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【ファンキル】SSスレ

1ゆるりと管理人:2019/07/21(日) 01:13:38

ファンキルの二次創作SSを投稿するスレです。

・18禁の内容はNGです
・原作のキャラクター性を著しく損ねる内容はご遠慮下さい、
また損ねている可能性がある場合は注意書き等でご配慮下さい
・複数レスに跨る場合は投稿者名(いわゆるコテハン)を利用しましょう
・投稿に対する暴言は規制対象になります
・ダモクレスばかり登場させるのは控えましょう

※物は試しのスレなので需要が無く過疎った場合は放置でOKです

609名無しさん:2019/08/16(金) 18:25:27
>>607
せやな。コメントが無いって言っても、コメント書く側としては自分の感想コメでスレを埋めても良いのか配慮したり
たまたまスレが早く流れて作品を見逃してたとかあるからな
それに単純にマナーとモラルの問題やし、作者は悪ない

610名無しさん:2019/08/16(金) 23:20:35
ROM勢のSS読者もいるだろうし感想コメ数が全てではないと思ってSS作者さんたちにはこれからも神作品をたくさん投稿していただけたらと思う

611プリキュア系?パロディ:2019/08/17(土) 23:25:29
※初投稿の単発ネタです、誤字脱字ありましたら、その時はすみません




「あー!遅刻!遅刻!…っと、行ってきまーす!」

私の名前はアルマス、ロストラグナロク高校に通う普通の高校1年生!

…だったんだけど、突然人間が人外の存在に支配される現象、霊装支配〈ギアハック〉で魔獣に支配された弟のギルを助けたい、私がそう願った時

「アルマス!鞄を忘れてますよ。」

「ありがとうティニ!」

異世界ティルヘルムから来た妖精、ティターニアのティニと妖精結合〈テイルリンク〉して私は伝説の天使、斬ル姫に絶!変身!その力で無事にギルを助ける事が出来たわ

「昨日セットしたのに何でアラームが止まってたのよ、絶あり得ない!…まさか地底世界〈アビス〉の仕業!?」

「アラームが鳴ってもアルマスが寝てただけで地底世界は関係ありませんよ、来たら私が分かりますから。」

そして今はティニがこの世界に来た理由、霊装支配で人々を苦しめる悪の組織の地底世界と戦う正義の斬ル姫に私はなったの!

「…そうだった、だけどいつでも来なさい地底世界!世界の秩序を取り戻す、それが私達の使命なんだから!」

「…今来られたら、遅刻しますよ。」




おわり

612名無しさん:2019/08/18(日) 01:34:35
わりとそれっぽくて草

613名無しさん:2019/08/18(日) 14:52:58
なかなかこういうのでいいんだよ的なのがこないな

614名無しさん:2019/08/18(日) 15:27:48
そりゃあ人の書きたいものはそれぞれなんだから期待してるものが来るとは限らないだろ

615pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/18(日) 16:04:14
『530からの続きです』





 鎗というよりはハルバードに近い形状の長鎗を方天画戟は体の一部のように使いこなし暴風のようなラッシュをかける。

 払う。薙ぐ、回す。叩く。振り下ろす。掛ける。捻じ込む。斬る。翻す。刺す。突き上げる。

 鎗は剣と比べても選べる技の選択肢が格段に違う。さらに先端に斧やウォーハンマーを装備可能なハルバードが放てる技の数は刺突を基本とする鎗の数倍。
 アロンダイトは吹き荒れる技の嵐を神業じみた合わせで防ぎきる。
 方天画戟が暴風なら、アロンダイトは神風だった。
「そう例えるなら、デュランダルは突風でしょうか……、一瞬の勢いなら台風すら貫けるほどの」
「なに言ってんだおまえ!」
 疾風の追撃。
 それはアロンダイトが大剣を寝かせ盾のように構えたことで弾かれた。
「何度繰り返しても、技量なら私の方が上のようですね。私の体に届いていませんよ。あなたの鎗」
「そうだな。繰り返しだな。さっきから」
 方天画戟がバックステップで距離を取る。
「少し、大技使うぞ」
 その長鎗の先から禍々しい黒い光が溢れだす。

 キィィンと空気が烈震した。

 燃えるように黒く輝く長鎗を構える。低く。低く。肉食獣のように。
 にィィっ。と方天画戟の口角が釣りあがり凶悪な笑顔を形成した。
「これで死ぬんじゃねえぞオラァッ!」
 鋭く踏み込み。全身をしならせたアンダースロー。その結果、爆発的な速度で長鎗はアロンダイトへと射出された。

「—―――投げっ!?」
 アロンダイトは体を反転させ全力で床を蹴って後退した。
 だがそれも予想以上の速度で飛翔してくる長鎗には間に合わない。
 ガチッ、と突き出された剣先に触れわずかに軌道を反らした後。
 剣を突き出した右腕に導火線のような赤い筋が走った。一瞬後、血の赤線に沿って毒々しい黒い光が油を注いだ炎のように噴き上がる。
「—―――――――ッ!」
 腕の皮膚が溶けて、焦げて、焼けていく。かつてエドゥーで熱した鉄棒を押し付けられた時に似た痛みに言葉にならない悲鳴を上げて鎗の勢いに巻き込まれたかのようにきりもみ回転して床に倒れこんだ。
 遅れて、ドン! という轟音。
 アロンダイトの右腕を掠めて飛んで行った方天画戟の長鎗が背後の壁を爆散させた音だった。
 ぐりり、とアロンダイトは発狂しかねない痛みに耐えながら転がりながら背後の壁を見る。
 その先にはまるで大きな彫刻刀でも挿しこんだかのように壁にマンホール大の穴が穿たれていた。
 破片などは一切飛び散っていない。方天画戟の槍のあまりの威力に目で見えないほどの塵へと分解されたかのようだった。
 有体に言えば丸ごと食い破られたかのようだった。
 アバドン。
 町を丸ごと滅ぼす蝗の大群をモチーフに生まれた悪魔。農作物や衣服、木材から動物まで一切を喰らい尽くす捕食者の化身。
 それは、自分は食べる側なのだと宣言するかのような一撃。

616pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/18(日) 16:05:05

奈落から来る捕食者(方天画戟)
・攻撃時に確率発動。三百%威力の攻撃を繰り出し、デュエル後、相手の背後二マスの敵に自身の物理攻撃力の二十%分のダメージを与える※ デュエル後のダメージで撤退させられる




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 放たれた長鎗は一人でに方天画戟の掌に帰ってきた。
「すげえだろ。これがオレのスキルってことになるのかな」
 粗暴な薄ら笑いを浮かべ、倒れ伏すアロンダイトを見下ろす方天画戟。
 嘗め切っているのか追撃はない。アロンダイトが立ち上がるのを待っているようだった。
「確かに……強いのかもしれませんね」
 痛みのあまり頬を流れていた涙を振り払い。ゆっくりと弱弱しくアロンダイトは立ち上がった。長鎗が掠めた右腕の傷口は焦げて炭化しており動かすと焼きすぎたパンのような炭がボロボロと落ちた。
 ここまでの傷を受けてなおアロンダイトの瞳には諦めの色はない。
 その証拠にボロボロになった右腕に未だ大剣『シトゴロシ』が握られている。
「ですが私はまだ立っている! あなたの鎗が真に必殺というならば。それは大言壮語と言わざるを得ません!」
 自信を鼓舞するように叫んでアロンダイトは立ち向かう。
 その態度と言葉に方天画戟は、
「ほう。ま、それもそうだ」
 苛立つでも、嘲笑うでもなく冷静にアロンダイトの言葉を受け止めた。
 たしかに方天画戟は先ほどの一撃で首を吹き飛ばすつもりだった。
 必殺。と名乗った覚えはないがそのぐらい自負はある。
 それが破られたのはいささかプライドに傷がついた。
「なら、もう一度だ。防げるもんなら防いで見せろ」
 先ほどとは比べ物にならないほどの殺気と闘気が放出される。
 アロンダイトも感覚のない右手を左手で包むようにして大剣を両手持ちに変えて受け止める態勢に入った。
 今のアロンダイトでは回避は間に合わない。それならば守りに入った方がいいと考えたのだろう。
「上等だ……」
 ひゅんひゅんと長鎗が回転し方天画戟の肩にまるでロケットランチャーのように構えられた。
 長鎗が黒い光を放つ。その不気味な光は鎗に蓄えられたエネルギーを象徴するかのように鼓動のリズムで明滅していた。
「が、ルァアアアアアアアアアァアアアアアァ―――――――ッ!」
 そして今、鎗に充填されたマナが方天画戟の手を離れ、荒れ狂う。

 —――――――ばすん!

 その時、特徴的な砲撃音が炸裂した。
「……え」
「あん?」
 二人の斬ル姫の声がそろった。
 方天画戟の体からは白い煙が上がっており砲撃を受けたのは彼女だとわかる。
 続いてばすん! ばすん! と二度目、三度目の砲撃が方天画戟に叩きこまれた。
「ああ、そういえばこんなのもいたな」
 アロンダイトと戦闘しているときの嬉々とした雰囲気から一変してつまらなそうに呟く方天画戟。
 その視線の先にいたのは白い鎧に大型の銃を構えたキトだった。
「なにをしているのです! 早く逃げなさい!」
 キトがアロンダイトへ叫ぶ。アロンダイトは反応せず、愕然とキトの方を見ていた。その顏が青ざめている。
 方天画戟の長鎗に当たった時でさえみせなかった表情だ。
 ばすん! ばすん! とその間にも銃から撃ち出される風のマナの塊を方天画戟は真っ正面から受け止めていた。当たるたびに緑色の閃光が瞬くが、方天画戟は微動だにしない。
 ただ青い髪の三つ編みがバサバサと舞った。そして、
「邪魔だ」
 気だるげに方天画戟から放たれた言葉。そして長鎗。
 それらは真っすぐ正確にキトの胸の中心を貫通していった。

617pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/18(日) 16:06:00
「ギぁっ!」
 何の力も籠っていないその投擲を斬ル姫でもない一般的ハルモニア兵のキトは避けることができず、がくりと膝をつく。
「…………っ!」
 そこでようやく凍り付いたように固まっていたアロンダイトが動いた。
 大剣を左手に持ち替え、キトへ走りよるとその体に左腕でラリアットをかけてそのまま連れ去っていく。
「おい! 逃げるのか! まだ終わってねえぞ!」
 戻ってきた長鎗を握り、方天画戟がアロンダイトの背に吠える。
 今の両者の間合いは十メートル。方天画戟の長鎗はだいたい二メートル。残り八メートルの間合いなどこの槍兵にかかれば一息で詰められる。
「……あぁん?」
 だが方天画戟は動かなかった。
 否、動けなかった。
「なんだこれ、足が……」
 方天画戟の両足が床に釘で打ち付けられたように持ち上がらなかった。
「お、おい! 待てよ! 待てって! こっちは動けねえんだ! 卑怯だぞ!」
 もがく方天画戟に目を向けることはなく、アロンダイトは一人のハルモニア兵とともに彼女の視界から去っていった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



