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暗躍する者

90PON:2009/12/25(金) 01:45:15 ID:WF6I2HCk
『あれ〜?・・・なにをしようとしてるのかな、お兄ちゃん?』
達也が決心してベッドから起き上がったのも束の間、背を向けていたはずの亜衣は、いつの間にかこちらに振り返っていた。

『なっ!そんな・・・』
あっさりと出鼻を挫かれ、達也は一時停止したように動けなくなった。
『おかしなことをしようとしたら、どうなるかってこと・・・まだ、解っていないのかしらね?』
亜衣は、顎の下をグイッと掴むと、またも自分の顔を伸ばして見せた。
目や口がだらしなく伸びていき、中に隠れた女性の顔をチラつかせる。
『別に、ここで叫び声を上げたって良いんですよ?この、河原亜衣マスクの下にある女の子に変装されて困るのは達也、貴様なんだからな・・・クククククッ』
美里と全く同じ声が、伸びゆく亜衣の顔の下から聞こえてくる。
わずかに見える顔のパーツからして、それが美里の顔では無いことくらいは察しがついた。だが、その顔が美里には似つかない美女のものであろうとも、美里らしからぬ男のような口調で話していようとも、その口元から零れるのは確かに美里の声だ。
美里の声を使って牽制するのは、達也に対して効果覿面だった。
この局面を脱するには何とかしたいとは思うが、美里と別れるなど絶対に嫌だ、という気持ちの方がより強いからだ。
『・・・・・・・』
そして、達也は大人しくベッドへと戻ることにした。
それまで死角になっていたベッドの側に目を遣ると、そこには女性の身体と顔を模った異物が、脱皮したように中身を失っていくつも重ねられていた。
怪盗は、これを着込んで完璧なまでに美里や亜衣たちへと変装をしていたのか、と悟った達也だった。


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