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【場】DIONモール その3

273鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/06(火) 00:10:23
>>272

「一強?うふふ。そないなこというても、何も出ぇへんよぉ。」

「出るとしたら僕からお礼の言葉ぐらいやわ。ホンマにおおきに。」

やや興奮気味の高天原、対する鈴元はにこにこ笑っている。
興奮している様子はないが、その表情は明るい。
ちなみにだが、接客をしていればこういう風に語る客はたまにいる。
だからヒくことはない。たとえ自分によっているように感じようとだ。

「そうそう。作務衣やったら激しい運動してもまぁ大丈夫なんよ。」

「それに、高天原さん?」

自分の着物の袖をぐっと前に突き出す。

「僕は今、和ぁっぽいんやなく和ぁそのものを着てるんよ。」

和を求めるなら和服を着ればいい、ということだろうか。

「まぁ、でもそこまで言いはるんやったら試しに着てみるんもエエかもしれんねぇ。」

服を着て自分の不利益になることはまずないだろう。
よっぽど恥ずかしい服を着ていなければ、の話ではあるが。

「うん。母からブーツ?っちゅうんをもらったんよぉ。」

「もう履かんからって。袴に合わせぇっていうてはったわ。」

そんなことを言いつつカゴに商品をまた放る。
さて、そろそろ会計も間近だ。
ここらで切り上げるか、それとももっと語り合うかは自由である。

274高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/06(火) 01:20:06
>>273

>自分の着物の袖をぐっと前に突き出す。

>「僕は今、和ぁっぽいんやなく和ぁそのものを着てるんよ。」


「……ふむ」


 興奮したような、それまでの語りから一転。

 口元に手を当て、黙り込んでしまった。
 会計は別の列に並び、支払いを済ませ、レジ袋を提げ。


 ―――そして、会計を終えたところで鈴元を待ち構えている。


「……わりぃ。ウザかったッスね、俺。
 専門家にミーハーが口出すみてーなモンだ」

 目をつむり、片手で詫びる仕草。
 そして、


「……けど、よければ一つ聞きてぇ。じゃあ、君の言う『和』って何?」

 瞼を開き、再び鈴元を見据える。

 「面白い子を見つけたな」の眼じゃあない。
 爛、と光る。興味深い文献を、資料を、論説を見つけた、『研究者の卵』の眼だ。


「君は今、『和』そのものを着ていると言ったぜ。
 その生地が、あるいは柄が、それを身につけるのが『和』なのか?」

「洋服やアクセを身につけるのは『和』じゃないのか?
 もしそうじゃないなら、ちょいと付き合って欲しいんだけど」

 コイツにも。

 コイツの考える『和』があるようだ。




「……あ、ごめん、もしかしてこれ、店の買い出し?
 もしそうだったら、無理にとは言わねーよ、全然!」

「てか、フツーに考えて俺ら初対面だったな…
 怪しい人に付いてっちゃ行けないって言われてるだろーし…」

 ……しかし自分で逃げ道を与える辺り、肝の小さい男のようだ。
 気まずそうに目をそらし、一歩退く。

275鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/06(火) 23:44:30
>>274

「ん?」

急に黙ったから少し気になったようだった。
しかしそれに言及することはない。

「あ、待っててくれはったん?おおきに。」            「や、別に僕は専門家っちゅうわけやないし。」

詫びる高天原に言葉を返す。
柔らかく微笑んでいた。

「……僕にとっての和ぁ?和は大和っちゅう言葉からきて日本のっちゅう意味を持つ、なんてのを聞きたいんやないんよね?」

質問に質問を返すのは零点だ。
なら疑問に疑問を返すのは間違いだろう。
だが、鈴元はそう分かっていても聞き返してしまっていた。

「この服は、キチンとした歴史のある
 呉服屋さん『伊吹屋』さんの反物。生地もなにもかも純に日本のモンやで。」
                                                       「でもやからと言って和ぁやない思うわ。」

黒い瞳が高天原を見つめる。
どこまでも黒く、曇りがない。何もかもを飲み込んでしまう黒だ。
    イキ スイ
「雅に粋や粋、詫び寂び風流、花鳥風月。どれも和の心のモン。でも、やからといって和ぁと言い切れるもんでもない。」

「今の世の中、和ぁも洋も混じってきてはるから、どこまでも和ぁに純であることは出来んけどね。」

言って、あごに指を当てて少し黙る。
なにか考えているのだろうか。

「例えば、あんさんの毛ぇを一本抜いたとして。その抜けた毛ぇはあんさんなん?
                             あんさんの胃ぃは摘出してもあんさんなん?違うんちゃう?」

「要素が固まってこその存在。日本の歴史ある技術、生地、店、服の形、それが集まったんがこの服。」

「やからこそ、この服を僕は和ぁそのものと呼ぶ。」

一呼吸置いて。

「まぁ、そんなんは個人が勝手に感じてそういうもんやって解釈するんが一番やけどね。」
                                      「それを学問的に見すぎたり、形式化してまうんは無粋やわ。」

「ん?あぁ、これは店やなくて家の買出しやから別に遅なってもかまんよ。」

「付き合うわ。あんさんの和ぁをみせてくれはるんやろ?」

276高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/07(水) 07:02:06
>>275

>黒い瞳が高天原を見つめる。
>どこまでも黒く、曇りがない。何もかもを飲み込んでしまう黒だ。

>「例えば、あんさんの毛ぇを一本抜いたとして。その抜けた毛ぇはあんさんなん?
>                             あんさんの胃ぃは摘出してもあんさんなん?違うんちゃう?」


 ぎくり、と身を強張らせる。
 そこらにいる十四、五の少年の醸す雰囲気じゃあない。
 ぬばたまのような暗い夜を覗き込んでいる気分だ。

 だが、

>「それを学問的に見すぎたり、形式化してまうんは無粋やわ。」

>「付き合うわ。あんさんの和ぁをみせてくれはるんやろ?」


「……ああ、そん通りだな。
 矛盾するようだけど、口に出す方が無粋になる言葉っていうのはある」

「だが、言ってくれんじゃねーの」

 にぃ、と痛快そうな笑みを浮かべた。


 そして、くるりと背を向ける。
 手を伸ばし、エスカレーターを指し示す……
 上の階には、『ファッションコーナー』と称して、服売り場や装飾品の小店が並んでいるはずだ。


「俺としちゃ損はさせねーつもりだが、君にとっちゃ時間の無駄に感じるかもしれねー。
 そん時は、『買い物の帰りにちょっと道草でもしたんだな』、くらいに思ってくれ」

 そう言うと、エスカレーターに向かって先に歩きだした。

277鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/07(水) 21:44:47
>>276

鈴本には高天原が身を強張らせたのが分かる。
しかし、突っ込みはしない。
和について話しているからではない。
今の鈴元にとって高天原は外側の人間だ。
自分の持つ世界の外側の人間なのだ。

「いや、ちょっと言い過ぎたやろか。」

にぃ、と笑う。
まるで真似でもするかのように。

「うふふ。期待しとくわぁ。」

高天原の後に続く。

「高天原さんは和ぁが好きなん?」

278高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/08(木) 07:45:35
>>277

  「いや、ゴメン。責めるつもりじゃねーんだ。
   むしろそんぐらいの方がかえって小気味いいぜ」

  「『和』は好きなんだけどさ。
   俺の場合ちょっとヒネくれてるっつーか……
   洋風のものを和のテイストでアレンジすんのが好き、みたいな」


 二階。

 エスカレーターを降りて、フロアの隅の方を目指す。
 『小物・装飾品コーナー』と看板が吊り下げられた一角だ。

 遠目にも分かる派手なピアス、指輪などから始まり、
 素朴だが品の良いかんざしや、高価そうなペンダント。
 雑多なものが並んでいる。


  「鈴本君の方は、言うまでもない感じ?
    私服に和服を選ぶくらいだもんな」

  「なんかもう佇まいが『和!』って感じだぜ」

 コーナーへ向かいながら、尋ね返す。

279鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/08(木) 23:23:07
>>278

「和洋折衷とはちゃうんよねぇ?」

和菓子屋がチョコレートを扱う時代だ。鈴元にも和洋折衷の心得くらいある。
それが高天原の思い描くものと同じかどうかは、分からないが。

(なかなかエエ簪やね。
職人さんのモンより手に取りやすそうや。)

こういった商品があるのは知っていたが、実際に足を向けたのは、はじめてた。

「うふふ。そやねぇ。」

「なにせ生まれた土地が京の都、和ぁの土地やからねぇ。」

「でも、僕かて最初から和服やったわけやないで?」

「似合うとるっていってもろて、それからずっと着とるだけ。」

280高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/08(木) 23:51:19
>>279

 「まー、似たようなモンかもしんねー。
  和魂洋才、つった方が近いかな……」

 「へえ、京都か。俺も、この町生まれじゃなくて外から来たんだよ。
  そら京都なら、生粋の和の文化残ってるよなぁ。染物とか料理とか…」

 「いつこっちに来たンスか? 最近?」


   興味深そうに、鈴本の話に耳を傾けているが……


 「……けど、生まれがその人間を決めるワケじゃねーよな」

   ふい、と誰にともなく呟き、視線をそらした。



   高天原が歩みを止めたコーナーは……

   木細工のピアスや、織物のミサンガ、梵字のタトゥーシールetc.。
   高天原の言う、『和魂洋才』めいた数々の小物、アクセサリーの並ぶ一区画だ。
   いずれも手作りなのだろう。仕上がりは非常によくまとまっているが、『小手先感』は拭えないかもしれない。
   少なくとも、『生粋』ではない。



