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決闘バトルロイヤル part4
172
:
◆ytUSxp038U
:2024/09/12(木) 22:39:10 ID:/fKPqQI.0
投下終了です
173
:
名無しさん
:2024/09/16(月) 17:04:20 ID:tZPTUM5w0
ゲリラ投下します
174
:
懺恨のJudgment
◆4Bl62HIpdE
:2024/09/16(月) 17:06:07 ID:tZPTUM5w0
僕は、百雲龍之介。
突然、殺し合いに巻き込まれて…モンスターに襲われそうになっていた所を、大我さんに助けてもらって。
それからリゼさんと橘さん、海馬さんに出会って僕を鍛えてもらって。
そうして、――僕は助けてもらってばっかりで、それでもせめて、皆の役に立てるようになりたくて。
それで
なんで、こうなったんだろう。
「―――っ」「……おい、大丈夫か」僕は途切れかけた意識の中で目を覚ました。
気付いたら、僕は大我さんの腕の中にいるようだった。
……そうだった。僕は海馬さんと二戦目のデュエルをしようとした所に―――
『百雲ッ!!』『レベルアップ!バンバンシューティング!!』
…突然、化け物のような触手が襲ってきて、大我さんが庇ってくれたんだった。
はっ、と僕は意識を取り戻して、言った。「大我さんは……!」「……無事だ。変身は、解除されちまったがな」
よかった、と思うより前に、僕は分断されたカフェテリアの向こう側を見る。
触手の向こう側には、ギャレンに変身した橘さんと、それに庇われたリゼさん、そして――海馬さんがいた。
…NPC以外の、初めての、殺意を持った敵との戦いだった。僕は、……僕は。
目の前の触手を操る男の殺気が、恐くて、気持ち悪くて、仕方なかった。
◇
「融合召喚!!現れよ、ネオ・ブルーアイズ・アルティメットドラゴン!!」
先手を切ったのは、海馬であった。
三つ首の巨大竜が、目の前の触手群――鬼舞辻無惨を襲わんと砲撃を畳み掛ける。
だが――速さが違う。砲撃は躱され、逆に触手の塊がブルーアイズに襲い来る。
「罠カード発動!<<身代わりの闇!!>>デッキからモンスターカードを墓地に送る!」
カードから闇が噴き出し、無惨の攻撃は無効となる。――そして。
一瞬の勝機に賭ける。この攻撃が効かなければ、――ギャレンでは、打つ手がない。
「DROP」「FIRE」「GEMINI」
「BURNING DIVIDE」
その間に、リゼを後方に下がらせたギャレンが駆ける。
闇の中、ブルーアイズに触手を集中させた無惨の脇から、焼けるような分身のキックが、飛来した。
爪先がぶつかり、爆炎が舞う。
――しかし、それすらも無惨は何の関心も持たずに冷ややかに摘み取る。
「……」「ぐ、ぁぁっ……!」
……火力が、足りない。
ギャレンの蹴りは無惨を爆裂へと至らず、肉に焼け付いた炎ごと蹴りはその態勢のまま受け止められた。
175
:
懺恨のJudgment
◆4Bl62HIpdE
:2024/09/16(月) 17:07:38 ID:tZPTUM5w0
脆い。それが無惨の抱いた感想だった。このまま脚ごと潰せばいい話だ。
無惨の触手が、力を籠める。「う、ぐぁぁぁっ!!」
「…ブルーアイズ!」ブルーアイズが砲撃でアシストを行う。だが……無惨は予期していたかのように跳躍し、持ち上げているギャレンごと攻撃を躱した。
舞台は空中に移る。このまま肉、骨ごとギャレンの脚部はプレス機のように潰されるのも時間の問題だった――
「RIDER CRITICAL STRIKE」
だが、何者かが飛来した。そして、迎撃せんとする触手ごと、無惨は蹴り飛ばされた。
「……チッ……!!」
「……うぐっ」
ギャレンが落ちる中、…何奴も此奴も、何故ここまで邪魔をするのか。態勢を整えた無惨は一瞥した先を見た。
間一髪の所を救ったのは、最後の支給品、市販品の仮面ライダークロニクルガシャットで変身した仮面ライダークロノス…大我だった。
「……おい、お前」…所詮変貌したとて、食料は食料。依然として無視する。だが、そんな中目の前の男は続けた。「……いいモン持ってんじゃねぇか」
そこにあったのは、無惨のデイバッグ。大我……クロノスはガシャットを抜き、デイバッグの中にあったそれを腰に充てた。
バグルドライバーⅡ。そして……手に持つのは、クロニクルガシャットと……ハイパームテキガシャット。
「………」無惨から見れば、隙でしかないその動作。だが……目に映るのは、幾度となく見てきた鬼狩りのそれと同じ闘志。
尚もふらつきかける大我を、触手が襲い来る。「……食い止めろ、ブルーアイズ!!」
だが、そこに相対するのは三つ首の竜。「……罠カード発動、<<<強化反撃>>>!!」
強化反撃。自分が受けるダメージを0にし、バトルフェイズ終了時までモンスターの攻撃力をアップする。
所詮は人間の傀儡。…されど、無惨の苛立ちが募る。
「……大我さんっ………!」次いで、戦場の中にデッキを携えて百雲が追ってくる。…そして、百雲は変身が解除された大我の貌を見て、絶望した。
「……もぐも。それを持ってろ。こいつはゲームクリアに必要な物だ」大我は、クロノスの変身の後遺症で吐血していた。…そして、ハイパームテキガシャットを投げ渡される。
「…お前は…俺が絶対に護る。――変身…!」
「バグルアップ!!天を掴めライダー!刻めクロニクル!今こそ時は極まれり!!」
その刹那、強化反撃の砲射すら躱し切り、攻撃力4500のネオ・ブルーアイズすら八つ裂きにして仕留めた無惨の触手が襲い来る。が―――
「PAUSE」
瞬間、無惨の、周囲の時が止まる。
176
:
懺恨のJudgment
◆4Bl62HIpdE
:2024/09/16(月) 17:08:53 ID:tZPTUM5w0
「ぐふっ………う"う"っ」
ゲーマドライバーの時とは比にならないほどの、全身を蝕む激痛とウイルス。――これで仕留める。
クロノスは、ドライバーのボタンを押した。
「KIMEWAZA……CRITICAL CREWS-AID」
時間を司る雷撃の蹴りが、無惨に放たれる。
直後、花家大我の体力は、限界を迎えた。
「RE-START」
「ぐ、はっ」
「ぐ、あぁぁっ……!!」
時間停止が強制的に解除され、変身が解除された大我と雷撃を喰らった無惨は倒れる。
理解出来ない。突如奴を喰らおうとした触手が一瞬で躱され―――
一瞬。…こいつは。
「…ドロー……!」…また傀儡を召喚されてはたまらない。無惨は海馬に触手を飛ばし、海馬は反射的にカードのドローを止め触手の届く範囲外まで避ける。
「チッ……!!」何とか傷を負わずには済んだ。…だがまずい。海馬は避ける事には成功したものの、直後、最悪の思考に追いやられる。
…今モンスターを召喚しても間に合わない。海馬は、次に無惨がやろうとしている事を見ている事しかできずにいた。
それは、百雲も同じだった。…ドローする動作をすれば、確実に喰われる。
だけど、ドローしなければ殺されるのは……大我さんだ。
動いて、動け、僕の体……
…僕は海馬さんみたいには、できない。
思念とは裏腹に、百雲は戦意を喪失していた。…この化け物と戦おうとすら、深層の意識では思えなかった。
腕から脇部に掛けて、歪に開かれる巨大な牙と口腔。無惨は、大我を喰らおうとしていた。
「……や、め………ろ……」大我には、もはや抵抗する力など残ってはいない。
やがて、無惨が大我に接近し、そして――
「キメワザ!!バンバンクリティカルフィニッシュ!!」
無惨は大我を喰らう直前で、ビーム砲に弾き飛ばされた。
「ぎ、ぁああああああああ!!!!」撃たれた無惨は怒りとともに、戦闘態勢を整え、射撃を放った主に触手を食らわせようとする。
射撃を行った―――リゼに。
「……リゼ、さん……何を」
百雲は、ようやく近づけた大我に寄り添いながら、リゼのその姿を見て……絶句した。
――そのガシャットの、解説書は読んだ。後は、私が出来ることをやるだけだ。
リゼの腰には、大我のゲーマドライバーが充てられていたからだ。
「海馬さん、……もぐも。……大我さんと、橘さんを頼む。」「リゼさ、ん」
『"いや、俺は一流なんかじゃない。こんな情けない俺のせいで愛する人を失ったんだ。
……だがリゼを特訓して、君の友達を守るくらいはしたいと思ってる"』
177
:
懺恨のJudgment
◆4Bl62HIpdE
:2024/09/16(月) 17:09:27 ID:tZPTUM5w0
「………やめろ、よせ……!」薄れゆく意識の中で、大我が叫び。
「……やめてくれ、それだけは……。」変身が解除された最中で、橘が願うことしかできずにいた。
――やめてくれ。俺は君にそんなことをさせる為に……。
…ごめん。ココア、チノ、メグ――マヤ。私は、皆に、会えないみたい。
――私は、ここまでみたいだ。
リゼが手にしたのは、大我のゲーマドライバーと……挿入してあるのは、バンバンシューティングガシャット、そして……ハイパームテキガシャット。
「……。」無惨は、見る。…何故人間共は、ここまで生き汚いのだろう。
最早厭りだと言わんばかりに、無惨は尚も数十の触手で裂死させようとした。
「変身」しかし、触手群が襲い来ると同時に――ゲーマドライバーが開く。
「ガッチャーン!ムテキレベルアップ!バンバンシューティング!…アガッチャ!」
直後、無惨の数十の触手が金色の光群とともに弾かれ、千切られる。
「何…?」無惨が驚愕する中、ムテキとなった仮面ライダースナイプ……リゼは、触手を振り払うように跳躍し…ハイパームテキガシャットをキメワザホルダーに入れた。
「いっけええええええ!!!!!!」
『キメワザ!!ハイパークリティカルストライク!!!』
黄金に輝くスナイプから放たれる、渾身のキック。無惨を弾き飛ばすように、――そして、大我達から数mからでも引きはがすように、行われる高速移動の連撃。
「ぬ、ぐう……!!」…おかしい。此方の触手が効かない。
流石の無惨でも、今迄の蓄積されたダメージ、そして幾重にも重ねた触手群を物ともしないリゼの猛攻に、F-2のエリアから引き剝がされつつあった。
先刻の攻撃で心臓も脳も、四、五以上潰されている、不味い。このままでは――
「オォォ……!!」
リゼは、もう輝色の蹴りから止まる気はなかった。もぐもが、海馬が、大我が、――橘さんが無事に逃げれるように、少しでもこいつに痛手を負わせる。
ごめん、橘さん。一人にさせてしまって。
だから、みんなを―――絶対に…………
「タイムアップ」
178
:
懺恨のJudgment
◆4Bl62HIpdE
:2024/09/16(月) 17:11:13 ID:tZPTUM5w0
◇
何だったんだ、あの力は。
F-3。
少女を文字通り、頭部から砕きその脳漿で濯いだ無惨は思い出す。
あの白髪の混じった男が使っていた能力―――「時を止める力」を。
……この女の抵抗に遭い、随分と引き剥がされた。北に逃げていくのは視えた。――もう直、朝が来る。
一か八か、か、――再び追わねば。
戦いはまだ、終わっていない。
【F-3 川辺付近/一日目/早朝(日の出まで数十分)】
【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[状態]:ダメージ(中、理世を喰らった事により多少回復中)、疲労(大)、主催者への不快感(極大)、恐怖と焦燥感(大)
[装備]:
[道具]:ゲーマドライバー&バンバンシューティングガシャット@仮面ライダーエグゼイド、ハイパームテキガシャット@仮面ライダーエグゼイド
[思考・状況]基本方針:誰であろうと殺す。
1:金髪の男(DIO、名前は知らない)を喰い殺すか白髪の男(大我)の力を手に入れ、時を止める力を手に入れる。
2:1が完了するまで耳飾りの剣士(縁壱)との接触は絶対に避ける。何時まで私に付き纏う気だ貴様は。
3:…直に朝だ。この女の身に着けていた装備が使えるか?
4:全てが終わったら檀黎斗を殺す。二度と私の前に姿を見せるな異常者が。
5:黒死牟は放って置いても私との合流を目指すだろう。奴の首輪が必要かもしれん。
[備考]
※無限城決戦終盤からの参戦(寿命残り数日)。分裂不可。再生能力は今のところ健在。
※配下の鬼への呪いは無効化されています。
E-2。
「……目覚めたか。」
…俺は意識が醒め、何者かに担がれている感覚を感じ取った。
そこに居たのは、ギャレンと、同じく担がれている大我。――そして、曇り切った眼で海馬に付いていき、この状況が受け入れられずにいるような百雲。
……何が起こったんだ。リゼが変身して、それから……
「リゼ、リゼは……!」「……残念だが」目の前の、ギャレン…海馬は首を横に振った。
あの時、リゼが変身した直後――海馬はギャレンに変身し、大我と橘の二人を背負いF-2から離脱していた。
…リゼの犠牲に、そして二人を背負って撤退の判断を下した海馬は悔やむと同時に、思い返す。…ギャレンのまま無惨に立ち向かう事も出来た事を。
…海馬は死ぬ事を、この殺し合いを恐れていなかった。だが……今ここで自分が死ねば、確実にここにいる全員が死ぬ。…死を恐れていないのではなく、海馬は生きて檀黎斗の下へたどり着く為に撤退する道を選んだ。
「ぁ、ああ……!!」意識が覚醒していき、今此処には居ない、…そして永遠にいなくなってしまった彼女の顔がフラッシュバックする。
橘は、その意味を知る。残されたのは、負傷した脚。
『橘さん。私もみんなを――友達を守りたいんだ。……だからもし良ければ、私を特訓してくれないか?』
『橘さん。今すぐ私を鍛えてくれ!!』
『橘さん―――
思い出すのは 自身を頼ってくれたリゼの顔。
「ぁぁああああああああああああああああああぁああああああ―――!!!!」
橘の慟哭が、空しく響くのみだった。
【天々座理世@ご注文はうさぎですか? 死亡】
179
:
懺恨のJudgment
◆4Bl62HIpdE
:2024/09/16(月) 17:13:55 ID:tZPTUM5w0
【E-2/一日目/早朝(日の出まで数十分)】
【海馬瀬人@遊☆戯☆王】
[状態]:心身の疲労(中)、リゼを見捨てた後悔、ギャレンに変身中
[装備]:海馬瀬人のデッキ&新型デュエルディスク@遊☆戯☆王THE DARK SIDE OF DIMENSIONS、ギャレンバックル@仮面ライダー剣
[道具]:基本支給品、無惨の支給品
[思考・状況]基本方針:この決闘を粉砕したのち、アテムと決着をつける
1:檀黎斗と、あの異形(無惨)と闘うための方法を模索する。あの自称神はこのオレが粉砕してくれるわ!
2:首輪を解除したい
3:アテム及び共に存在しているであろう遊戯を探す。
そうそう死ぬとも思えないが、お友達が死んで心に隙が生まれれば万が一があるかもしれない。
器の遊戯の実力にも興味がある。当然凡骨は放置だ
4:残酷にも殺された少女(条河麻耶)のように闘う意志も牙も持たぬ参加者と遭遇した場合、保護も検討してやろう。
5:百雲を鍛えてやる。貴様を焚きつけて死なせるのは俺の沽券に関わる。
[備考]
※参戦時期は本編終了後から映画本編開始前のどこか。
【橘朔也@仮面ライダー剣】
[状態]:心身の疲労(大)、脚を負傷、リゼを護れなかった後悔
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜2
[思考・状況]基本方針:剣崎の分まで人々を助ける。ゲームマスターも倒す
1:リゼ……。
[備考]
※参戦時期は最終回後。
※遊戯王OCGのルールを多少把握しました
※脚の負傷具合については後続の書き手にお任せします
【百雲龍之介@不可解なぼくのすべてを】
[状態]:心身の疲労(極大)、ストレス(極大)、自身の無力に対する後悔
[装備]:リゼ専用スピアー@きららファンタジア、デュエルディスクとデッキ(ウィッチクラフト)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、リゼの支給品
[思考・状況]基本方針:……。
1:…何にも、できなかった。ぼくは……
2:リゼ、さん………
3:大我さん……
[備考]
※参戦時期は少なくとも十四話以降かつ二十三話までのどこか
※遊戯王OCGのルールとウィッチクラフトの回し方をだいたい把握しました。
海馬とのデュエルで、さらに成長するかもしれません。
※先行ドローをしてませんが、別にドローしてもいいことに気付いてません。
(ZEXALまでなので先行ドローがOK)
多分直に気付きます。
【花家大我@仮面ライダーエグゼイド】
[状態]:ダメージ(中)、気絶中、バグスターウイルスの後遺症、心身の疲労(大)
[装備]: バグルドライバーⅡ&仮面ライダークロニクルガシャット(市販品)@仮面ライダーエグゼイド
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:このゲームは俺がクリアする
1:……。(気絶中)
[備考]
※参戦時期は仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング終了後
※遊戯王OCGのルールを多少把握しました
180
:
◆4Bl62HIpdE
:2024/09/16(月) 17:14:22 ID:tZPTUM5w0
投下を終了します
181
:
死者からの手向け
◆EPyDv9DKJs
:2024/09/29(日) 11:06:06 ID:MxLPb58g0
投下します
182
:
死者からの手向け
◆EPyDv9DKJs
:2024/09/29(日) 11:06:54 ID:MxLPb58g0
「これで多少ましになるだろ。」
D-4の孤島。
孤島にしてはよくできた家があり、
美食殿と呼ばれる場所で凌牙と蛇王院は一時的な休息をとっていた。
そこを物色したところ包帯は確保できたことで止血は何とか済ませることに成功。
軽く体を動かすが、流石に傷が浅いとは言えず動きのキレは普段よりよくはない。
だが贅沢は言ってられない。ジャンヌを相手に応急処置できる程度の傷で生存。
それだけでも僥倖と言うものだろう。
「よし、さっさとお前のサメを使ってエリア移動するぞ。」
美食殿につくころには出血のせいか気絶しており、
休息に時間を使ってしまったことで既に時間は明朝。
できることなら早急に明石と合流しておきたくもあった。
明石自身は戦闘経験になれていると言えども、不安は拭えない。
遊星同様に殺し合いの根幹の一つである首輪を何とかできる可能性を持った一人。
殺し合いそのものを打破するという意味においても失うわけにはいかない。
「だがどの方角かも分からねえんじゃ探しようがねえぞ。」
美食殿が位置するD-4は三方に水路が別れている。
流石にジャンヌと戦った以上北の上流を目指すことはないにせよ、
左右どちらのルートへ行ったのかわからず、どちらもさらに水路が分岐している。
そも、ジャンヌが追うのを見越して陸路の可能性だってあるので事実上選択肢は無限だ。
「じゃあとりあえず西へ目指してみるか。」
「何か理由があるのか?」
「D-2にも孤島がある。俺が明石のように水上を自在に動けるなら、
そこを休憩にするか、自分以外を寄せ付けない意味でもありうる。
まあ空を飛ぶ連中なんてのを俺は見ちまってるからいないとも思ってるが。」
基本的なことは部下である美潮が参謀として勤めているが、
だからと言って蛇王院が総長として劣ってるかと言われれば別だ。
頭がいいかどうかで言えばよくないが、無能と言うわけではない。
水上を移動できる人物はいないとも限らないのは既に過去の戦いで経験済み。
空中要塞グランメサイヤに、空を飛ぶ仲間を連れてやってくる狼牙軍団がいたわけだ。
その判断は理にかなっており、移動する理由としては十分な説得力がある。
「なら一先ずそっちだな……乗りやすい鮫モンスターはどれになるんだか。」
「鮫しかいねーのかよ。」
「俺のデッキは魚で構築されてるが大半はシャークモンスターだからな。」
「じゃあこのアーマード・シャークって奴でいいだろ。
ビック・ジョーズと違ってヒレが刃じゃなくて捕まりやすそうだ。」
「あとはこれでいいか……来い! アビス・シャーク、アーマード・シャーク!」
蛇王院の前に召喚されたのは赤と黄色の装甲を纏った鮫が、
凌牙の前に召喚されたのは紺色の身体に金のヒレが目立つ鮫が召喚される。
召喚した後二人はそれに乗って、水路を颯爽と駆け抜けていく。
「にしてもデュエルモンスターズってのは随分便利だな。
移動、索敵、戦闘、人海戦術……自由自在に扱える。
もし技術が盗めるようなら、スカルサーペントにもほしいところだ。」
スカルサーペントは常に人員不足の組織だ。
守っている人たちからは誹られ、ほかの争いから逃げてきた学徒を仲間に引き入れて、
ようやくホーリーフレイムと何とか渡り合えているレジスタンスのような組織になる。
総員合わせても約3000名。異国人のみで構成されたホーリーフレイムよりも少ない。
だからそれらをすべて帳消しにできるようなデュエルモンスターズの技術に興味が沸く。
「どうだかな。命がけのデュエルをしてるのは俺達ぐらいだ。
普通ならどこにでもある遊ぶためのカードゲームにすぎねえよ。」
「バトルジャイロみたいなものか?」
「それが何かは知らねえが……まあ遊びの程度だ。
ま、俺たちはその遊びや普通から外れてたけどな。」
バリアン世界の為人間界へ侵攻したあの時を思い返す。
あれはデュエルを用いた戦争に等しい行為でもあった。
あれを思えば、戦争の道具になるかどうか言えばなるだろう。
遊馬はそれを否定するのは目に見えてるが。
「おい、誰か倒れてるぞ。」
注意深く周囲を警戒してたことで蛇王院が人の姿に気づく。
言われてアビス・シャークを止めて先に降りた蛇王院についていくが、
「……は?」
倒れていた相手の姿に、思わず間抜けな声が出た。
確かに思った。殺し合いに向いている性格ではないと。
だからと言って、もう既に死んでいて今こうして死体として邂逅する。
そんなもの予想できない。ここにあるのは九十九遊馬の死体。
いや、予想したくなかったというべきだろう。
長い付き合いを経たライバルのような存在が、
こんなところで死んでいるなんて。
183
:
死者からの手向け
◆EPyDv9DKJs
:2024/09/29(日) 11:07:47 ID:MxLPb58g0
「おい、何寝ていやがるんだ。」
どんな逆境でも人を信じると力と諦めない心、
かっとビングで希望を手に、数々の道を切り開いてきた。
カイトを、トロン兄弟を、フェイカーを、バリアンを、ドン・サウザンドを倒した。
しかし目を覚ますことはない。あの騒がしく、かっとビングだと叫ぶ少年は二度と目覚めない。
「何寝ていやがるんだ!! いい加減目を覚ませよ、遊馬ッ!!」
この現実を受け入れるには、付き合いが長すぎた。
鉄男のデッキを取り戻す、あの頃から遊馬は幾度とデュエルをしてきた相手だ。
それを死にました、はいそうですか。そんなもので納得できるわけがない。
「落ち着け凌牙。」
遊馬の胸ぐらを掴む凌牙の肩を蛇王院が掴む。
肩にかけられた圧は強く、夢や幻ではないことを現す。
九十九遊馬は確かに死んでいる。どうしようもない事実を突きつけられる。
「……悪い。」
冷静さを失っていた。
誰が見ても明らかなことであり、
謝罪と共にゆっくりと降ろし、数歩歩いた先で近くの地面を叩きつける。
怒りでどうにかなりそうな感情を、一先ず痛みで沈めてるようなものだ。
その間に蛇王院が検死のように軽く様子をうかがう。
「頭部の傷と血痕から高所から落ちてきたのは確実だが、
銃創もあれば、服の橋が焦げてたりで情報が多すぎる。
他には……ん? 凌牙。これこいつのカードか?」
死体を軽く動かした際に何か音がして、音の発端となるケースを開く。
深淵の冥王が遊馬の支給品は大体回収したが、唯一回収できなかったカード、
閃刀姫ーカガリのカードが出てきて、凌牙にそれを見せる。
「いや、遊馬のカードじゃねえ。それにリンクモンスター?
