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肥満化小説・肥満化絵投下スレッド その4

1名無しさん:2014/09/09(火) 19:19:30 ID:51Gx8J5E0
肥満化小説や絵を投下したい方へのスレです。
作品の感想などもこちらへどうぞ。


過去スレ
 肥満化小説・肥満化絵投下スレッド その3
  ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/13127/1362277305/ 
 肥満化小説・肥満化絵投下スレッド その2
  ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/13127/1323012828/
 肥満化小説・肥満化絵投下スレッド
  ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/13127/1254561098/

2名無しさん:2014/09/12(金) 00:10:23 ID:.ZRoR1C20
Age

3 ◆t3E9hfR0Bc:2014/09/29(月) 00:01:51 ID:7CQrcoo60
今更ですがスレ建て乙です。
29日ですので毎月の物を・・・

ttp://www1.axfc.net/u/3330743.zip

パスはいつものです

4名無しさん:2014/09/29(月) 18:07:38 ID:qbJpQt9g0
乙でした
ネトゲはこういう不思議要素なくてもハマりすぎた結果生活バランスが崩れまくって
可愛い子が肌ボロデブスになるとかがありそうで妄想がはかどるぜ

5547:2014/09/29(月) 23:43:23 ID:caKQNaok0
新スレ乙! 自分が様々なSSを書き込んだ
あのスレもとうとう埋まったんだよなぁ・・・


と、いっぱしのSS書きぶりながら
自分も投稿します。
それこそ前スレに投稿した拙作のキャラや設定が再登場してます。
・・・無駄に長くて、肝心の肥満化要素が薄いものですが。



とある病院のロビー、
薄金色の髪の少女が椅子に座って、順番を待っていた。
また新たに朱色の髪の成人女性が入ってきた。
高い背丈にメリハリのある肢体をしていて、
顔立ちも整っているがその印象は美しいというよりも可愛らしく、
彼女は少女を見るなり喜々としてそちらに向かった。


「光樹さん!お久しぶりです!!」
「リーファちゃん・・・ここじゃあもう少し静かにしようね」
「あ・・・ごめんなさい いや1年ぶりに会えたのでつい」
「いや2ヶ月も経ってないはずだよ」


金髪の少女は牛坂家の家事手伝い(いわゆる、「メイド」)をしている過龍光樹。
朱色の髪の成人女性は若き天才リーファ・フェフ。

6547:2014/09/29(月) 23:45:13 ID:SLDbMwmM0

「私は公恵さん(牛坂家の次女でやや病弱)の薬を代わりに貰いに来たんだけど
リーファちゃんはどうしたの?」
「私はここの院長と打ち合わせに来たんです、
もう行きますね」 
ペコリと頭を下げてからリーファは院長室の方へ向かった。
「打ち合わせって『朱の女』のだよね・・・」

『朱の女』夜の病院に現れ怪我や病気を治し、その代償として
美しさを奪っていく存在。
・・・リーファはそういう設定にして希望する者に肥化治療を行っているのだ。
肥化治療とは、彼女が開発した疾病を肥満化と引き換えに即座に完治させる治療システムで、効果に比べてコストもリスクも低いのだが、
反対の声が強いのでこういう形を取らないと行えないのだ。
(使用自体は法律で認められる)
リーファの言う「打ち合わせ」は、いわば病院側との契約だ。

だが彼女が向かった院長室から怒鳴り声らしきものが聞こえてきた。

「!? 」光樹もそちらに向かう。


院長室には、リーファと院長らしき白衣を着た初老の男性がソファーに座っていて
スーツをきっちりと着た壮年男性とセーラー服を着た中学生ほどの少女が仁王立ちして、院長とリーファを睨みつけていた。


「肥化治療は即刻中止すべきだ!」
「あれは「朱の女」なる謎の人物がやってる事ですし
被害者本人が被害届を出す意思がありませんので、私共はどうすることも出来ません」
「患者に違法医療行為をしている人物を放置することが問題なのだ!」
「病院の職員全員で包囲網を作り「朱の女」を捕らえるべきだ!!」
「そんな余裕は有りませんし、肥化治療自体は法律では認められています」
「これはモラルの問題です 医者が患者に悪影響を及ぼす存在を放置してはならないと思います」

壮年男性は強い口調で院長を責め立て、少女も柔らかい口調ながらもそれに続いていた。
院長は返答しているが相手の勢いに圧倒されており、リーファは何も言えずにいた。

「だいたいそこの貴方は誰ですか!」「えっ」 そんなリーファに、壮年男性は睨みつける視線を向けた。
「お父さん、その人は無関係だと思う」 「そうです、この人は肥化治療とは全く関係ありません!」
少女が止め、院長が助け舟を出すが壮年男性は止まらない。
「貴方の様な素晴らしい容姿の方ほど、肥化治療で奪われるものは大きいのですよ!!」
「無関係ならば、尚更我らと共に声をあげるべきだ!!」

「・・・う・・うぅ」
リーファは涙ぐんですらいた。

7547:2014/09/29(月) 23:46:38 ID:SLDbMwmM0

「すみません、少々言わせてもらえないでしょうか」
見かねた光樹は割り込むことにした。
「誰だ!今重大な会話をしているのだ!!」
「会話ならもう少し相手の言い分や事情を考えてください」
「肥化治療の犠牲となった人々のことを思いここに来たのだ!!」
「でしたら、肥化治療を受けた本人の声を集めて、見せて下さい」
「しかし本人達は全員『助かった』って言ってた  らしいですよ、こちらのリーファさんは詳細を知ってると思われますが」 「・・・光樹さん」


「肥化治療の是非はともかく、今のあなた達がやってる事はただの迷惑行為、言わば犯罪です」「言いたいことがあるなら、ちゃんと手続きを踏んで下さい」
「ちっ!そんな悠長なことをしてる間など無い!!」
壮年男性はそう言い捨て、院長室から出て行った。
「失礼しました」 少女の方は一応頭を下げてから院長室を出たが、
「 」 「えっ?」 その前に光樹に耳打ちしていった。


その後、気を取り直して打ち合わせを終えたリーファは
お礼として近くのレストランに光樹を連れて行った。

「光樹さんありがとうございました・・・良く言い返せましたね」
「大きな家で仕事する訳だからああいう客の対応もしなきゃいけないと思って
ちょっとそういうのも勉強してたからね」
「・・・あそこまで酷い人に会うとは思わなかったけど」
「言ってたことが全部間違ってるとは言い切れませんが・・・でもあれは」

院長が話してくれたことによると、あの壮年男性は
肥化治療の反対団体の会長である 外田玄一(そとだ くろかず)
しかしその活動はさっきの様な強引すぎるクレームが主で、
当の反対団体からも疎まれているが、
国会議員でもあるので、その権力で肥化治療の使用を
強引に阻止しているという噂があるとのこと。

「あっそう言えば、女の子の方が帰る時に光樹さんに耳打ちしてましたよね」
「何て言われたんですか?」 「それはね・・・」
  
『太ったせいで死んだ方が良かったって目に会うこともありますよ』

「ええっ!?そんなことを!?」
「あの言葉には負の感情がこもっていた、あの子は一体・・・」

8547:2014/09/29(月) 23:49:39 ID:SLDbMwmM0
その少女、外田哲は自宅に帰っていた。
哲の黒い瞳は一枚の写真を見つめていた。

写真に写ってるのは哲を正しく成長させた様な妙齢の女性と
哲を幼くして、そこから太らせた肥満体の幼い女の子。

素早さとは無縁そうな太い脚。
『・・・そ、外田、無理はしなくていいがもう少し早く走れないのか』
小学生ながら高校生の平均サイズ並みの胸。
『うわぁ、無駄にデッケー胸しやがって』
子供でありながら、子供が入ってる様な大きさの巨腹。
『 色々手伝ってくれるのは有難いがまずその腹を引っ込める努力をして欲しい』
可愛らしさは保ちながらも、丸々と膨れてる顔。
『あっちいけ、このデブス!』


「またあんな目に合う位なら・・・死んだ方がましだよ!」

決意を改めた哲の耳にインターホンの音が聞こえた。

玄関に行き扉を開けた哲が見たのは見たことの無い青年だった。
その人は、銀色の髪をさらりと伸ばしていて、
その身体には無駄な肉が一切無いことは、服の上からでも分かる。
藍色の大きな瞳と整った鼻筋と唇をした綺麗な顔の
リーファとはまた違ったジャンルの美しさを持つ青年だった。

「初めまして、私はライディ・マウナスです」
ライディと名乗った彼はその外見に似合った透き通った声をしていた。
「お父様のご依頼の件で打ち合わせに参りました」


「依頼って、もしかして肥化治療に関することでしょうか?」
少し間を置いてから、ライディは返答した。
「あの病院の周辺で無差別殺人事件を起こす」
「えっ!? 肥化治療を肯定してるからといって、それはやり過ぎで「いえ、逆に肥化治療の反対団体のメンバーを殺します」
「被害者の共通点がその一点のみなら肥化治療を肯定する立場のあの病院に疑いがかかります」
「そんな! 私達の味方なのに!?」 「だから自分たちが犯人だと疑われることは無い」
「あなたのお父様はそう考えました」
「お父さんが・・・」
「そしてお嬢さまに自分のサポートをさせると言ってましたが」
「分かりました」 哲は即答した。
「・・・人殺しの片棒を担ぐんですよ、朱の女よりも遥かに重い罪を負うことになりますよ」
「やるしか無いというなら・・・その罪は私も背負います!」
「太ったせいで苦しむのは私一人でいい!!」
確かな、決意を語る哲。
しかしライディはそんな彼女に背を向け、煙草を吸っていた。
「真面目にして下さい! あなたこそ人殺しをする覚悟が無いなら去ってください!!」
「いやすみません、詳細はまた後日に伝えますので今日のところはこれで失礼します」


今回はここまでです。

それと言い忘れてましたが◆t3E9hfR0Bc さん、毎度の投稿乙です
感想の方はもう少し読み返してから書きます。

9名無しさん:2014/09/30(火) 07:09:42 ID:2xuvTUJI0
>>3
乙乙
上でも言われてるけどネトゲは色々なシチュに応用できそうでいいね

>>8
こちらも乙
なんか思ったよりも重い話になりそうだw

10 ◆t3E9hfR0Bc:2014/10/29(水) 00:02:15 ID:TO4i1JEE0
29日ですので、投稿します。
いつもの駄文ですが、それでも良ければどうぞ・・・
ttp://whitecats.dip.jp/up0/download/1414508419.zip
パス:himanka

今回下手くそですが絵を描いてみました。
それに合わせた作品も一点小説でかいてありますのでお楽しみ頂ければ幸いです

11547:2014/10/29(水) 01:04:19 ID:Umwl6te20
乙です! 絵も描かれる様になりましたか!!

自分も先月のSSの続きを投稿します
・・・相変わらず無駄に長くて、肥満化分ほぼ無しです。

肥化治療の反対団体会長の外田玄一。
彼からの依頼を受けた青年、ライディ・マウナス、
奴は毎晩、玄一の同士である筈の肥化治療反対者を殺害していった。
玄一の娘の哲は、その惨劇を見せつけられていた。
「違う! ・・・いや違わないけど、その書き方は・・・」
「何を言ってるんですか」


先ほどの紹介を一部訂正すると哲は自分の意思で
ライディに付いていた。
「それでお嬢様、私にお願いとは何でしょうか」
「今夜は私にもやらせて下さい!!」

「・・・人殺しがしたいんですか」
「私はお父さんの役に立ちたい」
「それに肥化治療を憎んでいても行動出来ない人達だっています
その人たちの命を活かすことでもあるんです」

「 人殺しが『命を活かすこと』になる訳無い!」
ライディが飄々とした態度を崩し、声をあげた。
が、すぐに元の調子に戻った。
「・・・失礼しました どの道素人にやれる事じゃありませんよ」
「いや、今日は哲に行わせる」
「 お父さん!」 喜ぶ哲。
「・・・玄一様」
「ライディ殿の報酬はちゃんと今夜の分も払う」
「・・・なら構いません」口ではこう言ってるライディだが、明らかに不服そうだ。 
「私も都合がつけば、行く」
「 まるで授業参観ですね」
「それでは頼むぞ 哲、ライディ殿」
ライディの皮肉も玄一には通じなかった。
「はい!」 「・・・了解」



夜更け、哲はライディと共にターゲットである、とある一軒家の近くに来ていた。
ライディが液体の入ったポリタンクと、懐から出したライターを差し出す。
「行ってらっしゃいませ、火が付いたらすぐに逃げてくださいよ」
「・・・!」 哲は何も言わず、ライターとポリタンクをふんだくる。


開けられていた窓から台所らしき部屋に侵入した哲は、
すぐさまポリタンクの中身を撒き散らした。
「役に立てないまま生きるくらいなら・・・」
「お父さんのために死んで下さい」
ライターを点ける、ことは出来なかった。
「ガスが切れてる!?」
よく見るとポリタンクから撒いたものも、ただの水だった。
「あいつ・・・そんなに報酬が欲しかったの!?」

突然電気が点けられた。
哲の前に少し見覚えのある人が、
先日抗議に行った病院にいた女性が立っていた。
「お久しぶり、リーファ・フェフです」

「 あの時お父さんに同意しなかったということは肥化治療の賛成者ですよね」
「だったら何も言いません この場から去ってください!」
「いや、肥化治療には反対するよ 今だけは」
「だから教えて欲しい」
「どうして肥化治療に反対してるのか、その理由を」

12547:2014/10/29(水) 01:05:40 ID:Umwl6te20
「・・・・」 哲は何も言わずにあの写真を手渡した。

「 この女の人は、お母さん?」
「そうです」 
「じゃあ、こっちの女の子は・・・あなた?」
「醜いでしょ」

写真に映っている哲は小学4、5年生頃だろう、
とにかく丸々としていて、その体重はリーファと並びかねない。
ただ、風船の様な綺麗な丸さで、不思議とだらし無い印象は無い。

「そんなこと無いよ」 
「丸っこくて、子供らしくて可愛いよ」
リーファはこの言葉に皮肉を込めてない、
本心からそう思っている。

「 そう言う人なんて誰もいなかった」
「生徒も!先生も!皆がみんな責め立てる!!」
「凄く辛かった! あんな目に合うなら・・死んだ方が良い!!!」

「でも、今生きているのは両親が助けてくれたから、だよね」
「・・・お母さんはその頃病気で入院していた」
「・・・仕方無いことだけど何も出来なかった」
「私を救ってくれたのはお父さんだ!」
「だからお父さんのために私は、私の命を使う!」
「 イジメを仕組んだのは、そのお父さん、外田玄一だよ!」
リーファのこの一言に、哲は全く動じなかった。 
「ふふふ、あはははは」それ所か、乾いた笑いをあげる。
「余りに出鱈目すぎて笑えちゃいましたよ」
そう全く信じてないのだ。

「・・・私も信じられなかった、これを見せてもらわなかったら・・・」
リーファが携帯を取り出し、動画を再生する。

ライディと玄一がソファに座って会話していた、その内容は
『 お嬢様、小学生の頃は大変でしたね』
『私も色々と手を焼いたよ、
『まず担任教師に賄賂を送ったが、どういうことか断固として断っててね、
ただ生徒を誘導するだけだというのに』
『そこで不本意だが、家族に圧力をかけると言わざるを得なかった』
『ははは、私への報酬といい、流石に太っ腹ですね』
口ではこう言ってるライディだが、目が笑ってない。
持った煙草が、細い肩が震えていて、
画面越しのその怒りが伝わってくる。
『ライディ殿、貴方も同士として今後もよろしくお願いします』
しかし間近にいる玄一にはその怒りを届いてなかった。
『    ええ、報酬のためにこれからも人を殺していきますよ』
ライディが満面の作り笑いと皮肉で返したところで動画は終わった。

13547:2014/10/29(水) 01:11:04 ID:Umwl6te20

「・・・・・」哲は棒立ちになって考え込んでいた。
ライディの動画だけなら捏造だと言い切れた。
だけど、目の前のリーファの言うことを嘘と言うことはどうしても出来なかった。
彼女の目には嘘が混じってない・・・、透けて見えるのは本心だ。
父の、玄一の目は・・・今思うと何も透けてない・・・濁っている?


「どう思う、哲ちゃん」 不意に透き通った声が耳に聞こえた。
哲が振り返ると、そこにライディがいた。
その雰囲気はこれまで見てきた、飄々とした、嘘くさいものでなく、
先の動画に映ってた、真剣味を宿したものだった。


「どうしてこんな動画を・・・」
「僕は最初からこうするつもりだった」
「毎晩の襲撃は・・・」
「あれは役者さんを雇ったお芝居、本当の犠牲者を出さないようにするためのね」
「それとね、「ライディ殿!」
ライディの言葉を遮ったのは、はっきりとした、
それでいて何処か聞き取りづらい声。 玄一が来たのだ。

「玄一!」ライディがその名を呼ぶが、
やはりというべきか、玄一は反応せず哲の方へ呼びかけた。
「哲、私を信じられないのだろう」
「・・・・・うん」 だから本当のことを教えて、と哲が本当の気持ちを口に出そうとしたところで、
玄一が拳銃を構えた。  その銃口の先にいるのはリーファだ。
「私の正しさを証明する」 玄一は、躊躇うことなく引き金を引いた。



「ど、どうして・・・」
立ち尽くしているリーファ、その前に哲が立っていた。
「 リーファさんは・・・あの頃の私を可愛いと言ってくれた・・・」
「それに・・・今は肥化治療に反対している者どうし・・・」
「・・・仲間だから」

哲は目を閉じ、ゆっくりと崩れ落ちた。
その様と意識を失ったか細い体は美しくすらあり、
銃弾が貫いっていったとはとても思えない。
   



事実、哲に銃弾は当たってなかった。
「  撃たれたと思い込んで気絶した・・・ 」
「『私』よりもよっぽど演技が上手だなぁ」
ライディはこの言葉に皮肉を込めてない、
本心からそう思っているのだ。
そしてその手には、何処から取り出したのか、
金色を基調とした美しい造りの長剣が握られていて、
その刃はリーファと哲の前にあった、
そう、銃弾はライディが防いでいた。

「何故だ 何故防いだ!? 何故死なせようとしない!!」
玄一は銃をライディに向ける、
この怒鳴り声と充血した目にははっきりとした感情が、殺意が透けていた。


ライディは全く動かない、その剣の刃をリーファが飛び越えた。
「守りたいから、死なせたくないからに決まってるでしょ!!」
リーファが返答しながら、玄一の顔面に飛び蹴りを打ち込んだ。
玄一は、撃つことも反論することも出来ずに倒れ込んだ。

鼻血を流し、泡を吹きながら、白目を向いて気絶している、
無様な様で気絶している玄一をライディが肩に担いた。

「拳銃の所持と発砲、家宅捜査の理由には十分すぎるほどだ」
そうライディが玄一に雇われた振りをしていたは、
玄一を失脚、逮捕できる口実を得るためでもあった。
 それだけだったら、先のイジめについての動画でも良かったのだが。
「  あれを証拠にしたら、脅された先生達も共犯になってしまうから・・・」
「そう思って泳がせたけど・・・間違いだったかなぁ 哲ちゃんを危険に晒してしまった・・・」
「気にしない! ライディのお陰で犠牲者を出さずに済んだんだよ」
「ありがとう、リーファちゃん  これで事件は、僕の仕事は終わった」
「  後は私の 」
「『朱の女』のお仕事かな?」


今回はこれまでです
次回で、ようやく終わり&肥満化描写入ります

14名無しさん:2014/10/29(水) 18:46:39 ID:SIhBL5N20
>>10
乙乙
ついに絵まで書きだしのには頭が下がるw
あと幸せな歳のとり方はいいですねえ
自分もやばい年齢に差し掛かってきてるんで身につまされるw

>>11
こちらも乙乙
先月も言ったかもしれないけど地味に重い話になってきている…

15名無しさん:2014/10/30(木) 07:18:36 ID:.H66P7Ns0
お二方とも乙でした
語彙が少なくてあまり感想は書いてないけど毎回欠かさず読んでます

16 ◆t3E9hfR0Bc:2014/11/01(土) 17:40:52 ID:uHHCvKMo0
皆さんには期待させて申し訳ないのですが、今回絵を描いたのは四年目突入記念でした・・・
なので今後毎回絵を付けるわけでは無いのです・・・
説明のし忘れで申し訳ない・・・
今後絵を付ける時もあると思いますので、その時はまたお願いします。

17名無しさん:2014/11/02(日) 11:21:15 ID:ehtVQV8c0
毎回絵をつけろ!とかは誰も思ってないだろうから気にしなくてもいいと思うよw

18名無しさん:2014/11/02(日) 22:46:57 ID:nLE75SuQ0
絵もSSも描きたい時に描いて下さい。
というかもう四年になるのですか・・・
おめでとうございます♪

19名無しさん:2014/11/03(月) 19:02:26 ID:EvXtP01A0
継続は力なりというけど同じテーマでひたすら数年間にわたって
定期的に作品を作り続けるってのは本当に凄いと思う

20651:2014/11/07(金) 20:31:06 ID:0FgfcZYI0
>◆t3E9hfR0Bc様 乙でした! 毎月楽しみにしてます!
4年間続いた氏の引き出しの広さに敬服いたします。

