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( ・∀・)救出の魔法使いたちのようです
674
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 06:55:41 ID:zCJIX08Q0
『救出の魔法使いたちのようです』
その14
『蝋細工の心だから』
675
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 06:57:17 ID:zCJIX08Q0
ニガティタ島の半分が、唸りをあげて立ち上がった。
今まで遭遇した中でも最も巨大な火山の厄災が目覚めたのだ。
一人また一人と、空へ魔法使いたちが逃げ惑う。
そして海からは、もう一つ巨鯨の厄災が迫っている。
モララーは島全体を見渡し、次に自分がどう動くべきかを考えた。その隣で、デミタスが攻撃を警戒して風の防壁を張っている。
( ・∀・)…カンなんだがね
(´・_ゝ・`)どうぞ
( ・∀・)火山はおおむね無視していい。あのデカいの、まだ寝起きだ。この隙に撤退を急ぐべきだね
(´・_ゝ・`)あのスケールです。完全に目覚めて攻撃に移った場合我々の被害もバカになりませんからね
( ・∀・)な〜んて言わなくても、まともに喧嘩したがるヤツはそうそう居ないみたいだけどね
( ・∀・)で、海。アレはなんというか…酷く禍々しい物を感じる。アサピーじゃないが、クックルを呼び出して頼るのも手かもね
676
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 06:59:28 ID:zCJIX08Q0
('、`;川隊長!!モララー隊長!!
( ・∀・)…どうしたんだい、そんなに慌てて
('、`;川地上で鉄針の厄災と戦ってたんだけど!!ドックンとナイトーくんとキュートちゃんがまだ上がってきてないの!!
デミタスが無言でモララーを見た。モララーもそれに頷き、即座に魔竜を飛ばす。
('、`;川ヤバいんだって!針がビューって!バーッって!きっとまだ逃げてるよドックン達!
(´・_ゝ・`)非常に擬音に頼った説明ですが、それが正しければ他の魔法使い達が撃ち落とされる危険性がありますね。急ぎましょう
( ・∀・)ああ。…生きててもらわなきゃ困るんだ
677
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:00:28 ID:zCJIX08Q0
<ヽ`∀´>動きがひどく鈍い…まだ寝起きなら逃げようもあるニダ、隊長!
ニダーが撤退命令を求めて振り向く。副官として流石に自分たちでこの大きさの厄災には太刀打ちできないと判断したのだろう。
lw´‐ _‐ノvフィーさんがおっきな闇の門を張ってる。私達はまずあのトリさんぶちのめして空をどうにかしないと
lw´‐ _‐ノvじゃないと逃げるもんも逃げられないよん。でもなー…おかわりあるんだよな、トリさん。燃えてるヤツ
<ヽ`∀´>隊長…
lw´‐ _‐ノvニダちゃん、ここに来る前に家族に何かしてあげたかい?
<ヽ`∀´>い、いきなり何を…
lw´‐ _‐ノvいいから
678
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:02:53 ID:zCJIX08Q0
<ヽ;`д´>む、息子達と遊んで過ごしたニダけど…魔法局に戻る前に妻からは平手打ちを食らったニダ…
lw´‐ _‐ノvだろうね。私が奥さんならこんな行かせたくない仕事ないもん
lw´‐ _‐ノv…ニダちゃん、護衛も兼ねてフィーさんとこに6番隊の隊員達や箒やドラグーン無くした連中を連れてって。ユー達の背中は私とディ達で守るから。あんだすた〜ん?
<ヽ`∀´>了解ニダ!
| ^o^ |あんだーすたんどです
(#゚;;-゚)…任せておけ。私もまだ生きていたい理由がある
lw´‐ _‐ノv味方はきっちり守る、攻撃もバッチリこなす。6番隊の意地見せてくよ〜
| ^o^ |おや?
(#゚;;-゚)…つまらないことを四の五の言ってる場合じゃない
| ^o^ |たしかに ろくばんめですけど
(#゚;;-゚)洒落じゃない
679
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:04:01 ID:zCJIX08Q0
(;´ー`)ひっく、うぉえっ……急に揺れまくって吐きそう……
( ´∀`)戦場で酒飲んでたの誰モナ?
(;´ー`)はい、俺です、俺の自業自得でございます…
( ´∀`)モナの背中にゲロ吐きやがったら氷漬けにするモナ
(;´ー`)耐えますよ、まだまだ死ねませんし。いざって時は俺がモナー隊長守らないといけませんしね
( ´∀`)
( ´∀`)生き残れたらモナが酒に付き合ってやるモナ
(*´ー`)マジすかッ!!!?うは、生きる超生きる!!生きますとも!奢りですよね!?大魔導師様の奢りですよね!?
( ´∀`)うるせぇよ
680
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:05:36 ID:zCJIX08Q0
(-@∀@)…まだ動かない。むしろ二度寝って感じだな、あのデカいのは
(-@∀@)ちっ……ロマキング1号も損傷が激しくなってきたな。ニューソックスとヤマサキはどこ行ったんだ、まったく…
ぼやきながらアサピーは禍々しいプレッシャーを放つ二匹の凶鳥の厄災を見据えた。このまま巨神ロマキングに始末をつけ、羽虫を食い散らかすつもりだろう。
エネルギーは設計上問題ない、以前と比べてもちゃんと五体満足のまま戦えている。
だが弾薬を使いすぎた。ここまで親鳥がしぶといとは思わなかったのだ。しかも敵はまだまだ居る。
はっきり言って誰がどう見ても人間側が追い詰められている状況だ。
だが、追い込まれれば追い込まれるほどアサピーの身体は高揚感に打ち震えた。
681
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:06:16 ID:zCJIX08Q0
恐怖を狂気で裏返し、アサピーは高らかに笑った。
(-@∀@)はーーーーっはっはっはっはっ!英雄の条件は劣勢を劣勢とも思わず立ち向かう勇気にあり!僕は今、誰よりも、そう!ソウサク魔法局の誰よりも雄々しく戦っているとも!
(-@∀@)はーーーーーっはっはっはっは!見ているかね!?僕の勇姿を!アサピエーラ・ガデライトを!
ロマキングの鉄拳弾がまっすぐに突っ込んできた雛鳥の腹を突き抜ける。
悶えた隙を狙い飛ばしたもう片方の腕が雛鳥の足を掴み、そのまま地面へと叩き落とした。
苦しみ悶える雛鳥を邪魔だとばかりに蹴り飛ばし地響きを立ててロマキングは駆け抜ける。捨て身の闘争を仕掛けるアサピーに親鳥も真っ向から受けて立とうと翼を広げて突っ込んだ。
682
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:08:03 ID:zCJIX08Q0
(,,゚Д゚)アサピエーラの野郎、誰に向かって言ってるやら…わからんでもないがな…
ミ,,゚Д゚彡誰だっていい。クソッタレの雛鳥をそのままチリも残さず焼ければ戦いは少なからず有利に傾く
( ´_ゝ`)お前らもよくやるよ、乗り物失ってまでさ。ソウサク人らしい悪あがきだ
ミ,,゚Д゚彡翼やられようが箒切られようが身体さえ無事なら戦う道はある…何が何でも戦わなきゃあいけねえんだよ!
( ´_ゝ`)ほう、見上げた志だ。だがお前は何のために戦う?
ミ,,゚Д゚彡俺様の力をソウサク中のボンクラに示す!
(,,゚Д゚)フサギコ!
ミ,,゚Д゚彡そーのーまーえーに!!それを見る観客が皆殺しにされちまったらどうしようもねえ!だからそいつらが生きて帰るために厄災どもを一匹でも多くぶちのめす!
(,,゚Д゚)……!
( ´_ゝ`)ほう。面白い…だが、大物を狙いに行く根性は無いようだな!
ミ#゚Д゚彡あァ!?
683
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:09:01 ID:zCJIX08Q0
( ´_ゝ`)俺なら雛より親鳥を攻めるね!
わざと背中に乗った少年の闘志を煽って、アニジャは旋回し口から火球を放った。
注意の外から現れた蒼竜の姿にロマキングを狙っていた親鳥はまんまと不意を突かれ、忌々しげに標的をアニジャへと定めた。
ニュッケン・ニューソックスが一匹を引き離したおかげで、接近も容易になりぐっと撹乱はしやすくなっていた。相手もアサピーと正面から数時間やりあっているのだ、消耗もする。
上手く優先順位を狂わせてしまえばこちらのものだ。
(;´_ゝ`)くっ、それでもこの衝撃波は厄介だな…!
おぞましい叫び声をあげて、親鳥が反撃する。ギコとフサギコは何がなんでも吹き飛ばされまいとアニジャの皮膚に爪を立ててしがみついた。
( ´_ゝ`)ちょっ、痒いんだけど
ミ,,゚Д゚彡うるさい!黙って耐えろ青いの!
( ´_ゝ`)キレる若者…まあブーンよりはマシだがね。いいだろう!俺に乗って戦える事を光栄に思え、ソウサク人たちよ!
(,,゚Д゚)感謝する、アニジャ・ニジンスキー・サスガータ
ミ,,゚Д゚彡ソウサク人の辞書に勝ち以外の言葉はねえんだよ!あっさり叩き落とされでもしたら承知しねえから!
( ´_ゝ`)それもう辞書じゃなくて分厚いヤバいメモだな
684
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:09:49 ID:zCJIX08Q0
(#-@∀@)おいおいおい、いけないなあ!僕を見てくれなきゃあさあ!
全長51メートルの巨体から繰り出された右拳が厄災を後方へ殴り飛ばした。
親鳥はその勢いを利用して距離を取り、無数の黒い羽根を飛ばし敵をまとめて葬ろうとした。
アサピーはそれでも食らいついた。
巨神が両腕を交差させ防御の姿勢を取り、その身を切り刻む羽根を弾きながら進む。
[1ФωФ]コオオオッ!
間合いを詰め勢いよくカーテンを開けるような動きで巨神を包む光波防壁を剥ぎ、跳躍する。
重い槍のような脚の一撃を浴びて親鳥は墜ちた。そのままロマキングは馬乗りになって次々に拳を撃ち込んだ。
(-@∀@)君は確かに早く、しぶとく、強い。だが僕だってむやみやたらに撃ちまくってたわけじゃあないんだ
(-@∀@)当然だが身体の部位によって通るダメージは違う。一発一発で検証する必要性があったのさ、おかげでだいぶ弾薬を消費させられたがね
(-@∀@)君の弱点は翼の付け根!そしてこれが一番至近距離で君にぶちこめるポジションなんだよぉ!!アーーーーッハッハッハッハッハ!!!!
アサピーの歓喜の雄叫びを合図にロマキングの指先から数発の弾丸が放たれた。
685
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:10:53 ID:zCJIX08Q0
( ^^)巨鯨の厄災から膨大な魔力の収束を確認!あの船、ここから滞空してる魔法使い達を根こそぎ撃ち落とすつもりですよ!?
( ^ν^)…俺たちには目もくれない、と。上等じゃん骨董品がよ
吐き捨ててニュッケンは構えた。口角を吊り上げたその表情に、微塵も恐れはなかった。
自分の身体と巨神の身体が一体となっているような高揚感がニュッケンを包んでいた。
( ^ν^)…あダメだわ。俺あのメガネ笑えねー。こんな状況なのに
( ^^)結局男の子だったんですね、ニュッケンさんも
( ^ν^)うるせぇ。撃たれる前に撃つ、砲塔一個たりとも残さずぶっ潰せ。こっちが30発ほど撃ったらそのまま蹴り込んでへし折るぞ
686
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:11:33 ID:zCJIX08Q0
( ^ν^)ンじゃ、派手にやっちゃって
ロマキング2号は両腕を威嚇的に振り上げ、まっすぐに指先を伸ばした。大量の弾丸が厄災へ降り注ぐ。
轟音と爆煙が広がる中、ニュッケン・ニューソックスは考える。この巨鯨の厄災の正体はなんなのかと。
生物的な部分があるなら汚泥の厄災のように何かに寄生、あるいは融合して進化するタイプの厄災だと推測はできる。
だが、そうなると問題はその身体にある。
・・・・・・・・・・
あの船はどこから来た?