・移動不可(三国兵)
攻撃時、五十%の確率で二ターンの間移動不可を付与



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 方天画戟から逃れたアロンダイトとキトはひとまず船の幾つかある武器庫の一つに入った。
「どういうことか説明してもらえますか!」
 壁に叩きつけるようにキトを投げおろしたアロンダイトは開口一番そう問い詰める。
 方天画戟が動けなくなったのはキトによる銃の効果(移動不可)によるものだ。キトの攻撃によってアロンダイトは救われたともとれる状況であったが、アロンダイトはそれに気が付く余裕がないほどに動揺しているようだった。
「今すぐ納得のいく説明をしてください!」
 大剣を壁に突き刺し、左腕一本でキトの胸倉をつかみ上げる。
「……何の説明をしましょうか?」
 その手の中でキトが絞り出すような声を出した。
 ぴちゃん。キトの胸から垂れた血液が雫となって床に落ちる音。
「あっ……」
 その時になってようやくアロンダイトは自分が体に穴が開いた怪我人を乱暴に扱っていたことに気が付きキトを静かに床に寝かせた。
「それで、何が聞きたいのです」
 致命傷とは言わないまでも命に関わるレベルの傷を負っているのに気丈なのか痩せ我慢かキトは普段通りの口調で再度聞いた。
 アロンダイトはそれに同情するでもなく切りつけるように答える。
「あなたの銃。あれはあなた専用の物なのですか?」
「そうですが何か? 私は潔癖症でして。他人が使った武具は、それは例え部下が触ったものであろうと使いたくないのです」
 なぜ今それを聞くのだろう。不思議そうにキトは答える。
「ではあの銃声はあの銃からしか発せられないのですか?」
「そうですね。あれは私が手ずから調節した銃です。風のマナが砲筒を抜けるときの天使のラッパにも似た音は……」
「同じ音はあなたが引き金を引いた時にしか鳴らない音なのですね?」

618pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/18(日) 16:06:42
 キトの語りを途中で止めてまでアロンダイトは重ねて尋ねた。
 その表情は愕然としている。子供の作り方を知ってしまった幼子のような、それ以上知ってはいけないという理性のブレーキと好奇心という本能がせめぎ合っているような複雑な表情だった。
「あの日、つい昨日なのでしょうか……私たちトレイセーマ軍のハルモニア軍が『大穴』でぶつかったあの戦い……」
 アロンダイトは慎重に言葉を選びながら話した。
「私の記憶違いでなければ、あの戦いの原因となった銃声……あなたの銃の発砲音とまったく同じなのですが?」
「ああ、あれは私が撃った音です」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「え……」
 アロンダイトは自分の耳を疑う。

 あの日、ハルモニアの砦に魔弾が打ち込まれた。その犯人はトレイセーマ軍にいると言ってハルモニア軍はトレイセーマに進軍してきた。
 深夜鳴り響いた一発の銃声。それが原因だった。
 そして結果としてトレイセーマ軍は瓦解し『大穴』から撤退。追撃するハルモニア軍を足止めするために一人残ったアロンダイトはハルモニアに捕縛され、船で護送されることになった。
 それも元を正せばあの一発の銃声が原因だった。

 今、目の前のハルモニア兵はその銃の引き金を引いたのは自分だと確かに宣言した。
「な、なんで……」
「そうですね。端的に言うなら貴女が欲しかったからです」
 悪びれもせずに語るキト。アロンダイトにはその言葉の全てが分からなかった。
「な、なぜトレイセーマ陣に進軍してきたときはトレイセーマ側が撃ったなどと嘘を……」
「だってそうしないと戦争が起こせないではないですか」
「わかりません! 順序立てて説明してください!」
「……難しいですね。まず、私はハルモニア砦に着き、トレイセーマ陣を見た時にアロンダイト。貴女を見つけた。貴女という斬ル姫はハルモニアにいるべきだと思った。だから戦争を起こした」
 一瞬わけがわからなかった。
 だがそのすぐ後、貴女が欲しい。戦争が起こせない。アロンダイトの中で二つの言葉がイコールで繋がった。
 だがその事実が信じられない。
こんなおぞましいことを行う人間がいるだろうか。
目の前にいる。

 キトはアロンダイトをハルモニアに引き入れようと思った。
 だが仇敵トレイセーマから話し合いで手に入れることは不可能。戦争で奪い取るしかない。そしてハルモニアとしても一軍を動かすにはそれなりの大義名分が必要だ。アロンダイト一人を手に入れるという私欲を覆い隠せるほどの建前が。
 それが銃声だった。
 深夜、誰も見るものがいなくなった時、ハルモニア砦の外壁にキトは魔弾を撃った。本人のマナを大量にチャージして放たれた魔弾はハルモニア砦のみならずトレイセーマ陣へと届くほどの銃声を生み出す。
 その結果、ハルモニアの大多数(キトを除く)はトレイセーマかケイオスリオンの攻撃だと疑い、混乱する。
 そこへキトがトレイセーマの攻撃だと断定し、反撃するなどと言えば自然とハルモニア兵たちはトレイセーマへ進軍する。

619pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/18(日) 16:07:19
 これがあの夜の真実だ。


「だからと言って何年も均衡を保ち、不干渉を続けていた三国のバランスを崩すようなことをなぜできるのです!」
「それで何か悪いことが? トレイセーマは瓦解し、ケイオスリオンも巻き添えで撤退し、ハルモニアは勝利し貴女は我々と共にある。何も問題ないではないですか?」
「人が死んだじゃないですか!?」
 怒りをあらわにするアロンダイトにキトはあくまで不思議そうに首を傾げる。
「それは死ぬでしょう。戦争をしたのですから」
「ハルモニア側も! あなたの部下だって何十人も亡くなったのですよ!」
「それは悪いことでしょうか?」
 キトに罪悪感は欠片もなかった。
 むしろ出来の悪い教え子を諭すように語る。
「これも全てアロンダイト。貴女一人を手に入れるという結果が手に入ったことでそれらの犠牲も許されることなのですよ。おまけにトレイセーマとケイオスリオンを浄化できたことでお釣りが出てもいいくらいです。
 アロンダイト。大いなる理想に殉ずるためであればどんな犠牲も数にはならないのですよ」
「彼等には、ハルモニア兵だけではありません。トレイセーマの方々だって、ケイオスリオン兵だって、自分の意思も生きる希望だってあったはずなのにあなたの勝手な行動で捨てなくてもいい命を捨てたんですよ! 少しでも罪の意識はないんですか!?」
「貴女という武具が加われば神聖ハルモニアの理想が世に広まるまでの時が縮む。それだけのことです」
 キトの兜の隙間から血が垂れた。平気そうに見えるが時間がそれほどないらしい。
「人は愚かなものです。欲望に際限はなく。その果てには家族だろうと容赦なく争う。ケイオスリオンのように力のみが真実だと戦いあって。その先に何がありますか? 万人の万人による闘争の末に国土も人民も疲弊し痩せ細るだけでは?
トレイセーマもよくない。あの国には未来がない。平等であるだけです。得手不得手や個性を認めず全員が全員同じことをしていては発展するものもしない。いずれ限界の来るシステムです
 資源は無限ではないのですよ。幸福と言い換えてもいい。現実的に考えて幸福は世の中全員に行き渡るものではないです。だからこそ教皇様のような方が必要なのです。人々に階級を与え、幸福を配分する優先順位を決定してくださる絶対的な方が。
 人もイミテーションも選ばれなくてはなりません。順番を決めねばならないのです」
 キトは一息で言い切ると血混じりの咳をした。
 近くのまだ破壊されていないガラスケースを指さす。
 その先には緑色の液体の入った瓶が一本だけあった。
 極生命水。とラベルがされている。
「あの薬を飲んでその右腕を治療しなさい。貴女は選ばれた者です。選ばれし武具です。選ばれた一級の武具は常に最高の状態でなくてはならない」
 それは宝物室室長としての言葉だったのだろう。
 人の命をあっけなく切り捨てる人物ではあったが、その命の軽視には自分の命すらも含まれているのだ。
 自分の胸の穴よりアロンダイトの負傷を優先すべきと判断した、
「………………………」
 この人物を断罪することはできない。
 アロンダイトの心の中からキトに対する怒りはいつしか萎えていた。
 代わりにこんな人をこれ以上、生み出してはならないと強く思った。
 やはり、ハルモニアに正しさはない。
「この薬はあなたが使ってください」
 アロンダイトは取り出した生命水を横たわるキトの傍らに置いた。
「なっ、止めなさい! その右腕でどこに行くのです!」
 今度はキトが動揺する番だった。震える手で生命水の瓶を掴むと背を向け部屋を出るアロンダイトへ差し出す。

620pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/18(日) 16:07:57
アロンダイトは振り返らずに言う。
「私は負けません。生きてここを出て、トレイセーマへ帰ります」
 それは静かな決別の言葉だった。
 その言葉に込められた思いを多少は感じ取ることができたのかキトは黙り、その背に謎かけのような言葉を贈る。
「貴女は百人の人を生かすためにその中の三人を犠牲にしなければならないとわかれば私は吟味して三人殺します。貴女はどうしますか?」
 それはキトなりの殺し文句だったのだろう。
 対して、アロンダイトはきっぱりと答え、去っていった。
「百人の人に任せます」

 例え誰かが死ななくては全滅するのだとしても、死ななければいけない誰かを本人の意思を無視して他人が選ぶのは間違っている。全員がそれぞれの判断で生きるか自己犠牲かを決めるべきだ。
 そう思う。

621pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/18(日) 16:09:19
今回はここまでです。次がラストバトルなのでもうすぐ終わります

622方天画戟と未来日記:2019/08/18(日) 16:10:15
『方天画戟と未来日記』


青龍偃月刀「さあ、勉学の時間ですよ」

方天画戟「知るかバーカ!」(スタコラサー)

青龍偃月刀「あ、逃げるな!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



方天画戟「うっせーんだよな青龍のヤツはよ。いつも勉学勉学と……ん? なんだこのノート。誰か落としたのか?」

リットゥ「あ、方天画戟! 見つけてくれたのか! ありがとう!」

方天画戟「なんだなんだ展開が早いな。おまえのノートか?」

リットゥ「厳密には私ではないんだが。とにかくずっと探してたんだ。見つけてくれて嬉しいよ。さ、それをこちらに……」

方天画戟「やなこった」

リットゥ「な、落とし物を拾ったら持ち主に届けなきゃいけないんだぞ! いいから渡せ!」

方天画戟「未来の覇王が拾ったもん簡単に渡すかよ。ほーれ、悔しかったら取ってみろ」(身長175センチ)

リットゥ「くそっ! 持ち上げるなんて卑怯だぞ!」(身長165センチ)

方天画戟「あっはっは!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



方天画戟「で、なんなんだこのノート。なになに、『8月18日午後 ナーゲルリング。リンゴ狩りに行くが脚立を忘れた』。なんだこりゃ。日記か? それに日付が今になってるぞ」

リットゥ「実際にそれが書かれたのは何日も前なんだ」

方天画戟「ふーん。予言書ってやつか。それにしてもリンゴって夏の果物だったか……?」

リットゥ「予言は絶対だぞ」

方天画戟「ま、とりあえず行ってみるか」


(数10分後)


方天画戟「ホントだったな」(リンゴがりがり)

リットゥ「いや驚いたよ。お前人助けとかするんだな」

623方天画戟と未来日記:2019/08/18(日) 16:10:47
方天画戟「勘違いするなよ。手が届いたからついでに取ってやっただけだ。ていうかおまえなんでついて来てるんだ」

