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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その2
135
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/03/02(木) 22:02:05
>>128
(井上)
自ら生んだ『悪魔』からの、解放。
それは井上にとって、これ以上ない福音だった。
だが、『ナツメグ』は容易には信用しない。
井上の渾身の懇願に目もくれず、
ルンクスと『ハッピー・オルガン』の動きを見つめている。
「クソが・・・・そういうことかよ」
【殺し屋】がそう吐き捨てたのは、
ルンクスの足が『爆破』『治癒』された直後だ。
「スタンドを『嫁』にしたことで、
本体の扱いまで奪いやがったか。
サディストな性格は『嫁』で打ち消されてる。
『本体操作』で傷が治せるとか・・・・厄介すぎんぜおい」
その場面は、井上も目の当たりにした。
確かに『ハッピー・オルガン』は自分を自由に動かせる。
だが、血を止める程度ならいざ知らず、
怪我を治癒された覚えはない・・・・
『嫁』となった影響によるものか、或いはその気がなかったのか?
「だがまぁ、
これでおまえは『使える』とわかった」
自分を床に抑える圧力が、多少緩むのを井上は感じた。
「井上・・・・井上だったよなぁ?
てめぇがろくでもない人生を歩んできて、
ロクな死に方しないだろうことは、想像がつく」
「無理に手伝え、戦えとは言わねぇ。
やる気のない味方は敵より厄介だからよ。
だが、どのみち、おまえの道は前にしか開いてねぇ」
「今のおまえは、オレの『肉詰め』で繋がってるだけの『肉袋』だ。
千切れた神経や血管、潰れた内臓まで、全部『詰め直した』。
脊髄だけはどうにもならねぇから、筋肉で『ギブス』を当てて、
神経類は別で代用してる状態だ」
「つまり、オレの周囲『50m』から離れれば、
おまえはもう一度『真っ二つ』になる。
・・・・言いたいこと、わかるよなぁ〜〜っ?」
祭壇傍では、エイノーが単身、
立ち上がったルンクスと『ハピオル』へと向かっていく。
すでに交戦圏内に入った北欧人は、
仲間に「援護無用」と呼びかけている──
136
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/03/02(木) 22:02:49
>>130
>>132
(ウィル)
浜岡:
「いや・・・・『鏡』に戻っても・・・・
ハァ・・・・能力は解除されない・・・・」
「考えてごらんよ・・・・
でなけりゃ、あいつは『嫁』のままでなんかいない。
能力は・・・・『鏡の中』に持ち込まれるってことさ」
「・・・・ただ、たいていの能力には『射程距離』がある。
鏡の中がどういなってるかは知らないが、
違う鏡から出入りしてるんだ・・・・『距離』の概念はあるんだろ。
なら、安全な鏡の中で遠ざかって、『アレルギー』を解除してくるのは
容易いんじゃないかってことさ・・・・
世界中に『嫁』がいるらしい、厄介な旦那は例外としてね」
「──よし。ちょっとマシになった」
浜岡が首を振り、口端を持ち上げる。
ウィルとのやりとりで、意識が回復したようだ。
そして護衛の役割を果たすべく、ウィルの傍らにやってくる──
熊のような『ウィンター・ブランケット』を従えて。
ウィルは先刻落とした毛布を拾い上げ、
水たまりへと投げつけた。
距離は『4m』ばかりあるが、さして問題なく、
汚水の表面を厚地の寝具が覆い隠した。
おそらくは数秒とかからず、毛布が水を吸うだろうが、
覆った時点で鏡の役目を果たさないのは疑いない。
同時に、血の『鏡』の上にいる仲間たちに警告を放つ。
だが、『ナツメグ』と井上は、小声で何かを話しており、
こちらの声に反応はない・・・・
いや、肥満漢が首を横に振るのが見えた。『問題ない』という意味か?
この時点で、ルンクスまでの距離は『9m』。
(地図左下から回り込んでいる)
あと一歩踏み込めば、射程に入る──そのタイミングで。
「悪いが援護はいらない。かわりに1分『時間をくれ』。
人間の『花嫁』をつれてこの聖堂を出るか
無理なら長椅子を盾に伏せてくれ」
単身、ルンクス達に近づいていたエイノーの声が飛ぶ。
何か考えがあるのだろう・・・・
だが、女性化した『ハッピー・オルガン』は抱合を解き、
臨戦態勢を取っている。
さらには『ナツメグ』の攻撃を受けたルンクスの左足を、
自ら『爆破』し、さらに『治癒』してのける──
井上にそうしていたように、ルンクス本体を『操作』している!
137
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/03/02(木) 22:03:50
>>131
(高遠)
菊川:
(──そりゃあ厄介だ。
そっちの能力は『Wiki』にも書いてないだろうし)
菊川の口調は、依然呑気に響く。
ググ グ……
壁を背に、ゆっくりと立ち上がる高遠。
体は重い。筋肉痛は確実にあるが、
今はそれより重い『役割』を背負っている自覚がある。
そして思い出す。
『ヒトマル』が瞬間移動する際、かすかにだが、
虫の羽音のような『ヴゥン』という音を聞いたことを。
(──『ヒトマル』の位置は、南の壁際。
壁越しにまっすぐ『6m』)
(──ダメージは思ったより大きい。
それだけヤバい攻撃力だったってことだけど。
正面、肩の装甲が落ちてる。『中破』ってところかな)
(──ちょっと待って、高遠。
こいつ、さっきから誰かに連絡を取ってる。
小声だけど、壁際だからぼくには『丸聞こえ』だ)
(──『ヒトマル』ノキトウヲキョカセズ。
──ホンタイニテキキセッキンチュウ)
(──どういうこと?)
注:まだ『クレモンティーヌ』は発現していない
138
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/03/04(土) 13:20:12
>>134-137
やる事はひどく簡単だ、そして『瞬時』に済む。
『フィストフル・オブ・クォーターズ』左手の『発熱』に
可及的速やかにスタンドパワー・精神力・生命力の
全てを注ぎ込む。
先に言っておこう、おそらくこれで
『ルンクス』は倒せない。
何の妨害もないと仮定しておそらく『発熱』は
『F・O・Q』のカートリッジとエイノー本人を瞬時に
燃焼させてしまう、これでは時間的にルンクスに
届かせる『熱量』が足りていない。
ひるがえってその場合ルンクスが『無傷』でいられる
可能性も極端に低くなるが。
ルンクスが対処した場合、つまり「カートリッジを破壊する」
「左手もしくは本体を両側の超級スタンド達に砕かせる」場合
どこまで充填できているかはわからないが物質でない『人間の思考』は
相対性理論に括られないので『発熱』へのエネルギー供給開始は
『エンジェル・ラダー』『ハッピー・オルガン』の神速より早い。
短時間であれパワーAにあるいはプラスアルファのあるスタンド熱源に
近接してただで済む可能性も低いだろう。
そして『ハッピーオルガン』の『本体操作』をもってしてもルンクスは
まだ『祭壇中央』、つまり『行き止まり』にいる。
この『発熱』をすり抜ける事はまずできないし『上』は
『熱の集積場』だ。
あとウィル達が心配していた『水溜り』も蒸散させられるかも
しれないしルンクスにまだ『持ち札』があるなら防御の為に
ここに出す確率も高い。
残念ながら『フィストフル・オブ・クォーターズ』はスピードB、
パス精AAAのスタンドと同じレンジで当たればどうしても
『当て負けて凌ぎ切れない』。
だからこの一手を打つ、『ルンクスの戦力を削ぎウィル達の
突破口を見せる確率の一番高い』手だ。
139
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/03/06(月) 22:43:18
>>136
「・・・仕留め切れなければダメということね」
『ヴェノム&ファイア』が起こしたアレルギーによる二次被害は、射程距離を越えても解除はされない。
というよりは、できない。『炎症』を起こした皮膚は治らず、脳や心臓が『再起不能』になってしまえば
本体であるウィルにもどうしようもない。
あと一発、『スイート・バイト』に撃ち込めていれば、無力化させられただろうに。
「もう動いて大丈夫なの?ミス・ハマオカ」「・・・・・・・・よろしく頼むわね」
無茶はするなと言いかけて、やめる。無茶をせずに勝てる相手ではない事は何より彼女が分かっているだろう。
一方『ナツメグ』は自信満々だ。スイート・バイトを相手にしても問題ないということか?
あるいは、鏡を潰す手段を彼は既に見つけたか。
「ミスター・ニョルズ!ヤツは自分の身体を治せるわ!生半可な攻撃では効かないわよッ!」
『ハッピー・オルガン』、人間に可能な行動だけを極端に強化するのみかと思えば、
吹き飛んだ肉片ごと再生するような真似もやるというのか。
仮に井上がこのスタンドを支配下に置いていたなら、どれほど恐ろしい能力だったか。
だが、その圧倒的な能力を持つが故に扱えなかった『ハッピー・オルガン』、それをルンクスが支配下に置いてしまった。
優先的に、このスタンドを狙わなくてはならないが…。
「ミス・ハマオカ!伏せてッ!」
止むを得ず、ひとまずは長椅子を使って影に隠れる。
何をするのかは分からないが、エイノーの邪魔になることは避けたい。
140
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/03/07(火) 16:16:26
>>135
「…ヒヒッ…ヒーッヒッヒ…」
井上は床に伏せ、笑う、ついに気が触れたのか?
「『あいつ』…! やりやがった! やりやがったぞ! ヒヒヒ! なぁおい見たかよ!?
『あいつ』は治療なんてできないんだよ!
ただ『くっつけた』だけだ! いいか? あいつの能力が解除されたらまた弾け飛ぶんだよ! ただの都合の良い『肉バイブ』でしかねえんだよ! 菊川って言ったか? こいつを他のやつらにも教えてやれよ! 」
井上は愉快に笑う、今井上にできるのはこれだけだ。
「それとだ! 菊川! 他の『嫁』と戦っているやつらがいるなら教えてやってくれ、今すぐここに来いってな、『あいつ』は自分以外の存在を許すヤツじゃない、そうだ『嫉妬』だよ! 『あいつ』は確実に『嫉妬』する! 」
井上はうつ伏せのまま笑っている、逆転と言える策ではない、ただ愉快だから笑っているだけだ。
141
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/03/07(火) 20:48:41
>>137
>(──『ヒトマル』ノキトウヲキョカセズ。
> ──ホンタイニテキキセッキンチュウ)
『ヒトマル』が『連絡を取っている誰かに』言ったものか
それとも『連絡を取っている誰かが』言ったものか判断はつく?
142
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/03/07(火) 22:11:14
>>141
(高遠・回答)
ニュアンスから、
『ヒトマル』の復唱だと思われた。
143
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/03/08(水) 00:35:41
>>142
回答感謝。
>>137
……本隊に敵機接近中?
「司令部……?」
こいつに指示を飛ばしている『何か』が何処かにあって
それに接近してるのか、本体に接近しているのか……。
『ジ・ユーズド』の事を知らなかっただろうことから、復唱内容がブラフの可能性は低いが、
力押しでは勝てない、しかしクレモンティーヌに器用な闘い方は難しい。
そうなるとこいつを統率している本体……本隊?を叩くべきか。
しかし敵が接近している『から』ヒトマルを帰投させないのか?どういうことだろう。
「菊川さん、こいつとの会話みたいな音
発してるのって、感知範囲内で分かる?」
手がかりをもう少し得ておきたい。訊く。
144
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/03/24(金) 02:12:54
>>138
(エイノー)
── ボ ! !
突き出した左腕、
その手甲に出現した『電熱コイル』が赤熱する。
周辺の大気は歪み、陽炎となって踊り始めた。
同時に──『ハッピー・オルガン』が動いた。
『フィストフル』をも上回る速度(A)──だが、
エイノーの狙いは、直接の打撃ではない。
オ オ オオオ
全身全霊、全エネルギーを費やし、『発熱』に注ぎ込む。
エイノーの目的は、自ら臨界点を超える『自爆』だ。
その『高熱』によって、二人を含む周囲全てを焼き尽くす──
スピードに劣る自身に残された、それが最後の策だと考えた。
シュ ォ ウ ウウ ウウウ
『電熱コイル』は、エイノーの覚悟を受け、熱量を上げる。
『コイル』は白い輝きを帯び、その熱はエイノーの髪を焦がし、肌を焼く。
『2m』前に立つルンクスも、熱風に煽られるように一歩引き下がったほどだ。
しかし──熱の猛威は『そこまで』だった。
エイノーの思惑は、『誤算』と言わざるを得ない。
彼のスタンド、『フィストフル・オブ・クォーターズ』の能力とは、
作り出された機能の『カートリッジ』化。
それによる『抽出』と『増設』にある。
『機能』の出力は『増設』先のサイズによって増大するが、
同時に『増設』先を超えるパワーは『決して発揮されない』。
加えて、『自爆』という『機能』は『ライター』には『ない』。
まして『USBライター』は、炎を生まないことで、
安全に着火することを目的とする器具だ。
その加熱範囲はガスライターより短く、
間接的に攻撃するには明らかに不向きな『機能』──
元より『攻撃的』でない器具を選んだことが、最大の失敗だった。
─── ビュ バッ!
揺れ動く大気のスクリーンに見えたのは、
左の視界の端に滑り込む、『ハッピー・オルガン』の影。
その手が白い閃光と化して襲い来る。
スタンドの狙いは容易に予想出来た。
スタンドの左肩、『カートリッジ』。
或いはその延長線にある喉笛までも。
──『フィストフル』は動けない。
全身全霊を注いだが故、反応する余力は残されていない。
「ヒャッハ──!
無駄死に、ご苦労チャ〜〜〜〜ン」
『ハッピー・オルガン』の嘲りが耳に刺さる。
その顔を追う余裕すらなかったが、想像は出来た。
これ以上ないほどに悪魔めいた、愉悦の表情を。
145
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/03/24(金) 02:15:27
>>139
(ウィル)
先刻の状況は、両腕を封じられた『深淵』を始末する最大の好機だった。
浜岡は自身の怪我を顧みず、それを作り出してくれた。
敵を仕留めきれず、『鏡』の中へ逃がしたことに
ほぞを噛むウィルだったが、改めて思い返す内に、
不気味な疑惑が浮かんで来る。
命中した『ファイア』の『針弾』は三発。全て左肩だ。
一発目で『深淵』をアレルギー体質に変え、
二発目で『麻痺』させ、
三発目で『麻痺』を前腕・左胸まで拡大させた。
四発目は外れたが、これが胸か肩に当たっていれば、
『麻痺』は胸内の心臓に至り、『再起不能』をもたらしたはずだ。
だが、改めて状況を再現すれば、
四発目の外れ方は、明らかに『不自然』だとわかる。
的として狙うには、四発目がもっとも大きく、外しにくい。
『深淵』の体術は確かに巧みだったが、
急所を隠せこそすれ、避け切るほどの切れはなかった。
連射の一環故、緊張による誤射とも考え難い。
それでいて、四発目は明確に『外れた』──
いや、『外れた』のではない。
『外した』のではないか・・・・そういう疑惑だ。
浜岡:
「この状況でお荷物になんて、なれないからね」
普段通りの様子で返す浜岡の目は、
女性化した『ハッピー・オルガン』に向いている。
超速度で移動する『自律型』は、生きた飛び道具に等しい。
『9m』離れてなお、油断できない相手ということだ。
祭壇左部では、エイノーがルンクス・『ハピオル』と対峙する。
そのただならぬ様子を受け、
ウィルは素早く前方の長椅子の陰に身を隠す。
だが、浜岡はそれを追わず──かすかに息を飲むのが伝わる。
「駄目だ──ウィル、援護射撃を!
あんたなら間に合う、エイノーを護るんだ!」
長椅子の隙間から覗いたウィルの視界では、
エイノーの狙いは依然としてわからない。
一方、『ハピオル』は一瞬で、エイノーの左後方に移動している。
エイノーからはほぼ死角。ルンクスと挟まれる位置。
その企みが何であれ、エイノーが無事で済むとは思えない・・・・!
>>140
(井上)
(──やあ。
ぼくのこと覚えてくれてたんだね)
笑う井上に、床が返答する。
(──残念だけど、それはどっちも笑えないと思うな)
(──治療が一時的なものだとしても、
この場で解除されない限り、ぼくらの脅威は変わらない)
(──それに『嫉妬』もね。
『嫁』同士は戦えないようになってるって、
ウィルくんが言ってたと思うよ。
仮に嫉妬しても、『同士討ち』は望みが薄いんじゃないかな)
『ナツメグ』:
「チイッ、『自殺願望』でもあンのか、
あの学者はよお〜〜〜ッ」
ガッシ!
突如、襟首を力強い手に掴まれる。
「だが、『飛車』を捨てて勝てる将棋じゃねぇ。
『交換』するなら、こっちの『ト金』だ。
持って行きやがれ──オラァッ!」
バオォ ン!!
大気が顔を叩いた次の瞬間、井上は滑空していた。
スタンドで投げられた、と理解するより先に、
エイノーの左後方に突撃する──
そこにあるのは、現れたばかりの『ハッピー・オルガン』の白い背中だ。
『フィストフル』の『左腕』を警戒してだろう、
大きな弧を描いて移動した為、かろうじて『ハピオル』の超速に間に合った。
『ハピオル』:
「ヒャッハ──!
無駄死に、ご苦労チャ〜〜〜〜ン」
ギ ャン!
とはいえ、覚悟も構えも準備もない。
『ハピオル』がこちらに気付いているかもわからない──
エイノーが仕留められる前に、邪魔が出来るものか?
そして・・・・生きて帰れるのか?
