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ラジオスレ 23
1
:
名無しさん@避難中
:2015/01/05(月) 00:27:43 ID:2WhjtosE0
創作発表板を盛り上げるべく放送したりなんだり
ノリと勢いでゲリラ放送したりなんだり
放送中の実況
普段は企画ネタなどを募集しております
新DJはいつでも募集中
≪前スレ≫
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/3274/1364743820/
≪まとめWiki≫
http://www1.atwiki.jp/souhatsu_ggg/pages/77.html
≪DJのやり方≫
超図解!誰でも始められるネットラジオ Livedoorねとらじ編
http://www.atamanikita.com/start-netradio/
587
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:10:34 ID:dBT6yYcs0
これはwww
588
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:10:36 ID:9r0U/PQA0
これトンネル効果が最後のオチになる流れか。
589
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:11:04 ID:wzKUOr020
wwwwwwwwwwwww
590
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:14:14 ID:D2Y04WZU0
あ、それ楽しそう >即興一次
591
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:33:41 ID:wzKUOr020
話し手の組み合わせによって話題が違ってておもろい
飲み談義(青森さん+わし育さん)
漫画談義(わし育さん+古時計屋さん)
592
:
青森さん
◆wHsYL8cZCc
:2019/03/23(土) 23:35:09 ID:06eAeGFA0
「まった!」
私が逡巡していると、なんと妹のほうが先に口を開いた。
「まずそのホワイトボードをしまって!」
テール星人がどこからともなく取り出したホワイトボードを指差して、妹は言葉を続けた。
「まずさ、そんな難解な公式書かれても分からないわけ。私まだ小学生なの。基礎学力が小学生。オッケー?」
テール星人がホワイトボードを床に置く。いいぞ、このまま説明を続けられても私が困る。だって私の基礎学力も高校生程度だし。
「私が知りたいのはざっくりした説明でいいの。ざっくりこんな事が出来るんだー、程度でいいの! めんどくさい話はいや!」
妹が地団駄を踏んでテール星人に畳みかける。
いかな宇宙人も小さい子供には弱いのか、少し大人しくしている。ウルトラ警備隊はやく来い。
「シカシ、正シク理解スルニハ正シイ知識ガ」
「だから、正しい知識を理解するに至る基礎知識がいまの私には備わってないのよ。まだ学校で桁が多い分数の割り算を習ってるレベルなんだよ。数式なんて分かるわけないじゃん」
「言イタイ事ハ分カリマスケド、カト言ッテココデ間違ッタ知識ヲ覚エテモイケナイデショウ?」
「だから時期尚早だって話なの。好奇心故にお姉ちゃんに聞いてはみたけど本当に私自身がそれを理解できるとは私自身が思っていない。まずここいい? 故に私は単に子供特有の無垢な好奇心故に姉に尋ねたわけで、ここで大人がすべき事はざっくりとした分かりやすい例え話でいいの。お姉ちゃんに求めたのはそういうもので、そこでマジになるガチ勢はだからコミニュニティでよく嫌われるというかなんというか……」
私の妹はほんとに小学生か?
「分カリマシタ。ナラ化学ノ基本、実験デ示マショウ」
えっ、ほんとー? と妹が楽しそうな声を上げて、それに答えテール星人が立ち上がる。
「先ホド貴女ノ姉ガ言オウトシタノハ、コウイウ事デス」
テール星人が妹の手を取り、そして。
「デハ行キマショウ」
テール星人の足元から波紋が広がり、そして、妹と共に床をすり抜け消えて行った。
593
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:35:29 ID:dBT6yYcs0
なんかソダさんだけ声響いてない?