旧人類の遺産だとしてもだ。人類同士の戦争や天と海の厄災の怒りの後、あんな大きな船がそうそう残っているだろうか?
( ^ν^)…脳内麻薬出過ぎてアホな想像してるんだけどさあ
( ^^)何か言いました!?
( ^ν^)うん。アレもしかしたらそもそもこの世界のモノじゃねえのかも
( ^ν^)ハハ、ハハハハハ…厄災って、面白え〜〜〜
ロマキング2号が放った複合属性弾は巨鯨の厄災の火砲を残らず粉砕した。跳び上がり両脚を鋭くめり込ませ、そのまま力任せに解体する。
だが、厄災自体は健在のまま島へ向かって直進していく。損傷だって馬鹿にならないのに、真上で暴れ回るニュッケン達をまるで気にせず悠然と進んでいく。
( ^ν^)…ああいう余裕かますってことはさ。やっぱ切り札があんだよ
( ^^)この勢いだとそのまま上陸しちゃいますよ!?
( ^ν^)所長と合流してなんとかするしかねえわな
687
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:13:21 ID:zCJIX08Q0
動かなくなった親鳥を見下ろし、アサピーは完全な勝利を確信していた。
ミ,,゚Д゚彡…あのトリ
( ´_ゝ`)妙だな
空を舞うアニジャとフサギコの目に映った凶鳥の姿は、天空から引きずり降ろされ惨めに倒れ伏した敗者には見えなかった。
まだ何かを隠し持っている。まだ余裕を無くしてはいない。まだ我々を嘲笑っている!
何処から来るのか、何が来るのか。視界に入った火山の厄災はいまだに眠ったままだ。
フサギコは考える。
自分ならどうする。身体がまともに動かないほど痛めつけられて、どんな時に笑う?どんな時に勝ちを確信する?
その答えに辿り着く前に、否。答えを掴もうとしてやめる前に、強い衝撃と共に巨神ロマキングが崩れ落ちた。
風を裂く黒い影の正体は雛鳥だ。雛鳥の翼が背後から巨神の両脚を切り落としたのだ。
ミ,,゚Д゚彡(答えは…仲間が助けに来た時……!)
(-@∀@)あー…ハハハ…まだ息があったか
あまりに突然過ぎて、アサピーはその地響きをどこか他人事のように聞いていた。
雛は親鳥に寄り添うように力尽き、そして溶け合っていく。融合した凶鳥の首が裂け、二つの頭が現れた。
( ´_ゝ`)双頭の化けガラスか…なんでもありだな
(´<_` )兄者!
( ´_ゝ`)まだとっておけ。コイツを済ませたら、じきに使うべき時が来る!
688
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:14:02 ID:zCJIX08Q0
(#゚;;-゚)……親子か
その光景を見ながら、上空でディは呟いた。
(#゚;;-゚)…いかんな、厄災との戦いの最中なのに
| ^o^ |ちがいます あれは
冷たくブーム・ソヤナルカが言い放った。
ブームが乗っている魔竜サルサも、嫌悪感を露にして唸っている。
親が子に「死ね」と命令し、子は喜んで親の血肉となっただけのこと。
lw´‐ _‐ノvあんな親子があってたまるかい
| ^o^ |ばけものらしいといえば らしいです
lw´‐ _‐ノvとりあえず撃っちゃって。効果はあんま期待できないけどさ
(#゚;;-゚)了解。アサピエーラはやらせない…!
lw´‐ _‐ノv身体の一部作んのはクックル戦でやってるからさ、諦めんのはまだ早いよ、アサピッピ
689
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:14:32 ID:zCJIX08Q0
(;^ω^)こここ攻撃が始まったらぼくたち確実に巻き添えだお!?
(;'A`)まだ凶鳥で手一杯なだけありがたいんだかありがたくないんだかな…
('A`)とりあえず跳び移れるとこまで走れ。そしたら俺があんたを掴んで魔法靴で飛ぶ…!
ドクオは強くブーンの背中を掴んだ。
ブーンもそれに応えて走り続けた。何処までも、何処までも。
(°A°)引き返せーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!
(;^ω^)おおおおお!???な、なんだお!急に耳元で怒鳴るなお!!
(;'A`)キュート隊長の脚!多分馴染みきってねえ!それにあの人は魔竜を捨ててる!下手すりゃ逃げ遅れるぞ!!
(; °ω°)もっと早く言ってくれお!!!!おおおおおおおーーーーーー!!!!!!!!
(;'A`)全速前進!!走れ、ブーン!走れっ!!
690
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:15:25 ID:zCJIX08Q0
火山の厄災の背中を飛びながら、モララーは変貌した凶鳥の姿を見た。
ロマキングは倒れ伏し、今にもとどめを刺されようとしている。モララーにとって、全ての魔法使いにとって完全に予想外の事態だった。
<●>
だが、まだドクオが見つからない。額を汗が流れて行く。時間を止めるか?いや、あまりに遠すぎる。
<●>
広範囲に時間停止をかける事は可能だが、大量の魔力の消耗は今のモララーには人間としての死を早める行動となる。
四方八方から視線を感じる。
見ている。奴が嘲笑っている。
(;・∀・)(けど、僕は…僕は…!)
( <(#´・_ゝ・`)モララー様!!
モララーの思考に割って入るように、デミタスが声を張り上げた。
691
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:16:46 ID:zCJIX08Q0
(#´・_ゝ・`)お行きなさい!!貴方の時魔法は、誰かを救うための力!今すぐ飛べば道は在るはずです!貴方の友を、貴方自身を救う道が!
(;・∀・)デミタス…
(#´・_ゝ・`)貴方はいつものように私に仕事を押し付けてくれればいいのです!
('、`;川だってさ!4番隊なんだよ、私たち!ちょっとドックン達拾ってくるくらい今までの酷使に比べれば軽い軽い!
(;・∀・)まだ鉄針の厄災がドクオ達を追ってるんだ!君たちだけじゃ…!
('、`#川大丈夫ったら大丈夫なの!!
('、`;川私たちだけでも出来るから、みんなの所へ行ってあげて!たった一人だけで全部背負える人なんていないんだかんね!?
( ・∀・)わかった、僕は僕の成すべき事をするよ
( ・∀・)…死なないでね、君たち
('、`*川ごあんしん。んなヤワに出来てたら今日まで生きてこれないって!だって厄災の針ぶっ刺さっても元気に生きてんだよ、私!
(´・_ゝ・`)まったく…何やってるんですか、本当に
モララーの魔竜が、高く飛び去っていく。
デミタスとペニサスは顔を見合わせ、空へと叫んだ。
(´・_ゝ・`)モララー様!必ず…!
('、`*川隊長ーー!これ終わったらみんなでヴィップ観光行こーねーーー!!
692
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:18:12 ID:zCJIX08Q0
4つの目が、こちらを見下ろす。
憎たらしく勝ち誇った瞳。
大きく黒い翼を広げ、羽根の一つ一つが赤く輝く。
(-@∀@)…まだ、僕はここでは死ねない
[1ФωФ]わ、我が闘志潰えず…
(,,゚Д゚)翼の付け根だ!一気に撃ち込め!ロマキングを守るんだよ!!
( ´_ゝ`)ヤツだって不死身じゃない。傷を蓄積させられれば、勝機はある
(#゚;;-゚)アサピエーラ!!
lw´‐ _‐ノv脚、出来たよん
(-@∀@)…聞こえてるよ、感謝する。行くぞ、ロマキング1号
693
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:19:23 ID:zCJIX08Q0
拳を振り上げ、巨神が凶鳥へ殴りかかる。だが、凶鳥はそれを待っていたとばかりに無数の羽根を発射していく。
光波防壁を張るエネルギーは残されていない。この間合いでは、咄嗟にかわすことも防御する事も出来ない。
それでもアサピーは、凶鳥を叩き潰さんと迫る。
迫る。
迫る。
(-@∀@)!?
アサピーは目を見開いた。
厄災の羽根が空中で停止し、瞬く間に凍りついて行く。そしてロマキングは凍った地面に足を滑らせ、羽根を両腕で粉砕しながら凶鳥を押し倒す形で倒れ込んだ。
( ・∀・)ふう、間に合ったね…正直、騙し騙しってやつだがそういうのは得意な方なんだ
( ´∀`)むふふふ、綺麗にすっ転んだモナね!
(-@∀@)…!モララー、モナー……君たち……
694
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:20:25 ID:zCJIX08Q0
(#-@∀@)……君たち!よくも僕の見せ場をズッコケにしてくれたな!!
( ´∀`)武器ほとんど残ってない癖に無茶すんなモナ
( ・∀・)よく頑張ってくれたよ、アサピー。ご褒美に見せ場はこっちでしっかり用意してやるよ
(#-@∀@)はァ!?
( ´∀`)モナ?
( ・∀・)…んふ。ショータイムだ。申し訳無いが厄災には喋ってる間停止いただこう
( ・∀・)ニコヤカ
モララーは魔竜の背中に立ち、大仰にマントを翻した。
695
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:21:12 ID:zCJIX08Q0
( ・∀・)諸君!凶鳥の厄災の再生力は並ではない!巨神の力で押し込めはしたが、それでも決定的な一撃は与えられなかった!ならばどうするべきか!?
ミ,,゚Д゚彡…回復する暇なんて無いくらいに攻撃撃ち込むっきゃねえだろ
( ・∀・)ぶっぶ〜〜〜〜〜。フサギコ君、残念!
ミ,,゚Д゚彡イラァ………
(-@∀@)…自分が間違えたわけでもないのにイラつくな
(,,゚Д゚)いや、フサギコの考えは合っている
ミ,,゚Д゚彡へ?
(,,゚Д゚)…だが、倒しきるには我々は消耗が激しく火力が足りない。ですよね?
( ・∀・)そ。んでさあ、打撃じゃあ絶対に無理だから攻めたくても攻めきれない。でしょ?翠樹の大拳者
(´<_` )……まさしくその通り
( ´_ゝ`)今色々とウズウズして仕方ないもんなお前
(´<_` )黙ってろ
696
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:22:25 ID:zCJIX08Q0
( ・∀・)さて、諸君。厄災を完全に討滅するためにロマキングを燃やしてしまおうじゃないか!
(-@∀@)……は?
| ^o^ |ひやくにおいつけない
( ・∀・)数百年前の旧ニチャン式魔法について知っているかな?肉体から放たれた言霊と魔力が合わさって発動する、歴史ある手法さ
( ´∀`)…………ああ、なるほど。そういうことモナね
(´<_` )…そうか、ソウサク人らしい
lw´‐ _‐ノvあーそういうことね完全に理解したわー
( ´_ゝ`)やっべ全然わかんねえけどそれっぽい空気出しとくか(フッ……なるほど、それも面白かろう)
(´<_` )古典的な手法を使うからってボケまで古臭くする必要はないんだぜ兄者
(-@∀@)…待て。待ってくれ、話と話が繋がらないんだが
[1ФωФ]我、その者の意図を理解せり
(;-@∀@)お前も!?
697
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:24:07 ID:zCJIX08Q0
( ・∀・)所々砕けちゃあいるが、ロマキングの身体には多くのミスリルが使われてる。言ってみれば全身が魔力増幅器ってわけなのさ
m9( ・∀・)そしてアサピー!君の巨神達には発声機能があるだろう!?