146
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/03/24(金) 02:16:05
>>143
(高遠)
菊川:
(──会話の相手は特定できてないね。
『ジ・ユーズド』の盗聴は壁が基準だから、
小声だと、よほど壁際でないと拾えないんだ)
(──あと、現状を報告しとくと、
現在、教会内にいる敵勢力は『3人』。
ルンクスと『ヒトマル』、それに『ハッピー・オルガン』。
浜岡さんの『深淵』は、鏡の中に追い払えたけど、
ついさっき、『ハピオル』が『嫁』堕ちしちゃった)
(──あー、女性にはすっごく説明しづらいんだけど、
ルンクスの『アレ』に刺されると、一発で『嫁』になるみたい)
(──向うの状況は、エイノーがピンチ。
ルンクスと『ハピオル』を正面突破しようとして、
挟み撃ちになってるところ)
(──おっと、悪い話が一つ増えた。
『ヒトマル』が動き出したよ・・・・こっちも戦闘再開だ)
ゴ ゴ ゴ ゴ
147
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/03/24(金) 07:54:48
>>144-146
『ここまで』と思ったが『続き』があるならやらねばなるまい。
正直気合いすぎて腕を突き出していたのはミスだった。
熱など上に行くので垂らしておこうと思っていたが。
と言って大した事ではない。
『F・O・Q』の背中にエイノーの頭を預ける形で
今度こそ床に手を触れない範囲で『発熱』の手を下げ
ごく自然に『F・O・Q』ともどもエイノーも膝を落とす。
一見して『落胆』のポーズだがそうではない、
『発熱』が全開で継続している以上この近辺に
先の『過熱』では見込めなかった『熱量』は
放散しつつも溜まる。
これで祭壇近くの水溜りの蒸散くらいは確実だろうし
低確率だが「反応が鋭い」ゆえの『ハッピー・オルガン』の
攻撃も空振りさせられるかもしれない。
あと今度こそ『カートリッジの溶解』『エイノーの火傷』も
確実だが『ハッピー・オルガン』や『エンジェル・ラダー』
も直接攻撃では『熱気圏』突入確定だ。
投擲についてだが『ハッピー・オルガン』が投げてくるのはいい、
一秒でも長く生きてルンクスと『エンジェル・ラダー』を
少しでも『熱気圏』に巻き込む。
『エンジェル・ラダー』対策については少し『F・O・Q』右腕に
力を戻しておく。
運が良ければパワー不足(A対B)なりに投擲物を逸らせるだろうし
間に合わなくても今の地点にルンクスを追い詰める火柱一本立てられる、
最悪でもウィルや井上のいない方向に飛ばされるくらいできるだろう。
外したなりに状況は変わっていないのでウィル達にかける言葉はない。
近づくとどう危険なのかはそれなりわかってもらえただろうし
まず『体力』がない。
いきなり高温過熱で自爆という可能性もなくなった以上むしろ
『予想外の危険』がウィルや井上になくなったのはいい事だろう
もっとも火傷と低酸素で次こそ最後か次の次には現状維持の
限界ではあるだろうが。
148
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/03/25(土) 22:54:17
>>145
(─────まさか)
ここに来て、進行しているのか。いや、むしろ今まで問題なく動けたのが幸運だったのか?
念のため、何らかの液体が身体に付着していないか軽く調べる。
衣服に付いていた場合、すぐにでも脱がなければ。
そして万が一手遅れの場合は、自ら針弾を───。
「ッ!Got it(了解)!」
浜岡の言葉に反応し、即座に動く。
最悪の展開を想像するよりも、まずは目先の展開に対処する必要があるようだ。
エイノーの策は通じなかったか、一旦彼にも下がってもらい、態勢を整えなければ。
長椅子の陰から頭と『ファイア』を出し、『ハッピー・オルガン』に向けて二発撃ち込む。
当たらなくても良い、まずはエイノーへの攻撃を止めさせる。
「下がって!ミスター・ニョルズ!」「ここで負けるわけにはいかないのッ!」
149
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/03/30(木) 13:09:39
>>145
「うるせえぞスタンド博士、先に言っとけ! さっきから聞いてたがやたら大威力の攻撃も『嫁』のものだろうが、ルンクスや他の『嫁』に誤射する可能性があればやたらと連射はできねーんじゃねえのか!? 近接距離での乱戦になれば、互いが互いを邪魔して攻撃できなくなるかもしれねーだろ!
ルンクスの足のダメージもだ!
『ハッピーオルガン』を能力を使用できない状況に追い込めば、ルンクスに大きなダメージを与えられる! 攻撃目標が定まるだろ! 劣る戦力で打倒するには火力の集中が必須だって学校で習わなかったのか?
ともかく伝えろ! できるできねーの前に可能性まで否定してんじゃねーよ! このままじゃ全員死ぬんだよ! 集団で戦うなら情報の共有はイロハのイだヴぉアアアアあッ!?」
人は極限状態に追い込まれると普段では考えられないパワーを発揮することがある、井上はいやに冷静に饒舌にわめき散らし…あえなくブン投げられた。
「!!!??!?!?!」
状況はわからないが、今ここで行動しないと終わりだ、『ハッピー・オルガン』に攻撃しても意味がない、スタンドだしな。
「後ろだ伏せろおおおおああああ!」
エイノーの脚に抱きついて転ばせる!
肉詰めされてスピードもパワーも上がってる、間に合え!
150
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/04/01(土) 04:34:32
申し訳ない
>>145
を受けて
>>147
訂正。
後は焼ききれるまで発熱、と言うわけには
いかないようだ。
『発熱』を通常ライター程度(約600度)まで抑え
『F・O・Q』暫定体機能回復、手早く(エイノー本体も
少し送れて)負傷した右腕で飛んでくる井上を
巻き付くようにソフトキャッチ、返すパワーの戻った
『発熱』の左側で『ハッピー・オルガン』に防御体制を
とりながら井上とともに飛ばされて離脱したい。
個人的には悪くない状態だったと思うが相談もしなかった、
それで他の面々を不安にさせたならエイノーに非はある、
何とか一時離脱しつつ仕切り直したい。
151
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/04/02(日) 21:09:25
>>146
タンクなんとかのHQについて聞いておけばよかったな、
と後悔しつつ、意識の中だけで目を覆う。
よりにもよって『ハッピー・オルガン』が敵の手に落ちるか
(……スヴァルトの言っていた『女は危険』ってそういうことね)
『ハッピー・オルガン』は男だったはずだが、
やろうと思えばこんな僅かな間でも侵食、支配できるのか。
(これはいよいよ菊川さん連れて撤収するか考えたほうがいいかしらね)
それか、司令塔を破壊するか、だ。
……しかし悔しいが司令塔の手がかりは得られても、
司令部の正体、位置についての考えに至れない。
そうなれば前者の方法を取るしか無い。
しかし、連れ出せるかどうか……
(外にでて、入り込んだチェストを教会内に蹴り込めばいけそうかしら)
それだけ言って、ゆっくり壁を離れる。
まずは『クレモンティーヌ』を発現させ、穴をぶち開けた所まで移動を開始する。
152
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/04/17(月) 02:40:52
>>147-150
(エイノー)
腕を自然に突き出したのは、
『灼熱』の間合いを少しでも早くルンクスに近づける為、
当然の選択だ──それでさえ、後退するルンクスに届かなかったが。
確実に『自爆』に巻き込むならば、
相手の体を掴むなどして、確実に間合いを詰めて行うべきだった。
とはいえ、覆水はもはや盆には返らない。
現時点でエイノーに取れる選択は限られている。
『ハッピー・オルガン』の攻撃が到達するまでの、小数点未満の刹那。
防御も回避も、ましてや反撃する余力など残ってはいない。
そんな状況下でエイノーが最終的に選んだもの──
それは、『仲間の安全』であった。
>>148
(ウィル)
体に付着した液体はないか?
一刻を争う状況下、念入りに調べる余裕はない。
だが、間違いなく、ウィルは体液と思しき液体には触れていない。
いや、近づいてすらいない・・・・水たまりに被せた毛布は、
わざわざ遠間から投げる年の入れようだった。
ルンクスとの距離も、射程の『8m』ギリギリからほぼ近づいていない。
しかし、『嫁』と化したウィルの体は、感じていた。
この教会に辿り着き、ルンクスと再びまみえて以来、
『見えざる秒針』が動き始めたことを。
恋する乙女が、慕う相手の傍にただいるだけで、
ひたすらに想いを募らせ、追い詰められていくように──
ウィルを犯す『嫁』の要素は、
ルンクスの傍にいる限り、加速を続けていく、その事実を。
その限界は、いつ来るのだろうか?
感覚的には、まだしばらくは問題ない。
戦う気力、反抗の意思、ともに堅持されている。
だが、今日この場を逃した後、『台場ウィリアム』でいられるだろうか?
それは保証できない・・・・いや、おそらくは『不可能』。
カウントダウンは、そこまで進んでしまっており、
状況次第でさらに加速する可能性すらある・・・・
「ッ!Got it(了解)!」
長椅子の隙間に銃口を向け、『ハッピー・オルガン』に狙いを定める。
未来の話をする時間は、今はない。
生き延びる為、眼前の危機を切り払う現在(いま)があるだけだ。
>>149
(井上)
果たして、菊川に聞こえているだろうか?
思いつくまま、解決手段を口走りながら、
井上は飛来する──撃ち込まれた弾丸さながらに。
行動を強制されるのは、『ハッピー・オルガン』で慣れている。
だが、エイノーの脚を見据える己が眼差し。
支離滅裂ながら迸る己が声。
『本体操作』に匹敵し、かつ己が意思で動く『超肉体』。
ついぞ『ハッピー・オルガン』に与えらなかったそれらは、
井上自身が戦場に立つ覚悟を決めた証明であり──『ギフト』だ。
「後ろだ伏せろおおおおああああ!」
声に反応してか、『ハッピー・オルガン』が振り返った。
だが、こちらに反応までは出来ない。
腕を振り回し、空中で泳ぐようにしながらエイノーの下半身に手を伸ばす。
──チッ!
その指先が、『ハッピー・オルガン』の脚を『掠めた』。
痺れるような指先の感触──スタンドに『触れた』?
153
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/04/17(月) 02:41:44
>>147-150
(エイノー、ウィル、井上)
──バシュ!バシュウ!
メ ギャンッ!
滑空する井上と、神速の『針弾』が宙で交差し、
ともに『ハッピー・オルガン』の背後に迫る!
「うお、ッッとォ!!」
ビュ! バ!
すでに『フィストフル』への攻撃に入っていた『ハピオル』だったが、
まさに悪魔的な反応でその身を翻し、『針弾』を躱してのけた。
跳躍ですらない、足場なく超速度の移動を可能とする
『スタンド』ならではの軌道で、天地を入れ替えた後、天井へと『着地』する。
カカッ!
標的を失った『針弾』は壁に突き立ち、
ドバッシィィィィ ン!!
井上は、エイノーに猛烈なタックルを決め、
ともに転倒しながら、祭壇奥の壁に激突した。
シュウウ ウ
二人の火傷が軽度で済んだのは、
寸前でエイノーが自ら威力を弱めたことと、
肩の『カートリッジ』が砕かれたからだ。
『女悪魔』の魔の指は、思わぬ反撃を受けながらも、
最低限の仕事は果たしていったことになる。
激突の衝撃が気付けになったか、
精神がリブートするのをエイノーは感じた。
二人まとめて壁際に転がった状況こそ最悪だが、
もうスタンドは動かせる──致命傷も避けられた。
──だが、しかし。
ド ド ド
ド ド ド ド ド ド ド
井上とエイノー、目を開けた二人が最初に見たのは、
『2m』という至近距離で立ち尽くす、ルンクスの異形だった。
当然のように傍らに聳える、『エンジェルズ・ラダー』。
その『馬面』は、主の興奮を伝えるように鼻息も露わだ。
「・・・・この国じゃア、
こういうのを『スエゼン』と言ったカ?」
『ブルルルッ!』
ガゴォン!
『エンジェルズ・ラダー』の右拳が動き、奥の壁を叩いた。
ノックするような軽い動きだったが、反響は重く、
壁には亀裂とともに腕が通るほどの穴が開く。
「ヨシ・・・・いいぞ。
我が『新妻』は、『真面目』で『働き者』だ」
謎めいた言葉を吐く男の瞳は、
闇に灯された松明のように燃えている。
二人に理解できる事実は二つだけ。
教会から、菊川の『ジ・ユーズド』が解除されていること。
そして、最悪の状況で、最凶の敵が現れたことだ──!
154
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/04/17(月) 02:42:04
>>151
(高遠)
壁を背で押すようにして、立ち上がる高遠。
わずかな時間ではあるが、応急処置は終えた。休息も取れた。
後は全力で『踊る』しかない──
撤収を視野に入れるにせよ、容易くさせてくれる相手ではない。
ズギュ! ♪──
『クレモンティーヌ』を発現。
失った右手の先端を労わるように、スタンドの左手が添えられる。
もう一方の手は互いに握り合い、溢れ出す『音楽』に身を委ね、
ゆっくりと旋回し、壁沿いに西(地図上)へと歩を進める。
改めて見回した司祭室は、台風でも過ぎ去ったようだ。
本棚、調度品、小物、衣類。
簡素ながら生活には十分な量のそれらは、
破壊され、引き裂かれた残骸のみを、部屋に残している。
部屋の角の柱に飾られた青銅の聖母像も、
針金の骨格をさらけだし、かろうじて手足を繋いだ状態だ。
シュル スルスル
床の障害物を弾き飛ばしながら、『踊り子』は進む。
壁際を『3m』進み、先刻ブチ抜いた壁の穴の前に出た。
穴は隣りの鐘楼室に通じている。
菊川の情報が正しければ、『ヒトマル』はまだ、、
鐘楼室に立ち尽くして見えるはずだ──
ド ド ド ド
回転の合間から、盗み見るように覗いた鐘楼室は、
司祭室が無難に思えるほどの惨状だった。
『ヒトマル』の砲撃を密室に封じた為、壁、床、天井以外の全てが
焼き尽くされ、消し炭と化している──
あるのは南西の壁端で半ば溶解した鐘楼だけだ。
そう・・・・
ゴ ゴ ゴ ゴ
『ヒトマル』の姿が・・・・何処にも、ない。
ガゴォン!
突如、鐘楼室の東(地図下)壁が悲鳴を上げた。
石壁に亀裂が走り、腕一本通るほどの小穴が目の高さに開く。
壁の向うからの攻撃だ・・・・それはつまり、
『ジ・ユーズド』の喪失を意味する・・・・!
155
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/04/17(月) 02:44:24
現在の状況:
西
↑
■■■■■■■■×■扉扉■■■■■■■■■■
■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■
■□■■扉■■■■■扉■■■■■■扉■■□■
■□■□□□■□■鐘□□□□×高□□□×□×
■□■□□□■□■?□□□□■□□□□×□×
■□■□□□扉□■■■×■■■□□□□×□×
■□■□□□■■エ□□ル〓□■□□□□×□×
■□□■■■■■□□祭壇□〓■■■■■□□■
■■扉■■■■□□□□□□〓〓■■■■扉■■
■ナ□□□□□□ハ□□毛□〓〓〓□□□□□■
■□□□エ□□□□□□□□□〓〓□女□□□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓〓□□□ウ□□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□〓□□浜□□□〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□〓□□□□□□〓〓〓■ ⇒ 北
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓□□〓〓〓〓■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
扉□〓〓〓□〓〓〓〓□□□□〓〓□〓〓〓□扉
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■
■■■■■■■■■■扉扉■■■■■■■■■■
□:約1m×1m ■:壁 〓:椅子 ×:破壊された壁
祭壇:倒れている
ナ:ナツメグ ハ:ハピオル(天井) エ:エイノー&井上
ウ:ウィル 浜:浜岡 毛:毛布 高:高遠
ル:ルンクス 女:花嫁(行動不能)
?:『ヒトマル』がいたはずの場所
156
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/04/17(月) 22:04:26
>>152-155
「助かったよ感謝する」
井上に礼を言い立ち上がる。
現在できる事で有効そうな手はあまりない。
なのでそのうちの一つに賭ける他ない。
USBライターの『硬度』カートリッジを抜き
『F・O・Q』左肩に装填し『F・O・Q』右腕を
完全にガードに回しエイノーも前進、
ルンクス本体に左ストレートを打つ。
この場で『F・O・Q』の『速度』で追いつける可能性があるのは
強化されているとはいえルンクス本体しかない。
『エンジェル・ラダー』『ハッピー・オルガン』が防御に来るなら
むしろ本来追いつけないこの2体のスタンドに当てられる可能性がある。
ウィルの受難の最初の日の首に感じた『殺気』を考えると
もう距離はむしろ詰めるべきだろう。
過剰の『発熱』であれば『壁』になると思ったがもうそれは当座できない。
「『ハッピー・オルガン』に防がれて残り二者にエイノー本体が倒される』
のが最悪のパターンだがそれは今更守りに入っても同じだ。
高遠を入れて他の5人(流石に菊川も今回は最善で『気絶』だろう)
の動きはもう各々に任せるよりない。
何か頼まれれば聞いてやりたいが今回はそこまでの余裕はないだろう。
157
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/04/18(火) 05:46:46
>>156
追加
破壊されれば解除される筈だが念のため
立ち上がると同時に『発熱』カートリッジは
意図して解除する。
158
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/04/18(火) 23:25:06
>>152-153
「・・・・・」
時間がない。分かっていたことだが、それでも変化を目の当たりにすると恐ろしくなる。
この場にいる誰よりも、自分にとって長期戦は不利だ。
なるべく『ハッピーオルガン』を倒さずに済むのであれば、それに越したことはない。
そして何より。
「ミスター・キクカワ・・・・?!」
『壁が破壊された』。つまり、この作戦の要である『ジ・ユーズド』が解除されている。果たして菊川は無事なのか?
万が一ルンクスに逃げられでもしたら、全てが水の泡となる。
その前に仕留めなければならない。
「『ミス・ハマオカ』・・・『ナツメグ』と協力して防戦に専念した場合
『ハッピー・オルガン』を相手にどれくらい持たせられるかしら?」
訊ねつつ左側へと移動し、若干祭壇の方へと近付く。仮にルンクスが壁の向こう側へと逃げた場合でも、針弾を撃てるように。
159
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/04/19(水) 18:55:01
>>154
質問
1:ヒトマルが『転移』を行う際に起きるであろう音は聞こえていたか。
(あるいは音が出ていたとしても、音の大きさ的に『踊りの音楽』で聞こえない可能性はあったか)
2:北側、場外で何か異変は見られたか。
160
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/04/20(木) 23:25:02
>>159
(高遠・回答)
>1:ヒトマルが『転移』を行う際に起きるであろう音は聞こえていたか。
>(あるいは音が出ていたとしても、音の大きさ的に『踊りの音楽』で聞こえない可能性はあったか)
音は聞こえなかった。
『転移』時の音は低温かつ小さく、同室内でなければ聞き逃す可能性が高い。
『踊り』の音楽に紛れた可能性も存在する。
>2:北側、場外で何か異変は見られたか。
その方向はまだ確認していない。
明確に感じ取れるであろう音などの異常も
現時点ではまだ、感じ取れない。
161
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/04/21(金) 02:12:27
>>153
「ヒッ…!」
悲鳴を噛み殺す。
初めてじゃないか、『ハピオル』じゃあない、俺が戦っているんだ。
深い絶望の中で奇妙な興奮がある、興奮の中で思考は冷たく、僅かでも生還の可能性を探る。
パワー、スピード、精密性、どれをとっても圧倒的、おまけにチンコもデカい。
勝てない、比較じゃ勝てない、それじゃあ勝てる状況を作ろう。
遠距離、ダメ、中距離、何度も試してる、近距離、違う、更に、もっと近距離へ!