 「どうよ、『和っぽい』だろ?」

   含みを持たせるように言い放ち。
   高天原は、鈴本のリアクションを待っている。

281鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/09(金) 00:56:32
>>280

「和魂洋才。そういうモンなんやね。」

「こっち来たんは、今年の春先くらいやったやろか。
 後、高天原さん?」

「染めモンとか食べモンだけやなくて、和菓子もちゃう?」

「『鈴眼』かて京の都のモンやで?」

500年の歴史を持つ和菓子屋であり、家である。
伝統の家だ。

「?どういえば、高天原さんはどこの出身なん?」

呟きにほんの少しの疑問を抱きつつ聞いた。
珍しい話ではないとは思う。
学生寮に住んでいるのだから、ある種当然だとも思う。

「うん。」

いくつか手に取ってみる。
手触りを確かめる。専門ではないが、どれくらいのモノかは分かるかもしれない。

「『和ぁっぽい』ねぇ。でも、それを言いに来たんやないんやろ?」

282高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/10(土) 04:05:43
>>281

「もちろん、忘れちゃあいねーッスよ。甘味はそっちの独壇場だ」

「……ン? んー、俺はもうちょっと北の方。
 この町よりもう少し寒くて、もっともっと田舎だよ」


 答えをはぐらかしつつ、雑多に並ぶ『和っぽい』品々から一つを無造作に取る。

 紅色のマフラー……というより、メンズのストールだ。
 薄い桃色の生地に、矢羽根を並べたような紅の柄――『矢絣』が染め抜かれている。


>「『和ぁっぽい』ねぇ。でも、それを言いに来たんやないんやろ?」


   「……俺さー、『和』の一番イイトコって、『合わせやすさ』だと思うンスよね」
   「ほら、『大和』を現す言葉であると同時に、『調和』とかの『和』、って意味もあるっしょ」


     「色とか、絵柄とか。料理とかだと、調味料なんかもそうかな。
      とにかく、他の素材と合わせやすいんだよ。主張しすぎないっつーか」

   「自分の国で作られた、技術や素材だけを使う……
    確かに、そうすると『純度』はスゲー高いと思うよ。
    けどさ。『和』って言葉は、そんなに限定的なモンかい?」


       紅色の生地を、鈴元の墨色の着物に並べ、重ねる。
       これも『和っぽい』だけの洋物だが、決して色の相性は悪くない……はずだ。柄の相性も。


   「そりゃあただの『国産』だ。他の国でも同じことは出来る。
    もちろん、そういう純度みてーな部分も大切なことだと思うぜ?
    けど『和』が『国産』じゃなくて『和』であるためには、それだけじゃ足りないと思う」

     ・ ・
   「『和風』を侮っちゃいけねーよ、鈴元君。
    『国産』じゃないのに、『和』の魂が入ってる。スゲーことだぜ、これは」


      ……君の闇色の瞳を覗き込んで、熱心に語っている。

283鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/10(土) 23:44:06
>>282

「北の方ねぇ。ウチの親戚にもそういうトコに住んではるお人さんおるわ。」

はぐらかされてしまった。
まぁいいだろう。触らぬ神に祟りなし。
地雷を踏み抜く意志はない。

「調和。まぁ、そやね。和ぁを持って良しとする。それも和ぁやね。」

しかしそれは蹂躙される、他に飲まれることではない。
静かに端のほうで座りながらも、決して空気とかすることは無い。

「なるほど。」

「これが、高天原さんの和ぁなんやね。」

高天原の弁舌を聞き、答える。
夜の様は瞳は揺らがない。
それは鈴元の心も同じである。

「確かにね。和ぁの認識、改めんとイカンのかなぁ。」

けらけら笑ってみせる。

「和風もなかなかにオモロくて、奥が深い。」

「なんかの参考になりそうやわ。」

284高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/11(日) 00:19:46
>>283


 「……人様に説けるような、立派なモンじゃないんスけどね」
 「鈴元君の言う『和』も、きっととても貴重で、守るべきモンだとは思う」

  話し終え、鈴元の反応を見、幾分かホッとしたような表情を見せ。
  それから、気恥ずかしそうに頬を掻いた。

  そして、紅のストールを鈴元に渡すように、差し出す。


 「もちろん、『自分を曲げろ』って意味じゃねーんス。
  けどさ、なんというか、えー、『周りに合わせる気持ち』も大切なわけで」

   そして、急に歯切れが悪くなる。
   先ほどとは違い、鈴元の目を見ていない。視線はどこかを泳いで、所在なさげだ。


 「だから、その、……な?」

 「私服も、ちょっとくらいは洋風に譲歩してみても、いいんじゃねーかなー、と。
  ほ、ほら、『和っぽい』のも悪くねーべ? ……ぶっちゃけ、皆とも馴染みやすくなると思うし」


   ……つまるところ。
   この青年は、非常に不器用ながら、君の在り方を心配していただけ、だったようだ。

285鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/11(日) 00:49:29
>>284

「周りに合わせる気持ち?」

周りに合わせる。
和を持って良しとする。まさにそれだ。
鈴元は和の中で異質だったのだろうか。
濃い人間だったのだろうか。
そればかりは鈴元が決めることではない。

「うふふ。」

「僕は僕やよ。和服やなかったら馴染みやすいっちゅうわけでもないけど。」

「でもまぁ、たまにはエエかもね。」

そういってストールを再び巻いてみる。
まるで紅葉のような色だ。

「でもねぇ。外套は和装コートやし、襟巻はマフラーなんよ。」

「つまりは僕もたまには洋に傾くっちゅうことやわ。和ぁに純であるんは難しいし。」

「後、ブーツ?っちゅうんももろたしね。」

286高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/11(日) 01:08:56
>>285

  黒と赤、色の相性はけっして悪くない。
  紅葉に矢。どちらも和柄だ。

 (お……)

  思ったよりも簡単に受け取ってもらえた。
  少しだけ意外そうな表情をして、

 「……そうだよな。俺が口出しするようなことじゃねーか」
 「どうも、余計なお節介がちでいけねーな」

 「いや、さ。俺の黒歴史でかたじけねーんだけど、
  こう、周りの皆と違うことして、浮いたりしてさー。
  あれ結構しんどいんだよ… 周囲の目っていうか」

 「ま、でも、君に関しちゃホントに余計な世話だったな」


  罰が悪そうな、けれどもどこかスッキリしたような顔を浮かべている。
  それから懐に手を入れ、


 「付き合わせちまった詫びに、そのストールはお兄さんが奢ってあげよう。
  なぁに気にすんな、ちょうどさっき買い物のためにバイト代をおろして… おろして来…。あれ?」

287鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/11(日) 01:44:05
>>286

「うふふ。僕かて、余所さんの目ぇ気にするよ?」

外面を取り繕う男だ。

「ウチの家とかに迷惑かけられへんからね。」

自分の失敗は家のミスになり、自分の評価が下がれば家の評価も下がる。
ならば自分も家の一員として、高くあらなければあんらない。
しかし、それだけのために生きているのではない。
鈴元の目標はあくまで『桜になること』なのだから。

「あぁ、かまんよぉ。これくらい自分で買うからぁ。」

「でもお言葉に甘えよかなぁ……」

「……甘えられんみたいやね。」

288高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/11(日) 02:05:30
>>287

  「あっ……」


   せつない顔。紛失したようだ。


  「……い、いや! 今日の俺は一味違うんだぜ」
  「なんとここに黄金町内の各店舗で使える、1000円分の商品券が」 パパーン

   しょっぱいSEとともに、懐から紙切れを取りだす。


>「ウチの家とかに迷惑かけられへんからね。」

  「……強ぇな」

   感心するように、ぼそりと呟き。


  「ところで。
   選ぶのは、このストールで良いのかい?
   なんだったら他の品目でもいいんだぜ」

  「1000円分しかおごってやれねーから、小物くらいだけど」


   再び、話題をそらした。
   相当、根っこの深いところに何かがあるのかもしれない。

   とはいえ、それは別として。

   1000円以内の『和風コーデ』を、鈴元君は自由に指定できる。

289鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/11(日) 02:29:07
>>288

「や、別にエエんよ。」

「あぁ、それね。ウチの店に持ってきはるお人さんいはるわ。」

本家では絶対に出来ないことである。

「強い?うふふ。まさか。」

「一足す一が出来るのを凄いとは言わんよ。」

そういうものらしい。
500年の重みの一端である。
たとえ店を継げなくても店の看板は彼にのしかかる。

「なんや悪いねぇ。あれやこれやと……」

「じゃあ、これ貰おかなぁ。」

鈴元が手に取ったのは織物のミサンガである。
落ち着いた色のものだ。

「高天原さんはなんか買わへんの?」

290高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/11(日) 02:43:58
>>289

  「当たり前のことを当たり前に出来る強さ、ってのもあるだろ」
  「それが出来ない人間もいるんだよ。俺みてーな」

  「……いや、部外者の俺が『当たり前』なんて
     軽々しく言っちゃあいけねーんだろうけど」


   織物のミサンガ―――元来は『千切れたら願いが適う』と言われる呪術的なものだ。
   通常のミサンガよりも薄く、幅のあるそれは、つけるとなると鈴元の着物の袖に隠れる。
   いわば『見えないおしゃれ』というやつだろう。


