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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第111話☆
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「ぐっ……」
その身にかかる重圧は、制動魔法によって軽減してもなお骨を軋ませ内臓をしぼる。ダメージはないが鈍い痛みが体中を駆け巡る。叫び声でも上げて気を紛らわしたかったがそんな情けない真似はできない――同じ痛みを感じているはずの彼が呻き声一つ上げないのだから、ライバルである自分も根性を見せなければいけない。そして何より、今、そんなことに時間を使っている猶予などあるはずもない。
今のシャンテとエリオの位置関係は五メートルほど、西部劇の一場面のように互いの背中を向け合っている状態だ。
スピードが同等なら勝敗を分けるのは得物の差だ。槍と旋棍とでは言うまでもなくリーチは槍に利があるものの、長柄武器である以上どうしても小回りは旋棍に譲らざるを得ない。
そしてシャンテが振り返った時、果たしてエリオは未だ背を向けたままの状態であった。
“――勝った!!”
シャンテは確信し、戦慄する。
瞬時に距離を詰め、その無防備な背中に旋棍を振り下ろさんと肉薄する。
――しかし、その腕が振り下ろされることはなかった。
「言い勝負でしたね。互いに長所を活かしきった。シャンテ、結果は残念でしたがあなたの判断は正しかったですよ」
ごく稀にしか聞くことのできない彼女の師の称賛も、今のシャンテの耳には入らない。
シャッハの言う通り決着はついた。勝利を確信したはずのシャンテだが、結果は彼女の敗北であった。
しかしながらエリオがシャンテに先んじたわけではない。そもそも槍の間合いでは速さで旋棍に敵う道理はない。
「…………」
シャンテは呆然と自身に突きつけられた切っ先からその持ち手に視線を移す。
エリオは依然としてシャンテに背を向けていた。
そう、シャンテは正しかった。スピードが同等なら勝敗を分けるのは得物の差だ。両者が制止した際、シャンテが体ごと翻す必要があったのに対し、エリオは手元を反転させるだけで事足りた。単に槍のリーチがあってこそのものだ。
ただしその咄嗟の状況判断、そして音速で迫るシャンテに目を使わずにタイミングを合わすことがどれほどの絶技であるのかは言うまでもない。
“遠いな……”
デバイスを待機状態に戻し、シャンテは虚ろに手を伸ばす。あと数歩、歩み寄るだけで届きそうなその背中も――槍に阻まれて距離は縮まらない。
「遠いよ……」
彼に聞こえないように、シャンテは呟いた。
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