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没ネタ投下スレ

38 ◆gFOqjEuBs6:2010/11/10(水) 11:31:33 ID:kw7JXkBY0
 
「お前は動くなよ」

 されど、ヒカリの思惑通りには行かない。
 最初の一歩を踏み込んだ瞬間に、ヒカリを襲撃したのは光弾。
 コーカサスが、破壊剣を持った右腕はそのまま、左腕を真っ直ぐに突き出したのだ。
 アンデッドの力の結晶たるエネルギー弾が迫り、ヒカリの胸部で爆発。

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」

 突然の攻撃に、ヒカリがその片膝をアスファルトに付ける。
 ヒカリとて、もう余分なエネルギーが残っている訳ではない。
 先程のナイトシュートが失敗に終わった時点で、残ったエネルギーはほんの僅かなのだ。
 そして残り僅かなエネルギー波、限界を超えたダメージによって消失。
 ヒカリの腕に構成されていたナイトブレードが、霧散するように消滅した。
 されど、そうしている間にも、メビウスの悲痛な叫びは止みはしない。
 何も出来ない無力感に打ちひしがれながらも、手を伸ばす。
 この力が届かなくとも、目の前で苦しむ誰かを助けるくらいは、出来る筈だ。
 出来る筈なのに――その腕は宙を掻き、その指は虚空を掴む、だけしか出来ない。
 想いだけでは……それに伴った力が無ければ、何も守る事は出来ないのだ。
 力無く伸ばされた手は、メビウスに届く事は無く。

「あぁぁぁぁぁぁぁッ!! うわぁぁぁぁぁぁッ!! あ、があぁぁぁぁぁぁあ――ッ!!」

 絶叫。聴くだけでも力が抜けて行くような、一際大きな断末魔。
 コーカサスの放った光が、メビウスの全身を爆ぜさせる。
 全身が爆発を開始し、メビウスの身体中で起こる小さな爆発は、大きな爆発へと変わって行く。
 やがて、爆発がメビウスの身体を包み込み――メビウスの声が途絶えた。
 メビウスの身体が、光の粒子となって消滅したのだ。

「ミライ……」

 先程までメビウスが居たその場には、もう誰も居ない。
 先程まで目の前で苦しんで居たメビウスは、光になって消えた。
 何も残らなくなったアスファルトを、ただ呆然と眺める事しか出来なかった。

「これでわかったろ? お前らじゃ、僕には勝てないのさ」
「キング……貴様……」

 青い拳を握り締め、振り上げる。
 同時に、今までに無い程の高速で明滅するカラータイマー。
 天道総司自身にも、もう解って居る。自分に、奴を殴るだけの力など残って居ない事に。
 振り上げたヒカリの腕は、何処にもぶつけられはしない。
 宙へ向かって振り抜かれる事すら叶わず、青の拳が光になって行く。
 最後にコーカサスを、その銀の瞳で睨み付け――光は、全身に広がった。
 これで本当に、ヒカリに残されたエネルギーも尽きたのだ。
 間もなくして、ヒカリの身体もメビウスと同じように消滅した。


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