  「ン、俺か。そうだな、折角来たんだし……」

   高天原も、織物のあたりに目をやっている。が、

  「……あ、いやいや。俺は金ねーんだった」
  「とりあえず、ほら。そのミサンガ貸してくれ、商品券使ってくる」

291鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/11(日) 23:52:53
>>290

「なにがあったかは知らんけど。」

「あんまり自分のこと悪くいうたらアカンよぉ。言霊がそれをホンマにしてまうわ。」

卑下したっていいことないのだ。
あるとしたら自分で自分を責める悦びを感じられる可能性があるくらいだろうか。

「これ、髪紐にも出来るやろか?」

結んで解いてを繰り返すつもりらしい。
たしかに、鈴元の髪は結べそうだ。
肩まで伸びた黒い癖毛が揺れる。

「あぁ、はい。」

ストールとミサンガを手渡した。

「すんません。おおきにぃ。」

292高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/12(月) 00:10:05
>>291

「……おお、そうだな」

 弱気の虫というものは、簡単には取れない。
 が、それを口にしたところで、良いことは一つもない。

 鈴元の言葉に、その通りだ、とでもいうように頷く。


「髪紐? 考えたことなかったけど……、なるほどなぁ」
「むしろ、そういう使い方の方が洒落てるかも」

 織物は、ゴムのような伸縮性は当然ない。
 だが、輪を切ってひも状にするならば、髪を縛ることにも使えそうだ。


 鈴元から受け取ったストールとミサンガを、レジへ持っていく。
 商品券を手渡し、釣りをポケットへ。

「ほい、お待たせ」

 店のロゴの入ったビニール袋を受け取ると、鈴元へそれを手渡した……。


   鈴元 涼『ザ・ギャザリング』⇒『紅色の矢絣のストール』『織物のミサンガ』GET!


「付き合わして悪かったな。そろそろ帰るべ」

 軽薄そうな笑みを鈴元に向けている。

293鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/12(月) 00:41:15
>>292

「うふふ。そうやで。」

「本来の使い方とは違う方法でも、味わいはあるんよ。」

包丁や電子レンジなど、本来の用途とは違う使い方をして大事件あったものはたくさんある。
しかしまぁ、こういう平和的な利用の仕方も中にはあるのだ。

「おおきにぃ。」

ビニール袋を受け取った。
この袋の重みは新しい見解の重みである。

「そやね。そろそろ帰らんと……」
                              「涼さん!」

「あ、すんません。僕の付き添いのお人さんやわ。」

そう言えば一緒に来ていた。

「心配させたらアカンから、先帰らせてもらうわ。」

「あ、連絡先教えてもろてかまん?」

懐からスマホを取り出した。

294高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/10/12(月) 01:10:32
>>293

「肝に銘じとくよ、つーとおおげさか?」

 軽薄そうな笑みは、しかしどこかスッキリしたような色だ。
 高天原自身にとって、この出会いが良きものであったということだろう。


>「あ、連絡先教えてもろてかまん?」

「ン? おお、いーよ。てか、スマホはさすがに持ってんだな」

 苦笑し、自分のスマホと、ポケットから名刺ケースを取りだす。

 右手でスマホを手慣れた動作で操作し、自身の連絡先をQRのアレにして表示。
 左手で、ケースから一枚名刺を取り出す。所属の研究室と、パソコンのアドレスが書かれている。

 ……手慣れた手つきだ。わりかし、器用な方らしい。


「まぁ、俺も秋映だし、食堂とか便所でも、また会うこともあるべ」

 そう言って、鈴元を見送る。


 実家の弟は、ちょうどあれくらいの年頃になる。
 少し懐かしい思いに耽りながら、高天原も帰路についた。

295鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/10/12(月) 12:29:07
>>294

「おおげさなことあらへんよ。」

ぱっと笑った。
その笑顔は明るい。

「うん。ライン?っちゅうのせんといかんなって。」

器用に事を進める高天原。
対照的に鈴元は少しぎこちなくスマホをいじる。
機械類は苦手なようだ。

「じゃあまた今度。」

手を振って高天原と別れる。
いずれ会えるだろう。生きてさえいれば。

                       「涼さん。どこか行くなら連絡くださいよ。」

「すんません。」
                       「誘拐されたかと思ったから。」

「ホンマすんません。」

きっとまた会える。
意外な場所とかで。

296小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/14(土) 01:46:42
ある日のDIONモール。
その中に設置された書店。

「……」

一人の女性が居た。

(これが今の流行?)

(ふうん。)

今売れ筋なのであろう本が特設コーナーに置かれている。
女性はその前に一人たっていた。
棒立ちで本を見つめているので、人にぶつかる可能性はある。
それに買うか悩んでいるようにも見える。

297稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 00:15:01
>>296

特設コーナーに置かれた本は数種ある。
有名作家の新作、映画化決定、著名人の話題作――

        「……」

(ほとぼり冷めたかと思ってきてみたら……えひ。)

    グイ

恋姫は一冊の本に手を伸ばす。
ちょうど、小鍛冶の前をまたぐように。

(新刊出てたとは……情弱だったな……)

           ・・・・表紙がアニメ絵の本だ。
              帯に映画化決定と書いている。

298小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 00:24:41
>>297

(図書室にもこういうのあるわね。)

(私は読まないけど。)

静かに並べられた表紙を見つめる。
表紙は本の顔だ。
もちろん本棚に並べられると背表紙が顔になる。
が、売り出したい本は表紙を顔にされることが多い。
ここで買うかどうかを判断する人間も居るだろう。

(あら。)

小鍛治の視界に少女が移る。
相手が誰であるか小鍛治は知らない。
だが、小鍛治は少女に声をかけた。

「ねぇ。」

「初対面で不躾な質問だとは思うのだけど、あなたそれを買うの?」

299稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 00:42:12
>>298

「えひっ……」

      ビク

いきなり話しかけられるとは。
まあスタンド使いになってから、珍しくはないが――

(またマジキチDQNじゃないだろうな……)

            「……まあ、買うつもりだが……」

手を引っ込める。
小鍛冶の顔を見る。

(マジメっぽいやつだが……
 人は見かけによらないしな……)

「何かあんの……?」

         (さてはアンチか……?)

眼鏡越しの桜色の目が、少し細まる。

300小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 00:56:19
>>299

小鍛治は白い肌で白いシャツの上に黒のカーディガンを羽織っていた。
黒いスカートを着、パンプスをはいている。
艶のある黒髪は綺麗に切りそろえられている。

「その、私そういうのに馴染みがないのよ。」
                 コ カジ アキラ
「……自己紹介がまだね。小鍛治 明。」

ぺこりと一礼。
黒髪が揺れる。

「学校で図書委員をしているのだけど。蔵書にそういうのがよく来るのよ。」

「それで、そういうのの魅力を知りたいのだけど。」

純粋な質問であった。
小鍛治は馴染みがない。
そういったものに。興味も馴染みもない。

「もちろん、嫌ならいいのだけど。」

301稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 01:13:50
>>300

「図書委員……」

     (こいつ、秋映か……?)

       ム

少し表情がむくれる。すぐ直る。
その顔は人形のようで、日に当たらず、青白い。

「僕は……稗田。あー……稗田恋姫。」

          ス

青い眼鏡を直す。

「えひ、魅力っても……」

         「布教すんのは……
          やぶさかでもないけど……」
 
     ポリ

頭を軽く掻く。

「買って読め……ってのはあれか。
 えひ、ステマできるほど、僕も詳しくないんだよな……」

         「……キャラが良い?」

キャラクター人気。
この手のやつは『キャラ小説』とも言われる。

「お前は……あれなの?
 純文学とかぁ……そういうの読むの?」

             ・・・・何となく聞き返す。

302小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 01:34:50
>>301

「あら、ごめんなさい。」

「お気に触ったかしら?稗田さん。」

むくれた表情が気になったらしい。
が、その顔に申し訳なさそうな様子はない。
なんてことない、と思ったのだろうか。

「布教、ねぇ。」

(カルト的な人気、というわけではなさそうね。
 ネットスラング、そういう感じかしら。)

じっと稗田の顔を見つめる。
観察するように。
先ほど本の顔を見ていたように。

「キャラ、そう。絵のキャッチーさとかじゃないのね。」

「どう、いいのかしら。」

質問を重ねる。
学習は必要で質疑は不可欠だ。

「純文学、まぁそういうのは読むわね。そればっかりという訳ではないわ。新書とかも読むもの。」

「あなたはこういうのをよく読むの?」

先ほど手に取られた本を指差した。

303稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 01:50:44
>>302

「別にぃ……? 気にすんなし……」

        「つーかじろじろ見んな……」

顔を逸らしつつ。

気にすることでもない。
反射的に顔が動いたってだけ。

      ・・・・ともかく。

「絵も……まあ、キャッチ―だけど……
 まあ、表紙買いはあんましないな。好きな絵師でもな……」

           「……どう〜?」

少し眉を顰める。
どう『いい』のか。難しい。

(初対面でキャラ萌え語りすんのきついな……常識的に考えて。)

