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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第116話☆
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魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。
『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
前スレ ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第115話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1355324984/
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それを思うだけで、顔が綻んだ。
「母さん」
「あ、クロノ」
「隣、座るよ」
簡潔にそう告げて、クロノはリンディの隣に腰掛ける。
そして、彼女と同じように、遠くでエイミィと遊ぶ我が子たちを見た。
その時のクロノは、いつになく静かだった。
もともとあまり口数の多い青年ではないが、ある時期を堺にますますそうなった気がする。
リンディには、その原因が分かっていた。
ユーノ・スクライアの死期こそが、クロノの何かを、少しだけ変えたのだと。
思い返せば、胸の奥が痛む。
誰あろう、あの少年を殺すよう差し向けたのはリンディの手によるものだ。
仕方がなかった事だと、自分には言い聞かせている。
クライドの血筋を残すため、クロノを惑わす芽を絶たねばならなかった。
果たして、その事実をクロノは知っているだろうか。
巧妙に隠蔽をしたのだから、決して露呈はしていないと思うが……
にわかに不安になる母に、クロノはただひたと視線を子供たちに向けたまま、語りかけた。
「母さん。そろそろ言おうと思ってた事なんだけど」
「え? 何かしら」
「実はね、僕は数年前に手術を受けてるんだ」
「手術って……どこか悪かったの?」
「いや、至って健康さ」
その瞬間、口元に邪悪な含笑を浮かべ、クロノは告げた。
あくまでも平坦に、あくまでも静かに。
「男性機能を取り去ったんだ」
と。
「……え?」
あまりに唐突で理解を離れた言葉に、リンディが間の抜けた声を零す。
そんな母をよそに、クロノは訥々と続けた。
「だから、僕は子供を作れないんだよ」
「な、何を言ってるの!? いえ、そんな……だってあの子たちは」
「エイミィも知らないけど、人工授精させたんだ。医者に頼んでね」
顔を蒼白とさせるリンディに、ついにクロノは視線を向ける。
彼は嘲笑っていた。
この数年間、涙と共に噛み締めてきた怒りの限りに、相手の大切なものを踏みにじる復讐の愉悦に抱かれて。
「だから、もう残らないよ、父さんの血も肉も。僕は一生子供を作れない。作らない。あなたの愛した人の命は繋がる事はない」
身魂万感を込めて、クロノは告げて、かつて受けた痛みの全てを返す。
リンディの守りたかったものを砕き、踏みにじる。
母の顔から表情が消え、虚無と絶望に染まる顔を、網膜に焼き付けて。
彼は立ち上がり、その場を去った。
背中を見つめるリンディの瞳からは、既に気力の光は失せていた。
□
それから、リンディは管理局を辞し、田舎に隠遁したという。
ほとんど人に会う事もなくなり、急速に老い始め、白髪もしわも隠せぬ有り様らしい。
風の噂に聞く母の凋落に、しかしクロノは喜びなど皆無だった。
復讐とは虚しいものだ。
したところで失ったものは何も返ってはこない。
いや、それどころか、むしろ心の傷はより深く穿たれた。
リンディを傷つけ、エイミィの想いも穢し、何も知らぬ子供たちにさえ業を背負わせて。
クロノの良心はそれを思う度、痛みを覚えた。
それでも、彼はこの気持を誰にも打ち明けず、一人で抱えて生きる。
それしか生き方を知らなかった。
彼は、あまりに不器用だった。
クロノに在る慰めは、たった一つしかない。
ユーノの遺品の、彼が付けていた髪留めのリボンだ。
棺桶に一緒に入れるはずだったものを失敬したそれは、クロノの手に残された唯一の、ユーノの持ち物だった。
手の内に握り、頬を寄せれば、もうとっくに失せている香りが、鼻腔の奥に思い出される。
そして連なるように、共に過ごした過日の記憶が、次々と去来するのだ。
穏やかで、温かく、満たされていたあの日々。
あまりに短く、忘れ難い幸福。
どれだけ月日が過ぎようと、記憶は薄まる事はなく、むしろ余計に強く鮮烈になっていき、クロノを苛んだ。
愛する人を失った空漠と痛みは、何時までもクロノを責める。
きっと、死ぬまで永遠に続くのだろう。
ただ肉体は生きているというだけで、それは地獄と大差なかった。
終幕
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投下終了
故隆慶一郎先生の名作、柳生非情剣収録の柳枝の剣に捧ぐる
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乙
別処で見てもしやと思いましたが、やはり「柳枝の剣」でしたか
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>>671
コメントありがとうございます。
新規、といいますか、過去のユーノ祭りで×ユーリのSSを投稿してました。
ほとんど読み専なので名前を入れてなかったんですが、入れた方がよいでしょうか。
そしてSSの方ですが、ハラオウンの血筋のヤンデレ気味な気配がゾクッときました。
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コテハンはまあ個々の判断で
付けない人もいますし
ハラオウンは、うふふ・・・好きよ、えへへ
感想どもっす!
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今更かもしれませんけどシガーさんの作品が理想郷のXXX板でコピペして転載されてますよ。許可してます?
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まーたシガーさんの神SSが盗作されてしまったのか(憤怒)
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許可も何も本人じゃないのか?
前書きで
>よそのスレやpixivでザ・シガーという別名義でも投稿しています。
って書いてあるけど
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>>684
ふう……GJ……
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>>690
おおう、見落としてた。感想でも本人っぽいことが書いてた。本人だったのか…
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あれは本人やで と
まあ分かってくれたのなら何より
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>>684
GJ
母の愛は時に身勝手で、子供本人がそれを喜ぶかは考えていないものもある
最期のシーンが切なすぎたよ……
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投下します ホモSSの後味をロリで中和してやんよ
アリサちゃんprprpr
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アリサたんをぺろぺろちゅっちゅするおはなし
広大な邸宅は荘厳なほどの風情を醸し出し、見るだけで家主の財力を如実に語っている。
バニングス家は有数の資産家であり、そのイメージをなんら裏切ることはない。
青々と良く刈り込まれた庭の芝を見下ろす形で位置する、上階の部屋は、この屋敷の一人娘の私室である。
屋敷同様に、たっぷりと余裕のある広さの部屋、大きな勉強机を前に腰掛けているのはブロンドの美しい少女だった。
アリサ・バニングス、それが彼女の名前だ。
まだ九歳だが、英才教育は欠かさず、ピアノやバイオリンのレッスンを始め、もちろん勉学もぬかりはない。
家庭教師のもと、今日も勉強に励む。
「どうかな、アリサちゃん」
後ろで、見守るように立っていた家庭教師の男が声をかける。
彼の声に、今まで机に向かい、問題用紙と格闘していたアリサは、ゆっくり振り返った。
「……」
無言で彼を見つめる愛らしい顔は、汗でじっとりと濡れていた。
心なしか息も荒く、小刻みに肩が上下している。
頬も淡く上気していた。
まるで風邪でも引いているようで――だが、違う。
事情を知る男は口元に含み笑いを浮かべながら、そっと少女の肩に手を置く。
軽く撫でると、それだけでアリサは身震いした。
「問題は全部解けたかな?」
あくまで優しく、あくまで穏やかに、男は質問する。
肩から髪に移り、頭を撫でる。
アリサの小さな体が戦慄き、吐息は一層熱くなった。
そんな変化を見てみぬふりをし、男は肩越しに小テストの用紙を覗く。
「うんうん、全問正解だ。さすがだね」
塾にも通い、日ごろから学業を弛まぬ少女の優秀さを確認し、彼は惜しみない賛辞を述べた。
だがしかし、その言葉の真に秘めた意味は、そこではない。
「良く出来たね。そんな状態で」
微笑を邪悪に変質させるや、彼はその手でアリサの服を掴んだ。
学校からそのまま着ていった白い聖祥学園のスカートの裾、それをまくり上げた。
露わになるのは少女の白い脚。
細く、長く、まだ未成熟な華奢な脚。
その付け根は白い飾り気のない下着が在るのだが、股ぐらの部分は色を変えていた。
水気を帯び、肌に張り付いているのだ。
何故か。
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理由は実に簡単だ、アリサの白い腿にテープで括りつけられたスイッチ、そこからコードを伸ばす“何か”はショーツの中に入り込んでいる。
鈍い振動音が彼女をどう責めているか、想像に難くないものだった。
「朝から付けてたから凄いことになってるね」
彼は顔を近づけ、これみよがしに鼻を鳴らして匂いを嗅ぎ、服の中で篭められた甘酸っぱい香りを堪能する。
自分のあられもない痴態を観察される心地に、アリサの顔は一層紅潮した。
背筋を駆け抜けるゾクゾクとした悦びに、少女の被虐心は煽られる。
「あ、あの……先生」
甘く、蕩けた声が、媚態を含んで零れた。
それは年頃の少女でありながら、同時に劣情に身を焦がす雌のものだった。
「もう……我慢、できないの……ちゃ、ちゃんと問題解けたから……もうゆるしてッ」
涙で潤んだ瞳で見上げながら訴えかけるアリサ。
ご主人様から与えられた今日の課題、ローターを仕込んだまま学校へ行き、そして放課後に自分との個人授業できちんと問題を解くこと。
それを全うできればご褒美をあげるというものだった。
彼女は見事に完遂した。
「そうだね、よく頑張ったね」
彼は教え子を褒めながら、彼女の下着に手を掛けた。
するすると脱がす。
ぐっしょり濡れたパンツと割れ目の間に、つぅ、と愛液の糸が引く。
コードを掴んで中に入っていた者を抜く。
「あ、んぅッ!」
何時間も挿入されたままだった愛液まみれのピンクローターは、アリサの体温を帯びて温かい。
手に取って眺め、温かさを感じ取りながら、匂いを嗅ぎ、舐める。
幾度も味わったアリサの蜜は、やはり実に美味だった。
無論それだけで満足できる筈もなく、彼はおもむろに指先を濡れたピンクの割れ目に向ける。
つぷつぷ、と指を沈めて、軽く掻き混ぜる、効果は十分だった。
「やぁ! ゆ、ゆび……いきなり……そこ、だめ! だめなのぉ!」
愛液が泡を立てて捏ねられると、アリサはその愛らしい顔をくしゃくしゃに乱して鳴いた。
甘い、蕩けるような嬌声。
だが容赦などするわけもない、彼はある一点を集中してこすり続ける。
天井側に、じょじょに硬くなる部分が生まれる、いわゆるGスポットというものだ。
そこをじっくり、攻め続けるとどうなるのか。
アリサの反応がすぐに教えてくれた。
「あぁ……もう、もう……イクぅうう!!」
少女の体がびくんと跳ね、大量の愛液が飛沫となって噴出した。
潮吹きと共に味わう絶頂。
アリサはすっかり顔を法悦に染め上げて悶える。
顔に飛んだ愛液を、男は満足そうに拭って舐める。
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甘露はいつ口に含んでも飽きない。
「ほんと、いやらしくなったねえアリサちゃん。まだ一ヶ月くらいなのに」
一ヶ月前、それがスタート地点だった。
家庭教師として受け持った教え子のアリサを犯し、調教し、こうして従順な奴隷になるまで仕込んだ。
今や潮まで吹いてイクほどいやらしく成長した姿はなんとも嗜虐心と満足を呼び起こす。
既にいきり立った彼自身は抑えきれなくなっていた。
もちろん、抑える気など毛頭ないが。
ファスナーを下ろし、ぼろん、と大きな肉の塊がまろび出る。
湯気が立つほど熱と湿気を篭もらせたペニスを前に、アリサの瞳が興奮に輝く。
椅子の上で、少女は彼を迎え入れる為に細い脚を左右に開いた。
「せ、せんせぃ……どうぞ」
ぱっくりと開いたサーモンピンクの入り口。
溢れるほど愛液で濡れた熱いほとは、未成熟な少女らしい可憐さがある。
それこそ劣情をそそるのだ。
何度も開通した狭い入り口を、彼は再びこじ開ける。
にちにちときつい穴を押し広げる感触、肉棒を全方位から包む膣の心地は堪らなかった。
「あぁああ! ふとい……せんせいの、あん! すごい、おっきいよぉ!!」
内側をごりごりとこすり上げる太い肉竿を前に、アリサは苦しむどころか喜悦の声を上げた。
とっくに開発済みの体は、少女でありながら娼婦なみの感度だった。
奥の奥まで貫かれ、子宮口近くまで亀頭で小突かれて、意識を甘く染め上げる。
細く未成熟な矮躯を組み伏せ、少女の金髪が振り乱される中でするセックス、背筋を走る背徳感が脳髄を沸騰させた。
勉強机の椅子の上で、何度も何度も腰を振り、突き上げて媚肉を抉られるアリサ。
唇の端からだらしなく唾液を垂らし、とろんと目尻を下げたその顔は、浅ましい雌そのものだった。
発情期の小さな雌犬。
ご主人様に貪られるのを何より悦ぶ可愛らしい淫乱。
細い腰に手を添えて、より強く、激しく腰は動き、いよいよ二人の行為はクライマックスを迎えた。
ガンッ、ガンッ、と、椅子が軋むほどに力を込めて突き上げる男。
肉棒は深く突き刺さり、少女を果てしない場所へといざなう。
そして最高に力を秘めた一撃が、放たれて、
「あ、あはぁああああ! くる、きちゃう! イク……イクよぉ……きて! せんせいのザーメンきてええええ!!!」
あられもない少女の叫びが木霊した時、どっと溢れる白濁の粘り。
体内に注がれる粘液の感覚に、アリサもまた意識を真っ白に染めて地平の彼方へ意識を飛ばされた。
びくびくと、細い体が何度もアクメの余韻に痙攣する。
汗だくで体に張り付いた制服、乱れた顔、上気した頬、虚ろな瞳。
少女らしからぬ程の媚態をアリサが魅せつける。
「はぁ……あんッ……せんせい、しゅごいよぉ……チンポ……チンポぉ」
甘えた声でキスを求めてくる、ブロンドの可愛い小さな雌奴隷。
彼はその要求に応えて、たっぷり舌を絡めたキスをしてやる。
最初はただの遊び半分で仕込んだオモチャだったが、一度味わってみるとこれは実に素晴らしかった。
このまま家庭教師という名目で居座り、ずっとなぶり続けるのも悪くない。
「そうだ、アリサちゃん」
「はい……」
「今度お友達も誘ってみようか? ほら、あのすずかって子もさ、おんなじように、ね?」
「……」
アリサは無言で、しばし考えたのちに、こくんと小さく頷いた。
この先の事を考えて、男は興奮と喜びに武者震いし、また血をたぎらせて硬くなる。
そうして再びアリサとの淫らな個人授業が始まるのだった。
終幕
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投下終了
ロリ書いたのいつぶりだろう
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クッ、いたいけない少女になんて悪辣なレッスンをほどこすんだ、人間の風上にもおけねえ! 鬼畜の所業だ! 今のうちに下心が一切ない私がすずかタソの家庭教師に収まらねば! 体育が得意なすずかタソのためにブルマを持って!
