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アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.15

737ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w:2023/12/31(日) 22:40:25 ID:R7BORdwY0
彼の外見は、傍目から見ればどこにでもいるダークエルフ族出身の若い青年であり、どこか気弱そうな長い銀髪がその気怠げな雰囲気をより
醸し出している。
だが、若そうな年齢が想像できる割には、口調は妙に重々しい。
まるで、歳を食った年配者のような感覚に見舞われるのだが、それは間違いではなかった。
ラプトは御歳80歳を超える。
アメリカ的に言えば高齢者に入る年齢だが、不老長寿種の1つであるエルフ族の彼には、その外見的な老いというものが存在しなかった。
だが、内面的には行きた年数だけの経験が反映されている事もあって、若い世代の部下達とたまに雑談などを交わしていると、会話が微妙に
噛み合わなく場合もある。
最近知ったアメリカの言葉には、世代間ギャップという物があり、自分は時折、そのギャップに苦しめられているのだと、ラプトは時折
口にするようになった。
そんな彼は、ミスリアル王国の中で有数の氏族でもあるエスパレイヴァーン族の族長であり、王国中枢との繋がりも深い事で知られている。
それに加えて、王国内でもこれまた有数の魔導学園であるレマンナ学院の学院長も務めており、過去の経験を生かした魔導研究はもとより、
教壇に立って授業を行う事もある。
魔法戦士から研究者……そして、教育者という幾つもの顔を持つラプトは、今やミスリアル魔法研究の権威として魔法学会のトップに君臨する
大人物とも言えた。
そんな大物である彼は、本を見ながら来客を今か今かと待ち続けていた。

「もう3時か。あいつめ、大先輩を待たせるとはいい度胸だ」

ラプトは舌打ちしつつ、本から目を離して、隣に置いてあった報告書に目を通す。

「しっかし、レイリーに渡した水晶が派手に砕け散るとはな。ハヴィエナは禁呪指定を受けただけもあって、発動体の水晶は強度自体かなり
高いはずだったが……」

彼は目を細めながら、水晶が割れた原因を考え始めた。
そこにドアが勢い良く開かれ、待望の客が彼の部屋に入室してきた。

「族長!お久しぶりです!!」

余りにも大きな声に、ラプトは思わず体をビクンと跳ね上げてしまった。

「お、おい!なんだその声は!それにドアを勢い良く開けるんじゃない!あとここでは族長と呼ぶな、学院長と呼べ!」


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