リットゥ「お前がノート返さないからだろ! い、いやいい。ところでそのリンゴ。そんなにたくさんあるなら一つくれないか? がっつくようだが好物なんだ」

方天画戟「おまえ、地元でさんざん食ってんじゃないのか?」

リットゥ「いや、私は守護者だから自分が守ってるもの自分で食べてたら本末転倒というか……そもそもエデンの果実ってリンゴじゃないっていうか……」

方天画戟「おっしじゃあ次行くぞー」

リットゥ「聞けよ」

方天画戟「この本によると、『方天画戟、最大の敵と出会う』とある。時間はこの後すぐ」

リットゥ「ふむ。予め知っておけば覚悟ができていいな」

方天画戟「いや、オレはむしろ自分から挑みに行くぜ! そう、覚悟をもって危機を受け入れるのではなく危機に挑みに行くんだ!」

リットゥ「おお、いい心がけだ」

方天画戟「やあやあ! オレを殺せる者はいるか!」

青龍偃月刀「ここにいるぞ!」

方天画戟「げぇっ! 青龍!」

リットゥ「なんだ逃げるのか方天画戟。覚悟は幸福だぞ」

方天画戟「こんな最大の敵はいらねえよ!」

青龍偃月刀「こら、逃げるな方天画戟! 貴方が立派な武将となるためにこの私が直々に指導をすると言っているのですよ!」

方天画戟「紙と筆はオレには向いてねーんだよ! だいたい勉学ってなんのためにするんだよ!」

青龍偃月刀「勉学はなりたい自分になるためにすべきことなんです! 貴方は覇王になりたいのでしょう! 愚行移山、面壁九年!」

方天画戟「うるせー頭でっかち! 漢字使えば頭よく見えると思ってんだろ! 世の中強けりゃいいんだよ!」

青龍偃月刀「そんなことでは最低最悪の魔王になっちゃいますよ! …………むぅ、逃げられましたか」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



方天画戟「はぁ、はぁ……そんなことない。オレは最高最善の魔王になるんだ」

リットゥ「なんか違う気がする」

方天画戟「間違えた。混沌の世を制する覇王だった」

リットゥ「そこお前のアイデンティティだろう。間違えるなよ」

方天画戟「青龍に乗せられたんだよ。それはともかくリットゥ。オレにはこのノートの使い方がわかったぞ」

624方天画戟と未来日記:2019/08/18(日) 16:11:22
マスター「いや今日も方天画戟のおかげで助かったよ。次の戦いもよろしくね」

方天画戟「はっはっは。これからもオレにどーんと任せておけ」

リットゥ「うまくやったな」

方天画戟「そりゃそうだ。つまりこのノート、書いてあることは変えられないけどそれに対する準備だけはできるってやつだろ。なら普通に準備していればいいだけだ」

リットゥ「そうだな。異族の大群が来ると書いてあればその時間にこちらもキル姫を揃えて待ち構えればいいし、誰かがケガするとわかれば生命水を準備してすぐに回復されれば感謝されると」

方天画戟「そういうことだ。よーし、オレはこのノートで新世界の覇王になる!」


(数週間が過ぎた)


方天画戟「この本によると次の戦いでは剣を持った異族が大量に来るらしい。弓と銃を揃えなけりゃ」

リットゥ「お前顔色悪いぞ。働きすぎだ」

方天画戟「そうもいってられねえよ。日に三十時間の準備行動という矛盾を可能にするくらい動かないとこの本に書かれた予言に対応しきれないだろうが」

リットゥ「待て、中にはフェアリーが期限過ぎて使用不能になるとかいうしょうもないのもあるし。そんなのにもいちいち対応してたら身が持たんぞ」

方天画戟「そこから致命的なことになるかもしれないだろ。とにかく準備しないといけねーんだよ」

リットゥ「方天画戟……お前」



青龍偃月刀「方天画戟」

方天画戟「なんだ青龍。悪いがおまえに構っている時間はねーぞ。来週新しい姫が入ってくる前にマナシード集めなきゃならねえんだ。百個くらい」

青龍偃月刀「勉学をしましょう」

方天画戟「オレの声が聞こえなかったのか?」

青龍偃月刀「たしかに最近の貴方の働きは知っています。隊は前より強くなったし皆も喜んでいます。貴方の貢献もマスターの耳に届いているそうで近々なにか役割が与えられるそうです」

方天画戟「いいことじゃねえか」

青龍偃月刀「貴方がよくないのです。貴方が常々言っていた覇王ってそんなものなんですか。今の貴方って本当に貴方が夢見た貴方なんですか?」

方天画戟「さぁ? 知らねえ。とにかくオレはやらなきゃいけないことが」

青龍偃月刀「方天画戟、貴方はどんな覇王になりたいのですか?」

方天画戟「…………」

青龍偃月刀「わからないなら勉学しましょう」

方天画戟「勉学ってなんのためにするんだよ」

青龍偃月刀「勉学はなりたい自分になるためにすべきことなのです」

青龍偃月刀「方天画戟、貴方はどんな覇王になりたいのですか?」

625方天画戟と未来日記:2019/08/18(日) 16:12:02
リットゥ「方天画戟……」

方天画戟「寝る」

リットゥ「そうか」

方天画戟「なあ、最近のオレってなんか違うよな。よく考えたら覇王ってあんな敵が来る前にチマチマ備えなくて行き当たりばったりにドーンと勝つイメージがあるっつーか」

リットゥ「そうだな。私もどちらかと言うとそんな感じが」

方天画戟「だからこの本はもうオレにはいらねえや」

リットゥ「おお! ついにか!」

方天画戟「ああ、決別の意を込めて」(びりびりびり)

リットゥ「返して…………………は?」

(ノートが縦裂きにされて紙片がひらひら宙を舞う)

リットゥ「ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

方天画戟「どうしたリットゥ。突然大声出して」

リットゥ「……………終わった」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



リットゥ「……かくして方天画戟は普段通り覇王目指して青龍偃月刀から逃げ回る日々に戻り……そして君の日記帳はびりびりに破れましたとさ」

セファー「えぇ……。それわたくしだけ損してません?」







セファー・ラジエール
・過去現在未来含むあらゆる知識を書き記した本。



『終わり』

626名無しさん:2019/08/18(日) 18:40:09
これいいな
センスを感じる

627名無しさん:2019/08/18(日) 19:11:40
未来日記!

628名無しさん:2019/08/18(日) 19:34:00
面白かったわ・・・

629名無しさん:2019/08/18(日) 20:40:02
今回いつにもましてパロディネタ多いのね

630パンデミックラブポーション:2019/08/19(月) 06:27:34
【パンデミックラブポーション】①

ある日、それは完成した。
彼女は自らの技術によって作られた大発明をみながら満足げに頷く。

パラケルスス「遂に完成した。存外、調合は難しかったがな」

彼女の後で青狸の秘密道具のテーマでもながれそうなほどに高らかに掲げたそれは、コルクで蓋をされた試験管だった。
試験管のなかにはピンク色の液体が泡をたてて揺らめいている。

パラケルスス「さて、問題はこの惚れ薬をどうするかだが・・・どうしようか?」

惚れ薬を興味本位で作ったは良いが、使用方法までは考えてなかったらしく、パラケルススは椅子に深く腰かけて思考を巡らし始めた。

パラケルスス「使うか?・・・いやいや、私が使うのは、その・・・そういうのは違うと本で書いてあったし、マスターとはプラトニックな関係でありたいというか・・・しかし、周囲には私など及ばない魅力的なキル姫が多いわけなわけで・・・いや、だが・・・」

彼女は深く考え込み始めると回りが見えなくなる。今回はかなり考え込んでいるようで、その時間は数分にも及んだ。そしてーー

パラケルスス「なに!?薬がなくなっている!?馬鹿な、いったいどうして?」

パラケルススが気付くと惚れ薬は忽然となくなっていた。
周囲を見渡して見ると、窓と実験室の扉が開いているのに気付く。

パラケルスス「実験室の窓は前もって開けていたが、実験室の扉は確かに閉めていた。ということはつまり誰かが持ち去ったのか?」

パラケルススはズラリと並んだ試験管の中から黄色い液体の入ったものを取る。入り口に詰めていたコルクを引き抜き床に黄色い液体をまいた。
この黄色い薬はパラケルススが開発した魔道具の一つで映歴ボトルといい、数分前の過去の映像の一部を映し出すことができるものだ。
映歴ボトルの黄色い液体は一瞬で蒸発し、液体から発生した煙が部屋に充満していく。それは次第に人の形を形成していき、一人の少女のシルエットを型どった。

パラケルスス「・・・なるほど、そういえば薬のいくつかを彼女にあげる約束だったな。色も確かに伝えたが、まあ確かに間違う色をしているか・・・まあいい、彼女を取り合えず訪ねるとしよう。・・・間に合えばいいのだがな」

パラケルススは着ていた白衣を脱ぐと、急いで映像に映し出された彼女の部屋に向かった。

631パンデミックラブポーション:2019/08/19(月) 06:36:12
>>630

【パンデミックラブポーション】②

???「でぇ!?私が間違って貴女の薬を持ってったって言うわけぇ?」
パラケルスス「ああ、そうだグリモワール。映歴ボトルで確認した。それで君の姿が映ったのだ、君以外に持っていっていた人物はいない」
グリモワール「知りませんわ、そんな薬。私が持ってったのは赤の薬だもの、間違いないわ」

映歴ボトルに映し出されたのは特徴的な服と、くるくるとロールしたツインテールだった。どう考えてもグリワール以外に考えられないシルエットであり、パラケルススは彼女に惚れ薬のありかを聞くのだが、彼女は知らないと返していた。

パラケルスス「君を信用していないわけではない。だが、万一の勘違いというのもある。薬を確認させてくれないか?」
グリモワール「・・・わかったわ。でも、なんだって言うの?その、ピンク色の薬ってやつ」
パラケルスス「あ、いや、それは・・・だね」
グリモワール「あーいいわ。その反応を見ただけで、まーた変な薬作ったってわかりましたしぃ」

グリモワールは部屋の中央に立ち詠唱を唱える。すると、足元から魔法陣が現れ、そこから3本の試験管が茸のように顔を出した。
グリモワールは3本の赤い試験管を拾ってパラケルスス目の前に突き出す。

グリモワール「ほら、これで全部よ。それによくみなさい。ちゃんとビーカーの中身は赤色でしょ?」
パラケルスス「確かに、なくなった赤色のビーカーの数は合う。だが・・・」
グリモワール「なぁに?私がピンクのビーカーを隠してるって言いたいの?」
パラケルスス「正直、その可能性は否めないが、そうでないとすれば・・・いったいビーカーはどこに?」
グリモワール「さぁ?他の誰かが持ってちゃったんじゃない?それか、貴女が気付かずつかちゃったとか」

しばらく思案するパラケルススを余所に、グリモワールは赤のビーカーをそのまま魔法陣へと落とす。ビーカーは魔法陣のなかに消えていった。

グリモワール「それよりもうお昼よ、ご飯食べに顔出さないと、またマスターが心配してしまいますわよ」

グリモワールはくるりと回り優雅にスカートを靡かせると魔法陣は消失する。そのまま部屋からでようと、自室の扉へと手をかけようとした瞬間、それは起きた。

???「うわああああああああああ!?」

宿舎に木霊する男性の悲鳴。

グリモワール&パラケルスス「マスター!?」

二人はその悲鳴がマスターのものであると察する。
彼女達は急いで悲鳴の下へ駆け出すのだった。

632パンデミックラブポーション:2019/08/19(月) 06:43:16
>>631

【パンデミックラブポーション】③

マスター「パ、パラケルスス!グリモワールも!良かった君たちは無事だったんだね!」

自らの魔力で探知したグリモワールは即座にマスターを見つけ、パラケルススと共に合流を果たした。
マスターは珍しく憔悴しているようで、どこか怯えているようでもあった。