594
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:39:19 ID:dBT6yYcs0
泥試合だなぁwww
595
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:40:00 ID:wzKUOr020
青森さんのSSたしかに久々にみるぜ
596
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:41:56 ID:dBT6yYcs0
誤字でクソ笑ったのとかあったなぁ
597
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:42:28 ID:dBT6yYcs0
ほんまなつい
598
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:44:35 ID:dBT6yYcs0
タロさんw
599
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:44:51 ID:dBT6yYcs0
譲ちゃんとか
600
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:51:21 ID:D2Y04WZU0
青森、水。
601
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:54:14 ID:dBT6yYcs0
ハプニング感が楽しいよね
602
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:56:53 ID:dBT6yYcs0
わかる
603
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:57:30 ID:dBT6yYcs0
お嬢様旦那様wwwwww
604
:
◆OSaKadAteQ
:2019/03/23(土) 23:57:53 ID:EiEWzRLY0
「うおおおおおおおおおおすごおおおおおおおおおおおおおおおい!!」
妹が床をすり抜け、私が絶叫してから、25年の時が経った。
感動と興奮は10分ほどで薄れ、一切戻ってこないことに不安を覚えたのは1時間経ってからだ。
パニックになりながら、帰宅した母に説明すると、困ったような笑みを浮かべられた。
父親も、まともに取り合ってくれなかった。
それでも夕飯の時間を回ったくらいの時間には動揺が広がり、警察に電話していた。
テール星人の仕業だと言っても、二人共信じてくれなかった。
「いたのっ! テール星人は本当にいたの! そしてあの子をさらっていったの!!」
父に頬を叩かれた直後、何かが溢れ出してしまい、大声をあげて泣いた。
痛かったからではない。
引っ叩かれたあとに、優しく抱きとめられたせいだ。
二人は信じてくれないのだろうと、言葉ではなく心で理解することが出来た。
それが冷たさ故ではないことも、理解できてしまった。
だから、私は一人で戦うことを決めた。
気を使ってなのか、私の前では妹の話を控えるようになったのに、毎晩遅くまで妹の情報を探していた両親のためにも。
私はトンネル効果の勉強をするために、必死になって勉強した。
妹にちょっと小馬鹿にされる程度の学力しかなかった私が、二浪の末に一流大学に入ることができた。
それもすべて、両親の助力があったおかげだ。
二人は私が予備校に通うお金も出してくれたし、毎夜遅くまで勉強する私に、夜食を差し入れてくれた。
その想いに報いるためにも、そして妹を救出するためにも、なんとしてもトンネル効果及びテール星人について解き明かさねばならない。
「いたの……テール星人は、本当にいたのっ……!」
だが――20年近い研究を経ても、彼らの正体を掴むことは叶わなかった。
研究費は年々減り、学会でテール星人がトンネル効果により人間を拉致する話を熱弁したことで追放もされた。
両親は心労が祟り、数年前に他界した。
もう、夜遅くまで研究している私に、夜食が差し入れられることもない。
「うう……本当なのよォ……トンネル効果で……あの子が……」
もう、行き詰まった夜は、第三のビールを何缶も開け、便器に向かって涙と胃液をこぼすことしかできない。
どうして、あの日、テール星人と掌を合わせるあの子を黙って見てしまったのだろう。
どうして、あんなくだらない見栄を張ってしまい、「わからない」と言えなかったのだろう。
あの日言えなかった「わからない」を、もう言えない。もう止まれない。
なんとしても、トンネル効果とテール星人を解き明かし、妹を奪還しないといけない。
そうしないと、私の、人生は、無価値なものになってしまう。
「……ああ……どうして……どうして私じゃなかったの……」
あの子は、私なんかより、本当はずっと賢かったのに。
見栄を張って、頑張ってあの子より賢ぶってたけど、同じ年齢のときで比べたら、あの子の方がずっと賢かったのに。
さらわれたのが私なら、きっと、あの子がすべての謎を解き明かし、助けにきてくれたのに。
「あの子と違って、私では……」
もう、弱音が止められそうになかった。それでも私は、止まることができないのに。
605
:
名無しさん@避難中
:2019/03/23(土) 23:57:58 ID:dBT6yYcs0
ソダさんの敬語コント感あるなw
606
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 00:00:22 ID:ON/Xc00c0
突然高まるメッセージ(映画)臭w
607
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 00:01:38 ID:V/tRXhC60
キツイwww
608
:
色軍
:2019/03/24(日) 00:06:39 ID:V/tRXhC60
えっソダさん地元じゃなかったんか
609
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 00:08:12 ID:ON/Xc00c0
そういや「なろう」で強いのは毎日更新とかいうが、それも強制的に読者を抱き込むという行為なのだろうねぇ…
610
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2019/03/24(日) 00:32:12 ID:DmuF5dr60
――助けは来ない。
私は1人で戦い続けている。
――助けは来ない。
私は1人で証明しなければならない。
――助けは来ない。
私は妹を救わなければならない。
なんで私はこんなに頭が悪いのだろう。
トンネル効果のすべてを解き明かせば、きっと妹はそこにいるのに……。
伸ばした手の先に、誰もいない。
私の背中を押してくれる人もいない。
私は今日も空間ディスプレイを凝視するように見つめて、実験を続ける。
信仰は誰も救ってくれない。
神様なんて、ここにはいない。
数式と事実だけが、ここにある。
長い……長い月日が流れた。
私は自分の体に延命用のナノマシンを打ち込んで研究を続けた。
身だしなみにだって拘らず、恋人だって作らずにずっと研究を続けた。
それでも、何も起こらなかった。
ある日だった。
私の研究室を子供が訪れた。
それは本当に偶然で私の研究室の近くを通りかかり部屋に入ってきただけだった。
「ねえ、髪の長いおばさんは何をしている人なの?」
そう子供が尋ねる。
「何を……何をしていたんだっけ……。」
ふと、思う。
私は何をしているんだろうと?
――思い出せない。
私は何をしていたんだろうか?
ただずっとディスプレイに向かい続け、取り憑かれたように数式と実験に取り組んでいた。
でも、私は何の為に、こんなに研究に没頭し続けたのだろう。
「ねえ、おばさんは何してるの?」
興味深そうに子供は笑顔で私に尋ねる。
「そうねぇ、私は確か……」
答えないと……答えてあげないと……。
ああ、でも答えが喉から出ない。
頭に答えが思い浮かばない。
でも、それを答えないことは、なぜか悪いことの気がして、それだけはやってはいけないことの気がして……
「お嬢ちゃん、あなたには大切なものってある?」
そうしゃがんで私は子供に問いかける。
「お父さんでしょ?お母さんでしょ?それにね、新しく妹が出来るの!それが楽しみで、大切なものだと思うんだ!」
妹?