「あー……まあ、僕もそんな読むわけじゃないけど。」

       「……」

             「かっこいい……とか?
              キャラによりけりだし……」

恋姫は娯楽で読んでいる。  
どうカッコいいか、と言われても。

「こればっかりは未読じゃな……
 えひ、ネタバレは……したら負けだと思うし……」

          トコ
            トコ

小鍛冶を回り込み、アニメ表紙の本に近付く。

304小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 01:58:27
>>303

「うふふ。あら、ごめんなさい。」

淡く微笑み、口元に手をやる。

「キャッチーさ、絵だけではないのね。」

「かっこいい……?」

口元に手をやるが先ほどとは違う。
考え込むように当てる。
実際、彼女は何かを考えているようであった。

「それは、どの本でも変わらない要素よね。」

「人物の魅力、ということなのだから。」

アニメ表紙の本を手に取った。
そして、その本を稗田の方へと向ける。

「はい。どうぞ。」

「ところで、ここにあるみたいな他の本はどうかしら。」

「これはあなたにとって魅力的?」

そう言って小鍛治が指差した場所には
○○賞受賞といったポップが描かれた本たちが並んでいる。

305稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 02:15:54
>>304

「……気をつけろよな。
 不審者だと思われるぞ、このご時世……えひ。」

            ニヤ

陰気な笑み。
そこまで怒ってるわけでもない。

        ・・・・そして。

「どーも……」

    ス

本を受け取る。
妙に長いタイトルだ。

「他の本? ……僕はあんま、ラノベ以外読まないし……」

           「……まー、あれだ。
            なんかハードそうじゃん……」

あまり魅力は感じない。
食わず嫌いってことだ。


「……お前には魅力的なの? こういうの……」

      キョロ

         キョロ

      「……僕に布教してみる? えひ。」

並ぶ本に目を通す。
表紙は写真や、シンプルなイラスト。

            ・・・・恋姫の目が小鍛冶に向く。

306小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 02:36:26
>>305

「あら、それはまた大変ね。」

笑う。
意に介していないかのように笑う。
冗談だろうと笑う。
たとえ冗談でなくとも同じ事をしていただろう。

「ラノベ以外、まぁそういう人増えているわね。」

「ハード?ハードなのは表紙だけではなくて?」

ハードカバーとかいう意味ではない。
キャッチーな表紙ではない、という意味だ。

「魅力的、といわれると微妙だけど、そうね。」

「少しお話しましょうか。」

本をしばらく見つめた後、一冊の本を手に取る。
本のタイトルは『白紙』
白い色を基調とした表紙だ。
帯にはドラマ化の文字が躍る。

「受賞者の作品ではないけど、ご存知かしら。」

307稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 02:56:55
>>306

「……冗談のつもりなんだけど。」

   (なんか……
    ペース掴めないな……)

通じなかったのだろうか?
通じてそういうリアクションなのか? 

           ・・・・はかりかねる。

「ハード……っていうか、なんかムズそうじゃん。」

あくまで、イメージに過ぎない。

「『白紙』……あー、なんか……聞いたことはある。」

ドラマ化。
あまりいいイメージはない。主演は人気俳優だろうか?

「えひ、この分野だと情弱だな僕……」

あるいはネットニュースか何かで見た、ような。
それくらいの知識だ。

                 「……これがオススメってこと?」

308小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 03:11:11
>>307

「私も冗談のつもりよ?」

通じていても通じていなくても小鍛治明は変わらない。
その反応は変わらない。

「難しそう。まぁ、そうね。」

「難し『そう』ね。」

にこりと笑ってみせる。
難しいのではなく、難しそう。
そこにある距離は近いようで遠い。

「ドラマ化するからいいってわけではないわ。」

「私、これのドラマを見る予定はないもの。」

小鍛治の趣味ではないらしい。

「オススメよ。あの本の中なら、これが一番。」

「まず、これは短編集よ。主人公とその周りの人々を中心とした、ね。」

小鍛治による小説の解説が始まる。
その言葉は滞りなく、悩むことなく進んでいく。

「この作者は短編集だとか、一冊限りのお話が上手よ。二巻三巻と続くものはあまり良くないの。」

「次に登場人物の魅力、かしら。」

「人間臭さがあって、青臭い学生が主役よ。脇を固めているのも学生が多いわ。」

「特別な設定があまりなくて、割と現実的。
 それと思春期特有というか、『分かる』感情が多いわ。感情移入しやすい、と思ってもらえればいいかしら。」

作者の作風、向き不向き。登場人物の魅力。
それが小鍛治がこれを選んだ理由であった。

「なにか他にご質問は?」

309稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 03:33:46
>>308

「……えひ、よく通じにくいって言われない?」

        (僕も人のこと言えんが……)

冗談のわかりにくいやつ。
恋姫はそう思った。

「僕もドラマ化は……あんま興味ない。
 んじゃ、まあ……布教されてみるか……」

         ・・・・

            ・・・・

――そして。

「……質問……特にないけど……」

恋姫は『白紙』に目線を向ける。
白い表紙。

     フイ
 
         目を逸らす。

「あんまり……えひ、まあ、読まないと分からないけど……」
「……好きな感じじゃない。」

学生。現実的な。そういうのは好きじゃない。

             ・・・・しかし。

「まあ……お前がこれ好きだってことは分かったし……」

           ス

        「ノセられちゃうか……
         えひ、これで沼に落ちるかもな。」

(……僕が読まなくても、おばあちゃんが読むかもだし……)

積まれた『白紙』を手に取る。
お金に多少の余裕はある。ゲーセンで落とすための金だが。

            ・・・・今日はなにか惹かれるものがあった。

310小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 11:50:07
>>309

「通じにくい?いえ、分かりにくいと言われるわ。」

「私にはそれがよく分からないけど。」

自覚症状はあまりないようだ。
いや、そういうものなのかもしれない。
周りから見れば明らかなことも本人から見れば闇の中なのだ。

「好きな感じじゃない。」

「まぁ、確かに今時の子よりちょっと大人の方向けなのかもね。」

子供のころを思い出したい大人だとか、淡い青春を味わえなかった大人とか。
まぁ、若者にもウケるとは思うが、趣味好みは人それぞれだ。

「沼が何かは知らないけれど。」

「こういう本を読んでくれるのは嬉しいわ。」

「じゃあ、私はこっちをいただこうかしら。」

先ほど手渡した本と同じ、やけにタイトルの長い本を手に取った。

「私も読んでみないといけないわね。」

311稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 19:22:39
>>310

「……あっそ。」

恋姫の冗談も、わかりにくい、らしい。
自覚はあるが。

      ・・・・ともかく。

「……別にお前を喜ばせたいわけじゃない。
 ふつうに衝動買い……本棚の置物には良いデザインだし……」

         「……えひ。」

      トソ

二冊を重ねて持つ。
ラノベの方が、上だ。

「……冗談。読むには読むよ……常識的に考えて。」

そう付け加える。
それから、小鍛冶の取った本を見て。

「お前も釣られるみたいだし……えひ。
この作者は……燃えて萌えるから……割とおすすめ。」

         「前作は僕も不覚にも泣いた……えひ。
          アニメも良かったし……あと5年はオワコンとは言わせない。」

映画化決定なのは作者の前作だそうだ。
そちらは、既に完結・アニメ化済み――らしい。

「あ、ゲーム化もしてるけど……
 マジクソゲ―だから。ワゴンの常連……えひ、これにて布教完了。」

「んじゃ……
 僕はそろそろ……」

      トコ

         トコ

向かう先は、レジの方だ。
別に本屋に来たわけではない。

思わぬ寄り道となったが、目的地は別なのだ。

           ・・・・もちろん、偶然着いて来ることもあるだろうが。

312小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/11/15(日) 20:28:12
>>311

「置物?あなた酷いこと言うわ。」

「私、本より重厚な人というのを見たことがないのだけど。」

「あなたはどうなのかしら?」

にこりと笑っている。
怒っている様子はない。
余裕、なのだろうか。

「あら、冗談なの。それはよかったわ。」

稗田の一言にそう返す。よかったのだろうか。
何がよくて、何がよくないのだろうか。
小鍛治はまだ笑っていた。

「うふふ。あなた、これが好きなのね。」

「泣くほどなんですもの。」

優しい視線で本の表紙を見つめる。
先ほど陳列されていた本を見ていためとは違う。
並べられた多ではなく、選んだ個としての視線。
一冊の本として向き合う瞳だ。

「ゲームは親戚とするぐらいで私あまりしないけれど。」

「試すのもいいかもしれないわ。もちろん、これがよければの話よ。」

「えぇ、さようなら。また今度、感想聞かせてね。」

そう言うと本屋の奥の方へと歩いていく。
まだ買うべきものがあるのだろう。

(読書を悪く言う人は居ないのだから、こういうのもたまにはいいわ。)

今日はなにか惹かれるものがあった。
それでいい。それだけでもいい。
楽しいのならば、それでいい。

313稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/11/15(日) 22:53:18
>>312

(こいつ、どんだけ本好きなんだよ。これも冗談か……?)