青いカードと言ったら儀式モンスターのはず……確かアプリに説明があったな。」
見知らぬモンスターに戸惑いつつも、
冷静に導入されたアプリでルールを確認する凌牙。
遊馬の死に動揺や憤りはあるかどうかで言えばあるだろう。
だが復讐心にかられるつもりはない。
『憎しみで!! 復讐で!! デュエルしてお前、楽しいのかよ!!』
後に多くの復讐者を止めてきた遊馬の言葉だ。
もしも復讐心にかられて行動を起こせばこの先、
デュエルを殺しの道具としか見れなくなるのだろうと。
それはあいつが望むことじゃない。だからその心に吞まれるな。
吞まれてしまえばトロンにいいように利用されたときと何も変わらない。
思いのほか冷静に行動している凌牙を見て。どこか安心した顔で蛇王院が一瞥する。
デュエリストでなくても戦いにおいては冷静さが必要不可欠だ。
特に素人目からみてもデュエルモンスターズは複雑なもののはず。
なおのこと冷静さを保てなければ、些細なプレイングミスで首が飛ぶ。
故に少々心配していたのだが、杞憂に終わったことに安心を覚えていた。
「召喚できねえな。召喚条件を満たす必要があるのか?」
「いや、単発のカードとしても使えるみてーだな。
使ったらしばらく使用できなくなるらしいな、どうやら。
だがもっとやべーものをこいつは持っちまってたみてーだな。」
基本支給品も残っていたので、
デイバックを漁ればその説明書が残されている。
故にどういう使われ方をしたのかはおおよそ理解したが、
問題なのは村雨の説明書を読み終えると二人はともに眉をひそめる。
「斬られればそれだけで死ぬ、か。
マジに物騒なものを持っていたようだな。」
「あいつのことだから騙されて誰かに渡してそうだな……」
デイバックが奪われてないことから、
遊馬が何らかの理由で放置されていたのは分かる。
だから殺されてから奪われた、と言う線はまずないだろう。
騙されて渡したとかの方が、よほどあり得るのが遊馬らしくある。
「信用できる奴に渡ってればいいけどな。で、どうする? こいつの形見だが。」
生身でモンスター以上のスペックを発揮する蛇王院にとって、
カガリを使ったところで戦力がプラスになるとは思えなかった。
それならば遊馬の遺品となることもあり、凌牙に持たせる方がいい。
184
:
死者からの手向け
◆EPyDv9DKJs
:2024/09/29(日) 11:08:16 ID:MxLPb58g0
「ああ、悪いな気を遣わせちまって。」
今は召喚できないし、よしんば召喚しても1500。
戦力としては心もとないが、あいつの忘れ形見なのは変わらない。
もしかしたら、誰かの窮地を救ってくれるカードかもしれない。
事実、リンクモンスターを調べた際にレイとロゼの名前も見た。
参加者である二人のどちらかへ渡せば、何かしらの力になるだろう。
遊馬の遺志はわかり切ってる。かっとビングまでは受け継ぐかは別だが、
殺し合いを止めるという遺志はもとよりそのつもりではあったものの、
改めてその意志を強めることにする。
「……向こうの方でどうやらドンパチやってるみてえだな。」
川を挟んだ向かいの北のエリアでは何やら騒がしい。
もしかしたら遊馬を殺した人物がいるかもしれないが、
一方であのジャンヌがそこにいる可能性だって否定できない。
凌牙の実力は蛇王院からすれば不明だ。デュエルモンスターズを理解しておらず、
彼がどの程度の強さを持ったデュエリストかも知らないのだから当然と言える。
だから今の戦力でジャンヌへと挑むというのは少々心もとない部分はあるが、
同じく味方になりうる人物がいるというのであれば救援、ないし合流はしたくもある。
「凌牙。お前はどうする? 向かうつもりなら俺は止めねえし同行する。
さっきのを見る限りじゃ、デュエリストは前衛なしでは厳しそうだしな。」
ジャンヌから逃げるしかなかったのは、
モンスターを用意して攻めに入る暇がなかった、
と言うのも理由の一つではある(一番は蛇王院の傷だが)。
攻撃をかわせるだけのフィジカルがあれば別だろうが、
いくらデュエリストだからと言って超人を超える身体能力はない。
そのまま挑めばまずジャンヌに首を刎ねられる未来が目に見えてしまう。
「確かにな。蛇王院は来る気があるか?」
「明石には悪いが、放っておくのは性に合わねえ。」
明石も聡明な艦娘だ。
うまいこと敵をやり過ごしたり、
友好的な参加者と出会ってる可能性は高い。
となれば今は急いで向かわねばならない北だろう。
「よし行くぜ凌牙! 俺が抱えて走る方が速いはずだ!」
そう言うと返事も聞かず右腕で凌牙を抱え、川を飛び越えて走り出す。
孤高の鮫は友の遺志を受け継ぎ、北へと向かう。
【一日目/明朝/D-3 水上】
【蛇王院空也@大番長 -Big Bang Age-】
[状態]:胸に真一文字の傷(割と重傷、応急処置済み)、疲労(大)
[装備]:ティアドロップ@Caligula2、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(薄緑ほど使えないかつ回復系ではない)
[思考・状況]基本方針:普段どれだけキレても殺しはしないが、てめらは別だ。
1:うちの傘下や同じ考えの奴がいるならなるべく優先する。
2:九時間後に指定されたエリアの一つに向かい、再度作戦会議。
3:明石、いい女なんだが残念だな。
4:ジャンヌとは必ず決着をつけてやる。
5:今はこいつ(神代凌牙)と一緒に動く。明石が無事だといいんだがな。
6:北へ向かう。
7:村雨を持った奴を警戒
[備考]
※参戦時期は扇奈ルート、狼牙に敗北後。
※異形の腕はそのままです。そのためゲーム上の攻撃で使ってる砲撃も可能です。
細い触手を切られてもダメージはありません。
※遊星、明石と情報交換しました。
【神代凌牙@遊☆戯☆王ZEXAL】
[状態]:動揺、怒り
[装備]:デュエルディスクとデッキ(神代凌牙)@遊☆戯☆王ZEXAL、閃刀姫-カガリ(現在召喚不可能)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品×2(自分、遊馬)、
[思考・状況]基本方針:遊馬の導いた希望の未来のために主催者を倒す
1:遊馬……
2:カイトは協力を頼んでおく。ベクターは……会ってから判断。
3:魔法を破壊出来る上にあの攻撃力……あの女(ジャンヌ)厄介だな。
4:こいつ(蛇王院)の怪我を何とかしないとやばい。
5:遊馬を殺した奴は気になるが、復讐心にはかられるな
6:村雨を持った奴を警戒
7:北へ向かう。
[備考]
※参戦時期は最終回後。
185
:
死者からの手向け
◆EPyDv9DKJs
:2024/09/29(日) 11:08:46 ID:MxLPb58g0
以上で投下終了です
186
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/01(火) 23:45:34 ID:???0
前に投下した二人だけは二人信じてるの一部の内容を修正します。
マヤのプレイングの考察と見落としていた今ロワのエクストラモンスターゾーンの扱いの補足です。
【修正前】
「奴らに関しては関係のある人物と接触すれば、後々、分かるだろ。ところでデュエルを確認し直す」
主催の話を切り上げ、空は再度デュエルのルールブックを確認した。
黎斗によるルール改変が起きたが故、説明書に追加した箇所が記載されていないか念入りにチェックしていた。
カードゲーム方式では死なずに済むのは癪だが、ありがたいけど、逆にリアルファイト方式では今まで通り、命の危険性があるのは変わらない。
ついでにシンクロとエクシーズの試運転をし、あっさり使いこなした。
デュエルといえばキリトは殺された小学生くらいの少女に関するある疑問を思い出した。
「あの少女は何故、デッキの使い方を理解していなかったんだ?」
「説明書を記載していないのは考えにくいし、紙束デッキもあり得ないしな」
これについては主催が説明書を配布ミスや紙束デッキをわざと支給したとも思えなかった。
空自身に説明書も配られたお陰で直ぐにルールを把握し、肉おじゃ戦で完璧に使いこなしている。
空が持っている轟惑魔のデッキだって、徹底的に組み込まれている。
黎斗の放送でデッキは『強力なアイテム』と伝え、デュエルディスクとデッキ以外没収され、平等なのが分かるので後者の線も薄い。
となると単純な答えしかない。
「恐らく、本当にルールを理解していないであろう」
「それか使い方を確認する前に金髪の男に襲われた可能性もある」
そうでなければ、考えもなしにモンスターを出さないだろう。
ルールを把握していたら、最善策は正面から戦わずに魔法・罠カードを使って、時間を稼いで逃げるが勝ちだ。
この理由も仮定の一つで真相は永遠に開示しないだろう。
だが、最大の不運は同行者と巡り遭えなかったことだった。
キリトと空があの場にいれば死なずに済んでいたであろう。
デュエルのルールを空から教えを乞う未来があったかもしれない。
187
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/01(火) 23:47:15 ID:???0
【修正後】
「奴らに関しては関係のある人物と接触すれば、後々、分かるだろ。ところでデュエルを確認し直す」
主催の話を切り上げ、空は再度デュエルのルールブックを確認する。
黎斗によるルール改変が起きたが故、説明書に追加した箇所が記載されていないか念入りにチェックしていた。
カードゲーム方式では死なずに済むのは癪だが、ありがたいけど、逆にリアルタイム方式では今まで通り、命の危険性があるのは変わらない。
ついでにリンクとエクシーズを試運転して、あっさり使いこなし、シンクロ、ペンデュラムのやり方も完全に理解し、熟知もする。
キリトはあることを気にしていた。
「それより、檀黎斗はあれに触れてない」
「キリト、あれは最初に言っておく。この殺し合いに呼ばれたデュエルの経験者は全員エクストラモンスターゾーンを知らない。それを知る奴は経験者ではないごく僅かだ」
「そのために公表しなかったのか」
「それもある。根拠として俺に三つ目の説明書も配布された。」
空は蟲惑魔のデッキとその解説と遊戯王OCGのルールの説明書があるが、実は四つセットで配布された。
最後の一つがエクストラモンスターゾーン付きのフィールドに関する詳細な説明書だ。
キリトには最初の情報交換でエクストラモンスターゾーンの説明も済んでいる。
黎斗の放送が始まるまではそこまで気にしてなかったが、流石のキリトも気になり、エクストラモンスターゾーンに関する説明だけタブレットにも載っておらず曖昧さが残った。
だが、空は放送後、直ぐにエクストラモンスターゾーンとついでにペンデュラム召喚、リンク召喚の存在を知らない別世界の経験者ばかり集められた解答を導いた。
蟲惑魔はリンク召喚が必要で自分に別のフィールドの丁寧な説明書を配られたのもそれ故の特別な処置だろう。
「なら、エクストラモンスターゾーンがないのはバグが起こってるのか?」
「リンクモンスターを召喚する条件が整ったら自動的に出ると支給された説明書に書いてある。どんな仕組みか今は分からねぇが」
「書いてあったんかい」
空は最初に二つの説明書にそれぞれ異なるフィールドが載っており、統一されてなかった。
最後の説明書には自動的にエクストラモンスターゾーンが出現と書かれていても違和感を抱いていた。
肉おじゃとの戦闘でカードをリンク召喚するフィールドにエクストラモンスターゾーンがなく、フィールドは遊戯王OCGの説明書に載っていたフィールドそのもの。
当初はシステムがバグと考えかけたが黎斗が初歩的なミスを犯すとは微塵も思わない。
「次の放送辺りで、フィールドが新設してエクストラモンスターゾーンは自動的に出てくることなく次から設置される」
「さっきの放送で檀黎斗はフィールドを新設しなかったんだ?」
「それを知らない経験者のお情けだろうな。けど、本番はここからだな。檀黎斗が言っていた『真の決闘者なら適応』しろと」
「テストプレイみたいな延長戦が続いているというのか?」
「一番はそうだろうな。目的はそれだけとは限らない」
肉おじゃの襲撃後、経験者への配慮と推測している。
訳の分からない自動的な仕組みなどお役御免だと確信している。
何にせよ一回目の放送後にフィールドが変わり、経験者は困惑や戸惑いが多くなるだろうが、通常通り、メインモンスターゾーンというのに召喚すれば大した問題ではない。
黎斗の狙いは何であれ、経験者にだけこれ以上の贔屓を許すはずもない。
余談だが、実を言うと御伽龍児にもエクストラモンスターゾーン付きのフィールドの説明書が付いていた。
黎斗によって空同様、特別に配布された。
御伽はエクストラモンスターゾーンが必要不可欠なデッキが支給され、彼のいる世界にはエクストラモンスターゾーンは疎かペンデュラム、リンクも存在せず、未知すぎて困惑した。
慣れるのに時間が掛かっても説明書を読んで重要な要素と用語を覚えようとしたが、野獣先輩の襲撃で全てを理解する暇もなく、拳銃で挑む羽目になり、馴染みのデッキを支給しなかったのが死の遠因となってしまった。
「これは俺の見解。檀黎斗は何がしたかったのか現時点では知らん」
188
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/01(火) 23:49:09 ID:???0
本当かどうか今は定かではない。
キリトは空の解答に納得して腑に落ちた。
しかし、デュエルの考察をしていたら次の疑問が生まれた。
「あの少女は何故、デッキの使い方を理解していなかったんだ?」
キリトは殺された小学生くらいの少女(マヤ)のプレイを思い出していた。
デュエルの知識を多少は覚えて来ている。
空のプレイングが完璧な分、少女は全く使いこなせてなかった。
「説明書を記載しないのは考えにくいし、紙束デッキもまずない」
これについては主催が説明書を配布ミスや紙束デッキわざと支給したとも思えなかった。
空自身に説明書も配られたお陰で直ぐにルールを把握し、肉おじゃ戦で完璧に使いこなしている。
空が持っている蟲惑魔デッキだって、徹底的に組み込まれている。
黎斗の放送でデッキは『強力なアイテム』と伝え、デュエルディスクとデッキ以外没収され、平等なのが分かるので後者の線も薄い。
黎斗はそれを見越した上でデュエルのテストプレイをしただろう。
「恐らく、ルールを覚える前に襲われたんだろう」
「それは違う。簡単な話だ。檀黎斗は『彼女のようになりたくなければ』と言っていた。つまり、ルールを覚えられず適応出来なかったのが真相だ」
空は少女のプレイングが最悪でルールも1mも理解せずに戦っていたのをまるわかりだ。
そうでなければ、考えもなしにモンスターを出さないだろう。
ルールを把握していたら、最善策は正面から戦わずに魔法・罠カードを使って、時間を稼いで逃げるが勝ちだ。
「とは言え、キリトがいなかったら俺はあのおっさんに殺されてた」
「いや、空がいなかったらどうなってたか」
キリトはデュエルのルールを複雑すぎるが故に全部把握していない。
少女(マヤ)が理解しきれてないのも仕方ないと思う。
キリトと空があの場にいれば死なずに済んでいただろう。
少女の最大の不幸は同行者と巡り遭えなかったことだ。
キリトも空も一人だったら少女のような末路を辿ってしまったかもしれない。
空からデュエルのルールの教えを乞いたり、一緒に特訓する未来があった。
経験者を除けば空のような頭脳派でなければ全てを理解するのは至難の業だ。そうでない人もいるかもしれないが。
空がデュエルのルールと本質を全て理解出来たのは彼が凄腕の天才ゲーマーだ。
先の戦いで彼の戦略はその一端をお披露目した。
本人曰く妹の白のほうが天才に相応しく彼女不在の現状、制約はあると聞いている。
キリトからしてみれば空の頭脳も天才に相応しい称号だと思っている。
「それはお互い様ってことで。改めてやって行こうな」
「勿論だ」
二人は互いに握手をする。
※現時点では、黎斗によってペンデュラム召喚、リンク召喚の発動条件が整ったらエクストラモンスターゾーンが自動に出てくるようになります。
※第一回放送以降、マスタールール(11期)のデュエルフィールドが黎斗の手で新設されます。
修正は以上です。これまでのリレーに支障はありません。
189
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/01(火) 23:52:27 ID:???0
ついでにキリト、空を予約します。
190
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:02:23 ID:???0
投下します。
191
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:04:19 ID:???0
エルキア大図書館を一時、発った後、少しして二人(+一人)は周囲を警戒しながらも他愛のない雑談をしていた。
現在リリスはシャミ子について話していた。
「シャミ子はかなり純粋で真面目だ。唯一、余を馬鹿にせず尊敬しておる」
「シャミ子と言う人は分かった。いい子なんだな」
キリトと空はシャミ子の人物像をリリスから聞かされた。
お人好しすぎるのが傷だが、彼女の芯の強さが色々な事件を解決して来たらしい。
先日は陽夏木ミカンの呪いを解き、貢献し、更にウガルルという新たなる命を誕生させたとか。
「俺も彼女に会ってみたいぜ」
「空、気になるのか」
「俄然、興味が沸いた。定番の角と尻尾のまぞく。会えるのが楽しみだ」
そんな中、空はシャミ子の話しを聞き興味をそそられていた。
まぞくといってもリリスからほぼ普通の人間のようだと二人は認識した。
勿論、異形のまぞくもおり、狐耳もいると一言漏らした途端、興奮したのは言うまでもない。
「東部連合の巫女さんと被っている気がするが、まあいいか。対面は出来ないのは残念だ」
「あんたは変態か!」
(あやつも大概じゃな。小倉ではあるまいし)
リリスは小倉を思い浮かべていた。
それでも空のほうが真っ当な性格で小倉は論理観がぶっ飛びすぎて比べるまでもなかった。
それを空に煽ろうとしたが、煽り返されるのが目に見えるので胸の内に仕舞っておこう。
空の意外な一面を知ったキリトは思わず突っ込んだ。
キリトは質問を切り出した。
「ミカンって子の呪いの話しで、あんたも活躍したんだったな」
「そうだ。余のアドバイスのお陰でウガルルの召喚に成功したのだ」
「シャミ子の頑張りもそうだが、リリスは本当に魔法、魔術の知識が広いな」
「余の専門分野だからな」
「ただ、この場では一旦、リセットだ。何が起きても不思議じゃない」
「もう目に焼き付けておる。実験も検証済みだ」
空はリリスの制限を振り返っていた。
エルキア大図書館を発見する前、リリスは自身の能力を話してくれた。
その一つは肉体を他者と入れ替えるらしく、キリトが名を上げて検証したが、何も変化はない。
リリスは動揺したが、当たり前の処置だ。
黎斗の殺し合いに身体の交換を断固求めていない。
逸脱した能力を黎斗が許す訳もなく、制限対象も納得である。
二つ目は夢見の能力で他者の夢に入り込めるが、リリス本人から封印中の身でシャミ子以外は介入・侵入は不可らしい。
そうでなくてもシャミ子を含めて夢に出入りは禁止なのも当然の結果だ。
上記の二つをリリスに伝えた。
最後に能力に入れるか微妙だが、よりしろを要して、単独で動けるらしい。
本人曰く大量のよりしろがあれば空黒の助力が可能ということ。
空の推測では、肉体の交換と違って自由行動は容認されるだろう。
よりしろもごせん像同様に他の参加者に支給されている希望があるかもしれない。
ただし、それの制限も加える可能性がある。
黎斗によって行動出来る時間が限られているだろう。
具体的に活動時間は何時までかは不明で、少なくとも短時間だろう。
リリスの為にもよりしろを見つけるのに越したことはない。
それが見つかっても大きくする道具が必須である。
本人曰く手のひらサイズらしく戦略次第で小さい利点を活かせないまでもないが、それだけでは限界だ。
加えてリリスが扱える支給品も探さないといけなくなる。
それらも探すとなれば相当骨が折れる。
192
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:05:52 ID:???0
空が考察し終わった直後、リリスは要望を出す。
「よりしろを見つけたら余だけ島の外に行く」
空黒の二人が外の調査を行っている間、この時のリリスは存在に気づかれずに爆睡していた。
地図外の調査報告は空から全て聞かされた。
リリスは直接地図の外の様子を見た訳ではなく、空ですら見抜けない複雑すぎる仕掛けが組まれている可能性もある。
もし、魔術関連ならこの目で確認する必要があった。
空黒には首輪があるから、二人のスタート地点がD-8の狐島でいくつかのボートがあるらしいので、リリスが乗れるようなボートに一人で行くつもりだ。
「何を言ってるんだ!!そんなの出来る訳ないだろ!!」
「あの時は寝てた余の自己責任だ。もし、余にしか気づけない仕組みがあるなら・・・」
「俺達があんな危険地帯に送り出さないだろ!」
「余は首輪を付けてない。それを利用して調査するのは・・・」
「落ち着けリリス。過ぎたことは仕方ない。失敗は誰だってある。何れ別の用事が入る場合もあるし、今から挽回すればいい」
空の言葉にリリスは心を落ち着かせる。
心の奥では焦っていて、よりしろがないと動けない自身の情けなさに。
よりしろが見つかるまで空黒とシャミ子達の助力不可で、待たないといけない現状。
何より、初手で殺し合いという異常事態に巻き込まれたにも関わらずに呑気に爆睡する大ポカをしてしまった。
責任として、よりしろ経由にて一人で地図の外に行く予定のはずだった。
「すまぬ。キリト、空。それは無茶すぎた」
「いいよ。元はリリスを認識出来なかった俺にも非がある。御相子さ」
「リリスあんたにはあんたなりの役割がある。いざという時は空黒がフォローする。家族と知り合いを探し出し、よりしろも必ず見つける」
魔法、魔術の知識の幅が広く、充分有能だ。
他世界から様々な参加者がいるが故に油断ならないのを忘れない。
魔法、魔術関連で相手にする場合は彼女が鍵になる日が来る。
よりしろ探しの頼みも完全に承諾したし。
(お主らこんな余の為に有難い。でも・・・・・)
自分の為に叱ったり、心配してくれる二人には感謝する。
しかし、一点だけ後ろめたさがある。
(シャミ子らは今頃、何しているのかな。)
自分の家族と知り合いの魔法少女だ。
リリス自身は雑談する程、平和で皆がそうでないと限らない。
あくまで、自分が知る限りの話しで、爆睡中に彼らは筋肉質のパンツ一丁の男に襲われたが、返り討ちにしたと聞いた。
特に吉田一家は空黒の様な頼れる人に保護しないと危険度が増す。
桃とミカンの捜索は後回しへと段々と傾いて来た。
無論、心配する気持ちもあるが、二人は最低限の自衛は出来るし、簡単にくたばらない。
ミカンは呪いがなくなって、吹っ切れるくらい人助けをしているだろうし。
桃もシャミ子達の捜索を優先しつつ、ミカン同様、言わずもがな。
偶然、合流したら、ミカンには挨拶をしておこう。一応、桃にも。
193
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:07:07 ID:???0
小倉の優先順位は低くない。
保護対象もあるが、オカルト系に詳しい彼女なら、等身大のよりしろを作って貰える。
小倉に会えば、空黒によりしろ探しの負担を減らせる。
自分の容姿の再現はこの場ではとっくに諦めている。
吉田一家が如何しても気掛かりだ。
エルキア大図書館を離れた直後に大事な三人の家族に胸騒ぎがした。
気のせいと思いたい。ぬるま湯に浸っている間に信頼出来る人に会えずに危険な目に遭っているのではと考えてしまう。
(もし、シャミ子らが怖い目に会ったなら場合によっては、余が命と引き換えに・・・)
悪人によって人質にされるなどの事態が起きたら、覚悟を決める時が迫られる。
特にシャミ子は自分を敬ってくれており、彼女にこんな形で恩返しする羽目になっても。
最悪、ごせん像を破壊し、現世に留まれなくても。
二人に隠していたのは、万が一起こってしまった家族問題に巻き込まない思いがあった。
桃とミカンに頼み込むつもりだ。
「リリスまだ言いたいことがある。家族に何があっても命を引き換えにする行為は空黒が絶対に許さないからな」
「シャミ子の家族も空黒が責任を持つ。例え、極悪人だろうと酷い目に会うなら、そいつを倒して保護し、守ってやる」
「忘れたとは言わせねぇぞ。フォローするって。家族の無事を信じなくてどうする。危険な目に会った証拠もない。ただな、あんたに何かあったら皆心配するし、悲しむ。俺達もな。あんま背負い込みすぎるなよ」
「本当にすまぬ。空には勝てんわ」
車を発見する前にごせん像に関して空黒に話していた。
封印された原因は本人すら不明で、何故こうなったか謎らしい。
封印空間という場所は正常で制限はない。
ごせん像が破壊すれば自由の身になるが、同時に魂だけの存在となって消えてしまう。
ただし、やむを得ない現状に陥る最後の手段は伏せていた。
しかし、二人はリリスが最悪を想定して自己犠牲する気だと分かりきっていた。
ごせん像が二人の手元にある限り、防止も当然で最初は黙っているつもりだった。
エルキア大図書館から離れてから様子が可笑しいのに空は感づくが、その後はキリトの提案で何事も無く談笑した。
リリスも楽しそうに話していた。
家族のことで無茶をする気だと察した要因は、先程の会話の『家族』のワードを出した後にリリスが一瞬で後ろめたい表情を晒したのを一秒も見逃さなかった。
至急、諭さないと駄目と判断した。
キリトは気づけなかったが、空の一言で全てを理解した。
(余も年長者としてしっかりせんとな)
空の説得で、リリスは思い直した。
どうあがいても空には見透かされる。完敗だ。
確かに自分が逝ってしまったらシャミ子達が悲しむ姿が浮かんでくる。
特に自分を慕ってくれるシャミ子に至っては号泣するだろう。
地図の外を見逃し、家族の胸騒ぎといい、自分はかなり気負いすぎた。
胸騒ぎに踊らされたら、それこそ檀黎斗の思う壺だ。
今は家族の無事を祈り、この先何があっても突き進もう。
「色々心配かけたが、もう大丈夫だ。と言う訳で余、復活!」
態度は相変わらずだけど、元気になったのに二人は安心した。
同時に空はやはり先に今後の予定を話した方が早いと判断を下す。
今の件を受けて、たかがこれくらいことで隠すのはどうかと思い始めて来た。
194
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:08:04 ID:???0
「キリト、リリス今から今後の予定について伝える」
空は今後の予定を手短に話した。
ある程度、人数が集まったら分かれて行動することやエルキア大図書館を調べ終わった後は、空黒はD-6の狐島に向かう予定であることと残りは情報の遅れを防ぐ為に北か西辺りで参加者の捜索をして貰うのも全て伝えた。
「あくまで仮定で増えすぎたらの話しだ。リリスはその時まで考えればいい」
「空とキリトについていく。さっきの借りを返さないままは主義に反する」
「そうか。てか、空、何故また狐島?」
「調査の一環だ。それにゲーマーとしての勘だが、あそこに行けば手掛かりが分かるかもしれねぇしな」
空としてはD-6の島の調査も進めたいと思っている。
あの島はゲーマーにとって重要な何かがある気がする。
これから自分達に進むべき道を示したように感じた。
「調査は兎も角。徒労に終わるのではないか」
「かもな。だが、手掛かりがある場所なら、俺達にとって朗報だ」
「空の言う通りだ。その島にまだ誰かいるなら尚更」
「しょうがない。お主らがそう言うなら」
リリスは正論と根負けした。
空だけでなく、キリトすら同じゲーマーだからか共鳴を感じていた。
彼ら目に胆力が伝わって来た。仕方ないので、二人の意思を汲み取ることにした。
二人はまだ若いし年上として、今はアドバイスしかないが、手助けしてやろう。
雑談で言われていたが、空とキリトはゲーマーであると聞いた。
それぞれジャンルが異なるらしいが、リアルのファンタジー系は経験済みだそうだ。
共通の話題で盛り上がる姿は微笑ましい。
気が合い、お互いが信頼し合っている。
おまけに気持ち悪いくらい、声も一緒。
空黒なるコンビ名を結成したくらいだ。
何れ、シャミ子と桃はシャミ桃とコンビ名を付ける日が来てしまうか?例え話しだけど。
リリスは一つ気になることを切り出した。
「キリトと空。少し名簿に引っ掛かっている部分がある」
「確かに変な名前もあるし、気にならなかったな」
「ゲーマーではよくあることだ。一々気にすんな」
空黒はゲーマーであるが故に肉体派おじゃる丸、虐待おじさんなどはプレイヤーネームやハンドルネームでの参加は有り得る話しだ。
ふざけた名前があってもツッコむ気はなかった。
「それではない。余が言いたいのは、名簿に二つ同じ名前が載っている」
「海馬瀬人と保登心愛だな」
リリスは名簿を見せて貰った際、家族や知り合い以外に目を引いた名前があった
それが海馬瀬人と保登心愛の二人だ。
名前が二つ載っているのは、誤植か同姓同名だと考えた。
しかし、二人分同姓同名は無理があるし、主催が記入ミスするとは思えなかった。
「本当だ!」
キリトは再度、名簿を開き、海馬瀬人と保登心愛の名が二つあるのを確認した。
あの時は仲間が誰一人いないのに安心しきっていたのとPoHが来ていたのを驚愕して、それ所ではなかった。
逆に空はあの様子だと最初から認識していたようだ。
195
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:08:54 ID:???0
「まさかと思うが、同じ人物がもう一人いると言うことか」
「その通りだ。この謎の答えはそれぞれ別の並行世界の住人だ」
「なるほどな。これなら、矛盾が生まれないのも納得」
リリスは空の問いにこの疑問は腑に落ちた。
黎斗なら同じ人物を別の世界から連れてきても可笑しくない。
難しいようで簡単な答えだ。
「同じ名前が二人も二つある時点であからさますぎる」
空は最初に名簿を確認した際、特に目を引いたのは同じ名前が二つもあるのを発見した。
誤植と引っ掛からずに最初からそれぞれ別の並行世界の住人だと結論が出た。
二つ載っているのが一人だけだったら同姓同名の線も捨てられなかった。
「この二組の動向は本人達に会えばはっきりするしな」
「それはそれで、ややこしくなりそう」
海馬瀬人と保登心愛に関して情報不足で今は頭の片隅に置いておく。
理想は両方共、殺し合いに否定的なことだ。
片方が善人でも、もう一方が殺し合いに乗る様な悪人だったら、最悪な事態になる。
もし、片方が肯定的な場合も想定しておく。
そうならないよう祈りつつ、歩みを続ける。
△
それから少し歩いた先に死体を発見した。
容姿はバンダナを巻いた少年だ。
「ごめん。間に合わなくて」
「酷えな」
キリトはバンダナの少年を既に手遅れになったのを謝罪する。
あの狐島からスタートしていなかったら、助けられたのではと思う程。
空は初めて遺体を見て、嫌悪感を抱いた。
ディス・ボードは単純にゲームで決まる世界に成り立っている。
それは現在の話。ディス・ボードの6000年前は他種族同士で過激な争い殺し合っていたらしい。
空はそれと今の状況を連想し、痛感した。
「下手人は素人ではないのは確かだ」
「空は遺体を見るのは初めてじゃないの?」
「初めてだ。ちゃんと観察すれば予測はできなくはない」
空は某アウトローの探偵と違って、検死は当然、ドが付く素人だ。
高い洞察力と観察眼だけである程度は見抜くのは不可能ではない。
本来ならこういう事は白の領分。
「この血の固まりじゃ、推定時間は檀黎斗の放送前か直ぐ後」
「確かにこの時間帯だと辻褄が合う」
「死因は斬殺。凶器は刀剣だろうが、断定できねぇ」
空の解答に全員が納得する。
普通なら刃物類と言いたいが、この場所も魔法、魔術、別の異能による斬殺も有り得るので、勝手に決めつけは良くない。
バンダナの少年には悪いが、自分達に取っては避けては通れない道だ。
196
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:10:08 ID:???0
「キリト悪いが、首輪を回収する。辛い役目を任せてしまうが」
「それくらい俺も割り切っている」
空の判断は的確だ。
首輪を解除するには、いくつか首輪を集めるのは必須。
キリトはバンダナの少年との関わりが皆無で、まだ耐えられる。
カゲミツG4で首を落とそうとする・・・・・・
その時だった。
「何か来た!」
突然、飛行する小型の奇妙な生き物が現れたのは。
△
俺、キバットバット三世はこれまでの経緯を話そう。
心の中で話して、直接、口で話さないかって?
