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みんなで世界を作るスレin避難所2つめ
382
:
名無しさん@避難中
:2010/08/01(日) 21:33:28 ID:a7Rx3SIg0
書き込めない人へ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1277909484/
383
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 11:09:28 ID:.1zdnkso0
みんつくスレまた落ちてる〜
失態だな、どう責任をとってくれるのかね?
384
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 15:51:40 ID:f/BTpf4c0
この温泉界旅行チケットでどうかお納めください
385
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 19:01:35 ID:NjjzO3JsO
みんつくスレ消えてしまうん?
386
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 19:36:37 ID:.1zdnkso0
たとえ消えてもみんつくスレは君の心の中で生き続けるよ
387
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 19:37:12 ID:ZYaQgpjQ0
そう、みんつくは皆の心の中に!
388
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 21:25:58 ID:jBKGJTmA0
やめろwwww終わるフラグ立ちまくってるw
389
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 22:00:57 ID:NjjzO3JsO
どうなるんだこのスレ
390
:
名無しさん@避難中
:2010/08/02(月) 22:30:12 ID:ZYaQgpjQ0
そもそも板がどうなるのだろうか
391
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 17:53:42 ID:lx2jkb46O
投下がないと寂しいのう
きっと新スレが立ったら沢山投下があるって私、信じてる!
392
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 18:25:11 ID:l1CgjiuAO
板がよくわからん状態だから投下よしてる人も多げ
393
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 18:32:50 ID:qA2FSjMA0
ここに投下すればいいのさ
394
:
◆GudqKUm.ok
:2010/08/03(火) 20:49:45 ID:b.oAZJiwO
>>393
だね。じゃ、投下。
代行お願いしますw
『みんつく超決戦!!』
395
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 20:51:29 ID:b.oAZJiwO
◆
『……ふぇ!! かくごしなこどもたち!!』
負傷したゲオルグたちの前に立ちはだかる金髪幼女。彼女こそ自警団が召喚した最強の助っ人、『再生機関』の誇る人類科学の結晶、HR-500『トエル』だった。
ゲヘナゲートを越え次々と現れる『十二使徒』の姿に、タバサを抱いたポープが嗄れた喘ぎを洩らす…
◆
「…うふふ、絶好調であります…」
監視塔から三つの世界を記録する境灯(さかい あかり)入魂のSS、『みんつく超決戦!!』はすでに三万字を突破していた。
猛烈な創作意欲に駆られるまま碌なプロットも組まずに執筆を始めて丸一昼夜、長らく暖めていた全てのシェアワールドを股にかけるスーパーバトル長編は快調な仕上がりを見せている。
蛇の目エリカの機転で倒されたスティーブ・ビコの亡霊の背後に控えているのは、さらに強力なロリハラハラ・ネルソンの亡霊。彼らは恐るべきベリアル・コンツェルンと禁断の契約を交わしたのだ。
平行して進んでいる別パートはいよいよ桃太郎と三獣の登場を迎えている。その前に、どうしても書きたい『鬼ヶ島』での会食シーンの為、閉鎖都市パートの主要キャラクターを全員異形世界に転移させなければならない…
「よしよし、ここでリリベルバスの出番だね…」
『キャラクターが勝手に動く』とはこういうことを言うのだろうか。憑かれたように筆が進む興奮に、灯は今夜も眠れそうになかった。
◆
「…んにゃ、しまったぁ…」
真夜中の監視塔。ついうとうと居眠りをしてしまった灯の叫びは、執筆中の作品に関する問題点が原因だった。浅い微睡みのなか、ふと重大な事実に気付くのはよくあることだ。
「…夜々重ちゃんとクズハちゃんだ…」
作品内容がややバトル重視に傾き過ぎたため、うっかりこの古参人気ヒロイン二人の見せ場を忘れていたのだ。
396
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 20:53:11 ID:b.oAZJiwO
前半やたら活躍したヒロインといえばイレアナくらいだった。捕らわれたバステト侍女長を救い出するため、巨大な滝を泳いで登り切るシーンは少し無茶かなとも思ったが、『ギャップ萌え』もまたSSには大事。閉鎖都市内に滝があるのも同様のテクニックだ。
「……そぉだ!! 名アイデア!!」
考えてみれば夜々重とクズハは明確に恋愛対象が決まっているキャラだ。オリジナル作品との整合性を損なうことなくロマンスを描ける訳だった。それもとびきり濃厚で大胆なラブシーンを…
「…うひひ、やはり濡れ場はSSの華だからね…」
慌ただしく三階に降りて栄養補給を済ませた灯は、深夜にもかかわらずさっそく執筆を再開した。あまりベッドシーンが連続するのも野暮だから四人一室がいい。彼らが愛しあうのに相応しい場所は…
◆
『はううううっ!?』
濃密な闇のなか、狂おしく鳴り響く『快楽の鈴』。どこか甘美なその音色に合わせ、隣のベッドでは白銀の尻尾がビクビクと痙攣しながらはしたなく屹立していた。
『…流石は蘆屋の研究施設だな。面白い道具が揃ってやがる…』
『ホントだ…高瀬さんたちも誘えばよかった…』
もはや少女たちの瑞々しい肢体を隠すものは何ひとつない。幼い恥じらいすら無残に剥ぎ取られた二人は湧き上がる衝動のまま、恍惚と未知の昂りに身を委ねていた…
◆
「…ぬうう…やり過ぎました…」
監視塔の朝。またテーブルに突っ伏した状態で目覚めた灯は、懸命に睡魔と闘いながら昨夜仕上げたテキストを読み返していた。擬音、擬音、また擬音。そして頻繁にまじる奇抜な喘ぎ声。
よくまあこれだけえげつない文章が書けたものだ、と灯はとりあえず自画自賛するが、正直、既に投下を憚られるレベルの過激さに達している。
397
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 20:54:59 ID:b.oAZJiwO
思い返せば絶頂のテンションで執筆している最中は、まだまだ責めが生ぬるい、と参考の為にいかがわしいサイトを検索したりしたものだ。夜の勢いというものは恐ろしい。
灯は顔を赤らめつつ過激な表現の幾つかを手直しするが、けっきょく匠と祐樹の変態っぷりはもはや修正不能だった。
「…やっぱり、媚薬くらいで止めとけば良かったです…」
人間諦めも肝心。結局この部分は適当にキャラを変えて別スレに投下することに決め、惜しいが大胆な全面カット。良いSSには思いきった省略も必要だ。
「…ええと、『ミケ&ブチ悶絶調教!!』でいいや。男ふたりはテキトーなオリキャラでいいよね…」
◆
ゴゴゴゴゴ…
巨大ロボットに変形した閉鎖都市政庁『ヤコブの梯子』はあっけなく破壊され、轟音と共にゆっくりと崩れ落ちてゆく。膨大な瓦礫が降り注ぐ足元は廃民街だが…抜け目のない神谷とステファンがすでに住民を全て避難させているに違いない。
『…あ、あんたは一体…』
崩壊するロボット政庁の前に立ち竦んでいたアレックスたち三十八人は、突如現れた隻眼の戦士におずおずと問いかけた。
『…鬼、かな…』
たった一太刀で化け物じみた『ヤコブの梯子』ロボを葬った彼はその長い銀髪を掻き上げ、面倒くさそうに答えを返す。
『…俺は双刀鬼闘角。よく知らねーが閻魔大帝の長男らしい。鬱陶しい話だぜ。』
『ま、まさか…噂に過ぎぬと思っていたが…』
居並ぶ一行のなか彼にまつわる伝説を詳しく語り始めたのは、地獄界の生き字引き蒼灯鬼聡角だった。桁外れの力を封印されていたこの非運の鬼皇子が、もし敵だとすれば…
◆
「うう…闘角カッコ良すぎ…」
双刀鬼闘角。可哀想なミケブチを嬲り抜く地獄キャラを考えているうちに生まれた、灯のオリジナルキャラクターである。銀髪で隻眼、そして二刀流の美形。
398
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 20:58:09 ID:b.oAZJiwO
その出自に灯はいささか悩んだのだがラストではちゃあんと弟に帝位継承権を譲り、人知れずクールに去ってゆくのだ。もちろんキャラ名の微妙なカブりなどに彼女は全然気づいていない。
「…ここに告死天使が集めた二十八人が間一髪で駆けつけて…ファイナルバトルよ!!」
実は超巨大ロボットだった閉鎖都市が立ち上がり、勢揃いしたみんつくキャラたちと雌雄を決する壮大な最終決戦。今度こそ忘れずに神谷とステファンが住民を避難させるシーンを書かなければならない。
「…さてさて、闘角ちゃんの大活躍は…」
別に自キャラを贔屓する訳ではない。しかしやはりここは、新登場の若手キャラを見せ場を与えるべきだろう。クロス作におけるパワーバランスはけっこう難しいのだ。
「…ええと、信太主と藤ノ大姐は閻魔大帝と一緒に氷漬けだった、ということで…」
閉鎖都市ロボ相手に数々の技を披露する筈だった二人の古妖は、あっさりストーリー冒頭まで巻き戻されて出番を失った。
確か全編を通じいくつか彼らの台詞があったが、これは全部てながあしながの発言に置き換えれば万事解決。どうせ大円団ではみんな復活できるのだ。
「…跳ぶ!! 斬る!! そして舞うっ!!」
怒涛のクライマックスに向け、灯の筆は冴えに冴えていた。閉鎖、異形、地獄…全ての世界のキャラクターたちが団結し、強大な敵を打ち破る…
「…あ!! しばらく本業を忘れていました…」
何気なくマウスを操作した灯の手がピタリと止まる。規制その他でやや緩やかなになっていた三つの世界の記録が彼女の仕事だ。しかし…
「…そんな…」
モニタに映る虚無の色。それでも慌ただしくキーボードを叩き続け、しまいには携帯電話まで取り出した灯はやがて崩れ落ち、呆然と呟いた。
「…世界が…なくなってる…」
399
:
???界
◆GudqKUm.ok
:2010/08/03(火) 20:59:51 ID:b.oAZJiwO
以上です。
なんかえらいことで、こんなオチです…
400
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 21:31:28 ID:wUANVqjM0
安心の超展開ww
>>巨大な滝を泳いで登り切るイレアナ
>>匠と祐樹の変態っぷりはもはや修正不能
どんなだよwwww
401
:
名無しさん@避難中
:2010/08/03(火) 21:53:26 ID:lx2jkb46O
なんだこれwww
SSからみんつくスレの愛着を感じた
にしても灯ちゃんに共感する部分多すぎるなww
でも最後の一文にはゾクッときたわ…まさに今の状況だな…
402
:
名無しさん@避難中
:2010/08/04(水) 01:25:55 ID:WsCu6qZE0
投下乙です
そしてここから世界を元に戻すべく灯ちゃんの
世界をまわる旅が始まるんですねわかります
403
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 15:42:08 ID:Ci7Puc020
なんか創発復活してるとかいう話ですよ
404
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 19:33:40 ID:X4Y/SLdoO
だったら早く新スレを立てれば良いんじゃないかなぁ
405
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 19:48:23 ID:jxj2/rOM0
いや、あえてここでじらす
406
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 20:48:13 ID:X4Y/SLdoO
いやぁ…焦らさないでぇ…
407
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 21:05:34 ID:Ci7Puc020
なんか立てても良いのか迷うよね
408
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 23:33:13 ID:X4Y/SLdoO
クララの意気地なし!