わたしにもそんなひとがいたような……。
子供に手を伸ばす。
「私はね、昔、意地をはっちゃってね。大切なものをなくしちゃったの……。だからね、それを取り戻そうと必死になって……。」
そこまで言って気付く。
ああ、そうだ。
私には妹が居た。
大切な……たった1人の妹……。
もうあれから、何十年経ったのだろうか?
ディスプレイで時間を見る。
今日は33世紀の3月5日。
私が妹を失った日からちょうど100年。
それを理解して、私は絶望した。
普通の人ならば、もう死んでいるかもしれない年数が経っていた。
――涙がこぼれた。
私の人生はなんていう無駄の上に成り立っているのだろう。
けれど――
それでも――
私は妹を取り戻すのだ。
「おばちゃん、トンネル効果って知ってる?」
そう子供が尋ねてきた。
その言葉に私は既視感を覚える。
「テレビでね、なんか番組で学者さんが難しいことを言ってたの……でも私にはよくわからなくて、ねえ、教えて!」
私は答える。
「トンネル効果って言うのはね――」
611
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 00:38:46 ID:V/tRXhC60
すごい
612
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 00:39:11 ID:V/tRXhC60
好き好き侍
613
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 00:39:30 ID:V/tRXhC60
いや本当に尊敬
614
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 00:41:34 ID:V/tRXhC60
分岐点だな、素晴らしい
615
:
青森さん
◆wHsYL8cZCc
:2019/03/24(日) 01:40:40 ID:KoUJp0Z60
「手のひらを出して」
彼女が私に手のひらを向ける。
私はそれにあわせて、言葉を続けた。
「いま、私とあなたの手のひらが触れ合ってるでしょう? それは押し合ってる。互いに触れ合ってる。でも、手のひらって、私たちに見えてるだけで、ほんとうは何もないの。すっかすかの真空なのよ。つまり、私達の手のひらは、本当は穴だらけの、虚空なもの」
それは、あの時、妹に言いたかったこと。
「押し合ってみて。手のひらは押し合ってる。でも細かくみると、私たちの手のひらが触れ合ってるところ、私たちの手のひらを構成してる分子、素粒子、それを構成してるエネルギー。それは隙間だらけの、すかすかな物なの」
女の子は不思議そうに、私の手のひらを押してきた。
「ほら、手のひらは押し合う。触れ合って、互いの温かさを感じている。でもそれはとても不思議な事なの。だって、私たちは真空で構成されているのよ? 私もあなたも、それを構成するものは、虚空で、物質はとてつもない距離を隔てて、粒子が虚空に点在し、そしてそれをエネルギーで繋ぎとめてる」
「なら、私たちは互いをすり抜けられるはず。だって私たちは虚空で出来ているんだもの。隙間だらけのもの。私たちは穴だらけ。私もあなたも、すかすかな空間の中に浮かぶ素粒子に過ぎない」
「ほら、押し合ってみて。私たちは虚空。空間に浮かぶ埃。私たちは隙間の塊。だから、私たちは本当は触れ合えない。互いにすり抜けて、互いを感じられない」
私はぐっ、と手を押す。
――少女の手のひらの温かさが伝わってくる。
「トンネル効果。それは一度は理解されたかに思われた。でも、その本質はぜんぜん違った。私たちが隙間と思っていたところ。実はたくさんの『空間』があった。私たちはそれが何もないという物だと思っていた。でも違ったの。そこには『真空』があった」
「次元は無数に存在し、私たちの宇宙に存在し、それは、少しの隙間もなく存在している。かつて11次元とされていた私たちの宇宙は、実は無数の次元で構成されている。私たちが知らない宇宙が存在する限り、私たちが知らない次元も、また存在することになる」
「この世に始まりはなく、また終わりもない。時間はランダムな方向に進み、私たちが一方通行と思っていたものは乱雑に広がり、私たちが空間と思っているものは整数にも虚数にも進む。宇宙は単純な広さで構成されてはいない」
「トンネル効果。それは特殊なものではないの。ただの、宇宙の、当たり前な物理現象。でもそれを理解するには宇宙を理解するしかない。それには――」
言葉を切り、私は少女の頭を撫で、もうお帰り、と告げた。
なんのことはない。
私がこれ以上、言葉を繋げるのが難しかったからだ。
あの日、テール星人は、本当の意味で、実験し、妹にトンネル効果を伝えたのだろう。それは、私たちが認識しえる宇宙をはるかに超えた、超多次元の世界のはずだ。それは言葉では伝えきれない。
私たちが認識する宇宙において、妹は認識できる存在ではなくなった。それを確信するまで、100年の月日を要した。
さぁ、妹に会いにこう。
それはもうすぐ訪れる。
生命維持機能を有した私の座。そのスイッチを私は――