あ、私のはエロ要素とってつけたようなもんです。
謎のマッドサイエンティストが運命に抗う話です(語弊)。
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「社会の歯車という例えがあるが、これを君はどう思う?」
「唐突ですね」
「私はいつだって唐突だろう?」
「そうですね……」
「それで、どう思うね?」
「正直、あまりいい印象ではないですよ。単純作業をただ繰り返すいち部品であると例えられているんですから」
「では君は社会の歯車と称されたとして否と言う?」
「…いえ、歯車はひとつでは意味を成しません。人と人とがつながりあって動いている社会ですから。社会の歯車という例えも否とまでは」
「では運命の歯車というものはどうかな?」
「劇的にドラマチックな単語になりましたね」
「君は運命を信じるかな?」
「いえ、そういう超常的なものは考えないことにしています」
「では私と君の出会いは、絶対的に必要な、運命的なものだったと言われても信じられない?」
「運命的なものではあったと思いますよ。先生が僕と出会ってくれていなければ、僕は何もできずに死んでいたと思いますから」
「ドクターと呼びたまえ。運命は信じないけれども、運命的という形容は使えるのだね」
「それほど僕にとって、あなたは救いだったというだけです」
「星にとっての救いだろう?」
「星にとっての救いは、つまり僕にとっての救いですから」
「運命からすれば、私と君が出会ったから星が救われるのか、星を救うために私が君に出会ったのか」
「僕からすれば、星を救うために先生がやってきてくれたと思いたいですね」
「ドクターと呼びたまえ」
「それでドクターは何をおっしゃりたいんです? 社会の話? 運命の話? それとも歯車の話ですか?」
「いや別に。特に考えはないよ」
「そうでしょうね」
「ただ個々の思考をぶつけ合うのも、いいだろう?」
「そうですね…ただひとりで考えるだけよりも、ずっと有意義です。思考を高めあっていけば…心も育っていきますから」
「しかし、そうだね…強いて言うなら、私は君と出会って回すべき歯車があったというべきかな」
「その歯車が回れば、どうなるんですか?」
「なに、運命が正しく回るだけだよ。その上で、私はいつかの私が、運命を打破してくれると、私自身を信じているがね」
◇
最初に出会った日のことだった。
「この星は死ぬ」
どんな会話の流れだったかは完全に覚えていない。
しかしこの言葉だけは耳朶にずっと残り続けて今日に至る。
その見識と智慧に明言されずとも、僕はすでに気づいていた。
気づいていた上で、諦めていたのだろう。
そんな心境を皮肉るように言葉を投げかけたのだと、今なら分かる。
私ならば生きながらえさせられる。
言外にそんな含みをもたせていたのも、気づいていた。
それまでの話の流れが科学者どうしの理知に富んだものから一転、僕は激して感情を叩きつけていた。
故郷の死への悲しさ、寂しさ、苦しさ。
何もできない悔しさ、嘆き、怒り。
「君は何か手に入れたいものがあったとき、どうやって手に入れる?」
出し抜けにそう問われたのは席から立ち上がって、怒涛のように喚き散らしていた時分だったはずだ。
それを涼しい顔と声音で聞いてくるのだから、逆に拍子を外されてしまった。
「…買いますよ」
「売っていなかったら?」
「つくればいいとおっしゃりたいんですね。星を救うためのなにかを」
彼は笑った。
僕は怒った。
いっそうの怒号に、覚えていないが、きっと支離滅裂な言葉も出ただろう。
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できること。
できないこと。
その境界線がありありと見えるようになるのは、科学者ならではの苦痛だ。
根性論も精神論も切り捨てて因果を暴く。
暴いた先が、見たくもない未来でも。
結局、最後に僕は泣いた。
泣きながら教えを請うていた。
どうすればいいのか。
子供のように喚くだけ喚いて泣いてすがる。
省みると我ながら情けなさの極みだったと思わざるを得ない。
しかしそんな僕と対極に、彼はこともなげに言うのだ。
「いいよ」
その日から僕は彼を先生と呼んだ。
◇
先生の話は割りと脈絡がない。
好き勝手にしゃべりたいことをしゃべる。
そしえて肝心なことはしゃべらない。
しかも僕が仕事している最中にしゃべりかけてくるから始末に終えない。
今日もまた僕が図面を引いている最中に、語りかけてくるのだ。
「最初は対等な誰かが欲しかった」
方針は教えてくれた。
後はただ何でも知っている置物状態である。
聞けば聞いただけ教えてくれる。
しかし自分から何かをしようとする場合、大半が心底どうでもいいことばかりだった。
「近所に地下ダンジョンを作ってくる」といって99階層の謎の地下遺跡迷宮を暇つぶしに作ってきたときには脱力するしかなかった。
遠い未来に99階を踏破する猛者はいるのだろうか。
「見てのとおり、私は男性だろう? だから女性の私を造ってみた」
先生に造れないものはないと薄々感づいていたが、それは造りすぎだろうと思った。
さらに将来に星が死んだ後、生命が絶えないように強靭な体構造をした怪物を設計し始めたときにはさすがに止めた。
それが先日の話だ。
たぶん隠れてまだ設計しているのだろう。
僕の目を盗んで将来、乱造される気がする。
「しかし失敗したよ」
「先生でも失敗するんですね」
「ドクターと呼びたまえ」
「失敗して、どうなったんですか、ドクター?」
「秘書になった。私に似ずとても奥ゆかしくてね。あれでは対等と言えない」
奥ゆかしい先生を想像しようとしてできなかった。
「次に冷血な性格で造ってみた。創造主をゴミのように思い、その命を脅かすような」
「突拍子がなさすぎるでしょう」
「敵が欲しいと思ったのさ。ライバルというやつだ。これもまた対等の関係と言えるだろう? だから二番目からはクローンではなくした。しかし私の因子を植えつけることにしたんだ。私は束縛に反抗的な気質があるからね。私に敵対してくれると踏んでいた」
「それで成功したんですか?」
「失敗したよ。敵に厳しく、身内に優しいお姉さんができてしまった。彼女にとっての束縛は、つまり絆になってしまったらしい」
なぜか誇らしげに語るように見えた。
常浮かべる薄気味悪い笑い顔ではないそれを見るのは稀だ。
「次は闘争本能をこれでもかというほど凝縮して、破格の戦闘力を保有させてみた。私をぶっ殺してでも飛び出して、自由に暴れらないかと期待してね」
「失敗したんですね」
「明察だ。必要なときのみにその力を振るう冷静な戦士になってしまった」
「どうせそれで終わらないんでしょう?」
「そうだね。結局私は四度失敗をする」
「五度目で成功したんですか?」
「いや、対等な誰かなんてどうでもよくなってきた」
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ならば四度の失敗は失敗のままだったのだろうか。
そんな僕の胸中の疑問を見透かすかのように先生は言うのだ。
「失敗が、成功以上になっただけの話だよ。私が欲しかったのは対等な誰か。しかし手に入ったのは娘だった。分かるかい?」
「分かりません」
「そうかい?」
先生がちょっぴりしょんぼりする。
ふとこの話題に先生の熱を知る。
いささか強い機微。
先生には珍しいと思った。
「五番目からは、私の因子を抜きにした。とある仲むつまじい姉妹を見てね。私もそういうのをこそ作りたくなった
「…あの、結局何人造ったんですか?」
「12人だ」
「12!?」
僕は精神的に退いて、引いていた図面の線がずれた。
「いずれ君も分かるだろう」
「分かりませんよそんな大所帯」
「君は娘はどのくらい欲しい?」
「……いや、考えたこともありませんよ」
「ふたりしたまえ。もっとも私が言うまでもなく、君はふたりにするだろうがね」
「何を根拠に?」
「運命だよ」
「…またそれですか」
「ところで一枚前の図面間違っているよ」
見直すと確かに、今描いている図面とかみ合わない。
実機をこれで作っても上手く動かないだろう。
「娘たちの基礎とも言えるべき存在もいてね」
図面の修正をしているとまた先生が言葉を続けた。
「プロトタイプということですか?」
「そうだね。そしてそのプロトタイプたちもまた、姉妹だった」
遠い過去を思い返しながら語る様はある種厳かだった。
先生の正体は知らない。
極悪人だったらしいのは話の節々から察せる。
どこから来たか聞いてもはぐらかされるだけだ。
科学者として類まれな才覚があるのだけは分かる。
変人ではあるが、どうも今さら悪行をするつもりもなさそうな手前、神仙が迷い込んできたようなものなのだろうと思っている。
先生自身は、やらなければならないことがこんな未来にあったから生きながらえてしまった老人と称していた。
「さらにそのプロトタイプたちには、元になった人物がいてね」
「複雑ですね」
「その人物が女だったから、プロトタイプは女性型だった」
「では先生が12人をすべて娘にした理由はなんですか?」
「ドクターと呼びたまえ」
「女性の方が機械と適合しやすかったんですか、ドクター?」
「それもある。後は私のコピーの避難場所として。……そして、最も大きな理由は、新たな何かを生んで欲しかったのさ」
「何かとは?」
「何かさ」
先生が笑った。
何を言いたいか分からないでもない。
今この世に存在し得るもの以上の世界。
世界を拡張する新たなる想像力。
造ることと創ることは違う。
何でも造れる先生だからこそ、誰かにそんな期待もするのかと思った。
それも、娘に。
「結局それもどうでもよくなった」
「先生は初志貫徹ができない人なんですね」
「ドクターと呼びたまえ」
「ドクターは考えを曲げすぎです」
「悟っただけだよ。ただ次の代へ継ぐだけでいいと。総力戦をやって、私は敗北したんだがね。その後、何人かの娘に決別されたものさ」
「…決別ですか?」
「そのとき私の胸に去来したものはなんとも言えぬ感動だったね。ああ、娘が自立して巣立っていくのはこういう感覚かと」
僕はなんだか違うと思ったけど黙っておいた。
本人は優しいだか暖かいだか誇らしいだかのいい顔しているのだから。
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「…先生も敗北するですね」
「ドクターと呼びたまえ」
総力戦。
いまいちピンとこないが、この飄々とした奇人の総力戦が小さくまとまるとは思えなかった。
ひとつの街で武装蜂起をしたとか?
いやいや、さすがにそこまでおかしな人ではないだろう。
「するよ。いやあ、あれは楽しかったな」
「負けたのにですか?」
「負けたよ。その後、長い期間研究できなかったのは苦痛だったね」
「しかし今こうやって好き勝手できるんなら、ただの思い出でしょう」
「そうだねえ。もう思い出だ」
いつもの薄気味悪い笑い方をしながら、先生は窓の外へ視線をやった。
つい僕もその視線を追う。
すでにここから見える景色の、山は枯れ果てて腐り……死に始めていた。
あの風景が星すべてを包む。
その前に。
「君はいつ死ぬかな?」
「長くはありません。体が弱いんです」
「君の体には病が巣食っているね」
「…お見通しですか」
「専門だからね。そんな君に朗報だ。今すぐに研究をやめて、長期間の養生をするなら寿命を全うできるだけの治療をしてあげられるよ」
「要りません」
先生が笑った。
弾けたように笑い出して、狂ったように笑い続けて、最後にそれでこそだと言った。
「君のそれは不治の病というやつだよ」
先生はなお、裾を引くように話をしてくる。
「知っています」
「君は研究に体を酷使しすぎだね」
「知っています」
「星が蘇る姿を、君が見ることは決してない」
「知っています」
自然と穏やかな心地だった。
己の人生が脳裏を駆け抜けた。
物心がついた時分から今日に至るまでの時間たち。
星に生まれ、星に死ぬ。
星に生まれたから、星のために死ぬ。
なんと自然なことか。
己を育んでくれた大地への、これは恩返し。
天然からもっとも遠くにいるべきロボット工学者が、原始をこそ尊ぶという当然の帰結に僕はいる。
「さっき先生がおっしゃっていたじゃないですか。次の代へ継げばいいだけだと。僕も、次の代へと継げばそれで御役御免でいいじゃないですか」
「…次の代を育てるだけの時間はあると、私が保証しよう」
「それも運命ですか?」
「いいや、私の医療技術が裏づけだよ」
先生なりの、心配りだったのだろうか。
しかし信頼できる保証だった。
「先生こそ、死なないんですか?」
「ドクターと呼びたまえ」
「ドクターはどれくらい生きているんですか?」
「ずいぶん生きながらえたが、そろそろ死ぬよ。結局、娘たちよりも長生きしてしまった。まったく、君がもう少し早く生まれてくれればよかったものを」
「理不尽ですよ…ただ先生にとって長生きは不幸なことだったかもしれませんが、僕は先生と出会えてよかった」
「くっくっくっ、まだ断言するのは早い。娘たちとの別れの時、君は後悔にまみれるかもしれないだろう?」
少しだけ、その光景を思い浮かべる。
顔も見えない誰かが死に際の僕に寄り添う…
遺言を口にする僕の顔は、ちょっと困っているようだった。
あるいは顔も見えない誰かの悲しみ方が、切々としすぎているのだろうか。
頭を振った。
先生との出会いは、それ自体がすでにしてただの奇跡だ。
今こうして、先生の教えを受けている現実こそが、本来有り得なかったはずの事態。
さらにその上を望むべくもない。
ならば後悔なんて、有り得ない。
「そのときは、先生の墓に罵詈雑言を刻むように遺言しておきます」
「私の骨は海にまいてくれ」
◇
程なくして先生は死んだ。
少なくとも凡庸よりは上だろうと自負していた僕は、彼の足元にも及ばなかったのはひしひしと痛感している。
間違いなく不世出の天才だった。
そしておそらく極悪人であり、そして星の救世主……に、なるかどうかは、後は僕次第だった。
-
いや。
僕の、次の世代次第だ。
だから僕は先生の…ドクターから受け継いだすべてを駆使して次へとつなげる。
ドクターを動力に、僕は歯車として、次へと伝えていけばいいのだ。
ドクターの骨は保管している。
この骨は、蘇った星の海にこそまくべきだと思ったのだ。
しかしそれも、僕にはできないだろう。
遺言に、ドクターの骨と一緒に僕の骨もまいてもらうように記しておこうと思う。
遺言といえばふと思い出す。
ドクターから僕の娘たちへの贈り物。
「運命の守護者」
「時の操手」
名前は僕がつけるべきだと言っていた。
故に二つ名。
ドクターから僕の娘たちへ贈られた、名。
……ドクターは中二病だったのだろう。
いや、そういう気はあったけれども。
ただ娘たちが星を死という運命から守護し、この時を巻き戻すようによみがえらせてくれるように祈りをこめて、使わせてもらおうと思う。
ちなみにドクターは結局、死にかけの大地でもたくましく生き延びる怪物たちを乱造していた。
たまに食べられそうになることがあり、僕の寿命はさらに縮まったのだろうと思う。
◇
新暦66年。
「砕け得ぬ闇」事件の収束後。
ほんの短い休息の間、アミタとキリエにはアースラの一室があてがわれていた。
期間として、長い事件というわけではなかった。
しかし各人の胸には、色濃い残滓。
それは記憶封鎖により、本当に残滓としか言いようのない欠片しか残さぬ終末へ至るのだろう。
それでも時を越えた絆の連結は、大きな幸福へとつながった。
そしてそれはアミタとキリエにとっても。
隣り合って腰掛けるふたりは、すでに穏やかな心地だった。
こうしてゆったりとふたり並んで過ごすのは、ふたりの父が倒れてから久しくなかったことだった。
思えば、キリエが己と距離をとりだしたのは、その時分であったとアミタは省みる。
ひとりで抱え始めたのも、その頃からだったのだろう。
博士が倒れ、キリエは自分だけで無茶をしようとした。
やさしいから。
アミタを巻き込まぬように。
そんな妹の心情を改めて愛しく思い、アミタはキリエの抱きしめて頭を撫でる。
「ちょ、やめなさいよ、いきなり何!」
「キリエはいい子です。今回の事件を通して、改めて認識できましたから」
「だからって頭を撫でるなんて、馬鹿にしてるようにしか思えないんですけど!」
「馬鹿になんてしてません! 私は至って真剣です」
分かってるわよ、そんなの。
なんて、キリエは言うのも面倒になって嘆息ひとつ。
その嘆息に、吐息が返ってくる。
ちゅっ、と。
アミタがキリエの唇に唇を重ねてきた。
「〜〜〜!!!」
びっくり仰天、キリエは引き剥がそうとするが、アミタは全力で押さえにかかってきている。
両腕をひとまとめに拘束され、ベッドに押し倒されたキリエはなすすべもなく、唇の愛撫を受け入れるしかなかった。
しかもその上、アミタはなんと強引な口付けの最中に頭まで撫で撫でしてくるのだ…!
