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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第111話☆
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魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。
『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第110話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1302424750/
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以上でした。
幼女(9歳)にもてあそばれるスバルさん(15歳)ってちょっと素敵じゃない?
というお話でした。
それでは、失礼します。
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幼女に飼われる雌犬か
後書きの方から読んで「趣味じゃないかも」と思ったが、いやはやなかなか背徳的で新たな性癖に目覚めてしまったかもしれないな
GJでした!
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GJ!
確かに何かに目覚めてしまいそうだw
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GJGJ
レヴィさんは拘束具使うけど
シュテルさんは縄使うんだろうなーと思った
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ティアナ陵辱物に対する感想、ありがとうございます。
タイトル入れ忘れてました、すいません。しょうもないミスを・・・
ちなみにタイトルは「堕ちていくティアナ・ランスター」(捻りのかけらもない)
>『黒翼の天使〜』と『黒の碑に〜』の方
こっちの方も続きが書けたから投下しようと思ったら規制に引っかかる。
こっちの方は加筆修正した物をロダに上げることも検討してますが、
どこのロダがいいのか、誰か教えてくれないでしょうか。
(文章量が多くなってしまってテストスレは使いにくいので)
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( ゚∀゚)o彡゜
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台詞入れ忘れたのは秘密だよ?
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くしきさんGJ
倒錯的でかなりエロいなこれは・・・
年下少女が年上をリードするというのはなにかこう、グッとくるものがある。
>>338
ttp://www.dotup.org/ ここは?
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スバル祭りと聞かされては参加せざるをえない。
4番手を務めさせていただきます。
・全8レスです
・今回もエロありません
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ちょうど俺が旅に出る、1ヶ月くらい前のことだっただろうか。
魔法の練習が仕上がった頃に、スゥちゃん――スバル・ナカジマに、山へ連れて行ってもらったことがあった。
俺ことトーマ・アヴェニールにとっては、思えばあの瞬間が、初めて「力」や「戦い」というものを、真剣に考えた瞬間だったのかもしれない。
「――どうして魔法を覚えたかって?」
そんな質問をされたスゥちゃんは、きょとんとした顔を俺に向けていた。
ちょうど俺達が初めて会った、ヴァイゼンの山中の湖畔でのことだ。
あの時のようにテーブルを組んで、向かい合って座りながら、そんな質問を投げかけたのには、
あるいはやはり、何か縁のようなものがあったのかもしれない。
「そうだねぇ……前にも話したと思うんだけど、あたし、なのはさんに助けられたことが――」
「ああ、いや、そうじゃなくてさ……俺が聞きたかったのは、そこじゃなくて」
楽しそうに話すスゥちゃんの声を、申し訳なく思いながらも、遮る。
聞きたかったのはそこではない。
彼女が戦う道を選んだ動機は、前になのはさんに会った時に、何となくだが察していた。
「どうしてISを持ってたのに、わざわざ魔法を学んだのか、ってさ」
「っ」
ぴくり、と。
青い短髪の下の眉毛が、俺の声に呼応して、ひくついていたのは覚えている。
だけどその当時の俺は、まだまだ小さくて、察しが悪くて、それだけでは気にも留められなかった。
「スゥちゃんも他のお姉達と一緒で、インヒューレントスキルを持ってるんでしょ?
だったら、わざわざ一から魔法を勉強しなくても、その力で戦っていくこともできたんじゃ……」
聞きたかったのは、そこだった。
戦う道を選ぶ時に、選んだ戦うための手段が、どうして魔法でなければならなかったのかということだ。
この時には既に、スゥちゃんが普通の人間でないということは、彼女自身から聞かされていた。
戦闘機人の彼女の身には、人間のリンカーコアとは別に、兵器としての動力炉が、埋め込まれていたということも。
「………」
スゥちゃんは少し、返事に詰まっていた。
今にしてみれば、残酷な問いをしたものだと思う。
出来ることなら、今すぐ過去に戻って、自分を殴り倒してやりたい気分だが、出来ないものは仕方がない。
「……うーん、とね」
それからややあって、スゥちゃんは、少し困ったような笑顔で口を開いた。
「あたしの持ってる力はね……ノーヴェやウェンディのとは、少し、違うんだ」
「少し違うって? 力は力なんじゃないの?」
「……あたしがISを使って戦えば、誰かが必ず死ぬことになる」
冷やかに発せられたその事実に。
びくり、と背筋が震えたのを覚えてる。
俺はその時になってようやく、自分のした質問と、その答えの意味に気がついた。
「あの時ここで、トーマが握っていたナイフがあったよね」
言いながら、スゥちゃんの手がテーブルに伸びる。
机の上から拾い上げたのは、食事に使っていた銀色のナイフだ。
「たとえばあれを指に当てれば、指が切れて血が流れる……あたしの身体に宿った力は、そういうタイプの力なの」
言葉通りのジェスチャーで、ナイフの刃先を人差し指に当てる。
食事に用いるナイフでは、そう簡単には皮は切れない。
しかし、それがあの時のナイフなら、今頃スゥちゃんの指先は、赤く染まっていたことだろう。
「加減の効かない力なんだ」
「ナイフじゃなくて拳なら、殺さずに戦うこともできるんだけどね」
こう、たなごころってやつ、と。
ナイフをテーブルの上に置き、開いた左手を指差して、言った。
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「……あたしが欲しかった力はさ、別に、人を殺すための力じゃないんだ」
少し視線を落として、スゥちゃんが言った。
肌に感じた山の風は、一瞬前よりも、少し冷たく感じていた。
「誰かを傷つけるのが怖くて、最初はそれで、力を封じてたんだけど……その時の想いは、今でも、ずっと変わってないから」
だから魔法を選んだのだと。
非殺傷設定が存在する魔法は、彼女の内包する力とは違う、人を殺さずに済む力だからだと。
「……まぁもっとも、なのはさんみたいな魔法使いになりたかったから、ってのもあったんだけどね」
えへへ、と照れくさそうに言いながら、ぽりぽりと人差し指で頬を掻く。
最後に締めくくったその声だけは、普段のスゥちゃんのトーンそのものだった。
その時その言葉だけで、自分の胸にどれだけ響いたかというのは、正直よく思い出せない。
ひょっとしたら、怖い話もあったものだ、という程度だったのかもしれない。
どんな過去があったにしても、所詮当時の俺は子供だ。言葉だけで理解できるほど、頭はよくなかったということだろう。
だとすれば、それを本当に自分のものにできたのは、その言葉の力ではなく、
「トーマはさ……どっちになりたい?」
その直後に発せられた、直接的な問いの力故だったのかもしれない。
「人を殺さないために戦うのと、人を殺すために戦うのと」
「ッ……!」
さぁっ、と血の気が引いた気がした。
そこに来て、ようやく悟ったのだ。
怖いと感じただけでは、まだ理解が足りなかったのだと。
スゥちゃんが話しているのは他人事ではなく、いつの間にか、自分のことになっていたのだと。
「正直、ISで戦うのは楽だよ。生まれた頃からそう戦えるように、身体にプログラムされてるんだから。
でもあたしは、そういう、殺すための戦いはしたくないし……他の人にだって、してほしくない」
「………」
「トーマはどうなりたい? あたしが教えた魔法の力を、どんな風に使いたい?」
今度は俺が答えに詰まった。
見透かされていたのだ。
この場所でスゥちゃんと出会った俺に、間違いなく宿っていた殺意を。
きっと今もどこかに持っている、故郷を滅ぼした連中に、復讐したいという思いを。
「……よく、分からない」
その時の俺には、その程度の返事しかできなかった。
復讐を成し遂げたいのか、忘れたいのか。
取り戻した日常の中で、考えることすら忘れ始めていた程度の葛藤では、明確な答えなど返せるはずもなかった。
「そっか」
まだちょっと、難しかったかな、と。
苦笑するスゥちゃんの右の手のひらが、頭を撫でた感触を覚えている。
「まぁ、これから考えてけばいいよ。トーマもあたしも、お互い人生長いんだからさ」
からからと笑うスゥちゃんの笑顔は、太陽のように眩しかった。
大人になればじきに分かると言う時、彼女らは決まってこんな顔をする。
事故で死んだ俺の父も、お酒の話をする時に、こんな顔をして笑っていた。
今日の話を理解できれば、俺もこんな風に笑えるんだろうか。
この葛藤に答えを出せたのなら、俺もスゥちゃんに追い付けるんだろうか。
スゥちゃんに憧れる気持ちは本物だった。俺もこうなりたいと思ったのは確かだった。
きっと、だからこそ俺は、旅に出ることにしたんだろう。
憎しみと力のあり方に、決着をつける道を選んだんだろう。
ちょうどこの話をしてから、半月経った後の日に、俺は冒険に出ることを決めた。
そして、この日から、4ヶ月。
-
◆
時空管理局の技術力とは、全くもって大したものだ。
海の上に敷かれていた、飛び石のようなプレートが、一瞬にして様相を変えた。
さすがに人は住んでいないものの、俺の視界は一変し、瞬きの間に都市へと変わる。
「………」
もっとも、住民まで再現されてしまっては、それはそれで困るのだが。
これからここで起こるのは、訓練とはいえ戦闘だ。戦う意志のない者は、ここにはいない方がいい。
ミッドチルダ南駐屯地内A73区画に位置する、特務六課専用隊舎。
そのトレーニングスペースに、俺は防護服を纏って立っていた。
「行くよ、リリィ」
胸の内に宿る意志に、告げる。
『うん』
間髪を置かず脳裏に響くのは、リリィ・シュトロゼックの声。
黒騎士の名を冠する漆黒の闘衣は、俺1人の力で制御しているものではない。
湧き起こる防衛本能を抑制し、正気を保ってこの場に立てているのは、彼女が俺の中で頑張ってくれてるおかげだ。
EC兵器の制御端末・シュトロゼック4th――あの日俺が助けたいと願った少女は、
互いに互いを助け合う、かけがえのない存在になっていた。
「そっちの準備はオッケーだね」
そして、前方から響く声。
自分の胸へと落とした視線を、声のする方向へと向ける。
黒に対峙する色は、白。
青い縁取りで彩られた、眩い白のバリアジャケットが、俺の眼前に立っている。
空のように、青い髪と。
命を湛えた、緑の瞳と。
それら3色を輝かせ、スバル・ナカジマがそこにいた。
俺の模擬戦の相手として、あのスゥちゃんが立ちはだかっていた。
「うん、いつでも行けるよ」
「りょーかい。それじゃ、こっちも遠慮なくやらせてもらうからね」
ばし、と拳の音を響かせて、俺の声に、スゥちゃんが答えた。
彼女の右手を覆うのは、漆黒のアームドデバイス・リボルバーナックル。
災害に苦しむ人々の活路を、障害を砕いて切り拓く、スゥちゃんの力の象徴だ。
こうありたいと、憧れた力。
ああなりたいと、願ってきた姿。
それが今、ほとんど同じ高さの目線で、同じ戦場で向き合っている。
団体戦を含めれば、戦うのはもう2度目になるけれど、一対一になったことで、その事実が余計に強く感じられる。
それが何だか嬉しくて、自然と、口元に笑みが浮かんだ。
「――答えは出た?」
ふと。
眼前から投げかけられたのは、そんな声。
少し感傷に浸っていた意識が、慌てて我に返るのを感じた。
「答え?」
「覚えてるかな。トーマが旅に出る前に、あの山で2人で話したこと」
聞き返す俺に、スゥちゃんはそう言った。
ああ、そうかあのことか――その言葉で、俺はようやく意図を察した。
どんな風になりたいか。
手にした力で、どんなことを為したいか。
願うものは必殺の力か、はたまたあるいは不殺の力か。
早いもので、あの問いかけから、もう4ヶ月も経っていた。
-
「……旅をしてみて、色んなことがあったよ」
その足跡を回想し、ゆっくりと言葉を口にする。
「色んな所へ行って、色んなものを見て、色んな人に会った」
旅の最後の数日は、確かに劇的な経験だった。
それでも、そこに至るまでの道もまた、決して無味乾燥なものではなかった。
色んな価値観の人と出会い、色んな人の人生に触れ合った。時には、死に様に立ち会ったことも。
「その旅の中で、手に入れた力は……確かに、スゥちゃんの嫌ってた、人を殺すための力かもしれない」
言いながら、ディバイダーの刃先を左手でなぞる。
闇色と血の色に彩られた、凶悪なフォルム。人の生き血を啜り、死の淵に落とすために作られた、正真正銘の殺戮兵器だ。
これと出会うことがなければ、リリィと出会うこともなかった。
それでも、この力を振るうことには、正直あまりいい気分はしない。
「でも、俺は思うんだ。力はあくまで手段であって……どんな強大な力でも、使う人の目的次第で、どうにでもなるんじゃないかって」
だとしても。
俺は自分に宿ったこの力を、否定して切り捨てたりはしない。
この力はリリィそのものだ。この力を悪と断じることは、リリィの生まれてきたことすらも、否定することになってしまう。
きっと、戦闘機人の力を宿した、スゥちゃんが生まれてきたことさえも。
「だから俺はこの力を、みんなを助けるために使いたい。この手で使いこなしたい。
兵器として生まれたこの力を……兵器のままで、終わらせないためにも」
何よりも、リリィの生涯を、無駄に終わらせないためにも。
ぐっ、と拳に力を込めた。
右の手に漆黒の魔刃を携え、左手を胸の位置で握って、宣言した。
「……尖った刃先が触れるものは、みんな傷つくかもしれないよ?」
「知らないの、スゥちゃん? ナイフには峰もあるんだよ」
ディバイダーの切っ先は、諸刃になってしまったけれど、と。
少し得意げに笑って、返した。
たとえこの身のEC因子が、殺戮を求めるものだとしても、俺は絶対に負けはしない。
俺はエクリプスを従えてみせる。リリィと一緒に、打ち勝ってみせる。
憧れを憧れで終わらせないために。
お互いに、終わらないために。
「……よかった。答えは、ちゃんと出たんだね」
それで正解だと、言わんばかりに。
にっこりと、笑みが返された。
まるで子供の頃に戻ったようで、少しばかり照れくさい。
それでも、頬を染めるこの熱は、決して不快なものではない。
「これであたしも、本気で戦えるってわけだね」
………………………………………………………………………………なんだって?
今何だか、ものすっごく不吉な言葉が聞こえたような気がしたんだけど?
本気で戦う? それはつまり、前回は本気じゃなかったってこと?
いくら団体戦だったとはいえ、結構手痛くやられたっていうのに!?
「ちょ、ちょっと待って!? それってどういう――」
刹那。
俺の身体を襲ったのは。
「――――――ッ!!」
途方もないほどの、圧力。
スゥちゃんは何もしていない。いつもよりも少しばかり、鋭くなった笑みを浮かべているだけだ。
であればこの身を震わすのは、彼女の身から放たれる気迫。
仁王立ちになった彼女の目から、一直線に突き刺さってくる闘志。
その細い身体つきからは、全く信じられないほどの、圧倒的なプレッシャーだ。
正直、一瞬、飲まれかけた。
覚悟を決めたはずの足が、反射的に後ずさっていた。
ああ、そうか。
これがスゥちゃんの本領か。
幾多の困難をその手で打開し、人々を災厄から救ってきた力。
幾度もの死線と無念を超えた、その果てに辿りつく信念の極地。
邪魔するものは打ち砕く。一直線に突き進む。
その意志が馬力と破壊力を宿し、相手の意志を飲み込むまでに膨れ上がった、スバル・ナカジマの最大の武器だ。
この鋼のごとき「信念の強度」こそが、スバル・ナカジマの本当の姿だ。
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「……ははっ」
それでも、不思議と、笑みがこぼれる。
何も自棄になったわけじゃない。少し引きつっているけれど、苦し紛れの笑みじゃない。
ああ、そうか――スゥちゃんはこんなに凄かったんだ。
俺がこうありたいと憧れた人は、こんなにも強い人だったんだ。
今にしてみればこの想いは、きっと初恋にも近かったかもしれない。
それが事実かどうかはともかくとして、今のこの瞬間だけは、俺はこの人に惚れ直した。
俺の理想だった人は、こんなにも高い存在だったのかと。
俺が挑んでいた山は、こんなにも登りがいのあるものだったのかと。
立ちはだかるスゥちゃんの偉大さが、俺にとっては、嬉しかった。
「ま、そういうわけだから、最初っから全力全開で行くよ!」
「よぅし……来いっ!」
まるでキャッチボールをする親子のように。
ごく自然な笑顔を浮かべて、俺達は共に死闘に臨む。
恐らくこれからの戦いは、今までのどの戦いよりも、過酷で困難なものになるだろう。
だけど、俺は逃げたりしない。そう簡単に降参してやらない。
これから起こること全てを、固くこの記憶に刻み込もう。
彼女の一挙手一投足全てを、この目とこの心に焼きつけよう。
俺が追い続けた理想を。
俺が憧れ続けた目標を。
俺が思い描く最強のイメージの――いつか超えるべきその背中を、しかとこの目に見据えるために!
「ゴーッ!」
掛け声が上がった。
瞬間、スゥちゃんの姿がそこから消えた。
『トーマ!』
「っ……!」
リリィの警告と共に、構える。
ほとんど反射的な動作だった。
理性で認識するより早く、右手がディバイダーを盾にしていた。
「――おぉりゃッ!」
雄叫びが耳を貫いた時、とっくに両手は震えていた。
刀身に伝わる衝撃が、ガードの構えを揺るがしたのだ。
瞬間時速、何キロだ!?――重力が消失する感覚と共に、そんな疑問が脳裏に浮かぶ。
15の男の体格が、一撃でボールのように吹っ飛ばされた。
急速に流れゆく景色の中、必死で両足の踏み場を探る。
飛ばされっぱなしじゃいられない。そんな悠長にしてはいられない。
ぎらぎらと闘志をたぎらせた猛獣は、尚も獲物に喰らいついてくる――!