後なんかスレ立てのテンプレもうちょっと新規の人間が入ってきやすいようにした方が良いと思う。例えば、どんな世界があるかとか、この世界はどの作品から読めばいいのかとかあったら助かるんじゃね?
409
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 23:42:09 ID:j.A3SJW20
ではそこをちょっと詰めましょうか
410
:
名無しさん@避難中
:2010/08/05(木) 23:48:57 ID:Ci7Puc020
とりあえず原型おいておきますね
このスレは皆でシェアードワールドを創るスレです
※シェアードワールドとは※
世界観を共通させ、それ以外のキャラ達を様々な作者がクロスさせる形で物語を進める事です。
要するに自らが考えたキャラが他作者のSSに出たり、また気に入ったキャラを自らのSSにも出せる、
という訳です。
現在すでに複数のシェアードワールドが展開されています。それぞれの世界で楽しんでみたり、新しい
世界設定を提案してみてはどうでしょう。
分からないことはどんどん質問レスしよう、優しいお兄さんやお姉さんが答えてくれるかもしれないよ。
さぁ、貴方も一緒にシェアードワールドを楽しみませんか?
前スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1277909484/
避難所(規制等の際はこちらへ):みんなで世界を創るスレin避難所その2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1276257878/
まとめwiki
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/286.html
#id_a459e271
411
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 00:21:08 ID:6yfyo3HYO
今北
これは熟考せにゃ……
412
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 00:32:56 ID:5pvldCXcO
このスレは皆でシェアードワールドを創るスレです
※シェアードワールドとは※
世界観を共通させ、それ以外のキャラ達を様々な作者がクロスさせる形で物語を進める事です。
要するに自らが考えたキャラが他作者のSSに出たり、また気に入ったキャラを自らのSSにも出せる、
という訳です。
現在すでに複数のシェアードワールドが展開されています。それぞれの世界で楽しんでみたり、新しい
世界設定を提案してみてはどうでしょう。
分からないことはどんどん質問レスしよう、優しいお兄さんやお姉さんが答えてくれるかもしれないよ。
さぁ、貴方も一緒にシェアードワールドを楽しみませんか?
前スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1277909484/
避難所(規制等の際はこちらへ):みんなで世界を創るスレin避難所その2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1276257878/
まとめwiki
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/286.html
#id_a459e271
湯乃香「現在このスレでは 4つぐらいの展開されてるよ。この世界、俺が盛り上げてやろうじゃん!て人は
気軽に参加してみたらいいんじゃない?」
・閉鎖都市
あらゆる社会から隔絶され、独自の発展を遂げていく
「閉鎖都市」そこで暮らす様々な人々と文化を作り出そう!
・異形世界
日本を襲った大地震。同時に突如として現れ、人々を襲う「異形」
異形たちが持つ特殊な元素「魔素」を巡る対立を描こう!
・地獄世界
強大な権力を持った小さな少年、閻魔殿下を中心に繰り広げられる笑いあり、
涙ありの物語。なんでもありの「地獄」で楽しもう!
・温泉界
蒸気沸き立つ謎の世界「温泉界」に住む一人の少女「湯乃香」彼女が
退屈しのぎに始めたのは、なんと異世界からの住人召喚!?
他スレからの参戦も歓迎だ!あんな人とこんな人が風呂でまったりしちゃう!?
・???界
閉鎖都市・異形世界・地獄世界を監視している境灯の世界
基本的に何をしても良いので灯ちゃんのせいにして好き勝手しよう。
特に展開はない!
wikiのを少し弄っただけだけど、こんな感じでどうだろうか
413
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 00:52:48 ID:5qKBSiNc0
乙
だけど文末にしても文字数にしても改行が変な気が
ちょっと文で区切ってみた
・閉鎖都市
あらゆる社会から隔絶され、独自の発展を遂げていく「閉鎖都市」。
そこで暮らす様々な人々と文化を作り出そう!
・異形世界
日本を襲った大地震。同時に突如として現れ、人々を襲う「異形」。
異形たちが持つ特殊な元素「魔素」を巡る対立を描こう!
・地獄世界
強大な権力を持った小さな少年、閻魔殿下を中心に繰り広げられる笑いあり、涙ありの物語。
なんでもありの「地獄」で楽しもう!
・温泉界
蒸気沸き立つ謎の世界「温泉界」に住む一人の少女「湯乃香」。
彼女が退屈しのぎに始めたのは、なんと異世界からの住人召喚!?
他スレからの参戦も歓迎だ!あんな人とこんな人が風呂でまったりしちゃう!?
・???界
閉鎖都市・異形世界・地獄世界を監視している境灯の世界。
基本的に何をしても良いので灯ちゃんのせいにして好き勝手しよう。
特に展開はない!
414
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 15:33:29 ID:5pvldCXcO
おお、すまなんだ
次からはこれでいって欲しい
後は新規向けに各世界の概要がだいたいわかる作品をそれぞれ揚げてみるとしたら何がある?
世界の特徴がよく描かれてる作品が好ましい
415
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 16:36:35 ID:IrZfX4v20
これを機に誰かにその世界についての掌編でも書いてもらうとか
416
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 17:10:12 ID:jW1DDNBk0
果たしてそんな面倒な事を引き受けてくれる人はいるのでしょうか
417
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 17:51:22 ID:IrZfX4v20
ですよねー
418
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 18:13:24 ID:jW1DDNBk0
私的には
閉鎖都市
Report'From the AnotherWorld
異形世界
白狐と青年
地獄世界
地獄百景
が一番分かりやすくそれぞれの世界観を把握できると思います
でもあくまでも個人的な見解ですしおすし
419
:
◆GudqKUm.ok
:2010/08/06(金) 22:00:28 ID:6yfyo3HYO
ガイド掌編……面白そうですがひどい夏風邪に呻吟しております……
大事な話合いに参加出来ず申し訳ありません……
420
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 22:55:01 ID:5pvldCXcO
まぁそれは後々決めるとしてとりあえず新スレをだね
421
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 22:58:35 ID:HWJ8iQxE0
テンプレが
>>412
を
>>413
に修正した奴でよければ立ててくるよ
422
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 23:00:18 ID:5pvldCXcO
>>421
よろしくおねがいしまあぁぁぁぁぁぁぁすっ!
423
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 23:07:32 ID:HWJ8iQxE0
夏戦争やめれw
【シェア】みんなで世界を創るスレ6【クロス】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281103438/
424
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 23:09:02 ID:6doF.Z4M0
/:.:.:.:.:.:.:.:.:..ノ::/ ノ- 八、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
///:.:.:.:.:.:.:.:.// / \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
!/|/:.:.:.lく |l,/,、z = 、 }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
|:.:.:.:.:ノu`_"´´ //|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
i` ̄ u ノ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ
r ‐‐‐---- ‐ ‥ー- ..___ l J }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.リ
` ー--‐ァ‐- 、__ `丶 、._゙、r;;; u J j:.:.:.:.イ:.:.:.:.ノィ:.:.ノ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ン
,、 - '' ´,,_, ヽ、 _,,.、-‐- 、 _/?W ノ/ /:.:./〃/ヘ }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ
丶-‐' " / _ (、_ー'_,.、_ ゝ、 r‐ 二三 ̄`ヽ / ノ ´ / ーノ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;.ィ/′
,′ノ <ヽ、_ `、 1|::::::::::::::::::::::: | ´ / /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ̄ ̄ ̄ ´ /
/ ノ`ヽ_`‐-゙、ゝ、_ 丶、 1|:::::::: | /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ /
i_.ノ  ̄´ `"''ー-丶1|:. | ゝーイ }ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:r'゙ /
1| | し / ノ j:.:.:ト、:.:.:.:.:ト__ /_ - 二
1| | (ノ ノ ソ \:.:{. ̄<''~´「
1| } >''´ く ) )
1|:. ..:;/ し _‐ ´ > __ 丶丶
1|:.:..... .....:.:.:.:.:,/ _ - ゙ ‐
くヘ、_:_:_:_:_:_/ {ノ _ - ´ ‐ ´
丁 J - "⌒ヽ _ -‐´ _ - ´
\ _ ,、 - ´ / _ -
/ _ ‐
ありがとうございまーーす!!!
425
:
名無しさん@避難中
:2010/08/06(金) 23:20:35 ID:5pvldCXcO
よくやった、ジュースをおごってやろう
426
:
名無しさん@避難中
:2010/08/07(土) 20:58:50 ID:s3dYva7oO
新スレ立ったというのにお前ら静かすぎてワロタ
427
:
名無しさん@避難中
:2010/08/07(土) 21:19:36 ID:9D5N3yDY0
みんつくスレ民は皆シャイなんだよ……
人がすくないとかそういうんじゃ断じてないからな!!
