レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第100話
-
魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所の2スレ目です。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
『注意情報・臨時』(暫定)
書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。
前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1243670352/
-
>クロはや
最新話までちゃんと更新されてない?
-
>>サイヒ氏
ご帰還をお待ちしております。
>>「しんじるものはだれですか?」
あれはいい作品だ。壊れたクロノが魅力的過ぎて他のキャラとのSSも読みたくなる。
ぜひとも復活してほしい。
-
4の422氏とさばかん氏の復活を願う私
-
っつうか、凌辱がないでしょうッ!
-
陵辱、つまりぬるぽ氏のヴィヴィオSSか
-
ユーノマニア氏とシナイダ氏の復活を待ち焦がれてる
-
ディフェンスに定評のある池上
陵辱に定評のあるぬるぽ氏
-
燃えに定評のあるB・A氏
鬱に定評のある246氏
ソープに定評のあるシガー氏
-
アンチに定評のありすぎる( ゚д゚)氏
-
>>524
あの人個人ブログサイトに移ったんだが…因みに全年齢な。
俺は、ユノギンスバという類を見ないシチュでエロ・完成度共に高かったKogane氏。
-
俺は伊達眼鏡のアルカディア氏。
-
復活して欲しい作者なのか
好きな作者なのか
はっきりするんだ
-
個人的にまた来てほしいな。
-
4の422氏にはチョッピリ「私をクロなの好きにした責任、とってもらうんだからね!」的な感情ががが
原作クロスが途中なんだよなあ…
-
魔法少女リリカルふぇいとが、このスレを見つけた発端で、未だに続きを待ってるなぁ。
そろそろ一年経つのか。
-
こんばんは。
ふとした思い付きから始まったネタSSも最後。
【キャラ崩壊注意、特にはやて・スカリエッティ】【他作品パロ要素多数注意】
・脱ぐけど非エロ
・はやてが麻雀最強な作品のオーラス
・10割ネタ。元ネタ探しクイズ的な作品。全部分かったら多分幸せになれるかも。
ではどうぞ。
-
「古い結晶と無限の欲望が集い交わる地、死せる王の下、聖地よりかの翼が蘇る……カン」
「レリック事件」の起こる数年前、ベルカ自治領にある聖王教会本部の中の一室。
カリム・グラシアは、ぶつぶつと言葉をつぶやきながら鳴く。
カン材を放ってしまったのは、カリムの上家にいる八神はやて。
「死者達が踊り、なかつ大地の法の塔はむなしく焼け落ち」
(あ……あかん、その嶺上牌は……!!)
カリムの手が王牌に伸びる。
それだけなのにはやての顔の血の気は引き、体の震えが止まらない。
はやての直感が、先ほどの一瞬の気の緩みがとんでもないゲームセットを引き起こすことを予見していた。
「それを先駆けに数多の海を守る法の船もくだけ落ちる……」
カリムは、引いてきた牌を思い切り卓のエッジまで叩きつけるように引き寄せた。
乾いた音が部屋に響き渡り、同時にカリムの役が皆に晒される。
「ツモ。大三元ね、騎士はやて」
(ぐ、は……やってもうた……わ……)
はやての視界がぐにゃあと歪んでいく。役満にしかも責任払いありのルール。
はやては久しぶりにハコを被り、そのショックで頭から卓に崩れ落ちた。
盛大に牌が全自動卓の上にばら撒かれ、惨めさをより引き立てていた。
ムダヅモ無き管理局改革 〜「響け終焉の笛!」勃発! ラグナロク大戦〜
―――――その半荘一回戦での負けから、すべてが始まった。
はやてはカリムの予言を信じざるを得なくなり、機動六課の設立に奔走する。主に麻雀で。
同時に、魔導士としての素質と雀士としての素質を併せ持った人間も探していたが、
そちらの方はあまり結果が芳しくなかった。
「……だからといって、私たちがこんな所に居るなんて」
「しゃあ無いやんかカリム。唯一打ち筋が好きやったティアナは前線に送り込んでもうたし」
はやては当時をしみじみ懐かしみながら、全自動卓のボタンを押す。
一方、『こんな所』になぜか連れてこられたカリム。
カリムの対面には、今回の事件の要である戦闘機人・トーレが座っている。
そして、はやての対面には。
「思い出話はそのくらいにしたまえ、私は早く君と麻雀がしたくてたまらないのだ。八神はやて」
純白の白衣に身を包んだ、ジェイル・スカリエッティの姿。
彼の『無限の欲望』は誰もが思いもしなかった形でその真の姿を表した。
スカリエッティ本人が、自分の研究所にはやてとオヒキ一人を無防備に招待したのだ。
「ミッド一麻雀が強いと言われている君を、私のこの手で早く捻りつぶしたいよ……!」
-
研究所の一角にあった全自動麻雀卓。
17牌2列の山が雀卓からせり上がってくる前から、スカリエッティの興奮は最高潮である。
胡桃の殻があったらメキメキと粉砕してしまいそうなほどに手をぎゅっと握り、準備は万端のようだ。
東・スカリエッティ。南・カリム。西・はやて。北・トーレ。
全員慣れた手つきで、ビシビシとフェルト地の卓に不要な牌を捨てていく。
その姿を、はやての護衛も兼ねて進入してきたフェイトと、それを遮るセッテが見守っていた。
(ジェイル・スカリエッティ。違法研究者でなければ、間違いなく歴史に残る雀士……やなかった、天才)
……麻雀がミッドチルダに持ち込まれたのは、新暦が始まって間もない頃。
ほぼ地球の麻雀と同じような進化を遂げていたが、最大の違いはその待遇。
管理局最高評議会の面子が暇を持て余したときに嵌ったのがきっかけで、特に管理局内では絶大な人気を誇っていた。
評議会の面子の嵌りっぷりは尋常でなく、『アンリミテッドデザイア』についうっかり、
『管理世界最強の雀士になる』という夢を刷り込んでしまったほどであった。
「おっとツモだ。チャンタ・白・發にドラ6、12000オール」
「お、親っパネ!?」
スカリエッティの上がり役を見た瞬間、カリムは思わず大きな声を上げてしまった。
噂には聞いていたが、これはスカリエッティの実力の片鱗でしかない。
はやてはそれを知っているのかどうなのか、食らっても何食わぬ顔である。
「これくらいで驚いたらあかんよ。教会の騎士の名が泣いてまう」
「そ、そうね……ごめんなさいはやて、最近すっかり打ってなかったものだから」
軽く頬を叩き、カリムは気合を入れなおす。
とは言え事件が大きくなってからは本当に打つ機会が少なくなっていた。
はやての小四喜の気配を察知し、大明カンからリンシャンツモで大三元をぶち当てた、全盛期の頃の勢いは取り戻せていない。
おまけに、はやての腕にくくりつけてある手錠のようなデバイスが気になって仕方ない。
「くくく……八神はやて、あまりゆっくり仕掛けているとリンカーコアが無くなってしまうぞ?」
スカリエッティの出した条件はこうだ。
スカリエッティは自分の研究成果・ナンバーズ12人を賭け、全員奪われた上でスカリエッティがハコを被れば無抵抗で逮捕。
その代わり半荘を終えた時点ではやてが負けていれば、負けた点数に応じて等分されたリンカーコアを吸収されてしまう。
これをスカリエッティが逮捕されるか、はやてが倒れるまで続けるのだ。
しかもかつてレジアス戦で披露した魔法轟盲牌を封じるために、牌の一つ一つに防御のための術式が編みこまれている。
名づけて『スカリエッティ麻雀』。地球にも似たような麻雀を考えた閻魔の闘牌をする老人が居たがあまり関係ない。
「はやて、大丈夫? 確かに貴方はスロースターターだけど、そろそろ南二局よ?」
一回目の半荘が始まってからずっと焼き鳥(アガっていない)状態のはやてを、さすがにカリムは心配していた。
しかし当の本人はと言えば騎士甲冑の胸元からタバコチョコを取り出して口に咥え、
あからさまに余裕を見せ付けている。
「だーいじょうぶやて、任しとき。ポン」
局が始まって間もなく、南牌が勢いよく三枚除けられる。
次の順ではやては山から牌を引き、指先の感触だけでアガりを確信。
「カン」
(これでアガって点棒を取り戻せば、南場二局もあれば捲れるやろ)
もう一枚牌を寄せ、さらに手を王牌へと伸ばす。
思わずはやての頬が緩む。
アガり牌はそこにある。はやては本能的に察知していた。
-
「……ロン、槍槓」
「ぶっ!?」
察知していたのだが……。
スカリエッティにしっかりと狙い撃ちされ、珍しい役でアガられてしまった。
さすがにはやてもタバコチョコを吹いてしまい、何度もスカリエッティの役を確認する。
(しかもドラが7やて!? あかん、ゆっくりしすぎた結果がこれや……!!)
