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【デルタフォース】クラスの三バカの日常Part5

1Ψ:2011/02/05(土) 22:54:39 ID:7MRi28Lg
「クラスの三バカ」こと上条当麻、青髪ピアス、土御門元春、並びに途中でできたバカップル【例:上条×ミサカ・土御門×白雪・青髪ピアス×白井・一方通行×打ち止め 等】はもちろんクラスメートや先生達、常盤台の生徒やオリジナルキャラも登場可能なリレー形式で学園都市や魔術世界の日常をどんどん書いていくスレです。ギャグ中心でシリアスは控えめに。雑談も控えめに。

初心者大歓迎です。

次スレは>>970 の人が建てること。(無理な場合は新しい番号指定お願いします。)

Part1↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1210612236/

Part2↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1262012651/

Part3↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1266059443/

Part4↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1273412014/

まとめwiki↓(2月5日現在、停止中)
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/14.html

234ё:2011/05/22(日) 11:33:43 ID:qfBQJ1Zc
「じゃあ行くぜよ月夜」
「オッケー元春♪ とうっ」

 ボールを土御門に渡すと白雪は雪の翼を6枚展開させると思いっきり高く跳んだ、ほぼ垂直に。
 【歩く教会】チームは白雪の跳躍に目を奪われた、それが土御門の思惑通りとも知らずに。

「先取点、ゲットだぜい♪」
「ふっ!!」

 土御門はボールを白雪には繋げない、したり顔でバックパスをした、【瞬間超人】で全箇所70強化をしている真夜へと。
 真夜は全力疾走からの全力シュートを撃った、白雪に気を取られている【歩く教会】チームなどお構い無しに。

「ん? なんぐおっ!!」

 真夜のシュートは針路上に立っていた削板の前でホップして削板を吹っ飛ばした。
 こぼれ球にすぐさま詰めていた真夜はボール目掛けて跳躍すると、加減ゼロのオーバーヘッドシュートを撃つ。
 削板が吹っ飛ばされたことでようやく白雪から意識を離した心理掌握だが、気付いた頃にはボールは彼女の背後のゴールネットに激しく突き刺さっていた。

「まずは1点です」

 綺麗に着地した真夜は口元に少し笑みを浮かべる程度の喜びを見せた、開始わずか7秒で得点を決めたにも拘らず。
 作戦が見事に成功した土御門は白雪と真夜にハイタッチをして喜びを表現した、【歩く教会】チームにどや顔をしながら。

「ちょ、超やられました……。あの白雪さんを囮にするなんて土御門、超やってくれますね」
「しまったんだよ……。あの人、白い人とフィアンマの戦いの嵐の中、とうまを運んだ人だから警戒すべきだったのに……。もとはるの思い通りすぎるんだよ」
「派手な囮とはいえ気を取られる時間はそれほど稼げないだろう。その僅かな時間で得点を決められる伏兵と隠してるとはやってくれるね、土御門」

 絹旗、インデックス、ステイルが土御門の作戦に悔しがる中、麦野と結標と心理掌握は真夜への評価を下していた。

「くそっ、相変わらずデタラメな身体能力してやがるなあの化け物。次はこうはいかないけどね」
(仮に私が気付いて【座標移動】で誰かをシュートの壁にしても間違いなく真夜が詰めてたわね。取られるべくして取られた1点と考えた方が良さそうだわ)
「さすがは井ノ原先輩ですわ。しかも確実に怒りが振り切れている状態……脅威ではありますが負けませんわよ」

 そんな中、真夜は話の分かりそうなエツァリに頭を下げた後で削板への言伝を頼む。

「あの白い学生服の人に伝えて下さい。本来なら股抜きをした後でボールがホップするかと思ったんですが力が入り過ぎてホップするのが早まって怪我をさせてすみませんと」
「わ、分かりました。しかし驚きました、上条当麻の知り合いにあなたのような礼儀正しい人が居るなんて。しかしどうして自分に言伝を頼んだんです?」
「あなたが話の分かりそうな人だと思ったこと、もう1つは僕の怒りが勝利で収まるまで白い学生服の人と会話をしたくないからです。ではこれで」
「……世界は広いなエツァリ。ああゆうタイプの人間も居るんだな」

 そうですね、エツァリはショチトルにそう返しつつ削板が怒りを買った理由を察していた。
 当の削板が真夜のシュートの威力の強さに根性入ってると喜んで笑っているのを見てエツァリは軽いイラつきを覚えた。

「これで1点差……一気に余裕が無くなりましたね。今度は私が相手ゴールへと切り込みましょうか?」
「五和さん、ここは私に超任せて下さい。私の【窒素装甲】のパワーでお兄ちゃんの守るゴールから超ダイナミックに点を取ります」
「それでいきましょう、とミサカは前半の絹旗さんの活躍を考えていい案だと同意します」

 【歩く教会】チームボールからの試合再開、御坂妹から絹旗へボールを渡すと絹旗はボールを【窒素装甲】で掴み取る。
 それを見た土御門はチームメイトにサイドに散るように指示、上条チームゴールへの道をわざわざ作ってやった。

「成程、私のシュートをお兄ちゃんがキャッチしてこちらの出鼻を超挫くつもりですね」
「ま、そうゆうことだ。それにカミやんと遊ばせてやるってサービスも込みってのを忘れんで欲しいにゃー♪」
「……ふっ、超感謝しますよ土御門。さあお兄ちゃん、私の全力シュート、超受けて下さい!」
「来い最愛!」

 土御門のお膳立てというか目論見に乗っかった絹旗は【窒素装甲】でボールをフルパワーで殴りつけてシュートを撃った。

235±:2011/05/22(日) 15:54:13 ID:MklVHPd6
「最愛、確かに凄いシュートだ!だがな、この程度の力で俺からゴールが奪えるなんて思ってんのなら………まずはその幻想をぶち殺す!」

 そう叫びつつ上条は飛んできたボールを右手で殴った。
 いくら絹旗の【窒素装甲】でのシュートが強かろうと、幾度とない激しい戦いで鍛え上げられた上条の右拳にはかなわず、ボールは一気に【歩く教会】チームのゴール前へと飛んでいった。

「いっ、一発でこちらのゴール前まで飛ばすとは………化け物か、奴は」
「ショチトル、弱音をはいている余裕はありませんよ。僕らは彼らを倒さねばならないのですから」
「エツァリ………すまん、私とした事が」
「いいのですよ、ショチトル。さあ、反撃と行きましょう!」

 飛んできたボールをトラッピングして手に入れたエツァリ。
 ショチトルを引き連れてエツァリはすぐに前へと出るが、そこには上がってきた半蔵が立ちふさがった。

「ここで取り返してもう一点追加させてもらう!オリャッ!」
「くっ!ショチトル!」
「任せ―――」
「甘い」

 スライディングタックルをしてきた半蔵をかわし、フリーだったショチトルにパスを送った。
 しかし、そのパスをまるで待っていたかのようにどこかからいきなり現れた姫神が華麗にパスカット。
 そのままフリーとなった姫神はゴールとの距離を詰め始めた。
 しかし、その前に立ちふさがったのは【歩く教会】チームの中で唯一姫神を簡単に視認できるインデックスだった。

「あいさ、ここは行かせないんだよ!」
「インデックス。相手にとって。不足なし。だけど。私に勝とうなんて。考えが甘い」

 そう言いつつ軽いフェイントでインデックスを抜き去った。
 そして今度は心理掌握との1対1
 しかし相手が姫神という事で心理掌握は戸惑っていた。

「(………どうしましょう?表情からまったくどっちを狙っているのか分かりません)………こっちです!」
「残念。逆」

 姫神の駆け引き(?)によって見事に心理掌握を騙し、上条チームは追加点を入れた。
 しかし、一方の【歩く教会】チームは早急に集まり、作戦会議を行いはじめた。
 当然、議論の内容は真夜と姫神の対策である。

236ё:2011/05/22(日) 20:14:42 ID:qfBQJ1Zc
「正直、開始5分で同点にされるとは思ってませんでしたわ。井ノ原先輩はともかくあのような女性まで居るなんて」
「まずはあの2人をどうにかして抑え込まないとね。姫神の存在感の薄さはインデックスに通用しないけど」
「さっき簡単に抜かれたな。とはいえインデックスに同じフェイントは通用しない、心配無いだろう」

 姫神対策としては引き続きインデックスがマークに付くことが決定、抜かれた場合を考えてショチトルが常にフォローに入ることを自ら志願する。
 残るは真夜だがこちらは簡単に決まった、あくまで対策だけはだが。

「井ノ原先輩には五和さん、お願いできますね?」
「……仕方ないですね」

 【瞬間超人】で強化された真夜の動きに付いていける五和が真夜のマークに就くことにした、五和本人は相当大変だと覚悟の上で。
 ちなみに削板も考えた心理掌握だが、本人の性格を考えて比較的自由にさせた方がいいと判断して却下した。

「後は金髪サングラスの人ですが」
「土御門さんには自分が。付き合いの長さを考えるならステイルさんが適任ですが白雪さんを抑える役目がありますし」
「頼むよエツァリ。それに僕ではいいようにあいつにあしらわれる、むしろ君のような人間の方が適任だよ」

 土御門のマークはエツァリが名乗り出ることで問題なく解決。

「結標さんは全体のフォローと恋人さん、麦野さんはアク様が居ないので浜面さんとついでで相方さんのマークをお願いしますわ」
「了解」
「オッケー♪ 後半はたっぷりねっとり浜面と対決か、ゾクゾクするわ。おまけで浜面のダチも面倒見てやるよ」

 麦野のモチベーションを理解していた心理掌握は彼女に適切な指示を下す、半蔵に関して少し不安を感じはしたが。

「FWの絹旗さんと妹さんは守備を気にせず攻めて下さい。削板さんももっと攻め上がって構いません。結標さんの【座標移動】のフォローで対処可能ですから」
「わっかりました! 今度こそお兄ちゃんからゴールを超奪ってやります」
「当麻さんと触れ合えるチャンスは無駄にしません、とミサカは役得と感じつつも試合に勝ちたいと決意を新たにします」
「よっしゃーっ! 上条相手に得点する、何とも根性漲る展開じゃねぇか!」

 攻撃の核となる3人のやる気に満ちた表情に満足した心理掌握はチームメイトにポジションに就くように促す。
 4対4の同点で試合再開、絹旗はボールを持つと結標に向かって叫んだ。

「結標さん、妹さんを上に超飛ばして下さい!」
「上……なるほどね。じゃあ行くわよ!」

 結標に叫んだ直後、絹旗はボールを空高く放り投げるとその軌道上に【座標移動】で飛ばされた御坂妹がスタンバイしていた。
 
「絹旗さんナイス判断です、とミサカはこの好機に雷撃シュートを撃っちゃいます」
「井ノ原弟ばかりええカッコはさせへんでー。ボクの強くなったこの体でどんなシュートもあばばばばっ!!」

 高高度からの御坂妹の雷を纏ったシュート、いくら当たりが強くなった青ピでも雷の耐性などあるわけもなくダメージを受けた。
 しかし体が麻痺しても意識は途切れてはいないので途中退場ということにはならなかった。
 青ピのブロックを突破した御坂妹の雷撃シュート、威力そのものはかなり弱まっており上条の【幻想殺し】で雷を解除、簡単にキャッチする。
 上条はすぐさま近くに居た吹寄にボールを投げるが、

「甘いですよ当麻さん。でもそんな甘い所も」
「告白なんて余裕ですね。そうゆうあなたも充分甘いと思いますよ」

 変則的な強化術式の恩恵を受けている五和によってインターセプトされピンチに陥るも、真夜が素早く五和へと詰めていた。
 ドパン! ドパン! ドパン! と激しい音を出しているのは五和と真夜がボールを蹴り合っているもので、全く互角の展開を見せる。
 ボールはサイドラインを割って【歩く教会】チームのスローインで再開、絹旗はチームメイトが作戦通りにそれぞれにマークに就いてるのを確認すると削板へボールを渡した。

「ナイスだ絹旗! 行くぞ上条ぉ! すごいパーンチ!」

 削板のすごいパーンチで撃ち出されたシュートが上条が守るゴールへと襲い掛かる。

237±:2011/05/22(日) 22:22:17 ID:MklVHPd6
「カミやん、アッパーの要領で下から打ち返すんだにゃー!その方が簡単に弾き飛ばせるぜい!」
「分かったぜ、土御門!オリャァア!」

 土御門に言われたまま、上条は下から上へとアッパーの要領でボールを弾き飛ばす。
 しかし、すごいパンチの勢いも凄まじいもの。
 激戦の中で鍛え上げられた上条の力でも軌道を逸らしてゴールを免れるのが精一杯だった。

「っ!ゴールポストに!すぐに拾うんだにゃー!」
「あいにくそんな暇与えないわよ!それっ!」
「サンキューです、結標さん!!コレで超逆転です!!お兄ちゃん覚悟!!!」
「させないよ!燃えろ!!」

 ゴールポストに当たり跳ねたボールに対し土御門はすぐさま拾うように指示を出す。
 しかし、それより早く結標が反応し、【座標移動】で素早く絹旗を絶妙な場所に送った。
 そしてそのまま【窒素装甲】でシュートを撃とうとした絹旗に対してそれを防ぐ為に翔太は絹旗の回りを燃やして行動を制限、その隙にボールをクリアした。

「(……翔太が活躍したのに結標の奴、前半みたいに見とれてない……心理掌握に何かされたのか?)海原、ついさっきから邪魔にゃー、いい加減退くにゃー!」
「あいにく、僕の今の使命はアナタを行動させない事。退く事は出来ませんよ」

 土御門に徹底してマークして動けないようにしている海原。
 そのせいで土御門はつい先ほどから声による指示しか出せてなかった。

「元春が動けないなら、私が!いくよー!!」

 翔太がクリアしたボールを拾った白雪、相方である土御門が動けぬ事を確認するとグランドを凍らせてその上を滑るかのように1人でボールを持った駆け上がった。

「もっ、物凄く速いんだよ!!」
『今までにないパターンの攻撃……削板さん!氷に向かってすごいパンチを!!』
「おう、任せろ!すごいパーンチ!!」

 白雪がいきなり新しいパターンで攻めてきた事によってインデックス、心理掌握は驚いた。
 しかしすぐに対応策として削板のすごいパンチを発動、グランドの芝生を土ごと吹き飛ばしつつも白雪の氷のレーンとボールを吹き飛ばした。
 そしてこぼれたボールを一番近かったステイルが拾い、近くにいた麦野へパスした
 ボールを貰った麦野は駆け上がるが、それを止めるべく浜面と半蔵が目の前に現れた。

238ё:2011/05/24(火) 17:47:19 ID:swo2H0ZQ
「悪いがここから先はいどぅわっ!」
「邪魔すんな地味男ぉ! せっかくの私と浜面のイチャイチャタイムに割り込むんじゃねぇよ!」

 半蔵を【原子崩し】の威嚇射撃で黙らせた麦野の気持ちは既に目の前に居る浜面にしか向けられていない。
 浜面は思う、肉食獣に襲われる小動物の気持ちが痛いほど分かると。
 麦野は浜面との1対1(本人の感覚で)を少しでも長く愉しむ為に、浜面は麦野相手に不用意に動けない為に膠着状態に。

「どーしたどーしたはーまづらぁ。私からボールを奪うんだろぉ? 私は攻めるの大好きだけど浜面なら攻められるのは大好きなんだぞ♪」
(だから動きづれぇんだよ! 半蔵はさっきの威嚇ビームで動けねぇ、麦野からボールを奪えそうな奴らにはマークが付いてるし……)

 麦野に対抗出来そうな土御門、白雪、真夜、翔太にはそれぞれエツァリ、ステイル、五和、結標がマークに付いているので浜面の援護にすぐには来られない。
 状況打破について真剣に考えている浜面にテンション上がりまくりの麦野がバカっぽい宣言をした。

「よし、浜面のやる気が上がる為に私から提案だ。私が抜いたら両乳、浜面がボール奪ったら両尻を好き放題にしていいぞ♪」
「いいぞ♪ じゃねーんだよ!! 俺らの間にそんな賭け成立しねーっての! どんだけエロいんだお前は!」
「浜面……そんなに褒めるなよ、照れるじゃない♪」
「照れんなーーーーっ! ええいっ、このままじゃ埒が明かねぇ。イチかバチか」

 浜面は目の前の少女がこうなった原因が自分にもあることを反省しつつも、腹をくくって麦野のボールを奪うべく動こうとした。
 しかしその前に情報屋が上がってきて奪おうとした、麦野の怒りを買うことも知らずに。
 イチャイチャタイム(あくまで本人の感覚)を邪魔された麦野は閃光のアームで情報屋を薙ぎ払おうとするも、浜面が割って入ることで惨劇は回避された。

「止めろよ麦野。こんな所でお前にそんなことはさせたくねぇんだ。ちゃんと試合で決着着けようぜ、いいな?」
「……ちっ、わーったよ。じゃあ私らが試合で勝ったら浜面、お前を私の部屋に監禁するからな。つーわけでショチトル!」
「ちょ! 最後にとんでもねーこと言ってんじゃねーよ! ……分かった、その賭け乗ってやる(勝てばいいだけだしな)」

 さらっと賭けを成立させた麦野、フリーのショチトルにパスを送るも情報屋が決死のスライディングでカットする。
 情報屋は気付けば自分がフリーだということに気付き、そのままボールを持って【歩く教会】チームへと攻め、PA内へと入る。
 しかしそこに追いついたショチトルがボールを奪おうとしたその時、情報屋を呼ぶ声が聞こえた。

「紫木こっちよ!」
「吹寄! 任せたっ!」
「えいっ!」

 上がってきた吹寄の声を聞いた情報屋は反射的に左へとセンタリングを出した、しかも奇跡的にタイミングピッタリで。
 情報屋の綺麗なセンタリングに吹寄おでこDX状態の吹寄がヘディングシュートを撃つも、心理掌握のダイビングキャッチで得点は奪えず。
 一進一退の攻防に観客が大いに盛り上がる中、心理掌握は近くまで下がってくれていた結標にボールを渡す。