話したくても、デイパックから出た時には、言葉を奪われてしまった。
こんな事を仕出かした奴はハ・デスの仕業だ。あの野郎覚えてやがれ。
幸い、長年の相棒、渡が理解してくれて助かったぜ。
その渡はこの世にはいない。
あの檀黎斗と言う真の黒幕の存在のせいで歯車は狂い始めやがった。
突如、渡の首輪が鳴り響き始め、俺は狼狽えていた。
首輪が爆発せずに、渡は助かるんじゃねぇかと希望を抱くが、違和感もあったな。
悪い予感が的中しちまって、檀黎斗が用意した奴と戦えだって。ふざけんな。
挙句に恐喝までされて、後に引きけなくなっちまった。
現れたそいつは侍の風貌だが、圧倒的強者のオーラが強すぎて、今直ぐにでも撤退したかった。
渡が助かる為に戦いの一択しかない。
案の定、侍野郎が強すぎて、渡達は手も足も出ねぇ。
ビショップの策略で復活した先代キングが数十倍も可愛いもんだぜ。
常に渡を集中攻撃続けやがったせいでいつ死んでもおかしくなくなっちまった。
だが、奇跡が起きた。何故かタツロットがいなくてもエンペラーフォームに変身しやがった。
俺はおったまげるが、渡は士と言う兄ちゃんとレイと言う金髪の姉ちゃんを直ぐに逃がし、戦いはしたが、最後は力の差を見せられて、渡は殺された。
これは渡が逝ってしまった事の経緯。
俺はどうやって生存出来たかというと、渡が亡くなった直後に素早く、死んだ振り作戦を決行した。
作戦が功を奏し、侍野郎は俺に気付く事なく、去っちまった。或いは知ってて眼中にないかもしれねぇが。
起き上がり、これからどうしよう。
普通なら、渡の遺志を継いだあの二人を追って、合流するべきなんだが、何処に行ったか検討つかん。
闇雲に探し回っても、時間が浪費するだけだ。
この近辺に侍野郎がうろついている場合も考慮し、接触を避けて、海を渡るルートに決めた。
士とレイの合流が遠のくが、一旦、諦める他ない。
渡の仇を討ちたい気持ちはある。今の俺じゃ、侍野郎に勝てない。
一番許せねぇのは檀黎斗だ。そもそも、運試しなんて馬鹿げたルールがなかったら、渡は死なずに済んだんだ。
殺し合いに乗っていない仲間を捜し、島から脱出する為に力を合わせる。
仇討ちを優先する程、本来の目的を見失わない。
197
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:11:03 ID:???0
結局、渡に別れの言葉を言う時間はおろか長年の感謝すら喋るのもままならなかった。
せめて生き残って、太牙や名護達に渡の死と生き様を伝えてやる。
彼らが来ていないのはさっき調べが付いた。
デイパックの中身も確認した。口を使って中を開く動作は結構、苦労したぜ。
侍野郎がデイパックを回収しなくてよかった。
普通なら放置せず、持っていきたいが、俺では持てそうにない。
殺し合いに乗る奴に渡らねぇよう、祈るか。
さて、そうと決まれば、仲間捜しの旅に出発進行。
飛んでから誰も会えない。さっきの出来事が嘘のように静寂すぎる。
すると陸地と海面の境界に来た。
暫くは陸地とはお別れか。
次の陸地に向かい、海面の上に飛ぶ。
夜の海は不気味で色も黒く感じさせられちまった。
道は何事もなく真っ直ぐ進み続けた。
かなり小さい島も存在するが、俺は素通りした、途端に遥か上空にギリギリで遠目に赤い何かが飛んでいっちまった。
あれには関わるなと本能が告げていて、追いかけずに無視を貫いた。
飛べる利点を活かしたお陰で時間を短縮出来ていた。
そう思っていたら、陸地が見えた。
全速力で飛行し、北東の陸地に到着した俺はこの辺を捜し始めた。
一個心配な点がある。
友好的だと信じて貰えるか。
言語能力を封じられた俺を初対面で理解する奴がいるかだなぁ。
あの時は渡と士がフォローを入れたから、レイは分かってくれた。
今度も簡単にいけると思ってない。
誰かと会えたら、どうやって納得するかな。
言葉がないと不便だろ。
その途中に死体が転がっていた。
それを見た瞬間に嫌悪感を抱いた。
下半身を脱がされた挙句、男の大事な所が切り取られていた。
殺った奴は相当狂ってやがる。
急いでその場を離れた。
少し、進んだ先に離れた距離に黒服の男と黄色のシャツの男の姿が見えた。
人と会えた矢先、段々と近づくとバンダナの男が死んでいるのも見えた。
この状況は一体?
黒服の男が死体の首に剣を向けたのもあって、二人は殺し合いに乗っているかもしれねぇし、偶然居合わせた場合も有り得るので、見極めようじゃねーか。
俺は二人に面を向かうことになった。本当は話したい、喋れねーけど。
△
「あれがお主らの言っていたここのモンスターか?」
「そうだけど。モンスターにしては小さすぎる」
突然、現れた蝙蝠のモンスターにキリトとリリスは警戒する。
同時にこんなに小さい存在まで用意していたのを困惑もした。
198
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:12:01 ID:???0
(勢いよく飛び出したが、どうすればいいんだ?)
キバットは面と向かったのはいいが、自分は対話が不可。
故に黒の剣士と黄色のシャツの男のスタンスの確認が取れずにいる。
ついでに間抜けな銅像みたいなの喋っているけど、首輪を付けてない所を見るに自分と同じ穴の貉か。
そいつを連れている様子で否定派ではと思いつつ、黒の剣士のあの動作を見たのもあって、半信半疑で警戒している。
(何で、襲って来ないんだ?)
キリトは違和感を抱いていた。
蝙蝠は直ぐに襲い掛かって来ることなく、様子を見ていた。
勿論、こちらの油断を誘っているかもだが、こういう手口は空が簡単に対処する。
キリトは片手に持っているリリスをついチラッと見た。
彼女を見て、その瞬間、パズルのピースが大体埋まった。
そして、それを解決する人物が前に出た。
「待て、ここは任せろ。誤解を解く必要がある」
「そうだな」
「どういうことだ?」
キリトは直前まで大体理解しているが、逆にリリスは置いてけぼりだ。
空は答え合わせをする、その前に。
「先に名を言っておく。俺は空、こっちがキリトで、この銅像がリリスだ」
黄色のシャツの男が全員の名前を紹介した。
キバットは急な展開に呆然していた。
「まず、あんたは自我を明確に持っている。そうだろ」
(この兄ちゃん、気づいてたのかよ)
黄色のシャツの男は如何やら頭が切れるらしい。
頭脳労働が主な役目の人は彼に限らず、これくらい直ぐに見抜けるだろう。
「蝙蝠はただのモンスターでもない。リリスと同じで道具扱いで殺し合いに巻き込まれた」
「やはりな」
「あの蝙蝠、余と一緒なのか!」
キリトはごせん像がヒントを与える形となり、後から予想し、的中した。
リリスの例もあって、彼だってデイパックに出て来た可能性は低くない。
空は最初から正解に辿りついていたが。
逆にリリスは驚愕で、ここで誤解の件を含めて、完全に理解した。
「そもそも、ここのモンスターは檀黎斗に掌握されている。余程の事がない限りは襲って来る」
基本的にモンスターは黎斗の管理下で置かれ、好き勝手暴れている。
キリトもSAOの経験から後から蝙蝠も被害者側なのに気づいた。
仮にモンスターやNPCがいても流石に此処まで小さい存在はいないだろう。
「前置きはここまでとして、本題に入るぞ。俺らはバンダナ男の下手人だと警戒されている」
「それは誤解だ。俺達が着いた時には、もう・・・。首輪の回収をするだけなんだ」
「お主はキリトの行動を誤解してたみたいだな」
「血だまりを見ろ。俺らはさっき来たばかりで血は既に固まっているし、犯人はこんな場所に何時までも居残るとは考えにくい」
(この兄ちゃんの言う通りだな)
199
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:12:50 ID:???0
黄色のシャツの男の言い分は最もだ。
血の固まりを見て、かなり時間が経過したのが伺える。
二人は犠牲が出てしまったのを悔やんだのは嘘もなく、キバットは彼らを信用することにした。
首輪の回収も仕方ない面もある。
渡の様な犠牲を出さない為に首輪のサンプルは必要になる。
見誤ってしまったのをキバットは反省する。
「分かってくれたみたいだな」
「誤解も解けたし、宜しくな」
(宜しくな。兄ちゃん達)
誤解が解け、キバットは新たな仲間の存在に安堵した。
渡が死に、士とレイと逸れて喋りもままならない状態で単独行動。
勘違いで彼らを疑ってしまったけど、真意が伝わった後は自分を受け入れてくれた。
「ところであんたは悩みはないか」
「どういうことだ、空?」
(空、まさか・・・!?)
当然、言語能力が封じられて、困っている。
空はこの短時間で悟っているのか?
キバット自身はキリト達のことまだ何も知らない。
「あんたは喋りたくても言葉を封印されている。そうだろ」
(観察だけで、分かんのかよ!?)
キバットは下を向き、頷くような動作をする。
出会って間もないにも関わらず、見事に言い当てた。
いや、最初から一目で察していたかもしれない。
「そこまで察するとは凄いな」
「あの蝙蝠にした仕打ちはあやつしかおらん」
「檀黎斗の仕業だ」
キバットの尊厳まで奪う行為に三人は不快を露わにした。
リリスは下手したら、キバット同様、こうなってしまう可能性もあった。
そう考えると身震いした。
「にしても、蝙蝠と呼ぶのはどうかと思う」
「せめて名前を知る方法があればな」
いい加減、蝙蝠呼びは失礼だと思い始めた。
蝙蝠の名前さえ、知るすべがない。
本人の文字書きは不可能だろう。
「あやつの仲間に出会えればな」
「仕方ねえ。その仲間と合流するまで適当に付けるか」
(それは困るけど・・・)
キバット本人は多少、抵抗があるが、この場合は割り切る他ない。
自分も渡も知らなかったとはいえ、嘗て記憶喪失のルークに大ちゃんと名付けたことがあった。
相違は記憶を失ったか否かで、それのほぼ焼き直しだろう。
200
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:13:58 ID:???0
「名を付けるのは俺でいいか?」
「いいぜ、キリト」
「暫くはあんたの名前はキバット」
(おいおい、これは偶然か!)
「嬉しそうな反応は、如何やら本当の名前だな」
適当な名を付けられる覚悟を決めたはずだった。
キリトは当てずっぽうで偶然自分の名前を付けた。
キバットにとって嬉しい誤算だ。
空はキバットの驚愕の仕草をし、喜ぶ姿に彼自身の名だと解せた。
「話しの続きだ。キバットの仲間の情報が欲しい」
空は名簿を出し、キバットに見せた。
空から元の世界の住人関連でいるか否かを問われ、翼で紅渡のみを指した。
危険人物か否かも問われ、後者に下を向いた。
しかし、渡はもういない事実を伝える事が出来ずにいた。
キリトはキバットの同行者の不在が気になっていた。
デイパックに入っていたなら、その人物と同行するはずだ。
誰かと一緒に行動していたら、こんな苦労をしなくて済んだ。
嫌な予感しかなく、直ぐに予想が当たることになる。
「キバット。紅渡は殺されたと見ていいんだな?」
(空、凄すぎだろ!?)
空はキバットが暗い顔をした時点で紅渡はどうなったのか理解した。
ついでにキバットを支給された持ち主は紅渡で確定だ。
キバットは頷く形で下を向いた。
「キバット......」
キリトもキバットが単独行動をした様子から悪い予感はした。
渡の話になる途端、明るさの鳴りを潜めることから渡とは深い絆で結ばれているのが伝わる。
リリスは掛ける言葉が見付からなかった。
「悪い。辛い事思い出してしまって」
(いや、いいさ。)
空は謝罪するが、キバットの目は死んでいない。
南東の地で誓ったばかりだ。渡の覚悟と願いを無駄にしないと。
それに空達に渡を殺したのは侍の男だと自分なりに絶対に伝える。
キバットの心が屈しないのを空は気づいた。
悲痛な気持ちはあれど彼なりに先へ進もうとしている。
心配する必要はないみたいだ。
次の質問に移行しても良さそうだ。
「渡を殺害した下手人は誰だ?名前を知らないなら、しょうがないが」
(畜生.....)
再び名簿をキバットに見せたものの下手人の名前を知るすべがない。
実を言うと黎斗の放送を聞いていれば分かる話だが、渡の件でそれ所でなかった故に仕方ない面もある。
そのことを知らないキバットは肩を落とした。
201
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:15:04 ID:???0
「あの感じは、無理そうだが、まだ方法はあるだろ」
「全危険人物の外見を話す」
「そっか。これなら、手掛かりを得られるかもしれないな」
空は次の案を出した。
自分達が特徴を掴めればキバットも分かり易い。
臆測であるが、仕方ない。
キリト達はパンツ一丁のおっさん(肉おじゃ)、PoH、金髪の男(ポセイドン)の特徴を共有したが、キバットはどれも否に下を向いた。
全て検討外れで残るは継国縁壱のみ。
「最後は皆、知っていると思うが、継国縁壱。おさらいだ。特徴は顔に痣があり、侍の恰好をした男だ」
(そいつだ。渡を殺したのは!)
キバットは渡の仇はそいつだと必死にアピールした。
願ったり叶ったりだ。侍男の名も知る事になるとは思わなかった。
何故、三人は侍の名前を認識しているのか?
『皆、知っている』とは心当たりがなく、意味不明だ。
「この反応、渡を殺害した犯人はあの侍で間違いない」
「空の忠告が本当なら・・・」
空の推測で金髪の男と同等の強さを持つかもしれない男。
事実ならキバットはどうやってやり過ごしたのか不明。
「何で俺らが侍の名前が分かるか。キバット」
(分からん)
「放送で主催が用意したジョーカー枠としてモニターに紹介されたんだ」
(何だと!?)
運試しのせいで渡がターゲットにされ、キバットも士もレイも放送に耳を傾ける状況ではなかった。
故にその後の内容が不明のままだ。
まさか、侍の男こと継国縁壱の公開があったとは。
後で空達に他に自分が知らない情報を教えて貰いたい。
「まさか、途中で継国縁壱に襲われたと言うのか」
「それしかないだろうな」
キリトとリリスは後になってキバットが放送の内容を半分聞き逃した事実と真実を察した。
危険人物に襲撃されてしまったのなら、止むを得ない。
「継国縁壱は金髪の男と対等な強さで間違いないな」
キバットは下を向いた。
あの男の強さはキバット自身も嫌という程、体にも覚えている。
空とキリト、それにリリスに共有出来て良かった。
(多分も恐らくもなくなった)
空の推測が的確に当たった。
キバットの証言で縁壱は金髪の男と同等或いは下手すればその男より、格上かもしれない。
キリトは改めて、気を引き締めた。
空黒から金髪の男の実力を又聞きで得たリリスも三人が深刻な表情を察し、警戒度を上げた。
202
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:16:42 ID:???0
「そして、あんたは相棒の仇を取りたいが、渡の遺志を背負って皆の力になる。後者の目的忘れてねえな」
(分かってんじゃねえか)
空は此処までのやり取りでキバットの心理を見抜いた。
渡の仇討ちは空黒も否定しない。
もしも、アスナや白が参加させられ、誰かの手に掛かったら、キバットのことを言える立場ではなくなる。
復讐を優先せずに自分を見失っていないのに安心した。
キバットはもう空に見通されるのにもう驚かなくなり、慣れつつある。
「紅渡と一緒に同行していた者はいるか?」
これで三度名簿を見せ、キバットは渡と同様、門矢士と閃刀姫-レイの名前を翼で指した。
士とレイと言う人物も縁壱と戦い、空の『今も生存か?』の問いにキバットは下を向いた。
つまり二人は渡のお陰で生きているということだ。
「誤解も解けて、情報も共有出来たし、万々歳だな」
「空はキバットが言葉を話せるのも含めて全部気付いたのか」
「人語も最初からな」
キリトはリリスの存在が半分感づいていた。
キバットは明確な意思を持ち、NPCやモンスターではないデイパックに放り込まれたリリスと同じ被害者。
自分の動作のせいで誤解を生んだ事も悟った。
流石に言語能力が備わっていたのは察せなかったが。
「最初に会った時から口ごもる素振りが見えた」
空は口をもごもごした僅かな挙動から見落とさずに言語に窮する事情を知るに至った。
本当は無理をしてでも喋りたかったのだろう。
元々は人語を話せる生き物と明確にした。
言葉を檀黎斗に封じられたと悟るのにも時間がかからなかった。
これでは、対話したくても大抵の人は難しい。
しかし、空はコールドリーディングで用いる事でキバットを理解した。
発声出来なくても、表情、仕草、動作、癖などで見分ければ苦はない。
「俺らを襲わないのも、様子見を徹底し、リリスがいて迷ってただろう」
「俺もリリスが決め手だったんだ」
キバットはリリスが喋る瞬間を目撃した際、若干、迷いを見せた。
キバットに警戒される中で直ぐに襲撃しないのもあるが、一番はリリスの存在だ。
自分が否定派なら、若しかするとリリスも同じ方針と考えたのだろう。
彼女の存在が結果的に後からキリトがキバットをNPCモンスターと誤認する事はなく、早急に気づけた。
実は空は一秒だけNPCと思ってしまい、警戒もした。
だが、上記の通り、リリスの存在と彼自身小さすぎるし、彼の違和感を抱く行動でNPCやモンスターとは違う感じがして、一足先にキバットの真実に辿り着いた。
「余が決め手?」
「リリスがいなかったら、更にややこしくなってた。」
「複雑な気はするな!」
リリスは推理の時間では何もしてない。
キバットの真理に近づけたのは空だ。
でも、自分が立ち会う事で間接的に誤解を解く切っ掛けの一つになった。
小さな切っ掛けでもリリスは何とも言えない気持ちだ。
203
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:17:58 ID:???0
「継国縁壱を周知していないのも、分かった」
縁壱の名を上げた際、キバットは首をひねた様子が見えた。
縁壱の情報は全参加者に報知を受け取ったはずだが、空はそういうことだと気づいた。
『おさらい』は脅威の再確認を兼ねて一番はキバットに共有する為。
まさか、縁壱こそが渡の仇と知れた事実はただの偶然だが。
キバットはその後、空達から黎斗の放送で聞き逃したであろう後半の内容を伝えられた。
知らないのは、継国縁壱の公開と檀黎斗によって美遊という少女が人質にされたくらい。
後者は空から美遊の関係者が殺し合いに乗っているかもしれない懸念すべき事態も想定しておく事も忠告済み。
彼らはキバットと出会うまでの経緯も共有した。
何と彼らは会場の外を調査済みらしく、初期位置がD-7とD-8の島に配置が大きく、用意されたモーターボートで行けたそうだ。
調査報告で首輪を付けている限り、脱出は不可らしい。
キバットは仲間捜しを優先し、外へ行く考えがなかった。
首輪がない自分が代わりに行こうと必死にアピールするも空黒の二人から『絶対に許可しない』と同時に言われ、冷静に考えたら首輪の有無関係なく、あの世行きだと思いとどまった。
(空はできるぞ)
空は士同様、殺し合いを潰せる重要な人物だ。
実際、自分は人語を奪われたにも関わらず思考や感情をほぼ当てていた。
自分は運が良かっただけで彼と出会っていなかったら、一歩間違えて、詰みに近かった。
心理に関わる分野には強いらしく、恐らく、空よりそれを上回る参加者はほとんどいないと見立てておこう。
白という妹の不在で制約があると聞かされたが、キバットとしては頭脳面も優秀なブレインで底が知れないと思った。
キバットは疑問に残る点がある。
縁壱との戦闘でタツロットがあの場にいないのにエンペラーフォームに変身出来た事態だ。
正直、奇跡で強化変身が起きたと思っていない。
勘だが、檀黎斗が謎の仕掛けが用意されていると考える他ない。
本来なら、この出来事を空黒とリリスに知らせるべきだが、今の自分の現状では叶わない。
(渡の件。きな臭いな)
空は渡の殺害に関して、引っ掛かりがある。
渡達は放送を聞く最中に襲撃に会ったらしい。
襲撃者がただの考えなしの脳筋なら未だしも、その人物は縁壱なのが問題だ。
キバットが放送の後半を知らないヒントで、運試しの真っ只中だと推測した。
縁壱が関わっている事で故意に攻撃を仕掛けたと間違いない。
一連の出来事が偶々で片付けていない。
絶妙すぎるタイミングも不自然に感じていた。
すると最悪の解答に辿り着いてしまった。
(まさか、渡を利用して、何か実験をしやがったのか)
運試しゲームはあくまで表向きの余興。
どさくさに紛れて、縁壱が選ばれてしまった渡を殺す為の練習台にしたとしか言いようがない。
一方的な暴力で捻じ伏せるだけでいい。
だが、それだけとは、考え難い。
もしかしたら、裏の目的は渡と縁壱に何らかのテストを行ったのだろう。
テストも言うまでもなく、不明。
渡がそれの為だけに強制的に選定された可能性も念頭に置こう。
あの場にいたキバットが言葉を喋れば重要な手掛かりがなり得た。
彼がまだ伝えたい情報があるのは見抜いていたが、此ればかりは止む無し。
当初からリリスは普通に話せて、キバットは言葉を奪われたか不可解だった。
まるでキバットが秘密を喋らせないように見えず、裏の目的があると踏んでいた最大の要因。
渡の件を考察する内に分かる事がある。
そのテストは士とレイは理解不可能で、キバットは理解している或いは感知しても可笑しくないという事か。
黎斗は選ばれるのを考慮し、言語を封印したと見るべきだ。
テストは仄めかしても構わないが、最序盤で公表したら不都合があるのか?
詳しくは士とレイと接触して、キバットが伝えるはずだった事柄を聞き出すしかない。
心当たりがなくとも断片的なヒントが繋がる事もある。
渡の件に関しては長くなるので、エルキア大図書館に戻り次第、キリト達と共有する。
話しても足掛かりは依然としてつかめないだろうが、何時か意味があると信じたい。
戻ったら考える事とやる事が多くなりそうだ。
204
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:18:59 ID:???0
(レイって女はお察しくださいってか)
それにキバットの仲間の情報から出て来た閃光姫―レイ。
入念に確認したデュエルのタブレットのカード画面を開いたら、閃光姫のカードデッキが載っている。
名簿にレイとロゼの名に閃光姫という異名が特徴的で目を通した。
そこに見知らぬ二人がカード化して一驚した。
驚きはしたが、空は困惑せずに解答を出していた。
彼女達が実在した世界と彼女達がカードゲーム化して沢山の人々に遊んで貰える世界が存在しても過言ではない。
レイは殺し合いに否定的らしいが、ロゼと言う女もそうとは限らないかもしれないので、接触してから見極める。
二人の海馬瀬人と保登心愛といい、閃光姫の二人が存在するなど黎斗は混乱を招く悪趣味な参加者の選考に見えてしまう。
単純に面白がるだけか、其れとも別の思惑を働かせたかは不明だ。
(全然、人手が足りねえ。少ししか進展がない)
キリトを除けば、放送後に遭遇出来たのはリリスとキバットと言ったマスコット的キャラだけ。
情報面にほんの少しだけ遅れを取っているように見えないのは非参加者のリリスらの存在がデカい。
キバットは喋れないのに、自分達がフォローしつつ縁壱の脅威を伝えてくれた。
実際は黎斗の放送以降、此処まで参加者と出会うのを未だに叶わない。
此れまでの自分達の動向は島の外の調査とエルキア大図書館を発見したのみ。
あの車との接触が間に合わなかったのは痛手だったが、その代わりに一人行動中のキバットと出会えたので、悪い事ばかりでない。
車に乗車していた人物は不明なので兎も角、士とレイはキバットの情報源から信じられる。
「それより、そろそろ首輪を回収する」
「話しを脇道にそれたが、中断したままだった」
(すまねえ)
バンダナの男から首輪を回収しようとキバットが現れて制止される形になった。
キバットは言葉のやり取りができずとも下を向く動作で謝罪した。
キリトは首を斬り落とし、首輪を回収した。
首輪は空が管理する事になり、空に預けた。
これは首輪解除に明るい人物に渡そう。
(空達にあの遺体を見せたくねえが、首輪を手に入れる為だ)
また尊厳を奪われた死体を見るのも、空達に見せるのも抵抗がある。
特にリリスは女性だ。空黒と比べて尊大な嫌悪感を露わにするだろう。
何もかも覚悟を決めて、三人にその場所に連れて行くしかない。
あの死体はそう遠くない距離だ。
キバットは空中を舞い、翼で方角を指した。
205
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:20:22 ID:???0
「キバットどうした?」
「翼を指した方向になんかあるみたいだ」
(そうだ)
「付いて来いの合図だ」
キバットは忌まわしい死体に案内する。
三人はキバットに導くように一緒に付いていく。
空達は到着した途端に衝撃的な光景を目の当たりにする。
細身の男の遺体を見た瞬間、空黒はしかめっ面を晒した。
リリスに至っては案の定、尊大な嫌悪感を支配し、吐き気は皆無だが、気分は良くない。
何故なら、異性で細身の男性の大事な部分が斬り取られ、グロテスクすぎる。
地面に白濁液まで染み込んでいて、気持ち悪かった。
「リリス大丈夫か?」
「少し、仰向けになれば直ぐに良くなる」
キリトは素早くリリスを介抱する。
ごせん像を仰向けにした。
5000年も生きていれば死体も見慣れたつもりのはずが、流石に尊厳を踏みにじられた惨憺たる状態は初めてだ。
上空を眺めて大分、落ち着いていた。
「バンダナの男を殺害した奴とは同一犯じゃねえのは確かだ。このやり口を見ればな」
「妥当だな」
バンダナの男の殺され方は二度も斬られた故に損傷が酷いが、仕留めれば良い感じで原型を留めている。
逆に細身の男の方は惨い有り様で凌辱と拷問を行ったのだと断定する。
別の下手人がした行いは相手の苦痛と悲鳴を味合わせる後味が悪い行為だ。
更に男性器をコレクションに入れているかもしれないので、非常に質が悪い。
「一つ分かるのは、その下手人は名も知らない気狂いの変態だ。碌でもないのが、見て取れる」
「そんな奴がまだいるのか!!」
「こんな事を仕出かしたのが人なら許せねえな。人類ナメすぎ!!」
下手人は人間の場合、精神が狂っていて、話し合う余地すらない人の皮を被った化け物だ。
まだバンダナの男を殺した下手人の方がマシに見える。
もし、女性にも凌辱的な行為をし、犠牲になったと聞いたら激昂しただろう。
二人は気狂いの変態のこの手口に憤り、見つけ次第、当然ながらお仕置きだけで絶対に済ませたりしない。
性的な尊厳を破壊する行いは人として恥ずかしい。
「気狂いの変態にも警戒対象だ。分かったな、リリス、キバット」
「当たり前だ」
(了解)
キバットは下を向く頷きをし、リリスも承諾する。
リリスはその体勢で気分が良くなり、元気になった。
今回でこれの耐久性は身に付き、もう二度と醜態は晒さない。
徹底的に惨たらしく、人を犯した様は醜悪を表現されているように見えた。
長い時間を生きて、此処までの酷さは初めてかもしれない。
「キバット。あんたがこの場に連れて来た理由は首輪の回収だろ」
「そうだったんだ」
(悪い。役に立つつもりが不快にさせちまった)
「あんたの判断は正しい。それと頑張ったな」
206
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:21:24 ID:???0
キバットが首輪の回収の為に遺体の元に案内する意図を空は理解した。
何故か躊躇する様子を空は気になっていたが、いざあの場に来ると惨憺な遺体を拝見させたくない気持ちは分かる。
リリスは刺激が大きすぎたし。
キバットは責任を感じている様だが、寧ろ合理的で彼の判断は間違っていないのを三人は解せる。
空は今までの働きを労った。
特定不明な気狂いの変態の存在も認知した。
その後、キリトはまた首輪を回収し、空に渡した。
仰向けになったリリスも回収する。
「それと遺体を何度も見て、結論が出てしまった。犠牲者のペースが早すぎる。三割軽く上回るかもな」
「三割以上!?そんな.......」
空はキバットから渡の死を伝えられ、犠牲となった遺体が二人も発見し、配信で殺された者達も含めて、重く受け止めている。
嫌と言う程、これらの判断材料が揃ってしまい、この調子で行くと次の放送まで死者は三十人以上超え、最悪の場合、四割になるだろう。
事態はより深刻と悟るのに時間を要さなかった。
キリト達は空の出す残酷な事実に眉を顰めた。
犠牲が0で終わる事はないと分かり切っており、甘い考えを持っていない。
しかし、現実は想像を遥かに超えている。
今も知らない場所で犠牲が増えてしまうだろう。
今の話題を通して、キリトと空はアイコンタクトを交わした。
お互い考えている事はなるべく空黒の目に届く範囲内では犠牲を防ぐ。
できるか難しいが、やれるだけのことはやると決心する。
友好的な人物と接触しないと話にならないが。
「気を取り直して、この付近の人捜しの続きだ」
空黒が何か考えを決めた事をリリスとキバットは感じていた。
まだいるかもしれない参加者の捜索とついでに周辺の探索を再会し、北東の端っこに向かう。
207
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:23:01 ID:???0
【C-7 東/一日目/早朝】
【キリト@ソードアート・オンライン(アニメ版) 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:カゲミツG4@ソードアート・オンライン、ごせん像@まちカドまぞく
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す
1:空と共闘する
2:北東で参加者を捜す。
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる。その次にD-6の島を調査する
4:リリスのよりしろ探しを手伝う
5:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、謎の気狂いの変態、念のため美遊の関係者を警戒
6:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はソードアート・オンライン
アリシゼーション War of Underworld終了後
※遊戯王OCGのルールをだいたい把握しました
※アバターはSAO時代の黒の剣士。
GGOアバターに変身することも出来ます。GGOアバターでは《着弾予測円(バレット・サークル) 》及び《弾道予測線(バレット・ライン) 》が視認可能。
その他のアバターに変身するためには、そのアバターに縁の深い武器が必要です。SAOのアバターのみキリトを象徴するものであるためエリュシデータやダークリバルサー無しでも使用出来ます。SAOアバター時以外は二刀流スキルを発揮出来ません。これらのことはキリトに説明書に記されており、本人も把握済みです。
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※空と空黒というコンビ名を結成しました。
【空@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版) 】
[状態]:健康
[装備]:デュエルディスクとデッキ(蟲惑魔)@遊戯王OCG、キバットバット三世@仮面ライダーキバ
[道具]:基本支給品、高級木材のモーターボート@現実、首輪×2(御伽、遠野)
[思考・状況]基本:ハ・デスと檀黎斗を倒す。あまり人類ナメるんじゃねぇ
1:キリトと共闘する
2:北東で参加者を捜す
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる。二手に別れるかは人数と戦力状況による。その次にD-6の島を調査する
4:主催者と関係ある人物と接触する
5:リリスのよりしろ探しを手伝う。それに大きくする道具はあるか?