マスター「じ、実は、み、みんなが!みんなが!」
パラケルスス「お、落ち着けマスター。君らしくもない。異族でも襲撃してきたのか?」
マスター「いや、そうじゃない!そうじゃないんだけど・・たぶん、それよりも厄介なことが起きてるんだ」
パラケルスス「大変なこと・・・っと、なんだこれは?」

ずしん、ずしんと断続的な地震でも起きているかのような感覚に襲われるグリモワールとパラケルススは顔を見合わせる。
目の前の廊下の角に明らかに異常なにかが近づいてきている気配に臨戦態勢をとった。

グリモワール「えぇ!?フライシュッツ!?なにこれどういうこと!?」

そこから現れたのはフライシュッツだった。いやフライシュッツなのかと疑問に思うほど、明らかにその風貌は様変わりしていた。
簡潔にいうなら太っている。否、それだけではない。太っている上に巨大化しているのだ。
訳がわからない異常な事態に、グリモワールはドン引きしていた。

フライシュッツ「マ〜スタ〜く〜〜〜〜〜ん!こ〜こ〜に〜いたんだ〜〜!」

ずしんずしんと巨大シュッツが近づいてくる。
この場の3人はフライシュッツの抱き付き癖を知っているからこそ、次にする行動は決まっていた。

マスター「逃げるよ!二人とも!」
グリモワール「と、ととと、当然ですわ。あんなのに抱きつかれたら死んでしまいますもの!」
マスター「ごめん。シュッツ!本当にごめん!」
パラケルスス「訳がわからないな。いったいどうしてこんなことになったんだ?」
マスター「いまはそんなこと考えてる場合じゃないよ!」

3人はフライシュッツを背に逆方向に全速力で走り出す。
幸いにもシュッツは廊下を上手く移動できなかったらしく、まくことは自体は簡単だったが、マスターは遠ざかっていくフライシュッツが心配だった。

フライシュッツ「マスタ〜く〜〜ん!待って〜〜ハグさせてよ〜〜〜〜〜」

マスターからは彼女の姿は見えなくなってしまっていたが、フライシュッツの野太くなった声が、ただただ虚しく廊下に響くのだった。

633名無しさん:2019/08/19(月) 17:50:07
SSと小説の境目みたいな印象

634名無しさん:2019/08/19(月) 18:19:11
フォルカスメインのSSってありましたっけ?

635名無しさん:2019/08/19(月) 18:23:52
なかったと思うよ

636名無しさん:2019/08/19(月) 18:31:05
フォルカスがメインのSS書いて欲しいですねー 仮にも殿堂入りしたキャラなので良いと思うのですが如何でしょうか?

637名無しさん:2019/08/19(月) 18:39:32
お前が書くんだよ(迫真)
いやー、でもss書くって結構労力いるよ?7割がた書いたけどまだ終わらなくて心が折れそう……

638名無しさん:2019/08/19(月) 18:44:20
お疲れなりよ(´・ω・`) っ麦茶

639名無しさん:2019/08/19(月) 18:44:32
やはり管理人はクオリティで選んでるな

640名無しさん:2019/08/19(月) 18:49:25
今回の人のpixivであげてるからまとめないものかと思ってた

641名無しさん:2019/08/19(月) 18:51:38
クオリティの低い俺のは一生まとめに上がらないことが確定した
クオリティってなんだろう?俺はクリティカルしか知らない

642名無しさん:2019/08/19(月) 19:00:58
そりゃあからさまおっぱいの記事ばっか推してロリコンの風評被害記事なんて書こうとせんよ

643名無しさん:2019/08/19(月) 19:08:09
責任転嫁の時間?

644名無しさん:2019/08/19(月) 19:14:30
俺は今自分の文章を書く力のなさを戒めいている時間

645名無しさん:2019/08/19(月) 19:32:06
クオリティの問題ならなんでアルマスやティルの好評だったSSはあがってないの?

646名無しさん:2019/08/19(月) 20:04:24
管理人ちゃんさんもっとSSの記事も上げてくれなりよ(´・ω・`)

647名無しさん:2019/08/19(月) 20:06:04
逆にこういうことになるのならSSは記事にしないほうがいいのではと思えてきた

648リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/19(月) 20:33:41
何か書こうと思ってます
候補で気になるのがあれば

・ホラーハウスの続編
・ガチ百合ディスラプ(もちろん描写無し、ギャグ寄り)
・イナンナシスターズ
・キョヌーとヒンヌー 海上編
・妹が好き過ぎる件
・姉が好き過ぎる件
・既存の物語(昔話など)のパロ

全部は無理
時間はかかるかも

649名無しさん:2019/08/19(月) 20:35:50
マ?ディスラプ見たい見たい

650名無しさん:2019/08/19(月) 20:39:27
ディスラプは需要ある

651名無しさん:2019/08/19(月) 20:42:19
僕は王道を往くぅ……ガチ百合ディスラプですか。でも作者さんが書きたいやつが一番最初に書けばいいんやと思うで

652名無しさん:2019/08/19(月) 20:42:31
>>647
俺もそう思ってきた

653名無しさん:2019/08/19(月) 21:10:46
きょぬーとひんぬー

654名無しさん:2019/08/19(月) 21:59:08
百合ディスラプ…いいっすねえ

655パンデミックラブポーション:2019/08/19(月) 22:06:42
>>632

【パンデミックラブポーション】④

3人はフライシュッツから逃げおおせると、宿舎から離れたパラケルススの工房へと逃げ込んでいた。

パラケルスス「まず状況を整理しようか」
グリモワール「そうね。そうした方がよさそう」
パラケルスス「まず、どういった経緯でああなったかを聞きたい。マスター話せるか?」
マスター「うん、大丈夫。話せるよ」

深呼吸をして先程まで乱れていた呼吸を整えて、マスターは語り出そうとした。その時、扉をノックする音が部屋に響く。
一瞬、3人は体を強ばらせる。当然だ。外には原因不明で巨大化したキル姫がいるのだから、このノックの相手が巨大化したキル姫である可能性は低くはない。

パラケルスス「誰だ?名を名乗りたまえ」

ドクンドクンと早鐘を打つ心臓を抑えて、彼女達は来訪者の返答を待った。

???「私です。ミネルヴァです。その声はパラケルススですね?すみませんが扉を開けてはもらえないでしょうか?」

声の主はミネルヴァのものだった。
巨大化の影響を受けたもの特有のふとましい声はなく、彼女はなんの影響も受けてはいなさそうだとマスターは安心して扉を開けようとしたが、それをパラケルススは制止した。

パラケルスス「マスター、扉を開けるのはまってほしい」
マスター「どうして?早くミネルヴァも中にいれてあげないと危ないし、外の巨大化キル姫に見つかっちゃうよ」
グリモワール「そうよ!入れてあげない理由がないわ」
パラケルスス「それは確かにそうだがね。彼女が彼女である確証がない。今は非常時だ慎重に慎重を重ねる必要がある」
グリモワール「だったら、どうするって言うの?」
パラケルスス「私の仮説が正しければ・・・この確認の方法で問題ないはずだ」

パラケルススはミネルヴァ?にニケを先導して中に入ってもらうことを提案する。
ニケはミネルヴァのキラーズと繋がっている梟であり、彼女の最友のパートナーでもある。
彼女が偽物であればニケを寄越すことはできず、仮にミネルヴァ本人が巨大化の影響を受けているのならばミネルヴァのキラーズと繋がっているニケも巨大化して然るべきだ。
ならば当然、パラケルススの工房に出入りするなどできはしない。全ての窓と扉を締め切った状態で侵入できる場所は煙突の隙間だけ。
パラケルススはミネルヴァに煙突を通って中に入って貰うように頼んだ。

ミネルヴァ?「わかりました。ニケを先行させますね」

ミネルヴァ?はマスターたちに聞こえるように言う。その十数秒後、ニケが煙突から姿を現した。
ニケはパラケルススに向けてやや不満そうにホー!と鳴いたあと、グリモワールの膝元に着地する。

グリモワール「もう、ニケったら〜。これでわかったでしょ、ミーネは安全よ入れてあげなさい」

グリモワールは自分の服が汚れることも気にせず、事前に用意していたタオルでニケの体を優しく拭いてあげながら言う。

パラケルスス「む、そうだな。ミネルヴァ・・・疑って悪かった」

パラケルススはそういうと、扉にかけられた施錠魔術を解除する。しかし、彼女は警戒を解いてはいない。
マスターもまた、ごくりと唾を飲み込んでミネルヴァであろう来訪者が入ってくるのを待つ。

ミネルヴァ「みなさん、ご無事だったようですね。顔を見て本当に安心しました」

いつもとかわらない姿のミネルヴァは、心から安心をしたようでほっと胸を撫で下ろした。

パラケルスス「あらためてすまない、ミネルヴァ」
ミネルヴァ「いいですよ。こんな状況です、私だって同じ場面に遭遇したら同じことをしたと思います」
パラケルスス「そうか、そういってもらえるとこちらとしても助かる」
グリモワール「まあ、私はミーネがあんな風になるようなヘマしてるとは思いませんでしたけどね」
ミネルヴァ「それはありがとうグリモ。貴女の信頼が私は凄く嬉しいです。それと、ニケを洗ってくれてありがとうございます」

裏のない無垢な親友の笑顔を向けられ、照れを隠せないグリモワールは先程まで洗っていたニケを手放す。
ニケは満足そうにホ〜ゥと鳴くと、ミネルヴァのマフラーのなかへと戻っていった。

グリモワール「そ、それほどでもないですわ。それより、この事件私たちで手早く片付けてしまいましょう。なーに心配は要らないわ、ミーネと私、パラケルススにマスターがいるんですもの、すぐに解決して見せるわよ」
パラケルスス「そうだな。では、まずは情報交換と整理からだな。各自、自らの見たもの聞いたものを何でもいい、言っていってくれ」

656名無しさん:2019/08/19(月) 23:10:33
ディスラプは王道やな

657名無しさん:2019/08/19(月) 23:29:28
>>655
やっぱ前回のあれで終わりはちょっと変だなと思ってたんだ。続きあってよかった

658名無しさん:2019/08/20(火) 00:15:30
>>648
妹が好きすぎるってファンキルでは珍しいなって。だからこれ読みたいです

659リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/20(火) 01:47:31
いただいた要望を参考にします
順次投稿していきますので気長にお待ち下さい

660名無しさん:2019/08/20(火) 07:05:36
楽しみに待ってます!