「どうするの? 上条がキーパーになってから絹旗と削板でも得点できないのは大きな痛手よ」
「そうですわね。それにあの背の高い青髪の人も意外と当たりは強いですし、真っ正面からの力押しでは……真っ正面?」
「メン子?」
「結標さん、とりあえず削板さんにボールを渡して下さい。上条当麻から得点を奪う一手を思いつきましたので」

 結標にメン子呼ばわりされたことなど気にも留めず、心理掌握はボールを持った削板ではなく御坂妹と絹旗に念話を送った。

《絹旗さん、削板さんがクリアされたボールをキープして妹さんに渡して下さい。妹さん、上条当麻を抜ける自信はおありですか?》
《まさかこんな時にメン子さんが当麻さんで抜けるなんて下ネタを言うとは、とミサカは常盤台の性の乱れを嘆かずにはいられません》
《いっ、言ってませんわよ! 私は妹さんに上条当麻を抜き去るフェイントがあるかどうかを尋ねてるのであって……》
《メン子さんメン子さん、妹さんは超分かっててやってるんですから流していいですよ。私の方は超了解です、確かにお兄ちゃんには効果的ですし》

 ちょっとしたイザコザはあれども、心理掌握の作戦を御坂妹と絹旗は受け入れることにし、削板の様子を注意深く見ながら走り出す。
 猛然と上がる削板はPAの少し手前でドリブルを止め、ボールを胸元まで上げるとすごいパーンチでシュートを撃ち出した。

239:2011/05/24(火) 19:52:31 ID:leTB6PGA
観客席(セレナード+浦上)
 初春に関する何気なさを装った追及を浦上がやんわりとかわし続けていた中、(彼女自身は
初春の「友達の一人」ということにしている)試合運びの中でようやくセレナが
話題を変えてくれた。
「じゃぁさあ浦上お姉さぁん。」
「何ですか?」
「あの浜面って人は麦野の恋人ぉ?」
「えっええっと……」
「あとねぇ、一方通行様と心理掌握ってできちゃってるのぉ?
 どっちも超能力者だしぃ、名門校出身(長点上機、常磐台)だぃし、女王様や
最強って何か凄い組み合わせだしぃ。」
「い、いや、それは……」
「それにぃ……なぁんかあの2人試合中も意識し合っている感じがしますしぃ……」
「えっ。そ、そうかしら……」
 前者の2人ならともかく、この超能力者カップル(と、思っている)に関して
こういうことに気付く辺り、一方通行への想いもあるもののかなり洞察力があるのかもしれない。

240:2011/05/24(火) 20:02:52 ID:leTB6PGA
「い、いや、それは……」→「いや、それはな…」
細かい指摘ですみません。

241±:2011/05/24(火) 21:14:49 ID:Ge6FXtBs
「いくぞ、上条ぉ!コレが俺の根性の詰まったすごいシュートだぁぁあぁぁあぁぁ!!」
「いいぜ、削板……お前が俺からゴールを奪えるっていうのなら、まずはその幻想をぶち殺す!」
「……それ以前に、削板くんから吹き出している謎の煙に対するツッコミはないの!?」
「翔太……気にするだけ無駄ぜよ。なんせ削板だからにゃー」

 自らの本気を相手にぶつけ合う削板と上条―――もとい、FWとGK。
 その2人の間にはいれる者はおらず、観客達も含めてすべての者が静かにその行く末を見守っていた。

「削板………お前の根性が凄い事はよく分かった…………だがな!この程度で、俺の美琴への愛に勝てると思うな!!」
「愛の力、だと……!俺の根性に勝つとは……なんつーパワーだ………」
 自称愛の力で上条は削板の『すごいシュート』を真っ正面から打ち破った。
 全員はその上条の力に圧倒されつつも、すぐに上条が弾き飛ばしたボールを取りに行った。

「全員、ボールとって速攻だぜい!相手は今のカミやんの活躍で隙が出来ている筈にゃー!」
『皆さん、落ち着いて下さい。今はボールをとって妹さんに回して下さい!』

 互いの指揮官の指令はすぐに両チームに伝わり、両チーム同時にボールを取るために動き出した。
 しかし、その中で1人だけ動かぬ者がいた。

『い、五和さん?何故そこで止まってらっしゃるのですか?』
『だって……ついさっき当麻さんが……』
『(まっ、まさか今頃気づいた――いや、ようやくと言うべきでしょうか?)そ、そんなにおち―――』
『――こんな大衆の中で私への愛を言ってくれるなんて!!』
『はぁ?』

 五和がつい先ほどの上条の叫びで、ようやく上条と御坂の関係に自分がはいれるものじゃないという事に気がついたのか、と思っていた心理掌握にはこの状況は理解できなかった。

『いっ、五和さん?』
「だってメン子さんも聞いたでしょう?ついさっきの当麻さんの告白!『俺の五和への愛に勝てると思うな!!』ってもう最高じゃありませんか!」
『アナタの耳はどんだけ希望に満ち溢れているんですか!?』

 心理掌握が五和の暴走を止めようとしている間に両チームほぼ全員参加のボール争奪戦は絹旗が勝利していた。
 そして絹旗は取ったボールを先ほどの指令の通り御坂妹に渡した。

242:2011/05/24(火) 23:12:56 ID:g7yV.jZI
観客席(セレナード+浦上)

「あれ?五和さんって人だけボーっと…」
「五和……(この威風堂々とした告白で流石に吹っ切れたか…ああ、でも、
あの希望に満ちた顔は……まさかまた変な風な超解釈を……)」
 浦上が他の観客達とはかなり違う意味でハラハラしているの見たセレナは
(よし、ならまず五和さんあたりから攻めてみるか)と、シフトチェンジしてみた。
「前半の活躍ぶりすごかったですねぇ五和さん。格好は派手ですけど。」
「ええ、人目を引く格好でありつつ、自らへの注目を力へと変換させる術式を織りこむ。
 よく生かしているわね。」
 小声とはいえ思わずぽろりと漏らしてしまった魔術用語にハッと口を押さえる浦上。
 しかしセレナは敢えてそのミスを突いてガードをより一層固められるようなことはせず、
あえて聞こえないふりをして更に掘り下げた。
「浦上お姉さんって、初春さんと同じく五和さんとも友達なんですねぇ、どんな
人なんですかぁ?」
「頑張り屋で純粋で……好きな人には尽くしまくるタイプよ。」
「いい人ですねぇ。」
「いいえ。」そこで浦上はかなり悲痛な様子に顔をゆがめた。
「問題はその相手が自分を見ていないとしても……いわゆる強引に自分を振り向かせようとする
のよ。それこそ、恋敵…この場合、美琴って人を…極端な話八つ裂きにしてでもね。」
「ママ、恋敵って恋のライバルのことだよね?」
 母が苦笑して首を縦に振るのを確認して、セレナは頭の中で『整理』した。
(それが本当なら『超電磁砲』美坂美琴と一人の男を取り合っていることになりますねぇ。
 五和さんについては…(わきわき)…浦上お姉さん同様詳細不明。
 最近突然学園都市に来て、繚乱学校で働いていること以外情報なし。
 未成年?にも関わらず、能力開発どころか正規の教育すら受けていない…)
「いつまでとどまっているのかしらね。」
「はい?」
 浦上は、心から憐れむような表情で、仲間の女をジッと眺めた。
「恐らく飾利もそうだったんでしょうけれど…彼、上条当麻に慕情を募らせる他の女達が、
次々とそれをふっ切って、本当の思いやりによって、彼と美琴の幸せを願い、成長し、そして新たな道を歩んでいるのに………
 一体いつまで彼女は自分勝手な愛に生き、全てを失っていくのかしら……」
「………私も………」
「え?」
 GK兼司令塔として仲間を引っ張っている心理掌握を見ていたセレナは、
つい先ほどまで彼女と相対して選手として活躍していた白い少年を思い起こし、無表情でポツリと呟いた。
「私も、一方通行様と心理掌握さんの間に割り込もうとしている時点で、もう…どちらかになっちゃう
のが決まっているのかなぁ。」
 浦上はポン、と、眼下のセレナの頭に手を置いて呟いた。
「応援しているわよ。」
「………ありがとう………」
 ニコッと、少しくすぐったそうに、でも、とてもうれしそうな笑顔を向ける少女を見て、思わずドキンとした浦上は、
一瞬、本当に一瞬だったが、打ち止めよりこの子を応援したいと考えたりした。

 流石に、その幼女が笑顔の裏で、浦上のガードがかなり緩んできていることに……
浦上自身と、上条当麻という現在フィールドで活躍している少年と、
初春、美琴、五和との関係を聞き出すまでに至ったことに
ほくそ笑んでいたことは知らなかったが。

243:2011/05/24(火) 23:16:14 ID:g7yV.jZI
美坂美琴→御坂美琴
でしたね。

244:2011/05/24(火) 23:21:57 ID:g7yV.jZI
「いつまでとどまっているのかしらね。」
「はい?」→「え?」

245ё:2011/05/25(水) 20:23:16 ID:4tJxgL5o
「当麻さんには悪いですがミサカが確実に得点してみせます、とミサカは必勝宣言をしてみせます」
「随分と面白い事を言うようになったな、御坂妹。だからといってチームの守護神たる上条さんを相手に」
「えいっ」

 上条と1対1になった御坂妹はシュートをするフリをした、しかし上条は見事なまでに反射的に動いてしまう。
 その後もシュート、パスのフリに過敏に反応してしまい面白いように御坂妹の単純なフェイントに引っかかる上条。
 観客はその様子にクスクス笑ってしまうが例外は居るものである、美琴に御坂妹に五和だ。

(ちょっと何よあの当麻、お猿さんみたいで可愛いじゃない♪ 今度家に帰ったら私もやってみよっと)
(ここまでいいように反応してくれる当麻さんに萌えを感じます、とミサカはもう少し続けたいと思いつつも仕上げにかかります)
(きゃーーっ当麻さんったらかーーわーーいーーいーー♪ さっきの告白はカッコよかったのに今度はかわいいなんて素敵です!)

 御坂妹に踊らされた上条に御坂妹がボールを取れるか取れないか微妙な所に出す、当然ながら上条は反応して飛びつく。
 しかしそのボールはバックスピンがかかっており、地面に付くとボールは御坂妹の所へ戻り上条は地面にダイブしてしまう。
 突っ込んでくる(?)上条をスピンターンでかわして無人のゴールへと進み、シュートを撃つ。

「これで確実に逆転です、とミサカは余裕なので普通のシュートを撃ちます。えいっ」
「当麻くんを抜いたからといって余裕を持つには早いですねっ!」

 御坂妹のシュートは全力疾走でゴール前に走ってきた真夜にクリアされてしまうが、その光景に誰もが驚いていた。
 いくら五和のマークが緩くなったとはいえ実は一番ゴールから遠い所にいた真夜が間に合うなど味方含めて誰一人思っていなかったのだ。
 これで上条チームの危機は回避されたはずなのだが、

「助かったぜ真ぎゃふんっ!」

 地面に転がっていた上条が勢い良く立ち上がって真夜のクリアボールを振り向きざまの顔面に受けてしまい、自分のチームのゴールネットを揺らした。
 後半16分、あまりの間抜けな逆転劇に御坂妹と真夜は「えっ?」と呟くしか出来なかった。
 決勝戦初得点をオウンゴールで上げた上条に吹寄と姫神から制裁が加えられることに。

「馬鹿か馬鹿なの馬鹿なんでしょ! せっかく井ノ原弟が貴様のフォローしてくれたのにオウンゴールするなんて真正の馬鹿ね!」
「せっかくの私の。同点ゴール。こんなふざけた展開で。無駄にするなんて。死んでいいよ」
「いだっ! 俺だって好きでオウンゴール決め! ぐえっ! たんじゃね! あだっ! ぎゃんっ! いだだだだっ!」
「制理さんも秋沙さんも落ち着いて下さい。当麻くんだけに非があるわけではありません。ボールをキープして攻め上がる選択をしなかった僕も悪いんですから」

 真夜の自分達を宥める発言に吹寄と姫神は上条への制裁を止めた、理由は真夜の発言の正当性と名前呼びである。
 吹寄も姫神も真夜に名前を呼ぶのを止めてもらうように頼むも、真夜が頑として折れなかったので受け入れることにした。
 逆転されたことで策を練ろうとした土御門だが流れが相手側に傾いてるのを感じ、どうしようか迷っていると真夜が策を出す。

「元春くん、一方通行くんがピッチに再び戻るのはいつ頃なんですか?」
「そうだな……この後の通常活動時間を考えると残り時間6分って所だ。ロスタイムも考えた上での時間だがどうしてそんなことを聞く?」
「僕が稼げるだけ時間を稼いで、時が来たら当麻くんか秋沙さんと仕上くんと半蔵くんのどちらかに同点ゴールを決めて貰うんです」

 最初は真夜の策に難色を示した土御門だが、残り時間が少ない所で同点にすれば流れも自分達に向き、尚且つ一方通行のテンションもいい状態で試合に臨めると感じて受け入れることに。
 ちなみに真夜が姫神&浜面&半蔵を推したのは切り札があると知っているから、上条を推したのはキーパーのオーバーラップは意外性があるからとのこと。

「僕はあの変わったメイド服を着た女性との1対1で時間を稼ぎます。あの人は1対1なら逃げないでしょう、それ程の身体能力と自信を持ってますから」
「(確かに今の五和は観衆に魅せるプレーをしている。きっと観客や周囲の期待の視線や歓声を力にする術式を組んでるんだろう。成程、それなら)分かった、それでいくぜい。皆もフォロー頼むぜよ」

246ё:2011/05/25(水) 21:09:09 ID:4tJxgL5o
 そして上条チームボールで試合再開、土御門からボールを貰った白雪はすぐに上がってきた真夜にパスを送る。
 真夜は御坂妹と絹旗に詰めることすらさせない速いドリブルで、更にエツァリとショチトルを鋭く巧みなフェイントを織り込んであっという間に抜き去る。
 そこへ予想通りに五和が真夜の前に立ちはだかると、真夜もドリブルを止めてボールをキープして距離を取った。

「後半の貴方の活躍を見てて思いました。是非とも戦ってみたいと。今の私の身体能力に付いて来れるのはそちらのチームでは貴方1人でしょうから」
「つまり僕に勝つことで流れを完璧にそちらに持っていくということですね。けど僕だって負けません、この試合にはかかっている物が沢山ありますから」
「では……始めましょう! この試合を決するであろう私達の戦いを!!」
「望む所です」

 そして始まった真夜と五和の1対1の勝負、まずは真夜が高速フェイントで五和を抜き去ろうとするも五和が見事に反応して抜かせない。
 今度は五和が鋭く足を使ってボールを奪おうとするも真夜の巧みなボール捌きでキープを続ける。
 ならばと真夜はボールを高く上げてヘディングで五和の裏へ落とそうとするが五和もそれを読んでいて互いのヘディングがぶつかり合う。
 全く互角のヘディング勝負でボールは2人の中間点に落ちると着地した2人は激しくボールを奪い合う。

(な、何て人ですかこの人は! 通常よりも強化された私の身体能力に付いてくるなんて! 正直サブメンバーかと思っていましたがとんでもない、優れたプレイヤーです)
(戦ってみて初めて分かりました、この人はとても強いです。一見して当麻くんに現を抜かしてると思えばこうして冷静に対応してくる、本当に凄い人ですね)

 互いの足を削り、ボールをキープする為に体をぶつけ合い、鋭く速い動きを見せる真夜と五和に観客は大歓声を送った。
 あまりの激しいぶつかり合いにお互いの顔、足に傷が付き始めたので災誤がプレーを止めようとするも、この1対1の雰囲気に笛を鳴らせなかった。
 時間が経つにつれて大歓声を送っていた観客も徐々に静かになり、ついには真夜と五和の激突を魅入るように見守り始める。
 そして観客だけでなく上条チームも【歩く教会】チームも固唾を呑んでこの1対1を見守ることになった。

「私は正直凄く楽しいです、こうやって今の私の全力と渡り合える相手がいることが! 貴方の名前、教えてもらえませんか!?」
「それは試合が終わってからにしましょう。今は1対1に専念したいんです、この楽しくて心躍る1対1に」
「そうですね! けどこの勝負、勝つのは私です!!」
「勝利は譲りませんよ。勝つのは僕たちですから」

 激しくぶつかり合うも楽しく会話をする真夜と五和、しかし2人には大きな違いがあった。
 五和はテンションが上がっておりあくまで真夜との1対1に勝利することを狙い、真夜は楽しいと思いつつも自分の策を忘れておらず時が来るのを待っていた。
 後半30分が経過しても真夜と五和の1対1はまだまだ終わらず、それ所か更に激しさを増していた。

247±:2011/05/25(水) 22:07:09 ID:cLQpujoU
 いまだ終わらぬ真夜と五和の1対1に観客達は息をのんでいた。
 その感覚はグラウンド全体を包み込んでおり、【歩く教会】チームのメンバーは五和が、上条チームのメンバーは真夜が勝ってくれると信じて誰一人その間に割ってはいろうとする者はいなかった。

(真夜の奴……1対1じゃなけりゃ抜くぐらいは出来るはず……言ったとおり時間を稼いでいるのかにゃー?)
(浜面。半蔵。井ノ原くんが勝ったら。アレを)
((了解であります、姫神様!!))
(いくら五和が強くてもあの真夜に勝てるとは思わない………つーか、なんか試合あとについさっきの事で美琴に何か言われそうな気がする……)
(流石は五和だな……スゴい根性だ!!)
(五和のやつ………あの化け物相手にここまでやるとは……浜面、覚悟しなぁ)

 各々こんな事を思っている間に2人の1対1は激しさを増していく。
 そして後半40分に差し掛かった時、この均衡が崩れた。

「―――楽しい時間でしたけど、そろそろ終わらせて貰いますよっ!」
「なっ……誰もいない所にバックパス――」
「あいさがいるんだよ!」

 一瞬の隙をついて真夜はキープしたボールを背後に放った。
 そして放った先の誰もいないスペース――もとい姫神がいる場所に放られたボールは走り込んできた浜面と半蔵のペアに渡り、2人は一気に攻めあがる。
 五和を信じていた【歩く教会】チームの面々は五和が抜かれたという一瞬の隙によって走り込んできた2人への反応が遅れてしまった。

「いくぞ、半蔵!俺たちの必殺、曲がるシュートだ!!」
「おう!いくぞ!!」

 2人は同時にシュートを放ち、それは斜め上へと向かって飛んでいった。

(この軌道……明らかに場外ホームランじゃない!確かに曲がるなら入るかも知れないけどそんな能力者はいない筈――)
「――甘い」

 その言葉と共に現れたのは、そのシュートに対してオーバーヘッドシュートをうとうとしている姫神。
 その状況を見て、心理掌握はさっきの言葉の意味を理解した。

「(そうか!曲がるというのは途中でシュートを加えて軌道を変えるという事……)これは、姫神先輩の影の薄さを利用した――」
「………」
(なんか、凄い気にしてるー!!)