馬鹿馬鹿しさとやるせなさと、…郷愁と懐古にキリエはついに脱力して受け入れた。
ちゅ、ちゅと親愛の情をたっぷりまぶしたアミタの口付けはくすぐったく暖かい。
頭を撫でてくる手つきはあくまで優しくて丁寧で、とめどない真心にあふれていた。
母が欠けた家族構成において、アミタはその役目たろうと努めていた。
キリエが悲しんだとき、失敗したとき、抱きしめて頭を撫でて慰めたことは一度や二度ではない。
キリエが嬉しんだとき、成功したとき、キスの雨を降らせてともに歓喜を分かち合ったことは数え切れない。
そうして今、きっと恥ずかしんで引き離されるのを承知して、強引無比に両方を施すアミタの愛情はかつての比ではない量でキリエを満たす。
いや。
あるいはアミタの愛情の多寡は昔日となんら変わりなく、ただキリエがそれに気づけるようになっただけなのかもしれない。
途端、アミタへ対する愛情が堰を切る。
頼り、甘えることを非としてただ孤独に一生懸命になっていた己の殻が破れるように。
くしゃりと泣き出しそうな顔へ変じたキリエに、ぎょっとなってアミタがその唇を引き離す。
「ご、ごめんなさいキリエ! 私はただあなたをほめてあげたくてですね…」
「うぇ〜、おねえちゃ〜ん…」
それから必死で涙をこらえながらキリエは吐き出す。
時間の壁を越える決断をしてから、安心をしたひと時などなかったと。
けれども一緒にそんな不安を共有させたくなかったと。
-
ただアミタはその言葉に丁寧に応じた。
キリエの頭をなでながら、背を緩やかに叩いてやりながら、抱きしめながら。
やがてしゃっくりあげて落ち着いたキリエがぽつりと、「ちゅー…もっかいして欲しい」と言うに及んで、再びアミタは唇を降らせてやる。
やがてその優しい口付けは、キリエから激しさを増し、舌が絡まるに至ってゆく。
母性を込めて接していたアミタもまた、ちろりとその心に女性的な情念が灯っていくのを自身で理解する。
そっと、アミタの右手がキリエの衣服の内へと滑り込む。
ひんとキリエの愛らしい小さな悲鳴。
硬直は一瞬で、胸へと届いたアミタの指先を、キリエはすぐに受け入れた。
まさぐるようなアミタの手つきは、頭を撫でている手つきと違ってひどく淫靡だった。
触って欲しい箇所を、触って欲しい時にさする愛撫は心を読まれているかのよう。
しかしキリエもアミタの心が分かる。
ただ一心キリエを悦ばせようとしてくれるアミタの心が。
だからキリエも返す。
いや、そうでなくともキリエは施す。
アミタのスカートへと手を突っ込んで、その内腿を優しく軽く引っかくように愛しむのだ。
秘所を意図的に避け、それでいて反応せざるを得ない箇所へ刺激を加える。
もじもじとアミタが腰をゆするに至って、指先であやすようにアミタのショーツ越しに秘所をいじるのだ。
すでにふたりの唇は離れあい、全裸になって素肌へと舌を這わせあう。
腕を、頬を、尻を、臍を、指を、首筋を、脚をしゃぶりあって絡み合う様は息ぴったりに官能のツボを抑えあうものだった。
心が読めるのではなく、心を通い合わせている上での芸当だ。
いよいよアミタがキリエの秘所をぱくりと口に含んだ。
おおとキリエが感極まって低くうめく。
ご馳走を味わうようにアミタはその舌で妹をもてあそび、そのたびにキリエが痙攣じみてつま先まで引きつらせるのだ。
ひんひんとすすり泣く声にさえ聞こえる嬌声に、アミタの舌のリズムは変わらない。
機械のようにキリエに尽くし、その感度を高め続けてやるだけだ。
ひときわ強くキリエがあえいだ。
アミタの頭部を押さえて、いっそうその股に舌をこすり付けてくれと言外に伝えれば、ぐりと強烈な刺激。
それを皮切りに、キリエの腰が何度も跳ねた。
それで引き剥がされぬようにしながら、アミタは舌の愛撫を変調せずに途切れさせない。
キリエが悲鳴を上げた。
ヴァイオリンの高音がどこまで昇っていくような、澄んだ悲鳴。
腰を浮かせたまま、弓反りにキリエの背が震えを伴って緊張したまま落ちてこない。
そしてアミタの喉が鳴る。
ごくりごくりと嚥下する音が終わるとともにキリエの腰もようやくベッドに沈んで悲鳴も止んだ。
「この年になってもお漏らしなんて、キリエはまだまだ子供ですね」
「やりしゅぎよぉ…ばかぁ…」
ぴくんぴくんと余韻に浸るキリエの頭を撫でてやりながら、アミタは微笑む。
◇
「砕け得ぬ闇」事件について、その特異性上、閲覧できる情報は改ざんされたものにならざるを得ない。
正確な顛末も記録に残るのだが、これへ目を通せる者となるとかなり限られてくることになる。
そしてそんな限られた者の中に、来るべき未来に、なのはたちに立ちふさがる男は含まれているのだった。
「こんな姉妹愛を、私も娘たちで見たいものだ!」
その男は「砕け得ぬ闇」事件の顛末より、聖王の力にまでたどり着き、最悪のゆりかごを切り札の一枚に据えんと暗躍することになる。
「なんて美しい睦み合いだ…! 私の因子なんて植え付けている場合ではない! 即刻、あらゆる姉と妹の性質とその関係性の確立について試算せねば…!」
そして別の星、違う時間において「ギアーズ」と称されるその少女たちのデータもまた、その男の想像力へ大いなる貢献をしてしまうのは、無理なからぬことだったのだろう。
「しかし彼女たちは妙だ…作製した者の力量と、発案した者の力量がかみ合っていない気がする。たとえば、師が設計してそれを弟子が受け継いで造った…? する意味は? いや、どちらにせよ、その発案した者は現時点の私を上回っている…! 何者だ…! 私を超える天才がいるというのか…! これは意欲が沸いてきた…! くっくっくっ、ギアーズ。これを超える娘たちを、造ってみせようじゃあないか!」
遠い未来、彼は過去の己へと語りかけることになる。
「これを超えるものを造って、いつか敗北の運命を覆してくれたまえ」と。
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こう、ループするごとにレベルが上がっていっていくイメージ
いつかあの男が勝利して希望の未来へレディーゴー!
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>>707
ところがギッチョン
乙
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>>707
ふう……gj
ああ、10歳のエリオとキャロが妊娠上等ガチセックスしてるのを
盗撮してゴールデンタイムに電波ジャックしてお茶の間に放映したいお
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むしろ盗撮動画をフェイトさんに見せ付けて、真っ青になってるフェイトさんを眺めていたい
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フェイト「ダメだよエリオ、そのやり方は違うよ! ああ、キャロも! 今すぐ教えに行ってあげなくちゃ!」
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フェイトさんはほんとうにフェイトさんだなあw
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昔見たんだけど、声かなんかで催眠?かけて機動六課のみんなを快楽で堕とすみたいなの覚えてる人いる?
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http://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/%a1%d8%c0%bb%b2%a6%cd%cd%a4%cf%a4%c8%a4%f3%a4%c7%a4%e2%a4%ca%a4%a4%c8%af%be%f0%ba%d2%b3%b2%a4%f2%a1%d9
『聖王様はとんでもない発情災害を起こしてしまいました』
これじゃないかな >>713
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>>724
エロ過ぎィィ!
この情事で妊娠したらいいなw
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>>724
GJというか、貴方の投稿意欲に疑問視いだくんですけどね!!
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読んで頂いた皆様に大変申し訳ないのですが、最新投下分のSSを避難所管理人様にお願いして削除していただきました。
事情については一身上の都合、と云いますか、どうしようもない事がありまして。
楽しんでいただいた人には本当にすまない気持ちです。
年内にまだ何本か投下したいと思っているので、どうかそちらで勘弁して下さい。
削除依頼を出した本人として、トリップ付きで失礼しました。
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まさか家族バレ……!?
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>>728
あっ……(察し
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>>727
新作まってます!
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ttp://i.imgur.com/o3nOfta.jpg
嫉妬からの逆レイプものが見たいなぁ
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久しぶりです、黒天です。
アインスが満員電車の中でアンアン言わされ,、更に・・・・ちゃう話。
とりあえず導入部だけ、続きは近いうちに。
連休で込み合う電車の中、リインフォースはつり革に掴まり、浮かれた気分で外の景色を眺めていた。
古書店『八神堂』の仕事と通っている建築学校の授業が休みになり、いい機会だったので、一人旅をしてみる事にしたのだ。
旅のお供は、足元に置いた旅行鞄のみ。電車内に漂う熱気と喧騒も気にならない。
白いブラウスと濃紺のロングスカートに黒いニーソックス、茶色のブーツ。余り派手な格好は好みでは無いので、服装は質素だったが、
彼女の抜ける様に白い肌、粉雪の様に煌く銀髪、切れ長の紅い瞳、悩ましく弾む胸の膨らみや括れた腰、張りのある尻は、実に溜まらない色香に満ちていた。
「・・・?」
不意に違和感を感じる。当たった、ではなく、明らかに当たっている。節くれだった男の手がスカートの上から尻肉をこね回している。
痴漢、まさか、自分が被害にあうとは思っていなかったリインフォースは一瞬、思考が停止していたが、すぐに我に帰って、後ろを振り返ろうとするが――
「・・・――はぁっ!?」
今度は股間に刺激を感じて、リインフォースは思わず甲高い声を漏らしていた。
慌てて視線を落としてみると、別の男の手が、濃紺のロングスカートの上から押し当てられ、太い指が忙しなく蠢いている。
更に、また別の男の手が両側から伸びてきて、白いブラウスの上から豊かな胸を荒々しく揉みしだいた。
痴漢は一人ではなかった。少なくとも四人の男がリインフォースの魅惑的な肢体に群がっているのだ。
羞恥と屈辱でリインフォースは頭がどうにかなりそうだった。四人の痴漢に前後左右を取り囲まれて、好き放題に身体を弄ばれている。
しかも周囲の乗客は男性ばかり。彼らは眼を欲望にぎらつかせながら、巧みに自分達の身体でバリケードを形成して、リインフォースの姿を隠していた。
周りの男達は謂わば、この卑猥な見世物を楽しむ『観客』なのだ。
信じたくなかったが、この状況を見ればそう結論づけざるを得なかった。
護身術の心得はあったが、男達の力は予想以上に強く、身動きが取れない。
絶望感に苛まれるリインフォースに対し、痴漢達は攻めを加速させた。
尻肉を念入りにこね回し、股間を激しく弄り、乳房を緩急をつけて揉む。絶え間なく送り込まれる刺激がリインフォースの身体から抵抗力を奪っていく。
「・・・あ、はぁ、や、止めてぇ・・・こ、こんな電車の中で、犯されるなんて・・・」
弱々しく懇願するリインフォースだったが、痴漢達の攻めは緩むどころか、一層苛烈になり、彼女を絶頂へと追い込んでいく。
強制的に与えられる快感によって透き通る様に白い肌が薄っすらと紅潮し、豊満な肢体を身悶えさせる。
-
「んあ、も、もう・・・駄目えぇ・・・あ、あひぃぃ・・・・!!!」
男達の濃厚な攻めによって、遂にリインフォースは絶頂に達した身体を痙攣させ、床に崩れ落ちかけるが、男達の手がそれを許さない。
彼らの生臭い息を間近に感じ、リインフォースは恐怖と嫌悪に顔を引き攣らせた。
「随分、派手にイッたみたいだねえ、リインフォースちゃん」
「そうそう・・・いつものクールな顔が嘘みたいだ」
「え、あ、貴方達は・・・?」
虚ろな瞳で辺りを見渡していたリインフォースだったが、自らを嬲っていた者達の顔ぶれに驚愕する。
彼らはよく見てみると、全員が『八神堂』の常連客だったのだ。周りを取り囲む『観客』の男達も何回か店で会った者達ばかり。
「リインフォースちゃんがいけないんだよ? こんなにエロエロな身体を見せ付けてくれちゃってさあ」
「もう俺達は我慢できなくなっちゃって」
「旅行に行くって、『八神堂』の店先で嬉しそうに話してたよね? だから、こうして待ち伏せしてたって訳」
「態々、髪型や服装まで変えたんだぜ? どう、俺達って努力家だろ?」
好き勝手な事を言いながら、男達は欲望の赴くまま、絶頂直後で力が入らないリインフォースの服を脱がしにかかる。
白いブラウスの前が肌蹴られ、続いて濃紺のロングスカートのホックが外されて床に落ちる。
「おいおい、黒と紫のレースなんて色っぽすぎだろ」
「しかも透かしが多いぜ。もしかして欲求不満?」
主推薦の下着を着てみたのだが、こんな事になってしまうなんて思いもしなかった。
男達の血走った視線が身体中に突き刺さり、それから逃れようとリインフォースは身体を捩じらせるが、それも無駄な足掻きだった。
「リインフォースちゃんの目的地の駅に着くまで二時間以上ある。その間、たっぷり可愛がってあげるから」
「ほら、エッチな君の姿もばっちり撮ってあるからねえ」
『観客』の一人が小型のビデオカメラを構え、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべている。
リインフォースにとって果てしない淫欲の白昼夢は、まだ始まったばかりだった。
「あぁ、止めてくれ、離してくれ・・・触らないでっ!!」
半裸のあられもない姿にされたリインフォースの身体の上を這い回る節くれだった男達の指。
『八神堂』の美人店員は、ねちっこい愛撫に晒され、忽ちのうちに身体を火照らされていく。
「い、いや・・・ん、んうぅ・・・あぁ、んふっ・・・あぁ・・・!!」
流麗な銀髪を振り乱し、必死に逃げようとするリインフォース。
男達はそれを押さえつけ、重量感に溢れる乳房や、張りのある尻肉、スラリとした脚の付け根にある秘所を下着の上から巧妙に攻め立てる。
全身の性感を一斉に刺激され、リインフォースの吐息は次第に荒く不規則に乱れていく。
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とりあえずここまでです。
アインスが満淫電車でアンアン言わされちゃう薄い本が出るらしいが、俺は買いにいけないので、その鬱憤をぶつけてみました。
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>>716
ありがとう
でもこれじゃないんだよな…最初、ティアナが操作されて感度あげられたまま、本部を連れ回されるってのが始まりだった
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ある恋愛や性の悩みの相談コーナーで彼氏の浮気とかについて、「彼女がいますが彼女が腐女子なので男のセフレはOKで、
彼女ともセフレともうまくやっています。」とかいう報告があって、「他の女の子に浮気する彼氏と、浮気するのは男だけな
彼氏選ぶならどっち?」とか言う話になって、「もし彼氏の家に行ったら男といたしてたらどうするか」ってなったんだが、
もしなのはさんと恋人同士になって、なのはさん家に行ったらフェイトさんと下着姿でベッドにいたらどうする?。
公式でけっこうそういうイラストあるけど。
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むしろそこは、なのはフェイトユーノ(あるいエリオキャロルーテシア)で自由に爛れた性生活を送れば良いんじゃないでしょうか
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なんとかして3Pに持っていく
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ユノフェ前提で
フェイト「ユーノの家に行ったらクロノがユーノのお尻を調教していたんだけど」
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そこは対抗してエイミィと浮気に走ればいいんじゃないかな
フェイトそんなら、女の悦ばせ方は心得てるでしょ。主になのはさんで。
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>>734
はよ! 続きはよ!!