616
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 01:45:24 ID:V/tRXhC60
いいですね。綺麗
617
:
名無しさん@避難中
:2019/03/24(日) 01:48:30 ID:ON/Xc00c0
乙。
皆、しり上がりに調子あげてきたねぇw
618
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2019/04/30(火) 23:12:38 ID:OI.FflnA0
いきなりですが明日ラジオやります
参加者は自分と
青森さん
ワシソダさん
秋水さんです
リレー小説の予定です
619
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2019/05/01(水) 21:03:14 ID:qUGv1ixY0
【創発リレーラジオ令和元日編】
配信URL
https://www.youtube.com/watch?v=hZF6VVptOQY
ツイッター用タグ
#リ令小説ラジオ
620
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2019/05/01(水) 21:09:15 ID:qUGv1ixY0
ksk
621
:
青森さん
◆wHsYL8cZCc
:2019/05/01(水) 21:10:03 ID:c2xX.uz.0
お題
>>625
622
:
名無しさん@避難中
:2019/05/01(水) 21:10:59 ID:6.IJ4Jq60
ksk
623
:
名無しさん@避難中
:2019/05/01(水) 21:11:23 ID:6.IJ4Jq60
ksk
624
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2019/05/01(水) 21:12:17 ID:qUGv1ixY0
ksk
625
:
名無しさん@避難中
:2019/05/01(水) 21:12:25 ID:6.IJ4Jq60
スカラベ
626
:
青森さん
◆wHsYL8cZCc
:2019/05/01(水) 21:33:55 ID:c2xX.uz.0
彼の所作を見つめていた。
前足で不器用にそれを削り取って、前足より器用な後ろ足でかき集めて。
本当なら自分より大きな球になるそれは、まだ小汚いカスの集まりに過ぎなかった。
顔を近づけてみるが、不思議と異臭はしない。たい肥のような湿った臭いはするが、正体を知らなければ気になるほどでもない。というより、実際にこれはたい肥をそこに置いている。
臭いというのは様々な意味を持ち、悪臭がするというのなら、それは好ましくないもの、いい匂いならその逆だ。つまりこのたい肥はそんなに悪いものではない。
余談だが、人間が一番に悪臭と感じるものは人間の死体が腐った臭いらしい。つまり、死ぬような危険を知らせているのだ。
彼の作るカスの集まりは徐々に整えられ、球に近づいていく。集めているのが隣の農業学科からくすねてきた花子(牛の名前)の糞というのを除けば、もそもそと愛らしい動きとも見て取れる。
これがあの勇ましいカブトムシの仲間だ、と言われて信じる人がどれだけいるだろうか?
名前だけ聞けば、昔の映画に出てきたピラニアのように獰猛な肉食昆虫を思い浮かべるか、カードゲームが好きな奴なら太陽神か。
ほんとは彼らは太陽じゃなくて天の川を目印に活動しているから、どちらかと言えば彦星と織姫様か。糞まみれだけど。
糞球を整えた彼は、おなじみの逆立ちの姿でそれを押していく。
安全なところを探しているのだろう。
ゲージの中なのでどこも安全なのだけど。
フンコロガシは整えた糞球を丁寧に世話するという。彼はその種類だ。
ゲージの上から彼をのぞき込んで、私はほのかに香る花子の落とし物の臭いに鼻を引くつかせた。
部屋の扉が開く。農業学科の学生だ。
「おい、テメェ花子に何をした……?」
627
:
秋水
◆3C9TspRFnQ
:2019/05/01(水) 22:15:27 ID:OwPm64Mw0
「花子?そんなことは些末事だ‼」
彼は一刀両断に切り捨てた。
農業学科は色めき立つ。果たして花子の惨状とは、如何なるものであったか。
「些末事だと!?」
「それよりもだ、見たまえ」
彼は芝居じみた仕草で、足元を指し示す。心情的にはスポットライトが当たるところか。
その光の中央にあるのは、いわずもがな、糞玉である。
「糞じゃねぇか‼」
農業学科は益々、色めき立った。
花子とは農業学科の彼との関係は定かでない。
もしかしたら肉にされるのに、知らずに名前を着けているだけなのかも知れないし、
あるいは生まれたときからの腐れ縁で、桃の園で『種族は違えど死すときは同じ』と誓いを交わしたのかも知れない。
知れないし、知ったこっちゃない気もしてくるが、
ともかくフンコロガシが丹念至極に育て上げた糞玉とは比べるべくもないのだろう。
「ただの糞じゃねぇか!」
もう一度、断定した。
628
:
秋水