6:渡の殺害の件がきな臭い。士とレイに接触し、当時の状況の詳細を聞き出す
7:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、謎の気狂いの変態、念のため美遊の関係者を警戒
8:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後
※遊戯王OCGのルール及び蟲惑魔デッキの回し方を把握しました
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※キリトと空黒というコンビ名を結成しました。
【リリス@まちカドまぞく】
[状態]:正常
[思考・状況]基本:全員で生きて脱出
1:空とキリトと行動を共にする
2:吉田一家を優先に捜す
3:小倉を見つけたら、等身大のよりしろを作って貰いたい
4:桃とミカンの合流は後回し。合流したら挨拶はする
5:よりしろを見つけ出す
[備考]
※参戦時期は4巻(アニメ2期)終了後
※他者との肉体を入れ替える能力と他人の夢に入る能力は制限対象で黎斗によって不可にされています。
※黎斗によってよりしろで活動出来る時間は10分に制限されていて、二時間経過しないと活動出来ません。等身大よりしろも同様です。
※よりしろ状態でも並行世界――きららファンタジアで手にした力を引き出すことは可能とします。ただし、少なくともキリトの支給品にきらファンでのリリスの専用武器はありません。
※御伽龍児と遠野の両名の死体はC-7に放置されています。
※キバットバット三世の参戦時期は最終回後です。
208
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/02(水) 21:25:00 ID:???0
投下終了します。
タイトルはゲーマーコンビは不思議な生物と出会うようです
209
:
名無しさん
:2024/10/03(木) 07:55:48 ID:lLojb/YY0
4Bl62HIpdE様、大変申し訳ないのですが、一つ質問があります。
貴方の執筆した『懺恨のJudgment』についてです。
というのも、鬼舞辻無惨は『鬼械戦線』を見る限り、時を止める男、DIOを追跡する為に東の方へ向かっていたはずです。
ですが何故かこの話では全く違う方向である北西の大我達がいるF-2方面へ向かっています、これは筋が通らないのではないでしょうか?北西の方へ向かいたいと無惨が考えた理由と筋書きを文章に付け加えなければいけないと思います。
この小説を管理しているQUsdteUiKY様はどのようにお考えでしょうか?
では失礼致します。
210
:
名無しさん
:2024/10/03(木) 15:21:23 ID:GCCeQGdE0
>>209
◆4Bl62HIpdE氏とは別人ですが、自分の方から幾つか意見を
決闘ロワの無惨はDIOの追跡を最優先に動いてはいますが、DIOがどの道を通りどこのエリアに向かったかを正確に把握している描写はどの登場回にもありません
『鬼械戦線』で最初東の方へ向かっていたのもDIOが東に行ったと確信を抱いたからではなく、近い場所から虱潰しに捜索を行った為と解釈できます
明確に「DIOが東側に向かった」と無惨が把握している描写がない以上、北西エリアに行き先を変えたとしても偶々近かったからと考えれば大きな違和感は感じません
繰り返しますが、無惨はDIOの正確な現在位置やどの方角へ向かったかを把握している描写が存在しませんので
疑問を感じそれを尋ねることを悪いとは言いません
しかし投下から間もない頃ならともかく、『懺恨のJudgment』が投下され既に2週間以上が経過しwikiにも収録されています
その間他書き手や読み手の方が指摘を行わなかったことからも、件の話は問題無しと判断されたと少なくとも私は考えています
あくまで私が個人的に感じたことですので無視しても結構ですが、
>>209
氏の筋が通らないという指摘は少々的外れなのではないかと思い意見を書かせて頂きました
211
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/03(木) 18:47:35 ID:???0
ゲーマーコンビは不思議な生物と出会うようですの補足です。
地図の北東からD-6の島にいける橋があります。
黒線で見にくいが、しっかりと地図に橋があります。
存じてない方もおられかねないのに気付き、後続のリレーに矛盾が生じてしまいます。
補足で以下の内容を修正します。
【修正前】
「キリト、リリス今から今後の予定について伝える」
空は今後の予定を手短に話した。
ある程度、人数が集まったら分かれて行動することやエルキア大図書館を調べ終わった後は、空黒はD-6の狐島に向かう予定であることと残りは情報の遅れを防ぐ為に北か西辺りで参加者の捜索をして貰うのも全て伝えた。
「あくまで仮定で増えすぎたらの話しだ。リリスはその時まで考えればいい」
「空とキリトについていく。さっきの借りを返さないままは主義に反する」
「そうか。てか、空、何故また狐島?」
「調査の一環だ。それにゲーマーとしての勘だが、あそこに行けば手掛かりが分かるかもしれねぇしな」
空としてはD-6の島の調査も進めたいと思っている。
あの島はゲーマーにとって重要な何かがある気がする。
これから自分達に進むべき道を示したように感じた。
【修正後】
「キリト、リリス今から今後の予定について伝える」
空は今後の予定を手短に話した。
ある程度、人数が集まったら分かれて行動することやエルキア大図書館を調べ終わった後は、空黒はD-6の狐島に向かう予定であることと残りは情報の遅れを防ぐ為に北か西辺りで参加者の捜索をして貰うのも全て伝えた。
「あくまで仮定で増えすぎたらの話しだ。リリスはその時まで考えればいい」
「空とキリトについていく。さっきの借りを返さないままは主義に反する」
「そうか。てか、空、何故また狐島?」
「調査の一環だ。それにゲーマーとしての勘だが、あそこに行けば手掛かりが分かるかもしれねぇしな。橋を渡って直ぐだしな」
「黒線で見えにくいが、ちゃんと北東から橋が設置されてるしな」
空としては比較的近いD-6の島の調査も進めたいと思っている。
北東から狐島に橋があるし、設置されなかった場合はモーターボートで最大四人まで乗せて狐島に行けなくはないが。
黒線のせいで見落とされがちだが、きちんと北東から狐島に行ける橋は地図に記載してある。
多くの参加者は気づいてないかもしれない。
それはともかく、あの島はゲーマーにとって重要な何かがある気がする。
これから自分達に進むべき道を示したように感じた。
212
:
名無しさん
:2024/10/03(木) 21:05:16 ID:XZWgmLsg0
>>209
そこまで気にすることですかね?
ちょっと気になったので夜に駆ける〜鬼械戦線まで読み直してみましたが、無惨が具体的にその場所を目指そうとする描写、およびDIOの移動した方向を特定している描写は無いので、次の話でそこまで遠くに行ってもいない限り、修正するほどの物かと思います
>>210
と似たようなことを申し上げますが、投下から2週間経過した今、少なくとも企画主や他書き手は気にしている様子は無かったので、態々ここに書くほどのことでも無いでしょう
213
:
◆4Bl62HIpdE
:2024/10/03(木) 21:26:12 ID:0aO7Gn9U0
>>209
お世話になっております。◆4Bl62HIpdEです。
この件に関してですが、
>>210
氏の仰られる通り鬼械戦線の「道の先に存在する全てが目障りとでも言わんばかりに、片っ端から薙ぎ払って進む。」 と、男が通り過ぎたと思しき道を駆け、の地の文から「無惨はDIOが何処に逃げたか把握しておらず、手当たり次第に捜索をしている」という解釈で書きました。
しかしこの文は捉えようによっては「方向が分かっており最優先で捕らえる為に障害物を蹴散らしている」とも捉えることが出来ます。
ここで争点となるのが「無惨はDIOの逃げた方角が分かっていて追跡していたのか」ですが、私は分かっていないと判断しました。
その上で、「懺恨のJudgement」(スペルミスです)の文章を以下修正します。
◇
何だったんだ、あの力は。
F-3。 ….再びここへ戻って来た。
少女を文字通り、頭部から砕きその脳漿で濯いだ無惨は思い出す。
あの白髪の混じった男が使っていた能力―――「時を止める力」を。
G-3、無惨は金髪の男が通ったと思わしき痕跡を追跡していた。….標準体型の男性が通った跡を。
….だが、見当違いだと気付いたのは再びその足跡がF-2に向かっている事実を認識した時だった。
正確にはその痕はDIOでは無く、海馬の物だったのだが….
見失った。苛立ちを募らせ、ならばせめてカーン、という音がした建物内にいる愚図共を糧としようと襲った。
だが、…..僥倖、というべきか。あの力は….
……この女の抵抗に遭い、随分と引き剥がされた。北に逃げていくのは視えた。――もう直、朝が来る。
一か八か、か、――再び追わねば。
戦いはまだ、終わっていない。
214
:
◆4Bl62HIpdE
:2024/10/03(木) 21:30:03 ID:0aO7Gn9U0
修正は以上となります。
ご指摘があれば又ご連絡頂ければと思います。
加えて此方の落ち度に伴いお騒がせ致しました。
215
:
名無しさん
:2024/10/03(木) 21:43:15 ID:pk/8w.WA0
209のコメントをした者です。
4Bl62HIpdE様、余計な事を言ってしまい、本当にすみませんでした、冷静によく文を見て読み取ればしっかり筋は通っていたと考える事が出来ていたかもしれないと今更ですが思いました。
210氏と212氏のコメントを見て、目が覚めました。本当にすみませんでした。
そして分かりやすくなる修正文もありがとうございました。物分かりが悪いのに余計な事を言ってしまい、改めてお詫び申し上げます。
216
:
◆QUsdteUiKY
:2024/10/04(金) 17:07:52 ID:t8LQgsL20
>>209
◆4Bl62HIpdEさんへの質問だったのでまず自分は様子見だったのですが、解決して良かったです
個人的には
>>210
に同感していました
また、このようなケースを避けるために致命的な矛盾などがない限り、今後の指摘は基本的に1週間以内とさせていただきます。
ただし30レス以上の作品のみ、読むのにも時間が掛かると思うので2週間以内ならば指摘しても大丈夫です
また書き手自身が修正したくて修正する場合は、この限りではありません
とりあえず今回は『通し』とさせていただきます
217
:
◆ytUSxp038U
:2024/10/05(土) 00:27:05 ID:IIuqBWuM0
天城カイト、陽夏木ミカン、クレヨン、万丈龍我、飛電或人、DIOを予約します
218
:
◆2fTKbH9/12
:2024/10/05(土) 13:04:49 ID:???0
二人だけは二人信じるのwikiにて、
>>187
に修正後に加えた備考が編集されていません。
分かりにくかったのなら、申し訳ございません。
二つの備考は状態表から行を少し空けてからでお願いします。
219
:
◆QUsdteUiKY
:2024/10/05(土) 23:36:00 ID:rLASUyTo0
>>218
遅れてしまい申し訳ありません、備考を編集しました
220
:
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 22:56:10 ID:m81FVtx.0
投下します
221
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 22:57:42 ID:m81FVtx.0
状況は芳しくない。
数秒、数分、1時間と経つにつれてミカンの焦りも加速していく。
海馬と別れて以降、自分達に起きた出来事と言えばNPCの群れとの遭遇だけ。
集団で襲い掛かられたと言っても、所詮は低級モンスター。
魔法少女としての場数を踏んだミカンの相手にはならず、ましてカイトの援護も加われば殲滅は容易い。
数体が小賢しくもクレヨンへ牙を剥いたが、傷を付ける前に撃ち落としてやった。
数だけ増やした所で敵ではない。
ミカンを悩ませるのは、NPCに襲われた以外何も収穫が無いこと。
DIOのような危険な参加者とぶつからなかったと言えば、運が良いと言えるのだろう。
しかし殺し合いに乗っていない者との接触の機会にも恵まれていない。
何より、カイトの毒とクレヨンの破損すら解決策が見つからずにいるのが現状だ。
ポツポツと建つ民家で休憩を挟みつつ探してみたものの、都合良く便利な道具が転がっている筈もなく。
無駄な努力と嘲笑うように、タイムリミットは着実に近付いている。
(どうしよう……)
海馬から渡されたカードで僅かに体力回復し、布を巻き付け応急の処置はした。
が、解毒を行わなければ根本的な解決にはならない。
本人の気力でどうにか保っているだけで、普通の人間ならとっくに死んで当然。
何も解決策が見付からなければ、数時間か或いは数十分後にはその普通の人間同様の末路を辿る。
こうなった原因が誰かと問われれば、DIOと誰もが口を揃えて言うだろう。
実際、カイトから責められる言葉は一つもぶつけられていない。
敵が時を止める能力を持っていると、初見で理解しろと言うのも酷だ。
だがミカン本人がそれで納得するかは別。
故意に狙ったので無くとも、ミカンの放った矢がカイトを射抜いたのは事実。
自分のせいで人が死ぬ、DIOとの戦闘で抱いた恐怖と罪悪感が勢いを増して蝕む。
会場中を駆けずり回って虱潰しに探すか?
この中で唯一無傷の自分なら無茶も利く、カイトとクレヨンにはその間どこかに隠れていてもらうか?
いいや駄目だ、負傷が無いということはつまりマトモに戦えるのが自分しかいない。
両腕の損傷が激しいクレヨンはもとより、カイトだっていつ限界が来ても不思議は無い。
二人を置いて、自分が不在の間にDIOのような者の襲撃を受けたら。
起こり得る最悪の結果を、現実の光景にする訳にはいかなかった。
222
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 22:58:47 ID:m81FVtx.0
「……っ」
噛み締めた唇の痛みも、湧き上がる自身への怒りの前には気にならない。
呪いで無くとも結局自分のせいで人が傷付く。
カイトの命を奪い、彼が遊馬なる友と再会する機会を消し去る。
クレヨンの腕を奪い、曲芸用HANOIとして致命的な亀裂を生んだ。
あの時別の判断を下せていたらと後悔しても、時が戻る奇跡は起きない。
もしもこのままカイトが助からなければ、呪いの再発と共にどれ程の災厄が引き起こされるのだろうか。
巻き込んでしまう前にクレヨンを引き離すのが正解なのか。
無理だ、戦闘行為が不可能に等しい彼女を放り投げて、運良く善良な者に保護されるとは限らない。
かといってこのままではどっちにしても危険。
考えれば考える程深みに嵌る意識を引き戻したのは、今正に頭を悩ませる道化師だった。
『だれかくる!』
HANOIの動体センサーがこちらへ接近する影を捉えた。
片腕が使えずとも全ての機能がお釈迦になったのではない。
書き殴った文字にそれぞれ警戒を強め、近付く存在へと視線をぶつける。
クロスボウを構えるミカンの隣には、ドローしたフォトン・デルタ・ウィングが並ぶ。
召喚に成功した時、同名カードを特殊召喚可能な使い勝手の良いモンスターだ。
加えてもう一体存在する場合、相手の攻撃宣言を封じることが出来る。
正式なデュエルでない以上、どこまで効果があるかは不明だが。
敵か味方か、願うは後者で相手の出方を待ち、
「おーい!さっきの馬鹿デカい竜は…うおっと!?」
姿を見せたのは茶髪の青年。
近付いたは良いが、武器を持った少女と眩しい飛行物体が敵意を向けて来た。
驚き足を止める姿は先程の海馬とは違う意味で、悪意を持った参加者には見えない。
「そこで止まれ。先にこちらの質問に答えてもらう」
とはいえアッサリと警戒を解く真似をカイトはしない。
第一遭遇者がDIOだったのが後を引き、一見問題無いように見えても慎重に事を運ぶ。
残された時間が少ない身なれど、焦り過ぎれば被害は自分一人に留まらないのだから。
青年の方も状況が状況だけにカイト達の警戒は理解しているようで、少しばかりの不満気な表情となりつつも指示に従う。
「殺し合いに乗っていない、そう捉えて良いのか?」
「当たり前だろ。俺はプロテインの貴公子、万・丈・龍・我だからな」
どこか自慢するように名乗られ、カイトの目が冷ややかになる。
『プロテイン?きこーし?
きんにく もりもりの おかねいっぱいのひと?』
「…ああ、うん。何となくシャミ子と気が合いそうな人だって分かるわ」
不思議そうに首を傾げるクレヨンを背に庇いつつ、思い浮かべるのは友人であるまぞくの少女。
とりゃーっと微笑ましい雄叫びのまぞくと目の前の青年が重なる。
相手の詳細な情報はまだ不明だが、ネーミングセンスはシャミ子とどっこいどっこいと見て良さそうだ。
ついでにタンパク質が主成分の栄養補助剤を異名のように言う辺り、桃と意気投合しそうである。
緊張感の薄れる緩い空気が流れ出すも、却って互いに警戒心を下げるのへ繋がった。
223
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 22:59:46 ID:m81FVtx.0
○
双方ゲームに乗っていないと理解し、情報交換はスムーズに行われた。
万丈から聞いたのは自分達と会うまでの経緯と、名簿上で知る参加者。
仲間である三人の仮面ライダーはともかく、因縁深い地球外生命体には注意が必要だ。
遊馬やシャミ子達とは会っていないようだが、得られた情報は決して無駄ではない。
『せんとってひと クレヨン なおすできる?』
「偶に無駄に偉そうにもするけどよ、戦兎になら任せて大丈夫だ」
本人がいたら「一言余計だ」と呆れそうな補足を入れつつ、クレヨンを安心させるように言う。
曰く仲間の一人、桐生戦兎ならクレヨンの腕を直せるかもしれないとのこと。
聞けば戦兎は仮面ライダーの変身ツールや専用装備を開発する程の、高い技術力の持ち主。
当然修理に必要な道具や設備が求められるだろうが、そこも一応のアテがある。
nascitaという旧世界で戦兎や万丈が居候していた喫茶店。
G-4のエリアで見付けた施設の地下に嘗てのnascita同様、戦兎専用の研究所が再現されているなら。
クレヨンの修理を行うのには持って来いの場所だ。
中を詳しく調べていない為、本当に地下研究所が設置されてるかはまだ分からないが。
ともかく解決への道が開いたのは朗報だ。
加えて機械に強い戦兎にならば、首輪の解除を任せられる筈。
カイト自身、弱冠12歳でオービタル7を作り上げる程の頭脳を待つが残り数時間を生き延びられるかも怪しい身。
助からなかった場合は戦兎に後を託すしかあるまい。
尤も、毒についても解決策が無い訳ではない。
「クローズドラゴン…だったか?解毒機能があるらしいが」
「でも今は龍我さんじゃなく、或人さんって人が持ってるのよね…」
仮面ライダークローズの変身に必須の自律稼働型ユニットは、現在万丈の手を離れている。
先に出会った青年、飛電或人の支えになればと譲渡したからだ。
自分の判断を間違いだったと言う気は無い。
けれどまさか手放してから時間を置かず、クローズドラゴンが必要な場面に出くわすのは予想外。
カイトの毒を無効化出来ると言っても、手元に無ければ何の意味も無かった。
さしもの万丈も頭を抱えるが、そんな時間も惜しいと切り替える。
ああすればこうすればと考える間にも、死がカイトへ着実に迫っているのだから。
224
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:00:39 ID:m81FVtx.0
「急いで或人のとこに戻るしかねぇ。モタモタしてたら、本当に手遅れになっちまう」
会ったばかりの相手でも、殺し合いに乗っていない者の死を受け入れる気は無い。
自分が手を伸ばさなかったせいで、助けられたのに命を落とす。
キルバスの襲来時に突き付けられた旧世界での罪は記憶に新しい。
確実に間に合う保障が無かろうと、何もしない理由にはならない。
「ってことだからよ。そっちが行く筈だった場所から引き返すけど、大丈夫か?」
「構わない。どの道ここで間に合わなければ、もう他に打つ手は無いだろうからな」
一度死んでいるが故に二度目の終わりを恐れてはいない。
が、助かる道を選ばない程投げやりになったつもりもなかった。
ベクターやナッシュ、DIOと言った強敵の対処を遊馬に押し付けて一足先に退場など本当なら御免だ。
『カイト たすかる さんせい!』
「そうね。龍我さん、案内をお願いできるかしら?」
「おう!まだそこまで遠くには行ってねぇ筈だ」
クレヨンに頷き返し、ミカンもカイトを助けるのに賛成する。
このまま無意味に時間が過ぎるのを待つだけという、最悪の展開も頭をよぎったが本当にそうなるとはまだ決まってない。
自分のせいで皆を振り回すのを申し訳なく感じ、せめて道中の露払いはと気を引き締めた。
全員で走るよりも速く動ける足ならある。
フォトン・デルタ・ウィングを召喚したままなのは都合が良い、効果を使いもう一体を特殊召喚。
それぞれに二人ずつ乗り、万丈のナビに従い出発。
別れた時に或人がどの方角へ向かったかは覚えており、とにかく1秒でも早く追い付かねばと空を駆けた。
225
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:01:32 ID:m81FVtx.0
◆◆◆
「ほう、中々面白い話をしている。私にも聞かせてくれないか?」
聞こえた声が思考を断ち切り、振り向いた或人を黄金が迎えた。
彫像の如き屈強な肉体と、息を呑む妖艶さを兼ね添えた男である。
憎きヒューマギアの情報を得る為に信頼を踏み躙るか否か。
今の今まで或人を悩ませた選択が一瞬吹き飛ぶ程に、異様なまでの存在感が放たれていた。
「アンタは……」
「立ち聞きをするつもりはなかったのだが、どうもそこの虫は私に襲い掛かった鉄屑とは違うらしい。参加者に害では無く益を齎す存在、そう見て良いんだな?」
「へぇ。こっちの旦那にも説明しましたが、あたしは只の商人ですんで」
呆気に取られる或人を尻目に、魔導雑貨商人は乱入者へ先程と同じ説明を行う。
特定の参加者に肩入れはせず、出会った者のスタンスに関係無く取引を持ち掛ける。
そうプログラムされたモンスターの為、男に対する態度は或人と変わらなかった。
「ふぅむ…では試しに利用させてもらおう。こちらが渡すのは参加者共通の道具でもいいのか?」
「勿論それでも取引には応じやす。まあ物が物なので、あんまり高価な物は差し出せませんが」
説明を聞き終えた男は暫し考え込む素振りを見せ、デイパックから複数の物品を差し出す。
水と食料、ルールブックと筆記用具といった全ての参加者に配られた品である。
普通の人間が行う栄養補給を男は必要としておらず、一日分全てを渡しても問題無し。
ルールブックに関しても内容は全て把握済み、筆記用具が後で必要になってもそこいらの施設や民家で安易に手に入るだろう。
手っ取り早く他の参加者から奪うことだって難しくはない。
「はい確かに。今お渡しできるのは…これの内のどれかですね」
「ならこれで構わん」
カタログを眺め、一点を指差せば売買が成立。
複数の物資が消失し、反対に男の手には新たな道具が出現。
魔導雑貨商人が語った内容に嘘は無く、主催者が持つ転送技術で取引が行われるのは確かなようだ。
ということは差し出す物の価値によっては、滅の詳細な現在位置を本当に手に入れられるかもしれない。
彼らのやり取りに口を挟めず眺めていた或人も、ここでようやく我に返った。
その様子に気付いたのか若しくは見越してか、男の目が再び或人を射抜く。
226
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:02:15 ID:m81FVtx.0
「待たせてしまい済まなかったね。売買は本当に可能だと分かり君も使いたいのは山々だろうが、その前に私と話をしよう」
「え、あ……」
「まずはお互い名乗ろうじゃないか。友人関係構築の第一歩は、相手の名前を知る所にあるだろう?」
心地の良い声だった。
オルゴールを流しリラックスしているかのように、体から力が抜けていく。
警戒心という名の鎧を一枚一枚剥がされていると分かっても、慌てて纏い直す気になれない。
言われるがまま頷き名を告げると、男も微笑み口を開いた。
DIO、男を表す三文字が或人の脳に刻み込まれる。
自己紹介が済めば次は当然の如く、互いの友好関係を伝え合う。
空条承太郎、ゲームに参加している中でDIOが唯一元の世界から知っている男。
それが嘘か真実かは判断できないまま、反対に或人が話す番へ移った。
いっそ気味が悪い程自分の心が安らいでいると感じ、戸惑いながらも伝える。
滅、明確に敵と呼べる存在であり己が倒すべき男。
DIOの不可思議な魅力と言えども復讐心を鎮静化させるのは難しかったらしく、気付けば憎々し気に説明を続けていた。
「成程…察するに君は滅の情報を得る為に、何を差し出すかで悩んでいたんじゃあないかい?」
「…っ、それは……」
「別に責めているのではないんだ。ただ、案山子のように突っ立っているだけでは時間を無駄にするだけだろう?
