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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part2

1名無しリゾナント:2011/01/18(火) 17:04:23
アク禁食らって作品を上げられない人のためのスレ第2弾です。

ここに作品を上げる → このスレの中で本スレに代理投稿する人が立候補する
って感じでお願いします。

(例)
>>1-3に作品を投稿
>>4で作者が代理投稿の依頼
>>5で代理投稿者が立候補
>>6で代理投稿完了通知

立候補者が重複したら適宜調整してください。ではよろしこ。

610名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:21:23
『「リゾナンター。大好き!」』

〈One ちょびっと不安で 〉

1−1
れいなは絶望した。
敵の力が分かってしまったから。
この少女は武道の達人。
それも、れいなが今まで戦った中でも最強クラスの。

様々な理由によって、リゾナンターのメンバーが大幅に入れ替わった。
高橋・新垣の離脱後は、れいな・鞘師が戦闘における「ツートップ」となっている。
この二人は、攻撃に際して特殊能力を使用していない。
れいなの強さは、天性の格闘センスと、豊富な闘いの経験とによるものだ。
また、鞘師の方は、特殊能力自体いまだに発現していない。
驚くべきことだが、これまで二人は体術だけで強力な能力者を撃退してきたのだ。
そう、これまでは…。

得意の体術勝負で敗れたことに、れいなは打ちのめされていた。
「やっぱり愛ちゃんとガキさんがおらんとダメなんかなあ…。」
れいなが弱音を吐いている。
傷ついたれいなを治療しているさゆみは、それを聞いて衝撃を受けた。
そして、事態の深刻さを思い知った。

611名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:22:00
1−2
その少し前。
街の中心部から外れた細い道を、三人は歩いている。
さゆみは上機嫌である。欲しかった最新のノートパソコンを購入できたのだ。
れいなには、安物のサングラスで恩を着せ、まんまと荷物持ちをさせている。
「好きな食玩を一つ買ってあげるの」と誘い出した愛しの鞘師も一緒だ。
深夜の帰り道、三人はとりとめもない話をしながら歩いていた。
れいなが偽札を発見したことや、石田の唇を見る鞘師の目が妖しいことなど、
楽しいおしゃべりは尽きることが無かった。
「うわーっ、あれ、きれいやねえ。」
遠くに見える高層ビル群をれいなが指差す。
厚い雲に覆われているのか、空には月も星も見えない。
闇を背景に、摩天楼たちは自らの光でショーアップしているように美しく聳えていた。

駅から三十分も歩くと、辺りには気味が悪いほど人気が無くなった。
三人は角を曲がり、さらに寂しい通りに足を踏み入れた。
その時である。
暗闇の中から、すっと一人の少女があらわれた。
そして唐突にこう言った。
「組織に私の力を認めさせたいので、申し訳ありませんが、貴方たちを破壊します。」
この静かで丁重な挨拶が、そのまま戦闘開始の合図となった。
さゆみはその少女の雰囲気に、ちょびっとだが、拭いきれない不安を感じた。

612名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:22:36
1−3
さゆみの不安は的中した。
数十秒後、さゆみの眼前には信じ難い光景があった。
れいなと鞘師がアスファルトに這いつくばっている。
二人の神速の攻撃は、少女にかすりもしなかった。
少女は二人の動きを完全に見切っていた。
人は誰かと戦うとき、相手に対する敵意をまとう。
少女はそのようないわゆる「殺気」を正確に感知することができた。
相手の殺気から、攻撃してくる方向・タイミングを察知してしまうのである。
そして、鍛練の賜物であろう俊敏な動きで、それらを全てかわしていく。
もちろん、れいなや鞘師にだって敵の攻撃を読むことはできる。
実戦で鍛えられた経験や洞察力は、敵の動きの分析・予測を可能にするからだ。
しかしそれは、敵の動きをある程度視認した上でのことである。
その少女は違っていた。
少女の両目は、戦いの間ずっと閉じられていた。
れいなと鞘師の二人がかりの攻撃を、殺気だけを手掛かりに、完全にかわしきる。
さらに、二人の動きの先を読み、速く重い正拳突きを急所に撃ち込んできた。
闇夜であったことが、二人には不利に、そして、その少女には有利に働いた。
そして何より少女の身体能力が、二人のそれを上回っていた。
並外れた天賦の才と、それを磨き続けた努力とが、その強さに結実していた。
また、少女には、地獄から這い上がって来たかのような凄味もあった。
少女の強烈無比な打撃を浴びた二人は思った。
勝ち目が無い、と。

613名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:23:18
〈Two パリッと服着て 〉

2−1
さゆみは倒された二人に駆け寄り、まず比較的傷の浅い鞘師を数秒で応急処置した。
治療が終ると鞘師は立ち上がり、すぐに少女へ向かって行った。
れいなの方は重傷で、治療に数分間かかりそうだった。
そのための時間を稼ごうと、鞘師は少女を引き付けながら、二人から離れた。

さゆみは懸命にれいなを治療している。
れいなは苦痛に顔をゆがめながらも、何かを決意したようだ。
先程の弱気な口調とはうって変わって、しっかりと諭すように言った。
「さゆ。次にれいなが攻撃を仕掛けた時、鞘師を連れて逃げりぃ。
 そんでいつか…、あの子らと一緒にあいつにリベンジして…。
あの子らは、絶対にれいなたちより強くなるけん…。」
れいなの言葉に、さゆみは何も答えられなかった。
ただ、目頭の透明な水塊がみるみる大きくなり、零れ落ちそうになっていた。

鞘師は、少女の前に立っていた。
目の前の敵を睨みつけながら、自分が着ている洋服の襟に触れた。
その服は、上京したばかりの頃、着替えが無かった鞘師にれいながくれたもの。
鞘師がそれまで着ていた服は、家の人が選んでくれた、子供っぽいものばかりだった。
少しヤンキーっぽくても、れいなのお下がりの服は、パリッとお洒落なものに感じた。
鞘師はその時の喜びを思い出し、心の中でれいなに誓った。
「田中さん…、田中さんが来るまで絶対に持ちこたえます。
田中さんのように、私は…、どんな場面でも…、逃げない!」

614名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:24:07
2−2
「うわああっ!」
乱暴な子供に放り投げられた縫いぐるみのように、鞘師が二人の方に飛ばされてきた。
そして、道路脇の自動販売機に背中をぶつけ、座ったような姿勢になって、止まった。
鞘師が小さな顔を上げて二人に謝る。
「すみません…。時間…、あまり稼げませんでした…。」
目の光は死んでいなかったが、四肢はもう動かない。
そこへ、鞘師に止めを刺そうと少女が矢のような速さで走って来た。
「りほりほっ!」
さゆみがれいなの治療を中断し、鞘師の方へ無意識に駆け出す。
「うっ!」「きゃあっ!」
二人は鞘師の目の前で激突した。
鞘師を案ずる余り無心で飛び出してきたさゆみに、少女は全く気付いていなかった。
結果、さゆみが少女へ体当たりをくらわせた格好となった。
それは、その夜その少女に初めて当たった攻撃だった。
少女はもんどりうって転倒する。さゆみも大きく弾き飛ばされた。
その光景を、鞘師は見ていた。
節電中とはいえ、後ろの自動販売機の光は、視界をほんのり明るくしてくれていた。
鞘師は途切れそうな意識を必死に保ち、冷静に目の前で起こったことを分析した。
そして、一筋の光明を見出した。

615名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:28:02
2−3
「さゆっ!」れいなが足を引きずりながら、さゆみのもとへ向かう。
そして、さゆみの横にひざまずき、上体を抱き起こす。
少女は立ち上がりつつそれを見ていた。そして、標的を鞘師かられいなに変えた。
れいなは少女を睨みつける。滅多にかかない汗が頬を伝っているのを感じた。
少女は目を閉じ、必殺の一撃を放つべくれいなのまとう殺気を捉える。
(ちくしょー……、二人を守れんかった…。) 
(やっぱりさゆみにはリーダーなんて無理だったのかな…。)
れいなとさゆみは同時に思った。
((みんな、ごめん…))
その時、鞘師が叫んだ。
「待てえ!自分の力を証明したいんなら、最強の能力者を倒せばええじゃろう!」
少女が目を開ける。
「…最強?」
「そうじゃ…。その人は、高橋さんも新垣さんも、田中さんもいっぺんに倒した!」
少女は鞘師の方へすっと顔を向けた。
「…リゾナンターを壊滅寸前まで追い詰めた能力者がいたと聞いたことがありますが…
 しかし、その能力者はもうこの世にいないのでは?」
「いや…、まだ生きておる…、あの人の『中』に…。」
鞘師は、れいなの腕の中の「あの人」に目を向けた。
れいなとさゆみは思った。
(まさかさえみさんのことをいっとると!?さえみさんはもうおらんとよ!)
(お姉ちゃんは…、お姉ちゃんはあの日…、えりが…。)
二人はただ鞘師を見つめるしかなかった。

616名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:28:38
〈Three もちょっと我慢ね 〉

3−1
二人の思いを知ってか知らずか、鞘師は続ける。
「その人が目覚めたら、誰にも止められん…。おそらくダークネスにも…」
「……いいでしょう。
最強の能力者を破壊できたら、組織からの評価も上がるはず。
 その人をすぐに目覚めさせて下さい。」
「それにはあんたにも協力してもらわんといけん。」
そう言うと鞘師は、少女の方を向いてから、自分の背後の方へ視線を移す。
そこには一台の自動販売機…。
「…鞘師!?」
鞘師の狙いに気付いたれいなの顔が一瞬にして蒼白となる。
「田中さん…、これから大変なことになりますが、ちょっと我慢して下さい…。」
「が、我慢って…。」
れいなはそれ以上声が出なかった。
一方、さゆみにはまだ鞘師の狙いが掴めていない。
そんなさゆみを複雑な思いで見つめながら、鞘師はれいなに告げた。
「目覚めさせましょう…。あの……、悪魔を……。」

617名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:29:11
3−2
鞘師の提案を受け入れた少女は、震えるれいなの腕の中からさゆみを引き離した。
そして鞘師の指示通りに、さゆみにあるものを飲ませた。
すなわち、少女は、自らの手で「最強の能力者」を目覚めさせてしまったのだ。
それが少女(たち)にとって惨劇の幕開けとなった。