超至近距離にしか活路は無い、お互いにパンチもできないほどに密着しなければ!
「これしかねえ! 悪く思うなよ!」
肉詰めパワーアップした身体でエイノーの背中にドロップキックを食らわせる。
エイノーがどう行動しても、『エンジェルズ・ラダー』は正確に合わせてくるだろう。
そこに不確定要素を加える、予想外の急加速によってエイノーは懐に飛び込むことができるはずだ。
「遊んでんなよデブ! これ外したら終わりだ! 全滅だ! 聞いてんのかデ…ナツメグ!!」
162
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/04/22(土) 21:59:09
>>160
回答感謝・再質問
>>154
>部屋の角の柱に飾られた青銅の聖母像も、
>針金の骨格をさらけだし、かろうじて手足を繋いだ状態だ。
・この聖母像はどれ位の大きさ?
・この聖母像は四肢をまだ備えたままか?
・この聖母像まで現在の高遠らの位置から何mある?
163
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/04/25(火) 01:55:33
>>162
(高遠・回答)
>・この聖母像はどれ位の大きさ?
身長『1m』程度。
>・この聖母像は四肢をまだ備えたままか?
ひび割れ、骨格であろう針金が一部露出しているが、
四肢は残されている。
>・この聖母像まで現在の高遠らの位置から何mある?
北西(地図右上)の角。
高遠からは『4m』。
164
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/04/26(水) 11:41:34
>>163
解凍感謝。
>>154
既に危険域を脱せないレベルまでミスが積み重なっているような。
そんな漠然とした不安に心を支配されそうになる。
……待て、萎えるな。今萎えてどうする。
ありえること
『迷彩』……目眩まししているだけ。解除されている理由を埋めづらい。薄い。
『菊川が支配下に落ちていて実はブラフの山』……これも薄い
というか『支配下』同士は同士討ちを忌避する傾向があるはず、無いか。
『転移』……再びヒトマルに菊川が攻撃され、最悪死亡。あるいは負傷。
または最良でも『ジ・ユーズド』をチェストのみにせざるを得ない状況が発生した。
『それ以外』……別の何かに攻撃され『転移』同様の事態がおき『ヒトマル』は自由行動中。
『転移』と思われるが、ヤツの攻撃は大火力が主体だったと思……他の手段が有るのか?
……安否を確認する必要は、ある。
だが壁向こうの攻撃……わざわざ味方がそのようなことをする可能性は低い。
おそらく『敵』……『ルンクス』だ。
直近の壁を蹴って敵らしきモノが今しがた開けた開けた『穴』へ蹴り飛ばしながら
移動の向きを反転、崩れかけた『聖母像』へ接近する。
狙いは北部屋外の様子を見に行きつつ『パートナー』交代を必要に応じて行えるように。
視界に映る北の屋外の様子は、どうなっている……!
165
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/05/08(月) 11:02:58
>156-157
>>161
(エイノー、井上)
カシュ カチャ!
───シュゴォォォン
エイノーは唯一残された左肩のスロットに、
USBライターから抜き出した『硬度』カートリッジを刺す。
(破壊された『発熱』カートリッジは解除されている)
ライターの素材(明示を)そのままの『硬度』が、
左腕全体を覆い、『強化』が施された。
だが、エイノーの背後で身を起こした井上の目には、
その仕込みはあまりにも『隙だらけ』に映った。
敵との間合い『2m』で行う『内職』は、死を確約する。
相手がルンクスであれば、なおのことだ。
・ ・
・ ・
しかし何故か、死神の鎌は振り下ろされない。
そして井上は──見た。
『弱者』としての人生、小動物のような『観察眼』で、
眼前に立ちはだかる黒人の一瞬の反応を。
『フィストフル』が動いた際によぎった怖れ。
右半身をわずかに引く、『逃げ』の前兆。
ライターから『カートリッジ』を抜くのを見た安堵。
それらは、どれもかすかなものだ。
この距離でなければ、余裕ぶった笑みにごまかされたに違いない。
何より、人の顔色を窺って生きてきた、井上ならばこその──
「これしかねえ! 悪く思うなよ!」
ドンッ !
態勢的にドロップキックは無理だが、
背中から床に倒れこみながら、井上はエイノーの背を両足で蹴り飛ばした。
ルンクスの反応は、鈍かった。
仲間が蹴るという意外性故か、井上の見た逡巡からか。
だが、それでも、『2m』という距離はやや遠い。
エイノーが攻撃態勢になかったこともあり、
エイノーと『フィストフル』が懐を取るより早く、
ルンクスは後方に飛びのいた──『人体操作』の機動力。
だが・・・・
ガ ゴッ !
「ッオッ!!!」
その脚が、後方に押し寄せていた長椅子に引っかかる。
ルンクスは姿勢を崩し、椅子の上に尻もちをつきながら
後方に転倒、長い天板の上を滑っていく。
ビュ バババ!
同時に、壁の穴から瓦礫が飛び出す。
援護の正体は、『音楽』によって明かされた。
穴の向うから聞こえてくる、リズミカルな『メロディ』。
井上はさらに、『ナツメグ』に呼びかける。
床に倒れ、逆になった視界に、
憤怒も露わに天井を蹴る『ハッピー・オルガン』の巨体が見えた。
そして、その向こうに。
ド ド ド ド ド ド ド ド
サバンナを突き進むサイの如く、
全身の筋肉で疾駆してくる、『ナツメグ』の姿が。
「『挟み打ち』にはさせねェぜ・・・・『女悪魔』ぁ!」
エイノーとルンクスの距離──『2m』。
『ハピオル』と井上の距離──『6m』(上下差含む)。
166
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/05/08(月) 11:04:05
>>158
(ウィル)
刻一刻と迫る『成婚』の期限。
『ジ・ユーズド』の消滅。衰えないルンクス勢の戦力。
ここで仕留めきれなければ、
ウィルにとっての敗北は確定する。
焦りが一筋の汗となり、頬を伝った。
祭壇付近の状況は、エイノーと井上の二人が、
ルンクスを壁際に追い詰めたように見える。
だが、敵の手に堕ちた『ハッピー・オルガン』が、
彼らの後方、天井から戦局を睥睨している。
『主人』の危機を見逃すはずがない。
「『ミス・ハマオカ』・・・『ナツメグ』と協力して防戦に専念した場合
『ハッピー・オルガン』を相手にどれくらい持たせられるかしら?」
「今の『ナツメグ』は、数に入れない方がいいね」
浜岡の返答は、意外なものだ。
とは言え、辛辣な口調ではない。
「あいつが前に出ないのは、サボってるんじゃない。
『スイート・バイト』を封じているからさ。
落ち着いて、そこらの椅子に触れてごらん。
床が震えてるだろ? ほとんど気付かないほど微かにだがね。
教会全体を『微震』させることで、水面を波立たせ、
『鏡』を作ることを阻止してる。それも、あたしらに影響がないように。
繊細な『肉』の操作も『フランキー・アヴァロン』の長所さ」
「だが、強いスタンドには弱点も付き物だ。
『詰め物』を操作する間、スタンド自身の操作は疎かになる。
それが『フランキー・アヴァロン』の一つ目の弱点。
ただでさえ格上の敵に、ハンデつきで戦いを挑むなんてことは、
リスクを嫌う【殺し屋】の選択肢にはないだろうからね」
「それにもう一つ・・・・あの『肉』は『露出』に弱い。
『詰め物』の能力だからね。『ガワ』がなくなれば解除される。
井上の包帯が外れたら、元通りの『真っ二つ』さ。
敵に気付かれても不味いから、伝えなかったんだろうがね」
「そういうわけで、『ナツメグ』は当てにできない。
やるならあたしとあんただ・・・・
高速の『麻痺弾』は、拘束には『うってつけ』だよ。
最悪に近い相手だが、『1秒』は動きを止めてみせるさ。
【護り屋】の名にかけてねえ」
バ ッ
ウィルは左手に動き、ルンクスを射線に収めようとする。
射程は問題ない・・・・だが、事態は意外な方向に転がった。
エイノーの奇襲?に意表を突かれたか、
後方に跳んだルンクスが、背後の長椅子に躓き、椅子の上に転がったのだ。
長椅子の背もたれに隠れ、ウイルからは黒人の姿が消える──
ドシュ! バババ!
さらに、壁の穴から吹っ飛んできる複数の瓦礫!
狙いは出鱈目だが、こちらに命中しないとは限らない!
167
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/05/08(月) 11:05:05
>>164
(高遠)
────ガッ ゴォ
ン! !
側近の壁を蹴り砕き、瓦礫を壁の穴に叩き込む。
狙い外さず、複数の大きな瓦礫が、穴の向うに吸い込まれた。
手応えはない──命中はしていない。
だが、壁の向うから、ガタガタと音が聞こえた。
回避だけにしては若干派手だ。何かしら効き目はあったかもしれない。
────♪
その反動を利用し、一気に『聖母像』のかけられた角(地図右上)に移動した。
青銅の聖母像は、半ば柱と一体化した構造だ。
本来は柱に添えられていた両腕は砲撃の余波で外れ、
針金の骨格が露出している。四肢はかろうじて無事というところだ。
身長は『1m』ばかりで、ちょうど小学生の子供程のサイズ。
『パートナー』に選ぶには、ひとまず問題ないと思われた。
それだけの情報を一瞥で得た後、
高遠は部屋の北側、砲撃でブチ抜かれた廊下と、その先の庭先に目をやる。
そして──息を飲む。
残された壁の右手(地図右下)方向から、
かすかな駆動音とともに『ヒトマル』が姿を現したからだ。
まだ弱弱しい朝の光で照らされた芝生の上を、
散らばった無数の瓦礫を意にも介さず轢き潰しながら。
菊川の情報通り、
『機甲少女』の胸と肩の装甲は破壊され、失われている。
ダメージというよりは、取り外された印象だが、
防御力が低下しているのは間違いない。
だが、何よりも高遠を絶句させたのは、その肩の上。
見覚えのあるチェストが、右肩に担がれている。
おそらくは・・・・『中身』を伴って。
ゴ ゴ
「・・・・敵機『高遠 嶺』、確認」
『ヒトマル』が呟き、こちらを向いた。
互いの距離は『6m』──『一触即発』の距離だ。
ゴ ゴ ゴ ゴ
168
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/05/11(木) 00:11:28
>>166
「数に入れない方がいい・・・?」
「ミス・ハマオカ」「それはどういう─────」
浜岡の言葉に生じた疑問は、同じく彼女によってすぐに納得した。
先ほどナツメグが『スイート・バイト』は問題ないと答えたのは、こういった理由があったのか。
>「あいつが前に出ないのは、サボってるんじゃない。
> 『スイート・バイト』を封じているからさ。
> 落ち着いて、そこらの椅子に触れてごらん。
> 床が震えてるだろ? ほとんど気付かないほど微かにだがね。
> 教会全体を『微震』させることで、水面を波立たせ、
> 『鏡』を作ることを阻止してる。それも、あたしらに影響がないように。
> 繊細な『肉』の操作も『フランキー・アヴァロン』の長所さ」
だが、逆に言えばナツメグが倒れたなら、それはもはや詰みを意味する。
頼れる仲間を失うだけでなく、更に強大な敵が復活するという事なのだから。
「わかったわ」「仲間を信頼する・・・今これがわたしのすべき事」
「coward(ルンクス)は三人に任せましょう」「この悪魔はわたしたちが何とかするわ」
そして飛んでくる瓦礫。被弾する確率は低いだろうが、威力は想定できない。
肩膝を立てながら座り、両手を顔の前で交差させる。
できれば浜岡の助力も頼りたい所だ。
瓦礫が通り過ぎたなら、『ハッピー・オルガン』の動向を見る。
169
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/05/11(木) 00:42:52
>>165-167
「たいしたものだ、『ハッピー・オルガン』が『天災』なら
井上氏は『天佑』のようだ」
また『一手』遅れるところを押し込んでもらった。
どういう経緯か知らないがルンクスも効果的な回避はしていない。
ここで『前進』しない手はない、苦痛をおしても長椅子なり
隙間なりをエイノー本体ごと駆け抜けて『F・O・G』
右手ガードの体勢からルンクス本体に左全力ストレート。
『エンジェル・ラダー』『ハッピー・オルガン』『瓦礫』は
右ガードがきくか避けられる可能性に賭けるしかない。
ガードには『即死を防ぐ』以上の期待はしていない、
今大事なのは『F・O・Q』射程内にいるルンクス本体に
とにかく『くらわせる』事だけだ。
170
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/05/15(月) 20:29:40
>>167
脳裏に浮かぶのは『初仕事』。
(『伊吹』……『セージ』……)
人質を取られた相手に単独で戦い、自らの未熟で勝ちを逃したあの時。
……違うのは、『試合』が『殺し合い』で有ること。
敵が遠距離攻撃を備えていて、相性はとてつもなく悪いこと。
自分が死ねば向こうで戦っている『殺し屋』達にとっても最悪の破壊兵器であること。
……そして、自分が未熟なりに命を繋いできたこと。
故に考える。
生きている可能性が高い。後ろに担いでいるのは、単純に殺す事が難しいだろうという事と、
そのほうがこちらを釣れるという考えからだろう。
ただ、菊川が敵の手に落ちているという時点でこちらの取りたかった方針は封殺されたに等しい。
ここでもし菊川を見捨てたらどうなるか。
間違いなく転移なり戦車特有の人間置いてけぼりな速度なりで菊川をこちらの手の届かないところに捨てて、
ヒトマル自身は悠々と戻り『殺し屋』たちへの攻撃を開始するだろう。
であれば戦うか? 単独である以上攻撃は慎重に行くしかない。
下手に攻め込めば先程の二の舞いで、こんどこそ死ぬ。
だが、私がここで戦うということは、逆に考えればヒトマルを足止めする事ができる。
こちらを攻撃対象として定めるのか、意に介さず転移などで姿を消すのか、
その場合菊川も一緒に連れて行かれるのか。そこはまだわからないが……敵機扱いしている以上
高速移動しつつの攻撃……おそらくは手指から発射されるであろう機銃なり砲台なりに警戒をしながら
まずは聖母像を取り外しにかかる……パートナーチェンジをしなくても柱から取り外せるだろうか。
一回転しながら『クレモンティーヌ』が手をかけるだけで取り外せそうなら取り外したい。
そうでなければ、ヒトマルに向けて回転をゆっくりにしつつ接近を行う。
「菊川さん。見ているか!!」
同時に声を上げる。
扉向こうの者達にも、菊川はまだ死んではいない……だろう事を
本人へ語りかける口調によって伝える。届くだろうか。
何かリアクションがあれば生きているはず。まずはそれを得る。
171
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/05/16(火) 00:29:04
>>170
ついでに確認する。
・『中身』を担いでいるチェストの扉部分はどちらを向いており、ヒトマルはどう担いでいるか。
172
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/05/18(木) 10:33:46
>>165
やることはやった、必要な手だった。
僅かな延命でも『納得』できればいい、『納得』のある行動には『誇り』がある。
クイクイ
手を天井に向けて差し伸べ、手招きして挑発する。カンフー映画のようにな。
「ふゥ〜…来いよ、お前が誰から生まれたか教えてやる」
ここから先はオマケだ、人生のロスタイムだ。虚勢張ってカッコつけて死んでやる。
とはいえ無策ではない、ハピオルは一刻も早く俺をブチ殺し、ルンクスの元へ駆けつけたいだろう、
173
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/05/18(木) 10:48:19
>>172
続き
ハピオルは俺の体に何らかの強化がされているのも知っているはずだ、一撃で仕留めなければ反撃も有りうることは考えているだろう。
だから頭を狙ってくる。面積は胴の方が大きいが、肉体を操作していれば、僅かな時間は行動できる、当然知っているはずだ。
一瞬で全行動をシャットアウトできる頭部破壊をあいつは狙ってくるはずだ。
更に、それは右手での攻撃だ、俺の利き手が右だからな。
天井からの打ち下ろし、狙いは俺の脳ミソ、右拳を使う。間違っていたとしても、どうせ見てからなんて反応できない。
俺のとる行動は、ハピオルの姿が消えた瞬間、右ハイキックだ。右足を振り上げれば頭の位置は左に流れ、回避と攻撃が同時に行われる。
174
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/05/27(土) 15:27:43
>>169
(エイノー)
唐突に蹴り飛ばされた一瞬の焦りも、
長椅子の上に転んだルンクスの姿を見れば、霧消する。
ダ ッ
エイノーの反応はシンプルだった。
勢いに乗って全力前進し、左ストレートを叩きこむ。
反撃に備え、右腕はガードを上げるが、
基本、防御や策は講じない、『強行突破』だ。
「ハッハ・・・・ガツガツ来るナ、エイノー。
意外に『肉食系』ってヤツか?」
軽口とは裏腹に、明らかにルンクスの状況は不利だ。
『エンジェルズ・ラダー』が本体前に飛び出すのは流石だが、
カウンターを撃つ余裕はない──
ガ キィィン!
『フィストフル』の強化された拳が、
十字に交差された『エンジェルズ』のアームブロックにめり込む。
すんでのところで防御された。
だが、パワーは感じられない。
『アイスホッケーのパック』のように、
『エンジェルズ』とルンクスはまとめて滑り押され、
長椅子の向うへと落下する──
──ドッ ゴォ!!
その時を狙い澄まし──『エンジェルズ』が『前蹴り』を放った!
狙いはエイノーではない。
両者の間に横たわる、今滑り落ちたばかりの、長椅子の端!
爪先を引っ掛け、圧倒的なパワーで蹴り上げることで、
ガゴォォ オオ!
椅子に乗りかかったエイノーごと、長椅子を屹立させた!
エイノーから見れば、足場が突如、目前の壁に変わる衝撃!
当然、ルンクスの姿も壁の向うに隠れる──!
175
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/05/27(土) 15:30:04
>>172-173
(井上)
「ふゥ〜…来いよ、お前が誰から生まれたか教えてやる」
クイクイ
迫りくる巨凶を前に、挑発してのける井上。
傍から見ても、その効果は絶大だった。
『ハッピー・オルガン』:
「……アァン?
捨てられたクズ人形如きが……、何だァその『一人前』面はァ?」
「それともそりゃ、後ろのブタ野郎の仕業か?『操作』か?
