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バトル・ロワイアル 〜狭間〜

1 ◆2zEnKfaCDc:2020/04/18(土) 11:48:06 ID:EjSdNpAY0
【参加者一覧】

【ハヤテのごとく!】7/7
〇綾崎ハヤテ 〇三千院ナギ 〇マリア 〇鷺ノ宮伊澄 〇桂ヒナギク 〇西沢歩 〇初柴ヒスイ

【ペルソナ5】7/7
〇雨宮蓮 〇坂本竜司 〇高巻杏 〇モルガナ 〇新島真 〇明智吾郎 〇刈り取るもの

【はたらく魔王さま!】6/6
〇真奥貞夫 〇遊佐恵美 〇芦屋四郎 〇漆原半蔵 〇鎌月鈴乃 〇佐々木千穂

【小林さんちのメイドラゴン】6/6
〇小林さん 〇小林トール 〇小林カンナ 〇上井エルマ 〇滝谷真 〇大山猛(ファフニール)

【魔法少女まどか☆マギカ】5/5
〇鹿目まどか 〇美樹さやか 〇巴マミ 〇佐倉杏子 〇暁美ほむら

【暗殺教室】5/5
〇潮田渚 〇赤羽業 〇茅野カエデ 〇狭間綺羅々 〇烏間惟臣

【モブサイコ100】4/4
〇影山茂夫 〇影山律 〇霊幻新隆 〇花沢輝気

【虚構推理】4/4
〇岩永琴子 〇桜川九郎 〇弓原紗季 〇鋼人七瀬

合計 44/44

【まとめwiki】
ttps://w.atwiki.jp/hazamarowa/sp/

203 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/09(日) 14:21:00 ID:hCHCFtwg0
「大丈夫?」

 何事も無かったかのように着地し、少女はまどかに手を伸ばした。

「えっと……あなたは……?」

「私は桂ヒナギク。白皇学院の生徒会長よ。」

 差し出された手は先ほどの人間離れした動きに対してスラリと細長く。その手を掴むのにも少しドキドキしてしまう。

「鹿目まどかさんよね。良かったら一緒に……」

 しかし、ヒナギクをいつか助けてくれたマミやさやかと重ね合わせてしまったからこそ。

「ヒナギクさんっ!ㅤ後ろっ!!」

「!?」

 死のイメージも、どうしても切り離せなかった。だからこそ、再生し、再び迫り来る鋼人七瀬に気づけたのだろう。

 まどかの声に咄嗟に反応したヒナギクは白桜を背後へ構え、側面からぶん回された鉄鋼を僅かに防ぐ。しかしいかなる剣道の構えにも属さない即席の防御ではその衝撃を殺し切ることはできず、ヒナギクの身体は打ち飛ばされる。

「うあっ……」

「ヒナギクさん!」

 駆け寄ろうとするまどか。そんな彼女に対し、ヒナギクは一喝する。

「来ないで!」

 腰を打ち付け、ぎこちない動きのままヒナギクは続ける。

「私が引き受けるから……今のうちに逃げて!」

 最初の会場で、少なからず関わりを持った少女、佐々木千穂は目の前で命を奪われた。その光景は、トラウマとしてヒナギクを掴んで離さない。人の喪失というものを、ヒナギクはその身をもって知ってしまった。

 もう誰かを命の危険に晒したくなかった。そんなものに晒されるのは、自分だけで良かった。

「嫌です……!」

 だけど、まどかは逃げたくなかった。例え何もできないとしても、ここで逃げてしまえばそれが永遠の別れになるように思えてならなかった。

「私、見届けます!ㅤそれくらいしかできないかもしれないけど……それでも、そうしたいんです!」

「そう……あなたも大概頑固者なのね。」

 対するヒナギクは腰の痛みを気合いで押し切って、立ち上がる。その決意が、半端な言葉では折れないことは分かる。ナギという、一度言い出したら聞かない負けず嫌いが周りにいるし、何なら自分もそれに近いタイプだ。

ふっと笑みを零しながらも、敵を見据えて構えるその姿はどこまでも気高く、美しく。

「だったら見ててちょうだい。アイツをぶっ倒してみんなで一緒に帰れる方法、考えましょ?」

――そして、その凛とした振る舞いは、まるで"正義の味方"のようにも見えた。


【C-3/平野/一日目 深夜】

【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態]:腰の打撲
[装備]:白桜@ハヤテのごとく!
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:誰も死なせない
一.まどかを守りながら鋼人七瀬を倒す

※名簿を暗記しました。
※参戦時期は姫神と面識を持つ前です。

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 不明支給品1〜3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを終わらせる
一.キュウべえが居るなら、魔法少女になってでも。


【鋼人七瀬@虚構推理】
[状態]:健康
[装備]:鉄鋼@虚構推理
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:参加者の襲撃

※パレスが鋼人七瀬の不死性にどのような影響を与えているのかは以降の書き手にお任せします。


【支給品紹介】

【白桜@ハヤテのごとく!】
桂ヒナギクに支給された剣。所有者の意思に従って空中飛行することが可能という、特殊な力が備わっている。

204 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/09(日) 14:21:57 ID:hCHCFtwg0
投下完了しました。

そしてタイトル忘れてましたね……「希望の光、桜色」です。

205 ◆Oamxnad08k:2020/08/09(日) 21:27:37 ID:slfIz.L60
投下お疲れ様です ^^) _旦~~
希望の光、桜色
殺し合いを終わらせるためなら、魔法少女になってもいいときゅうべえに叫ぶまどかの姿は痛々しい……
そして、まどかを守るために鋼人七瀬に立ち向かうヒナギクはヒーローですね。

坂本竜司、西沢歩で予約します。

206運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:10:46 ID:HEGdnB4Q0
完成したので投下します。

207運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:11:40 ID:HEGdnB4Q0
「ハァ…ハァ…」
走る。
「ハァ…ハァ…」
走る。走る。山道の草むらを。
「ち…ちくしょぉぉぉ!!」
ガッ!
「んおッ!?」
石に躓き、転倒する…
「はぁ…はぁ…くそッ!!」
ドンッ!!
金髪の少年…坂本竜司は片手で強く地面を殴りつける!!

竜司の脳裏に浮かぶのは、先ほどの名も知らない少女の首が爆発して刎ねられたところ。

坂本竜司は、暴力変態教師鴨志田との対立で転校生雨宮連と共にペルソナの力に目覚めた。
鴨志田との決着を付けた後は、世直しと称して怪盗団を結成して、悪い人のオタカラを盗み、改心させていた。
…そして、その行為は「正義」であると考えていた。
しかし―――

「君の正義が人を殺した。」

「うッ!?うおぉぉぉえぇぇぇ」
人の死を直接目の当たりにするのは今回が初めてだ。
しかも、原因は自分の反逆……
胃の中のを全て吐き出した竜司は落ち着こうと、ゆっくりと息を吸う。
「俺は…俺は…」
『どした?そんな、みっともない姿をさらして…』
「ああッ!……!?お…お前は…!?」
顔を上げた竜司の表情が一瞬で変わる…目の前にいるのは、制服を着ている自分自身…

『俺か?俺はお前の自己認知だよ』

「な…んだ…と…!?」
自己認知…それも歪んでいるのは、【シャドウ】と呼ばれる…
『気に病むことはねぇよ…ありゃ不慮の事故さ。気持ちを切り替えようぜ?』
「ばッ…!馬鹿野郎!!そういうわけにいかねぇだろ!!俺があの場所で姫神に反抗的な行動を起こさなきゃ、あの女の子が死ぬことはなかったんだ!」
『だけど、姫神と名乗る男の殺し合いを防いで、怪盗団として名声をもっと高めたかったから行動を起こしたんだろ?』
「ッ!?ち…違う!!名声が欲しくてしたんじゃない!!」
『そうか?思い出せよ!お前が今まで怪盗団としてやってきた結果を…!!』
シャドウ竜司の言葉に竜司は想起する……

208運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:12:32 ID:HEGdnB4Q0
…〜…
「私は傲慢で、浅はかで…恥ずべき人間、いや人間以下だ…死んでお詫びします…!」
「我が国の、美術界にも…そして…【サユリ】に、も…くっ!…皆様に、どう…お詫びを、申し上げ…う…申し上げ、たら…いい、か…んぁっははぁぁ!」
…〜…

「あ…ッ!?」
顔面蒼白になる竜司…
『そうだ!社会的地位に居る腐った大人が転落していく様子にお前はスカッとしていた!!』
『世界のハッカー集団【メジエド】からの挑戦を退け、怪盗団の存在が認められていったことに愉悦していた!!』
「…違う。俺は、そんなんじゃ…」
必死に否定するが…
『今回も今までと同じように、テメーは周りの参加者から称賛を浴びて悦に浸りたかった!!』
「ち…ちがう…ち…ちが…う…」
その声は徐々に消えていき…
『そんな、安っぽい正義が一人の少女の命を散らさせた!!!』
「あああああああああ!!!!」
竜司の精神は崩壊を……ッ!!??

ガシィィィ!!

「落ち着け竜司!!まずは落ち着いて因数分解をするんだ!!」

「!」
(ひえぇぇぇ〜〜つい、勢いで出ちゃったよ〜〜)

209運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:13:07 ID:HEGdnB4Q0
☆彡 ☆彡 ☆彡

草むらで身を隠していた歩……
「ん?何かな?」
足音らしきのが聞こえてきたため、そぉ〜ッと草むらから顔を覗かせると、何やら、男の子が走ってきている。
「あ、転んだ」
走っていた男の子が躓き、起き上がった姿を見て歩は思い出す。
「あ、あの金髪の男の子は…会場で」
そう、殺し合いを命じた姫神と名乗る人に立ち向かった男の子。
「え〜っと…名前は…あった!坂本竜司というんだ…」
歩は名簿を開き、金髪少年の名前を知る。
「きっと…あの人なら、殺し合いには乗っていないよね…よ〜し…ん?」
先ほどのやり取りを見ていたため、竜司が危険人物ではないと判断した歩は名乗り出ようと草むらから出ようとするが…

「ばッ…!馬鹿野郎!!そういうわけにいかねぇだろ!!俺があの場所でアイツに反抗的な行動を起こさなきゃ、あの女の子が死ぬことはなかったんだ!」

(……)
(えええええ!??何!?何かな!?一人でブツブツなにか言ってるよーーー!?)
(え?え?AP○X4869!?雛○沢症候群!?薬をしているのかな?かな?薬物乱用はダメ。ゼッタイ。だよ―――」
歩は竜司の独り言にツッコむ。

(どどど、どうしよ〜…実は危ない人なんじゃないかな?かな?)
歩はすっかり、怯えて草むらに潜むように様子を窺う…

「…違う。俺は、そんなんじゃ…」
(……)

「ち…ちがう…ち…ちが…う…」
(……)

「あああああああああ!!!!」

気づいたら、身を乗り出していた……

210運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:14:00 ID:HEGdnB4Q0
☆彡 ☆彡 ☆彡

「…わりぃ。助かったわ…」
竜司は助けてくれた少女…西沢歩に礼を言う。
「ううん!気にしないで!」
歩は若干照れながら、両手を左右に動かす。
「ところで、どうして俺の名前を知ってるんだ?」
竜司の疑問に歩は名簿を開く。
「名簿に顔写真が貼ってあるんだよ。それを見て、竜司君の名前を知ることが出来たの」
「へぇ〜…そういえば、俺、まだ名簿を確認していなかったな…」
竜司は歩と同じ支給されている名簿を開こうとすると……

「どうやら、反逆のドクロの旗が健在のようで安心したぞ…」

「なッ!?」
竜司の側に現れたドクロの怪人に驚く歩。
「ななな…何かな?ス○ンド!?ス○ンドかな!?」



「スタンド?」

竜司の言葉に歩は大声で注意する。
「だ、駄目だよ!!竜司君!!伏字!伏字!!荒木先生の許可は!?「©」は!?著作権侵害は不味いからね!!」
「お…落ち着け!西沢!!これは、スタンドじゃなくて【ペルソナ】っていうんだ!」
「ふえ!?」
テンパっている歩を竜司は落ち着かせる……

211運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:14:48 ID:HEGdnB4Q0
☆彡 ☆彡 ☆彡

「へぇ〜、ペルソナっていうんだ」
「ああ…俺も詳しいことはわからねぇが、ペルソナ…キッドのおかげで俺は戦う力を得ることが出来た」
「す…すごいね!!つまり竜司君はス○ンド使いならぬペルソナ使いなんだ!!」
歩は素直に竜司に羨望の眼差しを向ける。
「…だけど、俺は…」
「ん?どうしたの」
竜司の悩んでいる様子に歩は尋ねる。

「俺がやったことは、結果的に殺し合いを止められなかった。しかも、俺の正義が関係ねぇ女の子の命を奪っちまった…」
「……」
「俺はあの女の子に謝っても謝り切れねぇ…!!」

竜司の後悔してもしきれない本音…

「たしかにテンションで買い物をすると…失敗もするでしょう…」
「は?」
突然の歩の言葉に竜司は唖然とする…
「家に帰ってから後悔する事もあるでしょう…」
「な、何をいってん…」
ふざけているのかと竜司は怪訝な顔をするが…
「しかし後悔は……!!決して前には出来ないのです!!」
「!?」

「たしかに…竜司君の行動は、結果として女の子が死んじゃった…だけど、あの場で自分の意志を示せたのは竜司君だけなんだよ!!」
「……」
「私は、正直、わけもわからなかったし、オロオロしていただけ…でも、竜司君はハッキリと殺し合いを拒絶した!…正直、私が出会ってきた男の子の中で2番目にカッコよかったよ♪」
「はは…2番目かよ…」
「あの女の子に関係している人もこの殺し合いの場にいるかもしれない。だから…そのときは謝ろう!許してくれるまで。私も一緒に頭を下げるよ!ね♪」
「強いんだな…西沢は」
竜司の言葉に歩は…

「そうだよ、女の子という生き物は普通に強いんだよ」

ニッと笑顔を竜司に向ける。
「西沢…」
「歩でいいよ。竜司君!」
(歩との関係が深まるのが感じる…)

212運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:15:56 ID:HEGdnB4Q0
我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【「って何かな!?この唐突のナレーションは!?」力とならん…

《普通、そこで被せるか…?》

天の声に聞こえているかわからないが、歩はさらに…
「いやいや!!だって、急に真っ暗になって白文字と赤文字が浮かび上がるなんておかしいでしょ!?」
容赦なくメタ的なツッコミをする…

《……》

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが3に上がった!
歩が「ツッコミトーク」・「ハムスターの追い打ち」をしてくれるようになった。
「無視された!?それに、な、何かな!?その微妙なスキルは!?」

《いちいちツッコむな》

「もう!…あ!?そうだ、竜司君。どこか知っている場所とかある?」
「ん?ん〜と…おっ!?喫茶店ルブランがある!?」
歩に尋ねられ、地図を広げ確認した竜司は馴染みの店の名前を見つける。
「知っているお店?」
「おう!俺たち、怪盗団の集合場所として利用してるんだ」
「そうなんだ!…じゃっ!まずは、そこへ向かおっか!」
歩の即答に竜司は…
「え!?…でも、歩はいいのか?その…歩が知っている場所へ向かった方が、会いたい人と出会える確率が高いぜ?」
竜司の気づかいに歩は…

「ふふ…優しいんだね。竜司君は」

ピロピロリン♪ ♪ ♪

「大丈夫だよ♪ヒナさんは、とっても強くて、ナギちゃんは頭がいいし、そんなナギちゃんのお友達の鷺ノ宮さんも凄い力を持ってるみたいだし、メイドのマリアさんはスーパーメイド人だから♪」
「それに…」
脳裏に浮かぶのは…好きな人……

「ハヤテ君なら、私のピンチにすぐ駆けつけてくれるから♪」

ハヤテの名前を口にした歩の表情を見て、竜司は察する。
「そうか…なら、いこうぜ!歩!!俺たちでこの胸糞わりぃ殺し合いを止めるぜ!!」
「お…おー!」
竜司と歩は喫茶店ルブランを目指して歩きだす―――

(ハヤテ君…私はハヤテ君のことが好きだよ。その気持ちは全然変わってないから!付き合って恋人になりたいと思っているの!だから…死なないでね!私も竜司君のように強くなるから!!)

竜司君と出会わなければ、私はずっと草むらの中へ潜んでいて、死んでいたかもしれない…だけど、竜司君の反逆に共にいることで、私は強くなれそうな気がする。
それは、根拠のない推測―――
だが、どちらにせよ、もう臆病だったハムスターは立ち止まらない。
歩は掲げた恋の旗を胸に歩(あゆむ)―――

(ありがとうな…歩。お前のおかげで、俺はなんとか自分を見失わずにすんだ)

気が付くと、自分ソックリのシャドウは見えなくなっていた…あれは、幻聴だったのか、それとも…
だが、どちらにせよ、もうスカルは立ち止まらない。
竜司は掲げた反逆のドクロの旗を胸に歩(あゆむ)――――

【B-4/山道/一日目 深夜】

【坂本竜司@ペルソナ5】
[状態]:健康 膝部分擦り傷
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに反逆する
一.歩と共に殺し合いに反逆して姫神を倒す
二.死んでしまった女の子の関係者に出会ったら、許してもらうまで謝る
三.他の怪盗団のメンバーと歩の関係者に早く出会いたい
※歩とのコープが3になりました。
※竜司に話しかけていたシャドウは幻覚か本当かはわかりません。また、出現するかは他の書き手様にお任せします。
※参戦時期は9月怪盗団ブーム(次の大物ターゲットを奥村にする前)のときです。

【西沢歩@ハヤテのごとく】
[状態]:健康
[装備]:ヘビーメイス@ペルソナ5
[道具]:基本支給品(食料消費小)、不明支給品0〜2(本人確認不明)
[思考・状況]
基本行動方針:竜司と殺し合いに反逆へ歩む
一.皆で生き残りたい
二.竜司との反逆で強くなりたい
三.ハヤテ君…私、ハヤテ君に伝えたいことがあるから
※竜司とのコープが3になりました。以下のスキルを身に付けました。
「ツッコミトーク」相手との会話交渉が決裂した時に、異世界の人物であれば、交渉をやり直せる
「ハムスターの追い打ち」竜司の攻撃で相手をダウンできなかった場合、追撃する。
※参戦時期はアテネ編前

213運命は、英語で言うとデスティニー ◆Oamxnad08k:2020/08/10(月) 11:16:10 ID:HEGdnB4Q0
投下終了します。

214 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/10(月) 13:01:50 ID:L7D/YYyw0
投下お疲れ様です!
ペルソナ勢独特の葛藤描写……からのメタ視点もお構い無しにガンガンぶっ込んでくる西沢さん。キャラの動かし方がとても巧みで、特に「因数分解をするんだ!」のくだりなんか完全に絵面が浮かんでくるようでしたw(でも竜司はできなさそう)
竜司はオープニングでの出来事から、出会う相手によって堕ちることも前を向くことも、如何様にも動けたと思うのですが、ここはやはり西沢さん、落ち込んだ人を励ますポジションが似合いすぎている。逆に、竜司にとっては自己嫌悪の根源でもある姫神に反抗したということが「スタンス:ハムスター」だった西沢さんに最初の一歩を歩ませたというのも、流れとしてとても綺麗ですね。そもそも最初のアレがなかったら、竜司とか見た目が怖すぎて一目散に逃げ出す相手筆頭ですし……。
それにしても、ツッコミトークを覚えた直後にかけられる(?)言葉が《いちいちツッコむな》なのがすごくシュール。

215偽りの王VS鏡の巨人featクリプトン人 ◆j1W0m6Dvxw:2020/08/10(月) 14:48:58 ID:lEVuIGWw0
☆☆☆

「ハァッ・・・ハァッ・・・」
『グギャアアアアア!!グギャアアアアアアア!!!』

巨大怪獣の歩幅は人間の何倍も大きく、とうとう京太郎は湖の畔へとおいつめられてしまった。

「く、クソゥッ!!!」
『グギャアアアア!!』

悔しそうに顔を歪ませる京太郎を嘲笑うように、怪獣は翼を広げて雄叫びをあげる。
まさに万事休す・・・その時だった。

「!」

湖の水面が月の光を反射して淡く輝くのを京太郎は見逃さなかった。
京太郎はすぐさま両腕を広げてミラー・アクションを取った。

「ミラー・スパーク!!!」

叫びとともに京太郎の体は光へと変化し、水面へと飛び込んだ。
そして次の瞬間・・・

「デアッ!」

湖面から銀色を基調に緑と黄色のアクセントを施した巨人が飛び出してきた。
これこそ、二次元人と地球人のハーフである鏡京太郎のもう一つの姿、『ミラーマン』である!