「……ぇえいっ!」
だんっ、と強引に着地した。
思いっきり両足を踏ん張って、がむしゃらに切っ先を繰り出した。
がぁんっ――と響き渡る金属音。
振りかぶる大剣の一撃と、突き出される鉄拳の一撃が、びりびりと大気を振動させる。
弾き返される互いの得物が、スローな動作で懐へ戻る。
あまりの圧力に、前髪が揺れた。
揺れる青い髪の下で、スゥちゃんの顔は笑っていた。
「たぁっ!」
そしてそんな表情でも、スゥちゃんの攻撃は容赦がなかった。
「せい! とりゃぁっ!」
気を抜く暇もないままに、次の一打が叩き込まれる。
左手のブレードでこれを凌げば、また次の一打が打ち出される。
拳撃、拳撃、そして拳撃。
疾風怒濤とはこのことか。風の音(ね)を聞くだけで精いっぱいだった。
嵐のごとく押し寄せる拳に、開幕早々、俺は防戦一方になっていた。
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「こん……のぉっ!」
このまま好きにはやらせない。ようやく持ち直した右腕で、ディバイダーを振り降ろす。
がんっ、と鈍い音が上がった。
手ごたえは人体のそれではない。砕かれたのはアスファルトだけだ。
地割れのごとき破砕の跡には、もはやスゥちゃんの姿はなかった。
『正面上方から魔力弾、来るよ!』
「おうっ!」
代わりに聞こえたのはリリィの声だ。
返事と共に大地を踏み締め、迫る脅威を迎え撃つ。
びゅん、と空を切り迫り来るのは、射撃魔法・リボルバーシュートだ。
バレーボール大の弾丸2発を、魔剣を振りかざし、切り裂く。
斬――と音を立てると共に、青の閃光が霧散した。
「うぉりゃああぁぁぁっ!」
光の影より、迫るのは絶叫。
ディバイダーを振り降ろしたあの瞬間、空中に飛び退っていた標的が、再び襲いかかってきた。
しなるスゥちゃんの右足が、烈風を伴って肉薄する。
スバル・ナカジマの6年来の相棒・マッハキャリバーの回し蹴りだ。
「せいやァッ!」
必殺の竜巻旋風脚を、渾身の力を込めて迎え撃つ。
昔のゲームで聞いた名前が、まさにそのまま想起されるほどの、痛烈な一撃を弾き返す。
もちろん、もうここでは止まらない。
さっきスゥちゃんがそうしたように、今度は俺が着地を狙う!
「おおおおぉぉぉぉぉっ!」
だんっ――と大地を蹴り、殺到。
飛行能力を全力で行使し、トップスピードで地表を翔ける。
全身をミサイルへと変えて、一瞬の隙を狙い撃ちにかかる。
だが、それでも一切の油断はできない。
俺の憧れたスゥちゃんは、そう易々と通すはずがない!
「はぁッ!」
ぐるん、と白い裾が翻った。
さながら風車を思わせる動作で、虚空に舞うスゥちゃんが回転した。
迎撃のオーバーヘッドキックだ。
驚くべきことにこの女傑は、突きかかった俺の切っ先を、空中で蹴り上げ阻んだのだ。
飛行の加速の勢いのまま、黒服はスゥちゃんをスルーして進む。
ほとんど同じタイミングで、俺とスゥちゃんの足が地面を掴む。
「「だぁぁぁぁぁぁっ!」」
そして叫ぶタイミングも、踏み込むタイミングも同じだった。
互いの足が大地を蹴り、獲物目掛けて飛びかかる。
猛然と駆け抜ける剣と拳が、再び真っ向から激突する。
今度は弾かれることはなかった。互いに足元で踏みとどまり、つばぜり合いのごとく肉薄した。
(強い!)
何度目ともしれない感想を、冷や汗と共に頭に浮かべる。
ばちばちと舞い上がる火花の向こうには、汗一つ浮かばぬスゥちゃんの顔。
まさに獣のごとき獰猛性だ。俺の知っているスゥちゃんの緩さは、微塵も介在していなかった。
何せ虎を思わせる剛拳が、チーターの速度で飛んでくるのだ。おまけにこちらの攻撃も、獅子のタフネスが通さない。
であればもはや獣ですらない。そんなキメラのような化け物は、自然界には存在しない。
もはやこれは超常の鬼――スバル・ナカジマの戦闘能力は、既に鬼神の域に到達している。
『トーマ……何だか、嬉しそう』
そんな窮地の中でなお、リリィは俺の思考を察したらしい。
頭の中で響く声が、俺に優しく笑いかける。
ああ、そうだとも。そんなこと分かりきってるさ。
こんな強敵を前にしてなお、俺は確かに喜んでいる。
こんなピンチに陥りながらも、俺は未だに笑っている。
あれほど憧れてきたスゥちゃんと、俺は今こうして戦っている。
見上げるだけの存在だった――求め続けた憧れと、俺は今渡り合えている!
同じ場所で、同じ目線で、全力を出し合いぶつけ合っているんだ!
こんなに嬉しいことが他にあるか!
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「……いくよリリィ! 俺と君の全力を、正面からスゥちゃんに叩きつけるッ!」
『うんっ!』
剣を握る手に力を込めた。
両の手で掴む切っ先で、リボルバーナックルを押し返した。
なるほどそういう腹づもりかと、スゥちゃんも意図を察したのだろう。
にぃ、と力強い笑みを浮かべ、ディバイダーの刃を振り払う。
互いの武具が反発し、互いの身体が弾き出された。
俺が突き出したのは白銀。
スゥちゃんが突き出したのは蒼穹。
この身から溢れ出す銀色の力が、ディバイダー996の切っ先を眩く包む。
手のひらが生み出す空色の魔力が、ソードブレイカーの左手で煌めく。
轟然と湧き上がる力の奔流が、天地を鳴動させ渦巻いた。
エネルギーのスフィアは輝きを増し、2つの極星となって向かい合った。
「ディバイド――――――ゼロッ!!!」
「ディバイン――――――バスタァァァッ!!!」
黒の指先がトリガーを引く。
白の袖先が振りかぶられる。
銀と青の光弾は、真正面から激突し、爆音と極光を炸裂させた。
◆
「はぁ〜〜〜〜〜〜……」
どれくらい経ったかも分からない頃。
時間の感覚は消失し、ただ濃密な戦いの記憶だけが、脳内に蓄積された後。
思いっきり脱力しきった声を上げながら、俺はアスファルトの上に倒れていた。
結局あれからも戦いは続き、そして俺達はスゥちゃんに負けた。
それはもうこてんぱんに打ちのめされた。スゥちゃんはとてつもなく強かったのだ。
「お疲れ様」
左手で顔の汗を拭いながら、スゥちゃんが歩み寄ってくる。
差しのべられた右手を取って、俺もスゥちゃんの隣に立つ。
俺はこの人に全力で挑んだ。
殺すための力を全力で出し切り、殺さずに戦うことができたのだ。
「強くなったね、トーマ」
お世辞じゃない、心からの言葉だ。
その顔に浮かんだ暖かな笑顔が、その事実を雄弁に物語っていた。
今度は上に伸びた手が、俺の頭を優しく撫でる。
それも、4ヶ月前のあの日に、頭に感じた感触だった。
ああ、たなごころとはこのことだったのか――今更ながらに、そう思う。
本当の強さを持った人の手は、柔らかく、そして、愛おしい。
誰かを守らんとするためにと、強い心を持った者の手にこそ、鍛え上げられた力は宿るのだろう。
「ありがと。……でもまだ、スゥちゃんには及ばないけどね」
「そりゃそうだよ。そう簡単に追い抜かれてたら、あたしの面目が立ちません」
えっへん、と豊かな胸を張りながら、スゥちゃんが俺の言葉に応える。
少し子供っぽいこの態度も、俺の知っているスゥちゃんの顔だ。この人懐っこい笑顔のもとへ、俺は本当に帰ってきたんだ。
苦笑いを返しながら、俺は改めてそう実感した。
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「……あ、そうだ。1つ、トーマにも教えておこっか」
と。
不意に、何かを思い出したような顔をして、一旦スゥちゃんがそこを離れる。
何を教えるというのだろうか。怪訝な顔をする俺を尻目に、彼女が拾ったのは、コンクリの破片。
先ほどの戦闘の最中に、俺かスゥちゃんのどちらかが、攻撃を空振らせて砕いたものだ。
刹那、それを手にしたスゥちゃんの足元に、青い光が浮かび上がった。
独特な形状のテンプレートは、ノーヴェ姉達がよく使っているものだ。
インヒューレントスキル――戦闘機人の固有能力を、今まさに発動させようとしているのだろう。
「よっ、と」
瞬間。
ばごん、と鈍い音を立て、コンクリの破片が砕け散る。
特に力を入れた様子も、握り締める動作もないままに、灰色が粉砕されたのだ。
「知ってた? あたしのISも、落石を壊す時とかには便利なんだよ」
まだまだこの人には敵わないみたいだ。
何でもないことのように言い放つ、スゥちゃんの笑顔を前にして、俺は改めてそう思った。
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というわけで投下終了。
ちょっと変則的な話になりましたが、「誰かの視点から見たスバル」を描くSSも、立派なスバルSSではないかと思うのです。
……あ、タイトル表記を忘れた。
タイトルは「スゥちゃんの肖像」ということで。
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リアルタイム投下キター
Fは1巻しか読んでないけど勢いで読んだ
スバルの戦いについての感情が出てていいなGJ!
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スバルはやっぱりおいしいキャラだなあ、と祭り開催からのログを読み終えて思う
皆様GJっす! あとシュテルさん俺も飼ってくださいませんかッッッ
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姉・妹・先輩・後輩・ワン娘…相手によって属性変化するからな、トーマにギンガにイクスも虜にする魔性だぜ。
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>>352
2巻以降も読もうぜ
4巻までまとめ読みしたら面白かった
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>>351
これもまた「受け継がれる意思」の形かね。こういう補完はssなればこそだから面白い
GJ
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GJGJ
なんかシャドウスキル思い出す
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スバル祭5番手いってみます
3分ほどしたら投下します
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【注意】
・エロ
・陵辱
・オリジナル犯罪者集団×スバル
・オリキャラ有
・電気責め有
・お漏らし有
・若干の近親相姦的要素含む
・若干のレズ的要素含む
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とある管理外世界にある大森林地帯の奥深く。
悪意に満ちた笑いが辺りに響いていた。
「ぐへへへへへへへ」
「ふひ、ふひひひ」
「ふおっふおっふおっふおっ」
森の内部は昼でも薄暗い。
鬱蒼と生い茂る大樹が、照りつける陽光を遮っている。
森の奥に、ひときわ大きな一本の巨木があった。
その巨木の太い枝には全裸の少女が吊るされていた。
少女は薬でよく眠っている。
短く切られた艶やかな蒼髪。白く柔らかそうな肌。
スラリと伸びる四肢。引き締まった腹部。ほどよく張った尻。
グラマーとは言いがたい。
成熟する手前の瑞々しい若い果実といったところか。
少女の両手首は特殊な拘束具によって縛られ、万歳をするかのように真上に引き上げられている。
両脚は足首と膝下にそれぞれ拘束具がとりつけられ、正面から見てちょうどM字型になるように開かされている。
おかげで胸の豊かなふくらみも、陰毛が薄く茂った土手も、淡桃色の菊穴もすべて丸見えである。
樹のまわりには、それを見つめる男たちがいた。
ならず者といった風体で、誰もが下卑た笑みを浮かべている。
彼らこそは犯罪者集団AMWD。
彼らは目の前の生贄を味わう様を想像し、彼等の怨敵が狼狽する様を夢見て暗い愉悦に浸っていた。
「顔は好みじゃねえが、体の方はたまらねえな」
「見ろよ、このオッパイ。柔らかくて、吸い付くようだ」
「コイツ戦闘機人なんだろ? 生殖能力はあんのか?」
「さあな。試してみればどうだ?」
「尻もハリがあってぴちぴちじゃい。こっちの処女は、ワシがもらってよかろうな?」
「いいぜ、ケツの一番槍はヨセフ爺さんに譲ってやんよ」
-
男たちの輪から外れて、ヤラ・ナイカは、音響装置と撮影用の2台のカメラの調子をみていた。
ヤラ・ナイカは元カメラマンであった。
2台あるカメラのうち、メインカメラは三脚に固定。これは少女から少し距離をとって真正面に置く。
サブカメラはナイカ自身が担いで、アングルを変えたりズームを使ったりして撮る。
後で2台のカメラの映像を組み合わせて編集する予定だ。
彼は機器の調子を確認すると、手馴れた手つきでヘッドホンを装着し、カメラを担いだ。
撮影開始……。
フレームにうつる樹に吊るされた全裸の少女。それを囲む獰猛な顔をした男たち。
この後、何が起こるかは火を見るより明らかだ。
「すげえ筋肉だな……腹が割れてるぜ……」
「髪も短いし、後ろ姿だけ見てると男だぜこりゃあ」
「スボンがあると色気出ねぇから、脱がせんだがあんま変わらんかったな」
「いいじゃねえか。マッチョな女のほうが締まりがいいって話だ」
「でもよ――」
「俺はヤれりゃあ何だっていいぜ! なあ! まだなのか、ボス?」
デッキチェアで葉巻を吹かしてくつろいでいたブロディが、仕方ねぇな、と顔をあげた。
AMWDのボスはこのブロディだ。
禿げ上がった頭。頬と顎を苔のように覆う真っ黒な髭。薄汚れたタンクトップからのびる太い毛むくじゃらの腕。
このホームレスにしかみえない小汚い中年オヤジがヤラ・ナイカたちのボスだ。
信じられないことにこの男、昔は管理局員であった。それもエリートとされる航空隊の武装局員だ。
部下の幼女に性的知識がないことをいいことに、拷問に耐える訓練だと言って局部を電気棒でいじめたり、
おやつに強制的にチョコレート掛け極太バナナを食わせたり。様々なセクハラを繰り返したそうだ。
しかしある日、色々と疲労が重なった幼女が事故を起こす。
幼女について調査が行われた結果、悪事がバレ、お役御免になったという超珍経歴の持ち主である。
「まあ、そろそろ目を醒ましてやってもいい頃合いか……」
-
ブロディが、樹に吊るされている裸体の方向に歩き出す。
カメラに、あられもない姿で吊るされた少女と、ビール腹の中年男が映る。
少女のすらりとした体躯と白い肌に、ブロディのずんぐりむっくりとした体型と浅黒い肌が対照的だ。
ブロディは懐から棒を取り出す。
そして、ナイカに、否……カメラに、否……その向こうにいる誰かに、話しかけた。
「これが何だかわかるか?」
ズームインしてブロディの手元を映す。
黒くて艶のある硬そうな棒だ。警棒のように見える。
「直径約3cm、長さ約40cmの棒だ」
ニヤリとブロディが笑う。映像を見る相手が理解できるように、一拍置く。
「これは家畜を追い回すときに使う電気棒だ。もちろんお前も知っての通り、人間に対する拷問用にも使える」
ブロディはカメラを睨みつけながら、舌を出して干からびて萎びた唇を舐めた。
彼の瞳は気狂いのような濁った光を湛えている。
昔、幼女を椅子に縛りつけてその尻に電気棒を挿し込み拷問訓練を課したときの光景でも思い出しているのかもしれない。
「今からこいつをあのお嬢ちゃんのケツの穴に突っ込んでやるからな。よーく見とけよコラ?」
ブロディは、媚薬入りのローションをたっぷりと棒に塗った。
それから少女の柔らかな尻たぶを割り、電気棒の先端を無防備なすぼまりにあてがう。
棒が肛門に差し込まれていく様をつぶさに撮影しようと、ヤラ・ナイカは斜め下からのアングルで被写体に近づいた。
ローションで滑りを良くしているとはいえ、少女の尻穴には棒は少し太かったようだ。
先端部分は、半ば力づくで無理に押し込まれた。
排泄孔を貫かれる刺激に少女の身体が僅かに反応したが、意識の完全な覚醒には至らなかった。
一度先端が通ってしまえば、あとは楽なものだった。ずぶり…ずぶり…と凶器が呑み込まれていく。
ブロディは少女を起こさないように慎重に棒を差し込む。
少女は何も知らずに無垢な笑顔で眠りこけている。
周囲の男たちは期待に満ちた目で、ショータイムの瞬間を待っている。
-
棒の半分ぐらいまで入ったところで、
「オーケー、いくぜ! It's Show Time!!」
ブロディがこの上なく楽しそうな声をあげて、電撃のスイッチを入れた。
途端、少女が獣じみた悲鳴をあげた。
肢体が鎖を引きちぎらんばかりに上下左右に無茶苦茶に振れ動く。
あまりに激しく動きすぎたせいか、手首の拘束具のあたりからは血が滲み出す。
静かな森の中で、腹に響くような絶叫と、ガチャガチャと金属が擦れあう音とがシンフォニーを奏で賑やかに響く。
見物していた男たちが一斉に口を開けてゲラゲラ嗤った。足を踏み鳴らし手を叩いて喜ぶ者もいる。
カメラを構えていたナイカも声は立てなかったが歯を剥き出しにして笑った。
他人が苦しむ様を見ていると気分がいい。
とりわけ人生の成功者や立派な人物、勝ち組の人種が苦しむのは愉快きわまる。
にっくき管理局員が悶絶するさまをもっと見ていたかったが、すぐにブロディによって電撃のスイッチが切られる。
もちろん電気責めにのた打ち回る少女を哀れんだわけではない。
獲物をもっと長くいたぶるために致命傷を与えかねない責めを控えただけだ。
尻穴に差し込んだ棒は抜かずにそのままにしてある。
尻から突き出している黒い棒がプラプラ揺れている様子が淫らだった。これもカメラにしっかりと収めておく。
少女は荒く息をつき、体内に残る痛みに呻き声をあげていた。
しばらくして意識がハッキリしてくると、目をこれでもかというぐらいに見開いて驚愕の叫びをあげる。
「こっ。ここは……!?」
まあ、驚かないはずがない。
自らが見知らぬ部屋で周囲を怪しげな風体の男たちに囲まれて素っ裸で吊るされているのだ。
しかもM字型に両足を広げられて性器が晒されている。女にとっては最も恥ずかしく屈辱的な姿だろう。
AMWDの男たちはニヤニヤ笑いながら、少女が初々しく恥じらい狼狽する様子を見物している。
少女が力任せに枷を破ろうとする。手首に滲んだ血の量が増える。
しかし、堅固な拘束具にはヒビすら入らない。当然である。元局員のブロディご自慢の拘束具だ。
魔力抑制効果が付与されており、通常魔力どころか、ISも発動できない仕様にあっている。
-
「ゲッヘヘヘヘ。やっとお目覚めかよ。オジちゃんたち待ちくたびれちゃったぜ」
「こっ、ここは何処?」
「ヘッヘッヘッヘッヘ……」
笑うばかりで少女の問いに誰も答えない。
一部始終は撮影されている。撮影した映像は「奴」に送りつける手筈だ。
後でヤラ・ナイカが編集して不要部分を切り抜く手筈になっているとはいえ、自分達の居場所を易々と口に出すわけがなかった。
「いったい、何の目的があってこんな事を……!」
「俺らはな、皆、あんたの教導官――タカマチのせいでムショにぶち込まれたことがあるんだ」
