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ラジオスレ 23

604 ◆OSaKadAteQ:2019/03/23(土) 23:57:53 ID:EiEWzRLY0

「うおおおおおおおおおおすごおおおおおおおおおおおおおおおい!!」

妹が床をすり抜け、私が絶叫してから、25年の時が経った。
感動と興奮は10分ほどで薄れ、一切戻ってこないことに不安を覚えたのは1時間経ってからだ。

パニックになりながら、帰宅した母に説明すると、困ったような笑みを浮かべられた。
父親も、まともに取り合ってくれなかった。
それでも夕飯の時間を回ったくらいの時間には動揺が広がり、警察に電話していた。
テール星人の仕業だと言っても、二人共信じてくれなかった。

「いたのっ! テール星人は本当にいたの! そしてあの子をさらっていったの!!」

父に頬を叩かれた直後、何かが溢れ出してしまい、大声をあげて泣いた。

痛かったからではない。
引っ叩かれたあとに、優しく抱きとめられたせいだ。

二人は信じてくれないのだろうと、言葉ではなく心で理解することが出来た。
それが冷たさ故ではないことも、理解できてしまった。

だから、私は一人で戦うことを決めた。
気を使ってなのか、私の前では妹の話を控えるようになったのに、毎晩遅くまで妹の情報を探していた両親のためにも。
私はトンネル効果の勉強をするために、必死になって勉強した。
妹にちょっと小馬鹿にされる程度の学力しかなかった私が、二浪の末に一流大学に入ることができた。

それもすべて、両親の助力があったおかげだ。
二人は私が予備校に通うお金も出してくれたし、毎夜遅くまで勉強する私に、夜食を差し入れてくれた。
その想いに報いるためにも、そして妹を救出するためにも、なんとしてもトンネル効果及びテール星人について解き明かさねばならない。

「いたの……テール星人は、本当にいたのっ……!」

だが――20年近い研究を経ても、彼らの正体を掴むことは叶わなかった。
研究費は年々減り、学会でテール星人がトンネル効果により人間を拉致する話を熱弁したことで追放もされた。
両親は心労が祟り、数年前に他界した。
もう、夜遅くまで研究している私に、夜食が差し入れられることもない。

「うう……本当なのよォ……トンネル効果で……あの子が……」

もう、行き詰まった夜は、第三のビールを何缶も開け、便器に向かって涙と胃液をこぼすことしかできない。

どうして、あの日、テール星人と掌を合わせるあの子を黙って見てしまったのだろう。
どうして、あんなくだらない見栄を張ってしまい、「わからない」と言えなかったのだろう。

あの日言えなかった「わからない」を、もう言えない。もう止まれない。
なんとしても、トンネル効果とテール星人を解き明かし、妹を奪還しないといけない。
そうしないと、私の、人生は、無価値なものになってしまう。

「……ああ……どうして……どうして私じゃなかったの……」

あの子は、私なんかより、本当はずっと賢かったのに。
見栄を張って、頑張ってあの子より賢ぶってたけど、同じ年齢のときで比べたら、あの子の方がずっと賢かったのに。
さらわれたのが私なら、きっと、あの子がすべての謎を解き明かし、助けにきてくれたのに。

「あの子と違って、私では……」

もう、弱音が止められそうになかった。それでも私は、止まることができないのに。


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