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一時投下・修正用スレッド

11/ ◆CFbjQX2oDg:2010/12/13(月) 20:23:45 ID:5FqpaYJs
このスレッドは、一時投下、又は作品の修正案の投下用スレッドです。

予約した作品内容に自信が無かったりした場合は一度こちらに投下して他の方に意見をお願いしたりしてみてください。

あと、本スレが規制中で書き込めない方もこちらのスレを投下用にご利用ください。

31 ◆EASY8BNCiM:2010/12/19(日) 20:52:46 ID:4WKuLtsM
予想外の反応に、小四郎はきょとんとした顔を見せた。
それを手伝ったとして、何の得があるのだろうか。
この男の行動、全く理解し難い。
だが、善意で言っているのを無理やり拒否するのも少々気が引ける。
かと言って、外見や性格まで話している程の時間も無い。

――仕方あるまい。相手には失礼かもしれないが、名前だけ教える事にしよう。



「――『朧』と、『薬師寺天膳』だ」
「ふむ、変わったお名前ですね。外見はどのような――」

香川は、小四郎にそう聞こうとしたが――いつの間にか、男は『消えていた』。
驚いて辺りを見回すが、もう何処にもその男はいない。
瞬きをしている間に、去ってしまったのだろうか。
それにしては速過ぎる。人間の出す速度とは到底思えない。


まるで疾風。まるで――――鎌鼬。



【A-3/森林/深夜】

【筑摩小四郎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:鎌@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:天膳様と姫様(朧)を守る。その為にも一刻も早く合流したいが……。
1:無駄な戦闘は避ける。
2:他者と行動するつもりは無い。
※香川英行の名前を知りません


【香川英行@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康
[装備]:オルタナティブ・ゼロのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには絶対に乗らない。
0:あの男は……。
1:『朧』と『薬師寺天膳』を探して保護する。
※筑摩小四郎の名を知りません
※『朧』と『薬師寺天膳』の外見を知りません

32 ◆EASY8BNCiM:2010/12/19(日) 20:54:13 ID:4WKuLtsM
投下完了
タイトルは『鎌鼬の夜』で

どなたか代理投下をお願いします

33 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:11:57 ID:SS5GbopM
大幅に遅れて申し訳ありません
北岡秀一、雨流みねねを仮投下します

34 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:12:32 ID:SS5GbopM
竹林の如く数多のビルが聳え立つ市街地の路上。
夜空を淡い橙色に照らす街頭の下に一人の男が立っていた。
年齢はおそらく三十前後、白いシャツとネクタイの上からグレーのスーツで身を包み、足元には黒のアタッシュケースが置かれている。
耳の辺りまで伸びた黒い髪はよく整えられており、その精悍な顔つきにはどこか余裕のある表情が浮かんで、全体として知的な雰囲気を醸し出していた。
今、彼の視線は手元にあるこのゲームの名簿へと送られている。

「木戸、秋山、浅倉……他のライダーも大方呼ばれてるってわけか」
誰へ告げるでもなく、ただ現状を確認するため、声に出して呟く。

「それに霧島美穂、ね……このゲームの主催者もどうやら人が悪いらしいな」
誰へ告げるわけでもないが、若干の苛立ちを吐露するため、言葉を吐き出す。

「まあ何にしても、俺のやることは変わらないんだけどさ」
最後に、ただ決意を再確認するための言葉を口に出すと、名簿を鞄にしまい、また道を歩き始めた。


◇     ◇     ◇


男は名を北岡秀一という。
彼はどんな事件でも「黒を白に変える」と評判の敏腕弁護士であり、また同時に“仮面ライダー”の一人であった。
仮面ライダーとは、神崎士郎の開く戦い――すなわち、ライダーバトル――の参加者のことを指す。
戦いの景品は、何でも願いが叶うこと。
そのために求められることは、ライダー同士で殺し合い最後の一人として生き残ること。
つまり、ライダーバトルの構図はバトルロワイアルのそれとほとんど変わらない。
だから、北岡秀一の目的は変わらない。行動指針も変わらない。
この戦いを生き残り、“永遠の命を得る”こと、それだけである。

………それだけである、のだが。

(だからといって、連中の思い通りになるのも癪だよねぇ)

北岡秀一は欲望に忠実な人間だ。
永遠の命を得るという目標も、彼からすれば欲望を達成しながら生きるための手段の一つにすぎない。
要するに―――首輪をつけられながら戦いを強制されている状況、これ自体が彼にとってはこの上ない屈辱なのだった。

(ライダーバトルでさえ参加者は自分から志願した“ロクデナシ”を集めてたっていうのに)

もし今回のゲームにも神崎士郎が絡んでいるのなら、後で文句の一つでもいってやろうと彼は心に決める。
それにもう一つ、北岡には憂鬱なことがあった。

(名簿を見た感じ、結構それっぽい名前があるんだよなあ……)

このバトルロワイアルに女性が参加しているらしい、ということである。
目につくのは五、六人。『真紅』や『ハード』など、明らかに偽名らしき名前があるのも考慮すれば、さらにその倍はいるかもしれない。
野郎相手ならともかく女性、特に美人に手を上げることになるのは勘弁だと、彼は思う。

(こうなると、せめて会う機会がなければいいんだけど)

そう彼は期待したが―――現実はそんな願いとは裏腹に進んでいった。
歩道を歩く北岡の前方、ビルの影から一人の女が姿を現した。
袖無しの服にごつい長ズボンというラフな服装がよく似合い、腰まで伸びた黒い髪と整った顔立ちは、左目の眼帯に若干損なわれてはいたものの十分北岡の眼鏡にかなうものであった。
ただし、彼にそうした諸々を確認する時間は与えられなかったのだが。

女性は右手に何かごつごつとしたボールのようなものを持っていた。
そして彼女はこちらを見るなり、それを思い切り放り投げ―――

―――爆発が生じた。

35 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:13:07 ID:SS5GbopM

◇     ◇     ◇


(しかし、呆気なかったな)

爆風と破片をビルの陰に隠れてやり過ごしながら、雨流みねねは思った。

彼女が今投げたのは『マークⅡ手榴弾』、通称“パイナップル”と呼ばれる握りこぶし大の爆薬である。
主に使用されたのがベトナム戦争以前という骨董品だが、
当時はベストセラーとなって世界中で使われていたため中古も多く、
みねねの育った中東の兵器市場でもごくありふれた兵器だった。

(相手にも“日記”かその類のものがあるのかと思ったが……考えすぎか?)

雨流みねねは“未来日記”を使ったゲームの参加者だった。
その名の通り“未来”を“予知”する日記を用い、他の参加者を殺し、最後の一人となってデウスに代わる“神”となる。
やはりこのゲームの構図もバトルロワイアルのそれと変わらないものであり、
やはり雨流みねねの目的も以前と何ら変わらない。
ただみねねはバトルロワイアルを以前のゲームの亜種と考えていた。

(名簿を信じるなら、主催者は来須を生き返らせるほどの力を持ってるってことになる)

しかし、そうはいっても“神”であるデウスの目を盗んでゲームの参加者を拉致できる主催者がいるなど到底考えられない。
むしろデウスが密かにこのゲームにういると考えた方がしっくりくる。
例えば、あの黒い影が言っていた“様々な世界での殺し合い”はデウスが『未来日記を用いたゲーム』と並行して行っていた何らかのゲームではないか、とか。

だが―――

(あの男は、死んだ)

獲物がよく使い慣れた“パイナップル”だからこそ、実感を伴って確信できる。
ピンを抜いてから起爆までの時間、標的までの距離、標的の反応―――
彼女は自分の経験から、あのタイミングでは助かりようがないと結論を下す。

(日記保持者なら、何か反応はしただろ)

日記保持者対その他なら下らないゲームになりそうだ、とみねねは思う。
しかし自分に支給された武器を顧みるに支給品はそれなりに有用だろうと思い、
男の持っていた鞄を拾いに行くため足を動かし


角を出たところで、足を止めた。


爆発の煙が残る路上に、何かが立っていた。
緑を基調とした服の上から、銀色の簡素な鎧をヘルメットを被せたかのようなまるで人間味のない姿。
右手に無骨な銃を持ち、こちらの方をを見据えながら、それは屹然としてそこにいた。

36 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:13:52 ID:SS5GbopM
◇  ◇     ◇


「何だ、ありゃあ!!?」

あれは別の参加者か―――否、そんな時間はない。
ならあれはあの男か―――応、あの男の死体は見当たらない。
ならあれは何だ?―――知るかっ!

「畜生がっ!!」

ともかくもあれは敵だ、それも銃を持った敵だ。
思考の遅れは動作の遅れ、動作の遅れは己の死だ。

みねねは慣れた手つきで手榴弾のピンを外し、再び相手に投げつけ、ビルの影に身を隠す。
相手――緑の怪人は、あろうことか腕を前に交差しただけでその爆発を防いでみせる。

(まったく効き目なしか……)

ある程度予想していたこととはいえ、若干の苛立ちと焦りが頭をよぎるのを自覚する。
そんなみねねの様子と裏腹に、緑の怪人は落ち着いた手つきで銃を構えてこちらに向けた。


「っ!」

とっさに反射的に頭を後ろに反らす。
直後、頭があった場所を複数の銃弾が通り過ぎた。

「ちっ、あいつもヤル気満々な口か」

一方的な愚痴を言いながらも、みねねは考える。
とにかくここは不味い。
路上には遮蔽物がないし、敵の攻撃から身を守る術がない。

とにかくビルの角から走って距離を取りながら、彼女は『逃亡日記』を取り出す。
『逃亡日記』―――それは敵を倒すためには役に立たず、ただ逃げ道だけを教える彼女の未来日記である。
そして、普段なら何日も先まで見通すその日記には―――ほんの数分、一、二手先までのことしか書かれていなかった。

(失っても命を失わない代わりの制限ってことなんだろうが……ないよりはずっとマシだな)


##########

00:42  [路上→左手のビル]

怪人Xに追いつかれる。
銃弾を躱すためビルの中に逃げ込む。
                 
##########


後ろからの足音が急に大きくなった。
おそらく怪人が角を曲がり切ったのだろうが、“DEAD END”が出てない以上そんなものは気にしない。
動かない自動ドアに回し蹴りを入れて蹴破ると、彼女は中に入っていった。

37 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:14:26 ID:SS5GbopM
◇     ◇     ◇


ビルの中は暗く、街灯の明かりが窓からわずかに入ってくるだけだった。
この建物は典型的な雑居ビルのようで、一階には洒落た服などを扱うテナントが入っていた。
その奥、服の棚と棚で雨流みねねは一息ついた。

(あれをどうやって攻略する……?)

脳裏にあの怪人のことを思い浮かべる。
あれも未来日記のように何らかのゲームの“ルール”だったのか。
あるいは単なる支給品なのか―――

―――ガシャン

割れた自動ドアのガラスが踏みつぶされる音がした。

(チッ、もう来たか)

入口の方を見ると、街灯の光が逆光となり黒く見える人型が佇んでいる。
しかし逆に向こうからは店内は暗くしか見えないから、下手を打たなければこちらはしばらくは発見されないだろう。

ともかく。
あれが“ルール”にせよ支給品にせよ、未来日記に制限がかけられているように、倒すことのできる存在として設定されてはいるはずだ。

(なら、こっちが相手に勝っているのは何だ?)

みねねが思考する一方で、また人型が違う動きを見せる。
腰のベルトから何か―――遠目にはトランプのカードのように見える―――を取り出し、
それを銃のマガジンに入れた。
すると、その手に突如戦車砲を外して取っ手をつけたかのような、異様な装備が現れる。

(野郎っ!)

あれがどういう仕組みの手品なのかはわからないが、しかし。
あの形状の、あの武器を今ここで使う用途など一つしかない。

人型は砲を構え―――店の至るところへ向けて“砲撃”を開始した。

38 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:15:17 ID:SS5GbopM
◇     ◇     ◇


轟音とともに放たれた砲弾が破壊を伴う弧を描く。


##########

00:44  [今の棚の後ろ→通路]

とっさに通路に飛び出す。
後ろの棚が吹っ飛ばされた。危ねぇ!

##########


飾られた服、木製の棚、マネキン人形―――店中の何もかもが、弧に触れた途端紙切れのように吹き飛ばされる。


##########

00:45  [マネキンの後ろ]

その場で伏せる。
頭上を砲弾が飛び、手前のマネキンは木端微塵だ。


00:45  [マネキンの後ろ→柱の影]

やつが次弾を用意する間に移動する。
もう撃ってきやがったが、流石にコンクリ製の壁は一発じゃ打ち抜けないらしい。

##########


敵の弾は、銃の形状の通り一発撃つと次弾を撃つまで間があった。
みねねはそれを利用し、『逃亡日記』を用いてかわしきる。
そして柱の陰に身を隠しながら、必死に発想を整理する。

(やつを倒せる方法は二つ)

一つは、あれの防御力を上回る攻撃を加えること。
手段がないわけではないが、あまりにリスクが大きいためこれは却下。
よって残るはもう一つの手段。

(あれの時間切れを待つ)

正直、あの鎧の性能は反則に近い。
銃や砲を操る圧倒的な火力、対人用の兵器ではまるで傷つけられそうにない防御力。
あれを着ていれば、同じような装備の参加者が相手でない限りまずそう簡単には脱落しまい。
しかしあの男は、初めて見たときはそれを着ていなかった。

(今更あれが支給品だって線はないだろう。
初めて扱うものをあれほど使いこなせるわけがない。
あのスーツの性能をよく知っていて、それでも最初は着ていなかった理由は“制限時間”しかない)

みねねはそう結論づける。
あの鎧が身の負担になるのか、あるいは日記のように制限がかかっているためかは知らないが、
あの鎧は常に着ていることができないのだろうと。
そしてみねねは、回避の一点についてのみあの男に勝っている。

(砲なら『逃亡日記』でなんとかできる。
やつが銃に持ち変えるなら、店の残骸や柱を利用してかわす)

男の銃の腕はいいが、それでも専門の訓練を受けた一流のプロほどではない。
何度も銃弾の飛び交う修羅場をくぐりぬけたこの身ならかわしきれる。
そうやって時間を稼ぎ、鎧の解けたあの男を倒す。
いつ鎧が解けるのかわからないのは心苦しいが、できないことはないはずだ、とみねねは思う。

39 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:15:49 ID:SS5GbopM
(なら、予想が正しければ残る関門はあと一つか)

そこまで考えが至ったとき、砲撃の音が止み、重量物が地面に落ちる音がした。

(砲撃を銃撃に切り替えるのか?…………………いや、違う!)
考えるやいなや、柱の影から踊りだし、手榴弾を投げつける。
弾は起爆し、敵が装填しようとしていた“カード”が爆風にのまれどこかに消える。

さっきの砲が現れた現象を見て、みねねはカード(らしきもの)の装填を原因と予測した。
しかし予測は予測、半信半疑なものに過ぎず、それを確かめる必要があるとも考えていた。
だから、このタイミングには注目していたのだ。
敵が砲の攻撃をことごとくかわし、銃も決定打になるか疑わしい状況。
敵は手詰まりだと感じ、打開策を求めるだろう。
なら、このタイミングで、敵はカードを装填し、新たな武器を求めるのではないか―――そうみねねは考え、それは目の前で現実のものとなった。

(敵の攻撃をかわしながら、敵の装填を妨害する……厄介な仕事だ、畜生)

しかし、だからといって手を抜くわけにはいかないのだ。
万が一マシンガンのような武器が出れば、おそらく日記を使うまでもなく殺される。
だから戦いをより優位に進めるためには、若干の無理をしてでもなさねばならない。

ヘルメットが暗視ゴーグルも兼ねているのか、正確にこちらを狙ってくる射撃を木片やマネキンの残骸を用いてかわしつつ、相手の動きを注視する。
敵がベルトからカードを抜きだすと、手榴弾を投げる。
再び行動を阻害され、相手はじりじりと後退し、店の外まで身を引いた。

(さて、どうする?)