428
:
名無しさん@避難中
:2010/08/09(月) 20:43:58 ID:9AMFIzb.O
居ます…
でも規制で、しかも風邪治んないんです…
429
:
名無しさん@避難中
:2010/08/09(月) 21:18:43 ID:Di6SBE7.O
おとなしく寝てなさいwwww
430
:
名無しさん@避難中
:2010/08/09(月) 21:45:45 ID:wkPri2rsO
夏風邪流行ってるみたいだな
鯖移転のせいで過疎るしパソコンぶっ壊れるし今年の夏はろくな事無いぜ
431
:
名無しさん@避難中
:2010/08/10(火) 00:12:13 ID:MqhQA7uY0
ゴタゴタが落ち着いてからなんだか静かですね
そんな中投下
どなたか本スレへ代行してもらえるとありがたいです
432
:
狸よ躍れ、地獄の只中で
:2010/08/10(火) 00:13:52 ID:MqhQA7uY0
第四話『刀語、でござる……だ、題名考えるのが面倒だっただけでござる! パクリとかじゃござらんし!』
愛刀を佩いて藤ノ大姐の元へと戻った迅九郎は、屋敷の玄関先にぼってりとうずくまっている奇怪
な物体を見とがめ、眉をひそめた。
「……大姐様、何でござるか? このぶくぶくのぱんぱかぱんに膨れ上がった虎柄の毛玉は」
「何を言うておるのじゃ狸……というのは流石に酷かのう。こうまで大きく変化してしまってはな。ほ
れ、さっきのあの猫じゃよ。同じ模様をしておるじゃろ」
「あの猫……? 確かアカトラとかいうあの無礼な? いやいやお待ちください大姐様。確かに無礼な
猫ではありましたが、こんなはち切れる寸前の水風船のような体型ではなかったはず」
「アホ狸! 大姐様のお話聞いとらんかったんかニャ! これは変化の術なのニャ! ちょ、ちょっと
失敗しちゃって、こんなぱんぱんになっちゃったけどニャ」
ぶくぶくの毛玉が喋っている。その声もまたややふくよかな感じになってはいるものの、確かにあの
甲高くてよく通る、さっき聞いたばかりの声だとわかった。最後のほう、だいぶ自信なさげにぼそぼそ
なってはいたが。
「アカトラよ、術の鍛錬は日々怠ってはならんと言っておいたはずじゃよ?」
「ご、ごめんなさいニャ大姐様……」
咎める、というよりは優しく諭すような藤ノ大姐に、毛玉は素直に謝る。さすが、年季が違うななど
と、迅九郎は勝手に得心した。
「まあよいよい。さて、では狸よ。乗れ」
「は?」
「は? じゃのうて。なんじゃその妙に心がささくれ立つ声色と表情は。この毛玉の背に乗れと言うて
おるのじゃ。ほれ早く」
ぱんぱんに膨れ上がり、もはや本来猫であるとは思えない大きさにまで達している毛玉。とは言って
もやはり本来は所詮猫。背に乗ったりして大丈夫なのだろうか。柄にもなく冷静な思考を回そうとした
迅九郎だったが、それを許さないのが鬼のババア。
「まったくもう、何を躊躇しておるのじゃこの狸めは。わしが乗れと言ったらさっさと乗るのじゃ。ほ
れどすーん! なんちてな」
考え込む迅九郎にほぼ不意打ちの形で、ガラ空きの背後に渾身の体当たりをかます鬼のババア。奇襲
を受けた迅九郎は赤い虎柄の毛玉へ目がけ、声を上げることもできずに崩れ落ちていった。
433
:
狸よ躍れ、地獄の只中で
:2010/08/10(火) 00:14:45 ID:MqhQA7uY0
「成程。やはりこのアカトラとやらは化け猫の類でござったか。しかしこの背中、ふかふかとしてなか
なか心地よいなあ」
「こ、こら狸! あんまりもふもふしちゃダメニャ! くすぐったいのニャ! バランス崩して落っこ
ちても知らんニャ!」
「わしもアカトラの背に乗るのは久しぶりじゃが、ほんにそなたの背は落ち着くのう。毛並みもよいし、
柔らかいし」
「大姐様までもふもふしちゃダメニャ! ダメニャ!!」
屋敷の玄関先での悶着から数刻。迅九郎は藤ノ大姐とともに、アカトラの背に跨って地獄の空の人と
なっていた。この「空を飛ぶ」というのも、化け猫アカトラが持つ術の一つだそうだ。地獄の化け猫は
結構多才なのだなと、迅九郎は少し感心していた。
しかし何より、その背の心地よいこと。あまり速度は出せないらしく、ふわふわのんびりと揺られる
その感覚と相まって、眠りの世界に誘われることすでに数度。早くも自分がなぜ今この背に乗っている
のか忘れそうになっている迅九郎だった。
もう何度目かもわからない睡魔の襲撃にいよいよ屈服しかけた、ちょうどその時。
「狸よ」
背後にいる藤ノ大姐が声をかけてきた。眠気を振り切って答える。
「何でしょう」
「退屈じゃ。何か面白い話を聞かせよ」
「は?」
「は? じゃのうてえ。なんでそなたの「は?」はこうも神経を逆なでられるのじゃ? ほれ、なんか
あるじゃろ? 面白い話。例えば……」
藤ノ大姐はそこで、思いっきりわざとらしい溜めを作った。こういうわざとらしさというのは、相手
も次の言葉をうすうすは感づいているだろうという前提があって意味をなすのだが、ぼんやり狸の迅九
郎の場合は話が別だ。迅九郎は次の言葉が何かなど考える気さえなかった。すでにまた眠気に襲われか
けてすらいた。
「そなたの持つ刀について、とかな」
「……この刀。童子切について、でござるか」
「そうそう。その『童子切』についてじゃ」
眠気は、すっかりと覚めていた。
434
:
狸よ躍れ、地獄の只中で
:2010/08/10(火) 00:15:23 ID:MqhQA7uY0
ふわふわと浮遊するように飛ぶアカトラの背中の上で、迅九郎は背後にいる藤ノ大姐のほうに体ごと
向き直る。空の上なのだが、彼はその辺意識していないのか、臆することもなくひょいひょいと身軽な
身のこなし。おそらく何も考えていないだけなのだろう。
「まず、先に申し上げておくべきことがござる。実はこの刀……」
「う、うむ」
わざわざ空の上で体の向きを変えて、真摯な表情で語る迅九郎に、藤ノ大姐も少し身構える。迅九郎
の尻のあたりから、ごくりと唾を呑むような音がする。アカトラだ。両者とも、迅九郎の次の言葉を聞
き逃すまいと構えている。
「この刀、刀身がないのですよ」
「は?」
「ニャ?」
「おや、聞き逃したんでござるか? この刀、刀身がないのですよ。刀身がないのです、この刀」
藤ノ大姐、「は?」と言った表情からまるで動かない。それはきっとアカトラも同じだろう。おそら
く迅九郎の言葉は聞こえていない。
空気の読めない侍、迅九郎。追い打ちをかけるように、
「証をお見せするでござる。じゃじゃん! どうでござる? 刀身ないでござろう?」
となぜか愉快気に言って、鞘から柄を引き抜いて見せる。その言葉通り、ぎらりと鈍く揺らめく、数
多の妖物の血を吸ってきたいわくつきの刀身など、そこには存在しなかった。
藤ノ大姐はいまだに「は?」の表情のまま凍りついていた。ぱちぱちと瞬きをしていることから、と
りあえず生きてはいるようだと、迅九郎は無用の納得をした。
かちん、と小さな音を鳴らして、刀身のない刀を鞘へと戻す。ふっと一つ、小さな息をつく。
「言うまでもないことですが、『童子切安綱』という銘の刀は、この世……ではなく、現世に一振しか
ございませぬ。まあ厳密にいえば『童子切』などというのは銘ではなく……いやそれはいいとして。由
緒ある武家、源氏のさるお方が鬼退治に使われたとされるのが、童子切安綱でござる。大姐様であれば
勿論、御存知でいらっしゃいますね」
「む、無論じゃ。あの頃は酒呑の一族も……あ、なんでもないぞ。ほれ、続けよ」
「源氏の御名と輝かしい名声に泥をかけるつもりは毛ほどもありません。ただ、真の童子切安綱は、拙
者が持っているこの刀なのです」
「ほうほう。謎がみすてりいというやつかの。面白いのう、続けるのじゃ」
435
:
狸よ躍れ、地獄の只中で
:2010/08/10(火) 00:15:58 ID:MqhQA7uY0
刀身ない発言の衝撃もようやく薄れてきたか、藤ノ大姐は迅九郎の話にずいと身を乗り出す。はだけ
た着物の中が見えかけて、さすがに焦った迅九郎は、腰にさした愛刀に目をやる。
「源氏の御大将が使われた安綱の刀身は、もともとこの刀の刀身でした。いつ、どうしてこの刀の刀身
だけが失われたのかは拙者存じません。ですが拙者がこの刀を手にした時、この刀もまた『童子切』と
呼ばれていました。そしてまた、そう呼ばれるにふさわしい力を持つ刀だったのですよ、こいつは」
真剣な表情で綴られる迅九郎の言葉に、ふむふむと納得しかけていた藤ノ大姐だったが、ここであか
らさまな矛盾に気付く。
「待つのじゃ狸。その刀、刀身がないじゃろうが。刀身がない刀に力も宝もあるものか」
「あ、さすがです大姐様。あっさりばれてしまいました」
てへ、という表情でうそぶく狸。藤ノ大姐、大噴火寸前である。
「されど、拙者の持つこの『童子切』にはちょっとした秘密があるのです。この刀の――」
「お喋りはそこまでニャ! 鬼婆、近いニャ!」
アカトラの緊迫した声が、迅九郎ののんびりした言葉を遮った。アカトラの発言で迅九郎はようやく
当初の目的を思い出した。鬼婆退治。確かそうだったはずだ。
屋敷からどれほど飛んできたのだろうか。時間で言えば結構長かったように思うが、なにぶん毛玉と
化したアカトラはただ浮遊しているだけで、速度などないに等しかった。それを考えれば、距離は大し
て離れていないのかもしれない。
真っ黒の厚い雲に覆われた空と、灰色の濃い霧に覆われた、眼下に広がる沈みこんだ大地。華やかで
きらびやかな花の蔵屋敷が、幻であったかのようにも思えてくる。
地獄。ここは、やはり地獄。誰もが厭うその地へと、自分は落ちた。
――無意味なことなど何もない。何かを無意味だと思うかどうかは、己の気持ち一つだ。
生前、そんな言葉を誰かから聞かされたような気がする。
自分はこの言葉に賛成はしなかった。でも今、少しだけ――
「死でさえも、意味はあるのだろうか。地獄に落ちたこと、心ならずもそこに留まっていること。それ
ら全て、意味があるというのだろうか」
少しだけ、信じてみようかと思った。
第四話『刀語、でござる……だ、題名考えるのが面倒だっただけでござる! パクリとかじゃござらんし!』終
436
:
名無しさん@避難中
:2010/08/10(火) 00:16:51 ID:MqhQA7uY0
投下終わりです
437
:
名無しさん@避難中
:2010/08/10(火) 00:41:49 ID:dFMuojjcO
空飛ぶ猫バス乗りたいです(^p^)
438
:
名無しさん@避難中
:2010/08/10(火) 15:31:25 ID:5e.31WbQO
規制中で代行できないけど、こちらに感想をば
なんか迅九郎と藤の大姐っていいコンビだなw いや、アカトラ含めてトリオかw 次回鬼婆登場に大期待!!