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今続き書いてますが、ところで、なのはDAYS3のアインス痴漢物の同人が出たらしいですが、詳しい情報求む。
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ピクシ◯ヴでリインフォースで検索すりゃあすぐわかるさ
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さて、そろそろ投下するか。
ヴァイティアのエロ行きます。
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ヴァイ×ティア
静かなバーだった、だが決して静か過ぎるバーでもなかった。
ほどほどに人が入り、ほどほどの話し声と活気が在る、言うなれば居心地の良い店だった。
ヴァイス・グランセニックがこの店に好んで訪れるのは、リーズナブルな値段や来やすい立地条件も在るが、やはりこの居心地の良い店内の空気が大きい。
仕事帰りに一杯引っ掛けに寄って、そんないつもの夜だった。
ある後ろ姿を店内で見かけた瞬間、ヴァイスには彼女が誰か分かった。
髪型を、以前の子供っぽいツインテールからストレートに下ろして変えてはいたし、黒い執務官用制服の凛とした雰囲気もかつての印象と大きく違っている。
だがその愛らしい横顔を、綺麗な澄んだ青い瞳を、見紛う筈がない。
テーブルのグラスを手に持ち席を立つと、ヴァイスは彼女の後ろまで近づいて声を掛けた。
「こいつは執務官殿、土曜の夜に一人酒とは寂しいね。良ければご一緒しましょうか?」
茶化した感じにわざと慇懃な口調を、悪戯っぽい笑みと共に浴びせかける。
その屈託のない挨拶に、一瞬きょとんと驚いた彼女の顔は、すぐにはにかんだ微笑で応えてくれた。
「お久しぶりです、ヴァイス陸曹」
「おう、久しぶりだなティアナ」
ティアナ・ランスター、それが少女の名前だった。
かつては新米のフォワード部隊隊員、今は新米の執務官である。
以前に比べて、随分と印象は大人びたものになったと感じる。
そして、
(疲れてる、のか?)
剽げたヴァイスの言葉への応答は、どこか覇気に欠けるように感じられた。
表情もまた、少し影が落ちているように見えるし、何より年頃の女が一人酒というのも引っかかった。
しかし、そこで【何かあったのか】と問うたところで、どうなるだろうか。
ティアナ・ランスターという少女の性格や気質を知った上で、ヴァイスは敢えて何も聞きはしなかった。
「隣良いか?」
「はい」
それだけの応答で、彼はすとんと空いていた隣のカウンター席に腰掛けた。
決して遠すぎず近すぎない絶妙な距離に席を陣取る。
狙撃手という職業の癖か、それとも生来のものか、そんな距離感。
ことん、と手にしたグラスをカウンターテーブルに乗せて、ヴァイスは再び陽気な笑みと声とを少女に投げかけた。
「さて、で? これから飲むところか? それとも、もう飲んだ後か? 幾らでも付き合うぜ」
□
重み、甘い匂いと酒臭さ、柔らかさ、制服の生地の感触、それと幾分かの後悔とをヴァイスは噛みしめる。
「ったく、付き合うとは言ったが、こいつはまた……寝潰れた人間ってなぁ、重てえのなんの」
苦言を零しながら、ヴァイスは背負った相手の体をもう一度抱え直した。
ずっしりと体重全てを預けて伸し掛かるのは、もちろんティアナだった。
あれから、飲んで、飲んで、飲み明かして、彼女はヴァイスに負けじとグラスを煽り続けた結果、とうとう酔いつぶれて寝てしまった。
-
飲み慣れていないにしてはなかなかだが、伊達に一回り年上の、それも叩き上げの武装局員のヴァイスを相手には小娘でしかない。
いや、それを言うならば、潰れる前に止めてやる事ができなかったヴァイスもまだ小童と言えなくもないだろう。
ともあれ、潰れてしまったものは仕方がなく、彼は同席した先輩の責任として、面倒を見ねばならなかった。
生憎とティアナの住まいについて彼は何も知らなかった、知っていそうな人間に連絡を取るにしても、既に時刻は夜半である為に戸惑われた。
結果として、彼が向かったのは自分の住まいだった。
所属部隊宿舎のすぐ目と鼻の先にあるアパートの一室、もし寮だったらさすがに女を連れ込むのは困難であり、きっと諦めてその辺の公園にしたかもしれない。
ともあれ、彼は二人分の荷物、成熟した体を持つ少女の体、それぞれを無事に担ぎ上げたまま、狭いながらも住み慣れた我が家へと辿り着いた。
背中に押し当てられていた柔らかい膨らみの感触は、その労働の対価としては悪くないものだった。
「よい、しょっと」
ティアナの体をベッドの上に投げ出す。
安いが作りはしっかりとした寝床は、スプリングの張力とシーツでその体を優しく受け止める。
さらさらと長いオレンジ色の髪を散らし、年不相応なほど豊かに実った肢体が寝息と共に微かに上下する。
眠るティアナの顔、愛らしく、綺麗で――ふっと体の芯に熱が湧き上がった。
そんな己に、ヴァイスは苦い顔を浮かべた。
「だめだめ、やめとけって」
頭を振り、溜息を零す。
確かにティアナ、女としてあまりに魅力的だ。
以前も素晴らしかったが、今はさらにそのプロポーションは肉付いて、制服の生地の中に窮屈そうに押し込められた様は男として劣情を感じざるを得ない。
だがしかし、そうだとしてもティアナはヴァイスにとって良き後輩であり、元部下の少女だった。
そんな相手に浅ましい欲望を抱くのは、やはり気が引ける。
それとも、自分もまた飲み過ぎてしまったのだろうか。
「水でも飲むか」
全てをアルコールのせいにしたい心地のまま、ヴァイスは台所に向かった。
□
「ん……あれ……私……」
二日酔いの頭痛、シワのついた制服の心地、見慣れない天井とベッドの感触。
それらに翻弄されながら、ティアナは眼を覚ました。
思考が明確な輪郭を得るには時間が掛かったが、最後に自分が何をしていたかはすぐに思い出せた。
「ヴァイスさんとお酒飲んで……それで」
ようやく記憶のピースが噛み合う、見慣れない寝室がどこなのかもある程度察しが付いた。
ふっと視線を周囲に向け、壁掛け時計を見上げる。
あれからもう何時間が経過している、時刻は既に夜明け前だった。
確認すると、体を支える力がふいに抜けた。
ぽすん、と、ティアナの体がまたベッドのシーツに沈む。
「情けないところ、見せちゃったな……」
酔い潰れてしまうような自分を晒して、ティアナは自分が情けなくなる。
ようやく念願の執務官になり、一人前の局員として、女として、しっかりしなければいけなかったというのに。
思わずベッドの上で身をよじり、枕に顔を寄せる。
すると、呼吸と共に鼻腔に流れ込んだ匂いが、彼女の意識をくすぐった。
「これ……ヴァイスさんの、匂い」
人肌、そして微かに煙草の匂いが混じった、彼の香り。
すぅ、と息を吸い込むと、アルコールとは別種の感慨によって体が火照った。
息を吸い、吐き、その度に胸いっぱいに彼の体臭を嗅ぎ取ると、脳裏に顔が浮かび上がる。
心臓の鼓動が速く、苦しさすら感じる。
正にその瞬間、唐突にドアが開いた。
「ティアナ起きてるか」
「ひゃッ!?」
いきなり呼びかけられ、ティアナは喉の奥から素っ頓狂な声を上げて跳ね起きた。
寝ていた為に寝ぐせのついた髪に、ほんのり頬を赤く染め、目を見開いて向き直る姿は、実に可愛らしいものだった。
ヴァイスは思わず苦笑して、手にした氷入りのコップを傾けてからんと音を立てる。
「おいおい、そんなに驚く事ぁないだろ?」
「あ、いえ……すいません」
さっと髪を手櫛で直しながら、ついと恥ずかしそうに視線を逸らすティアナ。
今しがた、彼の顔を想い、彼の匂いに酔っていた事を知られやしないかという、ありもしない想像が胸をよぎる。
-
無論、そんな事はつゆ知らずに、ヴァイスは近づくと手にしたコップを少女に差し出した。
「ほら、水だ。飲んでおけ」
「……ありがとうございます」
露の浮いた冷たいガラスコップの水は、手にした温度以上に冷えていて、酒気を帯びた体に沁みた。
喉を鳴らし、ティアナは一気に水を煽る。
飲み終えると、言わずとも彼は空のカップを受け取って手近なテーブルに置いた。
「少しは楽になったか?」
「……はい」
「まだ時間が時間だしな、朝までもうちょっと休んでいけ。俺の家じゃ大したもてなしはできないが、それまでベッドは好きに使って良い」
それだけ言うと、ヴァイスはくるりと踵を返して部屋を出ようとする。
その背中を見上げた時、ティアナはほとんど発作的に声を掛けた。
「あ、あの!」
「なんだ?」
「いえ……その……」
問い返され、言葉に詰まった。
真っ直ぐにこちらを見つめる彼の目、まるで心の奥まで見透かされるようで。
しばらく上手く口が動かず、ぎこちない沈黙を経て、ティアナはゆっくりと語り始めた。
「少しだけ……少しだけで良いんです……お話、聞いてもらえませんか」
□
執務官として事件を捜査するという事、それは様々な人間の業に触れる事であり、正常な者ならば目を逸らしたくなるような深い奈落を見る事である。
決して覚悟していなかったわけではない、自分が成ろうとする職業の職務について、十分理解はしていた。
フェイトの補佐官もしていたし、概要を知らないわけではなかった。
だが、それでも、現実という二文字の有する闇は小娘の覚悟を凌駕していた。
醜さと惨たらしさを煮詰め、さらに酷烈に凝縮した、人の姿の悪鬼野獣の諸々。
凶悪な事件や犯人に相対する現場の者ほど精神を病むという話があるが、ティアナはそれを自分で体験し、ただの風聞以上の現実を噛みしめる事となる。
フェイトであれば、頼もしい母や先達の兄がおり、悩んだ時、苦しい時、近しい家族に話すことが出来ただろう。
だが天涯孤独の、それも人一倍頑固なたちで弱みを見せたがらないティアナは、胸の内に鬱屈としたものを溜めてしまった。
慣れぬ酒に逃げて慰めを求めるようになったのは、ここ最近の話だ。
誰に悩みを打ち明けるでなく、ただ独り、黙々と酒を煽っては、限界になりベッドに倒れ込む、そんな日々。
しかし今、ティアナは目の前の男に、それまで溜め込んだものを洗いざらい晒そうとしていた。
-
少女は話した。
自分の直面した事件の数々、それらを執務官として解決しなければいけない重責、自分が感じた事、考えたこと。
ヴァイスはそんな彼女に反論するでもなく、意見を述べるでもなく、ただ黙って真摯に耳を傾けた。
じっと見つめる彼の深い眼差しを前に、訥々と語り続けたティアナは、ついに全てを語り終え、ぴたりと口を閉ざす。
「……」
話し続けて微かに乱れた呼吸のまま、静かに、ヴァイスを見る。
「あ、あの……」
言い淀む少女の肩が掴まれる。
見た目以上に、太く厚く、男らしい腕と胸板がティアナを抱き寄せた。
震える肩を強く掴み、彼の声が間近から囁く。
「もう良い」
「でも……私……」
「良い」
それだけ言って、ヴァイスは優しくティアナの背中を撫でた。
ぐっと彼に体を預けて、顔を寄せた少女は、その時初めて知る。
かすかに水気を帯びたヴァイスのシャツ、それは、自分の涙だった。
そう、自分は泣いていた。
自覚すると、それ以上の虚勢を張るのは不可能だった。
「……ぅぅ……ぁぅう」
喉の奥から溢れる嗚咽。
しがみついて、ティアナは泣いた。
思うままに、感じるままに、塗り固めた外面を捨てて、本当の彼女として、ティアナ・ランスターとして。
そんな少女を、彼はただ黙って抱きしめて受け入れた。
□
一体どれだけ経っただろうか。
長く感じたが、実際はそれほどでもないだろう、泣きに泣き、もうそれ以上吐き出す感情の濁りもなくなって、ティアナは顔を離す。
やや赤みを帯びた目元や頬、見られるのは恥ずかしかったが、それはもう今更だろう。
自分の晒せる恥は、彼に残らず見せてしまったのだから。
「ヴァイスさん……あ、ありがとう……ございました。すごく、楽になれました」
目元を拭いながら、素直な気持ちを言う。
俯いた少女の言葉に、彼はふっと笑って頭を撫でる。
「辛い事があったら、たまには誰かに甘えろ。お前は少し我慢し過ぎだ」
「……」
くしゃくしゃと頭を撫でられ、まるで飼い主に愛でられる子猫の心境になり、嬉しさと恥ずかしさでまた顔が赤くなる。
やり場がなく、口を閉ざして少し視線を逸らし、彼にされるがまま受け入れるしかない。
だがそれは、堪らなく幸せだった。
年上で、自分よりずっと経験を持つ彼の優しさや温もりに身を委ねる。
意識してしまえば、体の芯に火が点いたようになる。
とくん、とくん、鼓動と共に音を立てて脈打つ疼きが、下半身から。
想えばその気持ちには、もっと前から気付いてはいた、ただ、ティアナが強がり、虚勢の中に隠して見てみぬふりをしていたに過ぎない。
しかし、今この時、もうその気持ちを偽り続けるのは無理だった。
「ヴァイスさん……あの」
「どうした」
「私……私は……」
言葉を選ぼうとして、上手く舌が回らなかった。
-
執務官の仕事として犯人を尋問し、また裁判所で証言を述べる時には、どんな相手を前にも怯んだ事のないティアナだが、いざ切ない想いを胸にするとなるとそうもいかない。
しばし考えた末、彼女は最も短絡的で直情的な行為で心を伝える事にした。
「――ッ」
体ごとぶつかるように寄り添って、ぐっと顔を上げ――唇を重ねた。
目を瞑っていたし、そもそもキスをするなんて初めての事だった、歯がかすかに当たるようなぎこちなさで、だからこそ、無垢で穢れない乙女の気持ちをありのままにぶつけられる。
ヴァイスは突然の事にびくりを体を戦慄かせ、目を見開いて凝然とした。
さしもの彼も、これには平静を保っていられなかった。
ティアナがそっと体を離し、潤んだ瞳でじっと見つめる。
そのあまりに切なそうで愛らしい顔に、さらにヴァイスの胸はざわめく。
「ちょ、ティアナ、お、お前」
どうする、何を言う、今度はヴァイスが言葉に迷う番だ。
逆に少女といえば、もう覚悟を決めたのか、豊かな胸の前で手を固く握りしめて、思いのままに口走る。
「ヴァイスさん、私……す、好きです! あなたの事……好き、だいすき! お、お願いだから……私の事、受け入れてください!」
「まま、待て。いきなりそんな」
