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みんなで世界を作るスレin避難所2つめ

282名無しさん@避難中:2010/07/20(火) 21:22:05 ID:LXdzKUXAO
感想いいかな?

>狸よ〜
『童子切』とはまた物騒なアイテムがw
そろそろ狸侍も地獄で派手な立ち回りを見せてくれるか!?

>白狐〜
ゲスト溶け込み過ぎw
やっぱりこれがシェアワの魅力か…


>大は〜
かくして収斂してゆく御伽の物語…
それぞれ簡潔なのに奥行きのある構成には驚く。

↑宜しければ代行を。しかし、最近温泉や監視界が静かなのは、書き手さんみんな本編進行で手一杯なんだろーな…

283名無しさん@避難中:2010/07/20(火) 21:24:46 ID:AiTNQs5c0
行ってきた

284 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/20(火) 21:37:01 ID:2HhZYvjU0
まことありがとうございます!

285名無しさん@避難中:2010/07/20(火) 21:51:18 ID:LXdzKUXAO
ありがとうございます!!

286 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/22(木) 20:30:13 ID:b.06bpIY0
またこれが規制中になってまして……
恐れながら代理をお願いしまします……

287大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:30:47 ID:b.06bpIY0


焚き火が爆ぜる音。
虫の鳴く音。
風の音。
半月は高く空に昇り、もうすっかり夜も更けた。

焚き火を囲むのは三者。
毘羯羅、天邪鬼、豆蔵。
安流は横になって眠っている。

いろいろな話をした。

まずは豆蔵が安流にミサキを話す。
御伽 草子郎を知っているだけに、安流の理解は早かった。
そして、治癒の方法。

安流にとって、これがとても簡単だがとても難しい。
かぐやの魔装を用いれば一発で治る。
しかし。
それを用いる事を忌避する現在。
どうしたものか。

そして安流が語りはじめる。
かぐやと出会った事。
かぐやが死んだ事。
金時と出会った事。
人を殺した事。

高熱という体調不良なのを押して、訥々と安流は語ったのだ。
毘羯羅が何度かブレイクを入れようとしたが結局しゃべりきる。
朦朧とする意識の中。
しゃべらずにはいられなかったように。

そのさなか、安流は何度も何度も感情を表に出した。
吐露した。
溢れたのだ。
せき止められないでいた。

それは寺をなくした時の悲しさであったり。
かぐやと出会った時の衝撃であったり。
かぐやと別れた嘆きであったり。
金時と出会った時のやるせなさであったり。
人を殺した時の恐れであったり。
それからずっとつきまとう魔装への怖れであったり。

「かぐや殿が兄弟を欲しいと話していた時、漠然と僕もそうだと思いました……
それから、龍の首の珠を使った後……
かぐや殿が兄弟を欲しいと言った心がやっと分かりました。
恐い。
恐いんですね……この魔装。
止めてくれる人、見てくれる人……となりに誰か、いて欲しく、なるんですね……」

弱々しく、か細く、小さな声で安流は途切れ途切れに語った。
結局、しゃべれるだけしゃべって安流はダウンした。
天邪鬼が魔法で作った氷を額にのっけて眠ってから。
毘羯羅が次に語った。

288大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:31:31 ID:b.06bpIY0
別に人間に友好的でもなんでもなかった頃。
だからと言って異形として何者かと連れ合うでもなく。
そんな一人旅の途中、ある人間の薬師に出会ったり。
その薬師に惹かれてついてったり。
人の道を説かれたり。
名前をもらったり。
薬師を慕って強い異形が集ったり。
集った異形で薬師の村を護ったり。
真達羅のせいでピンチになったり。

「毘羯羅……とか真達羅とか、覚えにくいし言いにくいな」
「猪羅とか鳥羅とかでいいよ」
「ああ、そりゃ分かりやすい」

桃太郎と出会ったり。

「まだ御伽 草子郎が生きていた頃のはずだな」
「豆蔵さんたちも、各地に派遣されていたんでしょう?」
「ああ、あっちこっち行ってた。もっとも拘束されて戦場まで運ばれて放り込まれてただけだけど」

結局、薬師が殺されたり。
そのおかげで仲間の龍が暴れ狂ったり。
それを止めるまでに住人にも被害がいくらか出たり、村が壊滅したり。
新しく村を造っても龍が暴れた手前いずらくなって旅に出たり。

その旅すがらに天邪鬼に出会ったり。

「お前ら二人、まだ組んで日が浅いのか」
「もともと俺も、その薬師に命を救ってもらった事があってな。その縁だ」
「じゃっくん、割と顔広いんですよ」
「瓜坊は世間知らずだな」
「だからこうやって旅してるんじゃないですか!」

豆蔵が次に語った。
とは言え、生きている大半の時間。
施設に閉じこめられていた豆蔵である。
あまり話す事はなかった。
せいぜい、殺した、殺せなかった、殺された、殺されかけた。
こんな話ばかりだ。

ただ、仲間の話を。
御伽 草子郎の被害者、被験者の話をする時。
いくらか安らかな表情であった。

「桃太郎さんもその中の一人ですね」
「そうさ、まだ生きてる御伽 草子郎の被害者ん中じゃ一番古いんじゃないかな」
「他に、どんな方が?」
「牛若と鬼若ってのもいるな。牛若が小角の術に特化させられた奴で、鬼若は鉄を食う異形の遺伝子と人の遺伝子混ざって生まれた奴だ。牛若は今一緒にミサキを追ってる」
「え?」
「俺、牛若、すずめって三人で追いかけてるんだよ、ミサキを。だがお前らに会う前にすずめってのがちょっと痛手を負ってな。牛若が看病、俺が先行してんだよ」
「そうでしたか。仲間がいたんですね」
「御伽 草子郎が死んで……正直一人だったらしんどかっただろうがな、牛若、すずめがいてくれて助かってる」
「だから、安流さんのお話に出てきたかぐやさんも、兄弟を欲しがったのですね」
「ああ、かぐやの気持ちは分かる。よく分かる。しっかりと、つながりを俺も作りたいと今更気づいたよ」
「……すずめさんもまた、御伽の?」
「そうだ。こいつは体をいじられ、安部の魔法に特化させられた女の子だな。ただ、ちょっと障害が残っちまってな、しゃべれなくなっちまってんだ」

289大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:32:16 ID:b.06bpIY0
毘羯羅が苦い顔をする。
しかしながら、御伽の手にかかったほとんどが死人廃人。
言葉を失うだけですんでマシだと考えるべきか。

「ついた二つ名は舌切りすずめ」
「悪趣味なネーミングですね」
「御伽 草子郎の墓の場所分かったら一緒に叩き壊しに行こうぜ」
「桃太郎さんも呼びましょうね」

それから。
最後に、天邪鬼が語る雰囲気だったけど。

「もう夜遅い。寝ろ」

と、はぐらかされた。
もっとも、これが女の子集合の姦しパジャマパーティならまだしも、
割と血なまぐさいのも混じる昔話大会なので深く突っ込まずにみんな横になる。

横になってから。

「豆蔵」

天邪鬼が口を開く。

「どうした」
「お前はかぐやが兄弟を欲しいと言った心が分かると言ったな」

安流は寺を無くして兄弟を欲しく思った。
いや、兄弟でなくてもいい。
共に過ごす者をぼんやり夢見た。

そしてかぐやの形見。
魔装に対する恐れから、となりに誰を欲しく思った。

二度。
最初は寂しさから。
次は恐怖から。

では、かぐやは?

290大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:32:54 ID:b.06bpIY0
「言ったよ」
「詳しく教えろ」
「……俺たちは、中途半端な化け物もどきだ。人外奇形の見た目の奴だっていた。そいつらが、人の海にまぎれるのは難しい。だから、寄り添おうとしたんだろう」
「ではかぐやも異形の見目だったのか?」
「いや、美形だった。ぶっちゃけ、人の街でも暮らしていけたはずだ。ただ、かぐやは優しかったんだよ。だから、俺たちが固まろる土台を作ろうとしたんだと思う。俺だって背格好が一向に変わらねぇんだ。ガキの見た目のままずっと変わらねぇ。多分、村で暮らしても気味悪がられるだけだ」
「……なるほどな」
「だがあの坊主はそういうわけじゃねぇ。かぐやの形見は俺が引き取るから、高熱さえ引けば後は普通に生きていけばいい」
「聞くかな。かぐやに随分執着していた」
「だが魔装を恐がってもいるからな。俺は丁度いい引き取り手だろう。ここが手放す機会だ」
「……どうかな」
「なんだ、手放さないって言うのか?」
「多分だがな……もっとも、あの坊主がやりたい事をも少し詰めて聞く必要がある」
「だから別に、兄弟でも家族でも、村で作ればいいだろう」
「そこだ」
「どこだよ」
「……明日、本人俺が本人に尋ねるさ。そこでな、豆蔵、お前に頼みたい事がある」
「なんだよ」
「ちょっとした芝居をしてくれ」



日が昇り。
安流が重いまぶたを開ければ天邪鬼が火を見ていた。

「よう」
「おはよう御座います」

二人きりである。
毘羯羅と豆蔵、二人の少年の姿はない。

「あいつらは朝食調達だ。山に行ってるよ」
「そうですか」
「お前、腹は?」
「減ってはいますが……」
「食えんか」
「はい」

ほどなくして、ウサギを手に豆蔵が。
五本足で眼が八個あってぬめぬめして「ぎゃぎゅぎょー!」と鳴く小型の異形を手に毘羯羅が。
それぞれ戻ってくる。

「瓜坊はそれ山に返してこい」

朝食はウサギだけと相成った。

首を落とす、皮をはぐ、肉を削ぐといった生々しい調理。
しかし割りと生臭坊主だった安流の事、特に気にせず。
木の枝に刺して塩を振り、焚き火であぶるが三人分だ。
やはり安流は食べられそうにない。

「安流」

さて、肉を噛みながら。
豆蔵が切り出した。

291大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:34:37 ID:b.06bpIY0
「かぐやの形見を俺が預かろう」
「……」
「昨日話したように、ミサキのウィルスは魔装を使えば楽に治せるが……今のお前には酷だろう。なら、危険物は今俺が預かっておいた方がいい」

安流がまぶたを閉じる。
もどかしげに。
やるせなげに。

「安流、お前の目的は何だ?」
「……」
「安流」
「兄弟を、欲しいと思っています」
「ならば、異形を相手取るような武具もいらんだろう」

安流が、眼を開ける。
言うか、言うまいか。
そんな迷いがなかった。

「僕は……人も、異形も、あなたたちさえつなげたい」
「……つなげて、どうする」
「すれ違いを無くす」
「すれ違い?」
「かぐや殿と金時くんが出会い、結局殺し合いをしました。金時くんを受け入れた山を、……金時くんの家族を手にかけたからです」
「おい、坊主、武具を手放さないという事は、だ」

天邪鬼が口を出す。
毘羯羅は、空気に和気がないのを察しておろおろしはじめた。

「ナイフを喉元に突き付け合って話し合うわけか?」
「違います。僕は両手を挙げます。相手のナイフを全て……受け付けない自衛です」
「相手は疑いと恐怖しか持つまい」
「時間はかかります」
「……今の日本を、お前はどう捉えている?」
「どう……と言われても。まだ混乱してますよ。二次掃討作戦が終わっても落ち着いたというわけではない」
「戦国だ」
「え?」
「今はな、戦乱だよ。この国は割拠しているのさ」
「……分かる、気はします」
「気がするだけだな。もっと煮詰まればこの国はどう転ぶかまるで暗闇の中。無論、戦国だ割拠だとは言え、人同士は自治体の豊かさで競うだろう。
だがその根底は食い合いだ。遠い未来でも確実に、国は纏まらざるを得まい。一つに纏まらないとしても、いくらかの分裂で均衡だ」