君自身の為にも、もっと賢い選択をするべきとは思わないか?」
ポン、と肩に手を置かれた。
幼き頃に喪ったヒューマギアの父を思わせる、そんな手が。
大きく硬い男の手は、それだだけで不安を削ぎ落とす役目を果たす。
「私と友達になろう。滅の件も含めて、君の不安を取り除く手助けをさせて欲しい」
置かれた手が位置を変え、自分の額へ動くのをどこか他人事みたいに見つめる。
そんなことよりもっとDIOの声を聞いていたい。
寝る前に母が子守唄を歌ってくれる子供とは、皆こういう気持ちなんだろうか。
DIOと友になり親密な関係を作れれば、抱く心地よさも更に大きくなるのだろうか。
甘美な誘惑に身を委ね――
227
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:02:49 ID:m81FVtx.0
「……っ!!」
指へ走った鋭い痛みで正気に戻った。
取引を持ち掛けられ、万丈から託された道具を渡すか否かで迷った時。
無意識の内にデイパックの口を僅かに開けたのが影響したのだろう。
奥底から機械仕掛けの小さな友、クローズドラゴンが飛び出し指先に噛み付いた。
無理やり押し込んだ或人への抗議か、様子のおかしい或人を不審に思ってか。
どちらの意図かはともかく、我に返り慌ててDIOから距離を取る。
「ごめん、助かった…!」
後ろめたさから仕舞っていたが、今はクローズドラゴンの行動に助けられた。
先程までの自分はどう考えてもまともじゃない。
会ったばかりでロクに素性も知らない男へ、ああも強い信頼を抱くなど不自然だろうに。
そんな当たり前のことにすら気付けなかったのだ。
「その玩具が君の支給品の一つかい?はしゃがせるのはもう少し後にしてくれないか?」
「悪いけど、アンタとこれ以上話をする気は無い」
DIOの言葉で奇妙な安心を感じるのは変わらない。
しかし一度我に返れば安堵よりも警戒心が勝り、自力で誘惑を跳ね除ける。
何よりこういった言葉を毒に変え芯を溶かす存在を、或人は既に知っているのだから。
自分にアークの力を与えた悪意の伝道師を名乗る女。
復讐を肯定し善意を否定した辺獄を名乗る陰陽師。
姿形は違えど根底は善から程遠い彼らと同じ側に属するだろうDIOの話に、これ以上耳を貸す気は無かった。
思えば知っている参加者の中で滅以外の名を出さなかったのも、意識せずDIOへの警戒心が働いたのかもしれない。
今では気まずさがあるとはいえ、善意で動く者であり状況が違えばもっと心強い仲間となれた万丈。
ヒューマギアに対する異常なまでの敵愾心で対立し簡単に許せはしないが、殺し合いには乗っていないだろう天津。
彼らの情報まで馬鹿正直に伝えなくて良かったと、内心安堵する。
228
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:04:25 ID:m81FVtx.0
「俺から言うことはもう無いし、滅の情報だって自分で何とかする。それでも邪魔するって言うなら…」
「…やれやれ、何故東洋人は誰もが揃って言葉より暴力を用いたがるのか。野蛮で敵わんな」
装着したビルドドライバーを意識し言う或人へ、大袈裟なため息をつく。
ゲーム開始直後に暴れ回った男、数時間前に一戦交えた決闘者と小娘。
そして此度の或人と、どうにも上手くいかない。
肉の芽を使えるかのテストも兼ねて或人を懐柔し、必要な道具の確保を行うつもりだった。
嘗てのポルナレフや祖父を殺されプッツンした承太郎同様、復讐などとちっぽけな感情に囚われた人間。
支配下に置くのは容易いと思った、がまさか機械如きに邪魔をされるとは。
「まあいい、駄犬を躾ける方法はいつの時代も変わらん」
抜群の存在感はそのままに、DIOからの敵意が膨れ上がる。
友好的に接していたのは、やはり見せかけに過ぎなかったらしい。
周囲に蔓延する空気がガラリと変われば、或人も意識を即座に切り替える。
滅以外で体力と時間を使うのは控えたかったが、そうも言ってられない。
DIOを相手にしたせいで、自身の望まない展開になるんじゃないかという懸念に一旦蓋を被せた。
どの道向こうが襲って来る以上、こっちも抵抗する他ない。
ハザードトリガーとボトルを叩き込むように装填。
ゼロワンとは全く異なる変身方法も、三度目となればスムーズに行える。
掴んだレバーの回転数を速め、巨大なプレス機を前後に展開。
『Are Yoy Ready?』
「変身…!」
『UNCONTROLLED SWITCH!BLACK HAZARD ON!』
『ヤベーイ!』
装甲全てが黒く染まり、唯一淡い光を放つ複眼が敵を捉えた。
旧世界での憎悪が新世界で芽吹いた姿、仮面ライダーメタルビルド。
変身者こそ違えど復讐を糧に動く戦士を前に、DIOはほんのちょっぴり目を細める。
形状こそ違えどベルトを使って姿を変える者。
小癪にも神を名乗るゲームマスターと同じ、仮面ライダーという奴か。
未知の力と対峙し、されどDIOは自身が敗北するとは全く考えない。
ふざけた小細工を受け本領発揮できずにいるが、己が扱う力は他の有象無象を凌駕するのだから。
229
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:05:09 ID:m81FVtx.0
「世界(ザ・ワールド)」
帝王の意思に従い現れる黄金の拳闘士。
その名の通り、世界を支配する者にのみ許されたスタンド。
こちらに楯突く身の程知らずへ、絶対的な力の差を骨の髄まで教えてやるまで。
「無駄ァ!」
突如出現した人型物体への驚愕を抱く余裕は無い。
先手は譲らないとばかりにスタンドを操作、拳の射程内へ敵を閉じ込める。
放つ拳はプロボクサーの一撃を鼻で笑う程に速く、それでいて重い。
常人ならばノックアウトを通り越し、即死しても不思議は無かった。
叩いた感触は当然ながら生身の人間を殴るのとは別。
幾重にも重ねた鉄板の如き硬さだ。
両腕を交差し防ぐ姿が見え、所詮は無駄な抵抗に過ぎないと失笑を漏らす。
ほんの一発凌ぎ何だという、ではこれならばどうだ。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
左右の拳を交互に突き出す攻撃も、スピードが桁違い故複数本の腕が一斉に襲ったと錯覚を抱く。
数に物を言わせた単純な、それでいて尋常ならざる勢い。
強固な鎧を着込んでいようとも紙切れ同然、砕かれ丸裸となるのは避けられない。
だが予想に反してメタルビルドは防御態勢のまま、DIOの猛攻に耐えている。
纏った装甲も破壊どころか小さな亀裂一つ見当たらない。
ラッシュの速度は緩めず、スタンド越しに伝わる感触へ眉を顰めた。
思った以上に硬い、数時間前にスクラップへ変えてやったガトリングバギーとは段違いだ。
NPCのスマッシュと戦った承太郎も感じた事だが、スタンド使いを相手にする時とはまるで違う。
特殊な力を持とうとも肉体的にはあくまで普通の人間、だから拳を叩き込めば再起不能へ追い込めた。
しかし仮面ライダーにはスタンドバトルでのセオリーが通じない。
ましてメタルビルドはハザードスマッシュ三体の同時攻撃や、仮面ライダーグリスの技を無傷で耐える非常に高い防御性能を誇る。
数十発の拳を放ったとて破壊は現実的ではない。
230
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:05:48 ID:m81FVtx.0
「こいつ…!」
尤も現状は決して或人の有利を意味しない。
耐えてはいるものの、ザ・ワールドは近接タイプのスタンドの中でも随一の性能を誇る。
時間停止こそ封じられていても、基本的な性能に変化は無い。
ましてDIOは殺し合いに巻き込まれる直前、ジョセフ・ジョースターの血を糧にしているのだ。
普段以上にスタンドのキレが増しており、相手がメタルビルドでなければとっくにミンチと化していた。
そのメタルビルドとてこのまま耐え続けられるかと言えば否。
一方的に殴打を受ければ体力は削られ、ダメージも蓄積する。
装甲越しへ強烈な痛みが襲うのも時間の問題。
加えて、変身中の姿がゼロワンではないのも或人を有利から遠ざける一因だ。
メタルビルドは専用の武器を持たず、徒手空拳で攻撃を受け流しカウンターを叩き込むのが主な戦法。
対して或人が元々変身するゼロワンは蹴り技を主体にしており、メタルビルドとは使い勝手が異なる。
前々から変身しているならまだしも、たった数時間で完璧に使いこなせというのも無茶だろう。
その為出来ることと言えば防御を崩されないよう、歯を食い縛る程度。
いずれ限界が来るのは確実だが、そうなる前に反撃の切っ掛けを作る者がいた。
「チッ…!」
ザ・ワールドの頭部へ炎が襲い、本体であるDIOの顔にも煩わしい熱が走る。
片足で蹴り上げるも華麗に避けられ、頭上を飛び回る小さな龍。
クローズドラゴンの妨害で僅かな隙が生まれた、動くならここしかない。
デイパックに手を突っ込むメタルビルドを前に、DIOが何もしないつもりは無く。
再度スタンドを操作し殴り付けるも、敵は怯まず望みの得物を取り出す。
強化剤により基礎耐久力が底上げされたのがメタルビルドの装甲。
或人自身の打たれ強さも相俟って、モロに拳を受けようと多少の無茶は通せる。
右手が勢い良く振り上げられる前兆を察し、ザ・ワールドが身を引く。
一手遅れて顔を出したのは機械仕掛けの大剣、フルボトルバスターだ。
231
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:06:45 ID:m81FVtx.0
「せやあああああっ!!」
両手持ちに変えるや否や跳躍、落下の勢いを乗せ斬り掛かる。
殴り返してへし折ろうと考えるも、じわりと嫌な予感がDIOを蝕む。
根拠のない他人の戯言ならともかく、自分自身の勘を信じない理由は無い。
再度ザ・ワールドを下がらせ、黄色い刀身が地面を削り取った。
三都に配備されたガーディアンの合体形態をも、チーズのように切り刻む刃だ。
真っ向から殴ろうものなら反対に拳をスライスされる。
回避に動き正解だったと、一息つかせる余裕をくれてやる気は皆無。
ボディスーツが肉体のリミッターを解除、数十歩の距離すら即座に詰め剣を振るう。
大剣とは思えぬ速さで迫るも、DIOが焦りを感じるまでには至らない。
「ノロいノロい、わざわざこのDIOが避けられるようにサービスしてくれたのか?」
嘲りが強がりで無いと、レンズが捉えた光景が伝えて来る。
刃部分を殴れば却って自分の方が傷を負うのは確実。
とはいえ他にやりようは幾らでもある、剣の腹を手刀が叩き狙いをズラす。
あらぬ方向へと弾かれた武器を手元に戻すまでの猶予は極僅か。
DIOが大人しく待ってやる甘さを見せる筈も無く、がら空きの胴へ拳が殺到。
5秒も経たない内に十数発が叩き込まれ、メタルビルドは倒れ地面を転がった。
やはりスピードはザ・ワールドが勝る。
疑いようのない事実を噛み締め、ならばと次なる手に打って出た。
フルボトルバスターは単に撃った斬ったが性能の全てではない。
更なる力の引き出し方は既に把握済だ、万丈との戦闘がここに来て活きる。
ドライバーからボトルを外し、大剣中央部のスロットへ装填。
『TANK!』
『FULL BOTTLE BREAK!』
ボトルの成分を読み込み攻撃の強化を実行。
剣の間合いに敵はいないが問題無い、フルボトルバスターを振り下ろし鉛色の刃を飛ばす。
これをDIO、スタンドを一旦解除し本体は身を捩る。
背後をチラと見やれば斬撃が当たった箇所が刃と同じに変色、溶けてあっという間に固まった。
先の一撃以上に直撃は避けるべきと判断を下す。
232
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:07:35 ID:m81FVtx.0
ボトルの成分を付与した攻撃は今の一撃で終わりじゃあない。
二度三度と振るえばその度に刃が飛び、地面や遮蔽物を破壊。
近付かなければ当たらないという考えは即座に捨て去らねば、あっという間に剣の餌食だ。
鞭のように刀身を伸ばし、地面を叩きつけ土埃が舞う。
つまらなそうに鼻を鳴らし跳躍、空中へ逃げたDIO目掛けまたもや刃が飛来。
脅威ではあるが命中すればの話だ、軽く上体を捻って躱し華麗に着地。
『TANK!』『TANKK!』
『ジャストマッチでーす!』
避けるのまで織り込み済みだ。
モード切り替えスイッチを押しながら、グリップ部分を動かす。
遠距離形態に変えたフルボトルバスターへ、すかさずボトルを読み込ませる。
二本へ増やした事で付与される成分の量が増加、技の威力も大幅に強化された。
補助グリップを掴み照準を合わせると、反動の抑制と共に命中率を引き上げる。
『JUST MATCH BREAK!』
着地地点に照準を合わせ、引き金を引くまでの一連の動作に無駄は無い。
フルボトル二本分の成分を籠めた弾が銃口から飛び出る瞬間を、今か今かと待ち侘びている。
斬撃以上に真っ向から受け止めるのは危険な威力だ。
如何にザ・ワールドだろうと、拳で打ち消そうものなら焼き潰されるに違いない。
「フム……」
本来のザ・ワールドならば時を止め対処すれば良いだけだが、それが不可能なのはDIOとて理解している。
吸血鬼の生命力なら直ぐには死なないだろう、なれど余計な傷を負いたいとも思わない。
233
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:08:28 ID:m81FVtx.0
ならばスタンド以外の手札を切るまで。
取るべき手を選んでからの動きは迅速。
エネルギー弾の発射まで残り僅か、躊躇を抱く必要も無い。
自分を差し置いて神を名乗り、あまつさえ時の止まった世界へずけずけと入り込む。
全く持って許し難き主催者からの施しを受けるようで気に食わないが、かといって使える道具を腐らせておくのは愚の骨頂。
利用出来るものはとことんまで利用し尽くす、人間時代からの変わらぬ精神性が敗北という結末を退ける。
『VMOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!』
解放されるや否や、骨まで揺さぶる雄叫びを響かせた。
野生動物か、NPCのモンスターか。
どちらも違う、現れたのはそのような狭い範疇に収めて良い存在に非ず。
黒々とした体毛と、戦槍の如く伸びた角が目を引く二頭の牛だ。
真紅の布を纏う猛牛が引く戦車に飛び乗り、帝王が小賢しくも楯突く人間を見据える。
叫び一つで有象無象を慄かせるも、伊達に滅亡迅雷.netやアークとの死闘を生き延びてはいない。
驚愕を抑え付けトリガーを引き、戦車諸共消し飛ばすべく砲撃を放った。
「無駄な足掻きと、直接体に教えてやろう」
対するDIOに焦りの二文字は毛先程も見当たらない。
優雅に足を組んで座り、リラックスする余裕を見せ付けながら発進。
蹄が地面を叩く度に雷が迸り、稲妻で舗装された道を駆け抜けているかのよう。
神秘的ながら決して美しさのみではない、獣が引いているにも関わらずスポーツカー顔負けの速度を発揮。
エネルギー弾など最早枯れ葉が横切った程度に過ぎず、二頭の突進により呆気なく掻き消された。
攻撃が無駄に終わったと理解したなら、即座に次の手に出ねばなるまい。
別の方法で迎え撃つか、回避や防御に専念するか。
そう頭では分かっていても、実際に体を動かすまでにほんのちょっぴりの間が生まれる。
メタルビルドの元へ戦車が到達するには、十分過ぎる程の隙だ。
アークワンやゼロツーの演算能力を用いれば避けられたろうが、言った所で無い物ねだりでしかない。
234
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:09:12 ID:m81FVtx.0
大型トラックと正面衝突しても、メタルビルドには傷一つ付かず体勢を崩すことすら不可能。
但し何事にも例外がある。
マケドニアにて名を馳せた稀代の戦略家、征服王イスカンダルが所有する宝具こそDIOの支給品の一つ。
神獣が牽引した後には屍すらも残らない。
支給品に落とし込んだ影響で多少の制限こそあっても脅威だ。
「っ――」
どれ程の勢いを乗せたのか、メタルビルドの両足が地から離れる。
装甲がダメージを最小限に抑えるも、全てを完璧に殺し切るには至らず。
ほんの一瞬視界が黒に染まり、口から出るのは言葉にならない苦悶の声。
飛びかけた意識を無理やりにでも手繰り寄せ、気絶を防いだのは痛みに慣れているが故だろう。
尤も、他にやれる事は何も無いが。
遥か彼方へ吹き飛び、いつ終わるかも定かじゃない激突を繰り返す。
などという展開にはならない。
背を向け宙を泳ぐ先にはもう、黄金の拳闘士が待ち構えていた。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!」
近接タイプでありながら射程距離は他のスタンドよりも長い。
だからこうして、ザ・ワールドを使い挟み撃ちも可能だった。
今度は最初のような防御を取らせてやりはしない、無防備な背中を襲うラッシュ。
装甲がダメージ軽減を働きかけるも数が数。
百に及ぶ拳が蓄積したなら軽く見れる傷にはならない。
「がっ…!」
一際強烈な一撃で殴り飛ばし、トドメとばかりに反対側から猛牛が頭突きを繰り出す。
絶えず襲う衝撃にとうとう限界が訪れ、地面を転がり漆黒の鎧は消え失せた。
うつ伏せに倒れる或人が手を伸ばすより早く、ヒョイとビルドドライバーを回収。
目的の一つであった太陽を遮断する道具は手に入れた。
残るは無様に敗北した人間の処遇のみ。
235
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:10:15 ID:m81FVtx.0
「さて…このDIOに歯向かうのが如何に愚かしいかを、身を以て知ってもらえた所でだ。何と言ったか…ああ確か滅、だったな」
「…っ!?」
何故このタイミングで再び滅の名を出すのか。
殴打を受け苦痛に苛まれながらも、DIOの言葉に意識が引き寄せられる。
「さっきの態度を見て分かったよ。或人、君は滅を強く憎んでいるのだろう?情報を欲したのも、復讐を果たす為だ」
「だったら…何だって言うんだ…!?」
「勘違いしないで欲しいが、私は何も君の復讐を否定するつもりはないんだ。ただ…今の自分の姿をよく考えてみるといい。
力の差を理解出来ずに噛み付き、挙句私に敗れた君が滅に挑んだとしても…おっと、この先を言うのは酷だったかな?」
「っ!!」
言わんとすることが分からない訳も無く。
憎々し気に歯を食いしばる様を見下ろし、弾むように続ける。
「この戦車を見てくれ。乗り心地だけでなく、君を撥ね飛ばした時の威力もすっかり気に入ったよ。人間を撥ねた感想など特に抱かないと思っていたが…分からんものだな。
まあそれよりもだ、聞けば滅は随分危険な男らしいじゃあないか。そんな者にこの戦車のような支給品が与えられていたら、果たして君の手に負えるのかな?」
痛い所を咄嗟の反論も口を突いて出てくれない。
アークドライバーワンの代わりにビルドドライバーを支給された自分同様、滅も本来とは別の変身ツールを与えられているかもしれない。
フォースライザーを超えるライダーシステムを手に入れた可能性だってある。
アークワンどころかゼロワンにもなれず、未だ使いこなせないメタルビルドで復讐を果たせるのか。
出来ると自信満々言おうにも、現実に自分は万丈にもDIOにも負けているじゃあないか。
前者は精神的な影響も少なからず存在するが、敗北は事実だ。
「フフ…なぁ或人。復讐したい気持ちは分かったが、今の君はハッキリ言って中途半端にしか見えんぞ?力が欲しいなら、もっと餓えるべきとは思わないか?」
動揺を見逃さず、DIOの言葉は復讐者の精神を絡め取る。
見下ろし近付ける手を振り払うのが正しい選択の筈と、分かっているのに動けない。
傷の痛みだけが理由じゃない、真に受けるなと言い聞かせても胸の奥深くまで流れ込んでしまった。
キーキーと必死に叫ぶ小龍が邪魔そうに払い除けられても、まだ動けずにいる。
良くない何かが起こる、しかし自分の望みが本当に叶うのなら――
236
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:11:18 ID:m81FVtx.0
『SWORD VENT』
「うおらあああああああああああっ!!!」
誘惑に抗えず堕ちるのを認めぬと、銀の刃が振り下ろされる。
伸ばした手を引っ込めDIOが後退、悉く邪魔が入り内心の苛立ちが上昇。
余計な真似に出た者を睨めば、炎を思わせる真紅の騎士がいた。
白銀の鎧に青龍刀、頭部に龍の意匠を施した姿に見覚えは無い。
だが似たような存在を目にしてるだけに、正体への察しはすぐに着く。
「また仮面ライダーというやつか」
つまらなそうに呟くDIOを睨みつつ、赤い騎士は或人を背に庇う。
便所のゴキブリの糞にも劣る正義感に突き動かされ、乱入して来た。
と、それだけが理由ではないらしい。
剣を構えながらも背後の青年へ声を掛ける。
「大丈夫か或人!?」
「万丈、さん…何でここに……」
「助けがいる奴と会って、お前のとこに戻んなきゃならなくなったんだよ。あいつ…DIOだかってむちゃくちゃヤベェ奴なんだろ?」
初対面の相手から自分の名が飛び出て、ピクリとDIOのこめかみが動く。
誰から聞いた、この島で名を知っているのは限られてくる。
ジョースターの小僧ともう一人、自分だけに許された世界への入門を封じた決闘者。
「こうも早くにまた会うとはな…」
『りゅうが きゅうにおちて ビックリ!』
「ええ本当にね…心臓に悪いわよもう!」
誰から聞いたと問い質すまでもなく、降り立った者達が騎士に並ぶ。
237
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:12:17 ID:m81FVtx.0
「天城カイト!死にぞこないが、まだこのDIOの邪魔をするか…!」
「分かり切ったことを聞くな。死が避けられないなら、お前相手に残りの命を使うまでだ」
或人が向かっただろう方角へ引き返したカイト一行である。
空中からの捜索中、倒れ伏す探し人とカイト達を襲った危険な参加者を発見。
悠長に着地するのも惜しいと、フォトン・デルタ・ウィングの光刃部分へデッキを翳し龍騎に変身。
飛び降りた万丈に続く形で降下し今に至る。
圧倒的に有利だった状況に暗雲が立ち込め、小さく舌打ちを漏らす。
多対一だろうと負ける気は無い、だが決闘者の厄介さは身に染みている。
腕を負傷し非戦闘要員同然のクレヨンを抜きにしても、ミカンと万丈がカイトを守るだろう。
時間停止を封じたあのドラゴンが再び牙を剥くのは大いにあり得る。
『ZERO ONE…』
追い打ちを掛けるように、戦闘へ加わる者がもう一体。
肩で息をしながらも立ち上がり、メタルビルドとは別の変身を果たす。
低い電子音声が告げるのは或人が元々変身する仮面ライダー、しかし姿は全く異なる。
蛍光イエローのボディこそ同じでも、装甲では無く生物的な肉体へ変化。
おぞましい顔面と肩から突き出た羽は、ライダーというより昆虫の怪人を思わせた。
アナザーゼロワン。
タイムジャッカーの手で歴史改変を受けた世界で、とあるヒューマギアが変身したアナザーライダー。
或人とも死闘を繰り広げた怪人だが、当人にその記憶はない。
元の歴史に戻った以上、全てを覚えているのは常磐ソウゴら魔王一行のみなのだから。
或人の戦線復帰にDIOは潮時と判断を下す。
納得のいかない部分はあるが時間停止が不可能な以上、無駄に体力を消費する必要もあるまい。
幸い日光を防ぐ手段は手に入った、ならば長居は無用。
238
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:12:59 ID:m81FVtx.0
「全く忌々しい……!」
それはそれとして、二度も撤退を選ぶのはやはりストレスが溜まる。
逃がしはしないと万丈が斬り掛かるも、付き合ってやる気は無い。
先程物々交換で手に入れたアイテムを地面に叩きつけた瞬間、閃光と轟音が万丈と背後のカイト達を襲った。
かんしゃく紙という22世紀のひみつ道具だ。
千切って投げる本来の使い方をせず、一枚丸々投擲し万丈達を怯ませる。
仮面ライダーに変身中の者もいるのだ、効果は大き過ぎて困らない。
「〜〜〜〜〜っ!!おい待ちやがれ!」
耳鳴りが激しい中で、僅かに猛牛の雄叫びが聞こえた。
視界が戻った時にはもうDIOの姿は見当たらず、どこへ逃げたかも定かではない。
悔し紛れに叫んでも、嘲り一つ返って来なかった。
【H-6/一日目/早朝】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(小)、苛立ち(大)、精神的動揺、時間停止不可、搭乗中
[装備]:特殊名簿@オリジナル、神威の車輪@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品(食料・水・ルールブック・筆記用具無し)、ビルドドライバー+メタルタンクタンクフルボトル+ハザードトリガー@仮面ライダービルド、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]基本方針:「神」を追い落とし、すべてを手に入れる「王」となる。
1:東洋人(鬼舞辻無惨、名前は知らない)の弱点を見つけ出し、ボディを奪う。
2:次から次へとこのDIOの静止時間に入り込むか。同じ能力を持つものは必ず仕留める。
3:ザ・ワールドの効果を戻さなければならぬ。
4:肉の芽を植え付けられればいいのだが。
5:仮面ライダーとやらの道具は手に入れた。日光を防げるだろう。
6:承太郎はあえて味方と言い張る。取るに足らぬ人間は混乱させておく。
[備考]
※承太郎との最終決戦最終盤からの参戦。
※時間停止の時間は少なくとも5秒未満です。
具体的な時間は後続にお任せします。
※銀河眼の時空竜の効果で効果を無効にされ時止めができません。
何かしらの手段で無効効果がなくなるか、遅くとも第一放送後に戻ります。
肉の芽も無効かは不明です。
※どこへ向かったかは後続の書き手に任せます。
239
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:14:00 ID:m81FVtx.0
◆◆◆
「クソッ!またこうなるのかよ…」
殺し合いに乗った者をみすみす逃してしまった。
パラダイスキングに続き二度目のミスだ、自分への怒りが募る。
だが今は失敗に悪態を付くより、仲間を優先するべき。
振り返ると各々呻いたり頭部を振って視界が危うい者もいるが、長続きはしない。
DIOがやったのはあくまで音と光を使った足止め、命を奪う傷は負わされなかった。
「万丈さん……」
消沈した声に顔を動かせば、俯く或人の姿を捉えた。
変身中で素顔も怪人になっているのに、落ち込んだ顔なのが良く分かる。
纏う空気の重苦しさに相応しい、非常に暗い声色で言葉を紡いだ。
「ごめん…後で返すって約束したのに……」
元は万丈の仲間の所有物であるビルドドライバー。
いずれ返してもらうと預けられたが、よりにもよってDIOに奪われる大失態を犯した。
聞けば戦兎は今の自分よりも仮面ライダーの名が相応しいヒーロー。
そんな人のベルトが今後はDIOに使われてしまう、自分がしくじったせいで。
申し訳なさと悔しさで、まともに目を合わせられない。
「お前だって必死に戦ったんだろ?ならしょうがねぇよ。俺が取り返せば戦兎の奴も文句は言わねぇだろうし、そんなに落ち込むなって」
あっけらかんとした態度は内心の怒りを抑える為ではなく、本心から気にしていないと伝える。
ビルドドライバーが奪われたのは確かに由々しき事態であるも、或人の責任を追及する気は皆無。
事前にカイト達からDIOがどれだけ危険かは聞いており、そのような相手に一人で持ち堪えた或人をどうして責められようか。
240
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:14:41 ID:m81FVtx.0
お前は悪くないと言われても或人は気落ちしたまま。
次に万丈が何かを言う前に、無言で両手を突き出す。
握られているのはフルボトルバスター、ビルドドライバー共々いずれ返却を約束した武器だ。
何故急にこれをと困惑する万丈へ、有無を言わせず無理やり持たせる。
「やっぱりこれは、万丈さんが持ってた方が良いと思う。またヘマやらかして、奪われる訳にもいかないし」
「だから俺は気にしてねぇって……」
「あのベルトは俺がどうにかして取り戻す。本当に、迷惑かけてごめん」
武器を手放し背を向けた或人に、嫌な予感を感じた。
ビルドドライバーの件で責任を感じているだけではない。
自分達の方に視線を寄越さない姿は、まるでこちらを拒絶してるかのよう。
素顔を見せずとも、安易に近付くのを憚れるこの雰囲気には覚えがあった。
同じだ、最初に会った時の或人と。
復讐を優先する余り嘗ての決意を裏切り、間違った道を進もうとしている。
「おい或人…っ!?」
伸ばした手を拒む壁が出現。
羽音を立てて無数のバッタが万丈達を取り囲み、足を止めざるを得ない。
追い払おうにも数が多く、前後左右どこを見てもあるのは虫虫虫。
農作物を食い荒らすのではない、人間を餌とする害虫の群れだ。
尤も或人に万丈達を傷付ける意図はない。
その証拠にバッタの群れは妨害にこそ動いても、攻撃はして来なかった。
やがて何かをするまでもなく、害虫は一斉に離れ徐々に姿を消す。
足止めという役目は終わりだ。
先のDIO同様、視界を塞いだ間に或人も何処かへ去って行った。
241
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:15:49 ID:m81FVtx.0
○
偽りの歴史で生まれたゼロワンには、仮面ライダーとしてのゼロワンには無い能力が複数存在する。
内の一つ、飛行機能を使い万丈達の元から飛び去った。
気にしてないとは言ってくれたが、はいそうですかと簡単には切り替えられない。
DIOに負けなければ、或いはもっとDIOを警戒して慎重に動くべきだった。
後悔だけなら幾らでも出来るがやって何の意味があるのか。
自分の尻拭いを万丈にさせるつもりはない、責任の取り方は分かっている。
「どこに行った…?」
DIOを見付けてビルドドライバーを取り返す。
すぐには頷いてくれないだろうとは分かった、だから強引な形で飛び立ったのだ。
ドライバーに続きフルボトルバスターまで奪われては、流石に顔向け出来ない。
故にあの場で返し、アナザーウォッチのみを手にDIOの追跡に出た。
――本当にそれだけか?