勝負は、実にあっけなくついた。
ゆらりと立ち上がったさゆみと対峙した少女は、愕然とした。
「動きが全く読めない…。」
目覚めた悪魔に殺気は無かった。あるのは、純粋な「欲望」のみ。
「好きだな、ロリが!」「触りたーい!」「ムシャムシャしたい!」
そのような異常な欲望を感知する術は、武道の修行では習得できなかった。
少女は何の防御もできず、懐に入られ、抱きしめられ、弄ばれた。
不幸にも、着ていた黄色いTシャツや、程よく筋肉質な肢体が欲望に拍車をかけた。
それらは(鞘師の読み通り、)さゆみの脳裏に、ある人物の体を思い出させていた。
最高潮に萌え盛ったピンク色の欲望の炎が、少女の全てを舐め尽くす。
幼時から武道に全てを捧げてきた少女にとって、その愛撫は致死量の劇薬だった。
少女の精神は、初めて体験した屈辱と恍惚によって完全に崩壊してしまった。
悪魔は二本の指を立てた両手の甲を、自分の額の両端につける。
「イエエェッス!!うぅさちゃあーんっ!ぴいいーーーーーーーーーーーっす!!」
こみ上げてきた何かを噴出するような咆哮が、夜空に響き渡った。
悪魔の両目からはピンクの光線が放たれている。
その光線が、サーチライトのように、ゆっくりと次の哀れな獲物をとらえた。
「ひいいっ!さゆが…、さゆが、こっち向きようっ!」
れいなは再び絶望した。

618名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:30:10
3−3
それからしばらく後。
三人の身を案じた譜久村たちがようやく駆けつけた。
七人はまず仰向けに倒れている一人の少女を見つけた。
黄色いTシャツは少しはだけ、スカートも若干ズレ下がっている。
焦点の合わない視線は、いつの間にか雲が消えて月が輝く夜空に向けられている。
口の周りには大量の唾液がついており、なぜかそれは甘いアルコールの匂いがした。
少女には、それを拭い取る体力も気力も残っていないようだった。

「たなさたーん!」
佐藤が突然走り出す。その先にれいなが倒れていた。
特に怪我はなさそうだが意識はなく、少女と同様に服装が乱れていた。
工藤がれいなにすがりつき、わんわんと低い声で泣き出す。
一方佐藤は、お薬のつもりなのか、不味そうな白い飴玉をれいなの口に次々詰め込む。
譜久村たちがさらに辺りを見回すと、何者かに破壊された自動販売機があった。
そして、そのすぐ近くに、気を失っている鞘師が見つかった。
手足はパソコンのコードのようなもので縛られている。服装の乱れはれいな以上だ。
しかし、その表情はどこか満足げにも見える。
腕は折り曲げられていて、胸の前にある両手が服の襟を握りしめていた。
「怪我は無いようです。…それにしても鞘師さん、萌えですねぇ!ハウーーンッ!」
縛られている姿を見て興奮したのか、飯窪が奇妙なポーズをとりながら高音で叫んだ。
一方石田は、自動販売機からこぼれ落ちた硬貨の山を、嬉しそうに凝視している。
「ねえ!今日すごく調子がいいー!上手くなーい?ねえ!何でみんな無視するとー?」
生田はそう言いながら、なぜか狂ったようにハンドスプリングを続けている。
その生田の足に当たり、缶チューハイの空き缶が音を立てて側溝に転がっていった。

619名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:30:47
〈Endingでーす!〉

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛――!」
突然、嬌声とも嗚咽ともつかない声が響いた。
鈴木は、その声が発せられた方向を見た。
「聖ちゃあん!道重さん、見つかったの?」
譜久村は哭きながら、倒れている女性の脇腹辺りに頭を押し付けている。
譜久村が何をしたいのか、鈴木には全く分からない。
近付いて見てみると、その女性はやはり道重さゆみだった。
少しお酒の香りを漂わせ、満ち足りた表情でスヤスヤ眠っている。
鈴木は、三人が見つかったことにとりあえず安堵した。
と同時に、仲間達が繰り広げる異様な光景を前にして、改めて不安になった。
(こんなに自由なメンバーばっかりで、これから大丈夫なのかなあ…。)
そう考えながらさゆみの寝顔を見ていると、その唇がかすかに動き出した。
何やら寝言を言っている。ただしその声は、常人には聞こえないほど小さい。
しかし、鈴木は、確かにその言葉を聞き取った。
それは、新垣がリゾナンターを去る時に残していった、あの言葉だった。
鈴木は何だか嬉しくなり、新米リーダーに向かってこうつぶやいた。
「道重さん、私もです。みんなもきっとそうだと思います。
みんながそう思っていれば、どんなことがあっても絶対に乗り越えられますよね!」
ふと顔をあげると、東の空がかすかに明るさを帯びていた。

―おしまい―
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

620名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 14:34:52
以上、『「リゾナンター。大好き」』でした。
初投稿です。
皆さんの力作・大作と違い、内容が浅くてお恥ずかしいのですが、
「どんな場面でも逃げない」ということで勇気を出して投稿しました。
ちなみに「少女」のモデルは、(仮)の破壊王です。

===========================
>>610からここまでです。
 お好きなところで分割していただいても構いません。
 お手数おかけしますがよろしくお願いします。

621名無しリゾナント:2012/06/27(水) 19:03:22
>>620
代理しときました
ピンクの悪魔こわいw

622名無しさん募集中。。。:2012/06/27(水) 21:24:11
>>610-620を投稿した者です
621さん、早速の代理投稿ありがとうございました
感想のレスを読めてすごく嬉しいです!
書いてる時も楽しかったし、
改めて「リゾナンター。大好き!」と思いました

623名無しさん募集中。。。:2012/06/29(金) 03:56:40
>>576-579 の続き。

先ほど鞘師が真っ二つにした彼女は、あのいじめっ子のリーダー格だった。
だが雰囲気がまるで違う。
耳障りな鼻歌が頭にこびりついているが、まるで中身が別物の人形のようで。
"色"がまるでない。
しかも上から有り得ない青空の光が降り注いでいるというのに、彼女の周り
は何ものも一切寄せ付けないほど闇に満ちている。
コールタールのようにベットリと、まるで、血液を全て流し落としてしまったように。
 
 【グゲエエエエアアアァアアアァ!!】

鼻歌が止み、身体を曲げた状態で奇声を発する彼女に【闇】が映る、鬱る。
歪が大きくなっていた。
そして身体がまるで喰われるように呑み込まれる。
真っ二つになったはずの少女の口からは、下品で不気味な笑い声を上げていた。

げらげらげらげらげらげらげらげら。
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ。
げらげらげらげらげらげらげらげら。

呼応するように真っ二つにされた身体が分離して三つへ。
首の根元から別々の顔が浮き出てくるように生えてきたのだ。

 「うぇっ…」

最早見られるものじゃなかった。
言葉にするのもおぞましい物体が、今鈴木の目の前に在る。
確認できても三人分の身体。
まるでつぎはぎだらけの大樹のよう。

624名無しさん募集中。。。:2012/06/29(金) 03:57:47
ミシミシと音を立て軋みながら、水蒸気の様な煙を吐いている。
何処かの恐怖映画でもこんな過激な演出をするだろうか。
うねうねと動く幹のような腕が不気味さを増す。

 「かのんちゃん、あれが人間の悪意が【闇】に呑まれた姿じゃ。
 そうして"狂鳴"した者を【ダークネス】って呼ばれてる」

悪。悪とはなんだ?悪というのはあんなにも醜くて、悲しいモノなのか。

 「かのんちゃんはあまり直視しない方がいい。逆に呑まれる」

"色"の中で黒は恐怖の他にも不安や、悲哀を思い付かされる。
鈴木は異様な寂しさにかられ、頭をかかえて叫ぶ。

 「分かんないよ、意味分かんないってりほちゃん。
 私バカだからさ、頭悪いから、これが現実なのか、夢なのか…」
 「…現実だよ」
 「あれが現実だっていうの?いじめられてた子が可哀想だって思ってた。
 でもやっぱりなんか…ダメだよ、こんなのおかしいって」
 「いじめてた事実は変わらないよ。そうして生まれた悪意をあれは
 狙って襲って、自分の力に変えるんだ。狙われたら私達にはどうすることも出来ない」
 「どうしてそんな風に思えるのさ」

"あれ"を目の前にして、動揺すら見せず、逆に恨んでるように。

 「…ずっと、戦ってきたから」

625名無しさん募集中。。。:2012/06/29(金) 03:58:21
鞘師は持っていた刃で襲いかかってきた木の根のような触手を一閃。
背中のベルトに収まっていた鞘から刃を抜き取り、斬り落とす。
次々と斬り落とす、斬って、斬って、斬って、斬る。何本もの刃を突き立てる。
大樹が後ずさりする度にフェンスがひしゃげていく。

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ。

大樹が啼いた。泣いた。泣いている、彼女達が、泣いている。
誰か、ねぇねぇ誰か。
鞘師の刃が、最後の一撃を喰らわせようと振り下ろされた。

 「「イヤアアアアァァアア!!」」

鈴木がまるで大樹と同調するように絶叫した。
鞘師の光と波動が辺り一帯を呑み込み、弾ける。
それと同時に、崩れていく大樹のバケモノが爆発し、フェンスごと弾け飛んだ。
体内から飛び出したのは小さな球体が三つ。

 「ごめんね、かのんちゃん。巻きこんだりして」
 
それを手のひらに乗せる鞘師は、冷たい表情をしている。
まるでそれになんの感情も抱いていないように。

鈴木に対して謝ったときだけ、鞘師は泣きそうな表情を浮かべた。
それを最後に、意識は途絶えた。

626名無しさん募集中。。。:2012/06/29(金) 03:58:53
 ―― 夢を、見る。

それは過去なのか、未来なのか、今なのか。
曖昧で、不明瞭で、でも事実のような、不思議な感覚。
ただ、自分の記憶にないことだけは確かで。
酷く、現実味を帯びない。
だからこれは、夢だ。微かに聞こえる誰かの声に、耳を傾ける。

627名無しさん募集中。。。:2012/06/29(金) 04:07:43
以上です。
話の流れでまた再登場してもらったんですが、酷い扱いに…。
新しい作者さんの作品 >>604 もレベルが高くて
とても楽しませてもらいました。

ガス会社とか酷く懐かしい…w
--------------------------------ここまで。

なかなか話が進まない…。
いつでも構わないので、よろしくお願いします(平伏

628名無しさん募集中。。。:2012/06/29(金) 10:56:47
規制に巻き込まれたみたいです。
申し訳ないのですが代理投稿よろしくお願いしますm(_ _)m