だったらわかるぜ。
テメーにそんな根性あるわけねーよな、『負け犬』ゥ。
揺りかごから墓場まで他人のおもちゃ、
誰かに利用されまくってくたばる運命の、てめーがよォ」
「だがァ……、そのツラは気に入らねぇな。
『元主人』として、躾け直しだ。
地べたにクンニしながら、生まれたことを後悔しやがれ!」
ビュ バッ !
空に踊った『ハッピー・オルガン』の姿が、加速する。
常人ならば消えて見える程の超スピードだ。
井上はそれをよく知っている──故に、先手を打つ。
相手など見ない。反応に期待しない。
『元本体』として知りうる『ハッピー・オルガン』の動きを予測し、
・ ・ ・ ・ ・
あるだろう攻撃を想定した上で、あらかじめ『迎撃』する──
それは、完全に『博打』の発想だ。
だが、スピード差を埋める為、井上に残された数少ない手段だった。
井上の読みは、『上方から頭部狙いの右腕攻撃』。
対するは、『身を捻りこんでかわしながらの、右ハイキック』。
眼前から姿を消した『悪魔』を前に、
井上は文字通り、我が身を『投げ捨てた』。
ブ ン ッ
──ビキィ イ !
身を捻った為、視界はない。
伝えるのは聴覚と触覚。
亀裂が走るような打撃音と、右足甲の心地よい痛み。
命中──した!
176
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/05/27(土) 15:30:53
>>168
(ウィル)
バッ
──ビュン! ドゴ!ドゴ!
長椅子の背に隠れることで、
飛来した瓦礫は容易にかわすことが出来た。
改めて、祭壇上の攻防を見守るウィル。
戦いは、エイノーvsルンクスと、
井上vs『ハッピー・オルガン』に二分されている。
突進するナツメグの参戦は、わずかにだが間に合わない。
エイノーは長椅子上のルンクスをガード上から殴り飛ばすが、
ルンクスは椅子から落ちざま、長椅子を蹴り上げ、
エイノーごと椅子を立ち上げ、壁を作り出した。
ルンクスは壁に背を叩きつけられ、そのまま床に落ちる。
井上は、天井から殺到する『ハピオル』に、右の上段蹴りを放つ。
まるで未来を読んだかのように、その初動は早い。
だが、弾丸のように飛び込む『女悪魔』に隙はなかった。
井上の初動を見るなり、
宙で回転し、右の『回し蹴り』を繰り出す──
体格で勝る『ハッピー・オルガン』が脚で戦えば、
人間である井上の迎撃は『物理的』に到達しない。
その判断力、反応速度──さながら『悪魔』のそれだ。
だが・・・・『悪魔』にもミスはある。
それは、舞台への『遅刻』が確定した出演者、
背後に迫る『ナツメグ』の存在だった。
『ハッピー・オルガン』の言動から、
井上の動きを『ナツメグ』の『操作』だと認識していることが
伺えたが、即ちそれは、『ナツメグ』の手が間に合わない、との認識故。
その認識をあざ笑うが如く──
ビッス!!
突進する肉塊から、『弾丸』が放たれた。
『指弾』だ──ノーモーションで放たれるそれは、
『近距離パワー型』が放てば、実弾に等しい威力を得る。
『弾丸』の正体は、『肉詰め』された『飴玉』。
タイミングは、『ハピオル』が蹴りを放った、その瞬間。
「──── ッ!!」
咄嗟に身を反らし、
背後の『弾丸』を躱したのは流石の反応──
だが、意思の薄れた蹴り足は井上の頭を捉え切れず──
ブ ン ッ
──ビキィ イ !
逆に、井上渾身の上段蹴りの餌食となった。
浜岡:
「・・・・あれだよ、ウィル。
今日の敵は、どいつも一級品のスピードを持ってる。
用心深くて、隙もない・・・・
真正直に狙って撃っても、当たりゃあしない。
連中は『弾丸を見て避けられる』んだからね」
「なら、どうするか?
動きの先を読む・・・・これさ。
生まれるだろう隙に対して先回りし、
あらかじめ弾丸を『置いておく』んだ。
どこに隙が生まれるか、予測だけじゃない。
隙を『作ってやる』・・・・その動きが大事さ。
あんたは一人じゃない。『仲間』がいるんだからだね」
「もちろん、あたしもさ。
必要なら、どんな『寝具』だって貸してあげるよ」
ド ド ド ド ド ド ド
177
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/05/27(土) 15:31:57
>>170-171
(高遠)
脳裏に蘇るは、【護り屋】になって初めての戦い。
四肢を『換装』するセージに圧倒され、
仲間だった伊吹は人質に取られ、苦い敗北を喫した。
あれから、どれくらい時が流れたか。
どれだけ戦い続けたか・・・・
その成果が今、試されようとしている。
ビュン──♪
ガコォン!
小柄なマリア像は、爆撃の余波に耐える程、
柱に強固に設置されていたが、
『踊り子』の手にかかれば造作なく引き外せた。
リズムに合わせたターンで人形を振り回しながら、
高遠は菊川に聞こえるべく、声を張り上げる。
「菊川さん。見ているか!!」
果たして返答は──あった。
ガコ!ガコ!
『ヒトマル』の抱えたチェストから、乱暴な打撃音。
大声を出せない状況なのだろうか?
(そういえばマスクをかぶっていた)
ともあれ、菊川が人質に取られていることは、これで確定した。
担ぎ上げられたチェストの扉部分は、
下方向──即ち『ヒトマル』の左肩に接している。
救い出すには、外庭に出る必要がある。
広さは十分だが、地面には破壊された壁材が散乱した場所だ。
『踊る』にはやや不利──知ってか知らずか、『地の利』は的にある。
キ! カシャ カコ
『ヒトマル』の右肩が変形し、未知の砲口が出現した。
砲身はごく短く、口径は大きい。
バシュッ! バシュッ!
無造作に放たれる二発の『砲弾』。
しかしそれは、威力も速度もない。
狙いも出鱈目に思える──
高遠まで届かず、その途中、庭の芝生に転がる始末だ。
シュウ・・・・ シュウシュウ
178
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/05/27(土) 21:26:37
>>174-177
突如長椅子が直立した、がそこにエイノーを潰す
『パワー』は感じられない。
ゆえに最速の手順としてまずガードの右手で長椅子を
跳ね返す。
ルンクスは十分避けられるだろうし避けなくても大した被害はない。
だがその反応はただちに確認できる。
『エンジェル・ラダー』も近くこちらもガードをほどいたが
まだルンクスに近寄って一発全力でストレートを入れられる距離には
十分留まれている筈だ、そこに賭けてさらに追撃する。
179
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/05/28(日) 23:45:07
>>176
「ミスター・ニョルズ・・・!」
両者の攻防は、一旦長椅子という仕切りに区切られる。
『フィストフル』の格闘性能の高さは知っているが、だがそれでも『体液』というハンデを加えて
あの『エンジェルズ』にどこまで食い下がれるか。加勢したい気持ちを抑え、まずは目の前の『ハッピー・オルガン』を見る。
『ナツメグ』のフォローを受け、井上の蹴りが直撃したようだが、果たして効果はあるのだろうか?
ただ何にせよ、あの『悪魔』も無敵ではないということが証明された。
いかに膂力が並外れていようと、手足の速度が素早かろうと、目は二つしかないことに変わりはない。
「・・・・・なるほど」
「承知したわ ミス・ハマオカ」「では『寝袋』の準備をお願いするわね」
無論、実際に手で扱うわけではなく、『視認発動』だ。ここぞという一瞬に、『ハッピー・オルガン』のスキを作る。
寝袋には顔まで覆うタイプのものがある、あの膂力では寝袋も容易く破壊できるだろうが、視界も同時に奪えばさらなる時間を奪える。
理想は井上が蹴りを直撃させた今回のように、浜岡以外の所に注目が向かった瞬間だ。
まずは自分が動き、『ナツメグ』や『井上』と同時に視界に映らないようにしながら
『ハッピー・オルガン』に向けて引き金を引く。当然当たらないが、予測される井上への反撃を遅らせつつ、他の二人の行動を起こしやすくさせたい。
180
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/06/01(木) 21:01:33
>>177
質問。
・落ちた『砲弾』と『クレモンティーヌ』『ヒトマル』それぞれの距離はいかほどか。
・『砲弾』同士の間は離れているか。
・足元に破壊された壁材はどれほどあるか。また大きさは?
181
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/06/03(土) 15:23:53
>>180
(高遠・回答)
>・落ちた『砲弾』と『クレモンティーヌ』『ヒトマル』それぞれの距離はいかほどか。
両者の距離は『6m』で、ちょうど中間点。
つまり、双方から『3m』ほどの距離。二発ともに同じ。
>・『砲弾』同士の間は離れているか。
左右に『1m』ほど離れている。
>・足元に破壊された壁材はどれほどあるか。また大きさは?
煉瓦ほどの壁材が、幾つか転がっている。
182
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/06/04(日) 19:25:03
>>181
回答感謝。
>>177
菊川さんからのリアクションはあった。喉を潰されでもしたか……何かのヒントかもしれない。
考えねばならないが今は目の前への対処を。
狙いがヘボ? コイツに限ってそんなことはない、
おそらくは意図的にそこ(高遠との間)へ落とした。
想定される弾丸は
バクハツブツ メツブシ・メクラマシ ミミツブシ
危険度の高い順に榴 弾、閃光・煙幕弾、音響爆弾
> シュウ・・・・ シュウシュウ
音から察するに考えられる弾丸は……榴弾は薄そうな気がする。
威力のある戦車砲弾がいくらでもあるはずだし、ちょうど中間という位置では自分も巻き込むことになる。
爆発物なら多分敵の足元。自爆したくないだろ。私だってそうする。敵だってきっとそうする。
であれば閃光の目潰しか煙幕の目眩まし……これだと次の攻撃の対処がしづらくなる。
更に悪い状況は目潰しに爆音も付随して見当識を失わせるスタングレネードのパターンだが……
スタン弾も多分真ん中には置かないしは少なくとも戦車には使わない、人を攻撃するための兵装なんじゃないかな。
戦車に対人を想定した兵装があるのかは気になる所だけど、
可能性の高そうな中で一番ヤバイ閃光と爆発音と、次いで最も可能性の高そうな煙幕を想定。
敵との距離6m、砲弾への距離は3m……直接叩くには難しい。
煙幕弾であれば杞憂に終わることだが
閃光であったことを想定して片目は瞑る。
「弾が『落ち』た!」
同時に菊川へ伝達。こちらの声は聞こえているはずだ。
私と同じ想定に至ってくれれば、ヒトマルが動いたとき
今の様に音を出して教えてくれる、と思う。その場合煙幕なら敵を見失わずに済む。
それを狙って声をかけ耳を澄ます。
とはいえ、スタン弾だったら台無しの割と博打だし
ヒトマルがどう反応するかも考えておく必要はある。
あくまで人質として連れ回すか、投げ捨てて身軽になるか……。こうまでして拾った人質をむざむざ捨てたりはしない
盾に取る可能性はあるが、『ジ・ユーズド』の無敵さならば死にはしないと思う。
叩く音を出してもらえたのであればそれを頼りにその場所へ足元の煉瓦大の壁材を蹴り出して攻撃する。
狙いは音の鳴った方角(音が移動していくのであれば移動先に狙いを置いておく偏差射撃を。)で、敵アーマーが取り外されていた胴体の高さ。
183
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/06/06(火) 01:08:46
>>175
「は?」
当たった? マジで? なんで俺死んでないの?
なんて考えてる場合じゃないぞ、目の前には選択肢が二つ。
①ハピオルを追撃
②エイノーの援護
言うまでもなく②だ。折角拾った命だ。とことんまで生還に使わせてもらう。
援護と言っても駆けつけられない、スピードは足りない。足元には瓦礫が転がっているが、今の位置からではルンクスは狙えない。
だが狙いはそこじゃない、成功に倣おう。
手頃な瓦礫か椅子の破片かを拾い、投擲する。パス精CCC
狙いはエイノーの膝の裏。ルンクスも予知できるわけではない、状況を予測し、最短距離で最適解を出し続けているだけだ。
俺の行動によってエイノーの動きが変化することも、いくらか予想の範疇ではあるだろう、しかし、高速戦闘状態において、不確定要素があるってのはそれだけでこちらの利になる。エイノーには悪いが、タイマン張るには相手が悪すぎる。
「エイノーッ! 前だ! 敵は前にいる!
倒れるなッ! そのまま行けっ! 」
叫んだ後は床に伏せる、そろそろ怒り心頭、発情期の猫みたいに元気ハツラツのハピオルが俺の背骨を折りにやってくる頃合いだろうからな。
今回の行動は長そうに見えて、投げる、叫ぶ、伏せる、の三つだ。たぶん行ける。
184
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/06/15(木) 21:30:18
>>178
(エイノー)
ガ ドォン!
眼前に屹立した長椅子の『壁』。
エイノーは咄嗟にスタンドのガードを緩め、
最短の手順で障害の排除──即ち、
長椅子を前方に跳ね飛ばそうとする。
ビュ! ──ビッシ!
その時、膝裏を叩く、鈍い衝撃。
ルンクスからでは──ない。
井上:
「エイノーッ! 前だ! 敵は前にいる!
倒れるなッ! そのまま行けっ! 」
仲間の援護だと理解するが、
そのまま進むのは、流石に無理がある。
後方からの思いがけぬ奇襲に、
無理を押してきたエイノーの脚は、
想像以上にあっさりと崩れ落ち、
エイノーを強制的に『正座』させていた。
一方の『フィストフル』は、思わぬ事態に対処しきれない。
その右拳が長椅子の座面に触れ、弾き飛ばす──
カ
ドババババババ!!!
ドゴドゴドゴドゴ!
ドッパァァァ────ン
まさにその瞬間、長椅子の上半分が、
突き出された無数の拳によって、粉砕された。
無数の木片が跳ね散らかり、エイノーの髪の上を通過する。
長椅子をブラインドにした、
『エンジェルズ・ラダー』のラッシュ──
井上の機転がなければ、
粉砕されたのはエイノーの頭蓋骨だったに違いない。
ラッシュの間合いは浅く、『フィストフル』に到達しなかったのも
エイノーにとっては幸運だった。
「手応えあり・・・・いや、ナシか?」
半分になった長椅子の向うから聞こえる声。
出所は低い。ルンクスの体勢も、床に近いのだろう。
「『繁殖期のカバ』みてーに突っ込んでくると思ったが、
意外に粘るじゃねーカ・・・・仕切り直すべきカ?」
185
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/06/15(木) 21:31:28
>>184
(井上)
それは、一瞬の判断だった。
手頃な廃材を引っ掴むと、エイノーの膝裏めがけて投げつける。
攻撃ではない・・・・援護だ。
パワー、スピード、精確さ。全てで上回る敵を前に、
突破口となるのは、『意外性』だと踏んだ。
ビュ! ──ビッシ!
狙い過たず、手加減して投じた廃材は、
小学生の悪戯よろしく、エイノーの膝を後ろから折る。
前に行けと呼びかけたが、エイノーはほとんど正座だ。
予想以上に『効いた』らしい・・・・
だが、この場面における、井上の判断は『正解』だった。
カ
ドババババババ!!!
ドゴドゴドゴドゴ!
ドッパァァァ────ン
次の瞬間、長椅子の上半分が吹っ飛んだからだ。
長椅子をブラインドにした、
『エンジェルズ・ラダー』のラッシュ──
膝を折らなければ、エイノーの上半身も巻き添えだった。
ここまで見越しての、一連の動きに違いない。
バッ
だが、それ以上エイノーに加担する余裕は、井上にはない。
床上で身を捻り、伏せることで『ハッピー・オルガン』に備える。
果たして、こちらの予想も『正解』だ──
見上げた先、床からわずかに浮いた『女悪魔』は、
悪夢もかくやという形相で、井上を凝視している。
玄関先の『マリア像』で傷付いた『右腕』。
今しがた、自分がへし折ったらしい『右脚』。
『ハピオル』は痛みを感じない──それはスタンドだから。
そのことを十分に承知する井上だが、
機能的損傷以上の『ダメージ』を与えられたことを、
その表情から確信する。
即ち──『プライド』を傷つけたのだ。
「この『タンカス』が・・・・
タンツボで産み落とされた・・・・『便所ウジ』が・・・・ッ」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
『窮鼠』は、猫を噛むことに成功した。
それでは猫は、『窮鼠』をどうするのか──?
186
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/06/15(木) 21:32:31
>>179
(ウィル)
浜岡:
「『寝袋』は出せるがね。
『認知発動』で捕まえるとかは期待しないどくれよ。
あたしの『寝具』にゃ、出せる状態ってのがあるのさ。
でなけりゃとっくに、『ハピオル』をお縄にしてる。
あたしの『寝具』は、『破壊不可能』だからね」
「『寝具』の着用対象にするには、適正なサイズと状態がいるんだ。
『寝袋』なら、全身が収まるサイズでないとダメ。
もちろん、お行儀のいい姿勢でなけりゃ『対象外』さ。
あの暴れん坊はどっちも『望み薄』だし、
ルンクスはあの股座の時点で、どうしようもない」
「さっきの『アイマスク』も、
例えば目元に手を当てるだけで、簡単に防がれる。
ここぞって時にしか使わないのは、そういう理由なんだ。
二度目が通用すると思わない方がいい」
「後は、射程距離『5m』ってのが難儀でね。
自分を護るにはいいが、誰かを護るにはちと足りない。
こういう場面では特にそう感じるねえ。
かといって、あんたを連れて
『近距離型のステージ』に上がるには、相当の『覚悟』が必要だ。
だからあたしは、ここにいるのさ」
現在、ウィルは『ハピオル』とルンクス、
両者を『8m』の射程距離に収めている。
ルンクス本体は長椅子に隠れて見えないが、
隠れて移動しない限り、どちらも狙える好位置だ。
一方で、これ以上近づけば、
確実に『近距離型のステージ』に上がる、という間隔がある。
このラインを越えるには、
確かに相応の覚悟が必要に違いない。
ウィルの照星はルンクスを追わず、『ハピオル』に焦点を定める。
井上の反撃は、見事の一言に尽きた。
『悪魔』の右足は蹴り砕かれ、膝下からねじ曲がっている。
人間であれば開放型骨折確実だが、
スタンドであれ、もはや攻撃には使用できないだろう。
傷付いた右腕とともに、戦力を大きく削いだことになる。
一方で、『ハッピー・オルガン』の顔に苦痛はない。
『自律型スタンド』故かもしれないが、
『ハッピー・オルガン』に痛覚は存在しない・・・・
あっても、押し殺せる程度のものなのだろう。
代わりに、その顔に殺到するのは──『憤怒』。
『嫁化』によって得られた美しさは、
爆発的な男性の怒りではなく、
突き刺さるような女性の怒りを、『ハピオル』にもたらした。
当然、その穂先が向いているのは、
ウィルではない──元本体である、井上だ。
その井上は、咄嗟に瓦礫を投げ、
間一髪でエイノーの危機を救った。
一瞬の動作だが、立ち直った『ハピオル』に背を向けたのを見て、
ウィルは躊躇うことなく、引き金を引いた。
パシュ! パシュウ!
