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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第111話☆

1名無しさん@魔法少女:2011/08/18(木) 16:34:39 ID:tcLNLZv.
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。


『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第110話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1302424750/

641名無しさん@魔法少女:2011/10/27(木) 09:33:38 ID:aqhakZkE
クラッシュエミュレート:快楽
とか
クラッシュエミュレート:バリアジャケットシースルー(性能は変わらないがすけてしまう)
とか
クラッシュエミュレート:バイブ装着
とかで対戦相手を攻めるわけか

642名無しさん@魔法少女:2011/10/27(木) 10:58:11 ID:MlDyJ.X6
>エロ
kouguchi?
eguchi?
kouro?

643名無しさん@魔法少女:2011/10/27(木) 17:38:11 ID:eG8UGfmU
「リリィだと思ったか」
「こ、これはグレアム提督!」
と謎のヴィジョンが浮かびかけた。寝る。

644名無しさん@魔法少女:2011/10/28(金) 01:00:34 ID:iLsf.QR6
クラッシュエミュレート:四肢欠損で動けなくなった相手を以下略

645名無しさん@魔法少女:2011/10/28(金) 11:50:48 ID:GNags9pg
業の深いエロだな……

646名無しさん@魔法少女:2011/10/28(金) 13:43:31 ID:DsJWJ/lM
>>628>>630
どっちにしても、むかつくならテメェの理想を書きなよってことで。

>>639
そうでなくとも、リリなの全般が失速してるがね…。
ニコ動で妙ななのはマンせー動画挙げたやつが叩かれたらしいし、
海賊のガンダムもまさかの続編スタートだし、この上劇場版も…

647名無しさん@魔法少女:2011/10/28(金) 16:09:27 ID:8UjU8ywo
でもコミックスは売れている不思議。

648名無しさん@魔法少女:2011/10/28(金) 19:57:16 ID:JClNNp9Q
コミックスはまあ、特典商法が酷いからどれだけの人が買ってるかといわれると
2/3位には減る気もする、それでも十分売れてる方だけどね

649名無しさん@魔法少女:2011/10/29(土) 12:15:47 ID:d6JhiwF.
ふむ
火曜日から鬱祭りか
ちょっとしたカオスになりそうだな

650名無しさん@魔法少女:2011/10/29(土) 12:53:49 ID:aIc8xa.k
欝祭>10/30から、だから明日

651えんは:2011/10/29(土) 14:07:47 ID:I1DjenAE
はじめまして、えんはと申す者ですがSS投下させていただきます。
初めてなので色々と無作法があるかと思いますが、どうぞお付き合いください
タイトルは『聖女と騎士の二重奏』
エリオ×シャンテの非エロもの イチャイチャというよりも青春友情ものっぽい毛色です

652聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:09:03 ID:I1DjenAE
「やれやれ……」
聖王教会のシスター、シャンテ・アピニオンはため息をついた。
聖王教会の広大な敷地の一角の雑木林、その中でもひときわ大きな木の上がシャンテのお気に入りであった。その理由は座り心地や日当たりがいいということもあるが、何よりも他人に見つかりにくいからである。大きな枝に隠れて下からは足しか見えず、その足すらも他も枝に隠れて見えにくい。
彼女がここに来るのはもっぱら修練をサボる時、またはそのサボりが露見した時である。そして今は後者であった。
「そもそも毎日修行ってのもおかしいと思うんだよね。効率を考えるなら数日間隔空けた方がいいっていうのに」
にもかかわらず彼女の師、知る人ぞ知る聖王教会最強との呼び声も高いシスター・シャッハは来る日も来る日も修行三昧。今日びウサギ跳びを本気でやらせようとするような原始人なのだ。
「そんなだからいい歳して彼氏の一人もいないんだよ。暴力シスター」
中空に悪態を吐く。本人に聞かれれば顔の形が変えられてもおかしくない言いようだが、この場においてはその心配はない、はずだった。
「呼びましたか?」
 返ってくるはずのない返事が聞こえた。
 シャンテが恐る恐る声がした方へ振り返ると、声の主はすぐに見つかった。シャンテのいる木の隣の木の枝にシスター・シャッハは聖女のような朗らかな微笑を浮かべながら立っていた。ただしその姿はバリアジャケット装備、つまりヤル気満々である。
「あっれ……?」
よりによってこのタイミングで――いや、もしかしたらずっと前からそこにいて出てくるタイミングを見計らっていただけかもしれない。
「毎日修行するのは肉体だけではなく、精神鍛練も含まれているからです」
 どうやらそうらしい。
 だが果たして何故自分の居場所ばれたのか、シャンテは考えようとしたがすぐにやめた。
 考えるならばどうしてこの状況に陥ったかではなく、この状況をどう打開するのかだ。
「そして私に恋人がいないのは……」
「ね、ねえシスター・シャッハ!どうして私の居場所がわかったの?」
「それはですね。オットーに探知を……って待ちなさい!また逃げるのですか!!」
 シャッハが言い終わる前にシャンテは木から飛び降りた。
 質問の答えなどどうでもよかった。必要だったのはタイミングであり、まさにそのタイミングを外されたシャッハはシャンテに致命的な遅れをとってしまった。

653聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:09:54 ID:I1DjenAE
 こと足に関してはシャンテに敵う者などそうそういない。彼女は若輩ながら修道騎士の中でもトップクラスの実力を持つ天才である。高速型の騎士で、なおかつ遮蔽物を無視して跳躍するスキルを持つシスター・シャッハといえど機動力と相手の不意を突く能力に長けたシャンテを捉えるのは困難を極める。
「なんで今日に限ってこんなにしつこいのさっ!?」
 いつもならシャンテがサボっていたところでいずれ修練に顔を出すので、その時に折檻をすれば済む話のはずである。ただしそんな時に限ってシャンテは友人とともに熱心に修練に励んでいるためシャンテはともかくその友人の修練の邪魔をするのは忍びないのでシャッハは結局、二言三言注意するだけで終わってしまうのだが。
 それにたとえ追いかけるにしてもシャッハにはシャッハの仕事がある、たかがサボり魔にわざわざ貴重な時間と体力を割く余裕などそれほどないはずである。だが今回に限ってシャッハはやたらしつこい。もうかれこれ十五分は逃げ回っているであろう。
「今日は騎士シグナムとの修練の日なのです!それにあなたも同伴してもらいます!」
 なるほど、とシャンテは合点がいった。
 騎士シグナムとはシャッハの剣友、良き好敵手である。
彼女が『剣友会』と称して知り合いの騎士を集めて行う合同演習にシャンテも何度か参加し、手合わせをしたことがあるが――あまり思い出したくない体験だ。
 その華麗にして苛烈な剣戟はベルカの騎士として一つの完成系の域にあった。シグナムとシャッハとの決闘は「実力だけは一流」と称されるシャンテですら感動で打ち震えたほどだ。
だがその感動は傍目で見ているからこそのものであった。いざ自分が手合わせの栄に与った時は彼女のトラウマの一つ――初めてシャッハと決闘した時のことを想起させた。
いや、シャンテの実力を把握していない分、手加減のなかったシグナムの方が恐ろしかった気がする。あんなにも楽しそうに殺意を向けてくる人間をそれまでシャンテは知らなかった。
「バケモノ同士のじゃれ合いに、か弱いあたしを巻き込まないでほしいね」
 シャンテはぶるっと身震いをする。
 類は友を呼ぶとの言葉通り、シグナムやシャッハのような決闘趣味の人種の周りに集まる人間はやはり同じように決闘趣味の人間なのだ。あんな鬼の宴に嬉々として興じる奴の気が知れない。同期のシスター・ディードや同い年のあの少年も。
「…………」
依然として追うシャッハと追われるシャンテの距離は縮まらないものの、修行が恋人のシャッハとサボり常習犯のシャンテではどうしても体力に差が生じる。
 このままではジリ貧だ。なんとかして次の策を弄する必要がある。シャンテは速度を維持したまま周囲を見渡す――何か使えるものはないか、一瞬でもシャッハの気を逸らすことができればそれは高速型の騎士であるシャンテにとって何よりのアドバンテージになる。
 その時、ちょうど教会の建物の曲がり角から人影が現れた。

654聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:11:06 ID:I1DjenAE
“しめた!”
 シャンテは瞬時に閃いた。
 今しがた都合よく登場してくれた――顔を確認する余裕はないが体格的に少年であろう彼に死角となってもらい、曲がり角を進む――ふりをして隣の雑木林に隠れる。
 シャッハ相手ではものの数秒で見破られるであろうが、シャンテならばその数秒で十分に撒けるのである。
 シャンテはさらに加速し、少年の横をすり抜ける。そうして首尾よくシャッハを撒けば、あとはいつものように少し時間を置いてから何食わぬ顔で友人の一人二人拾って一緒に修練に加わればいい。
 そんなシャンテの平和な未来予想は出鼻から挫かれることとなった。
「あら?」
何故ならシャンテの体はすっぽりと死角に使うはずの少年の腕の中に収まっていたのだから。
そんな馬鹿な、とシャンテの驚愕は声にならなかった。
シャンテは高速型の騎士である――それも特別優秀な。それは断じて自惚れなどではない。
聖王教会の修道騎士の中でも模擬戦で彼女の相手をできるのは数えるほどしかおらず、教会最強の一人に数えられるシスター・シャッハが直々に指導に当たるほどの素養の持ち主である。礼節、性格面に問題を抱えながらもしばしば催される教会主催の武道大会で常に本部代表を任され、その悉くで優勝をさらっていけるのは単にその並々ならぬ才能が所以である。
その自他ともに認める天才騎士が今や自分の身に起きたことが理解できずに混乱している。
急に迫ってきたシャンテに驚いて思わず手を突き出してしまった、ならわかる。並の魔導士はおろか騎士ですら反応ができない速度のはずだったが、偶然にも少年に魔導の心得があったのならば納得はいかないものの不可能ではないはずだ。
しかし、疾走するシャンテを抱き止め、あろうことかその推力までも完全に殺す、などという離れ業をやってのける者など――彼女と同じ高速型の騎士でしかありえない。
「またサボったの、シャンテ?」
 見上げると目の前に答えはあった。
 苦笑混じりにシャンテに話しかけるのはシャッハの好敵手である騎士シグナムの愛弟子。つまりシャッハの愛弟子であるシャンテの好敵手でもある少年、エリオ・モンディアルであった。
「……降ろしてくれないかなエリっち」
 八つ当たりだと自覚していながらも、シャンテは憮然と睨みつける。

655聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:11:59 ID:I1DjenAE
 エリオに抱えられたシャンテの恰好は俗に言うお姫様だっこの形であり、騎士にお姫様だっこされる、というちょっとした乙女の夢を期せずして叶えてしまったシャンテの心境は、残念ながらそれどころではなかった。
ゴメンゴメン、とまるで壊れ物を扱うように丁重にシャンテを降ろすエリオの笑顔も今のシャンテには悪魔に自分を売り渡す憎き仇敵にしか見えない。
「感謝します。騎士エリオ」
「お役に立てて光栄です」
 ついに追いついてしまったシャッハがエリオに礼を言ってから、シャンテに視線を移す。一応賓客の前ということもあり、体裁を整えているつもりらしいが体の至るところから怒りの魔力が漏れ出している。
 身内の恥をよりによって客人に雪がせてしまったともなれば無理からぬことだ。せめてその客人が顔なじみであったことが不幸中の幸いといったところか。
「さてシャンテ」
「ひぃっ!」
 聖女の顔をした鬼が、いつもと変わらないはずなのにやけに透る声色で語りかける。
「このままあなたを連行し教会の地下室で丸一日折檻することがどれほど容易いか……」
 ここにきてはさしものシャンテも逃げようとする気は毛ほども起きなかった。
「しかしこれ以上、私たちを待つ賓客に迷惑をかけるわけにもいきません。
 まあ、あなたがどうしても折檻してほしいと言うのならば考えないこともないですが――どうしますか?」
 もはや選択の余地など微塵もなかった。



聖王教会本部――管理世界に数多くの支部を持つ一大勢力の総本山である。そこに集う人員の質、量ともに他の追随を許さない。それらを抱える敷地面積も広大である。当然、多くの修道騎士や騎士見習いの鍛錬に必要不可欠である修練場もまた広々としたものである。
 その一角を四人の騎士が領有していた。文句など誰がつけようか、その四騎士はいずれも劣らぬ勇士ばかり、見習いだけならまだしも熟練の騎士ですらその剣戟を一目見ようと参集するほどの顔ぶれである。

656聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:13:40 ID:I1DjenAE
「ふむ、今日はいつもに増して見手が多いですね」
 言葉とは裏腹にその表情は気負いを感じさせないほど涼しい、かといって弛緩しているわけでもない。戦いを生活の一部としている者のみが得られる極致の精神である。
 この流麗たる女剣士こそシスター・シャッハの好敵手、“烈火の将”シグナムである。八神はやての守護騎士“ヴォルケンリッター”のリーダー格にして、かのエース・オブ・エースと互角に渡り合うとされる剣の騎士である。
「申し訳ありません。何しろ安息日と重なってしまいましたので」
 応じるのはシャッハ・ヌエラ、修道騎士たちには説明不要のシスターである。
 聖王教会の頭目であるカリム・グラシアの側近であり、新米騎士の教育係でもある。修道騎士であるならば誰もが一度は手合わせした経験を持つが、彼女相手に白星を挙げた者は皆無だ。
「落ち着かない、というかなんだか気恥ずかしいですね」
 その二人に随伴するは場違いなまでに温厚そうな少年である。
 だがその風貌に騙されてはいけない。彼、エリオ・モンディアルは騎士シグナムの愛弟子であり齢十歳にして時空管理局に入局するや否や、すぐさま『奇跡の部隊』古代遺失物管理部機動六課に配属され、未曾有の大規模都市型テロ『JS事件』によってもたらされるであろう大被害を未然に食い止めた英雄の一人である。
「………………」
 三人に大きく遅れて一人、シャンテ・アピニオンの姿もそこにあった。
 どう見ても一人だけ明らかに覇気のない、それどころか荷馬車に乗せられる子牛のようですらある。しかし、それを疑問に思う観客はここにいない。シャンテの性格も実力も修道騎士の間にはとうの昔に知れ渡っている。ゆえに彼女がどうしてあのような有り様に至ったのか、誰も想像に難くないからである。
「観客のみなさんのためにも、やはりまずはウォーミングアップがてら戦技披露でしょうか?」
「うむ、今日はテスタロッサもシスター・ディードも不在でちょうど師と師、弟子と弟子の数も合う。シスター・シャッハ、初戦は2on2で構いませんか? 」
「異存ありません。シスター・シャンテ、あなたも構いませんね?」
「どうぞ煮るなり焼くなり……」
 すでに高揚状態にある三人を目の当たりにし、やっぱり教会地下室折檻コースの方がマシだったかもしれない、と思い始めたシャンテである。
 されどシャンテは黙って煮られるつもりも焼かれるつもりもない。何事も全力でやり遂げるのが彼女の信条である。サボる際も逃げる際も断じて手を抜くことなどない。
 三人の騎士の魔力に触発されたということもあり、果たしてシャンテも臨戦態勢に入っていた。この切り替えの早さも彼女を天才たらしめる一因である。

657聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:14:40 ID:I1DjenAE




 それぞれ異なる組み合わせで三連戦、みんな割と早い段階で戦技披露のことなど忘れてガチンコバトルになっていた気もするが内容は実りあるものであったし、反省すべき点もいくつか見つかった。観衆にとっても見ごたえのあるものであったと自信を持って言える。
あれだけいた観客も今となってはまばらである。2on2の模擬戦をやり終えて、休憩を挟んだからであろう。
「もったいないな……もう少し待っていればいいものが見れたのに」
 そのため息は、果たしてどのような意味を持つのだろう。
剣と槍が打ち合う音とはここまで心地よいものだっただろうか。音色自体は無骨な、鉄と鉄がぶつかり合う金属音でしかない。しかしその旋律が、律動が、苛烈な剣戟を至高の二重奏に変えてみせた。
 奇策や陽動に頼らない、お互い手の内を知り尽くした師弟だからこそ奏でられる調べであろう。現在、修練場で切り結んでいるのはシグナムとエリオの二人だけである。二人のシスターは休憩中であるが、すぐに出番が訪れるため気を緩めすぎることはない。
 2on2の模擬戦をやり尽くした四人がたった今行っているのは変則的な勝ち抜き戦である。
 まず二人が戦い、残りの二人は休憩、どちらか勝った方が残り負けた方は休憩中のどちらかと変わる。勝てば勝つほど過酷さを増すデスマーチである。この場においてわざと負けて楽になろう、と考える腑抜けは一人しかいないが、そんなことをしたらシャッハに後でどんなペナルティが課せられるかわかったものではないのでシャンテも全力で応じざるを得ない。
“また、強くなってる……”
 好敵手である少年をぼんやりと眺めながら、シャンテはどこか他人事のように胸中で呟いた。
 現段階でシグナムは二連勝中である。さすがは烈火の将といったところであるが――それならばそのシグナムを終始圧倒している少年は一体どれほどの使い手なのか。無論、都合三連戦となるシグナムとそれまで休憩していたエリオとでは体力に差が出ることは明白である。
 だがシャンテの記憶の中のエリオの実力では、多少体力に差がある程度でシグナムを防戦一方に追い込むことなどできなかったはずだ。つまりはそれだけ両者の実力が拮抗しているということであり、技量も、そして外見も以前より大きく成長していた。
出会った当初は自分とそう変わらなかったエリオの身長も今では見上げるほどであり、まだあどけなさが残る顔立ちも日々、男性的なそれに変わりつつある。己が師に敢然と槍を繰り出すその横顔には、別段彼に恋心を抱いているわけでもない自分ですら思わず見惚れてしまうほどだ。
 聞くところによると、近頃の行われた模擬戦でエリオはついに、彼の憧れの人であるフェイト・T・ハラオウンを撃墜するに至ったらしい。彼曰く『いろいろと好条件が重なったから』らしいが、それが謙遜である可能性を差し引いても、条件次第であの執務官を倒せる人間などシャンテは数えるほどしか知らない。そして、エリオはもうその領域にいるのだ。

658聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:15:55 ID:I1DjenAE
 加えてエリオは自分と同じ十四歳、男子としては今がまさに成長期である。これからなおいっそう身長は伸びるだろうし、それに伴い筋力も魔力も向上するだろう。
 彼のライバルとされている自分であるが、本当の実力差は一体どれほどのものか――推し量るのももはや虚しい。
「そろそろ休んだ方がいいですよ、師匠」
「ふ……業腹ながらお言葉に甘えるとしよう」
 そうしてエリオの槍の穂先は、ついにシグナムの喉元をとらえた。彼の師は悔しげに、誇らしげに弟子の頭をくしゃくしゃと撫でた。エリオは照れながらも喜びを隠しきれない様子で、彼には珍しくくるくると槍を弄んでいる。
「次は……シャンテだね」
「うぇっ!?」
「シスター・シャンテ、なんですかその反応は?まさかこの期に及んで気が緩んで……」
「いやいやいやいや!ちゃんと見てたよ!ホントに!!」
 シャンテは慌てて師のとんでもない言いがかりを否定する。いくら彼女でもあれだけの戦闘を無視できるほどの唐変木ではない。戦闘中の二人に負けず劣らず集中していたのだが、瞬間に熱中し過ぎて次の展開をすっかり失念していただけである。
「時間的も体力的にもこれで終わりだろうな。エリオ、私を倒してそこにいるのだ――わかっているな?」
 シグナムが意地の悪い笑みでエリオにプレッシャーをかける。こうやって、この剣士は普段は厳格な態度を滅多に崩さないくせに、何とも絶妙なタイミングで他人をからかう癖がある。
 エリオはそんな彼女の威圧を、慣れているのか、それとも言われることを予測していたのか、軽く鼻を鳴らし『わかっていますよ』と受け流す。
「余裕だねエリっち、油断して足元すくわれても言い訳は聞いてあげないよ」
 言葉をなぞるように先の、ややナーバスであった自分を振り払う。
たとえ実力差があろうとなかろうと勝った者が強者なのだ。決闘においては、運や偶然というものが存外度外視できない重要な要素であり、奇怪なことに重大な局面であればあるほどそれらはよく顔を出す。
 自分が彼に到底及ばなくても構わない。最後の試合、相手は好敵手、おまけに二人の師が見守っているこれは間違いなく今日の大一番。ならば運命はきっと自分の味方であるはずだ。
 シャンテは旋棍を構え、赤い髪を微風になびかせる槍騎士を見据える。普段の真正直な表情とはまた種別の異なる真摯な眼差しは、揺らぐことなくシャンテに向けられていた。

659聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:17:00 ID:I1DjenAE
「…………ッ」
 全身が脈動する。槍の切っ先が既に首筋に押し当てられている錯覚さえする。
 あの、虫も殺せないような顔をした少年が、槍を構えた途端に万夫不当の戦士へと変貌する。総身を穿つその殺気は並の騎士ならば矛を交える前に戦意を失わせるだろう。
 しかし、聖王教会が誇る天才騎士はその重圧をまるでそよ風のように軽々と受け入れる。
「は……本気だねエリっち」
「君を相手に手加減できるほど僕は強くないよ」
 渇いた笑みを受けべながら、シャンテは足場を踏み慣らす。開始の合図は不要、何故ならもう既に始まっているからだ。
勝負は一瞬――そんな予感がシャンテにはあった。自分も相手もともに高速型、ならば決着は刹那につくだろう。残りの体力を鑑みても戦いが長引けば長引くほど自分が劣勢に追い込まれていくのは目に見えてる。だから、一撃で決める。
 両者の間合いは二十メートルほど――俊足を誇る彼女らの前ではこの程度の距離はあってないようなものだ。
 シャンテは相対する槍騎士を足元から粒さに観察する。その姿には確かめるまでもなく油断はない。白銀の槍は水平に構えられ、重心も低く備えられ踏み込みを待つ。呼吸に乱れはなく表情に迷いはない。逡巡するまでもない、隠すこともなく彼もまた一撃狙いであった。
 ――そして両者の視線は交わった。
 瞬間、二人の足場が炸裂し、姿がかき消えた。――未だ残る観客にはそうとしか見えなかった。二人の師たちですら、把握しきれない速度であった。
 音速をはるかに超える加速の中で、シャンテの思考は時間の流れから切り離された。
“出遅れた――!”
 余人の目には寸分の狂いもなく同時としか感じ取れなかった踏み込みだが、シャンテは僅かな、そして確実な遅れを知覚した。
 既に眼前には銀槍の穂先が迫っている。超音速の中ではかわすことも防ぐことも叶わない。
「こんのぉ!!」
 その敗北の運命を、シャンテは己が実力でねじ曲げた。
 エリオの槍がシャンテの胸をとらえるまさにその時、彼女が右手に持つ旋棍は槍の切っ先を弾き軌道を逸らすこと成功した。人間の持つ反射速度を超えるその挙動は直感か、あるいは奇跡だろう。
 交錯した両者は即座にトップスピードからゼロへ制動する。

660聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:17:41 ID:I1DjenAE
「ぐっ……」
 その身にかかる重圧は、制動魔法によって軽減してもなお骨を軋ませ内臓をしぼる。ダメージはないが鈍い痛みが体中を駆け巡る。叫び声でも上げて気を紛らわしたかったがそんな情けない真似はできない――同じ痛みを感じているはずの彼が呻き声一つ上げないのだから、ライバルである自分も根性を見せなければいけない。そして何より、今、そんなことに時間を使っている猶予などあるはずもない。
 今のシャンテとエリオの位置関係は五メートルほど、西部劇の一場面のように互いの背中を向け合っている状態だ。
 スピードが同等なら勝敗を分けるのは得物の差だ。槍と旋棍とでは言うまでもなくリーチは槍に利があるものの、長柄武器である以上どうしても小回りは旋棍に譲らざるを得ない。
 そしてシャンテが振り返った時、果たしてエリオは未だ背を向けたままの状態であった。
“――勝った!!”
 シャンテは確信し、戦慄する。
 瞬時に距離を詰め、その無防備な背中に旋棍を振り下ろさんと肉薄する。
 ――しかし、その腕が振り下ろされることはなかった。
「言い勝負でしたね。互いに長所を活かしきった。シャンテ、結果は残念でしたがあなたの判断は正しかったですよ」
 ごく稀にしか聞くことのできない彼女の師の称賛も、今のシャンテの耳には入らない。
 シャッハの言う通り決着はついた。勝利を確信したはずのシャンテだが、結果は彼女の敗北であった。
しかしながらエリオがシャンテに先んじたわけではない。そもそも槍の間合いでは速さで旋棍に敵う道理はない。
「…………」
 シャンテは呆然と自身に突きつけられた切っ先からその持ち手に視線を移す。
 エリオは依然としてシャンテに背を向けていた。
 そう、シャンテは正しかった。スピードが同等なら勝敗を分けるのは得物の差だ。両者が制止した際、シャンテが体ごと翻す必要があったのに対し、エリオは手元を反転させるだけで事足りた。単に槍のリーチがあってこそのものだ。
 ただしその咄嗟の状況判断、そして音速で迫るシャンテに目を使わずにタイミングを合わすことがどれほどの絶技であるのかは言うまでもない。
“遠いな……”
 デバイスを待機状態に戻し、シャンテは虚ろに手を伸ばす。あと数歩、歩み寄るだけで届きそうなその背中も――槍に阻まれて距離は縮まらない。
「遠いよ……」
 彼に聞こえないように、シャンテは呟いた。

661聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:19:23 ID:I1DjenAE



「うあー……もうダメ……死ぬー……」
 聖王教会の食堂、その一角で一人の修道女がテーブルにへばりついて唸っていた。シャンテである。清く正しいシスターにあるまじきぐうたらぶりだが、残念ながらこの場に今さら彼女を更生させよう、などという根気と体力を持ち合わす者はいない。
 テーブルを囲っているのはシャンテとエリオ、そしてシャンテと同期のシスター、セインである。今はなんとか夕食を胃袋の中にかき込んで、和やかなティータイムの真っ最中である。
 例の勝ち抜き戦を終えた時にはすっかり空は黄昏に染まり、一旦シャワーを浴びてから食堂に集合した頃には陽は落ちていた。ちなみにシグナムは明日も朝早くから仕事があるらしく、シャワー室で軽く挨拶をして帰ってしまった。そんなに忙しいのにを仕事の合間に模擬戦をするとは――バトルマニアというより戦闘中毒といった方がしっくりくる、シャンテはわりと真剣に思っている。
「お疲れ様、シャンテ」
「……エリっちもね」
 涼しい顔して労をねぎらってくれるエリオだが、彼も自分と同じかそれ以上体力を消耗しているはずである。それをおくびにも出さないのは、やせ我慢か、それともエース・オブ・エースの教導の賜物か。
 エリオも夕食を済ませたら帰るつもりだったのだが、シャッハの頼みで一泊することになったらしい。彼女曰く『騎士見習いや新米シスターへのいい刺激になる』とのことだ。なるほど確かに先ほどシャンテより早くシャワーを済ませた彼は、シャンテが食堂に着いた頃には見習いたちに囲まれて質問責めにあっていた。
 彼らにしてみれば、自分たちと同年代の子供が騎士シグナムやシスター・シャッハと互角に渡り合えるという証明――期待の星なのであろう。その質問の中に『恋人の有無』や『好きな異性タイプ』とかいう質問も紛れ込んでいた気がするが、おそらく他意はないだろう――というかそう思いたい。
「ああ――そう言えばエリっち、今日は嫁さんどうしたの?」
「…………キャロは論文の執筆中だよ」
 あら、とシャンテは首をかしげる。
 キャロ・ル・ルシエはエリオと同じくフェイトの保護下で育ったパートナーであり、恋仲という色っぽい関係ではなくむしろ兄妹と言った方が正しい。シャンテももちろんそのことは承知しているが、思春期の生真面目な少年の慌てる顔が見たくてあえてこのような言い方をする。するとその度に彼は律儀にも否定してくるのだが、どうやらさすがに耐性をつけてきたらしい。そろそろ新しいネタを考えなければ。

662聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:20:00 ID:I1DjenAE
「論文ねぇ……キャロはあれでなかなか優秀な学者なんだよね、ちっこいのに」
「生物学や歴史学を語らせると、ちょっとすごいからね」
「あー、この間はキャロっちノリノリだったもんね」
この場にいない小動物のような少女が話題に上る。
キャロは強力な竜召喚士であると同時に優秀な学士でもある。普段は少しおっとりした、エリオやルーテシア以外にはあまり強気になれない柔和な女の子なのだが、自分の専門分野の話題となると途端に饒舌になる。先日、同い年の四人で集まった際はひょんなことからシャンテが地雷を踏んで延々と蘊蓄を聞かされる羽目になった。エリオは仕事上、ルーテシアは趣味として話の内容を理解し、所々ツッコミを入れながらそれなりに楽しんでいたが、シャンテにしてみればまるで別の世界の言語のようにしか聞こえず独りさびしい思いをした記憶が蘇る。
「ごちそうさま。――それじゃあそろそろ……」
 エリオはカップに僅かに残っていた紅茶を飲みほして席を立つ。
 どうやら顔には出さないが、さしものエリオも今日の模擬戦は堪えたらしい。まだ就寝時間には早いがあれだけ暴れまわったのだ。シャンテもすぐにでもベッドに飛び込みたかったところだ。
「はいよー……おやすみなさーい」
「あれ、もう寝るの?おやすみシャンテ」
「は?」
「え?」
 話が噛み合わない。セインもどうやらシャンテと同じく話の流れがつかめていないらしい。シャワーを浴び、夕食を済ませたのだ。シャンテのスケジュールではあとはゆっくりお風呂に入って疲れを癒してベッドにダイブするだけのはずだが――エリオのスケジュールとはどこかが食い違うらしい。
「ちょっと待ってエリっち……これから、何するつもり?」
「自主練」
「「はあっ!?」」
 シャンテとセインの驚愕が重なる。とりわけシャンテの驚愕の度合いは大きい。完全に埒外の返答であった。
「疲れて――ないの?」
 恐る恐るシャンテが尋ねる。彼と同じくらい動いたはずの自分を襲う疲労感は自重が倍になったのではないかと錯覚させるほどだ。まさか、この少年は日中にあれだけ動いたのにもかかわらずまるで堪えていないのだろうか。
「まさか、僕だってくたくただよ。でもせっかく時間があるんだからトレーニングしないと」
 今度こそ、二人は絶句した。

663聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:21:03 ID:I1DjenAE
 『時間があるなら鍛える』――シャンテやセインにしてみれば全くもって理解できない行動原理だ。時間があるなら休むか遊ぶ、それが日々激務に追われる彼女らの常識でありその他多くの人間の共通見解であろう。確かに暇を持て余すなら鍛錬に時間を費やすのも“あり”だ。しかし日中にあれだけ過度な戦闘を繰り広げ、間を置かずにすぐさま疲れを押して鍛錬に勤しむ――それはどう考えても異常だ。
 未だ言葉を失っているシャンテとセインを尻目に、エリオはてきぱきと三人分の食器を片づけて返却口へと持って行く。
 それじゃあ、とそのまま食堂を後にするエリオをぼんやりと目で追ってから、とうとうシャンテは声を出すことができた。
「どう思う、セイン?」
「んー……真面目だね、としか」
「真面目……うん。でもさ、本当にそれだけかな?」
 明朗なシャンテにしては珍しい、低くどこか沈んだ声色にセインは思わず彼女の顔を覗き込む。シャンテは未だ食堂の扉を見つめたままで、その瞳には羨望と憐憫の色がない交ぜになっていた。
「あたしね、実はエリっちのこと……苦手なんだ」
「えっ?」
 突然の告白にセインは瞠目する。
「エリオは、とても人に嫌われるようなコじゃないと思うけど……」
「あたしだって嫌いってわけじゃないよ――苦手って言ったの」
「??――どゆこと?」
 いまいち要領を得ない言葉にセインは少なからず混乱する。
「エリっちは性格も能力も……ん、そりゃまあ顔も、人に嫌われる要素はないと思うよ。
 でもね、人に嫌われない生き方なんて、自分を殺して生きてるようなものなんだよ。人は自分のためだけに生きていればいい。誰かを愛すのも助けるのも、全部自分に回帰する欲望じゃなくてはいけない。誰かのために生きていたら、結局自分は一生幸せを掴めない」
 存外に、彼女らしからぬとも言える深奥な人生観に、セインは返すべき言葉を見つけられなかった。
 人はわがままでなくてはいけない――なるほど彼女の自由奔放な性格はその信条に裏付けされているのだろう。そしてその信条とはまるでかけ離れている、およそわがままという言葉とは無縁の性格であるエリオに、シャンテは何を見たのだろうか。それを知る術を、セインは持たない。

664聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:22:04 ID:I1DjenAE
「前々から思ってた――エリっちには我欲がなさすぎる。
 そもそも十歳の子供が命の危険すらある、管理局に入局するってこと自体異常だと思わない?」
「そんなこと言えば……なのはさんとかキャロにだってそうじゃない?」
「……なのはさんは巻き込まれたって感じでしょ。キャロっちだってフェイトさんに保護された時にはもう色んな部隊を渡り歩いてきた。
 でもエリオは誰に強制されたわけでもなく、自分の意思で平穏な生活に背を向けて管理局員としての道を選んだ。十歳――いや、たぶんそれよりもずっと前から」
 そう、おそらくフェイトに救われた時から彼は騎士になることを心に決めていたはずだ。
「でもほら、その家の教育方針とかで子供の頃から異様にしっかりしてるコだっているし」
 セインの意見を、またしてもシャンテは否定する。
「それこそおかしい。エリっちとキャロっち、あと陛下の話を聞く限りフェイトさんの教育方針は子供に甘過ぎる、過保護とも言っていいくらいだよ」
「んー、でもそれって生来の性格だって言われれば終わっちゃう話じゃない?」
「だね。でも、エリっちの場合はその生い立ちからしてすでにおかしい」
「あ……」
 ハッと、シャンテの言葉にセインが反応する。ここに至って、彼女もシャンテの言わんとしていることを察する。
 “プロジェクトF”――エリオの原点とも言える言葉。
 それは偽りの死者蘇生術。
 クローニング技術自体は管理世界の中で最も科学技術が進んでいる世界の一つであるミッドチルダではそう珍しい話ではなく、特定医療行為の際には昔から使われている手法である。そして「プロジェクトF」という名で呼ばれるそのクローニング技術はオリジナルの特徴や記憶を鮮明に受け継ぐクローンの作成を可能とする。
 それでもクローンはクローンである。オリジナルと全く同じ容姿、記憶を持っているとしても、それは『全く同じ別人』でしかない。それを認められない人間たちが起こした悲劇は、数知れない。
 エリオ・モンディアルのクローンの案件はその中でもとりわけ悲惨なものであった。
「三歳相当の時に自分がクローンだと知らされ、同時に両親にも見限られる。そしてよりによって違法研究機関に連れていかれた。そこで一年、拷問と言ってもいい人体実験のモルモットにされた。――三歳の子供が体感する一年だ、それは永遠にも感じられただろうね。
 たぶんそれが原因だ」
「原因って?」
「エリっちは自分を殺しているんじゃない。自分が死んでいるんだ。だから我欲なんて持ち合わせていない」

665聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:23:09 ID:I1DjenAE
 自分がエリオ・モンディアルではないと知らされ、親に見捨てられた際に彼は自分のアイデンティティを見失った。そして永遠に等しい人体実験によって人ですらないと思い知らされた。フェイトの献身的な努力のおかげでなんとか彼は生きる気力を取り戻したが、それでも死んでしまったものは蘇らなかった。――皮肉なことに、これが死者の蘇生を目指したはずのプロジェクトFのクローンの話である。
「暗い話になっちゃったね、ゴメン」
 自分らしくない、とシャンテも自覚している。沈んだ空気を吹き飛ばすために冗談の一つでも言ってみようかと思ったが、白けるのは目に見えているのでやめた。紅茶でも飲むふりをして間を持たせようとして――カップは律儀にも件の少年に片づけられてしまっていたことに気づいた。
「エリオも大変だねー……生まれつき戦闘機人の私にはわからない機微だね」
 そのことを察してくれたのか、いつものようにただ何となくなのか、セインが何でもないことのように茶化してみせた。この親友はいつもおちゃらけているようでいて、たまに驚くような洞察力を発揮する。
「でもさシャンテ、その考察が正しいかどうかを確かめる術はないでしょ。言っちゃ悪いけどただのシャンテの妄想だって可能性もあるんだから、あまり深く考えない方がいいよ」
 そしてその親友の鋭い指摘に、それでもシャンテは回答を用意していた。
「あるよ――それもお手軽なのが」



 目当ての人物はすぐに見つかった。修練場の一角、日中に決闘を繰り広げたところと全く同じ場所にエリオ・モンディアルはいた。
 その生真面目さにシャンテは苦笑する。聖王教会の修練場は広く、夜間ということもあり修練場を使用しているのはエリオだけだ。にもかかわらずわざわざこんな遠い一角を選ぶとは――まさかとは思うが他に人が来た時のためなのだろうか?
 シャンテは早速、声をかけようとして――思いとどまった。怖気づいたわけではなく、ただあと少しだけこの騎士の舞踏を見入っていたかっただけだ。
 闇夜を裂く銀の槍は、黒いキャンパスに幾何学的な線を描いているようにも見える。
 愚直に、真っ直ぐに槍を振るうその姿は、まさに子供の頃に読んでもらった絵本の中の騎士そのものだ。オートスフィアを使った回避トレーニングではなくただ一途に、だが精微に型を反復する。剣と槍の違いはあるものの、体捌きや間合いの置き方、呼吸のリズムはなるほど確かに彼の師とよく似ている。
 誰に見咎められているわけでも、命じられてわけでもなく彼はこうして自身を鍛えている。それはおそらく――少しでも憧れの執務官の力になれるように、それとも小さな召喚士を守れるように、だろうか。

666聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:24:05 ID:I1DjenAE
 断言できるのは、間違っても自身の欲望のために力を求めているわけではない。どこまでも他人のために――局員になると決めた時も彼の中には何の葛藤もなかったのだろう。
当然だろう――何故なら彼には“我欲”というものがないのだから。
「……」
 シャンテの胸中に羨望と憐憫――そして僅かな苛立ちさえも芽生えた。
だからだろうか、何となく彼に気づかれないように迫って驚かせてやろう、なんてイタズラ心が沸いたのは。
 足音を殺し、エリオの死角に回る。シャンテだって伊達にあのシスター・シャッハから逃げ続けているわけではない。足だけではない、身を隠し気配を殺す技術にも自信がある。
 あの真剣な顔を崩して、指をさして笑ってやろう。その光景を想像し、思わず口元がニヤつく。
「何してるのシャンテ?」
「のわぁ!」
 今まさに飛びかかろうとしたその瞬間に、エリオが振り返る。シャンテは情けない声を上げてしまう。驚かそうと忍び寄ったはずが、逆に驚かされてしまった。
「な、なんで気づいたの……?」
「ん?ああ、もしかして驚かすつもりだったの?気づくも何も……足音でバレバレだったけど」
「なっ……」
 すっかり失念していた。この少年は信じがたいほどに感覚が鋭敏なのだ。持って生まれた資質か、日頃の鍛錬の成果なのかは定かではないが、どれだけ足音を殺して近づいても、まるで後頭部に目がついているかのように耳ざとく感ずかれてしまう。
「それで、わざわざどうしたの?まさか僕を驚かすためだけってわけじゃないよね?
 もしかして一緒にれんしゅ……」
「いや違うから」
「だろうね」
 エリオはくるりと槍を回して穂先を地面に刺し、杖代わりに寄りかかる。シャンテが話を切り出すのを待つようだ。
 シャンテがここに来たのはエリオに自身の歪みを教えるためだ。まずはその歪みの存在
を証明するために一芝居うつ必要があるのだが――それのための一歩がどうしても踏み切れない。演技とはいえ、なかなか勇気がいるのだ。

667聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:25:14 ID:I1DjenAE
シャンテは改めてエリオに目を向ける。今の今まで体を動かし続けていたのだ、呼吸に乱れはないが、汗はまるで雨に打たれたかのように彼を濡らし、前髪や訓練着は彼の体に吸いついていた。
不覚にもドキリとしてしまう。別段シャンテはエリオに対して恋慕の情を抱いているわけではないが、これでも思春期の少女である。濡れた衣服の下から浮かび上がる、細身だが豹のようにしなやかな筋肉のラインに思わず赤面してしまうのは不可抗力と言えよう。
――『星空が好きだ』といつか彼が言っていたことを思い出す。それが幼少の頃、狭く暗い研究室で過ごした経験に由来するのかどうかは知らない。だが言われてみれば、炎というよりも薔薇を思わせる赤い髪、月の光に煌めく銀の槍、どこか憂いを帯びたその立ち姿――なるほど、この騎士に星空はよく映える。
 貴い――だからこそ気づかせなければならない。自分が干渉しなくともいずれ彼は自分の歪みと向き合うことになるだろう。だが、それがもし取り返しのつかない局面であったら?
 フェイトに助けられた自分が、実はとうの昔に死んでいた。
 そのとき彼は致命的な傷を負うだろう――身体ではなく精神に。
「あのさエリっっち……あたしエリっちに伝えたいことがあるんだ」
 意を決して声をのどから絞り出す。緊張で声が震える。思わず赤面してしまうのは――この際むしろ都合がいい。
「……なに?」
 声音からただごとではないと感じ取ったのか、エリオは姿勢を正してシャンテに向き合う。
「…………」
 ここにきてシャンテの中に、彼とそこまで親密でもない自分が軽々しく彼の闇に触れるような真似をしていいのか、もっとふさわしい相手に任せればいいのではないかという迷いがよぎった。
関係ない――ここにいないヒロインよりも、ここにいる脇役の方がまだ役に立つはずだ。
 シャンテはエリオの顔を真っ向から見据える。
「あなたが好きです。あたしと、付き合ってください」
 声は思いの外すんなりと出た。だが残された体の方がまずい。足が震え、これ以上熱くなることのないと思っていた顔がさらに熱くなる。
 エリオの方は完全に埒外の告白だったためか呆然自失の有り様だ。無理もない、告白した本人ですら信じられないのだから。
 重ねて言うが、シャンテはエリオに恋慕の情は抱いていない。そして当然ながら本気で交際を申し込んだわけではない。
 これが、セインの問いの答え『歪みの確認方法』である。
 エリオが真に我欲をなくしているのならば、別段恋慕っているわけでもない女性の告白でも応えてしまうだろう――自分の感情よりも他人を優先させて。

668聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:25:45 ID:I1DjenAE
 同情で女性の想いに応えるなどこの上ない侮辱だ。だが彼は応えてしまう、自分が死んでいるのだから他人のことしか考えられない。
 それが彼の人生の縮図だ。他人のために生きて、自分は一生幸せを掴まずに死ぬ。
だから正してやらなくてはならない。
シャンテは次の展開を予測する。エリオがシャンテの告白に応えた時、間髪入れずにまずはその顔を引っぱたく、そして――。
「ごめん」
 そして呆気にとられる彼の足を払い、マウントをとり説教を――。
「――――――え?」
「ごめんシャンテ……君の想いには応えられない」
 そのときシャンテの頭の中は、混乱を通り越して空白となった。
 彼が何を言っているのかがわからない。彼の歪みを正し、導こうとする未来図まで予想していたはずなのに――こともあろうに、その前提条件である“歪み”の所在すら見失ってしまった。
「ちょっと……待って、何が――どういう、こと?」
 全くの予想外の展開にうろたえるシャンテの姿を、エリオは履き違えてとらえたらしく、ばつが悪そうに眼を伏せる。
 その様子を見て、はっとシャンテは我を取り戻し、見当違いな罪悪感を抱いている少年にことの真相を、正直に白状することにした。
「ちがうちがうちがう!違うから!エリっち!聞いて!」
「……?」



「つまり、自分の不真面目さを正当化するために僕の性格の粗探しをしていた、と」
 今回の話の顛末を、エリオはわかりやすく端的に表現してくれた。
 あからさまなため息と眉間に指を当て眉をひそめているあたり、彼には珍しく呆れと僅かな怒りを訴えているようだ。
「いや……まあ……はい」
 何故思い至らなかったのだろう。自分のように格別に不真面目な人間がいるのならば、彼のように度が過ぎるほどの真面目くんがいたところで何の不思議もないではないか。
 なまじ彼の過去を知っているだけに、深読みして彼の性格に理由を求めようとしてしまった。言ってしまえば、シャンテの早とちり、ただそれだけの話であった。
「確かに、僕の過去の経験は人格形成にそれなりの影響を与えたと思う。
 でもそんなのは誰だってそうさ。何も、特別なことなんてない」
 何でもないことのように言ってのける。

669聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:26:47 ID:I1DjenAE
 誰もが同情する悲劇のヒーローを気取ったっていいはずなのに、今の自分は幸せだから変な気を遣わないでほしい、と彼は言っているのだ。
 特別な過去を持つからといって特別扱いすることは、その人にとっての何よりの侮辱でしかない。小学生でも知っている、道徳以前の常識だ。
 とうの昔に彼は過去を克服していた。
 忘れたわけではない。目を背けたわけでもない。
 悲痛な過去を今の幸福の糧にしている。そんなことができる人間なのだ。
「そりゃあ……敵わないわけだ」
「……?」
 もはやシャンテの瞳に憐憫の色はない。あるのは純粋な羨望のみだ。
「…………」
「…………」
 心地よい沈黙が流れる。
 シスターとしてはお世辞にも淑やかとは言えないシャンテであるが、今この瞬間、この生真面目すぎる少年騎士の隣にいる間だけは自分も清淑なシスターでいられる気がした。心なしか頬が熱い。心臓の鼓動が早まる。胸の奥の、さらに深いところにある何かがしめつけられる。だがそれは決して不快なものではなく、むしろ気持ちよくさえある。
 これではそう、まるで――。
「うわあっ!」
「わっ」
 シャンテは奇声を上げて跳びあがる。
 ――今、自分は何を考えていた?
 ふられた直後に惚れるなど、救いようがないにも程がある。それに、親友の召喚士二人を敵に回すのも御免だ。
 「……どうしたの?」
 シャンテの突然の奇行に、エリオは戸惑いながらも心配する。
 あの心地よい空間はどこへいったのか。夜風はシャンテの頭を冷やしきり、先ほどとはうってかわって気まずい空気が流れている。
 そこではたと、シャンテは肝心なことをエリオに言いそびれていたことに気づいた。
「エリっち……ごめん!」
 勢いよくシャンテは両手を合わせた。
 だが当のエリオはきょとんと、なせ自分が謝られたのかわからない様子である。
 案の定、とも言える反応にシャンテは苦笑を浮かべる。そうなのだ――この少年は強がりや虚勢ではなく、本当にあの過去を乗り越えているのだ。
 だからシャンテに過去を無遠慮に詮索されたとしても、彼にとってのそれは、『恥ずかしい過去を掘り返された』程度の認識でしかないのだろう。

670聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:27:47 ID:I1DjenAE
 しかしシャンテの心境としては、そのやさしさに甘んじるわけにはいかない。これでも道理を重んじる聖王教会のシスターなのである。
「だってあたしはエリっちの古傷をひっかき回したんだよ?それも、ただの興味本位で!」
「ああ、そういうことか。
 僕は気にしないけど、うーん……シャンテがどうしても謝りたいって言うのなら、二人とも得をするいい解決法があるけど――どうする?」
 シャンテの思いの外殊勝な申し出に、エリオは一瞬呆気にとられるが、すぐに破顔し、彼にしては実に珍しい、何やら含みのある笑みを浮かべた。



「やっぱりね……」
 予想通りの展開に、だがシャンテは苦笑いを禁じ得なかった。
 今、シャンテとエリオは二十メートルほど距離を空けて向かい合っている。これから何が行われようとしているのかは、もはや言うまでもない。
「女の子への誘い文句が『よし、決闘しよう』ってのはどうかと思うよ?」
「そうかな?知り合いの女性には決闘趣味の人、結構多いよ?」
「六課のアマゾネスを一般女性と考えてはいけません」
 先の件ではシャンテに非があるため、エリオの申し出を飲まざるを得なかったが、飲んでしまえば立場は対等――いや、男女の違いからエリオに責めに帰すべき事由があるすらいえる。くたくたに疲れている乙女を捕まえて決闘につき合わせるとは、シャンテに不平不満に浴びせられても文句は言えないだろう。
「それじゃあいくよ」
 エリオは愛槍を正眼に構え、シャンテもまたデバイスを起動させ旋棍を構える。
 構えも間合いも先の決闘と同じではあるが、異なる点が一つ――使用する魔法は身体強化のみ、という取り決めである。夜間ということもあり、派手な攻撃魔法による爆音は他の修道士たちの迷惑になる、という配慮からである。
 その取り決めははシャンテにとっては願ったり叶ったりのものであった。もとよりそんなことに割けるほど魔力に余裕はないし、そもそも彼女は射撃魔法や砲撃魔法の適性は高くない。
反面、エリオにとっては自ら足枷を一つ増やしたようなものであった。エリオの高速機動とは異なるもう一つの特性『変換資質:電気』――これは魔力を電気に変換させる工程をノータイムで行える稀有な資質であり、彼の最大の武器の一つである。この資質によりエリオは攻撃力の強化、範囲攻撃等を得意とするが、その特性も自ら提示した取り決めにより使用不可となった。

671聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:28:42 ID:I1DjenAE
“まあ、これでやっと対等ってところなんだけどね”
 彼がもたらしてくれた利点も、シャンテを手放しで喜ばせるものではなかった。
 エリオは自らの武器を捨て、自分は魔力と集中力を無駄なく運用できる。それだけのハンデがありながら、今日一日目の当たりにしてきたこの騎士を相手に勝機を見出すのは難しい。
 自分と彼には、それだけの差があるのだ。
先の決闘の結果を、あの遠い背中を思い出す。
 “好敵手”――初めてそう言ったのは誰だったか。その時は鬱陶しくも誇らしかったことを覚えている。あの機動六課の天才児と並び立つ存在だと認められた。当時、同年代はおろか並の修道騎士すら相手として不足だったシャンテにとって、初めて全力を出しても勝てるかどうかの相手と出会ったのだ。――それも相手は自分と同い年の少年だ。
 だが年々――いや日に日に開く好敵手との実力差に、拭われたはずの孤独感が再び鎌首をもたげていた。
「それでも……勝つよ」
 そんな身を焦がす焦燥感も、シャンテは振り払いエリオと――敵と向き合う。
 そう、だからこそ勝つ。この戦いで彼を超え、あの背中を追い越し今度は彼に自分の背を見せつけてやる。
シャンテの気迫を受け、エリオは半ば条件反射で地を蹴った。
 狙いは――推し量るまでもない。策も小細工もない、単純な刺突だ。
 エリオが先手をとった場合、必ずといっていいほど彼は真正面から突撃してくる。せっかくの速さも狙いがあらかじめ知られてしまえば脅威は半減するというのに、彼の初手は愚直なまでに真っ直ぐなのである。そんな彼の馬鹿正直さを、シャンテは決して嫌いではない。
 音速で繰り出される槍を、シャンテは左手に持つ旋棍だけで難なくいなした。驚くことでもない。シャンテも高速型の騎士なのだ、どんなに速い攻撃であろうと狙いさえわかっていれば防ぐことは容易い。
 左の旋棍で槍を抑えたまま、残った右の旋棍を半回転させエリオの首を刈り取りにいく。――が、それも当然のごとく軽く上体を逸らすだけでかわされる。
 刹那、両者の視線が交差し獰猛なほどの笑みを投げ合う。
 知ってしまえばどうということはない。シャンテは自嘲する。
 彼には我欲がない?何を馬鹿な――こんなにも、自分との戦いを愉しんでいるではないか。
 ――響く剣戟はまさに最上の交響曲だった。
シャンテは目の前の戦いに全神経を集中させているにもかかわらず、否だからこそその音を一瞬たりとも聞き逃すことなどなかった。

672聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:29:51 ID:I1DjenAE
 もどかしい、この素晴しい二重奏をもっと多くの人に聴かせたい。演奏者はたった二人、聴き手もたった二人、あまりに惜しい。だがそれでもいい――いやそれがいい。この心地よい時間は、誰にも邪魔はさせない。
 今、この瞬間エリオはシャンテだけを見て、シャンテのことだけを考え、シャンテのためだけに動く。シャンテもまた、彼だけを見て、彼のことだけを考え、彼のためだけに動く。まるで世界に二人しか存在していないかのような錯覚さえ覚える。
 ああ、これでいい。
 永遠を誓い合う――そんな少女趣味はあの召喚士のどちらかに任せていればいい。
 自分と彼の関係はこれで十分だ。刹那の間にお互いの全てをぶつけ合い、共有する。
 彼女らは彼の隣で、彼を支えることができるかもしれない。
 だが彼と真っ向から打ち合うことができるのは自分だけだ。彼と速さを、技を、力を競い合うことなど彼女らには一生できまい。
 えも言われぬ優越感が、シャンテの総身を震わせる。
 だがこの幸福な時間も、終わるのは唐突であった。
 予感はあった。両者ともに高速型、刹那の差を競い合う者だ。ならば終わりも刹那の内に訪れるであろう。
 槍と旋棍が衝突する。ともに必殺を確信し繰り出した一撃であり、それ故反動も大きい。
「きゃ……」
「……ッ!」
 得物を弾かれ、二人は大きく体勢を崩す。この局面に至って、やはり勝負を分けるのは得物の差であった。
 シャンテもエリオも、己の得物は相手から最も遠い位置に弾き出されている。
 だが、シャンテの得物は単一ではない。右手の旋棍はエリオから遠い、だからこそその対極にある左手に旋棍は何よりも先に彼に届く。
 そのはずなのに――この、愛しくも憎たらしい好敵手はそれでも勝ちを譲ろうとしてくれない。
 勝利をもたらすはずの左の旋棍が弾き飛ばされる。弾き飛ばしたのはエリオの左脚に装着されている甲冑である。
「足癖の悪い……!」
 これで勝負は振り出しに戻った。得物の差はもはやなく、単純に速さを競う戦いに切り替わる。
 煌めく銀槍、疾駆する旋棍。
 両者同時に勝利と敗北を確信する。