629名無しさん募集中。。。:2012/06/29(金) 10:58:08
次回予告
                      -街は歌っている-
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18254.jpg
                  子猫が街を歩く 夜の街を歩く
街の木漏れ日 ネオンのスポットライトを浴びれば どんな小さな子猫だって 今夜の主役になれる
   耳に流れ込む音はとても複雑で どんなに有名な音楽家でも真似をする事は出来ない
      クラクション 人の声 ドアの閉まる音 信号 そして自分の足音が混ざり合い
      1つの曲を奏で街を走り 私の耳と言うトンネルから私の真ん中を通過する
  トンネル 私はトンネルを歩く 昔 下を向いて 生きてく意味無いと 歩いた都会のトンネル
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro17099.jpg
      私はいつまでも 恋愛が下手 付き合いが下手 上手に甘えたりも 出来ない
                 ・・・生きるのが 上手くない・・・
     だから たまに小さな子猫は街に飛び出して こうして街と共に歌うんだ

                 そして子猫の足はすみかへと

                  -その曲に歌詞は無いの?-
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18255.jpg
       「知りたいと?もう少しで聞けるったい!最高の歌詞っちゃよ!」
                 -本当に?そんなに最高なの?-
       「本当 いっつもあの人が とびきりの歌詞を付けてくれよる ほら」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV「SONGS」

ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18249.jpg
                     【 お か え り 】
ttp://resonant.web.fc2.com/data/toro18254.jpg
               今日も 子猫が街を歩く 夜の街と歌う

630名無しリゾナント:2012/06/29(金) 19:17:09
ちょっと時間の余裕がないので順番はぎゃくになりましたがかなしみさんの予告編を先にだいこうさせてもらいました
>>627さんの9期話は後ほど落ち着いてからさせていただきます

631名無し募集中。。。:2012/06/29(金) 21:12:55
ありがとうございましたm(__)m助かりました感謝

632名無し募集中。。。:2012/06/30(土) 00:48:13
>>627です。
全然構いませんよ、自分のはちょっと長いですし、すぐに
代理投下できる作品を優先してあげてください。
自分のも早く規制が無くなれば話が早いんですが…いつもすみません(平伏

633名無し募集中。。。:2012/06/30(土) 03:21:28
>>632 さん
すいません割り込んでしまってm(__)m
自分もここに暫くお世話になりそうです、早く解除されないかな。

634名無しリゾナント:2012/06/30(土) 06:27:59
代理しときましたよん

635名無し募集中。。。:2012/06/30(土) 16:29:19
>>632 さん
いえいえ、かなしみさんの作品も楽しみにしてます。

>>634
代理ありがとうございました。
戦闘描写はだいぶやっつけだったりするので
褒められると舞い上がります。

636名無し募集中。。。:2012/07/01(日) 03:11:27
>>>>659-662 の続き。

 「あなた、クラスで苛められるタイプでしょ」

言われた少女は固まったまま、何も言わない。
言った少女は何も思わないように、ただ言った。
薄紫色の彼女と、赤色の彼女。

だが大人びたように見せても、異なった環境で育ったとしても
何かを落としてしまったように子供の面影を見せる。

二人を繋ぎ合せたものと出会わせたものは、"独り"、だった。

 「何で、休業しはるんですか?好きでやらはってるんですよね、お仕事」

赤色の彼女は世間でいう"アイドル"だ。
モデル業などもこなし、メディアでも在る程度の名前も知られているにも関わらず
休業をすると言いだした彼女に、紫色の彼女は問い詰める。

 「ダークネスと戦う皆と一緒に戦えるのは、今しかないから」

"アイドル"としての自分を捨てて、対立するある組織との戦いを優先する。
まるで夢物語のような現実に、身を置くことを告げた彼女。
それは強がりであり、意志であり、自分に欠けていた信念とも捉えれる。

そうして自分を確立していく彼女に、紫色の彼女の表情は優れない。
この頃から能力の副作用で、彼女の視力が徐々に低下していた。

 「何でなんですか。何で小春がリゾナンターを辞めなければいけないんですか」

637名無し募集中。。。:2012/07/01(日) 03:12:41
赤色の彼女はそのことを仲間に指摘され、半ば喧嘩別れのように店を飛び出す。
紫色の彼女の頬が朱色に染まっている。
悲しそうな表情に、思わず胸が痛んだ。
こうして見ると、薄紫色の彼女はあまりにも優し過ぎる上に、気を遣い過ぎる。

どうして自分の本音を言わないのか疑問になるほど。
どうして相手のことをそこまで思えるのか。

 「私の目が光を失うのも、愛佳を失うのも私にとっては同じことなんだよ。
 だったら、私はこの目が見えなくなる方を選…」

平手を受ける赤色の彼女。
自分なんかのために大事な視力を無駄にさせるのが情けなかったのもある。
そしてそんな自分なんかのために大事な視力を無駄にさせる彼女が
許せなかった。

 「そんなことをして守ってもらったって私は嬉しくない」

初めて本音を叫んだ彼女。
彼女に対して、初めて言葉をぶつけた瞬間だった。
というよりは、本当は前からずっと思っていた事で、それを口に
する事で、これからの関係性に響くのが怖かったのもある。

自分はもっとわがままなのだ、もっと話しをしてみたかったし、もっと
自分の言いたいことを叫んでもみたかった。
だからあの時に叫んだら、意外とそれで良いんだと思えたのだ。

 そうして赤色の彼女と、紫色の彼女の心は重なった。
 そういった意味では、その時に初めて、彼女達は心を通わせるようになった。

638名無し募集中。。。:2012/07/01(日) 03:14:15
そして、光景が変わる。
タイヤやガラスの破片、車体の部品。
それらが反対車線にまで広がっている。

死者が、出ていた。
四方から、火の手と悲鳴が上がっている。
街中を走行していた大型バスが、原因不明の爆発を起こした。
焼けこげたニオイ。
おびただしい悲壮、炎の色、血の色、黒く染まる空。
そして今、灯が一つ、消えようとしている。

 「なんでや、なんで…!?」

『刀』が散らばる其処で、紫色の彼女が絶叫した。

人間の悪意と【闇】が融合することで生まれる【ダークネス】
姿は様々な記憶に形容して変化し、暴走する。
【闇】がどういった概念の存在なのかは判らない。
どうして人間に立ちはだかるのかも。

人間にとって闇は敵で、本能的にも拒絶する存在。
闇によって絶望が生まれるのなら、誰かがやらなければならない。
だから彼女達は闘ってきた。
そうして戦う彼女達をある者はこう呼んだ―― 共鳴者と。
なのに。

 「どうしてですか!―― 新垣さん!」

639名無し募集中。。。:2012/07/01(日) 03:15:51
紫色の彼女が対峙するのは、黒いフードとマント姿の女性だった。
その背後には【闇】と、それによって生まれた【ダークネス】が数体。
女性は円形の何かを操作する。

 「悪いけど、話してる時間はないよ、だから手っ取り早い方法をとったんだから」
 「そんな…そんな事のために他の人を巻き込んだっていうんですか?」
 「小春は手間がかかるからね、何か手立てはある?光井」
 「…ッ」
 「必要なのはあんた達の"共鳴"のチカラだけ」
 
  そして私が、世界を終わらせるんだよ。

それが、【闇】の意志だった。
理解不能?否、理解など通り越して、それは起こりつつある。
今更理解すること自体が間違っているとでも言うように。
ただ、終わらせるだけ。
今自分達がいる世界を終わらせるだけ。
簡単だと、新垣里沙は、【闇】は言った。

 次の瞬間には、【闇】が迫っている。
 成す術は無い、何も出来ない。
 だが背後から黄金の光が追い抜き、何かを告げるように弾けた。

――― 誰かの夢はそこまで。

640名無し募集中。。。:2012/07/01(日) 03:16:38
鈴木香音が目が覚めると、そこは自分の部屋で、ベッドの中で、独りだった。
生まれも死にもしない。
平和の形骸のように切り取られた箱の中。
外には終わる世界で、久遠にたゆたう影。
灰になったモノは全てを失くして、還る。

鈴木の吐く息は何処にも行かず、ただ漂う。
あの学校潜入から3日目の朝を迎えたのを知るのは後の事。

 鈴木は制服を着込み、母親の言葉を振り切って家を飛び出した。
 
学校の廊下で同級たちと会ったが、南棟へと走っていく。
ハアハアハア。息が上がる。
心臓が痛い、階段を二段飛びで上がり、屋上に向かう階段には
『立ち入り禁止』のプレートと障害物。
それすらも跨ごうとして、スカートが引っ掛かってバランスを崩しそうになった。
鍵のかかっているはずのドアはスルリと開く。

給水塔を見上げた瞬間、鈴木は落ちていた空き缶を思いっきり振りあげ、投げた。
寝ていた朱色の彼女は反射的にスルリと避けたが、給水塔の柱にガツンと頭をぶつける。

  「痛いよかのんちゃん」

頭を手で撫でる鞘師は、薄い笑みを浮かべていた。

641名無し募集中。。。:2012/07/01(日) 03:22:35
以上です。
知らない現実は誰かにとっては夢のように不透明。
厨二病バンザーイ。

---------------------ここまで。
また少し長くなりました…。
いつでも構わないのでよろしくお願いします。

642名無しリゾナント:2012/07/01(日) 08:14:19
拝読させていただきまして候
忍法帖のレベルをチェックして投下できるようならば早急に行ってまいります

643名無しリゾナント:2012/07/01(日) 08:23:16
完了
少し心が痛くなるような展開というか
でも心惹かれますね闇の使徒的なガキさんは
完結されることを心待ちにしています

644名無しリゾナント:2012/07/01(日) 12:51:46


エル、襲来

645名無しさん募集中。。。:2012/07/02(月) 07:03:30
かなしみです規制解除されたみたいです
代理ナンターさん先日はありがとうございましたm(__)m

646名無し募集中。。。:2012/07/03(火) 03:08:14
>>690-694 の続き。

その昔、闇と光があった。

闇は光を嫌い、光もまた、闇を嫌っていた。
闇がいつも悪い事をしていたので、光はとても困っていた。
人々が悲しんでいることに心を痛んでいた。

その時、光はある事を思い付く。
闇を打ち払う為の光を増やせばいいのだと。

だけど闇もまた、光と同じことを考え、それを増やす方法を思い付く。
光が考えたのは、人間のチカラを借りるというもの。

 それによって、≪共鳴者≫と呼ばれる人達が生まれた。
 それによって、【ダークネス】と呼ばれる怪物が生まれた。

≪共鳴者≫は光から与えられたチカラによって戦いを始めた。
【ダークネス】もまた、闇から与えられたチカラによって襲いかかる。

 光は≪ココロ≫を使って。
 闇もまた【ココロ】を使って。

それからずっと、闇と光は戦い続けている。

 
学園は静かな日々を送っている。
まるで自分の周りで"事件"が起こっていないように、平穏で、平和な日常。
誰もが知らずに、気付かずに、生きている。
気付いているのはきっと、彼女達だけ。