問い掛ける声が聞こえた。
周囲には誰もいない。
DIOには追い付いていないし、万丈が追いかけて来る姿も見当たらない。
他の誰でもない、或人自身の声でもう一度問う。
本当に、万丈の元を去った理由はそれだけなのかと。
ビルドドライバーを取り戻したい気持ちに嘘はない。
だがそれならそれで、もっと他にやりようがあるだろうに。
先の場には万丈以外にも三人の参加者がいた。
様子から察するに殺し合いには否定的、であれば彼らとの情報共有をしっかり行うべきじゃあないのか。
特にカイトと呼ばれた青年はDIOと因縁があるように見えた。
となると、DIOに関する話を詳しく聞き再戦への備えを行う方が利口。
若しくは万丈と共にDIOを追い掛けたとて問題無い。
ビルドの力を好き勝手に使わせたくない想いは自分以上、人間性についても信頼が置ける万丈が同行する方が或人一人よりも戦力面での不安を取り除ける。
なのに何故、ロクに話しもせず単独行動を選んだ。
242
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:17:21 ID:m81FVtx.0
DIOを追い掛けるにしても、それはビルドドライバーを取り戻す為なのか?
そもそも自分が万丈達から離れたのは、DIOを追い掛ける為だとハッキリ言えるのか?
気付いてはいけない理由に、胸の奥が軋み出す。
先程の戦闘で自分は敗北した。
もし万丈が現れなかったら、一体DIOに何をされたのか分からない。
嫌と言う程に力の無さを思い知り、ふと思い出した。
アナザーゼロワンウォッチに隠された特殊な機能を。
善意に溢れる状態で使えば、強大な力を持った仮面ライダーゼロワンへの変身が可能となる。
しかし反対に、悪意に支配された状態で使えばより凶悪なアナザーゼロワンに変身する。
夢を追いかけていた頃ならともかく、今の自分に善意の力を引き出せるとは口が裂けても言えない。
では後者なら?
アークワンと同じ、悪意を糧とする怪物になるのを不可能とは言えないのでは?
――『滅への復讐、それ以外は捨てなされ』
――『どっちつかずなままじゃ、全部無駄になちゃうよ?』
――『力が欲しいなら、もっと餓えるべきとは思わないか?』
この地で出会った三人の言葉が、耳元で繰り返し囁かれる。
決して善人とは言い難い、けれど間違いを言っていると否定も出来ない。
善意を捨て去れば、復讐以外いらないと決断すれば、滅を破壊する力を寄越せと貪欲に欲すれば。
アナザーウォッチは或人の悪意に応え、イズの仇を取れるだけの強大な力が手に入る。
だから、その為に『邪魔な』万丈達から逃げるように去った。
それが真実なんじゃあないか。
「……っ!」
違うと言い聞かせても、己への疑問は消えない。
自分を惑わす戯言を振り切るように、或いは受け入れ難い現実から逃げるように。
飛行速度を一段上げ、振り返らずに進む。
夜明けは近い、なのに或人の前には光なんて微塵も見えなかった。
【飛電或人@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:迷い(極大)、疲労(中)、ダメージ(大)、アナザーゼロワンに変身中
[装備]:アナザーゼロワンライドウォッチ@仮面ライダージオウ×ゼロワン 令和・ザ・ファーストジェネレーション
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本方針:とりあえず滅をはか…倒す…
1:DIOを追ってビルドドライバーを取り戻す。…………そのつもり、だ。
2:滅がここにいるなら必ず倒す…つもりだ。でももし他の参加者に倒されたら……?
3:垓さんか…まぁ頑張ってくれてるといいな
4:とりあえずあった人からは話を聞いていこうかな
5:万丈の仲間に会えたら礼と情報交換をしなくちゃな
6:エボルトに警戒
7:主催の人達は許さない、けど滅よりは優先度は…まだ低いな
8:他の人達を助けて、それで間に合わなくなるなら……
[備考]
※参戦時期は43話開始直後。
※どこへ向かったかは後続の書き手に任せます。
DIOの正確な位置を把握していない為、DIOと同じ方角へ向かったとは限りません。
243
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:18:30 ID:m81FVtx.0
◆◆◆
「悪いカイト、俺も急いで行かなきゃなんねぇ」
デイパックの口を閉じそう告げた万丈に、カイトからの驚きは無い。
短いやり取りの中で、或人を気に掛けているのは良く分かった。
であれば何を思って出発を急ぐかも、理由に察しが付かない訳がない。
「飛電或人を追うのか?」
「ああ。…今のアイツを一人にしたら絶対ヤバいことになっちまう」
そうだろうなと口には出さず同意する。
やり取りを見ていただけの者達にも、或人が危うい状態だとは察せられた。
一人でDIOの元に突っ込み返り討ちに遭うのが関の山。
下手をすれば、もっと悪い事態に発展しないとも言い切れない。
「そっちは大丈夫なんだよな?コイツが失敗した、なんてことは…」
「問題無い。流石に体力までは戻らんが、解毒は成功だ」
「お、おう、そうか。ずっとムスッとしてっから分かりにくくてよ…」
一言余計だと思いつつも、一難去ったのは事実なので素直に感謝しておく。
DIOに殴り飛ばされ痛がる素振りを見せていたが、クローズドラゴンは耐衝撃・耐熱性にも優れている。
ちょっとやそっとじゃ破壊されず、カイトに噛み付き毒を完全に除去。
ブラッドスタークの崩壊毒をも打ち消す治癒効果を以てすれば、モウドクフキヤガエルの毒も無効化が叶った。
疲労はそのままであり体力的に余裕があるとは言えないが、毒で死ぬ末路を回避出来ただけでも十分だ。
『カイト げんきなって クレヨンもうれしい!』
「ええ、本当に良かった…」
満面の笑みを浮かべるクレヨンに同意し、ミカンも安堵で胸を撫で下ろす。
使い魔から抽出した毒を魔法抜きで解毒可能なのか不安だったが、杞憂で済んだらしい。
どうあっても助からない事態も考えただけに、解毒が上手くいって心底ホッとした。
カイトの治療という当初の目的を果たし、本当ならば万丈も彼らに同行する筈だった。
なれど前述の通り或人を放って置けず、追いかけ無茶をしでかす前に止めねばならない。
244
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:19:40 ID:m81FVtx.0
「待って龍我さん。あの人を追い掛けるなら、これを持って行って」
呼び止めたミカンがデイパックから出したのは、小さな支給品とは不釣り合いな物体。
赤いボディが目を引く金属の塊、バイクである。
と言っても普通の二輪車にない特徴が複数個所見られるが。
移動手段としては便利だがデュエルモンスターズのモンスターを召喚できるカイトがいる為、使う場面は無く仕舞ったままで数時間。
ようやく出番が回って来たのだろう。
「かなり助かるけど良いのかよ?」
「ああ、初見のデュエルシステムが搭載されていたのは気になるが……今はお前が使う方が良いだろう」
毒を治せる支給品がないかと確認した時、このマシンをミカンのデイパックから見付けた。
ざっと見ただけでも、カイトをして見事と言わざるを得ない性能。
説明書に記載された名称から、Dホイールなるマシンの持ち主兼開発者も参加していると発覚。
状況が違えばその者とも話をしてみたかったが。
高性能な足が手に入り、これで本当に出発の準備は整った。
カイト達は予定通り島の中央を目指し、万丈も或人をどうにかしたらそっちへ一旦合流。
平行して互いの仲間の捜索も行う。
同じグループのHANOIや監察官が不参加のクレヨン以外は、それぞれ信頼出来る者も巻き込まれている。
彼らの名前と特徴は既に交換し合ったので問題なし。
「戦兎を見付けたらクレヨンの腕のことも言っとく!絶対に死ぬんじゃねぇぞ!」
運転に少々クセのあるDホイールをどうにか動かし、カイト達の元を去って行く。
これで残ったのは最初に出会った三人だけ。
同行こそ出来なかったが、打倒主催者の方針が同じ参加者との縁は作れた。
「…クレヨン?大丈夫?」
『うい だいじょぶ』
ふと横を見ると、笑顔を絶やさない彼女の瞳が悲し気に揺れた気がする。
尋ねてみても次の瞬間には笑顔を向けられ、書き込んだ文字もこちらを心配させまいとするもの。
245
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:20:56 ID:m81FVtx.0
但し内心まで明るいかと言うと違う。
(あると、ずっとおこってないてた……)
一度も言葉を交わしていない。
万丈と話すのを見ただけの相手で、素顔だって晒さなかった。
だけど、彼が抱えているモノには覚えがある。
憤怒、憎悪、嫌悪、絶望。
心に亀裂を生み、悪しき方へと堕ちる感情。
それは何も人間だけが持ち合わせる訳ではない。
愛玩人形として弄ばれ、嫌悪を押し殺した者がいた。
命ある存在とは思えない扱いをされた者がいた。
悪霊を生み出す人の悪意を見て来た者がいた。
料理に愛情を注ぐキッチンを醜悪な争いの場に変えられた者がいた。
現実で多大なストレスを抱え、TOWERに集められたHANOI達。
彼らと同じモノに或人も苛まれ続けている。
(ひとりはかなしくて、いたいよ……)
HANOI達と決定的に違うのは、痛みを和らげてくれる存在の有無。
TOWER内でストレス発散をするだけではない。
根本的な部分で心を癒す誰かが必要なのだ。
HANOIが何に強く苦しんでいるかを理解しようとして。
失言をすれば心から謝罪し、対等の関係を築こうとする。
監察官のような者が傍にいてあげたら、或人を苦しめる痛みも治るのだろうか。
「あのー、そろそろ良いですかい?」
「っ!」
背に声をぶつけられ、弾かれたように振り向く。
身構える彼らが見つめる先には、人の特徴を一つも持ち合わせない生物がいた。
赤い履物の巨大な虫、魔導雑貨商人である。
或人とDIOの戦闘に巻き込まれないように隠れ、もう出ても良い頃だろうと姿を見せたのだ。
「さっきの旦那方はもう行っちまったみたいですが、とりあえず何か買いやすか?」
カタログを開き言う特殊なNPCに、三人は思わず顔を見合わせた。
246
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:21:38 ID:m81FVtx.0
【天城カイト@遊☆戯☆王ZEXAL】
[状態]:ダメージ(特大・非常食で少し回復)、肩に傷(応急処置済み)
[装備]:デュエルディスクとデッキ(天城カイト)@遊☆戯☆王ZEXAL、NO.107 銀河眼の時空竜@遊☆戯☆王ZEXAL
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:首輪を外しこの戦いを終わらせる。
1:何だこいつは?
2:首輪を外すための方法を探る。そのためにサンプルとして二人(渡とマヤ)の遺体を探す。
3:ナッシュ警戒、ベクターとあの男(DIO)は要警戒。
4:遊馬ではできないだろう敵の排除。ベクターを優先とする。
5:空条承太郎、安易に信用するべき相手ではなさそうだな。
6:遊馬、お前は無事か?
7:E-4辺りで参加者を探す。
8:不動遊星、あのDホイールとやらを作った男か……
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※既存のエクストラデッキの銀河眼エクシーズモンスターは全てありません。
※クローズドラゴンの治癒機能で解毒を行いました。
※時の止まった世界を認識できます。
但し殆ど動けません。何度も時間停止が起きれば動けるかも?
※ミカン、クレヨン、海馬(アニメ版)、万丈と情報交換してます。
【陽夏木ミカン@まちカドまぞく】
[状態]:精神疲労(大)、精神的動揺、魔法少女モード、呪い&ミカエルの毒無効
[装備]:クロスボウ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(解毒系のものはなし)
[思考・状況]基本方針:誰も殺さず、元の世界に帰る
1:今度は何!?
2:もしかしてこの決闘企画も、私の呪いのせいで始まったのかしら。
3:彼(カイト)の毒、治って良かった……
4:名簿は……まだ見れないわ。
5:クレヨンと一緒に行動する。腕もどうにかしてあげたい
6:ひょっとして、此処は仮想世界?
7:呪いがないのはいいことだけど……
8:E-4を中心に人を探す。
[備考]
※参戦時期は、原作49話(アニメでは2丁目11話)で呪いが発動し、
シャミ子・桃と別れた後、かつ再会する前からです。
※名簿は見ていません。
※クレヨンとの会話からこの舞台が仮想世界TOWERの可能性を考えています。
※銀河眼の時空竜の効果でウガルルの呪いが無効になってます。
何かしらの手段で無効効果がなくなった瞬間、或いは第一放送時に戻ります。
※カイト、クレヨン、海馬(アニメ版)、万丈と情報交換してます。
DIOの時を止める能力も把握してます。
【クレヨン@TOWER of HANOI】
[状態]:左腕粉砕(修復は困難)、右腕損壊(使用自体可能)、ダメージ(大)、MP消費(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品(紙とピンク色のクレヨン含む)、ランダム支給品×1〜3(解毒系のものはなし)、壊れた左腕の残骸
[思考・状況]基本方針:ミカンを ニコニコ えがおに したい!
1:おっきいむしさん!
2:けっとう?イヤ!
3:ここ タワー?
4:せんとってひと うで なおせる?
5:おはなし むずかしい!
[備考]
※参戦時期は後続書き手さんにお任せします。
※コーラルとの親密度はB以下です。
※戦闘補正があるため戦闘能力はTOWER世界と同等です。
ナイフ等のTOWERでの技で使う武器や道具を任意で生成できます。
ただし出せる技の範疇の武器のみで、生成する際にMPを消費します。
作成できるナイフの種類はクレヨンが所持しているナイフに変更されます。
ない場合は原作の『ペーパーナイフ』がデフォルトになります(攻撃力微増)
※銀河眼の時空竜の効果でティアドロップ、ラッキーカードが使えません。
何かしらの手段で無効効果がなくなった瞬間、或いは六時間後に戻ります。
※カイト、ミカン、海馬(アニメ版)、万丈と情報交換してます。
DIOの時を止める能力も把握してます。
247
:
ソレが正しい選択か?
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:23:04 ID:m81FVtx.0
【万丈龍我@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、運転中
[装備]:龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、遊星のDホイール@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品一式、フルボトルバスター@仮面ライダービルド、クローズドラゴン@仮面ライダービルド、火炎剣烈火&聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、ガトリングフルボトル@仮面ライダービルド
[思考・状況]
基本方針:主催の奴ら全員倒して殺し合いを潰す。
1:或人を追い掛ける。急いで見付けねえとヤバいだろ
2:遊戯って奴が心配。
3:檀黎斗はもう絶対に許さねぇ
4:戦兎ならクレヨンの腕も直せる筈だ
5:戦兎、玄さん、カズミン、絶対生きてろよ、永夢もな
6:エボルト、滅、DIOを警戒、特にエボルトは一度共闘したからって信用出来るわけねぇ
7:爆発頭野郎(パラダイスキング)は次に会ったら絶対に倒す。
8:他にも仮面ライダーがいるのか知りてぇな
9:俺のフルボトル(ドラゴンフルボトル)はどこいったんだ?出来たら知りてぇな
[備考]
※参戦時期は『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』以降。
※万丈がどの方角へ向かったかは後続の書き手に任せます。
また或人やDIOの正確な位置を把握していない為、同じ方へ向かったとは限りません。
【かんしゃく紙@ドラえもん】
22世紀のひみつ道具の一つ。
ちぎって丸めてぶつけたり、紙そのものに衝撃を与えるとかんしゃく玉のように破裂して驚かす。
【神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)@Fate/Grand Order】
ライダーのサーヴァント、イスカンダルが所有する二匹の神獣『飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)』が牽引する戦車型宝具。
地面だけでなく、空までも自らの領域として駆け抜けることが可能。
神牛の踏みしめた跡にはどこであれ雷が迸る。
イスカンダルはキュプリオトの剣を振るい自在に召喚するが、今回剣は支給されなかった。
【遊星のDホイール@遊戯王5D's】
デュエルディスクの発展系であるオートバイ型のデュエルマシン。
本体の他にバイザーに場のモンスターのステータスが表示されるヘルメットと、デッキホルダー及び手札ホルダーを備え左腕に装備するデバイスで構成される。
デュエルが開始されると自動操縦(オートパイロット)に切り替わるが、手動操縦(マニュアルモード)のままにすることも可能。
不動遊星はサテライトに捨てられたジャンクパーツを使い、仲間と共に自作した。
名称は遊星号。
248
:
◆ytUSxp038U
:2024/10/10(木) 23:23:26 ID:m81FVtx.0
投下終了です
249
:
◆QUsdteUiKY
:2024/10/21(月) 00:39:05 ID:rR.sf6O60
投下します
250
:
凛と咲く花のように強く美しいナルシスト
◆QUsdteUiKY
:2024/10/21(月) 00:40:57 ID:rR.sf6O60
尊とユキは、新たな仲間を探すために探索していた。
なかなか参加者と遭遇出来ないが、その分だけNPCを打ち倒し、尊はパンチホッパーとしての力を着実に身に着けていた。
「それにしてもこのアイテム、どうして表裏で色が違うんだ?」
尊は影山がそうしていたように、灰色の側を表にしてパンチホッパーに変身している。
じゃあどうして、もう片方は緑色なのか。
まあそういう道具だと片付けでも良いのだが、何かが引っ掛かる。NPCの蛹ワームを倒した尊は、変身解除して緑色の側を見る。
「それは、何か特殊なギミックがあるアイテムなんじゃないか?」
蛹ワームの大群を倒したいて気配に気付かなかったが……いつの間にか居た黒の剣士が声を掛ける。
他に居たのはI♡人類とかいう悪ふざけみたいな黄色の服を着た男と――
「これが新しい仲間か?空よ」
「ばんなそかな!?」
何故か日本語を喋るよくわからない物体に、しかもNPCのような蝙蝠のモンスターまでいる。
「安心してくれ、こいつらはNPCじゃない」
空はリリスとキバットがNPCじゃないと口にした。
ユキはこの手の類のモンスターには慣れてるから何も思わなかったが、尊は少し考える。
本当にNPCじゃないとしたらこの理由のわからない生き物達はなんなのか、と。
しかし攻撃してくる様子はない。いきなり喋りだしたことは驚いたが……
「……ハ・デスが言っていたな。この世には無数の世界があるって……事実、この道具や仮面ライダーという言葉を僕は知らない。そいつらも僕とは違う世界の住人ということか」
「ボクとタカノリくんも全然違う世界だもんね。ボクの世界にはこういう魔物も普通にいるよ♪」
「そういうことだ。しかもこいつらは支給品として渡された。参加者でも、NPCでもない特殊な存在だ」
空の言葉に尊は驚くが、影山が託したホッパーゼクターも意思のようなものがある。
そういう支給品も、存在することを認めざるを得ない。
「とりあえず自己紹介から始めないか?俺はキリト。……過去にデスゲームに巻き込まれて、クリアした経験がある」
「何!?過去にもこんなことが起こっていたのか!?」
251
:
凛と咲く花のように強く美しいナルシスト
◆QUsdteUiKY
:2024/10/21(月) 00:43:01 ID:rR.sf6O60
「ああ。あの時は仮想世界だったけどな。……まあ今回はリアルっぱいのに俺が何故かリアルじゃなくてアバターで巻き込まれてるから、以前以上にイレギュラーだ」
「ちなみにボクは初めてだよ」
「僕もだ。海斗ならともかく、僕はこんな殺し合いに巻き込まれることをした覚えはない」
「俺も初めてだな。というか、キリト以外は全員初めてだ。……ところでその海斗って奴はどういう奴なんだ?」
「忌々しい問題児で、僕たちボディーガードの恥だ。……まあたまに頼りになることもあるがな」
その話を聞いて、空は海斗と尊の大まかな関係性を把握した。
口では悪態ついてるし、実際に犬猿の仲なのだろうがその実力は認めているといった感じか
「その海斗は駆紋戒斗か?天城カイトか?」
「朝霧海斗だ。この殺し合いの名簿には載ってない。あいつのことだから、巻き込まれてると思ったんだけどな。ちなみに僕の知り合いは名簿に一切書かれてない」
「ボクはヴァイスフリューゲルの仲間……モニカ、ニノン、クウカが巻き込まれてるよ。あとは……見せしめに殺されたアユミだね……」
ユキの声は、少し寂しそうだった。
大切な仲間を失ったのだ。当然だろう。
それに続いて影山まで失い……気丈に振る舞っているが、ユキの精神的なダメージは少なくない。
それでも今もこうして平静を保てているのは、尊が何かと面白い存在ということや、アユミや影山の意志を継ぐためだ。
こんなところで、泣いていられない。今でもきっとみんな、必死に抗ってるはずだ。今、目の前にいる尊がそうであるように。
「そうか……。それは辛かったな……」
キリトが同情気味に口にする。
サチとユージオ。
自分にもっと力があれば助けられた大切な人を二度も失ってるキリトには、ユキの気持ちがよくわかる。
仲間が居ると言えば聞こえは良いし頼もしく感じることもあるが……こういうこともある。
アンダーワールドを救えたのは、ユージオのおかげだ。それは間違いない。
だからといって、ユージオを失ったことを悔いてないといえば、嘘になる。
きっとこの少女にも、これから色々と辛い出来事が起きるのだろうと思う。……実際は男だが、まだキリトは気付いてないゆえに少女だと誤認している。
もしかしたら――アスナ達が巻き込まれなかったのは、運が良かったかもしれない。
アスナ達が居ればそれほど頼もしいことはないが、彼女達を殺されたくはないから。
(そんなふうに考える俺は、自己中なのかもな……)
大切な仲間が巻き込まれてる少女を見て、まだ自分は運が良い方だと思った。
……同時に、そんなことを考えてしまう自分が最低だとも。
もしかしたら――こうしている間にも、少女の仲間が誰かに襲われてるかもしれない。殺されてるかもしれない。
そんな少女になんて声を掛ければ良いかわからなくて――
「顔色が悪いぞ、キリト」
そんなキリトに空が声を掛ける。
ユキの声色から、彼女(実際は男だがそこまで流石の空でも見破れなかった)が悲しみを滲ませてるのはわかる。
そしてキリトは二度目のデスゲームに巻き込まれた――謂わばリピーターだ。
一度目のデスゲームで、様々な仲間の命を散らしてきたことは簡単に想像出来る。
キリトはその背中に、とてつもなく重いものを背負っているのだ。
252
:
凛と咲く花のように強く美しいナルシスト
◆QUsdteUiKY
:2024/10/21(月) 00:43:46 ID:rR.sf6O60
それは空にはどうしようもない出来事で。
でも空黒になり、相棒になったからこそ――放ってはおけない。空はなんだかんだ、優しい人間だ。
だが、この状況をどうしたら打開出来る――
「自己紹介の途中だったよね。ボクの名前はユキ。よろしくね♪」
ユキは、どこまでも気丈に振る舞っていた。
その姿があまりにも辛くて尊も、キリトも、空も――皆がユキを心配している。
だが――ユキとそれなりに付き合いが長い――といっても数時間だが、そんな尊だからわかることがある。
ユキが気丈に振る舞ってるのだ。きっと悲しいに違いないのに。自分だって麗華や彩、それに薫や侑祈を失えば悲しい。……そこには海斗すら含まれている。
それでもユキは気丈に振る舞ってる。普段通りの振る舞いで――それはまるで気高く咲く可憐な花だ。
ならば尊がすることはもう決まっている。
「僕は宮川尊徳だ。このナルシストとは数時間前にあった」
「タカノリくんの方がナルシストだよ。ボクはほら……鏡を見ればそこには美少女が写ってるよ♪」
「そういう奴をナルシストというんだ。だいたい僕はエリートだぞ」
「証拠はあるの?♪」
「僕の世界のエリートだからな。証拠はない。だが僕は優秀なボディーガードとして暮らしてきたぞ」
――そんなふうに軽口を叩きあって、ユキの気持ちを癒してやる。
ただただ悲しんだり、無理して気丈に振る舞わせるよりは気が晴れると思ったから。
その軽口の応酬は、まるで海斗と話しているようで自然と尊の心も落ち着く。……こんな場面であの男を思い出すのは、少し癪だが。
そして気が付けば自然とユキは本来の調子を取り戻していた。
「仲が良さそうで、なによりだな」
二人の掛け合いを見て、微笑むキリト。
空すらも打開出来ない状況を――ユキの笑顔を尊は守った。そういう意味では、たしかに尊はボディーガードとして優秀なのかもしれない。精神的な意味で。
「誰がこんなナルシストと仲が良いものか」
もっとも尊がこういう漫才染みた掛け合いが出来るようになったのは、海斗のおかげなのだが。
「とりあえずこれからもボクのボディーガードを頼むよ、タカノリくん♪」
「僕はこんなナルシストのボディーガードなんて嫌なんだけどな……」
なんていうのも嘘で。
「でもなんだかんだ守ってくれるじゃん♪」
「それは、影山に託されたからだ。まあ僕はエリートだから貴様のようなナルシストを守ることくい、造作もないがな」
ユキは麗華ほどじゃないが美しいのは事実。
それに影山に託されたのだ。守らないわけには、いかないだろう。
「そっか♪ヴァイスフリューゲルのみんなに会ったら、タカノリくんやキリトくん、ソラくんのことも紹介しないとね♪」
ユキは本調子を取り戻しつつある。
しかし彼は知らない。既にヴァイスフリューゲルの一人、ニノンが戦死したことを。
(ギルドメンバーに紹介する、か……)
キリトは思う。
きっとユキはヴァイスフリューゲルのメンバーを心から信用しているのだろう、と。
だがそんな心強い仲間でも、死ぬ時は死ぬ。それはユージオが死んだ時、嫌というほど思い知った
だからユキにはそんな思いはさせたくないけど――デスゲームはそう甘くない。
それをキリトは重々理解しているし、空もキリトの顔色を見て察した
「よし。じゃあまずはそのヴァイスフリューゲルのメンバーを優先的に探そうぜ。俺も、キリトも、尊徳も仲良いやつがいないならユキの仲間探しだ。それにヴァイスフリューゲルは戦力にもなるんだろ?ユキ」
この状況でも生きてる可能性がある――それはある程度の戦力があるからだろうと空は予想する。
253
:
凛と咲く花のように強く美しいナルシスト
◆QUsdteUiKY
:2024/10/21(月) 00:44:17 ID:rR.sf6O60
「うん、みんな強いよ♪」
予想的中
ユキのメンタルのためにも、戦力探しにもヴァイスフリューゲルを探すのが優先される。
それにユキのこの信用からして、きっと悪人じゃないはずだ。殺し合いに積極的じゃない――思いたい。
兎にも角にも会ってみなきゃわからないことだが。
とりあえず話し合いがひとまず終わる。
影山と呼ばれていた男のことも聞きたいが、いきなり質問攻めされるのは相手が困るだろうし尊やユキのメンタルにも関わる。
おそらく影山という人物は死んでいて、尊に託したからだ。
影山に託されたと話した時に、尊の語気が僅かに弱まっていたのを空は見逃さない。
とりあえずユキと尊のメンタル回復も、多少は必要だろう。特にユキは二人も死んでるし、更にヴァイスフリューゲルから死人が出てる可能性もある。
さぁ――と風がユキの髪を揺らす。
「……だがそのヴァイスフリューゲルから死人が出でてなければ良いがな……」
「大丈夫だよ、タカノリくん。ヴァイスフリューゲルの人たちはみんな強いから」
尊もユキも――キリトや空すらも知らない。
ヴァイスフリューゲルの天真爛漫な少女、ニノンが死んだことを。
しかしこの後、いずれか否が応でも知ることになるだろう――。
「そういえば、空。ホッパーゼクターのギミックってなんだ?」
「俺もあまり知らないけど……ちょっと変身してくれないか」
緑色の側を表にして変身させると、尊はキックホッパーに変身していた。
「まあ性能の差は俺にもわからないけどな」
「そうか。まあ良い、影山は灰色の方を表にして変身してたんだ。僕も出来る限りそうする」
――それは尊なりの影山に対する敬意を評してのことだった。
その言葉に誰も反対することなく、尊はこれからも影山の意志を継ぎパンチホッパーとして戦い続ける。
254
:
凛と咲く花のように強く美しいナルシスト
◆QUsdteUiKY
:2024/10/21(月) 00:44:28 ID:rR.sf6O60
【一日目/早朝/C-8】
【宮川尊徳@暁の護衛 トリニティ】
[状態]:健康
[装備]: ホッパーゼクター&ZECTバックル@仮面ライダーカブト
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜5
[思考・状況]基本方針:僕たちがゲームマスターを倒す!