「御無礼、早速トビだ八神はやて。ではリンカーコアを1/12頂こうか」
手錠型のデバイスがぼんやりと光り、はやての騎士甲冑の胸の辺りに光の玉が現れる。
リンカーコアが一回りほど小さくなるまでに、はやては歯をぎりっと噛んでその苦痛に耐える。
まさか元・闇の書の主が魔力蒐集を食らう羽目になってしまうなどとは、今日のこの瞬間まで思ったことが無かった。
「う……くああぁっ、ぅ……はぁ、何や……まだ大したことないやん」
「そう言ってられるのも何時までかな? さて、次の半荘を始めようではないか」
そこからのスカリエッティの麻雀は、最初のはやての予想をはるかに超えていた。
あっという間にはやての点棒とリンカーコアが奪われていく。
「ロン。リーチ面前断幺九平和三色ドラ1」
「くっ!!」
「ツモ。四暗刻の親っ被りだな」
「ぐぅ……っ!!」
半分以上リンカーコアを削られ、段々はやての顔色が悪くなっていく。
目の前がくらくらしてくる。
かつて闇の書事件のとき、なのはやフェイトや守護騎士たちはこんな状態だったのか。
(あ……あかん……これは)
盲牌できない。
手の先の感覚がもう無くなってきた。
はやての頭がくらくらと揺れ、がくんと垂れ下がる。
辛うじて卓の牌をぶちまけるような事態は免れたが、はやてが動かなくなってしまった。
「はやて……? はやて!! はやてっ!?」
上家のカリムが思わず立ち上がる。
騎士甲冑の帽子がはらりと落ち、まるではやての力が潰えたことを暗示しているかのようだった。
「はやて―――――っ!!」
-
「……ん、眠い……」
はやてが目を覚ますと、そこは真っ暗な闇の中だった。しかし自分の姿は見えていて状態が確認できる。
今まで騎士甲冑に身を包んでいたはずが、なぜか陸士の制服に着替えておりしかも車椅子に座っていた。
「何や……? 私、生きてるんか?」
アームレストに肘をかけ、背もたれに体重を預けて座っていると自然と眠気が襲ってくる。
かつてはやてはこんな状態を味わったことがある。そう、闇の書事件のときの状況に限りなく近い。
そうなれば、当然『彼女』がはやての前に現れる。
「リイン、フォース……?」
「お久しぶりです、主」
あの冬の日に消えていった、当時の姿のまま。
銀色の鮮やかな長髪も、黒一色の服を自ら拘束具で戒めた特徴的な格好も。
「何や、私このまま負けるんかな……?」
はにかみながら、はやてがそんな言葉を口にした。
スカリエッティの闘牌に付いていけず、リンカーコアも風前の灯。
弱気になったはやてに、リインフォースは厳しい目を向けた。
「……主、諦めたらそこで試合終了ですよ」
「っ!!」
その真紅の瞳の奥にはやてへの強い思いを秘め、リインフォースがはやてと視線を合わせる。
ぎゅっと手を握り、はやてにまるで何か力を送り込んでいるかのようだ。
きっと送り込んでいるのは魔力でも体力でもなく、雀力だろう。
「狂気の沙汰ほど面白い、と先人は言っているではありませんか。このまま引いてどうするのですか?」
今まで諦めかけていた自分が情けなくなった。
さっきまでの死にそうな顔や諦めの感情が出ている顔をすべて振り払い、
はやては顔をきりっと引き締めた。
「……せや、あきらめたら終わりやったね。ありがとう、リインフォース」
そう。まだ諦めてはいけない。
そういえば、卓の上のはやての味方はカリムだけではなかったのだ。
はやては目を閉じ、口ずさみ始めた。
「……あきらめたーら おーわーりー 気もーちを リセットしてー……」
「はやて……!? 大丈夫!?」
はやての意識が戻り、顔が上がった。
心配して声をかけ続けていたカリムに応えると、帽子を拾ってまた深く被る。
帽子と前髪に隠れたはやての目が、一瞬光ったような幻想を対面のトーレが見た。
「大丈夫やカリム、任しとき」
「はやて……!!」
-
思わずカリムの目に涙が光る。
もうこの半荘も南三局だが、やっとはやてが本領を発揮してくれるのだ。
「ん〜…おっしょ―――――い!!」
気合を入れるためなのか、はやては謎の掛け声を研究所の天井目掛けて叫んだ。
その声はあまりに大きくかつ内容は意味不明。
少なくとも、か○ぐち○いじの漫画が読めないミッドの人間にとっては。
「……咆号、か?」
「あまりの点差にネジが飛んだのでしょうか、ドクター」
「さぁ……? でも彼女が相当追い詰められているのは確かだ」
トーレとスカリエッティは首を傾げるが、局はそのまま続行される。
はやての上家のカリムは、はやての復活にほっと胸をなでおろしていた。
点数云々はまだ問題山積ではあるが、とにかくやる気だけは復活してくれた。
カリムは場を見ながら、索子を捨てる。
萬子と筒子の多いはやての河から、索子の染め手狙いではないかと察しを付けての判断だ。
「ロン」
「っ!? しまった!!」
一瞬の気の緩みだったのだろうか。スカリエッティの事をまるで考えていなかった。
笑みを浮かべながらロンアガりを宣言するスカリエッティ。
これでもうほぼ終わり。はやてはスカリエッティに追いつけない。負け確定。
振り込んだカリムの視界がぐにゃあと歪んだ。
「ロン!! ロン!! ロンロン!! ロンっ!! ふはあはははははははははっ!!」
スカリエッティを駆け巡る脳内物質。
β-エンドルフィン。チロシン。エンケファリン。
バリン。リジン、ロイシン、イソロイシン。
「たまらないよこの感覚!!」
思わず椅子から立ち上がり、スカリエッティが咆号を上げる。
狂気の表情、狂気の思考、狂気の麻雀。
ついにスカリエッティははやてを突き放し、見事にはやてのリンカーコアを破壊しつくした。
「ロン」
「は……?」
……と思っていた。
伏せていたはやての目線がいつの間にか上がり、スカリエッティに刺さる。
さっき起き上がるまでの力の無い表情などどこへ行ったのか。
明らかに何か企んでいるような瞳を向けていた。
「聞こえんかったんか? ジェイル・スカリエッティ、頭ハネや。『湖の騎士・シャマル(緑一色)』!!」
「や、役満……っ!?」
「カリム、ごめんな直撃してもうて」
「いえ……はやてが、これでスカリエッティを捲くってくれたから……どうってこと無いわ」
はやての復活に、カリムはつい口に手を当てて嗚咽を漏らしながら涙を流す。
死ぬかと思っていた。ずっと一人で戦っているような気がして怖かった。
-
その結果が今やっと開いたのだ。まるで嶺の上に咲き誇る一輪の花のように。
「さーて……まだや。まだ終わらんよ」
はやては騎士甲冑の腕を捲くり、タバコチョコを咥え、卓へ意識をダイブさせる。
仕掛けるタイミングが早くなる。完全に自信も点棒も取り戻した。
緑一色を機に役も作りやすくなり、ナンバーズをどんどん手の中に収めていく。
「ロン。『鉄槌の騎士・ヴィータ(紅一色)』、オットー頂きや」
「ツモ。『剣の騎士・シグナム(紅朱雀)』、ウェンディを貰うで」
「ロン。『盾の守護獣・ザフィーラ(青洞門)』、ウーノと引き換えようか」
はやてがアガる役はローカル役ばかり。
今回のルールでは役満になるわけでもなく、あまり意味の無いことの様にも映る。
しかし、はやてはその役一つ一つに自らの守護騎士にちなんだ名前を個人的に付けて打っている。
それだけではやての後ろに騎士たちがいるかのような安心感。強運……いや、豪運。
完全にはやては場のペースを操っていた。
「……ははっ」
数回目の半荘、はやての親が回ってきた。
すでにナンバーズは全員はやての物になっており、最後はスカリッティの逮捕のみ。
しかも既に一回跳満をぶち当てており、逮捕まであと一手……いや、テンパイ状態。
いつものように牌を集め手元で目を通すと、はやての口から笑みがこぼれた。
「なぁスカリエッティ。この牌、イカサマでけへんように作ってあるんよね?」
「ああ、この牌にはどんなすり替えも削り取りも無意味だ」
「……そうか。ならこの牌は不良品やね。カン」
はやてが牌を山から取ってくると、直ぐにその牌を含めた四枚の白牌を寄せる。
体力の限界に近づいてきた体に鞭を打ち、嶺上牌へと手を伸ばす。
「カン」
珍しく引いてきた牌でまた鳴けるようだ。
しかし、ここではやての指先に明らかに異変が見て取れた。
カリムもトーレも、思わず声を上げた。
「え?」
麻雀牌の防御壁と、はやての手の先の魔力刃がぶつかり合う。
まるで全開バトルの時のような火花がはやての手先から散り、ギチギチと麻雀牌が音を立てる。
そして、バキンという大きな音と共に真っ白い『五枚目の白牌』が現れた。
「え、ちょ、ま、はやて!?」
続いてフェイトも声を上げる。
はやての騎士甲冑は、リンカーコアの小ささに比例して防御力が下がっている。
防御壁とぶつかったことによる火花だけで、少しづつ甲冑がぼろぼろと剥がれていった。
それでもはやては気にしない。手先に力と魔力を込め、牌に白い命を吹き込んでいく。
甲冑の上着が無くなりアンダーウェアだけになっても、はやては止まらない。
そのまま六枚、七枚、八枚と白を作り、牌を寄せた。
「もいっこカンや!」
アンダーウェアに火が点いた。
その火はやがて大きな炎となり、まるではやて自身ががレヴァンティンにでもなったかのよう。
紅蓮の炎に身を焦がし、歯を食いしばりながら、なおもはやては鳴き続ける。
-
「はやて!? やめてっ!! そんな事したら、はやてが塵になっちゃう!!」
あまりに痛々しい姿になっても闘牌を続けるはやてに、思わず後ろのフェイトが叫んだ。
目には涙を浮かべ、今にもはやてに駆け寄り麻雀を止めてしまいそうだ。
しかしはやてはフェイトに顔を向け、その闘志に満ち溢れた目でフェイトを制した。
「塵……? ならその時は。フェイトちゃん、その塵を集めてスカリエッティの前に置いてくれんか?」
「えっ」
「たとえこの身が塵芥に成り果てようとも……私はこの世界を守るんや!! カン!!」
遂にアンダーウェアも燃え尽きた。
形の整った美しい肢体のすべてを晒しながら、はやての腕は嶺上牌へともう一伸び。
乳房を揺らしながら椅子から立ち上がり、思い切り振りかぶる。
はやては力の限り卓にツモった牌を叩きつけ、場に稲妻を叩き落した。
「……リンシャンツモ。字一色、三暗刻、四槓子、白4。青天井ルールで無いだけ安心しいや」
すでに炎は消え、はやては全裸で卓の前に仁王立ちしていた。
右手を卓の真ん中に置き、左手は腰に添え、スカリエッティににじり寄る。
はやては自分の麻雀力だけでは無く、ベルカの騎士としての力、魔法の底力を見せ付けたかった。
だからあえてイカサマ手でトばしたのだ。
「び……『天地創造(ビギニング・オブ・ザ・コスモス)』……だと?」
「せや。 『御無礼、トビですね。スカリエッティ』」
機動六課に魔物は二人いた。
一人は、どんなに打ちのめされても最後には必ず勝利をモノにする不屈のエース・オブ・エース、高町なのは。
もう一人は、麻雀牌に愛され麻雀卓の上でその黒い翼を広げる夜天の主、八神はやて。
「待て! 明らかに轟盲牌を使ったイカサマ……!!」
「いや、良いんだよトーレ」
言い掛かりをつけようと席を立ったトーレを、スカリエッティが手で遮る。
完全にハコを被ったスカリエッティは椅子に背中を預け天を仰ぎ、そして高らかに笑い始めた。
「くっくっく……あっはっはっはっ!! そうか、私の欲望はこれでは達成できるわけが無いな」
「ミッドチルダにこんな魔導士、いや、雀士が居るなどとは!! 負けたよ……」
完全敗北。自ら作り上げた可愛い戦闘機人たちが捕まっていく知らせもモニターに映し出されている。
笑いが止まり、スカリエッティはがくんと首をうなだれた。
そして静かに両手首を差出し、はやての後ろに居るフェイトに向かって呟く。
「約束だ。私は逃げも隠れもしない」
「ジェイル・スカリエッティ……貴方を逮捕します」
フェイトは淡々とスカリエッティを拘束し、次にトーレとセッテを拘束しようとするが、
ガシャンと牌をぶちまける音がして思わず卓を見た。
「は、はや……て……?」
はやての真っ白い背中と卓のグリーンの対比が鮮やか過ぎて、なぜか恐怖を覚える。
ぎりぎりまでリンカーコアをすり減らして闘ってきた集中力が、ついに切れてしまった。
まさに全力全開で、はやてはきっちり力を使い切ったのだ。
-
「ブラスタースリー!! ディバイン……バスタ―――――っ!!」
「きゃあああぁぁあぁっ!!」
スカリエッティがハコを被ったのとほぼ同時刻。
なのはの全力全開が、逃げ惑うクアットロに直撃した。
瓦礫の中で空間モニターを開くと、フェイトに無抵抗で連行されるドクターの姿が見える。
満身創痍の体で虚空をつかむように手を伸ばしたクアットロ。
いったい、自分たちには何が足りなかったのだろうか? その答えが、モニターに映っていた。
「八神はやて……! お前の運をワタシにくれや、ドクターに……くれや……」
それだけ力なく呟くと、クアットロの視界が暗転した。
―――――数ヵ月後。
すっかりピンフ、ではなくて平和を取り戻した機動六課の指揮官のデスクで、はやてがモニターを開いている。
スカリエッティ麻雀で削られたリンカーコアも無事全快。またいつもの様に仕事に戻る……
「ロン。メンタン三色やで、クアットロ」
「くぅ……っ!!」
……わけが無かった。
空間モニターは軌道拘置所の三つの部屋につながっている。
スカリエッティの監房、トーレの監房、クアットロの監房。
はやては仕事の合間を縫って、よくこの三人とネット対戦麻雀をするようになった。
「しっかし、あの時で一生分の勝負運を使い果たしてしまったような気もするわ……あ、カン」
モニターをタッチして牌を四枚寄せる。
それだけで画面にミッドチルダ語で『和了(アガリ)』と表示され、役が画面に晒された。
「お、リンシャンツモや」
『くっくっく、嶺上開花だけでも十分強運だと思うがね』
囚人服を纏ったスカリエッティが、はやての愚痴に苦笑する。
軌道拘置所に入りはやてと麻雀を打ち始めてもう2ヶ月。
モニター越しとは言えトリオ打ちになっているはずの拘置所組は、未だトータルでだれもはやてに勝って終わったことが無い。
さすがに地下施設内での闘牌のような悪魔じみたオーラはもう出ないが、それでも十分やっていけるはず。
「それがあかんのよ。これじゃ来年の予算を『ごっそり』取れへんもん……」
(確かにドクターの言った通りです。この狸……じゃなかった。この女、底が知れない……!!)