647名無し募集中。。。:2012/07/03(火) 03:09:40
 「――― ……だから、この公式に当てはめると、イコールで、ガッと
 答えがくるワケなー。判ったかー?っておーい、譜久村聞いてた?」

名前を呼ばれた。
誰かの名前。
はっ、と顔を上げる。
それが自分の名前だと気付くまでに数秒もかかってしまった。
まるで遠い誰かに声をかけられたみたいだった。

 「えっと、あっと、その……っ、…す、すみません。聞いてませんでした」

譜久村聖は、申し訳なさそうに俯いた。微かに笑いが上がる。
教壇に立つ若い数学の教師は、やれやれといった風に大袈裟に溜息を
ついて見せる。

 「まあ、判るけどさあ。おまえも…てか、みんな、だな。
 この学校に入学してもうけっこー経ったよな。小学校とぜんぜん違うから
 最初のうちは緊張してだろうさ。
 んでも今の時期、学校にもすっかり慣れて、外は相変わらず
 晴れてて、おまけに昼飯を食ってお腹も満たされて。
 かったるい授業なんか、受けてられないっつう気持ちも判るさ。
 そりゃ、私も今は先生やってるけど、きみらくらいのときがあったワケで
 ……あ、ごめん。何をいおうと思ってたかってゆうとーあー…判んなくなった」

たくましさのある女性教師が話をはじめた直後、譜久村の態度に怒っているのかと教室中が
緊張感に包みこまれたが、その軽い調子に、緊張が一気に解けて、ドッと笑いが起こる。
ただ譜久村だけが笑っていいのか、まずいのか考えあぐねているらしく
表情を少し強張らせていた。

 「まあ、力を抜き過ぎず、入れ過ぎずって感じで、肩に力が入り過ぎてると
 うまくいかないこともあるからさ。そうだな、まずは、楽しもう」

648名無し募集中。。。:2012/07/03(火) 03:12:15
穏やかに言葉を落とす。
生徒達の顔に一瞬「?」が浮かび上がり、その科白を呟く。

 「楽しもう」

めまぐるしく過ぎて行く日々。
今でも、楽しいと思える授業もある。
でも、中学生になってからは、みんな急に背伸びをはじめ、授業を純粋に
楽しむのがいけないように感じることがあった。
覚えることがたくさん。やらなきゃいけないこともたくさん。
やりたいこともあるけど、やらなきゃならないことの方が多かった。

生徒達、そして、譜久村の中で、ほんの少しの変化。
明日には忘れてしまう気持ちかもしれない。
でも、楽しめばいいんだと、思った。
なんだか判らない切迫感に心を裂かれるよりも、この日々がなんだか判らないのなら
なんだか判らないなりに、それなりに楽しめばいい。
楽しんでいけばいい。
急がなくても、いいんだ。

そう思って、譜久村はさっきまでぼんやりと眺めていた窓の外ののどかな風景から
再び黒板に敷き詰められた文字を目で追った。

これは譜久村聖が2年になったばかりの頃の記憶。
瞬きをした。

649名無し募集中。。。:2012/07/03(火) 03:12:52
「女の子が、助けてくれたんだ」
 「女の子?」
 「私、どうすればいいのか判らなかったの。支えられなければ動かない足
 なんていらないって思ってた。でも、違ったの。私は、いつでも支えられてた。
 一人で立ってるって思ってた、独りで走ってるって思ってた。
 でも違った、私は、間違ってた、ずっと、ずっと間違い続けて、手遅れに
 なるかもって時に、その時に、あの子が助けてくれたの。
 やり直すチャンスをくれたの。もうダメかもしれないけど、頑張れるかもって。
 ねえ聖、私、まだ言ってないことがあるの、その子に―――」

ベットに横たわる彼女は弱弱しく泣いていたが、それは後悔や絶望でも
ない、ただ力を抜いて、安心したように。
気付けば譜久村は、屋上のドアを回していた。今は昼休み。今が現在。
微かに聞こえる話に耳を傾ける。

 「"きょーめいしゃ"?」
 「ほとんど敵にしか言われないけどね」

鞘師はどこから取り出したのか、チョークでコンクリートに文字を書く。
「共鳴者」と書いた後に、変なキャラクターが付け加えられている。

 「はあ、そうなんですか」
 「なんか冷静になってる?」
 「いや、驚いてほしいなら驚くよ、リアクション込みで」
 「いいよ別に」

空に近い場所に、二人は居る。
誰かが来るような気配はない、鈴木の姿を見ているのは何人も
居る筈なのに、それを追ってきた人間は一人も居なかった。

650名無し募集中。。。:2012/07/03(火) 03:24:06
以上です。
今回の新曲の特設サイトが出来たらしいですね。
プロフィールムービーはかなりアリガタイ。
http://www.youtube.com/watch?v=UkliS4_2xWQ

>>714
ロリコン言うな(ローキック×9)

-------------------------------ここまで。
少し作品が多く投下されてるようなので、少し間を
置いてもらえると助かります。
いつでも構わないので、よろしくお願いします。

651名無しリゾナント:2012/07/04(水) 00:36:34
作品がたくさん上がってるので途切れたときで構いません。
よろしくおねがいします。
出会い方とか能力とかいろいろあっていいです、よね?と
ちょっと弱気になりつつ投下w

652名無しリゾナント:2012/07/04(水) 00:38:58

れいなと香音が同じタイミングで耳を塞いだその時、愛佳が両手で目を覆った。
れいなの手から包丁が滑り、指の薄い皮膚を撫でながら床に落ちる。
白い指先から真っ赤な血が溢れ出すその刹那、絵里の指先からも鮮血が生まれ
それが流れ落ちるより早くさゆみが能力を開放した。

キィィィィ、と耳元で電車が猛スピードでカーブに差し掛かる。
鉄が強い力で擦れ、火花が散る。
轟音を響かせながら、車両が何台も途切れることなく通過していく。
 
香音が耳を手で塞いだまま顔を歪め、目をきつく瞑り天井を仰いだ。
あまりの音にれいなは蹲り、歯を食いしばった。声にならない声が漏れる。

愛佳の脳裏に映し出されるいくつもの映像。
重なり、混じり、走馬灯のように流れていく。
そのスピードに追いつけず愛佳は突っ伏し幾度となくカウンターに頭を打ち付けた。

653名無しリゾナント:2012/07/04(水) 00:47:05

「生田!!!!」

そう叫んだのは愛だったか、里沙だったか。
リゾナントが紫色の光で覆われた時、3人は同時に意識を失い見えない何かから開放される。

「ダレ!?」

拳を握り立ち上がるジュンジュンとリンリン。それにつられ里保も腰をあげ鞘を握る。
意識を失った所為でバランスを無くし椅子ごと倒れそうになった香音の身体を聖が支えた。 
 
「小春、光井の映像映せる?あたし光井の中に入っていくから。」

里沙の言葉に小春が頷き、カウンターに突っ伏したままの愛佳に触れる。
愛は全神経を愛佳の、里沙の意識に集中させた。
 
紫色の中にピンクが生まれ、そしてその中にオレンジが混じる。
絵里は能力を開放しさゆみと衣梨奈の力を風に乗せた。

「きたっ」

小春が叫ぶ。
愛佳の見た映像が小春の能力によって目に見えるものとして映し出される。

654名無しリゾナント:2012/07/04(水) 00:48:06


 重なり、混じり、ものすごいスピードで流れる映像。


 大声で泣き叫ぶ少女。振り上げられる拳、噛み付く。血飛沫
 暗い大きな部屋。蔑む視線。砂埃、細い足、抉れた膝。
 強いフラッシュ。靡く長い髪。笑顔。ニコリ。吊り上げられた目。罵倒。
 充血した瞳。鋭い眼光。歪む世界。空が…落ちる。闇、闇、闇。


 誰か、ねぇねぇ。誰か―――…


 
 新しい未来が動き出す。それは、光か。それとも闇か。

655名無しリゾナント:2012/07/04(水) 00:52:50
>>652-654 いいタイトルが浮かばないのでタイトルなしで。以上です
続きは妄想してますが設定が自分勝手すぎるので葛藤中ですw
リゾナントに13人集まったらきっと満員でしょうね。


―――
代理投稿お願いいたします。

656名無しリゾナント:2012/07/04(水) 12:32:44
スレも終わりに近づきつつあるのでいっときますか
ひとまず先に>>650さんの方から

657名無しリゾナント:2012/07/04(水) 12:39:16
とりあえず完了
>>651さんのに関してはまた間隔を空けた方が良いのかな

658名無し募集中。。。:2012/07/05(木) 12:09:20
>>650です。
代理投稿ありがとうございました。
夏になったからなのか投下の量が増えてきましたね。

659名無しリゾナント:2012/07/05(木) 12:56:49
>>655
とりあえず完了しました

660名無し募集中。。。:2012/07/06(金) 01:04:28
>>795-798 の続き。

昨日のように蘇るあの出来事があったはずの屋上は、何事もなかったように
形を保っていて、維持していて、鳥がフェンスの上で立っている。
ただ夢ではないことだけが、鈴木の記憶に残っていた。

鈴木は両手をあげようとした形で鞘師に止められ、ゆっくりと腕を下げる。
手にあったサイダーの中身がポチャン、と揺れた。
いつものように晴れた青空の色を水で薄めたような其れ。

 「≪共鳴者≫はね、【ダークネス】を倒すヒトのことだよ。
 かのんちゃんが見たのがそれ、私は、それを追ってここに来たんだ」
 「…なんでここなの?」
 「別にここじゃなくても良かったと思う。簡単に"悪意"を生産して、なおかつ
 まとめて効率的に集めれる場所としては良いってだけ」
 「ニワトリって感じか」
 「うまいね」
 「別に笑わせるために言ったんじゃないよっ。…その制服の学校も?」
 「…そうだね」

地雷踏んだ?
鈴木は暗い影を落とす鞘師に何も言えなくなってしまい、サイダーを傾ける。
何かと事情はあるんだろうと思ったが、話がリアルを通り越してしまったらしい。
疲労度満載でここに来たことが馬鹿みたいに感じる。
きょーめいしゃだとかだーくねすとか、今まで聞いたことのない単語は
新しく学ぶ英文よりも理解に悩む。

 「あのさ、なんであたしには"アレ"が見えるの?」

661名無し募集中。。。:2012/07/06(金) 01:05:48
鈴木は自分の目を人差し指で示す。
あの時、鞘師は自分のチカラを知って学校のあの場所に連れ出し、そして感じた。
どうして自分には、あの【闇】が"みえた"のか。

 「多分、光に触れたからだと思う」
 「ヒカリ?」
 「かのんちゃんのチカラは"音"から"色"を探ることが出来る。
 それに光が加わったことで、【闇】を感じれるようになったんじゃないかな」
 「…へえ」 