「デアッ!」
『グギャアアアアアア!!』

しばしにらみ合うミラーマンと三つ首の怪獣。
ミラーマンの身長は最大40メートル。
対する三つ首の怪獣の身長は158.8メートル。
人間で言えば子供と大人・・・どころか、赤ん坊と大人程の身長差だ。
だが・・・ミラーマンは怯みも恐れもせず、怪獣に向かっていった。

「ミラーナイフ!」

先手を打ったのはミラーマンだ。
怪獣に向けて伸ばした手刀の先から、白く光る楔型の光線が発射され、
怪獣の胸部に命中すると同時に怪獣の体に爆発が起こった。

『グギャアアアアア!!!』

怪獣は怯むことなく、口から光線を吐き出した。

「ディフェンス・ミラー!」

すかさずミラーマンは空中をなぞるように手を振って透明な光の壁を出現させ、
怪獣の光線を反射させる。
続けざまに空中高くジャンプすると・・・

「ミラクル・キック!」

足先を赤く発光させながら怪獣めがけてキックを放ち、
3つある怪獣の首の内、右端の首をちぎり飛ばしたのだ。

『グギャアアアアア!!!』

首の一つを千切られ、怪獣は悲痛な叫びをあげた
ミラーマンはその隙を逃さず、額と腰のバックルに手を添える。

「シルバークロ・・・」

ミラーマン最大の大技が繰り出されようとした時・・・怪獣が反撃に出た。

216 ◆Oamxnad08k:2020/08/11(火) 21:10:40 ID:iEvrVf9w0
感想ありがとうございます。

運命は、英語で言うとデスティニー
竜司ですが、誰と組ませるか(出会わせるか)考えぬいた結果、西沢さんにしました。
真奥との出会いでさらに堕ちる展開も考えたのですが、西沢さんとの出会いにしてよかったです。
絵面が浮かんでくるは、原作を扱う小説においてこの上ない喜びです。ありがとうございます。(ちなみに、竜司は因数分解できなさそうに私も一票です(笑))
ペルソナと言えばコープですが、やるとなるとアルカナなども関わるので勝手にやるのはどうかな〜と悩みつつ、あのやり方なら西沢さんのアルカナを隠しつつコープイベントが出来る!と。
まぁ、ハヤテ勢だからこそできたかな…と。

真奥貞夫で予約します。

217 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/11(火) 22:12:15 ID:7CfnpNIY0
>>216
(ところでTwitterで「#狭間ロワ」で検索してちょっと遡ると私が狭間ロワの参加者に独断と偏見でアルカナ付けしたリストが出てきたりします……倣う必要性こそありませんが、良かったらご覧くださいな……)

綾崎ハヤテ、岩永琴子、新島真で予約します。

218魔王、A-6に立つ ◆Oamxnad08k:2020/08/15(土) 11:31:28 ID:wu1W38h60
完成したので投下します。

219魔王、A-6に立つ ◆Oamxnad08k:2020/08/15(土) 11:32:13 ID:wu1W38h60
「ちーちゃん…」
断崖絶壁に立つ男は、一人の女の子の名を呟く…
男の名前は「サタン・ジャコブ」
エンテ・イスラにて魔界を統一した魔王。
とある理由の為、苦渋の決断をして人間界へ侵略したが、勇者エミリアとの戦いに敗れ、現在は真奥貞夫の名で東京渋谷区笹塚「ヴィラ・ローザ笹塚」201号室で生活を過ごしている。
ブチッ!
真奥は咲いていた花を摘むと崖下の海へ投下する。

「絶対にちーちゃんに対するケジメはとらせるよ…」

真奥の脳裏に浮かぶのは、ちーちゃんこと佐々木千穂との思い出…

☆彡 ☆彡 ☆彡

「なんか変なお客さんでしたね?なんかブツブツ暗いし声も聞き取りにくいし…いまの女…の人?」
「なんかかっこいいですね真奥さん!社会人って感じで!」
「もしかして真奥さんの元カノですか?」
「私は自分で真奥さんを好きになったんです。だから、好きじゃなくなるときも自分で決めます」
「わたしもぜぇぇったいに負けません!」
「真奥さんのゴハンは私が作ります!」
「真奥さん!敵の塩なんか受ける必要ありません!お母さんに教えてもらっていっぱい作ってきましたから!」
「どっちのゴハン食べるんですか!」

…〜…

「……」
ドカァァ!!
真奥は右腕をグーへと固く握ると自分の頬を勢いよく殴る。
「ッ!!…こんなんじゃ足りねぇけど…」
それは、守るべき部下(クルーの後輩)を守れなかった自分への戒め。

220魔王、A-6に立つ ◆Oamxnad08k:2020/08/15(土) 11:35:53 ID:wu1W38h60
☆彡 ☆彡 ☆彡

「さてと…」
簡単ではあるが、佐々木千穂への弔いを済ませると、真奥は己の首についてある忌々しい首輪に触れると考察を開始する。
(禁止エリアに留まると爆発するということは、この首輪には爆発機能の他に「位置探知」することが可能のはず)
(そして、俺が向こう側(姫神)なら盗聴機能も備える。あるかわからねぇが、正義の味方が嫌いなヤツのことだ…【ある】と思っていた方が無難だな)

首輪について考察を終えると次は自分の両手を見つめる。

(魔力を外気から得ることができる…ということは、この【パレス】といわれる空間は、エンテイスラの何処かか、それに近い異世界だな…」
真奥が現在住んでいる地球では、魔力の概念は【人の心】なため、空間の場所を予測する。
(姫神は【パレス】を聞き覚えのある者ならピンとくるといっていたから、殺し合いの参加者には【パレス】について知っているはず…)
(とにかく、まずは【パレス】について知っているやつに会わねーとな)
真奥は行動の指針を立てると、さらに考察を続ける…

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ちッ…やっぱりB級じゃないようだな」
魔力を得ても、真奥の表情は険しいままだ…
魔力を得たことから、真奥は、どこまで力を行使できるかためしてみた。
結果は、空間転移は視覚の範囲までの移動。
ゲートは開けられるみたいだが…
(殺し合いをさせるんだから、あくまで、地図内の何処かだろーな…禁止エリアに繋がれば死に繋がる。…だめだ、首輪がある状態では、リスクが高すぎる…)
(と…なると元の姿になっても力を制御されている可能性は高いな…)
(魔力が得られるといっても、ここでは、一瞬の油断が死に繋がると思っていいな…)

自らの魔力について考察を終えると、最後に参加者について考察する。

(名簿には、俺の名前が「サタン」ではなく地球名義の「真奥貞夫」と記名されていることから、天界が関わっている可能性が高いな)
サリエルが失敗したから、他の大天使がエミリアの聖剣・もしくは天銀を持ち帰り…あわよくば、俺の命も…ってことで計画を立てたんだと思うが、どうして、俺と関わりがない参加者まで集められているのかが、わからねぇ…)
(それに、ドラゴンの力を有しているのもいた。奴らの目的はなんだ…?)
真奥はこの殺し合いに【天使】が関わっているのではないかと予想するが…
(〜〜〜やっぱり、情報が足りねぇ…こりゃ、他の参加者との情報交換が必要不可欠だな…姫神についても知っているやつが要るかも知れねぇからな…)

(おそらく、芦屋は俺を優勝させようと考え、漆原は…勝ち馬ねらいだな)
真奥は、部下の動向を予測する。

(鈴乃はちーちゃんが殺されたことで俺らを様子見する意味がなくなったから、乗ってもおかしくない。エミリアは…殺し合いには乗らないが、俺を斬るべきか悩み中ってところかな?)
次に真奥は、エンテ・イスラでは、敵対していた2人の動向を予測した。

221魔王、A-6に立つ ◆Oamxnad08k:2020/08/15(土) 11:37:59 ID:wu1W38h60
☆彡 ☆彡 ☆彡

大方の考察をいったん終えると、真奥は先ほどの光景を想起する……
(反抗した坂本とかいう金髪ではなく、ちーちゃんを見せしめとしたのは、おそらく2つ…)
(反抗者を殺すことでは、行動を縛れない参加者がいること。そして、俺への挑発…!!)
ギリッ…!!と真奥は唇を噛む。

(ちーちゃんを殺せば、確実に俺やエミリアはゲームに乗らず敵にまわることは、わかっていたはず!)
(そうでなくても、ちーちゃんを殺させないために俺の行動を縛ることができた!つまりこの俺、真奥貞夫は【問題ない】という回答だということ…!!)

「なぁ、姫神…ちーちゃんの命を奪い、俺を舐めている罪は重いぜ?」

真奥の低く、冷たい声は大地と大気を激しく震わす……

☆彡 ☆彡 ☆彡

「さて…と、そろそろ動きますか」
真奥は着ていたマグロナルドの制服を脱ぎ、丁寧に畳むとデイバックへ収納する。
「お〜、本当に、無尽蔵に収納できる便利なバッグだな〜♪」
制服を無事に収納できたことに安堵する真奥。
「マグロナルドの制服は貸与制。業務に関係ない理由で破損させると弁償しなきゃならなくなるからな」

「よしッ!そんじゃあ、まずは、情報収集だな!へへッ!!見てろよ…お前ら含めてこの俺が支配してやるからなッ!!」

格好つけているが、今の真奥の服装は、Dとプリントされた黄色のTシャツにパンツ…
繰り返すが、Tシャツにパンツ…

「あー…とりあえず、服も調達しねぇとな…」

魔王の反逆が始まった!!

【A-6/断崖/一日目 深夜】

【真奥貞夫@はたらく魔王さま】
[状態]:健康 右ほほ腫れ 
[装備]:Tシャツにパンツ
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3(本人確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:姫神にケジメをとらせる
一.パレスについて知っている参加者を探す。ついでに服を調達するか…
二.坂本に会ったら、一発殴る
※参戦時期はサリエリ戦後からアラス・ラムスに出会う前
※会場内で、魔力を吸収できることに気づきました。
空間転移…同一エリア内のみの移動 エリア間移動(A6→A1)などはできない。
ゲート…開くことができるが、会場内の何処かに繋がるのみ。
魔力結界…使用できない。
催眠魔術…精神が弱っている場合のみ効果が効く。

222魔王、A-6に立つ ◆Oamxnad08k:2020/08/15(土) 11:45:23 ID:wu1W38h60
投下終了します。

◆2zEnKfaCDc様
アルカナ付けリスト確認いたしました。
それに従い、使用していきたいと思いますので、ご承認のほどよろしくお願い申し上げます。

223 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:04:01 ID:HktWwrA60
投下お疲れ様です!
魔王様、やはり頼れる対主催。見せしめキャラの候補としてはマリア、イルル(メイドラゴン)、殺せんせー(暗殺教室)など結構迷っていましたが、その中でもはたらく魔王さま選んで良かったなぁと。竜司に対する感情はどうなるか気になっていましたが、行動の芯を理解しているからこそ、怨恨に走ることもせず、かといって水に流すでもない『一発殴る』という落とし所。そこは真奥の超越的存在らしさであり、人間らしさでもあるところなんだと思います。

それでは、私も投下します。

224僕たちの居場所 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:05:28 ID:HktWwrA60
 聞いてない。これはさすがに聞いてない。

 確かに、移動手段として自転車を提示したのはこの私だ。
『取引』と称し、綾崎ハヤテにそれを提供する代わりに後部座席に乗せてもらうよう取り計らったのも、間違いなく私だ。この結末は概ね私の予測の通りに訪れたものである。

 なればこそ、この現状も甘んじて受け入れるべきなのか。或いは、これを予測できなかった私に非があるというのか。答えはどちらも否、だ。こんなのとても看過出来ないし、そして私は悪くない。

「何ですかこのスピードは!」

 真っ青になりながら、岩永琴子は声高に主張した。しかしその声も、デュラハン号が奏でる風切り音にかき消されてハヤテには届かない。ただし岩永が何かを発言したことだけはわかったようで、ハヤテはブレーキに手をかけてその場に制止した。キキキキキィと甲高い音を鳴り響かせながら急停止するデュラハン号と共に、岩永もまた自分の心臓が停止したかのように思えた。

「どうかしました?」

「どうかしているのはお前だ。」

 語調を荒くして咎める岩永。運転中に人格が歪む者は稀にいるが、運転してもらっている側の人格が歪まされるとはいかなる了見か。

「人を乗せてあのスピードで突っ走る奴があるか!」

「ええと……ほら、狙撃とかされたら嫌じゃないですか。」

「振り落とされて死んだら同じことです!」

 ハヤテとしては、一刻も早くナギを探したいところ。反面、探し人が不死身であるため自分の身の安全の確保が最優先の岩永。自転車、デュラハン号を提供する代わりに自分の保護を申し出ることで、反目する両者の目的は、しかし両立出来るはずだった。それなのに、自転車であるがゆえに危険に晒されるとはまさかの落とし穴だった。しかしそれは岩永の落ち度などではなく、スポーツカーさえもぶっちぎって突き進むハヤテの自転車操縦技術が規格外なのだ。

225僕たちの居場所 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:06:06 ID:HktWwrA60
「ちゃんと掴まってたら大丈夫ですってば。」

 その言葉に、ようやく冷静さを取り戻した岩永はため息混じりに反論する。

「そもそも私としては、好きでもない殿方に身体を預けるのも不服でして。やむを得ないとはいえ、密着度は考えてください。」

「それなら大丈夫です。僕、子供はそういう目で見ないので!」

 しかしながら、藪をつついて蛇を出すことについて、ハヤテは天才的だった。

「誰が子供かっ!」

 怒りに燃え上がった岩永を前に、ハヤテはスミマセンを連呼することしかできなかった。

 結局ハヤテはデリカシー無しの烙印を押され、ハヤテの漕ぐデュラハン号の速度は岩永に配慮されたものとなる。

(本当はお嬢様を探すために飛ばしたいところだけど……)

 一刻も早くナギを見つけなくてはならないこの状況下、あえてスピードを落とさなくてはならない状況にハヤテはもどかしさを覚える。しかし、スピードを落としたとはいえ徒歩よりは格段に速い。岩永に支給されたデュラハン号を使わせてもらっているだけ時間短縮になっているのは間違いないのだ。

 かくして、何だかんだ押しに弱く巻き込まれ体質なハヤテが折れることによって取引は岩永の当初の想定通り、履行されることとなった。

「それにしても、人並外れた脚力ですね。」

 それから数分後。もう一度走行を始めたデュラハン号でハヤテの背に捕まりながら、岩永が口を開く。

「貴方の名前の通り、疾風(はやて)の如きスピードとでも言いましょうか。」

「親も、そう願っていたみたいですよ。」

「親、ですか?」

 スピードを願う親、という言葉の咀嚼が間に合わず、岩永は尋ねる。

226僕たちの居場所 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:06:49 ID:HktWwrA60
「僕の名前の由来です。借金取りから疾風の如く逃げられるように……って。」

「……それは、難儀なものですね。」

「まあ、去年のクリスマスに子供に1億5000万の借金を押し付けて逃げた親ですから。」

 ハヤテは、アッサリとした――されど、どこか苦々しさを含んだ笑みを浮かべた。位置的に岩永には見えなかったが、それでも声のトーンからそれは痛々しいほどに伝わってきた。

「心中お察し致します。」

「いえ。むしろ感謝してるのもあるんですよ。どうしようもない親でしたけれど、そのおかげで、今の僕には居場所があるんです。」

「居場所……察するに、それがあなたの言う"お嬢様"というわけですか。」

「はい。親に売られ、借金取りに追われ、どうしようもなかったあの日。それでも助けてくれた人がいたんですよ。」

 そして、ハヤテは語る。誘拐しようとしていたにもかかわらず借金を肩代わりしてくれた上に、執事として雇ってまでくれたお嬢様についての大まかなエピソードを。

 それを聞き終えた岩永は、ハヤテの焦燥に合点がいったように思えた。いくら執事だからといって、このような無法の地では雇用主のことより自分のことを優先してもおかしくはない。だが、雇用主が恩人であり、心から大切な人であるならば、そのスタンスにも理解できると言うものだ。

(九郎先輩も、これくらい私を躍起になって探してくれていればいいのですが。)

 不意に生まれた考えを振り払う。この辺りについて考え始めるとろくな思考にならないだろうからだ。

「まあいいでしょう。もう少し、スピードを上げても構いませんよ。」

「本当ですか?ㅤ助かります!」

 そのお許しが出るや否や、ペダルを踏み込んでぐんと加速するハヤテ。突然の譲歩の理由は、お嬢様への熱意が伝わったからだろうか。

「あなたのためではありませんよ。」

 ハヤテに生まれたそんな考えを、岩永はツンデレっぽく否定した。

「昔から、人の恋路を邪魔するものにはとんだ報いがあると言うじゃあないですか。」

 岩永のような理性的な人物が語るには、何とも言い訳がましい答え。しかしそれは素直になれないなどの事情ではなく、れっきとした岩永の本心だった。

227僕たちの居場所 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:07:43 ID:HktWwrA60
 けれど、その本心の在り処よりも、無視できない単語がハヤテにはあった。

「ありがたいですけど……でも恋路とは違いますよ。僕はお嬢様の執事ですから。」

「おや、違いましたか。今の話を聞くにてっきりそういうことなのだと思いましたが。」

「まさか。それにお嬢様はまだ13歳ですよ?ㅤ先ほども言った通り、子供は恋愛対象として見たりはしませんよ。」

 そうですか、と岩永は冷めた態度で返す。そして、考える。ハヤテの話を聞いた限り、ハヤテ側の感情がどうであれナギの側は恋愛感情で動いていたのではないか。1億5000万となると、仮にも岩永家の令嬢である自分にとっても結構な額だ。幾ら規格外の大金持ちといえど、なんの感情も向けぬ相手に払えるものなのだろうか。

 そうすると、ハヤテを巡る人間関係は面倒なものになっていそうなものだが、そこに確証もなければ、仮に真実であってもそれを突き付ける意味は無い。だからこそ、岩永は何も言わなかった。ボタンのかけ違いを直すのは、殺し合いを終えてからにしてもらうとしよう。

「とにかく、地図によると間もなく『純喫茶ルブラン』というところに着くみたいですよ。寄ってみますか?」

 ハヤテと岩永は、ひとまず目的地を『負け犬公園』に定めていた。ハヤテとナギが初めて出会った場所であり、黙示的な待ち合わせにはこの上ない場所であるからだ。だからこそ、負け犬公園以外の場所は寄り道となる側面が大きい。

「はい。お嬢様がいるかもしれません。」

 しかし、ひきこもりがちで体力の無い彼女。途中でどこかで休んでいたり、出るに出られなくなっていたりする可能性も充分ある。地図に載っている施設くらいは調べる時間を割いてもいいかもしれない。

 二人は、純喫茶ルブランをひとまずの目的地に定めることを決定した。





 一方その頃。純喫茶ルブランにいち早くたどり着いていた者がいた。新島真――怪盗団のためにその手を汚すことを決意した怪盗団のブレインだ。すでに一人をその手で殺害しており、そのザックの中には二人分の支給品を有している。

 人を殺した今、もはや元の日常には完全には戻れないと分かっていながらも、純喫茶ルブランを訪れる、たったそれだけで日常に戻ったかのような気分になった。その風景が、現実のものと全く差異が見つからなかったからだ。しかし全身に纏った怪盗団の格好が、これが非日常であることをこの上なく訴えかけてくる。

(まだ、誰も来ていないみたいね。)

