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批評か感想

4指根:2007/07/01(日) 00:34:45
アルセスクラスのネタバレするから読んでない人地雷踏んだら日記か個人スレに攻撃ください。
てかここはネタバレ前提でいいのでしょうか。
ぼかして書かなきゃ駄目?

遺された紀憶

自分の能力を棚に上げて偉そうな事をほざいてみるという予防線を張りつつナラティブリテラシーの無さを晒して見る。
あえて角が立つように書いてみる。

一つ目。前半と後半で作風が乖離していたように感じたけど別にそんな事は無く、最後の展開とつなげるべく最初から伏線を
張っていたのはわかるのだけれど、その伏線の機能のさせ方が読者の神話知識に半分依存しているのが良しと見るべきなのか悪しきと見るべきなのか。
つまり最初のGの文字から最後の空間云々かんぬんにつなげるあたり。

二つ目。話の筋はとても真っ当で、コンプレックス付主人公にステキな女性出現→親密に→サイコホラー展開
という王道パターン。
なんというか、村上龍の「オーディション」とか佐藤正午の作品全般みたいな。
違うか。
純真で文句の付けようの無い女だと思っていた相手の過去を仄めかされて主人公の心が揺れたり不安になったりするあたりの
描写が一番好き。個人的な趣味嗜好の領域なので批評ではないかなもう。
主人公が動けるようになるくだりとか、サイコ女をなんか歯の浮きそうなモノローグで受け入れ決意しちゃうあたりとか、
ラストの地の分が輝いて見えるような締めくくりとか、多分こういう作風を作者さんが好んでいるのでしょうか。こなれているというか、
変な照れがなくてよかったような。勝手に自己完結して去っていくヒロインとかはいい感じ。
ニヴさんのナルっぽい〜とかの評価は多分主軸がそういうものであることの問題なんだろうなと思います。

三つ目。機械の一人称、なんていうと自意識がどうのこうのって方向とかに流れがちだが、この作品は流れずに「欠陥品」
云々のコンプレックスはヒロインの偏執的な性癖と絡めて解決されるかと思ったんだけど、
主人公のヒロイン受け入れプロセスが、大切なのは過去じゃない、
今この瞬間の君と、僕たちの輝かしい日々なんだとか君がサイコでも君と過ごした日々は本物だったよ系なので、
設定があんまり生かされずに終わったなというか。 感情がある云々は既に前提な上に負の意味での「欠陥」では断じてないので論外。
ヒロインの「欠陥」は明確な「欠陥」でしょう。
神話の設定を作品内で消費するのは極めて上手い、というか多分参加者の中で一番上手なんじゃないかと思うけど、
その設定が作品の構造の中で機能してはいないと思う。
ここで言う作品の構造っていうのは、物語が上手く機能しているかではなくて(そっちは上手く機能してる。出来すぎなくらい)、
登場人物の心情表現に説得力を持たせられるかどうかの話。
一人称を用いている以上、主人公の心理描写が作品の展開・構造とリンクするのが効果的な手法なのは自明で、
「男の子のコンプレックス」「女の子のナイーヴな心情とかトラウマとか自己犠牲とか」
「配置した設定(機械の体だとか頭部限定ネクロフィリアとか盲目とかの小道具)」「一人称 手記形式」
などの要素がテーマ的なものと絡んでいなかったような。
あーグダグダになった。

何が言いたいかというと、この話って主人公やヒロイン、キュトスの姉妹を出さないで別の登場人物を配置しても
成立するよね、という話。
普通そんなことは当たり前なんだけど、ていうか神話の人物を用いて物語を展開させて完璧に収束させる手腕は見事という他にないんだけど。
せっかく出した神話のキャラクターなんだし、何らかのメタファーとかを用いて欲しかった。

最後に。これが手記というか日記的な表現方式を採用している事に関しては、いろいろ考えたけど考えが纏らなかった。
全く読み込めなかったといっていい。
恥を晒すけど、どんな意図でこの様にしたのか、考えたのは
1:序盤のヒロインの来訪→不在というサイクルに一喜一憂する主人公と読者をリンクさせたかったのか、
2:日数を空けたり記述されなかったりする部分を出す事で不安感とか煽りたかったのか、
3:ラストの遺された紀憶をやりたかったのか。
くらい。
表現方式って構造の根幹なわけだから、ここを読み込めないとどうしようもないんだけど、
これがどんな風に主題と絡んでいるのかがわからなかった部分。


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