「ダメですか? 嫌ですか? わ、私じゃ……物足りませんか?」
まるで捨て猫みたいに寂しそうな、甘えた声で問い、涙目で視線を投げかけるティアナ。
それは正直に言って男からすればほとんど凶器のようなものだった。
体までご丁寧に押し付けてきて、たっぷり肉を乗せた二つの膨らみをぐいぐいくっつてくる。
当然ながらヴァイスはその感触に後ろへ下がろうとするが、ベッドの支柱に阻まれてしまう。
するとティアナは、興奮状態にあるくせに、彼の意識が自分の胸に行った事に気づく。
嬉しさが溢れた。
彼が、自分を意識している、自分の体を、自分の中の女を。
気付けば、胸元のボタンを外していた。
「あの……どう、ですか? 私の体って……魅力ないですか?」
ほんのり頬を染めたまま、甘く、誘うような声でぷつんと胸元を肌蹴る。
制服の上着とブラウスの間から溢れる、豊かで深い谷間。
大胆にボタンを次々外して行けば、白い柔肌と扇情的な黒いブラジャーとが目に焼き付く。
ヴァイスの視線はもうその魔力から逃れられない。
それでもまだ残っている理性が、口から溢れる。
「おい、ティアナ。止めろって。俺なんか、ダメだろ。お前ならもっと良いヤツがいる。俺なんかより」
彼の言葉は最後まで続かない。
ぐいと体をさらに突き出したティアナが否定した。
「違います。あなたじゃなきゃ、嫌……あなた以外の人なんて嫌です」
静かだが、その口調は確固たるものであり、絶対に譲らないという意思に満ちていた。
つまり、ティアナはもう決めてしまったわけだ。
ヴァイスを愛し、恋し、彼を求めて、自分の全てを捧げると。
ならば説得や熟慮などもう意味を成さない。
必要なのは、ヴァイスの決断だ。
彼は少女の想いに対し、どう応えるか、何を選ぶか。
諦めるように、彼は首を横に振った。
「ったく……バカが。後悔しても、知らねえからな」
呆れたような口調でそう告げて、ヴァイスは手を伸ばした。
さらりと流れる長い髪を一撫でするや、細い首を抱き寄せて、再び自分の方へと。
-
今度は胸板で受け止めない、顔と顔とを近づけた。
「ん……」
触れ合う唇、二度目のキス。
力強く抱きしめながら、ヴァイスは言葉でなく行動で少女に返答を告げた。
豊かな胸の弾力を体で受け止めながら、より一層力を込めて細い肢体を掻き抱く。
「ん……んぅ……ちゅ、ぷ……は、んぅぅ……」
ティアナの甘い吐息が溢れる。
口の中にねじ込まれる舌と愛撫が、彼女を見知らぬ場所までゆっくり案内し始める。
伊達に男としてティアナより長く生きていない、そのキスは勝手知ったるものだった。
舌と舌を絡められる快感にティアナの背筋がぶるりと震え上がって、目尻に涙の雫が生まれた。
「は……あんッ」
いつの間にか、力の抜けた体がベッドのシーツの上に押し倒されていた。
ぱっと乱れ、千々と広がるオレンジの長い髪。
着崩れた黒い制服に包まれた豊満な体が、なんとも色気を匂い立たせて。
自分もまた服を乱雑に脱ぎながら、ヴァイスは最後の確認をとる。
「じゃあ、抱くぞ」
乙女はその言葉に、こくりと頷き涙で応えた。
それは喜悦の雫だった。
「……はい」
後はもう、止まらない、止まれない。
ヴァイスは素早くティアナの胸元を左右に割った。
黒い制服と白いブラウスの下で篭められていた少女の肌の香りが広がる。
堪らない良い香りだった。
たぷ、と揺れる乳房、きっと機動六課時代よりずっと大きい。
黒い下着はその色香をさらにそそり立たている。
ウエストから絞るように肌を滑らせ、ヴァイスは大きな胸を掬うように揉んだ。
「あ、はぁッ!」
声も体も弾ませて反応するティアナ、若く瑞々しい体が震える。
感度は良いらしい、ヴァイスはたっぷり下着の上から揉みながら、手際よくホックを探して解除。
すると、はらりとブラは外れて、胸が全てを晒す。
綺麗なピンク色の乳首と乳輪が露わになる。
ヴァイスは慌てず迷わず、小さな肉の豆を指で摘むと……抓った。
「ひゃんッ」
とびきり甘い声を上げて鳴く。
やはりここは敏感らしい、なので、容赦はしない。
くりくりと弄り回して遊ぶ、その度に良い声でティアナは反応した。
大きさと硬さを増した乳首の感触が面白く、ついつい熱中して触ってしまう。
ベッドの上で身を捩る反応を観察すると共に、ヴァイスは今度はするすると下半身に手を伸ばす。
彼の責めは的確であり無駄がなく、容赦もなかった。
ぴっちりラインを描くタイトスカートの上から、まずはそのラインを愉しむように脚と尻を撫でる。
それからホックを外す作業に移った。
精密狙撃ライフルの極めて過敏なトリガーを絞る指先は、制服のホックもファスナーも造作なく暴き立てて解除した。
チー、と微かな音で降ろされたファスナー、緩められたスカートを手早く足元まで下ろす。
くびれた細い腰、肌は白く、それが黒いパンティストッキングとコントラストを描く。
ストッキングの下には縁に白ラインの入った下着を履いているらしく、うっすら透けるのがなんとも色っぽい。
-
これから抱くのだから、できればより艶やかな方が良い、男として抗いがたい欲求に流されるまま、ヴァイスはストッキングを容赦なく破った。
股の部分を大きく引き裂かれ、つんと女の香りが漂う。
既に、先の愛撫で十分感じていると見えて、太ももに伝うほど蜜が溢れていた。
黒いストッキングが破れて内ももを晒すのもエロティックだが、履いているパンツ、ブラと色を合わせた黒い瀟洒なデザインのそれも男心をくすぐる。
彼の芯もすっかり熱を帯び始めていた。
だが、焦らず、まずは慣らさなければ。
下着をずらし、入り口をのぞく。
経験は浅いと見えて、微かにだけ開いた花弁から、とろとろと透明の愛液が染みだしている。
ぷっくりと充血した陰核が、茂みの中から顔を見せていた。
ちろりと指先を一舐めし、ヴァイスはたっぷり蜜で濡れた入り口に這わせていく。
外側の縁に触れて行くと手の表面に愛液が滴り、さらにその水分をもう一度塗りこむように撫で上げ、陰核を軽く擦る。
「ぁああ……はぁ!!」
最も敏感な性感帯を触れられて、ティアナは体をベッドの上で仰け反らせて喘ぐ。
甘い声によって興奮を煽られ、劣情に火をくべられたヴァイスの責めは加速した。
クリトリスの皮を剥いて、守るもののなくなった豆を直接刺激し始めた。
今まで以上に乱暴で大胆な愛撫に、ティアナの腰が浮くほど跳ねる。
「〜ぃッッ!」
声はひきつった苦しげなものだった。
だが、その奥には確かに喜悦に蕩ける部分がある。
ヴァイスはころころとクリトリスを転がしながら、指で浅く膣口も弄りだした。
それまで男に抱かれた経験など皆無の乙女には、酷烈なほどの快楽だった。
まだ身に纏わりついていたブラウスや制服のジャケット、ストッキングをさらに汗で湿らせて、熱を帯びていく少女の体。
ぐちゅぐちゅと秘部を責め立てるヴァイスの指に従うように、何度も震えたその体は、ついに、一際大きく戦慄いた。
「あはぁああ!!」
びくんと背筋を伸ばし、ベッドの上で撓る体。
絶頂の余韻に染まり、恍惚と蕩ける表情。
まだ快楽が名残惜しいとばかりに小刻みに痙攣する柔肌。
指を離し、たっぷりと付着した愛液を舐め取りながら、ヴァイスの顔はどこか狩猟者のように笑う。
「まったく、こんなに濡らして。随分感じてるじゃねえか、もしかして結構経験あんのか?」
「ち、ちが……私……したことなんて、ありません」
「へぇ、処女なのか?」
「……」
快感で責め続けられ、涙でしっとりと潤んだ瞳を恥ずかしそうに逸らし、こくんと黙って頷くティアナ。
これだけ愛らしく、可憐で、堪らぬほどの肉付きの体をしていながら、まだ誰の手も付けられていないとは。
いよいよヴァイスの中で燃え上がるものも、その温度を灼熱に変えていた。
とっとと自分の服を残らず剥ぎ取り、いきり立つものを取り出す。
硬く大きく、浅黒い肉竿、狙いはぴたりと桃色の秘裂に向けられていた。
瑞々しい弾力の太ももを掴み、左右にぐいと開かせると、彼はその間に体を割りこませて、押し付けた。
「……ぁ」
粘膜に触れる粘膜、すっかり熱を帯びて濡れる秘所より、なお熱く感じるほどに。
-
期待と不安に鼓動が早まり、ティアナは息を呑む。
これから、自分がどうされるのか、どうなるのか、それを十全に理解していたからだ。
そんな少女の心中を察してか、ヴァイスはふと問いかけた。
「入れるぞ?」
「……はい」
声は小さかったが、返答は速やかだった。
ぎゅっとシーツを握りしめ、脚を腰に絡めてくるティアナ。
少女に迎え入れられるように、ヴァイスはそのまま体を沈めていく。
一回達するくらい弄っただけあって入り口は僅かにほぐれていた、だがさすがに初めてなので、きつい。
にち、にち、と狭い肉の穴をより硬い肉で貫き、押し広げる。
「あ……くぅ……」
涙目のティアナは苦しそうに切ない喘ぎ声を零す。
そんな表情さえ悩ましい色っぽさがあった。
ヴァイスは決心し、一気に腰を下ろす。
奥まで貫かれ、衝撃と熱を打ち込まれるティアナは体を振るわせる。
「はぁ……ぁッ……はぁあ!」
ベッドシーツの上に髪を振り乱し、喉の奥から甘い爛れた声を振り絞って、少女は喘いだ。
予想していたより、ティアナの反応に苦痛はあまり滲んでいなかった。
六課在籍時、またそれ以前から鍛え続けただけに、処女膜もとうに千切れていたのかもしれないし、痛みへの耐性が強かったのかもしれない。
どちらにせよ、それを認識したヴァイスは一層力強く動く事ができる。
細い腰を掴み、彼はたっぷり長いストロークをつけて奥まで突き上げた。
粘膜の擦れ合い、愛液が飛沫を散らすいやらしい水音。
ぬめるきつい肉壷の感触は素晴らしく、陰茎に絡みつくヒダの心地に陶然と意識が霞む。
貫く側も、貫かれる側も、共に快楽に染まって。
ベッドのスプリングの軋みの合間に、シーツの絹擦れ、肉と肉のぶつかる音、ティアナの嬌声、汗と肌の匂い、熱気。
荒い息遣いがそれら全てを混ぜ返す。
「あんッ! ひゃぁあ! す、ごい……あぁああ! ヴァイス、さん……ヴァイスさん! きもちいい、すごい……あぁぁ!!」
唾液まで垂らしたいやらしい表情で甘く鳴きながら、ティアナが背中に手を回し、抱きついて求めてくる。
突かれるたびにたぷたぷと揺れる巨乳が押し付けられ、なんとも肌に心地良い。
肉棒を締め上げる膣の感触も最高だった。
腰を振るにも力が入るというものだ。
額に汗を浮かせながら、ヴァイスは幾度も幾度も挿入を繰り返し、極上の肢体の味を噛みしめる。
もちろん、ティアナの嬌声も痴態もその都度に愛らしさといやらしさを増していく。
だが何時までもその饗宴は続かない。
塗り重ねられる快感を前に、とうとう込み上げる絶頂の限界が近づいていた。
「ティアナ、そろそろ……」
言葉と共に、彼はさらに動きを早めて抉り込む。
奥へ、奥へ、自分自身を打ち込んで、貫くように。
震えながらもティアナは懸命にすらりと伸びる脚を腰に絡みつかせ、彼の全てを受け入れる。
そしていよいよ――放たれた。
まるで予測できないタイミングで、体の奥にぶち撒けられる何か。
粘り気があり、粘膜に負けじと熱く、大量に。
「あぁッ……はぁあ……んッ……でてる……すごい、いっぱい……ふぁぁんッ」
陶酔に浸りきった声で、ティアナはその感覚に溺れた。
どぷどぷと注がれては溢れ、尻まで伝って垂れる粘液、ヴァイスの放った白濁、子種。
過剰なほどの快感と体力の消耗、だがそれは、今まで自分を蝕んできた重責や苦悩から全て解放されるような心地だった。
「はぁ……ぁ」
どさりと、ベッドの上に体を弛緩させ、投げ出す。
-
荒く乱れた息遣いの中で疲労感に満ちていたが、同時に堪らなく幸せだった。
大好きな人を求め、求められ、こうしてぬくもりを貪る、その悦び。
自然と目尻から涙が一筋流れていた。
「大丈夫か」
そんな自分を案じるように、濡れて張り付いた前髪を払い、覗きこむヴァイスの顔。
ティアナは黙って、こくりと頷いた。
そうか、と彼は理解し、ふっと笑う。
そして顔を近づけて、唇にキスをした。
短く甘く、優しいキスだった。
「ヴァイスさん……」
離れる彼の顔を、切なそうに、愛おしそうに、見上げる。
厚い胸板にまた頬を寄せて抱きついて、ティアナは万感の想いを込めて囁いた。
「すき……だいすき」
そうして、肌と肌、心と心の温かさを共有する。
その日ティアナは、朝までずっとそうしていた。
終幕
-
投下終了
たまにはヴァイティアも良いな
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>>734
続きはよ!
>>754
ひゃあ!久しぶりのヴァイティアだ!!
-
執務官の制服着たティアナはやたらエロいよね
それにしても執務官になってからおっぱいが一気に大きくなったり大人っぽい下着を着けるようになったりと
色気が大幅に増したのはやっぱフェイトそんの影響なのかねぇ
-
悪い先輩と真面目な後輩の組み合わせはやはり( ・∀・) イイネ!
-
投下します
ヴァイシグのエロ
-
ヴァイ/シグ/おしゃれ
「あれ」
ぽつりと、はやては声を零す。
彼女の視線の先には、今まさに玄関で靴を履き、出かけようとするシグナムの姿があった。
果たしてはやてに怪訝な顔をさせたのは何だったのか。
ともあれ、彼女は声を上げて呼び止めた。
「ちょ、シグナム?」
「はい」
くるりと振り返り、視線を向ける烈火の将。
こちらを向いたその立ち姿を前に、はやてはいよいよくらりときた。
「なあ、シグナムこれからどこ行くん? 近所?」
「え? いえ、今日はその……ヴァイスと外に、買い物など」
「それ……まじなんか」
「はあ、そうですが。何か問題でも」
「問題もなにも……」
はやてが何故曇った顔をしているか分からず首を傾げるシグナム、そんな仕草に、さらにはやては暗澹たる顔をする。
ヴァイスと出かける、昔からの部下でありそれなりの二枚目である彼と、最近ともにシグナムが懇意にしているのははやてもうすうす知っていた。
つまりは逢瀬である。
だがしかし、そんな場に行く将の姿は、おおよそ年頃のはやての価値観からしてありえないものだった。
「シグナム、その服どこで買ったん?」
「ユーカドーですね」
「……ッ」
はやて絶句。
(なんやて……ユニシロやイマムラでさえなく……ユーカドー!? おばちゃん? 中学生!?)