ブロディが『タカマチ』という単語を出した途端、AMWDのメンバー全員が苦虫を噛み潰したような顔になった。
何を隠そうここにいる男たちの組織名「AMWD」は、「Association of the Men arrested by the White Devil(白い悪魔被害者の会)」の略である。
「あの白い悪魔のせいで、俺の人生はメチャクチャだ」
「クソ! あいつさえいなければ……!」
「あいつは人の皮をかぶった化け物だ!」
「あの売女の顔を原形がなくなるぐらい殴れたらどんなにスッキリすることか!」
次々と吐き出される口汚い罵倒に、少女の顔がしかめられる。
彼女は、周囲の男たちを真っ直ぐな瞳で見据えると訴えかけるように言った。
「でも――こんなことしたって、何にもなりませんよ」
少女は蒼白になりながらも、説得――あるいは時間稼ぎをしはじめた。
男たちを軽蔑するでもなく、真っ直ぐな瞳で翻意を促す。
だが、当然のごとく、誰も少女の説得に耳を貸しはしなかった。
「なるさ。可愛い弟子が自分のせいで嬲られてる映像を見せ付ければ、あの悪魔とて苦しむだろう」
小娘一人の懇願で犯行をやめるようなら、そもそもこの場にはいない。
この程度で情にほだされるような良心があるなら、そもそも犯罪など犯さない。
それでも少女は必死に対話を通じて説得を試みる。
しかし、むしろ少女の裸体に注がれる好色な視線は粘りを増していく。
-
「なあ、観念してお互い愉しもうぜ?」
「怖がってんのかい? 大丈夫、オジちゃんたちがやさしくしてあげるからね」
AMWDのメンバーが鼻息を荒くしてにじり寄ると、少女が一瞬怯んだ顔を見せる。
そこで赤毛のテオドールが少女の顎を掴みあげる。
そしてあまり「やさしい」とはいえない手つきで少女の口をこじ開け、ビール瓶を突っ込んだ。
少女の表情がここではじめて恐怖に引き攣った。
少女が頭を動かそうとしても、男の手でガッチリと顎を掴まれているし、身を捻って逃れようとしても四肢を拘束されている。
何も抵抗できずに正体不明の液体を呑まされる少女。
瓶の中に入っているのは、媚薬だ。
すべて注ぎ込むと瓶を投げ捨て、今度は双乳を荒々しく揉みはじめる。
元レスラーのテオドールの腕は丸太のように太い。
筋骨隆々の男の手で揉まれるたびに、少女の乳はおもちゃのゴムボールのようにぐにゅぐにゅと形を変える。
ボーイッシュな外見に似合わぬかわいらしい悲鳴があがる。
悲鳴をあげればあげるほど、男たちの嗜虐心は高まるばかりだということを知らないらしい。
ベテランの局員ならここはじっと耐えるところなのだが。
「ヘヘヘヘヘ、あのヤガミの下で働いてたんだからこのぐらいは慣れてるだろ? え?」
「こんなに乳首を大きくしやがって! けしからん!」
テオドールが少女の勃った乳首に舌を這わす。
化け物でも見るかのような目で、少女がテオドールを見つめる。
「な、なにしてるのっ?」
「いただきまうす!」
テオドールがアイスクリームでもほおばるかのように、ピンク色の乳輪に吸い付く。
乳首を舌の上で転がし、甘噛みして責めあげていく。
「ふぐぅ!」
乳首に与えられる甘い快感に少女が奇妙な声をあげる。
一方、少女の背後に老人が回りこむ。最年長のヨセフ爺さんだ。少女の尻に目をつけたようだ。
肛門に突き入れられたままの電気棒を握りこむ。
ズズッと一気に引き抜き、そしてゆっくりと挿入しはじめる。
-
少女の表情の変化は、乳を触られたときよりも劇的だった。
最初は、何をされているのか分からなかったようだった。
呆けたように目を見開き、パクパクと口を大きく開け閉めした。
「ふぇ……? あっ……、あ……?」
爺さんがゆっくりと棒を抜き差しし、掻きまわすようにして少女の尻穴を犯しはじめる。
やっと理解が追いついたらしい。少女が取り乱して叫びだす。
「あっ、う、うぁぁぁ……! お、お尻、やめっ、やめてぇ!」
「なぁに、すぐ病みつきになるぞ。ワシがたっぷりこっちの穴のよさを教えてやるからの」
少女の未開発のアナルに家畜をしつけるための棒が突き込まれ捻じ込まれる。
天を仰ぐようにおとがいをのけぞらせる少女。
「うぅぅ、ぅあぁぁ……」 食いしばった歯の間からくぐもった呻き声が漏れている。
「これ! ケツの力を抜かんか!」
爺さんが年齢を感じさせないほどの力強さで少女の尻を掌で打った。
ピシャーンと小気味よい音がする。
勢いに任せてさらに数度、爺さんの平手が少女の柔らかな尻肉を襲う。少女が小さく悲鳴をあげる。
パチィーン…ピシャーン…ピッシャーン…
「固くてうまく挿入できん! ケツの穴を緩めんか! 殺すぞ!」
荒い口調で爺さんが恫喝した。
電気棒を迎え入れるかのように括約筋が緩み、ヨセフ爺さんは鼻を鳴らした。
「ふん。最初から素直にすりゃあよかったんじゃ」
じわりと少女の目元に涙が溜まる。構わず爺さんは強弱をつけながら電気棒を捻り込む。
ゆっくりと腸壁を擦るように挿入しているかと思えば、激しくグイっと突き上げる。
棒を奥まで差し込んでから、グリグリと円を描くようにまわす。
少女の体が、尻ごと上下前後にグラグラと揺らされる。少女が情けない叫び声をあげる。
「ひっひっひっ。硬いのがケツの奥まできとるじゃろう? ほうれ、ほうれっ!」
少女の喉から裏返った声で「やめて」とか「嫌ぁぁ」といった言葉が搾り出される。
少女の反応に気をよくした爺さんがニンマリと笑みを浮かべる。
うむ。やはり陵辱はこうでなくては。
-
少女はその後二十分ほど、前からは乳房を揉みしだかれ、後からは排泄口を貫かれて責められた。
尻穴からは、抜き差しの度にジュップ、ジュップといやらしい音が漏れている。
少女は奥歯を噛みしめて耐えているようだが、時折艶かしい喘ぎがあがる。
M字型に固定されて吊り上げられているので少女には責めから逃れる術はない。
ただ男たちの責めを甘受するしかない。
少女は死地に赴くがごとき悲壮な顔つきをしていた。カメラでズームインすると、目元に涙が滲んでいる。
時々うわごとのように何かを呟いているらしく、口元が小さく動いている。何と言っているのだろう?
ヨセフ爺さんが疲れたところで、一端止めにして小休憩をとった。
少女はもちろん樹から下ろされるという事はなく、恥ずかしい格好で吊られたままだ。
飲ませた媚薬の効きが少し悪いようだったので、追加で媚薬を与えることにした。
今度は経口摂取ではなく、直接内部の粘膜に注ぎ込む。
吊っているロープを調節して、少女を逆さまに吊り上げる。
手首は一緒に縛ったまま、脚は広げたままなので、ちょうど正面から見るとYの字の形になる。
膣と肛門にそれぞれ筒を差し込み、ぬるりとした媚薬をたっぷりと流し込む。
少女は歯を食いしばって内部に侵入してくる液体の感触に耐えている。
この媚薬が本格的に効きだせば、猛烈な痒みのような疼きが性器の粘膜を襲うはずだ。
痒みを収めるには何かで掻いてやらなければいけない。棒状のものを中に突っ込んで欲しくて欲しくてたまらなくなるそうだ。
うそかまことか、何もせずに放置しておくと媚薬の効果が切れる前に発狂することもあるとも。
媚薬が馴染むまで待って、手足に繋がる鎖の長さを調節し、仰向けに吊り下げる。
乳首とクリストスにローターをつけてやる。3つのローターを動かす。
ヴヴヴヴヴヴというローターの振動音にあわせるかのように、少女の体が子鹿のように震える。
「あっ、ううっ、うぐぅぅ……あ、っああ……!」
時折、ビクビクッ、とブリッジでもするかのように腰が弾みあがる。
それでも少女は歯を軋らせながら、イカないように、快感に堕ちてしまわぬように健気に耐えている。
その必死さがまた男たちの笑いを誘うのだが。
そのまま少女を放置して、男たちは近くの小屋でビールとソーセージの軽食をとった。
その間に撮影した映像もそれほど時間をかけることなく編集できた。
設置していた音響装置はなかなか感度が良かった。
樹の上に設けていたマイクには、父親や姉に助けを求めるごくかすかな呟きまで入っていた。
ブロディは「惜しいな」と言った。「タカマチに助けを求める声が入っていれば最高だったんだが」。
それでも精神的重圧を与えるには充分だろうというようなことを何人かが言った。
編集した映像はデータファイルにしてタカマチ宛に送りつけた。
もちろん足がつかないよう、データ通信技術に長けたメンバーが細心の注意を払って、だ。
-
軽食を終えしばらくして少女のもとへ戻ってみると、媚薬の効果が現われていた。
上半身がヘビのようにくねくねと揺れては、硬直、のけぞり、脱力を繰り返している。
尻や脚の筋肉は突っ張り、足の指先は丸まって宙を掻いている。
肌は上気して全身に汗がびっしりと浮かんで湯気でも立ちそうなほどだ。
声はもはや押し殺せていない。
お願い、許して、止めて……。
ローターから与えられる快楽の波にあわせて、ひぃひぃ喘いでいる。
期待通りだった。媚薬を3瓶。それに女の弱点とも言える部分にローターをあてがって1時間放置したのだ。
既に何度も否応なくオーガズムに押しやられたはずだ。これで何ともなかったら不感症だ。
男たちが樹を取り囲むようにして少女のまわりに陣取った。
多くの男の股間はテントを張り、胸は期待に膨らんでいる。
はやく目の前のご馳走を味わいたくてウズウズしている獣の群れだ。
ヤラ・ナイカが再びカメラを担ぐ。彼は撮影担当で陵辱には加わらない。彼は女の体にはあまり興味がなかった。
男たちが鎖を調節し、再びもとの形に吊り上げる。
ローターのスイッチを切ってやると、少女は大きく肩で息をついた。
乱れた髪が数本、汗の滴る額にはりついている。
顔はだらしなく歪み、視線はあらぬ方向を向いていて、口は半開きで涎が垂れ流しだ。
苦痛には耐えられても、快楽に耐えきるることは難しい。
段は雄々しく犯罪者に立ち向かっている女性武装局員が犯罪者によって責められたあげく、本人の意思に反して官能的快楽に溺れていく姿は惨めとしか言いようがない。
誰かが少女の股間を覗き込んで、
「下のお口もよだれをたらしてスタンバイ・レディしてるみたいだぜ」
トロトロとした液体を指で掬いあげてみせた。
雌のフェロモンがたっぷりと含まれた蜜を。
「ケツ穴もヒクヒクしてやがるぜ。ヘヘヘ、気持ちよかったんだろ?」
カメラで局部をズームインする。
穢れを知らぬサーモンピンク色の割れ目は男を求めるかのようにヒクヒクと卑猥な動きで脈打ち、しかも内部から溢れ出す淫汁でいやらしく照り光っている。
この映像を全世界に向けて放映したら少女は恥ずかしさのあまり自殺するかもしれない。
-
具合を確かめようと、赤毛のテオドールが芋虫のような太い指を少女の割れ目にゆっくりと差し入れる。
指から逃れようとするかのように、少女は上半身をのけぞらせた。
しかし、そんなことをしても無駄だ。テオドールの指がズズズ…と挿し込まれる。
少女の口から出る「やめて」、「いや」といった言葉とは裏腹に、
熱く濡れた柔肉はテオドールの太い指をこともなげに飲み込んでいく。
あまつさえ奥に引きずり込んでいくかのように蠕動する。
「おうおう、締め付けてきやがる」
しかし、テオドールは指を根元まで突き入れてしまわないで、途中で挿入を止めた。
「おい、何やってんだ、テオドール? さっさとイカせちまえよ」
「いやあ。俺は紳士だからな。このお嬢さんが嫌だってんならこれ以上はしないぜ?」
媚薬を使った責めに慣れていない若い男たちは怪訝そうにしているが
中堅以上のメンバーはなるほどといった風にニタニタしている。
その意味が判明するのにそう長い時間はかからなかった。
「はぁ……はぁはぁはぁ……はぁ……」
少女の息遣いが荒くなり、汗ばんだ体がピクピクと震えだしていた。
割れ目からは大量の蜜液が溢れ出している。
蜜は、テオドールの指を濡らし、さらには地面にまでポタリポタリと落ちていく。
むんむんと撒き散らされる発情した雌の匂い。
「お嬢ちゃん、いやらしい顔してるぜ。素直になれよ?」
三つの穴に流し込まれた媚薬は効果覿面だった。
今頃は想像を絶する性感の疼きがこの少女を苛んでいるはずだ。
乞うような視線は男の指に注がれている。
寸止めされた指に。
-
「うんと突いて欲しいんだろ? ええ?」
熱に浮かされたような顔をしながらも少女は首を振った。
まだ辛うじて理性は残っているらしい。
テオドールは余裕の笑みを崩さない。指を少し深く入れ、手前に曲げる。
「このへんが確かGスポットだったな」
指の背で、女性の最も感じる性感帯のひとつを擦りあげる。
同時に親指の先で真っ赤に腫れ上がっている肉豆をコリコリと弄り回す。
1分もしないうちに、少女は面白いように身悶えし喘ぎ始めた。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁ!」
少女の引き締まった背中が反り返る。拘束された四肢がビクビクと震えだす。
指の動きに合わせグチュグチュと鳴り響く、卑猥な音。
「あ、あ、あ、ああ、ああぁっ、だ、駄目ぇぇぇっ!」
犯罪者によって無理やり味あわされる圧倒的な快感。
少女の官能が高みにのぼりつめ、弾けるその直前で――
「ふうん。駄目かァ。じゃあ、仕方ねえな?」
テオドールは数ミリずつゆっくりと指を少女の秘孔から抜きはじめた。
「……?!?」
絶頂に至る前に寸止めされた少女が、お預けをくらった犬のような顔を晒す。
指が第1関節まで引き抜かれたあたりで、少女の唇から切なげな深い吐息が漏れる。
テオドールは少女の膣口付近まで指を引き抜き、そのまま待つ。
ときおり、思い出したように指を動かしはするが、緩慢な動作であり、少女を満足させるほどの快楽は与えない。
じりじりと時間が過ぎる。少女の鼻息がどんどん荒くなる。
我慢できなくなったのか、ついに少女の腰が動き始めた。
最初は小さな動きだった。それが、振り子のようにだんだんと大きな動きになる。
蜜壺が収縮し、逃げていく指を咥え込もうとする。奥へ、奥へ。
股間を指に押し付けるように自ら腰を振り出した少女に野次がとぶ。
「おいおい自分から尻を振りはじめたぞ。なんて淫乱なんだ」
「ハハハ! 公僕が犯罪者の指でオナニーかよ!」
屈辱的な言葉で男たちに煽られ、少女は首筋まで紅潮させるが、その腰の動きは止まらない。
お楽しみの最中に止める男などいない。その逆もまた然りというわけだ。
-
テオドールは「頃合いだな」と呟くと、指を抜く。
少女が「あっ」と呟いた。明らかにがっかりしたような表情を見せる。確かに頃合いだった。
テオドールとブロディ、そしてヨセフ爺さん――AMWDの古参メンバー3人が前に出る。
ブロディが指を鳴らすと、残りの二人がそれぞれ変身魔法を唱えた。
一瞬のうちにその顔が別人に変わる。少女が驚きの声をあげる、周囲の男たちもどよめく。
ブロディは満足げに頷くと、少女に問いかけた。
「おい、パパと教官とならどっちに犯されたい?」
テオドールはタカマチ、ヨセフ爺さんはゲンヤ・ナカジマという中年男に変身していた。
顔だけ替えて、肉体や服装はそのままだから、爺さんはともかくテオドールは激しく違和感があった。
ムキムキのマッチョの体の上にタカマチの顔が載っているのだ。
タカマチ本人が見たらさぞかし精神的にダメージを食らうことだろう。
「ひひひひ、あんたも人が悪いなブロディ」
「サイコーだぜ」
まわりの男たちがわっと囃し立てる。
「スバル、私に犯されたい?」
「俺のほうがいいよな、スバル?」
恩師と父親に言われて、少女の目が白黒した。
周囲からどっと笑いが巻き起こる。
変身魔法を使った二人は、下半身から余計なものを取り去って、少女の目の前に反り返った肉棒を開陳する。
少女の潤んだ目が反り返った逞しい2つの肉棒に惹きつけられる。
先ほどお預けを食らったばかりの少女の秘所から再び蜜が垂れ落ちる。
「さあ、どっちがいいんだ? 選べ」
有無を言わさぬ迫力でブロディが迫る。
少女の視線が自らの父親と恩師との間を行き来する。
父親にヤられるか、教官にヤられるか、の二択。
追い詰められた少女の精神にはそれ以外の選択肢――他の男にヤられる、
あるいはヤられること自体を拒否する――は思い浮かばないのだろう。
「どっちに犯されたいんだ! さっさと言え!!」
ブロディが少女に平手打ちを食らわせる。
元武装局員の腕力は相当なものだ。少女の頬がたちまち赤く腫れ上がった。
再び手を振り上げようとするブロディ。
慌てて少女が「な……なのはさんで……」と言った。
-
ヤラ・ナイカはカメラを構えたままニヤリとした。
(計画通り……)
肉親――それも父親を選ぶことは普通の神経ではありえない。
近親相姦への忌避は人類共通といっていい。
わざと父親との二択にして、第三者であるタカマチを選ぶように仕向けたのだ。
自分の教え子が自分の姿をした何者かに犯されている映像を見たとき、タカマチはどんな顔をするだろうか……。
タカマチ(テオドール)は少女の両脚を抱え込むと、巨根の亀頭部を少女の秘所にピタリとあてがう。
それだけで少女の唇から切なげな甘いため息が漏れる。
「感謝しろ、本来なら戦闘機人みたいな卑しい作りモノにはセックスなんて行為は勿体無いぐらいなんだから」
己の存在を貶めるかのような言葉にも、少女は反応しない。
蕩けたような顔でただ喘いでいる。
1時間も焦らされ続け、すっかり快楽に飢えてしまっている少女の秘口が貫かれる快楽を予感して妖しく蠢く。
しかし、期待された瞬間はなかなかやって来ない。男根は秘口の入り口に押し付けられたままだ。
もの問いたげに少女がタカマチを見た。
視線を受けて、陵辱者は意地悪な笑みを浮かべた。
「入れて欲しいのかな?」
少女の目線は秘所にピタリとあてがわれている男根に吸い寄せられている。
熱を持った逸物には筋が浮いており今にも張り裂けんがばかりだ。
それを見つめている。イヌのようにハァハァと息を荒くし、口の端からよだれを垂らしながら。
下の口からも大量のよだれが垂れている。
「おいおい、いろいろ汁が垂れてるぜ!」
「可愛い顔してとんでもねえドスケベだな!」
少女を辱める卑猥な野次が飛ぶ。
しかし媚薬で性感が極限まで高められているのにもかかわらず絶頂の寸前で止められ、
焦らされに焦らされ、少女の体はそして理性はもはや我慢の限界を超えていた。
恥をかなぐり捨てて、少女が懇願した。
「いっ……入れてください……!」
少女の顔は真っ赤だ。茹蛸もかくやという赤さで、屈辱的な願いを口にした。
-
しかしタカマチは片眉をあげてとぼけた。
「何を?」
「そっ……それを」
「それって?」
「そ、そ、そ、そのオチンチンを……」
「どこに入れて欲しいの?」
「あ、あたしの……あそこに……は、はやく……も、もうっ……お、おかしくなっちゃう……!」
少女が顔をぐちゃぐちゃに歪めながら切羽詰った声で乞い叫んだ。
少女の声に一種の狂気を感じ、身の毛がよだつような思いにとらわれる。
おかしくなっちゃう……おかしくなっちゃう……なっちゃう……おかしく……なっちゃう……
少女の叫びが涯てしない叢林にぐわんぐわんと木霊する。
森に静寂がもどる。
ニヤニヤ薄笑いを浮かべながらタカマチが焦らす。
「じゃあ、これからすることは合意の上でのセックスってことでいいのかな?」
「ハイ……それでいいから、はやく……はやくうううぅ……!」
「じゃあ、たっぷりくれてやる!」
ズンッ!
