　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　｀　　　　　　｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{
　　　　　　　　ﾊ　 'iヽ　　　　　　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　　　　　　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　､＿_　　､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　　　　'/ﾆ/　　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　　｀'　　　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　　　　　　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　　　　　　ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）　　　　　　　　　　　「普通に全部ひっくるめて『友禅』だよ。
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　江戸だ名古屋だとはわざわざいう必要ないし」
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

.
605： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:00:44 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　「ちなみに、明治五年（1872）には、前年の京都博覧会の大成功を受けて

　　　　　　　　　　　　　　　金沢市兼六園において『金沢博覧会』という企画が開催されているわけだが」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -―─-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼　　　　　　　　「この時期日本中で博覧会が開催されてるんだお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′ 　─　　 ─ 　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　（ ●）　（● ）　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 (__人__)　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　　　　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂⌒ヽ　＞　　　　　　＜_/⌒つ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　丶′　　　　　　　　 7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ノ　　　　　　　ﾄ､_/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂　　　　　　　　ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　/ー―一、　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し′　　　　　､_ｊ

.
606： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:01:00 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　「この金沢博覧会での出品目録に『加賀友禅』というものは見当たらない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ─- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　ｭﾆﾆヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ/ : : : : ＼:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i : : : : : : : ﾍ :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ', : : : : : : : : ', : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', : : : :.＼ : i : : :.'.,
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 i:', : : : : : ヽﾄ､ : : :',
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　iﾊ : : : : : : |: ', : : :.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ.:i: : : : : : :! : : : : : ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i : !: : : : : : :|: : : : : : i:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i : :i: : : : : : :|: : : : : : | :.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i : :r : : : : :丿 : : : : : | : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' :.7 : : : : : / : : : : : : |: : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ :/ : : : : : / : : : : : : : i : : i

　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||　　　　　　　　　　「えっ」
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　　　　 j: : : i:|
.　　　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　　 ! : ,'　　　　＼＼／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　＼　　ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　ヽ.　／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ〉ヽ|

.
607： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:01:49 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　「お国染はきっちり出てるぞ。羽二重絹加賀国染、出品者は能久平、とされてる」

　　　　　　　　　　　￣　　､
　　　　　　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　「いうほど重要な産業ならおひざ元の博覧会でお披露目されないとか
　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　ちょっとありえなくねーかお」
　　／. 　　　 ´￣` 、　　　, 、＿＿　　　＼
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ..|.　　　　（　 ●）　ﾉヽ　　（　● ）　　　　　|
　　|.　　　　 ´"''",　　　　　"''"´ 　　　　 l
.　　＼. 　　　　（　　　 j　　　）　　　　　／
　　　　＼　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
608： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:02:24 ID:7AXrt/uY: 　　　　「こういった調子で、加賀染と友禅斎を結び付けようとするための根拠は

　　　　　　万事非常に乏しいと考えているんだが……実はそのこと自体は別にいいと俺は思ってたりする」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「いいの？」
　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
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　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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609： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:02:40 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あぁ、染め物屋は別に歴史学者じゃない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　史料などに基づかない、願望や憶測で物を語っても別にいいんじゃないかな」
　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
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　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
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　　　　　　　　　　/7 //:　/　/　 /　　 !　　　ヽ
　　　　　　　　　./《　《:::: /　/　 /　　　|　　　　　＼
　　　　　　　　 /　:V　ヽ/　.;　.＿:|__|　 /　　:/　　 /
.　　　　　　　 /　, 　V/ﾑ　　 .ﾊ| |乂ﾌ| 　 /:|　 .Λ
　　　　　　　/ 　 . ／ﾏ彡!　　抃7スV |　./ト|　 |　| ）
.　　　　　　/　　ｒ--z　　|　　ﾊ |`¨　 .人/r≠ミ　.ノ
　　　　　　　　　ﾑﾏiii}　　| 　 | .i|.　　　 '　炊ﾂ　ﾊ |
　　　／　　〃　ﾏ//　:乂　.人__　 , -、　イﾚ^!.ノ
　／　　　./　　　　〈7八 -ﾉ^⌒　 `　　 ,ｲ:|.　.; |
　　／　乂　　　:/ /ﾉﾆ =ミｚｚ.込..__　＜ | | ノ| |
フ'　　　　　　　 :( /ノ//廴三{　}三.}　|　| .|　　.リ　　　　　　　　　　　　「願望……なんか文句きそうでありますな」
　／　　／　r==ﾆ⌒ミ////ヽ////へ　:! :!: : :＼
／　　／　　 {////　　/ヽ　////////V人＼: :　＼
　　／　　　　}/////　/^V}/＼.//////V＜)-＼:.　＼
フ　　　　　　 V///ノ^! VこV　フ////Λ　＼:.:＼: . ＼
　 /　　　/　　.V/Λ_ノ////Λ　ﾉ/////: V　　): : :＼:.　＼
. /　　　　（~⌒V////＞-=ﾆ{丁ミ>///　/〉　/ヽ: : : 　　＼＼
/　　　　　　こ)　V//<~　＼ノ∨乂//<_ノ/ .ノ　/,: : : : :ヽ　＼＼
　　　　　　 (　 /⌒<⌒V　ﾑ　（　　　　廴_.|}　 .( |: : : : :　　　　）＼
　/　　　　　 /`~:厂k!⌒}r~　 `ﾏ　= ﾆ彡　小ｚ＿7==--、　　:/＼
　　　　 /|　/　 /: ::小／V^ヽノ　　　　　/////////　　＼　:/　　＼
　　　 :/ :|　　:/ . : : | `ー!_　/　　　　 .／/////////　　　）/
　　　/　 |　 /　: : : :|　　　⌒　　／/////////////////V＼
　　:/　　:!.ノ . . : ::::::|＼|　　　　／ノ////ヽ/////////////V/＼
　 /　　／　. . : : : : :レ人＿_／フ///////!}//////////////V//＼

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610： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:03:07 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「前に言ってた『司馬遼は小説家だからあれでいいんだよ』って感じかお」
　　　　　 |
　　　　　 |. 　＿＿
　　　　　 |. ／　　＼
　　　　　 |/　ノ　　　　
　　　　　 | 　 ┃　┃　}
　　　　　 |⊂⊃　,　,⊂⊃
　　　　　 |　　｀⌒´　 }.　　 /^）
　　　　　 |　　　＿_/＿／ノ
　　　　　 |　　／　　　　　　＼
　　　　　 |｀　 / 　 ⌒　　　⌒　ヽ
　　　　　 |　 /　　 ┃ 　　 ┃
　　　　　 |　 { ⊂⊃（　　,　）⊂⊃}　　　　　　　　　　「あぁ、講談師の講談と同じで小説家が小説書いて何が悪いんだよって話だ。
　　　　　 |　＼　　｀¨⌒¨ 　　 /
　　　　　 |　／　　　　　　　＿／　　　　　　　　　　　　　　　染屋も小説家も、歴史的なことに関する
　　　　　 | ´　　　　　 /　　　|
　　　　　 |ーイ.　　　　/　.／　}　　　　　　　　　　　　　　　　　正確性や信憑性に責任を負う必要はないよ」
　　　　　 |　/　　　（_／
　　　　　 |　　　　　　　　　　 |
　　　　　 |　|　　　　　　　　　　|
　　　　　 |　|.　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　「一切の批判なくあれが史実に基づいていると考えるのは
　　　　　 |　}　　　　　＿＿　 /
　　　　　 | （_/￣￣｀¨　└∨＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　もはや受け手の知性の問題だ」
　　　　　 |、/////////////////）
　　　　　 |　￣￣￣￣￣￣￣￣
￣￣￣￣￣

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【講談師】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　川柳に『講談師　見てきたような　嘘をいい』というのがあります
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
611： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:03:35 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「加賀に必要なのも、友禅本人とのかかわりあいの事実なんかではなくて、

　　　　　　　　　　　　　　結局『加賀友禅』というブランドなわけだしな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　　　ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!

　　　　　　　　　　　　ﾏﾊ　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　ﾏﾊ　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　 ∨} 　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ | 　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　 | 　　 i|
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　 |　 /　 ,
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　/　/ 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　| l―┼‐ミ /　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　| ∧ ≫ｧミ　 /　　/
　　　　　　　　　　　　　　|　　ゝ )}}i　/　　/　　　　　　　　　　　「ぶっちゃけすぎぃ！」
　　　　　　　　　　　　　　|　　 }} h}}i /　　/
　　　　　　　　　　　　　　|　＿}} {ﾘ /}i 　/
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|　　　　　　　 |　　　　 |二二ﾆ=‐
|　　　　　　　 |　　　　 |ニニニニニヽ
|　　　　　　　 |　　　　 |二二ニニﾆﾆﾊ
|　　　　　　　 |　　　　 |ニニニニニニ}

.
612： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:06:43 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「だってそうとしか思えねえだろ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　「友禅と縁が深いと『されている』太郎田屋も染屋ではあるが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀友禅云々というのであればその染屋の太郎田屋に、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　立役者であるはずの友禅斎本人についてもっとなにか残っててしかるべきだろ」

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.　　　　　　　　　　　　「別に太郎田屋の係累が絶えたわけでもないのに、だ」
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|　　　　　　　　　　　　　　「先ほどの墓石を除けば太郎田屋の四代目と友禅が
　　　　　| : :u : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|　　　　　　　　　　　　　　　　『染絵掛幅『紫式部石山に月を賞する図』を共作
　　　　　|::::;;;（　 ●）ﾉヽ（　● ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l　　　　　　　　　　　　　　　　”したのではないか”という話がある程度だ」
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

.
613： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:07:51 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　「前田家に招かれて加賀に入った職人が、

　　　　　　　　　　加賀友禅を発展させたというのであれば、

　　　　　　　　　　　その死後の扱いが無縁仏同然なのも違和感ありすぎる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　.:;. ~
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ　. .;
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 ,　　}.||＿
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　__,.ノ　ｿ /.||_. .＼
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　（●　　/￣＼y .＼　　　　　　　　　　　　「しかも太郎田屋は加賀サイドの言い分では
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 r　　ﾉ/.／￣　　　.ヽ
　　　　　　　　　　　　 |　　　　｀-ｰ´{/ﾐ／　　　　　ﾍ　　　　　　　　　　　加賀藩御用紺屋棟取という、軽くない立場にある。
　　　　　　　　　　　 |　 } 　　　　 ´ ｛./　ﾍ　　　　ﾊ
　　　　　　　　　　 | 　 '丶　　　　　ヽ__).＼　　　　 _.ﾄ､__　　　　　　　そこに身を寄せて『発展に尽くした』人物への扱いにしては
　　　　　　　　　 |　＼｀ - 、 __＿j丿　　　　ヽﾊ／＞ｰ弌┐
　　　　　　　　　　　　　r二ニ＝=- 、,__ _「　　　　　　　7／ : : : : : : ',　　　　　　情がなさすぎるだろ、常識的に考えて」
　　　　　　　　　　　　/ : : : : : :＞、　λ::;;}＞- 、　　〈 : : : : : : : :.∧
　　　　　　　　　 /＿／.: : : : : .＼{ ヽ:::ヽ :.＼＞､_∨ : : : : : : :.∧
　　　　　　　　　／_____、: : : : : : : : . ＼ヽ:::::ヽ :.＼: :.:.∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : . ＼ヽ::::ヽ : :＼:..∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :＼ : : : : : : : :. ＼'､:::::. : : .∨∧ : : : : : : : :∧
　　　　　 / : :.:.:.:.:.: : : : : : : : .V: .:.:.: : : : : : . ｀､:::::::. : : V:∧ : : : : : .:.:.:.∧
　　　　　　У : : : : .:.:.:.: : : : .:.:.: : : :.:.:.:. : : : : : : ｀､::::::: : : ',::.∨ : : : : .:.:.: :∧
　　　　／´￣¨¨. : . .＼ : .:.:.:.:.:. ﾉ: :.:.:.:.:. : : : : : : ∧::::::i : :|:::ﾊ : : : : : :.:.:.:.:.: }
　　／ : : : : : : : : : : :.＼::.} .:.:.∠: : .:.:.:.:.:.:.:. : : : : : ∧::::} : :|.:::::.. : : : :.:.:.:.:.:. /
／ : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨八: : :.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : Λ::i : :|--＜.:.:.:.:.:.:. ／
: : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : __／.:.:.:＼:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : V : :|　　　￣¨¨
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: : : : : : : :.:.:.:.:...∨　　　 ∨ : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : |

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614： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:09:25 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「友禅斎が曹洞宗の僧籍にあったから虚名を得てしまうことに配慮したのか？」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　「そうであるなら加賀友禅なんて名前つけるとか、一貫性がなさすぎるだろ」
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'　　　　　　　　　　　「いやー、ドイツ人だからよくわかんないです（すっとぼけ）」
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

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615：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 01:09:28 ID:Iyhc/rYo: こまけえことはいいんだよ！
616： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:10:04 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「友禅斎が曹洞宗の僧籍にあったから、僧が虚名を得てしまうことに配慮したのか？」

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　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　「そうであるなら加賀友禅なんて名前つけるとか、一貫性がなさすぎるだろ」
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
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　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'　　　　　　　　　　　「いやー、ドイツ人だからよくわかんないです（すっとぼけ）」
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
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　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

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617： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:10:42 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　「実際明治期に入ってからしばらくは染色業界はそうとうきつい状況だったらしいからな。

　　　　　　　　『加賀友禅』の名前を作ってそういう『宣伝』を打ったとしても十分に心情は理解できる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　　「繰り返して言うが、染屋が歴史的事実に関する考証の責任があるわけじゃない、

　　　　　　　　　　　　　　　　　だからそれは全然かまわない」

.
618： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:11:35 ID:7AXrt/uY: 　　「だが一つ、俺が眉をしかめたくなるのは、加賀に入ってきた『色絵』を発展させ、連綿と受け継ぎ、

　　　　『お国染』などの誇るに足る技術に昇華したことを、

　　　　ブランド力のために友禅斎一人の功績にしてしまおうとしてるんじゃないのかって点だ」

　　　　　　　　　　　　　　　, - ────── - ､、
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　/　_＿ノ　　`､　　　＿　　　　　　　　　 l
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　　　　　　　　　ゞ　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 |
　　　　　　　　　ヽ`　　　　　　　　　　　　／　　､ﾉ　　　ﾄ､.._
　　　　　　　　　＼　　　 _＿ , _,_　-‐ ｲ　　　／　　　ﾄ､:.:.:`::-..,,_
　　　　　　　　　　　　　 ,`ー--- --ｰｰ　　 /　　､′　　　／ﾞ.:::.:.:.:.:.:.: . ＼
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　　　　　　　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　　　　 , '′　　　 ,／...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..: . ＼

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619： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:13:20 ID:7AXrt/uY: 　　　　「もしそうなんだとしたらいただけないにもほどがある。

　　　　　　　　　　しかも現状を見る限り、その路線に全乗っかり」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
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　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
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::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
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:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
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::::::... ..丶
:::::::....　...＼
:::.' ──-.. ＼
:::::::... ⌒__丶　＼
:::::::::.... .'::. ）.ヽ　 .ヽ
:::::::::::.... __ ..丿　　　ヽ
:::::::::::...　　　　ヽ　　　.ヽ
:::::.._ ﾉヽ.___＿丿　　　.丶　　　　　　　　　　「またいらん敵を作るような発言を」
::::::::::::::....　..::ﾉ　　　　　　.）
:::::::::::.. 　 ../　　　　　　 .ﾉ
:::::::::.⌒ "　　　　　　　..ﾉ
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:::::::::::::::::::::..　......::::.／

.
620： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:13:41 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　「変なことは言ってないだろ。
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　歴史に対して真摯になる必要は全くないけど、
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　染屋だったら染め物に対しては誠実でいろよってだけだ」
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!　　　　　　　　　　　「まぁ……発言の過激さを除くなら理解はできますけどね」
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

.
621： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:14:09 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「最後にいろいろ言ったけど、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀友禅の染め物自体にケチをつけるつもりは全くない。

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　そこのところは強く主張しておくぞ」
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿___
　　　　　　　　　　　　____〃　　-‐…‐-　　丶ヽ
　　　　　　　　　／　／　　　　　　　　　＼＼
　　　　　　／　./.　　 /　 /　　　　　　　　＼＼
.　　　　　　〃　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/（／/ ′....　|　 |...　　　| .　　/　　 ! 　 >）ヽ
　　　　　 {辷〉｀ヽ{..　　　|　 |　|　　 | l　/|　　　 |　/　〈 /
　　　　　丶〉　〉　　　|,ﾊ,|　|　　| |/__|　　　|　＼／
　　　　　　　　＼／　∨..　代フ. N∨ |弋フ　　 /　|＼､
　　　　　　 xく／ :|.　　ﾄ　　　　　　　　ｲ　 /..|＼　＼〕
　　　　　　　 <／.　人ﾊ从､　　　　　　／∧/.　| i|¨¨¨´
　　　　　　　　　　ｰ/ |　　　 |, ＼　‐　／}} |　　　 |八
　　　　　　　　　 /　 |　　　| ヽ___　　xく〈 |　　　 |‐-ミ　　　　　　　　　　「jud、そんじゃとってつけたような結論になったところで
.　　　　　　　　 /, ¨¨|　　　 |,//　》《　　》....|....　|　　ヽ
　　　　　　　　 / {....　|　　　 | 《／|:i:|＼_/:|　|....　| 　　|＼　　　　　　　　　そろそろ終わるでありますか」
　　　　　／/　{. 　 |　　　| 　　 V.　　　|　|､　 |　　 /　　＼
　　　　　　|　 | . ‘，　|　　　 |.　　　　　 |　|　ヽ| 　 /　　　　|
　　　　　　|　 |　/∧ 从人,ノ　　ヽ/..　　丶|.　　一　＼　　|､
...　　　／ :|　 |/ /　 ,.　　‘,　　　　 }{　　　　 }　　 }　〈　　|　 /　丶
　　　/　　＼ヽ/ 　 ‘,. 　 ‘,　　　　 }{　　　　／　　ｿ　ﾉ ./
　　 |　　　| .＼　　　〕ノ　 ⌒¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨´ ＿／／／.　　　 |
　　 |　　　 |/　／｀¨¨‘, 　／〕　　　　　　　　／　 /　　」　＼|　　　 |
　　 |　　　 |　 {{　　　　／ヽノ　⌒ｰ‐‐‐─　　　 /　／　　　|　　　 |
　　 |　　　 |　　ｰ-=彡　〉　　　　　　　　　　⌒/　/　　　 /　　　/

.
622： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:14:25 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　　　「とってつけたようなって……否定できねえけどさ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＝＝＝＝＝＝＝、-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣ヽ　////////////////|//|
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　＼　　　　　 .///////|//|
　　　　　　　　　　　　　　　　 , -＜i　　　　　 U. : :i≧=ｰ´￣ヽ、.////|//|
　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : !　　　　　　　: ;ｲy : : : : : : : : : ////i//|
　　　　　　　　　／ : : :ヽ :.∧　　　　 . : : ム{ : : : : : : : : : :`,　/i//|
　　　　　　　　　　　　ノ : : : : : : V／ヽ、_ . : : : : へヽゞ／￣ : : : : : :.} /ｉ//|
　　　　　　　　　　／＞── ｧ'´ : : : : : :ヽ￣￣　_ιУ､ : : : : : : : Λ/i//|
　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : :_／｀-ｰ=´ : : :｀ヾ : : : : : : :ｨ :} ///|
　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : :／'´ : : : : : : : : : : : : : : : : : :/ : : { ///|
　　　￣￣￣ {　⌒ ,.-'´ : : : : :＞'´ へ: : : : : : : : : : : : : : : : : :}/￣￣￣￣￣
　　　　　　　　ヽ : : : : : : :,彡'´　　　　　｀'' -＼ : : : : : : : : _,ノ
　　　　　　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　｀ ' ── ´

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊｰｒ―-､ヽ　＿＿
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::!:::',　　ヽ〉　　 (
: : : : : : : : : : : : :´厂｀|:::::',　　　　　て
:::::::::::|:::::::::::::::::::::/,ｚ､│::::l
::::::::: l:::::::::::::::::::/〃∥|::::::|
:::::::::::!::::::::::::::::/ ∥ j! !::l:::|　　　　　　　　　　　「そう、ですね～」
:::::::::::|:::::::::::: /　ヾ=' ∨: |
:::::::::∧l::::::::/ 　　　 /:::::|
:::::::/:/ﾘ､::|:{　　（ゝ／;ｲ::/
::::::::/＿.ヽN＿_／|:::/ |/
::://: : : :￣ｽ　　 |/
／ヾ: : ＿/: :＼＿
ヽ: : : : : : : : : : ヾﾘ＼

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'　　　　　　　　　　「ホラちゃんの言う通りそれが無難だお」
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／　　　　　　　　　　　　　「あずささん、締めをお願いするお」
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ

.
623： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:14:51 ID:7AXrt/uY: .　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ　　　　　　　　「わかりました～」
　　　　　. ': : : : : : ／::::ｒ､:::::ヽ: : : : : : : : : : : : : : : ヽ
.　　　 /: : : : : : :/´￣´　￣｀ヽ: : : : : : : : : : : : : : : :',
　　　 /: : : : : : :/　　　　　　　 ';. : : : : : : : : : : : : : : :i
　　 ,': : : : : : :/＿_　　　　　 '; : : : : : : : : : : : : : : |
　　 ,: : : : : : :/´ ￣｀　　　＿_.i: : : : : : : : : : : : : : :l
　　 ! : : : : : ;' ,ｨ芋示　　　 ´￣｀|: : : : : : : : : : : : : : |　　　　　　　　　　「それじゃ、またお会いしましょう」
　　 i: : : : : :ｉｲハ心ｊ　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :!｀　｀¨ﾞ　　　　ｨ≧ｚ､|: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :l! 　　 ,　　　　￣ヾｊ.: : : : : : ;ｨ!┐ : : : :!
　　 l : : : : : ﾊ　　　　　　　　　 |: : : : : :/ ﾘ/: : : : : !
　　 |: ﾊ: : : :ｌ∧　　､　＿,　　　 j : : : : /ｰ:'ﾞ: : : : : :.|
　　 |/　'; : : |　l:＼　　　　　　 //! : : /:.: : : : : : : : :|
　　　　ヽ: :|　| : : ヽ､　　　　イ:/ j: :.∧: : : : : : : : :.:|
　　　　　ヽ|　l: : : : :_｢　　 //>/／: : ＞― ､: :/:.:|
　　　　　　　 l : : :__ﾄー―イ／　 > '´　　　 ∨.; :|
　　　　　　　ﾉ:ｒ‐ｲ/^j￣／　／　　　　　 ∨: |
　　／￣￣ 7　 |｀¨ﾞ／　／　　　 {　　　　 l : |

　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
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　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ　　　　　　　　　　　「ちなみに私たちは次回でお別れ予定です」
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

.
624： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:15:05 ID:7AXrt/uY: 　　　　　　＿＿__
　　　　／　　　　＼
.　　　／　　　　　＼
.　　／　　　 ―　　ー　＼
　　|　　　　（●）　（●）　|
.　　＼　　　　（__人__）　／
.　　　ノ　　　　｀ ⌒´ 　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：52　自分の嘘を自分で信じるようになる末期症状.　　　　　　　＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　後編　おしまい～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.: : :´: : : : : : : :｀: . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ: : : : : ; : : : : : : : : : : ｀ .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: ,: ィ: : ／/∧: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ｨ7: : : :／　/:ハ: :i: : : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' ´ ﾉｨ: : ; く　 /'　　i: :|: : : : : : : :: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　 ' /／,､　 ∨ 　　 |: |: : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　＿. . . ､-― . . ￣ . ト､　　,ｲ ! 込,　 ',　　　 |:.|: : :i: : : : : : : : : :,'
　　 ,. . .r. .´. . . . . . .i. . . . . . . . ..|　ﾍ　ﾘ　ｰﾟ'　　　　ヽ ∨i: :ﾘ: : : : : : : : :/
　　i. . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . . .ハ　 ∨ 　　　　　　≧､ヽﾑ: !: : : : : : : :/
　人. . . . . . . . . . .ノ＿＿＿__人　'　､ﾊ　　 ´ 　　　入ヽi: :|: : : : : : , '
／　ヽ､. . . . . ｰ. ´. . . . . ｀. .ー‐'―／: :ﾍ　､　　　　　'ｰﾟ´ }:ﾘﾚ´ﾌ: ／
　　　　　｀　＜. ., r‐.-. ､. . . /. . .／:／＞ >　 `　　　　　 _､_ﾚ_ ノ'´
　　　　　　　　/. . .ヽ.ー. --=＝.７._._._≧'ー｀＝r‐=‐ : : : ＞´
　　　　　　　 i. . . . . . . . . . . .≧´7/i_r/.r＞: ´,: :_:＞＜三､　 ,､
　　　　　　　 !. . . . . . .／.￣. . . . . - =＝＜. ´.-.-.-.-≧､三y三ム
　　　　　　／. . . . . ./. . . . .ヽ.ｰ. ´. . . . . . ,､. . . . . . . . . 7ﾆ,'三ﾆ/
ー-､　 ,／. . . . . .／.o. . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . ../三三ﾔ
､　　 >＜. . . . ／ . . . . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . .ﾌ三三/
ﾆ＼/. . . . ＼/o. . . . . . . . . . . . . . . ..／. . . . . . . . .／三三/
三ﾆ＼. . . . . .＼. . . . . . . . . . . . . ／. . . . . . . . ..／三三ｱ
三三ﾆ＼. . . . /. .＞. ､. . . . . ..／. . . . . . . . . ／三三／

.
625： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:15:25 ID:7AXrt/uY: 　　　　「今回は投下終了であります。

　　　　　　　　このスレはエネルギーとエレクトロニクスのやる夫エッセンシャル様と

　　　　　　　　　　　だっておｗｗｗキャンセル様にまとめていただいているであります」

　　　　　　　　　　　　　　　/ニ7　　7ﾆ=
　　　　　　　　　　　,,__＿_//＼　　/∧ﾆ=- ミ＼
　　　　　　　　　　 / 　 /　　　､_　/（:i〔_〕:i:i)ﾆ=
.　　　　　　　ﾉ.../.....//　　　 / ＼}＼i:i:／ﾆﾆ}
　　　　　　　／／′.//L　　Ｖ../......}　　､ﾆﾆ７
.　　　　　　／ﾞ/... |........苳.......〈.v､..}../　　/＼/
　　　　　 //　 i.... /...../炒:.../坏Ｊ.〉/　　 /}}...|
　　　　　 ′　|. /.|.....{　, ∨　ｖ炒/......／ノ]ｉ..|
.　　　　｛　　 |/＾〉....:. n　　　／/＜　　,ﾉ...|
.　　　　　　｛　/:∧{ﾊ.___,ァ'ﾞ.../ ｛　　イ{......|　　　　　　　　　　　 _,, -=＝==＝ミ r=ミ
.　　　　　　　　ﾌ/∧....／＜./7八/〈〉|｛........､　　　　　　　 //:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iヾ
　　　　　　　／ //...../:::::::::::::::Ｙ./∧ /〉{..........＼　　　　　 //:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:}}ニ=ミ
　　　　　,　　 //...../::::::::::::::::: |.{ {....∨....................＼..........,,,____//:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:,ﾘi:i:i:i:i:i:iヾ
.　　　　 /　　/ ′７:::::::::::::::::::::|.{ {.......〈..........................＼ｰ=ｧ/{｛:i:i:i:i:i:i:i//＾⌒⌒ヽ〈:i:i:i:i:i:i
　　　　　, j{　-‐=＝＝=‐- ミ::: : |.{ {......................､.......................{｛:i:〉Ｖ-=￢./　　　　　 :.∨i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ｝}
　　　／-‐　　　　　　　　　‐- ﾐ:|.{ {...............＼....＼..................｝}:i:i//:i:i:i:i:{｛　　　　　　｝}i:i:i:i:i:i:i:i:i:｝}､
.　　　|　　　　_＿,　　　　　　　 |.{ {.　,...............＼....＼.............〉Ⅵ｛:i:i:i:i:i:i＼､_,,　_,,／.ﾞ:i:i:i:i:i:i:i:i://､＼
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＿／ニ=‐-=ニニニニﾆ7; ; ; ; ｱ; ; ;＼.........＼...､.............ｰ-＝=　............ｰ==彡'⌒<ｰ=彡'＾
ニニﾆ＼ニニ=‐-=ニﾆ7; ; ; ;V∧; ; ⌒＼.........≧=--
ニニニﾆ＼ニニニニ7＼; ; / //＾ 7ニﾆ.＼.........＼__ニニニ=‐-　　,,_..............‐-　ミ
ニニニニニニニニﾆ7〉......＼＼　 /ニニニﾆ>､..........ｰ=ニニニニ=‐-=ﾆﾆ=-　_
ニニニニニニニニ.∧/ ＼.....＼＼...､ニニ７7ﾆ＼............ｰ=ニニニニニ=‐-=ニﾆ=-
ニニニニニニニニ｛./ ∧..{＼.....＼＼＼ﾆ7/￣￣＼...............ｰ=ニニニニニ=‐-=ニﾆ=

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　　　　　【だっておｗｗｗキャンセル様ＴＯＰ】ttp://inzainewtown.blog.fc2.com/

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.
626： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:16:42 ID:7AXrt/uY: ということで今回は終了となります。
次回はもう少し早くできると思います（伝統芸）

遅くまでお付き合いいただきまして、ありがとうございます。

.
627： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:22:21 ID:7AXrt/uY: ということで、たぶん本日の更新になるかと思います。

4/1だからね
628： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:23:42 ID:7AXrt/uY: あと>>616はなんかかぶりましたので視界からシャットアウトしてください（宙を眺める）
629：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 01:36:34 ID:oHQJdOnI: 乙でした！
630：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 08:17:59 ID:a9cD3WL2: 乙
こまけえことはいいんだよ、と
631：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 09:39:37 ID:kxF.kRr.: 乙でした。
632：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 12:26:17 ID:nnLkatAI: 乙ですた
本場京都のきもの学園でも、到底教えてくれないような事ばかり
凄いなぁ
633：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/02(月) 22:06:12 ID:dAqMiB5c: 各地に「元祖で本家のブランド」と名乗るモノの、どれほどがブランドなのだろうと
思うことがしばしばあります
やらない夫に矢面になってもらって、言ってしまいたいこともあります
634： ◆zbB4e8kEV6：2018/10/18(木) 18:10:11 ID:lCRUjxyM: 結構がんばってやってるつもりですがもう少しかかりそうです。
最長記録更新しそうです。
いろんなことに右往左往させられながら調べ物をするのは楽しくはありますがたまに殺意も沸きます。

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635：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/10/18(木) 22:14:06 ID:yiKuXtGU: なんだこのAAｗ
636：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/10/19(金) 17:09:04 ID:7.dEv8Js: シャッター商店街でポツンと街路灯を燈して営業しているあのマスターの
喫茶店のごとく「やるやらあずさ」があってくれます
待っておりますよ
637： ◆zbB4e8kEV6：2018/10/21(日) 22:31:21 ID:.bs/zqfk: もうすぐなんとかなりそうなんじゃないかなという感じです。
十月中には何とか続きを投下したいですがはてさて

　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　／／:::` 、　　　　　　　　　　　　／￣＼
　　　　　　　　　　／　/:::　　:::ヽ　　　　　　　　　　 /ヽ､_　　＼
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　　　　　　　　　（__ﾉ|:::　　　　 :::|　　　　　　　　　（ __）　　　　 |
　　　　　　　　（｀　|:::　　　　 :::|　　　　　　　 | ´　　　　 |
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　　　　　　　　　　ヽ　ヽ:::　 :::/　　　　　　　　ヽ　　　ノ
　　　　　　　　　　　ﾉ　ﾉ::: 　 :::ヽ　　　　　　　　　　　　ﾉ　　ヽ
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.
638：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/10/22(月) 23:30:38 ID:Unqsl/8I: 今度はどんな「京都」の切り取った角度が見せていただけるのやら
某ギロリのジモティも真っ青な程をオネシャス
639：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/09(金) 13:57:56 ID:jmOpdCy.: 次回の1様の投下量は、1スレ全部使っても足りないんじゃないかと色々不安がｗ
640： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/09(金) 21:19:22 ID:NDRejo4M: そこまではいかないはず。
600くらいで収まればいいなあと思いながら格闘中。
なんとかめどが立ちそうなんですが。
641：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/10(土) 21:45:05 ID:PZcAuK5g: ＞600くらいで収まればいいなあと思いながら格闘中
どうかお体大事にして、お作り下さい
642： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/22(木) 11:05:59 ID:W9n5.gbc: 11/25か11/26に更新する予定
643：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/22(木) 14:17:35 ID:A7/E2Sls: 待ってましたーーー！
644： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/26(月) 20:09:48 ID:0LMhK4CQ: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,ｧ--‐,''""'ﾆ‐､,,___
　　　　　　　　　　　　　　 ,,iニ7"'''ﾒ､､ヽ,,-‐'´ ﾐ､｀'"､｀'i､
　　　　　 ,-‐"ﾞ'‐y'i‐'"i´iﾞ´ﾞ,i'ﾞァ"＼;;;;;l_l_ﾉ　ﾐ-‐''",; _,‐ﾞ'くi,|
　　　　／ヽ丶､,_|.::| 　|::|　/ /　　　.::_;;::,_〈 ,,ﾞミ"ﾞ,/ﾞr,,ﾞﾞ'''o"ｏ'ヽ
　　　 / __,,＞Θ'´ 'ﾞ""''''"'| 〈　　　i'´:::く´,|",,　/ﾐ /ﾐi‐--‐'ﾞﾌﾟ/
　　　'"´　　　　　　　　　　|　〈l　　 |　く´ ｀|, /ﾞ,"|,,-'i三　"ﾞﾄﾆ､,/｀ﾞﾞ‐,
　　　　　　　　　　　　　_,-ﾞi,　〈|　　＼,,|_∠i､,‐／　　ﾞi､ﾐ　:;',,,'',,'　　i'
　　　　　　　　　_,-､,,;‐":､　'i;､　｀;､　　　　　￣｀ﾞﾞ'ヽ､　ﾞ'''‐-'''""｀''´
　　　　　　　　／ii　））,::::';　　＞-､,'､,,＿_______　　　　＼
　　　　　　　 '｀　ii　 ,‐ﾉ::ﾉ-‐'"　　　　ﾞ´｀'´ﾞ"

　　　　　　　すみません、間に合いませんでした。

　　　　　　　　11/28には何とか投下できると思いますのでアル〇ォートでもかじりながらお待ちください。

.
645：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/26(月) 20:12:37 ID:2nS306l6: ｲｯﾁダイーン！？

お体を大事に……
646： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:21:45 ID:bMttHh86: とりあえず前半戦開始します。
後半戦は以下の移転先でやりますのでよろしう。

http://bbs.yaruyomi.com/test/read.cgi/ban/1543403093/
647： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:22:25 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：53　ドイツもこいつもフランスも好き勝手言いやがって　　　　.＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　前編～

　　　　　　　　　　　　　-------＜
　　　　　　　　ィi〔‐=////／＼≧=‐zz｡s≦⌒}＿＿＿
　　　　　 /　/////＞ ´　 /　　　　　　　　　 |　　　　 |
　　　　　　 //＞ ´　　　　{　　　　　　　 |　　　　 |
　　　　 /　///　　　　　 :ｌ　　　　　　　 |　　　　 |
　　　 ,′///　　　　　　 :|　　　　 |　　　　　/　　　　 |
　　　 ,'　///　　ｌ　　　　｜　　　 |　　　 /　|　　　 :|
　　　 . /　〈　　　|　　　　　|　　　　 |:　　　 ′ |
　　　{ {　　＼　 :!　　　　斗 -―　八　　 7㍉　}　　　/
　　　:　＼　　ヽ {　　　　 | 　　 /　}　 ,x=ミ　/　　 /
　　　　　ヽ　　＼＿　㌢斧示ミ　 :　/ Kﾘ }/　　 ′
　　 l　　　＼　　 //} 　l　込シ　　{/　 ^¨{　　　/
　　 :　　　　　＞＜zzz{　 !　　　　　　　 ,　从　 /
　　　　　ィi〔///　∧　　:|　　　　　　ｨ/ 　 /
　　}　　/77/ l 　 / ∧　 :ト　　　　 ' ／ / )　 ′
　 / 　 {//＞ !　　 / ∧　}{=＞｡ __／≧s。}　/
. /　　 /77//∧　　 }＞', ii:i:i:i:i/ ＼//////}^＿＿
/　　　{/////,∧　　ｉ///ﾊ／i:i:i:ｉ:ｉ:}^ ﾏ/f(＿＿__) )--､
　　　乂/(＿　 :.　　Ⅵ///}＼i:i:i:ｉ/　ヽ　{　　　　f――/
　　　/ニニニニ∧　 ∨77 　ヽ / 　　 :ｌ　　　　ゝ―〈
　　 /二ニニニﾆ:∧　 }_ノ　 ⌒　',　　　 :|　　　　　)=}:{
　　f二二二ニニﾆ∧　:.　　　　　 :.　 r ＞‐==≦ｱ_/_{
　　l二二ニニﾆﾆl/　ﾟ，ﾟ，　　　　　　/〈ﾏﾆﾆﾆ／=///
　　{二二ニニﾆﾆ}/　‘， ‘，　　　　 /=:≧=‐ ､＜ニ{
　　:ﾆﾆﾆr:ニ:∨,　:〈　　ﾟ.　 }　　／二二r二=＞　´　)
　　∨二}∧=:∨　∧＿_ }　!:　／二ニﾆ:/}ｉ:ｉ＼　　ィi〔}
.　　 ∨/　∧=:∨__∧//ﾍ　／ニニﾆﾆ:/ :ii:i:ｉ／//////＼
　　　 ∨　 ∧二ニﾆ:}// ／ニニニニ//777///////%ﾆﾆヽ
.　　　　∨　/ニニﾆﾆ:}／二二二ﾆﾆ//////////＞´二ニﾆ:＼

.
648： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:22:44 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／）＼
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　l　/ ／／ _､,,.ノ　|.　　　　　　「いやー、今回は早く作れると思ったんだがなぁ」
　　　　　　　　　　r　　　　　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |
　　　　　　　　　/　　　　ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

　　　　　　＿_辷三/二＼
　　　　　／　─　⊂三乂　ヽ　　　　　　　　　　「調べていけば調べるだけ次々わからんとこが
　　　／　（●）　（●）. 'i　ヽ
　　／　　　　（__人__）　＼　ヽ　　　　　　　　　出てくるところがほんと恐ろしいお」
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|/ 　 /
　　＼　　　　　､＿,　　／/ 　 /
　　ノ　　　　　　　　　￣　 /
　／´ 　　　　　　／　　 /

.　　　　　　　　　　　　　　-── -　 _　　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、さっそく行きましょうか」
..　　　　　　　　　　　 :'"::::::::::::::::::::::::::::::: 丶､
..　　　　　　　　　／/:::::::::::xヘﾍ＼::::＼::::::::::＼
..　　　　　　 /:::/:::::::::::/'⌒⌒' :丶:::::＼::::::::::ヽ
...　　　　　　　　,':::/::::/:::::/　　　　 l:|　＼::::丶 :::::::'.
.　　　　　　 ::::/::::/::: /　　　　 !|　　ヽ:::: ＼::::l
　　　　　　　 |::,'::::/l::::,' -―　　　ﾘ-―‐-':;:::::: ヽ|
　　　　　　　　 V:::/:::!/|　　-　　　　　‐　　　';::ヽ::::';
.　　　　　　　　/::/::: |:N　_＿　　　　　ｨ==-、 }::い :|
.　　　　　　　　|::ﾊ/＾{:|〃´⌒`　　　　　　　,,　ﾊ|∧:l
　　　　　　 |,'ハ（小.　''　　　 '　　　　　　ｰ/　 ';!
　　　　　　 |! 　`､:ｰﾍ、　　 v　ｧ　　　ｲ:,′　j|
　　　　　　　　　　　＼:::l＞ _　　　　　, イ/:::i
.　　　　　　　　　　　　';:::|::::r|＞ｰ '´|::Ⅳ:::::|
r-､　　　　　　　　　.|:::L:八　　　　|/│::::|
.＼＼　　 fﾍ-―t―ｪェ|:::|<＼＼　／/;>|::::::l＞､
.　＼ヽ__ |│ﾍ　￣￣.j::∧＼>ｨ介ﾄ<;/∧::::|丶､辷>､_
.　　 /'´ヘl│　'､　　　 .|/　ヽ{￣{{_}￣}/　ヽ:|　　　 /　|
　　 {　ヘ'.} ∨　∨　　./　　　`7/{{ﾍ匕.　　丶　　 /　│
649： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:24:08 ID:bMttHh86: 　　　　／￣￣＼
　　／ _ノ　ヽ､_ ＼
.　　|　（ ●）（● ）　|　　　　　　　　　「そうだな。あずさ、歌詞を頼む」
.　　|　　（__人__）　│
　　 | 　　｀⌒ ´　　|
.　　 | 　　　　　 |
.　　ヽ　　　　　　/
　　　ヽ　　　　 /
　　　　〉-r:::┬〈、
　　／Λ 〉.:〈 7//＼
. ／////V::::::V/////＼
///////∧::://///////}　　　　　　　　　　　　 ┌──────────────────────────┐
.////////∨/////////{　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　..扇おしろい京都紅　また加茂川の鷺しらず　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-、.　　　　　 │　　　..みやげを提げていざ立たんあとに名殘は殘れども. 　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　＿__./.,. i　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　 ,,;;''"::::::/:/‐ 'r‐- 、..　　　└──────────────────────────┘
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::i::/::i　..::::、.:`:、
　　　　　　　　　　／.::::::::::::／ i/`‐ｖ';;;;; i.::::::::ヽ　　　　　　　　　　「こちらが今回の歌詞になります」
　　　　　　　　　 /.::::::::::::／　　　　　　　`i .:::::::::i
　　　　　　　　 /.::::::::::./_＿_,　　　　　　　│.::::::::i
　　　　　　　　 i.::::::::::::i '　　　　　　 _　　　 i .:::::::::i
　　　　　　　　│.:::::::::i-‐‐‐、　　　｀ヽ、i .:::::::::i
　　　　　　　　/i.::::i::::i.::::::::.　　　　 -‐-.、ﾉ ::::::::::i
　　　　　 /::::i.:::i:::i　　　　 t　　 ::::::::. /.:::::::::/
.　　　　　　 /:::::::i::`:ヽ.　　 r‐--、　　 /::::::.／
　　　　　　/::::::::::ヽi:;;;_ヽ,.　`ー‐´　,,./;/;;／i. 　　　＿＿＿_
.　　　　　/::::::::::::::::│i`ー`r‐=＝f、/／.::::: i.　　　／　　　　＼　　　　　　「これで京都とおさらばだお」
　　　　 /:::::::;;;;;＿丿 i _.,;ー---,/./´　.::::::: i　　／　　 ⌒　　 ⌒＼
　　　 ,;'-‐‐'│ .i　　i,;´ ,;--‐´‐yヽ＿__.:::::: i. ／　　　（ ●）　（ ●）ヽ
　　　/ 　　 i　 i　　i,´　,,;‐;'ニ二;　i　 i`ヽ:: i 　　　 ⌒（__人__）⌒　|
　　 │　　 i　 i　 / i　　.'',-‐‐-y'　i　 i　　ヽ. 　　　　｀ ⌒´ 　／
　　 │ 　 .i　./　/ ./　　 /　　 /i　　i　i.　　│　　　　　　　　ヽ
　　 │　　i　/　 .i／　　 i　　　 i ヽ　 i　i　│
.　　│　　i　i　／　　　.ﾉ i 　　´ヽ　.i　 i　i │
　　│　　.ヽ／　　　／i .｀ヽ.　　＼i　i　.ﾉ │
.　 │　　／　　　／　.i 　 i ＼　　　＼/　 │
　 │ ／　　　.／i　　 i　 i　　i＼　　　＼. │
　　i/　　　　／i　i　　 i　 i　　i　i＼　　　＼i

.
650： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:24:45 ID:bMttHh86: 　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
.　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/　　　　　　　「扇、白粉、紅、鷺知らず、という要素で構成されてるが、
　　　　　　　 '､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ　　　　　　　　　　このうち『鷺知らず』はもはやほとんど見ることが
　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ　　　　　　　　　　できなくなってしまっている」
　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
.　　　　　_,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　 i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
.　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
. 　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　　　　///// 　　　　　 /　　　　　　　　　　 {_
　　　　　　　　　　 / ∨^{ 　　　　　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　　　　　　 /　/　｜　　　　　 f　　￢-ミ,　|　　　 /　　　　 }　,
.　　　　　　　　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。｜　　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　　　　 /　/　　　　　　∨ﾍ　　 |　|乂i少　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　　 /　 {＼　　　　 ∨ﾊ　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　　 }
.　　　　　 /　　＼＼　　　 //,∧　ｉ|　|　　　　　　 vﾘ}/,　,　　 /　　　　　　　「マジでありますか」
　　　　　　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　　 __　　从/　　 /
.　　　　 /　　/　　／///|⌒∧^　　　ｉ|　　　　　ゝ '　 % ,/　　,/
　　　　 /　　ア777///＞|　　∧　　　 | ＼　　　　　　　　　/　　,/
.　　　　/　／/////／　 i|　　 ,∧ 　　i|＿＼　　　　／}　/
. 　　 /　　∨///／　　　i|　　　 ∧　　 |//}＿ ≧=‐く　 } / 　 /
　　　/　　　≧=≦　　　 |　　　　∧ 　 |⌒}二_}　　　　 i}/ 　 /
　　 /,　γ=====―　　＿,|　　　　i|∧　i|￣}二{{　　　　 /{
　　,　　/二二ニニニニニl 　　　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　　　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　　　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
/　　　|二二ニニニニニﾆl　　　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼

.
651： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:25:05 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「全くないというわけではないが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　京都の土産として指を折るほどには残っていない。
　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　というかすでに土産物としては扱われていない」
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼　　　　　　　　　　　「そして白粉なんだが、この京白粉、
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_　　　　　　　　　　　鉛白粉だったために、こちらも現在は
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |　　　　　　　　　　　　目にすることができない」
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

. 　　　　　　　　　 .　　　-──-　.
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : :.≧=-､
.　　　　　　　／: : : : : : : : : : : :-──- : : ＼
.　　　　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : :＼　　／⌒ヽ
　　　　　　 /: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : ／:ヽ: : : ><　　　　|
.　　　　　　 /: : : : : :/:/: : : : : : : : : : : : ∠::::::::::ヽ: : : : ヽ.　　 !
　　　　　 /: : : : :__/:/: : : : : : : : : : :／　　　ヽ:├:､ : : : i 　/
.　　　　 /: : : : / ﾍY: : : : : : : : : :／､　　　　　＼:l: : : : !
　　　　 / : : : ;ｲ牙 !.: : : : : : : :.;.へ、＼　　　　 l: : : :.l　　　　　　　　　　　「そういえばそうだったのよねぇ～」
　　　 ,' : : : /人｀~ !: : : : : ;ｲ: /刈ハヽ.　　　　 ,' : : : :l
.　　　,: : : : /ｲ: : ｢! !: : : : :/ l:/｀¨´　　　　　 -､　/ : : : : ｌ
.　　 ,': : : :/: :|: : ｌ:| |: : : ::/　|'　　　　　 ,≦､〉' : : : : : !
　　/: : :.:/: : :!: : リ !: : :./　　　　　　　ｨ歹'ﾞ:/: : : : : : !
.　/ : : : : : : /: : /　|: :.:ｲ　　　　　　 , 　/:::::/: : : /: : ;'
　. : : : : : : /: :.:∧　ｌ: : :|　　　ｒ y　　 . ' ::::/: : : /!: :/
　: : : : : ／: : :人ヽ.l:.: :ﾄ､　　　　イ::ハ/: : : / .!:/
　: : : : : : : ／ﾄ､＼ |: : !__ >､_,. :＜::::::∨ /: : : /　 !'
　 -─‐＜　　ヽ＼ |.: :|__／}＼:::::::ヽ::::∨: : :./
　　　　ヽ.　　ヽ `l.: :!　　 !　ヾ≧=-/ : ／
　　　　　　　　　　　ヽ:ｌ　 /　　 / 　 /／ヽ

.
652： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:25:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「今、舞妓などが化粧に使っている練白粉は

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　主に資生堂とかが製造販売を行っているが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鉄道唱歌にうたわれた『京おしろい』とは全く違っているものだ」
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／　　　　　　　　「そういうわけで、『土産物』として現在まで残っているのは
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐　　　　　　　　　　扇と紅、くらいなものということに
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |　　　　　　　　　　　なってしまってることをまず知っててほしい」
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／　　　　　　　　　「jud」
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

.
653： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:25:46 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「で、本当なら歌詞にある順番通りに

　　　　　　　　　　　　当時の京みやげについてみて行きたいわけだけど

　　　　　　　　　　　　　悪いが順番を変えさせてもらうことにする」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ　　)　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {-'￣　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}｀｀　　 __/_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ : :／;;;/＞´ : : : : : : : ／ : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ :ﾚ:/;;;／ : : : : : : : : : :|:/ : : :, - :｀{
　　　　　　　　　　,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
　　　　　　　　／ : : : : : : :＼/ : : : :i :./ : : : : : : : : : : : : : : : .:.(, ‐'´. : : : :j
　　　　　　／ : : : : : : : : : : :＼､ : :|./ : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.} : : : : : : !
　　　　　,-'´,' : : : : : : : ､ : : : : :＼､fZ二--- :､_:_:_:_: :`－､ : :.:.ヽ.:_,､ : : : !
　　　／ : : : : : : : : : : :)ヽ h : : : :｀キ-- : : : : : : : : `＝-､ヽ.:.:.f-‐‐‐＝ :i

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　 , ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|　　　　　　　　「あらあら。まぁいいけど」
　　　　　　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　　　　　　 /:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　　　　　　 ___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　　　　　　 _ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　　　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　　　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　　　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　　　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　　　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　　　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　　　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

.
654： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:26:05 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　_
　　　　　　　／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::
　　　　　　　ﾘ/:::::|　　'´　　￣`　＼::::::::::::::::::::＼､　　　　　　　「それじゃお兄ちゃん、
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　　　　　　＼::::::::::::::::::::}:::､
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　　　　　　 ∨:::::::::::::::::::::ｉ　　　　　　　どういう順番で解説をすすめていくの？」
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i:::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|::::.:l
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　　辷 j　１::/:::::::::::|:::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　ﾚ:::::::::::::::|:::::::ﾊ
　　　　　　八:::::∧　　　　丶　　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　＼:::∧　　　　.，　､　　　　レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ 　　　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
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　　　　　　　　　　.　 i　　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
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　　　　 _ ―ヘz7i　　　　　　　　　 |∧､ー､
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.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　「前半で、白粉、紅、鷺知らずの話をして、
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////　　　　　　　　　　後半は丸ごと扇に充てる感じだな」
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
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655： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:26:25 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__　　　　　　　　　「jud」
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__
　　　　　　　　　　 {二ニﾆﾆｧ　　/　 i＿_γ　⌒　　ヽ廴
　　　　　　 /　　　　　∨ニニﾆ}　　,.ィi〔　　　　　　　　　ﾊ　(_
.　　　　　　/　　　　　 /∨ニニｧ　 / 　　　　　　　　 }/　}
　　　　　　　　　 /　 ∨／ } 　 {　　　　　　　　　　 ‰　ゝ,
　　　　　/　　　　 /　　　f　　|　　|　　　　　　　　　　ィi〔 |／　 }
　　　　　　　　 ,　　　__)k　i|　　ﾄ　　　　　ィi〔　　il　 i|＿__∧
　　　 /　　 /　　 ,　　 /　　ヽ|　　|/≧=‐=≦　 /　　 }　｜ / 　 }

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|　　　　　　「それじゃ、まずば『サギシラズ』
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V　　　　　　　　　というものなのね？」
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

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656： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:26:39 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「あぁ、比較的さっくり終わらせられそうという理由で鷺しらずからいくぞ」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　/　　　　　　ヽ
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　　　　　　　　　　　!　　　 ,. -ｰ┴ 、
　　　　　　　　　　　｀ヽ_ｨ≦.:.:-.:.:.:.:.┴、
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　　　　　　　　　　 / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|ﾉ
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　　　　　　　　　　　　｡＜/＜二≧s。_　　　　　　　「オイオイオイ」
　　　　　　　　　　　　　／ゝ＜　　　　 }＜ﾆ＼
.　　　　　　　＿__／　 /　ｌ　　　　 ,　＼　＞｡
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　　,　　　　八　　}　　　}_
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　八　　 ,　 }　ｉ|　　　| |.　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　|　 |　　 i|,　‐ ∧　/ -/ミｔ､,　　　,...／　　　　　　　　＼
.　　　　　　　　 ,　 ,　　 ,x芹笊 ∨　 ,ｨぅ笊}.....　／　 ―― 、　　　, 、――　＼
　　　　　　　　　，　，　ゝ乂ソ　　　乂ソ/..ﾞ／　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　', 八　　 ,^¨^　　,　　^¨^...／. 　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　＼
　　　　　　　　　ﾄ　　､分　　　。...　　　|　　　　　 ´"''"　　　, 　　 "''"´　　　　 l　　　　　「手ぇ抜くわあいつ」
　　　　　　　　　　 V‘，＼{　　　　　　　/. |.　　　　　　.（　　　 j　　　）　　　　　　 .|
　　　　　　　　　 /　〈ﾍ {　 |　　{≧=≦},／.|.　　　　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　　　 l
　　　　　　　 /　　 ^　　|　}/　/ ∨∧　＼.　　　　　　　｀ ⌒ ´　　　　　　／
　　　　　　 ,　　 ‐=ﾆ二,　/=‐‐{_}‐=≦ﾊ　 {＼　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　 /　/二二二/ /二二二二二∧..ﾞ／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　　　　 /　 {ニ二二/ /´ 　 ) {　　/ 7..ﾞ／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
.　　　　　　　　ﾏ二二/ /‐=/爪(廴　～　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

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657： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:26:57 ID:bMttHh86: 　　　　　「鷺知らず、というのは鴨川で捕れていた小魚の佃煮のことだな」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼
　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼　　　　　　　　　　「なるほど、佃煮かお」
　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　 |
　　　　　　　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　　　　　　　 |　 |　 '､＿＼　／　 )
　　　　　　　　　 |　 |＿＿＼　 “　／
　　　　　　　　　　＼＿＿＿＼_／

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658： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:27:12 ID:bMttHh86: 　　　「旬は真冬で、醤油、みりん、酒、生姜などでじっくりと炊き上げ、佃煮にする」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ　　　　　　　　　　「それがどうして『鷺知らず』？」
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
659： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:27:59 ID:bMttHh86: 　　　　　「その名前についてはいくつかの説があるけど、

　　　　　　　　　その説の共通点は『小さい魚であること』だな」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
　　　　　　　　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　　　　　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　　　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣｀-ｰ‐'"

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ.　　　　　　　　　　　　「小さいの？」
　　　　　　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　　　　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ.
　　　　　　　　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
　　　　　　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
.　　　　　　　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
.　　　　　　　　　,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
.　　　　　　　 /: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
　　　　　　　 /: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
.　　　　　　 /: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
　　　　　　 /: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
　　　　 . : : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
　　　　　　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ.
　　　　　　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

.
660：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:28:12 ID:XeSfx.W.: 京都は川の文化だからねえ
661： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:28:19 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　「あぁ、一番有名な説は

　　　　　　　　　　　　　　『あまりに小さな魚なので鷺が見逃してしまうから鷺知らず』

　　　　　　　　　　　　　　　　だというものだ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ　　)　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {-'￣　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}｀｀　　 __/_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ : :／;;;/＞´ : : : : : : : ／ : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ :ﾚ:/;;;／ : : : : : : : : : :|:/ : : :, - :｀{
　　　　　　　　　　,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
　　　　　　　　／ : : : : : : :＼/ : : : :i :./ : : : : : : : : : : : : : : : .:.(, ‐'´. : : : :j
　　　　　　／ : : : : : : : : : : :＼､ : :|./ : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.} : : : : : : !
　　　　　,-'´,' : : : : : : : ､ : : : : :＼､fZ二--- :､_:_:_:_: :`－､ : :.:.ヽ.:_,､ : : : !
　　　／ : : : : : : : : : : :)ヽ h : : : :｀キ-- : : : : : : : : `＝-､ヽ.:.:.f-‐‐‐＝ :i

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　「鷺は、川魚を餌にしてるけど、
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　その鷺が見逃してしまうほど小さいってことね」
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
662： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:29:26 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .　　　　　　　　　　「そんなに小さいの？」
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)　　　　　　「だいたいは一寸、
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　つまり体長3ｃｍ程度だとされているから、
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　　小さいといえば小さいな」
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |　　　　　　「ただ、鷺が見逃すかどうかはちょっと俺には
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼　　　　　　断定できない」
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

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663： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:29:48 ID:bMttHh86: 　　　「まぁ、鴨川にも鷺的に優先度高そうなもうちっとでかい川魚がいたんだお、きっと」

　　　　　　　　　　 -―─-　、
　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　′ 　─　　 ─ 　　,
　　　　　　　 i　　（ ●）　（● ）　ｉ
　　　　　　　 |　　　 (__人__)　　　|
　　　　　　　　､　　　　　　　　　ノ
　　　 ⊂⌒ヽ　＞　　　　　　＜_/⌒つ
　　　　　＼　丶′　　　　　　　　 7
　　　　　　　＼ノ　　　　　　　ﾄ､_/
.　　　　　　　 ′　　　　　　 |
.　　　　　　　　 i　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　乂　　　　　　　　ｲ
　　　　　　　　　 |　/ー―一、　|
　　　　　　　　　　し′　　　　　､_ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、　　　　　　　　　「それで、なんという魚を煮たものなの？」
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
664： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:30:04 ID:bMttHh86: 　　　　「主原料としては、現在ではオイカワというコイ科ハエジャコ亜科オイカワ属の稚魚を用いている」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　_,ノ　ヽ､__ 　＼　　　　　r~
　　　　　　　　　　　　　　　　(⌒ ) (⌒ )　　_,-|、　　　;'
　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　r' l　|.lヽ　 r'
　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　 l　i　| lニﾆ;:
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 l　l, | l ﾉ__　_
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/　　　/ｨ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 _　＜/ヽ__､_r'´　　　／/　　 /　　ヽ
　　　　　　　　 __ ,.　＜　　/ ／}　人　　　r y　　　　　　　 ',
　　　　　　　r´　　　　　　 j∧∧　/〈'--:´　Λ　　　　　　　l
　　　　　　/　　　　　　　　　ヽ:ヽ__〉ﾊ　　　 / ∨　　　　　　l
　　　　／　　　　Y　　　　　　　｀√:V ﾑ___＜　　＼　　　＼ !
　　／　　＼　i　　　　　　　　〉::::| ∧　　　　　 ∨　　　　〉
／　　　　　　＼i　　　　　　　　 i::::::|　∧　　　　　　ﾊ　　　　|