673聖女と騎士の二重奏:2011/10/29(土) 14:30:48 ID:I1DjenAE
「…………」
「…………」
 喉元につきつけられた槍、首筋に押し当てられた旋棍。
 もしこの決闘に審判がいたのならば、迷うことなく引き分けだと宣言するだろう。
 しかし、刹那を競い合った当人たちだけが認識できる極微の差が、確かにあった。
「あっちゃー……また負けちゃった」
「いや、紙一重だったよ。次はどうなるかわからない」
「勘弁してよ……そんな体力は残ってないって」
 ぺたん、とシャンテはその場に座り込む。
 死力を尽くした戦いの結果は、またしてもシャンテの敗北であった。
 悔しさはあるが屈辱はない。何故ならそう、紙一重だったのだ。
 決して届かないと思っていたあの背中に、六課の隊長陣に比肩する騎士を相手に紙一重だった。ならばきっといつの日か、自分も胸を張って彼に並び立つことができるはずだ
 今はそれがたまらなく、嬉しい。
 ふと、シャンテの体が宙に浮いた。
「ふわっ!?」
「久々に疲れたね、つき合ってくれてありがとう」
何事かと慌てるシャンテだが、自分がエリオに抱き上げられていることに気づき何故か自分でもわけがわからないほどさらに狼狽する。
「ちょ……!待っ……あたし!汗!いっぱい、かいてるからっ!」
「そうだね、僕も汗びっしょりだ。早くお風呂入りたいよ」
 エリオはそんなシャンテにお構いなしに歩みを進める。シャンテも間近で笑顔を向けられたことによって、言葉に窮し赤面した顔を逸らすという些細な反抗をすることでその場を凌いだ、つもりである。
「…………」
 自分らしくない、とシャンテはふてくされる。普段ならば自分がエリオをからかい、慌てふためかせる役どころのはずだ。こちらは勝負に負けたのだ、せめて他のところで彼に一泡吹かせてやらねば気が済まない。
 そうして瞬時に逆転の言葉を探し当てる。その閃きは間違いなく彼女の才能の一つであろう。
「どうせなら……一緒に入る?」
「なっ!?」
 あれだけ凛々しかった顔が面白いように取り乱す。危うくつんのめり転倒しそうになるが、なんとか踏みとどまる。
それでも両腕に抱えたシャンテを落としてしまわないあたりはさすがである。
期待通りの反応にシャンテは声を上げて笑う。
 そんな彼女をエリオは恨めしそうに半目で睨むが彼女の笑い声に毒気を抜かれ、観念したように微笑みを浮かべる。
 まあ、今日のところはこれで勘弁してやろう。シャンテは瞼を閉じ、自分を包む両腕の感触を堪能する。
 今日は自分でも驚くほど頑張ったつもりだ。だから、これくらいのご褒美をもらっても文句は言われまい。
 そうしてシャンテは、まどろみに落ちていく。夜道を歩く二人を包む空気は優しく、夜風はどこまでも涼しい。
 これにて、今宵の聖女と騎士の二重奏は終幕である。

674えんは:2011/10/29(土) 14:33:24 ID:I1DjenAE
以上です、お粗末さまでした

675名無しさん@魔法少女:2011/10/29(土) 21:53:44 ID:tbrwF/mY
GJ!青春だなぁ
しかし・・・・
>「どうせなら……一緒に入る?」
エロオ・モンデヤル的にはここはYESと言わなきゃwww

676名無しさん@魔法少女:2011/10/29(土) 22:39:50 ID:nnh34sYU
gjです。非エロなとこがまたないす。

677Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2011/10/30(日) 00:52:44 ID:8MGB/RMI
>674
ぐっじょぶぐっじょぶ!
バトルしつつもなんかこう甘酸っぱい少女の想いが伝わってくるようだ。
このままシャンテルートいっちまえYO!


さて……今日はダーク祭りと聞いたのだが誰もおらんのう。
1時になったら投下を始めたいがよろしいか?

678Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2011/10/30(日) 01:01:13 ID:8MGB/RMI
という訳で1時になったので投下します。

・はやて10歳
・凌辱、ダメな人は回れ右

ではでは始まります

679Wrathy 1/4:2011/10/30(日) 01:03:05 ID:8MGB/RMI
 ──皆でキミを捕まえてあげるからね。叫んでも誰も来ないよ。さぁおやすみの時間だよ。甘いあまーい時間だよ──

「まさかこないに拡散するなんて……不覚やったわ。皆、大丈夫か?」
「ええ。でも、とてもこのままじゃ……きゃぁっ」
名称不明のロストロギアが、海鳴で猛威を振るっていた。
感染型らしく、時と共に被害者を増やしていくが、肝心の源が分からない。
四年生に上がったばかりのはやては、シグナム達と一緒にこの名も無きロストロギアの討伐に向かった。
このロストロギアは、互いに争いを誘発するという、古代ベルカ戦争でスパイ活動に使われたとしか思えない作用を有していた。
既に死人まで出ており、根元の破壊が急務だった。しかも厄介なことに、感染者は一般人だった。
無闇に傷つける訳にもいかず、またはやての優しさが切っ先を鈍らせ、戦況は後退する一方だった。
「くっ、囲まれてしもうた……でも、上ならまだ!」
ビルの袋小路に追い込まれてしまったはやてだったが、機転を利かせて空に飛んだ。
まずはヴォルケンリッターと合流しなければ……と思った矢先、周囲で一番高いビルの屋上をかすめた瞬間に足首を掴まれた。
「わ、わぁっ!」
飛ぼうとした力がそのまま足にかかって、付け根から千切れてしまいそうな激痛が襲った。
魔力の集中が途切れてしまい、コンクリートの地面に叩きつけられる。
頭を打って世界が揺らいでいる間に、何人もの男達がはやての周りを取り囲んだ。
「あたた……って、何? どういうことや? アカン、こっちに来ないで……」
足を挫いてしまって、上手く立ち上がることもできない。脳震盪の名残が集中力を奪い、再び空に舞い上がることができない。
ビルの屋上で血みどろの乱闘が繰り広げられていたと知ったのは、それから幾ばくもかからなかった。
心臓の鼓動に合わせて血を吹き出し、死を待つだけの屍を見て、はやては悲鳴を上げた。
一人の男がはやてのバリアジャケットを掴んできて、引き寄せられた。
その周りで何人もの男達が群がり、我先にとはやての身体に触れようとしていた。
「まさか、私に感染させる気? そうは……いかへんで!」
蹴ったり殴ったり押し退けたり、可能な限りの抵抗は尽くしたが、数が多い上に大人ばかり。
羽交い締めにされて吊し上げられ、じたばた暴れている最中に、金属バットを持った一人が近づいてきた。
「あかん……殺される……たす、助け……」
空を切ったバットが、はやての下腹部を直撃した。
内臓が飛び出て来そうな衝撃に意識が一瞬消え去り、元に戻ってきた頃には、
はやての身体は冷たいコンクリートに押さえつけられていた。肺が焼けるように痛い。
アバラが何本か逝ったらしいことが、辛うじて理解できた。
カチャカチャと、何かを開ける金属音。ひきつった顔で頭を上げると、そけこにはおぞましい肉の塊があった。
「ひぃっ……こ、来ないでや……私『まだ』なんよ……? そないな物騒なモン、はよ仕舞ってや?」

680Wrathy 2/4:2011/10/30(日) 01:03:48 ID:8MGB/RMI
耳を貸す者はいない。理性を失った暴徒はいずれも目がギラギラとうねっていて、はやての目からは涙が溢れ始めた。
「や、止めてや……」
迫り来る影に怯えるのが却って楽しいのか、一人がニタリと笑って肉棒を頬に擦り付けてきた。
据えた臭いに頭を振り、少しでも逃げようともがくが、腕も腰も押さえつけられていてはできることなどないに等しかった。
「アカンて……私まだキスかてしたことあらへんのに……好きな人ができるまで、ちゃんと大切に取っておくんやぁ……んむぅぅっ」
無慈悲に挿入された肉槍の先端が、舌を乱暴に擦った。
頭がグラグラと揺れて、意識が遠ざかっていく。伸びた皮がべちゃべちゃ舌に絡み付いて、残された希望の全てを奪っていく。
「んむっ、んんんっ、んーっ!」
目の奥が痛い。初めての感触に脳が拒絶反応を覚え、全身の毛が逆立つ。はやては濁りゆく意識の中、絶望が目を覆っていった。
ファーストキス、だったのに。こんなおぞましいモノに捧げてしまうなんて……嘘だ。嘘だ。嘘だ。
こちらの意志なんて知ったことではないと、ぐちゃぐちゃ汚い怒張が口内を抉る度に、嫌な味がいっぱいに広がった。
「んぶぅぅぅぅぅぅっ!」
何の脈絡もなく、苦くて不味い液体が口の中に注ぎ込まれる。憎悪よりも嫌悪が先に立ち、あまりの臭気に咽せる。
流し込まれたのが白濁液だと気付くと、決定的な喪失感がはやてを襲った。
「ナメロ……ゼンブダ……」
「んんん、んんーっ!(嫌や、そんなの!)」
四つん這いになっていた下から蹴り上げられ、内臓が捻れる衝撃に、苦い水が逆流する。
皮の間に残った精液が、後から後から染み出してくる。口を開けたら最後、どんな痛みが待っているのか……
恐怖が先行するばかりで他の思考が焼失し、言われるがままに亀頭へ舌を這わせ始めた。
「んむ、ちゅぷ……くちゅ……」
信じられない。信じたくない。どんなに願っても、祈っても、現実は変わらぬまま目の前にあり続けた。
「ノメ……」
「ふぁ、ふぁい……」
口の中に溜まった精液と唾液が複雑に絡み合って、口内全体、鼻の奥にまで精臭が広がっている。
粘ついていて喉が動かなかったが、未来にしかないはずの痛みを幻視して、必死に汚液を嚥下した。
「んぐ、んむ、んんっ……」
汚い、汚い、汚い。ヘドロを飲んだ方がまだマシだった。嫌で厭でたまらない、苦しくて不味い味が鼻から抜けていった。
見上げると、まだ納得のいっていない顔。まだ少し残っているのが原因らしい。
隙間にまで舌を伸ばし、残滓まで綺麗に舐め取った後、またコクリと喉を鳴らした。
「ん、ぐ、ぐ……」
尚も腰を動かそうとした男に、後ろから鉄棒で殴りかかる別な男。どうやら、この悪夢は単に選手交替をしただけらしかった。
「いやや……もういややぁーっ!」
どんなに叫んでも、意思を理解しない彼らの前には無意味だった。
続く二本目の肉棒を口に突っ込まれた頃、はやては悪夢が覚めないことを知った。
バリアジャケットが無惨に破られ、純白のショーツが露になる。それをするりと下げられると、はやては気狂いじみた悲鳴を上げた。
「だ……誰か助けてぇ! こんなところでレイプされるなんていややぁーっ!」

681Wrathy 3/4:2011/10/30(日) 01:04:25 ID:8MGB/RMI
何もかも遠くなる。救いがないと分かっていても、誰かを期待してしまう。
なのはも、フェイトも、ユーノも、他の騎士達も、今すぐこの場に駆けつけてはくれないだろう。
頭で分かっていても、理解できる訳がなかった。
秘唇の入り口を、男のモノがひたひたと当てられた。
息を飲んだと思ったその瞬間には、意識を地平線まで吹き飛ばす痛みが下腹部に走った。
音無き泡の音が、ごぽごぽ耳の奥で鳴った。
外界からの反応に乏しくなり、生きている感覚が失われていく。
指先の一本を動かすのも嫌で厭で仕方なくて、もし動くなら今すぐこの首を締めたいくらいだ。
よほど血が出ているのか、呼吸が浅くなってきた。
粘度の少ない液体が太ももに流れている感触から、どこかが裂けたのだと確信した。
「なんで……なんでこんなことになるん……? 初めてやったのに、初めてやったのに……」
涙と精液を、同時に飲み込む。
次から次へと相手にする怒張に顎が外れそうになり、強烈な吐き気が横隔膜から突き上げてくる。
「だれか……たすけて……」
頼みの綱、シュベルトクロイツは手にない。バールか何かのように扱われ、真ん中から二つに折れているのが見えた。
念話で何を叫んでも、口で同じ事を振り絞っても、助けが来る気配すら見えなかった。
「熱い! いやぁっ、何なの!」
胎に熱湯を注ぎ込まれたと思った。
マグマのようにどろどろした塊が、ぽたりぽたりとコンクリートの地面に落ちていく虚しい音が聞こえる。
体勢を変えられて、冷たい場所に背中を敷いた。
腕を押さえられていて首から上しか動かせないが、その僅かな可動範囲で分かったことは……
秘部からとめどなく零れ落ちるピンク色の液体だった。
今しがた、男が抜いた肉棒から、血の混じった液体がぬらぬらと妖しい光を放っていた。
鈴口から垂れている色は、赤ではなく白。遅れて届いた精と鉄の臭いに、全身から力が抜けていった。
「ゆめや……こんなの、ゆめにきまっとる……だれか、うそやっていうてよ……」
うわ言のように繰り返し、曇天を見上げる。涙と違って、雨はいつまで経っても降り始める気配すらなかった。
後はもう、男達のなすがまま。ペニスをひたすらに受け入れていた。
肋骨の痛みも麻痺して、ただひたすらこれ以上の苦痛がないように努めた。
彼らの目的は、単なる性欲処理。はやてはただ、その道具になってさえいれば良かった──はずだった。
五人目か、十人目か、とにかく尻まで冷たくなるくらい大量の白濁液を膣内射精された後、
周りではやての手に扱かせたり乳首に亀頭を擦りつけていた連中が、口々に不満をぼやき始めた。
「マグロダナ」
「コイツデシメヨウ」
残念そうな顔になって、一人が転がっていたシュベルトクロイツを拾い上げた。
折れたそれはバトンにもならない。一方の先はズタズタに尖っている、兇器にもなりうるそれを、刺を反対側にして構えた。
魔法が使えない人にそんな魔杖、役に立たないのに……!
「まさか……やめて、やめてや……死んでまう、そんなんいややあああああああああああああああああああぁぁぁっ!」

682Wrathy 4/4:2011/10/30(日) 01:05:18 ID:8MGB/RMI
尖ってはいないが、硬さでは十分すぎる青い先端。それを、はやての股ぐらに押し付ける。
あらん限りの声で拒絶を示したが、彼らは受け入れてくれなかった。
「が、はっ……」
下から突き上げてくる、非現実的な痛み。赤い景色が一面を覆って、腹が内側から膨らまされたかのような感覚に支配される。
「オカセ、オカセ、オカセ。モット、コイツニダシタイ!」
はやては、遠ざかる意識の中、この世の全てを呪った。

***

管理局――いや、学校からも長い休みを貰った。このままでは確実に四年生はやり直しだろう。
なのは達と同じ学年から外れていくのが怖くて、勇気を出して学校に行ってみるものの、
クラスメイトだろうが教師だろうが、男性を見かけるだけで心臓が凍る恐怖が全身を巡り、泣きじゃくって全ての思考を止めてしまう。
自宅の窓から空を見上げる日々。もう、シグナムの剣もヴィータの鉄槌も、見れないし見たくない。
ただただ安穏とした動きのない日常の中でそのまま朽ち果てたかった。
そして崩壊は、足元から始まった。
元々が成長期の身体で生理不順だった気はあったが、それにしても来るのが遅すぎる。
石田先生を訪ねて相談したところ、何がしかの検査薬らしきものを渡された。結果を見て、石田先生の顔が真っ青になった。
「……あ、あはは、大丈夫よ。結果を分析してみるわ。
 ちょっと、シャマルさんを呼んできてくれるかしら。はやてちゃんはもういいわよ」
顔色で判断する限り、最悪の事態だと悟った。教育は受けているし、それくらい分かる。
診察室を出た瞬間にバタリと倒れ、そのまま意識を失った。最後の記憶は、廊下から飛び出してくる何人もの医師達だった。

はやては、夢の中では、永遠に続く夢だけは幸せだった。

──シャマル、はやての身体には赤ちゃんがいるんだよ。しかもそれだけじゃなくて、子宮内に炎症が広がっているんだ。
腫瘍の影も見えるし、手術で切除しないと──

683Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2011/10/30(日) 01:07:24 ID:8MGB/RMI
お粗末さまでした。
下の通りあと4つあるよ! お楽しみに!

>司書の方
今回の「Wrathy」と、今までの「GREEDY」・「Slothful」と合わせて
「七つの大罪」という短編集として保管をお願いします。

684名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 01:50:34 ID:nR2RysEk
>>683
フォオォォォォォ!いきなりハード凌辱がキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
凌辱だけでも悲惨なのに最後の最後で・・・赤ん坊(´;ω;`)・・・。一番槍GJでした!

685名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 03:27:05 ID:BV8yhaTI
青春から凌辱のふぉーりんだうん、いやぁ鬱だ。
はやてって設定的に凌辱と相性良いことに気付かされました。

686名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 16:06:19 ID:qKbX95X2
GJだ、褒美にはやてとやる権利をやろう
しかし今日が祭りだよな?本格的な投稿爆撃は夜からか?