巨根が、深々と少女の胎内に穿ちこまれた。
あっという間に最奥まで貫通する。
「ああぁ、あああああああああああああああああああああああああ!!」
絶頂。
間抜けな顔を晒し、恥も外聞もなく甘い声で女が鳴いた。
もちろん、イッた瞬間のアヘ顔は大写しでカメラに収められている。
処女喪失の痛みはないようだった。傍から見ている限り、完全に快感に支配されている。
タカマチが肉棒を少女の奥深くに嵌め込んだまま、「どうだ、イイだろう?」とソフトな口調でささやいた。
声だけ聞けば紳士的だ。しかし局所的な変身魔法のせいで、顔はタカマチのままだ。
邪悪な笑みを浮かべたタカマチはまさに悪魔だ。
一瞬、我に返ったのか、少女の顔がクシャクシャになってイヤイヤするようにかぶりを振る。
潤んだ瞳から、幾筋もの涙がぽたぽたと流れ落ちる。
-
「自分から欲しいと言ったくせに」
テオドールが、少女の髪を鷲づかみにして、
「ほら、しっかり見ろ」と下を向かせ、繋ぎ目を強制的に見させる。実に痛快だった。
「ちゃんとカメラでも撮ってるからな。永久的に残るぞ。よかったな?」
「嫌ぁ、やめてぇ……もう……許して……」
AMWDの男たちはその様子を見て、これはトラウマになるな、とほくそ笑んだ。
少女はこれから先ずっと恩師の顔を見るたびに自分が犯された日を思い出すことになるのだ。
レモンを見ると唾液があふれ出すように、条件反射で股間が濡れるようにしてやろう……。
エサを見るとよだれをたらす犬のように、タカマチを見ると下の口からよだれを垂らす雌犬にしてやろう……。
少女はタカマチを見て欲情し、その背徳感に生涯苛まされる……あるいは我慢できなくなって……。
いずれにせよ、実に素晴らしい。
秘所から巨根が引き抜かれ、直後、根元まで突き入れられる。
少女の甘い声が森に響き渡る。
ずん、ずん、ずん、、ずん、ずん…
体の芯を下から激しく突き上げられ、たわわな乳が大きく弾んで波打つ。
「ああー! んあああああ! あぁぁああぁあぁぁあぁあああぁん!」
腰の動きは、次第に緩急をつけられ、時に捻じ込むような回転を加えられて変化していった。
少女は与えられる責めに、ただ無様に喘ぎ、悶えることしかできない。
巨砲が少女の膣底に撃ち込まれるたび。
銃の一斉掃射を受けたかのように白い裸体がガクガクと揺れ、喉からきざしきった雌の鳴き声が絞り出された。
ああああーん……ああーん……ああーん……あーん……あーん……
嬌声が木霊し、森の中に繰り返し繰り返し響き渡る。
森が戸惑ったようにざわざわと木の葉を震わせて風に揺れる。
-
「ん? 今までの様子から見て処女だと思ってたんだが、血ィ出ねえな。中古品か?」
「激しい運動をする女は処女膜が破れてることがあるらしいから、そのクチだろ」
「まあどうだっていいけどな、やれりゃあこっちはそれでいい」
男たちはご機嫌だった。獲物を一匹。快楽に屈伏させた達成感が気分を昂揚させていた。
激しい攻勢に、短い時間で少女は立て続けに何度も気をやっていた。
「おいおい敬愛する教官殿に犯されて悦んでやがるぜ!」
「背徳的なシチュエーションのほうが興奮すんじゃねえのか?」
「うげえ! とんでもねえ変態だな!」
硬直と絶叫と弛緩との間を行き来しながら、少女は髪を振り乱して首を振る。
違う、と言いたげに。
「機動六課じゃ夜の戦技教導もやってたんだろウハハハハ!」
「ヘッ、メス豚ばかりの部隊にゃお似合いだな!」
「おやおや、あんなこと言われてぎゅんぎゅん締め付けてきやがる。図星らしいな」
「……そんなこと……あひっ、またあああああいやあああああああああああぁぁぁぁ! 」
悲しげな顔で少女が何かを言いかける。しかし、次の瞬間、体の芯を貫く衝撃に悶絶する。
胎を灼くような熱い男汁が、少女の胎内にぶちまけられた。
「熱い! 何か出てる! 抜いて! お願い、抜いてえええええ!」
熱い液体が注ぎこまれる感触に、半狂乱で叫ぶ少女。しきりに抜いて抜いてと懇願する。
タカマチは尻を震わせながらダメ押しにさらに突き込む。
さらに奥深く沈み込む剛直。さらに大量に吐瀉される白濁。
再びあがる悲鳴。
「ふぅ〜。まあ、そこそこよかったぜ」 長々と射精が続いた後で、やっとのことで肉棒が引かれる。
接合部分から白濁液があとからあとからとめどなく溢れだしてくる。
拘束された少女の手足ががくりと力を失う。虚ろな瞳で宙を見つめる瞳の焦点はあっていない。
-
しかし少女に安息は訪れず、
「よし、次は俺っすね?」
テオドールに変わって、マイケルという若い男が2番手になった。
もちろんマイケルにも局所的変身魔法がかけられていて、顔はタカマチになっている。
「ヘヘヘ、んじゃあ、性技教導としゃれこみますかね!」
猛る肉棒が少女の濡れそぼった秘所にズブズブと埋め込まれていく。
少女の柔らかい膣肉が男の肉棒をみっちりと咥え込む。
「おおすげえ、中が絡み付いてきて……うっ……もう出そうだ……」
「ヘイ、マイケル! この早漏野郎! 女をイカせるまえに出すんじゃねえぞ!」
「大丈夫だ。……今日こそはバッチシだぜ」
「マイケル! 口調、もっとタカマチに似せろてみろよ」
「わーったよ……いんや、ええと……了解しましたー?」
周囲から「似てねーなーー」とため息が漏れるなか、
マイケル…いや…タカマチが腰を大きく振ってリズミカルに抽送をはじめる。
「あっ、あん、あん、あんっ……」
与えられる刺激に耐えるすべもなく再びよがりはじめる少女。乳房が大波を打つかのように激しく揺れる。
その背後に、ゲンヤ・ナカジマの顔に変身したヨセフ爺さんが立つ。
「ふむ、じゃあワシは約束どおりこっちを貰おう」
電気棒でユルユルに解されたアナルに、歳に似合わぬ元気な逸物が一気に沈み込んでいく。
爺さんの肉棒が、ずんっ…と根元まで突き刺さる。
「はひぃっ! ……ひっ、ひぃぃぃ!」
思わず少女が息を飲む。身をよじって後を振り返り、そこに下卑な笑いを浮かべた父親の顔をみる。
ひどいショックを受けたようだ。少女は父親を見ないですむように視線を前に戻した。
しかし、前では尊敬する恩師が嗜虐的な喜悦を浮かべ巨根で少女の胎内を突き穿ち掻き回している。
ふたたびショックを受けたようだ。少女が目をぎゅっと閉じる。頬や顎がびくびくっと痙攣している。
泣きじゃくる一歩寸前というところだ。
-
2つの穴が極太の肉棒を同時に咥えこまされ、時に交互に、時に同時に責めこまれていく。
前後から見知った人間に犯されるというのは、どんな気分なのだろうか。
カメラを少女の上半身に向け、揺れる乳房と少女の表情がよくわかるように焦点を合わせる。
サンドイッチ状態での陵辱に、少女は屈辱と絶望、恐怖と怒り、そして隠しきれぬ快楽がないまぜになった表情をしていた。
マイケルは意外に頑張っているようだ。役になりきって、口調もタカマチに似せようと努力している。
「それじゃー、性技教導のレッスン1! 受け取って! 私のアクセルシューター!」
「シューート!」と叫ぶと、腰を猛然と振って、少女の奥を抉り込みだす。
若さに任せた激しいストロークが少女の秘所を穿つ。
少女が上半身を淫らにくねらせ短い間隔で喘ぎをもらす。
彼の竿は仲間内でも長さがある方だ。肉棒の先っぽは子宮口を遠慮なくどついていることだろう。
「あぁっ、あ! あっ! あっ! おおぉ! おほおおおぉぉっ!」
少女の裸体が踊りあがる。
腰ごと持ち上げられる深い突き込みに内臓を揺さぶられ、少女が切羽詰った声で鳴く。
後ろで笑い転げている輩がいなければもっと雰囲気がでていたかもしれない。
前につられるかたちで、後を責めているヨセフ爺さんも父親らしくみえるように少し意識しているようだ。
ヨセフ爺さんが、後ろからパンパンと小気味のいい音を立てて少女のアナルを掘り、乳房を巧みな手つきで揉みながら、少女の耳元で低い声で囁く。
「スバルゥ……こんなに立派に育って、パパは嬉しいぞ」
周囲でまたしても笑い転げる者が続出した。
快楽に呑み込まれつつあった少女はそれどころではないようだったが……。
「私の太くて硬いモノが来てて気持ちいいでしょ? たっぷり教導してあげるからね!」
「スバルはお尻でも感じちゃう悪い子なんだなァ……パパ、悲しいぞ」
それにしてもこの二人、ノリノリである。
-
ともかく、前後から串刺しにされて責められる少女が性の快楽に屈するのにはそう長くはかからなかった。
少女は「性技教導その1アクセルシューター」でさんざんイカされたあげく、特大の「ディバインバスター」で前後を攻められる。
呂律の回らぬ舌で、気が触れたように甲高い嬌声をあげる。
「どうかな、私のディバインバスターは?」
「イイしゅうううう、にゃのはさあああん、んんはぁああああぁあ、しゅごくいいいいいですうううううううう」
続けて前後あわせての同時砲撃「スターライトブレイカー」を叩き込む。
前後から少女の子宮と直腸に勢いよく子種を注ぎ込む。
「たっぷり味わえ! 俺/ワシ のスターライトブレイーカー!!」
「ああああぁぁっ、これ、しゅごすぎるうううううう、お父しゃんグリグリしにゃいでええ! 死ぬ、死んじゃうううううううぅぅ」
全身を貫く快感に、激しく全身を震わせ、恍惚とした顔で絶頂を繰り返す少女。
もう理性などの及ぶところではなかった。肉欲という名の本能が剥きだしになっていた。
少女を見ていればわかるが、人間の理性なんてものは実に脆い。
管理局員という矜持も、女性としての貞淑も、肉の快楽の前ではあっという間に吹き飛んでしまう。
知り合いの顔をした犯罪者達に代わる代わる犯されながら、少女は何度も何度も絶頂を繰り返す。
そして、幾度目かの絶頂の末……
「おいおい、失神しちまったぜ?」
少女は、アヘ顔のまま意識をとばしてしまった。しかも瞳は反転し、舌を突き出した状態で。
ぐったりと脱力した少女の穴から肉棒が引き抜かれる。
大きく口を開けたままの膣口と排泄口からドロリとした液体が大量に零れ落ち、股間と内腿を白く染める。
「ヘッヘッヘッヘ、すげえ顔だな!」
「父親も局員だからこの映像たぶん観るよな?」
「へへ、娘がズコズコされてるビデオみてどんな顔すんだかな」
「くやしいのう、くやしいのう! ギャハハハハハ!」
「案外、興奮して勃起するんじゃねーか?」
「一生懸命育てた娘が女らしくなって嬉しいぞー、パパ、勃っちゃったー」
「ハハハハハハハハハハハハハ!!」
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意識の飛んでしまった少女の様子を、カメラで撮っていると、俄かに少女の局部から液体が流れ落ちてきた。
M字型に固定された脚の間から、愛液とも精液とも潮吹きとも違う黄金色の液体がちょろちょろと噴き出す。
「おいおいおいおいおい! 漏らしてるぞ!!」
「うは、傑作だな。おい、ナイカちゃんと撮っとけよ!」
言われるまでもなく、少女が小水を垂れ流す惨めな姿はしっかりと撮影する。
その後、小屋に備え付けてあったホースを使って水を少女の局部に噴出して生臭い液体をまとめて洗い流す。
「次は、俺にヤラせてくれよ」
「俺が先だボケ」
「順番は適当にじゃんけんで決めとけ。変身魔法も忘れるな」
「コイツそろそろ樹から下ろしてフェラもさせましょうよ」
「まだあと20人以上残ってるからな。3Pで回転良くするってのはアリだな」
「ふむ。まあ、とりあえず、まだ俺も楽しんでないしさっさとたたき起こすか」
ブロディが黒い棒を少女の秘芯にぐーっと挿し込める。
巨根で攻められまくってすっかり緩くなった秘所に電気棒がさしたる抵抗も受けずに侵入する。
「子宮口までぶちこんでやるからな……ホレ、ゴリゴリいってらァ。一番奥まで突っ込んだぞ」
ブロディがカメラの向こうを意識してか独り言のように呟く。
最奥まで突っ込んだ棒をニ、三度グリグリと更に押し込んでから、
「さあ、まだ俺たちのターンは終わってねえ! ショータイムはこれからだ!」
大きく叫んで、電気棒のスイッチを押す。
途端、少女の目が飛び出さんばかりに見開かれ、肢体が水から揚げられたばかりの海老のように跳ね上がる。
少女の顎がカクンと落ち、喉仏が見えそうなほど大きく口が開かれる。
凄絶な絶叫が大気を震わせ、鬱蒼とした密林の奥深くに呑み込まれていった。
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数日後 時空管理局本局
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AMWDと名乗る犯罪者集団から犯行声明とともにショッキングな映像が送られてから、既に数十時間が経過しようとしていた。
「まだ居場所は特定できないの?」
「原生林の植生の特徴から滞在確率75%以上の世界を60個にまで絞り込めました」
高町なのはは、血が滲むほど拳を固く握り締めた。目元には隈ができており、疲労が色濃く出ている。
AMWDの居所を特定する作業についている技官に進捗を尋ねるのはこれで何回目だろうか。
彼女は、すっかりまいっていた。自分のせいでこんなことになっているのだと思うと、いてもたってもいられなかった。
しかし犯人達の居場所の特定が遅々として進まないため、出動要請がかからない。
待機している間、一定時間ごとに送られてくる陵辱映像を延々と観るはめになった。
映像の中で教え子は薄汚い男たちに輪姦され、数えるのが馬鹿らしくなるぐらい何度も犯されている。
《なあ。デバイス突っ込んで本物の魔法を打ち込むってのはどうだ?》
《ブロディさん、そりゃあさすがに内臓逝っちゃまうんじゃないですか?》
《どうせ戦闘機人なんだから内蔵も人工器官だろ。壊れても取り替えれば大丈夫さ》
《ハハッ、それもそうか》
《子宮に魔法ぶちかましたらどんな反応すんのか楽しみだなー》
火山の地下に溜まるマグマのように、心中の奥深くに憤怒が堆積していく。
しかし同時に映像をずっと観ていると、怒りとは違う何か妙な昂揚もまた胸の奥深くから湧き上がってくる。
その後ろめたい感覚の名前を知りつつも彼女は敢えて考えないようにしていた、のだが……
《イエーイ、タカマチ、見てるぅー?》
《ヘヘ、お前好みのドSプレイで興奮するだろ?》
《あんたも濡れてんだろ? ええ?》
思わず舌打ちしかけ、すんでのところでこらえた。だが、こめかみに浮き出た青筋までは隠せない。
彼女の醸しだす空気が、ただでさえ徹夜で作業しピリピリしている事件対策室内をさらに圧迫し始める。
今すぐこの犯罪者集団にSLBを撃ち込める権利をやると言われたら全財産を投げ打ってしまいそうなぐらい、彼女の心の中は荒れ狂っていた。
ちょうど彼女の脳内妄想のなかで犯罪者集団の主犯格ブロディの尻穴に突っ込まれたレイジングハートが100回目のディバインバスターEXを射ち放ったとき、上官が念話で宥めにはいった。
<落ち着きたまえ、タカマチ君>
<隊長……>
<辛いかね?>
<はい……>
<そうか……。しかし一番辛いのはナカジマ三佐だろうな。きっと>
彼らは揃って一人の男を見やった。
ゲンヤ・ナカジマ三佐。
彼は犯人グループから送られてきた映像を不気味なほど淡々とした表情で観ていた。
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ゲンヤは映像を観ながら、考えていた。
なぜ自分の家族ばかりこういう目に遭うのか、と。
女房は犯罪者に捕らえられて殺され、長女のギンガも一時犯罪者に捕らえられて洗脳を受けた。
そして今度は次女のスバルが犯罪者に捕らえられた。
俺という男は、そういう星のもとに生まれついてしまったのだろうか……。
《タカマチだけじゃお嬢ちゃんも飽きるだろうから、そのうち変化をつけなきゃな》
《これが変身先候補の一覧だ。ええと、どれにすっかな》
《姉貴のギンガ・ナカジマ、元同僚のティアナ・ランスター、義妹のノーヴェ……》
《こいつの母親の姿で変身魔法かけてくれよ。母親に犯される娘ってよくね?》
《ゲヘヘヘ、お前も鬼畜だなァ》
《クイント・ナカジマだっけか。おっ、映像資料あったぜ。いけるな》
男たちの一人が、局所変身魔法をかけられてクイントの顔になる。
一瞬、無表情だったゲンヤの頬がぴくりと動いた。
美しい顔を醜く歪ませたクイントが、股間の剛直でスバルの秘所をずぶりと音をたてて貫く。
スバルが泣きじゃくりながら喜悦の声を吐く。
まだまだ子供だと思っていたのに、もうすっかり大人の女の声になっていることにゲンヤは驚いた。
律動がはじまり、たわわに実った胸の膨らみがバウンドする。
連日何十人もの男の手で揉みこまれてパンパンに膨らんだ双乳に思わず目を奪われる。
クイントに似た豊満な乳が、ゆさゆさと男を誘うように妖しく揺れはじめる。
ゲンヤは意識して表情筋と呼吸をコントロールし、内心の動揺を表に出さないようにした。
彼は堪えることに慣れていた。悲しいことだった。
周囲は、肉親が乱暴されているのに冷静さを失わない彼の姿を見て賞賛するかもしれない。
どんなときでも冷静さを失わない男は指揮官としては理想的だからだ。
しかし彼は、頭では冷静を保つことが重要だと考えている一方で、
娘が辱めを受けているというのに怒らず、取り乱さず、何でもないかのように振舞える己が嫌だった。
そして、もうひとつ嫌悪――いや憎悪してさえいることがある。
己の男としての性だ。
娘が、愛する女房の顔をした犯罪者に犯されている。
胸糞の悪くなる光景を目の当たりにしているはずだというのに。
《ほうらスバル! 母さんのカリ首が中を擦ってて気持ちいいでしょ?》
《はあぁああっ、あああぁっ、またイク、イッ、あああああああああああぁ!!》
股間の彼の息子は人知れずむっくりと鎌首を持ちあげはじめていた……。
《ギャハハハ、また白目剥いてイッちまった。だらしねえな》
《さっさと起こせよ、俺はまだヤリたりねえんだ》
《ヘヘヘ、リリカル棒なしじゃ生きられないセクロスマシンにしてやんよ!》
ゲンヤは気分が悪くなったふりをして部屋を出た。
誰もが気の毒そうな目で彼を見送る。
自己嫌悪に苛まれながらも、理性では如何とも押さえがたい欲求がゲンヤの肉体の中で渦巻いていた。
ドアを閉める。まだ背中越しに娘の嬌声がかすかに聞こえてくる。
はやる股間を気にしながら、彼は急いで便所へ向かった。
余談であるが、この部屋に立ち入った関係者が便所へ向かう頻度はゲンヤに限らずわりと高かったという……。
-
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1週間後 とある報道番組にて
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こんばんは。午後8時になりました。MIDワールドニュースの時間です。
ニュース・キャスターのフレディです。
皆様こんばんは。番組ご意見番のサダコでございます。
それでは、最初のニュースをお伝えします。速報です。
AMWDと名乗る犯罪者集団によって拉致され、安否が気遣われていた港湾警備隊のスバル・ナカジマ防災士長ですが。、先ほど午後7時30分頃、管理局武装隊の特別臨時編成チームによって無事に保護されました。
ナカジマ防災士長が発見されたのは第305観測世界の大森林地帯だったとのことです。
あらまあ。無事保護されたとのことで、一安心ですね。
フレディさん。犯人グループはもう逮捕されたのかしら?