安流が押し黙るが、天邪鬼は止まらない。
まるで、攻めるように続けた。

292大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:35:46 ID:b.06bpIY0
「異形が一個に集って人と拮抗するかもしれん。異形と人が手を取る可能性もある。今は閉鎖したこの国が、海の外から何が来るか予想できるか?」
「……あ、う……」
「その中で……お前が言う事は、不当に暴力を持つ集団を作ろうと言うものだ。人と、異形と、御伽の子らをつなげてどうしようと思っていた?
ひっそりと暮らしたいか? ささやかに寄り添いたかったか? 笑わせる。誰もが思うだろう、何を企んでいるのだ、と」
「……そんな、そんなつもりでは……ただ、僕は全国に散っていても仲間がいると思えれば……」
「そんなつもりではないと主張して聞き入れてもらえるか? 時間をかけるか? その時、時間はあるか? 信じられる事なかったとしたら?」
「……」
「国が穴だらけの現在の日本が永劫続けばお前の夢も叶うだろう。だが変わる。混乱と言うものはいずれ収束してしかるべきだ。
この国の混乱も収束するぞ。収束したその時、収束の途中、お前の夢に居場所はあるかな?」

安流は何も言えない。
見据えていなかった。
見通していなかった。
見越していなかった。

例えば再生機関。
正義の名の下に、異形の討伐を成す機械集団は国の再生をこそ大義名分に集い、戦う。
そこに口をはさめる者はいまい。
求められる暴力を高めているからだ。

例えば平賀研究区。
五つの名前の一つの下に異形と人が共存するそこを確かに疎ましく思う者も少なくない。
しかし手を出せるかどうかと言えば別だ。
求められる技術を高めているからだ。

己はどうだ。
安流は自問すれども、代償行為でしかないと思わざるを得ない。
かぐやを失った過ちを、もう起こさぬよう。
それだけだ。

「分かったら大人しく坊主をやっていろ。かぐやを忘れろとは言わん。だがまっとうに生きろ」
「……できません」
「ならばかぐやの魔装で一生涯殺し合いを続ける事になる。いや、お前は諸手を挙げるだけだったな。
一身にただただ周囲から殺意敵意害意を向けられる日々になる。耐えられるか?」
「それを耐えるための兄弟が欲しいと……」
「作った兄弟もあらゆる者から疎まれてもいいと?」
「違う、僕は……ただ……」
「かぐやの魔装を手放せ」

代わって。
豆蔵が口をはさむ。
ますますおろおろする毘羯羅を、天邪鬼が手で制す。

293大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:36:30 ID:b.06bpIY0
「それが一番幸せだ」
「……………………できません」
「かぐやは残念だったが、あいつ以外の兄弟を作れ」
「……僕は、かぐや殿の言葉が、忘れられないのです」
「忘れんでもいい。偲べ。お前の夢は偲ぶ事もできなくなるかもしれん……死ぬかもしれん夢だ」
「…………できません。かぐや殿と金時くんのすれ違いを見て、僕だけが平穏なんて……つらすぎる」
「どうしてもか」
「……………………はい、どうしてもです」

豆蔵が腰に下げた小槌を手に取った。
みるみる大きくなっていくそれは、すぐさま人を叩き潰せるサイズと化す。

「なら死ね」

呆然と、打出の小槌が大槌になるのを見届ければ。
豆蔵が振りかぶる。
腰を据えて。
安流に向けて。

「豆蔵さん!」
「よせ」

毘羯羅が疾風じみて止めようとするのを天邪鬼が止める。
安流は、唇を震わせて何も言えずにいる。

「お前は高望みが過ぎている。どの道のたれ死ぬ結果に終わるだろう……どうあっても地獄だ」
「う……ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、く……は、ただ……」

後ずさる安流を、退いただけ豆蔵が詰める。
本物の殺気に当てられて安流の腰は当に抜けていた。
かつて金時と対峙した迫力と酷似している。
本物の気迫。
小さな豆蔵の体から、猛獣以上の脅威を感じる、

気づけば安流は泣いていた。
豆蔵に恐怖したか。
かぐやの形見を手放す事が悲しいか。
ただ。
死ぬことを厭う心では、なかった。

「最後だ。かぐやの形見を手放せ」

手放そうか。
安流が、そう考えてしまう。

国のためではない。
自分のために、つながりを作ろうとしたのだ。
それは不要な混乱さえ招きかねない事。

本当につながりたかったのは、かぐやなのに。
ここで止まらなくても、辿り着くこともない。
心の底から望んだ人は、もういないのだから。

だからやろうとしている事は所詮、代償行為なのだろう。

かぐやを失った過ちを、もう起こさぬよう。
それだけだ。

294大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:36:58 ID:b.06bpIY0
それ。
だけ。
だ。

違う

それ。
だけ。
は。

それだけは。
それだけは、

「譲れない」
「あん?」

それだけは、譲れない。
かぐやを無駄死ににさせないためにも。
かぐやが生きた意味があるように。
かぐやの心が続いていくように。

「手放せない! 手放さない! 僕は、僕が! つなげる……! 戦乱でも、割拠でも! 必要とされてやる! 手を出させない!」

槌が、振り降ろされ。
安流は、まぶたを閉じず。
涙を流しながら、豆蔵を見上げ続け。

同時。
貝の形の薄幕が。
安流を護るように、現れる。
――燕の子安貝

「……離せよ」
「そうはいきません」

そして、大槌が止まった。
貝の防壁に触れる事もなく。
毘羯羅に止められ。

「いや、瓜坊、もう離していいぞ」

毘羯羅を抑えていた天邪鬼は吹っ飛ばされて転がっている。
身を起こして、それだけ言った。

貝の防壁が溶けるように消えていく中。
安流が、まだ泣きながら。
まだ緊張しながら。
まだ見上げながら。

「芝居だ」
「……は?」
「いや、殺す云々は芝居だから離せって」
「……は?」
「いや、だから殺す云々は芝居だって」

295大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:37:27 ID:b.06bpIY0
毘羯羅が半信半疑に槌を止める手を離せば、豆蔵も小槌を元に戻す。
本当に。
演技だったようだ。

「安流、平賀に会いに行け」

そして、天邪鬼がこう言った。
まだ訳も分からず緊張したままの安流を豆蔵が立たせ。

「まずは魔装を使いこなせ。俺が言った戦乱とか、兄弟が疎まれるとか、気にするな。まずは力をつけろ。話はそれからだ」
「…………はぁ」
「しゃんとしろ。必要とされてみせるんだろう?」
「あ、いえ、その、それは……」

毘羯羅もそろそろ、あーなるほどー、とか言ってる。
落ち着き始めた安流も、試された自覚が出てくる。
しかしまだ腰が抜けたままだ。

「俺が言った事は、間違っているかもしれんし間違っていないかもしれん。だがまだ時間はある。猶予のようなものが、まだあるだろう」
「……」
「まずはお前が柱になれるだけの強さを得ろ」
「僕が……柱?」
「柱になるならば人間だ」

涙は、流れ続けている。
しかし先程とは違う涙だ。
豆蔵が笑いかけてくれる。

「お前の夢は、きっと叶えるに値する」
「だから安流、まずは平賀だ。かぐやの魔装について、調べてもらえ。どう使えばいいか、把握しろ」
「あ、あのですね!」

ようやく話の流れに追いついた毘羯羅も手を上げる。

296大は小を兼ねる 後篇:2010/07/22(木) 20:37:57 ID:b.06bpIY0
「薬畑という村に行くといいですよ」
「くすりばたけ?」
「一次掃討作戦の後の荒地にできた村なんですけど、僕の仲間がいるんです。名前は迷企羅。虎です。虎羅です」
「虎……?」
「はい。唯一、旅に出ていない僕の仲間で、教える事が好きだから、きっといろいろ話をくれますよ。強くなるのがどうとか魔法がどうとか」
「くすりばたけ……」
「名前の通り、薬ばっかり作ってる所です。ただ、新旧あって、古い方の薬畑です。京の南の方にある田舎ですよ」
「ありがとう御座います、寄ってみます」

豆蔵が安流の肩を叩く。
励ますように。
背中を押すように。

「まだ魔装は恐いだろうが、小まめに使って魔素を消費し続けろ。じき、熱は引く」
「……はい」
「俺の仲間をつけようとも思ったが……もう一人で大丈夫だな?」
「……はい」
「さっきの言葉、嘘じゃないな?」
「……はい」
「よし、それじゃあよ、また生きて会うぞ」
「……はい、必ず!」

こうして。
安流は平賀と迷企羅へ進路を取る。
人をつなげられる強さも知識も得るために。
柱になっても折れぬため。

そして。
毘羯羅と天邪鬼、そして豆蔵は京の北の果て。
浦島へと進路を取る。
ミサキを止めるため。

再び会おうと約束をして。

297 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/22(木) 20:41:26 ID:b.06bpIY0
以上です
安流修行編
と見せかけて、和泉とかにこのハゲを出す苦肉の策

今気づいた
私、まだ女の子を自分で出してない
次は……!
次こそは……!!!

298名無しさん@避難中:2010/07/22(木) 20:45:21 ID:uqqUtKoQ0
行ってくる

299名無しさん@避難中:2010/07/22(木) 20:51:15 ID:uqqUtKoQ0
なんか>>290に長すぎる行があるって出て書き込めなかった
ちょっと改行いじってみて

300 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/22(木) 21:13:09 ID:b.06bpIY0
またこういう事するでしょ!
ごめんなさい!
下みたいな感じでお願いします

301 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/22(木) 21:14:31 ID:b.06bpIY0
「言ったよ」
「詳しく教えろ」
「……俺たちは、中途半端な化け物もどきだ。人外奇形の見た目の奴だっていた。
そいつらが、人の海にまぎれるのは難しい。だから、寄り添おうとしたんだろう」
「ではかぐやも異形の見目だったのか?」
「いや、美形だった。ぶっちゃけ、人の街でも暮らしていけたはずだ。ただ、かぐやは優しかったんだよ。
だから、俺たちが固まろる土台を作ろうとしたんだと思う。俺だって背格好が一向に変わらねぇんだ。ガキの見た目のままずっと変わらねぇ。多分、村で暮らしても気味悪がられるだけだ」
「……なるほどな」
「だがあの坊主はそういうわけじゃねぇ。かぐやの形見は俺が引き取るから、高熱さえ引けば後は普通に生きていけばいい」
「聞くかな。かぐやに随分執着していた」
「だが魔装を恐がってもいるからな。俺は丁度いい引き取り手だろう。ここが手放す機会だ」
「……どうかな」
「なんだ、手放さないって言うのか?」
「多分だがな……もっとも、あの坊主がやりたい事をも少し詰めて聞く必要がある」
「だから別に、兄弟でも家族でも、村で作ればいいだろう」
「そこだ」
「どこだよ」
「……明日、本人俺が本人に尋ねるさ。そこでな、豆蔵、お前に頼みたい事がある」
「なんだよ」
「ちょっとした芝居をしてくれ」



日が昇り。
安流が重いまぶたを開ければ天邪鬼が火を見ていた。

「よう」
「おはよう御座います」

二人きりである。
毘羯羅と豆蔵、二人の少年の姿はない。

「あいつらは朝食調達だ。山に行ってるよ」
「そうですか」
「お前、腹は?」
「減ってはいますが……」
「食えんか」
「はい」

ほどなくして、ウサギを手に豆蔵が。
五本足で眼が八個あってぬめぬめして「ぎゃぎゅぎょー!」と鳴く小型の異形を手に毘羯羅が。
それぞれ戻ってくる。

「瓜坊はそれ山に返してこい」

朝食はウサギだけと相成った。

首を落とす、皮をはぐ、肉を削ぐといった生々しい調理。
しかし割りと生臭坊主だった安流の事、特に気にせず。
木の枝に刺して塩を振り、焚き火であぶるが三人分だ。
やはり安流は食べられそうにない。

「安流」

さて、肉を噛みながら。
豆蔵が切り出した。

302 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/22(木) 21:19:37 ID:b.06bpIY0
代行……ありがとうございました!