モニター越しにくねくねと体をくねらせながら、親指を咥えて愚痴をこぼすはやて。
その姿を見て、トーレはいろんな意味で背筋がぞくっとした。
自分はこんな人間と戦っていたのか。戦力と言うより、器の違いが感じられる。
「せやから、今のうちにこうやって勝負勘を……お、リー」
「あ―――――っ!! はやてちゃんがまたサボってるですっ!!」
リーチボタンに手をかけようとしたはやての耳に、甲高い声がビリビリ伝わってくる。
ふよふよと浮かびながらはやてに近づくのは、我等がちっちゃい上司・リインフォースⅡ。
はやての目の前に現れ、腰に手を当ててプリプリと頬を膨らませている。
「全く、今は勤務中ですよっ! 幾らマイスターでもこれだけはガツンと言わないと気が済まないですっ!!」
「あ、あはははは……トイレの窓から逃げたるっ!!」
「何でトイレなんですかっ!! 許しませんよはやてちゃんっ!!」
一瞬の隙を突き、はやてが部屋のドアまでダッシュ。
リインはその後を追いかけ、燃費も気にせず高速ではやてを目掛け飛んでいく。
残されたのは、開きっぱなしの空間モニター。
「……どうします? ドクター」
「まぁ、今日はこれでお開きだろうな。それともサンマ(三人麻雀)に切り替えるかい?」
「ぜひともやりましょう!」
トーレとクアットロが、スカリエッティの案に乗る。
となると、今の局は強制リセットで閉じられてしまう。
はやての画面が消える前に最後に映っていたのは、筒子の一気通貫・東二枚・北二枚の『東北新幹線』シャボ待ちテンパイ。
なんとも『はやて』らしい役が、麻雀という底の知れない闇に舞い降りていた。
終了。
-
以上、お付き合いありがとうございました。
おかげで麻雀のいい勉強になりました(?)
司書様へ。
前々作・「ヤガミ 〜闇に降り立った夜天の主〜」と
前作「ムダヅモ無き管理局改革 〜ミッドチルダ電撃作戦〜」と今作の三作を、
「夜天牌 〜リリカル麻雀飛竜伝説〜」のタイトルでまとめていただけますでしょうか。
では、またお会いしましょう!
おまけ
―――闘牌指導(嘘)―――
○永 咲様
原○ 和様
片岡 優○様
池○ 華菜様
東横 ○子様
○木 し○る様
鷲○ 巌様
○泉 ジュ○イチ○ー元総理大臣様
麻○ タ○ー総理大臣様
ジ○ージ・W・○ッシュ大統領様
ベ○ディ○ト1○世教皇聖下様
阿○田 ○也様
○南 善一様
爆○ 弾○郎様
人鬼様
哭きの○様
雨○ 賢様
植○ 佳奈様
小山 ○志様
―――スペシャルサンクス(本当)―――
n氏
G氏
-
修正
>>541
「〜のタイトルでまとめて」→「〜のタイトルで長編3作扱いに」
よろしくお願いします。
-
投下乙っした!
相変わらず氏のSSは面白いっすねww
-
なんという超人麻雀
-
>>541
麻雀よく知らないけどワラタwwww
GJ!!
-
ども。また欝だけど、まあ思いついてしまったのだから。
二レスです。
欝・グロ注意 あぼんはコテかIDで
タイトル「無知は危険」
-
1
ごぼっごぼっ
嫌な音。
息が漏れている。漏れたところから血が出てる。漏れた息と流れる血が混じって、血の泡がもこもこと。
痛いよ、痛いよ、痛いよ。
助けて、助けて、助けて。
助けが来ないことは、自分が誰よりもよく知っている。
誰も来ない。自分がここにいることは誰も知らないのだから。
誰にも内緒で、一人だけでここまで来たのだから。
囓られているお腹。割れた皮を左右から引っ張られて、内圧で臓物がはみ出ている。
もう、手も足も動かないから、抵抗はできない。柔らかいところから食べられていくだけ。
お腹を囓られて、開かれて、内臓を引きずられて。
それは温かい臓物を食べている。血にまみれて、体内から漏れ出す独特の臭気に包まれて。
ねえ、美味しいの? と聞きたくなった。せめて、そうであって欲しい。
だって、食べられているのに。
この自分の命を奪っているのに不味いだなんて、それはあまりにも酷すぎる。せめて、美味しく食べて欲しい。
何でこんなになって自分は生きているんだろう、という疑問はなかった。
当たり前だけれど、死ぬなんて初めてのことなのだ。だから普通なんてわからない。皆が皆、こんな風になるのかと考えている。
痛みはない。もう麻痺している。痛いというより、辛くて苦しい。
可愛らしい子供を見つけたから。だから、お友達になろうと思っただけ。
親がいるなんて思わなかった。いや、親がいても別に構わないと思った。だから、気にしなかった。
子供と一緒に遊んでいると、親が来た。
親に、牙をむかれた。
喉笛を噛みきられた。
手足の関節を噛み砕かれた。
それでもう、動けなくなった。
痛かったのは最初だけ、すぐに痛覚が麻痺してしまった。
違うんだ、と最初に思った。
これが本物なんだ、と何故か思った。
教えてくれれば良かったのに。
これが本物なんだと、教えてくれれば良かったのに。
ママは、なんてうっかりさんなんだろう。
ママはきっと泣くんだ。とっても、とっても泣くんだ。
ごめんね、ママ。私、賢くなかったんだよ。
皆が言うほど賢くなかったんだよ。
ごめんね、なのはママ、フェイトママ。
だって……だって……
ヴィヴィオは、ザフィーラしか知らなかった。
狼とは、皆ザフィーラのようなものなのだと思ってしまった。
だから、野生の狼を見つけてもすぐに分かり合えるのだと信じた。
それは、大きな間違いだった。
-
2
「って言うことがないように、ちゃんとヴィヴィオにザフィーラのことを教えておいた方が良いと思うんだ。なのはもそう思うよね?」
「うん。わかったけどフェイトちゃん、ちょっと落ち着こう、怖いよ?」
終
-
以上、おそまつさまでした。
アルフ? 彼女は、ヴィヴィオには人間モードで接していいると思うんだ。
-
>>549
んー……
何だかなぁ…、オチが有るとは言えやり過ぎとしか言い様がない気が…
-
GJ!
酷いオチだなぁwww
ギャップが凄かったですww
-
GJ!!です。
フェイトさんグロイです。具体的過ぎるw
-
むしろ誰かガチでグロもの書いて欲しい
-
はやゲンが読んでみたい。
つか、誰がこの二人にフラグが立ってるって思ったんだw?
-
はだしのゲンかと思った
-
なのはさん拷問なら書けないこともない。
-
戦闘を
一心不乱の戦闘ssを
-
ジャンルは何でもいいからエロいのが読みたい。
最近は実用性があまり無い
-
>>554
呼ばれた気がする。ちょっと待っててくれ。
-
>>559
よろしく頼む。正座して待ってる。
-
↑全裸でが抜けているぞ、当然ネクタイ着用は言うまでも無いな?
-
>>560
そろそろ寒くなってくるから靴下も忘れずにな
俺も>>557の要望に応えられるようちょっくら頑張ってくるぜ
-
ネクタイだの靴下だの身に着けてたら全裸じゃないような気がするけどどうでもいいぜ
-
久々です。
非エロですが投下いきます。
注意事項
・sts再構成
・非エロ
・バトルあり
・オリ展開もあり
・基本的に新人視点(例外あり)
・ガリューは近距離パワー型、インゼクトは群体型の遠隔操作型。
・タイトルは「Lyrical StrikerS」
-
第7話 「ホテル・アグスタ」
徐々に多忙を極めるスケジュールの合間を縫い、はやては古巣である陸士108部隊の隊舎を訪れていた。
ここは彼女が指揮官研修を受けた陸士部隊であり、スバルの父親であるゲンヤ・ナカジマ三等陸佐が部隊長を務めている。
レジアス中将の口添えで陸士部隊の協力を扱ぎつけることができたはやては、旧知であるゲンヤにレリックの密輸ルートの調査を依頼していた。
そのため、機動六課設立後に彼女が恩師と会うのはこれで二度目である。
強面の顔に似合わず寛容で話のわかる彼は、急な来訪にも快く応じてくれた。
だが、教え子の訪問で頬に浮かんでいた微笑は、はやてがレリック事件の捜査状況を語ったことで表情を一変させた。
「ジェイル・スカリエッティか……………噂だけなら俺も聞いたことがある」
老け気味の顔を更にしかめながら、ゲンヤは呟く。
六課の初出動から2週間が過ぎ去り、レリック事件の幾つかの進展を迎えていた。
その1つが、事件の影に見え隠れする重要参考人の判明である。
「ロストロギア関連事件を始めとして、数え切れない罪状で広域指名手配されている、第一級捜索指定の次元犯罪者。
うちのテスタロッサ・ハラオウン執務官が、数年前から独自に追い続けている男です」
どこの世界にも、異端と呼べる者は存在する。
ジェイル・スカリエッティという男もその1人だ。
出身・経歴全てが不明。歴史に名を刻む程の天才と称されながらも、生命操作や生体改造等の違法研究に手を染めたことで管理局に追われており、
数多くの世界で彼が利用していたと思われる違法研究施設が見つかっている。
だが、その知名度や足跡の多さに反して、管理局は彼に関する情報をほとんど掴めていない。
そのため、ジェイル・スカリエッティの名を公の場で語ることは局内でタブー視されており、一般局員の中には彼の存在を知らぬ者もいる。
フェイトからその存在を教えられなければ、自分が彼を認知するのはもう数年は先になっていただろう。
「そいつがレリック事件に絡んでいるってわけか?」
「破壊されたガジェットの残骸から、彼のものと思われる署名が見つかりました。
騙りの可能性もありますが、状況を考えれば7分というところです。
彼ほどの天才なら、機動兵器にAMFを仕込むのもそう難しいことではないはず。
ガジェットがレリック目当てで場当たり的に動いているところから見て、恐らくは単独犯」
「そいつはちと早計じゃないか? スカリエッティは俺達の目を逃れながら異世界に高度な研究施設を建設しているんだろう?
言い方は悪いが、こいつは密輸や強請りみたいな真っ当な犯罪は犯しちゃいねぇ。なのに、短期間で幾つもの施設を
複数の世界に建設できるだけの資金を持っている。ガジェットに大工の真似事をさせているとしても、
色々と辻褄が合わないと思わないか? 黒幕かスポンサーか知らないが、少なくとも大物が1人は絡んでいると俺は思うな」
ゲンヤの言葉に、はやては神妙な表情で頷き返す。
はやて自身、管理局が何年も追いかけていながらスカリエッティの指紋1つ採取できていないことに疑問を抱いていた。
いくら身軽な単独犯といえど、個人で組織を相手にすることには限界がある。だが、捜査に影響を及ぼせる者がバックに付いていたとしたら?
そう思わせる状況証拠は、実は既に見つかっている。署名とは別に、破壊されたガジェットの残骸からジュエルシードと呼ばれるロストロギアが見つかったのだ。
当事者ではないため、余り詳しいことはわからないが、ジュエルシードはかつてなのはとフェイトが出会うきっかけとなった
プレシア・テスタロッサ事件(PT事件)において騒動の中心となったロストロギアであり、2人にとってはとても因縁深い代物であるらしい。
回収されたジュエルシードはその後、本局の保管庫で厳重な管理体制に置かれていたが、数ヶ月ほど前に研究目的で地方の施設に貸し出され、
そのまま何者かに強奪されている。状況からして、スカリエッティがフェイトやなのはへの挑戦状としてガジェットに埋め込んでいたと思われるが、
問題なのは強奪されたことを当事者である2人はおろか、その事件の対応に当たったかつての提督達すら与り知らなかったことだ。
同じ第一級捜索指定ロストロギアでありながら、ジュエルシードはレリックよりも遙かに危険度が高い。
場合によっては幾つもの次元世界が次元震によって消滅する危険すらあるロストロギアが紛失していながら、
それに関する情報が出回っておらず、遺失物管理部も目立った動きを見せていない。
何者かがジュエルシードを外部に持ち出す算段を付け、強奪の情報を隠ぺいして捜査妨害を行っているという推論は十分にできる。
-
「とにかく、密輸ルートの洗い出しと監視を強化する必要があるな。片手間でできる仕事じゃなくなったぞ、これは」
「すみません、お手数おかけします」
「気にするな、捜査の主導権はそっちにあるんだからな。寧ろ、こんなでかいヤマに2人しか人員を割けなかったうちの方が謝るべきだ」
「ギンガとカルタス主任だけでも、十分に心強いです。ハラオウン執務官も彼女と合同捜査ができて喜んでいましたし」
「ああ、あいつもハラオウンの嬢ちゃんの下で働けるって喜んでいたよ。まったく、ギンガといいスバルといい、
うちの娘はお前んとこの嬢ちゃん達とつくづく縁があるな。うちのもう1人は元気にやっているか?