いいえ。残念ながら、武装隊が到着したときには犯人は既に逃走していました。
管理局は各地の次元航行部隊による大規模な包囲網を敷いて行方を追っているとのことです。
さて、現場と中継が繋がっております。そちらからの報告を聞いてみたいと思います。
現場のジェイソンさん、よろしくお願いします。
-
ジェイソンさん、ジェイソンさーん。
失礼しました。音声がつながっていないようですね。
ハーイ。ハァハァ・・・こちらジェイソンデース!!
あっ、今つながりました!
ジェイソンさん、現場の様子はどうですか?
ぬあのばあああざああああああああああああん!!
ちょ、ちょっと、スバル! 冗談はやめて!
げ、現場は、た、大変な状態です!!
今、アッ、アッ、アーーッ! !
ああああああ我慢できにゃいよおおおおおおおおおおお!!
きゃあああああああ!?
ジェイソンさーん? どうしましたかー?
すびばせんすびませんわあああああああああああああああああ
ナカジマ君!何をしとるんだキミは!!!!
アアア! アーーーーッ! What's the heck!
Oh,my God!! アァ・・・オオウ・・・!
あああああああああああああああああんんいやそんなところ!!
どうしたんだナカジマ陸曹!! 気でも違ったのか!!
おい押さえろ! タカマチから引き離せ!
ジェイソンさーん!
複数の、悲鳴のようなものがあがっているようですけれど。
どうしましたー? 何かありましたかー?
なにぃ! クソやられた! バインド!?
なんだ・・・ 魔法が発動しない・・・ ぐはあああぁぁ!
ええいっ服を着ろナカジマ! なんだこの馬鹿力は!
-
あのうー。ジェイソンさん。こちらサダコですが。
ノイズがひどいですね? 現場の映像の方もよく見えないのですが?
カメラさーん、もうすこし現場に寄せてもらえますでしょうか?
くんかくんかいい匂いいい匂いだあああああああああさいこおおおおお!!
ISか?! おい、タカマチとっとと逃げろ!!!
ぶちかませ! タコみたいに引っ付いて離れないぞ!
Oh...。アー、ハイ。エー、エー、エー・・・・・
現場をそのまま映してしまいますと些か問題が・・・・・・
うおおおおおおお!じゃまするなああああああああああああああ!!
ギャアアアアアア! 俺のチン×にバインドがあああ!?
なるほど。個人情報もしくはセキュリティ上、問題があるということでしょうか。
現場のほうの状況はどうでしょうか?
にゃのばさんのおっぱいいいいい、おいひいいぃぃぃ!
ティアより柔らかくてふにふにしてるうううううううう!!
Oh,hell.....,現場は壮絶な状況で・・・・・・
未成年者には目の毒デース・・・
嫌、そんなところ吸っちゃ駄目ええええええええええええ
うほおおおおおおおお?俺のチン×がバインドで締め付けアッ――!
あらまあ。よく分かりませんけれど、現場は大変な状況のようですね。
ジェイソンさん大丈夫ですか? なんだかお顔が真っ赤だわ。
おい!大丈夫か!? ああ、なまおっぱい・・・
貴様ら呆けとらんでさっさとバインドを解いて手伝え!!
うほほ・・・ わかってます隊長・・ 眼福・・・
ワタシはNo Problemデース・・・・
でも管理局から派遣された武装隊チームは・・・
とっても、とっても、悲惨な状態デース・・・
にゃのばさんのおち×ぽ欲しいですうううううううううう!
きゃあああああああああ!どこ触ってるのスバル!やめなさい!!
-
なるほど。武装隊には怪我人も出ているということでしょうか?
しかし、犯人グループは既に逃走していて交戦はなかったと聞いているのですが。
いつもみだいにスパルのお×んこズボズボして目茶目茶に犯してください!!
スターライトブレイカーをスバルのお×んこに撃ち込んでくださいいいい!!
ジェイソンさーん! こちらフレディですが!時間も差し迫っております。
靄が凄くて、森の中の様子が見えづらいんですが。
現在の現場の状況を、具体的に、簡潔に、説明してください!!
えっ? いつもみたいに・・・? タカマチ教導官・・・アンタまさか・・・
道理で男っけがないと・・・
貴様・・・ やはりブロディ元一尉の影響を・・・
ふたなり・・・? ドSもほどほどにしとけよ・・・
Oh...Oh...カオスとしか言いようがありません・・・。
救出されたナカジマ防災士長ですが・・・隊員を押し倒し・・・を・・・剥ぎと・・・
エー・・・ナカジマ防災士長の・・・・から・・・大量の液体が・・・・
スバル!! いい加減に目を醒まし――何をするつも――
いゃああああああああああああああああああああああああ
つまり、ナカジマ防災士長は救出された感謝を示そうと隊員に抱きついたということですね!?
そして過酷な監禁生活から解放された喜びから、滂沱の涙を流しているということですね!?
あはははははっこっちにリリカル棒がいっぱいあるうううううううう!!
やめろ! ナカジマ防災士長! ちょ、バインドが!
おううふう?! やめろ! 触るんじゃあうあうああうあああ!?
俺のケツに何かああああ! うわあああ おい、このバインドしごいてくるぞ・・
アー、エー。いえ、その・・・・・・
Oh,Oh...オオ...Wow......
あっちにも美味しそうな棒があるううううううう!カメラもあるううううう!
What!? こっちに――
Oh,my God!! Damn! Help! Help me!!
AHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!
-
ジェイソンさーん? ジェイソンさん?
ジェイソンさん、どうしましたかーーー!?
……?
中継が切れてしまったようですね。
はーい、どうやらまだ現場は混乱しているようですねェ。
この件につきましては、また情報が入り次第改めてお伝えしたいと思います。
それでは次のニュースです――
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投下終わりです。それではノシ
-
投下乙です
あれ?おかしいな
陵辱もののはずなのに、なんで俺は腹を抱えてわらってるんだ?w
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GJGJ
まったくスバルさんはエゲツナイ性欲やでー
-
ひどいオチがついたぞオイィィ!?www
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こいつは最高だなwww
鬼火さんのSSは毎回素晴らしい、そしてひどい、エロい、笑える!
ジェイソンとかフレディとかやらないかとかネタぶち込みすぎでカオスなのもいつもの事、かwww
まったくGJだ!
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6番手行ってみます〜
5分後ぐらいからじわりと投下します。
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6番手行ってみます〜
5分後ぐらいからじわりと投下します。
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彼女は眼前の、ただ巨大で厳めしく圧倒的な瓦礫の山を茫然と見上げていた。
どこを見渡しても、あるのは捻くれた鉄骨と砕けたガラスと蜘蛛の巣状に罅が入った壁ばかり。
360度、視界の全てが瓦礫に塞がれた中で、自分一人がようやく立てるだけの空間を残すばかり。
スクラップ置き場かと見紛うばかりのこの場所は、信じがたいことに数分前までは美しく機能的な工場施設だったのだ。
広大な施設は、奇禍によって一瞬にて瓦礫の山に成り果てたように見えた。
だがしかし、この建物は未だ箱としての体裁を辛うじて保っている。
何人の侵入をも拒み、何人も逃がさぬ巨大なラビリンスへの変貌を遂げて。
迷宮に取り残された人々を救助する為、即座に救助チームが編成された。
一刻を争う中で、最も適任とされた救助の先遣隊員はスバル・ナカジマ。歳若くも極めて優秀な救助隊の新星だ。
だが、この災害現場の惨状は、その彼女をして途方に暮れさせしむ尋常ならざる事態だった。
彼女の、悪夢のような一日が幕を開ける。
ジェンガ
さて、事の発端はどこから話せばいいものだろう。
マリアージュ事件以降、以前にも増して熱心に職務に取り組むスバルの仕事量は、周囲の人間も舌を巻く程だった。
職務熱心は結構なことだが、己を壊しかねないスバルのオーバーワークは頂けない。
スバルの身を案じた上司のヴォルツは、酷使が激しいデバイスのメンテナンスを命じると共に、普段とは一風違った職務をスバルに申しつけた。
とある辺境世界で行われるシンポジウムへの参加である。
管理局の庇護が未だ十分では無い土地に於ける、救護活動の在り方とはなんらかんたら。
現場での働きは目覚ましいが、書類の扱いを始めとする事務方の仕事がてんで苦手なスバルへの課題という意味もあったが。
ヴォルツの真意は、スバルへの慰安であった。
――静かな土地で、魔導師としての自分を手放してゆっくり過ごしてこい。
猪突猛進気味で、一途で、誰よりも仕事熱心な部下に対する、彼なりの最大限の労いだったのだ。
そして。
デバイスをシャリオに預けたスバルは辺境の地へ飛び立ち、シンポジウムの参加がてらに、長閑な地方土地の景観を楽しんで英気を養い、名物の菓子折りでも土産に買って揚々と帰路に着きました、めでたしめでたし。
――とは行かないのが物語の常である。
長らく沈黙を保っていたテログループの突然の活動再開、インフラを中心に狙った突然の同時多発襲撃事件、付け足しのような犯行声明。
管理局からの有事専門の派遣職員はごく少なく、現場で対応するのはマニュアルに従った現地職員というお土地柄である。
突然のことに右往左往するばかりの現場で、スバルは救助活動の一助となるべく、颯爽と対策本部に駆け込んだ。
「もしもの時のため」に旅行鞄に忍ばせた、リボルバーナックルと自作ローラーを携えて。
猫の手も借りたい程の状況である、本局の優秀な陸戦魔導師であるスバルは喜んで受け入れられた。
しかし、混乱を極めていた現地対策本部は、ポンと投げ込まれた優秀な駒を使いあぐねた。
結果。
スバルは、被害地の中でも、最も不可解な状況に陥っている現場に派遣されることになった。
破壊され、突入困難となった巨大な工場施設。
内部には生存者が取り残されていることが確認されているものの、使用していた薬剤が流出して有毒なガスが発生し、安易に救助に向かえない状況に陥っている極めつけに危険な現場である。
そこへ、彼女は先遣隊員として突入し、状況の把握と可能な限りの生存者の確保を行うという任を与えられた。
機動力を生かした救助活動を得意とするスバルには、明らかに不向きな現場。
混乱する指揮系統が発した痛恨の判断ミスか。
否。現地本部は、優秀な、しかし扱いにくい『ヨソ者』の彼女に、相応な危険で代替の効かない任務を与えたのだ。
一言で表すなら、鉱山のカナリアである。
……そんな、会議室の思惑などは彼女の知る処ではない。
スバルは何時も通りに背筋を伸ばし、毅然とした面持ちで、真っ直ぐな瞳で、現場へと急行した。
そこに、彼女の助けを待つ人々がいる。それだけが、彼女にとっての全てだった。
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装備は、通信用の簡易デバイスに、各種のツールとライト。
そして、対ガス用の防護マスクで顔面を覆う。
瓦礫の山の中を土竜のように掘り進むのには、彼女の柔肌を晒す普段のバリアジャケットはあまりに不向きだったので、一般の隊員と同じ厚手の防護服を着込むことにした。
建物の周囲は歪み潰れており、突入ポイントも決めかねる状態だった。
モニタリングによって生命反応の確認できる場所は、施設の奥深くに固まっている。
なんとか、瓦礫の挟間に人一人やっと潜りこめるような隙間を確認し、そこからの突入を試みることになった。
先鋒となったスバルは、異臭の立ち込める暗き穴の中を覗き込むや、何の躊躇もなくその中に身を躍らせた。
豹を思わせるしなやかで軽快な動きで、細身の体がすいすいと穴の中に飲み込まれていく様子を見て、周囲の隊員は言葉を失った。
スバルの危なげない様子をみて、救護隊の二人目が続いて穴に身を潜らせる。
――しかし、彼は緩慢な動きで上体から腰までを穴に潜らせ、そこで動きを止めた。
冗談じゃない。
狭い穴の内部は歪で不安定で、まともな足場さえ確保できない。その上、各所の尖った瓦礫の破片や折れた鉄骨が頭を覗かせている。
いったいどんな精妙な運動神経を持っていれば、こんな中に潜っていけるのだろうか。
強引に隙間を広げて侵入することは出来なかった。
施設は既にいつ崩落してもおかしくない状態で、無理矢理力を加えれば、どんな悪影響があるか計算できない。
部隊長は、内部の状況確認と、可能な限りの生存者の確保をスバル一人に任せるという苦渋の判断を行った。
この部隊長は典型的な地方の管理職であり、彼にとって余所者の小娘一人に全てを任せるという決断は、屈辱以外の何物でもないように見えたかもしれない。
だがこの時、部隊長の胸中にあったのは、祈りだった。
現在どうしようもない閉塞した状況を、この子なら打破してくれるかもしれないという祈り。
いの一番に駆け付けた彼女の力強い眼差しと、眼前で見せつけられた実力には、プライドなど瑣末なものと切り捨てるだけの輝きがあった。