(-@∀@)…そうか!分かったぞ、僕にも!ロマキングに魔法を使わせる、そういうことだな!?
( ・∀・)巨神級のスケールの魔法に周りからかき集めるありったけの魔力だ。あんな鳥一匹焼き殺すのはわけない
( ・∀・)ギコくん、アニジャさん、ディ。頼めるかい?
(,,゚Д゚)お任せください。ありったけの魔力をロマキングにぶつけます
( ´_ゝ`)心得た。託してやろう、ソウサクの大魔導師よ
ミ,,゚Д゚彡・・・・・・
(#゚;;-゚)……火属性は使えるな?
ミ,,゚Д゚彡使える、けど…
(#゚;;-゚)なら力を貸せ。全員で勝つために
ミ,,゚Д゚彡…しょうがねえな!俺様が必要ならそう言えっての!
(#゚;;-゚)…シベリアの住民と触れ合ってみて思ったが、やはり子供は扱いやすい
ミ#゚Д゚彡何ィ!!!????
(,,゚Д゚)・・・・・・
698
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:25:28 ID:zCJIX08Q0
( ・∀・)さて、厄災が暴れ出すぞ!諸君、放て!
モララーの号令で放たれた火球を、巨神ロマキング1号が吸収していく。それぞれの魔力を糧に、乗っているアサピーの身体まで熱を帯びていくようだ。
突然の衝撃から開放され、距離を取った凶鳥の厄災はロマキングの異変に気付いて真っ直ぐに向かってくる。
(-@∀@)この暖かさ、ふふ…悪くない…!
(-@∀@)行けるぞ、モララー!呪文は!?
( ・∀・)…『ヨダメ・ラタデ』さ。やってごらん
(#-@∀@)よかろう、焼き尽くしてやるッ!ヨダメ…
[1ФωФ]ラタデぇぇぇーーーーーッ!!
突撃した凶鳥の厄災の視界を、真っ赤な業火が満たした。逃げる暇もなく、叫びはかき消され、羽根も、肉体も、塵も残さず、何もかもが炎の中へ飲み込まれる。
しぶとく魔法使い達を追い詰めた凶鳥の厄災は、その瞬間この世界から一切の痕跡を残さず消えた。
699
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:26:30 ID:zCJIX08Q0
(-@∀@)……討滅確認
ミ,,゚Д゚彡これでも「まずは」の段階なのがろくでもねえな
(,,゚Д゚)まあ、勝ちは勝ちだ。あんなしつこい厄災がどんどん子供を増やしてシタラバ大陸の空を埋め尽くすかと思うとゾッとする
(,,゚Д゚)巨神が居てくれたからこその勝利か……
( ´∀`)あの勝ち方、いつ考えたモナ?
( ・∀・)…必死になって、なんとしてでも助けようってドラグーン飛ばして、アサピーがやられそうになるちょい前。何故だか急に昔のこと思い出してさ
( ´∀`)アサピーを罠にかけた日モナね
( ・∀・)ふふ。そういうこと
700
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:27:28 ID:zCJIX08Q0
( ´ー`)しっかし『ヨダメ・ラタデ』ときたか…
lw´‐ _‐ノvアサピッピがノリの良い性格でよかったねモラちゃん
( ・∀・)そりゃまあ、『アサピーの性格を信じる』はこの戦法の大前提だからね。それでもし倒しきれなかったり気付かれてテンション下がっちゃったら危なかったけど
( ´∀`)あいつ昔から旧ニチャン語下手だったモナ
( ・∀・)それもあるね。まあなんだ、魔法は気からって言うじゃん?
( ´∀`)聞いたことも無いモナ
( ・∀・)フツーにシタラバ式魔法使わせるって説明してたら最高の意志の力は発揮できなかったしね。人はどうなるか分からない不確定な物にこそ賭けてみたくなるのさ
( ・∀・)ニコヤカ〜
701
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/12(水) 07:29:10 ID:zCJIX08Q0
モララーが得意げに笑う。
モナーがやれやれと肩をすくめながら、笑顔を見せる。
アサピーは巨神の操縦席の中で、一人ため息をつく。
爪痕を残そうとして、闇雲に戦い続けた自分の焦り。それを掻っ攫っていく鮮やかかつ一瞬の逆転劇、全てを即興で作り出したモララーの余裕。
誰よりも憧れ、唾棄し、追いつこうとし、打ちのめされてきた、真の天才の所業。
モララーを囲う、眩しい光。
(-@∀@)……見事だ、モーラ・モラール・マタリウス。君と同じ時代に生まれた事を僕は、僕は誇りに思うよ……でも
(-@∀@)見事過ぎて、気に入らないね…
アサピーの震えた声を、聞いた者は一人としていなかった。
続く
702
:
名無しさん
:2022/01/12(水) 13:47:41 ID:GCGIHmsw0
乙!
アサピーの気持ち考えると色々と辛くなってくるな
続きが楽しみ
703
:
名無しさん
:2022/01/12(水) 23:16:07 ID:LfJtwHBk0
乙!
704
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:02:28 ID:RIPkZPH60
「あれ、奇跡の子は?」
「次の授業、見学だって」
「先生からも許されてるんでしょ?」
「だって特別だもん、奇跡の子は。私たちよりずっと凄いんだから」
( ´∀`)
( ´∀`)・・・・・・
·
705
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:03:33 ID:RIPkZPH60
「奇跡の子!」
( ´∀`)?
廊下を一人歩いていると、陽気な笑い声が近づいてきた。
「なあなあ奇跡の子。お前、強いんだろ?ちょっとこいつと勝負してみないか?」
ぞろぞろと上級生が集まって馬鹿にしたように笑いかける。ぼんやりとした表情のまま、無言で佇んでいる少年の姿に、リーダーらしき男は口を歪めた。
「さすが奇跡の子だな。相手にする価値もないとさ」
( ´∀`)
「な、なんだよ」
少年はてこてこと小さな足を進めて、上級生のリーダー格らしき男を見上げて言ってみせた。
( ´∀`)おれはモナー・マエモゼムだよ
「あ?」
( ´∀`)だからさ
( ´∀`)おれのなまえ。モナー・マエモゼムっていうんだよ
( ´∀`)ちゃんとおぼえてよ
706
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:05:11 ID:RIPkZPH60
両手を組んで、モナーはぶるぶると身体を震わせた。
トレーに乗ったスープは火竜の骨を20時間煮たもので、甘党なら見ただけでも失神しそうな瘴気を放っている。
そんな完食する頃には大汗をかいていそうなものばかりの昼食をモナーはテーブルに置いたが、あいにく周りの人間はそんなメニューを好き好んで頼まない。
むしろ他の誰かがそれを食べている姿を見るだけで気が滅入る、といった表情だ。
( ・∀・)…キミ、ホント好きだよね。熱くて辛いの
こめかみの辺りを抑えながら、モーラ・モラール・マタリウスが後ろから話しかけた。
( ´∀`)だって寒いモナ
( ・∀・)あのね、モナー。夏だよ?
( ´∀`)別に夏だからって好きなもん食べちゃいけない決まりなんて無いモナ
( ・∀・)いや、うん。自由は尊重されるべきさ、それはそうなんだがね。量と絵面が問題なんだよな
( ´∀`)だって寒いモナ
( ・∀・)ナンギな体質だなあ
空色の瞳、雪のような白い肌。
長袖の服を2着重ねその上に多量のミスリルを嵌め込んだプロテクターをつけ、それでも汗ひとつかかないモナーの姿とは対照的に、他の生徒達は半袖で動きやすい格好だ。客観的に見てどちらがおかしいのかは誰の目にも明らかだった。
窓の外で入道雲も笑っている。
もはや野次馬も集らぬ見慣れた光景だったが、それでもモララーは呆れずにはいられなかった。
707
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:05:53 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)座っていいかい
( ´∀`)別にモナの許可なんていらんモナ
( ・∀・)そうだね、僕らの仲だ。アサピーも一緒に食べるだろ?
振り返ったモララーに声をかけられた“失神しそうな甘党”は、不機嫌そうに口を歪めた。
(-@∀@)誰が。こんな周囲より気温の上昇してそうな場所に好き好んで同席する奴はよっぽどのバカだね
アサピーの抱えた矛盾はいつもどこか滑稽なものだった。モララーは「ハイハイ」と慣れた様子で腰掛け、そんな頭のいい人間様が何故問う前から自分たちの座るテーブルに来ていたのかとモナーはにやけた。
(-@∀@)…ふん。感謝したまえ、モナー・マエモゼム。天才の、そう…て・ん・さ・いの!この僕がわざわざおバカで幼稚なキミ達に付き合ってやるんだからな
( ´∀`)モッシャモッシャ
( ・∀・)やれやれ…なんなら魔法で冷気でも放ってくれないかな
( ´∀`)やっても良いけど食堂全部氷漬けになるモナ
(-@∀@)おい、無視するなよ
( ・∀・)モッシャモッシャ
708
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:07:05 ID:RIPkZPH60
(-@∀@)聞いたかい?1週間後に大魔導師がアカデミーに来るって噂…
( ・∀・)キョーミないね
( ´∀`)モッシャモッシャ
(-@∀@)ま、わからんでもない。僕も当確だからな
アサピーが自信たっぷりに人差し指で眼鏡の縁を押し上げる。事実、彼の天才ぶりは自惚れではない。多少戦闘の才に欠ける事を除けば、非常に成績優秀な生徒である。
( ・∀・)そう都合良くいくかな。去年の僕らはフィレンクトのおじさんに保留を食らっただろ、よくて来年じゃないかい?
(-@∀@)あんな見るからに冴えない目の曇った人間の評価などさしたる問題じゃないさ
バナナオレをストローで吸いつつ、アサピーは適当に聞き流した。強がりというより本気でフィレンクト・シェフェルトンからの評価は気にしていない様子だ。
( ´∀`)才能うんぬんの前に10歳を戦場に出す事に難色示したんだと思うモナ
( ・∀・)違いない。シィ・ニャイッキーは10歳で卒業したがね
709
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:07:45 ID:RIPkZPH60
(-@∀@)そう、今度来るのはそのシィ様だ。19歳にして魔法局序列1位の大天才!
(-@∀@)ふふふふ…彼女ならきっと僕らの才能を分かってくれるはずさ!
テンションが最高潮に達し立ち上がって高笑いを始めたアサピーを見ながら、この男と話していると嫌でも涼しげな顔にさせられるなと二人は思った。
バカはお利口さんよりも強し。そんな言葉がよく似合う自己肯定感に溢れた姿がモララーとモナーは好きだった。密かに尊敬してしまうほど。
( ´∀`)…でもモナはまだ9歳モナ
( ・∀・)たとえ残ったとしてもたった1年弱だろ?そんな心配はいらないさ。すぐにまた一緒に居られるよ、モナー・マエモゼムなら
( ´∀`)
(-@∀@)ふむ、シィ・ニャイッキーの最短卒業記録が破られる可能性もあるな。それでは困る、僕の偉業が霞むじゃないか
ぽそりと呟いたモナーに耳を傾けた二人の微笑みはよく似ているようで、どこかずれていた。
( ´∀`)モナは3人一緒がいいモナ
710
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:08:51 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)1週間か…そんでスカウトされたら次の日即魔法局だろ?急な話だよねー。別にアサピーの早とちりで終わってもそれはそれで構わないんだけどさ
(-@∀@)早とちりなもんか。昨年声をかけられた時点でコースは定められたようなものだろう?
