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悪魔憑きバトルロワイアル

268月夜の戦争 ◆vV5.jnbCYw:2023/06/21(水) 00:29:09 ID:iRmSq/Zg0

チェンソーの右腕を真っすぐ正面に突く。
これもまた後方に飛び退いた雅に当たらない。
チェンソーの刃渡りが、あるいはデンジの腕があと1センチ、いや、あと0.5センチ長ければ胸に刺さっただろう。
少なくとも、雅の生まれた時代の割りにはモダンな服に裂け目を入れることぐらいは出来たはずだ。


「不可能だということに目をつぶれば、だが。」
「!?」


銀色の何かが動いた。
銀色の何かが飛んだ。


「は……!?」


あまりの一瞬の出来事で、頭より先に身体を動かすデンジでさえ、硬直状態になった。
何しろ、敵が一瞬身じろぎしたと思ったら、自分の両腕がスポンと飛ばされていたのだから。
チェンソーの悪魔を心臓に宿したデンジならば、両腕を失おうと再生する。
問題は、攻撃をかわす所か、見ることさえ出来なかったことだ。


「存外頭が良いな。私が言ったことがもう分かったのか。」


雅が行ったのは、シンプルな逆袈裟斬り。
だが、それを対化物専用の武器で、人間を凌駕する吸血鬼の王がやることで。
チェンソーごと腕を斬り落とせる、常識を逸した一撃になる。


「分かんねえよバーカ!!」


両腕から再びチェンソーを生やす。
血さえあれば、四肢を斬り落とされようと簡単に再生が出来る。
先程の件など無かったかのように、ぐるぐると両腕を振り回す。
しかし、その様子は赤子が怖い何かを寄せ付けまいと、必死になっておもちゃを振り回しているようだった。


勿論、吸血鬼の王には掠りもしない。
雅にとっては、デンジというよりもその血の味の方に興味があった。
チェンソーの乱撃を1つ1つ躱しながらも、刃先の付いた血を上手そうに舐める。


「下品だが、コクがあって病みつきになる味だ……腕は今一つだが、血の味は悪くないな。」
「うるせえ!パフォーマンスにばっかり拘ってると長生きしねえって知らねえのか!?」

右腕を袈裟懸けに振るう。
狙いは雅の腰から足の付け根。ちょこまか動くなら、先にその足を斬りつけようという判断か。
答えは『それもある』だ。


ツルンッ

「何!?」


ゴチンッ


「うぐっ。」


雅がデンジの斬撃を躱した先には、血だまりがあった。
たまたま運悪くそこを踏んだのではない。デンジがその場所に来るように誘導したのだ。
しかも再生したばかりでまだ柔らかい頭を、後ろからぶつけてしまう。
デンジはろくに教育を受けていないため、知識に難はあるが、戦闘に差し支えるということはない。
むしろ幼少期からポチタとともに悪魔と戦い続けた経験のおかげで、即興の作戦を練る能力は優れている。
しかもそれは、岸部との修行によりさらに磨きがかかっていた。


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