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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

566『小角 宝梦は火種となる』:2015/11/04(水) 01:11:37
>>563(高遠)
カバの消えた先、隣室を見やるが、
やはり穴の上に残った壁の一部が邪魔をする。
穴を潜るなりして隣室に入らなければ、位置の確認は出来そうにない。

会議室の窓方向を振り返れば、
小角は単身、『質問』を続け、愛川は興奮気味に
スピーカーのスヴァルトを挑発している。

その時だ──

   「皆さんッ! 壁一面に『チンパンジー』がいますッ! お気をつけてッ!」

紫の声が、外壁の穴から聞こえてきた。
それを裏付けるように・・・・
黒々としたチンパンジーが、穴から入ってくる。

一匹、二匹、三匹。
動物園で見るような、音のない動き。
四肢すべてを連動させた、獣の滑らかさだ。

小角、愛川らは西端に逃げていた為、距離は『4m』ほど離れている。
ほぼ部屋中央に位置する高遠からも、『4m』。
サルの三対の目が、高遠を、小角を、愛川をそれぞれ追う・・・・

>>564(愛川)
「『遠隔自動操縦』、そして『群体』──オレと同じタイプか。
 特殊な条件があるところも似ている、が」

やや乱れたかに思われたスヴァルトの声は、
みるみる落ち着きを取り戻す。

「オレとおまえには、決定的な違いがある。
 おまえの『蜘蛛』は『出発』したところ。オレの『獣』は『到達済み』。

 本体を殺せば問題ない・・・・そこは同じだろう。
 違うか・・・・ええ、愛川?」

穴から次々と入ってくるチンパンジー。
紫の警告が、その瞬間に現実になった形だ。

愛川は放送室の位置を知らない為、
到達にかかる時間はわからない。


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