私は、日本に来る前、1994年から1997年までUCLAの学生でした。当時、日本のポップカルチャーは海外からも大変注目を集めていて、大学には「Japanese pop culture class」という講義までありました。そのクラスでは、映画や音楽など、日本のさまざまなポップカルチャーを紹介していて、そこで寅さん映画も紹介されたのです。授業で取り上げられたのは、寅さんがウィーンに行く回、第41作『寅次郎心の旅路』でした。
作品をご覧になって、いかがでしたか?
最初はとにかく、変な、おかしな映画だなあと思いました。strange old guyが、あちこちをうろついて、若い女性に会って、それからすったもんだがあって……。物語の終盤で、マドンナに彼氏がいることがわかって寅さんはフラレてしまうのですが、それも当然だろうと感じました。彼は歳を取り過ぎていて、変な老人と若い女性のカップルではあまりにも不釣りあいです。