――そして、彼女は途方もなく巨大な困難の前に立った。
機動六課や港湾警備隊での数々の経験を思えば、足場を確保し、穴を潜りぬけるのはそう難しい作業では無かった。
しかし、眼前に立ちはだかるのは巨大な不可能の山。
狂った芸術家がその狂気に任せて増築を繰り返した迷宮の如き瓦礫の山。
この中から、生存者を発見して確保しなければならない。
スバルが立っているのは、運よく瓦礫の山に塞がれずに済んだ空間だ。
広さで言うならば、7畳程度か。足元からは清潔なタイルが覗き、この施設が機能的な工場だった頃を偲ばせた。
だがそれも、砂上の楼閣も同然である。
僅かでも周囲のバランスが崩れれば、周囲の瓦礫が押し寄せこの中洲を埋め尽くすだろう。
現に、周囲からの絶え間ない瓦礫の軋む不快な金切り声が耳を刺す。
スバルは、唾を飲み込んで胸に手を当て、大きく深呼吸をした。
彼女がまず最初に行ったのは、リボルバーナックルと自作ローラーを解除することだった。
態々旅行鞄に詰め込んで持ち込んだ己のデバイスの使用を、彼女は早々にきっぱりと諦めた。
狭く凹凸が激しいこの環境では、ローラーブーツに利点はない。
激しい震動を周囲に与えかねないリボルバーナックルもまた同様だった。
彼女は己の五体と、僅かな魔法のみを使って、この困難な任務に挑むことを決意したのだ。
一人目の要救護者に辿り着くのも、一苦労だった。
ウイングロードを細く展開して、建築現場の仮設の足場のように使用し、三次元的に空間を移動して、状況を把握できるのが彼女の強みである。
その彼女をしても、この惨状はあまりにも複雑怪奇で手に余る状況であった。
進入経路を作るために、一本の鉄骨を引き抜いた。
――瞬間、ずるりと足元の瓦礫が大きく滑り、連鎖的な滑落が始まった。
最大級の危機感と悪寒が背筋を駆け上がり、半ば反射的に手を伸ばす。
スバルは済んでの所を、バインドで固定することで崩壊を食い止めた。
改めて思い知らされる。
きっと、この施設のどこをとっても、こんな状況に違いない。
-
……ごく幼い頃、将棋盤を前に詰め将棋の本を睨んでいた父に、遊び方を教えて欲しいとねだったことがある。
それが、なのは達の出身世界発祥のゲームであることも、自分があまり好まない知能ゲームの類であることも、幼い自分はよく知らずにただ父にねだった。
勿論、幼い自分が将棋のルールを理解できるはずもない。
父は、将棋の駒を盤上に積み上げて、一番簡単な遊び方を教えてくれた。
――将棋崩し。山を崩れさせたら負けだ。
まさか、それを数百トンの瓦礫の中で、多くの人々と自分の命を懸けてやる羽目になろうとは、夢にも思わなかった。
失敗できない、というプレッシャーがスバルを襲う。
これを動かしたら崩れるだろうか。それとも、こちらだろうか。不安が横切った胸中に、暗い疑心暗鬼が溢れだす。
プレッシャーと緊張が全身に泥のようにへばりつき、手足の動きを鈍らせていく。
大丈夫だ。きっと大丈夫。
山を支える『要』と思わしき瓦礫の交点を、バインドで縛りながら、丁寧に、一つずつ瓦礫を退かしていく。
何度も山はぐらりと傾ぎ、耳障りな軋みを上げて連鎖的な崩落を始めそうになる。
それを、バインドで括りながら次へ、次へと進む。
少しずつ要領を掴んでいくと、どんな角度で繋がっていれば、瓦礫や鉄骨にどんな風に力が加わるのかが予想できるようになってきた。
が。それは、スバルにとって、何の安心要素にも成らなかった。
不規則に積み上げられてある瓦礫の山はバランスや重量の影響を相互に及ぼし、到底計算しきれぬ状況であることを再確認させられただけだったのである。
不意に、彼女の頭上に巨大なコンクリートの破片が滑り落ちた。
完全に意識の範囲外。スバルが与えた力の影響ではなく、元々罅割れていたものが遂に落下したのである。
それを、スバルは腰を落として肩で受け止めた。
戦闘機人モード。滅多な事では使用しない禁じられた力を用いて、静かに、彼女の小さな体に対して巨大すぎるコンクリート片を受け止めた。
絶対に、無秩序な落下を許してはならなかった。それをトリガーに、どんな崩壊が起きるか分らない。
シールドやバリアで弾くより、最も信用の置ける自らの手で受け止めることを、ダメージ覚悟で決心したのだ。
骨格フレームの耐久重量を超えるものを受け止めた反動で、全身から紫電が迸る。
スバルは砕けそうな程、奥歯を噛みしめて、静かに破片を地面に下ろし、一番頑丈と見立てたポイントにそっと立て掛けた。
急がないと。
周囲に充満しているガスは、即死するような危険なものではないが、要救護者の意識を奪っていることは間違いないとのことである。
それは、ある意味幸いなことでもあった。単身で出口を探して瓦礫の下で動き回れば、それだけで致命的な壊滅に繋がりかねない状況だからだ。
苦心の末――スバルは、やっと、一人目の救護者に辿り着いた。
良かった、生きてる――ああ、まだ生きてる。
肩の力が少しだけ抜け、口元が僅かに綻んだ。
だが、肝心なのはこれからだ。救護者の口を簡易呼吸器で覆い、瓦礫の間に挟まれた体を抜き出す。
細心の注意を払いながら。
どこかで、大きな崩落が起きた音が聞こえた。
首を振って無理矢理意識から追い出す。今はこの目の前の一つの命が優先だ。
ようやく瓦礫から抜き出し、先ほどの空き地に運ぶ。
――そういえば、先ほどの音は何だったのだろう? 大きな崩壊が起きてなければいいんだが。
案じながら振り向くと――スバルが突入した穴が潰れて、完全に塞がっていた。
簡易デバイスを使用して、外の対策本部との通信を試みる。
……だが、それも繋がらない。何かのジャミングか、それともこの工場施設で魔力炉を使用していた影響か。
スバルは、完全に孤立無援でこの任務を完遂するという、覚悟を決めた。
-
数時間が過ぎた。
スバルの足元には、数人の救護者が並んでいた。
当の彼女は、顔面を覆う防護マスクの中で、表情を歪めて息を荒げていた。
苦しい。幾度バインドを使用したか分らない。本来魔力使用量の少ない術式の一種であるが、これだけの重量を支えるものを連続で使い続ければ、その消耗は馬鹿にならない。
苦しい。顔面を覆う防護マスクが鬱陶しい。いっそ剥ぎとって大きく息を吸い込みたい。
苦しい。閉所の中を動きまわりすぎて、全身に負担がかかっている。暗く、息苦しく、気が変になりそうだ。
苦しい。そもそも、こんな作業は彼女の本領ではないのだ。こんな閉所で細かな作業をするのは彼女の最も苦手とする部類の物事だ。
走りたい。広々とした空の下を、相棒のマッハキャリバーと共に真っ直ぐに翔けたい。
思いっきり手足を伸ばしたい。リボルバーナックルの重みを感じながら、シューティングアーツの練習がしたい。
今まで、一人で戦ったことも幾度もあった。だが、厳密に一人だったことは一度もない。
いつも、相棒――マッハキャリバーが傍にいてくれたのだから。
今は本当に、ただ独りだ。
心が鑢で削られていくような感覚に歯を食いしばりながら、砕けそうな意思を使命感で束ねながら、懸命にスバルは耐えていた。
まだ、助けるべき人々は残っている。
更に数時間が過ぎた。
スバルが救護した人々は更に数を増やしていた。
当のスバルは、少しだけ力を失った瞳で、ティアなら、ティアならと小さく呟きながら、黙々と瓦礫を動かしていた。
元々、スバルは難しく物事を考えるのが得意では無かった。
障害があるのなら、考えるよりも先に思いっきり殴って退かして先に進む――それが、彼女のスタイルだった。
緻密に動きを予測しながら、瓦礫の撤去を行うなど、全く彼女の好む所ではない。
こんな頭脳労働は、彼女の友人のティアナこそ得意な分野だったのだ。
ふと、思いつく。
自分が、セインなら。物体を透過できる、あのディープダイバーを使用することが出来れば、こんな苦労もせずに救助できたのに。
何故自分は、セインではないのだろう。
ふと、思いつく。
自分がザラフィーラなら、あの協力な広域防御能力と鋼の軛があれば、こんな瓦礫なんて簡単に縛りあげることができたのに。
何故自分は、ザフィーラではないのだろう。
何故自分は、
何故自分は、
何故自分は、
何故自分は――こんなにも無力なのだろう。
一旦意識してしまうと、もう止められなかった。
心の奥底から膿のように負の感情が溢れ出て、スバルの内面を黒く染めていく。
ボロボロと心が欠け落ちていく感触に、スバルは懸命に抗った。
まだだ、まだ自分にはやるべき事がある。助けなければならない人々がいる。
眼前の使命のみを縁に、スバルは懸命に歩を進める。
――ぐにゃり、と足元が柔らかい何かを踏んだ。
足元を見下ろす。
それは、とうに潰されて息絶えた、無残な犠牲者の遺体だった。
全身が震え、瞳から涙が零れた。
「無理だ、よぉ、あたしなんかじゃ、助けられないよぉ」
ついに、口から弱音が零れ、既に力を失っていた膝から崩れ落ちた。
その遺体は、渡された生存者のマーカーには記されていなかった場所にあった。
即ち、スバルの突入時点で既に死亡していたのは間違いなく、彼の死についてスバルには何の非もない。
だが、疲れきり、弱りきったスバルの心に留めを刺すには十分だった。
-
「無理だよ……」
今にも崩れかねない瓦礫の下で、小さく息を吐く。
彼女の精神はもう、擦り切れて限界だった。
それでも――彼女の瞳は、手に握り締めた、生存者の座標マーカーから離れなかった。
「無理だよ……」
口では弱音を吐きながらも、スバルは再び立ち上がり、のろのろと瓦礫を退かし始めた。
心は、とうに折れていた。
立ち上がる体力など無かった。歩くための気力など、まるで残ってはいなかった。
それでも、スバルは動いた。
光の戻らない瞳で、虚ろに前を見ながら、緩慢に、だが確実に前に進んだ。
まだ、残っているから。自分の助けが必要な人々が、残っているから。
助けを求める声を聞いたわけでもなければ、SOSの旗を見た訳でもない。
マップの上の小さな光点。
――それだけの事実が、動けぬ筈の彼女を突き動かしていた。
かくして、彼女はやり遂げた。
全ての要救護者を瓦礫の挟間から救い出し、応急処置を施し、簡易呼吸器を設置した。
誰にも褒められることはなく、救護者から礼を言われることすらない、孤独なゴール。
それでも、スバルは満足げに微笑んだ。
これでいい。後は、管理局から本隊が到着すれば万事問題なく進めてくれるだろう。
最後に残された問題が一つ。
もう、酸素が足りなかった。
外部との通信、交通が完全に隔絶したのは完全に予想外の事態だった。
手持ちの呼吸器ユニットでは、この人数の酸素が賄えなかったのだ。
スバルは、全体の残量を確認し、その事態を確認すると。
何の躊躇もなく、自分のマスクから酸素供給ユニットを外した。
スバルのユニットには、長期の作業に対応できるよう、多くの酸素が残されていたのだ。
これで、もう少しだけ大丈夫。
そう呟いて、無用の長物となったマスクを面から剥ぎ取った。
やっと少しだけ解放されたという、爽快感。
異臭と共に、ガスがスバルの肺に流れ込む。
意識が、朦朧と掠れ始める。
息が詰まりそうな瓦礫の山の中、スバルはぼんやりと崩れて天井を眺めた。
視界が少しずつぼやけていく。ライトはとうに破損していて、光源は自分の魔力光のみだったのだ。
淡い輝きが消え、視界の全てが闇に閉ざされていく。まるで、曇天の夜空。
――星が見たいな。
もう胡乱な思考で、ぼんやりとそんなことを思う。
瞬間。
黄金の光の輝きが、スバルの頭上の一切合切を吹き飛ばした。
巨大な流れ星の奔流が地上に突き刺さったような眩しさ、なんという爽快感。
これは?
これは幾度も見たことがある。この黄金の流れ星は――……。
……。
-
「馬鹿じゃないの!? あんた、またこんな無茶して!!」
新鮮な空気が肺に流れ込み、思考が輪郭を成すと、スバルはようやく自分の頬を叩きながら泣きじゃくる親友の姿に気づいた。
「ティア……来てくれたんだ」
「来てくれたんだ、じゃないわよ! 馬鹿! あんた、もう少しで死ぬところだったんだからね!」
「……そうだっけ?」
ティアナは、呆れたように唇を歪ませ、そっとスバルの頬を撫でた。
「でも、よくやったわ、あんた。救護者を一か所に集めといてくれたから、一気に穴を通せた」
「穴……」
あれ程絶望的に思われた瓦礫の山の上部が、見事に削ぎ取られ、ぽっかりと穴を開けていた。
ティアナの左手には彼女のデバイス、クロスミラージュが握られている。
先の一撃、見事だった。まるでなのはを思わせるようなスターライト。
スバルは胸中で親友に称賛を送った。
「ほら、立ちなよ」
手を引くティアナの腕を、スバルは逆にぐいと引き返した。
「もう少し、このままでいい。
ほら、ティアも寝っ転がってごらんよ。
気付かなかった――今日は、すごくいい天気」
スバルは、爪も剥げてボロボロになった手をゆるりと持ち上げ、眩しそうに青空にかざした。
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投下終了です〜
お目汚し失礼致しました。
何だか最近妙な話ばかり書いてる気がする……
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投下乙!
わくわく
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読んでる最中どうなってしまうのかかなりドキドキした
鬱エンドかと思ったら爽快な終わり方でよかった。GJっした!
