●マティス前国防長官の若い頃 (“Call Sign Chaos”) | きのう、なに読んだ?
篠田真貴子| エール |『LISTEN』監訳
2019年11月1日 23:04
>>海兵隊の組織風土
位置: 112The Marines’ military excellence does not suffocate intellectual freedom or substitute regimented thinking for imaginative solutions.
海兵隊の軍事力は優れているが、知的自由は阻害されない。創造性豊かな提案を、型にはまった考えで潰してしまうこともない。
位置: 227Trying didn’t count; you had to deliver.
頑張りはどうでも良い。成果を出さねばならない。
位置: 118Institutions get the behaviors they reward. Marines have no institutional confusion about their mission: they are a ready naval force designed to fight well in any clime or place, then return to their own society as better citizens. That ethos has created a force feared by foes and embraced by allies the world over, because the Marines reward initiative aggressively implemented.
組織が高評価する行動は、そのまま風土になる。海兵隊としてのミッションにブレはない。どのような状況や場所でも即戦可能な海軍力であり、地元により良い市民となって帰還することだ。この精神が、敵に恐れられ世界中の同盟国に受け入れられる軍事力を形作っている。それが実現しているのは、海兵隊では、自発的な動きを果敢に実現することを評価するからだ。
>>学び続ける組織
位置: 128It now became even more clear to me why the Marines assign an expanded reading list to everyone promoted to a new rank: that reading gives historical depth that lights the path ahead. Slowly but surely, we learned there was nothing new under the sun: properly informed, we weren’t victims—we could always create options. Habits ingrained in me over decades of immersion in tactics, operations, and strategy, in successes and setbacks, in allied and political circles, and in dealing with human factors, guided by the Marine Corps’s insistence that we study (vice just read) history, paid off.
海兵隊は、昇格者全員に大量の課題図書を課す。その理由が、ますますはっきり理解できた。課題図書は歴史の深さを教えてくれ、それが次への道を照らしてくれる。少しずつ、でも確実に、この世に新しいことなど何もないことを我々は学んだ。適切な情報さえ得れば、選択肢を生み出すことができ、犠牲にならずに済むのだ。海兵隊は隊員に、歴史を研究する(読むだけではなく)ことを厳しく求めた。その指針に導かれ、何十年も戦術、運用、戦略をどっぷり学び、成功も失敗も経験し、同盟国や政治との関係の中から、そしてヒューマン・ファクターに対応するなかで、身についた習慣が実を結んだ。
>>人材
位置: 117The two qualities I was taught to value most in selecting others for promotion or critical roles were initiative and aggressiveness. I looked for those hallmarks in those I served alongside.
昇進や大事な役職に際して人材を選ぶとき、自発性と果敢さの、2つの資質を特に重視するよう教えられた。共に働く仲間からも、そうした資質を見つけようとした。
位置: 364 The Marine philosophy is to recruit for attitude and train for skills.
海兵隊の方針は、態度が適切なものを採用し、スキルを訓練するというものだ。
>>リーダーシップ
位置: 386
In the Corps, I was taught to use the concept of “command and feedback.” You don’t control your subordinate commanders’ every move; you clearly state your intent and unleash their initiative. Then, when the inevitable obstacles or challenges arise, with good feedback loops and relevant data displays, you hear about it and move to deal with the obstacle. Based on feedback, you fix the problem.
海兵隊では、「命令とフィードバック」という方針を使うよう、教えられた。部下の一挙手一投足を指示するのではない。自分の意思を明確に伝え、部下の自発性を解き放つのだ。その後、避けがたい障害や課題が出てくるが、よいフィードバックの仕組みと意味あるデータの一覧があれば、その件は耳に入ってくる。そこで、その障害に対応する。フィードバックに基づき、課題解決するのだ。
位置: 389George Washington, leading a revolutionary army, followed a “listen, learn, and help, then lead,” sequence. I found that what worked for George Washington worked for me.
独立運動に際して陸軍を率いたジョージ・ワシントンは、「聞く、学ぶ、助ける、最後に統率する」という順序を用いた。ジョージ・ワシントンのやり方は、私にも合っていた。
ttps://note.com/hoshinomaki/n/n425df6575ed8
●戦況を一変させるか? 「米国がウクライナに『HARM』供与」の衝撃度
8/13(土) 11:01配信
(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
>>アメリカがウクライナにHARM(ハーム)と呼ばれるミサイルの供与を行ったことを認めました。これは、ミリタリー関係者にとっては、高機動ロケット砲システム「HIMARS」(ハイマース)の供与にも勝るとも劣らない衝撃のニュースです。最初に破片が確認されたとの情報が入ってきた段階では、戦況への影響の大きさから、疑問視する声が大きいくらいでした。欧米の識者の中には、「少し危険に見える」とロシアによる過剰な反発を懸念する声さえあります。しかし、8月8日にアメリカのコリン・カール国防次官が、ウクライナに供与される最近のパッケージに「ウクライナの航空機から発射できる多数の対レーダーミサイル」が含まれていると発言し、AGM-88 HARMミサイルの供与が明らかとなりました。以下では、このHARM供与が、ロシアによるウクライナ侵攻に与える意義と影響を考察してみたいと思います。
>>HARM発射のプラットフォームは?