みねねはまたここで考える。
店の中で武器を変えられないのなら、みねねの手の届かない店の外で武器を変えればいいと判断したのだろう。
これに対し、追撃するのは、相手が時間切れで引いたなどという間抜けなオチがつかない場合、まず射殺されて終わるため、論外。
よって二択。
残るか、引くか。
残って敵の新しい装備を見極めた上で戦いを続けるか、戻ってくる前に裏口からの脱出を図るか。

(まあ『逃亡日記』に逃走経路があれば、ここに残ればいいってだけの話だけどな)

そこでみねねは自分の日記を確認し―――


―――そして自分の敗北を悟った。

40 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:16:23 ID:SS5GbopM
◇     ◇     ◇


度重なる爆発と砲撃により燦燦たるものとなった店の前の路上に二つの影があった。
一つは、北岡秀一の変身した仮面ライダーゾルダ。
もう一つは、ゾルダと同様に緑を基調として銀の装甲が被さる、二足歩行する機械仕掛けのバッファローのような怪物、
『マグナギガ』“ミラーワールド”のモンスターである。

ゾルダは弾倉にカードを入れると、その銃をマグナギガの背中に押し当て、必殺技を発動させた。

《FINAL VENT》 ――― エンド オブ ワールド

“世界の終わり”の名にふさわしい膨大な量の弾幕がマグナギガの全身から放たれ、
すでに瓦礫の山となっていた店を火と煙の織り成す灼熱地獄へと変えた。


だがその店から間一髪、飛び出してくる影があった。


ゾルダ―――北岡は、地面に転がったその影に近づき、銃をつきつけて言う。

「チェックメイトだよ、お転婆なお嬢さん」
「残念だが、そいつは早とちりだよ」

女はそう答え、右手を見るよう首で示す。
そこにあったのは今まで使っていた手榴弾とはまるで違う、異質なデザインの爆弾。
女の指はそのスイッチトおぼしきところに既にかかっている。

「あんらもわからない人だなあ……私に爆弾が効かないのは散々試されたでしょう」
「ああ、“普通の”爆弾はね。ただこいつは、支給された特別性の爆弾だ。
使い慣れてないし、烈火ガスを使うなんて得体のしれない物だから使いたくはなかったんだが……いいぜ。
お前が引き金を引くなら、同時に起爆してやるよ。いくらその鎧でも、ガスまでは防げないだろうがな」
「はぁ………なるほど、で要求は何?それともここは、見逃せと?」

「いや、お前と手を組みたい」

「喧嘩を売ってきたのはお前でしょ?何言ってんだか。」
「ハハッ、あの時はそんな鎧があるなんて知らなかったんでね。
だが今は情報も、戦力も欲しい。あんたもどうせこのゲームに乗ってる側の人間なんだろ?
私と手を組むメリットは大きいんじゃないか?例えば“鎧が解けている間の”護衛、とかね」
「なるほどね………」

北岡は悩むような素振りをした後、こう答えた。

「いいよ。まああなたみたいに美しい女性とご一緒できるのは悪くないし、
―――その“未来を見渡すかのような携帯”にも興味があるんでね」

41 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:16:56 ID:SS5GbopM
##########

00:49  [ビルの中→路上]

バカみたいな火力に追い立てられて路上に脱出するが、怪人Xに捕まる。他逃走ルートなし
畜生っ!

##########

ザザザ………ザザザザ……ザザ………

##########

00:49 [ビルの中→路上]

バカみたいな火力に追い立てられて路上に脱出するが、怪人Xとの交渉に成功。
窮地から一気に形成挽回だわ!流石はみねね様!

##########

42 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:17:41 ID:SS5GbopM
◇     ◇     ◇


「しっかし、“携帯”ねぇ……」
「何か気になることでも?」
「いや、さっきお前がこの携帯を“日記”じゃなくて“携帯”と呼んだでしょ?
本当に未来日記のゲームとは関係してないみたいね」
「“未来日記”……?初耳だなあ。じゃあれは本当に名前の通りの代物ってこと?」
「まあ、詳しくは追々教えるにして、大雑把にはそういう解釈でいいわ。
しかしどうして気づいたんだ?」
「あれだけ戦闘中に携帯を見てたら何かあるのは気づくって。ま、未来云々は半ばあてずっぽだったけどさ」
「ふうん」
「こっちからも一つ訪ねておくけど、“ライダーバトル”のことは知ってる?」
「“ライダーバトル”……?いや、知らないわ。
それがお前が参加していたバトルロワイアルの名前なのか?」
「ああ、話の早い女性は好きだよ。じゃ、ライダーについても追々教えていくとしましょうか。
あと自己紹介がまだだったな。俺は北岡秀一、弁護士をやってる。そっちは?」
「雨流みねねだ、職業は……あえて言うならテロリストだな」
「また物騒な」
「お前には言われたくないわ」

43 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:20:45 ID:SS5GbopM
◇     ◇     ◇

「あーあ、俺の鞄がぼろぼろだよ」
「手榴弾の爆発に巻き込まれたんだから原型留めてただけありがてぇ話だろ」
「デザイン気に入ってたんだけどねぇ」
「そういや、お前の支給品はアタッシュケースに入ってたんだな。私のはリュックサックだったが―――」
「俺のも最初はリュックサックだったけど?」
「……は?」
「だってそのリュックサック、ださいじゃない。そんなみっともないもの、背負ってらんないよ」
「じゃ、あのアタッシュケースは?」
「スタート地点の近くにちょっとしたお店があったから、一つ頂戴してきた」
「お前弁護士だったよな」
「社会正義になんか興味ないんでね」

◇     ◇     ◇

「とりあえずここから離れよう。あのビルが倒壊したら巻き込まれそうだ」
「足は?」
「こいつがある」
「……鍵か?」
「“マスターキー”とかいう支給品だよ。会場に置いてある車ならなんでも鍵を開けられるらしい。……仕組みは聞くなよ。俺も知らないからな」
「へぇ、便利なもんだな。……しかしどうなってんだこの町は?
車の持ち主どころか、人っ子一人いやしない」
「さあね。ただ……人がいないことといい、ライダーに変身できることといい、俺が知ってる範囲じゃ“ミラーワールド”によく似ているな」
「ミラーワールド?」
「それは車に乗りながら話そう。さあ、女性は助手席に乗った」
「つーか黒塗りのベンツかよ……本当にお前は贅沢が好きだな……」
「何言ってんの?贅沢は人生の基本でしょ」

◇     ◇     ◇

「出発する前に聞いとくけどさ、他の参加者に会ったらどうする?」
「目についたやつから殺せばいい。情報は引き出せるだけ引き出した後で、な」
「了解」

44 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:21:37 ID:SS5GbopM
【D-5/市街地/深夜】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(中)
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して永遠の命を手に入れる
1:雨流みねねを利用しつつ優勝を目指す
2:未来日記について知る
3:女性とはあまり戦いたくない
[備考]

※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。

【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(中)
[装備]:MKⅡ手榴弾
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記、BIM(烈火ガス式)@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:北岡秀一を利用しつつ優勝を目指す
2:ライダーバトルについて知る
3:時間を見つけてBIMを使いこなしたい
[備考]

※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします

45 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 13:22:13 ID:SS5GbopM
以上で仮投下を終了します

46名無しさん:2010/12/20(月) 15:33:56 ID:UpYmCA5g
仮投下乙です
感想は本投下のときに
内容は問題内容と思うのですがBIMは今までの作品だと八個セット支給でしたが、みねねのは一個でしょうか?
あと、これは出来たらのお願いですが、支給品の簡単な説明とかあるとありがたいです。これはどっちでも良いのですが

47 ◆9n1Os0Si9I:2010/12/20(月) 18:37:04 ID:/YxvmLgg
今日より明日は修正版投下します

48今日より明日は修正版 ◆9n1Os0Si9I:2010/12/20(月) 18:38:19 ID:/YxvmLgg
まずはこのバトルロワイアル内の二人の人物の出会いとその経緯を書かなくてはいけないだろう。
どのようにして二人が出会ったのか。
そして、どのような決意をしたのか。
それは、まだ分からない。

【天野雪輝side】
「ど……どうしてこんな事に……」
彼、天野雪輝はなぜこんなことになったのかは全く見当がつかなかった。
「またデウス……じゃなさそうだけど」
そう思いながら彼はリュックの中を探り出す。
まず見つけたのは「携帯電話!?やった!これがあれば……」
小さな希望を見つけた。
しかし違和感に気づいて希望が絶望に変わるまで時間はかからなかった。
「電話ができない……最悪じゃないかよ」
しかし、そこからまたほんの小さな希望が生まれた。
「あれ……これ、僕の日記だ」
そこに書かれていた文は

【観覧車やジェットコースターのレールがある。ここは遊園地のようだ。】

無差別日記、雪輝が日々書いていた日記だ。
客観的に書かれていて自分に関する情報は少ないが情報量が多いことが良点である。
そして添付していた説明書に目を通すと能力が弱くなっているけれど壊れても死ぬことはないらしい。
「これは壊れても死なないのか……良かったのかな?」
「でも……ということはデウスじゃないのか?」
支給品を確認しているときに名簿に気付いた。
「そうだ、名簿も確認しないと」
そう言い確認し始める。
目を通し始めてすぐ
「え……戦場マルコ?」
信じられない出来事が起こった。
「あいつは……あの時死んだはずなのに」
死人が生き返る、そんなことはあり得ない。
出来るとしたらやっぱり。
「デウスも……何か加担しているのか……?」
他にも来栖圭悟、美神愛
そして、雨流みねね。
自分を助けるために死んでいったはずだ。
それを自分は確認している。
「まずは由乃を探さなきゃ……いろいろと怖いし」
そうして彼はその場の探索を始めた。

【ガッシュ・ベルside】
「ウヌゥ……なぜこんな事になったのだ」
金色の頭髪にくりくりとした丸い瞳。
戦いが終わりやさしい王様となったガッシュ・ベルだ。
その彼の手には自分の魔本があった。
「ウヌゥ……ウヌゥ……」
考える、どうしたらいいか、どうしたらみんなを助けられるか。
「ティオやキャンチョメ、他のみんなだってここにいる……」
「だったらやることは決まっている!やさしい王様としてこのゲームを終わらせてやるのだ!」
そう高らかに宣言する彼の瞳はまっすぐだ。
きれいなほどにまっすぐだった。

49今日より明日は修正版 ◆9n1Os0Si9I:2010/12/20(月) 18:39:04 ID:/YxvmLgg
◇ ◇ ◇



【Both aspects-両視点-】
「遊園地だけど……特にこれといって何もなさそうだな」
天野雪輝はランタンを揺らしながら歩いていた。
「近くに由乃がいるといいけど……」
「だれかいるのか!?」
「!!」
そこに現れたのは金髪の少年だった。
「え?……なんだよお前……」
「ガッシュ・べルなのだ!ガッシュと呼んでくれ」
「ぼ、僕は天野雪輝だ」
「そうか、ならば雪輝でいいな」
僕は戸惑う、こんな子供もまきこまれているなんて……。
「なぁ雪輝、お主は」
「なんだよ?」
「こんな事をした奴が許せないか?」
「あたりまえじゃないか!こんな事……」
死んだ人間も生き返らせてまた殺し合いをしろって。
趣味が悪いとかいうものじゃない。
「じゃあ、手伝ってくれぬか?」
「え?」
「絶対にこんなことは許せない、だから絶対に潰さなくてはいけないのだ」
「……」
唖然としていた。
こんな子供でもこんな強い意志を持っているのに。
それに比べると自分の意志はこんなにも脆く、弱い。
「僕なんかでもいいのか?」
逃げるなら今しかなかった、逃げたかった。
怖かった、でも賭けてみたくなった。
この金髪の少年、ガッシュ・ベルに。
「ウヌ!助かるのだ!それじゃあ行こうではないか!」
「え?どこに行くの?」

「決まっているだろう!こんな事を考えた奴を倒しに行くのだ!」

これが二人の出会いだ
この後彼等がどうなるのかはまだ分からない

to be continued
【A-7遊園地/一日目/深夜】
【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:魔法のマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品、ガッシュの魔本@金色のガッシュ!!、不明支給品×0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:やさしい王様としてこのバトルロワイアルを止める。 
1:雪輝と行動する。
2:ティオやキャンチョメ達仲間との合流。
※参戦時期は本編終了後です。
【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:無差別日記@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2(確認済み、武器はない)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いはしない、でも死にたくない。
1:ガッシュを信頼して行動する。
2:まずは由乃と合流する(いろんな意味で怖いから)
3:その他の知り合いは……?
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。

【ガッシュの魔本@金色のガッシュ!!】
ガッシュ・ベルの魔本、赤色である。
この本が燃えてもガッシュは消えることはない。
術を使うために必要なものだったが今ロワでは、パートナーなしでも使える高嶺清麿しか読めないが参加者に清麿はいない事から普通の人でも読める可能性はある。
金色の魔本になるのかは不明だがほぼ不可能であると思われる。

【魔法のマント@金色のガッシュ!!】
ガッシュとゼオンが普段着ているマント。
外見は色違いで、機能は同じ。
高価な魔法の布で作られており、魔物が持つ道具では後者に該当する。
魔力を使うことで着た者の意のままに動かしたり伸び縮みさせることが可能で訓練次第で攻撃・防御などにも使える。
胸元に付いているブローチが付いていれば破れても時間と共に修復される。
ブローチは付いているが、回復速度はとても遅い。

【無差別日記@未来日記】
1stと呼ばれる天野雪輝の所有する日記。
これが壊れても天野雪輝は死亡しない。
自分を中心とした周囲の未来を無差別に予知する能力がある。
元々は趣味として雪輝の見た物を日記に書いていた物がデウスの力により変化したもの。
全日記中最多の情報量を持つが普段から雪輝が傍観者でいようとしたため自分自身のことが一切書かれていないという欠陥がある。
また、あくまで雪輝主観の情報に依存するため雪輝が間違った情報を把握した場合は間違った情報のままの未来が表示されてしまう。

50 ◆9n1Os0Si9I:2010/12/20(月) 18:39:42 ID:/YxvmLgg
投下終了です。
まだ間違いがあるかもしれないのであったら指摘お願いします。

511/ ◆CFbjQX2oDg:2010/12/20(月) 19:59:12 ID:C2VOPgVE
仮投下乙! 
特に内容に問題は無いかと思います。本投下お待ちしてます。 もし規制中でしたら一声かけていただければ代理投下しますので。

>>◆9n1Os0Si9I氏
修正乙です!
個人的にはですが凄く読みやすくなった気がします! 内容には関係ないのですが修正の際に再予約は必要ないですよw
本スレもしくは避難所にでも、修正しますのでちょっと待ってね! って一声かけていただければオッケーです。


52 ◆9n1Os0Si9I:2010/12/20(月) 20:48:45 ID:/YxvmLgg
とりあえず今回は
・本スレで指摘された事
・ユッキーの参加時期を決定それに伴う文章変更
この二つを修正しました。
あと規制されてしまったようなので誰か仮投下お願いします。

53 ◆W.z0w51WN2:2010/12/20(月) 21:11:31 ID:SS5GbopM
>>46
修正点確認しました
BIMの数→8個ですね……というか手榴弾の数も書かねば
支給品の説明→本投下の際に加えておきます

>>51
読んでもらいありがとうございました
本投下に失敗したときはお願いします

>>◆9n1Os0Si9I氏
修正乙です

54名無しさん:2010/12/22(水) 13:21:02 ID:gUTGOcrI
>>53
本投下はしないのでしょうか?