つまり見えなかったものが見えるようになったという事なのか。
ヒカリとかヤミとか、それにしては少し難しい言葉で彼女は説明をする。
鞘師は本当に宇宙人かなにかかもしれないと思った。
鈴木の表情に気付いたのか、鞘師は口を線に引き、視線を伏せる。

 「これが光の正体」

不意に取り出されたのは、見覚えのある小さな箱。
「あ」と漏らす鈴木に、布で包まれたソレが姿を現した。
微かにアメジストのヒカリを帯びた、ガラスレンズ。

 「これ、かのんちゃんに預けるね」
 「え、なんで?」
 「おまじないだよ。あとお礼。それがあればかのんちゃんのチカラも
 もっと扱えるようになるかもしれないから」

差し出される箱を鈴木は恐る恐る持ちあげる。
輝きを見ていると、何故だか安心した。ホゥ、と息を吐く。

662名無し募集中。。。:2012/07/06(金) 01:08:15
 「りほちゃんは、なんでこんな事に巻き込まれてるの?
 そのきょーめいしゃってヤツだから?」
 「かのんちゃんは神様を信じてる?」

鞘師から意外な存在の名前を出されたが、鈴木は素直に頷いた。

 「神様がヒトの願いを叶えるなら、神様の願いを叶えるのは誰だと思う?」
 「誰って言われても、神様は万能だよ」
 「じゃあなんで救われない人がいるか分かる?」
 「それは…」
 「つまりそういう事だよ。私がこうなろうって思ったのは。
 神様ができない事をしようってね」
 「神様…ねえ」

神様はいるのかと問われれば、居ると鈴木は思う。
だって願いを叶えて欲しいとお願いするのは『神様』だから。
だから思いもつかなかった。

『神様』の願いを叶えるのは誰かなんて。
鞘師が浮かべる『神様』は、一体どんな姿をしているのだろう。

 不思議な気分だった。あんな事があったのに、世界は何事も無く平和で。
 あれが夢のような気がして、箱のヒカリに安堵していて。
 鈴木は、あの時の夢や、あの時の現実を口にする事はしなかった。

鞘師はサイダーを一口飲んで、僅かに視線を向ける、開いたドアがゆっくりと。

663名無し募集中。。。:2012/07/06(金) 01:14:00
以上です。
ようやくあの二人と合流できる所まで辿り着いたorz
実に日常的で実に非日常な日々はまだまだ続きます。

------------------------------ここまで。
●の買い方が分からないのもあるのですが、これ以上代理を
お願いすると規制になるかもしれないので、何とか
しないといけないとは思うのですが…いつでも構わないのでよろしくお願いします。

664名無し募集中。。。:2012/07/06(金) 02:00:49
初めてですが行ってきます

665名無し募集中。。。:2012/07/06(金) 02:07:43
行ってきました
先の読めない展開が大好きです
乙です

666名無し募集中。。。:2012/07/06(金) 13:17:36
>>663です。
代理投稿ありがとうございました。
できれば>>845-847とどこまでの書き込みかを明記して
もらえると良かったのですが…。

667名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 20:44:00
>>845-847 の続き。

 「――― みーずきっ」
 「うわひゃあっ」
 「なにしてんの?こんなところにへばり付いて」
 「な、なんだえりぽんか。驚かさないでよ。なんでいるの?」
 「質問を質問で返すなんて聖ひどいっちゃねえ。んー?あそこにいるのって確か敵怪人…」
 「えりぽん」
 「冗談っちゃん、えーとそうだそうだ、香音ちゃんだ。でも隣は知らない子。
 制服もみたことないし、もしかして侵入者っ?」
 「違うよ、ええとあの子はその、友達なの、そう友達っ」
 「そうなの?じゃあ別に隠れることないっちゃない?おーい、そこの二人ー」
 「あっ、ちょっとえりぽん!……もおKYっ」

譜久村は飛びだした生田に叫んだ。
結果的にその声で二人に気付かれたのだが、生田が携帯を構える。

パシャリ。
携帯を顔から離すと、鞘師に向けて笑顔を浮かべた。

 「見かけない子っちゃね。名前はなんて言うの?」

突然の訪問者に鈴木はうわっと思った。
生田衣梨奈、何故ここに?
その背後から出て来た譜久村が慌てて生田の肩を掴む。

 「ご、ごめんね二人共っ、その、盗み聞きしようなんて思ってなくて…」
 「何言っとうとよ、壁にへばりついとったやん」
 「わー!わー!」
 「ねえそっちに行っても良いっ?」

668名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 20:46:23
その言葉とは裏腹にがっつりとはしごを上って来る生田。
鈴木は慌てて箱をポケットに突っ込むと、鞘師の影に隠れるように移動する。
生田の後に上がってきた譜久村は気まずそうに笑顔を浮かべていた。

 「へえ、こんな所上がったの初めてだけど、良い景色っちゃねえ。
 で、あんたはどこの子?えりなはここの学校の2年っちゃけど」

鈴木と譜久村が鞘師に視線を注ぐ。
すると、鞘師は薄く笑顔を浮かべて、こう言った。

 「初めまして"えりなちゃん"。
 今度ここに転校することになった鞘師里保と言います」

 *



 「――― 知ってる?なんかさ、転校生くるらしいよ?」

黎明学園一年の生徒達は、朝一番、教室に入った瞬間から
この話題で盛り上がっていた。
ただその盛り上がりは普通とは少し違っていて。

 「転校生ってマジ?」
 「だってさあ今って…」
 「だよねえ…」
 「まだ"四月"でしょ?」

669名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 20:47:24
四月に入学式があり、その一週間後に一学期の始業式。
さらにその約一週間後が、今日。五月に入ろうという下旬だ。
ちなみに天気は相変わらずの晴天。
気温も高くなく風もゆるやかで、たいへん気持ちのよろしい一日が始まる予感。
中学生活は始まったばかりだ。

それなのに、転校生がやってくる。
妙なタイミングなのもあって、その騒動は他のクラス、他の学年にも飛び火しようとしていた。
そんな中で一番気になるのは。

 「ていうかオトコ!?オンナ!?」

それぞれがそれぞれに想像、妄想を膨らませる。
ああだこうだ、イメージは拡大していく。
ただ大概、冷たい現実。

日常の中のちょっとした刺激的な出来事は、そうやって幕を下ろす。
そのはずだった――― 。


 ――― 何を言い出すんだこの子は。

きょとんとする生田に、どう反応すれば良いのか判らない鈴木と譜久村。
鞘師はさも当然のようにドヤ顔を隠さない。

 「新しい学校が気になって、ちょっと忍びこんじゃったの。
 ここはあまり人も来ないから、丁度いいかなって思って」
 「…あはっ、そっか転校生かあ、やることが大胆っちゃねえ」

670名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 20:52:20
生田も笑う、鞘師の言葉に何の疑いも見せずに、純粋に受け止めていた。
そんな二人をよそに、鈴木とその隣に移動してきた譜久村は変に焦っている。
肩を掴まれた。

 「ねえ、転校ってホント?」
 「いや、今初めて聞いて…ていうかなんでみずきちゃんがいるの?」
 「私は里保ちゃんに用があって……それを言えば香音ちゃんだって。
 ずっと寝込んでるから今日も休むってお母さんから聞いてたのに」
 「あーうん、治ったから大丈夫だよ。ほら、このとおり」
 「そ、そうなの?でも気分悪くなったら言うんだよ」

笑顔を含めて表したのが良かったのか、譜久村の優しさにほんわりとした鈴木。
半分は嘘で半分は本当。
ただ説明するにはいろんな意味で面倒くさい。
ふと、視線に気づいたかと思うと、鞘師がこちらを見ていた。
鈴木ではなく、譜久村の方に。

 「フクちゃん、私に何か聞きたい事があるんでしょ?」
 「え?あ、ええと…」
 「良いよ、ここで話してもらっても」
 「でも二人が…」
 「なになに?なんの話?」

鞘師の言葉に戸惑う譜久村は、だが他の二人の視線も集まる。
口にした時点で遅し。
自分の知らない顔ではないというのもある。
諦めたように一呼吸つき、おもむろに口を開いた。

671名無し募集中。。。:2012/07/07(土) 21:02:33
以上です。
4人の出会いは偶然のように歩き出す。

>>30
やっと洞窟から出て来ましたねおかえりなさい(殴

----------------------------ここまで。
す、進まない…(汗
ただここで4人を合流させないと布石の意味がないので。
いつでも構わないのでよろしくお願いします。

672名無しリゾナント:2012/07/08(日) 21:13:01
ちょうどスレも空いてるようですので行ってまいります

673名無しリゾナント:2012/07/08(日) 21:18:49
代理完了
1レス目に前回投下したレス番を書いておられましたが、スレが変わってしまっているので、僭越ながら暫定保管庫のurlを貼らせてもらいました

674名無しリゾナント:2012/07/09(月) 01:25:50
>>655です。
>>657さん代理投稿ありがとうございました。
遅くなりましてすみません、気を遣っていただきありがとうでした!