私も久しぶりに書いてみましたので投稿いたします。
打ち切らないように月1のペースで投稿するつもりです。
よろしくお願いします。

世界は二つの大国に二分されていた。
1つは勇敢な女王が率いる人間の国、もう一つは冷酷な女魔王が率いる魔物の国だった。
100年間戦争を行った後、人間達は大攻勢に打って出た。
後に「魔王城の会戦」と呼ばれる大戦役――この戦いによって人間軍が魔物軍を完膚なきまでに打ち砕き、決定的な勝利を収めた。

兵力の過半数を消耗してしまった魔物達には反撃する余力は残っていなかった。
戦争によって国土は破壊し尽され、本拠である魔王城も戦火によって焼失してしまっていたからだ。

「…降伏しよう」
魔王は固く結んだ唇をわずかに開くと、一言だけ言葉を放った。
普段は気丈な美女の目の端に初めて涙が浮かんだ。
その様子に配下の魔物達は皆、悔し涙に袖を拭った。

こうして壊滅した魔物軍は人間達に降伏し、平和が訪れた。
敗れた魔物達は世界の端でひっそりと生きざるを得なくなった。

21651:2014/11/07(金) 20:33:00 ID:0FgfcZYI0
戦争終結から3年後。
土地を追われた魔王達一行は未開の地に新魔王城を建設した。
小さいながらも自分たちの城。
しかし、なおも人間達は魔物達を悩ませていた。
冒険者と呼ばれる財宝狙いの人間達が新魔王城近辺に度々侵入していたのだ。

「ベヒモス将軍、人間共が我が領地に侵入してきました!」
「またか! 今月30回目だぞ」
「若い女が4人だけです。いかがいたしましょう」
「オーク達を向かわせろ」
「前回の戦闘で全滅しました」
「ならば、ドラゴン部隊だ」
「前々回の戦闘でやられました」
「うむ、それではバンパイアの軍勢はどうだ」
「前々々回の戦闘で…」
「うぬぬ、なぜ誰もおらん!」
「実力のある魔物は先の戦争でほとんど死んでしまいましたからね。人手不足が深刻なんです」
「魔王様が新しい魔物を生み出してくださらないからな」
「ど、どうしましょう」
「仕方ない。残存している守備隊で応戦させろ」
「かしこまりました」

伝令を送った後、ベヒモスは大きなため息を漏らした。
「…魔王様に人員補充のお願いをしにいくか」

魔王の居室は城の最上階にある。
厳重に閉ざされた鉄の扉が入室者に威圧感を与える。。

ベヒモスはゆっくりと扉を開け、室内に入った。
部屋は乱雑に散らかっていた。
床には果物のカスや鳥の骨、菓子の袋で埋め尽くされていた。
部屋の中央には肥え太って変わり果てた容姿の魔王が座っており、テレビゲームに熱中している。

「魔王様」
「ちょっと待ってて…今忙しいんだから」
「人間達が攻めてきています。新たな魔物を生成していただきたく」
「ラスボスを倒すのに…手一杯だから、無理」
「ゲームは止めてください」
「魔物を作るのには魔素がいるし…」
「魔素は人間共の絶望から得られるでしょう」
「…こんなになった私の姿を見て…人間達が怖がると思う?」魔王は脂肪で膨れた頬をさらに膨らませた。
「しっかりしてください! あなたは魔物のリーダーなのですぞ!」
「ひっ、…ご、ごめん…」
魔王は太い腕を上げて頭を覆った。
その姿は、かつて戦場で先陣を切って指揮を執っていた人物と同一であるとは思えない。

「全く」とベヒモスは深くため息をついた。
戦争の敗北は魔王の心に深い傷を負わせていた。
部下達を死なせてしまった罪悪感。国を守れなかった無力感。人間達からの軍事的政治的圧力。
それらは若い彼女に背負い切れるものではなかった。

ストレスからくる極度の精神的緊張。その結果、彼女は過食症になり、部屋に引きこもった。

ある日突然、彼女は自室に籠ったまま出てこなくなったのだ。
不摂生な生活により、綺麗だった銀色の髪は艶を無くし。
かつて強い意思の光を宿していた赤い目は死んだ魚のようになり、今は食べ物とゲームの敵を負うことだけに向けられている。
数年にわたる運動不足と過食により、人間達に恐怖と畏怖を与えていたグラマラスな肉体は
ポッコリ三段腹の肥満体に変貌していた。

22651:2014/11/07(金) 20:35:34 ID:0FgfcZYI0

「魔王様、少しは運動しましょう。健康に悪いですぞ」
「う、運動なら毎日してるよ。ほら…」
ゴロゴロと室内を転がる魔王。
「…ルームランナーを持ってこさせます。ランニングをして汗を流しましょう」

ほどなく、ルームランナーが魔王の部屋に運び込まれた。
「まずは低速で」
静かにベルトコンベアが動き出す。
「軽いジョギング程度の速度です。10分を目指しましょう」
「はぁ…はぁ…」
ドスドスと魔王の足音が室内に響きわたる。
しかし、数分もしないうちにそのリズムは崩れ始めてきた。
「ぶひぃ、ぶぁ…き、きづい…」
「まだ走り始めたばかりですぞ」
「ひぃー、っぶふぅー…」
玉のような汗が彼女の三段腹を流れ落ち、ベルトコンベア上に広大な汗染みを形作った。
「も…う、無理…」
ドスンと尻もちをつく魔王。地響きが鳴った。
「なんと情けない」
「コーラ…コーラを…」
のそのそと冷蔵庫まで張っていく。
そして、コーラの2Lボトルを取り出すと堂に入った姿勢でラッパ飲み。
「甘いものは禁止です!」
「う…うるさい…!」
「うごぉ!?」
魔王が叫ぶとベヒモスの巨体が吹き飛ばされた。
跳ね飛ばしの魔法を使ったのだ。
老将軍はしぶしぶ魔王の部屋から退室した。

ベヒモスが出ていった後。
魔王は自室で布団にくるまっていた。
「はぁ…またベヒモスにあたっちゃった…」

このままでは駄目なことは彼女自身もよく理解していた。
しかし、過去の敗北がトラウマになり、立ち直るための一歩が踏み出せずにいた。
かつて人間達から恐れられていた自分を取り戻せるか、自信が持てずにいたのだった。

「そうだ…こんな時は」
戸棚を開けるとと、そこにはポテトチップスの袋があった。
その袋を開けて中身を頬張る。
「ストレスは食事で解消…。…ん、おいし…」

23651:2014/11/07(金) 20:38:00 ID:0FgfcZYI0
ベヒモスは焦っていた。
(私の目が黒いうちになんとか魔王様を更生させなければ)
彼女が引きこもってから経験豊富なベヒモスが国政を取り仕切っていたが、彼も若くない。
1000歳を超す老齢のため、いつ天からのお迎えがきてもおかしくないのだ。
「自信を取り戻させるにはどうしたものか…」
考え込んでいると、廊下の向こうから1匹の魔物が近づいて来た。
「む、キョンシーではないか。お前が地下の実験室以外にいるなんて珍しいな」
「研究が完成したからね〜」
キョンシーは嬉しそうにぴょこぴょこ飛び跳ねている。
「今回の発明品はすごいんだよ〜。今から魔王様に見てもらうんだよ〜」
「また役に立たないガラクタか?」
「ひどいな〜。今度のは画期的なんだから〜」

キョンシーは懐から手帳ほどの大きさの機械を取り出した。
液晶画面とボタンがいくつかついており、頭の部分からは細いアンテナが伸びていた。
「見たところ何かの遠隔操作装置のようだが」
「正解〜。ちょっと見ててね〜」
そう言うと、キョンシーはベヒモスに向かってアンテナの先端を向けた。
「スイッチオン〜」
「?…なんだ!? 私の体が!?」

ベヒモスの背が縮んでいく。
筋骨隆々だった巨体はボリュームを無くしていき、荒くれだった皮膚は滑らかに変化していく。
数十秒後、そこには一人の幼女がちょこんと立っていた。
「実験成功〜」
「ふ、ふざけるな。元に戻せ!」
「この機械は肉体再構成装置っていってね〜。アンテナを向けた生物の姿形を思いのままに変えられるんだ〜」
そう言ってさらに別のボタンを押す。
「ふぇぇ〜、今度は何したの?」
「これの優れているところは〜性格とか体質とかまで変えられちゃうことなんだよ〜」
「解除」と書かれたボタンを押す。
ベヒモスは元に戻った。
「き、貴様…!!」
「あはは〜。なかなか面白かったよ〜」
「全く…そんな道具が何の役に立つというんだ?」
「これで魔王様をおちょくって遊ぶんだよ〜」
「私の部下にはこんなやつしかいないのか…」
ベヒモスは肩を落とした。

その時。
武装した1匹の魔物が息を切らせてこちらへ走ってきた。
先ほどベヒモスが遣わした伝令だった。
「べ、べ、ベヒモス様!」
「なんだ、騒々しい」
「人間共が城内へ侵入しました!」
「守備隊はどうした?」
「全滅しました」
「馬鹿な! 実力はそれほど高くないが50人もの武装した兵士だぞ」
「まったく歯が立たず、全員倒されてしまいました。我々の仲間にしたいくらい強いです」
「くそっ!」
「予備戦力を投入願います」
「しかし、もう兵士はほとんど残っておらん。まともに戦えるやつは私とこいつと…」
ベヒモスの目が、キョンシーと彼女が手に持っている肉体再構成装置で止まった。
「おい、伝令。話がある。耳を貸せ」
「なんでしょうか?」
「思いついたのだ。魔王様に自信を取り戻させ、かつ人員を補充できる方法がな」
ベヒモスは口の端を曲げて笑った。
「キョンシーもちょっと来い」
彼らはしばらく話し込んだ後、別々な方向に走って行った。

24名無しさん:2014/11/08(土) 00:57:11 ID:w3o2WSfc0
乙乙!
堕落してしまった魔王様に容姿・内面ともに変化させられる機械と実に楽しみなシチュばかりだw

25名無しさん:2014/11/08(土) 16:01:51 ID:ba5WQ3Cw0
乙です
肥満の他にも髪が艶をなくしたっていう表現に興奮したw

26名無しさん:2014/11/09(日) 09:31:22 ID:K58P5igs0
乙です!続き楽しみにしてます!

27名無しさん:2014/11/18(火) 23:44:23 ID:p7GDPcDQ0
あらすじだけで肥満化要素皆無です

やりたいことはわかってるのに、なかなかそこまでたどり着けないってもどかしいです



剣を模した木の棒きれが音をたてて空を切る。その甲高い音は幾度も起こらないうちに鳴らなくなった。しんと静まり返る中で次に響いた音は、かすれ気味に聞こえる
「参りました」だった。

 その声を発した男の喉元には、木で作られた剣が今にも首を貫かんとする勢いでに突きつけられていた。周りにいた者たちは口々に感嘆の声を上げた。しかし、大声で騒ぎたるものなどは一人もいなかった。あまりの気迫と技の素早さに気後れしたためであった。

 ここは騎士が技を磨くための修練場。騎士たちはこの場所で日夜一人前の騎士となるべく修行に取り組む。騎士の中には武芸を得手としない比較的華奢な騎士文官もいるが、基本的には全身に金属鎧を着込み、剣を振るうための筋力が必要とされる。そのため、この修練所にいる騎士たちのほとんども筋骨たくましい者たちが多い。

その中で特に目立つ縦にも横にも小さな人物。そのシルエットは鎧を着込んでいてもわかるほどほっそりとしていて、なよっとした、そこはかとない女々しさを放っていた。しかし、その華奢な体躯から繰り出される剣技には一手の無駄もなく、かつ並ぶ者がないほどの素早さで見る者の目をくぎ付けにした。

彼女の名はサーシャ。女として生まれながら騎士として育てられた。生まれた子の適性に応じて育て方を変えるのが、彼女の国の習わしであり女が騎士になるというのも珍しい事ではなかった。しかし年を重ねるにつれて男と女の力の差は歴然としたものになってゆく。女騎士というのは一種の建前であり、形式な者でしかなく実践に投入されるといったことはなかった。

そんな女騎士の常識を塗り替えたのが他ならぬサーシャであった。彼女は貴族の娘として産まれた。本来であれば武家の者でもない貴族階級の娘は、よほど武の才能がない限り行儀作法を学ばせるために他家へと修行に出させるのが一般的だ。幼少の頃からサーシャの活発さは群を抜いていた。貴婦人としての教育を施されそれらを難なく淡々とこなしながらも、サーシャが兄のように慕っている十歳も離れた従卒たちと、野山へよく遊びに出掛けたものだ。

他家に修行へ出させる年齢になった時、両親は悩みに悩んだ。武家の出でもないこの子を騎士として育てて本当に良いのだろうかと。そんな中、その後のサーシャの運命を決定づける出来事が起きた。人の世界にたびたび侵攻を仕掛けてきていた奇形の者どもを打ち破りし英雄が、流浪の旅でたまたまサーシャの一族が治める領内を訪れたのである。サーシャの両親は、これは啓示だと考えてその英雄騎士に娘を預けることにした。

はじめは渋い顔をして崩さなかった騎士だったが、華奢なサーシャの体に収まりきらないほどの活発さが気に入ったのか、後に快諾し彼女を養女として育てることとなった。英雄とうたわれた者の下で修業に励んだサーシャはめきめきとその頭角を現し、二十歳を過ぎた頃には精神的にもその強さも、既に世界で指折りの戦士として成長していた。

腕白で頑固ながらも騎士としての常識はしっかりと身についている。もとよりきれいな金色をしていた髪は更に艶やかなものとなり、首が隠れるほどまで伸ばしている。戦いの邪魔にならない程度に女らしさを残していたいという彼女なりの努力が垣間見える。彼女の小さな体から繰り出される磨かれぬいた技の数々と雷光のごとき素早さは、武の心得がある無しに関わらず、広く知られるところであった。小さいといっても筋肉が自慢の一般騎士に比べたらの話であり、そこらの年頃の若い男性よりはよっぽど立派な体付きをしていた。年を重ねるにつれて大きく成長していく胸部や腰回りは、少々邪魔だと感じているようであった。ともかく、サーシャは騎士としても貴婦人としても申し分ない一人前に成長していた。

28名無しさん:2014/11/18(火) 23:46:01 ID:p7GDPcDQ0
サーシャは今、名目上は人質として扱われ城内でもてなしを受けていた。人質といっても彼女の命をどうこうするわけではない。徳を積んだ騎士の命は尊いものであり、むやみやたらに奪われて然るべきものではないのだ。というのは建前で、騎士はいわゆる金貨袋。身代金により身柄が受け渡されるため、捕えた敵方の騎士は大事に扱わなければならない。また、戦場や決闘以外で理不尽な傷を与えることはとても不名誉なこととされており、騎士に対する拷問の類なども諸国会議の取り決めで厳しく禁止されていた。身代金が支払われるまでの間、騎士は軟禁状態であり監視付きではあるが領内での享楽や散策なども認められていた。

そんな事情を抜きにしても、サーシャは客人として目いっぱいのもてなしを受けていた。先ほどの模擬試合は城の血気盛んな従卒たちが、高名なサーシャにぜひ稽古をつけてほしいといい、お付きの騎士の身の回りの仕事をいつもよりさらに手早く済ませて必死にせがんできたため、もてなしの礼もかねて指導していたのである。

そもそもサーシャほどの武芸に長けた人物がなぜ人質として捕えられているのか。ことの発端は経済危機にある。サーシャが今世話になっているこの国は、魔物どもとの戦線に一番近かった。あの異形どもを打ち破るのに全ての財力をなげうったのだ。他国も相当に加勢したが魔物の勢いは凄まじく、奴らを打ち破りはしたものの最前線であるこの国の疲弊ぶりは悲惨なものだった。連合王国もかの戦いの後で、支援する余力は残っていなかった。このままでは国が傾く。面倒な手続きを抜きにして、即急に支援する必要があったのである。

そこに救いの手を差し伸べたのがバルゴ・サルコスことサルコス家であった。サルコス家の当主であり大戦の英雄ことバルゴの下には各国から膨大な恩賞が贈られた。小領主でありながら、連合国の中で一番の物持ちとなった。サルコス家は先祖代々民に尽くすことを家訓としており、精強ながらも所領を拡大させるという野心は持ち合わせていなかった。もとより富に関心がなかったバルゴはこのおびただしい恩賞を国の復興に使ってもらおうと考えた。しかし、なんにしても手続きが面倒だった。自身の所有物とはいえ、元はもらい物。バルゴの働きに報いるために連合国から与えられたものである。決戦の舞台となったサイゼン国にもこれ以上は出せないというほどの物資や支援金が贈られたが、それでもやはり足りなかった。

人の世がここまで繁栄してきたのも一見面倒とさえ思えるこの法があったからであり、いくら英雄といえど面倒な決まり事を全て無視しての勝手がゆるされる物ではなかった。ましてや長きにわたった戦乱が終わりを迎え混迷している最中、これから復興を目指す国々には足並みをそろえた連携が不可欠であった。

そこでバルゴは考えた。

「古くからの騎士の習わしに従い、人質の身代金と称してサイゼン国を支援しよう。」

一見ばかばかしい事のようにも思えるが、この非常化においてはこの上なく最善の策であった。今、諸国連合は微妙な均衡の下に成り立っており、法の乱れが結束の乱れに、引いては国の乱れにつながることをバルゴは重々承知していた。

29名無しさん:2014/11/18(火) 23:49:54 ID:p7GDPcDQ0
早速だれを人質として送り出すか会議が開かれた。そこでバンゴの養女でありバンゴに次ぐ大戦の功労者であるサーシャ・サルコスが真っ先に志願した。

「そなたがサイゼン国へとおもむけば、魔物の残党や野盗の牽制にもなるだろう。」

会議に出席していた騎士の一人がそう発言すると、それに呼応するように皆が口々に賛成の声を上げ、サイゼン国の救済という大役はサーシャに任せられることとなった。

そうしてサイゼンへとやってきたサーシャは、存外平和な日々を謳歌していた。古くより魔の国との国境にあったせいかサイゼン国の民の結束は固く、野党などは発生せず、みな力を合わせて国の復興に尽力していた。魔物の方はすっかり成りを潜めたのか、国境に近づいても影も形も見当たらなかった。

このときサイゼン国に魔物たちがいなかった理由は最後の抵抗の準備をしていたからだった。サルコス家の治める領土はサイゼン程でないにせよ、魔の国に限りなく近い国であった。魔物たちは戦や悪巧みの度に幾度となくバルゴに邪魔をされ、たいそう腹を立てていた。絶大な力を誇る首領がバルゴによって倒された折に軍勢は四散したが、首領の近衛兵団が軍をまとめ上げ、再度、バルゴの治めるサルコス領へと攻勢を仕掛けてきたのである。

 すぐに届けられるはずであった身代金は、このゴタゴタが片付くまで送り届けることが不可能となった。その知らせを聞いたサーシャはサルコス領に戻ろうとしたが、バルゴからの使者がやってきた。

「こちらはすぐに片付くためサイゼン国で待機せよ、との仰せにございます。」

サーシャは心底安心した。魔の者とはいえ既に一度士気が崩れて戦い傷つき、復讐にかられた集団だ。近衛兵とはいえその数もだいぶ減った。もはやバルゴの敵ではない。そう思った。実際、この最後の小競り合いはサーシャの思ったところと同じになり、サルコス勢は時間こそかかったものの快勝した。大戦が鮮烈すぎたため印象は薄いが、この小競り合いでのバルゴと近衛兵団残党との戦いは歴史上でも稀な名勝負として、戦マニアの騎士や村人たちにより後世まで語り継がれることとなる。

30名無しさん:2014/11/18(火) 23:51:33 ID:p7GDPcDQ0
サーシャは身代金も支払われず暇を持て余すこととなった。ともあれ彼女は国を挙げてのもてなしを受けた。鷹狩りに出かけたり、剣の稽古をつけたり、仲良くなった世話役の侍女を言いくるめてお忍びで出かけ、客人だからという理由で禁止されていた城下での復興活動を手伝ったりしていた。

それなりに充実した日々を送り、適度に運動も行っていたサーシャであったが、ひとつだけ気になることがあった。食事の多さである。決して不服という意味ではない。むしろこの貧困化において多すぎるほどの量である。サイゼン国としてはこれがサーシャに対する感謝や敬愛の表れなのだろう。英雄であり救世主、そして良き盟友であるサルコス家のサーシャ殿だ。彼女自身もひとかどの勇者でありサイゼン国は何度も窮地を救われた。バルゴ・サルコスが手塩にかけて育てた愛娘でもあるのだ。精一杯もてなさないわけにはいかない。サイゼン王もサーシャもこの接待がやりすぎであることには気づいていた。しかしこれは世界の習わしなのである。

むかし、前代未聞の大飢饉が起こり、「食べ物は食べれるときに、残さず食べる」という習慣が生まれ、その文化が育まれていった。すでに古くさい習慣であるため、サイゼン王は形式的にと、出せる限りの食糧を用意したのである。もちろんすべてサーシャにささげるつもりであり、余りをつまみ食いしようなどとは考えてもいない。しかしサーシャが一人で食べきれる量だとは鼻から思っていなかった。実は王が用意したものよりも少しばかり多かった。復興の手伝いをしてもらった国の人々が、城勤めの者を通してサーシャに食料を分けに来ていたのである。お金も建材も砦の建設などで使い切り何もなかったが、食糧だけは国一番といえるほど豊富にあった。サイゼン国が長年、魔物の進行を食い止められた理由も、この国が大食糧庫であったことが挙げられる。