551/ ◆CFbjQX2oDg:2010/12/24(金) 02:23:34 ID:4TVC.iC2
◆W.z0w51WN2氏!
修正作業とはいえ時間が大分かかっているようですが、投下の目処は立っているのでしょうか?
連絡をお待ちしております。

56 ◆9n1Os0Si9I:2010/12/24(金) 08:37:39 ID:dkgwZH6M
一時投下します。
一人のため短めです。

57あなたは今どこで何をしていますか ◆9n1Os0Si9I:2010/12/24(金) 08:38:35 ID:dkgwZH6M
「なら私と一緒に星を見に行かない?」

始まりはその言葉からだった。

たったそれだけだったはずの言葉が、何気ない会話が私たちにとっての始まりの言葉だったんだ。


◇  ◇  ◇


「……あれ?ここ……は?」
背中にかかる柔らかい感触から椅子に座っているらしい。
周りには大量の椅子、そして前に大きいスクリーンらしきもの。
そこから推測するには
「映画館……ね」
彼女はその椅子から立つ。
彼女は近くに置いてあったリュックを持ち中身を確認し始める。
まず見つけたのは
「これは……当たりね」
彼女は中からIMIウージーを取り出す。
そしてそのまま中を探る。
他に、IMIウージーのマガジンが5つを発見した。
「これは……携帯電話ね」
そして携帯電話を開く。

58あなたは今どこで何をしていますか ◆9n1Os0Si9I:2010/12/24(金) 08:39:07 ID:dkgwZH6M
【ユッキーが小さい男の子と行動してる!大丈夫なのかな?早く合流してあげなきゃ!】

どう見ても自分の日記、雪輝日記だった。
付属についていた説明書を見つけた、情報量が少なくなってる代わりに壊れても消滅ようだ。
支給品はもうないようなので次は名簿を開く。
まず目に入ったのは天野雪輝ことユッキー。
自分の恋人にして一番大切な人。
ずっと共闘してきた、時には私を助けてくれた。
次に戦場マルコ、こいつは死んだはずだ……。
「なんで生きているの?」
そこであの男の言葉を思い出す。

『……そして、死者を蘇らせたい者』

つまり、死者をよみがえらせることができるということだ。
他にも来栖圭悟、美神愛、雨流みねねの名前も見つかった。

「よし、じゃあ行かないと……」
彼女は立ちあがる。
「ユッキー……待っててね、今由乃が行くから」

彼女は行動し始める。
彼女を今動かしているものは、


天野雪輝への愛、ただそれだけだった。

59あなたは今どこで何をしていますか ◆9n1Os0Si9I:2010/12/24(金) 08:40:16 ID:dkgwZH6M
【D-5映画館内部/一日目/深夜】
【我妻由乃@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:雪輝日記@未来日記 、IMIウージー(32/32)
[道具]:基本支給品、IMIウージーマガジン(5)
[思考・状況]
基本行動方針:ユッキーと合流する。ユッキーを殺そうとするやつは容赦しない。
1:ユッキーと合流する。
2:一緒に行動している少年はユッキーと合流後殺すか判断する。
3:ユッキーを守るためなら利用できるものは利用する。
※参戦時期は不明ですが天野雪輝と参加時期が近いです。(少なくとも雨流みねねの死亡後)

【IMIウージー@現実】
イスラエルのIMI社(現 IWI社)製の短機関銃である。
イスラエル初の国産兵器として1951年に陸軍中佐ウジール・ガルが完成させ
1953年に量産開始。1956年の第二次中東戦争で活躍した。
オールスチール製で重い(3,570g)ため撲殺にも使える可能性アリ。
【雪輝日記@未来日記】
2ndと呼ばれる我妻由乃が所有する日記。
これが壊れても我妻由乃は死亡しない。
天野雪輝の未来の行動・状況が記される携帯電話型「未来日記」。
天野雪輝の事が10分毎に表示される。
雪輝の「無差別日記」と合わせることで雪輝の未来の完全予知が可能となる。

60 ◆9n1Os0Si9I:2010/12/24(金) 08:42:04 ID:dkgwZH6M
投下終了です。
一応言われたことは気をつけて書きました。
間違いがあったら指摘お願いします。
大丈夫だったらどなたか本スレに投下お願いします。

61403 Forbidden(修正版) ◆IRxFfnsX8c:2010/12/25(土) 01:56:39 ID:eOWNx3Cg
修正版投下します

×××××××××××××
まず、武器を確認した。
タイマー式BIM8個。だいたい使い方はわかっている。
カウント10で爆発するため、タイミングとそれをはかる冷静な判断力が必要だ。
他の支給品は基本支給品一式を除けば、手鏡、そして果物ナイフだった。

「これで戦いぬけって? エセ『BTOOOM!』の次は『バトルロワイアル』? 何それ……もう沢山よ」

無理矢理人を殺して、そこまでして帰っても彼女の居場所はない。
しかし脳裏に彼女を強姦しようとした男の脂ぎった身体が浮かび、全身に悪寒が走る。

――男にいいようにされるのだけは嫌!

気を奮わせ名簿に目を通す。
そして、脱力。
「……何で私が“ヒミコ”なの?」

ヒミコ――HIMIKO。ネットワーク型ゲーム「BTOOOM!」での彼女のアバター名。
確かにオンに限らずオフで「BTOOOM!」をやっている人間はそう呼ぶ。
そして何故かその呼び方をする坂本竜太は本名で名簿に載っている。
他にそれっぽい名前を探す――ミツル(MITSURU?)ワタル(WATARU?)姓がなく外国人っぽい名前も含めればもっと多い。
彼らが「BTOOOM!」プレイヤーかどうかは別として、自分の名前が浮かなかったことに安堵した。
しかしこれだけの力を持つなら本名を調べるのも造作もないはずだが、何か意図があったのだろうか。


とりあえず荷物をしまい、かざした左中指に意識を集中させる。

ピコーン

レーダー波を送り近辺に人がいないのを確かめた。
反応はない。
それは同様に会場にいるはずの坂本や平も近くにいないということだが――――アイツらも所詮男だし――――でも、アイツは――――

「さっきの何かカッコイイわね」

背後からの声にビクリと振り返る。
反応は、なかったはずなのに。

62名無しさん:2010/12/25(土) 01:58:53 ID:eOWNx3Cg
【マルコがいない。私と永遠の愛を誓ったはずなのに!】
「全くだわ。だからマルコがどこか教えてよ!」

美神愛は明らかに苛立っていた。
夢の桜見タワーでの結婚式を挙げて、1stと2ndとの決着をつけようとしていた所だったのに。
どうやらこの未来日記がレプリカであり、能力が制限されているのは本当のようだ。
折角愛に溢れた日だったというのに。
説明書によると自分を中心とした十字エリアのどこか(4箇所)にマルコがいれば、その居場所と様子がアバウトにわかるらしい。
同じエリアなら更に行動も読み取れるはずである。
とにかくマルコは近くにはいない。これは確かだ。
「でも私にはコレも……逆ナン日記、と」
新婚で使う武器じゃないわね、と苦笑しながら携帯電話を開く。
次に声をかける男性のスペックや未来の愛が書いたコメントがわかる。
危険人物を回避可能、これだけで十分利用出来る能力である。
しかしそれに映しだされるのは【NO DATA】の文字列のみ。
「しばらく誰とも出会わない……?」
調子が狂う。早くマルコと合流したい。そして熱い口づけを。
そんな想いとともにしばらく荒野を進む。
もう1つの支給品、スタンガンを手にして。



それから程なく人影を見た時は彼女も驚いた、と同時に納得した。
金色の髪、白のブラウス、迷彩柄のスカート――女だ。せいぜい高校生といったところ。
これでは『逆ナン日記』に引っかからないのも当然である。
彼女が上げていた左手を下ろした所で、声をかけた。


そしてヒミコも理解した。
干渉波による反応の消失ではない。
背後に忍び寄っていた女性――美神愛の左手にはチップがない。
レーダーでありキルスコアの証であるこのチップ。
これがレーダーとして機能するのは相手もこれを付けている時である。
生きている間に剥がすのは非常に難しいため、これまでの“ゲーム”ではそれを前提に動いていたのだが。

「……最ッ悪」
「ご挨拶ね。まあ、私も女には興味ないけど」


月下の荒野で女同士の睨み合いが始まった。

63名無しさん:2010/12/25(土) 01:59:39 ID:eOWNx3Cg
【F-1/荒野/深夜】

【ヒミコ@BTOOOM!】
[状態]:健康
[装備]:BIM(タイマー型)@BTOOOM!(8/8)、果物ナイフ@現実
[道具]:基本支給品一式、手鏡@現実
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえず生き残る
1:目の前の女をどうにかする
2:ここではレーダーが使えない!?
3:男なんて……でもアイツは……

【美神愛@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:交換日記のレプリカ・美神愛用@未来日記、逆ナン日記のレプリカ@未来日記、スタンガン@BTOOOM!
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:マルコと合流し二人で生き残る
1:目の前の女をどうにかする
2:日記はアテにならないわ!
3:マルコが気になる


【BIM(タイマー型)@BTOOOM!】
見かけは黒い立方体。カウント10で爆発する。
作動させた上で中止し、爆破時間を操ることも出来る(3秒後に爆発、など)

【果物ナイフ@現実】
ステンレス製。木の鞘がついている。
切れ味はそこそこだが人間を切るのには向いていない。

【手鏡@現実】
やや大きめの女性の嗜み。女性以外も……?

【交換日記のレプリカ・美神愛用@未来日記】
彼女から見た戦場マルコの未来の様子、自分がいかに愛されているかが書かれる。
マルコとの距離で日記の精度が変わる。
これを破壊されても愛やマルコは死なない。

【逆ナン日記のレプリカ@未来日記】
美神愛が次に出会う男性のデータが書かれる。
出会うのが女性や無性であった場合、それは表示されない。

【スタンガン@BTOOOM!】
先端を当てるとしばらく気絶する程度の高圧電流が流れる。
チャージに時間がかかり、連続使用は不可。

64403 Forbidden(修正版) ◆IRxFfnsX8c:2010/12/25(土) 02:02:41 ID:eOWNx3Cg
以上です。修正点は
・ヒミコの初期BIMの変更
・交換日記の制限について文章追加(ツッコミ待ち)
・その他細かい部分
です。

65爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 05:59:33 ID:o5nAIfZ2
ヘマして規制くらったので続きをこちらに投下します
……なんかもう二重の意味で申し訳ありませんが、誰か代理投下をお願いします

66爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:00:21 ID:o5nAIfZ2
◇     ◇     ◇


轟音とともに放たれた砲弾が破壊を伴う弧を描く。


##########

00:44  [今の棚の後ろ→通路]

とっさに通路に飛び出す。
後ろの棚が吹っ飛ばされた。危ねぇ!

##########


飾られた服、木製の棚、マネキン人形―――店中の何もかもが、弧に触れた途端紙切れのように吹き飛ばされる。


##########

00:45  [マネキンの後ろ]

その場で伏せる。
頭上を砲弾が飛び、手前のマネキンは木端微塵だ。


00:45  [マネキンの後ろ→柱の影]

やつが次弾を用意する隙に移動する。
もう撃ってきやがったが、流石にコンクリ製の柱は一発じゃ打ち抜けないようだ。

##########


絨毯爆撃ならぬ絨毯砲撃。
一本の木を燃やすため森ごと燃やそうとするかのようながさつな攻撃。
だが被害を省みずどこかに潜む敵を撃つには、極めて効果的な戦術だった。

67爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:01:27 ID:o5nAIfZ2

しかし敵の砲には一発撃ってから次弾を撃つまでにタイムラグがあり、
みねねは『逃亡日記』を用い辛うじてかわしきる。
そして柱の陰に身を隠しながら、考えを整理し修正する。

(あれは“飛び道具を持っている”なんて、かわいい代物じゃない)

さらに言えば“砲を持っている”なんて代物でさえすまないのかもしれない。
そもそも、さっきどこから砲が現れたのかもわからないのだ。
これから、さらに厄介な武器が増えていくと考えた方がいいだろう。
もはや喧嘩を売る相手を初っ端から間違えたとしか言いようがないが、しかし後悔している時間はない。

(あれを倒すのは無理でも“チェックメイト”をかける方法なら、思いつく限り一つだけある)

王手はかけられたかもしれないが、まだ詰んだわけではない。
みねねの脳裏に浮かぶのは、砲を取り出す前に見せた仕草。
もしあれがこの目で見た通りのものならば、みねねは勝つ方策を実行に移す。
―――そこまで考えが至ったとき、砲撃の音が止み、重量物が地面に落ちる音がした。

(砲撃を銃撃に切り替えるのか?…………………いや、違う!)
考えるやいなや、柱の影から踊りだし、手榴弾を投げつける。
弾は起爆し、敵が装填しようとしていた“カード”が爆風にのまれどこかに消える。

(やっぱり………っ!)

さっき砲が現れる前、みねねはカード(らしきもの)が装填されるのを見た。
つまりその動作が“新たな武器の出現”につながるのではと考えた。
しかし予測は予測、半信半疑なものに過ぎず、それを確かめる必要があるとも考えていた。
だから、このタイミングには注目していたのだ。
相手にしてみれば、敵が砲の攻撃をことごとくかわし、銃も決定打になるか疑わしい状況。
おそらく手詰まりだと感じ、打開策を求めるだろう。
なら、このタイミングで、敵はカードを装填し、新たな武器を求めるのではないか―――そうみねねは考え、それは目の前で現実のものとなった。

68爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:02:01 ID:o5nAIfZ2

(だったらやれる!)

別の柱の影に身を移し、敵の銃撃をかわしながらみねねはそう判断した。

ヘルメットが暗視ゴーグルも兼ねているのか、正確にこちらを狙ってくる射撃を木片やマネキンの残骸を用いてかわしつつ、相手の動きを注視する。
敵がベルトからカードを抜きだすと、手榴弾を投げる。
それが爆発したのを見て―――みねねは柱の影から駈け出した。

(チャンスは今っ!)

埃が宙に舞い煙も収まらない中をみねねは走る。

敵が新しい武器を出す際見せた動作は『ベルトからカードを抜き』『それを銃に装填する』というもの。
なら、カードの入った“ベルト”かカードを入れる“銃”のいずれかを奪えば、新しい武器は出せなくなるだろう。

(爆発に乗じて近づき銃を奪えば、やつは攻撃手段を失う)

これが彼女の思いついた勝つ方策。
ベルトより銃の方が奪いやすく、またその後のリターンも大きい。
ただ彼女はあの鎧について知らないため何が起こるかわからないし、失敗する公算も高い。
その際は『逃亡日記』の使用に踏み切らざるを得ない。

だが、そんな心配はするまでもなかった。
手榴弾を投げるときに把握した敵の位置に着いても、周囲には誰もいない。
さらに視野を広げてようやく、標的が遥か後方、すなわち店の外にまで身を引いているのが見えた。

69爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:02:44 ID:o5nAIfZ2

(クソッ、判断が早い)

店の中で武器を変えられないのなら、みねねの手の届かない店の外で武器を変えればいいと判断したのだろう。
妨害が二度続いたとはいえ、爆発の直後にそこまで動いた決断力にみねねは舌を巻いた。

これに対し追撃するのは、店から出たところを狙い撃ちされるため、論外。
よって二択。
残るか、引くか。
残って敵の新しい装備を見極めた上で戦いを続けるか、戻ってくる前に裏口を見つけ脱出を図るか。

(まあ『逃亡日記』に逃走経路があれば、ここに残ればいいってだけの話か)

そこでみねねは自分の日記を確認し―――


―――そして自分の敗北を悟った。


##########

00:49  [ビルの中→路上]

バカみたいな火力に追い立てられて路上に脱出するが、怪人Xに捕まる。他逃走ルートなし
畜生っ!