ス
『ハッピー・オルガン』が一歩引き、『針弾』を避けた。
怒りに我を忘れてはいないようだ──だが、
『無敵』故の余裕も感じられない。
浮遊するスタンドに対して、足の機動力減は期待できないが、
それ以上の精神的影響が、あの一撃にはあったと確信する。
ウィルの援護が時を稼ぎ、
井上は身を翻して、床に伏せた体制を取った。
さらに『ハピオル』の背後に到達する、『ナツメグ』の巨体。
『ハッピーオルガン』:
「この『タンカス』が・・・・
タンツボで産み落とされた・・・・『便所ウジ』が・・・・ッ」
悪魔の呪詛が、ここまで聞こえてくる。
手負いの『悪魔』を三方から追い詰める、絶好の布陣だが──
187
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/06/15(木) 21:34:02
>>182
(高遠)
『ヒトマル』と自分、中間地点に落下した謎の『砲弾』。
一瞬でその種別を想定し、
高遠はひとまず、片目を閉じる──『目くらまし』対策だ。
シュウ シュウシュウ オ オ
オ オ
シュォ オオ オオオオ
果たして、二発の砲弾が噴き出したのは、
大量の白煙──『煙幕』だった。
中庭に風はなく、煙幕は綿菓子のように膨れながら、
高遠の踊る屋内と屋外の境界を埋めていく。
その味、臭いなどから、おそらくは毒性のないタイプ。
だが、『煙幕』としては十分過ぎる性能を持つ。
ものの数秒で視界は白く塞がり、
『ヒトマル』はおろか、目前の地面までも見えなくなった。
「弾が『落ち』た!」
高遠の声に反応して、煙幕の中から
ガンガンと何かを叩く音が返ってくる。
菊川が高遠の意図を汲んでいるかは不明だが、
とりあえずは狙い通り。
音だけで精確な位置は掴めないが、
この間合いならば、およその方角と距離は掴める。
『射撃武器』ならば、ひとまず十分──
────♪
コ! ガゴッ!
右方向より接近する音に対して、
胸の高さを狙い、煉瓦を蹴り飛ばした!
『クレモンティーヌ』の投擲技に
『踊り』ほどの精確さは望めないが、
この状況では、いずれにせよ『運頼み』だ。
煉瓦はまっすぐに白煙に突き刺さり、即座に
ガ ンッ
と、激しい音を立てた。
記憶する限り、その方向に立ち木の類はない。
命中した『はず』・・・・だが、敵の反応が『ない』。
直後──煙幕から轟く、声。
菊川:
「──ブハッ!」
「──逃げろ、高遠ッ!」
『ヒトマル』がおまえを狙ってる!」
188
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/06/18(日) 13:24:27
>>184-187
幸い膝は無傷だ、畳まれたのを膝立ちから前に倒すように
少しでもルンクスへの射程を稼ぎつつ、なおも『F・O・Q』
ルンクスに左拳をくらわせに最速で匍匐前進する。
今回の井上のフォローでかすかに見えた事がある。
確かに無傷ではすまないかもしれないが『エイノー抹殺』ではなく
『遮蔽物からの攻撃と本体のかがんでの回避』、おそらく
ルンクスは『殺し合い』ではなく『防御』を、しかも戦略的に
ではなく反射的に選択している。
ならば『エンジェル・ラダー』のスタンピングに先んずれば
一瞬速くルンクスに当てられる可能性はある。
189
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/06/19(月) 21:03:04
>>186
「そうだったわね・・・あなたの『寝具』は破壊不可能」
「あの悪魔の裏を突くならば 『視認発現』ではなくその特長を用いるべきかしらね」
確かに破壊不可能な寝具を拘束するように発現できていたなら、そもそも最初から使用しているだろう。
『スウィート・バイト』の本領は、視認発現ができることではなく、その創り出した寝具の性質にある。
恐らくは『ハッピー・オルガン』もその性質は知らないはずだ、過去に井上と浜岡が関わっていない限りは。
しかし、井上の一撃が『ハッピー・オルガン』にかなりの有効打となったのは謎であるが、
とにかく幸運な事に変わりはない。リスクは高いが、井上も戦えるということだ。
あるいは『ナツメグ』が井上の身体に何かをしたのか?
恐らくあの様子からして、女悪魔は隙あらば井上を最優先して殺しにかかるだろう。
それは行動を先読みするためには、『使える』。
だがその為に仲間と連携を取るにも、自分は『スウィート・バイト』や『ナツメグのスタンド』について
詳しく知っているわけではない。
作戦を立てた所で、どこまで予定通りにことが進むか。
「ハマオカ・・・『ベッド』などは床に固定された状態で発現できるの?」
「これからミスター・イノウエへの攻撃は激しさを増すと思うわ」「もちろんわたしたちへもそうでしょうけど」
「それと・・・覚悟はいいかしら?」
更に接近、『5m』の距離へと近付く。危険だろうが、少なくとも現在の状況では
自分の優先度は低いと推測する。あの女悪魔を追い詰めるためには、
少しでも手数が必要だ。そのためには、後方で待ち構えて浜岡を防御に専念させていてはなし得ない。
元より命を懸けている、自分も彼らも。
190
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/06/19(月) 21:16:20
>>185
おっとまだ生きてるぞ俺。
生きてるってことは即座に反撃されなかったってことだ、つまり動揺してるんだヤツは。
有り得ない状況が重なり、正常な判断力を失っている。
あいつは今、俺を殺すことしか考えられない。そして俺をブチ殺す瞬間、決定的な隙が生まれる。その隙でなんとかしてくれ。
ハピオルが行動不能になればルンクスの足を直した能力も解除される。今まで封じられてた痛覚が一気に襲ってくるんだ、意地とか我慢とかそんなレベルじゃない大激痛だ。
そこまでお膳立てすれば、エイノーの勝機も生まれる。
俺の行動は、立ち上がり、振り向かずハピオルに背中を見せたまま、腕を挙げて中指を勃てる。
「お前そんなに頭悪かったのか?
そのウジ虫から生まれたお前だろうが」
一番困るのが、冷静になられることだ。
俺を無視してルンクスの援護に向かわれたらそこでおしまい、全滅は必至。
頼むぜウィル、ナツメグ、よく狙ってくれ。
ハピオルのスピードは今まで散々見た通りだ、今じゃなく、未来を狙うんだぜ。
191
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/06/21(水) 10:13:02
>>187
質問
『何か』に瓦礫が激突した際の激しい音について。
・チェストに飛翔物が激突した際の音は先程のヒトマルの機銃が当たる音で判別できるはずだが、
チェストに当たった感じか、それとも別の何かに当たったような音だったか判断できるか?
・激しい音以外に、周囲から何か聞こえなかったか。
・菊川の声はどの方角、(上下も)から聞こえるか判断は付くか。
192
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/06/22(木) 09:24:42
>>191
(高遠)
>『何か』に瓦礫が激突した際の激しい音について。
>・チェストに飛翔物が激突した際の音は先程のヒトマルの機銃が当たる音で判別できるはずだが、
> チェストに当たった感じか、それとも別の何かに当たったような音だったか判断できるか?
銃弾と瓦礫では激突音が異なる為、確実にはわからない。
コンクリートや金属など、硬質な感じではなかった。
>・激しい音以外に、周囲から何か聞こえなかったか。
特には聞こえなかった。
或いは音や曲に掻き消されている。
>・菊川の声はどの方角、(上下も)から聞こえるか判断は付くか。
激突音がした方向に、ほぼ同じ。
193
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/06/23(金) 00:26:56
>>192
回答感謝
>>187
煙幕であることは良い。
毒物の可能性は考えていなかったがそちらも外れたようだ。
音を立てて目印を与えてくれたので狙ったとおりに攻撃、それも良い。
しかし、こちらからの一手が有効打か分からない。
何かに当たったのは確かだ、考えられる状況は
1:ヒトマルに当たったが大したダメージはない。
2:チェストの木の部分にあたっている。
どちらにせよヒトマルがこちらを狙っているだろうことに変わりはない。
こちらを消し飛ばすべく、このタイミングで殺しにかかる……だろう。
次いで考えるならそれは左肩に担いでいたチェストではなく右肩が変形した大砲と見た。
そして移動はキャタピラで行っていた。その音もないのであれば
『瞬間移動』を使用していないのであれば移動はしていない。
便利な、こちらからしたら厄介極まりないものだが、おそらくは乱発できないと思われる。
で、このタイミングなら奴はルンクスを気にせずぶっ放せる。
敵は西南西を向いていて、こちらは東北東の位置取りのはずだ。
コレも予想だ。転移出来てて全く別の位置から狙っている可能性もある。
その場合はおそらくこちらの真後ろからだ。死角の塊だから。
テンポを加速させ回転速度を増し、風圧を巻き起こしながら後方へ女神像を投げつける。
と同時に少なくともチェストがある方を向いて、右前方へ飛び込む。
位置的に廊下に突っ込みに行く。
194
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/07/07(金) 16:57:29
>>188
(エイノー)
グ ン ッ
膝を屈した状態から脚を伸ばし、
床に身を投じるようにして前進するエイノー。
彼我の間は、高さ半分になった長椅子によって隔てられている。
即ち、互いの挙動は確認できない状態だが、
ルンクスのこれまでの行動から、
『ここで止めを刺して来ることはない』──
確信の上で、前へと突き進んだ。
──ズズズズッ!
長椅子の底が床と擦れ、前方に押しやられる。
何かに当たる気配はない。
顔を上げ、長椅子の向うに敵の姿を求める──と、見つけた。
ド ド ド ド ド ド ド
──闇色の肌を持つ屈強なモヒカンの立ち姿。
自身の傍に『馬面』のスタンドを従え、
股間の『一物』を隆と持ち上げて、こちらを見下ろしている。
距離はわずかに『1m』。
背後は壁。完全に追い詰められている──だが、しかし。
シュドドド!
『エンジェルズ・ラダー』の鉄槌のような肘が閃き、
立て続けに壁に撃ち込まれる。
ボッゴォ! シュウウ
『ジ・ユーズド』の加護を失った教会は、
その歴史に相応しい脆さで崩れ落ち、
黒人の背後に、十分な大きさの『非常口』を開いた。
「フウッ・・・・ひとまず、これでよし」
うそぶくルンクスの声音に、
エイノーは自身の得た感覚が正解だったと知る。
今の状況──エイノーに止めを刺すのは容易だったはずだ。
だが、祭壇には仲間が集まりつつある。
逃げ遅れ、包囲されるリスクが、ある程度存在する・・・・
ルンクスという男は、その『リスク』を徹底して嫌う。
『暴力』の信奉者でありながら、
自身の『生存』を至上の命題とする──
男の信奉する誇りやこだわりをあざ笑うかのように。
それがこの男の生きざまであり、処世術なのだ。
ザッ
だが・・・・ルンクスにまだ、逃げる素振りはない。
退路を確保した上で、その目がエイノーを見下ろす。
「オレの『脱出経路』は完成したわけだが・・・・
追ってくるかね? エイノー教授。
それとも、そこで這いつくばったまま、仲間の到着を待つか?」
本体とスタンド、対となる『隆起』を並べて、
ルンクスはエイノーの反応を待つ。
すでにお互いの射程距離内。
体勢的にはエイノーが不利。だが、見送れば逃走は確実となる。
ルンクスの言葉は、罠か?挑発か?それとも・・・・?
ガガガガ
その時、ルンクスの背後から銃声が届いた。
距離があるようだが、『脱出経路』の先も戦場のようだ。
195
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/07/07(金) 16:58:18
>>190
(井上)
振り返るまでもない。張り詰め切った空気が、
背後で立ち尽くす『女悪魔』の怒りを伝えてくれる。
怒れる女というのは恐ろしいものだが、
それが巨大な『悪魔』となれば、規格外の戦慄をはらむ。
今まで生きてきた人生の中で、これほど煮えたぎった憎悪を
向けられたことは、一度もなかったかもしれない。
その一方で、頭の一部が奇妙に冷めた自分がいる。
冷めただけではなく・・・・冴えている。
極限の状況で、恐怖を感じる線が切れてしまったのか。
ともあれ、この状況下で、井上は大胆な一手を選ぶ。
激情を立ち昇らせる『ハピオル』に対して、
あえて無防備な背中を見せつけたまま、挑発したのだ──
中指まで立てながら。
台詞を終えた瞬間、大気に亀裂が走るのを感じた。
『ハピオル』に蓄積された感情の開放。
かつて経験しえない、究極の暴力の予感は、
それゆえに、開始までに致命的な『隙』を生み出す。
そう・・・・井上の計算通りに!
── ガオ ォンッ!
まさにここというタイミングで、
『ナツメグ』のスタンドが、剛腕を放つ。
渾身の右フック──その速度は速いが、
本来の『ハッピー・オルガン』とは比べるべくもない。
このタイミングでなければ、余裕をもって躱されただろう一撃を、
「──ッ!」
ガシィイ!
かろうじて右腕で防いだのは、恐るべしの一言だが、
衝撃を受け止めきれず、奥の壁際に押し込まれる!
『ハッピー・オルガン』の右腕は、『マリア像』との戦いで負傷し、
『嫁』となった後でも治療されていない・・・・加えて機能不全の右脚。
当然、本調子でない部分を意図して狙った攻撃だ。
「──邪魔してんじゃアねーゾ、ブタの分際でェ!」
グルゥン!
怒りの矛先を『ナツメグ』に変え、『ハピオル』が身を翻す。
だが、その左手に差し掛かる人影二つ。
会衆席の側にいたウィルと浜岡が、この機に乗じて接近したのだ。
その距離、『5m』。
井上を含めれば三方を包囲し、残る一方は壁というこの状況。
ようやくにして・・・・追い詰めた・・・・!
ボッゴォ! シュウウ
だが、ルンクスとそれを追うエイノーの状況にも
変化が生じている。
背後の壁を破壊し、ルンクスが退路を作ったのだ。
『ハピオル』を背後に、そちらを気にする余裕はないが、
エイノーの状況は不利なままに思われる。
二つの戦闘のはざまに立つ、井上の次の一手は──
196
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/07/07(金) 16:59:06
>>189
(ウィル)
浜岡:
「取り付け可能な『寝具』ならね。
『ハンモック』なんかは、両端を括った状態で発現できる。
もっとも柱や壁が対象で、生命は対象に取れない。
『固定式ベッド』なら対象は床だけ。『寝棚』なら壁だけさ」
浜岡の説明を聞きながら、
仲間のスタンドへの理解が足りていなかったことを痛感する。
飛行機内のブリーフィング時に、突っ込んで訊くべきだっただろうか。
とはいえ、時は取り戻せない。
不完全な情報をもとに、互いの信頼を信じて動く他にない。
「『ウィンター・ブランケット』は『静』のスタンドだ。
『寝具』は自ら動かないし、攻撃には向かない。
だから待ち構える──敵の動きを読んで、『罠』を張るのさ」
会話しながら、浜岡の脚は、前へと出る。
ウィルの覚悟に応じた前進。ウィルの盾としての動きだ。
そして、二人が接近する間も、戦場は動き続ける。
まるで生まれ変わったように、
背中越しに中指を立て、『ハッピー・オルガン』を挑発する井上。
極限に至った緊張に楔を打ち込む、『ナツメグ』の右フック。
怒りに反応が遅れたか、『ハピオル』は背中越しの防御がやっと。
奥の壁際に押し込められ、怒り心頭のまま『ナツメグ』に対峙する。
『ハピオル』の右手足はともに重症だ。
【殺し屋】が抜け目なく、その弱点を突いているのがわかる。
肉体的弱体化、そして精神的な揺さぶり。
その積み重ねが無敵の『ハッピー・オルガン』に穴を穿ち、
追い詰めているのがわかる──あとは、『どう仕留めるか』だ。
ザッ ザッ ザッ
ウィルと浜岡は、射程『5m』の間合いに踏み込んだ
そこは『近距離型』の王国。
空気には戦慄が帯電し、
焦げ付く拳の熱と臭いすら感じられる、修羅の世界だ。
「さあ・・・・終わらせるよ、ウィル」
197
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/07/07(金) 16:59:47
>>193
(高遠)
高遠の現在位置は、ほぼ教会北西端(地図左上)。
『ヒトマル』の位置は、そこから北東(地図右下)方向に、
『5〜6m』と推察される。
高遠の想定通り、敵が大砲を撃つとすれば、位置取りは絶好だ。
命中の是非を問わず、大砲は教会の一角をブチ抜くのみ。
フレンドファイアの心配は無用となる・・・・
教会が倒壊しなければ、の話だが。
同時に、想定されるのは『瞬間移動』。
その全貌は明らかになっていないが、
攻防ともに究極であろう能力を、敵はここまでほぼ使用していない。
理由があるのか、それとも温存なのか。
ともあれ、戦略を考えるうえで、無視できるファクターではない──
────♪!
高鳴った『リズム』に乗って、
『踊り子』がひときわ大きなロンデ(回転)を放つ!
ビュン!
後方──壁を失った鐘楼室へと女神像を投げ込むと同時に、
圧倒的な蹴り足の衝撃波で、周囲の煙幕を吹き飛ばした!
女神像に手応えは『ない』──
見るまでもなくそれを理解させたのは、
切り裂いた煙幕の向うに浮かんだ、『機甲乙女』の姿。
左手で『チェスト』を盾のように構えたまま、
右手から飛び出した銃口──
主砲同軸の『7.62mm機関銃』が火を噴いた。
ガガガ!
チュイン!チュイン!
『不滅』となった高遠の背中が、弾丸を弾くも、
ガガガガガ!!
バス!バス!
『回転』によって生じる隙を、
ねっとりと絡みつく蛇のような弾幕が、逃さない。
煙幕の有無など考慮しない、
まさに機械的な『精密性』の暴力──!
