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バトル・ロワイアル 〜狭間〜

202 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/09(日) 14:18:07 ID:hCHCFtwg0
 自身の合意がこのゲームを終わらせる鍵でないのなら、本当に友達も知らない人も殺し尽くして、最後の一人になることしか生き残る道はないのだろうか。

「こんなのって……ひどいよ……。」

 生きたかった人たちを生き返らせて、殺し合わせる。なまじ皆が生きているという奇跡というものを見せつけられたのだから、なおさら残酷だ。

 無力感と、もう少し早く契約を決意しなかったことへの後悔が嫌という程頭の中を支配する。それに耐えられなくなって、へなへなとその場にへたり込んだ。

 そして――そんなまどかに一歩ずつ、迫り来る影があった。

(みんな……また死んでしまうのかな。)

 その影は、まどかの姿をその存在すら虚ろな「眼」で捉えるや、ゆっくり、ゆっくりと忍び寄っていく。

(私が何もしなかったから。弱虫だったから。)

 まどかが足音に気付き、ふと視線をやる。夜の闇の中でも、さらに黒々とした深淵をその顔面に纏い、巨大な鉄鋼をその手に携えた『魔女』のような存在が、まどかの頭部目掛けてその手の凶器を振りかざしていた。

(だから私は……罰を受けるのかな。)

 驚きは、一瞬だった。認識が現実に追いつくと、それが運命ならばと、まどかはそっと目を閉じていた。そんな人間の微細な心の動きなど気にとめることもなく、執行者『鋼人七瀬』は無情に鉄鋼を振り下ろす。




「――白桜!」




 その時、桜吹雪混じりの一陣の風が吹き抜けた。

「……?」

 まどかが目を開くと、眼前では何処よりか飛んできた、夜の闇の中でいっそう白く輝く剣が、まどかの頭を砕かんと振り下ろされた鉄鋼とぶつかり合い、拮抗していた。

 その物理法則を無視した剣の動きからは魔法少女の力が思い起こされて。罪悪感と共に、おそるおそる振り返った。

「させない……」

 そしてそこには、一人の少女が立っていた。自分と同じ桃色の、しかし自分よりもいっそう長い髪を風に靡かせて。

「もう私の前で……誰も死なせたりさせないんだからぁーッ!」

 少女は大きく跳躍し、宙に留まる白桜を手に取る。そのまま鋼人七瀬に向けて一閃、胴体を切り離す。虚構から生まれた亡霊はモヤを撒き散らしながら崩れ落ちていく。


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