675名無し募集中。。。:2012/07/09(月) 01:55:12
>>671です。
代理投稿ありがとうございます。
そういえば新しいスレになってたんですね、お手数をおかけしました(平伏

676名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 00:19:41
>>70-73 の続き。

 「――― なあ香音、転校生が職員室に来てるって。見に行こうよ」
 「…あたしパス」
 「なんだよ、ノリが悪いなあ。クラスの仲間になるヤツなんだから
 もうちょっとハリキっていこうぜ?」
 「いいよ別に、あたし知ってるもん」
 「え?いつ?どこで?オンナ?オトコ?」
 「女の子」
 「マジかッ!なら友達になるしかないフラグだな!」
 「んー?んーそうだね」

いつもなら一緒に騒ぐ所なのだろうが、鈴木は逆に溜息が漏れた。
転校生が来るのは良い。
彼女の言うとおり、友達になっていろんな話を聞くのも良い。
鈴木自身、それはきっと楽しいものだとも思っている。
だから多分きっと、なんとなく、だ。

 「私ね、"みえる"んだ。場所とか物に残ってるものとか。
 二人には言ったことがあるでしょ?私のチカラ」
 「確かさいこめとりーってヤツっちゃんね。すごいメジャーな超能力」
 「なんかバカにされた気分…」
 「あ、ごめん。ごめんってみずきー」

『接触感応 -サイコメトリー-』
物体、物質に残る残留思念を"触れる"という条件のみで読み取るという
テレビでも重宝されてきたあの超能力だ。

677名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 00:21:25
小さい頃は手に触れたもの全部を読み取っていたことで苦労したと
譜久村本人から聞かされたことがあり、鈴木がチカラを打ち明けるための
きっかけにもなっていた。

 「テレビなんかでもよくやってるじゃない、証拠を見つけるとか、あんな感じのを想像して。
 ただ知りたかっただけなの、なんであんな事になったのか。友達だから。
 そしたら、里保ちゃんが、見えたの、最初は確信はなかったんだけど
 あの子の話す女の子がね、里保ちゃんに似てるなって、それで…」
 「試してみる?」

鞘師は自分の掌を差し出して、呟いた。
譜久村は先にそれをされるとは思わなかったらしく、戸惑いを浮かべる。
表情を崩さない鞘師にもう一度視線を向けて、グッと顔を強張らせる。
 
微かに指を伸ばし、それを彼女が引っ張った。



ざわつく教室。
時刻は午前八時を過ぎていた。

 「今日からみんなと一緒に勉強することになった――― 」

担任教師が教壇に上って、隣に立つ彼女にゆっくり視線を下ろす。
自己紹介をしなさい的なうながしだった。

 「……………あ、あれ?」

678名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 00:24:02
だが彼女は、担任の思いやりやら尊厳やらを片っ端から無視して、じーっと教室の様子を
今日からクラスの仲間になる生徒達の様子を、観察するようにゆっくり見渡していた。
鈴木は目が合う前に見もしない教科書でガードする。
別に嫌では無いのだが、反射的に、ただ、なんとなくだった。

 「まあ、そうだなあ、いきなりだから緊張してると思うが…」

しかし緊張しているのは担任と、生徒たちの方だった。
小柄な彼女はやたらと幼い。
なのに立ち姿や伝わってくる雰囲気は、オトナびている。
自分達と同い年の中等部1年、制服は新しく新調した、この学校の校章が付いている。

なんというかもう、猫でもうさぎでもトナカイでも被ってるほど完璧な空気だ。
そしてようやく。

 「鞘師里保です。はじめての街で不安と戸惑いで、ちょっとドキドキしてます。
 みなさん、どうかよろしくお願いします」

まるでカンニングペーパーでも食べたようにしっかりした口調で、鞘師は言った。
嘘くさいものは嘘くさいが故に本当っぽく見えるものだ。
その努力のかいあってか、数ヶ月で彼女は"優等生"としての地位を築く事になる。
多分、良い意味で。


 
 「――― ッ」
 「ど、どうしたと聖」

鞘師の手に触れた途端、ものの数分も経たずに譜久村は泣き崩れた。
鈴木はもはや傍観者側に立っていた。

679名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 00:25:18
 「里保ちゃん、これは、本当の事なの?」

鞘師は表情を崩さず、ゆっくりと頷いた。
譜久村が"みた"光景が一体どんなものだったのかは鈴木には分からない。

 「ねえ里保ちゃん、私にも何か出来ることはないかな?
 里保ちゃんはそのためにこの学校に来てくれたんでしょ?」
 「聖、全然話が見えんっちゃけど、えりな達にも説明してよねえ香音ちゃん?」

生田が不意に、傍観者だった鈴木を引きずりだしてきた。
それに「え?あ、うん」と変な相槌を打ってハッと口をつぐむ。

 「えりぽん、この学校はね、危機に直面してるの。
 でもやっと判った、多分、私達がやるべき事なんだ。
 何でか判んないけど…私達がしなきゃいけない気がする」

譜久村の珍しくもある真剣な眼差しを伏せる姿に、生田は何を思ったのか
彼女の肩を優しく触れた。
そして何かを決めたように、というよりは何かを期待した眼差しで口を開いた。


 「つまり事件やね、聖。いよいよえりなの本領が発揮するときが来たあああ!」

というより両腕を空に突き上げて叫んだ。嬉しそうだ、心の底から喜んでいる。

 「ちょ、えりぽん、これは遊びじゃないんだよっ。それに私まだ何も説明してない…」
 「危機に直面してるってことはそういう事態ってことやろ?
 この学校を狙ってる敵がおるってことっちゃん。で、えりな達は何をすればいいと?」
 「……突きとめるんだよ、この事件の"真犯人"を」

680名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 00:27:07
――― 昼休み時間。チャイムと同時に一緒にしようとした女子や、休み時間に
 できなかった質問タイムを今度こそおっぱじめようとたくらんでいた男子が振り向いた
 ときには、鞘師の姿はすでになかった。

というより、休み時間のたびに居なくなっている。何故か鈴木香音と一緒に。

 「なんでみずきちゃんを巻き込んだの?」
 「フクちゃん自身が決めたんだよ、私はただ問い掛けただけ。
 フクちゃんもまた、『共鳴』したヒトだったんだ。えりなちゃんはまだ興味本位ってとこかな」
 「りほちゃん、なんか楽しんでるよね」
 「そうかな?」
 「そうだよ」
 「うん、でも、ちょっと嬉しい」
 「え?」
 「一緒に戦ってくれる人達が出来て、多分、嬉しいんだよ――― ありがとう」

鞘師はそう言って、笑った。
何故彼女がそんな事を言ったのか、鈴木はこの時、判らなかった。気付かなかった。
どうしてこの4人だったのかも。
鞘師の笑顔が少しだけ、寂しそうだったのも。

こうしてこの日を境に、鈴木は実に日常的で、非日常な生活を送る事になる。

 ――― 携帯の画面には鞘師と鈴木の二人が映っている。
 "彼女"はようやく出会えた待ち人を見つめるように、嗤った。

681名無し募集中。。。:2012/07/11(水) 00:41:54
以上です。
これでストック分は上げ終わったので少し潜ります。
いろいろとぼかしてる部分は追々。
※4人の人物像は1年前、10期加入前のイメージを参考中。

あ、あとwikiの方のタイトルが名無しから『-Qualia-』
と明記してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。

-----------------------------------ここまで。

いつでも構わないのでよろしくお願いします(平伏

682名無しリゾナント:2012/07/11(水) 02:11:43
>>681
代理っときました。
関係ないけどしたらばは横の小倉ゆずちゃんのおっぱいが気になり杉

683名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:24:58
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/641.html#id_0b8a4f76つづき

-------

ジュンジュンは男に馬乗りになろうとする。
しかし、男は右腕を突きだし、ジュンジュンの腹を突き刺した。
重力の法則も相まって、腹部に重く入った拳にジュンジュンは思わず声を漏らした。
よろめきながらも男と距離を保つが、男はゆっくりと立ち上がり、彼女を蹴り飛ばした。

「ジュンジュンっ!」

彼女は勢いそのままに壁に背中から激突した。
後頭部を打つ脳震盪を起こしたのか、彼女は力なく崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなった。
リンリンは彼女に駆け寄りたかったが、男が腰にぶら下げた太刀に手を伸ばしたことでそうもいかなくなった。
男は鞘から刀身を抜く。
一点の曇りもない刀身は確かに綺麗だと思った。

瞬間、男はリンリンに距離を詰めたかと思うと、一気に刀を振り下ろした。
リンリンは慌てて下がるが、切先は肩を掠め、微かに肉を切っていた。
苦痛に顔を歪めるが、次の瞬間には男は再び間合いに入っていた。
冗談だろう?と思う間に、刀は左脚を捉える。
骨ごと切り落とされそうになったとき、リンリンは男の手首を蹴りあげて距離をはかった。

「―――っぐぁ゛……」

完全に避けきることはできず、左脚の1/3に刀は入り込んでいたようだ。
出血の量はさほど多くはないが、楽観視している余裕もない。
リンリンは痛む左脚を引きずって確かな距離を保つ。
想像以上の強さに動揺が隠せないが、退くわけにもいかない。
れいなと連絡は取れたから、もうすぐ何人かが援護に来てくれる。それまではせめて立っておかなければならない。

684名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:25:28

男はなんどかステップを踏んだかと思うと、右脚で地面を軽く蹴った。

―高い!

何処からその跳躍力があるのかと驚愕したのも束の間、男は刀を振り下ろした。
刃はリンリンの体に触れることはないまま、地面へと突き刺さる。その周辺のコンクリートは抉られ、その力の強さを目の当たりにする。
リンリンはとにかく時間を稼ごうと右手に気を集中させる。
なんどか心の中で発動の言葉を呟いたあと、再び斬りかかってきた男に右手を突き出した。

突如、男の周囲、半径1メートルが焔の盾で包まれた。
“発火能力(パイロキネシス)”のおかげで、なんとか時間を稼ぐことができそうだった。
さほど長時間にはならないだろうが、せめてジュンジュンが受けた傷を回復させるまでには……

そう考えたときだった。
焔の盾が真っ直ぐに突き破られた。
リンリンは慌てて避けると、飛び出した男は一足で再び懐に入ってきた。

「早い……っ!」

男の刀はリンリンの額を掠めただけで終わったが、最も皮膚の薄い部分だったせいか、血がどろりと滲み出た。
すぐさま後ろに下がるが、血は止まることなく溢れ出し、リンリンの瞳に流れた。
視界がぼやけたことに慌ててこすると、その先で、男は刀を天高く振り上げていた。
此処から男までの推定距離は3メートル弱。その位置から振り下ろしてなにをするつもりだと考えるが、男は構わず刃を振った。

685名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:25:58


瞬間、膝が折れた。

「っ―――あ゛ああぁ!!」

なにが起きたのか、分からなかった。
あれほど離れた地点からの攻撃など、無意味だと思っていた。
もしなにか飛び道具があるにしても、躱わせないはずがないと思っていた。

しかし、現実にはそうはいかなかった。
男の刃から発せられた“なにか”は、リンリンの左脚に直撃し、その膝を折らせた。
先ほど受けた傷を抉るように痛みはさらに深まり、のた打ち回る。

―この感じ……やはりさっきのは……

あの男が3メートル離れた地点から刀を振り下ろして攻撃できた理由は、居合切り―――カマイタチの原理で説明はつく。
ただ問題は、あの男はそれに加え、別の能力も有しているということだった。

痛みを叫びながらリンリンは先ほど破壊された携帯電話を思い出した。
携帯電話が破壊されたとき、リンリンは確かにその手に「電気」を感じた。
最初は、内蔵された機器が破壊の衝動でなんらかのショートを起こし、その電気を手が感じたのだと思った。
だが、いまの男の太刀筋を見て考えが変わった。

686名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:26:35

あの男は、自分の刀でカマイタチ現象を起こすとともに、その空気間に“雷”を発生させていた。
やはりあの男も能力者であることは間違いない。
“雷の刃”を発生させるなんて、普通の人間にできることではない。

「あぅ゛……」

しかし、相手の攻撃が分かったところで打開策はなかった。
左脚は完全に動かなくなり、“発火能力(パイロキネシス)”を使おうにも、先ほどのように突破されてしまう。
仲間が来るのを待とうにも、その前に斬られてしまうのが目に見えていた。

