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囚われの姫騎士

56名無しのごんべへ:2020/11/15(日) 18:02:51 ID:D4PifG6E0
「グルルル…グギャッ!?」

何かを探すようにウロウロ歩いていたオークが急に前に倒れる。
背後から現れたのは、血糊で濡れた剣を持ったリリシアだった。
どこか隠れて休める場所がないか、と歩みを進めながら魔王軍の部下を1人ずつ倒していたのだ。

「フゥッ、フゥッ、フゥッ……むぅぅぅ!?」

息を整えていたリリシアが急に腕を噛み始めた。
叫び声で魔王軍に見つからないように、と声が出そうになるたびに腕を噛んで声を出さないようにしていたのだ。
いくつも腕に残る歯型が痛々しかった。


「ふぅ、ふぅ…ふぅーっ、ここなら、少し休めますわ」

それから少し歩いたリリシアは木々が少ない開けた場所に出てそう呟く。
小川が流れているのを見つけたリリシアは、陣痛に耐えながら歩いて疲労が溜まった体を癒そうと小川に近づいた。
喉を潤し、張り付く服を脱いで小川で汗を流しながらリリシアは周りを伺う。

「あそこなら…洞窟があるかもしれませんわ。魔王軍に見つけられずに産めるかも…」

少し先に山があるのを見つけたリリシアはそう呟く。
幸い、距離はそこまで遠くはない。小川に沿って身を隠しながら進めばここで産むよりは見つかりにくいだろう…リリシアはそう考えていた。

「あと、少し…ですわ。あとっ、少しィィ…」

いきみの衝動はひっきりなしに襲ってくる。
精神的にも体力的にも限界に近いリリシアだったが、
『ここで産んで楽になりたい』と言う本能に逆らうように小川からあがり、
体を乾かす間も惜しむように服を着たあと身を隠しながら山の方へと進み始めたのだった。


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