##########

70爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:03:15 ID:o5nAIfZ2
◇     ◇     ◇


度重なる爆発と砲撃により燦燦たるものとなった店の前の路上に二つの影があった。
一つは、北岡秀一の変身した仮面ライダーゾルダ。
もう一つは、ゾルダと同様に緑を基調として銀の装甲が被さる、二足歩行する機械仕掛けのバッファローのような怪物、
『マグナギガ』“ミラーワールド”のモンスターである。

ゾルダは弾倉にカードを入れると、その銃をマグナギガの背中に押し当て、ゾルダの持つ中で最大火力の技を発動させた。

《FINAL VENT》 ――― エンド オブ ワールド

“世界の終わり”の名にふさわしい膨大な量の弾幕がマグナギガの全身から放たれ、
すでに瓦礫の山となっていた店を火と煙の織り成す灼熱地獄へと変える。
だがその店から間一髪、路上へ転がりだしてくる影があった。

ゾルダ―――北岡は、仰向けに転がるその影に近づき、銃をつきつけて言う。

「チェックメイトですよ、お転婆なお嬢さん」

それに女―――雨流みねねはどこか不敵な表情で言葉を返す。

「ヒヒ、残念だがそいつは早とちりだよ」

そして、右手を見るよう顎で示した。
そこにあったのは今まで使っていた手榴弾とはまるで違う、異質なデザインの爆弾。
女の指はそのスイッチトおぼしきところに既にかかっている。

「あなたもわからない人だなあ……そんなものが今更効くとでも?」
「さあな。ただこいつは支給された特別性の爆弾だ。
烈火ガスなんてものを使う、“お前の鎧と同様に”得体のしれない爆弾だよ。
だからこそ使いたくはなかったんだが……ここはヤケクソで使ってみるか?」
「はぁ………なるほど、で要求は?」
「ここは見逃せ」
「つれないなあ。私としてはあなたみたいな美人をみすみす見逃したくはないんだけど」
「気持ち悪いわね。起爆するぞ?」
「どうぞご自由に」

まるで余裕を崩さない返事に、女の表情はなんとも苦虫をかみつぶしたかのようなものに変わった。

「私が起爆しないとでも?」
「私が引き金をひかない限りは、ね。これでも弁護士やってるから人を見る目はあるつもりだけど、
あなたはどうも破れかぶれな行動をするタイプには見えないなあ」
「チッ。……起爆はさせないが逃がしもしない。お前は何を言いたいんだ?」
「簡単な話ですよ。―――私と手を組みませんか?」

71爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:03:59 ID:o5nAIfZ2
◇     ◇     ◇


“刑事”に“弁護士”、どうして“テロリスト”のみねね様と手を結ぼうとするやつがこんな連中ばかりなのか、アホくさい、とみねねは思う。
だが―――

「いずれ殺しあうやつと手を組もうなんて、頭イカレてんのか、お前は」
「いえ、冷静に状況を判断しただけです。
あなたは“仮面ライダー”のこともまるで知らずに私に戦いを挑みこの様、
私にしても“こちらの攻撃を予測しているかのような携帯”のせいであなたを仕留めきれなかった。
まずは情報と、余裕をもって未知のものに対応できる戦力が必要、そうは思いませんか?」

―――これには少し面をくらった。
コイツは、あの戦いの中で“未来日記”に気付いたらしい。
まあしかし、砲弾の中を携帯見ながら正確によける人間を見れば、大抵はそういう結論に
なるのかもしれないが。

「なんで私が仮面ライダーとやらを知らないとわかった?」
「あなたは仮面ライダーに変身しなかった。あとは出会った直後の反応を見ればわかりますよ」
「なるほどね……一応聞いとくが、もし断ったらどうする?」
「残念ですが。その爆弾より、あなたをここで逃がすリスクの方が大きそうだ」

つまり初めから他に選択肢はないわけだ。
『逃亡日記』に書かれた未来の通りになったかクソッタレ。
しかしこの状況は非常に気に入らないが、あの男の言うことにも一理ある。
未来日記を“携帯”呼ばわりする男と仮面ライダー、か。
やはりこのゲーム、闇雲に戦うだけでは勝ち残るのは厳しいのだろう。
爆弾から手を放し、うんざりしたように言う。

「チッ、わかった、降参だ。これでいいんだろ」
「ええ。話が早くて助かります」

すると男が鎧姿から、一瞬にして初めて見たときのようなスーツ姿に戻った。
手の銃も一瞬で消えているが、その代わりにカードデッキが手の中にあった。

「それは……?」
「ああ、これなら変身アイテムといったところです」

変身って、本当だったのか……
まだ“緊急用の耐爆スーツ”とかそんなオチを少し期待してだけに、多少ショックではある。
目の前の出来事に唖然としているみねねを置いて、男は話を進めた。

「まずは情報交換から、といきたいところですが……ここはちょっと目立つし、場所を変えましょうか」

72爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:04:51 ID:o5nAIfZ2
◇     ◇     ◇


そして今、二人はやたら高そうな車―――というか黒塗りのベンツの中にいた。
別に路上にあったやつを無理やり奪ったわけではない。
男―――名は北岡秀一というらしい―――が“マスターキー”なんて支給品を持っていたからだ。

「この会場にある車の鍵なら何でも開けられるそうでね。……理屈?知りませんよ」

他に北岡は黒のアタッシュケースを持っている。
今では最初の爆発に巻き込まれてそれなりにボロボロだが、もとのリュックサックのデザインが気に入らなかったので近くの店から失敬してきたらしい。
弁護士が盗みを働くなど本末転倒だが、「こんな会場で法律を気にしても仕方ないでしょ?」とは本人の談。
もっとも弁護士は法律の抜け穴を探すのが仕事でもあるそんなものかもしれないが。
………しかし、そんなことで時間を使うとは。阿呆か、こいつ?

「そこはほら、あなたみたいな女性と親密な男と女の仲になるには、服装もそれなりに気にしないと」

はあ?男と女の仲?……何言ってんだコイツ、気色悪ぃ!?
大体情報交換はどうした?

「そんなことより」
そんなことじゃねぇ

男との協力を後悔し始めたみねねだが、車は構わず夜の街を往く―――


【D-5/市街地(車の中)/深夜】
【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(中)、若干の後悔
[装備]:MKⅡ手榴弾[4個]@現実
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記@未来日記、BIM(烈火ガス式)[8個]@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:北岡秀一を利用しつつ優勝を目指す
2:仮面ライダーについて知る
3:他のゲームについて情報が欲しい
4:時間を見つけてBIMを使いこなしたい
[備考]

※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします

73爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:05:33 ID:o5nAIfZ2
◇     ◇     ◇


横の席の女を運転のついでに口説きながら、(女は案外うぶらしく、少しの口説き文句で顔を赤くしたり怒ったりしている)、
北岡は改めてこの状況を整理していた。

(“攻撃予測の携帯”ねぇ)

職業柄、女の反応から半ばあてずっぽうで言ったそれが事実らしいことは確信している。
しかしそれゆえに余計に困惑が強まったのは事実だ。

(さっきから町では誰も見かけないし、ライダーには変身できるし、ここ、まるでミラーワールドだよねぇ)

まるで理解不能な事態になっている―――それが北岡の率直な感想である。
しかもライダーバトルと違い、そうした不明瞭な部分が直接命を危険にさらしかねないのだからたちが悪い。

(最初に“わけのわからないもの”を知ってそうな人と手を組めたのはラッキーだったな)

女―――雨流みねねの方を一瞥して思う。
出会いからして明らかに人を殺し慣れている危険人物だが、頭の回転は速く、しかも美人である。
常に警戒は必要だが、殺し合いに乗った側の身としては申し分ない味方と言える。

「どうした?」
「いえ、その眼帯もよくお似合いだなあ、と」

軽く口説き文句を口にして、運転にも注意を払う。
そろそろ“携帯”の話を聞いた方がいいかなと思いつつ、新たな戦場か出会いを求め、北岡は車を走らせた。


【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(中)
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して永遠の命を手に入れる
1:雨流みねねを利用しつつ優勝を目指す
2:みねねの“携帯”について知る
3:知らないことについて情報が欲しい
4:女性とはあまり戦いたくない
[備考]

※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。

74爆炎と砲火の中で ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:06:05 ID:o5nAIfZ2
【逃亡日記@未来日記】
雨流みねねの未来の逃走ルートを記す日記だが、制限によりせいぜい数分先のことしか予知できなくなっている。
日記としては大量の人間を動かし同時に複数の逃走ルートを奪う『捜査日記』や『千里眼日記』と相性が悪い。

【BIM(烈火ガス式)@BTOOOM!】
烈火ガスを発し皮膚を焼け爛れさせる爆弾。
特に密閉された空間で効力を発揮する。


【カードデッキ(ゾルダ)@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダーゾルダに変身できるカードデッキ。デッキをかざし、ベルトに装着することで仮面ライダーゾルダに変身する。
ロングレンジの戦いに長け、契約モンスター『マグナギガ』は動かないものの高い火力と防御力を持つ。

【マスターキー@オリジナル】
会場に最初から置かれている車ならどれでも自由に運転できる。
電子キーではなく、鍵の穴にさして使う普通の鍵。

75 ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 06:12:49 ID:o5nAIfZ2
以上で本投下を終了します

>>54>>55
報告をし忘れすみませんでした
せめて修正予約をするべきだった……

761/ ◆CFbjQX2oDg:2010/12/25(土) 10:02:37 ID:O4707q6A
代理投下中
◆9n1Os0Si9I氏のも続けて代理投下するので、もし見ていたら支援をお願いします

771/ ◆CFbjQX2oDg:2010/12/25(土) 10:24:27 ID:O4707q6A
ピッタシさるさん食らった!
どなたか◆9n1Os0Si9I氏の作品を代理投下お願いします。

>>75
仮投下からの修正に本来の予約期間と同じ時間取るのはリレー企画として好ましくありません。
なので、次回以降は仮投下済みとはいえ、修正する際は期日を守るよう心がけてください。

>>64
交換日記の制限かー
未来日記を読み返してみたら、遠くても互いの安否がわかるのが一番の特性らしいですよね……
でも、ロワで…しかもリレーSSでそれはちょっと不可能ですよね。まぁレプリカだしってことでw

十字4マスじゃなくて周囲8マスでも行動が大雑把に、同エリアでより精密な未来予知ってのはどうでしょう? 
同エリアにいるなら、予約する時に交換日記ある無しに関わらず、予約は同時になるだろうし

78 ◆W.z0w51WN2:2010/12/25(土) 21:18:40 ID:yVkA.JUA
畏まりました

791/ ◆CFbjQX2oDg:2010/12/25(土) 22:02:33 ID:O4707q6A
>>78
あっ、いや…そんな畏まらなくてもいいですからね。
年末で忙しい場合もあるのは皆承知の上ですので。
どうしても遅れそうな場合は連絡してください! 程度に捉えていただいて、また時間が空いたら予約の方をしていただいたらと思います。

80 ◆IRxFfnsX8c:2010/12/26(日) 00:57:56 ID:1L8vH8c6
>>77
確かに十字だとやや不自然だし、彼らの愛(ラブ)力が4マス程度なわけないですねw

>>62の下記の文章を
>説明書によると自分を中心とした十字エリアのどこか(4箇所)にマルコがいれば、その居場所と様子がアバウトにわかるらしい。
>同じエリアなら更に行動も読み取れるはずである。
こちら↓に書き換えます。
>説明書によると彼女を中心とした8エリアのどこかにマルコがいれば、その居場所と行動がアバウトにわかるらしい。
>同じエリアなら更に精密に読み取れるはずである。

あとアイテム名がやや冗長なのと説明文を少し変更して
>【交換日記のレプリカ@未来日記】
>未来におけるパートナーの行動とそれに対するコメントが書かれる。
>相手との距離で日記の精度が変わる。
>これを破壊されてもマルコや愛は死なない。
に変更します。

問題がなければこれを本投下とさせていただきます。

81 ◆itvYmzV0Ds:2010/12/26(日) 04:21:00 ID:HJS7zKPQ
畜生……あと少しで終わりなのにさるさん貰いました。続きを投下します。


【レンピカ@ローゼンメイデン】
ローゼンメイデンが使役する人口精霊のひとつ。見た目は青白い光を放つ発光体。
蒼星石のローザミスティカを持つ者の言う事を聞く。
ちなみに、心の木を剪定する蒼星石が使役することによって、相手の夢の中に入る事が出来る。
バトルロワイアルでそれが可能かは不明。

【庭師の鋏@ローゼンメイデン】
蒼星石の半身はあろうかという大きな鋏、心の木の剪定を行う事が可能。

【ワルサーP38@現実】
装填数8発の自動拳銃。
劇中で九一郎が使っていた拳銃はワルサーとしか表記されていなかったため。
今回は勝手ながら決めさせていただきました。

82 ◆itvYmzV0Ds:2010/12/26(日) 04:22:13 ID:HJS7zKPQ
以上で終了です。
矛盾点、指摘などありましたらよろしくお願いします。

831/ ◆CFbjQX2oDg:2010/12/26(日) 18:13:12 ID:es1P5TB6
>>80
自分は問題無いと思いますよー。では、これにて本投下ということで了解です!

84 ◆1yqnHVqBO6:2011/01/04(火) 02:31:15 ID:AiJE.H4A
慌ただしいようで恐縮ですが修正版を投下します

85 ◆1yqnHVqBO6:2011/01/04(火) 02:35:09 ID:AiJE.H4A
「大体の話はわかったかしら。変平」

「いや、その呼び方は勘弁してもらえへんかな」

奇抜な服装群から手品師のような服装を選んだ変態、もとい平は苦笑をしながら言う。
つい先程までの喜劇がようやく静まり、お互いの情報を公開できるレベルで交換した。
その結果わかったのは両者が形は違うが殺し合いという名のゲームを中断され
新たなゲームへと参加させられたということ。
nのフィールドや生きる人形の存在は平にとって衝撃らしかったが、
彼も今の科学では実現できないと思われていた物をいくつか目にしてきたようなので
金糸雀が言うことを全く信用しないということはなかった。
得た情報から平が拉致の仕方が超常的であったことからゲームのホストは
ローゼンメイデンでいうところの“お父様”が絡んでいるのではないかという疑いを口にしたが、
あんな下品な影を敬愛する父が手下にするはずがないと金糸雀が激怒したことに加え、
さすがに軽率であったと平も反省したのかそれ以上、考察を進めることはなかった。
今、最初に決めるべきはこれからの行動。
それも何処へ向かうか、それとも状況が動くまでここで籠城するかといった類のものではなく、
目の前にいる参加者と同盟を組むべきか否かという根本的な話だ。
話をした際に二人は相手がどういう立場でこのゲームに臨むかを察している。
平はこのゲームからの離脱のために動こうとしていると金糸雀は見抜き、
金糸雀はこのゲームがアリスゲームと関係があろうとなかろうと
姉妹を殺してでも優勝しようとしていると平清は見抜いている。
ならば同盟を結ぶのは不可能か、殺し合いを今からすべきか。
答えは否。このゲームはそう単純ではない。
一対一よりは二対一の方が有利であることは自明の理であるし、
例え平自身が足手纏いであろうと金糸雀の武器は音。
遠距離からの点だけではなく面による攻撃が可能なのだ。
見張り役としての相方が不意打ちに適した能力にもたらす効果は絶大。
今まではピチカートがその役割を担っていたが50人以上を相手ではさすがに心もとない。
相手が殺し合いへの反逆者であり、
近い内に殺すことが決まった相手であったとしても
手を組めない道理はどこにもない。利用価値は十分にあるのだから。
そして、何より今の彼女は迷っている。
戦わず家族として暮らす姉妹の日常に触れ、
蒼星石の復活劇を見てアリスゲームのルールそのものに疑いを持ち始めている。
しかし、闘うことへの誇りとローザミスティカへの本能的欲求も薔薇乙女として持っている。
目の前の平はそんな迷いを感じとり同盟を持ちかけてきている。
承諾する前に支給品を教える愚を犯すことなく、
所々で彼女の迷いを巧みにつきながら説得する話術は見事と評価していいだろう。
彼によって少しだけ揺さぶられている彼女の意思。
しかし、二人の会話は大きな音とともに開けられた扉、
正確には男の頭から生える多くの触手を上へ伸ばしつつの来訪によって終わった。

「わりぃけど、アンタらを試させてもらうぜ」

部屋に入るなりそう言ってきた男。
その触角達は天井近くまで伸びており、一本一本がまるで頭から生える大木の様な形になっていた。
平がその光景を見て悲鳴を上げながら腰に提げていたポシェットに手をやるが
その動きを歯牙にもかけず、蠅を潰すかのように振り下ろされる幾本もの大木が二人に迫る。
攻撃を塞いだのは音の波を壁として空中に推し出した金糸雀。
攻撃は減速しつつも音を突き破り、二人から少し離れた床へと地響きを伴いながら叩きつけられる。
縮んでいく触手達に注意を向けながらバイオリンを持ち、
相手を睨みつける彼女の視線に対し男は両手を挙げ降参の意思表明をする。

