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The Demon Village.

214 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:24:08 ID:HcLXXAEI0
疲労に見合った収穫もあった。先ずは言うまでもなく『お金』だ
提示した額はカフェオレ局長が直々に振り込んでくれた。最も、当人から面と向かって謝罪されたわけではない
そもそも、カフェオレ局長自体が正体不明の謎の人物で、No.2『だった』白髭も会った事は無いらしい


/ ゚、。 /「ボロ儲け♪ボロ儲け♪」


大桜堂のお嬢さんは、金さえ貰えれば誰だろうがどうでも良さそうだったが
さて……どうすんのこの降って湧いた大金?恵まれない子ども達に寄付する?


イ从゚ -゚ノi、「絶対やめて」

(,,゚-゚)「なんでそんな勿体無いことすんの?」

ヽiリ,,゚ヮ゚ノi「実は前から欲しかったお鍋があってぇ〜」


人の心???????え???????

215 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:24:40 ID:HcLXXAEI0
その他には、ワンダーの副産物と呼ぶべき物も手に入った
伐採の際に回収された『裁断女の鋏』だ。賠償金と共に此方へと譲渡されたのだ
物にもよるが、ワンダーの持つ武器は加工次第で強力な装備品へと生まれ変わる。東京喰種??????何の話??????


/ ゚、。 /「もろてええ?」

(´・_・`)「どーぞ」


普通にいらなかったんでこれも鈴の手へ渡った。俺が持ってても持て余すだけだ。鋏よりグーの方が強い
向こうには鍛治師との繋がりもあるし、金にも換えられるだろう。最悪インテリアとして飾っといてもいい
そしてもう一つ、鋏よりもとんでもないものが残った


(´・_・`)「オメーらなんで帰ってないの??????」


そう、蟻に寄生したガーデンキーパー三匹である。第六階層の境界を閉じた後に見つかったのだ
裁断女と共闘した仲だが、だからと言って面倒見る義理はない。ペットならもっと可愛いのを飼う。サモエドとか


/^o^\「あー、こりゃ完全に懐かれてんね」

/ ゚、。 /「虫やろ。懐くとかあるん?」

/^o^\「ガーデンキーパーは賢いからね」


なんでも、これから成長していけばヒトとほぼ変わらない見た目になるらしく、こっちの世界でも問題なく使役出来るとのことだ
そこで一つ気になったのは、どうして第三階層には成体のガーデンキーパーはいなかったのかだ

216 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:26:36 ID:HcLXXAEI0
/^o^\「まずガーデンキーパーは、環境に適応する為に、そこに生息するワンダーないし生物に寄生するんだ。生態を作り変えるより元からいるモノの特徴を奪った方が楽だし早いからね」

/^o^\「それともう一つ、境界が開いたのがおよそ二千メートル上空だったから、成体したガーデンキーパーは登って来れなかったんじゃないかな。これはヒトの姿を取ってしまったが故の弱点でもあるね」

(´・_・`)「そんで、どうすればいいのこいつら」

/^o^\「飼えばいいよ」


簡単に言ってくれるなこの頭三角マン


/^o^\「このサイズだと大体三ヶ月も経てば成体になってヒトの女の子と変わらない姿になるよ。キチンと教育すれば会話も出来る。宿主が蟻ってのもまた良いね。組織的だし、何より昆虫の中でも群を抜いて筋密度が高い。役に立ってくれると思うよ」

/ ゚、。 /「そんなんどうでもええねん。可愛いかどうかが重要やろ」

(´・_・`)「キミさぁ」

/^o^\「まぁ、ワンダーにしちゃ珍しくガワが悪くなることはないよ。ウチの職員なんか発見したガーデンキーパーを撮影してアルバム作ってるくらいだからね」

/ ゚、。 /「ウチが引き取るわ」

(´・_・`)「オメー見境って知ってる?」

217 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:27:25 ID:HcLXXAEI0
(´・_・`)「なぁオイ話進んでるとこ悪いんだけど第六に帰せねえのか?」

/^o^\「放り出すのは出来るよ。ただ群れには帰れないだろうね」

(´・_・`)「ああ……」


そうか、第六階層の調査班も大樹のある場所を突き止めてはいないのか
つまりコイツらは、不退転の覚悟で群れから離れたってワケか。迷惑過ぎる。人の許可も得ねえで勝手に


(´・_・`)「まぁ……面倒見るってんなら止めはしねえが……」

/ ゚、。 /「ウチがこの子らを立派な看板娘に育て上げるんや……」


虫だぜ?