「……えひ。そう、冗談……」

本より重厚な人間。
恋姫は人間好きではないが――それは、いると思った。

本好き特有の例え、か?

         ・・・・そして。

       トコ

「えひ、あれは試さなくていいと思うけどな……ファン的に考えても……マジでヤバイ……」

      「……んじゃ。
       本は、読んどく……」

    トコ   トコ

去り際にそう残した。
やはり読書よりも、ゲームの話題が好きだから。

『白紙』は次の日から、恋姫の鞄に収まり、日々栞の位置を動かしている。

314目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/16(月) 22:53:36

「半額弁当ォォォォ」
「開始時間に遅れたが、まだ残っているだろうかッ」


  ノッシ  ノッシ  ノッシ  ノッシ

DIONモール食品コーナーを早歩き。


「もうすぐ惣菜コーナーだ、うおおおおおお」
「残っていてくれハンバーグ弁当ッ」

315目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/18(水) 22:28:14
「うッうおあッ」
「うおおおおおおおああああ」

「いなり寿司しか残ってないよ!」

「あああ」

316藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/21(土) 01:26:57
「ええ感じのバイトが最近少ないのォ…」

フードコートで水を飲みながら無料の求人ペーパーをめくってため息をつく。

>>315
旨いじゃろが。稲荷寿司。

317目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/21(土) 22:53:47

 ハ ァ 〜〜〜っ

「煮込みハンバーグ弁当が食べたかったんだなあ…」


>>316
「そんなに駄目な感じですか」

後ろからバイト誌を覗き込む。
景気のいい日雇いのバイトとか無いの?

318藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/22(日) 22:16:07
>>316
「なンじゃお前は。
まァ年末じゃけえ道路工事系には事欠かん。ま、今年もこれで餅代を稼ぐかのォ」

しっしっと手を振って追い払うと、フードコートの片隅の求人ペーパー置き場を指す。

「読みたきゃあそこに幾らでもあるじゃろ、あっち読め」

319目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/22(日) 23:09:56
>>318
「ああっと」
「申し訳ありません…気になっちゃって」


藤堂は振り返って見えたのは、
年若い身長150くらいの奴だった。モワモワした防寒具に身を包んでいる。
気のいい少年、といった印象かも。
>>318

「…ついでに、水、おかわり要ります?」
 
 
 水のセルフサービスの機械を指さしている。
 求人ペーパーを取ってくる片手間に持ってきてくれるらしいぞ。

320藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/23(月) 03:06:42
>>319
「……………おう」

おかわりでも何でも、くれると言うものは病気以外何でももらう性質だ。
持ってくるまでに、求人ペーパーのいくつかの欄に丸を入れている。

321目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/23(月) 12:42:55
>>320

 ゴソゴソ
脇に求人ペーパーを挟み

 ジョボボボ  カタ 

     ジョポポポポ


水の入ったコップを両手に持ち、


 「……」



 ジ ィ――――〜ッ

後ろから求人誌を覗き込む…


  「ふむ成る程…」


藤堂の耳元で呟いている。
すごい近い。

322藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/23(月) 19:46:33
>>321
ビキッ

「な・ン・で・じゃッ!!」

ゴッ!
              ガッ!!

       ツ     ッ     コ     ミ
反射的に肘打ちで屈んだところに顎に掌打を入れた。

323目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/23(月) 22:15:59
>>322
「 あたッ 」

クリーンヒット。
手のコップが揺れて、ジバッと零れる。



「すっ」
「すびません…」
「水かかってませんか大丈夫ですかっ」

   マタ ヤッチマッター
        アワワワワワワ


 上着の袖で藤堂を拭こうとする。

324藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/24(火) 22:43:00
>>323
「ワビるとこそこかァ!?
あー、もォええわ、ほっとけ!!」

うっとーしそうに振り払う。

「次、なンかしたら張り倒すけぇの、覚えとれよ」

325目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/24(火) 23:00:38
>>324
「うッ 分かりました…」

申し訳なさそうな顔をしながら、
(中身がちょっぴり減ってしまった)コップ二つをテ―ブルに置いて、

 ド ス 


   「はゥ〜〜〜〜ッ」


藤堂の隣の席に、さも当たり前のように座った。
イナリ寿司(5ヶ入り)を取り出す。


  『ガブ ガッブ』
   『ガフ ガブゥ』

      パラ…


水を飲み飲み、イナリを齧り齧り、フリーペーパーを捲っているぞ。

326藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/25(水) 00:09:51
>>325
ビキビキ

……しかしだからと言って殴ったりはしない。
となりで飯を食うことは別にマナー違反ではないからだ。苛立ってはいるが。

327目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/25(水) 00:22:19
>>325
 「ムッシャ ムッシャ」
 「ゴクゴクゴク」

     「ふゥ―――〜ッ」

   「パクパク」
    「パクン」

  「ううむ…運送業ってやっぱキツいでしょうかね」


     「パクリ」

      「ゴックン」
 
       「ゴキュゴキュ」

   「…水がなくなってしまった」

     「ゴソゴソ」

     「ハグッ」

   「うわッ 好条件ッ 」

     「ゴックン」

     「ぐッ」
  

「〜〜〜〜ッ   〜〜〜〜〜ッ!」
「つッ 詰まッ」

「水水ッ 水ッ」

328藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/25(水) 00:51:44
>>327
「…………お前力無さそうじゃけ、止めとけ」

ズイッ

自分の分の水の入ったコップを差し出した。

329目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/25(水) 01:23:39
>>328
差し出されたコップを手繰り、


 「うぷゥ〜〜〜〜〜〜〜ッ」
   「ゲホっ」


回復。



「えェ〜、そこまで運動が苦手だと思ってるんですか」
「…ご明察ですよハイ」

「ドン臭いのよね…」

「日雇いイベントスタッフが精一杯かなァ」



イナリ寿司(残り1ヶ)のパックを藤堂の方へとズラす。

「ご迷惑をお掛けしました……食べます?」

330藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/25(水) 22:50:26
>>329
「ドン臭さゆうか腕力の問題よ。
肉体労働系は一にも二にも力が要るけぇの、お前にそれはあるンか、ゆう話をしとるんじゃ。
……………ん?」

稲荷寿司のパックに目を留める。
ちらり、と目黒を見ると、ふんと鼻を鳴らし……。

モグゥ

口に放り込んだ。

「…ふとっちょが誰も彼も食いもんで懐柔されると思うたら大間違いじゃからの」

331目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/25(水) 23:31:33
>>330
「小生ってば見当違いなことをッ」

「…体力…」
「 …… 」
「ん〜……」
「………?」


「……あッ…ああ! ――――無いですね!」

「助言ありがとうございまっす!」


バッ、と立ち上がってお辞儀。机が揺れた。

332藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/26(木) 00:37:42
>>331
「無いンかい…まあ無いじゃろぉのォ」

手の指をティッシュで拭いた。

「力が無いンなら夜間の警備員か…ほうじゃの、後は家庭教師がええじゃろな」

333目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/26(木) 01:15:25
「家庭教師かァ…秋映生じゃ…どうだろう…?」
「そもそも文系のエスカレーター生で家庭教師は厳しめですかね?ウン」
「じゃあ警備員……」


バイト誌を広げながら歩き出す。




 「そんじゃ、失礼しまッ」
 「…っとその前に」

    ズギュ


「 小生の『肩』に… 」


   『クックルー クックルー』


「例えば鳩のような、機械のような…『見えますか』?」
「もし貴方が『暦』『刺青』『Outfit』の名前を知り、かつ『鬼畜』となれば……」



藤堂の目の前の奴の肩に、止まっている。
鳥と飛行機の『合いの子』のような、『スタンド』だ!

バイト誌をめくりながら問いかける。返事には期待していない。

334藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/26(木) 23:32:03
>>333
しばらくぽかん、と目黒を凝視した後、俯いて肩を震わせる。

「………ぷっ………ぷくっ、ぷひっ……」

笑っている。

「ぷくくっ………くかかっ…………くひひっ…………!!
おン前〜〜〜〜〜〜〜!!なンじゃァもォ下ッ手糞な誘い方すンなやァ〜〜〜〜〜〜〜!!

ヤリたいならヤリたいゆぅたらええンじゃこのォ〜〜〜〜〜〜〜」

さっきまでの不機嫌がウソのように、まるで奥手な恋人の、ほほえましい振る舞いの真意にやっと気づいた、とでも言うように、朗らかに笑う。
席を立つと、椅子の背を掴んだ。

『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

「心配すなやァ、稲荷寿司一個分の手加減はしちゃるけ、半殺し……いや三殺しくらいで済むじゃろ、なァ?」

藤堂が、ではない。                         マッチョ ヴィジョン
その傍ら、2メートル半もの体躯の、ギリシャ彫刻を思わせる筋肉質な像が、だ。
赤々と、炎が髪のように頭部で燃え盛り、荒く彫られた巌のごとき身体には、烈風にはためく、流水を思わせる衣を纏っている。

「悪いことしたのォ、せっかく喧嘩売ってくれとったのに気づきもせんで。これは挨拶代わりじゃ、もってけ♥」

    ボッ

満面の笑みで、野球のボールを放り投げるような気軽さで、椅子を目黒めがけて放り投げる。破ス精BCC(手加減)。

335目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/27(金) 00:33:48
>>334
「なんです!?」

 (しまった…とりあえず聞いてみただけだったのに…)
 (『当たり』…『スタンド使い』!) (『鬼畜』かは知らんが『バトル好キー』!)