86両手に薔薇?  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/04(火) 02:36:08 ID:AiJE.H4A

「やっぱ、化物は俺だけじゃなかったか。なあ、俺と手を組まねえか?
 ソッチが強いのはわかったが、戦力は多いほうがいいだろ」

唐突。そして少なからず意外ではあったその提案に平が言う。

「アンタ、殺し合いする気やろ?」

「そうだがまあ、今は気にすることねえじゃねえか。
 攻撃しかけたことは許してくれよ。
 お詫びと言っちゃあ何だが探し人がいるならかなりの助けになれるぜ」

「その変なウネウネで捜すのかしら?」

「いや、これは支給品さ。ま、その辺はお互いのプライバシーってことで。
 強そうな奴がいたら協力する。
 アンタらが脱出を目指してんのなら同士と会えたらそっちに行っていい。
 こんなんでどうだ?」

フランクに話しかける目の前の男に対し、先に金糸雀が警戒を解く。

「わかったわ……けれど一つだけ。殺し合いに関係が移行する瞬間はいつかしら?」

「そんときはちゃんと前もって教えるよ。この俺。戦場マルコの“愛”に誓ってな」

その言葉を受けた金糸雀が了承し、少し遅れて平が続く。
それを見て満足気に頷いたマルコという男は城の中を探検しようと言った。
武器になるものがあったら持ち出そうということらしい。
それについて行こうとする金糸雀を平が呼び止め、
マルコに見えないよう気を使いながら彼女の手に小さなガラスのような物を握らせる。

「これに意識を集中させたらワシの位置はわかる。
 レプリカのようなもんみたいやから精度はかなり落ちるやろうけどそこは堪忍な」

「変平……どうしてこんな貴重なモノをくれるのかしら?」

微かに震えを帯びた声で小さな戦士は問いかける。
金糸雀やマルコより遥かに弱い男のニカッと笑い、告げる。

「ワシは信じたいねん。ならやっぱり歩み寄らんとな」

それに。と彼は付け加える。

――信じるのも信じられるのもどうしようもなく嬉しいもんや――

胸が痛い。マスターや姉妹たちの事を考えるのが無性に怖かった。

87両手に薔薇?  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/04(火) 02:38:02 ID:AiJE.H4A

【A-1/クリスタル・パレス/1日目/深夜】

【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:戦場マルコ、変平と時が来るまでは行動をともにする
2:………………
[備考]

【平清@BTOOOM!】
[状態]:健康、職業:詐欺師と同じデザインの服 @ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[装備]:
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、レーダー のレプリカ@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:戦場マルコ、金糸雀と身の安全が確信できるところまで行動を共にする。
3:金糸雀を信じたい。
2:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。

【戦場マルコ@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記、常勝無敗のケンカ日記のレプリカ@未来日記、
     アムルタート@waqwaq
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:愛と合流し二人で生き残る
1:平清、金糸雀と美神愛を見つけるまで行動をともにする
2:愛を探し、見つけたら二人と別れる

【金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン】
金糸雀の専用武器。金糸雀はこれを媒介に多彩な技を使用する。
弦が切れると役立たずになる。

【BIM(ホーミングタイプ)@BTOOOM!】
相手を捉えてロックオンすることが出来るBIM。
ロックオンするとプロペラが起動し、対象を追尾して爆破する。威力は低い。

【レーダーのレプリカ@BTOOOM!】
同じレーダーを持っている人間の位置を知ることができる。
本来は手に埋め込んで使うもののレプリカなので精度は当然かなり落ちる。

【交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記】
愛のものと対になる性能。劣化ぶりも同じ

【常勝無敗ケンカ日記のレプリカ@未来日記】
ケンカの際に相手の手を予知し、如何にクロスカウンターを決めるかが記される。
レプリカであるため、ある程度の大技でなければ予知されない。

【アムルタート@waqwaq】
防人の専用武器。合体すれば頭から触手がウニョウニョ 。
相手の生気を吸う植物を出すことができる。

88両手に薔薇?  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/04(火) 02:40:22 ID:AiJE.H4A
以上で修正版投下終了です

相談にのってくださった方々に感謝です!

89ロワとアヒルと仮面ライダー  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/07(金) 19:34:36 ID:kNVnOpJc

茶道の稽古にでも使われそうな屋敷を出た杉村とキャンチョメ。
彼等の行動方針は仲間を探すということで一致した。
キャンチョメと情報交換をした際に彼が参加していたという魔物の子達の闘いを聞いた。
その存在は杉村の理解の埒外ではあったが、
キャンチョメの術を目の当たりにしたこともあり深く追求することはしなかった。
この会場には他にも似たような殺し合いに参加していた者達が
集められているのかもしれないと思ったが今の時点でそう断定するのは早過ぎる。
キャンチョメのような存在に会った以上、欲しいのは情報。
彼の仲間はガッシュとティオ、そしてゼオンというそうだが彼等と会うことで新たに手に入る情報もあるだろう。
そして同じ魔物であり、危険人物と言えそうなのが……パピプリオという子供。
あまり驚異となりえそうな魔物ではないということだが油断は禁物だろう。
子供を殺すことすら自然と考慮に入れ始めている自分を嫌に思いながら
杉村はキャンチョメと共に市街地へ向かう。
彼の世界では測れない力を持つ存在とそこで出会う危険性はあるが、
気になるのはキャンチョメがハズレ支給品だと思っていたカードデッキから
自分とどこか似た様な力を感じるとのこと。
どちらにしろ、今の自分達では異常な力を持つ者と会ったら殺される可能性が高い。
キャンチョメの術は敵を撹乱するのにかなり適したものであるようだが
それで逃げ続けてもいつか壁にぶつかるのはわかりきっている。
ならば、危険を犯してでも仲間やこのカードの使い方がわかる人間と
接触できる可能性がある道を選ぶべきだろうと杉村は判断した。

「弘樹、あ……あそこ!」

怯えたような声でキャンチョメが指さす先にいるのは高級そうな服装に身を包み
ただ立っているだけの女性。纏う雰囲気は相馬光子とどこか似たものを感じさせた。
杉村の手にあるのはカードデッキのみ。
キャンチョメの支給品は巨大な斧のようなモノであり、
棒術やトンファーなどの扱いに秀でた杉村でも扱いきれない物であることと、
持ち運ぶのにも不便だったため、先程までいた屋敷に目立たぬよう隠してきた。
つまり、この二人は相手が魔物であろうと銃火器を持つ者であろうと
拳法と術のみで応戦しなければならないということだ。

「俺達に闘う気はない! 仲間を探している最中だ!」

バレないレベルでいつでも応戦可能なように意識を集中しながら
杉村がそう呼びかけた女性は彼の声が聞こえないのか
杉村の手にあるカードをじっと見つめている。

「カードを持ってるってことはお前も仮面ライダーか。
 ならさ……殺し合うしかないのはわかるだろ?」

「仮面ライダー? アンタ、ひょっとしてこのカードの使い方を知っているのか!?」

気怠そうな口調で対応する彼女に杉村は驚いたようにそう問う。

「ああ、あの馬鹿と同じで巻き込まれたクチか。
 まあいいじゃん。そのアヒルみたいなミラーモンスターと契約してんのなら
 覚悟を決めなよ」

素っ気ない口調で彼女はそう言うといつの間にか腰に着けていたベルトに
ポケットから取り出したカードデッキを挿し込む。
その瞬間、彼女は杉村が子供の頃に夢中になったヒーローのような出で立ちに姿を変えた。

90ロワとアヒルと仮面ライダー (修正版)  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/07(金) 19:40:20 ID:kNVnOpJc

「確かにこの手で殺したはずのアイツだって復活してる。
 お姉ちゃんの仇をやっととれたと思ったのにこれだ。
 きっとさあ、あの馬鹿が闘いを止めたからなんだよ。
 もう諦めろよ。殺し合いは優勝者が決まるまで……終わらないんだ!!」

そう叫ぶと白い騎士のような姿になった彼女は杉村達へと襲いかかってくる。
彼女が振るう武器はレイピアらしき細身の剣。
功夫を積む際に武器を相手に想定した稽古もみっちりやってきた杉村でも
それを躱せたのは運と、敵の攻撃がどこか投げやりだったからだろう。
彼女を説得するにも迎撃するにも相手と同じ土俵に立たないことには始まらない。
成功の保証はなかったが目の前で行われたようにカードの使い方を真似てみる。
意識を集中させると現れるベルト、所有者の意志に反応しているのかは実際のところ不明だが
とにかく現れたのだから細かいことを検証する暇はない。
そこにカードデッキを挿し込むことで、杉村弘樹もまた無自覚のうちにライダーバトルへの切符を手にする。

光りに包まれた杉村が変身したのは
青と銀を基調にしながらもどこか禍々しさを感じさせる仮面のヒーローの姿。

「カッコイイよ、弘樹!!」

その姿を見て歓声をあげるキャンチョメ。
仮面ライダーの隣に立つということは彼もまた闘うつもりということなのだろう。
足を震わせている彼にも今の状況で有用な術は幾つか持っている。
だが杉村は彼の勇気を手で諌めた。

「ここは俺が闘う。説得の余地はあると思うんだ」

自らに言い聞かせるかのように杉村はそう言うと左足を前に出し、
後ろに位置する右足の爪先は相手に対し直角に向け、
そこに重心の比重の大半を置く後屈立ちの体勢を取る。

勝負は一瞬で決めなければならない、つまり初手が命。

構えからして相手の戦闘経験は杉村より遥かに上。
長期戦になれば地力の差が現れるのは明白。
力の使い方もまだ十分に理解しきれていない杉村にとっては
飛躍的に上がったと確信できる五感と身体能力だけがライダーとしての武器だ。
ならば、それを彼が今日まで練りあげてきた人としての武術に活かすしかない。
仮面で隠された視線により、敵の一手を予測することは困難。
判断材料は武器の形状と肩の動きと相手の呼吸そして相手の軸足。
仮面の女との距離は30メートル。
普通ならばありえない距離だがこの姿となったら刹那に詰められる間合い。
狙うはカウンター。
そのためにも自分の意図する攻撃の形を少しでも悟られぬようは五指を開き、無形の手とする。
空間が互いの闘志で歪みだす。

91ロワとアヒルと仮面ライダー (修正版)  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/07(金) 19:41:01 ID:kNVnOpJc

琴弾が言っていた何も無い空間が手に包まれることで特別な空間となるかのように。
彼の拳士としての本能がその喩えから何かを掴もうと意識が行きかけるが、
そこは自らの理性で自制させる。
前方高くを揺らがせている左手、丹田を防ぐかのように置かれた右手。
彼と彼女を結ぶ直線…………
ソレを点にせんと白の騎士が軸足に貯めていた力を解放させ
地面を蹴ることにより一瞬で間合いを詰める。
彼女の狙いは明白。重心深く懐に潜り込んで剣を突き刺す、その一点のみ。
ならば新たに生まれた仮面ライダータイガはそれにどう応じるべきか。
先程も述べたが彼はまだライダーの道に足を踏み入れたばかり。
そう、そうなのだ。彼はまだ“人間”杉村弘樹の域を脱していない。
ならば、仮面ライダーとして生きてきた相手に速さで勝てるハズはない。
十全に性能を発揮できるであろう相手に力が及ぶハズもない。
では技は……ライダーとしての技ではなく人として磨いてきた技術ならばどうか。
その答えは勝負の結果が教えてくれる。

彼女が動き出す一瞬前に杉村は両膝の力を抜き、重心を地面に落下させる。
それにより、辛うじてではあるが次の瞬間には頭の高さが相手と同じになり、
懐に潜り込む一撃は正々堂々と愚直に相手を突くものへと意味が変わる。
重力の力を借りて相手の狙いの第一段階を防いだ杉村弘樹。
次に対処するは当てが外れようと構わず突き出される一撃。
前に位置する左手を、重心を落とす際に骨盤の右側へと居合い斬りをするかのように滑らせる。
そして鞘から抜き放つように添えられた利き腕である右手の力を借りて、
受け手である左手を敵の剣へと走らせる。
ただの力と力のぶつかり合いでは攻撃を逸らすのは適わないだろう。
だから、利き腕の力を借りて高速と化した左手で剣と接触するその瞬間に――
相手の方へ向けていた手の甲を外側へ回転させることで接触面を急激に増やし、
衝撃を完璧に逸らすことを成功させる。
これが第二段階。しかし、今のままでは彼のとった行動は防御のそれでしかない。
ならばこの動きをカウンターせしめるものは何か。

それは今までの動き全てを昇華させることで初めて可能となる。
第一段階で重力に従い姿勢を崩さずして膝の力を抜き、体の高さを文字通り落下させる。
脱力と姿勢の維持という相反する動きは
後ろに置いた右足を限界まで重力がもたらす負荷に耐えさせることで成功させる。
そして第二段階で、利き腕である右手は攻撃を内から外に弾くための左手に添えられ、
ちょうど丹田に近い位置にある。
今から始まるのが彼の渾身の一撃。
後屈立ちで重心を落としたことから転ずる右足にかかる落下が与える負荷。
相手とは直角に向いていた右の爪先を一瞬で相手の方へ向け、
その負荷をそのまま前へ倒れこむかの様に左足と中心線を司る腰へ移すことにより
爆発的な速度に変換。
攻撃を防いだ左手を流れるような動作で相手の丹田への道筋をつくるようただ突き出すだけ。
本命である攻め手の拳は生まれた速度を左腕というレールを沿うように走らせる。
それと同時に右足を完全に伸ばしきり威力を緩めず貫くようにして、
衝撃を相手の向こうまで伝えるようイメージしながら敵の腹部を突く。
その結果、敵は数十メートルほどの距離を吹き飛ばされた。
防御動作の際に生じた重力落下のエネルギーをそのまま利き腕へと伝わせる事による一撃。
これが仮面ライダータイガこと、杉村弘樹が初めて収めた勝利の真相である。

背後で騒ぎ立てるキャンチョメに照れたように親指をつきだしてから、
うつ伏せに倒れている女性へと歩み寄る。

92ロワとアヒルと仮面ライダー (修正版)  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/07(金) 19:46:23 ID:kNVnOpJc

「まさか素人に負けるなんてね」

「アンタは仮面ライダーとして俺と戦おうとした。
 俺はソレから逃げて力を受け入れながらも人間としてアンタと闘った。
 勝てたのは認識の違いと、ただの偶然だ」

その言葉に納得したのかしていないのか静かに息を吐くとやはり投げやり気味に言った。

「これでお前もライダーバトルの参加者ってわけだ。おめでとう。
 勝ったんだからさ、トドメ……刺しなよ」

「どうして…………どうしてそんなに凄い力を持っているのにゲームに乗るんだ?
 今からでも遅くない、俺達と一緒に行こう。
 脱出を目指し、闘いを止めようとしている俺の仲間だっているんだ!」

彼女の諦めにも似た誘いには応じず、
杉村弘樹は殺し合いに乗ろうとする彼女を必死に説得する。
ソレに彼女は苦笑したかのように言う。

「なんだ、せっかく勝ったってのに殺さないのか。
 悪いけどその提案には乗れない。お前はさ、大切な人を奪われたことがあるか?」

口調は静かであったが杉村は動揺したかのように息をつまらせる。

「ハハ、その反応じゃあお仲間ってことか……ならわかるだろ?
 復讐したいっていう気持ちが、大切な人にまた会いたいって気持ちがさ」

その言葉を最後に彼女は煙に包まれる。
それを見て杉村は何かを言おうとしたが
突如として彼の周りに飛び散る羽の嵐によって遮られる。

「殺さないのを選んだのはお前だ。殺されない以上、私は止まるわけには行かない。
 けど一個だけ助言をやるよ。城戸真司って馬鹿に会いな。
 どうしようもないお人好しだけど、逆にソレしか取り柄の無いような奴だから気が合うかもね。
 霧島美穂って名前を出せば話は通じるからさ」

それと、と。付け加える彼女の声が今にも泣きそうなほどに震えていたのは
果たして気のせいだったのだろうか。

「ソイツに会ったら伝えてくんないかな…………
 ゴメン。私……やっぱ、闘いを捨てるのは無理みたいだ」

視界が晴れた杉村とキャンチョメの前には誰もおらず、
残ったのは大きく抉られた大地だけであった。

93ロワとアヒルと仮面ライダー (修正版)  ◆1yqnHVqBO6:2011/01/07(金) 19:48:53 ID:kNVnOpJc

【A-4/一日目・深夜】

【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)
[装備]:英雄の証 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:七原、三村(本人なら)と合流 
1:市街地へ行く
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……

[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後

【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!!
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:市街地へ行く
2:あの女の人はなんだったんだろ?
3:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?