1:ユキと一緒に影山とアユミの仇を取る
2:影山……お前の意志は僕が引き継ぐ
3:ヴァイスフリューゲルのメンバーを優先的に探す
[備考]
※パンチホッパーとしての戦い方がわかりました
【ユキ@プリンセスコネクトRe:Dive】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:ボクの美しさをクロトやハ・デスにも知らしめてあげる
1:タカノリくんはボクが応援してあげるよ ♪
2:みんなは大丈夫だよね
3:アユミ……
4:ヴァイスフリューゲルのメンバーを優先的に探す
[備考]
【キリト@ソードアート・オンライン(アニメ版) 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:カゲミツG4@ソードアート・オンライン、ごせん像@まちカドまぞく
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す
1:空と共闘する
2:北東で参加者を捜す。
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる。その次にD-6の島を調査する
4:リリスのよりしろ探しを手伝う
5:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、謎の気狂いの変態、念のため美遊の関係者を警戒
6:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
7:ヴァイスフリューゲルのメンバーを優先的に探す
[備考]
※参戦時期はソードアート・オンライン
アリシゼーション War of Underworld終了後
※遊戯王OCGのルールをだいたい把握しました
※アバターはSAO時代の黒の剣士。
GGOアバターに変身することも出来ます。GGOアバターでは《着弾予測円(バレット・サークル) 》及び《弾道予測線(バレット・ライン) 》が視認可能。
その他のアバターに変身するためには、そのアバターに縁の深い武器が必要です。SAOのアバターのみキリトを象徴するものであるためエリュシデータやダークリバルサー無しでも使用出来ます。SAOアバター時以外は二刀流スキルを発揮出来ません。これらのことはキリトに説明書に記されており、本人も把握済みです。
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※空と空黒というコンビ名を結成しました。
【空@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版) 】
[状態]:健康
[装備]:デュエルディスクとデッキ(蟲惑魔)@遊戯王OCG、キバットバット三世@仮面ライダーキバ
[道具]:基本支給品、高級木材のモーターボート@現実、首輪×2(御伽、遠野)
[思考・状況]基本:ハ・デスと檀黎斗を倒す。あまり人類ナメるんじゃねぇ
1:キリトと共闘する
2:北東で参加者を捜す
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる。二手に別れるかは人数と戦力状況による。その次にD-6の島を調査する
4:主催者と関係ある人物と接触する
5:リリスのよりしろ探しを手伝う。それに大きくする道具はあるか?
6:渡の殺害の件がきな臭い。士とレイに接触し、当時の状況の詳細を聞き出す
7:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、謎の気狂いの変態、念のため美遊の関係者を警戒
8:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
9:ヴァイスフリューゲルのメンバーを優先的に探す
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後
※遊戯王OCGのルール及び蟲惑魔デッキの回し方を把握しました
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※キリトと空黒というコンビ名を結成しました。
【リリス@まちカドまぞく】
[状態]:正常
[思考・状況]基本:全員で生きて脱出
1:空とキリトと行動を共にする
2:吉田一家を優先に捜す
3:小倉を見つけたら、等身大のよりしろを作って貰いたい
4:桃とミカンの合流は後回し。合流したら挨拶はする
5:よりしろを見つけ出す
6:ヴァイスフリューゲルのメンバーを優先的に探す
[備考]
※参戦時期は4巻(アニメ2期)終了後
※他者との肉体を入れ替える能力と他人の夢に入る能力は制限対象で黎斗によって不可にされています。
※黎斗によってよりしろで活動出来る時間は10分に制限されていて、二時間経過しないと活動出来ません。等身大よりしろも同様です。
※よりしろ状態でも並行世界――きららファンタジアで手にした力を引き出すことは可能とします。ただし、少なくともキリトの支給品にきらファンでのリリスの専用武器はありません
255
:
◆QUsdteUiKY
:2024/10/21(月) 00:45:16 ID:rR.sf6O60
投下終了です
256
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:48:50 ID:YHkTpgY.0
投下します
257
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:50:30 ID:YHkTpgY.0
西か南か。
どちらが正解の道なのか。
確率は二分の一。選んだ結論としては、
「俺は南がいいと思うぜ?
寒さと雪で足元掬われちまう場所を、
殺し合いに乗ってない奴が優先するとは思えねえ。」
ベクターが最初に提案し、その方角は南だ。
逃げるならやはり平地。体力も消耗しやすい雪原で、
長居するような参加者はあまりいないだろう。
無論、その裏をかいてあえて居座る参加者や、
スタート地点がそこだから居座る可能性もなきにしも非ずだが。
「ええ、真月さんの言う通りです。
我々は敵味方どちらと出会っても構わない状況にあるのが一番の強みですから。」
オーバーロード、仮面ライダー、デュエルモンスターズ。
他の勢力がどの程度かは知らないが、このチームは少なからず力がある方だ。
このまま勢力を拡大させるにしても、殺し合いを加速させる敵に出会っても、
どちらであったとしても困ることではない面子というのは大きな強みでもある。
「それともう一つ理由が。」
「何だ?」
「月君が南にいるかもしれない、と言うことです。」
「根拠はあるんだろうな。」
「私が北にいるからです。」
デスノートの時にも話したことだが、
名前と名簿がわかるようなものを持った参加者と、
本物のデスノートを持った参加者を近くに配置するとは思えない。
月とLも同じと仮定し、南の方角の方に彼がいる可能性がある。
月がLをどのような人物として吹聴するかは定かではないが、
月の息がかかった勢力とLの息がかかった勢力のぶつかり合い。
確率は低いにしてもそういうことはありえるかもしれないことだ。
それに月も自分たち同様中央のエリアを目指す可能性は十分にある。
そういう意味も含めて、南へと直進していくのがいいと判断していた。
「根拠に欠けるが、まあ勢力同士のぶつかり合いってのは、
ゲームを重んじてる主催者の連中からしたら一つのイベントかもな。」
名探偵と殺人鬼の勢力同士のぶつかり合い。
話し合いで終わるかもしれないがイベントとしては盛り上がる要因だろう。
北のL陣営と南の月陣営。ある種のSLGの類のようにも思える。
「では移動先も決めたことですし、
真月さん、首輪の回収をしておきましょう。
幸か不幸か、此処にはサンプルが大量にありますから。」
「ホープでやれってか? あんまり気乗りしねえんだがな……」
曲がりなりにもこれは遊馬のカード。
言うなれば不殺の象徴ともいえるカードだろう。
それで首を斬り落とすというのは少々憚られるが、
今すぐ切れ味のいいモンスターを探せと言われて探すには、
時間がかかるということも相まってやむを得ずホープを召喚する。
「ところでなんで今になってサンプル確保なんだ? さっきの二人は回収しなかったじゃねえか。」
さっきの二人と言うのは、麻耶と牛尾のことだ。
先の二人も別に首輪の回収をすればよかったのに、
今になって首輪を回収することにベクターは疑問を持つ。
「死体を見つける為ローラー作戦をやってかなり目立ちましたからね。
槍の男が近くにいる可能性を考慮して早めに切り上げたかったんですよ。
あの男を相手に今の戦力で挑むのは少々不安が拭えないのは事実ですから。」
こうして歩いて今まで出会ってないということは、
周辺に件の相手はいないということが伺える。
ただ、流石に死体が四人もいては流石に予想外な出来事だったが。
「探偵様の考えることは違うねぇ。
まあ態々映像で流されるぐらいの奴だ。
一筋縄じゃあいかねえってのは予想がつく。」
着物の男(縁壱)と同じように、
いわゆるボスキャラクターのポジションのはずだ。
あれらを相手するのに、万全の状態で挑むのがベストなのは理解できる。
「で、お前は何をしている?」
ホープが丁寧に首を切断してる最中、
ベクターは二つのデッキのカードを交互に見合う。
その中からカードを抜いたり入れたりとしている。
「見りゃ分かんだろ。デッキ改造だ。
俺に遊星のデッキは扱えねえからな。
牛尾のデッキに使えそうなのを混ぜ込んでんだよ。」
258
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:51:20 ID:YHkTpgY.0
牛尾のデッキはエースカードの一枚となるゴヨウ・ガーディアンを使用する場合は、
レベル4+レベル2のチューナーを用いて召喚するパターンが多いデッキでもある。
レベル4モンスター自体は遊星の方が多いもののホープを使用するのであれば、
こちらを使用していく方が安定性が取れると判断して勝手ながら改造している。
シンクロ召喚に慣れてないベクターにとってはコンボ性よりも安定性を重視していく。
「シンクロモンスター専用のカードはなるべく避けて……」
「ああ、そういえば真月さん。これを渡しておきます。」
作業の合間にLは一枚のカードを渡す。
裏面がデュエルモンスターズなのは分かる。
しかしそれをめくった後ベクターの表情は真顔となった。
「……マジか。」
予想だにしてないカードを渡されたのもあるが、
使うことができないわけではないのと、シンクロより性に合うカードだ。
そのカードの強み自体は知ってはいるので、ありがたくデッキに入れることにした。
そうやってベクターがデッキの試行錯誤してる間に首輪は回収。
一見するとどう見ても普通の機械の首輪にしか見えないが、
少なくとも人の首を分離できる程度の威力はあるらしい。
いや、厳密には参加者に平等に同じ威力とも限らないとLは考える。
ロード・バロンの力はすさまじい。あくまで耐久の確認のためにと、
変身して戒斗に切りかかったが傷などろくにつけられないままに終わった。
当然、人間の首を破壊する程度の威力の爆弾ではすまされないのは分かっている。
ザックが仕掛けたときのように人間状態なら確かに分からないでもないことではあるが、
とてもこれだけで殺せるとはいいがたい要素ともいえるだろう。
オーバーロードのデェムシュだってそうだ。最初に倒されたとはいえ、
イコール弱かったというわけではない。数々のアーマードライダーを前にしても、
圧倒するその頑強さを考えると人によって首輪の爆破、或いは殺し方は違う可能性は高い。
「ま、こういっちゃなんだがその辺は俺でも予想できるな。」
「でしょうね。人間とオーバーロードとバリアン。
人種の違いの時点でこれぐらいは誰でも思いつくかと。
ですが言い換えればこれもまた武器になりえるということです。」
人の首を斬り落として拝借して、
それを武器にするとは常人には発想できないことだろう。
それがこの中で唯一の人間であるLが発言したことで、
中々の悍ましい発言にベクターは僅かに顔を顰める。
確かに仮にオーバーロードを殺せる首輪をぶつければ、
大概の参加者を殺すことは可能なのかもしれない。
「まあ、対象が死亡したら爆発しないと言う可能性もあるので過信はできませんが。」
「貴重なサンプルだ。本当に最終手段として使うべきものだ。」
「分かってます。首輪の回収も終わりました。
あとはこの手の知識に詳しい参加者を探すだけですね。」
首の切除、首輪の回収、デッキの改造も一通り終わりとなり、南へと歩を進める三人。
これまで死者としか出会えていなかったので、いい加減生者と出会いたいと望むが、
「全員構えろ!!」
戒斗の叫びが全員の脳に警鐘を響かせる。
Lはロックシードをドライバーにはめ、ベクターはデッキからカードを引く。
普段静かな彼が急に叫ぶほどの相手となれば。それは一人しかいない。
眼前に捉えるのは深紅の鎧の怪物。聞き及んでいたオーバーロード、デェムシュだと。
「貴様はいツカの猿だっタな。」
先ほどドラゴンフルーツエナジーロックシードを食べることになった原因。
それと間もなく相対することになることは、デェムシュも予想はしていなかった。
結芽がつけた傷が目立っており少なからずダメージを受けてるように見受けられるが、
雰囲気は嘗ての時とは違う。何かしらの力を得て強くなっているのだと戒斗は察する。
「猿、か。だがこれを見ても貴様はそう言えるのか。」
両手を広げて人の姿からロード・バロンへと変身する戒斗。
彼がオーバーロードになれることを知らないのもあり、多少の関心を抱く。
地球人など下等な猿としか思ってない彼からすれば大躍進した存在ともいえる。
「貴様もオーバーロードに至っタカ。
ダガいくらオーバーロードにナロうと地球人、猿であるコとには変わらん!」
だからと言って地球人に敬意など持つはずがない。
最も強く、最も愚かであるフェムシンムの生き残り。それがデェムシュだ。
故に同胞だとか身内だとかと喜ぶ気などなく、寧ろ憤りすら感じている。
自分達の領域に地球人如きが踏み入ることなど、あってはならないと。
それはある意味、戦極凌馬のプライドに近しいものがあった。
戒斗からすればつまらんプライドに過ぎないが。
憤りながらデェムシュはシェイムを手に肉薄する。
「何!?」
259
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:52:51 ID:YHkTpgY.0
「げ、俺かよ!?」
しかし狙いは戒斗ではなく、ベクターだった。
怒りの矛先から戒斗を狙うものだと思ってたのもあり、
支給品の中から漆黒の剣を取り出したが標的は別で一歩遅れを取る。
ベクターもドローしたばかりで壁モンスターすら出すことができない。
首を刈り取られる前にモンスターを召喚しようとするも間に合わず、、
Lが変身したバロンの得物であるバナスピアーがかろうじて防ぐ。
「グッ……!」
とは言え相手はダメージが大きく消耗していてもオーバーロード、
しかも強化されている状態なので並のアーマードライダーでは耐えきれない。
受け止めても衝撃で吹き飛ばされ、後方にいたベクターを巻き添えにしながら大地を転がっていく。
一手遅れた戒斗がデイバックから引き抜いた漆黒の剣、夜空の剣をを背後から斬りつける。
それを勢いをつけるように体を捻り、鍔迫り合いへと持ち込む。
「貴様、俺と戦うのではなかったのか!」
「ソの前に邪魔な猿を蹴散らスだけダ。特にあの猿はナ!」
戒斗の一撃を押しのけると、今度は主霊石を使い無数の氷柱が地面から隆起。
そのまま二人へと襲い掛かるが、双方何とか横へ転がる形でかろうじて回避する。
「おい! こいつはカードのことを知ってやがる! 距離をとれ!」
露骨にベクターばかりを狙っている行動。
明らかにデュエルモンスターズが何かを理解している。
同時にそれがどれほどの利便性かもわかってるとみていい。
こうなってはベクター達が足枷にしかならなくなってしまう。
ベクターへ集中させないように夜空の剣を振るい剣戟へと持ち込む。
ギガスシダーを素材に作られた剣はすさまじい硬度を持っており、
シェイムとの剣戟にも十分耐えられる代物となっている。
「大丈夫ですか?」
「これぐらいなら何とかな……で、
距離をとれつってもあっちに倒れてる奴を助けねえとやべえぞ。」
「オトーサン……オトーサン……」
デェムシュが連れていた参加者と思しき人物。
左耳を失っており、少なくとも無事であるとはいいがたい。
早急に手当てぐらいはしておくべきだとベクターが向かおうとするが、
遮るように氷柱を飛び越えて彼を足止めするようにLが立つ。
「おいおい、何の真似だよ?」
「理由は簡単に二つ。一つは台詞が棒読みで演技臭いこと。
もう一つはデェムシュでしたか。彼がなぜ人間を生かして連れているかです。」
デェムシュは好戦的な正確なことは知っている。
だったら参加者を生かしておく理由などどこにもない。
では人質の為……そうLも最初は考えたがすぐに否定された。
当のデェムシュが人質としての利用価値を見出していないからだ。
今や氷柱を隔てた向こうで戒斗と人間離れした剣戟で周囲を荒らす威力を放っている。
とても人質として扱ってる様子はなく、この状況に違和感しかなかった。
「少しだけ落ち着きましょう。真月さんならモンスターでも救出可能なはずです。」
「……どっかのかっとビングにあてられ過ぎたな。」
あいつだったらあれが敵だとしても放っておかなかっただろう。
けれど自分は良かれと思ってと場をかき乱す真月ではなくベクターだ。
回りくどいレベルの入念に計画してことに出る。そういう男だろうと。
言われればそうだ。なぜ相手は生きたままこうしてここにいるのかが謎だ。
一方で人間を見下してるはずのオーバーロードが人間を利用しているのは、
聊か戒斗から伝えられた人柄と違って違和感を持たざるを得ないのだが。
念のためモンスターを適当にセットしながら様子をうかがっていると、
「う、うわあああああ!!」
流れる血のせいか、向けられているデェムシュの圧のせいか。
痛み、恐怖、死といったものからへの逃避するためのありふれた生存本能。
『シャバドゥビタッチヘンシーン』
『チェンジ ナウ』
260
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:53:46 ID:YHkTpgY.0
それがMNRを突き動かし、しびれを切らした彼は襲い掛かるように置き上がり変身。
仮面ライダーワイズマンへと変身しながらハーメルケインを振るい、二人へ襲い掛かる。
被害者の振りをするようにデェムシュには言われたものの、時間と我慢の限界だった。
同じオーバーロードでも狡猾なレディエであればよりよい利用できたのかもしれないが、
怒り心頭であったデェムシュではこれぐらいの策を考えるのが限界でもあった。
遮るようにバナスピアーで防ぐものの、こちらもまた重い一撃で後ずさりをするL。
元々ワイズマンはウィザードの最終フォームとも呼べるインフェニティースタイルにも太刀打ちできる。
マンゴーアームズもゲネシスドライバーもない。ただのバロンでは分が悪くても仕方のないことだ。
「悪いがそのまま時間を稼げよ! ジャンク・シンクロンを召喚!」
何とか時間を稼いでる間にリコイルスターターを背中につけた、
オレンジ色の小柄なモンスターが召喚されて。更に横にはジュッテ・ナイトも反転召喚される。
(ジャンク・スピーダーってやつは強いのは分かっている! これで手数を増やして援護を……)
遊星のデッキは複雑で扱いづらくはあるが、
パワーカードであるカードにはいくつか目をつけている。
その中でもジャンク・スピーダーは攻守どちらにおいても役立つ、
召喚するだけでデッキから大量のモンスターを呼び寄せることができる。
召喚制限はかけられるが、少なくともシンクロ召喚に疎いベクターでも強いと認識できるカード。
故に改造したデッキにもカードは入れてデッキに入れており、
「レベル3、ジャンク・シンクロンにレベル2、ジュッテ・ナイトをチューニング!」
『ERROR』
「……は?」
出てきた答えはまさかの召喚できないに変な声が飛び出す。
シンクロ召喚という概念は彼のいた世界には存在しなかったので、
疎い以上知らない基本的なルールが存在していることも理解してない。
「真月さん、チューナー同士では基本的にですがシンクロ召喚できません!」
「な、まじかよおい!?」
何とか躱すなど凌いでいるLが、困惑するベクターへと回答を促す。
あらかじめデュエルのアプリで細かく理解していたのもあり、
シンクロ召喚という概念に対しては彼の方が造詣が深かった。
一部の例外を除き、シンクロ召喚はチューナーとチューナー『以外』のモンスターを使う。
今フィールド上に存在しているのはどちらもチューナーモンスター。
この条件で出すことのできるシンクロモンスターは今のデッキには存在しない。
プレイングミスの間も時間は過ぎていく。
立ち回りも何もあったものではないハーメルケインの連撃だが、
初めて仮面ライダーになったLなのも相まって押されている。
「なら反撃の時間稼ぎだ。ジュッテ・ナイトの効果発動! 白い仮面ライダーを守備表示に変更する!」
しょうもないことでミスしやがったなと、反省しつつも援護をしていく。
強制的に攻撃を中断させられるように動作が停止させられ、
バナスピアーの一突きで軽く突き飛ばされるMNR。
一撃は通ったものの、スペック差は埋めようがないこと。
ダメージも耳を失ったことと比べればずっと軽微なダメージだ。
「ついでにカードをセットして、ワンショット・ブースターを特殊召喚!」
続けざまに展開される頭部にシグナルをつけた黄色の機械が姿を現す。
通常召喚に成功したターンに手札から特殊召喚することが可能なモンスターで、
今度はチューナーではないことを確認してから行動に移す。
「シンクロ召喚ってのはつまりこういうことだな!
レベル3のジャンク・シンクロンにレベル1のワンショット・ブースターをチューニング!」
起き上がろうとするMNRを踏みつけて動きを封じるつもりだったが、
横へ転がる形で回避されてしまいバナスピアーで続けて攻撃を狙う。
身体能力は決して低くはないLではあるものの、本気の殺し合いの経験は浅い。
MNRにも言えることではあるが、先の照や桃との交戦で経験値がないわけではないし、ま、多少はね?
だから仮面ライダーのスペックもあるが、L以上に人を殺すことに対してのブレーキがないのだ。、
この舞台に来る以前からブレーキなどないのだから、それも差を少なからず埋められないものにしていた。
「チッ、使えン猿め。」
まだ一人も仕留めきれてないとは、
はなから人間程度の存在に期待などしていなかったが、
あの程度の痛みでは役に立たないということ分かった以上、
もう片方の耳でも引きちぎってやろうかと考える……暇などなく。
261
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:54:27 ID:YHkTpgY.0
「よそ見する暇があるのか!」
植物の蔦が鞭のようにしなやかに襲い掛かる。
迫りくる蔦を、軒並み水の主霊石で凍らせ動きを止めていく。
様々な宇宙を巡ってる都合本来なら弱いであろう氷にも耐性はあるが、
ロックシードを食べたことで強化された氷の力の前では武器として機能しない。
ついでにその勢いで戒斗の下半身をも凍らせるほどの威力を発揮させる。
「散レ!!」
連続して放たれる炎の玉。
それを斬る、打ち消す、あるいは反射能力で次々と返していく。
しかしドラゴンフルーツのロックシードを得たことで弾速、威力共に上がっており、
攻撃速度に戒斗追い付かず被弾し、氷を砕きながら吹き飛ばされる。
(やはり反射は都合よく使えないか……!)