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!　　　　　　　　　「またちょっと微妙な言い回しね」
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

.
665： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:30:31 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　「その微妙さには二つほど理由があってな、なんせ小魚の佃煮だからな。

　　　　　　　　　　　　　　　　オイカワだけを選って煮付けるってわけにはなかなかいかないってのが一つと」

　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　｜　　( ●) (.●)
　　　　　　　｜　　　（___人__）
.　　　　　　　 |　u.　　　　　ﾉ
　　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　　　　　 j､_ 　　　　　|
　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
.　　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　 / .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
.　　　　,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
.　　　　i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |

.　　　　　　　　 ,.へ.　　＿__
.　　　　　　／　 __＼/.: : : : : .､
　　　　　　　 {　／: :厂∨へ、: : :＼
　　　　　　　 ×: : :/＞┴''¨¨ヽ: : : :.ヽ.
　　　　　 /: : : :,'´　　　　　ヽ : : : ヽ　　　　　　　　「そうね、よほど大きさが違わない限りは
. 　　　　 l: : : :.:l　＿_　　ｚ=＝ヽ: : : :':,
　　　　　　ｌ: : : :.:|'´￣｀　　　彡ﾆ､}: : : :.:',　　　　　　　　　　小魚をひとまとめに煮付けるわよねぇ」
　　　　　　 |: : : :.:ｌ. ,ｲ崇　　　　佖j 〉:i : : : !
　　　　　　 |: : : : :.〈弋ﾘ　　　　`¨´ ^!: : : :ﾄ､
.　　　　　 !: : : : :ヽ　　　' 　　　 |/!: : l:∧
.　　　　　 |: : : : : ﾄゝ　　　,.-- ､　　 /|: : :!/∧
.　　　　　　 |: : : : : ﾄ､.　　ｈ　r┴､ //|: :/://∧
　　　　　 |: : ∧ :Ｖ:＞r､ | !-//〉.∨/!://///∧
　　　　　　 |: //∧: Ｖ:/! リ |//∧ヽVﾄ＜⌒ヽ/∧
　　　　　　　|/:ｲ￣＼＞l　　　　{／ﾉｌｊ　　　 ∨∧
　　　　　　ｊ//!　､　　/　　　　／　 | 　　 j　 ∨∧
　　　　　　 ///l　　ヽ/　　　／l　　 |―‐ :く　　 !/∧
　　　　　 |//∧　　,ｲ＿＿ｲﾐ=ゝ、　厂）.: :.:ヽ.　|/ﾄﾍ!
　　　　　　 |/l/∧　 { |'⌒ヽﾄ､:.∠ｊ／／} : : : :.i　|/|　ｊ
　　　　　ｊ! ∨∧.　`!､＿ﾉ !ﾉ: :>z彡　人: : : ﾉ　|/|
　　　　　　　Ｖ∧ 　`「￣¨ｌ: :.:.＼__／　ヽｒ'　　j/ｊ
.　　　　　　　　 V∧　 |　　 |: . : ::::::＼　　ヽ

.
666： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:31:13 ID:bMttHh86: 　　　「もう一つは、オイカワではなく、鮴という魚……

　　　　　　　これも鴨川に住む魚なんだが……が鷺知らずの原料だとしている文章があってさ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
.　　　　　　　　　　　　　　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　.　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
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　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
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. 　　　　　　　　　 .　　　-──-　.
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : :.≧=-､
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.　　　　　　 /: : : : : :/:/: : : : : : : : : : : : ∠::::::::::ヽ: : : : ヽ.　　 !　　　　　　　　　　「あら」
　　　　　 /: : : : :__/:/: : : : : : : : : : :／　　　ヽ:├:､ : : : i 　/
.　　　　 /: : : : / ﾍY: : : : : : : : : :／､　　　　　＼:l: : : : !
　　　　 / : : : ;ｲ牙 !.: : : : : : : :.;.へ、＼　　　　 l: : : :.l
　　　 ,' : : : /人｀~ !: : : : : ;ｲ: /刈ハヽ.　　　　 ,' : : : :l
.　　　,: : : : /ｲ: : ｢! !: : : : :/ l:/｀¨´　　　　　 -､　/ : : : : ｌ
.　　 ,': : : :/: :|: : ｌ:| |: : : ::/　|'　　　　　 ,≦､〉' : : : : : !
　　/: : :.:/: : :!: : リ !: : :./　　　　　　　ｨ歹'ﾞ:/: : : : : : !
.　/ : : : : : : /: : /　|: :.:ｲ　　　　　　 , 　/:::::/: : : /: : ;'
　. : : : : : : /: :.:∧　ｌ: : :|　　　ｒ y　　 . ' ::::/: : : /!: :/
　: : : : : ／: : :人ヽ.l:.: :ﾄ､　　　　イ::ハ/: : : / .!:/
　: : : : : : : ／ﾄ､＼ |: : !__ >､_,. :＜::::::∨ /: : : /　 !'
　 -─‐＜　　ヽ＼ |.: :|__／}＼:::::::ヽ::::∨: : :./
　　　　ヽ.　　ヽ `l.: :!　　 !　ヾ≧=-/ : ／
　　　　　　　　　　　ヽ:ｌ　 /　　 / 　 /／ヽ

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【鮴】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　ゴリ、と読みます。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　ハゼ科ハゼ亜科ヨシノボリ属のやっぱり小さな川魚です。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　オイカワの成魚が体長10ｃｍ以上になるのに対して
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　この鮴というお魚は大きくなっても5～6ｃｍ位にしかなりません。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{　　　　　『腹に鰭でできたような吸盤がついていて、早瀬に流されぬよう河底の石に吸い付いている』
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ　　　　　と、魯山人さんが言っています。
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
667： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:31:37 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　「現在の賀茂川漁業協同組合では、鷺知らずとはオイカワのことだと定めていて、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これを再び復興させて、新たな観光資源にしようと数年前から試みている」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,　　　　　　　　「だから現在では鷺知らずはオイカワの佃煮だと思っていいと思うが、
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|　　　　　　　　　 1962年に、眞下五一という人物がこういう文章を書いている」
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その魚友の鷺知らずの看板も、もう古く古く、字はあせて蟲くいになっている時代のものだが
その大きさに比べて、小さな鮴の姿はいよゞ影うすくなってしまったようである。
「鷺知らずとは、どうしてつけた名なのですかね」
「さァね、鮴のことを鷺知らずと称ぶのは京都だけのことですが、なぜなんですかね（後略）」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.
668： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:31:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　「この人物は、洛北、つまりは京都の北に居を構える人物で、

　　　　　　　　京都の地やそこでの生活についての文章を多く残している、そういう意味で無視できない文章だと思う」

　 /　　　､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　　　　　 /:::::｀ヽヽ　　　　　ヽ、
. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,
. l _,,.-' -.､　ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　　　　　　　 i
. l. /:::::ヽ .l　　　　　｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 |
　l ヽ::::ノ　　　　　　　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /
　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　　､　　／　　　　　　／
　　i　 l　　　 l-―‐''´　　　 ',.　　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　　／',　　　ヽ-‐''"　　　　　　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　 .ヽ　　,.--..,,_　　　／　　',　　　　　 ,.-''"￣ヽ　 ./　　　／
　　　＼｀ヽ　　ヽ__／　　／ヽ.　　　　｀ヽ　　　｀ｰ'　　　 {
　　　　　＼ヽ　　　　　　　ヽ　　｀　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　「でももしかしたらこの眞下って人が鷺知らずについてあんまり知らなかったのかもしれねえお？」

.
669： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:32:36 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「うん、その可能性ももちろんあるけどな。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そして、北大路　魯山人も少しだけ鷺知らずに触れているんだが」
　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　 __,ノ　 ⌒
　　　　　　　　　　｜　　(● ) (● )
　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
.　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

　|　　　　　|　　　　　|　　　　|　∨　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　 /ヽ
　|　　　　　|　　　　　|i　　-┼‐ ∨　　　　　 /----＜　　 |　　　　　 /　 }
　|　　　　　|ｉ　　　斗＜　 i|　 | ∨　　　 /|　　　/　ミｔ､,　　　　　 /
　|　　　　　|　　　　　|　　　　|　 |　 ,　　　　, ｜　 /　　　 ,　　　　　/　　 l
　|　　　　　|　　　　　|i ,x笊芋芥ﾐ　∨　　 ,　 !/芥芋笊㍉　　　　　　　　 |　　　　　　　「ロサンジンでありますか」
　　　　　 {　　　　　| ゝ　)//刋　　 ∨　/　　　 )//刋 /,　　　　 //　　 |
　l ，　　　 , 　　　 | 　乂^)少　　＼i 　　乂^)少　,　　　　/{/ｌ　　ｉ|
　| ‘，　　　，　　　　,　　　　　　　　　 , ＼　　　　　，　　 / il/ｌ　　ｉ|
　|　 ∨　　　'，　　从　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　 {/廴　/|
　|V/∧　　　'，　　入　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　　ﾏ//,/｜
　Ⅵ// ‘，　　，　　　|　　　　　　　　 O　　　　　　 ,　　　 /,∧ 　 ∨,/
　 ∨'　　　，　八　　 |　　　　　　　　　　　　　 /　　　/∧∧　　ゝ'　 |
　　ｌ　　　＼ } /＼　ｉ|　　　　　　　　　　　　ィi〔,′ 　 /!/∧∧　　　　i|
　　|　　　　 {／//l ＼!　　　 |ﾆ＞　　　　＜ﾆ| /　　 ‰ |//≧〈　　　 |
　　|　　　　　/////| 　＼　　 i|￣/　≧≦∧^｜　／　　〈///∧ 　　 i|
　　|　　　　 /////,'|　　　　 i|＿＿/二,∨＿_| ／　　　i| ∨//∧

.
670： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:32:57 ID:bMttHh86: 　　　「その魯山人の主文は、鮴の佃煮の茶漬の話なんだが、

　　　　　　　最後に添えるように『ついでに茶漬とは別の話ではあるが、京都には「鷺知らず」といううまい小魚がある』と書かれている」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',::::::|: : : : : : : : : : | : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

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この鮴はどこの川にでもいるようだが、京都のは小さくて粒がそろっている。
特志の方は、京都に行かれた節にでも料理屋に命じて、醤油で煮詰めさせ、一つ試みられてはいかが。
これさえ食べれば一躍茶漬の天下取りになれるわけである。
ついでに茶漬とは別の話ではあるが、京都には「鷺知らず」といううまい小魚がある。

魯山人の料理王国
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　 f¨¨¨ア　　　/　　　 |　　　　　　/　　　＼　　＼
　　　　　　 l　　　 ′　　　|　　　　 /　　　　　}　　　　､
　　　　ｌ　　｜　　 ,　　　　｜　　　 ,　　　　　 |　　　　　＼
　　　　|　　｜　　 ,　 /　　　,　　　　/　　　　　　,　　　　　　 /
　　　　|　　｜　　 {斗ｬ允― ,　　　/ ＿＿　　/　　　　　　/{
　　　　|　　｜　　 | ｉ|　　/　八　 /　}　　/ ミｔ､　　　　 /　,
　　　 ,　　i|　　　|　,x笊示ﾐ　,　,'　　イ云笊x　　　　 / 　i}
　　　 { 　 i|　　　|i〈 hr (　　　V 　　ぃし(　 )〉　　　　／　 ,
　　　　 , 　 ,　　　{　ゞ= '　　　　　　ゞ==ｼ /　　　／　　 /
　　　　，　,　　叭　　　　 ,　　　　　　　　/　　　//{　　 /{
　　　　　， ‘，　八　　　　　　　　 /　　　 {///7 /　,
　　　　　　 ,　　,　　　　　　　｀　　　　 /　　／i{///ア　　　　　　　　　　　　　　　「そうなるとどういうことでありますか」
　　　　　　 ‘，八　 {　l　.　　　　　　　 / 　／　∧⌒',　　　,
　　　　　　　＼{∧ l　|　＼　　　ィi〔=,/ ／/　 //∧　〉　　，
　　　　　　〈// } ＼i!　　 /爪ニﾊ,　/ｨ　 ,　　{∨//7∧
　　　　　　/ 　^　,　　/ﾆﾆ〈 ,//笊ﾆ{／　 /! 　 |i ∨///∧
　　　　　 //二ﾆ/　 /ニニﾆﾆ{ {} }ﾆ≧≦ﾆ|　　|≧s。/,／　　　‘，
.　　　　 {二=/　 /ニニニニニニニニニ|　　|二ﾆﾆ≧s。
　　　　/　 |二/　 /⌒⌒TT⌒‐=ﾆニニﾆﾆ|　　|二ニニﾆﾆｉ　　　＼
　　　 /　　|〉/　 /{　　　 | ｌ　　　 /i　　　 i|　　|二ニニﾆﾆ|　　　　＼
　　 ,　　　{/ ,／― ＜　i! !　　 /　! ＿___ i|　　| /＼二二_|　　　　　　＼

.
671： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:33:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　「魯山人は鮴の佃煮と鷺知らずをまったく別物としてとらえているということだな」
　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
.　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
. 　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
. 　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　/ y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
.　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「実際どうなんでありますか」

　　　　　/　　　　　　　　　∨　　　　　　 |　 jI斗ｬ==―一,
　　　　 f 　　　　　　　 ∨　　　　 i|　　 /|　　　　 |
　　　　｜　　　　　　　　 ,斗匕　　　 i|　 ,/ i|　,jＩ斗ぁ劣ミ　　　}　　　　　　ィi〔
　　　　｜　　　　　　　　／　　∨　　　　i|　/　/　h////}泌}〉　　/　　　　ィi〔
　　　　｜　　　　　　　　　 ,jＩ斗ミ　　 | /／　　 ,)//ﾉⅣ/　 ,/　　　///
　　　　｜　　　　　　　ﾊ＼r爪/,'刈　　　:/　　　　ゞ‐=≦ /　 / 　　,///＿＿
　　　　｜　　　　　 ∧ ゝ　,)/刋　　　l　　　　　　 /　 /　　　,////////
　　　　｜　　　　　　　 ∧　乂^,少＼　｜　　　　　　　, 　／　　　 ////////
　　　　｜　　　　　　　　　,　¨^　　'　＼!　　　　　 /イ　　　〈//////77777
　　　/ｉ|　　　　　　　　　 ∧　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　≧=――‐=≦
.　　 /　:.　　　　　　　　　　 ∧　　　　　 __　　　　　 ,
　　/　　l　　　　　　　　　 / 入　　　　　　　　　　　 /
　 /　　｜　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 /
. /　　　i|　　　　　　 /　　　　　＼　　　　　 /
/　　　　|　　　　　　 ,′　　　　　　＼　　　 ,′
.　　　　 | 　　　　　 ,　　　　　　　　　＼　　 ,'

.
672： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:33:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「判断つきづらいな。

　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼　　　　　　　　　　参考までに、大正六年に書かれている文章にはこんな感じで書かれてる」
　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『其の晩膳の上に載った小さい皿に小さい魚が盛って有る、東京の下宿屋で毎日の様に食はされた佃煮のような格好ぢゃ

長いのも一寸位短いのは三四分は足らぬ、形は鮒に似て鮒に非ず、麥魚（メダカ）とすれば頭が違ふ。変なもんぢゃ』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.
673： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:34:39 ID:bMttHh86: 　　　　　「この描写から考えると、鷺知らずをオイカワであるとするとサイズの問題が出てくるんだよ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　「オイカワの成魚が10ｃｍ以上になるのに対して、
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鮴は成魚になってもせいぜいが5～6ｃｍ、
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐　　　　　サイズとしてはオイカワよりも鮴の幼魚に近いと思われる」
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／　　　　　　　　「次に、これは賀茂川漁業協同組合の手による文章だ」
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
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現在の鴨川において「鷺知らず」を漁獲できる場所は、団栗橋左岸が最も適している。
同場所では毎年、相当数のオイカワが群れをつくり、タモ網を使った漁獲を行うことができる。

群れの大きさは毎年変わるものの、２～３人による２～３時間の漁により1日に約 500 尾程度を漁獲することが可能である。
ただし、漁獲できる魚のサイズは約３～６ｃｍであり、約３～４ｃｍの個体を「鷺知らず」とするならば、
その約 4 割の約 200 尾程度の漁獲量となる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【「鷺知らず」に関する活用実証調査】
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674： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:35:21 ID:bMttHh86: 　　　「大きさの問題でいえば、賀茂川漁業協同組合のこの文章も少し引っかかるしな」

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675： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:35:52 ID:bMttHh86: 　　　「上記の文章は、明らかに『鷺知らず』を目的として漁獲を行っているが、

　　　　　　　　実際に『鷺知らず』として世に知られている魚の体長の規格に当てはまるのは漁果の四割だぞ？」

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :u : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●）ﾉヽ（　● ） ;;:::|　　　　　　　　　　　　　　「オイカワと鮴の成魚の体長の比率を考えれば、
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　大きさ的にはこれ、鮴なんじゃね？って思う」
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

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676： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:36:25 ID:bMttHh86: 　　　　　「重ねて言うが、上の漁獲は明確な目的意識をもって行ってるわけだ。

　　　　　　　だけど鷺知らずが日常人々の口に上がっていた時代に

　　　　　　　　　残りの六割からより分けて佃煮にしたりなんかしたのか？」

　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

　　　　　　　　　　　　,ﾍ
　　　　　　　　　　　 /:ｒ､`ｖ‐‐--　､
　　　　　　　　　　,イ| |　} }　　　　　ヽ
　　　　　　　　／　　| | /| |/ ＼　　　　＼
　　　　　　 /　　　,ｲ | ミY彡ミト､　　　　＼
　　　　　.　/　　　/ り　　　　　　　ヽ　　　ハ　　　　　　　「うーん……確かにちょっと不自然さは感じるかもしれないわね～」
　　　　　 /　　　/　 i　　　　　　　　　ヽ　　　ﾊ
　　　　　. 　　　{　　　　　　　　　　　　 ∨　　ﾊ
　　　　. i　　　:|　　__,ｨ　　　　　 `ｰ‐-- }　　　|
　　　　. |　　　 :レ'´　　　　　　　､＿ .,　|　　　|
　　　　. ∨　　 :|　_＿彡.　　　　　￣　 |　　　|
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　　　　　　|　　 ∧　　　　　　`　　　　　ﾉ　 / :|
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　　　　　　|　　　　＞　　　　　　　　／　　　　 |
　　　　　　|　　　　　 ;ｒ＞　.　　, イｰｧ､　　　　:|
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　　　　　　|　　　　　 _}　　　　　　　　.人　　　　|
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　　　　　ﾚ´ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　､

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677： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:36:37 ID:bMttHh86: 　　　　　　　/　　:|　　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　ヽ　≧o｡
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　　　　　 {{　　ﾍ!:　　　　　㌣斧芋羽ﾐ　/!　　　 xzzzx　 /　　　 /　 /
　　　　　 : Ⅶ　　ﾟ，　　　　:ゝにf//(_　　 :|:　　/ん//} //: 　　 /　 /
　　　　　: 　Ⅷ　　　ﾟ。　　　 | 乂//ツ　　:|: 　/ に/(　 ,′　　 /　 /
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　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　「まーーなーーーーー」
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　　　　メj　 j　 i!　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
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　/ 　＞ ´ハヽ､　ヽ､_ゞ　　　　　　　　　￣,＞ｲ　　./ 　　　　　　　＼　` ー､
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　　　　　　ヽ　　ﾞゝ､ヽ､_　￣　　　　　　　　　　　,ｲｲ　　 |　　　　＼　　　　　　　／
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678： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:37:12 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「それでもまぁあれだ、常識的に考えればそもそも鴨川にいる生物たちは当然昔と今は全然違うわけだしなぁ」

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　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}　　　　　　　　　　　　　　「そういえばそうよねぇ」
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. 　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V
　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',　　　　　　　　　　　　　　　「獲れる魚が違うんじゃ、今と昔の『鷺知らず』が
　　　　　; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i　　　　　　　　　　　　　　　　　違ってくるのは当然なのかもしれないわね～」
　　　　　l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
. 　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
. 　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
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679： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:37:40 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「そもそも漁獲量も生産量も全然違ってるだろうから、土産物として売られてた時代は遥か昔ってかんじだお」

　　　　　　　＿＿＿_
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.　　　　　（●）（● ）　u.　|　　　　　　　　「賀茂川漁業協同組合の組合員のどなたかが経営している料理屋では食べられるそうだが、
　　　　　　（__人__）　u　　|
.　　　　　　 (｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　　やる夫の言うように京都みやげとして売られている、という状況ではないな」
　　　　　　 { 　　　　　　　|
　　　　　　　 { 　　　　u.　/
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　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
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680：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:38:09 ID:XeSfx.W.: つまり……わからん！
681： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:39:03 ID:bMttHh86: 　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ　　　　　　　「ただ、土産物として売られてたとしても日本人向けでしょうね。
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ　　　　　　　　私たちみたいな外国人旅行者にはウケがよくなさそう」
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/　　　　　　　　　「派手さやわかりやすさの点で、インパクト小さそうだもの」
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　｜　　 ( ○) (○）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　「苦みがあってうまいらしいが、食べたことないんだよな。
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_　　　　　　　　　　　　　　冬に京都行ったとき食べておけばよかったな」
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
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: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
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682： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:39:45 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ　　　　　　　　　　「ともかく今では、その料理屋さんに行くしか、
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，　　　　　　　　　　　　　食べる機会はないのかしら？」
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　　　ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |　　　　　　　　　　　　「現在賀茂川漁業協同組合のほうで、
　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　 '､　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　再びこの鷺知らずを普及させて、土産物として売り出すという
　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
.　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i　　　　　　　　　　　　　　目論見もあるようだけど、まぁ漁獲量次第だろうし、
. 　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_　　　　　　　　　　実現したとしても特定の場所でしか入手できないだろうなぁ」
　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
. 　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　/ y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
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　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

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683： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:40:08 ID:bMttHh86: 　　　　「それでも、観光都市京都の新しいコンテンツになる可能性があるのはいいことよね」

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
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.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ
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　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼
　　　　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　 |　　　　　　「やる夫知ってるお、それで知名度が上がったら
　　　　　　　　　　　　./　　　　 ∩ノ ⊃　　／
　　　　　　　　　　　　(　＼　／＿ノ　|　 |　　　　　　　　　　偽物がネットで出回るんだお」
　　　　　　　　　　　　.＼　“　　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／

.
684：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:40:46 ID:XeSfx.W.: モロコ「おっ、出番かな？」
685： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:40:50 ID:bMttHh86: 　　　　「だろうな、どこで獲れたかわからない

　　　　　　海魚だか川魚だかわからん小魚の佃煮がたいそうな能書き付きで大量に流通するだろう。

　　　　　　　　　詐欺師が喜ぶ鷺知らずだ」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　_,ノ　ヽ､__ 　＼　　　　　r~
　　　　　　　　　　　　　　　　(⌒ ) (⌒ )　　_,-|、　　　;'
　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　r' l　|.lヽ　 r'
　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　 l　i　| lニﾆ;:
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 l　l, | l ﾉ__　_
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/　　　/ｨ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 _　＜/ヽ__､_r'´　　　／/　　 /　　ヽ
　　　　　　　　 __ ,.　＜　　/ ／}　人　　　r y　　　　　　　 ',
　　　　　　　r´　　　　　　 j∧∧　/〈'--:´　Λ　　　　　　　l
　　　　　　/　　　　　　　　　ヽ:ヽ__〉ﾊ　　　 / ∨　　　　　　l
　　　　／　　　　Y　　　　　　　｀√:V ﾑ___＜　　＼　　　＼ !
　　／　　＼　i　　　　　　　　〉::::| ∧　　　　　 ∨　　　　〉
／　　　　　　＼i　　　　　　　　 i::::::|　∧　　　　　　ﾊ　　　　|

　　　　　　　/　　　　/　 /　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　 /　　　　/ 　/　　　　　　　　 /　　/　　　　　　　　　　　∧
　　　　 /　　　　/ 　 {　　　　　　　 /　　/　　/　　|　　　　　　/　､
.　　　　 /　　　　/　　｜　　　　　　　　′　/　　/　　｜　　　 / 　　＼　　　　　　　　　　「やべえ、何一つ否定できないであります」
　　　　　　　　/　　 /!　　　　　　　 /　　/　　/　　　i|　　　　 ,′　　 }　≧s。
　　　 /　　　　/　　 / :.　　　　　　　,　　ム__,/　　 /i|　　　 /　　　　 }　　　/
.　　　/　　　　/　　　＼l　　　　　　　{　　/ {　/ ￢-ミ.,i}　　　 ‰　　　　 '
　　　　　　　 /　　　　　＼　　　　 |　㌢笊云ミｔ､/　/　　／　　　　　/　　 /
　　/　　　　〈　　　　　＼　　　　i|／｀た/(　　　 /　／/　/　　　 /　　 /
　 /　　　　＼　　　　　＼　　 i|　　乂i少　　 , ／仏／　　　 /　　 /
. /　　　　｡s≦　＼　　　　 __//i　　 i|　　　　　　／　んｲ　　　　 /　　 /
/　　　 /　　　＞ｧ,＼＿__}///,l　　 i|　　　　　　　　　　{'　　　　 ,'　　/
　　ィi〔7777///////＼///,／　　i|　　　　　　　　　　ヽ　　　 /　　,/
ィi〔///////////／　　〈￣　　　　 |　　　　　　　_　　／　　　 /
∨////////＞''´　　　　 ∨　　　　｜　　　　　　／ }　　　　/　　/
. ∨///＞''´　　　/,　　　　∨　　　 |＼　　　　／|　｜　　 /　　/
　￣　／　　　 ,　　　　 ∨　　 i|=,/≧s。／　｜｜　　,/　　/
.　　　／　　　　 /　　　　　 /∨　　 |,/ 　　　　｜｜　 ,/　　/
. 　／　　　　 /　　　　　 /___∨ 　i|′　　　　｜｜　 ′　,′

.
686： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:42:16 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「ずいぶんと悲観的ねぇ」

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

　　　　　　　　　　　　「悲観的というか、現状見てるとそう思わざるを得ないだろ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　自分の舌でものを食べない連中が騙される、よくあることさ」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　 __,ノ　 ⌒
　　　　　　　　　　｜　　(⌒ ) (⌒ )
　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i　　　　　　　　　「俺が同情するのは騙されて買う側じゃなくて
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　真面目に鷺知らずに入れ込む人のほうだ」
　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
.　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

.
687： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:42:37 ID:bMttHh86: 　　　「さて、それじゃ鷺知らずの話はここまでにしておくか」

　　　　　／￣￣＼
　　　／ _ノ　ヽ､_ ＼　.　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　..　|　（ ●）（● ）　|　　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　.　.　|　　（__人__）　│　　　　　　　　／　─　　 ─　.＼
　　　 | 　　｀⌒ ´　　|　　　　　　　　　／　（●）　（●）　　＼
　　.　 | 　　　　　 |　　　　　　　　　 |　　　（__人__）　　　　 .|　　　　　　「サクッと終われるはずだったのに、割とダラダラしたお」
　　.　ヽ　　　　　　/　　　　　　　＼　　｀ ⌒´　　　　／
　　　　ヽ　　　　/ 　　　　　　　　　　 >　　　　　　　　く.
　　　　　/　　　く.[ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ｀.ﾆﾆ´ﾆﾆ]ゝ　　　　　　ヽ
　　　　　|　　ヽ、二/　　　〈〉　　　　　　　　〈〉　ヽ__,ノ　　　　 l
. 　　　　|　　　　　/　　　　　　　〈〉　　　　　　　ヽ　　　　　　　｜
　　　　|　　　　 /　　　〈〉　　　　　〈〉　　　　〈〉ヽ　　　　　　 /
　　　　　ヽ、＿ヾ-‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐ゞ＿＿＿／

　　　　　　　/　　　　　 /　　　 |　　　　　|　　　　 ≧o｡.＿＿
　　　　　 /　　　　　 /　　　　　|　　　　　|　　ヽ　　　　　　　 }　　　　　　　　「jud、確かに見事なダラダラっぷりであります」
　　　　　 /{　　　　　 f/　{　　　 :|　　　　　|　　　 i　　　 |　　 i
　　　　　:　!　　　　　 | 　:ｉ　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　 //:{　　　　　 : 　 |　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　〉 /!　　　　 {:　丁￣￣:!　　　　 /￣｀ヽ:|　　　　:|　　 |
.　　　/ 〈 :l　　　　　 i: x斧芋苅ﾐ　　　ｲ斧芋ミ}　　　　 }　　 !
　　　/　　＼　　　　 |〈に{//}( ｜　　/:　い//( /　　　 ,′　 :
　　 ,'　　　　:＼　　 |:　Vこ)ツ :}:　　/　　V^)ツ }　　　/　　　:
　　 Ⅵ　　　　ﾍ　　 {　＼　　 i　／　､　　　　 i:　　/　　　/
　　　Ⅵ　　　　　}　　ﾟ。　〉　　／　　　　　　　八　 /}　　 /}
　　　ト　　 //:i: 　　＼¨　　　　 ‐‐　　　　ｲ　　://i:　 / ,′
　　　 { ＼__//∧　　　 l＼　　　　　　　 . 　 }　　// }　/ /
　　　　i　　 {￣|　＼　　　{rｧ＞　　　　 ∠z　 :i　 ///,' /イ
　　　　:　 /77 {　　 l＼　ﾟ。////≧ ≦///{　 :　/: : /:/≧o｡、
　　　 /　////:ｉ　　 |//＼ ‘，/　{r― 〈―‐ｉ　{: /: :.:〈/: : : : : : ミ
　　 /　∨///}　　 }/// ∧ i{ ／　　　∨　{　:./: : : : : : : : : : : : : :ﾟ。
　　.′　 ∨/ i　　 i　　 /:　／　　／　ゝ‐:　　{: : : : : : : : : : : : : : :.ﾟ，
　　/　　 {_/:.:.l　　 :-:／＼＿_／　　　　∨!　 i: : : : : : : : : : : : : : :.:_＼
　 /　　　 /: : :.}　　 /　　　 /　　　　　　 |　 : : : : : : : : : : : : : : : :{ 　＼
. /　　　 /: : : / 　 /　　　 /　　　　　　　　　|　 |: : : : : : : : : : : : : ／　　　＼
/　　　 /: : : /　　/　　　 /　　　　　　　　 :|　 |: : : : : : : : : : : :./:　　　　　／:＼
　　　 /: : : /　／　　　　､　／　　　　　 |　 |　＼ : : : : : : :./　　　　／: : : :
.　　 /: : : : ％　　　　　／　　　　　　 |　 |　　＼: : : : :/　　　　 /: : : : : : :

.
688： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:42:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「比較的（当社比）」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-── -　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:'"::::::::::::::::::::::::::::::: 丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　／/:::::::::::xヘﾍ＼::::＼::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　 /:::/:::::::::::/'⌒⌒' :丶:::::＼::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　,':::/::::/:::::/　　　　 l:|　＼::::丶 :::::::'.
　　　　　　　　　　　 ::::/::::/::: /　　　　 !|　　ヽ:::: ＼::::l
　　　　　　　　　　　　　 |::,'::::/l::::,' -―　　　ﾘ-―‐-':;:::::: ヽ|
　　　　　　　　　　　　　　 V:::/:::!/|　　-　　　　　‐　　　';::ヽ::::';
　　　　　　　　　　　　 /::/::: |:N　_＿　　　　　ｨ==-、 }::い :|
　　　　　　　　　　　 |::ﾊ/＾{:|〃´⌒`　　　　　　　,,　ﾊ|∧:l
　　　　　　　　　　　 |,'ハ（小.　''　　　 '　　　　　　ｰ/　 ';!
　　　　　　　　　　　 |! 　`､:ｰﾍ、　　 v　ｧ　　　ｲ:,′　j|
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::l＞ _　　　　　, イ/:::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:::|::::r|＞ｰ '´|::Ⅳ:::::|
　　　　　　r-､　　　　　　　　　 |:::L:八　　　　|/│::::|
　　　　　　＼＼　　 fﾍ-―t―ｪェ|:::|<＼＼　／/;>|::::::l＞､
　　　　　　　　＼ヽ__ |│ﾍ　￣￣j::∧＼>ｨ介ﾄ<;/∧::::|丶､辷>､_
　　　　　　　　 /'´ヘl│　'､　　　 |/　ヽ{￣{{_}￣}/　ヽ:|　　　 /　|
　　　　　　 {　ヘ'.} ∨　∨　　/　　　`7/{{ﾍ匕.　　丶　　 /　│

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）
　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　「あーあーキコエナイ、じゃ、次は白粉と紅だが、
.　 |　　　　　　　 }
.　ヽ　　　　　　 }　　　　　　　　　　　これはあずさには今更言うまでもないだろうが昔の化粧品だ」
　　ヽ　　　　　ノ
　　　/:::.ﾍﾔ::ﾌ<
　　 |:::::::.ヽi:::.ｿ|
　　 |::::::::::::.｀´.:|

.
689： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:43:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　 .　　　-──-　.　　　　　　　　　　　　　「知っているといっても、
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : :.≧=-､
.　　　　　　　／: : : : : : : : : : : :-──- : : ＼　　　　　　　　　実際に昔の白粉を使ったことはないんですけどね」
.　　　　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : :＼　　／⌒ヽ
　　　　　　 /: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : ／:ヽ: : : ><　　　　|
.　　　　　　 /: : : : : :/:/: : : : : : : : : : : : ∠::::::::::ヽ: : : : ヽ.　　 !
　　　　　 /: : : : :__/:/: : : : : : : : : : :／　　　ヽ:├:､ : : : i 　/
.　　　　 /: : : : / ﾍY: : : : : : : : : :／､　　　　　＼:l: : : : !
　　　　 / : : : ;ｲ牙 !.: : : : : : : :.;.へ、＼　　　　 l: : : :.l
　　　 ,' : : : /人｀~ !: : : : : ;ｲ: /刈ハヽ.　　　　 ,' : : : :l
.　　　,: : : : /ｲ: : ｢! !: : : : :/ l:/｀¨´　　　　　 -､　/ : : : : ｌ
.　　 ,': : : :/: :|: : ｌ:| |: : : ::/　|'　　　　　 ,≦､〉' : : : : : !
　　/: : :.:/: : :!: : リ !: : :./　　　　　　　ｨ歹'ﾞ:/: : : : : : !
.　/ : : : : : : /: : /　|: :.:ｲ　　　　　　 , 　/:::::/: : : /: : ;'
　. : : : : : : /: :.:∧　ｌ: : :|　　　ｒ y　　 . ' ::::/: : : /!: :/
　: : : : : ／: : :人ヽ.l:.: :ﾄ､　　　　イ::ハ/: : : / .!:/
　: : : : : : : ／ﾄ､＼ |: : !__ >､_,. :＜::::::∨ /: : : /　 !'
　 -─‐＜　　ヽ＼ |.: :|__／}＼:::::::ヽ::::∨: : :./
　　　　ヽ.　　ヽ `l.: :!　　 !　ヾ≧=-/ : ／
　　　　　　　　　　　ヽ:ｌ　 /　　 / 　 /／ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶　　　　　　　　　「化粧品。女としてそれはやっぱり興味あるわ」
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
690： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:43:38 ID:bMttHh86: 　　　　　　「jud、ホライゾンもであります」

　　　　　　　　　　　　///// 　　　　　 /　　　　　　　　　　 {_
　　　　　　　　　　 / ∨^{ 　　　　　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　　　　　　 /　/　｜　　　　　 f　　￢-ミ,　|　　　 /　　　　 }　,
.　　　　　　　　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。｜　　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　　　　 /　/　　　　　　∨ﾍ　　 |　|乂i少　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　　 /　 {＼　　　　 ∨ﾊ　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　　 }
.　　　　　 /　　＼＼　　　 //,∧　ｉ|　|　　　　　　 vﾘ}/,　,　　 /
　　　　　　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　　 __　　从/　　 /
.　　　　 /　　/　　／///|⌒∧^　　　ｉ|　　　　　ゝ '　 % ,/　　,/
　　　　 /　　ア777///＞|　　∧　　　 | ＼　　　　　　　　　/　　,/
.　　　　/　／/////／　 i|　　 ,∧ 　　i|＿＼　　　　／}　/
. 　　 /　　∨///／　　　i|　　　 ∧　　 |//}＿ ≧=‐く　 } / 　 /
　　　/　　　≧=≦　　　 |　　　　∧ 　 |⌒}二_}　　　　 i}/ 　 /
　　 /,　γ=====―　　＿,|　　　　i|∧　i|￣}二{{　　　　 /{
　　,　　/二二ニニニニニl 　　　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　　　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　　　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
/　　　|二二ニニニニニﾆl　　　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　「だろうな、ホライゾンとヴィルケさんだけでなく、
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼　　　　　　　　　　あずさも、そして世にあまねくすべての女性の関心ごとだろうよ」
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

.
691： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:43:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　　 ⌒　　 ⌒＼　　　　　　　　　　「しっかし、化粧ってのはいつからあったものなんだお？」
　　　　　　　　／　　　（ ●）　（ ●）ヽ
　　　　　　 l　　　 ⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　　　　　／　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :u : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●）ﾉヽ（　● ） ;;:::|　　　　　　　　　　　　「まぁ間違いなく有史以前だろ、常識的に考えて。
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./　　　　　　　　　　　　　　女が美しくなりたいと思った瞬間からあったんじゃないか？」
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

.
692： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:44:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「あとは、権力者だな。

　　　　　　　　　　それに呪術的な意味で化粧を用いたりと、

　　　　　　　　　　　この辺の用途はおそらく同時多発的に多くの文化で行われていたんだろう」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　「子供が木の実の赤い汁や花粉、土を顔に塗ったりするように、
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　原始的な化粧品はごく身近な自然の中にあるものを
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐　　　　　　用いたであろうことは想像に難くない」
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

.
693： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:44:50 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「現在わかっている範囲でいえば、

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　古代エジプトの女王ネフェルティティの胸像には
　　　　　　　　　　　／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）　　　　　　　ラピスラズリを用いたアイラインが引かれているし、
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　 |　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　東洋においても、殷王朝の末期に
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、、___　　　|　　　　　　　　　　　　『白粉』がはじめて登場したという記録がある」
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【ネフェルティティ】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　エジプト新王国時代の第18王朝のファラオであったイクナートン王の正妃で
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　ツタンカーメンの義母にあたるエジプトの美女です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　胸像はベルリンの国立博物館所蔵となっています。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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694： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:45:16 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「どちらも紀元前1000年以上前の話だ。

　　　　　　　　　　　　その時点ですでに化粧品は長足の進歩を見せていたということだな。

　　　　　　　　　　　　　それだけ化粧に、また美容に対する女の執着はすさまじいってことだ」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
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　　　　　　　　　　　　......./::_彡'′..../／.., . .....{..................| . ....l..............l.......|
　　　　　　　　　　 l......f′ ........... ′ ../.........｛ ................| .......| . .........| .....|
　　　　　　　　　 | ../} .................ｌ7.../............ハ .............| . .....|.............| ...！
　　　　　　　　 |./ ｛ .................|ｉ....|........l....}.....} ..,........|..ﾊ.._.| ...........l.......;
　　　　　　　　　 i|{ 　{i..................|ｉ....|........l....}.../../........仄｢}./.............;...}...{　　　　　　　　　「微妙に引っかかる言い方でありますな」
　　　　　　　　八　 ':.................ｌi _｣､ .._厂}/}./........ｘｬｆ折^; ..............ﾊ..{
　　　　　　　　　／;::'ﾍ　　､.............＼抖ｬｆ折^ ﾊ......./ん'ﾝ//...........//　 .;
　　　　　　　　 `'く__;:xﾍ,　　`＼.........≪ｆてﾉﾉ　　 }／　¨´ 仏:′...// 　 }.}
　　　　　　　　 }√::::::､＼__l::|ｉ............{ ¨´　　　′ 、　 /../...... ':〈　　 .:′
　　　　　　　 /′:::::::::＼l＿|ﾄ..........｛`　　　　　,. 　／../...／.xくﾍ, //
　　　　　　　　　/..|:::::::::::::::::::}...川::＼.....个:　 _　　／|..../／八.{::::::::>く
.　　　　　　　　/.....| :::::::::::::::::}/..八::::::＼｛:::([l):::ﾏ´l／|./....../::::､_;／:::::::::.,
　　　　　　　 /.......ｉ|::::::::::r ､:/../ ::::::::::::::::＼::::::::::¨´ ::！.......{::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　..........八..........> '..√V^　、::::::::::::::::::::::::::::八.......ｌ::/:::::::::::::::::::::|;
　　　　　／......ｆ⌒' }=‐-‐ｧ./＼ {　　　＼ｒ…‐-　__::::::::::; ....|」:::::::::::::::::::::::ｌi
　　　／..........ﾉ　　｝‐=ｧ'./　　＾'ｰ-　 _{{　　　　／￣＾∧..l,ﾊ:::::::::::::::::::::八
.　　,.../.........（_　　　ヘ（{..;′　　　　　　　⌒ ｰ 'く _＿,,厶ﾊ.ｉ| | ::::::::::::::::::′...、
　 / /.............｛⌒'く　　Ｖ{　　　　　　　　　　　　　　　　　 l..| |::::::::::::::::/〉.........＼

.
695： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:45:40 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i　　　　　　　「言い方はちょっと引っ掛かるけど、否定できないところが」
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

　　　　　　　　　　　　,ﾍ
　　　　　　　　　　　 /:ｒ､`ｖ‐‐--　､
　　　　　　　　　　,イ| |　} }　　　　　ヽ
　　　　　　　　／　　| | /| |/ ＼　　　　＼
　　　　　　 /　　　,ｲ | ミY彡ミト､　　　　＼
　　　　　.　/　　　/ り　　　　　　　ヽ　　　ハ
　　　　　 /　　　/　 i　　　　　　　　　ヽ　　　ﾊ
　　　　　. 　　　{　　　　　　　　　　　　 ∨　　ﾊ　　　　　　　「すみません、お兄ちゃん口が悪いって
　　　　. i　　　:|　　__,ｨ　　　　　 `ｰ‐-- }　　　|
　　　　. |　　　 :レ'´　　　　　　　､＿ .,　|　　　|　　　　　　　　　　　　皆さんによくいわれるものですから……」
　　　　. ∨　　 :|　_＿彡.　　　　　￣　 |　　　|
　　　　.　∨ 　∧　￣　　　　　　　 |　　:,ｲ
　　　　　　|　　 ∧　　　　　　`　　　　　ﾉ　 / :|
　　　　　　|　　　∧　　　　 _ 　‐-　　　/ﾊ／　 |
　　　　　　|　　　　＞　　　　　　　　／　　　　 |
　　　　　　|　　　　　 ;ｒ＞　.　　, イｰｧ､　　　　:|
　　　　　　|　　　　　〉ト､_＿＿, イ　{　　　　 :|
　　　　　　|　　　　　 _}　　　　　　　　.人　　　　|
　　　　　　|　　　_,ｨ'´　　　　　　　　　　　`ｰ- ､ |
　　　　　　|　,ィ´　　　　　　　　　　　　　　　　　`T`､
　　　　　ﾚ´ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　､

.
696： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:46:02 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「口が悪くて悪うございましたけどね、別に俺だけが言ってる事じゃねえんだよ。

　　　　　　　　　さて、それはともかく近年まではcosmetic（化粧）の語源は、

　　　　　　　　　　ローマ帝国に存在した有名な化粧品商人Cosmisだともいわれてたな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ______
　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 __,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : :｀ ‐-､
　　　　　　　　　　　　　　 |　U　　（___人__）‐-─≦／ : : : : : : : : : : : : : 丶、
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:. : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　 ..ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　．=彳: '､ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : :､ : i: : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　ｘ＜ : : : / : : ｉ　　　/:::ヽ　V : :ヽ: : : : :ヽ : : : : : .:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　, -‐'´: : : : : : <: : : ∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_ : : : : ｉ: .:.:.:.:.:.:.:.:.＞'´　　　　　　「ただ最近は、ギリシャ語のKosmetikos（装飾に長けた）が
　　　 /: : : : : : : : : : : : >' : : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : l: : : : :!:.:.:.:＞''ﾞ´
　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : Υ : : : : l　　 l::::::i　 !: : : : :/: : : : ｉ.:／　　　　　　　　　　　　　　　語源だと結論付けられてるがね」
　　　　ゝ: : : i : : : : : : : Ｖ: : : : :l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :f´
　　　ｊ : : : : i: : : : : : : : :ヽ : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./: : : : : l

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
”美しくなりたい”それは女にとって何よりも強い欲望であり悲願でもある。
古今東西を問わない。美しいということだけで、女の幸福が得られた時代は言うまでもなく、個性美が尊ばれる今日だって同じこと。

”美容”の二字は何にも代えがたい重さで女たちを捉えて離さない。

美しく生まれついたものはさらにその美しさを磨き、不幸にして醜く生まれてきたものはなおさらのこと、美しくなるためには全てをかけて
痛ましいまでの努力を惜しまない。だから化粧は女たちにとって最大最高の関心ごとである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　【京おんな】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.
697： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:46:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿___
　　　　　　　　　　　　____〃　　-‐…‐-　　丶ヽ
　　　　　　　　　／　／　　　　　　　　　＼＼　　　　　「この文章には頷かざるを得ないであります」
　　　　　　／　./.　　 /　 /　　　　　　　　＼＼
.　　　　　　〃　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/（／/ ′....　|　 |...　　　| .　　/　　 ! 　 >）ヽ
　　　　　 {辷〉｀ヽ{..　　　|　 |　|　　 | l　/|　　　 |　/　〈 /
　　　　　丶〉　〉　　　|,ﾊ,|　|　　| |/__|　　　|　＼／
　　　　　　　　＼／　∨..　代フ. N∨ |弋フ　　 /　|＼､
　　　　　　 xく／ :|.　　ﾄ　　　　　　　　ｲ　 /..|＼　＼〕
　　　　　　　 <／.　人ﾊ从､　　　　　　／∧/.　| i|¨¨¨´
　　　　　　　　　　ｰ/ |　　　 |, ＼　‐　／}} |　　　 |八
　　　　　　　　　 /　 |　　　| ヽ___　　xく〈 |　　　 |‐-ミ
.　　　　　　　　 /, ¨¨|　　　 |,//　》《　　》....|....　|　　ヽ
　　　　　　　　 / {....　|　　　 | 《／|:i:|＼_/:|　|....　| 　　|＼
　　　　　／/　{. 　 |　　　| 　　 V.　　　|　|､　 |　　 /　　＼

　　　　　　　　　　　　「否定できないわね」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　 ,. .- ‐ -. . .,.　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､..　　　　_／: : : :∠.:}L:＞､＼
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ.　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊﾞ: : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ　　　　　「ええ、まぁ」
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハﾞ: : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i...今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|..`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|.ﾞ:.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ: //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/ ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/　-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'.　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ　　　　　　＼＼　{〉┴､
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､......〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,ﾞ_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|...ﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ..lノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

.
698：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:46:45 ID:XeSfx.W.: 男にはこのへん理解しがたいとこがあるよな……
699： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:46:54 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さ、女性陣にご納得いただけたところで、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そんな化粧に関する重要なアイテムだった『白粉』と『紅』について、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これから見ていくことにしよう」
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　（こういうところ見てるとこいつがなんでモテるのか
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　　　さっぱりわからねーお）
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　 u. |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
700： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:47:53 ID:bMttHh86: 　　　　　「まずは白粉についてだ。

　　　　　　　白粉というのは、顔や首筋に塗る白い化粧品で、

　　　　　　　　　鉄道唱歌で謳われている白粉の現物は厳密にはすでに存在していないといっていい」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',::::::|: : : : : : : : : : | : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

━┓
┏┛　　　　　⌒
・　　　＿＿_⌒　　　　　　　　　　　　　　　　　　「でも、鉄道唱歌で歌われているということは、
　　　／　―　乂＿＿＿_　　　　━┓
　　／ノ　　(●／　　 ―　＼　　┏┛　　　　　　　　　明治時代には土産物として有名だったってことだお？」
.　｜　(●) 　 | 　　 (●)　ヽ＼　・
.　｜　　（__ﾉl　　（⌒　　(●) |
.　│　　　　〉　　￣ヽ__）　 |
　　＼＿＿／´　　　　　 _＿_／
　　　　　 /|　　　　　　ヽ
　　　　 | |　　　　　　　　 |

.
701： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:48:24 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そうだな、あとでも話すが、

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　昔ながらの白粉が滅んだのは昭和に入ってからのことだ」
　　　　　　　　　　　　　 /ﾉ　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　（ ●）（ ●）　　 |
　　　　　　　　　　　　　 | （人__）　　　 .|
　　　　　　　　　　　　　 |　⌒ ´　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　.　.|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　.　丶　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　／.>＿　　　 /::::::i:::ヽ._
.　　　　　 _ ,,､-ｰ／ !// ー　ﾍ￣/:::::::::l:::::::::::｀:ｰ:.､
　　　　　　,´:::::::::::::く::::::::/　i　 / 　ヽ::::::::::!:::::::::::::::::::ゝヽ.
　　　　/::｛::::::::::::::::＞:i 　 l7i　　　/:＼:／::/:::／::::::::::::::::i
　　　　,'::::::i::::::::::／::::::l　 /;;;;l　　/::::::::〉:::::/／::::::::::::::::::::::!
　　　 /:::;::::∨:::::l::::::::::i　/;;;;;;l.　/::::::::/:::::/:::::::::::::::::::::::::::/
　　　/::::ヽ:::::〉:::::l:::::::::l /;;;;;;;;l. /::::::／;;;;;;i:::i::::::::::;;;;::::::::::::::>
　　　 <::::::::::ソi::::::::l:::::::::li;;;;;;;;;;;l/::／,､;;,､;;:l!::l_／´:::::::::::::::: ｿ
　　　 !:::::::ゝへ､;;;::::!::::::」--‐‐'''""ﾞﾞ｀ヾゞＭソ／::;;;;:::::::::::::::::l
　　　）::::::ゝ彳´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍノ／´￣::::::::::::::::::::l
　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ﾍへ￣::::￣:::::::::::::::::::::/
　　 l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／´::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::/
　　 l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、白粉というものの歴史が
　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,　_　　　　　　　　　更新されるということはもうないのね」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.: : :´: : : : : : : :｀: . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ: : : : : ; : : : : : : : : : : ｀ .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: ,: ィ: : ／/∧: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ｨ7: : : :／　/:ハ: :i: : : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' ´ ﾉｨ: : ; く　 /'　　i: :|: : : : : : : :: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　 ' /／,､　 ∨ 　　 |: |: : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　＿. . . ､-― . . ￣ . ト､　　,ｲ ! 込,　 ',　　　 |:.|: : :i: : : : : : : : : :,'
　　 ,. . .r. .´. . . . . . .i. . . . . . . . ..|　ﾍ　ﾘ　ｰﾟ'　　　　ヽ ∨i: :ﾘ: : : : : : : : :/
　　i. . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . . .ハ　 ∨ 　　　　　　≧､ヽﾑ: !: : : : : : : :/
　人. . . . . . . . . . .ノ＿＿＿__人　'　､ﾊ　　 ´ 　　　入ヽi: :|: : : : : : , '
／　ヽ､. . . . . ｰ. ´. . . . . ｀. .ー‐'―／: :ﾍ　､　　　　　'ｰﾟ´ }:ﾘﾚ´ﾌ: ／
　　　　　｀　＜. ., r‐.-. ､. . . /. . .／:／＞ >　 `　　　　　 _､_ﾚ_ ノ'´
　　　　　　　　/. . .ヽ.ー. --=＝.７._._._≧'ー｀＝r‐=‐ : : : ＞´
　　　　　　　 i. . . . . . . . . . . .≧´7/i_r/.r＞: ´,: :_:＞＜三､　 ,､
　　　　　　　 !. . . . . . .／.￣. . . . . - =＝＜. ´.-.-.-.-≧､三y三ム
　　　　　　／. . . . . ./. . . . .ヽ.ｰ. ´. . . . . . ,､. . . . . . . . . 7ﾆ,'三ﾆ/
ー-､　 ,／. . . . . .／.o. . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . ../三三ﾔ
､　　 >＜. . . . ／ . . . . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . .ﾌ三三/
ﾆ＼/. . . . ＼/o. . . . . . . . . . . . . . . ..／. . . . . . . . .／三三/
三ﾆ＼. . . . . .＼. . . . . . . . . . . . . ／. . . . . . . . ..／三三ｱ
三三ﾆ＼. . . . /. .＞. ､. . . . . ..／. . . . . . . . . ／三三／

.
702： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:49:09 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　「今後の歴史に関しては、そういうことだな」
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「どうせ白粉の歴史の話が今から始まるんでありますな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二二二≧s。
　　　　　　　　　　　　　　　　／/二＞^ﾏ-----＞^}　 _
　　　　　　　　　　　　　　 /　/＞ ´　　　　　　　 |/　＼
　　　　　　　　　　　　　　 , /´,　　　 /　　　　　 |　　　〈≧s。__
　　　　　　　　　　　　 // /|　　　　,　 l　　　　　　| ヽ　　 ,　　　 }
　　　　　　　　　 // / i|　　　,　　|　　l 　　 i|　 }　　 ,
　　　　　　　　　 / 〈　 |　　　 l　　|　　|　　　/　 ,　　 ,　　　 ,
　　　　　　　　　　　 /　　＼,　　 ┼―-　｜　 ,____/　　 ,　　 /
　　　　　　　　　　　 ∨　　　〉7　 ,x笊示从　 /　 /　　 ,　　 /
　　　　　　　　　　　 /∨ 　/,/　　　込ｼ　ｌ／笊ｱ　　 ,　　/
　　　　　　　　　　ィi〔7,ﾍ /,/ {　　ｌ　　　／　ゞ'//　　 ,　　′
　　　　　　　　　　 ∨//＞⌒ 八　　|　　　 '　　〈/　　/　 /
　　　　　　　　　 /⌒　　 |　　|∨｜＼　｀　　　/ 　 /{
　　　　　　　 ,　　　　　|　　|/∨!―,≧≦ 　 ,　／八/
　　　　　　　　　 /　　　　　i|　　|二V__/f }≧s。/／ |
　　　　　　 /　　　｡s≦,|　　|二二二ニﾆﾆ／　　|
　　　　　　　　/　　 /二ﾆﾆ,|　　|二二二二ニﾆ∧　 |
　　　　　　 /　　　{二ニﾆ,|　　|二ニﾆ,＞一┬‐ﾐ,　|
.　　　　　　　　　 ∨二二|　　|二／　|　　 i|　　＼
　　　　　　/　　　　 ∨二ﾆ|　　|／＼-i|----/　――＜
　　　　 /　　　　　 f--､ニ|　　|　／⌒　　　　｀　　　ヽ
.　　　　 /　　　　　 /| |_l∧_|　　| /　　　　　　　　　　　　　　',
　　　　/　　　　　 / i| |_l 　 |　　|/＿　　　　　　　　　　　ﾊ
　　　 ,　　　　　r {　 Lハ_/ |　　|//,∧　　　　　　　　　　　 /　}
　　 ,　　　　　/_　　　{＞　i|　　|ﾏ//∧　　　　　　　　　　ｲ　,〈
　　 , 　　　　　{/ ∨^ 　　 i|　　|////,'}　　　＞‐‐‐‐r＜　　/ /
　　,　　　　　 | 　 {　　　 i|　　|￣￣/ ¨¨¨　　　　 | 　 }i / /

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703：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:49:20 ID:XeSfx.W.: 大昔は鉛だかなんだか有害なもの使ってたんだっけ？
704： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:49:33 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「よくわかってるじゃないか、

　　　　　　　　　　　　それじゃ、ホライゾンの言葉通り、白粉の歴史を簡単に見ていくことにしよう」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ　　)　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {-'￣　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}｀｀　　 __/_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
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　　　　　　　　　　,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
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　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
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　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|　　　　　　　　　「はーい」
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
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　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

.
705： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:49:48 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　「とはいえ、白い粉や液を肌に塗るという発想自体には、
　　　　　　 ─- 、
　　　　　/　　　　ヽ　　　　　　　　さっき少し話に上がったようにどこが発祥ということはないだろう」
　　　　　|　　　　　 |
　　　　　|　　　　　 |
　　　　　|　　　ｭﾆﾆヽ､
　　　　　ヽ/ : : : : ＼:＼
　　　　　 i : : : : : : : ﾍ :.ヽ
　　　　　　 ', : : : : : : : : ', : :'.,
　　　　　　　', : : : :.＼ : i : : :.'.,
.　　　　　　 i:', : : : : : ヽﾄ､ : : :',
.　　　　　　　iﾊ : : : : : : |: ', : : :.',
　　　　　　　ﾘ.:i: : : : : : :! : : : : : ﾄ､
　　　　　　 i : !: : : : : : :|: : : : : : i:.',
　　　　　 i : :i: : : : : : :|: : : : : : | :.',
　　　　　 i : :r : : : : :丿 : : : : : | : :',
　　　　　 ,' :.7 : : : : : / : : : : : : |: : :i
　　　　 / :/ : : : : : / : : : : : : : i : : i

　　　　　　　　　　　　／￣￣￣＼　ﾎｼﾞﾎｼﾞ
　　　　　　　　　　　／　―　　　―　＼
　　　　　　　　　／　（●）　（●）　　＼
　　　　　　　　　 |　　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　「まー、たしかに」
　　　　　　　　　＼　　ｍj |⌒´ 　　　／
　　　　　　　　　　　　〈＿_ﾉ
　　　　　　　　　　　　ノ　ﾉ

.
706： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:50:07 ID:bMttHh86: 　　　　　　「もしも誰かが起源を主張しようとすることがあった場合、