661名無しさん:2019/08/21(水) 21:31:12
パンデミックラブポーションおもろい
続き待ってます

662パンデミックラブポーション:2019/08/21(水) 23:36:56
>>655
【パンデミックラブポーション】⑤

マスターと3人のキル姫は互いの情報を交換した。
第一に、事件は食堂で起こったらしい。マスターは何人かのキル姫と一緒に、いつも通りの時間に昼食を食べていた。
異変に気付いたのは昼食を開始してしばらくしてのこと。突然一人、また一人とキル姫が苦しみ始めた。
マスターは料理に毒でも盛られたのではないかと考えはしたが、自分も同じ料理を食べていたし、周囲にもそのようなそぶりをしたキル姫はいなかったのだと言う。
そしてキル姫達が苦しみ出して数秒も経たないうちに変化が起きた。その場にいた全てのキル姫がフライシュッツのように巨大化していったのだ。
マスターは目の前の状況に困惑こそすれ、対応をしようとしたのだが最初にマスターを視認した巨大なフライシュッツに抱きつかれそうになり、このままでは確実にヤられると思い逃げ出して現在に至っている、というのがマスターの経緯だった。

パラケルスス「マスターを除いて全員が巨大化したのか」
グリモワール「荒唐無稽な話ね。ま、実際問題起こってるのだから信じるしかないけれど」
マスター「そうだね。僕もこの目を疑ったよ」
ミネルヴァ「何か他に変わったことはありませんでしたか?マスター」
マスター「んー、そうだね。シュッツは目が虚ろだったというか、焦点があってなかったというか、キル姫が暴走したあの感じに似てたかな」
パラケルスス「ふむ・・・暴走状態・・・・・・」
マスター「それと、シュッツの顔が紅潮してた・・・と思う。それと、何度呼びかけてもマスターくんハグハグ言うだけで、僕の声が聞こえてなかった感じだったなぁ」
ミネルヴァ「フライシュッツが、ですか?彼女は確かに、好きな相手ハグをすることが大好きですが、それでも良識はあります。普段の彼女なら、自分が巨大化した状態でマスターにハグをすればどうなるかわからないはずはないと思うですが・・・」
マスター「そうなんだよね。まるで何かにとりつかれでもしている感じだった」
グリモワール「霊的なものも、魔術的な干渉もなかったようだけど?それに、仮にキル姫数人をあんなふうにした原因が魔術や霊的な何かなら私以前に他のキル姫が気づくはずよ」
パラケルスス「・・・・・・」

3人の会話を聞きながら、パラケルススは先程制作してなくなった薬について考えていた。おそらく、いや間違いなく原因はこれであるだろうという直感が嫌な悪寒と共に彼女を襲う。

663パンデミックラブポーション:2019/08/21(水) 23:40:29
>>662

ミネルヴァ「パラケルスス?何か気付いたことでも?」
パラケルスス「ああ、いや・・・・・・その、だな」

パラケルススの腹がきゅっと締まる。腹を下したかのような不快感で汗がダラダラ流れ出す。
今現状知り得た情報の中で、この事態を引き起こした可能性が最も高いのはパラケルススが作った惚れ薬だろう。
いまは仮定仮説の段階だが、この事件を解いていけば、隠したとしても少なからず惚れ薬の件が明るみ出てしまう。彼女はそれを避けたかった。

パラケルスス「(この二人なら、まだいい。・・・だが、マスターに聞かれるのは問題だ。何より・・・女の私が惚れ薬を作った。この隊に男は一人だけ。使用する気は全くなかったと言えば嘘になるが、それでも使う気はなかった。・・・だが、それでも、マスターに勘違いをされたら私は・・・)」

人として嫌われ慣れているパラケルススが唯一耐えられなくなってしまったこと。それはマスターから女性として自分が嫌われることだ。軽蔑、その言葉がこれほど恐ろしく感じられたことはない。
故に、パラケルススの沈黙した。次に話す言葉が見つけられなかった。

グリモワール「(でぇ!それが何か問題なわけぇ!)」

心配そうに彼女の言葉を待つだけの時間、それを破ったのはグリモワールだった。

グリモワール「(まどろこっしいわね!パラケルスス、貴女がどういう気持ちでいるかはそれなりにわかってるつもりよ、でもね、ちゃんと言って受け入れてくれないマスターだと思ってるわけぇ。それってマスターのこと信頼してるって言えるのかしら?)」

以前に霊的な通信手段として念話ができるようにグリモワールは各キル姫にレイラインを繋いでいた。
相手側に魔術的な素養がなければ片道のみの電話のようなものでしかないのだが、それを使ってグリモワールはパラケルススに語りかけている。

グリモワール「(ちゃんと話せばマスターだってわかってくれるし、許してくれるわよ。それにたぶんパラケルススが一番心配に思ってることは杞憂に終わると思いますの。だってマスター、鈍感でしょ?)」
パラケルスス「(そうだ。そうだった。・・・・・・ああ、そうだね君の言う通りかもしれない)」

大丈夫だ。何をもってしても異性にたいしてあまりにも鈍感であるマスターへの信頼は厚いのだからと、パラケルススは最友のキル姫の言葉で一本踏み出すことを決意した。

パラケルスス「・・・実は、つい1時間ほど前のことなんだが」

惚れ薬の件を話した結果、マスターには呆れられもせず、逆に心配される羽目になった。
その後の流れで当然のようにパラケルススの心配は杞憂に終わったわけだが、パラケルススが少し不服そうに頬を膨らませたのをグリモワールは見逃さなかった。

664名無しさん:2019/08/22(木) 06:51:32
1回で書ききろうよ

665名無しさん:2019/08/22(木) 06:56:04
ほならね、書けもしないくせに黙ってろ

666名無しさん:2019/08/22(木) 07:04:40
みんながみんな一回で全部書ききれると思うなよ

667名無しさん:2019/08/22(木) 08:13:22
長編だってあって良いやろ…

668名無しさん:2019/08/22(木) 12:24:03
グリモが出てて気づいたがセブンスメンバーって今まであんま登場しないよね。書きにくいのかな

669名無しさん:2019/08/22(木) 13:12:26
普通書きためるんじゃないんか・・・?

670pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/22(木) 15:08:35
「あれ?」
 もはや戦場は船の甲板だけに留まらず地上も広がりつつあった船外の戦いであったが、一つの決着がつきつつあった。
「ケイオスリオン兵が、消えていく」
 乱戦の中での呟き。
 その数秒後には一帯を黒く埋め尽くすほどにいたケイオスリオン兵たちは半数以上が霧か霞のように姿を消していた。
「おい、見ろ! あれ!」
 誰かの声に反応してハルモニア兵もケイオスリオン兵も顔を上げた。
 ケイオスリオン兵たちが乗ってきた海賊船が、マストは折れ曲がり大砲は錆び付き割れていき、みるみるうちに朽ち果てて萎んでいく。
 それはまるで木材が風化して砂になる様子を早回ししているかのようだった。
 そして数秒後には海賊船があった場所には箱を横倒しにして車輪をつけたようなみすぼらしい輸送車が残った。
「な、なんだこれ?」
 ケイオスリオン兵たちに動揺がはしる。
 彼らには知らされていないことだったがケイオスリオン兵たちは実際の人数よりも多く見えるように幻術で偽装をされていたのだった。
 そしてそれは彼らが乗ってきた海賊船に関しても同様。その正体は小さな輸送車だった。
 その幻術をかけていたオティヌスという斬ル姫が戦闘が始まって早々に離脱した以上、その幻術も長くはもたない。
 短期決戦で勝負をつけられなかった以上幻術は解け、あとに残されたのはハルモニア兵が圧倒的に人数において勝る戦場のみ。
 結果としてケイオスリオンの有象無象たちは、数秒呆けた後、

「……え?」「なんか仲間がだいぶ減ったんだが?」「—―――それに船もだいぶ小さくなって」「幻術?」「そういやそんなのが得意な斬ル姫が貸し出されてるとか聞いたような?」「今はどうしてるんだソイツは」「帰った」「えっ?」「この状況俺ら不利じゃね? なんか白いのに囲まれてんだけど」「どーすんだこれ?」「いやもう無理じゃねってやつ」「なーんだ」「がははは」
「…………………………――――――――――………………………」

 一気に沈黙が広がったケイオスリオン兵たちにハルモニア兵たちは囲んで無言で武器を突き付ける。
「その命、神に返しなさい」
「う、わああああ―――――ああああああああ――――――――っ!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 こちらは船内。
「おう、ようやく見つけたぜ。いやこの場合、待ちくたびれたぜって言うべきなのか?」
 方天画戟は船の武器庫の一室にいた。
 横倒しにしたガラスケースに腰かけて、二メートルを超すハルバード状の長鎗を肩に担いでくつろいでいる。
 部屋に踏み込んできたアロンダイトに対して待ち合わせをしていた友達のように微笑みながら軽く手を振った。
「麻痺が解けてからおまえを探していろいろ動いたけど疲れたんで、ちょっと一休みしてたところだったんだ」
 方天画戟は無邪気に笑っているが部屋は悲惨の一言だった。
 破壊されていない箇所を探すのが難しい。元は鏡のように磨かれていた壁も床も天井も無数の穴が穿たれていて仕切りの役割を果たしていない。
 武器を保管していたガラスケースも残らず倒されていて中身の武具は飛び出してそこらに散乱している。
 それらの間を赤黒く染め上げている血溜りや肉塊はもちろん方天画戟のものではない。返り討ちにした船内のハルモニア兵のものだろう。原型を留めないほどに破壊されていたので何人が犠牲になったのかもわからない。
 それらの惨状をたった一人で作り出したのが方天画戟だ。
「この船の武器ってさ。全部いいやつだよな」
 そんな凶暴性を一切感じさせずに方天画戟は感心した風に足元に転がる槍を蹴った。

671pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/22(木) 15:10:01
「オレも他所の国の武器をじっくり見たのは初めてだけどよ。これがかなりの値打ちもんだってのはなんとなくわかるぜ。しかもこの船のどの武器も同じレベルの高級品だ。これ揃えたヤツはどんなヤツなんだ?」
「変な人ですよ」
「そっか。ま、何かを突き詰めたヤツってのは大概変なヤツだ」
 よっと。方天画戟はガラスケースから立ち上がって背筋を伸ばした。
「外はハルモニア兵の勝利でほぼ決まりですね。ほら、逃げていきますよ。あなたの仲間」
「おっ。そうだな」
 アロンダイトが指さした壁の穴の先を見て方天画戟も同意する。それを見てなお長鎗を構えた方天画戟にアロンダイトは問うた。
「もう軍としてのケイオスリオンに勝ち目はないと思いますが、なぜ戦う気満々なんですか?」
「? 戦いたいからに決まってんだろ?」
「理由になってませんよ?」
「そうだな……」
 ギンッ! と突然、アロンダイトの顔面を狙って刺突が放たれた。アロンダイトは左腕で大剣を振るいそれを打ち払う。
「オレは勝つのが好きなんじゃねえ! 戦うのが好きなんだよ!」
 方天画戟は打ち払われた勢いを利用して長鎗を一回転させ柄の部分でアロンダイトの側頭部を横殴りにした。アロンダイトの頭が勢いよく弾かれ体ごと横に飛ぶ。
「ああ? よく見たらおまえ右腕動かねえじゃねえの。可哀そうに。そこらに生命水転がってるから飲むといいぜ。全部割れて中身流れて天使人どもの血とブレンドされてるからさぞ美味いだろうよ!」
 口ではいろいろ話しているがその間も攻撃の手は一切緩めない。
 かろうじて刃だけは防いでいるが柄と石突きによる打突と殴打は避けようがなかった。嵐の中の木の葉のように翻弄され体がボロボロになっていく。
 鎗が容赦なく振るわれるたびにごん、ごん。という鈍い音とアロンダイトが痛みに呻く声が武器庫に響いた。
「腕一本でオレに勝とうなんざ百億年早ぇんだよ!」
 ぐりィ、と石突きをアロンダイトの腹部にめり込ませ。そのまま力任せに持ち上げ放り投げる。アロンダイトの体は床に何度かバウンドすると床に空いた穴に引っかかるようにして動きを停止した。
「うっ……あぁっ……!」
 落下の衝撃で肺から空気を絞り出されてもなお、アロンダイトは立ち上がる。
「……わた、しはっ! あなたを越えて……生きて帰る!」
 黒く焦げた右腕はだらりと垂れて動かないただの重し。
 足も顔も激しい殴打や先の戦闘の影響で痣や傷だらけ動きもかなり鈍い。
 ただ一つ残った左腕一つで大剣を持ち上げ目の前の敵へ突き付ける。
「絶対に、諦めない!」
 