そこは格式を重んじるサルコス家のサーシャ嬢。騎士としての徳を叩き込まれた彼女には、出された食べ物を残すという選択肢はなかった。多すぎると心の中では思っても、食べて、食べて、食べまくった。それはもう腹がはちきれんばかりに。もともと小食の彼女にはこたえた。朝の稽古やカリなどで体を動かしている分にはまだよかったが、晩餐になると毎日のように暴飲暴食の繰り返し。一緒に卓を囲むサイゼン王と彼のごく近しい騎士たち、給仕たちはそのようなサーシャの様子を心配そうに見つめていた。

「無理をせんでもいいのですぞ。お体を悪くしては元も子もない。」
「そういうわけにはまいりませぬ・・・何一つとってもこの非常化においては貴重なもの。いただいたものを残しては民に申し訳が立ちません。なによりサイゼン国の顔に泥を塗ることになってしまいまグップ・・・」

今日の献立は山で採れる美味な花の実。摘み取るときには乾燥してしなびているのだが、香りが豊潤で茹でると水気がまし、食欲をそそる香りもさらに強くなる。淡白な食感も人気があり、サイゼン国では主食や酒のお供としても広く親しまれている。

しかし、食べた際にガスが発生しやすく、すぐ腹にたまる。さすがにこらえきれなかったのか、まだ童心を残しつつも清廉であるサーシャの口から、信じられないほどドスの利いた低音が大きく広間に響いた。音の主は恥ずかしいやら苦しいやらで何が何だか分からなくなり、片手で赤くなった顔を隠し、もう片方の手で膨れた腹をさすり、その腹を突き出すように背もたれに寄りかかっている。

すかさず話のうまい文官騎士が話題を切り替えたが、結局その日は晩餐が終わるまでサーシャの顔から赤みが抜けることはなかった。

31名無しさん:2014/11/18(火) 23:54:39 ID:p7GDPcDQ0
文の荒が目立ちますが勘弁してください

32名無しさん:2014/11/19(水) 00:56:26 ID:F/6M3D/Q0
しえん。
食料庫空にする勢いで食いまくれ

33名無しさん:2014/11/20(木) 18:08:59 ID:S6TH.Btg0
乙乙
導入部分をじっくりやるのは結構好きよ

34名無しさん:2014/11/20(木) 20:52:40 ID:uMkuvIlM0
毎月投下してくれる人がいて
久しぶりに投下してくれる人がいて
新たに投下を始めてくれた人がいる
こんなにうれしいことはない

35547:2014/11/21(金) 00:37:23 ID:LEtzVt0s0
分かります。 
途切れることなく良作を提供してくれる書き手の皆さんは本当有難いです

その人たちの繋ぎになれるかは分かりませんが自分も投稿します。
先々月からグダグダ続いてたSSもようやく完結です。
今更ですが、タイトルも付けました。

「偽と正 偽る男達と女の真心」
今から遡ること4年、
病院のベッドの上に一人の女性が横たわっていた。
整った顔立ちをしているが、その体のか細さは病的な程だ。
実際、ある病気で長らく入院している。

彼女の病室のドアを開けて、一人の少女が入ってきた。
歳は11、女性を幼く、小さくした
程よく細い健康的な体型の少女だ。

女性の名は外田喜美子、
少女はその娘である外田哲だ。


「哲、元気にしてた?」
「わ、私は元気だよ!・・・お母さんは・・・大丈夫?」
「私は・・・元気じゃあないけど、まだまだ生きていけるはずよ  
あなたが大人になるまでは」
「・・・・・それじゃあ、また明日」
哲は、落ち込みが足取りに乗った、重くて遅い足取りで病室から出た。
その後ろに玄一がいた。
「・・・美しい」 
夫はそう呟き、痩せこけた妻をじっと見つめている。



「先生、お母さんにお菓子を持って行ってもいいでしょうか?」
「 色々と栄養制限があるけど、それを守れていると私たちが判断できれば構わない」

36547:2014/11/21(金) 00:39:11 ID:LEtzVt0s0

それから数か月程の時間が流れた。
哲の努力の成果である菓子は、医師の診査を突破し喜美子の口に届いた。

「ありがとう、こんな美味しいものが食べられるなら、
もっと生きてたくなったわ」
「お母さん」「本当に頑張ったんだね」
「――次はダイエットを頑張らないとね」 「・・・うん」
哲の努力は――有名店の菓子の味を舌で覚えることを主とした努力は
彼女自身の体に脂肪という結果を残した。


以前の哲は、その健脚で徒競走では必ず上位に入っていたが、
今の、脂肪で競輪選手の様に太くなり、
走るたびに振動しながら擦れる様になった脚ではビリ確定だ。
年相応の、膨らみかけだった胸は、大人並みの巨乳となって、
お腹に乗っかっている。
これも重しとなって哲の身動きを遅くしている。
一番大きくなった腹は、それなりに鍛えられてた腹筋も支えきれず、
変形し三段腹が形成されてる。
これに至っては屈んだりする度につっかえる等して
哲の動きを直接妨げている。
顔も、以前の可愛さを残しながら真ん丸く膨れ、
二重あごが出来ている。
外田哲(11) 142cm 34kg 71・49・63
→59kg 86・94・84


「それじゃあ、お母さん 今度はもう少し美味しいお菓子を持ってくるから
・・・出来るだけお大事にね」
哲は、気持ちはやや軽くなったがそれより遥かに重くなった体重が足に乗った、
重くて遅い足取りで病室から出た。
その後ろに玄一が立っていた。
「・・・醜い」 娘を見て、父はそう呟き背を向けた。
その時に彼は確かな責任感と強い意思をもって決心した。

父として、人の上に立つ者として、死にも等しい罰をもって教えなければならない。
醜く生きるくらいなら、美しいまま死ななければならないことを、
その真実を教えなければならない。
・・・そう決心していた。

37547:2014/11/21(金) 00:43:42 ID:LEtzVt0s0
その決心が、
『・・・そ、外田、無理はしなくていいがもう少し早く走れないのか』
(すみません)
『うわぁ、無駄にデッケー胸しやがって』
(・・・ごめん)
『 色々手伝ってくれるのは有難いがまずその腹を引っ込める努力をして欲しい』
(・・・うぅ・・)
『あっちいけ、このデブス!』
(・・・やめてよぉ・・・・)
哲を苦しみの中へと放り込んだ。


ここで時は現在に戻り、そこから更に1月ほど進む。
『 外田玄一 逮捕』
病院の待合室、ライディはその大文字が一面を飾る新聞を読んでいた。

(外田玄一・・・ある意味責任感と意思は強かった)
(だけどそれは自分の考えを押し付け、他人を傷つけるだけのものだった)
(本当に責任感がある人は、自分を含めた皆を傷つけない道を選ぼうとするはず)
「リーファちゃんのようにね」
ライディの脇からにゅっと顔を出したのは光樹だ。
「み、光樹ちゃん!そ、そうだね」
顔を赤らめながら、ライディは窓の方に目を向ける。
中庭には、リーファと、丸々と太った二人の女性がいる。


大きい方の女性、そう喜美子は、ドスドスと庭を歩き回っている。
息を切らし、汗だくになっていて、それでも立ち止まってはいない。
大き目のワンピースタイプの服をパツパツに押し上げ、
その丸々とした体のラインが主張している。

彼女の体で特に大きいのはお腹だ。
臨月の妊婦の様な丸さと大きさを持って、ドドンっ、とせり出している。
そのお腹に比べるとやや小さいながらも、胸も立派な爆乳だ。
これまた母乳を蓄えた妊婦の様に、肉を蓄えみっちりと張り出している。
妊婦云々とは関係無いが、お尻も胸や腹と同等の巨大さである。
そこから伸びる脚は丸太の様に太く、どっしりとした安定感を出している。
(実際の動きはかなりぎごちないのだが)
顔にもかなり肉が付いてるが、
元の端正さは残っており、二重顎や一重瞼にはなってない。
外田喜美子(37) 164cm 91kg 111・126・110


喜美子は『朱の女』による肥化治療を受けて、体に満遍なく広がっていた病巣を取り除かれ
退院することが出来た。
その結果とても健康的な、言い換えれば肉感的な肥満体になった。

38547:2014/11/21(金) 00:45:12 ID:LEtzVt0s0

小さい方の女性、いや少女こと哲は喜美子に比べると痩せてはいる、
それでも一般的な基準からすれば、肥満体と言える体型だ。
何よりその仕草。満面の笑顔で母を応援しながら、
大量の菓子をばくつく姿はデブ以外の何者でもない。
(なおその横には、喜美子とリーファの分と思われる大量の菓子を置いている)

喜美子に比べると余裕が有る服の着こなしをしてるが、
丸いボディラインは隠しきれてない。
哲の体で一番巨大なのは胸、体重の差のある喜美子に並ぶサイズを有している。
まだ15歳なので、成長によっても大きくなる可能性を考えると、
末恐ろしく(?)すらなる巨大さだ。
その下のお腹は、括れをかすかに残しながらもぽっこりとしている。
しかし哲の食べっぷりを見ていると、「ぽっこり」から「でっぷり」、
もしくは「太鼓腹」になる日も時間の問題に思えてくる。
長椅子に乗っかっている尻は桃の様な巨大さで、
体重によって柔く変形し、尻肉が横に広がっている。
菓子入りのバスケットを乗せた脚は、これまた競輪選手の様に
(言うまでもないが、脂肪で)太くなって、
脚と脚が隙間なく密着し、バスケットを乗せることを可能にしている。
顔は少し丸くなった程度で、まだ、二重あごにはなってない。
外田哲(15)156cm 49kg 76・53・69
→76kg 109・84・104


哲は、身体的には時間をかけて真っ当にダイエットした。
だが心は、苦しみと悲しみの中に囚われたままだった。
リーファとライディ、そして喜美子の頑張りで、
ようやく開放されて4年前の幸せだった頃に戻ろうとしている。
・・・で、体型が心よりも一足先に4年前の体型に戻ったのだ。

「言うなれば、心のリバウンドってわけ」
光樹がそうまとめる。
「これも幸せ太りって言うのかなぁ」 とライディ。

リーファは喜美子の横を付いて走り、励まし助言をしている。
「今日は後もう少しです! この調子で頑張りましょう、喜美子さん!」
リーファの表向きの仕事は、こうして肥化治療の「被害」を受けた人の
フォローをすることだ。
「上から救えることも確かにある」
「でもリーファちゃんは手を汚してでも、人と向き合うことで救う」
「自分にも、他人にも優しい人だからね」
ライディと光樹は下で頑張っている「親友」を賞賛するのだった。

その直後、哲と菓子を交換し一緒に食べだしたリーファを見て、
ライディは別段気に止めなかったが、光樹は苦笑いしながら付け加えた。
「・・・他人には甘い人、とも言えるかもね」

39547:2014/11/21(金) 00:50:40 ID:LEtzVt0s0
「それで、光樹ちゃんはどうして来てくれたの?」
「明日、牛坂家のみんなと一緒に束井麻さんってパティシエの所に行くから、
お土産にどんなお菓子が欲しいか聞きに来たの」
「! 光樹ちゃんがくれるものならなんでもいい!」
「・・・はは、思った通りの返事、それじゃまた今度」

そして光樹は行った。肥らせの迷宮へ・・・

これで終わりです。 オリキャラを活躍させようとしたらかなりグダグダになった上に
肝心の肥満化要素が薄味になってしまった・・・
今後、投稿のテンポは改善するつもりですが、
リーファ達に関しては懲りずにこれからもちょくちょく出していくつもりです。

それと、リーファ達が出るSS間の時間軸を一応まとめますと、以下の様になっています。

*「D・プログレス」は別の世界の話ということにしてます。

「美と健」←リーファ登場・肥化治療はこれ以前からしている。
   ↓
「罪と罰」 
   ↓
「責と功」
   ↓
「偽と真」←このSS
   ↓
「肥らせの迷宮」←光樹肥満化

40名無しさん:2014/11/22(土) 00:03:14 ID:iQ7.rYu20
続きが出来上がったので投稿いたします
過程を描くのも大事だと思うのですが、太ってしまったその後の生活に興味がわき、そこに焦点を絞ってみました
お気に入りいただければ幸いです

 サーシャがサイゼン国へ名ばかりの人質に来てから数十日が過ぎた。日ごろの暴飲暴食がたたり、鋭い美しさを放っていた顔立ちは成りを潜め、頬は丸くなり赤味を帯びており常に何かをほおばっているかのようになった。丸々とした頬に押し上げられて、タカをも遥かにしのぐと評されていた彼女の眼はつぶれ気味になった。

もともと大きめだった胸部や臀部はさらに大きくなった。腰回りが太くなったことは痛かった。日常の動作のなにもかもに支障をきたし何度か恥ずかしい目にも合った。この前、お忍びで城下に行ったときなどは、作業の途中で座りながら休憩していると、まだ奉公に出る年にもなっていないと思わしき、無垢な子供たちに囲まれてひどい目にあわされた。見たこともないほど巨大な尻をしているというもので、興味津々にこちらを凝視し、体の軸からはみ出し横に飛び出ている尻の肉を勝手に触ったり、パンパンとたたいたりしながら、柔らかいだとかどこから来たのとか、質問攻めにあった。

ただでさえこの年頃の子どもというのは好奇心旺盛で、見たことのないものに異様なほど魅かれるものである。ましてや夜寝る前に親から聞かされる歌や物語に登場するような人物が目の前にいるのだから、気になって仕方がない。自分たちがいったこともない場所の話や冒険の話をサーシャにねだった。どうやったら騎士様のように強くなれるのかというものもあった。中にはどうしたらお尻がこんなに柔らかくなるのか、という質問もあったが、それにはさすがにまともな返答をする気は起きなかった。

そのような子どもたちと野問答を領民(特に男性)たちが、こちらを何やらいかがわしい目で見ていたことが印象的だった。基本的にはみな快活で、表裏のない良い人たちだ。しかし、その分態度にも露骨に感情を表すため、見られているということを意識してしまいとても恥ずかしかった。

そして、数十日の間に最も如実に変化が見られたのが腹部である。筋肉質ではないながらも余分な脂肪など今まで一切ついたことがなかったサーシャの腹が、やわらかい脂でたっぷりと覆われていてスポンジのようにふかふかとしている。

国中の貴婦人を集めても、それにすら勝ると言われていてメリハリのある形をしていたサーシャの体付きは、全体的にすっかり丸みを帯びており角ばっている所が一つもないといってよい。シルエットはほぼ球体に近く、この上しゃがんでしまえば影だけで人と判断するのは難しい。あきらかに太り過ぎであった。

41名無しさん:2014/11/22(土) 00:04:23 ID:iQ7.rYu20
人質生活から数日のうちに危機感を覚え始めたサーシャは、晩餐ではいやがおうなしに暴食することが確定していたため、運動の量を増やすことにした。しかし修練場へ赴いてもサーシャに汗をかかせるほどの人材はほんの一握りであり、ましてそのような人物は隊長格の兵士か名のある騎士だけだ。サーシャに指導をこうのはもっぱら騎士見習いや、寝る間を惜しんで仕事と訓練を両立する従卒などばかり。腕に覚えのある者はほとんど国境の警備にあたっており、役目を終えると所領へと戻ってしまうことが多かったため、城へ顔を出すこと自体が稀な者もいた。

これではいけないとサーシャはいよいよ焦った。自分が見習いたちに稽古をつければつけるほど、彼らは筋骨たくましく、それに反比例するように自分の体が丸みを帯びていくのを実感していた。見習いの時に毎日欠かさず行っていた野山を走り込むという方法も考えたが、あくまで人質という立場をわきまえてほしいとのことで引きとめられた。走り込みが禁止されたのにはもう一つ理由がある。監視役の足ではとてもサーシャの足について行けない。監視役の足に合わせようとすれば、今度はサーシャの運動量が減る。監視役が馬に乗るというのも難しい。馬には荷車や機材を引かせたりなど、今は貴重な労働力であって、おいそれと駆り出すわけにはいかない。

それでは狩りだ!狩りに出かけよう!そう思い立ったサーシャは、普段は他の騎士から誘われていくところをめずらしく自分から提案し、城の近隣に広がる野山へと向かった。ここも狩り際に訪れる定番の場所であり、林を抜けて丘を登りきると、眼下には青々とした原野が広がり、その奥にはどこまでも森が続いている。途中で木々が途切れているように見える場所にはそれなりに大きな川が流れている。木々に囲まれるように小高い丘や山が点在しており、首を後ろへひねれば荒れ果てた魔の国との国境があるなど、考えようもないほど清明な空気が漂っている。

ここには人質になってから何度か来たことがあり、サイゼン国の中でもサーシャが特に気に入った場所の一つでもあった。しかし、ここへ来るのも楽ではなかった。減量計画にたびたび失敗していたサーシャの体は、たとえ鎧を着込んだところで言い訳が効かないほど膨らんでおり、横幅だけでも以前の彼女の3〜4倍はあった。以前から感じていたことではあるが、体に余分な脂が付くにつれて息は荒く、体に熱がこもるようになりよく汗をかくようになった。

サーシャは身だしなみには気を使うたちであり、汗をこまめに拭きとるための布や、入浴の数も増えた。持参していた衣服はそのうち着られなくなり、大きめのサイズを用意してもらっていた。それでもサーシャの成長っぷりについてゆけなかった衣服は、彼女の体にぴったりとはまってしまい、入浴前の脱衣時に侍女たちをさんざん手こずらせた。

42名無しさん:2014/11/22(土) 00:05:52 ID:iQ7.rYu20
一人ではすでに脱げなくなっていて、無理をしようものなら、上半身は胸から上が顔までスッポリ衣服で覆われホールドアップの体勢を取っても視界を奪った衣服の位置は微動だにしない。そのままがむしゃらになり体ごと縦横左右へ振ってみようものなら、制御の利かなくなった腹やら尻やらの肉が大暴れして、前か後ろに倒れて大きな地響きを立てるのが落ちだった。その後、一人で脱衣をすることもできないのが恥ずかしく、半ば乱気になって何度か同じことを試してみたが、地響きを鳴らすのがとどのつまりであり、唯一違うことといえば、前に倒れればドンと出っ張ったお腹がぶよっと潰れて横に広がるか、後ろに倒れて尻と背肉の弾力により数回バウンドするかのものであった。

お腹をつぶすように倒れた時は横に広がりきれなかった脂肪が内臓を圧迫して、思わず

「プッ!っぶふぅ〜!・・・ひゅー。ひゅー。ぐ、るじい。た・・・助け、ケフッ、助けてくらは〜い・・・」

という具合に、一度気が抜けたように息を吹きだし、その後は声も絶え絶えながら侍女週に助けを求めていた。お付きの侍女は2人いたのだが、それでは圧倒的に力が足りず、さらに3人を呼びなんとか客人をひきおこした。腹から倒れたことでさすがに懲りたのか、それからの着替えは全て侍女に任せることにした。

 風呂場ではそんなことがあったのだが、今さわやかな風に吹かれているこの狩場へ来る時にもひと騒動あった。狩りへ出かけるというとその時にはあっさり馬を借りられた。そもそも監視役が乗る馬と、騎士や王侯貴族が乗る馬とでは用途も所有権も違うので、当たり前といえば当たり前だ。

狩りといえば紳士のたしなみであり、接待する相手によっては国益にも直結する、とても神聖なスポーツだ。持ち主が居る森で狩りをするには主の許可が必要であった。それだけではなく、身分によって取ってよい動物も決まっており、たとえ許可証を与えられたハンターであったとしても、規定外の動物を取れば罰金が科せられた。

昔の話だが、王のみに狩ることを許された大白鹿を過失であれ討った者は、国によっては死罪というところもあった。また成熟しきっていない動物を殺すのはマナー違反とされており、いい頃合いに熟したものであっても、たとえ需要の低い沢ウサギだったとしても王や貴族など身分の高いものに優先して残しておかなければならなかった。必然的に狩人は成熟一歩手前の若い小・中型の動物か、老いきって肉も皮も固くなったものを自活用に獲るのだった。

43名無しさん:2014/11/22(土) 00:07:19 ID:iQ7.rYu20
市場で出回っている良質の皮や牙などは金に困った貴族が売り払ったものがほとんどである。しかしなかには領主の特別な許可を得て最高の獲物を最高の状態で仕留めて市場に流す者もおり、領主からそのような許可を得られる者は、全狩人の目標であり憧れだった。

サーシャのように国の庇護に置かれた者には、そういったもろもろの権利がすべて与えられていた。彼女のような客人の立場は、平民出のハンターからしてみれば自由狩猟の許可を得た、領主お抱えの狩人になることであり、ひいては有事の際に待遇の良い猟兵として取り立てられることも同義であった。

そのような身に余る大きな特権を得ていたサーシャであったが、狩人泣かせの特権が彼女を縛ることはなく、代わりに自身の腹がサーシャを苦しめることとなった。せっかく用意してもらった馬にまたがることができない。これは異常事態である。本人も周囲もうすうす感じてはいただろうが、それでも一部の望みにかけて騎乗を試みたが、やはりその望みは虚しく散った。

大きく出っ張った胸と腹が邪魔をして、鐙にうまく足がかからない。大きく膨らんだ柔らかいパンのような塊を三つ、なかば強引に馬に押し付けるようにして鐙に足をかけようとする。しかしなかなか鐙が見つからない。下を向けば縦にぶにゅうっと潰れた胸が邪魔をしていて覗き込むことすら叶わない。

