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藤原竜也の歴史をうpしましょう

1名無しさん:2005/01/24(月) 14:26
藤原竜也の過去の記事、コメントなどを新しいヲタさんのためにうpしましょう。

舞台デビューとなった身毒丸、大正四谷怪談、弱法師と
この俳優ただ者ではないと思われてきたが
今回のハムレットは、藤原竜也の出世作として
永遠に記憶されるだろう。
現時点でいえば、藤原の魅力は、幼さの残った顔立ちと
成熟した肉体のアンバランスにある。
不均衝のありようは、ロミオよりはハムレットの役柄にふさわしく
21歳という年齢を考えつつ、この戯曲の主役にした蜷川幸雄の慧眼は
やはりただならぬものといわなければならない。
しかし、いかにハムレットの不可解な言動をあらわすのに
この不均衝がふさわしいとしてもそれはあくまで外見の問題でしかない。
膨大な台詞のなかにちりばめられた哲学的な概念さえも
絵空事に終わらず、あるリアリティーをもってとらえきっていたのは
藤原自身の才質があってのことだ。
そう安易に使うべきではない言葉だが、選ばれた天才の光輝によって
舞台はは彩られていたと断言できる。
藤原は稽古初日にして台詞をほぼ完璧に入れてきたという。
この才能にしてこの努力。無敵である。

             2003年/レプリークより抜粋 文 演劇評論家 長谷部浩

127名無しさん:2007/11/03(土) 17:18:43
(つづき)

それでもずいぶん安くしてもらったんですよ。だから無駄にしちゃいけないと思って、
テープレコーダー買って、「これを聞いたら二万五千円だ」と思いながら聴くんです。

マウルって、僕がイギリスの俳優とやる時に、セルマという女性プロデューサーが
必ずカンパニーに付けるボイストレーナーですね。その人に竜也は、ボイスのレッスンを受けていると。

厳しいけれども正しい英語をということで言ったら、マウルが一番すごいですね。

たとえば発声について、一番注意されたのは何?

基本的なことですね。プレイ、プレイ、プレイ…
…もう聴いてくれないですもん。

「L」が違うわけ?

そうなんです、すごく細かい。
その前に通ったランゲージスクールも面白かったんですよね。
最初のティーチャーがジョージと言って、もう何しゃべってるのかわからない。
僕も本当にしゃべれないで来たから、自分は才能ないんだなって、本当に落ち込んだんですよ。
それで二週間ものすごい頑張ったんですけど、まだ何言ってるか分からない。
それでホストにも相談して。

ホストって?

ホストファミリーです。

ホームステイしてるんだ。

「竜也の話を聞いてるとおかしいから、学校に聞いてあげる」って。
そしたらとても訛りのある英語で、それは変えるべきだとなって、
次はヘレンというティーチャーになったんですけど、ものすごくいい先生でした。

英語も変わったわけ?

はい。その先生は絵がうまくて、分からなければ絵で説明してくれる。
それで間違っていれば、さらに丁寧に説明してくれて。
なのに二週間経ったら「パリに行くから」と学校をやめちゃったんですよ。
彼女に今も教えてもらってたら、僕は完璧に近いくらいしゃべれたと思いますよ。

そうなんだ。

その次はフランクという校長先生に。
彼は「AKIRA」とか「バトル・ロワイアル」とか日本の映画が大好きで、
教えながら非常に興奮してるんですよ。困ったなぁと思って、二日で打ち切りました(苦笑)。
「申し訳ないけどあなたのレッスンはつまらない。僕は貴重な休みでここに来てるから」って、
一生懸命全部英語で調べて。

それは後のことはどうなってもいいと言ってるんだよね、校長先生なわけだから。

はい、学校もやめて、一週間で家もさがしました。

それ全部一人でやったわけだ?へぇ〜。

大変だったんですよ!!蜷川さんに聞いていただきたいこともいっぱいあるんです!!
何からお話したらいいのか(笑)。
(つづく)

128名無しさん:2007/11/03(土) 17:19:59
(つづき)

今日はわざわざこの対談のために来てくれて。
バービカン・シアターの楽屋にいるわけだけど、竜也が『身毒丸』でデビューしたのはここだった。
日本より先にロンドンで初舞台を踏んだ。あの時は、十五歳?
十年後に再びここの楽屋で話してるなんてなんだかすごいよな。
こういうことも含めてさ、なんか因縁があるんだな。
日本にいる時だと、思いつかない、外国にいるから話そうと思う話も出てくるよ。

環境が違うと、また違った思いも湧き出てきますよね。

こういうふうにゆっくり向かい合ってしゃべることって、実は日本ではないんだよな。
この前『近代能楽集〜弱法師』でロンドンに来た時に、コベントガーデンのカフェでしゃべったけれど、
あれが初めてみたいなもんだ。

はい。

それから地方都市のプリマス。歩道に腰掛けてしゃべった。
そのくらいが一番しゃべった記憶だよな。

そうですよね。
僕と蜷川さんは、周りの方がどう思われているか分かりませんけど、
一緒にご飯食べに行ったりとかしないんですよね。

しないんだよ。しょっちゅう遊んでると思われてるらしいけど、
プライベートで会うことはほとんどないんだよね。
仕事で会ってるだけでも十分なくらい言い合ったり、
いろんなコミュニケーションはできてると思ってるんだ。

それもいいと思うんですよね。最近成長したって言ったらおこがましいですけど、自分の考え方も変わってきて、
蜷川さんとの会話の中から生まれる作業とか、それをまた実行に移すとか、
そういうようなことを自分もしていかなきゃいけないんじゃないかなって思うようになってきたんですよ。

今まで怖がって逃げてたんだ(笑)?

いやっははは(笑)。緊張してるんですよ!!いつも。

こっちでは芝居は観てるの?

時々観てますよ。

嫉妬するような俳優いた?

いました、一人。
アルチュール・ランボーでしたっけ?天才詩人の役をやった俳優(ダニエル・エヴァンス)なんですけど。

『太陽と月に背いて』か。

二十一歳の俳優なんですね。別に大した思いもなく一人で出かけたら、
すっごい狭い五十席くらいのパイプ椅子が並んだ劇場だったんです。
彼の演技に驚かされました。ランボーが持つちょっと危うい感じ、向こうにイっちゃうようで、でも拒絶するしみたいな。
そして僕ら若い世代が持ってる…、蜷川さんがよく僕に稽古してる時にジェームズ・ディーンみたいなって…

屈折を表現するのがうまいんだ。

すごく感動しました。僕にはこういう芝居できるのかなって思いました。
で、その後にみんなでカフェに行ったのかな。それで彼と話したらまた優しい!!
カッコいいし、気取ってないし、僕ら日本人のほうがなんだか気取ってるような気がするんですよね。

格好つけて。

周りにチヤホヤされて、それにのせられて自惚れちゃうのかもしれません。

だいたいこっちの役者には付き人なんかつかないしね。

一人で電車に乗って劇場まで来ますもんね。

ちゃんと来て仕事して、どんなスターでも付き人なんかいなくても劇場でうろうろすることなんてないから。
亡くなったサー・ナイジェル・ホーソン(真田広之が出演した『リア王』でリア役を演じた)だって一人で
やってきて、一人で着替えて、やってるんだからね。さすが、個人がちゃんと確立してるよ。

だからこれを当たり前と思わなきゃダメなんですよね。
蜷川さんだって空港に降り立っても一人で全部荷物を持ってらっしゃるし、買い物も一人で行かれますよね。
やっぱりそうあるべきですよね。蜷川さんなんて全部誰かにやってもらえそうな存在じゃないですか。

何言ってんだか!まぁ、あまり人を従えたりするのは恥ずかしくて嫌なんだよ。普通にやった方がいい。
日本は年寄りを大事にしてくれる部分があるけれど、逆に言えば努力しないとなかなか一人になれないってことなんだよな。
周りがガードしてくれるようになるから本音が伝わらないこともある。
(つづく)

129名無しさん:2007/11/03(土) 19:16:35
(つづき)

日本にいるのと変わったか?
一人で芝居観にも行ったりするわけでしょ?

最初のころはチケット買うのに、緊張して「Excuse me?」も言えませんでしたけど。
今はチケット買ったあと、夜まで時間があるからブラブラして美術館に行ったりしてますね。

美術館、行ってるんだ?

こっちは無料のところが多いじゃないですか。そんなに絵に詳しいわけじゃないですけど。
芝居もいろいろですよね。当たり前ですけど、海外の作品だからすべて素晴らしいってわけじゃないんだなと。
だけど一つ確信したのはやっぱり蜷川さんの演出は世界的なレベルなんだなってことです。

あっほんと(苦笑)。俺も昔、日本に来るイギリスやギリシャの芝居観て、
批評家が言うほど面白くないよなぁと思ったことがあって、そういう時は自分の実感を大事にしようと思ってたな。
だから、なんでもかんでも海外の作品を良いとは思ってないんだよ。だから、竜也が言わんとしてることは分からなくもないな。面白いものもたくさんあるわけじゃないよね、やっぱり。

それと僕は非常に恵まれてると思ったのは、セルマというすごく味方になってくれる人がいたことですね。
彼女がいろいろな俳優、演劇関係者を紹介してくれるんですよ。で、いいタイミングでフェイドアウトしていってくれる。

おいてっちゃうんだ?

そうするとやっぱりしゃべれるから、仲良くなれるんですよね。
それとそういう人たちと接して感じるのは、蜷川さんのスゴさですね。みんな喰いついてくるんです。
「ニナガワと何をやったんだ?」「ハムレット」「ハムレットやったのか!?いくつでやったんだ?」
「二十歳」「二十歳でか!!」「お前ロミオはやった?それは十代でか?」「ロミオはハムレットの後だった」
「なんでだ?」「ニナガワのアイデアだ」「お前、それはすごいな、もっと聞かせてくれ」って。
すべてのアクターが蜷川さんの名前を出した。

知られてるわけね?

僕はものすごくうれしかった!!思わず僕は吠えたんですよ。田舎町の古いホテルの一室で。
「やっぱりすげーよな、蜷川さんって!!」って。

それは留学してよかったじゃん。はははははは!!
(つづく)

130名無しさん:2007/11/03(土) 19:18:22
(つづき)

僕は蜷川さんに出会って演出していただけてなんてラッキーなんだって!!

そう言われるとうれしいね。竜也に対するダメ出しってさ、子供だからとか若いからとか気を使うものじゃなくて、
本格的な世界レベルのダメ出しだぞ!って言いながら仕事してるから、ものすごくつらい思いもたくさんしてると思うよ。
逃げ出したくなることもあっただろ(笑)。

僕は振り返ると言っても、たかが十年ですからね。
蜷川さんの歴史にはとてもかなわないんですが、考えてみると結構大変だったかも。

ハハハハハ。本当だよな。

今日は久々に蜷川さんにお会いできるので、昨日も朝まで眠れなくてあれこれ考えてたんです。
それで思ったのは、僕は一生、蜷川幸雄という存在を自分の中に背負って行くんだなと。
僕にとってはかなりキツイことなんですけど。

なんでだよ!(笑)

だって大変なことですよね?

まぁな。

でも、そうでないと世界に通用する人間にはなれないんだなと思うんです。

その大変さってなんなんだ?

「留学ってなにがいい?」って聞かれるけど、やっぱり行ってみなければ分かりませんよね。
なんだってやってみなければ分からないんですよ、どれだけ大変かなんて。

まぁくぐり抜ける大変さってあるよね。

ものすごく。だけどね、やっぱり世界で戦ってくにはそんな思いもしなきゃ無理なのかなって。
野田(秀樹)さんも格好よかったんですよね、ロンドンまで来て一、二回食事して、
ちょっと来いよなんて言われて覗いたら、イギリスのキャサリンっていう…

キャサリン・ハンターね。

二人で台本書いてらしたんです。小さな劇場のすごく狭いカフェの片隅でパソコン開いて、それをずっと見せてもらってました。
蜷川さんも何かの対談で、何もない寒々しい稽古場でやってきた俳優と、日本ですべてが用意されているところで戦ってる俳優とじゃ、大きな違いがあるっておっしゃってましたよね。

野田のすごいところは、そうやって単身イギリスの俳優たちと、素っ裸になって一緒に仕事をするところ。
日本でのキャリアなんて通じないわけじゃない。そんな中でさ、底辺から人を組織しながら仕事するって偉いよ!
野田は勉強家だしね。そういうところは出来合のイージーな俳優や演出家と違うな。

今、いい意味でいろんなものを学んでいる途中なんだなぁと感じています。
本当に留学して良かったと思いますね。
(つづく)

131名無しさん:2007/11/03(土) 20:15:08
(つづき)

竜也、だけど俺の『コリオレイナス』を観てないんだよね。

へへへ(笑)。

『コリオレイナス』には何かこだわりがあって、僕はロンドンで観ますって言うんだよ。

こだわりはないです。でも、それを言ったら、僕ロンドンで仕事でご一緒したいですもの、蜷川さんと。

あ、そう。

お客じゃなくてですよ。当然ですって。

そうだな。俺はイギリスの俳優と仕事するのをやめようかなと、実は思ってるんですよ。
それは新聞記事にもなってるんだけどさ。やっぱり言葉が違うから、本当に深いところの表現が、
ことにイギリスのように言葉を中心とした芝居だとやはり伝えられないんだよね。
そういう意味で言えば、シェイクスピアの語っている普遍的なものを日本人が理解する時に、
どうしてもレトリックが違うからヴィジュアルで補っていく。
そういうことも含めて、シェイクスピアに新しい光を当てていくと。
母国語じゃない人間が扱うシェイクスピアがどうなるかをキチンとやろうと思うわけ。
そうすると日本人である僕自身の表現というものを突き詰めていくしかない。
そやってできたシェイクスピアをロンドンに持ってくるほうがはるかに意味があると思ったの。
俺はイギリス人じゃないから、どうしても言葉の韻を踏むとか難しいし、言葉の持ってるディテールが違うし、
構文が違うわけでしょ?「私はあなたが好きです」って言うのと「好きです、あなたを」って言うのとでは
まるで言葉の成り立ちが違う。音の成り立ちも違う。厳密にやっていったら、もうイギリス人俳優とやることに
限界が来てるなと思って、それならば日本人でやった作品を、もしよかったら、ロンドンに呼んでほしいと。
それを竜也とやればいいんだろ?