　　　　　　　　その試みはおそらく徒労に終わることだろうな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

/　　＞/=:／‐=ニ=:/: : ∧:/|:ヽ
「￣: : /:.／ : : : : ／/: :/ ⌒1:l: :.i
: : : ::/／: .:/: : ／ ./: /　　　|:ｌ＜ﾄ
i: : : :ｌ// :/:.:／‐-/／、　　ﾉ:ﾊ: 「:i
ｌ: :i´,ｸ/:/:／ｆ'7うﾊ　　　　,〃 |:i :| :l
!: :|〈/:/　　　弋ソ　　　　_, へﾄ:|: !ﾘ
ﾊ:.V:/┐ 　　　　　　ｨら7/i:ﾊ:|
: l: : :∨　　　　　　　　ゞｿ/ ﾚ'
: :!: : : i　丶　　丶、　' ／
:.∧: : :ﾄ、　＼　　 ,　イ
ﾉ　ﾍ : |　＼/ `７|: : :{
ミヽ l: :|７/⌒イﾐ !: : |
/　 }|: :l／ﾐｒ‐く j l: : ト　　　　　　　　　　　　　　　「まぁ、なかなか雲をつかむような話だものね」
　　l: :|　くイ＾ト　ﾍ: | |
　　 l: !　　《　ヽヾﾍ:ｌ L
∨　ﾚ_　-￢　` ヾ、「ﾆ＼
｜く　, イ　＼　ヾ　トー∧
｜　 Y ヽ、＼ﾉ　　]}oL_ 」_ｊ
∧:i:.. ゝー'¨´　　.:.:.::ll:.　　,'
ヽ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉｌ:.:.:.:ノ
　〉:.:.:.:＞-　-　＝イ廴,ｲ
｜:.:￣　　￣　　　 ]}ﾆﾊ
｜:: 　　　　　　　　キ/ |

.
707： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:50:28 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「正直言えばあんまり起源を主張すること自体に意味を感じないであります」

　　　　　　　/　　　　　 /　　　 |　　　　　|　　　　 ≧o｡.＿＿
　　　　　 /　　　　　 /　　　　　|　　　　　|　　ヽ　　　　　　　 }
　　　　　 /{　　　　　 f/　{　　　 :|　　　　　|　　　 i　　　 |　　 i
　　　　　:　!　　　　　 | 　:ｉ　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　 //:{　　　　　 : 　 |　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　〉 /!　　　　 {:　丁￣￣:!　　　　 /￣｀ヽ:|　　　　:|　　 |
.　　　/ 〈 :l　　　　　 i: x斧芋苅ﾐ　　　ｲ斧芋ミ}　　　　 }　　 !
　　　/　　＼　　　　 |〈に{//}( ｜　　/:　い//( /　　　 ,′　 :
　　 ,'　　　　:＼　　 |:　Vこ)ツ :}:　　/　　V^)ツ }　　　/　　　:
　　 Ⅵ　　　　ﾍ　　 {　＼　　 i　／　､　　　　 i:　　/　　　/
　　　Ⅵ　　　　　}　　ﾟ。　〉　　／　　　　　　　八　 /}　　 /}
　　　ト　　 //:i: 　　＼¨　　　　 ‐‐　　　　ｲ　　://i:　 / ,′
　　　 { ＼__//∧　　　 l＼　　　　　　　 . 　 }　　// }　/ /
　　　　i　　 {￣|　＼　　　{rｧ＞　　　　 ∠z　 :i　 ///,' /イ
　　　　:　 /77 {　　 l＼　ﾟ。////≧ ≦///{　 :　/: : /:/≧o｡、
　　　 /　////:ｉ　　 |//＼ ‘，/　{r― 〈―‐ｉ　{: /: :.:〈/: : : : : : ミ
　　 /　∨///}　　 }/// ∧ i{ ／　　　∨　{　:./: : : : : : : : : : : : : :ﾟ。
　　.′　 ∨/ i　　 i　　 /:　／　　／　ゝ‐:　　{: : : : : : : : : : : : : : :.ﾟ，
　　/　　 {_/:.:.l　　 :-:／＼＿_／　　　　∨!　 i: : : : : : : : : : : : : : :.:_＼
　 /　　　 /: : :.}　　 /　　　 /　　　　　　 |　 : : : : : : : : : : : : : : : :{ 　＼
. /　　　 /: : : / 　 /　　　 /　　　　　　　　　|　 |: : : : : : : : : : : : : ／　　　＼
/　　　 /: : : /　　/　　　 /　　　　　　　　 :|　 |: : : : : : : : : : : :./:　　　　　／:＼
　　　 /: : : /　／　　　　､　／　　　　　 |　 |　＼ : : : : : : :./　　　　／: : : :
.　　 /: : : : ％　　　　　／　　　　　　 |　 |　　＼: : : : :/　　　　 /: : : : : : :

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼　　　　　　　　　　「同感だ。何にせよ化粧は洋の東西を問わずに
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|　　　　　　　　盛んにおこなわれていたし、肌の白さが美しさという価値基準があれば
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !　　　　　　　　　　当然そのための化粧品は存在したことだろう」
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣
708： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:50:53 ID:bMttHh86: 　　　　　　「それはまぁ、何とかしたいと思うところではあるわね」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
　　　　　　　　　　　　　 ,. .- ‐ -. . .,　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､.　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ....../: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ/: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :/: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆ./: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ)/: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐/: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i:/: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ.　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､.　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼.　/:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼.　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､.　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !　　　　　　　　　「色白の肌というのは、
　　　　　＞: ´: :|　　　　　　　////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i...　　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l　　　　　　　　　　　　　やっぱり憧れますものねぇ」
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|.　　 //////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨..　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まぁ人種的な壁は超えられないけどなぁ」
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

.
709： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:51:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「十八世紀ごろの欧州では、肌を白くするために砒素入りのウエハースを食べていた、

　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　というような話もあるくらいで、重要視されるとなると
　　　　　　／〉 _ノ　ヽ､_ ＼
　　　　／／' （ ―）（― ）　|　　　　　　　　　とことんまでやりたがるようだしな」
　　　 ./　/／〉　（__人__）　│
　　　 .ｌ　 ´ イ| 　｀⌒ ´　　|
　　　 .ｌ　　ｉY 　　　　　 |
　　　./　　ﾊ !　　　　　　　/
　　 ./　　/　 ' ヽ　　　　 /
　　ｌ　　　／　　.〉-r:::┬〈、
　__「ー‐1 　.／Λ 〉.:〈 7//＼
　ｉ//7777|／////V::::::V/////＼
　|//////|//////∧::://///////}
　|//////| ///////∨/////////{

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　「砒素って」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
710： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:51:27 ID:bMttHh86: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊｰｒ―-､ヽ　＿＿
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::!:::',　　ヽ〉　　 (
: : : : : : : : : : : : :´厂｀|:::::',　　　　　て
:::::::::::|:::::::::::::::::::::/,ｚ､│::::l
::::::::: l:::::::::::::::::::/〃∥|::::::|
:::::::::::!::::::::::::::::/ ∥ j! !::l:::|
:::::::::::|:::::::::::: /　ヾ=' ∨: |
:::::::::∧l::::::::/ 　　　 /:::::|　　　　　　　　　「え」
:::::::/:/ﾘ､::|:{　　（ゝ／;ｲ::/
::::::::/＿.ヽN＿_／|:::/ |/
::://: : : :￣ｽ　　 |/
／ヾ: : ＿/: :＼＿
ヽ: : : : : : : : : : ヾﾘ＼

　　　　　　　　　　　　　　 .｡＜/＜二≧s。_
　　　　　　　　　　　　　／ゝ＜　　　　 }＜ﾆ＼
.　　　　　　　＿__／　 /　ｌ　　　　 ,　＼　＞｡.
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　　,　　　　八　　}　　　}_
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　八　　 ,　 }　ｉ|　　　| |　　　　　　　　「それは効果があったでありますか？」
　　　　　　　　　|　 |　　 i|,　‐ ∧　/ -/ミｔ､,　　　,
.　　　　　　　　 ,　 ,　　 ,x芹笊 ∨　 ,ｨぅ笊}　　 ,　}
　　　　　　　　　，　，　ゝ乂ソ　　　乂ソ/ 　 /
　　　　　　　　　　', 八　　 ,^¨^　　,　　^¨^ ,　　/ 　 }
　　　　　　　　　ﾄ　　､分　　　。　　　/　ｨ∧77,
　　　　　　　　　　 V‘，＼{　　　　　　　/ ／ !/∧〈 ,
　　　　　　　　　 /　〈ﾍ {　 |　　{≧=≦},／|　 {∨,/
　　　　　　　 /　　 ^　　|　}/　/ ∨∧　　 i|　^　 ∧
　　　　　　 ,　　 ‐=ﾆ二,　/=‐‐{_}‐=≦ﾊ　 {≧=‐　　,
　　　　　　　 /　/二二二/ /二二二二二∧ ∨二二ﾊ
　　　　　 /　 {ニ二二/ /´ 　 ) {　　/ 7　∨ ,二ニﾆ,}　,
.　　　　　　　　ﾏ二二/ /‐=/爪(廴　～‐=∧ ∨二ニ,　，
　　　　　 /　　　_∨^ 〃 ‐‐,/⌒^ﾏ}r＜　　　　ヽ‘＜ﾆ/
　　　　 ,　　／／{　 /ィi　　{　　 /　　ヽ　　　 ∨〈　　〉　 ‘，
　　　　　 __) /　　' /{　廴ゝ　 ,　　　　〉　　　 }　∨/ ^ヽ　 ,
　　　 / /　 ∨　　 ,　V　　　ヽ　＼　／⌒^}　ﾉ,　 ∨ 　 / 　、
.　　 /　 )⌒/ ＼ / / ,　　　　/ 　　ヽ　　ｉ}イ　}　　∨^　}　　 ,
.　　　　＼〈　　 / /　{ 　　 ,′　　　ﾊ---,/　　i|　　 ,＿/　　　 ,

.
711： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:51:51 ID:bMttHh86: 　　　　　「あったようだぞ。血中の赤血球が砒素によって減少することで、

　　　　　　　　　　肌の色が白くなったらしい」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　 ─　　 ― ヽ
／　　（ ●）　（ ●）'
|　　　　（__人__）　　|　　　　　　　　　　　　　　「それダメなやつじゃん」
＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
／　　　　　　ー‐　　ヽ

.
712： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:52:21 ID:bMttHh86: 　　　「ことほど左様に執着される対象となる『白い肌』、そのために用いられる『白粉』という化粧品、

　　　　　その白粉を記した中で最古の記録は、おそらく中華の晋代の『博物志』だと思われる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |　　　　　　　　　　　「『紂焼鉛作粉謂之胡粉』
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　つまり紂王は鉛を焼いて粉を作った、この粉を胡粉という」
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【紂王】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　いろいろな悪行の伝説があるために『義を残（そこ）ない、善を損なうを紂と曰う』ということで
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　『紂王』と呼ばれた殷王朝最後の王様です。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　姓・諱は『子受』諡号は『帝辛』といいますが、これらの名前はすべて後世につけられたそうです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　妲己という女性に溺れ、酒池肉林の語源になった人で、封神演義にも出てきます。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
713： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:52:53 ID:bMttHh86: 　　　　　「また、明代の『事物起源』では『周文王時女人始傳鉛粉』と書かれてる。

　　　　　　　殷の紂王は鉛を焼いて粉を作り、文王の時代にそれを女官が化粧品として使い、

　　　　　　　　　　始皇帝の女官のことごとくはこの白粉をつけていたという流れができる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
.　　　　　　　　　　　　　　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　.　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，　　　　　　　　　　　「だいたいどれくらいの時代の話になるのかしら？」
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
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.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　　　ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/

.
714： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:53:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
.　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　|（__人___）　　 |
.　　　　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　「紂王が生きてた時代はだいたい紀元前千百年ごろ、
.　　　　　　 i　　　　　　 |
.　　　　　　　ヽ　、　　　. {　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　文王はそれよりやや遅れて産まれたがほぼ同時代の人物だ。
　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　始皇帝はぐっと時代が下がって紀元前二百五十九年に生まれた」
　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【文王】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　姓・諱は『姫昌』といいます。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　周王朝の創始者武王のお父様で、紂王の元臣下でした。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　太公望という人物を見出し殷王朝を打倒した人物とされています。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
715： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:53:52 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
. 　　　／　　　（ ●）　（ ●）＼
　　　　　| 　　　⌒（__人__）⌒　|　　　　　　　　　「八百年から九百年後に途絶えずに
.　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　むしろ広まってるということは需要が大きかったってことかお」
.　　　 | 　ヽ＿＿　　　　　＿　',
　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿
　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ
　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　∧　|　　　 |＿_／　　 /
.　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
.　　　　　　（＿＿）　､＿＿）

　　　　　　　　　　　 ‐=――ﾆ=‐
　　　　　　　　　　ィi〔//{　　　＞｡./ ＼__
　　　　　　　　／//}＞'i　　　　 l　ヽ／＜ヽ　　　　　　　　　　　　　「jud、ですが需要があったとしても、
　　　　　 r‐=≦/　 {　　|　　　 |　　　　＼
　　　　　 |　 {　　　ｉ　　|　　　 |　　　 l　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　当時は鉛自体が貴重であったでしょうから
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　 |　　　 |　　　〈
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　八　　 !　　 / /ヽ　　　　　　　　　　　　　　　結局はえらい人しか使えなかったはずであります」
　　　　　 |　 {　　丁￣{　　　 /￣￣　}　　/ /　/
　　　　　 { { ‘，　　,x笊うﾐ　 /,ｨ斧丐/　 / /　/
　　　　　 {{ ',　，　ゝVツ　ヽ/ 　 Vツ/　:/ /　/
　　　　　 }}　ﾟ。＼_＼　　　　　　〈/ / /　/|
　　　　　 l!　　＼ {　＼　　 '　　　／ /　乂ｨ｜
　　　　　 |　　 //|　 |　へ　 ^　,ィ /／　}//ﾍ :|
　　　　　 |:　　{/,'|　 |//{ﾆ≧≦ﾆ}77{ 　:|///} |
　　　　　 |　ィi〔｜　{///ヽﾆ／ ///{　 :|///} |
　　　　　 |/ニﾆﾆ|　 i ⌒＼ｉ:ｉ／ゝ< i　 :|=:＞｡!
　　　　　 {ニニﾆ:|　/　　　 T　　　　:l　 :|ニニ:}
　　　　　 iニﾆﾆ:／　　　　 |　　　　　＼|ニニ:ｉ
　　　　　{::ニ::/ 　　　　 :|　　　　　ﾏﾆﾆ:}
　　　　　 Ⅵ /――――――=‐　＿＿ ∨=:〈
　　　　 :=:{///////////}//////////77/ /
.　　　　　 l}八//////////,'i//////////,'八,′
.　　　　　 |Ⅵﾍ/////////人////////イ__/ |
.　　　　　 | ﾏ=:∧≧=‐‐=≦≧=‐‐=≦ニ=:,'　|
.　　　　　 |: Ⅵ=:∧￣T¨¨　lゝ‐=≦//ﾆ二:.　 |
.　　　　　 |　∨二:∨/}　　 :.　　 {/:/二二/　｜
.　　　　　 |:　 ∨二∧i　　 l　　ｉ /ニニ:/ 　 :|
.　　　　　 |　　 ∨ニ∧　　　　 /ニニ:/__　　|

.
716：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:53:54 ID:XeSfx.W.: 化粧だけでなく古代中国の毒との密接さは色々とおっかなすぎます
717： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:54:22 ID:bMttHh86: 　　　　「一応古代ギリシャの爛熟期には先ほど出てきた紂王の白粉と同じようなものが

　　　　　　　化粧品として使われていることは伝わってる。

　　　　　　　　ただし、ギリシャ人自体はほかの民族とは違いそれほど化粧に熱心でなかったので、

　　　　　　　　　　　用いていたのはおもに高級娼婦だったらしいが」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　_,ノ　ヽ､__ 　＼　　　　　r~
　　　　　　　　　　　　　　　　(⌒ ) (⌒ )　　_,-|、　　　;'
　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　r' l　|.lヽ　 r'
　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　 l　i　| lニﾆ;:
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 l　l, | l ﾉ__　_
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/　　　/ｨ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 _　＜/ヽ__､_r'´　　　／/　　 /　　ヽ
　　　　　　　　 __ ,.　＜　　/ ／}　人　　　r y　　　　　　　 ',
　　　　　　　r´　　　　　　 j∧∧　/〈'--:´　Λ　　　　　　　l
　　　　　　/　　　　　　　　　ヽ:ヽ__〉ﾊ　　　 / ∨　　　　　　l
　　　　／　　　　Y　　　　　　　｀√:V ﾑ___＜　　＼　　　＼ !
　　／　　＼　i　　　　　　　　〉::::| ∧　　　　　 ∨　　　　〉
／　　　　　　＼i　　　　　　　　 i::::::|　∧　　　　　　ﾊ　　　　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{　　　　　　　　　「ギリシャにあるんだったらローマとかエジプトにも
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ　　　　　　　　　　　　　存在してそうでありますな」
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|

　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : 　 .、
　　　 / : :ト、へ : : : : : : .　イ. . :i
　　 ,'　 i: |￣ヾ＼: ::i : : :|: : |: : :.!
　　ｌ:|: : |: |　　ﾘ　＼:| : : ﾄ: ::l: : :l
　　 |:|: : !:イ´_　　'￣___ヾ !ヾ:^l : |
　　 |:ﾊ: l: :代ｿ　　　'てｿ7:| ｆﾘﾉ: :|
　　　　!:!:∧// ,　　/／/ ﾘ-ｲ:|: :ｌ
　　　　ﾚ' 　＼　　 _　　／ヽ|:ﾄ、| ＿　　　　　　　　　　　　　　　　　「さっきの殷王朝みたいに年代を特定できる記録が
　　　　　　　　`r「「l、イ　　 l:i　　　／ヽ、
　　　　　　　「 !　`　i/　　　ｌl:l 　／　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　残っている例のほうがむしろ稀有というべきなのかしら」
　　　　　　　∧　　　/　＿/|:!／ /　　　 |
　　　　　　　|∧　　 ∨　　|／i { /　　　　|
　　　　　　 / |∧ 　　',　　 | ||　/　　　　 !
　　　　　　l　/　∧　 ∨　/| ll∠　　　　 ,
　　　　　　L/　{l　ﾍ　 ∨ ,| |/　＼　　/

.
718： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:54:42 ID:bMttHh86: 　　　　　「まぁ間違いなくあったんだろうな。

　　　　　　ことにローマ人はギリシャ人とは違って男も女も化粧しまくりだったらしいし」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　 | 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　 |　　｀ ⌒´ 　 |
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　 __,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　 /⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「某風呂漫画のローマ人も化粧してたのかお」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／─　　 ─　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／（●）　（●）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　 '､＿＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |＿＿＼　 “　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿＼_／

.
719： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:55:01 ID:bMttHh86: 　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　「さて、この調子で洋の東西を問わずに話をしていたら
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　　　　　　いつまでたっても終わらないのでここからは
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　　　　　　　　　日本における白粉の歴史に絞って進めていくことにする」
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦}
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.｡s≦　　　　 |--r ,
　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　 /　　　l 　　 |　 | ＼＿＿
　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　ｌ　　　 |　　　i|　 |　　ヽ　　l
　　　　　　　　　　　 /| 　　 |　　　 |　　八 i|　　 |
　　　　　　　　　　 .//|　　　ｉ|　― ┼　 ,/――　　 |　 ,
　　　　　　　　　　　　〈　ヽ　　　,x笊示ﾊ　/ ,ｨ笊ﾐ　　 ,　 ′
　　　　　　　　　　　 ∨ }ﾊ　　ゝVツ　 V 　Vツ/　 /　/
　　　　　　　　　　　　 , ＼/,〉　 l　　　　 '　　　 }　 ,　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　＼　八　　 r ,　　ｨ　/　/{　　　　　　　　　　　　　　「jud」
　　　　　　　　　　　　 /　／/＼　＞　　　　　　/／　/　,
　　　　　　　　　 /　 ∨//|i ＼〉{ﾆ≧=≦ ／　| /} 　，
　　　　　　　　　　　/　　　ゝ /　　 /＿_|笊∧　　｜〈
　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ,'　　 /＞＜≧=‐‘，　ﾏミｔ､　‘，
.　　　　　　　 /　　 fﾆ=!/ 　 ,/_}_　　 }}　　 }i∨　∨ﾆ,}
　　　　　　　　　　　 |二/　　ィi〔　　≧=‐‐=≦＞｡.∨=! 　 ,
　　　　　　　　 / 　　 i|ニ{　/　　　　　　　　　　　　　ﾏ,/　　，

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|　　　　　　　　　　　　　　「はーい」
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

.
720： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:55:24 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　「日本における最初の白粉の記録は日本書紀のうち、
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　雄略天皇七年（462）のものになる」
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!　　　　　　　　　「紀元前の記録があることを考えると
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ　　　　　　　　　　　　　結構遅い気もするけど、気のせいなのよねぇ。
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l　　　　　　　　　　　　　　　　1600年前だもの」
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

.
721： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:55:43 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「朝廷の臣である吉備上道臣田狭が自分の妻の美しさについてのろけを言ったという記録だな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
吉備上道臣田狹侍於殿側。盛稱稚媛於朋友曰。天下麗人莫若吾婦。

茂矣綽矣。諸好備矣。曄矣温矣。種相足矣。鉛花弗御。蘭澤無加。曠世罕儔。當時獨秀者也。天皇傾耳。遥聽而心悦焉。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　「惚気か」

　　　　　　　　　　 __　-ーー-　_
　　　　　　 _ｨ≦ィ¨厂 Tへ¨≦7　　　　　＿＿＿_
　　　　　　厂/　　　　　　i　　￣vヽ...　　　／　　　　＼
　　　　　　　 /　/ 　 {　　ﾄ　トミ　V　〉....／　─　　 ─　＼　　　　　　　　「リア充死ねお」
　　　　　/　/　/ ﾙvﾍ　　ﾘ )‐iヽ　　} /|／　（●）　（●）　＼
　　　 ,'ィ　　 {/ 下:j V ﾘ下::Ｔ } 　; / i 　　　（__人__）　　　 |
　　　 { i　{ 　 i 　`¨　　　`¨¨　i　/,'ノ{..＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　　　八　从 ""　 __　 "" _,j /》　人..　ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　　　 /rゝ　个...――..≦7　ﾚ〈》　　，....　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　　　　 `叭　|r7へ::(⌒ｰｌ　个>　　　 ’ﾞ／　r─--⊃、　|
　　　 /　　/　}　ｌ　ゝﾌ::〉7　ｌ　 {ヾ　　　　ハ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

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722： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:56:22 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）　　　　　　　「ここに出てきている『鉛花弗御』というのが鉛白粉だ。
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　　ちなみに読み方は”いろもつくろはず”となる」
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　＼　／　 |　　　　　　　｡s≦三三≧s。　　 ∧
　　　／　　 | 　　　　｡s≦ﾆ=‐　　　　　`寸=＼　 ∧
　　 /　＼　 i| 　　,ィi〔ﾆ=‐　＿　　　　　　　　マ=}　　}
. 　/　　l　＼ｉ! ／ﾆ／　 γ　　　ミｔ､　　　　　 },/ 　 i|
　　　　 |　　　,/ﾆ／　　　f　　　＿_　ヽ　　　　 }　　 i|
　　　　 |　　　i{/从　　　　　　f//,ハ　( 　　　 |　　 i|　　　　　　　　「これのどこをどうやれば『いろもつくろはず』になるのかと。
　　　　 |　　　　　　　　ぃ　ﾏ///}　　 }　　　 |　　 i}
　　　　|　　　　　　　　マ　ゝ‐≦ 　 %　　　,|　　八　　　　　　　　　漢字とはここまで根性悪い読み方をさせるでありますか」
　　　　 |　　　　　　　　　　｀＜　　　ノ　／ア|ｉ　　/ ｌ
　　　　 |　　　　　　　　　　　　　￣　ィi〔=‐　｜　,/　|
＼　　　| 　　　　　　　　＿ィi〔=‐　　　 |　,/　｜
　＼　｜　　　　　　　　　 {=‐　　　　　　 i| ‰　 :.
　　ヽ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　ｌ
.　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |

.
723： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:56:56 ID:bMttHh86: 　　　　「その後、持統天皇のころに『戊戌賜沙門観成　”あしぎぬ”十五匹綿卅屯布五十端美其所造鉛粉』との記録がある」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　u.　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____　　　　　　　　　　　「”あしぎぬ”の字が表示できねえ」
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ‐､
　　　　　　　　　　　　　,ィ　／ﾍ::::iﾆ`=､　_
　　　　　　　　　　　／　／／　.|::::|::`Y::::ヽ:::::ヽ
　　　　　　　　　／:::::.//:::::::ヘ|::::|::::::::::::::::＼::::＼
　　　　　　　　/:::::::::.//／ヾミ∨彡∨:::::::::::∧:::::::　　　　　　　　　「こればっかりはしょうがないですよねぇ」
　　　　　　.　 /:::::::::::/　　　　　　　　 .∨:::::::::::::∧:::i
　　　　　　　/:::::::::./　　　　　　　　　　.∨:::::::::::::∧::l
　　　　　 .i:::::::::::ト‐-- '　　　　　　　　.∨:::::::::::::::|:.}
　　　　　　 |:::::::::.| ｒtｪs､　　　　､.　　　　}::::::::::::::::::|il
　　　　　　 l:::::::::.l. 　辷　　　　　　￣`ヽ |::::::::::::::::::||　　　　　　　　　　　「糸偏に、『施』の字のつくりを書いてあしぎぬの字になります」
　　　　　　 ∨::::.|　　　　　　　　'´气ミ､│::::::::::::::::il
　　　　　　 /:::::::l.　　　　　　　　ヾノ仆.::::::::::::::::/
　　　　 /:::::::::ﾍ　　　`　　　　　　　/::::::::::::::::::ｲ
　　　　　/:::::::::::::.∧　 ´` ‐-､　　　 /::::::::::::／::::.|
　　　.　/::::::::::::::::::.ｒヽ　　　　　　　,ｨ'::::::::.／:::::::::::|
　　　　:::::::::::::::::::::.`Y　＞-　＜　 /::::::イ::::::::::::::::::|
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724： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:57:21 ID:bMttHh86: 　　　　　　「観成という僧が鉛粉の白粉を作ったということで”あしぎぬ”や綿、布を賜り、褒められたという話だな」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【あしぎぬ】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　太めの糸で織られた絹布です。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　”悪し絹”が語源とされています。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
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. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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725： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:58:01 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　「そういや持統天皇は女帝だったかお」
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　／_∩　　ー‐　　　　＼
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　　　　　　　　　　（＿_＿_／（＿/

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|　　　　　　　　「女帝なら、綺麗な化粧品作る人には褒美をあげるわよね」
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
726： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:58:25 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「このことから、律令時代から、白粉が日本においても作られていたことがわかる。

　　　　　.　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　そしてその白粉は昭和に入るまで、千四百年近く用いられた」
　　　　　　　　　 . ／　ノ　　＼＼
　　　　　　　　　　|　（●）（●）.　|
　　　　　　　　　.　|　　（__人__） /ヽ　　 ./´}
　　　　　　　　　　 |　　｀ ⌒´　{ 　{ 　 /　/
　　　　　　　　　.　ヽ　　　　　ﾊ　 L/　/
　　　　　　　　＿＿ヽ　　　　 /__.〉　　　ん-､
　　　　　　／ :　　: :介.〈::::〉.介.〃＿_　 /　, ヽ
　　　　　　 | : : : : ::〈　｢｀{::::}　!　{　＿__）{_ /　,ﾊ
　　　　　　 | : : : : : /: |　{::::}　!: :l :＼__, -､. ￣_/:ヽ
　　　　　　 | : : :　〈: :│ {::::l　|: : 〉 : :ヾヽ　Ｚﾝ: : : :｝

　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/　　　　　　　　　「つい最近……でもないのよね」
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

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727： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:58:41 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　「八十年位前になりますね～」
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　「歴史やってると過去に対する感覚がめちゃくちゃになるお」
　　／. 　　　―― 、　　　, 、―― 　　　＼
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ..|.　　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　　　 |
　　|.　　　　 ´"''",　　　　　"''"´ 　　　　 l
.　　＼. 　　　　（　　　 j　　　）　　　　　／
　　　　＼　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
728：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:59:01 ID:XeSfx.W.: 古代の文化圏がおかしすぎるだけなんや……
729： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:59:06 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_
.　　　　　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ
. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
.　　　　　| !　i:::::l　　　　ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ＿ノ　　　　　　　　　「日本における白粉というのは、この鉛粉のものだけになるの？」
.　　　　　　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈
.　　　　　　 l::::::::l　ﾉ　　　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　　　　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　　 l:::::::///::::::::::: !:|
.　　　　　　　ヽ:::!:::i. 、　　ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|
　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
.　　　　　　　　　　　 l::i:::::!　　 /:::::::／:!::/:::l
　　　　　　　　　　 _,.r-j/:::/　　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',
　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l
.　　　　　　〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|
.　　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|
.　　　　　ヽ:.:〉ー――ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.:: l::.::.::.::.::.::l:::::::::i
　　　　　　 lヽヽ.ﾟ:｡:+ﾟ:*:|::.::.::.::.::.::.::.: l::.::.::.::.::.::l:::::::::j
.　　　　　　j::ヽヽ_*ﾟ_+｡ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.::l::.::.::.::.::.::l::::::::/

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「いや。鉛粉以外の白粉も存在していた。
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まず、平安時代には糯米を粉にした白粉が
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あることが延喜式などに記されているな」
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

.
730： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:59:36 ID:bMttHh86: 　　　　　「江戸時代にも、糯米を用いた白粉は存在していたが、

　　　　　　　　　　　鉛粉の白粉に比べてノリが悪く、粗悪な品だとみなされていたようだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　　　　　　　　　　 ‐=――ﾆ=‐
　　　　　　　　　　ィi〔//{　　　＞｡./ ＼__
　　　　　　　　／//}＞'i　　　　 l　ヽ／＜ヽ
　　　　　 r‐=≦/　 {　　|　　　 |　　　　＼
　　　　　 |　 {　　　ｉ　　|　　　 |　　　 l　　ヽ
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　 |　　　 |　　　〈
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　八　　 !　　 / /ヽ
　　　　　 |　 {　　丁￣{　　　 /￣￣　}　　/ /　/　　　　　　　　　　　　　「残当」
　　　　　 { { ‘，　　,x笊うﾐ　 /,ｨ斧丐/　 / /　/
　　　　　 {{ ',　，　ゝVツ　ヽ/ 　 Vツ/　:/ /　/
　　　　　 }}　ﾟ。＼_＼　　　　　　〈/ / /　/|
　　　　　 l!　　＼ {　＼　　 '　　　／ /　乂ｨ｜
　　　　　 |　　 //|　 |　へ　 ^　,ィ /／　}//ﾍ :|
　　　　　 |:　　{/,'|　 |//{ﾆ≧≦ﾆ}77{ 　:|///} |
　　　　　 |　ィi〔｜　{///ヽﾆ／ ///{　 :|///} |
　　　　　 |/ニﾆﾆ|　 i ⌒＼ｉ:ｉ／ゝ< i　 :|=:＞｡!
　　　　　 {ニニﾆ:|　/　　　 T　　　　:l　 :|ニニ:}
　　　　　 iニﾆﾆ:／　　　　 |　　　　　＼|ニニ:ｉ
　　　　　{::ニ::/ 　　　　 :|　　　　　ﾏﾆﾆ:}
　　　　　 Ⅵ /――――――=‐　＿＿ ∨=:〈
　　　　 :=:{///////////}//////////77/ /
.　　　　　 l}八//////////,'i//////////,'八,′
.　　　　　 |Ⅵﾍ/////////人////////イ__/ |
.　　　　　 | ﾏ=:∧≧=‐‐=≦≧=‐‐=≦ニ=:,'　|
.　　　　　 |: Ⅵ=:∧￣T¨¨　lゝ‐=≦//ﾆ二:.　 |
.　　　　　 |　∨二:∨/}　　 :.　　 {/:/二二/　｜
.　　　　　 |:　 ∨二∧i　　 l　　ｉ /ニニ:/ 　 :|
.　　　　　 |　　 ∨ニ∧　　　　 /ニニ:/__　　|

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731： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:59:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　⌒　⌒
.　　　　　　　｜　　 ( ●) (●)
　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　「そしてもう一種類、水銀を原料にした白粉もある」
　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　_,イ　ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　,.　-─‐-´ 　 l　　ヽ,＼__､_ﾉ7
/´　　　　　　　 :i 　　ハﾍ､;;ヽト、
. : .　　　　　　　　:i　　　ﾊ〉:.;〈ヽ＼､_
, : : . ＼　　　　　　:L_＿　 v;;;;ﾍ ' ,＜. ヽ
. : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
!: :　　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　.´: : : .　 ' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
: : : : .　　.γイ: .　　　　　　 ' .,　 ':;;:|　 l、__j.|

　　　　　　　　／三三三三三≧ｭ､　　:/　/　　　 l
　　　　　　　　　 /,ｨ三＞''´ 　 ,ィ ⌒＜三:/　/　　　　｜
　　　　　　　　／　}三{ 　　 ‰　　ィ示ﾐ /　/ﾆ≧、　 :|　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 /∧} 　〃　／////}/ イ＼(K　　 |　　　　　　　　　 /|
　　　　 l　　　 // ∧ 　ff: 　////// ∠_/　　　　　　|:　　　　　　＿＿/ :|
　　　　 |:　　　{j　　　 {{　八/////(＿　　　　　　 :|　　　　　／　　 /　 }　　　　　　　　　　　「水銀でありますか」
　　　　 |　　　 |　　　　乂　　^¨¨´　Ⅳ　　　　　 |　　　　　　ｘ==ミ/　 /
　　　　 |　　　 |　　　≧ｭ､｀＜zzzz少　　　　　　　　|　　　　 γ }笊ﾍ　/
　　　　 |　　　 |　　　　｀''＜≧ｭ､　　　　　　　　　　|　　　　　んノ刋 }}
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　^¨¨｀　　　　　　　 :|　　／た/(_　/
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　／　φ/Ⅳ /
　　　　 {　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　　　ゞ-ｨ /
.　　　　八　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^¨¨´ /
　　　 |　∨　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /
　　　 |　 ∨　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‰　／
　　　 |　　∨　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／

.
732： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:00:19 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「おう、水銀だ。

　　　　　　　　　　　　そのほかにも突っ込んで調べれば

　　　　　　　　　　　　　いろいろ植物性の白粉とかあるのかもしれないが、

　　　　　　　　　　　　　　日本における白粉の代表格はだいたいこの三つということになるだろう」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
　　　　　　　　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　　　　　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　　　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣｀-ｰ‐'"

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌─────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　..〇鉛白粉（鉱物性）.　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　..〇水銀白粉（鉱物性）.　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　..〇糯米白粉（植物性）.　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└─────────────┘

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733：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:00:59 ID:XeSfx.W.: 鉛といい水銀といいなんでこう物騒なことになるのか
734： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:01:19 ID:bMttHh86: 　　　　「その中でも現代において過去の『白粉』という言葉がさすのは

　　　　　　　　　鉛粉製と水銀製の二種類だと思っておいていいだろう」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|　　　　　　　　　　「和名抄に曰く『之路岐毛能（しろきもの）』と
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>　　　　　　　　　　　　『波布邇（はふに）』がそれで、
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　　　　　　　　前者が水銀白粉で後者が鉛白粉の名称になる」
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【和名抄】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
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. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　　正式には和名類聚抄（わみょうるいじゅしょう）という、平安時代の事典です。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
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azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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735： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:01:46 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「波布邇に関して、錫の粉と混同して『一名を胡粉である』としている古書も一部あるが、

　　　　　　　　　　これは今日においては明確に誤りだといっていいだろう」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　｜　　 ( ○) (○）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__　　　　　　　　　　　「とはいえ、鉛の古名が錫であったことを考えると
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |　　　　　　　　　　『その時代には』それで正しかったってことになるんだが。
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､　　　　　　　　　　この辺りは多少ややこしい」
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l　　　　　　　　「時代と共に定義が変わってしまったわけね」
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
736： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:02:25 ID:bMttHh86: 　　　　　「それで、今回見ていく京白粉なんだが、

　　　　　　これは波布邇、つまり鉛白粉のこととなる」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　　「この鉛白粉、基本的な作り方というのはごく簡単で、
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　　やろうと思えばご家庭でも作れたりする」
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ヽ／|＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　 |_＿＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ、　_ノ＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　（○）　（○）＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　（___人__）　　..＼
　　　　　　　　　　　　　　|　　u　　ﾉ　　　ヽ,　　　|　　　　　　　　　　　「マジでっ！？」
　　　　　　　　　　　　　　.＼　　　（/⌒ﾉ´ﾌ　 .／
　　　　　　　　　　　　　　 .　.>　　 .￣￣´　　<.

.
737： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:02:49 ID:bMttHh86: 　　　　　　「マジ、その作り方の基本は、鉛の塊を酢にぶっこむ。

　　　　　　　　そして待つ。以上」

　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　｀ーﾞ　　丶__　-　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　( ⌒ )　　( ⌒ )　　|
　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｗW　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 _,ﾉ　　|
　　　　　　　　　　　　　　　!　　ゝ__ゝ‐ ´　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　7￣｀> ‐―　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　ぃ　　　　 /　　/　　　　　｀T.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　〉ﾊ　　　人　V´ ￣￣　　 l.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　,. ｲ / ,.ｲ .i l/　／／ﾄ､/ ,　-─‐　　 l::::::::',
　　　　　　　　　　,.　. : : : : //／/ヽV ／／　l: : :〈　　　　　　 jﾄ､:.:.::',
　　　　　　　　 /: : : : : : ://: : :/　「￣`7　　l: : : :(´￣￣　　ﾉl　ヽ:.:ヽ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

鉛を薄く片にし酢にて蒸して採る。数度蒸し獲れば鉛漸々に減ず　　【重修本草綱目啓蒙】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　 f¨¨¨ア　　　/　　　 |　　　　　　/　　　＼　　＼
　　　　　　 l　　　 ′　　　|　　　　 /　　　　　}　　　　､
　　　　ｌ　　｜　　 ,　　　　｜　　　 ,　　　　　 |　　　　　＼
　　　　|　　｜　　 ,　 /　　　,　　　　/　　　　　　,　　　　　　 /
　　　　|　　｜　　 {斗ｬ允― ,　　　/ ＿＿　　/　　　　　　/{
　　　　|　　｜　　 | ｉ|　　/　八　 /　}　　/ ミｔ､　　　　 /　,
　　　 ,　　i|　　　|　,x笊示ﾐ　,　,'　　イ云笊x　　　　 / 　i}
　　　 { 　 i|　　　|i〈 hr (　　　V 　　ぃし(　 )〉　　　　／　 ,
　　　　 , 　 ,　　　{　ゞ= '　　　　　　ゞ==ｼ /　　　／　　 /　　　　　　　　　　「雑ぅ！」
　　　　，　,　　叭　　　　 ,　　　　　　　　/　　　//{　　 /{
　　　　　， ‘，　八　　　　　　　　 /　　　 {///7 /　,
　　　　　　 ,　　,　　　　　　　｀　　　　 /　　／i{///ア
　　　　　　 ‘，八　 {　l　.　　　　　　　 / 　／　∧⌒',　　　,
　　　　　　　＼{∧ l　|　＼　　　ィi〔=,/ ／/　 //∧　〉　　，
　　　　　　〈// } ＼i!　　 /爪ニﾊ,　/ｨ　 ,　　{∨//7∧
　　　　　　/ 　^　,　　/ﾆﾆ〈 ,//笊ﾆ{／　 /! 　 |i ∨///∧
　　　　　 //二ﾆ/　 /ニニﾆﾆ{ {} }ﾆ≧≦ﾆ|　　|≧s。/,／　　　‘，
.　　　　 {二=/　 /ニニニニニニニニニ|　　|二ﾆﾆ≧s。
　　　　/　 |二/　 /⌒⌒TT⌒‐=ﾆニニﾆﾆ|　　|二ニニﾆﾆｉ　　　＼
　　　 /　　|〉/　 /{　　　 | ｌ　　　 /i　　　 i|　　|二ニニﾆﾆ|　　　　＼
　　 ,　　　{/ ,／― ＜　i! !　　 /　! ＿___ i|　　| /＼二二_|　　　　　　＼

.
738： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:03:13 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「もう少し詳しく説明すると、酸の腐食を受けない器に酢酸……食用酢で構わない……を入れ、

　　　　　　　　その中央に鉛の棒を立てる」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　（⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　（__人__）
　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜￣: :｀: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :/: :rｰ弋､: : : : :'; :.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : !: :/　　ヽ＼: : : :' ; :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! / : : ! /　　　　 l!　ヽ '; :.! :l　　　　　　　　　　「ふむふむ、それから？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: : /ﾊl-－　　　T ￣ヽ! !: :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : i l´.j ＿　　　 ,＝= .人 :l
　　　　　　　　　　, -－-､_　　　　l: ;ｲ:l　'"⌒`　　　 ::::::: レﾉl
　　　　　　　　　r'´ﾉ､　　l !　　　 jﾊl lﾍ ::::::::　　 '　　　 /'´ l
　　　　　　　　　（'ノ7 _ .r　l　　　　　｀Tヽ、　　ｰ　'　／ : : !
　　　　　　　　　 Y￣) ７　/　　　　　　 l : : ＞-,　_ イ/ : : ノ＿
　　　　　　　　　　ヽ、　　 L_ 　　　　　 !: : /-,! イ´./ ;イ_ イ　ヽ
　　　　　　　　　　　ヽ　／　!　　　　　/l: :/に大ﾆ}/:/　 /　　　 !
　　　　　　　　　　　 / ﾝ　　 !　　　ﾉ7// -' ノl!_V:/ l　/　　　 /
　　　　　　　　　　　 !'　　　　 l 　／/ j/　／ / __!/フ /　　　 /
　　　　　　　　　　　ヽ、　　 ! /　 !　|　l! 　 l　! j!　!./　　　 /
　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ／ﾉ´　　',_ﾘ .l!c　ヽ!__lノ./ 　　 /
　　　　　　　　　　　　　　V_ノ　　　　|　　l!.　　　　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ハ　 l!　　　　 /　／　 !
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /　 l　 l!c　　　/／　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　./　　 !　l!　　　ノ　　　ﾉl

.
739： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:03:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　（⌒ ）（⌒）　　　　　　　　　　　　　　「以上だ」
　　　　　　　 |　　　　（__人__）
　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜￣: :｀: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :/: :rｰ弋､: : : : :'; :.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : !: :/　　ヽ＼: : : :' ; :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! / : : ! /　　　　 l!　ヽ '; :.! :l　　　　　　　　　　「オイオイオイ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: : /ﾊl-－　　　T ￣ヽ! !: :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : i l´.j ＿　　　 ,＝= .人 :l
　　　　　　　　　　, -－-､_　　　　l: ;ｲ:l　'"⌒`　　　 ::::::: レﾉl
　　　　　　　　　r'´ﾉ､　　l !　　　 jﾊl lﾍ ::::::::　　 '　　　 /'´ l
　　　　　　　　　（'ノ7 _ .r　l　　　　　｀Tヽ、　　ｰ　'　／ : : !
　　　　　　　　　 Y￣) ７　/　　　　　　 l : : ＞-,　_ イ/ : : ノ＿
　　　　　　　　　　ヽ、　　 L_ 　　　　　 !: : /-,! イ´./ ;イ_ イ　ヽ
　　　　　　　　　　　ヽ　／　!　　　　　/l: :/に大ﾆ}/:/　 /　　　 !
　　　　　　　　　　　 / ﾝ　　 !　　　ﾉ7// -' ノl!_V:/ l　/　　　 /
　　　　　　　　　　　 !'　　　　 l 　／/ j/　／ / __!/フ /　　　 /
　　　　　　　　　　　ヽ、　　 ! /　 !　|　l! 　 l　! j!　!./　　　 /
　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ／ﾉ´　　',_ﾘ .l!c　ヽ!__lノ./ 　　 /
　　　　　　　　　　　　　　V_ノ　　　　|　　l!.　　　　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ハ　 l!　　　　 /　／　 !
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /　 l　 l!c　　　/／　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　./　　 !　l!　　　ノ　　　ﾉl

.
740： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:04:26 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「この状態で数日放置しておくと鉛の棒の、

　　　　　　　　　　　酢酸に浸されていない、露出して空気に触れている部分に白い粉が吹いてくる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

　　　　　　　　ﾞ,ヽ
　　　　　　　　 }ヽ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ　　　　　　　　　「あら、酢酸に浸された箇所じゃないのね」
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　　　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　｀　　　　　　｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{
　　　　　　　　ﾊ　 'iヽ　　　　　　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　　　　　　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　､＿_　　､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　　　　'/ﾆ/　　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　　｀'　　　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　　　　　　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　　　　　　ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ノ. . . . . . . . . >. . .

.
741： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:04:50 ID:bMttHh86: 　　　　　　「あぁ、その白い粉が白粉の原料となり、

　　　　　　　　　水で溶いたり、あるいは植物油で溶いたりして化粧品として用いたわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -―-､＿　＿.／⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}　　　　　「本当にお手軽に作れたのねぇ……」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |

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742： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:05:28 ID:bMttHh86: 　　　　　　「質を問わなければ、だがな」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　「この白粉の組成は炭酸鉛（ＰｂＣＯ３）で、
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　鉛（Ｐｂ）と酢酸（ＣＨ３ＣＯＯＨ）が反応してできたものだ」
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
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///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
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　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
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　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'　　　　　　「やっぱりご家庭では、高い品質のものは
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|　　　　　　　　　つくれなかったわけなのねぇ」
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

.
743： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:06:03 ID:bMttHh86: 　　　「この反応の特殊性は酢酸が蒸気の時に初めて反応がおこることにある」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　、__,ィ、　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 V　ﾍ _ノ-､　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､丿_ ,.　　　 /}　／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　　　　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､:
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._// : :
　ヽ}､ .i　 { r-､　　人ｭ､　　　　　　　 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'､: : : : 〉二ﾆ／ : : :
　　　⌒}､└i　'トィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
　　　　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :

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　　　　　／⌒｀　 l l::::::::::::::::::::::::::::ｌ::
　　　　　　　＿,,∠l ト､＿＿::::::::::::::ｌ;　　　　　　　　　　　「酢酸蒸気でしか反応が起こらないから
　ﾉヽ　（￣￣｀弋! lフ'￣:::::::::::::::::::ｌ
　　　　　　　　　　 l l::::::::::::::::::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　お酢に浸されてる部分は変化しないってことかお」
　　　　　　　　　　 .!l:::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　､,,,､::ｉl::::::::::::::::::::::::::::/
　Ｊ　　　　　.....::::l:: 　　　:::::::::::::::::/
　　ゝ､,,,,,,,;;;;;;;;;ノ　　　　　::::::::::::::/

.
744： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:06:27 ID:bMttHh86: 　　　　「その通り。そしてもう一つの特殊性は

　　　　　『この反応は表面だけにとどまらず内部までいくらでも進んでいく』というものだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l　　　　　　　「それはどういうこと？」
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
745： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:06:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「酸化反応の多くは物質の表面に組成された酸化物質が

　　　　　　　　　　内部の保護膜的な役割を果たし、その結果、ある程度で酸化反応を押しとどめる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.: : :´: : : : : : : :｀: . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ: : : : : ; : : : : : : : : : : ｀ .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: ,: ィ: : ／/∧: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ｨ7: : : :／　/:ハ: :i: : : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' ´ ﾉｨ: : ; く　 /'　　i: :|: : : : : : : :: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　 ' /／,､　 ∨ 　　 |: |: : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　＿. . . ､-― . . ￣ . ト､　　,ｲ ! 込,　 ',　　　 |:.|: : :i: : : : : : : : : :,'
　　 ,. . .r. .´. . . . . . .i. . . . . . . . ..|　ﾍ　ﾘ　ｰﾟ'　　　　ヽ ∨i: :ﾘ: : : : : : : : :/
　　i. . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . . .ハ　 ∨ 　　　　　　≧､ヽﾑ: !: : : : : : : :/
　人. . . . . . . . . . .ノ＿＿＿__人　'　､ﾊ　　 ´ 　　　入ヽi: :|: : : : : : , '
／　ヽ､. . . . . ｰ. ´. . . . . ｀. .ー‐'―／: :ﾍ　､　　　　　'ｰﾟ´ }:ﾘﾚ´ﾌ: ／
　　　　　｀　＜. ., r‐.-. ､. . . /. . .／:／＞ >　 `　　　　　 _､_ﾚ_ ノ'´
　　　　　　　　/. . .ヽ.ー. --=＝.７._._._≧'ー｀＝r‐=‐ : : : ＞´　　　　　　　　　「炭酸鉛はそうじゃなく、表面よりもさらに中心部まで
　　　　　　　 i. . . . . . . . . . . .≧´7/i_r/.r＞: ´,: :_:＞＜三､　 ,､
　　　　　　　 !. . . . . . .／.￣. . . . . - =＝＜. ´.-.-.-.-≧､三y三ム　　　　　　　　　酸化がどこまでも進んでいくということ？」
　　　　　　／. . . . . ./. . . . .ヽ.ｰ. ´. . . . . . ,､. . . . . . . . . 7ﾆ,'三ﾆ/
ー-､　 ,／. . . . . .／.o. . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . ../三三ﾔ

.
746： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:07:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そういうことだ。
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼　　　　　　　　　おそらく鉛が白粉の原料として選ばれたのも、
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|　　　　　　　　　この性質を利用すればほかの鉱物よりも、
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{　　　　　　　　　　　同量の原料でより多くの白粉を生産できることと無関係じゃないだろう」
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　／⌒＼
　　　　　　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
　　　　　　　　　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ　　　　　　　　　　「同じだけ材料を用意するなら、
　　　　　　　　　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　　　　　よりたくさん白粉が取れるほうが、いいですものね～」
　　　　　　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
.　　　　　　　　　　　 {: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
　　　　　　　　　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　　　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　_{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
　　　　　　　　　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
　　　　　　　　　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　　　　　　 /:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

.
747： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:07:41 ID:bMttHh86: 　　　　　　「前述した殷末期の白粉もこの炭酸鉛で、古代ローマなどでも時代や地域を超えて愛用されまくった」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　「この鉛白粉は欧州の富裕層や売春婦の間で
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二千年にも及ぶロングセラーとなっており、
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ　　　　　　　　　　　　品質の上で最高とされていたのは英国製のものだったらしい」
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　 /　　/＞''”　 /　　　　　　　　　　　|　　 ', 　 ≧s｡.,_
　　　　　　 /　/￣　　　 ,′　　　　　　　　　　｜　　 ,　　　＼　≧=‐,
　　　　　　　　/　 i{　　　　　/　 |　　　　　　　　　　 |　　　，　　　 }　　　，
　　　　　　　 ,　 /7　　　　　ｌ　　|　　　 |　　　　　 i|　　　 ,　　　 i|
　　　　　　　　 // l　　　　　|　　|　　　 |　　　　从　　ｉ|　　　　 |　　 l
　　　　　　　f / 〈｜　　　 |　　|＿＿_｜_　　　　/＿_　　 }　　　　 |　　 |
　　　　　〃　＼　　　　 |　´i|　　　 |　　　 /　　　｀　, 　　　 |　　 |
　　　　　　 /　　　　＼　　　|　,x笊云ミｔ､　　　 / ,斗笊ﾐ　,　　　　从　ｉ|
　　　　　〈　　　　ｌﾊ　　 ,〈　ぃ//(　 |　　　/ 　h//(　〉,　　　　/
　　　　　〈　　　　/,'ﾊ　　，　乂^)少｜　／　　乂)少 /　　　 /　　　 ,
.　　　　　 / ∨　　〈//∧ 　，　　　　 |／　　　　　 / 　　 /　　　 /
　　　　　 /　　∨　〉///,}　　　　　　　　　　　　　　从　　 /　　　 /
　　　　　　　／＼///＞'　　∧　　　　　　 _ ｀　　　人　　 /　　　 /
　　　　 /　　{　／77| ＼　　 ∧､　　　　　　　ィ /　　 /　　　 /　　　　　　　　　　　　「ほほう、ブリカス、小癪であります」
　　　 ,　　ア7////!|　　＼　　∧≧s。　　　　　　 ,　　／} 　　／
. 　　/ 　〈/////／i|　　　ヽ　∧二ニ≧=≦　　 / ／　｜／|
　　 /　　　 ,//,／　ｉ|　　　 |　＼ ∧　　}ﾆf^ﾊ　　 ,／　　 |‰　|
. 　/　　　ゝ'　　　 i|　　　 |　/, ＼ｉ}　ｉ}笊, ∧　　　|　　 |　　 |
　/　　　　　　　 |　　　 |イ二ﾆ=‐＜ {{}}乂_＼　i|　　 |　　 |
.　　　　　　 ‐=ﾆ二|　　　 |二ニニニニ乂二ニニﾆ|　　 |＿_｜
/　　　　　 /ニニニﾆ|　　　 |二二ニニニ｀_´ニニﾆﾆ|　　 |ニﾆﾆ,ヽ
　　　　 ,二二二二|　　　 |二二二ニニニニニニﾆ|　　 |二ニニ,}
.　　　　　 {二二二二|　　　|ﾆﾆ,／⌒Y　　　 Y　　 |　　 |二ニニ,|

.
748： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:08:08 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　 ⌒　　　　　⌒　＼　　　　　　　　「フランスとイギリスどっちが嫌いだお？」
　　　　　　　　　　／　　　　　／　｀ヽ　　 /´　｀ヽ＼
　　　　　　　　／　　　　（　　 ● l　　 l　　 ● |　ヽ
　　　　　　 |　　　　　　　ヽ_ 　_ノ　　ヽ_ 　 _ノ　　 |
　　　　　　 |　　　　　　 ´￣｀（　　 i　　） ´￣｀　 |
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　ー‐ ＾ー　　　　　／
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　ｰ一　　　／
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　|　　　　　　　　‘，　　　　　　　　　斗ｬ七允　　　　　　 / 　 }
　　　　　　　　|　　　　　　　　　∨　　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　/　　 }
　　　　　　　　|i　　　　 jI斗ｬ=∨　　　　　　/　,jＩ斗劣ミ　　　　　　　 /
　　　　　　　　| 　 z七さ＾　　　　ﾊ　　　　/ ,ｲ//,刋 }/ }　　　　　 ,　　　 ,
　　　　　　　　|　　　＼ {＿_　　 { ‘，　　 / 　h//(　　 i|　　　　　 /　　 /　　　　　　「どっちも死ねであります」
､　　　　　　 |　　,ｨf斥爪刋ミ　|　‘，　　 ′　込z少　　从　　　　 /　　 /
. ＼　　　　 | ‰笊////(　　ヽ!　　} 　 /　　　¨¨^´ 　 %　　　　 /　　　/
. ＼＼　　　 { ﾏ( ぃ乂/ﾉ爿　　　 | 　,′　　　　　　 ,　　　　 /　　 ,/
.　　＼＼　　　‘，　乂⌒少´　　　　　|／　　　　　　从　　　 /　　 ,/
.　　　＼〉,　　　，　　　　　　　　　　 ,　　　　人　　　 / 　　 ,′
　　　　 }/}　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 /
　　　＿|/!　　　　∧　　　　　　　　 t ﾕ　　　　 /　　　,/ 　　 /
　　 l///,'|　　　　ﾏ>　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　／{　　　/
＜-,l///,'| ＼　　　 ∨=≧s｡.,_　　　　　　　　　　　/ 　 ,／　 |　　 /
　　≧=‐く　i|＼　　　∨二二二≧s｡.,＿／　　　 , 　／　　　| 　,/
　　　　　　　 |　＼　　,∨　 |ﾆ=,|　 |i　　　　　　 / ／　　　 i|　/

　　／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あー、話をつづけるぞ」
. |　　（●）（●）|
. |　　　（＿人_）│
　| 　　｀ ⌒´　 |
　 | 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「鉛白粉その品質の決め手は温度管理にあったようで、
.　ヽ　　　　　　/
　　ヽ　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その点で英国産の白粉は非常にきめ細かい上物ができたらしい」
　　　,7:./h::ﾌ<
　　 |::::.ヽi:::.ｿ|
　　 |:::::::::.｀´.:|

.
749： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:08:39 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「日本においては、この白粉づくりには
　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒　　　　　　　　　対馬産の鉛が原料として最上とされていて、
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　唐土と呼ばれる輸入鉛がこれに続く」
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V　　　　　　　「輸入ものより国産品のほうが質がいいのね」
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
750：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:09:11 ID:XeSfx.W.: ヨーロッパのお国事情は複雑っすね（白目）
751： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:09:47 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そして時は流れて江戸時代慶長年間、堺の銭屋宗安という人物が、
　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼　　　　　　　明国の白粉の製法を模倣して『銭屋白粉』を作った」
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、　　　　　　　　　　　「悪いがここでは製法はオミットするぞ」
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　　　　　「銭屋とかいう火の玉ストレートなネーミング、嫌いじゃねえお」
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

.
752： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:10:22 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それを追いかけるように小西清兵衛もまた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒　　　　　　　　『小西白粉』を作り、戦乱を終えた人々の装いを
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i　　　　　　　　大いに盛り立てた」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /　　　　　　　　「追いかけるようにというか追っかけでありますな」
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__
　　　　　　　　　　 {二ニﾆﾆｧ　　/　 i＿_γ　⌒　　ヽ廴
　　　　　　 /　　　　　∨ニニﾆ}　　,.ィi〔　　　　　　　　　ﾊ　(_
.　　　　　　/　　　　　 /∨ニニｧ　 / 　　　　　　　　 }/　}
　　　　　　　　　 /　 ∨／ } 　 {　　　　　　　　　　 ‰　ゝ,
　　　　　/　　　　 /　　　f　　|　　|　　　　　　　　　　ィi〔 |／　 }
　　　　　　　　 ,　　　__)k　i|　　ﾄ　　　　　ィi〔　　il　 i|＿__∧
　　　 /　　 /　　 ,　　 /　　ヽ|　　|/≧=‐=≦　 /　　 }　｜ / 　 }
　　　,　　　f　　　 i　　 i　　　 :.　　|　　　　＼ ,/　　 i|　 | 〈　　 |
　　 /　　 i|　　　 |　　∧ 　　 l　　|　　　　　 y　　　 |　 | ∧ 　i|
. 　/　　　 |　　　 |　　 l　T宀 i|　　|　　　　　 /　　　 |＿|　 ^ﾊ
　/　　　 i|　　　 |　　 |／^∨ｉ|　　|　　　　 {　　　　　　　　 },} }
./　　　　 |　　　 |　　 |　　ｉ} i|　　|　　　　　/　　　　　　　　 }＜

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753： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:10:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「江戸時代に入って、鉛白を作る釜は京、大阪、伊勢などに多く作られたが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この中で最も品質に優れていたのが京白粉だったとされている」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
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　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',　　　　　　　　「そのあたりは長い歴史がモノを言ってるんでしょうね～」
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
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.
754： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:11:11 ID:bMttHh86: 　　　　「作り手は各々自らの白粉に商品名をつけ、シェアを奪い合い、

　　　　　　　　　つぶしたりつぶされたりとごく自然な市場原理が働いていたようだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ
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およそ白粉は釜本ところどころにありといへども洛陽の製には及ばず。故に京白粉と称す　　　【雍州府史】