 しかし凄まじい勢いで放たれるオーバーヘッドシュートを止めることが出来ず、後半42分再び同点となった。

248±:2011/05/25(水) 22:10:04 ID:cLQpujoU
すみません
最後の行の後半42分の所はカットしてください
……なんか読み返してみたらちょっと時間に矛盾が出てきそうなので

249ё:2011/05/27(金) 21:00:43 ID:Ku98nBuc
 後半40分に同点ゴールを決めた姫神は、この同点劇の演出者でもある真夜とハイタッチを交わす。
 そこへ五和が割って入ってきた、理由は真夜のバックパスの件である。

「どうして貴方、あそこでバックパスをしたんですか? まさか私を1対1で抜けないからとは言わないですよね」
「僕は最初からあなた相手に1対1で勝つ気が無かったんです。時間を稼いでいい感じの時間で同点にしたかったんですよ」
「えっ? だ、だってあんなに楽しそうにしてたじゃないですか? あれも演技とは言わないですよね?」
「楽しかったのは事実です。下手をすれば目的を忘れるほどに。それに僕言いましたよ? 勝つのは僕たちって」

 五和はようやく納得した、目の前の少年は最初から1人で戦ってはいない、チームで戦っていたのだと。
 それならば仕方ないと思った五和は真夜にチームとして勝利することを宣言すると自分のチームの所へと戻って行った。

「井ノ原弟、それに姫神もご苦労さまだぜい。ところでカミやん、何でオーバーラップしなかった?」
「いや……姫神と浜面と半蔵が邪魔したら殺すぞって感じの視線送ってきたからつい、な。けどきちんと同点になったんだからいいだろ?」
「まあな。さて、残り5分、いよいよアクセラ投入ってわけなんだが問題が1つ発生した」
「問題?」

 上条は一方通行投入に何の問題があるのかさっぱりだったが、近くに居た姫神と真夜はすぐに理解した。
 全く理解していない上条に姫神が一方通行投入時に発生する問題を説明する、自分の願望も含め。

「アクセラくんが出るということは。選手の交代を意味する。土御門くんはそのことで悩んでる。私は絶対に交代しないけど」
「そうゆうことだカミやん。オレとお前、浜面と半蔵と姫神、月夜と井ノ原弟と翔太は勝つ為に必要だから交代は無し」
「残るのは青ピ、吹寄、情報屋……ああ、確かに悩むほどの問題だな。

 上条は理解した、一方通行と交代する選手が現れる以上は誰かがベンチに下がるということだ。
 土御門が残すと言った選手は【歩く教会】チーム相手に外せない戦力、吹寄は性格上譲りそうに無い、情報屋は吹寄とのデートが懸かっている。
 残るは青ピなのだがここで外したら後で絶対に拗ねるだろうから簡単にはいかない。

「さて、3人の中で誰を外したらいいもんかにゃー……」

――――――――――

 一方の【歩く教会】チームではインデックスからのとんでもない作戦が提案されていた。

「ほ、本気なのかい? インデックス」
「私はいつだって本気なんだよ。残り5分、これでいかないと勝利は掴めないと言っても過言じゃないね」
「でもメン子さん、削板さん、結標さんを残して後は全員攻めるというのは超大胆過ぎます!」

 インデックスの作戦はシンプルでキーパーの心理掌握、削板、結標の3人に守備を任せ、残る全員で攻めまくるというものだった。
 殆どのメンバーが難色を示す中、心理掌握がキッパリとインデックスの作戦に賛同する。

「私は賛成ですわ。あちらは絶対にアク様を投入してきます。守備は最小限必要な人間を残し、残る全員で攻めて相手の攻撃を潰していく位でないと」
「それが一番でしょうね。一方通行の奴、ベンチで休んで体力も有り余ってるから惜しみなく全力出してくるわね。守備は私と削板、メン子で何とかする」
「結標とメン子の言う通りだぜ! これくらい根性入った作戦じゃねぇとあいつらには勝てねぇ! ゴールは俺達が守ってやる、残るお前達は得点を決めて来い!」

 心理掌握と結標と削板の力強い言葉に悩んでいたメンバーは迷いを吹っ切って残り時間、全力で攻め続けることを決意する。

――――――――――

 その頃、なかなか選手交代を指示しない一方通行がしびれを切らして土御門へ詰め寄って来た。

「土御門ォ! さっさと俺をピッチに立たせろォ! 変える奴決めてねぇンならテメェが代わるかァ!」
「チッ、相変わらず我慢をする事を知らん奴ですたい。……仕方ない、情報屋」
「お、俺が交代! 頼む! 最後まで試合させ」
「話は最後まで聞けっての。お前さんが吹寄を説得っつーか口説いてアクセラと交代してもらうように頼むんだにゃー」

 情報屋は最初は自分が交代しないことに安心したが、土御門から吹寄を口説いて交代させろという無茶振りに大いに慌て始める。

250ё:2011/05/27(金) 21:15:38 ID:Ku98nBuc
±さんの後半42分を後半40分にさせて頂きました。
後半40分に差し掛かったとあったのでこれなら多分矛盾は無いと思います……無いですよね?

251±:2011/05/27(金) 22:11:26 ID:Wfa28teY
ёさん、ありがとうございます
多分、矛盾はないはず……?

――――――――――

「むっ、無理無理無理無理っ!!!」
「無理じゃないにゃー、やれ」
「ファイトやでー、紫木はん」
「そォだ紫木……やりやがれェ」
「俺はお前の事応援してるぞ、紫木!!」
「なんでこんな時に限ってバカルテット勢揃いで応援なんだよ!!つーかそういう交渉ならもっとふさわしいのがいるだろうが!井ノ原とか」

 本人に告白するのはいいのに口説く――もとい交渉するのは嫌がる男、紫木。
 紫木はいきなり背後から何者かに触られ振り向くとそこには笑顔の真夜がいた。

「そういうことは僕は得意じゃありませんから。お任せしますよ、友くん」
「………そういえば紫木くんの下の名前って友だったよね……」
「基本、みんな紫木か情報屋だしな……呼ぶとき」
「もしかして、もしかしたらじゃなくて、俺の下の名前、みんな忘れてたのか!?―――って、俺気がついたら逃げ場なし!?もはややるしかねーのか!?」
「「「「「「だからやれって言ってん(ン)だよ(言っているんですよ)」」」」」」

 上条、土御門、青ピ、一方通行、真夜、翔太ら全員につっこまれ逃げ場をなくす紫木。
 そんな紫木に残された行動はひとつ――上条の昔の口癖を叫ぶ事だった。

「ふっ、不幸だぁーー!!」

――――――――――

 結局、紫木は上条の真似をしてもどうにもなるわけではなく吹寄を口説きに―――もとい交渉しにきたのであった。
 そして当然交代したくない吹寄にこんな事を頼めば、紫木が酷い目にあうのは目に見えていた。

「情報屋………あたしを馬鹿にしてるのか?」
「しっ、してません!断じてっ!!」
「つまり情報屋、あんたはあたしより活躍出来ると?」

 多少なり怒った形相で話しかけている吹寄。
 紫木は吹寄を落ち着かせるために土御門に言われた殺し文句を実行した。

252ё:2011/05/29(日) 10:35:39 ID:CK7StjOI
「……正直言うと出来ないと思う。けど俺頑張るから! 吹寄に認めてもらえるように!」
「情報屋、貴様どうしてそこまであたしに……」
「それは……一緒に遊びに行った時にちゃんと言いたいから後にしてくれると助かる。俺は吹寄に勝利を捧げたい、吹寄の笑顔が見たいから」

 一瞬よぎったのは自分が吹寄に惚れた理由、しかし情報屋はここで言うのはお門違いだと思い口にはしなかった。
 吹寄は情報屋の言葉に心動かされたのか、顔を赤くさせたが本人に見られるわけにもいかないのでそっぽを向いてベンチへと向かう。
 しかしその途中、白雪に赤面してる顔を見られた吹寄はそれをネタに弄られてしまうことに。

「へー、吹寄さんの恥ずかしがってる顔って可愛いねー♪ いつものツンツンしてる顔よりもそっちの方が魅力的だよ」
「なんですと? 吹寄のデレ顔とはなんともレアだにゃー♪ これは是非とグオッ!」
「だっ、黙れ土御門! とっ、とにかく絶対に勝ってよね! あたしがベンチに引っ込んで負けたら全員タダじゃおかないから!」

 ベンチに下がった吹寄を見て上条は思った、ツンデレだなぁと。
 そして交代で入ってきた一方通行が空気を読めない宣言をする。

「よォし、ここで俺が逆転ゴールを決めて優勝……ンだよテメェら、その呆れたツラは」
「あのさアクセラ、ここは情報屋の顔を立てて情報屋にゴールを決めさせるもんだろ。それくらい上条さんにだって分かりますのことよ」
「全くアクセラは打ち止めちゃんの前だとカッコつけたがって困るぜい。前半結構活躍したんだからもう充分だろ?」
「せやでアクセラはん。紫木はんの事情を知ってる身としてはここは華を持たせるのが普通やで。どんだけ幼女に好かれブルゥへ!」

 デルタフォースに言われ、確かにその通りかもと揺らぎ始めた一方通行は悩みだす(青ピを殴ったのは無視して)。
 するとそこへ白雪、真夜、翔太が一方通行を後押しするように言葉をかける。

「得点は友くんに譲るとしてもそのアシストを一方通行くんがすればいいんですよ。それでも充分に活躍したことになりますから」
「井ノ原くんの言う通りだよ。ゴールを決めるだけがサッカーじゃないし、逆転劇の演出の方がカッコいいと僕は思うけど」
「それに普段はしない誰かの援護をするアクセラくんを見たら打ち止めちゃんだけでなく観客みんなもいい印象持ってくれるよ、きっと」

 3人の後押しで情報屋の逆転ゴールのアシストをする決意をした一方通行、彼の頭の中は打ち止めの笑顔6割と情報屋の恋の成就&チームの優勝が4割だったりする。
 一方通行たちの輪に入っていない姫神と浜面&半蔵も、

「紫木くんの為じゃない。吹寄さんの為に。私達も紫木くんをフォロー。2人とも。協力をお願い」
「「了解です姫神さま!!」」

 チームの勝利の為に頑張る事を改めて誓う、ただしモチベーションは情報屋ではなく吹寄だが。
 そして試合再開、【歩く教会】チームは絹旗がボールを持って先手のパターンでもある【窒素装甲】のパンチによるシュートを撃とうとするが、

「何度も同じパターンが出来ると思ってンじゃねェぞォ!」

 MFに入った一方通行が脚力のベクトル変換であっという間に絹旗との間合いを詰め、ボールに蹴りを叩き込む(翔太がDFに下がって)。
 しかし即座に絹旗も対応、本来得意としている防御の体勢に入って一方通行のシュートを吹っ飛ばされながらもボールを真上に飛ばした。

「……いたた。ったくアクセラの奴、超手加減無しですね。ステイル、ボールを超頼みます!」
「任せろ! 悪いが土御門、高さ勝負なら君に負ける気は全くしないよ」
「ちいっ!(DFのステイルが攻撃参加だと? ゴール前には結標、削板、心理掌握だけか。成程、攻撃特化で行くつもりか。面白ぇ!)」

 DFのステイルが攻め上がってきたのを受けて土御門はすぐさま【歩く教会】チームが攻撃集中の構えを取ったことを理解、楽しいと思いつつ受けて立つことを決意する。
 土御門と競り勝ったステイルがヘディングでエツァリ、エツァリからショチトル、ショチトルから五和へとダイレクトパスで素早く繋ぐ。

253ё:2011/05/29(日) 10:54:43 ID:CK7StjOI
 右サイドから猛然と切り込んでくる五和の前に真夜が立ちはだかる。
 先程の1対1の攻防がまた見られると思った観客は期待するが、

「すみません。今は自分のことよりもチームの勝利を優先します!」

 五和はPAへと走り込んでいた麦野と御坂妹を視界に収めてセンタリングを上げる。
 一見すると五和が勝負を投げたと思われるプレーだが、チームの勝利の為に無茶を控えたことに真夜は気付いていた。
 そのセンタリングに麦野が反応、ジャンプしてヘディングシュートを撃とうとするが、

「そない簡単にボク相手に制空権取れる思うたらアカンでお姉さん♪」

 長身の青ピ、しかも災誤によって鍛えられた体を前に競り負けてボールをヘディングでクリアされてしまう。
 しかしそこに守備完全無視で攻めに専念していたインデックスが詰めてボールをキープしてドリブルで情報屋をかわす。
 インデックスは御坂妹にパスを送ろうとしたが翔太がマークに付いていたので自分でゴールへと攻め上がり、この試合で初めて上条との一騎打ちをすることに。

――――――――――

 ようやく球技大会編のゴールが見えてきました、ここまで長くして本当にすみません……。
 吹寄と情報屋のデート編が早く書きたいなと思っていたりします。
 でもその前に初春がイギリス留学したことを知った神裂&建宮の扱いとか、学園都市入りしてる2人(オルソラとアンジェレネじゃない方)のことも少し書きたい……。

254Ψ:2011/05/29(日) 17:38:52 ID:/Xvrp.0w
たまに姿を現すψですw
ёさん、それは全部一緒にしてGWにやれば良いと思いますよ。
後球技大会になったら俺も少しは参加すると思います。球技大会は本当に何も内容が思いつかなったもので^^;
まぁ、時間が取れればの話なんですけどねww

255±:2011/05/29(日) 21:31:43 ID:x39T3aL2
僕もψさんの意見に賛成です
………でも、神裂と建宮は絶対いろんな意味でダメダメになってそうだな……

――――――――――

「覚悟するんだよ、とうま!右に蹴るんだよ!」
「あいにくとそこまで馬鹿じゃないぞ、俺は!」
 言った方向と逆の方向に蹴るという馬鹿しか引っかからない典型的な騙しを使ってきたインデックス。
 流石の上条もそんな簡単なのには引っかからず、なんなく左に蹴ってきたボールをキャッチした。

「よしっ、このまま逆転だ!土御門!!」
「了解だにゃー、いくぜい!」

 上条からのパスを華麗にトラッピングする土御門。
 そして土御門はそのまま持って上がろうとした時、その前に2つの人影が飛び出してきた。

「そんな事、超させませんよ!」
「ここは通しません!とミサカは身体をはってボールを奪いにはいります」

 ボールを奪うために土御門へと駆け寄った絹旗と御坂妹。
 流石の速攻に土御門もなすすべない――のように思われた。

「お勤めご苦労様だにゃー」
「「えっ?」」

 ニヤリと少し笑ってからバックパスを出す土御門。
 いきなりの行動に絹旗と御坂妹は反応出来なかった。
 そしてその出したパスに反応して駆け上がる影が1つ。

「行くぞ、情報屋!!」
「って、おい!いいのかよ、上条!ゴールほっぽりだして!」
「ここで決めれば何の問題もない!それにもしもの時は真夜に任せたから大丈夫だ!!」

 土御門からのバックパスを広い、情報屋を引き連れて駆け上がる上条。
 行かせまい、と追いかけようとする者達もいたが……

「悪いが、ここから先は一方通行だ!」
「悪いけど、紫木くんの恋路の邪魔はさせないよ!それっ!!」
「浜面。半蔵。やっておしまい」
「「了解しますた!姫神様!!」」
「僕もいるでー!」
「さあ、死にたいやつからかかってくるにゃー!」
「元春、それ死亡フラグ………まあ、何はともあれここは通さないよ!」
「ゴールは僕に任せて皆さんは当麻くんと友くんの援護を」

 上条チームの残り全員が守備に回り、【歩く教会】チームの動きを封じはじめた。
 そのために上条と情報屋のコンビは2人で削板と結標を抜き去らなければならなかった。
 残り時間はロスタイムも含めてあと僅か、ココで決めた方が勝つ事となる。

256ψ:2011/05/29(日) 21:46:21 ID:/Xvrp.0w
今更ながら>>254誤字してたorz
「球技大会になったら」じゃなくて「球技大会が終わったら」じゃん。
とりま、球技大会が終わったら多分参加しますので。
無駄にレスしてしまってすみません。

257ψ:2011/05/29(日) 21:47:38 ID:/Xvrp.0w
あ、後どうでも良いけど大文字のΨから小文字のψに変えますね。特に意味は無いのですけどww

258:2011/05/29(日) 22:39:01 ID:CCG5eQsY
±さん、ёさん、急に専門用語がいっぱいでてきましたが
勉強してきたんですか?
私もスポーツものは得意でなかったのでついさっきようやく追いついたと
いったところでした。
苑内達の様子ももう1回ぐらい書きたかったんですが、もう、決着付いてからで
いいや。

259ё:2011/05/31(火) 07:34:31 ID:LQPu0.MY
「さぁ来い上条! お前の根性と俺の根性、どっちが上か白黒ハッキリつけようぜ!」
(まさか削板の奴、ここですごいパーンチってのをやるつもりか? いや、いくら何でもそれは無い。とすると……)
「行くぜ、すごいスライディーング」

