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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

565『小角 宝梦は火種となる』:2015/11/04(水) 01:00:15
>>554(エイノー)

隣室の穴から聞こえるように、危険を伝える。
元いた会議室の方からも、争う音は聞こえている。
言うまでもない・・・・というところかもしれない。

        ズギュ!

壁と床の間に手を伸ばし、
二つの『硬度』カートリッジを取り出した。

>>566(青田)
             ズギュ! ヒュッ

『携帯アンテナ』を発現し、投げつける青田。
ほぼ同時に左に跳び、転がるようにして距離を取る。
当然、『モナ・リザ』の視界を頼りにした行動だったが・・・・

その『視界』に現れた、奇妙な現象に目を瞠る。
『携帯アンテナ』は、意外なほど精確に『モナ・リザ』の顔(左目)に向かった。
同時に、『モナ・リザ』の視界が切り替わった。
右目は青田を捉えた正面のままだが、
左目は完全に別方向──青田から見て右方向の壁を映したのだ。
『カメレオン』のように独立した目の動きをさせれば、
こんな視界になるだろうか──?

ともあれ、視界は一瞬で元に戻り、
『モナ・リザ』は対応の手間を一切かけず、前に進む。

「あなた・・・・『見えて』いますね」
 
          ザッ ザッ ザッ
                             キキ キキ

左に避けた青田を追って・・・・ではない。
青田の後方にある、ガラス壁に向かって、だ。

互いの距離は──『5m』。

──ガラス壁──

   ↑    
   モ  →青

>>559(小角)
愛川は『スクリーミング・アウト・ラウド』を発現した。
『命令』を拒んだ『液蜘蛛』は、スヴァルト本体に向かうだろう。
その間は、敵の攻撃は手薄になるはず・・・・

そう踏んだ小角は、テーマを再度変更。
ルンクスの居場所を再度追うべく、テーマを『小角 宝梦の思考』とする。

>『私が今考えている『この推理』は正しいか?』
>【ルンクスが明日訪れる予定なのは『花嫁』か、花嫁ではないにせよ特定の『人』の居る所。
> 黄金町内の特定の『場所』を訪れる予定があるわけではなく、あくまでその人の動き次第である。】

ルルル・・・・
                    ──『NO』。

小角の『推理』は、当たっていないようだ。

>>562(紫)
壁に群がる『50匹』ばかりのチンパンジー。
その状況への恐怖より先に、複数の疑問が生まれたのは探偵の性か。
確かに、この数がいれば、確実に小角らを襲えるはずだ・・・・

   「皆さんッ! 壁一面に『チンパンジー』がいますッ! お気をつけてッ!」

文字通り、血の出るような叫びで警告を発する紫。
その声が聞こえたかのように、猿たちが動き出す。

             スッ スッ スッ

一匹、二匹、三匹・・・・滑らかな動きで、
壁の穴から会議室に侵入していく!
紫の疑問の一つは、これで証明された・・・・
待機しか出来ないわけではないらしい。

                         ゥ オォ オオオオオオ ン

安楽椅子は風を切り、教授棟の上へと向かう。
チンパンジーはまだまだ残っているが、何かしてくる気配はない。
4階を過ぎると、そこは屋上だ。鉄柵に囲まれており、人も猿もいない。

屋上の上を通過し、一階の青田に合流しようとした、その時だ。

紫は、屋上から空を、自分を見上げる男の存在に気が付いた。
やや色の薄い黒人だ。
長身に灰色のスーツを纏い、背筋を伸ばした様は軍人のよう。

──いや、明らかにおかしい。
屋上は今しも確認したのだ。人も猿もいなかった、はずなのだ。
『10m』は下にいるだろう、男の姿に新たな疑問を浮かべた時、


           「──『小角 宝梦』は、まだ生きているか?」


──力強い声が、『すぐ耳元』で尋ねてきた。


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