首を下に向けるとあごの辺りに圧迫感があり、少し首を引かないと肉に邪魔されてきちんと下を向けない。しわになる様な中途半端な肉は首周りには既になくなっており、下を向いても二重あごにはならず顔はパンパンに張りつめている。

真正面から覗くことを早々に諦めて今度は横から試してみる。しかしこれもダメ。広がった脇腹が視界を邪魔して、鐙のある位置を隠して余りある。太ももは馬の胴の半分かそれ以上という太さで、ただ動かすだけでも疲れる。それを振り上げてどこにあるかわからない鐙に必死にかけようとしているのだから、異様に疲れる。目標が見えないということも手伝って、さらにその疲れは増した。

息は次第に雑になり、馬に持たれかけている腕にも力がこもってきた。サーシャがここまで疲れている理由は太もも以外にもある。彼女のぷっくりした太ももが鐙を探している間、自己主張の強すぎる育ち過ぎの尻がじっとしているわけもない。

44名無しさん:2014/11/22(土) 00:08:24 ID:iQ7.rYu20
布にみっちりと食い込み今にも破れそうなほどパンパンに張りつめた尻が、サーシャの足が動くたびにブルブルと揺れ動く。もう布に余裕などなかったはずなのに地肌と擦れて尻がむずがゆい。そのうち、いつまでも馬に跨ることすらままならない自分の姿を端から見た図を想像しだし、ひどく滑稽に思えた。そんな絵を思い描き次の瞬間、我に返ると途端に顔がボッと熱くなり今すぐこの大きな体ごと、どこかに消えてしまいたいという気持ちになった。

自ら狩りに誘っておいて当の本人は支度すらままならないという状態では、面目も何もあったものではなかった。それ以前に、今の自分が置かれている状況が一人の女性としてあるまじき失態であり、サーシャのここ最近で赤みがかってきた顔をさらに真っ赤にさせるには十分だった。もっとも、そんな細かいことを気にするような無粋な輩はこの場にいなかった。みな純粋にサーシャの動向を微笑ましく見守っていたのだが、それもサーシャの顔を赤みがからせる要因となった。

彼女が馬に体重を預けたまま下をうつむき呆然としていると、周囲にいた騎士仲間たちが見かねてサーシャの騎乗を手伝った。厩も神聖な狩り場への入り口であるため、まだ城内であるのに侍女はついて来ていなかった。追い立て役の従者数名と騎士が2名、貴族が1名とごく小規模な集まりだった。

侍女でもない者が貴婦人の体に直接触れるというのもはばかられるため、その場にいた騎士と貴族の3名で彼女を馬上に持ち上げようとした。しかしサーシャの体は見た目よりも存外重く、少し体が浮きはするものの、なかなか鞍まで腰が届かない。

鐙に足をかけさせるだけでは、どのみち腹などが邪魔をし自力では上がれない。失敗するのは目に見えていたため、最初からやろうとはしなかった。誰かを呼びに行こうとしたがまだ朝も早く、それにみなそれぞれの任務で出かけていて重要な場所以外、城内はほとんど空だ。

一行が頭を悩ませていると彼らの下に大きな音が段々と近づいてくる。重機だ。町の復興に使われているのと同じもので、城の修復にも使われている。どうやら組み立てが終わりこちらで作業を開始するようだ。騎士の一人が技師の下へと歩み寄っていき、事情を説明した。快活そうな体格の良い男だ。

「お客人のためでしたら喜んでこの腕を振るわせてもらいますぞ。普段は橋の建築や町の区画整備など、大規模な工事でもない限り、あっしら技師はくいっぱぐれちまいますからなあ。お国のために役立てるなら本望ってやつですわ。ところで、客人てぇいうと、あれかい?御武家さま。恐ろしく美しい(最初は「恐ろしく強い」であったが、そのうち「恐ろしく強く美しい」となり、今では「美しい」だけが独り歩きしている)てんで評判のサーシャ嬢はもうけぇっちまったのかい?」

45名無しさん:2014/11/22(土) 00:09:38 ID:iQ7.rYu20
ここ最近は体が重くとても忍んで抜け出せるような身のこなしができなくなっていたため、城下にも訪れなくなり町の者もサーシャの劇的な変化を見た者はいなかった。騎士がばつの悪そうな顔をしながら、あそこにいるのがサーシャ本人だと説明すると、技師はひどくたまげたといった様子で、サーシャの方を向きながら目を大きく見開き、あごを力なく垂れ下げたまましばらく見つめていた。

少し離れたところにいたものの、会話の内容はある程度耳に入ってきたため、今自分がどのように技師にみられているかは、その沈黙により把握できた。サーシャは目を伏せて技師とは目を合わせなかった。


建築用の重機を技師が巧みに操り、サーシャを馬の真上へと誘導するべく、彼女の体を持ち上げる。建材を縛るための幅広のベルトを腹回りにまきつけ、四つん這いの体勢でそのまま地面から話すのである。あとはクレーンを馬の真上に誘導するという段取りだ。一見簡単なように見えるが、重機を操るには熟練した職人の技と感、緻密な計算が必要とされるのである。

ベルトはもとが建材の運搬に使う物のため、幅がとても広い。並の人間ならベルトにぶら下がりながらそのまま持ち上げられ、城の高いところを工事にする際などは、一度に数人の技師がベルトに足をかけてクレーンとベルトを繋ぐ紐を手でしっかりとつかみ、上に登り作業に徹していた。

そのようなベルトを今はサーシャ一人で独占しており、それには技師の男も驚いた。しかもベルトに腹が収まりきらず、上や下から余った肉がはみ出している。万が一にもすり抜けたりしないよう、きつめに縛ると

「ぅおっ・・・」

と一声苦しそうな声とともに空気がプヒュウと彼女の口から漏れだした。しきりにベルトの辺りをいじり調整しようとしているが、特殊な機材のため使い方がよくわからず障るたびによりきつく閉まってしまうので、いじることをやめた。端から見ている貴族は彼女の荒い息図解を見ながら、窒息してしまわないかと見守っていた。

なんとも不格好な形となったが、これで準備は整った。四つん這いになっている姿はまるで牛のようであり、乳牛にふさわしくパッツンと膨れ上がった乳房は地面すれすれに垂れ下がっている。彼女が乳牛ならそろそろ絞ってやらないと父が同化してしまう時季だろう、と一件の騒動を近くで見ていた厩版の従卒は思った。

46名無しさん:2014/11/22(土) 00:11:07 ID:iQ7.rYu20
なにはともあれ、サーシャの体は宙に舞った。舞ったというのは誇張であったか、しかし体がふわっと浮かび上がった瞬間は、サーシャ自身がそう感じた。実際は大分動きも鈍く、舞ったなどとはお世辞にも言えなかった。

初めての感覚に多少心躍ったのもつかの間、体が浮いたことにより全体重がベルトのまかれている腹にのしかかる。

「うごぉ!?ぐっふ・・・ぷへぇっふ・・・ふひぃ、ひい、ひい、ふぅ・・・ひっぷふ!」

一瞬息ができなくなった彼女は何とか呼吸を整えようと、逃げていく体内の空気を逃がさないようにした。しかしあまりの圧迫に耐えきれず会えなく空気は漏れ出し、なんとか呼吸を試みようと息のしやすい方法を試してみる。テンポをつかみ酸素の供給が安定したかに思えたが、数秒も経たないうちに上昇しきったクレーンが急停止し、さらに向きを変えるという今の彼女にとっては拷問にも近い動きをしたため、吸っている最中だった酸素は途中で供給されなくなってしまった。

サーシャが馬上に下ろされる頃には目がトロンとしており、彼女の体がピクッピクッと痙攣するたびに、垂れ下げられた腕や足、胸、尻といわずあらゆる場所がフルフルと揺れた。ようやくサーシャが鞍に腰を据えると騎士たちが彼女を絞めつけていたベルトを外した。拘束から解放された腹はボンッ!とせり出し、元の大きさを取り戻した。

「ふぅーーーっ!ぷぅっ!はあ・・・はあ・・・ぜぇ・・・はぁ・・・あ、ありがとうご、ございまひゅ・・・」

ひとつ大きく息を吸うと、腹もプクーッと大きく膨らむ。そして思い切り息を吐き出すと、少し間をおいて騎士たちや技師に礼を言った。技師の親父は「いや〜いいもん見せてもらったわい。さっすがサーシャ嬢は色っぺぇねえ!おらぁ、わりとその口もいけるもんでね。何か困ったことがあったら、また言ってくんなせぇ、御武家様方。」
といった具合に大した上機嫌で本来の仕事に戻った。この時、技師は礼として金貨袋を与えられたが、後ほどサルコス家からまた別に十分な謝礼が支払われ、一財産築いた後にも多大な功績を残し、文化人として歴史に名を残すこととなった。

 そんなこんなで紆余曲折あり、すっかり疲れきったサーシャは少し涙を含んだ呆けた目をしながら、火照った顔を涼しげな風で冷やし、美しい大自然に心の傷をいやしてもらっているのだった。結局この日は狩場に着いたのが昼近くとなり、ろくに獲物も狩らずに丘の上で昼食をとり、昼を回った頃にはみんな揃って早々に帰城した。

47名無しさん:2014/11/23(日) 13:46:56 ID:odFIQ/aY0
ss乙!
牛並とかシルエットが球体とか3桁はもういっちゃっているね
満足に生活できなくなるぐらいまでだともう元の暮らしには戻れそうにない感じがしていいねぇ

48名無しさん:2014/11/25(火) 15:51:14 ID:WTRZEC6U0
久々に覗いたらSS新作来てたのね
太っちょマリアの人かな?
続き楽しみにしてますしてます

49名無しさん:2014/11/25(火) 23:28:04 ID:XnX0Bb0A0
>>47
ありがとうございます 書いている間は本当にこんなのでいいのかと思ってしまうので、コメントをいただけるとなんだかホッとします
>>48
ばれてしまいましたか
やっぱり文体とかでわかってしまうものなんでしょうかね
自分の場合、設定厨だったりといろいろ面倒くさいところもありますが、暇つぶしにでもなればと思います

続きです

狩りに出かけたその日の晩にも、いつもと同じようにこれでもかというほどのご馳走がサーシャに振る舞われた。晩のことを考えて狩場での昼食の量は少なめにしておいた。それでも、相変わらずの大盤振る舞いを前にしては、昼食の量を減らすなどということは小手先の技でしかなかった。

こう毎日続くとごちそうのありがたみも薄れるものだな、とサーシャは晩餐の席に座りながら思った。最初の頃は食べたことのない趣向を凝らした料理の数々に、舌鼓を打ったものだ。しかし今は食べ物を臓腑に落とし込むための作業と化していた。

味がわからなくなったというわけではない。サイゼンの方でもサーシャが飽きないように気を使って、毎晩違う料理を出して調理方法を変え、異国のスパイスを使い辺境でしか取れない珍味などを食卓にあげた。サーシャはそれを十分すぎるほどに堪能した。

問題はサイゼンの心配りや料理の味ではない。そのことは、当のサーシャはいうにおよばず誰もがわかっていた。やはり、なんといっても食事の量が多すぎる。サーシャは城へ入ったばかりの頃よりは、たくさんの食べ物を胃に詰め込めるようになった。それでもまだ多い。国賓級の者をもてなす際には、国が総力を挙げて接待をしなくてはならない。それは同時に国力の評価につながる。

城というのは閉鎖的な空間のようで、実情はそうともいえるし、そうでないともいえる。とどのつまり、その土地を収める領主の気性によって決まることがほとんどだ。町の活気は領主が善政を敷いている証である。サイゼン国は経済的な困窮の最中にあっても、賊が発生したり窃盗などの事件が起こらない。サイゼン国民は王に対して全幅の信頼を抱いており、一丸となって国の復興に尽力しているのだ。

国民の中から野盗へと身を落とす者がいなくても、他国からそういった脅威が舞い込む可能性もある。しかしそれが起こらないのだから、長年、魔物とも戦い精強であるサイゼン国の武威が周辺国へと知れ渡っているとわかる。国民は今日もせっせと働いており、労働の成果である食物がサーシャの目の前に並んでいるのだ。

サーシャはそれをよく心得ており、領民思いの彼女はそんな思いもあって食べ物を残すという失礼なことは決してしない性格だった。今日も今日とて、モリモリ食べる。趣向を凝らした料理の一皿一皿に、平民の労働や料理人の思考錯誤があったことを考えると、残すわけにはいかなかった。

しかし、サーシャにもその中で唯一苦手なものがあった。サイゼン国で主食として食べられている花の実である。あれには初日から恥ずかしい目にあわされたし、今もなお、毎日のように変わらずサーシャを苦しめているのである。

いくら食が以前より太くなったとはいえ、元々小食である彼女が苦しいことには変わりない。その上、あのガスを発生させる実を食べれば、その膨張感は尋常ではない。サーシャの体はコロッとした丸体に腕や脚、顔などが付いた形になっている。真ん丸だったお腹灰の中で発生したガスによりさらに膨らんだ。ここまでくれば、大きさなどあまり気にならないようにも思えるが、サーシャの腹はゆっくりと着実に膨らんでいった。表面にマシュマロのような柔らかさをまとわせてこそいるものの、彼女の腹部はパンパンに張りつめてもし指でつつけば、外柔らかく中堅いといった具合になっただろう。

腹が膨らんできてからは、食事中でも終始苦しそうに堅めのマシュマロを擦っていた。晩餐が終わるとサーシャは侍女数名に付き添われながら、自身の寝室へと向かった。道中、うんうんと呻きながら大きく膨らんだ腹のために背は反り返って、自分は重くなった下腹部を、侍女たちが反り返った背を支えつつ、寝室へと歩いて行った。

50名無しさん:2014/11/26(水) 01:52:41 ID:xG3wt3CQ0
侍女たちに支えられながらよたよたと部屋に向かうサーシャ。彼女はここに来る以前よりも大分鈍重になった足を板の上にかけた。すると板はバッキリと音をたてて足を乗せたところを中心に、足よりも大きく不揃いな形をした穴が開いた。後ろに反りながら歩いていたサーシャの足は、勢いよく板を踏み抜き下の階の天井に顔を出した。

彼女の太い足が穴へと消えてゆくにしたがい、もちもちとした尻が板を直撃した。するとパキャンと小気味よい高い音を立てて、板は今度こそ真っ二つに折れた。板の破片は床に散らばるか、下の階へと落ちていった。サーシャはというと、幸いなことに下へ真っ逆さまに落ちてぐちゃぐちゃになるとか、地響きを立てるとか、そんな事態にはならなかった。

サーシャは思わず「ぐうっ!」と張りつめた声を上げ、口がほとんど開いていなかったため、その声は口内で響いた。

彼女は回廊に空いた穴にスッポリとはまってしまった。開いた穴はサーシャの腰回りが通り抜けられるような大きさはしていなかったのだが、勢いのついた彼女の体はグンッと下に下がっていき、スープに浸したパンのようだった尻はグニュッと形を変えて、床の下に滑り込むように消えてしまったのだ。

下から抱え込むように持ち上げていたパンパンの腹と、たっぷりの肉が付いた背がつっかえとなり、どうにか階下へと落ちずに済んだ。しかしよい事ばかりでもない。そもそも床が抜け落ちたというのが不幸であるし、さきほどまで腹いっぱいに食べ物を詰め込んでいた腹部にさらなるすさまじい圧迫感が押し寄せた。

サーシャは目を白黒させながらその圧迫感と戦っている。足が床を貫いた瞬間、そのまま落ちると思ったのだろう。腹を抱えていた両手を離してできる限り横に伸ばした。しかし、伸ばしきっても真ん丸のままになっている腕の出番は来なかった。宙に浮くような浮遊感を味わった後に訪れた感覚は、文字通り床にたたきつけられたような衝撃だった。

背肉によりいくらか軽減されはしたものの、その衝撃はほとんどサーシャの腹部に直撃した。上を向いていた彼女の腹は、ガスやら贅肉やら食べたものやらでパンパンになっていたにも関わらず、無慈悲にも彼女の全体重という多大なる負荷を背負わされることになった。

51名無しさん:2014/11/26(水) 01:53:50 ID:xG3wt3CQ0
手持無沙汰だった腕を床に伸ばそうとしても、脇に着いた肉が邪魔をしてまともに力がかけられない。足をじたばたさせるが虚しく空を切るばかり。そればかりか下半身を動かすたびに下腹部に余計な負荷がかかり、自分で自分をなお一層苦しめる結果となった。

息もまともに吸うことが困難なのか「こひゅぅ」だとか「はひぃ」だとか、口を開けば力なく空気を漏らすように声を出す。

あんなにパンと張りつめていた腹部も負荷に負けたのか、形を折り曲げて無理矢理に段をつくっている。サーシャも我慢の限界だった。

「(も、もうだめ・・・)ぐえーーーーっぷ!!」

回廊にとてつもなく大きな、それでいて勢いのある低音がこだました。サーシャはこれを初日からずっと我慢していた。初めて晩餐に招かれたあの日、不覚にも卓にて粗相を仕出かしてしまい、それをずっと気にしていたのだ。

しかもよりによってこんな体なのだ。ただでさえ日常生活に支障をきたし、稽古もろくに付き合えない。情けないやら恥ずかしいやら、何より一人の女性としてのプライドが許さなかった。加えて、そばにいるのが同じ女性である侍女たちなのだから、なおさら恥ずかしい。女性だから立場を理解してくれる。サーシャは今までもよく彼女たちと交流を持ち、悩みや相談を受けたり逆に聞いてもらったりしていた。そのように理解してくれる優しさこそが、サーシャの顔をより一層赤く染めた。いっそのこと、何の交流も持たないその場限りの赤の他人であれば、どれだけ気が楽だったことか、とサーシャは混乱している頭で考えた。

「お、お怪我はありませんか!すぐにお助けいたします!」

一連の惨事を目の当たりにしていた侍女たちは、たった今響いた重低音を耳にしなかったように、そして血相を変えてサーシャに近寄り救出活動を行った。しかし事態は侍女の6人や7人でどうにかできるレベルをはるかに超えていた。

まともに引っ張り上げるには相当な人手が、もしくは重機の類が必要なようであった。サーシャとしては一刻も早く、このどんな修行よりも苦しく、屈辱的な状況から抜け出したいと思っていた。結局、救出劇は城内の者や町の職人なども巻き込み、その日の夜遅くまでかかった。サーシャの足元まで届く高くて広い足場を作り、騎士たちが彼女の足を持ち上げるようにぐいぐいと上に突く。

しかし上では腹がつかえているように、下では尻がドンとつかえており、足を持ち上げただけでどうこうできるものではなかった。城に建築資材はほとんどなく、急ごしらえで足場を作った。サーシャの気力も限界に近づいていた(後に本人から当時のことを聞くと、「あのようなあられもない姿を人前にさらしてしまったことは一生の不覚。恥ずかしさで気がどうにかなりそうだった。」というのである)。足場の心配もあり迅速な対応が求められた。重機の到着など待ってはいられない。

もはや自分の体勢では支えられなくなった腹部を侍女に抑えてもらうことにより、いくらか負担は軽減した。下の作業場は足場が不安定でこちらに回せる資材もない。足を持っても意味がないと考えた救助隊は、サーシャの尻を直接押し上げることを提案した。作戦を説明すると、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないからと、サーシャの許可が下りた。

52名無しさん:2014/11/26(水) 01:55:08 ID:xG3wt3CQ0
他人に体を触られるのは、こんな体になる前から風呂ではよく侍女に洗ってもらっていたため、慣れているし大丈夫だろうと思った。しかし幾分、状況が特殊すぎる。状況を聞く限り、下の階にはとんでもない数の人が騎士、平民問わず集まっていて、自分の丸尻を物珍しげに見上げているのだろう。そう考えると、それだけで顔から火が出そうだった。

作戦を提案したは良いものの、さすがに淑女の尻を騎士が直接触るというのは不作法であるということで、その任だけは侍女が行うこととなった。サーシャの足には手が届くが尻はもう一つ上にあり、侍女の背丈では届きそうもない。何か足場になるものをと思っても、不安定な足場では危険である。そのため、騎士の一人が侍女を腰から持ち上げて、残りの騎士がサーシャの足を抱え、尻が抜けたと同時に上に突きあげる運びとなった。

侍女が騎士のごつごつした手を腰に当てられ一瞬びくっとしたが、二人はすぐさま作業に取り掛かった。尻を押し上げようとするが弾力がある割に以外と柔らかく、うまい具合に力がかからない。

上の方では下の声も届かず、身構えはしていたもののほとんど奇襲に近い形で尻に触れられたため、サーシャは思わず「ヒャッ」と一声、艶と驚きの入り混じった声を上げた。

なかなか思うように尻が動かず、侍女はサーシャの尻肉を揉みしだくように、グニグニとさせながら上へと押し上げる。見えないところで、しかもデリケートな部分を触られるという未知の体験をしたサーシャは気が気ではない。次第に息は荒くなり、いつのまにか苦しさと恥ずかしさの他に気持ち良さという新たな感情が生まれていた。自分の尻に侍女のきめ細やかで小さな手がググッと押し付けられるたびに、えも言われる幸福感と恥辱とを同時に味わうのであった。

騎士とのタイミングもばっちりあった侍女が、渾身の力を込めて尻をブニィッと押し上げると、サーシャの腰に着いた二つのお山は背肉を押しのけて、ヌルンとゆっくり上の階に飛び出した。救出は成功した。一同は成し遂げたことによる歓喜の声を上げた。

その最後の一撃が効いたようで、感性の声渦巻く下の階の騒ぎをよそに、サーシャはピクピクと痙攣していた。ギュッと押し付けられ、狭すぎる穴を無理やりくぐらされたことにより、その尻肉の圧迫がサーシャに衝撃を与えた。もとより彼女は尾てい骨の辺りが人より弱く、少し何かが触れるだけでも反り返ってしまうようなたちだった。

今回の一件で尻に生じた衝撃は、サーシャの顔を火照らせるには十分だった。そんなこととは露知らず、疲労が極限に達したのだと見受けたお付きの侍女たちは、そばで見守っていた騎士たちの力も借りて、今度こそ最後まで彼女を寝室へと運んだ。翌朝、サーシャは改まって城の者と町の者たちに深く礼を述べた。しかしその間にも、昨夜、体を走った衝撃が抜けずに終始腰より下の辺りがむずむずしていた。

53名無しさん:2014/11/26(水) 05:17:08 ID:y3FxmgBQ0
尻が弱いとは……体が大きくなるにつれて揉まれるのが好きになるのかな

54 ◆t3E9hfR0Bc:2014/11/29(土) 00:03:28 ID:l1Dxs6T.0
29の日ですから毎月のを・・・

ttp://www1.axfc.net/u/3365626.zip
パス;himanka

駄文ですがよければどうぞ

55547:2014/11/30(日) 00:00:28 ID:/rV/WlBU0
毎月乙です!