>ボ ッ
      ガッパ――――ンッ

「ひぎい」


椅子が胴にヒット。しょぼくぶッ倒れる。しょぼい。




「貴方がスタンド使いであっても、『ふつうの人』であるなら」
「うッ…『喧嘩』、腹ごなしに付き合っても良いが…うう」


「一:たのしいケンカ。 
 二:殺し合い! 
 三:このままお開き、やったー」

「どれが…良いです?おえッ」



   『クックルー』

 鳥モドキのスタンドは何もせず、ただ『オリンポス』を見ている…。

336藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/29(日) 02:47:48
>>335
「何ですてお前アホかァ何言うとンじゃあ今更ァ。
…………あン?」

直撃をあっさり受けて倒れた目黒を不思議そうに見る。

「なンじゃァお前〜〜〜〜〜〜〜?
それで受け…は無理か、こう…………迎撃とかしたらえかろうがァ」

ズシッ

手近な別の椅子を引き寄せて座り込む。

「一」

そして即答した。

337目黒真実『ディバイン・ゼロ』:2015/11/29(日) 14:56:12
>>336
「即答か、よろしい」

「『当方がやられるか』『貴方がやられるか』…当方のスタンドは特殊でね」
「一方的な試合運びを実現するかもしれない…それを許していただけるなら」


    「遊ぼうかッ、『発艦準備』!」

『キキュゥゥゥゥ――――バリバリバリバリイィッ!!』


(場スレの占拠もアレですし、下スレでよければ移行しましょう

【戦】『無限軌道』ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1420214957/l50

レス順、私からでよろしいでしょうか? )

338藤堂虎鈴『オリンポス』:2015/11/29(日) 18:08:47
>>337
「お前、始まる前から終わった後のこと考えとるンか?
まァ好きにしたらええわい、うち相手にそんなのん気こいとれると思うンならのォ!」

ぼきぼきと指を鳴らした。

(移動して、お前の質疑が終わったら「始め」にしたるけえの。今のうちにするだけしとけ)

339稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/12/23(水) 23:33:20
クリスマスはもう目と鼻の先。
サンタクロースが来る年でもない――しかし大人でもない。

          ジュ

              ジュル                

休憩スペースに座り、コーヒーを飲む。

          (……明日にはライヴか。
           えひ……ちょっとアガってるか……?)

今日はリハーサル帰りだ。
……飾られた巨大ツリーを、桜色の目で見つめる。

            ・・・・一年がまた、終わる。

340ようこそ、名無しの世界へ…:2015/12/24(木) 00:27:28
>>339

   ぱふっ

後ろから、手袋のついた両手で、恋姫の両眼を覆う。

「だーれだっ?」
誰だろう、こういうことをするのは?
聞いたことのある声だ。

341稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/12/24(木) 00:49:26
>>340

       ぱふっ

「うぉっ……」

めのまえがまっくらになった。

             ・・・・さておき。


「……えひひ。
 僕にこんなことするやつ、お前くらい……」

     グイッ

首を後ろにそらせて――

             「めりくり……レオ。」

そこにあるのだろう顔を、見上げる恋姫。

342石動 玲緒『チア・アクシデント』【中二】:2015/12/24(木) 01:10:50
>>341(恋姫)
恋姫が首を後ろにそらせて見上げると……

「あはは、当たり!」
予想通りの、太陽のような笑顔がそこにはあった。 石動玲緒である。

「メリークリスマス!恋姫ちゃん!」
太陽のような笑顔とは裏腹に、寒がりなのだろうか、厚着でもこもこしている。

343稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/12/24(木) 01:37:15
>>342

「えひ……ぴんぽーん……
  なんかポイントでも貰えんのかな……」

ビッグフードコートに、烏のような黒いマフラー。
マフラーに少しだけ混じった青い毛が、恋姫の桜色の瞳を際立たせる。

「あったかそうなカッコしてるぜ……えひ。」

          ニ ィ

陰気な笑みを浮かべる。
太陽の輝きは少しだけ眩しいけれど、目は逸らさない。

          「……」

      「あー……」

「……レオも、今日は……ソロ(一人という意味)なの……?」

            ポリ

            ・・・・ほおを軽く掻きつつ、尋ねる。

344石動 玲緒『チア・アクシデント』【中二】:2015/12/24(木) 23:19:07
>>343(恋姫)
玲緒はというと、ぶかぶかの白のダッフルコートにライオンのタテガミのようなマフラーをつけている。     がおー。

「うん、1人だよ。
 クリスマスの家族パーティの準備に来たの。」

「母さんは料理担当!
 父さんはケーキ担当!
 兄さんたちはプレゼント交換担当!
 私はチキン担当!」

「恋姫ちゃんも1人なの?一緒に買い物でもする?」

345稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/12/24(木) 23:47:17
>>344

「そっか……賑やかそうだな。
 僕は……まあ、いつも通りソロプレイだよ。えひ。」

――家族。
クリスマスは恋人たちだけの物じゃあない。
 
             ・・・・もっと、もっと。

      「……えひ。」

           グイ

首を元に戻して、席を立って。

「まあ……クリスマスだし……
 たまには、そういうのもアリか……限定イベって感じで……」

                  ニマ‐

陰気な――しかし、やや浮かれた笑み。

           「チキン、僕も買って帰りたいしな……
             ついでだから、一緒に行くか。えひ……」

                       ・・・・そう、付け加える。

346石動 玲緒『チア・アクシデント』【中二】:2015/12/25(金) 00:13:33
>>345(恋姫)
(クリスマスにアイドルとデートなんてすっごいイベントみたい!)

「うん!行こう行こう!
ちこりちゃんやおばあちゃんもきっと喜ぶよ!」
立ち上がった恋姫と腕を組み、くるりとモールの中へ向かっていく。

「恋姫ちゃんとお買いもの〜♪」
調子外れな鼻歌を口ずさみつつ、進んでいく。

347稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/12/25(金) 00:31:05
>>346

      ガシ

「えひっ……」

腕を組まれて、やや跳ねる恋姫の背。
みんなのお姫さま。あるいは、迫害の対象――

近くには、だれもいなかった。
けれど、今は違う。少しずつだけれど。

      「……」

「まあ、僕はお姫さまだし……
 お近づきになりたいのは分かるけどな……」

              キュ

口ではそういいつつ、腕を振り払ったりはせずに。
ほんの少しだけ素直に、組んだ腕に力を入れて。

「……浮かれ過ぎだろ……常識的に……」

         ニマ

            「……でも、まあ。
             クリスマス……だかんな。
              リア充みたいなことすんのも……」

こういうのも、悪くない。

            トコ
                 トコ

言い訳のようにそう思って、モールの奥へ歩いていく。

                  ・・・・今年は友達が、出来た年だ。

348石動 玲緒『チア・アクシデント』【中二】:2015/12/25(金) 01:03:40
>>347(恋姫)
「あはは、恋姫ちゃんがお姫様なら私は王子様だね!」

やんちゃな王子様が進んでいく。

349稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/05(火) 01:09:00

年が明けて、いくらか経った。
三が日は地元メディアでいくらか、仕事があった。

         ・・・・それも終わって。


「…………」

     テレレレ♪

          チャリン

恋姫はメダルゲームに興じている。

   「うおっ……」

               ジャラララララララララーーッ

今、100枚のメダルが排出された。
チャンスゲームだか何だかが、成功したからだ。

(新年早々、朗報と悲報って感じだな……うるさすぎぃ……)

           ・・・・派手なエフェクトとSEが、いくらなんでも騒がしい。

350宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/07(木) 22:54:42
>>349
>               ジャラララララララララーーッ

大量に排出される『コイン』。派手な演出もあいまって、
ここが『ゲーセン』でなければちょっとした『騒音公害』といったところだ。
と――

「あー……クソ、ダメだこりゃ」

ガタンッ

同じメダルゲームの『筐体』の隣の席から声が聞こえた。
どうやら隣のプレイヤーはコインを『使い切った』様子だ。
ボヤきながら席を立つ……

「……うーむ、ヒマなんで来てみたが、やっぱこういうのは
性にあわねェな……『バッティングセンター』でもありゃあなあ」
「……ん?」

そこで、隣席の『恋姫』に目を留めた。

「あれ、アンタ……こないだ『駅』で合わなかったっけ」

351稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/07(木) 23:26:36
>>350

           ジャラララララ

(まあ……えひ。得してんだからいいな……)

           チラ

(そっちは……
 新年早々悲報おつ……ん?)