303名無しさん@避難中:2010/07/22(木) 21:20:27 ID:uqqUtKoQ0
終了

安流に主人公の風格が
あと、おろおろする毘羯羅に萌えた

304 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/23(金) 19:27:12 ID:nkYbE5/20
ようこそ、◆X2eF6cXcIA へ。
この話はサービスだから、まず読んでで落ち着いて欲しい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、このトリップを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「またかよ……」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、
そう思ってこのトリップを作ったんだ。

じゃあ、代理をお願いしようか。

下の話の代理をどうかお願いします!

305鉄の女:2010/07/23(金) 19:28:40 ID:nkYbE5/20


秋田。
東北地方に座す日本における魔境である。
来訪者には須らく雪と寒風の洗礼を浴びせる北の果てが一角。
生命という生命を拒むがごとき寒冷は圧倒的であり、
乗り越えるために秋田の賢者たちは英知の結晶として米と酒を生み出した。

そんな日本海に面せし米と酒の楽園には、
1980年代後半頃〜2000年代前半頃、
ハタハタを絶滅寸前まで狩に狩った豪傑どもさえ存在していた。

まさに文武のそろい踏み。
あきたこまちなる品種を創造せし聖人を育み。
ハタハタを蹂躙せしめる魔人たちを生み出す。
さらにはなまはげという鬼人さえ抱える鉄壁の布陣。

かような人材がひしめく秋田とて第二次掃討作戦を乗り越えて、
復興の只中、あるいはやっと落ち着いたというのが現状だ。

さて、そんな秋田の片隅に。
むしゃむしゃ村と言う村が存在した。

地震、異形の出現と荒れに荒れた日本において、
中世の文化レベルで村を新たに造る事も少なくない。

そんな村の一つ。
むしゃむしゃ村。

かつての勇猛な武者らを先祖に持つ者たちが起こした村。
その武者が重なってむしゃむしゃ、という呼称であるという説が一割。

そして九割の説は村のみんなが食欲旺盛。
むしゃむしゃ食べるぜ、むしゃむしゃ村。
という感じだ。
むしろこっちが定説だ。

そんなむしゃむしゃ村の住人に彼女はいた。

まるで泥酔してしまっているかのような赤い肌。
きりりと凛々しい双の眼。
男顔負けの逞しい体躯と豊満な肉付き。
長く艶やかな髪を一つにくくり。

鉄がごとき、その女。

鬼若は、そこにいた。



ざく。
鍬を大地に突き刺して。
掘り返す。

なんとも基本的な農作業である。
延々と、もらった畑を耕して。
鬼若は、そこにいた。

306鉄の女:2010/07/23(金) 19:29:19 ID:nkYbE5/20
各所に刀傷をこしらえて、ずたずたの満身創痍で死に掛けていたのが半年ほど前。
むしゃむしゃ村の村人に助けられ、養生したのは三ケ月。
すっかり完治した鬼若だが、行く当てもなく。
結局、村に置いてもらえる事になった。

御伽 草子郎が死に。
鬼若は生きる指針を失った。
指針が欲しくて不安で不安で仕方なく。
生きる方向を教えて欲しい一心で。
武蔵を追いかけ追いついて。
自分で探せと突き放されて。
切り刻まれた半年前。

今、鬼若の心は穏やかだった。
むしゃむしゃ村の片隅に畑をもらい。
土を耕し種をまき。

それは、命と向き合う事だと良く分かる。
土を耕すという一事だけでそうだ。
土も生きている。
呼吸をする。
だから耕してやらねばならない。

いや、それどころか鍬に使う鉄さえ生きている。
鬼若が命を向き合おうと思ったきっかけはむしろこっちだ。

そもそも鬼若は。
鉄を食うのだ。

もともと異形と人の子を作ろうというコンセプトで作られた一人だった。
人の卵と異形の精。
異形の卵と人の精。
いろいろな実験があったらしい。
鬼若は、異形の卵に人の精から生まれたはずだ。
人の姿に準じて生まれたのは、幸いだったと思う。
もっとも、母も父も人の形をしていたらしいから当然と言えば当然か。

ただ、母の特性。
鉄を食う性も受け継いだ。
体は鉄がごとく。
肌の色はもはや鉄火。

無論、鉄以外も食えるが鉄を食うほどに鬼若は力が増すのだ。
鋼鉄を食えば食うほど剛く。
武具を食えば食うほど強く。

だから、最初に農具の声を聞いた気がした。
鉄を食う事無く。
向き合った。
それでどうしたかと言えば、手入れをしてやった。
農具もむしゃむしゃ村で余っていた物だったのだ、随分手入れがされていなかった。

丁寧に、手入れをしてやった。
農具が喜んでいる気がした。

307鉄の女:2010/07/23(金) 19:29:52 ID:nkYbE5/20
次に、土の声が聞こえた気がした。
耕している時。
もっと空気を吸いたいと。
幸い、異形を相手に大立ち回れる豪腕である。
もらった畑が小さかったのもあり、よく耕してやれた。
そして水をやり。
肥料をやり。
畑も美味いと言っているような気がする。

次はまいた種の声が聞こえるのだろうかと鬼若は思う。
畑を任され三ケ月だが、きゅうりがそろそろ食べられそうになってきた。
ただ元気はないように見えた。
そもそも気候に適さないのだ。
魔法で温度を調整して育てている者がいて、種をもらってまいたのだが普通にやったのではいけないようである。

しかしいけないのも実際に育てて見ろ、と言われた。
次はどうしようか。
他の野菜はどうすればいいだろう。
鬼若は考える。

そして気づかない。

田畑と対峙し。
野菜と対峙し。
農具と対峙し。
御伽 草子郎が死ぬまで。
殺す事ばかりに傾倒していた頃を、すっかり忘れてしまっている事に。

そんなある日々の中で。
とある災厄がむしゃむしゃ村に舞い降りる。



「異形だー! 異形が出たぞー!」

大豆の畑に水をまいていた時であった。
村に響く大声に鬼若が顔を上げる。
そして声の方へと駆けるのだ。

他の村人も声の方へ走る中。
鬼若が風のように駆け抜ける。

すぐにどんな異形が出たかは視界に入る。
大きい。
いや、高い。
足が異常に長い男が野菜を貪っているのである。
その足元には異常に手が長い男。
これまた畑を荒らして野菜を食っている。

「やあきょうだい、これはうまいやさいだな」
「そうだなきょうだい、こっちのやさいもうまいぞ」
「おう、あれもうまそうだ」
「おう、それもうまそうだ」

308鉄の女:2010/07/23(金) 19:32:09 ID:nkYbE5/20
テナガとアシナガである。
風を巻いてたどり着いた鬼若はアシナガを見上げて声を荒げる。

「お前ら! 何者だ! 何してる!」
「オレたちテナガアシナガ。お前こそなんだ?」
「鉄のにおいがぷんぷんするぞ」
「半分異形の半分人間だ」
「はんぶん人間か」
「はんぶんようかいか」
「ならば納得だ」
「それは納得だ」
「おい、それより勝手に野菜を食うな。腹が減っているなら頼め。この村の人たちなら快くご馳走してくれる」

半年前。
死に掛けていた鬼若に、村人総出で我先にと体に優しい料理を提供してくれたのを思い出す。
収集がつかなくなってしまったので本当に村人総出で、
「最強の病人食決定戦」なる村人全員参加の料理大会まで開かれた。
そして優勝料理が鬼若に提供される事になったのはまだ記憶に鮮明である。

加えて、鬼若が鉄を食うと知っても、

「むしゃむしゃ村と謳っておきながら鉄をむしゃむしゃ食う発想はなかった」
「まいった! お前はこの村に相応しい!」
「へへ……いい食いっぷりじゃねぇか。ほら、うちの鍋も食いな!」

とむしろ鉄をご馳走してくれた豪傑たちの村である。

「あー! 俺の野菜が!」
「俺の畑が……!」

そして。
テナガアシナガが食い散らかした畑の持ち主たちがようやっと現れる。
すでにいくつもの畑が長い手足に荒らされて。
持ち主たちは愕然としている。

「おい! てめぇら!」

そして、そんな中で畑を荒らされた一人が怒鳴り声を上げる。

「どの野菜が一番美味かった!」

テナガアシナガがきょとんと顔を見合わせる。

「これもうまかったし、あれもうまかった」
「それもうまかったし、どれもうまかった」
「そんな返答、納得いくか!」
「きちんと判定して言え、異形! 俺の野菜のが美味いに決まってんだろ!」
「ざけんな! 俺の野菜だ!」
「君たち、下位争いは止めたまえ、俺の野菜が最強だろう」
「アホンダラ、ボケカスー! 最強は俺の野菜じゃコラダボー!」

鬼若と、テナガアシナガがきょとんとなる。

さて、そんな我が野菜こそが最高であると主張する中。
人の海が割れる。
そして杖をついて現れるのは長老である。
村長且つ、むしゃむしゃ村の生き字引。

309鉄の女:2010/07/23(金) 19:32:37 ID:nkYbE5/20
「長老!」
「村長!」
「……そやつらが畑を荒らした異形か」

老いてなお鋭さを失わぬ双眸の光。
射抜くようにテナガアシナガを交互に認めて。
長老が杖で一つ、地面を叩く。
曲がった腰を伸ばし。

「聞け! 村の者たちよ!」

高らかに。
澄んだ声音を響かせる。

「これより誰の野菜が最強か、この異形らの判定を交えて競いあわん! 全員参加じゃ! 覇を唱えよ! 己が野菜の優秀を証明してみせい!」

ここに、野菜料理大会を宣言せん。
怒号が村に響き渡る。
それは歓喜の歌。
戦う者たちの雄叫びである。

新参の鬼若はノリについていけていなかった。



「さー始まりました、むしゃむしゃ村全員参加、最強野菜料理決定戦。
司会は私、長老の息子、武者小路 清十郎(むしゃのこうじ せいじゅうろう)がお送りします。
さて、ルールは簡単。自分の畑で取れた野菜で料理を作る。これだけです。
ただし、野菜は自分の畑ですが料理人については別に用意していただくのも結構。
ですのでお隣さんどうしで組む、野菜担当と料理担当で家を分けるなんてチームもあるようです。
また、料理人だけ別の村から召喚するという荒業をやってのける家の人もいる様子。
いやぁ、どうですか、本審査員のテナガさん、アシナガさん。
異形という事ですが、お嫌いな野菜なんかありますか?」
「なんでも食うぞ」
「なんでも食うぞ」
「しかしきょうだい、どうしてこうなった?」
「さあなきょうだい、どうしてこうなった?」
「そういう村です。あきらめて審査員やってください。
さて、ここでテナガアシナガ兄弟以外の審査員の紹介です。
この料理大会のためにお越しいただいた高級料理店を主宰されています山原 雄海さん。
新聞社に勤務されている岡山 士郎さん。
お二人はどうも険悪な仲なご様子ですが見て見ぬ振りを貫き通したいと思います。
そして最後はこの方、日本料理界に30年以上君臨してるとかしてないとかなんかそんな感じで、
味王の異名を持つような感じがしないでもない田村 源二郎さんにお越しいただきました。
以上、一切の紅一点の存在を許さぬ審査員陣でお送りします。
さー、そろそろ第一次審査が終わった様子。中継の方に視点を移して見ましょう。
中継の多々良さーん」