見ての通り喧しい奴だからな、迷惑になってないと良いが」
「スバルも頑張ってますよ。あの娘がいると、部隊が凄く明るくなります。
魔導師としても、かなり伸び白の人材ですし」
「そうか? そいつは良かった。けど、お前が新部隊を作るって聞いて不安だったが、
なかなかうまく回っているみたいだな?」
「レジアス中将が色々と便宜を図ってくれてますから。最も、見返りで扱き使われていますけど。
今日だって、うちのフォワード総出でホテル警備なんかさせられて………………」
「なるほど、それで捜査主任の執務官殿が今日は不在という訳か。まあ、組織なんざそういうもんさ。
しかし、お前も変わったな。昔のお前は、何て言うか正しいことのためなら法律や組織の枠なんか知ったことかって感じだったのによ。
部隊長になってからは根回しやら打ち合わせやら、きっちり筋を通すようになったじゃないか」
「それ、褒めているんですか?」
「好きに受け取ってくれ。ま、大人になったってことじゃないか?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、ゲンヤは冷め始めた湯呑みを静かに啜る。
ふとはやては、自分の大切な家族である緋色の剣士を思い出した。
こうして教え子をからかうゲンヤの姿に、好敵手であるフェイトをからかうシグナムの姿がダブって見えたのだ。
「うん? どうした?」
「いいえ、別に」
首を傾げる恩師に対して、はやては澄まし顔で答える。
程なくして、捜査会議の準備が整ったとカルタス捜査主任から通信が入り、2人は応接間を後にした。
向かった会議室では、既に両部隊の主要な捜査メンバーが席に着いており、彼らと向かい合うように並べられた奥の机には、
第108部隊の捜査主任であるカルタスが左端の席に座っている。いつもはフェイトが座っている反対側は空席だ。
その中央、空席となっていた中央の椅子に腰かけたはやては、隣にゲンヤが着席するのを待って、厳かに口を開く。
「それでは、今週の捜査会議を始めましょうか」
□
機動六課に与えられた今回の任務は、ホテル・アグスタで行われるオークションの会場警備であった。
アグスタの周辺の土地はクラナガンの中央区に位置しながらも自然が多く、ホテルの周囲にも深い森が広がっていて視界が悪い。
風光明媚と言えば聞こえは良いが、実際のところ攻めるに易く守りに難い場所だ。
身を隠せる障害物も多く、有視界での戦闘は非常にやり辛くなる。
最も、それは部隊長である八神はやてもわかっていることなので、今回は戦力に出し惜しみをしなかった。
オークションの前日から副隊長2名と交替部隊に夜間警備をさせ、当日は交替部隊と入れ替わる形で
隊長2人と新人4人を警備に宛がう。事実上、これが機動六課の全戦力といっても過言ではなかった。
(改めて見ると、本当に過剰戦力ね。けど、これだけの力をたかがオークションの警備に持ち出すなんて、
部隊長は何を考えているのかしら? 上からの命令って言葉だけじゃ説明できない。
このオークションに何かがあるってことかしら?)
ホテル裏手の警戒を任されていたティアナは、周囲の様子に気を配りながら、そんなことを考えていた。
機動六課はロストロギア関連の事件に対処するための部隊であり、レリックの回収と封印を主目的として設立されたと明言されている。
無論、その過程で調査や探査は行う訳だが、基本的には事件が起きてから対応する火消しとしての役割が大きい。
酷な言い方だが、事件が起きない限り機動課は動くことができないはずなのである。
なのに、今回の会場警備は機動六課が行うことになった。それも、六課単独での任務である。
大規模オークションは密輸などの隠れ蓑になりやすいとはいえ、必ずしも全てのオークションで密輸が行われるとは限らないし、
そもそも複数の部隊を同時展開した方が遙かに効率的に周囲を警戒できるはずだ。
量より質の機動六課では、どうしても手の届かない警備の穴ができてしまう。
-
(まあ、六課が異常なことなんて、今に始まった訳じゃないけれど)
ニアSランクとAAランクで構成された固有戦力“ヴォルケンリッター”を個人で所有している八神はやてを筆頭に、
オーバーSランクの隊長2人と未来のエリート候補達で固められたロングアーチ。
幼年でありながらも自分と同じBランクを取得しているエリオに、レアスキルである竜使役を持つキャロ、
危なっかしくはあっても潜在能力と可能性の塊であり、色んな意味で規格外なスバル。
機動六課の戦力は、無敵を通り越して明らかに異常だ。
そんな中で、凡人は自分だけ。
新人の中では断トツで魔力が低く、大した技能も保有していない射手。
エリオのように立ち回りを演じることはできず、キャロのようにレアスキルを持っている訳でもなく、
スバルが持っているような力もない。
得意の射撃にしても命中率は決して高いものではなく、必死で習得した幻術も実戦では決め手に成りえない。
突出したものを何一つ持たない凡人、それが自分だ。
(スバルには悪いけど、あの娘といると考えさせられるのよね。努力しても越えられない壁があるんじゃないかって。
Bランク試験の時も、スバルがいなくちゃゴールできなかったし。なのはさんから教導を受けても、
本当に強くなれたのか実感が持てない。誰よりもあの人と一緒にいる時間が長いのに、あたしは他の3人の才能に追いつけていない。
あたしが、誰よりも長くあの人に教えを受けているのに)
ティアナは無意識に、奥歯を噛み締めていた。
強くなりたい。
強くなって、夢を掴みたい。
なのに、自分には才能がなくて、天才達の背中を追いかけるのがやっと。
ひょっとしたら、追いかけることでさえできていないのかもしれない。
「もっとだ、もっと頑張らないと……………あたしは………………」
握り締めた指の爪が手の平に食い込み、ジンワリとした痛みが広がる。
ロングアーチからガジェット襲来の通信が入ったのは、その直後のことであった。
□
『陸戦Ⅰ型、機影30……35……』
『陸戦Ⅲ型、2…3…4………はっ、空戦Ⅱ型、18! 22!』
『前線各位、状況は広域防御線です。ロングアーチ01の総合管制と合わせて、私シャマルが現場指揮を執ります。
各フォワードはホテル前に集結し、防衛ラインを形成。隊長、副隊長はガジェットの迎撃をお願いします』
『ライトニングF、了解』
『スターズ04、了解!』
「スターズ01、了解」
緊迫したやり取りが通信で交わされ、スバルの緊張は否が応にも高まっていく。
震える手の平は汗に塗れ、舌が異様に乾いていた。返事もいつもより固い声音になっていた気がする。
思えば、防衛戦を経験するのはこれが初めてだ。
火事場の炎や崩れたビルに飛び込み、熱さや暗闇に苦しむ要救助者を安全な場所まで運ぶことはあっても、
無傷の人々を脅かす脅威と戦ったことはない。
今、自分の後ろにいるのは何も知らずに朝を迎えた無垢な命達だ。
昨日と同じ今日が来ると信じ、何事もなく平和な一日が終わると願う人々だ。
自分達が仕損じれば、背後にいる彼らが危険に晒されることになる。
その認識は、レスキューとはまた違う緊張をスバルに与えていた。
「緊張している?」
「えっ………なのはさん?」
傍らで共に警戒任務に当たっていたなのはが、優しい笑みを浮かべながら肩に手を置いてくる。
強張った体が僅かに跳ね上がり、背筋を寒気にも似た震えが走る。
意味もなく吐かれたため息は重く、まるで現場に出たての頃のようだ。
「大丈夫、スバルちゃんなら上手くやれるよ。君の魔法は、大切なものを守れる力。
自分の思いを貫ける力。自分を信じて、思いっきりやってみよう」
「は、はい」
「前にも言ったけど、わたし達は通信で繋がっている。周りが敵だらけでも、私達は1人じゃないの。
何かあれば互いにフォローし合えるし、力を合わせれば困難にも打ち勝てる。
戦うのはスバルちゃんだけじゃない。みんなが一緒だってこと、みんなに守ってもらえるってこと、忘れないで」
なのはの言葉が、スバルの緊張を1つ1つ解き解していく。
自分は1人じゃない、気負う必要はない、一緒に戦えば困難にも打ち勝てる。
そんな当たり前のことを忘れていた自分が情けなかった。
結局、自分はまだ未熟な新人なのだ。
初出動を成功させ、毎日の辛い訓練をこなしていることで少し調子に乗っていたようだ。
自分は1人で戦っている訳ではない。それぞれに果たすべき役割があり、力を合わせることで理不尽に抗う。
それがチームだ。
それが機動六課だ。
-
「なのはさん、ありがとうございます。あたし、やれそうです」
「うん、地上は任せたよ。わたしはフェイト隊長と一緒に空を抑えるから、一緒にはいられないけど、
ティアナの指示に従っていれば、きっとうまくいくよ」
「はい!」
力強い返事に満足したのか、なのははバリアジャケットを展開して空へと舞い上がる。
その背中を見送ることなく、スバルは踵を返して自分の役目を果たすために駆け出した。
背中に感じる距離感が、そのまま今の自分達の実力差を表しているように感じた。
この地上と空を隔てる距離を、いつかは埋めたい。少しずつでも良い、自分の力で、
あの人のように空を羽ばたきたい。揺るがない力で命を守り、優しい言葉で心を救いたい。
今は無理でも、いつか必ず。
だから、今は自分に課せられた役目を果たそう。
その道の先に、あの人の背中があると信じて。
□
どことも知れない暗闇の中で、1人の男が禍々しい金目を輝かせていた。
ジェイル・スカリエッティ。
レリック事件の陰で暗躍する広域次元犯罪者。
彼の瞳が見据える先には、巨大な仮想ディスプレイが展開しており、そこには森林を押し倒しながら進軍するガジェットと、
それらを迎撃する魔導師達の姿が映し出されていた。
「ふむ、警備は一部隊のみと聞いていたが、まさか機動六課を宛がってくるとは……………これは私へのプレゼントか、
それとも彼なりのジョークと見るべきか。何れにしろ、余り宜しくない展開だね」
今のところ、戦況は相手側が優勢である。
ガジェット達は物量でこそ圧倒できているものの、それを撃ち落とす面々は何れも一騎当千の古兵達ばかり。
ある者は苛烈な剣戟で大型ガジェットを切り刻み、ある者は正確な射撃で小型ガジェットを撃ち抜き、
ある者は鉄壁の守りでガジェットの進軍を足止めする。空でも2人の魔導師が防衛ラインを形成し、
地上への侵攻を抑え込んでいるようだ。
如何に強力なAMFを有していても、プログラム通りに行動し、無秩序に破壊を振りまくだけの木偶では手に余る相手である。
「さて、アレを連中より先に確保できれば、マテリアルを手に入れる取引がやりやすくなるのだが。
やはり、ここは彼女に助力を請うべきかな。都合の良いことに、相手にはアルザスの竜召喚師がいる。
それに人造魔導師であるFの少年、ルーテシアの相手としてこれ以上に相応しい者達はいない」
狂気に彩られた笑みを浮かべながら、スカリエッティは通信回線を開く。
程なくして、前方のディスプレイに幼い少女と薄汚れた壮年の男が映し出された。
ルーテシア・アルピーノとゼスト・グランガイツ。
愛しい友人にして自分が心血を注いで造り上げた実験体達だ。
「ごきげんよう、騎士ゼストにルーテシア」
『ごきげんよう』
『何の用だ?』
こちらの挨拶に対して、両者の反応は対照的であった。
無表情ではあるが友好的な返事をするルーテシアと違い、ゼストの声音にはあからさまな敵意が込められている。
それはそのまま、彼の自分への不信の度合いを表していた。
「冷たいね、近くで状況を見ているんだろう? あのホテルにレリックはなさそうだが、
私の研究にどうしても必要な骨董が1つあるんだ。少し、協力してはくれないかね?
君達なら、実に造作もないことなのだが……………」
『断る。レリックが絡まぬ限り、互いに不可侵を守ると決めたはずだ』
静かに、だが有無を言わせぬ調子でゼストは答える。
予想通りの答えに、スカリエッティは内心で笑みを禁じ得なかった。
そもそも、スポンサーから彼らへの協力を控えるようにと命じられているが、スカリッティからすればそんな命令など守る義理もなく、
必要とあらば適宜援助の手を差し伸べている。金銭の援助こそしていないが、衣食住はきちんと保障しているし、定期的な健診も行っているのだ。
しかし、ゼストはそれを甘受することを是とせず、ルーテシアを伴って不憫な放浪生活を送っていた。
彼がこちらの助力を断るのは、何も盟約だけが理由ではない。
あろうことか、古き騎士であるゼスト・グランガイツは犯罪者たる自分から幼いルーテシアを遠ざけようとしているのだ。
それでいて、自身の目的のために自分達と同盟を結び、互いに利用し合う関係を築いている。
燃えカスのような正義感と目的のために手段を選ばぬ悪意。
光と闇、2つの心の狭間で揺れ動くこの男は、胸の奥底でどれだけの葛藤を描いているのだろうか?