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755： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:11:32 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、各地方の産の白粉間で京製品が最も良いと格付けが済んだら、
　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　次はその京の中でのシェアの奪い合いとなるわけだが」
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

　　　　　　　 ,.-、
. 　　　　　／ﾞ(_ )､　　　＿＿＿
.　　　　（ _ノ"　i 　　／　　　＼
　　　　　ゝ、　〈　　／　 ―　　 ― ＼　　　　　　　　　「うーんこの長く苦しい戦い」
　　　　　 ,〃ﾍ　ﾄ／　　（ ●）　（ ●）ヽ
　　　　 7　,　弋　│　　　　　（__人__）　　 |
　　　　　ｉ！　　＼＼　　　　し′ 　　/
　　　　　ヽゝ､　　 .＞　　　　　　　　　_／
.　　　　　｀＞｀- ,_ 　 ,.-､　　　　　　　＼
. 　　　　〈　　　￣　´) 　　　　| 　ﾊ
　　　　　ゝ--― -､__.ノ　　　　 |>　　!
　　　　　　　　　　｜　　　　／｀''"　_／
　　　　　　　　　　 | 　　　　　 `く__, ｨ"

.
756： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:11:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「都での土産に必ず選ばれた京白粉、それを売り出す名代の店が

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　都大路に軒を並べ大いににぎわった。
.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　,ノ　　＼ Y⌒i　　__　　　　　　　元禄十六年には十六の店が京白粉の名店として名前を挙げられている」
　　　　　|　（●）（●） | 　| 　./　.)
　　　　.　|　　（__人__） .|　 |　/　./
　　　　　 |　　｀ ⌒´　ﾘ　 i_/　./
　　　　.　ヽ　　　　／　　,｀弋ヽ
　　　＿＿ヽ　　- γ⌒ヽ　Ｙ´ ,｀ヽ
　／ :　　: :介〈　　`ｰ､く　〈::...ノＶヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ､　｀ヾ＿/　//:|
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|

　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_
.　　　　　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ
. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
.　　　　　| !　i:::::l　　　　ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ＿ノ
.　　　　　　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈　　　　　　　　　「ということは少なくともそれよりたくさん白粉の店はあったんでしょうね」
.　　　　　　 l::::::::l　ﾉ　　　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　　　　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　　 l:::::::///::::::::::: !:|
.　　　　　　　ヽ:::!:::i. 、　　ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|
　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
.　　　　　　　　　　　 l::i:::::!　　 /:::::::／:!::/:::l
　　　　　　　　　　 _,.r-j/:::/　　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',
　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l
.　　　　　　〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|
.　　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|
.　　　　　ヽ:.:〉ー――ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.:: l::.::.::.::.::.::l:::::::::i
　　　　　　 lヽヽ.ﾟ:｡:+ﾟ:*:|::.::.::.::.::.::.::.: l::.::.::.::.::.::l:::::::::j
.　　　　　　j::ヽヽ_*ﾟ_+｡ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.::l::.::.::.::.::.::l::::::::/
.　　　　　　/::.::.}::}+｡:*ﾟ:+|::.::.::.::.::.::.::.:l.::.::.::.::.::.:|::::::/
. 　　　　　,'::.::.::.|::|｡:*ﾟ:+｡|::.::.::.::.::.::.::,'::.::.::.::.::.::.!:::/
　　　　　 i::.::.::.::|::ト-'^ｰ-!::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.:ﾄ（
　　　　　│:::.::.::|:l.+｡:*ﾟ:+|::.::.::.: ／::.::.::.::.::.::.::∧
.　　　　　 l::.::.::.::|:!ﾟ｡+｡:*ﾟ|::.::.／::.::.::.::.::.::.::.／::.:ヽ

.
757： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:12:25 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「この十六の店舗、どうやらいずれもどこかの国の国司の役目の名をつけていたらしい。

　　　　　　　　　　　その国のお抱えの店であることを示していたんだろうな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　「そしてこれらの名店はいずれも御所の近くに店を構えており、
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　それがまたブランド力として大いに有利に働いたようだ」
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |
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例）車屋町夷川上ル上村河内、富小路姉小路神田山城、烏丸夷川井上長門

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758： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:12:47 ID:bMttHh86: 　　　「これらの名店の品は、もちろん御所の女官のご用達になっていただろうし、そのことは大いに宣伝になる。

　　　　　ただし、身分の高い人々は鉛白粉を用いなかったんだがな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ノ　 '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　 (⌒ ) (⌒ ).i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__） i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　ﾉ
　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　　 |
　　_. }　}　　 r 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　 ∧､　　　　　　|
　 iハi　i　　 {　'､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. . . . . .｀ -.. _,. イﾄ､ヽ､, ____,__ ノ
　 }　}-､i、　ゝ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　＼、　___〈
　.ヽ/ .ﾊ,_￣{、　　｀､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　　ｨ´:::.V、
　　 i　ﾘ　)　ｉヽ,　　i､、____　　　　　　　　　　　　　　／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,√〉:.;〈 r .ヽ＿,.
　　ヽ,}　{-､　ﾆ-、　ヾヽ .: :｀ﾆ=-- 、＿　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧}::::::',} : : : : : .`､
　　　　｀ -､_　　　　ﾉ｀} } : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ=-､＜ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧:::::::', : : : : : : .ヽ
　　　　　　　　｀＜､__ﾉﾉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ : : : : : : : : : :＞、: : : : : : : : : : : : : : : : ∧:::::',: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　｀ﾆ彡" : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧:::', : : : : : : :.r
　　　　　　　　　　　　¨ｰ=ﾆ二､_ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :Λ::} : : : : : : :.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨｀-- 、＿ : : : : : : : ＞' ´　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　ー　´　　　　　　　　} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　─　　　─＼　　　　　　　　　「今でも皇室関係で露出した品は大人気になったりするそうだお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 ∩ノ ⊃　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　＼　／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼　“　　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／

.
759： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:13:12 ID:bMttHh86: 　　　　「やがてこの京白粉の中でもどうやらランクが出来上がり、

　　　　　主に三段階の品質に分けられるようになる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|　　　　　　　　　　　　「上が生白粉、中が舞台白粉、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,　　　　　　　　下が唐土（もろこしのつち）とランキングされる」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

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極く細末の宜しきを生白粉という。その次を舞台香という―芝居役者の使うおしろいなり―。
その次を唐の土という。安き白粉也。　【都風俗化粧傳】

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　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　 l ´｜￣ | ￣八｀　　　　　　 ´i| ￣￣　 7ミ　 ,
　 ,　　　　 il　 i|　　 |　　　　，　　　　　　 /　　　 /　　　,
　，　　　　　ｉl　 i|　―|　――　,　　　　　　　/　―― / ―　 ,　　　　　　 /
　　，　　　　 ,ィ笊芋芋云ミｔ､，　　　　 ,　,ｨ爪芋芋笊ミ､　　　　　　　 //
.　　，　　　　〈(　h {////(　　　　，　　　 /　　h {////(　　)〉　　　　 ,///
　　 ∨　　　　＼乂⌒^)Z少　　　　､　　 ,　　乂⌒^)Z少／　　　　　　/〈//　　　　　　　　　　　　「土扱いは草はえるでありますな」
　　　 ∨ 　　 ∧　^¨¨¨¨^´　　　　　＼　/　　　｀^¨¨¨¨^ /　　　　　　 /　∨/
　　　　 ,　　　　∧　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　 ,　　　　　 ,　　ﾏ/
､　　　，　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　 /
　，　　 |　，　　入　　　　　　　　　 '　　　　　　　　 /　　　　 /￣',
　〉　　i|　　，　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 ,　∧ ∧
. /　〉　i|　　，　　|　　　　　　　　　 ´ ｀　　　　　　　 /　　　　／　 |!∧ ∧
/　/,/，|　　　ヽ　ｉ|　　　〕ト　　　　　　　ィｉ　　/　　　 ,　　　 |/,∧_∧
/7///Ⅵ　　　＼,　　　　 |二＞　　　　　＜二|i　/　　　／　　　 |//////
//////,|i　　　　　 |　　　　/‐=ﾆ二≧=≦二ﾆ=‐',　　　／　　　　　 |//////
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////,/ i|i　　　　　 |/　　　　 ,/　/二二ﾆ∨∧　／　｜　　　　　　 |i ∨//

.
760： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:13:32 ID:bMttHh86: 　　　　「こうなってくると、やがて白粉自身も利便性を求め様々に変わりだし、いろいろな形をとりはじめる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　「変わってくる、というと」
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
761： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:13:57 ID:bMttHh86: 　　　「白粉の塊を水に溶かして用いる『かたまり白粉』だけではなく、

　　　　　　　　あらかじめ液状に溶かれた『水白粉』、

　　　　　　　　　固形ではあるが、水分をやや含んだ『練白粉』、粉末状の『粉白粉』などが誕生したんだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r ´二ニフ、
　　　　　　　　　　　　　　　 _ 　　/　 '´,. 二ノ⌒
　　　　　　　　　＿＿_.-‐'´ `-i/　　γ_)⌒）（⌒)
　　　　_,.＜￣￣　　 : : : : : : : : l　　 r/´（___人__）
　 _,.＜　　　　 : : : : : : : : : : : : :l l__ノ　　｀ ⌒´ﾉ
　l,,　　　　 : : : : : : : : : : : : : : :ﾉﾉ　|　　　　　　　|
　l; : : : : : : : : : : :-─＜二二´　　ﾄ　　　　　　 |
　＼ : : :￣`'''''´ノ : : : :l`-, : :`-＜ヽヽ,　-ｰｰr´
　　　＼ : : : : :'´ : : : : : l : :l :＼`-‐ヽ　ゝ--< lヽ、
　　　　　＼ : : : : : : : : : : : l : : :＜ : : :∨∧::〈ヽ: :､>＞、
　　　　　　　`‐,_ : : : : : : : :l : : : : :ヽ : : ∨ |:Λ | : :ヽ : : :ト-､
　　　　　　　　　 `-, : : : : :l : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::| l : : :/ : : : : : ,
　　　　　　　　　　　＼ : :ノ: : : : : : : : : ＼ : .､:::|,| : / : : : :l.: : {
　　　　　　　　　　　　 V: : : : : : : : : : : : : :ヽ: ',::ｌl: / : : : : :l : ∧
　　　　　　　　　　　　　V: : : : : : : : : : : : : : :ヽ:V : : : : : : :l : :.∧

　 |　　　l　　　　ｌ　　ｌ　　　　　　　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　',
　 |　　　|　　　 |　　|　　 {　　　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |
　 |　　　|　　　 |　　|　　 ∨ 　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　 ‘，　　　　　　　　　　「なるほど、そういうことでありますか」
　 |　　　|　　　 |　　|: 　　 ∨　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |
　 |　　　|　　　 |　丁￣￣　∨　　　｜￣￣丁 =‐}　　　　　 //}　:　　}
　 {　　 {　　　{　㌢芯云ミ ‘，　　 | /芹芋丐ﾐ､|　　　　ィi〔／　 }　　 :
　八　　 ',　/　　:　ゝ比//(　　＼　　|　 K{//}Ⅳ/:　　　//
.　　∨　 ∨ /　 ',　:{ 乂)こｼ　　　＼｜ :乂)こ少　|:　　//　　　/　}　　　‘，
　　　∨　 ∨ /　ヽｉ　｀¨¨^´ 　　　＼　｀^¨¨¨´　!　　}/廴__／　 /
.　　　 ∨　 ∨ /　八　　　　 ,　　　　　　　 |　　{////　　 /　　　　　∧
　　　　＼　∨:/　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　 | ∨ ｀''＜zzz/^}　　　 / ∧
　　　　　　＼ ∨　　　＼　　　　-　　　　　　　　　 |　∨　　　　///ヽ　　　　/ ∧
　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　　　　　　／｡s≦|　　　　 //////〉　　　 / ∧
　　　　　　　　　^ ＼　　　　ｌ　 .　　　　ィi〔二ニﾆ:|　　　　　/ ＼//,/　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　 | ＼　　 ! 　 ≧≦ﾆﾆrﾏ二二二|　　　　 /　　ゝ '
　　　　　　　　　　 |　　ヽ　:|　　ィi}二ﾆ:|　　　　　 |　　　 ,′
　　　　　　　　　‐= |　　　＼ニニ:/ニニ|　　　　　 |: 　　/＼
　　　　　　 /二ニﾆ|　　 /二二二ニニニゝ≦ニニ:|　　 /　　 ≧=‐　､
　　　　 /二二二| 　 /=:≧=‐ニニ:r -----ニニ:|: 　/二二ニニニﾆヽ

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762： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:14:17 ID:bMttHh86: 　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ　　　　　　　　　「それじゃ、私たちが今使ってるファンデーションなんかは
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　　　　　　　　　　粉白粉の子孫、という感じになるのかしらね」
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ　　　　　　　　　　「素材なんかの違いはあるけど、そう考えてもいいんじゃないかな？」
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

.
763： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:14:34 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「で、さらに紙白粉というのも出てくる。

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　たぶんこれは白粉付きの油とり紙で、
　　　　　　　　　　　 -｀　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ´ 　 ●）(● ）　　　 |　　　　　　　崩れた化粧の応急的な補修工事に使われてたんだろうな」
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　　.f　　　　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　＼/
´ . 　　　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|
.　　　　　　|　　| 　　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |　　　　　　　　　　　　　　「補修工事いうなや」
.　　　　　　|　./|　　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |
.　　　　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　　　 .|　　　ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　｀　|　　ﾆ=-　　＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　　ﾏ/∧

.
764： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:15:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　「塊白粉はおいておいて、水白粉、粉白粉、練白粉の三種類には

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鉱物性の原料と植物性の原料がもちいられていて、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　粉白粉は植物性の原料が多く、練白粉と水白粉は鉱物性のものが多かった」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　「今日から考えれば植物性の原料が多いほうが、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　　　　体に対しては害が少ないと理解できているわけだが、
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,　　　　　　　　　　　　　　　　　いかんせん植物性は鉱物性に比べて白粉の
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノビやノリがよくないという欠点があった」
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　-‐/ｨ }
　　　　　　　　／:::::::::::::// Y'⌒　､
　　　　　　　　　,　"::::::::::::::,:ｲ'"} ／ヽ　　＼
　　　　　　　　　'::::::::::::::::／　{　　⌒丶!::::::::::..
.　　　　　　 /::::::::::::::／　　 |　　　　　ﾏ::::::::::.　　　　　　　　　　　　　　　「あら～」
　　　　　　　∥::::::::::/　　　 ,　　　　　　 i:::::::::::::i
　　　　　　　i::::::::::::.' `ニ､'´　　　､　　　}::::::::::::}
.　　　　　　　{::::::::::{ 〈 {:::ｿﾞ　　　　, ミｰ　i:::::::::::ﾘ
　　　　　　　}:::::::::i　　　　　　　　ﾑ:ｼ〉.':::::::::∥
.　　　　　　/i:::::::::i　　　　　,　　　　　/:::::::::::/
　　　　　　/::::|::::::ﾑ　　　, 　_　　　　/:::::::::::ｲ
　　　　 /:::::::i:::::::::..､　　 ‐- '　　　/:::::::::::::::|
.　　　　 /:::::::::::{　r‐=i丶　_　　...:イ::::::::::::::::::|
　　　　/.::::::::::::::::::｝　i`ｰ‐-‐‐ ´ 7::::::::::::::::::::|
　　　/::::_r‐‐-‐ｲ　 }　i_　!　_ /｛:::::::::::::::::::::|
　　 ,　'´　i　｝ }　}　.／　　-‐ ﾏ　ﾞｰｫ､::::::::|
. 　 ′ 　/ / /　,' /　　-‐‐‐-､｝､　 i　` ､::i
　 i　　　i / /.　 ' i　　　　─- .Y　i　　{　　ﾞ
..　!　　　} y'　./　| 　イ⌒ｰ'´/.　 {　　i　　　i
　 }　　x'´　./ 　.!　　 !　　　/　､.　､　ﾑ　　 |
　,' 　∥ {　｛／　　ｲ　　｛　　ﾞ.　｝ .i;　　{
..,'　　'!　ﾞ､, '.　　　 /八.　　　ﾏ.　}　,'　,'　　 i
　　　゛x '　　　　, ' |　ﾑ　　　＼　 /　　　|
　　／　　　　/　 i　 |　i.､.　　　Y　　　l
　 .'　　　　　,.ｲ |　 |　 |　|ﾑ　　　　ﾏ　　　i

.
765： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:15:22 ID:bMttHh86: 　　「それだったら……健康被害とかを知らなければ鉱物性のものを使うわよねぇ」

　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
.　　　　 / : :/: : : /.:/ : : : : : : ／: /　　　　 //　　　　　 }: : : : : : ∧
　　　　　　.: : ;: : : :/.:/: : : : : :／_/_/_　　　　// 　　　　 {: : : : : : :.∧
　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ
.　　　　 : : :{　 /:./V　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｰ' / //　.}: : / 　 |
.　　　　　 : : :|　{.: .ヽ|　　　　　　　　　　　　　｀¨ 　 ,　　.|: /.　ﾍ|
.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
　　　　　　｝: : : ｀ー= 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
.　　　　　　｝:.Ｖ: : :∧::::Y:..､　　　　γ⌒　ーy 　　　ﾉ
　　　　　　　｝: :Ｖ.: :.∧:::|. . ＼　　｀　　一 ′　　イ
.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
　　　　　　　　＼　 ∨ : ∧　　　: : :/ }: : : : /∧ : ∧￣|　　|　/　　/￣￣）

　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　.｡＜}
　　　　　　　　　　　　　‐=≦　　/ ¨¨¨¨／　　　 i　__
　　　　　　　　　　.｡＜　　　　 /　　　 }　　　　　}　　＼
　　　　　　　　 ,《//　　　　　 :/　　　　:.　　　　ｉ　　　＞｡.
.　　　　　　 / //　　　　　 :/　 /　 / }　　　　 }　、　　＼ ≧=―‐
　　　　　　　/ //f　　　　　 :.　 /　 /　:.　　　　 /　 }　　　　ヽ　　　}
　　　　　　 / ///!　　　　 {__廴_:/__　|:　　　 /　　:.　　　　　}　　 :i
　　　　 / /　/{　　　　 i,x芹ミｔ､ /: 　　 /　 l　}　　　　　ｉ
.　　　　 / f　 / ｉ:　　　　　㌣にじ(_　 :}　　 /云ミｔ､i　　　　 .: 　　 {
　　　　/　:{　＞｡.　　　　 { | 乂こｼ　 :　　/ んう㍉　　　　 /　　 /　　　　　　　　　　「jud。鉱物性一択であります」
　　　 / 　ｉ　　　 ∧　　　:i｜｀¨¨´　　} ／　乂ｼ /:　　　　/　　 /
.　　　/　　 {　＼　/∧　　 { :!:　　　／　'　｀¨^/　　　　 /　　 /
.　　 /　　　＼　 7//:〉　ｉﾟ。　　　　　　 ∧　　　 /　　　/
　　/　　　　　＼:/／ﾟ. 　 :|＼＼　　　こ　　 // 　　 /　　　/
.　/　　　　／　} ¨　　＼｜　　　　　　　／/　　　 /　　　/
　′　　　〉/77/　　　 / { ＼　　　　　　／　/　　／|　　　/
/　　　〈////　　　 /　}////ｧｧ＞＜　__ /　／　 :　　 /
　　　　　∨//　　　/　/≧o｡、//___}　／//}:／　　　} 　 /
　　　　　　 /　　　/ ／i:i:i:i:i／i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:＼///i 　　　 i ／
　　r====:/　　　/ } ＼ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ}￣:|　　 |　　　|
　 /二二/　　　//　　　｀＜i:i:i:i:i＞'"´　ﾏ {　　 |二ミｔ､
. /二二/　　　//　　　　　　　￣}　　　　　マ　　｜二二
/二二/　　／　　　　　　｀ Y ´　　　　￣ミｔ､二二ﾟ。

.
766： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:16:18 ID:bMttHh86: 　　　　　「で、バリエーション豊かになった白粉は、当然ながら商品名も様々に誕生した。

　　　　　　　　現在でも伝え聞かれる名もある一方で、おそらく数限りなく消え去ってったのだろう」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　巛.4゛＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　⊂￣　ヽ,,
　　　　　　　　　　　　　　　O(((<ヽ　　 ~゛.-=ニニi　　　　　　　　　　　「丁子香、蘭の露、菊の露、京の水、油の香などと
　　　　　　　　　　　　　　　.＼^（ .|_,,,,....,,,,_|　　 .|
　　　　　　　　　　　　　,,.. -=彡￣　　　 .|　　　.|,,丶　　　　　　　　　　　　　いろいろな商品名があったが、
　　　　　　　　　　　／　／.　　　　　　　　|　　　 | ＼＼
　　　　　　　　　　／/ _/ 　_,,...,,_,. ..,,＿＿,」、　　 |　＼　＼　　　　　　　　　　そのネーミングにも、人気を得るためのキーワードがあった」
　　　　　　　　 .／y' 　> ／　　/　ノ　　　　!＼.　　|　　 Yコl二i
　　　　　　　　/」 / .／._（　　ノ　　　　　　　　　　 .|　　　! .　ヽ!
　　　　　　　 /　イ .i￣　＼、＿＿＿＿＿,,... -ー''　　　 |　＼i
　　／￣￣＼ |　ヽ、　　　　　,,,,.. ー-＜＿,,...　　　　　 |　　　|
　　 {　　　　　　＼ノ　～彡='^゛　　　　　i＼　　　　　　 .| 　　 |
　　 {　,ー、　　　　ヽ　　　　　　　　　　 |　゛ヾ　　　　. |　　　|
　　（￣人￣）　　　　 }　　　　　　　　　 L,,_　　　　　 .|　　 .|
　　（●）（●）　　　|　　　　　　　　　　|゛ー-= 、　　|　　.|
　　　ヽ　　　　／　　　　　　　　　　　.!　　　　!~゛～　　. |
　　　　　＼＿＿／　　　　　　.　　　　　ヾ　　　 !　　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 !　　　　 .|

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　／　　　_ノ　ヽ､_.＼　　　　　　　　　　「1970年代のタカトクとかクローバーのロボットアニメを
　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　　　|　　u. 　（__人__）　　 |　　　　　　　　　　　　　思い起こさせる話だお」
　　　　　　　　/　　　　 ∩ノ ⊃　　／
　　　　　　　　(　＼　／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　.＼　“　　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／

.
767： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:16:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　「お兄ちゃん、そのキーワードというのは？」
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その時々の人気の役者の名前がそれだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼　　　　　　　　　　　これのもっともわかりやすい例は元祖上村吉弥で、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　自ら木屋町四条で『上場吉弥白粉』の看板を出して白粉を売り、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/　　　　　　　これが大当たりしたということだ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【上村吉弥】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　現代でも名跡を受け継がれている歌舞伎役者さんです。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　初代上村吉弥さんは十七世紀中ごろに女形として活躍し、一世を風靡しました。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　帯の結び方のひとつ、吉弥結びはこの方がきっかけで流行したものです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
768：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:16:54 ID:XeSfx.W.: また懐かしいロボットを
769： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:17:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　⌒　⌒
.　　　　　　　｜　　 ( ⌒) (⌒)　　　　　　　　　「あとはやはり、御所関連をにおわせるネーミングも多かったようだ
　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　『御所お上り白粉』とかな」
　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　_,イ　ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　,.　-─‐-´ 　 l　　ヽ,＼__､_ﾉ7
/´　　　　　　　 :i 　　ハﾍ､;;ヽト、
. : .　　　　　　　　:i　　　ﾊ〉:.;〈ヽ＼､_
, : : . ＼　　　　　　:L_＿　 v;;;;ﾍ ' ,＜. ヽ
. : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
!: :　　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　.´: : : .　 ' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
: : : : .　　.γイ: .　　　　　　 ' .,　 ':;;:|　 l、__j.|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ　　　　　　　　「ロイヤルパワーでありますな」
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

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770： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:17:27 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あてらの娘時分のことどすかいな。こおつと……、あれはなんていいましたかいなぁ、そうそう丁子香どす。
”かくし化粧に丁子香”いうて流行りましてな。水白粉ですがな。普段はそれをつけましたわ。
そしてお祭りやお盆やいうて厚化粧するときには生白粉を使いました。
五分角の塊でそれを水で溶いてぬるんどす。
四条の麩屋町に下村さんという古いお店がありました、そこへ行ったらお化粧品は何でもそろてました。
フタ茶碗を持って”かたねり”を買いに行ったこともおしたえ。

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　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　「それと、その当時世間で評判の高い遊女の名前も商品名としてよく用いられたらしい」
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【かくし化粧】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　目立たない程度のお化粧のことです、今でいうナチュラルメイクでしょうか。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　水白粉はどうやらこってりとした厚化粧に用いるものではなかったようですね。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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771： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:18:00 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これは大阪の話になるが、大阪の白粉仲間が幕府より

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　公認許可を受けたのは安永十年（1781）であり、
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）　　　　　　　その許可株数は七十六であったとされてる」
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧　　　　　　　　「それじゃ、大阪には一番多くて七十六の白粉屋さんがいた、ということ？」
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
772： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:18:24 ID:bMttHh86: 　　　　「公的な許可を得ないモグリに対しては当然敏感で、

　　　　　　　　また仕置きも相当きつかったらしいから、そう考えてもいいかな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　　　ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!

　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　　　「まー、それでも目をくらましてたやつはいたかもしんねーお」
　　　　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　　　　r､／　　　　　　　　　　＼r 、
　　　　　　 |:l1　　　　　　　　　　　　l;l:|
　　　　　/|｀｝　　　　　　　　　　　｛ ´|ヽ
　　　　ノ `'ｿ　　　　　　　　　　　ゝ' `ヽ、
　　　　/´　 /　　　　　　　　　　　　ヽ、　ヽ
　　　　＼. ｨ　　　　　　　　　　　　个‐´
　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 |

.
773： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:19:47 ID:bMttHh86: 　　　　「だが、白粉業界は発展しても、高級品の水銀白粉はいうに及ばず、この鉛白粉も、

　　　　　　なかなか庶民の手に届くことはなく、多くは伸びの悪い、植物性の白粉を使っていた」

　 /　　　､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　　　　　 /:::::｀ヽヽ　　　　　ヽ、
. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,　　　　　　　「それでも化粧品に金かけられるだけマシって見方もできそうだお」
. l _,,.-' -.､　ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　　　　　　　 i
. l. /:::::ヽ .l　　　　　｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 |
　l ヽ::::ノ　　　　　　　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /
　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　　､　　／　　　　　　／
　　i　 l　　　 l-―‐''´　　　 ',.　　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　　／',　　　ヽ-‐''"　　　　　　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　 .ヽ　　,.--..,,_　　　／　　',　　　　　 ,.-''"￣ヽ　 ./　　　／
　　　＼｀ヽ　　ヽ__／　　／ヽ.　　　　｀ヽ　　　｀ｰ'　　　 {
　　　　　＼ヽ　　　　　　　ヽ　　｀　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ

.
774： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:20:08 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「そうしたわけで京からの土産として白粉は重宝し、

　　　　　　　　　およそ女性のいる所帯に持っていけば必ず喜ばれる品であるとされていた」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　-───＜_　　｀ヽ
　　　　　　　　 ,　´　　　　　　　　＼　ﾉ　　　　　　　　　「鉄道唱歌に歌われてたのにも、そんな背景があったわけなのねぇ」
　　　　　　　　/　/　　／三｀Y三＼　＼
　　　　　　　 ,'　 ′ 　/／´ 　　｀ヾ|　ヽ|
　　　　　　 |　 , 　　 |'＿_,ノ　　`ｰ┤　| |
　　　　　 |　 | 　　 | 　＿- 　 ,ﾆ､{ |　| |
　　　　　　　 ',　| 　｜ﾚ'´　｀　　　,,V　ﾊ|
　　　　　　　 |　',　 Ν''　　＿_　　ﾉ /
　　　　　　　　|　＼|_`ﾆ=r ｀ﾆ´ｒ＜_V|
　　　　　　　 | 　/´ |　ﾚﾍ　　/V |　ヽ|

.
775： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:20:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、京白粉はこうしたように江戸時代全期間に亘って大いに栄えるが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二十世紀前後に急速にその市場を縮小していくことになる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　 ,　＜////////＞､
　　　　　　　　　　////////　‐-　､////＞､
　　　　,ヘ　　/////////////////＼//// ＼
　　　 |　　＼///////////////////＼////ﾊ
　　　　|　 ////ヽ＼　{⌒＞‐- ､////////////∧
　　　　|　i//////,ヘﾚ´　　　　＞､./////////∧
　　　　ﾘ {//////レ´　　　　　/´　ﾆ≧､.///////∧　　　　　　　　　　　「明治維新前後でガラッと変わるものは
　　　　　|//////|　　　　　　　　ｲ弋ヾ＼//////∧
　　　　　|//////|　　, -　　　　　　　ヾノ　 .∨/////∧　　　　　　　　　　　　このスレでも何度も出てきましたよねぇ」
　　　　八/////i　/　　ﾆ　　　　　　　　　　 ∨/////∧
　　　　.　 ∨////∨　/弋ヽ　　　　　　　　　ﾏ/////ハ
　　　　　　∨///ﾊ　ヾ `ｰ'　　　´ 　　　　　　 }//////∧
　　　　　　　∨////＞　　　　　　　　　　　　/ﾘ///|///∧
　　　　　　　八//////ゞ_ヽ　　　　　⌒　　　/　 |//ﾉ///ｒ‐=‐-ノ
　　　　　　　　∨ノ￣　　ｱヘ　＿　＿　／.　　N/　￣　７
　　　　　　　　　∨　　　 ´`ヘ///////＼　　　　　　　　/
　　　　　　　　　/　　　　　;,ｲ　} --‐=ｖ'´　 }　　　　　／/
　　　　　　　.　/　　　　　/　し　{ 　Y　　　　　　　／　/
　　　　　　　 /　　　　　/　　　　7　　＼　`ゝ　　　　／
　　　　　　　i　　　　ｿ／　　　ヽ彡　　＞　　　＜

.
776： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:20:56 ID:bMttHh86: 　　　「いや、今までとはちょっと違う。

　　　　　　　この鉛白粉の衰退に関していえば、明治以降の海外からの

　　　　　　　　カルチャーショックが原因というわけではなく、鉛の毒性が周知されてきた、というのが最大の原因だからな」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　ｲ
　　　　　　　　　　　　/ !　　　　　／!
　　　　　　　　　　 _ /　|＿　　／　 i
　　　　　　　／: i , .」: : : :｀＞　､/
　　　　　　　　/: : ／:／: : : :／"',ﾊ:ヽ
　　　　　　　 ': : : : :./:/:/:／　　,ハﾄハ
　　　　　　　i: : : : :/:/:ｲ/　　　　,'　」ﾑﾊ
　　　　　 ,: : : :,':ｲ: ﾑ-‐_ﾆ　 / ´,ﾆ､ﾊ!
　　　　　　　 ',: : :r'ｲ< !弋ﾘ　｀　　ﾚ゜ﾙ'
　　　　　　 ,ﾊ: !､ゝ'　　　　　　　'　i'　　　　　　　　　　「逆に言えばそれまでは知られていなかったわけね」
　　　　　　 |ハ: : ｀i　､　　　- ‐／
　　　　　　 |: : : : rへ _　 =　_／
　　　　　　 |: : :_ｨ'､. . r‐≧ﾍ
　　　　　　　 r＜／. . .＜_/ﾑﾍ｀ｔ
　　　　　　　,'. . . . . .ﾊ. . . __. .ト､. !,
　　 r――‐ｲ. . . . . . . ',. .=､_ﾔﾍ.｡ﾍ､
　　 '､::::::::::::,'. . . . . . /,´. . ＜・≧ヽ.ヽゝ
　　　＼:::::ｲ. . . . . /. {. . . . ﾊ. ﾍ. ヽﾊ. ﾚ,
　　　　 ' y. . . . . ∧. .;. . . . . ー. .´. /｡.ﾌ
　　　　ﾊ. . . . . Yﾚ,. ﾊ. . . . . . . . ./. /
　　　　　{/. . . . . ..ﾘ∧. . . . . . . . . . }.ﾊ
　　　　　Y. . . . . ..ﾊ　,}. .;. . . . . . . . i . ',
　　　　　 L-‐ﾆﾆﾆﾐﾚ'. .,'. . . . . . . . .{. . i
　　　　　　F-――.ﾍ＿＿＿＿. . . .i. . ',
　　　　　　i. . . . . . . ﾊ. . ｡. . . .i|. . . .ﾊ. .ﾊ
　　　　　 !. . . . . . . ..ﾏーr==ｲ. . . . .i. .f"
　　　　　　 |. . . . . . . . i. ./. . . i. . . . . |. .||
　　　　　　 'ｨ‐r―‐ｔ=ｰ'/. . . .i|. . . . ...|. .!|

.
777： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:21:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　「一つ質問であります」

￣￣　l　　　　　　/　　　　 |　　　　| 　　　　＼　　　　　＼
　　　 |　　　　 /　　　　　|　　　　| 　　　　　∧　　　　　 }
　　　 |　　　　 f　 |　　　 |　　　　| 　　　 /　}　　　　　 l__
　　　 |　　　　　|　 |　　　 |　　　　| 　　 |　　 l　　　　　 l　ヽ
　　　 |　　　　　|　 | 　　｜　　　| 　　 |　　 |　　　　 |　 l
　　　 |　　　　　|　 |＿_　　{　　　　| ＿＿|＿　 |　　　　 }　 l
|　　　｜　　　　 |　　　　ミ八　　 :| 　　 |　　 |　　　　 }　 |
{　　　｜　　　　 |㌢芯云丐ﾐ＼　 :|　/芯云丐ミ　　　 ,′ }l
‘，　 :|　　　　　|ゝｈr//刋　　ヽ　: 　ｈr//刋 /　　　　/　 /{{
　　　　{　　　　　{　{乂)こ少　　　＼{:　乂)こ少　　　　 ∧__　ⅱ
　　∨八　　　 ', i　　　　　　　　　　　　　　//　　　 ∧////
.　　 ∨　＼　　八＼　　　　　 ,　　　　　　//} 　　 /∨,/＜　∧
　　　 ∨ / ヽ　　　＼}　　　　　　　　　〈//　　　/　 }/＼} / ∧
　　　　∨　　〉､　 ∧　.　　　　 -　　　　　 /　　／　 /}///ﾍ / ∧
.　　　　∨　//∧/ ∧　　　　　　　　ィi /　／　　　//}////ﾍ / ∧
　　　　　 ∨///∧/　:}　＿　ヘ _ ｡＜ﾆﾆ/／/ 　　 /_∨＼///ﾍ/ ∧
.　　　　　　〉////∧　:!/　　／{ニニニ／　/ 　　 /　　≧s。,// / ∧
　　　　　 /////// ＼|　　 /＿:}　　　　/　/　　　 /　　 /　　　}￣　/ ∧
.　　　　 ////＞/　　/　　//ｉ:ｉ{ﾆ＞＜:/　/　　　 /＿__/＿_ 　 }　　　/ ∧
.　　　 ,' ￣ア /　　/7777/ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:ｉ:{　/　　　 ///////////ﾍ___ 　 / ∧
　　　 /　イ__/　　/=:∨,/i／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:∨ 　　 ///≧=‐ニニﾆﾆ二:ミｔ､/ ∧
.　　/　 {二:/　　/ﾆ/／＼i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:／/ 　　 /二二二ニニニニニﾆニ',/ ∧

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　　　　　　　　　　　「ん？なんだ？」
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　,　-―――-､
　　　　　　　　　　　／　　　__　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　/´　　　/´ ●　　　 __　ヽ　　　　　　　　　　「赤ちゃんのつくり方かお？」
　　　　　　　　　 /　　　　ゝ....ノ　　 /´● 　ヽ
　　　　　　　　　{　　　　　　 r　　　　ゝ- ′　　ヽ
　　　　　　　　ゝ　　　　　`ｒ-ｲ＿,)　　　　 |
　　　　　　　／　＼　　　　|r┬ｙ′　　　　/
　　　　　／　　　　`　､_　　　`ー'　　　＿／
　　　　　l　　　　　　　　`ー――‐-T´
　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　j

.
778： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:21:34 ID:bMttHh86: 　　　　＿＿＿_
　　　／,:' /,';;;}:　＼
..　／_, ｡ｨ' li:.､ヒァ' ＼　　　　　　　　　　　　「前が見えねえ」
／ ⌒';,ﾞi, ri:.:i .::' メ、＼
|　　　　,:' /,';;;}:.ヾ:.　　 |
＼　　　　　' {;!ﾞ'　　／

.　　　　　　　　　　　　　／..........／::::::::::::::::::;:　'",....'...丶...｀丶、｛
　　　　　　　　　　　 /.......广７::::::／＞'" .....'′ ..........l................≧=‐- ､
.　　　　　　　　　　 /......./:::::::::／...../..................................|..＼........................|
　　　　　　　　　　　　......./::_彡'′..../／.., . .....{..................| . ....l..............l.......|
　　　　　　　　　　 l......f′ ........... ′ ../.........｛ ................| .......| . .........| .....|
　　　　　　　　　 | ../} .................ｌ7.../............ハ .............| . .....|.............| ...！
　　　　　　　　 |./ ｛ .................|ｉ....|........l....}.....} ..,........|..ﾊ.._.| ...........l.......;
　　　　　　　　　 i|{ 　{i..................|ｉ....|........l....}.../../........仄｢}./.............;...}...{
　　　　　　　　八　 ':.................ｌi _｣､ .._厂}/}./........ｘｬｆ折^; ..............ﾊ..{
　　　　　　　　　／;::'ﾍ　　､.............＼抖ｬｆ折^ ﾊ......./ん'ﾝ//...........//　 .;
　　　　　　　　 `'く__;:xﾍ,　　`＼.........≪ｆてﾉﾉ　　 }／　¨´ 仏:′...// 　 }.}
　　　　　　　　 }√::::::､＼__l::|ｉ............{ ¨´　　　′ 、　 /../...... ':〈　　 .:′　　　　「鉛の害が知られていないということであっても、
　　　　　　　 /′:::::::::＼l＿|ﾄ..........｛`　　　　　,. 　／../...／.xくﾍ, //
　　　　　　　　　/..|:::::::::::::::::::}...川::＼.....个:　 _　　／|..../／八.{::::::::>く　　　　　　　　　それまでも鉛で体を壊した人はいたはずであります。
.　　　　　　　　/.....| :::::::::::::::::}/..八::::::＼｛:::([l):::ﾏ´l／|./....../::::､_;／:::::::::.,
　　　　　　　 /.......ｉ|::::::::::r ､:/../ ::::::::::::::::＼::::::::::¨´ ::！.......{::::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　　そのへんはどう認知されていたでありますか」
　　　　　　　..........八..........> '..√V^　、::::::::::::::::::::::::::::八.......ｌ::/:::::::::::::::::::::|;
　　　　　／......ｆ⌒' }=‐-‐ｧ./＼ {　　　＼ｒ…‐-　__::::::::::; ....|」:::::::::::::::::::::::ｌi
　　　／..........ﾉ　　｝‐=ｧ'./　　＾'ｰ-　 _{{　　　　／￣＾∧..l,ﾊ:::::::::::::::::::::八
.　　,.../.........（_　　　ヘ（{..;′　　　　　　　⌒ ｰ 'く _＿,,厶ﾊ.ｉ| | ::::::::::::::::::′...、
　 / /.............｛⌒'く　　Ｖ{　　　　　　　　　　　　　　　　　 l..| |::::::::::::::::/〉.........＼

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あー、そこ突っ込んじゃう？」
　　　　　　　　　　｜　　 ( ○) (○）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

.
779： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:21:59 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　_ .. -‐=.＝.=‐-
　　　　　　　　　　´∠二二二二二二ﾆ=- .._
　　　　　　　.／／⌒ . . . . . . . . ／ヽ. . . . =‐- 、
　　　　　 _/／. .. . . . ／.. . . . . . . . . .:.. . . . . . . .ヽ
　　　／〃. .. . . . .〃 . . . . . . . . . . . }. . . . :.. . . . :　　　　　　　　「そらそうよであります」
　　　 {//{. . . . . . . .{ . . . . . . . | . . . . ﾊ:.. . . .}. . . . }
..　　 ∧ ∧. . . . . . .l. . /!. . . . .!. . . . ′}. . . .}. . . . }
　　 /. .∨∧. . . . . .l ./｜ | . . | . . ./ /ハ. . ′. . ..;
　 . /. . . .∨∧ . . . ..l/ニ!ﾆl. ./'|. . / / 厂| / . . . . ′
　 /. . ./ . .∨∧. . . .l扞于ミ/　| ./l/扞于ﾄ . . . . /}
. /. . ./ . . . :∨::} . . .|込　ﾘ/　 .|/　込::ﾘ | . . .//. }
/. . ./ . . . . ./∨. . . .!"¨¨　　　　　 ¨¨゛　| . .//. .ﾉ
. . ./ . . . . ./ 八 . . . | 　　　　　　　ﾉ| .//／
. ./ . . . . ./ く:::/＼. .|ﾆ=‐-＿二_　 . .イ:::|/´
./ . . . . ./ . . . . . . .ヽ! ´::::＼　Ｘノヽ . . ヾl＼
. . . . . . ′. . . . . . /:::::::::r‐f T T T T Y. . . . ..＼
. . . . . ; . . . . . . .../:::::ｒｆ〃￣￣￣￣　ヽ、 . . . . .ヽ
. . . . . l . . . . . 厂厂｀Y　　　　　　　ノ }ト. . . . . . . :.

　　　　　　　　　　　　　　________　　　　　　　　　　　　「先ほども触れたように、この鉛白粉というのは、
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／）＼　　　　　　　　　　　ごく普通の暮らしをする女性の手にはなかなか届かない」
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　 l　/ ／／ _､,,.ノ　|
　　　　　　　　　　r　　　　　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |
　　　　　　　　　/　　　　ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____　　　　　　　　　　　　　　　　「宮中の女官や役者、芸妓や遊女といった、
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼　　　　　　　　限られた人々しか常用しないし、常用できないわけだ」
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

.
780： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:22:16 ID:bMttHh86: 　　　　　「そういった情勢の中では、鉛白粉による鉛害をこうむり、

　　　　　　　　中毒症状を起こした人たちは、乱暴な話だが一種の『職業病』のように捉えられていた」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
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　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
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　　　　|　　|　　　|　　 ./　　　　　|.|　＼　＼　　　　ヾヽ.|
　　　　/　　|　　　|　　/　　　　　|.|　　　＼　＼　　　 |＼|
　　　　| 　 .|　　ﾊ　 /. 　　　　　|.!　　　　＼　＼　　 |入ヾ、
　　　　|　/ |　　|::|./ー―-、...........||:::::::´￣￣ V　ヽ　 |　 |　ヽ　　　　　　　　「あぁ……、そういう感じで認知されてたわけね」
　　　　|/|　|　　/:::|ｋｒ---ﾄ、:::::::::::::::::::::ィ----ハ　　| 　|　ﾉ
　　　　　 V　　,':::::!|ﾊヽ____,,!:::::::::::::::::::::::ゝ____ﾉ::: V　| 　|ノ
　　　　　　|　　|ヽ　:::::::::::::::　´　　　　｀::::::::::::::::::　|V,'　 |::|
　　　　 .|　　|.ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 .|::|
　　　　　　 ',　 |:　∧　　　　　　　!　　　　　u.　／|　　 .|::|
　　　　　　　Vヾ　　|丶、　　　　　.　　　　　／:::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 | 　 |:::::::＞、　　　　　,　イ:::::::::::|　　 .|::|
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781：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:22:39 ID:XeSfx.W.: 限られた人、ねぇ……
782： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:23:18 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「それに、宮中の女官の病が外の語り草になるわけでないし、

　　　　　　　　　　　　役者や遊女たちはもともと一般人の理解の範囲外での生活を行っているのが当たり前だったので、

　　　　　　　　　　　　　普通の人々は白粉と病を結び付けて考えはしないだろうな」

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,　　　　　　　　　　「あくまでも『閉じた別世界での出来事』でしか
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||　　　　　　　　　　　　　　なかったというわけね～、ちょっと怖いわ」
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　　　　 j: : : i:|
.　　　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　　 ! : ,'　　　　＼＼／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　＼　　ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　ヽ.　／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ〉ヽ|

.
783： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:23:41 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼　　　　　　　　　「でも、お金持ちの方だったら
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ　　　　　　　　　　　　　　白粉を常用する人もいるでしょう？」
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|　　　　　　　　　　　　　　　　「そういう方たちはどうなるのかしら」
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)　　　　　　　　　　「何かの毒にあたった以上のことはわからないだろうな」
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　　　　　　　「そしておそらく、母親からの鉛害のせいで、
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼　　　　　　　　　　　　　　　　　新生児に異常があった場合には……」
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

.
784： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:24:06 ID:bMttHh86: |
|
|￣￣＼
| _ノ　＼＼　　　　　　　　　　　　　　　　「サンバのリズムで首コキャかお？」
|（●）（●)i
|.（__人__） i
| .｀ ⌒´　|.￣￣＼
|　.　.　　ﾉ_ノ　ヽ､.＼　　　　　　　　　　　　　　　「まぁ、産婆さんの役割ってそういうものだし」
|.　.　　/　（●）（●）ヽ
|　　　ヽ　（__人__）'　　i
|　　　　 |　　｀⌒´　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　「闇ふけえお」

.
785： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:24:52 ID:bMttHh86: 　　／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　　.f　　　　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　＼/
´ . 　　　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　「二重の意味で笑えねえであります」
.　　　　　　|　　| 　　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |
.　　　　　　|　./|　　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |
.　　　　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　　　 .|　　　ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　｀　|　　ﾆ=-　　＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　　ﾏ/∧

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　 |　　　　　　　　　　「そのへんの事情は西欧だって変わらないぜ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､'ーｰ´ 　 'J　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {　　　　　　　　　　　「ともかくだ、明治になると身分制度が一応除かれ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -ｰ´. : l : .＼　ｲ::::ﾊヽ{`、　　　　　　　　　　　以前よりは日常的に白粉をつける夫人も増えてきた」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
　　　　　　　　　　　　　　　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____
　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
　　　　　　　　　　　　,' : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r'　　　､ヽ .ﾉ : :|
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |　　　　r_ノ.: : : |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |へ-‐´ : : : :| : :!
　　　　　　　　　　　　　ｉ : : :: : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:ゞｿ: : : : : : : : | : :|
　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|

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786： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:25:19 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そしてそうなると、鉛中毒の症状が女性自身に、
　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼　　　　　　　　　また、その乳飲み子に現れたという訴えが多発した」
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／）＼
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　 l　/ ／／ _､,,.ノ　|
　　　　　　　　　　r　　　　　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |　　　　　　　　　　　　　「母の乳房の白粉が乳飲み子の口から摂取され、鉛中毒となったと考えられる」
　　　　　　　　　/　　　　ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

　　　　　　　　　／　　　　　＼: : :|　!: 、　　｀ー‐ ..:.:.　　＼:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : :
　　　　　　　／　　　　　　⌒ヽヾ:.i　i:.:.:＼＞'⌒ヽ:.:.｀ヽ: : : : ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞'´
.　　　　　　／　　／　　　／　　＼{　{＞》''`ー‐‐-＼:.:.:.＼: :..: :.｀ ‐ : :.:.:.:.:. :イ.:.:.:.:...＜
.　　　　　 { 　　（　　／／￣入ヽ V/　　　　　　ｒ‐-.....､｀ヽ:.ｰ‐-＜´: : . . . ..＿
.　　　　　 |　ヾ:::::ﾐ）　 .:{　　 ,ニ、 i　 lX　　　　　　　　 Y,ヘﾔミ.､ヽ::.､　　｀ー‐ｒ― ７⌒
　　　　　　 !:　 ::::::/　　::|　　/::　ゝ'　 !　＼　　　　　　　!!　 {{:::!!:ヾｖ/ﾊ　　　　 !ヽ :（　　　　　　　　　　　「なるほど……」
　　　　　　　|　::::::/　　八　ヽ　（　　　　　　＼　　　　　　　　ｒ'::ﾘ::::ハヾ:::.. 　　 !:.:.:.: :＼
　　　　　　　|　:::/　　　　＼＼ﾉ　　　　　　　ヽ　　　　　　＼::_/　　ヽ.ノ　　|:.:.: : : : :＼
　　　　　　　| ::/　　i　　　　　＼　　　　　　u.　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:i:.:. : : : : :＼
　　　　　　　|/　,:::　ﾍ　　　　　　＼　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　　　　 _＿ｊ:人: : : : : : : :
　　　　　／:.ノ:人　ヽ.　　　　　　 Y⌒ヽ　. ´　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　ｒ≪´/:.:.:.:.＼: : : : : :
　　　,.. : :´: :く　　　｀　　ミﾐ、　　　　　／､　　　　　　　　　　　　　　　　 {ﾟ/.》'_:_:_:.:.:.:. ＼: : : :
.　　（: : : : : : : : . . .　　　　　`＜　　／´ 　＼　　　　　　　　　　　　　　 ∨´　　｀ヽ:.:.:.:＼　　　　　　　　　「きつい話だわ」
.ー一｀ミ: :_: : : : : : ..、　　　　　｀　＜:.:ヽ＿　　ヽ　　　　　　　　　　　　ノ＿ __
::::::::::::::::::::::＼＞ﾄ､: : : : : ..　　　　　　　｀ヘ:.:.｀＞---: : : : : : : : : :ニﾆ=ー-　,′　　｀ヽ
:::::::::::::::::::::::::::}::::ヾく｀ー-ｘ､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＜´　｀ヽ　　 /｀ヽ
:::::::::::::::::::::::::::|::::::::ヽ}::::::::::＼ヾ: : : : : :￣｀: : ...: : : : : ::＜´￣￣　｀ヽ　　 .ｲノ⌒ヽ
:::::::::::::::::::::::::::li:::::::::::j::::::::::::::::＼｀ー―――――--､: : : :｀ヽ、　　　　／ :ﾄ､　　ﾊ
:::::::::::::::::::::::::::||＼::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　　 ,　　　　ヽ: : : : :.ヽ.　　／:j 　j

.
787： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:25:47 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「これらの小児病は『所謂脳膜炎』という奇妙な診断を下されていて、

　　　　　　　　　　　　　　母親の白粉との因果関係は明治中ごろまで解き明かされることがなかった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

　　　　　 |　　　　　　^　　　　　｀＜///∧　　　ミｔ､
　　　　ィi〔|　　　　　　ヽ　　　　　　　^ﾏ/∧　　　　　＼
　 r　　　　 |　　　　　　　ﾟ，　　　　　　　}//,}
　 |　　　 :|　　　　　　　　 .　　　　　　　i￣ ∧　　　　　　ﾟ。
　 |　　 l 　 |　　　　　　　　 :. 　　　　 |　　 ∧
　 |　　 l 　 |　　　　　　　| 　 l　　　　　 :| ∨　∧　　　　　　 }　　　　　　　　　　「鉛に害があるということ自体
　 |　　 l 　 |　　　　　　　| 　 |　　　　 :|　 }:　 ∧
　 |　　 l 　 {　　　　　‐=┼‐ :!　　　　　　|／　　:∧　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　知られていないのでは当然でありますか」
　 |　　 |　　＼　　　　ィ云ミｔ　　　　　／　　　　 ∧
　 {　　 |　　　＼　　l　{じﾘ/｜　　／　　　／　　／　　　　ｌ
　 :　　｜　　　　＼ }　^¨´　:|　　 //}　／　　／＼　 l　　　 |
　 ‘，　:　　　　　／＼　　　 | 　 /////} 　／＼　＼ !
　　ﾟ。 l　　 ',　ヽ　　　　　 :| 　ゝ‐=≦ア　/// ＼　∧　　　 l
　　八∧ 　　　　＼-　　　 }　　　 /　　 ∧////ヘ__{
　　　　　‘，　 ‘，　　 .　　　/ 　　 :/　　 /=}　＼/////＼　　　:
　　　　 ‘，　 ‘，　ゝ＜,′　　:/　　　/ﾆﾍ＿__:＼/////〉　　　。
　　　　　　　＼ :{ ∨　 {　/　　　 /　　　////////ﾊ　＼_／
.　　　　　　　＼＼　i /　　／　　　://////////}
　　　　　　　　　　　　ヽ〈　／//　　 /二￣ ∨//,i　　　　　 ',　　　＼
　　　　　　　　　　　　 / イzzz/　ィi〔ニﾆﾆ:＞｡.}///　　　　　＼　　　　＼
　　　　　　　　　 /∧ }　 / 〃二二二ニニニヽ　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　ｱ^:/ /二ニニニニニニニ}　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　 /　　/　/　{二ニニニニニニﾆﾆi

.
788： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:26:12 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「その状況が変わるのは、明治の中頃まで時を待つことになる」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|　　　　　　　　「鉛白粉の害が一般に知れ渡るようになったきっかけは
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>　　　　　　　　　おそらくは明治二十年頃の、
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　　　　　ある天覧芝居ということになるのだろう」
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼
789：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:26:21 ID:XeSfx.W.: 死人にクチナシ
790： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:26:45 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「当時五代目中村歌右衛門が、井上馨邸での天覧芝居の時、突然左右の手に震えが来た」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　「舞台を降りた後も度々その震えは現れ、
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　　いったい何の病気であるかということが全く分からなかった」
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

.
791： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:27:28 ID:bMttHh86: 　　　　　「その後、何度も診療を受けた結果、医師よりこの症状が鉛中毒であるという診断を受け、

　　　　　　　　　新聞などを介してこれが世に広まった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　「江戸時代にも、名優と呼ばれた沢村田之助が病のために

　　　　　　　　　　　　　四肢を切断する出来事があったが、今日になって考えればこれも鉛中毒だったんだろう」

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ　　　　　　　　　　　　「ちなみに具体的な鉛中毒についてはここでお話するよりも
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/　　　　　　　　　　　　　　　　　ネットや文献で情報を得ていただいたほうが間違いないと思います」
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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792： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:27:48 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「明治後期、鉛による健康被害が一般にも知られるようになったが、

　　　　　　　　　　　それでも白い肌にかける女の執ｎ……情熱はすさまじかったと見え、

　　　　　　　　　　　　　鉄道唱歌ができたころにも京白粉はやはり京都の土産物の代表であったようだ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/　　　　　　　　　　　「うーん、今はいろいろな化粧品の種類があるけれど……」
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　u.　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
793： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:28:09 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ　　　　　　　　　　「ほかにお化粧品の選択肢がないということであれば」
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　　　　 j: : : i:|
.　　　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　　 ! : ,'　　　　＼＼／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　＼　　ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　ヽ.　／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ〉ヽ|

　　　　　 |　　　　＿＿＿　/|　　|　　　　　　　　　　/
　　　　　 |　　　　/　　　　/ミ＜　|＿_　　　　　　　 /
　　　　　 |:　　　/　　　　/　}　　/}　　　　　　　　／
　　　　　 |　‐=≦笊芋≧o｡、 :/ {　　　　　／　　　　　 }
　　　　　 |: 　ﾏ{　　)///刈ﾏﾐ: /:　　　　／　　　　　　 /　　　　　　　　　「jud、ホライゾンも使うかもしれないであります」
　　　　　 | 　 { 　にﾏ//Ⅳ　ヾ,′　　　／　　　　　　 /
　　　　　 | 　 i　弋込Zｼ　　 /:　　　／　　　　　　 /
　　　　　 | 　 {　　　　　　 /:　　／{　　　　　　　 /
　　　　　 |　　i:　　　　　　 /:　／　ﾟ。　　　　　　 /
　　　　　 |　　{　　　　　　 /: ／　　　　ﾟ，　　　　　 /
　　　　　 |＼ :!　　　　　 /／　　　　　ヽ　　　　:/
　　　　　 |　　ヾ、　　　／　　　　　　／　　　　/
　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　／　　　　 /
　　　　　 |　　　　　　　　　　 , -　r ´　　　　 / 　　　　　 /
ﾟ。　　　　｜　　　　　　　　／　　　　　／/ 　　　　　　 /
/ﾍ　　　　:|＼　　　　　　／　　　　　／　/　　　　　／
//ﾍ　　　 {//＞｡.　　　　ｨ　　　　　／　 /　　　　／
///ﾍ　　:i＜/////＞＜｜　　　　／　　 ,′　　／
////ﾍ　　{///＞｡./}　　 !　　　／　　　:/　　／
.＜///＼ i＼/{////i　　 :}　　　／　　　 :/　　／

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　　　　　　　　　（女って……）
　　　　　　 |　　　（__人__）　　 u. |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼
.
794：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:28:28 ID:XeSfx.W.: こわい……
795： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:28:34 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「鉛白粉は健康に悪い、赤子の病の元かもしれぬ、

　　　　　　　　　　　そう知らされた女性たちの気持ちは脅かされ、不安にさらされる」

　　　　　　　　　　 ´￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 |´＼　／｀　　 '
　　　　　　　　 | (●) (● )　　 }-───── ヘ　　　　　　　　　　　　　　　　「美と健康のはざまで大いに悩む
　　　　　　　　 |　(__人___)　　ﾑﾑ: : : : : : : : : : :.ハ
　　　　　　　　　八　｀⌒´　　ﾑ|: ﾑ: : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　　　　　そんな世の女性たちの福音となったのは、
　　　　　　／: :∧　　　　　 ./　|: : ﾑ: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　 .／: : : :./∧　　　／　 .|: : : ﾑ: : : : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　　　明治三十七年（1904）に東京の伊藤胡蝶園から
　　　　／: : :: : : :': : :| ￣ﾆﾆ7＼ｲ: : : : :〉: : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　　(｀: : : : : : : : |: : :|ヽハﾆ7　　 |: : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼　　　　　　　　　　　発売された『御薗白粉』だった」
　　 (＼: :: : : : : ..|: : :|　　二.　　 |: : :＼: : : : : : : : :|｀ヽ: : : : : : : : : :＼
　　　|: : : : : : : : : : :> |　　ﾆﾆ　　 |: : : : :}: : : : : : : :.|　　＼: : : : : : : : : :＼
　　　|: : : : : : : : : /: : |　　.ﾆ二　　|: : : :/: : : : : : : : :|　　　＼: : : : : : : : : :)
　　　|: : : : : :八:.∧: : ! 　二二.　 |: : :/: : : : : : : : : :|　　　　　＼≦匕 : :./
　　　|: : : : : : : |V:∧: |　　二二|　.|: :/: : : : : : : : : : :|　　　　　/ : : : : : :./
　　　|: : : : : : : |　V:.寸　 {=== |　|:/: : : : : : : : : : : :|　　　　./ : : : : : :./
　　　|: : : : : : : | 　 Vﾑ　　|ﾆﾆﾆ|　|: : : : : : : : : : : : :.! 　　 /: : : : : : :/
　　　|: : : : : : : |　　 .Vﾑ.　|ﾆﾆﾆ|　|: : : : : : : : : : : : :|　　 ./: : : : : : :/
　　　|: : : :.＞'⌒￣￣￣￣￣￣/7ー‐㍉: : : : : : : :.! 　 /: : : : : : :/
　　　|: : : :／: : : : : : : : : : : : :／ /　　　　寸: : : : : :.|　./: : : : : : :/
　　　|: : : : : : : : : : : : : : : : :/___/￣{　　　　＼: : : : :| <寸: : : : :/
　　　￣￣￣￣￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　.　　r====ｧr―― ＜　　 }
　　　　　　　　　　　ィi〔　　///〃／　 , 　　　　 i＿＿
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　　　　　　　　 /　　　 /　:}　　　　　i　　　 |　　 /　　　｜
　　　　　　　　　　 /　 /!　　　　 | 　　 | 　 /
　　　　　　　 {:　　　 /　　＼　　　 |￣￣ }　/　　　　　}
　　　　　　　　ｉ　　 {　　　　ヽ　　㌢笊{　イ　　 |　　 /
　　　　　　　　|　　　＼　　　　＼　ゝ弋ぅ　＼　 } 　 ,′
　　　　　　　　|　　　　　＼　　　　{　 |:　　　　　/　:.　/
　　　　　　　　|　　　　　＿/ヽ＿__,'　｜　　　r /　 }　,′
　　　　　　　　|　　　／／///:|　ﾄ､　 :{　　　 /　八/　　　　　　　　　　　　　「ほほう」
　　　　　　　　}　　/／//／r=|　|ﾆ＼ ! ---　'　 /
　　　　　　　　 ,ィi〔/／　 {/|　|/77＼　　}　／
　　　　　　　　}〈//／　／___|　|‐=//} ＼／
　　　　　　　　　 ^　　　/二二|　|乂___ｱ:.}〈
　　　　　　　　　 {二ﾆﾆ|　|　 } }　＼i
　　　　　　 /　　　　　ｉ二ﾆﾆ|　|　//　　ヽ＿
　　　　 / 　　　　 :|二ﾆﾆ|　| //　　　　　ヽ＼
　　　　　　　　　 |二ﾆﾆ|　| /_　　　　　　　＼ヽ
　　　　 /　　　　　　　 /}T=:{T|　|　　ｌ　　　　　　　 ‘，‘，
　　　 /　　　　　　 {　}エi　|　|　　|　　＞――――=}
　　　 ,　　　　　　ｉ__i二|__|　|¨¨¨／//////////://
　　　　　　　　　　　　|ﾆﾆﾆ=|　|＿　}///////////ﾉ,′
　　/ 　　　　　　　 |ﾆﾆﾆ=|　|//77 ゝzzzzzzz＞ ´
.　/　　　　　　　　　　 |ﾆﾆﾆ=|　|////////////}

.
796： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:29:08 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　「この御薗白粉『純無鉛製にして殺菌消毒を施したれば安全この上なく』

　　　　　　　　　　　　　という謳い文句で発売され、世の女たちは一も二もなくこれに飛びついた」

　　　　　_　　
　　　　　| ) /.y )_　　　　　　／￣￣＼
　　　　　| |/./ / )　　　　／_,ノ　ヽ､,_ ＼
. 　　　　 ,j /./,/ / 　　　 | （●）（● ）　.|
　　　　 y ´,/　r ).　　　 |　（__人___）　　|
　　　　　', 　　　}/ 　　　 |　　　　　　　　|
　　　　　.j　　　 j.　　　　 |　　　　　　 |
　　　　jく、　　r.　　　　　　|　　　　　 |
　　　 ∧;､｀ヽ≧　　　　　　,ｨヽ　 _,__　ｲﾄ、
　　　/∨/7ゝｲv'´｀¨ﾆ=ﾆ7 1`‐-.,___ ,.." 八､_
　　 / ;厂////::ヽ;////////ﾍ　　ハ　　ﾊ////７ァｧｭ、
. 　 /::::j/////:::::::};////////∧ ∧::∧,///////////ﾊ
　/::::::{;////:::::::::j;'/////////∧/:::::∨////////////}
. ﾑ;、:;///〈::::::::::::ﾚ//////////∧:::::∧//////＼///ｲ
. ∨ヽ;////∨:::://///////////∧∧//////777'///|
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　　｀¨¨´￣｀´ ∨////////////////////////////.|
　　　　　　　　　∨///////////////////////////|

　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ　　　　　　　　　　「至極当然な話ね」
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　　　ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/

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797： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:29:39 ID:bMttHh86: 　　　　「実はこの無鉛の白粉は明治十一年に西洋からその製法が伝えられたが

　　　　　　　　　なかなか日本での実用化のめどが立たず、伝来二十六年にしてようやく世に出たわけだ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　//二ﾆ=‐　　　　　　 |　　　　　　 |＜⌒＼
　　　　　　 {=‐　　　　＿　　　 i|　　　　　　 |　 ,　　 ≧s｡.,_
　　　　　　 / ィi〔　　　　 /　　　　　|　　　　　　 }　 ‘，　　　　}　}
　　　　　 / {　　　　　 /　　　　 i| 　　　　从　ﾊ　　　 |　|
.　　　　f/i{　　　　 {　　　l 　 |　　　　　 /　l　　ｉ　　　i|　|
　　　　　ｱ i|　　　　 |　　　l 　 |　　　　 , 　｜　ｉ|　　　i|　|
　　　　ｧ　( |　　　　 |　　　 l 　 |i　　　 /　　i|　　ｉ|　　　 i}　}　　　　　　「有能といいたいところではありますが、
.　　　 /　 ∧　　　　　 li　―‐┼‐｜､　　,/　斗ぅ尤 ,　　　从,
　　　 {　　 ∧ 　　　 i|　 ≫ｧ==ｬミ　　 / }　 ≫ｧ=ｬ　　　 /　,　　　　　　　　　　　　　いささか遅いでありますな」
　　　 {i 　　 ∧　　　 |　〈 hr//(　| 　 /　} /h/(　 }　　　/　/
. 　　 ∨　　　∧　　　i|　　乂z少ｉ|　,/ 　 / 乂少/　　 /　/
　　　　∧　　__}/}　　　 |i 　{　　　　i|／　　　　　　/　　 /　/
　　　 / ∧　{//,'|　　　{ 　＼　　　　　　 '　　　/　　 /　/
.　　/　 /＜///,!　　　＼⌒^　　　　r　ｭ　　　〈ｨ　,/　/
　　/　 ‰//≧=‐＼　　　＼＞　　　　　　　／/　　′/
　 / ／//////〉　　＼　　　＼≧s。　　ィi〔　/　 ‰l /
. /　∨'///,'／|　　　　＼　　　ﾊ|ニﾆ爪　　 ,/ ／　 ,/
/　　 ∨/／　｜　　　　｜＼　　 }=笊 ∧ 　／　　　l
　　　　 ^　　　i| 　　　 i|　　＼　|={{}} 　ｱミｔ､　　 |

.
798： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:30:07 ID:bMttHh86: 　　　　「とはいえ、鉛害が知られるようになる明治二十年代までは『無鉛白粉』のアドバンテージはないに等しいわけだからな」

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :u : : : : : .,　　　　　　 :|　　　　　　　　　　　　　　「多少ひねくれた見方をすれば、
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●）ﾉヽ（　● ） ;;:::|　　　　　　　　　　　　　　　　この無鉛の白粉が一気にシェアを奪えたのは鉛害が
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一般に知られることになっていたから、ともいえるかな」
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

　　　　　　　　ﾞ,ヽ
　　　　　　　　 }ヽ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　　　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!　　　　　　　　「その辺はうけとりかた次第よね」
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　｀　　　　　　｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{
　　　　　　　　ﾊ　 'iヽ　　　　　　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　　　　　　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　､＿_　　､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　　　　'/ﾆ/　　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　　｀'　　　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　　　　　　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　　　　　　ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ノ. . . . . . . . . >. . .