310鉄の女:2010/07/23(金) 19:33:15 ID:nkYbE5/20
「はーい、中継の多々良です。全5ブロックで行われた第一次審査も大詰めです。
みなさん精魂込めて作った野菜はそれだけでも美味しそうですが、
とっても素敵なお料理ばかりですよー。
不自然な説明口調になりますがそれぞれ5つあるブロックで十数人が第一次審査を競い、
勝ち抜いた一人が本審査に出場、テナガさん、アシナガさんの兄弟を筆頭に、
どこかで見たことあるような審査員に採点していただく事になりまーす」
「あ、多々良さん、第1ブロックの第一審査が終わったようですが?」
「本当ですね、第1ブロックを勝ち抜いたのは……大畑さんです、大畑夫妻が勝ち抜きました!」
「むしゃむしゃ村でも最も大きな畑を持ち、その畑を耕すためだけに生まれたかのような名前の、
大畑 耕介さんとその奥さんである大畑 妻子さんですね?」
「無理なくとても自然な大畑夫妻の紹介、ありがとう御座います。
あ、第2ブロックも終わったようです」
「おや……彼は、何者でしょうか? 仮面で顔が隠れていますが?」
「あー、飛び入り参加の方です。今回の大会を聞きつけてむしゃむしゃ挑戦状を叩きつけてきた謎の仮面料理人、マスクド・ベジタブルです」
「えー、自分の畑で取れた野菜で料理するルールのはずですが?」
「面白いから村長が参加させました。野菜は村長提供です。文句は父親にお願いします」
「はい、大会終わった後にクソ親父にはきつく言っておきまーす」
「さて、そんなクソ親父さんの姿が第3ブロックから出てきました。長老です。第3ブロックを見事勝ち抜いたのは長老です!」
「親父ーーーー!!!」
「まだまだ若い者には負けん」
「と言うわけでお決まりの台詞をいただいたところで第4ブロックに移ってみたいと思いまーす」
「第4ブロックは強豪がひしめくいているらしいですがどうですか、多々良さん」
「ええ、第4ブロックでは中華の料理人である『鉄鍋のジュン』や、
『特級厨師の資格を持つ中華の番 一(つがい はじめ)』、
フレンチの『味沢 拓海(あじざわ たくみ)』、
何でも作れる『ミスター味っ娘』、
顎が凄い荒石さん、
『OH MY』でおなじみの昆布くん、
寿司職人『ぎらら』、『正太』、『音やむ』、
というどこかで見たことのあるような顔が山盛りのモンスターブロックです」
「ミスターなのに味っ娘ってどういう事ですか、多々良さーん」
「あ、第4ブロック、どうも様子がおかしいです。ちょっと覗いてみましょう……! こ、これは!」
「多々良さん、どうしたんですか、多々良さん!」
「だ、第一次審査員の方々が全員トリップしています! まるで麻薬中毒! あ、今連絡が入りました。『鉄鍋のジュン』事、春海 純(はるみ じゅん)さんのマジックマッシュルームに中てられ、
審査員全滅だそうです。第4ブロック、勝者なしという事でお願いします」
「面倒くさいのでそんな感じでお願いします」
「さぁ、最後の第5ブロックですが……これは!」
「あ、第5ブロック勝ち抜きは……」
「鬼若さん! むしゃむしゃ村に最近引っ越してきました鬼若さんです!」
「いやぁ、これは意外な人が出てきましたね」
「はい、こんなアホみたいな大会しょっちゅう開いてる村の人間よりも経験が浅いのに大したものです」
「これはダークホースですね。では、本審査に出場するのは……」
「大畑夫妻、マスクド・ベジタブル、長老、鬼若、以上の五名になります。
それでは中継の多々良でした」
「はい、多々良さんお疲れ様でーす」

311鉄の女:2010/07/23(金) 19:34:00 ID:nkYbE5/20
かくして最強の称号を求める戦いの渦中へと鬼若は身を投じる。
むしゃむしゃ村において、もっとも経験の浅い鉄の女は。
しかし前を向くしかない。
難敵だらけの本審査。

<最大面積>
大畑夫妻

<謎の仮面料理人>
マスクド・ベジタブル

<長老>
長老

<鉄の女>
鬼若

今、戦いの火蓋が切って落とされる。


                                  続きません

312 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/23(金) 19:34:34 ID:nkYbE5/20
以上です

313名無しさん@避難中:2010/07/23(金) 19:42:14 ID:eTxTf.Yo0
行ってくる

314名無しさん@避難中:2010/07/23(金) 19:51:19 ID:eTxTf.Yo0
終了

秋田どんな魔境だよw
村人異形よりよほど狂ってやがるwww

315 ◆X2eF6cXcIA:2010/07/23(金) 20:23:27 ID:nkYbE5/20
早っ!
ありがとうございました!

316名無しさん@避難中:2010/07/23(金) 20:50:54 ID:s7ptfL3EO
代行お願い↓


>>大小&鉄の女

連投乙!
マスクドベジタブルの正体まで予想した俺の立場はw
だがこの人のはいつシリアスなドンデン返しがあるか判らんからな…

↑以上です

317名無しさん@避難中:2010/07/23(金) 20:56:49 ID:eTxTf.Yo0
行ってきたよー

318名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 16:02:45 ID:8OcxOZCQ0
地裂から出てきた異形って「マジ帰りたいんスけど。マジ討伐とかないスわ。マジ帰りたいんスけど」
というのもいるんだろうか
あと、海の中の地裂って封印できてるのかな

319名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 17:27:06 ID:4qi/6zpo0
地裂について深い言及してる作品がなかったり
最初の世界観設定でもそこら辺よく分からなかったりするんだよな
つまり自由でいいんじゃね?

320名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 19:09:14 ID:Jic5KR8IO
恥裂の下に地獄が広がってたりしても今のところOKなんすね

321名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 19:27:31 ID:vK.mDavw0
これは誤字なのか素なのか判断に迷う

322名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 19:33:08 ID:dAwJ6bGcO
恥裂だなんて…ちょっといやらしいわよ男子ー

323名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 20:23:03 ID:rMtBnEOE0
だんしー、じょ、じょしー

324名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 20:43:19 ID:RrNhcGGIO
誤字して赤面な女の子に脳内変換余裕っす!

ズシの誤爆霊の流れ的に地獄世界はまったくべつの世界っぽいよ

325名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 21:54:22 ID:.RIkgwxw0
投下しようと思うけど他スレのキャラ引っ張ってきてるんで
事前に確認とかとりたかったけど規制されてて確認取れないYO!
この場合事後承諾でいいのかしら……?
ダメって言われたら対応するんで許してください…。
ちょろっとしか出てこないし、いいよね……?れ、レプリカ設定だし!
投下します。代行おねげぇしますだ……

326正義の定義:2010/07/24(土) 21:55:24 ID:.RIkgwxw0
せいぎのていぎをみているよいこのみんなへ
このはなしには、たさくひんのキャラがちょこっとだけとうじょうするよ
じごしょうだくでごめんね?ほんとすいません。いやマジで。
これもきせいのせいなんですよ。とりあえず、「俺のキャラはこんなんじゃねえ!」
みたいなことがありましたら、wikiに載せる際差し替え等の対応をさせていただきますので
ごりょうしょうください。ほんとうにすみませんでした。ごきぶりとののしってもらってもかまいません。
じぶん、ゴミムシなんで。いやホンと。もうしわけない。えっと……

はじまるよ!!


ttp://loda.jp/mitemite/?id=1265.jpg

327正義の定義:2010/07/24(土) 21:58:09 ID:.RIkgwxw0
―2010夏…

ついに、みんなで世界を創るスレが劇場化決定…?

???「忘れられた世界は、消えてしまうのだ…」

???「ならば世界に焼き付けよう……我らが生き様を!!」

_某日、現代日本。

(忘れもしない、あの日の出来事。
誰にも信じてもらえないけど……俺は確かに、一度死んだ……)

(地獄のバスツアーや閻魔との二者面談。そんな事があった後なのに回帰した日常は驚くほど平凡で…)

桐嶋「信じられないよな……信じられないけど……」

(夜々重……)

桐嶋「……?なんだあれ…?」

『黒い……ドーム!?』

日本の中心部に突如として現れたドーム。通称"閉鎖都市"

???「兄さん、これは一体……?」
???「……”閉鎖都市がどこかへ移動してしまった”みたいだね…」

次々と現れる謎の生命体・異形……

桐嶋「なんだよこいつら…、ば、化物!誰か助けて!」

異形「ギャアアアアス!!」

???「ほう、何やらおかしな事になっておるようじゃな」
???「?…ここは和泉じゃないのか……?」
???「あの…あのお方を助けなくてもいいのでしょうか……?」

全ての世界が一つになったとき、次元をかけた戦いが始まる……

???「忘れられた世界は消滅あるのみ……ならば世界を一つにし、その世界の頂点に
君臨してやろう!!我らは"イレギュラー"忘れられた世界の住人ぞ!!」

果たして世界の運命は?

???「最後に残ったのが温泉界だなんて……ど、どうしよ!?」
???「閻魔ともあろうものが……服を全部剥ぎ取られてしまうとはな……にしてもいい湯かげんだ」

世界を乗っ取ろうと企む、"イレギュラー"の目的は!?

 ―また、会えたね…

桐嶋「まさかお前……!や…」

物語の結末は…!?

???「ここか?まつりのばしょは………?ふぇ?」

続報を待て…っ!?

328正義の定義:2010/07/24(土) 22:00:17 ID:.RIkgwxw0
 「……おい!なんだコレ!」
 「?……どうしたの?火燐たん」
 「どうした、じゃないだろう……なんだよ最初のは…」
 「悪乗りです」
 「……呆れた」
 「悪い!?」
 「二回死ね!」
 「んでんでんで?」
 「にゃーんて?」
 「かまってかまってほしいのー♪」

 第九話〜火燐編〜
 「超弩級変態麻法少女ひととせたん!春夏秋登ー場ッ!!」
 
―――…

 …冒頭で騒がせてしまったことを諸君らにはお詫びしたい。あれは事実無根の捏造だ。
と、私…騎龍 火燐の口から言わせていただく。冒頭の話はこれにておしまい。おしまいったらおしまい!

 「ううん……」
 春夏秋冬志希に拾われて数日がたった。私の心は未だに晴れない。
 焔……たった一人の肉親だった。もう焔は戻ってこないし、仇を打つ相手は殺した。後に残ったのは
言い知れぬ虚しさと虚脱感。今は、何をするにもやる気が起きない。そんな中、タケゾー達を殺した
奴に対する憎悪は失われる事なく、胸の中で燃え盛っているのがわかった。結局私は何かに怒りを
ぶつけたいだけだ。
…それじゃいけないのに。わかっていても、怒りが収まることはない。復讐は自己満足……あいつ、
春夏秋冬志希は言っていたが、多分間違っていない。だけど…今の私にはそれしか存在理由が見当たらない。
 「ん……あ…?」
 太陽の陽の光が私の頬を焦がす。小鳥のせせらぎと、光合成する草の匂い。耳から目から鼻から、
朝を構成する要素を感じとる。自分の寝床以外で一夜を過ごすのは久々だったが、それ程寝起きも悪くない。

 ぴちゃ…ぴちゃ…

 「……?」
 寝起きの私の耳に、子猫がミルクを飲んでいるような音が入ってくる。何だ?そういえばやけに下半身がスースーするな……って
 「何やってんだおのれは!!」
 「ひゃい!?」
 私のパンツを脱がし尻尾をしゃぶっていた変態が一人。こいつが春夏秋冬志希だ。
 「あー、ごめんごめん。私昔っから寝相が悪くって」
 悪びれる様子もなく言う春夏秋冬。そんな滅茶苦茶な言い分がまかり通ると思っているのだろうか?
 「寝相が悪い事がパンツを脱がす事の何に関係してるって言うんだ」
 「ほら、寝てる間につい無意識にパンツを……ね?」
 「寝ながらあんな綺麗に下着をたためるのか」
 「……そこに気がつくとは…やはり天才か……」
 「……どうせ起きてて普通に下着を脱がしたんだろ?ホントなんなんだお前は」
 「いやん、おこらないで火燐たん」
 「即腹パン」 
 「ウグッ!」
 もうこんなやりとりも定着しつつあるのが受け入れがたい事実ではある。腹を抑え恍惚の笑みを浮かべる
春夏秋冬を横目に私は朝食の準備をすることにした……

