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暗躍する者

122PON:2010/02/18(木) 01:19:05 ID:dgnkmaWU
『これって、マスク・・・?あの時の・・・』
美里は、指で揺れ動くそれに目を奪われたが、すぐにベッドに目を移した。
そこでは、依然として一人の女性が眠っている。だが、そこに居るのは深浦亜樹ではない。
『わ・・・私!?』
その顔の持ち主を美里が知らないはずがない。
眠っているのは、深浦美里・・・自分と同じ顔をした女性なのだ。美里は、ただ唖然として亜樹の顔をしたマスクと眠っている自分の顔を交互に見ていた。

『亜樹の顔をした偽者がここに居て、今は私の顔になっているということは・・・』
この抜け殻と化したマスクを見て、美里は何かを察知した。そして、すぐさま達也の方を振り返った。
『達也さん!これは、怪盗66号の・・・』
しかし、美里の慌てように対し、達也は扉の所で落ち着いた様子で佇んでいる。
『うん?どうしたの、美里さん?』
怪盗66号と聞けば、達也とて落ち着いてなど居られないはずである。
それは、美里と達也の二人は、変装を得意とする謎の怪盗にさんざん弄ばれた過去があるからだ。その時も、このような本物そっくりの姿を模るマスクなど用い、ボディスタイルまで河原亜衣・深浦美里・倉田綾乃・芸能人のYUINAなど、際限なく様々な美女に変装しては誘惑や挑発を繰り返してきた・・・
それなのに、美里が握っている亜樹の顔マスクを見ても、達也には少しの動揺も見られない。
それどころか、達也は顔に手を伸ばし、不審な行動を見せ始めた。
『あっ、それって亜樹ちゃんのマスク・・・だよね?だとしたら、本物の深浦亜樹はどこに居るのかな。クククッ・・・』
達也は、亜樹のマスクに興味を示したと思うと、噛み殺したような笑いを零し始めた。そして、こめかみの辺りを掴むと、自分の顔を引き伸ばし始めたのだ。すると、不敵な笑いを見せる達也の顔は、所々が千切れて剥がれていく。
『まさか、あなた・・・』
ここまで見せられては、この達也も亜樹と同様に本物では無いことがすぐに察しがつく。覚悟を決めた美里は、達也から一瞬たりとも目を逸らさずに見据えていた。
やがて、達也の顔はビリッビリッと引き千切れながら、パサリと床に脱ぎ捨てられた・・・
『ククッ、ククククククク・・・』
その顔の下から現れたのは、ショートボブの髪を揺らす女子高生・・・達也の時と同様に、不敵に笑う深浦亜樹の顔であった。
『ねぇ〜?何が、まさか・・・なのかなぁ?美里お姉ちゃん♪』
美里の言おうとしたことなど、全てお見通しとばかりに、ニヤリと薄笑いを浮かべている亜樹。
そんな亜樹らしからぬ顔を見せる相手を見て、この亜樹は偽者であることはすぐに悟ることができた。
きっと、この顔も亜樹の顔から盗み取ったマスクを被っているのだろう、と・・・


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