それを想像しただけで、自然と笑みが零れてしまう。
だが、今はその楽しみに浸っている時間はない。
元より彼を説得するなどという選択肢はこちらにないのだ。彼はあくまで傍らの少女の護衛。
真に必要なのはルーテシアの召喚魔法だけだ。
-
「ルーテシアはどうだい? 頼まれてくれないかな?」
『良いよ』
被っていたフードを下ろし、ルーテシアは静かに頷く。
ゼストと違って、彼女は自分達に好意的な感情を抱いている。
最も、彼女はそれを感情として認識することはできない。長い時間をかけて、自分は心を持たない人形であると刷り込んでいるからだ。
これはゼストが自分達を快く思わない要因の1つでもある。
『良いのか、ルーテシア?』
『私はドクターのこと、嫌いじゃないから』
「ありがとう。今度、お礼にお茶とお菓子でもご馳走させてくれ。君のブーストデバイス“アスクレピオス”に、
私が欲しいもののデータを送ったよ。貴重なものだから、ケースは開けないでくれたまえ」
『うん。じゃ、ご機嫌ようドクター』
「ああ、ご機嫌よう。吉報を待っているよ」
その言葉を最後に、スカリエッティは通信を切った。
だが、映像と音声は適当なガジェットを経由してディスプレイに映し続けている。
画面の向こうではルーテシアが厳かな声音で詠唱を紡ぎ、紫色の魔力光を伴って無数の蟲達が呼び出していた。
インゼクトと呼ばれる極小の蟲達は、一匹一匹が自律行動可能な機械を制御し、操る力を有している。
彼女はまずそれをガジェットに取りつかせ、劣勢を覆すつもりのようだ。
「素晴らしい。だが、これすらも彼女の能力のほんの一端。さて、今回はどんなデータを取らせてくれるのかな、機動六課の面々は?」
悪魔のような哄笑を上げながら、スカリエッティはディスプレイ上で展開される戦いに注視する。
禍々しい金色の瞳は、まるで新しい玩具を与えられた子どものようにおぞましくも純粋な光を宿していた。
□
その時、キャロは左手に燃えるような熱さを覚えた。
見下ろした左手のケリュケイオンの宝石が眩い輝きを放ち、何かに共鳴している。
それはここからずっと向こうにいるはずなのに、まるで手に取るように存在を感じ取ることができた。
本能的にキャロは感じ取った。誰かが、そう遠くない距離で召喚魔法を行使している。
「キャロ、どうしたの?」
「わからない。けど、わかるの。誰かが召喚を使っている…………シャマル先生!」
『クラールヴィントのセンサーにも反応。この魔力反応…………オーバーS!?』
「遠隔召喚、来ます! エリオくん、跳んで!」
「っ!」
エリオが跳躍した刹那、先程まで彼が立っていた場所に無数の熱線が撃ち込まれる。
舞い上がった砂埃の向こうから現われたのは、11機ものガジェット達だ。
どこからともなく転送されてきたガジェット達は、前回の戦いよりも遙かに機敏な動きで散開し、
こちらの防衛ラインを突き崩さんと襲いかかって来る。
「召喚魔法での、奇襲攻撃!?」
「優れた召喚師は、転送魔法のエキスパートでもあるんです」
「何でも良いわ、迎撃いくわよ」
ティアナの号令でこちらも散開し、向かってくるガジェット達へ攻撃を開始する。
だが、撃ち込まれた魔力弾は尽く回避され、今までよりも遙かに強力なAMFがこちらの魔法を打ち消してくる。
ティアナが張り巡らせた橙色の弾幕はまるで意味を成さず、スバルやエリオも本来の力を発揮できずに苦戦を強いられてしまう。
「こいつら、前よりずっと速い!?」
「エリオ、右から来るよ!」
「スバル、そのまま走って! エリオ、スバルが引きつけている間に各個撃破。
キャロはエリオとあたしにブーストかけて!」
「は、はい!」
『待って、補助は私とクラールヴィントがするわ』
『キャロは私に協力してください。作戦があるです』
「シャマル先生、リイン曹長?」
『時間がありません、手短に説明するですよ。まずは……………』
リインの説明を聞き、キャロは反射的に自身の右手を見下ろした。
難しい作戦だ。失敗すれば、全員の命を危険に晒すことになる。
けれど、この役目は自分にしかできない。
震える拳を握り締め、力強い頷きで決意を固める。
目の前では、敵をこちらに近づけまいと必死で槍を振るう少年の姿があった。
危なっかしくも力強い槍捌きを目に焼きつけると、熱い思いが胸の内から込み上げてくる。
あの子のためにも、この作戦は成功させねばならない。
-
「いきます、リイン曹長」
『はいです』
『防衛ライン、ヴィータ副隊長を戻すから、もう少しだけ持ち堪えていてね』
「待って下さい、この戦力で防衛戦を続けると息詰まります。時間が必要だって言うなら、あたしが作ります!」
『ちょっと、ティアナ………………』
シャマルが何か言おうとするが、ティアナは一方的に念話を遮断して手近な遮蔽物の陰に隠れる。
空手だった左手には、いつの間にか二丁拳銃となったクロスミラージュが握られていた。
何をするつもりなのかと考えるよりも先に、小さな光が頭上を飛び越えていく。
リインが敵の召喚師の探索に向かったのだ。
ならば、自分も課せられた役目を果たさねばならない。
ティアナへの疑問を振り払い、キャロは自身を己の意識の底へと埋没させた。
□
苛立ちが募っていく。
当たらない射撃。
撃ち抜けないAMF。
結果を残せない自分。
自分を頼りとしない指揮官。
今まで、上手く回っていた歯車が噛み合わなくなり、不快な不協和音を奏でている。
(こんなところで、足を止めてちゃいけないんだ。何のために、毎日朝晩練習しているの?
強くなるためでしょう? 自分の強さを、ランスターの強さを証明するためでしょう?
だったら、あたしがやらなくちゃいけないんだ。あたしの力で、お兄ちゃんの強さを認めさせなきゃいけないんだ)
空になった銃身を投げ捨て、新たな銃身を装着してカートリッジを補充する。
敵がどんなに強くても関係ない。
証明するんだ。
特別な才能や凄い魔力が無くとも、一流の隊長達のいる部隊であろうと、どんなに危険な戦いであったとしても、
自分の魔法が困難に打ち勝てると。ランスターの弾丸が、敵を撃ち抜けると。
「エリオ、センターに下がって! あたしとスバルのツートップでいく!」
「は、はい」
「スバル!! クロスシフトA、いくわよ!!」
「おう!!」
キャロを守りやすいようにエリオを下げ、スバルを敵陣に突撃させてガジェットの注意を引きつける。
睨みつけた敵の数は11。いや、もっと増えている。
撃ち抜けるか?
倒せるか?
答えはイエスだ。
それ以外の答えなんていらない。
炸裂する4発のリロードがその証明だ。
兄の魔法が、自分達兄妹の魔法が、あの鉄の塊を完膚無きまでに破壊する。
『ティアナ、4発ロードなんて無茶だよ!! それじゃティアナもクロスミラージュも!!』
「撃てます!!」
《Yes》
ロングアーチからの言葉を無視し、魔力を練り上げる。
両手の相棒の肯定が、今は何よりも心強い。
まだいける。
もっと魔力を。
もっともっと力を込めれば、あの強力なAMFだって撃ち抜ける。
臨界にまで達した魔力は紫電を迸らせ、張り裂けそうな痛みが全身に襲いかかった。
その苦痛に耐えながら、ティアナは撃発音声を告げる。
-
「クロスファイアァァァァァァッ、シュートッ!!!」
撃ち出された16発の誘導弾が一斉にガジェットドローンに襲いかかる。
こちらの攻撃に気がついたガジェットが回避を試みるも、既に誘導弾の雨は標的を捉えている。
一発で駄目なら二発、二発でも倒せないなら三発。相手がこちらの魔力をかき消すよりも先に、
フィールドに空いた穴を突き抜けて鋼の装甲に魔力弾を叩き込む。
撃つ。
射撃つ。
連射つ。
立て続けにトリガーを引いたことで指の皮が剥け、鮮血が手の平を伝う。
それでも、ティアナは引き金を引き続けた。
クロスファイアシュートが撃ち終われば、追撃とばかりにショートバレットを連射。
被弾を免れたガジェットに狙いをつけ、叫び声を上げながらスクラップの山を築いていく。
そう、敵を狙ったはずだった。
ちゃんと制御していたはずだった。
ガジェットの動きだって読んでいた。
なのに、どうしてその一発がスバル目がけて飛んでいる?
自己嫌悪する暇すら与えられない。
背後に迫る魔力弾を見て、凍りついた親友の表情。
自分はそれを、生涯忘れることはないだろう。
「っ…………スバルぅっ!!」
瞬間、虚空より放たれた桃色の砲撃が魔力弾をかき消し、白衣の魔導師が地上へと降り立つ。
なのはが気づいて、魔力弾を撃ち落としてくれたのだ。
「なのはさん!?」
「ティアナ、これは…………どうして、こんな……………」
「あ、あたしは……………」
表情を強張らせるなのはを前にして、ティアナは何と答えれば良いのかわからなかった。
言いたい言葉はたくさんあった。だが、口を開こうとする度に弁明の余地がない誤射の光景が瞼の裏に蘇った。
煙を上げながら瓦礫と化したガジェット達。それらに背中を撃ち抜かれたスバルの姿がダブり、
ティアナの腕が力なく垂れ下がる。
「あたしは…………あたし、は…………」
「ティア、危ない!」
撃ち漏らしたガジェットの一機が、呆然と佇むティアナへと迫る。
動かなければやられる。
わかっていても、彼女は動くことができなかった。
誤射の衝撃の余り、思考が戦うことを拒否している。
「ティア!」
「レイジングハート!」
《Protection》
「でやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ギリギリのところでなのはのバリアが間に合い、弾かれたガジェットが鉄槌の一撃で粉砕される。
ヴィータが戻って来たのだ。余程急いで戻ってきたのか、呼吸は乱れていてデバイスを提げる肩も震えている。
道中、彼女が如何に自分達の身を案じてくれていたのかが痛いほど読み取れる。
-
「ヴィータ副隊長!!」
「黙っていろ!」
スバルを一喝し、ヴィータは怒りに揺れる三白眼でこちらを睨んでくる。
「ティアナ、この馬鹿!! 無茶やった上に味方撃ってどうすんだ!!」
「あの…………ヴィータ副隊長、今のもその…………コンビネーションのうちで……………」
「スバルちゃん!」
「ふざけろタコ!! 直撃コースだよ、今のは!!」
「ヴィータちゃん、今は言い合いしている場合じゃ……………」
「お前が撃たれていたのかもしれないんだぞ! 良いから2人とも下がらせろ! 後はあたし達でやるぞ!!」
『なのは、もう空は私1人で大丈夫だから、ヴィータの言う通りに。子ども達をお願い』
「……………了解。スターズ03、04はバックへ後退。以後はライトニング03と合流し、ライトニング04の護衛をするように」
隊長達の言葉が、空っぽになった頭の中を通り抜けていく。
ちゃんと復唱できたのかも定かではない。けれど、気付くと体は勝手に命令を実行していた。
ただ、1つだけ確かなことがある。
自分は、覆しようのない致命的な失敗を犯してしまったということだ。
□
「そう、見つけたのね」
単身で出撃させた召喚蟲からの念話を聞き、ルーテシアは無感情な声音で呟く。
インゼクト達が警備の注意を引きつけてくれたことで、彼は何の障害に遭遇することもなく目的の物を回収することができた。
スカリエッティから強奪を依頼された物が何かはわからないが、彼の言葉を借りると魔法と物理の両方で施錠された厳重なケースらしい。
「ガリュー、ミッションクリアー。良い子だよ。じゃ、そのままドクターのところまで届けてあげて」
これで自分の役目は終わった。
後は適当な頃合いを見計らってこの場を去り、管理局の追跡を逃れるだけだ。
一時は覆った戦況も、再び押し返され始めている。余り、長居はできそうにない。
「品物は、何だったんだ?」
「わかんない。オークションに出す品物じゃなくて、密輸品みたい」
「そうか。では、そろそろお前の探しものに戻ろう」
「うん……………あれ?」
周囲の警戒をさせていたインゼクトから連絡が入り、ルーテシアは首を傾げる。
何かが近づいてきている。とても小さいけれど、確かな魔力反応。
恐らくは、Aランク魔導師。
ホテルを警備している連中の仲間だろうか?