「……あ。お前……」

恋姫も、その姿には覚えがあった。

「会ったハズだぜ……
 少女漫画の王子さまみたいなカッコ……えひ、覚えてる。」      

恋姫はあの時と違い、眼鏡を掛けている――が。
人形の様な顔立ち。陰気な口調。二人とはいるまい。

「クローンでもいるなら……えひ、別だけど。
 顔グラ使いまわしのモブ……ってのもないよな。えひひ、キャラ濃すぎだもん。」

     「そもそも現実だっての――」

             ジャララ  ピタ

                 「――っとぉ。」

                      ・・・・メダルがやっと止まった。

「……えひひ、大富豪。」

    ジャラ    ジャラ

メダルがたまった容器を手元に持ってくる。
やや『宝塚』に自慢するような意図も、感じられる声色。

352宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/07(木) 23:35:37
>>351
「ははッ……『王子様』か、そりゃあ光栄だ」

『誉め言葉』……かどうかは些か微妙だが、
『恋姫』の言葉にニカッと笑う。

「お前も結構印象的なキャラしてると思うがなあ、しかし――」

自分と比較して、明らかに『大漁』状態の『メダル容器』を見た。

「駅で話したときも思ったが、好きなのな、『ゲーム』。
しっかし凄ェな、『メダル』が皿からこぼれそうじゃねーか。
やっぱこういうの、『コツ』とかあんのか?」

好きこそものの上手なれ。
アドバイスは、好事家に聞くに限る。

……自慢げな態度は、気にかけなかった。
どんなものであれ、『手柄』を誇るのは当然だからだ。

353宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/07(木) 23:37:06
>>351

354稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/07(木) 23:51:02
>>352

「……誰の王子さまかは知らないけどな。
 僕ん国には……えひ、間に合ってるから。」

          ニタ

陰気な笑みを浮かべる。
みんなのお姫さま、それが恋姫の『もう一つの顔』。

         ジャラ

「印象的じゃないと……
  えひ、やってらんないかんな。」

そう呟き、メダルを一掬い。
別に演じてるわけではないが、印象は武器にもなる。

              ・・・・そして。

「……わかる? えひ。
 お察し通り……ゲーム、好きだよ。だけど……
 えひ、これはスロットの目が揃っただけ……運ゲーだ。」

      チャリ

        「いつもは……そんな当たらない。
         メダルゲームは、本業じゃないし……」

メダルを転がしつつ、言う。
声色はやや上機嫌。本業でなくとも、輝くことは気分が良い。

355宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/07(木) 23:58:45
>>354
「『門前払い』かよ、つれない『お姫様』だな」

冗談めかしてそう言うと、歯を見せて笑った。
豪快、野放図、ワイルド――そういう形容詞がハマる笑顔だ。

「『運』か……うーむ」
「『自力』でどうにもならねーものはあんま性にあわねえな、やっぱ」

恋姫の言葉に、小さく唸る。

「『本業』? いや、仕事じゃなくてゲームの『ジャンル』か。
アタシはあんま詳しくねえけど、色々あるのか?
『パンチングマシーン』くらいしか良くやるものもねえから、さっぱりだぜ」

356稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/08(金) 00:17:45
>>355

対する恋姫の笑みは、陰気だ。
口元を少しつり上げ、笑いきらないような笑み。

「……えひ。
 片思いなら……してくれてていいぜ。ハッピーエンドは、ない。」

笑う声も、息を漏らすように、静か。

          ・・・・そして。

「ゲームにもいろいろあるよ……
 札束で殴り合うのもあるし……運もあるし……」

            チラ

明後日の方向を見る。
やや奥まったところにあるのは、一人用ゲーム。

「自分の腕が……出るやつもあるぜ。
 えひ……台パンって意味じゃなくて、テクニックの話。」

     「格ゲーとか……
       音ゲーとかぁ・・・・」

やや目を細めて。

「あとは……シューティングゲーム、とか……」

            チャリ

シューティング、それが恋姫の本業だった。
腕に左右される世界。メダルを転がしつつ。

                「……えひ。布教しようか?」

                          ニマ

                       ・・・・笑みを、深める。

357宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/08(金) 00:29:37
>>356
「いや、遠慮しとくよ。片思いは、辛いからな。
特に絶対に届かないモンは、な」

ぽつりと、呟く。

「ふぅん、どうせやるんなら、ワザが
身につく方が良いな、アタシは」
「なるほどな――『シューティング』ね。
それがお前の『メインジャンル』ってわけか。
ま、どーせヒマなんだ、やってやろうじゃねぇか」

そう言うと、スーツの袖を捲り上げる。
『気合の表れ』だ。どんなときも『全力』、
それが『流儀』だ。

「で――ええと、悪ィ。
操作がわかんねぇ」

……ただ、さっぱり『未体験』だが。

358稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/08(金) 00:57:31
>>357

「……えひ、まあ、そうなんだろうな。」

         (……なんか訳ありか?
           まあ……そりゃ訳くらいあるよな……)

主人公でなくても。
物語は誰にでも、ある。恋姫にも。

    ジャラン

        ・・・・追及はしない。
          メダル容器を持ち、立ち上がる。

「えひ……気合入ってる……」

        トコ    トコ

などと言いつつ、近未来的デザインのSTG台へ。
座席が半ばカプセル状に覆われた、本物のコクピットのような――

「はじめだし……えひ、
 いきなり一人はハードすぎるから……二人プレイしよう。」

    スト

奥の座席に、詰めて座る。
小さいから、ずいぶんとスペースが出来る。

       カチャ カチャ

「……このレバーで、加減速。
  んで、このボタンが……弾撃つ。
   ここで武器切り替え……通常弾と、ボム。」

        「まあ……あとは、トライアンドエラー……かな。えひ。」

実際に、筐体のボタンを動かしながら、教える恋姫。
  その顔には陰気な笑みが張り付いている。ゲームが、好きだ。

359宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/08(金) 05:52:49
>>358
「……まあな」

『片思い』。
その相手が、一向に底の見えない『強さ』という
漠然としたものだとは、『宝塚』自身もはっきりと理解はしていない。

ともあれ、連れ立って筐体へと向かう……

「随分凄ェデザインだな。ま、こういう『SF』チックなのも嫌いじゃないが」
「おう、二人でやれんのか……んじゃ、ちょっと邪魔するぜ」

『恋姫』の隣に、座る。
女性としては相当長身だが、体格はスレンダーだ。
まあ、二人がけでも問題はないだろう。

「ふむ、加減速……で、弾を……ぶ、武器切り替え?
まあ、比較的操作自体はシンプルなのか……?」

操作を習う……が、この手のゲームにはほとんど触ったことがないので、
基本動作を確認するにも四苦八苦だ。

「トライアンドエラー、『習うより慣れろ』か。
良いねぇ、やっぱそういう方が好きだな、アタシは」

恋姫の言葉に頷き、笑みを浮かべる。
彼女ほど、ゲームそのものへの熱意はないだろう。
それでも、こういうジャンルは気性に合う。

「っし……とりあえずやってみるか」

コインを投入し、プレイを開始する。

360稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/08(金) 23:48:01
>>359

「かっこいいよな……最新ゲームなんだ、これ。
 ここ、新しいタイトルは、すぐ入ってくるから……それがいい。」

            カチャ

古いゲームやコアなゲームはないが、それはそれでいい。
操縦レバーを握る。

    ジャラ

       「……ここ、置く。」

コインの容器は、二人の間の空き場所に置いた。
もともと男性二人でも十分座れるスペースがあるのだ、問題はない。

「えひ、んじゃ、始めよう……
 ……1プレイ、ごちになる……えひ、ありがとな。」

             カチャ   カチャ

代金は既に投入された。
2Pモードを選択して、ゲーム開始だ。  

  ∧
<♪>
  ∨             ∧
              <♪>
                ∨

 「えひっ、うるせー……」   

BGM(全方位から聞こえ、うるさい)とともに、世界観説明が流れる。
プレイヤーは最新型戦闘機に乗り、敵である宇宙人を撃退するらしい・・・・ 

       「敵が出てくるから、
         照準合わせて、撃てばいい……」    

              「照準は、そっちのレバーで動かせるから……」

       ・・・・

           ・・・・

                そして、ゲームが進んでいく。

361宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/09(土) 00:15:03
>>360
「おう……しかし何だ、『ゲーセン』ってのは
どこ行っても基本『やかましい』のな」

普段、そんなに喧騒の中で生活していないのもあって、
こういった、一種カオスじみた音の洪水には若干辟易した様子だ。

「ここは操作に集中すっか……つーか、この『世界観』とかは要るのか?」

『プロローグ』の類は鬱陶しいと感じるタイプだ。
多分、『説明書』もあまり読まないだろう。

「っし、来いよオラァッ」
「あッてめー、待ちやがれ、このォッ」
「逃げんじゃねーぞッ」

……ドタバタしながら、プレイを続ける。
基本的に操作技術は稚拙(というかド素人)なので、
『反射神経』に頼って誤魔化していくようなプレイスタイルになる。

「……よく考えたら、『飛び道具』は普段使わねえな。
これはこれで『新鮮』な気がするぜ」

362稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/09(土) 00:26:16
>>361

「このゲームは……特別うるさい……
 それに、えひ。ここは……人は、静かだし……」

洪水はゲームの電子音の塊だ。
恋姫は少し目を細め、陰気な笑みを作る。

             カチャ

      ババババ

「えひ、僕はもう知ってるし……
 お前はいらないっていうし……」

     ニマ

       「表示され損だな……世界観設定。えひ。」

敵を撃ちながら、そんなことを言いつつ――

(こいつうるせえな……
 レースゲームしたら体傾くタイプか……?)

