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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part3

1名無しリゾナント:2012/11/24(土) 11:55:51
アク禁食らって作品を上げられない人のためのスレ第3弾です。

ここに作品を上げる → このスレの中で本スレに代理投稿する人が立候補する
って感じでお願いします。

(例)
>>1-3に作品を投稿
>>4で作者が代理投稿の依頼
>>5で代理投稿者が立候補
>>6で代理投稿完了通知

立候補者が重複したら適宜調整してください。ではよろしこ。

867名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:43:54
>>450-457 の続きです


都心のとある、高層オフィスビル。
1Fの飲食テナントに行列をなすサラリーマンやOLたち。列の中央にいた管理職らしき中年が、突如掛かってきた携帯を片手
に、自らが手がけたプロジェクトの説明を始める。
先にお目当てのサンドウィッチをゲットした二十歳そこそこの女子社員たちが、エントランスのベンチに腰掛け、昨日の人気ドラ
マの内容について姦しく喋っている。
別のベンチでは、午後の会議に備え、若いサラリーマンが持参したレジュメを穴が空くくらいの勢いで何度も読み返していた。

エントランスの受付に、一人の男が近づいてきた。
受付嬢の一人が、男の顔を見てまたかという顔をする。男は、隣のビルのオフィスに勤めている会社員だった。

「ねえねえ、今暇?」
「勤務中です」
「そんなつれないこと言うなよぉ。俺さあ、この前出張で仙台行ったのよ」
「それが何か?」
「実はさ、買って来たんだよ」

男が、カウンターにみやげ物の袋を置く。
ケーキ生地にカスタードクリームが入った、女子に人気のスイーツだった。

「君のために苦労して買ったんだぜ?」
「まあ、それはそれでありがたく受け取っておきますが」
「その代わりと言っちゃなんだけどさあ、今度の日曜に…」

受付嬢は男の言葉を無視し、袋から箱を取り出す。
ずしりと重いそれは。
袋から取り出した途端に、閃光を放ちながら爆発した。

868名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:45:00
男も、女も。
目の前で起こっていることについて、1ミリも理解できなかった。
ただ、事実として。
自らの肉体が爆風によってひしゃげ、歪み、破壊されてゆく。
小さな箱から広がった狂暴な力は、瞬く間に建物全体へと広がっていった。

エントランスを覆っていた窓ガラスが、一斉に砕け飛ぶ。
通りを歩いていた人々はその直撃を受け、全身を切り刻まれながら路上に倒れ伏した。
もちろん、建物の中の被害はその比ではない。
爆心地を中心に、猛烈な炎と衝撃波が人々を襲う。
まるでおもちゃのように吹き飛ばされる、老若男女。

ベンチは座っていた人間ごと飛ばされ、肉体と複雑に絡み合いながら床を転がる。
壁に全身を強く打ち付けるもの、天井まで飛ばされるもの、破壊された床の瓦礫の雨に晒されるもの。共通している事はみなそ
の時点で命を失ったということ。

構内は、悉く破壊され、原型を留めない。
掲示板も、椅子もテーブルも、まるで巨大な生き物になぎ倒されるが如く。
その場にいた人たちも、同様だった。

土煙と、肉の焦げた嫌な臭い。
エントランスの受付は隕石でも衝突したかのように大きく抉れていた。
そこにさきほどの男女はいない。爆発により、肉片すら残すことを許されずに全てが消滅していた。


日常。
普通の人たちに与えられた、当たり前の日々。
それは特定の人物の悪意によって、前触れもなく終わりを告げた。

869名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:50:04




爆発事故から、数分後。
警察や救急隊の正規のルートとは別に、都内の警察組織と懇意にしている能力者たちは現場に急行するよう協力を求められる。
目的は、治癒能力を保持する能力者。現場の負傷者の手当てのため、喫茶リゾナントの店主である道重さゆみは後輩たちに店番を
頼むと慌てて店を飛び出した。

「聖も行きます!」
「ダメ、フクちゃんは残ってて。大丈夫、さゆみだけじゃなくて他の治癒能力者の人たちにも声をかけてるらしいから。お店のこ
とはお願いね」
「…わかりました」