改めてはやては上から下からシグナムの服を見た。
冴えないネズミ色のパーカー、だぶっとしたサイズでせっかくのプロポーションを微塵も生かしていない。
シャツの袖、色気のないショートパンツ、色はおばちゃんが着てそうな感じの紫。
変なデザインのショートブーツの履き口まで紫の意匠なあたり、魔力光のパーソナルカラーで気に入ってるのだろうか。
やはり全体的なイメージとしておばちゃんか中学生の格好を思わせる。
断じてこれから男と会いに行く妙齢の美女のする格好ではなかった。
「な、なあ……なんでユーカドーで買ったん?」
「え? 家の近所ですし」
「……」
無言で額を抑えるはやて、ずきずきと頭痛がしてきた。
これが古代ベルカ式の人間とのギャップなのか、それともシグナムが不精なだけなのか。
ともあれ、どちらにせよ看過するわけにはいかなかった。
「シグナム、ちょい待ち。うん、ストップや」
「何か問題でも」
「問題おおありや! ちょっとそこで待っとって!」
とうとう大声を張り上げたはやては、ぐるりと踵を返して階段を駆け上がる。
どたどたと廊下を突っ走る音、ドアをバッターンと開ける音、そして「シャマルー、この前買ったは良いけど着るの恥ずかしくて押入れの肥やしになっとるエロ服あったやろ、あれ貸して」という声、「ちょ! い、いきなりなに!? っていうかはやてちゃんなんでそんな事知ってるの!?」という声「ああもう、ええからはよ貸して!」という声が響いた。
シグナムはただぽかんと棒立ちになっていた。
十数分後、自分が服を剥かれて無理矢理着替えさせられる運命にあるとは、まだ知らない。
□
「んー」
特に意味のない呟きと共に、ヴァイスは腕時計を見下ろす。
針が示す時刻は、とっくに待ち合わせ時間を過ぎていた。
これは珍しい事だった。
-
大抵の場合、シグナムはまず待ち合わせに遅れる事はない、予定よりかなり早く来る方だ。
それが今日に限ってどういうわけか、遅れている。
緊急出動でもあったのかと思うが、それなら一報をくれてもおかしくない。
こちらから連絡するのも気が引けて、結局ヴァイスは腕時計とにらめっこをしながら待つばかり。
だが、その無為な時間は唐突に終わりを告げる。
「お、おい……」
消え入りそうな、聞き慣れた声が背後から呼びかける。
振り向くと、彼女はそこに居た。
見慣れた顔、見慣れた美貌、烈火の将シグナム。
「すまん……その、少し着替えに手間取って、な……」
「――ッ」
だがその姿はあまりにいつもと違った、違いすぎた。
ヴァイスは呆然となって硬直した。
そんな彼の視線を前に、シグナムは頬を赤くして顔を逸らす。
「あ、あまり……見るな」
羞恥心に満ちた声音が、古強者のベルカ騎士に似合わぬ、可憐なほどにか細く囁いた。
しかし、そう言われたところで、ヴァイスは無遠慮な視線を向けざるをえなかった。
それほどに、今のシグナムの格好は艶っぽい。
いつもはポニーテールに結っている髪を下ろし、普段はあまり飾らない素顔には薄くメイクが施されている。
淡いルージュの色だけでもほんのり色香を漂わせる。
だがそれ以上に、着ている服の破壊力は凄まじかった。
今彼女が纏っているのは、ホルターネックタイプのシャツ。
ホルターネックとはつまり、首に掛ける形で体の前を隠すようにするデザインだ。
何か他の服を纏うならばまだしも、それだけでは必然的に首も、肩も、背中も露わになる。
白い、ミルクを溶かしこんだような柔肌があちこちでそのきめ細かいなめらかさを魅せつけて止まない。
おまけにシグナムが着ているものはスリットが凄まじく深く、深い深い胸の谷間を余さず露出しているのだ。
脇部分の生地も心許なく、乳房の側面と下面が悩ましい曲線を晒す、もしかすると胸の膨らみは三分の二近い部分を出しているのではないだろうか。
ちなみにこれはシグナムのサイズがシャマルより大きいから余計にそうなっているらしく、ウエストは合っているがバストは少しきつい、と苦言を漏らしたところ、シャマルは泣いた。
そして、上に着たホルターネックシャツに負けじとばかりに、下に穿いたスカートも手抜かりはない。
すらりと伸びた脚線美と豊かなヒップラインを活かす、タイトなミニスカート。
ソックスの類はなく、眩しいばかりの脚が膝、くるぶしまでの完璧な美しさを引き立たせる。
靴はそつなくハイヒール、これも普段のシグナムなら装飾美を求めた高い踵を嫌ってまず履かないだろう。
上から下まで、まるで見違えるようだ。
普段なら微塵とて服装を気にかけぬ彼女が、もはや別次元の領域で全身でセックスアピールしている。
周囲を歩く人々の視線をちくちくと肌に感じるのか、腕でぎゅっと体を掻き抱くシグナムだが、そんな事で隠せるほど彼女の体は貧しくなかった。
豊か過ぎるほどに豊かなのだからしょうがない。
「いやぁ、これは」
そんな彼女をまじまじ見つめながら、ヴァイスは頭を掻いた。
やはり、男としては、言わねばなるまい。
「姐さん、えっと。すげえ似合ってます。綺麗っすよ」
好きな女が着飾ってきたのだから、男ならばそこで言わなければならない義務というものがあった。
率直に世辞を述べられて、一層シグナムの顔が赤く染まる。
嬉しさと恥ずかしさがないまぜになり、白い柔肌が目に見えて紅潮するのがすぐ分かってしまうのはなんとも愛らしかった。
「あ、ありがとう……」
などと、消え入りそうな声で言うのもまた、堪らない。
今すぐこの場で抱きしめてやりたい衝動を抑えて我慢する。
「じゃ、行きましょうか」
「ああ……」
まだ恥ずかしそうに俯いているシグナムの手を取って、歩き出した。
触れた指は、細くしなやかで、ほんのりと温かかった。
□
買い物と言っても、さして何かこれといった目的のある行程ではなかった。
足りなくなった生活必需品の幾つか、それと買い換えようか悩んでいる家具の品定め、他には用向きのない店を軽く眺めて歩くだけというのもする。
何を買うかというのはそれほど重要ではなかった、大事なのは、隣に誰が居るかという事だ。
そういう意味ではその日のシグナムは正に最高だったと言える。
-
ただ傍に居てくれるだけでも十分ヴァイスは幸せだが、なにせ今日の彼女は、格好が格好である。
持ち前の美貌と完璧なプロポーションをこれでもかと強調し、魅せつける華やかで色香の漂う装いは、やはり男して見ていて目に良いものだし、侍らせて歩けば道行く人々、とりわけ他の男の羨望の眼差しが痛く、同時に小気味良い。
いい年をして餓鬼っぽい見栄と言われればそれまでだが、男なんて皆そんなものだ。
だが、ふとヴァイスは不思議に思うことがある。
(にしても、姐さんはどうして今日はこんな格好で)
当然の疑問だった。
シグナムは今日一緒に外を歩く中で、ずっと恥ずかしそうに周囲の視線が自分に向けられるのを気にしている。
普段はこんな華美な格好などしないのだから、慣れていないのだろう。
だがその服を選んだのは自分だろうし、少しくらい好奇の眼差しを受ける事は想像に易い。
はやてが無理に着せて行かせたものだと気づかないヴァイスは、なんとなくその一点が気になって引っかかる。
そんな彼の思考を、傍らから呼びかける声が中断した。
「なあヴァイス」
「あ、はい。なんすか姐さん」
「少し降ってきていないか?」
「え? ああ、ほんとっすね」
言われてようやく気付いた。
指と手を広げて空を仰げば、いつの間にか夕を迎えた赤い空に鈍色の雲が流れ、冷たい雨粒が少しずつ落ちてくる。
予報では、果たしてどうだったろうか、降水確率は僅かに高めであった気がする。
日が落ち始めて、冷えた夜気まで風を生む。
当然の事ながら、いつもより露出の多いシグナムは自分の肩に手で触れて微かに震えた。
「冷えてきたな」
何気ない囁き。
ただそう告げた声音だったが、華やかで色気漂う格好をしているだけに、何故か普段とは比べ物にならない魅力を漂わせている。
彼女がふと魅せる麗しさに魂を抜かれたような顔で魅入られながら、その瞬間、ヴァイスの思考はある考えを巡らせた。
(まさか……まさか、姐さん)
そうだとも、シグナムほど聡明な女性が、まさか何の意図もなしにこれほど装いを変えるだろうか。
いや、そんな筈がない。
もしも、だ――この全てが綿密な計算の上に成り立っていたとしたらどうだ。
露出度の高く、そしてエロティックなおしゃれをしてデートに来る。
当然自分はドキドキするし興奮する。
そして折しも雨が振り、気温が下がる、薄着のシグナムは寒がる――その結果、極めて自然に【言い訳】が成立するではないか。
(姐さん……まさか……まさかっすか!?)
脳内に生まれ出たその仮定に戦慄すると同時に、ヴァイスは思わずガッツポーズしたくなるほど嬉しさが込み上げてきた。
そうとも、男ならば嬉しいに決まっているではないか。
体の芯にふつふつと生まれる熱と衝動を抑えながら、ヴァイスはよしと頷いた。
「ね、姐さん……」
「なんだ?」
きょとん、とシグナムが首を傾げる。
結構演技派なんだな、という間違った感想を抱きながら、ヴァイスは努めて平静を装って告げた。
「寒くなってきましたし、ちょっとどこか寄りましょうよ」
「どこか? まあ、少し寒さを凌げれば確かに嬉しいな」
「ええ、ええ、行きましょう。はいッ」
逸る期待に必要以上に語尾を強めながら、ヴァイスは何度も頷いてシグナムの手を取った。
-
彼の想像は誤りであり、シグナムの装いは彼女の意思ではなかったのだが、それを正す人間なぞ誰もいない。
□
やや薄暗い部屋だった。
照明はもっと明るくなるよう設定できるのだが、施設の運営指針上、最初からある程度落とされて点灯するようになっている。
部屋の狭さに比してベッドは大きく、ただ宿泊するだけのホテルよりも頻繁に取り替えられるシーツは白く清潔だ。
ベッドから見える位置に、バスルームを透かす曇りガラスが在るのが、実に雰囲気を出していた。
つまりそこは、
「な……なんだ、ここは……」
「え? いや、ラブホっすけど」
であった。
まさか、まさかと、部屋に来るまで信じられなかった、というより信じたくなかったシグナムが、いよいよ顔を真赤に染め上げた。
「な、なぜこうなった!?」
まさしく彼女の心中はその一語に尽きる。
今日はただちょっと、二人で外を練り歩いて羽根を伸ばすくらいの気持ちだったのに。
いつの間にかいかがしいホテルでいかがしい行為に及ぶ寸前だった。
いや、決して嫌ではないというか、むしろ彼と触れ合う心地は好ましいと思っているのだが、如何せん今日は心の準備というものがなかった。
そんな彼女を前に、ヴァイスはとっくに準備も覚悟も完了しており、とっとと服を脱ぎだしていた。
「まあまあ、姐さんもまんざらじゃない、っつうか、むしろ誘ってたんじゃないっすか」
「さ、さそう!? ちょっと待て、私はそんな……」
「まあまあまあ」
「や、まて……あ、ま、まだ心の準備が……おいッ……んぅぅ!?」
顔を真赤にして体を掻き抱き、恥じらっていたシグナムだが、ヴァイスの手は強引に彼女を引き寄せた。
言葉は唇で塞がれ、さらに差し込まれた舌で意識も乱された。
キス、それも、ただ繋がるだけではない、深く、熱いものだった。
やおら唇を割り、絡みついてくる舌の感触に、シグナムは甘い声を漏らして震える。
「はぁ……んッ……ふぅんッッ」
最初こそ行為に抵抗があったシグナムだが、ひとたび唇を奪われれば、従順になってしまう。
強引にベッドに押し倒せば、もう四肢に力はさして入らなかった。
ふわりと白いシーツの上に桜色の髪が散り、白いしなやかな手足が組み伏せられた。
激しくキスをして唾液を混じらせるごとにその肢体がくねり、水音と悩ましい吐息が溢れて。
舌で口の中をたっぷり味わってから、ヴァイスはようやく口を離す。
「ぁ……」
見下ろす彼女の顔、とろんと目尻を下げて、頬を淡く染めた、自分を見上げる愛らしい表情。
普段は凛然とした騎士であり、古強者のベルカ騎士の彼女だが、床の上ではどこまでも乙女だった。
「ほんと、姐さん可愛いっすね」
「ば、ばかもの……」
かぁ、と耳まで真っ赤に染めて、蚊の泣くような声を零す。
ヴァイスはその紅潮した耳に誘われるように、ちろ、と舐めた。
敏感な場所を突然愛撫されて、シグナムの全身が戦慄く。
「ひゃ! ちょ……くすぐった……はんッ」
可愛らしい悲鳴で聴覚を、ベッドの上に広がるストレートに下ろされた髪の香りで嗅覚を、ヴァイスはそれぞれに愉しむ。
それだけでは当然飽き足りず、手は獲物を求めるように這い、シグナムの細い腰から回って背中に触れる。
そこでやはり、今日のこの大胆な服が効果を発揮した。
-
脇腹から谷間、背中まで露出しているホルターネックシャツ、背後に手を回せば当然ながら剥き出しの背中に触れられる。
しなやかで引き締まった腰、無駄な贅肉がなく、すべすべとした肌の感触が心地良い。
背骨の突起を緩く撫で、肩甲骨のラインまでなぞる。
普段あまり触れられない場所なだけに、敏感なのかシグナムは一層感じていた。
しかし背面ばかりではやはり寂しい、彼の手は慣れたものを求めるようにするりと脇腹をめぐり、前面へと移る。
今度は体の前を隠す布の内側に入り込んだ。
脇腹から下乳の空間へと。
敢えて性急に服は脱がさず、露出度の高い服の間からこぼれ出ている肌だけを、ねっとりと舐め回すようにまさぐるのだ。