「……最新ゲームでも、 
 音声認識はない……えひ。敵、宇宙人だし……」

              バババ

        「言っても聞かないから……
          レーザー撃ちまくるしかない……」

ドタバタするのを横目に。
煩いとは思うが、こういうのは、悪くはない。

「……えひ、『白兵戦』は普段からしてんのかよ。こわちか……」

             ・・・・冗談の一種と受け取る。

363宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/09(土) 00:37:26
>>362
「……ちょっと思うんだけどよ、
『編隊』組んで出てくる連中いるじゃねェか」

操作しながら、ふと気になったのか『恋姫』に声をかける。

「こいつら『先頭』がやられてもそのまま突っ込んで来るのな。
普通もうちょっと考えるだろ……いや、まあゲームなんだけどよ」

妙な所が気になっているのは、少し『慣れてきた』証拠だ。

「おう、『慣れっこ』だぜ。最近も昔の知り合いと、ちょっと、な」

常識的に考えて、まさか本当に『殴り合い』して来たとは思われないだろう。

「そっちの方が性には合うが、これも楽しいぜ。
『戦い』ってのは前に敵がいねーと始まんないよなァ」

364稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/09(土) 00:51:37
>>363

「……そこんとこは、裏設定。
 こいつら……死んでも、
 こっち殺せればいいって、考えてる……」

             バババ

編隊を撃ちながら、答える恋姫。

「こいつらの上の存在から……
 ……そう、プログラムされてるらしい。」

     「鬱設定かな……?
       えひ、微妙なとこだ。」

眼鏡を直しつつ。
電子の存在とはいえ、悲惨な境遇だ。倒すが。

            ・・・・そして。

   スス

 「えひ…………こわちか〜。
   バトル漫画界からの刺客かよ……」

少し席の座り方を離す。恋姫は、戦いとかは、嫌いだ。
冗談と受け取りつつ、いや――

         「……え、まじで……?」

                 ――スタンド使いなら、ありえる。

365宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/09(土) 05:36:13
>>364
「なるほどな……そーいう設定か」
「…………つーか」

カキィン
    ドババババババ

「……元々こいつら、『プログラム』そのものじゃねぇか」
「つまり……『上の存在』って『開発者』のことなんじゃ……」

バババババ
     チュドーン

「あーッ、ミスった……クソ」

……余計なことを考えながらプレイするとミスが増えるものだ。

「さすがにお前は余裕あんのな……喋りながらでもバリバリ倒しまくってやがる」

>         「……え、まじで……?」

「嘘ついてどーすんだよ。別におかしな話じゃ無いだろ?」

ひどく普通に、そう返す。

366稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/09(土) 19:04:16
>>365

「まあ……メタ的にはそうかもな……」

         バババ

「ミスは2回まで……
 三回目でゲームオーバー。」

              シュドド

銃火で雑魚散らし。
ミサイルに切り替え、大型の敵を撃つ。

        「えひ……
         何回もやってるから……」

             「敵の出方、覚えてる……」

   バババ

そう言って、やや口元を吊り上げて。
しかし、内心は。

(スタンド使いだから、か……?
 ゲームじゃないんだぞ……痛いし、死ぬ……)

           (おかしい……常識的に考えて。)

スタンド使いでも、殴られれば痛い。
死ぬまで殴られれば、死ぬ。

「……ほんと、漫画みたいなやつだ、お前。」
 
そう、返す。
おかしいとは思うが、深い事情も知らない。止める理由もない。

              ババババ

              「そろそろ……ボスだな。」

ゲームは進んでいく。
じきにクリアするか、ゲームオーバーになるだろう・・・・

367宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/09(土) 20:09:51
>>366
「……ってことは、あと1回しかミスれねーのか。
まあ、『現実』には『コンティニュー』はねぇし、
やり直しが効くだけ『マシ』だけどよ……気ィつけねーと」

そう言いつつも――一度ミスしてから、『ギリギリ』のところでの
『回避』に集中している。まるで『サバンナ』の『ガゼル』が、
『雌ライオン』を引き付け、その『牙』の届く範囲を『見極める』かのように。

「マンガ、か……うーん、そんなに『浮き世離れ』して見えんのかな、アタシ。
一度っきりの人生だ、自分の心に真っ直ぐ生きたい……そんだけだぜ」

これまで、『スタンド使い』として生きてきて、
『死にかけた』ことも、『殺しかけた』ことも、
そして『人死に』を見たこともある。

「……ま、良いか。お天道様に顔向けできねーような人生は送ってねェしな」

それでも、変わらずこうして『豪放』に振る舞えるのは、
確かにどこか、頭の『ネジ』が外れているからかも知れなかった。
そして、『ボスエリア』に到達する……

「と……出たぜ、あれが『ボス』かッ」

勢い込んでボスに挑む――が、『攻撃パターン』も
把握していない敵にぶつかるのは『無謀』そのもの……

チュドーン

「チッ……こりゃ『先読み』しねーと反応が間に合わねーぞ、おい……!」

即座に『撃墜』される。『残機』はもうない……!

「ッ……悪ィ、アタシは回避に集中するッ!
戦いながら相手の攻撃を『覚える』!
――情けねー話だが、『攻撃』は任せるぜッ」

『恋姫』に伝え、操作に集中する。
……基本的に『負けず嫌い』なのだ。

368稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/09(土) 20:55:42
>>367

弾は引きつけて、華麗に躱す。
輝ける場所は――いつでもどこでも、ステージの上。

「……えひ、その見た目で浮世離れしてないのかよ。
 ……まあ、お前の人生だし……僕が口出しもしないけど。」

            バババ

やや目を細める。
悪いやつじゃあないな、と、恋姫は思う。

「……僕は。
 痛いの、嫌いだからさ。」

            ・・・・けれど、常識が違う。

    ババババ

銃火を浴びせる。
墜ちた宝塚を横目に。

「えひ、撃つのは任せろ……
 最初はこんなもんだし……
 最初っから上手かったら、嫉妬するとこ……」

              ババババババ
 
          (このボスは……気合で避けれる。)

ひたすらに引き金を引き続ける。
現実じゃあないなら、恋姫は――負けない!

              ・・・・

                    ・・・・

                    そして、ゲームは終了した。
                     はたして、その結果は――?

369宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/09(土) 21:23:31
>>368
「――――大したもんだ」

椅子に深く腰掛けて、『ディスプレイ』に目を細める。

「『足手まとい』連れて、ここまでやってのけるとはな」

倒れた『ボス』の姿。
流れる『ハイスコア』のリスト。

「『好きこそものの上手なれ』ってのは、本当だな……
ここまで腕上げるのに、どれだけ『時間』と『努力』と『頭』を使ったんだ?」

ガタン、と席から立ち上がりながら、『恋姫』に尋ねる。

「冗談抜きでよ、『凄い』と思うぜ、アタシ」

370稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/09(土) 21:47:27
>>369

ハイスコア画面――今回は、『10位』だ。
恋姫もまた、目を細めて。

「……足手まといじゃない。
 初めてで一機残せたのは……悪くないよ。」

            「……えひ。」

     ガタ

席を立つ。メダルの容器を手に。
名前入力は――今回は、適当でいい。

「褒めても何のフラグも立たないけど……ありがとな。
 僕は、ゲームで……シューティングでなら、『輝け』る……」

       ニヤ

宝塚を見上げて、笑む。
人形のような顔の、桜色の瞳は、泥のように灯る。

   「……いっぱい使ったよ。
     時間……えひ、これからも。」

         「……なんか別のゲームも、やる?」

                ・・・・ふと、そう思い立って、声をかける。

371宝塚『ヴェルサイユ』:2016/01/09(土) 22:06:19
>>370
「……そっか、悪くねェか……へへッ」

少し、はにかむように笑う。
多分、『恋姫』には初めて見せる顔だろう。

「『輝ける場所』……か」
「ああ、それがあるのは……良いことだ」

ニィ

今度は、豪快に笑う。

「だろーな。時間を重ねて『研鑽』する……それが『自信』になり」
「そして『自信』は『確信』になる……アタシも、そうありたい」

恋姫の自信と『自負』に溢れた様子に、頷きながら呟いた。

「違うゲーム……ん、いや」

申し出に、少し考える。

「……今日は、いいや。すげー『楽しかった』からよ、
この気持ちを今の『新鮮』なまま持って帰りたい」
「そーいや、まだ『名前』聞いてねぇな。
アタシは『宝塚 亜綺良』ってんだけどよ」

372稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/09(土) 22:52:46
>>371

「えひ……輝くのは、きもちいいからな。」

      ニタ

陰気な笑みを深める。

        ジャラ

メダルの容器を手に、筐体から離れて。
視線は宝塚に向けたまま。

「……そうか。えひ。
 まあ……ゲームは、逃げないし。」

         「楽しかったなら……良かったな。」

頷いて、特に引き留めることもない。
ゲームはいつでもここにある。他のところにも、ある。

「僕は……稗田。稗田 恋姫(ひえだ れんひめ)……」

              「んじゃ、おつかれ〜……えひ。
               駅前にも……いいゲーセンあるぜ。」

     ジャラ
               ジャラ

そういって、メダルゲームの筐体へ戻っていく。
恋姫の表情は、笑顔だ。


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