◆3C9TspRFnQ
:2019/05/01(水) 22:18:02 ID:OwPm64Mw0
しかし彼は農業学科の見立てに、濃縮還元した苦虫の汁を飲んだように顔をしかめる。
「違う、違うのだ!」
「何が違うってんだ!」
「このフンコロガシはギザのピラミッドの内部から採取されたものだ。
炭素年代測定法にかけたところ、糞の表層年代は8000年以上前」
「…つまりどういうことだってばよ?」
「エジプト文明成立以前より、この糞はこねられている可能性があるのだ!」
「な、なんだってーーーーー!?」
思わず地球が滅亡するといわれた時のあの集団のような反応をおり混ぜつつ、農業学科はたいそう驚いて見せた。
「嘘だろう、お前?」
「いや、それどころか、表層から内部への分析がまったく進んでいないのだ。
糞の密度がどんどん上がり、この研究室の設備の精度では追いつかない」
男二人、眉間に皺をよせ、フンコロガシの糞玉を見つめる。
それは果たして、糞であるのか。
あるいは――
629
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2019/05/01(水) 22:49:11 ID:qUGv1ixY0
フンコロガシの社会においてのオックスフォード大学はエジプトにある。
彼らが糞を転がし、太陽を模倣しようとしたことから人という下等種族に崇拝されフンコロガシヒエラルキーが最も高くなったからだ。
エジプト出身、それも古代のフンコロガシとなれば、それは神話の時代のフンコロガシである。
男二人、エチオピアフンコロガシ大学農業学科出身の学生二人は偉大なる先輩の神業かもしれないものを見つめる。
「こ、これが本当に神の御業だと言うのか?」
「そうだ、違いない。きっと彼こそが神なのだ。」
そう私は熱弁する。
神はせっせと糞を転がす。
神話の時代から現代の花子の糞までを何重ものミルフィーユを作ってきた。
数千年前の老人ではなく神。
それがおそらくはかのフンコロガシなのだ。
よく見れば背中が黄金に輝いているように見える。
「じゃあ、僕らは現虫神の降臨に立ち会ったのか?」
「ああ、人の社会には宗教というものがあるらしい。」
「宗教?なんだい、それは?」
「なんでも、過去にいた偶像を神聖視し、その神の教えに従って生きるのだとか……。」
「急に、なんでそんな話を……。」
「僕らもね、彼を神とした宗教を作るべきじゃないのか?そんなことを思うんだよ。」
そう思ったことをそのまま口にすると、彼は首を振った。
「いや、まだ、彼が神なのかどうか確証はないだろう?ただ偶然、神の糞を転がしたエジプト出身のフンコロガシってだけかもしれない。」
「わかった、じゃあ、簡単にそれを証明する方法がある。」
「それは?」
そう尋ねてくる彼に私は答える。
「彼に直接聞けばいいのだよ。」
そうせっせと神の糞を転がすフンコロガシに視線を送る。
「お、おい、どっちが話かけようか?」
彼は少し緊張した面持ちになる。
神かもしれないフンコロガシに、どう声をかけていいのか迷っているのだ。
仕方ないな……。
「私が声をかけよう。」
そう彼に言って私は歩を進める。
「あの――」
630
:
◆OSaKadAteQ
:2019/05/01(水) 23:10:42 ID:ekkYAB2A0
「あーゆーごっど?」
エチオピアの共用語はアムハラ語である。
当然、エチオピアフンコロガシ大学に通う生徒は、皆アムハラ語を口にしていた。
読者諸君に日本語のように見えているのは、単にこのSSが日本語吹き替え版だからである。
「あい、あむ、すちゅーでんと。あい、りすぺくちゅー」
とはいえ、神がアムハラ語を喋るとは限らない。
「英語は世界共通語」だとかなんとか聞いたことがあるし、英語で声をかける方が無難かと思った。
故に、慣れない英語でコミュニケーションを図るのだ。
「そー、あー、あいらぶゆー。あいあむ、しんぐ、ゆーあーごっど、べりーごっど」
だが如何せん、外国語の成績は芳しくない。
そもそも外国語の授業で選択しているメイン科目はスワヒリ語だ。
英語は第二選択科目で少し齧った程度だし、単位も余裕で落としている。
「あー、ないすちゅーみーちゅー。あい、あむ、かんどう、なう」
辿々しい英語で必死に声を掛け続ける。
花子の件でブチギレていた学生は、固唾をのんで見守っていた。
彼はロシア語とヒンズー語を履修していたことが祟り、この英語が自然かどうかの判別すらつけられない。
ただただ黙って事の成り行きを見守るだけだ。
「アムハラ語でおk」
――そんな二人に、電流が走る。
「しゃ、しゃべっ……!」
それは、紛れもなく、目の前の者から発された声。
透き通るようなその声は、神秘的であり、奇跡の産物のように思えた。
「貴方の熱意に負けました……貴方の話を聞きましょう」
花子にキレてた学生は、驚きと感動のあまり口をあんぐりと開けている。
そして私も、思わず叫んだ。
「うんこの方が喋っとるーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
631
:
青森さん
◆wHsYL8cZCc