329名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 22:01:29 ID:r6k3fzvgO
そういや淫裂から出てきた異形で名前ある奴いないな

330正義の定義:2010/07/24(土) 22:03:45 ID:.RIkgwxw0

 「火燐たん、人を簡単に殴ったりするのは良くないよ!」
 大根と豆腐の入った簡易的な味噌汁を作った私は一足先に朝食を摂っていた。後から春夏秋冬も
やってきて勝手に飯盒からご飯をよそっていく。別にこいつの為に作ったんじゃない。ただ作りすぎて
しまっただけだ。
 「火燐たん、聞いてる?」
 「ああ、うるさいなぁ。飯の時ぐらい静かにしてよ」
 「もう、火燐たんたら、何で私にはそう冷たいのよ」
 先程から春夏秋冬の奴がなにやら喚いているが、知ったこっちゃない。食事の時ぐらい静かにしたい。
む、この大根……芯がまだ白い。もうちょっと火にかけておくんだった。
 ずずっと漆器に満たされる薄黄土色の液体を喉奥へと流しこむ。ふと、横目をやると春夏秋冬は質問の
返事を待っているかの如く熱い視線をこちらに送っているものだから困る。うざい。
 ああ……めんどくさい奴だ!私は仕方なく返事を返すことにした。理由なんてこの一言で十分。
 「ああもう……それはな、お前が変態だからだよ!」
 「ひ、酷い…酷いわあ!よよよ……」
 わざとらしくおどけるように悲しみの素振りをみせる春夏秋冬。その実、ちっとも凹んでいるようには見えない。
 「まあそれはそうと、冒頭の話題に戻りますけども」
 「最初の捏造劇場予告の事か?」
 「それ戻り過ぎだから、メタ発言しちゃ『めっ』!」
 春夏秋冬は親指を付き出して言う。どうやら私を叱っているようだった。気がつかなかった。
 「人を簡単に殴っちゃダメですようって所!火燐たんは女の子なんだから、そんな乱暴な振る舞いしちゃ…」
 「……別にやたら他人を殴るつもりはない。ただお前は別だ」
 「え、それって……愛されてるって解釈で、いいのかしらん?」
 「どう曲解したらそうなるんだよ……お前が殴られるようなことするからだって言いたいの」
 「私だって女の子なのに…酷いわ、火燐たん」
 むう、それを言われると何だか悪い気がしてくる。さすがに腹パンはやりすぎたかも……
 「尻尾もふもふしたりパンツ被ったり頭の角削ったりパンツなめたりパンツ被ったりしてただけなのに!」
 「……最初のはまだしもそれ以外は腹パン」
 「え、じゃあ尻尾もふもふはしていいの!?」
 「即腹パン」
 「ウグッ!」
 …といったように、ここ数日、春夏秋冬の腹筋の強化に務める日々が続いてはいるが、概ね平和(?)な
毎日を送っている。ただ、ホント春夏秋冬に流されっぱなしだな……とは思う。

―――…

 朝食を済ませると、私達は荷物をまとめ、歩き出した。行き先は知らない。春夏秋冬の後に続くだけだ。
昨日は野山を登って中頃まで来た辺りでテントを張り一夜を明かした。今日は下山からのスタート。
下りとあって足取りも軽い。
 黙々と山を降りる中、春夏秋冬の背中を見て、私はこいつと出会った時の事を思い出していた……

―『何もわからないわ。だからこれから少しづつ教えてくれないかしら?』―
―『…このまま野垂れ死んだら、あなたを産んでくれたお母さんはどう思う?』―

 今なお深く残る春夏秋冬の言葉。この言葉があったから、私はまだ生きていられるのかもしれない。
とはいえ、一体何をすれば良いのかわからない。とりあえずトエルの奴を一発ぶん殴ってからじゃないと
考える気も起きない。
 春夏秋冬に拾われた後、私は……自分の事を洗いざらい披歴させられた。母や焔のこと。
そして……あの夜のこと。
 「今は休みなさい。あなたには事実を受け入れる時間が必要よ」
 すべて話し終えた後に、春夏秋冬はそう言った。事実、その時の私は悲しみなど忘れてしまうほど衰弱
しきっていた。私は沈むように眠り落ちて、春夏秋冬に拾われたその日を終えた。
 ……翌日。私は春夏秋冬から逃げようとしたが、あのペンギン(今は私の隣を歩いている)が筋肉ムキムキ
になって私の体を担ぎ、半強制的に同行させられるハメになった訳だが。その日は確か春夏秋冬が自分の
事をペラペラと誇張混じりに話していた。何でもこいつは魔素と異形の事を研究しながら各地を渡り歩いている
らしい。人助けは趣味のようなもので「人を助けるのに理由は居るのかい?」という昔のゲームのキャラの
セリフに感化されたからおこなっていると本人は語っていた。

331正義の定義:2010/07/24(土) 22:06:13 ID:.RIkgwxw0
 次の日、そしてまた次の日と、私は春夏秋冬に連れられた。この辺りから私の呼称が「火燐たん」になる。
その上なんだかどんどん馴れ馴れしくなっていった。まぁそこら辺はちょっと腹がたったけど、私も一人旅は
心細いし、行く宛があるわけでもないので、仕方なく…いいか?仕方なくだが暫くの間春夏秋冬について
いこうと決め、現在に至るわけだ。
 今、私は何をすべきかわからない。だけど、この春夏秋冬志希についていけば……何か見つけられるかも
しれない。そんな気がした。
 「ねぇ火燐たん」
 不意に春夏秋冬は立ち止まり、こちらに身体を捩った。なんだろう?
 「…どうした」
 「いや、さっきから私の背中執拗に見つめてるじゃない」
 「……気のせいだ」
 「…私、火燐たんになら抱かれてもいいわよ?」
 「何故そうなる」
 「え?私のこと抱きたくてうずうずしてるから私の背中を見ていたんじゃないのん?」
 「誰がお前のことなんて抱きたくなるもんか」
 「私受けでも攻めでもどっちでもオッケーだし。あ、火燐たんは抱かれる方が良かったかしら?」
 …この女、ひとりで勝手に話を広げていきやがる。やっぱり付いていく人間間違えたかも……

 ―――…

 時計の針が丁度正午を差した頃,私達は宿場町へと足を踏み入れていた。必要な物資を購入するために
立寄っただけで、長居するつもりはないようだ。
 街に入る前、頭の角をどう隠すか悩んでいた所、春夏秋冬に渡されたのはフードの付いたぶかぶかのコート
だった。これだけ大きければ角も尻尾も容易に隠せるであろうて。これで普段の変態行為が許される訳ではないが春夏秋冬のさり気無い心遣いに私は渋々感謝の意を込めて、
 「別にこんなの頼んでないんだからな…」
と、前もって忠告しておきながら「……ありがとう」と、虫の音程度の声でぼそぼそと呟いた。
それ以降の春夏秋冬の機嫌が変に良くて私は違和を覚えた。何やら「ツンデレツンデレ」とか囁いていた
気がするが、ツンデレとは一体なんだろう?

 町は至って平凡な宿場町だった。何か珍しいものがあるわけでもない、目を引く建物があるわけでもない
普通の町。でもなんだろう、何かがおかしい。私は鵜の目鷹の目で町を見渡したが、やはりおかしな部分など
見受けられなかった。
 「火燐たん、さっきから落ち着きないわよ?どしたの」
 「……なんでもない」
 さすがにこんなにキョロキョロしていたら怪しまれるだろうか?私は解決しない胸の靄を抱え悶々としていた……

 「これとこれとこれは買いね。これは……」
 宿場町の露店にて生活物資を買い込む春夏秋冬。店の奥では中年の男がやる気なさそーに構えている。
 私は自分の住んでいた場所から出たことがなかった。故に他所での買い物というのは新鮮に感じた。
前にタケゾー達に町へ連れられたことがあったが、その時見たものとはまた違った見慣れぬものがたくさん
置いてある。例えば食べ物。海が近いのか海鮮類が多く目立つ。山に囲まれた私の居た町では魚なんて
それこそ川魚とかその程度で、こんな新鮮な海の幸が立ち並んでいるのは見慣れない光景だ。
昔は全国何処にいても食べ物には不自由しなかったと聞くが、本当なのだろうか?
 …なんて、そんな事を考え呆けていると、前方不注意よろしく何かにぶち当たる。
 「ほわ!?」
 思わず間抜けな声を出してしまう。不覚。
 「……ん?おいおい、ちゃんと前を向いて歩きなよ、あんた」
 私がぶつかったのは人で、長身の垢抜けた青年だった。ジャラジャラと銀色の飾り物を体中にぶら下げて
いる。とても邪魔くさそう。
 「Heyリトルガール!!Youも異形かいHAHAHA!」
 そして青年の後ろからひょっこりと現れたのはやけにテンションの高い……なんだこいつは!!トカゲだ!
トカゲ頭!顔がトカゲで体は人間……
 「キモッ!!」
 「Oh、開口一言目がそれってちょっと失礼なんじゃないか〜い!?これは参ったな……欧米じゃ最も
イカしてる髪型なんだけど」
 「おい、髪型とか関係ない!頭の変化が解けてるぞマイティ」
 「Ah…?オウ!!なんてこった!でもま、いいじゃないかブラザーッ!どうせ町中にもちらほら異形がいるんだしYeah!」
 トカゲ頭の言葉を聞いてハッとする。町に感じた違和感はこれだったんだ。私の町では異形は……存在
そのものが疎まれていたから、町中で見かけることもなかった。だから普通に町中を歩く異形がおかしく
見えたんだ。

332正義の定義:2010/07/24(土) 22:08:12 ID:.RIkgwxw0
 「火燐たん〜…ってあら、この方達はどなた?」
 買い物を終えた様子の春夏秋冬。そんなのこっちが聞きたい。
 「このガールとは今会ったばかりだZE…yeah……」
 「ちょっと俺がこの子とぶつかっただけ。俺は旅に必要な物を買い込んでてさ」
 そう言うと、青年は両手に下げる袋を見せてきた。中には食料や生活消耗品などがぎゅうぎゅう詰めにされている。
 「まぁ旅のお方?行き先は何処へ?」
 「ちょっと大阪の方までStay〜にね!」
 トカゲ頭は答える。大阪……かの秀吉公の城のあった場所か。私はその土地について詳しくは知らない。
分かる事といえば金城のあった場所だいう事とたこ焼きが美味いらしいという事ぐらいだ。
 「あら奇遇、私達も丁度大阪へ向かうところだったのよ」
 え?私達も大阪へ向っていたのか?今更ながら目的地がわかったが、大阪とは……たこ焼き食いたいな!
 「へー、そうなの?」
 「Hey!それならどうだい?大阪まで俺達と一緒に行かないかい?旅は道連れって奴さHAHAHA!」
 「良いわね。人が多い方が楽しいし!」
 「えぇーッ!?」
 なんということだ。青年の方はまだしも、こんなトカゲ頭と一緒に歩くのは嫌だ。そもそも見るからに怪しさ
全開じゃないか。こんな奴と歩いてたら警察に捕まるぞ。
 何としてでも同行は避けたい私は断固として抗議した。
 「おい春夏秋冬!!私は嫌だぞ!!あんなトカゲ頭と一緒だなんて!」
 「Oh、リトルガール……こいつはトカゲじゃなくて、カ・メ・レ・オ・ン・!」
 「どっちでもいいわッ!ハエでも食ってろ!」
 「うっ……ひどいZE…マミー、マミー!」
 「ちなみにこいつの言う"マミー"は母親の事じゃなくて麻美(交際歴三年)という半年前にふられた彼女の名前である」
 「そういう事言わなくて良いZE相棒!!!」
 どうでも良い暴露がなされている最中、春夏秋冬が私に話しかけてくる。
 「いいじゃない火燐たん。トカゲの一匹や二匹」
 「嫌だよなんかあれウザイ」
 あんなのと四六時中一緒にいたら精神が持ちそうにない。私はけして拒否の姿勢を崩さなかったが……
春夏秋冬がこんな事を言い出すものだから…
 「あ、そうか……火燐たんは私と二人っきりになりたいから嫌がっていたのね?」
 「んな!?」
 「ふ〜ん、そうよねぇ、二人っきりじゃないとできないこともあるしねぇ?」
 「Why!?You達そういう関係!?」
 「ちょっと理解出来ない世界だね…」
 「ちょ、ちがうっての!!そんなんじゃ……」
 なんて言ってみても二人は既に私達をそういう目で見ていた。いわゆるイロモノを見るような。なんだよ!!
お前らだって十分イロモノだろうッッ!!
 「火燐た〜んぎゅ!」
 「こらだきつくな!!ぐッ…!」