439
:
名無しさん@避難中
:2010/08/10(火) 17:41:32 ID:RJDrlwoQ0
アカトラー!俺だー!モフモフさせてくれー!
440
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 21:12:10 ID:KKETLjLoO
戦場に散った日本兵の英霊が、
60年の時を経て日本に帰って来るっつーまるで地獄世界みたいなドラマやってるぞ
441
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 22:22:12 ID:F3lNBr2MO
『帰国』だね
442
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 22:37:56 ID:HZggZ3X20
それと僕的にはあれは日本じゃなくて『ジャポネ・ジャーパン・ジパング』と呼びたい
443
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 22:39:04 ID:QAq6Jz0Y0
お前ら生きてたのか
444
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 23:07:22 ID:KKETLjLoO
全然死んでないんだけど、規制で投下出来ないよね
445
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 23:12:16 ID:HZggZ3X20
生きているけど投下する人間じゃないんだ
そして規制されている
446
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 23:41:45 ID:QAq6Jz0Y0
そうなのか……
俺はあんまりにも過疎だから他所に浮気しつつある……
447
:
名無しさん@避難中
:2010/08/14(土) 23:50:47 ID:F3lNBr2MO
盆正月は忙しい境遇なのと、執筆環境を変えたらパタリと書けなくなった次第で
でも盆明けたら本気出す
448
:
名無しさん@避難中
:2010/08/17(火) 21:55:43 ID:Ohx1K2LIO
白狐と青年投下きてりゅうぅぅぅぅっっ
何だろう、俄然やる気が出てきた
449
:
名無しさん@避難中
:2010/08/18(水) 14:49:31 ID:sa4/bHXs0
投下あったし久々に本スレに書き込みたいけど
おのれ規制ーーーーーーーーー!
450
:
名無しさん@避難中
:2010/08/23(月) 23:55:38 ID:QxpDSxdw0
さみしいな
451
:
名無しさん@避難中
:2010/08/24(火) 07:04:08 ID:XpqGBk7s0
ああ……
452
:
名無しさん@避難中
:2010/08/24(火) 07:30:30 ID:Xle96pj2O
少しは書き溜まってるが書き込めない
もういっそここに書こうかな
453
:
名無しさん@避難中
:2010/08/24(火) 19:12:05 ID:jDuGbbkcO
シェアワスレはいつでもウェルカム
454
:
名無しさん@避難中
:2010/08/25(水) 02:59:33 ID:3I/lFtq20
かつて一日一回は投下のあったみんなで世界を創るスレというものがあってな…
455
:
名無しさん@避難中
:2010/08/25(水) 04:29:04 ID:NQR8kIsU0
しかしそのスレは移転クライシスの煽りを受けてしまったんじゃよ…
456
:
名無しさん@避難中
:2010/08/27(金) 20:32:36 ID:l9JpREucO
執筆環境が復旧。さあ書くぞ!!
相変わらず本スレにゃ書き込めないが……
457
:
名無しさん@避難中
:2010/08/27(金) 23:44:18 ID:kFo/st9UO
誰か投票スレでキャラ解説してあげようぜ
にわかの自分は書くべきじゃないと思うので
458
:
名無しさん@避難中
:2010/08/27(金) 23:46:55 ID:34VJSA620
kwsk
459
:
名無しさん@避難中
:2010/08/27(金) 23:51:04 ID:34VJSA620
自己解決しますた
460
:
名無しさん@避難中
:2010/08/28(土) 00:34:00 ID:UAV0OUdw0
本日は創作発表板の2周年記念日です!
現在、創作発表板の2周年企画として行っていた「キャラクター人気投票」の結果発表にあたり
その際に読み上げる、簡単なキャラクター紹介文を募集しております
もちろん、創作物という形での紹介も大歓迎です!
お隣さんと絡む機会の少ない板ですが、2周年のこの日は板の世界を楽しんでみませんか?
会場
【2周年記念】創発キャラクター人気投票アピール会場
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1280318388/
創作発表板@wiki−人気投票
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/801.html
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/851.html
紹介する時のテンプレート
欲しい情報としては
【キャラクター名】
【登場するスレ】
【キャラの説明】
【スレッドの内容】
らしいです
トエル・大賀美夜々重・湯乃香・クズハが投票所に名前があったのでよろしかったら紹介文等書いてみてはいかがでしょう
461
:
名無しさん@避難中
:2010/08/28(土) 03:20:45 ID:GDc96FjA0
うおおおおおおおおおおおおババアアアアアアアアアアアア!!
藤のおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!
俺だあああああああああ!!ご飯よそってくれええええええええええええええ!!
462
:
名無しさん@避難中
:2010/08/28(土) 09:40:52 ID:KFBQR9f.0
それを猟師が鉄砲で撃ってさ
煮てさ焼いてさ食ってさ
463
:
名無しさん@避難中
:2010/08/31(火) 17:07:05 ID:6pc0tbQc0
最後の最後で規制入ったよ↓代行誰か頼みます…
―次回予告。
水萌を襲う怪事件。その事件に立ち向かうは我らが再生機関!
「ふえぇ、おおいそがしですし」
なぜ歌姫から声が消えるのか、犯人は一体…!?
「これって、金田一的に言ったら犯人死ぬパターンだよね」
刻々と迫る声魂祭までの時間。そして現れる謎の男……
「僕達の周りを嗅ぎまわってるみたいだけど、計画の邪魔はさせないよ?」
「特別に見せてあげよう……僕の力をねッッ!!変身!」『"Fusion Load"』
次回・正義の定義第十一話
『NEXTフェイズ』
君にこの謎が解けるか!?
投下終了。
最後二人は物語の本筋に関わってくるであろうグループの一員です。
本来出す予定のなかったキャラですけど、過疎とかモチベーションとかの問題で投げ出してしまいそうなので
投げ出すよりかは展開早めにして早期決着すべきと思い、二人を出しました。でも、もうちょっとだけ続くんじゃよ。
これを気に人が戻ってきてくれればいいな,カムバックみんつくスレ民!
464
:
名無しさん@避難中
:2010/08/31(火) 17:08:54 ID:6pc0tbQc0
とか言ってるけど自分もかなり投下サボってたって話なんだけどね。
以前の勢いを取り戻せたらいいな。
465
:
名無しさん@避難中
:2010/08/31(火) 20:54:02 ID:nXC0pxRIO
規制中なのでこちらで投下乙!!
声を奪う異形ってよくいそうで意外と思いつかないw
さて、俺も頑張って続き書こうかw
466
:
名無しさん@避難中
:2010/09/01(水) 17:46:08 ID:VGHwK95.0
落書きクズハちゃん!
ttp://a-draw.com/contents/uploader2/src/a-draw1_24104.jpg
前に書いたのからずいぶんで髪型が変わったようなそうでないような
あと自分の中の桃太郎のイメージはこんなん
ttp://a-draw.com/contents/uploader2/src/a-draw1_24105.jpg
467
:
名無しさん@避難中
:2010/09/01(水) 17:55:45 ID:zm3OTISY0
うおおおおおクズハたぁぁぁぁぁん髪の毛もふもふさせろおおおおおおおお
468
:
名無しさん@避難中
:2010/09/01(水) 20:46:10 ID:BVQdu7goO
ぐっじょぶだが桃がww
469
:
名無しさん@避難中
:2010/09/01(水) 22:09:44 ID:2mbwKB.k0
おお、GJ!