:2019/05/01(水) 23:42:36 ID:c2xX.uz.0
「!!? え? ほえ!?」
「驚きすぎ」
ウンコは嗜めるように言う。
「誰しもスカラベのほうを神と思う。ですが、実際は神の使いですらない。いや、この世のすべては神の御心のまま。正確に言えば、私も本来の意味の神ではなく、その一部にすぎません」
ふわり、と糞球が宙に舞う。後ろ足が引っかかったままのフンコロガシが吊られたままバタバタしている。
ウンコボールは辺りを見回すように、それぞれの顔の前を通り、引っかかったフンコロガシを振り回した。
「私が誕生したのは八千年前、メソポタミアにて最初の文明が誕生した時でした。あなた方の測定方法による年代の特定は正しいと証言しましょう」
つまり、このウンコの神はエジプトより古くから存在するということか。
「……かつて、人類がおよそ文明と呼ぶものを持つ前、彼らがやってきました。そして、彼らの力により人類は文明を持ち、農耕をはじめ、種としての生活を一変させました。そう、あなた方は自らの生き方を変えたのです。自らではなく、環境を改変するという進化の方向を手にしました」
メソポタミア文明の事だろう。歴史は門外漢だが、それくらいは私でも知っている。
その地で、最初の文明が生まれ、農耕が発展し、人類は数千、数万規模での集団生活を可能とした。
「『彼ら』の力で、あなた方は王を持ち、社会システムを作り、集団での単位を制定し、軍を持ち、経済を持ちました。それらは『彼ら』があなた方に授けたものなのです」
ウンコは続けた。
「そして、私が誕生しました。八千年に及ぶ歴史の一部を記録するために、私は練り上げられてきた。それは『彼ら』が自らの行いを記録するために必要な事でした。そう、私は『彼ら』の情報媒体なのです。そして私に記録されているものは――」
そして、ウンコは私たちに見せた。
最古の文明の末路、後の文明がウンコを運ぶスカラベを神の使いと定めた経緯。
苛烈な神と人との歴史だ。
「力を持ったあなた方は、やがて驕り高ぶり、ついに『彼ら』に闘いを挑みました。あなた方は、神々からの解放を願ったのです。しかし、結果は無残たる物でした。彼我の力の差は大きく、あなた方の祖先は無残に焼き払われて行きました。このままでは、最古の文明とともに人類は滅んでいたでしょう」
しかし、と続ける。
「『彼ら』の中にも、あなた方に味方する者がいたのです。その者たちもまた、神々が人類を支配する構造から、あなた方を開放したがっていました。真に文明を持つ種として独立させたかった」
ウンコが私たちの頭の中に投影したイメージに、見覚えがあるものが見える。
「彼らの名は、古代シュメール人、それは、人類ではなく、はるか天から、自らを神と名乗り現れました」
632
:
秋水
◆3C9TspRFnQ
:2019/05/02(木) 00:19:50 ID:eWkWnQjY0
なんとう事だろう、ハムナプトラと思っていたらスターゲートだった。何を言っているか判らないと思うが、きっと糞展開というやつだろう。
男どもは顔を再び顔を見合わせて、かぐわしく匂いたつ神話の時代に思いを馳せる。
「…とりあえず昼はなに食べるべぇ」
「現実逃避はいけません」
容易にこの場をお開きにさせない糞玉。
「ああ、そうだなぁ…」
最初にフンコロガシを観察していた彼は、いよいよ面倒臭くなってきたものか、
「乾いた糞って燃料になるんだよな」
ポケットからジッポライターを取り出し、金属質の音をさせて蓋を開く。
慌てたのは糞玉だった。
「あー、いけませんニンゲン様、いけません」
「いや、物語のオチのひとつにさ、館物は燃やして終わらせろっていうじゃん?」
「それをすれば館どころか、この宇宙自体がどうなることやら」
「なかなか聞き捨てならないじゃないか?命乞いか?」
「純然たる事実です。私を燃やせば、内包したエントロピーが一斉に燃え上がり、この宇宙に潜在する熱量を奪い去るでしょう」
糞玉の宇宙レベルの自己紹介に、今度は男たちは天を仰いだ。といっても、熱心に信仰する神などいないのだが。
いや、糞玉の言うことを信じるのなら、神あるいはそれに等しい存在はシュメール人で、宇宙から来たらしいが。
「…で」
いい加減、話に着いてきていない農業学科は、腰を下ろし降参じみて肩をすくめた。
「お前さんは一体、何者なんだ?」
「シュメール人によってつくられた最臭兵器です。幾星霜の宇宙の可能性を織り込んだ、時間や空間にすら影響を及ぼす」
「そうか〜」
農業学科は心底どうでも良い風で、なんとも力なく言ったものだった。
633
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2019/05/02(木) 01:05:45 ID:Sf0SFnuk0
私達は、ちりとり箱にシュメール人によって作られた最臭兵器とやらを取って、ゴミ袋に詰めて捨てた。
「やめるのです。」だとか、「バチがあたりますよ」だとか、御高説をたれ始めたが、なんかめんどくさくなって捨てた。
なんで、あんなに私達は盛り上がっていたのだろう……。