(-@∀@)まあ、魔法局へと進むための切符をいち早く手にしたのが僕一人だけじゃなかった事は残念だがね!黄金世代なんて名乗れるのも天才であるこの僕の輝きのおかげだということを忘れるなよ君たち!はーーーーっはっはっはっはっ!
( ´∀`)おもしろ
( ・∀・)まったく疲れるヤツだよ
( ´∀`)モララーは行くモナか
( ・∀・)魔法局へかい?ふむ…
物憂げな様子でモララーは頬杖をつき、窓の外を見た。
711
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:10:31 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)道が用意されているなら素直に進むだろうな。これからの学費も必要無くなるし、母さんも楽ができるさ
( ´∀`)モナはモララーの話を聞いてるモナ
モナーはまっすぐにその瞳を見た。
モララーの相手を遠ざけるような誤魔化しが、初対面からモナーはあまり好きでは無かった。
彼はよく独りの世界に閉じこもる癖がある。優しげな顔をしながら、時たまどうしようもない拒絶を漏らすことがある。
その世界の景色を「逃げ場」とは感じていない、むしろ嫌悪して抜け出そうとするモナーからすればそれはとても面白くない事だった。
( ・∀・)敵わないな、その目。まったく…
( ´∀`)行きたいモナ?
( ・∀・)うん…正直に言うよ。ベタな選択肢だけど、憧れが無いって言ったらウソになる。僕だって魔法局に行けば、もっと自分の可能性が開けると思うんだ
( ´∀`)
( ´∀`)変われるといいモナね
( ・∀・)ああ。ま、決まる前から浮かれ騒ぐほどじゃないけど期待に胸が躍ってはいるよ
712
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:11:03 ID:RIPkZPH60
(-@∀@)はーーーーっはっはっは……ん?何か言ったかね?
( ´∀`)なんでもねえよバカ
(#-@∀@)ば、馬鹿だと!?言うに事欠いてモナー!!君は天才たるこの僕を!馬鹿と言ったのかい!!?
( ´∀`)面倒だから2度目は言わんモナ
Iд川(………一週間後)
川д川(一週間後までに、伝えないと……)
713
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:12:04 ID:RIPkZPH60
(-@∀@)ぶわはははははははーーっ!!
( ・∀・)サイテーだぞ今のおまえ
下品な声をあげてアサピーは屋上で笑い転げた。その手には花柄の白い便箋が握られている。
パンをかじりながらモララーはそれを奪い返すと、呆れた目でアサピーを一瞥し、同じ目つきで便箋に視線を移し、今度は軽蔑を含みつつアサピーを見た。
( ・∀・)『あなたが好きです。静かだけれどとても暖かい、太陽のようなその佇まい。いつも何より一番深い所を見つめていたその眼差し。他の誰にも見えないものが、あなたの瞳には映っていた』
(-@∀@)ヒィ…!!アハハハ、ハハハハハ…!!
淡々と読み上げるモララー、狂ったように笑い続けるアサピー。それを聞きながらモナーは静かにかぶりを振った。
714
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:12:39 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)『他の幼稚で下品な男の子とはまるで違う、』
( ・∀・)チラッ
(-@∀@)ひーっ、ひーっ…!!おなかいたい、おなかいたい…!!
( ・∀・)…『ぶれることのない自分だけの確固たる世界を持っている、透明で、純粋で、澱みのない水晶のような双眸の男の子。叶うならばその爛々と輝く真実の鏡の中に私の姿を映して欲しいと、いつもため息を漏らしてしまいます』
( ・∀・)長いなあこれ…5枚くらい続いてる。かいつまんでラストあたりから行こう
( ・∀・)『…そんな広くて自由な世界が私にも欲しいと、あなたと出会って初めてそう思えたのです。あなたの事を考えるだけで胸がはち切れそうになります。けれどあなたがこのアカデミーから去ると聞き、ちっぽけな勇気を振り絞ってこの手紙を書きました。明日の放課後、校舎裏で待っています』
( ・∀・)…『モナー・マエモゼムくんへ』
(-@∀@)だははははははははははははははは!!!!!!!透明で、純粋で、水晶ォ!?これが!?ははははははは!!
( ・∀・)…こんな笑われて悔しくないのかキミは
( ´∀`)だってそれ同姓同名の他人宛モナ
( ・∀・)君たちなあ。僕だってこの一節一節に共感したり納得してるわけじゃないが、それにしたってひどすぎるよ
715
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:14:32 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)健気じゃないか。想いを秘め続けるのをやめて、キミを繋ぎ止めようと、触れようとしてくれてるんだぜ?なかなか居ないぞそんな奴は
( ´∀`)でも大魔導師にスカウトされたら嫌でも離れることになるモナ
(-@∀@)はぁ…はぁ…はは。うん、良いと思うよ僕は、美しい文だと思う。だがその想いを向ける対象がな
口元に手を当てながらアサピーが言う。
普段から小馬鹿にしたりされたりを繰り返している彼にしてみれば綴られた文章とモナモナ言う本人を重ね合わせると可笑しく感じるのもわからなくもないが。
ちょっとツボに入りすぎだろうと二人は呆れた。
( ´∀`)モナもこのモナー・マエモゼムなる人物に会ってみたいモナ
寝転がったまま、モナーがこともなげに言う。
長く息を吐いてモララーは鋭く目を細めた。
( ・∀・)あのな。アカデミーを卒業するのだって普通は18歳なんだぞ?キミは気楽かもしれないけど、彼女にとっては数年モノの別離なんだ
( ´∀`)モナの苦手なタイプは眼鏡の女の子とコンタクトの女の子と裸眼の女の子と目隠れの女の子モナ
(-@∀@)そんなんでどうやって生きてくつもりだキミは
( ・∀・)やれやれ。「面倒」の4文字をこれだけまどろっこしく言うかね、フツー?
( ´∀`)モニャ〜
716
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:16:57 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)なんでそう嫌がるのさ。君を好いてくれてるのに
( ´∀`)理由はいろいろあるモナ
( ´∀`)ひとつ。その手紙、4回くらい“奇跡の子”ってワード使われてるモナ
( ´∀`)ひとつ。そもそも相手から名乗らない時点でモナが望むような付き合い方はできんモナ
(-@∀@)それは恥じらいってやつさ。あえて一日置くのも自分の気持ちを落ち着かせるためだろうね
( ´∀`)そんな子の都合の良い幻想に合わせてやる気なんて起きんモナ
( ・∀・)一度くらい歩み寄ってやりなよ。彼女なりの一歩なんだからさ
( ´∀`)逆に聞くけどなんでそんな必死にモナとその子の世話焼くモナ?
( ・∀・)キミがいつか僕にそうしたからさ
( ´∀`)むう。それ言われたら弱いモナ
717
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:17:31 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)愛の天使モーラ・モラール・マタリウス。悪かないだろ?
目を閉じ、両手をぱたぱたと揺らして舞い降りる天使のポーズをとる。確かにモララーの見た目なら天使だと言われてもそう違和感は無いが、動きがどうも間抜けだ。
( ´∀`)天使様、お節介焼く前にその弓矢で自分の恋人探せモナ
( ・∀・)ふふ。もし明日すっぽかしたら僕がぶつからな!
(-@∀@)僕もキミの頬をぶとう、モナー。君は今この僕より女の子にモテているというのにそれを面倒がるなど我慢ならないからね!
( ´∀`)やっぱ面白がってるモナね?
(-@∀@)なかなかこういう立場に回れる事がないからなんてそんな事あるわけないだろう、なあ?
( ・∀・)なー?
意地の悪い先輩達のコンビネーションにモナーは苦笑いを浮かべた。
718
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:19:13 ID:RIPkZPH60
『救出の魔法使いたちのようです』
その15
『薄氷の上のぼくら』
719
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:23:13 ID:RIPkZPH60
雨がざあざあと降りしきる。慌てて箒を飛ばす生徒たちの姿が空に浮かんでいる。
誰もが通り雨だと思っていたが、意外に長引くもので鬱々とした黒い雲がアカデミーを覆っている。
(-@∀@)モナーは?
( ・∀・)教室や下校する連中の中を探したけどいなかった。案外差出人にはハッピーエンドが用意されてるかもね
ハハハ、と笑うモララーの後ろでアサピーは顎に指を当てて考え込んだ。
(-@∀@)だがなあ、モナーだぞ?手紙をあんなに面倒がってたモナーだぞ?
( ・∀・)この雨で相手が日を改めて告白しようと諦めたとしても、それでもずぶ濡れで待ち続けてるだろうね。文句言うためだけに
(-@∀@)そして翌日意を決して現れた彼女へニコニコしながらさらに文句を言うわけだ。むごい話だよ
( ・∀・)…『校舎裏で待っています』とは書いてたが、ウチ旧校舎もあるよね?
(-@∀@)差出人も気付いて頭抱えてるかもな
720
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:23:53 ID:RIPkZPH60
脚が「もう回れ右して帰ろう」と語りかけてきたような気がした。傘もささずに長いこと待ち続けて頭がぼーっとしてきたのだろうか。
乗り気じゃあなかった。
むしろ生まれて初めて知ったレベルの強い苛立ちを感じたほどだった。
けれどここまで来たら何かしらの文句を言ってやらないと、濡れた甲斐が無い。
そんな美しい9歳の少年はこの世に存在しないこと。
モナー・マエモゼムはある一点を除けば、みんなと同じ普通の男の子で、その瞳は透明な水晶でもなければそう純粋でもないこと。
極端な美化や理想化が身動きを取れなくして、ずっとモナーを独りにしてきたこと。
モナーにとっての世界は誰もが同じ時間の中に存在しているこの色鮮やかな景色ただ一つで、自分だけの世界なんてものはむしろ捨ててしまいたいものだということ。
ばっさりと切り捨て、雨と差出人とモララーとアサピーに打たれてやるつもりだったのに、待てども待てども来る気配はない。
( ´∀`)…寒いモナ
額に落ちた雨粒が頬を伝って首筋に流れていく。
癖毛の髪型がひどく濡れてぺたりとまっすぐになっている。
いつも以上に身体が冷えきっていた。
この寒さは苦手だった。頭から爪先から、全ての冷気がせり上がって心臓に到達してしまいそうな。
寒いのはさみしいから嫌いだ。
こんな風に濡れなくても、元からそうだったかもしれない。それはそれで余計に嫌だなとモナーはゆっくり目を閉じて思った。
721
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:24:42 ID:RIPkZPH60
( ´∀`)…モナ?
ふいに頭上の雨が止んでモナーが顔を上げると、白い傘を持った少女が立っていた。
鉛色の空に顔の上半分まで覆う長い黒髪、真っ白なとんがり帽子と肌のコントラスト。同じ年齢の子よりは少々高い方の背丈、胸ポケットに挿した銀色の薔薇。
いかにも内気そうな、幸薄そうな雰囲気。一目でこの少女が手紙の差出人だとモナーはわかった。
川;д川あ、あの…ごめんなさい!
( ´∀`)
少女は傘を持った手をまっすぐに伸ばしたままぺこりと頭を下げ、前兆の無い動作に呆気にとられたモナーは魚のようにぱくぱくと口を開けてしまった。
川;д川一旦家に戻って傘を二つ持って来たんです!きっとモナー君傘を用意してないだろうから…!
( ´∀`)…見ればわかるモナ
出鼻をくじかれた、とモナーは思った。
内気そうだなんてとんでもない。一撃で昏倒させられるようなパワーがこの少女にはある。それも無自覚に発現するものだ。
事実、待っている間につらつらと並べ立てた言葉はモナーの頭から何処かへ消え去ってしまった。打算を滲ませないまっすぐな真心故に、なおさらペースを掴みかねてしまう。
722
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:25:40 ID:RIPkZPH60
川д川モナー君…手紙、読んでくれましたか?