だがしかし桃太郎がなぜか鬼に見えるww
某高木さん扮する緑色の鬼のせいだろうか
470
:
名無しさん@避難中
:2010/09/01(水) 23:01:31 ID:v7IzUaTA0
クズハかわいいよクズハ
桃太郎の表情www
471
:
◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:41:28 ID:ukeca/Hg0
NEMESIS 第8話 回想〜クラウス・ブライト、セフィリア・ブライト
ある晴れた日の昼下がり、クラウスとセフィリアは聖ニコライ孤児院にいた。赤ちゃんが捨てられていたあの日、8人全員、セフィリアを含めると
9人全員で孤児院を何らかの形でバックアップしていくことをシオンが提案し、残る8人もそれに同調した。
話し合いの結果、シオンは孤児院の子供たちの医療費の全額免除、シュヴァルツは資金援助、アスナはブクリエのケーキを全品半額、
フィオは周辺の孤児院周辺の警備強化、セオドールはブルー・スカイハイの無料ライブと作詞作曲に興味がある子供たちのための、作詞作曲講座や
古今東西の様々な楽器を使った音楽教室を実施、クラウス、セフィリア、ベルクト、アリーヤも何かできることは必ずあるはずと模索しつつ、
2週間に一度の9人による劇に参加していた。今日はその第一回目公演の日である・孤児院には10歳にも満たない幼児や大学生とその年齢層はピンキリなので、
万人を飽きさせない演目を選ぶ必要があった。そこで白羽の矢を立てたのが、「3150万秒と、少し」である。そのあらすじはというと、次のようなものである。
高校3年生の冬、卒業も間近だということで主人公の2人の少女、アスカとオトハは友人たちや学校の教師たちとスキー旅行に出かけることになった。
だが、楽しいはずのその旅行の最中起きた雪崩にバスが飲み込まれ、アスカとオトハを残して友人たちは全てこの世から去ってしまう。
家族や医者の言葉がむなしく響き、ショックと絶望、喪失感からオトハが街外れにある岬の灯台に行こうと言い出した。その岬から落ちた人はほとんど生きては帰れない。
そんな時、アスカはオトハにある提案をするのである。
「一年だけ、一年だけ待ってくれないかな?やりたいことがあるの。オトハと二人で一年間やりたいことが。それが終わったら一年後にここに来よう」
かくして、アスカの作ったやることリストに従い、二人の「生きる」が始まるのだった―というものである。
配役は、年が近いという理由でアスカをフィオ、オトハをセフィリアが演じることとなった。フィオは自警団の仕事の傍ら練習に参加していたので
うまく演じられるか不安要素はぬぐえなかったのだが、当の彼女はその持前の呑み込みの速さでセリフや動きなどの振付をどんどんマスターしていった。
そして劇は孤児院のホールにて開かれることとなり、滞りなく進み最後には子供たちの拍手喝采とともに幕を閉じた。
そして劇も終わり、9人はそれぞれ孤児院の子供たちや職員たちと交流の時間を持つ。まずアスナは、ローゼ、クララといったブクリエのケーキを楽しみに
している子供たちから今後どんなケーキが食べたいか意見を拝聴しているところだった。こんなケーキが食べたいという子供たちの要望に対して
丁寧にノートにメモを取り、ペンを握る右手を顎に当てて考え込む。どうやらこの段階ですでにレシピなどの構想を練っているようだった。
「うんわかった。試作品ができたらみんなのところに一番に持ってくるからね」
フィオは孤児院の元気な子供たちと庭にて鉄砲ごっこに興じていた。BB弾が目に入らないようにゴーグルを着用させるという配慮をするフィオだったが、
数で圧倒してくる子供たちの集中砲火を受けて逃げ惑っていた。
「いたっ、ちょっと君たちそれは反則だって、あいたっ!」
セオドールはと言うと、モニカやドラギーチといったハイスクールに通うティーンエイジャーの子供たちからサインを求められていた。
彼はスラムを拠点としながらも閉鎖都市全体を通して絶大な人気を誇るロックバンド、ブルー・スカイハイのボーカルであり、3日後には
この孤児院で初の無料ライブを控えていた。ブルー・スカイハイのスケジュール上、ライブよりも先に告死天使たちによる劇のほうが先に公演されることになったのだ。
よって、セオドールが孤児院に来るのはこれが初めてであり、先ほどの劇に出演した時にはどよめきと歓声が巻き起こったものだった。
サインと言っても彼が来ることなど子供たちには事前に知らされておらず、セオドールは彼らの着ている衣服の上に油性マジックでサインを施してゆく。
472
:
◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:42:32 ID:ukeca/Hg0
彼らの人気の秘密はその奏でる楽曲もさることながらファンをとても大事にすることだった。スラムで行うライブの後にはメンバー全員で観客と握手を
交わしてゆくことなど当たり前。さらにファンレターはメンバー6人全員で手分けして返事を書き、その最後にはメンバー全員の直筆のサインが入るという
凝りようであった。そんなセオドールとブルー・スカイハイについて語るのはまた後日。
シオンはやはり孤児院で育ったという黒人の大男、ポープと何か話をしている。
「ポープさん、私の見立てではどうやらあなたは喉と肺を悪くしているようだが…治す気はないか?手術をすればあなたの喉も肺も健康を取り戻せるのだが」
「オゥ、本当デスカ?ソレナラ是非オ願イシタイデス」
シュヴァルツはというとチューダーと何かお互い通じるところがあったらしく意気投合し、通信機器の話で盛り上がっていた。ベルクトはミシェルにからかわれていた。
「あら、かわいい坊や。お姉さんが大人の魅力をたっぷり教えてあげましょうか?」
妖艶な口調で語りかけ、ベルクトの肩に腕を回すミシェルだが、未成年をたぶらかすんじゃないとゲオルグに止められた。
一方、ベルクトはと言うと苦笑いを浮かべていた。アリーヤはイレアナと世間話をしている。
「いつもあの子供たちの世話で大変だろう。赤子から学生まで様々な年齢の子供の面倒をみるというのは」
「あらあら、私だってこの孤児院で育った身だし、あの子たちの笑顔や生き生きとした姿を見ていれば少しくらいの苦労はすぐに吹き飛ぶから」
そして、クラウスとセフィリアは…ゲオルグと話していた。子供たちがブクリエのケーキを楽しむあの部屋のテーブルについてアスナが持ってきたケーキと
シオンが持ってきた紅茶を淹れてティータイムの傍ら様々な話をしている。クラウスとセフィリアが初めてゲオルグと出会ったときに託した赤ちゃんが
この孤児院で元気に暮らしていることを先ほど確認し、このゲオルグという男が誠実かつ信頼できる人物だということをクラウスとセフィリアは知った。
「ゲオルグさん、約束を守ってくださってありがとうございます」
「気にするな。君たちの友人たちには世話になっているからこれくらいのことは当然だ」
セフィリアが感謝の言葉を述べて、ゲオルグがそれに答える。セフィリアもクラウスも衣装から着替えていたが、セフィリアは孤児院に来る時は
常にクラウスからもらったあの白いコートを身に纏うことにしている。シオンがそう思うようにセフィリアにとっても孤児院の子供たちは大切な存在。
この殺伐としたスラムにおいて聖ニコライ孤児院だけがそこから隔絶された空間であり、多くの人間が住んでいてもさながら一つの家族のような雰囲気を醸し出している。
そんな存在と触れ合うのに継ぎ接ぎだらけのぼろぼろの服を着ていく訳にはいかず、故にこの純白のコートを身に纏うようにしているのだ。
一方、クラウスはと言うと…あの告死天使の黒装束を身に纏っていた。赤ちゃんを引き渡したあの日以来クラウスとセフィリアは何度か聖ニコライ孤児院に
出入りする機会があったのだが、ゲオルグはどうやら告死天使の存在を信じてはいないようだった。あの時アリーヤが広げた8人の直筆のサインが入った
誓約書をゲオルグとアレックスにも目の当たりにしたというのに。そこで、クラウスとセフィリアは今日一つずつの決めごとを持ってこの孤児院にやってきた。
まずクラウスは、自分が告死天使だということをゲオルグに信じてもらうことだった。だが、それはこの孤児院に二度と足を踏み入れられなくなるという可能性も
孕んでいた。自分は貴族を3人、聖ヘスティア学院の女生徒たち6人、計9人もの命を奪った殺人鬼だ。それがたとえ自分が生まれ育ったスラムを守るため、
傷つけられた仲間の敵を討つためとはいえ、人の命を奪ったという事実に変わりはない。だが、目の前の誠実かつ心優しいこの男に対してこれ以上
自らの素性を隠すことなどできなかったのだ。明るい笑顔でゲオルグと言葉を交わすセフィリアとは対照的に神妙な面持ちを浮かべてクラウスは切り出した。
「あの、ゲオルグさん。今日は一つお話したいことがあるんです。今僕が着ているこの服、あなたと初めて会ったときにも身に纏っていましたが、
実はこの服こそがあなたがその存在を疑う告死天使が身に纏う装束なんです。僕だけじゃなく、セフィリアを除いた全員が告死天使のメンバーです」
473
:
◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:44:08 ID:ukeca/Hg0
そしてクラウスはこの装束が黒い理由は、夜間迷彩としてだけではなく、犠牲者に対する喪服としての意味合いも含めていることを語る。
これで告白は終わった。クラウスは固唾を飲んでゲオルグの答えを待つ。ゲオルグがたとえ二度と目の前に現れるなという言葉を口にしてもこれなら後悔はない。
だが、次にゲオルグの口から出た言葉は意外なものだった。
「クラウス君…君が何者であろうがそんなことは関係ない。ただこの二週間、君たちと接した子供たちは口をそろえてまた来てほしいと言っていた。
君たちは俺たちにできないことができる。だから、これからも孤児院に来てくれるとありがたい」
「ゲオルグさん…ありがとうございます…」
クラウスの告白に対するゲオルグの解答を得た瞬間、彼は目頭を押さえてゲオルグに頭を下げた。セフィリアから白いハンカチを手渡され、クラウスは目を拭う。
そして、ハンカチをセフィリアに返すと、それを合図と言わんばかりに今度はセフィリアがゲオルグに切りだすのだった。
「ゲオルグさん、私もあなたに聴いていただきたい話があるんです。私と…クラウス兄さんの過去についてです」
セフィリアの思いがけない言葉にクラウスは驚きの表情を浮かべて彼女のほうを向くが、その瞳には不退転の強い決意が宿っていた。
彼女のそんな瞳にクラウスはふっとひとつ鼻で息をついてゆっくりと頷いた。それを皮切りとし、セフィリアは語り出す。
クラウス・ブライトとセフィリア・ブライトがともにこの世に生を受けたのは今から20年前。当時このスラムで小さな酒屋を営んでいた父・カルロスと
その酒屋の一番の常連客だった母・アリシアとの間に生まれる。アリシアは25年前、14歳のときにに初めてカルロスの酒屋を訪れたのだが、
当時彼女はスラムのバーで下働きをしていてよくこの酒屋に買い付けにきていたのだ。週に3回ほど通ううちに彼女はカルロスの穏やかな人柄と容姿に触れて、
だんだんと彼に惹かれていった。カルロスもアリシアの美しい容姿、ブロンドの髪、そして何よりその心優しい性格に触れ、彼女に惹かれていくのだった。