さゆみの能力を普段から複写し使用している聖もまた、協力を求められている能力者の条件に符合していたものの、さゆみは万が
一のことを考え店に残るよう指示を出す。
もし、治癒能力を持つものがいない状態でダークネスの襲撃を受けたら。そんな不安がさゆみの脳裏を過ぎったのだ。

都内のオフィスビルで爆発事故があったらしい。
それだけの情報しか与えられなかったメンバーたちは、自然に店内備え付けのテレビをつけることになる。
テレビはどのチャンネルも、都心で起きた爆発事故のために特別体勢でニュースを報じていた。

「うわ、ひどい…」

画面越しに飛び込んできた惨状に、思わず亜佑美がそう口にする。
瓦礫に埋もれた、事故現場。多くの血まみれの人々が、そこに倒れていた。

再び、カメラがテレビスタジオに戻る。
状況から不慮の事故の可能性は薄いことが、司会者から説明された。
コメンテーターが、最近不穏な動きを見せる近隣国のテロリストの仕業ではないかと発言する。また、犯罪評論家として名を売っ
ている別の男性が、不景気を理由にして鬱屈した人格の人間による単独犯なのではないかと断じた。

870名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:51:06
「いったい、誰がこんなことを」

春菜が、顔を青くしてそんなことを呟く。
リゾナンターとなってから、いや、能力が発現してから。多くの悪意に触れてきたつもりだった。しかしその経験を辿ってみて
も、ここまでのひどい行為を彼女は知らなかった。

「くそ!犯人がわかってたら衣梨がこの手でとっちめるのに!!」

怒りに任せ、衣梨奈がテーブルを叩く。
ただ、現場に行き残留思念を探るならまだしも、画面越しでは到底犯人の目星などつくはずもなく。聖だけではない。他の三人
も、現場に駆けつけたいのは一緒だった。

しかし、彼女たちは常にダークネスという巨大な組織に付け狙われている。
この時間は学校に通っている年少組が、もし組織の人間に狙い撃ちされたら。その危険性を考えると、学校からほど近いこの喫
茶店で待機するのは最善の策と言えた。

亜佑美の携帯が、鳴る。
画面を見てみると、遥からだった。
手に取るや否や、特有の塩辛い声が響き渡る。

「大変!大変なんだよあゆみん!!」
「え、ちょっと、どうしたのくどぅー」

あまりのことに面食らう亜佑美だが、切迫した遥の声が衝撃の事実を告げた。

「まーちゃんが、まーちゃんが攫われたんだよ!!!」

871名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:52:35


ここは、喫茶リゾナントからほど近い中学校。
リゾナンターの中学生組である里保、香音、優樹、遥は一緒にこの中学校に通っていた。

「さーやしっ!」
「あひゃあ!?」

放課後の教室。
掃除当番だった里保の背後から抱きつくクラスメイトの女子。
本来ならばこの程度の襲撃、気配を感じた時に手にした箒で撃退できるのだが、そんなことを学校という平和な空間で披露する
わけにはいかない。
結果、甘んじて背後を取られさらにくすぐられたりしてしまうわけだ。

「もう、集中して掃除できないよ」
「何堅いこと言ってんの。おっ鞘師いい匂い」
「やめてよー!」

さすがに匂いまで嗅がれるわけにはいかない。
一度、冗談で学校でこんなことされてるんです、とリゾナントで話題にした時のこと。「そんなはしたないこと、やっちゃダメ
!」と言いつつ、凄く羨ましそうにしていたさゆみの顔は忘れたくても忘れられない。

「そう言えばさ。あの後輩の子、今日は来ないの?二人組の片割れ」
「まーちゃんのこと?」
「そうそう。いつもだったら『さやしすーん!』とか言って教室に入ってくるのに。面白い子だよね、あの子」

