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バトルロワイアルぺティー

153リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/11(日) 21:40 ID:1Nf1VncU
以前の行動>>142

 田阪健臣(男子七番)は、銃(S&WM19・357マグナムだった)を、ゆきの胸に向けて、言った。
「まあ、お前どっちみち、もう長くないよ」

ゆきは、冷静な調子で話す健臣に驚いていた。ショックだった。撃つなら最初にさっさと撃って欲しかった。せっかく信用したのに。中途半端に優しくするから、余計惨めになるじゃない。

ゆきは涙をこぼした。それを見た健臣は、眉をひそめた。
「お前に恨みはないけど、俺は死ぬわけにはいかないんだ。ごめん」そう言って、銃を持つ手に力を込めた。


黒く、ねばついた光を放っている銃を見ながら、ゆきは思った。今度こそ、私は死ぬんだろう。
銃から目を離して、健臣を見た。銃を自分に向けている健臣の姿は、相変わらずさまになっていた。そして、自分が不思議に落ち着いていたのにも気がついた。気が、抜けていたのかもしれない。


ゆきは喉をしゃくりあげながら言った。「謝る必要なんてない。こんなゲームの中だもの。撃つなら撃ちなさいよ!」

言ってしまった。少し後悔したが、もう遅いだろう。ゆきは目をつぶった。



いつまで経っても銃声がしないので、ゆきは目を開けた。


健臣は、今の言葉を聞いて、たじろいだようだった。銃を持つ手が、震えているのがわかった。やはり、実際に人を撃つことに、ためらいがあったのだろう。



とにかく、逃げなきゃ!


ゆきは発起して、走り出した。体はもう動かないような気がしていたが、大丈夫、まだ走る力は残っていたようだ。



健臣はそれを見て迷っていたが、狙いを定め、撃った。



ばん。ばん。



二発の銃声が辺りに響いた。


それと同時に、走っているゆきの背中に穴が開き、ゆきは、ドッと前のめりに倒れた。 口からは、血が流れ出した。

思った。ああ、私死ぬんだ。あっけない人生だったな。でも、思ったより苦しくない。ゆきは笑みを浮かべた。さよなら、この世界。
ぼうっとしてきた頭に、ある思いがよぎった。

千嶋君、怪我させてごめんね。あんなことしたけど、本当に大好きだった。
笹川さんも、怖がらせてごめんね。
田阪君。よくもやってくれたな。
・・・でも、怒る気力がないや。水くれたから、特別に許しちゃう。
お父さん、お母さん。親不孝な娘で、ごめんなさい。

―――そのまま眠るように、梅原ゆきは死んでいった。



健臣は、ゆきがぴくりとも動かなくなったのを見ると、そっと近付いた。

黒く、ふわっとした髪が、ゆきの顔を覆っていた。
健臣はその髪をかき上げて、ゆきの顔が見えるようにした。

柔らかい土の上に倒れたゆきの顔には、土がついていて、まるで眠っているかのような表情だった。それを見た健臣は苦々しい思いで、ゆきの冥福を祈った。



健臣は、ゲーム開始時にこのゲームに乗ることに決めていたが、井上聖子(女子五番)や、新島敏紀(男子十四番)のように、簡単に人を殺すことなんて出来ない男だった。
でも、そんなんじゃいけない。こんなことじゃ生き残るなんて無理だ。

もう一度ゆきの顔をチラッと見た。胸がギリギリと痛んでいたが、無視をした。

健臣は違う方向に、歩き出していた。【残り33人】


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