「殺したい顔だ」
 方天画戟の頬が釣りあがる。
 彼女の首筋をぞくぞくとした快感に限りなく近い何かが走り去り後に残ったのは凶暴な歓喜だった。
「いいな! オレはそういう目をした敵が好きなんだ殺すぞ!」
 最上級に高ぶった興奮の赴くままに方天画戟はオオカミのように身を屈めアロンダイトに突撃した。

 方天画戟とアロンダイトの距離。四メートル。
 それは斬ル姫なら一秒もかからずに詰められる距離。

 アロンダイトは思う。
 自分はまだ何もわかっていない。
 この世界のことも、理想社会についても。
 ただ否定する。ハルモニアの選民思想も、トレイセーマの平等主義も。何が違うのかはわからないが、何かが違うという確信がある。
 それを見つけたい。やがて自分なりの答えを導き出したい。
 だから、今ここで負けるわけにはいかない。
「あぁあああああああッ!」
 だから、叫んだ。
 自身の祈りを、決意を、未来をかけた一撃を放つために。
「はぁああああああああああああああ――――――ッ!」

 ―――――キィン!

 瞬間、透き通るような青色の輝きが大剣から放たれた。

672名無しさん:2019/08/22(木) 15:10:36
「なに……?」
 方天画戟の顔が初めて驚愕に歪む。
 隻腕で振るわれた剣が方天画戟の全力の一撃を受け止めていた。
「……っ」
 危機を感じたのか方天画戟が獣じみた動きでアロンダイトから距離を取る。
 大剣から漏れ出すように放たれている青色のマナは、形を変えて螺旋を描いていく。
 大剣の刃に巻き付くように、ぐるぐると巻き上っていく。
 やがて青い光は剣を覆い尽くし、その形を円錐状に変形させる。
「剣が、伸びた? いや違うな……あれは」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

純潔たる騎士の刃(アロンダイト)
・攻撃時に確率発動。運を物攻に上乗せした三百%威力の攻撃を繰り出す

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 その剣はケイオスリオン出身の方天画戟から見れば大きく太い鎗に見えただろう。だが遥かに技術の進んだトレイセーマ出身のアロンダイトに言わせれば見当違いもいいところだ。
 掌の先でゆっくりと回転を続けるそれは例えるならば巨大な削岩機、パイルバンカー、またはドリルと呼称するべきだろう。
「はぁあああああああああああああああああぁぁ―――――ッ!」
 アロンダイトは途轍もない勢いで突進した。
 それはさながら敵陣を食い破り包囲を突破する騎馬兵。一角獣のように大剣を真っすぐ突き出して、咆哮とも絶叫とも取り難い勢いのままに湖の騎士は床を蹴る。
 一瞬後、長鎗と大剣が激しくぶつかりあった。
「……はっ! ははは!」
 今度は方天画戟が受け止める側だった。
 禍々しい黒いマナに染まった長鎗を刺突の姿勢で突き出して、真っ向から青いマナを纏った大剣を迎え撃つ。
「はははははは! なんだおまえ! こんな力どこに隠してたんだよ!」
「あぁぁあああぁぁああああぁ――――ッ!」
 アロンダイトの大剣を覆う青いマナが回転している。
 円錐の形になったマナがドリルのように身を捻らせているのだ。その勢いとエネルギーは凄まじく方天画戟の体がじりじりと押し出されていく。
 ギャァルルリリリリリリリリリリィ! と火花を散らせながら黒と青のマナが互いにせめぎ合う。
 均衡を破ったのは方天画戟の方だった。
「うだらぁッ!」
 長鎗が赤黒い雷光を迸らせ、大剣を真上に弾く。
「うっ……」
 直後、ガラ空きになったアロンダイトの腹部に方天画戟のつま先が打ち込まれていた。方天画戟の投石機のような脚力で彼女の体は上空へ吹き飛ばされる。
 アロンダイトの体は天井に空いていた穴を潜り抜け船外へと射出された。
「やべぇっ!? 外に……」
 方天画戟は焦って穴の真下に移動して上を見上げる。
 逃げられる。と思った。
 しかし、
「まだです! 方天画戟!」
 闘志なおも衰えず。アロンダイトは空中で身を翻し受け身をとりながらまだ大剣を手にしていた。
 構えは変わらず突き。落下の勢いをプラスした一撃で方天画戟を串刺しにするつもりらしい。
「はっ! おまえいいヤツだな!」
 方天画戟も迎え撃つ構えに入る。長鎗を上段に構え、落下してきたところの首を刈り取る姿勢。
 上昇した高度から判断するにそのタイミングは五秒後。

673名無しさん:2019/08/22(木) 15:11:13
 五。
 四。
 三。
「今です!」
「……あ?」
 さっ。と空中でアロンダイトが半身避けた。
 アロンダイトの体に隠れていた人物が現れる。
 背から広がる一対の大翼。炎のように赤い髪。ドレスのような純白の衣服。
 そして何より、その女性の構える美しい弓。
「シェキナー。聖鎖(ジェイル)名ラファエル。大天使の力、お見せしましょう」
 打ち出された矢は音速を超えて、方天画戟へ迫る。
「狙いはフェイントかこの野郎!」
 船の外ではケイオスリオン兵対ハルモニア兵。だがそこにはシェキナーもいたのだった。
 当然船内から斬ル姫が飛び出してくればそちらを見に行くこともあるだろう。
 まして、その真下に敵の斬ル姫がいれば問答無用で攻撃に移る。
 だが、その程度では足りない。
「るァアアッ!」
 バギン! と方天画戟の眉間を貫きかけた矢が長鎗の一振りで空中で四散した。
 たった一度の不意打ちでは方天画戟は倒れない。
「好機!」
 だが直後、アロンダイトが方天画戟へ到達した。
 くるくると、大剣を突き出し滴状の流線形になった体を回転させさらに加速した一撃が方天画戟に迫る。
「ぐっ……!?」
 シェキナーの矢の迎撃のために長鎗を振り切った直後で隙だらけだ。
 おまけに長鎗の射程距離である中距離ではなく。もはや剣の間合い、至近距離。
「う、ぅぅぅぅぅっ!」
 近すぎて、動かすことすらままならない長鎗を防御のために無理やり構えた。
 型も流派もあったものではない見苦しい防御の構え。
「決まりです!」
 当然。

 —――――斬!

 真っ二つになる長鎗。
 アロンダイトの一閃は方天画戟の長鎗を叩き切り。そのまま返す刀で切り込んだ。
 だんっ。大剣の勢いは方天画戟の胸板を貫いても止まらずその体をそのまま壁に縫い付ける。
「がッ―――――――」
 方天画戟が口から大量の血を吐き出した。
 激しく呼吸を乱れさせながらその両腕が鎗を探す。たまたま壁に立てかけてあったハルモニアの鎗を握れたがすぐに手から滑り落ちた。
 ケイオスリオンの彼女にはハルモニア製の武具は使えないのだ。
「な、なんの……ま、だ、ま、だ……!」
 方天画戟はぎこちなく体を動かしながら、自分を貫く刃をずぶずぶとさらに食い込ませ、一歩ずつアロンダイトへ近づいていく。
 そして大剣の鍔が皮膚に接するまで近づいたところで方天画戟は右の拳を振り上げた。
 アロンダイトは動かせない右腕。
 その腕が振るわれアロンダイトの頬に突き刺さる。ガツンという鈍い衝撃音がアロンダイトの頭の奥に響いた。
 数秒後、だらり、と頬に押し付けられていた拳から力が抜ける。
「けっ……」
 方天画戟はもう一度したたかに血を吐くと、笑ったまま意識を手放した。

674pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/22(木) 15:13:32
今回はここまでです。なぜか途中でコテハン切れてごめんなさい。あとエピローグをいくつか挟んで終わります。
方天画戟は後で元気に再登場するんで方天画戟推しの方にはごめんなさい許してください

675フォルカスと秘密結社:2019/08/22(木) 15:14:49
『フォルカスと秘密結社』


マスター「最近怠いんだよね」

フォルカス「えっ、それは大変です。熱は測りましたか?」

マスター「いや、肉体的なのじゃなくて精神的に。なんか何してても身が入らないっていうか。ログインボーナスだけで済ませちゃうっていうか」

フォルカス「はぁ、理由のない倦怠感ですか」

マスター「年かなぁ」

フォルカス「そんな年でもないでしょう。……そうですね。それなら気分転換に秘密結社、素晴らしき青空教室に行ってみますか?」

マスター「平和な日常に突如現れた不穏なワード!?」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



マスター「普通に占いサークルって言ってよ」

フォルカス「それっぽい方がいいかと思って」

マスター「それにしても、夜な夜などこかに出かける姫が最近多いなと思ったら。こんな森の中で活動してたとは……」

フォルカス「雰囲気が大事ですからね。暗い森で占いなんてミステリアスで素敵じゃありませんか?」

マスター「夜なのに青空教室って名前にしたんだね……。でもキル姫とはいえ女の子が夜中にうろつくなんて危な」

フォルカス「あ、見えてきました! あのテントが目印ですよマスター!」

マスター(さてはテンション上がってるな)



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



フォルカス「ではメンバーを紹介します」

マスター「なんかフードの人たちが僕の周りを囲んでるんだけど」

フォルカス「占いで使ったルーンストーンがなぜか爆発! 担当は風水。ミッドナイト☆ゲイボルグ!」

ゲイボルグ「魔鎗も占いも必中だぞ」

フォルカス「お祓い、呪い、なんでもござれ! 担当は交霊。アーマータイム☆梓弓!」

梓弓「とりあえず口寄せしますね」

フォルカス「そして最後。ソロモン七十二柱の実力フル活用! 担当は占星術!ハ……ハッピースター☆フォルカス!」

マスター「今ちょっと名乗るの躊躇したよね」

フォルカス「…………はい」

676フォルカスと秘密結社:2019/08/22(木) 15:15:19
マスター「あれ? 三人だけ? 他のフードの皆さんは?」

フォルカス「彼らは信者、もといお客様たちです」

マスター「あ、そう(さりげなく距離を取る)。じゃあメンバーは三人だけなんだ。三人なのに秘密結社なんだ」

フォルカス「たしか法律では取締役が三人いれば株式会社が設立可能だそうです」

マスター「生々しいね」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



フォルカス「とりあえず占ってもらっては」

マスター「じゃあゲイボルグ(はなんか怖いから)じゃなくてまずは梓弓から」

ゲイボルグ「今何か思ったか?」
マスター「いえなにも」

梓弓「では不肖わたくしからマスターを占わせていただきます。……はぁぁあああぁああああ―――――――」

マスター「目をつぶって弓の弦を弾き出したね」

フォルカス「鳴弦です。梓弓は霊を憑依させるためにまずトランス状態に入ります。弓を鳴らす音はそのためのトリガーのようなものと考えてください」

マスター「犬に餌を見せるとヨダレを垂らすみたいな感じで、梓弓は弓の鳴る音とで気絶するってこと」

フォルカス「気絶ではなく睡眠に近いのですが……あ、そろそろです」

梓弓「あぁっ! 来ました! 来た来た来た来た来た来た来たキタキタキタキタキタキタぁっ! いざっアーマータイム! ……がくり」

マスター「だ、大丈夫?」

梓弓「車、車だ。車が欲しいんだよな。できれば外車。左ハンドルってカッコいいからな。世間も俺のことをリッチだと勘違いしてくれる」

マスター「どうしたのこれ」

フォルクス「俗物の霊が憑依したようです。チェンジしてもらいましょう」

ゲイボルグ「よし。一、二、……ポカンっ」

梓弓「……はっ。あ、マスター。どうでしたか。賢者の霊などが憑依してくれていればよいアドバイスができると思ったのですが」(キラキラとした瞳)