「ゼスト、変なのを倒してからにするね」
「あまり時間はかけるなよ。今、連中と事を構えるのはまずい」
「うん、わかっている」
小さく頷き、意識を集中させる。
極細の魔力の糸で繋がったインゼクト達は、主の命に従って謎の魔導師を迎え撃つ。
戦いはすぐに終わる。
その時、2人は何の疑いの余地もなく、そう信じ切っていた。
□
突如として飛来した小型の蟲達に腹部を切りつけられ、鋭い痛みにリインは険しい表情を浮かべる。
飛散した騎士甲冑の破片が溶けるように無色の魔力へと帰していき、傷口からは一筋の赤い鮮血が走っていた。
-
「これが、敵の使役獣……………こんなに素早いなんて……………」
接近は感知できていたのに、残像を捉えるのがやっとだった。小さな爪による攻撃も、人間相手には大した脅威とは成り得ないが、
サイズの小さな自分には恐ろしい殺傷力を秘めた凶器となる。
相手もそれを感じ取ったのか、こちらを嘲笑うように空中でステップを踏み、余裕を見せつけてくる。
ネジのような形をしているが、れっきとした生き物のようだ。或いは、自分のように人工的に生み出された機械生命体なのかもしれない。
「言葉、わかるですね? あなたとあなたの主がしていることはとても悪いことなのですよ。
大人しくこちらの言うことを聞いてくれるのなら、こちらにもお話をする用意があるです」
腹部の出血を押さえながら告げるも、蟲達は大人しくするどころか半透明の羽根を激しく羽ばたかせながらこちらを威嚇し、鋭い爪を振り回してくる。
咄嗟にリインはシールドで身を守ると、氷の短剣で左右に迫る虫達を牽制しながら距離を取る。
どうやら、彼らの主はこちらと交渉する気など最初からないようだ。
「いきなり攻撃するのは、傷害罪ですよ!」
振り下ろされる爪の連撃を避けながら、リインはバインドと短剣で蟲達を攻撃する。
しかし、蟲達は小刻みに動き回りながら攻撃を回避し、逆にこちらの死角から鋭い一撃を打ち込んでくる。
ただでさえ素早い上に、集団で囲い込まれてしまうと致命傷を避けるのが精一杯であり、瞬く間に赤いラインがリインの柔肌に刻まれていった。
しかし、リインの表情には勝利を確信する笑みが浮かんでいた。まるで、傷つくことが自身の狙いであるかのように。
「キャロ、見つけたですね。なら、もう痛いのをガマンしなくても良いですね」
傷だらけの体を労わりながら、リインは撤退を開始する。
彼女は初めから、彼らの注意を引きつけるための囮だったのである。
本当の狙いは、ケリュケイオンと敵の召喚師の共鳴を逆手に取った召喚経路の逆探知。
それがリインの立てた作戦であった。
そして、その目論見は見事に達せられ、敵の位置を掴み取ったキャロがロングアーチを介してフォワード全員にその情報が送信している。
「お話はお仕置きに変わったです。頼みましたよ、シグナム」
□
不意に右手が焼けるような痛みを覚え、ルーテシアは眉間に皺を寄せる。
理由はわからないが、誰かに見られているようだ。
アスクレピオスがその何者かと共鳴し、相手はこちらの存在を正確に感じ取っている。
「どうした?」
「来る、短距離転送……………左」
「っ!」
ゼストが槍を振るうのと、炎を纏った斬撃が繰り出されたのはほぼ同時であった。
一瞬、目の前の相手と視線が交わる。
透き通るような白い肌と緋色の髪。
血臭の漂う戦場にいても尚、その美しさを損なわない天女のような女だ。
だが、その美貌とは裏腹に剣戟は華麗にして豪快。
立て続けに叩きつけられる炎の剣はそのどれもが一撃必殺であり、背後のルーテシアを庇うゼストは防戦を余儀なくされた。
「警告もなしに攻撃とは、それが管理局のやり方か!?」
「一般人なら後ほど謝罪もしましょう。ですが、そこの少女が従えている蟲は我々に敵対行動を取っている。
今回のホテル襲撃の重要参考人として、ご同行願えませんか?」
「断る。どうしてもというのならば、その剣で俺を捩じ伏せてからにするんだな」
「気は進みませんが、そうしなければ話が出来ぬと言うのならば仕方がありません」
一陣の風が吹き抜け、両者は踏み込みは神速の領域へと加速する。
先手を取ったのはゼストだった。数合の打ち合いで、敵が尋常ならざる相手であると感じ取ったが故に先制攻撃である。
だが、裂帛の気合と共に打ち込んだ斬撃が紙一重で受け流され、逆にカウンターで首筋を狙われる。
咄嗟に体を捻ったゼストは耳元を掠めた刃を避けるように距離を取り、遠心力を加えた払いで相手の防御を切り崩さんとする。
全盛期に比べれば見る影もないが、それでもその一撃は容易く岩を砕く。しかし、女は今度も最小の動作で槍を受け流し、
今度は脇腹と足を狙ってくる。危ういところでバリアを張って凌ぐが、今度は女に反攻の機会を許してしまい、
燃え上がる幾本もの炎の軌跡が襲いかかってきた。
こちらの重い一撃を弾きつつも緩まぬ速度と正確な斬撃。
僅かな隙も見逃さぬ嗅覚と鬼神の如き迫力。
鍛練の量もさることながら、潜り抜けた修羅場の数が尋常ではない。
この若さにしてこれだけの剣気、如何ほどの死線を体験すればこのような騎士となるのであろうか?
-
「その太刀筋、あなたも古代ベルカ式のようですね。これほどの達人が、まだ存命していたとは……………」
「それはこちらの台詞だ。その若さでその技量、ただの娘ではあるまい」
「時空管理局本局機動六課、シグナム二等空尉です。あなたは?」
「最早、名乗るべき名もない。俺は残骸にして亡霊、ただの屍だ」
「では、その屍の身で何故、このようなことを?」
「語ると思うか? ふっ、因果なものだ。このような状況でなければ、心躍る死合となれたものを」
「ええ、非常に心苦しい。ですが、大人しく投降してくださるというのなら、再戦の機会もありましょう」
「残念だが、それはできない。我々には果たすべき目的がある。それに、おっかない従者が主に呼びつけられたようだ」
「なに?」
刹那、背後に迫る殺気にシグナムは剣を一閃させた。
鈍い音が鼓膜に響き、漆黒の刃が炎の魔剣を押し返す。
突如として襲いかかって来たのは、甲冑のような外骨格を纏った二足歩行の昆虫だった。
左手には一抱えほどのケースが提げられていて、右腕からは鋭利な爪が伸びている。
2対の瞳は血のように紅く、風になびく紫紺のマフラーは野性的なフォルムと合間って、
言い様のない迫力を醸し出していた。
「2匹目の、召喚蟲だと!?」
「ガリュー、ケースを投げろ!」
ゼストの命令でガリューは手にしていたケースを投げ渡し、右手を拳へと戻して強烈なラッシュをシグナムへと叩き込んだ。
右から左から、疾風の速度で繰り出される打撃の嵐はシグナムの剣戟よりも苛烈で容赦がなく、
身軽さは好敵手であるフェイトにも匹敵する。
不意を突かれる形となったシグナムは、ガリューの攻撃を受け止めるので精一杯であった。
「くっ、このパワーとスピードは……………!」
「KYSYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!」
怒涛の勢いに押され、シグナムの体が大きく後退する。
すかさず、ゼストは衝撃波を飛ばして砂埃を巻き上げ、シグナムの視界を塞ぐ。
そして、ガリューと共にルーテシアのもとへと後退すると、事前に彼女が用意していた転送魔法で戦域を離脱した。
どこでも良い、とにかくあの騎士が追って来れぬ場所に逃げなければ。
自分にはまだ、果たさねばならない目的がある。こんなところで、地に屈する訳にはいかない。
(しかし、あの炎と魔力光。ふっ、何か因縁を感じるな、シグナムとやら)
何の根拠もないが、確信めいた予感があった。
自分はまた、あの騎士と殺し合うことになる。
恐らくは、自身の全身全霊を賭けた死合となることだろう。
その時は、きっと彼女も傍らにいるはずだ。
この不甲斐ない、未熟な主の最期を看取るために。
□
敵の召喚師が撤退した途端、ガジェット達の連携は崩れ去り、AMFも弱体化した。
統制を失った烏合の衆などエース達の敵ではなく、視界を埋め尽くすほどの機動兵器は山のような残骸と化して地面に横たわっている。
特に熾烈な戦いが繰り広げられた正面玄関前は周辺に幾つものクレーターが広がっていて、薙ぎ倒された木々や砕かれた岩が無残にも転がっていた。
その中心で、愛用のグラーフアイゼンを肩に担いだヴィータが静かに告げる。
-
「よし、全機撃墜」
『こっちもだ。召喚還師は追いきれなかったがな』
『だが、いると分かれば対策も練れる。それにどうやら、キャロは敵の存在を感じ取れるようだ。
こちらの存在も知られているかもしれないが、接近がわかるのは大きな利点だ』
「ああ…………あれ、ティアナは?」
シグナムやザフィーラとの思念通話に夢中で気がつかなかったが、さっきまで側にいたはずのティアナの姿がどこにもなかった。
そういえば、通信越しに聞いていた彼女の声音はどこか固く、苛立ちと焦りを感じ取ることができた。
あれとよく似た感覚を、自分はよく知っている。
目指す目的と守りたいものがハッキリとしているのに、それを達成することができない時の歯痒さ。
かつて、はやてのために闇の書の蒐集を行っていた自分とよく似ているのだ。
「なあ、ティアナはどうしたんだ?」
「はい、裏手の警備に…………」
「スバルさんも一緒です」
エリオとキャロの報告を聞き、ヴィータは無言で傍らに立つなのはの顔を見やる。
彼女の表情もいつもと違って暗く、何かを考え込んでいるようだった。
十中八九、さっきの誤射のことだ。
彼女のことだから、自分の教導がうまく行き届いていないせいだとでも思っているのだろう。
(全く、どいつもこいつも1人で抱え込みやがって。フォローする身にもなれってんだ)
とにかく、今はまだ様子を見るしかない。
あんな風に怒鳴った手前、自分が慰めの言葉をかければ却って相手をつけ上がらせることになりかねない。
まずはティアナに自分がしてはいけないことをしたのだとちゃんと理解させ、それから改善させていけば良い。
そう難しいことではない。
難しくは、ないはずだ。
□
誰もいないホテルの裏手に佇みながら、ティアナは自分が仕出かしてしまったことを思い出していた。
背後に親友の気配を感じるが、今は彼女の優しさが却って辛い。
1人でいたい。
1人で思いっきり泣いて、何もかも頭の中から洗い流してしまいたい。
「ティア、向こう終わったみたいだよ? そろそろ、みんなのところに戻ろうか?」
「あたしはここを警備している。あんたはあっちに行きなさいよ」
自分でも嫌になるくらい、冷たい声音だった。
情けないことに、自分は彼女に八つ当たりしている。
怒鳴ったところで何も解決しないのに、口調は自然とぞんざいなものとなり、
大切な親友の存在すら疎ましく感じてしまう。
-
「あのね、ティア」
「良いから、行って」
「ティア、全然悪くないよ。あたしが、もっとちゃんと……………」
「行けって言っているでしょ!」
決定的な亀裂が心に走った。
背後のスバルが言葉を失い、呆然と立ち尽くしているのが見なくてもわかる。
親友を傷つけていることに、ティアナは後悔を禁じ得なかった。
何もかも弱い自分が悪いのだと、奥歯を噛み締めながらスバルを傷つけてしまった己を自己嫌悪した。
「行ってよ……………1人にして」
「っ…………ごめんね、また後でね、ティア」
力ない呼びかけの後、スバルの気配が足音と共に遠退いていく。
そこまでが限界だった。
ティアナは堪えていた嗚咽を唇から漏らし、握り締めた拳を固いコンクリートの柱へと叩きつける。
拳に鈍い痛みが走ったが、味方に誤射されたスバルの心の方がずっと傷ついているはずだ。
「あたしは…………………あたしは……………」
こんなはずじゃなかった。
自分の強さを証明して、夢を追いかけるはずだった。
なのに、どうして自分はこんなところで泣いている?