『・・・・・・・・・・・・・!』
『クレモンティーヌ』の右肩口から背中にかけて、
数発の弾丸が突き刺さるのを、高遠は感じた。
苦痛やダメージはない。自分は『不滅の踊り子』なのだ。
だが、『クレモンティーヌ』はそうはいかず、
『踊り』が終われば、高遠にもダメージは降りかかる。
グ ラ
『クレモンティーヌ』の足並みが乱れ、『回転』の軸が歪む。
同時に廊下に飛び込む予定が、
『回転』が乱れたことで挙動が遅れ、その場に釘付けとなった。
ガガガガ!
ギュン!
チュイン!チュイン!
終わりを知らぬ弾幕の葬送曲に背を向け、
かろうじて『踊り子』が弾から身を守るも、
『回転』が続く限り、被弾は免れない。
──かつて、高遠が【護り屋】新米だった頃、
浜岡は『クレモンティーヌ』を称してこう言った。
「『護る』には向かないスタンド」だと。
その言葉の意味を、高遠は痛感する──
「──凌げ、凌ぐんだ、高遠!」
絶望の闇の中、高遠に届く声があった。
「──君に『勝機』はある・・・・たった今思いついた!
凌いで、距離を詰めて来い」
銃声の裂け目から、聞こえる声。
「──こいつが調子に乗ってる、今だけがチャンスだ!」
──菊川の声だ。
感情のない『壁の囁き』が嘘のような大声で、
高遠を鼓舞している──
198
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/07/08(土) 19:32:16
>>194-197
「『這い進む』さ」
ルンクスに応えながらも現状から膝と肘で速やかにルンクスに向かう。
そして応えるまでもなく見れば知られるが今度こそ『F・O・Q』が
左腕を構えルンクスに左ストレートを見舞うべく『1m』の距離を
飛び掛る、この距離であれば操作すればそういう行動も
スタンド独自にとれる。
「立ち上がる」──格好は良いだろう。
しかしこの至近距離で今度こそそんな『タイムロス』は出来ない。
這っても進める、手を伸ばせば届く、なら『近づく』だけだ、
立つまでする必要はない。
微塵にされる危険は承知で一撃を与える、もしくは『足止め』する。
199
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/07/11(火) 16:21:07
>>195
ザム!
もはや前進あるのみだ。
ザム! ザム!
偶然と執念が重なり、奇跡を現実に引き寄せる。俺は、ただ死にたくなかっただけなのにな。
ザム! ザム! ザム!
「何処へでも逃げろよチキン野郎
だがお前は二度と勃起できないぜ、こんなくたばり損ないのボロ雑巾よりチンコが小さいってお前がお前で証明するんだ。
逃げるが勝ち、確かにそうだな、お前が空調の効いたホテルのスイートで、ドンペリ開けながら女にシャブらせるその時に、お前は『敗北』を知るだろうよ、逃げてみろ、インポ野郎」
ザム…ドシュウッ!
俺の打てる手は挑発だけだ。
パワー、スピード、全てで勝る相手と戦うには、それ以外で戦わければならない。
スタンドとは精神の発露、精神攻撃が無意味なワケ無いだろうが。
俺は全速でルンクスへと殺到する。
俺の読み通り事が運ぶなら、すぐ決着はつく。
「『ハッピー・オルガンはここで仕留めろ!』 そうすれば勝てる! できなきゃ死ねッ!」
200
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/07/12(水) 07:57:42
>>197
(まだ死んでいない。)
血が凍るような感覚。
(『私を使って、遊んでやがる』から……)
思い浮かぶのはそれ。
コイツは、明らかに自分が優位に立っているのを利用して、こちらをいたぶってきている。
でなければ速やかにこちらを焼き払った後ルンクスの援護に入るはずだ。
このような時間を費やす真似をするはずがない。
あぁ……確かに『調子に乗っている』。
遠くなりかける気を現実に押し戻したのは思い出す言葉と、いま飛んでくる言葉。
確かに、どうにも『護り』には向かないのだ。
守勢に回っている状況ではなかった。なれば転じるしかない。
『クレモンティーヌ』は『踊り子』たる高遠本体を
右手を軸にクレモンティーヌの左手で回転させ、弾幕の前に立たせる。
いわゆるジルバ上級足型。本来なら男側が自身を軸にして女性を回転させるが
今の状況では回転させながら移動を開始する。
幸か不幸か高遠は右手首をふっとばされている。
高遠の手首を支えるクレモンティーヌの左手、回転の軸となる手のつながりを断つ弾には気をつけて、確り握る。
ジルバの状態に入り込めたら高遠はクレモンティーヌをかばうように
派手に回転し体、服を持って弾丸を弾く、あわよくば相手の方へ打ち返す。
右前方、チェストの側まで向かう。
201
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/07/12(水) 23:09:52
>>196
『近距離型』の間合いに入り込む緊張感に、無意識に唾を飲み込む。
自分の『ヴェノム&ファイア』とてそこまで射程が長いほどではないが、
それでも今まで相対した相手は、ほとんどが自分より得意距離が短い相手だった。
それに対し、自ら踏み込むのは初めての経験かもしれない。
「『ナツメグ』・・・ッ!」
だが、確実に流れはこちらに向いてきている。
予想通り、怒髪天を衝くといった様子の『ハッピー・オルガン』には確実に乱れが生じている。
それ故に、『ナツメグ』の剛腕を回避しきれずに防いでしまった。
そのアドバンテージを活かすには、こちらが冷静であり続けなければならない。
調子に乗って攻め込めば、そこは百戦錬磨の女悪魔だ。すぐに戦況をひっくり返されかねない。
さて、現在『ハッピー・オルガン』を三方向から囲んでいる状況だ。
攻めるには申し分ないタイミングであり、5分前の自分であれば躊躇なく引き金を引いていただろう。
だが、ここはあえて『攻めない』。
それにより、容易に『ハッピー・オルガン』に『ナツメグ』を退けさせる。
元よりあの女悪魔は三人で同時に攻撃して抑えるのがやっと、という存在だ。
故にナツメグ一人が相手ならば、一撃反撃を加えるなど難しい事ではないだろう。
そして、反撃をした後どう動くか?
恐らく更に挑発を重ねる井上(
>>199
)の元へと即座に攻め込むはずだ。ナツメグへの追撃も忘れて。
自分や浜岡も、井上への道を意図して開けるように動いておく。
この策での心配はナツメグの負傷だが、彼ならば何度も『ハッピー・オルガン』に追撃をされない限り問題あるまい。
そして(
>>196
)井上への攻撃を邪魔してきたナツメグを少しでも排除し、
更にプライドを逆なでしてきた井上へと攻撃を仕掛ける『ハッピー・オルガン』は、最も勢いに乗っているだろう。
「───ミス・ハマオカ」「お願いするわね」
そこで『ウィンター・ブランケット』。
女悪魔の進行先を塞ぐように、壁と祭壇、あるいは壁と椅子の間に『ハンモック』を視認設置してもらう。
間に塞ぐようなものがなければ、床に『固定式ベッド』でも良い。
とにかく『オルガン』の攻撃を止めるモノで不意を突き。そこに即座に『ファイア』の針弾を頭部目掛けて撃ち込む。
装填されているアレルゲンは『体液』。もし悪魔にまだ体液が付着していれば
さらなる隙を生み出せるが、どちらにせよ頭部目掛けて何発も引き金は引く。
それこそ防がれるか、かわされるまでだ。
もし井上の挑発を受けて、即座にナツメグも忘れて井上へ攻撃するようでも行動は変わらない。
動き出すタイミングが早くなるだけだ。
だがもしナツメグへと追撃するようであれば、彼の防御を最優先し浜岡にそちらへと寝具を設置してもらう。
その場合、自分は井上のフォローに回るとしよう。
202
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/08/01(火) 09:02:36
>>198-199
(エイノー、井上)
ズズッ・・・・!
傷だらけだ──本体もスタンドも。
それでも、エイノーは前進を止めない。
満身創痍の体を、膝と肘で這い進ませ、
眼前の『ヨハネスブルグ』を、スタンドの射程に収める。
同時に、井上がありったけの挑発を並べて、
エイノーの背中を追う。
背後の『ハッピー・オルガン』の始末は仲間に任せた。
この判断が吉と出るか、凶と出るか。
それを決められる者は、この場に誰もいない。
だが井上に迷いはない。
必要な『盤上の一手』を打った──ただ、それだけだ。
さして離れたわけでもない、
床を這うエイノーに追いつくのは訳もない。
天井に向いた二足の靴底が、己の裸足に触れんとした時。
ズ ギュン!
顔を上げたエイノーが、
『フィストフル・オブ・クォーターズ』を解き放つ。
その行動は誰もが予想する通り。
最後の気力を注ぐ如くの、渾身の『左ストレート』だ。
「・・・・・・・・・・・」
その拳の前に立ち塞がるは、隆と聳える股間の『剛角』──
ピクン
──バッシィ!
いや、拳を止めたのは、『エンジェルズ・ラダー』の左掌だ。
斜め下から突き出された正拳を受け止め、握りしめる。
ニィイ
いつになく真剣な表情から一転、黒人が白い歯を覗かせる。
「・・・・安い挑発だガ、乗っておくカ」
「オマエだけは、確実に始末する必要があった。
永遠に『這い進め』・・・・『地獄』までな」
ガ オォ ン!
間髪入れず、『馬面』の右拳が閃く。
今度こそ疑いない、迸るような殺意を伴って──!
203
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/08/01(火) 09:03:07
>>201
(ウィル)
星が眠りにつく時刻、シンガポールに上陸してから、
どれほどの時間が経過しただろう。
ひどく長いようにも、短いようにも思われる。
その間、浜岡とともに過ごした戦いの中で、
いつしか生まれた想いがある。
「・・・・ああ、任せな」
「おまえさんも外すんじゃないよ、ウィル」
振り返ることもせず、
大地に根を張るような、揺るぎない応え。
背中越しに届いた浜岡の声に、ウィルはその想いを確信する。
「──ブッ飛びなァ!」
ブ ウン!
『ナツメグ』のスタンドが、
壁際に追い詰めた『ハッピー・オルガン』に剛腕を振るう。
床すれすれから天を衝く『アッパー』だ。
大ぶりな一撃だが、【殺し屋】があえてそれを選んだことに、
ウィルは瞬時に気が付いた。
下から上を狙うモーションならば、『上』にだけは逃げられない。
そして、敵に生じた隙を、見逃すような『女悪魔』ではない。
「テメェがなァ!」
『アッパー』を身を反らして避けると同時に、
『ナツメグ』の胸倉へ横蹴り── ドボォ!
「うグゥ!」
まともに打ち込まれ、大きく退く『ナツメグ』と、
その反動を利して、一気に逆方向に跳躍する『ハッピー・オルガン』。
──メ ギャンッ!
・・・・そう。
背を向けた井上の方向に、だ。
気付いてか気付かずか、井上の反応はない。
片目の端の視界では、
ルンクスに追いすがるエイノーの後を追っているようだが、
集中して確認する余裕はない・・・・何故なら。
「・・・・いいコだ。
あたしらの『読み通り』さね」
バ!!
ガッシィィイ! 「!!?」
次の瞬間、空中に出現した『ハンモック』が、
『ハピオル』の行く手を塞いだのだから。
突如出現した『寝具』の一端は壁に。
もう一つの端は浜岡の『ウィンター・ブランケット』の手に握られ、
『女悪魔』の上半身に被さり、弾みながらも猛進を食い止める。
井上の後頭部までわずかに数センチで、『悪魔』の指先は届かない。
「ク」「ソ」「バ」
「バ」
バシュ! バシュ!バシュ!
間髪入れず、『ヴェノム&ファイア』が火を噴いた。
バウンドして勢いを殺したその瞬間。
あえて撃たず、狙い澄ましたその一瞬で、
三発の『針弾』が『悪魔』の頭部に突き刺さり、『麻痺』を促す・・・・!
204
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/08/01(火) 09:06:40
>>200
(高遠)
♪
♪ ! ♪
ド ド ド ド ド
──『発明』を産み出すのは、常に『逆境』だ。
比類なき精密性を誇る弾幕の暴力を前に、
『護り』の脆さを露呈した高遠が選んだ『踊り』──それは『ジルバ』。
リーダー役の『クレモンティーヌ』が掲げた左手を軸に、
パートナーである高遠の『踊り子』のみを回転させる・・・・
『ヒトマル』との間に立ち塞がるそれは、隙を作らぬ、絶対無敵の『盾』となる。
キン!キン! キキキキキン!
弾かれた弾幕が火花を散らす中、『踊り手』は前進する。
破砕した壁の残骸が残る地面は『踊り』の障害だが、
『ジルバ』のスタイルはキックを多用出来ない。
『フロアクラフト』の如く隙間を縫う、繊細な足取りも十分に可能だ。
一方で、それは『ヒトマル』への攻撃チャンスが、
ほぼ一度きりであることを意味する──
得意とする『連続蹴り』は、軸となるリーダーに誤爆するからだ。
『ヒトマル』:
『・・・・テキキ、セッキン』
弾丸が切れたのだろうか。
突如途切れた弾幕に合わせて、『ヒトマル』がナチュラルな後退を見せる。
武道家もかくやという移動術は足裏のキャタピラと、
日本の誇る高性能サスペンションの賜物だ。
同時にそれは、前進さながら移動速度をも確保する。
しかし──キャタピラとて万能ではない。
障害物の踏破を主目的とするそれは、
同時に最高速を出せはしない・・・・まさに今、そうであるように。
♪ ギャンッ
追いすがる高遠。両者の距離が縮む。『4m』──『3m』。
「──高遠。
こいつは『知恵』をつけてる。
──この短い戦いの中でさえ、『経験値』を積んでいる」
「──ここで止めないと、ヤバい相手だ」
カキ! ガガガガガガ!
装填を終え、右手の機銃が火を噴いた。
狙いは『踊り手』の要、繋がれた手だ。
しかし、それは高遠も計算済み。
左右に揺らし、懸命に弾幕の毒牙を回避する。
のみならず── キン!
全ては無理だが、弾丸を弾き返し、『ヒトマル』に叩き込む。
ガイン!
いや、命中しない。
当たったのは、『ヒトマル』の抱えたチェストの表面だ。
『ヒトマル』の構え、その動き──確信する。
菊川の入ったチェストを、『盾』として使っている!
敵の能力の『逆利用』・・・・
棄損した防御力を補強するための、新たな『防具』というわけだ。
ガガガガ! ガガガガ!
近づくにつれて、弾幕の威力と精度は増していく。
手の軸をいつまで避け続けられるか。
微かな恐怖が冷汗とともに滴り落ちる。
「──多くは言えない。察してくれ」
菊川の言葉に、『ヒトマル』への警戒を感じた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「──高遠。ぼくに遠慮するな」
その声は、高みから見下ろすように飄々としていた。
ゴ ゴ ゴ
ガガガ!! キンキンキン!
「──これしかない」
互いの距離──『2m』。
『一足一蹴り』の間合い──
205
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/08/01(火) 18:23:31
>>202-204
『F・O・Q』の右腕はレベルダウンしている、
だが『他』はそうではない。
そして『F・O・Q』に視聴覚がない以上そこは
エイノーの立ち位置から本体によるそれになる。
『エンジェルズ・ラダー』右手の一撃を膠着している
左手を起点に体当たりに近い額の頭突きで受ける。
『狙い』が見えている以上『速度』の差も『精密さ』も
差こそあれギリギリ対応できるはずだ。
そしてルンクスはまた『守った』、『F・O・Q』が
立ち上がりきる前に左拳を受け右手でとどめに来た。
『エンジェルズ・ラダー』も異形ながら人型である以上
今ルンクスの頭を守るのは自前の頭蓋骨だけだ。
確認する暇もないがどうやらエイノーの後方から
誰か(井上)来ているらしい、声をかける余裕もないが
その誰かの攻撃の一助になって欲しい。
206
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/08/01(火) 21:28:45
>>203
(─────Nice work)
咄嗟に『ナツメグ』がこちらに合わせたのを感じ、心の中で賞賛を送る。
本来ならば、あまりに厄介極まりない『ハッピー・オルガン』。
しかし、ヤツの性格をよく知る井上により、平静さを失ってしまったヤツには既に突破口ができている。
「ここは教会よ」「汚い言葉は慎みなさい」
そして放った針弾は、狙い通りの罠にかかった『ハッピー・オルガン』の頭部に突き刺さる。
だが、まだ『足りない』。頭部周辺は深い麻痺に覆われているだろうが、
あと『1発』。あるいは『体液』に触れることによる、後押しが必要だ。
「『ナツメグ』ッ!」
彼の『肉』を詰める能力、果たして『血液』は同様に設置されるのか?
仮にそうならば援護に期待しつつ、自身もあと『1発』を更に頭部目掛けて撃ち込む。
コイツを少しでも早く鎮静させなければ、今度はエイノーが危険だ。
207
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/08/08(火) 23:53:34
>>204
>「──多くは言えない。察してくれ」
>「──高遠。ぼくに遠慮するな」
>「──これしかない」
[『ジ・ユーズド』を解除する]
[自分もろともコイツを破壊しろ]
と。
接近したこの瞬間が最大の機会……しかし。
チェストと奥の『戦車』を破壊する威力を、生身の本体が食らったらどうする。
思考は一瞬。対案が出ない。逡巡。……
「『弱点』」
胸部を狙う事を予め伝える。
高遠を軸にポールダンスするように前に出、
「―――――――――っ!!」
声にならない声を上げて、フルパワー。つま先を立てて蹴りかかる。
足の狙う部位は胸部の装甲パージ部分。ここなら破壊できる。
蹴り足はチェストを突き破るだろう。菊川がチェストの中で動く等の自己防衛を祈るほかない。
208
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/08/09(水) 03:01:30
>>202
『ハッピー・オルガン』の『人体操作』は自動的ではない。特に細かい動作などは面倒くさい、負傷箇所を破裂させ、再構築し、かつ痛覚をカット、崩壊しないよう維持するなんてのは面倒すぎてする気も失せる、ジョギングしながら編み物をするようなものだ。
だが不可能ではない、ハッピー・オルガンが規格外なのはその精密性にある。難なくやってのけるだろう、『邪魔が入らなければ』
後方の味方に期待するのは『ハッピー・オルガン』の集中を乱すことそれだけだ。
ヤツの操るラジコンのコントローラーから手を離させて欲しい、そうすればルンクスの傷は開き、深いダメージを与えられる、そうした上で決定打が必要になるんだが…
「お前はなんですぐ死にそうになるんだよバァーカ!!」
エイノーの足を思い切り蹴り飛ばす!
もちろん肉詰めされたパワーがある、一撃を避ける程度には身体をズラすことはできるはずだ。
「お前そのすぐ死のうとするのやめろ!