 真は迷わず階段を登っていく。怪盗団のリーダー、雨宮蓮の居候先であるルブランの2階の屋根裏部屋は、今や怪盗団のアジトである。皆で集まって脱出のための作戦会議を開くとしたら、地図に載っている範囲ではここしか有り得ないだろう。しかし偶然自分だけがルブランに近い位置に転送されていたのか、まだ誰も集まってはいないようだ。しかし遠からず、皆は集まってくると思う。その時までになるべく、支給品や食料は他の参加者を殺してでも貯めておきたいところだ。生き残ってほしいのは、怪盗団だけなのだから。

 そして、支給品はまだしも食料は時間が経つにつれてそれぞれの参加者が消費していく。真のスタンス上、動くのならば早いに越したことはないのである。

228僕たちの居場所 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:08:21 ID:HktWwrA60
 しかしここで、もう1つの問題が出てくる。先ほど殺した少年、影山律の支給品を持っている理由だけならばまだ誤魔化せる。メメントスを徘徊する死神、刈り取るものと律が戦っていたのは事実であるし、刈り取るものに殺された律の支給品を貰ってきたと言えば疑う者もおそらくはおらず、刈り取るものと遭遇するであろう他の人物との情報交換においても矛盾は起こるまい。だが、何人分もの余分な支給品を自分が持っていて、それを怪盗団の仲間に提示する時、一体何と説明するのか。偶然その死に立ち会った、というには不自然が過ぎる程度の人数は殺すつもりでいるのだ。

(その時は……"彼"に被ってもらうのも悪くないかもしれないわ。)

 名簿によると、この殺し合いには明智吾郎も参加している。彼ならば殺し合いに積極的であってもおかしくはないし、その認識は怪盗団内で共有できる。明智に襲われたところを返り討ちにしたら、これだけの人数分の支給品を持っていた、というシナリオはなかなかに都合がいいのかもしれない。何より、明智を殺したならばもう1つ特典がある。元の世界に戻ってから、蓮が命の危険を冒してまであの作戦を決行する必要が無くなるではないか。

 そのためには、明智は殺さなくてはならない。彼が彼自身の罪を怪盗団に被せようとしていたように、今度は私の罪を彼に被ってもらおうじゃないか。

(……私の罪、か。)

 怪盗団は悪人しか狙わない、そしてターゲットは全会一致というのが大原則だ。そのどちらのルールにも当てはまらない自分の行いは、怪盗団の活動でもない、ただの自己本位的な殺人である。もちろんパレスの中での出来事だから、法によって裁かれることも無い。

(もし私の行いが彼らにバレたなら、次に"改心"させられるのはこの私かもしれないわね。)

 かつて対立し、会心に至らせた金城潤矢も、心の底は自分の地位を守りたいだけの男だった。そんな彼と今の自分、いったい何が違うというのか。

(いいえ……私とカネシロは全く違うわ。これは状況的に緊急避難。仮にここでの行いに司法が適応されるとしても、違法性は阻却されるはずよ。)

 検事である姉の影響で多少の知識を取り入れている真は、そうやって自分に言い聞かせながらもまだ怪盗団に相応しい人物でありたいと思った。そのためにも、この殺人は彼らにバレたくはないと思った。

229僕たちの居場所 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:09:08 ID:HktWwrA60


――チリンチリン。

 その時、階下から扉が開いた時に鳴る鈴の音が聞こえてきた。

 怪盗団の誰かか、と思ったがすぐにそれとは違う声も聞こえてくる。

「お嬢様ー!ㅤいらっしゃいませんかー?」

 こっそりと覗いてみると、顔は見えないが人影は二人分見受けられた。その言葉の内容や、二人で行動しているところから見ても、殺し合いに乗っていないことは分かる。

 最終的には死んでもらうが、とりあえずは情報交換をしてからでも遅くはないだろう。

「……残念だけど、ここには私しかいないわ。」

 真はこの場で不意打ちをせず、堂々と出ていくことに決めた。

 そもそも相手の実力は未知数だ。ペルソナがあるとはいえ、1対2で勝てる相手かは分からない。

 そして、パレスで作られた認知の建物とはいえ、怪盗団のアジトであるルブランを血で汚すことへの躊躇いも少なからずあったのだろう。

【E-5/純喫茶ルブラン/一日目 黎明】

【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[装備]:デュラハン号@はたらく魔王さま!
[道具]:基本支給品 不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:お嬢様を守る
一.たとえ、この命にかえても。
二.負け犬公園へ向かう道中、純喫茶ルブランに立ち寄る

※ナギとの誤解が解ける前からの参戦です。

【新島真@ペルソナ5】
[状態]:健康
[装備]:アーザードの聖法衣@小林さんちのメイドラゴン
[道具]:基本支給品×2 不明支給品(0〜3) 影山律の不明支給品(0〜1) さやかのバット@魔法少女まどか☆マギカ マグロバーガー@はたらく魔王さま!×2
[思考・状況]
基本行動方針:心の怪盗団のメンバー以外を殺し、心の怪盗団の脱出の役に立つ。
1.双葉……頼んだわよ……。
2.明智を見つけたら、殺して自分の罪を被ってもらおう。

※ニイジマ・パレス攻略途中からの参戦です。

【岩永琴子@虚構推理】
[状態]:健康 義眼/義足装着
[装備]:怪盗紳士ステッキ@ペルソナ5
[道具]:基本支給品 不明支給品0〜1(本人確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:秩序に反する殺し合いを許容しない
一.不死者を交えての殺し合いの意味は?
二.九郎先輩と合流したい。
三.負け犬公園へ向かう道中、純喫茶ルブランに立ち寄る。

※綾崎ハヤテと三千院ナギの関係について大体を聞きました。

※鋼人七瀬を消し去った後からの参戦です。

230 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/15(土) 16:09:51 ID:HktWwrA60
投下完了しました。

231名無しさん:2020/08/15(土) 22:55:57 ID:.0qiA1b60
投下乙です。
ルブラン周りは一気に話の焦点になってきてこれはいいですね。
関わりのある話も面白いの多くて。

232 ◆Oamxnad08k:2020/08/16(日) 23:38:21 ID:iBMzze760
投下お疲れ様です。

僕たちの居場所
ハヤテのこぐ自転車のスピードを予測できてなかった琴子の心情は、絵面が浮かび、笑みがでました。
そして、デリカシー無しの烙印を押されたハヤテ…一刻も早くナギを保護したい思いが裏目にでなければいいですね…
最後にクイーンとの邂逅…これは、続きが気になります。(推理的な意味でも)

続きが気になるといえば、◆2zEnKfaCDc様の案の中の見せしめに殺せんせーが選ばれるバージョンは個人的に気になりました。
機会があればIFストーリーとしても読んでみたいと率直に思いました。

高巻杏・上井エルマで予約します。

233 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/17(月) 02:55:12 ID:4Yc/9d/o0
>>231 >>232
感想ありがとうございます。ルブランはペルソナ5由来の施設として大して迷わずに選んだのですが、恥ずかしながら「心の怪盗団のアジトである」って視点が竜司登場話を読むまで抜けてたんですよね……💦

ハヤテ岩永登場話で書ききれなかった密着度のくだりや目的地の設定、登場話での掘り下げが甘くてリレー先の書き手の方が迷いそうな「マーダーであることを怪盗団に対して伝えるかどうか」のくだりなど、元々の続きや補完の側面が大きい自己リレーでしたが、それでも登場話というキャラクター紹介を兼ねた話を踏まえた上で、その後の動きが中心となる話を書くのは登場話とはまた違った楽しみがありますね。ちょうど杏とエルマで全参加者の登場話が出揃うので、これまで書いてくださった書き手の皆さんも、これまで読み手だった皆さんも、是非ともリレーしてみませんかと宣伝しておきますw

それでは影山茂夫、狭間綺羅々で予約します。

234牝豹と竜 ◆Oamxnad08k:2020/08/18(火) 07:47:07 ID:0yf1wsJU0
完成したので投下します。

235牝豹と竜 ◆Oamxnad08k:2020/08/18(火) 07:48:44 ID:0yf1wsJU0
「…竜司」
憂鬱そうな表情で歩くスタイル抜群の女性…
その歩き方は、殺し合いという場ではなくパリで開催されるパリコレが相応しいと100人中100人が答えるだろう…
女性の名は高巻杏。
心の怪盗団のメンバーでコードネームは【パンサー】
中学からの親友である鈴井志帆がバレー部顧問鴨志田により自殺未遂を起こす。
その怒りからペルソナに目覚め、鴨志田を断罪した後、怪盗団の一員として心が歪んだ人の改心を行っていた。

パレスに送られた杏は支給品を素早く確認した。
中身はマシンガンと緑色のBB弾らしきもの。
マシンガン自体は使い慣れているので、問題ない……
しかし、撃つ標的がペルソナではなく、【人】だということ――――

杏が想起するのは竜司と姫神のやり取り――――

「何でだ……ちくしょう!!」

「これは君が招いた結果だよ。……君の正義が人を殺した。」

竜司の行動が結果として自分と同年代に見えた少女の命が奪われた……
「自暴自棄になってなければいいんだけど…」
竜司を気遣いながらも、杏は体をブルッ!と震わせる……
「…死ってこんなに恐ろしいものなんだね…」
今までも改心させる過程の中で死の危険はあった。
それでも、乗り越えられてきたからこそ【少女の死】は杏の心に暗い影を落とす―――

「なんだい。立ち向かうこともできなくなってしまったのかい?」

そう言いながら姿を現したのは杏のペルソナ「カルメン」―――
「…違うよ、カルメン。ただ、パレス内での殺し合いなんて、歪みすぎているなと思っただけ…」
パレスとは、歪んだ欲望が具現化した世界―――つまり、このようなパレスを作りだせる人物の精神は相当の歪んだ欲望を持っていること…
杏はそう言いながら、支給品のマシンガンを抱くように握る……
「じゃあ、お前はこのまま歪みに怯えて死を迎えるのかい?」
「…いいえ、カルメン」

「…もう我慢はしないって決めたの!私は姫神を許せないッ!好きにやらせてもらうんだからッ!」

杏の決意―――
「安心したよ…そう、我慢なんかしていても、何も解決出来ない。忘れてないのなら、力をかしてあげる」
カルメンは微笑むと姿を消す。

☆彡 ☆彡 ☆彡

236牝豹と竜 ◆Oamxnad08k:2020/08/18(火) 07:49:27 ID:0yf1wsJU0
「…え?あれは…」
決意完了をした杏の視線の先に、人が倒れていた。
「ッ!?大丈夫ですか!?」
急いで、駆け寄る杏。
倒れている女性はOLだろうか。
髪の色こそ暗い紫色だが、スーツに眼鏡をかけていた。
「ねぇ!しっかりして!」

「お…」
「お?」

「お腹が空いて、動けない…」

女性の告白に続き…ぐぅぅぅぅぅ〜〜〜〜
腹ペコな音が鳴り響いた。

「よかったら、これ食べて下さい」
そういうと、杏は自分のデイバックから取り出した食料のパンをエルマに差し出した。
「え…でも、それでは、人間さんが困るんでは…?」
よろよろと立ち上がる女性は遠慮がちに尋ねる…

「遠慮しないでください。困ったときはお互い様ですよ」

ピロピロリン♪ ♪ ♪

「で…では英気を養うためにもご好意に甘えて…」
エルマは杏が差し出したクリームパンを手に取り…

ハム

「あああああ♪やっぱり、クリームパンはおいしい…ほっぺたおちる幸せぇ…!!」

エルマは至福の時を過ごし…

「ありがとう!…ありがとう!人間さん!!おかげで元気がでた♪この御恩は忘れないぞ!」

エルマは杏の手を握り、何度も頭を下げ、感謝を述べる。…が
「…あの、それ…」
「ん?」
杏が指さす方向は自分の頭…
そう。余りの空腹からのおいしい食事で喜びのあまり、隠していた角と尻尾が露わとなっていた!
「それに、パンを差し出したときもそうだし、【人間さん】と言ってたよね?…どういうこと?」
杏の鋭い目線…
「あッ!?いや…それは…その…」

☆彡 ☆彡 ☆彡

237牝豹と竜 ◆Oamxnad08k:2020/08/18(火) 07:50:08 ID:0yf1wsJU0
「それじゃあ…エルマさんはドラゴンなのね」
「…ああ。そして私は勢力でいうと、【調和】に属しているんだ」
隠しきれないと見たエルマは正直に自分の正体を伝えた。

ドラゴンには大きく3つの勢力が存在する。

秩序を重んじる【調和勢】 破壊と支配を望む【混沌勢】 組することなく群れもしない【傍観勢】

エルマは調和を重んじる調和勢に属している。

「杏さん」
「はい」

エルマは真剣な眼差しで杏を見つめる…

「本来、ドラゴンは世界の秩序を乱すから、人間の争いには干渉をしないんだ…」

「だが、姫神のこの企みは、調和を著しく乱す行為でとうてい看過できない!」
ギリッ…歯を食いしばるエルマ――――
「…悔しいが、姫神による妨害か、本来の姿に戻ることができないし、魔法も制限されている…」
「それでも、私は世界のバランスを取りもち導きたい!!どうか!私と協力してくれないかッ!!!」

エルマの熱い想い――――

「…」
杏は目を瞑り…カッ!と見開くと――――
「もちろん!私も姫神は許せない!あのとき私は決意した!志穂をあんな目に合わせた鴨志田のような奴らを改心させると!!」
「エルマさん!私からもお願いします!!私たち…心の怪盗団と協力してくださいッ!
杏の熱い想い―――――

238牝豹と竜 ◆Oamxnad08k:2020/08/18(火) 07:54:08 ID:0yf1wsJU0
我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【月】のペルソナの生誕に祝福の風を「ぐぅぅぅぅぅ〜〜〜〜」ならん…

《……》

「えッ!?」
またしても鳴った予想外の音に戸惑う杏。
「〜〜〜〜〜!!」
カア カア カア カア……
顔を火山の如く赤くしているエルマ…

《…え?わざと?わざとなの?》

天の声が聞こえたかのかエルマは反論する。
「そ…そんなわけあるか!!その…太る=身体が大きくなる(闘いに強くなる)だから仕方がないだろッ!!」

《カレーは飲み物じゃないんだぞ?》

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが3に上がった!
エルマが「エルマの応援」・「エルマの本気応援」をしてくれるようになった。
「さっきからごちゃごちゃうるさいぞ!天の声さん!!」
エルマは足をジタバタと大地を踏む…

《ピザでも食ってろ》

「…コホン。とにかくだ!私は杏さんの力となろう」
気持ちを落ち着かせたエルマは改めて杏に伝え、
やり取りを眺めていた杏は口元を弛ませ…

「杏でいいわ。共に戦う仲間に遠慮はしないで♪」
「なら、私もエルマで良い!共に戦う仲間だからなッ!」

「…わかったわ!頼りにするわね、エルマ!!」
「…ああ!よろしく頼む!杏!!」

ピロピロリン♪ ♪ ♪

互いに絆を深め…杏は提案する。
「それじゃあ、喫茶店ルブランにいきましょ!食材を調理できると思うから、アジトに最適よ♪」
「おお…!!それは、賛成だ!!」
エルマは目を輝かせる。

「見てなさい姫神!あんたの心!!いただくから!!」

牝豹と竜の殺し合いへの反逆の炎が燃え上がる!!!

【C-6/草原/一日目 深夜】

【高巻杏@ペルソナ5】
[状態]:健康
[装備]:マシンガン※対先生BB弾@暗殺教室
[道具]:基本支給品(食料小) 不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:姫神を改心させる
一.島にあるであろうパレスの主のオタカラを探し出す
二.食料確保も含め、純喫茶ルブランに向かう
三.怪盗団のメンバーと合流ができたらしたい
※エルマとのコープが3になりました。
※参戦時期は竜司と同じ9月怪盗団ブーム(次の大物ターゲットを奥村にする前)のときです。
※杏はパレスということから、オタカラがあるのではと考えています。

【支給品紹介】
【サブマシンガン※対先生用BB弾@暗殺教室】
本来は人体には無害のBB弾だが、パレスの効力により対先生ナイフと同じく、本来は持っていない殺傷力を有する。
杏はBB弾でも殺傷できることを理解している。

【上井エルマ@小林さんのメイドラゴン】
[状態]:健康 空腹(小)
[装備]:レテの斧@ペルソナ5
[道具]:基本支給品(食料なし) 不明支給品(1〜2)
[思考・状況]
基本行動方針:姫神の殺し合いを阻止する。
1.調和を乱す姫神は許さん!…あ、お腹が空いた…
2.トール・カンナと出会えたら、協力を願う
3.小林さんに滝谷さんに出会ったら保護する
姫神により全身ドラゴン化や魔法が制限されていることを把握しています。
※参戦時期はトールと仲直りした以降。
※杏とのコープが3になりました。以下のスキルを身に付けました。
「エルマの応援」エルマと絆を結んだ者は身体能力がほんの少しだが、底上げされる。
「エルマの本気応援」エルマと同行中している限り戦闘中、経験値が上昇する。(相手の技を見切るなど)

【支給品紹介】
【レテの斧@ペルソナ5】
上井エルマに支給された斧。ガンカスタムが施されており、「中確率で忘却付着」の効果が付いている。

239牝豹と竜 ◆Oamxnad08k:2020/08/18(火) 07:54:19 ID:0yf1wsJU0
投下終了します。

240 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/19(水) 15:09:35 ID:KR47evnI0
投下お疲れ様です!
そして同時に、これで全参加者の登場話が出揃いました。携わってくださった書き手の皆様と、それを支えて下さる読み手の皆様に感謝します🙏

三日分の食料が支給されていても確かにエルマには足りないよなぁ……それにしても登場話で食べ尽くすとは……!杏の食料にまで手を出してるの、真が聞けばぶち切れそうですねw
ところでコメディ描写で薄れてる感じもしますが、この2人、戦力的にはトップクラスの対主催コンビですね。パロロワの強武器枠であるマシンガン持ちの杏に、そもそもがトールと互角な上に斧持ちのエルマ。他の強キャラであるまどマギ勢や影山茂夫も魔女化したり暴走したりの危険性があることを考えれば、安心感の面では最強コンビかもしれない。
そしてノワールの武器、もはや出すという発想自体薄れてましたが、考えてみればエルマってオノ持ってても自然に映る数少ないキャラでしたね。彼女の三つ又の槍の行方やいかに。

241 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/20(木) 01:13:20 ID:ryNcve/.0
そういえば>>232への返信、不完全でしたね

殺せんせーが見せしめのif、本編進めたいのもあっておそらく書くことはないと思いますが、内容を大まかに書くなら
ヒナギクではなく茅野視点で暗殺教室勢を揺さぶらせると同時に、姫神に「これで300億は僕のものかな?ㅤまあ、そんなはした金いらないけどね」みたいなこと言わせて『三千院家の財産がすでに手中にあること』『参加者の事情が知れ渡っていること(本編では心の怪盗団の名前を出すことで代用)』を醸し出そうかな、と。
ただ、やっぱり見せしめの効果としては人の方が絵面がエグいかなってのと、「君の正義が人を殺した」って台詞を使いたかったのでお蔵入りとなった次第ですw

242 ◆Oamxnad08k:2020/08/21(金) 15:50:28 ID:WmYQXQEs0
お忙しい中、ご丁寧に回答ありがとうございます!
大まかでも書いていただきありがとうございました。脳内イメージができ、すごい有りがたかったです!

わかります!使いたい台詞が浮かんだら優先して書きますよね。
「君に正義が人を殺した」の台詞は、読んでいておおっ!ときました!

感想ありがとうございます。

牝豹と竜
そうですね!真が知ったら鉄拳制裁ですね(笑)
実はエルマに装備させる他作品の槍が少し、思いつかなかったので、代用品としてノワールの武器の斧にしたんです。
でみ、他の方にも自然に映ったようで安心しました。
そうですね、エルマの三つ又の槍は他の参加者の支給品にあると信じています!