その自信はどっから来るんだ?と言われたら困るんですけど、絶対ね、勝てると思います!!
どれだけ汚い劇場でも狭い劇場でもいい。海外で勝負してみたい。
もちろん僕は日本で、日本語で芝居がしたいという想いが基本的には強いんですよ。
だけど同時に外国で挑戦したいって気持ちもあるんですよね。

日本から発信して、世界を回ると。

これ読んでる俳優さんとかお客さんに、「何言ってんだか」って思われてもいい。
僕、絶対挑戦したいんです。

俺も早くやらないとね。どんどんボケが始まってるからな(笑)。
(つづく)

132名無しさん:2007/11/03(土) 20:16:37
(つづき)

朝何時に起きてるの?普通の日は。

学校のある日はけっこう早く起きて、で、また必ず二度寝するんですよ。
家で朝ご飯作ってるんですから、この僕が。僕も成長したなぁ(笑)。

何を作ってるわけ?

ブロッコリーゆでるだけです(苦笑)。

偉いじゃん(笑)。

ブロッコリー、アスパラガス、とうもろこし…

菜食主義者になったの?トーストは?

朝はパンも食べません。

ソーセージとか、

ベーコンはたまに。今週から焼き始めました(笑)。

フライパンは?

一個あります。でも本当に朝は菜食主義で、夜はだいたい何でもあるので。

酒だろう?

ははは。でも宿題がいっぱいある日は、もうそのまま帰ります。

宿題そんなにすごいんだ?

宿題すごいですねぇ〜。しゃべることよりも書いたり電話のほうが難しい。
例えば僕は昨日こういう芝居を観ました。その芝居についての感想と、その芝居がいつ作られたものか、
全部説明して書きなさい、みたいな。その先生がすごくキレイな人で、今度紹介します(笑)。

でも帰りたくならなかった?

いや、帰りたいですよ(苦笑)。ラーメン食べたいんですよ。
長期の留学ではないんですが、外国で暮らしてみるといろんなことが分かってくるんですよね。
日本のこと、自分がやってきたこと、自分の仕事のこと、人間関係のこと、すごく冷静に見られるんです。
それで帰ったらああしようこうしようと考えると帰りたくなる。
留学って語学や文化を学べるだけじゃないんだなって思いましたね。

そうやって強くなるんだな、きっとな。自分から距離をあえて作らないと自分が見えない時ってあるじゃない。
日本にいるとやはり、どれだけ冷静でいようとしても歯車が回ってるからな。そっから一回離れてみないと、ね。
俺なんかも、イギリスで演出なんかすると、電車に乗って、北千住みたいな郊外へ行って、
テイクアウトのカレーかサンドイッチ買って、稽古場に行くってことを二ヶ月ぐらい続けるんだよ。
そうするといろんなことが見えてくるじゃない。何から何まで一日でやることは全部考えなきゃいけない、
どこでご飯食べようか、今日は何しようかな、何時に帰って予習しなきゃなとか、
自分で細かーいつまんないことまで決めるだろ。日本では何でもないことなんだけど、
いちいち倍ぐらいの意味を持ってくる。そうするといやが応にも無意識に暮らしているのと、
意識して暮らしてるのは違ってくるんだよな。

僕こっちへ来てから日記を書き始めているんですよ。

日記書いてるのとか、信じられないな。字書くんだ?

すっごいきたないですよ(笑)。日記っていいですね。

うん、整理するからな。そういうことやんないと時間が埋まらないだろ?夜が長いでしょ。

長〜い。

でも今やってることはマイナスにならないからな。絶対いい時期なんだよ。十年なんだろ。
十年やって、今海外を観て、人がやるシェイクスピアを観てちょっと悔しくなったり、
あるいは俺がやったらもっとすごいやって思うかもしれない。
そういう時期にたどりついてさ、次のステップにいかなきゃいけないと。
少年から青年になって、青年の時期のほうが長いからさ。
そこでいろんなことを自分で判断し始めて、自分せスケジュールを調整して、選んで、留学して、
それで生活してるっていうのは、マイナスなんか何もないよね。

本当に楽しいです。確かにタイミング合ってます、すごい面白いですね。

まず今日の結論は、次に竜也と仕事する時は世界の演劇界に向かって発信するっていうことだな。

発信する仕事がしたいですねー、日本からねー。
そのためにはやっぱり蜷川さんなんですよ。

やっと分かったみたいだねー、君は。ハハハハ。

とっくに分かってましたってー(笑)。

でもいいよなー、そうやって自分のやりたいことを発見できたのは。
(おわり)

133名無しさん:2007/11/04(日) 20:29:50
2006年10月 銀座百点より抜粋
“舞台”の絆で結ばれて 藤原竜也×中村獅童

中村 映画『デスノート』で一緒にアフレコして、その後食事に行って以来だね。
藤原 なかなか会えませんもんね。
中村 会っても、芝居の話ばっかりだし(笑)
藤原 そうそう。
中村 でも芝居の話になったら、夢中になっちゃうじゃない。
   だからどこかでつながっているように感じるんだよね。会わなくても。
   お互いに演じることが大好きで、お芝居が好きなんだなあという認識がある。
   竜也くんは舞台たくさん演ってるし、舞台の人というイメージが僕の中にあるんだ。
   この間会ったときでも、最初に何を話したかというと、「なになに観た?」とか、
   「どこどこの劇団どうだった?」っていう舞台の情報交換みたいだったものね(笑)
藤原 大河ドラマの『新選組!』で共演するという出会うきっかけがあって、
   それから獅童さんの映画を観るようになったんです。そしたらその映画がすごくいいんです。
   なんかこう、何枚もの殻を破っていて。本当に僕が望んでやってもなかなかできないような、
   いい意味で自由という芝居なんです。
   それでね、実はファンなんです、僕。(笑)
中村 えっ、そうなの(笑)
藤原 いい作品演ってるんですよね。すっごくいいです。
   僕が最初に観たのは『赤線』。獅童さんの初主演ですか?あれ。
中村 そう。
藤原 よかったんですよ。僕にないような感性とか、芝居的にもやはりいいですし、勉強になります。
中村 お互いのないところに惹かれるんじゃないのかなあ。
   僕も竜也くんみたいな味というのは出せないし。
藤原 獅童さんみたいな先輩が、先頭に立って突っ走ってくれると、僕ら後輩にとって力になりますし、
   やっぱり必死でついていかなきゃいけないという半面、それ以上の仕事をしてやりたいという
   自分の強い思いというものもあります。
   『新選組!』での、獅童さんとか中村勘太郎くんとの出会いというのは、
   僕の中で、非常に大きいんです。

134名無しさん:2007/11/04(日) 20:30:50
藤原 僕、この間、芝居を観に行ったら、その劇場に今度演る『オレステス』のチラシがあったんですね。
    それを見たオジサンが、
    「藤原竜也、また人殺しの役だよ。こいつ、こんなことばっかりやってるよ」って、
    僕の真後ろの席で言ってたんです(笑)。
    「確かにそうだけど、しょうがないじゃないか!」って思ったけど、
    やっぱり固定されると、よくないことだと思う。
中村 僕はいろんな役を演らせていただいたおかげで、不良っぽいお兄ちゃんに、
    「おー獅童さん」と声をかけられたり、『あらしのよるに』に出たことで、
    小さい子供にも声をかけられるし、おじいちゃん、おばあちゃんからも声をかけてもらえる。
    これはすごくうれしいことでね、ありがたいと思ってます。

135名無しさん:2007/11/04(日) 20:31:36
藤原 (『獅童流 森の石松』の役作りは)自分らしさってものを考えますか?
中村 そうだなあ。台本の中で、その役柄を通してどこまで表現できるか、ということは考えるね。
    それはたとえ歌舞伎であっても。
藤原 稽古期間は?
中村 一ヶ月かな。その間に、本読みして、立ち稽古して、それぞれの役者のアイデアとか、
    演出家とのぶつかり合いがある。
藤原 ああ、わかるなあ。
中村 こういう風に演ろうかなとか、ああいう風に演ろうかなとか、稽古前に考えていて、
    稽古場で初めて交わった時に面白くいって、それをそのまま演るということもあるしね。
    だから楽しいんじゃないかなあ。

藤原 (オレステスは)もうねえ、気がおかしくなりそうな芝居なんです。
    本読みは四日ぐらい前にやったんですけど、
    蜷川さんが「何分経った?」「1時間30分経ちますけど」ってスタッフが答えたら、
    「ヘタクソだと長げえなあ」って。
中村 えっ、蜷川さんが言うの?
藤原 そう、それで終わっちゃうしね。(笑)
中村 あっはっはっは。
藤原 本当に大変な作業ですよ、みんなの前で恥かいて。でも、面白いものになりそうですよ。
    けっこう圧倒されるような芝居でね。
中村 そうなんだ。
藤原 僕も舞台に関しては、あんまり役づくりをしないんです。
    理屈じゃなくて、その現場で「なにができるか」、「じゃあ演ってみてくれ」
    ということだと思うから、想像力と、自分ひとりだと正しいか正しくないかわからないから、
    台本の自分なりの解釈をして、現場に入るようにしているんです。
中村 そう、まずは演ってみるということでしょうね。そのために稽古があるわけだから。

136名無しさん:2007/11/04(日) 20:32:43
藤原 共演できたら面白いでしょうね。
中村 うん。舞台を一緒に演りたい。
藤原 やっぱり舞台ですよね。どんなのがいいかなあ。
中村 絵的なものがいいのか、時代劇がいいのか、悲劇がいいのか、いろいろあるんじゃないかな。
藤原 僕は、獅童さんと二人で演出家の人に会いに行って、ぜひ当て書きしてもらいたいと思うんだ。
    三谷幸喜さんでも面白いでしょうね。
中村 それは面白そうだな。
藤原 当て書きしてもらったら、盛り上がっていくんじゃないかなあと。
    僕はまだまだ本当に勉強不足だし、歌舞伎というものに対して、
    入り込めない部分があったりもしてたんですけど、やっぱり時代も変わってきて、
    いろんなジャンルの役者さんが、普通にぶつかり合えるような時代になっていると思うので、
    すべてをぶっ壊して、また新しいものを作っていくというのは、面白いんじゃないかなあ。

藤原 実現させたいですよね。これを誰かが読んでくれて、
    獅童と藤原か、今いいなあ、なんてね(笑)
中村 僕がおとなしくて、竜也くんはすごく悪くて、僕が「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」
    で竜也くんが「だからダメなんだ、オメエは!」って役なんてどう?
藤原 いいですねー(笑)
中村 僕たち二人のキャスティングだと、僕が「オメエ」とか言い出しそうじゃん、キャラクター的には。
    竜也くんはすごい二枚目でおとなしい美少年の感じが今まではしてたじゃない。
    でも、実は僕が美少年で、竜也くんは「コノヤロー!」とかばっかりなの(笑)
    あと二、三年のうちに実現できるといいなあ。
藤原 そうですね!今日は、獅童さんに会えるんだから、獅童さんに力をもらおうと思って来たんです。
    楽しい話ができて、元気になってきましたよ。
中村 ダメ!僕もこれから舞台なんだから。力あげないもんね!(笑)

(終わり)

137雑誌名不明 2000年その1:2007/12/16(日) 17:58:33
ひたむきな瞳に男の魔性が宿る瞬間(とき)
藤原竜也の「引力」

 見つめられるだけでドキドキする。胸の鼓動を悟られまいとしつつも、大人の女が心を
奪われずにはいられない…。不思議な魅力に満ちた年下の男、それが藤原竜也だ。
 演技派、美少年、若手俳優のホープ、彼につけられた形容詞は数知れない。
まぶしいような若さを発散しながら女たちのガードを解き、傍若無人にすっぽりと心の中に
入り込む…、そんな天性の無邪気さと、演技する瞬間の神がかり的な真摯さ、このギャップに
惹かれずにはいられない。
 18歳という少年から大人への通過点にある危うい年ごろ。性別を超越したような中性的な肉体。
ミステリアスで無防備で、わけ知り顔になるかと思えば、天真爛漫な笑顔を見せる。が、とりわけ
彼を印象づけているのは、真っ黒に濡れて光る二つの瞳だ。天使と悪魔が難なく同居するその眼こそ、
虚と実の世界を自由に往来する彼の最高の武器である。

138雑誌名不明 2000年その2:2007/12/16(日) 17:59:28
少年であって、男であって 無邪気であり、真摯であり

 植物のような、少女のような。種と性の境界線を無化するような独特な雰囲気をもっている。
しかし、声は男のそれだった。しかも、かすれて低い。アンバランスという名の引力。
「稽古が始まってますからね」
 藤原竜也にとって4本目の舞台となる「弱法師」の稽古がスタートしたばかり。三島由紀夫の
「近代能楽集」に収められているこの作品で、主役の盲目の少年俊徳を演じるのだ。
 14歳の彼を見いだした演出家の蜷川幸雄は、
「野良の子犬が池袋の雑踏を歩いていたのを、ひょいと抱き抱えてきたようなもんだよ」と、
語っている。寺山修司作「身毒丸」ロンドン公演のオーディションの模様をたとえてのこと。
白石加代子を相手にした藤原の初舞台は、平凡なサッカー少年だった彼を演じることに
のめり込ませるきっかけとなった。
「舞台に立っていれば、自分が自分でなくなる瞬間がある。いつもその瞬間を求めてるんじゃ
ないでしょうか」
「身毒丸」に続いて、「大正四谷怪談」で伊右衛門を演じ、唐十郎原作「唐版 滝の白糸」の舞台に
立った。そして、今度はさらに三島作品である。
「僕が生まれる前の作品をやるのは不思議な感じがしますね。でも、僕がそうした作品で演じる
ことによって、僕と同世代の人たちが知らなかった時代の作品に触れることができる。
それはすごくステキなことだと思う」
 日本演劇界の巨人たちの愛を一身に受ける形になっていることを、屈託なく喜ぶ。
彼にかかれば、世界の蜷川も、やさしいオジサンになってします。こんな具合に。
「この間、蜷川さんの車、運転させてもらったんですよ。真っ赤なBMWのスポーツカー。蜷川さんが
横に乗ってくれてたんだけど、すっげえ気持ちよかった」