大人しく格好つけてあきらめんな!! 俺に言われたくねーってんなら生き残ってから言ってくれ!」
209
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/08/18(金) 22:24:22
>>206
(ウィル)
3発の『針弾』は、
狙い通り、『ハッピー・オルガン』の頭部に突き立った。
鞭のように引き締まった『女悪魔』の体から、
急速に力が抜けていくのを感じる。『麻痺』に成功したのだ。
『ハンモック』の網がたわみ、『ハピオル』を包んだまま、
弾み、壁からぶら下がる──本来の『寝具』として。
『ナツメグ』は胸の一撃をこらえきれず、
背中から床に倒れていく。助力は無理だろう。
そう判断するや否や、ウィルは──
バシュ!
──冷静に。
外科医が幹部に注射を撃ち込むように、冷静に。
網の中の頭部目がけて、
ウィルは『ヴェノム&ファイア』の引き金を引いた。
「・・・・・・グゥ」
今度こそ止めの『針弾』を受け、
『ハッピー・オルガン』がうめく。
本来の巨体から比べれば、女体化した今の体躯は
一回りは小柄に見える。それでもなお、ウィルより長身だが。
・ ・ ・
「・・・・このアタシが」
見開かれた眼差しから、急速に失われる光。
「このアタシが・・・・・・・『死』・・・・・・・」
ピシ パキ! パキ!
ボシュウ!
ウ ゥ
虚ろになった目元からヒビが走り、
艶めかしい肢体に亀裂を走らせた次の瞬間、
『ハッピー・オルガン』は砕け散り、蒸発を始めた。
網目から噴煙の如く立ち昇るのは、スタンドの残滓。
それは祭壇の前で、神々しい光を放ちながら──霧散した。
オ オ オ オ
── 一方の戦局では、
エイノーを捕捉したルンクスによる『処刑』が始まっている。
『ハピオル』を食い止める数秒が故に、
それを止める手立ては、ウィルに残されていないが──
その選択は、結果としてエイノーを救うことになる。
210
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/08/18(金) 22:26:53
>>205
>>208
(エイノー、井上)
──『ガォォ オン』!
突き下ろされる、非常の鉄拳。
エイノーが咄嗟に講じた策は、防御であり攻撃──
ギ ャ ン!
精一杯その身を突き上げての、頭突きによる『迎撃』だった。
ドガ ギィイン!
火花の幻すら散るような、衝撃と音。
額が割れ、熱い血が鼻梁を伝うのを、
薄れ行く意識の中で、エイノーは感じる。
首は折れていない。死んでもいない。迎撃は『成功』だ。
だが──
「『オージョーギワ』が悪くねーカ? 教授」
『エンジェルズ・ラダー』の攻撃は止まらない。
防御をものともせぬ、右拳のみのラッシュ──
バッシ!!
ここでようやく、井上の蹴りが間に合った。
エイノー本体を蹴り飛ばし、ルンクスから遠ざける!
強化された井上の筋力ならば、十分可能な策のはずだったが、
ガシィ! グィイン
エイノーの体は、ルンクスを中心に弧を描くばかり。
理由はスタンドだ──
『エンジェルズ・ラダー』に掴まれた『フィストフル』の拳。
スタンドを制されれば、繋がる本体は離れられず、
当然、エイノーのスタンドも逃れられない・・・・!
「オマエもな・・・・同じ手は通用シナイ」
ルンクスの口ぶりは、
井上の救出を想定したかのようだ。
バ! ババババ!
無数に分裂した『馬面』の拳が、流星雨と化し、降り注ぐ。
エイノーは意識を朦朧とし、井上は蹴りを放ったばかり。
『フィストフル』は敵の手に掴まれ、逃げる余地なし──
「終わりダ。
さらば、エイノー・ニョルズ教授」
ドバッ シュウウ!
非情の『処刑宣言』とともに、
渾身のラッシュが着弾した──噴き広がる血飛沫。
ブシュウウウ────ッ!
「・・・・・・・ッ!?」
だが、その血は、エイノーのものばかりではない。
激しい出血を見せたのは、ルンクスの右脚だ。
肉は爆ぜ、骨が露出するほどの重症──!
全て、井上の読み通りだった。
そこは『嫁』となった『ハッピー・オルガン』が癒した箇所だ。
ウィルや『ナツメグ』達は、かろうじて『間に合った』らしい。
『ハッピー・オルガン』が止まれば、
その能力による治療も破たんする・・・・『ナツメグ』と同じ道理。
ドゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴ────ッ!!!
床へと崩れ落ちるルンクス。
その影響で、ラッシュは狙いを外し、
その大半が真下の石床に叩き込まれる・・・・
ビキ! バキ!
バ ゴォン!!
その場の誰が、この展開を予想し得たか。
突如、陥没した石床に開いた大穴が、
身を捩じるルンクスを呑み込み、底の見えぬ縦穴へ突き落す。
「う・・・・うぉぉおおおおぉおおおお!!!」
エイノーは井上に蹴られたこともあり、
かろうじて穴の外にその身を横たえているが、
『馬面』の手は落ちながらなお、
『フィストフル』の右拳を掴んだままだ・・・・!
211
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/08/18(金) 22:32:07
>>207
(高遠)
選択の余地は──『見つからない』。
♪
シュ バ!
♪
『踊り子』は最後の回転から、
床を蹴りつけて右脚を繰り出す。
破城槌のように爪先を伸ばし、
まっしぐら、『ヒトマル』の損壊した胸ぐらを目がけて。
菊川生存の祈りを込めて。
『ヒトマル』の対応は、憎らしいほどに完璧なものだ。
『クレモンティーヌ』の近距離攻撃は蹴りのみと見切った上での、
『無敵の盾』──菊川入りのチェストによるガード。
いかな『不滅の踊り子』であれ、攻撃の瞬間は無防備となる。
それを踏まえての右機関銃の二段備え。必勝の構えだ。
しかし『盾』が、その役割を放棄すれば──
ズ ドォォオ オッッ!
『踊り子』渾身の直蹴りが、
構えたチェストをぶち抜き、その向うまで貫いた。
すでに装甲を失った『ヒトマル』の胸部に、防御力はないも同然。
無敵の『瞬間移動』は、己が慢心に封じられた格好だ。
『ヒトマル』:
「………………ア……」
「胸……ブ…………被ダン……
テッタイ……キョカ…………ヲ……
…………司……レ………………』
ザ ザザザ
ザ
ザ ! ザ ア ッ
・・・ ・・・ ・・ ・・ ・・
──最後に人間めいた『困惑』の表情を浮かべ。
ルンクスに召喚された『機甲少女』は、
『踊り子』の脚に貫かれたまま、
無数の『走査線』と化し、シンガポールの空に散った。
残されたのは、右脚に貫かれたチェストのみ。
ドパッ ドパッ ドパ……
その底から滴る液体が、
足元に真紅の鏡を広げていることに、高遠は気が付いた。
……… …… … …… ……
… … ……… ……… ……
…… … … ……… … ……
… … … … ……… ………… …… ………
…… … … ………… …… … … …………
… ……… ……… …… …… ……… …… ……
……… …… … ………… …… …… …
…… … ……… ………… ……
… … …… … …
212
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/08/19(土) 07:17:11
>>209-211
「何度もすまないね、井上氏。だが私は
『格好良く諦めない』のだ!『今』が心配を
かけ続けてもぎ取った打倒ルンクスの
多分『最大最後のチャンス』だ!」
言い終えるより前にエイノー本体が
『F・O・Q』に導かれルンクス目掛けて
穴の中に落ちる。
少し計画は狂ったが『ハッピー・オルガン』の脱落で
目処はついた、『同じパワーで掴んで止める』、
実にルンクスらしい『最善の安全策』だ。
しかし今『F・O・Q』左拳の特性は『硬さ』だ、
『鉄槌』を『青銅の盾』に押し続けていつまで『盾』がもつものか、
そして『エンジェルズ・ラダー』には性質上間違いなく
『ダメージ・フィードバック』はある、あのルンクスがスタンドであれ
『快楽』を逃がすわけがない。
そしてこの『想定外の落下』、今この瞬間ルンクスは何から身を守る?
『重力』か?できるだろう、さっきエイノーも『F・O・Q』で天井からやった。
『F・O・Q』か?できるだろう、今でも『エンジェルズ・ラダー』は
今の『F・O・Q』の戦闘力を凌駕する。
だが『全て一度に』は無理だ。
あまつさえ現状は『想定外』なのだ、『どうすれば安全か』など
瞬時に出せる答えではない。
そしてその『瞬時』にあらん限りの敵意をもって『F・O・Q』の左拳が
押し込まれランク落ちした右腕が今こそルンクスに、そして
『エンジェルズ・ラダー』にラッシュで叩き込まれ、
とるに足りずしかし最大の気迫でエイノー本人もルンクス目掛けて
落ちて行く。
「huuda,huudahuudahuudahuudahuudahuudahuudahuuda,huudahdus!」
少しでもルンクスの平常心を更に削ぐべく闘志を乗せた叫び声も
ルンクスに叩きつける。
うまくいけばさっきの天井同様ルンクスへの打撃が落下の衝撃を
相殺する、かもしれない。
そもそも今回は「パニックのルンクスを死ぬまで殴り倒す」以上の
ビジョンは基本的にはない、ので絶対ルンクスは何とかするので
とりあえず井上氏には『すまない』。
213
:
井上正『ハッピー・オルガン』
:2017/08/20(日) 11:46:28
>>210
中指をおっ勃て、ルンクスに突きつける。
「してやったぜ」
と格好つけてる場合じゃないな、死にたがりが自分の手首を噛み切る前に、助けてやらなければ。
エイノーのところへと移動し、その頭を床に叩きつける。
ルンクスが掴んでいるのはエイノーのスタンドだよな? だからエイノーは自らの意思では解除できない。『じゃあ解除してやればいい』本体が意識を失えば当然スタンドは解除される。
急げ、俺のこの体もいつ限界が来るかわからない。
214
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/08/25(金) 00:40:25
>>209
「─────Sweet dreams,violet devil(おやすみよ)」
やった。
とうとう、戦闘力だけなら恐らく『ルンクス』を上回るであろう『ハッピー・オルガン』を仕留めた。
未だ興奮は冷めやらぬ、諸手を上げて感傷に浸りたいところだ。だが、それをするにはまだ早い。
『ルンクス』がいる限り、あのような恐ろしい敵があと何人産まれてもおかしくはない。
「ミスター・ニョルズッ!」
浜岡を連れながら、彼の元へと接近する。まずは状況を確認しなければ。
今『ルンクス』はどうなっている?エイノーは無事か?そして肝心の『ファイア』、
まだ残弾は少しはあるだろうが、あと何発残っているか?
215
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/08/25(金) 21:32:02
>>211
…………あぁ
遠慮するなと貴方は言った。
だが……私は
どうしようもなく腹が立つ。
ヒトマルにも
ルンクスにも
……貴方を助ける手立てを思いつかな
かった私にも貴方の『命』が『鏡』に
なっていることに気づいてしまう私に
も貴方を確認しようとするより現れる
テキ
であろう『深淵』に反射的に体が動いて
しまう私にも
右足を引き抜き、『真紅の鏡』……ひいては地面を全力で踏み砕きながら飛ぶ。
足元を崩し鏡が出来る余地がない様、地面……土を巻き上げながら
今いる場所を離脱し教会側への跳躍を行う。
あわよくば手はチェストを抱え、あるいは押し……なんでも良い、チェストを鏡から遠ざけたい。
216
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/09/21(木) 09:48:01
>>212
>>213
(エイノー、井上)
──もはや執念と呼ぶべき、エイノーの特攻。
自らのスタンドの拳を捕縛され、
突如出現した謎の『縦穴』へのルンクスの誘いに対し、
恐怖ではなく、狂喜で対応する!
グ
ォ ォ オ
ン !
ルンクスを飲み込んだ穴が
エイノーの眼前に待ち構える。
穴の直径は『1m弱』。
一般的な『マンホール』よりやや広いその先は、
まさに底知れぬ闇へと続いている。
どこまで落ちるものか、測るすべもない。
絶対的な信頼を置いた『超硬度』の左拳を突き出し続けるエイノーだが、
敵が落下を始めた今、その効果は物理的にゼロに等しい。
だが、敵が落下を止めた時には、押し当てた拳は真価を発揮する。
その意味において、エイノーの選択は正しい・・・・
己が身の安全を度外視すれば、の話だが。
──ズズズ ズズズルゥッ!
胸を床で擦るようにして、
エイノーの上半身が穴の真上に躍り出る。
自ら前に出るつもりだったが、疲労と負傷のピーク。
脚はもはや動かず、引きずられるに任せる形だ。
それでも臆することなく、真下のルンクスを凝視する。
男の黒い肌は穴の闇に溶けていたが、
それでもはっきりと、自分を見上げる表情が浮かんで見えた。
唇を裂いて発せられる驚愕の叫び声。
それを呑み込み、引き絞った唇の端が、かすかに上がる・・・・
ガ ズゥウ!
──そこで、エイノーの意識は途切れた。
井上の救いの一手が間に合ったのだ。
乱暴なやり口だが、本体の意識を断つことで、
『フィストフル』を強制解除し、ルンクスの『命綱』を断ち切る──
「・・・・・!!!
アあぁぁ、アあぁァァああああアあああァア──────ッ!!!」
希代の『好色漢』の絶叫が、
地の底へと遠ざかり──そして途切れた。
一方、井上の体にも、異常が訪れる。
『電池切れ』のような全身の脱力感。
腹部から鳴り響く『異音』。
グウゥゥウウ
この異常には覚えがある・・・・極度の『空腹』だ。
217
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/09/21(木) 09:48:44
>>214
(ウィル)
仲間との協力の末、
ウィルは、ついに『ハピオル』を制する。
この戦いの『天王山』を制したといって、過言ではないだろう。
だが、快挙を祝う余裕はない。
ウィルは浜岡とともに、ルンクスの落ちた『縦穴』へと近づく。
そこでは、今しもエイノーが、
自らのスタンドに引きずられ、頭から滑り落ちんとするところだ。
『ヴェノム&ファイア』の残弾は、『4発』。
だが、この距離とタイミングでエイノーを止める手立てはない・・・・
ガ ズゥウ!
そこに殺到した井上が、
エイノーの頭を取り上げ、穴の縁に叩き付けるのが見えた。
『ナツメグ』に与えられた怪力を発揮し、
エイノーを気絶させ、落下を食い止めたようだ。
「・・・・・!!!
アあぁぁ、アあぁァァああああアあああァア──────ッ!!!」
穴の中から響きわたる、ルンクスの叫び声。
みるみる遠く、小さくなったそれが聞こえなくなった時、
グウゥゥウウ
奇妙な音とともに、井上が崩れ落ちた。
「・・・・『ガス切れ』だあ。
まぁ、『ギリギリ間に合った』ってところか」
背後から届く、『ナツメグ』の言葉。
>>215
(高遠)
──遠慮するな。
それが菊川の、最後の言葉だった。
だが、やるせない感情が高遠の胸を突き上げるのは、当然のことだ。
敵への、そして自身への怒り。無力感。
そして、この状況でも冷静に戦局を判断する
『戦士』としての自分にも。
♪ パシ!
ドッ ゴォォオオオッッ
残された片手でチェストを掴み上げ、大地へ強烈な一蹴り。
こぼれた血は土に吸われ、水たまりが生じるほどではないが、
瓦礫や家具の残骸にも土を浴びせ、万一の危険も消滅させた。
同時に、反動で前線を離脱。
『ヒトマル』の開けた穴から、教会へと戻ろうとする──
──ぼくは置いて行くんだ。高遠。
耳元で囁く声が、高遠の脚を止めた。
抱え上げたチェストを伝わるそれは、聞き慣れた『ジ・ユーズド』だ。
──自分でわかる・・・・ぼくはもう助からない。
──幸運にもここは『教会』で・・・・
このチェストは・・・・おあつらえ向きの『棺桶』だ。
──ルンクスを倒した後で、
そこら辺に埋めてくれれば、それでいい。
── ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
218
:
井上正『ハッピー・オルガン(?)』
:2017/09/22(金) 03:39:17
>>216
「あぁ…う…」
ケツの毛まで毟り取られてもう屁も出ない。全身血まみれクソまみれ、どっこい生きてる、生きてんだよ。
「おれ…保険とか入ってないけど大丈夫かな…? 金もないし…」
体は元通りになるのか? とか、『ハッピー・オルガン』はどうなった? とか、考えるべきことは沢山あるが、まず心配なのは金のことだ、大冒険の後にも生活がある。
俺は、俺だけの『普通』の人生を勝ち取ったのだから。
219
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/09/23(土) 01:16:01
>>217
声への硬直は一瞬。
「…… だ」
「……やだ。置いてくものか!」
チェストを下ろし、戸を開ける。
目的は一つ。菊川をパートナーに変える。
さらなる敵が居るかもしれないが
確認は行動をしながらでも出来る。
躊躇していては……。
「こんなところで朽ちるなんて、させるものか!」
「『不滅』なら、まだ……っ!」
『殺さない覚悟』という、『護り屋の信念』を、
壊れてしまったそれをかき集めて動く。
220
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/09/23(土) 23:55:11
>>217
状況を確認。穴の中に落ちるルンクスと、それに引っ張られるエイノー。
マズい、『ヴェノム&ファイア』。『麻痺』はあれど、それを発揮させるには時間が足りない。
「─────」
しかし、そこでまたもや井上が妙手を出す。
エイノーを気絶させることにより、『フィストフル・オブ・クォーターズ』を強制解除。
ルンクスは、一人で底の見えない穴の中へと落ちていく。
「・・・・・『棒野郎』の最後が『穴の中』とは 最高にお似合いね」「あら 失礼」
はしたない言葉を口にした後、わざとらしく唇を抑える。
「『ガス切れ』・・・ミスター・イノウエは大丈夫なのかしら?」
どちらにしろ、エイノーともども早く病院に連れて行きたいが、まだ安心はできない。
周囲を見回しながら、敵影や動くものが確認できなければ、
次に自分の身体の変化を確かめる。もしルンクスが『再起不能』であれば、戻りつつあってもおかしくはないが…。
221
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/10/07(土) 00:06:58
>>218
(井上)
『空腹』は馴染みのある不幸だが、
これほどまでの空腹は、記憶にないほどだ。
全身の力が抜け、井上は文字通り床に崩れ落ちる。
今、穴の中からルンクスが飛び出したとしても、
到底対処出来そうにない・・・・それほどまでの脱力感だ。
この症状の原因は、間違いなく『ナツメグ』の能力だろう。
肥満漢自身、井上と大差ない状態で座り込んでいる。
かろうじて寝そべっていないというだけだ。
「手持ちの食い物が尽きちまった。
誰か、何でもいい。口に入るもんを持ってこい。
さもないと」
ちらりと井上を一瞥し、
「大事な仲間の一人が、胴体から真っ二つになるぜぇ」
浜岡:
「やれやれだねえ。
確か、すぐ隣に司祭が住んでる別棟があったかい。
行けるとすりゃ、あたしかウィルだが・・・・」
ウィルに振り向いた浜岡が、瞠目する。
その身体に異変、いや『変異』が生じている・・・・!