 「あーもー!わかったよう!!」

 結局、私が折れて、4人(と1匹)で大阪まで向かうことになった。

―――…

 「へぇ〜、賞金稼ぎなのあなた達」
 必要なものを買い終え、宿場町を後にする。また道なき道をひたすら歩くのかと思うと気が滅入る。
 春夏秋冬は終始あの二人と会話し続けていた。私は暇だったので春夏秋冬のペンギン(キングという名前らしい)
を抱き上げて弄って遊んでいた。会話には参加しなかったが、聞こえてくる話の内容からお互いのことを話しているであろうことがわかる。青年の方の名前は"胡西久英"(こにし ひさひで)。
トカゲ頭で妖怪変化の異形"Mr.マイティ"と組んで賞金稼ぎをしているらしい。
 「そ。でも最近収入も安定しなくて……大阪の方で暫く傭兵でもやってみようかなって思ってさ」
 胡西は財布の中身を見て一憂しつつ言った。今の時代、安定した暮らしを得るというのは難しいもの。
 「大変ねぇ……」

333正義の定義:2010/07/24(土) 22:10:50 ID:.RIkgwxw0

 「それでYou達は何で大阪に!?」
 「ああ、ちょっと師匠に会いに行くの」
 春夏秋冬は答える。師匠がいたのかこいつには。何だこいつは、肝心な事は何も言わないなこいつ。
きっとこいつの師匠なんだからとんでもない変人に違いない。
 「師匠……って?」
 私が聞かずとも先に胡西が聞いてくれた。まぁ名前なんて聞いても私がわかるはずないが。
 「玉梓っていうんだけど」
 「……え?」
 胡西達は金縛りを食らったようにその場で固まる。静寂、少しの間の後、二人は一斉に驚く。
 「ええええええええええええええええええええッ!?」
 「玉梓ってあのおおおおおおおおお!?」
 「かの有名な五体系のおおおおおおおおおおおお」
 「んほおおおおおおおおおお!!」
 「しゅごいいいいいいいいい!!」
 どうやら凄い偉い人物のようだ。二人の驚きっぷりから如何に凄いのかが伝わってくる。
 ……人は見かけによらないんだな……
 「まあ天才ですから、私」
 謙遜もなくそう言ってしまう辺り、この春夏秋冬という人間がどういう人物なのかがわかる。とんでもない自信家だ。
 「YesYesYes!全く驚いたぜ〜Yeah」
 「玉梓の弟子凄いですね」
 「それほどでもない」
 それからというもの、話題は玉梓と言う人の事で持ちきりになった。私は特に興味もなかったので聞き耳を
立てるのをやめる。だって私は玉梓っていう人がどんなに凄いのかわからないし。再び退屈風に吹かれるのみである。

 暫く歩いた後、春夏秋冬は「休憩をとろう」と私達を呼び止めた。丁度日も暮れてきた頃だった。
 「せっかくだからさ、今日は此処でテントを張ることにしない?」
 胡西はそう提案した。今日は随分歩いた、私は異論なく胡西の提案に乗ることにした。春夏秋冬も
賛成しているし、私達の今夜の寝床が決まった。そうと決まれば早速テントを張らなくちゃいけないな。
 なんだかんだでこの生活にも慣れ始めてきた。テントだってほら、こんなに早く張れるようになったし。
 テントも張り終わり、暇になった私はペンギンのキングと戯れていたけど、飽きてしまった。
 「チチチ…」
 そんな私の前に現れた茂みからひょっこりと顔を出す一匹のリス。山にいた頃はこれらの動物とも仲が
良かったな……なんて感傷に浸っていると、リスはいつの間にか私の目の前まで移動していた。
 「こんにちはオチビさん?どうしたのかな?」
 「チチチ……」
 そういえばこのリス、あまり見かけない種類だなぁ。白い体毛のリスなんてめずらしい……
 それに何かこのリス…様子が変……
 「チチチ……ぐ…グアァァァッァァァアァァッァァアアアアアアアア!!!」
 「え?」
 リスとは思えない鳴き声が私の耳を突き抜ける。一体何!?考える間も無くリスの体の変化に私はただただ慄然とした。
 数秒前は愛らしいリスがいたその場所に今いるのは、3mは越そうかという巨体の異形。
 まずい、こんな至近距離じゃ魔法を使う隙もない。異空術系も同様、どうしよう……!
 「ヂイイイイイイイイイイ!!!」
 「やられるッ!」
 異形の大きな腕が私に振り下ろされる。もうダメ、私は目を閉じ頭を抱えてうずくまった。

……。

 しかし、いつになっても痛みが襲ってくる事はない。私は恐る恐る瞼を上げてみる……するとそこには…

 「うちの火燐たんに手出しするなんて……いい度胸してるじゃないのん」
 「グガガ……!」
 腹部に一発拳をねじ込まれ地に伏す異形と、いつの間にかピンク色のかつら(地毛は茶色)を被っている春夏秋冬の姿があった。
 「麻法少女オールバケーション!!火燐たんのピンチに駆けつけ推参仕った!!」
 「……そのカツラは必要なのか…?」
 「顔は同じでも髪型が違えばバレない変身ヒロインの法則!!」
 「バレバレだから。意味ないからそれ」

334正義の定義:2010/07/24(土) 22:16:12 ID:.RIkgwxw0

 「グアアアアァァァァ……!!」
 茂みの奥から聞こえてくる複数の声。どうやら異形は一匹じゃなかったみたい。
 「おいお〜い……これは一体どういう事だZE!?」
 「どうやら……囲まれたみたいだよマイティ」
 胡西達もやってきて状況確認。私達は異形に囲まれたようで、四方から聞こえてくる鳴き声に警戒しつつ
どうするかを話しあう。
 「数は……ざっと10〜20ってところかしらん?」
 「その程度なら、やっつけられそうかな」
 泰然とそう言ったのは胡西。よほど自分の腕に自信があると見た。
 「結構多いわよ?」
 「やれるさ。これでも俺達は賞金稼ぎ、だろ?マイティ」
 「YesYesYes!さあ、今宵もCarnivalの始まりだ!!変化!!」
 トカゲ頭は飛び上がりクルリと一回転宙返りすると、ボフンと煙をあげる。その煙の中から出てきたものは
柄の長さが人の身長ほどある戦斧だった。
 「さ、行こうか」
 『it's show time !!』
 戦意を察したのか、茂みからぞろぞろと現れる異形達。胡西は戦斧を握り、軽くステップを踏みつつ
その集団へと立ち向かっていった。
 「さて、私達も……あ、火燐たんは私の後ろに隠れてて良いのよ」
 春夏秋冬は私を気遣って言ったのだろうが、私としては舐められてる気がしてならない。
 「……さっきは不意を突かれただけだ。自分の身くらい自分で守る…」
 「無理はしないでね?危なくなったらすぐお姉様に言うのよ、"お姉様"に!!」
 お姉様の部分を強調する春夏秋冬。誰が言ってやるものか。私は異空召喚を行うため術符を懐から取り出す。
 「異界に存在する強者よ…今一度我にその力を貸し与え賜え!」
 「召喚!現れろ!汝らが名前は…」

 「"人食いミルカ"!」―【学園同士で戦争するスレ/魔法少女孤独系】―
 「"ジョン・スミス"!」―【シェアード・ワールドを作ってみよう/なんでも屋シリーズ】―
 「"岬 陽太@夜能力"」―【チェンジリング・デイ/月下の魔剣 】―

 「…夢の叶う場所に行くんだ。邪魔するなら……喰うよ?いいの?」
 「さて、いくら払う?」
 「俺の名は岬月下!神に、天の宿命に叛く男!今日異世界で死ぬ事が、神の定めた宿命ならば…
 叛いてやるさ!その宿命!!」(きまった…!)
 
 光が収束する。現れたのは大きなマントを羽織った少女、ガタイの良い古ぼけた外套を纏う男。そして、
なぜか大根を構える少年であった。
 「……一人スカか。なんか大根持ってるし」
 「おい、スカって誰のことだよ!そしてこれはレイディィィィィッシュ!!」
 訴える大根少年を無視しつつ、私も戦闘態勢に入る。一応龍なので少しの魔法と火を噴く位はできる。
 「火燐たん凄い!!こんな事出来たんだ〜!」
 「ふん、異空術の一つだ。異世界の影を映しとり、具現化する……それが異空召喚術」
 「へえ、私も負けてられないわね、行くわよ!キング!」
 「変身!!」
 春夏秋冬がキングの体に注射器を刺す。すると、メキメキと餅が膨れ上がるように肉体が盛り上がる。
筋肉集合体。八頭身ムッキムキになった気持ち悪い生物が出来上がった。
 「this way…」
 「さー!行くよ!!信義の鉄拳!受けてみよ!」
 春夏秋冬は青白い光を拳にまとい、気持ち悪くなってしまったキングと共に突っ込んでいく。
個人的にキングは変身する前の方がいい。
 「私も……行くかな…」
 私は流されるままに戦いの渦中へと飛び込んでいく。あの夜から何かが吹っ切れてしまったようだ……
戦うことに抵抗はなかった。

335正義の定義:2010/07/24(土) 22:19:14 ID:.RIkgwxw0

―――…

 「風よ、集り穿け」
 年代物の外套を纏う男はそう呟き、風の刃を作り出す。その刃は洋槍の様な形状となり異形達に降り注ぐ。
 「ギャオオオオオオッ!?」
 異形の集団は吹き飛ばされ散り散りになった。そんな異形達を今度は無数の虫が群がり襲う。
 「…!?……ッ!…ッ……」
 おぞましい光景だった。虫が引いた後、そこにあったものは無残な異形の亡骸。
虫達が戻帰る先に立ち尽くす一人の少女。虫達は彼女の体へと入っていく。
 「うぐ……!」