将棋崩しは子供の頃よくやったなぁ・・それにしてもあれを等身大でするのは大変そうだ・・
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GJ
今回はティアナが駆けつけてくれたけど、
そのうち次元世界中からやってきたりして
スバルは人徳あるから
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>>403
キン肉マンのコピペ思い出した
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スバル祭に相応しい良SSが大量投下されている所恐縮ですが
>>252の電波を形にする事に成功したので投下させて下さい
・エリオ×ティアナ エロ
・陰鬱かつ背徳的ムード
・完堕ちエンド
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栓を捻り勢いよく噴き出してくるシャワーに身を晒す。一糸纏わぬ裸体が湯気の中に浮かび上がる。
シャワーから噴き出すお湯は少し熱い位だが、夜風に吹かれた身体には心地良い。
叩きつけられる水を弾く肌。自分の身体を見下ろしながらティアナはふぅ、と一つ息を吐き出す。
様々な点で「規格外のあの3人」には勝てないとしても我ながら容姿は悪くないと思うし、均整のとれたプロポーションは自慢でもある。
そんな自分の身体を流れ落ちていくシャワーが執務官の激務で溜まった身体の疲れまで流してくれる気がした。
ともすれば女性にとって至福の時の一つでもあるはずの入浴中であるのに、ティアナの表情は憂いに満ちて曇りきっている。
不意に背後の浴室のドアが開かれる。
侵入者は一人、もちろんティアナはその存在に気付いているが後ろを見ようともせず降り注ぐシャワーに身を委ね続ける。
とうとうその裸体に男の手が伸ばされる。熱いシャワーに清められていた身体が強引に引き寄せられる。
無遠慮な男の行為にも、ティアナは鬱陶しげに軽く身を揺すって不快の意を表すだけ。
それに構わず男はティアナを抱き寄せる腕の力を強めるが、彼女はされるがままで抵抗もしない。
二人が既に「そういう関係」であることが容易に想像できた。
細くくびれた腰に腕を回され、大きさも形も申し分のないバストを鷲掴みにされる。
ヒップの谷間に押し付けられる熱く硬い肉の塊…。もうすぐこれに刺し貫かれる、自らの運命にブルリと身を震わせる。
怯えと期待が混ざった心境を悟られないように、意識してそっけなくティアナは背後の男を牽制する。
「気、早過ぎ。がっつき過ぎよ……エリオ」
全ての元凶は数年前、見習い魔導師のチームとして日々訓練に明け暮れ、死線をくぐり抜けてきた頃のこと。
六課が、チームが解散する数週間前に二人は一線を越えてしまった。
お互いのルームメイトが解散後の配属手続きで留守だった空白の一日に起こった事だった。
「お願いします!僕、どうしてもティアさんとシたいんですっ!!」
6歳年下の少年に土下座され、拝み倒された。
そんなやり口どこで覚えた…そう突っ込みたかったがロクな答えが返ってきそうもないのでやめた。
問題はそんな古典的な迫り方を拒否しきれずにエリオの童貞をもらいうける事になったことだ。
自身も初体験だったが無我夢中でティアナにしがみつき腰を振るエリオの手前、破瓜の痛みを訴える事も出来ず
必死にエリオを受け入れ、耐えざるを得なかった。年長者として割を食った散々な処女喪失だった。
その後、六課は当初の予定通り解散し、それぞれが別々の道へと歩き出しあの日の事も一夜限りの過ちとして終わるはずだった。
再会は数カ月後。密漁者が使用している武装に対抗するために自然保護隊が本局に援軍を要請。
(双方の強い希望もあり)着任したフェイトに補佐官として随行し、元六課のチームワークで任務を遂行した。
その折、パトロールのシフトで二人きりになった時にティアナはエリオに押し倒された。
あの日の事を忘れていた訳ではないが、エリオが再び自分を求めてくるとは思ってもいなかった。
六課フォワード陣でスバルのフロントアタッカーに次ぐ前衛ポジションであるガードウイングを務めていたその腕力に太刀打ちできず、
小動物や鳥達の鳴き声だけが響く深い森の中、ティアナはエリオに犯された。
…いや、本気で抵抗すれば多分エリオを振り払うことも出来ただろう。けれど出来なかった。抵抗を止め、エリオに身体を差し出していた。
あの初体験以来、数か月ぶりに男を、エリオを迎え入れたティアナの身体は僅かではあるが確実に女の悦びに目覚め始めていた。
こうなってしまったら転がり落ちていくのは早かった。
迫ってきたエリオを拒みきることが出来なかった、そんな負い目もありズルズルと流されるように逢い引きを繰り返してしまっている。
エリオにはキャロという恋人――少なくともティアナを含む周りの人間はそう認識している――がいる。
何より彼の保護者であるフェイトはティアナにとっても恩人で元上司で今でも頼りになる先輩なのだ。
今の自分がしていることは彼女達に対する重大な裏切り以外の何物でもない。
人目を避けて会って、肌を重ねて、その別れ際に何度「もうこんな関係は止めよう」と言っただろうか。
その度にエリオは昔と同じ様な無邪気な笑顔を浮かべて「わかりました、『また会いましょう』ティアさん」と言うのだ。
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「今日の夜7時、クラナガン中央駅の東口で待ってます」
この日も一方的に時間と待ち合わせ場所を指定された強引な誘い。
すっぽかす、というより相手にしなければ良いことだ。何度自分にそう言い聞かせてきたか覚えていない。
しかしこの日も指定通りに待ち合わせ場所に現れたティアナの肩を、エリオは周りに見せつけるように抱き寄せた。
「それじゃあティアさん、行きましょうか」
そのまま一直線にホテルに連れ込まれた。ムードもへったくれも無かったが、人目を避けたいティアナにはむしろ都合が良かった。
部屋に入るなりティアナをベッドに押し倒そうとしたエリオを制して、せめてシャワーを浴びさせて欲しい、と。
そして冒頭の一幕へと続いていく………。
いつの間にか秘所へと伸ばされていたエリオの右手、その中指がティアナの中に沈み込んで行く。
エリオによって女にされ、開発されてきたティアナの膣は侵入者を易々と受け入れ呑み込んでしまう。
「……んっ!」
鼻にかかった甘い呻き声を上げるティアナを愛おしげに愛撫しながら、その耳元に息を吹きかけながら囁く。
「相変わらず柔らかくて、なのにキツイくらい締めつけて…ティアさんのナカは最高です」
「下らないこと…言わないで………」
なんども関係を重ねるうちにエリオもティアナの弱点が判ってきた。彼女はこうして自分の身体を実況されるのに弱い。
艶めかしい唇を、桜色の乳首を、しなやかな足を、極上の名器を、好き放題に弄び、思うままに褒めちぎれば良い。
それだけでこのクールで理知的な才媛が羞恥に頬を染めて自分の腕の中で身悶える。
シャワーの湯とは明らかに違う、粘性を持った液体が膣内の指に絡みつき、身体が熱を帯び始める。
そろそろ頃合いか…挿しいれた中指の腹でGスポットを強めに擦ってやると、膝をガクガクと震わせてティアナが達した。
自力で立つことも出来ずにタイルの床にへたり込むティアナに、しかしエリオは休む暇を与えない。
「僕のも気持ち良くしてください、ティアさん」
その鼻先に勃起したイチモツを突き出し、押し付ける。
まだあどけなさを残す十代半ばの少年に似つかわしくないグロテスクな凶器。雄の臭いがティアナの嗅覚を占拠する。
荒い呼吸を整える事もせず亀頭へと顔を近づけ、ゆっくりと、しかし躊躇いなく口を開けてモノを根元まで咥え込んだ。
「あむ……ん…ちゅ……れろ…ちゅぱ………くちゅ、ちゅぷ…ちゅぱちゅぱ……れろん」
「ああ……気持ち良い…。素敵です、ティアさん」
エリオが上ずった声で言いながら、濡れて顔に貼りついた髪に指を通してモノを咥えている顔を露わにし、じっくりと鑑賞する。
伏し目がちな瞳の端に息苦しさからか涙が浮かぶ、カリに舌を絡ませると形の良い顎のラインが淫らに崩れる。なんて淫靡な光景だろう。
何よりもぷっくりと美味しそうなピンク色の唇に自分の性器を咥えさせているという興奮がエリオを昂らせる。
「もう…イきます!ティアさん………飲んでっ!!」
両手でしっかりと頭を押さえつけて、有無を言わせずの口内射精。
深く突き入れて喉奥に流し込むのではなく、少し引いて舌の上に、自らの精の味わわせる。
白い喉が上下に動いて吐き出した精が嚥下されていくのを見届けて、ようやくティアナの頭を解放する。
「……飲ませるだなんて、聞いてない」
跪いたまま、恨めし気にエリオを睨み上げ恨み事を放つティアナ。
しかしその顔は上気し、瞳は潤み、女としてのスイッチが入っていることを隠せていなかった。
-
バスルームで濃密な時間を過ごして、場所を変えてベッドルーム。
ベッドにティアナを押し倒したエリオは仰向けの彼女にのしかかり、ゆっくりとその身を彼女の中に沈めていく。
「ふうっ…くっ!あ……く…………あぁんっ!」
膣を押し広げ、入ってくるエリオの分身を受け入れ、最奥まで突き入れられてたまらず喘ぎ声が漏れる。
「動きますね?」
ティアナの返事を聞くことなく、エリオがピストン運動を開始する。
童貞を失ったころは無我夢中で単調な前後運動をするばかりだったエリオも、回数を重ねるごとに動きも巧みになっていた。
緩急をつけたり回転を加えたり深い突きと浅い突きを織り交ぜたり…。様々なテクニックを使い、ティアナの弱点を攻め立てる。
「あっ、あっ、あんっ、あひっ!?………あんあんあんっ!」
一突きごとに素直な反応を返してくれるティアナに、エリオも調子に乗ってモノを突き入れ彼女を喘がせる。
「ティアさんって会う度に敏感でエッチな身体になってますよね。もしかして僕以外の人ともセックスしてるんですか?」
行為の最中にデリカシーの欠片も無い、エリオらしくない…普段のティアナなら感付いていただろう不自然な質問。
「…当り前でしょ。執務官よ?エリートよ?良い男が向こうから寄ってきてよりどりみどりに決まってるでしょ」
嘘だ。執務官になったその日から毎日激務に追われて色恋沙汰に心を砕く時間なんてものは無くなってしまった。
元上司で今は先輩執務官であるあの人に未だに浮いた話の一つも無い理由が今の自分ならはっきりとわかる。
こう言えばエリオが自分に興味を無くすのではないか…。そんな一縷の希望に掛けた空しいハッタリだった。
「そうなんですか…。じゃあ他の男性方の事なんか忘れさせる位に頑張らないといけないなぁ」
しまった、罠……。気付いた時にはもう遅い。
がっしりと腰を掴まれて強烈な一突きを喰らった。子宮口がノックされる程の深さを突かれ、たまらず「あんっ!」と悲鳴が出る。
「う、嘘に決まってるじゃないそんなの!ちょっと見栄張ってみただけ!ね?」
慌てて先の強がりを取り消し、らしくもなく媚びた口調でエリオの機嫌を取ろうとする。それがさらに彼に付けいる隙を与えた。
「ふぅん、執務官が嘘をつくんですか…お仕置きが必要ですね。ティアさん、中に出します。覚悟してください」
ティアナが何かを言いかけたが、もはやエリオは聞く耳を持たなかった。
今までの動きが生温く思えるほどの苛烈な攻め。
それは自らの快楽を求めるためだけの、女の身体をオナホール代わりにした、射精を目的とした身勝手な動き。
「あっ、あっ、ああっ、あっ、あっ、あっ………あ、あんっ!」
そんな獣の行為にもティアナの身体は反応し、悦びを覚え、甘い喘ぎを部屋に響かせる。
「ティアさん行きます!覚悟して下さ……いっ!!」
「あっ、あっ………あ…あああああぁぁぁぁぁっ!!」
メスに自分の子供を孕ませる。そんなオスの欲望に従ったエリオの膣内射精をティアナは絶叫を上げて受け止めた。
膣内に熱い迸りを感じた瞬間、脳裏は真っ白になり何も考えられなくなる程の激しい絶頂。
ドピュ!ビュルルル……ビュク!……ドクッ、ドクッ…ドクン。
熱い男のエキスがこれでもかと体内に注ぎ込まれ、ゆっくりと身体の奥へと進んで行くのがわかる。
(あ……ダメ。子宮が悦んじゃってる………)
女の本能が膣がキュウッと収縮させ、モノから精液を絞り取ろうとするのをティアナは感じていた。
-
「ティアさん……」
エリオの掌が優しく頬に添えられ、整った顔がゆっくりと近づいてくる。何をする気なのか、瞬時に悟った。
(ダメ…キスは……。キスは許しちゃいけない………)
セックスが身体を許す行為ならばキスは心を許す行為。
それを許したら正真正銘、心が肉欲に屈服する事を認める事になる。
阻止しなければ…拒まなければ……なのに身体は意志に従わなかった。
「んんっ………んふぅ…ちゅ…ちゅぱ………」
無慈悲に唇は、心は奪われた。
だらしなく半開きだったままの唇に遠慮なく舌が入り込み互いの舌が絡み合い、唾液の交換をし始める。
膣内射精に絶頂。靄がかかったままの頭の中がピンク色に染まっていくかのようだった。
(こんな…こんなキスって……。エリオと一つになってるみたい……!)
子宮を満たすばかりに精液を注ぎ込んだエリオのモノは未だに硬さを失わずティアナの中に納まり続けている。
こっちはこっちで「繋がっている」のを感じるが、キスで感じる一体感はその比では無かった。
まるで互いの身体が蕩け、溶けきって一つに混ざり合ってしまったかのようで……
ヌチュリ…
粘っこい音を立てて、ゆっくりとエリオのモノが再びティアナの中を動き始めた。
中出しされた精液がモノの前後運動によって膣壁に擦りつけられ、染み込まされていく。
まるで身体の中をマーキングされているかのようだ。
きっとまたしばらくしたらエリオが逢い引きの誘いをしてくるだろう。
そして自分は言われるがままに秘密の逢瀬を繰り返し、今日みたいに彼に抱かれ続ける。
友人達を、恩人達を裏切って、年下の男に女の悦びを教え込まれて…まるっきり理性を持たないメスの獣である。
こんなのが法と秩序を守る執務官様だなんて…自嘲する気さえも起こらないほどの滑稽な話じゃないか。
(キャロ…スバル…フェイトさんになのはさん………みんな…ごめんなさい……)
脳裏に浮かぶ人々に対する罪悪感にかられながらも、背に回された彼女の腕はきつくエリオを抱きしめたままだった。
-
「もう…支度しないと……。延滞料金取られちゃうでしょ」
枕元に備え付けのデジタル時計が示す時刻を見ながら、冷めた口調でこの非日常に別れを告げる言葉を紡ぎ出す。
二人がチェックインしてからそろそろ2時間が過ぎる頃。「ご休憩」の終了を告げるフロントからの内線がかかってくる頃合いだろう。
しかしエリオはそんな言葉がまるで耳に入っていないかのように、気だるげに脱力したままのティアナの身体を強引に引き寄せた。
「それだったら大丈夫ですよ、宿泊料金で入室しましたから朝まで居られます。今夜は寝かせませんよ?」
美しい背中のラインを眺めながらヒップに手を添え、背後からティアナの中心にモノをあてがう。
「あ、朝までって…そんなことしたら大問題よ!?」
明日はオフで訓練も仕事もないとは言え、二人が朝帰りしたとなれば詰問されるのは目に見えている。
これでも執務官。尋問や拷問に対する訓練も受けてはいるが「あの」面々の追及から逃れる自信など、無い。
「バカな事考えないでよ!もしフェイトさんやキャロにこんな関係がバレたら……」
「二人とも喜んでくれるでしょうね」
「…………は?」
「最近フェイトさんとキャロがうるさいんです。早くティアさんを完全に堕としちゃえ、って」
「な…に……を………言っているの?」
「スバルさん達とも勝負してるんですよ。どちらがティアさんを家族に引き込めるか、って」
あれ?秘密の逢瀬を繰り返してるって考えてたのは私だけ?
フェイトさんにもキャロにもスバルにも、もしかしたら他の、はやて指令やなのはさん達にも……バレバレ?
つまり何?あたしって2号?愛人?肉奴隷?あれ、ミッドチルダって一夫多妻制だったっけ?
かつて執務官補佐試験を満点合格してみせた明晰な頭脳を暴走回転させて今の自分の置かれている立場を再認識しようと試みる。
「別になんだって構いませんよ。僕の物になってくれるのなら……ねっ!」
ベッドが軋む音を伴って再びティアナの体内にエリオの分身が打ち込まれる。
強烈な一撃に脳裏に火花が散り、頭の中が真っ白になる。
身を仰け反らせたティアナの口から悲鳴にも似た甲高い嬌声が飛び出した。
犬の様な格好で交わる二人の姿は、まるで一組の動物の「つがい」。
今の自分のその姿と、与え続けられる女の悦びがティアナの道徳心と羞恥心、そして自尊心をも破壊していく。
(あたしはエリオの……物。それでいい……んだ………)
若く美しい執務官が奏でる淫らな歌声はその夜一晩中途切れることなく響き続けるのだった。
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これにて投下終了。
やっぱりティアナは総受けのイメージ、異論は認める。
最後のレスを読まなければ後味の悪い締めになるのでそう言うのが好きな人にはオヌヌメ
以下何事も無かったかのようにスバル祭の続きをどうぞ
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おお、なんかアダルトで良い感じのエロだ・・・
頼み込まれて仕方なく処女散らすとか不憫っぽくていいなぁ、ティアナ。
ずるずると欲望に負けて肉体関係持つとか爛れっぷりがゾクゾクする。
しかしこの〆方は、この次スバルに襲わるフラグにも感じるのは自分だけかwww
ともあれGJでした、スバル祭の渦中にあってティアナとはなかなか乙なものだ。
あとティアナが受けっぽく見えるというのには同意。
やっぱツンデレ子は責められてこそ!
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>>411
ふぅ・・・
ティアナ総受けのイメージには異論はあるがそれでもGJと言わざるをえない!
