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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第116話☆

748ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ:2013/11/18(月) 22:56:26 ID:l9TCrgpw
 少女は話した。
 自分の直面した事件の数々、それらを執務官として解決しなければいけない重責、自分が感じた事、考えたこと。
 ヴァイスはそんな彼女に反論するでもなく、意見を述べるでもなく、ただ黙って真摯に耳を傾けた。
 じっと見つめる彼の深い眼差しを前に、訥々と語り続けたティアナは、ついに全てを語り終え、ぴたりと口を閉ざす。
 
「……」

 話し続けて微かに乱れた呼吸のまま、静かに、ヴァイスを見る。

「あ、あの……」

 言い淀む少女の肩が掴まれる。
 見た目以上に、太く厚く、男らしい腕と胸板がティアナを抱き寄せた。
 震える肩を強く掴み、彼の声が間近から囁く。

「もう良い」

「でも……私……」

「良い」

 それだけ言って、ヴァイスは優しくティアナの背中を撫でた。
 ぐっと彼に体を預けて、顔を寄せた少女は、その時初めて知る。
 かすかに水気を帯びたヴァイスのシャツ、それは、自分の涙だった。
 そう、自分は泣いていた。
 自覚すると、それ以上の虚勢を張るのは不可能だった。

「……ぅぅ……ぁぅう」

 喉の奥から溢れる嗚咽。
 しがみついて、ティアナは泣いた。
 思うままに、感じるままに、塗り固めた外面を捨てて、本当の彼女として、ティアナ・ランスターとして。
 そんな少女を、彼はただ黙って抱きしめて受け入れた。



 一体どれだけ経っただろうか。
 長く感じたが、実際はそれほどでもないだろう、泣きに泣き、もうそれ以上吐き出す感情の濁りもなくなって、ティアナは顔を離す。
 やや赤みを帯びた目元や頬、見られるのは恥ずかしかったが、それはもう今更だろう。
 自分の晒せる恥は、彼に残らず見せてしまったのだから。
 
「ヴァイスさん……あ、ありがとう……ございました。すごく、楽になれました」

 目元を拭いながら、素直な気持ちを言う。
 俯いた少女の言葉に、彼はふっと笑って頭を撫でる。

「辛い事があったら、たまには誰かに甘えろ。お前は少し我慢し過ぎだ」

「……」

 くしゃくしゃと頭を撫でられ、まるで飼い主に愛でられる子猫の心境になり、嬉しさと恥ずかしさでまた顔が赤くなる。
 やり場がなく、口を閉ざして少し視線を逸らし、彼にされるがまま受け入れるしかない。
 だがそれは、堪らなく幸せだった。
 年上で、自分よりずっと経験を持つ彼の優しさや温もりに身を委ねる。
 意識してしまえば、体の芯に火が点いたようになる。
 とくん、とくん、鼓動と共に音を立てて脈打つ疼きが、下半身から。
 想えばその気持ちには、もっと前から気付いてはいた、ただ、ティアナが強がり、虚勢の中に隠して見てみぬふりをしていたに過ぎない。
 しかし、今この時、もうその気持ちを偽り続けるのは無理だった。
 
「ヴァイスさん……あの」

「どうした」

「私……私は……」

 言葉を選ぼうとして、上手く舌が回らなかった。




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