139雑誌名不明 2000年その3:2007/12/16(日) 18:00:39
 この無邪気さも、もちろん、誰をも警戒させないという意味で、彼の引力なのだ。
 映画でも幸福な出合いが待っていた。年末に公開される話題作「バトル・ロワイヤル」で、彼は
生き残りをかけてクラスメートと殺し合う高校生を演じている。深作欣二監督の薫陶を受け、
ビートたけしと共演できたうれしさ、難役を演じきった充実感で饒舌になる。
「深作組に入れてもらって、映画ってこんな面白いものかって思った」
 目の前にある対象に熱中できる真摯ななまざしもまた彼の引力。取材中も、「今は芝居のことしか
考えられない」彼は、一刻も早く稽古場に行きたいとその全身で語っていた。
 そんな彼がごく普通の少年の表情に戻ったのは、今年の初めに一人でニューヨークへ行った冒険談
を話したときだ。ブロードウェイで、芝居や映画三昧の一週間を過ごしたのだという。
「「地球の歩き方」って役に立ちますね。あれを見てチケット買いました」
 年齢にふさわしい、今どきの男の子。この男の子が、舞台に立つと、巫女のように全身からオーラを
放ち、客席を震撼させる俳優に変身する。ミューズから天賦の才を与えられたものだけに許された、
これも引力である。
 聖と俗、非日常と日常、女と男、大人と子供が混在するところに、エロスが生まれる。藤原竜也は、
竹宮恵子の名作「風と木の詩」に出てくる少年、ジルベールを彷彿とさせる存在である。
誰をも受け入れ、誰にも侵されない。だからこそ求められ、愛されるのだ。

1402003年JUNON その1:2007/12/29(土) 15:21:47
藤原竜也 舞台俳優という宿命。
「僕は、舞台に立ってないと、ダメになってしまうと思う」

舞台デビューは15の時、蜷川幸雄さん演出の「身毒丸」だった。以来、出演してきた舞台は、
すべてが難しい話題作ばかり。その中で竜也くんは、俳優として高い評価を得てきた。
「映画、ドラマも大好き。でも僕の原点は舞台にあると思う」と言いきる。現在も野田秀樹さん
演出の舞台「オイル」に出演中だ。彼をここまでとりこにしている舞台の魅力とは何だろう。
また、20歳の男の子らしい(!?)やんちゃな素顔にも迫ってみた。

舞台は生モノ 恐いけどおもしろい
 この本が出る頃には「オイル」の東京公演が始まっているんですよね。野田さんの舞台に出させて
いただくのは初めてのこと。もうずいぶん前から蜷川(幸雄)さんに「すごく才能のある人だから、
竜也もぜひ一度一緒に仕事をしたらいいよ」って、言われてたんですね。だからお話をいただいた時には、
ワクワクした。野田さんって、舞台の台本を書かれる前に、ワークショップというのをやるんですよ。
一番最初の出会いはワークショップだった。大御所の演出家は、みなさん年を重ねられているような
印象だったけど、野田さんはよく動かれるし「若い方なんだなぁ」って。
ワークショップっていうのは、役者が集まって、いろいろなものを体を使って表現していくんですね。
たとえば「壁になってみよう」とか「風を表現してみよう」とか、即興芝居をしていく。そこで俳優
たちの動きを見ながら、野田さんがイメージを膨らませてどんな台本にするか構想を練るんです。
あと、俳優の持っている天性のものを見ぬいて、キャスティングしたり。
 「オイル」は、古事記がモチーフになっているです。で、舞台は原爆が落とされた1ヶ月後の島根。
古代と戦後が交錯している物語なんですね。僕はアメリカを夢みるチャランポランな兵士の役。今回は
共演陣もすばらしい! みなさん、体のひとつひとつの動きに無駄がなくて、天才的な芝居をするんですね。
松たか子さん、小林聡美さん、劇団☆新感線の橋本じゅんさん、ワークショップの時からものすごく
刺激を受けた。僕はたか子さんとかけあうセリフが多いんですけど、パッと出た時のセリフの間とか絶妙で、
もう鳥肌が立った。稽古中だっていうのに、芝居に引きこまれて涙を流したことも何度かありました(笑)。
 あと、今回の役は発散する芝居が多いんですね。瞬発力というか、動きをはっきり見せたり、セリフを
言うにしても希望にあふれた感じの高揚感を入れてみたり。今までは考えて考えて、ためてためて、
ウワッとセリフを言うような役が多かったので、まったく新しいチャレンジなんですよ。この役をやり
ぬくことでまた違った世界が見えてくるんじゃないかと思います。
 でも舞台って、やればやるほどわからなくなる。舞台を終えて、自分の演技がいいのか悪いのかわから
なくて、悩んだり、苦しんだり。舞台に立つ緊張感は半端じゃないですしね。目の前にお客さんがいるから、
その日、その日で空気が違う。生モノなんですよ。その中で最高の演技をしていかないといけない。
だから、絶対に成長できる場でもあるし、勉強にもなっていると思うんです。何だろう、舞台に立たないと
ダメな俳優になってしまう気がするんですよ。やっぱり恐怖を感じないと。いろんなものを背負ってないと。
 でも映画は映画で、また最高なんですよ(笑)。3月まで映画「バトル・ロワイヤルⅡ」の撮影をして
いたんですれど(公開は7月5日)、これまた苦しい撮影の日々。深作組の場合、毎日が戦いですから。
亡くなった深作欣二監督も「映画は戦場だ」って言っていたし。でも、作品が出来上がると、その苦しみ
を苦しみとも思わないくらいの大きな幸せを感じることができるんです。

1412003年JUNON その1:2007/12/29(土) 15:22:45
ソバ屋と週刊新潮、オヤジな生活です
 舞台をやっている時は、やっぱり生活も舞台中心に考えるようになりますね。お酒をまったく飲まない
とか、それほどストイックにはならないけど、毎日声を出すわけだから、カラオケは禁止にしています(笑)。
あと、外に出る時にはマスクをして風邪の菌をもらってこないようにしたり、家に帰ってきたら手洗い
とうがいは忘れずにしたり。で、どうしてもプライベートに使える時間がなくなるんで、食事も、友達を
誘ってどこかにゆっくり食べに行ったりするよりも、ひとりでソバ屋に行って、新聞読みながらササッと
食べて帰ってきたりするんですね。おソバが大好きなんですよ(笑)。一年中ソバでも大丈夫なくらい。
今日はこの取材に来る前に、イカ天ソバを食べてきましたよ。あったかいのも、冷たいのも両方好き。
その時の気分で選んでます。立ち食いでも老舗のソバ屋でも、ウマければどちらでもいいし。ラーメンも
好きなんだけど、食べているのは圧倒的にソバのほうが多いですね。それに、ソバって健康にもよさそう
じゃないですか(笑)。
 健康には気を使ってますよ。前は体のためにトマトジュースを飲んでいたけれど、最近はそれを青汁に
したんですよ。毎日欠かさず飲んでます。けっこう飲みやすいですよ。あとは時間があれば、家に帰って
からゆっくりとお風呂に入ったり。この間なんか、1時間くらい湯船につかって「週刊新潮」を読みましたよ。
瀬戸内寂聴さんの人生相談がおもしろくって、なんだかオヤジみたいな生活ですよねぇ(笑)。
 でも休みが取れたら、友達と「スカイダイビングに行こうか」っていう話も出てるんです。その友達って
いうのは、ラグビー選手で、けど、実は僕、高所恐怖症なんですよ。たぶん空まで行っても飛び降りる
のは無理かも。「バトル・ロワイヤルⅡ」の撮影で、かなり高い場所から飛び降りなきゃいけないシーンが
あった時も大変だったし。これ、話だけで終わりそうな気がするな(笑)。

小3の姪っ子を連れてディズニーシーの下見に
 あと、うちの姉の子が「今度ディズニーシーに連れていって」って行ってるんで、舞台を終えたら、
その約束は果たしてあげたいかな。小学校3年生の女の子で、楓っていうんですけどね。かわいいんです
よぉ。この間は「タッちゃん、最近テレビに出てないけど、暇なの?」って。だから「違うよ、映画と
舞台やってるんだよ」って言った(笑)。子供の発想でしょう? ウチに電話をかけてきて「宮沢賢治の
「雨ニモマケズ」を覚えたから、聞いてね」って、朗読して聞かせてくれたり。その時は「偉いね」って
ほめてあげました。ウチは、母親と姉と僕の3人でよくお酒を飲むんですね。前にそうやって3人で飲んで
たら話に夢中になっちゃって。そういう時、楓はヒマじゃないですか。フッと見たらいなくて。捜したら
キッチンの冷蔵庫のところで泣いてるんですよ。「みんな楓のこと嫌いなの?」って。「気がつかなかった。
ゴメン、ゴメン」って仲間に入れようとしても、もうダメ。スネて話をしてくれないんです。「いいの、
寝るッ!」て(笑)。
 そう、この間は地元(秩父)の友達から突然電話がかかってきて「タッちゃん、俺、こっち(東京)に出て
きたよ。出てきて3日目なんだけどさ」と。「おっ、出てきたか」「仕事始めたんだよ」「そっか、じゃあ、
就職祝いやろうぜ。飯でもおごるよ。で、仕事、何に決まったの?」「それがさ、ホストなんだけど」って。
もう大爆笑しましたよ。「じゃあ、名前とか何にするの?」って聞いたら「タッちゃんが、前にドラマで
ホストやってた時の役名にしていい?」って言うんです。
 で、地元(秩父)の友達2人を連れて、そのホストクラブに激励に行ってきましたよ。ドラマの撮影で
そういう場所に行ったことはあったけど、営業している時間帯に行くのは初めてで、すごかった(笑)。
ホストとお客さんの会話って独特なんですよね。友達も初めてだったみたいで、カルチャーショックを
受けてた。で、僕ら、彼を本名で呼ぶじゃないですか。それを聞いたお客さんのの女の子たちが「ウソ、
なんか本名聞くと、引くよね」って。これにも爆笑。こんなことをして、20歳の男としての生活も楽しんで
いますよ(笑)。
 恋の話ですか? 恋バナかあ。えっと、今は舞台でたか子さんと恋していますよ。あと映画「バトル・
ロワイヤルⅡ」では、前田愛ちゃん、亜季ちゃんの姉妹と。ふたりとはメール友達になったし…と、
そういう話じゃないですよね(笑)。というか、今は正直言って恋はしなくても大丈夫かなって。そのうち
欲しいと思う時期がくるのかもしれないけれど。そうだな、まずは楓とディズニーシーに行って、どんな
ところか下見をしてきて、その後に好きな子とデートに行った時、バッチリ案内できるようにしておき
ますよ(笑)。

1422001年演劇ぶっく その1:2007/12/29(土) 15:33:53
「近代能楽集」高橋洋さんとの対談

藤原(以下F) 稽古の時に、蜷川さんが「戦災を受けて逃げるときの記憶というものは、一瞬にして
  髪の毛を白くしてしまう」ということをおっしゃってて、白くしたいんだよ、と。
  じゃあ明日(髪の毛染めに) 行って来ましょうか、って。そしたらあまりにも評判が悪くて(笑)。
高橋(以下T) でもそれはプライベートで評判悪いんでしょ?(笑)。後から聞いた話なんですけど、
  髪の毛染めてきたその日に、劇場に一番に来て待ってたんですって。みんながどんな
  反応するかって(笑)。
F 面白かったですよ。スタッフの人はね、「おっ」と思っても反応してくれないんですよ。
  そのまま  「おはようございまーす」って(笑)。
T でも今回「弱法師」見てて、俊徳の役はすげえ難しいだろうな、って思いましたよ。
  何が正解で、どこへ  自分が向かっていけばいいのか、というのが。もしやれっていわれたら、
これは今の自分には出来ないかもしれない、って思いながら見てましたけど。
F 「卒塔婆小町」は、演るときに頭で考えちゃいました?
T うーん…稽古入ると自然にできちゃったというか。
F おー(笑)。
T いや、何か自分の中で色々迷ってたことが、こうなんだって上手くつながったっていうか。
  だから最初  読んだ時に思った「これどうやるんだ」っていうのは、早い段階で消えましたね。
F 僕、埼玉公演の前半なんですれど、たまに本番中に変な邪気が入ってきて、バカみたいな事ばっかり
  考えちゃって。例えば今ここで右足ちょっと動かしたらどうなんだろう、とか。
  で、台詞が出てくれば  いいのに、まず次の台詞が浮かび上がっちゃうんですよ。
  それを、例えば次のセリフが「まざまざと」  なのか「ざまざまと」なのか考えちゃって(笑)。
  で、わかんなくなるっていう。そういうことってありませんか?
T ある! 半間くらいだけど。お客さんには多分わかんないだろうな、って思うんだけど、
  冷や汗が出るよね。
F 「卒塔婆小町」に出てる塚本幸男さんに「本当に辛いんですよ」って言ったら、
  「竜也そういうときはね、  自分を信じるって書いて飲み込むんだよ」って。だから出る前には
  いつも飲んでますよ、自信って書いて。あと、今日はテンション落ちてるなー、っていう時って
  ありません?
T あー、一ヶ月とか公演やってるとどうしてもきつい時はあるよね。でも今回の芝居の特質なのかも
  しれない  けど、僕の場合はちょっとでも気持ちが落ちてると自分がピークまでいけないっていう
  不安があって。だからやばいなって思った日は、カーッとエンジンかけて。
F …やっぱユンケルですか?(笑)
T そうね、竜也くんがしょっちゅうくれるユンケルゴールド(笑)。
  あれは一日二回飲んでもいいんだろうか。
F 二回はやばいでしょう(笑)。
T 一日二回公演の時は、昼公園の前に飲んでて。ユンケルで芝居がよくなるんだったら何本でも
  飲むけど。でもやっぱ意識的にエンジンかけないと、ちょっと気持ちが入ってないだけで空々しい、
  大仰な芝居になっちゃう気がするんだよね。

