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文 化

18NAME:2013/11/04(月) 05:25:10
豪雨の中でロックの時代が始まろうとしていた 1987年の伝説フェス『BEATCHILD』が映画化
リアルサウンド 10月12日(土)10時23分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131012-00010001-realsound-ent

すさまじい映画である。「フェスバブル」と言われるほどさまざまなフェスティバルが全国に乱立し、運営のノウハウや観客の経験値も十分に行き渡り、インフラも整備され、隅々まできっちりと管理された昨今では考えられないほど、ずさんで、不用意で、未熟で、それでも膨大な熱量と、誰にも止められない勢いと、時代が音をたてて変わろうとしている、震えるような予感だけがある。そんな伝説的なイベントを記録したのが『ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987』だ。

 1987年8月22日から23日にかけて熊本県阿蘇山のふもとでおこなわれた、オールナイトの野外ロック・フェスの嚆矢とも言えるイベント『BEATCHILD』。ブルーハーツ、レッド・ウォリアーズ、BOOWY、ハウンド・ドッグ、ストリート・スライダーズ、尾崎豊、渡辺美里、佐野元春、岡村靖幸、白井貴子と、当時のメジャー・ロックの一線級が勢ぞろいしたラインナップ、72000人という観客の多さもさることながら、このイベントを伝説としたのが、イベントの開始前からほとんど絶え間なく降り続けた土砂降りの豪雨、いや「爆雨」である。文字通りの泥沼と化した会場、雨を避けるスペースもなく、今のフェス客のような雨具の備えさえもない。ただの野外コンサートのつもりで気軽に来てみれば、そこは爆雨と寒さ、水浸しになった会場という地獄が待っていたわけだ。夏台風の襲来で2日目が中止になった第1回フジロックを思い出す人も多いだろうが、当時はインターネットによる情報共有もなかったから、現場の混乱は比較にならないほど大きかったはず。なにより驚かされるのが、ステージに雨を避けるための屋根もないという事実だ。観客も、アーティストも、叩きつける爆雨になすすべもなく、ずぶ濡れになりながら12時間という長丁場を走り抜ける。今にしてみれば中止になってもおかしくない、というか当然中止にすべき状況なのに、最後までやりきったからこそ伝説になったわけだが、深刻な事故や死者が出ても不思議でない極限状況で、手を抜かずに全力でプレイしたアーティストにも、イベントを支えた裏方にも、最後まで耐えた観客にも、本当に頭がさがる。

 26年間変わらぬ甲本ヒロトの体型。26年間変わらぬ岡村靖幸の芸風。屈託なく笑う尾崎豊。気迫で圧倒する大友康平。爆雨の中でも決してスタリッシュなポーズを崩さない氷室京介。とりわけ感動的なのは、爆雨の中、モニターは使えず、ギターもベースも死んでドラムとキーボードしか聞こえないという状況で、ずぶ濡れになりながらもたったひとりで歌いきった白井貴子のライヴだ。ステージに上る前の、いますぐにでも逃げ出したいと言わんばかりのこわばった表情が、ステージに出た途端に満面の笑みとなり、爆雨をものともせずしなやかに躍動する。たとえどんなに最悪な状況であれ、絶対に手を抜かず全力で演奏し、観客を楽しませる、というプロ根性は素晴らしく、この白井のプレイこそがイベント全体の空気を決めた感がある。以降のアーティストたちの演奏はどれも文句なしの熱演と言って差し支えないものだ。空前のインディーズ・ブームからバンド・ブームへ。バブル経済の狂乱が日本を覆い尽くそうとしていた。80年代を支配したニューミュージックの時代が終わり、ロックの時代が始まろうとしていた1987年の刻印、目前に迫った祭りの季節の高揚の予感が、どのアクトからも感じられる。このイベントを支えたのは、自分たちが新しい時代を切り開きつつあるという72000人の意気込みだったのかもしれない。

 12時間に及ぶ地獄のような、あるいは天国のようなイベントのクライマックス。夜が明け始め、最後のアクトとして登場した佐野元春の時にだけ、雨があがる。そこで演奏された「サムデイ」は、正しく伝説として語り継がれるものだろう。

 演奏のみならずオフステージの舞台裏のアーティストの表情やスタッフの奮闘まで押さえた映像の数々は、よくぞ残っていたと言える貴重なもの。やたら感傷的なだけで押し付けがましいナレーションは、はっきり言って邪魔なだけだが、それを差し引いても十分に鑑賞の価値はある。ビデオ・ソフト化もTV放映も予定がなく、劇場に足を運ぶしか見る手段がないのは、そうでなくては権利関係の調整がつかなかったからだろうが、なによりこれは映画館の大きなスクリーンで「体験」すべきだ。

■映画情報 公開日:2013/10/26(土)より、イオンシネマ、TOHOシネマズ、Tジョイほかで全国一斉公開
出演者:ザ・ブルーハーツ、RED WARRIORS、岡村靖幸、白井貴子、ハウンド・ドッグ、The Street Sliders、BOOWY 、尾崎豊、渡辺美里、佐野元春(出演順) 監督:佐藤 輝 音楽監督:佐久間 正英


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