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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part3

873名無しリゾナント:2013/06/06(木) 20:56:42


「時の皇帝、タカーシャイ・ハヨシネマは騎士団を率い、勇敢に戦った。これが201年の出来事な。『ニオイが嫌なの』の語
呂合わせで覚えるように」

歴史の授業。
多くの生徒たちが真面目に授業を聞いている中、机に顔を伏せている少年の頭のようなショートカットが、一人。
工藤遥は、完全に眠りの世界に落ちかけていた。
歴史など兄を救うために敵の本拠地に乗り込んだ海賊の話だけで十分、寝る子は育つのだ。頭の中で狸みたいな鹿が一匹、二匹
と横切り始めたその時だった。

・・・まーちゃん?

リゾナンターたちは、互いに共鳴しあう。思念に関しても、また然り。
ここは大勢の人間が集う学校であり、心の叫びがダイレクトに届くような場所ではない。しかし遥は優樹の助けを求めるかすか
な声を、聞いた。

「せっ、先生!はる、トイレに行きたいですっ!」
「しょうがないなあ、漏らすなよ?」

先生の軽口に生徒からの笑いが起こる。
遥はデリカシーのないじっちゃんをひと睨み、脱兎のごとく教室を出て行った。

声が聞こえた方向に、「千里眼」を発動させる。
壁の向こう、校庭の先。真向かいの民家の屋根を、軽快な動きで飛び移り移動する女の姿が見えた。脇に抱えている少女は、間違
いなく優樹。

「まーちゃん!ちくしょう、あいつ!!」

女が何者か。何のために優樹を攫ったのか。
わからないが、阻止すべきことには変わらない。ただ、今から校舎を出て到底間に合う距離ではない。見えるのに、何もできない。
そんなもどかしい思いを汲むものがいた。

「くどぅー、方向はこっちでいいの?」
「鞘師さん、鈴木さん!!」

異変に気づき、駆けつけた二人の先輩。
里保は香音に目配せし、それから壁に向かって走り出した。
香音の「透過能力」により、里保は壁をすり抜けて校舎の外へと大きくジャンプする。

「え、嘘だろ…」

遥が絶句するのも無理はない。
壁の向こうは確かに外だが、ここは校舎の3階。飛び降りて無事で済む高さではない。しかし里保は弧を描くように綺麗に着地し、
人攫いの女を追いかける。

「ほらくどぅー、あたしたちも追うよ。もちろん階段を降りてね」
「は、はいっ!」

香音に促され、遥は慌てて階段に向かって駆け出した。


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