1432001年演劇ぶっく その2:2007/12/29(土) 15:34:40
T 前から聞いてみたかったんだけど、竜也くんって、ダメ出しされたときのショックを現場では
  表に出さないよね。
F 出してますよ? 楽屋で一人で机蹴っ飛ばしたりとか。
T ホント? でも少なくとも人がいる前じゃやらないよね。なんかさ、すごく腹が立つ時って
  あるじゃない。
F あー、自分にも蜷川さんにも(笑)。
T そう。理不尽なんだけど、演出家に腹が立つときってあるじゃない(笑)。みんなが見ている前で
  ダメ出しされてる、その瞬間にコノヤローって思うでしょ、俺はそういう時、表情にすぐ出ちゃうんだよ。でも
  竜也くんって出ないように俺には見えてて。
F 楽屋でボロボロ泣いてますよ(笑)。明日には絶対やってやろうって。でもこの気持ちだと今日はもう
  出来ないんですよ蜷川さん、明日はかならずやりますから、って思ってても、僕って言えない時がある
  んですよ。だからやっちゃう時もありますけどね。
T そうなんだ。その辺が大人だなっていつも思ってた。でもさ一回だけ、もう劇場に入って
  稽古してる時に、芝居が行き詰まってて、蜷川さんにガーッて言われてた時があったじゃない?
  「芝居に火付けてこい」って言われてて。その後2日くらい稽古が無くて、その次に劇場に入って
  きたときに竜也くんの顔を見て「気合い入ってるな」って思ったんだよ。
F (笑)
T いつも「卒塔婆小町」の稽古が先なんですけど、まだその稽古も始まってないくらいの早い時間に、
  こうカッカッカッと入ってきて「弁当食ってもいいですか」って、弁当置いてあるところから一つ
  取ってサッと楽屋に入っていって。昼飯にはまだ全然早いのに(笑)。俺ね、あの時に
  「あ、感情表に出るんだ」って、ホッとしたの(笑)。でもその日の稽古は凄くよかったよね。
F あの時は演出助手の方に「頭でっかちになりすぎてるんじゃないか」って言われて。
  だからその二日間は芝居のことを考えないようにしてて。そしたらけっこう良かったんですよ。
T でも俺はね、入ってきた時の表情が違うことにすごく共感したというか(笑)。当たり前なんだけど、
  人間なんだなーって(笑)。

F いつも本番前には楽屋で、「卒塔婆小町」のカーテンコールを一瞬だけ聞くんですよ。
  モニターのスイッチをパッといれて、ワーッていうのを聞いて元気をもらってるんです。
  なんかそういう儀式めいたことばっかりやってるんですよ、俺(笑)。
T 俺もあるけどね。ポケットのティッシュは毎日替えるとか(笑)。僕も「弱法師」は楽屋で聞いてますよ。  
  最初の二十分くらいは酸欠状態なんだけど、竜也くんが出てくるあたりから正常になってくるんで(笑)。 
  「頑張れ!」って思ってます。

144日本経済新聞夕刊6/2付:2008/06/03(火) 19:17:45
藤原竜也さん 初のチェーホフ劇に挑む

シェークスピアにギリシャ悲劇、三島由紀夫に井上ひさし。
古今東西の多彩な戯曲に挑んできた華麗な舞台の経歴にまた一つ、新たな挑戦が加わる。
初めてのチェーホフ劇の出演となる「かもめ」だ。
作家を志望しながら恋と人生に絶望し自殺する青年トレープレフを演じる。
「繊細な心と激しい情熱を持つ人物。これまで触れたことのない役柄だと思ったが、
面白さを発見しつつある。起伏の大きな激しい人生をバランスよく表現したい」と意気込む。
演出の栗山民也とも初めて顔を合わせる。
「俳優に自由に表現させながら、せりふや間について非常に細かい指示をされる。
ありきたりの演技はできない」と気を引き締めている。
母親の大女優アルカージナに麻実れい、有名作家トリゴーリンに鹿賀丈史と、
共演者には尊敬する大先輩が顔を揃えた。
登場人物が交わす会話によって静かに劇が遂行していく独特の世界を新鮮に感じている。
「出演者みんなが一本の線でつながり、全員で作り上げていく舞台になる」

十五歳でデビューした蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸」。
その六年ぶり“復活”公演で今年二月、米ワシントンを訪れた。
外国の観客に日本の舞台を見てもらう喜びを感じたが、蜷川からは
「これをひとつの区切りとして次に行こうぜ、と言われた」と明かす。
俳優としての原点である「身毒丸」は三〜四月の埼玉公演で締めくくった。
これからも「いろんな演出家と出会い、その作品に取り組む理由を明確にしながら、世界を広げていきたい」
と先を見据える。二十六歳。

145Variety Japan 07/05/2008 part 1:2008/08/06(水) 11:31:47
半超人は跳梁の場を選ぶ
樋口尚文

97年にフジテレビ水曜劇場枠で放映された「それが答えだ!」と
いう異色の学園ドラマがあって、クラシック界で天才扱いされな
がら傲慢な性格ゆえにほされていた指揮者を三上博史が好演し、
彼が憤慨しながら音楽教師をやるはめになった田舎の学校の生徒たちを、
まだ全く無名の藤原竜也や深田恭子が演じていた(ちなみに村に一軒
だけある喫茶店に勤める元AVギャルのウエイトレスという役がこれ
またほとんど無名の藤原紀香であった)。この将来のスターの巣窟の
ような爽やかな佳篇のドラマで、特に藤原竜也は「この男の子は誰なのだ」
と思わせる不思議な魅力をたたえていた。

本作にやや遅れて98年に同じく水曜劇場枠で放映された
「ニュースの女」における滝沢秀明(これが初の本格的な
ドラマ出演作であった)も然りだが、私はこの当時の少年たち
の引力に導かれて毎週見続けることになった。そして、私は
その後も舞台で「近代能楽集」の「弱法師」を熱演する藤原竜也に
唸らされたり、期待していた『仮面学園』を観てこれがあの期待の
星の藤原竜也の映画デビュー作というのは厳しいなあと逆の意味で
唸ったりしてきたが、この舞台からあふれ出んほどの激情を発散させる
個性を映画でうまく料理するのは確かに難しいという気がした。

最近の若い世代の俳優でこういう大振りで劇的な感情表現ができる、
というよりも似合う存在というのはなかなか珍しい(加瀬亮や
新井浩文のような等身大の脱力型の個性は需要にも供給にも
事欠かないと思うが)。だからこそ、この特異な個性を映画に
あてはめるのは難しく、たとえば『バトル・ロワイアル』
シリーズや『DEATH NOTE デスノート』シリーズのようにかなり
劇画的に誇張された世界観を用意しなくてはおさまらないことだろう。
つまるところ、藤原竜也はかなり仕事を選ぶことが必要な才能であり、
おそらく厳重なる吟味の末に選ばれたであろうくだんのシリーズには、
かなり違和感なくはまって見えた。

ただ欲をいえば、世界観に無理なくおさまるだけでなく、
あの藤原のイノセントな激しさや道化的な奇矯さをまるごと
活かせるような企画はないのだろうかと思ったのだが、それにはもう
原作ものというよりは藤原にアテ書きしたオリジナルシナリオが必要だろう。

そこで『カメレオン』を観る前の東映の試写室で思ったのは
(そこが東映であったせいかもしれないが)、そういえば藤原の
ように映画で扱うにはかなり深慮を要する劇的で過剰な個性を
アテ書きのホンでうまく映画に溶融させた例として、70年代の
東映セントラルフィルムの「遊戯」シリーズであったなあという
ことだった。松田優作は名優という枠にはおさまらない怪物だったから、
あの個性のはみ出しぶりをあらかじめ映画的に受けて立った
脚本の時のみ、映画にとっても松田にとっても幸福な仕上がりが
実現されていた。

146Variety Japan 07/05/2008 part 2:2008/08/06(水) 11:32:44

そんなことをつらつら考えて『カメレオン』を観ているうちに、
私はこの作品が藤原竜也の過剰さをうまく溶かしこんで、
多面的に彼の魅力を活かしていることに惹かれながら、
アウトローの主人公と巨悪との戦いが、ごくごく具体的で
ありつついくぶん誇張された表現で凝縮して描かれていくさまに妙に
既視感を覚え、主人公の周囲に廃工場を根城にした老いぼれ旅芸人一座
の詐欺集団がいるという70年代設定や、恋人とともに撃たれて
絶対絶命のきわから半超人的に蘇生して爆発的なパワーで組織の
ど真ん中に襲撃をかける展開のジャンプなどを通過するうちに、
これは本当にさっきまで勝手に夢想していた松田優作の「遊戯」
シリーズの匂いだと確信するのであった。そして、やはり藤原竜也
のような劇的人間を料理するには、松田優作をインターセプトした
往年の丸山昇一の脚本にも連なる俳優の象徴的な扱いや虚構性の跳躍が
必要なのだなと再確認し、そんな視座で描かれた世界を演出するうえで
阪本順治に勝る監督もいないだろうと思った。このカメレオン的な半超人は、
ずばり『鉄拳』や『トカレフ』の復讐に燃えるダークヒーローの系譜に
連なるキャラクターではないか。

——と、これは藤原竜也の個性をようやく骨も髄も活かして料理した快作
だと満足して観終えたそばから、遅ればせに「はて、この脚本も丸山昇一
だった」と気づき、よくよく聞いてみると実はこれ、30年前の「遊戯」
シリーズ絶頂期に丸山昇一が松田優作のために(『殺人遊戯』の代わりを
想定して)短期間で書きあげた「カメレオン座の男」という未映画化
シナリオだそうではないか。不勉強を恥じ入りつつも、そんな知識が
なくても、こうして藤原竜也のためになぜこの眠れるシナリオが掘り起
こされたのか、その正当性はひじょうに得心がいった次第である。

 そして『カメレオン』を観た後に、あらためてチェーホフ「かもめ」
を鹿賀丈史や麻実れいといった大ベテランに伍して熱演する藤原竜也の
舞台に出かけた。私の座るかぶりつきの席の真横、観客の通路に顔を
こすりつけて母への愛憎を力演する藤原を間近に見ながら、この強烈な
自我が横溢しまくっている激情の人を、今後また『カメレオン』の域まで
映画に引っ張り込むためには、かなり監督と脚本の度量とたくらみが
求められるであろうと思うのだった。

147ぴあWeekly 2008/7/10号 part 1:2008/09/05(金) 16:50:43
藤原竜也 100問突撃!インタビュー (取材・文:よしひろまさみち)

これまで舞台の世界では名声をほしいままにしていた藤原竜也。
近年の彼は舞台にとどまらず、テレビ、映画の世界に積極的にトライし、
それぞれ違った顔を見せている。
そんな彼が本誌恒例の100の質問に答えてくれた!
最新主演作『カメレオン』(阪本順治監督作)の話を中心に、
これまで語ることがなかった演劇への思いや同世代の俳優への気持ちなど、
シンプルに力強く答えてくれた。
ここで見せてくれた顔は、彼の本当の素顔。
役者として、ひとりの男として、潔さを感じとってほしい。

Q1『カメレオン』の自分をスクリーンで観た感想を。
 普通の芝居もできるじゃん、と思いました(笑)。

Q2阪本監督作で好きな作品は?
 『カメレオン』とは全然作風が違うけど、『魂萌え!』(06)が一番好きですね。

Q3役作りの参考にされたのが韓国映画の『オールド・ボーイ』(03)だということですが、
もし『オールド・ボーイ』以前にオファーされていたら、何を参考にした?
 いやー、考えられない。

Q4韓国映画はよく観ます?
 それほどでもないです。

Q5鬱病の詐欺師の役を演じるうえで、一番苦労したのは?
 全部。特に声のトーンと話し方ですね。

Q6『カメレオン』で(藤原演じる)伍郎は宝くじを買っていますが、ご自身は宝くじを買いますか?
 ジャンボは買います。バラ3万円、連番3万円。

Q7当たったことは?
 高額当選は一度もないです。最高で3千円。

Q8ロケ地は新宿でしたが、新宿といえば唐十郎さん。唐さんもお芝居に出るとしたらどんな役を?
 唐さんらしいドロドロのを。小栗(旬)くんあたりとふたりでやってみたい。

Q9阪本監督の現場は厳しい?
 ものっすごい大変でした。

Q10最大何テイク?
 10テイクぐらいです。僕、普段はあまりNGを出さないですけどね。
 萩原聖人さんが撮影中に「阪本監督の現場が一番緊張する」っておっしゃって……。
 そしたら逆に僕が緊張しちゃって、何度やってもダメでした。