.
799： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:30:30 ID:bMttHh86: 　　　　　「さて、世の女性たちの悩みを一手に解決した感のある御薗白粉だが、

　　　　　　　　その二年後には中山太陽堂から同じく無鉛白粉『クラブ白粉』が発売された」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ　　)　　　 ,'
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ : :／;;;/＞´ : : : : : : : ／ : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ :ﾚ:/;;;／ : : : : : : : : : :|:/ : : :, - :｀{
　　　　　　　　　　,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
　　　　　　　　／ : : : : : : :＼/ : : : :i :./ : : : : : : : : : : : : : : : .:.(, ‐'´. : : : :j
　　　　　　／ : : : : : : : : : : :＼､ : :|./ : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.} : : : : : : !
　　　　　,-'´,' : : : : : : : ､ : : : : :＼､fZ二--- :､_:_:_:_: :`－､ : :.:.ヽ.:_,､ : : : !
　　　／ : : : : : : : : : : :)ヽ h : : : :｀キ-- : : : : : : : : `＝-､ヽ.:.:.f-‐‐‐＝ :i

　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　「　し　っ　て　た　」
　　　　　　　　　　　／　　　　　 ⌒　　　　　⌒　＼
　　　　　　　　　　／　　　　　／　｀ヽ　　 /´　｀ヽ＼
　　　　　　　　／　　　　（　　 ● l　　 l　　 ● |　ヽ
　　　　　　 |　　　　　　　ヽ_ 　_ノ　　ヽ_ 　 _ノ　　 |
　　　　　　 |　　　　　　 ´￣｀（　　 i　　） ´￣｀　 |
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　ー‐ ＾ー　　　　　／
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　ｰ一　　　／
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

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800： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:30:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　￣　　､　　　　　　　　　　「世の女性たちは『私は御薗派』『私はクラブ派』と言い合うことになり、
　　　　　　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　さらに後続の第三勢力などが当然のように乱入してくる」
　　　 /　　　　　　　　　　　　ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/　　　　　　　「ここに再び白粉業界の仁義なきサバイバルが幕を開けることになるわけだが、
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´　　　　　　　　　　　　こうなると昔ながらの鉛白粉は見向きもされなくなる」
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

　　　　　 |　　　　＿＿＿　/|　　|　　　　　　　　　　/
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　　　　　 |:　　　/　　　　/　}　　/}　　　　　　　　／
　　　　　 |　‐=≦笊芋≧o｡、 :/ {　　　　　／　　　　　 }
　　　　　 |: 　ﾏ{　　)///刈ﾏﾐ: /:　　　　／　　　　　　 /
　　　　　 | 　 { 　にﾏ//Ⅳ　ヾ,′　　　／　　　　　　 /
　　　　　 | 　 i　弋込Zｼ　　 /:　　　／　　　　　　 /
　　　　　 | 　 {　　　　　　 /:　　／{　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　「残当」
　　　　　 |　　i:　　　　　　 /:　／　ﾟ。　　　　　　 /
　　　　　 |　　{　　　　　　 /: ／　　　　ﾟ，　　　　　 /
　　　　　 |＼ :!　　　　　 /／　　　　　ヽ　　　　:/
　　　　　 |　　ヾ、　　　／　　　　　　／　　　　/
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　　　　　 |　　　　　　　　　　 , -　r ´　　　　 / 　　　　　 /
ﾟ。　　　　｜　　　　　　　　／　　　　　／/ 　　　　　　 /
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////ﾍ　　{///＞｡./}　　 !　　　／　　　:/　　／
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801： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:31:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
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.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣　　　　　　　　　　　　　「その後昭和八年には健康被害を引き起こす鉛白粉の生産が禁止され、
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿　　　　　　　　　　　　　　　日本における鉛白粉……京白粉の歴史は完全に潰えることになったわけだ」
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
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　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ﾊ {_
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　,　　　　　　　　 }ニ,　≧s｡.,_
　　　　　　 /　　　　　　　　 ,　　　　　　　　 }--}　　　　　〉
.　　　　　　 /　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 ,　 ,　　　　 ,
.　　　　　　　　　　　／　　　/　　　　　　　　　/　 ,　　　　 /
　　　　　 /　　　　　／　　　 ,　　　　　　　　　 /　 /　　　 /
.　　　　/　　　　　／　　　　 /　　　　　　　　　/　 ∧　　　,
　　　　　　　　／　　　　 /　　　　　　　　　〈　 / ∧ 　 /
　　　　　　／　　 /　　　 /　　　　　　　　　 / ,　 / ∧　,
　　 ,　　　／　　　 /　　　 /　　　　　　/　　, 　 ∨ 　 ∧,
. 　/ 　／　　　／　　　 /　　　　　　/　　ノ/ ／∧　　 /
　/　／　　　／　　　 /　　　　／　／} }‰ /　 ,　 /
‰ 　　　 , 　　　　 /　　　　／　／　/ ,　 /　／^^
　　　　／　　　　／　　　,／　／//7　/イ　／
　　　／　　　　／　　 ,／　／＞//}　,　〈／　　　　　　　　　　　　「なんだかんだで人類は二千年位鉛白粉と
―=≦ 　 ___＿∠ ＿＿,／　／ﾐ {　{／　,
　　‐=≦ ＿＿＿＿＿＞＜}二=}　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　付き合ってきたでありますか」
,ィi〔二二二ニ∧二二≧=‐≦二/　　 ∧
二二二ニニニ∧二二ニニﾆﾆ/　　 /ﾆ,}
二ニニニニニニ}二ニニニﾆ,/　　 /ニ/
ニニニニニニﾆ/二ニニﾆﾆ,/　　/二/

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802： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:31:49 ID:bMttHh86: 　　　　　「その間どれだけの人間が鉛中毒になってたんでしょうね、統計に出てこないのかしらそういうの」

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 -｀　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ´ 　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜　　　　　　　　　「無理だろうな、西洋にしても医学に関しては近代以前は暗黒状態だし」
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

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803： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:32:18 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　　　　「いやはやナイチンゲールは偉かったお」
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼　　　　　　　　　　「それじゃ、順番としては次は京都紅なんだが、
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|　　　　　　　　　　　その前にせっかくだから水銀白粉のほうも
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　少し見ておこう」
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　　　 /　　　　／　　　　　　￣￣￣／　　　　 | ⌒＼
　　　　　　　　　　 /　　　　 /　　　　　　　,　　　　 {　　　　　　|　　　＼
　　　　　　　　 /　　　　ｲ　　　　　　 /／　　　 :.　　　　　　|　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　／ }　　　　　　 //　　　　　l　　　　　　:.　 }:　　　＼＼
　　　　　　　　 /　　／　　i　　　　　　//　　　|　　:|　　　　　　{　ｉ　　　　 }
　　　　　　　　　　　／　　 / !　　　　　 :./ |　　 :|　　:|　　　　　 :.　 }　　　　.:　　 }
　　　　　　　　 / 　　 / :}　　　　 :/　:　　 |　　:|　　　　　/　　:.　　　 /　　 /
　　　　　　　　/　　{　　　∧ :i　　　　　/ 　:l　　 |　　:|　　　　 /　　 :.　　 /　　 /　　　　　　　　「毎度おなじみ脱線でありますな」
　　　　　　　　 i　　 / ∧:. 　　　 {＿__!＿__:|　　:|:　　　 /　　 /　　 /　　 /
　　　　　　 /　　/:｜　　 / ∧ 　　　ｉ　八　　 !　　: 　　ム斗 /　　:/　　 /
　　　　 r‐=≦乂_|:　　　/　}　　　 ::. /　＼　|　八　　:/　/　/　　/　　　/
　　　　　 {//////,'|:　　　　//　 /　　:l /ミZZZｧ ! / 　ヽ／__/／/　　/　　　/
　　　　　 i≧=‐‐=≦　　{///　∨ /　 {,′　　　　i/　／ ¨¨/　 /　　/　　　/
　　　　 /　/　　　 ///＞｡.〉:　 ∨ / :i　　　　 /　　　　ｲ: ／　 /　　　/
.　　　　/　/　　　////{///:|:　　 ∨ /: 　　　　　　'　　／　　:/　　　/
. 　　 /　/　　　///／≧o.:|　　　 ∨ {/＼　　　　｀＜　 {　　　/ !　　/
　　　/　/　 ‐=ﾆ二二＞｡.　!　　　　∨!＼/＞＜/ﾐ　|　　:i　　 /　{　 /
　　‐=ﾆ二二二二二二二ヽｌ　　　　 Ⅵi:i:ｉ＼/////} !　　 :!　　/ 　 i :/
/二二二二二二二二二ﾆﾆ|　　　　　{:i:i:i:i:i:ｉ:＼///｜　　:i　 /　　ｌ:/

.
804： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:32:33 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「今回は京白粉と伊勢白粉……つまり鉛白粉と水銀白粉を同時に

　　　　　　　　　　　　　調べていく感じになっていたんだが、この二つ、若干毛色の違いがあるようだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ
　　　　　　　　　　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `
　　　　　　　　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　　　　／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ　　　　　　　「毛色の違い？」
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　　　　　　　 i: : ;;;: : : : : : :;|
　　　　 |:　 : .: :.: : : :∥.　 |　　　　　　　　　　 |: : ;;;: : : : : : ;|
　　　　 {:　　: : : .:::{: {　＿　　　　　　　,　-＝-} il:;;;;l : : : : : |
　　　　i:　　: : : : .i: :i'´　￣ `　　　　　　　ﾘ.| :;;l: : : : : :;i
　　　　 |:　　: : : : l: :|.　　　_　　　　　　　　 |:;;l : : : : : ;i
　　　　i:　　: : :;;;;i: l　ｨ三､`　　　　　'´ ,ｨ＝ﾐ､　ﾘ}: : : : : : i|
　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏　 }　　　　　　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
　　　,: : 　　 : :;;;i ;;i{　夊歹　　　　　　　ﾏ夊　}｝ |: : : : l |;;|
　　 /: : :;;;;l : : :;;;;.|i 　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : l :|;|
.　　 {: : : ;;;;;l : : :;;;;|　 _　　　　　　　i〉　　　　　ﾑ: : : l : i|
.　　 |: : : :;;;;l : : :;;;;ﾄ､ | .）　　　　　　　　　　 ./: : : /ﾋ=‐- ､_
. ,イﾁﾄ､￣仏: : :;;;;;| `i　i　　　　　　　　　　 / }: : ∥　　／ﾐ､
/　　　ム　 {: : : ;;:|　{　､　　　-‐　､　　　　／　|: /　　／　　ﾑ
　　　　　ﾑ. |: : : :;;|　ヽ､＼　　　　　 ,ｨｆ´|　　 |/　　/　　　　　 }
　　　　　　　 iﾙi: : ﾘ､　　　　丶､　_ 　,ｨ彡 } ∥　　'　　/　　　　　　 .{
　　　　　　　乂　＼　　　　　`ﾞY'´　　 / /　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　 i'"´　/ /　　　　/　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　　　　｝⌒ 　　i 　 / /　　　　ﾑ　　　　　　　ﾉi

.
805： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:33:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　「あぁ、水銀白粉は鉛白粉と比べて、政との関係性が深いんだ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　「というか、原料である水銀がなんだが」
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ　　　　　　　　　　「政、つまり政治との？」
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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806： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:33:39 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「そう。なぜかというと、鉛白粉は言ってしまえば、

　　　　　　　　　　　　その存在意義のほとんどが『化粧品としての』ものだったのに対し、

　　　　　　　　　　　　　水銀白粉はほかにも様々な重要な用途に用いられていたからだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
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807： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:34:00 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「水銀を無害で有益な物質に加工するというのはもともとは道教の思想と技術であり、

　　　　　　　　　　　秦氏を代表する渡来人は、その技術も日本に運んできた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　 ,,,､､､､､,,,,
　　　　　　　　　 ,.: .:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:.､
　　　　　　　　 ,f;:;:;ミﾐヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:',.
　　　　　　　 ,;:;:;;;;ミﾐヽ:;:;;;;;;;f⌒'^^ﾘN;;
　　　　　　　,;:;;;;;;;;;;;;ｦｦ'''ｨｲﾊ､　　ﾉi;;;;;!
　　　　　　 ',;:;;;;;;;;;ｨｲ ,,､､､､　　 ,r- ､;;;;!
　　　　　　　V;:;;:;;;ﾙ'ﾞﾞ,rﾓﾃ.:;'　ﾉｯｬ''';;ｼ　　　　　　　　　　,． '"´ ￣¨`｀`ヽ
　　　　　　 Nいiij　　　　　　　~`　ﾘ　　　　　　　　　　　/　　　　　　　.:.:.:..｀ヽ　　　　　　　　　 ,．'"´
　　　　　　　 Nいii!':,　　　　､;::′　,j!　　　　　　　　　　 /::　　　　　ﾉﾉﾘﾊ.:.:.::::',　　　　　　　　/
　　　　　　　ﾙ:;;;;{,　　　　,, --､　 1　　　　　　　　　 i:::::　　　　,ｨｿ　′　`ﾄﾄ;!　　　　　　!　　　 ,
　　　　　　　ﾙﾊｼヽ　　　´ 二｀` ,′　　　　　　　　　　|::::::.　 ,.ｨｲ´_,,,,ﾉ　､,,,_ .ﾘ　　　　　　　 |　　　 j
　　　　　　　 `ﾌﾘﾊ　`丶､.　　　 /　　　　　　　　　　　　',::ハ:r'ﾞ ´,ｨtr　　 {ｨtr1　　　　　　　　!　.:;;ｨｲ
　　　　　　　,/　i　', 　　　｀`ｰｲ　　　　　　　　　　　i1　　　　｀ ´　　「`　!　　　　　　　　',　{^^ﾘ
　　_,.. -‐''ﾆ7.　ヽヽ　　　　　i　ヽ　　　　　　　　　　　ヾｼ　i　　　　 `''´　　l　　　　　　　　　ヽい
￣ `ー─'"7_ ＿　＼＼　　　ﾊ　＼_　　　　　　　　　　/::　い　　　 ''ﾆﾆ`　,′　　　　　　　　　V^',
　　', 　　　　　　　_＞＼　　　 /7⌒ﾞ`｀`ヽ､　　　　 /:::::.ヽ､ゝ　　　　　,.ｲ　　　　　　　　　 ,.ｲ^ヽ
　　 i 　　　　＜_　　　＼　 /　＼　　　　ﾄ､　-‐''"´:.ヽ:::::.:.:.｀`ｰ　ﾆﾆﾆ彡ヽ　　　　 ,．-‐''"´1
　.　 l　　　　　　　　｀`ヽ,　 ', !　／　　　　　 l　',:::::::::::::.: .: .＼::.:′　　　　　 7ヽ＜"´　　　　　 l
　　　l　　　　　　　　　　＼リ /　　　　　　　l　 i　　　　　　　　　　　_ ＿, 　 ′　　｀`ヽ　　　　　l／
　　　l　　　　　　　　　　　　V!　　　　　　　　l　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､
　　　l　　　　　　　　　　　　 i!　　　　　　 l　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::1

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【秦氏のみなさん】

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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808： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:34:23 ID:bMttHh86: 　　　「徐福伝説の主人公、徐福の主である始皇帝が水銀を薬として用いていたというのは有名な話だ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) (.⌒)
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　　|
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
　　　　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　　　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　　　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |

　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　「そうでしたね～」
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

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809： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:34:36 ID:bMttHh86: 　　　　　　「巷間においては誤解されがちだが、あれは水銀をそのまま服用していたわけではなく、

　　　　　　　　　正確には水銀化合物を用いていたわけだが」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 -｀　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ´ 　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
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　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　／. 　　　―― 、　　　, 、―― 　　　＼　　　　　　　　「そら考えてみれば当然だお。
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ..|.　　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　　　 |　　　　　　　　　　水銀そのまま飲んだら死ぬし」
　　|.　　　　 ´"''",　　　　　"''"´ 　　　　 l
.　　＼. 　　　　（　　　 j　　　）　　　　　／
　　　　＼　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
810：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:34:40 ID:omUs3vOM: 銀ちゃん悪くないのよぉ、って声がどこからか
811： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:35:01 ID:bMttHh86: 　　　　　　「この水銀化合物というのは『軽粉』とも呼ばれ、これこそが水銀白粉なわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

　　　　　　／: : :,: : : : : ﾍ: : : : : :ヽ: : ＼
　　　　　　 /: /／: : : :/ﾐﾍﾊへ: : : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　/: ／: : : : :/　　　 ';,　ヽ: : : : ﾊ: : ﾊ　　　　　　　　　　　「カルコ、ね」
　　　　　　 ,':/: :ｨ: : :.ｲ/　　　　 'i　　' ,: : : : ﾑハ
　　　　　　,7: : /: : : .ｲ　　　　　 |　　　' ,: : : :ﾊ : i
　　　　ﾑ: :ｲ: : :./_!'＿　　 ,」'-――ﾍ:ﾄ-: ∨,
　　　　　ｲ: /: :i-‐7'_」二｀　　　 '^≧示ｰ､ﾏﾍ : Y
　　　　　7:∧: |: :kｲぅﾊ｀　　　　　乂ﾟり　ハ∧: ',
　　　　 i:/　ﾚﾘ:ﾊ '弋ﾘ　　　　　　　｀´　　ハゝi
　　　　　!'　　'ﾙﾊﾍ　　　､　　　　　 /／:ﾘ '!
　　　　　　　　ﾚ,:ﾍﾊ　　　　　　　　 /: : !/
　　　　　　　　' ',: :ﾊ:ヽ　　　｀　 ´　　／/: ::ｲ
　　　　　　　　　ﾄ: :ヽ: :｀r　､　　 , ィ､: ｲ: : :|'
　　　　　　　　　 iﾍ: : ',: ハ　　｀　　ハ: i: : :.|
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　　　　　　　　 , ≦ﾍ,: ﾊ／>> /iiﾍ. .ミﾊ,'; : !
　　　　rvrﾍ≦ =＝"ﾊ: ﾄ≦r三==三ミ. ﾊ: ト≧ ､_
　　　ﾊ. ﾍ' ´. . . . . . . 'ﾘ､>､ﾆｸ/iﾍﾊｰ'､∧:',. . .＜ハ
　　　,. . . .,. . . . . . . . . ﾚ' . . //∧ハﾐﾍ. . ',ﾊ. . .i. .i. .|
　　 /. . . i.∨. . . . . . . .ﾘ. . .ヽ/ . ﾊ.∨/ . . ゝ,. . ∨i. |
　　 i. . . . !. Y. . . . . . .,r‐ﾍ. . . . . . ﾍ0. . . .ﾄ. ､. . .､{. .|
　　 |. . . . | ｲ. r. ´. o. . _._ ｣. . . . . .i.|. . . . .'ﾄ､. . ≧､ |
　　 |. . . . .!.i. .レ. t. ‐7. . . | . . . . . |.| . . . . i. . ｀r=t.ﾍ
　　 |. . . . .i.',. .|. . {. . .i . . . ! . . . . . |.| . . . . |. . . }. . ﾊ｀

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812：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:35:04 ID:XeSfx.W.: 水銀に夢を見すぎなんだよなぁ……
813： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:36:01 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　「水銀白粉を塩化第一水銀のこととしている資料もあるようだが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　もしかしたら別物として考えたほうがいいのかもしれない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【塩化第一水銀】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　水銀化合物の一種で、毒性は弱めですがそれでも光に反応して
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　強力な毒性を持つ塩化第二水銀になるのでやはり危険であることには変わりありません。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　毒物及び劇物取締法、化学物質管理促進法（PRTR法）、労働安全衛生法（規制化学物質）、
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律などの管理下で適切に取り扱ってくださいね。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
814： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:36:29 ID:bMttHh86: 　　　　「別物というと、別の物質ということ？」

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「うーん、塩化第一水銀の別称として『甘汞』という名前があるんだが、
　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼　　　　　　水銀白粉のことも『甘汞』としている資料がほとんどなので、
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　u.　|　　　　　　　まったく別の物質ということじゃないとは思うんだけど」
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

.
815： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:36:56 ID:bMttHh86: 　　　　　　 ,, -‐‐‐‐‐‐‐-- ､
　　　　／　　　　　　　　　　＼
　　　／　　　　──　　　─‐　＼　　　　　　　　「どこか違うとこがあるのかお？」
　　/ 　　　　( ● )　　　(●)　　';
　/'　　　　　　　　／　　　＼　　　';
/ 　　　　　　（　　　人　　）　　i
| 　　　　　　　　｀'''''ﾞ´ 　｀'ﾞ´　　　!
'、　　　　　　　　　　　　　　　／
　＼　　　　　　　　　　　　　　　<
　／￣ﾞﾞ'''‐‐‐-----　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「製造方法になんかカギがあるんだろうけど、日本で作られていた水銀白粉は、
　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　通常の塩化第一水銀より毒性がさらに少なく、安定していたらしいんだ」
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

.
816： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:37:25 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　「明治二十七年、エドワード・ダイバーズがこの水銀白粉を調査したところ、

　　　　　　　　　　　　　腐食昇汞を全く含有しないこの白粉に驚いていたという逸話もある」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【エドワード・ダイバーズさん】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　　　イギリスの化学者さんです。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　明治時代に工部省に招かれて来日し、日本の化学の基礎を築きました。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　　　元・帝国大学理科大学(現東京大学理学部)教授であり、東大の化学教室に胸像があるそうです。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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817：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:37:47 ID:XeSfx.W.: なにそのオーパーツ
818： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:38:01 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「そして、水銀白粉――『軽粉』は化粧品として以外にも様々な用途に用いられていた」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　　　「大陸から持ち込まれた梅毒の特効薬として、
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　胃腸を整える薬として、また堕胎薬として
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　服用したり塗布したりしてた」
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　─　　 ─＼　　　　　　　　　　　　　「梅毒とかは持ってこないでいいから（良心）」
　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　|　　　　　（__人__）　　　|
　　　　　＼　　　　｀ ⌒´　　 ,／
　　　　　　ノ　　　　　　ー‐　　　＼

.
819：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:40:01 ID:omUs3vOM: >梅毒の特効薬
化石を竜の骨と言って特効薬にしてた時代もあるからなぁ
820： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:40:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||　　　　　　　　「堕胎薬……」
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽu.　　　　 j: : : i:|
.　　　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　　 ! : ,'　　　　＼＼／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　＼　　ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　ヽ.　／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ〉ヽ|

　　　　　　　　　　　　．―――― ,　　　　　　　　　　　「先ほども少しふれたが、水銀白粉の和名は『之路岐毛能』といい、
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　のちに呼び名が様々につき『はらや』『伊勢白粉』
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　 |　　ゝ,＿,ノゝ,.__ﾉ|　　　　　　　　　　　　　あるいは『御所白粉』などと呼ばれるようになる」
　　　　　　　　　　 |　　　（● ）（● ）|
　　　　　　　　　　　 }　　　（　　　人　　）
　　　　　　　　　　　_ﾉゝ　　 `ー ´　`ｰ´
　　　　　　　　　　ノ.:`.:,'　ヽ　　　´　｀ /　　　　　　　　　　　　　　「このうち、はらやという呼び方は水銀白粉を扱っている商人の屋号だ。
　　　　　　　．＜＼.:.:.:.:`　_ ゝ　,＿__, 'ヽ､
　　　 ,＿＜.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:/{（　　ノ　ハ.:.:`ー､　　　　　　　　　　　　　　また、宗教関係の女性がひそかに堕胎するために
　　／.:.:.:.:.:.:.:メ.:.:.:.:.:.:.:.＼/　ゝ　　　＞.:.:────　､__,_,
　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｛　／ヽ　　____＿＿＿　＼ヽ,､　　　　　　　　　これを用いたという話もある」
　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ;　` 、.:.:.:.:.:／ヽ.:.:.:.:ヽ´ __＼　　　ﾍ　　 |　'.'.
　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:／.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:＞｀ヽ　ノ｀{ 　i　 ii
　ゝ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:j￣.:.:.:.:.:.:.:ヾ　ヽ / ./　.{.!
　　ヽ＿.:＿:.:.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾞヽ　ﾍｲゝ_ij.|
　　　　ゝ.:,_ノ.::.:.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:` ´
　　　　　＼::.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:´ｊ
　　　　　　　＼f.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ

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821：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:41:14 ID:XeSfx.W.: 歴史の闇である
822： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:41:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |　　　　　　「もともとは仏教とともに渡ってきたと考えられる水銀加工の技術だが、
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │　　　　　　　その原料たる水銀の産出はほとんど伊勢国でなされていた」
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ　　　　　　　　「日本でも水銀が採れたのね、あまりイメージないけど」
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

.
823： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:42:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「今でもどっか掘れば出てくるかもな。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊勢水銀が産出されていたのは『丹生』という村においてだった」
　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　あちきなくや　にふのみやまにほるかねの

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みずからひとの　おもひいりぬる　　【　職人七十一番歌合　】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【丹生】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　　「にゅう」と読みます。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　　現在は三重県三重県多気郡多気町の大字の一つです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
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azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
824： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:42:23 ID:bMttHh86: 　　　　　「鉱山かなんかあったわけかお」

　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　「あぁ、そうらしい。
　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼
　／　　─　　 ─＼　　　　　　　　　（　（● ）　　　　|　　　　　　　　　　水銀を掘るための坑内に足を踏み入れると、
／　　（●）　（●）＼　　　　　　　　　（人__）　　　　　 |
|　　　　（__人__）　　 |　　　　　　　　 r-ヽ　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　上から水銀がぽたりぽたりと落ちてきた、
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／.　　　　　　　（三） |　　　　　　 |
(　＼　／＿ノ　|　 |　　　　　　　　 >　ノ　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　という逸話もある」
.＼　“　　／＿＿|　 | 　　　　　　　 /二/ ヽ　　　　 /
　　＼／＿＿＿／　　　　　　　 ////　へ>个／ <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |////ヽ／＼／//)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣ |＼////／|

.
825： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:42:44 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|　　　　　「それはそれで怖いわね」
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「勢和村史という資料の中にも
　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　／　_ノ　ヽ_　＼　　　　　　　　　　『朝に水銀の鉱山の割れ目から水銀が出て、
　　　　　　 | 　（●）（●） |
　　　　　 |　　（__人__）　|　　　　　　　　　　　昼に止まり、晩になるとまた出て夜に止まる』
　　　　　 |　　｀⌒´　　|
　　　　　　 |　　　　　　　}　　　　　　　　　　　　　というような記述がある。萬治四年（1661）のことだそうだ」
　　　　　　ヽ　　　　　　.}
　　　　　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､
　　　　ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
　.|| | ﾉ:::: 　 }:::::::＼|;;;ﾚ'ｰ'' ⌒.:::: ヽ |　||
　.|| | {,,;;;; .:::: ヽｰ---ｹﾄ､, へ､:::: 　 |　||
―──.::::::::::::ノ.:::/　/　　　彡}――─────
　　　　 "￣｀ﾞﾞ ''ｰ-､'ー----'

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826： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:43:14 ID:bMttHh86: 　　　　　　「このように、この地方では遥か昔から水銀をほっていたわけだが、

　　　　　　　　　　　大和朝廷の勢力下に収まるまではその用途は極めて限られていた」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　　　　　「国内では呪術などに使用する程度で、
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ　　　　　　　　　　　その多くを大陸に輸出していたものと思われる」
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
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　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
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　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|　　　　　　　　　　「大和朝廷って、今の皇室の原型だったかしら？
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'　　　　　　　　　　　　　　　その前は別の支配者がいたということね」
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
827：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:43:19 ID:XeSfx.W.: ある意味神秘的かもしれんが
828： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:43:43 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　「弥生時代にはこの地には大陸の丹越あたりからの渡来人が

　　　　　　　　　　　　　　　　　暮らしていたと考えられてる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　『あら、なんだかここ素敵ポイントみたい』

　　　　　　　　　　　　　　　　　 -=‐--　､
　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　　｀ー　､
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 (｀Y´)　　　　【天照大神】
　　　　　　　　　 '　　　　,ｲ　　　ﾊ　　　　　 ',　　ヽ´
　　　　　　　　　 /　　　 /　!　　　 ′',　 i　　　　 i
.　　　　　　　 ′　　-/‐ │　　/‐- ､.　ｌ　　　　　 ,.-' ´￣｀ｰ､
.　　　　　　　　 !（ Y　 /　　 i 　 / 　　 ∨　! 　　 ,.'　　　　　　　＼
.　　　　　　　　 ! (_i　iﾉｉ| 　 i　/　　ｉi 　ヽ!i 　　 '　　　　ヽ　　　ヽ､
　　　 ┌‐―-圦　ゝ､i　!! 　ﾚ′　　ｉ|　　　ﾘ...　　l　　　　　人　　　　　 !
.　　　　＼　　ヽ｀ヽ i′,,,　　　　　　　 /　/......!　　　　　ハ､ヽ　　　 i
　　　　　＼　＼.込　　　　　　　 '''　/　/´）.ﾞi　　　ﾉ∠ - ､｀ー､､　|
. 　 yr‐‐-―=ヽ.　　＼r＞､._｀´ 　　　 .斗-ｦ´.....!　　ミｲﾆ'つ　ﾊﾆﾗ）ﾘ
　 /　＼___ 　　Ｘ　　ゝ、　「¨1 r‐三.ﾞ　／....　　l　ハ　i　　　　 !　 / ｲ
　＼　＼￣￣￣｀十ｰ¨ｰ└三=ｒ‐┴ ┴i.〃....　ﾘ　ヾヽ=ソ　 _'　ﾉ /
　　　＼　　＼　　　　i＿＿＿｣　 !＿＿___i ｀. ｒ　 !　ﾉ　　i　ヽ _ ／ｲi
.　　　＼　　＼　　 i　　　ｦ===.!　　　　〉ｉ　ヽイ　　　　!　　 !　ｲソ
　　　 x=二X＿丿　人　　　! 　　 '.　　　/i}ｉ.....　i　　　_ ﾉ;;;;;;;;;;;i_ ﾊｰ'
.　　乂!　　　　　ゝ､＿_ノ .::　　ゝ､_丿　!. 　レ≦;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;≧ｰ-､　　　　　　　　『じゃ、ここに鎮座しますか』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ﾞﾞ'';;';;';;''"　　 ;;;ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i;;;;;;　　　　　　 ;;;;;　　　ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !;;;;;;　　　　　　　 ;;;;;　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !;;;;;;　ｲ､　　　 ;;;;;　､ _ ィ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　ﾄ.　　､　ノ ;;;;　　 i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　 ! ヽ　　　　　 ;;;;　　!　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　|　　' ,　　　　;;;;　　i　 |　　　　　　【倭姫命】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　l 　　 :　　　　;;;;　　',　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 i　　　ﾉ　　　　;;;;　　 V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　!　　,.'　　　　　;;;;　　　'､

是神風伊勢國則常世之浪重浪歸國也傍國可怜國也欲居是國

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　　「倭姫命が五十鈴川の畔に天照大神を鎮座させ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊勢神宮を作った時、事実上この地は大和朝廷の勢力下になったと考えていいだろう」

.
829： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:44:17 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　「ちなみに、伊勢神宮ができたのは六世紀ごろだという説もあるが、
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)　　　　　　　　　　　　そのあたりの詮索は本筋から外れすぎるうえに泥沼なのが
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　u.　　　　_.ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　目に見えてるので、ここは伊勢神宮の内宮の公式見解
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　『垂仁二十六年』が伊勢神宮のはじまりとしておく」
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　「そのあたりの議論をしたい人はよそでお願いしますだお」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　　　　　　　　　　　「すまんな」
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
830： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:44:48 ID:bMttHh86: 　　　　　　「ともかく、この丹生の地で採掘される水銀の国内需要が爆発的に広がったきっかけは仏教の伝来だ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ系圭I圭I圭ﾄ、
　　　　　　　　　　　 ,ｨ}升圭圭圭圭圭圭へ
　　　　　　　　　　　　ｨ}升圭圭圭圭圭圭圭圭ﾄ、
　　　　　　　　　　　.ｨ圭圭圭圭圭圭圭圭圭I圭ﾊ
　　　　　　　　　　　|圭/≡＝＝＝ー＝＝＝≡ﾍｦ
　　　　　　　　　　ヘ|iｦ　　　　　　　　　　　ﾏﾍ
　　　　　　　　　i　万ｦ　　　　　　　○　　　　ﾘﾍ|
　　　　　　　　　|　i iｦ　￢-　_　_　　 _,.　-　-　 !　!
　　　　　　　　　 i　J　　ﾍ弋ｯヾゝ　'´弋ｯ,´´　! !
　　　　　　　　　　i　　　　`─　'　　l　　`─ '　 ! !
　　　　　　　　　　i　　i　　　　　　　l 　　　　 ! !
　　　　　　　　 i　　i　　　　《　 ,　　　　 .! !
　　　　　　　　　　 t　ト　　　　＿二＿　　　/ /
　　　　　　　　／￣入┤＼　　　`─ '　　　/_/
　　　　　 /￣/　　　i　|　　::::＞　＿　　＜:＼　＼_　_
　　　　r-┤│ 　 │　|　　　::::::::_　─　─　､　　　＼＼ヽ　_　_
　r─　/　/　/　　│　│　　／,.´-　´　￣　＿丶　　ヽ　　　　　丶
　　　/　　'　'　　　 | 　　| ／　　`　─　￣　　＿` ヽ　､
　　/　　　///　　　ﾘ／　　　　´　,　ｨ　￣　　丶　ヽ i 　i
　 /　　　///　　　／　　　　　　'､=　　-　　´　`フ　　 ',　i
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　´,.　ｨ　￣　　丶　 .ヽi
　　||　　　|　　 /　　　　　　　　,.　-　 /￣丶_ `　　　　　∧
　　　　　　　 /　　　　　　＞ ',　　　/ 　　│ `､　　　　　∧　　　　　　　　　【立川のパンチの方】
　　　　　 /　　　　　／　　　', 　 /　　　│　　､　　　　　∧
　　　　　 /　　　　 / 入　　　　/　　　　/　　! ',　　　　　　∧

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　「仏教伝来後の日本では、奈良の飛鳥を中心としておびただしい数の寺院、

　　　　　　　　　　　　　そして仏像が作られるが、材木の防腐剤として、

　　　　　　　　　　　　　　　また仏像の金メッキの接着剤として水銀が用いられる」

.
831：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:45:07 ID:XeSfx.W.: ええんやで

そのへん語り始めると収拾つかないしね……
832： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:45:18 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「そのころになると、軽粉の薬品としての利用価値も認知され、

　　　　　　　　　　　　　丹生での水銀の生産は大いににぎわうことになる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ系圭ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ}≧＝＝へ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ圭圭圭圭圭圭＼
　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ升圭圭圭圭圭圭圭ﾊ
　　　　　　　　　　　　　 {圭!/´　0　　／　｀ﾏ//ﾊ　　　　　　　　　『偶像崇拝禁止してたんだけどなぁ』
　　　　　　　　　　　　　　 |/ﾏ＼_　　X..こ.　　ﾏヲ}
　　　　　　　　　　　　　　　|/{ こ＞:　　´￣｀　 .ﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　ニ. Ⅵ ⌒´ :!　　￣´U　/ノ|
　　　　　　　　　　　二.　　 N　　　:|_　　　　 i 　 |
　　　　　　　　　　 ≧ﾆ　　 |∧　　 r‐‐ﾍ　　.／!　 l|＼
　　　　　　　　　／　　　|　i{＼　ー‐'　／: :人__ﾉ::::::＼
　　　　　　　　　　　／// 人ノ: : :＞r-＜: ／: : :〉:::::__／{
　　　　　　　　　　　　　　〈:::::::＼/: : .!: : : :i{: :/:./::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　 /＼::::::::＼: |: : : :l|/／!:::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　／＼:::＼:::::::::＼: : :l|　　|::::::::::::::::::::::::::

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「ゴールドラッシュならぬ水銀ラッシュかお」

.
833： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:46:05 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,　　　　　　　　　　　「水銀を算出する丹生の横を、川俣川（現在の櫛田川）が流れている。
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉　　　　　　　　　　　　その川を十五キロほど下ったところに射和という集落があった」
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
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.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【射和】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　「いざわ」と読みます。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　現在の三重県松阪市射和町になります。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
834： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:46:33 ID:bMttHh86: 　　　　　　「丹生で採れた水銀は川俣川の流れをくだってこの射和に運ばれ、ここで加工を施されて軽粉が生まれる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「というのは、この射和には、水銀加工に欠かせない
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,　　　　　ある種の鉱物が豊かに存在していたからだ」
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
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　　　　　　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　＜////////＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　////////　‐-　､////＞､
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　　　　　　　　　　　　　　　　|　　＼///////////////////＼////ﾊ　　　　　　　　　　　　「ある種の鉱物？」
　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ////ヽ＼　{⌒＞‐- ､////////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　|　i//////,ヘﾚ´　　　　＞､./////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ {//////レ´　　　　　/´　ﾆ≧､.///////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　|//////|　　　　　　　　ｲ弋ヾ＼//////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　|//////|　　, -　　　　　　　ヾノ　 .∨/////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　八/////i　/　　ﾆ　　　　　　　　　　 ∨/////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ∨////∨　/弋ヽ　　　　　　　　　ﾏ/////ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨///ﾊ　ヾ `ｰ'　　　´ 　　　　　　 }//////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨////＞　　　　　　　　　　　　/ﾘ///|///∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八//////ゞ_ヽ　　　　　⌒　　　/　 |//ﾉ///ｒ‐=‐-ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ノ￣　　ｱヘ　＿　＿　／.　　N/　￣　７
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　;,ｲ　} --‐=ｖ'´　 }　　　　　／/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/　　　　　/　し　{ 　Y　　　　　　　／　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　7　　＼　`ゝ　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　ｿ／　　　ヽ彡　　＞　　　＜

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835： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:47:01 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

釜の高さ三尺、四辺に切り石を以て地面を五六寸ほども築き上げ置きその上に釜を築くなり
釜のうちにも切り石を敷き、左右に柱のごとき長き石を竪に置く、これは木をその上に横たえ火の焚きやすきためなり
だいたい火焚き様瓦を焼く釜のごとし。最初釜の奥の方より焚きつくべし。

この鍋の中に差し渡し一寸五歩くらいの穴を作るなり。
この穴を作るは灰吹きのごとき口の差し渡し一寸五歩くらいの竹を長さ七寸ほどに拵え
鍋の中に立ち置き、その四辺を赤土の少し子まりあるに塩を入れざるものにて詰めおきその竹を抜き取れば穴となる
この穴のうちに赤土の子まりなきもの一升、塩三合、右の通合せたるもの一大匙つつ入れるべし。

その上に水銀掛目五分を入れる、水銀はこの形のごときものを竹にて拵え鍋の口まで子まり少なき赤土を入れるなり
二十四の鍋に土や木の器を蓋にする炭消壺のごとき焼きなり。
右のごとく惣て拵え立て　焼くなり。
薪四貫目を度とす。
火の焚き方最初奥の方より焚き付け、万辺に火の回るを第一とす、瓦を焼く法のごとし、一日に二遍は焼けるものなり

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　「これは江戸期ごろの軽粉製造の行程の一部だが、
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　この中にある『赤土』と書かれているのがそれだ」
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

.
836： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:47:34 ID:bMttHh86: 　　　　　「射和町の東北にある小高い山、その名を『朱中山』というが、

　　　　　　この山はもともとは『砂赤山』と書いて『スナアカヤマ』と呼ばれていたという」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　　　　「この山の土はその名の通り赤く、この赤い土が
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´　　　　　　　　　　　　　　　水銀から軽粉を作るのに欠かせない原料となっていた。
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_　　　　　　　　　　　　　　ちなみに水銀加工の際は『実土』という符丁で呼ばれていた」
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

.　　　　　　　　　　　　　　-── -　 _　　　　　　　　　　　　「川を下ったところに加工に重要な材料があるなんて、
..　　　　　　　　　　　 :'"::::::::::::::::::::::::::::::: 丶､
..　　　　　　　　　／/:::::::::::xヘﾍ＼::::＼::::::::::＼　　　　　　　　　　　いい具合ね」
..　　　　　　 /:::/:::::::::::/'⌒⌒' :丶:::::＼::::::::::ヽ
...　　　　　　　　,':::/::::/:::::/　　　　 l:|　＼::::丶 :::::::'.
.　　　　　　 ::::/::::/::: /　　　　 !|　　ヽ:::: ＼::::l
　　　　　　　 |::,'::::/l::::,' -―　　　ﾘ-―‐-':;:::::: ヽ|
　　　　　　　　 V:::/:::!/|　　-　　　　　‐　　　';::ヽ::::';
.　　　　　　　　/::/::: |:N　_＿　　　　　ｨ==-、 }::い :|
.　　　　　　　　|::ﾊ/＾{:|〃´⌒`　　　　　　　,,　ﾊ|∧:l
　　　　　　 |,'ハ（小.　''　　　 '　　　　　　ｰ/　 ';!
　　　　　　 |! 　`､:ｰﾍ、　　 v　ｧ　　　ｲ:,′　j|
　　　　　　　　　　　＼:::l＞ _　　　　　, イ/:::i
.　　　　　　　　　　　　';:::|::::r|＞ｰ '´|::Ⅳ:::::|
r-､　　　　　　　　　.|:::L:八　　　　|/│::::|
.＼＼　　 fﾍ-―t―ｪェ|:::|<＼＼　／/;>|::::::l＞､
.　＼ヽ__ |│ﾍ　￣￣.j::∧＼>ｨ介ﾄ<;/∧::::|丶､辷>､_
.　　 /'´ヘl│　'､　　　 .|/　ヽ{￣{{_}￣}/　ヽ:|　　　 /　|
　　 {　ヘ'.} ∨　∨　　./　　　`7/{{ﾍ匕.　　丶　　 /　│

.
837： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:48:02 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「そうだな、その丹生と射和のコンビネーションで、生み出される軽粉は

　　　　　　　　　　　　　質、量ともにもっともすぐれており、他を寄せ付けなかった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／":::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ､　　＼_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣"￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::λ　　 '､＼
　　　　　　　　　　　　　　_ , -‐^ヽ､ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ λ　　ヽﾍ､___
　　　　　　　　　　　　　 /＿_::射和＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /./::ヽ､　　ｿ l＿二ー､
　　　　　　　　　　　　 /__{ }-‐ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣"‐､:::::::::_,-､ ∠／:::::::::,ゝｰ'／::::::::::::r__ー､
　　　　　　　　　　　　 |.-‐{ }"´, i|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼"ﾞ　　｀ｰ─ｰ'ﾞ _,／／￣⌒ー'　　{__|
　　　　　　　　　　　.　 | --{ }'´_-||　r-＝"二二￣"ヽ:::::::::::::::＼　　　　　　(__ノ　　　　　　　　　　　＿　 /し'i 　/⌒i
　　　　　　　　　　　　ゝ-ー‐‐"￣　" 　｀}　　￣ヽ　/::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　　　　,r'⌒''"´　ｊ /　　/i　|　/ ,..-､
　　　　　　　　　　　／　　　　＿＿＿　　l､_＝,／::＼::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　　/　　　　　,く（　　 { l　| /´l,､_ノ
　　　　　　　 ,　-‐ '"　　　　／:::::::::::::::::::＼　:￣:::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::＼_　　　　　　/　　,, 　 ,ｲ　l|　　/　i'　'´_,,、
　　　　／　__､‐-〃/iー､|:::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::| }＿　　　　　 /　／/　/ ｌ　ｌ|　_｣　し''´　」
　　　／　／　　　　　　　ヘ::::::::::::::::::::::::::::::|　　ヽ:::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::| |:::::::＼　　 / ／ /　/　l　lレ′|　 ,,.-''´
　　/ ,-‐ "　　丹生　　/ﾘﾚ＼:::::::::::::::::_ -‐ '"￣"''､,:::::::|::::::::::::::::::::::::::l　|::::::::::::＼_- "′./　ヽ　レ､ゝ　 |　.|
　 ,-/　　　　　　　　/ }　匸二l～～／　　　　　　　　　＼}＼:::::::::::::::::::i　|'⌒｀／"　　　./　ハ　ヽ､　　　..l､_ﾉ
／ /　　　　　　　　 {　l| _ -‐/　二/_　　　　　　　　　／/　　＼:::::::::::/ /　　　　　 /　/　ヽ　{
　ﾑィ　　_　　　 _.　｀-'l/ /ｰ′'"ヽ　ヽ__＿＿___ , -, '／　　　　＼::/. / 　　　　　 l　/　　ヽ-'
:.:.:.:⌒￣ﾝ‐‐"ｿヘ _rヽ｀ﾜ　＿ __ iー-　＿ -‐、"　　　　　　　　 / /　　　　　　_ ｰ　ﾚ′─／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:-‐─ﾍ　ー'ー‐'"　　　　　　　　　　　　　　　　　／／_,-‐ー""´'　＼　　　　ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／〈　　　　　　　　　　＼　　　ヽ
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:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　　　　　　　　ヽr´　￣ ‐- -rー‐-､ー‐-- ､　　ﾍ　　＼
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:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／＿＞　　　　　　｀ー '^￣￣　　　　 |　　　　　　　　　　　　　}　　　　　　＼
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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838： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:48:24 ID:bMttHh86: 　　　　　「だが、伊勢白粉の最盛期は室町時代で、その後、江戸時代に入ると流通は乏しくなっている」

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
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　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
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　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ
　　　　　　　　　　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `
　　　　　　　　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　　　　／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､　　　　　　　　「あら～、どうしたのかしら？」
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　　　　　　　 i: : ;;;: : : : : : :;|
　　　　 |:　 : .: :.: : : :∥.　 |　　　　　　　　　　 |: : ;;;: : : : : : ;|
　　　　 {:　　: : : .:::{: {　＿　　　　　　　,　-＝-} il:;;;;l : : : : : |
　　　　i:　　: : : : .i: :i'´　￣ `　　　　　　　ﾘ.| :;;l: : : : : :;i
　　　　 |:　　: : : : l: :|.　　　_　　　　　　　　 |:;;l : : : : : ;i
　　　　i:　　: : :;;;;i: l　ｨ三､`　　　　　'´ ,ｨ＝ﾐ､　ﾘ}: : : : : : i|
　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏　 }　　　　　　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
　　　,: : 　　 : :;;;i ;;i{　夊歹　　　　　　　ﾏ夊　}｝ |: : : : l |;;|
　　 /: : :;;;;l : : :;;;;.|i 　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : l :|;|
.　　 {: : : ;;;;;l : : :;;;;|　 _　　　　　　　i〉　　　　　ﾑ: : : l : i|
.　　 |: : : :;;;;l : : :;;;;ﾄ､ | .）　　　　　　　　　　 ./: : : /ﾋ=‐- ､_
. ,イﾁﾄ､￣仏: : :;;;;;| `i　i　　　　　　　　　　 / }: : ∥　　／ﾐ､
/　　　ム　 {: : : ;;:|　{　､　　　-‐　､　　　　／　|: /　　／　　ﾑ
　　　　　ﾑ. |: : : :;;|　ヽ､＼　　　　　 ,ｨｆ´|　　 |/　　/　　　　　 }
　　　　　　　 iﾙi: : ﾘ､　　　　丶､　_ 　,ｨ彡 } ∥　　'　　/　　　　　　 .{
　　　　　　　乂　＼　　　　　`ﾞY'´　　 / /　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　 i'"´　/ /　　　　/　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　　　　｝⌒ 　　i 　 / /　　　　ﾑ　　　　　　　ﾉi

.
839： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:48:48 ID:bMttHh86: 　　　　「この水銀白粉、今解説した通り、その原料の産出のほとんどを伊勢の国に頼っていた」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |　　　　　　　　　　「江戸時代に入るころにはその水銀がほぼ枯渇し、
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　原料の水銀を輸入に頼らざるを得なくなったんだ」
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'　　　　　　　「そうなると当然のように丹生も射和も衰退していく」
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　///// 　　　　　 /　　　　　　　　　　 {_
　　　　　　　　　　 / ∨^{ 　　　　　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　　　　　　 /　/　｜　　　　　 f　　￢-ミ,　|　　　 /　　　　 }　,
.　　　　　　　　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。｜　　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　　　　 /　/　　　　　　∨ﾍ　　 |　|乂i少　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　　 /　 {＼　　　　 ∨ﾊ　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　　 }　　　　　　「ナウルかな？」
.　　　　　 /　　＼＼　　　 //,∧　ｉ|　|　　　　　　 vﾘ}/,　,　　 /
　　　　　　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　　 __　　从/　　 /
.　　　　 /　　/　　／///|⌒∧^　　　ｉ|　　　　　ゝ '　 % ,/　　,/
　　　　 /　　ア777///＞|　　∧　　　 | ＼　　　　　　　　　/　　,/
.　　　　/　／/////／　 i|　　 ,∧ 　　i|＿＼　　　　／}　/
. 　　 /　　∨///／　　　i|　　　 ∧　　 |//}＿ ≧=‐く　 } / 　 /
　　　/　　　≧=≦　　　 |　　　　∧ 　 |⌒}二_}　　　　 i}/ 　 /
　　 /,　γ=====―　　＿,|　　　　i|∧　i|￣}二{{　　　　 /{
　　,　　/二二ニニニニニl 　　　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　　　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　　　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
/　　　|二二ニニニニニﾆl　　　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼

.
840：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:48:59 ID:omUs3vOM: 丹生に射和、ご近所なのに知らない歴史ばかりだわ、１様流石
841： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:49:09 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ただ、幸いにも水銀を加工する技術は逸失しなかったので、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加工は相変わらず伊勢国で行われた。
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　⌒´　 ⌒　　　　　　　だから『伊勢白粉』の名は失われなかったんだろうな」
.　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) (.⌒)
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　　|
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
　　　　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　　　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ　　　　　　　　　　　　　「伊勢白粉は結局戦後までその存在を維持し続けたぞ」
　　　　　　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |

　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
　　　　　　　／　　　（ ●）　（ ●）＼　　　　　　　　　　「お？それなら鉛白粉よりは長生きしたのかお」
　　　　　　 | 　　　⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　| 　ヽ＿＿　　　　　＿　',
　　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿
　　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ
　　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　　 ∧　|　　　 |＿_／　　 /
　　　　　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　（＿＿）　､＿＿）

.
842： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:49:33 ID:bMttHh86: 。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

.　　　　　　 ┌─────┐
.　　　　　　 │　　　　　 │　　　　「水銀採れたで～、買ってクレメンス」
.　　　　　　 │　　大陸.....　│
.　　　　　　 │　　　　　 │
.　　　　　　 └─────┘
　　　　　　　　　　　　　↓
.　　　　　　 ┌─────────┐
.　　　　　　 │　　　　　　　　　 │
.　　　　　　 │　たぶん大阪とか　　 │　　　「船で到着したから京に送るやで～」
.　　　　　　 │　　　　　　　　　 │
.　　　　　　 └─────────┘
　　　　　　　　　　　　　↓
.　　　　　 ┌─────┐
.　　　　　 │　　　　　 │　　　　　　　　　「これはお高うつきますわー」
.　　　　　 │　　　京...　　│
.　　　　　 │　　　　　 │.. .←───┐
.　　　　　 └─────┘.　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　（加工）
..　　　　┌────────┐　　　　 │
..　　　　│　　　　　　　　 ├────┘
..　　　　│　　　射和.　　　　　 │
..　　　　│　　　　　　　　 │
..　　　　└────────┘