面白いだけならいいんだけどねえ。と里保はひとりごちる。
リゾナンターいちの「問題児」。その面倒を見ることを強いられている二人組のもう一人、遥の心労たるや。

にしても、いつもの光景が見られないのは違和感がある。と言うより。
何か、嫌な予感がする。
里保は自らに去来する胸騒ぎを抑えられずにいた。

872名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:54:52


時は少々遡る。
遥のいるクラスより早めに授業が終わった、優樹のクラス。
まるでロケット装置でもついているかのように、優樹は教室を飛び出す。

たなさたん、たなさたん♪

今日はれいなは仕事も特になく、久々に夕方から店のキッチンに立つという。
それを聞いた優樹は自らもれいなの手伝いを買って出た。
早く、喫茶店に行きたい。そのためには、優樹以外の三人ととっとと中学校を出なければならない。下校する時は四人で集団下
校。本来なら一人でまっすぐ喫茶店に向かいたいところだけれど、リーダーの厳命とあらば致し方ない。

となれば、三人の教室に立ち寄って下校を促すのがてっとり早い。
優樹の心は既にここににあらず、喫茶店に向いてしまっていた。

上級生の教室へと続く、廊下。
今は授業中、遮るものは誰も居ない。はずだった。
廊下を駆け抜ける優樹の前に現れた、派手な格好の女性。極彩色に彩られたきらきらとしたそれは、まさにステージ衣装。

「あれ、テレビで見たことある人だ」

優樹が女性に向かって指を指す。
日本に住んでいて、その姿を見たことが無い人間はいない。それほどまでに圧倒的な知名度を誇る、スーパーアイドル。

「えーと、何だっけ名前。そうだ、ばつうらあやさん!」
「微妙に違うんだけど、まいっか。お嬢ちゃんさあ、あたしにちょっと付き合ってくんないかな」

さっきまで決して絶やさなかった笑みが、消えた。
この人、怖い。
本能で優樹はそう感じる。けれど、それはあまりにも遅すぎた。

873名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:56:42


「時の皇帝、タカーシャイ・ハヨシネマは騎士団を率い、勇敢に戦った。これが201年の出来事な。『ニオイが嫌なの』の語
呂合わせで覚えるように」

歴史の授業。
多くの生徒たちが真面目に授業を聞いている中、机に顔を伏せている少年の頭のようなショートカットが、一人。
工藤遥は、完全に眠りの世界に落ちかけていた。
歴史など兄を救うために敵の本拠地に乗り込んだ海賊の話だけで十分、寝る子は育つのだ。頭の中で狸みたいな鹿が一匹、二匹
と横切り始めたその時だった。

・・・まーちゃん?

リゾナンターたちは、互いに共鳴しあう。思念に関しても、また然り。
ここは大勢の人間が集う学校であり、心の叫びがダイレクトに届くような場所ではない。しかし遥は優樹の助けを求めるかすか
な声を、聞いた。

「せっ、先生!はる、トイレに行きたいですっ!」
「しょうがないなあ、漏らすなよ?」

先生の軽口に生徒からの笑いが起こる。
遥はデリカシーのないじっちゃんをひと睨み、脱兎のごとく教室を出て行った。

声が聞こえた方向に、「千里眼」を発動させる。
壁の向こう、校庭の先。真向かいの民家の屋根を、軽快な動きで飛び移り移動する女の姿が見えた。脇に抱えている少女は、間違
いなく優樹。

「まーちゃん!ちくしょう、あいつ!!」

女が何者か。何のために優樹を攫ったのか。
わからないが、阻止すべきことには変わらない。ただ、今から校舎を出て到底間に合う距離ではない。見えるのに、何もできない。
そんなもどかしい思いを汲むものがいた。

「くどぅー、方向はこっちでいいの?」
「鞘師さん、鈴木さん!!」

異変に気づき、駆けつけた二人の先輩。
里保は香音に目配せし、それから壁に向かって走り出した。
香音の「透過能力」により、里保は壁をすり抜けて校舎の外へと大きくジャンプする。

「え、嘘だろ…」

遥が絶句するのも無理はない。
壁の向こうは確かに外だが、ここは校舎の3階。飛び降りて無事で済む高さではない。しかし里保は弧を描くように綺麗に着地し、
人攫いの女を追いかける。

「ほらくどぅー、あたしたちも追うよ。もちろん階段を降りてね」
「は、はいっ!」

香音に促され、遥は慌てて階段に向かって駆け出した。


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