三千院ナギ・モルガナ・初柴ヒスイで予約します。

243 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/21(金) 21:18:16 ID:bQEjb1g20
投下します。

244泡沫の青春模様 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/21(金) 21:19:05 ID:bQEjb1g20
 星空が綺麗な夜の山を男女で下る。それはまさに、青春の1ページと言わんばかりの絵面で。殺し合いなどを命じられていなければ、きっと何ものにも変えがたい思い出となっていたに違いない。

 その男の側、影山茂夫はふと思った。霊幻師匠の、後に松茸狩りに変わるツチノコ狩りに動員されたり。心霊スポットに出向き、悪霊でもない良い霊を除霊することになったり。正直なところ山にはあまりいい思い出がない。だけど、前者は後で食べさせてもらえた松茸が美味しかった。後者は、見方を変えれば職業意識の高い霊幻師匠が仕事より自分の気持ちを優先してくれた貴重な体験だったとも思う。
 非日常の要素――殺し合いなどという不安など、胸の奥に一欠片も存在しない、ただ流れていくだけの日常。たったそれだけでも、幾分かは幸せなことだったんじゃないか、と。

「……ってことを……ハァ……思ったんだけど……ゼエ……どうかな……。」

 浮かんだ考えを、たどたどしくもアウトプットする。

「それ、ネガティブなのかポジティブなのか分からないわね。でも、一理あるわ。」

 そして女の側、狭間綺羅々も同じく考える。E組として毎日登らされて、嫌というほど憎んで呪ってきた山だけれど、こうして殺し合わされるという奇怪な環境で再びこの地に降り立ってみれば、何だかんだ、暗殺教室という要素を抜きにしてもこの地への感情はそれらばかりでもないのだとも思える。現状、茂夫とともにこの校舎を離れることにどこかもの寂しさを覚えている自分がいるのだ。

(腐っても母校とでもいうのかしら。くだらないわね。)

 そんな感覚を一瞥、吐き捨てる。どこで泳ぐかではなく、どう泳ぐか――暗殺教室で教わってきたその答えを肯定するにしても、それでもE組の校舎は環境としては泳ぎたくないことこの上ないものだった。殺せんせーが来ていなければ、何も得られず、ただ劣等感だけを植え付けられる1年を過ごしていただろう。だから、感謝すべきは殺せんせーであり、この土地ではない。そう思っていたけれど、どうも感情というものはそう単純化できるものでもないようだ。

245泡沫の青春模様 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/21(金) 21:19:47 ID:bQEjb1g20
「っていうか……」

 綺羅々はチラリと背後に目をやる。

「ハァ……ハァ……ゼエ……ゼエ……」
「……あんた、本当に運動はからっきしなのね。」

 息も絶え絶えになりながらも、茂夫は綺羅々の後ろを何とか着いて来ていた。さすがに見ていられなくなって、綺羅々は歩く速度を半分程度まで落とす。

「一応……肉改で……ハァ……鍛えては……ゼエ……いる……はずなんだけれど……」
「肉塊……?」

 豊富なボキャブラリーを有する綺羅々の辞書を以てしても理解が追いつかない単語について尋ねると、『肉体改造部』と、これまた辞書にないことばが返ってくる。さらに、『"脳感電波部"と部室をシェアしている』などという追撃までもが備えられた。

「……よく分からないけど、つまるところそういう部活なのね?」
「……ゼヒュー……ゼヒュー……うん…………」

 歩く速度を落としても、会話よりも呼吸の方が多くなってしまっている茂夫。その姿に多少の危機感と、結構な罪悪感を覚えた綺羅々は提案する。

「まあいいわ。水場まではまだあるけど、少し休みましょ。」
「う、うん……」

 その提案に、渡りに船とばかりに乗る茂夫。他者との接触のリスクを減らすため、脇道に逸れて座り込んだ。

 そして、訪れる静寂。厳密には、茂夫の息切れの声のみが漏れる。とりわけ話題もなく、両者ともに沈黙を苦とする性格でもない。

 綺羅々から見ての茂夫は、普段つるんでいる寺坂グループとは少し違うタイプの男子であるし、茂夫にすればタイプに関係なくほぼ初対面の女子でたる地点で緊張する。必然的な到来から、その静寂は数分間にもわたり、休憩を終えて再び歩き始めるまで続いた。それも、「そろそろ行きましょ」「うん。」というこの上なく事務的な会話である。

(これは良くないわね。)

 立ち上がり、茂夫に合わせた速度で歩きながら綺羅々は思う。確かにディスコミュニケーションのまま過ごすのも苦痛ではなく、悪いばかりではないのだが、何せここは殺伐とした殺し合いの世界だ。ちょっとした連携の行き違いが、容易に死を招く。そして、連携の鍵となるのは何か。もちろん、構成員の基礎体力でもあるだろうし、少なからず運もあるのだろう。しかし、欠かせないのは相手への理解だ。日常を共にし、コミュニケーションを交わしてきた積み重ねがあるからこそ、理解を元にした連携をとる事ができる。これまで幾度となく窮地に陥ってきたE組がそれを潜り抜けてこれたのは相互理解があったからに他ならない。

246泡沫の青春模様 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/21(金) 21:21:59 ID:bQEjb1g20
「……ねえ。」

 そして、コミュニケーションの大切さについての理解を有しているのが自分であるならば、会話のとっかかりも自分からであるべきなのだろう。

(私にこんな気を遣わせるなんて……呪うわよ、姫神。)

 内心でどこか舌打ちする綺羅々。しかし理由はどうであれ、会話の糸口を探し出すその様相はまさに、恋する男女の描く青春模様のそれのよう。

「『蠱毒』って知ってるかしら?」
「ううん。知らない。」

 会話の引き出しの少ない綺羅々がすぐにでも引っ張り出せるものといえば、やはり呪いであった。

「古代の中国で使われた呪術の方法よ。毒を持った虫を百匹ほど同じ容器に放り込むの。」
「えっ、そんなことしたら……」
「ええ、その通りよ。」
「虫がいっぱいで気持ち悪い……」
「前言撤回。その通りじゃなかったわ。」

 やっぱズレてるわね、と綺羅々は可笑しそうに笑う。

「殺し合うのよ。理性のない虫だもの。そして、いちばん強い毒を持った虫が生き残る。」

 まるでこの世界みたいじゃない?ㅤと、他人事のように綺羅々は呟いた。笑えないくらいに自分たちが直面していることではあるけれど、少なくともこうして見知らぬ男の子と、見慣れた景色で日常の延長を過ごしている現状を鑑みれば、やはり殺し合いなど他人事なのだ。

「でも私たちは虫と違う。こんな『容器』ごときで簡単に殺し合ったりしない。」

 トントンと首輪を突っつきながら言った。虫ならば、容器に入れるだけで共食いを始めるかもしれない。人ならば、首輪という恐怖で脅せば、或いは乗る者もいるかもしれない。しかし、1年間を通じて『殺す』ということと向き合ってきたE組を従わせるには、あまりにもぬるい。

「そうだね。」

 そして綺羅々が1年間、力の使い方と向き合ってきたと言うのであれば。

「首輪の爆発は確かに怖い。だけど、僕が超能力を使って誰かを殺して、今までの僕じゃなくなっちゃう方がもっと怖いよ。」

 茂夫は、生まれてこの方、常に自分の力と向き合ってきたのだ。超能力――その言葉は比喩でも何でもない。殺せんせーのように超スピードで誤魔化しているでもなく、実際にものが浮き上がるのを見せて貰った。一般にファンタジーだと言われてきた超能力の存在に、驚くしかなくて。こいつが殺し合いに乗るような人間でなくてよかったと思わざるを得なかった。

247泡沫の青春模様 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/21(金) 21:22:39 ID:bQEjb1g20
「……超能力といえば。」

 そんな回想を思い巡らせていると、唐突に疑問が浮かんできた。

「あんた、わざわざ走らなくても自分を浮かせて移動したりはできないの?」
「できなくはない、けど……」

 茂夫は考え込むような仕草を見せる。

「自分を変えたいんだ。今まで超能力に頼ってきて、走るのとか遅いし……超能力でできないこともいっぱいあるから。」
「ふーん……」

 答えになっているようで、なっていない。その矜恃はこんな非常事態にも適応すべきものなのか、上手く活用できれば超能力である程度は『何でも』することもできるのではないか、疑問は尽きない。だけどその目から、簡単に否定していい類のものではないことも分かる。

「つまり馬鹿なのね。」
「ひどい。」

 表情は崩さぬままに、ショックを表現する茂夫。それを横目に、まさに魔女のように笑う綺羅々。

「でも、馬鹿は嫌いじゃないわよ。だって私たちの憧れる青春って、結局は馬鹿なことに集約されるものじゃない?」
「それ、似たようなことをトメさんも言ってた。」
「トメさんって誰よ。」
「脳感電波部の部長さん。いつも部室でお菓子食べてゲームしてる人なんだ。」
「……なんか、一緒にされたくはないわね。」

 星空の下の語り合い。安易に恋愛模様とも言い難い、何かしらの感情が二人の中でそっと芽生える。それは絆か、それともまた別のものなのか、その答えはまだ分からない。分からなくとも、或いは十年も経ってみれば気付くのかもしれない。


――けれど。

 破滅の時は、刻一刻と近付いてきている。


――定時放送。

 いつかと同じように、家族の死を突きつけられることがすでに確定している。そして今度は偽装などではなく、確かな、不可逆的な死。

 破滅を回避する何かを、この邂逅は生み出すことができるのか。それとも――


【モブ爆発まで3時間】


【A-4/水場付近/一日目 深夜】

【狭間綺羅々@暗殺教室】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 不明支給品1〜3(本人確認済) チョーク2本(現地調達)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。正当防衛くらいはする。
一.殺せんせーだったら姫神って奴にも手入れするんでしょうね。
二.無理しないルート通ってあげないと。

※わかばパークでのボランティア以降の参戦です。

【影山茂夫@モブサイコ100】
[状態]:疲弊気味
[装備]:対先生BB弾@暗殺教室
[道具]:基本支給品 不明支給品0〜2(本人確認済) チョーク2本(現地調達)
[思考・状況]
基本行動方針:力を人に向けてはいけないと姫神に教えたい。
一.大きな力は人に向けたらいけないのに……。
二.下山まで体力持つかな……。

※ショウによって偽装された遺体を見せられ、家族の生存を確認して以降の参戦です。

248 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/21(金) 21:25:14 ID:bQEjb1g20
「書き込む」タップする直前に気付きましたが手遅れ……
状態表のとこの時間帯、深夜ではなく黎明に訂正します><

以上で投下完了です。
そして鷺ノ宮伊澄、明智吾郎、遊佐恵美、小林さんで予約します。

249 ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:30:50 ID:ZqNwzNq20
投下お疲れ様です!

泡沫の青春模様
「肉体改造部」と「脳感電波部」という直ぐに理解できないパワーワードの部活ですよね(笑)
やはり、狭間さんでも一瞬で理解できないとは、恐るべし……
モブとの関係を深めるために気をつかう狭間さんにクスリときました。
そして話題が「蠱毒」なのが、狭間さんらしくてもう絵面が想像できます!
そうですね…確実に起きる放送イベント…果たして2人の「青春」がどうなるのか、要注目しちゃいます。

完成したので投下します。

250理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:34:12 ID:ZqNwzNq20
「う〜む…」
悩み声を上げながら歩くナギ。
「どうした?ナギ。悩み事か?」
モルガナはナギに話しかける。
「なぁ、モルガナはサイボーグじゃないんだよな?」
「おいおい…さっきも言ったが、ワガハイは【人間】!サイボーグじゃないっての!!」
モルガナは語尾を強めながら答える。

「そうか、サイボーグなら、サイボーグク○ちゃんにあやかってキッドでもよかったんだが、そうなると…」

どうやら、モルガナの呼び名について悩んでいたようだ……
「ワガハイの呼び名について迷っていたのか…心配させるなよ…」
ナギの悩みの正体がわかり、ため息をつくモナ―――

「タマ…ジジ…バロン…カ○ン様…ジ○ニャン…ううむ、しっくりとこないな」

何やら色々な名前を挙げるが、しっくりとこないようだ……
「決めた!…モナはどうだ?」
「…まぁ、仲間もワガハイのことをそう呼んでいたから、それで構わねーよ」
「うむ!われながら良いネーミングセンスだ!」
モルガナの返事を聞かず、一人、納得して満足しているナギ。それを眺めるモルガナ……

(やれやれ、ナギは見たところ、本当に戦う力を持たない一般人みたいだな…まっ!取引をしたんだ。ちゃんとワガハイが守ってやらないとな…)
モルガナは【取引】を重んじる。改めてナギを守る決意を固める。
「おーい、どうしたモナ?」
心配したのかナギはモルガナの顔を覗く。
「ん?いや、なんでもねーよ」
「そうか…でも、困ったら遠慮なく私に頼れよ!」
胸にドンと手をつくナギ。
「…へいへい、わかったよ!」
その姿にモルガナは苦笑する。

☆彡 ☆彡 ☆彡

251理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:35:57 ID:ZqNwzNq20
「ここは…工事現場のようだな」
2人がたどり着いたのは、真倉坂市工事現場。
立てかけられたH型の鉄骨やコンテナなどが無造作に置かれている……
「おい!…大丈夫かナギ」
工事現場の異様な空気にそわそわするナギ…

「へ!?ああ!こここ…怖くなんかないぞ!うん!まったくない!!!」

「めっちゃ怖がってるじゃねーか…」
ナギのカラ元気にモルガナは…
(こりゃ、他の参加者に襲われると不味いな…ナギが潜めれる場所は、どこかにねーかな…)
モルガナはナギの身の安全を確保できそうな場所を探す…
(とりあえず、コンテナの影にでも隠れてもらうか…)
手ごろな隠れ場所としてコンテナを選んだ。
「おい、ナギとりあえず、ここのコンテナに…」
モルガナがナギへ提案しようと声をかけている最中―――

「まさか、こんなに早く会うとはな…」

別の声がモルガナの提案を遮った―――
「ッ!?気をつけろ!ナギ!!」
突如、聞こえてきた声に身構えるモルガナ。
「その声は……」
ナギはその声にハッ!とする……
そう、幼馴染の声を聞き間違えるなどありえない……
「ヒスイ…!!」
「知ってるやつか?」

「ああ…私の幼馴染の一人だ」

ザッ!
モルガナが選んだのとは別のコンテナの上からジャンプして着地した人物…ナギの言葉通り…幼馴染の一人、初柴ヒスイだった―――

「ヒスイ…」
「ナギ…」
互いに見つめ合う2人……

「ヒスイ。私の元執事の姫神がこんなことをしでかして、大変申し訳ない…」
「お前も三千院家の遺産の後継者の一人。正直、この状況はまだ飲みこめていないが、どうやらジジイによる遺産レースとは無関係なようだ。だから、ここは私たちと協力して姫神を止めないか?」
ナギは頭を下げ、協力を乞う……
(!?そうか、姫神はナギと関わりがあるのかッ!こりゃ、後でじっくりと話しを聞かないとな…)
姫神について知っている情報源が取り引き相手だったことに驚くモルガナ。

「あいかわらず、戦わないなナギ…」
「え?」
ガキィィィン!!!
モルガナのペルソナ…ゾロのレイピアがヒスイのサタンの宝剣の一撃を防いだ!

「モナ!?」
「ナギ!さがっていろ!!」
「あ…ああ」
モルガナの言葉通りに後方へ下がるナギ。
(どうしてなのだ…?ヒスイ、今、私のことを殺そうと―――?)
もし、モルガナの助けがなかったら、自分は死んでいただろうと、ゾッ!としたナギは不安げにヒスイを見つめる……

「最初から全力で行くぞ!ゾロ!」
モルガナの呼応に応じてゾロがレイピアを構え直すッ!
「ほう…それが噂のペルソナか」
「オマエ!ペルソナを知っているのか!?」
「ああ…だが、私の力のほうが強い!」

ヒスイはサタンの宝剣を片手にモルガナに襲いかかる!!

252理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:38:36 ID:ZqNwzNq20
ゾロのレイピアとヒスイの宝剣の攻防…
キィン!キィン!!ガキィン!!!
一糸乱れぬ互いの技量…先に動いたのはモルガナ!!

「ガル!」

ヒスイに風の刃が襲い掛かる。
「ふんッ!」
なんと!ヒスイはガルをその身で受け、モルガナに近づく―――
「痛みを感じねぇのか!?」
切裂かれて肌から血が流れても気にする様子が見られないヒスイにモルガナモルガナは驚愕した……

「痛みを乗り越えられる者が王なのだッ!!」
サタンの宝剣を使用する限り、ヒスイの体には激痛が走る…ガルの痛みすらヒスイは乗り越える!!自らが全ての力を得るために!!
「くそッ!」
モルガナはノーザンライトを一発放つが…
ガキィン!
サタンの宝剣で弾は斬られてヒスイにはヒットしなかった。
だが、そのタイムラグでモルガナは宝剣の一撃を避けることができた!!

「はぁ…はぁ…」
息絶え絶えだが、戦いの体勢を構え直すモルガナ。
「やはり、ペルソナといっても、こんなもの…か」
かたや、余裕綽綽の様子を見せるヒスイ―――だが、

「オマエ…姫神側だな?」

モルガナは気づき、指摘する
「なッ!?」
モルガナの指摘に驚愕するナギ…
「さぁあ…なッ!」
モルガナの指摘に曖昧に答えるヒスイは宝剣でモルガナを再度襲う。
そして、再び始まるサーベルと宝剣の攻防……

「とぼけるんじゃねぇ!オマエから姫神の匂いがプンプンしてるぜ!!」

(もう一人…何だ?人と何かが混ざり合わさった匂い…?)
モルガナは匂いでヒスイが姫神側であることを看破したのだッ!!
「ほう!【猫】のくせして犬の嗅覚を持ち合わせているとはなッ!」

「ワガハイは猫じゃねぇ!人間だ!!ガル!!!」

ガルを何事もないように受けるヒスイ……
「それと…血の匂いもな…殺しもしただろ?」
「う…嘘だろ…ヒスイ…?」
昔から滅茶苦茶なやつだと思っていたが、【殺し】をするとは信じられない…それがナギの偽りない本心―――

「…ナギ。お前はまだ眺めを見ないのか?」
「え?」
「私は綺麗な眺めを見るためなら、どんなことでも行うぞ?」
それは、幼き頃の思い出―――

「おいおい…」
「戦いの最中によそ見は禁物だぜ?」
モルガナの死角からの攻撃…!!
ビシィィ!! 
ノーザンライトの2発のうち1発がヒットして、右手が凍る。
「よしッ!これで、あの宝剣は使え…!?」
凍った直後、ヒスイの体から骸の腕が出現して、凍結部分を叩いて解除したのだ!
(凍結部分を無理やり解除した!?痛みは尋常じゃないはず!!)
ヒスイの揺るぎない信念に驚愕するモルガナ―――
「そらぁあ!!」
宝剣がモルガナの右足を切り裂く!
「ふぎゅうっ!」
モルガナは後方へ素早く跳び下がる…
「モナ!…ヒスイ…や…やめろ…」
弱弱しい声でヒスイを諫めるナギ…

「ナギ…そこの猫の言う通り、私は姫神側の人間で、既に参加者を一人殺した――――」

―――それは、信じたくない真実。
「どうした?気に入らないなら、戦えナギ」
「私には…む…無理だ…」
「…そうか。なら、死ぬしかない!!」
ヒスイはナギの返答に失望して、ナギの命を刈ろうとする―――

「ナギ―――ッ!」

モルガナは跳び…
「ナギから離れろッ!ガルーラ!!」
先ほどのガルとは比較にならない大きな風の刃がヒスイに襲いかかるッ!!

「流石に、これは生身では受けたくない…なッ!」

痛みに耐えるとはいえ、ヒスイも人間である以上は体力に限界がくる…これは危険と判断したのか宝剣はナギではなく、ガルーラを切り裂く。
ズザァァァ!!!
モナはナギを庇うように前に立つ……

253理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:39:37 ID:ZqNwzNq20
「やめろ…モナ。このままじゃ、お前…死んでしまう。私のことはいいから、早く逃げろ…」
涙目でモナに逃げるように言うナギ――――
「大丈夫だッ!…それにナギはオレが守るって取引したからなッ!」
「モナ……」
「……ッ!!」
ナギは歯を食いしばると大声で叫ぶ!!