SSの質もさることながら、
その良質のSSを毎月必ず投稿していることが素晴らしいです。

56名無しさん:2014/11/30(日) 15:55:44 ID:vdUWDkqY0
乙です
肥満化ネタとは直接関係ないけど「音を食べる」って面白い発想だなあ

57名無しさん:2014/11/30(日) 16:09:26 ID:.XWGkCOc0
皆さんSS乙です!
ゲップとか大好物です!

58名無しさん:2014/12/04(木) 22:09:50 ID:kSXydsQQ0
どうも メトロイドとピーチ書いた628です
この度私が肥満化の性癖に目覚めた原因となったアイテム
で東方SSを書いてみました お目汚しになるかもしれませんし
支離滅裂で内容が伝わらないかもしれませんが
どうぞ読んでやってください

59名無しさん:2014/12/04(木) 22:11:05 ID:kSXydsQQ0
太るスプレーの幻想入り

幻想郷 そこにある無縁塚 そこには外の世界からあらゆる現実より忘れ去られし物が集まる
そこに普通の魔法使い 霧雨 魔理沙が来ていた
当然 物漁りである 外から入って来た道具は自分の魔法の研究に利用できるものがある事も
あるからだ
「うーん今回はあんまりいい収穫はなさそうだな…」
余りいいものが拾えず帰ろうとしていた時 
「ん?なんだこれ」
それは幻想郷では見かけることの無いもの スプレー缶だった
「なんか入ってんのか?」と魔理沙が振るとチャポチャポと液体の音だ
「見る限り穴とかもあるしここ押したら出るのか?」
プシュっとスプレーの出口を押すと
「お これ霧吹きか?こりゃ使えそうだ中身も入ってるし香霖に見せてみるか」
そう言ってその場を箒で飛んで 魔理沙は去って行った
その場にあったガラクタがまんまるに膨らんでいるのも知らずに…

〜香霖堂〜
「これは…中身はわからないけど液体を霧状に噴射して絵を書いたりする道具みたいだね
霧吹きに使っても問題ないと思うよ」
と香霖堂の店主 香霖こと森近 霖之助の道具の使い方が分かる能力で拾った霧吹きのような物を
鑑定してもらった
「もし良ければ買い取ろうか?中身はともかく結構強く噴射できるみたいだし使えそうだ」
と買い取りを申し出られた魔理沙だが…
「断るぜ とりあえずいいもんだってのはわかった ありがとな香霖!」
そういって来てすぐ鑑定をしろといきなり迫った魔理沙は香霖堂を後にした
「…商品の滞納分返して欲しかったんだけどな…」

〜博麗神社〜
「霧吹きねえ…それにしちゃ変な形してない?」
と博麗 霊夢は友人が持ってきた霧吹きと呼称される物を見ていた
「それがなそこのでっぱり押すとすごい勢いで中の液体が噴射されるんだぜ
結構すごいと思うが」
「ふーん で これ中身なんなの?」
「知らん」
霊夢は飽きれた様子で「あんたねえ
知らんって…拾った物の中身くらい確認しておきなさいよね…」
とスプレー缶をチャポチャポと鳴らした
「もういいだろ 返せよ」
と魔理沙は霊夢の手からスプレー缶を取ろうとした
その時…!
プシューーーーーーー!
「うわっ 何すんのよ!かかったじゃないの!」
とスプレー缶の中身が霊夢に吹き付けられた
「すまん でもお前がすぐに返さないからだぜ?」
「まったく…」
と霊夢が自分にかかった液体をぬぐっていると…
「…何…お腹が…痛い…?」
霊夢がお腹を抱えてうずくまりだした
「どうした?霊夢 腹が痛い?大丈夫か?」
「お腹が…すごく痛いの…皮が引っ張られるみたいで…」
その様子に心配した魔理沙が
「待ってろすぐ竹林の医者を呼んできてやる!」と箒に乗って飛び去って行った

60名無しさん:2014/12/04(木) 22:12:16 ID:kSXydsQQ0
その場に残された霊夢はお腹を押さえてうずくまっていたが
やがて異変が起こり始めた
「何…!?お腹が…」
霊夢のお腹がぽっこりと膨らみ始めていた 
「嫌!なんで膨らむの!?」
膨らみ続ける霊夢の腹部 最初はガスがたまったように張りつめていて
苦しかっただけだったが…
その膨らみはどんどん柔らかさを帯びていき…
霊夢のお腹は脂肪が蓄えられうずくまっていた霊夢はその膨らんだお腹でえびぞりのような
体制になりそのまま後ろに倒れこんでしまった それでもお腹は脂肪を蓄え続け
元々くびれてへそが見えていたお腹は1メートルに迫る程膨らみ へそはくぼんで深い穴の
ようになってしまった
「うっぷ…何なの お腹がこんなに…太って…苦しい…」
異変が現れたのはお腹だけではなかった 続いて幻想郷の中では小ぶりな方の胸が膨らみだした
ぐんぐん膨らんでいく胸で巻いてあったサラシが胸を締め付けていき
「く…苦しい…」
と下を見ると憧れでもあった谷間がサラシの間から覗いていた
しかしその向こう側にぶよぶよのパンパンに膨らんだお腹が覗いていたため全然喜ぶことは
出来なかった 
そうこうしているうちに膨らんだ胸によりサラシがブチっと音を立てて破けた
締め付ける物がなくなり胸がさらに膨らんでいく 
そこまで見たところで霊夢の目線は下を向いていることが出来なくなっていった
同時に膨らんでいた顎の肉が二重あごとなり下を向くことが出来なくなってしまったのだ
「体が…重い…」
整った形で結構自信のあったおしりは片方だけで元の霊夢の頭の重さくらいまでぶよぶよに
膨らみ 倒れていたことで地面と自重で横に広がってしまうほどになり
脇を出した服装のために二の腕が膨らんで袖は裂け目が入り
自慢だった脇も脇と腕にたっぷりついた肉で見えなくなってしまった
太ももはたっぷりと肉を蓄え閉じることも出来なくなってしまい ふくらはぎと足はこれまた
丸太のごとく太くなってしまった
とてつもない肥満体に数秒のうちに体が変貌したことで霊夢は自分で起き上がることすら
出来なくなってしまった
「た…立てない…お腹が邪魔で…起き上がれない…」
起き上がろうと頑張る霊夢だが樽のように真ん丸の曲線を描いたお腹で思うように動けなくて
横にゴロゴロ転がるだけだった
「ううっ…急に体がこんなに太るなんて…」
霊夢は自分のお腹に手を当てた すると手がずぶずぶと沈みこんでいった
かなりの柔らかさだ
自分の顔を触ると頬にも大分肉が付いているようだ
膨らんだ頬で目が細くなっている
と ここで更に追い打ちをかける出来事が起こってしまった
起き上がれずにゴロゴロ転がっているうちに魔理沙が置いて行ったスプレー缶を
重たくなったお腹で潰してしまったのだ ブシュッと嫌な音がお腹の下で響き
少し後にじわ〜っとお腹にさっきの噴射された液体が広がる感覚がした…
「まさか…!?嫌っ!嘘ッ!」
そう太る原因となった薬品らしき物体を膨らんだ体に更に浴びてしまったのだ
「いやあああああああ! うっぷっ おえっ体がっ!」
止まっていたお腹の膨張は再開して全身がさらに脂肪を蓄えていった
膨らんだお腹は膨らみ続けとうとう横に転がることすらできなくなり段を作った
おしりはまるで紅魔館にあるソファのようになり 全身が肉の塊のようになり
最終的に膨らんだ体で身動きできないところまで太った霊夢
魔理沙まだ来ない
霊夢は元の姿に戻れるのか!?

戻すつもり無いのでここで終わります
お目汚し失礼致しました

61名無しさん:2014/12/04(木) 22:21:21 ID:2fb8FGCg0
乙!
これはカーレンジャーのあれが元ネタかな?

62名無しさん:2014/12/04(木) 22:40:26 ID:kSXydsQQ0
はい 高カロリーで太るスプレーってやつです
あれで目覚めちゃった部類の人間ですw

63名無しさん:2014/12/04(木) 22:41:41 ID:2fb8FGCg0
わかる……わかるぞ!!
俺も当時見ながら股間を熱くしたものだ………

64名無しさん:2014/12/05(金) 00:59:01 ID:CVijK3cw0
乙乙
同じく子供ながらに興奮したのを覚えてるから俺もあれで目覚めたんだな

65名無しさん:2014/12/05(金) 13:52:57 ID:i1dE48N.0
乙乙
やっぱ太ったときにうっぷとかいうのも興奮するな
カーレンジャーっぽいって思ったがやっぱりそうだったかw

66名無しさん:2014/12/19(金) 23:12:17 ID:yWVZpyPM0
サーシャのなんちゃらとかを上げている者です
もう少し早く仕上げるつもりだったのですが、大分日にちがあいてしまいました
読んでくださった方、コメントをくださった方、どうもありがとうございました
続きができましたので、こちらで完結とさせていただきます。お目汚し失礼いたしました


 サーシャがサイゼン国の人質となってから数ヶ月が過ぎた。その頃ようやくサルコス家の方での小競り合いに区切りがつき、身代金が届けられた。やっと鴨の脂浸けのような肥育生活から解放されるとサーシャが思った矢先、魔の国との国境から伝令が送られてきた。

伝令は馬を数頭も乗り潰し、自身も息を切らせて青ざめた表情をしながら城へとやって来た。その者が言うには、魔の国の監視にあたっていた砦にて、敵方の軍勢がこちらに向かっているのが確認されたのだという。

「なんと!あの忌まわしき怪物どもはまだ生きておったのか!?」
「はい、あっ!いいえ・・・そ、そうではありません」

サイゼン王の問いかけに対して、伝令はぎこちなく答える。疲れで息が切れているだけではなく、相当に焦っているのだ。

「ではなんとした?敵方の数は。旗印は。」
「はっ!少なく見積もって数百。旗印は魔物のものではありません。あれはおそらくサラーンの軍勢だと思われます」
「なに!数百のサラーン人とな!むぅ・・・復興で忙しいこの時期に・・・」

サラーンとは、太古の昔から魔の国に従属していた国だ。大陸諸国と覇権を争ってきた強国であり、彼らはおよそ人が住みつけないほどの過酷な環境で、何千年にもわたり生き抜いてきた。魔の国の荒れ地を超えた先にあるその国は、魔の国ほどではないにしろ大地は荒れて資源は乏しく慢性的に水不足が起こり、少しの湧水を巡り争いが起きるような土地であった。

魔物の首領であるところの黒魔術使いは、サラーン人に妖術を教えた。サラーン人に未知の技を教えることで彼らをたぶらかしていたのである。彼らに水の掘方を教え、自身が従える魔物の軍勢よりも厚遇した。そのような歴史を持つサラーン人は魔物の首領を崇め奉っており、首領が率いる魔物たちと結託して諸国を荒らしまわっていた。

大戦中にもたびたびサラーン人の部隊が確認されることがあり、彼らの弓なりに曲がった刀剣や、よくしなる強い弓、脚が早くスタミナのある馬、皮と布と金属を巧みに組み合わせて編まれた鎧で武装した勇猛な戦士たちは、大陸諸国を幾度となく脅かした。

そんな彼らも、信仰の対象であった首領が討たれたことにより、魔物たちと手を組む筋合いがなくなった。サラーン人の信仰は首領本人と、彼が行う数々の御業に注がれていたからだった。いつまでも醜悪な魔物どもと結託している義理は持ち合わせていないのである。

そんな彼らが次に狙ったのがこの資源豊かなサイゼン国だ。荒れ地を越えてすぐ先にある豊饒の大地を征服することは、長らくサラーン人にとっての悲願であった。サラーン国は大戦において、従属していた魔の国からの要請に応え大勢の兵を派遣していた。大戦が終わるころには、そのほとんどが魔物ともども討ち取られるか捕虜となった。手持ちの兵はごくわずかとなっていたが、どこから寄せ集めたのやら、混乱に乗じて先祖代々の悲願を果たそうと士気高々に乗り込んできたのである。

「今サイゼン国内で兵を寄せ集めても百を超えるかどうか・・・」
「我ら士族の領地にいる兵もごくわずか。陛下、ご決断を」

伝令の報告からすぐに緊急会議が執り行われる次第となった。サーシャもそのような事態になった以上、帰るに帰れなかった。よほど腕利きの物見がいるのか、サルコス家にもすでにサラーン人襲来の報が届いており、伝令と入れ替わる形でサルコス家からの使者が訪れた。

「サーシャ殿へバルゴ様からの文を携えてまいりました。」

サーシャは早速封を開けて中身を読んだ。

「サーシャよ、久しいな。こちらは何とか片付いた。サイゼン国には随分と世話になったであろう、なにせそこは国一番の豊穣な土地だからなあ。大分、体がなまっているのではないか。帰還する前にひと仕事してくるといい、良い運動になるだろう。無事、帰還することを願っている。」

義父バルゴとはここ数か月会ってもいないのだが、手紙を読むとまるで全て見透かされていたような気分になって、サーシャはなんだかとても気恥ずかしくなった。ふと目線を下に落とすと、手紙に書いてあった通り、そこには紛れもなくなまりきった自分の体がドンと存在感を放っていて、なんともいたたまれない気持ちになった。

67名無しさん:2014/12/19(金) 23:13:17 ID:yWVZpyPM0
気持ちを切り替えてすぐに会議へ参加した。既に用意が整えられており、作戦参謀や国の重鎮、騎士諸侯、有識者、サラーン文化学者など、そうそうたる顔がそろっていた。そんな物々しい雰囲気の中、サーシャは大きなお尻を、特別に用意されていたこれまた大きめ腕掛けがついた椅子にギュッと押し込んで卓に着いた。せっかく切り替えた気持ちが台無しになった。



参加者たちはああでもないこうでもないと話し合いをして、やっと一つまとまった意見は、戦うことは極力避けたい、というものだった。各地に派遣した兵士を王城に集め、打って出るという案も出たが、それはすぐに却下された。また、城はまだ修繕が終わっていないから籠城もできない。さらには他国からの援軍も期待できそうにない。仮に援軍が来たとしても、犠牲は避けられず辛い戦となるだろう。

今は民一人の命も百人分のように惜しい。無駄に失わせるわけにはいかないのだ。しかし相手は目前まで迫ってきている。戦わずして勝といったようなうまい策はないものか、と再びあれこれ話し合った。何か仕掛けを作ろうにも肝心の資材がない。豊富にあるものといえば、贅沢な話ではあるが食べ物ばかりでトリックには使えそうもない。

豊富にあるものといえば後は何であろうかという話題になった時、ふと、学者の一人が何かを閃いたようにサーシャに目を付けた。その男はサラーン文化学者であり、彼らのことを書物などで調べてよく知っていた。学者はこの妙案を皆に話した。一同は目を丸くしてその話を聞いていた。サーシャの顔には冷や汗が出ていた。

「何とも面妖な・・・それは本当に効果があるのですか?サーシャ殿への負担も大きい。」

騎士の一人が尋ねた。それに対して学者が答えた。

「それは私にもわかりませぬ。なにせ書物で学んだことですゆえ。しかしこれ以上の妙案は思いつきません。それに、我らには面妖に思えることも、彼らにとっては神聖なものであったりするのです。私にはこれ以上の策は思いつきませんな。これでだめなら、他国からの支援を期待しつつ、籠城するしかないでしょうな。」

一同はしばらく考えた後、作戦の要となるサーシャ本人の意見を求めようと、彼女の顔を仰ぎ見た。彼女は腹と胸が邪魔をして、背もたれに寄りかかっていたため、顔が少しばかり後ろの方に下がり、肉に隠れてしまっていた。今の彼女と座った状態で目を合わせるには、多少なりとも仰ぎ見る必要があるのだ。

サーシャはこんな体になってしまった自分にもやれることがあったことに驚いた。弓の一本でも射るか(それも無理そうではあるが)、手当やら輸送やら、最悪、敵の十人や二十人を道連れに討死でもする覚悟であったが、実際にはそんなことよりも遥かに重要な役を務めてくれと頼まれたのである。嬉しい反面、果たして本当に務まるのか、そもそも学者の言っていたことは本当なのかと、色々なことが気になった。一番気がかりだったのはその内容だ。これはどちらかというと精神的な負担が大きく、最悪二度と立ち直れなくなる可能性もある。

しかしサーシャに選択の余地はなかった。この国を見捨てて自分一人助かろうなどという考えは、はなから持っていなかったのである。サーシャの許可を得られたことで、早速作戦に向けての準備が進められた。

68名無しさん:2014/12/19(金) 23:14:51 ID:yWVZpyPM0
荒れ地の境にて、サラーンとサイゼン両国の軍勢が顔を合わせている。サイゼン国は砦を強化し物資を詰め込んだ。たとえ作戦が失敗したとしてもここで奮戦する構えを取った。一方、サラーン軍の方は道中で魔物と小競り合いでも起こしたのか、血糊で汚れている者もいた。しかし数が減っているわけでもなく士気も高い。出会った者を根こそぎにして前進してきたのだろう。もう彼らを縛るものは何もない。

両陣営の間で緊張が高まっている中、休戦の旗を挙げたサイゼン国の輸送体が、大きめの荷馬車を伴って前へ出た。馬車には改造が施されており、上の部分からは幕が垂れ下がり中が見えないようになっている。

サラーン側はすぐに弓をつがえて牽制の構えを取った。兵士が隠れていて奇襲を狙っているのなら、あまりにも粗末だし距離も遠すぎる。それなら何らかの兵器だろうか。サラーン人がそんな考えを巡らせていると、突然、幕が上がり、なにか大きなものが現れた。

幕が開いた瞬間に指揮官は弓を放てと指示したが、誰もその指示に従わなかった。みな何か不思議なものでも見たかのように目を大きく見開き、ただ一点を凝視している。そして命令を行った指揮官も、大きなものが一体何なのかに気づいた途端ぽかんと口を開けてしまい、荷台に載っているものを見つめた。

荷台にはサーシャが立っていた。台は奥の隊列にも見やすいように高めに作られている。サラーン国の民族衣装であるという服を真似して作り、それを身にまとっている。なんでも踊り子が着るのだそうで、胸と腰から下しか布に覆われておらず非常に露出が高い。サーシャが今一番隠したいはずの腹部は、むしろ強調されるように前へと突き出している。腰の方も、布で隠れているとはいえ、その下にとびきり大きなものが隠されているのは誰の目にも明白であり、布の意味がまるでないといっても過言ではなかった。布は肌にぴたりとくっつき、その上から透け気味の布がふわりとかけられていた。隠れていないようでやはり隠れているといった、どこかなまめかしい雰囲気を放っている。


緊急会議で学者が言った妙案とはこのようなものだった。

「サラーン人には、その土地柄から豊穣に対する信仰が根強く存在します。それの象徴として太った女性が愛でられ、ある種の神的な存在として崇められることも少なくありません。決して悪いようにはされないはずです。失礼を承知で申しますれば、今のサーシャ殿はまさに富を一身に詰め込んだようなお方。うまく事を運べれば停戦交渉さえも可能かもしれませぬぞ。」

なんともばかばかしい作戦だと鼻で笑うものがあってもおかしくはなかったが、追い込まれていた彼らにはその奇策にすがる他はないように感じられた。さらに学者が言うには、サラーン女性の神聖な踊り子が着るという衣装を身に着け、彼らの前で独特の踊りを披露すれば、交渉が有利になるかもしれないということだった。サーシャは短い期間の間に身につけた踊りを、敵味方双方の軍勢が見つめている中、意を決して踊りだした。

腰を中心に全身を激しく横に揺さぶるような踊りなのだが、これが今のサーシャにはなかなかこたえる。体を揺らすたびに軸から離れた贅肉が、右へ左へ行き来する。少しでも制御を誤ると、バランスを崩して転んでしまいそうな勢いだ。

もとより日ごろの暴飲暴食と運動不足により体力が低下していたサーシャには、少し動いただけでも相当な負担であった。そう長い時間が経たないうちに、体は火照り、限界が見え始めていた。