古代エジプトの神秘の話をしてきたのに、うんこが話かけてくるという謎ムーブを仕掛けてきたから、脳みそが理解するのを拒否しはじめて、最後はなんていうか、どうでもよくなっ
た。
馬鹿な話とは馬鹿な話をしていると気づかないから面白いのだ。
花子の世話をして、私達は農業学科に帰っていく。
こうして、私達は宇宙を救ったのだった。
結合する夢。
氾濫する世界。
隔絶された宇宙。
世界は今も続いている。
私達もこれからを生きていく。
そうして、私はウンコボールと別れを告げたのだった。
私達の眼の前に白衣の医者が座っている。
彼女は日本という東方の国の名医で、私の親が呼び寄せたものだ。
「彼の病名は、ノウガスカラベニナールシンドロームです。この病気にかかったものは、自分がスカラベであると突然思い始めるようになります。それでいて、自分が人間であるという認
識も混ざっているので発言が支離滅裂になり、幻覚、幻聴をきたします。特に糞に対して強い関心を抱くようになり、それを神聖視する傾向にあるようです。」
何を言っているのだろうか?私は至って普通に人間でフンコロガシだ。おかしいところなど何処にもない。
「治療法はあるのでしょうか?」
「ありません。彼はその内、人間でもない、スカラベでもない新しい精神構造を持つ生物となるのでしょう……。」
「そうなるとどうなるのです?」
「廃人になります。自己を喪失した人間が行くところは、食事を取ることができなくなり点滴で栄養を補給し、糞尿を垂れ流す生物になりさがります。」
何を言っているのだろう?私は正常ではないか……。そりゃ、急に話しかけてくるウンコボールに遭遇はしたけれど、それぐらいしかおかしいところはない。
「それでも、私は息子を救いたい。どうにかして救う方法は無いのですか?」
そう言う親に女医は顔を神妙な面持ちで手を合わせる。
「医者としては、こういう話をするのは気がひけるのですが……。」
そう言って、医師は古い写真を取り出した。
「これは古代シュメール人が残した石碑の写真です。この石碑には楔形文字の下にスカラベの頭になった人間が描かれています。」
親はマジマジとした目でその写真を見る。
「古代シュメール人がいたメソポタミア文明では、スカラベは神聖視されていました。そしてスカラベに憑かれた人は太陽の化身として崇めたてられたいたそうです。」
「はぁ、それと息子にどんな関係があるのでしょうか?」
「この石碑に書かれている内容とノウガスカラベニナールシンドロームは症状がとても似ているのです。」
「では、もしかして治し方も……。」
「そうですね、古代シュメール人は人に憑いた神を神の世界へと返したらしいのです。」
「それはつまり?」
「古代シュメール人は脳がスカラベになった場合の治療法を確立していた可能性があるということですね。」
「そ、それで古代シュメール人はどうやってノウガスカラベニナールシンドロームの治療を行っていたのでしょうか?」
「石碑には、こう書かれています。スカラベに脳が囚われた人間を救うためには神の糞が必要だと……。」
「神の糞……ですか?」
「なんでも、それは全知全能の糞で、喋ることが出来るものだったのだというのです。」
「それはどこにあるんですか?」
「わかりません、ただ、わかっているのはただ一つ、神の使いであるスカラベが作り上げた数千年の糞が神となるのだそうです。」
「そんなものどうやって見つけろと……。」
「わかりません、ですが、それを見つければ、この症状を改善することが可能かもしれません。」
私はその話の半分も理解出来なかったが、1つだけ思い当たることがあった。
「喋る糞なら見たことがあるよ。」
医師も親も目を見開いた。
「なんだって!!!」
「どこで見たの?言いなさい。」
親たちは一斉に私に詰め寄る。
正直、やめて欲しい。
個人的にはいい思い出ではないのだ。
「大学の牛小屋で見たよ。五月蝿かったら捨てた。」
「何時!?何処に――!?」
私は仕方なく、捨てた場所を親と医師に伝えた。
634
:
◆OSaKadAteQ
:2019/05/02(木) 02:00:17 ID:1dvkc6CU0
全知全能の糞は、大学の畑に肥料としてばらまかれていた。
その話を聞いて母は真っ青になって倒れ、医者は私の顔面に唾を吐きかけた。
ムカついたのでグーで殴ったらすごい勢いで殴り返されて泣いた。
どうやら喋るウンコは凄い存在だったらしく、倒れ伏す私を怒りに任せて医者は蹴りつけてきた。
いや、お前、喋るつったってウンコだぞウンコ、お前はウンコを崇めるんか。
そう思うと何だかムカついてきて、思いっきり蹴り返した。
その蹴りは、一撃で医者を昏倒させる。
ろくに喧嘩なんてしたことないのに、何故かその動きは、体に染み付いているようだった。
痙攣し、口から泡を吹き、医者が糞尿を漏らす。
無意識の内にその糞尿を足で弄んでいたら、目を覚ました母が更に真っ青になって奇声を発しながら倒れた。
「……なんとか……神の糞を見つけられないものか……」
父に連れられ、大学の敷地にやってきたのは、その翌日のことだった。
母は真っ青になったうえに泣きすぎて声が枯れ大山のぶ代みたいな声になったので入院している。