「モナ!ヒスイの右足を狙え!!早く!」

「お…おう!」
ナギの指示通りにノーザンライトがヒットしてヒスイの右足を凍らす。
「ふん!馬鹿の一つ覚えだな!!私には通用しない!!!」
(ちくしょう…これで、弾はもう「0」どうするんだ?ナギ!)
ヒスイの言葉に応じて英霊の腕が現れて再び凍結の表面を砕こうとする!その隙にナギは…
「運動オンチの私だが、やるしかない…私に力をかしてくれ…タッ○の上杉○也!!」
地面にいくつもある石の中から手のひらサイズの石を握りしめると狙いの的に…

「いっ…けぇぇぇ〜〜!!!!!!」

パレスは【認知】が全て―――
ナギの石が的に当たるという認知が働いたのか、元々、潜んでいた【運動が実は得意だった】が開花したのかわからないが
一つ確かなことは……石が鉄骨に見事にヒットした!

すると、立てかけてあった鉄骨の山がヒスイに目掛けて崩れ――――

「ッ!!??」

ガラガラドシャーン!!!!

3本の腕で生身への致命傷は避けられたが―――
凍結を解除しようと無防備だった下段右の骸の腕が粉々に粉砕された――――

「やるな!ナギ!!…いったっ!」
傷が痛み、呻くモルガナ
ナギはモルガナを抱きかかえて、コンテナの裏へ行き、モルガナを下す。
「ここで、休んでいろ。モナ」
「ナギ…だけど、お前!!」

「いいから、そこにいろ!それに…助けてもらった礼をしないと、三千院家の名が泣くからなッ!」

我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【星】のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん…

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが4に上がった!
ナギが「駒さばき」・「お嬢様の追い打ち」をしてくれるようになった。

254理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:40:34 ID:ZqNwzNq20
…ザッ!!

ナギはヒスイの前に立つ。
「ヒスイ」
「…なんだ?」
まさかの事態に唖然としたのか、一歩も動かないヒスイ―――
「時間をくれないか」
「…どういう意味だ?」
ナギの提案に訝しむヒスイ。

「私は、体力もなくて引きこもり体質の生活力0…このまま戦ってもヒスイ…お前の勝ちは確実だ」
「……」
ナギの言葉を黙って聞くヒスイ。
「だが、そんな私でも、お前のその不思議な腕を破壊することができた…『気に入らないなら戦え』…幼い頃、お前が教えてくれた言葉だったよな」

「私は、この殺し合いが気に入らない!だから、モナと戦う!!ヒスイ!たとえ、幼馴染のお前相手でも私は戦う!!!」

「…なんで」
それは、怒りに満ちた声。
「なんで私がお前の言う事を…聞かなきゃいけないんだ…!!」
プルプルと怒りで体を震わせるヒスイ―――
「頼むよ、もし、今回見逃してくれたらその代わりに、これをやるよ」
ズザッ!
ナギが放り出したのは、モルガナに支給された品『武見内科医院薬セット』
「説明書を読む限り、内服するとダメージと疲労を回復するらしい…これからも戦い続けるなら回復は必須だろ?」
ナギの言葉に……
「…いいだろう」
薬セットを拾うとヒスイはナギに背を向けて歩きだす。
「だが、次に会ったときは、もう、お前と私は幼馴染ではなく、殺し合う敵だ。容赦はしない」
「…ああ。だけど、次に私と会うまでに負けるなよヒスイ?」

「人を殺めたとしても私さ、お前の事嫌いじゃないから―――」

我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【剛毅】のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん…

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが9に上がった!

「……」
ヒスイはナギの言葉に返さず、立ち去った…

☆彡 ☆彡 ☆彡

255理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:45:39 ID:ZqNwzNq20
「…ふぅ〜〜。危ないところだった…」
「ナギ!大丈夫か!?」
緊張が解けて床に座り込んだナギに負傷した右足を引きずりながら近寄るモルガナ。
「それにしても、賭けだったな!一歩間違えればワガハイもナギもここで死んでいた…」

「…あれは、勝ちがわかっていた賭けだ」

「なッ!?…どういうことなんだ!?」
モルガナの質問にナギは答える。
「ヒスイは【勝つこと】にこだわりを持っている。そして、私はヒスイと幼馴染…」
「昔から弱虫で泣いてばかりだった幼馴染が、殺し合いに立ち向かう気概を見せたんだ」

「そして、喉から出が出るはずの回復薬。後は、私の提案に【乗る】か【乗らない】の2択…50%もある確率なら、私は引ける!」

「それに、モナが命を張って私を守ろうとしてくれた…そのおかげで『これは自分の勝負である』という感覚が研ぎ澄まされていたからできたことなのだぞ。ありがとな、モナ♪」
ナギの不敵な笑顔…それを見たモルガナは。
(ワガハイは勘違いしていた…ナギは守られるだけの存在じゃない!アイツと同じ【何かをもっている】やつの一人だッ!)
モルガナはナギに対する認識を改める。

ピロピロリン♪ ♪ ♪

そんなモルガナの様子には気づかず―――

「怪我については安心しろ!ほら、薬はまだある」

そういうと、ナギはスカートのポッケから薬を数点だした…
「なッ!!??」
「ふふん♪私が馬鹿正直に全部渡すはずがないだろう♪」
「やるな〜、すげぇぞ!ナギ♪」
(まぁ…ヒスイは気づいていたと思うが…な)

☆彡 ☆彡 ☆彡

「く〜〜〜よっしゃああ〜〜!怪我がだいぶよくなったぜ!」
ナオール錠50mgを内服したことでダメージと疲労が少し回復でき、喜ぶモナ。
ナギはその様子に安堵すると…
「そうそう!モルガナ!殺し合いに立ち向かうつもりだが、今の私はまだまだ弱い…だから、これからも私をきちんと守れよ!!」
ナギの言葉に…
「ああ!もちろんだッ!オレは取り引きを破らないッ!ナギのことは今後もきちんと守ってやるよ!!」

絆を深めたナギとモナ――――

【B-2/真倉坂市工事現場/一日目 黎明】

【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】
[状態]:疲労(低)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに乗らない
1.姫神…何をたくらんでいるのだ?
2.次に出会ったとき、ヒスイと決着をつけることになる…か
3.ハヤテー!マリアー!どこだー!
※モルガナとのコープが4になりました。以下のスキルを身に付けました。
「駒さばき」集団行動のとき、メンバーに的確な指示を出すことができるようになる
「お嬢様の追い打ち」モルガナの攻撃で相手をダウンできなかった場合、追撃する。
※ヒスイとのコープが9になりました。まだスキルは解放されません。
※ヒスイが姫神側の人間であると知りました。
※ペルソナの存在について理解しました。
※ロトの鍵捜索中からの参戦です。
※もしかして自分は「運動が実は得意」なのではないかの思いが内心、芽生えました。
【武見内科医院薬セット@ペルソナ5】※ヒスイに渡さなかった分
武見妙が扱う医薬品。効果は確かに効く。
内訳 ナオール錠50mg×1 ダメージ・疲労を(低)回復させる
   タケミナイエールZ×2 味方全体のダメージ・疲労を(中)回復させる
   全快点滴パック×1 味方全体のダメージ・疲労を全回復させる※参加者との戦闘中は使用不可

【モルガナ@ペルソナ5】
[状態]:ダメージ(低)疲労(低) SP(低)
[装備]:ノーザンライトSP@ペルソナ5
[道具]:基本支給品 不明支給品(1〜2)(不明支給品にモルガナが扱える武器は含まれていません。)
[思考・状況]
基本行動方針:ナギとの取引を果たす
1.ここは誰のパレスなんだ?
2.姫神の目的はなんだ?
※ナギとのコープが4になりました。
※ヒスイが姫神側の人間だと匂いでわかりました。六花の匂いにも気づきましたが、異様な匂いだと感じています。
※シドウ・パレスのレストランで政治家・大江を倒した時よりは後からの参戦です。

【支給品紹介】
【ノーザンライトSP@ペルソナ5】
三千院ナギに支給されたパチンコ。ガンカスタムが施されており、「低確率で凍結付与」の効果が付いている。
弾の装填数は4。戦闘1回ごとに補充される(1回の定義は放送毎に補充)

256理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:46:06 ID:ZqNwzNq20
「……」
工事現場を後にするヒスイの脳裏に浮かぶのは―――

「人を殺めたとしても私さ、お前の事嫌いじゃないから―――」

「ふん。くだらん―――最後に勝つのは私だ」
傷だらけの王は歩く―――

【初柴ヒスイ@ハヤテのごとく!】
[状態]:ダメージ(高) 疲労(中)
[装備]:サタンの宝剣@はたらく魔王さま!
[道具]:法仙夜空@ハヤテのごとく! 武見内科医院薬セット@ペルソナ5 基本支給品×2 不明支給品(0〜2個)、烏間惟臣の不明支給品(0〜3個)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝利する。
1.まずは…一度、休息するか……
2.王となるのは私だ。
3.本当に、願いで死者さえも甦らせることができるのなら―――
4.次に出会ったときナギと決着をつける…どちらかの死で。
※ナギと次会ったときは決着をつけます。
※原作51巻、ハヤテから王玉を奪った後からの参戦です。

【支給品紹介】
【サタンの宝剣@はたらく魔王さま!】
エミリアが砕いたサタンの角からつくられた魔剣。真奥貞夫を魔王サタンの姿に戻すほどの魔力を宿しており、手にした者にその魔力を供給する。鞘に収まっている間は魔力の供給は起こらないが、常人には鞘から抜くことすらままならない。

【法仙夜空@ハヤテのごとく!】
ヒスイに力を授けるために英霊となった法仙夜空。すでにヒスイと融合しているが、天王州アテネと融合したキング・ミダスの英霊と同じように不可逆的な破壊が可能だと考えられるため、状態を整理しやすいように道具欄に記載してある。その形状は上段に人間のような二本の腕、下段に骸のような二本の腕であり、現在は下段の右腕が粉砕された。残りは3本

【武見内科医院薬セット@ペルソナ5】
武見妙が扱う医薬品。効果は確かに効く。
内訳 ナオール錠50mg×2 ダメージ・疲労を(低)回復させる
   ナオール錠100mg×2 ダメージ・疲労を(中)回復させる
   全快点滴パック×2 ダメージ・疲労を全回復させる※参加者との戦闘中は使用不可

257理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい ◆Oamxnad08k:2020/08/22(土) 18:46:26 ID:ZqNwzNq20
投下終了します。

258 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/23(日) 10:27:01 ID:u47WkU.A0
投下お疲れ様です!
ヒスイとナギの複雑な関係が良い感じ。原作でもそこまで絡みがあったわけじゃないので想像で補う余地が多過ぎるのもあって、ここからどう進展していくか楽しみですね。ナギが姫神関係者だと気付くモルガナなど、以降の話の伏線も気になりますね。
ところで法仙夜空、これからも『ヒスイが死ぬには早いけどヒスイの対戦相手側に何らかの実績を残したい』場面で腕1本ずつ潰されていく未来が見える……w

259 ◆Oamxnad08k:2020/08/25(火) 06:48:33 ID:5E108swg0
感想有難うございます。

理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい
ナギにとって、ヒスイは憧れを抱く幼馴染なので、伊澄・咲夜・ワタルとは別な感じがします。
なので、このような展開にしました。
モナはペルソナ勢の中でおそらく、一番「パレス」に関する知識を持ちますし、ナギは主催者側の出典人物なので、今後の展開に期待しちゃいますね。
夜空には申し訳ありませんが、そうなる未来になると思います(笑)

桂ヒナギク、鹿目まどか、鋼人七瀬、滝谷真、大山猛(ファフニール)、で予約します。

260 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:16:36 ID:nvDAoGCQ0
投下します。

261反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:17:59 ID:nvDAoGCQ0
 本来ならば、結末はもっとシンプルだった。

 明智吾郎持ち前の『カリスマトーク』で警戒心を解かれていた遊佐恵美。そんな彼女の心臓に向けて放たれる、明智の影『ロビンフッド』の矢。気付いた時にはすでに回避も迎撃も間に合わず、その身を貫かれる――但し、それは遊佐が『聖剣の勇者』であったならばの話。

 現在、遊佐の身体と融合しているはずの『進化聖剣・片翼(ベターハーフ)』は体内から失われていた。彼女がその手にしているのは聖剣ではなく、鷺ノ宮家に伝わる宝具『木刀・正宗』。その名の通り、所詮は木製の武器。聖剣と比べ、戦闘面において劣る箇所は数え切れない。
 しかし木刀・正宗が有する、持ち主の動体視力を限界まで引き上げるチカラこそが、一瞬の判断力が試される先の局面で恵美の命を繋いだ。それが聖剣で無かったからこそ、遊佐は今ここに立っているのだ。

 それならば――聖剣の勇者はもう死んだのだ。ここに立つのは勇者エミリアではない。ただの一剣士、遊佐恵美である。

 仲間、聖職者、天使、そして――探偵。聞こえのいいものに、幾度となく彼女は裏切られ続けてきた。根付いた他者への不信はもはや拭うことが出来ず、明智の一件により確信した。この、人の醜さを凝縮したかのごとき世界で、誰かとの共闘を求められるのは気が重い。いつ裏切られるかの緊張――戦いへの不安以外を背負わなくてはならないなんて。人間のドロドロした思惑の渦に巻き込まれるなんて、もう真っ平だ。

 もはや自分のためだけに戦えばいい。それが勇者にあるまじき考えだと言うならば、勇者の称号なんて、いらない。決意――というよりも、むしろ吹っ切れたとでもいう方が的確だろうか。それでも新たな心持ちで、遊佐は明智と対峙する。

 一方の明智。先の一撃は確かに、『聖剣の勇者』を貫いた。しかしそれは、『遊佐恵美』を殺し切ることはできなかった。

 それならば――明智もすでに敗北が決定したに等しい。尋問室に響く一発の銃声――相手を騙し切り、己の勝利を確信した上で放ったその一撃を以て、しかし相手の命は奪えなかった。その過程を辿った明智に待つのは、敗北と、その先の死でしかない。

 そして今。心の怪盗団のリーダー、雨宮蓮ことジョーカーに騙され、殺し切ることができなかった明智がここでも遊佐を仕留め損なった。この世界でジョーカーと決着をつけることを望む明智が、遊佐を生かして帰すわけにはいかなかった。遊佐を逃がしてしまえば、ジョーカーまでもを仕留めきれない気がしてならないのだ。

 言うなればそれは、ただの験担ぎ。くだらないと一蹴するのは簡単だ。しかし例えオカルトの類であろうとも、心の隅に僅かにも残る傷は看過できるものでもない。遊佐を殺すことはそもそもの目的である殺し合いの優勝とも、一切反しない。

 明智もまた、どこか吹っ切れたような気分で遊佐と対峙する。

262反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:18:42 ID:nvDAoGCQ0
 この時、互いに互いを負かしているという奇怪な状況が繰り広げられていた。たった一本の木刀により、完全な勝利と言うに値するものを両者ともに失っていた。己の糧となるものを挫かれた二人に、もはや『正義』と呼ばれる信念は存在していなかった。

 それでも、己の正義を証明したいのなら。それを否定する者を。棄却せんと主張する者を。ただ、力でねじ伏せればいい。

 正義は勝者に有り――この上なく月並みな答えを、正義を冠する二人は叩き出したのである。

 明智は何も変わらずそこにいた。暗い夜の色に紛れることもせず、うっすらと浮かび上がる赤い仮面と、白く彩られた怪盗服。何もかもが先の明智と同じものだ。

 片や、恵美の姿は大きく変貌を見せていた。日本在住のOL、遊佐恵美としての姿から、勇者エミリア本来の姿へのシフト。赤みがかった髪は今や見られず、蒼銀の髪が闇を彩っている。

 精神的に、肉体的に、それぞれがそれぞれの『本性』を現した。両者ともに、それを見せて無事に済ませる腹積もりなど毛頭ない。

「ペルソナッ!」

 声と同時に再び顕現したロビンフッドの矢が山なりに遊佐を捉え、降り注ぐ。

「天光駿靴っ!」

 足の裏に聖法気を溜め込み、一気に解き放つ。本来であれば目視すら困難な遊佐の瞬足も、魔力の媒体となる破邪の衣無しには不完全。遊佐の人智を超えた速度の加速に驚いたように目を見開くも――しかしそれを逃がすことは無い。

「天光飛刃っ!」

「……甘いっ!」

 背後を位置取った遊佐が放つは鋭敏な斬撃の塊。しかしその動きにいち早く反応を見せた明智は振り向きざまに呪怨を纏った刀を薙いで一陣の風となったそれを弾く。鈍い音が響き、斬撃が散開する。

「甘いのは……そっちよ!」

「なっ……!」

 その直後。遊佐は、散開した斬撃の本来の軌道をなぞるように、空を蹴って接近する。明智の持つ刀と違い、木刀・正宗は切れ味というものを持たない。外観も完全に一般的な木刀のそれであり、パレスによる認知の殺傷力の付与も、かなり弱いものとなっている。認知世界の特質を知らない遊佐だが、互いの業物で鍔迫り合うことは不可能だという認識に一切の誤りはない。懐に潜り込めるタイミングは限られている。

263反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:19:20 ID:nvDAoGCQ0
 刀を振ってから、再び体勢が整うまでの僅かな隙――しかし遊佐には充分すぎる。身体構造が人間と根本的に異なる悪魔の、さらに僅かな隙を縫って屠ってきた遊佐。『悪魔殺し』の異名を持つだけの実力は、人間に対しても上等な脅威である。

 そこから振るうのは、斬れ味を持たない木刀・正宗ではなく。聖剣は没収できてもこれだけは奪えない、最も遊佐に馴染んだ古来よりの武器――拳。

「空突閃っ!」

 素手とはいえ、聖法気の込められたそれは凶器と呼んでも差し支えない。かつて共闘した新島真(クイーン)の如きその気迫から、まともに受けてはならぬと感じ取る明智。ステップで後退しつつ刀を持っていない右腕でガードする。衝撃を相応に緩和したはずが、それでもなお痺れが残る。生命活動を担う臓器にまともに受ければ致命傷は避けられないだろう。明智が左手の刀を身体の前に踊らせ、防御と牽制を同時に行う。それを受け、遊佐は空突連弾への接続を断念して下がる。

 そうして形成された両者の間隔は――遊佐にとっては聖法気を用いた数々の剣技を操るのに最適な射程だ。明智の刀の射程よりは遠く、ロビンフッドが弓矢を引く挙動を見せようものなら即座に接近し、斬り伏せる。二者択一のどちらにも対応できるよう木刀・正宗を前方に構え――対する明智はアルカナを砕き、遊佐の想定できない新たなカードを切った。

『――メガトンレイド』

 遊佐の頭上に顕現したロビンフッドが、遊佐に空襲を仕掛ける。これまで弓矢による攻撃しか仕掛けてこなかったロビンフッドの、唐突な直接攻撃。不意をつかれ、回避の選択が間に合わず。

「――天衝光牙っ!」

 消去法的に相殺を試みる。黄金色に煌めく雷光を宿した刃が振り抜かれた木刀・正宗の描いた軌道を彩り、ロビンフッドの腕と真っ向からぶつかり合う。

264反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:20:02 ID:nvDAoGCQ0
 咄嗟の反撃で殺し切れなかった衝撃が遊佐へと、そしてその下の大地にまで降り注ぐ。巻き起こった砂煙が遊佐の辺り一面を包み込み――そして1秒も経たぬまま、大地の粒子は空気に紛れて流れていく。しかしそのほんの僅かな間、砂塵によって明智の全貌は巧みに隠されており――やはりまた、木刀・正宗によって研ぎ澄まされた五感の内の聴覚が、遊佐に『カチャリ』という仄かな金属音を通告する。

 その音を、遊佐はかつて直に聞いている。魔術の発達していない日本において、背徳者オルバが調達した科学の結晶――拳銃。

 その正体の模索が完了すると同時の判断だった。

「天衝嵐牙っ!」

 木刀・正宗を一振り。同時、ニヤリと醜悪に笑う明智の手元から、鋭く響く爆発音。しかし放たれた銃弾は、撃ち出された銀色に煌めく風の刃によってその軌道を大きく逸らして虚空に消える。さらに相殺し切れない暴風が明智を襲う。しかし呪怨の篭った刀の一振りで防がれ、その実体を散らしていく。天衝嵐牙を防ぐのに刀を使い、さらには拳銃の存在まで確認した今、遊佐に接近を躊躇う理由は無い。聖法気の放出と共に空を蹴り、再び明智へと接近する。

(これまで見抜くのか。)

 素直に、明智は感心していた。目くらましを受けた状態で拳銃の存在に気付けた遊佐の洞察力も然ることながら、銃撃を前にそれを防げる手段までもをペルソナ使いでもない人間が持っていたことに。

「掛かったね。」

 感心とともに――幾重にも張った罠の、最後の一手を解き放つ。

――パリィン!