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　「丹生で水銀が採れなくなったあとは、輸入された水銀が京に届けられ、

　　　　　　　　　　　　　　　京から伊勢に送られ、加工されて再び京に戻ってくるという流れとなっていた」

.
843： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:50:04 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　/"',　　　　　 , r,'
　　　　　　　　　 / ∧;　　　　／,〃
　　　　　　　　　 ,. -y ./　',!￣　‐'‐-ﾑ
　　　　　／: : : {　i'　 ,y: : : : : : : : ＞,
　　　　 ,ｲ: : : : : :i　{／: : :／: : : : :/:ﾍ:､:ヽ
　　　　　/: : : : : : : 'v': : :/:/: : : : : : ｲ:'ハ:':,:ﾍ　　　　　　　　　　　　　「それだけ輸送されたら、確かにお値段が高くなりそうねぇ」
　　　　 ,': : : : : : : : /: :.:/:/: : :./: : :,ｲ:/　'i: :i:.ﾊ
　　　 |: : : : : : i: /: :.:/:/: : :./:/'メ-i/ 　 |从: :,
　　　 |: : : : : : |i:|: :./:ｲ: : :./://　,」 ≧' ,ﾘﾊ: :,'
　　　　 |: :i: : : :.:||!:‐ｲﾄ{: : :ｲ:// 'ﾍﾊﾋ　　ﾉ　ﾙ'
　　　 ∨|: : : : |{ r'　},|: / i/'　　　｀'　　'､　'
　　　　ﾊ:.|: : : : ト､ヽ､ |/　'　　　　　　　　 /
　　　　　,∨i: : : |: :<┬ 人　　　　 ,､7 /
　　　　　 |i:ﾘ: : : !: :.∨　　｀､　　　ｰ' /
　　　　　 |: i: : : ﾊ: :く＞. ､　　r｀=‐ - _/
　　　　　 |:/: : : : ﾄ: : ヽ. .,_二｀^i
　　　　ﾚ: : : :r'｀>､: : :∨＿|ii..|
　　　　　/: : : /. . /∧: : : ヽ. . .rﾍ､,
　　　 /: : : /. . //　 >､: : :ハｰ'､i<
.　　　 /: : : /. . . : :＞ｰ . ヽ: :∧. |||ﾊ
　　　/: ｲ: :i. . . .＜. . . .ﾄ. . ..ヽ: ﾍ.|||!!､
.　　/:/: : : |. /. . . . . . ..|ﾍ. . . .∨}. . ..ﾍ
　　i:,ｲ: : : :|/. . . . . . . . |. ﾄ. . . ﾊ,'. . . . .>r､
　　ﾚ|: : : : '. . . . . . . . ...|. ∧. /. !. . . ／. ｡. >
　　' |: : : : {'. . . . . . . . ..!. . .∨. . /／. . .／ﾊヽ
　　 '|: : : : V. . . . . . . . . . . . |. ../　ヽ.／ヽ. . . .!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒´ ヽ､,＿　＼　　　　　　　　　　「だが、需要はあった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　　|　　　　　　　　　　　公家や御所の上層の人々に用いられていたために
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　　{　　　　　　　　　　　　別名を『御所白粉』とも呼ばれるようになった」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ｬ＜ : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　 } r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　 i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　 {　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

.
844： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:50:33 ID:bMttHh86: 　　　「さて、今ヴィルケさんが言った通りこうなった伊勢白粉、とてもじゃないが庶民の手に届くものじゃない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）　　　　　　　　　「その価格もさることながら、そもそも品が市中に出回らない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|　　　　　　　　　　　この伊勢白粉を手に入れられる機会はごく限られており、
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／　　　　　　　　　　　　　　民衆おいてはその手段は通常『伊勢詣り』しかなかった」
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　 _,.｡s≦　　　 /　　　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　＼
　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |　　　　　　　　　「イセマイリ？」
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

.
845： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:51:01 ID:bMttHh86: 　　　　　　「ほらホライゾン、前に話に出てきた『イセジングウ』への巡礼のことよ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　_, <ヽj~ﾚ'V｀>ﾆ,ｰ- ､
　　　　　　　　　　　　　　,.<ヽｊ~ﾚ'>o > o ´<ﾆﾆ=,ﾐ=ｰ''´￣￣｀ ':ｰ -.､
　　　　　　　　　　　　 , '　 ,> o ﾆﾌ^-ﾞi_jヽXﾞ～´　｀ヽ: : : . . . . . . . . .ヽ
　　　　　　　　　　　 _/-ー=≠＝=ー～'´　　　　〉､＼::.. : : : . . . . . i
　　　　　　　　　　／::_i'⌒)/　　/　　　／/ ,／　／　ヽﾍ:::.. : : : . . . . i
　　　　　　　　 /::::〃γ'く|　　 |　/ ／,ｨ'／　／　| ,|　　 i::::::. : : : : . /
　　　　　　　　/::: : {{,ｨ廴ノl 　　|/／'/／ / ／　_　|/| ./　 i::::::::／: . ./
　　　　　　 /:: ;ｒｰｲ-､ハj,i 　i |/ｔﾃ示､/／　 __｀ﾒ j,/ / ,i:::;／: . ／
　　　　　　　i: : i　　　｀ヽﾍ, i |　ﾋ'り　　　　ﾏﾐx､ﾘ /　/:. : : ／ヽ
　　　　　 _弋,ヾ三ﾆx、　λ､リ　〃'　　　, 　fﾀり /ｨ'ﾞノ::. : : 〈　　 )
　　　　　_/ ￣｀＼─ ノヾ,　ﾞ'i弋　　　､　　　 __∠彡:´::::: : : . .ﾉ　 /
　　　　辷≧､　　 i'´:::::::::},／　| ＞､　｀´,イ´　　￣｀ヽ:. :　／　／
　　　　｀ﾞﾞｰヽ　 |~'7ｰ'ﾞiｰ-t┘:: :: :: l｀i'ﾞ　_,,-ｯ=ﾆﾐｪｯ'ー'´ ／
　, -一- ､,__,ｨﾀ| _ノ /　　|. . 弋、　 :: -'}ｨ仁≠---、　 /／
/, -ｰ'´￣⌒ヾﾐ'´　 i 　　ﾞi . . . ｀r-辷r'ｆ´　　 __,,,,,,,｀i,/´
ﾐx、　　　　　　 | 　　 i | rγYﾞ'r'ﾌｰﾍ,ｲ三i　｀ﾞ7´
　　　　　　　　　　　| 　　　ﾞi|r'ﾌん'｀ﾞ´ ｀～乂二ﾐ￣｀i
　　　　　　　　　　　i　　　ﾄん'´. . . . . . . .｀'i｀~ i　,/
　　　　　　　　 i　　　　 | | . . . . . . . . . i. .i . .ン｀:
　　　　　　　　　　　 i　',　　 |.|　.:::.. .....:::: . i. . . .. . .丿
　　　　　　　　ﾞi　',　　ﾄ| ::::::::::: ::.　 / . ..:::: イ　　＿_
　　　　　　　　　　　　ﾞi.　', 　 ||.:ゝ:::: ::..　/⌒'r～=- '"´ 　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　 ,ｲ,　　　 |:: ::: : .／(, ＞'"´　／　　　　i'"´｀ヽ
　　　　　　　　　 {　｀　 /:::: ./⌒＞'´　　／　　　　:..　/　　　ﾞi
　　　　　　　　　　 i　　　 /: ／(''"´　　　 /　　　　　 :::;/ 　　　　ﾉ
　　　　　　　　　 |　　 /／/´ ) 　　　 /　　　　　　 ./　　　　　:/
　　　　　　　　　 | 　 /´ /, イ　　　　 /　　　　　　 ,/　　　　　 /
　　　　　　　　　　　/　 /. ./'~/ 　　　　 /　　　　　　 /　　　　　 /
　　　　　　　　　　 i　/. . iﾞ　　｀ヽ,　　 /　　　　　./　　　　　 /

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　　　「おお、なるほど。さっきも出てきたでありますな」

.
846：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:51:13 ID:XeSfx.W.: 加工貿易……？
847： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:51:22 ID:bMttHh86: 　　　「その通り。江戸時代の庶民の多くにとっては一生に一度の憧れ、それが伊勢詣りだった」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　 .｡＜/＜二≧s。_
　　　　　　　　　　　　　／ゝ＜　　　　 }＜ﾆ＼
.　　　　　　　＿__／　 /　ｌ　　　　 ,　＼　＞｡.
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　　,　　　　八　　}　　　}_
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　八　　 ,　 }　ｉ|　　　| |
　　　　　　　　　|　 |　　 i|,　‐ ∧　/ -/ミｔ､,　　　,　　　　　　　　　「聖地巡礼みたいなもんでありますか」
.　　　　　　　　 ,　 ,　　 ,x芹笊 ∨　 ,ｨぅ笊}　　 ,　}
　　　　　　　　　，　，　ゝ乂ソ　　　乂ソ/ 　 /
　　　　　　　　　　', 八　　 ,^¨^　　,　　^¨^ ,　　/ 　 }
　　　　　　　　　ﾄ　　､分　　　。　　　/　ｨ∧77,
　　　　　　　　　　 V‘，＼{　　　　　　　/ ／ !/∧〈 ,
　　　　　　　　　 /　〈ﾍ {　 |　　{≧=≦},／|　 {∨,/
　　　　　　　 /　　 ^　　|　}/　/ ∨∧　　 i|　^　 ∧
　　　　　　 ,　　 ‐=ﾆ二,　/=‐‐{_}‐=≦ﾊ　 {≧=‐　　,
　　　　　　　 /　/二二二/ /二二二二二∧ ∨二二ﾊ
　　　　　 /　 {ニ二二/ /´ 　 ) {　　/ 7　∨ ,二ニﾆ,}　,
.　　　　　　　　ﾏ二二/ /‐=/爪(廴　～‐=∧ ∨二ニ,　，
　　　　　 /　　　_∨^ 〃 ‐‐,/⌒^ﾏ}r＜　　　　ヽ‘＜ﾆ/
　　　　 ,　　／／{　 /ィi　　{　　 /　　ヽ　　　 ∨〈　　〉　 ‘，
　　　　　 __) /　　' /{　廴ゝ　 ,　　　　〉　　　 }　∨/ ^ヽ　 ,
　　　 / /　 ∨　　 ,　V　　　ヽ　＼　／⌒^}　ﾉ,　 ∨ 　 / 　、
.　　 /　 )⌒/ ＼ / / ,　　　　/ 　　ヽ　　ｉ}イ　}　　∨^　}　　 ,
.　　　　＼〈　　 / /　{ 　　 ,′　　　ﾊ---,/　　i|　　 ,＿/　　　 ,

.
848： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:52:15 ID:bMttHh86: 　　　　　「ムスリムのメッカ参りとかにくらべればかーなーりゆるゆるだけどまぁそう思ってくれてかまわない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､'ーｰ´ 　 'J　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -ｰ´. : l : .＼　ｲ::::ﾊヽ{`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
　　　　　　　　　　　　　　　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____
　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
　　　　　　　　　　　　 ,' : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r'　　　､ヽ .ﾉ : :|
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |　　　　r_ノ.: : : |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |へ-‐´ : : : :| : :!
　　　　　　　　　　　　　ｉ : : :: : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:ゞｿ: : : : : : : : | : :|
　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　「むしろ精進落としがメインまであるお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　─　　 ─＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（__人__）　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 ∩ノ ⊃　　／
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849：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:52:24 ID:omUs3vOM: お伊勢サミットがあったのも、もう遠い昔のことのよう
850： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:52:40 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　「江戸時代にはすでに品薄になっていた伊勢白粉については

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いろいろと面白い、興味深いエピソードもあるが、ここは割愛しておこう」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　 |　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　「一つ付記しておくなら『白粉としての』水銀白粉は、
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、、___　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　比較的生産が容易な鉛白粉に大部分とってかわられた、というくらいだな」
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |　　　　　　　　　　　「京白粉も鉛白粉ですものね～」
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

.
851： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:53:07 ID:bMttHh86: 　　　　　「さてこの伊勢白粉の終焉の時は昭和二十八年」

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　　　　「軽粉製造業の宮田吉兵衛氏が原料難のために
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　　　　　　　釜の火を落としたのを最後に、
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　　　　　　　　千五百年以上の歴史をもつ伊勢白粉は姿を消した」
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,　　　　　　　　　　「こういう話はやっぱり、なんだかさみしいものがあるわね」
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
852： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:53:40 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、　　　　　　　　　「残り、残すことの難しさは感じるな。
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/　　　　　　　　　　　　消えてしまえばそれはもう永遠の闇の中だが」
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ　　　　　　　「ただ、この伊勢白粉の製造装置や技術資料は、
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;　　　　　　　　　射和町の『まちかど博物館』において身近に見ることができるそうだ」
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　／三三三三三≧ｭ､　　:/　/　　　 l
　　　　　　　　　 /,ｨ三＞''´ 　 ,ィ ⌒＜三:/　/　　　　｜
　　　　　　　　／　}三{ 　　 ‰　　ィ示ﾐ /　/ﾆ≧、　 :|　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 /∧} 　〃　／////}/ イ＼(K　　 |　　　　　　　　　 /|
　　　　 l　　　 // ∧ 　ff: 　////// ∠_/　　　　　　|:　　　　　　＿＿/ :|　　　　　　　　　「そういう感慨にふけってるところ
　　　　 |:　　　{j　　　 {{　八/////(＿　　　　　　 :|　　　　　／　　 /　 }
　　　　 |　　　 |　　　　乂　　^¨¨´　Ⅳ　　　　　 |　　　　　　ｘ==ミ/　 /　　　　　　　　　　　悪いですが質問であります」
　　　　 |　　　 |　　　≧ｭ､｀＜zzzz少　　　　　　　　|　　　　 γ }笊ﾍ　/
　　　　 |　　　 |　　　　｀''＜≧ｭ､　　　　　　　　　　|　　　　　んノ刋 }}
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　^¨¨｀　　　　　　　 :|　　／た/(_　/
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　／　φ/Ⅳ /
　　　　 {　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　　　ゞ-ｨ /
.　　　　八　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^¨¨´ /
　　　 |　∨　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /
　　　 |　 ∨　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‰　／
　　　 |　　∨　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／

.
853： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:54:01 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　「おう、なんだ？」
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「先ほどからの話によれば伊勢白粉自体には毒性は

　　　　　l　　　 /　　　　　 /　　　|　　　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　 |////＼　　　　　　ほとんどないということでありますが、
　　　　　|　　　:{　　　　 /　　　｜　　　　 |　　 |　　l　 |　　　　　　 |/////∧
　　　　　|　　　:|　　　　　'　　　 |　　　　　 |　　 |　　 l　 |　　　　　　 | ∨/∧　.　　　　　加工途中に悪影響を受けたりはしないでありますか」
　　　　　|　　　:|　　　　 f　　　　 :|　　　　　 |　　 |　　 l　 |　　　　　　 |　∨/∧　',
　　　　　| ｌ　｜　　　　|　　　　八　　　 :|　　 |　　 l　 |　　　　　　 |:　 ∨/∧
　　　　　{ l　　｜　　　　|　　 |　　∧　　　斗ｔ允ﾅ￣/ ミ:|　　　　　　 |　　 ∨　,　 .
　　　　　{ l　　｜　　　　|― 十―{　＼　　 |　ィて芯笊ミ !　　　　　 |　　　} 　 , ∧
　　　　　{ ｌ　　 |　　　　｜　,x==ミi　　ヽ　　/ ん///}刋ﾏ}　　　　　 :| 　　〉　 ,
　　　　　} l　　｜　　　　|: ㌢ん:刋　　　＼ |　K乂/ﾉⅣ /　　　　 ___|ィi〔　　　　,　 {
　　　　　} l　　｜　　　　|: ゝ hしリ　　　　＼乂 )こ少　} |　　　 ///　　　　　 : 　，
　　　　　}八　 !　　　　 |　ﾊ_ゞ= ' 　　　　　｀^¨¨^´　:| |:　　///　　　　　　 ∧
　　　　. /　 ', 八　　　八: ∧　　　 ,　　　　　　　　　 } }　　///　　　　　　／　∧
　　　　　　　ﾟ，ﾟ，　　　＼∧　　　　　　　　　　　　　　 | |　 //〈___　　　　　／　　/ ∧
　　　　. 　　　　∨　　　　^∧　　　　　　　　　　　　　　 !/　∨////　　　／　　　 / ∧
　　　　.　　　 ∨　＼　　　从　　　こ　　　　　　　 /　　｀''＜≧s ／　∧　　　 / ∧
　　　　　　　　　 ',　　个､　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　 /⌒ ///＞〈　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　}　　:}　＼　　　＼　　　　　ィi〔/ 　　　／　 //////∧ 　　　 / ∧
　　　　　　　　　　l　　/　　 ∧　　　　＼__　｡s≦　　/:　　　／　　 / ∨////∧　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　|:　/　　 //∧ 　　　 / 　 }ニ=〈^:/　　　／/　　 / 　 ∨////∧　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　| /　　　{/// ﾟ。　　　/　　 }}ニﾆ∨　　／ :/　　　/ 　　 ∨///／　　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　|,′　　ｉ// |　‘，　 .　　 /}ニニ/　／　 /　　　/ニ≧s。ゝ＜　　　　　　 / ∧
　　　　　　　　　 /　　　　 {/　|　　}　/　ィi〔 /二ﾆ/／‐==:/　　　/二二ニニニ≧=‐‐＜　　　 / ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　ィi〔ニ二二二／ニﾆﾆ:/　　　/二二二ニニニニニﾆﾆ＼　　 / ∧

.
854：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:54:35 ID:XeSfx.W.: タタラ場「ﾊﾊｯ」
855： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:55:26 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　「なんだお前、今日は闇担当か」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それは……あったらしいな。

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_　　　　　　　　　前述の宮田氏は、明治時代より四十年の長きに亘り白粉の製造を行ったが、
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ u. /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)　　　　　　　　水銀中毒のために手が震え、年齢よりはるかに老けて見えたという」
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　 _,.｡s≦　　　 /　　　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　＼
　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜　　　　　　　　「逃れられないさだめでありますか」
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

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856： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:55:56 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「これは、平城京の仏像建立の際の話なんだが、

　　　　　　　　　　　　　盧舎那仏の金メッキを施すのに使われた水銀の量は一万八千トンといわれている」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　「鍍金の方法は金アマルガム鍍金法。
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |　　　　　　　　　　　　これは簡単に言えば金と水銀の化合物を表面に塗り付け、
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　　　　その後水銀を蒸発させて行う鍍金法だ」
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　／: : : : : ,r,,､ｬ : : ヽ : : : : ﾊ
　　　　 /: :/: : :/:/　 'ﾍハ: : : :＼: : : ﾍ
.　　　 {: :/: : :// 　　 || 　ヽ: : : ﾍ: i: : ',
　　　　|:/: : :.ｲ/　　　　||　　ﾍ: : : ∨: :ﾘ
　　　 /:.ｲ: :,ｲ/　　　　 .||　　　ﾑ:ﾄ: ∨:.i
　　 /:'ｨi: :/」_≧､_, 　 ,､L-ｯ≦､ ∨: i: :|　　　　　　　　　　　　　「水銀を蒸発させて……って」
　　 i/ ｲ: ハ爿ﾘ｀　　　 '　ぅり｀7〉ﾍ:∨
　　　'　',|/ﾑ　ｰ'　　　　　｀´　/'ノﾉﾄ､
　　　　　ｰﾊ　　　　 '　　　　,/=': 7/
　　　　　　 }: ヽ　　 -‐- 　　,ｲ/: :/:{
　　　　　 !: : :＞､　　　／|: /: :,ｲ: |
　　　　　　 |: : : :ハ｀　´　ﾉy: : /: : |
　　　　　　　|: : :/. .,ﾍ　　／. .i: : ﾄ､ : |
　　　　　　,-| : /|. ∧〉=ﾍ. ／|: :/ゞ､｀､
　　,-､≦´ -|:./. |. 〉/乂乂. 〉|:./. .≧　　＞､

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857： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:56:17 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「水銀が蒸発して人体にとって猛毒である有機水銀になり

　　　　　　　.／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　多くの仏士や作業員がもがき苦しんで死んでいったらしい」
　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢　　　　　　　　　　　　「それにとどまらず、水銀の毒は平城京に大いに広がり、
／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l　　　　　　　　　　　　　奈良の都はさながら地獄絵図となった」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!　　　　　　　　　　　　　「以下の文章は養老律令の文章だ」
.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

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『このころ聞く。諸国の役民、造都に疲れ奔亡するもの多し。禁ずといえどもやまず』

『諸国の役民、郷に還るの日、食粮絶え乏しく多く道路に飢える。溝壑に転填するもの其類少なからず。和同五正月』

『宮闕に近くして臭い悪しき物を焼き及び哭声を通ずるを得ざれ』

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858：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:56:41 ID:XeSfx.W.: ヤバい
859：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:58:05 ID:XeSfx.W.: 救世のために造る大仏で大量死というこの皮肉
860： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:58:33 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「今も存在するのかはわからないが、紀伊半島をめぐる国道四十二号線ができるまでは、

　　　　　　　　　　　　水銀加工を行っていた射和の近くに普通の墓地とは別に、小さな共同墓地があったという」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　「その墓地の呼び名は――『子三昧』であったという」
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　「ヒエッ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

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861： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:59:10 ID:bMttHh86: 　　　　　「まぁこれくらいにしとこう。このスレに闇は求められてないだろ常識的に考えて」

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　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

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.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　u.　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ　　　　　　　　　　「あまり聞いて心楽しくなる話にはならなさそうだし、それでいいわよ」
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

.
862： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:59:32 ID:bMttHh86: 　　　　　　「鉛といい水銀といい、こうしてみると白粉には健康被害が付きまとったなぁ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃ白粉の話はこれで終了ということで、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__　　　　　　　　次はもう一つの化粧品『紅』について話をしていこうか」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　　　ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
　　　　　　　　　　.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
　　　　　　　　　　.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
　　　　　　　　　　.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
　　　　　　　　　　.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
　　　　　　　　　　....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
　　　　　　　　　　. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　　　　　　　　　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
　　　　　　　　　　.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
　　　　　　　　　　..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/　　　　　　　　　　　「はーい、切り替えていきましょう～」
　　　　　　　　　　.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
　　　　　　　　　　..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
　　　　　　　　　　.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
　　　　　　　　　　.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

.
863： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:59:56 ID:bMttHh86: 　　　　　　「白粉が美白のための化粧品だとすると、

　　　　　　　　　　　この紅は顔を飾り立てるための化粧品だといえるだろう」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　「ツタンカーメンのミイラも紅をつけてたというらしいから、
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　　おそらくもっとも古くから施されている化粧のうちの一種なんだろうな」
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　　　　　　　　　イ ⌒＼
　　　　　　　　　/::::／⌒＼＼
　　　　　　　　 {:::/　　　　 }:::}
　　　　　　　　　V　　　　　}:/
　　　　　　　　 -─━==-イ￣￣￣::::::::.､
　　　　　／::::::::::::::::::::/＼::::::／{::::::::::::::::::::::＼
.　　　 /::::::::::::::::::::: /¨¨¨¨¨¨¨¨!::::::::::::::::::::＼＼
　　　　/:::::/::::::::::/::/　　　　　　 |::::::∧:::::::::::::::::::,:.　　　　　　　「私も小さいころ、オシロイバナの花で
　　　 .:::::/:::::::::/{:::{⌒　　　　 ∨:/⌒＼::::::: |:::|::.
. 　　 |:::/:::::::::::: 八{　- 　　　 ‐∨　　}:::::::|::::|:::|:::.　　　　　　　　お化粧ごっこをしてましたからね～」
. 　　 |::l::::::::::::::::|,／{⌒ヽ　　 /{¨⌒ミ=､:::::|::::|V:::::.
. 　　 |::| :::::::: |:::l{ 　 )//|　　　 )////}　}::::::::::::|::::::i
.　　　 V!::::::::八::{ 　,乂ツ　　　乂＿汐ノ::/:::/:::::::: |
..　　　　|:::::::::::::V　　　　　'　　　　　　　/}::::/::::::::::::|
..　　　乂:::::::::::{＼　　　「￣￣}　　　　ｲ::/::::::::::::: |
　　　　　 |｀＜_{:::个　＿　＿ノ＿_ イ::／:::::::::::::::: |
　　　　　(￣＼::::::::::::::::::＿[_l l　l ]_:::::::´::::::／))::::::: |
　　　　　＼(　ヽ::::::::／/　/ 　 }　 |￣ l:: /　/:::::::::::|
　　　　　 |:::::} 　 }／(　{　 ′　 }　 | |　∨　/:::::::::::: !
　　　　　 |:::::|　 / 　 }　}　l　　ﾉ　 l∧　{　.′ ::::::::::|
　　　　　 |:::::乂_ ／/　　　　　　　〈::::::＼/:::::::::::::::::||

.
864： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:00:22 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　　　　、　　　　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l　　　　　　　　　「天然素材を使用しやすい身近なお化粧よね」
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　⌒　⌒
.　　　　　　　｜　　 ( ⌒) (⌒)
　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　人､　　　　　 |　　　　　　　　　　　　「そんな紅もまた、京の都における代表的なお土産だった」
　　　　　　　_,イ　ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　,.　-─‐-´ 　 l　　ヽ,＼__､_ﾉ7
/´　　　　　　　 :i 　　ハﾍ､;;ヽト、
. : .　　　　　　　　:i　　　ﾊ〉:.;〈ヽ＼､_
, : : . ＼　　　　　　:L_＿　 v;;;;ﾍ ' ,＜. ヽ
. : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
!: :　　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　.´: : : .　 ' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
: : : : .　　.γイ: .　　　　　　 ' .,　 ':;;:|　 l、__j.|

.
865： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:01:07 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .　　　　　　　　　「ほかの地域でも名物になっていてよさそうな気はするけどね」
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　　　ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼　　　　　　　　　「まぁそういう意見もでてくるだろうけど、
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|　　　　　　　　　　とりあえずは先にこの紅についての
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　日本における歴史を簡単に見ておこう」
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

.
866： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:01:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦}
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.｡s≦　　　　 |--r ,
　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　 /　　　l 　　 |　 | ＼＿＿
　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　ｌ　　　 |　　　i|　 |　　ヽ　　l
　　　　　　　　　　　 /| 　　 |　　　 |　　八 i|　　 |
　　　　　　　　　　 .//|　　　ｉ|　― ┼　 ,/――　　 |　 ,
　　　　　　　　　　　　〈　ヽ　　　,x笊示ﾊ　/ ,ｨ笊ﾐ　　 ,　 ′
　　　　　　　　　　　 ∨ }ﾊ　　ゝVツ　 V 　Vツ/　 /　/
　　　　　　　　　　　　 , ＼/,〉　 l　　　　 '　　　 }　 ,　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　＼　八　　 r ,　　ｨ　/　/{
　　　　　　　　　　　　 /　／/＼　＞　　　　　　/／　/　,
　　　　　　　　　 /　 ∨//|i ＼〉{ﾆ≧=≦ ／　| /} 　，
　　　　　　　　　　　/　　　ゝ /　　 /＿_|笊∧　　｜〈　　　　　　　　　　　「jud」
　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ,'　　 /＞＜≧=‐‘，　ﾏミｔ､　‘，
.　　　　　　　 /　　 fﾆ=!/ 　 ,/_}_　　 }}　　 }i∨　∨ﾆ,}
　　　　　　　　　　　 |二/　　ィi〔　　≧=‐‐=≦＞｡.∨=! 　 ,
　　　　　　　　 / 　　 i|ニ{　/　　　　　　　　　　　　　ﾏ,/　　，
　　　　　　　　　　_　ィi〔 i|　{　　　　　　　　　　　　　　}　ヽ

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　「日本の文化の特徴として、大陸から様々なモノが渡ってきて
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　それを発展させるというテンプレがあるのはもう十分承知のことと思うが、
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、　　　　　　　　　　　　この紅についても、おそらくはそうであろうと考えられる」
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

.
867： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:01:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　「日本で作られてきた紅の原料、
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　それは学名は和名で『べにばな』漢名で『紅藍花』
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　 ……いわゆる紅花だ」
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

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一體植物学上により観た紅花は菊科に属してをり、耐冬性を有する二年生草本の耕作植物で
よく成長した茎の高さは三四尺くらいであるが、特に肥えたものは五尺にも及ぶことがある。

葉は二寸から四五寸くらいまで伸び、色は黄緑色を呈し、その辺縁に鋸葉を有し、狗骨葉に似ていて、互生する。

茎も葉もともに硬質で、尖刺を有している。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【倭名類聚抄】
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.
868： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:02:14 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「古い時代の呼び名は、和名類聚抄によれば『紅藍』と呼ばれていたとされ、
.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　,ノ　　＼ Y⌒i　　__　　　　　　　　　萬葉集では『久禮奈以』古今集では『末摘花』と記されている」
　　　　　|　（●）（●） | 　| 　./　.)
　　　　.　|　　（__人__） .|　 |　/　./
　　　　　 |　　｀ ⌒´　ﾘ　 i_/　./
　　　　.　ヽ　　　　／　　,｀弋ヽ
　　　＿＿ヽ　　- γ⌒ヽ　Ｙ´ ,｀ヽ
　／ :　　: :介〈　　`ｰ､く　〈::...ノＶヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ､　｀ヾ＿/　//:|
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／　　　　　　　　　　　「『紅藍』は『くれあい』いいのかしら」
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

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869： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:02:56 ID:bMttHh86: 　　　　　_　　
　　　　　| ) /.y )_　　　　　　／￣￣＼
　　　　　| |/./ / )　　　　／_,ノ　ヽ､,_ ＼
. 　　　　 ,j /./,/ / 　　　 | （●）（● ）　.|
　　　　 y ´,/　r ).　　　 |　（__人___）　　|
　　　　　', 　　　}/ 　　　 |　　　　　　　　|
　　　　　.j　　　 j.　　　　 |　　　　　　 |
　　　　jく、　　r.　　　　　　|　　　　　 |　　　　　　　　　　　　「また、和名類聚抄では次のような文章も記されている」
　　　 ∧;､｀ヽ≧　　　　　　,ｨヽ　 _,__　ｲﾄ、
　　　/∨/7ゝｲv'´｀¨ﾆ=ﾆ7 1`‐-.,___ ,.." 八､_
　　 / ;厂////::ヽ;////////ﾍ　　ハ　　ﾊ////７ァｧｭ、　　　　　　　　　「頬に塗る化粧などに用いる紅粉のことを閉邇（べに）とよび、
. 　 /::::j/////:::::::};////////∧ ∧::∧,///////////ﾊ
　/::::::{;////:::::::::j;'/////////∧/:::::∨////////////}　　　　　　　　　　　その閉邇の原料は呉藍であると記しているわけだ」
. ﾑ;、:;///〈::::::::::::ﾚ//////////∧:::::∧//////＼///ｲ
. ∨ヽ;////∨:::://///////////∧∧//////777'///|
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　　｀¨¨´￣｀´ ∨////////////////////////////.|
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紅粉
釋名云紅（和名　閉邇）赤也、染使赤所以以著頬也
紅藍
辨色立成云紅藍（久禮乃　阿井）呉藍同上本朝式云紅花俗用之

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.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　　　　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　　　､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　　　ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　　　　　　　　 j: : : : : /│/
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　　､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　　￣´　　〃:/: :,:ｲ　　　　　　　　　　　「末摘花というのは源氏物語に出てくる
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　　　　　／/:/: :/: |
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､　　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |　　　　　　　　　　　　　　　ヒロインの名前にもなってますよねぇ」
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔく: : : l: : : : l/ : : :|
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　ﾉ　j　　|　　l　 !　ﾄ､__|_:_:_:__: : : :

.
870： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:03:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　「末摘花、第六帖だな」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

まづ、居丈の高く、を背長に見えたまふに、「さればよ」と、胸つぶれぬ。

うちつぎて、あなかたはと見ゆるものは、鼻なりけり。ふと目ぞとまる。

普賢菩薩の乗物とおぼゆ。あさましう高うのびらかに、
先の方すこし垂りて色づきたること、ことのほかにうたてあり。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【末摘花の君】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　皇族である常陸親王の忘れ形見の姫君です。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　決して美しいとは言えない目鼻立ちだったようですが、その純真さと誠実で光源氏の妻として
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　生涯かかわりを持つことになる方です。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　そのお鼻は長く、鼻先が赤く色づいていたことから
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　鼻先に紅を付けたようだということで『末摘花』と名されました。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{　　　　　　なつかしきいろともなしになににこの
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ　　　　　　すえつむはなをそてにふれけむ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
871： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:03:41 ID:bMttHh86: 　　　「一説によれば、この紅花は推古天皇の御代に渡ってきた

　　　　高麗の僧曇徴が紙、墨、絵の具の製法とともに紅花を携えてきた、とされているが」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　「紅花自体はそれ以前から日本での栽培がおこなわれていて、
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　その用途は主に衣服の染色に用いられていたと考えられる」
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i　　　　　　　　　「それじゃ、紅花はいつごろに日本に来たのかしら」
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
872： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:04:00 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣　　　　　　　　　　「応神天皇の御世、西暦でいえば300年ごろ、
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿　　　　　　　　　　　大陸から阿知使主たちが日本に渡来してきたころだと思われる」
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ
.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【阿知使主】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　『あちのおみ』と読みます。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　後漢の霊帝の曾孫と言われています。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
873： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:04:22 ID:bMttHh86: 　　　　　「応神天皇は阿知使主の渡来を受け入れたが、その後親子ともどもを呉に派遣して織子を求める」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 O　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　| 　./ /　./　　　　　　　 /¨＼
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　|　 {　{　/　　　　　　　　　　　　 Y
　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ `ﾆﾆﾆﾆ≧ 从弋　ﾆﾆﾆﾆﾆ彡　　 | |ヽ.　|
　　　　　　　　　　　　　　　 |ﾑ　￣￣￣`　|　|　⌒ヾ:￣￣　　　 | | h　）.|
　　　　　　　　　　　　　　　 |圦　　　　　　 |　|　　　　　　　　　丿|　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　 i 小､　　　　　 |　|　　　　　　　　／　　　 /
　　　　　　　　　　　弋　　＼　　 ′　　 Y　　　　 / 　　 |..ノ人
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀T　　Y　.弋__　／　　　 /　　　　|　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 込 |　　　　　　　　　　 {　　　　 |. |
　　　　　　　　　　　　　　　　＞|　 ∧　　　-──-　　　|　　　 /　|
　　　　　　　　　　　　　＜　　　|　　∧　　　 ≡≡　　　　　　＜　　|
　　　　　　　　　　／　　　　　　| 　 { ∧　　　　　　　／　　　 |　　　　　　　　　【阿知使主】
　　　　　　　　　／　　　　　　　 |　　|　∧　　　　　　　／　　　　　　|
　　　　　　　／　　　　　　　　　|　　　　圦＿＿＿／　　　　　　　ﾉ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　「はたせるかなその応神天皇の望み通り、

　　　　　　　　　　織縫に長けた工人が染色なども含めた織物の技術を携えて、日本に来たわけだ」

.
874： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:04:52 ID:bMttHh86: 　　　　　　「紅花が日本に入ってきたのもそのころだろう。

　　　　　　　染色を施すための様々な原料を持ってきたその中に、

　　　　　　　　ことさら紅がなかったということは考えにくいからな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |　　　　　　　　　「そうなれば、染色原料としての紅だけではなく
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜　　　　　　　　　　　その元となる紅花やその種子も持ってきたと考えるほうが妥当だろ」
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　「まー、また『その紅花とかいうの持ってこいや』って
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　　　　言われたらやべーし、それはわかるお」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
875： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:05:12 ID:bMttHh86: 　　　「余談だが、このとき大陸からやってきた織工たちは『呉服（くれはとり）』と呼ばれ、

　　　　　　のちの服部一族の祖であるとされる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　ＳＣＯＲＥ　　　　　　　　　　　　　ＨＩＧＨ　　ＳＣＯＲＥ　　　　　　　　　　　LEFT
　　＿ ↓＿_＿＿＿_５２３０_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿２００００＿＿＿＿＿＿＿__　　　２
　　 | ノ。ヽ.||三,.ノ、|| ､方 ||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||（└）０８６
　　 | ＼／ ||≡,ﾉZ, || /＾ヽ||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　 P ：７
￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　￣￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|￣￣
　　　　／ヽ,.ヽ　　　　　￣￣￣|￣￣|￣|￣|￣￣￣￣￣ |￣|￣|;;￣ |￣￣￣　　　　　　　／ヽ,.､
　　　　i　　　　ヽ　　　　　　　＿,|;;;　　|､...|＿|＿＿＿＿＿_|＿|､...|;; 　 |＿　　　　　　　　　　/　　　　ヽ,
　　f￣{___,.　　　'ー-､　　　　 |＿;;;　　 ;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;; 　 ;＿_|　　　　　　　<´`′　　　　ヽ,
　　ｆ　　　　　　　　/　　　　　 |＿;;;　　 ;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;　　＿_|　　　　　　　 >　　　　　　ヽ
　　'ー　　　　　　 `ｰ-、　　　　　 |　　 |　　　　　･=＝　･=＝　　|　　 |　　　　　　　　_／　　　　　　　　ヽ、
　　＼　　　　　　　 /'''　　　　　 |　　|　　　　　　･＝･=＝　　　･=＝....|　　　　　　　､　　　　　　　　　／
　　 _ノ　　　　　　　ヽ___　　　　　 |　　 |　　O=O　　　　　　　　 |･＝･=＝　　　　　　ヽf__　　　　　　　ヽ､
　　/　　　　　　　　　 _/　　　　　 |　　 |　　　　　　 ,... ､　　　　　 |･＝･=＝　　　　　　　{__　　　　　　　／
　　f　{_,,,　　　　　　γ'　　　　　　|　　 |　　　　　'´{ 00|　　　　　 | ･=＝　　　　･=＝　　{__ {__,　　　　　ヽ､
　　f__{_,,. ＿＿　　／　　　　　　　|　　 |　　　　・=＝ i_)　　　　　　|　･=＝　　　　　　　　 {__ {__, ＿__　　／
　　　 {__,|:::　　Ｌ_,,/　　　　　　　　|　　 |　　・=＝ i　x..}　　　　　 |　　 |　　　　　　　　　 {__,|:::　　|___ノ
　　　　　|:::　　| 　　　　　　　　|　　 |　　　　　｛ }.{ ｝. 　　　　　|　　 |･=＝　　･=＝　　 |:::　　|
　　　　　|:::　　| 　　　　　　　　|　　 |...　　┌┬''’‐'`┬┐　　　 |　　 |.　　･=＝'　　　　　　　|:::　　|
　　　　　|:::　　| 　　　　　　　　|　　├┬‐┴―┬―┬┴‐┬‐┤ 　 |　　　　　　･＝･=＝　|:::　　|
　　　　　|:::　　|　　　　　　　 ┌‐┴―┴―┴.┴―.┴―┴‐.‐‐‐┴‐‐┴‐┐ ･=＝　　　　 |:::　　|
八八八八八八八八八八八..|　 X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X,...X|八八八八八八八八八八八
　　　　　　　　　　　　|_ノ _ノ _ノ _,ノ __ノ _,ノ_,ノｒ＝=､_ノ __ノ__ノ__ノ |
　　　　　　　　　　　　　　　　└―――――――――l()() 〉〉 ‐――――┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ｰ--'f-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　･=＝　　　ﾋ|‐‐‐ |ｺ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.>_ﾊ_<

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
876： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:05:35 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　「播磨風土記に、揖保郡阿為山の項が設けられているが、
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　　　　その中にこのような記述がある」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　品太天皇之世紅草生於此山故號阿爲山

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.
877： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:05:55 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　　「訳して（命令口調）」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､__ 」L＼
　　　　　　　　　　　 (＝ ) (＝ ) ⌒_,-|、
　　　　　　　　 ,'⌒　＿　（__人___）　　r' l ｜lヽ
　　　　　　ヽ＿ノ　　 '､｀ ⌒´　　 }　}　l ﾚ }　　　　　　　　　　　　　「品太天皇の御世、この山において紅草が生えていた。
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 j　|,｜l ﾉ__　_
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/　　　 /ｨ : : : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　ゆえに阿爲と號する」
　　　　　　　　　 _／:.`ｭ'ﾆニr´　　　／ : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　__ ,.＜ : : : :{/:::ﾊ人　　　rノ∨ : : ／: : : :',
　　　　　　　／: : : : : : : : : ｸ:::〈´∧'--:´" : :.∨.:/＿／ : :l
　　　　　　/ : : : : : : : : : : /::::::i /:.∧ : : : : : : :∨ : : : : : : :l
　　　　／ : : : : : :Y : : : : :|:::::::y : : :∧ : : : : : : :∨ : : : ＼ !
　　／ : : : :＼ : : :i : : : : : |:::::/: : : : :∧ : : : : : : : ＼ : : : : :〉
／ : : : : : : : : :＼ :i : : : : : |:/: : : : : : :.∧ : : : : : : : :ﾊ : : : :|

.
878： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:19 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|　　　　　　「ご苦労であります」
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-─- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　ノL　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / (＿＿ ⌒　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::) ヽ::::::::　　 i 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (_人＿）　　 U 　 |　　　　　　　　　　「ぶんなぐるぞてめえら」
　　　　　　　　　　　　　　 r,、　　　 '、　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　}　}　　　　 |```　　　　 j 　 |、
　　　　　　　　　　　　　　　　}　}　　　　　| 、　　　　／／　 >‐、
　　　　　　　　　　　　　　　　}　レ-､_　　｀-＝ﾆ　７／　／ : : :｀ヽ_
　　　　　　　　　　 r´} ／／　}　　　 /}､__／　 / : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　{丿_,. ＜〉ﾄ､::Λ　/ : : : : : : : : : : : : : 、
　　　　　　　　　　　　　　　}　　　　} : : : : : / /::::i　y : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　}　　　丿 : : : : | /::::::| / : : : : : : : : : : : : : : : : : :

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879： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:36 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ま、ともかくだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　品太天皇というのは応神天皇のことなので、

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　これはその当時揖保郡の山に紅の花が咲いていたということだな」
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　u.　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､　　　　　　　　　　　　　　　　「阿爲というのが紅花のことなのね？」
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
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　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

.
880： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:58 ID:bMttHh86: 　　　「そう、阿爲は藍。

　　　　　ベニバナの古和名に紅藍という名があったということはさっき言っただろう？」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　 _,.｡s≦　　　 /　　　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　＼
　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |　　　　　　「jud」
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

.
881：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:07:15 ID:XeSfx.W.: ハットリ違いでござる
882： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:07:22 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「また、古事記の仁徳天皇の時代の記録の中に、紅に染められた紐のことが記されている」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
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　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　其臣服著紅紐青摺衣、故、水潦拂紅紐、青皆變紅色

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.
883： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:00 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　「仁徳天皇は五世紀ごろ、推古天皇は七世紀ごろの帝でいらっしゃるので、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　当然ながら仁徳天皇のほうが早いのね」

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　「そういうことだな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)　　　　　　　　　　　　　　曇徴が持ってきたのはあくまでも『画材としての』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　紅だったととらえるべきだろう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　ともあれその後、奈良時代に至ると、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　先ほど紹介した『久禮奈以』などの名称で
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､　　　　　　　　　　　　　　　多くの歌に詠まれるようになっている」
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

.
884： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これはつまり、奈良の都の近辺や、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　歌人が好んで居を構えるような身近な場所で

　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　紅花栽培が盛んにおこなわれていたということの証左だといえるだろう」
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　,.　-‐　‐- . . 、
　　　　　　　　　　／: : : : : : :＼: : :.＼
　　　　　　　　　 /:/: ://⌒|:ﾄ、: ヽ: : : ﾍ
　　　　　　　　　i/: :// 　　l:l　＼: :V: : l
　　　　　　　　　/: ∧!≧ 　ﾘ ≦ ヾ:ﾘ:i: |
　　　　　　　　　ｲ∧代ﾉ　　　代ﾉ　}ﾉ:/:!
　　　　　　　　　　　!　　'　　　　　 7 ）:!
　　　　　　　　　　　＼　「_ﾉ　　 , イ:/:l
　　　　　　　　　　　　　|ヽ　_, ィ /: /: :|
　　　　　　　　　　　　　|: :| レ-=l :{ |: :|
　　　　　　　　　　　 -‐|: /天|／l: | ￣ミ＼　　　　　　　　　「いろんなところで紅花が作られていたって考えてよさそうね」
　　　　　　　　　　「　　ﾚ　/　　　ﾘ　　　ﾅ⌒ｌ
　　　　　　　　　 i |/＿　〃　┌―‐┐/　　｜
　　　l' ⌒ 'l　　　|/┬┤{{　　「￢￢∨　　　l
　　　|-―-|　　　{ｌ　|　」 ||　　 |　|　|」ヽ　　　|ｌ
　　　,ゝ- ｲ　　　|ヽ￣_　 || ヽ _￣　_　 i　　　|
　　　{ ニミ、　 l　ﾍ　　　||　　　　　　∧　　 |
　　　ゝ'ｴ`　ト、|　　|　　-||―　　　　/　| i　　l
　　　　＼ //　|Tヽ/　　 ||　　　　ｲ、　|}　　 |
　　　　 ∨　　/〃/-┐　||　　　┌―{　ｌ　　　|
　　　　　 ⌒V　 /―/ 　 ll　　　　ト┬Ⅵ　　　|
　　　　　　　￣// /　　 ||　　　　|　|　ﾘ＿＿ l
　　　　　　　　// ./　　　||　　　　L⊥ 」l　　　|
　　　　　　　　「￣　　　ﾊ|　　　　　　　｜　　｜
　　　　　　　　|　　　　/:::||　　　　　　　｜　　 |

.
885： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:50 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　くれないの　はなにしあれば　ころもでに

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そめつけもちて　ゆくべくなおもほゆ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　「この歌は、紅花の畑をみて目の前に咲いている紅花で

　　　　　　　　自分の衣を染めたいと思った、という心情をうたったものだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　「つまり、紅花が広く染め物に用いられていることを示している。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　また同時に、紅を用いた染め物が
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,　　　　　いかに憧れられたかということもな」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.
886： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:16 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　くれなひの　やしほのころも　あさなさな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　けがるとはすれと　いやめつらしき

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　「またこの歌に歌われている『やしほのころも』というのは『八鹽の衣』のことだ」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
　　　　　　　　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　　　　　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　　　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣｀-ｰ‐'"

.
887： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:37 ID:bMttHh86: 　　　　「八鹽の『鹽』とは染汁に浸して染めることで、八の数字はその染める回数を表している」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
　　　　　　　／　　　（ ●）　（ ●）＼
　　　　　　 | 　　　⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／　　　　　　　　　「つまり、八鹽の衣は、八回染めた衣だってことかお」
　　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　| 　ヽ＿＿　　　　　＿　',
　　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿
　　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ
　　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　　 ∧　|　　　 |＿_／　　 /
　　　　　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　（＿＿）　､＿＿）

.
888： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:53 ID:bMttHh86: 　　　「そういうことだな、繰り返し染めることでより濃く染め付けることができるわけだ」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　ｆ` ｒ-‐─‐ ‐....､
　　　 ,ｨヽヾ:::::..＿.::::::::....ヽ
　　 /..::::::∧∨,　-‐ ヽ.:::::::...＼
　 /....::::::::レ}ﾉ　　　　　ヽ:::::::.....
　i.....::::::::::|　　　　　　,. -‐ Y:::..ヽ
　|....:::::::::::|　　　　　　　　___､∨::...}
　| ...::::::::::i　, '´　　　　'´　゛ ∨::.|
　::....::::::::::Y´　, =､　　　　　　∨..ﾄ､　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、この時代にも濃淡のついた色の衣があったのねぇ」
　 .∨...:::::∧. ´　　　　　'　　　 }::::|..ヽ
　　 ∨..:::::::::ヽ　　　　.__ 　'　　/N.......∧
　　　`Y......:::::::::ゝ.　　　　　　ム-､::::....∧
　　　　|..::ヾ..:::::::::＞‐----ィ__ﾉ. {:::::::::...∧
　　 .　 |..:::::::::::＞ {` i￣i￣i￣i　i Ｌ＿,､_∧
　　　 |.:::::::::::::::::_,}　i　 i　 i　 i　ヽ　　ﾄ､`ヽ
　　　　 |...::::::::::,イ´_　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ
　　　 .|...::::::/　　 `Y　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ八　＼
　　　　 .|...::::i　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　＼
　　　　 |....八　　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ.　＼

.
889： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「手間と費用がうなぎのぼりだろうがそういうことだろ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　紅の用途としては、ほかには今回の眼目である化粧にも用いられていたし、
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)　　　　　　また萬葉集などをみるからに、観賞としても大いに愛されていた」
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【萬葉集の観賞用植物】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　　櫻花、梅の花、馬酔木の花、杜若、紫陽花、花橘、尾花、朝顔、萩の花、
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　女郎花、鶏頭、萩の葉、紅葉、撫子、からあゐなどなどがあります。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　からあゐは『韓の藍』のことです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　韓から渡ってきた藍→呉の藍→くれない、ということで紅花のことになります。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
890： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:30 ID:bMttHh86: 　　　　「また、本草綱目に記載されているところによれば、

　　　　　　紅花の花や種には有用な薬効があり、薬用としても紅花の価値は大きかったらしい」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　　イ⌒丶.　　　　　＼////ﾊ＼
　　　　　　　　　 /＾ヾ|　　　　　　　､　　｀マ//ﾄ､　ヽ
　　　　 _,.　-‐／　 / |　　　　　ｉ　　　ヽ　　｀Ｔ爪　 :.　　　　　　　　　　「紅花有能でありますな」
.　　　「　く′　 :i|｜　　　　　ｉ}　 .:.　ﾊ　　　ｉ| :|/》　 ::.
　　　　　 i　　　:i|ⅰ　　　　. :{{　: :}: .　|　　ｉ| :|//》　 ::.
　　　　　',　　i　　　i|ⅱ 　　 : : :}､: :_ｊＬ {_|　　ｉ| :ｌ　 /》　:::
　　　　　　 i　　　|八 _　　　: :爪 /i} ∧|　　ｉ|/　　 /》 :::
　　　　 }ｉ　　i　　才＾ヽﾄ　　　: :ｋ七Ｔ六ﾄ､　　ｉ|　/　//　::{
.　　　　　{{ i 　 ,　 ‘ｋ七圦ヽ.　: :|　V匕ﾉi}'/ 　ｉ|　　//　　:|
　　　　　 Wﾍ　 ',　　:.　Vヒi}　､: :{　 ‘冖1l:i　　ﾘｃ //,、　 :|
.　　　　　 }} 人　::.　　:. ､¨´　　＼, 　　川　 /_∠∧∧　 |
.　　　　 {{　　ヽ ::.　　',ゝ　′　　　／ﾘ'　 /　/、 ∧_}　 l
.　　　　　 }}　　　 ', ＼　V丶. ｀　　 ,.ｨ7　ｲ　 ′＼＼＼
　　　　八　　　 }　 }ト＼　＞　イフ／l |:　ﾄ（　　＼_〉∧
　　　　　　　＼　ﾉ／}} 　｀丶　　斗n升}｜　 l　∟Ｌ _　　丶
　　　　　　／´　 ″ .:|　 }と7　ﾑｌj　Ｌ|　　|　|　　　｀　 .　＼
　　　　　　　　 /,'　,.ｲ|　.:　.′、　　⌒|　　| ｜　　　　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　 //: / /:| :/ .′ 　　　 ,|　　|　|　　　　　 }: .　　＼
　　　　　　　 //:　ｉ./ .:|/_厶ﾍrﾋ'⌒TT^! 　ｌ＾i|７、　　　 } : : .　丶＼
　　　　　　　　　//: :　l'　 / //∧从　人{八　 Ⅶ'　} 　　　 i} : : : . 　＼＼

.
891： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:54 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　「その後、平安時代に入って、貴族文化が成熟してくると、
　　／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼　　　　　それに伴って紅花の需要は爆発的に増える」
. |　　（●）（●）|
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　　　,7:./h::ﾌ<
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　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l　　　　　　　「まぁ、服とかめっちゃ染めるでしょうしねえ」
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ　　　　　　　　　「西陣織の原型も出来てくるわけですからねぇ」
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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892： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:13 ID:bMttHh86: 　　　　　　「さてそうなると、都周辺で栽培するだけではとても紅花の供給が間に合わない」

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
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　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
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　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

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　　　　　　 ,′　/｜　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　　{
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　　　　　　f　 /　/l　　　　 :|:　　　 |　　 |　　　　 /　　 :|　　　　 !　　/
　　　　　　|／　〈 :{:　　　　 | ――‐┼‐､｜　　　 :/＿_ 　 }　　　 /　 /
　　　　　 {{　　ﾍ!:　　　　　㌣斧芋羽ﾐ　/!　　　 xzzzx　 /　　　 /　 /
　　　　　 : Ⅶ　　ﾟ，　　　　:ゝにf//(_　　 :|:　　/ん//} //: 　　 /　 /　　　　　　　「残当」
　　　　　: 　Ⅷ　　　ﾟ。　　　 | 乂//ツ　　:|: 　/ に/(　 ,′　　 /　 /
　　　　 / 　 Ⅵ　　 } ﾟ，　　　:|　　　　　人／　｀¨¨~ / 　　 /　 /
　　　 /　 / ∨{//// ﾟ。　　 :!:　　　　　　　 ,　　　 / 　　 /　 /
　　　 / ％77/‐=≦{ 　，　　ﾟ＼　　　　　　　　ｲ　　 /　 /
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　　 / ゝ‐≦　:{//////ｉ　　，　ﾟ，///:＞＜≧o/　　／ ! 　 /
　　,′　　　 ≧=‐ミｔ､!　　ﾟ，　ﾟ，//{――///　イ　 {　 /
　 /　‐=≦: : : : : : : : : : ﾟ。　　ﾟ。　:}:. ＼／ゝ-,′/ :!: 　ｉ: /
　f: : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾟ，　　ﾟ，ｉ:.:.:./:.:.:.:.:} 〈／　 :　　 {/
　{: : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧　　}ヾ:／:.:.:.:.:/￣|　　｜￣＼

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893： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:32 ID:bMttHh86: 　　　　　　「なのでこの時期になると、

　　　　　　　　各国からの貢物の一項目として紅花が定められることになる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
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/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　 _,.｡s≦　　　 /　　　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　＼　　　　　　　　　「なるほど、人に作らせるわけでありますな」
　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

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894： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:49 ID:bMttHh86: 　　　　　　「言い方は悪いが大体そういうことだ。

　　　　　　　延喜式によればこの時代、律令制で制定されている六十八の国のうち、

　　　　　　　　二十四国が紅を朝廷への貢物として生産していた記録がある」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

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895： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:07 ID:bMttHh86: 　　　　　「この生産国とかこまごまとみていくと面白いことも結構あるんだが、このあたりもさらっとスルーしよう」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　
　　　　 |　　　　|　　　　 |　　　　 l　　　　　|　　　　　　　 |　　　　　 |　　　　　「毎度いつものことでありますな」
　　　　　　　 |　　　　 |　　　　 l　　　　　|　　　　　　　 |　　　　　 |､
.　　　　ｌ　　　i|　　　　 | 　　　 ,　　　 i|　　　ｌ　　 i|　　　　　 ,　＼
　　　　　,　　　｜　　　 |　 |　　八　　　　|　　　 |　　 i|　　　　　 ,　　 }
　　　　 ,　　 i|　　　　 |　 |　　　　, 　　 i|　　　 |　　 i|　　　　　,　　　,
　　　　　　　 {　　　　 |　丁￣￣　，　　 ! ￣￣丁¨^　,　　　　　′
　　　　　，　　 ,　　　　{　,x笊云ミ　，　 |　 ,ィfぅ笊ﾐ　}　　　　 /　　 ,
　　　　　　,　　　 ,　　　〈　)//沁　　,　　l　　 )//沁〉　　　 /　　　ﾊ
　　　　　　　　　，　　 ∧乂^)少　　 ',　 |　　乂^)少　 /　　 /　　　 ,　,
　　　　　'，　　'，　　 ∧　　　　　　ヽ |　　　　　/ ／　　 ,　　　　, 　，
.　　　　　 '，　　 ,　　　八　　　　　　,　｀　　　　ノイ　　　 //　　 /
　　　　　　　　{ヽ　八　　　 {　　　　　 _　　　　　／　　　/{ﾊ　　 /　　 ∧
　　　　　　　　|　‘， {‘，　八　　　　　　　　ィ　/　　／ |{/77 /　　 / ∧
.　　　　　　　　 ', l　 , 　 ∧　　〕ト　　　ィi〔=| /　／　i|///∧ 　　 / ∧
　　　　　　　 ,　　　}/| 　ヽ　 ∧　　)ニ≧≦ニニ|　／|　　　|ﾏィ/,∧ 　　 /　 ,
　　　　　　　　　　 | 　 | ＼　}　 /　　/^∨　　 }∧　!　　 | ∨///
　　　　　　　　　　 | 　 |　　＼‐廴　/{{ }},∨　 /ニﾆ|　　　|　∨,/　　　　　 ∧
　　　　 /　 ‐=ﾆ二| 　 |二二二二ニ乂ﾉ二二ニﾆﾆ|　　　|二二二ﾆ=‐　　 / ∧
　　　　 ,/ニニニニ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二二ニニﾆﾆﾊ　 / ∧
.　　　　 /{二ニニﾆﾆ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二ニニニニニ} 　 / ∧

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896： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:30 ID:bMttHh86: 　　　　「平安期前期にわたって紅花の生産量は順調に増えていたようで、

　　　　　　鎌倉時代に至っては国内需要をまかなうのみならず、

　　　　　　　　　国外への輸出なども行っていた記録がみられる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

.　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　. ': : : : : : ／::::ｒ､:::::ヽ: : : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　「水銀のほうも、輸出してたってお話があったわよね～」
.　　　 /: : : : : : :/´￣´　￣｀ヽ: : : : : : : : : : : : : : : :',
　　　 /: : : : : : :/　　　　　　　 ';. : : : : : : : : : : : : : : :i
　　 ,': : : : : : :/＿_　　　　　 '; : : : : : : : : : : : : : : |
　　 ,: : : : : : :/´ ￣｀　　　＿_.i: : : : : : : : : : : : : : :l
　　 ! : : : : : ;' ,ｨ芋示　　　 ´￣｀|: : : : : : : : : : : : : : |
　　 i: : : : : :ｉｲハ心ｊ　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :!｀　｀¨ﾞ　　　　ｨ≧ｚ､|: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :l! 　　 ,　　　　￣ヾｊ.: : : : : : ;ｨ!┐ : : : :!
　　 l : : : : : ﾊ　　　　　　　　　 |: : : : : :/ ﾘ/: : : : : !
　　 |: ﾊ: : : :ｌ∧　　､　＿,　　　 j : : : : /ｰ:'ﾞ: : : : : :.|
　　 |/　'; : : |　l:＼　　　　　　 //! : : /:.: : : : : : : : :|
　　　　ヽ: :|　| : : ヽ､　　　　イ:/ j: :.∧: : : : : : : : :.:|
　　　　　ヽ|　l: : : : :_｢　　 //>/／: : ＞― ､: :/:.:|
　　　　　　　 l : : :__ﾄー―イ／　 > '´　　　 ∨.; :|
　　　　　　　ﾉ:ｒ‐ｲ/^j￣／　／　　　　　 ∨: |
　　／￣￣ 7　 |｀¨ﾞ／　／　　　 {　　　　 l : |

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897： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:48 ID:bMttHh86: 　　　　　　「おお、貿易大国でありますか」

　　　　/　　/　 /　　　　　　　　/　　　　　　|　　　　　　　 /　}　　　＼＞｡.＿＿_
　　　 / 　 /:　/　　　　　　　　/　/　　 / 　 |:　　　　　　 /　 :i　　　　　 }　　　　　 }
　　 / 　 /　/　　　　　　 {: /　　 /　　 :!　　　　　　 /　　 :　　　　ｉ　　　　 {
.　　/　　/　/{　　　　　　　　ｉ/ ＿_/　　　 | 　　　　　 /　　　}　　　　 |　　　　 }
　 /　　/　 :{ i　　　　　　　 {　　/　＞｡. {:　　　　　/　　　 :.　　　　 {　　　　 }
　,′　,′　＼　　　　　　ｉ ,x斧芋芋ミｔ､　　　　 /＿　　 {　　　　 } 　　　 /
./　　/　　　　＼　　　　　 :ゝに///:刈　ｌ　　　:/　　 7 　:ｉ　　　　　:.　　　 /
　　 /　　　　　　　ﾍ　　　　 {　| V///:Ⅳ　｜　　 /芹笊ﾐ　　}　　　　 /　　　　/
. 　/　　＼　　　　 }/}　　　 :ｉ　| ｀¨冖＜　　{　／　Kじう/　/　　　　/　　　　/
　 ∨　　　＼　　 //{　　　 |　{　　　　　　 i／　　込ｼ :{: /　　　　/　　　　/
. 　 ∨　　　　ヽ f//:i　　　 |　ヽ　　　　　　　 ,　　　　∧　　　 /　　　　/
　　　＼　　　　 }//:/　/　　 {＼___〉　　　　　　　　 ∧　　　 :/　　　　/
　　／　＼＿ ∠:／ ∨　　　}　　　　　　　 f　 )　　　　八　　　　/　　　　/
　/　／//　　　　　　＼　　i　　　　　　　　　　　　　ｲ　　　 /　　　　/
. 〉＜//:/　　　　　　　 / |＼:|　　　　　　　　　　　　　{:　　　／　　　　/
/////:/　　　　　　　 /　:!ｧｧ＼　＞｡.　　　　／　ｌ　i　　／{　　　　 /
/////{　　　　　　 //} :|//////≧=‐ ＞＜　＿:|　}　／　ｉ:　　　/
//／/}:　　　　　 ///i ≧=‐{__|/////}　} .｡＜//}　／　　　:　　／
//／ :ｉ　　　　　 / ＼:|i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:＼//‐=≦ ＼//:ｉ　　　　　 {　／|

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　u.　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　「大国かどうかはわからないけどな」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

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898： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:02 ID:bMttHh86: 　　「しかしその盛況な紅花栽培も室町時代に差し掛かってくると徐々に衰えてくる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!　　　　　　「あら」
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

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899： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　「原因は朝廷や幕府の求心力の低下により、

　　　　　　　　　貢物である紅花の量が少なくなってきたことではないかといわれている」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
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900： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:40 ID:bMttHh86: 　　　　　「さらに応仁の乱が京の町を焼きつくし、

　　　　　　　　　各地の有力者が下剋上の気風を隠そうとしなくなるに至って

　　　　　　　　　　　　　紅花の衰微はいよいよ深刻なものとなっていく」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
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　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
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　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
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　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

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　　　　　 ,..-''"´ 　　　　　｀''-,,
　　　 .／　　　　　　　　　　　　　＼
　　 ./　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　/　　＿＿＿　　　　　＿＿＿＿　　 ',　　　　　　　　　　「ま、下克上の流れの中でバカ真面目に
　 ,'　　＿＿＿_　　　　＿＿＿_　　 ',
　 l　　 l ●　　 l　　　　 .l ●　　 l　　　 l　　　　　　　　　　　　　貢物送り続けるやつはいねーお」
　 l　　ヽ､＿ノ　　　　　　ヽ､＿ノ　　 .l
　 ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'
　　',　　　　　（＿_人＿＿）　　　　　　/
　　ヽ、　　　　　└――┘　　　　／
　　　 ._｀''-..,,_　　　￣￣　　　 _,,..-''"_
,..-''"´　　　　　　　　　　　　　　　　｀"''-..、

.
901： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「そうした流れの中、鎌倉時代には輸出していたほどの紅花を、

　　　　　　　　　　　　　　　　　今度は逆に外国から輸入しなければならないほどになった」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　 |　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、、___　　　|
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　「すがすがしいほど盛者必衰」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　―　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　(● )　　ﾍ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（⌒ 　 (● ) ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　￣｀､__）　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, へ、　　　＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　１　 |

.
902： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:34 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　「一時は紅の製造方法すら忘れられかけていたほどだったが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戦乱の世が収まって、また運が向き始める」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !　　　　　　　　　　　「江戸時代に入って大いに復興することになったんだ」
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|　　　　　　　　　　　「おお」
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

.
903： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:52 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その復興のきっかけとなったのは、
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ　　　　　　　大陸からの帰化人呂一貫という人物が家康の侍医となったことだといわれている」
　　　　　　　　　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　|　　｀ ⌒´ 　 |
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　,　--───-　､
　　　　／　　 / ⌒ヽ./⌒ヽ＼
　　　/ 　　,　-{　　/ ﾊヽ　 } ､ヽ
　　/　　／　　ゝ _ ノ, ‐ヽ-' 　＼ヽ
　 /　‐┼──-　　ゝノ　 - ‐一!|‐
　 |　　 l.､,　-一　　　　|　　ｰ─- ｌL_
　 |　　／＼.／　　　|　　ｰ-.／ !
　､　'　l.　／＼＿　　|　＿／　/＼
　　ヽ　Ｘ　　　　￣￣　　　／
　　 /､二二二二二二二二く　　　　　　　　　　　　　　【毎度おなじみ徳川　家康】
　　/　　　　／　　( 〒)＼　ヽ
　　!　　/　 /　　　　　　　 } 　 !