マスター「ま、まあまあだったかな」

梓弓「そうですか! それはよかったです! もう一度やりましょうか?」

マスター「……またにするよ」

677パンデミックラブポーション:2019/08/22(木) 15:15:24
今さらですが注意書き

意外とみんな見てくれてるんですね
仕事があるので中々書ききれないので、単発ずつ投稿していく形を取っています
初SSなので色々勝手がわからないところがありますがご了承ください
それと、巨大化キル姫は過剰編キャラの設定を組み込んでいますが、必ずしも同じ設定通りの行動をとるわけではありません
キャラ崩壊しないようにしてはいますが暴走するキャラはそこそこ出てくると思いますので、読む場合は注意してください

678フォルカスと秘密結社:2019/08/22(木) 15:15:59
ゲイボルグ「次は私だな。風水の力で運気をあげるとしよう」(スラスラー)

マスター「何書いてるの?」

ゲイボルグ「貴様の自室の間取りだ。これから私が家具の位置などを指示するからそのように模様替えするのだぞ」

(指導終わり)

マスター「意外と普通だったね。ただの片づけっていうか」

ゲイボルグ「本棚、机、ベッド。一つ一つに意味があるのだ。元より貴様の部屋は散らかりすぎだからな。片付けるだけでも気持ちが改まろう」

マスター「う、痛いところを」

ゲイボルグ「『気』が正しく流れてこそ人に限らず世は健全であるのだ。風水はその流れを人の手で操ろうという技術だからな」

マスター「流れね」

ゲイボルグ「例えば水。例えば血。あるいは大気。モノの流れこそ世の全て。だからこそそれが濁れば乱れる。例えば山の木を伐りすぎれば気の流れは変わり、獣が去り、水も山に溜まらず、川は流れを早め、水は冷えて魚が死ぬ。魚も獣も消えれば人の世は乱れ争いが起きる。一つの滞りが全体へ波及する。だから流れを正常に保たねばならぬのだ」

マスター「なんだか難しい話だね」

ゲイボルグ「簡単だ。ただ貴様の場合は部屋の風通しをよくすればよい」

マスター「なるほど」

ゲイボルグ「ちなみに寝る時にこの等身大リセパララ人形を抱けばさらに運気アップだ。今ならレアメダル300枚だ。買え」

マスター「ちょっとフォルカスーっ! これアウトじゃない!?」

フォルカス「まだ法律上はセーフですね。おそらく」

ゲイボルグ「ちなみに拒否権はないぞ」

マスター「いい話だったのになー」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



フォルカス「生年月日から判断するにマスターに対応するタロットだと女帝。星なら金星です」

マスター「なるほど」

フォルカス「導き出されるアドバイスとしては新しいことを始めればいかがでしょうか? 活力も漲ってきます」

マスター「意外と普通の人生相談みたいな感じ」

フォルカス「占いってそういうものですよ」

679フォルカスと秘密結社:2019/08/22(木) 15:16:33
マスター「不思議な力とかで透視してるんじゃないの?」

フォルカス「魔法を使うまでもなく星は動くしカードが散らばるのも占い師の力加減ですからね。そういったものは特に。私が思うに占いというのは誰かを勇気づけるための道具です」

マスター「人生相談のための?」

フォルカス「はい。だってアドバイスされる時もただ指示されるより、理屈に則ってアドバイスされる方が何となく信頼できるでしょう?」

マスター「その理屈が星の巡りだったりカードだったりするんだ」

フォルカス「言ってしまうと星やカードの解釈も無数にありますから。私はその中から相手にとってプラスになるような情報だけ伝えるようにしています」

マスター「マイナスの情報っていうのもあったんだ」

フォルカス「マスターに対応する星やタロットの情報ですと新しい物好きで慎重さに欠けて自己中心的などがありますね」

マスター「うわぁ……」

フォルカス「普段は気づいても言いませんけどね」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



梓弓「わたくしは精神疾患」

ゲイボルグ「私とフォルカスは新興宗教」

フォルカス「などと見る人が見れば勘違いされるような私たちではありますがこれからもどうか秘密結社・素晴らしき青空教室をよろしくお願いいたします」

マスター「うん。なんだかんだで楽しかったしまた来させてもらおうかな。組織名はともかく」

梓弓「やりました。マスターを引き込めましたよ」(小声)

ゲイボルグ「よし。これで他のキル姫たちも客として取り込めるだろう。ある程度客が増えたらマスターも用済みだ。レアメダルを搾り取って切り捨てるぞ」(小声)

マスター「おい」

フォルカス「悪気はないんですよ」


『終わり』


・おまけ

マスター「なんでゲイボルグはそんなにレアメダル欲しがってるの」

ゲイボルグ「淘汰値のためだ。ショップで売ってる私を買い占める」

680フォルカスと秘密結社:2019/08/22(木) 15:18:55
毎度のことですが投稿するたびにレスをずいぶん使ってしまい申し訳ありません。書き溜めずに随時投稿する理由は自分の場合は勝手ながらモチベの維持のためです

681名無しさん:2019/08/22(木) 16:47:06
自分の書きたい書き方をして大丈夫ですよ
モチベって大事ですし

682名無しさん:2019/08/22(木) 17:13:15
素晴らしき青空教室ってなんか聞いたことあると思ったけどもしかしてキバの素晴らしき青空の会だったかが元ネタ?

683名無しさん:2019/08/22(木) 17:29:54
そうだね

684名無しさん:2019/08/22(木) 17:36:17
>>682
よく気づきましたね

685名無しさん:2019/08/22(木) 18:35:43
つまりフォルカス達がイクササイズでもやるのか……?フードの信者のなかに女たらしのバイオリニストでもいるのか……?

686名無しさん:2019/08/22(木) 18:43:33
ゲイボルグがイクササイズを始めてフォルカスが女たらしのバイオリニストになるのかな?

687名無しさん:2019/08/23(金) 00:31:01
アーマータイム!
獣刻!
メデューサ!

688チャレンジアロンちゃん:2019/08/23(金) 02:33:26
チャレンジアロンちゃん番外編

梓弓
(今日は大吉と出ていたのですが特に何もありませんね)

アロンダイト
「あの...梓弓」

梓弓
「はいどうかしましたか?」

アロンダイト
「梓弓って昔フォルカスやゲイボルグと一緒に占いの館みたいなのをしてたんですよね?」

梓弓
「占いの館?...ああそういうのもしてましたね懐かしいです」

アロンダイト
「私にも占ってくれませんか?」

梓弓
「わかりました」

梓弓は弓の弦を弾き出し『アーマータイム!』と叫び霊を憑依させた

梓弓
「.........」

アロンダイト
「あ、梓弓?」

梓弓?
『やあお嬢ちゃんこんなところでなにしてるの?』

アロンダイト
「え?え?」

梓弓?はアロンダイトの頬を優しく触った

梓弓?
『君みたいな綺麗な女性は始めてだどうだい?僕と一緒にお茶なんてどうだろう?』

アロンダイト
「あのあなたは?」

梓弓?
『僕?僕はそうだな優しい紳士とでも思ってくれたら良いよ』

梓弓?はアロンダイトの顔を引き寄せた

梓弓?
『見るたびに本当に綺麗な顔だ』

アロンダイト
「あ...あ...ああああ////」

アロンダイトは甘い言葉の連続にパニックになり梓弓?を殴り飛ばしてしまった

689チャレンジアロンちゃん:2019/08/23(金) 02:42:22
>>688
殴り飛ばされた梓弓?から青いなにかが飛んでいった

梓弓
「う...うーん...ああ憑依が終わったんですねどうでしたアロンダイト?」

アロンダイト
「ああすみません梓弓ちょっと色々あって殴り飛ばしてしまいました」

梓弓
「いえ憑依させたのが悪かったので私のせいですよ」

アロンダイト
「あなたに暴力を振るってしまったのには変わらないので何かお詫びをさせてください」

梓弓
(お詫び...それだったらアロンにあんなことやそんなことを....)

梓弓
(いえ!待ちなさい梓もしこれで下心全開の頼みごとをしてしまったら...)

*******

アロンダイト
「梓弓あなたには失望しました紅しょうががない牛丼ぐらいに失望しました」

*******

梓弓
(あり得る!!)※あり得ません

梓弓
(ここは距離が縮まる感じのを..)

梓弓
(よしこれならアロンから軽蔑されないはずです!)※アロンダイトは相当な変態じゃない限り軽蔑しません

690チャレンジアロンちゃん:2019/08/23(金) 02:49:38
>>689
梓弓
「アロンダイト」

アロンダイト
「はいなんでしょう?」

梓弓
「私の顎をくいっと上げて一言添えて梓って言ってください」

アロンダイト
「わかりました」

アロンダイト
(やっぱり綺麗とか言われた方が良いんでしょうか?)