[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。本がフォルゴレ以外に読めるとは思っていません。
参戦時期:ファウード編以降
英雄達の像に安置されていた盾斧@ブレイブ・ストーリー?新説?は甲賀弾正屋敷に隠してきました。

【A-4→?/一日目・深夜】

【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:仮面ライダーファムのカードデッキ
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して姉を生き返らせる。  浅倉威を殺す
1:死なない限り、どんな手を使ってでも突き進む
2:もし、城戸真司に会ったら……
[備考]
死後参戦
支給品である煙幕弾@バジリスク〜甲賀忍法帖〜は既に使いました

94 ◆1yqnHVqBO6:2011/01/07(金) 19:49:40 ID:kNVnOpJc
以上で修正版投下終了です
投下宣言忘れてしまいました…申しわけありません

951/ ◆CFbjQX2oDg:2011/01/07(金) 23:14:36 ID:4zxtcTJ.
なんか本スレに書き込むのはちょっと怖いのでこちらにて

本投下&修正乙です!

仮面ライダー杉村がこんなに早く見れるとはw
だけど、若干ライダーの力を持て余しているかな?
霧島もやはりロワに乗ったか。真司は近いから、もしかして出会うのか?

改めて、投下乙でした!

96 ◆9n1Os0Si9I:2011/01/09(日) 07:04:24 ID:ROitwBWg
ここにシュナイダー、雛苺一時投下します。

97馬の名前でも間違えるのは失礼 ◆9n1Os0Si9I:2011/01/09(日) 07:05:35 ID:ROitwBWg
「おうまさん、なんて名前なの〜?」
「メルメルメル!!メルメルメー!!」
何と言ってるか分からないが気にしないでほしい。
「メルメル!メルメルメルー!」
何とか伝えようとするが。
「ウマゴンって名前なの〜?」
「メルッ!?」
伝わらなかった。
「メルメルメー!」
手?を左右に振って否定するシュナイダー。
「違うの〜?」
「メル!」
分かってくれて笑顔のウマゴンは急に踊りだした。
実際は踊っているのではなくジェスチャーなのだが。
シ・ュ・ナ・イ・ダ・ーとジェスチャーで伝える。
しかし、そううまく行くはずがなく。
「えーっと……ウ・マ・ゴ・ン?やっぱりウマゴンなのよ!」
シュナイダーはショックを受ける。

「メル!メルメル!!メルメルメーーー!!!」

大声で叫ぶが周りに響くだけで言葉は伝わらない。
「メルー……」
ショックを受けても結局は伝わらなかった。

98馬の名前でも間違えるのは失礼 ◆9n1Os0Si9I:2011/01/09(日) 07:06:32 ID:ROitwBWg
【A-7遊園地/一日目/深夜】


【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:ウマゴンと行動を共にする。
※シュナイダーの名前をウマゴンと思っています。


【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、不明支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す。
0:ウマゴンじゃないよ!!
1:雛苺と行動を共にする。


※ウマゴンの叫び声が周りに響いた可能性があります。どれほど響いたかは後の書き手に任せます。

99 ◆9n1Os0Si9I:2011/01/09(日) 07:08:08 ID:ROitwBWg
投下終了です。
指摘があったら言ってください。

100 ◆IRxFfnsX8c:2011/02/01(火) 01:30:00 ID:y3zZChSY
猿谷甚一、投下します。

101老後の楽しみ ◆IRxFfnsX8c:2011/02/01(火) 01:30:36 ID:y3zZChSY
自分で殺したワタルの死体を前にして、猿谷は飄々としたものだった。
まず、支給品の回収。
剣は使うことが出来ないが、これを欲しがる参加者がいれば交渉材料になるだろう。
そして死体だが、これがシルバー・バトルならCJCKが片付けてくれるだろうが、この『バトルロワイアル』ではどうだろうか。
首輪をそのままにしておけば、良からぬことを考える者もいよう。
実際、猿谷は首輪にも交渉材料としての価値を見出していた。
ワタルのように脱出や主催者の打倒を目指す者――どれだけいるかはわからないが――にとっては首輪の解析は急務だろう。
しばし思案する。

そして、猿谷は首輪の入手を諦めた。

ここで首輪を強引にむしり取るリスクは、少なくとも今は負うべきではない。
爆発されればこちらが死ぬし、変に主催に目をつけられてもたまらない。
彼の目的はこのバトルロワイアルでの優勝、そして願いはその後も戦い続けることだ。

「埋めてやれんでごめんなぁ」
少しだけ手を合わせ、軽い調子で謝る。
その後は、振り返りもしなかった。

102老後の楽しみ ◆IRxFfnsX8c:2011/02/01(火) 01:32:08 ID:y3zZChSY



そして猿谷は病院に身を隠した。
消毒液の匂いがあまりしない、かといって埃が被っている訳でもない、不思議な空気だった。
棚に置かれた薬品に目を通す。

【プラシーボ】【本格麦焼酎】【ヤ○ルト】

――毒でもないかと思ったが、そこまで甘い訳ではないようだ。
とりあえず応急救護セットを確保しベッドに腰掛ける。

まずは状況の整理。
参加者は、今殺したワタルを除けば53人。
自分が勝ち残った鉄敷町のシルバー・バトルは38人。
だがご隠居に協力して挑んでいた宮脇町5丁目のシルバー・バトルは59人だった。
成程これが平均的な、管理しやすい人数なのだろう。
違うのは、対象に老人でない者がいること。そして首輪。
この病院の静寂を見るに、バトルロワイアル参加者以外の人間はまずいないだろう。
それでいい。誤殺して殺人罪に問われてはどうしようもない。
そして地図が49ブロックに対し53人。
雪原や砂漠など老体に堪える地域もある。
下手に歩きまわって人を探すより、この病院で待ち伏せした方が良さそうだ。
「ああ、ワクワクするなぁ、若い子と戦えるなんて……おっと、仲間を作らなきゃ、か。ふふ……」

猿谷甚一はこれまでの人生の中でも滅多になかった高揚感に包まれていた。



【猿谷甚一@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブM60(4/5)@現実
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜3、勇者の剣(ブレイブレード)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、応急救護セット@現実
[思考・状況]
基本行動方針:優勝を狙う。
1:協力者を探す。
2:ひとまず病院を拠点にする。
[備考]
※ワタルから幻界の知識をある程度得ました。

103 ◆IRxFfnsX8c:2011/02/01(火) 01:32:48 ID:y3zZChSY
投下完了です。何か指摘などありましたらよろしくお願いします。

104 ◆IRxFfnsX8c:2011/02/01(火) 01:35:20 ID:y3zZChSY
言ってるそばから修正点。
【D-3病院/一日目/深夜】
が抜けていました。

105名無しさん:2011/02/01(火) 01:44:49 ID:EGjo6Wac
投下乙です!
猿谷さんの首輪へのリアクションがおもしろいw
解除には必要、だけど知識が無いから外そうとすると爆発や主催から目をつけられるのを恐れるってのは一般人ならではですよね

んで、指摘をひとつ。
勇者の剣って普段は杖の状態じゃなかったでしたっけ? コトが何か仕掛けを施して常に剣状態にした!でも良いとは思いますが、ちょっと気になりました

106 ◆IRxFfnsX8c:2011/02/01(火) 01:46:53 ID:y3zZChSY
前SSで剣状態が解除されていたので、描写不要なつもりでいました。
確かに杖と認識した方が良さそうですね。

107名無しさん:2011/02/01(火) 01:55:47 ID:EGjo6Wac
前話をしっかりと再読せずの指摘で申し訳ないです
あくまで一例ですが
先程ワタルが持っていた時は剣だったが何故か今は杖になっている。だが、これを剣として使える参加者(ワタルの知り合い)がいるなら交渉材料に使えるかも
とかにすれば、杖状態でも有用性を見出せるかもしれません

108 ◆1yqnHVqBO6:2011/02/12(土) 20:41:37 ID:6LOMGELs
規制によりコチラに投下します

109未知との遭遇  ◆1yqnHVqBO6:2011/02/12(土) 20:44:06 ID:6LOMGELs

「あのぅ、この扉はどやって開けたらよいのでしょう?」

「昔の日本にその手の物はなかったんだったか。見てな」

そう言うとカントリーマンは朧の前でドアノブを回し、ドアを引くという一連の動作を見せた。
彼女はそれに礼を言った後、改めておっかなびっくりドアノブに指を伸ばすが

「あ、あれ?」

目の前で開け方を教えられてもやはり文化の違いというものは如何ともしがたいのか、
朧は慣れぬ手つきでドアを開けようと奮闘する。
回しながら引くんだぞと教えると、カントリーマンは先程まで診断していたベッドに横たわる城戸真司という男に目を向けた。

彼がこの二人に会ったのは爆発音が聞こえた場所に身を潜めながら向かった時である。
懸命に負傷し気を失った男性を運ぼうとする少女を見つけ、声をかけようかどうか迷ったが
二人の前に結局は姿を見せることにした。
やけに前時代的な服装をした少女は現れた老人に対して警戒心を見せることもなく助けを求めた。
曰く、自分を守るためにこの男は戦い傷ついたから助けたいと。

その訴えを得られる情報と戦力目当てに承諾したカントリーマンは
朧という着物を纏った少女から男を受け取ると担いだまま来た道を戻り民家へ入った。
傷を調べたところ腹部に軽い火傷と打撲を負っていたが命に別状はなく戦闘するにも異常はないだろう。

断定はさすがにできないがこの男と手を組むだけで
チャン右頭に対抗出来る戦力を手に入れられると考えるのは無謀というよりただの馬鹿だが
いないよりはマシである。
カントリーマンの所有戦力とハッキリ言えるのは
自身と近くの地中に潜ませている元精力家のジジイゾンビのみだ。
これであの化物を超える化物に挑むのは阿呆どころか白痴者の謗りをうけるだろう。

それに朧から話を聞いたところによると彼女たちを襲った者もかなりの実力者であったらしい。
50を越える数がこの会場にいる以上、戦力の確保は急務だ。
それにどうしても気になることが一つある。

「なあ、朧とやら。聞きたいことがあるんだが」

「なんでしょう?」

ようやく開けることに成功したドアを押したり引いたりしながら
しげしげと見つめていた朧は振り返る。

「お前さんは何者だ?」

110未知との遭遇  ◆1yqnHVqBO6:2011/02/12(土) 20:46:42 ID:6LOMGELs

未だ目を覚まさない男の脈拍を測りながらカントリーマンはそう問いかける。
違和感を抱いたのは男の怪我の処置が終わり、
念のためと朧の服を脱がせどこかに異常がないか診察した際のことだ。
口に出さないようではあるがどうやらよほど白人である彼の容貌が珍しいのだろう。
診察を受けている間、朧はじっと彼を凝視していた。
身をおかす病から奇異の目で見られることに慣れるとまではいかないが
仕方ないことだと受け入れてはいたので
見つめられることに対して不快感を抱くことはなかった。
だがカントリーマンが妙に思ったのは診察をしていた彼自身の体調である。
妙に体が気怠いのだ。最初は気のせいだと思ったがもはや体の不調はその範囲を越えている。
そう、まるで旅人の戦力を左右する想波そのものを封じられているような感触を受けるのである。
そもそも朧に城戸真司の怪我の理由を尋ねた際も魔人のような少年に襲われて負傷したと言っていたが
彼女に詳しく聞こうとすると口を濁らせたのだ。
隠し事をしていることを強く咎める気はない。
彼も最終的には手を差し伸べた者達を殺すつもりでいることを隠しているのだからお互い様だ。
だが朧の能力が予想通りのものだとしたのなら
対チャン右頭において欠かせない戦力になる可能性が高い。

「答えるわけにはいけねえってことかい?」

「わたしは……忍者です」

「OH……NINJAか。こんな所で目にするたあ思わなんだ」

なるほどNINJAならばしょうがないとカントリーマンは思った。
日本で古来より活躍してきた闇に生きる者達。
アメリカでポピュラーな忍者といえば偉大なネズミであるスプリンター老師や
日本の戦国時代に活躍したとされる忍者マスターキリギ等がいるが
目の前の少女も彼等と同類ということなのだろう。
チャンのような根っからの戦闘のプロに接触ができたのは彼にとって何よりの朗報と言えた。

「それで、何ができるんだ?」

「破幻の瞳という瞳術を。あらゆる忍法を打ち消す生得の術でございます」

朧の返答を聞き、試しに旅人としての能力を発動しようとしたが上手くはいかない。
ならば彼女のいう破幻の瞳はNINPOUどころか旅人の力すら封じるのだろう。
いや、それとも旅人とはNINJAとしての力を得ることができるものなのか。
そんなことはどうでもいいがやはり朧は打倒チャンにおける超有力な駒、
それどころかこの戦いを根底から覆すジョーカーと見て良い。
彼女が言っていた他の仲間も同じような能力を持っているのなら
少しでもまだ見ぬ彼等の情報を得るべきだとカントリーマンは判断した。

111未知との遭遇  ◆1yqnHVqBO6:2011/02/12(土) 20:48:38 ID:6LOMGELs

「他のNINJAはどんなことができるんだ?」

「もうしわけございませぬ。さすがにみなを教えるというわけには……」

「ああ、秘伝というヤツか。
 そりゃ仕方ねえが……みんなお前さんみたいな能力の持ち主なのかい?」

「いえ。お婆さまが言うにはわたしの瞳は特殊だそうで」

「なら他はまあ、何だ。普通の能力ってことか?」

「甲賀忍のことは存じあげませぬが恐らくは……
 ええっと、か、かんとりぃまん殿はお医者様なのですよね?」

「呼びやすいように呼んでかまわんぜ。そのとおり医者だがどうかしたのかい?」

「ならばか……か……かとり殿。
 隠しておきながら図々しい願いであることは百も承知なのですが
 薬師寺天膳という者に会うことができたら
 例えその者が殺められていたとしても見捨てず看病するようお願いできませぬか?」

朧の言葉にはさすがのカントリーマンも怪訝な表情を隠しきれない。

「すまん。言っている意味がよくわからんのだが」

「薬師寺天膳という男は不死の妙術を持つ男なのです」

カントリーマン、絶句。
正にそうとしか表現しようのない顔になったカントリーマン年齢二十代。

「ま、待て待て。それはあれか。何かの比喩か?」

「いえ、言葉のとおりです。天膳は決して死なぬ体を持っております。
 お婆様が言うには百年以上は生きているそうで」
 
朧が告げる薬師寺天膳という男の存在。
それはカントリーマンを苦悩に追い込む。
不死。それは彼が追い求めていた物であり、医学が目指す到達点である。
ウェルナー症候群という奇病を持ち、
自分や同じ病に苦しむ人々を救うために旅人となり医学の壁を壊そうと
奮闘してきた彼にとって当然のように不死を体質として持つ男の存在は衝撃的に過ぎた。

今はまだ予断を許さないが、もしも薬師寺天膳という
男の体をサンプルとして入手することができれば医学の壁を
自らの力だけで壊すことができるのかもしれないとカントリーマンは考える。
それが本当だとすれば彼は…………

微かな呻き声がカントリーマンの隣りから聞こえてくる。
城戸真司が目覚めるのはもうすぐだろう。
あのまま放っておいたら恐らく自分と同じように
爆発音を聞いてやってきた参加者に殺されていた。
自分が助け、治療をした命。
医者としてソレを嫌いになれるはずがない。憎むことができるはずがない。
殺さないですむのなら、命を足蹴にせずにすむのならと思わないでもない。

112未知との遭遇  ◆1yqnHVqBO6:2011/02/12(土) 20:49:29 ID:6LOMGELs

だが殺さなくてはならない。
今この瞬間を生きる一人、ないしは数十名の命のためではなく
未来に生きる大勢の命を救うために殺さなくてはならない。
人の身でできることには限りがある。
そもそも薬師寺天膳は過去に生きる者とは言え不死の存在。
そしてウェルナー症候群を発症する者が最も多い日本に生きる人間。
そんな存在がいる国でも治療法を確立するには至らないのだ。

例えカントリーマンが薬師寺天膳を説得するか檻にでも入れるかしても
治療法を見つけることが絶対にできるとは言えない。
そもそも持ち帰ったところで自分に残された研究に費やす時間自体が多くない。
ウェルナー症候群の症状として代表的なものが両側性白内障である。
本来は老化に伴い発症、進行する目の病ではあるが
遺伝性早老症によりその進行は絶望的なほどに速まる。
いくら良いサンプルを見つけたところでマイナーに過ぎない病例。
研究を継ぐ者すらどれほどいるかもわからないのだ。
彼が欲しいのは絶対の確信が持てる物。
たった一つの光明に惑わされるわけにはいかないのだ。

「どうかなさいましたか。かとり殿?」

「なんでもないさ。天膳……だったか。 
 いいぜ。そいつにもしもの事があったら面倒みてやる。
 それより寝坊助さんがようやく目を覚ますみたいだぜ。
 ねぎらいの言葉でもかけてやんな」

113未知との遭遇  ◆1yqnHVqBO6:2011/02/12(土) 20:50:01 ID:6LOMGELs

【C-4・民家/1日目/黎明】

【カントリーマン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、首輪(是方昭吾)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1:城戸真司、朧を利用する。
2:チャンに勝ち得る方策を模索する。
3:薬師寺天膳の体に強い興味。
[備考]
※是方昭吾の死体をアンデッドとして従えました。
※陽炎、相馬光子の武器を毒と判断しました。

【奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
カントリーマンの専用武器。非常に鋭利な刃物。
凄まじい速さの外科手術を可能とする。


【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[状態]:全身打撲(処置済み)、軽度の火傷(処置済み)、気絶
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:基本支給品一式、桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを止める 
1:???
2:朧と共に動く
3:神崎は焦ってる…?