( ´∀`)じゃなきゃここに居ないモナ
( ´∀`)君だってモナが来なくても二つ傘持ってここで待ってるつもりだったモナ
( ´∀`)そういう信頼は嫌いじゃないモナ
少女の顔がわずかにほころんだように見えた。
それを見てモナーも、少し、ほんの少しだけ自然に笑えた。
川д川モナー君!
( ´∀`)待った
決然とした声に被せるようにモナーが制した。
内心、動揺を残してはいたがもともと相手がどんな人間であれ、自分の答えははっきりしていたのだ。
( ´∀`)君はモナのことを知らんモナ。モナは君の名前すら知らんモナ
( ´∀`)互いにフェアな条件じゃなきゃ契約は交わせんモナ
723
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:26:23 ID:RIPkZPH60
「それ、やめとけって」と聞き慣れた声が雨音にまぎれて響いた気がした。ある程度対等である関係は9歳の少年の中で形成されてきた絶対の価値観だった。
川д川あ、あの…
( ´∀`)だから今日は一緒に帰るだけモナ
申し訳無さそうに頭を下げた少女の手を握りモナーははにかんだ。
川д川わ、私…サダコ・イーベル・シェフェルトンと言います
( ´∀`)ありがとう。モナはモナー・マエモゼムモナ
724
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:28:05 ID:RIPkZPH60
サダコ・イーベル・シェフェルトンはこの天気が好きだ。
大きくこうもり傘を開いて歩けば、すれ違う人の顔を気にする事も無い。サダコには人の視線は雨より痛かった。
傘の縁からぽたぽた落ちる水滴を見るのも楽しかった。
好き好んで大雨の中を散歩する人はあまり居ないかもしれないけど、サダコにとってこの天気は久しぶりの絶好の散歩日和と言えた。
ただ、その日の帰り道だけは違った。
傘の下から見える世界にモナーが居る。
時に笑いあい、時にむっとしたり。色々な事を話した。自分の魔法、好きな色、食べ物、音楽、得意なこと、趣味、いろいろ。
歳の近い人と話すことがあまり上手ではないサダコでも、音楽に合わせ相手の手を取って踊るようにすらすらと言葉を紡ぐことができた。
隣で心地よい雨音を共有する存在が居ること。
それはとても幸福で、天にも昇るような心地だった。
( ´∀`)へー、同い年だったモナか
川д川ええ。でもあまりそんな気はしないでしょう?
見た目や背丈じゃなく、性格や魔法使いとしての実力の事を言いたいのだとモナーは察した。
確かに少し頼りなさげな印象は受けるが、しばらく話してみて分かった事もある。
( ´∀`)そんなことないモナ
川д川…そうですか?
( ´∀`)サダコは思ったよりはっきり物事言うし、芯があるモナ
725
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:28:33 ID:RIPkZPH60
他人の嘘を見抜くのに長けているモナーでも、話していてあまり違和感を覚えない人物は久しぶりだった。
なまじアサピエーラ・ガデライトのように「バカ」のカテゴリーに入らない、まっさらな人。
そうでない人間が好きじゃないわけではないが、モナーの世界を染める色の中ではまったく新しい色だった。
川ー川それは…きっとこの銀色の薔薇のおかげです、これが私に勇気をくれるから…
愛おしそうにサダコが胸に手を当てる。
( ´∀`)モニャ?
川ー川これをつけている時、私は自分の想いにとても正直になれる気がするんです。美しく、高潔で…茎まで銀色で、どこか信念すら感じさせるような花。誰かによく似てる気がして
( ´∀`)
( ´∀`)誰モナかね〜
川д川ふふっ、誰でしょうか…
726
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:29:27 ID:RIPkZPH60
「「サダコ・イーベル・シェフェルトン〜!!!?」」
翌日、モララーとアサピーは顔を見合わせ声をあげた。
(;・∀・)ぼ、ボリュームには気をつけようアサピー
(;-@∀@)君こそ廊下で大きな声を上げるんじゃない!他人の色恋沙汰だぞ!?
( ´∀`)そんな驚くことモナか?
深々と考え込む二人にモナーはのほほんと返した。
(;・∀・)ん〜…いや、それほどかと言われればそうでもないんだが…ん〜…お似合いと言えばお似合いだけど…
( ´∀`)モニャ?
(-@∀@)なんというか、まだはかりかねているんだよ。君の未来を祝福したものか…
( ´∀`)非モテのひがみじゃなさそうモナね。なんかあるモナ?
727
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:30:46 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)いいかい?サダコは闇の大魔導師、フィレンクト・シェフェルトンの娘なんだ。数十年ぶりに産まれた闇属性の子、その上長い長いソウサクの歴史でも初めての特殊属性が遺伝した例なんだよ
( ´∀`)へー。そういえば昨日闇属性が得意って言ってたモナね
(;-@∀@)き、君…気がつかなかったのか?本当に?
( ´∀`)モナはサダコを知りたいモナ。サダコの血統にはあんまし興味ないモナ
(;-@∀@)君ってやつは…鋭い癖にどっかとぼけた奴だとは思っていたが…ここまで不甲斐ない脳みそをしていたか…?
自分の事のように深刻な表情でアサピーは頭を抱えうんうんと唸ってしまった。
( ・∀・)そういう割り切り良いとこ、ある意味尊敬するがね。彼女も産まれに振り回されてるクチだよ
( ´∀`)モナ…
728
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:31:49 ID:RIPkZPH60
(-@∀@)適性は闇で固定。僕には及ばないにしろそれだけでも天才と呼ばれるには充分だが…彼女には魔力が足りないんだ。本人の闘争心の無さというかな…比較的攻撃に特化した闇属性では致命的と言っていい
( ・∀・)アカデミーを卒業してからは魔法局に行かず実家の花屋を継ぐだろうと噂も立ってる。彼女をよく知る人は喜んでその背中を押すだろう。だが、「フィレンクトの娘」という肩書きは降ろせない
( ´∀`)
( ・∀・)…何も知らないくせに好き放題に言うヤツが、山程いたんだろうな
( ´∀`)
( ・∀・)……やな話だよね
729
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:33:02 ID:RIPkZPH60
( ・∀・)うーん…憶測なんだが、フィレンクトのおじさんは彼女をそういう世界から遠ざけたかったんじゃないかな。そうでなくとも将来的には戦場に出させることになるし…
( ・∀・)だから親として最初はアカデミーには入れようとしなかった。2年前にここへ入学してきたってことは、彼女自身がそういう道を選んだってことだけど…
( ´∀`)
( ・∀・)ウンとかスンとか言えよ
( ´∀`)ウン スン
( ・∀・)キミなあ…
( ´∀`)…きっと親でも勝手に自分の世界を狭める存在が我慢ならなかっただけの話モナ
( ´∀`)娘として生まれた事を誇りに思えるような尊敬できる親なら、なおさら
( ´∀`)じゃなきゃあんなに楽しそうに自分の魔法の話はしないモナ
( ・∀・)・・・・・・
730
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:34:26 ID:RIPkZPH60
(-@∀@)ともかくだ、本人の気持ちがどうあれ今のままではキミとサダコ・イーベル・シェフェルトンは別れてしまう運命にある。実力が違うんだ
(-@∀@)キミが特例卒業を一旦蹴ればどうとでもなるんだろうが…そういうわけにもいかんだろうね。キミは僕と同じ天才なのだから!はーーーーっはっはっはっ!
( ´∀`)はァ〜〜〜〜。今それ心底どうでもいいモナ
( ・∀・)みんなで一緒に行けばいいんじゃないかな。だって父親が大魔導師なんだしちょっとお願いすれ
( ´∀`)サダコはそんなヤツじゃないモナ
( ・∀・)…ごめん。失言だった
( ´∀`)サダコもモララーと同じ、モナととっても近くて遠いヤツモナ
( ´∀`)モナの世界の中の誰より不思議な絵の具モナ
(-@∀@)…なんというか君の人生は、独創的な絵を思い描いてるんだな。一度見てみたいよ
( ´∀`)変な色の絵の具の代表がなんかいってら
(#-@∀@)にゃにおう!!!????
731
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:35:19 ID:RIPkZPH60
( ´∀`)むふ。やだな〜〜褒め言葉モナよ〜
(#-@∀@)僕はほのかに悪意を感じたんだがね?
( ´∀`)モナモナ
( ´∀`)…むふ、むふふ、むふふふふ!モララーも、アサピーも、サダコも!みんな色とりどりモナ!契約した甲斐があったモナ!
( ・∀・)契約うんぬんってまーだ言ってたのか……
(-@∀@)契約?何の話だね?
(;・∀・)…ん?待て、ちょっと待て。モナー、キミ…サダコへの返事にも僕に言ったそれと同じようなこと言ったか?
( ´∀`)言ったモナ
(;・∀・)…………あのなあ〜〜〜。お前さあ……ほんっと………おまえ…………
( ´∀`)モナモナ
( ・∀・)どこの世界にあなたが好きですって言われて契約がどうだの代償がどうだの悪魔みたいな返しで応えるヤツがいるんだよ…………
( ´∀`)モニャ〜
モララーは額に手を当てて、大きくため息を吐いた。
732
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:37:26 ID:RIPkZPH60
花屋と聞いて「今どきか」とモナーは思わないでもなかった。土の魔法に長けた人間ならその場で手からポンと花の一輪くらい出せる時代で花屋。
あまりそういった店に足を運んだ経験のないモナーにとって、それは想像もつかない世界だった。
繁盛するものなのだろうか?どんな雰囲気なんだろう?そんな事を考えていたら、授業なんてあっという間に過ぎていった。
一応モララーに花屋とはどんな所かとそれとなく聞いてみたが、彼はにやつきながら
( ・∀・)そりゃあキミ、花を売る所だろ
なんて求めていない答えを返すだけだった。
うきうきとした様子で、箒に乗った男が花束を抱えてすぐ横を駆けて行く。何か一世一代の勝負が彼にはあるのだろう。
だったら散らさぬようにスピードを落としたらどうかとも思ったが、モナーが注意する暇もなくその背中は過ぎ去って行った。
( ´∀`)プロポーズする時ハゲた花束渡す気モナか、あれ…
733
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:38:49 ID:RIPkZPH60
遠目に見ていても、なんとなく繁盛する理由はよくわかった。
名前を特に知らないモナーでも、陳列されているそれが春、夏、秋、冬の花であることは分かった。魔力で枯れない加工でもしているのだろうか?2階建てで屋上はカフェになっているようだ。
憩いの場としての側面が大きいのだろう。確かにここでしばらく過ごしていたら、自分も「ちょっと買ってみてもいいかな」なんて思ってしまうかもしれない。
店からすぐ出た所ではサダコが子供達を集めて影絵劇を披露している。胸に挿した銀色の薔薇が、なんだかモナーにはこそばゆかった。
( ´∀`)攻撃特化なんてアサピーはとんだ知ったかぶり野郎モナ
( ´∀`)特殊属性でもああいう生き方はできるモナ
( ´∀`)…あ。あー…………そっか
なんとなく、ほんの一瞬、頭をよぎったそれが、モナーにとって初めて得た温かいものだった。
出会った時にほんの僅かに感じたその想いが、言葉になってモナーの頭の中に現れた。
綺麗だ。
そう感じて思わず微笑んでしまう時点で、もう勝敗は決まったようなものなのだろう。
そんな柄にもなく浮ついた自分がどうしようもなく面白く感じるのだから、きっとモララーやアサピーが今の自分の表情を見たら爆笑するのだろう。
( ´∀`)…それも悪くないモナ
少し頭を掻いて、人懐っこい笑みでモナーはしばらくサダコを眺めていた。
734
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:39:48 ID:RIPkZPH60
( ´∀`)こんにちはモナ
川ー川モナー君。遠くで何かこそこそしてるからいつ来るのかなって思いましたよ
( ´∀`)バレてたモナか
川ー川ふふ。わかりますよ、モナー君の気配くらい。この薔薇が教えてくれますから
その声に一瞬の間を置いてモナーはサダコから視線を転じ、陳列されている花々を見た。
( ´∀`)売り物じゃないモナね、それ
川д川ええ。私の花…私の、大切な友達です
( ´∀`)
この花は彼女にとってどれほど大きな存在なのだろう。今もその姿は自分と重ねられているのだろうか。
花に嫉妬するのも馬鹿らしい話だとモナーはしばらくぼうっと店内を眺めた。
735
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:40:34 ID:RIPkZPH60
ほどなくしてモナーは屋上のカフェへ通された。林檎のジュースを持ってきた従業員の女性が、何か嬉しそうに「ごゆっくり」とウインクしていたので母親か姉かは判断しかねるものの軽く会釈を返しておいた。
中央にそびえる大樹を囲むように配置されたテーブル。自然を感じながらくつろぐための空間なのだろうと理解はしたが、夕焼けに染まる葉は癒やしと言うよりはなんだか物悲しいものがある。
初めて訪れた花屋の感想だとか、少し気になった花の説明だとか、他愛ない話でひとしきり盛り上がった後。
話題が途切れたほんの少しの間に、思いきって切り出すようにサダコが顔を上げた。
川д川…もう明日なんですね
( ´∀`)モニャ?
