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【ファンキル】SSスレ

655パンデミックラブポーション:2019/08/19(月) 22:06:42
>>632

【パンデミックラブポーション】④

3人はフライシュッツから逃げおおせると、宿舎から離れたパラケルススの工房へと逃げ込んでいた。

パラケルスス「まず状況を整理しようか」
グリモワール「そうね。そうした方がよさそう」
パラケルスス「まず、どういった経緯でああなったかを聞きたい。マスター話せるか?」
マスター「うん、大丈夫。話せるよ」

深呼吸をして先程まで乱れていた呼吸を整えて、マスターは語り出そうとした。その時、扉をノックする音が部屋に響く。
一瞬、3人は体を強ばらせる。当然だ。外には原因不明で巨大化したキル姫がいるのだから、このノックの相手が巨大化したキル姫である可能性は低くはない。

パラケルスス「誰だ?名を名乗りたまえ」

ドクンドクンと早鐘を打つ心臓を抑えて、彼女達は来訪者の返答を待った。

???「私です。ミネルヴァです。その声はパラケルススですね?すみませんが扉を開けてはもらえないでしょうか?」

声の主はミネルヴァのものだった。
巨大化の影響を受けたもの特有のふとましい声はなく、彼女はなんの影響も受けてはいなさそうだとマスターは安心して扉を開けようとしたが、それをパラケルススは制止した。

パラケルスス「マスター、扉を開けるのはまってほしい」
マスター「どうして?早くミネルヴァも中にいれてあげないと危ないし、外の巨大化キル姫に見つかっちゃうよ」
グリモワール「そうよ!入れてあげない理由がないわ」
パラケルスス「それは確かにそうだがね。彼女が彼女である確証がない。今は非常時だ慎重に慎重を重ねる必要がある」
グリモワール「だったら、どうするって言うの?」
パラケルスス「私の仮説が正しければ・・・この確認の方法で問題ないはずだ」

パラケルススはミネルヴァ?にニケを先導して中に入ってもらうことを提案する。
ニケはミネルヴァのキラーズと繋がっている梟であり、彼女の最友のパートナーでもある。
彼女が偽物であればニケを寄越すことはできず、仮にミネルヴァ本人が巨大化の影響を受けているのならばミネルヴァのキラーズと繋がっているニケも巨大化して然るべきだ。
ならば当然、パラケルススの工房に出入りするなどできはしない。全ての窓と扉を締め切った状態で侵入できる場所は煙突の隙間だけ。
パラケルススはミネルヴァに煙突を通って中に入って貰うように頼んだ。

ミネルヴァ?「わかりました。ニケを先行させますね」

ミネルヴァ?はマスターたちに聞こえるように言う。その十数秒後、ニケが煙突から姿を現した。
ニケはパラケルススに向けてやや不満そうにホー!と鳴いたあと、グリモワールの膝元に着地する。

グリモワール「もう、ニケったら〜。これでわかったでしょ、ミーネは安全よ入れてあげなさい」

グリモワールは自分の服が汚れることも気にせず、事前に用意していたタオルでニケの体を優しく拭いてあげながら言う。

パラケルスス「む、そうだな。ミネルヴァ・・・疑って悪かった」

パラケルススはそういうと、扉にかけられた施錠魔術を解除する。しかし、彼女は警戒を解いてはいない。
マスターもまた、ごくりと唾を飲み込んでミネルヴァであろう来訪者が入ってくるのを待つ。

ミネルヴァ「みなさん、ご無事だったようですね。顔を見て本当に安心しました」

いつもとかわらない姿のミネルヴァは、心から安心をしたようでほっと胸を撫で下ろした。

パラケルスス「あらためてすまない、ミネルヴァ」
ミネルヴァ「いいですよ。こんな状況です、私だって同じ場面に遭遇したら同じことをしたと思います」
パラケルスス「そうか、そういってもらえるとこちらとしても助かる」
グリモワール「まあ、私はミーネがあんな風になるようなヘマしてるとは思いませんでしたけどね」
ミネルヴァ「それはありがとうグリモ。貴女の信頼が私は凄く嬉しいです。それと、ニケを洗ってくれてありがとうございます」

裏のない無垢な親友の笑顔を向けられ、照れを隠せないグリモワールは先程まで洗っていたニケを手放す。
ニケは満足そうにホ〜ゥと鳴くと、ミネルヴァのマフラーのなかへと戻っていった。

グリモワール「そ、それほどでもないですわ。それより、この事件私たちで手早く片付けてしまいましょう。なーに心配は要らないわ、ミーネと私、パラケルススにマスターがいるんですもの、すぐに解決して見せるわよ」
パラケルスス「そうだな。では、まずは情報交換と整理からだな。各自、自らの見たもの聞いたものを何でもいい、言っていってくれ」




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