いよいよ此処までかと下唇を噛みながら男を睨みつけていると、男の周囲に多量の石礫が飛んでいった。
何事かと思うが、それがジュンジュンの“念動力(サイコキネシス)”だと気付いたのは直後のことだった。
男は刀で石礫をひとつ残らず叩き落とすと、リンリンに背を向け、ジュンジュンと向き合った。

「お前ノ敵はこっちダヨ」

そうしてジュンジュンは腹部を押さえながらも、くいっと人差し指で挑発すると、脱兎のごとく走り出した。
男は数秒の間をもったものの、手負いのリンリンには興味をなくしたのか、その背中を追いかけた。

「ジュンジュン!ダメ!!」

なにが起きたのかを漸く把握したリンリンは叫んだが、そのときにはもうふたりとも目の前から姿を消していた。
冗談じゃない、神獣を護る神官の立場である自分が、その神獣に護られるなど言語道断だった。
リンリンはふたりを追い駆けようとするが、左脚は死んだまま、立ち上がることもできずにいた。

687名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:27:15

「なんで……こんなときにっ!!」

リンリンはシャツをちぎると、傷口に荒っぽく巻きつけ、とりあえずの止血を行った。

護りたいと思った。
自分の大切な世界を、大切な仲間を、大切な人を。
此処で生きているだれもの笑顔を護りたくて、だからリンリンはリゾナンターとして闘う日々を選んだ。
正義がなにか、悪がなにかなんて分からない。分からないけれども、護りたいものがあるからリンリンは闘う道に走った。
そうであるからこそ、あの日の女にそう叫んだのだ。

「ジュンジュンっ!!」

こんなところで、痛みに泣いている場合じゃないんだとリンリンは必死に叫んだ。
未だに鮮血を垂れ流す脚を拳で叩き、半ば強引に立ち上がった。

688名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 17:29:19
とりあえず此処までになります
この章は少し長いのですがもう少しつづきます

----------------------------------------此処まで

いつでも構いませんのでどなたか代理投下宜しくお願い致します

689名無しリゾナント:2012/07/18(水) 20:36:04
スレが空いてたから上げておきました
息を呑む展開でしたね
小春が真っ先に異動しただけに今度はどんな運命が待ち受けてるのか
ハラハラしながら読みました

690名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 22:56:52
次回予告
     今日も私は大好きな先輩達との訓練の後 お気に入りのサイダーなんかを飲んで どのメーカーのが好き? とか
   香音ちゃんのやつ炭酸抜けてるよウフフとか言って笑うの そして夜は素敵な夢なんか見ちゃったりして明日を迎えるの
                           - でも そうはならなかった …ね -
            【世の中は 既に狂っている そう 今や 包丁を持ちストレートに駆け寄って来る殺人鬼より
          人形や得体の知れぬ物体を握り締め じっとコチラを伺う者の方が よっぽど恐ろしい時代なのだ】
         ああ…何と言う事だろう 今 私の前にゆらゆらと立つピンク色の女は間違いなく 後者に当たるだろう
            女…いや悪魔は言う「キスしたいの」あぁ『殺してやる!』より何倍も恐ろしい言葉であろうか
     -唇による犯罪- 3度現れしピンクの悪魔はスヤスヤと眠っていた新メンバーのうち3人を既に攻略 -キスによる再殺-
    ttp://aewen.com/momusu/michishige/img/aewen5308.jpg 「ふふ とっても柔らかいの〜香音ちゃんもあんなに幸せそう」
   蝶の羽ばたきの様に手足を激しくバタつかせて痙攣する鈴木 やがて動きは止まり…白雪姫の眠りを目覚めさせるどころか
     生気は抜け 更に深い眠りへと誘ってしまった いともたやすく行われるエゲツナイ行為に思わず目を背ける そして遂に
 生き残っていた少女鞘師にも魔の唇が迫ろうとしていたのだった 恐ろしさに震える唇は ルアーの動きに惹きつけられる魚の如く
      悪魔を挑発する「もう 辛抱たまらんの!!」その時 既に洗脳(変態に)されていた聖が起き上がり悪魔に言い放つ
      ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen9577.jpg 「お待ちください 変態を統べりし女王 ピンクの悪魔様ッ
     その少女の持つ唇は『真紅のリホリップ』しかるべき儀式を持ってすれば…」 悪魔の唇は里保の唇を逸れて首筋へ
           「黙るのミズキ!フフフっ分かっているの すぐに奪ってはつまらないの この真紅のリホリップ
         (覇王の唇)は私がゴットピンクへと転生する為に必要なの 少し焦ってしまっただけなの……ミズキ?
         あなたはお酒はまだだめなの」「いいえ 私は酒に酔ったのではありません あなたに酔ったのですわ
       ピンクの悪魔サイコー!」「2人共な…何をいっているんじゃ……」奇跡的に少女に与えられた少しの時間
          この時間も奇跡でさえも 団地妻ミズキに言わせれば これもまた淫果の流れといったところか
 ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10133.jpg 「大いなる変態の刻……“桃魔の儀”を執り行う!里保を祭壇へ!!」
     少女の足元には気を失ったメンバー達が積み重なっている ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen6473.jpg
  「その者達はピンクの悪魔様が積み上げてきた快楽の犠牲 悪魔様…それでも なおピンクの悪魔様の目にあの唇が何よりも
眩しいのなら あの少女をも快楽の贄とし 一言唱えさせるのです “捧げる”と さすれば頂より天に昇り立つ 変態の唇を授からん!」


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(変態ハンタ〜前編)「情熱のキスを一つ」

           少女鞘師の理解を超常する恐ろしく異様な世界が展開してゆく 無事にこの快楽の宴を
         生き延びる為 少女はどうあがき もがいてゆくのか? すべては淫果の流れの中に…………

691名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 22:59:56
ベルセルクファンの方 申し訳ないm(__)m↑

692名無し募集中。。。:2012/07/18(水) 23:03:24
いろいろ設定していたら忍法というのが下がったみたいで
大きなサイズを書き込めなくなりました
どなたか代理出来ます方宜しくお願い致しますm(__)m

693名無しリゾナント:2012/07/19(木) 04:21:30
行ってきました
濃密すぎるw

694名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 06:12:54
ありがとうございますm(__)mまた今後かなりお世話になりそうです申し訳ないです よろしくお願いします

695名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 21:52:25
次回予告
      -取り返しのつかない変態行為 そのドス黒さは闇よりも更に深く 今よりピンクの時代が始まる-
ttp://aewen.com/momusu/michishige/img/aewen5308.jpg ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen8694.gif
         「さあ りほりほ りほりほから捧げると言うの たった一言 私に唇を“捧げる”と言うの!
          りほりほの口からその言葉を聞きたいの たまらない征服感で私を満たすの!!」
        「さッ…さ………」「そうなの」「さ……」「そう 早く言うの 私にその唇を プレゼントするの」
             「さっささッサイダーーッ!!」「!?サイダー?何を言っているの??」
         「そっそうです喉が乾いてしまってっ あの 上手く言えないんです とっ取ってきますっ!」
    「まぁいいの 逃げようと思っても りほりほの行動は予知で分かるの 最後のサイダー良く味わうといいの」
         震える足で冷蔵庫へとサイダーを取りに行く あぁこのサイダーは奇しくも道重先輩が
          プレゼントしてくれた物だ…ビンに私の脅えきった表情が写る これが最後の一本
 ラストサイダー…ファイナルシュワシュワ……なんだ……絶望に震える手がサイダーのビンを激しく揺すっている
            悪魔の元へと戻る間 戻った後も震えは治まらない 更に増してゆくばかりだ
   「あら あら あら〜そんなに震えちゃって 可哀そうになの でも大丈夫もう直ぐそれは快感の震えと変わるの」
           【変態の接合点では 時に予測できぬことが起こる ごくごく微少ではあるが…】
            先程の悪魔の言葉によって増した手の震えが少女の運命を変えたのである
     ビンの栓を抜こうとした瞬間 栓とサイダーが勢い良く発射され それは悪魔の目を直撃したのだった
   意識外からの攻撃!悪魔は予知能力があった しかし里保の行動予知ばかりに集中し気を取られていた為
        自身の危険予知に手を抜いていたのだ…まさか まさかサイダーが攻撃してくるとはっ!?
         「目がぁ〜〜〜目がぁぁ〜〜〜〜!!何と言う事なの!?全てを把握していたと思って
         油断していたの!私がりほりほに酔っていたというの?恐ろしい娘ッ…りほりほ!!!」
ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10345.jpg  ttp://aewen.com/momusu/group/img/aewen10145.jpg
  少女は叫んだ「わ〜どこかへ居なくなれ〜ッ!しゅわしゅわぽんっ!!」堪らず闇へと身をくらますピンクの悪魔
     「悪魔様ぁ待って下さい〜〜ミズキを置いてかないで〜」少女はこの狂宴から生き延びた たった一人


次回かなしみ戦隊リゾナンターV(変態ハンタ〜後編)「わ〜MERRYピンXmas!」

           -今でも少女の首筋にはピンクの烙印が残る……悪魔のくちづけの痕が-
もしも あなたがピンク色の悪魔に襲われたなら サイダービンを持ち こう一言唱えればいい【しゅわしゅわぽんっ】と…

696名無し募集中。。。:2012/07/19(木) 21:59:46
保全の代わりになれればと頑張ります…代理投稿よろしくお願い致します↑

697名無しリゾナント:2012/07/20(金) 00:10:29
行ってまいりました
因果を淫果とかヒドすぎるw
頑張って完結してくださいませ

698名無し募集中。。。:2012/07/20(金) 00:44:50
ありがとうo(^-^)o頑張ります!