 削板のすごいスライディーング、要は音速の2倍の速度で繰り出されたスライディングである。
 しかし体は地面を滑っておらず超低空で飛んでいるのでスライディングというより飛び蹴りと呼ぶ方が正しいのかもしれない。
 普通に考えれば避けられないのだが上条は普通のカテゴリーに収まる人間ではない、強敵との戦闘をくぐり抜けてきた猛者なのだ。

「なにっ! かわしただと!」
「悪いな削板。今はお前と真っ正面から勝負するつもりはねぇんだ。何せ人の恋路がかかってるんだからな!」
(他人の恋の為か、ホントに根性入ったすげぇ奴だな)

 削板のすごいスライディーングをジャンプでかわした上条、着地して心理掌握の守るゴールへと切り込んでいく。
 ところがそこへ【歩く教会】チーム最後の砦が上条の進撃を阻む。

「削板を抜いたからって気を抜き過ぎよ!」
「うわっ! む、結標っ!」

 【座標移動】で上条の前に現れた結標の鋭いスライディングで上条はボールを取りこぼしてしまう。
 宙に舞ったボールにいち早く反応したのは白雪で、雪の翼の力強い跳躍ですぐさまボールに詰め寄ると雪の翼でボールを撃ち出す。
 コースは【歩く教会】チームのゴール右上隅、しかし心理掌握もきっちり反応していた。

(コースは厳しいですがキャッチは出来ますわ。そして近くまで下がっている削板さんへパス。すごいパーンチで逆転で試合終了、いけますわ!)
「ナイスセンタリングだァ白雪ィ! 行ってこいよ紫木くんよォ!」
「のわああああああああああああっ! へぶしっ!!」
「(アク様がチームメイトの誰かを撃ち出した!)し、しまったっ!」

 そこにいつの間にか情報屋の後ろに回っていた一方通行が情報屋を風のベクトルを操作して射出した。
 暴風で飛ばされるという人生の中でもワースト3に入る恐怖体験をしている情報屋の顔面に白雪の撃ち出したボールが上手い具合にヒット。
 そしてボールは心理掌握とは逆方向に飛んでゴールネットを揺らしていた、上条チームの逆転である。

260:2011/05/31(火) 22:51:03 ID:dQWh5qN2
観客席(ロイヤル一家+浦上)

「ウワーーーー!!!スゴイスゴイスゴーーーイ勝っちゃったーーーー!!!
 やっぱり一方通行様ってスゴーイ、カッコイー!!!」
 セレナードは興奮しっきりでキラキラと満面の笑みをたたえて喜び、浦上は両親と共に、その様を微笑ましく見ていた。
しかしやがて
「さてっと。じゃぁそろそろ帰ろぉっと。」
と言って席を立ったのには驚いた。
「えっ。もう帰っちゃうんですか?これから式典とかがまだあるのに。」
 と、尋ねると、セレナは困ったように首を傾げて言った。
「うん。本当言うとこれからも楽しみたいんだけどぉ。でもねぇ、足を直しに行かなくちゃぁ。」
「え?だったら丁度いいですよ。今ここには学園都市1の名医が…」
 しかしその言葉を父が、何故かどことなく有無を言わせない様子で遮った。
「すみません浦上さん。ナターシャの足は専属医でないと直せないんですよ。」
「あ。でも、松葉杖が……」
「いいですよぉ。向こうに連れて行ってもらったら別にありますしぃ。
 ママァ、たしか真羅(しんら)さんは……」
「今は助手さんと一緒にここに来ているから先に行ってなさいって。」
「わかりましたぁ。じゃぁねぇ浦上さぁ…」
「ま、待ってください!!せめてちゃんと杖を受け取って……」
「ううーん、私もこれから先も見たんだけどぉ、ほら、この後いろいろあって落ち着いて
冷めちゃってから帰るよりわぁ、少しでも興奮とかときめきとか残したままにしたいでしょぉ?
ほらぁ、もう私じゅうぶん満足しましたしぃ。」
 まあ確かに1理ある。恐らく病院に行って入院するんだったら、ある程度試合のことを思い出して
余韻に浸りながらの方がいいだろう。しかし、あくまで麦野によるもので
天草式(自分達)は関係ないとはいえ、このまま帰してしまうのは飾利から世話を任された身としてはいささか気分が悪い。そこで、
「わかりました。じゃぁ、後で必ずあなたの下に素敵な松葉杖を送りますから。
 ロイヤル・N(ナターシャ)・セレナードさん、ですね?」
「うん、浦上お姉さん、初春飾利さんにもよろしくね。また会いたいって。」
「伝えておきましょう。」
 こうして、セレナは早々と両親にかかえられながらスタジアムを去って行った。
 浦上は知る由も無かった。彼女がこの後半、新しく投入されたある選手に注目していたことなど。
「あれが、真羅さんの息子、井ノ原真夜……『会うのは』初めてですねぇ。」

261:2011/05/31(火) 22:54:32 ID:dQWh5qN2
観客席(スキルアウト+剣道部員)

 自分達が応援しているチームが勝ったスキルアウトは、風船をヒューヒューと
上げるやらクラッカーや爆竹をバンバン鳴らすやら、挙句の果てにはビールや酒類をありったけ開けまくるやらで、周囲と比べて格段に騒がしくて浮いていた。
「ヒャッハ―!!やったぜ浜面さん半蔵さん。」
「てゆーかあの曲がるシュートってなんなの、未だ分かんないんだけど私。」
「細けえことはいいんだよ俺も何で曲がったのかわかんねぇし。」
「おい、打ち上げ会の予約とってあるんだろうな。例のディスコだぞ。」
「当ったり前だぜ!!今夜は呑みまくって浴びまくるぜ!!」
「ヒャッハ―」
「ヒ―ハー」
(客席でこうっていうんなら夜はどんだけはしゃぐのよこいつらは!)
「麗奈様ぁ。勝っちゃいましたね麗奈様の予想通り。」
「えっ。ええ、そうね。ほら、私の言った通りでしょう?」
「あーあ、こっちもいい試合していたと思ったんだけどなあ。」
(良かったー、これで京都に行ける蛍を見れる♪)
(ま、いっか。お泊まりなんて、夏の間いくらでも理由をつけてできそうだし)
 各々がまあそれぞれ胸中で結果について納得していると、スキルアウト達が一斉に新坂に詰め寄った。
「新坂―!約束通り連れてってもらうぜ京都―!」
「分かりましたー。そっちの浜面さんと半蔵さんも頑張ってたみたいだし、慰安旅行だと思えばいいですよ。
 ほら、ここでよかったんですよね麗奈様?」
 そう言って持っていたケータイで蛍観光ガイドのページを確認して、スキルアウト達と打ち合わせをし始めた新坂。
 そんな彼を横目で見て、麗奈はぼそりと呟いた。
「あなたの費用持ちそれ?」
「まあ、負けちゃいましたからね。だからちょっと行ける人数には限りがありますけど…ここに集まっている人々は……うん、全員行けますね。浜面さんと半蔵さんも含めて。」
「ねえねえ、どうせならあの2人の彼女達も連れてったら?出来る?」と、スキルアウトの女子1人が、郭と滝壺のことを思い出して尋ねたところ
「えっ?ええっと…あと、1人ぐらいなら……」
「そう……ま、考えとくわ。」
 滝壺の方は暗部の報酬があるので1人でもまかなえることをまだ知らない不良少年達。
 そんな中、植森少年は彼女達が試合中ときどきしていた会話の中で気になっていたことを訊いた。
「あ。それからさお前ら。なんか絹旗について心配ごととかある風だったよな。」
「ええ、あの人がいると、球技大会のパワーバランスが……」
「おまえらで十分賄えると思うけどな。なあ?」
「「「「うん。」」」」
 音頭を取っていた植森の問いに、他のスキルアウトは全員一斉にうなずいた。
「そうかしら?」
「どうでしょう?」
「いやだって麗奈、お前石やコンクリートぶった切ったって聞いたけど?」
「あれはあくまで木刀持っていたから……」
「「「「それで切れるお前が凄いよ」」」」
「それから新坂、お前なんかも」
「うーん…どうでしょうかぁ…」
 新坂は腕を組んで真剣に悩んでいる風だったが、彼の細身のどこにこんな力が……
かつては駒場利徳とスピード、体力でほぼ互角に渡っていた様をよく見ていたスキルアウト達に言わせると、
彼のことが絹旗より……ある程度能力で強化された彼らから見たらよくある種の手合いより遥かに脅威といえた。
 むしろ闘い慣れた彼らから見たら、下手したらまだ絹旗よりこいつらの方が実力が上なのではと真剣に考えてしまう位だ。
しかもこれで2人ともまだ修行中ということで腕を上げてきているというのだから恐ろしい。
「ま、後で直接絹旗と話し会った方が早いわね。」
「まあそうでしょうね。あーあ。以外と痛い出費ですよ。
 もし京都で面白いことが起こりそうとなったら、お父さんがいくらでもお金出してくれるんだけどなあ。」
「ああ、ありそうねあの男だったら。今ここに来ているの?」
「ええ、こんな面白いイベント逃すはずないでしょう?何より自分でセッティングしたんですから。」

262:2011/05/31(火) 22:55:49 ID:dQWh5qN2
 はしゃぐ選手達から離れた所では、審判としての仕事を終えてきた災誤を含めた教師陣が、
落ち着かない様子でそわそわしながら観客席のある方向を見ていた。
 やがて子萌先生の携帯が鳴り、彼女が緊張した声で応じ続け、やがてパタン、と、ケータイを閉じると、プルプルと震えていた。
「子萌先生…ダメでしたか?」
 災誤が心配そうに声をかけると、


「ヤッタ―!!!やりましたよー!!!」 


 子萌先生がバンザーイ,と伸びをしてニコニコと他の先生に報告し、その結果にワ―っと教師陣から歓声が上がった。
「ごっ合格ですか!?」
 思わず親船素甘が訊き返すと、子萌先生ははいーと応じた。
「今後こういう『面白そうな』ことやらかしてくれるんあら、わが校への出費は惜しまないそうです。」
「そ、それじゃあ修学旅行や能力強化合宿なんかは…」
「期待できそうですねー」
「私達(教師)のボーナスは!」
「もっちろんですよー」
「ヨッシャ―!!!」
「いやあ、子萌先生のクラス様様ですよ。」
「ほんとですねえ、よりによって統括理事会のあんな人の目に止まるとは。」
 教師達が見上げた観客席の最上段、そこではこの学校の校長がぺこぺこと側の男に頭を下げていた。
 黒のタキシードを着た、キザな風ではあるものの非情に優雅さを漂わせた青年といった面持ちの男は、どこか悪魔か吸血鬼を思わせた。
「あの方が以後私達のマネージャーになる学園都市統括理事会の1人、新坂道男(あらさかみちお)さんですよー。」
 子萌先生が指差した男を見て、黄泉川はケッと吐き捨てた。
「なーんかキッザな感じするじゃん。実際は馬鹿なことばっかりやりまくってるくせに。」
「よっ黄泉川先生、マネージャーさんにそんなこと言うもんじゃありませんよー、第一おバカちゃんが好きじゃなかったんですか―?」
「ブルジョワ階級の成金遊びはまた別じゃん。」
「そうですかねー、先生はああいう楽しい人は好きですよ―、子供みたいじゃありませんかー。あれ、親船先生?」
 親船素甘は、ホームページで見た彼の昔の写真と指差された男をきょろきょろと見比べながら呟いた。
「あの人……中学の息子がいるんですよね……それであの若さ……しかもしかも、どう見てもこの昔の写真より若返っている……
どんな健康法使っているのよ一体……」
「ええっと……やっぱり活気があふれるというか…子供の心を持っていると若返るんじゃないんでしょうかねえ。」

263:2011/05/31(火) 22:58:33 ID:dQWh5qN2
 子萌先生がそう言うのも無理はない。
 親船最中が外交、潮岸が軍事とするなら、
新坂道男の役割は情報と呼べた。
 主な仕事は学園都市に入ってくる外からの情報や、
逆に学園都市が外へ流す情報の取捨選択、操作といったものだった。
 その腕は優秀で、ロシアとの戦争時に学園都市内部に波風を立てず、
逆に外に対する情報開示により混乱を起こし、学園都市の交渉やアピール、世論操作に大きく貢献した事実がそれを物語っているのだが、彼が学園都市の人々に知られている所以は、
むしろ趣味が人をからかうことといっていいくらい、無駄に金をかけた様々な悪戯をしでかしてくる担ぎ屋ぶりで、周囲からは「大金を持った馬鹿」と見られている。
 かつては仕事人間だったのだが、礼男を生んだ奥さんに逃げられて以来、(そのため現在は父子家庭)精神年齢と
見た目の年齢が大きく若返ったらしく、事実親船教師が見ているかつての彼は、初めて見た人から見るとどうしても目の前の若々しい男が十年以上の時を経て貫禄を得て口髭を生やしている風にしか見えなかった。
(親船最中と対立したとき、名前と見た目を彼女そっくりに仕立てた部下に、本物の彼女とは正反対の主張の講演をさせて親船最中の講演のつもりで来た観客達を困惑させただの、
学園都市の成立日の祝日に、馬車を使ったパレードを行い、外国の王族がやってきたというデマを流して民衆を熱狂を起こして、実際は彼自身が乗って学園都市中を回っていただけだっただの、エイプリールフールに「学園都市がタイムマシンを発明した」という嘘ニュースを流して、昔の身なりをさせた人物と、人体消失の手品を使った大規模なセットや演出で本気で信じた人もいたりして、未だ学園都市ではエイプリールフールを「ロード・デイ」と呼ぶ人もいるだの、よくやるじゃん。こんな人だから、このイベントも見逃すはずなかったじゃん。)
 そう、他でもないこの男が、当初常磐台で行われる予定だった今回の球技大会の決勝戦の変更を提案し、その為にわざわざ管轄外の学園都市のスポーツドームを貸し切り、メディアの専門として面目躍起といった広報を行って、今回の1大イベントに仕立てたのだった。
 普通なら非常に有難いはずの存在の男に対し、黄泉川愛穂だけは親船とは違う意味で、即ち非情に胡散臭そうな目で彼を睨めつけていた。
(子萌先生はああ言っていたけれど……色々と悪い噂も絶えない男じゃん。拷問ショーなんかもよく見物して、自身も様々な責め苦を考え付いたりするような、興味の方向が危ないところにも向いていることもあるとか、無類のゲーム・ギャンブル好きで、その黒づくめで歳不相応の若々しい上品ないでたちと、多くの者達を負かしてその金・場合によっては命さえも奪う圧倒的かつ容赦ない勝ち方から「吸血鬼」の異名を取っているとか、勝負に関する取り決めはそれが『どんなものでも』容赦なく執行するとか……よくよく用心しといた方がいいじゃん。)

264:2011/05/31(火) 23:01:27 ID:dQWh5qN2
最後の投稿、改行あんまりしなかったせいで、無茶苦茶になっちゃった……
キャラのあまりの増加が叫ばれましたので、新坂道男については本編では
「友愛高校のスポンサー」という存在だけで登場させ、セリフなんかは
つけない予定です。
ただ、すごいキャラではあるので外伝で活躍させたいです。
あと、井ノ原真羅については、朝陽さんが出たんだから、研究者の父が出ても
いいかなって……

265:2011/05/31(火) 23:11:34 ID:dQWh5qN2
>>261の最後に付け加えるセリフ(新坂の)
「後で自分の仕事が何倍にも増えるっていうのに…自分の父ながらよくやるよ。」

266:2011/05/31(火) 23:14:19 ID:dQWh5qN2
あと、どなたか、井ノ原姉弟の外見的特徴が書かれている所を
知りませんか?2人は似ているようですが…
父親を書くとき、子供に似ている風にしたいので。

267§:2011/05/31(火) 23:45:45 ID:IQ7.xTGQ
ひさびさにやって来ました。とりあえず本編(ピッチ内)を投下です。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


「き、」
「「「「「「「「「「決まった(ァ)ーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」
「やりやがったな情報屋!」
「あの野郎なんて根性入ったヘディング(?)なんだ!!」
「お前らまだ気抜くんじゃないぜよ?まだ試合は終わってないんだからにゃー」
「あれ?友くんは…?」

テンションが最高潮に達するスタジアム。
そんな中このゴールの主役である紫木は…

「ぐふぅ、あ、アクセラぁ…。感謝してはいるが別な方法は無かったのかよぉ」
「ンだァ!?せっかくゴール譲ってやったンだろォが!?文句でもあるンですかァ!!?」
「いや、だからもっと優しくできなかったのかって…」
不機嫌になった一方通行におどおどしながらも自らの意見を述べる紫木。
しかし

「一方通行!!貴方のアシストいぶし銀で痺れちゃった!ってミサカはミサカは賞賛を送ってみたり!!」
という打ち止めからの声で機嫌をなおし
「打ち止めァ!次はオレがゴール決めて差を広げてやるぜェ!!」
と言い残し自分のポジションへと帰っていく。

その頃逆転を許した【歩く協会】チームは…
「すいません。あそこで私がもっとアク様の動きに気を配っていれば…」
「過ぎたことは仕方ないんだよ。それに相手の攻撃力を甘くみて選手をあげるようにいったの私にも責任はあるかも…。それよりもいま話し合わなくちゃいけないのはいかにしてこの短時間でゴールを決めるかなんだよ!」
「確かに。残り時間はあと僅かだね…。」
「でしたら…とミサカは最後の賭けとなる戦略を提示します。 ごにょごにょ」

「!!いや、でもそれは…!」
「でもここまで来たら超覚悟決めましょう!!」
「そうね、それしかないわ!」
「こんなに根性入った作戦は初めてだ!!」
「腹をくくるしかないね。」
「なんとしてでもとうま達にかつんだよ!!」

【歩く協会】チームは御坂妹の提案した最後の賭けにのった。

その『最後の賭け』の正体は

「「「「「「「「「「「決着はPK合戦で(超)お願い(するんだよ)(するよ)(します)!(とミサカは頭を下げます)」」」」」」」」」」」

「は、」
「「「「「「「「「「「は(ァァァァァァァァァァァァァ)ああああああああああああああああ!!!!???」」」」」」」」」」」

268:2011/06/01(水) 00:11:21 ID:fhXpXStQ
あれー、終わりじゃなかったの―?