[備考]
バジリスク勢は六名全員が味方だと認識しています

※参戦時期は後の書き手の方にお任せします

【朧@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:良好
[装備]:鉈@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品一式、、BIM(クラッカー型)×6@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:弦之介達と合流する(その後のことはまだ考えていない) 
1:真司、カントリーマンと行動を共にする
2:弦之介様に会いたい……

[備考]
破幻の瞳の効果について:防人や仮面ライダーが技を発動時には技を消失させ、しばらく見つめることで変身も解除される。
旅人の場合はしばらく見つめていることで戦力の低下と魔法の使用が不可となる。
他の世界の参加者についてどのように作用するかは不明 朧は制限を正確には認識できていません。

※参戦時期:漫画版1巻、不戦の条約が解かれたことを知る前から参戦

114未知との遭遇  ◆1yqnHVqBO6:2011/02/12(土) 20:50:56 ID:6LOMGELs
以上、投下終了です

115 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/14(月) 23:51:56 ID:9IzGllac
規制されてるのでこちらで投下します。

116 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/14(月) 23:54:12 ID:9IzGllac
薔薇乙女が長女、第一ドール水銀燈が知る名はこの殺し合いの場において五つあった。

第二ドール、金糸雀。
第三ドール、翠星石。
第四ドール、蒼星石。
第五ドール、真紅。
第六ドール、雛苺。

水銀燈の妹たち。彼女らもまたこの場に招かれ、同じ満月の光を浴びている。
この戦いはアリスゲームではない。水銀燈自身、この戦いにそこまで積極的に関わろうとは思っていない。
だが、姉妹たちはどうだろうか。

金糸雀、雛苺はまあ警戒する必要はないだろう。
力はそれなりに強くとも、この二人は他の姉妹に比べると戦意が旺盛というタイプではない。
あえて言うなら金糸雀はやる気だけはあるものの空回りする悪癖を持っているし、雛苺の意識は末の妹だけあって姉妹でも随一に幼い。
どんな出会い方をしようが、水銀燈の方から手を出さず対話を求めればまあ応じてくるだろうという確信はある。

問題は残る三人。
翠星石、蒼星石の双子は双子だけあってその結び付きは強く、片方の行動にもう片方が引きずられることは往々にして有り得る。
つまり片方と敵対してしまえば自動的に片割れも敵となるのだが、問題は両方ともが水銀燈と良好な関係ではないということだ。
特に翠星石がまずい。水銀燈が『アリスゲームは一時休戦して手を組みましょう』などと言ったところで、あの天邪鬼は絶対に信用などしないだろう。
むしろ裏があるのかと疑ってかかり、状況によってはそのまま敵対・あるいは戦闘に突入することは想像に難くない。
蒼星石にしても、水銀燈を警戒こそすれ易々と気を許すことはないと思っていい。

そして真紅。
水銀燈と真紅は自他ともに認める犬猿の仲。
通常なら真紅と手を組むことなど到底認められることではない。そんなことをするくらいならまだ金糸雀と組む方がマシだとすら思える。
しかし、真紅は姉妹の中では一番理知的と言えるパーソナリティの持ち主でもある。
この状況で薔薇乙女同士が戦うことの無益さを、水銀燈以上に深く理解していることだろう。
ならばこそ、水銀燈が協力を申し出たとしても無碍に切って捨てることはないはず。最悪でも、いきなり敵対するということは考えにくい。
水銀燈と最も険悪な関係である真紅が、皮肉なことに最も与しやすく頼りになりそうだというこの状況。

「笑っちゃうわねぇ……」

独り言を聞き咎め、何がだ、と聞いてくるしもべ――桐山和雄に、何でもないと言葉を返す。
そう、笑えるといえばこの人間もそうだ。
出会ったとたんに自分から隷属を申し出てきた人間。水銀燈の長い生の中でもトップクラスのイレギュラー。
この数時間話した限りでは、裏がなさそうだということは何となくわかった。
柿崎めぐのように生きる気力を無くしたのか、と最初は思ったが、話していくうちにそうでないことはすぐ理解した。
桐山和雄にはこれといって明確な指針、生きる目的というものは無い。
生きているのなら、ただ生きるのみ。そこには希望も絶望もなく、人を人たらしめる想いや感情、そういったものも希薄である。
ある意味ではドール以上に無機質で、熱の感じられない人形のような人間。
彼が本物のドールである水銀燈と出会い隷属を誓ったのは、気まぐれな神な悪戯のように思える。

117 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/14(月) 23:55:24 ID:9IzGllac
閑話休題。
とにもかくにも、彼の知り合いは四人いるとのこと。
七原秋也、三村信史、杉村弘樹、相馬光子。
この内、七原なる少年以外すべてを桐山が殺害したということを聞いた時は心底驚いたものだ。
死んだ人間が生き返る(これは桐山自身もそうであるらしいのだが)こともだが、それを大したことではないように語る桐山の表情は平静そのもの。
彼の弁を信じるなら『自らを殺した』人物である七原秋也に対しても、恨み辛み一つぶつける素振りを見せないでいる。

「七原は信用してもいい。杉村もだ。俺の姿を見れば動揺はするだろうが、少なくとも一方的に敵対されるということはないはずだ」

自分や他人の生き死にをまるで他人事のように語る桐山は、人外の存在である水銀燈にすら理解しかねるものだった。
が、その氷のような精神はこの状況では有用なものではある。
動揺せず、必要以上に自己主張することもなく、ただ水銀燈の意志のままに動く桐山は駒としては文句のつけどころがない。

「他の二人は駄目だな。三村は俺を許さないだろうし、相馬はそもそも手を組むに値する女ではない」
「まあ、自分を殺したやつを許せるかって言ったらねぇ」
「俺は七原を恨んではいないが」
「それはあなたがおかしいのよぉ……」

当面の目標として、協力者の確保が第一だろう。
戦える者、参加者を縛る首輪を外せそうな者、そしてあの影のような人物を知る者。
戦力、技術、そして情報。この三つを揃えることが現況を打破する唯一の道。

戦力面においては水銀燈とてそこらの人間などに後れを取る気はしないが、万が一ということもある。自分が矢面に立つことはできる限り避けたい。
そのためしもべである桐山にそこを期待したいところだが、桐山自身は特にさしたる能力を持たないただの中学生である。
桐山の身体能力や機転は単なる中学生の域を軽く凌駕しているのであるが、桐山は自身を過大評価してはいない。
よって自己申告は多分に控えめなものになり、強力な武器でもない限り当面はさして役に立てないということだった。

「そして、nのフィールドへの出入りも制限されている……」

そう呟く水銀燈は水面に立っている。
翼をはためかせているわけではなく、両の足でしっかりと。
水面には揺らぎ一つなく、まるで鏡のように満月を映し出している。
桐山が試しに自分も水に足を踏み入れると、鏡は瞬間に崩れ波紋が広がっていった。

「あなた、鏡を持ってないかしら?」
「手鏡でいいのならある」

桐山に手渡された小さな手鏡を受取り、水銀燈は指先を鏡面に押し当てる。
すると、本来であれば鏡面に留まり指紋を残すはずの指先は、先ほど水面がそうあるべきだったように鏡の中へと沈みこんでいく。
淡く発光する鏡をじっと眺め、水銀燈はおもむろに指先を抜く。

「……駄目ね。一時的に侵入することはできてもすぐに弾かれる。無理に押し入ろうとすれば身体がバラバラになってしまいそうだわ」

118 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/14(月) 23:56:18 ID:9IzGllac
集中すれば片手くらいは突っ込めそうだが、指を突き入れただけでも身体がどっと疲労を訴えてくる。
指先でさえこうなのだから、全身を侵入させようとすればその瞬間に砕け散ってしまってもおかしくはない。

「緊急避難としてnのフィールドに逃げ込むことはできないと考えた方がよさそうね」
「鏡や水のあるところに自由に出入りできるのならば、逃亡や暗殺を防ぐことはおよそ不可能だ。当然の処置だろう」
「まあそれもそうね。どうやって干渉しているのか、って点は気になるけれど……」

それを言うならローゼンメイデン全員をこの殺し合いに放り込んだことからして異常なのだが。
あの影のような人物の途方もない力について、やはり情報は必要となる。

「まあ、今考えても仕方ないことね。それよりあなたの持ち物を……」
「水銀燈」

手慰みに鏡に指先を出し入れさせながら支給された道具を確認しようとしたとき、静かながらも僅かに硬い声が水銀燈を遮る。
桐山は音もなく立ち上がり、水銀燈の背後を見て――睨んでいた。
夜の暗闇に溶け込むように一人の男が立っている。
黒いロングコートから伸びてきた手には、四角い箱らしきものが握られていた。
気を抜いていたつもりはないが、やはり桐山の存在に少なからず安堵している自分がいたのだろうか?
男の接近に気付けなかった自分を内心で叱咤し、水銀燈は慌てて桐山の背後に回る。
現状では自分より劣る桐山を盾にするのも情けない話だが、剣呑な雰囲気を漂わせる他者を前にすれば多少の恥など何ほどのことでもない。

「今、鏡から呼び出したな。それがおまえの契約したモンスターか」
「……?」

水銀燈を一瞥し、すぐに桐山に視線を戻した男がそう吐き捨てる。
しかし、『それ』が何を意味するかを当の二人は理解できはしない。
何も言うつもりがないらしい桐山――水銀燈に従うのだから、対応は任せるということだろう――の背中から水銀燈は慎重に男に話しかけた。

「何を言ってるのかよくわからないのだけど。私たちに何か御用なのかしら」
「……ミラーモンスターが喋る? 新種だというのか……?」
「だから、モンスターって一体何の話なのよ」

水銀燈が喋ったことに驚愕したらしい男は、左手に握った箱を水面へと突き出す。
男は一度俯く。次に顔を上げた時には、鋭い眼差しが戦意を湛えて水銀燈を貫いた。

「ライダーが相手ならちょうどいい。何より……おまえのモンスターは、気に障る。嫌なものを思い出す」
「水銀燈、下がれ!」

張り詰めた男の声に反応し、桐山が水銀燈を突き飛ばす。
直後、空いた空間を瞬時に何かが走り抜ける――それは異形の蝙蝠だった。
力強く構えられる男の右腕。

119 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/14(月) 23:57:33 ID:9IzGllac

「変身」

見れば、いつの間にか男の腰に金属の環――ベルトが出現している。
男はそのベルトの中心、空いたバックルの部分に手にしていた箱を叩き込んだ。
閃光が闇を払い、水銀燈は思わず手を翳し目を保護する。
光が収まったとき、男は消えて代わりに西洋の甲冑を纏った騎士の影が佇んでいた。

「な……」
「はぁっ!」

騎士は柄頭に装飾の施された細剣を手の中で一回転させると、瞬く間に水銀燈たちの眼前へと踏み込んできた。
人間の脚力では望み得ない速度。事情は分からないが状況はわかった。
つまり今この瞬間、水銀燈と桐山和雄は『敵に襲われている』ということが。
一も二もなく水銀燈は翼を打って上空へと逃れる。

(しまった……!)

だが、安全を確保した喜びよりも先に、桐山の安否が思考の大半を奪う。
自分が離脱することしか考えられず、貴重なしもべのことまで頭が回っていなかった。
が、責められることでもない。アリスゲームという戦いの中にあって、このような敵と遭遇したことはさすがに初めてである。
些か以上に動揺している自分を自覚し、水銀燈は眼下へと目を凝らす。
が、心配は杞憂に終わった。
水銀燈が背後から安全地へと脱出したのを確認した桐山は、即座に自分のバッグから硬貨の入った袋を取り出していた。
容量限度いっぱいまで硬貨が詰められた袋は鈍器としてもそれなりに使えるだろうが、あくまでそれは尋常な人間相手のことだ。
見るからに堅そうな鎧を纏う男に対して有効打は望めないだろう。
それを瞬時に判断した桐山は、袋で殴るのではなく袋を放り投げる。騎士の仮面のすぐ前に。
細剣が一閃し、袋が切り裂かれる。途端、風船が割れたかのように放逐される硬貨の群れ。
騎士の踏み込みによって舞い上がった水飛沫が硬貨に付着し、月光を乱反射させる。
視界を埋め尽くす光に幻惑され騎士は立ち尽くす。
その隙を逃さず桐山は後退。その機転と度胸に水銀燈は密かに舌を巻いた。

「……ただの人間って、嘘っぱちじゃない」

淡々と状況に対処した桐山の横顔は鉄仮面のように動き一つない。
次々に落下していくコインを一枚掴み、騎士は何故か憤った声を吐き出した。

「……金を粗末に扱うな」
「斬ったのはおまえだ」
「チィッ……!」

しかし桐山に即座に反論され、騎士は苛立たしげに舌打ちした。
兜の奥で逡巡する瞳が桐山を捉える。

「どうした、なぜ変身しない!」
「変身……?」
「おまえもライダーだろう! ライダーならば俺と戦え!」

120 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/14(月) 23:58:06 ID:9IzGllac
よくよく考えれば先の攻撃は桐山ではなく自分を狙った一撃だった、と水銀燈は頭上から二人を眺める。
騎士は桐山を前にしているものの、意識の大半は水銀燈へ向けている。
迂闊な動きをすればすぐにでもあの細剣が飛んできそうに思える。

「おまえは何か誤解をしているようだ。そもそも俺たちは殺し合いをする気はない」
「そっちになくても……!」

言い含めるような桐山の言葉にさらに激昂したか、男は剣を持たない手で桐山へと殴りかかっていく。
やはり人間の運動速度を遥かに超越したその拳は、当たれば桐山の頭蓋など木端に砕けそうなほどの迫力を有していたが、