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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904：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:15:21 ID:XeSfx.W.: おひさです家康様
905： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:15:26 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「三代将軍家光の時代には出羽国最上と

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　陸奥国信夫から優良な紅が産出されるようになった」

　　　　　　　　　　 ,,..-――-..,,_
　　　　　 .,,-''´　　　　　　　｀ヽ
　　　　　／　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　,'　　　　　　　　　　　　 ',
. 　　　 l　　　　　　　　　　　　　 ',
.　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 l
.　　　　 l 、　　./　　　　　　　　　 |
　　　　　{__ヽ　〈　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　「元禄に至って六か国で紅花の栽培が盛んとなり、
.　　　　ヽ｀tj、ヽ‐イひ"７　　　　　 |
　　　　　 l ｀´）　　｀￣　　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　　天明以降明治に至るまで十二か国で行われることとなった」
　　　　　　 ',　/　　　　　、　　　　　　 ',￣ヽ
　　　　　　 .ヽ{　ヽ、　　　l　　　　　 |　　　.', 　 ',-.､
　　　　　　＼-' ｀"''‐''′　　　　 l　　　　l　　',　ヽ
　　　　 .,.-''　 }ヽ-‐　　　　　　　/　　　 /　　 .}　　＼
　　　　..／　　　 |　　　　　　 /　　　 /　　 ./　　　　｀''-..,,_　　　　　　　　　「ことに出羽国最上の紅花の品質は素晴らしく、
　　　 l´　　　　　l　　　　　／　　　 /　　 ,'　　　　　　　　　｀''-､
　　 ./　　　　　/ ヽ.__l＿＿／　 _,,-''"´　　　.l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『最上紅花』と世の人々に讃えられた」
. 　 /　　　　/__　　　｀ヽ、　　 <-､　　　　.l　　　　　　　　　　　 __
　 /　　　　　 |　＼　　 /ヽ、　ヽ＼　　　.l　　　　　　　　／
. /　　＼　 |　／＼　.,'　　 ',　　',　.l＼　　 |　　　　　　　　　 /
　　　　＼レ'　　　.〉 l｀ヽ、 l　,.-| .|　＼　|　　　　　　 /
|　　　　　　 | 　　／　.|　　ヽ_ノ /　l　　　ヽl　　　　|
|　　　　　　 |　　　ヽ　　l　　./ ／　.l　　　　　　 |
.|　　　　　 |　　　　＼ヽ　/.<　　　.|　　　　　　　 |

.
906： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:15:55 ID:bMttHh86: 　　「一度死にかけた紅花の栽培が再び盛んになった大きな理由の一つとして、

　　　　　　　八代将軍吉宗が各地の殖産興業を大いに推奨したことがあげられる」

　　　　　　　「暴れん坊将軍だお」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡sー-==＝ﾆ=ｰ-=ｰs｡,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ . ` ､_
　　　　　　　　　　　　　　／￣ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　. ⌒ ､
　　　　　　　　　　　　　 iﾐ　彡　ミ　ﾐ. ﾉ､ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐミﾐ)
　　　　　　　　　　　　　ノﾐ　彡　ミ　ﾞr′(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐミﾐ`ー‐‐､
　　　　　　　　　　　　/ﾐ　彡　ミ　ﾐ. `， /ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.彡ﾑ
　　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　.ノ (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　ﾞﾉ
　　　　　　　　　　　 /ﾐ　彡　ミ..ﾞi!⌒ﾆ，　( ｨﾆ=-⌒__>ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミﾞ `i
　　　　　　　　　　　廴ﾐ　彡　ミ.i!ﾊﾁ(ﾘ　 ( 行心沙ﾉﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ.ﾞ`，
　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミﾞi! 　 /　　　　　　 rﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐミﾞ/
　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ..i!　/　　　　　　　〉ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐﾐ‐- ｡，
　　　　　　　　　 i⌒ﾐ　彡　ミ　ﾐ　i! ‘ ‐-‐'　　　　　)ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ﾐ i
　　　　　　　　　 `，ﾐ　彡　ミ　ﾐ　.i!　 `＝==‐ 　 (⌒ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ﾐ }
　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡i!　　￣　　　 /(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡ミﾐ(
　　　　　　　　　 /ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡...i!　　　　／ (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミﾐ.)
　　　　　　　　　マﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡...` ┬ ‐ '　　 /(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミﾐ}
　　　　　　　　　 /´ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.l　　　 /　〉ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡彡,ﾉ
　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ／l　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　彡i
　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ. ミ／　 }　　　　　 `ｰ／⌒ｰ‐--´'iﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡.)
　　　　　　　　　{ﾐ　彡　ミ　ﾐ. ミ／　　,/ﾘ　　　＞ '´　　　　　　ｫﾐ　彡　ミ　ﾐ　.　ﾑ
　　　　　　　　　 >ﾐ　彡　ミ..ﾞ／　　　/ ,'　＞ '´　　　　　　　／　ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡.}
　　　　　　　　　(ﾐ　彡ミﾞ／　　　　/ ﾉ '´　　　　　　　　　／　　ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ　　ﾉ
　　　　　　　　　＼ﾐ　ﾞ／___　　／/／　　　　　　　　　／　　　　　　ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ . }
　　　　　　　　　　　`ﾒ'´(　,.ﾆ='　,/'　ﾑ　　　　　／　　　　　,.-‐-､ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ.)
　　　　　　　　　　　　　i ´　　,／　　　ﾏ` ､　　／　　　 , ‐ ´　　　　`ﾑﾐ　彡　ミ. ﾉ　　　　　　　　　【徳川　吉宗】
　　　　　　　　　　　 ∧ ,／　　　　　　ﾏ `,　,／　　　 /　　　　　　　　　`，ﾐ彡r '
　　　　　　　　 /　/　　　　＞ ' ´　　　v′　　　 / 　　　　　 ,　　 ’ ﾐ <′

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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907： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:16:15 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「諸藩において、各国の国産品の保護奨励に力を注ぎ、

　　　　　　　　　　　　ことに四木三草は重要資源であるとして極力その増産を図った」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡-‐＜⌒ﾆ＝ー‐- ，
　　　　　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.ﾞ)　　　　　　　　『徳川より愛をこめて』
　　　　　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡ミ)`Vミ)，
　　　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡ﾞ-zx､_V/ 　　　, ､,‐, ､
　　　　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. ﾐﾉｮﾁﾑ　　　 / ,' / /')
　　　　　　　　　　　　ｨ’ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. <　　　 ...ゝ /`),/ / ,' /,/
　　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. ミノ　 ` ='!　 i! (/　　,/'ﾞ）　,､
　　　　　　　　　　　r ’ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. <＜　　　i　　!　 ',　　/ /／,ｨ’)
　　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ. 斗圦ミﾉ､,/,｀`='’　 (~ヾ_i　/ ﾉ'ﾞ /　/ う
　　　　　　　　　`ーﾐ　彡　ミ　ﾐﾞﾑ: : : :`ﾏi!j`=ﾆ_　　　 ): :⌒i　　　ｨ' ,ｨ´
　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ミﾐ八ミﾑ,: : :.'ﾏｭ-‐=' 　　/: : :.ﾏ-ｎ_n　　{
　　　　　　　　　 =‐ﾐ　彡ﾐﾞi从ﾆ｀Yﾑ: : : :ﾏう　　　/: : : : :.}: : : :)_ｪ､}
　　　　　　　　 (　彡　ミ　彡.} 丶(　气ゝ: : :.气　　 /: : : : :./: : : : : : :.)
　　　　　　　　　`‐ｧﾐ仍彡ノ ',: : ゝ: :ゞｿ: : : : '.) 　,/: : : :,／.: : : :. :. :.r’
　　　　　　　　 /圦/气ﾐ) : : ',: : : : :.)′: : : : ',／: : :.／: : : : : : /⌒’
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート　【四木三草　】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　農産物の中でも重要視された茶、桑、楮、漆の四木、
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　それと紅花、麻、藍の三草を総称した呼び名です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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908：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:16:25 ID:XeSfx.W.: 吉宗様はそのへんは上手いことやってるのにね
909： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:16:45 ID:bMttHh86: 　　　　「吉宗はそのほかの政策として染色技術の古法についての研究を行わせ、古来よりの諸々の技術を復活させた」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨf´　　｀"""ヽr=‐-｡,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,。｡- ┴　　／　⌒'x(　　　⌒rゞ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y´　　x　　　ノ　　　　　　　⌒'x ﾑ _≠ん＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , !　　,ｨ-‐= ﾆﾉ　i　l　 Y/　　　' x　⌒'　ヽ γ气
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,f　乂　,　-‐= '"　ｲ　 l　i! 从ヽ⌒, ﾉ )　　)　j　　　ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.。f‐=ﾆ Y´,｡s=ﾆ,＿ ,ﾉ　ｲノ　j)Y ヽ/　 /　 r'/ ゝ￣ヽ(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i ｨ ´　 , j　/　　　　　=イ三≧=-ﾉノゝ　ヽ＼ ‐-x ` , j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝf' x　/　　〉　l　　　ゞj%乍辷ﾊ　) Ysｘ j ﾉ　ヽ )　jノ〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｙ　ノ　ヽ　　ゝ 'i　　　ﾉ　　￣"　　　l%ﾑi!　　　/Y 厶ヽ )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　r'⌒"'从　　　ゝ　　　lY ( 个x,　　　 ,ｘ｡., 」　ﾉｰ-彡　ﾄ-ｘ　)ｰ= ' x
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (　　/　　⌒　f　　　　ソ (ﾏ　Y　 ,＿　`ｰ"　/　　ゝミ’　ｲ=x￣ヽ气)
　　　　　　　　　　　　　　　　气　i 〉'´　　 (　　乂　　l ξh,　　 ` ｰ-"fｰ /ﾑ　　　) ⌒Y ｨ'=‐xイ气
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ゝ-‐'　从　f　　　　　　l　　ヽ　　　　　　/ 〉ﾑ　　/　　ノ　　ヽ‐- x'
　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ　　　　j　＞' 〉　　／　 l!　　　＼　　　,ノ /　/　 (　　∧ ,｡s＜　ﾏ　,)
　　　　　　　　　　　　　　　从　＞ ' ｲ　从ゝ　　ノ　　l l　　　　　二´｡sf　从` ｰ - = ﾆ弍 ⌒Y 〈
　　　　　　　　　　　　 /　,'　(　f´ヽ　　 (　　　 _　ソ i!　　／´　　　　　ノミヽ　　　　　　,ヾｰ= ゝ,
　　　　　　　　　　　　ノ　ゝ　/　　 f ,.。｡‐=‐‐ つ ',　　l!　,/　　　　　＞'´ヽ　)ソ　　　　　ﾊヽ　 )
　　　　　　　　　　　　 r'　,.｡-‐　　　 r=‐-＜_ '"´ 　ノ　　l! /　　　／(　　｀Y /　　　　　　　　ﾊ　 Y
　　　　　　　　　　　　 !　　-‐イ　　/　 x‐-=イ　　( `＜　 i!　　　／　　ゝ　　ノi　　　　　　　　ﾊ　 jﾄ、
　　　　　　　　　　　 )　　　　(　ノ　　j x=‐x ゝ　ヽ-　乂l　　　　l　　i　　 /　j　　　　　　　 j /ヽ )
　　　　　　　　　　　 /　　〉　 ,／　　ﾉ　　 /　　　ﾉ　 ,　 l　　　　l　乂　　ゝ (　 /　　　　　　　 / ヽ气
　　　　　　　　　　 ‘ 　　 Y´ 　　 /　　ノ r' 　 (　　　 ,　l　　　　ﾑ　　 Y´　　 /　　　　　　　/　⌒' )
　　　　　　　　　　 ‘　彡　 {　 .,_ ノ` ｨf´　　　ヽ　示　　:l　l!　　　　ﾑ、　ゝ　　 /　　　　　　　 / Ｙ　／
　　　　　　　 /　　　/ l　　ﾑゝ　　　　　　圦　 ::l　 l　　　　ノ〈　　气ﾐ/　　　　　　　 / ソ ´
　　　　　　　　 (　　　 `　l　　　ﾑ　〉'´／　j　/气(　 ::l　 l!　 ,.ｨf{=／, 　　 /　　　　　　 /　i
　　　　　　　　ゝ　从　 l　　　ﾑ　ヽ(　／　　)　　　 ::l　(ﾐイニ／　 ∨　 Y　　　　　　 /　 i!
　　　　　　　　　　　寸　　　l　　　ﾑ　 Y　　　 j 　　 . :l　 tﾆ／　　 .∨ ，　　　　　　　/　　 l
　　　　　　　　　　　气　 l　　　ﾑ　`ｰｧ　人　　 . ::l!ヽ l!　　　　　‘v　　　　　 /　　　l!
　　　　　　　　　　　　　　 `ミ l　　　ﾑ　　´气ｆ∧ー‐‐'´l!　 l!　　　　　　 ∨　　　　　 /　　　 i!

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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910： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:17:22 ID:bMttHh86: 　　　　　「友禅染などが江戸時代中期に開花を見た要因の一つとして、

　　　　　　　　　　　　　　　この吉宗の古色蒼然たる技術の復興があげられるだろうな」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,。｡- ､-‐=‐､｡。,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐= i'　i　　 `　　　　　`ｰ‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( , ｨ　 )i　`ーﾆ⌒' ,-=　　 j　⌒',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'´　 /　( " (　气　) )_,. 。｡-=､　ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏ ,j i! =≦二>-r　(　　　ゝ　⌒' ､ﾉ⌒'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ﾉ　　孑" ﾏノ　j )⌒ ﾉ　　　　)-､　⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　ｲ ,イ/ ﾉ　 (iゝ　　 j_, )-ゝ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y´　　　/( ( r/⌒j ノi _, ﾊ- ､ｰ- =
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　イ　 ,' i! , ＜(( `ｰ=ﾆ⌒',､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ-‐'，　 j　(ﾏ_ >=ﾆi f⌒￣）ｵ=‐
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾉﾏ ,j ,.ｨ(　　ﾏﾉ　jﾉｘ j r' ゝ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ノ彡' ﾏ'´,ｨfｧ/r'　 ,｡s≦=‐､ﾏ　(
　　　　　　　　　　　　　　　／／／　x´ｨ彡　/ｉx)/二二二二ヽゝ(
　　　　　　　　　　　　　　　　　／ / / ﾏ,.x j彡'" . /xｉxilﾆﾆﾆﾆﾆ二二ﾑミ
　　　　　　　　　　　　　　　／　 j ,/ ノ //　　　 /iｘｉ/i!ﾆﾆﾆﾆ二二二ﾑ )
　　　　　　　　　　　　／　　ﾉ⌒)／/　　,ｨ'/iｘｉ/_i!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二ﾑゞ
　　　　　　　　　　 Y　　／,. イ ( /　／=/iｘｉ/ミi!ﾆﾆﾆﾆ二二二二ﾑr
　　　　　　　　　　　　〉｡。ｨ'　　　/ｨ彡'"=/iｘｉ/ミ八二iﾆﾆﾆﾆ二二二ﾑ
　　　　　　　　　　　　 jミ三リ　　 /彡'"三/ｉxｉxi!ニェヽ i!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二j!
　　　　　　　　　　 j⌒'ｰ'i　　 /_l三三ﾆ7ｉxｉxi!二二二i!ﾆﾆﾆﾆ二二二j!
　　　　　　　　　　　　j 　　 l　 /二lﾆﾆﾆ=7ｉxｉxi!ニニニﾆlﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二l
　　　　　　　　　　 j　　　 l /ﾆェl!三三7ｉxｉxi!ニニニニlﾆﾆﾆﾆ二二二l
　　　　　　　　　　　 j　　　 l',二二lﾆﾆ=i!xixixj二二二二lﾆﾆﾆﾆ二二二l
　　　　　　　　　 j 　　　 lﾑニェlﾆェi!xixixj!二二二二lﾆﾆﾆﾆ二二二l

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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911： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:17:47 ID:bMttHh86: 　　　　　　「それと重ねて、かつて平安時代がそうであったように、

　　　　　　　　　　　世情が安定してくると、人々は当然のように奢侈に走るようになる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) (.⌒)
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　「江戸と京都の富豪の女房が清水寺で衣装比べを行った、
　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　などと言う話も伝わっている」
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
　　　　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　　　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　　　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |

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　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
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　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i　　　　　　　　　　「まぁ当然よね」
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

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912： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:18:09 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　「まぁ、それが行き過ぎて何度も幕府から奢侈禁止のお達しが出てしまうわけだが」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　|　　　　　　　　‘，　　　　　　　　　斗ｬ七允　　　　　　 / 　 }
　　　　　　　　|　　　　　　　　　∨　　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　/　　 }
　　　　　　　　|i　　　　 jI斗ｬ=∨　　　　　　/　,jＩ斗劣ミ　　　　　　　 /
　　　　　　　　| 　 z七さ＾　　　　ﾊ　　　　/ ,ｲ//,刋 }/ }　　　　　 ,　　　 ,
　　　　　　　　|　　　＼ {＿_　　 { ‘，　　 / 　h//(　　 i|　　　　　 /　　 /
､　　　　　　 |　　,ｨf斥爪刋ミ　|　‘，　　 ′　込z少　　从　　　　 /　　 /
. ＼　　　　 | ‰笊////(　　ヽ!　　} 　 /　　　¨¨^´ 　 %　　　　 /　　　/
. ＼＼　　　 { ﾏ( ぃ乂/ﾉ爿　　　 | 　,′　　　　　　 ,　　　　 /　　 ,/　　　　　　　　　　「贅沢禁止でありますか。
.　　＼＼　　　‘，　乂⌒少´　　　　　|／　　　　　　从　　　 /　　 ,/
.　　　＼〉,　　　，　　　　　　　　　　 ,　　　　人　　　 / 　　 ,′　　　　　　　　　　　　　守られてたでありますか？」
　　　　 }/}　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 /
　　　＿|/!　　　　∧　　　　　　　　 t ﾕ　　　　 /　　　,/ 　　 /
　　 l///,'|　　　　ﾏ>　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　／{　　　/
＜-,l///,'| ＼　　　 ∨=≧s｡.,_　　　　　　　　　　　/ 　 ,／　 |　　 /
　　≧=‐く　i|＼　　　∨二二二≧s｡.,＿／　　　 , 　／　　　| 　,/
　　　　　　　 |　＼　　,∨　 |ﾆ=,|　 |i　　　　　　 / ／　　　 i|　/

.
913： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:18:26 ID:bMttHh86: 　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　　＼　　　　　　　　　　「いやいや何度も出てるっていうところがすでにそのお達しが守られてないってことだお？」
　／　　─　　 ─＼
／　　‐=・=‐　‐=・= ＼
|　　　　（__人__）　　 |
＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ,／

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　|　　｀ ⌒´ 　 |　　　　　　　　　　　　「やる夫君、大ピンポン」
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

.
914：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:19:11 ID:XeSfx.W.: 「教会によって禁じられていた」と同義語ですね
915： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:19:14 ID:bMttHh86: 　　　　　　「さて、そんな時代の紅花栽培はどうなっているかというと」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|　　　　　　　　　　　「庶民階級には紅や染め物を禁じ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,　　　　　　質素倹約を強いているものの、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/　　　　　　　『紅』という高価な有用作物の栽培については
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{　　　　　　　　　一貫してこれを奨励している」
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

　 |　　　l　　　　ｌ　　ｌ　　　　　　　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　',
　 |　　　|　　　 |　　|　　 {　　　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |
　 |　　　|　　　 |　　|　　 ∨ 　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　 ‘，
　 |　　　|　　　 |　　|: 　　 ∨　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　「そらそうよ」
　 |　　　|　　　 |　丁￣￣　∨　　　｜￣￣丁 =‐}　　　　　 //}　:　　}
　 {　　 {　　　{　㌢芯云ミ ‘，　　 | /芹芋丐ﾐ､|　　　　ィi〔／　 }　　 :
　八　　 ',　/　　:　ゝ比//(　　＼　　|　 K{//}Ⅳ/:　　　//
.　　∨　 ∨ /　 ',　:{ 乂)こｼ　　　＼｜ :乂)こ少　|:　　//　　　/　}　　　‘，
　　　∨　 ∨ /　ヽｉ　｀¨¨^´ 　　　＼　｀^¨¨¨´　!　　}/廴__／　 /
.　　　 ∨　 ∨ /　八　　　　 ,　　　　　　　 |　　{////　　 /　　　　　∧
　　　　＼　∨:/　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　 | ∨ ｀''＜zzz/^}　　　 / ∧
　　　　　　＼ ∨　　　＼　　　　-　　　　　　　　　 |　∨　　　　///ヽ　　　　/ ∧
　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　　　　　　／｡s≦|　　　　 //////〉　　　 / ∧
　　　　　　　　　^ ＼　　　　ｌ　 .　　　　ィi〔二ニﾆ:|　　　　　/ ＼//,/　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　 | ＼　　 ! 　 ≧≦ﾆﾆrﾏ二二二|　　　　 /　　ゝ '
　　　　　　　　　　 |　　ヽ　:|　　ィi}二ﾆ:|　　　　　 |　　　 ,′
　　　　　　　　　‐= |　　　＼ニニ:/ニニ|　　　　　 |: 　　/＼
　　　　　　 /二ニﾆ|　　 /二二二ニニニゝ≦ニニ:|　　 /　　 ≧=‐　､
　　　　 /二二二| 　 /=:≧=‐ニニ:r -----ニニ:|: 　/二二ニニニﾆヽ

.
916： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:19:45 ID:bMttHh86: 　　　　　「俺が使うからお前ら作れってのもなんだかなって感じはするお」

　　　　　／￣￣￣＼
　　　　／／　　＼＼
　　／　（●）　（●）　＼
　　 |　　　　（__人__）　　　　|
　　＼　　　｀ ⌒´　　　／
　　／　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ま、世間なんてそんなもんだろ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､'ーｰ´ 　 'J　|　　　　　　　「ともかくこうした調子で、紅花増産推奨の流れは明治時代に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {　　　　　　　　　『唐紅』『洋紅』と呼ばれる輸入品が
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -ｰ´. : l : .＼　ｲ::::ﾊヽ{`、　　　　　　　　日本に訪れるまで変わることはなかった」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
　　　　　　　　　　　　　　　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____
　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
　　　　　　　　　　　　,' : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r'　　　､ヽ .ﾉ : :|
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |　　　　r_ノ.: : : |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |へ-‐´ : : : :| : :!
　　　　　　　　　　　　　ｉ : : :: : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:ゞｿ: : : : : : : : | : :|
　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|

.
917： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「紅花の歴史について軽く流してきたわけだが、

　　　　　　　　　　　　　　　ここで日本で最も著名な紅花の産地、最上地方における紅花の事情を簡単に見ていこう」

　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 |　　　　　　　　「先ほども少しふれた『最上紅花』だ」
　　　　　　　　　　　　　　 |　｀ーﾞ　　丶__　-　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　( ⌒ )　　( ⌒ )　　|
　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｗW　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 _,ﾉ　　|
　　　　　　　　　　　　　　　!　　ゝ__ゝ‐ ´　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　7￣｀> ‐―　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　ぃ　　　　 /　　/　　　　　｀T.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　〉ﾊ　　　人　V´ ￣￣　　 l.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　,. ｲ / ,.ｲ .i l/　／／ﾄ､/ ,　-─‐　　 l::::::::',
　　　　　　　　　　,.　. : : : : //／/ヽV ／／　l: : :〈　　　　　　 jﾄ､:.:.::',
　　　　　　　　 /: : : : : : ://: : :/　「￣`7　　l: : : :(´￣￣　　ﾉl　ヽ:.:ヽ

　　　　　 /|!　　　　　　|　/　 |　　|　　　　　　|　｀ヽ　　　.! ￣ヽ
　　　　　/Y　　　　　　 ! .!　　|　　|　　　　　　 !　　.|　　　 |　　　!
　　　　/　,|　　　　　　 | ﾊ　 ,|.|　 |ヽ/ /　　　 ,! |　i |　　　 |　　　 !
　　　 /　/|　　　　　　 ||__!＿|_ヽ__!_ | /　　　/　|　| |　　　 | 　　 .!
　　　/　〈,.|　　　　　　 | |,.ヽ=r=ヾ|　!ｲ　　 ./|__/i　!.|　　　 | 　 |　|　　　　　　「話が長くなるのはそういうとこやぞであります」
　　 ,'　　　＼､__　　　/ィi////cﾐヽ　 |　　/-_|ﾒ_|,A |　　　 .!　 ,!　|
　　,'　､　　　ヽ::ヽ　　 !| 弋辻り　　　|　/ ,.ｲ///ヽ!|　　　 .!　/|　|
　 ,'　　｀ヽ､ヽﾉ::::､ | ヾ |｀￣￣｀　　 | /　弋りc'| |　　　 ,!　,! | .!
　 ! ｀ヾ､　 _ 「:::::::::::::!! | i|　　　　　　　´ 　,　ゞ＝! !/.!　　/　/　| .!
　 |　　|ヾ､-'´::::::::／ヽ! |'､　　　　　　　　　　　　//i |　 /　/ 　! .|
　,!　　|:.:.:/ T-イ　　　　 | ヽ　　　　　--　　　　//　!　 /　/　　| .|
../　　/.:/　 /i　ヽ　　　　|ヽ　　　　　　　　　 ,ｲ/ 　　./　/　　 !/
'　　 !:.:|'ノ/iii|　　ヽ　　　､＼　　　　　　／ /　　 /　/
'　　//iiii/iiiiii,|　　　ヽ　　　ミミヽ､　　イ　　/ 　　 /　/
　　/iiii/iiiiiiiii|!　　　　,}､　　ヾ|三ミi｀ i　|　 /　　ｲ　/
　/iiiii/iiiiiiｲ /　　　　/ ＼　　ヾ三ﾐ|!　|　! /　　/ !|　|
,/　ヾﾐiイ //　　　　/￣￣ヽ　ヾ三|!　|　V　／　 !ヽ!
' 　　　 / //　　　 / !　!　!　!＼ヾﾐ!　 | /／　　 !|

.
918： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:36 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まず、最上地方で栽培されていた紅花には主に三種類あった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これらはもとは一種類の植物だったが、
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼　　　　　培養された種の出来具合で区別されていたらしい」
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ　　　　　　　　　　「種の出来具合ということは」
　　　　　　　　　　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `
　　　　　　　　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　　　　／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　　　　　　　 i: : ;;;: : : : : : :;|
　　　　 |:　 : .: :.: : : :∥.　 |　　　　　　　　　　 |: : ;;;: : : : : : ;|
　　　　 {:　　: : : .:::{: {　＿　　　　　　　,　-＝-} il:;;;;l : : : : : |
　　　　i:　　: : : : .i: :i'´　￣ `　　　　　　　ﾘ.| :;;l: : : : : :;i
　　　　 |:　　: : : : l: :|.　　　_　　　　　　　　 |:;;l : : : : : ;i
　　　　i:　　: : :;;;;i: l　ｨ三､`　　　　　'´ ,ｨ＝ﾐ､　ﾘ}: : : : : : i|
　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏　 }　　　　　　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
　　　,: : 　　 : :;;;i ;;i{　夊歹　　　　　　　ﾏ夊　}｝ |: : : : l |;;|
　　 /: : :;;;;l : : :;;;;.|i 　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : l :|;|
.　　 {: : : ;;;;;l : : :;;;;|　 _　　　　　　　i〉　　　　　ﾑ: : : l : i|
.　　 |: : : :;;;;l : : :;;;;ﾄ､ | .）　　　　　　　　　　 ./: : : /ﾋ=‐- ､_
. ,イﾁﾄ､￣仏: : :;;;;;| `i　i　　　　　　　　　　 / }: : ∥　　／ﾐ､
/　　　ム　 {: : : ;;:|　{　､　　　-‐　､　　　　／　|: /　　／　　ﾑ
　　　　　ﾑ. |: : : :;;|　ヽ､＼　　　　　 ,ｨｆ´|　　 |/　　/　　　　　 }
　　　　　　　 iﾙi: : ﾘ､　　　　丶､　_ 　,ｨ彡 } ∥　　'　　/　　　　　　 .{
　　　　　　　乂　＼　　　　　`ﾞY'´　　 / /　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　 i'"´　/ /　　　　/　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　　　　｝⌒ 　　i 　 / /　　　　ﾑ　　　　　　　ﾉi

.
919： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:55 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ　　　　　　　　「品種改良とか、そうしたこととは関係なかったわけね」
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|　　　　　　　　　「そういうことだな。以下がその三種のかんたんな説明になる」
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アザミボタン：全体的におおぶりで葉っぱのとげが鋭い。紅花の原料となる花弁は最も多いが
花を摘むときにとげが指に刺さり摘みにくいために、多くの人が避ける。

オホシメボタン：花弁の数は多いもののアザミボタンよりは少ない。ただ、肥料などの量がすくなくとも
よく育つために多くの紅花農家はこの花を育てる。

コシメボタン：三種の中で最も小ぶりな紅花。そのため摘み取れる花弁の量は少なく、ほかの二種と比して
作付面積に対しての収穫量が少ない。ただし、この紅花の花弁が最も色鮮やかな紅になる。

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.
920： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:10 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿　　　　　　　　　「なるほど、どれにも一長一短があるみたいね～」
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「オホシメボタンがバランス的に好まれてたようでありますな」

　　　　　/　　　　　　　　　∨　　　　　　 |　 jI斗ｬ==―一,
　　　　 f 　　　　　　　 ∨　　　　 i|　　 /|　　　　 |
　　　　｜　　　　　　　　 ,斗匕　　　 i|　 ,/ i|　,jＩ斗ぁ劣ミ　　　}　　　　　　ィi〔
　　　　｜　　　　　　　　／　　∨　　　　i|　/　/　h////}泌}〉　　/　　　　ィi〔
　　　　｜　　　　　　　　　 ,jＩ斗ミ　　 | /／　　 ,)//ﾉⅣ/　 ,/　　　///
　　　　｜　　　　　　　ﾊ＼r爪/,'刈　　　:/　　　　ゞ‐=≦ /　 / 　　,///＿＿
　　　　｜　　　　　 ∧ ゝ　,)/刋　　　l　　　　　　 /　 /　　　,////////
　　　　｜　　　　　　　 ∧　乂^,少＼　｜　　　　　　　, 　／　　　 ////////
　　　　｜　　　　　　　　　,　¨^　　'　＼!　　　　　 /イ　　　〈//////77777
　　　/ｉ|　　　　　　　　　 ∧　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　≧=――‐=≦
.　　 /　:.　　　　　　　　　　 ∧　　　　　 __　　　　　 ,
　　/　　l　　　　　　　　　 / 入　　　　　　　　　　　 /
　 /　　｜　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 /
. /　　　i|　　　　　　 /　　　　　＼　　　　　 /
/　　　　|　　　　　　 ,′　　　　　　＼　　　 ,′
.　　　　 | 　　　　　 ,　　　　　　　　　＼　　 ,'

.
921： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:30 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「まず、紅花の種の採取だが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　これは紅花の花弁を摘み取って二週間もすると種子が熟し、それに伴って茎や葉が枯れる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿　　　　　　　　　　　「そうなった紅花から種を抜き取って、よい種を選み取る」
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',　　　　　　　「社長がアイドル候補生を
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!　　　　　　　　　　　町でみつけるようなものね～」
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

.
922： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:45 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これを乾燥させて煤煙が当たる場所を保管場所として三年間寝かせる」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､　　　　　　　　「三年も？それには何か意味があるの？」
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
923：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:22:04 ID:XeSfx.W.: その社長は特殊すぎるから（白目）
924： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:10 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あぁ、種を取った翌年にその種を蒔くと、その勢いが強すぎて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　花を咲かす栄養まで茎や葉の成長に使われてしまう上に、
　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､　　　　　『まくり病』という病気にかかりやすい、とされている」
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ　　　　　　　　「このまくり病にかかると紅花はほとんど花弁をつけないようになる。
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　しかも恐ろしい伝染力で一夜のうちに一面の紅花に感染したそうだ」
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

　　　　　　 _,,..-―――‐-..,,_
　　　　　 ,,-''´　　　　　　　｀ヽ
.　　　　／　　　　　u　　　　　　　 u ヽ、
.　　　/| | | | |　-..,,_　　　　 u　　＿_　 '.,
　　 /| | | | | | 　　｀ﾞ''‐' ′　ヽ-'"　　　 ',
　　,'| | | | |.|≡=-.,,_　 .三三三　_,,..-=≡　 ',
　　l.| | | | | |　　．｀ﾞ　.三三 "´　．　　　 l
　　|.| | | | | |＝==＝≡ 三三 ≡＝==＝　　|　　　　　　　　　　「そりゃ商売あがったりだお」
. 　 ',　 u　| |　　　 /　　　　　　ヽ　　　　 .l
.　　ヽ　　　　　　 { 　　 ,.、　　　}　　　　 ,'
　　　＼　　　　　　ゝ-ィ´　｀"j-.'′ u 　 ,.'
　　　　｀'',-..,, 　　　 |.r-‐''" 　　 ,,..-''
　　　　　 /　　｀ﾞ"''―‐.U――― ''"´ヽ
　　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

.
925： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:37 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「逆に四年目の種子となるともう生命力が弱弱しくなって、
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_　　　　　　　　葉茎のみならず花まで小ぶりになってしまう。
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）　　　　　　　　　そんなわけで三年目の種を『蒔前』とよび、最適としたということだ」
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

　　　　　　　　　_
　　　　　　　／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::　　　　　　　　　　　　　「デビューは早すぎても遅すぎてもダメってことね～」
　　　　　　　ﾘ/:::::|　　'´　　￣`　.＼::::::::::::::::::＼､
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　　　　　　＼::::::::::::::::::}:::､
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　　　　　　 ∨::::::::::::::::::::ｉ
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|:::.:l
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　　辷 j １::/::::.:::::::|::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　 N:::::::::.:::::|:::::::ﾊ
　　　　　　八:::::∧　　　　丶　　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　＼:::∧　　　　.，　､　　　　レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ 　　　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　〉/　ｯ　i `i-､　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　 i　　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　|　　　∨ '´/i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　　|　　　　　/ :i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　_ ｲ　　　　ノi : :i : : :i : : :i : : :` ‐ - ､::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／　　　　/ : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i: :| ヽ､::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　/ 　　 }　　　{: : :i : :i : : :i : : :i : : :i : : :i : i　　ヽ:::::::::::::::::::i
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　　　　　　　ハ　　　　　　 | :i: : : :i : : :i : : :i : : :ヽ : : :ヽ:ﾉ　　|::::::::::::::::::|
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926： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「さて、種の蒔き方のもろもろとか、種を蒔いたあと芽が出て花が咲くまでも

　　　　　　　　　　　当然様々な手入れがあるわけだがそれは省略して、紅花摘みに一気にいってしまおう」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
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　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
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　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　「三分クッキングのノリだお」
　／　　─　　 ─＼
／　　（●）　（●）＼
|　　　　（__人__）　　 |
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(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼／＿＿＿／

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927： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:23:35 ID:bMttHh86: 　　　　　　「最上地方における紅花の摘みごろは半夏生から、土用にかけて。

　　　　　　　その最適とされる日はその地方によって時期がずれていた」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【半夏生と土用】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　半夏生（はんげしょう）は夏至から十一日目の日です。太陽暦で言えば七月二日あたりになります。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　七十二候の一つで、山形地方の紅花はこの日あたりから紅花の花が咲き始めたそうです。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　土用は、ここでは夏の土用をさします。立秋の前の十八日間です。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　最上地方の中でも北部や川西の地域の紅花の開花はこの時期からです。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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928： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:23:59 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「紅花の花弁はまずは金色に咲き、その後紅色に色を変えていくんだが、
　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、　　　　　　　　　　　この金色から紅に移り行く途中に素早く摘んでしまわなければならない」
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ　　　　　　　　　　　「紅色になってしまってからじゃなくって？」
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

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929： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:24:24 ID:bMttHh86: 「あぁ、『本草六種耕種法』という農業書に、このように書かれている」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

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黄色なる花開て朝露を帯びたるを摘むべし。
紅花を摘み取るべきの候といふと其能満開にして反り返り其中三片紅色になりたるを時として摘み取るべし。

なんとなればその花既に反り返るといえどもただ黄色なるのみにして
一片も紅ならざるを摘みたるは臙脂少なし、また過半黄色になるまでも摘み取らざる時は
また臙脂の出ること大に減ずるものなり。

所謂其花眞黄色なるが反り返って其中三片紅になりたる時は
臙脂の十分にその花に充満したる候なり。

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930： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:24:43 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-、
　　　　　　　　　　　　　　　＿__./.,. i　　　　　　　　　　　　　「紅花を赤くするこの臙脂というのが、
　　　　　　　　　　　　　,,;;''"::::::/:/‐ 'r‐- 、
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::i::/::i　..::::、.:`:、　　　　　　　　　　　　　紅の原料になるのに重要なものなのね～」
　　　　　　　　　　／.::::::::::::／ i/`‐ｖ';;;;; i.::::::::ヽ.
　　　　　　　　　/.::::::::::::／　　　　　　　`i .:::::::::i
　　　　　　　　/.::::::::::./_＿_,　　　　　　　│.::::::::i
　　　　　　　　i.::::::::::::i '　　　　　　 _　　　 i .:::::::::i
　　　　　　　　│.:::::::::i-‐‐‐、　　　｀ヽ、i .:::::::::i
　　　　　　　　/i.::::i::::i.::::::::.　　　　 -‐-.、ﾉ ::::::::::i
　　　　　　　./::::i.:::i:::i　　　　 t　　 ::::::::. /.:::::::::/
　　　　　　 ./:::::::i::`:ヽ.　　 r‐--、　　 /::::::.／
　　　　　　/::::::::::ヽi:;;;_ヽ,.　`ー‐´　,,./;/;;／i
　　　　　./::::::::::::::::│i`ー`r‐=＝f、/／.::::: i
　　　　 /:::::::;;;;;＿丿 i _.,;ー---,/./´　.::::::: i
　　　 ,;'-‐‐'│ .i　　i,;´ ,;--‐´‐yヽ＿__.:::::: i
　　　/ 　　 i　 i　　i,´　,,;‐;'ニ二;　i　 i`ヽ:: i
　　 │　　 i　 i　 / i　　.'',-‐‐-y'　i　 i　　ヽ
　　 │ 　 .i　./　/ ./　　 /　　 /i　　i　i.　　│
　　 │　　i　/　 .i／　　 i　　　 i ヽ　 i　i　│
　　.│　　i　i　／　　　.ﾉ i 　　´ヽ　.i　 i　i │
　　│　　.ヽ／　　　／i .｀ヽ.　　＼i　i　.ﾉ │
　 .│　　／　　　／　.i 　 i ＼　　　＼/　 │
　 │ ／　　　.／i　　 i　 i　　i＼　　　＼. │
　　i/　　　　／i　i　　 i　 i　　i　i＼　　　＼i

.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　ノ　　＼＼
　　　　　|　（●）（●）.　|
　　　　.　|　　（__人__） /ヽ　　 ./´}　　　　　　　　　　　　　「そういうことだな。
　　　　　 |　　｀ ⌒´　{ 　{ 　 /　/
　　　　.　ヽ　　　　　ﾊ　 L/　/　　　　　　　　　　　　　　そしてその臙脂が最も効率よく花とともに摘み取れるのが
　　　＿＿ヽ　　　　 /__.〉　　　ん-､
　／ :　　: :介.〈::::〉.介.〃＿_　 /　, ヽ　　　　　　　　　　　　『花弁三枚くらいが紅になった』タイミングだというわけだ」
　 | : : : : ::〈　｢｀{::::}　!　{　＿__）{_ /　,ﾊ
　 | : : : : : /: |　{::::}　!: :l :＼__, -､. ￣_/:ヽ
　 | : : :　〈: :│ {::::l　|: : 〉 : :ヾヽ　Ｚﾝ: : : :｝

.
931： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:25:07 ID:bMttHh86: 　　　　　「紅花には、葉にも茎にもがくにもたくさんのとげがあって、

　　　　　　　これを日中に摘もうとすると指先を痛めるばかりか摘み取ること自体がうまくいかない」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
....::::::...::::　::::.:....::::::....::::.　.::::::::::..::::. ..:::::::::::::::::....:::::::::....　::::　:::::... .::::::...::::..::::::::::....::::::::....::
.. .. . ...　.::::..　.　.　.::　:　:..　.　...　:::　:::..　... .. .. . ...　...　..::. .. .　..　.　..　.:::::　::　:.　...　.:::::
....::::::........　.　.:....::::::........　.　.::::::... .... ..::::::::::::::::....::::::........　.　　　.:::::... . ::::... .... ..::::::::::::::::....::
.. .　. . ...　.:::　:..　.　.　　.::　:　:..　.　...　:::　　:::..　... .. ..　..　..::. .. .　..　.　　..　　.::　..　.:::
..　.　. . ...　.::　　:..　.　.　　.::　:　:..　.　　::　:　　:　::..　... .. ..　..　..　::. .. .　..　.　　　..　　.::
.　.　　..　.　. . ...　.　　:.. . ...　..　.　　.　　.:　:　:　:.　.. .. ..　..　.　.　　::　:　... .. 　　　..　　.

｡.:;,:; ,:: .., ,..;,:: .:.　｡.,:; ..;;: ..,, ;..,, ..,,　..,　,, .., ,..;,:: .:.　｡,:; ,::　 .., ,..;,:: ..;;: ..,, ;..,, ..:.::　 .., ,..;,
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:.:ﾞ,o｡(@)o0;、,`:'.:o｡o:'"'.:@｡.:;,`:;(@)｡(@)o,`:'.:.::oﾟ.,｡o;:;,':,:,｡o｡(@)oﾟ;.,:;:,0｡o.: '.:.｡o ;;:;,`:;,
:(＠).:ﾞ,:;｡(@)oﾟ,｡o｡(@)oﾟ,"'.:.:;,｡(@)oﾟ`:;,`:'.:o｡o:'.; (@)∴@:.:;,`:;,':,:;.,:;.:(＠):o: '.:.:∴@:.:;,`
o ;@｡(@);; ∴o｡oﾟ｡oﾟ@ ;; o(＠)｡,゜.; ∴@;; oﾟ.,｡(＠)｡o ;; ﾟ:,0｡o ﾟ(＠)'.:oﾟ.,｡;;`(＠):o｡o:'
｡oﾟ@ ;; o(＠)｡,,0｡o ;; ∴o｡ﾟ(＠)'.:oﾟ.,｡o ;@｡(@)oﾟ;;`゜(＠)｡o ;; ﾟ:(＠):o｡o:'.; ∴@;; oﾟ.,｡
0｡(＠)o ;; ∴@ o(＠) (＠)(＠)｡o:'.; o(＠)ﾟ:. o; o(＠)｡,(@)oﾟ:(＠):(＠)o0｡ﾟ(＠)o ;; ∴　　　　　　※これはどうみても紅畑じゃないなぁ
(＠)o ;;.; o(＠)ﾟ:. o ∴@ o(＠) (＠)｡,(@)oﾟ:(＠)(＠)｡o:'.; o(＠)ﾟ:. o; o(＠)｡,(@)oﾟ:(＠):
｡oﾟ@(＠)o0｡ﾟ(＠)o ;; ∴(＠)o0｡ﾟ@(＠)｡,(@)oﾟ:(＠)(＠)｡o:0｡(＠)o ;; ∴o(＠) (＠)(＠
(＠)(＠)｡o;;.;@(＠)｡,(@)oﾟ:(＠) o(＠)ﾟ:. o0｡ﾟ(＠)o (＠)o ;; o(＠) o:0｡(＠)o(＠),(@)o
ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃

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　　　　　「そうであるからして、紅花の花を摘む作業はとげが朝露に湿り、軟らかなうちに摘み取ってしまわなければならない。

　　　　　　　これは最上地方に限らず、紅花摘みの基本だ」

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932： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:25:34 ID:bMttHh86: 　　　「朝日の出るころから四ツ時まで、と記してあるから、おおむね朝十時までに摘み取りの作業を終わらせるわけだ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　「紅花摘みについて書かれている書物には黎明より日の出まで、と書いてある本も多いが、
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　　　結局は棘に悩まされずに紅花を摘むのが肝要なのであって、
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　そういうことを考えれば朝露が消える十時ごろまで、
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７　　　　　というのが実際のタイムリミットになるんだろうな」
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　///// 　　　　　 /　　　　　　　　　　 {_
　　　　　　　　　　 / ∨^{ 　　　　　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　　　　　　 /　/　｜　　　　　 f　　￢-ミ,　|　　　 /　　　　 }　,　　　　　　　　　「やれるとこまででありますな」
.　　　　　　　　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。｜　　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　　　　 /　/　　　　　　∨ﾍ　　 |　|乂i少　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　　 /　 {＼　　　　 ∨ﾊ　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　　 }
.　　　　　 /　　＼＼　　　 //,∧　ｉ|　|　　　　　　 vﾘ}/,　,　　 /
　　　　　　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　　 __　　从/　　 /
.　　　　 /　　/　　／///|⌒∧^　　　ｉ|　　　　　ゝ '　 % ,/　　,/
　　　　 /　　ア777///＞|　　∧　　　 | ＼　　　　　　　　　/　　,/
.　　　　/　／/////／　 i|　　 ,∧ 　　i|＿＼　　　　／}　/
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　　　/　　　≧=≦　　　 |　　　　∧ 　 |⌒}二_}　　　　 i}/ 　 /
　　 /,　γ=====―　　＿,|　　　　i|∧　i|￣}二{{　　　　 /{
　　,　　/二二ニニニニニl 　　　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　　　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　　　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
/　　　|二二ニニニニニﾆl　　　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼

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933： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:25:53 ID:bMttHh86: 　　　　　　「ただ、摘み取りの日に小雨でも降っているようであれば終日摘めたという話もあるぞ」

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :　. : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ⌒）ﾉヽ（　⌒ ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　「あぁ、なるほど。雨でも露でも濡れることには変わりないわね」
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

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934： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:26:15 ID:bMttHh86: 　　　　「夜も明けないうちから家族や下男下女はもとより、

　　　　　　　相当な大店の旦那まで籠を背負い、紅花の摘み取りに走り回ったというからその多忙さは類を見ない」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　『うおー紅花摘みじゃー』

　／.:::::::::::::::::::::::::::::::､::::､::､.´／／´　ヾﾐ､＿: : : : : : : :｀:ヽ
／....../.........,............,'......ヽ...ヽ:.ﾞ､,".:´ ／l!i:., ,ィ |: : : : : : : : : i:}
/....../..........,'.........,ｲ...........ヾ.....､.∨,/_､'´ﾞ"}:.:.:! l:＿_,厶二二ﾆー､-―-､-､
::::::/:::::::::::;:::::::::/:::::::::::::i::::}:::::i'ヽ!/ /7=,-ﾞ，:l lゞ:.,'ﾊﾄ「_`ｲ;ｨ:i:i二＞三ﾐｨﾄ､>､
:::::;:::::::::::i:;::､i:://i:'|:;､::::j::::i::､:l/{i'￣´_ 〉y′ｉ.|`r'´/ﾆ┐ﾞ'〉r'ﾊﾆ=-ﾐﾞ,.-､_､j,ｿ;
::::{::::::::::::l::...i:`≧ﾐ斗::ｨ〉::ﾉ::ﾊ:! l!'/=y,/:.:.:.;ﾘﾊ, `/〈/ﾊ==，!,'",ﾆﾒ　＞｡ｧ'{f
::i::ヽ::::::i::Vj:〃 (),`｀ｿ<ｿ:::/､j'　/`l!/ｲ:.:.ノﾘヽ!　' "'/ﾉ_// ﾞ､,{ﾍﾐヽ　ﾞ´ <, ｿ
:::､:::ﾄ､:::､::＼　ｰ"　　'´ｲ::{／i>ﾐ彡ﾍｲ'´|､ .! |　　,ｲ`ｰ ′ﾉｲ`iﾍ　､/{=ﾃﾌ}
ヽ:::人ﾞ)`｀ﾞ‐ `　/=＝ｨﾉヽﾉ} ＼　}　j;;;;;ヽヽﾉ-　_ノ;;`i´￣｀ヽ＾　ｰ､ﾞ_`三'ﾉ
／ｿ､::}ﾞﾍ　　　/　ヾ;//イ¨〉ﾍ　ヽ!､ﾉ;;;;;;／　　イノ;;;;;}　　　 `ｰ`-―-'､＞―‐--
{　　ヾ､　｀＞ゞﾆ彡'｀ヽ:.:i;;;;|　＜i_ `／　　　/;;;;;;;;;;;;;ｉ　　　／ヽ　　/´
l　　　　＼　　／´ヽ.　　ﾞ.:|;;;|　「....」'´　　　 /;／７┐;}_,ゝ､　　　　´　　　　　　,. -　　　　　　　　　　『摘め―死ぬ気で摘めー』
＞ｲ＾ヽ.__　ヽｲ　　／ヽ. ノﾍ;;|　 /)　　　／rヘi´/ ７､'´￣`llーr―r┬rt‐‐ ´
":. ' .／ "L/`|）〈__⌒`　〃`ヽ },ﾊ.　　／;;;;〈｀ｰ`ゝ'ノﾉ;';';'Y;';||;';'j:.:.:.|;';ヾiく;';';＼
　 ."　／´_ ）７' ／　　／´　　｀ヽ.〉／;;;;;;;／`7､＿/;';';';';';'};'||/;{:.:.:ﾉ;';';';ｉ|;'};';'イ
　　　´　/ｰ' r'／　／　　　　　∠｀ヽ_ ／　. '　／;';';';'／ |;';'||;';'f＝ﾞi;';';'||;'}′|＿
　　　ノ　　 |'　　／､　　　　　/　ヽ／　　　／ﾍ;';';／　　};';'||;';'|:.:.:.:|;';';||;'}　´

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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935： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:26:39 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　「摘み取りが終わったと思ったら息をつく暇もなく紅の仲買人が訪れる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　,　,　.．-――-=ミ｀)ｨ,
　　　　　　　 .ｨ{(〃´　　　　　　　　彡ｲ）
　　　　　　　,.｀≡''　　　　） )）） ) )､ ¨ヽ
　　　　　　/　 ,.ィ　　}） )ｰ'=くﾑｲｨj;）}　 }
　　　　　 ∨ｲ {´ミｒ'¨´ "〃　｀:ヽ,ﾞぐr'"
　　　　　　ヾ{´l {i_ﾞ　r'　_,_　　 1} `ｿ'
　　　　　　　｀7ﾞ>ｧゞﾐ r 〉ﾆﾆ､ｰｲﾉﾘ
　　　　　　　　`ｰｧ,(从 {トｬｰ_-;ｧ7ﾊ）　　　　　　　　　　　【とても善良な紅の仲買人】
　　　　　　　　_/　ｒ'　｀ゝ､｀¨ r''¨´
　　　　　_ ..ィ７　 {　　 { ヾ:ｰ''’
　　　 r'¨ヾ,'/ﾑ-‐ミx　ｊ　 {ヽ._
　　 /　ヾ. }'////∧｀ゝV⌒/! }
　　j　　ヾ!/////,}　;' j///ﾘ i!
　バヽ:、ﾞ1/////j　;' j!/// ;ﾊ、
　ﾑ､　　ヾ }/////ﾊ. ' j!//ﾊ "ｲ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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936： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:27:04 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「この収穫の時期、摘みたての紅花の仕入れのためにおびただしい人がこの地域を訪れ、