269ё:2011/06/01(水) 08:47:57 ID:MY2pJmJE
私が書いた>>259ではあくまで情報屋が逆転ゴールを決めただけであって試合終了とは書いてませんからねぇ。
☆さんの投下分は試合が終了してから繋げても大丈夫かと思いますよ。

それといきなり井ノ原ツインズの父親の名前が出て驚いてますが専属医ってことは医者なんでしょうけど職業違います…。
第11章の『終わりなきバカップル』でミニ情報として父親は科学者と書かれてます。
セレナの足が科学者でないとどうにか出来ないのであれば納得は出来るんですけど。

270:2011/06/01(水) 18:00:48 ID:MDrIPVIQ
そのとおり、医者ではなくて科学者です。
「専属医」というのは、あくまでセレナの父がそう言っていただけです。
>>168は完全にいらんかったなと痛感。

271:2011/06/01(水) 20:58:50 ID:WSSF4aiw
あと、当初の設定では月夜と仲良くなるはずが
浦上と懇意になったのには驚き。
こういう意外な展開が、リレー小説のいいところです。

272ё:2011/06/01(水) 21:01:30 ID:MY2pJmJE
§さんの続きから投下します。
試合終了後、☆さん投下分の>>260〜>>263に繋げる形で。

――――――――――

 【歩く教会】チームの最後の賭け、その内容に上条チームは怒りを通り越して呆れていた。
 何とか気を取り直した土御門が冷静に【歩く教会】チームキャプテンのインデックスに尋ねる。

「なぁ禁書目録。要するにお前さん達は今までの試合は無かったことにしてPK合戦で本当の決着をつけよう、そう言いたいのか?」
「うん。さすがはもとはる、察しが良くて」
「ふっざけんじゃねーーにゃーーっ! 今までの努力や汗を無駄にするような提案なんぞ呑めるわけねーーだろーーっ!」
「ふふんっ、超分かりました。土御門は私達とPK合戦で勝つ自信が超無いから拒否するんですね。まったくとんだ超チキン野郎です」

 【歩く教会】チームの不条理極まりない提案&絹旗の暴言に土御門もさすがに我慢の限界に来ていた。
 そこに真夜が割り込んで【歩く教会】チームを正当かつ容赦の無い追い込みを仕掛ける。

「すみませんがあなた達のそのプライドの無い提案、受け入れることは出来ません。試合終了後ならまだしも試合中ですよ」
「そ、それはそうだけど……」
「それに泣きの1回のようなPK合戦、今まで僕たちを応援してくれた観客の皆さんに申し訳ないと思います。それに潔くありません」

 真夜の物言いに【歩く教会】チーム全員が何も言えなかった、麦野や絹旗でさえも。
 そして止めとして真夜がPK合戦を反対する理由が語られるのだが、それは意外にも【歩く教会】チームの不利を示すものだった。

「PK合戦になったら僕達は当麻くんじゃなくて一方通行くんをキーパーにします。風のベクトルを操作すればどんな相手だって止められますから」
「……確かにそうよね。私は【座標移動】でのボール移動は禁止されてるから直接ゴールは決められないし……。誰も決められないんじゃないかしら?」
「流石は淡希さん、理解が早くて助かります。そちらもその白い学生服の人の奇妙なパンチがありますけど一方通行くんのシュートは止められないですし」
「そんなもん俺のこ」
「時間もギリギリあるようですから諦めるのは早いと思いますよ。さ、試合を再開させましょう。試合終了後、同点だった場合はあなた達の提案を受け入れることも考えますので」

 削板の発言を遮った真夜を見て削板以外の【歩く教会】チームは思う、間違いなく削板に怒っていると。
 真夜の言葉、そして早めに表示されたロスタイムが2分なのを見てインデックスは素直に引き下がり、奇跡的な逆転勝利を掴むことを決意する。

「いやー助かったぜよ井ノ原弟。あそこでお前さんが割り込んでくれなかったらオレらしくなく挑発に乗ってた所だぜい」
「いえ、正直ギリギリでした。一方通行くんの能力使用時間を相手の方々に悟られていたら危うかったです。さ、今は勝つことだけを考えましょう」
「よし! 情報屋の逆転ゴールでようやくここまできたんだ、絶対に勝つぞぉ!!」
「「「「「「「「「「おおっ!!!」」」」」」」」」」
「勝負は最後まで分からない。みんな、ここは出せる力の全てをもって逆転して優勝を勝ち取るんだよ!!」
「「「「「「「「「「オーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」

 両チームの最後の円陣の後、後半44分から【歩く教会】チームのボールで試合再開。
 そこからの3分間、余計な言葉は一切聞かれず、互いのチームは全力でぶつかり合った。
 お互いに一歩も譲らない試合展開に観客席に居る応援団も一生懸命彼らを応援し、選手もそれに応えるように更に頑張りを見せる。
 そして主審の災誤の試合終了のホイッスルが吹かれた、6対5で上条チームの勝利と共に上条のクラスの全種目優勝が決まったのだった。

273:2011/06/01(水) 21:43:18 ID:WSSF4aiw
もう順序がおかしくなっちゃいますけれど、
先に井ノ原真羅さんを出しちゃいましょう。
>>262
非情に→非常に

274:2011/06/01(水) 21:43:52 ID:WSSF4aiw
白衣の怪物

第十学区のとある研究所に停まった高級車の後部座席から、父親に背負われたセレナが出てきた。
 その顔は先ほどまでの試合にときめいたものと大きく違い、自分を背負う父親に、ニヤニヤ笑いながら話しかけた。
「まあ安心しなって親父。こんくらいの怪我だったら、レイシェルの奴にも直せるくらいの軽―いものさ。」
「ミランダか。」
「セレナの方は興奮しっきりのままおねんね状態さ。今頃麦野にやられた分、いとしの一方通行様の勇姿を思い描いてにやにやしているさ。あたいにゃ見えんがね。ケケケ!」
「お前にも試合、見えたか?」
「ああ、あの男(新坂道男)が目をかけるのもわからぁ。
 とーんでもねースペクタクルだったよまったく。あんたにとってもそうだったろ?」
「まあな。」
 軽口をたたき合いながら研究所の歩き慣れた長い廊下を歩き続ける親子。
 ふと2人は、別の方向からやって来た、元気がなさそうな男とすれ違った。
「止まって。あれー早乙女、確かあんた今日ここを出て行くんだってね。」
「あっああ。」
「確かあんたが担当していたところがとんでもない失態巻き起こしちゃって教授が、まあ多分上層部によるものだが、消されちゃったんだってねえ。」
「……」
「良かったなあ殺される価値ない下っ端研究員で。」
「………」
 歳歯も行かない少女に次々と図星を指摘されて、下を向いて押し黙るしかない研究員。
 少女はそんな彼をふん、と鼻で笑った。
「2度とここに来んな。私ら『実験生物(モルモット)』に言わせたら、あんたのような奴が1番むかつくんだよ。
 とっととそのぬるま湯気質が似合う所に行っちまいな。
 どうせあんたは、こっから先一生チャンスなく、しがない研究員で終わるんだからさ。」
「……ありがとう。」
 ペコリと頭を下げ、ややスッキリしたようにすれ違って行った。
 再び歩き出しながら、しばらく黙り、やがて父親は口だけを動かして呟いた。
(まあ、これもあいつなりの優しさなんだろな。)
「ま、ああいう奴が似合った所に落ち着くのを見るのが1番ホッとするかな。はて……そういえば一方通行の奴の保護者になっている芳川とかいう研究者も、丁度そのタイプだったな。」
 ミランダがそう一人ごちたとき、ふと、あの試合、いや、正確にはその前と間にセレナを介して関わった2人の超能力者が思い出された。
(まあ、確かに戦えって言われたら恐いんだろうけどさあ)
 しかしミランダやセレナに言わせると、これからここに来る男は……自分達が
これから入る部屋の主は、
『最強』だの『第1位』だのといった称号に悦に入っているガキや、
気に入らない奴を力で潰しまくることしか頭にないようなアバズレ女なんかより遥かに恐ろしかった。

275:2011/06/01(水) 21:44:42 ID:WSSF4aiw
2時間後

「いやあ待たせたね。」
 そう言って頭を掻きながら、白衣を来てメガネを掛けた男が金髪の少年と共に親娘がいる研究室に入って来た。(父は外のベンチに腰掛けている)
 その顔立ちは、中年ではあったものの、やはりピッチで活躍していた少年に所々似ていた。
「奇偶だねえ、よりによって試合前に一方通行と関わるなんて。
 レイシェル。まず君が見てやって。」
「はーい。」                                 ・・
 眼鏡の男に呼び掛けられた、黒い眼をした金髪の少年は、彼女の足元に膝まづくとカチ
・・・・
ャカチャといった音がし続け、やがてその脚部から顔を上げずに男に行った。
「軽い欠損を起こしていますが、まあ、取り換えやメンテですぐ直るでしょう。」
「そう、じゃあ任せた。ついでに他の四肢全てについても点検、メンテしてやって。」
「わかりました。」
「私はこっちの方やっとくよ。正直な話、今、重要なところに来ているから。」
 こうして白衣の男、井ノ原真羅は別の作業に、レイシェルと呼ばれた少年の方はセレナの脚に向き合った。
 真羅は作業の最中、鼻歌を歌いながらセレナに言った。
「どうセレナード。息子の活躍すごかった?」
ヴォン。
「悪いがあたいは今、ミランダでね。」
「あれ、じゃぁ君でもいいや、息子どうだった?」
ウイーン、ウイーン、ウイーン、
「どうしてあんたみたいな学者肌からあんなポテンシャルが生まれたんだ?」
「母譲りなんだよ姉弟そろって。
 あーあ、こっち譲りの奴もほしかったんだがなあ、レイシェルがいるとはいえ。」
ピーガガガ、ピ、ピ、ピ、ピ・・・・
「……さすがに近親姦やハーレム体質は誰からも受け継いでないよな。」
「こっちもびっくりだったよそこらへんは!まあ今考えるとそれによって、あいつの心身の著しい成長スピードの原動力になったんだからよかったといえばよかったんだけれどさ。」
そう言いつつも、とある父親はその後も心から嬉しそうに、楽しそうに、はにかみながら、息子自慢をし続けた。

目の前の、声帯や全身の骨を潰されて、もはやその感情を唯一表しうる表情すらをも機械で覆われた子供を、全身に取りつけた機器で更に犯しながら。

「………」
経歴上、ロイヤル家の娘達は多くの種類の研究者を見続けてきた。

 例えば。
今すれ違った栗野宮や芳川桔梗のような、善人にも悪人にもなりきれない生ぬるい研究者。
例えば。
木原数多のように、研究対象どころかあらゆる他者に悪意をふりまく地獄の炎のような研究者。
例えば。
生半可な良心や同情といったものを向けるようなことをせず、努めて能面のような表情で、或いは最初っからそんな苦悩すらなく、たんたんと実験をこなしていく氷のような研究者。

だが、この目の前の男は、敢えてそういった飲み物に例えるとするならば、
甘い飲み物と苦い飲み物とすっぱい飲み物やら、他にも色々な奴をまぜこぜにした結果、温度といった以前に、その舌触りや味を堪能してしまう前に一刻も早く呑み下してしまいたいような、そんな男だった。
 ミランダやファイネスに言わせると、神様なんてのはいないか、到底信じる価値なんかありゃしない奴だ。この期に及んで両親と共に十字教、正確にはローマ正教のカトリックの神なんてのを信じているセレナの精神がよく理解できない。
 それでも、井ノ原真羅という研究者を。
 実験動物に対するこの上ない残忍さと、妻に頭が上がらない家族思いでお人良しの両方の面を同時に見せ続ける男を見ると、つくづく思う。
(もしこいつが死んで天国の門とやらに来たら、神様…正確にゃあ、天国の門を守っているペトロとかいう奴が日本の閻魔さんの役割を担っているそうだが…そいつはこいつをどう裁くんだ?あたいらや、いわゆるジキル博士とハイド氏みたいなのだったら、精神か人格を分離させて別々の体にしちまえばいいんだが……)

276:2011/06/01(水) 21:48:09 ID:WSSF4aiw
井ノ原真羅(いのはらしんら)

 井ノ原姉弟の父。
 学園都市の研究者で『ある分野』のエキスパート
 実験対象以外に対しては息子の真夜並みのお人よしで、妻の朝陽に家計を管理されているかかあ天下。
 息子と娘の恋愛については激しい家族会議の結果、「子供を作らない(万が一出来たら実家と手を切る)」「籍を入れない」という条件下でまあ許容している。


Q:井ノ原真夜についてどう思う?

・ロイヤル・ナターシャ・セレナード曰く
「えっと……人がいい分、却って恐いんですよねぇ……態度の変化が大きいことも含めて、真羅さんの息子なんだーってつくづく実感して……
 姉弟とも、能力や興味においては母譲りであることがせめてもの救いでしょうか。」

・ロイヤル・ミランダ・セレヌスティー曰く
「精神力が強いっていうより……性欲がないんじゃねえかいあの男。とっつきにくくて苦手だ。」

277ё:2011/06/01(水) 21:52:44 ID:MY2pJmJE
これは>>263の後に繋がるということで1つお願いします。

――――――――――

「よっしゃ勝ったーーーーっ! やったな情報屋!」
「ああ! ありがと上条、ありがとみんな!」
「今日ばっかりは紫木はんに華持たせんとな♪ 何せ吹寄はんに男が出来て大人しくなギャンッ!」
「青髪くんったらそんな打算的なこと考えてちゃダメだよ。あの元春でさえ純粋に紫木くんを応援してたんだから。ね? 元春」
「もちろんだぜい♪ まったく青ピはそうゆうトコロがダメダメなんだにゃー(少し打算があったのは秘密秘密っと)」

 球技大会の主役といっても過言ではない情報屋をデルタフォースと白雪が取り囲んで騒いでいた。
 その様子をやや離れた所から見ていたのは姫神、浜面、半蔵、そして吹寄。

「良かったね吹寄さん。紫木くんが頑張ってくれて。後でいいから。紫木くんにおめでとうって。言ってあげて」
「ま、まあアイツもそれなりに頑張ってくれたし、それくらいは……。で、でも違うからね! あたしは情報屋が頑張ってくれたのが嬉しいわけじゃなくて……」
「ホントに吹寄はいつでもどこでもツンデうぎゃっ! す、すびばぜん姫神さま……」
「ったく浜面、お前ってホントに学習しねぇのな。じゃあ姫神さま、俺たちは郭たちの所へ」

 姫神に殴られた浜面を引きずって半蔵は郭たちの居る所へと向かった、すでに上条と青ピもそこに居たりする。
 その騒がしい取り巻きを離れた所で見てるのは人が多くて打ち止めの所へ行けない一方通行と勝利したことで怒りを収めた真夜の2人。

「一方通行は他の皆と騒がないのか?」
「そうゆうのはガラじゃねェってわけじゃねェけどな。つーか弟、テメェこそあの2人の所へ行かなくていいのか?」
「閉会式が終わってからにするよ。抜け出したら真昼さんと赤音さんに追い返されそうだし。自分達に気を遣うなってさ」
「あ、あのアク様、それに井ノ原先輩。今日はありがとうございました!」

 そこに心理掌握が現れて一方通行と真夜にお礼を言った、全力で試合をしてくれたことに対して。
 心理掌握は愛する一方通行、尊敬する真夜に変わりつつある自分の在り方を見てくれることが一番の目的だったりする。
 短いながらも成長の跡を感じ取っていた一方通行と真夜はそれぞれに感想を口にする。

「テメェが正々堂々とスポーツするたァな、ちったァ見直してやるよォ」
「それにチームの皆ともちゃんと向き合ってたね。頑張ったね心理掌握さん」
「あ、ありがとうございます!」

 心理掌握の礼儀正しいお辞儀に一方通行は何も言わず手をひらひらさせて去って行った、口元に僅かばかりの笑みを作って。
 真夜はそんな2人の雰囲気を笑顔で眺め、心理掌握が頭を上げた後で試合について色々と会話を交わし始めた。

――――――――――

 心理掌握と真夜と別れた一方通行が向かった先は上条や青ピや浜面や半蔵が居る所、すなわち自分達の恋人が応援してくれた場所の前だった。
 応援していた美琴、黒子、滝壺、郭は観客席からグラウンドに下りていてそれぞれの恋人といちゃついていた、節度は控えて。
 1人寂しく佇んでいた打ち止めが一方通行に気付くと、元気いっぱいに自分の恋人へとタックルのように勢い良く抱きついた。

278:2011/06/01(水) 23:28:50 ID:5k9zKkGo
・レイシェル・フーバー

 真羅の助手で、15歳にして初春クラスの担任を受け持つ天才科学者。担当は古文。
 当然、マットサイエンティストである。
 教職は師に勧められて就いている「副業」といった感じで、真羅の助手としての研鑚の方を好むため学校に来ることは少ないが(1カ月に10日ぐらい)、「実年齢が生徒と同じ」ということで子萌先生に次ぐ名物教師とされている。頭はいいため、要領よくこなしているもののやはり教師としてはまだまだ半人前。
「1090(イチマンキュウジュウ)」という名前の恋人がいるらしい。

279:2011/06/01(水) 23:31:08 ID:5k9zKkGo
10090号は「青年」と言っていたけれど……
まあ、欧米人って背が高いから青年っぽく見えないこともない…かな…

280:2011/06/02(木) 00:51:23 ID:dE11ZFLQ
うーん、白と黒の色々とんでもないお父さんが出ちゃったなあ。
自分で作っといて何だけれど、真夜はともかく
礼男はよくこんな父ちゃんに育てられてまともでいられたものだ。

281■■■■:2011/06/02(木) 01:04:25 ID:kD7NNXWI
オリキャラが増えすぎて訳が分からなくなって来たな…
相関図とか無いものだろうか

282:2011/06/02(木) 07:25:24 ID:dE11ZFLQ
>>275
すれちがった栗野宮→早乙女
栗野宮は、当初の案でした。
どうでもいいことですが。

283ψ:2011/06/02(木) 10:32:15 ID:pYeYp93E
……ちょっと確認。
>>259の後に続くのが>>267>>272に行ってその次に>>260-263に行って、その後の>>274-275>>277はどちらへいけば良いのですか? 個人的には>>277の方が良いのですけどww

284ψ:2011/06/02(木) 10:40:13 ID:pYeYp93E
もう一つ言い忘れた。
前に球技大会が終わったらこちらで書くと言いましたが、無理かも知れません。
理由は俺が書いている小説の中で、ある一作品を電撃文庫の第19回電撃小説大賞に応募する事にしましたので。
締め切りは来年の4月10日何ですが、今から準備しておかないといけませんのでね。結構真面目に書きますし。
なのでたまに時間が空いたら書くという感じになりますかね? 分かりませんがww

285ψ:2011/06/02(木) 10:56:49 ID:pYeYp93E
最後に戯言を。レスの無駄をしてすみません。
今思えばこのリレースレが無ければ俺は小説を書くことなんて無かったと思うんですよね。
このスレには本当に感謝しています。このスレがあったおかげで今の俺がいるのですから。
それでは。

286:2011/06/02(木) 12:47:45 ID:IwZ7wFJw
>>274>>275は、球技大会編のエピローグみたいなものです。
第20学区と第10学区はかなり離れていますし、それから更に2時間が経過した
ので、とっくに球技大会は終わっていますし。
ですのでこちらの続きは、選手たちのエピソードが終わった後に投下しようかと思います。
ただ、皆さんに早めに真羅とレイシェルのキャラや設定を掴んでもらえたらなと。

ψさん、このスレが単なる趣味の集まりに留まらず、実際の人にも影響を与えうることを知って
嬉しいです!!もし当選したら、作品紹介お願いします!!