687名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 20:13:50 ID:ePv8Gt2Q
アインハルトさんの生活費が不思議でならない
パトロンがいてエロいばいとでもしてんのか、
あるいは…

『○月?日 パンの耳が尽きた、仕送りまで1週間』
『○月△日 ザリガニを釣りに行った、中々美味しい』
『○月?日 ヴィヴィオさん家に御呼ばれした、やはり持つべきものは友達だ』
『○月☆日 今日は水を飲んでやりすごした、さすがに憂鬱だ』

688名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 20:52:05 ID:ldL9YKvM
アインハルトって普通に家族と住んでるだろ

689名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 21:13:26 ID:h2jMVJPs
>>686
前例を倣えば一日一投下くらいの間隔があるからドキドキしながら待つと良いんじゃなイカ?

しかし強制受胎はいいな、すごくいい。

690名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 21:16:13 ID:zgfGlIZQ
新キャラ達は家族構成が明言されてないからなぁ
多分普通に家族がいるんだろうけど皆不自然なまでに出てこないからこれまでのシリーズから考えて
親がいないんじゃないかと邪推してしまうんだよね

てか改めて考えてみると絆を推してるシリーズなのに血の繋がった家族の絆を全然描かないなんて随分歪な作風だな

691名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 21:19:57 ID:sQ.3upVM
……親がいたら娘の中二病な言動に悩んでたんだろうな……

692Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2011/10/30(日) 22:35:38 ID:.IkgzH1I
>687を見てたらもう一本思いついたので即興で作りました。
投下してもよかですか?

693名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 22:36:51 ID:h2jMVJPs
おk

694Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2011/10/30(日) 22:42:06 ID:.IkgzH1I
ではでは投下します。

・アインハルト18禁
・ホームレス設定、鬱・麻薬注意
・他の作品との繋がりは忘れてあげて下さい

ではでは始まります

695悲しみの花 1/3:2011/10/30(日) 22:43:31 ID:.IkgzH1I
『10月25日 世間は給料日らしいが私には何もない……そう思っていたらヴィヴィオさんの家で夕飯をごちそうになった。
 ついでにお風呂にも入れた。何日ぶりだろう、本当にありがたい。
 ありがとう、ヴィヴィオさん』
『10月31日 ザリガニが釣れなくなった。全滅してしまったのか、今日は調子が悪いのか……
 試しに隣の化学工場に行ってみたら沢山いた。これで餌場は確保できた』
『11月4日 道行く人が私の服装を見て何か呟いている。
 こんなどろどろの制服を毎日来てる女の子なんて、他にはいないだろう。
 パン屋のおばさんも気味悪がって耳をくれなくなった。デパートの試食をハシゴしてやり過ごす』
『11月11日 公園で水を飲んでいたら通報された。施設なんて行きたくはない。明日から違う公園を使おう。
 最近、クラスメイトが寄り付かなくなってしまった。当たり前だ、こんな汚い子……
 工場のザリガニは結局吐き気が酷かった上に胃腸の調子が最悪になったので食べるのを止めた』
『11月12日 何気なく道を歩いていたら、財布を見つけた。中身は結構入っている。
 すぐ向こうでこれを探しているおじさんがいたから返そうとした。でも、殴られた。
 盗もうと思われたらしく、罵倒されてツバを吐きかけられた。
 その後、留置所で一晩過ごす』
『11月13日 取り調べの刑事が怖くて嘘を吐いた。3日間の奉仕活動だそうだ。
 街中でゴミ拾い。でも、お金なんかない。お昼ご飯を食べるために抜け出すのも無理だ。
 目が回りそうになりながら働いて、その日は家に帰った』
『11月15日 暮らしていたダンボールが撤去されていた。奉仕活動を終えて帰ってきたらこれだ。
 死に物狂いで集めた氷砂糖も、月に一度は替えようと思っていた着替えも、全部なくなった。
 もう死にたい。学費も、何もかも稼げない』
『11月16日 もし私が死んだ後にこの日記を見た人がいたら、お願いします。
 路上で生活している貧しい子供達のために、硬貨の一枚でも恵んであげて下さい。
 私はまだ働けるので要りませんが、働くことができない人達もいるんです。
 どうか、お願いします』

『11月22日 新しいダンボールハウスが出来上がった。程々に誰もいない地区の公園。
 おんなじ仲間が沢山いた。子供も、大人も。何人かはクスリで廃人になっていた。
 この辺の目玉は毎週2回の燃えるゴミだそうだ。収集車のルートに高級住宅地があるんだとか。
 しめた、これで食料に困ることはない
 日記には書いてないけど、3日か4か前に、ヴィヴィオさんに拾ってもらった。
 プチ家出だと言い張って言い張って、何とかごまかし通した。
 でも、バレるのは時間の問題だろう。遠いところに引っ越して本当によかった』

696悲しみの花 2/3:2011/10/30(日) 22:44:31 ID:.IkgzH1I
『11月25日 資源ゴミのくすね方が上手くなってきた。男達は他のサラリーマンみたいに飲み明かしてるし、
 その隣で子供達がタバコをふかしている。
 私も仲間に混ぜて欲しくて、ふらふら寄って行ったら一本くれた。
 ──多分これ、非合法なタバコだと思う。頭がふわふわして、気持ちいい。
 なんだ、こんなものを味わってないなんて、私ってものすごくバカだった』
『12月1日 にわかに寒くなってきて、公園に灯油のストーブが点いた。
 でも、それはこの公園のボスが全部握っている。金か身体を払わないと当ててくれない。
 無一文で薄汚い小娘なんて、相手にされなかった。
 寒い。寒い。寒い』
『12月7日 学校には郵送で休学届を出した。大きな奇跡が起きたら、また通えるようになるだろう。
 ますます気温が下がってきて死にそうだったけど、今日は小さな奇跡があった。
 何と財布をまた拾ったのだ。そんなに沢山は入っていなかったけど、当面のストーブ代は払えるだろう。
 ついでに着替えを買って、制服を洗濯した。公園の石鹸は本当に便利だ。
 全裸で洗濯をすることだけは抵抗があったし、そもそも寒くて死にそうだったから、これでしばらく生きていける』
『12月14日 思わぬ誤算。子供達から分けて貰っていたタバコ代が日に日にかさんでいっている。
 この調子だと20日になる前に財布が底を突いてしまう。
 どうしよう、どうしよう、どうしよう』

『12月18日 お金が残っているうちに決断した。
 脱ぎたての下着をその手の店で売り、小さな店で化粧品をちょっぴり買った。
 女の子のぱんつとかブラジャーを買い取ってくれるような店を教えてもらって、感謝感激だ。
 でも、私は年齢的に足がつく。そう何度も同じ手は使えない。
 どうしよう、またタバコが吸いたくなった』
『12月21日 ヴィヴィオさん、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい』
『12月22日 昨日は気が動転していた。今となってはどうでもいいことだから、改めてここに書こう。
 元々浮いてた私だったけど、例の店を教えてもらったのにお礼を渡さないことに怒られた。
 殴られて、蹴られて、レイプされた。初めてだったからとっても痛くて、今も足を閉じられない。
 昼過ぎから、夜更けまで、ずっと。精液便所とか罵られて、いつの間にか公園中の男が私を犯していた。
 手が震える。寒さのせいだけじゃない。タバコが欲しい。
 そうすれば、何もかも忘れられる』
『12月23日 もっと強いタバコがあると風に聞いたので、今日は裏路地を歩き回った。
 売人を見つけたのは深夜。有り金をはたいて──ちゃんとお金を出してタバコを買ったけど、その路地でレイプされた。
 思い返してみれば、悲鳴も上げない、小汚くて触りたくない女の子。格好の獲物だろう。
 二回目でも血は出るんだなと思いながら、タバコを吸った。
 痛みが引いて、ピンク色の靄が目を覆った。気持ちいい。最高。サイコウ』

697悲しみの花 3/3:2011/10/30(日) 22:45:05 ID:.IkgzH1I
『12月24日 公園のボスに股を開いた。良い感じに腐った目をしてきたから、買ってくれたんだそうだ。
 ヴィヴィオさんには申し訳ないけど、もうこれしか方法がない。
 明日も明後日も、これからもずっと──春も夏も秋も冬も、ヴィヴィオさんと一緒にいて、学校に通うには、
 他に思いつくことはないのだから……』
『12月25日 ヴィヴィオさんのお母様、なのはさんがいた世界は地球という名前だと以前聞いた。
 で、そこでは毎年今日が来ると街中がイルミネーションで飾られて、恋人達や家族が仲良く暮らす日らしい。
 私も、皆さんと仲良くしましたよ? 手当たり次第に声をかけて、いっぱいお金を稼いだ。
 妊娠とか性病とか、そんなことはないと思う。だって、みんな優しい人だから。
 ヴィヴィオさん、ずっと好きでした。一目見た時から、ずっと。
 でも、ヴィヴィオさんに捧げる処女、なくなっちゃいました。
 私のことは忘れて下さい』
『12月30日 股間が痛くて痛くて仕方がない。見たら赤黒く腫れていた。
 タバコで痛みを止めないと。頭が割れそうだ。助けて、助けて』

『12月31日 止めろと言われても止められない。一日一本で止めろと、売人まで言い出すくらいクラックできるタバコ。
 クリスマスとかいうのの特需でいっぱいお金はあったから、お金の分だけ全部買った。
 お釣りで、一番強いお酒を買った。最後の余りでストーブに当たりながら、夕方から今までずっとタバコを吸い続けている。
 頭がぼーっとしてくる。この感覚、気持ちいい。
 ごめんなさい、ヴィヴィオさん。私は弱い女の子でした。
 覇王なんて言葉、気軽に使ってはいけなかったですね。バカみたい。
 私のことは忘れて下さい。でも、道端で出会ったら、どうか、お願いします。
 私に、タバコかお酒か灯油か、それともその全部に替えられる──お金を下さい』

『1月1日 たのシい。クスリをキめながらのセックス、きもちイイ』
『1月5日 てがうごかナい。しびレル。たばコ、おイひイ』
『1月7日 あハハ、アはハハ。さよなら。バイバイ。死ね、こンなせかい』
『1月8日 わ、わわわわたし、だれ……? こ、こここここここここは、どこ……?』

***

アインハルトの日記のお陰で、1月の一晩寒い時期、ほんの一週間程に過ぎない期間だが、空き缶を叩くコインの数が増えた。

698Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2011/10/30(日) 22:47:39 ID:.IkgzH1I
流石にやりすぎた。今は反省している。

書いてる最中にヤンデレ系ダークSSのネタを思いついた……
が今日中には無理だなorz
今宵はこれにて。

699名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 23:02:59 ID:1VusFm/w
これはひどい・・・ひどすぎる
ところですさまじくどうでもいいことだけど
ミッドの政治や福祉ってどうなってるんだろう?
管理局が行政権持ってるっぽいから文民統制が十分とは思えないけどその割には言論の自由もある
よくわからない世界だ

700名無しさん@魔法少女:2011/10/30(日) 23:04:41 ID:kIafW5l2
どうにかなる前にシスターシャッハに捕獲されると信じたいな

701687:2011/10/30(日) 23:47:27 ID:ePv8Gt2Q
めったなこと書いて職人さんを刺激すると、えらいことになると痛感した。

702名無しさん@魔法少女:2011/10/31(月) 05:17:54 ID:jXN1zpEI
正直微妙だった
無理やり鬱シチュ詰め込めばいいってもんじゃなかろうに

703名無しさん@魔法少女:2011/10/31(月) 11:52:40 ID:gV5JkdKI
ああ、いいなあ救いがなくて

704名無しさん@魔法少女:2011/10/31(月) 12:34:40 ID:AdJ3rYgQ
厨二病に罹ったヴィヴィオを犯したい

705シガー ◆PyXaJaL4hQ:2011/10/31(月) 23:08:00 ID:7iCubCJ.
んよし、良作二連続投下の後でなかなか緊張するが、自分もいっちょ逝くぜ。

ユーノメインのお話。
欝ってか酷い話というか後味よくない系? です。
あと短編。

706Horsehair worm:2011/10/31(月) 23:08:59 ID:7iCubCJ.
Horsehair worm


 手に取ればずしりと重い、分厚い本。
 頁を捲れば、埃を微かに舞い上げて黴た紙の臭いがした。
 古い、随分と年季の入った書物である。
 本を手に持った青年は頁の一枚、文字の一つまで逃さぬよう、じっくり検分するように読み進める。
 書き綴られた文字は現代世界に普及したそれとはまったく異質であり、内容を把握するには専門的な知識と相応の知性が必要だった。
 が、彼には相応の能力がある。
 無限書庫司書長ユーノ・スクライア、その肩書きは伊達ではなかった。
 
「ふぅ……」

 半分までそれを読んだ時、ユーノは書物を机の上に置いた。
 場所は無限書庫司書長室。
 通常では重力をカットされた書庫と違い、ここでは通常空間と変わらない。
 今彼が行っているのは、書庫や管理局の遺失物管理科が発見した古文書の翻訳と検分だった。
 文化的な価値もさる事ながら、中には危険な古代禁呪の術式や、書それ自体がロストロギアである可能性もある。
 高位の結界魔導師であり、学術的知識の豊富なユーノにとってそれは日課と化した必要事務であった。
 が、決して退屈や不快感とは程遠いのが救いだ。
 もとより本が好きであったし、複雑な魔法術式を行使するよりは遥かに安易で、なおかついにしえの書物を読み漁るのは良い無聊の慰めにもなる。
 今彼が読んでいるのは、古代ベルカ文明関連の書籍であった。
 タイトルはベルカ王庁生物秘記。
 太古の歴史に関する記述、今では消え去った魔法生物の詳細な記録は知的好奇心を刺激されて止まなかった。
 気付けば、既にたっぷり三時間近くは読みふけっていた。
 厚手の表紙を慈しむように触れながら、彼は眼鏡を取って目元を揉みほぐす。
 さて、何とするか。
 もう暫くこの書物に耽りたいところだが、いささか疲労も溜まってきた。
 このまま読むか、もうここで止めるか。
 思案の時間はそう長くはなかった。

「もう少しだけ」

 そう呟き、表紙を捲って再び読み進めようとした。
 その時だった。
 
「ん?」

 気付いたのは、厚手の表紙の端に見つけた異変。
 よく見れば、幾重にも重なっていた紙が剥がれ、中に輝く金属の光沢があった。
 ただの経年劣化ではない。
 そう判断した彼の指先は迷わなかった。
 慎重に端を掴むと、ゆっくり上下に開く。
 予想を裏切らず、本の表紙は二重の隠し構造になっていた。
 読む前に一通り危険がないかチェックしていたのだか、爆発物などである可能性はない。
 トラップ系の魔法でもなかろう。
 では、一体何が秘されていたのだろうか。
 二重の表紙を開いて見つけ出したのは、小さな円筒形の金属カプセルだった。
 全長二センチ程度のそれを、ユーノは訝しげに持ち上げる。
 
「なんだろう、これ」

 指先に発生する緑色の小さな円環。
 内部を検査するための魔法陣が描かれる。
 脳裏に送り込まれる術式からの組成は……有機物だ。
 毒性反応などは、ない。
 危険がないと分かると、湧き上がるのは好奇心だ。
 きちんとした施設で開封するのが常なのだが、疲労感からか、彼は欲望に対する耐久値が下がっていた。
 自然と指は円筒形の筒の先、蓋になっている部分を開いていた。
 きゅぽん、と小気味良い音を立て、蓋はあっけなく外れた。
 中には何が……。
 次の瞬間カプセルの中から飛び出した【ナニか】が目の前に迫った時、彼には後悔する暇すらなかった。



「なのは、愛してるんだ。結婚しよう」

 唐突に浴びせられた言葉に、なのはは呆然とした。

「あ、え……?」

 ユーノと二人で買い物に出かけた帰り際の、正に不意打ちにような告白。
 なのはとユーノの交際は、至極健全な、男女の間柄ではなかった。
 十年来の友達、友人としてのそれである。
 が、今放たれた言葉は、その歳月を破壊しうるものだった。

「え、えっとその……待って、私そんな……いきなり言われても」

 突然の言葉に動転し、なのははしどろもどろになる。

707Horsehair worm:2011/10/31(月) 23:10:03 ID:7iCubCJ.
 もちろん嫌だからではない、彼女の内心を掻き乱していたのは喜びだった。
 十年来の付き合いの仲、なのはは密かにユーノの優しさに惹かれていた。
 しかし今現在の交際が友人止まりである事から分かるように、彼女にはまだ恋人という仲に進む事への恥じらいがあった。
 その臆病さ故に頬を赤く染めるなのは。
 だが彼女の初心な乙女心に、ユーノは強引に踏み込んでいく。

「君じゃないとダメなんだ! 頼むなのは、僕と一緒になってくれ!」

 肩を掴んで顔を寄せ、間近から熱烈な言葉を浴びせる。
 普段の、今まで知っていた彼からは想像も出来ない様だった。
 それ程までに自分の事を好きなのだろうか。
 そう思えば、胸が高鳴り、少女の心がときめきを覚える。
 傾きかけていた胸中の天秤は、ユーノの勢いに押し流されるように、あっという間に傾いた。

「う、うん。いいよ……ユーノくんなら」

 こくんと小さく頷いたなのはに、ユーノはにっこりと笑った。



「痛い! 痛いよ、ユーノくん!」

 ベッドスプリングの軋む音に混じり、絹を裂くような乙女の悲鳴が迸る。

(あれ……?)