 「くらえ!!アクアニードル!!」
 大根少年は手から大量のウニを放出する。異形達は美味しそうにそれを味わっていた。新鮮魚介類を提供してどうする。
 「何…?アクアニードルが効かないだと……!?馬鹿な!?」
 「……馬鹿はお前だ」
 呆れた。相手を満足させてどうする。大根少年は「いやまて!いい考えがある!」とか抜かしているが……
この手の発言をして成功した例を見た気がしない。
 「閃いた!こいつを特と味わうんだな……サブマリン・クラッシャー!!」
 少年の手からまた何かが放たれる。先程の攻撃で味を占めていた異形達は口を開けてそれを捕食する。
 食べ終われば当然次はこちら。異形達は少年の方へと駆けていく。マズイな。
 いよいよ異形達が少年を捕食範囲に捉えたその時、異変が起きる。
 「が…ガアアアアアァァァ…!!」
 「え?何?」
 突如として苦しみだす異形達。その横では得意気に笑みを浮かべる大根少年がいた。
彼は計画通りと言わんばかりに語り始める。
 「かかったなアホが…生のフグを食べるなんてそれこそ自殺行為……!はじめのアクアニードルはいわば
これを仕掛けるための前フリだったんだよ……!」 
 「……え?フグの毒って異形に効くのか?」
 私は思わずつっこんでしまった。
 「……そこは強力な毒を持ったフグってことにしとけよ」
 「そもそもフグ毒ごときで倒せるのか?」
 「たまたまあいつらの弱点がフグ毒だったんだよ……」
 「何その都合の良い解釈。というかぶっちゃけ作戦なんて考えてなかっただろ?」
 「細かい事うだうだ言うなよ。そんな事一々言ってたらチェンジリング世界じゃやっていけないぜ」
 「ここはチェンジリング世界じゃないし」

―――…

 「なんとか片付いたみたいね……」
 そんなに強い連中じゃなかったせいか、ものの数十分で異形は撃退できた。
私が召喚に使った術符が空気に溶ける。それに続くように、私が異世界から召喚した住民達は徐々に
その姿を光に変えていく。

 「ここでもなかった……夢の叶う場所なんて、ほんとにあるのかな…?」
 「さて、次の依頼に向かうとしよう…」
 「そういや今回レイディッシュ使ってねぇ……」

 一言づつ言い残して消えていく異世界の住人たち。なんか濃いメンツだった。
 「それにしても……この大根はどうしましょ」
 春夏秋冬はあの少年がだしていった大根を手に取りそう漏らす。捨てればいいんじゃないかな。
 「Yeah!せっかくだから味噌煮込みにでもしようZE!」
 食うんかい。

336正義の定義:2010/07/24(土) 22:21:34 ID:.RIkgwxw0

―――…

 「ゲップ」
 「こらキング。お行儀が悪いわよ」
 異形を撃退した後、私達は何事もなかったかのように夕飯の支度をし、ご飯を美味しく頂いた。
あんな事があった後でもこうして春夏秋冬達が平然としていられるのはやはり慣れているからだろうか?
ちなみにあの大根は味噌漬けにして食べた。これが意外とうまかったな。
 「Oh…マイティもう食べられない〜……いやぁ旨かった!HAHAHA!」
 「やっぱり、食事は人数が多いほうが楽しいね」
 トカゲ頭も胡西も満足そうに言った。私は違ったな。一人で食べたほうが良い。焔のいない食事なんて……
 「どうしたの?火燐たん」
 意気消沈する私に気が付いたのか、春夏秋冬が私の顔を覗き込む。やば……もしかしたら泣いてたかも!
泣き顔見られるのは嫌だ!私は慌てて顔を両手で覆った。
 「……火燐たん、ホームシック?」
 「違うけど……似たようなもん。私にはもう帰る場所なんてない。焔は……もういないから」
 「お姉さんの事が恋しくなったのん?」
 「……別に」
 と言いかけた時、私の頭を抱き寄せる春夏秋冬。唐突すぎてびっくりした。心音が高まる。暖かい。
人肌のぬくもり。体越しに伝わる心臓の鼓動。私は自然と瞼を落とした。くやしい、こんな奴で……
 「私は貴方のことまだ少ししか知らない。けど、悪い子じゃないってことはわかるわ。
苦しかったら泣いていいのよ?我慢する必要なんてないんだから」
 こんな奴で、焔の温もりを思い出してしまうなんて。
 焔はよく、私が不安になったらこんな風に抱きしめてくれたっけ?あの優しさが蘇る。瞼の裏に映るのは
今は亡き姉の顔だった。
 「くそっ……何でおまえなんかで…ひぐッ…焔の事を思い出すんだよぉ…!」
 「いいのよ、今は私のこと……"お姉様"って、呼んでも…」
 「ど…どうせお前……それを言わせたいだけなんだろ……ぐじゅ…ズズズ…」
 「そそそそんなことないわよお!!」
 明らかに吃音気味であった。でも今はそれでいいよ。私は弱い。弱いから他人のぬくもりを感じていなきゃ
駄目なんだ。不安になるんだ。そんなんだから、焔を守れなかった……

 私は……!


 「落ち着いた?火燐たん」
 「ああ……」
 年甲斐もなく泣き面を見せてしまった私。今は恥ずかしくてまともに春夏秋冬の顔が見れない。
 「へぇ〜、らぶらぶだね」
 「らぶらぶです」
 「Crazy!同性愛はいけないなぁ〜非生産的な!」
 「何故そういう方向へ行く!お前ら全員!」
 好き勝手言われてたみたいだから声を荒らげてみた。そしたら「いつもの調子に戻ったね」って、春夏秋冬が
言うものだから参った。ホント、私の事気にかけてるんだか、ただの変態なのか良く解らん奴だ。

337正義の定義:2010/07/24(土) 22:25:05 ID:.RIkgwxw0
―――…

 食後、何をする訳でもなく焚き火の前に集まっていると、胡西が口を開いた。
 「そういえば、最近異形達がおかしな動きをしてるみたいだね」
 「あぁ、知ってるわよ。変に統率の取れた異形達」
 話題になったのは最近の異形。私達古き異形とは異なる存在。日本全土を暗中跋扈する獣。
それらは基本、群れであることはあってもせいぜい20〜30程度の集まりが関の山。しかし最近は、100程の
集団も珍しくはなくなってきているという。知能が低い下級異形が大多数を占める中、そんな大軍を
纏めることなどあるのだろうか?自然と群れができてもその規模に達するとは到底思えない。
 「なんでも、意図的に統率している者がいるって噂さ。あくまでも噂だけどね」
 そう言い、胡西は焚き木に新しい薪をくべる。火は火力を強め、胡西顔が火に照らされる。その表情は真剣そのものだ。
…もしそんな、異形を統率している人間がいるとすれば、一体何が目的なんだろう?考えても答えは出ない。
 「ここだけの話、近いうちに何か大きな事が起きるわ」
 春夏秋冬は、半ば確信じみた言い方をする。
 「……どうしてそんな事が分かるんだ?」
 私は春夏秋冬に問う。こいつが何を知っているのか、聞いておかなければならないような気がしたから。
 「裂け目の結界が、弱まってきてるの」
 「……裂け目?」
 「知ってるでしょ?今の日本に変わってしまった元凶……異形が溢れるようになった断層のことよ」
 「……Why!?なんだって!?そりゃまじかよ!?」
 衝撃の事実にトカゲ頭が飛び上がる。少しオーバーな気もしたが、飛び上がりたくなる気持ちもわかる。
 「ええ、知り合いに裂け目を観測している人がいるんだけど……目に見えて、確実に結界が弱まっているって」
 「そんな……どうして?」
 「さぁね?私は専門家じゃないもの。ただ……妙なのよね」
 「?」
 「あの結界、数年前までは後500年は解けないって言われてた強力なものなの。それに定期的に補修もしているはず」
 「え?じゃあ……それってまさか…」
 「「何者かが……結界を破ろうとしている?」」
 トカゲ頭と声がハモった瞬間だった。
 「わからないわ。現地の人は色々探っているみたいだけど原因も不明だし、どちらにせよこのままでは結界
は破れるわ。……なんとなく嫌な予感がするのよねぇ、何かが起きる、そんな胸騒ぎがね……」
 「結界が破れたら……どうなるんだ?」
 恐る恐る私は聞く。春夏秋冬は少し遠くを見つめ、何か遠い未来を見透かすようにこう言った。
 「そりゃあ、異形が溢れて、戦争が起きるわね」
 「戦争…!!」
 タケゾー達がいた街で起こったようなことが、全国で起きるって言うのか?罪もない焔のような異形、
タケゾーやカナミの様な人間がまた生まれるのか!?そんなの……そんなの絶対に…!
 「許せない……!」
 二度と繰り返しちゃいけないんだ…あんな事!
 「まだ何もわかってない。わからなすぎて不気味なくらい。だから私たちは大阪へ行くのよ。師匠なら何か知っているはず。事の全容に少しでも近づけるなら……良いんだけど」
 「何だか凄いスケールの話になってるZE」
 「定職探ししてる俺らとはまるで別次元の話だね」

 「そうだったのか……」

 「ん?火燐たん?」
 私のやるべきことが、見つかりそうな気がする。お母さん、焔…死んでいった皆……私は、
みんなの死を無駄にはしない!
 「春夏秋冬、その異変に黒幕は居るのか?」
 あの夜起きた事は、既に手遅れだった。でも今回は違う。まだ何もわからないけど、時間はあるんだ。 
 「どうかしら?……火燐たん、首突っ込むのやめるなら今のうちだけど?」
 何が待っているか、まだわからない。
 「ここまで話しておいてそれはないだろう……春夏秋冬」
 どんな困難が待っていようと、私はこの生命を賭けて挑もう。
 「火燐たんを危ない目に合わせるのは気がひけるけど……火燐たんがしたいなら、好きにすればいい」

 「行こう、大阪へ……!」

 何一つやるべきことなんてわかってないけど、私の生きる意味は見つけ出せた気がする。
 もう二度と、あの血塗られた夜にこの空を明け渡さない!それが私の、存在理由だ!

338正義の定義:2010/07/24(土) 22:26:58 ID:.RIkgwxw0

―――…

 「いやー、着いたねぇ大阪!」
 数日後、順調に旅路を進む私達はついに大阪へと到着した。長いような短いようなそんな道中であった。
 「ふう、君達ともここでお別れだね」
 「あ、そうねぇ」
 胡西達は大阪で傭兵になるのが目的だったな。数日間共にしただけあって、少し名残惜しい。
今となっちゃこのトカゲ頭もなかなか愛嬌があるように見えてきた。
 「Yeah!マイティ達は大阪にいるZE、何か手を貸してほしいことがあったらいつでも呼んでくれよブラザー!」
 「それじゃ、また」
 「近いうち、どこかお食事にでも行きましょ」
 「Yes!」
 そうして、胡西達とは街中で別れた。今生の別れって訳じゃない。またいつでも会えるさ。
同じ街にいるんだから。
 「さてと……私達も行きましょうか?」
 「そうだn…」

 ぐうぅぅ〜……

 「はて?」
 参った。せっかく気合いれていこうと思った矢先、これだ。
 「火燐たん、お腹へってるの?」
 「う……うるさいうるさい!!お前の師匠に会いに行くんだろ?えっと……玉梓だっけ?」
 「そんな急がなくていいのに。火燐たんか〜わいい」
 そういって、春夏秋冬は両腕を広げてダイブしてくる。なんと言う狩人…その目は獣そのものだが。
私は為す術も無くがっちりと春夏秋冬に抱きしめられる。
 「こ、こらやめろ!くるしい!!」
 「よいではないかよいではないか!!」
 「はーなーせー!!」

 拝啓姉上様。
 私はあなたの分まで頑張ってみようと思います。
 なので、貴女はあの世で見守っていてください。

 「この世界で生きていきます。私は。まだまだ不安だけど、以前のように笑える日が来るかもしれません」

 私の大切な、お姉ちゃんへ。

 「この気持ち、届いたかな?」

 「火燐たん独り言?」
 「な、なんでもない!!」

 まずは小さな一歩から始めよう。最初にすべきは春夏秋冬の師匠探し!