 遊佐の接近を明智が認識するや否や、銃と共に明智の右手に握り込まれていたアルカナが破砕音を奏でた。

265反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:21:06 ID:nvDAoGCQ0
『ムドオン』

 遊佐の到達点に、黒く染まった魔力の粒子が張り巡らされる。俊敏に空を翔ける遊佐はそれを目視しても停止することはできず、その中に愚直に突っ込んでいく。粒子は遊佐目掛けて集合していき、呪殺を特性とする結界を形成し始める。その範囲に入るや否や、ぞわりと背筋に走る悪寒。その魔力を、決して直接受けてはならない類のものであると遊佐の本能は察知した。

「天光……氷舞っ!!」

 明智へと振り下ろされるはずだった木刀・正宗はその向かう先を変更し、遊佐に迫る呪怨に向けて翳される。魔力を凝固させる性質を持つ氷壁がムドオンを堰き止め、その場に繋ぎ止める。ターゲットに届かなかった呪怨はその形を保てずに間もなく消失する。しかしその一連の動作は全て、明智の射程内で行われており――明智が返しの斬撃を見舞うには充分すぎる隙であった。

「――うぐぅっ!!」

 刀による一閃。それは元の材質こそプラスチックだが、パレスで殺傷力を付与されるまでもなく、元の持ち主の呪いによって本物以上の斬れ味を宿された刀。遊佐の身体を横薙ぎに裂き、撒き散らされた鮮血が辺りを赤く染め上げた。

 血液を失ったことで、揺れる視界と共に意識が薄れる。意識の消失までもは許さず踏みとどまるも、やはり次の行動までのタイムラグは生まれる。そこに追撃を加えんと、明智は薙いだ刀を翻し、刺突を繰り出す。

 しかし幾千の悪魔を屠ってきた遊佐。その身に傷を負ったことなど、もはや数え切れない。一度の不覚を取ったとて、その先を許す遊佐ではない。

「くっ……光爆衝波っ!」

「なっ!?」

 武器ではなく、遊佐の身体が媒介する即座の聖法気の放出。波のごとく打ち寄せる聖法気の圧が明智を押し返し、刃が遊佐の心臓を刈り取ることはない。一方、明智が至近距離から受けた聖法気も、ロビンフッドをその身に宿すことで得た聖なる力への耐性によって、致命傷にはなり得ない。しかし、軽減してもなお身体を芯から突き刺すかの如き痛みの大きさが、遊佐が名乗った勇者という称号が決して誇張などではないことを十二分に証明していた。

「はは、そんな芸当もできるとは恐れ入ったよ。異世界の勇者……本当に興味深い。」

 明智の有する、未知なるものへの好奇心。それは本来、初代探偵王子のキャラに倣って演じた『嘘』である。『恨み』に絡み取られた心の奥底では、復讐以外のあらゆるものに対して無関心でいた。少なくとも、そのつもりだった。

 しかし模倣は次第に現実になっていたようで。今や、遊佐の魅せる未知の力に対して興味を示さずにはいられない。認知の異世界を知った数年前のあの時のごとき興奮が、今再び胸にこみ上げている。御伽噺の中でしかなかった勇者や魔王といった存在が実在しているのだ。

 しかし、その興奮を冷ますように。その勇者本人はたった一言、吐き捨てた。

「勇者なんてどうだっていい。」

266反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:22:13 ID:nvDAoGCQ0
 聖十字大陸エンテ・イスラ。闘争と侵略を生業とする魔王サタンの侵攻は、圧倒的な力を以て人間と神の勢力を絶望に追い込んだ。生き残った僅かな間を統率する最後の希望として立ち上がったのが、勇者エミリア・ユスティーナである。

 人類の勝利、世界の奪還――正義の執行であろうとも、精神的成熟を終えていない彼女が背負い込むにはあまりにも重すぎた。

 人々の期待が重圧として胸を締め付けることもあった。武功を挙げたかった者に疎まれることも少なくなかった。そんな彼女だが、燎原の火の如く魔王軍を駆逐し、遂には魔王をもエンテ・イスラから退けた。

 誰かの命を救えた時、嬉しかったのは当然で。人々からの賞賛も挫けそうな時に立ち上がらせてくれた要因のひとつではあることも否定しない。けれど、その根幹にあったのは――彼女が、剣を取り戦えた理由はだが魔王たちによって葬られた父の面影と、復讐のために魔王を倒すという願い、ただそれだけだった。それだけで、よかった。

「私が戦うのは私のため。それ以上でも、それ以下でもないわ。」

 だからこそ。エンテ・イスラの救世主としての実績も、彼女の出自も、捨て去っても構わない。彼女の背負う正義は、人々の望みであり彼女の望みではない。彼女が進むのは、ただ復讐のため。紛れもなく、己のため。勇者の称号など、彼女にとってはどうだっていいと吐き捨てられるだけの欺瞞でしかない。

「私は!!ㅤ父さんを殺したアイツらを……この手で断罪したい……!!」

 これまでのどの言葉よりも感情的な一言だった。感情のコントロールが難しくなるという、木刀・正宗によって得られる力の副作用も少なからず影響しているのだろう。

 しかしその言葉が――どれだけ明智の現状を否定するものだったのかも、彼女には知り得ない。

「……当たり前、だよな。」

 次の瞬間には、仮面でも隠しきれないドス黒い殺意が剥き出しになる。

「『望まれない子』の気持ちなんて、皆に望まれる勇者サマには分からないだろうさ。」

 復讐しか残っていない――その一点において、明智と遊佐に違いは無い。たったひとつ、違いを挙げるならその出自のみだ。しかしそれすらも、遊佐はどうだっていいと吐き捨てた。明智より特段恵まれていながらも。正義と個人的な復讐が同じ方向を向いていながらも。その価値に気付きもしない。

「せめて生まれることを望まれてさえいれば――俺は、それだけで良かった。良かったんだよ。」

 明智とて、恵まれた出自を望んでいたわけじゃない。だけど、せめて平凡でさえ、あったなら――

「まあ、タラレバの話してもしょうがないよな。」

 再び、向き直る。両者ともに言いたいことは全てぶつけた。後に待つのは衝突のみ。そして次の一撃で決着がつくと、どちらも確信する――否、次の一撃で決めてやる。

267反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:22:46 ID:nvDAoGCQ0
 結構な量の血液を失い、ふらふらになりながらも。遊佐は全身の聖法気を集中させ、敵を見据える。今はただ、コイツを斬ればいい。その先を見通しながら勝てる相手ではないのだから――

「――天光駿靴。」

 これまでのどの瞬間よりも速く、遊佐は明智の前方上空へ翔ける。そこから繰り出すは、敵の撃破のための瞬間火力に特化した剣技。

「届け――天光……炎斬ッ!!!」

 紅蓮に煌めく閃熱が、夜空を紅く染め上げる。木刀・正宗が横薙ぎに振るわれると、勢いのままに対象に向けて解き放たれる。

「ブチ殺せ……ロビン……フッドオオォ!」

「なっ……」

――そんな遊佐の『速度』も『威力』も嘲笑うかの如く。

 感情をぶちまけるように、血が滲むほどに強く握り込んだ拳でアルカナを叩きつけた。

「なに、よ……これ……!」

 趣味とするダーツやビリヤード等で鍛えられた明智の空間把握力から繰り出される、徹底的に研ぎ澄まされた精度と練度から成る幾つものスキル――それら一切を忘れ去ったかのように。繊細さの対極を示すように荒々しく、物量に任せた呪怨の魔力。

『――マハエイガオン』

 禍々しさに満ちた常闇が、天光炎斬の閃熱も、遊佐本人も、包み込んでいく。周辺一帯を呑み込む広域への無差別攻撃を前にしては、遊佐の速度も意味を成さなかった。

「私、は……」

 元よりかなりの量の血液を失っていた遊佐は、攻撃の質の根本的な変化への戸惑いや、その圧倒的な威力に対して迎撃も適わない。為す術なく呑み込まれ、そして、その意識を落としていく。

――仮に、彼女が未だ聖剣の勇者であったならば。『進化聖剣・片翼(ベターハーフ)』によって最大限に高められた天光炎斬はマハエイガオンもを逆に喰らい、明智を焼き尽くしていたかもしれない。

 遊佐の持つ武器が木刀・正宗であるからこそ始まった戦いは、遊佐の持つ武器が木刀・正宗であるからこそ終わった。これが彼女が勇者であることを捨てた故の結末であるのなら――或いは、下らない正義のなれの果てとでも、称されるべきものなのかもしれない。

268反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:23:19 ID:nvDAoGCQ0





「この殺し合いには、伊澄さんの知り合いも呼ばれてるんだよね?」

 鷺ノ宮伊澄を先導しつつ、小林は尋ねる。親友の三千院ナギを初め、6人の知り合いが名簿に確認できた伊澄はそう答える。

「……嫌な質問かもしれないけどさ。この殺し合いに乗ってそうな人って、いる?」

「……一人、だけ。」

 俯きながら、伊澄は答えた。その複雑そうな表情に、少し申し訳なくなる。一回り年下女の子に、知り合いを悪く言わせるなんて酷な話題だ。だけど、現状を正しく知るには避けては通れない道でもある。

「初柴ヒスイ。最近は会っていませんが……幼馴染の一人です。」

「……幼馴染、か。」

 現在、古い知り合いとの繋がりがほとんど無い己の身に複雑な思いを馳せながら、小林は続く伊澄の話に耳を傾ける。

「ヒスイは……負けず嫌いでした。」

「負けず……嫌い……?」

 簡潔に纏められた。簡潔すぎて、シリアスな流れに入っていけないくらいに。

「まあ……負けず嫌いといえばナギやワタル君や咲夜も……幼馴染は私以外全員負けず嫌いなんですけど……」

(しまらないな。)

 心内でため息をつく小林。ちなみに、本人は決して認めないが伊澄も相当な負けず嫌いである。

「でも……ヒスイは違うんです。何というか……ええと……」

 上手く言葉にできない伊澄。

「……なるほどね。分かった、気をつけとく。」

 しかし、顔を覚えようとヒスイの顔を名簿で確認した小林は、大まかに合点がいった。その目元に――刀傷だろうか、とにかく日常生活ではまず形成されないであろう類の傷跡が大きく主張している。伊澄の疑念と合わせても、真っ当な生き方をしてこなかったことは想像がつく。

269反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:23:55 ID:nvDAoGCQ0
「嫌なもんだよね。知り合いを疑わないといけないなんて。」

「ええ、本当に……。」

 そして、そんな話をしている時のことだった。

「!!ㅤ……ねえ、あれ……!」

 見るからに禍々しい、黒く輝く魔力が遠くの空で弾けるのを、小林は見た。

(あの感じ……もしかしてファフッさん……?)

 ドラゴンの世界の魔法に詳しいわけでもないが、あの黒いエネルギーはファフニールが稀に醸し出す『呪い』の力に似ている。殺し合いを推奨する世界で放たれた魔力。その意味を、戦いに結びつけずにいられるほど小林は楽観的ではない。あの場所で、もしかしたらファフニールが戦っているかもしれない。襲われての迎撃……であると信じたいが、自分がファフニールについて滝谷ほどに理解していないことも自覚している。

 そして、その地点へ向かおうと足を速め――

「あれは、危険です。」

――伊澄が、小林の腕を掴む。

「お分かりかもしれませんが……あれは、呪いです。人の世にあってはならぬもの。それも、男性の方を女装させるような弱い呪いではありません。」

(何その妙に具体的な例は)

 空気を読んでツッコミは入れない小林。

「私が行きます。私なら呪いには多少、対抗できますから。」

「ううん。私も行く。」

 先ほど桜川九郎を前にした時とは違い、即決だった。

「どうして……」

 伊澄が尋ねる。その理由は明らかだった。殺し合いにファフニールが関わっているのではないかと、疑ってしまったからだ。ここにはドラゴンが――殺し合わせちゃいけない奴らがいて。彼らを止められるのは、曲がりなりにも、僅かであっても、同じ時を共有した自分だけかもしれないから。

 そんな、入り組んだ感情を全て一言に集約して伊澄に伝える。

270反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:24:22 ID:nvDAoGCQ0

「私のエゴだ。」

「……分かりました。」

 仮に正しく伝わってはいなくとも――本気の想いは伝わる。

「絶対に、私の前に出ないでくださいね。」

「うん、分かった。」

 伊澄は、これから命を預けるには頼りなく見えるくらいか細い手に御札――は没収されているため、代わりに支給されたタロットカードを手にして進む。

――意気揚々と、逆方向に。

「……こっちだよ。」

「え?」

……うーん、大丈夫かなあ。

 不安がいっそう増しながらも、2人は戦いの起こっている地へと向かう。

271反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:25:01 ID:nvDAoGCQ0
 そして、歩き始めて間もなく――唐突に伊澄がピタリと歩みを止めた。

「……来ます。」

 気配、というものを感じたか。タロットカードをその手に構え、闇の先を見据える伊澄。それからすぐ、小林もその相手の姿を視認する。荒々しい息遣いのまま、まるでゾンビのようにのそのそと近付いてくる。

 そして、相手が伊澄の姿を確認した瞬間。

「――邪魔を……するなッ!」

 それは問答無用とばかりに、斬りかかって来た。

「……!ㅤさせない!」

 手持ちのタロットに霊力を込めて投げ付ける。敵がそれを真っ向から斬り付けると、霊力とぶつかり合い、バチバチと淡い火花を起こして弾き合う。

「なにあれ、木刀?」

 そんな光景を見ながら、タロットカードほどではないにせよ敵が手にしたその武器があまりにも殺し合いのイメージにそぐわず、小林は疑問を抱く。

 しかし、伊澄はその武器を見てより一層、顔を険しくした。

「あれは――木刀・正宗……!」

 伊澄もよく知る、鷺ノ宮家の宝具。それが今、己に牙を剥いていたのだから。





――精神暴走。

 巷を騒がす廃人化事件の実行者、明智吾郎が持つもう一つの能力。

「ぐ……う……」

「どうやら、終わりだね。」

 明智のマハエイガオンを受けて倒れた遊佐。一方、無傷ではないものの意識はハッキリしている明智。

「……待てよ。」

 生殺与奪はもはや握っており、襲い来る苛立ちのままに一突きにブチ殺しても良かったのだが――実行に移そうとするその直前、ふと興味が沸いた。人間の心より出でるシャドウに暴走へといざなう魔力を注ぎ込み、他人の心を暴走させたことは何度もある。しかし、生身の人間に試したことはない。スキル『暴走へのいざない』を、遊佐相手にかけてみたらどうなる?

「……まあ、無理だろうな。」

 以前より、精神暴走を人間に直接作用させることは不可能であると明智は予想していた。心を暴走させるスキルがシャドウを介して人間に通用するのは、シャドウが人の心そのものであるからこそだ。それに対して人間の肉体は、心以外の要素が占める割合が大きすぎる。

272反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:25:32 ID:nvDAoGCQ0
「まあいいか。どうせダメ元だ。」

「ぐぁ……ぁ……」

 最も脳に近い頭を掴み、魔力を流し込んでいく。本来であれば、明智の予測の通り。心に作用する能力は、身体には作用しない。流れ込む魔力に耐えられず、ショック死するのが関の山だろう。

 しかしこの時の遊佐は、明智も意識していなかった要素として――木刀・正宗を手にしていた。感情のコントロールが効きにくくなる副作用により、心への働きかけがより強く、扇動されて――

「魔王サタン……ッ!ㅤよくも……私のお父さんを……!!」

「……これは驚いた。」

――結果、遊佐の持つ最も強い感情――魔王サタンへの『怒り』の感情が、暴走した。心の穢れを象徴するように、蒼銀の髪は灰色に濁っていき、目に灯した光はスっと消えていった。精神暴走を起こした者に見られる症状だ。

「アハハ……いいよ。お前の復讐、手伝ってやるよ。」

 それを、利用しない手は無いと思った。遊佐の実力は先の戦いで証明済み。そんな遊佐が、怒りのままに、己の身を一切厭わず魔王サタンとやらに襲いかかったならば――

「せいぜい、厄介そうな魔王とやらと、ついでに他の参加者もをブチ殺して来てくれよ。」

――『サマリカーム』

 明智のスキルにより、呪怨に侵食された遊佐の身体はみるみるうちに回復していく。ニイジマ・パレスで冴さんのシャドウがルールを制定したように、このパレスにも特有のルールが与えられているのだろうか。サマリカームの効きがいつもより悪く感じるが、それでも『戦闘不能』だった遊佐は立ち上がるまで回復し、そしてブツブツと『魔王』の二文字を呟きながら何処かへ立ち去っていく。





 そして、現在。小林と伊澄の前に、暴走する怒りのままに魔王サタンを探し回る機械と化した遊佐が立ち塞がる。

「――殺す……魔王サタン……この手で……」

 木刀・正宗によって始まった戦いは、木刀・正宗によって終わって――

「邪魔する奴も……全員、殺すっ!!」

――そして、木刀・正宗によって、次の戦いへと導かれていく。

273反転のデスパレート ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:26:03 ID:nvDAoGCQ0
【E-3/平原/一日目 黎明】

【明智吾郎@ペルソナ5】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:呪玩・刀@モブサイコ100 オルバ・メイヤーの拳銃(残弾数7)@はたらく魔王さま!
[道具]:基本支給品 不明支給品0〜1(本人確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝する
一.雨宮蓮@ペルソナ5だけは今度こそこの手でブチ殺す。

※シドウ・パレス攻略中、獅童から邪魔者を消す命令を受けて雨宮蓮の生存に気付いた辺りからの参戦です。

※スキル『サマリカーム』には以下の制限がかかっています。

①『戦闘不能』を回復するスキルなので、死者の蘇生はできません。
②戦闘不能回復時のHPは、最大の1/4程度です。
③失った血液など、体力以外のものは戻りません。

【D-3/平原/一日目 黎明】

【鷺ノ宮伊澄@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[装備]:御船千早のタロットカード@ペルソナ5
[道具]:基本支給品 不明支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本行動方針:三千院ナギとの合流のため、負け犬公園に向かう
1.木刀・正宗を持った敵(遊佐)に対処する。
2.ナギに『向こう側』の世界を見せたくない。

【遊佐恵美@はたらく魔王さま!】
[状態]:精神暴走(攻↑ 防↓)、 ダメージ(中)
[装備]:木刀・正宗@ペルソナ5
[道具]:基本支給品 不明支給品0〜2(本人確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:魔王サタンを殺す。邪魔する者も全員殺す。
一.この怒りの向くままに。

※木刀・正宗が奪われたり、破壊されたりした場合に精神暴走状態がどうなるのかは以降の書き手さんにお任せします。

【小林さん@小林さんちのメイドラゴン】
[状態]:健康
[装備]:対先生用ナイフ@暗殺教室
[道具]:基本支給品 不明支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを止める
1.ひとまず伊澄さんと一緒に負け犬公園に向かおう

【支給品紹介】
【オルバ・メイヤーの拳銃】
明智に支給された拳銃。合計8発の弾が込められたオルバの拳銃。1発消費し、7発となっている。元が本物であるため、パレスの効果で戦闘ごとに装填されることはない。

【御船千早のタロットカード@ペルソナ5】
伊澄に支給されたタロットカード。御札の代わりに霊力を込めて使っている。現状、枚数は特に指定はしない。

274 ◆2zEnKfaCDc:2020/08/27(木) 03:26:31 ID:nvDAoGCQ0
以上で投下を終了します。

275 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:21:19 ID:411F1Oq.0
投下お疲れ様です!