148ぴあWeekly 2008/7/10号 part 2:2008/09/05(金) 16:52:59
Q11劇中では「……と、言い切れないのが情けない」というセリフが何回かでてきますが、それを実感されたことはありましたか?
 私生活で、というよりも仕事でいっぱいあります。

Q12鬱になることあります?
 鬱になることはないんだけど、気が落ちることはあります。

Q13女性に暴力をふるうシーンがありますが、抵抗感は?
 腹筋思いっきり殴ってくださいって言われてたんですけど、さすがに殴れませんでしたね。

Q14アクションは得意?
 得意だと思いました。でも、大変でした。やるって言っちゃたからやりましたけどね(笑)。

Q15生傷が絶えなかった?
 アザだらけ(笑)。

Q16一番大変だったシーンは?
 階段を滑り落ちるシーン。撮影のときは勢いでやったけど、あれは危なかったです。

Q17『カメレオン』はもともと松田優作さんをモデルにした脚本ですが、自分と彼との違いは?
 俳優のスタイルとしては180度違うと思う。芝居への想いや姿勢は似てるかも。

Q18もし結婚詐欺にあったら?
 世の中の人に知られるのは恥ずかしいから、誰にも相談せず黙ってひとりで警察に行く。

Q19体で一番好きなところは?
 腹回り。『カメレオン』の撮影をしているときから節制して、5〜6キロやせたので。

Q20惚れる派?惚れられる派?
 惚れる派。惚れられることってあんま無いんですよ。

149ぴあWeekly 2008/7/10号 part 3:2008/09/05(金) 16:54:13
Q21惚れる基準は?
 素敵だな、かわいいなって単純に思うことはたくさんありますけど、
 惚れるとなったら相手の性格を考えちゃう。

Q22好きな女性のタイプは?
 好きになった人がタイプですってよく言う人がいるけど……それに同感です(笑)。

Q23人を騙すのは得意ですか?
 僕は得意だと思ってるけどすぐ顔に出るタイプです。うそをつくとすぐばれますね。

Q24『スポーツ大陸』(NHK)のナビゲーターをやってみて難しいと感じたことは?
 全部。カンペを見るのが苦手なので、セリフを全部覚えていこうとするから、その作業が一番大変です。

Q25逆に楽しいことは?
 トップアスリートの想いを僕の言葉で代弁して視聴者に投げかけるのは非常に気持ちがいい。

Q26勉強になったことは?
 スポーツも、俳優も。闘っていることには変わりがないってことがわかったことです。

Q27スポーツはしますか?
 いいえ。今はダーツくらい。

Q28インタビューを自分がするとしたら誰にしたいですか?
 同年代の海外の俳優。自分とどう違うのか比べてみたい。

Q29最近、感動したDVDは?
 『フラガール』(06)。

Q30『フラガール』に出演するとしたら何の役で出たいですか?
 入れるならフラガールメンバーに入れてほしいかな(笑)。

150ぴあWeekly 2008/7/10号 part 4:2008/09/05(金) 16:55:11
Q31最近観た映画は?
『ワンピース THE MOVIE エピソード オブ チョッパー 十冬に咲く、奇跡の桜』。

Q32『ワンピース』ファン?
 はい。今日は配給の東映さんから、等身大チョッパーをいただきました(笑)。

Q33休みの日にすることは?
 特にパターンはないんですが、昨日の休みは生まれて初めて友達の結婚式に出て感動して泣いてしまいました。

Q34どのシーンで泣きました?
 友人代表挨拶、新郎挨拶、両親への手紙。あんなにいいものだとは思わなかった。

Q35結婚式の司会はしてみたい?
 いいえ。『カメレオン』の劇中だけで十分です。

Q36お酒はお好きですよね?
 お好きです。

Q37一番好きなお酒は何ですか?
 麦焼酎。

Q38酔うとどうなりますか?
 フラフラになって、踊りだします。

Q39酔って失敗したときの最低だと思うエピソードをひとつ。
 俺、よくコケるんですよ。コケて膝打ったりすると最低。

Q40カラオケの十八番は?
 欧陽菲菲さんの『ラブ・イズ・オーヴァー』。あとは、うまく歌えないけど美空ひばりさんの曲とか、すごく好きです。

151ぴあWeekly 2008/7/10号 part 5:2008/09/05(金) 16:56:05
Q41よく聴くCDは?
 ウルフルズと長渕剛さん。あと「今日から覚える英単語400」。

Q42合コンに誘ったこと、誘われたことはありますか?
 誘われたことはあります。

Q43台本の覚え方を教えて。
 徹底的に1日4時間読み続ける。たとえば、朝9時から始めたら13時くらいにやめて、17時から18時にまたやって、
 で寝る前22時か23時とか。ダラダラやっても覚えられないし、続けて4時間っていうのが限界です。

Q44声に出して読む?
 出しません。出すとしてもボソボソくらいかな、確認で。

Q45自分の考えとは違うセリフがあったらどうしますか?
 監督もしくは演出家に相談します。納得するかしないかは演出家によって違いますが。

Q46相手が蜷川(幸雄)さんなら?
 従います。納得できる理由を示してくれるので。

Q47役者の役割とは? 
 お客さんに自分の身体を使って伝えること。

Q48舞台を観にいくことはある?
 よく行きます。

Q49一番気に入っている劇場は?
 彩の国さいたま芸術劇場小ホール。あとシアターコクーン。

Q50いつか演じてみたいと思っている役柄はありますか?
 レオナルド・ディカプリオが『太陽と月に背いて』(95)で演じていたランボー。

152ぴあWeekly 2008/7/10号 part 6:2008/09/05(金) 16:57:38
Q51息抜きの方法は?
 おいしいものを食べる。

Q52好きな食べ物は何ですか?
 納豆、オクラ、山イモを超たっぷりのカラシで混ぜたやつ。

Q53甘いものは嫌いですか?
 いいえ、好きです。疲れてる時は、無性にチョコパフェが食べたくなります。

Q54舞台『かもめ』の戯曲は、出演が決まる前から読んでいた?
 読んでませんでした……。

Q55好きな小説家は?
 夢枕獏さん。
 
Q56読書は好きですか?
 はい。最近読んだのは三島由紀夫の『不道徳教育講座』。
 今まで読んだ中で一番面白かったのは、夢枕獏さんの『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。

Q57尊敬する人は?
 兄貴ですね。俳優だったら唐沢寿明さん。

Q58一番怖いものは?
 おばけ、虫。あと鼻炎なんでホコリ。花粉症はヨーグルト食べ続けたら治ったんで大丈夫。

Q59舞台で楽しいと思う瞬間は?
 カーテンコール。お客さんの拍手をいただいたときも。
 あとは、芝居中に舞台上の自分と「空気が合ってるな」って感じる瞬間。

Q60逆に苦しいと思うときは?
 んー、毎日(笑)。

153ぴあWeekly 2008/7/10号 part 7:2008/09/05(金) 16:58:56
Q61プライベートで苦しい時は?
 タクシー。酔うから。

Q62現代劇をやるとしたらどんな作品をやりたいですか?
 『ウォーターボーイズ』みたいな青春群像劇。

Q63芝居以外で今、一番興味を持っていることは?
 プロ野球セパ両リーグ。

Q64特に好きな球団は?
 西武。ずっと西武ファンなんですよ、幼稚園から。

Q65小さいころの夢は何ですか?
 プロ野球選手。西武でショートを守りたかった。あとは、『あぶない刑事』のひとり。
 中学時代にはサッカー選手になりたかった。

Q66今の夢は?
 30歳くらいまでに絶対大丈夫なぐらい英語を喋れるようになりたい。
 
Q67ロンドン留学で、語学以外に学んだ最大のことは?
 こういう場所で仕事をしたいなあって気持ちですね。それと、必ずしもイギリスの演劇が、
 全部良いわけじゃないことを自分の目で見て確かめられたこと。

Q68同年代か後輩で、役者として認めている人は?
 中村勘太郎くん。

Q69舞台にない映画の魅力とは?
 制作とキャンペーンが面白いです。取材は大変だけど。

Q70映画にはない舞台の魅力とは?
 扉を開けたら一瞬にして異空間。違う世界に入ってしまったって思わせるところ。

154ぴあWeekly 2008/7/10号 part 8:2008/09/05(金) 16:59:53
Q71今後、人間のどういう感情を演じてみたいですか?
 『カメレオン』の伍郎みたいな影のある役をやってったほうがいいかなと思ってます。

Q72たったひとり、憧れの人に会えるとしたら、誰?
 以前は長渕剛さんに会いたいと思っていたけど、実現しちゃったんですよね〜(笑)。
 今は辰吉丈一郎さんかL・ディカプリオ。

Q73結婚したいと思いますか?
 まったく思いません。

Q74子供を持つことも?
 考えられません。

Q75『身毒丸』では全裸シーンがありますが、人前で全裸になることに抵抗はありますか?
 そんなものはないって思ってたけど、脱いだら脱いだで、抵抗ありますよ(笑)。

Q76シェイクスピアの演劇でやってみたい作品は? 
 『オセロー』です。

Q77ほかに悲劇だと?
 清水邦夫の『タンゴ・冬の終わりに』かな。

Q78今まで演じた役柄の中でもっとも印象に残っている役は何?
 『近代能楽集』の『弱法師』に出てくる俊徳。東京大空襲の炎で両目を焼かれた人なんだけど、
 「あなたたちにはわからないだろう、この世の終わりの景色がどんだけ美しいか」っていう、セリフが衝撃的でしたね。

Q79今までで一番記憶に残っている舞台、もしくは舞台の日は?
 『近代能楽集』のニューヨーク公演と、ロンドン公演。

Q80今一番何にムカついてます?
 いっぱい。ありすぎて一言じゃ無理です(笑)。

155ぴあWeekly 2008/7/10号 part 9:2008/09/05(金) 17:01:01
Q81タイムスリップできるとしたらいつどこへ行って何をしたい?
 中学3年生の僕がスカウトされたた当日に戻って、今の大人の気持ちのまま、
 本当に池袋(スカウトされた場所)に行くべきか、(自宅のある)秩父に留まるべきか、もう一度考えます(笑)。

Q82ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで座長公演できることになりました、演目は何?
 『ハムレット』!……あ、でもいいや。イギリス人が日本で歌舞伎をやるような無謀なことだからやめときましょう。

Q83仕事したい監督か演出家は?
 崔洋一さん。井筒監督もいいな。厳しい現場が好きなので。

Q84共演したい俳優さんは?
 男優なら中村勘太郎くんや松本潤くん、小栗(旬)くんとか。若い世代の男優が今本当に面白いことになっているので。
 女優なら大竹しのぶさん。以前から会うたびに、一緒にやりたいですねと言っています。

Q85小栗くんは「勝手にライバルだと思っているのは藤原竜也です」と言っていますが、どう思います?
 まさに勝手な(笑)。

Q86小栗くんはどういう存在?
 力のある同世代の俳優。お互い刺激しあって「若い世代にこういう俳優がいるんだぜ」っていうことを、
 一緒に発信していきたいなっていう、存在かな。

Q87人から言われて嬉しい言葉。
 「お母さん、吉永小百合さんに似てるでしょ」とか。

Q88付き合い始めたばかりの女性とのデートはどこに?
 行きつけの飲み屋。

Q89居酒屋のメニューで一番好きなおつまみは?
 そら豆。超好き。
  
Q90生まれかわったら、次は男、女?それと職業は?
 男、サッカー選手。

156ぴあWeekly 2008/7/10号 part 10:2008/09/05(金) 17:02:09
Q91自慢のお宝グッズは?
 ヤンキースの松井選手からいただいたサインボール。これってお宝ですよね?

Q92秘密はいくつありますか?
 5個。

Q93自分で劇団を作るとしたらどんな劇団にします?
 そんなことをしたら蜷川さんには怒られ、野田(秀樹)さんにはバカにされるから、やめておきます(笑)。

Q94蜷川さんの存在を一言で。
 一言で言うと……切っても切れない。親のような、ライバルのような演出家。

Q95一番落ち着く場所は?
 家とおいしいごはん屋さん。

Q96好きなテレビ番組は?
 『情熱大陸』『報道ステーション』『田舎へ泊まろう』。

Q97失恋を乗り越えるには?
 仕事と友達です。

Q98座右の銘は?
 ありません。

Q99超能力が1種類1度だけ使えるとして何が欲しいですか?
 1度使うと3回使えるようになるテレポーテーション。

Q100阪本順治監督と出会って変わったことは?
 一皮むけました。このままもう成長しないんじゃないかって思っていたんですが、
 監督と出会ったら、卵のカラのようにぽろっと。楽になりました。

これまで他の若手の追随を許さなかった舞台俳優としてのストイックな一面に加え、
一皮むけた26歳の青年らしい素顔を見せてくれた藤原竜也。
当代随一の作家、演出家らと組んで、感性を育んできた彼だけに、
今後も新たな出会いを重ねることで、さらに別の才能が芽生えていくことだろう。
そうして彼は、今の若手俳優の中でも一歩先行く牽引役として、
今後の若手俳優たちの指標となってくれることは間違いない。
これからの成長と変化に目が離せない。

157AERA 2008/6/28号 part 1:2008/09/05(金) 20:16:03
山本モナのあなたを知りたい 第25回

モナ 主演映画「カメレオン」の脚本は、もともと松田優作さんのために書かれたものを現代風にアレンジしたものなんですね。
藤原君は仲間を殺されて復讐に燃える男、伍郎を演じて、すごくワイルドな感じでした。髪形も違うし。

藤原 この映画のお話をもらった時に、なぜだかわからないけどDVDのボックスを開けて取ったのが、
「オールド・ボーイ」という韓国の映画だったんです。翌日、監督のところに持って行って、
「この髪形やってみたいんですけど」って言ったら、「じゃ、挑戦したら」って。
それでその日のうちに美容院に行ったんです。

モナ 主演のチェ・ミンシクの髪形!