69名無しさん:2014/12/19(金) 23:16:20 ID:yWVZpyPM0
「へぇー!こいつぁたまげた!あれが聞きしに勝るサーシャ嬢だってのかい!?また随分と恰幅がよくなっちまって。」
「城に来たときはもっとこう、スラーッとしていたんだがなぁ。日に日にお太りになられてしまったんだよ。」
「俺のお袋もサーシャ様に差し入れを持ってけって言って聞かないもんだから、調理番の奴に無理をいって食卓に挙げてもらったんだ。今思うと悪いことをしたかなぁ・・・」

必死に踊っているサーシャの耳にサイゼン兵のヒソヒソ話が聞こえてくる。サラーン陣営でも兵士たちが動揺しているが、どんな話をしているかまでは、この距離ではさすがに聞こえない。

(こんな辱めを受けたのは生まれて初めてだ・・・。以前ならこんなことをしても苦にもならなかったのに。尋常でないほど疲れるし、こんな大勢の前でこんな露出の高い服を着せられて、訳のわからない踊りをさせられている。皆が私を見ている・・・このぶよぶよで真ん丸のだらしない体を好奇の目で・・・)

馬車のヴェールに隠れていた時点で大分緊張していたのだが、踊りながらそんなことを考えていると自然と顔は赤らみ、しまいには半ベソをかいてしまった。彼女にまとわりついた贅肉は相変わらず、グロングロンと勢いよく揺れている。

「フゥ!ハッ!ハッ!も、もう限界だ・・・!」

サーシャはそんな状態だったのだが、彼女の行動はサラーン陣営に強い影響を及ぼしていた。単に彼女に見とれている者から、信仰上の理由で彼女と彼女を庇護下においているサイゼン国に、危害を加えることを拒否する者まで現れた。さらにあれは敵の罠であり、あの女も作りものだから殺してしまっても何ら問題ないという過激派も現れた。

サーシャの行動を一笑して襲いかかってこないところを見ると、どうやら学者がいっていた通り、サラーン人には本当に脂肪信仰というものが存在しているようであった。

そのうち、陣内にてもめていた過激派と思わしき一派が、サーシャに向かって突撃してきた。それだけでも百ほどの兵を従えていて、衝突すれば甚大な被害を被ると思われた。サーシャは学者からもしもの時のためにと渡されていた薬を手に取った。

「サラーン人の中には、あなた様を偽物だと疑う者もいるでしょう。いざとなったらこの薬をお飲みください。これはサラーン人に対して魅惑の効果をもたらすとされている薬です。古い文献によれば、その昔、この薬はとある秘境にて製法を編み出され、それを一人の少女が用いて国を救ったという逸話があるのです。」

しかしこのように言ったものの、学者は非常に多くの知識をため込んでいたが、その正しい使い方までは心得ていなかった。とりわけこの時代において「薬」といえば人体に処方するものであり、すなわち飲むものであった。サーシャは大変素直な性格をしていたため、学者を信じて何のためらいもなく、小さな小瓶に入っている薬を飲みほした。


「そういえば具体的にどうなるのかは聞いていなかった・・・。な、なにが起こるのだ!?」

するとどうだろうか。サーシャの体の内側で、なにかキュルキュルという音が鳴り始めた。次の瞬間、サーシャの体の内側から脂肪がせり出してくるように、体が一回りボンッと勢いよく膨らんだ。未知の感覚に戸惑いを隠せなかったサーシャは、目を大きく見開き苦悶の表情をあらわにした。

「んぶうぅっ!?ぐふ・・・ぅ!ぐ、ぐるじ・・・ぐぷ、フップ・・・ひゅー、ひゅー」

内臓を圧迫されるような感覚がサーシャを襲った。それにより体内に残っていた空気はほとんど吐き出された。一瞬のうちに内側の肉が増えたため、その圧迫感は凄まじかった。気道の確保が難しくなり、ただでさえ疲れで乱れ気味だった呼吸も、より乱れたものになった。

70名無しさん:2014/12/19(金) 23:17:34 ID:yWVZpyPM0
(まさかさらに太ってしまうなんて・・・ちゃんと効能まで聞いておくべきだったわ・・・うぅ・・・く、苦しい)

既に限界を迎えていたものの、根気で立っていたサーシャの足は、急激に増えた負担によりカクッと崩れ落ちた。豪快な大きさの尻を荷台にたたきつけて、あわや特製の荷台の床の底が抜け落ちるかというところだった。サーシャは以前に城内でも似たような状況があったことを思い出した。あんなことにはもう二度となりたくないと思ったため、制作には彼女自身も携わり、床板を補強しておいたのだ。それでも板にひびが入るほどの衝撃だった。

パンッと張りの良い尻と背の肉がつかえの役割を果たし、椅子にもたれかかっている姿勢で落ち着いた。この体で仰向けにでもなっていたら、それこそ息ができなくなっていただろう。デップリと突き出した腹部の肉は、年ごろの乙女特有の若々しい張りを保ちながら、体のどこよりも突き出している爪先にとどく勢いでブヨッとせり出している。



 この突然の出来事に驚愕したのはサーシャだけではなく、サイゼンもサラーンも同じだった。特にサラーンの過激派に至っては、そのような摩訶不思議なものを目の前で見せられたのだから、その衝撃たるや凄まじいものであった。散々疑っていたものが、まぎれもなくサーシャ自身の脂肪であるという事実を、いやでも受け入れざるを得なかった。

突撃していたサラーン軍は急遽、その勢いを弱めて下馬した。後ろの陣営のサラーン人たちがやっているように彼らも地面に伏し、サイゼン国とサーシャに敬意を表した。

 「ヒィ、ヒィ、フゥ・・・と、止まったのか・・・?良かった・・・ぐふぅ」



こうして英雄サーシャの働きにより、戦は免れることができた。全くの偶然が重なった出来事であった。サラーン国はサイゼン国への不可侵を誓った。サーシャのような人物を庇護下に置いているのだから、豊かなだけではなく道徳的、神的に優れた素晴らしい国だと認められたのである。それから時を経るにつれ、両国は深い友好を育んでいく間柄となった。

サラーンはサイゼンとの友好を切り口に、周辺諸国へも理解を示すようになり、様々な異文化を積極的に取り入れて、前にもまして大きく発展することとなった。その中でサイゼン国への支援も行われた。サルコス家による財的支援の影響も大きく、資材の購入費や工員への給金なども、そこから支払われた。

復興を果たして何者にも脅かされることがなくなったサイゼン国もサラーン国同様、大いに賑わった。これらの輝かしい出来事の立役者であるサーシャは、様々な言語や文化圏において広く名の知れる偉人となった。話の脚色が大きい地域もあり、サーシャの体には脂肪が一切ついておらずスレンダーな体形だったとか、或いは話よりもさらに肉が盛られていたのだとか、話の改ざんに歯止めがかからなかった。そのような具合であったため、後の歴史・民俗学者たちの間でいつも論争になるのは、当時の彼女の体躯は実際どれほどだったか、というものであった。

さらに後の研究により明らかにされることなのだが、サーシャ本人が事実を改ざんしようと動いていた形跡が見つかる。その行動の真意を解き明かすことが、今後の学会に課せられた大きな課題となるようだ。

71名無しさん:2014/12/19(金) 23:18:57 ID:yWVZpyPM0
そして当のサーシャ本人はその後どうなったかというと、一連の騒動の後、義父が治めるサルコス領へと戻り、日々減量にいそしんでいた。

「もう少しやせていると思ったんだが、まさかこれほどとはなぁ・・・伝令から聞いた話よりだいぶ太っているではないか。」

「そ、それは薬の効能により、急激に太ってしまったためで・・・ゴニョゴニョ・・・」

義父バルゴにからかわれながらも、サーシャは大分野太くなった声で真面目に応対する。ただ、さすがに情けなく思ったのか、後半は何を言っているのかわからないほど声が小さかった。

「とにかく、そんなたるみきった体では、民草を守ることもまかりならんぞ。今日から特訓だ!少し厳しめにするからな。覚悟しておくように。」

バルゴは苦笑いしながら茶化すつもりで言ったのだが、彼の特訓は実際とても厳しい。流石のサーシャでも見習いの頃は死ぬかと思ったことが何度もある。成熟し一人前の騎士となってからは難なくこなしたりもした。それを今のサーシャに施そうとしているのだから、その辛さを誰よりもよく知っているサーシャの顔は蒼白した。

「わ・・・わかりました、父上・・・(ヒィ―!)」

野山を駆け巡ったり、獣を追いかけまわしたり、閉所をくぐらされたり、崖や山で特訓させられたりと、とにかくハードな試練を時も定めず課せられた。時間内にたどり着けなければ水以外は口にするなといわれた。獣を捕まえることができたらば、それが今日の糧だといわれた。閉所を無理にくぐろうとして挟まれば、抜け出せるまで何も食べるなといわれた。切り立った崖の上へ連れて行かれて、腹が邪魔して降りられないと言えば、腹が凹むまで降りてくるなといわれた。

それでも決まって、水だけは飲む許可を与えてくれて、常に水樽を抱えてそばについて来てくれた。走り回り喉が乾けば水を飲み、獣の足が速く一匹も捕まえることができなかった際には、水をがぶ飲みして空腹を紛らわせた。入り組んだアスレチックのような自然洞窟で閉所につかえた時には、ついつい持ってきてくれた水をガブガブと飲んでしまい、よけいに腹がつかえて苦しく恥ずかしい思いをした。それでもサーシャが水を求めれば、求められるだけバルゴは与えた。これは肉体だけでなく精神的な修行も兼ねていたのだ。

以前のものとは異なり、誘惑を断ち切るための修行だとサーシャは気付いた。崖の上の修行では、サーシャが一人上に残されて、毎日欠かさずバルゴが様子伺いを兼ねて樽を持ってきてくれる。ここでは水樽と酒樽の二つを毎回持ってきた。飲んでしまえば腹だけでなく体まで膨れてしまう。酒には一切手を出さず、腹が凹むまでの間、少量の水で食いつないだ。

 やっとのことで崖から降りてきたサーシャの体は、以前のようなしなやかさと力強さ、そして身軽さを取り戻していた。おそらく、あの狭いスペースで体をできるだけ動かしていたのだろう。

「よくやったな、わが娘よ。私はそなたが誇らしいぞ!」

「ありがとうございます父上。あのように情けない姿はもう二度と見せません。ですから、その・・・これまでの醜態はどうかお忘れになってください・・・」

「むぅ、そうか・・・しかし残念だな。なんというか、あの姿を見慣れてしまったから、つい物足りなく感じてしまうよ。いつもと違った面が見られて、私は実に楽しかったよ。」

そういうと、バルゴはサーシャの頭を撫でて、なんの嫌味らしさもなく腹の底から笑ったそんな様子を見て、サーシャの方も苦笑いしながら、気恥ずかしそうに少し身をよじった。

72名無しさん:2014/12/19(金) 23:20:15 ID:yWVZpyPM0
サーシャが元の体系を取り戻してから幾日かが過ぎた頃、諸国連合から特命を携えた使いの者がサルコス領へとやって来た。要件は、サーシャをこちら側諸国とサラーン国方面とを結びつけるための代表者、サラーン大使に任命したいというものだった。これにはサラーン国の要望が強く込められていて、どうしてもサーシャじゃなければ嫌だと言って聞かなかったそうだ。

大使とは重責であると同時に、交渉次第では諸国よりも圧倒的に有利に立つことができる。いわば特権階級である。それもこれからますます需要が伸びるであろうサラーン国との大使に任命するというのだから、異例の大出世である。

かのサイゼン国にて良い思い出はたくさんあったものの、悪い思い出が鮮烈すぎて、サーシャは一瞬ためらった。しかし自分がここで断れば、サラーンとの友好関係が崩れるかもしれないと懸念し、大使の任を受諾した。

早速諸国連合の代表者として、再びサイゼン国へと出かけることになった。サイゼン国は今やサラーンとの交流で、物も人も大量に行き来していた。サイゼンからサラーンへと続く荒れ地には、道が作られて整備されていた。定期的に巡回の兵も出ているため、数を減らした魔物もうかつに人を襲うことはできなかった。

サーシャは今まで世話になった面々にあいさつを済ませて大使館に到着すると、あの時の学者がサラーン人と同席して何か話していた。

「おお、サーシャ殿!久しいですな。あの時はとんだ失礼をいたしました。まさかあのような効能があるとは露知らず、量も少なかったためろくに実験もできませなんだ。一応動物や人体での実験も行ったはずでしたが、何の変化も起きなかったため、フェロモンか何かを発生させるものだとばかり・・・。後になって調べたところ、どうやら植物の成長を促すものだったらしく、サーシャ様がよく召し上がり体内に吸収されていた、花の実に強く反応したのでしょう。」

「過ぎたことです。もうよいではありませぬか。結果的にサイゼンを救うことにもなりました。あれは英断ですよ。」

「ありがたい。そう仰っていただければ、こちらも心が軽くなりますわい。ところで、今一つ困ったことが起こっていましてな。あちらにサラーン大使の方が見えているのですが、「女神を出せ」といって聞かないのです。おそらくサーシャ様のことでしょうな。ささ、支度は整っております。どうぞ中へお入りください。」

サーシャが部屋に入ると、ふてくされたサラーン人の大使が椅子に腰かけていた。この男もあの騒動の際にサラーンの陣営にいて、サーシャの姿を目撃していた。入ってきた女性がサーシャだと気付くと目の色を変えて、顔もパァッと明るくなった。しかしそれと同時に少し残念そうでもあった。

「これはこれは、わが主殿!少し見ない間に随分と痩せこけてしまいましたなぁ・・・」

「あ、主・・・?」
「(あれが彼らなりのあいさつの仕方なのです。)」

戸惑うサーシャに同席していた文官騎士が小声で口添えをした。この男はなかなか友好的で、サラーン大使は続けてサーシャと色々と話し、様々な取り決めを行った。そして話もまとまったと思われたころ、サラーンの大使が一つ条件を出してきた。

73名無しさん:2014/12/19(金) 23:21:31 ID:yWVZpyPM0
自分たちサラーン大使とかかわる際、及びサーシャがサラーンに大使として赴く際には、ぜひまたあの恰幅の良い姿でいて欲しいというものだった。サーシャは一瞬耳を疑った。しかし、それが聞き間違いでない事を理解すると、どっと冷や汗が噴出した。

「・・・つまり、こういうことでしょうか?私にあの時のようなずんぐりむっくりの体系に戻れと・・・?」

「はい、もちろんです!あの時のあなたは実に美しかった!まさに女神です!本国の方では、既にあなたを模した新興宗教まで普及し始めていますよ。」

サーシャは頭を抱えて顔を伏せた。しかもこの要請を無下にすれば、また戦争になるかもしれない。自分ひとりの損得であっさり決めてしまえるものではなかった。しかしあんな辛い思いはもう二度としたくない。騎士にはどんな苦痛にも耐えることが原則として求められる。どのような困難をも乗り越えて民を守ると誓った彼女だが、あの辱めと過酷な減量には、そう何度も耐えられそうになかった。

サーシャが悩んでいると、あの学者がサラーン人にひとこと断りを入れて、サーシャを廊下に連れ出した。そして懐から見覚えのある小瓶を取り出してサーシャに手渡した。

「これをお使いくだされ。」

「・・・これはあの時の」

「さようで。」

「・・・・・・」

学者を憎らしげに軽く睨み付ける。近所のいたずら坊主に対して、その辺の大人が怒るのと同じような渋い顔だ。しかし学者は臆することも、悪びれもしない。

「大丈夫ですよ。今回はきちんと解毒剤を用意できていますからね。」

これから起ころうとしている嫌な出来事の予感に、サーシャの声が震え気味になる。

「違う、違うんだ・・・そういう問題じゃあ・・・」


そうこうしている内に部屋にいたサラーン大使の声が届いた。

「おうい!何をしておいでか!まだ神聖なる交渉の途中ですぞ。あまり長い間、席を外されては困りますよ。」

二人はそそくさと部屋に戻った。サーシャの手には例の小瓶が握られたままだった。

「学者殿、あまり我らが女神を独占されては、サラーン神の嫉妬を買いまするぞ。」
「いやはや、面目ない。」

このふたりは以前からの知り合いらしく、訳のわからない冗談を飛ばし合っては、同席していた文官騎士を困惑させていた。特に今日にいたっては、ご所望であったサーシャと対面することができたことで、なかなか良い機嫌であった。しかし、最大のお目当てはやはりサーシャの巨体であったため、少し拍子抜けといったところだった。

74名無しさん:2014/12/19(金) 23:22:43 ID:yWVZpyPM0
ここで引いては後の外交にひびく。サーシャの鋭い勘が働き、ここで涙をこらえて一気にたたみかけることにした。サーシャは部屋氏はいり立ったままの体勢で、小瓶の中身を飲み干した。

ドムンという鈍い音を立てて、サーシャの体は勢い良く膨らんだ。ご丁寧に人体により吸収されやすく改良されていたようで、以前にも増して体の膨らみ具合は大きかった。暴食という下地がない分、以前よりも体は小さいが、それでも見るからに健康体そのものだった年ごろの可憐な乙女が、一瞬で極度の肥満体に変貌する様は、見ていてとても壮観なものさえ感じられた。

そして、やはりこの変容の仕方には慣れない。またもや脂肪に圧迫されたことによって、「うぅっぷ」という苦しそうな小高い声を漏らしてしまった。しっかりと止められていたベルトは、数秒ほど耐えはしたものの、見事に育った腹に押し出されて、パチーンと小気味よい音を立てて引き裂けた。ボタンも全てはじき飛んでゆき、胸元あたりでは下着まであらわとなった。

(耐えろ・・・耐えるんだサーシャ・・・、これも国のため、民のため。うぅ・・・消えてしまいたい・・・。服が小さくて苦しい・・・)

「おぉ!おおおぉ!信じられない!素晴らしい!間違いない、まさにあなたこそが私が探し求めていた女神様だ!」

ただただ唖然としている文官騎士をよそに、サラーン大使は大音声でありったけの喜びを表現した。サーシャの身を削る(つけるといった方が正しいのか、心は削れているが)働きにより、今回の交渉は連合諸国にとって大いに実りあるものとなった。

その後すぐに解毒剤で元の姿に戻れたことで、サーシャはほっとした。しかし、それもつかの間。また幾度となく、このような席で肥薬を飲む羽目になり、解毒剤の生産が追い付かず、しばらく太ったまま生活することも多々あった。サラーン国に赴いたさいには薬を飲めば喜ばれ、そのまま仕方なく町へ出れば引手あまたという状態であった。

それでも肥満体が何だか情けなく思える恥じらいの心がなくなることはなかった。また薬を飲んだ際に生じる、あの圧迫感にも決して慣れることはなかった。ともかく、用がないときは解毒剤があれば速やかに元に戻っていた。バルゴにも「二度とあんな姿は見せないのではなかったのか?」とからかわれるのが嫌で、帰国するときには必ず解毒剤を服用するようにしていた。それでも噂は届いてしまい、またバルゴをはじめ、仲の良い家の者たちにさんざん茶化されたりいたずらされた。不思議と不快ではなかったが、やはりとても恥ずかしいことに変わりはなかった。

そんなこんなで内政、外交、武勇に美貌と、多方面で才覚を見せたサーシャであったが、文献により彼女の体格があまりに不自然にコロコロ変わったりして、研究者の頭を大いに悩ませている原因が、あの不思議な薬のせいだということは未だに知られていない。



「英雄サーシャと不思議な薬」 完

75名無しさん:2014/12/20(土) 11:45:42 ID:dvxVK2mw0
乙ですー
食欲に溺れたわけではないのに、自分から暴飲暴食をするシチュがすごくつぼでした

76名無しさん:2014/12/20(土) 18:00:38 ID:BUdWtv1Y0
乙乙
着脱可能とでもいうべき肥満化シチュはありそうでなかったかもしれんw
読んでるうちにサーシャがかなり好きになっていたのでほのぼのとした終わり方でよかったです

77名無しさん:2014/12/20(土) 18:19:25 ID:iiu0ADjs0
乙です!