(´・_・`)「ガーデンキーパーを育てた前例はあんのか?」

/^o^\「これから前例を作って欲しいんだよね。そんでデータとか貰えたらなって」

(´・_・`)「カフェオレ終わってんなマジで」

/ ゚、。 /「ほう!!そういうことなら話は変わりますえ?」


あーロックオンされちゃったよ


/ ゚、。 /「月一の成長記録につき大体これくらい戴こかな」

/;^o^\そ「ぎえー暴利!!ヤクザもビックリ!!インド人もたまげた!!」

/ ゚、。 /「せやけど今なら五年間継続契約でこのお値段!!更に最初の二年間は半額!!これ以上は一銭もまからへんよ!!」

/*^o^\「えっ、安ぅい!!!!!!!!契約しまぁす!!」


(;´・_・`)「……」


そんなこんなで、大桜堂は従業員四名と多額の報酬、賠償金に加え、ワンダー三体を迎え入れた
可笑しくない?今回被害に遭ったの俺らん所なんだけど?なんであいつが一番儲かってんの?

218 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:28:40 ID:HcLXXAEI0
白髭とまさしはと言うと


/^o^\「よく知らないけど、降格させられたのは確かだね」

(´・_・`)「よく知らねえって」

/^o^\「僕らが人事に興味あるように見える?」


自ら進んで殉職率のクソ高い研究職に就く人間の言うことは説得力がダンチだった
それにしても、『降格』で済むとは随分と甘い処分が下されたものだ。それとも、公にはされてないだけで実際は更に重い処罰を受けているのだろうか
どちらにせよ、恐らくもう彼らとは関わることは無いのだろう。野次馬根性にも似た興味も、寝て起きたら忘れ去るに違いない


/^o^\「第三階層の新しい主任には挨拶を?僕のいとこなんだ」

(´・_・`)「ああ……」

/ ゚、。 /「あの……こんなん言うた無いけど……大丈夫なん?あの子」


新しく関わり深くなる第三階層の新たな主についてだが


\(;^o^)/「終わった…………僕はずっと境界管理部で良かったのに………狭間なんかに常駐したくない………神よ………なぜこのような仕打ちを…………」


鬱に立直かかったような奴が抜擢された


/^o^\「どうせ三日もしたら慣れるよ」


人でなし集団がよ……

219 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:29:44 ID:HcLXXAEI0
生活に変化もあった。狭間の利用に制限が無くなったことで、『ねぐら』と『大桜堂』への行き来を面倒な手続き無しで行えるようになったのだ
と言っても、友達の家に遊びに行くような気軽さで使えるものでもない。管理されているとは言え、狭間が危険であることに変わりない。緊急性のある時にしか使わないだろう


/ ゚、。 /「ぐりちゃん、今日のご飯何〜?」

ヽiリ,,゚ヮ゚ノi「キーマカレーで〜す」


そう思っていた俺が馬鹿らしく思えるほど、鈴が頻繁に飯だけ食いに来るようになった
オフシーズンならまだしも、利用客の多い繁忙期に和装で来んなめちゃくちゃ浮いてんだよオメーよ


/ ゚、。 /「硬いこと言わんといてぇな。あるもんは使わな損やで」

(;´・_・`)「全くよぉ……」

/ ゚、。 /「それよりセンセ、見つからんうちに『居住区』の物置、片付けといた方がええんとちゃいます?」

(;´・_・`)「あ?物置?」

/ ゚、。 /「あの子らの『姉妹』、まだ残っとったみたいやなぁ」

(;´・_・`)「姉妹……?」


(;´・_・`)そ「あっ!!」


もう暫く、『あいつら』に振り回される日々は続きそうだ

220 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:33:15 ID:HcLXXAEI0



















.