川д川ほら、大魔導師様が来る日。モナー君は魔法局へ行くんでしょう?
( ´∀`)あんまし行くとは考えてないモナ。声をかけられるかもわからんし…モナはまだ9歳だし、まだ経験不足な面も否めないモナ。だから残るつもりモナ
川ー川嘘。モナー君、行く気なんですよね
憮然とした表情のモナーをサダコがじっと見据えた。
思うように言葉が繋げず、モナーは目を伏せて押し黙った。そんなことは初めてだったし、嘘を見抜くことはあっても見抜かれる経験は無かったモナーにとって痛烈な一撃だった。
736
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:42:22 ID:RIPkZPH60
( ´∀`)…なんで嘘だとわかるモナ?
川д川え?だってモナー君、わかりやすいし…無意識かもしれないけど、結構嘘ついたり誤魔化す時はサイン出してますよ?
川д川今の話だと「もにゃ〜」とか適当なこと言ったり
( ´∀`)金輪際言わんモナ
川;д川えっどうして 私結構かわいくて好きですよそれ
( ´∀`)言わん
川ー川…うれしかったですよ、残るつもりだって言ってくれたの
川д川でも私、負けませんから。あなたにも、自分にも
( ´∀`)…がんばれ
こうやって顔を合わせて話すことで、自分の事を見抜けるようになったのだろうか。
それともあのラブレターを綴った時から彼女は自分の姿を捉えていたのだろうか。
サダコと話をするようになってからは、「初めて」に戸惑う事が多い。
心臓が熱くなったり、冷たくなったり。その先が喜びであれ悲しみであれ人それぞれだが、誰でも最初は“落ちていくもの”なのだと説いた母の言葉をなんとなくモナーは思い出した。
そう言われると、今の自分は靴も履かずに真っ逆さまと表現するべきだろうか。
その目に映った自分の知らない世界は燃えるように真っ赤で、どこかいつもと違う寂しさを滲ませていた。
737
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:43:16 ID:RIPkZPH60
(‘_L’)…今の君の実力なら、シィくんを凌ぐ天才足り得るかもしれんな。雪のように柔らかく、氷柱のように鋭い君の目は充分に戦士の目をしている
(‘_L’)歓迎するよ、モナー・マエモゼム君
( ´∀`)光栄ですモナ
フィレンクトががっしりとした手をモナーの肩に置いた。
なるべく平静を装ったが、190センチを越すフィレンクトの巨躯は学年イチの低身長のモナーには「でかくて黒くて何か顔みたいなのがある面白い木が何か優しく語りかけている」としか思えず、あまりの身長差のせいで思わずこみ上げてくる笑いを堪えるのに苦労した。
(‘_L’)…次、サダコ・イーベル。前へ
川д川はい…!
堂々とした足取りでサダコが前へ出た。その姿にモナーは、まっすぐな期待の眼差しを向けた。
738
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:44:17 ID:RIPkZPH60
目の前にはただ一人を追い、ただ一人を求めて、ほんの僅かな時間の中で勇気をその手に掴んだ少女の姿がある。フィレンクトはしばらく家に戻っていない間に何があったのだろうと冷や汗を浮かべたが、すぐさま大魔導師としての顔へ戻そうと眉を寄せた。
川д川…フィレンクト・シェフェルトン
(‘_L’)何だね、サダコ・イーベル?始めるなら早く…
川д川私、魔法局へ行きます
サダコの足元から無数の影が伸びた。芸術的な影絵芝居だろうと周りの人間は予想したが、モナーとフィレンクトは違った。
影たちは空を踊り、太陽の光に当てられても消えることなく、高く、高く伸び続けた。その一本一本の線が重なった時、フィレンクトは後ずさった。
(;‘_L’)腕……!?
影で出来た巨大な腕が、猛烈な勢いでフィレンクトに向かって襲いかかった。
咄嗟にフィレンクトはそれを躱し、「それまで」と制止の声を上げた。
しかしサダコは影を、いや、手を天へと伸ばし続けた。太陽を掴もうとするかのように、もっと高く、もっと前へ!
川д川……と、れた、わた、し……の………
(;‘_L’)サダコっ!!
(;´∀`)…!
ぷっつりと糸が切れたように、そのままサダコの身体は地面へと倒れてしまった。
739
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:45:38 ID:RIPkZPH60
3番隊の隊舎で、氷の大魔導師モナー・マエモゼム18歳は黒い花の形のブローチを握りしめていた。
自分の隊長としての日々が今日ここから始まるのだと。
心臓が高鳴り、柄にもなくそわそわとしてしまう。髪は決まっているかな、ボタンのかけ間違いなんてしてないよな、マントに着られている感じはしてないかな。早く来ないかな、早く来ないかなと。
足音が聞こえる。モナーは誰にともなく咳払いをして、立ち上がった。
( ・∀・)よ
( ´∀`)お前かよモナ
ほとんど落胆していない、というかすでに予想していたような口ぶりでモナーは再び腰掛けた。
( ・∀・)だって僕んとこも出来たてホヤホヤなんだよ。ヒマなの
( ・∀・)それにさ。数年ぶりの友人に会うんだぜ?喜ばしい場には同席したくなっちゃうのさ。ほら
モララーが柔和な笑みを浮かべてドアを指差す。
トン、トン、と間を置いて響くノックの音。
モナーは再び立ち上がった。
740
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:46:46 ID:RIPkZPH60
(-@∀@)やあ、失礼するよモナー
( ´∀`)ペッ
モナーが吐きかけた唾をアサピーは無駄に華麗な動きで躱した。
(;-@∀@)き、君は客人に唾を吐きかける癖でもあるのかい!?直した方がいい!直した方がいいぞ!!
( ´∀`)お前だけモナ。というかきょうび天丼なんかでウケんモナ、帰れ
モララーがクククと低い笑い声を立てた。
( ・∀・)…やっぱり面白いね、こういうキミを見るのは。ほら、今度こそ主役の登場だぞ
741
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:48:10 ID:RIPkZPH60
川д川失礼します
( ´∀`)そんなかしこまった挨拶はいらんモナ
川ー川一応、形式的に
川ー川…ふふ、あまり変わってませんね
( ´∀`)君の強さと美しさもあまり変わってないモナ
川ー川口説き文句もお上手になったんですね
( ´∀`)文通してたら自然とそういう言葉使いになるモナ
凛とした長い黒髪の女性の姿は笑うとあの頃のあどけなさが浮かんできて、それがモナーにはとても嬉しかった。
緊張しながらもぴしっと背筋を伸ばして、彼女は言った。
川д川今日より3番隊副官として配属されました、サダコ・イーベル・シェフェルトンです
その胸に挿した銀色の薔薇は、4本に増えていた。
続く
742
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/21(金) 01:51:36 ID:RIPkZPH60
>>1
その1 ( ・∀・)
>>30
その2 (*゚ー゚)('A`)
>>79
その3 ( ・∀・)lw´‐ _‐ノv/('A`)(‘_L’)
>>156
その4 ( ´∀`) / ゚、。 /
>>197
その5 ( ´∀`)( ´_ゝ`)(´<_` )
>>263
その6 (-@∀@)( ^ω^)
>>314
その7 (`・ω・´)
>>368
その8 | ^o^ |(#゚;;-゚)
>>421
その9 ミ,,゚Д゚彡('A`)
>>480
その10 ( ・∀・)lw´‐ _‐ノv
>>517
その11 ( ・∀・)(´・_ゝ・`)
>>556
その12 ('A`)('、`*川( ^ω^)o川*゚ー゚)o
>>613
その13 ( ・∀・)( ´∀`)(-@∀@)
>>652
その14 (-@∀@)
>>704
その15( ´∀`)
743
:
名無しさん
:2022/01/21(金) 04:53:16 ID:hPMvdKeM0
おつおつ
でも今の副官はシラネーヨなんだよなぁ
この後サダコがどうなったのか気になる……
744
:
名無しさん
:2022/01/22(土) 22:02:51 ID:LhLaT7YM0
乙です
何もかも不穏すぎる…
745
:
名無しさん
:2022/01/24(月) 00:36:39 ID:4R/EURho0
甘酸っぱいけど、サダコどうなっちゃうの…
続きが気になる、乙!
746
:
名無しさん
:2022/01/24(月) 00:42:25 ID:kqAOKQxM0
乙
もう今からつら
747
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 13:59:23 ID:6GLMRu4E0
魔法をかけられてしまったのかもしれない。
呼ばれるごとに、僕の中の強さが持っていかれそうな、少しずつ溶けていくような、そんな気がする。
心の中に流れ込んできた何かが熱い渦を作っていくようで、辺りの景色までもが優しく光りだすようで。
僕の名前を呼ぶこの人は、毎日顔を合わせるこの人の心は、本物なのか?と疑う気持ちが少しずつ崩れていく。
君と出会ってから、君以外に対しても、僕はなにかと鈍くなっている気がする。
でも、それも悪くないかなと感じたんだ。
探していた暖かさ。探していた優しい響き。
魔法だろうとかまわない。
もしそうだとしても一生解けなくていいと、今は強く思うんだ。
748
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:00:36 ID:6GLMRu4E0
( ・∀・)…君のセンスってさ
( ´∀`)サダコの影響モナ
( ・∀・)いや、うん。だろうね
4番隊の隊舎でモララーが便箋を片手に笑う。
部屋の天井から吊り下げられたランプの炎が不規則に揺れ動く。時刻は夜の十一時を回っていた。
テーブルの上に並びきらずに床にまで転がっている空き瓶は次の日処理が大変そうだ。
弱い癖に良く飲む眼鏡は向かいのソファに寝転がり、戴き物の熊のぬいぐるみにカレンだのミレーヌだの数秒ごとに呼び方を変えながら頬を擦りつけぼそぼそ語りかけている。
持って帰らせて処分しようとモララーは思った。
749
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:01:23 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)で〜?
( ・∀・)なんだよ
( ´∀`)むふふ、どう思うモナ〜?