「ふぁあッ……んッ……ヴァイス、お前……今日は、なんだかねちっこいぞ……ふぅッ」
少し睨みつけるように目を細めて訴えかけるシグナム。
ヴァイスはほとんど無視して愛撫を続けた。
案の定、服の露出度を活かすためにシグナムはブラをしていない。
豊かな乳房を下から掬うように持ち上げると、柔軟に形を変える乳肉が手にしっとり吸い付いてきた。
柔肌の温もりを貪るように、するすると手を上へ伸ばしては、シグナムの爆乳を愛撫する。
乳房の先まで撫でたところで、ヴァイスはある事に気付いた。
肉豆を隠すように在る、肌と異なる感触に。
「ああ、そっか。下着付けてないから」
それはニプレスというものだ、下着を付けられない時などに乳頭が浮かないように貼り付ける。
下着を脱がすのとはまた違う面白み、服の中に突っ込んだ指でそれを剥がす。
ぺりぺりと軟質素材の薄片を剥ぎ取ると、ベッドサイドに放り投げた。
そうしてしまえば、ぷっくりと浮いた乳首、乳輪の盛り上がりまで、服の上からわかるほどに。
魅惑の膨らみを、ヴァイスは指の腹で優しく、服の上から撫でた。
「ぁ、ぅ……はぁッ」
薄布一枚を挟んだもどかしい刺激に、シグナムの声が甘く霞んだ。
その媚態に今すぐ犯してやりたい欲望が湧き上がるが、敢えてそこは抑えて、ヴァイスは焦らすように責める。
服の上からグミのような弾力の乳首を転がし、他の指では乳房全体も揉む。
ついでに口も寂しそうにしていたのでキスで塞いでやる。
「んぅ……んちゅ……は、ふぁ……」
舌を再びねじ込むと、蕩けきった表情のシグナムは自分から舌同士を絡めてきた。
よほど胸を弄られるのが感じるのか、もじもじと動く太ももの内側には、透明な蜜が幾筋も垂れていた。
いつしか乳房をまさぐっていた手の片方が、柔肉を離れて、下へ下へと向かう。
タイトミニのスカート、そのぴっちりとした生地を撫でながら、瑞々しい太ももに触れる。
きめ細かい柔肌は水気を帯び、一層そのなめらかさを引き立てていた。
張りの在る脚の感触で指を馴染ませ、今度は上へと滑らせて、行き着く先は二本の脚の間。
股ぐらに触れる。
そこはすでに大洪水の有り様だった。
下着の用をなさなくなった薄い布切れが、その下に秘した肉の柔らかさを存分に伝えてくる。
指をさらに沈める。
ぐちゃり、と淫猥な水音を立てて、割れ目に沈み込む感触。
その刺激に、シグナムの全身がぶるりと震え上がった。
「あッ……はぁああ……あああ!!」
硬直し、そしてすぐにぐったりと弛緩する肢体。
絶頂したのは明白だった。
-
彼女を抱くようになってある程度知ってはいたが、まさかここまで敏感だとは。
「姐さん、もうイッたんすか? ちょっと早すぎんでしょ」
「う、うるさい……言うな」
真っ赤に染まった顔を手で隠し、恥ずかしそうに言うシグナム。
しかしそんな事を言われたら、余計に苛めてやりたくなるのが男心というものだ。
ヴァイスは手をスカートの中から引き抜くと、これみよがしに指の間で糸を引く愛液を見せつけながら、言葉と言うなの牙で彼女の羞恥心にかぶりついた。
「ちょっと触っただけなのに、こんなに濡らしてまあ。普段は凛々しいベルカ騎士の姐さんが、ベッドの上じゃ淫乱女だなんて、知ったらみんな驚くでしょうねぇ?」
「バカ! い、言うな……もう……」
涙目できっと自分を睨みつけるシグナムだが、快楽に蕩けて目尻を下げ、とろんと涙で潤んだ瞳で睨んだところで怖くも何ともない。
むしろ、一層愛らしく感じるし、彼の中の嗜虐心に火を点けてしまう。
口角を釣り上げてイヂメる楽しさも露わに、ヴァイスは再び手をスカートの中に突っ込んだ。
「んな事言われても、ほんとの事っすよ。ほら、すげえビショビショだし」
「ひゃぁ! ちょ、やめ……ひぃああ! い、今イッたばかり……はぅう! あぁああ!」
今度の責めはなお苛烈で、下着をずらしてすぐさま内部に侵入してきた。
一体今まで幾度されたか分からない愛撫、その手慣れた指先が陰唇を広げ、入り込み、ヒダを掻き分ける。
絶頂に達したばかりで敏感な体に、さらに快楽を刷り込まれる。
震える脚で悶え、手がかりを求めてシーツの上を手が泳ぐ。
喉の奥から溢れる吐息は甘く霞んでいた。
「やめ、ろ……んふぅう! だめ……やぁ……また、くる……」
ぎゅっとシーツを握りながら懇願するシグナムだが、むしろその蕩けきった声で余計にヴァイスは強く指で掻き回す。
ぷつぷつざらざらとした柔らかい肉のヒダ、膣壁の表面の中に、一点だけみょうなしこりがあった。
腹の方、天井側にあるちょっとした盛り上がり、そこをヴァイスは逃さずに指で擦った。
女の性感帯の一つ、Gスポットというものだ。
もちろん、シグナムの体を何度も抱いて愛してきたヴァイスには勝手知ったる場所である。
触れれば、とたんに彼女の喘ぎ声はトーンが上がり、体もぎゅっと強く震える。
上に、下に、何度も擦るうち、とうとう限界は訪れた。
「だめ……こんな……あぁぁ……はぁんッッ!!」
甲高い嬌声、ベッドの上で撓る柔らかな体。
挿しこんだ指の間から、ぱっと愛液の飛沫が勢い良く散った。
潮まで吹いて絶頂したシグナムは、さながら陸揚げされた魚のように喘ぎ、二度に渡る快楽の波濤に翻弄される。
荒く息をしながら潤んだ瞳を細める様は、なんとも淫らで愛らしい。
ヴァイスはそんな彼女を前に、そろそろ我慢の限界を迎えつつあった。
ぐっと両脚を大きく広げさせ、その間に自身を割りこませた。
既に硬くなっていたそれは、ぴたりと狙いを入り口に添えた。
「はぁ……あ……ぇ?」
くちゅ、と、濡れた蜜壺に触れる、硬い何か。
連続した絶頂で息も絶え絶えのシグナムは、すぐにそれが何であり、自分が何をされようとしているか気付けなかった。
愛らしいほどに無防備な表情に、嗜虐的な笑いを浮かべながら、ヴァイスが囁く。
「それじゃ、お邪魔しますね、っと!」
「〜〜〜ぃッッ!!!」
ズン、と奥まで来る衝撃、熱さ、硬さ――そして快感。
あまりの事に、声にならない声がシグナムの喉奥から溢れた。
二度に渡って重ねられた快楽の上に、さらに苛烈な快楽を上塗りする。
太く逞しい肉棒に内部から擦られ、押し広げられ、奥の奥まで貫かれて。
しかも、ヴァイスはなお一層、そこに激しい動きを加えた。
細くくびれた彼女の腰を掴んで、全身でぶつかるように腰を前後させる。
子宮口あたりまで小突かれる感覚が、ダイレクトに快感を生んで脊髄を駆け登る。
-
あまりに過剰な快感を前に、シグナムはひきつった甘い声を出した。
「やぁッ……はぁああ! だ、だめ……やめ……やめろ……イッたばかり、なんだぞ……ふぁあああ! やめ……おかしく、なるぅッ」
桜色の髪を振り乱し、目尻にたっぷり涙の雫を溜めて泣訴するシグナムだが、その可憐な仕草といい、彼女の体がもたらす快感といい、とてもではないが止めてやるわけにはいかなかった。
狭い蜜壺の中では、つづら折りのように重なった肉ヒダの一つ一つが絡みつき、迎え入れた彼に纏わり付いて、極上の快楽を与えていく。
あふれる蜜が飛沫を上げるたび、まくり上げたスカートは濡れて、膣の締め付けも強く緩急を付けて。
ヴァイスは応えるように掴んだ彼女の腰を、一層強い力で引き寄せ、代わりに腰を前へ上へと叩きつけた。
子宮口の付近は、開発すれば女の性感帯の中ではクリトリスよりも強い快感を生む。
そのポルチオ性感まできっちり開発済みのシグナムは、奥まで硬い肉棒で突き回される感覚に、視界が明滅するほど強烈な甘い快楽に責められる。
「はっ、ひぅッ! はぁああ! ぁあああッ! だめ……だめ、だ……また……イク……ま、って……だめぇ……」
弱々しい甘い声、幾度も幾度も快楽漬けにされた体は上手く言葉を出せず、言葉尻まで蕩けている。
唇の端からだらしなく唾液まで垂らした顔は、完全に発情した雌さながら。
突き上げる度に顔は陶酔に溶けて、ホルターネックの服に包まれた乳房が窮屈そうに揺れる。
ヴァイスはふと誘惑に駆られて、胸を隠すシャツのきわどい布を横にずらした。
乳房の弾力から、ぷるんっ、とはちきれんばかりの二つの塊がまろび出る。
すっかり充血して紅潮した白い肌、乳首もぷっくり膨らんで、汗の雫をあちこちに滴らせている。
ヴァイスが動き、膣の奥まで突き上げるごとに、その魅惑の肉塊は、揺れて、弾んで。
誘われるように彼の手はその二つの塊を掴んだ。
ぎゅう、と力を入れると、指の間から溢れる白い弾力に溢れて、それでいて柔らかい乳肉。
揉みしだき、捏ね回し、ついでに硬くなっていた乳首もこりこりと抓ってみる。
途端、膣内がぎゅうと締まって、ヴァイス自身を締めあげた。
そのあまりの快感に、ヴァイスは眉間にシワを寄せた。
「姐さん、乳首弄るとすげえ締まりますね……すげぇ、気持ちいいっすよ」
「や! はぁああ! ち、ちくび、そんな……ふにゃあぁ! つ、つねるな! それ、かんじるぎる……からぁ……」
「そっすか、じゃあ遠慮無く」
「ふぅあああああ!!」
より強く乳首を抓り、同時に腰も突き上げて奥まで肉棒を挿入する。
子宮口まで小突かれる感覚、敏感な胸を弄られる感覚、相乗効果で釣り上がる快楽に、シグナムの声はもうこれ以上ないほど甘くなっていく。
もう限界だった。
体重を掛けて沈み込む彼の体が、その勢いも動きも、全てを結合した肉と肉で擦れさせる。
脳髄の奥まで染みこむような快感、神経を焼く快楽の波。
思考はとうに霞んで用を成さない。
シグナムに出来る事は、ただシーツを掴み、彼の腰に脚を絡ませて、この快楽という責めを受け入れるだけ。
目の前まで近づいた絶頂の予感に、白い肌が小刻みに震える。
「ああぁ……もう、だめ、だ……くる、きちゃう! もう……はぁあああああああ!!!」
その瞬間、視界が真っ白に染め上げられた。
折れんばかりに仰け反り、痙攣するシグナムの体。
二本の脚はヴァイスの腰をがっしりとホールドし、強く抱きつく。
ぶるぶると震える体、痙攣して締め上げる膣肉が相手へも快楽を与える。
その締め付けと摩擦力を前に、ヴァイスもまた限界を迎える。
「くッ、ふぅ……出る」
呻きにも似た声、その刹那に、どっと溢れるものがシグナムの中へと吐き出された。
どろどろと粘り気のある白いマグマ、子宮口まで押し付けられた亀頭が、次々と休む事なく垂れ流す。
熱い、熱い、白濁、彼の精液。
注がれる度に、もう限界だと思っていた快楽が、なお一層深い甘さを帯びていく。
それはもう、底なし沼のようだった。
「はぁ……あぁあ……ああぁぁ」
シグナムに出来た事と言えば、ただそれだけ、蕩けきった表情で、甘い吐息を出して、彼に抱きつく事だけ。
汗で湿った前髪が顔に張り付き、表情は理性を捨てて媚態を生む。
-
ぎゅうと彼に抱きついて、胸を押し付けながら、顔を寄せる。
「ヴァイス……ヴァイスぅ……すき……キス、して」
本能のままに愛を求め、囁いた。
彼女の甘い懇願に、彼はすぐさま応える。
そっと首に手を回し、より抱き寄せたかと想えば、唇と唇とを重ねあわせる。
「んぅ……」
か細い吐息を零して塞がる口。
侵入してきた舌に、シグナムも自分の舌を触れ合わせて、貪る。
時間を掛けて味わった後、離す時には、二人の間を濃い唾液の橋が繋いでいた。
そして、シグナムの中の彼は、まだ硬い。
「姐さん、まだ良いっすか?」
彼が何を欲しているか、言うまでもない。
それを十全に理解した上で、シグナムはこくんと小さく頷いた。
それ以上、意味を有する言葉はいらなかった。
室内にはその後、ただ女の甘い声が、幾重にも重なって響き渡った。
□
「あら」
後日、八神家の邸宅で、シャマルがきょとんと首を傾げながら、訝しむような声を零した。
庭先に干した洗濯物の中、ある着衣を目にしたシャマルは目を眇める。
それは、先日外に出かけるシグナムに貸した一着だった。
なぜか帰宅したシグナムは頑なにすぐ返す事を拒み、洗濯機に放り込んだのを思い出す。
ホルターネックのシャツ、タイトなミニスカート。
過激なほど露出度の高い衣装は、今想えば恥ずかしくなるほど凄まじい格好だが。
むしろシャマルの視線を惹きつけたのは、淡青色のシャツの表面についた汚れ。
「……ぇ」
じっと、シャツの生地を掴んで、引き寄せて、見つめて、シャマルの口から素っ頓狂な声が出た。
それはシミだ。
白いシミ。
乱雑に洗濯機に突っ込んで洗っただけでは落ちなかった、白いシミ跡。
それはシャツからスカートから、点々と付いていた。
一体、なぜそんなシミがついたのか、そのシミはなぜついたのか。
しばらく考えれば、答えはすぐに出た。
「ま、まさかこれ……ヴァイスくんの」
瞬間、シャマルの顔は火が点いたみたいに真っ赤になった。
もちろん、頭の中ではあられもない妄想が次々に駆け抜けて、一層拍車をかけて羞恥心を焦げ付かせる。
「や、やだもう! やだもう!」
真っ赤になった顔を手で隠し、いやんいやん、と身をよじるシャマル。
きゃー、と言いながら、彼女は二枚の着衣をひっつかみ、今度こそ痴情の跡を消すために念入りに洗濯したのだった。
さらに後日、シャマルはその服を、もう着る気がない、と言ってシグナムに譲っている。
余談であるが、しばらくの間シャマルがヴァイスを見る目が幾分か変わったという事はここに記しておく。
終幕
-
投下終了
ヴァイティアのあとにこれ書くとなんか浮気してるみたいでドキドキするね!!