　　　　　　　　　　　　　　最上地方は大いににぎわったそうだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f,} ｲ　{　 r.､　　　　　　　ハﾟヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　ヽﾉ　}　　　　　　 .}　｀´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　 /　　　　　 ‘.　　　.{
＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_>=ミ､ _ノ　　　　　　　　ヽ_,　ィ
_　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r- ､　　　　／￣￣｀ヽ　　　＿　　　　 __ >イ´:
_>　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ'　 {　　　./::::::::::::::::::::/　 __＞:.:.｀ー'￣＜ヽ::::::
ヽ　　　＿⊥　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_　　＞^＼　/:::::::::::::::::／　ア:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ｧヽ::
　`ーイ／￣｀ヽ　　　r-､　　　　　　　　　　__r､　　　 , ＜:.:.:.:.:ヽ　＼:::::::7::::::::::::::::::/　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ　ヽ
　　く:::::::::::::::::‘.__　厂Yヒｧ-- ､　とア＼　ヽ___>x　./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}.　　ヽ/::::::::::::::::::/　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
ー-､ハ:::::::::::::::::::V:.ヽ／:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　> ⌒ヽ　　Y　ヽ!ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:./　　 _/::::::::::::::::::::ヽ　　Ⅵ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ
:.:.:.:.:.} /ヽ:::::::::::::::::V/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::::::::::}'´¨｀ヽ　ヽﾍ:.:.:.:,､ｲ＞＜::V::::::::::::::::::::く　　ﾊヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
:.:.:.:./ .}:::::V::::::::::::::::V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:::::::::/!:.:.:.:.::ﾊ　　>^⌒＞ ´￣￣へ::::::::::::::::::::ヽ　 }::}' ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./V　／
≠^ー'::::::::V:::::::::::::::::V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.Y仁!＞==ｲ_＞ ´:::::::::ト-､:.:.:.:.:.:.:.:∧::::::::::::::::::::::`＜ﾆヽ　ヽ:.:.:.:.:.:./ｲ　／:::::
:::::::::::::＞::´^ｰ=-::::::::::ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:.:ﾊ!¨¨¨ヽ　　 {::::::::::::::::/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:}ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::｀￣^ﾞV^'^ヽイ:::::::::::
＞:::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::}:.:.:.:.:.:.:.:.:ハイ::::r^ﾍ::{ー- }:::::::::::::/:.:.:/ヽ_:.:.:.:.:.:／!:.:ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞へ:.:.:ｈイ ././ヽ_L=<_|＿__!::::::::_ノ:.:.:/＞-=^￣ゝ._}:.:.ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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この杭より七日町と云軒数九十七軒此町紅花時分の最中は市場を立て、京都より紅華仲買の旅人下りて売買仕る
他国の衆は知らぬ其時分は男も女も狂人のごとく姿を崩しいつ櫛の歯いれたる儘やら赤裸に成何か一か月の儲けか
一年中の暮らしとなりぬこと故前後を争い親兄弟の見境も有らばこそ我劣らじと買ふことなり昼夜の境なく賑わひ申すなり

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【山形風流松木枕】

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937： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:27:33 ID:bMttHh86: 　　　　　「生花として仲買人の手に渡った紅花は、

　　　　　　そのまま各地におくられることもあったが、干花に加工されて運ばれることが多かった」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{　　　　　　「そしてこの干花を作る工程でも随分と人が動き、様々に賑々しかったらしい」
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
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　　 |///////////////////////////iﾑ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /　　　　　　　　　　　「にぎやかで結構なことでありますな」
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__
　　　　　　　　　　 {二ニﾆﾆｧ　　/　 i＿_γ　⌒　　ヽ廴
　　　　　　 /　　　　　∨ニニﾆ}　　,.ィi〔　　　　　　　　　ﾊ　(_
.　　　　　　/　　　　　 /∨ニニｧ　 / 　　　　　　　　 }/　}
　　　　　　　　　 /　 ∨／ } 　 {　　　　　　　　　　 ‰　ゝ,
　　　　　/　　　　 /　　　f　　|　　|　　　　　　　　　　ィi〔 |／　 }
　　　　　　　　 ,　　　__)k　i|　　ﾄ　　　　　ィi〔　　il　 i|＿__∧
　　　 /　　 /　　 ,　　 /　　ヽ|　　|/≧=‐=≦　 /　　 }　｜ / 　 }
　　　,　　　f　　　 i　　 i　　　 :.　　|　　　　＼ ,/　　 i|　 | 〈　　 |
　　 /　　 i|　　　 |　　∧ 　　 l　　|　　　　　 y　　　 |　 | ∧ 　i|
. 　/　　　 |　　　 |　　 l　T宀 i|　　|　　　　　 /　　　 |＿|　 ^ﾊ
　/　　　 i|　　　 |　　 |／^∨ｉ|　　|　　　　 {　　　　　　　　 },} }
./　　　　 |　　　 |　　 |　　ｉ} i|　　|　　　　　/　　　　　　　　 }＜

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938： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:27:55 ID:bMttHh86: 　　　　　「詳しい手順は省略するが、紅花の花弁を加工して『紅餅』と呼ばれるものを作り、

　　　　　　　　この紅餅を乾燥させて干花とするんだが」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
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　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
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/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　　　　　　／: : ＼:|: :／: : : : : : : :ヽ.
　　　　　／ : : : ;.へｊ:へ : : : : : ヽ: : : ヽ
　　　　　　/ : : : : /―'^^ーヽ : : : : : ヽ: : : ',　　　　　　　　　　「紅餅っていうのもきれいな名前ね～」
　　　　 ,' : : : : /　　　　　ヽ : : : : : ',: : : ',
.　　　　 ,': : : : :/==-､　　　＿_ ',: : : : : :i: : : :i
.　　　 !: : : :./ ＿、　　 ´ ￣｀i : : : : : !: : : ｌ
　　　　ｌ : : : ﾚ价芯　　　徐ﾐ|: : : : : :| : : :|
　　　 | : : : l`弋ｊり　　　　ﾋ心!: : : : : ｊ〉: :.:|
　　　　 |: : : :ゝ　　　 ,　　　｀¨´|: : : : :ハ: : :|
　　　 j: : : :l、　　＿＿＿　　 |: : : :/: : : : :|
　　　 /:| j. : 「ヽ、　マ￣￣ﾉ　 |: : :/〉、: : : !
.　　 /:/ﾚヽ: |::::/::> .　　　　　／|: ://::::ﾄ､: : ヽ
　　/: {::::::::ヽl::/:/､　＼ __ . : : : :|://:::::::!::::＼: :＼
　　 : : : : :::::::::{::{　ヽﾟ｡ }: : : :。ﾟ j'/:::::::/:::::::::::＼: :＼
　　　: : : : :::::::::| 　　ﾟ｡｡ﾟ　./:::::::/:::::::::::::::::::ヽ
　　　: : : : : :::::｢ヽ　　〈ｊ｝　　/:::::::/:::::::::::::::::::::⌒〉

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939： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:28:15 ID:bMttHh86: 　　　　　「この紅餅を乾燥させるについても、とても人手が足らず大変な騒動になる」

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_厶斗笊;';';';';';';'）:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,,xX絲絲∠二二／＿＿/.:.:(⌒※⌒)_,.､ -ｰ￢冖二二二7'"^~`ﾟ"~^`゛~'''ｰｰｰｰー￢''"'"'"'"'"'"'"'"'"
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''"" 乂;';'ノ⌒ヽ,､､ . . . . : : : : : : : : : : : : : : .: .: .: .: .: .: .: <⌒ヽ||／⌒>-　'′　　　　Ｙ,;'"⌒乂　ｖｖｖ　　. . : : : :, :, :, ｗｗ　:,　:,　:　ｖｉｖ
.　.ﾉ;';';';';'(;';';';';';')从从从从ｗｗ从从　-‐ｧァァx''''""""""^⌒'||⌒´　　　　　　　　　 ';,:'",;'⌒乂 : : : : : . . .　　　:, :, :, :,　:,　:,　:;.:,:;.:,:;.:
⌒"""´´´´´´￣￣　　　　　　　　　 xi爻爻淡淡、--──--||-　＿　　　　　　　　_ﾉ,;'",:'",;'⌒＼　: : : : : ::. . .　　　　:,　:, :;.:,:;.:,
　　　　　　　＿＿,,,,,....､､､､　--─ソ爻爻淡淡淡ﾐ　:　:　: : :;';';';';';';'ノ　:　:　.　　　　｀ヽ　,;'",;'",;'⌒ヽ､　:　:　:　.　.
""""~~￣　:　:　:　:　:　:　: : : : : ノ爻爻淡淡淡淡ﾐ:;.:,;';';';';';';';'γ´　:　:　:　.　.　　　　　廴,;'",;'",;'",;'"⌒丶､　:　:　:　.　.　.
.　.　.　.　.　:　:　:　:　:　:　:　:　γ爻爻淡淡淡淡淡ﾐ;:;:;';';';ｗｗ'"　:,　:,　:　:　.　.　　　　　),:'",:'",:'",:'",:'",:'"⌒丶、
.　.　:　:　:　:　:　:,､,,xX愀愀ix　乂爻爻父淡淡淡ツｗｗｗ'"´　:,　:,　:,　.　.　.　　　　　　⌒^ヾ,:'",;'",;'",;'",;'",:'",:'⌒￣丶､〟

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　「空き地、路傍、畦、河原など、筵が敷けるあらゆるところに筵が敷かれ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　その上に乾燥させるべき紅餅が乗せられる」

.
940： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:28:45 ID:bMttHh86: 　　　　　「そして乾燥させるためには当然片面だけを日にさらしておくわけにはいかないので、

　　　　　　　　　花餅をひっくり返さなければならない」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　　　「そらそうだお」
　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ　　　　　　　　　　　　「そらそう（仮に一万個紅花を筵に敷けば）なれば
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}　　　　　　　　　　そう（一万個同じようにひっくり返さなければならない）なるよ」
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

.
941： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:29:04 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「ここでちょっと面白いエピソードがあってな、

　　　　　　　そのひっくり返す人手がとても足りない場合、紅花の筵の隅に一文銭をおいておくこともあったらしい」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣　￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ _,ノ　　ヽ､,_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　(⌒ )　(⌒ )　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　（___人____）　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i,　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　r- ､　　　　　　,.-‐　‐-､,,＿,,..-'"ﾄ　 _ , __ 　ｲﾍ､　　　　＿ . -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　＼　　　/::::::::::::::::::::::::::／::;;;;| ヽ､　 ,, ／　i;;;;;ヽ￣￣:::::::::::::::::::::　　　　　__
　　　　　　　　　　　{ ヽ!ﾞヽ. __､　-l｀ヽ ::::::::::::::::::::::::／:::::::::;i　 rゝ"､　　　 !;;::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::i　 __ 　|　.| r ‐j　
.　　　　　　　　　　　|　 |　 ll　 Y´ l　 !----､　 :::::::＼::::／! , '!::::::::∧ 　 /::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::: _´| f 　|__|　 |_|　 |__
.　　　　　　　　　　　ヽ､ﾞ､　||　 |　 |　 |　　‐- ヽ::::::::／:::::::|/　};:::::{　 .V/i:､::::＼::::〉:::::::::::::::::::: f　 |-|　 |　| 　|.|　 |___ )
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞヽ| 　``"ﾍ　ヽ　　　 !､:::ヽ::::::::::l　 i:::::::i 　 /:::::::::::::::::〉::::::::::::r'ﾞ￣ |　 | .j 　| ｿ　 .|'　 /￣
　　　　　　　　　　　　　　　 `ー'‐―､_　　　　 /)）ヽ､::::::::::i　|:::::::::|　/:::::::::::::::/::::::::::rr|　　 r'ﾞ　 |'´　 /´　／ ,／

　　　　　　　　　　　　　,. .- ‐ -. . .,
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､　　　　　　　　　　　　　「イチモンセン？」
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./

.
942： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:29:23 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　「金だが、まぁ、ごく少額の、小遣い銭程度だな」
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　 f¨¨¨ア　　　/　　　 |　　　　　　/　　　＼　　＼
　　　　　　 l　　　 ′　　　|　　　　 /　　　　　}　　　　､　　　　　　　「お金でありますか？
　　　　ｌ　　｜　　 ,　　　　｜　　　 ,　　　　　 |　　　　　＼
　　　　|　　｜　　 ,　 /　　　,　　　　/　　　　　　,　　　　　　 /　　　　　　　ではそのイチモンセンは
　　　　|　　｜　　 {斗ｬ允― ,　　　/ ＿＿　　/　　　　　　/{
　　　　|　　｜　　 | ｉ|　　/　八　 /　}　　/ ミｔ､　　　　 /　,　　　　　　　　いったい何のために置かれるものでありますか」
　　　 ,　　i|　　　|　,x笊示ﾐ　,　,'　　イ云笊x　　　　 / 　i}
　　　 { 　 i|　　　|i〈 hr (　　　V 　　ぃし(　 )〉　　　　／　 ,
　　　　 , 　 ,　　　{　ゞ= '　　　　　　ゞ==ｼ /　　　／　　 /
　　　　，　,　　叭　　　　 ,　　　　　　　　/　　　//{　　 /{
　　　　　， ‘，　八　　　　　　　　 /　　　 {///7 /　,
　　　　　　 ,　　,　　　　　　　｀　　　　 /　　／i{///ア
　　　　　　 ‘，八　 {　l　.　　　　　　　 / 　／　∧⌒',　　　,
　　　　　　　＼{∧ l　|　＼　　　ィi〔=,/ ／/　 //∧　〉　　，
　　　　　　〈// } ＼i!　　 /爪ニﾊ,　/ｨ　 ,　　{∨//7∧
　　　　　　/ 　^　,　　/ﾆﾆ〈 ,//笊ﾆ{／　 /! 　 |i ∨///∧
　　　　　 //二ﾆ/　 /ニニﾆﾆ{ {} }ﾆ≧≦ﾆ|　　|≧s。/,／　　　‘，
.　　　　 {二=/　 /ニニニニニニニニニ|　　|二ﾆﾆ≧s。
　　　　/　 |二/　 /⌒⌒TT⌒‐=ﾆニニﾆﾆ|　　|二ニニﾆﾆｉ　　　＼
　　　 /　　|〉/　 /{　　　 | ｌ　　　 /i　　　 i|　　|二ニニﾆﾆ|　　　　＼
　　 ,　　　{/ ,／― ＜　i! !　　 /　! ＿___ i|　　| /＼二二_|　　　　　　＼

.
943： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:29:49 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その一文銭、旅人や通行人がその花筵に乗っている花餅の裏返しをしてくれたら

　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　駄賃として持って行ってよいということだったらしい」
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　「のんきな話ねえ。
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi　　　　　　　　　イチモンセンだけ持っていかれそうな気はするけど」
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
944： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:30:14 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「まぁそういうことは絶対になかったとは言うつもりはないが、

　　　　　　　　　こうした記録が残っているということは正しく目的を達成できていた証拠だろうよ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 -｀　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ´ 　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

.　　　　　　／⌒＼
　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
.　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ
.　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　「今だって野菜の無人販売とかありますものねぇ」
　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
.　　　　　　{: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
. 　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
.　　　　　_{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
.　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
.　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　 /:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

.
945： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:30:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「こうして仲買人に買い集められた紅花は干花に加工され、

　　　　　　　　　　　京、大阪、江戸の紅問屋、あるいはそのほかの地方の紅商人に運ばれていくことになる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　,ｨ　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　/ {! __/, ｨ　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　ﾍ
　　ヽ.__　／　　　　　　 {!　　　　　　　　　　　 i
　　ィ≦"　 /　 i　　i　　　　ヾ:､._＿_,ノ　 ,　　　　　}
　〃´　　　/ 　,ｲ　ヾ:､　 :､ __ ｀¨フｰｧ一'　__　　 ;ﾉi､
. {　　　／　　ｨ !:､　　 `ヾ辷彡' ,彡､　{　 γｨ-ヽ =彡 }
. 廴,.ｨ"　　／ヽヾミ=-彡'´,ｨ／丶、ヾ;ヽ､{ /ヾ: ト､_,ノ
　Y´/　　ｲ　i´ ｀ヾ:ミｭヽ　;ｲミ辷彡　 `　ヾ　 / ﾑ　｀ヽ
　弋ヾ.　爪ｷ　斗ﾓt ｲ　　￣´`¨丶　_,ｲ_ノ / ｀ヾ　 }
　　 `ｰ≧={≡:､　´"'/{ﾐ）　　　､　　ﾞ　　ト.ィ:､　　N ﾉ
　　　　ヽ.　ヽ､ｿ　　　 {!　　　イ二)ヽ　 /ヾ;　爪　ﾉｿ
　　　　　 `ｰｧ'ﾍ、　　ﾑ廴,ノ,ィ´　　　}　ｲ　ｿﾉｨくノｲ
　　　　　　 {　　ｲ`丶 i ｀ゞ-'_＿,イﾞゝj} ﾑ才i´　　＼
　　　　　ヾ _{廴_ヾ:ﾐ:､ゞー一彡ヾ,ｲ　　j　　　　ヾ:.､ _＿
　　　　　　　　￣　¨７｀ヽミ._ ￣　　/ / 　 /　　　　　　Ⅵ////７…‐-:､
　　　　　　　　_.．/　　　 `ｰｔ=彡 ,′　,′　 ,ィ≡≡=ゝ//// /　　,.ィ;＼
　　　　　,．ｭ≦//ﾑ匕⌒≧ｭ､ヽ　 i 　 /　 _ノ　|/////////ｲ ,′ 〃´　　ヽ

　　　　　　　　　【紅花からクレムリンまで仕入れる商売人の鑑】

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
946： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:31:06 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「この紅餅、大手の買い取り先といえばやはり問屋だった。

　　　　　　　　　江戸、大阪、京などに多くは集中した問屋だったが、

　　　　　　　　　　　その中でも規模と数が最も大きかったのは京都のそれだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r r┌,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} l .l .l　r 7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r 、　i_i .L.ﾚ´/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ヽ､Y　　r' γ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !､⌒ { 　ﾄﾏ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__　　　　　　　ヽ___‐‐ ｿ.: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼　　　　　　　〈ン´ : : : .＼
　　_,.-ｰ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　l　　　　　　　＼ : : : : : : :＼
　〉＼＼＼　 .-,　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (_ﾉ､__）　　　 i　　　　　　　　　ヽ : : : : : : : ヽ
　＼＼ '´⌒∨ /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} '--´　　　 .'　　　　　　　　　　〉 : : : : : : : :ヽ.
　　　ヽ.　ｨ　　丿　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､_、__　　 ,ｨ'　　　,.ｒ‐-､_,､__,,..-´‐' i＼ : : : : : : ｊ
　　　　ヽ_　　rクヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　〕_____｀,.‐ｨ'｀ヽ‐ｲ : :/ :/ : : : : : : : :N:ヽ : : : ／
　　　　　　〉彡´. : : ＼　　　　　　　　　　　　_____,,.-‐ｨ'!´「ヽ／. : : :／ : :/ :/ : : : : : : : : : :＞-‐'"
　　　　　　ヽ : : : : : : :＼　　　　　　　　　／i : : : : :/／ｿ　/. : : ／ : : :/／ : : : : : ,. -‐ '´
　　　　　　　＼ : : : : : : ＼　　　　　　 ,ｨ' :/ : : :,.ｲ':::::/　/. : ／ : :l : : i/ : : : ＞`´
　　　　　　　　＼ : : : :ﾆ= :ヽ､,ﾍ--ｲ´〃/ : : : /:::::/／ :／ : : : : ヽ : : :＞´
　　　　　　　　　　　ヽ : :／/ : : : : : :／ : / : : : /:::::／ : : : : : : : : : : :ヽ:/
　　　　　　　　　　　　ヽ.　 : : : : : : : : : : :,' : : : :ｉ::::,' : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ--‐‐ー-- 　ｲ : : : : :ｉ/ : : : : : : : : : : : : : : ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :{

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947： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:31:27 ID:bMttHh86: 　　　　「日本最高級の紅花のである『最上紅花』の価格は、

　　　　　　京の紅問屋の言いなりに近いありさまだったようだ」

　　／￣￣＼
　／　　　 _ノ＼
　|　　　　（ ●））
　|　　　　　（__ﾉ_）　　　　　　　　　＿＿＿_
.　|　　　　　　｀⌒ﾉ　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　 |　　　　　　　　}　　　　　　　　　　　⌒　　⌒　　　 .＼
　ヽ　　　　　 }　　　　　　　　　（●）　（●）　　　　　＼　　　　　　「下請けいじめがはかどるお」
　　ヽ　　　　ノ　　　　　　　　 |（__人＿）　　　　　　　|
　　　　>　　　 <　　　　 ∩／)　　　　　＼ヽ＿ノ　　　　／
　　　 /.　　　ヽ　　 /　　く　　　　　　/　ー‐　　　　　　　ヽ
　　　 |　　　ヽ　　＼／　 _ ノ　　　　　/　　　　　　　　　　　｀
　　　 |　　　ヽ　　　／

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948： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:31:51 ID:bMttHh86: 　　　　「ただ、これは紅に限らず、問屋というシステムが普く含む弊害であったわけで、

　　　　　　　　各監督機関もそれなりに存在していた」

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :u : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●）ﾉヽ（　● ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_　　　　　　　　　「けどまぁ、話がずれすぎるから割愛な」
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

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949：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:32:07 ID:XeSfx.W.: 商売人つええ……
950： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:34:08 ID:bMttHh86: 　　　　　「各地に運ばれた紅の原料は各地で紅として加工され、様々な用途に用いられることになる」

　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ
　　　　 i!､　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　 |! ＼　　　i!　　　　　　　　　　　|
　　　　 ! ､＿ヽ　人､__,x≦_　　　　　|
　　　　 ,:　￣ﾐﾍ !,彳¨弋_ソ )　　　　 |
　　　　 |　　　 i　｀¨ ゛ '';:.:': .　　　　 !　　　　　　　　　「就中、京に渡った紅の多くは染色の材料として用いられる。
　　　　ハ (　　 !　　　　､　: :;　　　　　,
　　　ｒ‐ ﾍー　ゝ　＿__.ﾉ, ゛ 7　　　ﾘ　!　　　　　　　　　　　そしてそのほかに化粧品、すなわち京紅に加工され、
　　人　　｀　､- ､｀　　 i!　 l　　 .ｲ/
　　　　ハ　　　｀ -.､　　 | 　 } ／ / 　{　　　　_　　　　　　　　人々の手に渡っていくわけだ」
　　　 l　　　　　　　￣　　 |´　/　 ≠´ ￣~　|
　　　　}　　　　　　　　　　　　i!　ﾑイ　　　　　　/
.　　　 {　　　　　　　　　　　ｊ ´　　　　　　　 /
　　　）　　　　　　　　　 /　　　　 _　-―-｀ 7　　　　　　　　　　　「紅による化粧は、江戸中期ごろまでは白粉に配合し、
　　　　ヽ_　　　　　　　 /　　　　〃　　　　　 {
　　　　｀ヽ　　　　　 /　　　　´　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　ほほ紅などに使用することがメインだったらしい、
　　　　 ,､　｀l _　--　_　i!　　／　　　　　　　｀ヽ
.　　　 /　｀ ¨´　　　　　｀ｰ≠　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　江戸中期になってから口紅やアイラインに
　　　　　　　　　　　　　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　紅を施すようになったそうだ」

.
951： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:34:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　「最上紅花が仲買と問屋の手を経て京に至り、京において紅が作られ、

　　　　　　　　その紅が京における著名な土産物になる、こういう流れがあったわけだな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　「食紅なんかに使われもしたけど、まぁ割合としては小さいだろうな」
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:　　　　　　　　　　「なるほど」
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉

.
952： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:34:51 ID:bMttHh86: 　　　　「ちなみに、多くの原料の生産者がそうであるように、

　　　　　最上地方の人たちの多くは京紅とは縁のない生活であり、

　　　　　　　自分たちが育てた紅花がどのように使われるかを知らなかったという」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼　　　　　　　　　「あぁ……」
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}　　　　　　　　「西陣織の帯を織る女性が自分では一度も
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　西陣織の帯を巻いたことがない、という話もありましたねぇ」
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　　　　 j: : : i:|
.　　　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　　 ! : ,'　　　　＼＼／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　＼　　ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　ヽ.　／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ〉ヽ|

.
953： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:35:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　「ファッキン格差社会」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ　　　　　　　「それはまぁ横に置いておくとして、
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　紅花や干花が運ばれる過程でも様々に経済活動が行われることを考えれば、
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !　　　　　　　　　その影響力というのは軽視すべからざるものがあったといえるだろう」
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

.
954： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:35:31 ID:bMttHh86: 　　　　　「京紅は、デリケートな頬や唇に施される化粧品であるわけだが、

　　　　　その秘伝の製法のためか、色艶よく、肌が荒れず、落ちにくい流れにくいと大変な評判だった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

: : : ', : : : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : :/: :
: : : :.', : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : :/: : :
: : : : :ヽ: : : :',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,: : : : : : ／: : : :
: : : : : : ＼: : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : :
: : : : : : : ', ＼:',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,: : : : ／: : : : : : : :
: : : : : : : :.',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : :／: : /: : : : : : :
: : : : : : : : :',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: :／: : : :/ : : : : : : :
: : : : : : : : : ',ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　 . : :_: ´｀: :´｀ :_: : .　　　　　　　　　　　　 /／/: : : :./ : : : : : : : :
: : ',: : : : : : : ',ﾊ　　　　　　　　　　　 -=ﾆ　＿｀__´＿　ﾆ=-　　　　　　　　　　／　 /: : : :./.: : : : : : : : :
: : : ，: : : : : : ', ﾍ　　　　　　　　　　　　　　｀'' : : : : : : : っ ''´　　　　　　　　　　　　 ./: : : : /.: : : : : : : : : :
: : : : ＼: : : : : :',/ヽ　　　　　　　　　　　　｀ ¨¨¨ ´　　　　　　　　　　　　　　ｨ,: : : : / : : : : : : : : : : :
: : : : : : :＼: : : : ',／＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／': : : .ｨ.: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : :＼: : :..,//// ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／./: : ／: : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : ', ＼: :V////＞ .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ///: ／/: : : : : : : : : : : : : /: :
: : : : : : : : : :.',//＼V//////,ﾊ＞.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..＜　ﾊ//／//: : : : : : : : : : : : : /: : :
: :', : : : : : : : :.∨//＼//////.ﾑ　　＞ ..　　　　　　　　　　　 .. ＜　　 .ﾑ//////: : : : : : : : : : : : . ｲ: : /
: : ',＼: : : : : : : ﾏ､//////////ﾊ　　　　＞..　　　　　　　　.. ＜　　　　　ﾑ/////,: : : : : : : : : : : ／/: : :/
: : :.',　＼: : : : : :.',　`''＜//////,i　　　　　　　＞　__　＜　　　　　　　　 i//r＜./: : : : : : : : : :／　/: :／

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「そうした品質の面からも、京紅というのは土産物の定番として喜ばれたということだろう」

.
955： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:36:02 ID:bMttHh86: 　　　　　「さて、先ほども少し話をしたが、日本における紅花栽培が本格的な、

　　　　　　　　　　そして不可逆的な没落を迎えるのは明治時代の初期だ」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ
　　　　　　　　　　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `　　　　　　　　　　「海外からの輸入品に押されたんでしたっけ？」
　　　　　　　　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　　　　／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　　　　　　　 i: : ;;;: : : : : : :;|
　　　　 |:　 : .: :.: : : :∥.　 |　　　　　　　　　　 |: : ;;;: : : : : : ;|
　　　　 {:　　: : : .:::{: {　＿　　　　　　　,　-＝-} il:;;;;l : : : : : |
　　　　i:　　: : : : .i: :i'´　￣ `　　　　　　　ﾘ.| :;;l: : : : : :;i
　　　　 |:　　: : : : l: :|.　　　_　　　　　　　　 |:;;l : : : : : ;i
　　　　i:　　: : :;;;;i: l　ｨ三､`　　　　　'´ ,ｨ＝ﾐ､　ﾘ}: : : : : : i|
　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏　 }　　　　　　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
　　　,: : 　　 : :;;;i ;;i{　夊歹　　　　　　　ﾏ夊　}｝ |: : : : l |;;|
　　 /: : :;;;;l : : :;;;;.|i 　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : l :|;|
.　　 {: : : ;;;;;l : : :;;;;|　 _　　　　　　　i〉　　　　　ﾑ: : : l : i|
.　　 |: : : :;;;;l : : :;;;;ﾄ､ | .）　　　　　　　　　　 ./: : : /ﾋ=‐- ､_
. ,イﾁﾄ､￣仏: : :;;;;;| `i　i　　　　　　　　　　 / }: : ∥　　／ﾐ､
/　　　ム　 {: : : ;;:|　{　､　　　-‐　､　　　　／　|: /　　／　　ﾑ
　　　　　ﾑ. |: : : :;;|　ヽ､＼　　　　　 ,ｨｆ´|　　 |/　　/　　　　　 }
　　　　　　　 iﾙi: : ﾘ､　　　　丶､　_ 　,ｨ彡 } ∥　　'　　/　　　　　　 .{
　　　　　　　乂　＼　　　　　`ﾞY'´　　 / /　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　 i'"´　/ /　　　　/　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　　　　｝⌒ 　　i 　 / /　　　　ﾑ　　　　　　　ﾉi

.
956： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:36:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「そうだな。国産のものに比べてはるかに廉価な『唐紅』と、

　　　　　　　　　　化学染料である『洋紅』が入ってきた」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_,ﾉ　ヽ､,__ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| (●.) (● ) 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | （__人___）　U |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　「特に洋紅の影響は大きく、それまでの染料とは比べ物にならないほど
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　、　　　. {　　　　　　　　　簡単に染色ができ、発色も鮮やかだった」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　√ヽｰｰ-　´/ i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　＼　､　　ﾉ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 , . ＜　　ﾊ　厂iヽ　　 }∧ }
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ∨ヽ::ヽ{-ﾆ/〉 V ＞.､
　　　　　　　　　　　　　 r ´　　　　　　　　　　｀∨::::::}/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　V　　　　　　　　　〉:::〈　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　　 i　　　　、　／　　　　　　 |::::::|　　　　　ｉﾉ r
　　　　　　　　　　　　／　　　 '　　　　　　　　|::::::|　　　　」　 |
　　　　　　　　　　 /　　　　　　 V　　　　　　　　|::::::|　　　　 l:　 i
　　　　　　　　　　　/　　　　　　ｲ　　　　　　　　 |::::::|　　　　 |　 |
　　　　　　　　 / 　＿／　　/　　　　　　　　 |::::::|　　　　 j　 i
　　　　　　　　　　}／　　　　 /i　＼　　　　　 |::::::| 　　　 .:　 !
　　　　　　　　　.′　　⌒丶 {　}　　`､　　　　　|::::::|　　　　i　 |
　　　　　　　　　　i 　　／￣｀i　i　　　〉　　　　 |::::::|　　／ {　 {
　　　　　　　　　　!　　　　　　　i　i　　/　　　　 |::::::|　/　　 ;.＼i
　　　　　　　　　　V　　　　　　 ', i　　　　　　　 |::::::|　　　 i　 |

.
957： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:36:43 ID:bMttHh86: 　　　　　「最も、前回の友禅染の時にも話をした通り、

　　　　　　最初は洋紅に対するノウハウがなかったのですぐに問題点が続出したわけであるが、

　　　　　　　それでも染色の段階で、染料として紅よりも洋紅が選択されることは多かったことだろう」

　　　　　　　　　　　　　　「問題がたくさん出てきたのに？」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　_|　　＼__|　＼　ｰ-　一'⌒　 /{│　|＼　 }| ｊﾘ　 /
　　＼＼　ヽ!　　ｉ＼＿＿__　　 { l|│ 人　} ノ（　ｌ /
. 　　＼＼　 |　　＼＼＿_ ＼　　＼ヽ ''"｀＾￣＾⌒
　　 /￣ﾟ，＼＼　　＼＿___￣￣｀ヽ　　し　　　　ﾊ
.　 /／￣‘，　＼ヽ＿＿__,ｚ=-─一'　　　　　　　　,州n
　￣￣￣ ∨　}　　＼__／　 ,∠三　　　　　　　 rｆ汐^'ﾟ，
　　＼　　　 |　 l__　　　　　 /ｰ= 　　し　　　 }ﾘ/　 ,　
.　　 __＼＿＼＿＿＿＿_/￣ﾉ　　　　　　ﾉ}ノ　u　ｆ⌒´
　　‘｡　　/二二＼　 -‐==彡'　/王ニﾆ彡'　　J　　_込ｊハ
.　　＼/　　　　＼＿　 ,ｚ≠　 {ﾚ' 　 _xｨｆ⌒　　　 '⌒ヽ　ﾟ.
　　　 /'⌒ヽ　＼　￣_/　（　Ｕ　　ﾉ　　込ﾘ/　　　　　　　｡
　　　ﾉ＿_／＼　 r‐‐＜ﾆ彡　 }　ｌ　＼__／／　　 --､　！　　　　　　　　　　　【広瀬　治助】
　　'⌒ヽ　　-──|　r┬‐､￣　し'　　　　／　U 　/ｰ一ﾍ　 |
　　　　　＼__／了ﾊ. ｌ│（ト　　　　　　　　　 {　　〈 {　|　　 ,へ、　ｘ┬─‐､
　　　　　　　ﾉ /∧_ ＼＞─ ､　　　し　　　　　ﾄ----ク　| 　 /　　Ｙｰ{__l＿＿ﾘ
　　　　　　　　///////｀ー‐一'＾＼　　　　　　　ー一'__ﾉ |　　＼__,ノ　 / {　　 } ）
.　　　　　　　////////∧/////＼_≧‐-　　＿＿＿　　　／　　 /　　　 {__ﾉｰ一く
.　　　　　／//////////＼///// / 〉//////////＼￣　　　　＼　＿　{＿＿__}
　　　　∠////////////// ＼_//〈_/////////|////　　　　　 /7　　ｆ´　　ﾉ）
　　　//￣￣＼///////////////////＿__///|///　　　　　　 /〈　　 ‘ｰ─ｧ‐'
　　　＼//////＼///////////￣￣／　 /___/,|///〉　　　　　__/＼＼＿__／|
　　　//＼////// ヽ//////// 　／　　 /　　ヽ|///__　　/￣//＼　＼/////
　　　////＼//////∨/////　　　　　　　　ﾉ／ヽ///|￣}///////＼__￣￣{
　　　//////ヽ /////∨///　　　　　　　／　　　////,|/////////////￣//
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
958： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:37:09 ID:bMttHh86: 　　　「意地の悪い言い方をすれば洋紅の混乱は消費者に渡った段階で発覚するものだからな。

　　　　　染め手の染料選びでは何も問題ないわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

..　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|　　　　　　　　　　「うわぁ」
.　　＼　　　　　　　　　／
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

.
959： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:37:42 ID:bMttHh86: 　　　　　「こうした背景の中での国内紅花産業の没落の勢いは恐ろしいほどで、

　　　　　　　　明治三年にはすでに多くの紅花農家の暮らしが立ち行かないほどになっていた」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　「先ほど見た最上地方もそのあおりを受け、
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　かつての隆盛はもはや影をひそめてしまう。
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|　　　　　　　　　　紅花農家の記録自体が明治八年を境に
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,　　　　　　　　　ほとんど見られなくなってしまうというありさまになった」
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　　　　＼
　　　　／　　 _ノ　ヽへ＼　　　　　　　　　　　　　　　　「うわぁ、十年もたなかったのかお」
　　／　　　（ ―）　（―）ヽ
　　 .l　 .u 　 ⌒（__人__）⌒　|
　　＼　　　　　｀ ⌒r'.二ヽ<
　　／　　　　　　ｉ＾Yﾞ r─ ゝ、
　　/　　　,　　　　　ヽ._Ｈﾞｆﾞﾆ、|
　　{　　　{　　　　　＼｀7ｰ┘!

.
960： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:38:08 ID:bMttHh86: 　　　　「とはいえ、染料としての用途はほとんど滅びてしまったとはいえ、

　　　　　　　名高い京紅の原料となるべく、紅花は規模を小さくしながらも生産されつづけたわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　／￣￣￣＼　　　　　　　　　　「そうして細々とながらまだ残ってるというわけかお」
　　　　／／　　＼＼
　　／　（●）　（●）　＼
　　 |　　　　（__人__）　　　　|
　　＼　　　｀ ⌒´　　　／
　　／　　　　　　　　＼

.
961： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:38:40 ID:bMttHh86: 　　　「まぁな、そもそもこうした紅は、水に溶いて適度な濃度にしてからつける、

　　　　　というもんだから、現代広く流通しているリップ型のルージュなどと比べて、手間が多い。

　　　　　　　一般的には嗜好品だと捉えたほうがいいだろうな」

　　　　　_　　
　　　　　| ) /.y )_　　　　　　／￣￣＼
　　　　　| |/./ / )　　　　／_,ノ　ヽ､,_ ＼
. 　　　　 ,j /./,/ / 　　　 | （●）（● ）　.|
　　　　 y ´,/　r ).　　　 |　（__人___）　　|
　　　　　', 　　　}/ 　　　 |　　　　　　　　|
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　　　 ∧;､｀ヽ≧　　　　　　,ｨヽ　 _,__　ｲﾄ、
　　　/∨/7ゝｲv'´｀¨ﾆ=ﾆ7 1`‐-.,___ ,.." 八､_
　　 / ;厂////::ヽ;////////ﾍ　　ハ　　ﾊ////７ァｧｭ、
.　 /::::j/////:::::::};////////∧ ∧::∧,///////////ﾊ
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　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　-‐/ｨ }
　　　　　　　　／:::::::::::::// Y'⌒　､　　　　　　　　　　「手軽さだけを考えてもやっぱり
　　　　　　　　　,　"::::::::::::::,:ｲ'"} ／ヽ　　＼
　　　　　　　　　'::::::::::::::::／　{　　⌒丶!::::::::::..　　　　　　　　　　現在のお化粧品は、進化してますものねぇ」
.　　　　　　 /::::::::::::::／　　 |　　　　　ﾏ::::::::::.
　　　　　　　∥::::::::::/　　　 ,　　　　　　 i:::::::::::::i
　　　　　　　i::::::::::::.' `ニ､'´　　　､　　　}::::::::::::}
.　　　　　　　{::::::::::{ 〈 {:::ｿﾞ　　　　, ミｰ　i:::::::::::ﾘ
　　　　　　　}:::::::::i　　　　　　　　ﾑ:ｼ〉.':::::::::∥
.　　　　　　/i:::::::::i　　　　　,　　　　　/:::::::::::/
　　　　　　/::::|::::::ﾑ　　　, 　_　　　　/:::::::::::ｲ
　　　　 /:::::::i:::::::::..､　　 ‐- '　　　/:::::::::::::::|
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　　　/::::_r‐‐-‐ｲ　 }　i_　!　_ /｛:::::::::::::::::::::|
　　 ,　'´　i　｝ }　}　.／　　-‐ ﾏ　ﾞｰｫ､::::::::|
. 　 ′ 　/ / /　,' /　　-‐‐‐-､｝､　 i　` ､::i
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..　!　　　} y'　./　| 　イ⌒ｰ'´/.　 {　　i　　　i
　 }　　x'´　./ 　.!　　 !　　　/　､.　､　ﾑ　　 |
　,' 　∥ {　｛／　　ｲ　　｛　　ﾞ.　｝ .i;　　{
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　　　゛x '　　　　, ' |　ﾑ　　　＼　 /　　　|
　　／　　　　/　 i　 |　i.､.　　　Y　　　l
　 .'　　　　　,.ｲ |　 |　 |　|ﾑ　　　　ﾏ　　　i

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962： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:39:04 ID:bMttHh86: 　　　　　　「個人的には手軽さだけでは味気ないと思うんだが……、まぁ理解はできるな」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ　　　　　　　　「ともかく、京紅のことはこれまでだ。
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ　　　　　　　　　　　前半戦の最後として、文化十年（1813）に出版された
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　『都風俗化粧傳』の冒頭文の一部を紹介しよう」
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;　　　　　　　「あら、なんだか気になるタイトルね」
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
963： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:39:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「この都風俗化粧傳というのは『実に婦女子のためには千金にもかえがたき秘蔵の書』と呼ばれて、

　　　　　　　　　　　化粧のしかた、美容の保ち方、果てはきれいになるためのまじないなどが

　　　　　　　　　　　　　上中下と分けられ紹介されている書だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　 ............................／:::::::
　　　　　　...........:::::::::::／::::::::　─　　　ヽ_
　　　 ...................:::::／:::::::::::: （ ○）　（＜）　　　　　　　　　「おおう、女性陣の目が野獣の眼光になったお」
　　　　　　　　　　 |::::::::::U:::::::　（__人__）
　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::..｀ ⌒´
　　　　　　　......::::::::ノ::::::::::::

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964： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:39:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「索引から内容をちょっと抜き出せば

　　　　　　　　　　　『顔の色を白うし光沢を出だし肌膚をこまかにし美人とする薬の方』

　　　　　　　　　　　『目の大きなるを小さく見する伝』

　　　　　　　　　　　『目の小さきを大きく見する伝』……その他多数だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　「なんかそれって……今でも女向け雑誌で
　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　／　-‐''　｀ﾞ'ｰ　＼　　　　　　　　　　　　　　　特集組まれてるような内容じゃねえかお」
　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　／￣￣ |　　　（__人__）　　　　| ._ｒ､　　　　　 _ｒ､
_／　　　　　＼　　　´ヽ＿/ `　　／ｒﾄ､ヽ＼　　　　ｒﾄ､ヽ＼
　　　　　　　　　ー‐　　　　　ヽヽヽ＼三ヽヽヽ＼
　　ｙ　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽヽ　〉　　ヽヽヽ　〉　　　　　「しかもあらゆる年代むけで」
　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　 ├　　　/　三　├　　　/
　　|　　　　　　　　　　　　　　　（　　 <　　　　（　　 <
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ　　ヽ　　　　ゝ　　ヽ

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965： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:40:22 ID:bMttHh86: 　　　　　「おんなじことを何百年も何千年もやってきたんだよ、人類は、いや、女は。まぁとりあえず冒頭文行くぞ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣　￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ _,ノ　　ヽ､,_ ＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　（___人____）　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i,　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　r- ､　　　　　　,.-‐　‐-､,,＿,,..-'"ﾄ　 _ , __ 　ｲﾍ､　　　　＿ . -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　＼　　　/::::::::::::::::::::::::::／::;;;;| ヽ､　 ,, ／　i;;;;;ヽ￣￣:::::::::::::::::::::　　　　　__
　　　　　　　　　　　{ ヽ!ﾞヽ. __､　-l｀ヽ ::::::::::::::::::::::::／:::::::::;i　 rゝ"､　　　 !;;::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::i　 __ 　|　.| r ‐j　
.　　　　　　　　　　　|　 |　 ll　 Y´ l　 !----､　 :::::::＼::::／! , '!::::::::∧ 　 /::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::: _´| f 　|__|　 |_|　 |__
.　　　　　　　　　　　ヽ､ﾞ､　||　 |　 |　 |　　‐- ヽ::::::::／:::::::|/　};:::::{　 .V/i:､::::＼::::〉:::::::::::::::::::: f　 |-|　 |　| 　|.|　 |___ )
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞヽ| 　``"ﾍ　ヽ　　　 !､:::ヽ::::::::::l　 i:::::::i 　 /:::::::::::::::::〉::::::::::::r'ﾞ￣ |　 | .j 　| ｿ　 .|'　 /￣
　　　　　　　　　　　　　　　 `ー'‐―､_　　　　 /)）ヽ､::::::::::i　|:::::::::|　/:::::::::::::::/::::::::::rr|　　 r'ﾞ　 |'´　 /´　／ ,／

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ　　　　　　　　　　「それでは後半に続きますね～」
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |　　　　　　むぅ
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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夫、本朝は中華諸蛮国にすぐれて婦女子の貞操正しく、姿容夭艶と美しきは、我が御国の風土、余の国にまさりたる功と謂べきなり。

中にも都会の地は、人の言語爽やかに優しく身体の動静より眉造り紅粉の粧い、
いとこまやかに、桃を欺き李に賽る美質と謂いつつべし。

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966： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:40:37 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

中にも都の地は、婦女子の容貌自ら紅粉の色を仮粧ずして、嬋娟とかおよく、窈窕とたおやかなるが上、紅粉の化粧巧手なるが故に
都女郎都風俗とて専ら賞慕う。そもそも同じ天地の間に生を得て、少しの風土は変わりありとも、都会の地に限りて
美人を生ざしめ給い、鄙僻地なりとて醜女を生しめ給うにあらず。

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..　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼　　　　　　　　「なんか穏やかじゃなさそうな文面だお。
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|
.　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　なんて書いてあんだお」
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼　　　　　　　　　　　　「都の女は化けるのがうまいんであって、都に美人ばっかり産まれて
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　　　　　　　　　　　　　　　田舎にはブスしか産まれてないってわけじゃない、って話だ」
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

.
967：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:41:03 ID:XeSfx.W.: 今も昔も変わりませんなあ
968： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:41:05 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

都会の地の婦人は、其顔に応ずる化粧を施し、身格好に合う衣類を着するが故に醜き女も美質見ゆるものなり。

また鄙僻地の婦人は生質容色妖艶とも、紅粉の化粧悪しくして其面皃に応ぜず。

衣類に奇羅を飾り、数百金を費やしたりとも、模様・地色の好み、其人に合わず、衣服の着様そろわず、身の動静のつきづきしきがゆえ
あたら美質も醜く見ゆるものなれば、紅粉の仮粧、身の動静の巧手不巧手によるがゆえなり。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　「これも同じようなことだな、ただ、もう少し突っ込んで
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´　　　　　　　　　　　　　　『都の女は自分にあった身だしなみをするからブスでもそれなりに美しく見える、
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_　　　　　　　　　　　　　　田舎の女は美人でも自分に合わない格好をするから醜く見える』
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }　　　　　　　　　　　　そういう風に多少具体的に言ってる」
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'　　　　　　　　　　　「やらない夫、言い方」
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ

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969： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:41:44 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |　　　　　　　　　　「田舎の女が都にすんで一二年もすれば
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　たちまち美人にみえるようになって、良縁にもめぐまれるようになる。
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　だがこれは都に住んだから低い鼻が高くなったわけでも
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　背が伸びたわけでもなく、自分にあった化粧や
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,　　　　　　　　　　　　　　見せ方を理解するようになるからだ、ってことだな」
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

其一つを謂わんに、僻地の婦人、都会の地に出て一とせ二年住みなれて古郷へかえればにわかに容色よく見え
都女郎になりたりと人こぞって賞美、媒介をたのみ赤縄をもとめ、はからざる立身出世する人世に多し。

これ都へ出たりとて、低き鼻の高うなり、短き脊の長うなりたるにはあらねど、紅粉の仮粧、容の動静にて
低き鼻を高うみせ短き背を長う見する伝を知るが故なり。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　|　　|　　　|　　 ./　　　　　|.|　＼　＼　　　　ヾヽ.|
　　　　/　　|　　　|　　/　　　　　|.|　　　＼　＼　　　 |＼|
　　　　| 　 .|　　ﾊ　 /. 　　　　　|.!　　　　＼　＼　　 |入ヾ、
　　　　|　/ |　　|::|./ー―-、...........||:::::::´￣￣ V　ヽ　 |　 |　ヽ
　　　　|/|　|　　/:::|ｋｒ---ﾄ、:::::::::::::::::::::ィ----ハ　　| 　|　ﾉ
　　　　　 V　　,':::::!|ﾊヽ____,,!:::::::::::::::::::::::ゝ____ﾉ::: V　| 　|ノ
　　　　　　|　　|ヽ　:::::::::::::::　´　　　　｀::::::::::::::::::　|V,'　 |::|　　　　　　　　　　「言い方」
　　　　 .|　　|.ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 .|::|
　　　　　　 ',　 |:　∧　　　　　　　!　　　　　　　／|　　 .|::|
　　　　　　　Vヾ　　|丶、　　　　　.　　　　　／:::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 | 　 |:::::::＞、　　　　　,　イ:::::::::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 |　　|::::::::::::::|　｀　-　´　　:lー＝ |　　 .|::|

.
970： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:42:15 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　「で、この書を読めば化粧の仕方や身だしなみの整え方、
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|　　　　　　　　　　　　　有益なまじないまですべてがわかる、というセールストークに
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　続くわけだ。買うかい？」
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　//⌒ゝ＜ l　　　　　　　　}＜=＞ヽ∧
　　　　　　　　ノ/　　/　　｜　　　　　　　,　　　　　＼､
　 ‐====≦_.｡s≦　　/　　 i|　　　　　　　/　　　　　　　＼
　 }　　　　 { 　　　 /　　　 i|　　　　　 ,　　　　　 }　　　＞｡.
　 }　　　　 |　　　　 ,　　　　｜　　　　 ,　　　　　 |　　　　　 }
　 }　　　　 |　　　　,　 l　　　i|　　　　 /　　ｌ　　 i|　　　　　　,
　　，　　　i|　　　 {　 |　　 i|　　　　　/|　　 |　　 i|　　　　　 }‘，
.　　　　　　|　　　 |　 |　　八　　　　/　　　 |　　 i|　　　　　 ,　 }
　　 ,　　　｜　　　ｉ|　 |------ ､　　 {　l----廴＿,　　　　 ,　 }
　　，　　,　　　 |´ i|　　　　|　ヽ　 |　|　　 /　　 } ｀　　　　 ,}　　　　　　　　　　　「言葉の暴力ともいうべきセールストークでありますが
　　ﾊ　　　,　　　　㌢笊芋示　　＼! ｉ| ,ｨf芋笊ﾐx　　　　 /,}　 }
　　 {∧　　,　　　ゝぃ//(　　　　　　{/ ぃ//(　/ 　　　 ,′,　 }　　　　　　　　　　　　　　つい買ってしまいそうな気もするであります」
　　　{,'∧ 　　　　 ,　乂)少　　　　　乂)少 ,　　　　 / }/}　 }
　　　{/li∧　　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　,′ 　　 /,} }/}　 !
　　　v { /ﾊ　 ‘，　　i{　　　　　 ,　　　　u.　 ,　　　 ‰!} ∨ﾊ_}
　　　ﾏ,/　，　‘，　父　　　　　,　､　　　　　/　　　／ ∧}　∨,/
　　　　 7　　 ,　八　　 ,　　　　　　　　 /　　／l/∧__}　　V{
　　　　 ,　　　〈, }　＼　', 　 }＞　　　＜{ , 　／　 !///∧　　 l
　　　　　　 //}　　　ヽ , 　|二=≧≦=二|/ ／|　　 |∨//∧
　　　　l　　 ///!　　 !ｉ　＼/　 /r ,∨　　／､｜　 |i ∨//∧　　,　　　　　　　　　　　　　「ということで前半は終了であります」
　　　　　　＼_|　　 |　｡s〈　 /_{{}}=∨　　　ｱ_|　　 |　 ∨_／
　　　 ,　　　 ____,|　　 |二ニニﾆ,乂}二ニニニニ|　　 |二ﾆ=‐
　　　/γニニニ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |ニニニﾆﾆヽ　，
　　 ,　 {二二ﾆﾆ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |二ニニニニ}　 ,
. 　/　 i|二二ﾆﾆ|　　 |　} {　　　　7/　　ヽ‐==,|　　 |二ニニニニ| 　 ,

.
971： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:42:35 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：53　ドイツもこいつもフランスも好き勝手言いやがって　　　　.＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　前編終了～

　　　　　　　　　／: : ｨ: ´ﾊ: : : ﾍ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　 /:/: :/　ヽ:.∧: : ﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　 /:/: :/　　　＼ﾍ: : :',: : : :i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}
　　　　　 /:/: :/　　_,_ 　　ヽ:∨: ﾏ: : |: : : : : i: : i: : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　 /:ｲ: : i　〃´　　　　 ∨ﾏ:',: : |: : : : : |: :.|: : : : : : : : : : : : :|
　　　　 ,'ｲ/: : :r"　 , ｲ≧､　　ヽﾄ:ﾊ: ﾘ: rヽ: /: :ｲ: : : : : : : : : : : : !
　　　　　 !ﾙｲ: : i 　 ,ｲﾘゎﾉ　　　 'ﾊﾙ:/:/ﾍﾊ: : ｲ: : : : : : : : : : : : :,'
　　　　　|'ﾚﾄ:.ﾄﾊ　　乂ﾉ　　　　　 'ハi:./ r,　|: :./: : : : : : : : : : : :./
　　　　　　' ! 'ﾍ: :.}　　　´　　　　　 'ﾚ　　/: :/: : : : : : : : : : : : ;'
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972： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:44:15 ID:bMttHh86: いったん中断します。
続きは次スレで行います。

たぶん日付が変わってからの再開になりますのでお待ちになるのもあれかなぁ。

http://bbs.yaruyomi.com/test/read.cgi/ban/1543403093/
973：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:44:50 ID:XeSfx.W.: 乙でした！
974： ◆zbB4e8kEV6：2019/04/21(日) 19:59:50 ID:c9/ToAQE: なんとか4/23未明に投下できそうな気がしています。
975：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 04:07:40 ID:BUwPrS6k: 菅谷晴大茨城
976：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 04:10:45 ID:BUwPrS6k: 酒寄健一
@46nogama
某大型車系ﾃﾞｨｰﾗｰに勤務の不良中年活動家ですf^_^; 以前はｲﾝﾌﾟﾚｯｻWRXを乗り継ぎｽﾊﾞﾘｽﾄでしたが突然のﾗﾝｸﾙ77に代替えでトヨタ党への移籍(；∇；)/~~ ﾗﾝｸﾙの荷室には常時ｷｬﾝﾌﾟ道具満載状態であります
茨城県桜川市
977：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:13:47 ID:BUwPrS6k: Kei@FightersKing
@Fighters_King_
KOFASにおいてギルド FightersKingのギルドマスターをしています！KOFASをプレイされてる方を中心に広く交流できればと思ってます。よろしくお願いします！ギルドご加入希望の方はご連絡を☆
978：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:14:03 ID:BUwPrS6k: 奈良敬子
979：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:16:02 ID:BUwPrS6k: むしゅだ彰＠殺し合いハウスRev
@sweetedfate
参加作品：ibﾎﾞｲｽﾌﾟﾛｼﾞｪｸﾄ /殺し合いﾊｳｽｼﾘｰｽﾞ/新撰組 etc. サムネ:小鳥由羽さん作　コミュ:co1294337
ショートランド泊地peing.net/sweetedfate
980：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:16:51 ID:BUwPrS6k: 須田一輝
@shinji_aoi
宅録、都内近郊スタジオなど、ナレーション、声のお仕事受付中です！お気軽にDMどうぞ。メールでのやり取り希望の方はお教え致します！ #日課の声出しとして日々声を投稿してます！！フォロワー数でオーディションの合否も変わるのでガンガンフォローよろしく！サンプルはYouTubeにて……
東京真治ボイコネでは、かずきyoutu.be/2TRIN-BP_p0誕生日: 10月1日
981：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:17:59 ID:BUwPrS6k: フルゴオリ＠声優
@yasu_jingi
フリー声優。ご依頼はDM迄。叫び◎『アヴァベルオンライン』男性01ボイス『第11回東方M-1ぐらんぷり』明智光秀、森蘭丸役『コープスパーティ２』氏度聖羅役『アズラーイール』プロメテウス役『Last desire』稲葉健役『殺し合いハウス』雅春院みちる役『1bit heart』リュウリ役 #ふるごーりあーと PBWVA
泣き、叫び演技可能。即日納品承ってます。youtube.com/channel/UC_WoM…
982：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:19:32 ID:BUwPrS6k: 喋るゴリラ　五月雨柾
@samidaremasa
ボイコネで活動してる、ゴリラ５人衆の１匹です。人見知りですが宜しくお願いします
aaimsk53.wixsite.com/mysite5353/bla…
983：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:42:51 ID:BUwPrS6k: 椛浜（海賊戦隊話は諸事情で暫くミュート中）
@154cm22cm
ﾆﾁｱｻとかFGOとかの話をするｵﾀｸ。愚痴が多い。ｾﾞﾝｶｲで最近ﾆﾁｱｻﾘｱﾀｲ復活した。ありがとうｾﾞﾝｶｲ。最近ﾂｲｽﾃもしてる&疲弊&RT多めの状況。なのでﾆﾁｱｻだけの話をお求めでしたらその欲望は満たせないので申し訳ない
メンタルが地獄
984：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:43:26 ID:BUwPrS6k: みーの熱帯魚
@3zJJTZQP1Eby5yu
昨日ツイステのアンケートやったんだけど改善するみたいなアンケート欄なくて草
985：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:44:29 ID:BUwPrS6k: ジャック・オ・ランタンTマグサンタクロース
@T_magu_D
雑多｜考察･絵｜19 http://marshmallow-qa.com/tist_mgr?utm_m…
ハロウィンタウンskeb.jp/@T_magu_D
986：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:45:01 ID:BUwPrS6k: ジャック・オ・ランタンTマグサンタクロース
@T_magu_D
改めてツイステのアンケートのこと考えたけどもう運営には期待も何も出来んなぁと言った感じ
運営自ら終わりに行くようじゃもうダメだよなぁ…ディズニーもツイステも好きでずっとやってたけどこのままサ終とかになったら普通に寂しいし悲しい
だからこそ運営には頑張って欲しいのに、つら
987：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:45:59 ID:BUwPrS6k: 瀬戸馨
@seto_kaoru
成人済/夢四角囲みNG/twst →蒸留器♣、弓矢♣を書きます。読むのは割と何でもいける。サ部と ♥寮箱推し。とうらぶ→ へし薬　APH→日右固定、ハプス。FGO→剣スロ最愛。海外ドラマ、商業BLも好き。無言フォロー失礼します。
マシュマロ→http://marshmallow-qa.com/seto_kaoru?utm…
賢者の島pixiv.net/users/931057
988：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 11:24:14 ID:BUwPrS6k: ブル子*·♚॰ॱ०
@buru_km12
また「結婚しないの？」って聞かれたので「いつかはしたいねって彼と言ってるけど中々タイミングがね～私も今は自分の仕事と彼の実家の看板店のお手伝いやったりと忙しいから～」って仁科カヅキとの匂わせをして別の話題に逸らしといた
989：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 16:08:43 ID:BUwPrS6k: 艶が～る公式◆幕末恋愛ゲーム
@tsuya_official
幕末恋愛ゲーム「艶が～るプレミアム」公式Twitterです♪原則、返信はしませんのでお問い合わせはゲーム内「お問い合わせフォーム」をご利用ください。完全無料auスマートパス版も展開中公式ブログ⇒ http://ameblo.jp/tsuyagirl-official… #艶が #艶がーる #乙女ゲーム
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