反転のデスパレード
明智と遊佐の濃厚なバトル描写、圧巻でした!
遊佐、一歩及ばず!!改めて、ペルソナは呪文が多彩なので、敵に回すと非常にやっかいですね…
伊澄が意気揚々と逆方向へ歩きだすのは爆笑しました(笑)
暴走した遊佐…伊澄と小林さんの命運は如何に!!

完成したので、投下します。

276現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:22:26 ID:411F1Oq.0
現実―――いま目の前に事実として現れているもののこと。

桂ヒナギクは困惑していた。
今まで、教会地下迷宮探索をしたり、ロボットと戦ったり、ミコノス島で黄金の王の亡霊と対峙したりなど、様々な某ネコ型ロボットの大長編のような場面を切り抜けてきた。
しかし、『殺し合い』というバイオレンスな場面は精神に陰りを与える―――

桂ヒナギクは無力感に苛まれていた。
あの場において自分は何もできなかった。
坂本とかいう金髪の少年のように姫神に反逆の意志を見せることもなく、ただ観客Aとして立ち、少女の頭と首が離れるのを唖然と眺めていた……

「千穂さん…といっていたかしらね」
死んだ少女…佐々木千穂とは、ほんの少し会話を交わしただけ…別に友人でもない。だが、自分と同じ【居るだけで安心できる人】がいたのだ!!
もう、佐々木千穂は大切な人と会話を交わすことはないのだッ!!!

両眼を瞑るヒナギク……

「絶対に負けないわよ…ッ!!」
白皇学院の生徒会長としてこれ以上、情けない姿を見せるわけにはいかない。

目をカッと見開いたヒナギクは行動に移す。
デイパックの名簿を手に持つとパラパラパラと勢いよくページを捲る……
「…よしッ!名前と顔は覚えたわ」
普通なら『いやいやいや、ギャグでしょ!?』とツッコむところだが、
1000人はいる白皇学院全員の生徒の名前と顔を把握しているヒナギクにとって44人は苦にもならない。

ヒナギクは名簿の記載から思案した。
三千院ナギ―――同じ白皇学院に通う生徒で大切な友人。中々、剣道部へ顔を出さないのが、もどかしいが……
マリア―――ナギに使えるメイドさん。ハヤテ君のことで相談を聞いてもらったりアドバイスをくれる大人のお姉さん。たまにストレートに突き刺さる言葉は勘弁してほしいけど……
西沢歩―――学校は違うが、ナギ同様大切な友人。そして、恋のライバル―――
鷺ノ宮伊澄―――ナギや私と同じ白皇学院に通う生徒。結構、面倒事に巻き込まれるとき、よく関わる子……
初柴ヒスイ―――ナギの幼馴染の一人らしい。私自身は面識がないからなんとも言えない……
綾崎ハヤテ――――ナギに使える執事で、私の想い人―――

「…ハヤテ君」

好きだが自分から告白するのは【負け】と感じるヒナギク。
だが、一抹の不安がヒナギクを覆う。
「もし、ハヤテ君が…私が死んだら?」
最悪の光景を浮かび、それを取り除くよう頭を振るヒナギク。
「…大丈夫よ。私もハヤテ君もこんな場所で死んだりはしないわ!」
精神を落ち着かせようと自分に言い聞かせるヒナギク。

今後の事を考えながら歩いていると……
「ッ!?あれは!!」
視線の先に見えるのは自分と同じ桃色の髪をした少女が鉄鋼をもつ紫髪の女性に襲われている。
「……」
プルプルと体を震わせるヒナギク……

「白桜ッ!!!!!」

主の声に呼応して白桜は神速に鉄鋼女へ突っ走る!!!!!!

☆彡 ☆彡 ☆彡

277現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:25:47 ID:411F1Oq.0
「はぁぁぁあああ!!」
白桜の一閃が鋼人七瀬に叩き込まれるッ!
―――が白桜の刃は鋼人七瀬の体をすり抜ける……
(やっぱり、攻撃が通らない!?)
「……」
ブンッ!握りしめた鉄鋼が振り回される。
(攻撃を受けとめることができない…けど、避けきれるッ!)
ヒナギクは鉄鋼の動きを読み、紙一重で避けている。
鋼人七瀬による鉄鋼攻撃は動作こそ単純だが、一撃その身に浴びれば致命傷へとつながりかねない。
現に白桜を装備したヒナギクでさえも衝撃を殺しきれず、打ち飛ばされたのだ。
(うッ!?…あまり長期戦はできないわね…)
腰の痛みに脂汗が額に浮かぶ。

鋼人七瀬と戦うには、不死の体をもつか、それこそ、人の身でない頑丈な体をもつ者しか対抗手段はない……

「ヒナギクさん!」
(どうしよう!?私に何かできないことはないのかな?)

鹿目まどかは涙目で自分のデイパックの中身を確認する。
出てきたのは中心に鈴がついているリボン……説明書には【これを身に付ければ、あなたもハーマイオニーになれる】と書いてあるだけ…
一見、見ればただのコスプレ用のリボン……しかし、まどかはその名を目にして。
(ハーマイオニーってたしか…)
まどかは、ハーマイオニーの名前に小説の魔法使いの少女が頭に浮かんだ……

「あうッ!?」
鉄鋼の直撃こそ避けているが、腰の痛みがヒナギクの動作を遅くしていく……
まどかは、そんなヒナギクの姿を見ると意を決して、鈴のリボンを首元に装着すると両手で祈る!!

(お願い!何も取り絵もない私だけど…ヒナギクさんに力を貸して!!!)

カッ!! すると、リボンから光が放ち…!!

「こッ…のぉぉぉおおお!!胴!!!!!!」

バシィィィイイイ!!!!!
ヒナギクの力を込めた胴が…鋼人七瀬の腹にヒットする!
「……!?」
「え?当たった!?」
攻撃を繰り出したヒナギクはもちろん、鋼人七瀬も驚きを見せた。

パレスは認知の世界―――
キュゥべえと契約をかわしていない、まどかはただの中学生の少女……
しかし、インキュベーターに【魔法少女】としての素質を見込まれている。
まどかが身に付けた綾崎ハーマイオニーのリボンが【魔法】の【媒体】となって【祈り】が通じたのだ!!

「ヒナギクさん!!」
「まどかさん!?…ありがとう。これならアイツをブッ倒せるわ!!」

ピロピロリン♪ ♪ ♪

ヒナギクはまどかに視線を向けると、攻撃が通用した理由を瞬時に察して、サムズアップしてウインクした☆

我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【審判】のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん…

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが4に上がった!

ヒナギクの白桜の連打が鋼人七瀬に次々とヒットする!
攻撃が通るようになり、鋼人七瀬も動作がゆっくりとなる。

(…腰の痛みがなければ…ッ!)
一気に畳みかけてぶっ飛ばしたいが腰の打撲がそれを許さない―――

「……!!」

ブオッ!!!

「しまッ・・・!?」
「ヒナギクさんッ!!」

鉄鋼がヒナギクの顔面に迫る―――

ガッ!!!!!

☆彡 ☆彡 ☆彡

278現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:26:13 ID:411F1Oq.0
幻想―――根拠のない空想。とりとめのない想像。

大山猛(ファフニール)は激怒していた。
人間の手により左腕を切断されたことに。
混沌勢に属する自分が襲撃者の命を刈ることができなかった己に怒っていた。

大山猛(ファフニール)は自己を見つめ直していた。
(俺は、弱くなったのか?)
(人間と関わるようになったからか?)
(人間ごっこをし続けている結果がこれなのではないか?)
ファフニールの目がどんどん濁っていく。
(いや…アイツは強くなっている…人間と関わって)
しかし、人間と関わることで強くなったドラゴンがファフニールの身近にいる。

ファフニールの脳裏に浮かぶドラゴン―――トールは守るべき財宝を見つけた者の強さを身に付けている。

(俺は…アイツのように人間と関わることで強くなるのか…?)
ファフニールの疑問に答えはまだ出ない。

互いに無言で歩いていると、滝谷が何かに気づき発した。
「ファフ君!あれ!!」
滝谷が指さす方角に映るのは、二人のピンク髪の人間と鉄鋼を振りまわす危なげな女―――

「このままでは、あの女たちは死ぬな―――」
ファフニールの見立てでは、ピンク髪の二人の死を予見していた。

「…どうする?今のうちに別のエリアに移動する?」
滝谷の選択……
それは、見捨てる――――非情だが、生き残るためには必要な一手かも知れない……
「ふん。…悩む暇があるなら力を磨き続けることが俺のやるべきことだ」
「え?」

ファフニールは一直線に戦いの場へ走った―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

279現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:26:42 ID:411F1Oq.0
ガッ!!!!!
「……え!?」

死を覚悟したヒナギク。
そんなヒナギクの眼前に右前腕で鉄鋼を受け止める男性―――

「あの人、腕ッ!!」
青ざめるまどか―――
鉄鋼の威力を見続けてきた、まどかには分かる。
『あれ』を生身で受けたら無事で済まないことを……

「…大丈夫だよ」
「…えッ!?」
震えるまどかの肩を落ち着かせるように優しく手を置きながら話しかける滝谷。

「ファフ君はとっても強いでヤンスから」

眼鏡をかけると、中指でクイッと持ち上げる滝谷。

ドガァァアア!!!
鉄鋼を右前腕で受け止めたファフニールはすかさず、左足で鋼人七瀬の鳩尾深く蹴る!
ズザァァァアア!!!
蹴りの衝撃で鋼人七瀬は地面に足をつけたまま、吹っ飛ぶ。

「チッ…殺すつもりで蹴ったんだが、気に入らん……」
「あ…あなた!大丈夫!?」
不満な顔に声のファフニールにヒナギクは心配そうに声をかける。
「問題ない。それより、邪魔だ。下がっていろ女」

「…はい?」

ピキッ☆
ヒナギクは笑顔のまま眉をひそめる。

「……」
鋼人七瀬は乱入してきたファフニールに鉄鋼を振り回そうとするが…

「胴ぉぉぉぉ!!!!!」
ヒナギクは鉄鋼に構えるファフニールの前を通り過ぎると、鋼人七瀬に鋭い胴をお見舞いする!

ヒナギクの胴に吹っ飛び横転する鋼人七瀬。

「…おい。どういうつもりだ?言葉が通じないのか?」
ファフニールは自分の忠告を聞かずに退かないヒナギクにイライラした声で諫めるが……

「悪いけどそういうわけにはいかないのよ」
ヒナギクは腰の痛みを感じさせない凛とした声で――――

「私、生徒会長だから、目の前で困っている人を助けないわけにはいかないの」

ファフニールに言い放つ―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

280現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:27:32 ID:411F1Oq.0
虚構―――実際にはない、作り上げたこと。作り事を仕組むこと。

鋼人七瀬は悠然と立ち尽くす―――
存在を否決され、確かに消滅したはずだった……
一度、根付いた話はそう覆ることもなく、復活をするはずがない。

鋼人七瀬は指令に従う―――
復活したのなら鋼人七瀬が行うことはただ一つ……
姫神・再度自分を生み出した桜川六花の想像力が鋼人七瀬の原動力となる。

殺し合いという場において座り込むという愚行を犯しているピンク髪の少女の命を刈ろうと……

無情に鉄鋼を振り下ろす。

☆彡 ☆彡 ☆彡

281現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:28:07 ID:411F1Oq.0
幾度となるヒナギクとファフニールの攻撃を受け、倒れても起き上がっては襲い掛かる鋼人七瀬。
(チッ…埒が明かない。癪だが、仕方がないな…」
ファフニールは眉を顰めるとヒナギクへ視線を向けて。

「おい女!俺に合わせろ!!」
「嫌よ。あなたが私に合わせなさい!!」

「ドラゴン相手に対等のつもりか人間」
今すぐにも、ヒナギクを呪い殺しにかかってもおかしくない形相で睨むファフニール。

「そうよ」
ヒナギクはファフニールの眼光に怯まず凛と答える―――

「…フン。言ったからには、やってみらうぞ」

ーーパリィン!

「ええ―――小手ぇぇ!!」

鋼人七瀬の鉄鋼を持つ手右手に人七瀬の鉄鋼を持つ手右手に力強い小手がお見舞いされる!!
「…ッ!?」
さしもの鋼人七瀬も鉄鋼を手から放す―――

「いまよぉぉぉぉ!!」
「―――上々だ。女」

ズンッ!!!
ファフニールの拳が鋼人七瀬の腹を突き破るッ!
「……ッ!!??」
拳を引き抜くと同時にまわし蹴り!!
鋼人七瀬の首があらぬ方向へ向いて地面に伏した。

「やったわ!!…ん?」
喜ぶヒナギク。
「……」
ファフニールはヒナギクから顔をそらしつつも、右腕を挙げている。

「……クス」

ファフニールの意図を察したヒナギクは微笑むと―――
「やったわね♪」

ハイタッチを行った―――

我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【陰者】のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん…

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが4に上がった!
大山猛(ファフニール)が「呪サポート」・「ドラゴンサーチ」・をしてくれるようになった。

ズズズ…ゴキッ!!
鋼人七瀬は起き上がると、曲がった首を元通りに戻す。

「チ…しぶといな」
「まだ、やるつもり?」

ヒナギクとファフニールはうんざりした様子で構え直すが……

「「「「……消えた?」」」」

鋼人七瀬は靄に包まれると姿を消した―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

282現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:32:00 ID:411F1Oq.0
対峙していた鋼人七瀬が影もなく姿を消したため、互いに自己紹介を交わす―――

「ドラゴン…まさか、空想上の生き物だと思っていたけど実在するなんて…驚きだわ」
「ドラゴン…なんだか、とってもカッコイイですね♪」

ファフニールがドラゴンであることにそれぞれ違う反応を見せるヒナギクとまどか。

「ふん…それより、これからどうする?足手まといになられるのだけは、勘弁してほしいが」
「そうね。この場合、「どちらが」だけど♪」

「「……」」

協力し合ったばかりの2人の間に火花が散る―――

ピロピロリン♪ ♪ ♪

「ヒ…ヒナギクさん!!」
「むむ!これが、リアルツンデレでヤンスか!?…まま!後、数時間で放送が流れるでヤンスから。それを聞いてから、今後の方針を立てては?」

つかの間の休息――――

【C-3/平野/一日目 黎明】

【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態]:腰の打撲 疲労(低)
[装備]:白桜@ハヤテのごとく!
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:誰も死なせない
一. 放送に耳を傾けて今後の方針を考える。
二.まどかと行動を共にする。
三. 佐々木千穂の思い人に出会ったら、共に黙とうを捧げたい…
※ファフニール・鹿目まどかとのコープが4になりました。
※名簿を暗記しました。
※参戦時期は姫神と面識を持つ前です。
※情報交換によりドラゴンの存在と向こうの世界(異世界)について知った。


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:綾崎ハーマイオニーの鈴リボン
[道具]:基本支給品 不明支給品1〜2(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを終わらせる
一.放送に耳を傾けて今後の方針を考える。
二.キュウべえが居るなら、魔法少女になってでも
三.ヒナギクと行動を共にする。
※ヒナギクとのコープが4になりました。まだスキルは解放されません。
※情報交換によりドラゴンの存在と向こうの世界(異世界)について知った。
【支給品紹介】
【綾崎ハーマイオニ―の鈴リボン@ハヤテのごとく】
鹿目まどかに支給された鈴リボン。本来なら、ただのコスプレ道具だがまどかの持つ素質とパレスの認知が融合してヒナギクに祈りを届けた。
結果、ヒナギクは「怪異なる存在」に攻撃を与えられるようになった。現在はただのコスプレ道具―――(※また、リボンから祈りが届く力が発動するかは後続の書き手様に一任します)

滝谷真@小林さんちのメイドラゴン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3(本人確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:好きなコミュニティーを維持する
一.放送に耳を傾けて今後の方針を考える。
二.ファフ君がドラゴンとして殺し合いに乗るのを防ぐためにも、まずは自分が死なない
三.小林さんの無事も祈る

[備考]
アニメ第6話と原作第54話(滝谷とファフニール)より後からの参戦です。

【大山猛(ファフニール)@小林さんちのメイドラゴン】
[状態]:左腕喪失(再生中) 人間に対するイライラ(低)
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3(本人未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:姫神を殺す。
一.放送に耳を傾けて今後の方針を考える。
二.ひとまずは滝谷を守りながら脱出の手段を探す。
三.ふん、生意気な女だ…(ヒナギクに興味を抱いた)
※ヒナギクとのコープが4になりました。以下のスキルを身に付けました。
「呪サポート」バトル中、一定の確率で相手を呪う
「ドラゴンサーチ」この殺し合いの場で出会った人物のみ、自分の周辺エリア(四方)にいる参加者をサーチすることができます。
[備考]
滝谷真と同時期からの参戦です。

【?-?/?/一日目 黎明】

「……」

とあるエリアに出現する鋼人七瀬。
これからも彼女は参加者を襲う。それが自らに課せられた想像力だから―――

【鋼人七瀬@虚構推理】
[状態]:健康
[装備]:鉄鋼@虚構推理
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:参加者の襲撃
一.……
※パレスの認知と桜川六花の虚構が混ざり存在している。ただの物理攻撃では倒せない。
※致命傷を与えられると、靄に包まれ、別のエリアへ移動する。
その他の状況はまだ不明。

283現実・幻想・虚構 ◆Oamxnad08k:2020/08/30(日) 20:33:21 ID:411F1Oq.0
投下終了します。

――パリィン!、使わせていただきました。

284 ◆2zEnKfaCDc:2020/09/01(火) 20:08:37 ID:lqI.iiPo0
投下お疲れ様です!
このロワの鋼人七瀬をどう扱うかですが、不死性を完全否定すると恐ろしさに欠ける微妙なマーダー、原作通りだと単に勝ち目のないマーダーで、落とし所が難しかったと思うんですよね。
その点、普通に殺しても復活する鋼人七瀬の『どうにもならない』不死性と、まどかの祈りとパレスの特性による『どうにかなるかもしれない』要素の両方を出してて、その難しかった落とし所を絶妙に見出しているなあと感じました。特に鋼人七瀬の原作の脅威は大体その不死性だけに帰着してしまっていて、身体能力に秀でた異能力持ちが相手だと仮に七瀬が殺されずともそれらを殺せる展開にはしにくい気もしていたんですよね。だからこそ、殺せない相手には早々にワープさせることができるというのも、神出鬼没という一要素を個性にできて面白いと思いました。
そしてヒナギクとファフニールが反目し合いながらもコンビネーションバッチリなの、すごく面白いですね。オープニングの扱いもあって登場話ではシリアス寄りに書いてたヒナギクですが、ファフニールに軽くあしらわれての「ピキッ☆」はめちゃくちゃヒナギクならではの反応だと思いました。

285 ◆Oamxnad08k:2020/09/03(木) 21:54:17 ID:T2NhGftc0
感想ありがとうございます!