アロンダイト
(それならさっきの言葉をもらいましょう)

アロンダイト
「行きますよ梓弓」

梓弓
「はい来て下さい」

アロンダイトは梓弓の顎をくいっと上げた

アロンダイト
「とても綺麗なお顔ですよ梓」

梓弓
「/////////」

梓弓
「ぶはっ!」

梓弓は鼻血を吹き出した

アロンダイト
「梓弓!?」

アロンダイト
「梓弓!梓弓!梓弓ーーーー!?」

梓弓
(今日はやっぱり大吉....いや大大大大吉///////)

アロンダイトの梓弓を呼ぶ声はこだまし梓弓は幸せそうな顔をしてたのであった

691チャレンジアロンちゃん:2019/08/23(金) 02:53:11
フォルカスと秘密結社の話を書いた方許可もなく勝手にネタを使ってしまいすみません
今回もアロンはなんのチャレンジもしてないので番外編です番外編なのでいつもの注意書きはありません

692パンデミックラブポーション:2019/08/23(金) 03:29:18
>>663

【パンデミックラブポーション】⑥

巨大アロンダイト「ロンギヌス、嘘ですよね。・・・・・・嘘といってください」
巨大ロンギヌス「トマトを食べましょう」
巨大アロンダイト「どうして、今が何も信じられない、こんなことはありえない・・・・・・」
巨大ロンギヌス「トマトを食べましょう」
巨大アロンダイト「あああああんまァりぁああぁああああああああアアアあああああアア!?!?」
巨大ロンギヌス「おい、トマト食えよ」

巨大化したロンギヌスとアロンダイトにバレないよう、壁伝いに潜み行動しているものたちがいる。
それはミネルヴァ、パラケルスス、グリモワールの三人だった。

パラケルスス「(しかし地獄絵図だな。正気を失っているもの、常軌を逸しているもの、現実が受け入れられず精神崩壊しているものもいる)」
グリモワール「(あっちじゃ巨大化リットゥが幸せそうにリンゴ食べてたわ)」
ミネルヴァ「(肉体とは別に精神に作用するものであるとは聞きましたが、ここまでとは・・・どちらにしても正気ではないようですね)」

彼女たちはマスターと別れて寄宿舎への侵入を開始していた。というのも、パラケルススの惚れ薬が混ざったのはおそらく食堂、もしくは調理場だろうという推論に至ったからだ。
今回の原因が惚れ薬である可能性が高いと見越し、さらなる暴走の助長を避けるべくマスターはニケと共にパラケルススの工房にいて貰うことに。
グリモワールにレイラインを繋いで貰い念話をできるようにした彼女たちは、食堂を目的地としてスニーキングミッションを開始した。

パラケルスス「(マウス実験しかしてなかったが、なかなかどうして興味深いな)」
グリモワール「(言ってる場合じゃないでしょ。そもそもなんで巨大化なんて副作用があるのよ!)」
パラケルスス「(巨大化については理由はわからない。とはいえ、これは原液をそのまま利用すると、秒で発情してマウスが交尾をしだすぐらい強力なものだった。人間とは違う私達キル姫が使用すればどうなるかは未知数。せめて人体実験ができていれば・・・)」
ミネルヴァ「(あ、止まって下さい。誰かが来ます)」

十字になっている廊下の突き当たりで、ミネルヴァは二人を制止するように促す。
3人は呼吸を潜めて、しばらくその場を動かないようにした。すると、巨大化したクラウソラスと巨大化した与一が全力でタイヤを引っ張りながら走ってきた。

巨大クラウソラス「もっと熱くなれよ!熱い血を燃やしてけよ!キル姫は熱くなった時が、本当の自分に出会えるんだ!だからこそ!こんな時こそ!もっと熱くなれよおおおおおおお!!」
巨大与一「はぃいいいいいいいい!コーチ!私頑張りますぅうううううう!!」

タイヤを引きずる音を廊下に響かせながら、彼女たちは走り去っていった。

パラケルスス「あのクラウソラスまでもが・・・」
グリモワール「なにあれ、なんか別の人格が乗り移ってなかった?」
ミネルヴァ「いよいよ、危ないですね。というか、やはり被害が・・・・・・」

今のところ人命に関わるような被害はないのだが、彼女たちがラグナロク協会から借り受けた寄宿舎は既に半壊している。
各々が巨大化したキル姫の力で好き勝手に暴れ回っているのだ当然の結果である。
先程の巨大クラウソラスと巨大与一のタイヤを引っ張った廊下は、タイヤの汚れやタイヤで擦ったあとでボロボロになっていた。

693パンデミックラブポーション:2019/08/23(金) 03:33:18
>>692

パラケルスス「気にしても仕方がない。全ては後だ、いまは」
???「おい、トマト食えよ」
3人「!!?」

突如として聞こえた声に思わず振り返るとそこには、巨大化したロンギヌスが立っていた。
手には大きなダンボール箱に入ったトマトが散乱している。しかし、それはどれも潰れて中身が飛び出していてぐちゃぐちゃで、とても食べられる状態ではなかった。

ミネルヴァ「待って下さいロンギヌス、その箱の中身は衛生的に良い状態だとは言えません。できれば、ちゃんとしたものを食べたいので、持ってきてはくれませんか?」
パラケルスス「(上手い!いまの流れなら食べて貰いたいロンギヌスはちゃんとしたトマトを持ってくる選択肢が生まれる。そうなればトマトを用意するためにロンギヌスを撒ける。もし再び出会ってもちゃんとしたものをこちらが食べればロンギヌスは欲求を満たして立ち去らせることができる!」
巨大ロンギヌス「この、トマトを、食べて下さい(ニッコリ」
パラケルスス「ダメか」
グリモワール「どちらかと言えば拙かったみたいね」

巨大ロンギヌスはダンボールから取り出した潰れたトマトを、

巨大ロンギヌス「もっとトマト食えよぉおおおおおお!!」

大きく振りかぶってなげてきた。
ベチャリベチャリとペイント弾のように弾けて壁に張り付いていくトマトの流星群。この日、ロンギヌスは新たなスキルを覚えた。

グリモワール「ちょっとちょっとぉ!やめてロンギヌス!服が染みになっちゃうじゃない!」
ミネルヴァ「言っている場合ではないですよグリモ。もっと速く走って撒きましょう」
パラケルスス「ああ、それに賛成だ」

3人は全力でロンギヌスより待避する。幸い、巨大化したキル姫の動きはそれほど速くはなかった。

パラケルスス「(泣いていたな・・・ロンギヌス。それもそうだ。暴走して欲求の捌け口を求めての行動だったとはいえ彼女の本来の意思ではない。・・・・・・すまない、ロンギヌス。この償いは必ず行う。君が祈る神に誓って)」

自らの行いを再び悔いたパラケルススは、念話を一時的に遮断し、巨大ロンギヌスに誓いを立てる。
事態の収拾をつけるべく、より一層力強く地面を踏んで、食堂へ向かうのだった。

694名無しさん:2019/08/23(金) 12:01:56
支援

695名無しさん:2019/08/23(金) 14:15:41
>>688
バイオリニスト本人やんけ

696名無しさん:2019/08/23(金) 17:01:15
>>690
この日梓弓は興奮して眠れなかったとか

697名無しさん:2019/08/23(金) 17:22:18
>>691
いいんですよ

698名無しさん:2019/08/23(金) 18:44:10
>>693
ポプテピ感

699解決アロンちゃん:2019/08/24(土) 02:46:55
解決アロンちゃん5

カシウス
「悩みが円環の如く回る」

アロンダイト
「悩みがあるんですか?」

マスター
「カシウスが悩みって珍しいな」

アロンダイト
「それで悩みってなんですか?」

カシウス
「私より長く生き甘美なる時を与える者を密かに求め続けている」

マスター
「甘美なる時を与える者?」

アロンダイト
「わかりましたマスター」

マスター
「え?わかったの?」

アロンダイト
「はい甘美は甘い物それをくれる人...すなわちカシウスはパティシエがほしいんです!」

マスター
「なんか違くない?それなら甘美なる時じゃなくて甘美なる物を与える者って言わない」

アロンダイト
「ああそうですね...」

マスター
「長く生き...年上ってことかな?」

アロンダイト
「年上で....甘美なる時......ああ!わかった!!」

マスター
「わかったの!?」

アロンダイト
「はい、年上の人から甘やかしてほしいんです!」

マスター
「ああなるほど年上から甘やかしてもらいたいんだな.....」

マスター
「.........」

アロンダイト
「..........」

マスター・アロンダイト
「で?結局どういうこと?」

700解決アロンちゃん:2019/08/24(土) 02:57:28
>>699
カシウス
「ガイアのようなものではない」

マスター
「ガイア?」

アロンダイト
「赤と銀の大地の巨人では?」

マスター
「うん絶対に違うと思う」

アロンダイト
「では母親的なガイアってことでは?」

マスター
「たぶんそれだろうな」

カシウスもゆっくりとうなずいていた

マスター
「じゃあ母親から甘やかされることじゃなくてお姉さんから甘やかされるってこと?」

カシウス
「そう」

マスター
「でも甘やかしてくれるならティファレトとかは?」

カシウス
「私は己の意思を曲げず貫き通す姉が良い」

マスター
「うーんとどういうこと?」

アロンダイト
「己の意思を曲げない.....しっかり者の姉が良いってことでは?」

マスター
「しっかり者の姉か....少し考えるか」

701解決アロンちゃん:2019/08/24(土) 03:09:08
>>700
アロンダイト
「姉...ですか」

マスター
「カシウスって身長高いからな」

カシウス←163cm
「お館様でも困難なこと?」

マスター
「やっぱり姉にするなら身長は高い方が良いだろうしなにかしらカシウスと特徴が似てる部分があった方が良いだろう」

アロンダイト←156cm
「それにしてもなぜカシウスは甘えたいんですか?」

マスター
「いや考えたらなんとなく解るよ」

マスター
「二人と比べて身長が高いのはアルテミスぐらいだしティファレトとかなら甘えようと思えば甘えられるしフェイルだってぬいぐるみがあるから存分に甘えられるだろう?」

アロンダイト
「確かに他二人と比べて表立つこともありませんしカシウスはあまり感情を表に出さないから存分に羽を伸ばして甘えることも出来ませんし」

マスター
「それなら頑張って探して見つけよう」

アロンダイト
「はい見つけましょう!それに私心当たりがあります」

702解決アロンちゃん:2019/08/24(土) 03:27:14
>>701
数分後

マスターとアロンダイトが小声で話した

マスター
「本当に大丈夫?」

アロンダイト
「大丈夫ですうまく行きます!」

アロンダイトは咳払いしてカシウスの方をむいた

アロンダイト
「我々スタッフが総力を結集してカシウスあなたのお姉さんを見つけました!」

※スタッフはアロンダイトとマスターの二人だけです

アロンダイト
「カーテンの向こうにお姉さんがいます!」

カシウス
(ワクワク)

アロンダイト
「それではカーテンオープン!!」

カーテンが開くとアバリスが立っていた

アバリス
「あの...妹に会えるからここで待っていてとマスターから言われて解らずに待っていましたがど、どういうことでしょう?」

アロンダイト
「さあカシウス!お姉さんに存分に甘えなさい!」

アバリス
「え?お姉さん?私が?」

アバリスが混乱しているとカシウスがしがみついて来た

カシウス
「お姉...ちゃん」

アロンダイトはジェスチャーでアバリスに伝えた

アロンダイト
『カシウスを甘やかしてください』

アバリス
『わかりました』

アバリス
「えっと...よしよしカシウスは良い娘ですね」

カシウスは黙ったままアバリスに頭を撫でてもらっていた

マスター
「それでなんでアバリスなの?」

アロンダイト
「髪色がなんとなく似ているからです」

マスター
「それだけ?」

アロンダイト
「それだけです」

マスター
「ああそう....」

時々アロンの思考回路は良くわからないと思うマスターであった

703解決アロンちゃん:2019/08/24(土) 03:54:17
いつも忘れる注意書き
これはアロンダイトの疑問を解決したりしなかったりアロンダイトが人の悩みを解決したりしなかったりするものです

704名無しさん:2019/08/24(土) 06:02:42
頭のなかでお夕飯のこと考えてそう<カシウス

705名無しさん:2019/08/24(土) 07:00:19
>>702
身長の話がでた瞬間アバリスかなと察知してしまった

706解決アロンちゃん:2019/08/24(土) 12:12:41
>>705
この人の頭の良さと自分の単純思考が露呈してしまった

707名無しさん:2019/08/24(土) 14:26:37
>>706
今見たら毛先ピンクなだけで似てる!
それはマスターの妄想が捗った瞬間だった。

708名無しさん:2019/08/24(土) 16:37:49
この理論ならアロンは末の妹になれるのでは…?
マスターは訝しんだ




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