私はというと、まるで事態を理解できなかったが、しかし父の言うことに従うつもりでここにいる。
何故だかあまり世間に受け入れられない私なんかを、大学にまで通わせてくれた。
そんな父を尊敬しているし、父が望んでいるなら、理解できずとも力になってやりたかった。
「よお、何やってんだよ」
何日も何日も、土をほじくり返した。
その土に混ざった喋るウンコを、後ろ足で分別し転がしていく。
そんなことを繰り返していたある日、不意に声をかけられた。
「なんだ、お前か」
花子の件でブチギレていた、あの農業学科の生徒だ。
他の大多数の者同様、彼も私を理解してはくれなかった。
しかし、他の大多数の者とは異なり、彼は理解できないなりに、私を受け入れてくれた。
今ではすっかり、唯一無二の親友である。
「見てわからないのか。集めているんだ、喋る糞を」
「ふぅん。自分で捨てたくせに、変なヤツだな」
ヤツの言うことは一理どころでなくある。
ビニール袋にぶち込んだのは私だし、折角だから肥料にでもしてやるかと言ったのも私だ。
父が喋る糞を求めていなければ、こんなことしていないだろう。
「そういうお前は、何をしているんだ」
「おいおい、見てわからないのか、変なヤツだな。デートだデート」
変なヤツはお前だろう。
そうは思っても言わなかった。
彼は病気なのだと聞く。
時折自分を牛だと思い込み、牛の花子と付き合っていると思いこんでいるそうだ。
そして牛の花子の方も、自分は人間であり彼の恋人だと思いこんでいるという。
可哀想なヤツだとは思うが、まあ、病気なのだ、あまりイジってやるものではない。
それに両想いなのは事実だ。そっとしておいてやろう。
まあ、学校で飼ってる牛と頻繁にヤッてるのはどうかと思うけど。
635
:
◆OSaKadAteQ
:2019/05/02(木) 02:00:48 ID:1dvkc6CU0
「ああ、そうだ、それなら良い所があるんだ」
「なんだよ、良い所って」
「ついてこれば分かるよ」
そう言って、二人(正確には、一人と一匹だが)を連れて、例の場所に行く。
土から掘り起こした貴重な喋るウンコの一部を転がしながら、だ。
例の場所についた時、喋るウンコはまあまあのサイズとなっていた。
「おおっ、なんだこれ」
「ブモォォォォォォォォォ」
二人(正確には、アホが一人と牛が一匹だが)が、感嘆の声を上げる。
例の場所――大樹の根本に、集めた喋るウンコを置く。
まだ父が望むほど大量の喋るウンコは集まっていない。
だが、一箇所に固めていたからだろうか。
その土の下で何かが急速的に育ち、今ではこうして立派な大樹になったのだ。
「神を自称する糞から生まれた生命の大樹。これをアダムと名付け、卒論テーマにでもしてみようかと思う」
「よりにもよって林檎が成ってるってのは、なんだか運命的なものを感じるな」
ケラケラと彼が笑う。
確かにな、なんて言いながら、林檎を一つもぎとった。
「……食うかい?」
「おいおい、大丈夫なのかよ、これ」
「さあね。知恵の実って言うくらいだし、色々賢くはなると思うよ。それが幸せかどうか分からないけどね」
父から聞かされた、医者の持説。
その意味は、正直あんまり分かっていない。
ただ、きっとこの林檎は、彼の病気を治してくれるのだろうと何故か直感できた。
まあ、自分が人間であり牛ではないと理解できるのは、頭が良くなったといえるだろう。
さすが知恵の実といったところか。
「なんだよー、こえーなー」
そう言いながらも、彼は林檎を受け取った。
彼の性格を考えると、遠からず林檎を口にしてしまう気がする。
食べたあとも正気を保ち、そして花子とも円満に別れてくれることを願う。
「つーかさ、お前は食わねえの?」
彼の疑問ももっともだ。
この大樹・アダムは、私がせっせと喋るウンコを運搬して作ったもの。
その果実を食べる権利は、私にこそあるだろう。
土地とか持ってる大学の権利? 知らん。
「……私は、いいかな」
きっと父は、私にあの知恵の実を食べさせたかったのだろう。
それは、分かる。
そしてきっと、その結果、何か私の世界が変わるであろうことも。
「いいのかよ、お前、俺と同じで馬鹿じゃん。頭よくした方がいいんじゃねーの?」
おそらく、この判断は、誰が見ても愚かなのだろう。
このままだと、不幸になる恐れすらある。だとしても。
「いいんだよ」
世間の皆は、今の私を馬鹿にして、仲間はずれにしてくる。
だけど、私は、それを受け入れるつもりなど更々なかった。
時折後ろ足でウンコを運搬する自分を、悪いと思ったことなどない。
それを馬鹿だと思ったことも、一度もない。だから。
「病気とか、バカなのかとか、私はどうだっていいんだよ。賢くなりたいとも思ってない」
それは、本心だ。
例え神であろうとも、その考えは覆せまい。
私の人生が馬鹿なものだとしても、それでいいじゃあないか。
「馬鹿な話とは馬鹿な話をしていると気づかないから面白いのだから」
636
:
◆OSaKadAteQ
:2019/05/02(木) 02:03:47 ID:1dvkc6CU0
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