藤原 でも、僕がやってみたら小学生みたいになっちゃって(笑)。
監督に見せたらメークさん呼んで、「ちょっとやってみて」と。
それからまたパーマを掛け直したりしてこうなったんです。監督が僕の意見をのんでくれて。

モナ 「デスノート」の夜神月も今回の「カメレオン」の伍郎もそうだと思うんですけど、
芯の強いワルいヤツがはまり役というか、合ってますね。

藤原 俳優って、自分をちょっと変えたいなと思う瞬間があるんです。
これまで特殊な役が多かったんですけど、ちょっと俳優として、一歩踏み出せない自分がいたんです。
このままだと自分自身成長できないだろうなあと薄々気づいてはいて。
そういう時にこの作品に出会って、大きなチャンスかもしれないと思ったんです。
僕にとってはこの映画はこれまでとは違って、普通の映画だから。

モナ 「普通の映画」というのは?

藤原 何か化け物が出てきたりするような特殊なものではなく、王道の映画。
等身大の役というか。言葉が足りなくてすみません……普通の役だし、普通の映画だなと思ったんですよね。

モナ たしかに「バトル・ロワイアル」や「デスノート」は設定や登場人物が特殊でしたよね。
普通の役のなかでも、すごくいい人の役と、伍郎のような陰のある役ってどっちがやりやすいんですか?

藤原 自分の色を出していくのであれば、こういう少し影のある役のほうがいいんじゃないかと思うし、
かといっていい人の役もやらなければ幅も狭まると思うし……。
でも好きなのは、陰のある何か背負っている役ですね。

158AERA 2008/6/28号 part 2:2008/09/05(金) 20:18:00
モナ 藤原君はいろいろ考え込むタイプですか?

藤原 すごく考え込みます。

モナ 仕事の出来に対して?

藤原 はい。例えば、中村勘太郎君が今、映画を撮ってるんですけど、
僕は北条時頼っていう武将の役で少し出させていただいたんです。
でもこんなこと滅多にないんですが、勘太郎君が、気が狂った時頼の邪気を払い正常に戻すというすごくいいシーンで、セリフが出てこなくなってしまいました。
なおかつ、どうしてこういう芝居しかできないんだと、本番中に反省してしまったし、ボロボロだったんですよ。

モナ 藤原君でもそういうことがあるんだ。

藤原 もうなんかね、勝村(政信)さんには「お前、それじゃプロの役者じゃなくて、恵比寿あたりにいる兄ちゃんだよ」って言われて、
「たしかにそうですよね。俺、最低だ」と思って……。
勘太郎君はいい表情でものすごくいい芝居をしてるんだけど、僕がそれに付いていけない。
それは忙しかったからとか時間がなかったからとかではなく、ただ単に力のなさと勉強不足なんです。
で、撮影から帰ってきてずっと落ち込んでた。

モナ そういう時はどうやって立ち直るんですか?

藤原 自分の責任なので、もう振り返ってもしょうがない。
それを心にしまい、蓋を閉めて、決して忘れることなく、残りのシーンは自分も、
そして周りも納得いくような芝居をしようと思いました。

モナ 誰にも相談することなく、自分の中で消化できるんですか。

藤原 そうですね。でも半日落ち込みました。

モナ 今回の阪本順治監督とのお仕事の時はどうだったんですか?

藤原 僕、ちょっと舞台の癖が出たりする時があるみたいで、
「藤原君、別にそんな低音で響かせなくていいよ」って言われました。

モナ アハハ。いい声になっちゃたんですね。

藤原 「そんなしゃべり方いらない」って言われて、わからなくなっちゃって何も考えずにやると、
それがオッケーだったりするんですけど。監督はすごく厳しい人で、僕はあんまりNGを出さないんですけど、
ちょっとテークが重なると、「これだから若い俳優さんは持続力がねえんだよな」とおっしゃって、外に行かれました。
「おっかねぇー」と思いました。

モナ そう言われたら?

藤原 それは落ち込みますよ。

159AERA 2008/6/28号 part 3:2008/09/05(金) 20:19:11
モナ 藤原君は、仕事以外のところではどんな人なんですか?

藤原 すごくいい加減ですよ。

モナ なんかどこまで俳優さんのプライベートを聞いていいのか、私、よくわらなくて対談の時にいつも困るんです。 
こういうところでされる質問って、だいたい一緒じゃないですか。

藤原 そうですね。

モナ 彼女はいるんですか、とかでしょ?
そういう質問に対しては、どれも同じ答えをするタイプ?

藤原 会社という体制があって、もちろん会社は僕を守ろうとするから、
たまにファンクラブのイベントでいろいろしゃべっても、そんなの全然流してくれない(笑)。
誤解があってはいけないからということで、ちゃんとしたところだけ流すんです。
だから正しいことばっかり言ってるようになります(笑)。

モナ すごく忙しくしていたら、なんか何のためにやっているんだろうな、と思う瞬間はないですか。

藤原 ああ、あります。ただ、芝居をしていたらそういうのはありません。
そう思うこと、あるんですか?

モナ ある(笑)。あります。だって、どんなに仕事をいっぱいしていっぱいお給料もらっても、使う時間もないし。
恋人つくってデートしたいなと思っても、外歩いたら撮られるし、と思ってると私、何のために毎日これをやっているんだろうって思う。

藤原 僕もそういうことはありますよ。
芝居の最中にテレビの仕事を入れちゃったら、なんでこんなの入れたんだろうって。
自分も納得して入れたはずなのにすごく腹が立って。僕はすぐ顔に出るので、もうしゃべれなくなっちゃいます。
テレビってそうさせるものがありますね。

モナ なんかね。ちょっと特別な空間なんですよね。

藤原 だから、映画や舞台みたいに、自分の神経削って本当にすべてをなげうって
一つのものを作るんだという思いの人たちが集まっていいものを作るのが、やっぱり僕には合ってるんだなと思います。

モナ うらやましいです。そういうものづくりができているのが。
テレビが嫌だってわけじゃないですよ。それが私の仕事だから。
ただ、いいなあと思います。恋はしてますか?

藤原 そこそこですね。僕ってね、結婚願望がないんです。
僕はまだ俳優としてやりたいことがあるし、いろいろな人と仕事したいと思うから。
それを理由にしちゃ逃げになっちゃうのかもしれないけど、まったくないんですよ。
それはなかなか理解してもらえないだろうなと思います。

モナ うんうん。

藤原 仕事を離れて一緒にいる時っていうのは、その人のことが一番好きだし、その人のことを一番に思うし、すごく大事だし。
でも、仕事が入ってきたら、その仕事仲間が一番だし、その作品をやることが一番だし、となっちゃうから、大変です。

モナ 「カメレオン」の冒頭にも水川あさみさんとのすごいシーンがあったけど、
例えばキスシーンとか、私だったら絶対に焼きもちを焼くと思う。

藤原 それは理解してくれなきゃ困るんですよね。

モナ 仕事は仕事だから。

藤原 それから、例えば蜷川幸雄さん演出の「身毒丸」という僕がデビューした作品では、全裸になって行水するシーンがあるし、
「エレファント・マン」では上半身裸になるんです。
で、「エクウス」というお芝居では馬のメークをするんですけど、
ダニエル・ラドクリフがこの「エクウス」をやった時は、全裸で馬のメークをしたんです。
だから「なぜお客さんの前で全裸になる必要があるんだ」とか言われるのも困る。

モナ でも、好きな人には自分のお芝居を観てほしい?

藤原 もちろん観てほしいです。このあいだ野田秀樹さんが新聞に、
「今の若者は感動を安売りしすぎている。本物の感動は違うんだ」って書かれてたけど、
舞台は本当に、その人の人生をも左右してしまうような感動があると思うし、
絶対自分の感性が広がると思うから、どんな人にも観て感じてほしいなと思います。

160AERA 2008/6/28号 part 4:2008/09/05(金) 20:20:27
モナ 以前は過去を「振り返りたくない」と言ってたけど、デビューして10年になる今はどうですか?

藤原 10年、20年といってもまわりのもっと第一線でやってる人たちと言うのは、
じゃあ、何十年闘ってるんだという話になるから、振り返るということは全然しないですね。

モナ 俳優さんにとって年を重ねるっていうのはどういうことですか?

藤原 いいことだと思います。阪本監督がおっしゃってたんですけど、俳優にとって大事なのは、私生活で何を感じるかだって。
だからやっぱりいいことですよね。年を重ねるって。

モナ そうですよね。

藤原 その年、その年で才能ある人と出会って刺激を受けてやっていくというのは、とても素敵なことだと思います。
振り返ってる暇がないって言うと、ちょっとカッコよすぎる表現ですけど、振り返るべきじゃないのかなと思いますね。

モナ 作品には、その時の藤原君のいい所も悪い所も、たぶん全部出ているんだと思います。
昔書いた文章を絶対に一字一句直さないって決めてる作家さんもいるんです。
そこに手を入れちゃうと、その時代の自分が変わっちゃうから。

藤原 カッコいいですね。

モナ それでいこう私も、と思った。

藤原 そうですね。事実ですからね。自分が出演したテレビとか、見たりするんですか。

モナ 見ます、たまに。「ああこの子、頑張ってるな」っていう感覚で。
それは俳優さんとは違うのかな。どういう感じで自分の作品を観ますか?

藤原 うーん、たまに(手で顔を覆いながら)こんな感じで観ます。

モナ あーっ……っていう(笑)。

藤原 やっちゃったな、というところもやっぱりありますし、ああ、これは意外とうまくハマってるかもしれないっていう時もあるし。
そのジャッジが難しいですよね。あとはもう本当お客さんに観てもらわなければ、何とも言えないし。

モナ だめな部分のほうが気になるんですよね。

藤原 そうですね。

モナ 藤原君ってなんか色気があるんだよね。藤原君が40歳になるのが楽しみ。

藤原 あ、ほんとですか?(笑)

モナ 40歳になった藤原竜也を見てみたい。すごくいい感じに仕上がりそう。

藤原 僕、将来のイメージはあるんですけども、こういう場所で言ってもどう思われるかわからないし……。

モナ 何とも思わないから言ってみて、そのイメージ。

藤原 蜷川さんなんかもそうですし、野田さんなんかも今イギリスで第一線で闘っていますから、
自分もそういう所の舞台に立ってみたいなと思いますし、いい俳優になるために、
じゃあ今仕事は何をやるかというジャッジをする目も大事じゃないのかなと思います。
その反面、別にもっと素敵な人生があるかもしれない、とも思いますし……。

モナ それは俳優さんをやめている自分を想像するということですか?

藤原 今は考えられないですけど、そういうことがあってもおかしくないんじゃないのかなとは思います。

モナ いろいろな可能性を考えているといことですか。

藤原 俳優以外というのは、今のところは考えられないですけども。
でも最近、僕は14歳で秩父から遊びに来ていた池袋でスカウトされてるんですけど、
あの時に自分に、本当に池袋に行っていいのかどうなのか、言ってやりたいなと思うことはあります。

モナ でもいいな。俳優さんが、なんか本当にうらやましいな。

藤原 やってくださいよ。

モナ いや、だからできないんですよ(笑)。


Re:
お会いしたら、とても背が高くていらっしゃって、びっくりしました。
10代のころの印象のまま、私の中の時間がとまっていたのかもしれませんね。
親戚のおばちゃん的な感想ですが……(笑)。
私が投げる、答えづらいだろう質問にも、ごまかさず、はきはきと答えてくださって、
本当に気持ちのいい時間でした。
対談の中にもありましたが、20代、30代、40代と
それぞれのイイ男像をしょって立っている藤原君が目に浮かびます。
自分の芯がはっきりしていて、臆せず、前に進んでいる姿は、私も見習わなきゃいけないなあ。

161acteur NO.10 2007 JULY part 1:2008/09/06(土) 21:09:31
藤原竜也 少年期の終わり(文・構成:木俣冬)

「この10年」を振り返ってまとめたくはない。たった10年ですから。ぼくはまだ走っている途中なんです……」
藤原竜也は言う。
でも、その走りはあまりに激しく速く、
まるで、「ジャックと豆の木」に出てくる急成長して天を貫いてしまった巨木のようだ。
一度、少しだけその中身を採取して、奇跡の成分を観察してみたかった。


種子
母の面影を抱くように形見(?)の手鏡をギュッと抱きしめる身毒丸。
長く伸びはじめた膝下を持て余すように立て、背中を丸めてうずくまる身毒丸。
大人と子供の境を彷徨う不安が滲んでいた。
「他に術がなかったので、舞台でその役を本当に生きるしかなかったんです」

デビュー作『身毒丸』について、藤原竜也はこう振り返った。
「幸い上演時間が1時間30分と短い。共演者の白石加代子さんもおっしゃっていましたが、
走り出したら最後まで止まらないで済む作品です。肉体的には大変ですが心情的にはそのほうがありがたいんですよ」

15歳。それまで演技体験のまったくなかった藤原竜也という少年の空っぽな俳優脳に、
身毒丸のセリフと感情と動きが一気に流し込まれた。

寺山修司と岸田理生のイマジネーションあふれるセリフ、日常を逸脱した世界、
蜷川幸雄の演出によるダイナミックでアグレッシブなビジュアルなど、
ハイレベルな演劇要素は、その細い体から溢れ出すほどだが、
それを必死で抱えて、藤原竜也は走り出した。
「なんだかよくわからないけど、かっこいい世界」と思えた陶酔と、
駆け抜けるしかないという執念が、15歳の少年を巨大にした。

俳優としては空っぽだったが、少年・藤原竜也にはポテンシャルはあった。
真っ直ぐに伸びた背、長い手足、どこか淡く透明な顔は、無邪気な男子のように見えたり、魔性を帯びたり、
さまざまな境界を彷徨う。
サッカーで鍛えた反射神経や空間把握力にリズム感の良さ。
なによりセリフに情感を込め太らせ、空間に届ける声があった。