どうして、自分はこんなにも弱いのだろう?
力が欲しい。
誰にも負けない力が。
努力が足りないならこの命を差し出しても良い。
悪魔と契約しなければならないのなら、喜んで魂を捧げよう。
だから、仲間を誰1人傷つけない力が欲しい。
みんなを守れる強い力が。
to be continued
-
以上です。
シグナムがガリューに不意打ちされた後、「こいつ近距離パワー型か」と言わせたかった。
それにしてもエリオが空気。ガリューと対決するまで、もう少し出番はお預けになるかな。
しかし、遂にあの回まで来てしまった。
次回と次々回は序盤の山場みたいなもんなんで、じっくりと考えながら書かないと。
-
GJ! 次回も待ってます!
-
いいよいいよ〜、続きが楽しみだ。
-
ちょっと質問させてください。
昨年5月に野狗 ◆gaqfQ/QUaU氏が作成された『お好み焼きの世界』なのですが…
勝手に続編みたいな物を作ってもよろしいでしょうか?
-
作者さん次第じゃね?
ある職人が書いた話を、他の職人さんが別の展開になる話を書いたってケースもあったし。
-
勝手には駄目だろ…
とりあえず聞いてみればいい、まぁ既に聞いているようなもんだが
-
>>580
良い良い良い良い良い良い(ブラスター残響音)
楽しみにしてます。
-
>>577
GJです!ガリューVSシグナムをもう少し見たかったです。
続きをきたいしてますよ〜
-
>>583=野狗 ◆NOC.S1z/i2様
執筆の承認、ありがとうございます。
非才の身ではありますが、精一杯がんばります。
なお、タイトルは『魔法少女リリカルなのはEaterSⅡ(セカンド)〜御当地グルメ大激突〜』。
中の人ネタを一部交えた魔法クッキングバトルネタを予定しています
-
B・A氏GJー!
姐さん、かっけえよ姐さん。
という訳で、いや、全然関係ないのだけれどもw 投下します!
ヴァイス×シグナム、エロ、尻。
タイトルは『ヴァイシグお尻編』です。
-
ヴァイシグお尻編
「これはまた……どうしたんですか?」
青年、機動六課部隊長補佐官を務める眼鏡の美男子、グリフィス・ロウランはいささかの憐憫を込めた言葉を吐いた。
それは目の前にいる一人の男性、彼より幾分か年上の男の姿を見ての感想だ。
「いや、まあ色々とな……」
ツナギ姿の男、機動六課ヘリパイロットにしてエース級狙撃手でもある、ヴァイスグランセニックは言葉と共に自身の頬を撫でる。
そこには、それはもう見事なまでの紅葉があった。
手、恐らくはそのフォルムから女性のそれと分かる平手打ちの痕。
真っ赤なその手形は実に痛々しく、強い力で打たれたと容易く想像できる。
思わず見ているこっちが痛くなりそうだ。
そしてグリフィスは当然の疑問符を問うた。
「誰にやられたんですか?」
「ああ……その、シグナム姐さんに」
「シグナム隊長に? 一体どうしたんですか?」
「いや、まあ……なんだ……」
ヴァイスは周囲にチラチラと視線を巡らせ、誰かに聞き耳を立てられていないか確認する。
そして確認し終えると、グリフィスにそっと顔を寄せて耳打ちした。
ボソボソと、彼以外の誰にも聞こえぬ声量で。
話し終えると、ヴァイスはそっと顔を離す。
聞き終えたグリフィスは、何故かその表情を冷ややかに引きつらせていた。
「はあぁ……なるほど。それで……」
「ああ、困ったもんだ。どうしたら良いと思う?」
「……」
グリフィスの顔から一気に表情が消える。
漂う空気、身体からかもし出される雰囲気は絶対零度を思わせる冷たさを孕んだ。
もし六課の他の隊員、ロングアーチやフォワードの人間が見れば背筋を凍えさせるだろう。
グリフィスは凍てつく空気を持ったまま一拍の間を置くと、表情を無から微笑に変えた。
そして一言。
満面の、それこそ数多の女性を虜にしそうな程の涼やかで優しげな笑顔と共に言った。
「死ねば良いんじゃないですか♪」
きっぱりと言い切るその言葉の残響には少しの淀みもない。
つまり結構本気で言っていた。
彼のそんな様に、無論ヴァイスは大いに顔を引きつらせる。
「お前……ほんと容赦ねえなぁ……」
「そんな事ないですよ。常に理性的かつ常識的かつ慈しみのある人間である事を心掛けてますから」
グリフィスは微笑と共に眼鏡を掛け直しつつ、静かな語調で言う。
先ほどの冷ややかな空気から、今度は呆れ果てたようなものに変わる。
そして青年は問うた。
「ところで、ヴァイス陸曹はいつもそんな事言ってるんですか? シグナム隊長に」
「そ、そんな訳ねえだろ! 昨日はその……たまたま、な……試しに聞いてみたんだよ」
「はぁ〜、そうですか」
「おい、なんだよその目は」
「はぁ……いえ別に」
どこか呆れた、そして嘲笑めいたような顔でグリフィスは溜息を吐く。
そしてポツリと、隣りのヴァイスにも聞こえない程度の声で呟いた。
-
心の内に秘めた本音を零す為に。
「まあ、男として気持ちは分からなくもないんですけどね」
□
機動六課隊舎の屋上で、二人の女性が話していた。
金と緋色の髪をした素晴らしいプロポーションの美女二人、ライトニング分隊の隊長二人だ。
そして、二人は何故か顔を赤らめ会話をしていた。
「お尻、ですか」
「ああ、尻だ」
自分に問う金髪の美女、10年来の友人であるフェイトにシグナムはそう簡潔に答えた。
表情は一見いつもの凛とした鋭いものに見えるが、頬が淡く朱色に染まり、羞恥心に燃えているのが分かる。
まあ、話題が話題なのでそれは仕方ない事だろう。
「そうですか……お尻で、ですか」
「うむ、もう一度正確に言うならばアナルセックスだな」
と、烈火の将は顔を真っ赤にして言った。
そりゃ赤くもなるだろう。
誇り高きベルカ騎士の口から、あろう事か“アナルセックス”である。
普段から凛としているシグナムだって真っ赤っかにもなるさ。
で、まあシグナムは続けて言った、胸の内に溜めた愚痴を。
「まったく……あのバカ……どうしてこういう事ばかり頼むのか」
シグナムは真っ赤になった顔を俯け、呟く。
昨日、将は恋仲にある男性、ヴァイス・グランセニックからある事を頼まれた。
“アナルセックスさせて欲しい”
と。
夜の、恋人同士の情事の最中、最初の口付けの後にだ。
聞いた瞬間は意味が分からず、数秒を要して理解した時、シグナムは彼の顔面に思い切り平手打ちを見舞っていた。
そしてそのまま逃げるように部屋を後にし、今日こうしてフェイトに相談しているという次第である。
そんな彼女に、フェイトもまた顔を赤くしながら問うた。
「その調子だと、他にも何かあるんですか?」
「ああ……やれ胸でしてくれだの、騎士甲冑のままが良いだのと……へ、変態的な事ばかりせがむんだ」
今まで彼と行った情交を思い出しながら、頬の朱色をより赤く染めてシグナムは言う。
烈火の将とて熟れた女体を持つ一人の女、人並みに情事を交わせば恥じらいもする。
さらに加えて要求が肛門性交ときてはなおの事だ。
が、そんな彼女にフェイトは告げた。
「そう、なんでしょうか」
「なに?」
「いえ、そういうのって案外普通なのか、なって思ってましたから」
「う、後ろでするのがか!?」
フェイトの爆弾発言に素っ頓狂な声を上げるシグナム。
そんな彼女に金髪美女執務官は続けて言う。
「ええ、クロノとかそういう要求ばっかりですから」
クロノ・ハラオウン、フェイトの義兄であり恋人の名が出た。
彼は姉貴分の女性と結婚したような気もするが、本SSでは一切関係はない。
クロノ×フェイトは正義なのである。
と、それはさておき。
シグナムは驚愕した、なにせクロノがそういう行為を欲すると言うのだ。
少なくとも彼女の認識からいってクロノ・ハラオウンとは常識的で素晴らしい人柄である。
そのクロノが致すというのであれば、それはもしかして一般的な嗜好の範疇なのではないか。
そんな疑念が過ぎる。
-
自分の無知(勘違いではあるが)を知り、シグナムの胸中に一つの決意が生まれた。
「ではテスタロッサ……その、教えてくれないか? う、後ろで“する”やり方とか……」
□
「失礼しますよー」
そう告げてヴァイスは部屋に入った。
場所はクラナガン市内のとあるホテルの一室である。
入室すれば、室内には彼をここに呼んだ人物であるシグナムが既にベッドに腰掛けて待っていた。
「あ、ああ……よく来てくれたな」
どこか恥ずかしそうに頬を赤らめているシグナムは手をモジモジと弄っている。
その様にヴァイスは、なるほど、と思う。
既に何度も身体を重ねている間ではあるが、彼女は自分から誘う際はいつもこうして恥らうのだ。
普段の凛々しい様からは想像もできない初々しさに、ヴァイスは微笑ましさを覚える。
が、しかし。
「で、ではヴァイス……」
次なる言葉にその微笑ましさは打って変わる。
「う、後ろを使って良いぞ!」
顔を真っ赤にした烈火の将は、尻を向けスカートをまくり上げてそう告げた。
「ちょ、はい?」
「はい? ではない! ちゃんと……そ、掃除して、ほぐして準備したから大丈夫だ! すぐ入れて良いぞ!」
普段の凛とした様が嘘のように、シグナムはどもりながら尻を向けてそう誘う。
目の前の光景が、そして放たれる言葉が一瞬理解できず、ヴァイスは呆然とする。
まさか目の前の愛する女性が、肛門性交の熟練者の教えで菊の穴を準備万端にしたなど想像もできない。
先日アナル使用を求めた際など、強烈な張り手を喰らったというのに……今の状況はどうだ?
彼女は尻を向けて自分から肛門での性交を求めているではないか!