>>220
(ウィル)
「『おめでた』なんてことにならなきゃいいがね」
苦笑する浜岡だが、その目は笑っていない。
穴に近づき、底まで見通さんばかりに睨む──
すでに悲鳴は消え、気配は感じられないが、
その表情は依然として険しい。
一方、井上と『ナツメグ』の突然のダウンは、
『フランキー・アヴァロン』の能力に寄るものらしい。
さかんに食物を求める『ナツメグ』に対し、
自分かウィルが動くべきかと応じた浜岡だが、
振り返ったその目が、大きく見開かれ、
そしてようやくにして、ウィルは気が付いた。
シュウ
シュウ シュウ・・・・
湯気のような無数の『粒子』が、
女物の衣服の隙間から噴き出している。
熱を帯び、スチームと化す肉体。
何かを失うと同時に得ていくような、
奇妙な感覚の中で、ウィルは確信に至る。
──『婚約』が、破棄されたことを。
ド ド ド ド
ウィル『ヴェノム&ファイア』 ⇒ 『嫁化』解除
ド ド ド ド ド
222
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/10/07(土) 00:07:41
>>219
(高遠)
チェストを開けようとする高遠だが、
古い木製のそれは、『クレモンティーヌ』の膂力でさえ
びくともしない。『ジ・ユーズド』の効果だ。
(──高・・・・遠・・・・)
(──『社長』に拾われる前・・・・ぼくは『引きこもり』だった)
(──義理の父親が、折檻にアイロンを愛用しててね。
──父親はいつしかいなくなったけど、もう外に出ようとは思えなかった)
(──母親と二人、永遠に同じ部屋で生きるはずだった)
(──でも、現実は甘くなかった。
引きこもったぼくに嫌な顔一つしなかった母は、
名前も知れないチンピラの強盗に襲われ、殺された)
(──二階の部屋にいたぼくは、何も知らなかった。
──ゲームに没頭してたんだ・・・・ヘッドホンをしてね)
(──強盗に気付かれなかったぼくが、母の異変に気付いたのは、
・・・・それから三日も後だった)
(──その後、餓死寸前だったぼくは、
『社長』に見出され、『力』を託された)
(──ぼくにお似合いの、インドアな能力さ。
もっと早く目覚めていれば、なんて思わなくもないけどね)
(──・・・・・・何が、言いたかったんだっけ)
(──・・・・ああ、そう・・・・
『ヒトマル』を自爆させた時は・・・・本当に嬉しかった。
さっきの決断もそうさ・・・・満足してる・・・・本当さ)
ドクッ
ドクッ
223
:
『ロヴァニエミの確認』
:2017/10/07(土) 00:09:04
──パタンパタン カタン
──パタンパタン カタン
目覚めて最初に聞いたのは、
奇妙で何処か懐かしい、そんな物音だった。
同時に、エイノーの鼻は懐かしむ。
過剰に温められた部屋に、かすかに残る潮の名残り。
暖炉にくべられた薪の香ばしさと、
燃やされるのを待つ薪の、どっしりした香り。
この空気を、エイノーは知っている。
──パタンパタン カタン
224
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/10/07(土) 14:22:47
>>223
軽く頭を揺する。
兄が送ってくれた冒険小説の余韻だろうか?
ずいぶんと凄い夢を見ていた気がする。
エイノー・ニョルズ ──『私』、いや『僕』は
そう思いながら部屋を見回す。
居間ならここで、自室なら扉を開けて祖父母に
挨拶しなくてはならない。
何時、という事も気にせず
「お祖父さん、お祖母さん、おはよう。昨夜は寒くなかったですか?」
225
:
『ロヴァニエミの確認』
:2017/10/10(火) 02:28:49
>>224
(エイノー)
エイノー・ニョルズは、
フィンランドの貿易商の、三男一女の末子として生まれた。
母方の祖父母から商会を引き継いだ両親は、
兄姉の就学も重なった為、
エイノーの養育を祖父母に託した。
町の名は、ロヴァニエミ。
フィンランド最北のラッピ州の中心街であり、
オーロラ目当ての観光客が多く訪れる他は、
いたって平凡な北欧の地方都市だ。
エイノーは、この町で中学生まで育てられた。
祖父母の孫への印象は、「良い子だけどちょっと危なっかしい」。
決して乱暴ではなく、利発、活発でありながら、
目を離すと何処に行ってしまうかわからない。
例えば、
「湖に散歩に行って外国人カメラマンにガイド頼まれて
祖父母に電話入れて三日間付き合う」──
そんな無邪気な『危うさ』をはらむ少年だった。
────────────────────────────
エイノーは軽く頭を振り、
混乱した記憶を落ち着かせる。
先刻まで見ていたはずの夢は波乱に満ち、
生々しいほどの疲労と痛みもあった気がするが、
そうしていると、次第に記憶の彼方に追いやられた。
とどのつまり、夢──よくある夢に過ぎない。
エイノーは起き上がり、周囲を見回す。
寝ていたのは、書斎のソファの上だ。
ここは曾祖父が残した、もっとも古い部屋で、
彼の愛した多くの遺品──
その大半は日本からの輸入品だ──が、
書架に並ぶ本に匹敵する数、飾られている。
祖父母は日頃、この書斎に鍵をかけ、
大事な来客の時以外、使うことがなかった。
だがエイノーは持ち前の好奇心で鍵を見つけると、
祖父母の昼寝の隙を見ては、
こっそりと曾祖父のコレクションを堪能していたのだった。
・・・・よく覚えてはいないが、
もし今回もそうだったなら、祖父母に挨拶する必要はない。
──パタンパタン カタン
先刻の音が、再び耳に届く。
ぼんやりと視線を向けたエイノーが見たのは、
雪のちらつく窓辺に腰かけた、一人の老人だった。
長く白い髭。深紅の外套。同色のナイトキャップ。
そう・・・・
老人は『サンタクロース』だった。
──パタンパタン カタン
その手に持っているのは、
日本の民芸品、『変わり屏風』だ。
ttps://www.youtube.com/watch?v=RH-MVuMHxQ0
棒の先に連なる複数の板、『屏風』に似たそれは、
老人が手首を返すごと、小気味よい音を立てながら裏返り、
その色を鮮やかに変化させる。
単純だが、初見の者を驚かせるには十分なからくりだ。
洋風の衣装を着たサンタが、にこりともせず、
和風のからくりを操る図は何とも奇妙だったが、
意外に調和し、違和感はさほど感じられない。
「目が覚めたか、エイノー」
老人が、思い出したようにつぶやく。
声に覚えはない。祖父のものではない。
その目はエイノーに向けられることなく、
反転を続ける変わり屏風に、じっと注がれている。
226
:
エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』
:2017/10/10(火) 05:44:58
おっといけない、『僕』は開きかけた口を閉ざす。
それにしても珍しい、この『書斎』に入るときは
きちんと堪能して出て行くまでの調整をしているのに。
ここは曽祖父が遺した『夢』だ、無駄なく堪能するのだ。
そして『音』の方に目をやり『老人』を見て挨拶。
「Moi,herra Joulupukki(こんにちは、サンタさん)」
ここはフィンランドだ、犬がしゃべろうがカバが歩こうが
驚いていては国民はつとまらない。
だが『変わり屏風』は別だ。
「いいなあ、プレゼントのお披露目ですか?良ければ
曽祖父の『秘密箱(寄せ木細工のからくり箱)を
ご覧になりますか?」
普通驚くところだがこれはきっと『別の夢』だ。
なら珍しい『日本の細工物』を見せてくれた老人を
歓待しない理由はない、が、
「『目が覚めたか』?ひょっとして『僕』は『現実』を見ている
のでしょうか?」
それはそれで良い事だ、あの『変わり屏風』をもっと良く
見せてもらえるかもしれない。
227
:
井上正『ハッピー・オルガン(?)』
:2017/10/10(火) 12:02:45
>>221
「やだぁ…死んじゃう…」
死にたくない一心で戦ってきたのにこんなのはあんまりだ、移動はできないので捜索はできない、これはマジでヤバいぞ。
とりあえず舌の先端を強く噛み出血させる。
自分の血でも消化すれば栄養だ、顎の筋肉は人体の中でもかなり強い、衰弱していてもできる、と思う
228
:
ウィル『ヴェノム&ファイア』
:2017/10/11(水) 22:41:59
>>221
─────あぁ。実際女性になってからそう時間が経っているわけではないけれど、
ここまでとても長い道のりであったような気がする。
ようやく、これで何の気兼ねもなく愛する彼女を迎えに行ける。
「・・・・・とはいえ まずは謝罪が先かな」「何かプレゼントを買っていくべきかな?」
などと嬉しさのあまり独り言が漏れるが、状況が状況だ。
事は一刻を争う、まずは井上を救うのことが最優先だ。
「いいや まずは『立役者』を救うのが先だね」
「ぼくが隣の別棟へと向かおう」
だが、念のため警戒は怠らない。
仲間から距離を置いて、自分を『スタンド使いアレルギー』にしておこう。
ルンクスが『再起不能』になっていることをこの目で確認するまでは、安心できない。
229
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/10/14(土) 08:09:33
>>222
感じた印象を一言で表すと『天岩戸』。
テンポを上げる。
そして、話す。
「私は、不自由はなかった…」
「親は健在、兄妹達の一番下だったわ」
「末っ子は可愛がられるって、知ってる?
他の人と話してやっと気づいたことなんだけど」
「私の目の前にはいつも私より秀でた誰かがいた。
仕事とか、勉強とか……何でも兄さん達の方が上手くて……」
「気がついたら私の道先にすべて壁としてそびえてた。
それも、したいことを代わりにやってくれるような、居心地の良すぎる壁として」
「小さなことから気づいた『スタンド使い』の道を行こうって決めた時は……怖かった。
でも、一度もしてないこと……『知らない世界へ歩き出したい』って思ったから」
「…『クレモンティーヌ』は自分だけが踊るのではなく私や誰かを踊『らせる』能力。
最初は、自分の精神が表に出たようで恥ずかしかったし、悶絶したわ」
「だけど、今死にかけて思った。ティーヌさんは
精神的に、一人じゃ歩けない自分を立たせてくれていたんだって」
「……何を言おうとしたのか忘れちゃったじゃない。
そうよ、死にかけた時でないと自分から動こうとか出来なかった私だって
一つ今決めたことがあるのよ。だから……」
一呼吸置いて周りを確認。
こんなクソ恥ずかしい告白誰にも聞かせられない。敵にも、味方にも。
居なければ、チェストの穴の中に『クレモンティーヌ』の手を入れ、手を、足を探す。
「貴方を見出した社長のところまで皆を送る。
そう足掻かなきゃ、命を保たせようとしなければ私が満足できないって言ってるの!ね!?」
やりたいことは最優先から順に菊川のパートナー化・『ジ・ユーズド』の解除、菊川の取り出し。
230
:
『ロヴァニエミの確認』
:2017/10/15(日) 21:50:08
>>226
(エイノー)
ロヴァニエミ時代のエイノー少年の興味を引いたのは、
曾祖父の集めたコレクションだった。
曽祖父は冬戦争・継続戦争の従軍経験者だったからか
戦争相手のロシアに勝ったという日本という国を好み
様々な資料を集めていた。
膨大な書籍。東洋の香り漂う複製画集。
精巧な軍艦模型。精緻を極めたからくり細工。
エイノーが日本に憧れたのは、未だ見ぬ曾祖父の影響だった。
この小さな町では、自分が『異邦人』であるという無意識もあったのかもしれない。
まずは曽祖父の形見の研究から始め、
進学にともなってヘルシンキに戻ってからは
自分で収集・学習を始め、大学院出論文を認められるまでにこぎつけた。
『国民の義務』──兵役時代の貯金と、大学の講義室での翻訳や
資料作成などの給金で、ついに憧れの日本に渡航し、現在に至る──
────────────────────────────────
エイノーの陽気な挨拶にも、赤衣の老人は頷きもしない。
豊かな白髭に隠された口元は無論、皺の刻まれた目元にも表情はない。
老人の仮面を被っているのかと思えるほどだ。
老人は、音もなくエイノーに歩み寄ると、
その手の『変わり屏風』を差し出し、握らせた。
老人の背が殊の外高いこと、
自身の背が意外に低いことをエイノーは感じた。
「『現実』かどうかは、
おまえが決めることだ・・・・エイノーよ」
少年を見下ろしながら、
老人が静かに、そうつぶやくのを聞いた。
「おまえは異国の地に旅立ったのだろう?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
私のコレクションに感銘を受けて、だ・・・・そうじゃなかったか?」
ド
ク
ン
231
:
<ガオンッ>
:<ガオンッ>
<ガオンッ>
232
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/10/15(日) 22:27:00
>>227
(井上)
──自分の血肉を飲んでも生き延びたい。
その一心で舌を歯の間に挟む井上だが、
もはや顎に力が入らない・・・・舌を傷つける力さえない。
「おう・・・・井上・・・・だったか?」
なすすべなく床を舐める井上に声をかけたのは、『ナツメグ』だ。
「『悪魔』に一泡吹かせた男が、情けねえ顔してんじゃねェよ。
限界近いが、オレはまだ余力がある。
今すぐくたばるなんてことはねェ・・・・安心しな」
「それより先に、確かめておくことがある。
おまえのスタンド──『ハッピー・オルガン』だ。
あいつぁ完全な『自律型』だったようだが、
あれで『くたばった』のか・・・・それとも『強制解除』されたのか?
『操られ』るおまえに感じ取れるかわからねぇが、
それがわかるとすれば、おまえしかいねぇはずだからな」
>>228
(ウィル)
シュウ
シュウ シュウ
・・・・ バ ウンッ!
自身から生じた霧が弾け、
ウィルの肉体は、唐突に『男性』を取り戻した。
失ったものも、得たものも何一つない。完全に『元通り』だ。
衣服も普段のスーツを着て来たので、問題は生じない。
これでアウレアも安堵することだろう。
シンガポールに着いてから、久しぶりに恋人の顔が目に浮かんだ。
「あたしは残るよ。ここには戦力外しかいないからね」
ウィルの申し出に、浜岡が応じた。
「そうだよ、ウィル。油断するんじゃない。
あたしらはまだ、ルンクスの死を確認してないからね」
その横顔に、安堵の色は微塵もない。
油断を戒める『残心』だろうか?
あるいは、何か深刻な懸念があるのか?
ウィルは仲間から距離を取り、
『スタンド使いアレルギー弾』を自らに撃ち込む。
エイノー、『ナツメグ』、井上、浜岡の直近の反応。
そして北東の方角『18m』ばかりに、『2つ』の反応あり──
この『2つ』はほぼ同座標に重なり、移動していない。
233
:
『ヴァージンロード・クルセイダーズ』
:2017/10/15(日) 23:05:54
>>229
(高遠)
テンポを上げ、踊り続ける『クレモンティーヌ』。
その手は、片一方を失ってなお、
高遠を繋ぎ留め、振るい立たせている──
語られた高遠の過去は、果たして、
チェストの中の『アマテラス』に届いたのか。
返答を聞かぬまま、
高遠はチェストの穴に手を伸ばす。
蹴り貫いたそれは、手が潜るに十分な大きさがある。
扉を開けるまでもなく、中の菊本を探り──そして、手の感触を探し出す。
ズ ギュン!
『クレモンティーヌ』の『パートナー』が、
高遠から菊本へと変更された。
『不滅の踊り手』は、踊り続ける限り、
物理的な死を迎えない・・・・延命手段として至上の効果を持つ。
それに気が付き、実行したのは高遠の手柄だったが、
その一方で──
ガ クン
片腕を失い、ひたすらに踊り続けた高遠には、
膨大に累積した肉体への負荷が襲い掛かる。
全身を引き裂くような筋肉痛と、
失血から来る貧血に挟み撃ちにされた高遠は、
その場に崩れ落ち、二度と立てない状態に・・・・
──── ガ シ ィ !
あわやというところで、
その体を掬い上げたのは、小柄な男性だった。
『クレモンティーヌ』と手を繋ぎ、チェストを脱ぎ捨てたその男は、
傍から見れば『王子』のように映っただろう・・・・
『ヨーダ』のマスクさえ被っていなければ。
『踊り子』は『クレモンティーヌ』の絶対支配下にある。
ならば、傷ついた高遠を抱き上げたそれは、
『クレモンティーヌ』の無言の意思だったのだろうか。
それとも高遠自身の無意識の願望の現れなのか──?
「──君には、負けたよ。
──確かにこの『力』は、『自殺』に使うものじゃない」
朝焼けを見上げた『ヨーダ』の虚ろな瞳は、
何故か涙をこらえているように思われた。
「──今度は、ぼくが君を救う番だ。
さあ、ぼくに君を運ばせてくれ」
「──『踊る』のは初めてだけど、笑わないでくれよ。
女の子を抱き上げるのもね」
234
:
高遠 嶺『クレモンティーヌ』
:2017/10/16(月) 17:12:15
>>233
あ、やばい、『限界』だ。
頭はともかく、体は今までにないぐらい酷使したし下手すると死ぬほど疲れてる。
冗談じゃないわよこんなところで膝から落ちたら間違いなく意識飛ぶし
飛ばしたら……
> ──── ガ シ ィ !
頭の中に走り回る危険信号にあくせくするまもなく掬い上げられた。
「……頼んだわ、アマテラスさん」
『クレモンティーヌ』によるのか、自分の意識なのか
根っこの所でつながって、おそらく一如なんだろう。しかし彼にも何か響くものを打てたらいいな、そう思う。
ヨーダ王子と自分の体は『クレモンティーヌ』に任せる。
二人一組のダンスとともに運び上げてもらいながら、教会の元へ。
ルンクスは倒せたのだろうか……自分は周囲の警戒に転じる。
この状態で何か来たら2人共どうしようもないが、生きている限り警戒は緩められない。
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