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本日木曜日の担当は私です^o^
…ちょっとオーバーしちゃったけど、そろそろ投下します。
ようそ
・非エロ
・日常系
・みじかめ
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あたし、スバル・ナカジマは人には言えない秘密がある。
もちろん、戦闘機人であることは言うまでもないのだが、それ以外にも、とてもじゃないが人に言えない秘密があるのだ。
パートナーであるティアにさえ、バレてしまうまでは自分の口からは言わなかったくらいなのだから。
そんな秘密がいま、あたしの目の前に危機として迫っている。この問題は非常に危険だ。なんとかしなければならない。
なぜならあたしは……。
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スバルの憧れの人、高町なのはの教導によって溢れるほどにかいた汗を心地よいシャワーで流し、火照った身体を冷ますために下着姿のままでい
たスバルは、自分以外誰もいなくなったシャワー室で、傍らに置かれた機械へゆっくりと近づいていく。
ごくりと生唾を飲み込み、スバルは意を決してその機械へ足を乗せる。機械の上部にある液晶は数字を目まぐるしく変化させながら、やがてある
数字を示してその変動を停止させた。
「はぁ……」
その機械――まぎれもなく体重計――がディスプレイに表示する数字は、平均的な女性のそれを大きく上回った数を示していた。
そう、彼女の身体は普通の人とは違う造りをしている。機械と生体が融合した戦闘機人。鋼の骨格と人工筋肉によって生み出される、人間を超え
た身体能力。
分かっている。普通の人間とは違うのだから、あらゆる感覚も普通の人間を大きく上回っているし、筋力だって見た目からは想像も出来ないほど
の力を生み出す事が出来る。それに伴って、その力に耐えうるボディを作るためにどうしても堅く、そして重い素材を使ってしまうのである。
その結果が目の前にある、現実という名の彼女自身の体重である。分かっている、分かっているのだが……。
「うーん、でもやっぱりあたしも人並みの体重で過ごしてみたいなぁ……」
驚異的な身体の機構により、その一般女性からは逸脱した体重であっても問題なく日常生活は勿論のこと、この機動六課に着任してからの日々の
教導も問題なく……、大きな問題は無く過ごす事が出来ている。
それでも、やはり思ってしまうのだ。
今のこの現実から逃げれば、それはすなわち戦闘機人である自分自身からの逃避にもなり得る。それは彼女自身のアンデンティティの喪失に繋が
ることになる。だからこそ、目の前のこの現実から逃げる事は敵わない。
しかし、だ。そんな事は分かっているのだが、それでも彼女はふと先ほどのようなことを考えてしまうのだ。
何故なら彼女はまだ15歳、まだまだ思春期の少女であり、これから輝き出す乙女なのだから。
この頃辺りからだろうか。どうしても、何かにつけて体重に関係する話題に過敏に反応してしまうようになったのは。
一度気になりだすと止まらないのは人間誰しも経験があるのではないだろうか。現在のスバルはまさにその状態であり、普段の会話の中でも、体
重に関するワードが出るたびに反応してしまうようになってしまった。他人よりも聴覚が優れているために余計に気になってしまうのである。
スバルは頭を抱えて悩んだ。
-
それからある日の事。
この日はなのはの教導が休みであり、デスクワークを延々とこなす一日であった。優秀なティアナはともかく、未だ慣れていないエリオとキャロ、
そして苦手なスバルは余計に時間が掛かってしまう。
そして更に仕事を遅くさせる原因がスバルにはあった。
それはある意味では幸せな夢であった。
夢に出てきたのは今の何気無い日常。教導官である上司のなのはの教導を受け、その他の仕事をこなし、休みの日にはパートナーと街へ繰り出す夢。
そんな何気無い、いつも通りというべき日常。そしてその夢の最後に現れたのはやはりというべきか、体重計であった。
その夢でも何気なく体重を計っている自分。夢に出てくるまで自分は体重を気にしているという事実に、スバルは半ば衝撃を受けながらもその夢
は続いていく。
しかしこれは現実ではなくて夢。つまり、それは現実ではありえないことが起こる可能性がある訳で。
体重計が示していた数値は、現実の、いつもの数値とは大きくかけ離れたものであった。
なんとその体重計は一般女性に近い数値を示していたのである。
それから驚きとその他様々な感情が渦巻いたまま目が覚めたスバルは朝練を終えた後、嬉々としてシャワー室に向かい、汗を流した後に体重を量った。
しかしそこに示された数値はいつもと変わらぬもの。夢とはいえ、変な希望を持った自分が悪いということは分かっているのだが、一縷の希望を
砕かれたのは余りにも大きい。これは今日一日はテンションはあまり上げられないのもしょうがない。
そんな訳で、今日の彼女の仕事は遅かったのである。
しかしそのまま遅いまま終わらないのでは社会人として失格だ。気持ちを切り替え、スバルは残りの仕事をこなしていく。
もともとデスクワークが出来ない訳ではない。ただ作業が遅いだけなので、気合を入れ直せば直に終わるだろう。
残りの項目を軽く確認し、一つ深呼吸をしてからスバルは再び作業に取り掛かるのだった。
-
そしてそれから間もなく、デスクワークも終わり、大体の仕事が終わったところでスバルは荷物の運搬を頼まれた。そのうちのいくつかをはやて
の部隊長室へと運び込み、室内で作業をしていたはやてと少し話をしていた。
しかしスバルはそこで異変に気がついた。
「あの……どうかしましたか?」
普段は元気に胸を揉みに来るはやての様子がなんだかおかしい。椅子に座って部下の前でため息を隠すことなく何度もしている。別にそういうの
を気にする性分ではないが、何かあったのであればそれはやはり気になる。
このまま下がるのも悪いと思い、スバルはつい、そう聞いてしまったのである。
数分後に後悔する事になるとは知らずに。
「いやな、別に何でもないんやけど」
「でも八神部隊長、元気ありませんよ。何かあったんですか?」
「んー……。まぁそうやなぁ、別に仕事に関係ない事やし、めっちゃ個人的な事なんやけどな」
そうしてはやてが繰り出した話題に、スバルは口を一瞬ではあるがつい口を引きつらせてしまった。
「まぁこの機動六課も稼動して数ヶ月、ようやく皆仕事がスムーズにこなせるようになって来てる。これはええ事やし、部隊長としても安心できる
ことやから、部隊運用に関しては特に問題はないんやけど……」
「他に何か問題が……?」
「こうやって部隊長してるとな、前と違って簡単に前線に出る事が出来ひんねんな。デスクワークばっかりで、少しくらいやったら動く事はあるけど、
車で移動して屋内を歩くだけやったりして、少なくとも去年よりかは格段に運動量が減ってんねん」
ここら辺りまで聞いた時点でスバルは嫌な予感が本能を刺激しているのを感じ取っていた。これは自分には良くない話題であると、聞くのは間違
いであったと。
しかしここで今更逃げ出す事は出来ない。こうしてスバルは自分の首を自ら絞めに行っていたことにようやく気づいたのである。
「大体予想できてると思うけどな、最近体重が増えてるような気がしてん。んで昨日量ってみたらちょっとショックな数字やってん……。心なしか
お腹周りにもお肉がついてきたような気するし。……私もなのはちゃんの教導受けてシェイプアップとかした方がええんかなぁ」
はぁ、と再びため息をついたはやてを、若干引きつった苦笑いで見ることしか出来なかった。
愛想笑いも出来ない。今日のスバルにそんな余裕はないのである。唯でさえ朝から自分自身からの精神攻撃を受けているのだから、それに関連す
る話題はNGにも程があった。
「ま、そやからこれはただの愚痴やな。…あー、部下に愚痴を言うって駄目な上司の典型やん。ごめんな、もう戻ってええで」
自己嫌悪に陥っているはやてに一礼し、スバルは部隊長室から退室する。
ちなみにこの時、当たり前ではあるが自分以外にも体重で悩む人がいる事に、ちょっとだけ安心していたのはスバルだけの秘密であった。
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「よし……!」
ダイエットしてみよう。
スバルは心の中でそう決めた。確かに自分の体重が重いのは戦闘機人ゆえの体内の機械に因るところが大きい。というかぶっちゃける事も無くそれが原因だ。
さすがにその部分を減らす事は出来ない。軽量化なんてしようものならば、恐らく大掛かりな手術などが必要になるだろう。
ならば他の部分を削ればいい訳で。それは勿論、生体部分であり、つまりは血や肉というべき部分である。
ダイエットをするといえども、運動に関しては既に十分すぎるくらい動いているので問題ない。
むしろこれ以上動けば、いつあるか分からない実戦の際に思い通りに動けなくなる可能性がある。
では他に何をすればいいだろうか。やはり真っ先に上がるのは食事だろう。スバルは自分は他の人と比べて、少し多く食べている事は自覚している。
元々良く食べる上になのはの教導があればそりゃあもうお腹もすごく減ってしまって更に沢山食べてしまうというものだ。
ならばここは削れる要素があるのではないだろうか。しかしここでも極端にやってしまっては仕事に支障が出てしまう。腹が減ってはなんとやら
とも聞くし、とスバルは頭の中で自分を正当化し、ほんの少し、ちょっとだけ食事の量を減らす事にした。
「あとは……んー、何があるだろう」
ダイエットの定番といえば、運動・食事・規則正しい生活あたりが一番よく言われていることであったとスバルは頭の中で巡らせる。運動・食事
は既に考えた後であり、残りは生活時間といったところか。しかしこれも大きくは問題ない。朝は早朝訓練の為に早くに起き、夜は疲労の為に夜更
かしする余裕もない。夜勤・当直にいたっては新人であることと、前線部隊所属であることで免除されている。
他には薬などを使ったダイエットもあるようだが、これは怪しすぎるので除外した。もし検査の際に引っかかってしまっては困るからだ。
というわけで、スバルは食事を減らす事によるダイエットを実行する事にした。
普段例えば10杯食べているものを9杯、8杯ほどに減らし、そうやってほんの少しではあるが食事量を減らしていくのだ。勿論、減らしすぎる
のは肉体的・精神的によくないので減らす量は程々にしている。
食事の量が普段よりも減っている事に気づいたティアナがそのことを指摘してくるが、なんとかのらりくらりと回避する事に成功した。一瞬スバ
ルは冷や汗をかいたが、それよりもティアナがそんな細かい部分まで自分を気に掛けていたことを嬉しく思い、にへらとしていたのだった。勿論、
いきなり顔がゆるんだので引かれたのは言うまでも無いのだが……。
それから数日が経ったある日の事。
午後の教練が終わり、他の隊員よりも一足早めに上がり、そのまま六課隊員寮内のバスルームへと足を運ぶ。キャロとティアナとの三人で湯船に
浸かり、今日の訓練についてを話したり、いつものように何気ない世間話で盛り上がる。
のぼせない程度に温まった後に湯船から上がり、三人は脱衣所へと戻っていく。身体を拭きながら笑顔で談笑している姿からは、とても恐ろしい
訓練量をこなす優秀な局員には見えず、どこにでもいるような、ただの少女たちにしか見えない。
「……? どうしたのよ?」
そんな中でスバルの様子がおかしいことに気づいたティアナが、彼女へと話しかける。当のスバルは脱衣所の一点をちらちらと気にするように、
しかしそれを悟られないようにさり気なくそれを行っているようにも見える。
そんな不審な行動を見かけたティアナはその行動を行っている当の本人へと話しかけたのだが、
「な、なんでもないよー」
スバルは一瞬ビクリと震えた後に、笑顔で何でも無いかのように答える。……怪しい。ティアナは自身のパートナーが何かを隠していることにぼ
んやりとではあるが気づいた。しかしここで食い下がっても恐らくは答えてくれないだろう。そう感じたティアナは追求をやめ、再びドライヤーで
髪を乾かし始めた。
スバルはそれを見てほっと一安心する。少し露骨に動きすぎたかな、と反省し、これからは出来るだけ悟られないようにしようと決めたのだった。
ちなみにスバルの視線の先にあったのは……やはり、体重計であった。
-
風呂から上がりさっぱりしたところで、先に上がって待っていたエリオと合流し、4人で食堂へと向かい晩御飯を食べ始める。フォワード四人組のうち、
約二名が恐ろしいほどよく食べるので、机の傍には食べ終わった皿が山のように積まれているが、これも彼女らにとってはいつもの事。
そんないつもの光景のはずの中で、やはりティアナは自分のパートナーの様子が普段とは異なることに気づいていた。
パッと見ただけでは特に大きく変わって点は見当たらない。食べる量自体もそんなに普段と変わらないように思える。数日前に指摘した時と同じく、
以前よりも減った気がするのは確かだが、今日はそれに加えて更に不審な行動が見られた。
普段ならば、まだ食べれるのならば遠慮なくお替わりを食べていたのにも関わらず、控えめなのである。そしてまだ食べるか、それとももうここで止めるか……。
いつもとは違う、そんなパートナーの行動に違和感を覚えた。外見だけではあまりそうは見えないが、目線と微妙に落ち着いていないその雰囲気がティアナの目についてしまったのである。
気にはなったのだが、以前聞いた時にははぐらかされたこともあって、ティアナはその場での追求を諦めることにした。
他の二人……年少組は恐らく気づいていないのだろう。
二人とも普段と何も変わらずにスバルやあたしと接している。……まぁ今のスバルが普通じゃないのに気づけるのはあたしくらいだけだと思うけど。
そんな事を考えながら、ティアナは残りのご飯をかきこむのであった。
そして食堂での出来事やその他ここ最近の違和感についてスバルから聞き出すために、部屋へと戻ったティアナは椅子に座り、口を開いた。
「あんた、最近おかしいわよ。ご飯だっていつもに比べると少ないし、時々別のこと考えてるようにも見えるし」
ベッドの上でくつろいでいるスバルへと向き直り、スバルの顔を見る。
聞かれた当の相手はきょとんとした表情を一瞬見せたあとに、まるであちゃー、といわんばかりの表情へと変わった。
「やっぱり何か隠してたのね。何隠してるのよ、ほら正直に言っちゃいなさい」
「うーん、やっぱり……バレちゃってた?」
当たり前じゃないの。
ティアナはつんとした声で言い切った。一体何年一緒に居ると思っているのか。日常のほんの何気無い癖でさえ気づくほどだ。
そんな彼女が、ここ最近のこれほどのパートナーの不審な行動に違和感を覚えないはずがない。
スバルはまだ何とか逃げれないか、逃げ道を探しているようだったがやがて観念し、ティアナへと顔を向けた。
「……実はね、ダイエット、してた」
恥ずかしさからかそれとも別の何かか、小さな声でスバルはそう言ったのだった。
それを聞いて今度はティアナがきょとんとした表情へと変わった。
え、ダイエット? ダイエットって、あの体重を減らして身体を痩せるようにする……。そんな事をぶつぶつとスバルに聞こえないほど小さな声で口の中で呟く。
やがて納得がいったのか、スバルの方へと顔を上げ、口を開いた。
「最近様子がおかしいと思ったら……そういうことだったのね」
ティアナはため息をつきながら、ベッドの上で枕を抱えるスバルを見る。
-
「うぅ……」
ティアナに見られているスバルはバレた恥ずかしさからか、更に顔を枕にうずめて、ティアナの顔を見ないようにしている。
まるで悪いことをして見つかってしまった子どもと、その事を知った親のようだとティアナは一瞬思った。
とはいえどもスバルは何ら悪い事はしていないし、このような事を隠していたことに関してもティアナには咎めるつもりは一切無いのだが。
それよりも、どうしてそのような事をしていたのかがティアナは気になった。
思い起こしても、少なくとも自分の知っている範囲では自分はダイエットをさせるような事は言ってないし、他の人にも言われていないはずだ。
だからこそ分からないのだ。どうしてこのような事をしているのかが。ある程度慣れ、余裕が出てきたとはいえ、そのような事をしていれば直に変調をきたすのはスバルだって分かっているはず。
理由を問うてみると、スバルはしばらく考える仕草を見せたあと、おもむろに口を開いた。
「うーん、何ていえばいいのかな……」
スバルは自分の中にあるものを言葉にするように、ゆっくりと、選ぶようにしながら口を開いた。
「やっぱり普通の女の子に、憧れみたいなのはあるかな」
目を閉じて、何かを考えるかのようにじっと動かない。そしてやがてゆっくりと目を開き、困ったようにティアナへと笑いかけた。
それを見てティアナは何を感じたのか、ため息をつきながら
「馬鹿ね、そんなの気にし出したらキリが無いじゃない」
「それはそうなんだけど……」
スバルはうーん、と唸るように声を漏らしながら、やはり困ったような笑みを浮かべていた。
彼女自身もこれが一時的なものであるのは自覚しているのだろう。もうしばらくもすればまたいつもの彼女に戻るのは、本人もパートナーであるティアナも薄々は感じ取っている。
「大体、あたしだって平均と比べたら軽いってことは言えないわよ。筋肉だってずいぶん付いたし」
と、ティアナは自分の腕をスバルに見せ付けるように揉みながらため息をつく。
こんな事は言っても慰めにならないのはティアナ本人が分かっている。
しかしそれでもこうやって悩むスバルを放っておく訳には行かない。彼女とは短い付き合いではないし、パートナーとしてこのまま放っておくのは間違っている。
それに、パートナーであるティアナは分かるのだ。いくらきっかけがあったのだろうとはいえ、彼女の心の中で何らかの変化があったに違いない。
それが何であろうと、大きな問題は無いが、やはりパートナーとして、同じ部隊員として、出来うるサポートはしなければならない。
……とは言うものの、一体どうすればいいのだろうか。
短くない期間を共に過ごした二人ではあるが、スバルの身体のこと……戦闘機人に関する話題はあまり表立って話す事は無かった。タブー視して
いる訳ではないし、今更気にする事でもないのだが、それでもそのことについて話し合う事はめったにない。
もっと話を聞いておけば、こんな事を考えさせる事も無かったのかなと少し思いながらも、ティアナは彼女にかける言葉を考えた。
そして悩んだ末、ティアナは言葉少なく、しかし正直な思いをそのまま口にすることにした。
-
「……上手くいえないけど、あんたはあんたのままでいいのよ」
顔をうつむけながら、ティアナは小さな声で言う。心なしか、顔も赤くなっているようにも見える。
「えっと、その……。別に何でもないけど。あたしは今のままのあんたが、その……好きだから……」
最後のほうはほとんど聞こえないくらいの小さな声であったが、知覚が優れているスバルはその声がしっかりと聞こえていた。
ティアナのその言葉に、特に表情を変えることなく聞いていたスバルだが、その言葉がしっかりと頭に染みこみ、その意味を理解した時、にへらと顔をゆるませながら口を開いた。
「えへへ、ありがと、ティア」
「うっさい、変な心配かけんじゃないわよ」
一方はデレて、もう一方は照れて。二人の間では時折、しかし何気なく起こりえる日常の1シーン。
そんな二人だからこそ、ずっとその関係が続き、そして互いを信用することが出来ている。生涯を通じて付き合っていけるそんなパートナーに出会えた事に、スバルは今再び心が満たされるような感覚を覚えた。
その幸せをかみ締めながらスバルは床に就き、目を閉じてそして誰に祈る訳でも無く、口にする。
願わくば、この幸せがずっと続きますようにと。
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あたし、スバル・ナカジマは人には言えない秘密がある。
もちろん、戦闘機人であることは言うまでもないのだが、それ以外にも、とてもじゃないが人に言えない秘密があるのだ。
パートナーであるティアにさえ、バレてしまうまでは自分の口からは言わなかったくらいなのだから。
それはあたしの体重が…重いこと。
きっかけはなんてこと無い、日常の1シーン。恐らくあの時がきっかけだったのだろう。その時からあたしは自分の体重をやけに気にするようになっていた。
幸い強迫観念にとらわれる程気にする事はなかったのだけれども、それでもパートナーのティアには随分と心配を掛けてしまった。
だけどもう大丈夫。あたしはあたし、今のままが一番だと言ってくれたパートナーのお陰でもう気にする事は無くなった。
なぜならあたしは幸せだから!
-
終わりです。
スバル可愛いです。
-
GJでした
スバルみたいな女の子してない子がコンプレックス持っちゃうのが好きです
事情は違うけどね!
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>>422
GJ
公式ではバカ食いしてるスバルが体重を気にする普通の乙女回路もってるってのは新鮮でいいな
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GJ、やっぱスバルかわゆい・・・
-
こんばんは。
ご無沙汰しています。
スバル祭りSS投下しにきましたよ。
・ショートショート
タイトル きもちいいこと
-
「ティア、ここがいいんでしょ?」
「くぅ・・・・・・っ」
ティアナは思わず上げそうになったあえぎを噛み殺した。
スバルの発動させたIS≪振動破砕≫の起こす微弱な振動がティアナの体を走り抜けていた。
スバルはにやにやしながらティアナの肌に指を這わせていった。ほのかに赤みの差した白い肌をスバルは何かを探すようになでてゆく。
ある場所をなでた時、ティアナの唇からため息が漏れた。
「こっちが気持ちいいの?」
「あっ、あ・・・・・・っ!」
スバルはティアナがもっとも敏感に反応する場所を集中的に責め始めた。
力強い振動がティアナを解きほぐしてゆく。
「そう、そこ・・・・・・っ。そこがいいの!」
「オーケイ、ティア。もうちょっと強くしちゃうよ」
「うん、気持ちいい・・・・・・っ!」
振動はさらに力を増し、ティアナの体を駆け巡る。
その上に、スバルの指がティアナの柔肉をもみほぐし始めた。
「あ、あ、ああ・・・・・・」
ティアナは肌は火照りじっとりと汗ばんでゆく。
「さあ、これでフィニッシュ!」
スバルの指にぐっと力が込められた。
「ああっ!!」
ひときわ高くティアナが嬌声を上げ―――
「はい、マッサージ終了」
スバルによる肩もみは終わった。
「いつも思うんだけど、ティアの声、ちょっとエッチだね」
「うるさい!!」
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以上です。
ちょっとクスッとしてもらえるとうれしいです。
お粗末さまでした。
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冒頭で展開が読めたがそれを裏切って振動破砕で何か破壊するかと思ったらそんなことなかったぜ!
ティアナかわいいよティアナ
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身長は確かに公式で出てるけど体重は出てなかったなあ
スバルの年齢なら40〜50ってとこかな
スバルは・・・7,80キロありそうだwww
おや?こんな時間に誰だろう
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スバルの身長で4、50ってのはおかしい
少なくとも50後半無いと異常。加えて中身に機器とか入ってるんだから・・・
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海底を歩ける程度の重さだよ
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戦闘機人は体の何割くらいが機械なんだろう
脳も弄られてるっぽいしほとんど機械なのかな
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