287:2011/06/02(木) 12:48:23 ID:IwZ7wFJw
混乱させてしまって誠に申し訳ありません。

288■■■■:2011/06/03(金) 00:31:00 ID:tIvV4uP6
オリキャラが増えすぎ

289:2011/06/03(金) 01:14:25 ID:f3lOh/p.
安心して。
私が予定している外伝ストーリーが滞りなく進めば、
セレナは当分、この物語から退場するから。

290:2011/06/03(金) 01:32:57 ID:f3lOh/p.
もしそれでも増えすぎて困っているっていうのならそうですね……
オリキャラの生死を決める権利を持つのは、そのキャラの作者だと私は考えているので、
(月夜や井ノ原一家の生みの親って誰?)整理案としては、
1、海外へ飛ばす(番外個体)
2、どこかで修業していることにする
3、どこかに封印してしまう(垣根帝督)
といったところでしょうか?

291■■■■:2011/06/03(金) 02:12:38 ID:cBJ9/SfA
俺ルール無双はじまた

292■■■■:2011/06/03(金) 12:04:19 ID:QxfbiaJY
月夜はずっと前に登場させてるんだから問題ないんじゃないかい?
オリキャラよりも原作キャラ(番外個体・ていとくん)をフェードアウトさせようという考えがわからねぇ。

外伝のオリキャラは外伝に留まらせておけばよかったと思うよ。

293:2011/06/03(金) 12:14:22 ID:HgdjP70Q
いや、フェードアウトというか、
比較的出番を押さえているなあって。

294:2011/06/03(金) 12:19:36 ID:OOmxNivg
あと、真夜のキャラが海原とかぶってきた気がしたなあ。
彼の現在の1人称は「僕」でいいんでしたっけ?

295ё:2011/06/03(金) 21:19:50 ID:mb4SSZvI
雑談ばかりでSS投下が無いので。

――――――――――

「今日の一方通行はいつもよりカッコよかったよってミサカはミサカは今の気持ちを体で表現してみた!」
「オ、オゥ、ありがとな……(ったくなンつータックルかましやがンだコイツはよォ……。チッ、腹が痛ェ)」
「むーっ、その気の無い返事は何なのってミサカはミサカはむくれながら勝利のキッスをむぎゅ」
「ンなコト人前でやるンじゃねェ!」

 自分達らしくイチャイチャしてる一打を微笑ましく眺めている上琴、当然こちらも自然な感じでラブラブモードだ。

「優勝おめでとう当麻♪ でも……当麻って前半はともかく後半は足引っ張ってたよね。オウンゴールまで決めちゃうし」
「うぐっ……そ、それは上条さんも気にしていたことなのに。けど実際、目立ってたのは他の奴らだったしなぁ。反論出来ねぇな」
「大丈夫♪ 私には当麻が頑張ってるのはちゃんと伝わったから。それに当麻はどんな当麻でも大好きなのは変わらないかキャッ♪」

 美琴の可愛さにあてられた上条、感動のあまり美琴を思いっきりハグする(キスは場を弁えてしない)。
 節度を意外にも守ってる上琴に対して節度やモラルなど関係なくいちゃついてるのは青黒、というか主に黒子。

「○○様、途中出場ながらすんばらしい活躍でしたわ! この黒子、文字通り○○様に惚れに惚れ直しました! というわけで2人の赤ちゃんを今ここで!」
「気持ちは嬉しいけどボクは犯罪者になるのは嫌やねん! 後生やからここは気持ちをクールに」
「よいではないですかよいではないですか。○○様の女性の趣味が黒子一択になればさらにギャフンッ!」

 暴走する黒子を黙らせたのは美琴の雷撃、気絶した黒子の表情は満ち足りているのを見た青ピは柄にも無く真面目に黒子に不安を覚えた。
 その一方でバカップルなのにいちゃついてる雰囲気を見せないのは浜滝と半郭。

「はまづら、優勝おめでとう。けど必要以上にひめがみに下僕っぽかったからちょっとマイナス」
「私も滝壺氏と同意見ですよ半蔵様。いくら球技大会の為とはいえ半蔵様が他の誰かにかしずいているのはちょっとショックでした」

 滝壺と郭がむくれていたのは浜面と半蔵の姫神に対する扱いのことで、球技大会に勝つ為とはいえあそこまでやられるといい気はしないもの。
 結局、姫神に対する態度は球技大会が終わったので改めることを約束させられた浜面と半蔵だが姫神への下僕モードはそう簡単には抜けないのだった。

「悪いが君達、いちゃつくのは閉会式が終わってからにしてくれないか。他の生徒や参加者はすでに集まっている、君達も早く来たまえ」

 バカップルの集まりに容赦なく割り込めるのはそういった空気を全く介さない木山で、上条たちも慌てて動き出す。
 その際、自分達のクラスに結標が居たことを不思議に思ったが翔太を満面の笑みで胸元で抱えてるのを見てすんなりと納得した。

――――――――――

 そして閉会式が始まったが、最初から優勝旗やトロフィーは用意されておらず授与式も無い上に校長の話は黄泉川から巻きが入ったので手早く終了。

「やれやれ、長い長い球技大会が終わってようやく落ち着……いかん、とんでもなく嫌な予感が頭をよぎったぜい」
「嫌な予感?」
「月夜も知ってるだろ? 初春ちゃんがロンドン行ったって話。仮にねーちんと建宮とシェリーに何も言わずに出立したらって考えたら」
「うわぁ……。で、でも大丈夫だと思うよ。初春ちゃんがあの3人に内緒でどこか遠くに行くなんてありえないもん」

 それもそうだな、土御門は白雪の言葉に納得して考える事を止めた。
 しかしシェリーだけが初春の渡英を知っていて、神裂と建宮には知らされていないというある意味悪い真実があることを土御門が知るのは先の話。
 そんな中、木山から今後の日程について発表がされようとしていた。

296ё:2011/06/03(金) 21:56:35 ID:mb4SSZvI
「さて、明日以降の予定だが……GWが終わるまで休みだ」

 まさかの木山の発言に会場に居た友愛高校の生徒は少しの沈黙の後、歓喜の声を高らかに上げた。
 木山はそんな状況下の中でも冷静かつ淡々と続きを話す。

「とはいえ課題はあるからな。課題は明日取りに来るように。それとこのGWを含めた大型連休は他の中学高校でも適用されているぞ」

 今度は友愛高校の生徒ではなく観戦に来ていた他校の中学生と高校生が歓喜の声を友愛高校の生徒に負けない勢いで高らかに上げた。
 他校の中学や高校も友愛高校と同じ形の大型連休にしたのは多くの優秀な新入生が入ったとはいえ、学校の地位的にはまだ低い友愛高校ばかりずるいというしょうもない理由だったりする。
 打ち止めは小学生なので大型連休にはならずにむくれていたが教師として付き添いで来ていた朝陽に元居た席まで連れられた後で宥められていた(赤見と白子が何故か気絶して倒れていた)。

「では最後に球技大会のMVPを発表する。これは優勝したチーム、というか月詠先生のクラス以外の生徒や参加者も対象だ」
「なお、MVPに輝いた選手の人には1つだけうちの学校で叶えられるお願いを叶えちゃいますよー。そのお願いは皆さんが本番前日に書いてもらったものです」

 実は友愛高校の生徒全員が何かのアンケート程度の認識しか持っておらず適当なことしか書いていないという何とも悔やまれる事実があった。
 特典はともかくMVPの称号は素直に嬉しいのでそれぞれに予想を立て始めていた。

「順当に考えりゃまず間違いなく俺だろうなァ」
「馬鹿抜かせアクセラ。ここは1日目と2日目を通してって考えれば上条さんしかいませんのことよ!」
「オレはそんなもん興味無いから誰でもいいけど真面目に考えれば白雪か井ノ原弟も候補だと思うにゃー」
「だったら俺は絶対に無いな。昨日と今日の準決勝の前半まで規制かかってたから大して活躍してないし。俺は白雪さんだと思うな」
「元春と井ノ原くんの推薦があったらもしかしたらって思っちゃうな〜」

 上条達がMVP予想をクラス内でしている一方で【歩く教会】チームもMVPを考えていた。

「私がMVPだったら嬉しいですけど恥ずかしいですね(これでMVPに輝いたら当麻さんの高校で一ヶ月実地研修が出来ます!)」
「根性って点なら俺だろうな!」
「いやいや、全試合通じて超活躍した私にもチャンスはあります(」
「キャプテンの私のが可能性が高いんだよ!(MVPでとうまの学校の食堂の食券5万円分はもらったね)」

 自己主張しているのは五和と削板と絹旗とインデックスだけで残りのメンバーは自分達は無いだろうと考えていた(2人ほど本気の願いを持っていた)。
 そして木山の口から球技大会のMVPが発表された。

――――――――――
☆さん、真夜の怒りは球技大会優勝で完全に収まったので一人称も「僕」から「俺」に、口調もすでに戻ってます。
垣根はともかく番外個体(+もう1人)はGW編に出す予定です、一応仕込みはそれとなくしてます。

297:2011/06/03(金) 22:00:48 ID:i7TjdIUg
・真羅の研究所
「なあ、レイシェル」
 真羅ののろけぶりを聞き流しつつ、ミランダは眼下で自分の脚を直しているレイシェルに、気になることを尋ねることにした。
「ん?何?」
「あんた確か、柵川中学の2年1組を担当していたろう?」
「そうだけど。まあ、ほとんど行ってないけどね。研究しっきりで。」
「そのクラスに初春飾利って奴いるでしょ?」
「ああ、いたね。」
「どんな人?」
「……………あんまり学校行かないからよくわかんないや。」
 それを聞いた真羅は、はあ、とため息をついて(『作業』は辞めずに)言った。
「勧めているんですから、ちゃんと参加してくださいよ。
 あなたはもっと人と関わる方法を身に着けてもらいたいんですから。」
 彼に言わせると、自分の研究においては『人の心』を知ることが重要なそうだが、
目の前で展開されている光景を見るにつけて、お前に言われたくない、とミランダはつくづくおもいつづけた。
「私は会ったことがありませんが。」
(ん?)
 まさか真羅の方から話が続くとは思っておらず、思わず顔を上げる。
「彼の父……隆俊さんとは、高校の頃の親友でしたよ。
 今はお互い家庭を持ったり、進む道を大きく違えたりで、同窓会ぐらいしか会えませんでしたがね。」
「へえ……」
「何故、彼女に興味を?」
「…………」
 この男に初春を関わらせることに激しい抵抗を感じはしたものの、こいつの研究分野には指し触りはないだろうし、
何よりつっぱねたらかえって興味を増やさせることになりそうだと感じたミランダは、彼女が『原子崩し』を圧倒した経緯を話した。
「へえ、超能力者達の中でも屈指の凶暴性、凶悪性を持つことで有名な麦野沈利を、ねえ……レイシェル、今度学校行ったときにでも見てみ……」
「いえ、それが。」
 しかしそこで彼から放たれた言葉は。
「今思い出したんですが、彼女、イギリスへの短期留学を申請してきたんです。一週間ぐらい」
 それを聞いたミランダは、げんなりと呟いた。
「間が悪いったらありゃしねえやまったく。」
 これにより、神裂先生の欠板が多くなったため、担任で会ったレイシェルの通勤が多くなるのは、後の話。
「…ん?ちょっと待て、なんで一週間なんていう超短期留学なんだおい?」
「ああ、何でも……」
 彼からこの後聞かされた『噂』により、始まった。
「科学」の恩恵と悲劇の申し子と、
「魔術」の交錯が。

298:2011/06/03(金) 22:07:26 ID:i7TjdIUg
あれ?井ノ原家の両親って
・朝陽、赤見、黒井 と
・真羅、レイシェル とに分かれていたの?
てっきり夫婦そろってだと思っていたのに(まあ、レイシェルがくっついていたようだけれどさ)。

299:2011/06/03(金) 22:08:43 ID:i7TjdIUg
担任で会った→担当であった

300:2011/06/03(金) 22:13:08 ID:i7TjdIUg
一週間ぐらい

一週間ぐらいの

301:2011/06/03(金) 22:15:30 ID:i7TjdIUg
彼の父→彼女の父

302:2011/06/03(金) 22:19:55 ID:i7TjdIUg
とりあえず、真羅の研究所のシーンはこれで終わりです。

303:2011/06/03(金) 22:56:06 ID:GWp1Gkvw
私的にはMVPは絹旗でしょうか?

304読者:2011/06/04(土) 18:58:56 ID:pFvHPswY

俺的には情報屋で良いと思いますね
なんとなくですけどww

305:2011/06/04(土) 21:15:19 ID:O1hN6zM2
ちなみに当初新坂道男はハーフタイムでセリフ付きで出す予定でした。(>>183
あと、もし新キャラ出さずの縛りがなかったら外伝に出ていた
セレナの友達も出す予定でしたが、まあ、彼女達の紹介は、やはり外伝スレにて
別の機会にでも。

あと皆さん、外伝の方の感想はなかなか書かないんですが、書きづらいかやっぱり興味ないんでしょうか?

306:2011/06/05(日) 10:27:41 ID:6dC0TH.k
>>297
真羅ののろけぶり→真羅の家族話

307:2011/06/05(日) 23:19:46 ID:77GelVcY
最近になってようやく茜の口調を掴んだ(というか、口調があることに「ようやく」気付いた)感じ。
あやうくこっちが考えていたキャラのと被る所だった危ない危ない。
こういうのを読者によくよく印象づけてしまう鎌池さんの技量には本当に
感服します。

308±:2011/06/07(火) 20:34:37 ID:A.nj1dwE
「MVPは………………………………削板軍覇!!」
「「「「「なっ、何だってーぇえーぇえ!!」」」」」
「ん?やはり俺の根性が一番だったか!」

 削板が選ばれた事に驚くその場にいた全員。
 そしてその様子を見ていた小萌先生がすぐに理由を説明し始めた。

「ちゃんとした理由があるのですよー。削板ちゃんは初日の野球で全打席ホームランの快挙をあげてたのです!それについさっきの試合でも守備の中心となって活躍してましたので見事MVPに選ばれたわけです!!」

 小萌先生の説明によりその場にいた全員が納得し、削板は表彰台に向かっていった。
 一方で、その場にいた生徒たちは削板の望みが気にかかっていた。

「いったい削板のやつ何をお願いするんだろうな?」
「アイツの事だァ………どうせ根性関連の事に決まってる」
「いやー、案外意外な所つくかもしれないぜよ」
「元春がそう言うならそうかもしれないね♪」
「それよりなんでボクじゃなかったんやー、MVP」
「お前の場合、願いが引っかかったんだろう?そんなに活躍もしてないし」
「それより。なぜ私が。MVPではないの」
「本当審査員の奴ら、真の主役が誰か分かってないな、半蔵」
「ああ、そのとおりだ浜面!」

 そんな事を話している間に削板は表彰台の上に上がっており、先生方から表彰をうけていた。

「削板ちゃん、特に何かお願いを聞いてなかったので何にしますか?」
「俺はこの友愛高校の連中の根性に感動した!!だから―――」

 ここまで聞いた途端、その場にいた全員が削板がこの先に何をいうのか理解できた。

「俺は決めた!この友愛高校に転入する!!」
「なっ、なんだってーぇえ!!!」×その会場内にいた全員

 これにより削板軍覇の友愛高校三年への転入が決まり、友愛高校は結果としてレベル5を5人も持つ凄まじい高校となった瞬間だった。
 そしてこれにて閉会式は終了となった。

309:2011/06/07(火) 21:50:15 ID:EbdozAec
あれ?何言うか理解してたんじゃなかったの?