-
GJGJ、安定のヴァイシグでした
>浮気
次はヤンデレたティアナがドロボウ猫なシグナムを攻めるんだなわかります
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いや、ヴァイシャマか。
-
久しぶりに投下いきます。
久しぶりのエリキャロです。
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2周と4分の3。
それが、この日のトラック10周ランニングで、キャロのとった遅れだった。
一位はぶっちぎりでスバル。二位のエリオに約半周の差をつけてのゴールだった。
負けず嫌いの血が騷いだのか、ティアナは終盤エリオとの差を後僅か十数メートルという所まで縮めたが、惜しくも届かず。
そのティアナから、2周と4分の3の差をつけられた、ぶっちぎりでぶっちぎりの最下位がキャロであった。
肩を前に出したへろへろとした足取りでゴールラインをくぐり、へう〜と悲鳴とも嘆息ともつかない声を漏らしてグラウンドに転がり、エリオが差し出したスポーツドリンクのボトルのストローを口に含み、乳飲み児のように
ちうちうと吸うこと数分。
キャロが漸くまともな思考力を取り戻した時には、エリオの膝枕の上に頭を転がしている己に気付き、慌てて撥ね起きた。
ぺとり、と額を濡らしていたタオルが砂地に落ちる。
全ては、『今日はタイム計ろっか♪』という、邪智暴虐の高町教官の一言から始まった。
絶対一位を獲ってやる、とスバルは鼻息荒く、仕方ないから付き合ってやるか、とでも言いたげなティアナも、易々と勝ちを呉れるつもりは更々無い様子。
六課のフォワード陣の間で、いざ真剣勝負と言わんばかりの緊張した空気が流れ、ここに、トラックランニングガチンコ勝負が開催される運びとなったのだ。
結果は前述の通りである。
元来激しい運動は不得手なキャロだったが、連日のフィジカルトレーニングによって、
『少しはわたしもマシになってきたかな』
という自信をつけ始めていた矢先の悲劇だった。
なのはは、キャロの胸中など先刻承知の上で、ゆっくり頭を撫でて、
「大切なのは、自分の限界を知っておくことだからね。
わたし達は、魔導師である前に、まず人間として、生き物として強くなきゃいけない。
知ってる? 人間を他の動物と比べてみた場合、走る最高速度はあまり速い方じゃあないかもしれないけど、
汗をかく為の汗腺が発達しているお陰で、長距離を同じペースで走るのは凄く得意なの。
生き物としての長所は、しっかり伸ばしておかないとね。
今回で、みんなそれぞれの限界が分かったと思う。それを、ちょっとずつ伸ばしていこうね」
などと、基礎体力の必要性を噛み砕いた言葉で説いていった。
お説御尤も。走ることは、全ての運動の基礎に先立つ。
走れもしない奴は何の使いものにもならん、と陸士部隊でも新兵は飽き果てるまで走らされるのが慣習だ。
キャロもそれは重々承知していたし、何よりランニングで自分独りがお荷物になっている、というコンプレックスがキャロの闘志に火を燈した。
秘密の特訓の始まりである。
-
◆
「ねえ、これはわたしの特訓だから、別にエリオ君は付き合ってくれなくてもいいんだよ?」
自分の数歩前を走る背中に、キャロは何度目になるかも分からない言葉を投げた。
秘密と特訓と銘打ってみたものの、キャロが夜半に独りでランニングの特訓をしているのは半ば周知の事実と化してした。
体を壊すような猛特訓を行っているわけでもない、微笑ましい向上心の顕れの背伸びとして、六課の隊長陣からは優しく見守られていたのだが、知らぬはキャロばかりである。
ややオーバーワーク気味の日には、こっそりシャマルがキャロの寝室に忍び込んでヒーリングをかけていく、というサービスまでついているのだが、キャロはこれが誰も知らない秘密の特訓だと信じて疑わない。
そんな秘密の特訓に、いつしかエリオが加わるようになって、数日が経った。
「いいんだよ。僕も走るの好きだし――何より、二人で一緒に走った方が楽しいよ」
呑気に答えて走り続ける少年の背中を、キャロはじっと見つめる。
まだ小さな少年の背中。でも――自分の背中より、幾分広い。
規則正しいリズムを刻み続ける足音は、自分の足音よりも随分と力強くて軽快だ。
エリオが秘密の特訓に加わるようになって、キャロは自分が随分と楽になったことを感じていた。
単に、二人だからモチベーションが維持できる、というだけの話ではない。
エリオは、常にキャロを導いてくれていた。
走る位置は、きっちりと測ったように数歩前を保ち続け、キャロを引き離さぬように、あるいは、ペースが緩んでしまわないように細心の注意を払ってくれていることが、キャロにはありありと実感できた。
エリオは、ただ無言でキャロの前を走るのみである。だがしかし、いつもしっかりキャロを『見て』くれていたのだ。
文字通り、背中に目でもついているかのような観察力で、エリオはいつもキャロを見ていた。
キャロが疲労で足取りを乱した時には、靴音を高らかに地を踏みしめ、無言で鼓舞してくれた。
それが嬉しくて、キャロはエリオの背中に追いつかんと足を速めるが、エリオはそれに合わせて己も足を速め、追いつかせてはくれないのだった。
己の前を走る少年の背中。
ふと、走っている最中にその背中が日に日に大きくなっていくような錯覚を感じてしまうことさえあった。
キャロの秘密の特訓は、ランニングのみに及ばず、フィジカルトレーニング全般に及んだ。
小一時間という短い時間の中で、キャロはバービーやスクワットなども組み込んだサーキットトレーニングを行ったが、持久力に難があるのは相変わらずで、すぐにバテてしまうのが常だった。
キャロのサーキットトレーニングのメニューを組んだのも、またエリオだった。
エリオはこのトレーニングにも律儀に付き合っていたが、元よりキャロに合わせた低負荷のメニューである。
エリオに取っては明らかに物足りないものであろうことは、キャロにも容易に想像がついていた。
「ねえ、エリオ君。――エリオ君は、普段独りでトレーニングをする時は、どんな風にしてるの?」
ある日、休憩中にふとエリオに尋ねてみた。
「う〜ん、僕もあまりキャロと似たようなことかな……?」
そう答えて、エリオは涼しい顔で片手懸垂をしてみた見せた。
分かりきったことではある。しかし、キャロは自分とエリオの身体能力の差を見せ付けられて、改めて暗澹たる思いに沈むのだった。
「それから、コレかな?」
エリオは腕を振り、僅かな魔力の燐光と共に、その手にスピーアフォルムのストラーダを出現させた。
肉食獣が獲物を襲うかのように、すっと重心を落として構え、そのまま目にも止まらぬ三連撃の刺突を眼前の虚空に見舞った。
そのまま横薙ぎから、唐竹割、巻き、打ち落とし、摺り上げ――
夜闇の中、輝きの残光の残してストラーダが飛び跳ね、刃の綾目が尾を引いてたなびいた。
エリオはストラーダに一切の魔力を通していない。
今行っているのは、純然たる槍術の稽古だ。
夜風に髪を押さえながら、キャロは呆として槍の形稽古を続けるエリオの姿を見つめていた。
その足取りは軽く、槍を自在に扱う両手の動きは軽飄で、それでいて体幹の重心の軸はまったくブレていない。
教官のなのはは、魔導師である前に、生き物として強くなければいけないと言った。
眼前の少年が、自分と同じ生き物であるとは、到底信じられない――それほどの隔たりが、そこにはあった。
キャロはただ、妖精のダンスでも見つめるかのように、エリオの演舞を見つめ続ける。
-
……ふと、ただ虚空に向かって槍を振っていたように見えたエリオの目線の先に、人影が見えた。
エリオは闇雲に槍を振るっていたわけではない。エリオが行っていたのは――戦いだった。
エリオが斬り付ける、人影がそれを萎やして刃を返す、エリオは大きく飛び退いて、再び突きかかる。
虚空にぼんやりと形を結ぶだけだった人影は、キャロの眼前で、徐々に像を結びつつあった。
――――視線は、自分たちよりも、頭一つ分ぐらい高い。
――――手にしている武器は、エリオのストラーダより、随分短い。片手剣ぐらいだろうか?
――――機敏な動きを駆使して挑むエリオに対して、相手は足を止めたままでエリオを片手であしらっている。
――――きっと、立ち姿の綺麗の人だ。伸びた背筋、鋭い眼光、その姿は、正しく威風堂々。
キャロの瞳が、遂にエリオが挑んでいた相手の、ただ一つの像を結んだ。
その名は、
「シグナム副隊長――」
エリオが、足を止めた。
「そう、シグナム副隊長。本当に強いよ、僕は、いつかシグナム副隊長みたいな立派な騎士になりたいんだ。
今は全然敵わないけど、いつか、必ず追いついてみせる――」
視線は、あくまで眼前のシグナムの幻影をしっかりと見つめながら、エリオは力強い声で、そう宣言した。
それを聞いたキャロの胸中に飛来した想いは、果たして、羨望か、嫉妬か。
エリオが目指している場所は、自分の遥か先にある。
パートナーだった筈の少年は、自分なんて及びもつかない高みを目指している。
夜闇に向かって槍を振るう少年の背中が、急に遠くなった気がした。
……一体、自分は何をしているのだろう?
迷子になった子供のような心持ちで、じっとエリオの槍捌きを見つめていると、不意に声がかかった。
「槍、興味あるの?」
「ふえっ!?」
興味があったのは、厳密に言えば『槍を振るうエリオ』であったのだが、キャロは突然のことで反射的に肯きを返してしまった。
「そっか。……ちょっとだけ、使ってみる?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて愛槍を差し出すエリオから、おずおずとキャロはストラーダを受け取った。
初めて握る槍は、思ったよりも太く、冷たく、そして重たかった。
先のエリオの構え――獲物に飛びかからんとする肉食獣のような前傾姿勢を真似して構えてみたが、ぐらりと体が前に傾いだ。
「キャロは僕より体重も軽いし、足の踏ん張りも効かないから、もう少し上体を立てて、重心を後ろに落とした方がいいかな?」
「……こ、これでいいかな、エリオ君……」
エリオの指示に従って構えを変えると、少しだけ腰が安定したように感じた。
「そのまま、ゆっくり突き出してみて。腕だけじゃなくて、後ろ足で体全体を押し出すようにして」
「こ、こう……、あれ、ふぇ、あれれ……」
キャロがストラーダを突き出す度、槍の重みに引きづられるようにして、体全体が不安定にぐらぐらと揺れた。
鏡を見ずとも、先程のエリオの独り稽古とは似ても似つかない無様を晒していることが自覚できてしまって、キャロは赤面するばかりだった。
そんなキャロの背中が、ふわりと優しい温もりに包まれた。
まるで、ダンスのエスコートをするかのように、槍を握る両手を重ね合わせ、エリオが背中からストラーダを構えるキャロを包み込んでいた。
吐息が触れ合う程の距離で、エリオがキャロの耳元で囁く。
「肩の力を抜いて」
「は、はひ」
肩の力は抜けなかった。それどころか、舌を噛んで変な敬語で返事をしてしまった。
-
「そのまま、槍の穂先と、左足の爪先を、相手にしっかり向けて。
……そう。
そのまま、右足でしっかり地面を踏んで、腰を出すと同時に――突いてっ!」
水が高いところから低いところに流れるように、自然に体が動いた。
ぴったりと密着しているエリオの体が、その言葉とキャロの体に先んじて動き、次の動作を教えてくれる。
喋り上手が人間が、口下手な人間を自然と己のペースに巻き込み笑わせるように、エリオの体はキャロの体を常に最善の状態へと導いた。
それは、完璧なエスコートだった。
「そう、上手いよ、その調子。次は天を刺すように振り上げて、そのまま振り下ろして!」
――自分の体が、自分のものじゃないみたい。
奇妙な昂揚に、キャロはいつしか口許を綻ばせていた。
「次は!? 次はどうすればいいの、エリオ君!?」
二人の体が、溶け合って一つにくっついてしまったような感覚。それはきっと只の錯覚に過ぎないのだろう。
しかし、その時のキャロには――。
『秘密の特訓』から始まった奇妙のダンスは、いつ終わるとも無く続いていく。
いつしか、キャロとエリオの手からストラーダは影も形も無く消え去っていた。
二人が身を包む衣は、もはや運動用のジャージではない。
エリオは清潔さ誠実さを併せたタキシード姿、そしてキャロが身を包むのは、ちょぴり背伸びした大人っぽい桃色のドレスだ。
いつ果てるとも無い夜を、二人は優雅に円を描いて踊り続ける。
キャロは喜色満面を漲らせ、固く手を繋いでいた筈のエリオを振り返る。
「ねえ、エリオ君、次は!? エリオ君、えりお、くん――?」
振り返ったキャロは、その足を止めた。
その眼下に広がるのは、奈落へと続く無限の裂け目、虚数空間。
その裂け目に、一人の少年が落下していく。
一番の友人であり、最高のパートナーでもあった少年が、堕ちていく。
全身が襤褸雑巾のようになるまで切り刻まれた少年が、千尋の谷底に落下して行く。
その少年は、全身が切り刻まれながらも、底すらない闇に飲み込まれながらも。
――笑っていた。
もう、思い残すことなど無いというような、綺麗な笑みを浮かべていた。
少年は堕ちていく。
自分を置き去りにして堕ちていく。
思わず手を伸ばした。
堕ちていく少年の手を掴もうと、何時ものようにその手を握ろうと、必死に手を伸ばした。
そして、今当にその手を掴もうとした瞬間、気がついた。
――この手は、いつの間に離れてしまったのだろう、と。
少年は落ちて行った。
どこまでも堕ちて行った。
……自分を置いて、満足げな笑顔を浮かべてどこまでも――
-
◆
キャロ・ル・ルシエはがばりとベッドの中で上体を起こした。
――何て、悪夢。この夢を見るのは、一体幾度目になるのだろう。
数えようとして、それが全く無益な行為であることに気付き、キャロは曲げた両手の指を弛緩させた。
甘やかな過ぎし日の思い出。
そんな優しい一時の夢も、必ず終わりはあの昏い孔に塗り潰されてしまう。
それでも。例え一時の夢だったとしても。
嬉しかった――エリオに逢えて。楽しかった――エリオと一緒に槍が振れて。
どうしようもなく、涙が止まらないぐらい、エリオの全てが懐かしかった。
「……寒い」
キャロはぶるりと身を震わせた。夜明けはまだ遠いようだ。
先程まで背中を包んでいたエリオの温もりは、とうの昔に消え失せている。
キャロは瘧に憑かれたように体を震わせた。
寒い。体を動かして、温めなければいけないようだ。
――久しぶりに、『秘密の特訓』に出かけよう。
バタン、と幽かな音を立てて、隊舎の扉が閉まる。
ずっと寝たふりをして、キャロの行動の一部始終を見つめていた同室のルーテシアは、悲しげに表情を曇らせたが。
……諦めたように、固く瞳を閉じた。自分は何も見なかった、と己自身に言い訳するように。
キャロはストラーダに魔力を注ぎ、一息でスピーアフォルムに変化させた。
眼光鋭く前方の夜闇を睨み、軽やかな動きで虚空に必殺の刺突を繰り出した。
その淀みの無い挙措は、全くの素人が見れば過日のエリオと見紛うかのような腕前だった。
だがしかし、業が進めば進む程、キャロは改めてエリオと己との隔たりを思い知ることになった。
知っている。誰より自分自身が知っている。エリオの槍は、この程度では無かったことを。
こんなものでは、届かない。敵わない。どこをどう見たって、エリオには似ても似つかない。
これでは、エリオがなりたかった騎士になど、なれる筈もない。
そんな焦燥が、より一層キャロの槍に速度を加えていく。
キャロの槍は達人と呼ぶ域にはまだまだ及ばない。過日のエリオの槍には似ても似つかない。
それでも、一芸一能と呼ぶには十分な域に踏み込んだ業だった。
でも、それは矢張り――正道から外れた、どこか歪な業だったのだろう。
キャロは回想する。甘やかな記憶を。エリオと一緒に槍を握った日の昂揚を。
そのほんの僅かな残滓でも感得出来ないかと、固く固くストラーダを握り締めたが――
……掌の中に感じ取れたのは、唯の冷たい鋼の感触のみであった。
少女はただ無言で槍を振るう。その先に救いが来るのか。それとも報いが来るのか。それはまだ、誰も知らぬことであった。
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以上、投下終了です。
随分とお久しぶりという気がします、アルカディアです。
もしかしたら、「お久しぶり」よりも「初めまして」の方のが多いかもしれません。
まずは、一つご報告を。
此の度、羽鐘そうしさんの主催されるサークル「羽鐘の鳴る木」に於きまして、
過去に此方で連載させて頂きました、拙作 Little Lancer を漫画化して頂けることになりました。
http://crassulaovata.blog106.fc2.com/
連載していたのが2008年の初頭ぐらいと、随分昔の話となりますので、ご存知無い方も多いでしょうが、
羽鐘さんの漫画版 Little Lancer は原作者の私から見ても原作以上に楽しめる仕上がりとなっておりますので、
昔原作を楽しんで頂いた方も、原作をご存知無い方も、冬コミにお越しの際は是非一度お手に取って見て頂ければ、と願っております。
以上、宣伝・並びにプロモーションを兼ねた前日譚でした。
ではでは。
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乙ー
未読なので読んでくるノシ
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投下乙
途中からタイトルを変えているあたりにくい演出だ・・・
やはりアルカディアさんの筆致は上手いな
とても良かったわ 漫画化もおめでとうございます 今から楽しみ
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stsから5年以上……歳を取るわけだ
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ほお漫画化ですか
これは買うしかないですねぇ
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まさかstsから5年以上経っても作中のキャラ達の関係に何一つ進展が無いとはなぁ
正直25くらいの頃にはさすがにユーノとなのはも結婚してヴィヴィオに妹くらい出来てるかと思ってたよ
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まぁクロノとかみたいなサブキャラはともかくメインキャラが恋愛とか結婚したらどうしても文句言う層がいるからな
誰からも文句出ないカップリングも難しい
…だからなのはさんもフェイトさんも行き遅れなんて呼ばれる羽目に
ファンが離れるのを防ぐためとはいえ…
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