並んで座ったモナーがぐいぐいと二、三度身体を寄せて、唐突にしたためた文の感想を聞いてきた。ジュースしか飲んでいないのに、随分と上機嫌な様子だ。
モララーは半分ほど残った酒を飲み干して、まっすぐにモナーへ向き直った。
( ・∀・)僕は文字じゃあなくてちゃんと君の言葉で伝えた方が良いと思うよ
( ・∀・)サダコさんへのプロポーズなんだからさ
750
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:02:21 ID:6GLMRu4E0
( ・∀・)というかだな、ひとつ。原稿にしたってこりゃよくわかんないよ。もっと気取らずにありのままの気持ちを聞かせる方が君には似合ってる
( ´∀`)ありのままね〜〜〜〜
( ・∀・)なんだいその目…
( ´∀`)べつに〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ・∀・)ふたつ。さっきからモナ抜けてるぞ
“嘘つきのモララー”が真人間ぶった台詞を吐くのはそんなに可笑しいことだろうか。いつもならばっさりと切り捨ててくるモナーはただにやにやとこちらを覗き込むだけだ。
何故だか嫌いになれないその仕草。とっくに見飽きたその表情が今日はなんとももどかしく、モララーは考え込むように指先で顎をつまんだ。
( ・∀・)…それと、みっつ。どこの世界にプロポーズを手紙で済まそうとするおバカがいるんだよ…手渡す気でもないんだろ?
( ´∀`)3番隊の自分の机にそっと置いておくモナ
( ・∀・)僕がサダコさんだったら手に取って読んだとしても「わかんね…」って顔するね。そして真相を知ったら「ふざけてんのか」ってひっぱたく
751
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:03:28 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)だって今更真正面から「結婚しよう!」とか言うのもなんか…どうすればいいかわからんモナ
珍しいモナーの弱音にモララーは目を丸くした。
「サダコはそんな女性じゃない」と返ってくるのを予想していたからだ。
そう言い返さないということは、口に出さずともモナーの中でサダコの存在は揺るぎないものに昇華されていることを雄弁に物語っていた。
( ・∀・)…今更というか飛ばしすぎなんだよな。卒業してからずーっと文通で、再会してから1ヶ月で結婚?フィレンクトさん感情追いつかなくてショック死しちゃうよ
( ´∀`)モナもサダコも9年待ったモナ
( ・∀・)お互いずっと一途なのは良いことだよ。そういう関係、羨ましいとすら思う…けどなあ、うーん…言われてみりゃ早いんだか遅いんだかなんだけどな…
752
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:04:13 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)なんとかしろモナ、ベストマン
(;・∀・)べ、ベストマン?僕がかい?いくらなんでも飛躍しすぎじゃないかな
( ´∀`)モララーしかおらんモナ
思わず目を大きく開いたモララーよりも、モナーの瞳の方がよほど戸惑いの色に染まっている。
それを分からないモララーでもなかった。
彼にとって9年間の月日は昨日のことのように新鮮で、まだその初心な気持ちに折り合いをつけきれていないのだ。
( ´∀`)息子か娘が産まれたらモララーに名前をつけてもらうつもりでいるモナ
( ・∀・)手順を無視して先にやりたい事やりたい事あれこれ論じない方が良いと思うんだけどね、ぼかあ
( ´∀`)だから手順やノウハウはモララーに考えてもらうモナ
( ・∀・)あのな。僕だっていない歴年齢の身なんだぞ?
( ´∀`)でもモララーしかおらんモナ
( ・∀・)…いや、うん。ありがとう。やるとなれば精一杯やらせてもらうし君たちのことはいつも応援しているよ
( ・∀・)けどね?全力で支えたいとは思うが、僕にだってはっきり言いたい事はある。手紙は絶対やめろ
753
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:05:36 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)だって気恥ずかしいモナ
( ・∀・)僕に言わせりゃさっきの文章のがよっぽど気恥ずかしいよ。9年の付き合いなんだろ?遠慮はキミが最も嫌がるものじゃないか
( ・∀・)詩をつけるのはサダコ、音色を奏でるのはキミ。それがちょうどいいのさ。慣れないことしてヘマする必要はない
( ´∀`)モニャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………
困ったように眉を下げて指差すと、モナーは仰向けにソファへ寝転がりじたばたと赤ん坊が喚くような動きで駄々をこねた。
( ・∀・)そんなんだから変に格好つけるのが似合わないんだって……あっ、おい蹴るな蹴るな
( ´∀`)げしげし
( ・∀・)18歳児だな〜
754
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:06:46 ID:6GLMRu4E0
冬の寒さに身を縮こませながらカツカツと靴音を鳴らして、魔法局の廊下をフィレンクトは歩いていた。
長い魔物の討伐遠征を終え、娘の所へ顔を出そうと思っていたのだ。
もちろん理由はそれだけではない。フィレンクトが会いたい人間はもう一人居た。モナー・マエモゼムだ。
あの時、僅かな魔力を使い果たして倒れた娘を保健室まで運ぶ役を買って出たのはモナーだった。
大魔導師として私情で試験を切り上げるわけにもいかず、すぐに側へ居られなかったことをフィレンクトは強く後悔した。
その場に居合わせていながら後からのこのこ出てきて心配するような表情を見せるなど父親の風上にも置けない男だと誹りを受けることも覚悟していた。
保健室でモナーは静かにサダコの手を握っていた。
彼はこれといってフィレンクトを非難せず、ただこちらを見上げて一言「ごめんなさい」と頭を下げるだけだった。
その時フィレンクトはなんとなくサダコを奮い立たせた力の正体を悟り、彼を自分が率いる2番隊へと招くことを決意した。
なんてことはない理由だった。ただ、こちらを見上げる少年の瞳に大樹の苗木を見たのだ。
それが娘をこの強く残酷な日差しから守ってくれるなら、それはとてもありがたいことだと空に願ったのを今も覚えている。
755
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:07:42 ID:6GLMRu4E0
(‘_L’)モナー君。大魔導師就任おめでとう
( ´∀`)ありがとうモナ
対面した二人の前に紅茶を差し出して、サダコがちらりとこちらを見た。
フィレンクトが「あ…」と声を漏らしたが、サダコは気にもせずすたすたと別室へ去ってしまった。
(;‘_L’)あはは……無理もないか……父親としては何も残してやれないまま大人にしてしまったからなあ…
紅茶を一口飲んで、がっくりと肩を落とす。
フィレンクト・シェフェルトン率いる2番隊は家庭どころか魔法局に戻って来ることすら稀であった。
( ´∀`)…あの子は仕事に真面目なだけモナ。モララーやアサピーが来ても彼女は間に入らないモナ
(‘_L’)そうかい?…ははは。似なくて良い所ばかり似るものだ…
( ´∀`)そうモナか?
力なく苦笑して頭を掻くフィレンクトを、モナーはきょとんとしたまま見つめた。
756
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:08:39 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)彼女の目標の中にモナが居たことは確かモナ。けどそのもっと先にはフィレンクトさんの姿があったはずモナ
( ´∀`)貴方が父親としてサダコに残せたものがあるとするなら誇りと憧れだと思うモナ
人懐っこい笑顔を浮かべたまま「違うモナ?」とモナーは小首を傾げる。
何かに納得したように、感嘆したように頷きを繰り返すフィレンクトを見てその顔にますます穏やかな笑みが広がった。
思い出したようにモナーは席を立ち、棚から一つの酒瓶を持ち出した。
(‘_L’)…君、昼間からかい?
( ´∀`)モララーから貰ったやつモナ
( ´∀`)こちらからも生還を祝わせてもらうモナ。どうぞ
(‘_L’)どうも。君はどうかね
( ´∀`)モナはまだ18モナよ?
(‘_L’)ソウサクじゃ禁止されていないさ。シベリアやヴィップは知らんがね
二人は無言で紅茶を空にした。
カチャ、とティーカップを置く音が同時に響き、ほどなくして行儀の悪い大人の遊びが始まった。
757
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:09:57 ID:6GLMRu4E0
(‘_L’)…サダコとは上手くやれているかね?あの子はどうも引っ込み思案な所があるから…
モナーから返ってきたのは異国の言葉を聞いたような困惑の顔だけだ。
サダコのそういった一面をモナーはあまり見たことがないのだろう。
( ´∀`)むしろ積極的に何かと世話焼いてもらって助かってるモナ
(‘_L’)ふふ、そうか…特別、というやつかな
( ´∀`)そんなとこモナ
(‘_L’)幸せ者だな。娘も、君も……
( ´∀`)話していかんモナ?
(;‘_L’)はは…いや、それなんだが。数年と顔を合わせていない父親がだ。自分の上司と長々と何を話しているやらと思えば、出てくるなり赤ら顔で絡んできたら娘はどう思うだろうね?
( ´∀`)フィレンクト隊長が格好つかないのはデフォルトモナ。気にする必要なし
(‘_L’)…君、やっぱり変わらないなあ
758
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:10:40 ID:6GLMRu4E0
執務室を出てすぐにフィレンクトはきょろきょろとあたりを見回し、長い黒髪の女性を見つけて駆け寄った。
(‘_L’)しょ、書類なら私が持とう。その量は一度では無理があるよ
川д川…私の仕事ですから
すっと細い手のひらがフィレンクトを制止した。
視線と視線が真正面でかち合う。どうも他人行儀な会話の切り出し方になってしまい、フィレンクトは神妙な顔をした。
辛うじて眼を合わせて話していられるのは小さな小さな救いではあったが、そもそもにしてそれが精一杯な己の小心さが惨めだった。
(;‘_L’)モナー君とは仲良くやれているかい?
川д川
川ー川ええ。とても…満たされた日々を送っていますよ
(‘_L’)ふふ…それはよいことだよ、サダコ。隊長と部下達が互いに強く結びついてこそ、良き隊を育む…結局のところ人は法や制度ではなく人に仕えて生きるものさ。信頼や運命と言い換えても差し支えはないがね
川д川…運命、ですか
サダコはすたすたと背中でそっけなく応え、書類を置いた。
759
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:11:38 ID:6GLMRu4E0
ぼうっと立ちすくみながら、どうすればいいのかときまりの悪い顔をする。
取っ掛かりは不発。回りくどい言い回しは届かず。上手くわかりやすい言葉を探そうにも見つからない。
親子の会話というものはこんなに難しいものだっただろうか?
何歳か若返って、初心な学生に戻ったような気持ちだ。それでいて幼さに身を任せてあれこれと目につくものに興味を示す娘に振り回されているような。
副官サダコ・イーベル・シェフェルトンの姿と娘であるサダコの姿が重なり合って、ぼやけて映る。
フィレンクトは少し目を擦った。
川д川あの、お父さん。これ
一輪の花をサダコがフィレンクトへ差し出した。
(‘_L’)薔薇か。おまえは銀色の薔薇が昔から好きだったな
川д川ええ。そのお酒、モナー君からもらったんでしょう?私からも帰還祝いに
川д川その薔薇は幸福を運んでくれますから
(‘_L’)…ありがたくいただいておくよ。君のこれからの幸福が、私の一番の幸福だ
760
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:12:17 ID:6GLMRu4E0
( ФωФ)ふむ、失踪?
(*゚ー゚)はい、魔法局でもここ数ヶ月で14名ほど。市民も含めると…
( ФωФ)…魔物か?