藤原の資質を把握した蜷川の徹底した稽古の成果もあり、
藤原竜也は。1997年10月15日ロンドン、バービカン劇場で俳優デビューした。
目の肥えたイギリスの観客たちも藤原の姿に釘付けになった。

海を越えて多くの観客の心をつかんだ藤原の自信は、
同じく岸田理生脚本の『大正四谷会談』で、とてつもない魔性の魅力をもった色悪・伊右衛門を演じさせる。

次に、再び蜷川と組んだ『唐版 滝の白糸』では、女の手首からほとばしり鮮血を浴び恍惚となる少年を演じた。

寺山修司、唐十郎の詩情あふれる言葉を語れる稀有な10代として、
藤原竜也はまたたく間に演劇エリートになってしまった。

そして次に用意されたのは三島由紀夫の『近代能楽集〜弱法師』。
デビューからわずか3年でここまで難易度の高い作品へと駆け上がった。
<ぼくって誰からも愛されるんだよ>という俊徳の挑発的なセリフにはゾクリとさせられた。

162auteur NO.10 2007 JULY part 2:2008/09/06(土) 21:12:16
焔と傷
地獄の如き業火の恐怖から白髪、盲目になり、
この世の絶望を知り尽くした少年・俊徳(弱法師)という重い役を演じるために、
髪を脱色した藤原の姿はセンセーショナルだった。
この役はやがてニューヨーク(05年)でも好評を得る。

次に挑戦したのは、奇形な体からエレファント・マンと呼ばれる孤独な男ジョン・メリック。
真っ直ぐ伸びた体をあえてねじって演じた。

これまでは難しい戯曲と言っても、藤原の持って生まれた少年時代の輝きの強さに負う部分が多かった。
しかし、この時期からそれだけではない部分で勝負しようという少年期との決別の意志が見える。
その試みは、ちょうど二十歳を迎える時期と重なっている。

野田秀樹作品への挑戦もそのひとつだろう。
野田秀樹のセリフも、寺山、唐のような美しく詩的なセリフを踏襲したものだが、
演出は、これまで藤原が体験してきた、生の自分をにじみだすものではなく、
訓練された身体による新たな表現を必要とされる。
様々な役を瞬時に演じたり、相反するふたつの感情を、自動的に切り替えたり、
舞台ならではの表現の可能性を追求する演劇に、藤原は戸惑いもあったようだ。

そして、思いがけず、声を枯らしてしまう。
弾丸のようにセリフをはき続けることに、藤原の体は追いつかなくなっていた。

その悔しさを背負い、さらなる難関への挑戦がはじまった。

シェイクスピアの『ハムレット』。

いきなり、頂点だった。

「通常は『ロミオとジュリエット』から段階を経てハムレットにいくらしいんです。
イギリスに留学に行ってイギリスの演劇人と話すと、誰もがこの流れに驚かれるんですよ」
藤原は笑う。蜷川幸雄の大胆な采配だった。
「周囲は俺たちの失敗を望んでいるだろう。でも一緒に闘っていこう」
蜷川は藤原をこう鼓舞した。

稽古期間も通常より長めにとり徹底訓練がはじまった。
セリフの量はシェイクスピア劇でも最大。台本何ページにもわたる長いセリフも多い。
蜷川は、エネルギーを落とさずに長いセリフを言うことは、疲弊した現代への抵抗と考えている。
藤原が、たくさんの名セリフを、感情を込めて、空間に放つ様は、『身毒丸』の奇跡を思わせた。
いや、それよりも、遥かに藤原の表現は豊かになっていた。

狂気なのか正気なのか判別のつかないハムレットの言動を、スピーディーに切り替えるのは、
NODA・MAPでの経験も役に立っただろう。

四方に張られたフェンス以外は何もない空間に、ガンガン体をフェンスにぶつけ、ひたすらセリフをはき続ける藤原は、
傷つくことでしか生を確かめられないようなもの狂おしさがあった。

163acteur NO.10 2007 JULY part 3:2008/09/06(土) 21:13:34
突破
デビッド・マメット作『ライフ・イン・ザ・シアター』は、タイトルの通り、俳優が人生の大半を劇場で過ごしている話。
実人生が演技に重なり、演じている芝居が人生に重なり、毎日が過ぎていく。

藤原竜也も、さまざまな役と出会い続けていた。
すでにハムレットとロミオという大役を演じたが、
慢心することも、休むこともなく次々とハードルを高くしていった。
海外の演出家と仕事をする。ギリシャ悲劇に挑む。イギリス留学……。

『ライフ〜』は、初めての外国人演出家との仕事であり、初めての二人芝居でもあった。
共演は、エレファント・マン、ハムレットなどを藤原よりも先に演じてきた先輩・市村正親。
ふたりの会話による部分も多い芝居も、今まであまり経験したことのないものだった。
演出家のポール・ミラーとは後にイギリス留学した際、彼が演出した『太陽と月に背いて』(邦題)を観に行き、
ランボー役の若いイギリス俳優に刺激を受けるという出会いにもつながっていく。

次は、『オレステス』。育ての親・蜷川幸雄は、藤原竜也の芝居の転機を作る。
初めてのギリシャ悲劇を演じるにあたり、蜷川は「今までと180度違う表現」を要求してきた。
「体を絞って、喉を振るわせて、セリフを言う方法はそもそも、蜷川さんに教わったものだったのに、
その言い方は使うなと言われて、戸惑いました。
今まではそれをやって誉められてきたのに……わけがわからなかった」

紀元前、大自然と拮抗してきたプロミティブな人間性を目覚めさせるこの経験を乗り越えて、
藤原の幹はまた太くなった。

野田秀樹作品『ロープ』への2度目の挑戦では、喉を枯らすこともなくなり、
クライマックスの美しいセリフは魂を揺さぶった。

そしてイギリス留学。英語しか使わないで4ヵ月を過ごし、イギリスの演劇人と交流して、
帰国後はグレゴリー・ドーラン(イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのアソシエート・ディレクター)
の演出を受けた。
ドーラン演出『ヴェニスの商人』で、藤原が演じたのは、バサーニオだが、
ドーランのアイデアで、劇中、ポーシャに求婚に来るふたりの男の役も演じることになった。
アフロヘアの黒人と老人をユーモラスに演じた藤原は、自分の中の新たな可能性の芽生えを楽しんでいた。
『ロープ』の時に「共演者のみなさんが芸達者で、稽古場でどんどん面白いアイデアを出していく中、
ぼくだけが追いついていかなくて……」と不安を感じていたそうだが、
喜劇である『ヴェニス〜』で思いがけない方向からのアプローチを学んだようだ。

164acteur NO.10 2007 JULY part 4:2008/09/06(土) 21:14:40
新芽
2008年1月上旬。スタジオに溜め息が漏れた。
『身毒丸 復活』の公演パンフレットの撮影のため、ヘアメイクをして、カメラの前に立った藤原は、
25歳とは思えないほど少年になっていた。
雨の日の窓ガラスのような瞳、白いシャツをフワリとまとう薄い体、ナイフの刃の弧のように滑らかに鋭い顎の線……。

「映画『カメレオン』の撮影中に少し痩せました。
ストイックな役だったこともあって意識的に食事制限をしたりもしましたが、精神的な部分も大きかった気がします。
阪本順治監督の演出は今までに経験したことのないもので、日々、あれで良かったのだろうか?と悩んでいて。
禁酒をしたり、肉体改造することでその不安を埋めていったってこともあります」

しかし、『カメレオン』の伍郎という口髭を生やし、ワッフルパーマをかけて、
革ジャンを着ていたアウトローな藤原はそこにはいなかった。

そこにいるのは、少年・身毒丸。でも、10年前の少年とはどこか違う少年だった。

02年のファイナルで、二度と演じることはないと思っていた身毒丸を三度演じることになった。
「今すでに少年ではない自分が演じたら失ってしまったものもあるでしょう。
でも25歳の自分から出るものでいいとも思います」

藤原竜也はもはや10年前の無垢な若芽ではない。
しかし、激しい風にさらされ折れそうになりながら空を目指して伸び続ける、
少し硬くなった木の幹をナイフで斬ると、瑞々しい樹液が光るものだ。

技術をもった俳優がもう一度身毒丸を蘇らせる。

そして、この先に待っているのは、チェーホフの『かもめ』。

何気ないセリフの応酬。その中に隠れた本音。
書かれた言葉を豊かに伝えることに長けた藤原竜也が、
見えない言葉を観客に感じさせることができるか。

心配はない。
藤原竜也は、もういないはずの少年<身毒丸>を、演じることのできる俳優だから。

165名無しさん:2008/09/06(土) 23:25:06
↑acteur NO.10 2008 MARCH の間違いでした、すみません<m(__)m>

166名無しさん:2008/10/02(木) 15:42:12
1999年6月 日経エンタメより

 埼玉の秩父にいた長髪の少年がスカウトされ、連れられた場所は
蜷川幸雄演出の『身毒丸』のオーディション。
主演・白石加代子の相手役で、親子という関係でありながら愛し合ってしまうという
複雑な役どころ。
この役に抜擢され、ロンドンで公演、各紙で絶賛を浴びたが、本人は至って“低温”だ。
芸能界に対する興味や積極性は全然ない白紙の少年だった。

―自分に白羽の矢が当たったのは何が大きかったと思いますか?

藤原 オーディションを受けていたのはほとんどが劇団の方で、僕は芝居未経験の中学生。
後で蜷川さんが「一定のところまできている人はすぐ使えるけど、それ以上は期待できない」
とおっしゃっていて、経験ゼロだった僕は一定レベルどころじゃなかったから、
きっとそのへんだったんでしょうね。

―もしかしたら国語の授業で本を読むのがうまいほうでしたか?

藤原 勉強はしてないほうだったんで、かなりいいかげんに読んでいたはず(笑)。
でも記憶力はあるかなぁ。とにかくオーディションに受かった後もたくさん怒られました。
でも蜷川さんの怒り方とか注意の仕方って、演っている側に「だったらこうしてやろう」
って思わせるんです。
新しい発想とか想像をさせてくれるので、役者側にとっては楽なのかもしれません。
僕は立ち位置からセリフなど全部基礎を教えていただきました。
感情をストレートに出す芝居を要求されました。

167名無しさん:2008/10/02(木) 15:42:46
―直したいところはありますか?

藤原 性格かな。僕、わがままなんです。キレることなんかしょっちゅう。
朝早いとか夜遅いとかすごく些細なことなんですけど(笑)。

―忙しいのは苦手なんですね?

藤原 ううん、かといって忙しくないのはいや。難しいでしょ?(笑)
少し前までは「休みたい」って思ってたけど今はいらない。
仕事をずっとしてて1日2日休みがあるほうが嬉しくて。

―わがままという性格、仲間の間ではどう受けとめられている?

藤原 みんなわかってくれていると思う(笑)。
僕、人の上に立ちたい人だから、自分と同じような性格の人とは合わないですね。

―年上人気は感じますか?

藤原 はい。ファンレターもよくいただきますし、追っかけの人でもいます。
情熱的だなと思う人、応援してますっていう人、いろいろ。みなさん字と文章がきれい。

―今では街を歩くのも一苦労?

藤原 ぜんぜん余裕。原宿だって平気です。タレントさんって気にしすぎだと思いますね。
大騒ぎになったらタクシー乗っちゃいますが、余裕のある時は声かけられたら話すし、
そういう気分じゃない時は話さない。僕、アイドルじゃないし、それでいいと思ってます。

168名無しさん:2008/10/02(木) 15:43:30
テレビでははみ出してしまう演劇界の宝物

一にも二にも彼を語るときには蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』から離れられない。
テレビやアイドル雑誌で初めて彼を知った人には想像しづらいが、
舞台の上に立つ彼は別人と思っていい。
演劇評論家の松岡和子氏はオーディションでの様子をこう語る。

「あの日(97年5月5日)は最終選考に近づくにつれて蜷川さんが稽古場のノリで
どんどん要求を加えていった。つまり走り高跳びでいう“バー”を上げていったんです。
それを全部クリアしたのが藤原くん1人でした」

最終選考の10人になり、課題は『身毒丸』の一場面。藤原は6番目。
順番がきて審査員を驚かせたのは、蜷川が前の5人に出した注文を藤原がすべて飲み込んでいたこと。
「極端な負けず嫌いなんでしょうね。実はロンドン公演の千秋楽直前に彼に腰痛が出て、
症状がひどかったので休ませようとしたら“休ませないでくれ”と号泣してせがんできた。
廊下を一歩一歩、歩きながら“大丈夫です”ときっぱり言ったその表情と根性に
少年の彼がそびえるように見えました」(松岡氏)。
結局、千秋楽のマチネだけ休み、夜公演は出演した。

芸能界に興味はなかったと言うが、やると決めたことができない時に見せる激しい感情表現は、
花道を歩き始めている証拠。しかし残念ながら今のテレビの中でその激しさは、
はみ出してしまうのかもしれない。
彗星のごとく現われた演劇界の宝物は本物のスターとなって輝くかどうか。