夢のようである。
ヴァイスは自分の頬をつねってみるが、痛い。
どうやら夢でなく現実のようだ。
ならば迷う事はないだろう。
どういう理屈でシグナムが尻で致す気になったか分からないが、彼女の気が変わらない内に行為を成すべきである。
故にヴァイスは淀みなく歩んだ、目の前の美尻へと。
まずは触れてみる。
めくり上げられたスカートから覗く尻を、彼は満遍なく撫でた。
下着越しでもしっかりと分かる、むっちりとした肉付きながらも引き締まった国宝級の尻であろう。
尻こそはヴァイスがシグナムに惹かれた要素の一つでもある。
少し不器用だがまっすぐな心、おっぱい、凛とした振る舞い、おっぱい、ポニーテール、実は可愛い性格、太股、おっぱい、尻。
その他、シグナムの魅力は語り尽くせない程にあるが、尻は彼女の密かな魅力ランキング上位保持者である。
目の前の美尻に、ヴァイスは私的脳内ランキングを再認識した。
なんて素晴らしい尻なのか、と。
とりあえず下着を一気にずり下ろす。
シグナムが、ひゃー、だか、ひゃん、だか叫んだが気にしない。
露になった尻は、想像を遥かに超えた美観であった。
透き通った、されど艶と張りを持つ肌はどれだけ触っていても飽きない。
しばらく剥き出しの尻を撫で、頬ずりして……時を忘れて浸る。
「は! いかん!」
だが彼は我に返った。
そうだ、こんな事をしている場合ではない。
標的は二つの尻肉にあらず、そのふもとに設けられた菊門である。
狙撃手の慧眼はすかさず視線を下げ、ターゲットを確認。
がっしりと尻を掴み、顔を寄せる。
そこにはすぼまった一つの穴が、肛門があった。
-
ヴァイスは本日の性的なる狙撃目標に迷う事無く手を伸ばし、そして指先を入れた。
「ひゃあいぃッ!?」
いきなり肛門に指を挿し入れられ、シグナムの口から素っ頓狂な声が漏れる。
が、ヴァイスはその嬌声すら聞かずに目前の尻穴に魅入る。
指でほじくりながら隅々まで尻を吟味。
なるほど、掃除してほぐしたというだけあって中々の尻穴であった。
見事な尻を前に、ヴァイスは思わず感嘆を漏らす。
「宿便もなく、程好くほぐれて――正に掘り頃っすね姐さん。流石ですよ」
申し分ない、最高の尻だった。
ヴァイスは心から眼前の尻穴への賛辞を零す。
次いで、彼は本格的な愛撫を行う。
挿し入れた指をゆっくりと、だが確かに動かし始めた。
「んぅ……はぁぁ……はぅん」
菊座を指で弄られ、シグナムの口から妙なる調が漏れた。
ヴァイスの指は、超遠距離のターゲットを狙撃する際のような繊細さと正確さで以って彼女の肛門を撫ぜるのだ。
丁寧に丁寧に、決して痛みを感じさせぬ絶妙な力加減で菊の穴を押し広げ、入り口をやんわりと引っ掻く。
今まで排泄にしか用いた事のない器官への愛撫はどこかむず痒い、だが確かに喜悦の色を孕んだ感覚を女騎士の体に刻む。
背筋から脳天までゾクゾクと走る快感に、シグナムは堪らず甘やかな声を漏らして身悶えした。
耳に響く淫らな音楽、指先に感じるアナルの締まり具合。
これにヴァイスはどこか遠くを見るような眼差しで――芸術的なまでにエロいな――などと思った。
彼がしばらく時を忘れて愛撫に興じていれば、キュっと締まった肛門の下、膣口はまるで洪水のように果汁を溢れさせていた。
太股を伝って淫靡に濡れ光るそれに、ヴァイスは、頃合か、と判断する。
「ひゃあッ!?」
またしてもシグナムの素っ頓狂な声が漏れる。
今度は何が成されたかと思えば、彼女の濡れる秘所に熱く硬い肉の凶器が押し付けられたのだ。
ヴァイスの猛々しく隆起した肉棒は決して目の前の膣を貫く事無く、そこから溢れる蜜だけを求めて擦りつく。
いつもならここで一気に犯されるのだが、ただ接触するだけに止まる行為にシグナムは切なさを感じた。
が、それも一瞬の事だ。
存分に雌の果汁を得た肉棒は標的を膣からその上の菊座に移し、キュッとすぼまったそこに先端を押し当てる。
そしてヴァイスは、彼女の耳元に静かに呟いた。
「じゃあ、いきますよ」
「へ? いや、ヴァイス……ちょっと待って、ひああああぁぁあッッ!!!」
言い終わるより前に、彼女の声は悲鳴に変わった。
まあ、いきなりアナル処女を奪われれば無理もあるまい。
十分な程に濡れていたとはいえど、凶器の二つ名を冠して余りあるヴァイスの肉棒に貫かれたのだ。
シグナムは唐突に成された初めての肛門性交に、ありえないくらいの圧迫感を感じた。
普段排泄に用いる際とは比べる事もできない程に菊座は押し広げられ、ゴツゴツとした肉棒に蹂躙される。
これに、勇ましい女騎士は普段の凛々しい顔とは打って変わった悩ましい表情を見せた。
眉根を苦しげに歪め、目元には涙さえ浮かべ、口は酸欠の魚のようにパクパクと開く。
何度か荒く息をすると、シグナムは背後の恋人に哀願を告げた。
「ヴァ、ヴァイス……少し待って……これ、思ったより苦しくて……ふぁあうぅッ!?」
が、それもまた言い切られる事はなかった。
なにせこの狙撃手ときたら、貫通したてでようやくアナルが馴染んできたかと思えば、早速ピストンを始めたのである。
ゆっくりと、ストロークは短く、されどしっかり根本まで挿入して腰を打ち付ける。
繊細さの中にも荒々しさを孕んだ姦通であった。
-
まだ慣れぬ肛門性交に、シグナムは普段からは想像もできない弱弱しい声で鳴く。
「ひゃぅうッ……ま、まって、もう少し……はぁッ……ゆっくり……」
艶やかに濡れた声でそう請うシグナムだが、彼女の哀願に対してヴァイスは少しも腰の動きを弱める事無く、むしろ徐々に強くしていきながら言う。
「何言ってるんすか姐さん。そういう姐さんの声、どんどんエロくなってるじゃないっすか。本当はもっと激しくされたいんでしょ?」
嗜虐に色の溶けた声が囁かれる。
彼の言葉にシグナムは、違う、と言おうとした。
だが次なる刹那、今までにない力で肉棒が尻穴に突き刺さり、深い結合が成される。
「ひゃあんッ!」
甘く高い声が溢れた。
否定しようのない、快楽に溺れた雌の声だった。
徐々にほぐされ、姦通に慣れた菊座は確実に彼女に快楽を刻み込んでいた。
最初はただの排泄器官だった穴は、今正に一つの性感帯への変化を成している。
ならばこの狙撃手が逃す筈もない。
彼は迷う事無くターゲットを狙い撃つ。
犯し貫く穴の下方、膣と子宮のある方向に強烈な一突きを喰らわせた。
瞬間、シグナムは背筋が折れんばかりに身をよじる。
「はああぁぁぁああぁッッ!!」
頭の芯まで駆け抜ける快感。
もはや騎士でなく、そこにいるのは快楽に酔い痴れる一匹の雌だった。
ヴァイスはこの反応を見定めるや、いよいよ容赦もなく腰を振り始める。
力強く、一突き一突きを的確に性感帯を探り、抉るように。
彼が突き刺す度に、シグナムの声は甘くなり、肢体は悩ましく蠢いた。
彼女がよがればよがるだけ、ヴァイスもまた快感を得る。
肉棒を受け入れる尻穴は、まるで自身を貫く凶器を咀嚼するかのように緩急を以って締め付ける。
膣とはまた違う穴の感触、そして強烈な快感、ヴァイスは耐え難い射精感を感じ始めた。
もっともっとこの菊座を犯していたいという欲求とは裏腹に、その感覚は強まり、そして決壊する。
「姐さん! そえそろ出しますよッ!」
言葉と、今までで一番強い突き上げは同時だった。
姦通できる一番深いところまでヴァイスの肉棒は侵入し、そして絶頂を迎える。
ドクドクと、外まで音が聞こえそうな程の音を立てて注がれる精液。
脈動と共に吐き出される大量の熱い白濁液は、貫かれた肛門から僅かに溢れ出してシグナムの艶めかしい太股を濡らした。
体内に注ぎ込まれる精液の熱に、淫らな騎士は恍惚と震える。
「はぁぁ……すごぉ……せーし、でてるぅ」
尻穴から前進を駆け巡る快感と熱に彼女もまた絶頂を迎えており、その瞳は涙に濡れて蕩けていた。
初めての肛門性交でここまでの快楽を得るとは、烈火の将シグナム、彼女の尻の才能は実に素晴らしいものである。
キュウキュウと締まる肛門の感触と、絶頂の余韻に浸りながら、ヴァイスはそう思った。
□
「いやぁ、良かったっすねぇ」
「は、激しすぎだ……もうちょっと優しくできないのか……」
あれからたっぷり六回は後ろに射精し、くんずほぐれつエロけしからん行為を堪能した二人はそうベッドで語らった。
ぶつくさ文句を言うシグナムも、なんだかんだで初めてのアナルセックスの具合が良くまんざらではない様子。
-
幾度となく達した絶頂、そして愛する男の体温に頬をほんのりと赤らめていた。
行為を終えた後の気だるい倦怠感と相まって、シグナムは至福を感じる。
が、それは破壊された。傍らの愛する男によってだ。
「ああ、そうだ姐さん」
ヴァイスは自分の胸板の上で幸せそうにしている美女に、能天気極まる顔で告げた。
「今度は是非とも足コキとかしてもらえませんかね?」
と。
彼がその言の葉を発した刹那、壮絶な音が生まれる。
それは炎熱変換能力によって炎を纏った強烈な平手打ちが、ヴァイスの顔を打ちのめした音だった。
終幕。
-
投下終了!
アナル! アナル! 姐さんの尻ッッ!!
いやね、なんだか最近パロで感想や雑談が少ないなぁ、と思うのです。
エロパロ民の熱が冷めた? とも思わなくもないのです。
が、しかし思えば、昨今あまり短編のエロやギャグが少ないんじゃないのかな、と。
読み手側に感想や雑談の入れ易い作品で場を和ませるのも職人の使命。
と感じ、今出来うる限りの最高速度でエロギャグ書いた次第であります。
まあ分かりやすく言うと、もっと感想入れたりバカなエロ話しようぜ!
とねw
シグナム姐さんは乳やポニテや太股だけじゃないんです! 尻だって素晴らしいんです!
偉い人にはそれが(ry
-
アナル拡張してレバ剣でオナらせるとか?
シャマルにフィストファックされるでも良いな
あと、アナルといえばサイクロン
840は最高でしたわ
凌辱読みたいなぁ…
-
GJ!!です。
シグナムがアナルか……フェイトが上級者ってのがまたw
リリなの界ミスターアブノーマルはフェイトに決定ですねwww
-
フェイトはなのはやはやてと猥談したりはしなかったのだろうか
-
はやてがめっちゃその手の話好きそう
というか猥談そのものよりなのフェイやアリすずの反応を見て楽しむイメージ
-
なのは→にこにこ笑ってはぐらかす
フェイト→真っ赤になってしどろもどろ
スバル→意味分かってない
ティアナ→恥ずかしながらもツッコミは入れる
こんな感じかね。
-
>>598
意味わからないのはキャロではないかと。
スバルはアホっぽいけど中身は乙女だからなぁ(そのくせ、ティアナの乳を揉むという冗談もする)。
羨ましいな、女の子のスキンシップって。
-
ザ・シガーさんってあの「烈火の将は狙撃手がお好き」を書いたあのひと?
だとしたらまた見れてとてもうれしいな
-
ザ・シガー氏は「烈火の将は〜」以降も「鉄拳の老拳士」など頻繁に投下されてますよ〜
氏の御作はまとめで沢山読めますよ〜。
-
あれだ、なのはが今回のシグナムのような相談をフェイトとはやてにして、
はやては、はしゃいで下ネタに走り、なのはがもう!と怒って、
フェイトちゃんはどう思う?と聞いたら、それはおかしいことなのかな?と、
菩薩のような優しい雰囲気と微笑で潤沢なプレイ経験からのアドバイスをして、
なのはは真っ赤になりあわあわ、はやては赤くなるのは一緒だが恐るべしと戦慄する気がする。
フェイトの立ち居地をヴィータに変えても、面白そうだがwお前、ロリコン彼氏とどんなプレイしてんだよとwww
-
テスタロッサの血筋恐るべし、で良いのか?
まさか、プレシアの旦那の性癖が遺伝したとかw
でも、何故かエリオに遺伝していても違和感ないという今日この頃w
-
そりゃ今でもエリオとフェイトそんは後ろ所か
二プルファックするほどのアブノーマルな関係ですもの
-
ライトニングは変態だらけかよww
-
ていうか六課が変態の巣窟だww
これに比べたらナンバーズはサドメガネとおじさん好きなロリ姉とついてる疑惑なオットーぐらいでおとなしいもんだな。
-
なのはは割りと普通なので楽しんでいそう
-
>>603
旦那は、頭も容姿もいいがド変態でう○こしている所をビデオ撮影されて、
もう、ついていけない!とプレシアは離婚かw
アリシアもあの年齢ながら、保育園で縄跳びを鞭にして男の子を奴隷化していたとwww
-
>>605
キャロは?キャロはー!?
-
>>610
唯一の良心だ。
純真無垢なオアシスだ。
もしも現場を見られたら、ママとお兄ちゃんと副隊長はプロレスごっこしているんだよ、と言うしかない。
-
>マとお兄ちゃんと副隊長
提督自重、そして
キャロ「プロレスごっこですか?…ああ、カマキリが相手を食べちゃうあの本格的なやつですね。18禁指定ですね、失礼しました」
18禁であることに変わりはないがなにか壮絶な勘違いが
-
実は痴女
-
>610
エリオによって前も後ろも貫通済
「はじめはあんなに痛かったのに、今はエリオくんのがないと私、3日も持たないの」
「僕もだよ、キャロ」
知らないのは金髪執務官だけだったりして…
-
初めて、投下します。
注意事項
・時間軸 SSX トラック17.5
・オリ設定は多少あり
・タイトルは「駐機場にて」
・非エロです。
・登場人物はアルトとティアナです。
・8レスを予定してます
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板