今回、カール米国防次官が「ウクライナの航空機から発射できる多数の対レーダーミサイルが含まれている」と発言したことにより、一定の結論がでましたが、HARMの破片が発見された際、HARMを発射したプラットフォームが何なのか議論になりました。上記で述べたように、極めて強力なミサイルであり、そのプラットフォームが限定されるためです。HARMは、最新鋭のF-35戦闘機でも運用が可能ですが、米軍で主にこのHARMを運用しているのは、海軍のF-18Gグラウラーと空軍のF-16などです。特に、F-16に関しては、三沢でF-16を運用している米空軍第35戦闘航空団のテイルコード(尾翼に書かれた2文字のコード)が「WW」となっていることに言及しておかなければなりません。「WW」は、ワイルド・ウィーゼル(Wild Weasel:凶暴なイタチ)の略で、敵のSAMを攻撃し敵防空網制圧 (SEAD) 任務を行う部隊・航空機を意味します。三沢の第35戦闘航空団は、このHARMを用い、北朝鮮などのSAMを破壊する専門部隊なのです。少し話がそれましたが、三沢のF-16にしても、海軍のF-18Gにしても、機体側に敵レーダーの情報を感知するとともに、その情報をHARMに伝送する能力が必要です。そのため、Mig-29やSu-25といった旧東側の機体しか保有しないウクライナでは、HARMを供与されても運用できないのではないか、という疑問がありました。ウクライナは、かねてからHARMの供与を望んでいましたし、それとセットとも言えるF-16の供与を望んでいました。そのため、極秘でどこかの国がF-16を供与したのではないかと疑惑も出ています。また、地上発射装置を急遽作ったのではないかとの声もありました。HARMの破片が初確認された日は、たまたま(なのか怪しいですが)「ウクライナ空軍の日」だったこともあり、ウクライナ国防省がこのようなツイートをしていたことも、疑惑に拍車をかけています。
Today we celebrate and honor the brave men and women of the Ukrainian Air Force. Every day they fight fiercely against the invaders, protecting our skies and saving lives.
We will win this war and our skies will be peaceful again! pic.twitter.com/rYIZsEtOrR
― Defense of Ukraine (@DefenceU) August 7, 2022 しかし、アメリカが今まで否定し続けている航空機自体の供与を極秘で行ったとは考え難いことです。
>>この方式で射撃する場合、機体にはほとんど改修の必要がありません。HARMをMig-29などの旧東側の機体で運用していることは、カール国防次官が明らかにしました。この方式で運用しているのではないかと思われます。
>>ワイルド・ウィーゼルのモットーの1つに、“First In, Last Out”というものがあります。作戦を行う際、最も早く戦闘空域に入ることで敵のSAMを沈黙させ、作戦が終了するまでその危険な空域に留まり、最後に戦闘空域を出るからです。
このように、SEADにおけるHARMの使用方法は、目標を必ず破壊するというものではなく、牽制の意味合いが強いものなのです。湾岸戦争の「砂漠の嵐」作戦においては、約1000発のHARMが発射されましたが、破壊されたイラクのSAMは200基でした。HARMのみの使用ではDEADは難しいため、DEADが必要とされる場合、ワイルド・ウィーゼルでは、HARMと共にJDAM(Joint Direct Attack Munition:統合直接攻撃弾)を搭載し、HARMによって目標SAMのレーダーを停止させ、JDAMでこれを破壊します。弾薬庫など、重要な物資は、周辺にSAMを配置して防護しているはずです。しかし、ウクライナの攻撃部隊にHARMがあることで、少なくとも攻撃の間はこのSAMが活動できない結果となり、SAMによる防護が無意味なモノと化します。
>>8月9日に発生したクリミアのサーキ飛行場の爆発は、HARMの使用によってロシアの防空網を制圧(SEAD)した間に、ミサイルや航空機で攻撃した可能性もありました。現在でもHIMARSを利用した前線を越えたロシア勢力圏内への攻撃が行われていますが、HARM提供により、さらに強力で、さらに奥地への攻撃が行われる可能性が高くなります。2月24日のウクライナ侵攻開始直後から私が言及し、最近ではウクライナ首脳陣からのコミットが増えたクリミア大橋への攻撃も実現できる可能性が高くなりました。今後の戦況の変化に注目したいと思います。
数多 久遠
ttps://news.yahoo.co.jp/articles/057ca59fb873a79b748f12bd10369526b8019bd1?page=5