699名無し募集中。。。:2012/07/25(水) 11:56:06
本当だわ…女と男ララバイゲームだたよ…うっかりさんや〜(´∀`)

700名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:27:05
http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/641.htmlつづき


れいなは深く息を吐くと、目を閉じた。
世界が闇に覆われ、自分という存在の確認すらも危うくなる。
それでも、田中れいなは確かに此処にいるのだと認識するように、れいなは自分の周囲に気を集める。

頭の中で確かな刀のイメージ像をつくる。
集まった光は映像となり、右手に力を込めた。

瞬間、右手の中に再びあの刀が現れた。

刀身が真っ直ぐに伸びた綺麗な刀は、何処か蒼みを帯びている。
光と気を集めてつくられたれいなの刀は、“共鳴”という単語がよく似合う気がした。


「……終われんよ、やっぱ」


れいなはぼんやりとそう呟くと、刀を握り締める。
久住小春が異動を告げられたあの日から変わっていった日常は、それでもいまもなおつづいている。

在りえた未来は遠くに消えゆく。
確かに存在する現在は目の前にある。
れいなが此処にいる限り、つづいていく日常を失くすことなんてできない。


たとえばそこに、だれ一人いなかったとしても―――

701名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:27:45
-------

病院の屋上にはれいな、さゆみ、絵里、愛佳、そして里沙の5人がいた。
いつだったか、小春が大怪我を負ったときも、こうしてリゾナンターたちは病院の屋上に集った。
決定的に違うのは、この場にいるリゾナンターの人数が、あの日よりも圧倒的に少ないことだった。

れいなが落ち着かないようにその場を行ったり来たりしていると、屋上の扉が開かれた。
全員の視線がそちらに向く。
そこに立っていたのは、リーダーである高橋愛だった。
れいなは迷わずに愛に歩み寄った。

「……いま、正式に決定した」

愛が重苦しい口を開く。
れいなは先を促すように黙っていたが、その拳は確かに震えている。
里沙は確認するように「それは…つまり?」と言葉を発した。愛はそれを受け入れて頷くと言葉を吐いた。

「ジュンジュンとリンリンは、本日23時59分を以ってリゾナンターから異動する」

愛が言葉を言い切った瞬間、れいなはその胸倉を掴んだ。
ギリッと歯を食いしばり、鋭い目で愛を睨みつけた。

702名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:28:31
-------

雷を受けたジュンジュンは神獣化が解け、ただの人間に戻った。
瀕死の彼女にとどめを刺そうと、男は刀を振り上げた。


刀が振り下ろされる寸前、火球が雨を裂いて男に向かってきた。
男はそれを避けると、火球を投げた人物に目を向ける。
そこに立っていたのは、脚から大量の血を流しているリンリンと、たったいま現場に駆け付けたれいな、そして別任務から急行した愛だった。
れいなは地面に倒れているジュンジュンを認めた瞬間、迷わず男に突進した。

「貴様ぁぁっ!!」

激高、という言葉が的確だった。
れいなの中に沸いて出た感情は、怒り以外の何物でもなかった。
ジュンジュンを助けることも、リンリンに肩を貸すこともせず、れいなは男に襲いかかった。
怒りに身を任せ攻撃しようとするれいなに対し、男はなんら動揺せずに、ひょいと体を躱わした。
れいなは止めることなく攻撃を続けるが、形勢が悪くなったと判断したのか、男はそのまま背を向けて走り出した。

703名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:29:02
「待てお前!!」
「追うなれいな!」

そのときれいなは、助けるということをしなかった。
ジュンジュンに声を掛けることも、手を伸ばすこともしなかった。
頭の中を支配していた怒りの感情に任せ、れいなはただ男を殺すことしか考えていなかった。
れいなが男を追っている間、愛とリンリンはジュンジュンに駆け寄った。

「ジュンジュン!しっかり!」

愛はジュンジュンの怪我の状況を確認した。
全身に雷を受け、骨や肉が砕け、削ぎ落とされている。
皮膚に激しい炎症が起き、爛れたそこからは微かに腐敗が始まっていた。
一刻の猶予もないことを悟った愛は、全身に光を集めると、リンリンとジュンジュンを抱え、“瞬間移動(テレポーテーション)”した。
れいなのことも気がかりだったが、いまはそんなことを考えている場合ではなかった。


愛は病院へふたりを搬送すると、すぐに専属の医者に治療を命じた。
医者たちはすぐさまふたりを診療台に乗せると、手術室へと走った。
病院の外ではひどい雨が降っていた。
愛はふたりが手術室へ入っていくのを見届けると、再び現場へと“瞬間移動(テレポーテーション)”した。
怒りに任せて治療義務を怠った彼女を怒鳴るべきか悩んだが、結局愛は、彼女を連れ戻すだけに留まった。

704名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:29:34
-------

ジュンジュンとリンリンが男に襲われて1週間が経過していた。
幸いにもリンリンの怪我は順調に回復していったが、ジュンジュンの意識はまだ戻っていなかった。
あれほどの失血をし、雷を受けながらも、生きていることが奇蹟的であった。
しかし、脳の器官を一部損傷したのか、生命反応はあるものの、意識は回復していない。
あと1週間様子を見て、なにも変化がなかった場合、最悪の可能性、つまりは植物状態も考えられた。

そんな中、リゾナンターたちは病院の屋上に集っていた。
昨日、愛がちらりと話していた、“上”の決定事項の確認をするためだった。

「ジュンジュンとリンリンは、本日23時59分を以ってリゾナンターから異動する」

愛から“上”の決定事項を伝えられた途端、れいなは彼女の胸倉を掴んだ。

「……なんでそういうことになるとや」

この状況は、小春の異動が決まったときと全く同じだった。
あの日もこうして屋上で、異動に納得がいかないれいなは愛に食ってかかった。

「そんなん意味ないやろ!これ以上仲間減らして、なんがしたいとや!」

705名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:30:11
れいなの怒りは最もなものだった。
上層部がなにを考えているかは昔から分からなかったが、今回とそして前回の異動に関しては、あまりに唐突であまりに謎が多かった。
なぜその異動先を残ったリゾナンターに伝えないのか。小春の代わりになぜだれもリゾナンターに加入しないのか。
なぜここまで性急に、異動が繰り返されているのか。
まるでこれでは、“上層部がリゾナンターを消滅させようとしている”ような勘繰りさえしてしまう。

「直接会わせぃよ!れなが聞いちゃる!愛ちゃんじゃ頼りにならん!」

れいなが激しく詰め寄ったのを見て、里沙はあの日と同じように彼女の腕を掴んで止めようとした。
しかし今日は、里沙よりも先に愛がその腕を取った。
だれもが予想だにしなかった展開に、れいな自身も驚いた眼を見せた。

「れいなの方こそ、頼りないんじゃない?」
「……なんて?」
「あのとき、重症のジュンジュン放っておいて敵を追い駆けるとか、普通じゃないね」

愛の冷たい言葉にれいなは眉を顰めた。
確かに、彼女の言うことは事実だった。れいなは怒りに我を忘れ、ジュンジュンを助けず、男を追った。
結果的に愛が病院に搬送したから事なきを得たが、あの場に愛がいなかったら、確実にジュンジュンは命を落としていただろう。

「仲間とか言う割に、れいなって自分のことしか考えてないんじゃない?」

706名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:30:44
その言葉にれいなはカッとなった。
頭に血が上り、思わず右腕を振り上げた。
れいなの右腕は、愛の左頬を捉えることなく、彼女の左手の中に吸い込まれた。

「反論できないで殴るなんて、図星?」
「違うっ!」
「なにが違う?仲間を助けないで敵を追い駆けて、それでなにが仲間なの?」
「話をすり替えんな!」

れいなは矢継ぎ早に受ける言葉に怒鳴り返すが、愛は冷静に切り返していく。
掴まれた拳をギリギリと愛は締め付ける。その力はとても強く、振り払えない。

「……私だって納得はしてない。してないけど、受けとめるんだよ」
「なんでや!なんで受けとめんといかんとや!愛ちゃんがそんな聞きわけの良いことしとるから、仲間が減るっちゃないとや!」
「田中っち!」

それ以上言うなと言わんばかりに、里沙がふたりの間に入った。
愛とれいなを引き剥がそうとするが、ふたりは里沙には目もくれずに黙って睨みあいを続けていた。
その瞳は実に対照的だった。

「“上”の居場所教えぃよ……れなが直接会って話す」
「だから私も知らないって言ってるでしょ?」
「……殴ってでも、聞きだすけんな」

707名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:31:56
れいなの瞳は憎しみで彩られ、愛の瞳は哀しみで彩られていた。
噛み合うことのない会話は平行線を辿るが、決着をつけなくては終わることがない。
れいなは愛の左手を振り解くと、胸倉から手を離した。
彼女が愛と本気で闘おうとしていることくらい、だれが見ても明らかだった。
愛は黙って彼女を見つめたまま、少しだけ距離を取った。

「まさか……」

里沙に離れるように手で合図すると、愛は前髪をかきわけた。
冗談でしょ?とさゆみは心の中で呟くが、一触即発な空気は変わらない。
れいなは怒りを全身に纏ったまま、一歩下がったかと思うと、右脚で地面を蹴り上げた。
愛はその場から動かずに彼女の攻撃を受けとめることを選んだ。
れいなは勢いそのままに右の拳を突き出した。

瞬間、だった。
愛とれいなはほぼ同時に弾き飛ばされた。
それは、互いが互いの攻撃を受けたからではなく、別の第三者の介入があったからであった。

愛の方はくるりと後方に一回転し見事な着地を決めたが、れいなは見事に吹き飛ばされ、無様に腰から地面に落ちた。
それはちょうど、小春の異動のときに見せた尻もちと同じだった。

「ってぇ!」

再び腰を強打したれいなは以前よりも大きな声で叫んだ。
愛は、ふたりを弾き飛ばしたその存在へと目を向ける。
彼女は肩で息をしながら、こちらに右手を向けていた。隣にいたさゆみは怪訝そうな目で、彼女を見ていた。

708名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:32:46
「……絵里」

愛がそう呟くと、れいなもその方向へと目を向けた。
絵里は右手を突き出して愛とれいなの間に小さな風の空間をつくりだしていた。
その風の空間を一瞬にして外へと弾き飛ばすことで、ふたりをほぼ同時に突き飛ばしたのだ。

「……やめてよ、もう」

絵里はそうして泣きそうな瞳を向けた。
なにを言わんとすかくらい、彼女を見れば分かった。
愛は下唇を噛むと、小さく「ごめん」と呟き、体中に光を集めた。
それが愛の能力“瞬間移動(テレポーテーション)”だと気付いた里沙は慌てて引き止めるように彼女の腕を取った。
愛と里沙はふたりしてその場から消え去った。
未だに納得のいかないれいなは「くそっ!」と地面を殴った。

「…絵里?!」

だが、さゆみの声でれいなは慌てて体を起こした。
絵里は先ほどふたりを弾き飛ばした際に能力を使いすぎたのか、それとも体力を失ったのか、膝を折っていた。
れいなとさゆみが慌てて駆け寄って絵里を支えるが、彼女は荒い息をしたまま目を開こうとしなかった。

「運ぶっちゃ!」

ふたりは急いで絵里の肩を抱え、病室へと走り出した。

709名無し募集中。。。:2012/07/27(金) 21:34:02
とりあえず此処までになります
ちょっとペースが落ちるかと思います…申し訳ないです

----------------------------------------此処まで

いつでも構いませんのでどなたか代理投下宜しくお願い致します


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