被弾は確かにデェムシュが強化されたのもあるが、
攻撃を反射する能力に制限がかけられてることに今気づいたのもある。
考えれば破格の防御能力だ。バランスを考慮されていてもおかしくはない。
どの程度の制限が科せられてるのか定かではないが、多用は禁物だと自戒する。
「以前よりも強くはなっているようだな……だが!」
立ち上がり手をかざすと。大地を抉りながら赤い竜巻状のエネルギーを放つ。
対抗するように水の主霊石を翳し氷塊を飛ばし攻撃を相殺。
氷は砕きながら周囲へと散弾のように散っていき、ベクター達を襲う。
ベクターは咄嗟に近くの岩陰へ隠れて難を逃れるものの、
ほかの二人は仮面ライダーの装甲で被弾こそすれども怯む程度にとどまる。
「クソッ、向こうが派手過ぎてこっちにまで被害出て……」
岩陰へと隠れたベクターだったが、
氷塊が被弾して転がってきたMNRと目が合う。
ワイズマンの顔には目と思しき場所が判断つかないのだが、
視線が合ったことだけは分かり、ぞわりと悪寒が走った。
即座にジュッテ・ナイトを壁にしながら岩の上へ立つようにジャンプすると、
ジュッテ・ナイトごと岩を破壊し、ベクターは足場が崩れる前に近くの大地へと転がる。
「ったく俺のターンぐらいよこせ! アームズ・エイドをシンクロ召喚!」
ドローする暇すら与えられない激戦区の中、
やっと赤い爪の腕のような機械を召喚に成功する。
しかし攻撃力は1800。低くはないが下級モンスター並だ。
今のMNRを相手するのには力不足であると言わざるを得ない。
「出せるから出してみたが悪くねえな! アームズ・エイドの効果発動!」
しかしこのカードの本領はそのモンスター効果にある。
アームズ・エイドにはモンスターに装備カードとして装備することができる効果を持つ。
装備するモンスターが不在では効果は発動できない。だが此処ではそうはならない。
「ほら、名探偵様にくれてやるよ!」
MNRの背後よりバナスピアーを振るうLへ、ハーメルケインで弾く。
隙をさらしたところに続けざまの攻撃を妨害するように飛び交い。攻撃を妨害する。
そのままLの左腕に装備され、仮面ライダーバロンは新たなステージへと進んでいく。
仮面ライダーバロンアームズ・エイドと言ったところだろうか。
「鬱陶しいなぁ!」
MNRもデュエルモンスターズの厄介さを理解した。
指輪をパームオーサーへ翳し、ベクターの両腕を縛り付けるように鎖が彼を縛り付ける。
当人を縛るように即座に召喚されるのもあり、回避不可能な理不尽さがバインドリングの強みだ。
突然縛り付けられたこともあり、身動きがうまく取れずに転倒する。
「少シはやルようダな猿!」
今こそ好機。
相殺した攻撃の後剣戟を続けていたデェムシュは、
攻撃の片手間に主霊石で氷塊をベクターの頭上へと出現させる。
「消え失せろぉ!!」
「げ、しま……」
逃げようにも腕が縛られてうまく立ち上がれず、逃げに送れるベクター。
舌打ち交じりに戒斗が剣戟をやめ、飛び蹴りで氷塊を蹴り飛ばしで砕いて破片程度にすませる。
一命をとりとめることができたものの脅威はまだ続く。そのままデェムシュが肉薄してきたからだ。
迫るフェイムをアームズ・エイドを装備したLが咄嗟に盾にする形で防ぐが、同時にアームズ・エイドが破壊。
せっかく装備させてもオーバーロード相手では微々たるものであるということが伺える光景を見ながら、
その一瞬で稼いだ隙に夜空の剣がバインドのチェーンを断つ。
仲間を助ける。生前からすれば戒斗らしからぬ行動ではあるが、
手を組んだ以上見捨てるような真似をするつもりはない、彼なりのプライドだ。
『エクスプロージョン ナウ』
262
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:55:53 ID:YHkTpgY.0
だがそのプライドが仇となった瞬間だ。
三人が集っているところこそ狙い目であり、
エクスプロージョンリングによる爆発が三者を襲う。
グレムリンやビーストを一撃で戦闘不能に追い込む魔法だ。
生身であるベクターが受ければまず死ぬこともあり、Lが突き飛ばす。
加減したとはいえ仮面ライダーの力で大きく突き飛ばされたベクターは、
連鎖する爆発に巻き込まれる二人を見て苦虫を嚙み潰したような顔になる。
「クソッ、俺が役に立たねえのがムカついてきやがる……!」
戒斗一人で戦ってれば多少苦戦はすれども十分に戦えただろう。
Lがそこに加勢すればMNRの方は苦戦すれどもデェムシュを相手に余裕をもって戦えたはず。
この中で一番戦力外どころか、足手まといになっているのが自分であることが歯がゆく思う。
爆発にのまれた二人は吹き飛ばされ、追撃をかけるように水の主霊石の氷柱が弾丸のように倒れる二人へ襲い掛かる。
「させん!」
再び竜巻状のエネルギーを飛ばし、
氷柱を吹き飛ばしながらそのまま反撃に出る。
デェムシュは霧状になって攻撃を回避し、肉薄しつつ元に戻りながらシェイムを振るう。
夜空の剣の対応は間に合わず、ゲネシスドライバーのアーマードライダーでも傷つかなかった外骨格へ傷をつけ火花を散らす。
通常だったら叶わなかっただろうが、ロックシードを摂取し強化されたこでダメージが通るようになっていた。
「くそ、奇跡の残照を発動してアームズ・エイド復活だ!」
二人が作ったこの隙を逃すほどベクターも愚かではない。
このターン戦闘で破壊され自分の墓地へ送られたモンスター1体を復活させるカード。
ワイズマンに破壊されたアームズ・エイドを復活させるが、装備はさせず目的は別にある。
「ドロー! ジャンク・サーバントを通常召喚!
レベル4のジャンク・サーバントとアームズ・エイドでオーバーレイ!」
ジャンクの名前が付いた通り、
ガラクタをつぎはぎしたような人型のモンスターが召喚されるが、
すぐに目的のための素材として光の球となって消滅する。
「猿!」
「わ、分かってるよ……!」
デェムシュは戒斗との剣戟によって手が出せない。
相手が何かをしようとしているのはMNRも理解しており、
威圧的な声にうわずった声と共にエクスプロージョンリングを行使しようとするが、
遠くにいたLが刀身であるバナキールからバナナ型の発光エネルギーを飛ばし、妨害する。
自分に近接攻撃しか手段を持ち合わせてないと思わせるためにとっておいた一撃は、この局面で発揮していく。
予期せぬ攻撃を直撃したのもあって、Lとベクターへの対応が遅れてしまう。
「二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!
現れろNo.39! さあ、白き翼に望みを託すとするぜ! 光の使者、希望皇ホープ!」
光の爆発から姿を現す、塔のような形状の物体。
そこから変形し、現れるのは風祭小鳩の時に召喚したあのモンスター。
九十九遊馬が信じ続け、数々の道を切り開いてきたエースモンスターの登場である。
先のホープと違うところがあるとすれば、正規の方法で召喚したから周囲には光の球体、
オーバーレイ・ユニットがホープを中心に宙を漂っている状態だ。
「いい加減デュエリストも戦力になるって、
証明しねえといけねえんでな! ホープ剣・スラッシュ!」
未知の存在の一撃。単なる斬撃なのかそれも定かではないのと、
何よりロード・バロンやデェムシュといった巨漢の三倍近くの体躯の差。
受けるという選択肢は皆無であり、横へ飛ぶ形で攻撃を回避。
地面に塹壕でも作るかのような爪痕を大地へと刻む。
『エクスプロージョン ナウ』
化け物(オーバーロード)にも通用した攻撃だ。
十分な攻撃力を備えているのは分かっており、再び爆撃の嵐。
無防備なホープへすべてが直撃し、無残な残骸となるだろう。
しかし。
「ナンバーズはナンバーズ以外と戦闘では破壊されねえんだよ!」
超過ダメージこそ受けて疲労感はあるものの、
ホープを出したからか、テンションが上がっているベクター。
疲労感などお構いなしに次なるホープ剣・スラッシュを叩き込む。
爆風の中から飛び出してきたホープの斬撃は間に合わず、火花を散らしながら倒される。
「やだ……やだよ……」
ダメージとしては仮面ライダーともあって軽微なものだが、
痛みに対する耐性がデェムシュによって失った左耳を、虐待した父を思い出す。
虐待の記憶、耳障りな女(照)、デェムシュによって喪った左耳。
あらゆる不快なものが想起していき、MNRは叫ぶ。
「いやだあああああッ!!」
263
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:56:34 ID:YHkTpgY.0
遠野から奪った支給品の中にあった黒いカード。
相手も使っているのだからこのカードだって強いはず。
デイバックから強引に引き抜いて召喚されたカードに、真月は慄く。
巨大な爪を持った翼を広げた、二足歩行の恐竜のような赤黒いモンスター。
だが問題はそこではない。左胸にある61にも見える数字が問題だったのだ。
あれはホープと同じ、ナンバーズのカード───No.61 ヴォルカザウルス。
「駆紋! あれはやべえ!」
ヴォルカザウルスの効果は判断がつかないがナンバーズである以上は危険な効果だと判断する。
モンスターを破壊し、その攻撃力分ダメージを与える、極めて攻撃的な性能を誇るモンスターだ。
だがオーバーレイ・ユニットがなければ効果を発動することができないのがエクシーズモンスター。
ではあるが、このヴォルカザウルスはゴールドシリーズ。一度の使用で十全な効果を発揮できる黄金のカード。
故にオーバーレイ・ユニットはホープ同様に二つ漂っており、効果を使用することができることを証明している。
「効果、効果!」
効果の宣言というよりテキストの確認のような物言いだが、
本人は死に物狂いで効果を発動しようとしているためか効果が発動。
オーバーレイ・ユニットをヴォルカザウルスが喰らい、顔の横の爪から炎が放出。
ホープには攻撃を守る効果があるが、あくまで攻撃。モンスター効果は防ぐことはできない。
その上破壊されれば後続のモンスターが手持ちにないベクターは本当の戦力外になる。
「な……」
ホープに向かって炎、マグマックスが目掛けて飛んでくる寸前。
Lがかばうように飛び出してその炎を一心に浴びる。
苦悶する声すら飲み込むような炎の一撃は爆発を起こし、
煙を吹き出しながら吹き飛んだLは変身が強制的に解除される。
「何やってんだてめえ!?」
火傷こそ致命的ではないようだが、
変身が解除されててもドライバーは壊れてない。
意識もあるようなので生きてはいるが、ダメージは決して軽くはないだろう。
「そのモンスターを失うことの方が危険だと……判断したまでです……」
何とか立ち上がろうとするLではあったが、
ダメージが大きく満足に立つことができないでいた。
このままだとLがデェムシュの餌食になりかねない。
早急に対策を考えなければならなかった。
(ホープとあのナンバーズは攻撃力が同じ!
ナンバーズはナンバーズで倒すことはできるが、
此処で相打ちになったら俺には壁となるモンスターが消える。
そうなったら俺は生身であの仮面ライダーと戦わなきゃならねえ!)
時間がない中必死に考える。
この場でできる一番の対処法を。
(そうか、あるじゃねえかよ。)
手札に残されたカードのうち二枚。
その中の一枚がこの戦況を大きく変えてくれる。
ただし、その行為には多大な危険を伴う。
「だったらやってやろうじゃねえか……あえて言わせてもらうとするか。」
大地を蹴る。
その一歩は希望と破滅、表裏一体の一歩だ。
駆ける。大地を踏みしめベクターは駆ける。
「かっとビングだ、俺ーッ!!」
「何!?」
ベクターが踏み出したのは、なんとデェムシュの方だった。
ヴォルカザウルスでも、ワイズマンとなったMNRでもありえないが、
よりにもよってこの中で最も強いであろうデェムシュに突っ込む行為。
「狂ったか猿!」
それはデェムシュから見ても愚かとしか言えない行為だった。
シェイムで戒斗を押しのけると、水の主霊石による氷柱が隆起し、ベクターを襲う。
串刺しは確実。誰もがそう思った瞬間、氷の勢いが急激に止まり、攻撃が中断される。
「速攻のかかし、効果発動だ。」
相手が直接攻撃をしてきたときに、
手札から捨てることでバトルフェイズを強制終了させるカード。
モンスター同士の攻撃では発動できない、つまりホープとヴォルカザウルスの戦闘ではだめだ。
だからあえて自分から突っ込んで強引に相手にダイレクトアタックを強要させるように仕向けた。
やることを終えると即座にバックステップで距離を取りながらカードを自分のターンとしてカードを引く。
「……ドロー!」
264
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:57:08 ID:YHkTpgY.0
目的はドローフェイズのドローカードのためだ。
この二人とモンスターを一気に打開できるカード。
手札のカードはフォース。残念ながら迷宮兄弟が使ったフォースとは違い、
相手のライフを半分にして攻撃力に換算するようなパワーカードの効果ではない。
相手の攻撃力を半分吸収し、その攻撃力分エンドフェイズまでアップさせるカード。
これではヴォルカザウルスは突破できてもMNRやデェムシュを突破することはできない。
だから欲した。自分にとってあのカードが引けることこそが最良なのだと。
「……最強デュエリストは全てが必然ってか?
RUM(ランクアップマジック)-リミテッド・バリアンズ・フォース発動!」
望んだカードは届いた。
かつて遊馬に己の計画のために託したカード。
それがここぞというタイミングにおいて、やってきてくれた。
ホープが光の球となって、中空の渦へと吸い込まれていく。
Lの支給品に混ざっていて渡されるとは思いもしなかったが、
これで進化態となるホープレイVを召喚することで逆転───
「だめだよ、それは。」
しなかった。
先ほどまで叫んだり憔悴してた声色だったMNRの声が、急に冷静になった。
痛みに慣れたからなのか、恐怖を通り越したのか、どこか機械的な声色でそう呟き、
武器であるハーメルケインを笛のように奏でると、中空に浮かんでいた渦が消滅する。
「……は?」
何が起きたか理解できなかった。
無理もないことだ。ハーメルケインのみにならず、
仮面ライダーワイズマンは魔法の強さからその効果を忘れがちだが、
ハーメルケインには『魔法を打ち消す』という特殊な力が宿っている。
仮面ライダービーストのハイパーセイバーストライクですら無力化できるのだ。
リミテッド・バリアンズ・フォースは『魔法』カードなのだから、
当然無効にすることは可能だった。
消失した状況に一瞬唖然としてしまうベクター。
すぐに我に返りながら苦肉の策のフォースを使う。
「ならフォース発動だ! てめえのモンスターの攻撃力を……」
「はぁ〜〜〜〜〜(クソデカため息)。」
無駄だと言わんばかりのため息とともに、
再びハーメルケインを奏でるとフォースの効果も打ち消される。
フォースもまた魔法カード。無効化できる対象なのは当然の帰結だ。
「嘘だろ、おい……」
これで彼の手札は0。場にはホープだけ。Lは戦闘不能。戒斗はデェムシュと未だ交戦中。
できることなど何もなかった。後は武器たるショット・オブ・スターで撃つことぐらいだ。
だが相手は仮面ライダーだ。そんなものが通用するとはとても思えなかった。
つまり───詰みであると。
「だからって、諦めきれるかよぉ!!」
困難に立ち向かう諦めない心。それがかっとビングだ。
ベクターらしからぬ発言は、きっと遊馬の影響なのだろう。
あの男はどんな困難にあろうとも諦めようとはしなかった。
手札が0? だからなんだというのだ。遊馬とデュエルした彼だからわかる。
遊馬は手札どころかデッキも一枚だけ、しかも仕組まれたカードであったのに、
とんでもない方法で活路を見出して自分に逆転した男だ。この程度であきらめる男じゃない。
故にか。そんな諦めない精神に応えるようにエクストラデッキからカードが光る。
何が起きたかわからないが、それが一抹の希望だと言うことはすぐに理解した。
隠されたシステム、心意システムが知らず知らずのうちに発動していたのだ。
「───そうか。まだ戦えるってことか……俺は!
俺は、希望皇ホープでオーバーレイ・ネットワークを再構築!」
再び中空に浮かぶ渦。
リミテッド・バリアンズ・フォースの時と同じだ。
「無駄だって。早く諦め……」
どうしようもない奴だな、
諦念気味にハーメルケインの笛を吹くものの、
渦は消えることなくホープは光の球となって中へと入っていく。
「え?」
「無駄だ! こいつは魔法カードを介さず重ねてエクシーズ召喚を行う!
さあ来な、一粒の希望よ! 今、電光石火の雷となって闇から飛び立て!!」
渦が爆発し、中から登場するのは姿形を変えたホープ。
翼は羽というよりは剣のようになり、全体的に細身の体となっている。
稲妻を轟かせながら荘厳な立ち居振る舞いと共に姿を現す。
「現れろ、S(シャイニング)No.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング!!」
265
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 21:58:58 ID:YHkTpgY.0
彼らが知る世界線。
それとは異なる世界にて覚醒したホープの先。
そのモンスターが心意システムによって呼び寄せた。
この舞台におけるジャック・アトラスと同じ結果を彼は招くことに成功したのだ。
「行くぜ! ホープ・ザ・ライトニングの攻撃! ホープ剣ライトニング・スラッシュ!」
「させないよ。」
『エクスプロージョン ナウ』
Lは倒れていて戒斗は防御に参加できない。
この状況でベクターはホープを盾にするしかない。
エクスプロージョンリングを翳してとどめを刺そうとするも、
エクスプロージョンが発動することはなかった。
「無駄だ! ホープ・ザ・ライトニングが攻撃するとき、
相手は全てのカードを発動することができなくなるんだよぉ!」
「え……」
「何ダト!?」
そのせいで、水の主霊石も機能しなくなった。
咄嗟に出なくなったことで隙を突かれ、夜空の剣が炸裂し火花を散らす。
「グオッ! この猿がぁ!!」
とは言えデェムシュはもともと剣技に優れるオーバーロード。
はなから主霊石を頼らずとも十分な戦いができるので、
こちらはさしたる問題ではなかった。
「でも攻撃力は同じ2500……」
相打ちになる。
その後エクスプロージョンを見舞えば勝てる。
大丈夫。大丈夫。自分に言い聞かせるようにしていると、
「そうはいかねえ! ホープ・ザ・ライトニングの効果発動!
オーバーレイ・ユニットを二つ取り除くことで攻撃力を二倍の5000にする!」
宙に漂う素材を二つ消失し、
ホープは翼の剣を手に稲妻の如く飛ぶ。
ヴォルカザウルスを翼の片割れを使い一刀で切り裂き、
モンスターが爆発することで爆風が周囲を襲う。
「うわあああああ!!」
使役していたMNRには更にダメージが上乗せされ、
吹き飛ばされながら変身が解除され、元の姿に戻る。
元々デェムシュ達と戦ってダメージが大きかったところに更に大ダメージだ。
変身が解けるのは無理もないことだった。
「こっちは片が付いた、あとはそっちが戦いやすいよう離脱するだけだ!」
ホープ・ザ・ライトニングでLを抱えて離脱。
それが理想の形ではあったのだが、
「コの使えン猿め!!」
デェムシュは予想だにしない行動に出る。
戒斗から距離を取り、倒れているMNRのドライバーを踏み砕く。
オーバーロードの踏みつけを受け、血反吐をぶちまけながら苦悶の表情になるMNR。
「な、味方を攻撃しやがった!?」
「いえ、違います……あれはベルトを破壊したのかと。」
このままMNRが奴らに倒されれば、
そのままワイズマンの力が猿に渡ってしまう。
ワイズマンになる気もないデェムシュは此処が潮時と判断し、
MNRのドライバーを粉砕する行動に出たというわけだ。
「屈辱だ……貴様等如き猿に逃げることになるなど!!」
ついでにMNRのデイバックをシェイムで切って強引に奪い、
そのまま逃げるように霧状になって北の方へと離脱する。
【C-5/一日目/早朝】
【デェムシュ@仮面ライダー鎧武】
[状態]:疲労(絶大)、怒りと屈辱(多少緩和)、高揚感
[装備]:両手剣シュイム@仮面ライダー鎧武、水の主霊石@テイルズオブアライズ
[道具]:基本支給品一式、基本支給品一式×2、ランダム支給品×1〜2
[思考・状況]
基本方針:ハ・デスも参加者も皆殺し。
1:今は体力の回復に努める。
2:自分をコケにした猿ども(承太郎、一海、城之内、結芽、いろは、黒死牟、戒斗)は必ず殺す。
3:逃げた小娘(やちよ、桃)もいずれ殺す。が、3の連中より優先度は低い。
4:猿共に負けるぐらいならば主霊石を使っていく。
5:あの猿(MNR)は道具として使えなかった。
6:使える猿を探す。
266
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 22:00:38 ID:YHkTpgY.0
[備考]
※参戦時期は進化体になって以降〜死亡前。
※水の主霊石を手にしたため水、氷の攻撃が可能になりました。
制御はうまくできてない為自分が巻き添えになる可能性はあります。
代わりに制御と言うブレーキがないため、強めの力を放つことができます。
なお、彼が凍ってもダメージはありません。
※ドラゴンフルーツエナジーロックシードを食べ進化した為、オーバーロードの能力が強化されました。
「追うか?」
「追える状態じゃないな。」
元の姿に戻りながら戒斗はベクターの提案を断った。
一人であれば追跡できただろうが、ダメージの大きいLがいる状態だ。
このまま挑めば最悪この殺し合いにおけるブレインを失うことになりかねない。
そうなれば場合によってはあのキラである夜神月に頼る可能性だってあるのだ。
信用できるかどうかで考えるならば、Lであることの方が望ましかった。
「すみません……足を引っ張ってしまって。」
「いや、おめえのおかげで何とかなった。助かったぜ名探偵様よ。」
ヴォルカザウルスの一撃はすさまじいもので、
受ければホープ・ザ・ライトニングも出すことはできなかった。
結果論ではあるが、彼がいなければ確実に敗北していたのは確かだ。
「で、こいつどうする?」
「痛い、痛いよ……」
腹を抑えながら蹲るMNRは、
傍から見れば無力な参加者に見える。
デェムシュに付き添ってたのは脅された、
そういう風にも受け取れる後継でもある。
「もう無力な一般人みてーだし助けるか?」
「一般人ですか……それは無理かと。」
どういうことだ、
と思ってLが刺した方向を見やる。
そこには人にあるべきものが大地に転がっており、
デェムシュが乱暴に回収した際にデイバックから落ちたのだろう。
「うげ……」
誰のものかはわからない。
殺し合いに乗った参加者かもしれない。
けれど、どちらであっても猟奇的行動をとるような男だ。
デェムシュに猟奇的趣味はない。よって、誰がやったかは明白である。
「こいつはもとから猟奇殺人鬼ってわけだな。」
「いやだ……助けて、オトーサン……!!」
痛みに耐えながら、必死に這いずって逃げるMNR。
しかしその程度の動きはナメクジとそう変わることはない。
全力で走ることすらかなわない状態ではどうにもならなかった。
「で、どうする? 名探偵様やオーバーロードはこいつを生かす理由は?」
「この様子だと情報を吐けそうになければ、味方にもできないでしょうね。
彼はすでに自分の目的のために少なくとも二人は殺しているでしょうし。」
「戦極凌馬の奴が見れば興味深いと言いそうだが、俺にとってはどうでもいい奴だ。好きにしろ。」
「んじゃ、そういうことで。悪いな。」
先の首輪回収で抵抗が薄れているのか、
ホープ・ザ・ライトニングをMNRへ向ける。
「嫌だ、やめてよオトーサン……」
錯乱していて最早誰を見ても父を想起する。
そんな絶望の中、希望の名を関した閃光の刃が彼の首を刈り取った。
「首輪五つ目か……にしてもあいつの支給品、
別の意味で奪われて正解だった気がしてくるぞ。」
男性器や女性器が入っていた支給品を持ち合わせるなど、
ほかの参加者からあらぬ誤解を招く可能性だってあり得るわけだ。
そういう意味で、というわけではあるが回収されてよかったとすら思える。
「いいとは言えないだろうがな。奴に支給品を奪われたのは痛い。」
「分かってるよ。で、僅か一戦で壊滅状態だしどっかで休憩するか?」
「休憩先に奴が殺した遺体がなければいいがな。」
「想像させるのやめろ。」
267
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 22:01:09 ID:YHkTpgY.0
三者は無事誰も欠けることなく生存した。
これからもこれぐらいの激戦が待ってるとなると、
溜息が出そうになるベクターだった。
【MNR@真夏の夜の淫夢 死亡】
【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:夜空の剣@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを力で叩き潰す。
1:殺し合いに乗っている参加者は潰す。
2:首輪を外せる参加者を見つける。
3:L、ベクターと共に行動する。
4:槍の男、デェムシュは要警戒。
5:大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※クラックを開き、インベスを呼び出すことは禁止されています。
※Lの考察については半信半疑です。
※攻撃の消滅、反射に制限がかかってます
どの程度の制限かは後続にお任せします
【L@DEATH NOTE】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(中)
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、バナナロックシード@仮面ライダー鎧武、真中あおの杖@きららファンタジア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1(確認済み、武器の類はなし)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:駆紋戒斗、ベクターと共に行動する。
2:他の参加者を探し、情報交換をする。
3:無暗に犠牲を強いるつもりはないが、綺麗な手段だけで終わらせられるとも思ってない。
4:槍の男。デェムシュには要警戒。
5:大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
[備考]
※参戦時期は死亡後です
※この殺し合いにドン・サウザンドが関係してる説を考えてます。
(関係してるだけで関与してない可能性も高く、現時点では推測程度)
※永夢と大我、遊星と牛尾とジャック、遊戯と海馬(両方)と城之内と御伽が知己であると考えてます
遊星達と遊戯達が同一の世界かどうかまでは確定できていません。
【真月零(ベクター)@遊戯王ZEXAL】
[状態]:ちょっとセンチな気分、疲労(中)、ダメージ(中)、
[装備]:ショット・オブ・ザ・スター@グランブルーファンタジー、九十九遊馬のデュエルディスク@遊戯王ZEXAL、No.39希望皇ホープ@遊戯王ZEXAL、牛尾デュエルディスクとデッキ@遊戯王5D’s、不動遊星のデュエルディスクとデッキ@遊戯王5D’s
[道具]:基本支給品一式×3(牛尾、麻耶、自分)
[思考・状況]基本方針:主催にとって良からぬことを始めようじゃねえか。
1:遊馬にデュエルディスクを返すが、デッキはどこだよ。
2:ナッシュや遊馬がいることだし少しだけ協力は考えてやる。ナッシュは……いややっぱやめとくか?
3:帰宅部ねぇ。ま、いたら声はかけるか。
4:Lに駆紋、アウトローで構成されてるねぇ。ま、俺らしく外道な手段でやってやるさ。
5:ドン・サウザンドの復活ねぇ……どうだか。
6:槍の男には要警戒。
7:大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
8:エクシーズ召喚できるデッキをくれ。と言うかなんだよシンクロって。
9:ホープ・ザ・ライトニングねぇ……まさか俺が新しいホープを手にするとはな。
[備考]
※参戦時期はドン・サウザンドに吸収による消滅後。
※ドン・サウザンドの力、及びバリアン態等の行使は現状できません。
力が残っていて、バリアンスフィアキューブがあれば別かも。
※Lの考察については半信半疑です。
【夜空の剣@ソードアート・オンライン】
戒斗に支給。ギガスシダーと呼ばれる巨木を長い時間と貴重な砥石を消費した末に、
完成してアンダーワールドにおけるキリトの剣となった武器。命名はユージオ。
ソルスの恵み(太陽光)をシステム的には空間リソースを300年もの長期に渡って浴び続けた結果、
とてつもない硬度を獲得している。
【No.61 ヴォルカザウルス(ゴールドシリーズ@遊戯王OCG】
遠野に支給。ゴールドシリーズについては他参照。
ゴールドシリーズのためエクシーズ素材が最初から二つ備わっている。
ゴールドシリーズであるため、アニメにおけるナンバーズの耐性などはない。
テキストは以下の通り
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/炎属性/恐竜族/ATK2500/DEF1000
レベル5モンスター×2
①:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターを破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
この効果を発動するターン、このカードは直接攻撃できない。
268
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 22:01:36 ID:YHkTpgY.0
【RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース@遊戯王OCG】
Lに支給。テキストは以下の通り
通常魔法
自分フィールド上のランク4のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターよりランクが1つ高い「CNo.」と名のついたモンスター1体を、
選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】
ベクターが心意システムで得たカード。
テキストは以下の通り
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/光属性/戦士族/攻2500/守2000
光属性レベル5モンスター×3
このカードは自分フィールドのランク4の「希望皇ホープ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
このカードはX召喚の素材にできない。
①:このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない。
②:このカードが「希望皇ホープ」モンスターをX素材としている場合、
このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、
このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。
このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ5000になる。
269
:
輝望道
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/05(火) 22:01:58 ID:YHkTpgY.0
投下終了です
270
:
◆EPyDv9DKJs
:2024/11/06(水) 00:11:42 ID:jDc137/s0
すいません表記忘れてました
※C-5に
壊れた白い魔法使い(ワイズ)ドライバー
ハーメルケイン
エクスプロージョンウィザードリング
仮面ライダーウィザード
バインドウィザードリング
テレポートウィザードリング
アテムが用意したナイフ
があります
271
:
◆2fTKbH9/12
:2024/12/25(水) 17:17:33 ID:???0
今更ですが、私が投下したゲーマーコンビは不思議な生物と出会うようです の
>>211
の修正箇所をwikiに編集されていないです。
◆4Bl62HIpdE氏が投下して下さった懺恨のJudgmentの
>>213
の修正箇所も同様に編集されていないです。
修正した場面の編集をお願いします。
夜神月、ラヴリカ(NPC)を予約します。
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