(*゚ー゚)その可能性が大きいかと、ロマネスク王
( ФωФ)調査に関してはそちらに任せる、シィ・ニャイッキー
( ФωФ)一刻も早く事態の終息を急ぐべし
(*゚ー゚)…謹んで拝命いたします
761
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:12:58 ID:6GLMRu4E0
(*゚ー゚)とは言ったものの…手がかりなんてないのが現状なんだよねー……あーーもーーー
食堂では四方八方からの話し声が互いに干渉し騒がしく自分達の領域を守っている。おかげでシィも序列1位の大魔導師の仮面を容易く脱ぎ捨てる事ができた。
ストローに口をつけたまま、モーラ・モラール・マタリウスは「で、僕にどうしろと」と言いたげな視線を送っている。
( ・∀・)要するにたらい回しにするために僕を呼びつけたってことだろ
(*゚ー゚)無視は出来ないけれど、1番隊も忙しいから…あなただって身にしみてわかってるはずよ
( ・∀・)そりゃあまあ、そうだけどもさ
762
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:13:44 ID:6GLMRu4E0
(*゚ー゚)…あなた、そうやって日がな一日だらけるのが隊長の仕事じゃないでしょう?
( ・∀・)そうでもないよ?こう見えて結構素材の回収にあれこれ足を運んでるんだ。あと生ゴミとかも拾ってる
(*゚ー゚)例の魔法術式ね
( ・∀・)そ。擬似的に特殊属性を再現するための混ぜ物が重要なのさ、僕にも正解がわからんから困ってるんだけどね
(*゚ー゚)ああ、だからあなたちょっと臭いんだ
( ・∀・)え、そう?
モララーは袖を嗅いだ。
( ・∀・)でもまあ、僕も暇か暇でないかで言えば前者の身だ。探偵ごっこに付き合いましょう
他人事のようにモララーが呟き、シィは大きくため息を吐いた。魔物がじわじわと爪を立てて忍び寄っている現状に対して呑気すぎる。
無論、1番隊にも失踪者は出ている。まだ部隊の編成もしていないモララーにはこの不安がわからないのだ。
シイはまじまじとモララーの顔を見た。
(*゚ー゚)ねえ、マタリウス。貴方じゃないでしょうね?
( ・∀・)そりゃあ僕は魔法局の連中から人さらいとは呼ばれてますけど
( ・∀・)でも魔法陣が爆発したりして結局みんな逃げてっちゃうんだよなー
(*゚ー゚)多分貴方の隊舎の異臭も原因よ
( ・∀・)臭くなったのはゴミ集め始めた最近からだよ
763
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:14:55 ID:6GLMRu4E0
( ・∀・)…どうも魔法局から失踪した連中は所属や住まいがばらけてるな
1番隊の隊舎でぱらぱらと書類に目を通しながら、モララーが呟いた。
(*゚ー゚)そうね。何かしら共通点を探してはいるんだけど…
( ・∀・)そもそもの出発点がどの隊の人間なのかが重要だね。便宜上、僕らは一応の影に「魔物」という形を捉えてはいるが…それだって確かじゃない
(*゚ー゚)身も蓋も底もないことを言えば、まだ何にも掴んでないのよね…
(*゚ー゚)…魔法局でも失踪者や無断で脱隊する者は毎年出てはいるから、何をもって最初とするのかすら不確定なのよ
( ・∀・)仕方ないさ。こんな仕事だもの、気が滅入る奴だって出てくる
764
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:15:22 ID:6GLMRu4E0
( ・∀・)地図か何かあるかい
(*゚ー゚)王都ファイナリの?
( ・∀・)うん。印をつけたいんだ、できる方法は試しておきたい
(*゚ー゚)ええ、用意するわ
乗り気になれば、ぐいぐいと引っ張って行くのがモララーという男だった。その姿に追いつこうとする事をやめればそのまま勝手に何処かへ行ってしまいそうなほど。
(*゚ー゚)…だからこうしてるんだけど
( ・∀・)何がだい?
(*゚ー゚)ううん、なんでもない
765
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:16:25 ID:6GLMRu4E0
( ・∀・)丸をつけたはいいけど、どれをどう繋ぐかだよなあ
( ・∀・)魔法局を中心とするパターンか、魔法局も含めて一本の道とするべきか…それ以外にもあるし…うーん…全部間違ってるかもしれないし
( ・∀・)聞き込みに行くにしても、どっから手をつけたもんかね
独り言ちて、モララーは王都ファイナリを歩く。
こうして街に来るのも久しぶりだ。
まばらな昼下りの冬の人波にモララーは目を細める。
地図をつーっとなぞって考えてはみるものの、ヒントらしきものは見つからない。
ぼんやりと立ち止まり手を頭の後ろで組みながら辺りを見つめていると、見慣れた顔が目についた。
( ・∀・)よっ
( ´∀`)モララー。何やってるモナ?
( ・∀・)探偵ゴッコ。モナーは?
( ´∀`)ベストマンに言われた通り段階を踏むことにしたモナ
むふん、と腰に手を当て鼻息ひとつ。胸を張っていつものように悪戯っぽく笑いモナーは応えた。
要するにこれからデートということだろう。
( ・∀・)お熱いじゃん。羨まし〜な〜
( ´∀`)モナモナ
( ・∀・)ニコヤカ
766
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:17:14 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)ふぅ〜〜〜〜〜〜ン………失踪事件ねえ
( ・∀・)キミんとこは?
( ´∀`)まあ1人2人長いこと来てないヤツや辞めてったヤツはいるモナ
( ・∀・)ちょーっと僕らは去る者追わず思考を改めた方が良いかもしれないね
( ´∀`)かモナ
( ・∀・)お、変則パターン…!
( ´∀`)そういう時もあるモナ
767
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:18:12 ID:6GLMRu4E0
モララーは身震いした。自分でもこの寒さは耐え難いと思うのだから、普段からよく寒い寒いと言うモナーは相当だろう。
ちらりと隣に数時間立っているモナーを見た。彼は寒がるそぶりも見せず、マネキンのようにぴくりとも動かず、ただ、じっと遠くを見ていた。
その時モララーは、彼が体感的な寒さではなく心の寒さと戦っているのだと静かに感じ取った。
( ´∀`)・・・・・・
( ・∀・)・・・・・・
( ´∀`)・・・・・・・・・
( -∀-)…なあ、モナー。人間っていろいろあるよな
( ´∀`)?
( ・∀・)笑って、泣いて。泣いて笑って…
( ・∀・)人の気も知らないでこの野郎と頭に来るかと思えば、知らない内に自分が他人を傷つけていることを知って、悔やんでも後の祭り…とかさ
( ・∀・)僕にだって恥じ入る気持ちが無いわけじゃないよ。気づくのはいつもしばらく経ってからなのが、僕のどうしようもない所だけど
768
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:18:46 ID:6GLMRu4E0
( ・∀・)モナー。僕は今から「お前が言うな」の極地を言うぞ
( ´∀`)…ばっちこい。ひっぱたいてやるモナ
( ・∀・)ありがと
( ・∀・)…人に言えない理由でもさ。あまり独りで悩まないで欲しいんだよ、モナー・マエモゼム
呆気にとられたような顔をした後、ぷす、と空気が漏れ、モナーは白い歯を見せ弾けるように大笑いした。
( ´∀`)ぷっ、むふ……むふふふふふ、むふ、んふぅッ…!!ごめ、モララー…ツボった…ひぃ…ふふふふ…!
( ・∀・)あー、うん。自分でもどうかと思う
( ´∀`)むふふふ…今までで一番おもしれえモナ!モーナモナモナモナモナモナモナ!
( ・∀・)そりゃどうも
769
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:19:50 ID:6GLMRu4E0
しばらくモナーは一人笑い続けていた。
沈む夕日の寂しさが少しでもまぎれたなら、それでいいのだとモララーは目を閉じて思う。
( ´∀`)モナは別にサダコが来るだ来ないだで悩み嘆いてるわけじゃないモナ
( ´∀`)遅いなって待ち疲れてるだけモナ
( ・∀・)ふふ。あのサダコさんだものな
( ´∀`)あの時みたく開口一番謝罪なんかしようものなら露骨に頰膨らませて15分くらい拗ねたフリしてやるモナ
( ・∀・)ナンギなことするなあ
( ・∀・)…キミ、時々甘え上手なんだか下手なんだかわかんない時があるよ
( ´∀`)フツー
( ・∀・)フツー?
( ´∀`)うん。モナはフツーの男の子モナ
( ・∀・)そっか…ま、その…なんだ。……しりとりでもして待ってる時間潰すかい?
( ´∀`)ぷっ、くく、むふふふ………大の大人が2人並んで時間潰しにしりとりモナか?
( ・∀・)ふっ、ふふ…いや、ごめん。なんとなくパッと思い浮かんだからつい…我ながら幼稚過ぎたかもしれないな…
770
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:20:53 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)むふふ、正直でよろしい。いいモナよ、受けて立つモナ
( ・∀・)なんだか申し訳ないな
( ´∀`)何も遠慮することはないモナ。モナ達の間に
( ・∀・)ニコヤカ
( ´∀`)身体、冷えてないモナか?
( ・∀・)勝手に提案しておいてなんだがだいぶ話が変わるんだけど、いい?
( ´∀`)いいだろう
( ・∀・)うん
モナーは両手を上げてガッツポーズをした。
771
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:21:40 ID:6GLMRu4E0
( ・∀・)…ちょっと考えてたんだけどさ。プロポーズの話
( ´∀`)お、ベストマーン
( ・∀・)気に入ったのかその呼び方。…それでね、プレゼントに花を送るのはどうかと思うんだ
( ´∀`)何の花モナ?
( ・∀・)アカシアとかどうかな。花言葉は「魂の不死」ステキだろ?
( ´∀`)縁起でもねえモナ
モナーは照れ臭そうにそっぽを向いた。
( ・∀・)そうかなあ。こんな世界に生きてる僕らだからこそじゃないかな
( ´∀`)モララーはそんなもん信じてるモナ?
( ・∀・)まあ一応ね。花言葉は他にもいろいろあったはずなんだけど、そこんところは忘れちゃったんだ
( ´∀`)…とりあえず候補には入れておくモナ
後日モナーは存分にむくれた。
772
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:22:55 ID:6GLMRu4E0
( ´∀`)ぶう
机の上に顎を乗っけたままモナーは見るからに不機嫌です、というオーラを出していた。
こうして毎日顔を合わせるのだから一日くらい会えなくても、なんて考えて気持ちに整理はつけたが、それでも少しサダコをからかってやらないと気が済まなかった。
( ´∀`)昨日何やってたモナ?
川д川あ…はい。いろいろ立て込んでてあまり覚えてないんですけど、実家で花のお世話を…
( ´∀`)んー、実家の手伝いじゃしょうがないモナ
( ´∀`)…きーめた。今日みんな休みモナ
モナーは軽く椅子を一回転させると、少し上擦った声で立ち上がった。
川;д川えっ?あの、3番隊はお昼から戦闘訓練が
( ´∀`)そんなんいつでもいいモナ
昨日が駄目なら今日でいいのだ。今日が駄目なら明日。
一日一日をそう急ぐこともない。まだ自分と彼女にはたっぷりと時間があるのだから。
少し強引な誘いでモナーはサダコを連れ出した。
773
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/01/29(土) 14:24:00 ID:6GLMRu4E0
サダコは灰色のマフラーを巻いていた。今日買ったばかりのものだが、不思議と普段のモノトーンの服装と良く溶け込んでいた。
川ー川…もう少ししたら春が来ますね
( ´∀`)それ使う期間、少しだけになりそうモナね
川ー川いいんです。また来年寒くなってきたら使いますから
サダコは愛おしげに首元を触った。モナーの胸はじんわりと暖かかった。
( ´∀`)…初めて会った時は夏だったモナ。大きくなって会った時は冬だったモナ
川д川あ…そっか、私達まだ春と秋を一緒に刻んでいないんですね
( ´∀`)なんなら夏も満足に過ごせたとは言えんモナ。ほんのちょっとの間だけだったし
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