169Grazia(2001) その1:2008/11/01(土) 10:39:05
桃井かおりさんとロンドンで対談

桃井(以下桃)あ、これかわいい、ビーズのブレストレット。どうよ?
竜也(以下竜)あ、いいですね。
桃 ロンドンって入っているところがおちゃめ。これはメッセージホルダーなわけさ。
  「ハッピーバースデー」とか、「いつも僕は遠くから大好きだと思っているからね」
  とかさ、カードに書いたら、もう少女フラフラよ(笑)。
竜 日本でも流行りそうですね。
桃 ぶどう売ってる、好き? 食べながら歩こうよ、1ポンドだって。安いよね。
  (たくさんの路店の間を、ぶどうをつまみながら歩くふたり)
桃 ほら、彫金でネーム作ってくれる。どうよ、ガール・フレンドに。
竜 いないですもん。
桃 本当?
竜 はい。
桃 さしあたり、いてもいいけど。許す(笑)。どんな子にほれる癖がある?
竜 うーん、他人にはわからない、僕の中でこう、感じるものがあるんです。
桃 そうか、それね。いいとこついてると思う。
竜 そうですか。この人だなっていうのが。それで何か感じる人と感じない人が
  いますけどね。
桃 そのうち、同じタイプになってきたときには、自分はオヤジになってきたんだな
  と思ってちょうだい(笑)。ほら、このバックも素敵。お芝居で使えそうなもの
  がいっぱい。なんか私たちの買い物ってさ、いつか小道具で使えるんじゃない
  かとか思っちゃったりして、なんか寂しいね。
  (コヴェント・ガーデン駅の近く、タイラックとある、レンガ建てのビルを指して)
  前回は、あそこの3階にみんなで住んでたのよ。
竜 あ、そうなんですか。懐かしいでしょう。
桃 というかロンドンは嫌いで、長いこと来てなかったんだけどね。一昨年、仕事で
  しばらくいたら、いい街だなってやっと思えるようになったところ。ほら、私は
  10代のほんの子どものころ、バレエ留学で、寄宿舎生活だったから。そのころには、
  いい思い出がなかった。
竜 いくつのときですか。
桃 12歳から15まで。そのころは、今よりずっと人種差別がひどかったし、イギリス紳士
  はチャップリンみたいな格好で、傘持ってたんだから。
竜 僕は15歳のとき、舞台で初めて来て。

170Grazia(2001) その2:2008/11/01(土) 10:41:15
とやっといい話が始まったと思ったところで、またもや何かを見つけたのか。

桃 ほら、これもナイスじゃない。このネックレス。ママへのおみやげにどうよ。
竜 これいいですね。これにしよう。
桃 ピアスは?
竜 僕、ピアスしてないんです。
桃 あ、何よ「親にもらった体に穴あけてんじゃないよ」とか、オンナに言うタイプ
  じゃないのっ。
竜 言わないですよ。
桃 私、30歳の誕生日にあけたのよ、これ。すごい遅いでしょ。そのとき好きだった
  人が「何、穴なんかあけてんだよっ」というね、私は何かそういうものすごい
  オーソドックスな九州の男みたいなのに弱かったの。もう、女優やっている
  反動だと思うけど、説教してくれるようなやつね。
竜 え、意外ですね。
桃 でも、そういう男の人と二度と恋愛したくないなと思ってあけたわけだけどね(笑)。
竜 ああ、そうなんですか(笑)。僕は耳にいく前に、へそにあけちゃったもんですから。
桃 ナニ!それ!?

171Grazia(2001) その3:2008/11/01(土) 10:42:13
人ごみの中を、怒涛の勢いで歩きまわるふたり。大道芸の賑わう広場の近くの
カフェに、ようやく落ち着いてくれて。

桃 (ビールでのどを潤して)さぁー対談やるわよぉー(笑)。よかった、何だか。
  ラフなやつで。緊張しちゃったよ私。呑めば、だって(笑)。
竜 19歳なんで、だって(笑)。でも僕も本当に緊張しましたよ。昨日の夜からどういう
  人なんだろうかって。
桃 楽日すぎててよかったよね。途中だったら辛いだろうなって。こっちでの初舞台は
  「身毒丸」だっけ?
竜 そうです。でも、今回は「卒塔婆小町」と、僕が出演した「弱法師」だったんです。
桃 「卒塔婆小町」かー。私、いつかこれを実年齢でやりたいというか、本当のおばあ
  さんでやろうと思って。足、骨、鍛えたのよ。
竜 いいですね、それ。
桃 「欲望という名の電車」のステラ(妹のほうね)を、本当に妊婦のときにやるとかね、
  いいよねぇ。
竜 それは、ちょっと知らないけど(笑)。
桃 「弱法師」ってどんな話?
竜 5歳のときに戦災で失明して、孤児になったんだけど、15年後に生みの親と育ての親
  が対立して。家庭裁判所が舞台で。この世の終わりの儀式を延々と語るっていう話
  です。
桃 「近代能楽集」だよね。毎回、戯曲はどうやって理解するの。
竜 理解なんて全然できないですよ。
桃 私ね、役者ってキャリアや年齢じゃないから、そいつの持ってるオリジナルの力
  みたいな、その人の感じ方というのが才能みたいな。戯曲を視力や知力で読みき
  る人はそんなに感動しないの。その肉体を使って初めてわかるって。
竜 稽古場に行って、初めてわかることっていうのは、確かにありますね。
桃 蜷川(幸雄)さんでしょ。どうなの。私はもう蜷川さんには評判悪い(笑)。
竜 初演の大阪で「おまえな、腐ったパパイアみたいな芝居してみじゃねえよ」って。
  ボロボロに落ち込みましたよ。どうしようかと、(原作の)三島由紀夫さんに手を
  合わせて。コーヒーと花束添えて。そしたら、楽日がすごくよかったんですよ。
桃 それ、何かすごく演劇人っぽい。なんか神頼みって感じのね。墓参りしちゃうみ
  たいな。
竜 それで今回もイギリスへ来る前に、市ヶ谷の駐屯地に行きまして、花束をぶん投げ
  てきて。どうか成功しますようにって(笑)。
桃 彼が、割腹した場所。
竜 そういうバカなことでもして、何とかして頼みたいと。
桃 私はさ、舞台がどうしても好きじゃなくて。どうしてそんなに舞台がいい?
竜 僕は‥。年間1本ぐらいなんですけどね。うーん、何でだろう。何か舞台のような
  所に自分がいないと、すごく不安になるといいますか。役者として違う方向にいっ
  てしまってるんじゃないかって。ドラマはドラマでまた違う面白さもあるんですけ
  ど、舞台のほうが、より鍛えられてるっていう実感が持てるんですね。
桃 あんなにいっぱいのセリフを、一生の間にあと何回覚えなきゃならないんだろうと
  思う。
竜 だからすごく怖い。怖いんですけどね。
桃 怖い。本当に。とっても疲れるし。やりたくないのに、どうしてやっちゃうんだろ
  う。
竜 どうしてやっちゃうんだろう、苦しいのに。

172Grazia(2001) その4:2008/11/01(土) 10:42:47
桃 映画やテレビだって、余裕あるわけじゃないけど、どこかひいて、第三者の目で
  自分を見てる。役者がひとりで気持ちよくなってちゃいけないというのがある。
  舞台はそれができない。必死になって、何も見えないの。ただ演出家を信じて、
  いいのか悪いのか、面白いのか何もわからず、ただ頑張るだけ。ただ怖い。でも
  ときどきあんな目に合わないと私もいけない気がして、やってるんだけどね。
  だからその間はもうほとんど睡眠をとらない。人に会わない。電話も出られない。
竜 僕も、稽古のときは寝ないというか、寝られないですね。神経がピリピリしちゃっ
  てて。でも続けたいです、舞台は。いつか、近い将来、「ロミオとジュリエット」
  やりたいっていう夢もあるし。この間、市川新之助さんと話してたんですけど、
  あれを一緒にやりたいねって。どっちがロミオでもジュリエットでもいいけどって(笑)
桃 あ、それは素敵。すごくいい話、それ。どっちがじゃなくて、ダブルキャストが
  いいじゃない。作業的に言えば、お芝居するということは相手役の芝居をちゃんと
  理解できないとできないじゃない。相手役を好きじゃないと。だから交互にやった
  ら、いちばんよくない?
竜 そうなんですかねえ。
桃 そうよ、気張らないで。モダンにやりたいじゃない。向こうがそうやるなら
  こっちは、っていう手口じゃなくて。いちばん面白いロミオ‥をひとりじゃなくて
  ふたりでふたつの力で見つけられたら。私は「野菊の墓」なんかもかなりいいと
  思ってるんだけど。「民さん、きみは野菊のような人だ」という名ゼリフが
  あって。でも小説が書かれた時代の清純さっていうのは、今の男と女の間には
  ありえなくて、もはや少年たちの間じゃなきゃ、成立しない。
竜 同性か、面白そうですね。
桃 絶対面白い。海外でやるとしても、そのほうがすごくいい。ゲイの扱いにしない
  で、ちゃんと心の問題、生き方とか愛するとかをテーマにして。どうよ?やってほ
  しいぜひ。
竜 実年齢でやれる幸せって、ありますからね。
桃 そう、それやっておくべき。何か、少女の雰囲気もあるよ。
竜 えっ、少女!
桃 うん、美少年の役者は、だいたい少女っぽさがある。なんか少年の色気って、実に
  少女っぽいよ。見てると、頑固な少女って感じかするよ。
竜 僕、が、少女‥。

 桃井さんはビールを白ワインに。藤原クンはチキンの軽食にお水。ロンドンにしては
蒸し暑い午後、時間はまたたくまに過ぎてゆき。

桃 時間、大丈夫? もしあれならもう対談分はきっと大丈夫だよ。
竜 まだ大丈夫です。5時だからパーティーは。

 と、まだまだひなたぼっこのような陽だまりの中で大人っぽいふたりの気遣いごっこ
もあり。

173Grazia(2001) その5:2008/11/01(土) 10:43:17
桃 なんかね、さっきから感じてるんだけど。全然19歳っていう気配がないの。これは
  ナニ?
竜 えー、そんな。
桃 なんか座ってるわけね。
竜 えー。座ってないですって。
桃 悪かったらしいじゃない!?それかなと。
竜 中学のころですって(笑)。
桃 あ、ホントなんだ(笑)。それで構えがビビらないのね。それで何、今は更正段階に
  はいってるの?
竜 普通です。普通ですって(笑)。
桃 でも、けんか強いんすよ、みたいな。
竜 もうけんかはしないですよ。
桃 もうけんかする気もない。本当の不良を見たって気がするね。
竜 違いますって(笑)。
桃 何で、不良だった?
竜 秩父の田舎モンで、やることがないんです。悪さぐらいしか。何も考えてなくて。
  気がついたときは、あれよあれよって、イギリスでお芝居してた。
桃 私なんか、19歳のときには確実に役者になろうと思ってた。全然自信がなくてコネ
  もなくて、美しすぎなかったから(笑)、悲しかったけど、絶対役者になると思って
  た。あのとき確実に見定めたもの以上の強いエネルギーはいまだかつて持ったこと
  がない。あの役やりたいとか念じたからね。
竜 できたんですか、実際に。
桃 本気で念じればやって来る(笑)。
竜 格好いいですね。
桃 会ってホッとしたのは、悪さしてたって。その気配がやっぱりないと。いいコです
  だけじゃ、何だかねぇ。信用できないよ。
竜 そうですか(笑)。
桃 いけないやつだけど、すごい才能があったり、たまらなくやばいやつだけど、すご
  くきれいな心を持ってたりとか‥。そういう役者に会いたいもの。ただのいい人な
  んて役所に勤めてりゃいいじゃんなんて、思っちゃう。ごめんなしゃい(笑)。
  だからただのいい人とは友達にはなりたいけど、共演したくない。芝居の時間だけ、
  本気になけばいい。どんなにイヤなやつであってもいい。
竜 わかる気がします。
桃 なんかでも心配。これから先、芝居の、商業演劇の王子様だってやっていきそうな
  感じもあるじゃないですか、藤原クンって。危なそうじゃない。それって。何が
  うれしいんだ、おい、みたいな。大ざっぱに生きられりゃいいんだけど、だんだん
  自由に心が動けなくなる。もっとさ、インディーズやってみるとか、いっぱいいろ
  んなものにも触って?
竜 それはあります。タイミングさえ合えば。すごくやりたいですよ。
桃 まだ時間あるものね。自分の体が経験したことが、次の1年とか、2年とかを産み
  落としていくんだって。だからね、いっぱいいっぱい、グレてね。
竜 今もかなり、やんちゃなほうですから(笑)。

174Grazia(2001) その5:2008/11/01(土) 10:43:50
 といったところでまだある時間もなくなって、立ちあがりながらも話は続き。

桃 今度ロンドンに来たら、フラットとか借りるといいよ。ホテルで台本読んでいても
  詰まるでしょ。ひとりでハイド・パークとか行って、あそこにデル・カフェって
  いう店があるから。そこでコーヒー飲みながら、1ページ目から読むとかさ。
竜 英語がダメで。でも習ってはいるんですけど。
桃 お勉強じゃ身につかない。遊びながらにしようよぉ。こっちの女とか男友達
  つくってさ。
竜 やっぱりそうですかねえ。
桃 またいつか、ロンドンでバッタリ。そのとき20歳になってたら、グチャグチャに
  呑もうね。
竜 はい、グチャグチャに(笑)

「今日は楽しかったです」と、礼儀正しく挨拶をして、雑踏に消えた藤原クンを見送り
ながら「先輩みたいだったね、今日の私。ああいう人に会うと、本当に今、自分が少年
じゃないのが残念になる」と桃井さん。そして「今夜の私はグジャグジャに呑んでグレ
たいなぁー。じゃないと明日はまた日本で仕事だものなぁー」とスタッフをまいて夕風
のソーホーへ、スキップしながら姿を消したのでした。

175名無しさん:2009/03/27(金) 02:10:37
2002年エレファントマン パンフレットより

藤原竜也に向けて−−−市川新之助(歌舞伎俳優)

内面の醜さ、外見の美しさ、外見の醜さ、内面の美しさ。
無から生じる有なるもの、有から生じる無なるもの。
僕の知っている藤原竜也は外見も美しく、内面も美しい。
その双方の美しさを片方にかたむけるという事、
その輝きは、観てみたいと、僕は思います。
どんな輝きなんだろう。
きっと素敵に違いない。
僕は、そう思います。
観に行きます。

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