そして21年前、4年間の交際を経て晴れて二人は結ばれることとなった。その新婚初夜、二人は身体を交わらせた。そうしてアリシアが18歳のときに身籠ったのが、
クラウスとセフィリアである。ただ、2人を身籠ったアリシアは産まれた後の2人を育てるために仕事を続けた。カルロスもそんなアリシアを心配しながら
彼女とともに2人を育てるために今まで以上に仕事に励むのだった。そして、アリシアのお腹が膨れて目立ってきたころ、産休としてアリシアは休みを取った。
スラムの病院に入院したアリシアにカルロスは仕事の傍ら付き添い、2人は幸福の真っただ中にいた。
「君のお腹、だいぶ大きくなってきたね。産まれてくる二人の子供にはなんて名前をつけようか?」
「二人で決めましょう。男の子にはあなたが、女の子には私が名前を付けるのはどうかしら?」
「いいね。じゃあ僕は、そうだね…クラウス、なんてどうかな?クラウス・ブライト」
「いい名前ね。それじゃあ私は…セフィリア。セフィリア・ブライト」
474
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◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:45:12 ID:ukeca/Hg0
こうして産まれてくる二人の名前はクラウスとセフィリアに決まり、そして二人が身体を交わらせてからおよそ10カ月が経ったころ、
ついにクラウスとセフィリアがこの世界に産み落とされる日がやってきた。双子と言うことで難産が予想されたが、神様が助けてくれたのだろう。
医師の予想とは裏腹にすとんと産み落とされるのだった。その出産に立ち会ったカルロスは産まれたばかりの2人を腕に抱いてこの世界でもっとも幸福
であるかのような、そんな笑顔を持ってアリシアに見せる。出産の疲労で疲れ切った表情を浮かべるアリシアも、カルロスの腕の中で産声を上げる
クラウスとセフィリアの姿に微笑を浮かべるのだった。だが、運命は最後の最後に残酷な結末を用意していた。
幸せいっぱいという表情を浮かべる2人とは裏腹に焦った表情を浮かべる医師。その理由は、アリシアの胎盤がいつまでたっても娩出されないことにあった。
通常、赤ちゃんが産まれた後お母さんのお腹の中で赤ちゃんのベッドの役割を果たす胎盤は外に自然に娩出されるのだが、
何らかの理由で胎盤の絨毛組織が子宮の筋層に侵入していた場合、胎盤が子宮から剥がれずに、医師が直接剥がさない限り出産の進行が不可能になる。
これを癒着胎盤という。幸せに水を差すようで悪いのですが…と前置きをしたうえで医師がカルロスとアリシアにそれを説明する。
「治せるんですよね。ならすぐに治してください」
確かに医師の手を加えれば胎盤を剥がすことはできる。だが、癒着胎盤の問題はこの先にある。胎盤を剥がすときに大量の出血を伴い、それを原因として
最悪の場合、失血死の可能性もある。それをカルロスとアリシアに説明する医師。そして、医師は説明を終えてある書類を彼に手渡した。
それは…誓約書だった。万が一、アリシアが死ぬようなことになっても自警団当局の捜査の結果医療ミスが見つからなかった場合、
医師を提訴することはしないという内容であった。手術にはどうしても必然的リスクは付きまとうのだが、そこにまで重箱の隅をつつくかのように
やれ提訴だやれ裁判だなどと吹っかけてくる輩が後を絶たず、医師不足の原因の要因の一つになってしまっているという現実がある。
それを防ぐために、医師はあらかじめ家族にこのような誓約書を用意し、サインを求めるのだ。医師がこの書類の趣旨を説明し、それに納得しサインするカルロス。
その書類を金庫に保管するようにと看護師に手渡して、医師は胎盤を剥がす手術に入る。まずアリシアに麻酔を投与して眠らせ、
それを確認した後帝王切開で彼女の腹部を開き、子宮に張り付く胎盤を剥がそうと試みる医師。慎重に剥がしていき、ようやく胎盤を完全に娩出することができたのだが
やはり大出血がおこる。すかさず止血に移行する医師だったが、出血は収まらない。この場合、子宮そのものを摘出する必要があり、出血によって失われた血を
補うために輸血を行いながら、彼女の腹部から子宮は摘出された。血圧も安定し、アリシアは分娩室を後にし、病室のベッドにその身を横たえた。
しかし、医師から麻酔の効力が切れて覚醒するであろうと告げられた時間を過ぎてもアリシアは目覚めなかった。カルロスは麻酔の過多投与を疑ったが、
手術チームの麻酔科医が指示して書記に書かせたカルテに記載された麻酔の量は正常なものであり、過多投与は考えられなかったのだが、
結局その後アリシアが目を覚ますことはなかった。その悲しみの矛先も、カルロスが書いた誓約書、ならびにカルテが医療ミスではないことを証明している以上
医師たちに向けることも出来ずにカルロスは悲しみに打ちひしがれた。だが、カルロスには生きる希望がしっかりと残されていたのだ。
眠りに就いたアリシアが残した、クラウスとセフィリアである。二人が産まれてからおよそ2週間、カルロスは病院から二人を引き取り、
自宅を兼ねた酒屋で育てることとなった。といってもカルロスは育児など当然したこともなく、最初のうちは育児書を見ながら悪戦苦闘の日々を送ることになる。
しかし、カルロスはそれでも虐待や育児放棄など決してすることなく極めて献身的に2人を育てた。その姿は酒を買いに来る客からも好意的に映り、
酒屋の売り上げも安定し二人の養育費には事欠かなかった。しかし、二人が物心ついたころ、カルロスはクラウスとセフィリアから当然の疑問を投げかけられる。
「お父さん、なんで僕達にはお母さんがいないの?」
「うん、友達は暗くなってくるとお母さんが迎えに来るけど私たちにはいないから」
カルロスは少し悩んだ末に、二人の疑問に対してこう切り返した。
「お母さんはね、クラウスとセフィリアが生まれてすぐに遠いところにいっちゃたんだ。二人をよろしくって言い残してね。多分もう戻って来ないだろうな…」
475
:
◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:46:10 ID:ukeca/Hg0
周りの友人たちに母親がいるのに自分たちにはいないという悲しさ、寂しさを抱えながらもその母親の分の愛情を注いでくれるカルロスの言うことを
二人は素直に聞いた。そして二人が小学校に入学し、カルロスの負担も軽くなりこれまで育児で疲れていた身体、精神をようやく休められることとなった。
一方、クラウスとセフィリアは学校の計らいで6年間常に同じクラスとなった。最初の3年間こそ周囲と仲良く過ごせていたものの、
4年生となり、だんだんと大人に向けての成長のプロセスの中で心が成長していくのだが同時に不安定になりがちな時期でもある。
そんな中で、「性」に興味を持ち始めた男子、女性としての「美しさ」をまだ幼いながらに意識し始めた女子からセフィリアは興味と嫉妬の対象となり、
毎日のようにからかいやいじめの対象となった。しかし、そんな妹を常に守りつづけたのが、クラウスだった。
男子からのからかいに対しては、当時ボクシング、キックボクシング、空手、ムエタイ、テコンドーなどあらゆる立ち技格闘技を織り交ぜた総合格闘技
「R(リング)-1」のミドル級チャンピオン、アルバート・サワー選手を模倣したキックで応戦、嫉妬から浴びせられる女子たちからの心ない言葉に対しては、
閉鎖都市で毎年11月の初頭に開催される「ディア・デ・ムエルトス」というフェスティバルの出し物の一つである、
バカみたいに笑う骸骨(エスケレト)を模倣しながら、彼女たち以上の暴言を浴びせた。そのため、逆に泣いてしまう女子が続出し、担任教師からしばしば
叱責を受けたが、クラウスのこの行動が見事に功を奏して一月足らずでセフィリアに対するからかいやいじめはなくなった。
これら一連のクラウスの行動が8年後アスナから「サディスティッククラウス」と呼ばれドン引きされた行動の前身であった。
だが家ではそんなクラウスの行動もセフィリアはカルロスに誇らしげに語るのだった。
「お父さん、今日もお兄ちゃんが助けてくれたの。すごくかっこよかった」
「偉いなクラウス。よし、今日は二人の大好きなカレーを作ろうか」
それから2年がたち、二人は6年生になった。不安定だった周囲の少年少女の心も落ち着きを見せ始め、二人はその後トラブルに巻き込まれることなく
無事に小学校卒業の日を迎えることになる。体育館で開かれた卒業式にて卒業証書を受け取り、一月後に待ち受ける中学校入学の日を心待ちにしながら
二人は帰路に就いた。しかし、その道の中で事件が起こるのだった。当時、スラムでもきっての武闘派として名を馳せていた高校生の不良グループ3人と
運悪く鉢合わせしてしまったのだ。治安の悪いこのスラムで名を馳せるだけあり、3人とも筋肉隆々とした身体つきに見るものを圧倒させる威圧感ある
出で立ちとなっていた。当時から同学年の男子からは憧れ、女子からは羨望の眼差しで見つめられるほど綺麗だったセフィリアをその不良3人が放っておく
はずもなく、2人は襲われてしまうのだった。
クラウスは当然のようにセフィリアを守ろうとするが相手は体格が自分とは2回りも違う筋肉隆々とした高校生。勝てるわけもなく一蹴され、
取り押さえられてしまうのだった。それでも必死にもがいて抵抗するクラウスを地面にうつ伏せに押さえつける不良。
そして、下卑た笑いを浮かべてクラウスにタバコ臭い吐息とともに言い放つのだった。
「ヘッヘッへ。お前の可愛い大事な妹は俺たちがたっぷり可愛がってやるからなぁ」
取り押さえられながらもその眼前で残る二人の不良に組敷かれながらも必死に抵抗するセフィリアをなんとか助けようとクラウスはもがいた。
しかし、その抵抗に腹を立てた不良に後頭部を思い切り殴られて気絶してしまう。朦朧とする意識の中、クラウスは何故か自分の背が軽くなったのを感じた。
だがそれも薄れゆく意識の中での錯覚か何かだろうと認識し、そしてクラウスの意識は深い闇へと落ちて行った。
その闇の最中、彼は夢を見た。場所は自宅だろうか。いつも父親とセフィリアの三人で食卓を囲むリビングで、そのテーブルに就いているのだが、
今自分の眼前にいるのはセフィリアでもカルロスでもなく、真っ黒な服、そうたとえるなら喪服に身を包んだ20歳くらいの青年だった。
その青年がクラウスに語りかける。
「クラウス君、君はついさっきそうしたようにこれからも大切な人を守りたいかい?」
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◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:46:59 ID:ukeca/Hg0
青年がなぜ自分の名を知っているのかは分からないがクラウスはその問いに頷いてYESという意思表示を彼に見せた。すると青年はニコっと笑顔を見せてまた口を開いた。
「それなら君が目覚めたあと最初に現れる老人についていくといい。きっと君にその力を授けてくれるだろうさ。そしてこれは僕からの贈り物。
君が大切な人を守りたい、助けたいと思ったときに使うといいよ。ただし、決して自分のためには使っちゃいけないよ?」
と言ってその青年はクラウスに何かを手渡した、のだがそこで目が覚めてしまった。目を覚まし身体を起こすとそこにいたのは、
見慣れない2人の少女と白髪頭の老人がいた。場所はどこだろう。クラウスはあたりを見回した。ここは…僕の家?