「……? さっきより遅い……」

俯瞰していた水銀燈から見れば、先ほどの剣戟にあった殺気が今回の拳には見られなかった。
その感覚を裏付けるように桐山は左右に身体を振って易々と回避する。
小細工も何もない、純粋に人間の成し得るレベルでの動きを持ってして、騎士の攻撃は次々と避けられていく。
騎士の連撃を竜巻とすれば、桐山は風に舞い踊る木の葉か。
桐山は瞬きの間にするっと騎士の懐へと潜り込み、ぽん、と騎士の胸に右の掌を置いた。
直後、桐山の足下が破裂する。水面が爆発し、上空にいる水銀燈にまで飛沫が届く。
翼が濡れるのを嫌った水銀燈が滑空しながら地面へと降りていくと、示し合わせたように桐山が後退してきて水銀燈を受け止めた。

「ちょっとあなた、今何をしたのよ。あいつを倒したの?」
「大したことじゃない。効いてもいない」

やはり平然とそう答える桐山に反駁する間もなく、水柱の中から騎士が歩み出てきた。
拳を解いて胸に手を当てているが、それは痛みや傷を気にしている風ではなく、純粋に何をされたか理解できない戸惑いのようなものが感じられた。

「ライダーではない生身の攻撃で、ライダーに衝撃を通すか。おまえ、只者ではないな」

桐山の一撃は、本人の言葉通り痛撃にはならず。どうやら騎士を本気にさせただけに終わったようだ。
俄かに緊張感を増した騎士の声にただならぬものを感じたのは水銀燈だけではなかったようで、

「水銀燈、俺が残って時間を稼ぐ。おまえは逃げろ」

桐山は盛大に水を蹴って騎士の視界を塞ぎ、水銀燈を抱えて後方へと疾走する。
その一方で小声で切り出された言葉に、ローゼンメイデンの矜持は大いに刺激された。

「逃げるって……この私に尻尾を巻いて逃げ出せと言うの?」
「奴の狙いはおまえだ。適当に相手をしたらおれも逃げる」
「そうじゃないわ! あなた、誰に向かって!」
「今までのやつは力の半分も出していない。本気で来られたら、二人とも殺されるだけだ」

相変わらず焦った感じはしないものの、桐山は状況を甚だ不利だと見ているのは水銀燈にも伝わってきた。
未だ水銀燈自身は騎士と手を合わせてはいないものの、姉妹の誰とも違う力を見せる敵を相手に勝てると言い切れはしないのが実情だ。
しかし強力な力を行使するとはいえ、たかが人間相手に遁走するというのはそれだけでローゼンメイデンの誇りに泥を浴びせる行為でもある。
殺し合いに加担する気が薄いとはいえ、襲われて無抵抗を貫けるはずもない。
身にかかる火の粉は振り払わねばならない。相手の生死はそれこそ成り行き次第だ。

121 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/15(火) 00:00:37 ID:oBpMSnEo
誇りが逃走を許さないのならば、戦って勝てばいい。
しかし勝つためには純然たる力が足りない。
ならば――どうすればいいか?

決まっている。
現状で勝てないのならば、新たなカードをヒットするだけだ。

「――あなた、私に従うのよねぇ?」
「そう言った。だから逃げろと言っている」
「それは私を死なせないため?」
「そうだ。おまえが死を望むなら別だが」
「お断りよ、そんなの。いい? 私のしもべになりたいというのなら」

水銀燈が自らのバッグから取り出したものを見て、桐山は目を細める。掌に収まるサイズの四角い箱。
先ほどまでは無用の長物と落胆していたが、本当の使い方は相対している敵が教えてくれた。
箱の表面には黒く染め上げられた竜を象ったしるし。
騎士の男が持っていたものと細部が異なる、しかし秘める力はほぼ同一の。
解放の時を待っている――力。

「私を害そうとする者がいるのなら、誰が相手だろうとそいつを倒して私を護って見せなさい。それがただ一つ、私があなたに望むこと」

水銀燈の手にある箱を、桐山はじっと見つめる。
これは言葉以上のもの。隷属の証を意味する、契約の儀式。
その手を取るかどうか――桐山和雄は、一瞬たりとも迷いはしなかった。

「いいだろう。敵を倒せ――それが二つ目の命令だな」
「ええ……認めましょう、桐山和雄。あなたは今この時を以て、この私、ローゼンメイデン第一ドール水銀燈の、唯一無二の『剣』となる――」

運命を変える切り札――箱、カードデッキを、桐山は掴み取った。
振り向く。水銀燈が桐山の腕を離れ、自らの翼で優雅に飛翔する。
視線の先、そこには敵がいる。
水銀燈が倒せと指し示した、桐山和雄の敵が。

「ようやく、その気になったか」

答える騎士の声には、ようやくという感慨。生身の中学生を甚振るのは本意ではなかったというような。
閃いた思考を切って捨て、桐山は男がそうやって見せたように箱を水面に――腰を締め付けるベルトの感覚。

戦う力は手に入れた。
戦う理由は水銀燈が指し示してくれる。
そして、戦って勝利すべき敵は目の前にいる。

122 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/15(火) 00:02:46 ID:oBpMSnEo
何も、迷うことは、ない。
桐山和雄はただそうあるべきであり、そう生きるのみ。
息を強く、強く吸い――止める。


「変身」


鍵となる言葉が虚空に解けて、契約は履行された。
全身を覆う、力強き脈動を感じる。
見開いた瞳に移る新たな世界。
騎士が瞠目する――城戸のデッキか、という呟き。
漆黒の天使を主と掲げ、黒き龍の戦士が戦場へと降り立った。




【G-2/水辺/一日目・深夜】

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康、仮面ライダーナイトに変身中
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いに乗るかどうか決めかねている 
1:俺は、どうしたらいい……
2:ライダーが相手なら、戦える
3:水銀燈が気に入らない
[備考]
・参戦時期:少なくとも恵理が目覚めるより前、手塚との出会い以降からの参戦
・水銀燈を新種のミラーモンスターだと認識しています。
[共通備考]
F-2の墓場には、参加者の元いた世界の脱落者、関係者の墓が多数存在。(※死者に限る)


【水銀燈@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:桐山和雄(隷属させている)
[道具]:基本支給品、不明支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:アリスゲームを元の世界で続けるために主催に反逆する。
1:騎士(秋山蓮)に対処する
2:桐山和雄以外の参加者との接触。とりあえず姉妹たちを優先してみる(真紅を優先)
【備考】
※参戦時期はローゼンメイデン4巻終了時です。

【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]:健康、仮面ライダーリュウガに変身中
[装備]:カードデッキ(リュウガ)
[道具]:基本支給品、たくさん百円硬貨が入った袋(破れて中身が散乱している)、手鏡
[思考・状況]
基本行動方針:水銀燈の仰せのままに。
1:水銀燈に付き従う。
【備考】
※参戦時期は死亡後です。

123 ◆VD1a3KzNnI:2011/02/15(火) 00:04:18 ID:oBpMSnEo
以上です。題は「CONTRACT」で
どなたかよろしければ代理投下をお願いします。

124 ◆CFbjQX2oDg:2011/03/26(土) 17:38:47 ID:yVQh0FKo
昨夜に投下とか言ったのに遅れて申し訳ありません
寄生虫のためこちらに投下します

125 ◆CFbjQX2oDg:2011/03/26(土) 17:42:20 ID:yVQh0FKo


“あの”ガッシュが殺し合いに乗った。



オレとガッシュは魔界の王様を決める戦いで戦ってきた敵同士だ。
ガッシュと初めて出会ったのは遊園地だ。
弱そうな外見と裏腹に中々強いやつだった。
でも、オレとゾロボンのコンビに手も足も出なかったぜ。

…………ティオが助けにきてそのときは負けちまったけどな。

次にあいつに会ったのは東南アジアでオレがレインってやつを勧誘しようとしていたときだ。
オレの名前を間違えるし、関係無いといったのに邪魔してくるし、オレの最強呪文をあっさりと打ち破るし。
ロデュウ様が助けに来てくれなかったら危うく魔界に送還されるところだったぜ。

ガッシュはいつだって『ともだち』のために自分を犠牲に出来るやつだと思っていた。
だから、あいつにはオレにもいない『ともだち』を持っているんだ。
あまり認めたくないけどな。

ガッシュとティオの二人を見たとき、本当は羨ましかったんだろうな。
ゾロボンとはコンビを組んだけど、あいつは全然しゃべらない。
あいつのパートナーは意地悪だしで楽しくは無く、ゾロボンたちが攻撃を受けそうなときに助けるどころか互いに盾にしあった。
オレのは自分が王様になるために、魔物の子の闘いを勝ち抜くというためだけのコンビだった。

リオウの命令でロデュウ様ともコンビを組んだけど、ロデュウ様は怒ると怖いし子分だったし。
やっぱりガッシュたちとは違った。

ティオがいて、レインがいて、きっとオレの知らない魔物の子の『ともだち』が大勢いて
みんなで楽しく遊んだりしていたんだろうな。
そんな楽しそうな世界にオレは憧れていた。

ガッシュが人を殺したのを目撃した時に、オレの憧れていた、オレが心の奥底で求めていた『世界』は崩れ去った。

突然放り込まれたこのバトルロワイアルという場は、あの『ガッシュ』ですら殺すことを躊躇わない場だ。
何十発も電撃を放つなど、明確な殺意がないと出来ない。
信じられないがガッシュが人を殺したのは事実だ。
オレはこの事実をティオに、『以前のガッシュの友達』に知らせなければならない。
震える体に鞭を打ってでもやらなければならない使命感に襲われた。

ガッシュには気づかれていない。怖いからこのまま隠れていればいい。
頭の中でそういう声も聞こえる。
何でだろうな。自分でも不思議だけど、『ともだち』というものを汚して欲しくないのかもしれない。
とにかくオレはタワーを降りて走り出した。

126 ◆CFbjQX2oDg:2011/03/26(土) 17:43:09 ID:yVQh0FKo
数十分か、それとも数十秒か
しばらく走ると前方に人間の男と、その頭に乗る赤い服を着た金髪ツインテールの少女が見えた。
初めて見るけどあいつも魔物の子だな。
ガッシュのことを伝えようとして、脳裏にガッシュが人を殺す映像が蘇る。
さらに、こっちはパートナー不在。
魔界にいたときみたいに何故だか呪文は使えるみたいだけど、ルーパーに唱えてもらうよりもなんだか弱い。
万一あの魔物が殺し合いに乗っていたら唯でさえ攻撃呪文が少ないオレがパートナー無しで勝てるわけが無い。

殺されてしまう。

とりあえず見知らぬ魔物からは逃げよう。ティオに伝えてからにしよう。
気の小さいパピプリオが見知らぬ相手から逃げを選択したのは当然のことだった。
そして術を発動する。この術ならあいつらは“かゆみ”で隙だらけになるはずだ。

煙を浴びたツインテールの魔物は地面を転がっている。
これで逃げられる。あいつは術を使えない。そう思っていた。

パァッン!

人間の方から大きな音がした。
右腕から火を噴出すような熱を感じた。
転げた拍子に砂が口の中に入る。
けれど、その不快感以上の何かを右腕から感じる。
蹲って熱さを主張する自分の右腕を見ると右腕が文字通り無くなっていた。
確認すると麻痺していた痛みが我先にと襲い掛かってくる。

魔界の王を決める戦いでは人間のパートナーは本を読むことに徹していた。
一部のパートナーは積極的に戦いに参加しているが、パピプリオが知る限りではそうだった。
だからこそ、魔物の子の方を無力化できれば逃げられると思ってしまった。
人間の方にもう少しだけ注意を払っていれば、こうはならなかったのかもしれない。
だが、現実にはパピプリオの右腕はショットガンをくらい、喪失した。

(あいつらに殺されてしまう!)
必死の脳内に浮かんだのは、銃声によって停止状態にあったままの逃げろという信号だ。

そこから先はよく覚えていない。無我夢中で走り回った。
何回も転んだり、ふら付いたりもしたけれど、立ち止まったらあの二人が、ガッシュが襲いに来る気がして止まれなかった。

もう限界、そう思ったときに空から黒い翼の持ち主が飛来する。

「……ロデ、ュウ…様? ティオに、伝え、ないと…。ガ、ガッシュが人を殺した……」

そこでパピプリオは意識を失った。




◇ ◆ ◇

127 ◆CFbjQX2oDg:2011/03/26(土) 17:46:11 ID:yVQh0FKo
時は少し遡る


参加者以外の生物の存在が確認できないこの会場の大空を自由に飛びまわるものがいる。

あれは何だ?

鳥だ!

飛行機だ!

いや、白髪鬼だ!!


清明院大学から飛び続けること約2時間
彼は誰も見付けることができないままD-5市街地にたどり着いてしまった。

シルバーバトルでは死の苦しみを味わうために、町内でも数少ない自分の認めたご隠居こと宇谷九一郎との戦い、そして死んだ。
自分の想像以上の苦痛を味わい、自分の本懐である死があのようなものとは。
あれをもう一度達成したところで、自分の生は満足しない。
どのような因果か二度も殺し合いに参加できるのだ。
前回の余興でやった志多梅子にやった怯える弱者の恐怖を煽るのでなく、怯える弱者の恐怖の源を排除してみよう。
そう意気込んで出発したのに誰にも出会うことはできなかった。

市街地なら他の参加者がいるだろう、もしかしたらどこかの民家で就寝しているのかもしれない。
どこかの民家に押し入ってみるか? 考えを巡らせていると町外れから煙が昇る。
誰かがいることは間違いない。すぐさま煙の方角へと飛翔する。

煙に到達するよりも早く、彼の目的を果たせそうなことに気づく。
煙の方から走ってくる少年の姿が見えた。
しかも少年はふら付きながら、自分の走ってきた道に血の道標を残している。
間違いない。少年は助けるべき弱者だ。

少年の前に降り立つと少年の怪我は自分が思っていた以上に酷い。
右腕が無くなり、傷口がグチャグチャに潰れている。
意識があるのが不思議なくらいだ。

「……ロデ、ュウ…様? ティオに、伝え、ないと…。ガ、ガッシュが人を殺した……」

誰かと勘違いしているのだろうか。ロデュウという名に心当たりは無い。
だがティオとガッシュの二人の名は名簿にも記載されていた。

おそらくこの少年はガッシュが人を殺す現場に居合わせ、口封じのために襲われた。
そして煙幕弾か何かで命からがら逃げ出したということだな。

まだ息はあるようなので病院まで運んでみるか。
あいにくこのような大怪我を治療できる術は持ち合わせていないが、この場にいるよりはマシだろう。
死の直前の苦しみというのは存外気分が悪いものだ。
この少年には出来るなら早くその苦しみから解放してあげたい。

少年を抱きかかえて、病院のあるD-3エリアまで急いで向かうことにした。

128 ◆CFbjQX2oDg:2011/03/26(土) 17:47:47 ID:yVQh0FKo
【D-5/市街地/1日目・黎明】

【津幡共仁@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(6/6)@現実
[道具]:基本支給品、簡易工具セット
[思考・状況]
基本行動方針:英雄として行動する
1:少年(パピプリオ)を病院まで連れて行き、出来るだけの治療をする。
2:万一の場合はティオという名の参加者に少年の最後を伝える。
3:ガッシュという名のものを危険視

[備考]
※香川教授のミラーワールド研究レポートは研究室にそのまま放置されています
※工具は現地調達品です


【レオパルドン・パピプリオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:右腕喪失、恐慌状態 、気絶
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない、ルーパーの所に帰りたい
1:……(気絶中)
2:ティオを探してガッシュのことを伝える。あと守ってもらいたい

[備考]
※19巻、レインと戦った直後から参加。

129 ◆CFbjQX2oDg:2011/03/26(土) 17:49:29 ID:yVQh0FKo
以上で投下を終了します。

誤字脱字、おかしな点、その他ご不明なところがございましたら指摘してください
よろしければどなたか代理投下をお願いします

タイトルは『歪む世界!? 空から飛来する黒い影!』 でお願いします

130 ◆W91cP0oKww:2011/04/26(火) 00:21:12 ID:UENBF.fw
さるったんでこちらに。投下終了です。
タイトルは「絆を結び/憎しみを放つ」です。


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