 それを、ユーノはどこかブラウン管越しのテレビでも見ているような心境で、湧き上がる疑問符の意味さえ分からなかった。

「や、め……お願いだから、優しく……ひぅ!!」

 か細く漏れる、助けを求めた声音。
 自分が組み敷き、そして犯している少女の、なのはが発している声だった。
 ベッドの上でもがき苦しむその故は、彼女が処女であるが為に、初めての性交で痛みを感じているのだろう。
 本来ならば相手を労わっていようものを、ユーノはそんな事など考える暇もなくひたすら腰を振って射精を求めていた。
 さながら発情期の獣が如く。
 さらに言うならば、今夜は告白してよりまだ一日とて空いてはいないのだ。 
 受け入れられるや否やホテルへ連れ込み、こうして犯しているという次第である。
 その事を、誰より信じられなかったのはユーノだった。

(僕、どうしてなのはにこんな事を……)

 ユーノは性欲が希薄なわけではないが、決して旺盛すぎるというわけでもなかった。
 女をそれほど欲していない自分が、どうしてなのはの身体をこれほど求めているのか。
 考えようとするが、頭に霞がかかって上手く考えられない。
 とにかく身体だけは曖昧と化した思考とは関係ないように、女を求めた。
 何度も何度も、力の限りに腰を動かして狭い膣穴を抉った。
 泡を立てて溢れる朱交じりの愛液。
 それを掻き乱す肉の竿。
 目尻に涙を溜めてこちらを見つめるなのはの顔もまた、恍惚をそそり立てる。
 肉棒から伝わる快感、初めて味わう女陰の心地が良い。
 陰茎に絡みつく破瓜の鮮血も気にせず、我を忘れて青年は蜜壷を抉り込む。
 そして快楽のボルテージが昂ぶりきった時、腰の震えと共に彼は呟いた。

「なのは、もう……出る」

「ま、まって、そんな……ああぁ!!」

 彼女の制止など聞かず、次の瞬間膣の中に脈動する熱が注がれた。
 ごぽごぽと逆流してくる精液の泡。
 痙攣する肉棒、震えるなのは。
 だがいまだ萎えない男そのものを、ユーノは抜こうとせず。
 むしろすぐさま動き出した。

「ごめん、なのは……もうちょっと、もうちょっとだけさせて……」

 答えは聞かず、彼はまたそうやって少女を蹂躙し始めた。
 何度も、何度も。



 ユーノはぼんやりとした面持ちで携帯を取り出した。
 受信したメールの文面は、なのはからの別れの言葉だった。
 これ以上自分とは付き合えない、と。

708Horsehair worm:2011/10/31(月) 23:11:06 ID:7iCubCJ.
 当たり前だな、とは思った。
 なにせあの日からほとんど毎日肉体関係を求め続けたのだから。
 身体目当てと思われて仕方あるまい。
 だが不思議なのは自分の心境だった。
 それを見ても、何も感情的なものが動かないのだ。
 ただぼんやりと、漫然と事実を受け流すばかり。
 ここ最近、どこか思考がおぼつかず、気付けば視線は女性ばかり向いていた。

「あの、司書長……大丈夫ですか?」

「ん?」

 ふと振り向くと、書庫の司書、それも女が自分に声を掛けてきた。
 その瞬間、彼の中で情動が劇的に働く。
 顔立ちは十人並みであり、それほど意識した相手ではない筈なのだが、とても魅力的に見える。
 何故自分はこんな女性が近くにいて何も感じなかったのだろう。
 すぐにその顔に爽やかな笑顔を浮かべて、ユーノは問い返す。

「ぼくが何か?」

「いえ、その……最近どこか様子が変でしたし、高町教導官との噂もありましたから……」

 なるほど、自分となのはとの仲はそれなりに噂になっていたのか。
 そう思いつつ、だが彼の意中になのはとの関係などもはや忘却すべき過去の事象として風化しつつあった。
 そんな事よりも、今はこの目の前の女性が優先だ。

「うん、そうだね。ところで今夜時間あるかな?」



 ―ベルカ王庁生物秘記―

 本書の最後に記しておくのは、ホースヘア・ワ−ム、という魔法生物に関してだ。
 名前の通り学術名ホースヘアワームス、俗にハリガネムシと呼称される虫の学名と同じであるのはその生体に由来する。
 極めて小型の線虫様の身体を持ち、まず近くの人間に寄生。
 その後脳へと至ったこの生物は、宿主を殺さず、徐々に意識を乗っ取っていく。
 ハリガネムシが水を求めて寄生したカマキリなどの行動を操るのと同じであり、これこそが名前を同じくした故である。
 が、宿主をコントロールする能力と、周囲に及ぼす影響に関しては一線を画す。
 凌駕していると言っても良い。
 ホースヘア・ワームは宿主の知性を微塵も殺さず、だが理性や情緒を鈍化させて自身の目的に合わせて変質させる。
 そして性欲や異性への好奇心、興味を煽るようにホルモンを分泌。
 宿主は知らぬうちに異性にアプローチを行い、普段からは想像も出来ないような性欲に駆られて行為に及ぶ。
 だがこの性交渉で彼ら人間の子供は産まれない。
 その段階で生殖器官の構造は作り変えられ、排出される精子と卵子はホースヘア・ワームの子種だ。
 一度性行為を持てば最後、女性は確実に妊娠する。
 十ヵ月後に出産されるのは、人間の子供ではなく数万のホースヘア・ワームの幼生。
 出産した母体は直後に全身を食い破られて死亡し、母体を食らって栄養分を得た幼生は近くの人間に手当たり次第に寄生していくだろう。
 事前に胎児の異常を察知するのは、今ある科学技術・魔法技術の両方を以ってしても不可能。
 対象が一人であったとしても、一都市に発生する犠牲者の数は最低十万人以上と予想である。
 このホースヘア・ワームは我々ベルカ王庁直属の魔法生物開発機関の開発した生体兵器だ。
 対敵国用に作り上げた、静かに浸透していく生きた毒薬。
 実際に投入されればその効果を発揮して狂い咲くだろう。
 だが、オリヴィエ陛下の鶴の一声により開発は中断、試験体も全て破棄された。
 曰く、余りにも非人道的である、との事だ。
 私は悲しい、この自信作を、最高傑作を世に放たず屠ってしまうのが。
 せっかく私が作り上げたというのに……。
 そこで私は、本書の表紙にたった一つだけ残したサンプルを隠しておくことにした。
 この幼生は私の生涯を掛けた研究の貴重な証拠なのだ。
 消し去ってしまうには、あまりに惜しい。
 さらに詳細なデータは後述しておく、もし本書を読んだ後世の識者よ、この素晴らしい人造生物を生かす道を見出してくれ。



終幕

709シガー ◆PyXaJaL4hQ:2011/10/31(月) 23:15:35 ID:7iCubCJ.
はい投下終了。

今回はちょっとデビッド・クローネンバーグの映画へのオマージュ的なものを意識しました。
ラビッドやシーバース、セックス関連で人に移っていく不条理な災害というか厄災というか。
プラス、テレビだかネットで見たハリガネムシのきもい生態見て構想。

ただ、色々と急いでいて駆け足で書いてしまったのが悔やまれます・・・

710名無しさん@魔法少女:2011/10/31(月) 23:19:01 ID:s50IwHPY
乙。
数ヶ月後のミッドチルダの阿鼻叫喚地獄絵図が……

711名無しさん@魔法少女:2011/10/31(月) 23:25:21 ID:Ijelhh.U
GJ!
ユーノうらやま・・・と思ったらとんでもない代物じゃったw

712名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 00:06:13 ID:RaaAVWx2
GJGJ
こんなことにならないように
無限書庫にはレベル4閲覧室が設置されるにちがいない
古代ベルカ語の殺人ジョークの前には無意味だが

713名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 00:41:57 ID:c6JMO0K6
>>GJ! 虫グロ大好きな俺歓喜のSSでした!

714名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 22:14:20 ID:VgOVwjbQ
鬱すぎる……だが、それもまたよし。
もちろんこの後ユーノ君がいろんな人に逆レイプされてどんどん増えていくんですよね!

GJでした!

715テルス・サーギ:2011/11/01(火) 22:21:22 ID:zjbUOg.c
エロパロの大エースシガーさんに続いて欝祭投稿しまーす。
・欝?でーす
・なのはxユーノ→ヴィヴィオでーす。

716ん、何かありました?:2011/11/01(火) 22:23:07 ID:zjbUOg.c

憧れ。
感謝。
羨望。
崇拝。
高町なのはに向けられる眼差しは今までこんなものばかりだった。だが、次元世界が
魔法主義から質量兵器も導入され始めると、悲劇は起こった。
一転した眼差し。
それは他人も友人達も見知らぬ人も。全て同じになっていた。
憐み。
そう憐みだ。
向けられるものは憐みの眼差し。
可哀想に。
まだ大丈夫だよ。
まだいける。
そんな安っぽい言葉と共に。
なのはに向けられる眼差しは憐みのみ。
魔導と質量兵器が折り混ざった闘いで、彼女は四肢を失った。

腕は二の腕いささか下より、足は太もも半ばより。
赤い輝きを散らしながら、自分も落ちた。
切断面はウォーターカッターで切られたように酷く美しかった。
傷は治るだろう。

命は残った。
だが、エースオブエース高町なのはは死んだ。
障害者高町なのはは五体不満足。

心電図の音が、部屋にない時計の代わりに刻まれ続けている。
心配の言葉と見舞いが来たのは最初だけだった。
チューブに繋がれながら、虚ろな眼差しのなのはは思った。
もう、憐みの目で見られるのは厭だった。
スバル
ティアナ
フェイト
ヴィータ
シグナム
キャロ
元六課の面子。
特務六課の面子。
教導隊の同僚。
他にも多くの知り合いが来た。
そして誰からも達から憐みの眼差しを向けられ晒される。
傷の痛みよりも、ベッドで横になりながら「かわいそうに」という眼差しに晒されるほうが
よっぽど苦痛だった。
涙が出てくる。
精神的苦痛も、肉体的苦痛も大きい。

一人の時は絶えぬ傷の痛みが現実を意識させてくれる。
腕がない。長年使ってきた手が。レイジングハートを握っていた手が。
足がない。もう大地を踏みしめて歩く事もできない。
両手両足、切断面の傷口は命の鼓動のように痛覚を刺激してくる。

腕と足の感覚があっても、もう現実ではないのだ。
痛みは現実を忘れさせないでくれる。
そしてみんなの眼差しを思い出す。
ループだった。
もう
モルモットか標本になった蟲の気分。
でも、標本は泣かないし
糞尿も出さない。
お腹も減らない。
生きてもいない。

相棒であったレイジングハートも木端微塵に破壊され一人になった。
エースオブエース高町なのはが障害者高町なのは。
笑える話だ。世間ではエースオブエースの死と大々的に報道されたらしい。
まだ魔法も使える。
でも世間は認めないだろう。
どんなに笑顔を作っても。
どんなに素晴らしい想いを伝えても。
皆が褒め称えてくれるエースオブエースはもういない。
認めてくれるのは、誰もが痛い目でみる四肢のない障害者だ。

他の誰かが広告塔となるだろう。
フェイトかもしれない。
それとももっと他の誰かかもしれない。
もしかすればスバルかもしれない。

まだ生きていたしリンカ―コアが損傷した訳ではない。
闘おうと思えば闘える。でも、仮に大空を再び舞ったとしても、一般人の評価は下がるだろう。
何故?
簡単だ。

気持ち悪くて広告にならないからだ。

「嫌だよ」

きっと皆高町なのはを忘れてしまう。ちやほやされる時間は終った。
価値のないものに、誰も見向きもしない。ならばAV女優にでもなるか?
一時は注目されるだろう。だが、世間からは冷たい眼差しを向けられるだろう。
第97管理外世界の家族には、知らせていない。

もうこれ以上、憐みの目に晒されるのは耐えられなかった。
そしてなにより、介護という言葉が出てくれば、なのはは自殺を本意とするだろう。

「もういやだよ……」

717ん、何かありました?:2011/11/01(火) 22:25:24 ID:zjbUOg.c
なのはの苦しみはみんなの苦しみではない。
他人事の苦しみは、自分の苦しみでもない。
向けられるのは、フェイトに至っても哀れが含まれていて声をあげて泣き叫びたかった。
親友が、親友が。

みんなは笑ってる。ほら笑ってる!
新しい格好いいエースオブエースだ!
あはは!
高町なのは? いたねそんな人も。
今どうしてるの?
死んだんじゃね?
四肢なくなったしね。
そうなっちゃうとちょっとね。
気持ち悪いよね。

『大変だね』

『頑張ってね』

『また見舞いにくるから』

『頑張ってください』

『応援してます』

『私達がついてますから』

『負けないで』

何に?
誰が
何に?
何を?

食事も排泄も看護師の手で行われる毎日。
オムツをはき芋虫のように、なのはは生きる。
まだ傷も完治していないから這うことも動く事もできない。もしかすれば芋虫よりも低レベルかもしれない。
赤子か。
もしやそれ以下か。

鬱陶しさ故に。

静かに這い
頬を伝う涙。
あれだけ称えられたエースオブエースも落ちれば落ちるものだ。
皮肉のあまりなのはの口許は笑った。
自殺をしようにも、首を釣るロープの準備もできない。
舌も噛みきれない。あんなの中途半端に苦しむだけだ。
そして自殺防止の為、病院にはAMFがかけられる始末。
涙を拭きたい。
両手で
掌で
指で
指先で
強く
強く

醜いのぅ

醜いのぅ

醜いのぅ

余りの悲しさに笑ってしまった。

「もうやだ……」

嗚咽に浸りながらそう思った。
生き場も、行き場もなかった。
求めるのは死に場のみ。
かつての栄光にすがるあたり、なのはのまた人間であった。
97管理外世界に戻るという選択肢もない。
家族に迷惑がかかる。何より、近所の目が痛かった。
日本という閉ざされた儒じみたご家庭ネットワークはこの病院以上の苦痛だろう。
ここにいたほうがよっぽど幸せだが……

「死にたいよぉ……」

「お願い、誰か殺してよ……」

重圧に耐えきれずそんな願いを出した所でなんの意味もない。
騒げば精神科医がやってきて注射を打たれる始末。フェイトに連れてこられたヴィヴィオからも
いやな目で見られた。あの子は、フェイトが引き取るらしい。

「うううう………」

大丈夫。
自分は大丈夫。
精神科医にそう説明したところで、酔っ払いの酔ってないと思われて然程意味もない。
泣いていると他人事のように尿意が込みあげてくる。なのは用に置かれた特殊なナースコールを押そうと頑張るが、ボタンはベッドの下に落ちてしまう。

「あっ」

718ん、何かありました?:2011/11/01(火) 22:26:32 ID:zjbUOg.c
乾いた音が連続して聞こえるだけ。それで終る。
妙な静けさが恨めしい残された状況は、腹部に溜まる尿意だけだ。
まだ、傷も完治しきっていなくて満足には動けない。
呼ぶか?

大声で呼ぶか?

看護師さんおしっこがしたいんですけどーーーー!

などと大声で呼ぶか? かつてエースオブエースと呼ばれた女が。
侮蔑はなくとも、病院内に知れ渡るだろう。
それが人だ。
これが今のなのはだった。

吐息を挟む間もなく、考えるのもいやになったがそのまま放尿してしまうのも
嫌な気分だった。一瞬の快楽と暖かさが股間を満たすだろう。でも、直ぐに臭くなってアンモニア臭に満たされるに違いない。
押すも引くも地獄。受け入れがたい現状だが、ボタンはコードに繋がれていて、落ちたボタンのコードは垂れ下がっている。
それを口で引っ張り上げようと体を動かした。

同時に激痛に体は蝕まれる。

「あぐ……ッ!」

とても、コードをひっぱれるような状態ではない。
それでも、教導隊にいた程の女なのだ。耐えしのび、がんばろうと決する。
さらに体を動かし、宙にぶらさがるコードを咥えようと体が動く。

後少し。
後少し。

そして、咥えたと思った刹那。体はベッドから落ちる。
声を上げる間もなく、ぼとりと落ちる。さらなる痛みが来訪し、床の上でなのはは苦悶に打ちひしがれた。
こうなれば人も蟲も変わらない。
人も、弱ければ蟲以下だ。
踏みつぶされる存在が今のなのはなのだ。


「なのは!?」

苦しみ、床に転がっていると驚きの声が耳に届いた。
目を向ければ、そこにはユーノがいた。声と同じく驚きの表情をしている。

「平気?」

尋ねられるが、なのはは応えずに無言だった。
体はユーノの手で抱え上げられ、いとも簡単にベッドに戻される。
俗にいうお姫様だっこだが。
嬉しくも
何ともなかった。

抱えあげられる蟲だった。

「気をつけて。痛い所はない?」

親切丁寧な言葉にも無言だった。それでも、ユーノが嫌な表情を一つも見せる事はない。

「あのね、今日は……」

手荷物をガサガサ音立てながら、何か話始める。
目をそむけたまま、なのははは聞く意思を見せない。
それでも、ユーノは健気だった。

結局、なのははユーノの前で漏らした。
下腹部が暖かくなる。
やはりおむつからはみ出たらしい。ユーノが慌てるのを他人事のように眺めていた。
婆捨て山が欲しい、となのはは思った。
涙はでなかった。
人が故か。

故に人か。








傷が治り始めて、季節が変わり始めた頃。退院の話しが出て、なのはは施設に入る話を医者にされる。
私生活で一人で暮らしていくのは無理だし、そういった場所が妥当と判断されたのだろう。そして、
なのはもまたそれを拒みはしなかった。

蟲は生きて、死ぬ。
人のような感情は持たない。
それだけだった。

見舞いはある人物を除いて誰も来なくなり、価値も無い応援のメールだけは来る。見るのは億劫になり、なのはは
日がな一日、外を見て過ごす事多くなった。たまにフェイトも来るが、向けられる眼差しに耐えられないので帰ってもらった。
見舞いの人間に苦痛を齎される見舞いなど意味がない。どんだけ、となのはは思った。後はユーノだけだった。確かに、彼も当初は憐みの
目をしていたが、いつの間にやらそういうものは無い。ある意味、ささやかな救いだった。

「あのね、この前……」

719ん、何かありました?:2011/11/01(火) 22:27:23 ID:zjbUOg.c
ユーノは病室に来ると、色んな話をする。
旅の事、なのはが知らない管理内世界の事。管理外世界の事。世界情勢。食べ物や人の話。なんでもした。
聞くのも嫌だったなのはだが、誰も来なくなり毎日来るユーノをむげにはしなかった。もとより友人だ。
何度か癇癪はおこしたものの、彼は丁寧に対応をして無難にやり過ごした。