310:2011/06/08(水) 01:30:31 ID:Fl5OuDYc
 とある観客席には、興奮して腕を振り上げているメガネの男と、金髪の少年と、「歩く協会」チームの1名と全く同じ容姿をした無表情な少女がいた。
「先生、やりましたねえ。」
「ああ!やってくれたな真夜!こんちくしょうが!」
「おめでとうございます、とミサカ10090号は応援して送り出した10032号の敗北を少し残念に思いつつも賛辞を送ります。」
「先生、ところで出ているのは息子さんだけのようですね。」
 その指摘を受けた途端、先生と呼ばれた男はさっきまでの威勢が嘘のようにげんなりとしてハァーと、ため息をついた。
「ああ全く、よりによってこんな日に風邪だなんて真昼の奴。普段は馬鹿なぐらい健康な奴なのに。」
「正直ほんとなんですか?あの礼儀正しそうな子がすっごいただれた関係持っているなんて」
「爛れたとは…!!い、言えるかな?確かに私も初めて聞いたときはすっごい驚いたというか、息子を本気で精神病院に入れようかと……」
「ま……まあまた別の機会に窺うとしまして、正直顔や態度はまあ似ていますけど、あの運動神経はやっぱり……」
「言ったろう?朝陽譲りだって。」
「あれ?そういえば朝陽さんはこの会場に来ているのですか?と、ミサカはお父さんの方に聞いてみます。」
「ん?10090ちゃん、君、朝陽を知っているのかい?」
「ええ、私達の上位個体がお世話になっていますので、とミサカは言います。」
「ああそうだったうん。いや、来てはいるんだが……」
「ならどうしてわざわざ私と?」
 金髪少年が疑問の声を上げると、男が観客席のある一部を指差した。
「ほら、あいつが連れている赤やら黒やらが相当監視が必要な問題児みたいで……」
「現在気絶しているあの2人ですねと、ミサカは双眼鏡で確認しながら言います。」
「でも帰り際ぐらいはやっぱり息子に会ってみたら?」
「まあ…そうだな。」
 そう言って男は立ち去りかけ、その間際、少年にこっそりと呟いた。
「子供達の勇姿を見せるためとはいえ、済まなかったな私に同伴させて……」
「いえ、先生の……」
「今度こそゆっくり、彼女とデート楽しむがいいさ。」
 クールな印象を持っていた少年の顔をボンッと赤らめさせて男が去っていくと、少女は不思議そうに少年の顔を覗き込んだ。

311:2011/06/08(水) 01:31:54 ID:Fl5OuDYc
「何を言われたのですかあの人に?とても緊張していますよ、と、ミサカは不安と疑問を……」
「い、いやいやいやいや、な、何でもないから、それよりさ、ほら、なんというか、その……」
「???」
 男からの激励により、かえって話の持って生き方がわからなくなってきてしまった少年だったが、ここでどっかで聞いた豆知識が役立った。
(落ち着け!そ、そうだ、確かこういうイベントの後は、ご飯や買い物と言ったレジャーをしたくなるもので、現に……)
「わ、私はポップコーンだけじゃお、お腹いっぱいにはならないんで、その、も、もしよかったら、その、こっから更に食事に行くのに……」
「ああ、それは丁度いいです、と、ミサカは貴方の提案に渡りに船と飛びつきます」
「は?」
「実は私の妹達と、10032号の残念会を催したいのです。できたらそれに参加させてくれませんか?と、ミサカは貴方を他の妹達に紹介するいい機会を利用させてもらいます。」
「え、ああ、い、いいよ……うん、って、あれ?ちょっと待って待って待って」
 そこで呼吸を落ちつけようとした少年だったが……
「あ、ポップコーンの欠片、とミサカはもったいないと手を伸ばします。」
 ヒョイ、と唇の端についていたポップコーンを取り、そのままパクンと口に含んで美味しそうにゆっくり咀嚼する少女を見てまたも頭が真っ白になってしまった。
(え?あれー?何言おうとしたんだっけ私―?え?え?え?え?うわー!…)
「さて、では打ち上げ会場に行きましょうとミサカは立ちあがって貴方の手を引っ張ります。」
「ええーっと…あ、そうか!!」
「先ほどから一体どうしたのですか?とミサカはこれからの妹達への顔合わせに向けて心配を募らせつつ尋ねます。」
「そう!それだよそれ!」
 少年はようやく彼女に対し「本題」を告げた。
 「妹達」のことをよく……量産化計画から、絶対能力進化実験までを知っている彼だからこそ思い付けた大事なことを。
「ほ、ほら君達クローンでさ、なんか、いろいろいると見分けつかないからさ、とりあえず君のこと分かるように、なにか、そう、メイクとか、髪留めとかつけよう!10090」
「それはいい提案です、と、ミサカは大いに同意します!」
「じゃあさ、まずは近くの小物店にでも行く?」
「行きましょう行きましょう!出来ればひよこかゲコ太の目印がいいです!と、ミサカはどんなのを買ってくれるんでしょうとワクワクしながら貴方の手を引きます!」
 そう言って少女と少年は、幸せそうに、忙しそうに、スタジアムを後にした。

・ミサカネットワーク
「ムッ!何故か唐突に『リア充死ね!』という単語が思い浮かびましたと
ミサカ16254号は打ち上げ準備中に不審な感じと共に言ってみます。」
「まさかミサカ達の誰かが将来有望そうな若者を?と、ミサカ13577号は10090号あたりが発信源でしょうかと、今までの行動から朧気ながら予想してみます。」
「ムー、もしこの後の会でそれを確信させたら?と、19090号はややドキドキしつつ訊いてみます。」
「この会を「10032号の頑張りを称える会」から「10090号をシバく会」へ変更ですと
ミサカ20000号は柔軟な解決策を提案します。」
「「「「「「「了解(ラジャー)っとミサカ達は賛意を表明します」」」」」」

312:2011/06/08(水) 01:39:11 ID:Fl5OuDYc
付け足し。適当な所にでも。

「先生。とりあえず一段落したら…」
「ああ、分かってるさ。2時間後に私の研究所へ。ちょうどいいから
軽いものだったらできる限りあなたに任せてみるとしましょう。」
「ええ!というわけだからさ10090、悪いけどそう時間は……」
「1時間でも結構ですよとミサカは気にしないでと笑顔で励まします。」
(あ。なんとなくわかる。笑顔だ。)

313:2011/06/08(水) 01:44:37 ID:Fl5OuDYc
>>311後ろから5行目の
「そう言って」以後を「そして」にし、
その前>>312を付け足してください。
やっぱり自分で決めたいやこういうことは。

314±:2011/06/08(水) 07:32:39 ID:8x2ApYQ2
削板は他校からの助っ人という事で前日授業でこれなかったんじゃないか?という風に思ったのでこうしました。
なのでそれを含めた上で訂正をしておきます

「削板ちゃん、特に何かお願いを聞いてなかったので何にしますか?」
「俺はこの友愛高校の連中の根性に感動した!!だから―――」
 ↓
「削板ちゃん、前日は授業でこれなかったからお願いを聞いてなかったので何にしますか?」
「俺はこの友愛高校の連中の根性に感動した!!だから―――」

で、おねがいします

315:2011/06/08(水) 12:34:18 ID:.qAH2E4Y
>>312
「2時間後」を「4時間後」にしてください。
セレナが研究所にいくまでに2時間はかかるんじゃないかなあ、と、
勝手に解釈しましたもので。

316:2011/06/08(水) 20:01:35 ID:Fl5OuDYc
「はあ!?今何て……」
「も、元春、どうしたの?」
携帯電話でどこかと連絡を取っていた土御門が唐突に声を荒げたのに不安に感じた月夜が心配そうな面持ちで彼を見ていると、やがて電話を切った彼がガ―っと頭を抱えた。
「ちくしょうが!!なまじっかこっちが選手だったもんだから、試合に気を配り過ぎて見落としてた!!この土御門一生の不覚だ!!」
「元春!!まさか球技大会の間に学園都市に危機が!?」
「いや、そういうんじゃない、むしろ俺達にとってはある意味非常にいいことなんだがにゃー……」
 口調が戻りつつも、非常に渋い顔で彼が指差した先を見ると、
黒いタキシードを着た端正な顔の青年がこっちを見て、わざわざ手を振りながら穏やかに笑っていた。
「あ。あの人は……」
「月夜、お前も知っているか。」
「そりゃあ知っているよ。統括理事会の中でもこの人を知らない人っていないんじゃない?新坂さんがどうしたの?」
 騒ぎやデマを巻き起こしまくるお祭り男新坂道男は、学園都市の政治機構にあまり詳しくない生徒達にも、いや、
むしろだからこそ、統括理事会といったらまずこの人の顔が思い浮かんでしまうくらいの有名人だった。
「このイベント……前々から急な変更に疑問を持っていたんだが、どうやらそれ、あいつがやってたらしいんだ。」
「ああやりそうだねえ噂通りだったら。」
「それでな。今度の俺達の奮闘ぶりに満足したあいつは、以後友愛高校のマネージャーになるんだとさ。」
「えっ!?統括理事会の!?確かあの人ってすっごいお金持ちなんだよね?」
「ああ。要は『金をいくら使ってもいいからもっと面白そうなこと起こしてみろ』とでもいう感じなんだろうさ。他の奴らに知れるのは恐らく
連休が終わってからになるだろう。ま、その連休中にも情報屋あたりの耳聡い奴から『噂』として漏れるだろうがな。」
「スゴイスゴイ!私達の学校、スッゴイ大きくなっちゃうね!?大覇星祭や一端覧祭なんかもスゴイ豪華になりそう!」
「ああ、『学校としては』それでいいんだろうが。」
「?どしたの元春?何かヤバいことでもあるの?」
 あまり浮かない顔の土御門に要領を得ない月夜が疑問を呈すると、土御門は何故か両耳を抑えながら吐き捨てた。
「俺個人としてはな。あいつが世界で一番苦手なんだ。」

317:2011/06/08(水) 20:01:54 ID:Fl5OuDYc
 元から土御門は彼に莫大な借りがあった。
 いくら情報、人心を「ある程度は」操作するプロといっても土御門は所詮個人だ。
 様々な組織を裏切りつつある彼は、むしろそういった分野においては並みのプロ以上の苦労を強いられていた。
 新坂道男はその地位や権限もさることながら、情報操作の面ではもはや土御門ですら舌を巻くほどの腕前を持っていた。
 今まで幾度も起こって来た魔術師の侵攻を始めとする学園都市のトラブルにおいて、土御門が到底カバーしえないどころかどう始末をつけていいか思わず悩むようなところまでをも処理し続けてきた。
「だからこの後、初春飾利とイギリスのシスターが入れ替わりでイギリスと学園都市を出入りすることはもちろん、
そっから先に繋がるであろう『戦争』においてもこいつが間違いなく出しゃばってくるだろうから念を押して打ち合わせでもしておくかと
今こいつと連絡取り合っていたところだったんだ。そうしたら……」
「ああ成程。ふーん、単なる遊び好きの馬鹿じゃなかったんだね。」
「そんな奴だったら数百倍ましだったさ。」
「元春いつだったか言ってたよね、統括理事会は2つのタイプに分かれるって。
 真っ先に死ぬべきクソ野郎と善人であるが故に貧乏くじひちゃう人だって。
 あの人は?」
「間違いなく前者だな。」
(1秒もかからず即答しちゃったよ。騙し合いや頭脳戦が得意な「背中指す刃」のこいつにも苦手な相手がいるんだ。
 元春には悪いけどなんか面白いというか新鮮な気持ちだなあ。)
 しかし月夜がそれで納得してしまった分、やはり彼女自身はまだ土御門の術中に嵌っていたといえた。
(さすがに月夜には言えんよな。俺が一度あの悪魔と対決した結果………生涯最大といっていい煮え湯を飲まされたことなんか。)
 借りがあるどころではない。
 本来裏のかき合いといったものに十分自信があったはずの彼を、その得意分野で圧倒的に上回り、そして………
(未だ疼く。あいつの声を、噂を聞くと耳が……)
 今はもう問題がないが、負けの代償としてかつて限界をこえた音を聞かされたことで鼓膜が破られ、
数か月の間難聴と痛みと疼きに苦しんだ両耳を抑えつつ、
土御門は今もときどき考える。
(もし、あの時ほんの紙一重、俺が油断しなかったら。奴のあの策を見破り、逆手にとって打ち勝ったとしたら……ハッ!もう仕方ないか。いまさら考えた所で。)
 アレイスターがあらゆる要素を備える『人間』だとしたら、そういったセオリーを覆し得る正に「悪魔」といっていいかもしれない。
 その行動原理はあの『人間』と違って分かりにくくなく、単に「面白そうからか」という、単純、且つ最も厄介なもの。
 トリックスターと言われながらも自分の世界を守るという、まだ分かりやすい原理の下に行動している土御門とは根本的に格が違う気さえした。
 しかし、それでも。

(新坂。もし、お前が俺の仲間を、世界をその興味で弄ぶっていうんだったら。

 この「背中刺す刃」は今度こそ、いや、背後といわずどこからでも、お前をめった刺しにする。
 例えそれで俺自身が折れることになろうともな。)

318:2011/06/08(水) 20:27:25 ID:Fl5OuDYc
新坂。もし、お前が俺の仲間を、世界をその興味で弄ぶっていうんだったら。

…まあいいだろう。
だがな新坂。もしお前が俺の仲間を、世界を、その興味で弄んだなら。

319:2011/06/08(水) 20:29:51 ID:Fl5OuDYc
弄んだなら。 →弄んだときは。

320ё:2011/06/08(水) 22:09:07 ID:64EGBY3M
「えー、皆さん。球技大会優勝、おめでとうなのですー♪ そんな皆さんの為に優勝記念パーティーを開いちゃいますよー!」
 
 一度集合した上条のクラスの生徒全員は、小萌のパーティー開催宣言に心の底から歓喜した。
 その後、小萌からそのまま友愛高校の食堂へ向かうように告げられて少しテンションが落ちたが、それでもバカ騒ぎが好きなことには変わりない。
 上条達選手陣は汗を流すためにシャワー室へ向かおうとする中、真夜が1人だけ小萌に呼び止められる。

「頑張った真夜ちゃんにこんなことを頼むのは心苦しいのですが、パーティーに出す料理を作ってもらえますか?」
「別に構いませんよ。でも俺だけってことはないですよね? 他にも人手が無いと」
「その点は抜かり無いのです♪ 先生はちゃんと頼れる人達に声をかけてるので安心して下さい」

 分かりました、真夜は嫌がりもせずに引き受けると荷物を小萌に持ってきてもらうように頼むとその場を後にした。
 その足で真夜は医務室に直行、風邪もほぼ治りかけている真昼と意識を取り戻した茜川を連れて友愛高校へと向かうことに。

――――――――――

「みんな試合ご苦労さんなのよ。ほら、自分のはちゃんと忘れずに持って帰るんだぞ」

 こちらは建宮の居る魔術師達の得物預かり所、預けていた魔術師達は既にシャワーを浴びて着替えも済ませてここに来ている。

「確かに返していただきました。天草式教皇代理、信用できる人物のようですね。ではショチトルに五和さん、自分達も向かいましょうか」
「五和、お前さんどこに向かうってのよな?」
「これから【歩く教会】チームの皆さん、もちろんサッカーの方ですが食わせ殺しでパーティーをするんです」
「ほぅ、それはまた羨ましいのよね。こっちは上条当麻のクラスの連中の為にパーティーの料理作らにゃいかんっつーのに」

 建宮の愚痴を聞き逃さなかった五和とエツァリが建宮に詰め寄る、あまりの速さに建宮は驚きショチトルは呆れていた。
 五和とエツァリは建宮から小萌に自分のクラスのパーティーの料理を作る依頼を受けたことを話したが、2人の興味はそこには無くパーティーが上条絡みということにあった。

「当麻さんの参加するパーティーでご奉仕するべきか、今日の激闘を一緒に戦った仲間達と楽しい時間を過ごすべきか……迷いますね」
「上条当麻が居るということは御坂さんも当然参加するでしょう。そこで自分の出した結論をお2人に告げるいい機会ですがチームの皆さんとも親睦を深めたいですし……」
「2人とも、今日の所は試合を共にした仲間と過ごすのよね。お前さん方が言ったことはいつでも出来る、けどあのチームで楽しく騒ぐことはあまり無いだろう。そうゆう出会いは大切にするのよ」

 建宮のまともな物言いに五和とエツァリが【歩く教会】チームの方を選ぶのを見て、ショチトルは建宮という男に関心していた。
 こうして何の問題も無く終わるかと思われたが、五和の何気ない一言が問題を引き起こす。

「まあ建宮さんの言う通り、当麻さんに大っぴらにアタック出来るチャンスはいくらでもあります♪ 初春さんがイギリスに居る約2週間が勝負ですね」
「…………五和、海軍用船上槍を組み立てろ。悪いがアステカの魔術師のお2人さんは先に行ってるのよ。五和も後で向かうから安心しろ」

 エツァリとショチトルは建宮の豹変ぶりに驚きながらもそそくさと部屋を後にし、五和も言われるがままに海軍用船上槍を組み立てて念の為に構えを取る。
 次の瞬間、建宮がフランベルジェで袈裟斬りしてきたので五和も慌ててガードし、ガギィィィィィン! と大きな音を出すだけに被害を抑えた。

「なっ、ななななな何するんですか建宮さん! 今の斬撃、本気で殺す気満々じゃないですか!」
「五和、世の中には言って良いことと悪いこと、そして言ったら死んで侘びることがあるのよね。飾利姫が俺を置いてイギリスへ行くなどと、死んで償うしか道は無ぇぞ」
「ちょ、ちょっとタイムです! ここはきちんと話をぬぐっ! こ、今度は押し潰す気ですか! うわっ!」

 建宮の斬撃を受け止めたはいいが、私服に着替えてしまった五和には球技大会で見せたほどの力は無く大人げない建宮の押し込みに負け、部屋のドアを突き破って廊下の壁へと叩き付けられる。
 背中に強烈な痛みを感じながらも五和は体勢を立て直したが、それよりも速く建宮の横薙ぎの一閃が迫っていた。
 五和は割と本気でマヌケな人生の終幕に泣きそうになったがそうはならなかった、神裂が七天七刀の鞘で建宮の後頭部に一撃入れて建宮を気絶させてくれたお陰である。