78名無しさん:2014/12/25(木) 23:35:44 ID:bXI/p3QU0
雑談の方に誤爆しましたが……
突然ですが、クリスマスネタでSSを投稿させていただこうと思います。
24日に思いついて書き出したので、完結はクリスマス過ぎてからになるかもしれません
初めてのSSですが、完結はさせます。

79名無しさん:2014/12/25(木) 23:37:08 ID:bXI/p3QU0
12月24日 昼
「うーんと、ここで合ってる……よね?」
訝しげに彼女……『栗栖 真澄(くりす ますみ)』がぽつりと呟く。
遡ること数日前、真澄はネットの求人情報を当たっていた。
どうせ独り身のクリスマス、それならば一稼ぎしようと考えたからである。
そして、見つけたのが『サンタクロース募集』という求人だ。
しかも、女性のみという募集であったため、真澄はこれだ!と面接を申しんだのである。
この時は、ぼんやりとサンタのコスプレでした売り子の仕事をするんだろうと思っていた。これは大きな間違いであったのだが……
今、彼女の目の前には少々大きめのレンガ造りの建物が建っている。童話に出て来るようなかわいいらしい印象の建物だ。
携帯の地図で間違っていないことを確認した彼女はこれまた少々大きめの扉に手をかける。
と、ほぼ同時に扉が開き、恰幅のいい男が姿を表した。
彼女はかなり驚いたが、男は全く動じない。
「もしかしてサンタクロース希望ですか?ホッホー、お待ちしておりましたよ!さあさ、こちらへ」

扉の先は一つの広い部屋だった。玄関もなく、土足でいいようだ。
部屋の真ん中には大きなテーブル、テーブルを挟んで向かい合う2つの大きなソファがあった。
そして向かって右手には扉があり、少なくとも、もう一つ部屋があるようだ。
彼女は着ていたコートを壁のハンガーにかけさせて貰い、ソファに腰をおろした。
「では、早速面接を始めさせていただきますかな」
面接が始まった。
面接官の風貌は恰幅の良さは元より、小さな眼鏡に白い髭も揃っている。スーツを着ているが、赤い服さえあればサンタクロースのようである。
対する真澄はというと、長袖のブラウスにカーディガンを羽織り、下はジーンズという非常にラフな格好をしている。これは、電話先で普段着でいいと言われたからだ。
「なぜ、サンタクロースを希望なされたのかな?」
「あ、それなんですけど……サンタクロースのアルバイトって主に何をするんですか?」
このアルバイトを魅力的だと思ったのは確かであるが、求人情報には仕事内容が詳しく書かれていなかったのだ。
「そのままじゃよ?サンタクロースになるんじゃよ」
「いや、それがよく分からないんですけど……」
「サンタクロースは、プレゼントを配るんじゃよ。知っておるじゃろう?」
そういうことではなく、このアルバイトでのサンタクロースとはどういう仕事なのかを彼女は聞きたかったのだが、この微妙なズレは埋まらない事を察し次に進む事にした。
(まあ、アルバイト始まってからも説明はあるだろうしね)
「な、なんとなくは分かりました」
「そうかそうか、ならばもう合格じゃよ」
「ふぇっ!?」
即答する面接官に驚き、思わず変な声が出る。
「本当にここ数年人手が足りないからのう……後はひと準備、じゃな。そこで待っていなされ」
面接官はのそりと立ち上がり、もう一つの部屋へと去る。
「こんなに簡単でいいの……?」
ひと準備とはなんなのか、そもそも志望理由は言っていないなど、色々と頭の中を巡っているが、やはり嬉しいことは嬉しかった。
ツッコミ所は置いておき、クリスマスで稼いだお金を何に使おうなどと思案しながら、真澄は面接官が帰って来るのを待った。

80名無しさん:2014/12/25(木) 23:38:46 ID:bXI/p3QU0
読みづらいですね、すみません。
もう少し間隔開けます

「遅いなあ……」
待てども、待てども、待てども面接官は来ない。携帯の時計を確認するともう30分は経っている。
これが外食チェーンの時間待ちならば別の店に行くところだが、仕事に関わるとなるとそうはいかない。
さらに、

(ぐ〜っ)
「お腹空いたなあ……」
面接から帰って昼ご飯にしようと思っていたのだが、甘かったようだ。これなら、面接前に食べておけば良かった……と思っていたその時である。
ガチャリ、と奥にある扉が開く。音を聞いた瞬間、彼女は面接官がようやく帰って来たのかと思った。しかし実際は違った。
なんと、スラリとした長身の女性が大量の料理を乗せた台車を押しながら入って来たのである。そしてその料理を真澄の前に置いて行く。
鶏肉のトマト煮、生ハムが乗った野菜たっぷりのサラダ、カルボナーラ、鯛のカルパッチョ、ローストビーフ……
どれも、食欲をそそるとても美味しそうな料理ばかりだ。

「た、食べて……いいのかしら?」
普通ならば、いくら空腹といえど、我慢出来るはず。はずだったのであるが、先程感じていた空腹感がとてつもなく増大していた。“まるで魔法にかかったかのように。”
「ダメッ……もう、我慢出来ない!」
彼女はついに料理に手を付けてしまった。がつがつと、料理を口に運んで行く。
あれよあれよという間に大量の料理は胃袋に姿を消す。しかし、間髪を入れずに、新しい料理がどんどんと運ばれてくる。彼女もそれと同じく、間髪を入れずに料理を胃袋に収める。
そして、料理をかっ食らう真澄の身体に変化が起きていた。
普通では考えられない速度で太っていたのである。
顔、腕、背、腹、脚、体全体に肉がついていく。
ブラウスも、ジーンズもパツパツになり今にも断末魔の声がが聞こえそうである。

81名無しさん:2014/12/25(木) 23:41:43 ID:bXI/p3QU0
食べ始めてから20分。
ミチ……ミチ……と悲鳴を上げ、ついにジーンズのボタンが弾け飛んだ。チャックも壊れ、ばるん、と脂肪と食べ物で大きくなったお腹が顔を出す。
ちなみにブラウスは一足先にボタンが弾け、事切れていた。

たったの20分で真澄は、デブと言っても差し支えないレベルに太ってしまった。
あごも二の腕も腹も太ももも、少しの動きだけでふるふるとかわいらしく揺れる。
ただし、一心不乱にがっつく今の彼女の姿はお世辞にもかわいらしいとは言えないのだが……

こんな変化が起きているというのに、真澄は料理を食べる事に夢中で気づかない。
しかも、食べるペースが上がり、益々肥満化に拍車をかけている。
「もっと!もっと持って来て!!お腹が空いて仕方ないのおおお!!」
彼女の叫びが部屋を震わせた。


一時間後。真澄は一糸纏わぬ姿になるまで太りきっていた。
喋るだけでたぷたぷ揺れるであろう立派な二重あご。
七面鳥の丸焼きに匹敵する太さの腕。
サンタのプレゼント袋に負けないであろう大きさのお腹。もちろん、しっかりと段を形成している。
大きなモミの木の幹のように太くなった太もも。
今やサンタクロース顔負けの肥満体である。

しかしこんな姿になっても食べる手は止まらない。今の彼女の頭には食欲しかないのである。
テーブルが再び空になり、料理が運ばれて来る。
「これが、最後の料理です」
給仕係が告げたその料理とは、とてつもなく、とてつもなく大きなホールケーキだ。
イチゴ、クランベリー、ブルーベリー、キウイなど様々なフルーツが乗っている。
このケーキにも彼女は脇目も振らずがっついた。あまりにも大雑把な食べ方なので体がクリームで汚れるな、そんな事も気にしない。
彼女は10分かけて、巨大ケーキを平らげた。食べ終えたとほぼ同時に無限の食欲も突如として消え失せた。
「ふう……ふう……ああ、お腹一杯だわ(げっふぅ)あれ、何だか眠く……」
はしたなく、身体に見合ってるとも言える大きなゲップをした後、彼女はソファにもたれかかり、そのまま眠ってしまった。


ケーキを食べ終えた事を給仕係から聞いた男は、真澄の元に向かった。
「少し、太らせすぎたかのう……しかし、これで誰が見ても立派なサンタクロースじゃろう!さて、後は服を着せれば……」
大仕事が始まろうとしていた。

82名無しさん:2014/12/25(木) 23:53:17 ID:bXI/p3QU0
12月 24日 夜
「うーん……私、寝てたの?」
ワケが分からなかったので、真澄は状況を整理した。面接に来て、合格して、待たされて、お腹が空いて……思い出せない。
(とりあえず、起きないと……)
そう思い、身体を動かそうとした瞬間に違和感が襲う。

重い。重い。重い!?
そして、自分の姿が目に入り驚愕する。
「ちょっと……!なんなのよこれえっ!!?」
夢だ、こんなことありえない。そう思いたかったが、自分にかかる肉の重さが、間違いなくこれは現実であると彼女に告げている。
そして、もう一つ。彼女はいつの間にやら、サンタの服を着ていた。
今の肥満体に比べると少々窮屈な感じのする衣装だ。
だが、そんな事はブクブクに太ってしまった事に比べると些細な事だった。
部屋にあった姿見で自分の姿を改めて確認する。
上から下まで肉、肉、肉。脂肪の塊になった自分。
彼女を絶望感が蝕み、目に涙が浮かぶ。

そこにあの男がやって来た。今度はサンタクロースの格好をして。
恰幅が良いのは相変わらずであるが、今の彼女と比べると小さく感じる。
「ホッホー、気がついたかのう?それでは今から仕事の説明を……」
「仕事!?ふざけんな!!これはどういうことなのか説明してよ!!!」
痩せていた頃より、野太く、篭ったような絶叫する。
「いや、サンタクロースに見合った体型にじゃなあ」
「は??説明になってないし!!」
「ううむ……説明不足だったかもしれんな。すまぬが一度落ち着いて、聞いてくれ。納得はさせよう」
二人は再びテーブルを挟み、向かい合ってソファに座る
「今から話す事は紛れもない真実じゃ、改めて言うが落ち着いて聞いてくれな」
一呼吸置き、告げる。
「ワシはサンタクロースなんじゃ」
「信じられるかっ!!」
勢い良く反応を返す。しかし、サンタは気にせずに話を続ける。
「お前さんがブクブクに太ってしまったのも、ワシが魔法を使っ……これ、落ち着け!テーブルをひっくり返そうとするんじゃあない!!」
興奮し、敵意むき出しの真澄を諌める。
「……これは、先に言った方が良かったな。ワシの魔法で太ったのだから、もちろんワシの手で綺麗さっぱり元に戻せる」
「それを早く言いなさいよ!!!!」
彼女は興奮のあまり勢い良く立ち上がった。ぶるるん!と身体についた肉が揺れる。少し顔を赤らめつつ、再びソファに腰を下ろす。

「……それで、何で私をこんなにしたのよ?」
「太っていない者はサンタにあらず。幸せを運ぶ者、ふくよかであれ。という古くからのサンタクロースの決まりじゃ。恐らく、率直に太れと言われてお前さんは太らなかったじゃろう?」
「まあ、そうだけども……なんか腑に落ちないわね……それで、何で私がサンタなのよ?希望したからとかそういうのではなくて」
真澄がそう言うと、サンタは深刻そうな顔になった。
「それが、一番大事な部分じゃな。出来るだけ簡潔に話そう。サンタクロースは、少々めんどくさい奴らに目をつけられているのじゃ」
「えんふぉふはいやふらあ?(めんどくさい奴らあ?」
いつの間にか居た給仕の女が持ってきたポテトチップスを頬張りながら彼女は聞き返す。
「そう、奴らは『苦しみます解放同盟』といってな……毎年クリスマスをめちゃくちゃにしようと我らサンタクロースを襲撃しに来るのじゃ……しかもどうやら今年は人数を増やしているらしい」
「本当にめんどくさい奴らねえ(ボリボリ)でも、それにしたって何で女の子を募集したのよ?」
話を聞きながら、彼女は他のポテトチップスの袋も開け様々な味を楽しみ始めた。

「奴らはサンタクロースをジジイしか居ないと思い混んどる、そこを突くんじゃよ」
「はふほどー。これ結構美味し……(バリバリ)私は襲われるしんふぁいははいの?モグモグ……給仕さん、コーラとかない?」
「お前さん、ちゃんと話を聞いておるか……?ワシが招いた事であるから強くは言わんが……」
ポテトチップスを次々頬張り、コーラ(1.5リットル)で流し込む。体型だけでなく、行動もデブそのものになりつつあった。
元に戻れると聞いて、完全に開き直ったのだろう。
「と、とにかくお前さんは大丈夫じゃ。ワシ含め他のサンタクロースがそいつらを食い止めるからな。プレゼントを配ることに専念して欲しい」
「(ゴクゴク)プレゼントってどの範囲に配ればいいのよ?(げっふ)」
「少しは恥じらいは無いのか……ここはあくまで支部の一つじゃからな、この街一帯に配ってくれれば十分じゃ。ソリはもう外に準備してある」

8378 ◆ZUNa78GuQc:2014/12/26(金) 00:21:13 ID:M2brY.sc0
クリスマス終わりましたね(-_-)
日付が再び変わる前には終わらせたいです

サンタと共に外に出ると、それは立派で巨大なソリが外に止まっていた。
大きなプレゼント袋も既に置いてあるが、サンタをを超える巨体の真澄もなんとか乗れそうなサイズである。
そしてそれを引くのは二頭のトナカイである。
(……なあ、今年のサンタデカすぎやないか?死ぬで)
(サンタのじいさん、魔法の効き目強し過ぎたな……やめて欲しいわホンマ)
そんな事をトナカイ二頭は話していたが、もちろんサンタや真澄には伝わらない。トナカイだからね。

「行くのはいいんだけど私、サンタの事なんて何も分からないんだけど……やったことないし」
真澄は尤もな事をサンタに言った。サンタは彼女に仕事について何も説明してないのである。
「大丈夫じゃ、その辺はサンタも効率化しておってな。ソリは自動的に子供たちの所に向かうし、その袋は子供が欲しいものを勝手に取り出してくれるんじゃ」
「なんか、ちょっと夢が壊れるわね……」
「そうじゃ、忘れるとこじゃった、これを」
そう言ってサンタは真澄に変な機械を渡した。
四角い金属の塊に大きなボタンが付いただけのシロモノだ。
「……なにこれ?」
「こいつはすごいぞお!これは『壁抜け君2号』じゃ!子供たちの家に入る時に使うんじゃよ」
「煙突も通らないんだ……まあ、日本に煙突のある家は殆ど無いけどね……」

「ふう……ふう……ふんっ!よっこい……しょっと!」
あまりに太り過ぎていたので、巨大なソリでも少々狭かったようだが、何とか身体は収まったようだ。
今は狭いが、ある程度プレゼントが減れば楽になるだろう……恐らく。
「じゃあ、行ってくるね!」
「無事を祈っておるぞ!」

ピシャッと手綱を引くとトナカイが走り出す。
(重っ!重すぎるやろこんなん)
(サンタのじいさんぜったいにゆるさん)
もちろん、真澄には聞こえない。
「さーてと。さっさと配って元に戻らないと!」
夜の街を女サンタがソリと共に駆け出した。

84547:2014/12/26(金) 20:39:07 ID:STFCmAOM0
おお、これは素敵なクリスマスプレゼント、
乙です!

これの繋ぎといっては何ですが、
自分もクリスマスからの連想で一つ描いたので投稿します。

*注 過去の拙作、『肥らせの迷宮』・『偽と真』よりキャラが登場してます。
(レギュラー化するなら、シリーズのタイトルとか考えないとダメだろうなぁ・・・)
後、急いで書いたのでいつも以上に文章が雑です。

「荷と駆 試練の聖夜と走る乙女」

聖夜、町の賑わいとは離れた静かな山。
その山道を走る少女がいた。

少女の体は、豊満、と言うにはやや肉付きが良すぎる。
厚手のジャージにそのボディラインをくっきりと浮かばせてる。
まず、括れとは無縁とばかりにぽっこりと突き出ているお腹。
そんなお腹が凹んで見えるほどに巨大な胸。
お尻も胸に次ぐ大きさで、そこから伸びる脚は
太すぎて、走るたび脚と脚が擦れ合ってる。
顔立ちは整ってるが、頬はふっくらとして、
顎も、二重あごは無いがコロコロと丸いラインをしてる。
大多数の異性からは敬遠されるが
同性からは可愛がられる、そんな印象の少女。
過龍光樹だ。

その光樹がこのクリスマス・イブに、付き合う相手は
木に寄りかかって休んでいた。

彼女は長く美しい黒髪をさっぱりと切りそろえた、
ゆったりとした巫女服を着た少女。
そしてその体は光樹と見比べると(良くも悪くも)程良い肉付きをしている。
――いや、『していた』。
光樹が声をかけようとした矢先に、
その娘の体が膨れあがり、巫女服に豊満と言うにはやや肉の付き過ぎたボディラインを浮かばせる。
見た目の重さは光樹と同等だが、
体型の印象は異なる。
彼女は、顔は殆ど変わってないが、胸よりもお腹が突き出ていて
ずんぐりむっくりとした、より「デブ」っぽい体型をしてる。


「 師月ちゃん!?」
「大丈夫です、光樹さん 残りの距離と比べると順調と言える位です」
師月(しづき)と呼ばれた黒髪の少女は、
この変化にあまり応えてない様だ。『予測』できていたのだろうか?

「・・・とにかく、行こうね あの二人にちゃんと断ってきたから」
「直接言っておかないとあの二人、何かあるって勘ぐると思うから」
「大事に、思われてるんですね」 
「うん、本当は嬉しいんだけど、今回はね・・・」
「・・・それじゃあ出発します!」
「聖夜の試練を果たすために!」
意気揚々と歩き出した光樹と師月。
・・・速度が遅いのは、ペースを考えてるからである。
体が重いからでは決して無い。

85547:2014/12/26(金) 20:44:57 ID:STFCmAOM0
足取りは遅くても休むことなく二人は歩き続けて
目指す神の社がある山の麓まで来た。
「・・・ようやく見えてきました 神の社はあそこです」
師月が指差す場所は山の中腹辺りだ。
「あそこが目的地かぁ」
流石にしんどい、内心そう思っている光樹だが、
自分よりも明らかにしんどそうな師月を見てると
とても口には出せなかった。

光樹よりも長い距離を歩いてきたうえ、
社に近づくにつれて増えていく体重は光樹を軽く上回っている。
ここまで歩き続けた脚は、脂肪でパンパンに膨れ上がり
今や木の幹の様な太さだ。
しかし胸は余り大きくなってない。
メロン大のサイズなのだが、それでも師月の体においては小ぶりだ。
逆にお腹は一番の巨大化を遂げていて、背丈に並ぶ巨大さだ。
尻も胴体の一部として、お腹に次ぐ巨大化を遂げている。
ここまであまり肉が付いてなかった顔ももう丸々としてきて、
汗と脂でテカテカしている。

その様は何も知らない他人が見れば滑稽にしか見えないだろうが、
光樹は(自分も大差無いと認識してることもあって)全くそう思わない。


「 私が先行くから、師月ちゃんはゆっくり上がってね」
光樹が石段の一段目に脚をかけたその瞬間、
それは、余りにもあっけなく崩れた。
「あっ・・・」 「!」
頭を軽くとはいえ地面に打ち付けてしまい
光樹は意識を失った。


暖かく柔らかいゆりかごに揺られている。
そんな奇妙な感覚を覚えながら、光樹は目覚めた。
「・・・?」 まず目にしたのは、ユラユラと揺れる石階段。
「!」 そこからすぐに気づいた。
「師月ちゃん! どうして・・・」
師月は意識を失った光樹をおぶって、ここまで上ってきたのだ。
「これは私達末年の一族に与えられた試練ですから・・・」
「それにあなたは信じてくれた初めての人ですしね」
「師月ちゃん・・・ありがとう 私はもう大丈夫だから」
光樹は師月から降りた。

「ここまで背中で休んでおいてなんだけど、ここで一休みしない?」 
「いいですね、実を言うとここまで休み無しで歩き続けてもうヘトヘトで・・・」
「時間にもまだ余裕が有るはずだ・・・し・・・」
腕時計を見た光樹が凍りつく。
恐る恐る腕時計を見た師月も凍りつく。


「・・・・・・!」二人はどちらともなく、再び石段を登りだした。
体重が乗った重い足音が響く。


光樹は駆け上がる。
師月の試練を失敗させないために。
ただの荷物で終わらないために。
激しい振動に耐え切れずジャージのチャックが裂け、
胸がこぼれ落ちれても構わず上り続ける。

師月は駆け上がる。
光樹と共に試練を達成するために。
皆に災いを及ぼさないために。
更なる巨大化により巫女服が破れ、あちこちで肉が溢れようが
構わず上り続ける。

そして、二人はほぼ同時に
神の社にたどり着いた。
その時、腕時計の示していた時間は―――

86547:2014/12/26(金) 20:50:03 ID:STFCmAOM0
23・57

「間に合った・・・」
「 ありが・・とう・・ございました・・」
光樹に感謝の言葉を言い残して師月は地面に倒れた。
光樹もその言葉に返事する前に倒れふした。
・・・・・そのまま、寝息を立て始める二人。
白い雪がチラチラと降り始めた。


過龍 光樹  19歳 165cm  75kg 110・81・104 

末年 師月(すえどし しづき) 15歳 143cm 51kg 83・69・80
→68kg 86・88・81
→89kg 96・126・112
→106kg 102・136・124




「聖夜、選ばれし乙女は、神の授けし重荷を背負い、荷の重さを知る者を一人連れて、神の社に行かなければならない」
「時と共に、少女の背負う荷はより重くなる。 だが何人たりも手助けは許されない」
「聖夜が終わるまでにたどり着かなければ、重荷は災いとなって乙女を取り巻く者達に降りかかるであろう」

「私達末年(すえどし)家に代々伝わるこの言い伝え。
他人にとっては、単なるホラ話としか思わないだろうが、
末月の一族は、当事者として『体感』してきたことです」

「――そういう訳だったんだ」
「なるほど、それでボクらに断りを・・・」

暖房の効いた家の中、布団を着せられすやすやと寝息を立てている師月と光樹。
彼女らの横には、リーファとライディ。
そして二人に事の経緯を説明した中年男性こそ師月の父親だ。

彼は神の社に先回りして光樹と師月を待っていた。
そして、試練を終え、そのまま眠ってしまった二人を拾った。
更に光樹が直接来て「明日のパーティーには行けない」と断ってきたために、
何かあるのではないと考え、後を追っていたリーファとライディと会い
この二人に事情を説明していたのだ。

「・・・驚かないんですね」
( まあ、似たような話を色々と見て、聞いて、体感してきましたからね)
そう思うライディだが、説明が面倒なので口には出さないでいる
(重さの神、肥らせの迷宮、それに朱の女・・・)
リーファに至っては太らせる当事者だが、
流石にその事は口に出せない。


「でも、光樹さんが初めて信じてくれたってことは、『荷の重さを知る者を一人連れて』、
つまりぽっちゃりした人を連れて行くって所は守れてなかったんじゃあ・・・」
「ああ、そこは別に守らなくて良いんです これまでやって来た私の妻や師月の姉が言ってました」
「しかし光樹さんは信じてくれました」
「これまでとは違って、近くで待っていた姉ではなく結構離れていた師月が
試練に選ばれた証に太り出して・・・これまでとの違いに狼狽えていた所に来てくれました」

ベッドですやすやと眠っている光樹。
同じくその横で眠っている師月は、痩せた、
試練が始まる前の体に戻っていた。

「試練が終わると、元の体に戻れるのか、良かったね」
「・・・でも、付き合ってくれた光樹さんが戻れないとは・・・」
「・・・ボクらは少し残念ですけど、光樹ちゃんはそんなこと全く思ってませんよ」
「ともかく、今は二人が起きた時のためにパーティーの用意をしておかないと!」
「巻き込んだ私達があなた方のクリスマスパーティーに参加しても本当にいいんですか」
「はは、何を言ってるんですか さあ行きましょう」
ライディとリーファは師月父を連れて寝室から出た。

残された光樹と師月。
二人の枕元には、『何か』を詰め込まれた
靴下が三つずつ置かれていた。

「「「メリークリスマス」」」


これで終わりです。

87名無しさん:2014/12/26(金) 20:53:46 ID:U9xEbr0Q0
乙!