 「さあいくぞ。こんな事してる場合じy…」

 ぐうぅぅ〜…

 「……の前に腹ごしらえね。火燐たんは何が食べたいの?」
 「……たこ焼き」

 十分過去とは向き合ったから。私はもう立ち止まらない。いつかみんなの過去が報われる未来を信じて…


                           正義の定義・第九話〜火燐編〜
                                             ―了―

339正義の定義:2010/07/24(土) 22:29:46 ID:.RIkgwxw0
〜次回予告〜
地震による地盤沈下により半分が水没してしまった都市「水萌」
そこでは毎年一度だけ、土地神を鎮めるために行う祭典「声魂祭」があります。
美しい歌声を披露し、土地神に捧げるこの儀式……しかし今年は何やら不穏な予感。
歌い手が次々と"声"を奪われる謎の怪事件がおきているのです。英雄達はその怪事件に挑みます。
次回・正義の定義第十話
     「サイレント・ウンディーネ」
正義の定義も十話目です。実質十話以上あるけどね!



春夏秋冬「にしても、タイトルは私なのに中身はまんま火燐たんが主役だったね」
火燐「まぁね。そもそも6話の時点でお前登場してるのに『春夏秋冬、登場』っておかしいだろ」
春夏秋冬「ノリだよ!!」
火燐「またそれか」

 次回へ続く!!

340名無しさん@避難中:2010/07/24(土) 22:42:15 ID:.RIkgwxw0
投下終了。まず一言。
借りた作品の作者様方、マジでごめんなさい。
チェンジリングは避難所にでも一言入れときゃよかったって今更ながら気がつきました。
ほんと不快な思いをされたならば早々に対応させていただきますので
村八分だけは勘弁してください。
あと冒頭の劇場化とかネタだからね!別にアレのSSとか書かないからね!

以下キャラ設定

胡西 久英
22歳 ♂
Mrマイティとコンビを組む賞金稼ぎ。シルバーが大好き。体中にジャラジャラぶら下げている。

Mr.マイティ

妖怪変化の異形。変化しすぎて元の姿が思い出せなくなったのでカメレオン頭の姿に落ち着いてる。
武器に変身して胡西と共に戦う。

この話投下した後の反応が怖い。

341月下の魔剣:2010/07/25(日) 00:42:37 ID:KiwDJbIEO
>>340
おいぃ! よりにもよって大根さんかよw
チェンジリング世界ならもっと強くてかっこいい人いっぱいいるってのにwww
どんな扱いでも自分は一向に構わんですよ。テンション高くて見事に奴らしくてよかったです。

342名無しさん@避難中:2010/07/25(日) 18:52:14 ID:b5FYXtrkO
投下乙!しかし…代行できなくて済まん。

343名無しさん@避難中:2010/07/25(日) 19:14:25 ID:vlJoykaI0
では行ってくる

344名無しさん@避難中:2010/07/25(日) 19:45:49 ID:vlJoykaI0
おわり

345名無しさん@避難中:2010/07/26(月) 01:11:55 ID:gGqFt51s0
圧倒的感謝…ッ!

というか月下の人このスレ見てたのか……ほんとご迷惑をおかけしました

今回ほど投下を躊躇した回は無かった……!色々やりたい放題しすぎました
次からは自粛します。

346名無しさん@避難中:2010/07/26(月) 10:56:39 ID:pAoeCj0o0
なるほど、火燐の召喚魔法はディエンドや鳴滝の召喚のようなもんか
ともあれ、四季の人の下とシリアスの差が激しすぎるw
とりあえず火燐ちゃんが持ち直したので良し!

というのを、なんといいますか、代理していただければありがたいです

347名無しさん@避難中:2010/07/26(月) 11:56:57 ID:cZKzCgyA0
行ってきました

348名無しさん@避難中:2010/07/26(月) 13:35:23 ID:pAoeCj0o0
ありがとうございます!

349名無しさん@避難中:2010/07/26(月) 20:40:40 ID:1eIsMdhwO
以外と一番怪談が似合うのは閉鎖都市だと思う。

…閉店した『マグレブの店』から聞こえるピアノの音…

とかね。

350名無しさん@避難中:2010/07/26(月) 21:10:27 ID:afn4fbpg0
>>349
あるビルの壁面はぬぐってもぬぐっても人型の染みが浮かび上がってくる、っていのとか。

351名無しさん@避難中:2010/07/26(月) 21:43:54 ID:1eIsMdhwO
噂をすれば閉鎖都市に投下が。
イレアナはスレでも数少ない母性的ヒロインだなあ…

352名無しさん@避難中:2010/07/27(火) 20:59:08 ID:s6/tRGNg0
wiki、特に◇X2eF6cXcIAの辺りが雑多ですね
俺はページ名とかいじれないのでだれかログインできる人スタイリッシュに直してくれるとありがたいです

353名無しさん@避難中:2010/07/28(水) 21:32:31 ID:ugxYplkQO
投下&まとめ更新乙!!
御伽は独特のテンポながら展開早いなぁ。

354名無しさん@避難中:2010/07/28(水) 22:39:07 ID:r/YbDbNYO
火燐ちゃんが召喚してたけどジョンスミスとか久々に見たな…
最近規制でみんなで創るスレも人が減ったなと思ってたけど投下あるだけまだマシなのかなぁ?

355名無しさん@避難中:2010/07/28(水) 22:56:08 ID:M1s.jjTQ0
雑談もそれとなく盛り上がればいいんだけどもね

356名無しさん@避難中:2010/07/28(水) 23:18:13 ID:r/YbDbNYO
雑談も一気に波が来たときは盛り上がるんだけどね
雑談でポロッと出たネタを元に作品ができるって流れは良かった。ある意味合作に近い

357名無しさん@避難中:2010/07/29(木) 01:32:32 ID:Zq8/awLU0
流れとか考えなくてもいい位気軽に書き込める空気を作るのが大切だよ

そんな事より腹が減った。ちょっとタバサちゃんのホットケーキ横取りしてくる。

358名無しさん@避難中:2010/07/29(木) 05:34:51 ID:MsjwvWm6O
あのホットケーキってエリカ様が作ってるんだよな?料理も出来て老けないとか最高じゃないか嫁に欲しい
そして湯乃香ちゃんは温泉卵しか料理作れないとかだったり

359名無しさん@避難中:2010/07/29(木) 06:57:11 ID:GbVCSdpQ0
なんか雑談にならないよな
一言二言で途切れる

タバサちゃんのホットケーキ取り戻してくる

360名無しさん@避難中:2010/07/29(木) 21:49:11 ID:UI.IvujMO
多忙で投下作も読めない訳で……
でも盆からは本気だすw

それよりなんか選挙みたいなのも始まったみたいね

361名無しさん@避難中:2010/07/29(木) 21:53:42 ID:1ApAStkY0
いいえ連打合戦ですw

362名無しさん@避難中:2010/07/29(木) 22:13:55 ID:Zq8/awLU0
何故人は争わねばならぬのか…これも人の業か…!

363名無しさん@避難中:2010/07/29(木) 22:36:16 ID:1ApAStkY0
なんならアピールスレに追加したいキャラ書いていってね

364名無しさん@避難中:2010/07/30(金) 03:24:32 ID:y.2jDcr6O
湯乃香「ここの住民なら勿論私に投票するよね?」
天野「一位に輝けば何と湯乃香が脱ぎます!」
湯乃香「いや、既に脱いでるし」

365名無しさん@避難中:2010/07/30(金) 16:40:14 ID:5U5eoqGAO
真樹村怜「投票結果なんかナンセンス。我がみんつく人民には……同志ポープが居るのよ?」

366名無しさん@避難中:2010/07/30(金) 16:43:00 ID:5U5eoqGAO
真樹村怜「……あと、天野翔太はチェンジリングのスパイ容疑で粛清」

367名無しさん@避難中:2010/07/30(金) 16:48:24 ID:5U5eoqGAO
真樹村怜「……あとみんつく臨時最高評議会は同志クズハ、同志湯乃香、それから私で構成されます」

368名無しさん@避難中:2010/07/30(金) 17:14:35 ID:IAdvUkws0
くだらないな。こんなことをしている暇があるなら
世の中のために何が出来るのかを考えなさい。

369名無しさん@避難中:2010/07/30(金) 17:39:08 ID:5U5eoqGAO
オチの前に説教食らったわw

370名無しさん@避難中:2010/07/30(金) 17:48:42 ID:y.2jDcr6O
>>368
こんな所で何やってるんですか名護さん

371名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 03:58:58 ID:BlAIrDEQO
珠夜って、たまや、なのか、たまよ、なのか、たまよる、なのかが気になってエアコン消したら夜も眠れない

372名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 08:17:56 ID:MJB32A5.O
……実は『タマヤ』のつもり書いたw

373名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 13:04:11 ID:rd7Untn.0
たーまやー

そういえばまだ今年花火見てない。
今年はいっちょお祭りにでもいってその余韻の中で
お祭り話でもかけたらいいな。

374名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 18:15:39 ID:BlAIrDEQO
たまやだったのか!
今日はエアコン無しで眠れそうだありがとう


夏祭り話って良さそうね
侍女コンビニ夏祭り支店でチョコバナナを買うと、
殿方悶絶のイヤラシイ舐め方(?)を珠夜が伝授してくれるとかね
怜角さん、リリベルたま、ややえちゃん辺りが挑戦するわけです
藤のロリバ(ryは外見年齢的にアウアウ!なので教えてもらえない
まぁ教えてもらわなくても既に熟練だったりして
夏祭り後はみんなで温泉界に入湯。

375名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 18:44:41 ID:wvygyjWM0
創発落ちてるナ

376名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 19:21:02 ID:xo5axwq.O
あれ?普通に見れるぞい

スレが殆ど消えてるけど

377名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 19:25:50 ID:BlAIrDEQO
運営のスレ以外全部消えてた

378名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 22:20:27 ID:rd7Untn.0
夏休みの宿題を忘れてきた言い訳みんつくキャラ編


桃太郎の場合

先生「桃太郎君、夏休みの宿題はどうしたのですか?」

桃太郎「あー、いやー、あれねー。ちょっとうちの犬が食べちまってー」

先生「そうなんですか?招杜羅君」

招杜羅「事実無根で御座る」

桃太郎「あっ!てめ!ここは嘘でも合わせとけよ!」

先生「桃太郎君、あとで職員室まで来るように」


夜々重ちゃんの場合

先生「大賀美さん、夏休みの宿題はどうしたのですか?」

夜々重「うっかり男の子を呪い殺しちゃって、夏休み中は生き返らせてたんで
宿題はできませんでした!」

先生「うっかりにも程があるでしょう。後で閻魔様のところまで来るように」


神谷さんの場合

先生「神谷くん。夏休みの宿題はどうしたのですか?」

神谷「まぁ先生。とりあえずこの写真を見てくださいよ」ピラ

先生「なっ!これは……!」

神谷「夏休み中、ちょっとあんたの事を尾行させてもらったんだが…
こんなもんが出でくるとは……
先生……浮気なんて奥さんにばれたくないだろう?」

先生「か、神谷くん……放課後私の所まで来るように…」


湯乃香ちゃんの場合

先生「湯乃香さん。夏休みの宿題はどうしたのですか?」

湯乃香「朝起きたとき、うっかり温泉に宿題全部落としちゃいました〜」

先生「あなたの家はどうなっているのですか。帰りに一風呂私に浴びさせるように」


エリカ様の場合

先生「蛇の目さん。宿題は……おや?蛇の目さんは?」

タバサ「にゃーにゃーにゃー(先生、エリカ様は長期睡眠に入りました)」

先生「それは困りましたね……罰としてタバサちゃんは暫く私に預からせるように」

379名無しさん@避難中:2010/07/31(土) 23:20:21 ID:MJB32A5.O
湯乃香の先生っておいしすぎるだろw

380名無しさん@避難中:2010/08/01(日) 09:11:42 ID:ym9F55to0
待つんだ先生!
タバサちゃんは俺が責任を持って預かる!

381名無しさん@避難中:2010/08/01(日) 09:47:42 ID:1fgSkojIO
タバサちゃんの猫語が分かるってことは先生は異形?w


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