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バトルロワイアルぺティー

2リズコ:2004/03/06(土) 02:16 ID:1Nf1VncU
 プロローグ


 やっと動き出した。渋滞にはまっていたバスがまたゆったりと動き出したので、千嶋和輝(男子九番)はため息をついて、外を見渡した。
 二〇〇五年、七月十六日。この日は、とても暑かった。クーラーが効いた車内の中で、四十二人の生徒が騒いでいた。

 三日間の林間学校の初日。定期試験明けで、生徒達の顔は皆、はればれとしていた。和輝も、あらかた同じ気持ちだった。ただ、この後に返ってくる成績表のことを考えると、頭が憂鬱になったが。

 それにしても、何で俺がこんなだるい行事に参加しなきゃいけないんだ。アスレチックとか、オリエンテーションとか、登山とか。そんな疲れることやんなくていいから、普通に宿で休ませてくれよ。窓の外に広がっている、大して面白くもない都内の景色を見ながら、和輝は思った。
一日目から、どこかの公園でオリエンテーションをやるらしい。面倒だな。和輝は体勢を変えて、眠りにつこうとした。


 ―――うるさくて眠れない。和輝が怪訝な表情で目を開けると、隣に座っていた友人の大迫治己(男子二番)の背中が見えた。
 大迫治己と和輝は、中学の時からの付き合いだった。家が近いこともあって、和輝は大抵、治己と一緒にいた。
それについては、特に疑問を持つことはなかった。ごく自然で、嬉しくも悲しくもない。要するに、当たり前のことだった。
 元サッカー部のエースの治己は、細めだが引き締まった体つきをしていた。やや焼けた肌と、嫌みのない笑顔は、まさしくさわやかなスポーツマンといった印象であろう。
和輝とは外見も性格も正反対だった。
和輝は色が白くて、不健康そうだとよく言われていた。スポーツなどあまりやらない。家に帰ってゲームをしたり、寝ている方が幸せな男だった。落ちついているように見られがちだが、実はただボーっとしているだけだった。
一歩間違えれば暗い奴なのだが、外見に助けられていた。二重の優しげな目。少し面長の小さな顔。色素の薄い、猫っ毛。
和輝は割合、女性にもてる顔立ちをしていた。だがあまり女子と話さなかったので、クラスでは、物静かで硬派な人だという誤解を受けていた。

治己は周囲にいつも言っていた。
「和輝はさー、クールそうに見えてただのバカだから。何か色々考えてそうに見えて実際は何も考えてないから。オレの方がずっと色々考えてるし」
余計なお世話だ。和輝はいつもそう思ったが、特に訂正する必要性を感じなかったので言わせておいた。治己の言っていることも、あながち間違いではなかったらしい。


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