「それでね、今日はね」

「ん……」

窓の外を一見ながら話を聞いていた時の事。

「僕と結婚をしてほしいんだ。なのは」

窓の外では木枯らしが吹き、裸になった木についていた最後の一枚の葉がはらりと落ちていく。
飛んでも無い言葉の聞き間違いか、なのははユーノを見た。

「は?」

ユーノは真剣なまなざしをしていた。
逃げない真っすぐの瞳でなのはを見ている。
胸が疼いた。でも、なのはは逃げた。

「何を言っているの、ユーノくん。
おかしいよ」

目を反らす。胸の中は驚きに満ちていたが、同時に喜びも芽生えていた。
蟲が結婚なんて浅ましい。
卑屈な心は否定する。

でも首を横に振られる。

「おかしくない。
僕はなのが好きで、結婚したいんだ。
憐みや虚栄心で結婚しようと思うんじゃない
一生隣に居て欲しい。一生、僕は傍にいたい。
一緒に生きてほしい」

締め切られた窓の外から、乾いた風の音が聞こえた。
窓の外を一瞥し続ける。

「ありがとう。凄く嬉しい。でも、ごめん」

「……」

俯く。心の中はさめざめと泣いていた。
友人への申し訳なさと嬉しさと、自分の体と憎しみをこめて。

「そっか、それじゃまた明日頑張る」

「(……は?)」

「それじゃ今日は諦めるよ」

飄々とユーノは言ってのけた。一瞬、この男頭大丈夫かとなのはは疑いたかったが、
ユーノはユーノのままだった。彼にこの体で求婚もとい求愛されるのには驚いたが、
驚くのはこのこの日だけではなかった。

「なのは、結婚しよう」

「やだ」

毎日毎日、ユーノはプロポーズしてくる。昔馴染み故か、なのはの感情の塩梅もうまい。
嫌がらせにならぬよう笑いを齎す求婚はいつまでも続いた。そして、なのはも気づけば笑っていた。
でもなのははイエスとは言わなかった。

「(嬉しいけど……)」

やはり、自分の体が原因らしい。そう考えると、如何ともしがたかった。
でもユーノの求婚は続いた。あまりにも毎日毎日続くので、本気か尋ねると
ユーノはいたって真面目に答えた。本気だと。子宮が疼いた。

男に愛される事を思えば濡れそうになる。こんな体になって子供など望めないとばかり思っていたのは
当然か。ある日の夜。なのははユーノに抱かれる夢をみた。ユーノはひどく優しかった。癒えた四肢を舐め
愛撫し抱きしめて交合してくれる男の姿に、夢ながら惚れてしまった。

でも、どうしても夢は夢だ。
気遅れするなのはだが、ある日ユーノは大胆な行動に出る。
病室で交わったのだ。なのはも驚いたし25にして初めての性交は痛みを伴ったが、夢の通りユーノは優しかった。
求婚はいつでもされる。だから、なのはは言った。結婚しよう。と。嫌になったらいつでも別れてくれて構わないとも。

ユーノも喜びから首を横にふった。
ずっと一緒にいよう。と。
久しぶりに、なのはから喜びの涙がこぼれ落ちた。

720ん、何かありました?:2011/11/01(火) 22:28:19 ID:zjbUOg.c

やはりネガティヴに生きるよりもポジティヴに生きる方が、人生にはいい薬となる。
なのはは自分を障害者として認め、四肢のない自分と向かい合いながら他でもない自分自身と闘った。
隣には、いつも頼れる旦那がいる。

やはり空気が大事らしい。フェイト達の目も、次第に憐みから応援の目に変わり、
一時は距離をおいていたのも少しずつ戻るようになっていた。いいことだ。
全てが順調だった。少々の憐みは気にしない事にしたなのはだった。やはり、強い女だった。

なのはは退院するとユーノと結婚しミッド内の住まいで暮らし始めある日の連休、ヴィヴィオが泊りに
きたい、という要望をだしたとかでフェイト宅からやってきた。そして、将来はなのはを介護すべく
介護士になりたいという夢を語ってくれた。今も娘と呼んでよいのか迷ったが、健気なヴィヴィオになのは嬉しかった。
もう、泣いてばかりの幼い娘はいない。それが寂しくもあり嬉しかった。

久しぶりにヴィヴィオと、そしてユーノとも川の字で眠った。満足だった。
それからというものの、月1のペースでヴィヴィオは泊りにくるようになった。
そんな連続してくるわけでもないし、もとよりなのはは拒まなかった。

無論ユーノも
歓迎した。

落ち着いた感情。
波も無く喜びの満ち引きに静かに揺れている。
目を閉じれば静かな微笑みが称えられる。
ゆりかごで揺られるように、人の愛しみという歌に乗せて。

「………………………」

冬。ヴィヴィオが泊りにきていたある日の夜。体の気だるさに気付き、なのはは目覚めた。
ベッドの中の暖かさとは裏腹に、空気は張り詰め酷く冷たい。

「(トイレトイレ……)」

ベッドから抜け出すと、弾むように体を動かして移動する。
当初はユーノに解除してもらっていたが今は一人でもできる。
前向きさの賜物だ。だが、部屋を出てリビングに出た時違和感に気付いた。
ベッドには一緒に眠るユーノも
ヴィヴィオもいなかった。

「(あれ? そういえば……)」

尿意に気を取られて失念していた。どうしたんだろうと思った時。
リビングに人の気配を感じた。泥棒? という疑問と恐怖が現れるがそれは直ぐに打ち消される。
ただの
まぐわいだった。
ユーノと、そしてヴィヴィオの。

「(え……?)」

明かりもつけずそして暖房も無い廊下で、同じく暗いリビングで交わる二人に目を疑った。
まだ闇に慣れていなかったが、それでもじっと目を凝らす。

「(え? え?)」

信じたくないが故か。なのはは戸惑った。もとい、戸惑い続けた。
目を見開きじっと凝視する。ヴィヴィオの喘ぎ声が漏れて聞こえていた。
ユーノの楽しそうに女と交わる声も聞こえてきた。
あれ


あれ?


あれ……

「………………………」

なのはは、凝視し続けた。

721ん、何かありました?:2011/11/01(火) 22:29:26 ID:zjbUOg.c

「ああ、いいよヴィヴィオ。なのはと結婚してよかった。やっぱり幼女だよ。幼女。
ババァは駄目だよ。ヴィヴィオ、ヴィヴィオ、ヴィヴィオいいよヴィヴィオ!」

名前を呼びながら
腰を振る雄がいた。
唇が渇くのをなのはは感じていた。
でも、舌は拭わなかった。
こぼれ落ちそうで落ちない涙に、落ちろと自ら念じた。
でも落ちそうで落ちてくれない。

ヴィヴィオも拒絶の気はなさそうだった。
楽しそうに揺れる足も覗く。
これは裏切りか。
それとも異なるものなのか。

なにを憎めばいいのか。なのははよく解らなかった。
同時に、胸に穿たれた痛みを堪えるのが辛かった。
娘に旦那を寝取られたのか。
はたまた旦那は娘と性交したいが為に自分と結婚したのか。
涙がなのはの頬に伝った。

それは悲しみか、それとも怒りか。何なのか。
二人の性交をなのはは凝視し続けた。
そこには、怒りを持たぬ静かな鬼がいた。
夜叉となった一人の女が我が家へと涙を注ぐ。

こぼれ落ちる無情。

響くことのない喜びの声。
これからの愛は偽りだろう。
悪鬼羅刹になろうてか。
二人を殺す事。
二人を許す事。
多様な考えが浮かんでは消えていく。

それが生の証明か。

どちらかに、どちらかの生首を送ろうかとなのはは考えた。
優しさと切なさの擦れ違い。娘への嫉妬は、濡れる股間に比例していた。
ポジティヴか?
ネガティブやろか?
どちらで、生きよか?


なのはは二人のまぐわいを注視し続けた。
ユーノがヴィヴィオの膣内射精し、一息つき口づけを始める間際まで。
それから、トイレには行かずにベッドに戻った。
尿意は消え去り、変わりに在るのは穿たれた感情だった。

そこで初めて悲しみが去来しなのはは涙した。
枕を濡らす夜だった。



翌朝、ユーノは普通にふるまっていた。
なのはも気づかれないようにふるまった。
だが、どうしても心が痛かった。

「おはよう、なのは」

「お、おはようユーノ君……」

ババァは駄目だ、といった昨日の言葉を思い出し尻込みしてしまう気がした。
それを隠そうと努力するが

「おっはよー、なのはママ♪」

ヴィヴィオも元気だった。

「おはようーヴィヴィオー」

「ユーノくんもおはようー」

そこで、なのはの感情は反転した。

「(何?)」

そこで初めて、ある感情が生まれた。
ヴィヴィオに対して放たれる痛烈な感情。
嫉妬だ。

ユーノを奪われて醜い感情が生まれたのだ。

「(………………)」

心が冷えていくのを感じた。今し方までびくびくしてのたが嘘のよう。
それでも目の前は二人は笑顔だ。よく笑いとても楽しそうにしている。
もとい、ユーノもヴィヴィオと結ばれる為に結婚した。とでも言っていたではないか。

そう思うとなのはの顔から笑みが消え失せた。
愛してもいない男とその愛人。
騙してくれた男と血のつながらない元義娘。

嫉妬は憎しみを呼びに憎しみを引き摺った。
どうしようもこうもない。反逆の力が滾々と湧き出てくる。

なのはは、ただ、どちらの首を引きちぎろうか考えた。
五体、不満足。
恋愛、不満足。
人生、不満足。
殺人、満足。

首を引きちぎろうと思った。
でも手はない。


「ん、何かありました?」
完。

722テルス・サーギ:2011/11/01(火) 22:30:28 ID:zjbUOg.c
以上です。ちょっと投稿量見誤ってしまいました。
すみません……。

723名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 22:36:21 ID:RaaAVWx2
なんか、サイコスリラーが始まりそうな…

724名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 22:37:33 ID:5YKK4uI6
心臓がぎゅってなった。

725名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 22:42:24 ID:.mOgJXTs
がんばれなのはさん。

っ 戦闘機人

726名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 22:48:05 ID:3.teH9zs
俺も戦闘機人なのはさんが始まるかと、思ってた

727名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 22:56:50 ID:RaaAVWx2
左腕に魔道ガン

728名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 22:59:16 ID:uDw2aCBY
戦闘機人ジェラシーなのは、はじまります

729名無しさん@魔法少女:2011/11/01(火) 23:18:51 ID:2I/qsjR6
面白いんだが、「流石に義肢使えば?」と思わざるを得ない

730名無しさん@魔法少女:2011/11/02(水) 00:25:40 ID:k1jBGHBI
クローン技術があるんだし、再生医療も確立してそうだよなあ
まあそれいったら、ヴァイスの妹の失明も治せそうなもんだが

731名無しさん@魔法少女:2011/11/02(水) 00:39:06 ID:wNoEDabU
とはいえ、クローンの製造は違法。戦闘機人への改造も人権擁護の観点から本来は違法であるし。
再生治療と言っても、欠損部位がうねうね生えてくるような魔法もないだろう。
仮にやるとしても、オーバーSランクの実力がなければ無理なのでは。

ここはあえて600万ドルかけて義手と義足を開発してみるとか。

732名無しさん@魔法少女:2011/11/02(水) 07:25:56 ID:pwA9EZ8M
無粋だが、これ魔法を失わなきゃ成立しないネタだろう

素で飛べる人が寝たきりに甘んじるとかないような
バインドとかも使えるから物の保持とかも困らないし
一人でも余裕で日常生活送れそう

733名無しさん@魔法少女:2011/11/02(水) 08:37:30 ID:WiRVOiEg
江戸川乱歩の芋虫とダース・ベイダーを思い出した、ミッドチルダならダース・ベイダーのような自由な義肢が造れそうだが…

734黒の碑に捧げられし奴隷達『陵辱要素ありですので注意』:2011/11/02(水) 10:05:48 ID:CjqBwGS6
黒天です。欝祭りの最中で恐縮ですが投稿します。

「ほう、相当、攻め抜ぬかれた様ですな。騎士カリム、シスター・ディード・・・如何ですかな、我々の持て成しは、お気に召して頂けましたかな?」

「き、気に入る訳が・・・んぐ、むっ!?・・・ちゅる・・・ああ、ひ、あん・・・お尻を突かないでぇ・・・はあ、感じて、ああん・・・許して、」
「・・・騎士カリム、ひぅ!?・・・あ、嫌ぁ・・・胸を揉まないで・・・い、痛い・・・先を摘まないで・・・お願いです、もう・・・やめてください」


枢機卿は2人の懇願の言葉になど、全く耳を貸さず、手を打ち鳴らして、彼女達を思うがままに嬲っていた男達に次なる指示を下した。
「それでは・・・そろそろ次の段階に行きましょう。お2人をあの魔方陣の中心に連れて行きなさい」
「承知しましたぜ、へへ・・・そろそろ普通に嬲るのも飽きてきた所だ」
「ほら、こっちに来いよ、お二人さん」

部屋の一角に病的に紅い――まるで鮮血の様に――色で彩られた巨大な
2つの魔方陣があった。その魔方陣の中心部分にそれぞれカリムとディードは無造作に、まるで人形の様に放り出された。
そして、次の瞬間、魔方陣の周辺から、おぞましい粘液に塗れた、数十本にも及ぶ触手の群れが出現し、陵辱され続けて完全に抵抗する気力を失っている彼女達の身体を絡め取った。


「・・・ひ、嫌ああぁぁぁっ!!・・・こ、これは一体、何ですか、嫌・・・止めて、体の彼方此方を這い回って・・・気持ち悪い・・・」
触手達は手始めにカリムの方を獲物に選んだらしい。
身動きの取れない彼女の身体をぬめった触手が音を立てて這いずっていく。
首筋を這い回る触手の感触のおぞましさにカリムは嫌悪感を露にして、必死に身をよじるが、無駄な抵抗に過ぎなかった。触手はカリムの豊かな双丘に絡みつき、男達の精液が溢れ出す前後の穴にも向っていく。
それに反応してカリムの喉から引きつった声が漏れた。
「・・・いや、いやぁ・・・止めてぇ・・・気持ち悪くて・・・ひぐっ・・・」
触手の先端から分泌される粘液によって、瞬く間にカリムの全身はドロドロに汚されていく。カリムの胸には触手はグネグネと蠢きながら、いやらしく絡みつき、豊満な双丘が不自然な形に歪み、荒々しくこね回されていく。



「・・・ひ、ぐっ・・・い、痛い・・・そんな胸を弄り回しては・・・駄目ぇ・・・」
余りにも激しい刺激に晒され、カリムの口唇からは苦痛に満ちた喘ぎ声が
漏れた。その一方で股間に回された触手は、カリムを焦らす様にゆっくりと、這いずり回っていた。秘裂に当てられた長い触手が一気にズルズルと動き、桁違いの快感をカリムに送り込む。
「んあ、ああ・・・こんな事おかしいのに・・・なのに・・・ああん・・・」
触手に絡み取られた両足はヒクヒクと震え、カリムの口からは艶めいた嬌声が漏れ始めた。執拗に責め立てられる乳房は微かに赤みを増し、その桜色の先端は触手で捏ねられて、傍目にも解るほどに硬くしこっていた。

735黒の碑に捧げられし奴隷達『陵辱要素ありですので注意』:2011/11/02(水) 10:08:02 ID:CjqBwGS6
「・・・は、あ・・・駄目なのに・・・気持ちが良くなって・・・ああっ、ああ――!」
異形に嬲られ、理性を揺れ動かされながらも成熟した女の体は、絶え間ない快感に抗えなくなっていく。更に触手はブルブルと震えながら、一斉にカリムの口唇、そして前後の穴に殺到した。
「・・・・おぐ、んぐううぅぅぅぅ―――!!」
体中の穴という穴を貫かれ、カリムは全身を波打たせた。
息が出来ないほどに咥内を埋め尽くす触手を吐き出すが、間髪いれずに別の触手が入り込む。涙をにじませながらも、それが苦痛を和らげる手段とでも言う様にカリムは咥内の触手に舌を絡めていく。
「・・・んむ、ちゅ・・・じゅる・・・はむ・・・」
カリムは触手を舐めながら、半ば無意識の内に喉を鳴らして、触手から分泌される粘液を飲み干していた。それに満足したように触手達は粘液を大量に出しながら、カリムの前後に凄まじい刺激を与えていく。
2つの穴に触手が激しく出入りし、カリムの下腹部は何か別の生物が住んでいるかのように蠢く。そして触手達はカリムの穴を責め立てる一方で、全身の性感帯を刺激した。その余りの快感にカリムは身体をくねらせて、その口からは涎と粘液が交じり合って垂れ落ちた。

やがて粘液に含まれた催淫物質がカリムの身体に本格的に回り始めた。
最早、快感に溺れきったカリムは、はしたなく尻を振っておねだりしながら、無我夢中で触手にむしゃぶりつく。
「・・・んぐっ・・・前と後ろ、お口にまで・・・んぐ、む、ちゅる・・・はあん・・・お尻をもっと苛めてぇ・・・んむ、はあっ・・・んむ、ちゅる・・・」
リクエストに応えるかのように触手も尻穴に入り込み、容赦なく攻め立てる。身体を火照らせたカリムは肉付きのいい美尻を振り立て、送り込まれてくる快感を全身で貪っている。


「・・・ん、ああ・・・もう、もう・・・駄目ぇ・・・ああっ!」
息も絶え絶えと言った様子のカリムが身体を震わせそうになった瞬間、触手の動きが弱まった。絶頂の一歩手前で刺激を中断されたカリムが切なそうに身をよじらせると、触手は焦らす様に刺激を加えて行く。
「・・・ふ、んあ・・・はあっ・・・き、きそう、ああ・・・イってしま・・・う・・・んん・・・」
だがカリムが豊満な肢体を引きつらせて達しようとする度に、触手は動きを中断させてしまう。絶頂の手前で愛撫を止められ、おまけに快感の度合いを引き上げられて、カリムは悲鳴交じりの嬌声を上げる。