221 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:34:20 ID:HcLXXAEI0



















第六階層にて

222 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:37:05 ID:HcLXXAEI0
[何も悪いことなどしていないのに]


片腕を捥がれ、行く宛もなく泥の中を這いずるワンダーは、自らに身に降り掛かった災難へ恨言を吐いた
『裁断女』と呼ばれた彼、あるいは彼女は、『表』と狭間を行き来していたワンダーだった
誰にも見られることなく深夜の学校に残っている『悪い子』を連れ去っては、棲家で弄んだ後にゆっくりと食す
そんな慎ましやかで幸せな生活を送っていただけであった


[あの二匹が、あの虫が]


全身を苛む痛みは眠りに就くことを許さず、触れる泥の感触は一片の安らぎも与えなかった
堕ちていく最中、焼きついたヒトの姿が頭から離れない。これまで愉しい事だけ味わっていた裁断女に芽生えた『憎悪』の感情が、行く宛もない彼女の手足を動かしていた


[ ]


満たされた憎悪の中で時折、彼女にとって言語化出来ない感情が湧いては消えていく
その正体は、ヒトの言葉で言うところの『祈り』であった。それは尊きものとして扱われるが、相反して届く確率は低い、呪いよりもアテにならない代物だった




「可哀想になぁ」




届かぬからこそ、祈りは尊い。だがこの瞬間、彼女にとって百発百中の魔法のようなものと化した

223 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:40:21 ID:HcLXXAEI0
彼女の前に立つモノは独りだった。しかし、そのモノの後には無数の足跡が続いていた
泥に刻まれているのは革靴の底であったり、大小様々なヒトの素足であったり、あるいは鳥や獣の足跡であったり
中には、足ではなく『手』の跡であったりと、そのモノが不可視の存在と歩んできた道のりの軌跡が、長い列を成して続いていた


「いい出会いってもんはどこに落ちているかわからない。だから旅は良い」


そのモノは泥など厭わずに地面に膝を付き、裁断女の頬に手を添えた
孤独だった彼女にとって、初めて与えられた『慈悲』の仕草。憎悪で満たされた胸中に、新たな色が混じる


「安心しろ。これからは俺たちが救いとなり、導き手となってやる」

「捨てられたお前の存在を、活かしてやる」


一目見ただけで感じた、異形を率いるカリスマへの『心酔』である


「俺たち『拾う神』が、お前の復讐の一助となってやる」


嚥下の音と共に、裁断女は暖かな光に飲み込まれる。気づけば、『偉大なるモノ』の列へと加わっていた
もはやその身を苛む痛みは無く、偉大なるモノの威光に安らぎを覚え、彼に続く足取りはこれまでに無いほど軽かった
変わりゆく自らの存在の中で、唯一不変のものがあるとするならば



【(´ _ `)】 【/ 、  /】



彼女に憎悪を芽生えさせた、二人への執念だけだった

224 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:42:48 ID:HcLXXAEI0




『狭間 “In The Backrooms.”』



END

225 ◆L6OaR8HKlk:2024/11/17(日) 21:45:14 ID:HcLXXAEI0
裁断女のモデルはこちらです
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-entry-909.html

いつかぶっ殺してやろうとずっと思ってました
次回はまたブスとデブの合宿に戻ります

226名無しさん:2024/11/17(日) 22:10:17 ID:jNFoN1Nk0
おつおつ

227名無しさん:2024/11/17(日) 22:30:09 ID:4bdryv0A0
おつ

228名無しさん:2024/11/18(月) 06:47:19 ID:9HqF1qUQ0
おつ

229名無しさん:2025/02/02(日) 23:40:10 ID:/RzzjASY0
面白かった!裁断女のリベンジ楽しみにしてる


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