8878 ◆ZUNa78GuQc:2014/12/26(金) 22:29:18 ID:M2brY.sc0
乙です。他の人の作品を読むと文章力がまだまだだな、と思い知らされます
完成しましたので、続きを投稿させていただきます


「思っていたよりも楽ねー(モグモグ」
真澄は順調にプレゼントを配り回っていた。
今食べているのは、子供たちがサンタにお供えとして置くクッキーである。
数百軒は回っているので、かなりの量を食べている。

「それにしてもなんか、服がきついわね……」
彼女はまた、太り始めていた。サンタの太る魔法がまだすこし残っていたのだ。
その影響で、出発する時よりも一回り、二回りは大きくなっている。
「……誰も見ていないでしょ。んしょっ……」
だぶんっ!
彼女はベルトをはずし、なんとか服に収まっていた巨大な段腹を外に出した。
こうなるとソリの揺れで、腹肉も大きく波打つのが良くわかる。

「楽になったし、そろそろラストスパートね。ペース上げていくわよ!」
(あんたが余計に重なってるのにペースなんか上がるかいな)
(いつもやったら、プレゼントの分軽くなるから楽になってくるんやけどな……)
トナカイも中々の苦労者だ。

8978 ◆ZUNa78GuQc:2014/12/26(金) 22:32:22 ID:M2brY.sc0
「ふう……ようやく最後の家ね」
時刻は早朝4時前、夜明けまでにはかなり余裕があった。
壁抜け君2号を使って家に侵入する。何度も使っているので小慣れたものだ。

(おじゃましまーす……)
ギィッ……ギギィーッ……ミシ、ミシ……
廊下を一歩進むたびに床が悲鳴を上げる。体型が体型なのでこればかりはどうしようもない。
こんなだから、誰にも気付かれないように子供部屋に行く、というのは至難の技だ。
もし、見つかったら超デブ女が不法侵入と地方欄に載りかねない。
今まで成功してるからと言えど、一切の気は抜けないのだった。

さらに、太り過ぎた事によりかなり歩くのは辛くなっており、冬だというのに汗が吹き出ている。
「ふう……はふぅ……(これが、最後なんだから、早く……終わらせないとね」
息も絶え絶えになんとか子供部屋に辿り着いたものの、ここでアクシデントが起こる

「もしかして、サンタさん!?」
なんと、早朝に差し掛かるというのに子供がまだ、起きていたのである!
小さな灯りをつけ、ずっとゲームをしていたようだ。
とにかく親が気付かないうちに、何とかしなくてはならない。
「し、静かにして。お母さんが起きちゃうでしょ……プレゼント、持って来たから」
冷静に、声を押し殺して話しかける。
しかし、子供はそんな事で言うことを聞けば苦労しない。

「サンタさんだ!うわあーほんとーにサンタさん!!ゲームちょうだいゲームゲームゲーム!!!」
「ちょっ!ちょっと….…」
うるさい。
本当にぎゃあぎゃあとうるさい。
とにかく、黙らせないとと思った時には身体が動いていた。
「んもう、静かに……しなさいよ!」
ドスドスドスと子供に駆け寄り、腹肉を顔に押し当てたのだ!
「サンtぐむむっ!?(モガモガ)」
汗ばむ腹肉に軽く圧迫され、喋ることが出来なくなる。
何がともあれ、これでようやく静かになった。

「はあ……はあ……プレゼント、ふう……ゲーム、欲しかったんでしょ……サンタさんが……持って来たわ」
今の動きで大きく息が切れ中々言葉にならない。
「来年も……はあ、はふぅ……いい子に…………してるのよ……」
子供にプレゼントを渡し、さっさと立ち去ろうとする。
しかし、それを子供が引き止める。
「サンタさん、まって!」
「な……なに?プレゼントは……もう、渡したでしょ」
子供はもじもじと、言う。
「おなか……さわらせて、くれる?」
小さな灯りで見える子供の顔は、真っ赤だった。

9078 ◆ZUNa78GuQc:2014/12/26(金) 22:33:50 ID:M2brY.sc0
彼女にどっと疲れが一気に押し寄せた。
あれから子供は中々、真澄を帰してくれなかった。
お腹だけでなく、彼女の太りきった身体のありとあらゆる場所を触っていったのだった。
流石に、胸は断ったのだが……
どうやら、お腹を押し当てた時に何かに目覚めてしまったらしい。

「ホッホー。お疲れ様じゃのう、にしても本当に大きくなったもんじゃなあ」
「何を呑気に言ってるのよ!あんたのせいでまた太ったんじゃないの!!さっさと戻しなさい!」
そう、プレゼントを配り終えたので、この肥満体ともようやくおさらば出来るのである。
「ワシは、今の方が魅力的だと思うんじゃがなあ……ま、約束は約束じゃな。ホイッ!」
サンタが新たに魔法をかける。
効果はすぐに表れた。真澄の脂肪がするすると無くなっていき、どんどん身体が小さくなる。
ものの1分しないうちに、慣れ親しんだ自分の身体を取り戻したのだった。
「やった!!私の身体が……」

パサッ
忘れていた。今、着ていた服は、肥満体に合わせた物だ。
痩せた、ということは当然サイズが合わない。引っかかる場所を失った服は……地面に落ちた。
そして当然、彼女の姿は……
「きゃああーっ!もう、最ッッッ低!!!!」
野太さもない、よく通る声で大きく叫んだ。

9178 ◆ZUNa78GuQc:2014/12/26(金) 22:35:01 ID:M2brY.sc0
12月25日 朝

「うーん……私、寝てたの?」
真澄は、いつの間にか自分の家のベッドで寝ていた。
元の身体に戻った辺りまでは覚えているが、その先の記憶が曖昧だ。
(とりあえず、起きないとね……)
もう、あの違和感はない。
歯を磨くため、洗面所に向かう。

「あれ、この服……」
彼女が着ていた服は、あの日着ていた物と全く同じだった。
長袖のブラウスにカーディガンにジーンズ。
太った時にボロボロになった筈なのに。
「これも……魔法なのかしらね」
歯を磨き終え、朝食を食べようとキッチンに向かうと食卓に手紙が置いてあった。

『ホッホー!メリークリスマス。本当にお疲れ様じゃったな!
多分、これを読む頃には気づいているだろうが、服は元に戻しておいたぞ。
お金はちゃーんとそれなりに、振り込んでおいたからな。
お前さんがよければ、来年もお願いしていいかの?
良い返事を待っておるぞ。
サンタクロースより』

「……二度と行くかっ!」


朝食を食べた真澄はさっそく、お金を下ろしに出かけた。
身体が軽い。思わずスキップしてしまう。
自分の身体をこんなにありがたいと思ったのは初めてだった。
通りがかった空き地で、子供たちがクリスマスに貰ったプレゼントを見せ合っていた。
(あれ私が配ったって言っても、みんな信じないだろうな……ふふ)



「ほんとうだって!おれ、サンタさんにあったんだよ、おんなのひとの!」
「うっそだー!サンタさんはおじいちゃんでしょー?」


『サンタクロースのアルバイト』
おしまい

9278 ◆ZUNa78GuQc:2014/12/26(金) 22:37:57 ID:M2brY.sc0
くぅ〜疲(略
初めてかつ、思いつきで書いたので結構gdgdです
また思い付きで何か書くかもしれませんが、その時はよろしくお願いします
誤字がちらほらあるので、出来れば次作のついでにテキストで修正版を上げたいと思います……

93名無しさん:2014/12/26(金) 23:23:32 ID:WVA41K7w0
乙乙!面白かわいかった
次作も楽しみにしてる

94名無しさん:2014/12/26(金) 23:52:50 ID:OVIpTDI.0
乙乙
強制要素はあるけどほのぼのしててよかったw

95名無しさん:2014/12/28(日) 16:59:57 ID:Qqu1SClI0
乙です!

ss完成したので投稿します。
至らないところばかりですが、読んでいただけたら幸いです。

ここはとあるファンタジーの世界。旅をしている3人の女性がいた。
名はそれぞれフィオナ、キャシー、シャロンという。3人とも見目麗しい美人で、旅の途中で寄った町で振り返らないものはいないほどだった。
フィオナは剣士として名を馳せ、その神速の剣は斬られたことに気付かないほどと噂された。
自分より強い者を求めて各地を旅している。路銀を稼ぐために時々魔物退治や剣術大会に出向いている。
キャシーは修行中の魔法使いで、路銀を使い果たして道端で死にそうになっているところをフィオナに助けられた。それ以来フィオナに付き従っている。
まだまだ修行中だが将来は大魔法使いになるだろうといわれており、多様な魔法に長けている。
シャロンは料理人だ。もとは金持ちの家の専属料理人だったが、金持ちの家の食器棚を倒してしまい、家を追い出されたという。
壊した食器はどれも値段の張るもので、弁償させられなかっただけでも幸運だったといえる。
途方に暮れていたところにフィオナ達が通りかかり、料理の腕を見初められ旅に加わることになった。

そんな3人であったが旅の途中の森の中で大雨に襲われた。
フィオナ「おかしい…森に入る前には晴れていたのにな」
キャシー「山の天気は変わりやすいといいますし!森も変わりやすいんじゃないんですかねー?」
シャロン「通り雨だろうしすぐ止むでしょ。ちょうどあそこに大きな屋敷が見えてきたし雨宿りさせてもらいましょう」
なぜこんな森の中に屋敷があるのか不思議だったが、土砂降りの雨の前に足踏みするわけにもいかない。
屋敷の扉を開くと奥からローブをすっぽり被った女が現れた。
突然の来訪者に対して気を悪くした風もなく、温かく出迎えてくれた。
「私の名前はヴェラ。わけあってこの屋敷に一人で住んでいるわ。
この森はこの先の町への近道になっているから、こうして雨が降ると旅人さんが雨宿りに寄ることが多いの。
大したもてなしもできないけれど好きなだけゆっくりしていってくださいな。」
ヴェラの影は小さく、ローブはぶかぶかだった。ローブから出ている手も病的に細い。
転びでもしたら骨が折れてしまうのではないかと思うほどだった。

96名無しさん:2014/12/28(日) 17:01:23 ID:Qqu1SClI0
通された部屋は2階の客室だった。広い屋敷にも関わらず掃除が行き届いている。
3部屋も使ってしまうのは悪いので、大きめの部屋を一つ使わせてもらった。
窓から外を見てみるといつの間にかさらに雨が強くなっていた。
風も吹き荒れ嵐のようだ。当分ここでやっかいになることだろう。
濡れた服を乾かしていると、ヴェラが食事の用意をしてくれた。
大広間に行くと、一人で使うには大きすぎる長机に、豪華な食事が並べられていた。
一人しか屋敷に住んでいないはずなのにどうやって机を運んだのだろうか。
フィオナが疑問を口にする前にヴェラが話し始めた。
ヴェラ「私はもともと魔法使いなのよ。机を運ぶなんて造作もないことだわ。
呪いをかけられて今はこんな姿になっていまるけれど容姿には自信があったのよ。
この姿に耐えられなくて屋敷に引きこもって暮らしているわ。
屋敷の手入れも、生活に必要な物の調達もたいてい魔法でなんとかできるから便利ね。
今は屋敷を訪れる方に占いをして差し上げるのがささやかな楽しみなの。
さあ食事に致しましょう。たんと召し上がってくださいな」
3人はそれぞれ席に着くと各々好きなものから食べ始めたが、
「おいしい!」
3人とも同時に声を上げた。どれも今までに食べたことのないような味だ。
旅をするうえで普段は初対面の人物に気を許すことはないのだが、すっかり気を良くした3人はヴェラとの会話に花を咲かせた。

97名無しさん:2014/12/28(日) 17:02:33 ID:Qqu1SClI0
ヴェラ「食事も進んだことですし、私にあなたたちを占わせてもらえないかしら?」
フィオナ「ここまでもてなされて断る理由もない。是非お願いしたい」
他の二人も首を縦に振って頷いた。
するとヴェラは何やら呪文を唱えると3人に手をかざしていった。
ヴェラ「………あなたたち3人とも悩みをかかえているんじゃないかしら。
フィオナさんはより女らしくなりたい、キャシーさんは多くの魔法を使えるように魔力の量を増やしたい、シャロンさんは料理の腕を上げたい、違うかしら?」
フィオナ「なぜそれを…誰にも口にしていないはずなのにっ!」
キャシー「ほぇぇ…」
シャロン「占いって当たるもんなんですねぇ…」
図星だったのっかすっかり占いを信じたようだった。
実は占いなど真っ赤なウソで、ヴェラが身なりや会話であたりをつけていたのだが誰も気づいてはいなかった。
屋敷を訪れた時から3人はすでにヴェラの掌の上だったのだ。
ヴェラ「せっかくだから屋敷にいる間だけでも悩みを解決するお手伝いをさせてもらえないかしら?」
3人からしてみればしばらくこの雨で屋敷から出られそうにない。この申し出はありがたくすぐに受けることにした。

3人はそれぞれ別の部屋に通されることになった。
〜フィオナ〜
フィオナの通された部屋はかわいらしい部屋だった。
天蓋つきのベッドにたくさんのぬいぐるみが置かれている。
ヴェラ「フィオナさんはより女らしくなりたいのよね。
今のままでも十分魅力的ですけれど、女らしくなりたいのでしたら少し筋肉がつきすぎね。
しばらくここで過ごしてもらうわ。徐々にからだをかわいらしくしていきましょうね。まずはこれを飲んでみて。美しくなれるわ」
そういわれて一本の小瓶を渡された。フィオナはそれを飲み干すとそのまま眠ってしまった。

98名無しさん:2014/12/28(日) 17:03:58 ID:Qqu1SClI0
翌日
フィオナ「んん…」
ヴェラ「目が覚めたかしら」
起き上がると体に違和感を覚えた。男用の服しか着れないほど平らだった胸がきつい。腰はくびれ、尻が少し大きくなっていた。
まさにフィオナが求めていた理想の体だ。少し筋肉は落ちたようだが、その分体の角張った部分が丸くなり、色気を醸しだしている。
フィオナ「これは一体…!?」
ヴェラ「気に入ってもらえたかしら?昨日飲んだ薬はあなたの体をより女らしくするものよ。今のあなたはとってもかわいいわ」
フィオナ「私が…かわいい…?」
フィオナは美人ではあったが凛々しいといったほうが近く、かわいいと言われたことはなかった。
初めて言われたことに自然とフィオナの口元はにやけていた。
ヴェラ「このままもっともっとかわいくなりましょうねぇ。この部屋には女の子が大好きなものがそろっているわ。
お人形にぬいぐるみ、ケーキ、他にもたくさんあるから自由に過ごしていいわよ」
そういうとヴェラは部屋を出ていった。
フィオナ「かわいい…えへへ…」

フィオナはしばらくは女の子の趣味に精を出していた。
鎧を脱ぎ捨て、クローゼットにあったフリルをあしらった服に着替えた。
剣術に明け暮れて忘れていた女の子としての喜びをまさに今取り戻しているようだった。
そしてある時ケーキを口にした。
フィオナ「これがケーキ!?今まで食べたことがないおいしさだ。なんて甘いんだ!」
それからはフィオナは甘い誘惑に取りつかれ、部屋で何かをしているときも片手ではケーキを食べているようになった。

99名無しさん:2014/12/28(日) 17:05:32 ID:Qqu1SClI0
数日後
服を着替えているときにフィオナは違和感に気付いた。
スカートのホックが閉まらない。
フィオナ「油断しすぎたか…」
フィオナは太っていた。あれだけケーキを食べ続ければ当然である。その油断が腰回りに現れた。
筋肉でしまっていた尻は、いつのまにかぷくぷくとやわらかそうに膨れ、筋張った足は丸みを帯びて母性を感じさせた。
本人は下半身にしか気づいていないが、胸は日に日に大きくなり、二の腕や背中にもしっかりと肉がついていた。
フィオナ「少し控えないとな。」
そういいながら読みかけの恋愛小説を手に取る。読み始めてすぐに無意識の内にケーキに手を伸ばしていた。
ヴェラ「フィオナさんはケーキが大変気に入っているようね」
いつの間にか部屋に入ってきていたヴェラが言う。フォークを使わずにケーキを手づかみで食べながら本を読んでいたフィオナは顔を赤くした。
フィオナ「しかし、ここにきてずいぶんと太ってしまってな。そろそろケーキを控えようと思っていたんだ」
ヴェラ「あら、全然太ってなんかないわよ。むしろ今までが痩せすぎていたくらいだわ。とってもかわいくなってるわよ」
フィオナ「そうか…かわいいか。ふふっ」
フィオナはかわいいという言葉に弱い。これくらいではまだ太っていないのではないかと早くも思い込むようになった。
ヴェラ「もっともっと食べていいのよ。ケーキが好きならうってつけのお手伝いがあるのだけれど、ひきうけてくれないかしら?」
フィオナの答えは決まっていた

フィオナが連れてこられた部屋は地下にあった。何かの工場のようだった。たくさんのベルトコンベアーからケーキが流れてきている。
かなり大きな部屋のようでコンベアーの先まで見通すことができない。
ヴェラ「ここよ。私の魔法でケーキの研究をしているのだけれど、たまに出来が悪いのができちゃうのよねぇ。
それを選り分けてほしいの。こんな風にね」
そういうとヴェラは流れてきた形の崩れたケーキを取る。
ヴェラ「選り分けたケーキは好きにしてくれて構わないわ。選り分ける基準はあなたにまかせるからよろしくね」
フィオナ「任せてくれ」
ヴェラはすぐいなくなってしまった。
フィオナは流れてくるケーキを選り分ける作業を始めた。そのままケーキを口に運んでいく。

100名無しさん:2014/12/28(日) 17:07:30 ID:Qqu1SClI0
さらに数日後、いつの間にかフィオナは見境なくケーキを貪るようになっていた。指についたクリームを嘗め取る。
重くなってしまったお腹を抱え、のしのしとコンベアーを移動する。それに合わせて体中の肉が揺れる。
服は既に破れ、布切れが体にまとわりついているだけのように見える。
胸は重さに耐えきれなくなり形が崩れてしまっている。顔周りにもしっかり肉がつき咀嚼のたびに波打っている。
背中や腕にも膨大な量の肉がつき、もはや剣を振るうこともできないだろう。尻はぱんぱんに張りを保ちながらも大きさを増してきている。
急激な体重の増加に体がついてこられないのかその足取りは頼りない。
フィオナ「もぐ…む!これも形が崩れているな。あれは少し小さいな」
明確に選り分ける基準を伝えられたわけではなかったので、いつの間にかフィオナの中ですべてのケーキが選り分ける対象になっていた。
理由をつけてはケーキを選り分け口に突っ込んでいく。
いつの間にかもといた位置から少しずつコンベアーの上流まで進んできている。
食べるのに夢中になっているフィオナは気付いていないが、徐々にコンベアーの速度は速くなってきているのだった。
こうしてフィオナはどんどん肥えていった。

〜キャシー〜
キャシーの通された部屋は床に大きな魔方陣が描かれた部屋だった。
部屋の隅にぽつんとベッドが置かれている。
ヴェラ「キャシーさんは魔力の量を増やしたいのよね。それならこれを飲むといいわ」
そういってフラスコに入った怪しげな液体を手渡された。
キャシー「こんなんもので本当に魔力量が増えるんですか…?」
ヴェラ「これは魔力の許容量を増やす効果があるの。この部屋には防御の魔法がかけてあるら滅多なことでは壊れないから、限界まで魔法を使いまくってくださいな。その後にはゆっくりお休みになってください。これを繰り返すことで魔力量が増えていきますわ。
食事は私が運ぶから心配しないでね」
そういうとヴェラは部屋から出ていった。その後キャシーは限界まで魔法を使用し、眠りについた。
そしてキャシーは空腹で目が覚めた。魔法はエネルギーを多く消費するので無理もない。
すぐにヴェラを呼んで食事を運んできてもらった。普段よりも多くの食事を摂り、魔法を使って休むことを繰り返した。


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