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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第111話☆
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フェイトは時々なのはを恨めしく思わずにはいられなかった。
後を追って死ぬほうがはるかに楽だったというのに。
なのはの願いを叶える為にフェイトは生きて奮闘しなければならなかった。
もちろん苦しいことばかりではなかった。
家族や友人、同僚にも上司にも部下にも恵まれた。
生きていくなかでは楽しいこともたくさんあった。
子どもたちの笑顔を見ると救われた気分になった。
けれど、とフェイトは思った。
もう疲れた。
疲れてしまった。
私は歳をとった。もう立派なおばあちゃんだ。
なにもかも若いときのようにはいかない。
そろそろ、みんなのもとへ……なのはのもとへ逝きたいところだった。
だが、あんなにひどいことをしたのだから、彼女とは同じ場所にいけないかもしれない。
フェイトがなのはにしたことを知ったら、なのははきっと恨みに思うことだろう。
フェイトは朝刊に書かれていた記事の内容を思い出した。
フェイトがあのとき見ることのできなかった論文の欠落部分が見つかったという報道。
プレシアの術式は、人工魂魄ではなく素体の本来の魂魄を使う術式だったという――たぶん、本当だろう。
あの魔法術式の、自分には理解できなかった箇所に織り込まれていたのだ。
なら、フェイトの使い魔になったあのなのはは、偽者などではなく、本物だった。
フェイトは驚かなかった。なんとなく予感はあった。
だが実際に事実を突きつけられると、堪えた。
時間は巻き戻せない。もう取り返しがつかない。
あれだけ本物のなのはとは違う、と悩んでいたのが馬鹿みたいだった。
否、事実、馬鹿だ。
歳を重ねた今ならわかる。人はまったく変わらずにはいられない。
なのはの成長を、偽者だからなのだ、と邪推した過去の自分を叩き殺したくなる。
フェイトは深いため息をつくと、壁によりかかって目を閉じた。
「もう泣いている子は、残ってないよね?」
《That's right, sir. 》
右手に持った戦斧――バルディッシュが肯定の意を返す。
それで彼女が安心した矢先。
待機状態で首からかけられている紅玉――レイジングハートが、
《NEGATIVE. Still we have the one. 》
否定を寄越した。
食い違う報告に首をかしげながら、フェイトは聞いた。
「レイジングハート、どこにいるっていうの?」
(泣いている子を救ってあげて……)
泣いている子がいるなら、自分は救わねばならない。
約束は果たさねばならない。
どこだ?
泣いている子はどこにいる?
彼女は立ち上がった。あたりを見回した。誰もいない。
ふと、横を見た。ガラス張りのスイング・ドアがあった。
この高温と揺れでも、奇跡的に無事のままのガラス張りのドア。
スイング・ドアに近づく。そして気づく。
泣いている子がいる。
ガラスの表面に、映っている。
レイジングハートが勝手に起動した。
フェイトの左手に収まったのは、音叉型のバスターモード。
なのはが一番得意としていた、砲撃に特化した型だ。
(フェ……トちゃ……泣い……てるの……?)
レイジングハートが、静かな口調で言った。
《Here's the last person left.... You should help her....... 》
どうしてなのはが最後にあんな願い事をしたのか。
フェイトは60年かけてやっとその意味がわかったような気がした。
END
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