クラウスは自宅の寝室のベッドに寝かされていたのだ。そして、隣のベッドに目を向けると、
ところどころ破れ下着が見えてしまっている服を纏ったセフィリアが目を閉じて横たわっていた。彼女もクラウスと同じようにあの直後、気を失ったのだ。
「すいません。危ないところを助けていただいて。それにしてもあなたたちは一体何者なんですか?」
「ほほほ、自己紹介がまだだったようじゃな。儂はケビン・ケールズ。この廃民街に本社を構えるCIケールズ社の創業者じゃよ。そしてこの2人が…」
「アリーヤ・シュトラッサーだ。歳は17。ケビン様の一番弟子だ。そしてこの銀髪の娘が…」
「シオン・エスタルク。16歳。君にのしかかっていたゲスを払ったのは私だ。君のような誇り高き少年にあのようなゲスがいつまでも乗っていていい訳はないだろう?」
クラウスが気を失う直前感じた背中が軽くなったような感覚。あれは錯覚ではなかったのである。シオンによると不良がクラウスを殴りつけたその直後、
彼の顔面に強烈な回し蹴りを叩き込み、一撃のもとにKOしたというのだ。セフィリアを組敷いていた残る二人の不良はというと、
ケビンとアリーヤが背後から頸部めがけて手刀を繰り出して一撃のもとに気絶させた。そして、クラウスの通学カバンに記されていた彼の住所を元に
クラウスとセフィリアを彼らの自宅まで運んできたという訳だ。ケビンたちがたどり着いた時カルロスは店頭で店番をしていたのだが、
見慣れない老人とどこかの学校の制服を身に纏う2人の少女に抱えられたわが子の姿を見て、事態がよく飲み込めずに混乱していたが、
ケビンが彼に一から事情を説明し、ようやくカルロスは事態を把握することができた。そして愛する息子と娘を救ってくれたケビンとアリーヤ、
シオンに深く頭を下げるのだった。その後カルロスは3人を家の中へと案内し、気を失ったままのクラウスとセフィリアをベッドの上へと横たえた。
「息子と娘のそばにいてやりたいのですがこれから配達がありまして…申し訳ないのですが2人のそばについてやってくださいませんか?」
「大丈夫じゃよ。乗りかかった船じゃ、2人は儂らが見守っておるから安心して仕事に行ってくるとよい」
よって今カルロスは配達中であり、部屋の中にカルロスの姿が見えないのはそれが理由であった。クラウスが少し口ごもりながらも再び口を開く。
477
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◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:47:46 ID:ukeca/Hg0
「あの、助けてもらったお礼…しないといけませんよね…僕はなにをすればいいのでしょうか?」
そのクラウスの問いにケビンはただ微笑み、クラウスに鼻先と鼻先とが触れ合うほど顔を近づける。そして彼の瞳を覗き込み、言った。
「クラウス君…と言ったかの。よい瞳をしておるな。唐突で悪いのじゃが、儂のもとで修業する気はないかの?
さすれば先刻の暴漢に襲われてもおぬし自身、あるいはおぬしの大切な人を守れるようになるでの」
ケビンのその提案にクラウスは考えこむ。このお爺さんは優しそうだが修業は大変そうだ。僕にその修業は耐えきれるのだろうか。正直自信はない。
しかし、ここでクラウスは先ほどの夢に出てきた青年の言葉を思い出す。そうだ、僕は大切な人を守りたい。セフィリアを二度とこんな目にあわせちゃいけない。
そのためには僕自身が強くならなくちゃいけない。ならば、答えは決まっている。
「わかりました。ケビンさん…でしたね。あなたの弟子にさせてください」
クラウスの答えに満足した様子のケビンは再び微笑み、クラウスと握手し言った。
「決まりじゃの。儂の修業は厳しいがしっかりとついてくるのじゃぞクラウス君。さて、君のお父さんが帰ってきたら話を通しておかねばならんの」
「お前がケビン様の3番目の弟子と言うことになるな。これからよろしく頼む、クラウス」
「私からもよろしく頼むよ、クラウス君。誇り高き君とともに修行することができて光栄に思うよ」
そして、アリーヤ、シオンとも握手を交わすクラウス。それからおよそ30分後、配達業務から戻ってきたカルロスにケビンはこう話した。
「カルロスさん、ここはスラムじゃ。また今日みたいなことが起こらないと断言できん。そこで儂がクラウス君を鍛えて、自分の身を自分で守れるように
してやりたいのじゃが、どうじゃろうか。すでにクラウス君の同意は得ておるでな」
そのケビンの提案にカルロスもまた考える。修業だって?僕のいない間にそんな話が出来上がってたんだ。修業と言うのだから当然危険な目に遭うことも
あるのだろう。今も眠り続けているアリシアから託されたクラウスをそんな目に遭わせるわけにはいかない、と言いたいところだけど
相手はそのクラウスとセフィリアを危険を顧みず助けてくれた恩人だ。しかもとてもじゃないけど悪い人には見えない。そして何より、
クラウスがやりたいというのなら僕はその意志を尊重するだけだ。
「わかりました。クラウスを…よろしくお願いします」
「ほほほ、そういってもらえると思っておったよ。それではクラウス君、君さえよければ早速今日からでも稽古をつけてみるかの?」
「はい、お願いできるでしょうか」
では早速準備をということで、アリーヤとシオンを一度自宅へと返し、クラウスに2,3質問する。その内容とは、
1、 どのようなスタイルで戦いたいか。
2、 コミュニケーションは得意か。
3、 好き嫌いはないか。
である。クラウスはその問いに、尊敬するアルバート・サワー選手と同じキックを主体とした戦闘スタイルで戦いたい、
コミュニケーションは、割かし得意なほうである、好き嫌いに関してはそもそもこのスラムで好き嫌いができるほど贅沢はできないと答えた。
「ほほほ、これは愚問であったの。それではクラウス君、儂の道場についてくるがよい。ここから歩いて10分のところにある所じゃ」
そして、クラウスはケビンの道場へ着いてゆくこととなり、これがクラウスとケビンの出会いであった。
着いていった道場には、すでにアリーヤとシオンが制服から私服に着替えて待っていた。アリーヤは、黒い綿生地の長ズボンに黒い長そでのジャケットを身に纏っていた。
一方のシオンは薄水色まで色あせたジーンズに、アリーヤとお揃いの黒いジャケットを羽織っていた。
道場に入ってきたケビンに2人は会釈にて挨拶を交わし、クラウスのほうに目を向け、口を開いた。
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◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:48:37 ID:ukeca/Hg0
「先ほども自己紹介したがこれから先ともに同じ道を歩むのであればお前にも伝えておかねばならないな。アリーヤ・シュトラッサー。このスラムのハイスクールの
2年生だ。戦闘スタイルは剣術。一年前ようやくケビン様から一人前と認められ、授けられたのがこの妖刀『鬼焔』だ」
と、彼女は左手に握る漆黒の鞘に納められたその刀身を引き抜く。その刀身は青白く鋭く光り、吸い込まれそうなほど輝くその刃にクラウスは思わず恍惚した。
そして、アリーヤが鬼焔を再び鞘に納めると同時にシオンがクラウスに語りかける。
「さて、私も改めて。シオン・エスタルク。聖ヘスティア学院の1年生だ。戦闘スタイルは暗殺。アリーヤさんと違って私はまだ一人前とは認められていないから
武器はこのような模造の2本のナイフだ。ちなみに私はキリスト教徒でもあるが…これについてはあまり触れないでくれると助かるよ」
この閉鎖都市において、宗教等の規制などは一切行われておらず、故に各々がどんな宗教を信仰しようが全くの自由なのだが、なぜシオンは
触れないでくれと言うのだろうか。何か釈然としないものを感じながらもクラウスはそのシオンの言葉を聞き流すのだった。
そして話はいよいよ本題に映るのだった。広さおよそ50畳ほどの道場の中心に腰を下ろし、クラウスの今後について協議を行う。
「さて、クラウス君。先ほどの質問にて君はキックを主体として戦いたいと言っておったが…一度君の腕を見せてもらえるかの。
それによってどのレベルから君を鍛えればよいか判断するでの。シオンさん、相手になってやってくれるかの?」
「承知いたしました。さて、それではクラウス君、どこからでも掛かってくるがいい。私が女だからといって遠慮することは…」
シオンが言い終わるよりも先にクラウスは彼女に蹴りかかる。まずは牽制の右ミドルキック。すかさずにシオンはそれを左腕で受け止めて間合いを取る。
その開いた間合いをストライドの大きなワンステップで瞬時に縮め、今度は左ミドルを打ち込む。それを右腕で防ぎ、クラウスが左脚を引いたところに彼の顔めがけて右フックを見舞う。戦闘経験など皆無であろうこの少年に私のパンチが見切れるわけがない。
痛いだろうが許してくれ。シオンはそう思いこのパンチを放った。しかし…クラウスは身をそらすことでそのパンチを見事に回避する。
バカな、と驚愕するシオン。そのフックが空振りし、隙ができたところをすかさずクラウスの上段後ろ回し蹴りがシオンの顔面を捉えた。さらにその回し蹴りに
よる遠心力を利用し、ほとんど間を開けることなく左ハイキックを彼女の顎に命中させる。顎にハイキックの直撃を受けてシオンは大きく態勢を崩して後ろへとよろける。その機を逃さずクラウスは大きく前進し、その勢いのまま右ハイキックを
彼女の顎にクリーンヒットさせる。そして、畳に倒れ伏すシオン。
「それまで!」
ケビンが演習を止め、倒れたままのシオンに歩み寄る。クラウスも彼女のことが心配になり、駆け寄った。まさか戦闘経験皆無の自分が先輩をKOしてしまうなど
夢にも思わなかった。当然最後には本気を出して自分をあっけなく組伏すものだとばかり思っていたし、シオンさんもケビンさんもアリーヤさんも
そう思っていただろう。だが、現実は今目の前にある光景がすべてだ。シオンさんは畳の上に倒れ、僕はいまだに立っている。
シオンを介抱するケビンの元へ駆け寄り、彼女の顔を覗き込む。その瞳にはしっかりと光が宿っていた。それを見て、安堵をおぼえるクラウス。
「クラウス君、君はもうすでに誰かに格闘技を習っているのではないか…?素人の動きじゃなかったぞ…」
シオンはそういうものの、クラウスは誰かに格闘技を習ったことなど一度もなく、強いて言うならやはりアルバート・サワー選手の試合を録画して何度も観察し、
それを模倣した程度である。それを聞いたシオンはフッと微笑えんで言った。
「なるほどな…君は1を聞いて10を知るというタイプの人間だな。素晴らしい観察力とその呑み込みの速さ、大したものだ…」
クラウスが思っていた通りシオンはやはり手加減していていた。彼のキックを受け止めた後即座に反撃、ないしは彼のキックに合わせてカウンターを
打ち込むこともシオンには十分にできた。だが今回の演習の目的はクラウスの力量を確かめること。故にシオンはそれをせず攻撃をガードしても間合いをとるだけだったのだ。
479
:
◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:51:49 ID:ukeca/Hg0
だが、ひとつだけ言うならば…所詮模倣は模倣。君のキックには確かにキレがある。それも抜群の。ただ、重さが全くない。今後の課題はそこだろうな」
「ほほほ、これからの目標が定まったようじゃの。さてクラウス君、シオンさんも言っておるようにこれからは君のキックに重さをもたらすために
君の脚を鍛えてゆくことになるの。じゃが身体がまだ未成熟の君にいきなり厳しい筋肉改造を施す訳にはいかんでな。少しずつ、進めて行こう」
こうして、クラウスの筋肉トレーニングはスタートした。初めのうちはスクワットなどから入り徐々にセット数を上げて行く。ある程度筋肉ができてくると
それだけでは効率が悪くなるので、空気椅子という壁に背をつけて中腰になることで脚だけで全体重を支えることで筋肉を鍛える方法も採用。
さらに、クラウスが修業を始めてから一週間後にはアスナが、一月後にはセオドール、半年後にはシュヴァルツが、一年後にはベルクトが、
そして大きく時間が空いて四年後にはフィオが加入し、クラウスの修業相手もどんどん増えていった。
修業相手が増えるのに正比例して彼の脚力増強計画も効率化されていき、フィオが加入したころにはトップアスリートにも引けをとらない
強靭な脚を持つに至るのだった。ちょうどそのころ、クラウスはケビンからある提案を持ちかけられるのだった。
「クラウス君のその脚も随分と立派になったものじゃな。さて、クラウス君、今日は君に一つの提案をしたいのじゃが…」
ケビンの提案。それはクラウスにカポエイラというキックを専門とした格闘技を習得してはどうかというものだった。
カポエイラにはヘジォナウ(Regional)、アンゴーラ(Angola)という二つの流派があり、
ケビンはその両方を極めていた。
ヘジォナウは激しくアクロバットな動きが特徴、アンゴーラは儀式的でゆったりとした動きが特徴であり、ケビンはクラウスの俊敏さを生かすならば
ヘジォナウ派を会得してはどうかと勧め、彼もそれに同意した。そして貴族粛清のその日までクラウスはカポエイラの修業に明け暮れる。
ジンガというカポエイラの基本的なステップをまず習得し、次いでアウー、マカーコという側転、バク転を一月足らずでマスターした後、
いよいよカポエイラの真骨頂であるキックの修業へと入っていく。アルマーダという回し蹴り、ケイシャーダという顎をめがけたハイキック。
マルテーロという「ハンマー」を意味する上段蹴り。ベンサォンという前方押し蹴り。ケビン曰くカポエイラの最高奥義である「フォーリャ」。
そして2年前の貴族粛清の直前、ケビンが高齢のため入院することになった時には彼にコンソラ・メストーレ(準師範)並みの実力を備えていると
認められるまでに至るのだった。そんな折、ケビンの息子、ジョセフ・ケールズが貴族たちの計画の一端を掴む。
そして、クラウスは貴族たちの大粛清を経るのだが、一方この6年間セフィリアは何をしていたかというと、至って平和な学校生活を送っていた。
宿題を見せたり見せてもらったり、仲のいいクラスメートたちと弁当のおかずを交換したり、中学から高校まで6年間通して活動したオーケストラ部では、
バイオリンを弾き、廃民街内の学校のコンクールで金賞を受賞したりもした。高校では、学校の中で彼女に告白しなかった男子生徒はクラウス以外にいない
という伝説を作り上げたこともある。ちなみに彼女はその全てを断ったのだが、その際の常套句がこれだ。
「ごめんなさい。あなたの気持はすごく嬉しいのですが…私には好きな人がいるんです…」
彼女の好きな相手が誰であるかは言わずもがなであるとして、そうして高校を卒業し、3年前に酒屋を知人に譲渡し酒場の雇われ店長として働いている
父・カルロスの帰る場所を守り続けていた。しかし、19歳のときにセフィリアをあの時と同じ悪夢が襲う。
「ああしまった。ライムとレモンを切らしてた。セフィリア、悪いけどお金を渡すから買ってきてくれないかな」
「うん、わかった。いってくるね、父さん」
この日クラウスは頭痛のためエスタルク医院に出かけていたため、セフィリアしかいなかった。
二つ返事でそれを引き受け、購入資金を受け取り最寄りの八百屋に足を運ぶのだが…その道中事件は起こる。
480
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◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:53:54 ID:ukeca/Hg0
7年前クラウスとセフィリアを襲撃したあの3人組と再び鉢合わせしてしまったのだ。24歳になった彼らは7年の歳月を経ても彼らの精神は
少しも成長することはなく、セフィリアの姿を見るなり3人がかりで襲いかかってきた。7年の時を経て背丈の差は埋まったとはいえその筋力には雲泥の差があり、
いとも簡単にセフィリアは薄暗い路地裏に連れ込まれ道路に組み伏せられてしまう。彼女の身に纏う服を引きちぎる役、彼女の手を押さえつける役、
脚を押さえつける役と分担してセフィリアを拘束する。その中の一人、彼女の上着を引きちぎった男が目を血走らせながら言った。
「お前、どこかで見たことあると思ったら7年前のあのかわい子ちゃんじゃねえか。また会えてうれしいよ。俺らに犯られるためにそんなに綺麗になったのか?
あの時の違ってうざってえお前の兄貴はいねえし、ここなら邪魔も入らねえし思う存分楽しめるってわけだよ。ヒャヒャヒャヒャヒャ!」
「へぇ〜、何を楽しもうというのかな?」
その刹那、背後から聞きなれない声がし、振り返る不良。しかし、薄れゆく意識のなかセフィリアにはその声によく聞きおぼえがあった。
「ああ〜なんだ?痛い目見たくねえならさっさと失せ…」
振り返った3人はそこにいた男の姿を見るなり絶句してしまう。彼らの眼前にはあの告死天使メンバーの一人、クラウス・ブライトが狂気の笑みを浮かべて
立ちつくしていたからだ。その狂気に満ちた笑顔に戦慄する8人。その表情を一切崩すことなく、クラウスは再び口を開く。
「ねえ、質問したんだけど。今から君たち3人はなにを楽しもうっていうのかな?」
「い…いや…あの…その…」
「答えられないのかい、なら当てて見せよう。レイプするつもりだったんだろう?僕の妹を。あの時君が地べたに押さえつけて頭を殴りつけた少年、
さっき君が言ってたうざったい兄貴、それが僕だよ。さて、お手洗いにはもう行った?神様へのお祈りは済ませたかい?
道路の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はできたかな?」
「あ……あ……あ……」
恐怖のあまり声も出ない三人。ガチガチと歯を鳴らして腰を抜かして後ろへと後ずさるが、ここは路地裏。行き止まりにぶつかってしまった。
壁に背をつけてガタガタ震える3人のチーマーの前にしゃがみ込み、やはりそのままの表情で語り続ける。
「皮肉なものだよね…7年前僕を蹂躙した君たちがその僕に殺されることになるなんてね。さあ、最期の言葉を聞こうか?」
「あ…頼む…命だけは…た…助けてくれ…」
「うん、当然却下」
そしておよそ9か月前の聖ヘスティア学園虐殺事件以来となる、告死天使による殺戮劇場の幕が開いた。
身体だけではなく、人間の尊厳をも蹂躙するクラウス。跪く男の頭部めがけて踵を振り下ろし、まるでサッカーボールを蹴るかのごとく
その頭を蹴り飛ばす。首がありえない方向に曲がっていて、たとえ命を取り留めたとしても植物人間化は確実であった。
481
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◆p3cfrD3I7w
:2010/09/01(水) 23:54:26 ID:ukeca/Hg0
残りの二人も同様の方法で殺害し、その死体を足元にあったマンホールの蓋を開き、ゴミを捨てるかのごとく落としてゆく。
彼らの姿が2度と目撃されることはなかったのはこれが理由であった。マンホールのふたを閉め、クラウスは傍らで気を失っているセフィリアを介抱する。
5分ほど時間が流れただろうか、クラウスの両腕に抱えられたセフィリアがゆっくりとその目を開いた。上着のTシャツは引きちぎられブラジャーが露わとなって
しまっていて、それに気付いたセフィリアはあわてて両腕で胸元を隠す。
「兄さん…これは一体?確か私はあの人たちに襲われて…」
「彼らなら僕が御退場願ったよ。もう二度と君の前に姿を現すことはないから安心するといいよ」
「そう…7年前と同じだね…また兄さんに助けてもらったんだね…いつも私は守られてばかり。私も…強くならないと」
「何を言ってるんだい?君はもう十分強いじゃないか。この貧しい廃民街で泣き言も愚痴も言わずに暮らしてる。その心の強さ…それこそが本当の強さだよ」
「ううん…そういう気持の問題じゃなくて、身体的な…」
「セフィリア…」
彼女の瞳を見てクラウスは思う。セフィリアの気持ちは本物であると。ならばその強くなりたいという彼女の願いを叶えてやりたいと思う。
しかし…師・ケビンはもうこの世にいない。あれだけ優れた指導者はそうそういるものではない。故にセフィリアを鍛錬するのであれば…
告死天使きっての格闘戦のスぺシャリストであるクラウスとアスナがそれを行うのがベターだろう。ならば…
「わかった。君の願いを叶えられるように僕の友人たちと相談してみるよ。それまでは待っていて欲しい」
「うん…ありがとう、兄さん。あ、そういえば父さんからお使いを頼まれてたんだっけ」
しかし、セフィリアの上半身は下着が露出してしまっているので、クラウスの羽織っていた半袖の上着を借りることになった。
ただ、胸が大きいためその部分だけボタンが取れそうになっていたが。そうしてお使いも済ませ、セフィリアの着替えを取りに家に戻り、
先ほどの騒動で汚れてしまった髪を洗うために大衆浴場へと行き、それから夕食の準備に取り掛かるまでにおよそ3時間、クラウスは自室の
ところどころカバーが破れたベッドに仰向けになりながら天井を見上げ、セフィリアの言葉を反芻していた。
(強くなりたい…君の口からそんな言葉が出てくるなんて…ケビンさん、僕はどうしたらいいんでしょうか?)
そして目を閉じる。今は亡きケビンに問うが、もちろん答えが返ってくることなど…
(ホホホ…君が思った通りにすればいいんじゃよ。君はいつだってそうして行動してきたじゃろう?)
耳元でケビンの声が聞こえた気がし、目を開いてあわてて起き上がるが、広さ4畳ほどの狭い自室には彼以外にだれもいなかった。
気のせいか…と一つため息をついて、腰を起したまま再び考える。そんな時だった。
「兄さん、いる?」
唐突に扉の向こうからセフィリアの声が聞こえた。何の用だろうと思いつつも、クラウスは返事をした。
「入ってもいいかな?」
「もちろんだよ」
そして扉を開いてクラウスの部屋へと入ってくるセフィリア。彼の腰掛けるベッド、その隣に彼女も腰を下ろす。そして、微笑みを浮かべてクラウスの顔を直視する。
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