現実・幻想・虚構

鋼人七瀬の扱いには悩み、思慮を重ね、このように描写しました。
個人的にバイオハザードのネメシスをイメージしています(笑)
神出鬼没なら大胆なマップ移動も可能になると思いそうしました!
ヒナギクとファフニールなら反目し合いながらのタッグかなぁ〜と個人的に感じたのでこうしました。
ヒナギクならではの「ピキッ☆」は、ファフニールの態度なら違和感ないかな…と。

美樹さやか・赤羽業・刈り取るもの・杏・エルマで予約します。

286 ◆2zEnKfaCDc:2020/09/04(金) 22:53:13 ID:jKa1boAI0
雨宮蓮で予約します

287 ◆L9WpoKNfy2:2020/09/06(日) 15:28:57 ID:Vqfipf560
投下いたします。

288 ◆L9WpoKNfy2:2020/09/06(日) 15:29:51 ID:Vqfipf560
失礼しました。別のスレと間違えてしまいました。

大変申し訳ございません。

289 ◆2zEnKfaCDc:2020/09/07(月) 23:31:17 ID:77j5Tu2Q0
投下します。

290さよならメモリーズ ◆2zEnKfaCDc:2020/09/07(月) 23:31:50 ID:77j5Tu2Q0
――桜が、咲いていた。

 出会い、そして別れ。桜の木に付随するドラマは、その向かう先が真逆でありながら同時に存在している。何よりも桜は綺麗だ。その煌めきで多くの人々の目を引き付け、視線を奪っていく。それは、闇に紛れて目立つことなく獲物を奪う怪盗の在り方と、完全に対をなす光景だった。

 心の怪盗団のリーダーにして、今や殺し合いの地に立つ一人のマーダーでもある男、雨宮蓮。彼は今、優雅にその存在を主張する幾つもの桜の木を、憂いに満ちた眼を仮面で隠したまま、ただぼんやりと眺めている。まるで、夢の中に入ったように上の空に。目の前に繰り広げられる景色を吸収していた。

 そして、その瞳の先に映るのは――


 4月――桜が導く出会いの月。自分にとってのそれは、破滅へのカウントダウンだった。何となく、理不尽が許せないと思って。無力だというのに、正義感を振りかざして。

 その結果が、薄汚い屋根裏部屋と、行きたくもない秀尽学園への『投獄』だった。同級生からは白い目で見られ、尾ひれをつけて増幅していく噂は止むことを知らない。保護観察付きの前歴とは、どこまでも付きまとってくるものなのだと思い知らされた。

 そんな闇の中だからこそ、安易に光に惹かれて手を伸ばしてしまった。突如覚醒したペルソナの力。同じ反逆の心を宿した者たちは確かに自分の居場所になっていて。共に心の怪盗団『ザ・ファントム』を結成した頃は、保護観察だとか、前歴だとかを忘れていられるくらい、楽しかった。だからこそ、そこで終わっておけばよかったんだ。

 本当は分かっていたはずなのに。正義感を振りかざして、社会の闇に立ち向かった結果がいかなるものなのか。それなのに、手に入れたペルソナの力に浮かれていたか、それとも改心を続けていけば自分を冤罪に導いたあの男と再び会えるとでも信じていたのか。

ㅤ分からない。分からないが、その結末は分かっている。

291さよならメモリーズ ◆2zEnKfaCDc:2020/09/07(月) 23:32:25 ID:77j5Tu2Q0
 自分は、殺された。

 もう、あの平穏な日々に帰ることも。

 もう、桜の季節を迎えることも。

 何もかもができない。絶望的なほどに、不可逆的な終わりだった。こうして今ここにいること自体が、もはや何かの奇跡でなければ説明できない事象なのだ。

「俺は、生きていたかった。」

 心の中に浮かんだ、ただひとつの気持ちを口に出す。その想いを認め、もう一度見上げた夜桜はやはり綺麗で――憎らしいと思えた。可憐に咲き誇る満開の夜桜は、その先に、反逆の絆で結ばれた仲間たちを映し出した。

 みんな、眩しいくらいに笑っていて。みんな、いちばん楽しかったあの頃のままで――銃弾に貫かれて深い深い闇の底へと沈んでいった自分を、決して受け付けないように思えた。

 最後にもう一度、彼らの姿を焼き付けるように凝視して――



「――クイーンメイブ!」

 数ある仮面の中から選ばれたペルソナが、砕けたアルカナより顕現する。怪盗団の始祖――『魔術師』のアルカナを冠するその影は、そっと桜の木々に手を伸ばし――振り下ろす。

292さよならメモリーズ ◆2zEnKfaCDc:2020/09/07(月) 23:33:20 ID:77j5Tu2Q0

――『アギダイン』


 その手の先から、夜を照らすように光り輝く炎の魔力が立ち上って――それは瞬く間に、眼前に広がる桜色を、燃え上がる赤に染め上げた。

 真っ赤な景色の中、出会ってきた者たちの顔が、蜃気楼に吸い込まれて消えていく。出会いそのものがなかったかのように、雨宮の心の中にあった未練までもが消失していくかに思えた。

 次第に色を失って焼け落ちていく木々。枝から僅かに落ちた花びらは、その風情の大部分を失いながらも未だ綺麗さは残っていて、その中心で一人醜悪に笑う男の姿を引き立てていた。

「……さよならだ。」

 クイーンメイブの姿が、立ち並んでいた桜の木と共に、還るべきであったアルカナごと消えていった。それだけではなく、『戦車』、『恋愛』、『皇帝』……共に反逆を誓い、絆を深めていった仲間たちを象徴するアルカナも、次々と、雨宮の心から消滅していく。

 そして、たった二つのアルカナだけが残った。

『愚者』――雨宮蓮の反逆の心を示すアルカナ。

 そしてもう一つ――『正義』。

 そのアルカナが示す男、明智吾郎との戦いはまだ終わっていない。自分を殺した借りはまだ返せていないし、この殺し合いに奴が参加していることも分かっている。

 今度こそは、逆にブチ殺してやる――怪盗団の信念からかけ離れた新たな決意とともに、焼け野原と化した花見会場を後にした。

【E-2/花見会場/一日目 黎明】

【雨宮連@ペルソナ5】
[状態]:健康
[装備]:綺麗なナイフ@虚構推理
[道具]:基本支給品 不明支給品0〜2(本人確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに乗る
一.…やるか(殺るか)
二.怪盗団のメンバーも、殺そう。
三.明智五郎は、この手で殺された借りを返す

※11月20日新島冴との取引に応じ、明智に殺されてBADエンドになったからの参戦です。
※所持しているペルソナは【アルセーヌ】の他にアルカナ属性が『正義』のペルソナが一体います。詳細は後続の書き手様にお任せします。

293 ◆2zEnKfaCDc:2020/09/07(月) 23:33:39 ID:77j5Tu2Q0
投下終了しました。

294 ◆Oamxnad08k:2020/09/09(水) 22:56:22 ID:RZGqJt0.0
完成したので投下します。

295魔法少女の時間 ◆Oamxnad08k:2020/09/09(水) 22:57:45 ID:RZGqJt0.0
「ねぇ。美樹さんは【幽霊】って信じるタイプ?」
「そうね……魔女に出会う前の私ならそんなのいるわけないじゃんと否定してたかな……あんたは?」
「俺?……美樹さんとほぼ同じかな。ただ、いるとしたら挟間さんが黒魔術で呼び寄せたのかもしれないと思うかな」
「……幽霊って召喚できるものなの?」

他愛もない会話をするカルマとさやか―――

首輪を解除するため、地図を確認していくつかの候補から決めた場所…霊とか相談所を目指して歩いている2人。

「それにしても霊とか相談所なんて、いかにも怪しげな名前ね……」
「はは!本当、ウソ臭い名前だね〜。でも、だからこそ何かあるのかもしれない」

(……あいつ。赤羽業といったかしらね。さっきから聞いているけど、クラスメイトの名前がポンポン出てくるわね……一匹狼のような雰囲気に見えるけど、意外と社交的なのかしら?)

(……美樹さんは、あまり男子と会話をしない女子かな?いかにも普通の女子中学生にしか見えないけど、魔法少女で…【ゾンビ】…ね)

互いの印象を胸に秘めて2人は住宅街を歩く。歩く。歩く―――

☆彡 ☆彡 ☆彡

296魔法少女の時間 ◆Oamxnad08k:2020/09/09(水) 22:59:17 ID:RZGqJt0.0
「ねぇ、何か音が聞こえない?」
「……聞こえるね」

―――チリリリリ……

静寂な住宅街を歩く2人の耳に低い金属音がこびりつく。
視線の先に見えたのは――――刈り取るもの。

「……あれ、人だと思う?」
「んなわけないでしょ……どうみても化け物」
(でも、あの姿、まるで……魔女。銃を持っている……マミさん)

刈り取るものがこれ見よがしに手にしている2丁の長銃を見て、さやかは魔法少女にしては異色なマスケット銃を扱う巴マミを想起した―――

さやかの思案とはよそにカルマは焦る……
(……あれは、ヤバい…)
カルマの脳に危険信号が鳴り響く。
プロの殺し屋と同等…それ以上の危険の香りを発する刈り取るものにカルマの導き出した答えは【隠れてやりすごす】

「美樹さん。あれはヤバい……隠れてやり過ごそう」
「……わかった。あんたは隠れていなよ。あいつは私が引き受ける」
悪いやつを許さない…さやかの正義感が退くのを拒否した。
「……ほおっておいたほうが賢明だけどねぇ」
そうこうしているうちに……

トゥ―――トゥ―――

DANGER!

2人はサイレンが鳴った感覚がした。

ドキュゥゥン!
「なっ!?」
「美樹さんッ!!」

空間から針が出現するとがさやかの体を貫く…ムドオン。
即死効果を与えるスキル。

「…なんともない?」
美樹は体を貫かれても変化がないことに、不思議がる……
そう、美樹さやかは契約により魔法少女へと存在を変化させた。
魂はソウルジェムに移されているため、死の呪文はBLOCKされたのだ。

「……大丈夫そうだね」
「ええ。…その外見は、見掛け倒しってわけ?こちらもいくよ!!」
さやかは自らの青いソウルジェムを手に取ると―――変身した。

制服姿のさやかは凛々しい剣士のようなマント付きの衣装に肩だしスタイルの魔法少女になった――――

「へぇ……魔法少女って本当なんだ。帰ったら竹林に話してやるか」
(……そして、あれが美樹さんの……)
魔法少女に変身したさやかにカルマは感嘆と同時に美樹が自らをゾンビと形容するソウルジェムを見つめた……)

「やぁぁああ!!」
ザンッ!!
さやかは血のシミターで刈り取るものを斬るッ!!

「……」
ドキュゥゥン!
さやかの斬撃をものともせず、刈り取るものは次の行動を起こす。

「ぐうぅぅ!?」
「うッ!?」
カルマとさやかは頭を抱える―――念動スキルのマハサイダイン。
脳に直接ダメージを与えるスキルに2人は踏ん張るが、やはり殺せんせーを暗殺する訓練を受けているとはいえ、中学生でしかないカルマの方はダメージが大きい。

「こっ…のぉぉおお!!」

ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!
さやかは複数の剣を召喚し刈り取るものへ投擲をする。
刈り取るものも長銃でいくつかの剣を打ち落とすが、何本かをその身で受け、ひるむ。
その隙にカルマの様態に気づいたさやかは抱えて一軒家の屋根へ飛び移る。

「……サンキュ。助かったよ」
「あんたは、そこでじっとしていて!あいつはあたしがぶっとばしてやるからさ」
屋根にカルマを下すとさやかは刈り取るものへ戦いに挑もうとする……が。

「まった。美樹さんだけじゃ、あいつを斃すのは難しいよ。何か勝算があるの?」
カルマの問いかけに……
「私は大切な人を守るためこの力を望み魔法少女になった……だから戦う」
さやかは刈り取るものをキッと見据える……

297魔法少女の時間 ◆Oamxnad08k:2020/09/09(水) 23:00:06 ID:RZGqJt0.0
「…それに、その気になれば痛みなんて完全に消しちゃえるんだから」

さやかの自嘲した言葉……
「…やっぱり、私はゾンビ…人じゃない」

「美樹さんはゾンビじゃないよ」

カルマの言葉にさやかはムッとした表情を見せる。

「……何がいいたいの。気休みならよして」
「別に気休めなんかじゃないさ。ゾンビって死体のまま蘇った人間のことを指す言葉だよ?美樹さんは死んだの?」

「……死んだようなものじゃない。こんな体で身体で抱き締めてなんて言えない。キスしてなんて言えないよ……」

「……」

すると、カルマはさやかを抱きしめる―――

「なッ!?」
「…キスもしたほうがよかった?」
「…ッ!?馬鹿いってんじゃないわよ!!」
さやかは顔が真っ赤になる…
(ふ…ふりほどけないッ!?)
魔法少女として変身した自分をガッチリと放さないように抱きしめるカルマ。

「大切な人を守るために魔法少女になったんでしょ?…凄いじゃん。大切とはいえ人の為全てを捧げるなんて。それとも、魔法少女になったことやっぱり後悔してるの?」
「…ちがう。私はいい加減な気持ちで契約をしたんじゃない…」
「だったら、美樹さんは人間だよ。それでも自分をゾンビと卑下するなら、すれば?」
「でも、その瞬間から、誰も美樹さんを【人間】として見てくれない……本当に【ゾンビ】さ」

「あんた…」
「俺の名前は【赤羽業】……自己紹介はしたよね?」

「……カルマ」
「よく言えました。……さやか」

我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【戦車】のペルソナ「ドキュゥゥン! ダァアン! ダァアン!」ならん…

「ッ!?よっと」
「はッ!!」

刈り取るものの至高の魔弾を避ける2人―――

「……普通、ここで撃つ?」
「撃たないね。少なくとも俺は。ってことは…あっれぇぇえ?、もしかして刈り取るものさんは空気読めない人?」

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが4に上がった!
美樹さやかが「魔法少女トーク」・「魔法少女の追い打ち」・「ステルスダッシュ」をしてくれるようになった。

298魔法少女の時間 ◆Oamxnad08k:2020/09/09(水) 23:02:57 ID:RZGqJt0.0
「……」
ドキュゥゥン!!
カルマの挑発にも刈り取るものは意に介さず、コンセントレイトを唱える。
刈り取るものは精神を集中した……

「……やっぱり、殺せんせーとは全然反応が違うね。コミュ障はやりにくいなぁ……」
「軽口叩かないで、何かいい作戦はないの?カルマ!!」
カルマの返しにさやかは案はないのか、問いかけるッ!

「……いいけど、実行できんの?……おれの作戦、死ぬかもよ?」
「私は死なない!だから、遠慮なく作戦を実行しなさいッ!!」
「…OK」
(とはいえ……圧倒的に人数が足りない…せめて後、2人はほしいな……)
カルマの額から冷や汗が滴り落ちる。
刈り取るもの相手に2人では無謀に近い行為……

ドキュゥゥン!
刈り取るものの強化されたメギドラ―――

「カルマッ!!」
「…ッ!?これは、ヤバ……」
カルマの命を刈る光の光線が降りそそ―――

バララララララ!!!!!!!
マシンガンから放出される無数の対先生BB弾が複数の電柱にヒットすると、カルマの目の前に崩れ落ちてメギドラを防ぐ!

「はぁああ!!」
勇ましい声と同時にレテの斧が刈り取るものに鋭く斬りおとされるッ!!
某RPGゲームでいうなら会心の一撃!
刈り取るものの右腕が刈り取られ空中を舞うと地面に堕ちる―――

カルマと美樹に加勢したのは、高巻杏と上井エルマ。

住宅街から聞こえてきた戦闘音に駆け付けてきたのだッ!

「ありがとう。…正直、助かったよ」
まさかの加勢に素直に感謝の言葉をカルマは口にする。

「気にしないでッ!まずは、アイツをどうにかしましょ!!」
「礼にはおよばん、人間さん。……む、いや、後でよければ食料を少し分けてくれないか―――?」

4VS1

赤羽業・美樹さやか・高巻杏・上井エルマ・刈り取るもの

はたして、命を【刈り取られる】のは――――

299魔法少女の時間 ◆Oamxnad08k:2020/09/09(水) 23:03:57 ID:RZGqJt0.0
【E-6/住宅街エリア/一日目 黎明】

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(小) ソウルジェムの濁り(小)
[装備]:血のシミター
[道具]:不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:姫神葵を倒し、元の日常に帰る
1.刈り取るものに対処する
2.まずは霊とか相談所へ向かい首輪の解除方法を探す
3.もしまどかを見つけたら……どうしよう
※第8話、雨の中まどかと別れた直後からの参戦です。半ば放心状態だったため、ルールを全て把握できていません。
※呼び名があんた→カルマに変わりました。
※赤羽業とのコープが4になりました。以下のスキルを身に付けました。
「魔法少女トーク」相手との会話交渉が決裂した時に、魔法・魔力を扱う参加者であれば、交渉をやり直せる
「魔法少女の追い打ち」カルマの攻撃で相手をダウンできなかった場合、追撃する。
「ステルスダッシュ」ダッシュ中、敵に気づかれにくくなる。

【支給品紹介】
【血のシミター@ペルソナ5】
美樹さやかに支給された剣。ガンカスタムが施されており、「中確率で絶望付着」の効果が付いている。

【赤羽業@暗殺教室】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:元の日常に帰って殺せんせーを殺す
1.刈り取るものに対処する(逃げも一手と考えている)
2.まずは霊とか相談所へ向かい首輪の解除方法を探す
3.渚くんを見つけたら一発入れとかないと気が済まないかな

※サバイバルゲーム開始直後からの参戦です。
※美樹さやかとのコープが4になりました。
※呼び名が美樹さん→さやかに変わりました。
【高巻杏@ペルソナ5】
[状態]:健康
[装備]:マシンガン※対先生BB弾@暗殺教室
[道具]:基本支給品(食料小) 不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:姫神を改心させる
一.刈り取るものを斃す
二.島にあるであろうパレスの主のオタカラを探し出す
三.食料確保も含め、純喫茶ルブランに向かう
四.怪盗団のメンバーと合流ができたらしたい
※エルマとのコープが3になりました。
※参戦時期は竜司と同じ9月怪盗団ブーム(次の大物ターゲットを奥村にする前)のときです。
※杏はパレスということから、オタカラがあるのではと考えています。

【支給品紹介】
【サブマシンガン※対先生用BB弾@暗殺教室】
本来は人体には無害のBB弾だが、パレスの効力により対先生ナイフと同じく、本来は持っていない殺傷力を有する。
杏はBB弾でも殺傷できることを理解している。 ※マガジンを一つ消費 残りのマガジン数は後続の書き手様にお任せします。

【上井エルマ@小林さんのメイドラゴン】
[状態]:健康 空腹(小)
[装備]:レテの斧@ペルソナ5
[道具]:基本支給品(食料なし) 不明支給品(1〜2)
[思考・状況]
基本行動方針:姫神の殺し合いを阻止する。
一.刈り取るものを斃す
二.調和を乱す姫神は許さん!…あ、お腹が空いた…
三.トール・カンナと出会えたら、協力を願う
四.小林さんに滝谷さんに出会ったら保護する
姫神により全身ドラゴン化や魔法が制限されていることを把握しています。
※参戦時期はトールと仲直りした以降。
※杏とのコープが3になりました。以下のスキルを身に付けました。
「エルマの応援」エルマと絆を結んだ者は身体能力がほんの少しだが、底上げされる。
「エルマの本気応援」エルマと同行中している限り戦闘中、経験値が上昇する。(相手の技を見切るなど)

【支給品紹介】
【レテの斧@ペルソナ5】
上井エルマに支給された斧。ガンカスタムが施されており、「中確率で忘却付着」の効果が付いている。

【刈り取るもの@ペルソナ5】
[状態]:ダメージ(小) SP消費(小) 右腕欠損 
[装備]:刈り取るものの拳銃×1@ペルソナ5
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:命ある者を刈り取る
※杏とエルマの助太刀乱入により、1回行動から2回行動に切り替わりました。

300魔法少女の時間 ◆Oamxnad08k:2020/09/09(水) 23:04:27 ID:RZGqJt0.0
投下終了します。

301 ◆Oamxnad08k:2020/09/10(木) 23:23:03 ID:LGZX2AD60
投下お疲れ様です!

さよならメモリーズ

ジョーカーこと雨宮連の心情が伝わりました。
そうですよね。4月は、惣治郎との関係も深くないので、邪険に扱われるわクラスメイトの白い目などまさしく秀尽学園は囚人を投獄する意味合いが強いかと。
そして、「俺は、生きていたかった。」からの仲間との決別に切なさを感じました。

302 ◆2zEnKfaCDc:2020/09/11(金) 15:58:09 ID:e71yzksk0
投下お疲れ様です!

カルマの挑発にも乗らず、さやかの(敵に回すと厄介なことこの上なさそうな)痛みを無視しての特攻でも倒れないタフさを持つ刈り取るもの、どことなく天敵感が拭えない。それぞれ芯を持ってる二人ですけど、結局は生身の人間に過ぎないカルマと、魔法少女の中でもルーキーなさやかという、フィジカル面の不安が露呈した感じがありますね。だからこそ、ドラゴンのエルマと刈り取るものを知るパンサーが合流したのは心強い。ここからどう転がるか、楽しみです。


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