「・・・も、もうお願い・・・こ、これ以上は狂ってしまう・・・ああ、耐えられない・・・いかせて下さい・・・んぐ、む、ちゅる・・・」
喘ぎ混じりでカリムは声を絞り出し、まるで懇願するかの様に目の前の触手を咥え込み、ネットリと舐め上げた。その痴態に気をよくしたか、触手はまるで人間が先走りを迸らせるかのように大量の粘液を吐き出した。
そして触手も耐えかねていたかのように自らを大きく震わせ、カリムの穴という穴を一気に突き上げる。
「・・・んあああぁぁぁ――――!!」
カリムの身体が激しく震え、絶叫が当たりに響き渡る。同時に何かが弾ける様な音がして、全ての触手の先端から白濁した粘液が迸った。
絶頂の余り大きく開かれたカリムの口にも、まるで狙い済ました様に幾本もの触手が白濁液を放出する。
「・・・んぐっ・・・む、はぐ、ごくっ・・・はあ、ん・・・」
快感と苦痛の入り混じった涙を流しながら、カリムは咥内を埋め尽くす粘液を従順に喉を鳴らして飲み込んでいく。

736黒の碑に捧げられし奴隷達『陵辱要素ありですので注意』:2011/11/02(水) 10:10:07 ID:CjqBwGS6

とりあえず満足したのか触手はカリムを解放する。
ようやく解放されたカリムだが、これだけでは終わらない。
カリムの痴態に興奮した男達は血走った目をしながら彼女を取り囲む。
「・・・はあはあ、いやらし過ぎるぜ、収まりがつかねえ・・・責任とってくれよ」
「ディードちゃんも悪くないが、俺はやっぱりアンタの方がいいな・・・」
「変態聖女様・・直ぐにお尻に俺のコレを突っ込んでやるからな」

「ひ・・・い、嫌ぁ・・・こ、来ないで・・・はあっ・・・こ、これ以上は駄目、止めてぇ・・・ああ・・・この匂い、身体が疼いて・・・」
消え入りそうな声で呟くカリムを尻目に男達は、もう我慢が出来ない様子でその豊満な女体に四方八方から手を伸ばし始めた。
「そら、ぶっといチンポをくれてやる!! 存分に味わえ!」
「よし、俺は尻を頂くか。お尻を犯されて喜ぶ物凄い変態聖女様、ほーら・・・入っていくぞ、しっかりと面倒見てくれよ」
四つん這いに組み敷かれたカリムは大した抵抗も出来ずにあっさりと二本の剛棒で前後の穴を塞がれてしまった。
「へへ、お尻が美味しそうにくわえ込んで来るぞ・・・相当の好き者だな。清楚な顔をしている癖になんて女だ・・・」
「まあ、いいじゃねえか・・・こんなにいい身体してるんだ。存分に楽しませて貰おうじゃないか。前の方の締め付けも悪くないぜ」

前後の穴を犯す男がそれぞれ動きを合わせて突き上げてくる。
休み無く襲い掛かってくる快楽の波に翻弄されるカリム。
既に彼女の頭の中は快感で真っ白になり、流麗な金髪を振り乱す。
そんな彼女の正面に陣取った男がカリムの頭を掴み、硬く滾った肉棒をその柔らかい唇に押し付ける。肉棒の先端で唇をなぞられている内にカリムは口を開いてしまい、根元まですんなりと肉棒を迎えいれてしまう。
「貴女の痴態を見ていて、こうなってしまったんですよ・・・責任を持って、処理してください・・・」
「・・・はい・・・んぐ、む・・・ちゅ、んむ・・・はあっ・・・ちゅ・・・」
熱く滾る肉棒を口一杯に頬張り、余分な唾液を垂れ流しながらカリムは目を瞑って舌を動かし続ける。その間も男達は容赦なく腰を動かし、その動きに身体を揺さぶられながらも、カリムの意識は快感を求め始めていた。

咥内の肉棒の隅々まで舌を這わせ、先走りを余さず舐め取っていく。
一方で前後の穴をグイグイと締め付けて肉棒を攻め立てる。
「・・・ああんっ・・・もっと激しく・・・気持ちよくしてぇ・・・お尻をもっと苛めて・・・クロノ提督、私はこんなに淫乱になって・・・しまいました・・・」


「ち、お尻を犯されて悦ぶ上、妻帯者に横恋慕か・・・ミッドが一夫多妻制OKだからって、これでは聖職者失格だな・・・くくく・・・」
「ああ、全くだ。こんな淫乱がトップじゃ、聖王教会の行く末が心配だぜ」
男達の嘲笑の言葉も耳に入らず、尻穴を剛棒で蹂躙されながらカリムは
激しい快感に溺れている。
最早、その姿は聖女ではなく、快感を貪る淫蕩な雌猫に過ぎなかった。

737黒の碑に捧げられし奴隷達『陵辱要素ありですので注意』:2011/11/02(水) 10:11:55 ID:CjqBwGS6
一方、触手は第二の獲物であるディードを本格的に嬲り始めた。
穴という穴に触手が突きこまれ、容赦なく貪り、カリム以上に豊潤な肢体が下賎な触手の粘液でドロドロに穢されて行く。
その光景に周りを取り囲む男達は生唾を飲み込んだ。

「ああ、い、いや・・・も、もう止めて・・・ひあ、ひぐっ・・・ああ、胸を弄り回されて・・・・んん、恥ずかしい・・・酷い、ああ・・・むぐ、んぐ・・・ひあっ・・・」
懇願の言葉を口にしても直ぐに触手で塞がれてしまう。
周りで見ている男達はディードの痴態に興奮して、荒い息を付くだけだ。
絶望的な気分になりながらディードは涙を流して触手の嫌悪感を振り払おうと頭を左右に振った。そんな事をしても現状に変化は無い。

やがて触手はディードの身体に纏わり付き、淫らな粘液をすり込んでいく。
焼ける様な熱さに身体の芯に感じて、ディードは熱く溜息混じりに喘いだ。
「・・・んん、ひ、あん・・・段々、気持ちよくなってくる・・・ああ、こんな嫌なのに・・・絡み付いて・・・熱い、身体が熱いの・・・むぐ、ちゅる・・・」
ディードは戦闘機人である。快感への耐性は人一倍ある筈だった。
だが、この触手はディードの身体構造がある程度、常人と違う事を察知し、
カリムに対して使った時よりも、更に数段強力な催淫物質をディードの身体の隅々までたっぷりと塗り込んだ。
それによってカリムの痴態を目の当たりにして、無意識に身体を火照らせていたディードの身体は、いとも簡単に快楽の無間地獄に転げ落ちていく。
それでも必死に抗おうと、ディードは意識をしっかりさせようと身体を揺するが、かえって身体の火照りを加速させてしまうだけだった。

「ひ、あん・・・大勢の人に見られて恥ずかしいのに・・・ああ、私は気持ちよくなってる・・・はあ・・・んあ・・・」
大勢の男達に視姦されながら、触手が全身を無遠慮に這いずり回る感触にディードの身体は敏感に反応し、何ともいやらしい。

「・・・んぐ、むぅ・・・喉の奥にまで・・・あぐ、はぁ・・・んん、ちゅる・・・」
喉を貫かんばかりに触手が咥内を犯され、ディードの口の端からは泡だった液体が溢れかえる。同時に前後の淫穴からは、触手が出し入れされる度に卑猥な音が鳴り響く。
「ぐへへ・・・とんでもなくいやらしいな」
「ああ、淑やかな外見に似合わない、エロボディで人気者だった聖王教会の修道女ディードちゃん、もう最高だぜ」
「ほら、もっとよがって、俺達を楽しませてくれよ」

男達の言葉に答えたのかは解らないが、 触手は更にディードを激しく嬲り始めた。全身に粘液をたっぷりと擦り付けられ、身体の中も外も触手で徹底的に蹂躙されている。最早、ディードの頭の中は羞恥と快感、絶望で満たされ、強制的に発情させられた身体も色っぽく紅潮していた。

738黒の碑に捧げられし奴隷達『陵辱要素ありですので注意』:2011/11/02(水) 10:12:58 ID:CjqBwGS6
中でも触手が力を入れて嬲っているのが、ディードの豊満な乳房だった。
絶妙な張りと柔らかさを持つ、2つの白い果実に数本の触手が絡みつき、
男達の欲望を代弁するかの様に緩急を付けて締め付けながら、先端の突起を執拗に擦り上げる。
「・・・んむ、ひぐっ・・・ちゅる・・・んぐっ・・・はあ、んはあっ・・・」
咥内を蹂躙する触手の先端からも大量の催淫物質が吐き出され、ディードは無抵抗にそれを飲み込まされてしまう。底知れぬ快楽の渦に飲み込まれていくディードの瞳から徐々に理性と意思の光が消えていく。

「ああん・・・もう、駄目ぇ・・・お口も胸もお尻もオマンコも・・凄く気持ちいいの・・・は、あん・・・私のいやらしい姿、見られてる・・・ああ・・・はん・・・」
理性が弾け飛んだディードは天を仰ぎ、その拍子に触手が外れてしまうが
再び、触手が突き込まれる。その触手に熱心に舌を絡ませながら、ディードは美味しそうに粘液を啜り上げる。
「・・んむ、ちゅる・・・美味しい、こんな駄目なのに、止まらない・・・ユーノさん、私、このままじゃおかしくなって・・・助けてぇ・・・あむ・・・んむ、はあ・・・」
無意識の内に想い人へ助けを求めるディード。その間も数え切れない程の触手がディードの身体中を這い回り、穴という穴を激しく陵辱している。
尻穴も極太の触手で無理矢理開発され、前の穴を犯す触手とは違うリズムで蠢き、実に卑猥な水音がクチュクチュと響く。

「はぐっ・・・んん、はあっ・・・んぐ・・・うう、い、あん・・・ちゅ、はあん・・・」
息も絶え絶えになって来たディードは辺りに響き渡るような絶叫を上げ、全身を痙攣させて、絶頂に達する。激しく執拗なまでの容赦ない触手の攻めに、ディードは負けてしまったかのように悶え狂う。


絶頂の余韻に浸る暇も与えずに、触手は飽きる事もなく蠢き続ける。
絶頂に達した事でディードの秘所からは大量の淫らな蜜が溢れ出し、それを潤滑油代わりに触手がより激しくピストン運動を行う。
ディードのあらゆる穴を犯す触手達が次第に目にも留まらぬ速さで、抽送を繰り返し始める。触手は活発に蠢き、それによってディードの肢体はガクガクとまるで玩具の様に揺さぶられる。
「・・・も、もう止め・・・て、下さい・・・あ、はあ・・・あぁぁ―――!!」
粘膜が擦れまくる音が鳴り響き、それすらもかき消す様な大絶叫を挙げて、ディードは何度も絶頂に達してしまう。

そしてようやく触手の先端からもおびただしい量の白濁液が噴出した。
口、前後の穴からも大量の白濁液を流し込まれて、ディードは苦悶の表情を浮かべるが、触手は更に奥深くまで侵入する。
中からだけでなく外からも、その全身にめがけて無数の触手がスコールにも匹敵する白濁の雨を降らせていく。
「ひっ・・・あ、ああ・・・嫌ぁ・・・身体中にかけられて・・・中にまで入ってきて・・・汚されて・・・誰か、オットー、ユーノさん、助けて・・・」
触手は満足したのかディードを解放した。
身体の内外まで蹂躙され、白濁塗れになったディードは声にならない悲鳴を挙げた。助けを求めても救いの手は差し伸べられず、代わりに男達の屈強な手が彼女の身体を無理矢理に抱き起こす。

739黒の碑に捧げられし奴隷達『陵辱要素ありですので注意』:2011/11/02(水) 10:14:50 ID:CjqBwGS6

「・・・も、もう許して・・・せめて少し休ませて・・・」
「駄目だな、相方を見てみろよ、あんた以上に滅茶苦茶にされても、気持ち良さそうによがってるじゃないか」
男の言葉を受けて、絶頂の余韻から立ち直り、理性を取り戻したディードは指差された方に視線を向けた。


その視線の先には――

「ああ、むぐ、じゅぷる・・・もっと、滅茶苦茶に、突いてぇ・・・ちゅる・・・」
魔方陣の中心で完全に爛れた快楽に溺れ、肉欲の虜となったカリムの姿があった。仰向けにさせられ、その下に男が寝そべり、膣穴を硬い肉棒が貫き、尻穴と口も同様に性欲処理の道具にされている。更にその周りを残った男達がグルリと取り囲み、一心不乱に肉棒をしごきたてている。


「くく、よく締まる尻だな、おら、こうすると気持ちいいんだろ!!」
「うう、たまらんぜ、肉襞が絡みついて・・・締め上げてくる・・・」
「舌も吸い付いてくるぞ、くくく、美味しいですか、聖女様?」

すっかり上気したカリムの肌には、粘っこい白濁が張り付いている。
それだけではなく、神秘的な輝きを放っていた流麗な金色の髪にも白濁が、べったりとこびり付いていた。
「あむ・・・はい、美味しいです・・・熱い精液、たくさん注いでください・・・はむ、ちゅる・・・私は淫乱な・・・お尻を犯されて悦ぶ雌猫です・・・はあ、ちゅる・・・」
むせ返る様な雄の香りにうっとりしながら、カリムは貪欲に、熱く滾る肉の棒を舐め上げた。同時にいやらしく下半身をくねらせ、前後の穴に捕えた肉棒を攻め立て、卑猥な水音を漏らす。


「ほら、もう完全に淫乱になっちまってるだろう? 心配しなくてもアンタも直ぐにああなるんだぜ?」
「そうそう、さっきまでアレだけ気持ち良さそうによがってただろう?」
「ぐへへ、ディードちゃん、たっぷりと可愛がって気持ちよくしてやるよ」



「い、嫌です!! わ、私は・・・屈したりは・・・ひぁん!!・・・ん、あぁ・・・」
未だに火照りが残る身体を男達の手によって弄られ、ディードは思わず嬌声を漏らしてしまう。特に男達の視線を釘付けにする豊満な乳房に加えられる攻めは苛烈だった。ある時は握りつぶさんばかりに、ある時は優しく触れる程度に、それがランダムに繰り返される。そして止めとばかりに硬くしこった先端を摘み上げられる。
「んん、はあっ・・・ああん・・・駄目ぇ・・・止めて・・・お願いです・・・」
「おやおや、こんなに可愛い声を挙げちゃって・・・ディードちゃんは、堪え性がないなあ。ここも硬くさせちゃって・・・」
「へへ、本当だなあ、大きな胸をしてるのに、先っぽの方は小さいピンク色で大人しい・・・ほら、吸ってやる・・・ちゅ、んむ・・・」
「耳にも息を吹き込んでやるぞ・・・どうだい? くすぐったいだろう?」
「ひ、ああ・・・す、吸わないでぇ・・・耳に息を吹き込まないでぇ・・・」

身体を男達の手でいいように弄ばれ、ディードは快感と屈辱に入り混じった、悩ましい喘ぎを漏らす。そんな中、祭壇――この建物は一応、聖堂の体裁は整えてあったのだ――にディードは何となく視線を向けた。

そこで彼女は信じられない「モノ」を見た。

740黒の碑に捧げられし奴隷達『陵辱要素ありですので注意』:2011/11/02(水) 10:16:15 ID:CjqBwGS6
第一印象は――せせら笑いを浮かべた下卑た蟇蛙だろうか――
しまりのない口元からは涎が絶えず流れ出ており、足は蹄で、腕の代わりに数本の触手が垂れ下がっている。

想像を絶するほどに不愉快で冒涜的な怪物が祭壇の方――正確には祭壇に置かれた黒い石碑。
その側で、男達に陵辱の限りを尽くされている自分とカリムを見下ろし、吐き気のする下卑た笑いを浮かべている。

アレは何だ。あの黒い石碑は何だ。
自分以外の者はアレの存在に気付いている様子は無い。
アレ―即ち、怪物の事だが――その姿は少し注意深く観察してみると、その姿越しに薄っすらと壁が透けてみえている。陽炎の様に実態が無いのだ。
ディードは生物としての本能から、あの怪物がこの世界に居てはいけない「異物」なのだと理解した、否、理解させられた。
見ているだけで気が狂いそうになる程におぞましい。
それこそ男達に陵辱されている、この現状の方がマシに思えてくるくらいに。

ディードは本能的な直感に突き動かされて怪物――その姿から≪蟇蛙≫と呼ぶ――から視線をそらした。肉体ではなく、精神を、魂そのものを嬲られている気がしたからだった。

≪蟇蛙≫に気を取られていたのは、一瞬の事だったらしい。
気がついたらディードを嬲っている男の1人が彼女の身体を持ち上げて騎乗位の体勢をとらせていた。そして硬く勃起した肉棒が、ディードの淫蜜を溢れさせている秘所に勢いよく突き込まれた。

「ああ、はあっ、お、奥にまで刺さって・・・い、嫌ぁ・・・中でグチュチュって・・・」
「くう、入り口は緩いのに、奥の方はきつく締め上げてきやがる・・・おまけに肉襞がザラザラしてたまらねえ・・・俺達に犯されている内に、このエロエロな身体が開発されちゃったのかなあ?」
「そ、んな馬鹿な事・・・んん、はあ、ひあぁっ!!」
頑なに否定しつつも火照りはディードの身体を確実に侵食し、催淫物質の働きも加わってあって、唇から甘い声が漏れる。
そんな彼女の前に1人の男が立ち、赤黒く勃起した肉棒を、その眼前に突きつける。その意味する所は1つだった。

「俺のコレを綺麗なお口で掃除してもらおうか・・・さあ、早くしろよ」
「はい・・・解りました・・・んむ、ちゅ、はむ・・・じゅる・・・ふちゅ・・・」
ディードは諦めた様に肉棒を咥え、舌を動かし始めた。
咥内の肉棒の放つ臭気に何度もむせ返りそうになりながらもディードは懸命に舌を使ってカリをしごく。その間にも後ろに陣取った男がディードの重量感に溢れる乳房を握り潰す様な勢いで揉みたてる。他の男達も見ているだけでは飽き足らず、ある者は乳房を揉むのに参加し、また、ある者は肉棒をこすり付ける。白い極上の2つの果実が穢されていく。
それがディードの性感を刺激し、彼女の内部で燻っていた、肉欲を狂おしく、激しく燃え上がらせていく。




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