321ё:2011/06/08(水) 22:11:34 ID:64EGBY3M
「まったくこのような所で何をしているかと思えば……。五和、怪我はありませんか?」
「は、はい。あ、ありがとうございます女教皇様」
「先程の試合、服装はともかくお見事でした。ところでどうして貴女が建宮に襲われていたのですか?」

 命を救ってくれ、自分の試合を褒めてくれた神裂に最初は感激していた五和だが、この経緯を説明すれば同じことの繰り返しになると思って頭を悩ませる。
 どうにかして切り抜けようとしたその時、神裂の横にいた佐天に気付くと、

「そのことなら隣に居る女の子に聞いて下さい! おそらく女教皇様の知りたいことも教えてくれますから! では私はこれで!」

 早口かつ大声で佐天へと責任転嫁をしてダッシュで逃げ出したが、神裂も初春のことを知りたがってると瞬時に推測したのは流石である。
 神裂は五和の逃亡に少しだけキョトンとすると、気絶した建宮を引きずって上条たちの居る控え室への歩みを再開させた。

「佐天、飾利はどこに行ったのですか?」
「(その質問97回目……)当麻兄さんか土御門さんが教えてくれます」
「そうであればいいのですが……。もしシェリー辺りが飾利が可愛いからと独り占めしていたらと思うと」

 同じ質問、似たような妄想をする神裂に佐天はげんなりしていた。
 少し歩くと一室のドアが開き、上条のクラスの決勝進出メンバーがゾロゾロと出てきた(美琴、黒子、打ち止め、滝壺、郭はスタジアムの外で待っている)。
 神裂、疲れた表情の佐天、気絶している建宮を見た土御門は状況を理解して自分と上条以外を先へと行かせた、神裂に食い下がる野原を力づくで黙らせて。

「佐天はあなた達に聞けば分かると言っていました。なので聞きます。飾利はどこに居るのですか? 嘘や黙秘は許しませんよ」
「(やっぱりそれか……。下手に引き伸ばすよりもスパッと真実を告げた方がいいな)さ、カミやん。ねーちんに教えてやるぜよ」
「ああ、別にいいけど。あのさ神裂、飾利なら今日からGWが終わるまでイギリスに留学するってさ。多分キャーリサやヴィリアン、最大主教の世話に……神裂、さん?」

 特に深く考えずに初春のイギリス留学を告げた上条、しかし神裂が何のリアクションも見せないことを不思議に思って神裂に近づいた。
 そして上条は気付いた、神裂が立ったまま気絶していることに。

「カミやん、お前さんは本当に残酷な男だぜい。ねーちんに初春ちゃんがイギリス留学してることを平然と告げるとはな。ねーちんの初春ちゃんへの依存っぷりを知ってるくせに」
「当麻兄さん、もう少しくらい優しく言ってあげても……。飾利が誰かと一緒って知っちゃったせいで神裂さん、考えること放棄しちゃったじゃないですか」
「……悪い。いくら神裂でも飾利のイギリス留学でここまでの反応するとは思わなかった。けどとりあえず神裂と建宮、どうし」
「おーい兄貴ー、上条当麻ー、佐天ー」

 自身の軽率ぶりの反省を終えた上条は気絶してる神裂と建宮を置いてはいけないと思い、どうしようか考えようとしていた。
 そこへ舞夏がのほほんとした雰囲気で現れた、珍しく警備ロボットの上に乗らず自分の足で。

「にゃー舞夏ー♪ 会いに来てくれたのは嬉しいんだがちょーっと間が悪かったかな。今カミやんと佐天ちゃんと一緒にこの2人をどうしようかと」
「それなら問題ないんだぞー。私はもともとこの2人を探してたんだぞー。なんてったって兄貴のクラスの優勝パーティーの料理を作るんだからなー」
「だったらこの2人を担いで学校に戻ればいいな。学校に着く間には2人も意識を取り戻すだろ」
「2人がこの調子というのはちと心配だが腕の振るい甲斐はありそうだなー♪」

 神裂を佐天と舞夏で、建宮を上条と土御門でそれぞれ運ぶことに。
 そして残ってくれていた美琴と白雪と合流し、同じく残ってくれていたマイクロバス(運転手は災誤)に乗って友愛高校へと向かうのだった。
 かくして球技大会は幕を閉じ、優勝パーティーというGWを含めた大型連休が始まるのであった。

322ё:2011/06/08(水) 22:13:46 ID:64EGBY3M
球技大会編、これにて終了とさせていただきました。
優勝パーティーからGW編としましたがまあ、優勝パーティーから大型連休の始まりと思ったので。

323:2011/06/08(水) 22:56:01 ID:Fl5OuDYc
私的には浜面と半蔵は、スキルアウト達のパーティーに
参加すると思うんですがどうでしょう?

324:2011/06/08(水) 23:14:25 ID:Fl5OuDYc
苦手なスポーツものを必死でこなして、作家の皆さんもお疲れさまでした。
今までの話を読み終わってからの途中参加でしたが「外伝キャラを本編に絡ませるべきか」の実験として私にとっても大変有意義な話でした。
どうやら皆さんのキャパをオーバーしているようなのでこれ以上の登場は控えさせていただくとします。
ありがとうございました。

325±:2011/06/09(木) 21:46:10 ID:23HLNIQM
長かった球技大会編もついに完結しましたね!
これで書き手も増える………筈
では優勝パーティー編もといGW編、はじめさせていただきます

☆さん
別に浜面や半蔵スキルアウト達が応援に来てるのを知ってるわけではないのでそのパーティーに参加する必要はないかと思います

――――――――――

「では、今回の優勝を祝して……」
「「「「「乾杯ー!!!」」」」」

 吹寄の合図で全員がグラス(言うまでもなく中身はジュース)を持ち上げて乾杯をした。
 しかし、その乾杯の時に揺れたグラスからこぼれたジュースが上条の頭にかかった。

「……不幸だ」
「と、当麻大丈夫だって!きっといい事あるからさ!」
「いや、美琴がいるだけで俺は幸せだぞ」
「当麻………」

 開始10秒ほどで早速いちゃつき始める上琴。
 周囲の人たちは、もう勝手にやってくれと言わんばかりに離れていった。

「みんなー、どんどん作るからどんどん食べてね」
「なあ〜、なんで優勝に貢献した真夜が調理とか雑用やってんだよ〜」
「真昼さん、そんな事言わないでよ。俺が好きでやってんだしさ。……はい、大好きな麻婆豆腐」
「ん、サンキューな。……ウチの味付けより辛くないな」
「………それは、あんだけ辛かったら殆どの人が食べられないよ」
「……アレがうまいのに」

 実は超辛党の真昼はこの麻婆豆腐の辛さが物足りないらしく、不満げに愚痴をもらしはじめた。
 それを見ていた真夜は仕方ないなと言わんばかりに豆板醤を真昼に渡した。

「……自分のとるぶんの所にいれてよ」
「やっぱり気が利くなー。そういう所、好きだぜ」

 そういう笑顔が俺も好きだよ、と言い残して真夜はまた調理場に戻っていった。

――――――――――

 一方、別の場所では白雪と茜川が仲良そうに話していた。
 当然、話の内容は今日の試合の事だった。

326:2011/06/09(木) 21:52:11 ID:28O/qz2E
……残念。
真羅さんの方はどうやら息子達とすれ違ってしまったようで……
朝陽さんと絡ませようかな……

327:2011/06/09(木) 21:58:36 ID:28O/qz2E
>>324
正確には今出ているキャラで精一杯といったところですのでこれ以上の新キャラの増加は
こちらでは控えることとします。

少し制作裏話を。

328:2011/06/09(木) 22:18:36 ID:28O/qz2E
実は新坂道男は>>96を書いている最中に、この賭けを成立させるために生みだされたキャラです。
あのカップルだと通常女の子の方が所謂お嬢様なのですが、それだとどうしても麗奈がこの賭けを成立させないということになるため、
通常とは反対に男の子の家の方がお金持ちということにしました。(まったく、作者の手を掛けさせる天然君です)

原作だと、やっぱり統括理事会がお金持ちの印象が強かったので職業は決まったのですけど
そうなると、土御門が19巻で言った「統括理事会の善人」の中に入らないような人である一方
やっぱり彼の父親なんだからとんでもない下衆や悪人は違和感あると悩んだ結果
ホーレス・デ・ヴェレ・コールという実在したとんでもない悪戯者のイメージが思い浮かび、
土御門以上のトリックスター的性格になりました。現在ではさながら
「封神演技」(藤崎竜)の申公豹というキャラみたいなものでしょうか。

あと、潮岸や親船のように、学園都市を運営しているキレ者としてちゃんと役割や得意分野を与えたいと考えた結果
大衆を煽るメディアなんかが相応しいような感じがしました。
当初は設定合わせの為に作ったキャラのはずなのですが、なんかすっごい暴走しそうです。

裏設定
・天体観測や宇宙開発部門にも力を入れていて、(礼男が星空に興味を持ったのは父の影響といえる)その理由は
「宇宙人がいたら面白そうだから」
「月や火星に行ってみたいから」といった彼らしいものらしい。

329:2011/06/09(木) 22:22:38 ID:28O/qz2E
彼らしいものらしい。→彼らしいものだという。

真羅とレイシェルも、セレナの設定でどうしても
科学者を絡ませたいので昔にちらっと出てきた設定を拝借させてもらったのと
「学園都市の大科学者」というとなんかイカレ狂った人という印象がある一方
こっちも真夜と真昼の父親という設定故の歯止めがあったのでこうなっちゃいました。
清々しい程の下衆な人を書くことって難しいんだなと痛感。

330:2011/06/09(木) 22:42:39 ID:28O/qz2E
ただ、こっちの2人はまだキャラがはっきりとしていない感じです。
せめて独特の口癖位決めとけばよかったかな。

331±:2011/06/13(月) 18:49:27 ID:W6hjWdpw
うーん………書き手が来ない……………
もし書きにくいのであれば白雪と茜川のからみをなくしてください
………むしろ試合の事が難しいのか?

332ё:2011/06/13(月) 18:53:57 ID:84frBEPA
 ちょっと考えることがあったので投下遅くなりました。

――――――――――

「赤音ちゃん、体の方はもう大丈夫?」
「うん♪ 来てくれた先生の腕が良かったからね〜。心配してくれてありがとね月夜ちゃん」
「良かった、安心したよ。けどお互い、決勝ではあまり活躍出来なかったね。赤音ちゃんの場合は前半しか出場してなかったこともあるけど私は……」
「しょうがないんじゃないかな〜。月夜ちゃんは徹底的に抑え込まれてたもん。でも決勝ゴールのアシスト、見事だったよ♪」

 白雪と茜川、親友同士の会話は実に楽しそうではあるのだが食べている料理がかなり変わったものだった。
 BLTサンドを食べているのは白雪だが挟まれているベーコン、レタス、トマトから冷気が発していて見るからに冷たそうなもの。
 片や茜川はミートドリアを食べているがあまりの熱さにミートドリアが激しくボコボコと音を立てているもの。
 両極端な料理を白雪と茜川が美味しそうに食べているのを周囲のクラスメートは信じられないといった風な視線を送っていた。

「月夜ちゃんが食べてるBLTサンドって土御門君の妹さんのお手製?」
「うん。舞夏のこうゆう気配りはさすがメイドって感じだよ。そうゆう赤音ちゃんのミートドリアは井ノ原くんが作ったんだよね?」
「もっちろん♪ 真優しくて気配りも完璧、でも時には怒ってくれる。私も真昼ちゃんも真夜君が恋人でホント幸せ〜♪」
「はいはいごちそうさま。でも料理を作ってくれる男の子が恋人ってちょっと羨ましいよ。私も元春に料理作ってもらおうかな〜」

 会話に華を咲かせつつ白雪と茜川は次の料理のリクエストを考えていた。

――――――――――

「いやー、一時はどうなるかと思ったが何とか2人でも回るもんだなー。なかなか出来るなー、えっと」
「井ノ原真夜だよ、土御門さん」
「そっかー、お前が例の双子の弟かー。よろしくな真夜ー」

 調理場で慌しくも会話をしながら料理を作る余裕を見せているのは舞夏と真夜、時折来るリクエストにもきちんと対応出来ている。
 本来ならあと2人調理場で料理を作っているはずなのだが、

「建宮のおっさんと神裂さんって人、料理作るどころじゃ無かったね。2人がどんな料理を作るのか楽しみだったのになぁ」
「私も同感だが無いものねだりしても始まらないんだぞー。それに今となってはあの2人が復活してもかえって邪魔だからなー、正直言って」

 舞夏の言葉を少し酷いと感じながらも真夜は今のリズムを崩したくは無かったので同意見だったりする。
 そして2人は楽しげに料理を作り続ける、皆にパーティーを愉しんでもらう為に手伝ってもらうことを断る雰囲気を出し続けて。

――――――――――

 その一方で本来なら調理場で料理を作っているはずだった神裂と建宮はテーブルの一角を占拠して、もの凄く落ち込んでいた。
 お互い無言でウーロン茶を飲んでいる神裂が落ち込んでいる理由、それは当然ながら初春の渡英に他ならない。
 そこへやや申し訳なさそうに土御門がやって来た、右手には沢山のねぎまと串かつを乗せた皿、左手には小萌にばれないように舞夏に用意してもらったオレンジチューハイを携えて。

「にゃー、お2人とも心中お察しするぜい……。2週間も初春ちゃんがイギリスにおぶっ!」
「よくもまあぬけぬけとそのようなことが言えますね。飾利の渡英をっ! 知っていながらっ! 止めなかったっ! 重罪人がっ!」

 いつもの調子で話したのが悪かったのか、土御門は神裂の怒りを買ってしまい5回ほど顔面をテーブルに叩きつけられてしまう。
 聖人たる神裂の手でテーブルに叩きつけられた土御門のダメージは深刻で意識が飛びかけるほどだった。
 そこへ周囲にばれないように回復魔術で傷を癒してくれた建宮に感謝しようとした土御門だが、

「女教皇様も落ち着くのよね。この重罪人を殺るなら話を聞き終わってからでも全く問題無えのよ」

 単に話をさせる為だけにしてくれたことを知ると一瞬で感謝の念は消え去った。
 土御門は目の前の初春バカの2人に真面目な口調で今回の件について話した、当然ながら自分が初春の渡英を今日知ったことも忘れずに。

333ё:2011/06/13(月) 20:10:23 ID:84frBEPA
「成程。あなたも飾利の渡英は今日知ったはいいが渡英理由は知らされていない。そうゆうことですね?」
「まあな。闇咲と対馬が同行するって話だから十中八九魔術絡みだろう。おおかた最大主教が」
「飾利姫のあまりの可愛さにとうとう我慢出来なくなって自分の手元に置こうって考えたわけか、あの年齢不詳の女狐め」
「いや、そんなことは絶対に」
「むぅ、飾利の愛らしさなら起きうる事態ですね。建宮、こうしてはいられません! 我々も急ぎ飾利を追いあうっ!」

 人の話を聞かず、勝手かつおバカな結論を出す神裂と建宮に呆れた土御門は暴走しかけた2人を止めようとした。
 そこへ個展の最終チェックを終えたシェリーが神裂の頭をはたいて暴走を抑えた、真夜に作ってもらったぺペロンチーノを食べながら。

「ったく天草式のトップとナンバー2のお前らが取り乱してどうすんだよ。そんなんじゃ飾利も安心してイギリス行けねぇだろ」
「シェ、シェリー……」
「事情なら私が話してやる、包み隠さず全部な。だからもう妙なこと考えたりするなよ。飾利を困らせたくなかったらな」

 そしてシェリーの口から初春の渡英の理由、その間に入れ替わるように学園都市入りするオルソラとアンジェレネの目的が語られた。
 神裂と建宮はローラの目的に多少納得できなかったものの、キャーリサとヴィリアンとの思い出作りの為の渡英に納得した。
 土御門はローラの呼び出しと初春のイギリスの2人の義姉への配慮にそれぞれのらしさを感じる中、オルソラとアンジェレネに監察役が務まるのか心底不安になった。

「基本、オルソラとアンジェレネの監察対象は私とお前ら2人だけど土御門、お前や他の学園都市支部の奴らも対象に入ってるだろうから気を付けろよ」
「心得てるぜよ。あの2人に監察なんて出来るとは思えねぇけどそれなりに大人しくするから心配いらないにゃー。ねーちんと建宮も分かってるとは思うが」
「分かっています。飾利が居ないからといって腑抜けるようなことはしません。しかしオルソラとアンジェレネが飾利の代わりとは全く以って割に合いませんね」
「それは仕方の無いことなのよ女教皇様。にしてもシェリーには話して我らにはお話して下さらなかったとは……物悲しいものがあるのよな」
(そりゃお前らがそうゆうリアクション取るって飾利が分かってたからだっての……)

 失意のどん底からようやく立ち直った神裂と建宮を見て土御門とシェリーは安心したが、やっぱり初春不在ということを考えると不安が少し残った。
 立ち直った2人が本来やるべきパーティーの料理作りに向かおうとしたが、調理場から発せられる雰囲気を感じ取り向かうのを止めるのと同時に暇になってしまう。
 とりあえず何か食べようとしたその時、神裂の携帯が鳴ると神裂は相手が誰かも確認せずに電話に出た。

『もしも』
「飾利ですね! 良かった、渡英する前に貴女の声が聞けて!」
『あ、あの火織お姉ちゃん、黙ってイギリスに行くことになってゴメンなさい。けど安心して下さい、必ず火織お姉ちゃん達の所へ帰ってきますから』
「いいんです、いいんですよもう……。私も建宮もこうして貴女が電話をしてくれただけで充分です。ところで今どちらに居るのですか?」

 電話を掛けて来た初春から第二三学区の国際空港に居ることを伝えられた神裂、今回は心に余裕が出来たので建宮にも初春と話す許可を与えた。
 建宮も初春の言葉を聞いて心から満足していた、ただし初春と神裂の会話内容と殆ど同じことに気付かずに。
 神裂は建宮から電話を返してもらうとオリアナが居ることを初春から聞かされたので、オリアナと電話を代わってもらった。


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